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  • 特表-ホスゲンの製造方法 図1
  • 特表-ホスゲンの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ホスゲンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/80 20170101AFI20240920BHJP
   C07C 263/10 20060101ALI20240920BHJP
   C07C 265/14 20060101ALI20240920BHJP
   C08G 64/22 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C01B32/80
C07C263/10
C07C265/14
C08G64/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520692
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022077162
(87)【国際公開番号】W WO2023057311
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】21201336.1
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ブラン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ルーケン,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4H006
4J029
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AB46
4H006AC55
4J029AA09
4J029AB05
4J029BB04A
4J029BB09A
4J029BB10A
4J029BB11A
4J029BB16A
4J029HA01
(57)【要約】
本発明は、塩素および一酸化炭素からホスゲンを製造(1)する方法に関し、この方法は、メタノールの触媒分解(4)によって得られる一酸化炭素を提供し、この提供される一酸化炭素(2)を塩素と反応させてホスゲン(3)を形成することを特徴とする。この方法を使用すると、再生可能エネルギーの提供に変動の可能性にもかかわらず、イソシアネートおよびポリカーボネートの製造のための低排出ホスゲンを提供することができる。メタノールは、一酸化炭素の供給源として機能し、この目的のために使用されるメタノールは、好ましくは水素およびCOx(x=1または2)からの再生エネルギーを使用して提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素および一酸化炭素からホスゲンを製造するプロセスであって(1)、メタノールの触媒分解(4)により得られる一酸化炭素を提供し、この提供された一酸化炭素(2)を塩素と反応させてホスゲン(3)を得ることを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
メタノールの触媒分解(4)の前に、電気化学反応、均一系触媒反応または不均一系触媒反応から選択される変換(6)のプロセス生成物であるメタノール(5)を供給することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
メタノールの触媒分解(4)の前に、少なくともCO(x=1または2)および任意に水素、好ましくはCOおよび水素、を含むガス流の変換(6)のプロセス生成物であるメタノール(5)を供給することを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
メタノールの触媒分解(4)の前に、メタンの水蒸気改質、炭化水素の部分酸化、バイオマスのガス化、電気分解、逆水性ガスシフトの群からの方法または方法の組み合わせによって得られる一酸化炭素-および水素-含有ガス流の変換のプロセス生成物であるメタノール(5)を供給することを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項5】
メタノール(5)を供給するために、それを貯蔵容器から取り出し、および/または請求項2~4の少なくとも1つのプロセスによって予め連続プロセスにおいて製造し、それぞれの場合に触媒分解(4)に供給することを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
さらなる工程において、形成されたホスゲン(3)を少なくとも1種の有機アミンとの反応(9)に供給して、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(好ましくはジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートまたはそれらの混合物から選択される)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンまたはシクロヘキシルジイソシアネートから選択される少なくとも1つの化合物を得ることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
さらなる工程において、形成されたホスゲン(3)を、少なくとも1つのジヒドロキシアリール化合物との反応(9)に供給して、ポリカーボネートを得ることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
メタノールの触媒分解(4)のために、メタノール(5)が、500℃未満、特に400℃未満の温度で触媒的に分解されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
メタノールの触媒分解(4)のために、メタノール(5)が、50バール未満、特に40バール未満の絶対圧力で触媒的に分解されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
触媒分解(4)のために提供されるメタノール(5)を、ガス状メタノールとして触媒と接触させ、触媒的に分解して、一酸化炭素(2)および任意に、さらに水素ガスを形成することを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
メタノールの触媒分解(4)のために、ガス状メタノールが触媒上を通過し、その活性成分が少なくとも1つの遷移金属種を含有することを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
メタノールの触媒分解(4)のために、担体に適用される少なくとも1つの遷移金属種を含有する触媒が使用され、特に元素周期表の第VII族、第VIII族または第XI族から選択される少なくとも1つの遷移金属種が担体に適用されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
(i)メタノールの触媒分解(4)に供給される、提供されたメタノール(5)が、COの水素ガスとの反応(6)のプロセス生成物であり、および
(ii)すでに提供されているメタノール(5)の触媒分解(4)が、一酸化炭素(2)だけでなく、付加的に水素ガスを与えることを特徴とし、
ただし、触媒分解(4)で形成された水素ガスは、COの水素ガスとの反応に供給されて、メタノール(5)を与える、前述の請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
塩素および一酸化炭素からホスゲンを製造するための多構成要素システムであって、少なくとも
i)第1の構成要素として、メタノールの触媒分解からプロセス生成物として得られる一酸化炭素、および
ii)第2の構成要素として、少なくとも
・ 第1の構成要素を含む少なくとも1つの供給導管、および
・ 前記供給導管と流体連通している一酸化炭素のための少なくとも1つの入口と、塩素のための少なくとも1つの入口と、ホスゲンのための少なくとも1つの出口とを有するホスゲンの製造のための少なくとも1つの装置
を備える、多構成要素システム。
【請求項15】
第1の構成要素を含む少なくとも1つの供給導管が、第1の構成要素の製造のための装置と追加的に流体連通しており、ここで、第1の構成要素の製造のための装置は、メタノールのための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの触媒と、第1の構成要素を含む生成物ガスのための少なくとも1つの出口とを備え、ここで、前記生成物ガスのための出口が、任意に精製のための装置を介して、第1の構成要素を含む第2の構成要素のための少なくとも1つの供給導管と流体連通していることを特徴とする、請求項14に記載の多構成要素システム。
【請求項16】
第1の構成要素を製造するための装置における触媒が、元素周期表の第VII族、第VIII族または第XI族から選択される少なくとも1つの遷移金属種から選択され、好ましくは担体に適用されていることを特徴とする、請求項14または15に記載の多構成要素システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用できる生成物が、特に合成ガスが、メタノールから得られ、例えば化学的に、有機イソシアネートまたはポリカーボネートに変換することができるホスゲンの化学的製造のための反応物として提供するために使用されるプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
