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特表2024-535514インジェクター、これを含む燃焼器、及びこれを含むガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】インジェクター、これを含む燃焼器、及びこれを含むガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/20 20060101AFI20240920BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20240920BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F23R3/20
F23R3/28 B
F02C7/232 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520716
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 KR2022012987
(87)【国際公開番号】W WO2023058907
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0133512
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0188701
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089863
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】291,Daehak-ro Yuseong-gu,Daejeon 34141,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【弁理士】
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】キム・キュテ
(72)【発明者】
【氏名】リ・テソン
(57)【要約】
【要約】
本発明は、インジェクター、これを含む燃焼器、及びこれを含むガスタービンに関し、インジェクターは、インジェクターボディ部、及び前記インジェクターボディ部を基準方向に沿って貫通して形成されるスリット部を含み、前記スリット部は、前記基準方向に沿って延長される仮想の基準軸を中心とする仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1スリット部分、及び前記基準円の半径方向に沿って延長される形状を有する第2スリット部分を含むことができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクターボディ部;及び
前記インジェクターボディ部を基準方向に沿って貫通して形成されるスリット部を含み、
前記スリット部は、
前記基準方向に沿って延長される仮想の基準軸を中心とする仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1スリット部分;及び
前記基準円の半径方向に沿って延長される形状を有する第2スリット部分を含む、インジェクター。
【請求項2】
前記第1スリット部分は、
前記基準軸を中心とする仮想の第1基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1-1スリット;及び
前記基準軸を中心として、前記第1基準円より直径が大きい仮想の第2基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1-2スリットを含む、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項3】
前記第1基準円と前記第2基準円の間の領域を第1領域とするとき、
前記第2スリット部分は、
前記第1領域に配置され、前記第1基準円の半径方向に延長される、第2-1スリットを含む、請求項2に記載のインジェクター。
【請求項4】
前記基準方向に沿って眺めるとき、
前記第1-1スリットと前記第2-1スリットは、前記第1基準円の半径方向に沿って互いに離隔される、請求項3に記載のインジェクター。
【請求項5】
前記第1-1スリットは、複数個で形成され、
前記複数個の第1-1スリットは、前記第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、前記第1基準円の一部である第1基準弧の形状を有する、請求項2に記載のインジェクター。
【請求項6】
前記第1-2スリットは、複数個で形成され、
前記複数個の第1-2スリットは、前記第2基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、前記第2基準円の一部である第2基準弧の形状を有し、
前記第1基準弧を画成する第1扇形の中心角の大きさは、前記第2基準弧を画成する第2扇形の中心角の大きさより大きい、請求項5に記載のインジェクター。
【請求項7】
前記第2-1スリットは、複数個で形成され、
前記複数個の第2-1スリットは、前記第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔される、請求項3に記載のインジェクター。
【請求項8】
