(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】流動性治療用組成物を手術部位に送達するための動水力を使用するシステム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61M5/142
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520969
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2021122569
(87)【国際公開番号】W WO2023056588
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517274590
【氏名又は名称】コウシュウ・バイオシール・バイオテック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Guangzhou Bioseal Biotech Co., Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シエ・シーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】グオ・ジャンシン
(72)【発明者】
【氏名】グオ・シュエリン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC04
4C066DD02
4C066DD11
(57)【要約】
流動性止血剤、生物製剤、又は薬剤ペーストなどの流動性治療用組成物を送達するためのシステムは、近位開口部を有する近位端と、遠位開口部を有する遠位端と、近位端から遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレ備える。流動性治療用組成物は、カニューレの細長い管腔を充填し、ピストンは、カニューレの近位端を封止するために細長い管腔内に配置される。エンドキャップは、カニューレの遠位端に固定される。ポンプアセンブリは、流体を含み、カニューレの近位端に結合される。エンドキャップが取り外された後、ポンプアセンブリは、流体を圧送して、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物を圧出するためにピストンをカニューレの遠位端に向かって摺動させるために、カニューレの近位開口部を通って流れるように流体を方向付けるように動作可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性治療用組成物を送達するためのシステムであって、
近位開口部を有する近位端と、遠位開口部を有する遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレと、
前記カニューレの前記細長い管腔を充填する流動性治療用組成物と、
前記カニューレの前記近位端を封止するために前記細長い管腔内に配置されたピストンと、
前記カニューレの前記遠位端に解放可能に固定されたエンドキャップと、
流体を含むポンプアセンブリであって、前記カニューレの前記近位端に結合され、前記カニューレの前記遠位端から前記流動性治療用組成物を圧出するために前記ピストンを前記カニューレの前記遠位端に向かって摺動させるために、前記カニューレの前記近位開口部を通って流れるように前記流体を方向付けるように動作可能である、ポンプアセンブリと、を備える、システム。
【請求項2】
前記カニューレは、前記カニューレの前記遠位端が湾曲構成に曲がることを可能にする可撓性区分を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カニューレは、剛性区分と可撓性区分とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流動性治療用組成物は、粘性流体を含み、前記ポンプアセンブリの前記流体は、前記粘性流体よりも低い粘度を有する生理食塩水又は空気を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記流動性治療用組成物は、流動性止血剤、生物製剤、及び薬剤ペーストからなる群から選択される組成物である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ピストンは、前記カニューレの内面とシールを形成する外周を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ピストンは、円筒形本体と、前記円筒形本体に結合された少なくとも1つのOリングとを備え、前記少なくとも1つのOリングは、前記カニューレの前記内面との前記シールを形成するために前記カニューレの前記内面上を摺動するように構成されている外周を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ピストンは、円筒形本体、可撓性本体、ゴムで作製された本体、フルオロポリマーエラストマー及び商標VITON(登録商標)で販売されている合成ゴム化合物で作製された本体、並びに1つ又は2つ以上のボールからなる群から選択されたものである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記ポンプアセンブリは、
シリンジバレルと、前記シリンジバレルの内側に配置されているシリンジプランジャとを含むシリンジと、
前記シリンジバレルの遠位端に結合された近位端と、前記カニューレの前記近位端に結合された遠位端とを有するシリンジコネクタであって、前記シリンジバレルと前記カニューレの前記近位端との間に流体流路を画定するように、前記シリンジコネクタの前記近位端から前記シリンジコネクタの前記遠位端まで延在する流体導管を有する、シリンジコネクタと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記シリンジプランジャを前記シリンジバレルの前記遠位端に向かって押圧することで、前記流体を前記シリンジバレルから排出し、前記流体を前記シリンジコネクタの前記流体流路に通して前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に押し込む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポンプアセンブリは、
前記ポンプアセンブリの前記流体を貯蔵するための流体リザーバと、
前記流体リザーバと流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバ内に配置されたプランジャであって、前記ポンプチャンバ内に真空を生成して前記ポンプチャンバ内に前記流体を引き込むために第1の方向に移動可能であり、かつ前記流体を前記ポンプチャンバから押し出すために第2の方向に移動可能である、プランジャと、
前記プランジャを前記ポンプチャンバ内で移動させるために前記プランジャに結合された圧搾可能なトリガと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
流動性治療用組成物を送達するためのシステムであって、
近位開口部を有する近位端と、遠位開口部を有する遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレと、
前記カニューレの前記細長い管腔を充填する流動性治療用組成物と、
前記細長い管腔内に配置されたピストンであって、前記カニューレの内面とシールを形成し、前記カニューレの前記細長い管腔内で遠位方向に摺動するように構成されている、ピストンと、
前記カニューレの前記遠位端に固定されたエンドキャップと、
前記カニューレの前記近位端に結合されたポンプアセンブリであって、前記カニューレの前記遠位端から前記流動性治療用組成物を圧出するために前記ピストンを前記カニューレの前記遠位端に向かって押し進めるために、前記カニューレの前記近位開口部を通って流れるように流体を方向付けるように動作可能である、ポンプアセンブリと、を備える、システム。
【請求項13】
前記ピストンによって形成された前記シールは、前記流体を前記流動性治療用組成物から隔離する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ポンプアセンブリは、
シリンジバレルと、前記シリンジバレルの内側に配置されているシリンジプランジャとを含むシリンジと、
前記シリンジバレルを充填する前記流体と、
前記シリンジバレルの遠位端に結合された近位端と、前記カニューレの前記近位端に結合された遠位端とを有するシリンジコネクタであって、前記シリンジバレルと前記カニューレの前記近位端との間に前記流体のための流体流路を画定するように、前記シリンジコネクタの前記近位端から前記シリンジコネクタの前記遠位端まで延在する流体導管を有する、シリンジコネクタと、を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記シリンジプランジャは、前記流体を前記シリンジバレルから排出し、前記ピストンの近位側に接触させるために前記流体を前記シリンジコネクタの前記流体流路に通して前記カニューレの前記近位端に押し込むために、前記シリンジバレルの前記遠位端に向かって押圧可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ポンプアセンブリは、
前記流体を貯蔵するための流体リザーバと、
前記流体リザーバと流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバ内に配置されたプランジャであって、前記流体を前記流体リザーバから前記ポンプチャンバ内に引き込むための真空を生成するために第1の方向に移動可能であり、かつ前記流体を前記ポンプチャンバから押し出すために第2の方向に移動可能である、プランジャと、
前記プランジャを前記ポンプチャンバ内で移動させるために前記プランジャに結合された圧搾可能なトリガと、を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
治療用組成物を送達する方法であって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレと、前記カニューレの前記細長い管腔を充填する流動性治療用組成物と、前記カニューレの前記細長い管腔内に配置されたピストンと、前記カニューレの前記遠位端に接続されたエンドキャップと、を得ることと、