対応する有機アミンをホスゲンと反応させることによるジイソシアネート類およびポリイソシアネート類の工業規模の製造は、先行技術から長い間知られている;反応は、気相または液相で、バッチ式または連続的に行うことができる(W.Siefken,Liebigs Ann.562,75-106(1949))。第一級アミン類およびホスゲンから有機イソシアネート類を製造するプロセスについては、既に多数の記載がある;例えば、Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie[Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry]、第4版(1977)、第13巻、351~353頁、およびG.Wegenerら、Applied Catalysis A:General 221(2001)、303~335頁、Elsevier Science B.V.。ここでは、芳香族イソシアネート類、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート(MMDI-「モノマーMDI」)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート類(すなわち、PMDI、「ポリマーMDI」を含むMMDIの高級同族体(higher homologs);これらはMMDI構成要素との混合物において工業的に常に得られる)またはトリレンジイソシアネート(TDI)、および脂肪族イソシアネート類、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)の両方が、世界規模で使用されている。
【0003】
ポリカーボネート類は主に、ジフェノールまたは複数の異なるジフェノールとハロゲン化カルボニルとの界面法による反応によって、工業規模で製造される。界面法によるポリカーボネートの製造は、既にSchnell、“Chemistry and Physics of Polycarbonates”、Polymer Reviews、Volume 9、Interscience Publishers、New York、London、Sydney 1964、33-70頁;D.Freitag、U.Grigo、P.R.Mueller、N.Nouvertne’、BAYER AG、“Polycarbonates” in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第11巻、第2版、1988、651-692頁に記載されている。
【0004】
さらに、ポリカーボネートを製造するための界面法は、EP0517044A2またはEP520272A2にも記載されている。
【0005】
ポリカーボネートは、アルカリ水溶液もしくは懸濁液中のジフェノールの二ナトリウム塩、またはアルカリ水溶液もしくは懸濁液中の2種以上の異なるジフェノールの混合物の初期投入物を、カルボニルハライド、特にホスゲンと、不活性有機溶媒または溶媒混合物の存在下で反応させることによって、界面法によって製造される。
【0006】
シェルアンドチューブ反応器中での活性炭触媒上でのCOおよび塩素からの対応する有機アミンのホスゲン化に使用されるホスゲンの工業規模の製造は、同様に先行技術から知られている(例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、第A19巻、413f頁、VCH Verlagsgesellschaft mbH、Weinheim、1991)。これは、化学量論的過剰量の一酸化炭素を塩素と混合し、それらを固定床触媒上に通すことを含む。工業目的で使用される触媒は活性炭であり;好適な活性炭の選択は、現在までの経験的なものである(Mitchellら:Selection of carbon catalysts for the industrial manufacture of phosgene;Catal.Sci.Technol.、2012、2、2109-2115)。
【0007】
イソシアネート製造に必要な有機アミンは、典型的には対応する有機ニトロ芳香族化合物を触媒を用いて水素化することによって工業規模で製造される。例えば、EP1882681Aの明細書には固定触媒上で、気相中でニトロ芳香族化合物類を芳香族アミン類に断熱水素化するプロセスが記載されており、この方法では変換されるべきニトロ芳香族化合物を、水素、水、および任意に窒素と一緒に、かつ本質的にニトロ芳香族化合物から製造される芳香族アミンの非存在下で、高温で触媒上を通過させる。
【0008】
塩素は、HClの変換(電気分解または触媒変換)またはNaClの変換(電気分解)によって工業的に製造される。HClリサイクルプロセスは先行技術(Ullmann Enzyklopaedie der technischen Chemie、Weinheim、第4版、1975、第9巻、357ff頁またはWinnacker-Kuechler:Chemische Technik、Prozesse und Produkte[Chemical Technology,Processes and Products]、Wiley-VCH Verlag、第5版、2005、第3巻、512ff頁)から知られており;これらは特に塩酸の電気分解と塩化水素の酸化が含まれる。1868年にDeaconによって開発された、発熱平衡反応における酸素による触媒的塩化水素酸化のためのプロセスは、工業的塩素化学の起源であった:
【化1】
【0009】
NaClの電気分解(塩素-アルカリプロセス)はDeaconのプロセスを二次的な役割に押し進めてきたが、それにもかかわらず、工業的に使用されている。実質的に全ての塩素は、塩化ナトリウム水溶液の電気分解によって製造された(Ullmann Encyclopedia of Industrial Chemistry、第7版、2006)。
【0010】
現在、水素および一酸化炭素は、主に水蒸気改質プロセスによって生成される。これは、不均一系触媒を用いた水蒸気によって炭化水素を水素および一酸化炭素生成物に変換することを含む。ここで使用される出発材料は主に天然ガスであるが、冶金ガス、残留材料(例えば、プラスチック包装廃棄物、マットレスまたは他のポリマー残留材料)またはナフサを使用することも可能である。
【0011】
吸熱反応(プロセス温度:800~900℃)は、典型的にはニッケル触媒を充填したシェルアンドチューブ反応器中で行われ、以下のプロセス/反応から構成される:
【化2】
【0012】
生成物ガスの組成は、プロセスパラメータに大きく依存する。ここで最も重要なパラメータは、圧力、改質ガス温度、および水蒸気と炭化水素との間の比である。
【0013】
天然ガスの使用に関しては、天然ガスがプロセスで使用され得る前に精製されなければならないことが加えられるべきである。ここでは、高沸点物を分離するだけでなく、供給ガスから可能性のある触媒毒を除去することも必要である。ここで、特に強力な触媒毒である硫黄を除去することが必須である。天然ガスと同様に、より高級な炭化水素を使用することも可能である。しかしながら、予備改質工程がこの目的のために必要とされる。
【0014】
合成ガスの回収において、エネルギー結合は、複数のプロセスの組み合わせによって達成することができる。ここで、吸熱水蒸気改質プロセス
【化3】
は、発熱部分酸化(Hに富む合成ガスを生成する炭化水素の部分燃焼;ULLMANN’S Encyclopedia of Industrial Chemistry:“gas production”、2016を参照されたい)に結合され、その結果、水蒸気改質器は、部分酸化からの高温の出口ガスで加熱される。上述のプロセスのこのような組み合わせは、例えば、US6730285B2に記載されている。
【0015】
最終用途に応じて、得られた合成ガスは、さらなる処理工程に供される。例えば、水性ガスシフト反応は、既存のCO/H混合物中の水素含有量を増大させるために工業的に利用される。これは、不均一系触媒上でCOをHOと反応させることを含む:
【化4】
【0016】
このプロセスは、より高い条件(350~400℃)またはより穏やかな条件(200~250℃)下で利用することができる。
【0017】
CO含有合成気体を製造するためのさらなるプロセスは、電気化学的CO還元である。ここで、CO電解は例えば、600℃を超える温度で運転される高温電解であってもよく、場合によっては、合成ガスの製造のために水分を加える。高温電解は原則として知られており、例えばHaldor Topsoe、eCOs(商標)から市販されている。高温電気分解の間、酸素もアノードで製造される。
【0018】
低温電気分解では、COが特に、ガス拡散電極において一酸化炭素および場合によっては水素に変換される。同時に、O、または場合によっては代替的には塩素もアノードで発生させることができる。このプロセスは例えば、T.Haasら、Nature Catalysis 2018、1、32-39に記載されている。
【0019】
公知の原理によれば、MEA(膜電極接合体)の概念は、低温電気分解にも使用することができる。この場合、触媒が膜に適用される。上流ガス拡散層は、ガスおよび液体の輸送を調節する。これは、アノード側とカソード側の両方で行うことができる。ガス拡散電極を膜と直接接触させることも可能である。
【0020】
CO含有合成ガスを製造するさらなる方法は、逆水性ガスシフト反応(RWGS)である。
【0021】
合成ガス成分のさらなる精製は、後続の製造工程に依存する。例えば、アンモニアの合成のためには、全てのCO構成要素を除去しなければならず、これは典型的にはスクラビングプロセスによって行われる。ここでは、メタン化またはN2スクラビングによって微量のCOが除去される。さらに、必要に応じて、さらなる精製のために圧力スイング吸着を使用することも可能である。
【0022】
メタノールは、今日では50~120barの圧力範囲内で作用する、いわゆる低圧プロセスによってほとんど専ら工業規模で製造されている。250~400バールで動作する従来の高圧プロセスと比較して、したがって、製造コストおよび資本コストを大幅に低減することが可能であった。プロセス圧の低下は、ZnO/Cr触媒ではなくCu/ZnO触媒の使用によって最終的に可能になった。この切り替えは、特に、プロセスレジームの進歩(供給物中の可能な触媒毒の低減を含む)によってもたらされた。ここでのCu/ZnO触媒の特別な利点は、合成が著しく低い温度(200~300℃)で行われ得、最終的にはより低いシステム圧力を必要とすることである。
【0023】
メタノール合成のために、炭素酸化物は、水素(合成ガス)と一緒に変換される。このプロセスは発熱性であり、以下の反応式によって説明することができる:
【化5】
【0024】
両方の反応は、同様に発熱性の水性ガスシフト反応によってカップリングされ、これは以下のように記載することができる:
【化6】
【0025】
メタノール合成に典型的に使用されるのは、主にCOおよびHからなる合成ガスであり、その構成は最適な利用に大きな影響を及ぼす。D1によれば、組成は、化学量論比(SN)を介して記述することができる:
