IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップの特許一覧

特表2024-535483空冷式装置及び空冷式装置を制御する方法
<>
  • 特表-空冷式装置及び空冷式装置を制御する方法 図1
  • 特表-空冷式装置及び空冷式装置を制御する方法 図2
  • 特表-空冷式装置及び空冷式装置を制御する方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】空冷式装置及び空冷式装置を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F04D27/00 101M
F04D27/00 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024519882
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 IB2022058159
(87)【国際公開番号】W WO2023057832
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】2021/5774
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス クリストフ アドリアン ラウラ
【テーマコード(参考)】
3H021
【Fターム(参考)】
3H021AA06
3H021BA07
3H021BA12
3H021CA01
3H021DA04
3H021DA12
(57)【要約】
ガスを圧縮するための空冷式装置(1)を制御するための方法であって、空冷式装置(1)は、ガスを圧縮するための少なくとも1つの要素(2)と、空冷式装置(1)内の流体を冷却するための少なくとも1つの空冷式冷却器(9、12)と、2又は3以上のファン(10、13)と、を備え、ファン(10、13)の少なくとも1つは、空冷式冷却器(9、12)を冷却するための冷却空気の流れを生成するための可変速ファン(13)であり、本方法は、空冷式冷却器(9、12)を冷却する必要がない場合、少なくとも上記流れとは反対方向に移動する冷却空気の逆流を防ぐために、可変速ファン(13)の速度を最小限の所要速度に制御することから成る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを圧縮するための空冷式装置(1)を制御するための方法であって、前記空冷式装置(1)は、前記ガスを圧縮するための少なくとも1つの要素(2)と、前記空冷式装置(1)内の流体を冷却するための少なくとも1つの空冷式冷却器(9、12)と、2又は3以上のファン(10、13)と、を備え、前記ファン(10、13)の少なくとも1つは、前記空冷式冷却器(9、12)を冷却するための冷却空気の流れを生成するための可変速ファン(13)であり、
前記方法は、前記空冷式冷却器(9、12)を冷却する必要がない場合、少なくとも前記流れとは反対方向に移動する冷却空気の逆流を防ぐために、前記可変速ファン(13)の速度を最小限の所要速度に制御することから成ることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記可変速ファン(13)の前記速度は、
-前記空冷式装置(1)によって圧縮された前記ガスを冷却するために前記空冷式冷却器(9、12)が使用される場合に、前記圧縮ガスを冷却する必要がない場合に、及び/又は
-前記空冷式冷却器(9、12)の代わりに熱回収システム(11)が前記空冷式装置(1)の所要の冷却を行う場合に、及び/又は
-前記要素(2)が停止している又は無負荷で動作している場合に、
前記最小限の所要速度に低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最小限の所要速度は、
-環境パラメータ、及び/又は
-前記ファン(13)によって生成される前記冷却空気の流れの圧力、及び/又は
-前記空冷式装置(1)の冷却空気用の共通出口において前記ファン(10、13)によって生成される冷却空気の流れの圧力、
に基づいて決定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記可変速ファン(13)は、前記ファン(13)によって冷却されるファンモータ(14)によって駆動され、