前記第1-1スリットは、複数個で形成され、
前記複数個の第1-1スリットは、前記第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、
互いに隣接した一対の第1-1スリットの間の空間を第1-1離隔空間とするとき、
前記第2-1スリットは、
前記半径方向に沿って眺めるとき、前記第1-1離隔空間と重畳される離隔空間重畳スリットを含む、請求項7に記載のインジェクター。
【請求項9】
前記第1-1スリット及び前記第1-2スリットは、複数個で形成され、
前記第1-1スリットの個数は、前記第1-2スリットの個数より少ない、請求項2に記載のインジェクター。
【請求項10】
前記第1スリット部分は、
前記基準軸を中心として、前記第2基準円より直径が大きい仮想の第3基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1-3スリットをさらに含み、
前記第2基準円と前記第3基準円の間の領域を第2領域とするとき、
前記第2スリット部分は、
前記第2領域に配置され、前記第2基準円の半径方向に延長される、第2-2スリットをさらに含む、請求項3に記載のインジェクター。
【請求項11】
前記第2-1スリット及び前記第2-2スリットは、複数個で形成され、
前記第2-1スリットの個数は、前記第2-2スリットの個数より少ない、請求項10に記載のインジェクター。
【請求項12】
前記第2-1スリット及び前記第2-2スリットは、複数個で形成され、
前記第2-2スリットは、
前記半径方向に沿って眺めるとき、いずれか一つの第2-1スリットと重畳される重畳スリットを含む、請求項10に記載のインジェクター。
【請求項13】
前記第2-1スリット及び前記第2-2スリットは、複数個で形成され、
前記基準方向に直交する一方向を第1方向とし、前記基準方向及び前記第1方向に直交する一方向を第2方向とするとき、
前記基準方向に沿って眺めるとき、前記基準軸から前記第1方向に沿って延長される第1直線、及び前記基準軸から前記第2方向に沿って延長される第2直線の間に画成される第1基準領域内に位置した第2-1スリットの個数は、前記第1基準領域内に位置した第2-2スリットの個数と同一であり、
前記第1直線及び前記基準軸から前記第2方向の反対方向に沿って延長される第3直線の間に画成される第2基準領域内に位置した第2-1スリットの個数は、前記第2基準領域内に位置した第2-2スリットの個数より少ない、請求項10に記載のインジェクター。
【請求項14】
前記第1基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数は、前記基準軸から前記第1方向の反対方向に沿って延長される第4直線及び前記第3直線の間に画成される第3基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数とそれぞれ同一であり、
前記第2基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数は、前記第2直線及び前記第4直線の間に画成される第4基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数とそれぞれ同一である、請求項13に記載のインジェクター。
【請求項15】
前記第2スリット部分は、複数個で形成され、
前記基準軸を含む仮想の平面である基準平面で前記インジェクターボディ部を区画するとき、前記基準平面の両側に配置された第2スリット部分の個数は互いに異なる、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項16】
燃料及び空気を供給する供給管;
前記供給管に結合されて流入された前記燃料及び前記空気を噴射するように設けられるインジェクター;及び
前記インジェクターが噴射した前記燃料及び前記空気が流入されるように設けられる燃焼室を含み、
前記インジェクターは、
基準方向に沿って延長されるスリット部を含み、
前記スリット部は、
仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1スリット部分;及び
前記基準円の半径方向に沿って延長される形状を有する第2スリット部分を含む、燃焼器。
【請求項17】
空気を圧縮させて排出するように設けられる圧縮機;
燃料と前記圧縮機で圧縮されて排出された空気を混合した後に燃消させて燃焼ガスを生成するように設けられる燃焼器;及び
前記燃焼器から伝達された前記燃焼ガスにより回転するように設けられるタービンブレードを含み、
前記燃焼器は、
混合された前記燃料及び前記圧縮機で圧縮されて排出された空気を噴射するように設けられるインジェクターを含み、
前記インジェクターは、
仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1スリット部分と、前記基準円の半径方向に沿って延長される形状を有する第2スリット部分とを含むスリット部を含む、ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジェクター、これを含む燃焼器、及びこれを含むガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
