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特表2024-535538ナトリウム電池の正極材料及びその製造方法並びに応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ナトリウム電池の正極材料及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20240920BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240920BHJP
   C01B 35/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/36 C
C01B35/12 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521070
(86)(22)【出願日】2023-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2023109502
(87)【国際公開番号】W WO2024022428
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】202210907322.9
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522485888
【氏名又は名称】湖北万潤新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUBEI WANRUN NEW ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA15
5H050CA01
5H050GA02
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、ナトリウム電池の正極材料を提供し、前記ナトリウム電池の正極材料の化学式は、xNaMBO3.yNa2Ti37.zNa32(BO3)3/Cであり、ここで、xとyとzとのモル数の比は、0.94~0.96:0.02~0.03:0.02~0.03であり、Mは、FeとMnであり、FeとMnとのモル数の比は、8~9:1~2であり、炭素の前記ナトリウム電池の正極材料に占める質量分率は、1.2%~1.5%である。本発明にて提供されるナトリウム電池の正極材料は、容量が高く、電圧プラットフォームが高く且つ構造が安定し、サイクル性能が高く、且つその製造方法が簡単で、コストが低く、プロセスのフローが短い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウム電池の正極材料であって、
前記ナトリウム電池の正極材料の化学式は、
xNaMBO3.yNa2Ti37.zNa32(BO3)3/Cであり、
ここで、xとyとzとのモル数の比は、0.94~0.96:0.02~0.03:0.02~0.03であり、
Mは、FeとMnであり、FeとMnとのモル数の比は、8~9:1~2であり、
炭素の前記ナトリウム電池の正極材料に占める質量分率は、1.2%~1.5%である、 ナトリウム電池の正極材料。
【請求項2】
前記ナトリウム電池の正極材料は、コア材料及び前記コア材料の表面に順次被覆される第1の被覆層と第2の被覆層を含み、前記コア材料は、NaMBO3であり、前記第1の被覆層は、Na2Ti37及びNa32(BO3)3を含み、前記第2の被覆層は、アモルファス炭素である、
請求項1に記載のナトリウム電池の正極材料。
【請求項3】
前記コア材料の粒径は、200~500nmであり、第1の被覆層の厚さは、10~20nmであり、第2の被覆層の厚さは、1.5~3.5nmである、
請求項2に記載のナトリウム電池の正極材料。
【請求項4】
第一鉄塩、マンガン塩と水を混合し、鉄マンガン混合溶液を得、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合して反応させ、反応生成物を得るステップA)と、
前記反応生成物を順次ヒドラジン水和物溶液に加えてスラリー化し、及びシュウ酸溶液に加えて沈殿し、且つ溶液のpHを調節し、シュウ酸マンガン鉄を得るステップB)と、
前記シュウ酸マンガン鉄をホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムと混合し、さらにヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を加えてスラリー化した後に、研磨した後に噴霧乾燥し、得られた材料を不活性雰囲気で焼成し、第1の焼成材を得るステップC)と、
メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウム、第1の焼成材と水を混合して研磨及び噴霧乾燥した後に、二次焼成を行い、焼成生成物を篩い分けて除鉄した後に、ナトリウム電池の正極材料を得るステップD)と、を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のナトリウム電池の正極材料の製造方法。
【請求項5】
ステップA)において、前記第一鉄塩は、硫酸第一鉄結晶から選択され、
前記マンガン塩は、硫酸マンガン結晶から選択され、
前記炭酸水素アンモニウム溶液の濃度は、1.5~1.8mol/Lであり、
前記炭酸水素アンモニウムのモル量と第一鉄塩とマンガン塩におけるマンガンと鉄との総モル量との比は、2.2~2.5:1であり、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合した後に、酸塩基調節剤を加えてスラリーのpHを7.3~7.5に調節し、全過程の撹拌速度は、300~500r/minである、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップB)において、ヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.05~0.1mol/Lであり、
前記反応生成物とヒドラジン水和物との質量比は、1:1.5~2であり、
前記シュウ酸溶液の濃度は、0.2~0.5mol/Lであり、
