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特表2024-535531エアバッグ使用時における高所落下スタントの負傷軽減システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】エアバッグ使用時における高所落下スタントの負傷軽減システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 6/02 20060101AFI20240920BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A63B6/02
A63B24/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520988
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021063369
(87)【国際公開番号】W WO2023059353
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】17/497,526
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】マギー ウィリアム ヴィンセント
(57)【要約】
本開示の態様は、上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化する方法、装置及びシステムに関する。システムは、上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定し、上昇プラットフォームとエアバッグとの間の距離を測定し、実演者がエアバッグに向かって落下する前に、体重及び距離に基づいてエアバッグの空気圧を設定するように構成される。システムは、実演者がエアバッグに向かって落下している間に、エアバッグとの衝突時に実演者が到達する速度を決定し、実演者がエアバッグに向かって落下している間の速度に基づいて、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化するようにエアバッグの空気圧を調整するようさらに構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化する方法であって、
上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定することと、
前記上昇プラットフォームと前記エアバッグとの間の距離を測定することと、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下する前に、前記体重及び前記距離に基づいて前記エアバッグの空気圧を設定することと、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者が到達する速度を決定することと、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間の前記速度に基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶエネルギーを最適化するように前記エアバッグの前記空気圧を調整することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記空気圧を設定することは、
前記距離に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者が到達する理論速度を計算することと、
前記体重及び前記理論速度に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者に及ぶ理論エネルギーを計算することと、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下する前に、前記理論エネルギーに基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化するように前記エアバッグの前記空気圧を設定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気圧は、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化する圧力値範囲内の圧力値に設定される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記空気圧を調整することは、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記速度が前記理論速度と異なるかどうかを判定することと、
前記速度が前記理論速度と異なる場合、前記体重及び前記速度に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者に及ぶ予測エネルギーを計算することと、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記予測エネルギーに基づいて前記エアバッグの前記空気圧を調整することと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記空気圧は、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化する圧力値範囲内の圧力値に調整される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記空気圧を調整することは、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記実演者が前記エアバッグのターゲットエリアと整列していないかどうかを検出することと、
前記実演者が前記ターゲットエリアと整列していないことに基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突する前記エアバッグの予測エリアを決定することと、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記予測エリアにおける前記エアバッグの前記空気圧を調整することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記予測エリアにおける前記空気圧は、前記実演者が前記予測エリアに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化する圧力値範囲内の圧力値に調整される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化するためのエアバッグシステムであって、
空気圧を維持するように構成されたエアバッグと、
