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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】曲率補正
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01B15/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520558
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 GB2022052510
(87)【国際公開番号】W WO2023057747
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】2114195.7
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502024823
【氏名又は名称】テラビュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ペントランド,イアン アラスデア
(72)【発明者】
【氏名】ポルティエリ,アレッシア
(72)【発明者】
【氏名】タダイ,フィリップ フランシス
(72)【発明者】
【氏名】コール,ディーアール ブライアン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アルノーン,ドナルド ドミニク
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA27
2F067BB19
2F067CC05
2F067EE04
2F067FF12
2F067HH02
2F067JJ02
2F067KK08
2F067RR24
(57)【要約】
【要約】
テラヘルツ放射線で表面を検査するときに、曲面のコーティング層の厚さを決定するための方法および装置が提供される。この方法は、検出された反射放射線を測定することを含み、補正係数を適用して層の厚さを得る。これは、コーティング厚さを決定するときに表面の曲率を補償する問題に対処する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの曲面上の複数のコーティング層の厚さを決定する方法であって、
前記サンプルの曲率を測定するステップと、
前記サンプルにTHz放射を照射するステップであって、前記THz放射は0.01
THzから10 THzの範囲内の複数の周波数を含む、ステップと、
反射された放射線を検出して、サンプル応答を生成するステップであって、前記サンプル応答は、前記反射された放射線から導出される、ステップと、
少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルを含むプロファイルライブラリを参照して、前記サンプルの前記曲率に基づいて補正係数を取得することと、
前記補正係数を前記サンプル応答に適用して、補正された反射を得ることと、
前記補正された反射を用いて前記層の厚さを出力することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルは、前記サンプルと同様の曲率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
曲率の範囲を形成する前記複数のプロファイルライブラリサンプルについて、前記曲率の範囲は、結果として得られる曲率を得るための内挿または外挿のためのものであり、前記結果として得られる曲率は、前記サンプルと同様である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記補正係数は、プロファイルライブラリサンプルのパラメータと公称プロファイルライブラリサンプルのパラメータとの比較から得られる。請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記プロファイルライブラリサンプルは、前記サンプルの構造と同じ構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記プロファイルライブラリは、前記プロファイルライブラリサンプルの前記反射された放射線の波形の大きさおよび位相を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
大きさ誤差および位相誤差は、0.01 THzから10 THzの範囲にわたって、周波数の関数として計算される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
大きさ誤差および位相誤差は、各プロファイルライブラリサンプルに対して多項式フィットを使用して計算される、請求項7に記載の方法
【請求項9】
プロファイルは、単一値パラメータである前記曲率を使用して測定される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記プロファイルライブラリサンプルは、コーティングされていない、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ライブラリプロファイルサンプルは、高反射層でコーティングされる、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
反射された放射線を検出し、層の厚さを出力するために時間遅延が測定される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