溶液pHを4~5に調節する、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップC)において、シュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとのモル比は、4:1.02~1.03:2.02~2.04であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の質量は、加えたシュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの総質量の2~2.5倍であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.02~0.05mol/Lであり、
スラリーの粒径が0.2~0.3μmになるまで研磨し、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の粒径を10~30μm、含水量を1w%未満に維持し、
焼成過程において、焼成雰囲気は、二酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種であり、80~100℃/hの昇温速度率で450~500℃まで昇温して3~5h焼成し、続いて100~150℃/hの降温速度率で材料の温度が50℃以下になるまで冷却した後に材料を排出し、第1の焼成生成物を窒素環境に入れて密閉して保存する、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップD)において、前記第1の焼成材とメタバナジン酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムと二酸化チタンとステアリン酸ナトリウムとのモル比は、0.94~0.96:0.04~0.06:0.015~0.0225:0.06~0.09:0.03~0.045であり、
前記二酸化チタンは、ナノ二酸化チタンであり、一次粒径は、15~50nmであり、BETは、20~40m2/gであり、純度は、99wt%以上である、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップD)において、前記混合の方法は、以下のとおりであり、
メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウムを混合し、続いて水を加えてスラリー化し、混合スラリーを得、前記混合スラリーにおける固形分含有量は、1wt%~3wt%であり、次に、第1の焼成材を加えて混合し、混合スラリーを得て、
前記研磨は、材料の粒径が200~250nmになるまで研磨することであり、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の水分含有量を0.5wt%未満、粒径を3~10μmに維持し、
前記二次焼成の過程は、以下のとおりであり、焼結雰囲気は、窒素又はアルゴンであり、昇温速度は、50~80℃/hであり、保温温度は、650~700℃であり、保温時間は、4~8hであり、焼成過程は、ローラーハースキルンを採用して焼成し、しかもローラーハースキルンは、インバータ吸気ファンに連通し、ローラーハースキルン内の炉圧が外部大気圧よりも60~100Pa高いように制御し、保温段の湿度を5%以下、降温段の降温速度率を100~150℃/hに制御し、
前記篩い分けて除鉄することは、電磁除鉄を採用し、製品の磁性物質が300ppb以下になるまで除鉄した後に除磁を停止し、篩い分けは、100~150メッシュの篩を採用し、
前記篩い分けて除鉄した後にさらに真空包装を含み、真空包装過程は、恒温恒湿部屋内で行われ、温度は、15~25℃であり、湿度は、5~10%である、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載のナトリウム電池の正極材料を含む、
ナトリウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年07月29日に中国特許局に提出された、出願番号が202210907322.9であり、発明の名称が「ナトリウム電池の正極材料及びその製造方法並びに応用」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ナトリウム電池技術の分野に属し、具体的にはナトリウム電池の正極材料及びその製造方法並びに応用に関する。
【背景技術】
【0003】
化石エネルギーの日々枯渇及び風力エネルギー、太陽エネルギーなどのクリーンエネルギーの急速な発展に伴い、グローバルエネルギー消費モードは、徐々に化石エネルギーから新しいエネルギーに転換する。エネルギー消費モードの転換は、先進的な大規模エネルギー貯蔵技術に大きく依存する。
【0004】
現在の様々なエネルギー貯蔵技術において、商業化されたリチウムイオン電池は、比較的成熟したエネルギー貯蔵技術であり、エネルギー密度が高く、自己放電率が低く、寿命が長く、集積及び管理しやすいなどの利点を有する。ナトリウムイオン電池は、最初20世紀80年代に現れ、その後にリチウムイオン電池の性能がより優れるため、ナトリウムイオン電池の研究は、一時停滞する。
【0005】
2010年後、動力電池分野の需要がますます大きくなることによりリチウムイオン電池の材料が供給不足となり、室温ナトリウムイオン電池の研究が再開される。応用シーンにより、ナトリウムイオン電池は、主に動力とエネルギー貯蔵の2種類に分けることができる。成熟したリチウムイオン電池の商業化レベルに比べて、ナトリウムイオン電池の商業化進度は、ただ初歩的な段階にあり、少数の企業のナトリウムイオン電池が初歩的な商業化を行っただけで、完全に成熟した産業チェーンも形成されていない。
【0006】
近年、ナトリウムイオン電池技術は、ナトリウム資源のグローバルの貯蔵量が豊富で、コストが低く、リチウムイオン電池に類似するエネルギー貯蔵原理及びプロセス技術などの利点を有するため、研究者たちの人気を新たに得、極めて応用潜在力を有するエネルギー貯蔵技術に発展した。
【0007】