前記エアバッグに通信可能に結合された制御システムと、
を備え、前記制御システムは、
上昇プラットフォームから前記エアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定し、
前記上昇プラットフォームと前記エアバッグとの間の距離を測定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下する前に、前記体重及び前記距離に基づいて前記エアバッグの空気圧を設定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者が到達する速度を決定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間の前記速度に基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶエネルギーを最適化するように前記エアバッグの前記空気圧を調整する、
ように構成される、エアバッグシステム。
【請求項9】
前記空気圧を設定するように構成された前記制御システムは、
前記距離に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者が到達する理論速度を計算し、
前記体重及び前記理論速度に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者に及ぶ理論エネルギーを計算し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下する前に、前記理論エネルギーに基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化するように前記エアバッグの前記空気圧を設定する、
ように構成される、請求項8に記載のエアバッグシステム。
【請求項10】
前記空気圧は、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化する圧力値範囲内の圧力値に設定される、
請求項9に記載のエアバッグシステム。
【請求項11】
前記空気圧を調整するように構成された前記制御システムは、
前記速度が前記理論速度と異なるかどうかを判定し、
前記速度が前記理論速度と異なる場合、前記体重及び前記速度に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者に及ぶ予測エネルギーを計算し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記予測エネルギーに基づいて前記エアバッグの前記空気圧を調整する、
ように構成される、請求項9に記載のエアバッグシステム。
【請求項12】
前記空気圧は、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化する圧力値範囲内の圧力値に調整される、
請求項11に記載のエアバッグシステム。
【請求項13】
前記空気圧を調整するように構成された前記制御システムは、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記実演者が前記エアバッグのターゲットエリアと整列していないかどうかを検出し、
前記実演者が前記ターゲットエリアと整列していないことに基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突する前記エアバッグの予測エリアを決定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記予測エリアにおける前記エアバッグの前記空気圧を調整する、
ように構成される、請求項8に記載のエアバッグシステム。
【請求項14】
前記予測エリアにおける前記空気圧は、前記実演者が前記予測エリアに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化する圧力値範囲内の圧力値に調整される、
請求項13に記載のエアバッグシステム。
【請求項15】
前記制御システムは、
前記上昇プラットフォームから前記エアバッグに向かって落下する前記実演者の前記体重を決定するように構成された秤、
前記上昇プラットフォームと前記エアバッグとの間の前記距離を測定し、
前記エアバッグとの衝突時に前記実演者が到達する前記速度を決定する、
ように構成されたレーザー距離計、光学センサ、ライダーセンサ、又はレーダーセンサのうちの1つ又は2つ以上、又は、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に前記実演者に関与する風の風速又は風向きの少なくとも一方をモニタするように構成された風速計、
を備える、請求項13に記載のエアバッグシステム。
【請求項16】
上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化するエアバッグ制御システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと、
を備え、前記少なくとも1つのプロセッサ及び前記メモリは、
上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定し、
前記上昇プラットフォームと前記エアバッグとの間の距離を測定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下する前に、前記体重及び前記距離に基づいて前記エアバッグの空気圧を設定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者が到達する速度を決定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間の前記速度に基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶエネルギーを最適化するように前記エアバッグの前記空気圧を調整する、
ように構成される、エアバッグ制御システム。
【請求項17】
前記空気圧を設定するように構成された前記少なくとも1つのプロセッサ及び前記メモリは、
前記距離に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者が到達する理論速度を計算し、
前記体重及び前記理論速度に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者に及ぶ理論エネルギーを計算し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下する前に、前記理論エネルギーに基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化するように前記エアバッグの前記空気圧を設定する、
ように構成される、請求項16に記載のエアバッグ制御システム。