複数の層のそれぞれの屈折率が、層の厚さを出力するために使用される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
較正サンプルのセットからのデータから好ましい屈折率値またはモデルを選択することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記曲率は、レーザゲージを使用して測定される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
サンプルの曲面上の複数のコーティング層の厚さを決定するためのシステムであって、前記システムは、
-0.01 THzから10 THzの範囲の複数の周波数のTHz放射線の線源を含むセンサと、
反射された放射線を検出して、前記反射された放射線から導出されるサンプル応答を生成するための検出器と、前記反射された放射線を検出して、前記反射された放射線から導出されるサンプル応答を生成するための検出器と、を含み、
前記システムは、分析ユニットをさらに備え、前記分析ユニットは、プロセッサおよびメモリを備え、前記プロセッサは、
前記サンプルの測定された曲率に基づいて補正係数を取得するために少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルを含むプロファイルライブラリにアクセスし、
補正された反射を取得するためにサンプル応答に補正係数を適用し、前記補正された反射を使用して前記層の厚さを計算するのに適合化された、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テラヘルツ放射を使用して曲面上のコーティングを測定する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ放射は、物体の内部構造およびその層の厚さを決定する非侵襲的な方法である。
【0003】
複数のコーティングおよび基材からなるコーティングされた物体について、コーティング層の厚さは、飛行時間測定を使用することによって反射幾何学において決定され得る。例えば、テラヘルツパルスの場合、複数のコーティングから反射された放出テラヘルツパルスの遅延が測定される。反射パルスが層を通過するときの反射パルスの時間遅延を用いて、前記層の屈折率を用いて層の厚さを決定する。例えば、GB 2559164 Aを参照されたい。
【0004】
しかしながら、曲面が形成されるように物体が湾曲している場合、テラヘルツスポットが物体の曲面にわたって延在するにつれて、曲率は、テラヘルツ放出器に対して変化する表面の位置をもたらす。したがって、飛行時間は、層の厚さ、ならびに曲率の変化する表面を考慮する。
【0005】
テラヘルツスポットサイズはテラヘルツ放射の異なる周波数に対して変化するので、表面の曲率を補償する問題は、コーティングの厚さのテラヘルツ決定において困難になる。したがって、各周波数は、曲率によって異なる影響を受け、物体の材料またはコーティング層間の区別などの他の変動とともに、曲率およびスポットサイズに応じて時間遅延が変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの問題に対処し、湾曲した表面に対してテラヘルツ放射を使用してコーティング厚さを決定することに関連する誤差を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、サンプルの曲面上の複数のコーティング層の厚さを決定する方法が提供される。方法は、前記サンプルの曲率を測定するステップと、前記サンプルにTHz放射を照射するステップであって、前記THz放射は0.01THzから10THzの範囲内の複数の周波数を含む、ステップと、反射された放射線を検出して、サンプル応答を生成するステップであって、前記サンプル応答は、前記反射された放射線から導出される、ステップと、少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルを含むプロファイルライブラリを参照して、前記サンプルの前記曲率に基づいて補正係数を取得することと、前記補正係数を前記サンプル応答に適用して、補正された反射を得ることと、前記補正された反射を用いて前記層の厚さを出力することと、を含む。
【0008】
上記の実施形態は、検出される反射放射線に影響を及ぼす湾曲面の問題に対処する。特に、検出された放射線からの情報は、表面のコーティング及び表面の曲率に起因して変化する。したがって、これに対処するために、補正係数を適用して、サンプルの曲率に基づいて補正された反射を生成し、これを使用して、検出された放射におけるコーティング厚さを計算する。補正係数は、少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルを含むプロファイルライブラリに基づく。測定されたサンプルの曲率は、補正値を得るためにプロファイルライブラリと比較される。補正された反射は、情報に曲率成分を含まない結果として生じる反射である。したがって、この補正値を用いて厚さを算出することができる。
【0009】
好ましくは、少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルは、サンプルと同様の曲率を有する。プロファイルライブラリは、様々な曲率を有する表面のサンプルを含む。正しい補正係数を保証するために、サンプルのプロファイル、すなわちサンプルの幅もしくは長さまたはサンプルの位置座標が与えられた場合の曲率は、プロファイルライブラリ曲率の少なくとも1つのプロファイルと同様であるべきである。
