(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】プリフォームをデジタル設計するための方法及びボトルの成型命令
(51)【国際特許分類】
B29C 49/78 20060101AFI20240920BHJP
B29C 49/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B29C49/78
B29C49/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520647
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022045666
(87)【国際公開番号】W WO2023059631
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591235706
【氏名又は名称】ペプシコ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】バット,アドバイト ラシク
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AH55
4F208AM23
4F208AR02
4F208AR06
4F208AR08
4F208AR12
4F208AR14
4F208LA03
4F208LA07
4F208LB01
4F208LD16
4F208LG03
(57)【要約】
ボトルプリフォームのブロー成型命令を生成するための方法であって、選択されたプリフォーム設計を目標のボトル設計にブロー成型するための第1の組の第1のブロー成型実験を作成することであって、各実験が、異なる一組のブロー成型パラメータを有する、作成することと、シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、第1の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、壁厚、セクション重量、及び弾性率×壁厚を含むダウン選択基準に基づいて、第1のブロー成型実験から実験群を選択することと、ダウン選択された第1の実験群の特性に基づいて、第2の組のブロー成型実験を作成することと、シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、第2の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性に基づいて、第2のブロー成型実験から実験を選択することと、選択された実験に基づいて、ブロー成型命令を生成することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルプリフォームのブロー成型命令を生成するための方法であって、前記方法が、
選択されたプリフォーム設計を目標のボトル設計にブロー成型するための第1の組のブロー成型実験を作成することであって、各実験が、異なる一組のブロー成型パラメータを有する、作成することと、
シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、前記第1の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、
ダウン選択基準に基づいて、前記第1の組のブロー成型実験から実験群を選択することであって、
前記ダウン選択基準が、
シミュレーションしたブローボトルの壁厚、
前記シミュレーションしたブローボトルのセクション重量、及び
前記シミュレーションしたブローボトルの弾性率×壁厚値、を含む、選択することと、
前記ダウン選択された第1の実験群の特性に基づいて、第2の組のブロー成型実験を作成することと、
前記シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、前記第2の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、
前記選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性に基づいて、前記第2の組のブロー成型実験から実験を選択することであって、
前記選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの前記特性が、プリフォームの重量、シミュレーションしたボトルの壁厚、及びプロセスウィンドウの広さを含む、選択することと、
前記選択された実験に基づいて、ブロー成型命令を生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの前記特性が、シミュレーションしたプリフォームの重量及びシミュレーションしたボトルの壁厚を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のブロー成型実験から実験を選択することがまた、前記シミュレーションしたプリフォームから前記シミュレーションしたブローボトルを生成するためのプロセスウィンドウの広さにも基づいている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の組のブロー成型実験から前記実験群を選択することが、
前記第1の組の実験の壁厚値と壁厚の許容範囲とを比較して、第1の組の適格な実験を識別することと、
前記第1の組の適格な実験のセクション重量値とセクション重量の許容範囲とを比較して、第2の組の適格な実験を識別することと、
前記第2の組の適格な実験の弾性率×壁厚値と弾性率×壁厚の許容範囲とを比較して、第3の組の適格な実験を識別することであって、
前記第3の組の適格な実験が、前記実験群である、識別することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記壁厚の許容範囲が、完成ボトルの目標の熱安定性データ及び浸透性データから判定される最小壁厚である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記セクション重量の許容範囲が、完成ボトルの加圧データから判定される最小セクション重量である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
壁厚値を比較することが、各シミュレーションしたボトルの複数の領域の壁厚値を比較することであって、前記壁厚の許容範囲が領域ごとに異なる、比較することを含み、
セクション重量値を比較することが、各シミュレーションしたボトルの複数のセクションのセクション重量値を比較することであって、前記セクション重量の許容範囲がセクションごとに異なる、比較することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロー成型パラメータが、
プリブロー圧力、
メルトフローレート、
延伸ロッド速度、
プリブロータイミング、及び
温度分布、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
プリブロー圧力、メルトフローレート、及び延伸ロッド速度が、前記第1のブロー成型実験の全てについて同じであり、
プリブロータイミング及び温度分布が、前記第1のブロー成型実験のうちの少なくともいくつかについて異なる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の複数のブロー成型実験から選択された前記実験が、広いプロセスウィンドウを有するブロー成型レシピと関連付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ブロー成型命令が、最小壁厚値以上の壁厚値及び最小セクション重量値以上のセクション重量値を有する完成ボトルを生成するそれらの能力に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ブロー成型命令が、
プリフォーム温度、
プリブロー圧力、
プリブロータイミング、
延伸ロッド速度、
延伸ロッド変位、
プリブロー期間、
ブロー圧力、
延伸ロッド直径、
死容積、
空気質量流量、
金型温度、及び
基部金型温度、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ボトルプリフォーム及び前記ボトルプリフォームのブロー成型レシピを生成するための方法であって、前記方法が、
前記ボトルプリフォームを作成するために使用される材料の自然延伸比及び前記ボトルプリフォームから作成されるボトルの仕様に基づいて、ボトルプリフォーム設計を作成することと、
前記ボトルプリフォーム設計を目標のボトル設計にブロー成型するための第1の組のブロー成型実験を作成することであって、各実験が、異なる一組のブロー成型パラメータを有する、作成することと、
シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、前記第1の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、