前記カニューレの前記遠位端から前記流動性治療用組成物を圧出するために、前記ピストンを前記カニューレの前記細長い管腔内で前記カニューレの前記遠位端に向かって摺動させるために、前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に流体を方向付けることと、を含む、方法。
【請求項18】
前記方法は、
前記ピストンが前記カニューレの前記近位端に位置付けられて前記カニューレの前記近位端における近位開口部を封止し、前記流動性治療用組成物が前記ピストンの遠位側と前記カニューレの前記遠位端との間に延在している、第1の圧出段階と、
前記ピストンが前記カニューレの前記近位端と前記遠位端との間の中間に位置付けられ、前記流体が前記ピストンの近位側と前記カニューレの前記近位端との間に延在し、前記流動性治療用組成物が前記ピストンの前記遠位側と前記カニューレの前記遠位端との間に延在している、第2の圧出段階と、を含む圧出段階を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、前記ピストンが、前記カニューレの前記遠位端に位置付けられ、かつ前記カニューレの前記遠位端に位置付けられた狭窄部と接触しており、前記流体が前記ピストンの前記近位側と前記カニューレの前記近位端との間に延在している、第3の圧出段階を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流体を前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に方向付けるステップは、前記カニューレの前記近位端にポンプアセンブリを結合することと、前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に前記流体を押し込むために前記ポンプアセンブリを動作させることとを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、概して、手術部位での出血を制御することに関し、より具体的には、出血を制御するために、流動性止血剤のような流動性治療用組成物を送達するために使用されるシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲン及びゼラチンのようなタンパク質系止血材料は、外科的処置における使用のために、固体スポンジ及びばらばらの又はパックされてない粉末形態で市販されている。ばらばらの又はパックされてない粉末を、生理食塩水又はトロンビン溶液のような流体と混合することで、材料の混合状態及び相対的な比率に応じて、特に凹凸のある表面又は手の届きにくい領域からのびまん性出血の場合における使用のための止血組成物として有益なペースト又はスラリーを形成することができる。
【0003】
従来の止血ペーストは、通常、組成物に均一性を提供するために、生体適合性ポリマー(例えば、ゼラチン)及び液体(例えば、トロンビン溶液)の機械的撹拌及び混合によって、使用の時点で調製される。ペーストを形成するための混合は、通常、混練又は2つのシリンジ間での移動のような、大規模な混合を必要とする。
【0004】
止血ペーストは、ペーストの最適な止血効果を高めるためにトロンビン成分を含むことがしばしば望ましい。安定性の理由から、トロンビン成分は、通常、生体適合性ポリマー成分とは別の乾燥組成物として提供される。次いで、乾燥トロンビンは、生体適合性ポリマーと混合する前に、懸濁液又は溶液を形成するために再構成される。トロンビン成分の再構成ステップは、通常、生体適合性ポリマーと混合する直前に行われる。トロンビンの再構成は、時間がかかり、関与する多重ステップシリンジ操作は困難である。外科医は止血剤が調製されるのを待っている間処置を一時停止しなければならないので、このことは出血を伴う手術室環境において望ましくない要因である。
【0005】
上記の欠点を考慮して、出血を制御するために使用される安全かつ有効な流動性止血剤を提供することに向けられた努力がなされてきた。例えば、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)によって販売されているSURGIFLO(登録商標)Hemostatic Matrix Kit with Thrombinは、トロンビンを含む止血ゼラチンペーストを生成するために使用されるキットであり、これは、最初に乾燥トロンビン組成物を再構成し、続いてゼラチンマトリックス-トロンビン溶液混合物を2つの接続されたシリンジ間で前後に移動させて合計で少なくとも6回通過させることによって調製される。
【0006】
国際公開第2011/151400号、国際公開第2011/151384号、国際公開第2011/151386号及び国際公開第2013/185776号に記載されているように、生体適合性ポリマー及びトロンビンを乾燥形態で同じシリンジ内に提供する他の試みがなされており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。止血製品の製造において通常用いられる滅菌方法(すなわち、電離放射線及び/又はエチレンオキシド)に対するトロンビンの感受性、水に対するトロンビンの感受性、並びにトロンビン、及びゼラチンのように通常用いられるポリマーの異なる物理的-化学的特性に起因して、このような「オールインワン」製品を、それらが製造中、滅菌中及び製品の貯蔵寿命を通して十分なトロンビン活性を保持し、かつ/又は最終的な再構成止血ペースト製品におけるトロンビンの満足な分布を確実にするように製造することは、困難であることが証明されている。
【0007】
上記のように、トロンビンを止血ペーストに組み込むことは、製造若しくは安定性の理由のいずれかに起因して、又は生体適合性ポリマーと混合する前に乾燥トロンビン組成物を再構成するのに時間がかかることに起因して、困難であることが証明されている。したがって、トロンビンを止血ペースト中に迅速かつ容易に組み込むための新規な方法を開発すること、及び潜在的な出血が迅速かつ効率的な様式で制御されなければならない手術室において止血組成物を調製するための単純かつ迅速な方法に対する長年にわたる必要性が当該技術分野において存在している。
【0008】
これに応じて、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)に譲渡され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0343981号は、トロンビンを含む止血組成物を調製するための方法を教示する。一実施形態では、本方法は、生体適合性ポリマーを含むペーストのような、ペースト中で乾燥トロンビンを直接的に再構成するステップを含む。トロンビンを含む止血組成物は、乾燥トロンビン組成物及びペーストから単一ステップで調製され得る。流動性止血剤は、創傷を治療する(例えば、出血を制御する)ために使用される。
【0009】
止血ペーストは、シリンジのようなポンピングシステムを使用して圧出され得る。
図20を参照すると、手術部位における出血を制御するための1つの従来技術のシステムは、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)によって商標SURGIFLO(登録商標)として販売されているトロンビンを有する流動性止血剤マトリックスのような、流動性止血剤を分注するためのアプリケータデバイス50を含む。アプリケータデバイス50は、流動性止血剤54を含有するシリンジ52と、シリンジ52の遠位端に固定されたアプリケータ先端56とを含む。シリンジプランジャ58は、アプリケータ先端56の遠位端60から流動性止血剤54を分注するために押圧され得る。
【0010】
図20に示されるシステムは、出血を制御するために使用され得る。
図21Aにおいて、血管Vは、出血している創傷Wを有する。アプリケータ先端56の遠位端60は、創傷Wの上に流動性止血剤54を塗布するために、出血している創傷部位と並置される。
【0011】
図21Bは、流動性止血剤54の塊によって完全に覆われた後の出血している創傷部位を示す。流動性止血剤は、フィブリンと呼称される血液中の物質のフィブリノーゲンへの変換を加速することによって血液凝固を助ける。この化学反応は、血餅の形成をもたらし、これは止血のプロセスにおける最終ステップである。
【0012】
いくつかの事例では、流動性止血剤の残留量は、アプリケータ先端56のカニューレ内に残る。廃棄物を排除し、調製されている流動性止血剤をより高い割合で使用するために、アプリケータ先端56内に残っている流動性止血剤の残量が、分注デバイスの遠位端60から分注されることができるのであれば、望ましいことである。いくつかの事例では、シリンジの遠位端は、アプリケータ先端56の近位端から取り外され、アプリケータ先端の遠位端から残留又はストランド状の流動性止血剤を押し出すために、スタイラス又はスティックがアプリケータ先端のカニューレに挿入される。外科的処置中のこの余分なステップは、時間を浪費し、アプリケータ先端の遠位端からストランド状の流動性止血剤を排出するために、外科医がカニューレを通してスティックを前進させることに集中するので、外科医は、手術部位から目を離さざるを得ない。
【0013】
他の事例では、高い圧出力を発生させる必要があるため、通常のシリンジを使用して高粘度ペースト生物製剤を圧出及び塗布することは困難である。高粘度ペースト生物製剤を圧出するとき、圧出力を低減するために、より大きいサイズの管腔を有するカニューレを使用することがしばしば必要であり、これは、典型的には、カニューレ内に著しい量のペースト残留物(例えば、廃棄物又は死容積)を生成する。いくつかの事例では、長いロッドが、カニューレからペーストを空にするために使用され、その結果、ロッド挿入及び両手操作(すなわち、一方の手がカニューレを保持し、他方の手がロッドを押す)に切り替えるときにペースト塗布が中断される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記に鑑みて、出血を制御するための外科的処置中に流動性治療用組成物を迅速に、効率的に、かつ安全に圧出するための改善されたシステム、デバイス、及び方法に対する必要性が依然として存在する。
【0015】
また、廃棄物を最小限に抑え、カニューレ及び分注管の遠位端に隣接するストランド状の材料の存在を排除しながら、流動性治療用材料を効率的かつ効果的に圧出する改良されたシステム、デバイス、及び方法に対する必要性が依然として存在する。
【0016】
また、医療従事者が高粘性材料を分注することをより容易にする、流動性治療用組成物を圧出する改善されたシステム、デバイス、及び方法に対する必要性が存在する。