前記方法は、冷却空気の前記逆流を防ぐために、及び、前記ファンモータ(14)が過熱するのを回避するために上述のファンモータ(14)を過不足なく冷却するために、前記空冷式冷却器(9、12)が冷却を行う必要がない場合には、前記可変速ファン(13)の前記速度を前記最小限の所要速度に制御することから成る、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記最小限の所要速度は、前記可変速ファン(13)の前記ファンモータ(14)の温度に基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ファンモータ(14)の前記温度は、前記ファンモータ(14)の1又は2以上の軸受を代表する温度である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ファンモータ(14)の前記温度は、前記ファンモータ(14)の1又は2以上の巻線を代表する温度である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記最小限の所要速度は、前記空冷式装置(1)の他のファン(10)及び/又は空冷式冷却器(9、12)の動作モードの最悪のシナリオに基づいて決定される所定の固定値である、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ガスを圧縮するための空冷式装置であって、空冷式装置は、前記ガスを圧縮するための少なくとも1つの要素(2)と、前記空冷式装置(1)内の流体を冷却するための少なくとも1つの空冷式冷却器(9、12)と、2又は3以上のファン(10、13)と、を備え、前記ファン(10、13)の少なくとも1つは、前記空冷式冷却器(9、12)を冷却するための冷却空気の流れを生成するための可変速ファン(13)であり、
前記可変速ファン(13)は、請求項1から8のいずれかに記載の方法を実行するように構成された制御装置(15)を備えていることを特徴とする、空冷式装置。
【請求項10】
前記空冷式装置(1)は、前記空冷式装置(1)内の1又は2以上の流体を冷却するための複数の空冷式冷却器(9、12)を備えると共に複数の可変速ファン(13)を備え、前記可変速ファン(13)は、請求項1から5のいずれかに記載の方法を実行するように構成された前記制御装置(15)を備えている、請求項9に記載の空冷式装置。
【請求項11】
前記可変速ファン(13)の少なくとも1つは、別個の副制御装置を備えている、請求項10に記載の空冷式装置。
【請求項12】
1つの制御装置(15)は、全ての可変速ファン(13)のために設けられている、請求項10に記載の空冷式装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを圧縮するための空冷式装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、「ガスを圧縮するための装置」とは、圧縮装置、送風装置、及び真空ポンプ装置を意味する。
【0003】
具体的には、本発明は、装置が備えている可変速ファンを制御することを意図している。
【0004】
この場合、「空冷式装置」とは、装置の要素の中に注入された液体、例えばオイルを冷却するために、及び/又は、装置によって圧縮されたガスを冷却するために、装置が少なくとも1つの空冷式冷却器を備えることを意味する。
【0005】
本発明による空冷式装置がさらに別のタイプの冷却器を備えることは、除外されない。
【0006】
空冷式冷却器は、空冷式冷却器を冷却するための冷却空気の流れを発生させるファンを備える。
【0007】
この装置は、一般に、1又は2以上の空冷式冷却器を冷却する冷却空気の流れを発生させる複数の当該ファンを備える。
【0008】
上記空冷式冷却器は、注入された液体及び/又は圧縮されたガスを冷却する。
【0009】
注入された液体及び/又は圧縮されたガスを冷却することは、一時的に不要となる場合がある。
【0010】
従って、関連する空気冷却器は、注入された液体及び/又はガスを冷却すべきではない。
【0011】
従って、ガスを圧縮する公知の装置では、ファンによって消費される電力の低減を保証するために、関連するファンのスイッチを切ることができることが知られている。
【0012】
ファンが停止すると、冷却空気用の共通出口に複数の冷却器が接続されている場合、空冷式冷却器を横切る加熱された冷却空気の逆流が生じる可能性がある。この加熱された冷却空気の逆流は、その後に新鮮な冷却空気と混合する可能性があり、その結果、まだ冷却が必要な空冷式冷却器の低温側で平均冷却空気温度が上昇し、これは、その後に冷却能力の望ましくない低下をもたらすことになる。
【0013】
この理由から、この望ましくない逆流を阻止するために、多くの場合、スラット又はルーバーが使用されている。
