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特表2024-535501ENT1阻害活性を有する大環状化合物を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ENT1阻害活性を有する大環状化合物を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/08 20060101AFI20240920BHJP
   C07D 243/04 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C07D498/08
C07D243/04
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K31/551
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520547
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2022123711
(87)【国際公開番号】W WO2023056910
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/122508
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/122511
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/122512
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350096
【氏名又は名称】アイテオ ベルギウム エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル・デリグニー
(72)【発明者】
【氏名】エリック・タルボット
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・モログル
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ・ロシュ
(72)【発明者】
【氏名】ユーゴ・ルモワンヌ
(72)【発明者】
【氏名】シン・ホアン
(72)【発明者】
【氏名】クイクイ・ユァン
(72)【発明者】
【氏名】デジュ・シャン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC42
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA04
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC42
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、特に、化合物(R)-11:
【化1】
またはその薬学的に許容しうる塩を製造する方法を含む。化合物(R)-11は、がんを処置するかまたはがんの重症度を軽減するために有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(R)-11
【化1】
、又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を製造するための方法であって、化合物11:
【化2】
のラセミ混合物から化合物(R)-11を分離する工程を含む、上記方法。
【請求項2】
化合物(R)-11を分離する工程は、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(キラルSFC)を使用して達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物10をペプチドカップリング試薬と反応させて化合物11を製造する工程:
【化3】
をさらに含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
ペプチドカップリング試薬は、BOP、PyBOP、HATU、及びHBTUからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ペプチドカップリング試薬はPyBOPである、請求項3~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
化合物9を酸と反応させることにより、化合物9を脱保護して化合物10を製造する工程:
【化4】
をさらに含む、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
酸はHClである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
化合物8を化合物8Aと反応させて化合物9を製造する工程:
【化5】
をさらに含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
化合物8を化合物8Aと反応させる工程は、適切な塩基を加えることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
適切な塩基は、KCO、NaCO、及びCaCOからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
適切な塩基はKCOである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化合物7をメシル化剤と反応させて化合物8を製造する工程:
【化6】
をさらに含む、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
メシル化剤はMsClである、請求項12に記載の方法。請求項12に記載の方法。
【請求項14】
化合物7をメシル化剤と反応させる工程は、適切な塩基を加えることを含む、請求項12~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
適切な塩基は、TEA、DEA、DIPA、及びピリジンからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
適切な塩基はTEAである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化合物6を適切な脱保護剤と反応させて化合物7を製造すること:
【化7】
をさらに含む、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
適切な脱保護剤はフッ化物源である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
フッ化物源は、HF-ピリジン、TBAF、KF、及びTBATから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
フッ化物源はHF-ピリジンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
化合物5を化合物5Aと反応させて化合物6を製造する工程
【化8】
をさらに含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
化合物5を化合物5Aと反応させる工程は、DEAD及びPPhを加えることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
化合物4から化合物5を製造する工程:
【化9】
をさらに含む、請求項21~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
化合物4から化合物5を製造する工程は、ヒドロホウ素化-酸化の一連の反応を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ヒドロホウ素化-酸化の一連の反応は、(a)BH/THFを加える工程;(b)HOでクエンチする工程、(c)NaBOを加える工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
化合物3を化合物3Aと反応させて化合物4を製造する工程:
【化10】
をさらに含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
化合物3を化合物3Aと反応させる工程は、エステルカップリング試薬を加えることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
エステルカップリング試薬はDCCである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
化合物1を化合物2と反応させて化合物3を製造する工程:
【化11】
をさらに含む、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
化合物1_1を酸化して化合物1を製造する工程:
【化12】
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
化合物1_1を酸化する工程は、酸化剤を加えることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
酸化剤はPy.SOである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
化合物18を化合物3Aと反応させる工程:
【化13】
を含む、化合物(R)-11を製造する方法。
【請求項34】
化合物18を化合物3Aと反応させる工程は、アゾジカルボン酸エステルを加えることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アゾジカルボン酸エステルはDEAD又はDIADである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
アゾジカルボン酸エステルはDEADである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
化合物18を化合物3Aと反応させる工程は、PPhを加えることをさらに含む、請求項34~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
化合物(R)-11
【化14】
、又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を製造するための方法であって、化合物(R)-10をペプチドカップリング試薬と反応させる工程:
【化15】
を含む、上記方法。
【請求項39】
ペプチドカップリング試薬は、BOP、PyBOP、HATU、及びHBTUからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ペプチドカップリング試薬はPyBOPである、請求項38~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
化合物(R)-9を酸と反応させることにより化合物9を脱保護して化合物(R)-10を製造する工程:
【化16】
をさらに含む、請求項38~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
酸はHClである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
化合物(R)-17を3Aと反応させて化合物(R)-9を製造する工程:
【化17】
をさらに含む、請求項41~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
化合物17を化合物3Aと反応させる工程は、カルボジイミドを加えることを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
カルボジイミドはDIC及びDCCからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
カルボジイミドはDICである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
分割剤を使用して化合物17の鏡像異性体純度を増加させる予備工程をさらに含む、請求項43~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
分割剤は、
【化18】
である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
化合物15を適切な還元剤と反応させて化合物17を製造すること:
【化19】
をさらに含む、請求項43~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
適切な還元剤は鏡像異性体還元剤である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
鏡像異性体還元剤は(S,S)-Ms-DENEBである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
化合物14を化合物8Aと反応させて化合物15を製造する工程:
【化20】
をさらに含む、請求項49~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
化合物14を化合物8Aと反応させる工程は、適切な塩基を加えることを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
適切な塩基はトリエチルアミンである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
化合物14を化合物13から製造する工程:
【化21】
をさらに含む、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
化合物12を化合物5Aと反応させて化合物13を製造する工程:
【化22】
をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
化合物12を化合物5Aと反応させる工程は、アゾジカルボン酸エステルを加えることを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
アゾジカルボン酸エステルはDEADである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
化合物12Bを化合物12Aと反応させて化合物12を製造する工程:
【化23】
をさらに含む、請求項56~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
化合物12Bを化合物12Aと反応させる工程は、還元剤を加えることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
還元剤はDIBAL-Hである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
化合物(R)-11
【化24】
又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を製造するための方法であって、化合物(R)-10をペプチドカップリング試薬と反応させる工程:
【化25】
を含む、上記方法。
【請求項63】