【数1】
【0026】
SN=2の場合、反応物は、上記の反応式に従って化学量論比で存在する。しかし、実際には、合成ガス中のより高い水素含有量によって達成されるSN(2.01-2.1)のわずかに高い値が使用される(Dittmeyerら、“Chemische Technik”[Chemical Technology]、第4巻、第5版)。しかしながら、この最適化された組成にもかかわらず、完全な変換は、熱力学的観点から不可能である。したがって、未変換反応物の再循環は絶対に必要である。
【0027】
反応器内で起こるプロセスの結果として、反応器から出る生成物は、さらに精製されなければならない。例えば、かなりの量の水が存在するが、ジメチルエーテル、ギ酸メチルまたは高級アルコールなどの少量のさらなる副生成物も存在する。生成物混合物は、典型的にはここでは蒸留によって分離される。
【0028】
技術的側面に関して、メタノール合成は、非常に実質的に最適化されていると考えられる。それにもかかわらず、さらなる最適化は例えば、個々のプロセス段階間のエネルギー交換を改善することによって達成することができる。例えば、合成ガスの回収において、エネルギー結合は、複数のプロセスの組み合わせによって達成することができる。ここで、吸熱水蒸気改質プロセス
【化7】
は、吸熱部分酸化(炭化水素の部分燃焼、これはHに富む合成ガスをもたらす;US6340437B1を参照されたい)に結合され、その結果、水蒸気改質器が部分酸化からの高温出口ガスで加熱される。上述のプロセスのこのような組み合わせは、例えば、US6730285B2に記載されている。
【0029】
メタノールは、COとHの反応によって実質的に全ての工業的に運転されるプラントで製造されるが、原料としてのCO(上記参照)の使用(例えば、ChemCatChem 2019、11、4238-4246参照)が、ますます集中的に追求されている。ChemCatChem 2019、11、4238-4246は、230℃および50barでの平衡収率を30%として記載している。
【0030】
メタノールの分解による合成ガスの製造は、公知の商業的プロセスである。このプロセスは、反応が同じ化学平衡を介して進行するので、上記の工業的メタノール製造の逆反応とみなすことができる。しかしながら、正味の反応式は同じであるにもかかわらず、逆反応のメカニズムはメタノール合成とは異なることが知られている(Topics in Catalysis、第2巻、第3-4番、2003年4月)。水分の非存在下では、水素の放出を伴ってギ酸メチルが最初にここで形成され、次いでCOおよびHに分解する:
【化8】
【0031】
水の存在下で、反応は、一般に知られているメタノール改質装置の基礎を形成する。ここでの標的生成物は、水性ガスシフト反応と同様に、COおよびHである:
【化9】
【0032】
US6583084は、気相中のメタノールの分解による水素の製造を記載している。Cu系触媒が使用される。
【0033】
EP0409517は、メタノールから合成ガスを製造するプロセスを記載している。ここで使用される触媒は、Cr系材料およびZn系材料である。ここで、触媒は、様々な材料でドープされてもよい。分解は、270℃と400℃の間の温度および20kgcm-2の圧力(約20barに相当)で起こる。反応は、シェルアンドチューブ反応器中で行われる。
【0034】
US20050108941Aは、懸濁液中のメタノールの変換によって水素または合成ガスを製造するためのプロセスを記載している。これは、銅、酸化亜鉛、アルミニウムおよびクロムからなる触媒を使用することを含む。
【0035】
US6699457は、懸濁液中または気相中でメタノールを変換することによって水素または合成ガスを製造するプロセスを記載している。ここで用いられる活性触媒構成要素は、第VIII族遷移金属である。このプロセスは例えば、400℃未満の温度で行われ、ここで、システム内の圧力は、使用される水および炭化水素(「酸素化炭化水素」)が液体の形態であるように、調整される。
【0036】
触媒の選択と同様に、水の存在もプロセスの選択性に有意な影響を及ぼすことを要約することができる。水の存在は例えば、合成ガス中のCOの割合を低下させることができる。
【0037】
水素を製造するためのさらなるプロセスは、水の電気化学的変換である。ここで、水は、電気を使用して水素と酸素とに分割される。公知のプロセスは例えば、EP3489394Aに記載されているプロトン交換電気分解(PEM)である。さらなるプロセスは、アルカリ水電気分解である。2つのプロセスは特に、プロセスパラメータ、例えば、温度、圧力およびpHによって異なる。しかしながら、2つのプロセスは、水素および酸素の標的生成物をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0517044号
【特許文献2】欧州特許出願公開第520272号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1882681号
【特許文献4】米国特許第6730285号
【特許文献5】米国特許第6340437号
【特許文献6】米国特許第6730285号
【特許文献7】米国特許第6583084号
【特許文献8】欧州特許第0409517号
【特許文献9】米国特許出願公開第20050108941号
【特許文献10】米国特許第6699457号
【特許文献11】欧州特許出願公開第3489394号
【非特許文献】
【0039】
【非特許文献1】W.Siefken,Liebigs Ann.562,75-106(1949)
【非特許文献2】Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie[Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry]、第4版(1977)、第13巻、351~353頁
【非特許文献3】G.Wegenerら、Applied Catalysis A:General 221(2001)、303~335頁、Elsevier Science B.V.
【非特許文献4】Schnell、“Chemistry and Physics of Polycarbonates”、Polymer Reviews、Volume 9、Interscience Publishers、New York、London、Sydney 1964、33-70頁
【非特許文献5】D.Freitag、U.Grigo、P.R.Mueller、N.Nouvertne’、BAYER AG、“Polycarbonates” in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第11巻、第2版、1988、651-692頁
【非特許文献6】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、第A19巻、413f頁、VCH Verlagsgesellschaft mbH、Weinheim、1991
【非特許文献7】Mitchellら:Selection of carbon catalysts for the industrial manufacture of phosgene;Catal.Sci.Technol.、2012、2、2109-2115
【非特許文献8】Ullmann Enzyklopaedie der technischen Chemie、Weinheim、第4版、1975、第9巻、357ff頁
【非特許文献9】Winnacker-Kuechler:Chemische Technik、Prozesse und Produkte[Chemical Technology,Processes and Products]、Wiley-VCH Verlag、第5版、2005、第3巻、512ff頁
【非特許文献10】Ullmann Encyclopedia of Industrial Chemistry、第7版、2006
【非特許文献11】ULLMANN’S Encyclopedia of Industrial Chemistry:“gas production”、2016
【非特許文献12】T.Haasら、Nature Catalysis 2018、1、32-39
【非特許文献13】Dittmeyerら、“Chemische Technik”[Chemical Technology]、第4巻、第5版
【非特許文献14】ChemCatChem 2019、11、4238-4246
【非特許文献15】Topics in Catalysis、第2巻、第3-4番、2003年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本発明が解決しようとする課題は、これにより、再生可能エネルギーの提供における変動の可能性にもかかわらず、イソシアネート類およびポリカーボネート類の製造のために低排出ホスゲンを提供することができるホスゲンの製造プロセスを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明はまず、塩素および一酸化炭素からホスゲンを製造するプロセスを提供し、ここで、メタノールの触媒分解によって得られる一酸化炭素が提供され、提供される一酸化炭素を塩素と反応させてホスゲンを得る。
【0042】
一酸化炭素がメタノールの触媒分解のプロセス生成物である場合、本発明における一酸化炭素の提供に十分である。これは、本発明のプロセスを実施する場合、一酸化炭素を提供する工程を実施することが、原材料としての配送において、貯蔵容器からまたは供給管から前記一酸化炭素を単に引き出すだけで十分であることを意味する。この場合、ホスゲン製造者は、本発明のプロセスの実施者として、一酸化炭素の製造のためにメタノールの触媒分解をそれ自体で実行するのではなく、提供される一酸化炭素が、メタノールの触媒分解によって供給者によって製造され、そのプロセス生成物であることを確認するだけである。
【0043】
本発明によれば、一実施形態において、一酸化炭素が提供される場合、上述のメタノールの触媒分解が、ホスゲンの製造のための本発明の方法の不可欠なステップとしてホスゲン製造者自体によって実行され、得られた一酸化炭素が、ホスゲン製造に送られる点で、同様に可能である。
【0044】