【0017】
更に、流動性組成物をより経済的かつ効果的に分注するために、より少ない部品及び/又は構成要素を使用する、流動性治療用組成物を圧出する改善されたシステム、デバイス、及び方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一実施形態では、本特許出願は、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物を分注するための追い出し手段(driving means)として圧送流体(例えば、生理食塩水)を含有するシリンジ又はハンドポンプを使用しながら、流動性治療用組成物(例えば、流動性止血剤、生物製剤、医薬ペースト)のための一次容器としてカニューレ又は中空管を使用することを開示する。
【0019】
一実施形態では、使用される圧送流体(例えば、生理食塩水)の体積は、カニューレの遠位端から圧出される流動性治療用組成物の体積に等しい。カニューレは流動性治療用組成物で予め充填されているので、圧出処置の開始直後に、流動性治療用組成物は、カニューレの遠位端から出る。したがって、流動性治療用組成物がカニューレの遠位端に流れる際に、待機期間又は遅延はない。
【0020】
一実施形態では、流動性治療用組成物を送達するためのシステムは、好ましくは、近位開口部を有する近位端と、遠位開口部(例えば、分注開口部)を有する遠位端と、近位端から遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレ(例えば、中空管)を含む。
【0021】
一実施形態では、カニューレの細長い管腔は、カニューレの近位端と遠位端との間で一定のままである(すなわち、同じである、変化しない)寸法を有する内径を有する。
【0022】
一実施形態では、細長い管腔の遠位端は、ピストンが狭窄部を通過することを防止しながら、流動性治療用組成物が狭窄部を通って流れることを可能にする狭窄部を有し得る。
【0023】
一実施形態では、流動性治療用組成物は、カニューレの細長い管腔を充填する。
【0024】
一実施形態では、流動性治療用組成物は、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)によって商標SURGIFLO(登録商標)Hemostatic Matrix Kit with Thrombinとして販売されている流動性止血剤などの流動性止血剤であり得る。
【0025】
一実施形態では、本明細書でカニューレピストンとも称されるピストンは、カニューレの近位端を封止するためにカニューレの細長い管腔内に配置される。
【0026】
一実施形態では、エンドキャップは、カニューレの遠位端に固定される。エンドキャップは、カニューレの遠位端に解放可能に固定され得る。エンドキャップは、カニューレを流動性治療用組成物で充填するために、カニューレの遠位端から取り外され得、次いで、エンドキャップは、治療用組成物をカニューレ内に封止するために、カニューレの遠位端に再固定され得る。
【0027】
一実施形態では、カニューレが治療用組成物で充填された後、エンドキャップは、カニューレの遠位端に再固定され得、好ましくは、送達デバイスの出荷及び/又は保管中に定位置に留まる。一実施形態では、エンドキャップは、カニューレの遠位端から治療用組成物を圧出する前に取り外される。
【0028】
一実施形態では、カニューレの細長い管腔の遠位端は、ピストンがカニューレの遠位端から出るのを防止するための狭窄部を有し得る。
【0029】
一実施形態では、エンドキャップは、送達デバイスのカニューレの遠位端から治療用組成物を分注するためのアプリケータ先端として機能し得、ピストンがカニューレの遠位端から出ることを防止するための狭窄部を有し得る。
【0030】
一実施形態では、エンドキャップは、流動性治療用組成物を圧出するための圧出先端を有し得る。
【0031】
一実施形態では、システムは、望ましくは、流体を含むポンプアセンブリを含む。一実施形態では、ポンプアセンブリは、カニューレの近位端と結合される。ポンプアセンブリは、流体(例えば、生理食塩水)を圧送して、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物を圧出するためにピストンをカニューレの遠位端に向かって摺動させるために、カニューレの近位開口部を通って流れるように流体を方向付けるように動作可能である。
【0032】
一実施形態では、カニューレの近位端で近位開口部の中に方向付けられる流体(例えば、生理食塩水)は、流動性治療用組成物(例えば、流動性止血剤塗布のための)を圧出するために、ピストンをカニューレの遠位端に向かって押すための追い出し媒体(driving media)として使用される。
【0033】
一実施形態では、流体(例えば、生理食塩水)の水圧を使用してピストンをカニューレの近位端から遠位端に移動させて、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物(例えば、流動性止血剤、生物製剤、薬剤ペースト)を圧出することによって、例えば、限定するものではないが、ポンプアセンブリの動作開始時のカニューレの遠位端からの流動性治療用組成物の送達が瞬時であること、ピストンがカニューレの遠位端に到達したときに流動性治療用組成物の全てがカニューレから排出されているので、流動性治療用組成物の無駄が最小化されること、液圧に依拠するポンプアセンブリを使用することによって流動性治療用組成物の圧出に対する抵抗がより少ないこと、及び必要な部品がより少ないことなどのいくつかの利点を提供する。
【0034】
一実施形態では、ピストンが遠位に移動するにつれて、ピストンは、好ましくは、カニューレの遠位端で分注開口部を介して圧出及び/又は送達するために、流動性治療用組成物をカニューレの遠位端に向かって押し進める。
【0035】
一実施形態では、カニューレは、カニューレの遠位端が湾曲構成に曲がることを可能にする可撓性区分を有し得る。
【0036】
一実施形態では、カニューレは、剛性区分と可撓性区分とを有し得る。
【0037】
一実施形態では、流動性治療用組成物は、粘性流体(例えば、流動性止血剤、生物製剤)であり得、ポンプアセンブリによって圧送される流体は、流動性粘性流体より低い粘度を有する生理食塩水、水、又は空気を含み得る。
【0038】
一実施形態では、ピストンは、カニューレの内面とシールを形成する外周を有し得る。
【0039】
一実施形態では、ピストンは、円筒形本体と、円筒形本体に結合された少なくとも1つのOリングとを備え得る。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つのOリングは、好ましくは、カニューレの内面とのシールを形成するためにカニューレの内面上を摺動するように構成されている外周を有する。
【0041】
一実施形態では、カニューレ内に配置されるピストンは、円筒形本体、可撓性本体、ゴムで作製された本体、フルオロポリマーエラストマー及び商標VITON(登録商標)で販売されている合成ゴム化合物で作製された本体、並びに/又は1つ又は2つ以上のボールを含み得る。
【0042】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、シリンジバレルと、シリンジバレルの内側に配置されたシリンジプランジャとを有するシリンジを備え得る。
【0043】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、シリンジバレルの遠位端に結合された近位端と、カニューレの近位端に結合された遠位端とを有するコネクタを備え得る。
【0044】
一実施形態では、コネクタは、シリンジバレルとカニューレの近位端との間に流体流路を画定するように、コネクタの近位端から遠位端まで延在する流体導管を有する。
【0045】
一実施形態では、シリンジプランジャは、流体をシリンジバレルから排出し、流体をコネクタの流体流路に通してカニューレの近位端でカニューレの細長い管腔内に押し込むために、シリンジバレルの遠位端に向かって押圧可能である。
【0046】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、トリガなどのハンドポンプを含み得る。
【0047】
一実施形態では、特別に設計されたハンドポンプは、高圧出力を必要とする高粘性組成物(例えば、薬剤ペースト)を送達するために使用され得る。
【0048】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、望ましくは、ポンプアセンブリの流体を貯蔵するための流体リザーバと、流体リザーバと流体連通しているポンプチャンバと、ポンプチャンバ内に配置されたプランジャであって、ポンプチャンバ内に真空を生成してポンプチャンバ内に流体を引き込むために第1の方向に移動可能であり、かつ流体をポンプチャンバから押し出すために第2の方向に移動可能である、プランジャと、プランジャをポンプチャンバ内で移動させるためにプランジャに結合された圧搾可能なトリガとを備える。
【0049】
一実施形態では、カニューレは、流動性治療用組成物のための一次容器として使用され、生理食塩水シリンジ又はハンドポンプは、カニューレから流動性治療用組成物を分注するための追い出し手段として使用される。
【0050】
一実施形態では、カニューレから流動性治療用組成物を追い出す(drive)ために生理食塩水を使用することは、手術室における生理食塩水の利用可能性を利用する。使用される生理食塩水の量は、塗布される流動性治療用組成物の量と同じである。カニューはが予め充填されているので、流動性治療用組成物は、塗布中にカニューレの遠位端から直ちに出て、治療用組成物がカニューレの近位端から遠位端に流れるための待ち時間がない。
【0051】
一実施形態では、流動性治療用組成物(例えば、止血ペースト)を送達するためのシステムは、望ましくは、近位開口部を有する近位端と、遠位開口部(例えば、分注開口部)を有する遠位端と、近位端から遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレを備える。
【0052】
一実施形態では、流動性治療用組成物は、カニューレの細長い管腔を充填し、ピストンは、細長い管腔内に配置される。ピストンは、好ましくは、カニューレの内面とシールを形成し、カニューレの細長い管腔内で遠位方向に摺動するように構成されている。
【0053】
一実施形態では、エンドキャップは、カニューレの遠位端に固定される。