【請求項18】
前記空気圧を調整するように構成された前記少なくとも1つのプロセッサ及び前記メモリは、
前記速度が前記理論速度と異なるかどうかを判定し、
前記速度が前記理論速度と異なる場合、前記体重及び前記速度に基づいて、前記エアバッグとの衝突時に前記実演者に及ぶ予測エネルギーを計算し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記予測エネルギーに基づいて前記エアバッグの前記空気圧を調整する、
ように構成される、請求項17に記載のエアバッグシステム。
【請求項19】
前記空気圧は、前記実演者が前記エアバッグに衝突した時に前記実演者に及ぶ前記エネルギーを最適化する圧力値範囲内の圧力値に調整される、
請求項18に記載のエアバッグシステム。
【請求項20】
前記空気圧を調整するように構成された前記少なくとも1つのプロセッサ及び前記メモリは、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記実演者が前記エアバッグのターゲットエリアと整列していないかどうかを検出し、
前記実演者が前記ターゲットエリアと整列していないことに基づいて、前記実演者が前記エアバッグに衝突する前記エアバッグの予測エリアを決定し、
前記実演者が前記エアバッグに向かって落下している間に、前記予測エリアにおける前記エアバッグの前記空気圧を調整する、
ように構成される、請求項16に記載のエアバッグシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年10月8日に出願された「エアバッグ使用時における高所落下スタントの負傷軽減システム(SYSTEM FOR REDUCING HIGH FALL STUNT INJURIES WHEN USING AN AIRBAG)」という名称の米国実用特許出願シリアル番号第17/497,526号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が引用により本明細書に明確に組み入れられる。
【0002】
後述する技術は、一般にエアバッグシステムに関し、具体的には、高所落下スタント(high fall stunts)に使用されるエアバッグ安全システムに関する。
【背景技術】
【0003】
スポーツ用途、アミューズメント用途及び娯楽用途などの様々な用途では、人物が高所から落下する行為が行われてきた。人物を負傷から守るために、落下する人物に及ぶ力を軽減するための様々な安全システムが利用されてきた。
【0004】
娯楽用途の一例としては、ライブショー又は記録媒体制作中に行われる高所落下スタントが挙げられる。高所落下スタントでは、特定の高さから地面に向かって落下する実演者に及ぶエネルギーの量を減少させるために、着地パッド(例えば、発泡パッド又はエアバッグ)を含む安全システムを使用することができる。例えば、実演者は、上昇プラットフォーム(elevated platform)から、その一定距離(例えば、4~10メートル)だけ下方に配置された着地パッドに落下することができる。
【0005】
実演者に及ぶエネルギーの量は、着地パッドの密度に基づいて減少させることができる。着地パッドは、実演者が着地パッドにぶつかる際に過度に強くぶつかって(例えば、実演者の呼吸能力が失われる)横隔膜痙攣を発症したり、及び/又は(実演者の体幹ほど密度が高くない)実演者の頭部が着地パッドの表面に打ちつけられたりしないように適切な密度を有することが理想的である。
【0006】
従来の安全システムでは、着地パッドの密度が実演者の体重に応じて設定されている。例えば、高所落下スタントが行われるしばらく前に実演者の体重を測定し、実演者の体重に基づいて着地パッドの適切な密度を決定することができる。従って、着地パッドが発泡パッドである場合には、決定された密度を実現するように着地パッドのパッド量を加減することができる。同様に、着地パッドがエアバッグである場合には、決定された密度を実現するように着地パッドの空気圧量を加減することができる。しかしながら、従来の安全システムは、着地パッドの適切な密度を決定するために実演者の体重しか考慮しておらず、適切な密度は高所落下スタントが実行されるかなり前に非リアルタイムで決定される。従って、本開示は、異なるタイプの情報(例えば、プラットフォームの高さ、実演者の落下速度、風速など)を利用して適切なエアバッグ密度を決定し、決定された密度に基づいてエアバッグ内の空気圧量をリアルタイムで(例えば、高所落下スタントの実行中に)調整することにより、高所落下スタント用途でのスタント実演者の安全性を高めることを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
以下、このような態様の基本的理解をもたらすために、本開示の1又は2以上の態様の概要を提示する。この概要は、本開示の全ての想定される特徴の広範な概説ではなく、本開示の全ての態様の重要な又は必須の要素を識別することも、或いは本開示の一部又は全部の態様の範囲を正確に説明することも意図するものではない。この概要の唯一の目的は、後述するさらに詳細な説明の前置きとして、本開示の1又は2以上の態様のいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0008】
本開示の態様は、上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化する方法、装置及びシステムに関する。エアバッグシステムは、空気圧を維持するように構成されたエアバッグと、エアバッグに通信可能に結合された制御システムとを含む。制御システムは、上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定し、上昇プラットフォームとエアバッグとの間の距離を測定し、実演者がエアバッグに向かって落下する前に、体重及び距離に基づいてエアバッグの空気圧を設定し、実演者がエアバッグに向かって落下している間に、エアバッグとの衝突時に実演者が到達する速度を決定し、実演者がエアバッグに向かって落下している間の速度に基づいて、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化するようにエアバッグの空気圧を調整する、ように構成される。制御システムは、上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定するように構成された秤を含むことができる。制御システムは、上昇プラットフォームとエアバッグとの間の距離を測定し、エアバッグとの衝突時に実演者が到達する速度を決定するように構成された、レーザー距離計、光学センサ、ライダーセンサ、レーダーセンサのうちの1つ又は2つ以上を含むこともできる。制御システムは、実演者がエアバッグに向かって落下している間に実演者に関与する風の風速又は風向きの少なくとも一方をモニタするように構成された風速計をさらに含むことができる。その他の態様、実施形態及び特徴についても特許請求し、説明する。