これらの提供の手段、すなわち、ホスゲン製造者による供給または社内製造も同様に、以下に述べる一酸化炭素の提供の実施形態にも適用可能である。
【0045】
本発明のプロセスにおいて、ホスゲンの製造に使用するために提供される一酸化炭素は、メタノールから製造される。本発明の好ましい実施形態において、メタノールが、この目的のために予め提供され、これは、電気化学反応、均一系触媒反応、または不均一系触媒反応のプロセス生成物である。
【0046】
したがって、メタノールの提供について、メタノールが前述の反応の少なくとも1つのプロセス生成物であれば十分である。これは、メタノールを提供する工程の実行には、原料として配送する際に、単に前記メタノールを貯蔵容器または供給導管から引き出すだけでも十分であることを意味する。この場合、ホスゲン製造者は、本発明のプロセスの実施者として、メタノールの製造のための前述の反応をそれ自体で実行するのではなく、一酸化炭素の提供のためのメタノールの触媒分解のために提供されるメタノールが、これらの前記方法の少なくとも1つの使用によって生産され、したがってそのプロセス生成物であることを確認するだけである。
【0047】
本発明によれば、メタノールが提供される場合、メタノールの製造のための前述の反応の少なくとも1つが、ホスゲンの製造のための本発明のプロセスにおける不可欠な工程としてホスゲン製造者によって実施され、得られたメタノールが、任意に貯蔵容器中での中間貯蔵後に、一酸化炭素の提供を伴うメタノールの触媒分解に送られるという点で、同様に可能である。
【0048】
提供の手段、すなわち、ホスゲン製造者による具体的なメタノールの供給または社内製造も同様に、以下に述べるメタノールの提供の実施形態に適用可能である。
【0049】
本発明のプロセスのために提供されるメタノールが、再生可能エネルギーを使用して、好ましくは再生可能エネルギーの利用が良好な地理的場所で生産され、続いて、このメタノールを、容器での輸送による配送によって、または連続プロセスにおけるメタノール流によって、本発明のプロセスのために提供する実施形態が特に好ましい。連続プロセスにおける提供の場合、メタノールの製造は、例えばパイプラインを介して、メタノール分解と流体連通されていることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0050】
「再生可能エネルギー」は、無尽蔵のエネルギー源、例えば、風力エネルギー、水力エネルギー、バイオエネルギー(例えば、バイオガスまたはバイオマスの電力への変換)または太陽エネルギーからのエネルギーを意味すると当業者によって理解される。したがって、好適な再生可能エネルギーは、風力、太陽エネルギー、水力、またはそれらの混合のいずれかであることが最も好ましい。
【0051】
再生可能エネルギーが本発明においてエネルギー源として、特に電力の供給のために、使用される場合、再生可能エネルギーの不足期間における本発明のプロセスの実施の保証のために、再生可能エネルギーの利用可能時に、例えば、不足期間を埋めるために、蓄電池における電力の形態で、再生可能エネルギーを貯蔵することが有利であり得る。
【0052】
本発明によれば、「電気化学反応」は、少なくとも1つの反応物質(例えば、二酸化炭素またはメタノール)の存在下で、反応媒体中に電流を印加することによって(例えば、反応媒体中に浸漬された少なくとも1つの電極を介して)行われる。
【0053】
本発明によれば、「触媒反応(catalyzed reaction)」または「触媒反応(catalytic reaction)」は、少なくとも1つの反応物質(例えば、二酸化炭素またはメタノール)からの生成物形成を触媒する触媒を用いて行われる。本発明によれば、「均一系触媒反応」は、均一系触媒を用いて行われ、「不均一系触媒反応」は、不均一系触媒を用いて行われる。
【0054】
好ましくは、本発明によれば、分解に提供されるメタノールは、水素ガスの有無にかかわらず、少なくともCO(x=1または2)を含むガス流から製造される。
【0055】
本プロセスの特に好ましい実施形態において、分解のために提供されるメタノールは、メタンの水蒸気改質、炭化水素の部分酸化、バイオマスのガス化、電気分解、逆水性ガスシフトの群からの方法または方法の組み合わせによって得られる一酸化炭素-および水素-含有ガス流から製造される。より好ましくは、少なくとも1つの方法が、電気化学反応、均一系触媒反応または不均一系触媒反応である。
【0056】
さらに、本プロセスの一実施形態において、メタノールが、水素の有無にかかわらずCOの変換によって得られ、触媒分解のために提供されることが好ましいことが見出された。反応が、電気化学反応、均一系触媒反応または不均一系触媒反応である場合が、特に好ましい。そのために使用されるCOは、さらなる実施形態において、さらなるCO源、例えば熱エネルギーの提供において放出されるCO、または、外部CO源、例えば工業排ガス、からのCOに由来する。
【0057】
好ましいCO源は、本発明のプロセスによって放出されないCOをもたらす少なくとも1つの外部CO源である。外部CO源は、例えば、セメント製造において、アンモニア合成のためのH製造において得られ、発酵において得られ、燃料の燃焼(例えば、廃棄燃焼)の際の排ガス中に形成されるCOであるか、または大気から得られるCOである。外部CO源からのCOは、本発明のプロセスの好ましい実施形態において、(i)セメント製造、発酵、H製造、焼却から選択される少なくとも1つのプロセスから選択されるプロセスガスまたは排ガスおよび/または(ii)アルカリ金属水酸化物溶液、例えば水酸化カリウム溶液中への導入による空気からの含有COの吸収によって行われ得る。これは、炭酸水素カリウムの形成をもたらし、これは次いで、熱分解されて、COおよび水酸化カリウムに戻すことができる。放出されたCOは次いで、一酸化炭素の生成のために、本発明の改質プロセスに供給される。COの放出に必要な熱エネルギーを提供するために、例えば、前記改質プロセスから発生する熱エネルギーを使用することができる。
【0058】
分解のために使用されるメタノールは、本プロセスの特に好ましい実施形態において、二酸化炭素から、特に(i)50体積%を超える二酸化炭素と水素との混合物を含有する合成ガスの触媒変換によって、(ii)発酵によって、または(iii)二酸化炭素の電気化学的変換によって、製造される。ここで、それぞれの合成プロセス(i)~(iii)には、原料としてCO-含有物質流が供給される。発酵(ii)および特に触媒変換(i)の場合、供給原料はさらに水素を含有する。より好ましくは、工程(i)または(ii)に必要な水素が、水の電気分解、部分酸化またはバイオマスのガス化、またはそれらの混合から選択される少なくとも1つのプロセスによって製造される。ここで、特に太陽エネルギー、風力、水力またはそれらの混合から選択される、再生可能エネルギーからの電力が、水の電気分解のために使用される場合が、非常に特に好ましい。再生可能エネルギーからのこの電力は、貯蔵媒体、例えば蓄電池から取り出すこともできる。
【0059】
水電解は、従来技術のプラントを用いて行うことができる。アルカリ水電気分解のための工業プラント、ならびにPEM電気分解として知られるポリマー電解質ベースの電気分解のための工業プラントは公知であり、市販されている。水電気分解の原理は、例として、“Elektrochemische Verfahrenstechnik”[Electrochemical Process Technology](2003 Wiley-VCH-Verlag;ISBN 3-527-29958-0)のVolkmar M. Schmidtの第6.3.4章に記載されている。
【0060】
さらなる実施において、一酸化炭素および/または水が、触媒変換のために合成ガスに二次構成要素として添加される。さらなる成分は、不活性ガスであってもよい。
【0061】
電気化学的変換(iii)のためには、二酸化炭素と水蒸気の混合物を50体積%超含むガス流が好ましい。
【0062】
前述の全てのプロセス(i)~(iii)において、メタノール含有粗生成物が得られ、これは好ましくは処理操作に供される。後処理では、CO、COおよびHが、最初に除去される。この画分は、好ましくはメタノール合成にリサイクルされる。最も好ましくは、ガスの一部が、排出される(パージ)。除去後、残りの混合物は、蒸留または精留に供される。ここで得られる目的生成物はメタノールであり、これは、好ましくは後処理からメタノールのリザーバに送られる。蒸留から除去されるさらなる成分は、ジメチルエーテルおよびエタノールを含み得る。合成において得られるさらなる画分は、水であり、これは、廃棄または好ましくは上記水電気分解のいずれかに送られる。
【0063】
本発明のプロセスの触媒分解工程において、提供されるメタノール(例えば、提供のために貯蔵容器から採取されるか、または連続プロセスにおいて少なくとも1つのプロセス(i)~(iii)によって予め製造される)は、好ましい実施形態において、ガス状メタノールを触媒と接触させることによって分解されて、一酸化炭素および任意にさらなる水素ガスを触媒的に形成する。この目的のためにメタノールがガス状でない場合(例えば、貯蔵容器から取り出す場合)、メタノールは予め蒸発に供される。蒸発に必要なエネルギー入力は、エネルギー源として化石燃料、例えば天然ガスを利用することによって発生することができる。本発明のプロセスは、蒸発に必要な温度を確立するために、より好ましくは、すくなくとも(i)再生可能エネルギーによって製造される水素(気体H)を含む燃料の燃焼、(ii)生物学的供給源からのメタンを含む燃料の燃焼、または(iii)再生可能エネルギーから生成される電気エネルギーの熱への変換から選択される方法によって提供される熱エネルギーで供給される。ここでは、使用される再生可能エネルギーが、風力、太陽エネルギー、水力またはそれらの混合のいずれかである場合が特に好ましい。
【0064】
好ましくは、触媒分解のために、ガス状メタノールが触媒上を通過し、その活性成分は、少なくとも1つの遷移金属種を含む。遷移金属種は、すべてのd-ブロック元素およびその化学化合物を意味すると当業者によって理解される。より好ましくは、触媒が、支持体に適用されている遷移金属種である。非常に特に好ましいのは、元素周期表の第VII族、第VIII族または第XI族から選択される少なくとも1種の遷移金属種であり、好ましくは支持体に適用されている。
【0065】