ペプチドカップリング試薬は、BOP、PyBOP、HATU、及びHBTUからなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ペプチドカップリング試薬はPyBOPである、請求項62~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
化合物(R)-17を酸と反応させることにより化合物(R)-17を脱保護して化合物(R)-10を製造する工程:
【化26】
をさらに含む、請求項62~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
酸はHClである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
化合物24を化合物25Aと反応させて化合物(R)-17を製造する工程:
【化27】
をさらに含む、請求項65~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
化合物24を化合物25Aと反応させる工程は、アゾジカルボン酸エステルを加えることを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
アゾジカルボン酸エステルは、DEAD及びDIADからなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
アゾジカルボン酸エステルはDEADである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
化合物23を還元剤と反応させて化合物24を製造する工程:
【化28】
をさらに含む、請求項67~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
還元剤はNaBHである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
化合物22を触媒と反応させて化合物23を製造する工程:
【化29】
をさらに含む、請求項71~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
触媒はRhCl(PPhである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
化合物21を化合物3Aと反応させて化合物33を製造する工程:
【化30】
をさらに含む、請求項73~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
化合物21を化合物3Aと反応させる工程は、エステルカップリング試薬を加えることを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
エステルカップリング試薬はDCCである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
化合物20を化合物8Aと反応させて化合物21を製造する工程:
【化31】
をさらに含む、請求項75~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
化合物20を化合物8Aと反応させる工程は、適切な還元剤を加えることを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
還元剤はNaBHである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
化合物19から化合物20を製造する工程:
【化32】
をさらに含む、請求項78~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
化合物19を製造する工程は、PPh、I、及びイミダゾールを加えることを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
化合物18から化合物19を製造する工程:
【化33】
をさらに含む、請求項81~82のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、大環状ジアミン類の合成に関する。より詳細には、本開示は、治療的化合物として、特にがんの処置において有用である、ENTファミリー輸送体、特にENT1の阻害剤の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
受動拡散型ヌクレオシド輸送体(ENT)ファミリー(SLC29としても知られる)は、ヌクレオシド基質を細胞に輸送する原形質膜輸送タンパク質の一群である。4つの公知のENTがあり、ENT1、ENT2、ENT3、及びENT4と指定される。
【0003】
ENTの内在性基質の1つは、多数の機能の強力な生理学的及び薬理学的制御因子であるアデノシンである。アデノシンによる細胞シグナル伝達は、4つの公知のGタンパク質共役型アデノシン受容体A1、A2A、A2B、及びA3を介して起こる。これらの受容体に利用可能なアデノシンの濃度に影響を及ぼすことにより、ENTは、冠血流の調節、炎症、及び神経伝達のような様々な生理的プロセスにおける重要な調節の役割を果たす(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。
【0004】
アデノシンは、細胞外腫瘍微小環境(TME)において上昇することが頻繁に見出される強力な免疫抑制性代謝物でもある(非特許文献4)。細胞外アデノシンは、エクトヌクレオチダーゼCD39及びCD73によるATPの変換により主に生成される(非特許文献5)。アデノシンは、4つのGタンパク質共役型受容体サブタイプ(A1、A2A、A2B、及びA3)を活性化する。特に、A2A受容体の活性化は、抗腫瘍免疫応答の抑制をもたらす自然及び適応免疫細胞抑制の主要ドライバーであると考えられる(非特許文献6)(非特許文献7)(非特許文献8)(非特許文献9)(非特許文献10)(非特許文献11)。
【0005】
出願人は、以前に特許文献1において、アデノシンもATPも、T細胞増殖及びサイトカイン分泌(IL-2)を大いに抑制し、そしてT細胞生存率を強く減少させるということを証明した。T細胞生存率及び増殖のアデノシン介在性及びATP介在性抑制は、ENT阻害剤を使用することにより首尾よく回復された。さらに、アデノシン受容体アンタゴニストと組み合わせたENT阻害剤の使用は、T細胞生存及び増殖のアデノシン介在性及びATP介在性抑制を回復させることを可能にしただけでなく、T細胞サイトカイン分泌も回復させた。これらの結果は、単独又はアデノシン受容体アンタゴニストとの組み合わせのいずれでも、ENT阻害剤ががんの処置に有用であり得るということを示した。
【0006】
ジラゼプ、ジピリダモール、及びドラフラジン(draflazine)のような様々な薬物がENTと相互作用し、そしてアデノシンレベルを変更し、そしてそれらの心保護的又は血管拡張性効果のために開発された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】PCT/EP2019/076244
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Griffith DA and Jarvis SM、Biochim Biophys Acta、1996、1286、153-181
【非特許文献2】Shryock JC and Belardinelli L、Am J Cardiol、1997、79(12A)、2-10
【非特許文献3】Anderson CM et al.、J Neurochem、1999、73、867-873
【非特許文献4】Blay J et al.、Cancer Res、1997、57、2602-2605
【非特許文献5】Stagg J and Smyth MJ、Oncogene、2010、2、5346-5358
【非特許文献6】Ohta and Sitkovsky、Nature、2001、414、916-920
【非特許文献7】Stagg and Smyth、Oncogene、2010、2、5346-5358
【非特許文献8】Antonioli L et al.、Nature Reviews Cancer、2013、13、842-857
【非特許文献9】Cekic C and Linden J、Nature Reviews、Immunology、2016、16、177-192
【非特許文献10】Allard B et al.、Curr Op Pharmacol、2016、29、7-16
【非特許文献11】Vijayan D et al.、Nature Reviews Cancer、2017、17、709-724
【非特許文献12】Vlachodimou et al.、Bio-Chemical Pharmacology、2020、172、113747
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在では、2つの非選択的ENT1阻害剤(ジラゼプ及びジピリダモール)が市場で販売されている(非特許文献12)。しかしながら、それらの結合動力学は未知であり;さらに、さらなる強力なENT阻害剤、及び特に単独又はアデノシン受容体アンタゴニストとの組み合わせのいずれかでがんの処置のために使用するためのENT1阻害剤の必要がまだある。
【0010】
その結果、ENT1阻害剤を高収率で製造するための効率的で費用効果の高い方法の必要がまだ残っている。本開示は、ENT1阻害剤のための高い価値のある鍵となる中間体を製造する実行可能な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
要旨
本開示は、化合物(R)-11:
【化1】
又はその薬学的に許容しうる塩を製造する方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示は、ENT1阻害剤の合成において有用な鍵となる中間体の合成に関する。
【0013】
概して、本開示のいずれかの個々の化合物についての合成経路は、各分子の特定の置換基、及び必要な中間体の準備のできた利用可能性に依存する;さらにこのような因子は当業者に理解される。さらなる一般的な方法に従って、当業者に周知の適切な相互変換技術を使用して、本開示の化合物を、本開示の代替の化合物に変換することができる。当然のことながら、本明細書において開示されるいずれの工程も、適切な試薬の使用によりエナンチオ選択的にされ得る。さらに、本開示は、鏡像異性体純度を高めた(enantioenriched)出発物質の使用を企図する。いくつかの実施形態において、キラル生成物を生じる本明細書において開示される反応は、1つの鏡像異性体を別の鏡像異性体から分離するための当該分野で公知の分離方法を使用して生成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、化合物(R)-11の合成は、スキーム1に要約される工程1~10のいずれかを含む方法で達成され得る。
【0015】
スキーム1
【化2】
【0016】
スキーム2
【化3】
【0017】
スキーム3
【化4】
【0018】
いくつかの実施形態において、PGは適切なヒドロキシル保護基である。用語「ヒドロキシル保護基」は、同様に一般用語で知られており、そしてヒドロキシル基を化学反応に対して保護するために適しているが、分子中の別の箇所で所望の化学反応が行われた後に除去することが容易である基に関する。このような基の典型は、上述の非置換又は置換アリール、アラルキル又はアシル基、さらにはアルキル基である。所望の化学反応又は一連の反応の後で再び除去されるので、ヒドロキシル保護基の性質及びサイズはあまり重要ではない;1~20個、特に1~10個の炭素原子を有する基が好ましい。ヒドロキシル保護基の例は、とりわけ、ベンジル、4-メトキシベンジル、p-ニトロベンゾイル、p-トルエンスルホニル、tert-ブチル及びアセチルであり、ここでベンジル及びtert-ブチルは特に好ましい。
【0019】
いくつかの実施形態において、PGは、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn) β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル、[ビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル](DMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル](MMT) p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、p-メトキシフェニルエーテル(PMP)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチル(トリフェニルメチル、Tr)、及びシリルエーテルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PGはシリルエーテルである。いくつかの実施形態において、PGは、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリ-イソプロピルシリルオキシメチル(TOM)、及びトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PGはtert-ブチルジメチルシリル(TBS)である。
【0020】
いくつかの実施形態において、PGは、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn) β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル、[ビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル](DMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル](MMT) p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、p-メトキシフェニルエーテル(PMP)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチル(トリフェニルメチル、Tr)、及びシリルエーテルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PGはC-C脂肪族である。いくつかの実施形態において、PGはt-Buである。
【0021】
いくつかの実施形態において、PGはアミノ保護基である。用語「アミノ保護基」は、一般用語で知られており、そしてアミノ基を化学反応に対して保護する(ブロックする)ために適しているが、分子中の別の箇所で所望の化学反応が行われた後に除去することが容易である基に関する。このような基の典型は、特に、非置換又は置換アシル、アリール、アラルコキシメチル又はアラルキル基である。アミノ保護基は所望の反応(又は一連の反応)の後に除去されるので、それらの種類及びサイズはさらにあまり重要ではない;しかし、1~20個、特に1~8個の炭素原子を有するものが好ましい。用語「アシル基」は、本開示の方法に関連して最も広い意味で理解されるべきである。これには、脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、芳香族又は複素環式カルボン酸又はスルホン酸から誘導されるアシル基、及び特にアルコキシ-カルボニル、アリールオキシカルボニル及び特にアラルコキシカルボニル基が含まれる。このようなアシル基の例は、アルカノイル、例えばアセチル、プロピオニル及びブチリル;アラルカノイル、例えばフェニルアセチル;アロイル、例えばベンゾイル及びトリル;アリールオキシアルカノイル、例えば、POA;アルコキシカルボニル、例えばメトキシ-カルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、BOC(tert-ブトキシカルボニル)及び2-ヨードエトキシカルボニル アラルコキシカルボニル、例えば、CBZ(「カルボベンゾキシ」)、4-メトキシベンジルオキシカルボニル及びFMOC;並びにアリールスルホニル、例えばMtrである。好ましいアミノ保護基は、BOC及びMtr、さらにCBZ、Fmoc、ベンジル及びアセチルである。