ダウン選択基準に基づいて、前記第1の組のブロー成型実験から実験群を選択することであって、
前記ダウン選択基準が、
シミュレーションしたブローボトルの壁厚、
前記シミュレーションしたブローボトルのセクション重量、及び
前記シミュレーションしたブローボトルの弾性率×壁厚値、を含む、選択することと、
前記ダウン選択された第1の実験群の特性に基づいて、第2の複数のブロー成型実験を作成することであって、
ボトルプリフォーム内径値が、前記第2の組のブロー成型実験の実験ごとに同じであり、ボトルプリフォーム外径値が、前記第2の組のブロー成型実験の実験ごとに異なる、作成することと、
前記選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性に基づいて、前記第2の組のブロー成型実験から実験を選択することであって、
前記選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの前記特性が、プリフォームの重量、シミュレーションしたボトルの壁厚、及びプロセスウィンドウの広さを含む、選択することと、
前記選択された実験に基づいて、ブロー成型命令を生成することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記第1の組のブロー成型実験から前記実験群を選択することが、
前記第1の組の実験の壁厚値と壁厚の許容範囲とを比較して、第1の組の適格な実験を識別することと、
前記第1の組の適格な実験のセクション重量値とセクション重量の許容範囲とを比較して、第2の組の適格な実験を識別することと、
前記第2の組の適格な実験の弾性率×壁厚値と弾性率×壁厚の許容範囲とを比較して、第3の組の適格な実験を識別することであって、
前記第3の組の適格な実験が、前記実験群である、識別することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記壁厚の許容範囲が、ボトルの熱安定性のFEA(有限要素解析)、又は浸透性研究のFEAから判定される最小壁厚である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記セクション重量の許容範囲が、加圧研究又は頂部加重研究から判定される最小セクション重量である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
壁厚値を比較することが、各シミュレーションしたボトルの複数の領域の壁厚値を比較することであって、前記壁厚の許容範囲が領域ごとに異なる、比較することを含み、
セクション重量値を比較することが、各シミュレーションしたボトルの複数のセクションのセクション重量値を比較することであって、前記セクション重量の許容範囲がセクションごとに異なる、比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記材料が、ポリマーブレンドを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の複数のブロー成型実験の前記ブロー成型実験の各々が、定数ブロー成型パラメータ及び可変ブロー成型パラメータを含み、前記定数ブロー成型パラメータが、プリブロー圧力、メルトフローレート、及び延伸ロッド速度を含み、前記可変ブロー成型パラメータが、プリブロータイミング及び温度分布を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記ブロー成型レシピが、
プリフォーム温度、
プリブロー圧力、
プリブロータイミング、
延伸ロッド速度、
延伸ロッド変位、
プリブロー期間、
ブロー圧力、
延伸ロッド直径、
死容積、
空気質量流量、
金型温度、及び
基部金型温度、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のブロー成型実験から実験を選択することがまた、前記シミュレーションしたプリフォームから前記シミュレーションしたブローボトルを生成するためのプロセスウィンドウの広さにも基づいている、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
ブロー成型実験をダウン選択するための方法であって、前記方法が、
ボトルの最小壁厚、セクション重量、及び弾性率×壁厚の許容範囲を判定することと、
一組のボトルブローシミュレーション実験の壁厚値と前記壁厚の許容範囲とを比較して、第1の組の適格な実験を識別することと、
前記第1の組の適格な実験のセクション重量値と前記セクション重量の許容範囲とを比較して、第2の組の適格な実験を識別することと、
前記第2の組の適格な実験の弾性率×壁厚値と前記弾性率×壁厚の許容範囲とを比較して、第3の組の適格な実験を識別することと、を含む、方法。
【請求項23】
前記壁厚の許容範囲が、熱安定性データ及び浸透性データから判定される最小壁厚であり、前記熱安定性データ及び前記浸透性データが、完成ボトルの試験又はシミュレーションしたボトルのFEAに基づいている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記セクション重量の許容範囲が、加圧データから判定される最小セクション重量であり、前記加圧データが、完成ボトルの試験又はシミュレーションしたボトルのFEAに基づいている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
壁厚値を比較することが、各シミュレーションしたボトルの複数の領域の壁厚値を比較することであって、前記壁厚の許容範囲が領域ごとに異なる、比較することを含み、
セクション重量値を比較することが、各シミュレーションしたボトルの複数のセクションのセクション重量値を比較することであって、前記セクション重量の許容範囲がセクションごとに異なる、比較することを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される実施形態は、概して、プラスチックボトルのプリフォームをデジタル設計するための方法に関する。具体的には、本明細書に説明される実施形態は、ブロー成型パラメータをデジタル設計するための方法、及びブロー成型プラスチックボトルを生成するためのプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などの消費者製品を包装するために共通して使用されるプラスチックボトルは、特定の寸法及び機械的特性を有するボトルを生成するための設計基準を使用して、ボトルプリフォームをブロー成型することによって製造することができる。これらのボトルを生成するために必要な基準を判定するために、ボトル製作者は、いくつかの異なるブロー成型パラメータの値を繰り返し推測及び確認してボトルを作成し、かつ、許容可能な性能について試験し得るが、それには非常に時間がかかり、その結果、リソースが無駄になり得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ボトルプリフォーム設計及び対応するブロー成型命令を作成するためのデジタル方法を目的とする。本明細書に説明される方法は、新しいボトルプリフォーム設計を作成するために、既存のプリフォーム設計の中から選択するために、及び既存のプリフォーム設計及び新しいプリフォーム設計の両方の対応するブロー成型命令を作成するために使用され得る。
【0004】
いくつかの実施形態は、ボトルプリフォームのブロー成型命令を生成するための方法であって、当該方法が、選択されたプリフォーム設計を目標のボトル設計にブロー成型するための第1の組のブロー成型実験を作成することであって、各実験が、異なる一組のブロー成型パラメータを有する、作成することと、シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、第1の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、ダウン選択基準に基づいて、第1の組のブロー成型実験から実験群を選択することと、を含む、方法を目的とする。ダウン選択基準は、シミュレーションしたブローボトルの壁厚、シミュレーションしたブローボトルのセクション重量、及びシミュレーションしたブローボトルの弾性率×壁厚、を含む。本方法は、ダウン選択された第1の実験群の特性に基づいて、第2の組のブロー成型実験を作成することと、シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、第2の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性に基づいて、第2の組のブロー成型実験から実験を選択することであって、選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性が、プリフォームの重量、シミュレーションしたボトルの壁厚、及びプロセスウィンドウの広さを含む、選択することと、選択された実験に基づいて、ブロー成型命令を生成することと、を更に含む。