【0014】
このことは、追加コストを伴い、装置をよりかさばるものにするという欠点を有する。
【0015】
さらに、これは、スラットを横切る冷却空気の圧力降下と対になり、その結果として、スラットが完全に開いているときでさえ、冷却空気の同じ体積の流れを達成するために、より多くの電力が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述の及び/又は他の欠点の少なくとも1つに対する解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、ガスを圧縮するための装置を制御するための方法に関し、この装置は、ガスを圧縮するための少なくとも1つの要素と、装置内の流体を冷却するための少なくとも1つの空冷式冷却器と、2又は3以上のファンと、を備え、ファンの少なくとも1つは、空冷式冷却器を冷却するための冷却空気の流れを生成するための可変速ファンであり、本方法は、空冷式冷却器を冷却する必要がない場合、少なくとも上記流れとは反対方向に移動する冷却空気の逆流を防ぐために、可変速ファンの速度を最小限の所要速度に制御することから成る。
【0018】
1つの利点は、本発明による方法が可変速ファン(複数可)のエネルギー消費を最適化することによって、装置のエネルギーの消費を最適化できることである。
【0019】
このことが可能なタイミングで可変速ファンを最小限の所要速度で動作させることで、エネルギー消費を最小限に抑えることができる。
【0020】
さらなる利点は、可変速ファンが冷却のために冷却空気を供給する場合に、冷却空気流に生じるさらなる圧力降下なしで、加熱された冷却空気の逆流が回避されることである。
【0021】
これは、ファンの最小限の所要速度が、可変速ファンが逆流できないことを保証する必要最小限の冷却空気流を生成するのを保証するためである。
【0022】
空冷式冷却器が冷却を必要としない時間は、上記冷却器がどの機能を有するかによって、すなわち上記冷却器が圧縮ガスを冷却するか又は液体が要素に注入されるかで決まるだけでなく、装置の動作モードによっても決まる。
【0023】
上記冷却器は、注入液体用の冷却器、圧縮ガス用の中間冷却器、又は圧縮ガス用の最終冷却器とすることができる。
【0024】
好ましくは、可変速ファンの速度は、
-装置によって圧縮されたガスを冷却するために空冷式冷却器が使用される場合に、圧縮ガスを冷却する必要がない場合に、及び/又は
-空冷式冷却器の代わりに熱回収システムが所要の流体の冷却を行う場合に、及び/又は
-要素が停止している又は無負荷で動作している場合に、
最小限の所要速度に低減される。
【0025】
場合によっては、圧縮ガスの消費者がその用途に暖かいガス又は熱ガスを必要とする場合、圧縮ガスの冷却は不要である。
【0026】
装置は熱回収システムを備えることも可能である。そのシステムが十分な熱を回収すれば、上述の空冷式冷却器による追加の冷却は必要ない。熱回収システムは、装置の液体回路及び圧縮ガスに使用することができる。
【0027】
並列に接続された複数の要素を有する装置の場合、例えば圧縮ガスの需要が少ない場合、特定の時間に要素の1又は2以上は、スイッチオフにすること又は無負荷で動作することができ、その結果として、注入液体及び/又は圧縮ガスに関する要素のための冷却は不要である。
【0028】
本発明の好ましい特徴によれば、可変速ファンは、可変速ファンによって冷却されるファンモータによって駆動され、本方法は、冷却空気の逆流を防ぐために、及びファンモータが過熱するのを回避するためにファンモータを過不足なく冷却するために、空冷式冷却器が冷却を行う必要がない場合には、可変速ファンの速度を最小限の所要速度に制御することから成る。
【0029】
1つの利点は、このようにして、加熱された冷却空気の逆流だけでなくファンモータの過熱を防ぐことである。
【0030】
また、本発明は、ガスを圧縮するための装置に関し、この装置は、ガスを圧縮するための少なくとも1つの要素と、装置内の流体を冷却するための少なくとも1つの空冷式冷却器と、空冷式冷却器を冷却するための2又は3以上のファンと、を備え、ファンの少なくとも1つは、空冷式冷却器を冷却するための冷却空気の流れを生成するための可変速ファンであり、可変速ファンは、本発明による方法を実行するように構成された制御装置を備える。
【0031】
このような装置の利点は、本方法の利点と同じである。
【0032】
本発明の特徴をより良く示す目的で、本発明による空冷式装置及び空冷式装置を制御するための本発明による方法の多くの好ましい実施形態は、添付図面を参照して、非制限的に以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による装置を概略的に示す。