メタノールの触媒分解は、好ましくは500℃未満、より好ましくは400℃未満の温度で行われる。メタノールの触媒分解のためにエネルギー入力が必要である場合、これは、エネルギー源として化石燃料、例えば天然ガスを利用することによってもたらすことができる。本発明のプロセスは、メタノールの接触分解に必要な温度を確立するために、少なくとも(i)再生可能エネルギーによって製造される水素(ガス状H)を含有する燃料の燃焼、(ii)生物学的供給源からのメタンを含有する燃料の燃焼、または(iii)再生可能エネルギーから生成される電気エネルギーの熱への変換から選択される方法によって提供される熱エネルギーが供給されることがより好ましい。ここで、使用される再生可能エネルギーが、風力、太陽エネルギー、水力またはそれらの混合のいずれかである場合が特に好ましい。
【0066】
メタノールの触媒分解は、好ましくは少なくとも200℃の温度で行われる。メタノールの触媒分解のために、温度を200~500℃未満、より好ましくは200~400℃未満に設定することが好ましい。
【0067】
メタノールの触媒分解は、好ましくは50バール未満、より好ましくは40バール未満の絶対圧力で行われる。
【0068】
触媒分解工程は、好ましくは500℃未満の温度および50バール未満の絶対圧力で行われる。より好ましくは、触媒分解工程が、400℃未満の温度および40バール未満の絶対圧力で行われる。また、それぞれの場合の温度が200℃の下限温度を下回らないことが非常に特に好ましい。
【0069】
触媒分解から得られる生成物ガスは、一酸化炭素だけでなく、多くの場合、メタノール、二酸化炭素、水素、および水、ならびにエーテル類(ジメチルエーテル)、アルコール類(エタノール)、アルデヒド類、またはエステル類の群から生じ得る可能性のある副生成物も含む。触媒分解から得られた生成物ガスは、塩素と反応してホスゲンを得る前に、好ましい追加のプロセス工程において、メタノール、二酸化炭素、水素および水、および場合によっては副生成物が一酸化炭素から分離される精製工程に供されることが好ましい。
【0070】
その結果、触媒分解からの生成物ガスは、好ましくは精製され、二酸化炭素を除去するためにCO除去ユニットに供給され、そこでCOが除去される。
【0071】
CO除去ユニット、したがってCOの除去は、「アミンスクラビング」として実行することができ、ここで、改質プロセスからの一酸化炭素-含有プロセスガスは、特に、アミン類、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)またはジグリコールアミン(DGA)による化学吸着の原理によるガス混合物の基本的に知られているスクラビングを受け、これは、吸収塔において高純度の精製されたガス混合物を達成する。
【0072】
本発明による好ましいプロセスの実施形態において、水は、一酸化炭素-含有生成物ガスから分離される。
【0073】
本プロセスのさらに好ましい実施形態において、水が一酸化炭素-含有生成物ガスから事前に分離された後に、二酸化炭素が、分離される。この目的のために、触媒分解からの一酸化炭素-含有生成物ガスは、最初に水除去ユニットに供給され、ここで水は、分離され、水の分離後に得られた一酸化炭素-含有、乾燥生成物ガスは、COが分離されるCO除去ユニットに供給される。水除去ユニットにおいて、水は例えば、触媒分解から除去された一酸化炭素-含有生成物ガスを冷却し、例えば、凝縮物として水を分離することによって分離される。
【0074】
本発明により好ましい本プロセスの変法は、一酸化炭素-含有生成物ガス(好ましくは、予め水およびCOが除去されている)を、水素が分離されるH-CO分離ユニットに導入するプロセスである。これは少なくとも1つのガス流を形成し、ここで、25℃および1013mbarのガスは、少なくとも95体積%の一酸化炭素、より好ましくは少なくとも99体積%の一酸化炭素を含有する。前記導入された生成物ガスは、好ましくは最初にH-CO分離ユニットにおいて2つのガス流に分離される。これは、少なくとも95体積%(好ましくは少なくとも99重量%)の一酸化炭素を含有するガス流の形態のガス、とりわけその主成分として水素および一酸化炭素を有するガス流の形態のさらなるガスを生じる。さらなるガスは、H-CO分離からの残留ガスか、または残留ガス処理がない場合には最終ガスとも称される。この分離の原理によって機能するH-CO分離ユニットは、コールドボックスと呼ばれる。H-CO分離からの水素-含有残留気体は、メタノールの製造に戻すことができる。
【0075】
未反応の反応物および副生成物としてのメタノールは、本プロセスの好ましい実施形態において、触媒分解から生成物ガスから除去される。反応物および副生成物は、好ましくは先行するプロセス工程またはさらなるプロセス工程に供給される。吸着または熱分離プロセス、例えば蒸留または精留による精製が特に好ましい。より好ましくは、反応物および副生成物を最初に分離し、反応物をメタノールの分解に供給する。最も好ましくは、生成物として得られた水素が、上記のように、メタノール合成または発酵プロセスに供給される。
【0076】
本プロセスの好ましい実施形態において、水素ガスが、触媒分解で得られた生成物ガスの成分として除去され、メタノールの提供のために再利用される。したがって、本プロセスの好ましい実施形態は
(i)メタノールの触媒分解に供給される、提供されたメタノールが、COの水素ガスとの反応のプロセス生成物であり、および
(ii)すでに提供されているメタノールの触媒分解が、一酸化炭素だけでなく、さらに水素ガスを与える
ことを特徴とし、ただし、触媒分解で形成された水素ガスが、COの水素ガスとの反応に供給されてメタノールを与える。
【0077】
メタノールの触媒分解の結果として、および任意に精製の結果として存在する一酸化炭素は、次のプロセス工程において、好ましくは触媒上で、塩素と一緒に変換されてホスゲンを与える。より好ましくは、触媒は、活性炭である。
【0078】
得られたホスゲンは、好ましくは少なくとも1つの有機アミンまたは少なくとも1つのジヒドロキシアリール化合物との反応の形態で追加の工程に供給され、化学的に変換される。より好ましくは、得られた生成物は、精製および後処理に供される。
【0079】
有機イソシアネートの製造のための本発明による好ましいホスゲンの反応において、一般に、得られる有機イソシアネートが、少なくとも2個のイソシアネート基を含有する本発明の製造プロセスが好ましい。この目的のために、合成に使用される反応物は、好ましくは少なくとも2個のアミノ基を有する有機アミンである。
【0080】
非常に特に好ましく使用される有機アミンは、トリレンジアミン(TDA)、メチレンジ(フェニルアミン)(MDA)(好ましくはジフェニルメタン-2,2’-ジアミン、ジフェニルメタン-2,4’-ジアミン、ジフェニルメタン-4,4’-ジアミンまたはそれらの混合物から選択される)、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、シクロヘキシルジアミンまたはそれらの混合物から選択され、ここで、TDA、MDAまたはそれらの混合物は、非常に特に好ましい有機アミンである。
【0081】
より好ましくは、反応において得られる有機イソシアネートが、少なくとも2個のイソシアネート基を含有し、1000g/mol以下、特に800g/mol以下のモル質量を有する。
【0082】
非常に特に好ましく得られる有機イソシアネートは、トリレンジイソシアネート(TDI)、メチレンジ(フェニルイソシアネート)(MDI)(好ましくはジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートまたはそれらの混合物から選択される)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)またはそれらの混合物から選択され、ここで、TDI、MDIまたはそれらの混合物は、非常に特に好ましい有機イソシアネートである。
【0083】
有機アミンとの反応は、より好ましくはトリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(好ましくはジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートまたはそれらの混合物から選択される)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンまたはシクロヘキシルジイソシアネートから選択される少なくとも1つの化合物を含む混合物を与える。最も好ましくは、反応後、前記化合物の精製および後処理のために、少なくとも蒸留の工程が用いられる。
【0084】
本発明の例外的に好ましい実施形態において、ホスゲンと反応させて対応するイソシアネートを得る有機アミンは、メチレンジ(フェニルアミン)(MDA)(好ましくはジフェニルメタン-2,2’-ジアミン、ジフェニルメタン-2,4’-ジアミン、ジフェニルメタン-4,4’-ジアミンまたはそれらの混合物から選択される)である。本実施形態におけるMDAは、より好ましくは少なくとも以下の工程:
メタンの水蒸気改質、炭化水素の部分酸化、バイオマスのガス化、電気分解、逆水性ガスシフトの群からの方法または方法の組み合わせによって得られた一酸化炭素-および水素-含有ガス流の変換のプロセス生成物であるメタノールの提供;
ホルムアルデヒドを生成する予め提供されたメタノールの酸素ガスとの反応;
アニリンおよび前記ホルムアルデヒドのMDAへの変換
によって製造される。
【0085】
MDA製造のこの実施形態のために、メタノールが、触媒分解のためのメタノールのように、上述の方法の少なくとも1つに従って提供される。この目的のために上述した実施形態は、必要な変更を加えて適用可能である。
【0086】
酸素ガスを用いたメタノールからのホルムアルデヒドの製造は、当業者に公知の調製経路であり、その実施は例えば、以下の:Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA、Weinheim、2012、735-768頁、DOI:10.1002/14356007中の第4章「ホルムアルデヒド」に記載されており、これは、参照により本明細書に明確に完全に組み込まれる。変換のために使用される酸素ガスは、好ましくは再生可能エネルギーから製造される電気エネルギーを使用する水の電気分解から、および/または空気の分留からから生じる。