【0022】
BOC、OtBu及びMtr基は、例えば、好ましくはジクロロメタン中TFAを使用して、又はジオキサン中約3~5N HClを15~30℃で使用して切断され得、そしてFMOC基は、ジメチルアミン、ジエチルアミン又はピペリジンのDMF中の約5~50%溶液を15~30℃で使用して切断され得る。
【0023】
水素化分解で除去することができる保護基(例えば、CBZ、ベンジル又はそのオキサジアゾール誘導体からのアミジノ基の遊離)は、例えば、触媒(例えば、有利には炭素のような支持体上の貴金属触媒、例えばパラジウム)の存在下で水素での処理により切断され得る。
【0024】
ここでの適切な溶媒は、上に示されるもの、特に例えば、アルコール類、例えばメタノールもしくはエタノール、又はアミド類、例えばDMFである。水素化分解は、一般的には約0℃と100℃との間の温度及び約1barと200barとの間の圧力で行われ、好ましくは20~30℃及び1~10barで行われる。CBZ基の水素化分解は、例えば、メタノール中5~10%Pd/Cで、又はメタノール/DMF中Pd/Cでギ酸アンモニウムを使用して(水素の代わり)20~30℃でよく成功する。
【0025】
複数の同一又は異なる保護されたアミノ基及び/又はヒドロキシル基が出発物質の分子中に存在することも可能である。存在する保護基が互いに異なる場合、それらは多くの場合、選択的に切断され得る。
【0026】
本明細書において記載される化合物は、それらの官能基誘導体から、使用される保護基に依存して、例えば無機強酸、例えば、塩酸、過塩素酸もしくは硫酸、有機強カルボン酸酸、例えば、トリクロロ酢酸、TFA、またはスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸から遊離される。さらなる不活性溶媒の存在は可能であるが、常に必要なわけではない。
【0027】
いくつかの実施形態において、化合物1_1の酸化は、当業者に公知の方法を使用して達成され得る。例えば、化合物1_1の酸化は、Py.SOである酸化剤を使用して達成され得る。いくつかの実施形態において、化合物1_1の酸化は、Py.SO、TEA及びDMSOを使用して達成され得る。いくつかの実施形態において、化合物1_1の酸化は、DCM中でPy.SO、TEA、及びDMSOを使用して達成され得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、化合物3Aのエステル化は、化合物3をアゾジカルボン酸エステルで処理することにより達成され得る。いくつかの実施形態において、アゾジカルボン酸エステルはDEAD又はDIADである。いくつかの実施形態において、アゾジカルボン酸エステルはDEADである。
【0029】
いくつかの実施形態において、化合物4のヒドロホウ素化-酸化は、化合物4をBHで処理し、続いて酸化的後処理、例えばNaBOにより達成され得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、化合物6は、化合物5をアゾジカルボン酸エステル及び化合物5Aで処理することにより製造され得る。いくつかの実施形態において、アゾジカルボン酸エステルはDEAD又はDIADである。いくつかの実施形態において、アゾジカルボン酸エステルはDEADである。
【0031】
いくつかの実施形態において、LGは、ハロゲン、-OTf、-OMs、及び-OTsからなる郡から選択される。いくつかの実施形態において、LGは-OMsからなる群から選択される。
【0032】
適切な不活性溶媒は、好ましくは有機物、例えば酢酸のようなカルボン酸、テトラヒドロフラン又はジオキサンのようなエーテル、DMFのようなアミド類、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素、さらにメタノール、エタノール又はイソプロパノールのようなアルコール類、及び水である。上述の溶媒の混合物はさらに適している。TFAは好ましくはさらなる溶媒を加えることなく過剰に使用され、そして過塩素酸は好ましくは酢酸及び70%過塩素酸の9:1の比の混合物の形態で使用される。切断のための反応温度は、有利には約0と約50℃との間、好ましくは15と30℃との間(室温)である。
【0033】
適切な不活性溶媒の例は、炭化水素、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素、例えばトリクロロエチレン、1,2-ジクロロエタン、テトラクロロメタン、トリフルオロメチルベンゼン、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノールもしくはtert-ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルもしくはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)もしくはジメチル-ホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、又は上記溶媒の混合物である。
【0034】
エステルは、例えば、HC1、HSOを使用して、又LiOH、NaOH又はKOHを使用して、例えば、水、水/THF、水/THF/エタノール又は水/ジオキサン中で、0℃と100℃との間の温度で加水分解され得る。
【0035】
遊離アミノ基はさらに、従来のやり方で、有利にはジクロロメタンもしくはTHFのような不活性溶媒中で、かつ/又はトリエチルアミンもしくはピリジンのような塩基の存在下で、-60℃と+30℃との間の温度で、塩化アシルもしくはアシル無水物を使用してアシル化され得、又は非置換もしくは置換ハロゲン化アルキルを使用してアルキル化され得る。
【0036】
全ての保護及び脱保護方法について、Philip J.Kocienski、「Protecting Groups」、Georg Thieme Verlag Stuttgart、New York、1994年並びにTheodora W.Greene及びPeter G. M. Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」、Wiley Interscience、第3版1999年を参照のこと。
【0037】
実施例の項に記載される反応スキームは例示のみであり、いかなるようにも開示を限定するとみなされるべきではない。
【0038】
いくつかの実施形態において、化合物(R)-11は、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%鏡像異性的に純粋である。
【0039】
列挙される実施形態
本開示は、列挙される実施形態1~84を含む:
【0040】
1. 化合物(R)-11
【化5】
又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を製造するための方法であって、化合物11:
【化6】
のラセミ混合物から化合物(R)-11を分離する工程を含む、上記方法。
【0041】
2. 化合物(R)-11を分離する工程は、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(キラルSFC)を使用して達成される、実施形態1に記載の方法。
【0042】
3. 化合物10をペプチドカップリング試薬と反応させて化合物11を製造する工程:
【化7】
をさらに含む、実施形態1~2のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
4. ペプチドカップリング試薬は、BOP、PyBOP、HATU、及びHBTUからなる群から選択される、実施形態3に記載の方法。
【0044】
5. ペプチドカップリング試薬はPyBOPである、実施形態3~4のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
6. 化合物9を酸と反応させることにより、化合物9を脱保護して化合物10を製造する工程:
【化8】
をさらに含む、実施形態3~5のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
7. 酸はHClである、実施形態6に記載の方法。
【0047】
8. 化合物8を化合物8Aと反応させて化合物9を製造する工程:
【化9】
をさらに含む、実施形態5~6のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
9. 化合物8を化合物8Aと反応させる工程は、適切な塩基を加えることを含む、実施形態8に記載の方法。
【0049】
10. 適切な塩基は、KCO、NaCO、及びCaCOからなる群から選択される、実施形態9に記載の方法。
【0050】
11. 適切な塩基はKCOである、実施形態10に記載の方法。
【0051】
12. 化合物7をメシル化剤と反応させて化合物8を製造する工程:
【化10】
をさらに含む、実施形態8~11のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
13. メシル化剤はMsClである、実施形態12に記載の方法。
【0053】
14. 化合物7をメシル化剤と反応させる工程は、適切な塩基を加えることを含む、実施形態12~13のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
15. 適切な塩基は、TEA、DEA、DIPA、及びピリジンからなる群から選択される、実施形態14に記載の方法。
【0055】
16. 適切な塩基はTEAである、実施形態15に記載の方法。
【0056】
17. 化合物6を適切な脱保護剤と反応させて化合物7を製造すること:
【化11】
をさらに含む、実施形態12~16のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
18. 適切な脱保護剤はフッ化物源である、実施形態17に記載の方法。
【0058】
19. フッ化物源は、HF-ピリジン、TBAF、KF、及びTBATから選択される、実施形態18に記載の方法。
【0059】
20. フッ化物源はHF-ピリジンである、実施形態19に記載の方法。
【0060】
21. 化合物5を化合物5Aと反応させて化合物6を製造する工程
【化12】
をさらに含む、実施形態17~20のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
22. 化合物5を化合物5Aと反応させる工程は、DEAD及びPPhを加えることをさらに含む、実施形態21に記載の方法。
【0062】
23. 化合物4から化合物5の工程:
【化13】
をさらに含む、実施形態21~22のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
24. 化合物4から化合物5の工程は、ヒドロホウ素化-酸化の一連の反応を含む、実施形態23に記載の方法。
【0064】
25. ヒドロホウ素化-酸化の一連の反応は、(a)BH/THFを加える工程;(b)HOでクエンチする工程、(c)NaBOを加える工程を含む、実施形態24に記載の方法。
【0065】
26. 化合物3を化合物3Aと反応させて化合物4を製造する工程:
【化14】
をさらに含む、実施形態23~25のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
27. 化合物3を化合物3Aと反応させる工程は、エステルカップリング試薬を加えることを含む、実施形態26に記載の方法。
【0067】
28. エステルカップリング試薬はDCCである、実施形態27に記載の方法。
【0068】
29. 化合物1を化合物2と反応させて化合物3を製造する工程:
【化15】
をさらに含む、実施形態26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
30. 化合物1_1を酸化して化合物1を製造する工程:
【化16】
をさらに含む、実施形態29に記載の方法。
【0070】
31. 化合物1_1を酸化する工程は、酸化剤を加えることを含む、実施形態30に記載の方法。
【0071】
32. 酸化剤はPy.SOである、実施形態31に記載の方法。
【0072】
33. 化合物18を化合物3Aと反応させる工程:
【化17】
を含む、化合物(R)-11を製造する方法。
【0073】
34. 化合物18を化合物3Aと反応させる工程は、アゾジカルボン酸エステルを加えることを含む、実施形態33に記載の方法。
【0074】
35. アゾジカルボン酸エステルはDEAD又はDIADである、実施形態34に記載の方法。
【0075】
36. アゾジカルボン酸エステルはDEADである、実施形態35に記載の方法。
【0076】
37. 化合物18を化合物3Aと反応させる工程は、PPhを加えることをさらに含む、実施形態34~36のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
38. 化合物(R)-11
【化18】
、又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を製造するための方法であって、化合物(R)-10をペプチドカップリング試薬と反応させる工程:
【化19】
を含む、上記方法。
【0078】
39. ペプチドカップリング試薬は、BOP、PyBOP、HATU、及びHBTUからなる群から選択される、実施形態38に記載の方法。
【0079】
40. ペプチドカップリング試薬はPyBOPである、実施形態38~39のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
41. 化合物(R)-9を酸と反応させることにより化合物9を脱保護して化合物(R)-10を製造する工程:
【化20】
をさらに含む、実施形態38~40のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
42. 酸はHClである、実施形態41に記載の方法。
【0082】
43. 化合物(R)-17を3Aと反応させて化合物(R)-9を製造する工程:
【化21】
をさらに含む、実施形態38~42のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
44. 化合物(R)-17を化合物3Aと反応させる工程は、カルボジイミドを加えることを含む、実施形態43に記載の方法。
【0084】
45. カルボジイミドはDIC及びDCCからなる群から選択される、実施形態44に記載の方法。
【0085】
46. カルボジイミドはDICである、実施形態45に記載の方法。
【0086】
47. 分割剤を使用して化合物17の鏡像異性体純度を増加させる予備工程をさらに含む、実施形態43~46のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
48. 分割剤は、
【化22】
である、実施形態47に記載の方法。
【0088】
49. 化合物15を適切な還元剤と反応させて化合物17を製造すること:
【化23】
をさらに含む、実施形態43~48のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