図2図1の変形例を示す。
図3図1のさらな変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示す本発明による装置1は、並列に接続されたガスを圧縮するための2つの要素2を備える。
【0035】
各要素2は、入口3と、それに接続された出口ライン5を備えた出口4とを有し、2つの出口ライン5は合流して装置1の出口ライン6を形成する。
【0036】
要素2はスクリュー圧縮機要素とすることができるが、これは本発明では必須ではない。
【0037】
この場合、要素2は、液体注入要素2であるが、これは本発明では必須ではない。
【0038】
さらに、液体分離器7は、要素2に注入された液体を分離するために、各要素2の下流のそれぞれの出口ライン5に設けられている。
【0039】
分離されたオイルは、戻りライン8を介して要素2に戻され、要素2に注入される。
【0040】
両方の戻りライン8には、ファン13を備えた空冷式冷却器9が設けられている。
【0041】
この場合、上記ファン13は、可変速度を有する。本発明の範囲内で、装置内の別のファンが可変速度を有する場合、ファンが可変速度を有していないことは除外されない。
【0042】
この場合、熱回収システム11は、液体分離器7の下流側で空冷式冷却器9の上流側の各戻りライン8に設けられており、この熱回収システムは、要素2で発生した熱を液体から回収することができる。上記熱は、例えば、暖房用途又は家庭用水の加熱に再利用される。
【0043】
上記熱回収システム11は、本発明では随意的である。
【0044】
両液体分離器7の下流で、要素2の出口ライン5は、装置1の出口ライン6に合流する。
【0045】
装置1の上記出口ライン6には、固定速度ファンであるファン10を備えた空冷式冷却器12が配置されている。
【0046】
上記冷却器12は、最終冷却器とも呼ばれる。
【0047】
全ての冷却器9、12は、加熱された冷却空気が冷却器9、12を通過した後に排出される冷却空気用の排出口(図示せず)に接続されている。
【0048】
この場合、上述の可変速ファン13の各々は、1つの制御装置15によって制御される変速ファンモータ14を備えている。
【0049】
本発明による方法によれば、上述の制御装置15は、可変速ファン13を制御するように構成されている。
【0050】
さらに、この場合、制御装置15は、冷却器9の上流側の戻りライン8内の液体の温度を測定する温度センサ16に接続されている。温度センサ16が冷却器9の下流側の液体の温度を測定することは除外されない。
【0051】
また、制御装置15は、圧縮されるガスの環境パラメータを測定する入口センサ17と、各々が可変速ファン13によって生成される冷却空気流の圧力を測定する圧力センサ18に接続されている。
【0052】
上述の環境パラメータは、例えば、限定されるものではないが、装置1の環境における大気圧、周囲温度及び/又はガスの湿度を含む。
【0053】
装置1の動作は非常に簡単であり、以下の通りである。
【0054】
要素2は公知の方法でガスを圧縮し、液体が要素2を潤滑及び冷却するために要素2に注入される。
【0055】
液体は、液体分離器7を用いて分離され、戻りライン8を介して熱回収システム11を通過する。その後、液体は、要素2に戻って注入される前に、空冷式冷却器9で冷却される。
【0056】
その後、圧縮ガスは、装置1の出口ライン6の冷却器12を通過し、そこで冷却が行われる。
【0057】
制御装置15は、本発明による方法に従ってファンモータ14を制御する。
【0058】
熱回収システム11が動作している場合、上記冷却器9を通過する際に液体は既に冷却されているため、冷却器9は、冷却を行う必要はない。
【0059】
このような場合、制御装置15は、冷却空気の逆流を回避するために、すなわち、装置1の他の冷却器9及び/又は出口ライン6の冷却器12から排出される冷却空気用の排出口での加熱された冷却空気が、冷却器9に逆流するのを回避するために、可変速ファン13の速度が最小限の所要速度に低下するように、可変速ファン13を制御する。
【0060】
この場合、上述の最小限の所要速度は、環境パラメータ及びファン13によって生成される冷却空気流の圧力に基づいて決定される。
【0061】
ファン10、13が冷却空気用の共通出口を有する場合、最小限の所要速度は、上記冷却空気用の共通出口内の冷却空気の圧力に基づいて決定することもできる。
【0062】
