(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】鋳型の製造方法及び鋳型
(51)【国際特許分類】
B22D 11/04 20060101AFI20240920BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B22D11/04 311G
B22D46/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520613
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2022019469
(87)【国際公開番号】W WO2023101504
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0171119
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,サン ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,エン スン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ソン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ジョ,ソン ヌン
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004MB15
4E004MC21
(57)【要約】
【課題】高さごとの凝固シェルの凝固収縮を有効に補償することのできる鋳型の製造方法及び鋳型を提供する。
【解決手段】第1の鋳型において溶鋼を凝固させる過程と、第1の鋳型における溶鋼の凝固の際に生じる凝固収縮量SDを第1の鋳型の高さごとに検出する過程と、検出された高さごとの凝固収縮量SDを用いて、製造しようとする第2の鋳型に対する高さごとの設計幅を設ける過程と、第2の鋳型の内壁面の高さごとの幅Wが高さごとの設計幅になるように第2の鋳型を設ける過程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の鋳型において溶鋼を凝固させる過程と、
前記第1の鋳型における前記溶鋼の凝固の際に生じる凝固収縮量(SD)を前記第1の鋳型の高さごとに検出する過程と、
検出された前記高さごとの凝固収縮量(SD)を用いて、製造しようとする第2の鋳型に対する高さごとの設計幅を設ける過程と、
前記第2の鋳型の内壁面の高さごとの幅(W)が前記高さごとの設計幅になるように第2の鋳型を設ける過程と、
を含むことを特徴とする鋳型の製造方法。
【請求項2】
前記第1の鋳型の高さごとの凝固収縮量(SD)を検出する過程は、
前記第1の鋳型の内壁面に、溶鋼の湯面の高さ(P
M)の下側に互いに異なる高さを有する複数の設計地点(DP)を設定する過程と、
前記第1の鋳型に設定された前記複数の設計地点(DP)のそれぞれにおいて、溶鋼の凝固により形成された凝固シェルの幅方向の両端の間の長さを検出して凝固幅(S
W)を検出する過程と、
前記第1の鋳型の内壁面における前記湯面の高さ(P
M)での幅(W
M)から前記複数の設計地点(DP)のそれぞれにおいて検出された凝固幅(S
W)を差し引いて、前記複数の設計地点(DP)のそれぞれでの凝固収縮量(SD)を算出する過程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
【請求項3】
前記第1の鋳型に前記複数の設計地点(DP)を設定するに際して、前記複数の設計地点(DP)同士の間の間隔が下側に向かって進むにつれて増加するように設定することを特徴とする請求項2に記載の鋳型の製造方法。
【請求項4】
前記第1の鋳型に複数の設計地点(DP)を設定するに際して、前記複数の設計地点(DP)同士の間の間隔が一定の値で増加するように設定することを特徴とする請求項3に記載の鋳型の製造方法。
【請求項5】
前記第1の鋳型に設定される前記複数の設計地点(DP)は、前記湯面の高さ(P
M)の下側に順次に遠ざかる地点である第1乃至第4の設計地点(DP
1~DP
4)を含み、
前記湯面の高さ(P
M)と前記第1の設計地点(DP
1)との間の間隔(G
1)、前記第1の設計地点(DP
1)と第2の設計地点(DP
2)との間の間隔(G
2)、前記第2の設計地点(DP
2)と第3の設計地点(DP
3)との間の間隔(G
3)、前記第3の設計地点(DP
3)と第4の設計地点(DP
4)との間の間隔(G
4)において、第1の間隔(G
1)から第4の間隔(G
4)に向かって進むにつれて一定の比率で大きくなるように調節することを特徴とする請求項4に記載の鋳型の製造方法。
【請求項6】
前記高さごとの設計幅を設ける過程は、
前記第2の鋳型の内壁面に、前記第1の鋳型に設定された前記複数の設計地点(DP)と同じ位置の複数の地点(P)を設定する過程と、
前記第1の鋳型における前記湯面の高さ(P
M)での内壁面の幅(W
M)から前記複数の設計地点(DP)のそれぞれに対する凝固収縮量(SD)を差し引く(W
M-SD)過程と、
前記複数の設計地点(DP)のそれぞれでの差し引き(W
M-SD)値を、前記第2の鋳型の内壁面に設定された前記複数の地点(P)のそれぞれでの幅(W)として決定する過程と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の鋳型の製造方法。
【請求項7】
前記複数の設計地点(DP)のそれぞれでの凝固収縮量(SD)を検出する過程は、
前記第1の鋳型に第1の溶鋼を供給及び凝固させて、前記複数の設計地点(DP)での前記第1の溶鋼の凝固収縮量(1SD)を検出する過程と、
前記第1の鋳型に第2の溶鋼を供給及び凝固させて、前記複数の設計地点(DP)での前記第2の溶鋼の凝固収縮量(2SD)を検出する過程と、
前記第1の溶鋼の凝固収縮量(1SD)と前記第2の溶鋼の凝固収縮量(2SD)との平均凝固収縮量(AS)を前記複数の設計地点(DP)ごとに算出する過程と、
を含み、
前記第1の鋳型の湯面の高さ(P
M)での内壁面の幅(W
M)から前記複数の設計地点(DP)のそれぞれに対する凝固収縮量(SD)を差し引く(W
M-SD)に際して、
前記複数の設計地点(DP)のそれぞれに対する凝固収縮量(SD)は、前記複数の設計地点(DP)のそれぞれに対する平均凝固収縮量(AS)であることを特徴とする請求項6に記載の鋳型の製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の溶鋼を選定する過程を含み、
前記第1及び第2の溶鋼を選定する過程は、
複数種の溶鋼のそれぞれを前記第1の鋳型に供給して凝固させる過程と、
複数種の前記溶鋼のそれぞれの凝固の際に生じる凝固収縮量を検出する過程と、
検出された前記凝固収縮量のうち、最も多い凝固収縮量を生じさせた溶鋼を第1の溶鋼として選定し、最も少ない凝固収縮量を生じさせた溶鋼を第2の溶鋼として選定する過程と、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の鋳型の製造方法。
【請求項9】
溶鋼を注入可能な内部空間を備える鋳型であって、
前記内部空間を有するボディを備え、
前記ボディの内壁面には互いに高さの異なる複数の地点が設定され、
前記ボディの内壁面における前記複数の地点のそれぞれでの幅は、下部に向かって進むにつれて減少し、
前記幅が減少する減少率が高さ方向の複数の地点において変化することを特徴とする鋳型。
【請求項10】
前記複数の地点同士の間の高さ方向への間隔が互いに異なることを特徴とする請求項9に記載の鋳型。
【請求項11】
前記複数の地点同士の間の高さ方向への間隔は、下側に向かって進むにつれて増加することを特徴とする請求項10に記載の鋳型。
【請求項12】
前記複数の地点同士の間の高さ方向への間隔は、一定の値で増加することを特徴とする請求項11に記載の鋳型。
【請求項13】
前記複数の地点は、前記ボディの内部に供給される溶鋼の湯面の高さの下側に順次に遠ざかる地点である第1乃至第4の地点を含み、
前記湯面の高さと前記第1の地点との間の間隔(G
1)、前記第1の地点と第2の地点との間の間隔(G
2)、前記第2の地点と第3の地点との間の間隔(G
3)、前記第3の地点と第4の地点との間の間隔(G
4)において、第1の間隔(G
1)から第4の間隔(G
4)に向かって進むにつれて一定の比率で大きくなることを特徴とする請求項12に記載の鋳型。
【請求項14】
前記ボディの内壁面は、下部に向かって進むにつれて前記内壁面の反対の面である外壁面から遠ざかる斜面として設けられ、
前記ボディの内壁面の傾斜勾配は、前記複数の地点を変曲点として変更されることを特徴とする請求項9に記載の鋳型。
【請求項15】
前記複数の地点のそれぞれでの幅は、前記鋳型を設計するための設計用の母体鋳型を用いて溶鋼を凝固させ、取得した高さごとの凝固収縮量を用いて設計された幅であることを特徴とする請求項9に記載の鋳型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型の製造方法及び鋳型に係り、より詳しくは、鋳片の欠陥の発生を抑止もしくは防止することのできる鋳型の製造方法及び鋳型に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳片の鋳造のための鋳型は、一対の長辺壁体及び一対の短辺壁体を備える。そして、一対の長辺壁体と一対の短辺壁体により画定された内部空間に溶鋼を注入し、鋳型内において溶鋼を凝固させて鋳片を製造する。