【0010】
好ましくは、曲率の範囲を形成する複数のプロファイルライブラリサンプルについて、曲率の範囲は、結果として得られる曲率を得るための内挿または外挿のためのものであり、結果として得られる曲率は、サンプルと同様である。同様のプロファイルが好ましいが、複数の異なる曲率プロファイルが存在する所与のプロファイルライブラリを、サンプルがこの範囲内にある場合に使用することができる。データの範囲は、対象のサンプルの等価なプロファイルを提供するために補間され得る。いくつかの状況において、データは、サンプルが範囲外にある場合に、目的のサンプルの等価なプロフィールを得るために外挿され得る。
【0011】
好ましくは、補正係数は、プロファイルライブラリサンプルのパラメータと公称プロファイルライブラリサンプルのパラメータとの比較から得られる。所与の曲率プロファイルに対して、パラメータ、すなわち反射からの測定値は、曲率自体の成分を含む。したがって、プロファイルライブラリサンプルにおいて、プロファイルライブラリサンプルパラメータの各々は、公称プロファイルの公称プロファイルライブラリサンプルと比較され得る。これは、測定されている所与の曲率のサンプルに適用され得る補正係数を提供する。
【0012】
好ましくは、プロファイルライブラリサンプルは、前記サンプルの構造と同じ構造を有する。材料の順序、材料の種類などの構造が、ライブラリ内の例およびサンプルに対して類似している場合、これは、出力データの精度を高めるのを助けることができる。状況によっては、異なる構造を使用することができる。より具体的には、使用される材料による変動のないデータのセットを提供する単一の材料構造、例えば金属を使用することができる。
【0013】
好ましくは、プロファイルライブラリは、プロファイルライブラリサンプルの反射された放射線の波形の大きさおよび位相を含む。プロファイルライブラリサンプルについて、様々な詳細を記録することができる。1つの場合において、反射されたTHz放射に対して、大きさ及び位相が記録されてデータセットを形成する。これは、プロファイルライブラリサンプルを照射し、測定値を使用してデータセットを形成することによって得ることができる。これらは、THz放射の周波数の範囲にわたって存在することができる。あるいは、プロファイルライブラリは、物理的サンプルを照射する代わりに、サンプルの理論的計算などの他のデータ手段から構築されてもよい。プロファイルライブラリサンプルの異なる測定パラメータを記録することができる。
【0014】
好ましくは、大きさ誤差および位相誤差は、例えば0.01 THzから10 THzの範囲にわたって、複数の周波数について周波数の関数として計算される。補正係数は、サンプルの測定された曲率に対して補間することができる。曲率による誤差補正が計算される場合、これは、THz放射のパルスまたは連続波が、すべての層を検出するためにサンプル上で使用され得ることを確実にするために、周波数範囲にわたる。サンプルの測定された曲率は、基準ライブラリ内の曲率と直接整合しない場合がある。したがって、異なる曲率に対する補正係数から、必要な曲率が、適切なプロファイルライブラリサンプルから選択されるか、またはライブラリ内の点の間で補間される。これにより、誤差項を任意の所与の曲率プロファイルに対して一般化することができる。上述のように、サンプルのプロファイルがプロファイルライブラリの範囲内にない場合、データを外挿することもできる。
【0015】
好ましくは、大きさ誤差および位相誤差は、各プロファイルライブラリサンプルに対して多項式フィットを使用して計算される。誤差項を提供して一般化された適合を得るために、様々な技術を使用することができる。多項式回帰を使用して、任意の測定された曲率を使用して、式を満たし、補正値をもたらすことができる。
【0016】
好ましくは、プロファイルは、単一値パラメータである曲率を使用して測定される。曲率のプロファイルは、座標のセットなどのいくつかの方法で定義することができる。測定された曲率、従ってプロファイルをより良く利用し、THz反射を補正するためのパラメータとして使用することを可能にするために、プロファイルは単一値パラメータとして定義されることが好ましい。例えば、プロファイルライブラリサンプルがある程度の対称性を有する場合、これは、単一のパラメータがそのような状況で使用されることを可能にする。これは、例えば、THz補正における軸として使用されることができる。したがって、これは、補正値を適用するより直接的な手段を提供することができる。
【0017】
好ましくは、ライブラリープロフィールサンプルは、コーティングされていない。これは、プロファイルライブラリサンプルが、曲率以外の測定に影響を及ぼすであろう、層等の任意の付加的パラメータを含まないことを確実にする。これは、サンプルおよびプロファイル測定に影響を及ぼす可能性がある機器の影響を除去することによって、データがプロファイルライブラリにおいて正規化されることを確実にする。したがって、より正確な厚さの計算を得ることができる。
【0018】
好ましくは、ライブラリプロファイルサンプルは、高反射層でコーティングされる。高反射層は、反射率が1.0に近い、すなわち、放射が完全にまたはほぼ完全に反射される層である。したがって、THz放射のすべてを反射しない測定データを考慮するために必要な補償はない。これは、プロファイルライブラリが、曲率を説明するために記録されたデータにおいてより少ない干渉を有するので、厚さを測定するより正確な手段を提供する。より好ましくは、プロファイルライブラリサンプルは金で被覆される。金は非常に高い反射率を有する。いくつかの実施形態では、反射材料は、コーティングである必要はないが、代わりに、プロファイルライブラリサンプルは、反射材料から形成されることができる。