ナトリウムイオン電池は、低コストの潜在的な利点が存在するが、そのサイクル寿命及び倍率性能などが現在の大規模なエネルギー貯蔵技術の需要を満たすことができない。電解質は、電気化学反応の媒介として、電極材料界面反応熱力学及び動力学過程を決定する重要な要素であり、それによりナトリウムイオン電池のサイクル安定性、倍率性能などに影響を与える。ナトリウムとリチウムの性質は、類似するが、Na+は、Li+と比較して大きな半径と質量を有し、電極材料への挿入及び脱離の具体的な相変化過程、貯蔵メカニズム及び界面過程などは、Li+と大きく異なる。したがってナトリウム電池材料の利点は、コストが低いことであるが、現在通常のナトリウム電池材料は、いずれも不安定で、容量が低いなどの欠点が存在する。したがって構造が安定し、容量が高く且つコストが低い材料の開発が切望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに鑑み、本発明が解決しようとする技術的問題は、ナトリウム電池の正極材料及びその製造方法並びに応用を提供することであり、本発明にて提供されるナトリウム電池の正極材料は、構造が安定し、容量が高く且つコストが低い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ナトリウム電池の正極材料を提供し、前記ナトリウム電池の正極材料の化学式は、
xNaMBO3.yNa2Ti37.zNa32(BO3)3/Cであり、
ここで、xとyとzとのモル数の比は、0.94~0.96:0.02~0.03:0.02~0.03であり、
Mは、FeとMnであり、FeとMnとのモル数の比は、8~9:1~2であり、
炭素の前記ナトリウム電池の正極材料に占める質量分率は、1.2%~1.5%である。
【0010】
好ましくは、前記ナトリウム電池の正極材料は、コア材料及び前記コア材料の表面に順次被覆される第1の被覆層と第2の被覆層を含み、前記コア材料は、NaMBO3であり、前記第1の被覆層は、Na2Ti37及びNa32(BO3)3を含み、前記第2の被覆層は、アモルファス炭素である。
【0011】
好ましくは、前記コア材料の粒径は、200~500nmであり、第1の被覆層の厚さは、10~20nmであり、第2の被覆層の厚さは、1.5~3.5nmである。
【0012】
本発明は、さらに上記ナトリウム電池の正極材料の製造方法を提供し、
第一鉄塩、マンガン塩と水を混合し、鉄マンガン混合溶液を得、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合して反応させ、反応生成物を得るステップA)と、
前記反応生成物を順次ヒドラジン水和物溶液に加えてスラリー化し、及びシュウ酸溶液に加えて沈殿し、且つ溶液のpHを調節し、シュウ酸マンガン鉄を得るステップB)と、
前記シュウ酸マンガン鉄をホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムと混合し、さらにヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を加えてスラリー化した後に、研磨した後に噴霧乾燥し、得られた材料を不活性雰囲気で焼成し、第1の焼成材を得るステップC)と、
メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウム、第1の焼成材と水を混合して研磨し及び噴霧乾燥した後に、二次焼成を行い、焼成生成物を篩い分けて除鉄した後に、ナトリウム電池の正極材料を得るステップD)と、を含む。
【0013】
好ましくは、ステップA)において、前記第一鉄塩は、硫酸第一鉄結晶から選択され、
前記マンガン塩は、硫酸マンガン結晶から選択され、
前記炭酸水素アンモニウム溶液の濃度は、1.5~1.8mol/Lであり、
前記炭酸水素アンモニウムのモル量と第一鉄塩とマンガン塩におけるマンガンと鉄との総モル量との比は、2.2~2.5:1であり、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合した後に、酸塩基調節剤を加えてスラリーのpHを7.3~7.5に調節し、全過程の撹拌速度は、300~500r/minである。
【0014】
好ましくは、ステップB)において、ヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.05~0.1mol/Lであり、
前記反応生成物とヒドラジン水和物との質量比は、1:1.5~2であり、
前記シュウ酸溶液の濃度は、0.2~0.5mol/Lであり、
溶液pHを4~5に調節する。
【0015】
好ましくは、ステップC)において、シュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとのモル比は、4:1.02~1.03:2.02~2.04であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の質量は、加えたシュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの総質量の2~2.5倍であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.02~0.05mol/Lであり、
スラリーの粒径が0.2~0.3μmになるまで研磨し、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の粒径を10~30μm、含水量を1w%未満に維持し、
焼成過程において、焼成雰囲気は、二酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種であり、80~100℃/hの昇温速度率で450~500℃まで昇温して3~5h焼成し、続いて100~150℃/hの降温速度率で材料の温度が50℃以下になるまで冷却した後に材料を排出し、第1の焼成生成物を窒素環境に入れて密閉して保存する。
【0016】
好ましくは、ステップD)において、前記第1の焼成材とメタバナジン酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムと二酸化チタンとステアリン酸ナトリウムとのモル比は、0.94~0.96:0.04~0.06:0.015~0.0225:0.06~0.09:0.03~0.045である。