【0005】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、先の実施形態による選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性としては、シミュレーションしたプリフォームの重量及びシミュレーションしたボトルの壁厚が挙げられ得る。
【0006】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、先の実施形態のいずれかに従って第2のブロー成型実験から実験を選択することはまた、シミュレーションしたプリフォームからシミュレーションしたブローボトルを生成するためのプロセスウィンドウの広さにも基づき得る。
【0007】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、第1の組のブロー成型実験から実験群を選択することは、第1の組の実験の壁厚値と壁厚の許容範囲とを比較して、第1の組の適格な実験を識別することと、第1の組の適格な実験のセクション重量値とセクション重量の許容範囲とを比較して、第2の組の適格な実験を識別することと、第2の組の適格な実験の弾性率×壁厚値と弾性率×壁厚の許容範囲とを比較して、第3の組の適格な実験を識別することであって、第3の組の適格な実験が、実験群である、識別することと、を含み得る。
【0008】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、壁厚の許容範囲は、完成ボトルの目標の熱安定性データ及び浸透性データから判定される最小壁厚であり得る。
【0009】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、壁厚の許容範囲は、完成ボトルの加圧データから判定される最小セクション重量値であり得る。
【0010】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、壁厚値を比較することは、各シミュレーションしたボトルの複数の領域の壁厚値を比較することであって、壁厚の許容範囲が領域ごとに異なる、比較することを含み得、セクション重量値を比較することは、各シミュレーションしたボトルの複数のセクションのセクション重量値を比較することであって、セクション重量の許容範囲がセクションごとに異なる、比較することを含み得る。
【0011】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、ブロー成型パラメータとしては、プリブロー圧力、メルトフローレート、延伸ロッド速度、プリブロータイミング、及び温度分布を含み得る。
【0012】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、プリブロー圧力、メルトフローレート、及び延伸ロッド速度は、第1のブロー成型実験の全てについて同じであり得、先の実施形態によるプリブロータイミング及び温度分布は、第1のブロー成型実験のうちの少なくともいくつかについて異なり得る。
【0013】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、第2の複数のブロー成型実験から選択された実験は、広いプロセスウィンドウを有するブロー成型レシピと関連付けられ得る。
【0014】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、ブロー成型命令は、最小壁厚値以上の壁厚値及び最小セクション重量値以上のセクション重量値を有する完成ボトルを生成するそれらの能力に基づいて生成され得る。
【0015】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、ブロー成型命令は、プリフォーム温度、プリブロー圧力、プリブロータイミング、延伸ロッド速度、延伸ロッド変位、プリブロー期間、ブロー圧力、延伸ロッド直径、死容積、空気質量流量、金型温度、及び基部金型温度を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態は、ボトルプリフォーム及びボトルプリフォームのブロー成型レシピを生成するための方法であって、当該方法が、ボトルプリフォームを作成するために使用される材料の自然延伸比及びボトルプリフォームから作成されるボトルの仕様に基づいて、ボトルプリフォーム設計を作成することと、ボトルプリフォーム設計を目標のボトル設計にブロー成型するための第1の組のブロー成型実験を作成することであって、各実験が、異なる一組のブロー成型パラメータを有する、作成することと、シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して、第1の組のブロー成型実験の各実験をシミュレーションすることと、ダウン選択基準に基づいて、第1の組のブロー成型実験から実験群を選択することと、を含む、方法を目的とする。ダウン選択基準は、シミュレーションしたブローボトルの壁厚、シミュレーションしたブローボトルのセクション重量、及びシミュレーションしたブローボトルの弾性率×壁厚、を含む。本方法は、ダウン選択された第1の実験群の特性に基づいて、第2の組のブロー成型実験を作成することであって、ボトルプリフォーム内径値が、第2の組のブロー成型実験の実験ごとに同じであり、ボトルプリフォーム外径値が、第2の組のブロー成型実験の実験ごとに異なる、作成することと、選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性に基づいて、第2の組のブロー成型実験から実験を選択することであって、選択された実験のシミュレーションしたプリフォーム及びシミュレーションしたブローボトルの特性が、プリフォームの重量、シミュレーションしたボトルの壁厚、及びプロセスウィンドウの広さを含む、選択することと、選択された実験に基づいて、ブロー成型命令を生成することと、を更に含む。
【0017】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、第1の組のブロー成型実験から実験群を選択することは、第1の組の実験の壁厚値と壁厚の許容範囲とを比較して、第1の組の適格な実験を識別することと、第1の組の適格な実験のセクション重量値とセクション重量の許容範囲とを比較して、第2の組の適格な実験を識別することと、第2の組の適格な実験の弾性率×壁厚値と弾性率×壁厚の許容範囲とを比較して、第3の組の適格な実験を識別することであって、第3の組の適格な実験が、実験群である、識別することと、を含む。
【0018】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、壁厚の許容範囲は、ボトルの熱安定性のFEA(finite element analysis、有限要素解析)、又は浸透性研究のFEAから判定される最小壁厚である。
【0019】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、セクション重量の許容範囲は、加圧研究(例えば、加圧研究のFEA)又は頂部加重研究(例えば、頂部加重研究のFEA)から判定される、先の3つの実施形態のうちのいずれかによる最小セクション重量である。
【0020】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、壁厚値を比較することは、各シミュレーションしたボトルの複数の領域の壁厚値を比較することであって、壁厚の許容範囲が領域ごとに異なる、比較することを含み得、セクション重量値を比較することは、各シミュレーションしたボトルの複数のセクションのセクション重量値を比較することであって、セクション重量の許容範囲がセクションごとに異なる、比較することと、を含み得る。
【0021】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、材料は、ポリマーブレンドであり得る。
【0022】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、第1の複数のブロー成型実験のブロー成型実験の各々は、定数ブロー成型パラメータ及び可変ブロー成型パラメータを含み得、定数ブロー成型パラメータは、プリブロー圧力、メルトフローレート、及び延伸ロッド速度を含み、可変ブロー成型パラメータは、プリブロータイミング及び温度分布を含む。
【0023】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、ブロー成型レシピは、プリフォーム温度、プリブロー圧力、プリブロータイミング、延伸ロッド速度、延伸ロッド変位、プリブロー期間、ブロー圧力、延伸ロッド直径、死容積、空気質量流量、金型温度、及び基部金型温度を含み得る。