50. 適切な還元剤は鏡像異性体還元剤である、実施形態49に記載の方法。
【0090】
51. 鏡像異性体還元剤は(S,S)-Ms-DENEBである、実施形態50に記載の方法。
【0091】
52. 化合物14を化合物8Aと反応させて化合物15を製造する工程:
【化24】
をさらに含む、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
53. 化合物14を化合物8Aと反応させる工程は、適切な塩基を加えることを含む、実施形態52に記載の方法。
【0093】
54. 適切な塩基はトリエチルアミンである、実施形態53に記載の方法。
【0094】
55. 化合物14を化合物13から製造する工程:
【化25】
をさらに含む、実施形態53~54のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
56. 化合物12を化合物5Aと反応させて化合物13を製造する工程:
【化26】
をさらに含む、実施形態55に記載の方法。
【0096】
57. 化合物12を化合物5Aと反応させる工程は、アゾジカルボン酸エステルを加えることを含む、実施形態56に記載の方法。
【0097】
58. アゾジカルボン酸エステルはDEADである、実施形態57に記載の方法。
【0098】
59. 化合物12Bを化合物12Aと反応させて化合物12を製造する工程:
【化27】
をさらに含む、実施形態56~58のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
60. 化合物11を化合物11Aと反応させる工程は、還元剤を加えることを含む、実施形態59に記載の方法。
【0100】
61. 還元剤はDIBAL-Hである、実施形態60に記載の方法。
【0101】
62. 化合物(R)-11
【化28】
又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を製造するための方法であって、化合物(R)-10をペプチドカップリング試薬と反応させる工程:
【化29】
を含む、上記方法。
【0102】
63. ペプチドカップリング試薬は、BOP、PyBOP、HATU、及びHBTUからなる群から選択される、実施形態62に記載の方法。
【0103】
64. ペプチドカップリング試薬はPyBOPである、実施形態62~63のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
65. 化合物(R)-17を酸と反応させることにより化合物(R)-17を脱保護して化合物(R)-10を製造する工程:
【化30】
をさらに含む、実施形態62~64のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
66. 酸はHClである、実施形態65に記載の方法。
【0106】
67. 化合物24を化合物25Aと反応させて化合物(R)-17を製造する工程:
【化31】
をさらに含む、実施形態62~66のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
68. 化合物24を化合物25Aと反応させる工程は、アゾジカルボン酸エステルを加えることを含む、実施形態67に記載の方法。
【0108】
69. アゾジカルボン酸エステルは、DEAD及びDIADからなる群から選択される、実施形態68に記載の方法。
【0109】
70. アゾジカルボン酸エステルはDEADである、実施形態69に記載の方法。
【0110】
71. 化合物23を還元剤と反応させて化合物24を製造する工程:
【化32】
をさらに含む、実施形態67~70のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
72. 還元剤はNaBHである、実施形態71に記載の方法。
【0112】
73. 化合物22を触媒と反応させて化合物23を製造する工程:
【化33】
をさらに含む、実施形態71~72のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
74. 触媒はRhCl(PPhである、実施形態73に記載の方法。
【0114】
75. 化合物21を化合物3Aと反応させて化合物22を製造する工程:
【化34】
をさらに含む、実施形態73~74のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
76. 化合物21を化合物3Aと反応させる工程は、エステルカップリング試薬を加えることを含む、実施形態75に記載の方法。
【0116】
77. エステルカップリング試薬はDCCである、実施形態76に記載の方法。
【0117】
78. 化合物20を化合物8Aと反応させて化合物21を製造する工程:
【化35】
をさらに含む、実施形態75~77のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
79. 化合物20を化合物8Aと反応させる工程は、適切な還元剤を加えることを含む、実施形態78に記載の方法。
【0119】
80. 還元剤はNaBHである、実施形態79に記載の方法。
【0120】
81. 化合物19から化合物20を製造する工程:
【化36】
をさらに含む、実施形態78~80のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
82. 化合物20を製造する工程は、PPh、I、及びイミダゾールを加えることを含む、実施形態81に記載の方法。
【0122】
83. 化合物18から化合物19を製造する工程:
【化37】
をさらに含む、実施形態81~82のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
84. 化合物18を化合物3Aと反応させる工程:
【化38】
を含む、化合物(R)-11を製造する方法。
【実施例
【0124】
例示
本発明は、以下の実施例を参照してより理解されるだろう。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を代表することを意図され、かつ本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0125】
以下の略語が使用される:
MeOH: メタノール
THF: テトラヒドロフラン;
DCM: ジクロロメタン;
EtOAC: 酢酸エチル;
ACN:アセトニトリル;
Et3N: トリエチルアミン;
DIPEA: N,N-ジイソプロピルエチルアミン;
N2: 窒素ガス;
min: 分
hr: 時間;
NaSO: 硫酸ナトリウム;
MgSO: 硫酸マグネシウム
prep-HPLC: 分取用高圧液体クロマトグラフィー;
HPLC: 高圧液体クロマトグラフィー;
SiO: シリカゲル;
CO: 炭酸カリウム;
LiOH: 水酸化リチウム、
DEAD: アゾジカルボン酸ジエチル
PPh: トリフェニルホスフィン
OPPh: トリフェニルホスフィンオキシド
TFA: トリフルオロ酢酸
PE/EA: 石油エーテル/酢酸エチル
CHCl3: クロロホルム
DCM: ジクロロメタン
MPLC: 中圧液体クロマトグラフィー
Pd/C: 炭素担持パラジウム
DMSO: ジメチルスルホキシド
Py.SO3: 三酸化硫黄ピリジン複合体
DiBAl-H: 水素化ジイソブチルアルミニウム
NaHCO: 炭酸水素ナトリウム
BH.THF: ボラン・テトラヒドロフラン錯体
NaBO: 過ホウ酸ナトリウム
HCOOH: ギ酸
MEK: メチルエチルケトン
DIC: N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド
(S,S)-Ms-DENEB: クロロ[(S,S)-N-[2-(4-メチルベンジルオキシ)エチル]-N’-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン]ルテニウム(II)
BOP: ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスファート
PyBOP: ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスファート
HATU: 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシド ヘキサフルオロホスファート
HBTU: (2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート
MsCl: 塩化メタンスルホニル
TEA: トリエチルアミン
DEA: ジエチルアミン
DIPA: ジイソプロピルプロピルアミン
TBAF: フッ化テトラブチルアンモニウム
TBAT: ジフルオロトリフェニルケイ酸テトラブチルアンモニウム
DIAD: アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DCC: ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0126】
I. 化学実施例
LCMS:
方法1:
機器: Agilent 1200 HPLC MSD:6120シングル四重極MSD
カラム: Luna C18,2.0*50mm、5μm
カラム温度: 40℃
移動相A(MPA) H2O中0.04%TFA
移動相B(MPB) ACN中0.02%TFA
流量: 1.0ml/min
【表1】
検出: 220nm。
【0127】
方法2:
機器: Shimadzu LC-20AD MSD:LCMS-2020
カラム: Kinetex 5um EVO C18 30*2.1mm
カラム温度:40
移動相:A:H2O中0.04%TFA
移動相:B:ACN中0.02%TFA
流量:1.5ml/min
時間 B% 流量(ml/min)
0.01 5 1.5
0.70 95 1.5
1.16 95 1.5
1.50 5 1.5。
【0128】
キラルHPLC:
方法1:
機器 : CAS-TJ-Chiral HPLC-K(PDA検出器を備えたWaters Arc)
処理チャンネル記載(Proc. Chnl. Descr.): 2998 PDA 254.0nm (2998 (190-300)nm)
カラム: Chiralpak IC-3、50×4.6mm,I.D.,3um
移動相:A:ヘプタン B:EtOH(0.05%DEA、体積/体積)
グラジエント:A:B=20:80
流量:1mL/min
カラム温度:35℃。
【0129】
方法2
機器: CAS-TJ-ANA-Chiral HPLC-K (Waters Arc with 2998 )
処理チャンネル記載: 2998 PDA 254.0nm(2998(190-300)nm)
カラム:Chiralpak IF-3、150×4.6mmI.D.、3um
移動相: A:ヘキサン B:EtOH+ACN(4:1)(0.05%IPAm,体積/体積)
グラジエント:A:B=92:8
流量:1mL/min
カラム温度:30℃。
【0130】
NMR分析
以下に記載される実施例において示されるNMRデータは、以下のように得られた:
1H-NMR: Bruker DPX 400MHz。NMRスペクトルにおいて観察された多重度についての略語は以下のとおりである:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、br(幅広)。
溶媒、試薬及び出発物質は、別段特定されていなければ、商業的供給源から購入され、そして受け取った状態のままで使用した。
【0131】
中間体化合物5A:
【化39】
【0132】
15~25℃で、THF(4.80L)、MeOH(1.60L、1.00体積)、HO(1.60L、1.00体積)、2_1(1.60kg、7.56mol、1.0当量)を15~25℃で反応容器にに入れた。次いで、LiOH.H2O(1.58kg、37.7mol、5.0当量)を5回に分けて反応容器に入れた。反応混合物を30~35℃で16時間撹拌し続けた。HCl水溶液(3M)をこの混合物に15~25℃でpH=3~4まで滴下した。有機相を分離し、そして水層を酢酸エチル(2.00Lx2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2.00L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして減圧下で濃縮して生成物を得た。化合物2_2(1.30kg、収率69.6%、純度98.9%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz、DMSO-d6) δ 12.7 (brs、1 H)、9.52 (brs、1 H)、7.10 (s、1 H)、7.03 (s、1 H)、3.80 (s、3 H)、3.72 (s、3H)。
【0133】
20~25℃で、トルエン(7.00L)、化合物2_2(1.00kg、4.94mol、1.00当量)を反応容器に入れて80~85℃に加熱した。化合物2-2A(3.59kg、17.6mol、3.50当量)を5回に分けて反応容器に80~85℃で入れた。反応混合物を80~85℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘキサン/酢酸エチル=40/1~20/1)により精製し、化合物5A(1.00kg、収率60.2%、純度99.5%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.18 (s、1 H)、7.09 (s、1 H)、5.81 (s、1 H)、3.87 (s、3 H)、3.82 (s、3 H)、1.50 (s、9 H)。
【0134】
中間体化合物4A:
【化40】
【0135】
15~25℃で、アセトニトリル(2.83L、10.0 体積) 化合物3-1A(373g、1.57mol、1.30当量)、KI(40.0g、0.23mol、0.20当量)、DIPEA (311g、2.41mol、2.0当量)、化合物3-1(283g、1.21mol、1.00当量)を反応容器に入れた。反応混合物を70~80℃で12時間撹拌した。反応混合物を40~45℃で濃縮した。H2O(1.00L)及びEtOAc (1.00L)をこの混合物中に加え、そして15~25℃で10分間撹拌した。有機相を分離し、そしてブライン(1.00L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮して残留物を黄色油状物として得た。残留物を逆相MPLC(水中0.10%NH4OH及びACN)により精製して、化合物3-2(890g、収率76.0%、純度96.5%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.28-7.38 (m、5H)、5.42-5.47 (m、1H)、5.14 (s、2H)、3.51-3.58 (m、4H)、3.18 (brs、2H)、2.49-2.67 (m、6H)、1.79-2.04 (m、2H)、1.59-1.63 (m、2H)、1.43 (s、9H)。
【0136】
15~25℃で、Pd/C(5.04g、10質量%)、MeOH(350mL、7.00体積)、化合物3-2(50.4g、0.12mol、1.00当量)をアルゴン下で入れた。反応混合物をHを用いて3回脱気し、次いで35℃で16時間H(45Psi)下で撹拌した。反応混合物をろ過した。ろ過ケークをMeOH(500mL)で洗浄した。ろ液を濃縮して残留物を黄色油状物として得た。残留物を15~25℃で30分間ACN(1.00L)でトリチュレートした。この混合物をろ過して不溶性固体を除去し、そしてろ液を集めた。ろ液を濃縮して化合物4A(705g、収率85.8%、純度81.1%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 5.79 (s、1H)、3.18-3.19 (m、3H)、2.92- 2.97 (m、3H)、2.50-2.69 (m、6H)、1.75-1.81(m、2H)、1.57-1.64 (m、2H)、1.42 (s、9H)。