【0009】
1つの例では、上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化する方法を開示する。この方法は、上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定することと、上昇プラットフォームとエアバッグとの間の距離を測定することと、実演者がエアバッグに向かって落下する前に、体重及び距離に基づいてエアバッグの空気圧を設定することと、実演者がエアバッグに向かって落下している間に、エアバッグとの衝突時に実演者が到達する速度を決定することと、実演者がエアバッグに向かって落下している間の速度に基づいて、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化するようにエアバッグの空気圧を調整することと、を含む。
【0010】
1つの例では、上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化するためのエアバッグ制御システムを開示する。エアバッグ制御システムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリとを含む。少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定し、上昇プラットフォームとエアバッグとの間の距離を測定し、実演者がエアバッグに向かって落下する前に、体重及び距離に基づいてエアバッグの空気圧を設定し、実演者がエアバッグに向かって落下している間に、エアバッグとの衝突時に実演者が到達する速度を決定し、実演者がエアバッグに向かって落下している間の速度に基づいて、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化するようにエアバッグの空気圧を調整する、ように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の態様による安全システム例を示す図である。
【0012】
図2】本開示の態様による安全システム例を示す図である。
【0013】
図3】本開示の態様による、実演者の軸外整列(off-axis alignment)を調整するように構成された図2の安全システム例を示す図である。
【0014】
図4】本開示の態様による、上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化するように構成された制御システムを採用する例示的な装置のハードウェア実装の例を示すブロック図である。
【0015】
図5】本開示の態様による、上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面に関連して後述する詳細な説明は、様々な構成の説明として意図するものであり、本明細書で説明する概念を実施できる唯一の構成を表すように意図するものではない。詳細な説明は、様々な概念を完全に理解できるように具体的な詳細を含む。しかしながら、当業者には、これらの具体的な詳細を伴わずにこれらの概念を実施できることが明らかであろう。いくつかの事例では、このような概念を曖昧にしないように、周知の構造及びコンポーネントについてはブロック図形式で示す。本出願ではいくつかの実施例を示すことによって態様及び実施形態を説明するが、当業者であれば、多くの異なる配置及びシナリオではさらなる実装及び使用例を実現することができると理解するであろう。本明細書で説明する技術革新は、多くの異なるプラットフォームタイプ、装置、システム、形状、サイズ及び/又はパッケージング構成にわたって実装することができる。
【0017】
様々なスポーツ、アミューズメント及び娯楽用途では、実演者が上昇プラットフォームから地面に向かって落下する。従って、実演者を負傷から守るために、落下する実演者に及ぶ衝撃エネルギーを減少させる安全システムを利用することができる。
【0018】
図1に、本開示の態様による安全システム例100を示す。安全システム100は、例えば娯楽目的のための高所落下スタント用途において実装することができる。安全システム100は、特定の高さから落下する実演者104の落下衝撃を和らげるように構成された着地パッド102を含むことができる。具体的には、着地パッド102は、落下の最後に着地パッド102にぶつかる/衝突する実演者104に及ぶエネルギーの量を、地面に衝突する実演者に及ぶエネルギーと比べて減少させるように構成される。着地パッド102は、例えば発泡パッド、エアバッグ、或いは落下する実演者104の落下衝撃を弱める(すなわち、実演者104に及ぶエネルギーを減少させる)ことができる他のいずれかのタイプのクッション装置であることができる。ある態様では、実演者104が、着地パッド102から距離D(例えば、4~10メートル)だけ上方に配置された上昇プラットフォーム106から落下することができる。
【0019】
ある態様では、着地パッド102が、空気圧を維持するように構成されたエアバッグである。従って、安全システム100は、エアバッグに空気を注入する空気圧縮機108(又は他のいずれかのタイプの空気供給装置)をさらに含むことができる。空気圧縮機108は、1又は2以上の入口チューブ110を介してエアバッグに結合することができる。安全システム100は、空気圧縮機108に結合されてエアバッグに注入される空気の量を調節する制御システム112を含むこともできる。制御システム112は、エアバッグから放出される空気の量を調節する、エアバッグの1又は2以上の出口バルブ114にさらに結合することができる。
【0020】
ある態様では、実演者104に及ぶエネルギーの量を、着地パッド102の密度に基づいて減少させることができる。着地パッド102は、実演者104が着地パッド102にぶつかる際に過度に強くぶつかって負傷しないように適切な密度を有することが理想的である。考えられる負傷としては、(例えば、実演者の呼吸能力が失われる)横隔膜痙攣、及び/又は着地パッド102の理想的な表面よりも硬い表面に打ちつけられた時に実演者の頭部が特定の方向(例えば、前方、後方又は側方)に激しく動かされることを挙げることができる。
【0021】
ある態様では、着地パッド102の密度を実演者の体重に基づいて設定することができる。例えば、高所落下スタントが行われるしばらく前に実演者の体重を測定し、実演者の体重に応じて実演者104の安全性を最適化するのに適したパッド密度を決定することができる。着地パッド102が発泡パッドである例では、適切な発泡パッド密度を実現するように発泡パッドのパッド量を加減することができる。着地パッド102がエアバッグである別の例では、エアバッグの適切な空気圧密度を実現するようにエアバッグに対して一定量の空気を注入又は放出することができる。
【0022】