溶鋼が鋳型の内部に供給されれば、鋳型内の溶鋼は、湯面から凝固シェルが形成され始めるが、下方に向かって進むにつれて凝固シェルの厚さが厚くなる。そして、鋳型の内部において溶鋼が凝固されて凝固シェルが形成されるとき、凝固シェルに凝固収縮が生じる。特に、鋳型内の上部において液状の溶鋼が固相に変態されるとき、凝固シェルの大きな収縮が起こる。また、鋳型の高さごとに凝固シェルの凝固収縮量が異なる。このような凝固シェルの収縮を鋳型において補償することができなければ、鋳型と凝固シェルとの間に空気層又はギャップ(gap)が生じる。ギャップ(gap)が生まれれば、鋳型と凝固シェル又は溶鋼との間の伝熱能が減少して凝固遅れが生じ、これにより、鋳片にブレークアウト(Break out)及び欠陥が生じる。
【0003】
このような凝固収縮に伴う問題を解消するために、鋳型の内壁面の幅を下部に向かって進むにつれて減少するように設ける。このとき、鋳型の内壁面の幅が下部に向かって進むにつれて減少する量又は減少率を一定にする。しかしながら、このような場合であっても、凝固シェルの収縮を十分に補償することができないため、鋳型と凝固シェルとの間に依然としてギャップ(gap)が生じる。これは、鋳型の上部から下部に向かって進むにつれて凝固収縮量が減少するが、その凝固収縮量が一定の比率で減少するわけではないからである。すなわち、内壁面の幅が下部に向かって進むにつれて減少するに際して、一定の減少率で減少することにより、高さごとに異なる凝固収縮量を十分に補償することができないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1060114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、高さごとの凝固シェルの凝固収縮を有効に補償することのできる鋳型の製造方法及び鋳型を提供することにある。
本発明の更に目的とするところは、凝固シェルの収縮に対する補償率を向上させることのできる鋳型の製造方法及び鋳型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鋳型の製造方法は、第1の鋳型において溶鋼を凝固させる過程と、前記第1の鋳型における前記溶鋼の凝固の際に生じる凝固収縮量SDを前記第1の鋳型の高さごとに検出する過程と、検出された前記高さごとの凝固収縮量SDを用いて、製造しようとする第2の鋳型に対する高さごとの設計幅を設ける過程と、前記第2の鋳型の内壁面の高さごとの幅Wが前記高さごとの設計幅になるように第2の鋳型を設ける過程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記第1の鋳型の高さごとの凝固収縮量SDを検出する過程は、前記第1の鋳型の内壁面に、溶鋼の湯面の高さPMの下側に互いに異なる高さを有する複数の設計地点DPを設定する過程と、前記第1の鋳型に設定された前記複数の設計地点DPのそれぞれにおいて、溶鋼の凝固により形成された凝固シェルの幅方向の両端の間の長さを検出して凝固幅SWを検出する過程と、前記第1の鋳型の内壁面における前記湯面の高さPMでの幅WMから前記複数の設計地点DPのそれぞれにおいて検出された凝固幅SWを差し引いて、前記複数の設計地点DPのそれぞれでの凝固収縮量SDを算出する過程と、を含むことが好ましい。
前記第1の鋳型に前記複数の設計地点DPを設定するに際して、前記複数の設計地点DP同士の間の間隔が下側に向かって進むにつれて増加するように設定することがよい。
【0008】
前記第1の鋳型に複数の設計地点DPを設定するに際して、前記複数の設計地点DP同士の間の間隔が一定の値で増加するように設定することができる。
前記第1の鋳型に設定される前記複数の設計地点DPは、前記湯面の高さPMの下側に順次に遠ざかる地点である第1乃至第4の設計地点DP1~DP4を含み、前記湯面の高さPMと前記第1の設計地点DP1との間の間隔G1、前記第1の設計地点DP1と第2の設計地点DP2との間の間隔G2、前記第2の設計地点DP2と第3の設計地点DP3との間の間隔G3、前記第3の設計地点DP3と第4の設計地点DP4との間の間隔G4において、第1の間隔G1から第4の間隔G4に向かって進むにつれて一定の比率で大きくなるように調節することが好ましい。
【0009】
前記高さごとの設計幅を設ける過程は、前記第2の鋳型の内壁面に、前記第1の鋳型に設定された前記複数の設計地点DPと同じ位置の複数の地点Pを設定する過程と、前記第1の鋳型における前記湯面の高さPMでの内壁面の幅WMから前記複数の設計地点DPのそれぞれに対する凝固収縮量SDを差し引く(WM-SD)過程と、前記複数の設計地点DPのそれぞれでの差し引き(WM-SD)値を、前記第2の鋳型の内壁面に設定された前記複数の地点Pのそれぞれでの幅Wとして決定する過程と、を含むことがよい。
前記第2の鋳型を設けるに際して、前記第2の鋳型の高さ、最上端の幅、予め設定された溶鋼の湯面の高さでの幅が、前記第1の鋳型の高さ、最上端の幅、溶鋼の湯面の高さと同一になるように設計することが好ましい。
【0010】
前記鋳型の製造方法は、前記第1の鋳型を設ける過程を含み、前記第1の鋳型を設ける過程は、内壁面の幅が下側に向かって進むにつれて減少し、内壁面の幅が減少する減少率が高さ方向に均一になるように設ける過程を含むことがよい。
前記複数の設計地点DPのそれぞれでの凝固収縮量SDを検出する過程は、前記第1の鋳型に第1の溶鋼を供給及び凝固させて、前記複数の設計地点DPでの前記第1の溶鋼の凝固収縮量1SDを検出する過程と、前記第1の鋳型に第2の溶鋼を供給及び凝固させて、前記複数の設計地点DPでの前記第2の溶鋼の凝固収縮量2SDを検出する過程と、前記第1の溶鋼の凝固収縮量1SDと前記第2の溶鋼の凝固収縮量2SDの平均凝固収縮量ASを前記複数の設計地点DPごとに算出する過程と、を含み、前記第1の鋳型の湯面の高さPMでの内壁面の幅WMから前記複数の設計地点DPのそれぞれに対する凝固収縮量SDを差し引く(WM-SD)に際して、前記複数の設計地点DPのそれぞれに対する凝固収縮量SDは、前記複数の設計地点DPのそれぞれに対する平均凝固収縮量ASであることができる。
前記鋳型の製造方法は、前記第1及び第2の溶鋼を選定する過程を含み、前記第1及び第2の溶鋼を選定する過程は、複数種の溶鋼のそれぞれを前記第1の鋳型に供給して凝固させる過程と、複数種の前記溶鋼のそれぞれの凝固の際に生じる凝固収縮量を検出する過程と、検出された前記凝固収縮量のうち、最も多い凝固収縮量を生じさせた溶鋼を第1の溶鋼として選定し、最も少ない凝固収縮量を生じさせた溶鋼を第2の溶鋼として選定する過程と、を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の鋳型は、溶鋼を注入可能な内部空間を備える鋳型であって、前記内部空間を有するボディを備え、前記ボディの内壁面には互いに高さの異なる複数の地点が設定され、前記ボディの内壁面における前記複数の地点のそれぞれでの幅は、下部に向かって進むにつれて減少し、前記幅が減少する減少率が高さ方向の複数の地点において変化することを特徴とする。
【0012】
前記複数の地点同士の間の高さ方向への間隔が、互いに異なることができる。
前記複数の地点同士の間の高さ方向への間隔は、下側に向かって進むにつれて増加することがよい。
前記複数の地点同士の間の高さ方向への間隔は、一定の値で増加することが好ましい。
【0013】
前記複数の地点は、前記ボディの内部に供給される溶鋼の湯面の高さの下側に順次に遠ざかる地点である第1乃至第4の地点を含み、前記湯面の高さと前記第1の地点との間の間隔G1、前記第1の地点と第2の地点との間の間隔G2、前記第2の地点と第3の地点との間の間隔G3、前記第3の地点と第4の地点との間の間隔G4において、第1の間隔G1から第4の間隔G4に向かって進むにつれて一定の比率で大きくなることが好ましい。
前記ボディの内壁面は、下部に向かって進むにつれて前記内壁面の反対の面である外壁面から遠ざかる斜面として設けられ、前記ボディの内壁面の傾斜勾配は、前記複数の地点を変曲点として変更されることができる。
前記ボディの内壁面の傾斜勾配は、下部に向かって進むにつれて減少することがよい。
前記複数の地点のそれぞれでの幅は、前記鋳型を設計するための設計用の母体鋳型を用いて溶鋼を凝固させ、取得した高さごとの凝固収縮量を用いて設計されることがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、凝固シェルの収縮に対する補償率を向上させることができる。すなわち、高さごとの互いに異なる凝固収縮量に応じて鋳型の高さごとの幅を設計して鋳型を製造することにより、高さごとの凝固収縮に対する補償率を向上させる。したがって、凝固シェルの収縮による鋳片の表面での欠陥の発生を抑止もしくは防止することができる。