【0137】
最終化合物の合成
実施例1.化合物(R)-11の合成
【0138】
スキーム4:
【化41】
【0139】
工程1:
【化42】
【0140】
0~5℃で、化合物1_1(3.50kg、18.41mol、1.00当量)、DCM(21.0L)及びDMSO(3.50L)を反応容器に入れた。次いで、TEA(5.58kg、55.1mol、3.00当量)、Py.SO3(4.39kg、27.5mol、1.50当量)をこの混合物に0~20℃で入れた。反応混合物を20~25℃で12時間撹拌した。0.5Mクエン酸水溶液(20.0L)をこの混合物に0~20℃でゆっくりと加え、そして10分間撹拌した。有機相を分離し、10%NaHCO3水溶液(20.0L)及びブライン(20.0L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して化合物1(3.60kg、粗製)を褐色油状物として得た。
定量的NMRにより決定した純度:66.8%
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 9.79 (d、J=2.0 Hz、1H)、3.97 (t、J=2.0 Hz、2H)、2.57 (t、J=6.0 Hz、2H)、0.89 (s、9H)、0.05 (s、6H)。
【0141】
工程2:
【化43】
【0142】
20℃でTHF(28.8L)、化合物2(1M、22.9L、1.20当量)を反応容器に入れ、次いで-60~-50℃に冷却した。THF(7.20L)中の化合物1(3.60kg、19.12mol、1.00当量)をこの混合物に-60~-50℃で加えた。反応混合物を-50~-40℃で3時間撹拌し、次いでゆっくりと0~10℃まで加温した。0.5N HCl水溶液(20.0L)を0~10℃の間で加えることにより反応をクエンチした。有機相を分離し、ブライン(20.0L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して褐色油状物を得た。この油状物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘキサン/酢酸エチル=1/0~50/1)により精製して化合物3(2.10kg、9.11mol、収率48.0%)を黄色油状物として得た。
注:アルデヒドをグリニャール試薬に加えることにより入れる順序を変更したら、収率は40%から48%に増加した。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 5.72 - 5.94 (m、1H)、4.97-5.18 (m、2H)、3.75-3.94 (m、3H)、3.37 (d、J=6.4 Hz、1H)、2.17-2.31 (m、2H)、1.60-1.71 (m、2H)、0.88 (s、9H)、0.03 (s、6H)。
【0143】
工程3:
【化44】
【0144】
20~25℃でTHF(14.70L)、化合物3(2.10kg、9.11mol、1.00当量)、化合物3A(1.93kg、9.11mol、1.00当量)、DCC(2.82kg、13.69mol、487mL、1.50当量)、DMAP(1.67kg、13.69mol、1.50当量)を反応容器に入れた。反応混合物を20~25℃で16時間撹拌した。反応混合物をろ過し、そしてろ液を減圧下で濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=100/0~90/10)により精製して、化合物4(2.70kg、6.36mol、収率70%、純度95.1%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.28 (s、2H)、5.74-5.92 (m、1H)、5.22-5.33 (m、1H)、5.02-5.17 (m、2H)、3.90 (s、9H)、3.67-3.76 (m、2H)、2.41-2.57 (m、2H)、1.87-2.00 (m、2H)、0.89 (s、9H)、0.05 (s、6H)。
【0145】
工程4:
【化45】
【0146】
10~20℃で化合物4(2.40kg、5.66mol、1.00当量)及びTHF(16.80L)を50.0L反応容器に入れた。BH.THF(1M、8.48L、1.50当量)をこの混合物に0~10℃で滴下した。HO(10.8L)及びTHF(10.8L)の混合物を加えて0~10℃の間で反応をクエンチした。(注意:Hの発生、及び発熱が観察された)。NaBO3.4H2O(2.61kg、16.9mol、3.00当量)をこの混合物に0~10℃で少しずつ加え、次いで反応混合物を10~25℃で4時間撹拌した。10%Na水溶液(20.0L)をゆっくりと0~10℃で加えることにより反応をクエンチした。酢酸エチル(7.50L)を10~20℃で反応容器に入れて、10分間撹拌した。有機相を分離し、ブライン(5.00L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して残留物を得た。この残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:酢酸エチル=10:1~1:1)により精製して、化合物5(1.40kg、3.38mol、収率60%、純度91.6%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.26 (s、2H)、5.16-5.33 (m、1H)、3.88 (s、9H)、3.55-3.78 (m、4H)、1.56-2.01 (m、6H)、0.87 (s、9H)、0.02 (s、6H)。
【0147】
工程5:
【化46】
【0148】
20℃で化合物5(1.48kg、3.34mol、1.00当量)及びトルエン(10.3L)、化合物5A (0.85kg、3.34mol、1.00当量)、PPh3(0.91kg、3.51mol、1.05当量)を反応容器に入れた。DEAD(0.58kg、3.34mol、1.00当量)を滴下した(滴下プロセスの間に発熱現象が観察された)。滴下した後、反応混合物を25℃で6時間撹拌し、次いで反応混合物を-20℃で1時間撹拌してOPPh3の一部を沈殿させた。反応混合物をろ過し、そしてろ液を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精製して、化合物6(1.38kg、2.03mol、純度81.2%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.29 (s、2H)、7.22 (d、J=1.6 Hz、2H) 5.27 - 5.37 (m、1H)、4.06 (s、2H)、3.84-3.95 (m、15H)、3.67 - 3.78 (m、2H)、1.87-2.06 (m、6H)、1.65 (s、9H)、0.89 (s、9H)、0.02 (s、6H)。
【0149】
工程6:
【化47】
【0150】
20℃で、化合物6(1.35kg、1.98mol、1.00当量)及びTHF(9.45L)を反応溶液に入れた。ピリジン(0.78kg、9.95mol、5.00当量)、HF-ピリジン(1.40kg、9.95mol、純度70%、5.00当量)を反応混合物に0~10℃で加えた。反応混合物を60~65℃で6時間撹拌した。1Mクエン酸水溶液(約16.00L)を反応混合物に0~20℃で加え、そして10分間撹拌した。有機層のpHを、10%NaHCO水溶液(約16.00L)を加えることによりpH約8に調整した。有機層をブライン(16.0L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して化合物7(1.09kg、純度81.0%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.30 (s、2H)、7.21-7.25 (m、2H)、5.33-5.45 (m、1H)、4.05-4.12 (m、2H)、3.86-3.94 (m、15H)、3.58-3.77 (m、2H)、1.88-2.04 (m、6H)、1.58 (s、9H)。
【0151】
工程7:
【化48】
【0152】
0℃で化合物7(1.03kg、1.82mol、1.00当量)及びDCM(7.21L)を20.0L反応容器に入れて、次いでTEA(0.37kg、3.64mol、2.00当量)を加えた。MsCl(0.33kg、2.88mol、1.58当量)を反応混合物に0~5℃で滴下した。反応混合物を15~25℃で3時間撹拌した。1Mクエン酸水溶液(6.00L)をゆっくりと加えて反応を0~20℃でクエンチし、そして10分間撹拌した。水相を分離した。10%NaHCO3水溶液(6.00L)を用いて有機層をpH=8に調整した。有機相を分離し、ブライン(6.00L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して化合物8(1.14kg、1.77mol、粗製、純度82%)を褐色油状物として得た。
定量的NMRにより決定した純度:87.3%
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.28 (s、2H)、7.19-7.25 (m、2H)、5.3 -5.43 (m、1H)、4.26-4.40 (m、2H)、4.04 - 4.12 (m、2H)、3.84-3.93 (m、15H)、2.98 (s、3H)、2.21 (q、J=6.0 Hz、2H)、1.87-2.00 (m、4H)、1.58 (s、9H)。
【0153】
工程8:
【化49】
【0154】
25℃で化合物8(1190g、1.85mol、1.00当量)及びACN(9.52L)を20.0L反応容器に入れた。次いで、化合物8A(548g、2.13mol、1.05当量)、K2CO3(1279g、9.26mol、5.00当量)及びKI(307g、1.85mol、1.00当量)を加えた。反応混合物を65℃で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して残留物を得た。HO(3.00L)を残留物に加え、そしてEtOAc(3.00Lx3)で抽出した。有機相を分離し、ブライン(3.00L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン:メタノール=50/1~5/1)で精製して、化合物9(1116g、1.39mol、収率75.0%)を黄色油状物として得た。
定量的NMRにより決定された純度:91.8%
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.30 (s、2H)、7.21 (s、2H)、5. 23-5.36 (m、1H)、4.04-4.17 (m、2H)、3.73-3.94 (m、15H)、3.06 (t、J=6.8 Hz、2H)、2.65-2.80 (m、8H)、2.60 (t、J=7.6 Hz、2H)、2.49 (t、J=7.6 Hz、2H)、1.86-2.03 (m、6H)、1.76-1.85 (m、2H)、1.61-1.68 (m、2H)、1.58 (s、9H)、1.43 (s、9H)。
【0155】
工程9:
【化50】
【0156】
0~5℃で、ジオキサン中のHClの溶液(4mol、7.60L)及び化合物9(1086g、1.35mol、1.00当量)を20.0L反応容器に入れた。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して化合物10(1050g、HCl塩として)を黄色固体として得た。
定量的NMRにより決定された純度:75.2%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.29 (s、2H)、7.26 (s、2H) 5.2 -5.37 (m、1H)、4.11(s、2H)、3.94 (brs、4H)、3.78-3.90 (m、15H)、3.33-3.45 (m、4H)、3.08 (t、J=7.6 Hz、2H)、2.12-2.49 (m、6H)、1.90-2.09 (m、4H)。
【0157】
工程10:
【化51】
【0158】
20℃で化合物10(1050g、1.53mol、1.00当量、HCl)及びDCM(210L)を反応容器に入れた。次いで、DIEA(793g、6.13mol、4.00当量)及びPyBOP(38.4g、2.29mol、1.50当量)を反応容器に20℃で加えた。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を35~40℃で濃縮して残留物を得た。残留物をMeOH(4.2L、4.00体積)で20℃にて60分間トリチュレーションした。この混合物をろ過し、そしてケークを集めて化合物11(470g、34.94mmol、収率48.6%)を白色固体として得た。
定量的NMRにより決定された純度:75.2%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.31 (s、2H)、7.20 (d、J =1.8 Hz、1H)、7.13 (d、J =1.8 Hz、1H)、5.49 (s、1H)、4.31 (br d、J =8.3 Hz、1H)、4.18 (br s、1H)、3.85-3.89 (m、9H)、3.81 (d、J =7.3 Hz、6H)、3.56-3.66 (m、1H)、3.38-3.49 (m、1H)、2.97 (td、J=3.2、10.3 Hz、1H)、2.84-2.91 (m、2H)、2.74-2.84 (m、3H)、2.61-2.73 (m、4H)、2.56 (br t、J =6.5 Hz、2H)、1.86-1.95 (m、5H)、1.73-1.85 (m、5H)。
【0159】
化合物11のSFCキラル分離:
【化52】
【0160】
ラセミ化合物11(470g)の鏡像異性体を、キラルSFC(超臨界流体クロマトグラフィー - カラム:Phenomenex-Cellulose-2(250mm*30mm,10um);移動相:[0.1%NH3H2O MEOH];B%:60%-60%,10min)により分離して、化合物(S)-11(170g)及び(R)-11(165g)を白色固体として得た。
化合物(S)-11:
LCMS(方法1)(ESIポジションイオン) m/z:630.2 (M+H)+(計算値:630.3)、純度>99%
キラルHPLC(方法1):保持時間=3.836min、ee>99%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.31 (s、2H)、7.20 (d、J =1.8 Hz、1H)、7.13 (d、J =1.8 Hz、1H)、5.49 (s、1H)、4.31 (br d、J =8.3 Hz、1H)、4.18 (br s、1H)、3.85-3.89 (m、9H)、3.81 (d、J =7.3 Hz、6H)、3.56-3.66 (m、1H)、3.38-3.49 (m、1H)、2.97 (td、J=3.2、10.3 Hz、1H)、2.84-2.91 (m、2H)、2.74-2.84 (m、3H)、2.61-2.73 (m、4H)、2.56 (br t、J =6.5 Hz、2H)、1.86-1.95 (m、5H)、1.73-1.85 (m、5H).