最近は、地球温暖化を防ぐための国際機関UNFCCCの報告書及びパリ気候協約を筆頭に、二酸化炭素(CO)減縮のための炭素中立化(Carbon-neutrality)に関する論議が世界中でなされている。特に、発電領域は、二酸化炭素の全体排出量の25%程度を占め、一般に、数ヶ月単位の長い時間の間に駆動されるので、炭素中立化のための対策が強力に求められている状況である。
【0003】
よって、ガスタービンの製造社は、炭素を含まず燃焼時に二酸化炭素が発生しない水素(H)を新たな代案として判断し、2000年代初から開発を進めている。
【0004】
しかし、水素は、高い反応性を示し、メタン、プロパン(C)、エチレン(C)などの既存の燃料に比べて約6倍早い火炎速度を示す。それにより、水素は、旋回器がなくとも広い運転範囲を有することができるという長所を付与するが、それと同時に逆火(flashback)が起こりやすいという短所をともに有する。
【0005】
逆火は、燃料の高い反応性又は強い燃焼振動により、供給される流速より火炎の伝播速度が速くなり火炎が逆流することを意味する。上流に逆流した火炎は、冷却設計が脆弱なところに付着してシステムを溶融させるようになるため、天然ガスを主燃料として活用してきた既存の燃焼器ノズル構造では、安定的な水素専焼ガスタービンの駆動が不可能であった。
【0006】
産業界では、インジェクターの形状を極端に変えることで水素火炎の不安定性を解決しようとした。旋回器を含む多重ノズルインジェクターは、大きなノズルの直径により水素の火炎が容易に逆火したので、大部分のガスタービン製造社では、数ミリメートル単位の直径を有する多重チューブ又はマイクロミキサータイプのノズル形態を採用することで、インジェクターの形状の最適化を進めている。図1は、従来の多重チューブインジェクターの断面を概念的に示した図である。
【0007】
しかし、高い水素分率燃料の場合は、多重チューブの形態を活用するとしても火炎の逆火を制御することが依然と困難な状況である。つまり、水素火炎の逆火を減らすことができる新たなインジェクターの形状が求められる状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、水素火炎の逆火を減少させることができるインジェクター、これを含む燃焼器、及びこれを含むガスタービンを提供することである。
【0009】
また、本発明の課題は、燃焼振動を減少させることができるインジェクター、これを含む燃焼器、及びこれを含むガスタービンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一例において、インジェクターは、インジェクターボディ部、及び前記インジェクターボディ部を基準方向に沿って貫通して形成されるスリット部を含み、前記スリット部は、前記基準方向に沿って延長される仮想の基準軸を中心とする仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1スリット部分、及び前記基準円の半径方向に沿って延長される形状を有する第2スリット部分を含むことができる。
【0011】
他の例において、前記第1スリット部分は、前記基準軸を中心とする仮想の第1基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1-1スリット、及び前記基準軸を中心として、前記第1基準円より直径が大きい仮想の第2基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1-2スリットを含むことができる。
【0012】
また他の例において、前記第1基準円と前記第2基準円の間の領域を第1領域とするとき、前記第2スリット部分は、前記第1領域に配置され、前記第1基準円の半径方向に延長される、第2-1スリットを含むことができる。
【0013】
また他の例において、前記基準方向に沿って眺めるとき、前記第1-1スリットと前記第2-1スリットは、前記第1基準円の半径方向に沿って互いに離隔されてよい。
【0014】
また他の例において、前記第1-1スリットは、複数個で形成され、前記複数個の第1-1スリットは、前記第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、前記第1基準円の一部である第1基準弧の形状を有することができる。
【0015】
また他の例において、前記第1-2スリットは、複数個で形成され、前記複数個の第1-2スリットは、前記第2基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、前記第2基準円の一部である第2基準弧の形状を有し、前記第1基準弧を画成する第1扇形の中心角の大きさは、前記第2基準弧を画成する第2扇形の中心角の大きさより大きくてよい。
【0016】
また他の例において、前記第2-1スリットは、複数個で形成され、前記複数個の第2-1スリットは、前記第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔されてよい。
【0017】
また他の例において、前記第1-1スリットは、複数個で形成され、前記複数個の第1-1スリットは、前記第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、互いに隣接した一対の第1-1スリットの間の空間を第1-1離隔空間とするとき、前記第2-1スリットは、前記半径方向に沿って眺めるとき、前記第1-1離隔空間と重畳される離隔空間重畳スリットを含むことができる。
【0018】