そして、鋳型を製造するに際して、複数種の溶鋼を凝固させて凝固収縮率を検出し、凝固収縮率の平均値を反映して鋳型の内壁面の高さごとの幅を設計している。したがって、複数種の鋼種に対して凝固収縮率が抑止もしくは防止された鋳片を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る鋳型を備える鋳造装置を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る鋳型を示す立体図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る鋳型の分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る鋳型において、第1の壁体の内壁面に対する高さごとの幅と傾斜を説明するための図であって、(a)は、
図2の「A」側から眺めた正面図であり、(b)は、
図2の「B」側から眺めた正面図であり、一対の第1の壁体のうちのどちらか一方のみを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る鋳型において、第2の壁体の内壁面に対する高さごとの幅と傾斜を説明するための図であって、(a)は、
図2の「B」側から眺めた正面図であり、(b)は、
図2の「A」側から眺めた正面図であり、一対の第2の壁体のうちのどちらか一方のみを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る鋳型を製造するために用いられる母体鋳型の一部を示す分解斜視図である。
【
図7】母体鋳型における溶鋼の凝固の際の高さごとの凝固シェルの収縮量を説明するためにそれぞれの凝固シェルの幅(凝固幅)及び内部空間の幅を示す図であり、(a)は、母体鋳型の湯面の高さP
M、(b)は、母体鋳型の第1の設計地点DP
1、(c)は、母体鋳型の第2の設計地点DP
2、(d)は、母体鋳型の第3の設計地点DP
3、(e)は、母体鋳型の第4の設計地点DP
4での平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る鋳型を製造するための方法を示す手順図である。
【
図9】第1の溶鋼と第2の溶鋼のそれぞれを母体鋳型に装入して凝固させたとき、母体鋳型の高さごとの第1の方向の凝固収縮量及び平均収縮量を示すグラフである。
【
図10】第1乃至第5の実験例によるビレットの表面状態を示す図であって、(a)、(c)、(e)、(g)、(i)は、第1乃至第5の実験例によるビレットの表面を撮った写真であり、(b)、(d)、(f)、(h)、(j)は、第1乃至第5の実験例におけるビレットの表面の粗度(mm)、すなわち、表面の高さ(mm)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現化されうる。以下に開示される実施形態は、単に本発明の開示を完全なるものにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを知らせるために提供するものである。本発明を説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を説明するために図面は誇張されることがあり、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る鋳型を備える鋳造装置を示す図である。
図1を参照すると、鋳造装置は、取鍋10から溶鋼の供給を受けて貯留するタンディッシュ20と、タンディッシュ20から溶鋼の供給を受けて一定の形状に初期凝固させる鋳型(mold)3000と、タンディッシュ20の溶鋼を鋳型3000に供給するノズル22と、を備える。
また、鋳造装置は、鋳型3000の下側に配設され、鋳型3000から引き抜かれた未凝固の鋳片1に冷却水を吹き付けて完全に凝固させる冷却部40を備える。ここで、冷却部40は、複数のセグメント(segment)41を備える。そして、複数のセグメント41のそれぞれは、鋳片1が移動する力により回転可能な複数のロール及び複数のロールの間に位置付けられて鋳片1に冷却水を吹き付けるノズルを備える手段であることがよい。
【0018】
以下、
図2から
図5を参照して、本発明の実施形態に鋳型について説明する。実施形態に係る鋳型は、ビレット(billet)鋳片を鋳造するためのものであることができる。なお、鋳型は、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼のビレットを鋳造するためのものであることが好ましい。
いうまでもなく、鋳型3000は、上述した低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼の他に、多種多様な鋼種の鋳片を製造するためのものであることができる。なお、ビレットの他に、多種多様な鋳片、例えば、スラブ(Slab)、ブルーム(bloom)などを製造するための鋳型であることがよい。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る鋳型を示す立体図である。
図3は、本発明の実施形態に係る鋳型の分解斜視図である。
図4は、本発明の実施形態に係る鋳型において、第1の壁体の内壁面に対する高さごとの幅を説明するための図であって、(a)は、
図2の「A」側から眺めた正面図であり、(b)は、「B」側から眺めた正面図であり、一対の第1の壁体のうちのどちらか一方のみを示す図である。
図5は、本発明の実施形態に係る鋳型において、第2の壁体の内壁面に対する高さごとの幅と傾斜を説明するための図であって、(a)は、
図2の「B」側から眺めた正面図であり、(b)は、
図2の「A」側から眺めた正面図であり、一対の第2の壁体のうちのどちらか一方のみを示す図である。
【0020】
図2を参照すると、鋳型3000は、内部空間ISを有するボディ3100を備える。また、鋳型3000は、冷却水が循環するようにボディ3100の内側に埋設された冷却水流路(図示せず)を備えることができる
図3を参照すると、ボディ3100は、内部空間ISを向く内壁面IF:IF
L、IF
S及び前記内壁面IF:IF
L、IF
Sの反対側にあり、外部に露出された面である外壁面OF:OF
L、OF
Sを備える。
【0021】
ボディ3100は、
図3に示したように、その内壁面IF:IF
L、IF
Sの幅W:W
L、W
Sが下部に向かって進むにつれて減少するように設けられる。このとき、ボディ3100の内部に供給される溶鋼の上部の表面、すなわち、湯面の高さP
Mの下側に互いに異なる高さの地点である4つ以上の複数の地点を設定し、複数の地点のそれぞれでの幅を異なるようにする。
ここで、内壁面IF:IF
L、IF
Sの幅W:W
L、W
Sとは、水平方向の長さを意味する。より具体的には、内壁面IF:IF
L、IF
Sの幅W:W
L、W
Sは、第1の方向(X軸方向)の長さと、第2の方向(Y軸方向)の長さを意味する。
【0022】
以下では、実施形態に係る鋳型3000を説明するにあたって、複数の地点が4つ設定されることを例にとって説明する。また、湯面の高さPMの下側に第1の地点P1、第2の地点P2、第3の地点P3、第4の地点P4の順に設定されたことを想定する。
第1乃至第4の地点P1~P4を設定するにあたって、前記第1乃至第4の地点P1~P4同士の間の間隔が上側に向かって進むにつれて減少し、下側に向かって進むにつれて増加するように設定される。すなわち、第1乃至第4の地点P1~P4を設定するに当たって、すぐ上側に位置付けられる地点との間の間隔が上部に向かって進むにつれて減少するようにする。別の言い方をすれば、すぐ上側に位置付けられる地点との間の間隔が下部に向かって進むにつれて増加するようにする。すなわち、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の間隔G1が最も短く、第4の地点P4と第3の地点P3との間の間隔G4が最も長い。換言すれば、直ぐ上側の地点との距離は、「第1の地点P1と湯面の高さPMとの間の間隔G1<第2の地点P2と第1の地点P1との間の間隔G2<第3の地点P3と第2の地点P2との間の間隔G3<第4の地点P4と第3の地点P3との間の間隔G4」の順になる。
【0023】
ボディ3100の内壁面IFは、下部に向かって進むにつれてその幅が減少するように設けられるが、このとき、上述したようにして設定した第1乃至第4の地点P1~P4での幅W:WL、WSが、後述する実施形態に係る方法により設計した幅を有するように設ける。
内壁面IF:IFL、IFSの幅W:WL、WSが下部に向かって進むにつれて減少するにあたって、幅が減少する減少率が高さ方向の複数の地点P1~P4において変わるように設けられる。すなわち、内壁面IF:IFL、IFSの幅W:WL、WSが下側に向かって進むにつれて減少するが、内壁面IF:IFL、IFSの幅W:WL、WSが減少する減少率が高さ方向に均一ではなく、互いに異なるように設けられる。このとき、上端PUから第1の地点P1までの領域での幅の減少率は一定であり、第1の地点P1から第2の地点P2までの領域での幅の減少率は一定であり、第2の地点P2から第3の地点P3までの領域での幅の減少率は一定であり、第3の地点P3から第4の地点P4までの領域での幅の減少率は一定であることがよい。
【0024】