【0019】
好ましくは、反射された放射線を検出する時間遅延が測定されて、層の厚さを出力する。サンプルからの反射された放射線は、反射されるべき予想時間を有する。遅延がある場合、これを使用して層厚を計算することができる。上述したように、湾曲がある状況では、これは反射された放射線の時間遅延にも影響を及ぼすことがある。したがって、これは補正係数で補正される。
【0020】
好ましくは、複数の層のそれぞれの屈折率が、少なくとも1つの層の厚さを出力するために使用される。例えばサンプルの異なるコーティング及び材料は、異なる屈折率を有する。したがって、例えば波長にわたって反射された放射を測定するとき、屈折率が特定のコーティングまたは材料に関連することが分かっている場合、これは、1つのコーティングまたは複数のコーティングの層の厚さを計算することができることをより確実にする。
【0021】
好ましくは、本方法は、較正サンプルのセットからのデータから好ましい屈折率値またはモデルを選択することを含む。例えば、較正サンプルのセットは、基板と、単一のコーティング層または/および複数のコーティング層とを有するサンプルであってもよい。これにより、既知のコーティングについて屈折率を決定することができる。したがって、コーティングの厚さを決定するためにサンプルを測定するとき、コーティングは、すなわち反射されたTHz放射の波長から決定されることもできる。
【0022】
好ましくは、曲率は、レーザゲージを使用して測定される。THz放射とは異なる曲率測定手段を使用することによって、反射から得られたデータが厚さのみの計算に使用されることを確実にすることができる。
【0023】
本発明のさらなる態様では、サンプルの曲面上の複数のコーティング層の厚さを決定するためのシステムが提供される。システムは、-0.01 THzから10 THzの範囲の複数の周波数のTHz放射線の線源を含むセンサと、反射された放射線を検出して、前記反射された放射線から導出されるサンプル応答を生成するための検出器と、前記反射された放射線を検出して、前記反射された放射線から導出されるサンプル応答を生成するための検出器と、を含み、前記システムは、分析ユニットをさらに備え、前記分析ユニットは、前記サンプルの測定された曲率に基づいて補正係数を取得するために少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルを含むプロファイルライブラリにアクセスし、補正された反射を取得するためにサンプル応答に補正係数を適用し、前記補正された反射を使用して前記層の厚さを計算するように適合化される。
【0024】
これは、サンプルの厚さの測定のためのシステムを提供し、そのサンプルは曲率を有する。反射されたTHz放射線は、例えば、反射されるべき所与の波長の時間の結果として、コーティング層の厚さを導出するために使用されることができる。しかしながら、曲率もこの反射に影響を与えることができる。したがって、補正係数を適用して曲率を補償することができ、コーティング層の厚さを計算することが可能になる。
【0025】
さらなる実施形態では、反射された放射線、すなわち波形は、センサを使用して測定される。この方法は、好ましくは、測定を実行できるように、センサを複数の層からある距離に配置することをさらに含む。距離は、センサの距離を決定するためにレーザゲージまたは別のゲージを使用して測定され得る。センサは、センサの角度が測定を実行するのに十分であるかどうかを判定するために、角度測定ゲージを使用して位置合わせすることもできる。上記は、センサが手持ち式である場合に特に有用である。したがって、一実施形態では、センサ-表面間距離および配向が高品質データ収集のために許容可能であるときをオペレータ(またはロボットコントローラ)に示すために、テラヘルツおよび追加のセンサ(例えば、超音波、レーザゲージ、視覚システム)からの信号の問合せを通したセンサ位置フィードバックが存在する。いくつかの実施形態では、センサは、ロボット制御されることができる。
【0026】
本発明の一態様によれば、サンプルの曲面上の複数のコーティング層の厚さを決定する方法が提供される。方法は、前記サンプルの曲率を測定するステップと、前記サンプルにTHz放射線を照射するステップであって、前記THz放射線は0.01 THzから10 THzの範囲内の複数の周波数を含む、ステップと、前記反射された放射を検出して、前記反射された放射から導出されるサンプル応答を生成するステップと少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルを含むプロファイルライブラリを参照して、前記サンプルの前記曲率に基づいて誤差項を取得するステップと、前記誤差項を前記サンプル応答に適用して、補正された反射を得るステップと、前記補正された反射を使用して前記層の前記厚さを出力するステップと、を含む。
【0027】
誤差項は、周波数の関数として振幅誤差および位相誤差を含むことができ、または誤差項は、周波数の関数として実数成分および虚数成分を含むことができる。
【0028】