【0024】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、第2のブロー成型実験から実験を選択することはまた、シミュレーションしたプリフォームからシミュレーションしたブローボトルを生成するためのプロセスウィンドウの広さにも基づき得る。
【0025】
いくつかの実施形態は、ブロー成型実験をダウン選択するための方法であって、当該方法が、ボトルの最小壁厚、セクション重量、及び弾性率×壁厚の許容範囲を判定することと、一組のボトルブローシミュレーション実験の壁厚値と壁厚の許容範囲とを比較して、第1の組の適格な実験を識別することと、第1の組の適格な実験のセクション重量値とセクション重量の許容範囲とを比較して、第2の組の適格な実験を識別することと、第2の組の適格な実験の弾性率×壁厚値と弾性率×壁厚の許容範囲とを比較して、第3の組の適格な実験を識別することと、を含む、方法を目的とする。
【0026】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、壁厚の許容範囲は、熱安定性データ及び浸透性データから判定される最小壁厚であり、熱安定性データ及び浸透性データは、完成ボトルの試験又はシミュレーションしたボトルのFEAに基づいている。
【0027】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、セクション重量の許容範囲は、加圧データから判定される最小セクション重量であり得、加圧データは、完成ボトルの試験又はシミュレーションしたボトルのFEAに基づいている。
【0028】
上で説明される実施形態のうちのいずれかを含むいくつかの実施形態では、壁厚値を比較することは、各シミュレーションしたボトルの複数の領域の壁厚値を比較することであって、壁厚の許容範囲が領域ごとに異なる、比較することを含み得、セクション重量値を比較することは、各シミュレーションしたボトルの複数のセクションのセクション重量値を比較することであって、セクション重量の許容範囲がセクションごとに異なる、比較することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】いくつかの実施形態による、ボトルのプリフォームの設計をデジタル的に選択するためのプロセスを示す図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、ボトルのプリフォームをデジタル設計するためのプロセスを示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、ブロー成型実験を選択するためのダウン選択プロセスを示す図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、ポリマーブレンド及びバージンPET材料の平均弾性率対延伸比を示す図である。
【
図3B】
図3Aのポリマーブレンド及び
図3AのバージンPET材料の平均弾性率対変形率を示す図である。
【
図4A】例示的なセクションを示すボトルの図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、ボトルのプリフォームの断面図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、様々なブロー成型実験に関する壁厚の分布を示すプロットを示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、ポリマーブレンドの壁厚プロファイルを示すプロット、及び様々なプリフォーム設計を使用して生成されたボトルの壁厚プロファイルを示す対応する有限要素解析図を示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、ポリマーブレンドの弾性率プロファイルを示すプロット、及び様々なプリフォーム設計を使用して生成されたボトルの弾性率プロファイルを示す対応する有限要素解析図を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、様々なプリフォーム設計を使用して生成されたボトルの弾性率×厚さプロファイルを示すプロットを示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、様々なプリフォーム設計を使用して生成されたボトルの弾性率×厚さプロファイルを示すプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の実施例は、本開示の例示であるが、限定するものではない。当業者には明らかであろう、当分野に通常遭遇する種々の条件及びパラメータの他の好適な修正及び適応は、本開示の趣旨及び範囲内である。
【0031】
プラスチックボトル、例えば、飲料などの消費者製品を包装するために使用されるボトルは、典型的には、ボトルプリフォームにブロー成型プロセスを、例えば、延伸ブロー成型プロセスを受けさせることによって製造される。これらのブロー成型プロセスは、所定の寸法を有する目標のボトル設計を生成するために一緒に使用される複数のパラメータによって定義される。しばしば、ボトルを生成するために使用されるプリフォームは、PET(polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)樹脂から作製される。しかしながら、完成ボトルにおいて特定の特性を達成するように、代替的なポリマーブレンドが使用され得る。PETの代わりにかかるポリマーブレンドが使用されるとき、異なるポリマーブレンドから作製されたプリフォームからボトルを生成する際に、PETプリフォームとともに使用されるブロー成型パラメータが有効ではない場合があるので、新しいブロー成型プロセスを開発する必要があり得る。
【0032】
プリフォームからボトルをブロー成型するための既存のプロセスは、主観的で反復的な傾向がある。そうしたプロセスは、しばしば、所望の外観並びに所望の材料分布及び性能特性を有するブロー成型ボトルを達成するようにプリフォームを選択してブロー成型のパラメータの「レシピ」を開発するために、個々の専門家又は技術者の経験に依存することを伴う。その場合であっても、試料ボトルは、ブロー及び試験され、しばしば、所望のボトルを大規模に確実に生成するための満足なレシピに到達するまで、-新しいサンプルボトルをブロー成型して試験するたびに-レシピが複数回微調整される。
【0033】
本明細書に説明される実施形態は、様々な異なる組の初期パラメータ(第1の組の実験と称される)によるボトルのブローをデジタル的にシミュレーションし、次いで、成功したボトル性能の重要な指標である一組のパラメータに基づいて、結果をダウン選択することによって過去のプロセスを改善する。ダウン選択された結果は、第2の組の実験を作成して、許容可能なボトルを生成する様々なパラメータセットを判定するために使用される。次いで、これらのパラメータセットを評価して、ボトル生産の目標を最良に満たすものを選択することができる。デジタルシミュレーションのこのプロセスは、ボトル生産の過去の試行錯誤法と関連付けられた無駄な時間、労力、及びコストを低減又は削減する。
【0034】
より具体的には、第1の組の実験は、(1)プリフォーム設計(例えば、形状及び寸法によって、例えば、CAD(computer-aided design、コンピュータ支援設計)ファイルにおいて定義される)、(2)プリフォーム材料の特性、(3)ボトル設計(例えば、形状及び寸法によって、例えば、CADファイルにおいて定義される)、及び(4)ブローパラメータ、を入力として取り込む。第1の組における全ての実験は、同じプリフォーム材料特性及びボトル設計を有する。第1の組における全ての実験は、同じプリフォーム設計を有する場合又は有しない場合がある。ブローパラメータは、実験ごとに異なる。異なるブローパラメータは、異なる材料分布をもたらし、その結果、異なるボトル性能特性をもたらす。
【0035】
一組のブローパラメータは、上で説明される個々の技術者によって開発されたブロー成型の「レシピ」に類似させることができる。ブローパラメータは、例えば、プリブロー圧力(延伸ロッドがプリフォームを長手方向に延伸させながら、ブロー空気をプリフォーム内へブローしてプリフォームを外向きに膨張させる前に、ブロー成型プロセス中にプリフォーム内へブローされ得る、プリブロー空気の圧力)、延伸ロッド速度(ブロー成型プロセス中に延伸ロッドがプリフォームの底部を押して、プリフォームを長手方向に膨張させる速度)、メルトフローレート(ブロー成型プロセス中のポリマーの溶融物の流れ易さ)、プリブロータイミング(プリブロー空気を作動させる時間、及びプリブロー空気が作動する時間の長さ)及び温度分布(ブロー成型プロセス中のプリフォーム全体の熱分布)、を含むことができる。
【0036】