また他の例において、前記第1-1スリット及び前記第1-2スリットは、複数個で形成され、前記第1-1スリットの個数は、前記第1-2スリットの個数より少なくてよい。
【0019】
また他の例において、前記インジェクターは、前記基準軸を中心として、前記第2基準円より直径が大きい仮想の第3基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1-3スリットをさらに含み、前記第2基準円と前記第3基準円の間の領域を第2領域とするとき、前記第2スリット部分は、前記第2領域に配置され、前記第2基準円の半径方向に延長される、第2-2スリットをさらに含むことができる。
【0020】
また他の例において、前記第2-1スリット及び前記第2-2スリットは、複数個で形成され、前記第2-1スリットの個数は、前記第2-2スリットの個数より少なくてよい。
【0021】
また他の例において、前記第2-1スリット及び前記第2-2スリットは、複数個で形成され、前記第2-2スリットは、前記半径方向に沿って眺めるとき、いずれか一つの第2-1スリットと重畳される重畳スリットを含むことができる。
【0022】
また他の例において、前記第2-1スリット及び前記第2-2スリットは、複数個で形成され、前記基準方向に直交する一方向を第1方向とし、前記基準方向及び前記第1方向に直交する一方向を第2方向とするとき、前記基準方向に沿って眺めるとき、前記基準軸から前記第1方向に沿って延長される第1直線、及び前記基準軸から前記第2方向に沿って延長される第2直線の間に画成される第1基準領域内に位置した第2-1スリットの個数は、前記第1基準領域内に位置した第2-2スリットの個数と同一であり、前記第1直線及び前記基準軸から前記第2方向の反対方向に沿って延長される第3直線の間に画成される第2基準領域内に位置した第2-1スリットの個数は、前記第2基準領域内に位置した第2-2スリットの個数より少なくてよい。
【0023】
また他の例において、前記第1基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数は、前記基準軸から前記第1方向の反対方向に沿って延長される第4直線及び前記第3直線の間に画成される第3基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数とそれぞれ同一であり、前記第2基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数は、前記第2直線及び前記第4直線の間に画成される第4基準領域内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数とそれぞれ同一であってよい。
【0024】
また他の例において、前記第2スリット部分は、複数個で形成され、前記基準軸を含む仮想の平面である基準平面で前記インジェクターボディ部を区画するとき、前記基準平面の両側に配置された第2スリット部分の個数は互いに異なってよい。
【0025】
一例として、燃焼器は、燃料及び空気を供給する供給管、前記供給管に結合されて流入された前記燃料及び前記空気を噴射するように設けられるインジェクター、及び前記インジェクターが噴射した前記燃料及び前記空気が流入されるように設けられる燃焼室を含み、前記インジェクターは、基準方向に沿って延長されるスリット部を含み、前記スリット部は、仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1スリット部分、及び前記基準円の半径方向に沿って延長される形状を有する第2スリット部分を含むことができる。
【0026】
一例として、ガスタービンは、空気を圧縮させて排出するように設けられる圧縮機、燃料と前記圧縮機で圧縮されて排出された空気を混合した後に燃消させて燃焼ガスを生成するように設けられる燃焼器、及び前記燃焼器から伝達された前記燃焼ガスにより回転するように設けられるタービンブレードを含み、前記燃焼器は、混合された前記燃料及び前記圧縮機で圧縮されて排出された空気を噴射するように設けられるインジェクターを含み、前記インジェクターは、仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有する第1スリット部分と、前記基準円の半径方向に沿って延長される形状を有する第2スリット部分とを含むスリット部を含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、従来の多重チューブインジェクターに比べて狭い幅を有するスリット部を含むので、逆火現象が減少し得る。
【0028】
また、本発明によると、従来の多重チューブ円形インジェクターに比べ、火炎の厚さと類似の幅を有するスリット部を含むことで火炎面の変化抑制を誘導するので、燃焼不安定が緩和され、燃焼振動が減少し得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来の多重チューブインジェクターを概念的に示した図である。
図2】本発明によるインジェクターが適用され得るガスタービンを概念的に示した切開斜視図である。
図3】本発明によるインジェクターが適用され得る燃焼器の断面を概念的に示した図である。
図4】本発明の実施例1によるインジェクターを基準方向側から眺めた姿を概念的に示した図である。
図5】本発明の実施例1によるインジェクターを概念的に示した図である。