【0054】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、カニューレの近位端と結合される。ポンプアセンブリは、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物を圧出するためにピストンをカニューレの遠位端に向かって押し進めるために、カニューレの近位開口部を通って流れるように流体(例えば、生理食塩水)を方向付けるように動作可能である。
【0055】
一実施形態では、ピストンによって形成されたシールは、圧送流体(例えば、生理食塩水)を流動性治療用組成物(例えば、止血ペースト)から隔離する。圧送流体は、ピストンの近位側と接触し得、流動性治療用組成物は、ピストンの遠位側と接触し得る。
【0056】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、シリンジバレルと、シリンジバレルの内側に配置されているシリンジプランジャとを含むシリンジと、シリンジバレルを充填する流体とを備え得る。
【0057】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、シリンジバレルの遠位端に結合された近位端と、カニューレの近位端に結合された遠位端とを有するコネクタを備え得る。
【0058】
一実施形態では、コネクタは、シリンジバレルとカニューレの近位端との間に生理食塩水のための流体流路を画定するように、コネクタの近位端から遠位端まで延在する流体導管を有する。
【0059】
一実施形態では、シリンジプランジャは、生理食塩水をシリンジバレルから排出し、ピストンの近位側に接触させるために生理食塩水をコネクタの流体流路に通してカニューレの近位端内に押し込むために、シリンジバレルの遠位端に向かって押圧可能である。
【0060】
一実施形態では、ポンプアセンブリは、生理食塩水を貯蔵するための流体リザーバと、流体リザーバと流体連通しているポンプチャンバと、ポンプチャンバ内に配置されたプランジャと備え得る。
【0061】
一実施形態では、プランジャは、生理食塩水を流体リザーバからポンプチャンバ内に引き込むための真空を生成するために第1の方向に移動可能であり、かつ生理食塩水をポンプチャンバから押し出すために第2の方向に移動可能である。
【0062】
一実施形態では、圧搾可能なトリガは、プランジャをポンプチャンバ内で移動させるためにプランジャに結合されている。
【0063】
一実施形態では、流動性治療用組成物を分注又は圧出する前に、エンドキャップは、流動性治療用組成物がカニューレの遠位端で開口部を通って流れ得るように、カニューレの遠位端から取り外され得る。
【0064】
一実施形態では、治療用組成物を送達する方法は、好ましくは、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレを得ることを含む。カニューレの細長い管腔は、流動性治療用組成物で充填され、ピストンは、カニューレの細長い管腔内に配置され、エンドキャップは、カニューレの遠位端に接続される。
【0065】
一実施形態では、本方法は、カニューレの遠位端に位置付けられる分注開口部を通してなど、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物を圧出するために、ピストンをカニューレの細長い管腔内でカニューレの遠位端に向かって摺動させるために、カニューレの近位端で細長い管腔内に流体を方向付けることを含む。
【0066】
一実施形態では、本方法は、ピストンがカニューレの近位端に位置付けられてカニューレの近位端における近位開口部を封止し、流動性治療用組成物がピストンの遠位側とカニューレの遠位端との間に延在している、第1の圧出段階を含む、異なる圧出段階を含み得る。
【0067】
一実施形態では、本方法は、ピストンがカニューレの近位端と遠位端との間の中間に位置付けられ、流体がピストンの近位側とカニューレの近位端との間に延在し、流動性治療用組成物がピストンの遠位側とカニューレの遠位端との間に延在している、第2の圧出段階を含み得る。
【0068】
一実施形態では、本方法は、ピストンがカニューレの遠位端に位置付けられ、流体がピストンの近位側とカニューレの近位端との間に延在している、第3の圧出段階を含み得る。
【0069】
一実施形態では、流体をカニューレの近位端で細長い管腔内に方向付けるステップは、カニューレの近位端にポンプアセンブリを結合することと、カニューレの近位端で細長い管腔内に流体を押し込むためにポンプアセンブリを動作させることとを含み得る。
【0070】
高粘度ペースト生物製剤は、高い圧出力を発生させる必要があるため、通常のシリンジを使用しているときに塗布することが困難である。1つの解決策は、必要とされる圧出力のレベルを低減するために、大きいサイズの管腔を有するカニューレを使用することである。この解決策は、カニューレ内に著しい量の残留物(例えば、廃棄物又は死容積)を生成する。いくつかの事例では、長いロッドがカニューレの内容物を空にするために使用され、その結果、ロッド挿入及び両手操作(一方の手がカニューレを保持し、他方の手がロッドを挿入して押す)に切り替えることによってペースト塗布が中断される。
【0071】
一実施形態では、カニューレは、流動性治療用組成物(例えば、薬剤ペースト)のための一次容器であり、流体(例えば、生理食塩水)を収容するシリンジ又はハンドポンプは、手術室における生理食塩水の利用可能性を利用して、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物を分注するための追い出し手段として使用される。使用される流体(例えば、生理食塩水)の量は、圧出される流動性治療用組成物(例えば、流動性止血剤、薬剤ペースト)の量と同じである。カニューレは流動性治療用組成物で予め充填されているので、流動性粘性材料は、追い出し手段の作動後にカニューレの遠位端から直ちに出る。したがって、流動性治療用組成物がカニューレの近位端から遠位端に流れるための待ち時間はない。
【0072】
カニューレが屈曲及び/又は湾曲されることができる可撓性区分を有する実施形態では、ピストンは、ボール形状であり得る。一実施形態では、ピストンは、好ましくは、ピストン運動の妨害を伴わずに、カニューレの可撓性区分の湾曲形状に適応するように、一連のボール(例えば、3つのボール)を含む。
【0073】
一実施形態では、低粘度を有する治療用組成物の場合、空気が、生理食塩水又は水の代わりに追い出し媒体として使用され得る。
【0074】
一実施形態では、ピストンは、カニューレ内に残留物を残さないように成形され得る(すなわち、カニューレ内の全ての流動性治療用組成物が分注され、流動性治療用組成物がカニューレ内に残らない)。
【0075】
一実施形態では、カニューレは、流動性治療用組成物で予め充填されるか、又は外科的処置のときに現場で充填されるかのいずれかであり得る。
【0076】
一実施形態では、流動性治療用組成物を送達するためのシステムは、第1の管腔内に配置された流動性治療用組成物の第1の成分と、第2の管腔内に配置された流動性治療用組成物の第2の成分とを有する二重管腔カニューレと、各それぞれの管腔に結合されている別個のシリンジ/ポンプアセンブリとを含み得る。
【0077】
上で開示された二重管の腔実施形態について、それぞれのシリンジのサイズは、流動性治療用組成物を形成するために一緒に混合される2つの成分の比を制御し得る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1A】本特許出願の一実施形態による、流動性治療用組成物を送達するためのシステムの斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示される流動性治療用組成物を送達するためのシステムの別の斜視図である。
【
図2】
図1A及び
図1Bに示される流動性治療用組成物を送達するためのシステムの分解図である。
【
図3】
図1A、
図1B及び
図2に示される流動性治療用組成物を送達するためのシステムのポンプアセンブリの分解図である。
【
図4】
図1A、
図1B及び
図2に示される流動性治療用組成物を送達するためのシステムの遠位端の分解図である。
【
図5A】本特許出願の一実施形態による、ポンプアセンブが後退位置に位置している状態の、第1の圧出段階中の流動性治療用組成物を送達するためのシステムの断面図である。
【
図5B】本特許出願の一実施形態による、ポンプアセンブが中間位置にある状態の、第2の圧出段階中の
図5Aに示されるシステムの断面図である。
【
図5C】本特許出願の一実施形態による、ポンプアセンブが伸長位置にある状態の、第3の圧出段階中の
図5A及び
図5Bに示されるシステムの断面図である。
【
図6】第2の圧出段階中の
図5Bに示されるシステムのポンプアセンブリの拡大図である。
【
図7】
図5Bに示される第2の圧出段階中のカニューレ及びピストンの拡大図である。
【
図8A】本特許出願の一実施形態による、流動性治療用組成物を送達するためのシステムのカニューレピストンの斜視図である。
【
図8B】
図8Aに示されるカニューレピストンの側立面図である。
【
図9】本特許出願の一実施形態による、カニューレピストンの近位区分と組み立てられた第1及び第2のOリングを有する、
図8Bに示されるカニューレピストンの側立面図である。
【
図10】本特許出願の一実施形態による、流動性治療用組成物を送達するためのシステムのカニューレ、及びカニューレの細長い管腔内に配置されたカニューレピストンの断面図である。
【
図11】本特許出願の一実施形態による、カニューレピストンがカニューレの細長い管腔内に配置された細長い管腔を有するカニューレを含む、流動性治療用組成物を送達するためのシステムの遠位端の断面図である。
【
図12】本特許出願の一実施形態による、細長い管腔を有するカニューレと、細長い管腔内に配置されたカニューレピストンと、カニューレの遠位端に固定されたエンドキャップとを含む、流動性治療用組成物を送達するためのシステムの遠位端の断面図である。
【
図13A】本特許出願の一実施形態による、流動性治療用組成物を送達するためのシステムのカニューレの側面図であり、カニューレは、剛性区分及び可撓性区分を含む。
【
図13B】カニューレの可撓性区分が湾曲構成に屈曲された、
図13Aに示されるカニューレの側面図である。
【
図14A】本特許出願の一実施形態による、カニューレの湾曲可撓性区分の細長い管腔内に配置されたピストンを有する
図13Bのカニューレを示す図であり、ピストンは、カニューレの細長い管腔内に配置された一連のボールを含む。