化合物(R)-11:
LCMS(方法1)(ESIポジションイオン) m/z:630.2(M+H)+(計算値:630.3)、純度>99%
キラルSFC(方法1):保持時間=6,560min、ee>99%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.31 (s、2H)、7.20 (d、J =1.8 Hz、1H)、7.13 (d、J =1.8 Hz、1H)、5.49 (s、1H)、4.31 (br d、J =8.3 Hz、1H)、4.18 (br s、1H)、3.85-3.89 (m、9H)、3.81 (d、J =7.3 Hz、6H)、3.56-3.66 (m、1H)、3.38-3.49 (m、1H)、2.97 (td、J=3.2、10.3 Hz、1H)、2.84-2.91 (m、2H)、2.74-2.84 (m、3H)、2.61-2.73 (m、4H)、2.56 (br t、J =6.5 Hz、2H)、1.86-1.95 (m、5H)、1.73-1.85 (m、5H)。
【0161】
(S)-11の(R)-11への変換の工程1:
【化53】
【0162】
化合物(S)-11(150g、238.19mmol、1当量)のMeOH(800mL)及びHO(400mL)中の溶液に、NaOH(28.58g、714.58mmol、3当量)を加えた。この混合物を20℃で5時間撹拌した。溶媒MeOHを減圧下で25℃で除去した。この混合物をHO(1500mL)で希釈し、そしてDCM(500mL×3)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。この溶液を濃縮して化合物18(116.5g、粗製)を黄色固体として得た。
LCMS(方法1)(ESIポジションイオン) m/z:436.2(M+H)+(計算値:436.3)
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.15 (dd、J=1.8、7.6 Hz、2H)、4.30 - 4.13 (m、2H)、3.99 - 3.90 (m、1H)、3.88 (s、3H)、3.83 (s、3H)、3.57 - 3.40 (m、2H)、2.88 - 2.52 (m、12H)、2.05 - 1.92 (m、1H)、1.91 - 1.71 (m、5H)、1.71 - 1.51 (m、4H)。
【0163】
(S)-11の(R)-11への変換の工程2:
【化54】
【0164】
化合物18(10.00g、22.96 mmol、1当量)、化合物3A(14.62g、68.88mmol、3当量)及びPPh3(30.11g、114.80mmol、5当量)のトルエン(250mL)中の混合物を、DEAD(19.99g、114.80mmol、20.87mL、5当量)に0℃で滴下した。この混合物を0℃で2時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~0/1そしてDCM/MeOH=10/1~1/1)によりろ過して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18 250*50mm*10um;移動相:[水(FA)-ACN];B%:2%~32%,15min)により精製した。精製した溶液を濃縮し、そしてNaHCO3を用いて0℃でpHを7~8に調整した。この溶液をDCM(500mL×2)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。この溶液を濃縮して化合物(R)-11(4.7g、収率33%)を白色固体を得た。この反応を12バッチ行い、そして(R)-11を合計で50g ee=60%で得た。化合物をさらにキラルSFCにより以下の条件で精製して化合物(R)-11(35,5g)を白色固体として得た。
LCMS(方法1)(ESIポジションイオン) m/z:630.2(M+H)+(計算値:630.3)、純度>99%
キラルSFC(方法1):保持時間=6,560min、ee>99%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.31 (s、2H)、7.20 (d、J =1.8 Hz、1H)、7.13 (d、J =1.8 Hz、1H)、5.49 (s、1H)、4.31 (br d、J =8.3 Hz、1H)、4.18 (br s、1H)、3.85-3.89 (m、9H)、3.81 (d、J =7.3 Hz、6H)、3.56-3.66 (m、1H)、3.38-3.49 (m、1H)、2.97 (td、J=3.2、10.3 Hz、1H)、2.84-2.91 (m、2H)、2.74-2.84 (m、3H)、2.61-2.73 (m、4H)、2.56 (br t、J =6.5 Hz、2H)、1.86-1.95 (m、5H)、1.73-1.85 (m、5H).
5H)、1.83 - 1.72 (m、5H)。
カラムColumn:Chiralpak AD-3 50×4.6mm I.D.、3um
移動相:CO2について相A、及びIPA(0.05%DEA)について相B;
グラジエント溶出:A中B 5%~40%
流量:3mL/min;検出器:PDA
カラム温度:35C;背圧:100Bar
SFC:tR=9.658min、100%e.e値。
【0165】
実施例2. 化合物(R)-11の合成
【0166】
スキーム5
【化55】
【0167】
工程1:
【化56】
【0168】
15~25℃で化合物12A(210g、1.50当量、1.57mol)をTHF(450mL、5.00体積)に溶解した。反応混合物にDIBAL-H(1.57L、1.50当量、1.57mol)を0~10℃で滴下した。反応混合物を15~25℃で2時間撹拌した。化合物12B(90.0、1.00当量、1.05mol)を反応混合物に0~10℃で滴下した。反応混合物を15~25℃で5時間撹拌した。HO(63.0mL)を0~10℃で滴下し、次いでNaOHの水溶液(15%、63.0mL)をゆっくりと加え、次いでさらにHO(157mL)を0~10℃でゆっくりと加えた。反応混合物を15~25℃で15分間撹拌し、次いでMgSOで乾燥した。溶媒を減圧下で除去して化合物12(70.0g、0.48mol、収率45.5%)を黄色油状物として得た。
【0169】
工程2:
【化57】
【0170】
15~25℃で化合物12(30.0g、1.00当量)、化合物5A(51.8g、1.00当量)、PPh3(56.1g、1.05当量)及びトルエン(150mL、5.00体積)を反応容器に入れた。DEAD(37.2g、1.05当量)を反応混合物に0~10℃で滴下した。反応混合物を15~25℃で24時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、そして残留物をシリカカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~0/1)により精製して、化合物13(50.0g、0.13mol)を黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.24 (s、2 H) 4.08 - 4.16 (m、2 H) 3.84 - 3.94 (m、6 H) 3.62 - 3.76 (m、3 H) 3.13 - 3.26 (m、3 H) 2.59 - 2.74 (m、2 H)2.12 - 2.32 (m、2 H)1.52 - 1.63 (m、9 H)。
【0171】
工程3:
【化58】
【0172】
15~25℃で化合物13(45.0g、1.00当量)をTHF(225mL、5.00体積)に溶解した。-30℃で化合物13A(293mL、1.00当量、1M)を反応混合物に滴下した。反応混合物を-30℃で2時間撹拌した。HCl(1.35L、HO中1M、30.0体積)を-30℃でゆっくりと加えた。酢酸エチル(225mL、5.00体積)を加えた。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~0/1)により精製して、化合物14(27.0g、75.5mmol、収率64.3%、純度98.3%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.21 - 7.25 (m、2 H) 6.20 - 6.53 (m、2 H) 5.80 - 5.89 (m、1 H) 4.03 - 4.14 (m、2 H) 3.81 - 3.92 (m、6 H) 2.77 - 2.94 (m、2 H) 2.06 - 2.25 (m、2 H) 1.46 - 1.67 (m、10 H)
【0173】
工程4:
【化59】
【0174】
15~25℃で化合物14(27.0g、1.00当量)をDCM(135mL、5.00体積)に溶解した。化合物8A(24.7g、1.00当量)及びEtN(15.6g、2.00当量)を加え、そして反応混合物を12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、粗製化合物15(42.0g、69.1mmol)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.21 - 7.28 (m、2 H) 4.01 - 4.13 (m、2 H) 3.75 - 3.91 (m、6 H) 2.99 - 3.16 (m、3 H) 2.63 - 2.85 (m、13 H) 2.44 - 2.58 (m、3 H) 2.02 - 2.12 (m、2 H) 1.75 - 1.86 (m、2 H) 1.61 - 1.66 (m、2 H) 1.59 (s、9 H) 1.43 (s、9 H)。
【0175】
工程5:
【化60】
【0176】
15~25℃で、化合物15(3.00g、1.00当量)、HCOOH/Et3N(9.00mL、1:1、3.00体積)のTHF(15.0mL、5.00体積)中の溶液に、(S,S)-Ms-DENEB触媒(0.11g、0.04当量)を加えた。反応混合物を15~25℃で12時間撹拌した。HO(9.00mL、3.00体積)及びDCM(9.00mL、3.00体積)を反応混合物に加えた。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~0/1)により精製して、化合物16(1.80g、2.89mmol、純度98.1%)を黄色油状物として得た。
LCMS(方法2)(ESIポジションイオン) m/z:630.2(M+H)+(計算値:630.3)
キラルHPLC(方法2):保持時間=21.398及び23.972min、ee=85.9%。
【0177】
工程6:
【化61】
【0178】
15~25℃でブタノン(MEK)(5.00体積)中に化合物16(1.00当量)を入れ、次いでこの混合物を55~60℃で2時間撹拌した。ジ-p-トルオイル-l-酒石酸(2.00当量)を加え、そしてこの混合物を10~20℃で12時間撹拌した。
【0179】
この混合物を濃縮して粗生成物を得た。(赤褐色固体)この固体をブタノン(10.0体積)を用いて25℃で30分間トリチュレートした(白色固体)。この混合物をろ過し、そしてろ過ケークをブタノン(1.00体積)で2回洗浄した。この固体を水(3.00体積)に溶解した。炭酸ナトリウム飽和溶液をこの混合物に加えてpH=11に調整した。DCM(3.00体積)をこの混合物に加え、そして有機相を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して化合物17を赤褐色油状物として得た。
キラルHPLC(方法2):保持時間=18.335及び20.673min、ee=95.9%
【0180】
工程7:
【化62】
【0181】
15~25℃で化合物17(1.00g、1.00当量)、化合物6A(1.20当量)のDCM(5.00体積)中の溶液に、DIC(2.20当量)及びDMAP(1.50当量)を加えた。反応混合物を15~25℃で16時間撹拌した。HO(3.00体積)及びDCM(3.00体積)を加え、そして有機相を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~0/1)により精製して化合物(R)-9(600mg、収率45%)を得た。
LCMS(方法2)(ESIポジションイオン) m/z:804.4(M+H)+(計算値:804.5)。
【0182】
工程8:
【化63】
【0183】