図6】本発明の実施例1によるインジェクターのスリット部のうちいずれか一つの断面を概念的に示した図である。
図7】逆火現象を概念的に示した図である。
図8】水素燃焼試験のための装備を概念的に示した図である。
図9図1の多重チューブインジェクターと図4のインジェクターの水素燃焼試験の結果を比較して示した図である。
図10】スリット部を通過する燃料-空気混合物の流速が50m/sであるときの水素燃焼試験の結果を示した図である。
図11】本発明の実施例2によるインジェクターを基準方向側から眺めた姿を概念的に示した図である。
図12】本発明の実施例3によるインジェクターを基準方向側から眺めた姿を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願は、2021年10月7日に出願された韓国特許出願第10-2021-0133512号、2021年12月27日に出願された韓国特許出願第10-2021-0188701号、及び2022年7月20日に出願された韓国特許出願第10-2022-0089863号に基づいた優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された全ての内容は本出願に援用される。
【0031】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図を介して詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図に表示されるとしても、できる限り同一の符号を有するようにしている。また、本発明の実施例を説明することにおいて、関連された公知の構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨害すると判断されれば、その詳細な説明は省略する。
【0032】
本発明によるインジェクターは、ガスタービンの燃焼器に適用されるインジェクターであってよい。図2は、本発明によるインジェクターが適用され得るガスタービンを概念的に示した切開斜視図である。図3は、本発明によるインジェクターが適用され得る燃焼器の断面を概念的に示した図である。図3は、図2のB領域を概念的に示したものとして理解することができる。
【0033】
以下では、インジェクターの各実施例に関して詳述する。
【0034】
実施例1
図4は、本発明の実施例1によるインジェクターを基準方向側から眺めた姿を概念的に示した図である。図5は、本発明の実施例1によるインジェクターを概念的に示した図である。図6は、本発明の実施例1によるインジェクターのスリット部のうちいずれか一つの断面を概念的に示した図である。
【0035】
インジェクターは、インジェクターボディ部10及びスリット部20を含むことができる。スリット部20は、インジェクターボディ部10を基準方向Dに沿って貫通して形成されてよい。インジェクターボディ部10は、金属素材であってよい。インジェクターボディ部10は、基準方向Dに沿って延長されてよい。
【0036】
スリット部20は、第1スリット部分21及び第2スリット部分22を含むことができる。第1スリット部分21は、仮想の基準円の円周方向に沿って延長される形状を有することができる。基準円は、基準方向Dに沿って延長される仮想の基準軸を中心とする円であってよい。
【0037】
第1スリット部分21の第1幅は、0.37mmから2mmであってよい。好ましくは、第1幅は1.5mmであってよい。第1幅は、第1スリット部分21が延長される方向に直交する方向に沿って第1スリット部分21が有する長さであってよい。第1幅は、水素火炎が理論的に有することができる厚さと類似してよい。
【0038】
第2スリット部分22は、基準円の半径方向に沿って延長される形状を有することができる。第2スリット部分22の第2幅は、0.37mmから2mmであってよい。好ましくは、第2幅は1.5mmであってよい。第2幅は、第2スリット部分22が延長される方向に直交する方向に沿って第2スリット部分22が有する長さであってよい。第2幅は、水素火炎が理論的に有することができる厚さと類似してよい。
【0039】
第1スリット部分21は、第1-1スリット21a及び第1-2スリット21bを含むことができる。第1-1スリット21aは、基準軸を中心とする仮想の第1基準円の円周方向に沿って延長される形状を有することができる。また、第1-2スリット21bは、前記基準軸を中心とする仮想の第2基準円の円周方向に沿って延長される形状を有することができる。第2基準円の直径は、第1基準円の直径より大きくてよい。
【0040】
第1-1スリット21aは、複数個で形成されてよい。複数個の第1-1スリット21aは、第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、第1基準円の一部である第1基準弧の形状を有することができる。互いに隣接した一対の第1-1スリット21aの間には第1-1離隔空間S1が形成されてよい。
【0041】
第1-2スリット21bは、複数個で形成されてよい。複数個の第1-2スリット21bは、第2基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、第2基準円の一部である第2基準弧の形状を有することができる。
【0042】
第1基準弧を画成する第1扇形の中心角の大きさは、第2基準弧を画成する第2扇形の中心角の大きさより大きくてよい。これは、第1-1スリット21aの個数が第1-2スリット21bの個数より少ないことを意味することができる。