通常、着地パッド102の適切な密度の決定は、実演者の体重のみに基づくことができる。しかしながら、適切なパッド密度を決定するために、高所落下スタントに関する他のタイプの利用可能/決定可能な情報(例えば、プラットフォームの高さ、落下速度、風速など)を使用することもできる。従って、決定時に高所落下スタントに関する他のタイプの情報が考慮されていない場合には、典型的なパッド密度の決定が実演者の安全性の最適化を制限してしまう恐れがある。さらに、典型的なパッド密度の決定は(例えば、高所落下スタントが行われるかなり前に)リアルタイムで行われる。従って、典型的なパッド密度の決定は、高所落下スタントの実演中に変化する条件(例えば、技術的及び/又は環境的条件)を考慮していないため、実演者の安全性の最適化をさらに制限してしまう恐れがある。
【0023】
ある態様では、本開示は、異なるタイプの情報(例えば、プラットフォームの高さ、実演者の落下速度、風速など)を利用して適切なエアバッグ密度を決定し、決定された密度に基づいてエアバッグ内の空気圧量をリアルタイムで(例えば、高所落下スタントの実行中に)調整することにより、高所落下スタント用途でのスタント実演者の安全性を高めることを目的とする。
【0024】
図2に、本開示の態様による安全システム例200を示す。安全システム200は、例えば娯楽目的での高所落下スタント用途において実装することができる。安全システム200は、特定の高さから落下する実演者204の落下衝撃を和らげるように構成された着地パッド202を含むことができる。具体的には、着地パッド202は、落下の最後に着地パッド202にぶつかる/衝突する実演者204に及ぶエネルギーの量を、地面に衝突する実演者に及ぶエネルギーと比べて減少させるように構成される。着地パッド202は、例えば発泡パッド、エアバッグ、或いは落下する実演者204の落下衝撃を弱める(すなわち、実演者104に及ぶエネルギーを減少させる)ことができる他のいずれかのタイプのクッション装置であることができる。着地パッド例202は、6~12メートルの長さ、6~10メートルの幅、及び2~3メートルの深さを有することができる。ある態様では、実演者204が、着地パッド202から距離D(例えば、4~10メートル)だけ上方に配置された上昇プラットフォーム206から落下することができる。
【0025】
ある態様では、着地パッド202が空気圧を維持するように構成されたエアバッグである場合、安全システム200は、エアバッグに空気を注入する空気圧縮機208(又は他のいずれかのタイプの空気供給装置)をさらに含むことができる。空気圧縮機208は、1又は2以上の入口チューブ210を介してエアバッグに結合することができる。安全システム200は、(有線又は無線接続を介して)空気圧縮機208に結合されてエアバッグに注入される空気の量を調節する制御システム212を含むこともできる。制御システム212は、エアバッグから放出される空気の量を調節するエアバッグの1又は2以上の出口バルブ214に(有線又は無線接続を介して)さらに結合することができる。
【0026】
制御システム212は、秤216、1又は2以上のセンサ218、及び風速計220に(有線接続又は無線接続を介して)結合することもできる。秤216は、例えば高所落下スタントの実演前に実演者204が秤上に立った時に実演者204の体重を決定するように構成される。1又は2以上のセンサ218は、上昇プラットフォーム206と着地パッド202との間の距離(距離D)を測定するように構成される。これに加えて又は代えて、1又は2以上のセンサ218は、着地パッド202との衝突時に実演者304が到達する速度(実際の速度)を決定するようにも構成される。例えば、1又は2以上のセンサ218は、レーザー距離計、光学センサ、ライダーセンサ、レーダーセンサ、速度センサ、マシンビジョンカメラなどを含むことができる。風速計220は、実演者が着地パッド202に向かって落下している間に実演者204に関与する風222の速度及び/又は方向を決定するように構成される。
【0027】
ある態様では、実演者204の体重、上昇プラットフォーム206と着地パッド202との間の距離(距離D)、実演者204の速度(実際の速度)、風速及び/又は風向きなどの情報を制御システム212に送信することができる。その後、制御システム212は、これらの情報を使用して着地パッド202の空気圧を設定又は調整することができる。
【0028】
ある態様では、制御システム212が、秤216から決定された実演者204の体重を受け取り、1又は2以上のセンサ218から上昇プラットフォーム206と着地パッド202との間の測定された距離(距離D)を受け取ることができる。その後、制御システム212は、実演者204が着地パッド202に向かって落下を開始する前に、決定された実演者204の体重及び測定された距離に基づいて着地パッド202の空気圧を設定することができる。空気圧は、実演者が着地パッド202に衝突した時に実演者204に及ぶエネルギーを最適化する(すなわち、実演者の負傷を防ぐ)圧力値範囲内の圧力値に設定することができる。ある態様では、圧力値範囲を、経験的テスト、人体が支障なく耐えられる衝撃エネルギー量に関するデータ、及び/又は着地パッドを構築するために使用される材料に関する特性データに基づいて決定することができる。
【0029】
物体は正常速度で落下する。しかしながら、物体が最終速度(最大落下速度)に到達するまでには一定の時間が経過する。ある態様では、制御システム212が、実演者が上昇プラットフォーム206から落下する際の実演者204の速度を決定することができる。さらに、制御システム212は、上昇プラットフォーム206と着地パッド202との間の距離(距離D)に基づいて、着地パッド202に衝突する直前又は衝突時に実演者が到達する理論速度(VT)を決定することができる。例えば、理論速度(VT)は以下の方程式に従って計算することができ、
1)VT=√(2gD)
ここで、gは重力加速度(9.8m/s2)であり、Dは上昇プラットフォーム206と着地パッド202との間の距離である。
【0030】
さらに、制御システム212は、実演者204の体重及び理論速度VTに基づいて、着地パッド202との衝突時に実演者204に及ぶ理論エネルギー(ET)を決定することができる。例えば、理論エネルギー(ET)は以下の方程式に従って計算することができ、
2)ET=(1/2)mVT 2=mgD
ここで、mは実演者204の質量(体重)であり、VTは理論速度であり、gは重力加速度(9.8m/s2)であり、Dは上昇プラットフォーム206と着地パッド202との間の距離である。制御システム212は、理論エネルギーETに基づいて、実演者204が着地パッド202に向かって落下する前に着地パッド202の空気圧を設定して、実演者が着地パッドに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化することができる。ある態様では、空気圧が、実演者204が着地パッド202に衝突した時に負傷するのを防ぐ圧力値範囲内の圧力値に設定される。例えば、実演者204が体重の重い人物である場合には、着地パッドが過度に柔らかくなることによって実演者の着地が着地パッドの深い位置になりすぎて負傷するのを防ぐように、着地パッド202の空気圧を高めに設定することができる。実演者204が体重の軽い人物である場合には、着地パッドが硬くなりすぎることによって実演者が過度に頑丈な表面に激突して負傷するのを防ぐように、着地パッドの空気圧を低めに設定することができる。