第1の組の実験では、ブローパラメータは、(A)「定数」パラメータ及び(B)「可変」パラメータとして分類され得る。第1の実験は、ボトル材料分布に関する可変パラメータの効果を学習するために使用される。例えば、ボトル設計、プリブロー圧力、延伸ロッド速度、延伸ロッド直径、及びメルトフローレートは、定数パラメータであり得る-同じ値が全ての第1の実験のパラメータごとに使用される。プリブロータイミング及び温度分布は可変パラメータであり得るので、プリブロータイミング及び温度分布は、ボトル材料分布及び性能特性へのそれらの影響について評価され得る。
【0037】
第1の組の実験は、各々が可変パラメータの異なる組み合わせを有する、数百の異なる実験を有し得る。ボトルブローが第1の組の実験に従ってシミュレーションされるとき、結果として生じたボトル材料分布及び性能特性は、ボトル性能の重要な指標の許容可能な性能値範囲と比較することができ、許容範囲内の性能値を有するボトルをもたらすものだけを含めるように実験を「ダウン選択」することができる。
【0038】
ボトル性能のかかる重要な指標は、(1)選択された領域内の最小壁厚、(2)選択されたセクションの最小セクション重量、及び(3)弾性率×壁厚、を含む。更に、ダウン選択は、最初に(例えば、選択された領域内の)最小壁厚を検討し、続いて(例えば、選択されたセクションの)最小セクション重量を検討し、続いて、弾性率×壁厚を検討する、といった順序で起こり得る。このシーケンスは、-最小壁厚のような-ボトル性能のより重要な指標がプロセスの初期に検討されるように、ダウン選択プロセスを効果的に優先順位付けすることができる。
【0039】
最小壁厚は、ボトルの構造的性能能力の重要な指標であり得る。例えば、最小壁厚は、(例えば、輸送中及び充填中にボトルを積み重ねることによる)頂部荷重を支持する、及び(例えば、液体飲料などの貯蔵された材料の加圧又は熱膨張又は収縮の結果として起こり得る、密閉されたボトル内の体積の膨張又は収縮による)内部圧力に対応するボトルの能力を示すことができる。ボトルの構造的性能能力は、荷重又は圧力の影響を最も受けやすい領域におけるその壁の厚さに最も依存し得る。例えば、第1の組の実験の場合、上部パネル及び下部パネルが荷重又は膨張圧力の影響を最も受けやすい傾向があり得るので、壁厚は、それらの領域において判定され得る。最小壁厚値(これを下回ると、ボトルによって対応することができる荷重又は圧力が不十分になる)は、従来の実験又はFEAから収集されたデータを使用して既定することができる。
【0040】
最小セクション重量は、望ましくない変形に抵抗するボトルの能力の重要な指標であり得る。例えば、凹状基部形状を有するボトル基部の場合、最小基部重量は、(例えば、熱膨張又は炭酸飽和による)内部圧力の増加による転倒に対する十分な抵抗と関連付けられ得る。最小セクション重量(これを下回ると、許容不能な変形が起こり得る)は、加圧研究又は頂部荷重研究から収集されたデータを使用して既定することができる。
【0041】
弾性率×壁厚は、ボトルの材料使用効率の重要な指標であり得る。これは、薄肉圧力容器理論に従ってなされる仮定に基づいている。所望の材料分布及び性能特性を満たすために必要とされるよりも多い材料が使用される、シミュレーションしたボトルの領域を識別するのを補助することができる。これは、次に、材料の無駄を回避するために薄くすることができるプリフォームの領域を提案することができる。
【0042】
第1の組の実験からの結果は、プロットするか、又は別様に重要な指標の許容範囲と比較することができ、許容範囲内に入る結果は、次の段階のために順次選択する(「ダウン選択する」)ことができる。例えば、第1の組の実験から、許容範囲内の最小壁厚及び最小セクション重量を有するシミュレーションしたボトルを生成する実験がダウン選択され得る。次いで、第1の組からダウン選択された実験に基づいて、第2の組の実験を設計することができる。
【0043】
第1の組と同様に、第2の組の実験もまた、各々が可変パラメータの異なる組み合わせを有する、数百の異なる実験を有し得る。第2の組の実験は、可変パラメータの異なる値を含むことができ、可変パラメータについて設定された値は、第1の組の実験のダウン選択された実験からの可変パラメータに基づいて判定することができる。例えば、第2の組の実験の可変パラメータについて設定された値は、第1の組の実験からの成功した可変パラメータ値を中心とすることができる。ボトルブローは、第2の組の実験に従ってシミュレーションされ得る。ダウン選択プロセスのため、第2の組の実験によって返された結果の大部分は、許容可能な材料分布及び性能特性を有するボトルを生成することが予想され得る。
【0044】
次いで、第2の組の実験の結果を評価して、許容可能に広いプロセスウィンドウを有するものを判定することができる。広いプロセスウィンドウは、許容可能なボトルを作製しながらボトルの生産機器及び作業についていくらかの余地を有するような、所与のパラメータについてあまり精度を必要としないもの(すなわち、通常はボトル材料分布に依存する、既定された性能特性を満たすもの)である。これは、ボトル生産プロセスにより多くの柔軟性を与えることによって、無駄を低減することができる。第2の組の実験の結果は、全てのブローパラメータに関するプロセスウィンドウの広さの評価を可能にすることができるので、許容可能なボトルを成功裏に生成するための全体的な広いプロセスウィンドウについて最良のバランスを有するものを識別及び選択することができる。次いで、第2の組の実験から選択された実験を使用して、ボトルをブローするための成功した「レシピ」(すなわち、一組のブローパラメータ)を定義する。
【0045】
第2の組の実験の結果の別の利益は、ボトルの長さにわたって弾性率×厚さをプロットすることができることである。下で説明するように、弾性率データは、材料機械モデルを開発するために試験することなどの、プリフォーム材料の材料を試験することにより判定することができる。ボトル全体の形状の最大許容偏差に対応しない弾性率×厚さの偏差は、ボトルの所望の材料分布及び性能特性を満たすために必要とされるよりもボトルが厚い局所領域を示すことができる。(形状の最大許容偏差は、ボトルを所望の規格(例えば、品質又は性能規格)に従って生成するように設定された基準であり得る。)かかる偏差は、プリフォームの対応する領域から余分な材料を除去することによって、ボトルを軽量化する機会を示すことができる。次いで、新しく設計されたプリフォームは、任意選択的に、レシピ設計プロセスを再度受けて、そのプリフォームからブローされたボトルが所望の材料分布及び性能特性を満たすことを確実にすることができる。
【0046】
これらの及び他の実施形態は、図を参照しながら下でより詳細に説明する。
【0047】
上で言及されるように、ボトルなどの様々なブロー成型された容器には、複数の異なる所望の性能特性が存在し得る。例えば、ブロー成型されたボトルは、数ある特性の中でも、所望の形状、熱安定性、頂部荷重容量、及び結晶性を維持しながら、最小量のプラスチックを使用するという要望によってもたらされ得る所望の重量を有し得る。
【0048】
具体的には、ブロー成型プロセス中にポリマー鎖によって達成される配向のレベルは、降伏強度の増加、光透過性の維持、熱安定性の改善、及び弾性率の増加に寄与し得るので、ブロー成型プロセスを通して達成されるボトル材料(すなわち、ポリマー)の結晶化度は、ブロー成型されたボトルの他の特性に重要な影響を及ぼし得る。
【0049】
ブロー成型プロセス中にポリマーによって達成され得る結晶性のレベルは、ポリマーの自然延伸比(natural stretch ratio、NSR)によって判定され得る。ポリマーが、そのNSRを上回らずにNSRまで延伸されるとき、それは、最適な機械的特性及び光学的特性を達成し得る。例えば、ポリマーが、そのNSRまで延伸されるとき、それは、光透過性を維持し得る。しかしながら、ポリマーは、(±0.3の公差内で)そのNSRを超えて延伸させた場合に、不透明になり得、これは望ましくない場合がある。
【0050】
任意の所与のポリマーのNSRを判定するために、ポリマーは、理想的な軸方向延伸比及び理想的な半径方向延伸比の両方を得るために、二軸延伸試験及び計装自由ブロー試験などの様々な試験手順を受け得る。代替的に、NSRは、計算され得る。追加の試験又は計算を実行して、材料機械モデルが開発され得る。材料機械モデルは、例えば、延伸比、温度の影響、配向、歪み速度、歪み硬化、又は断熱軟化を含む、材料の特性を提供し得る。次いで、材料機械モデルは、本明細書に説明されている方法で使用され得る一組の材料データを開発するために検証され得る。これまで使用されていなかったポリマーブレンドに対して、新しいプリフォーム設計が作成されるとき、設計は、ポリマーブレンドのNSR及び材料機械モデルの他のデータに基づいて作成され得る。
【0051】
既存のプリフォーム又は新しいプリフォーム設計で使用されるポリマーのNSRが判定されると、2つのデジタルプロセスのうちの1つを実行して、所望のボトル又は容器を生成するための、ブロー成型プロセスの命令又はレシピが開発され得る。これらのデジタルプロセスは、プリフォーム及び最終的な所望の容器の両方のCAD図面を利用して、各々が一意のブロー成型プロセスを表し得る一組のブロー成型実験を開発し得る。次いで、シミュレーションソフトウェアプログラムを使用して各ブロー成型実験をシミュレーションして、実験によって定義されたプリフォーム及びブロー成型プロセスを使用して生成される容器の特性、例えば、壁厚、セクション重量、及び弾性率×壁厚を判定し得る。このようにしてブロー成型された容器をシミュレーションすることによって、想定又は提案されたブロー成型基準を繰り返し修正することを必要とせずに、理想的な寸法及び特性を有するボトルを生成する実験が選択され得る。