【
図14B】本特許出願の一実施形態による、可撓性カニューレ区分の湾曲部分内に配置された一連のボールを含むカニューレピストンを有する、
図14Aに示されるカニューレの拡大図である。
【
図15】本特許出願の一実施形態による、流動性治療用組成物の第1の部分を収容する第1のカニューレと、流動性治療用組成物の第2の部分を収容する第2のカニューレとを含む、流動性治療用組成物を送達するためのシステムである。
【
図16A】本特許出願の一実施形態による、流動性治療用組成物を送達するためのシステムの遠位端の斜視図であり、システムは、流動性治療用組成物を圧出するためのポンプを作動させるために圧搾可能であるトリガを含む。
【
図16B】
図16Aに示される流動性治療用組成物を送達するためのシステムの近位端の斜視図である。
【
図18】
図17に示される流動性治療用組成物を送達するためのシステムのポンプアセンブリの断面図である。
【
図19】
図17に示される流動性治療用組成物を送達するためのシステムのカニューレの細長い管腔内に配置されたカニューレピストンを有するカニューレの近位端の断面図である。
【
図20】流動性止血剤を分注するための先行技術のデバイスを示す図である。
【
図21A】手術部位における出血を止めるために流動性止血剤を分注するための先行技術の方法の第1の段階を示す図である。
【
図21B】手術部位における出血を止めるために流動性止血剤を分注するための先行技術の方法の第2の段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
定義。
「生体適合性」は、宿主においてあらゆる実質的な望ましくない局所的又は全身的効果を誘発することなく、その意図された機能を実行する材料の能力を指す。
【0080】
「生物製剤」は、ワクチン、血液、及び血液成分、アレルゲン、体細胞、遺伝子治療、組織、及び組換え治療用タンパク質のような生物学的産物である。生物製剤は、糖、タンパク質、若しくは核酸、若しくはこれらの物質の複合組み合わせから構成され得るか、又は細胞及び組織などの生きている実体であり得る。生物製剤は、多種多様な天然源(ヒト、動物、又は微生物)から単離され、バイオテクノロジ法及び他の最先端技術により生成され得る。例えば、遺伝子ベースの生物製剤及び細胞生物製剤は、多くの場合、生物医学研究の最前線にあり、他の治療が利用可能でない多種多様な医学的状態を治療するために使用され得る。https://www.fda.gov/about-fda/center-biologics-evaluation-and-research-cber/what-are-biologics-questions-and-answersを参照。
【0081】
「流動性止血剤」は、血液凝固を能動的に助けるように設計された組成物である。流動性止血剤は、フィブリンと呼称される血液中の物質のフィブリノーゲンへの変換を加速する。この化学反応は、血餅の形成をもたらし、これは止血のプロセスにおける最終ステップである。流動性止血剤は、トロンビンと混合されたゼラチン及びセルロースのような生体材料の大抵は液体の混合物で作製される。流動性止血剤の実施例は、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)によって、商標SURGIFLO(登録商標)Hemostat Matrix Kit with Thrombinで販売されている。
【0082】
「止血」は、出血を減少又は止めるプロセスである。止血は、血液が身体又は血管の外側に存在するときに起こり、出血及び血液の損失を止めるための身体に対する本能的反応である。止血中、3つのステップが、迅速な順序で起こる。血管痙攣は、血管が収縮して失われる血液が少なくなる第1の反応である。第2のステップである血小板栓形成では、血小板が互いに付着して一時的なシールを形成し、血管壁の裂け目を覆う。第3及び最後のステップは、凝固又は血液凝固と呼称される。凝固は、「分子接着剤」として作用するフィブリン糸で血小板栓を強化する。Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)によって商標SURGIFLO(登録商標)Hemostat Matrix Kit with Thrombinとして販売されている流動性止血剤などの止血化合物は、止血を刺激することが可能である。
【0083】
図1A及び
図1Bを参照すると、一実施形態では、Ethicon,Inc.(Somerville,New Jersey)によって商標SURGIFLO(登録商標)Hemostat Matrix Kit with Thrombinとして販売されている流動性止血剤、トロンビン、生物製剤、及び薬剤ペーストなどの、流動性治療用組成物を送達するためのシステムは、好ましくは、近位端102及び遠位端104を有する送達デバイス100を含む。一実施形態では、送達デバイス100は、好ましくは、生体適合性材料で作製される。一実施形態では、送達デバイス100は、好ましくは、シリンジバレル108及びシリンジプランジャ110を備えるポンプアセンブリ106(ポンプとも称される)を含む。
【0084】
一実施形態では、送達デバイス100は、好ましくは、近位端114及び遠位端116を有するカニューレ112(例えば、中空管)を含む。送達デバイス100は、好ましくは、シリンジバレル108の遠位端120をカニューレ112の近位端114に固定するために利用されるコネクタ118を含む。
【0085】
一実施形態では、送達デバイス100の遠位端104は、好ましくは、カニューレ112の遠位端116に固定されるエンドキャップ122を含む。一実施形態では、エンドキャップ122は、カニューレ112の遠位端116に解放可能に、及び/又は取り外し可能に固定される。エンドキャップ122は、カニューレが流動性治療組成物(例えば、流動性止血剤、生物製剤、薬剤ペースト)で充填され得るように、カニューレ112の遠位端116に位置付けられた開口部(例えば、分注開口部)を露出させるために取り外され得る。
【0086】
一実施形態では、流動性治療用組成物は、カニューレ内に配置される。一実施形態では、ポンプアセンブリ106(
図1A)を作動させることで、好ましくは、カニューレの遠位端から流動性治療用組成物を排出させる。
【0087】
図2及び
図3を参照すると、一実施形態では、送達デバイス100は、好ましくは、シリンジバレル108及びシリンジプランジャ110を備えるポンプアセンブリ106を含む。シリンジプランジャ110は、シリンジバレル108の近位端で開口部に挿入可能である。シリンジプランジャピストン124は、シリンジプランジャ110の遠位端126に固定される。
【0088】
シリンジバレル108の遠位端120は、コネクタ118の近位端に設けられた雄ねじ130を受容するように適合される雌ねじ128を有する。コネクタは、シリンジバレル108の遠位端120とカニューレ112の近位端114との間に液密接続が形成されることを可能にする。
【0089】
図2及び
図4を参照すると、一実施形態では、送達デバイス100は、好ましくは、カニューレ112の細長い管腔内に配置されるカニューレピストン132を含む。カニューレピストン132は、好ましくは、流動性治療用組成物をカニューレ112の遠位端116に向かって押圧するように適合されている。一実施形態では、カニューレピストン132は、好ましくは、近位区画134と、遠位に延在するノーズ138を有する遠位区画136とを含む。
【0090】
送達デバイス100は、好ましくは、カニューレピストン132の近位区画134内に位置付けられた凹部142A、142Bを覆って固定されるように適合された第1のOリング140A及び第2のOリング140Bを含む。第1のOリング140A及び第2のOリング140Bは、好ましくは、カニューレ112の内面とシールを形成する外周を有する。
【0091】
一実施形態では、カニューレピストン132は、好ましくは、カニューレ112の細長い管腔内に位置付けられる。一実施形態では、圧出処置の開始時に、Oリング140A、140Bを含むカニューレピストン132は、最初に、カニューレ112の近位端114に配置され、カニューレ112及びピストン132のサブアセンブリは、カニューレ112をシリンジバレル108と連結及び/又は結合することを容易にするためにコネクタ118と組み立てられる。
【0092】
一実施形態では、カニューレ112の遠位端116は、好ましくは、エンドキャップ122上に設けられた雌ねじ(図示せず)と噛み合うように適合された雄ねじ144を含む。カニューレ112の遠位端116の雄ねじ144及びエンドキャップ122上の雌ねじは、好ましくは、エンドキャップ122がカニューレ112の遠位端116に解放可能に固定されることを可能にする。エンドキャップ122は、カニューレを流動性治療用組成物で充填するために、カニューレ112の遠位端116から接続解除され(例えば、螺脱され(unscrewed))得る。一実施形態では、カニューレに流動性治療用組成物を充填した後、エンドキャップは、カニューレの遠位端に再固定され得る。
【0093】
図5Aを参照すると、一実施形態では、シリンジプランジャピストン124は、シリンジプランジャの遠位端126に固定され得、シリンジプランジャ110の遠位端126は、シリンジバレル108の近位端で開口部に挿入され得る。一実施形態では、シリンジプランジャピストン124の外周及びシリンジバレル108の内面は、好ましくは、それらの間に液密シールを形成する。一実施形態では、シリンジバレル108は、生理食塩水、水、又は空気などの圧送流体で充填されるように適合されたシリンジバレルチャンバ146(すなわち、ポンプチャンバ)を含む。
【0094】
一実施形態では、カニューレ112の近位端114は、コネクタ118の雄ねじ130(
図3)をシリンジバレル108の遠位端120に位置付けられた雌ねじ128(
図3)にねじ込むことによって、シリンジバレル108の遠位端120に固定される。
【0095】
一実施形態では、カニューレ112は、カニューレ112の近位端114から遠位端116まで延在する細長い管腔148を含む。一実施形態では、カニューレ112の細長い管腔148は、カニューレ112の遠位端116からエンドキャップ122を螺合解除することによって、流動性治療用組成物(例えば、止血ペースト)で充填され得る。カニューレは、製造施設で、又は手術環境内で、流動性治療用組成物で充填され得る。カニューレ112の細長い管腔148が流動性治療用組成物で充填された後、エンドキャップ122は、カニューレ112の遠位端116に再固定(例えば、螺合)され得る。
【0096】