制御装置15は、入口センサ17及び圧力センサ18の信号に基づいて、上記最小限の所要速度を決定する。
【0063】
環境パラメータのみ、ファン13によって生成される空気流の圧力のみ、又は冷却空気用の共通出口内の冷却空気の圧力のみを考慮することも可能である。
【0064】
制御装置15が温度センサ16からの測定値に基づいて液体が十分に冷却されていると決定した場合、制御装置15は、ファン13の速度が上述の決定された最小限の所要速度まで低下するような方法でファンモータ14を制御する。
【0065】
これら全ての場合において、ファンモータ14は、より少ないエネルギーを消費する。
【0066】
上記のように、上述の最小限の所要速度は、好ましくは一定の間隔で決定され、最小限の所要速度は、それに基づいて最小限の所要速度が決定されるパラメータが変化した場合に適合される。
【0067】
しかしながら、最小限の所要速度は、装置1の出口ライン6の別のファン10及び/又は冷却器12の動作モードの最悪のシナリオに基づいて決定された所定の固定値とすることも可能である。
【0068】
これは、制御装置15が、冷却が必要でない上述のケースにおいて、可変速ファン13の速度が上記最小限の固定値に等しくなるような方法で可変速ファン13を制御することを意味する。
【0069】
この場合、可変速ファンモータ14は、同様により少ないエネルギーを消費する。
【0070】
このような場合、エネルギー消費の削減が同様に最大化されるように、可変速ファン13が、それらの最小限可能な速度に戻されることに留意することが重要である。
【0071】
図1の装置1は、可能性のある単なる1つの実施形態であることが明らかであろう。
【0072】
図2は、実例として図1の第1の変形例を示し、この場合、ガスを圧縮するための3つの要素2は、並列に接続されている。
【0073】
この場合は、空冷式冷却器9は戻りライン8に設けられており、各々が、独自の可変速ファン13を有する。
【0074】
上記ファン13の各々は、変速ファンモータ14によって駆動され、全ては1つの制御装置15によって制御される。
【0075】
このことは、各ファン13が独自の副制御装置を有することも可能性であるため必須ではない。
【0076】
また、一部のファン13が1つの共通の制御装置15を備え、他のファン13の各々が独自の、別個の副制御装置を備えることも可能である。
【0077】
この場合に、上記可変速ファン13の各々は、その関連するファンモータ14も冷却する。
【0078】
さらに、各ファンモータ14は、ファンモータ14の温度、例えば、ファンモータ14内の巻線及び/又は軸受の温度を測定することができる温度センサ19を備えている。
【0079】
上記温度センサ19は、制御装置15に接続されている。
【0080】
制御装置15は、ファン13によって生成される冷却空気流の圧力を測定する圧力センサ18にも接続されている。
【0081】
また、装置1の出口ライン6には、空冷式冷却器12の形態の最終冷却器が設けられており、この最終冷却器は、速度を調整できないファン10を備えている。
【0082】
この場合、熱回収システム11は設けられておらず、温度センサ16は同様に冷却器9の下流に設けられていない。
【0083】
この場合、制御装置15は、上記冷却器9の1又は2以上を冷却する必要がない場合に、冷却空気の逆流を回避して上述のファンモータ14を冷却するために、それぞれのファン13の速度を最小限の所要速度に戻すような方法で、戻りライン8の空冷式冷却器9のファン13を制御する。
【0084】
上記冷却器9の1又は2以上は、それぞれの要素2が停止されるか又は無負荷で動作している場合には冷却を行う必要がない。
【0085】
熱回収システム11が設けられている場合、熱回収システム11が十分に液体を冷却できる場合に戻された液体を冷却する必要がもはやない場合には、冷却器9の1又は2以上は、同様に冷却を行う必要がない。
【0086】
このような場合に、それぞれのファン13の速度は、上述の最小限の所要速度に戻すことができる。
【0087】
最小限の所要速度は、環境パラメータ、ファン13によって生成される空気流の圧力、及び可変速ファン13のファンモータ14の温度に基づいて決定される。
【0088】
制御装置15は、センサ17、18、19からの信号に基づいて上記最小限の所要速度を決定する。
【0089】
ファン13又はファン10及びファン13が冷却空気用の共通出口を有する場合、最小限の所要速度は、上記冷却空気用の共通出口内の冷却空気の圧力に基づいて決定することもできる。
【0090】