【0031】
ある態様では、制御システム212が、着地パッド202との衝突時に実演者204が到達する実際の速度(VA)を1又は2以上のセンサ218から受け取ることもできる。制御システム212は、実際の速度に基づいて、実演者204が着地パッド202に向かって落下している間に着地パッド202の空気圧を動的に(リアルタイムで)調整する(設定空気圧を変更する)ことができる。空気圧は、実演者が着地パッド202に衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化する(すなわち、実演者の負傷を防ぐ)ように調整される。
【0032】
ある態様では、着地パッド202の空気圧を調整するために、制御システムが、最初に実際の速度(VA)と計算された理論速度(VT)とが異なるかどうかを判定する。VAがVTの閾値範囲内にない場合、制御システム212は、実演者204の体重及び実際の速度VAに基づいて、着地パッド202との衝突時に実演者に及ぶ予測エネルギー(EP)を計算する。例えば、予測エネルギー(EP)は以下の式に従って計算することができ、
3)EP=(1/2)mVA 2=mgD
ここで、mは実演者204の質量(体重)であり、VAは実際の速度であり、gは重力加速度(9.8m/s2)であり、Dは上昇プラットフォーム206と着地パッド202との間の距離である。制御システム212は、予測エネルギーEPに基づいて、実演者204が着地パッド202に向かって落下している間に着地パッド202の空気圧をリアルタイムで調整(設定空気圧を変更)することができる。ある態様では、空気圧が、実演者204が着地パッド202に衝突した時に負傷するのを防ぐ圧力値範囲内の圧力値に調整される。
【0033】
図3に、本開示の態様による、実演者204の軸外整列を調整するように構成された安全システム例200を示す。実演者204は、高所落下スタント中に着地パッド202のターゲットエリア302(例えば、着地パッドの中心)を狙って落下を終えることができる。ターゲットエリア302は、実演者が着地パッドに衝突した時に着地パッド202の空気圧が実演者に及ぶエネルギーを最適化するように設定/調整される位置に存在することができる。しかしながら、実演者204は、落下中に風222などの外的要因によってターゲットエリア302から逸脱する(例えば、整列しない、位置を外れる、軸がずれる)場合がある。
【0034】
ある態様では、1又は2以上のセンサ218(例えば、レーザー距離計、光学センサ、ライダーセンサ、レーダーセンサ、速度センサ、マシンビジョンカメラなど)が、実演者204がターゲットエリア302に対して整列しておらず、位置を外れており、又は軸がずれているかどうかを検出して、対応する情報を制御システム212に送信することができる。これに加えて又は代えて、風速計220が風222の風速及び/又は風向きを測定して、対応する情報を制御システム212に送信することもできる。この結果、制御システム212は、風速及び/又は風向きに基づいて、落下する実演者204がターゲットエリア302と整列していないかどうかを判定することができる。
【0035】
ある態様では、制御システム212が、実演者204がターゲットエリア302と整列していないかどうかを検出/判定した時点で、実演者が着地パッド202に衝突する予測エリア304を決定することができる。予測エリア304は、着地パッド202の中心から外れた部分(外側エッジ)であることができ、1又は2以上のセンサ218及び/又は風速計220から受け取られた情報に基づいて決定することができる。その後、制御システム212は、実演者が着地パッド202に向かって落下している間に、予測エリア304における着地パッド202の空気圧を実演者が負傷しにくくなるように調整することができる。
【0036】
ある態様では、予測エリア304における空気圧が、実演者が予測エリア304に衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化する(すなわち、実演者が負傷するのを防ぐ)圧力値範囲内の圧力値に調整される。例えば、制御システム212は、予測エリア304における空気圧を着地パッド202のターゲットエリア302又は他のいずれかのエリアから独立して増減させることができる。これにより、実演者が予測エリア304に衝突した時に着地パッド202の全てのエリアから同じ割合で空気が放出され、従って実演者に及ぶエネルギーを最適化する(減少させる)ことができる。
【0037】
図4は、制御システム414を採用する例示的な装置400のハードウェア実装の例を示すブロック図である。例えば、装置400は、コンピュータ、ワークステーション、ラップトップ、タブレット、携帯電話機、或いは他の電子装置と通信し及び/又は他の電子装置を制御できる他のいずれかのタイプの電子装置であることができる。さらに、制御システム414は、図2に示す制御システム212であることができる。制御システム414は、1又は2以上のプロセッサ404を含む。プロセッサ404の例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲート付きロジック、離散ハードウェア回路、及び本開示全体を通じて説明する様々な機能を実行するように構成された他の好適なハードウェアが挙げられる。様々な例では、装置400を、本明細書で説明する機能のうちのいずれか1つ又は2つ以上を実行するように構成することができる。すなわち、装置400内で利用されるプロセッサ404は、図5に図示し説明するプロセス及び手順のうちのいずれか1つ又は2つ以上を実施するために使用することができる。
【0038】
この例では、制御システム414に、バス402によって一般的に表すバスアーキテクチャを実装することができる。バス402は、処理システム414の具体的な用途及び全体的設計制約に応じていずれかの数の相互接続バス及びブリッジを含むことができる。バス402は、(プロセッサ404によって一般的に表す)1又は2以上のプロセッサ、メモリ405、及び(コンピュータ可読媒体406によって一般的に表す)コンピュータ可読媒体を含む様々な回路を互いに通信可能に結合する。バス402は、タイミングソース、周辺機器、電圧レギュレータ及び電力管理回路などの他の様々な回路をリンクすることもできるが、これらは当業において周知であり、従ってこれ以上説明しない。バスインターフェイス408は、バス402とトランシーバ410との間のインターフェイスを提供する。トランシーバ410は、伝送媒体を介して(例えば、有線接続、又はアンテナアレイ430を使用した無線接続を介して)他の様々な装置と通信するための通信インターフェイス又は通信手段を提供する。例えば、トランシーバ410は、制御システム414と、空気圧縮機208、1又は2以上の出口バルブ214、秤216、1又は2以上のセンサ218及び/又は風速計220との間の通信インターフェイスを提供することができる。装置の性質によっては、ユーザインターフェイス412(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)を設けることもできる。当然ながら、このようなユーザインターフェイス412は任意であり、いくつかの例では省略することもできる。