【0087】
CO精製からの上述のH-CO分離からの水素-含有残留ガスおよび/または上述の水電解からの水素ガスは、MDA製造に必要なアニリンを提供するためのニトロベンゼンの水素化に使用することができる。水素ガスによる有機ニトロ化合物の水素化の実施は、当業者に非常によく知られている。対応して使用可能であり、目的のために使用可能な水素化反応は、当業者に公知であり、例えば、以下の刊行物:Gerald Booth(2007)、Ullmanns Enzyklopaedie der Industriechemie、Weinheim、Wiley VCH、doi:10.1002/14356007.a17_411から公知であり、これは、参照により本明細書に明確に完全に組み込まれる。
【0088】
本発明のプロセスのさらなる実施形態において、ポリカーボネートは、本発明に従って製造されたホスゲンを少なくとも1つのジヒドロキシアリール化合物と反応させることによって製造される。これは、ジヒドロキシアルキル化合物をアルカリ金属塩の水溶液に溶解させることを含む。ホスゲンを有機相に導入する。ホスゲンは、公知の方法で、少なくとも1つのジヒドロキシアリール化合物、炭酸誘導体、任意に連鎖停止剤および任意に分岐剤と反応させて、ポリエステルカーボネートは、炭酸誘導体の一部を芳香族ジカルボン酸またはジカルボン酸の誘導体で、特に芳香族ポリカーボネートで置換されるべきカーボネート構造単位に従う芳香族ジカルボン酸エステル構造単位で置換することにより製造される。
【0089】
ホスゲンとの反応のための、ポリカーボネートの製造に好適なジヒドロキシアリール化合物は、式(1):
【化10】
〔式中、
Zは、6~30個の炭素原子を有する芳香族基であり、1個以上の芳香族環を含有してもよく、置換されていてもよく、脂肪族もしくは脂環式基またはアルキルアリールもしくは架橋元素としてヘテロ原子を含有してもよい〕
の化合物である。
【0090】
式(1)におけるZが、式(2):
【化11】
〔式中、
R6およびR7は、互いに独立して、H、C1-~C18-アルキル、C1-~C18-アルコキシ、ClまたはBrなどのハロゲン、またはそれぞれの場合において任意に置換されたアリールまたはアラルキル、好ましくはHまたはC1-~C12-アルキル、特に好ましくはHまたはC1-~C8-アルキル、非常に特に好ましくはHまたはメチルを表し、および
Xは、単結合、-SO2-、-CO-、-O-、-S-、C1-~C6アルキレン、C2~C5アルキリデンまたはC5~C6シクロアルキリデンを表し、これらは、C1~C6アルキル、好ましくはメチルまたはエチルで置換されていてもよく、あるいはC6~C12アリーレンを表し、これらはヘテロ原子を含有するさらなる芳香族環に任意に縮合していてもよい〕
の基であることが好ましい。
【0091】
Xが、単結合、C1~C5アルキレン、C2~C5アルキリデン、C5~C6シクロアルキリデン、-O-、-SO-、-CO-、-S-、-SO2-または式(2a)
【化12】
の基を表す場合が好ましい。
【0092】
ジヒドロキシアリール化合物の例は:ジヒドロキシベンゼン類、ジヒドロキシジフェニル類、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)アリール類、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、1,1’-ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン類およびそれらの環-アルキル化および環-ハロゲン化化合物である。
【0093】
反応に好適なジヒドロキシアリール化合物は、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、α,α’-ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン類およびそれらのアルキル化、環アルキル化および環ハロゲン化化合物である。
【0094】
好ましいジヒドロキシアリール化合物は、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA(BPA))、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,3-ビス[2-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC(BPTMC))、ならびに式(III)~(V)
【化13】
〔式中、R’は、各場合において、C1~C4-アルキル、アラルキルまたはアリール、好ましくはメチルまたはフェニルを表す〕のジヒドロキシアリール化合物である。
【0095】
特に好ましいジヒドロキシアリール化合物は、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA(BPA))、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC(BPTMC))、ならびに式(III)、(IV)および(V)のジヒドロキシ化合物(式中、R’は、それぞれ、C-C-アルキル、アラルキルまたはアリール、好ましくはメチルまたはフェニルを表す)である。
【0096】
これらおよびさらなる好適なジヒドロキシアリール化合物は、例えば、US2999835A、US3148172A、US2991273A、US3271367A、US4982014AおよびUS2999846A、ドイツで公開された明細書DE1570703A1、DE2063050A1、DE2036052A1、DE2211956A1およびDE3832396A1、フランス国の特許FR1561518A1、モノグラフ「H.Schnell、Chemistry and Physics of Polycarbonates,Interscience Publishers,New York 1964、第28ff頁;および“D.G.Legrand、J.T.Bendler、Handbook of Polycarbonates Science and Technology、Marcel Dekker New York 2000、第72ff頁に記載されている。
【0097】
ホモポリカーボネートを提供するための反応の場合、1つのジヒドロキシアリール化合物のみが使用され;コポリカーボネートの場合、2つ以上の異なるジヒドロキシアリール化合物が使用される。使用されるジヒドロキシアリール化合物または使用される2つ以上の異なるジヒドロキシアリール化合物は、合成に添加される他のすべての化学物質および助剤と同様に、それら自体の合成、取扱いおよび貯蔵からの汚染物質で汚染され得る。しかしながら、最大純度の原材料で作業することが望ましい。
【0098】
使用される任意の分岐剤または分岐剤混合物は、同様の方法で合成に添加される。典型的に使用される化合物は、トリスフェノール類、クォーターフェノール類またはトリカルボン酸類もしくはテトラカルボン酸の塩化アシル類、またはポリフェノール類もしくは塩化アシル類の混合物である。
【0099】
ジヒドロキシアリール化合物のアルカリ金属塩の形成のために使用されるアルカリ金属塩は、Na、K、Liの水酸化物の群からの水酸化物を含むアルカリ金属水酸化物溶液であってもよく、好ましくは水酸化ナトリウム溶液であり、好ましくは10重量%~55重量%の溶液として新規なプロセスにおいて使用される。
【0100】
ホスゲンとジヒドロキシアリール化合物のアルカリ金属塩との間の反応は、触媒、例えば第三級アミン類、N-アルキルピペリジン類またはオニウム塩によって促進することができる。トリブチルアミン、トリエチルアミンおよびN-エチルピペリジンを使用することが好ましい。
【0101】
使用されるアミン触媒は、開鎖または環状であってよく、特に好ましくはトリエチルアミンおよびエチルピペリジンである。触媒は、好ましくは1重量%~55重量%の溶液として新規なプロセスで使用される。
【0102】
オニウム塩は、本明細書において、NR4X(ここで、Rは、アルキルおよび/またはアリール基および/またはHであることができ、Xは、アニオンである)などの化合物を意味すると理解される。
【0103】
ポリカーボネートは、少量の連鎖停止剤および分岐剤の使用によって、意図的かつ制御された様式で変性され得る。好適な連鎖停止剤および分岐剤は、文献において知られている。いくつかは、例えばDE-A3833953に記載されている。好ましく使用される連鎖停止剤は、フェノールもしくはアルキルフェノール類、特にフェノール、p-tert-ブチルフェノール、イソオクチルフェノール、クミルフェノール、それらのクロロカルボン酸エステル類またはモノカルボン酸の塩化アシル類、またはこれらの連鎖停止剤の混合物である。好ましい連鎖停止剤は、フェノール、クミルフェノール、イソオクチルフェノール、パラ-tert-ブチルフェノールである。
【0104】
分岐剤として好適な化合物の例は、3個を超える、好ましくは3個または4個のヒドロキシル基を有する芳香族または脂肪族化合物である。3個または3個を超えるフェノール性ヒドロキシル基を有する特に好適な例は、フロログルシノール、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタ-2-エン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリ(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス[4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)メタンである。
【0105】
分岐剤として好適な他の三官能性化合物の例は、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル、および3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドールである。
【0106】
特に好ましい分岐剤は、3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドールおよび1,1,1-トリ(4-ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0107】