一実施形態では、カニューレ112の遠位端116から流動性治療用組成物を分注する前に、カニューレピストン132は、カニューレ112の近位端114に位置している(
図5A)。一実施形態では、シリンジバレルチャンバ146は、圧送流体(例えば、生理食塩水、空気)で充填され、カニューレ112の細長い管腔148は、流動性治療用組成物で充填される。カニューレピストン132は、好ましくは、カニューレ112の内面とシールを形成し、シリンジバレルチャンバ146内に配置された生理食塩水を、カニューレ112の細長い管腔148内に配置された流動性治療用組成物から隔離する。
【0097】
図5Aは、カニューレ112の遠位端116に固定されたエンドキャップ122を示す。一実施形態では、エンドキャップ122は、カニューレが治療用組成物で充填された後、出荷及び保管中に、カニューレ112の遠位端に固定されたままである。外科的処置中に、エンドキャップ122は、治療用組成物がカニューレ112の遠位端116で分注開口部から分注され得るように、好ましくは、カニューレ112の遠位端116から取り外される(例えば、螺脱される)。
【0098】
一実施形態では、流動性治療用組成物送達デバイス100のポンプアセンブリ106は、シリンジバレル108の遠位端120から生理食塩水を押し出すために起動され得、それは、次いで、ピストン132をカニューレ112の遠位端116に向かって細長い管腔148内で摺動させる。ピストン132がDIR1と指定された遠位方向に押されると、細長い管腔148内の流動性治療用組成物は、カニューレ112の遠位端116で分注開口部を介して分注される。
【0099】
図5Aは、流動性治療用組成物を分注する前の初期位置(すなわち、第1の圧出段階)を示し、プランジャ110は、シリンジプランジャピストン124がシリンジバレル108の近位端に隣接して位置付けられるように、後退位置にある。一実施形態では、生理食塩水は、シリンジバレルチャンバ146内に装填され、流動性治療用組成物は、カニューレ112の細長い管腔148内に配置される。
【0100】
図5A及び
図5Bを参照すると、治療用組成物を圧出する前に、エンドキャップ122(
図5A)は、カニューレ112の遠位端116で分注開口部を露出させるために取り外される。一実施形態では、エンドキャップが取り外された後、分注動作を開始するために、シリンジプランジャ110の近位端に固定されたサムタブ150は、DIR1と指定された遠位方向に押圧される。シリンジプランジャ110が遠位方向DIR1に前進させられると、シリンジプランジャピストン124は、シリンジバレル108のシリンジバレルチャンバ146(すなわち、ポンプチャンバ)内で遠位方向に移動する。遠位方向に移動するシリンジプランジャピストン124は、シリンジバレルチャンバ146内の生理食塩水をシリンジバレル108の遠位端120で開口部から押し出す。生理食塩水は、正圧下でカニューレピストン132を押して、カニューレの遠位端116に向かって遠位方向DIR1に移動させる。遠位方向に移動するピストン132は、カニューレ112の遠位端116で分注開口部を介して分注されるように、細長い管腔148を充填する流動性治療用組成物(例えば、流動性止血剤、止血ペースト)を押す。
【0101】
図5Aは、流動性治療用組成物の分注動作の開始時におけるカニューレピストン132の位置を示す。
図5Bは、流動性治療用組成物の分注動作の中間段階(すなわち、第2の圧出段階)中のカニューレピストン132の位置を示す。
図5Cは、シリンジプランジャ110がシリンジバレル108内で完全に押圧されているとき、及び細長い管腔148内の流動性治療用組成物の全てが送達デバイス100の遠位端104から分注されているとき(すなわち、第3の圧出段階)のカニューレピストン132の位置を示す。
【0102】
図6を参照すると、一実施形態では、送達デバイス100のポンプアセンブリ106は、好ましくは、シリンジバレル108及びシリンジプランジャ110を含む。シリンジプランジャピストン124は、シリンジプランジャ110の遠位端に固定され、シリンジバレル108の内面と液密シールを形成する。シリンジバレル108の遠位端120は、コネクタ118によってカニューレ112の近位端114に固定される。コネクタ118は、シリンジバレル108の遠位端120に設けられた雌ねじ128と噛み合う雄ねじ130を有する。シリンジバレル108は、生理食塩水、水、又は空気などの圧送流体を収容するように適合されたシリンジバレルチャンバ146を含む。一実施形態では、シリンジバレル108の遠位端は、雄ねじを有し、コネクタ118の近位端は、シリンジバレルの遠位端で雄ねじと噛み合う雌ねじを有する。
【0103】
ポンプアセンブリ106は、シリンジプランジャ110の近位端に固定されたサムタブ150を遠位方向DIR1に押圧することによって起動され得、これは、シリンジバレルチャンバ146内の生理食塩水をシリンジバレル108の遠位端120で分注開口部から押し出す。遠位方向に流れる生理食塩水は、カニューレ112の近位端114で細長い管腔148内に方向付けられてカニューレピストンに力を加え、カニューレピストンをカニューレの遠位端に向けて駆動する。
【0104】
図7を参照すると、一実施形態では、正圧下の生理食塩水は、カニューレピストン132をカニューレ112の細長い管腔148を通して方向DIR1に遠位方向に移動(例えば、摺動)させるために、カニューレ112の近位端114で細長い管腔148に流入する。カニューレピストン132がカニューレの遠位端に向かって移動すると、カニューレピストンは、カニューレの細長い管腔148を充填する流動性治療用組成物を、カニューレ112の遠位端116に位置付けられた分注開口部155を介して分注させる。
【0105】
図8A及び
図8Bを参照すると、一実施形態では、カニューレピストン132は、近位区画134と、遠位に突出するノーズ138を有する遠位区画136とを含む。カニューレピストン132の近位区画134は、第1のOリング140A及び第2のOリング140B(
図4)を着座させるように適合された第1の環状陥凹部142A及び第2の環状陥凹部142Bを備えている。
【0106】
図9を参照すると、一実施形態では、カニューレピストン132は、好ましくは、第1の環状陥凹部142A上に固定された第1のOリング140Aと、第2の環状陥凹部142B上に固定された第2のOリング140Bとを含む。一実施形態では、第1のOリング140A及び第2のOリング140Bは、カニューレピストン132とカニューレ112(
図4)の内面との間にシールを形成するために、カニューレ112(
図4)の内面に係合するように適合された外周を有する。
【0107】
図10を参照すると、一実施形態では、カニューレピストン132は、好ましくは、カニューレ112の細長い管腔148内に配置される。第1のOリング140A及び第2のOリング140Bは、カニューレ112の内面152とシールを形成するために、カニューレピストン132の近位部分134に固定される。第1のOリング140A及び第2のOリング140Bによって形成されるシールは、好ましくは、カニューレピストン132の上流側に位置付けられる生理食塩水を、カニューレピストン132の下流側に位置付けられる流動性治療用組成物から隔離する。
【0108】
図11を参照すると、一実施形態では、カニューレピストン132は、カニューレピストンの上流側に位置付けられる圧送流体(例えば、生理食塩水)を、カニューレピストンの下流側に位置付けられる流動性治療用組成物(例えば、止血ペースト)から分割及び/又は隔離する。生理食塩水がカニューレピストン132をカニューレ112の遠位端116に向かって遠位方向DIR1に移動させると、カニューレピストン132は、カニューレを充填する流動性治療用組成物を、カニューレ112の遠位端116に位置付けられた分注開口部155から分注及び/又は圧出させる。一実施形態では、生理食塩水によって提供される動水力に応答して、カニューレピストン132は、カニューレピストン132のノーズ138がカニューレ112の遠位端116に位置付けられた内部肩部154に当接するまで、遠位方向DIR1に移動(例えば、摺動)し続ける。肩部154は、好ましくは、カニューレピストン132が送達デバイス100の遠位端104から排出される、放出される、及び/又は出ることを防止する停止部として機能する。
【0109】
図12を参照すると、一実施形態では、流動性治療用組成物送達デバイス200は、好ましくは、
図1A~
図11において示され、上記で記載された特徴のうちの1つ又は2つ以上を含む。一実施形態では、送達デバイス200は、好ましくは、カニューレ212の遠位端216に固定されたアプリケータ先端222を含む。アプリケータ先端222は、望ましくは、カニューレピストン232の遠位肩部256に係合するように適合された近位肩部254を含む。アプリケータ先端222はまた、好ましくは、カニューレピストン232の遠位ノーズ238を受容するように適合された分注チャネル225を含む。一実施形態では、カニューレ212の細長い管腔248の近位端内に方向付けられた生理食塩水がカニューレピストン232を遠位方向DIR1に移動させると、カニューレピストン232の下流側は、流動性治療用組成物をアプリケータ先端222の分注開口部225を介して分注させる。カニューレピストン232は、好ましくは、カニューレピストン232の遠位側の肩部256がアプリケータ先端222の近位肩部254に係合するまで、遠位方向に移動し続ける。したがって、アプリケータ先端222の近位肩部254は、カニューレピストン232がカニューレ212の遠位端から出るのを防止するための停止部として機能し得る。
【0110】
一実施形態では、カニューレピストン232は、塗布処置が完了した後に流動性治療用組成物の残留物を全く又は最小限しか残さないように、アプリケータ先端の輪郭(例えば、狭窄部)の内側に嵌合するように設計され得る。
図12に示される最遠位位置では、カニューレピストン232の遠位端のノーズ238は、好ましくは、アプリケータ先端222の分注開口部225内に位置決めされ、これは、カニューレ212の細長い管腔248内に配置された流動性治療用組成物の全て又は実質的に全てが分注されていることを確実にし、それによって、無駄を最小限にし、流動性治療用組成物が送達デバイス200のカニューレ212内に残らないことを確実にする。
【0111】
図13Aを参照すると、一実施形態では、送達デバイス300は、好ましくは、
図1A~
図11において示され、上記で記載された特徴のうちの1つ又は2つ以上を含む。一実施形態では、送達デバイス300は、好ましくは、剛性区分312A及び可撓性区分312Bを有するカニューレ312を含む。