【0017】
前記二酸化チタンは、ナノ二酸化チタンであり、一次粒径は、15~50nmであり、BETは、20~40m2/gであり、純度は、≧99wt%である。
【0018】
好ましくは、ステップD)において、前記混合の方法は、以下のとおりであり、
メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウムを混合し、続いて水を加えてスラリー化し、混合スラリーを得、前記混合スラリーにおける固形分含有量は、1wt%~3wt%であり、次に、第1の焼成材を加えて混合し、混合スラリーを得、
前記研磨は、材料の粒径が200~250nmになるまで研磨することであり、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の水分含有量を0.5wt%未満、粒径を3~10μmに維持し、
前記二次焼成の過程は、以下のとおりであり、焼結雰囲気は、窒素又はアルゴンであり、昇温速度は、50~80℃/hであり、保温温度は、650~700℃であり、保温時間は、4~8hであり、焼成過程は、ローラーハースキルンを採用して焼成し、しかもローラーハースキルンは、インバータ吸気ファンに連通し、ローラーハースキルン内の炉圧が外部大気圧よりも60~100Pa高いように制御し、保温段の湿度を5%以下、降温段の降温速度率を100~150℃/hに制御し、
前記篩い分けて除鉄することは、電磁除鉄を採用し、製品の磁性物質が300ppb以下になるまで除鉄した後に除磁を停止し、篩い分けは、100~150メッシュの篩を採用する。
【0019】
前記篩い分けて除鉄した後にさらに真空包装を含み、真空包装過程は、恒温恒湿部屋内で行われ、温度は、15~25℃であり、湿度は、5~10%である。
【0020】
本発明は、さらにナトリウム電池を提供し、上記ナトリウム電池の正極材料を含む。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本発明は、ナトリウム電池の正極材料を提供し、前記ナトリウム電池の正極材料の化学式は、xNaMBO3.yNa2Ti37.zNa32(BO3)3/Cであり、ここで、xとyとzとのモル数の比は、0.94~0.96:0.02~0.03:0.02~0.03であり、Mは、FeとMnであり、FeとMnとのモル数の比は、8~9:1~2であり、炭素の前記ナトリウム電池の正極材料に占める質量分率は、1.2~1.5%である。
【0022】
本発明にて提供されるナトリウム電池の正極材料は、容量が高く、電圧プラットフォームが高く且つ構造が安定し、サイクル性能が高く、且つその製造方法が簡単で、コストが低く、プロセスのフローが短い。
【0023】
本発明は、ホウ酸塩をアニオンとして採用し、リン酸塩と比較し、それは価格が低いという利点を有し、ホウ酸ナトリウムの価格は、約3000元/トンであるが、リン酸ナトリウムの価格は、6000元/トン以上であり、しかもホウ酸基のモル数は、リン酸基よりも小さいため、最終的に製造された製品の理論容量について、ホウ酸塩型の正極材料の理論容量は、リン酸塩型の正極材料の理論容量よりも高い。
【0024】
本発明は、Na2Ti37及びNa32(BO3)3がNaMBO3の表面に被覆され、CがNa2Ti37及びNa32(BO3)3の表面に被覆されることを採用し、前記炭素は、アモルファス炭素であり、ホウ酸塩系の正極材料の主な問題は、空気環境及び少量の水分を有する環境で、鉄及びマンガンが急速に酸化し、それにより材料の電気的性能の減衰を引き起こすが、本発明は、Na2Ti37及びNa32(BO3)3がNaMBO3の表面に被覆され、Na(Mn,Fe)BO3を隔絶することができ、それによりこの材料の容量の急速な減衰を回避することができ、しかもマンガンと鉄の価格がバナジウムなどの元素よりもはるかに低いため、本発明の製品の価格が低く、且つ本発明の表面に被覆された材料は、Na2Ti37とNa32(BO3)3であり、材料の酸化防止と水分抵抗の能力を大幅に向上させることができ、しかも製品のイオン導電性をさらに向上させることができ、また炭素被覆層を導入し、電子導電性を向上させるとともに、第2の保護層とすることができ、材料の安定性をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例1により製造して得られた洗浄乾燥材料のSEM図である。
図2】本発明の実施例1により製造して得られたシュウ酸マンガン鉄のSEM図である。
図3】本発明の実施例1により製造して得られた第1の焼成材のSEM図である。
図4】本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料のSEM図である。
図5】本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料の透過型電子顕微鏡図である。
図6】本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料の充放電曲線図である。
図7】本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料で組み立てられた電池のサイクル性能の試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、ナトリウム電池の正極材料を提供し、前記ナトリウム電池の正極材料の化学式は、
xNaMBO3.yNa2Ti37.zNa32(BO3)3/Cであり、
ここで、xとyとzとのモル数の比は、0.94~0.96:0.02~0.03:0.02~0.03であり、
Mは、FeとMnであり、FeとMnとのモル数の比は、8~9:1~2であり、
炭素の前記ナトリウム電池の正極材料に占める質量分率は、1.2%~1.5%である。
【0027】
好ましくは、xとyとzとのモル数の比は、0.94:0.03:0.03、0.95:0.025:0.025、0.96:0.02:0.02、又は0.94~0.96:0.02~0.03:0.02~0.03の間の任意の値である。
【0028】
FeとMnとのモル数の比は、8:2、8.5:1.5、9:1、又は8~9:1~2の間の任意の値である。
【0029】