そして、内壁面IF:IFL、IFSの幅W:WL、WSが下部に向かって進むにつれて減少するにあたって、上端PUの幅と第1の地点P1の幅WL1、WS1との幅の差が最も大きくなるように設けられる。このとき、上述したように、上端PUから第1の地点P1までの領域での幅の減少率は一定であるため、湯面の高さPMの地点、第1乃至第4の地点P1~P4同士の間の幅の差を比較すれば、湯面の高さPMの幅WLM、WSMと第1の地点P1の幅WL1、WS1との差が最も大きい。すなわち、第1の地点P1の幅WL1、WS1と第2の地点P2の幅WL2、WS2との差、第2の地点P2の幅WL2、WS2と第3の地点P3の幅WL3、WS3との差、第3の地点P3の幅WL3、WS3と第4の地点P4の幅WL4、WS4との差に比べて、湯面の高さPMの幅WLM、WSMと第1の地点P1の幅WL1、WS1との差の方がさらに大きくなるように設けられる。
これにより、湯面の高さPMの以下の区間において最も急激に幅の変化が起こる区間は、湯面の高さPMから第1の地点P1までの区間である。このように、第1の地点P1と前記第1の地点P1の直ぐ上側の湯面の高さPMとの間の距離G1が最も短く、湯面の高さPMの幅WLM、WSMと第1の地点P1の幅WL1、WS1との差が最も大きいため、湯面の高さPMから第1の地点P1まで幅が変化するときに最も急激に変化する。
【0025】
このように、湯面の高さPMでの幅WLM、WSMと第1の地点P1での幅WL1、WS1との差を最も大きくする理由は、ボディ3100の内部において凝固シェルが収縮するに際して湯面に近づけば近づくほど、凝固シェルの収縮量が大きくなるからである。すなわち、湯面の高さPMでの幅WLM、WSMと第1の地点P1での幅WL1、WS1の変化を急激にすることにより、ボディの内部において湯面に近い上部領域での凝固収縮の補償率を向上させることができる。
また、上述したように、内壁面IF:IFL、IFSの幅W:WL、WSが減少する減少率が高さ方向に均一ではなく、互いに異なるように設けられる。すなわち、湯面の高さPMでの幅WM:WLM、WSMと第1の地点P1での幅WL1、WS1との差、第1の地点P1の幅WL1、WS1と第2の地点P2の幅WL2、WS2との差、第2の地点P2の幅WL2、WS2と第3の地点P3の幅WL3、WS3との差、第3の地点P3の幅WL3、WS3と第4の地点P4の幅WL4、WS4との差が異なるように設けられてもよい。これは、溶鋼が凝固されて凝固シェルが収縮するに際して、鋳型3000の高さごとの位置に応じて凝固シェルの収縮量が異なってくる可能性があるからである。
【0026】
このように、鋳型3000の高さごとの位置に応じて凝固シェルの収縮量が異なるため、実施形態においては、鋳型の高さごとの凝固シェルの収縮量を用いてボディ3100の内壁面IF:IF
L、IF
Sの幅W:W
L、W
Sを設計して鋳型を製造する。すなわち、設計のための鋳型(以下、母体鋳型と称する。)を別途に設けた後、前記母体鋳型の湯面の高さP
Mの下側に少なくとも4つ以上の複数の地点を設定する。そして、複数の地点のそれぞれでの凝固収縮量を検出した後、各地点での凝固収縮量に応じて各地点での幅を設計して鋳型3000を製造する。
母体鋳型での高さごとの凝固収縮量に応じて、製造しようとする鋳型3000、すなわち、ボディ3100の内壁面IF:IF
L、IF
Sの幅W:W
L、W
Sを設計又は決定する方法については、以下、
図6及び
図7を参照して詳しく説明する。
【0027】
以下では、上述したボディ3100が複数の壁体から構成されることを例にとって説明する。
ボディ3100は、複数の壁体3110、3120を備える。すなわち、
図2を参照すると、ボディ3100は、それぞれが第1の方向(X軸方向)に延設され、第2の方向(Y軸方向)に隔設された一対の第1の壁体3110と、それぞれが第1の壁体3110の延長方向と交差する第2の方向(Y軸方向)に延設され、第1の方向(X軸方向)に隔設された一対の第2の壁体3120と、を備えている。
【0028】
そして、このような一対の第1の壁体3110と一対の第2の壁体3120とが互いに繋がり合う。例えば、一対の第2の壁体3120のうちのどちらか一方の端及び他方の端に一対の第1の壁体3110の一方の端が接続され、残りの他方の第2の壁体3120の一方の端及び他方の端に一対の第1の壁体3110の他方の端が接続される。このため、一対の第1の壁体3110と一対の第2の壁体3120により取り囲まれた内部空間ISが設けられる。
したがって、前述したボディ3100の内壁面IFは、一対の第1の壁体3110の内壁面(以下、第1の内壁面IFLと称する。)と一対の第2の壁体3120の内壁面(以下、第2の内壁面IFSと称する。)とを備えるものであると説明が可能である。また、ボディ3100の外壁面OFは、一対の第1の壁体3110の外壁面(以下、第1の外壁面OFL)と一対の第2の壁体3120の外壁面(以下、第2の外壁面OFS)とを備えるものであると説明が可能である。
【0029】
したがって、
図3及び
図4の(a)に示すとおり、第1の壁体3110の第1の内壁面IF
Lにおける第1の方向(X軸方向)の長さを第1の内壁面IF
Lの幅W
L:W
LM、W
L1、W
L2、W
L3、W
L4と定義する。また、
図3及び
図5の(a)に示したように、第2の壁体3120の第2の内壁面IF
Sにおける第2の方向(Y軸方向)の長さを第2の内壁面IF
Sの幅W
S:W
SM、W
S1、W
S2、W
S3、W
S4と定義する。
そして、第1の壁体3110及び第2の壁体3120のそれぞれの水平方向において、幅方向と交差する長さを「厚さ」と定義する。このため、第1の壁体3110の厚さT
L:T
LM、T
L1、T
L2、T
L3、T
L4は、第2の方向(Y軸方向)の長さであり(
図4の(b)参照)、第2の壁体3120の厚さT
S:T
SM、T
S1、T
S2、T
S3、T
S4は、第1の方向(X軸方向)の長さである(
図5の(b)参照)。
【0030】
このように、ボディ3100が一対の第1の壁体3110と一対の第2の壁体3120とから構成される場合を例にとって説明したが、一対の第1の壁体3110と一対の第2の壁体3120は一体形に設けられたものであってもよい。すなわち、一対の第1の壁体3110と一対の第2の壁体3120を別途の結合手段を用いて結合させたものではなく、圧縮成形のような方法により一体形に製造されたものであることができる。このようなボディ3100を備える鋳型を別名「チューブタイプ鋳型(tube type mold)」と称する。
いうまでもなく、ボディ3100は、第1の壁体3110と第2の壁体3120とが別途の結合手段により結合されて設けられてもよい。
【0031】
ボディ3100は、
図3に示したとおり、高さ方向(Z軸方向)においてその位置別又は高さごとに幅が異なるように設けられ、下部に向かって進むにつれて幅W:W
L、W
Sが減少するように設けられる。これについて、以下では、第1の壁体3110の第1の内壁面IF
Lと第2の壁体3120の第2の内壁面IF
Sとに分けてさらに詳しく説明する。
第1の壁体3110の第1の内壁面IF
Lは、
図3及び
図4の(a)に示したように、下部側に向かって進むにつれてその幅が減少するように設けられる。このとき、第1の内壁面IF
Lにおける高さ方向に互いに異なる位置での幅が異なるように設けられるが、湯面の高さP
Mの下側の少なくとも4つの互いに異なる地点においてその幅が異なるように設けられる。例えば、第1の内壁面IF
Lの湯面の高さP
Mの下側における互いに異なる高さの4つの位置である第1乃至第4の地点P
1~P
4での幅W
L1、W
L2、W
L3、W
L4が異なるように設けられる。このとき、第1乃至第4の地点P
1~P
4での幅W
L1~W
L4は、第1の内壁面IF
Lにおける湯面の高さP
Mでの幅P
LMに比べて狭い。
【0032】
また、第2の壁体3110の第2の内壁面IFSの場合にも、上述した第1の内壁面IFLと同じ形状に設けられる。すなわち、第2の壁体3110の第2の内壁面IFSは、下部側に向かって進むにつれてその幅が減少するように設けられるが、第1の内壁面IFLにおける同じ位置、すなわち、第1乃至第4の地点P1~P4での幅WS1、WS2、WS3、WS4が異なるように設けられる。このとき、第1乃至第4の地点P1~P4での幅WS1~WS4は、第2の内壁面IFSにおける湯面の高さPMでの幅PSMに比べて小さい。
第1の内壁面IFLにおける第1乃至第4の地点P1~P4と、第2の内壁面IFSでの第1乃至第4の地点P1~P4とは、同じ高さの地点である。そして、第1及び第2の内壁面IFL、IFSのそれぞれでの第1乃至第4の地点P1~P4は、ボディ3100の内部に装入される溶鋼の湯面の高さPMを基準に決定される。
【0033】
溶鋼の湯面の高さPMは、ボディ3100の上端PUから下側へと所定の距離だけ離れた地点の高さであってもよい。例えば、ボディ3100の上端PUから下側へと100mm離れた地点に溶鋼の湯面が位置するように溶鋼が装入されることを想定した場合、ボディ3100の下端PBから溶鋼の湯面までの距離を湯面の高さとする。このとき、ボディ3100の上端PUの位置をOmmとし、湯面の高さPMをボディ3100の上端PUを基準として説明すれば、湯面の高さPMは、100mmの地点となる。
そして、第1及び第2の壁体3110、3120の第1の地点P1は、上端PUから下側へと第1の距離S1に見合う分だけ離れた地点であり、第2の地点P2は、上端PUから下側へと前記第1の距離S1に比べて大きな第2の距離S2に見合う分だけ離れた地点である。また、第3の地点P3は、上端PUから下側へと前記第2の距離S2に比べて大きな第3の距離S3に見合う分だけ離れた地点であり、第4の地点P3は、上端PUから下側へと前記第3の距離S3に比べて大きな第4の距離S4に見合う分だけ離れた地点である。