本発明のさらなる態様では、サンプルの曲面上の複数のコーティング層の厚さを決定するためのシステムが提供される。システムは、-0.01 THzから10 THzの範囲の複数の周波数のTHz放射で前記サンプルを照射するためのTHz放射源を含むセンサと、前記反射された放射線を検出して、前記反射された放射線から導出されるサンプル応答を生成するための検出器と、を含み、前記システムは、分析ユニットをさらに備え、前記分析ユニットは、プロセッサおよびメモリを備え、前記プロセッサは、少なくとも1つのプロファイルライブラリサンプルを含むプロファイルライブラリにアクセスして、前記サンプルの前記曲率に基づいて誤差項を取得し、前記誤差項を前記サンプル応答に適用して補正反射を取得し、前記補正反射を使用して前記層の厚さを計算するように適合化される。
【0029】
上記のTHz放射は、パルスのコリメートされたビームなどのパルスを使用して適用され得る。本発明は、連続波(CW)源を使用しても実施され得ることを理解されたい。連続波の生成は、欧州特許第1269156号明細書に詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の実施形態は、添付の概略図を参照して、例としてのみ、ここで説明される。
【0031】
図1】本発明の実施形態による一般的なシステムの概要である。
図2】テラヘルツ測定を行うセンサおよびコーティングされたサンプルの概略図である。
図3A】異なる屈折率(n2>n1)の2つのコーティングを有する非金属基板から反射された時間領域波形のトレースを示す。
図3B】異なる屈折率(n2>n1)の2つのコーティングを有する非金属基板から反射された時間領域波形のトレースを示す。
図4】異なる屈折率の複数のコーティングを有する基板から反射された時間領域波形のトレースと、コーティング層を示す棒グラフとを示す。
図5】コーティングされたサンプルから厚さを得るための基本的なステップを示す流れ図である。
図6】2つの波長のTHz放射で照射されている曲面を有する被覆サンプルの概略図である。
図7】曲面を有するサンプルに対してテラヘルツ測定を行うセンサの模式図である。
図8】曲面を有するコーティングされたサンプルから厚さを得るための基本的なステップを示すフロー図である。
図9】曲面を有するコーティングされたサンプルから厚さを得るためのプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、テラヘルツデータから導出される厚さ測定および分析に対する非平面サンプルの曲率の影響から生じるテラヘルツ測定における誤差を補正する手段に焦点を当てる。本発明は、全ての表面に適用されるが、特に、サンプルの曲率が経時的に変化しやすい表面、例えば、経時的に変化し得るか、またはサンプルにわたって変化し得る可鍛性基材上のコーティング(例えば、ゴムまたはプラスチック上のコーティング)に適用される。したがって、コーティング厚さの決定は、そのような状況において重要である。
【0033】
図1は、本発明の実施形態によるシステムの非常に基本的な概要を示す。システムは、図2を参照してより詳細に説明されるセンサ1を備える。この実施形態では、センサは、ユーザ(図示せず)によって車両3の塗装された車体上を案内される手持ち式センサ25である。
【0034】
図2は、行われる測定の簡略化された構成を示す。センサ3は、車両上のパネル9に向けてテラヘルツ放射7の広帯域パルスを放出する。パネルは、塗料層11,13および15を有する塗装パネルである。テラヘルツ放射パルスは、複数の周波数を含む。例えば、放射は0.01 THzから10 THzの範囲である。しかしながら、いくつかの実施形態では、範囲は、0.06 THzから4 THzの範囲内など、より狭い。この実施形態では、3つの層について説明する。しかしながら、本方法は、2以上の任意の数の層に適用することができる。5層以上のシステムを分析することができる。
【0035】
各層は、前の層との境界を有し、この境界は、テラヘルツ放射の一部の部分反射を引き起こす。すなわち、これらの層はテラヘルツ信号に対して半透明である。各境界から反射されたテラヘルツ信号は、(それが通過した層の厚さおよび光学応答に起因して)わずかに異なる光路を経験していることになり、すなわち、検出器に戻る信号反射器の飛行時間が測定され、したがって、所与の到着時間、したがって信号の反射の遅延について、反射されたテラヘルツ信号によって層の厚さを正確に決定することが可能である。
【0036】
図3(a)および図3(b)は、異なる屈折率(n2>n1)の2つのコーティングを有する非金属基板から反射された時間領域波形のトレースを示す。図3(a)において、コーティング1の厚さが大きいことは、(空気-表面界面からの)反射ピーク1と(コーティング1と2との間の界面からの)反射ピーク2とが容易に区別されることを意味する。図3(b)では、コーティング1の厚さが減少すると、反射ピーク1と2との間の分離が減少する。
【0037】
図4は、複数のコーティング(5つのコーティングおよび基板)に対して反射された時間領域波形のトレースの例を示す。これは、各層の厚さを図式的に表す棒グラフに対して示される。反射の時間遅延は、層で反射された後の検出器におけるテラヘルツ信号の到着時間を示すためにx軸として与えられる。
【0038】
各層のコーティング厚dは、時間遅延Δtのピーク分離とコーティングの屈折率nとを使用して計算される。ここで、
【数1】
【0039】
したがって、平坦なサンプルに対して、および層の所与の屈折率値に対して、検出器におけるパルス(THz放射)の到着時間は、層の厚さによって決定される。したがって、厚さdiは、測定されたパルス遅延Δtiを決定する唯一の因子である(固定屈折率niを仮定する)。
【0040】
図5は、平坦なサンプルにおける層の厚さを決定するために使用される基本的なプロセスのフローチャートを示す。
【0041】
ステップS101において、サンプルは、THz放射で照射される。テラヘルツ放射線は、パルスまたは連続波形で放出される。