【0052】
例えば、
図1Aに示されるプロセス100Aは、いくつかの実施形態による、既存のプリフォームをブローするためのプロセスをデジタル的に最適化するためのプロセスを表すブロック図である。上で言及されるように、プリフォームを作成するために使用されるポリマーのNSRは、事前に判定することができる(ステップ102A)。いくつかの実施形態では、プリフォームを作成するために使用されるポリマーは、バージンPETである。いくつかの実施形態では、プリフォームを作成するために使用されるポリマーは、PET、rPET(リサイクルPET)、PGA(polyglycolic acid、ポリグリコール酸)、PEN(polyethylene naphthalate、ポリエチレンナフタレート)、若しくは他の好適なポリマー、又はこれらのブレンドである。いくつかの実施形態では、グラフェン添加剤などの繊維もポリマーに組み込まれ得る。
【0053】
ポリマーのNSRが提供されると、各々が所望の最終ボトルを生成するために使用され得る既存のプリフォーム設計群から候補プリフォームが選択され得る(ステップ104A)。候補プリフォーム設計は、すでに知られているプリフォーム設計であり得、その寸法と、プリフォーム材料のNSRを有する最終ボトル設計の寸法との比較に基づいて選択され得る。例えば、ステップ106Aにおいて、選択された候補プリフォーム及びプリフォームによって生成された最終ボトルの両方のCAD図面が、各実験が異なるブロー成型パラメータを含む第1の組のブロー成型実験を作成するために提供され得る。いくつかの実施形態では、各実験は、いくつかの定数ブロー成型パラメータ及びいくつかの可変ブロー成型パラメータを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、定数パラメータは、ボトル設計、プリブロー圧力、ポストブロー圧力、延伸ロッド速度、延伸ロッド直径、及びメルトフローレートを含む。定数パラメータは、これらの及び他のパラメータの全て又はサブセットを任意の組み合わせに含むことができる。
【0055】
プリブロー圧力は、プリフォームにブロー空気をブローする前に、ブロー成型プロセス中にプリフォームにブローされ得るプリブロー空気の圧力を指し得る。プリブロー空気の機能は、延伸ロッドがプリフォームを長手方向に延伸させながら、プリフォームを外向きに膨張させることであり得る。典型的には、プリブロー圧力は、ブロー圧力よりも低い。
【0056】
ポストブロー圧力(あるときには、保持圧力と呼ばれる)は、ボトルが金型内で完全に膨張されるときに印加される内部圧力を指し得る。内部圧力は、概してプリブロー圧力よりも高く、材料を金型表面全体に押し付けることによってボトルの最終形状を形成するのを補助する。
【0057】
延伸ロッド速度は、ブロー成型プロセス中に延伸ロッドがプリフォームの底部を押して、プリフォームを長手方向に膨張させる速度を指し得る。
【0058】
メルトフローレートは、ブロー成型プロセス中のポリマーの溶融物の流れ易さを指し得る。メルトフローレートは、プリフォーム温度、金型温度、空気流量、プリブロー圧力、及びポストブロー圧力に依存し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、可変パラメータは、プリフォーム及び金型全体のプリブロー圧力、プリブロータイミング、ブロー成型オーブン設定、及び温度分布を含む。可変パラメータは、これらの及び他のパラメータの全て又はサブセットを任意の組み合わせで含むことができる。
【0060】
プリブロータイミングは、プリブロー空気を作動させる時間、及びプリブロー空気が作動する時間の長さを指し得る。
【0061】
温度分布は、ブロー成型プロセス中のプリフォーム及び金型全体の熱分布を指し得る。プリフォーム上の温度分布は、オーブンの赤外線ランプ強度によって制御され得る。金型上の温度分布は、独立した発熱要素又は冷却流体の循環によって制御され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、定数パラメータの値は、第1の組のブロー成型実験における全ての実験について同じである。しかしながら、可変パラメータの値は、第1の組のブロー成型実験における実験のうちの少なくともいくつかについて異なる。
【0063】
次いで、シミュレーションしたブロー成型ボトルのデータが生成され得るように、シミュレーションソフトウェアを使用して、第1の組のブロー成型実験がシミュレーションされ得る。シミュレーションソフトウェアは、動的陽解FEAスキームを使用して、ボトルブローをシミュレーションし得る。シミュレーションしたブロー成型されたボトルごとの出力データは、シミュレーションしたボトルの様々なセクションの壁厚、シミュレーションしたボトルの様々なセクションのセクション重量、及び弾性率データを含み得る。
【0064】
シミュレーションしたブロー成型ボトルのデータが生成されると、例えば、ステップ108Aにおいて、許容範囲に入る寸法及び特性を有するシミュレーションしたボトルを生成した実験だけを含むように、第1の組のブロー成型実験がダウン選択され得るか、又は絞られ得る。ダウン選択プロセスは、
図2を参照しながら下で更に詳細に説明する。
【0065】
例えば、ステップ110Aにおいて、ダウン選択された実験群の特性に基づいて、ダウン選択された第1の組のブロー成型実験から第2の組のブロー成型実験を作成して、他の所望の性能特性を満たしながら、好適に広いプロセスウィンドウを有する実験が導出され得る。
【0066】
広いプロセスウィンドウは、ブロー成型パラメータ(例えば、プリブロー圧力、ブロー圧力、金型温度)の少なくとも5%の公差を指し得る。すなわち、パラメータは、少なくとも5%変化し得るが、それでも、所定の性能基準を満たすボトルを生成することができる。
【0067】
図2には、ダウン選択プロセスを表すブロック図が示されている。いくつかの実施形態では、ダウン選択プロセスは、(1)シミュレーションしたボトルの様々なセクションの最小壁厚(ステップ204)、(2)シミュレーションしたボトルの様々なセクションのセクション重量(ステップ206)、及び(3)弾性率×壁厚値(ステップ208)、を順番に検討した3つの基準に基づいて、第1の組の実験から実験を選択することを含む。
【0068】
最初に、次の実験結果を評価するために、最小壁厚、セクション重量、及び弾性率×壁厚の許容範囲が判定され得る(ステップ202)。
【0069】
具体的には、ダウン選択プロセス中に、肩部、上部パネル、下部パネル、及び基部のうちの1つ以上の最小壁厚値が検討され得る(ステップ204)。ボトルの選択されたセクションが特定の最小壁厚を有することを確実にすることは、熱膨張を低減すること(例えば、ボトルが寒冷気候から温暖気候へと輸送されたときにボトルの形状が失われるのを阻止し得る)、及び構造的荷重容量(例えば、頂部荷重強度)を維持することを支援し得る。評価されたセクションの最小壁厚値を満たさない実験は、次にセクション重量を検討する前に無視される。
【0070】
同様に、ダウン選択プロセス中に、ボトルの様々なセクションのセクション重量が検討され得る(ステップ206)。いくつかの実施形態では、ダウン選択プロセスの一部として、許容可能な壁厚値を有するものとして適格となった実験だけが、セクション重量について評価され得る。セクション重量は、ボトルの個々のセクション又は部分の重量を指し得る。ボトルは、多くの異なるセクションに分けられ得る。しかしながら、典型的には、検討されるセクションとしては、基部セクション、ラベルセクション、肩部セクション、及び完成セクションが挙げられる。ボトルの基部のセクション重量は、そのセクション重量が低過ぎる場合に一定の圧力下で基部の転倒が起こり得るので、ダウン選択プロセス中に特に注目され得る。セクション重量の要件を満たさない実験は、次に弾性率を検討する前に無視される。
【0071】
次に、ダウン選択中に、結果として生じたボトルの材料(すなわち、ポリマー)の弾性率が評価され得る(ステップ208)。いくつかの実施形態では、ダウン選択プロセスの一部として、許容可能なセクション重量値を有するものとして適格となった実験だけが、弾性率について評価され得る。弾性率は、変形に可逆的に抵抗するボトルの能力を表す。したがって、高い弾性率値が望ましくなり得る。いくつかの実施形態では、高い弾性率値は、ボトルがクラックのような脆性破壊を受けるのを阻止するように、対応して高い歪み限度を伴い得る。したがって、弾性率値は、ボトルの強度要件に基づいてダウン選択され得る。上で言及されるように、いくつかの実施形態では、ダウン選択プロセス200は、最初に、最小壁厚、セクション重量、及び弾性率×壁厚の許容範囲を判定すること含む(ステップ202)。許容範囲(すなわち、ダウン選択基準)は、既存のボトルに対して物理的に実行される試験によってではなく、FEA技術(例えば、物理的データが利用可能ではないとき)を通して導出され得る。