0~5℃で、HClのジオキサン中の溶液(4mol、7.60L)及び化合物(R)-9(1086g、1.35mol、1.00当量)を20.0L反応容器に入れた。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、化合物(R)-10(1050g、HCl塩として)を黄色固体として得た。
定量的NMRによりにより決定された純度:75.2%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.29 (s、2H)、7.26 (s、2H) 5.2 -5.37 (m、1H)、4.11(s、2H)、3.94 (brs、4H)、3.78-3.90 (m、15H)、3.33-3.45 (m、4H)、3.08 (t、J=7.6 Hz、2H)、2.12-2.49 (m、6H)、1.90-2.09 (m、4H)。
【0184】
工程9:
【化64】
【0185】
20℃で化合物(R)-10(1050g、1.53mol、1.00当量、HCl)及びDCM(210L)を反応容器に入れた。次いで、DIEA(793g、6.13mol、4.00当量)及びPyBOP(38.4g、2.29mol、1.50当量)を反応容器に20℃で加えた。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を35~40℃で濃縮して残留物を得た。残留物をMeOH(4.2L、4.00体積)を用いて20℃で60分間トリチュレートした。この混合物をろ過し、そして真空で濃縮して化合物(R)-11(470g、34.94mmol、収率48.6%)を白色固体として得た。
定量的NMRにより決定された純度:75.2%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.31 (s、2H)、7.20 (d、J =1.8 Hz、1H)、7.13 (d、J =1.8 Hz、1H)、5.49 (s、1H)、4.31 (br d、J =8.3 Hz、1H)、4.18 (br s、1H)、3.85-3.89 (m、9H)、3.81 (d、J =7.3 Hz、6H)、3.56-3.66 (m、1H)、3.38-3.49 (m、1H)、2.97 (td、J=3.2、10.3 Hz、1H)、2.84-2.91 (m、2H)、2.74-2.84 (m、3H)、2.61-2.73 (m、4H)、2.56 (br t、J =6.5 Hz、2H)、1.86-1.95 (m、5H)、1.73-1.85 (m、5H)。
【0186】
実施例3. 化合物(R)-11の合成
【0187】
スキーム6
【化65】
【0188】
【化66】
【0189】
工程1:
化合物12A(1.70kg、1.50当量)をTHF(5.00L、5.00体積)に溶解した。反応混合物に、DIBAL-H(17.4L、トルエン中1M、1.50当量)を0~10℃で滴下した。反応混合物を20~30℃で2時間撹拌した。化合物12B(1.00kg、1.00当量)を反応混合物に0~10℃で滴下した。反応混合物を20~30℃で12時間撹拌した。HO (700mL、0.04xmL)を0~10℃で滴下し、次いでNaOH水溶液(700mL、0.04xmL、15%)をゆっくりと加え、次いでさらにHO(1.74L、0.1xmL)を0~10℃でゆっくりと加えた。反応混合物を20~30℃で15分間撹拌し、次いでMgSO(500g)で乾燥した。溶媒を減圧下で除去して化合物12(7.80kg、収率65%)を黄色油状物として得た。
1H NMR:(400 MHz、CDCl3) δ ppm 1.75 - 1.95 (m、2 H)、2.53 - 2.63 (m、2 H)、3.13 - 3.24 (m、3 H)、3.61 - 3.72 (m、5 H)。
【0190】
工程2:
15~25℃で、化合物12(7.80kg、1.00当量)、化合物5A(8.30kg、1.00当量)、PPh3(9.00kg、1.05当量)及びトルエン(35L)を反応容器に入れた。DEAD(13.0kg、1.05当量)を反応混合物に0~10℃でゆっくりと加えた。反応混合物を15~25℃で12時間撹拌した。反応系をろ過し、そしてろ過ケークをMTBEで洗浄した。水(0.3L)、続いてMgCl(5.64kg)をろ液に加え、そしてこの混合物を20~30℃で2時間撹拌した。反応系をろ過し、そしてろ過ケークをMTBEで洗浄した。ろ液を10%クエン酸水溶液(25.0L、3.00X体積)で洗浄した。有機相を5%ブラインで洗浄し、そしてNaSO(4.15kg、0.50X質量)で乾燥した。有機相を45~55℃で濃縮して体積12~20Lとした。n-ヘプタン(12.5L、1.50X体積)を加え、そして反応系を12~20Lまで減らした;これを繰り返した。n-ヘプタン(41.5L、5.00X体積)を加え、そして反応系を50~60℃で2時間撹拌しながら加熱した。反応系を冷却し、ろ過し、そしてケークをn-ヘプタンで洗浄した。ろ過ケークを40~50℃で真空乾燥して、化合物13(6.50kg、HPLCによる純度98%、収率65%)を得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ ppm 7.22 - 7.26 (m、2 H)、4.08 - 4.15 (m、2 H)、3.86 - 3.92 (m、6 H)、3.67 - 3.71 (m、3 H) 、3.16 - 3.24 (m、3 H)、2.63 - 2.73 (m、2 H)、2.13 - 2.25 (m、2 H)、1.57 - 1.60 (m、9 H)。
【0191】
工程3:
15~25℃で化合物13(6.00kg、1.00当量)をTHF(30.0L、5.00体積)に溶解した。-20℃で化合物13A(39.0L、THF中1M、6.52X体積)を反応混合物にゆっくりと加えた。反応混合物を-10~0℃で2時間撹拌した。HCl(30.0L、1M、5.00X体積)を0~20℃でゆっくりと加えてpHを1~3に制御した。MTBE(18.0L、3.00X体積)を加えた。有機相を分離し、そして0.5N HCl(18.0L、3.00X体積)で2回洗浄した。有機相を5%NaHCO水溶液(18.0L、3.00X体積)、5%ブライン(18.0L、3.00X体積)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、そして減圧下で濃縮して化合物14(4.50kg、収率75%、純度92.3%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ ppm 7.20 - 7.26 (m、2 H)、6.20 - 6.51 (m、2 H)、5.78 - 5.93 (m、1 H)、4.03 - 4.17 (m、2 H)、2.80 - 2.91 (m、2 H)、2.11 - 2.23 (m、2 H)、1.53 - 1.64 (m、9 H)。
【0192】
工程4:
15~25℃で化合物14(5.20kg、1.00当量)をDCM(26.0L、5.00X体積)に溶解した。化合物8A(4.57kg、1.00当量)及びEt3N(3.0kg、2.00当量)を加え、そして反応混合物を12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して粗製化合物15(7.30kg、純度90.7% 収率85%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz、CDCl3) δ ppm 7.17 - 7.24 (m、2 H)、5.63 - 5.79 (m、1 H)、4.00 - 4.07 (m、2 H)、3.81 - 3.89 (m、6 H)、3.11 - 3.21 (m、2 H)、2.76 - 2.84 (m、2 H)、2.44 - 2.70 (m、15 H)、2.04 - 2.14 (m、2 H)、1.71 - 1.79 (m、2 H)、1.57 (s、9 H)、1.41 (s、9 H)。
【0193】
工程5:
15~25℃で、化合物15(5.00kg、1.00当量)、HCOOH(7.50L、1.50X体積)、Et3N(7.50L、1.50X体積)のTHF(25.0L、5.00X体積)中の溶液に、(S,S)-Ms-DENEB触媒(360g、0.04当量)を加えた。反応混合物を10~15℃で12時間撹拌した。反応混合物を5~10℃に冷却し、そしてNaCO飽和水溶液(ほぼ15.0L)を用いて反応系のpHを11~12に調整した。DCM(15.0L、3.00体積)を反応混合物に加えた。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧下で濃縮して化合物16(4.50kg、純度83.4%、84.9%ee、収率85%)を褐色油状物として得た。
【0194】
【表2】
【0195】
工程6:
化合物17(62.0kg、1.00X質量)をアセトン(ACE)(434L、7.00X体積)及びEtOH(434L、7.00X体積)に10~20℃で溶解し、次いでこの混合物を50~55℃で1時間撹拌し、次いで25~30℃に放冷し、アセトン(186L、3.00X体積)、エタノール(186L、3.00X体積)及び化合物6A(78.5kg、1.26X質量)を加え、そしてこの混合物を50~55℃で1時間撹拌した。反応系を1時間に3~5℃の速度で25~30℃に冷却した。この混合物をろ過し、そしてろ過ケークをACE:EtOH=1:1(4.50L、1.00X体積)で洗浄し、そしてN下でブラスト乾燥オーブンにて45~55℃にて乾燥して、生成物17-酒石酸塩(5.10kg、純度98.0%、97.5%ee)を得た。
【0196】
工程7:
化合物6(1.50kg、1.0当量)を2-MeTHF(20.2L)に溶解した。N下でこの溶液を10~15℃に冷却した。塩化2,3,4トリメトキシベンゾイル(624.0g、1.10当量)の2-MeTHF(3.00L)中の溶液をこの溶液に滴下した。反応混合物を15~20℃で16時間撹拌した。この時点で、NaCO水溶液(10%、4.5L)を加えて10~20℃でpHを11~12に調整した。有機相を分離し、10%NaCl(4.5L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そしてろ過した。ろ液の溶媒を減圧下で除去して化合物(R)-9(1.70kg、純度94.4%、97.7%ee、収率86%)を得た。
【0197】
工程8:
化合物(R)-9(200g、1.00当量)をDCM(1.00L)にN下で溶解した。15~20℃でMTBE中4M HCl(600mL)を加えた。反応混合物を15~20℃で16時間撹拌した。MTBE(2.00L)を20分かけて滴下した。白色沈殿物が形成した。撹拌を止めて、この混合物を30分間放置した。上清液を蠕動式ポンプを用いて除去し、溶液の体積を約1.0Lまで減らした。この混合物をろ過し、そしてろ過ケークを真空下で40~45℃で乾燥して、化合物(R)-10(150g、純度98.6、収率86%)を得た。
【0198】
工程9:
PyBOP(913g、1.5当量)をDCM(40.0L、30.0体積)にN下で15~25℃にて溶解し、DIEA(600g、4.00当量)を加え、続いて(R)-10(800g、1.00当量)のDCM中の溶液(1.60L、20.0体積)を約1.5時間かけて加えた。この混合物をさらに20分間15~25℃で撹拌した。この時点で、反応混合物を約2.00体積に40~45℃で濃縮した。この溶液を水(2.40L、3.00体積)で3回洗浄した。有機相を10%NaCl(2.40L、3.00体積)で洗浄した。有機相をNaSO(200g、0.25X質量)で乾燥し、そしてろ過した。ろ過ケークをMeOHで洗浄した。MeOH(2.40L、3.00体積)をろ液に加え、次いでこの混合物を約2.00体積に濃縮した。MeOHの添加及び濃縮をさらに2回繰り返して、残留DCMを除去した。MeOH(2.40L、3.00体積)を混合物に加え、そして15~25℃で12時間撹拌した。反応系をろ過し、そして得られたケークをMeOH(0.80L、1.00体積)で洗浄した。ろ過ケークを真空下で45~50℃で乾燥し、そして(R)-11-HPF 550gを純度98.8%(収率66%)で得た。
【0199】