【0112】
図13Bを参照すると、一実施形態では、カニューレ312の可撓性区分312Bは、患者の組織上への流動性治療用組成物の分注を促進するために、屈曲構成に曲げられてもよい。
【0113】
図14A及び
図14Bを参照すると、一実施形態では、送達デバイス300は、カニューレピストン332が送達デバイス300の遠位端304に向かって移動するにつれて、カニューレ312の可撓性区分312B内にシールを形成することができる、1つ又は2つ以上のボール360A~360Cを含み得るカニューレピストン332を含む。
【0114】
一実施形態では、カニューレピストン332の3つのボール360A~360Cは、カニューレピストン332の上流側の生理食塩水を、カニューレピストン332の下流側に位置付けられる流動性治療用組成物から隔離するシールを形成する。生理食塩水は、好ましくは、カニューレピストン332のボール360A~360Cをカニューレ312の遠位端304に向かって移動させる。ボール360A~360Cは、シールを維持しながら、カニューレの湾曲部分内に位置付けられ、及び/又はそこを通過し得る。カニューレピストン332がカニューレの遠位端に向かって移動すると、カニューレピストンは、流動性治療用組成物を圧出するように、流動性治療用組成物をカニューレの遠位端に向かって押す。
【0115】
図15を参照すると、一実施形態では、治療用組成物を送達するためのシステムは、好ましくは、
図1A~
図14Bに示され、上記で記載された特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する送達デバイス400を含む。例えば、図示されていないが、第1のカニューレピストンは、第1のカニューレ412A内に配置され、第2のカニューレピストンは、第2のカニューレ412B内に配置される。カニューレピストンは、本特許出願の
図8A~
図14Bに示され、記載されたカニューレピストンと同様であり得る。
【0116】
一実施形態では、送達デバイス400は、好ましくは、流動性治療用組成物(例えば、流動性止血剤)を形成するために一緒に混合される2つの成分を分注するための2つのカニューレ構成を有する。送達デバイス400は、好ましくは、第1の成分を収容する第1のカニューレ412Aに結合される第1のポンプアセンブリ406Aを含む。第1のポンプアセンブリ406Aは、好ましくは、第1のシリンジバレル408Aと、第1のシリンジバレル408Aに結合された第1のシリンジプランジャ410Aとを含む。第1のシリンジバレル408Aは、好ましくは、生理食塩水、水、又は空気などの圧送流体を含む。二液型組成物の第1の部分は、第1のカニューレ412Aの細長い管腔内に配置される。
【0117】
送達デバイス400は、好ましくは、第2のシリンジバレル408B及び第2のシリンジプランジャ410Bを含む第2のポンプアセンブリ406Bを含む。第2のシリンジバレル408Bは、好ましくは、生理食塩水、水、又は空気などの圧送流体を含む。送達デバイス400は、好ましくは、第1のカニューレ412A内に収容された第1の成分と混合される第2の成分を収容する、第2のカニューレ412Bを含む。それぞれの第1のカニューレ412A及び第2のカニューレ412B内に配置される2つの成分は、好ましくは、それらが送達デバイス400の遠位端404から同時に分注されるまで互いに離れて維持され、同時に分注されると、2つの成分は一緒に混合されて流動性治療用組成物を形成する。
【0118】
一実施形態では、サムタブ450は、好ましくは、第1のシリンジプランジャ410A及び第2のシリンジプランジャ410Bの近位端を連結し、プランジャが同時に及び/又は一緒に押圧されることを確実にする。サムタブ450は、送達デバイス400の遠位端404からそれぞれのカニューレを充填する2つの成分を分注するために、それぞれの第1のシリンジバレル408A及び第2のシリンジバレル408B内に配置されるポンプ流体(例えば、生理食塩水)をそれぞれのカニューレ4112A、412Bの近位端の中に押し込むために、遠位方向DIR1に押圧され得る。
【0119】
図16A及び
図16Bを参照すると、一実施形態では、流動性治療用組成物(例えば、流動性止血剤)を分注するためのシステムは、好ましくは、
図1A~
図14Bに示され、上記で記載された特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する送達デバイス500を含む。
【0120】
一実施形態では、送達デバイス500は、好ましくは、近位端502及び遠位端504を有する。送達デバイス500は、好ましくは、ポンプアセンブリ筐体507を含むポンプアセンブリ506と、圧送流体(例えば、生理食塩水、空気)を収容するための流体リザーバ508と、流体リザーバ508内に収容された流体を流動可能治療用組成物を収容するカニューレ512の中に強制的に流入させるために圧搾され得るトリガ510とを含む。一実施形態では、カニューレ512は、好ましくは、コネクタ518を介してハウジング507の遠位端に結合された近位端514を含む。カニューレピストン(図示せず)は、好ましくは、カニューレの細長い管腔内に配置され、好ましくは、カニューレを充填する流動性治療用組成物を、流体リザーバ508及びポンプアセンブリ506内に収容された圧送流体(例えば、生理食塩水)から隔離する。
【0121】
一実施形態では、カニューレ512は、好ましくは、エンドキャップ522をカニューレ512の遠位端に解放可能に固定するように構成された遠位端516を含む。カニューレ512は、好ましくは、流動性治療用組成物を収容するように適合された細長い管腔を含む。一実施形態では、エンドキャップ522は、カニューレの細長い管腔を治療用組成物で充填するために、カニューレの遠位端から取り外され得る。カニューレが治療用組成物で充填された後、エンドキャップは、送達デバイス500の保管及び/又は出荷のためにカニューレの遠位端に再固定され得る。一実施形態では、外科的処置中に、エンドキャップ522は、好ましくは、治療用組成物を分注及び/又は圧出する前にカニューレの遠位端から取り外される。
【0122】
図17及び
図18を参照すると、一実施形態では、送達デバイス500のポンプアセンブリ506は、好ましくは、ポンプアセンブリハウジング507と、流体リザーバ508と、ポンプアセンブリ506を作動させて圧送流体をカニューレ512の近位端に押し込むために圧搾され得るトリガ510とを含む。一実施形態では、トリガ510は、好ましくは、ポンプアセンブリ筐体507と枢動可能に接続される上端を有する。
【0123】
ポンプアセンブリ506は、好ましくは、流体リザーバ508とカニューレ512の近位端514との間に延在する流体導管570を含む。ポンプアセンブリ506は、望ましくは、流体リザーバ508内に配置される下端574と、流体導管570と連通する上端576とを有する吸引管572を含む。
【0124】
一実施形態では、ポンプアセンブリ506は、好ましくは、流体リザーバ508内の流体が流体導管570の近位端の中に引き込まれることを可能にする第1の一方向弁578を含むが、一方向弁578は、流体が方向を逆転し、流体導管570から流体リザーバ508の中に逆流することを防止する。
【0125】
ポンプアセンブリ506は、好ましくは、ポンプチャンバ582内に配置されるピストン580を含む。ピストンの近位端は、トリガ510の近位側と結合される。ポンプアセンブリ506は、好ましくは、トリガ510が圧搾されるときに圧縮され、トリガが解放されるときにトリガを伸長位置に戻すばね584を含む。
【0126】
一実施形態では、ポンプアセンブリ506は、好ましくは、流体導管570の遠位脚部570B内に位置付けられ、ポンプチャンバ582から下流に位置付けられる、第2の一方向弁586を含む。
【0127】
図17を参照すると、一実施形態では、送達デバイス500は、好ましくは、近位端514及び遠位端516を有するカニューレ512を含む。カニューレは、好ましくは、その近位端と遠位端との間に延在する細長い管腔548を含む。カニューレピストン532は、好ましくは、カニューレ512の細長い管腔548内に配置される。カニューレピストン532は、好ましくは、カニューレ512の内面とシールを形成し、ポンプアセンブリ506内に収容された圧送流体(例えば、生理食塩水)を、細長い管腔548内に収容され、カニューレピストン532の下流(すなわち、カニューレピストン532とカニューレ512の遠位端516との間)に位置付けられた流動性治療用組成物から隔離する。
【0128】
送達デバイス500は、好ましくは、送達デバイス500の遠位端504に解放可能に固定されたエンドキャップ522を含む。一実施形態では、エンドキャップ522は、エンドキャップ522をカニューレ512の遠位端516に解放可能に固定するために、好ましくは、カニューレ512の遠位端516に設けられた雄ねじと噛み合う雌ねじを含む。エンドキャップ522は、カニューレの細長い管腔を流動性治療用組成物で充填するために、カニューレの遠位端から取り外され得る。
【0129】
図17及び
図18を参照すると、一実施形態では、ばね584が伸長位置に移動すると、トリガ510の下端は、流体リザーバ508から離れるように枢動され、ピストン580を方向DIR2に後退させる。ピストン580が後退すると、流体リザーバ508から流体導管570の上流脚部570Aを通してポンプチャンバ582内に流体を引き込むために、ポンプチャンバ582内に真空が生成される。流体がポンプチャンバ582を充填した後、トリガ510が圧縮されてばね584を圧縮し、ピストン580を方向DIR3に押し進めることができ、これは順に、ポンプチャンバ582内の流体を流体導管570の下流脚部570Bに流入させる。
【0130】
図18及び
図19を参照すると、一実施形態では、トリガ510が流体リザーバ508に向かって圧搾されるとき、ばね584は、ピストン580がDIR3と指定された方向に移動するにつれて圧縮される。ピストン580は、ポンプチャンバ582内の流体を、カニューレ512の細長い管腔548の近位端に方向付けるために、流体導管570の下流脚部570Bに流入させ、一方向弁586を通過させる。カニューレの細長い導管の近位端に方向付けられた流体は、カニューレピストン532を遠位方向DIR1に(すなわち、カニューレの遠位端に向かって)移動させる。カニューレピストン532は、好ましくは、カニューレピストン532の上流側に位置付けられる生理食塩水流体を、カニューレピストン532の下流側に位置付けられた流動性治療用組成物から隔離する。生理食塩水流体がカニューレピストン532を遠位方向DIR1に移動させると、ピストンは、送達デバイス500の遠位端504に位置付けられた分注開口部555(