制御装置15が戻された液体を冷却する必要がないという信号、及び/又は要素2の1つが停止している又は無負荷で動作しているという信号を受け取った場合、制御装置15は、ファン13の速度を上述の決定された最小限の所要速度まで低下させるような方法で、関連するファンモータ14を制御し、これは、過熱を防ぐためにファン13がファンモータ14を依然として冷却すること、及び、ファン13が加熱された冷却空気の逆流を防ぐことを保証する。
【0091】
これらの全ての場合に、ファンモータ14は、より少ないエネルギーを消費する。
【0092】
図3は、図1の第2の変形例を示す。
【0093】
この場合、これは、並列に設置された2つの2段設備を有するオイルフリーの2段装置である。
【0094】
2段設備の各々は、ガスを圧縮するための低圧要素2aと、低圧要素2aによって圧縮されたガスをさらに圧縮するための高圧要素2bとを備え、これらの低圧要素と高圧要素は、直列に設置されている。
【0095】
装置1は、低圧要素2aと高圧要素2bの間に中間冷却器9を備えている。
【0096】
上記中間冷却器9は、可変速ファン13を備えている。
【0097】
上記ファン13の各々は、変速ファンモータ14によって駆動され、全てが1つの制御装置15によって制御される。
【0098】
この場合、上記可変速ファン13の各々は、関連するファンモータ14も冷却する。
【0099】
さらに、各ファンモータ14は、ファンモータ14の温度、例えばファンモータ14内の巻線及び/又は軸受の温度を測定することができる温度センサ19を備えている。
【0100】
上記温度センサ19は、制御装置15に接続されている。
【0101】
制御装置15は、ファン13によって生成された冷却空気流の圧力を測定する圧力センサ18にも接続されている。
【0102】
高圧要素2bの下流側では、熱回収システム11が各出口ライン5に収容されている。
【0103】
さらに、中間冷却器9に加えて、高圧要素2b及び中間冷却器9の上流側の2段設備の各出口ライン5には、熱回収システム11が収容されている。
【0104】
高圧要素2bの上流側に熱回収システム11のみが存在することも可能である。
【0105】
装置1の出口ライン6には、空冷式冷却器12の形態の最終冷却器も設けられており、この最終冷却器は、速度を調整できないファン10を備えている。
【0106】
動作は、その他の点では上述の実施形態に類似している。
【0107】
この場合は、低圧要素2aと高圧要素2bとの間の熱回収が能動的である場合に、及び/又は並列に設置された2つの2段設備の一方がスイッチオフにされるか又は動かない場合に、それぞれのファン13を最小限の所要速度に調整することができる。
【0108】
上述した実施例では、各空冷式冷却器9、12は、1つのファン10、13によって冷却されるが、空冷式冷却器9、12が2以上のファン10、13によって冷却されること、及び/又は、1つのファン10、13が複数の空冷式冷却器9、12を冷却することは除外されない。
【0109】
上述した全ての実施例では、装置1の出口ライン6の空冷式冷却器12は、固定速度ファン10を備えているが、上記空冷式冷却器12が可変速ファン13を備えることは除外されない。
【0110】
図3は、このことを点線で示している。
【0111】
可変速ファン13は、制御装置15によって駆動されるファンモータ14を備えており、制御装置15に上記ファンモータが接続されている。
【0112】
消費者が冷却された圧縮ガスを必要としないため、装置から供給される圧縮ガスを冷却する必要がない場合、空冷式冷却器12の上記ファン13の速度は、上述の最小限の所要速度に制御することができる。
【0113】
この場合、高圧要素2bの下流の出口ライン5に熱回収システム11が存在しないことは除外されない。
【0114】
本発明は、実施例として説明され、図示された実施形態に限定されるものではないが、本発明による空冷式装置及び本発明による空冷式装置を制御するための方法は、本発明の範囲を超えることなく、様々な代替手段に従って実現することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 装置
2 要素
2a 低圧要素
2b 高圧要素
3 入口
4 出口
5 出口ライン
6 出口ライン
7 液体分離器
8 戻りライン
9 空冷式冷却器
10 ファン
11 熱回収システム
12 空冷式冷却器
13 ファン
14 可変速ファンモータ
15 制御装置
16 温度センサ
17 入口センサ
18 圧力センサ