炭素の前記ナトリウム電池の正極材料に占める質量分率は、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、又は1.2%~1.5%の間の任意の値である。
【0030】
本発明において、前記ナトリウム電池の正極材料は、コア材料及び前記コア材料の表面に順次被覆される第1の被覆層と第2の被覆層を含み、前記コア材料は、NaMBO3であり、前記第1の被覆層は、Na2Ti37及びNa32(BO3)3を含み、前記第2の被覆層は、アモルファス炭素である。
【0031】
本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記コア材料の粒径は、200~500nmであり、好ましくは200、300、400、500、又は200~500の間の任意の値であり、第1の被覆層の厚さは、10~20nmであり、好ましくは10、12、14、16、18、20、又は10~20nmの間の任意の値であり、第2の被覆層の厚さは、1.5~3.5nmであり、好ましくは1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、又は1.5~3.5の間の任意の値である。
【0032】
本発明は、さらに上記ナトリウム電池の正極材料の製造方法を提供し、
第一鉄塩、マンガン塩と水を混合し、鉄マンガン混合溶液を得、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合して反応させ、反応生成物を得るステップA)と、
前記反応生成物を順次ヒドラジン水和物溶液に加えてスラリー化し、及びシュウ酸溶液に加えて沈殿し、且つ溶液のpHを調節し、シュウ酸マンガン鉄を得るステップB)と、
前記シュウ酸マンガン鉄をホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムと混合し、さらにヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を加えてスラリー化した後に、研磨した後に噴霧乾燥し、得られた材料を不活性雰囲気で焼成し、第1の焼成材を得るステップC)と、
メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウム、第1の焼成材と水を混合して研磨し及び噴霧乾燥した後に、二次焼成を行い、焼成生成物を篩い分けて除鉄した後に、ナトリウム電池の正極材料を得るステップD)と、を含む。
【0033】
具体的には、本発明は、まず、第一鉄塩とマンガン塩を純水に加え、撹拌して溶解し、鉄マンガン混合溶液を得る。
【0034】
ここで、前記第一鉄塩は、硫酸第一鉄結晶から選択され、前記マンガン塩は、硫酸マンガン結晶から選択される。
【0035】
濃度が1.5~1.8mol/Lの炭酸水素アンモニウム溶液を調製し、ここで、前記炭酸水素アンモニウム溶液の濃度は、好ましくは1.5、1.6、1.7、1.8、又は1.5~1.8mol/Lの間の任意の値である。
【0036】
鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液の調製順序は、特に制限されない。
【0037】
鉄マンガン混合溶液を炭酸水素アンモニウム溶液と共に反応釜内に加え、加え時間は、60~90minであり、好ましくは60、70、80、90、又は60~90minの間の任意の値である。材料を加える時の反応温度は、35~45℃であり、好ましくは35、38、40、42、45、又は35~45℃の間の任意の値である。
【0038】
前記炭酸水素アンモニウムのモル量と第一鉄塩及びマンガン塩におけるマンガンと鉄との総モル量との比は、2.2~2.5:1であり、好ましくは2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、又は2.2~2.5:1の間の任意の値である。
【0039】
材料を加えた後に、酸塩基調節剤を加えてスラリーのpHを7.3~7.5に調節し、好ましくは7.3、7.4、7.5、又は7.3~7.5の間の任意の値である。スラリーを60~65℃に昇温し、好ましくは60、61、62、63、64、65又は60~65℃の間の任意の値であり、続いて15~30min反応し続け、反応材を得る。
【0040】
前記反応材を濾過して洗浄し、洗浄材、即ち反応生成物を得る。本発明は、前記濾過と洗浄の方法を特に制限せず、当業者に公知の方法であればよい。
【0041】
次に、本発明は、前記反応生成物をヒドラジン水和物溶液に加え、撹拌してスラリー化し、ここで、ヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.05~0.1mol/Lであり、好ましくは0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、又は0.05~0.1mol/Lの間の任意の値であり、前記反応生成物とヒドラジン水和物との質量比は、1:1.5~2であり、好ましくは1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2.0、又は1:1.5~2の間の任意の値である。
【0042】
続いて、シュウ酸溶液を加え、溶液の温度を40~50℃に維持し、溶液のpHを4~5に調節し、好ましくは4、4.2、4.4、4.6、4.8、5、又は4~5の間の任意の値であり、続いてシュウ酸の加えを停止し、撹拌し続けて15~30min反応し、続いて濾過して洗浄し、沈殿材を得、沈殿材を乾燥し、シュウ酸マンガン鉄を得る。前記シュウ酸溶液の濃度は、0.2~0.5mol/Lであり、好ましくは0.2、0.3、0.4、0.5、又は0.2~0.5mol/Lの間の任意の値である。
【0043】
シュウ酸マンガン鉄を得た後に、前記シュウ酸マンガン鉄をホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムと混合し、さらにヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を加えてスラリー化した後に、研磨した後に噴霧乾燥し、得られた材料を不活性雰囲気で焼成し、第1の焼成材を得、