【0039】
本開示のいくつかの態様では、プロセッサ404が、例えば上昇プラットフォームからエアバッグに向かって落下する実演者の体重を決定することを含む様々な機能のために構成された体重処理回路440を含むことができる。例えば、体重処理回路440は、図5に関連して後述する機能のうちの、例えばブロック502を含む1つ又は2つ以上の機能を実行するように構成することができる。プロセッサ404は、例えば上昇プラットフォームとエアバッグとの間の距離を測定することを含む様々な機能のために構成された距離処理回路442を含むこともできる。例えば、距離処理回路442は、図5に関連して後述する機能のうちの、例えばブロック504を含む1又は2以上の機能を実行するように構成することができる。プロセッサ404は、例えば実演者がエアバッグとの衝突時に到達する速度を実演者がエアバッグに向かって落下している間に決定することを含む様々な機能のために構成された速度処理回路444を含むこともできる。例えば、速度処理回路444は、図5に関連して後述する機能のうちの、例えばブロック508を含む1つ又は2つ以上の機能を実行するように構成することができる。プロセッサ404は、例えば実演者がエアバッグに向かって落下する前に体重及び距離に基づいてエアバッグの空気圧を設定し、実演者がエアバッグに向かって落下している間に速度に基づいてエアバッグの空気圧を調整し、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化することを含む様々な機能のために構成された空気圧処理回路446を含むことができる。例えば、空気圧処理回路446は、図5に関連して後述する機能のうちの、ブロック506及び510を含む1つ又は2つ以上の機能を実行するように構成することができる。
【0040】
プロセッサ404は、バス402の管理、及びコンピュータ可読媒体406に記憶されたソフトウェアの実行を含む一般的処理を担う。ソフトウェアは、プロセッサ404によって実行された時に、いずれかの特定の装置について後述する様々な機能を制御システム414に実行させる。コンピュータ可読媒体406及びメモリ405は、ソフトウェアを実行する際にプロセッサ404によって操作されるデータを記憶するために使用することもできる。
【0041】
制御システム内の1又は2以上のプロセッサ404はソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、又はハードウェア記述言語など、どのように呼ばれるかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数などを意味するように幅広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体406上に存在することができる。コンピュータ可読媒体406は、非一時的コンピュータ可読媒体であることができる。非一時的コンピュータ可読媒体としては、一例として、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、又はキードライブ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、並びにコンピュータがアクセスして読み出すことができるソフトウェア及び/又は命令を記憶するための他のいずれかの好適な媒体が挙げられる。コンピュータ可読媒体406は、制御システム414内に常駐することも、制御システム414の外部に存在することも、或いは制御システム414を含む複数のエンティティにわたって分散することもできる。コンピュータ可読媒体406は、コンピュータプログラム製品内に具体化することができる。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者であれば、本開示を通じて提示する説明機能を特定の用途及びシステム全体に課される全体的設計制約に応じてどのように実装するのが最適であるかを認識するであろう。
【0042】
図5は、本開示の態様による、上昇プラットフォームから落下してエアバッグに衝突する実演者に及ぶエネルギーを最適化する例示的なプロセス500を示すフローチャートである。後述するように、本開示の範囲内の特定の実装では図示の一部又は全部の特徴を省略することもでき、図示の一部の特徴が全ての実施形態の実装のために必要でない場合もある。いくつかの例では、プロセス500を、コンピュータ、ワークステーション、ラップトップ、タブレット、携帯電話機、或いは他の電子装置と通信し及び/又は他の電子装置を制御できる他のいずれかのタイプの電子装置であることができる、図4に示す装置400の制御システム404によって実施することができる。いくつかの例では、プロセス500を、後述する機能又はアルゴリズムを実施するいずれかの好適な装置又は手段によって実施することができる。
【0043】
ブロック502において、制御システムは、上昇プラットフォームからエアバッグ(例えば、着地パッド202)に向かって落下する実演者の体重を(例えば、秤216を介して)決定することができる。ブロック504において、制御システムは、(例えば、1又は2以上のセンサ218を介して)上昇プラットフォームとエアバッグとの間の距離(例えば、距離D)を測定することができる。
【0044】
ブロック506において、制御システムは、実演者がエアバッグに向かって落下する前の体重及び距離に基づいて(例えば、空気圧縮機208及び/又は1又は2以上の出口バルブ214を介して)エアバッグの空気圧を設定することができる。制御システムは、空気圧を設定するために、最初にエアバッグとの衝突時に実演者が到達する理論速度(VT)を距離に基づいて計算し、次にエアバッグとの衝突時に実演者に及ぶ理論エネルギー(ET)を体重及び理論速度(VT)に基づいて計算することができる。その後、制御システムは、実演者がエアバッグに向かって落下する前に、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化するように理論エネルギー(ET)に基づいてエアバッグの空気圧を設定することができる。ある態様では、エアバッグの空気圧が、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化する圧力値範囲内(例えば、実演者がエアバッグに衝突した時に負傷するのを防ぐ圧力値範囲内)の圧力値に設定される。