ポリカーボネートを提供するために、最初に本発明に従って得られたホスゲンからジフェニルカーボネートを製造し、次いで少なくとも1つのジヒドロキシアリール化合物をジフェニルカーボネートと反応させることが同様に可能である。
【0108】
本発明はさらに、一酸化炭素の製造のためのプロセスシーケンスへの上記プロセスの組み込みを提供する。このプロセスは、好ましくは水蒸気改質、RWGSまたはCO電解の群から選択されるプロセスと組み合わされて実施される。
【0109】
本発明はさらに、メタノールの接触分解が柔軟に操作されることを特徴とする、上述のプロセスのバッチ式の実施を提供する。これは、メタノールを中間貯蔵手段(例えば、タンク)に貯蔵し、必要に応じてそれを上述のプロセスに供給することを含む。この方法は、より好ましくは水蒸気改質、RWGSまたはCO電解の群から選択されるさらなるプロセスと組み合わされて実施される。この組み合わせは、すべてのプロセスを柔軟に実行できるように構成されている。
【0110】
本発明はさらに、ホスゲンの製造のためのメタノールの触媒分解のプロセス生成物として提供される一酸化炭素の使用を提供する。
【0111】
この主題に関して、提供される一酸化炭素を製造するためのプロセスのために定義される特徴の前述の好ましい実施形態は、必要な変更を加えて適用可能であり、特に、メタノールの製造およびメタノールの触媒分解のために指定される特徴である。
【0112】
本発明はさらに、塩素および一酸化炭素からホスゲンを製造するための多構成要素システムであって、少なくとも
i) 第一の構成要素としてメタノールの触媒分解からのプロセス生成物としての一酸化炭素、および
ii) 第2の構成要素として少なくとも
・ 第1の構成要素を含む少なくとも1つの供給導管、および
・ 前記供給導管と流体連通している一酸化炭素のための少なくとも1つの入口と、塩素のための少なくとも1つの入口と、ホスゲンのための少なくとも1つの出口とを有する、ホスゲンの製造のための少なくとも1つの装置
を備える装置
を含む、多構成要素システム。
【0113】
流体連通は、装置構成要素を互いに接続し、任意の状態にあり得る物質を、ある装置構成要素から次の装置構成要素へ、例えば、パイプの形態の入口へ、物質の流れとして輸送することができる装置を意味するものと理解される。「流体連通している」との表現は、名付けられている装置構成要素が流体連通を介して互いに接続されていることを意味する。
【0114】
「反応空間」は、化学反応に関与する共反応体が一緒に存在し、化学反応が起こる装置の体積である。化学反応の場合、これは、例えば、共反応物が一緒に存在し、反応する容器またはコンテナの容積であってもよい。
【0115】
第1の構成要素の提供の好ましい実施形態は、本発明のプロセスの概要において既に言及されており、必要な変更を加えて多構成要素システムに適用可能である。
【0116】
多構成要素システムの好ましい実施形態において、第1の構成要素を含む少なくとも1つの供給導管が、第1の構成要素の製造のための装置とさらに流体連通しており、ここで、第1の構成要素の製造のための装置は、メタノールのための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの触媒と、第1の構成要素を含む生成物ガスのための少なくとも1つの出口とを有する少なくとも1つの反応空間を備え、ここで、前記生成物ガスのための出口は、任意に精製のための装置を介して、第1の構成要素を含む第2の構成要素のための少なくとも1つの供給導管と流体連通している。第1の構成要素を製造するための装置は、好ましくは反応空間への熱エネルギーの供給のためのおよび/またはメタノールの蒸発のための装置として、少なくとも加熱要素をさらに備える。加熱要素が、燃料として再生可能エネルギーから供給される水素源または燃料として生物学的供給源から供給されるメタン源から選択される少なくとも1つの供給源と流体連通している場合、または加熱要素が、再生可能エネルギーから熱エネルギーへの変換のための電気エネルギーの供給源に接続している場合が、特に好ましい。ここで、使用される再生可能エネルギーが、風力、太陽エネルギー、水力、バイオエネルギー、またはそれらの混合のいずれかである場合が、特に好ましい。
【0117】
第1の構成要素の製造のための装置に好ましく存在する触媒は、上述のプロセスのように選択される。
【0118】
第1の構成要素を製造するための装置におけるメタノールのための少なくとも1つの入口が、少なくともCO(x=1または2)、および好ましくはさらに水素ガスを含むガス流の構成要素の反応から得られたメタノールを含むメタノール源と流体連通している場合、有益であることが見出された。
【0119】
この目的のために、メタノールのための入口は、対応するメタノールが貯蔵される貯蔵容器と流体連通しているか、またはメタノールのための入口は、メタノール製造のための装置と流体連通している。メタノール製造のための対応する装置は、先行技術から当業者に知られており、市場で購入することができる。好ましくは炭化水素(特にメタン)の水蒸気改質、メタンの乾式改質、炭化水素の部分酸化、バイオマスのガス化、電気分解、逆水性ガスシフトのための装置がある。
【0120】
メタノール源中のメタノールは、特に好ましい実施形態において、(i)二酸化炭素および水素の混合物を50体積%超含む合成ガスの触媒変換のための装置によって、(ii)発酵装置によって、または(iii)二酸化炭素の電気化学変換のための装置によって、製造される。ここで、それぞれの装置(i)~(iii)には、入口を介して供給原料としてCO-含有物質流(CO2-containing stream of matter)が供給される。発酵装置(ii)および特に触媒変換装置(i)の場合、供給原料は、水素をさらに含有する。
【0121】
より好ましくは、工程(i)または(ii)に必要な水素が、水の電気分解、部分酸化またはバイオマスガス化、またはそれらの混合から選択される少なくとも1つのプロセスによって製造される。これに関連して、メタノール製造のための装置が、電気分解装置からの水素ガスのための出口と流体連通している少なくとも1つの入口を有する場合、特に好ましい。ここで、電気分解装置の電源が、再生可能エネルギーから製造される電力源と接触していることが特に好ましい。ここで、使用される再生可能エネルギーが、風力、太陽エネルギー、水力、バイオエネルギー、またはそれらの混合のいずれかである場合が特に好ましい。
【0122】
特に好ましい実施形態において、第1の構成要素を含む多構成要素システムへの少なくとも1つの供給導管が、第1の構成要素の製造のための装置と流体連通しており、ここで、第1の構成要素の製造のための装置は、メタノールのための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの触媒と、第1の構成要素を含む生成物ガスのための少なくとも1つの出口とを備え、ここで、第1の構成要素の製造のための装置における前記生成物ガスのための出口は、精製のための装置を介して、第1の構成要素を含む第2の構成要素のための少なくとも1つの供給導管と流体連通しており、精製のための装置は、前記生成物ガスのための少なくとも1つの入口と、分離されたメタノールのための少なくとも1つの出口と、分離された水素ガスのための少なくとも1つの出口と、第1の構成要素のための少なくとも1つの出口とを備え、および第1の構成要素のための出口は、第1の構成要素を含む第2の構成要素のための少なくとも1つの供給導管と流体連通している。
【0123】
多構成要素システムのこの特に好ましい実施形態において、本発明によれば、精製のための装置における水素ガスの出口が、水素化のための装置、好ましくはメタノール製造のための装置として、二酸化炭素のメタノールへの水素化のための装置と流体連通している実施形態が特に好ましい。
【0124】
精製のための装置を介した流体連通を含む多構成要素システムの特に好ましい実施形態において、本発明によれば、精製のための装置からのメタノールの出口が、メタノールの触媒分解のための装置と流体連通している実施形態が非常に特に好ましい。
【0125】
多構成要素システムのさらに好ましい実施形態は、第1の構成要素を製造するための装置が、メタノールを蒸発させるための少なくとも1つの装置を備えることを特徴とする。
【0126】
多構成要素システムのさらに好ましい実施形態は、第1の構成要素を製造するための装置が、反応空間内および/またはメタノールを蒸発させるための装置内に熱エネルギーを導入するための装置として、少なくとも1つの加熱要素を備えることを特徴とする。
【0127】
多構成要素システムによって製造されたホスゲンは、ホスゲンの製造のための装置で形成されたホスゲンが、少なくとも1つの有機アミンまたは少なくとも1つのジヒドロキシアリール化合物との反応に供給され、化学的に変換されるさらなる工程によって、上記のように好ましく利用される。そのため、ホスゲンの製造のための装置におけるホスゲンのための少なくとも1つの出口が、有機アミンのホスゲン化のための少なくとも1つの装置またはポリカーボネートの製造のための少なくとも1つの装置と流体連通している場合が好ましい。芳香族アミンのホスゲン化またはポリカーボネートの製造のための対応する装置は、先行技術から当業者に知られている。
【0128】
本発明の主題をそれに限定することなく、プロセスおよびその好ましい実施形態を、図(図1および図2)に例として示す。図中の矢印は、対応するプロセスステップが進行するプロセスステップ/装置部分間の物質、エネルギー、または熱の流れを表す。図中の破線は、プロセスの個々の上述の特徴の好ましい実施形態の一部を示す。破線および点線の枠は、本発明のプロセスのために提供される原材料、ここではメタノールおよび一酸化炭素の起源の領域を示す。以下の参照番号は、図において使用される:
1 塩素および一酸化炭素からのホスゲンの製造
2 メタノール(4)の触媒分解のプロセス生成物である、提供される一酸化炭素
3 ホスゲン
4 メタノールの触媒分解
5 電気化学反応、均一系触媒反応または不均一系触媒反応から選択される反応6のプロセス生成物である、提供されるメタノール
6 CO(x=1または2)および任意に水素(好ましくは少なくともCOおよび水素)とガス流の反応によるメタノールの製造、ここで、製造されるメタノールは、電気化学反応、均一触媒反応または不均一触媒反応から選択される反応のプロセス生成物である。
7 再生可能エネルギーによる電力
8 水の電気分解