【0034】
湯面の高さPMから下端PBまでの区間を高さ方向に複数の区間に分割する。このとき、上下に配置された湯面の高さPM及び第1乃至第4の地点P1~P4において、隣り合うように配置された地点同士の間の間隔が下部に向かって進むにつれて増加するようにする。すなわち、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の第1の間隔G1、第1の地点P1と第2の地点P2との間の第2の間隔G2、第2の地点P2と第3の地点P3との間の第3の間隔G3、第3の地点P3と第4の地点P4との間の第4の間隔G4において、第1の間隔G1が最も小さくなるようにし、第4の間隔G4が最も大きくなるようにする。このとき、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の間隔G1、第1乃至第4の地点P1~P4同士の間の間隔G2~G4が一定の値で増加してもよい。好ましくは、第1乃至第4の間隔G1~G4の比率が1:2:3:4(G1:G2:G3:G4=1:2:3:4)となるように、第1乃至第4の地点P1~P4を設定する。
例えば、湯面の高さPMが上端PUから下側へと100mmだけ離れた地点である場合、前記湯面の高さPM(100mm)の地点から下端PBまでの長さを分割するが、第1乃至第4の間隔G1~G4の比率が1:2:3:4(G1:G2:G3:G4=1:2:3:4)となるように分割する。
【0035】
このとき、第1の地点P1は、湯面の高さPMから第1の間隔G1に見合う分だけ下側へと離れた地点であるため、第1の地点P1の位置は、湯面の高さPMに第1の間隔G1を合算した値であると説明が可能である。また、第2の地点P2は、第1の地点P1から下側へと第2の間隔G2に見合う分だけ離れた地点であるため、第2の地点P2の位置は、第1の地点P1に第2の間隔G2を合算した値であると説明が可能である。同様に、第3の地点P3の位置は、第2の地点P2に第3の間隔G3を合算した値、第4の地点P4の位置は、第3の地点P3に第4の間隔G4を合算した値であると説明が可能である。このとき、第4の地点P4の位置は、ボディの下端PBになることがある。
このように、第1乃至第4の地点P1~P4の位置を設定することにより、直ぐ上側の地点との間隔は、上部に向かって進むにつれて短くなる。すなわち、「第1の間隔G1<第2の間隔G2<第3の間隔G3<第4の間隔G4」の順である。
【0036】
第1及び第2の内壁面IFL、IFSのそれぞれにおいて、第1乃至第4の地点P1~P4での幅、すなわち、第1乃至第4の幅WL1~WL4、WS1~WS4が異なる。このとき、第1の地点P1から第4の地点P4に向かって進むにつれて幅が減少する。すなわち、第1の幅WL1、WS1に比べて第2の幅WL2、WS2が小さく、第2の幅WL2、WS2に比べて第3の幅WL3、WS3が小さく、第3の幅WL3、WS3に比べて第4の幅WL4、WS4が小さくなる。
このように、第1及び第2の内壁面IFL、IFSのそれぞれが下部に向かって進むにつれて幅が減少するように設けることにより、凝固シェルの第1の方向(X軸方向)の収縮及び第2の方向(Y軸方向)の収縮を補償することができる。すなわち、第1の内壁面IFLの幅WL1、WL2、WL3、WL4が下部に向かって進むにつれて減少するように設けることにより、凝固シェルの第1の方向(X軸方向)への収縮を補償することができる。また、第2の内壁面IFSの幅WS1、WS2、WS3、WS4が下部に向かって進むにつれて減少するように設けることにより、凝固シェルの第2の方向(Y軸方向)への収縮を補償することができる。
【0037】
さらに、第1及び第2の内壁面IFL、IFSの幅が下側に向かって進むにつれて減少するに際して、内壁面IFL、IFSの幅が減少する減少率が高さ方向に均一又は一定ではなく、異なるように設けられる。このとき、幅が減少する減少率が高さ方向の第1乃至第4の地点P1~P4において変化するように設けられる。
ここで、幅の減少率は、隣り合う2つの地点のそれぞれでの幅の差及び前記隣り合う地点同士の間の間隔を用いて算出することができる(数式1参照)。
〔数式1〕
幅の減少率(%)=(((上部地点の幅-下部地点の幅)/下部地点の幅)×100)/(下部地点と上部地点との間の間隔/ボディの全体の長さ)
【0038】
減少率について具体例を挙げて説明する。具体例として、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の幅の減少率を例にとって説明する。このために、下記のとおり、ボディ3100又は第1の壁体3110の全体の高さを1000mmとし、第1の地点P1と湯面の高さPMとの間の間隔G1が210mm、湯面の高さPMの幅が200mm、第1の地点P1の幅WL1が199mmであると仮定する。この場合、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の幅の減少率は、下記の演算式1のように算出可能である。
〔演算式1〕
幅の減少率(%)=(((200-199)/199)×100)/(210/1000)=2.39%
【0039】
そして、第1の地点P1と第2の地点P2との間の幅の減少率、第2の地点P2と第3の地点P3との間の幅の減少率、第3の地点P3と第4の地点P4との間の幅の減少率もまた、上述の方法と同じ方法により算出可能である。
第2の壁体3120の第2の内壁面IFSの幅の減少率もまた、上述した第1の内壁面IFSの幅の減少率と同じ方法により算出される。したがって、これついての詳しい説明は省略する。
【0040】
このように、第1及び第2の内壁面IFL、IFSの幅が下側に向かって進むにつれて減少するに際して、内壁面IFL、IFSの幅が減少する減少率が高さ方向に均一又は一定ではなく、異なるように設けられる。
また、直ぐ上側の地点との幅の差において、湯面の高さPMの幅WLM、WSMと第1の地点P1の幅WL1、WS1との差が最も大きくなるようにし、第3の地点P3の幅WL3、WS3と第4の地点P4の幅WL4、WS4との差が最も小さくなるようにする。これにより、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の区間における幅の変化量が最も急激であり、第3の地点P3と第4の地点P4との間の区間における幅の変化量が最も穏やかである。
このように、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の区間における幅の変化が他の区間に比べて急激に行われるようにすることで、凝固シェルが最も多く収縮するボディ3100内の上部での凝固収縮を有効に補償することができる。具体的には、ボディ3100内の上部において湯面と隣り合う高さにおいて凝固シェルが最も多く収縮するが、この区間での凝固収縮を有効に補償することができる。
【0041】
第1乃至第4の地点P1~P4のそれぞれでの幅WL1~WL4、WS1~WS4は、母体鋳型の第1乃至第4の地点における凝固シェルの凝固収縮量に応じて設計された幅である。別の言い方をすれば、第1の地点P1での第1の幅WL1、WS1、第2の地点P1での第2の幅WL2、WS2、第3の地点P1での第3の幅WL3、WS3、第4の地点P1での第4の幅WL4、WS4のそれぞれは、母体鋳型の第1乃至第4の地点のそれぞれでの凝固収縮量を用いて設計されたものである。
【0042】
このように、内壁面IFL、IFSの高さごとに調節された幅WL1~WL4、WS1~WS4により高さごとの凝固シェルの収縮を有効に補償することができる。すなわち、従来の鋳型の場合には、第1及び第2の内壁面のそれぞれの幅が下部に向かって進むにつれて減少するようには設けられるものの、その幅の減少率が一定又は同様であった。別の言い方をすれば、高さ方向の位置ごとの収縮量とは無関係に一定の比率にて幅が減少するように設けられた。このような場合、下部に向かって進むにつれて凝固収縮量が減少する傾向性に対しては対応して補償することができるものの、下部に向かって進むにつれて凝固収縮量が減少する傾向性が均一な比率にて減少するように現れるわけではないため、高さごとの互いに異なる凝固収縮量に対する補償が足りなかった。これにより、鋳片、例えば、ビレット(billet)の表面に凝固収縮に伴う表面欠陥が多量に生じる。
【0043】
しかしながら、本実施形態の場合、高さごとの互いに異なる凝固収縮量に応じて内壁面IF
L、IF
Sの高さごとの幅W
L1~W
L4、W
S1~W
S4を調節しているため、凝固シェルの収縮を有効に補償することができる。また、高さごとの実際の凝固収縮量を反映して内壁面IF
L、IF
Sの幅W
L1~W
L4、W
S1~W
S4を設計しているため、高さごとの凝固収縮をより一層有効に補償することができる。これにより、鋳片の表面に凝固収縮による欠陥が生じることを極力抑止もしくは防止することができる。
また、ボディ3100の第1及び第2の内壁面IF
L、IF
Sのそれぞれは、下部に向かって進むにつれて外壁面OF
L、OF
Sから遠ざかるように斜面として設けられる。別の言い方をすれば、ボディ3100は、下部に向かって進むにつれてその厚さが増加するように設けられる。より具体的には、第1及び第2の内壁面IF
L、IF
Sのそれぞれは、
図4の(b)及び
図5の(b)に示したように、4段以上の勾配を有するように設けられる。すなわち、第1及び第2の内壁面IF
L、IF