【0043】
第2スリット部分22は、第2-1スリット22aを含むことができる。第2-1スリット22aは、第1領域AR1に配置され、第1基準円の半径方向に延長されてよい。第1領域AR1は、第1基準円と第2基準円の間の領域を意味することができる。
【0044】
第2-1スリット22aは、複数個で形成されてよい。複数個の第2-1スリット22aは、第1基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔されてよい。
【0045】
第2-1スリット22aは、離隔空間重畳スリット22a’を含むことができる。離隔空間重畳スリット22a’は、複数個の第2-1スリット22aのうち、半径方向に沿って眺めるとき、第1-1離隔空間S1と重畳される第2-1スリットを意味することができる。これは、複数個の第2-1スリット22aは、半径方向に沿って眺めるとき、第1-1離隔空間S1と重畳される第2-1スリットと、重畳されない第2-1スリットとを含み得ることを意味することができる。
【0046】
第1スリット部分21は、第1-3スリット21cをさらに含むことができる。第1-3スリット21cは、第3基準円の円周方向に沿って延長される形状を有することができる。第3基準円は、基準軸を中心として、第2基準円より直径が大きい仮想の円であってよい。
【0047】
第1-3スリット21cは、複数個で形成されてよい。複数個の第1-3スリット21cは、第3基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔され、第3基準円の一部である第3基準弧の形状を有することができる。
【0048】
第2スリット部分22は、第2-2スリット22bをさらに含むことができる。第2-2スリット22bは、第2領域AR2に配置され、第2基準円の半径方向に延長されてよい。第2領域AR2は、第2基準円と第3基準円の間の領域を意味することができる。
【0049】
第2-2スリット22bは、複数個で形成されてよい。複数個の第2-2スリット22bは、第2基準円の円周方向に沿ってそれぞれ離隔されてよい。
【0050】
第2-2スリット22bは、重畳スリット22b’を含むことができる。重畳スリット22b’は、第2-2スリット22bのうち、半径方向に沿って眺めるとき、いずれか一つの第2-1スリット22aと重畳される第2-2スリットを意味することができる。
【0051】
これは、複数個の第2-2スリット22bは、半径方向に沿って眺めるとき、いずれか一つの第2-1スリット22aと重畳される第2-2スリットと、重畳されない第2-2スリットとを含み得ることを意味することができる。
【0052】
本発明の実施例1によるインジェクターは、逆火現象が減少し得るインジェクターであってよい。図6は、本発明の実施例1によるインジェクターのスリット部のうちいずれか一つの断面を概念的に示した図である。予め混合された燃料/空気混合物は、基準方向Dに沿ってスリット部20に供給されてよい。
【0053】
図7は、逆火現象を概念的に示した図である。図7aから図7dに示されているように、逆火する火炎30は、基準方向Dの反対方向D’に移動することができる。本発明の実施例1によるインジェクターは、従来の多重チューブノズルに比べ、体積対比断面積が広いスリット部20を含む。体積対比断面積が広いスリット部20は、下記のような二つの理由により、従来の多重チューブノズルより逆火現象を減少させることができる。
【0054】
第一、逆火する火炎32がスリット部20を通過する間、金属素材のインジェクターボディ部10を介して熱損失が発生し得る。このような熱損失が燃焼反応による熱生成より多くなる場合、燃焼反応が抑制され得る。本発明は、従来の多重チューブノズルに比べ、体積対比断面積が広いスリット部20を含むので、逆流する火炎がインジェクターボディ部10の内面と接触することができる面積を増やすことができる。よって、従来の多重チューブノズルに比べて熱損失を増加させることができ、これは逆火現象を減少させることができる。
【0055】
第二、燃焼過程ではラジカルイオンが生成及び再結合を繰り返す。本発明の実施例1によるインジェクターの場合、金属素材のインジェクターボディ部10で水素ラジカルの壁面拡散が起こるようになり、このような水素ラジカルの壁面拡散は燃焼反応を抑制させることができる。水素ラジカルは、燃焼反応メカニズムに必要な中間生成物であって、水素ラジカルが壁面拡散を介して消えるようになると燃焼反応が中断され得る。本発明は、従来の多重チューブノズルに比べ、体積対比断面積が広いスリット部20を含むので、水素ラジカルが壁面拡散を介して消えることができる広い面積を提供することができるため、逆火現象を減少させることができる。
【0056】
また、本発明の実施例1によるインジェクターは、燃焼振動が減ることができるインジェクターであってよい。燃焼振動は、燃焼不安定性に関係される。燃焼不安定は、火炎の形状の変化に支配的な影響を受けるので、これを制御するためには火炎形状の変化を最小化しなければならない。火炎形状の変化を最小化するためには、火炎の形状は相対的に表面積が広い形状を有さなければならない。
【0057】
従来の多重チューブノズルの場合、チューブ形の形状により円錐状(conical)火炎の形状を示すので、外部の摂動によって円錐状火炎が収縮及び伸長するようになることがある。よって、火炎形状が変化する可能性が大きいことがある。
【0058】