反応容器にMeOH(4.00L、5.00 体積)及び(R)-11 HPF 550gを入れた。続いて反応容器に30%NH.HO(1375mL、2.50体積)を15~25℃で20分間、反応系が徐々に透明になるまでゆっくりと加えた。反応系をDCMで3回(2750mL、(5.00体積)x3)抽出した。有機層をあわせて10%NaCO(1.50L、3.00体積)で1回洗浄し、そして10%NaCl(1.50L、3.00体積)で洗浄した。有機層をNaSO(125g、0.25 X質量)で乾燥し、ろ過し(ろ過ケークをDCM(250mL、0.50体積)で洗浄)、そして溶媒を真空下で除去して粗製(R)-11 410gを得た。
【0200】
実施例4 化合物(R)-11の合成
【0201】
スキーム7
【化67】
【0202】
工程1:
メタノール(1.2L)を反応容器に入れて10~15分間撹拌し、そして0~5℃に冷却し、次いで塩化アセチル(2.34g、29.8mmol、0.05当量)を加え、そしてこの混合物を10~15分間0~5℃で撹拌した。得られたメタノール性塩化水素を別の容器に移した。メタノール(400mL)をきれいな容器に入れて、10~15分間25~35℃で撹拌した。2-デオキシ-D-リボース(80.0g、596.43mmol、1.00当量)を反応容器に入れて、この混合物を25~35℃で10~15分間撹拌した。全体を0~5℃に冷却し、そして上で準備したメタノール性塩化水素を同じ温度で反応容器に入れた。得られた全体を0~5℃に2~3時間維持した。炭酸水素ナトリウム(3.0g、35.78mmol、0.06当量)をこの全体に0~5℃で入れて、そして塊をろ過した。ろ液を別の容器に集め、そしてろ床をメタノール(100mL)で洗浄した。合わせたろ液を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、PE/THF(5:1)で溶出して精製し、(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシオキソラン-3-オール(19)(83g、収率94%)を白色固体として得た。
【0203】
工程2:
(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシオキソラン-3-オール(80g、539.96mmol、1.00当量)及びPPh(212.44g、0.81mol、1.50当量)のTHF(1.6L)中の撹拌溶液に、イミダゾール(73.52g、1.08mol、2.00当量)及びI(205.57g、0.81mol、1.50当量)を室温で窒素雰囲気下にて加えた。得られた混合物を16時間室温で窒素雰囲気下にて撹拌した。NaHSOの飽和溶液を用いて室温で反応をクエンチした。有機相をブラインで洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりPE/THF(5:1)で溶出して精製し、(2S,3S)-2-(ヨードメチル)-5-メトキシオキソラン-3-オール(98g、収率70%)を軽油として得た。
【0204】
工程3:
(2S,3S)-2-(ヨードメチル)-5-メトキシオキソラン-3-オール(6.1g、23.63mmol、1.00当量)及び亜鉛(15.46g、236.38mmol、10.00当量)のEtOH(120mL)及びAcOH(1.7g、28.36mmol、1.20当量)中の撹拌溶液に、1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル(4.73g、23.63mmol、1.00当量)及びNaBHCN(4.46g、70.91mmol、3.00当量)を室温で滴下した。得られた混合物を2時間室温で撹拌した。得られた混合物をDCM(20mL)で希釈した。得られた混合物をろ過した;ろ過ケークをDCM(10mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりPE:THF(1:2)で溶出して精製し、4-[(3S)-3-ヒドロキシペンタ-4-エン-1-イル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル(2.8g、収率42%)を無色油状物として得た。
LC-MS(ES+) m/z:285.2(M+H)+(計算値:285.2)。
【0205】
工程4:
4-[(3S)-3-ヒドロキシペンタ-4-エニル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル(1、996.47mg、3.50mmol、1当量)及び3,4,5-トリメトキシ安息香酸(3A)(2、891.24mg、4.20mmol、1.2当量)のTHF(10mL)中の溶液に、DCC(1.08g、5.25mmol、1.06mL、1.5当量)及びDMAP(641.38mg、5.25mmol、1.5当量)を加えた。この混合物を30℃で16時間撹拌した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~1/1)、TLC(石油エーテル/酢酸エチル=2:1、Rf=0.42)により精製して、4-[(3S)-3-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシペンタ-4-エニル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル((3、1.3g、2.53mmol、収率72.18%)を白色固体として得た。
LC-MS(ES+) m/z:479.0(M+H)+(計算値:479.3)
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.31 (s、2H)、5.91 (ddd、J=6.4、10.4、17.1 Hz、1H)、5.56 (q、J=6.5 Hz、1H)、5.34 (br d、J=17.4 Hz、1H)、5.23 (br d、J=10.5 Hz、1H)、4.81 (br d、J=2.0 Hz、6H)、4.15 - 4.04 (m、2H)、3.91 (d、J=1.2 Hz、12H)、3.51 - 3.37 (m、6H)、2.70 - 2.53 (m、8H)、1.45 (s、12H)。
【0206】
工程5:
4-[(3S)-3-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシペンタ-4-エニル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル(3、100mg、208.95μmol、1当量)のトルエン(5mL)中の溶液に、クロロロジウム;トリフェニルホスファン(19.33mg、20.90μmol、0.1当量)をN2雰囲気下で加えた。この混合物をH2(75Psi)及びCO(75Psi)下で80℃にて12時間撹拌した。反応混合物をろ過し、そして減圧下で濃縮して4-[(3R)-6-オキソ-3-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシ-ヘキシル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル(100mg、粗製)を褐色油状物として得た。残留物を精製することなく次の工程に使用した。
LC-MS(ES+) m/z:509.2(M+H)+(計算値:509.3)。
【0207】
工程6:
4-[(3R)-3-ベンジルオキシ-6-オキソ-ヘキシル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル(4、100mg、247.19μmol、1当量)のトルエン(2mL)中の溶液に、NaBH(14.03mg、370.79μmol、1.5当量)を0℃で加えた。この混合物を20℃で1時間撹拌した。残留物を分取HPLC(カラム:PhenomenexLuna C18 150*25mm*10um;移動相:[水(FA)-ACN];B%:12%~42%、10min)により精製して、4-[(3R)-6-ヒドロキシ-3-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシ-ヘキシル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボン酸tert-ブチル(10mg、収率9.26%)を白色固体として得た。
LC-MS(ES+) m/z:511.1(M+H)+(計算値:511.3)
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 8.40 (br s、1H)、7.28 (s、2H)、5.22 (quin、J=6.1 Hz、1H)、3.94 - 3.91 (m、9H)、3.72 - 3.65 (m、3H)、3.62 (br s、1H)、3.53 - 3.44 (m、2H)、2.97 (br s、3H)、2.88 (br d、J=7.4 Hz、3H)、2.13 (br s、4H)、1.91 - 1.77 (m、2H)、1.73 - 1.59 (m、2H)、1.46 (s、9H)。
【0208】
工程7:
20℃で化合物8(1.00当量)及びトルエン、化合物5A(0.85kg、3.34mol、1.00当量)、PPh3(1.05当量)を反応混合物に入れた。DEAD(1.00当量)を滴下した(発熱現象が滴下プロセスの間観察される)。滴下後に、反応混合物を25℃で6時間撹拌し、次いで反応混合物を-20℃で1時間撹拌してOPPhの一部を沈殿させた。反応混合物をろ過し、そしてろ液を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
1H NMR (400 MHz、CDCl3-d) δ 7.30 (s、2H)、7.21 (s、2H)、5. 23-5.36 (m、1H)、4.04-4.17 (m、2H)、3.73-3.94 (m、15H)、3.06 (t、J=6.8 Hz、2H)、2.65-2.80 (m、8H)、2.60 (t、J=7.6 Hz、2H)、2.49 (t、J=7.6 Hz、2H)、1.86-2.03 (m、6H)、1.76-1.85 (m、2H)、1.61-1.68 (m、2H)、1.58 (s、9H)、1.43 (s、9H)。
【0209】
工程8:
0~5℃で、ジオキサン中HClの溶液(4mol、7.60L)及び化合物9(1086g、1.35mol、1.00当量)を20.0L反応容器に入れた。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して化合物10(1050g、HCl塩として)を黄色固体として得た。
定量的NMRにより決定した純度:75.2%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.29 (s、2H)、7.26 (s、2H) 5.2 -5.37 (m、1H)、4.11(s、2H)、3.94 (brs、4H)、3.78-3.90 (m、15H)、3.33-3.45 (m、4H)、3.08 (t、J=7.6 Hz、2H)、2.12-2.49 (m、6H)、1.90-2.09 (m、4H)。
【0210】
工程9:
20℃で化合物10(1050g、1.53mol、1.00当量、HCl)及びDCM(210L)を反応容器に入れた。次いで、DIEA(793g、6.13mol、4.00当量)及びPyBOP(38.4g、2.29mol、1.50当量)を反応容器に20℃で加えた。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を35~40℃で濃縮して残留物を得た。残留物をMeOH(4.2L、4.00体積)を用いて20℃で60分間トリチュレートした。この混合物をろ過し、そしてケークを集めて化合物((R)-11 470g、34.94mmol、収率48.6%)を白色固体として得た。定量的NMRにより決定した純度:75.2%
1H NMR (400 MHz、MeOD-d4) δ 7.31 (s、2H)、7.20 (d、J =1.8 Hz、1H)、7.13 (d、J =1.8 Hz、1H)、5.49 (s、1H)、4.31 (br d、J =8.3 Hz、1H)、4.18 (br s、1H)、3.85-3.89 (m、9H)、3.81 (d、J =7.3 Hz、6H)、3.56-3.66 (m、1H)、3.38-3.49 (m、1H)、2.97 (td、J=3.2、10.3 Hz、1H)、2.84-2.91 (m、2H)、2.74-2.84 (m、3H)、2.61-2.73 (m、4H)、2.56 (br t、J =6.5 Hz、2H)、1.86-1.95 (m、5H)、1.73-1.85 (m、5H)。
【国際調査報告】