Sのそれぞれは、下部に向かって進むにつれて外壁面OF
L、OF
Sから遠ざかるように傾斜するが、このとき、傾斜勾配が4回以上変わるように設けられることがよい。
【0044】
より具体的に説明すれば、第1及び第2の内壁面IF
L、IF
Sのそれぞれは、少なくとも第1乃至第3の地点P
1~P
3を変曲点としてその勾配が変わる第1乃至第4の斜面F
L1~F
L4、F
S1~F
S4を備える。すなわち、第1及び第2の内壁面IF
L、IF
Sは、
図4の(b)及び
図5の(b)に示したように、上端P
Uから第1の地点P
1に向かって進むにつれて外壁面OF
L、OF
Sから第1の勾配にて遠くなる第1の斜面F
L1、F
S1、第1の地点P
1から第2の地点P
2に向かって進むにつれて外壁面OF
L、OF
Sから第2の勾配にて遠くなる第2の斜面F
L2、F
S2、第2の地点P
2から第3の地点P
3に向かって進むにつれて外壁面OF
L、OF
Sから第3の勾配にて遠くなる第3の斜面F
L3、F
S3、第3の地点P
3から第4の地点P
4に向かって進むにつれて外壁面OF
L、OF
Sから第4の勾配にて遠くなる第4の斜面F
L4、F
S4を含む。
【0045】
そして、第1乃至第4の斜面FL1~FL4、FS1~FS4は、互いに異なる勾配を有するように設けられる。すなわち、第1乃至第4の勾配が互いに異なり、その大きさの関係は、「第1の勾配>第2の勾配>第3の勾配>第4の勾配」の順である。
このように、第1の内壁面IFLを下部に向かって進むにつれて第1の外壁面OFLから遠ざかるように斜面として設けることにより、前記第1の内壁面IFLの延長方向(X軸方向)と交差する方向、すなわち、第2の方向(Y軸方向)に凝固シェルの収縮を補償することができる。また、第2の内壁面IFSを下部に向かって進むにつれて第2の外壁面OFSから遠ざかるように斜面として設けることにより、前記第2の内壁面IFSの延長方向(Y軸方向)と交差する方向、すなわち、第1の方向(X軸方向)に凝固シェルの収縮を補償することができる。
【0046】
以下、
図6及び
図7を参照して、本発明の実施形態に係る鋳型を製造する方法について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る鋳型を製造するために用いられる母体鋳型の一部を示す分解斜視図である。
図7は、母体鋳型における溶鋼の凝固の際の高さごとの凝固シェルの収縮量を説明するための図である。
ここで、
図7の(a)は、母体鋳型の湯面の高さP
M、
図7の(b)は、母体鋳型の第1の設計地点DP
1、
図7の(c)は、母体鋳型の第2の設計地点DP
2、
図7の(d)は、母体鋳型の第3の設計地点DP
3、
図7の(e)は、母体鋳型の第4の設計地点DP
4のそれぞれでの凝固シェルの幅(凝固幅)及び内部空間の幅を示す平面図である。
【0047】
以下、
図6を参照して、母体鋳型について先に説明する。このとき、説明のしやすさのために、母体鋳型の第1及び第2の内壁面IF
L、IF
S、湯面の高さP
M、湯面の高さでの幅W
LM、W
SMなどの図面符号を実施形態に係る鋳型と同じにして説明する。
そして、母体鋳型において湯面の高さP
Mの下側の4つの地点が設定されるが、実施形態に係る鋳型と区別するために、第1乃至第4の設計地点をDP
1~DP
4と称する。
【0048】
母体鋳型4000は、内部空間ISを有するボディ及び冷却水が循環するようにボディの内側に埋設された冷却水流路(図示せず)を備えることがよい。このとき、母体鋳型4000のボディは、内部空間ISを向く内壁面IF:IFL、IFSの幅WL、WSが下部に向かって進むにつれて減少するように設けられる。このとき、内壁面IF:IFL、IFSが下部に向かって進むにつれて幅WL、WSが減少するにあたって、幅の減少率が一定である。
より具体的には、母体鋳型4000のボディ4100は、第1の方向(X軸方向)に延び、第2の方向(Y軸方向)に隔設された一対の第1の壁体4110と、それぞれが第2の方向(Y軸方向)に延び、第1の方向(X軸方向)に隔設された一対の第2の壁体4120と、を備える。そして、第1の壁体4110の第1の内壁面IFLの幅WL及び第2の壁体4120の第2の内壁面IFS幅WSのそれぞれは、下部に向かって進むにつれて減少する。
【0049】
しかしながら、母体鋳型4000の場合、第1及び第2の内壁面IF
L、IF
Sの幅W
L、W
Sが下部に向かって進むにつれて減少するに際して、その減少勾配又は減少比率が一定である。また、第1及び第2の内壁面IF
L、IF
Sのそれぞれは、下部に向かって進むにつれて第1及び第2の外壁面OF
L、OF
Sから遠ざかるように傾斜して設けられるが、
図6に示したように、上端からP
U下端P
Bまで一定の勾配を有するように斜設される。
このような母体鋳型4000は、以前より用いられてきている鋳型であることができる。より具体的には、凝固収縮に伴う表面欠陥を引き起こし、その表面欠陥により鋳片の品質に問題を引き起こした鋳型であってもよい。いうまでもなく、母体鋳型4000は、上述したような形状及び構造を有するように別途に設けられたものであってもよい。
そして、母体鋳型4000は、第1の鋳型と称されりことがあり、母体鋳型4000の凝固収縮率に応じて幅を設計して製造される新たな鋳型は、第2の鋳型3000と称される。
【0050】
以下では、上述したような母体鋳型4000における高さごとの凝固収縮量を検出する方法について説明する。
母体鋳型4000が用意されれば、前記母体鋳型4000の内部に溶鋼を装入する。このとき、溶鋼の湯面が予め設定された高さとなるように溶鋼を装入する。例えば、母体鋳型4000の最上端P
Uから下側へと100mmだけ離れた地点に湯面が位置するように溶鋼を装入する。
母体鋳型4000に装入された溶鋼は、前記母体鋳型4000の内部を循環する冷却水により冷却され、この過程において、
図7に示すように、凝固シェルCが形成される。このとき、湯面の高さから凝固シェルが形成され始め、下方に向かって進むにつれて凝固シェルCの厚さが厚くなる可能性がある。
【0051】
そして、溶鋼が凝固されて凝固シェルCが形成されるとき、凝固シェルCに凝固収縮が生じる。このとき、高さ方向に凝固シェルCの収縮量が異なる可能性があり、下部に比べて上部の方において大きな収縮が起こる。
実施形態においては、高さごとの凝固シェルCの収縮量を検出し、これを用いて本発明の鋳型3000を製造する。このために、まず、凝固収縮量を検出すべき互いに異なる高さの複数の設計地点を設定する。このとき、4つ以上の設計地点を設定して凝固収縮量を検出することが好ましい。実施形態においては、4つの互いに異なる高さの設計地点DP1~DP4において凝固収縮量を検出することを例にとって説明する。
すなわち、第1及び第2の内壁面IFL、IFSのそれぞれにおいて、湯面の高さPMから下側へと第1の間隔G1に見合う分だけ離れた第1の設計地点DP1、第1の設計地点DP1から第2の間隔G2に見合う分だけ離れた第2の設計地点DP2、第2の設計地点DP2から第3の間隔G3に見合う分だけ離れた第3の設計地点DP3、第3の設計地点DP3から第4の間隔G4に見合う分だけ離れた第4の設計地点DP4のそれぞれにおいて凝固収縮量を検出する。
【0052】
このとき、第1乃至第4の間隔G1~G4において、下部に向かって進むにつれてその間隔が増加するように第1乃至第4の設計地点DP1~DP4を設定する。このとき、第1の間隔G1:第2の間隔G2:第3の間隔G3:第4の間隔G4の比率が1:2:3:4(G1:G2:G3:G4=1:2:3:4)となるように第1乃至第4の設計地点DP1~DP4を設定することが好ましい。このとき、湯面の高さPMが上端PUから下側へと100mmだけ離れた地点である場合、前記湯面の高さPM(100mm)の地点から下端PBまでの長さを分割するが、第1乃至第4の間隔G1~G4の比率が1:2:3:4(G1:G2:G3:G4=1:2:3:4)となるように分割する。
そして、第1の地点P1の位置は、湯面の高さPMに第1の間隔G1を合算した値の位置に設定され、第2の地点P2の位置は、第1の地点P1に第2の間隔G2を合算した値の位置に設定される。同様に、第3の地点P3の位置は、第2の地点P2に第3の間隔G3を合算した値の位置に、第4の地点P4の位置は、第3の地点P3に第4の間隔G4を合算した値の位置に設定されることがよい。
【0053】
高さごとの凝固収縮量SD:SDL、SDSは、第1乃至第4の地点P1~P4のそれぞれでの凝固シェルCの両端の間の長さと、湯面の高さPMでの内部空間ISの幅WLM、WSMとの差を用いて検出する。ここで、凝固シェルCの両端の間の長さとは、第1の方向(X軸方向)を基準とした凝固シェルCの両端の間の長さと、第2の方向(Y軸方向)を基準とした凝固シェルCの両端の間の長さを意味する。
【0054】
以下では、説明のしやすさのために、凝固シェルCの両端の間の長さを「凝固幅SW:SWL、SWS」と略称する。また、これにより、第1の方向(X軸方向)の凝固幅SWL:SWL1~SWL4は、凝固シェルCにおける第1の内壁面IFLの延長方向の両端の間の長さであると説明可能である。さらに、第2の方向(Y軸方向)の凝固幅SWS:SWS1~SWS4は、凝固シェルCにおける第2の内壁面IFSの延長方向の両端の間の長さであると説明可能である。