【0072】
許容可能な最小壁厚は、熱安定性試験(物理的なボトルであるか、FEAを通すかにかかわらず)から収集された熱安定性データに基づき得、また、シミュレーションしたボトルの最大熱膨張値と相関し得る。例えば、許容可能な最小壁厚は、それでも熱膨張を閾値許容可能なレベルを下回って制限する最小値であり得る。更に、最小壁厚は、保証又は所望に応じて、ボトルの特定のセクションを評価して範囲を設定することができる。例えば、ボトルのいくつかのセクションは、ボトルの各セクションが通常の使用中に受け得る、及び耐えることが予想され得る力に応じて、他のセクションよりも大きい壁厚を保証し得る。
【0073】
上で言及されるように、膨張(例えば、密閉容器内の体積の膨張)を制限することは、清涼飲料などの消費財を包装するために使用される完成したブロー成型ボトルの性能に重要であり得る。例えば、膨張が最小化される場合、ボトルを、寒冷気候を有する場所から温暖気候を有する場所へと輸送した場合に、又は炭酸飲料を含むことによる圧力の上昇により、ボトルが膨張する可能性が低くなる。ボトルの膨張を制限することによって、ボトルは、その審美的な特性を維持し得、より容易に輸送され得、かつ製品が破損するリスクの低減を可能にし得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、許容可能な最大膨張値は、約3%(例えば、ボトルの高さ又は幅の増加が3%以下)であり得る。いくつかの実施形態では、許容可能な最大膨張値は、約3%(例えば、0%~3.5%の範囲)であり得る。かかる許容可能な最大膨張値は、プリフォームによって形成されるボトルの設計に依存し得る、特定の最小値を有する壁厚から得られ得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、シミュレーションしたボトル又は既存のボトルの各セクションの最小壁厚は、シミュレーションした又は既存のボトルのラベルパネルに実行された貯蔵寿命研究及び透過研究を介して取得した、厚さ対膨張データから判定される。
【0076】
許容可能なセクション重量の値も判定され得る(ステップ202)。いくつかの実施形態では、シミュレーションしたボトルの少なくとも1つのセクションの許容可能なセクション重量の値が判定され得る。いくつかの実施形態では、ボトルは、基部セクション、把持部セクション、ラベルセクション(パネル底部セクション及びパネル頂部セクションに分けられ得る)、肩部セクション、及び完成セクションに分けられ得、これらのセクションのうちの少なくとも1つ(例えば、組み合わせ、又は全て)が判定され得る。しかしながら、ボトルはまた、他の方法で、例えばパネル頂部、パネル底部、把持部、及び基部などにセクション化され得る。
図4Aは、示された例示的なセクションを有する参考のボトルを示す。いくつかの実施形態では、ボトルのセクションごとのセクション重量の許容範囲は、シミュレーションであるか(例えば、加圧研究FEA又は頂部荷重研究FEAなどにおけるFEA技術を使用する)、物理的であるか(例えば、既存のボトルに実行される加圧研究又は頂部荷重研究)にかかわらず、加圧研究又は頂部荷重研究のうちの1つ以上によって判定される。
【0077】
具体的には、基部の最小重量が、ボトルが圧力の変化を受けた場合に基部の転倒を防止するのを補助し得るので、基部セクションのセクション重量は、許容可能なボトル性能の重要な指標であり得る。
【0078】
許容可能な弾性率×壁厚の値も判定され得る(ステップ202)。いくつかの実施形態では、プリフォームを作成するために使用される材料の弾性率は、既存の実験データから、又は機械的試験を通して、例えば、単軸試験機械若しくは応力及び歪み測定値を取得することができる任意の他の試験装置を使用することによって判定される。プリフォーム材料の所望の弾性率は、使用されるポリマー又はポリマーブレンドに依存し得る。
【0079】
ステップ202、204、206、及び208が完了すると、許容可能な壁厚、セクション重量、及び弾性率×壁厚値を有するものとして成功裏に適格となった第1の組からの実験に基づいて、第2の組の実験が設計され得る。
【0080】
任意選択的に、ボトルの透明度について更にダウン選択するために、ステップ208の後に、かつ第2の組の実験が設計される前に、更なるダウン選択ステップが行われ得る。結果として生じたボトルの透明度を示す式は、実験結果に適用することができ、同じく透明度の許容可能な値に対応する実験は、第2の組の実験が設計されるものであり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、次いで、シミュレーションソフトウェアを使用して第2の組のブロー成型実験をシミュレーションして、プリフォーム及び各実験によって生成されたシミュレーションしたブロー成型ボトルの特性が判定され得る。いくつかの実施形態では、特性は、少なくとも、プリフォームの重量、シミュレーションしたボトルの壁厚、及びプロセスウィンドウの広さを含む。
【0082】
第2の組のブロー成型実験から、最終実験は、例えば、プロセス100Aのステップ112Aにおいて選択され得、ブロー成型命令は、例えば、ステップ114Aにおいて、選択された実験に基づいて生成され得る。プロセス100Aを使用して生成されたブロー成型命令を使用して、命令が初めて実行されたときに所望の仕様を有するブロー成型ボトルが生成され、それによって、これまで利用していた試行錯誤プロセスに対する必要性が排除され得る。具体的には、上で説明されるように、ブロー成型命令は、最小壁厚値以上の壁厚値及び最小セクション重量値以上のセクション重量値を有する完成ボトルを生成するそれらの能力に基づいて生成され得る。
【0083】
更に、実験の各々に生成される弾性率×壁厚データは、既存のプリフォームを軽量化することができるかどうかを判定するのを補助することができる。シミュレーションしたボトルの弾性率×壁厚値は、最終ボトルの所望の弾性率値に対応する理想的な壁厚値を表し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、ブロー成型命令は、少なくとも、ボトル設計、プリフォーム温度、プリブロー圧力、ポストブロー圧力、プリブロータイミング、延伸ロッド速度、延伸ロッド直径、延伸ロッド変位、プリブロー期間、ブロー圧力、延伸ロッド直径、死容積、空気質量流量、金型温度、及び基部金型温度を含む。
【0085】
上で言及されるように、新しいプリフォーム設計のブロー成型命令を生成するために、デジタル方法も同様に使用され得る。典型的には、ボトルプリフォームを生成するために、バージンPETが使用される。しかしながら、新しいプリフォームの設計には、PETブレンド又は他のポリマーブレンドの使用が望ましくなり得る。新しいPETブレンド又は他のポリマーブレンドは、現在の使用中PETとは異なるNSRを有し得、それは、材料のNSRを補償するようにカスタマイズされた新しいプリフォーム設計の機会又は必要性を提供し得る。例えば、
図3A及び
図3Bに示されるように、プロット300A及び300Bは、それぞれ、バージンPETとPETブレンド(すなわち、PETが別のポリマーと混合されている)とを比較したときの、平均弾性率対延伸比及び平均弾性率対変形率を示す。プロット300A及び300Bは、PETブレンドが全ての延伸比に対して、及び全ての変形率に対してより高い平均弾性率値を呈することを示しており、これは、より耐久性のあるボトルを作成する際に有益であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、プロセスは、所望のボトルの新しいプリフォーム及び関連するブロー成型命令をデジタル設計するために使用され得る。いくつかの実施形態では、プロセス100Bの新しいプリフォーム設計は、新しいポリマーブレンドを利用し得る。プロセス100Aと同様に、ボトルプリフォームを作成するために使用されるポリマー又はポリマーブレンドのNSRが判定される(ステップ102B)。新しいプリフォーム設計のCAD図面が作成され得(ステップ204B)、ブロー成型命令を使用して生成される最終ボトルのCAD図面が提供され得る。プリフォームのCAD図面は、最終ボトル設計の寸法及びプリフォーム材料のNSRに基づいて作成され得る。
【0087】
次いで、ステップ106Bにおいて、例えば、各々が異なるブロー成型パラメータを有する、第1の組のブロー成型実験が作成され得る。例えば、上で考察されるように、いくつかの実施形態では、各実験は、いくつかの定数ブロー成型パラメータ及びいくつかの可変ブロー成型パラメータを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、定数パラメータは、ボトル設計、プリブロー圧力、ポストブロー圧力、延伸ロッド速度、延伸ロッド直径、及びメルトフローレートを含む。定数パラメータは、これらの及び他のパラメータの全て又はサブセットを任意の組み合わせに含むことができる。いくつかの実施形態では、可変パラメータは、プリフォーム及び金型全体のプリブロー圧力、プリブロータイミング、ボー金型オーブン設定、及び温度分布を含む。可変パラメータは、これらの及び他のパラメータの全て又はサブセットを任意の組み合わせで含むことができる。