【0042】
ステップS102では、サンプルからの測定値が取得される。テラヘルツは、サンプルから検出器に反射され、エミッタおよび検出器は、多くの場合、同一センサの一部である。測定は、放出されたTHz放射に対するサンプル応答の形態である。
【0043】
ステップS103では、パラメータがアルゴリズムで測定に適用される。図4を参照して上述したように、これは、式(1)において屈折率と共に時間遅延を使用することであり得る。
【0044】
ステップS104では、ステップS103からコーティング厚さが出力される。周波数の範囲に対して、これは、所与の屈折率に対していくつかの層厚を提供することができる。
【0045】
図6は、対象の曲面20を示す。この例では、テラヘルツ放射は、第1の周波数および第2の周波数で印加され、第1の周波数は、第2の周波数よりも低い。テラヘルツスポットのサイズ、すなわち放射の焦点は、周波数に応じて変化する。例えば、使用される光学部品の焦点比に従って、0.5 THzにおけるスポットサイズは約5
mmであり得、1 THzにおけるスポットサイズは約2.5 mmであり得る。
【0046】
図6では、第1の周波数に対して、第1のスポット22は、第2の周波数に対する第2のスポット24よりも大きい。したがって、テラヘルツスポット22、24の比較サイズによって表されるように、より大きな領域が第1の周波数で探査される。
【0047】
第1の周波数に対する第1の反射THzパルス26が第1のスポット22に対して示されている。第1の反射THzパルス26の飛行時間はt1である。第2のスポット24について、第2の周波数の第2の反射THzパルス28が示されている。第2の反射されたTHzパルスの飛行時間はt2である。
【0048】
第2のテラヘルツスポット24が検出器からさらに離れていると仮定すると、飛行時間はより長くなる。テラヘルツスポットと曲面20のサイズは、曲率のみに起因してt1<t2となる。したがって、Δtは、もはやコーティングの厚さのみによって決定されるのではなく、物体の曲面20上のテラヘルツスポットの位置による遅延の追加の成分も有する。
【0049】
その結果、検出器におけるパルスの到着時間は、反射面の位置からの曲率変化に起因して、より遅い成分(t2)およびより速い成分(t1)からの寄与を含むことになる。これは、Δtiが、曲率ならびにコーティング寄与を含むように修正されることを意味する。
【0050】
図7を参照すると、テラヘルツ放射体エミッタおよび検出器を備えるセンサ30が提供される。これは、湾曲したサンプル34においてテラヘルツパルス36などのテラヘルツ信号/放射36を放出し、曲率したサンプルは湾曲した表面を有する。テラヘルツ信号36は、センサ30によって反射され、検出され、測定される。
【0051】
測定されたTHz放射は、THz放射のパルスにさらされたサンプル34から反射された測定されたTHz放射、すなわちサンプル応答を分析するための分析ユニット32に渡される。解析部32は、参照ライブラリ38を参照して補正係数を求める。この補正係数は、サンプルの測定された曲率に基づく。測定された曲率に対して、補正された反射を提供する補正係数がサンプル応答に適用される。この補正された反射は、次いで、上述のプロセスを使用して分析され、層の厚さを決定する。
【0052】
参照ライブラリ(プロファイルライブラリ)38は、分析ユニット32の一部として示されているが、別個であってもよい。同様に、センサ30は、分析ユニット32を収容することができ、センサ30のエミッタ及び検出器部分も、一体化されてもよく、又は別個であってもよい。
【0053】
基準ライブラリ38は、関心のあるサンプル34と他の点では同じであるライブラリサンプルからのサンプル応答、例えば測定された反射THz放射を含む。しかしながら、ライブラリサンプルのコーティングは、除去されるか、またはTHz波長が完全に反射されるように除去される。
【0054】
上述のように、場合によっては、ライブラリ38は、計算、例えば曲率に対するシステム応答の理論計算などの他の手段からコンパイルすることができる。
【0055】
一例では、テラヘルツ反射
【数2】
の位相
【数3】
および大きさ
【数4】
は、それらのコーティング層を識別するために測定されることになる関心のあるすべてのサンプルの曲率をカバーするために、プロファイル曲率pの範囲を有する一連のライブラリサンプルについて測定される。
【0056】
ライブラリサンプルのプロファイル曲率も測定される。この曲率は、反射率のプロファイルを測定することができる近赤外レーザゲージなどの非テラヘルツ手段によって測定される。各ライブラリサンプルについて測定された位相、大きさ、および曲率は、プロファイル参照ライブラリを形成する。
【0057】
基準サンプルは、補正される曲率の範囲にわたって公称(中間点又は平均)プロファイル曲率
【数5】
を有する。プロファイル参照テーブルを構築するときに測定されるサンプルの1つは、参照と同じ公称曲率
【数6】
を有する。
【0058】
この公称サンプル/基準サンプルの比は、それぞれ大きさ及び位相
【数7】

【数8】
を有する公称反射率
【数9】
を与える。この比から層の厚さを計算する。次に、図4を参照して上述した技術及び従来技術を用いて、層の厚さを導出する。
【0059】
いくつかの状況では、異なる厚さ方法が使用される場合、プロファイル補正が使用され得る。
【0060】
誤差項は、プロファイルの効果を補正するために適用される。周波数依存誤差項(位相および大きさに対する)は、プロファイル基準ライブラリ内の各プロファイル基準サンプルおよび公称反射率
【数10】