このような定義を反映して、高さごとの凝固収縮量の算出方法について再び説明すれば、湯面の高さPMにおける内部空間ISの幅WLM、WSMと第1乃至第4の設計地点DP1~DP4のそれぞれでの凝固幅SWL1~SWL4、SWS1~SWS4との差として算出することができる。
【0055】
すなわち、第1乃至第4の設計地点DP1~DP4での第1の方向の凝固幅SWL1~SWL4と湯面の高さPMにおける内部空間ISの第1の方向の幅WLMとの差を演算することにより、第1の方向の第1乃至第4の設計地点DPL1~DPL4のそれぞれでの凝固収縮量SDL1~SDL4を算出することができる。また、第1乃至第4の設計地点DP1~DP4での第2の方向の凝固幅SWS1~SWS4と湯面の高さPMにおける第2の方向の幅WSMとの差を演算することにより、第2の方向の第1乃至第4の設計地点DPS1~DPS4のそれぞれでの凝固収縮量SDS1~SDS4を算出してもよい。
【0056】
図7を参照して、第1の方向の高さごとの凝固収縮量を算出する方法についてさらに詳しく説明すると、下記の通りである。第1の設計地点DP
1での凝固収縮量SD
L1は、
図7の(b)に示したとおり、湯面の高さP
Mにおける内部空間ISの第1の方向の幅W
LMと、第1の設計地点P
1での凝固幅SW
L1との差を演算することにより算出される(SD
L1=W
LM-SW
L1)。また、第2の設計地点DP
2での凝固収縮量SD
L2は、
図7の(c)に示すように、湯面の高さP
Mにおける内部空間ISの第1の方向の幅W
LMと、第2の設計地点P
2での凝固幅SW
L2との差を演算することにより算出される(SD
L2=W
LM-SW
L2)。そして、第3の設計地点P
3での凝固収縮量SD
L3及び第4の設計地点P
4での凝固収縮量SD
L4は、上述した方法と同じ方法により算出される(SD
L3=W
LM-SW
L3、SD
L4=W
LM-SW
L4)。
【0057】
そして、第2の方向の高さごとの凝固収縮量を算出する方法は、上述した第1の方向における方法と同様である。すなわち、第1の設計地点DP
1での凝固収縮量SD
S1は、
図7の(b)に示すように、湯面の高さP
Mにおける内部空間ISの第2の方向の幅W
SMと、第1の設計地点DP
1での凝固幅SW
S1との差を演算することにより算出される(SD
S1=W
SM-SW
S1)。また、第2の設計地点DP
2での凝固収縮量SD
S2は、
図7の(c)に示すように、湯面の高さP
Mにおける内部空間ISの第2の方向の幅W
SMと、第2の設計地点DP
2での凝固幅SW
S2との差を演算することにより算出される(SD
S2=W
SM-SW
S2)。そして、第3の設計地点P
3での凝固収縮量SD
S3及び第4の設計地点P
4での凝固収縮量SD
S4の場合であっても、上述した方法と同じ方法により算出される(SD
S3=W
SM-SW
S3、SD
S4=W
SM-SW
S4)。
このように、母体鋳型4000に溶鋼を装入して凝固させて、第1の方向(X軸方向)及び第2の方向(Y軸方向)における第1乃至第4の設計地点DP
1~DP
4のそれぞれでの凝固収縮量SD
L1~SD
L4、SD
S1~SD
S4を検出することは、複数種の溶鋼に対して行うことができる。
【0058】
より具体的には、複数種の溶鋼のうち、凝固収縮量が最も多い第1の鋼種の溶鋼(第1の溶鋼)と、凝固収縮量が最も少ない第2の鋼種の溶鋼(第2の溶鋼)を用いる。このとき、複数種の溶鋼のそれぞれを母体鋳型4000に供給して凝固収縮量を検出した後、同じ高さでの凝固収縮量を比較して、凝固収縮量が最も多い溶鋼を第1の溶鋼、凝固収縮量が最も少ない溶鋼を第2の溶鋼として選定する。
ここで、複数種の溶鋼は、ビレット(billet)鋳片として製造されるものであることがよい。そして、第1及び第2の溶鋼における主な成分の含量は、例えば、表1の通りである。
【0059】
【0060】
以下、
図8及び
図9を参照して、第1の溶鋼と第2の溶鋼を用いて本発明の実施形態に係る鋳型を製造する方法について説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る鋳型を製造するための方法を示す手順図である。
図9は、第1の溶鋼と第2の溶鋼のそれぞれを母体鋳型に装入して凝固させたとき、母体鋳型の高さごとの第1の方向の凝固収縮量及び平均収縮量を示すグラフである。
第1及び第2の溶鋼が用意されれば、それぞれを母体鋳型4000に装入して凝固させる(S110、S120)。このとき、第1及び第2の溶鋼のうちのどちらか一方、例えば、第1の溶鋼を先に母体鋳型に装入して凝固させる(S110)。第1の溶鋼の凝固が行われ始めると、第1の方向(X軸方向)の第1乃至第4の設計地点DP
1~DP
4のそれぞれでの凝固収縮量1SD
L1~1SD
L4と、第2の方向の第1乃至第4の設計地点DP
1~DP
4のそれぞれでの凝固収縮量1SD
S1~1SD
S4を検出する(S211、S212)。
【0061】
第1の溶鋼を用いた凝固が終了すると、母体鋳型4000から第1の溶鋼を凝固させた凝固物を搬出する。そして、母体鋳型4000に第2の溶鋼を装入して凝固させる(S120)。第2の溶鋼の凝固が始まると、第1の方向(X軸方向)の第1乃至第4の設計地点DP1~DP4のそれぞれでの凝固収縮量2SDL1~2SDL4と、第2の方向の第1乃至第4の設計地点DP1~DP4のそれぞれでの凝固収縮量2SDS1~2SDS4を検出する(S221、S222)。
次いで、第1の溶鋼の凝固の際に第1乃至第4の設計地点DP1~DP4のそれぞれにおいて検出された第1の方向の凝固収縮量1SDL1~1SDL4と、第2の溶鋼の凝固の際に第1乃至第4の設計地点DP1~DP4のそれぞれにおいて検出された第1の方向の凝固収縮量2SDL1~2SDL4との平均収縮量ASL1、ASL2、ASL3、ASL4を算出する(S310)。すなわち、第1の方向への第1乃至第4の平均収縮量ASL1~ASL4は、第1の溶鋼を用いて検出した第1の方向の第1乃至第4の凝固収縮量1SDL1~1SDL4と第2の溶鋼を用いて検出した第1の方向の第1乃至第4の凝固収縮量2SDL1~2SDL4との平均を算出することにより取得可能である。
【0062】
これについてより詳しく説明すると、下記のとおりである。第1の溶鋼の凝固の際の第1の設計地点DP
1での第1の凝固収縮量1SD
L1と、第2の溶鋼の凝固の際の第1の設計地点DP
1での第1の凝固収縮量2SD
L1との平均を算出することにより、第1の平均収縮量AS
L1が算出される。また、第1の溶鋼の凝固の際の第2の設計地点DP
2での第2の凝固収縮量1S
L2と、第2の溶鋼の凝固の際の第2の設計地点DP
2での第2の凝固収縮量2S
L2との平均を算出することにより、第2の平均収縮量AS
L2が算出される。そして、これと同じ方法により第3の平均収縮量AS
L3及び第4の平均収縮量AS
L4が算出される。
図9及び表2を参照すると、第1の方向における第1の平均収縮量AS
L1は0.4mm、第2の平均収縮量AS
L2は0.74mm、第3の平均収縮量AS
L3は1.09mm、第4の平均収縮量AS
L4は1.36mmであってもよい。
【0063】
【0064】
また、第1の溶鋼の凝固の際に第1乃至第4の設計地点DP1~DP4のそれぞれにおいて検出された第2の方向の凝固収縮量1SDS1~1SDS4と、第2の溶鋼の凝固の際に第1乃至第4の設計地点DP1~DP4のそれぞれにおいて検出された第2の方向の凝固収縮量2SDS1~2SDS4との平均収縮量ASS1、ASS2、ASS3、ASS4を算出する(S320)。これは、上述した第1の方向における平均収縮量の算出方法と同様であるため、その具体的な説明及び具体的な数値は省略する。
このような方法により取得された第1の方向の第1乃至第4の平均収縮量ASL1、ASL2、ASL3、ASL4と、第2の方向の第1乃至第4の平均収縮量ASS1、ASS2、ASS3、ASS4を用いて鋳型を製造する。すなわち、第1の方向の第1乃至第4の平均収縮量ASL1~ASL4を用いて、製造しようとする鋳型の第1の内壁面IFLに対する第1乃至第4の幅WL1~WL4を設計する(S410)。また、第2の方向の第1乃至第4の平均収縮量ASS1~ASS4を用いて、第2の内壁面IFSの第1乃至第4の幅WS1~WS4を設計する(S420)。
【0065】
まず、第1の内壁面IFLにおける第1乃至第4の幅WL1~WL4を設計する方法(S410)についてより具体的に説明すると、下記のとおりである。第1の内壁面IFLにおける第1乃至第4の地点P1~P4での幅は、第1の方向の第1乃至第4の平均収縮量ASL1~ASL4と、湯面の高さPMにおける第1の方向の幅WLMを用いて設計される。すなわち、第1の内壁面IFLにおける第1の地点P1での第1の幅WL1は、湯面の高さPMにおける第1の方向の幅WLMから第1の平均収縮量ASL1を差し引いた値に設計される(WL1=WLM-ASL1)。また、第2の地点P2での第2の幅WL2は、湯面の高さPMにおける第1の方向の幅WLMから第2の平均収縮量ASL2を差し引いた値に設計される(WL2=WLM-ASL2)。これと同じ方法により、第3の幅WL3及び第4の幅WL4のそれぞれは、湯面の高さPMにおける第1の方向の幅WLMから第3の平均収縮量ASL3及び第4の平均収縮量ASL4のそれぞれを差し引いた値に設計される(WL3=WLM-ASL3、WL4=WLM-ASL4)。
【0066】