9 イソシアネートの製造および/またはポリカーボネートの製造
10 提供される一酸化炭素2の起源の領域
11 提供されるメタノール5の起源の領域
12 製造6のプロセス生成物であるメタノールの貯蔵
【図面の簡単な説明】
【0129】
図1図1は、メタノールの触媒分解4のプロセス生成物である一酸化炭素2が、例えば、対応するメタノールを貯蔵タンクから、またはメタノールの触媒分解4と流体連通している導管から取り出すことによって提供される、本発明のプロセスの実施形態を示す。この提供された一酸化炭素2は、ホスゲンの製造1に送られ、ここで、それは、塩素(Cl)と反応してホスゲン3を与え、ホスゲンの製造1を実施し、好ましくはその後、ホスゲン3をイソシアネートの製造9に供給する。図1に提供されるメタノール5は、好ましくは水素の少なくともCOとの反応によるメタノールの製造6のプロセス生成物であり、ここで、製造されるメタノールは、電気化学反応、均一触媒反応、または不均一触媒反応から選択される反応のプロセス生成物である。ここで、再生可能エネルギー7からの電力を使用して水の電気分解8による水素が使用される場合が、特に好ましい。提供される前記一酸化炭素2の製造の領域10は、供給者またはホスゲン製造者自身による提供のために実施され得る、対応するプロセス工程またはプラント構成要素を示す。提供されるメタノール5の製造の領域11は、提供される一酸化炭素2の供給者によって、提供されるメタノール5のさらなる供給者によって、またはホスゲン製造者自体によって提供するために実施され得る、対応するプロセス工程またはプラント構成要素を示す。
図2図2は、メタノールの触媒分解4のプロセス生成物である一酸化炭素2が、メタノールの触媒分解4と流体連通する貯蔵タンク12からの対応するメタノールを取り出すことによって、ホスゲンの製造1に送られ、ここで、それは、塩素(Cl)と反応してホスゲン3を与え、ホスゲンの製造1を実施し、好ましくはその後、ホスゲン3をイソシアネートの製造9に供給する、本発明のプロセスの実施形態を示す。メタノールの分解4により水素ガスが放出され、これがメタノールの製造6に供給される。メタノールの製造6は、水素の少なくともCOとの反応によって行われ、ここで、製造されるメタノールは、電気化学反応、均一系触媒反応または不均一系触媒反応から選択される反応のプロセス生成物である。メタノールの分解4から得られる水素ガスの量が、メタノールの製造6に不十分である場合、再生可能エネルギーからの電力7を用いて水の電気分解8によって生産される、追加の水素が利用される場合が、特に好ましい。
【0130】
本発明の実施形態について、以下の態様1~22を例として挙げることができる:
1.塩素および一酸化炭素からホスゲンを製造するプロセスであって(1)、メタノールの触媒分解(4)により得られる一酸化炭素を提供し、この提供された一酸化炭素(2)を塩素と反応させてホスゲン(3)を得ることを特徴とする、プロセス。
2.メタノールの触媒分解(4)の前に、電気化学反応、均一系触媒反応または不均一系触媒反応から選択される変換(6)のプロセス生成物であるメタノール(5)を供給することを特徴とする、態様1に記載のプロセス。
3.メタノールの触媒分解(4)の前に、少なくともCO(x=1または2)および任意に水素、好ましくはCOおよび水素、を含むガス流の変換(6)のプロセス生成物であるメタノール(5)を供給することを特徴とする、態様1または2に記載のプロセス。
4.メタノールの触媒分解(4)の前に、メタンの水蒸気改質、炭化水素の部分酸化、バイオマスのガス化、電気分解、逆水性ガスシフトの群からの方法または方法の組み合わせによって得られる一酸化炭素-および水素-含有ガス流の変換のプロセス生成物であるメタノールを供給することを特徴とする、態様1または2に記載のプロセス。
5.水素含有ガス流中の水素が、再生可能エネルギーからの電力(7)を用いた水の電気分解(8)によって得られることを特徴とする、態様3および4のいずれかに記載のプロセス。
6.メタノール(5)を供給するために、それを貯蔵容器(12)から取り出し、および/または態様2~4の少なくとも1つのプロセスによって予め連続プロセスにおいて製造し、それぞれの場合に触媒分解(4)に供給することを特徴とする、前述の態様のいずれかに記載のプロセス。
7.さらなる工程において、形成されたホスゲン(3)を少なくとも1種の有機アミンとの反応(9)に供給して、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(好ましくはジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートまたはそれらの混合物から選択される)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンまたはシクロヘキシルジイソシアネートから選択される少なくとも1つの化合物を含む生成物混合物を得ることを特徴とする、態様1~6のいずれかに記載のプロセス。
8.さらなる工程において、形成されたホスゲン(3)を、少なくとも1つのジヒドロキシアリール化合物との反応(9)に供給して、ポリカーボネートを得ることを特徴とする、態様1~6のいずれかに記載のプロセス。
9.メタノールの触媒分解(4)のために、メタノール(5)が、500℃未満、特に400℃未満の温度で触媒的に分解されることを特徴とする、前述の態様のいずれかに記載のプロセス。
10.メタノールの触媒分解(4)のために、メタノール(5)が、50バール未満、特に40バール未満の絶対圧力で触媒的に分解されることを特徴とする、前述の態様のいずれかに記載のプロセス。
11.触媒分解(4)のために提供されるメタノール(5)を、ガス状メタノールとして触媒と接触させ、触媒的に分解して、一酸化炭素(2)および任意に、さらに水素ガスを形成することを特徴とする、前述の態様のいずれかに記載のプロセス。
12.メタノールの触媒分解(4)のために、ガス状メタノールが触媒上を通過し、その活性成分が少なくとも1つの遷移金属種を含有することを特徴とする、前述の態様のいずれかに記載のプロセス。
13.メタノール(5)の触媒分解のために、担体に適用される少なくとも1つの遷移金属種を含有する触媒が使用され、特に元素周期表の第VII族、第VIII族または第XI族から選択される少なくとも1つの遷移金属種が担体に適用されることを特徴とする、前述の態様のいずれかに記載のプロセス。
14.(i)メタノールの触媒分解(4)に供給される、提供されたメタノール(5)が、COの水素ガスとの反応のプロセス生成物であり、および
(ii)すでに提供されているメタノール(5)の触媒分解(4)が、一酸化炭素(2)だけでなく、付加的に水素ガスを与えることを特徴とし、
ただし、触媒分解(4)で形成された水素ガスは、COの水素ガスとの反応に供給されて、メタノール(5)を与える、前述の態様のいずれかに記載のプロセス。
15.塩素および一酸化炭素からホスゲンを製造するための多構成要素システムであって、少なくとも
i)第1の構成要素として、メタノールの触媒分解からプロセス生成物として得られる一酸化炭素、および
ii)第2の構成要素として、少なくとも
・ 第1の構成要素を含む少なくとも1つの供給導管、および
・ 前記供給導管と流体連通している一酸化炭素のための少なくとも1つの入口と、塩素のための少なくとも1つの入口と、ホスゲンのための少なくとも1つの出口とを有するホスゲンの製造のための少なくとも1つの装置
を備える、多構成要素システム。
16.第1の構成要素を含む少なくとも1つの供給導管が、第1の構成要素の製造のための装置と追加的に流体連通しており、ここで、第1の構成要素の製造のための装置は、メタノールのための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの触媒と、第1の構成要素を含む生成物ガスのための少なくとも1つの出口とを備え、ここで、前記生成物ガスのための出口が、任意に精製のための装置を介して、第1の構成要素を含む第2の構成要素のための少なくとも1つの供給導管と流体連通していることを特徴とする、態様15に記載の多構成要素システム。
17.第1の構成要素を製造するための装置における生成物ガスの出口が、精製のための装置を介して第1の構成要素を含む第2の構成要素のための少なくとも1つの供給導管と流体連通し、精製のための装置が、前記生成物ガスのための少なくとも1つの入口と、分離されたメタノールのための少なくとも1つの出口と、分離された水素ガスのための少なくとも1つの出口と、第1の構成要素のための少なくとも1つの出口とを備え、第1の構成要素のための出口が、第1の構成要素を含む第2の構成要素のための少なくとも1つの供給導管と流体連通していることを特徴とする、態様16に記載の多構成要素システム。
18.精製のための装置における水素ガスの出口が、水素化のための装置、好ましくはメタノール製造のための装置としての二酸化炭素のメタノールへの水素化のための装置、と流体連通していることを特徴とする、態様17に記載の多構成要素システム。
19.第1の構成要素を製造するための装置におけるメタノールのための少なくとも1つの入口が、少なくともCO(x=1または2である)および好ましくはさらに水素ガスを含むガス流の構成要素の反応から得られたメタノールを含むメタノール源と流体連通していることを特徴とする、態様16~18のいずれかに記載の多構成要素システム。
20.第1の構成要素を製造するための装置における触媒が、元素周期表の第VII族、第VIII族または第XI族から選択される少なくとも1つの遷移金属種から選択され、好ましくは担体に適用されていることを特徴とする、態様15~19のいずれかに記載の多構成要素システム。
21.第1の構成要素を製造するための装置が、反応空間内および/またはメタノールを蒸発させるための装置内に熱エネルギーを導入するための装置として少なくとも1つの加熱要素を備えることを特徴とする、態様15~20のいずれかに記載の多構成要素システム。
22.ホスゲンの製造のための装置におけるホスゲンのための少なくとも1つの出口が、有機アミンのホスゲン化のための少なくとも1つの装置またはポリカーボネートの製造のための少なくとも1つの装置と流体連通していることを特徴とする、態様15~21のいずれかに記載の多構成要素システム。
23.ホスゲンの製造のためのメタノールの触媒分解のプロセス生成物として提供される一酸化炭素の使用。
図1
図2
【国際調査報告】