ここで、シュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとのモル比は、4:1.02~1.03:2.02~2.04であり、好ましくは4:1.02:2.02、4:1.03:2.04、4:1.025:2.03、又は4:1.02~1.03:2.02~2.04の間の任意の値であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.02~0.05mol/Lであり、好ましくは0.02、0.03、0.04、0.05、又は0.02~0.05mol/Lの間の任意の値である。
【0044】
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の質量は、加えたシュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの総質量の2~2.5倍であり、好ましくは2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、又は2~2.5倍の間の任意の値であり、
前記研磨は、スラリーの粒径が0.2~0.3μmになるまで研磨することであり、好ましくは0.2、0.25、0.3、又は0.2~0.3μmの間の任意の値であり、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の粒径を10~30μm、好ましくは10、15、20、25、30、又は10~30μmの間の任意の値、含水量を1w%未満に維持し、
焼成過程において、焼成雰囲気は、二酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種であり、80~100℃/hの昇温速度率で450~500℃まで昇温して3~5h焼成し、続いて100~150℃/hの降温速度率で材料の温度が50℃以下になるまで冷却した後に材料を排出し、第1の焼成生成物を窒素環境に入れて密閉して保存する。
【0045】
ここで、昇温速度率は、好ましくは80、85、90、95、100、又は80~100℃/hの間の任意の値であり、焼成の温度は、好ましくは450、460、470、480、490、500、又は450~500℃の間の任意の値であり、焼成時間は、好ましくは3、4、5、又は3~5hの間の任意の値である。降温速度率は、100、110、120、130、140、150又は100~150℃/hの間の任意の値である。
【0046】
最後に、メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウム、第1の焼成材と水を混合して研磨し及び噴霧乾燥した後に、二次焼成を行い、焼成生成物を篩い分けて除鉄した後に、ナトリウム電池の正極材料を得る。
【0047】
具体的には、メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウムを混合し、続いて水を加えてスラリー化し、混合スラリーを得、前記混合スラリーにおける固形分含有量は、1wt%~3wt%であり、好ましくは1wt%、2wt%、3wt%、又は1wt%~3wt%の間の任意の値であり、
次に、第1の焼成材を加えて混合し、混合スラリーを得る。
【0048】
ここで、前記第1の焼成材とメタバナジン酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムと二酸化チタンとステアリン酸ナトリウムとのモル比は、0.94~0.96:0.04~0.06:0.015~0.0225:0.06~0.09:0.03~0.045である。好ましくは、0.95:0.05:0.02:0.08:0.04、0.94:0.06:0.015:0.06:0.03、0.96:0.04:0.0225:0.09:0.045又は0.94~0.96:0.04~0.06:0.015~0.0225:0.06~0.09:0.03~0.045の間の任意の値である。
【0049】
前記二酸化チタンは、ナノ二酸化チタンであり、一次粒径は、15~50nmであり、好ましくは15、20、30、40、50、又は15~50nmの間の任意の値であり、BETは、20~40m2/gであり、好ましくは20、30、40、又は20~40m2/gの間の任意の値であり、純度は、≧99wt%である。
【0050】
混合スラリーを得た後に、材料の粒径が200~250nmになるまで研磨し、好ましくは200、210、220、230、240、250、又は200~250nmの間の任意の値である。
【0051】
続いて、噴霧乾燥を行い、噴霧乾燥材を得る。噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の水分含有量を0.5wt%未満、粒径を3~10μmに維持し、好ましくは3、5、5.8、8、10、又は3~10μmの間の任意の値であり、
次に、噴霧乾燥材を二次焼成する。前記二次焼成の過程は、以下のとおりであり、焼結雰囲気は、窒素又はアルゴンであり、昇温速度は、50~80℃/hであり、好ましくは50、60、70、80又は50~80℃/hであり、保温温度は、650~700℃であり、好ましくは650、660、670、680、690、700又は650~700℃の間の任意の値であり、保温時間は、4~8hであり、好ましくは4、5、6、7、8又は4~8hの間の任意の値であり、焼成過程は、ローラーハースキルンを採用して焼成し、しかもローラーハースキルンは、インバータ吸気ファンに連通し、ローラーハースキルン内の炉圧が外部大気圧よりも60~100Pa高いように制御し、保温段の湿度を5%以下、降温段の降温速度率を100~150℃/h、好ましくは100、110、120、130、140、150、又は100~150℃/hの間の任意の値に制御し、
二次焼成した後に、篩い分けて除鉄した後に真空包装し、ナトリウム電池の正極材料を得る。前記篩い分けて除鉄することは、電磁除鉄を採用し、製品の磁性物質が300ppb以下になるまで除鉄した後に除磁を停止し、篩い分けは、100~150メッシュの篩を採用する。前記篩い分けて除鉄した後にさらに真空包装を含み、真空包装過程は、恒温恒湿部屋内で行われ、温度は、15~25℃であり、湿度は、5~10%である。
【0052】