より具体的に説明するために、第1の内壁面IFLにおける湯面の高さPMでの幅WLMが200mmであることを例にとって説明する。第1の内壁面IFLにおける第1の地点P1の第1の幅WL1は、湯面の高さPMでの幅WLM(200mm)から第1の平均収縮量ASL1(0.4mm)を差し引いた値に設計されるため、前記第1の幅WL1は、199.6mm(200mm-0.4mm)に設計される。なお、これと同じ方法により、湯面の高さPMでの幅WLMから第2乃至第4の平均収縮量ASL2~ASL4を差し引くことにより、第2乃至第4の幅WL2~WL4を設計することができる。
そして、第2の内壁面IFSにおける第1乃至第4の幅WS1、WS2、WS3、WS4は、第1の内壁面IFLと同じ方法により設計される(S420)。すなわち、第2の内壁面IFSにおける第1の地点P1の第1の幅WS1は、湯面の高さPMでの幅WLMから第1の平均収縮量ASS1(mm)を差し引いた値に設計される。さらに、残りの第2乃至第4の幅WS2~WS4のそれぞれは、湯面の高さPMでの幅WLMから第1、第2及び第3の平均収縮量ASS2、ASS3、ASS4のそれぞれを差し引いた値に設計される。
【0067】
このとき、第1及び第2の内壁面IFL、IFSのそれぞれでの第4の地点P4の幅WL4、WS4は、湯面の高さPMでの幅WLMから第4の平均収縮量ASL4、ASS4を差し引いた値から0.1mmをさらに差し引いた値に設計されてもよい。これは、鋳型の下部における第1及び第2の内壁面IFL、IFSと鋳片との摩擦を低減させて鋳型の寿命をさらに伸ばすためである。
このような方法により、第1の内壁面IFLの第1乃至第4の幅WL1~WL4の設計(S410)、第2の内壁面IFSの第1乃至第4の幅WS1~WS4の設計(S420)が行われ終了すると、これを用いて鋳型を製造する(S500)。すなわち、第1の内壁面IFLの第1乃至第4の地点P1~P4のそれぞれでの幅が設計された第1乃至第4の幅WL1~WL4になるようにし、第2の内壁面IFSの第1乃至第4の地点P1~P4のそれぞれでの幅が設計された第1乃至第4の幅WS1~WS4になるように鋳型3000のボディ3100を製造する。
【0068】
図10の(a)、(c)、(e)、(g)、(i)は、第1乃至第5の実験例によるビレットの表面を撮った写真であり、
図10の(b)、(d)、(f)、(h)、(j)は、第1乃至第5の実験例によるビレットの表面の粗度(mm)、すなわち、表面の高さ(mm)を示すグラフである。
粗度を測定するに際して、粗度測定機のティップをビレットの表面に接触させ、前記ティップをビレットの幅方向に移動させながら表面高さを測定した。そして、ティップをビレットの幅方向に移動させながら表面高さを測定するに際して、幅方向と交差する方向、すなわち、長手方向に複数の位置において測定した。そして、複数の位置において測定した平均高さは、
図10の(b)、(d)、(f)、(h)、(j)に示す通りである。
ここで、第1の実験例によるビレットは、母体鋳型により製造されたものである。そして、第2乃至第5の実験例によるビレットは、実施形態に係る鋳型により製造されたものである。なお、第2乃至第5の実験例によるビレットは、少なくとも炭素(C)及びマンガン(Mn)の含量が互いに異なる鋼種の溶鋼を用いて鋳造されたものである。
【0069】
【0070】
図10の(b)を参照すると、母体鋳型により製造されたビレットの場合、表面から内側へと約1.89mm陥没した大きな欠陥が生じていた。これは、ビレットの幅方向の一方の終端(0mm)の地点から約120mmだけ離れた地点に生じたことを
図10の(a)及び(b)を用いて確認することができる。
これに対し、
図10の(d)、(f)、(h)、(j)を参照すると、第2乃至第5の実験例によるビレットの場合、最も深く陥没した欠陥の大きさがいずれも1mm未満であって、第1の実験例に比べて大幅に小さい。すなわち、第2の実験例は0.25mm、第3の実験例は0.71mm、第4の実験例は0.94mm、第5の実験例は0.25mmが最も深く現れた欠陥であり、これらはいずれも第1の実験例に比べて小さい。
【0071】
このことから、実施形態に係る鋳型を用いて鋳片を製造する場合、表面欠陥を低減させることができるということが分かる。これは、実施形態に係る鋳型の場合、高さごとの互いに異なる凝固収縮量を反映して内壁面IFL、IFSの高さごとの幅WL1~WL4、WS1~WS4を設計して設けることにより、高さごとの凝固収縮を有効に補償することができるからである。また、湯面の高さPMと第1の地点P1との間の区間における幅の変化が他の区間に比べて急激に行われるようにすることで、凝固シェルが最も多く収縮するボディ3100内の上部での凝固収縮を有効に補償することができる。
そして、鋳型を製造するに際して、複数種の鋼種、すなわち、溶鋼を凝固させて凝固収縮率を検出し、凝固収縮率の平均値を反映して内壁面の高さごとの幅を設計する。したがって、実施形態に係る鋳型の場合、複数種の鋼種に対して凝固収縮率が抑止もしくは防止された鋳片を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の実施形態によれば、凝固シェルの収縮に対する補償率を向上させることができる。すなわち、高さごとの互いに異なる凝固収縮量に応じて鋳型の高さごとの幅を設計して鋳型を製造することにより、高さごとの凝固収縮に対する補償率を向上させる。したがって、凝固シェルの収縮による鋳片の表面での欠陥の発生を抑止もしくは防止することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 鋳片
10 取鍋
20 タンディッシュ
22 ノズル
40 冷却部
41 セグメント(segment)
3000 鋳型(mold)
3100 ボディ
3110 第1の壁体
3120 第2の壁体
4000 母体鋳型
4100 ボディ
4110 第1の壁体
4120 第2の壁体
AS 1SDと2SDとの平均凝固収縮量
ASL 平均収縮量
ASL1 第1の方向(X方向)における第1の平均収縮量
ASL2 第1の方向(X方向)における第2の平均収縮量
ASL3 第1の方向(X方向)における第3の平均収縮量
ASL4 第1の方向(X方向)における第4の平均収縮量
ASS1 第2の方向(Y方向)における第1の平均収縮量
ASS2 第2の方向(Y方向)における第2の平均収縮量
ASS3 第2の方向(Y方向)における第3の平均収縮量
ASS4 第2の方向(Y方向)における第4の平均収縮量
1ASL2 平均収縮量
C 凝固シェル
DP 設計地点
DP1 第1の設計地点
DP2 第2の設計地点
DP3 第3の設計地点
DP4 第4の設計地点
DPL 第1の方向の凝固幅
DPL1 第1の設計地点の第1の方向(X方向)の凝固幅
DPL2 第2の設計地点の第1の方向(X方向)の凝固幅
DPL3 第3の設計地点の第1の方向(X方向)の凝固幅
DPL4 第4の設計地点の第1の方向(X方向)の凝固幅
DPS 第2の方向の凝固幅
DPS1 第1の設計地点の第2の方向(Y方向)の凝固幅
DPS2 第2の設計地点の第2の方向(Y方向)の凝固幅
DPS3 第3の設計地点の第2の方向(Y方向)の凝固幅
DPS4 第4の設計地点の第2の方向(Y方向)の凝固幅
F FL、FS 斜面
G 間隔
G1 PMとDP1との間の間隔
G2 DP1とDP2との間の間隔
G3 DP2とDP3との間の間隔
G4 DP3とDP4との間の間隔
IF:IFL、IFS 内壁面
IS 内部空間
ISDL 凝固収縮量
ISDS 凝固収縮量
OF:OFL、OFS 外壁面
P 地点
P1 第1の地点
P2 第2の地点
P3 第3の地点
P4 第4の地点
PB 下端
PU 上端
PM 溶鋼の湯面の高さ
S 距離
S1~S4 上端PUから下側の地点P1~P4までの距離
SD 溶鋼の凝固収縮量
1SD 第1の溶鋼の凝固収縮量
2SD 第2の溶鋼の凝固収縮量
SDL 凝固収縮量
1SDL1~1SDL4第1の溶鋼を用いてDP1~DP4で検出した第1の方向(X方向)の凝固収縮量
2SDL1~2SDL4 第2の溶鋼を用いてDP1~DP4で検出した第1の方向(X方向)の凝固収縮量
SDS 凝固収縮量
1SDS1~1SDS4 第1の溶鋼の凝固の際にDP1~DP4で検出した第2の方向の凝固収縮量
2SDS1~2SDS4 第2の溶鋼の凝固の際にDP1~DP4で検出した第2の方向の凝固収縮量
1SL 第1の溶鋼を用いて検出した第1の方向(X方向)の凝固収縮量
1SL2 第1の溶鋼の凝固の際のDP2での第2の凝固収縮量
2SL 第2の溶鋼を用いて検出した第1の方向(X方向)の凝固収縮量
2SL2 第2の溶鋼の凝固の際のDP2での第2の凝固収縮量
SW 凝固幅
SWL 第Iの方向(X方向)の凝固幅
SWS 第2の方向(Y方向)の凝固幅
TL 第1の壁体の厚さ
TL1~TL4、TLM 各設計地点における第1壁体の厚さ
TS 第2の壁体3110の厚さ
TS1~TS4、TSM 各設計地点における第2壁体の厚さ
W 鋳型内側面の幅
WM 第1の鋳型内壁面の湯面における高さ(PM)での幅
WL 内部空間ISの第1の方向(X方向)の幅
WL1~WL4 各地点P1~4での第1の方向(X方向)の幅
WLM 湯面の高さPMにおける内部空間ISの第1の方向(X方向)の幅
WS 内部空間ISの第2の方向(Y方向)の幅
WS1~WS4 各地点P1~4における第2の方向(Y方向)の幅
WSM 湯面の高さPMにおける内部空間ISの第2の方向(Y方向)の幅
【国際調査報告】