【0089】
次いで、シミュレーションソフトウェアを使用して第1の組のブロー成型実験をシミュレーションして、各々が特定の壁厚、セクション重量、及び弾性率を有する、シミュレーションしたブロー成型されたボトルが生成され得る。シミュレーションソフトウェアは、動的陽解FEAスキームを使用して、ボトルブローをシミュレーションし得る。ステップ108Bにおいて、例えば、上で説明されるダウン選択プロセス200に従って、第1の組のブロー成型実験をダウン選択して、第2の組のブロー成型実験が判定され得る。ダウン選択プロセス(ステップ108B)の結果に基づいて、(例えば、第2の組の実験の定数パラメータとして)プリフォーム内径が識別及び設定され得る。ステップ110Bにおいて、例えば、新しいプリフォーム設計がまだ判定されていないので、プリフォームの外径が可変のままであるので、プロセス100Bがプロセス100Aとは異なる。例えば、
図4Bに示されるように、プリフォーム設計400は、第1の内径402、第2の内径404、プリフォーム長406、首部セクション408、及び外径410を含み得る。第1の内径402、第2の内径404、プリフォーム長406、及び首部セクション408の寸法が(例えば、既存のプリフォーム設計に基づいて)設定され得る。しかしながら、これまで使用されていないポリマーブレンドから作製され得る新しいプリフォーム設計が実際にボトルをブロー成型するために使用されたことがない場合があるので、外径410は未知であり得る。したがって、完成ボトルの所望の寸法及び特性を判定し得るプリフォームの外径値を確立する必要がある。したがって、ステップ110Bにおいて、各実験が異なる外径値を含む第2の組のブロー成型実験が作成され得る。
【0090】
第2の組のブロー成型実験は、第1の組の実験のダウン選択された結果に基づき得、また、シミュレーションソフトウェアを使用してシミュレーションして、第2の組のシミュレーションしたブロー成型ボトルが生成され得る。次いで、シミュレーションしたボトルの各々を評価して、例えば、
図8及び
図9に示されるように、弾性率×厚さプロットを使用してその弾性率×壁厚値が判定され得る。シミュレーションしたボトルの弾性率×壁厚値は、最終ボトルの所望の弾性率値に対応する理想的な壁厚値を表し得る。いくつかの実施形態では、弾性率×厚さプロットの曲線の形状は、シミュレーションしたブロー成型されたボトルの輪郭に対応し得る。
【0091】
したがって、先に説明されるように、実験は、広いプロセスウィンドウを提供する第2の組のブロー成型実験から選択され得(ステップ112B)、好ましい弾性率×壁厚値を含む。選択された実験に基づいて、ブロー成型命令が生成され得る(ステップ114B)。
【0092】
図5~
図7は、様々なプリフォームからボトルを生成するためのブロー成型命令を生成する際の、本明細書に説明されるプロセスの能力を示す。
【0093】
例えば、
図5に示されるプロット510は、既存のプリフォーム設計の壁厚分布を示すが、プロット520は、本明細書に説明される方法を使用して設計されたプリフォームの壁厚分布を示す。厚さは、複数の位置(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの位置)において同時に判定され得る。例えば、
図5に示されるように、厚さは、パネル頂部、パネル底部、把持部、及び基部として指定された4つの一貫した位置において判定される。示されるように、新しく設計されたプリフォームは、主に貯蔵寿命及び透過研究によって判定される最小壁厚504、並びに全てのシミュレーションした実験を通じて熱安定性試験によって判定される最小壁厚502のどちらよりもかなり厚い壁厚を呈する。
【0094】
更に、
図6に示されるプロット600は、本明細書に説明される方法を使用して選択された実験の厚さプロファイル620対既存のプリフォーム設計の厚さプロファイル610を示す。示されるように、選択された実験の厚さ値は、既存のプリフォーム設計の厚さ値よりも大きい。更に、FEAレンダリング612及び622にそれぞれ示される、既存のプリフォーム設計及び選択された設計の厚さ分布から得られた設計は、シミュレーションしたボトルの基部にいかなる薄い地点も伴わずに、レンダリング622よりも均一な厚さ分布を示す。
【0095】
同様に、
図7に示されるプロット700は、既存の設計の選択された実験の弾性率プロファイル720対厚さプロファイル712を示す。例えば、選択された実験の弾性率値は、プロットに沿った全ての点において既存の設計の弾性率値ほど高くないが、既存の設計及び選択された実験をそれぞれ表すFEAレンダリング712及び722によって示されるように、全体的な弾性率分布は、はるかに均一である。
【0096】
例えば、
図8のプロット800には、開示されたプロセスの有効性が更に示されており、これは、いくつかの実施形態による、既存のプリフォーム設計プロファイル802及びダウン選択された実験の弾性率×壁厚プロファイル804をそれぞれ示す。プロット800に示されるように、ダウン選択された実験を表す弾性率×壁厚プロファイル804は、既存のプリフォーム設計を表す弾性率×壁厚プロファイル802よりもはるかに均一分布しており、かつ一定である。したがって、最終的なダウン選択された実験によって生成されたボトルは、全体を通して均一な厚さ値及び弾性率値を有する可能性があり、一方で、既存のプリフォーム設計から生成されたボトルは、薄過ぎる壁厚を有する、又は低過ぎる弾性率値を有するいくつかのセクションを有する可能性がある。
【0097】
図8のデータの別の見方をすれば、弾性率×壁厚プロファイル804は、その高さに沿った特定の領域において、従来のFEAを介して判定され得る所定の最小値(ライン810によって表される)よりも大きい。例えば、圧力破壊試験に関する従来のFEAは、ボトル高さの100mm~150mmの間で、弾性率×壁厚を750(
図8で許容可能な最小値ライン810によって表される)を上回ったままにしておかなければならないことを明らかにし得る。
【0098】
既存のプリフォームプロファイル802と、ダウン選択された実験プロファイル804とを比較すると、
図8の806においてかなりの偏差を示し、また、既存のプリフォームプロファイル802の弾性率×壁厚が、既定された最小値ライン810を下回って減少することを示している。これは、領域806が、既存のプリフォームの対応する部分の厚さを、ダウン選択された実験プロファイルにより近づけさせるように修正して、改善された性能を達成することができることを強調している。
【0099】
図9のプロット900に示されるように、例えば、領域906には、ボトルが既存のプリフォーム設計から形成されたことを表す曲線902と、ダウン選択された実験において使用されたプリフォームを表す曲線904との間に間隙が存在する。間隙906は、その領域にはボトルの所望の材料分布及び性能特性を満たすために必要とされるよりも多くの材料が存在するので、ダウン選択された実験を使用して、間隙906に対応する曲線902上の地点における材料の量が低減されるように、既存のプリフォーム設計が修正され得ることを示す。
【0100】
「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者によって考えられるように、本発明の1つ以上であるが全てではない例示的な実施形態を示し得るが、決して本発明及び添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0101】
特定の実施形態の前述の説明は、当業者が知識を適用することにより、他の人にも可能である、そのような特定の実施形態を様々な用途に容易に変更及び/又は適合させ、過度の実験をすることなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするであろう。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書で提示した教示及び指導に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書の表現法又は用語法は、説明を目的とするものであって、限定するものではないことを理解されたく、その結果、本明細書の用語法又は表現法は、教示及び指導の観点から当業者によって解釈されるべきである。
【0102】
本発明の広がり及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではないが、特許請求の範囲及びそれらの等価物に従ってのみ規定されるべきである。
【国際調査報告】