本発明の実施例1によるインジェクターは、体積対比断面積が広いスリット部を含むので、薄い火炎面はその変化の可能性が相対的に低くなるため、火炎の熱放出率が低くなり、燃焼不安定を減少させて燃焼振動が抑制され得る。
【0059】
図8は、水素燃焼試験のための装備を概念的に示した図である。図9は、図1の多重チューブインジェクターと図4のインジェクターの水素燃焼試験の結果を比較して示した図である。
【0060】
水素燃焼試験のための装備は、燃料-空気混合部100、石英チューブ200、金属チューブ300、及び動圧センサ400を含むことができる。金属チューブ300は、冷却空気流入管310とピストン320を含むことができる。インジェクターボディ部10が燃料-空気混合部100と石英チューブ200の間に配置されてよい。動圧センサ400は、燃焼振動による音響振動の大きさを測定するように設けられてよい。
【0061】
水素燃焼試験のためには、燃料-空気混合部100を通過した水素-空気混合物がインジェクターボディ部10で点火され、計画した流速及び当量比条件に到達した後は、動圧センサ400で燃焼振動による音響振動の大きさを測定した。
【0062】
図9は、スリット部20を通過する燃料-空気混合物の流速が25m/sであり、当量比(φ)がそれぞれ0.325、0.413、0.508であるときの条件で、多重チューブインジェクターと本発明の実施例1によるインジェクターの水素燃焼試験の結果を比較した図である。このとき、実験の当量比条件は、断熱火炎温度がそれぞれ1400K、1600K、1800Kであるときの条件であって、実際のガスタービンの運用に活用される温度と類似するか高い水準に該当する。
【0063】
X軸は、振動数を意味することができる。Y軸のPSDは、パワースペクトル密度(Power Spectral Density)であって、燃焼振動による音響振動の大きさを示す数値である。図11に示したように、全ての当量比条件において、本発明の実施例によるインジェクター(点線)の音響振動が、従来の多重チューブインジェクター(実線)に比べて相対的に緩和されたことを確認することができる。
【0064】
図10は、スリット部を通過する燃料-空気混合物の流速が50m/sであるときの水素燃焼試験の結果を示した図である。さらに詳細には、図10は、スリット部を通過する燃料-空気混合物の流速が50m/sであり、当量比(φ)がそれぞれ0.325、0.413、0.508であるときの条件で、本発明の実施例1によるインジェクターの水素燃焼試験の結果を測定した図である。図10は、実際のガスタービンの運用条件と似た状況における実験の結果を確保したものとみることができる。図10を検討すると、図9の実験の結果と類似に、音響振動が全体的に安定化された様相を示すことを確認することができる。
【0065】
燃焼器
以下では、前述した内容を参考として、本発明の実施例1によるインジェクターを含む燃焼器に関して詳述する。インジェクターに関する内容は前述したので、詳細な内容は省略する。理解のため、図3を参照することができる。
【0066】
図3に示されているように、燃焼器Bは、供給管2、インジェクター及び燃焼室3を含むことができる。供給管2は、燃料及び空気を供給するように設けられてよい。インジェクターは、供給管2に結合されて流入された燃料及び空気を噴射するように設けられてよい。燃焼室3は、インジェクターが噴射した燃料及び空気が流入されるように設けられてよい。また、燃焼室3では、インジェクターが噴射した燃料及び空気が混合されてよい。燃焼室3では、燃焼反応が起こり得る。
【0067】
ガスタービン
以下では、前述した内容を参考として、本発明の実施例1によるインジェクターを含むガスタービンに関して詳述する。インジェクターに関する内容は前述したので、詳細な内容は省略する。
【0068】
ガスタービンは、圧縮機、燃焼器B及びタービンブレードを含むことができる。圧縮機は、空気を圧縮させて排出するように設けられてよい。燃焼器Bは、燃料と圧縮機で圧縮されて排出された空気を混合した後に燃消させ、燃焼ガスを生成するように設けられてよい。タービンブレードは、燃焼器Bから伝達された燃焼ガスによって回転するように設けられてよい。
【0069】
燃焼器Bは、混合された燃料、及び圧縮機で圧縮されて排出された空気を噴射するように設けられるインジェクターを含むことができる。
【0070】
実施例2
図11は、本発明の実施例2によるインジェクターを基準方向側から眺めた姿を概念的に示した図である。以下では、図11を参照し、本発明の実施例2によるインジェクターを説明する。実施例2によるインジェクターは、第2スリット部分の配置において実施例1によるインジェクターと差がある。実施例1によるインジェクターと同一であるか相当する構成に対しては、同一であるか相当する図面符号を付与し、具体的な説明は省略する。
【0071】
以下では、基準方向Dに直交する一方向を第1方向D1とし、基準方向D及び第1方向D1に直交する一方向を第2方向D2とする。
【0072】
また、説明の便宜のため、第1から第4直線L1、L2、L3、L4及び第1から第4基準領域RA1、RA2、RA3、RA4を定義する。第1直線L1は、基準軸Aから第1方向D1に沿って延長される直線を意味することができる。第2直線L2は、基準軸Aから第2方向D2に沿って延長される直線を意味することができる。第3直線L3は、基準軸Aから第2方向D2の反対方向に沿って延長される直線を意味することができる。第4直線L4は、基準軸Aから第1方向D1の反対方向に沿って延長される直線を意味することができる。