【0045】
ブロック508において、制御システムは、実演者がエアバッグに向かって落下している間に、エアバッグとの衝突時に実演者が到達する速度(実際の速度VA)を決定することができる。制御システムは、例えばレーザー距離計、光学センサ、ライダーセンサ、レーダーセンサ、速度センサ及び/又はマシンビジョンカメラを含むことができる1又は2以上のセンサ218を介して実際の速度(VA)を決定することができる。
【0046】
ブロック510において、制御システムは、実演者がエアバッグに向かって落下している間の実際の速度(VA)に基づいて、実演者がエアバッグに衝突する際に実演者に及ぶエネルギーを最適化するように(例えば、空気圧縮機208及び/又は1又は2以上の出口バルブ214を介して)エアバッグの空気圧を調整することができる。制御システムは、空気圧を調整するために、実際の速度(VA)が理論速度(VT)と異なるかどうかを判定し、実際の速度(VA)が理論速度(VT)と異なる場合には、エアバッグとの衝突時に実演者に及ぶ予測エネルギー(EP)を体重及び実際の速度(VA)に基づいて計算することができる。その後、制御システムは、実演者がエアバッグに向かって落下している間に、予測エネルギー(EP)に基づいてエアバッグの空気圧を調整することができる。ある態様では、空気圧が、実演者がエアバッグに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化する圧力値範囲(例えば、実演者がエアバッグに衝突した時に負傷するのを防ぐ圧力値範囲)内の圧力値に調整される。
【0047】
これに加えて又は代えて、制御システムは、空気圧を調整する際に、実演者がエアバッグに向かって落下している間に実演者がエアバッグのターゲットエリア(例えば、ターゲットエリア302)と整列していないかどうかを検出することもできる。例えば、制御システムは、1又は2以上のセンサ218を介して受け取られた情報に基づいて不整列(例えば、ターゲットエリアとの不整列、位置ずれ、又は軸ずれ)を判定することができる。別の例では、制御システムが、風速計220から受け取られた風速及び/又は風向きに関する情報に基づいて不整列を決定することができる。制御システムは、不整列情報を受け取ると、実演者がエアバッグに衝突するエアバッグの予測エリア(例えば、予測エリア304)を決定することができる。その後、制御システムは、実演者がエアバッグに向かって落下している間に、予測エリアにおけるエアバッグの空気圧を調整することができる。ある態様では、予測エリアにおける空気圧が、実演者が予測エリアに衝突した時に実演者に及ぶエネルギーを最適化する圧力値範囲内(例えば、実演者が予測エリアに衝突した時に負傷するのを防ぐ圧力値範囲内)の圧力値に調整される。
【0048】
本開示における「例示的な(exemplary)」という単語は、「例、事例又は説明例として役立つ」ことを意味するために使用するものである。本明細書において「例示的な」ものとして説明するいずれかの実装又は態様は、必ずしも本開示の他の態様よりも好ましいもの又は有利なものとして解釈すべきではない。同様に、「態様(aspects)」という用語は、説明する特徴、利点又は動作モードを本開示の全ての態様が含むことを必要とするものではない。本明細書で使用する「結合された(coupled)」という用語は、2つの物体間の直接的又は間接的な結合を意味する。例えば、物体Aが物体Bに物理的に接触しており、物体Bが物体Cに接触している場合、物体A及びCは、たとえ互いに直接物理的に接触していなくても互いに結合していると考えることができる。例えば、たとえ第1の物体が決して第2の物体と直接物理的に接触していなくても、第1の物体は第2の物体に結合していると考えることができる。
【0049】
図1図5に示すコンポーネント、ステップ、特徴及び/又は機能のうちの1つ又は2つ以上は、単一のコンポーネント、ステップ、特徴又は機能に再配置し及び/又は組み合わせることも、或いは複数のコンポーネント、ステップ又は機能に具体化することもできる。本明細書に開示する新規特徴から逸脱することなく、さらなる要素、コンポーネント、ステップ及び/又は機能を追加することもできる。図1図5に示す装置、デバイス及び/又はコンポーネントは、本明細書で説明した方法、特徴及び/又はステップを実行するように構成することができる。本明細書で説明した新規アルゴリズムは、ソフトウェア内に効率的に実装し、及び/又はハードウェアに埋め込むことができる。
【0050】
開示した方法のステップの特定の順序又は階層は、例示的なプロセスの例示であると理解されたい。方法のステップの特定の順序又は階層は、設計選択に基づいて再配置することができると理解される。添付する方法の請求項は、様々なステップの要素をサンプル順で提示するものであり、請求項内に具体的に記載していない限り、提示する特定の順序又は階層に限定されるように意図するものではない。
【0051】
上記の説明は、本明細書で説明した様々な態様をあらゆる当業者が実施できるように提供したものである。当業者にはこれらの態様の様々な修正が容易に明らかになると思われ、本明細書に定める一般的原理は他の態様に適用することもできる。従って、特許請求の範囲は、本明細書に示した態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する完全な範囲が認められるものであり、単数形の要素についての言及は、特にそのように記載していない限り「唯一の」を意味するものではなく、むしろ「1又は2以上」を意味するように意図される。別途明示していない限り、「いくつかの(some)」という用語は1又は2以上を意味する。ある項目リスト「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」に関する表現は、(1つの要素を含む)これらの項目のいずれかの組み合わせを意味する。一例として、「a、b又はcのうち少なくとも1つ」は、a、b、c、aとb、bとc、及びaとbとcを含むように意図される。本開示全体を通じて説明した様々な態様の要素の、当業者に周知の又は後で知られるようになる全ての構造的及び機能的同等物は、引用によって本明細書に明確に組み入れられ、特許請求の範囲に含まれるように意図される。さらに、本明細書に開示した内容は、これらが特許請求の範囲に明示されているかどうかに関わらず、一般に公開されることを意図するものではない。請求項の要素については、この要素が「~のための手段」という表現を用いて明確に示されていない限り、又は方法の請求項の場合には「~するステップ」という表現を用いて記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】