本発明は、まずNa(Mn、Fe)BO3を製造して得、シュウ酸塩を採用して製造し、シュウ酸塩第一鉄塩の安定性が高く、比較的純粋なNa(Mn,Fe)BO3を製造して得ることができ、且つ本発明は、このステップで炭素被覆層を導入せず、主な目的は、その後の被覆のために用意することであり、このステップで炭素被覆層を導入すると、Na2Ti37及びNa32(BO3)3がNa(Mn,Fe)BO3に被覆されることを隔絶し、炭素層は、粒子間の成長を隔絶する作用を有するため、本発明の第1のステップの焼結過程において、炭素層を導入することなく、Na2Ti37及びNa32(BO3)3をNa(Mn,Fe)BO3により良好に成長させることができる。
【0053】
本発明は、第2の段階において、ナノ化研磨により、Na(Mn,Fe)BO3のナノ化及びそれを核とすることを実現し、しかもメタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの水に可溶な原材料を導入し、さらに噴霧乾燥の方式により、水に可溶な原材料を結晶析出させて固体粒子の表面に被覆させ、しかも本発明のナトリウム塩は、有機炭素鎖を導入し、不活性雰囲気で熱分解と炭化し、炭素被覆層を形成することができる。
【0054】
本発明は、この方式を採用し、安定的で均一な被覆層をよりよく形成することができ、且つ本発明のこの被覆層は、依然として一定の容量発揮を有し、続いて外面に炭素被覆層を形成し、形成された構造は、材料の安定性を大幅に向上させることができ、しかも容量発揮が高く、安価な原材料を採用し、コストもさらに低減する。
【0055】
本発明は、さらにナトリウム電池を提供し、上記ナトリウム電池の正極材料を含む。
【0056】
本発明にて提供されるナトリウム電池の正極材料は、容量が高く、電圧プラットフォームが高く且つ構造が安定し、サイクル性能が高く、且つその製造方法が簡単で、コストが低く、プロセスのフローが短い。本発明は、ホウ酸塩をアニオンとして採用し、リン酸塩と比較し、それは価格が低いという利点を有し、ホウ酸ナトリウムの価格は、約3000元/トンであるが、リン酸ナトリウムの価格は、6000元/トン以上であり、しかもホウ酸基のモル数は、リン酸基よりも小さいため、最終的に製造された製品の理論容量について、ホウ酸塩型の正極材料の理論容量は、リン酸塩型の正極材料の理論容量よりも高い。
【0057】
本発明は、Na2Ti37及びNa32(BO3)3がNaMBO3の表面に被覆され、CがNa2Ti37及びNa32(BO3)3の表面に被覆されることを採用し、前記炭素は、アモルファス炭素であり、ホウ酸塩系の正極材料の主な問題は、空気環境及び少量の水分を有する環境で、鉄及びマンガンが急速に酸化し、それにより材料の電気的性能の減衰を引き起こすが、本発明は、Na2Ti37及びNa32(BO3)3がNaMBO3の表面に被覆され、Na(Mn,Fe)BO3を隔絶することができ、それによりこの材料の容量の急速な減衰を回避することができ、しかもマンガンと鉄の価格がバナジウムなどの元素よりもはるかに低いため、本発明の製品の価格が低く、且つ本発明の表面に被覆された材料は、Na2Ti37とNa32(BO3)3であり、材料の酸化防止と水分抵抗の能力を大幅に向上させることができ、しかも製品のイオン導電性をさらに向上させることができ、また炭素被覆層を導入し、電子導電性を向上させるとともに、第2の保護層とすることができ、材料の安定性をさらに向上させる。
【0058】
本発明をさらに理解するために、以下、実施例を参照して本発明にて提供されるナトリウム電池の正極材料及びその製造方法並びに応用を説明し、本発明の保護範囲は、以下の実施例に限定されない。
【0059】
(実施例1)
高性能ナトリウム電池の正極材料は、以下の構造である。
【0060】
0.95Na(Fe0.85,Mn0.15)BO3・0.025Na2Ti37・0.025Na32(BO3)3/C、
ここで、炭素含有量の質量分率は、1.4%である。
【0061】
Na2Ti37とNa32(BO3)3は、NaMBO3の表面に被覆され、Cは、Na2Ti37及びNa32(BO3)3の表面に被覆され、前記炭素は、アモルファス炭素である。
【0062】
その製造方法は、以下のとおりである。
【0063】
1)電池級硫酸第一鉄結晶と硫酸マンガン結晶を純水に加え、撹拌して溶解し、鉄マンガン混合溶液を得、混合溶液における鉄とマンガンとのモル比は、0.857:0.143であり、pHは、2.15であり、
続いて1.72mol/Lの炭酸水素アンモニウム溶液を調製し、鉄マンガン混合溶液を炭酸水素アンモニウム溶液と共に反応釜内に加え、加え時間は、85minであり、加えた炭酸水素アンモニウムのモル数とマンガン鉄の総モルとの比は、2.4:1であり、材料を加える時の反応温度は、42±1.5℃であり、全過程の撹拌速度は、400±20r/minであり、加えが完了した後に、この時の溶液のpHは、7.25であり、炭酸ナトリウムを加えてスラリーのpHを7.35に調節し、62±1℃まで昇温し、続いて25min反応し続け、反応材を得、
反応材をサンプリングし、粒径を検出し、得られた粒径は、D10が1.75μm、D50が6.59μm、D90が15.43μmであった。
【0064】
反応材を濾過して洗浄し、洗浄材を得、洗浄材を真空乾燥箱内で乾燥した後に、粉砕し、そのデータを検出し、結果を表1に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
図1を参照し、図1は、本発明の実施例1により製造して得られた洗浄乾燥材料のSEM図である。
【0067】
2)洗浄材をヒドラジン水和物溶液に加え、洗浄材とヒドラジン水和物溶液との質量比は、1:1.83であり、ヒドラジン水和物溶液を加える濃度は、0.072mol/Lであり、撹拌してスラリー化し、続いてシュウ酸溶液を加え、加えたシュウ酸溶液の濃度は、0.37mol/Lであり、溶液の温度を46±1℃に維持し、溶液のpHを4.38に調節し、続いてシュウ酸の加えを停止し、撹拌し続けて20min反応し、続いて濾過して洗浄し、沈殿材を得、沈殿材を乾燥し、シュウ酸マンガン鉄を得、そのSEMを図2に示し、図2は、本発明の実施例1により製造して得られたシュウ酸マンガン鉄のSEM図である。
【0068】