から(多項式適合または別の適合もしくは外挿技法を使用して)計算される。
【0061】
特に、振幅誤差および位相誤差は、テラヘルツ範囲にわたって、周波数fの関数として以下のように計算される。
【0062】
周波数の関数としての大きさ:
【数11】
【0063】
周波数の関数としての位相:
【数12】
【0064】
これらの誤差項は、離散的なプロファイル測定値間の補間によって、または
【数13】
がすべての離散的なプロファイルpについて
【数14】
を満たすように表面関数を適合させることによって、任意の所与のプロファイルpについて一般化される。
【0065】
測定された曲率(したがってプロファイルp)を有するサンプルについて、測定されたプロファイルpを有する測定された反射率rsは、上記の誤差項を使用して補正することができる。これは、補正された大きさ
【数15】
及び補正された位相
【数16】
を提供する。すなわち、サンプルが公称プロファイルp0と同じプロファイルを有していた場合のサンプルの振幅および位相である。
【数17】
【数18】
【0066】
これにより、補正された反射測定を使用して、サンプルプロファイルの変動によって生じる誤差なしにサンプル厚さを計算することが可能になる。
【0067】
図8は、曲率したサンプルにおける層の厚さを決定するために使用される基本的なプロセスのフローチャートを示す。
【0068】
ステップS111では、サンプルの曲率を測定する。これは、赤外線を使用するなど、様々な方法によって行うことができる。
【0069】
ステップS112において、サンプルは、THz放射で照射される。テラヘルツ放射線は、パルスまたは連続波形で放出される。
【0070】
ステップS113では、サンプルからの測定値が取得される。テラヘルツは、サンプルから検出器に反射される。測定は、放出されたTHz放射に対するサンプル応答の形態である。測定値は、層の厚さおよびサンプルの曲率に起因する要因を含む。
【0071】
ステップS114では、補正係数が測定値に適用される。これは、測定された曲率に基づいており、上述したように、プロファイルライブラリを使用して、曲率の関連する補正係数を参照することができる。式(4)および(5)などのアルゴリズムを使用して、補正係数を適用することができる。
【0072】
ステップS115では、屈折率などの任意の追加のパラメータを、補正された測定値と共にアルゴリズムに適用して、層厚さ測定値を計算することができる。図4を参照して上述したように、これは、式(1)に示されるような時間遅延を使用することによって行うことができる。
【0073】
ステップS116では、前のステップからコーティング厚さが得られる。
【0074】
図9は、対象サンプル内の層の厚さを決定するために使用され得るプロセスのフローチャートを示す。
【0075】
ステップS211では、対象サンプルの曲率を測定する。
【0076】
ステップS212において、関心のあるサンプルは、THz放射で照射される。
【0077】
ステップS213では、対象サンプルからの測定値が取得される。テラヘルツ放射線は、対象のサンプルから検出器へ反射される。反射された放射が検出され、時間領域反射波形が得られる。
【0078】
サンプル応答は、反射された放射から導出される。この例では、測定された波形のフーリエ変換が行われ、周波数領域表現が与えられる。フーリエ変換は、各周波数に対応する(実数成分および虚数成分を有する)複素数値を含む複素周波数スペクトルを提供するために使用され、これは、初期複素周波数スペクトルと呼ばれる。この初期複素周波数スペクトルは、次いで、記憶された第1の複素周波数スペクトルによって除算される。このステップでは、各周波数について、初期スペクトルからの複素値が、第1のスペクトルからの複素値によって除算される。結果は、ここでは、測定された複素周波数スペクトルと呼ばれ、スペクトル内の各周波数に対応する複素値を含む。
【0079】
この例における第1の複素周波数スペクトルは、公称曲率を有する基板と金コーティングとを有する第1のサンプルに対応する。第1の複素周波数スペクトルは、この第1のサンプルに対してテラヘルツ測定を実行し、サンプル応答を導出し、フーリエ変換を実行することによって生成される。第1の複素周波数スペクトルは、このように、他の点では対象のサンプルと同じであるが、公称曲率を有し、金コーティングのみを有する第1のサンプルから測定された反射THz放射から導出される。第1の複素周波数スペクトルは、次いで、関心のあるサンプルの厚さを決定するためのプロセスのS213で使用するために記憶される。
【0080】
ステップS214では、S213から出力された測定された複素周波数スペクトルに補正が適用される。
【0081】
補正は、記憶された情報を使用して適用される。そこで、まず、記憶情報の生成方法について説明する。
【0082】
曲率の範囲を有する2つ以上のライブラリサンプルのセットを使用して、記憶された情報を生成する。この例では、ライブラリサンプルのうちの1つは、公称曲率、すなわち、第1のサンプルと同じ曲率を有する。公称曲率はまた、ライブラリサンプルの平均または中点曲率に対応する。この例では、各ライブラリサンプルは、関心のあるサンプルの構造と同じ構造を有する。言い換えれば、各ライブラリサンプルは、対象サンプルと同じ基板およびコーティングを有する。しかしながら、ライブラリサンプルは、公称曲率を含む、ある範囲の異なる曲率を有する。いくつかの他の例では、ライブラリサンプルは、コーティングされていなくてもよい。
【0083】