図17)から流動性治療用組成物を分注するために、カニューレを充填する流動性治療用組成物を送達デバイス500の遠位端に向かって押す。
【0131】
前述の説明は本発明の実施形態に関するが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態及び更なる実施形態が考案され得、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。例えば、本発明では、本明細書に記載されるか、本明細書に参照により組み込まれる実施形態のうちのいずれかに示される特徴のうちのいずれも、本明細書に記載されるか、本明細書に参照により組み込まれる他の実施形態のうちのいずれかに示される特徴のうちのいずれかと共に組み込まれ、かつ本発明の範囲内に依然として収まり得ることが、企図されている。
【0132】
〔実施の態様〕
(1) 流動性治療用組成物を送達するためのシステムであって、
近位開口部を有する近位端と、遠位開口部を有する遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレと、
前記カニューレの前記細長い管腔を充填する流動性治療用組成物と、
前記カニューレの前記近位端を封止するために前記細長い管腔内に配置されたピストンと、
前記カニューレの前記遠位端に解放可能に固定されたエンドキャップと、
流体を含むポンプアセンブリであって、前記カニューレの前記近位端に結合され、前記カニューレの前記遠位端から前記流動性治療用組成物を圧出するために前記ピストンを前記カニューレの前記遠位端に向かって摺動させるために、前記カニューレの前記近位開口部を通って流れるように前記流体を方向付けるように動作可能である、ポンプアセンブリと、を備える、システム。
(2) 前記カニューレは、前記カニューレの前記遠位端が湾曲構成に曲がることを可能にする可撓性区分を備える、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記カニューレは、剛性区分と可撓性区分とを備える、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記流動性治療用組成物は、粘性流体を含み、前記ポンプアセンブリの前記流体は、前記粘性流体よりも低い粘度を有する生理食塩水又は空気を含む、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記流動性治療用組成物は、流動性止血剤、生物製剤、及び薬剤ペーストからなる群から選択される組成物である、実施態様1に記載のシステム。
【0133】
(6) 前記ピストンは、前記カニューレの内面とシールを形成する外周を有する、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記ピストンは、円筒形本体と、前記円筒形本体に結合された少なくとも1つのOリングとを備え、前記少なくとも1つのOリングは、前記カニューレの前記内面との前記シールを形成するために前記カニューレの前記内面上を摺動するように構成されている外周を有する、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記ピストンは、円筒形本体、可撓性本体、ゴムで作製された本体、フルオロポリマーエラストマー及び商標VITON(登録商標)で販売されている合成ゴム化合物で作製された本体、並びに1つ又は2つ以上のボールからなる群から選択されたものである、実施態様6に記載のシステム。
(9) 前記ポンプアセンブリは、
シリンジバレルと、前記シリンジバレルの内側に配置されているシリンジプランジャとを含むシリンジと、
前記シリンジバレルの遠位端に結合された近位端と、前記カニューレの前記近位端に結合された遠位端とを有するシリンジコネクタであって、前記シリンジバレルと前記カニューレの前記近位端との間に流体流路を画定するように、前記シリンジコネクタの前記近位端から前記シリンジコネクタの前記遠位端まで延在する流体導管を有する、シリンジコネクタと、を備える、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記シリンジプランジャを前記シリンジバレルの前記遠位端に向かって押圧することで、前記流体を前記シリンジバレルから排出し、前記流体を前記シリンジコネクタの前記流体流路に通して前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に押し込む、実施態様9に記載のシステム。
【0134】
(11) 前記ポンプアセンブリは、
前記ポンプアセンブリの前記流体を貯蔵するための流体リザーバと、
前記流体リザーバと流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバ内に配置されたプランジャであって、前記ポンプチャンバ内に真空を生成して前記ポンプチャンバ内に前記流体を引き込むために第1の方向に移動可能であり、かつ前記流体を前記ポンプチャンバから押し出すために第2の方向に移動可能である、プランジャと、
前記プランジャを前記ポンプチャンバ内で移動させるために前記プランジャに結合された圧搾可能なトリガと、を備える、実施態様1に記載のシステム。
(12) 流動性治療用組成物を送達するためのシステムであって、
近位開口部を有する近位端と、遠位開口部を有する遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレと、
前記カニューレの前記細長い管腔を充填する流動性治療用組成物と、
前記細長い管腔内に配置されたピストンであって、前記カニューレの内面とシールを形成し、前記カニューレの前記細長い管腔内で遠位方向に摺動するように構成されている、ピストンと、
前記カニューレの前記遠位端に固定されたエンドキャップと、
前記カニューレの前記近位端に結合されたポンプアセンブリであって、前記カニューレの前記遠位端から前記流動性治療用組成物を圧出するために前記ピストンを前記カニューレの前記遠位端に向かって押し進めるために、前記カニューレの前記近位開口部を通って流れるように流体を方向付けるように動作可能である、ポンプアセンブリと、を備える、システム。
(13) 前記ピストンによって形成された前記シールは、前記流体を前記流動性治療用組成物から隔離する、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記ポンプアセンブリは、
シリンジバレルと、前記シリンジバレルの内側に配置されているシリンジプランジャとを含むシリンジと、
前記シリンジバレルを充填する前記流体と、
前記シリンジバレルの遠位端に結合された近位端と、前記カニューレの前記近位端に結合された遠位端とを有するシリンジコネクタであって、前記シリンジバレルと前記カニューレの前記近位端との間に前記流体のための流体流路を画定するように、前記シリンジコネクタの前記近位端から前記シリンジコネクタの前記遠位端まで延在する流体導管を有する、シリンジコネクタと、を備える、実施態様12に記載のシステム。
(15) 前記シリンジプランジャは、前記流体を前記シリンジバレルから排出し、前記ピストンの近位側に接触させるために前記流体を前記シリンジコネクタの前記流体流路に通して前記カニューレの前記近位端に押し込むために、前記シリンジバレルの前記遠位端に向かって押圧可能である、実施態様14に記載のシステム。
【0135】
(16) 前記ポンプアセンブリは、
前記流体を貯蔵するための流体リザーバと、
前記流体リザーバと流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバ内に配置されたプランジャであって、前記流体を前記流体リザーバから前記ポンプチャンバ内に引き込むための真空を生成するために第1の方向に移動可能であり、かつ前記流体を前記ポンプチャンバから押し出すために第2の方向に移動可能である、プランジャと、
前記プランジャを前記ポンプチャンバ内で移動させるために前記プランジャに結合された圧搾可能なトリガと、を備える、実施態様12に記載のシステム。
(17) 治療用組成物を送達する方法であって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで延在する細長い管腔とを有するカニューレと、前記カニューレの前記細長い管腔を充填する流動性治療用組成物と、前記カニューレの前記細長い管腔内に配置されたピストンと、前記カニューレの前記遠位端に接続されたエンドキャップと、を得ることと、
前記カニューレの前記遠位端から前記流動性治療用組成物を圧出するために、前記ピストンを前記カニューレの前記細長い管腔内で前記カニューレの前記遠位端に向かって摺動させるために、前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に流体を方向付けることと、を含む、方法。
(18) 前記方法は、
前記ピストンが前記カニューレの前記近位端に位置付けられて前記カニューレの前記近位端における近位開口部を封止し、前記流動性治療用組成物が前記ピストンの遠位側と前記カニューレの前記遠位端との間に延在している、第1の圧出段階と、
前記ピストンが前記カニューレの前記近位端と前記遠位端との間の中間に位置付けられ、前記流体が前記ピストンの近位側と前記カニューレの前記近位端との間に延在し、前記流動性治療用組成物が前記ピストンの前記遠位側と前記カニューレの前記遠位端との間に延在している、第2の圧出段階と、を含む圧出段階を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記方法は、前記ピストンが、前記カニューレの前記遠位端に位置付けられ、かつ前記カニューレの前記遠位端に位置付けられた狭窄部と接触しており、前記流体が前記ピストンの前記近位側と前記カニューレの前記近位端との間に延在している、第3の圧出段階を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記流体を前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に方向付けるステップは、前記カニューレの前記近位端にポンプアセンブリを結合することと、前記カニューレの前記近位端で前記細長い管腔内に前記流体を押し込むために前記ポンプアセンブリを動作させることとを含む、実施態様17に記載の方法。
【国際調査報告】