【0073】
第1基準領域RA1は、基準方向Dに沿って眺めるとき、第1直線L1及び第2直線L2の間に画成される領域を意味することができる。第2基準領域RA2は、第1直線L1及び第3直線L3の間に画成される領域を意味することができる。第3基準領域RA3は、第3直線L3及び第4直線L4の間に画成される領域を意味することができる。第4基準領域RA4は、第2直線L2及び第4直線L4の間に画成される領域を意味することができる。第1から第4基準領域RA1、RA2、RA3、RA4は、反時計方向に沿って順に配置されてよい。
【0074】
第1基準領域RA1内に位置した第2-1スリットの個数は、第1基準領域RA1内に位置した第2-2スリットの個数と同一であってよい。同様に、第1基準領域RA1内に位置した第2-2スリットの個数は、第1基準領域RA1内に位置した第2-3スリットの個数と同一であってよい。一例として、第1基準領域RA1内に位置した第2-1スリット、第2-2スリット及び第2-3スリットの個数はそれぞれ2個であってよい。
【0075】
第2基準領域RA2内に位置した第2-1スリットの個数は、第2基準領域RA2内に位置した第2-2スリットの個数より少なくてよい。同様に、第2基準領域RA2内に位置した第2-2スリットの個数は、第2基準領域RA2内に位置した第2-3スリットの個数より少なくてよい。一例として、第2基準領域RA2内に位置した第2-1スリットの個数は1個、第2-2スリットの個数は3個、第2-3スリットの個数は5個であってよい。
【0076】
一方、第1基準領域RA1内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数は、第3基準領域RA3内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数とそれぞれ同一であってよい。同様に、第1基準領域RA1内に位置した第2-3スリットの個数は、第3基準領域RA3内に位置した第2-3スリットの個数とそれぞれ同一であってよい。すなわち、第1基準領域RA1と第3基準領域RA3は対称をなして形成されてよい。
【0077】
第2基準領域RA2内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数は、第4基準領域RA4内に位置した第2-1スリット及び第2-2スリットの個数とそれぞれ同一であってよい。同様に、第2基準領域RA2内に位置した第2-3スリットの個数は、第4基準領域RA4内に位置した第2-3スリットの個数とそれぞれ同一であってよい。すなわち、第2基準領域RA2と第4基準領域RA4は対称をなして形成されてよい。
【0078】
第1スリット部分21は、半径方向への火炎分布を分散させ、ノズルの面積を拡張させるための構成であってよい。第2スリット部分22は、その配置又は配列によって円周方向の火炎分布の対称性を崩壊させるための構成であってよい。さらに詳細には、第2スリット部分22の配置を非対称的に変更することになる場合、火炎分布の対称性が崩壊され得る。火炎分布の対称性が大きいというのは、補強干渉が大きく発生し得ることを意味することができるので、燃焼不安定が高いものとみることができる。
【0079】
すなわち、前述したように、燃焼不安定は、火炎の形状の変化に支配的な影響を受けるため、第2スリット部分22の配置が対称的であるほど燃焼の不安定が大きくなり得る。これは、第2スリット部分22の配置が相対的に非対称的であるほど燃焼の不安定が減少し得ることを意味することができる。
【0080】
実施例2によるインジェクターの場合、第2スリット部分22の非対称性が実施例1によるインジェクターに比べて大きいので、実施例1によるインジェクターに比べて燃焼不安定が減少し得るという効果がある。
【0081】
実施例3
図12は、本発明の実施例3によるインジェクターを基準方向側から眺めた姿を概念的に示した図である。以下では、図2を参照して本発明の実施例3によるインジェクターを説明する。実施例3によるインジェクターは、第2スリット部分の配置において実施例1によるインジェクターと差がある。実施例1によるインジェクターと同一であるか相当する構成に対しては、同一であるか相当する図面符号を付与し、具体的な説明は省略する。
【0082】
実施例3によるインジェクターは、基準軸Aを含む仮想の平面である基準平面RSでインジェクターボディ部10を区画するとき、基準平面RSの両側に配置された第2スリット部分22の個数は互いに異なってよい。すなわち、実施例3によるインジェクターは、第2スリット部分22の配置の対称性が崩壊された形態として理解することができる。
【0083】
実施例3によるインジェクターの場合、第2スリット部分22の非対称性が実施例1及び実施例2によるインジェクターに比べて大きいので、実施例1及び実施例2によるインジェクターに比べて燃焼不安定がさらに減少し得るという効果がある。
【0084】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護の範囲は、下記の特許請求の範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
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図10
図11
図12
【国際調査報告】