ライブラリサンプルに対してテラヘルツ測定を実行し、フーリエ変換を実行することによって、ライブラリサンプルの各々について複素周波数スペクトルが生成される。次いで、各複素周波数スペクトルは、公称曲率を有するライブラリサンプルに対応する複素周波数スペクトルで除算されて、ライブラリサンプルの複素誤差が与えられる。したがって、複素テラヘルツ反射rρは、それらのコーティング層を識別するために測定されるべきである、着目サンプル全ての曲率を網羅するように、プロファイル曲率ρの範囲を伴う一連のライブラリサンプルに対して測定される。特に、反射rρの周波数領域表現は、対象となる全てのサンプルの曲率をカバーするために、プロファイル曲率ρの範囲を有する一連のライブラリサンプルに対して生成される。周波数領域表現は、各周波数についての実数成分および虚数成分を含む。次に、複素誤差は、以下のように、放出されたテラヘルツ放射の複数の周波数をカバーする周波数範囲にわたって周波数fの関数として計算される。
【数19】
ここで、rp(f)は、曲率プロファイルρを有するライブラリサンプルのサンプル応答の周波数領域表現であり、rp(f)は、公称曲率を有するライブラリサンプルのサンプル応答の周波数領域表現である。各周波数について、ライブラリサンプルスペクトルからの複素値は、公称曲率を有するライブラリサンプルのスペクトルからの複素値で除算される。結果として得られる複素EC(f)pは、スペクトルの各周波に対応する複素値を含む。周波数依存誤差項(複素誤差の実数成分および虚数成分)が、各ライブラリサンプルについて導出される。
【0084】
ライブラリサンプルの複素誤差EC(f)pのセットは、S214において補正を適用するために記憶され、使用されてもよい。
【0085】
あるいは、多項式フィットを使用して、複素誤差を平滑化してもよい。適合から導出された複雑な誤差のセットは、次いで、プロファイル参照ライブラリに記憶されることができる。例えば、誤差の複素数値は、各周波数の曲率の関数として適合されてもよい。各周波数に対して、複素誤差値は、曲率値のセットの各々に対するこの適合から導出され得る。
【0086】
記憶された情報は、1つ以上の曲率のセットの各々について、複素誤差、言い換えれば、各周波数について1つの複素誤差値のセットを含む。
【0087】
これらの複素誤差は、複素誤差間の補間によって、対象サンプルの任意の所与の曲率プロファイルに対して一般化することができる。したがって、S214において、関心のあるサンプルの曲率プロファイルの複素誤差は、例えば、ライブラリ内の関心のあるサンプルの両側の2つの最も近いサンプル曲率間の線形補間によって導出することができる。
【0088】
この導出された複素誤差は、次いで、関心のあるサンプルからの測定された反射に対する曲率の影響を補正するために適用される。誤差項、この場合は、導出された複素誤差の実数成分および虚数成分が、対象のサンプルからの測定された反射に対するプロファイルの影響を補正するために適用される。
【0089】
測定された曲率(したがってプロファイルp)を有する対象のサンプルについて、測定されたプロファイルpを有する測定された複素反射率rsは、上記の複素誤差を使用して補正される。これは、サンプルの補正された複素反射率、すなわち、サンプルが公称プロファイルPoと同じプロファイルを有する場合のサンプルの複素反射率を提供する。このステップでは、S213から出力された複素周波数スペクトルが、複素誤差項を使用して補正される。これは、サンプル応答の補正された周波数領域表現、すなわち、サンプル応答が公称プロファイルPoと同じプロファイルを有していた場合のサンプル応答の周波数領域表現を提供する。したがって、公称曲率プロファイルを有する対象サンプルについては、補正項は1(すなわち、曲率補正なし)となる。補正は、測定された複素周波数スペクトルを導出された複素誤差で除算することによって実行される。
【数20】
ここで、rsは、この例ではS213から出力された測定された複素周波数スペクトルに対応する複素サンプル反射率であり、EC(f,p)は、対象サンプルのプロファイルについて導出された複素誤差である。これにより、補正された反射測定を使用して、サンプルプロファイルの変動によって生じる誤差なしにサンプル厚さを計算することが可能になる。
【0090】
逆フーリエ変換が、補正された複素周波数スペクトルrcに適用されて、補正されたサンプル応答、すなわち時間領域波形が与えられる。
【0091】
ステップS215では、屈折率などの任意の追加のパラメータを、補正されたサンプル応答と共にアルゴリズムに適用して、層の厚さを計算することができる。図4を参照して上述したように、これは、式(1)に示されるような時間遅延を使用することによって行うことができる。例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる英国特許出願公開第2559164号明細書のように、反射パルスが層を通過するときの反射パルスの時間遅延を使用して、前記層の屈折率を使用して層の厚さを決定する。好ましい屈折率値またはモデルは、較正サンプルのセットからのデータから選択され得る。例えば、較正サンプルのセットは、基板と、単一のコーティング層または/および複数のコーティング層と、公称曲率プロファイルPoとを有するサンプルであってもよい。
【0092】
上記の実施形態は、公称プロファイルと比較したプロファイルライブラリの曲率に基づく補正係数を使用することによって、テラヘルツ決定における表面の曲率を補償する問題に対処する。したがって、補正された測定値は、公称プロファイルを有するサンプルと等価であり、層厚を計算することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】