19 温度センサ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを圧縮するための空冷式装置(1)を制御するための方法であって、前記空冷式装置(1)は、前記ガスを圧縮するための少なくとも1つの要素(2)と、前記空冷式装置(1)内の流体を冷却するための少なくとも1つの空冷式冷却器(9、12)と、2又は3以上のファン(10、13)と、を備え、前記ファン(10、13)の少なくとも1つは、前記空冷式冷却器(9、12)を冷却するための冷却空気の流れを生成するための可変速ファン(13)であり、
前記方法は、前記空冷式冷却器(9、12)を冷却する必要がない場合、少なくとも前記流れとは反対方向に移動する冷却空気の逆流を防ぐために、前記可変速ファン(13)の速度を最小限の所要速度に制御することから成ることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記可変速ファン(13)の前記速度は、
-前記空冷式装置(1)によって圧縮された前記ガスを冷却するために前記空冷式冷却器(9、12)が使用される場合に、圧された前記ガスを冷却する必要がない場合に、及び/又は
-前記空冷式冷却器(9、12)の代わりに熱回収システム(11)が前記空冷式装置(1)の所要の冷却を行う場合に、及び/又は
-前記要素(2)が停止している又は無負荷で動作している場合に、
前記最小限の所要速度に低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最小限の所要速度は、
-環境パラメータ、及び/又は
-前記ファン(13)によって生成される前記冷却空気の流れの圧力、及び/又は
-前記空冷式装置(1)の冷却空気用の共通出口において前記ファン(10、13)によって生成される冷却空気の流れの圧力、
に基づいて決定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記可変速ファン(13)は、前記ファン(13)によって冷却されるファンモータ(14)によって駆動され、
前記方法は、冷却空気の前記逆流を防ぐために、及び、前記ファンモータ(14)が過熱するのを回避するために上述のファンモータ(14)を過不足なく冷却するために、前記空冷式冷却器(9、12)が冷却を行う必要がない場合には、前記可変速ファン(13)の前記速度を前記最小限の所要速度に制御することから成る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記最小限の所要速度は、前記可変速ファン(13)の前記ファンモータ(14)の温度に基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ファンモータ(14)の前記温度は、前記ファンモータ(14)の1又は2以上の軸受を代表する温度である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ファンモータ(14)の前記温度は、前記ファンモータ(14)の1又は2以上の巻線を代表する温度である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記最小限の所要速度は、前記空冷式装置(1)の他のファン(10)及び/又は空冷式冷却器(9、12)の動作モードの最悪のシナリオに基づいて決定される所定の固定値である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
ガスを圧縮するための空冷式装置であって、空冷式装置は、前記ガスを圧縮するための少なくとも1つの要素(2)と、前記空冷式装置(1)内の流体を冷却するための少なくとも1つの空冷式冷却器(9、12)と、2又は3以上のファン(10、13)と、を備え、前記ファン(10、13)の少なくとも1つは、前記空冷式冷却器(9、12)を冷却するための冷却空気の流れを生成するための可変速ファン(13)であり、
前記可変速ファン(13)は、請求項1又は2に記載の方法を実行するように構成された制御装置(15)を備えていることを特徴とする、空冷式装置。
【請求項10】
前記空冷式装置(1)は、前記空冷式装置(1)内の1又は2以上の流体を冷却するための複数の空冷式冷却器(9、12)を備えると共に複数の可変速ファン(13)を備え、前記可変速ファン(13)は、請求項1又は2に記載の方法を実行するように構成された前記制御装置(15)を備えている、請求項9に記載の空冷式装置。
【請求項11】
前記可変速ファン(13)の少なくとも1つは、別個の副制御装置を備えている、請求項10に記載の空冷式装置。
【請求項12】
1つの制御装置(15)は、全ての可変速ファン(13)のために設けられている、請求項10に記載の空冷式装置。
【国際調査報告】