前記シュウ酸マンガン鉄を検出し、結果を表2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
3)シュウ酸マンガン鉄をホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムと混合し、続いてヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を加えてスラリー化し、シュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとのモル比は、4:1.025:2.03であり、加えたヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の質量は、加えたシュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの総質量の2.3倍であり、ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.03mol/Lであり、研磨した後に噴霧乾燥し、スラリーの粒径が0.253μmになるまで研磨し、噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の粒径を17.8μm、含水量を0.35w%に維持し、得られた材料を不活性雰囲気で、温度が480℃で4h焼成し、続いて取り出し、第1の焼成材を得、焼成過程において、昇温速度率が90℃/hであり、焼成雰囲気は、窒素であり、降温段の降温速度率は、145℃/hであり、材料の温度が50℃以下になるまで冷却した後に材料を排出し、第1の焼成材を得、排出された材料を窒素環境で密閉して保存し、
図3を参照し、図3は、本発明の実施例1により製造して得られた第1の焼成材のSEM図である。
【0071】
前記第1の焼成材を検出し、結果を表3に示した。
【0072】
【表3】
【0073】
4)メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウムを混合し、続いて水を加えてスラリー化した後に、固形分含有量が1.7wt%であり、第1の焼成材を加え、第1の焼成材とメタバナジン酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムと二酸化チタンとステアリン酸ナトリウムとのモル比は、0.95:0.05:0.02:0.08:0.04であり、続いて材料の粒径が230nmになるまで研磨し、続いて噴霧乾燥し、噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の水分含有量を0.5wt%未満、粒径を5.8μmに維持し、
噴霧乾燥材をローラーハースキルン内に入れて二次焼成を行い、二次焼成過程において、焼結雰囲気は、窒素であり、昇温速度は、75℃/hであり、保温温度は、680℃であり、保温時間は、6hであり、焼成過程は、ローラーハースキルンを採用して焼成し、しかもローラーハースキルンは、インバータ吸気ファンに連通し、ローラーハースキルン内の炉圧が外部大気圧よりも80Pa高いように制御し、保温段の湿度を5%以下、降温段の降温速度率を120℃/hに制御し、二次焼成した後に、篩い分けて除鉄した後に真空包装し、真空包装過程は、恒温恒湿部屋内で行われ、温度が20±1℃であり、湿度が8.1%であり、真空包装前に篩い分けされた材料に対して電磁除鉄を行う必要があり、製品の磁性物質が215ppbになるまで除鉄した後に除磁を停止し、篩い分けは、150メッシュの篩を採用し、ナトリウム電池の正極材料を得、図4及び図5を参照し、図4は、本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料のSEM図である。
【0074】
図5は、本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料の透過型電子顕微鏡図である。図5から分かるように、製造して得られたナトリウム電池の正極材料の表面には、2.5±1nmの厚さの炭素被覆層が形成された。
【0075】
前記二酸化チタンは、ナノ二酸化チタンであり、一次粒径は、30nmであり、BETは、31.5m2/gであり、純度は、99.53wt%であった。
【0076】
前記ナトリウム電池の正極材料を検出し、結果を表4に示した。
【0077】
【表4】
【0078】
得られたナトリウム電池の正極材料製品の充放電曲線は、図6に示すとおりであり、図6は、本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料の充放電曲線図である。感電試験を採用し、負極は、ナトリウムシートであり、正極の配合成分は、ナトリウム電池の正極材料:PVDF:SPの質量比が85:5:10であることであり、電解液中の電解質は、六フッ化リン酸ナトリウムであり、溶媒は、EC+DMC+EMCであり、その質量比は、5:2:3であり、六フッ化リン酸ナトリウムの濃度は、0.45mol/Lであり、同一バッチの材料で、3つの感電が作られ、0.1C倍率で充放電した。
【0079】
図6から分かるように、充電容量は、146.9mAh/gに達し、放電容量は、142.1mAh/gに達し、リン酸鉄リチウムの電気化学性能に接近し、且つ1C放電容量は、139.8mAh/gであり、既に従来のリン酸鉄リチウムに相当し、電気的性能に優れ、充放電曲線から見ると、放電プラットフォームは、非常に緩やかで、分極が小さい。
【0080】
得られたナトリウム電池の正極材料の製品のサイクル性能を試験し、同一の材料で、4つのセルが作られ、具体的には、実施例1で製造して得られた正極材料を正極活物質とし、ナトリウム電池正極活物質:PVDF:SPの質量比が85:5:10の割合で正極シートを製造し、硬質炭素を負極とし、負極シートを製造し、六フッ化リン酸ナトリウムを電解液とし、溶媒は、EC+DMC+EMCであり、その質量比は、5:2:3であり、六フッ化リン酸ナトリウムの濃度は、0.45mol/Lであり、パウチセルを組み立てた。
【0081】
容量が1Ahであり、温度25℃、倍率1Cでのサイクル性能であり、結果を図7に示し、図7は、本発明の実施例1により製造して得られたナトリウム電池の正極材料で組み立てられた電池のサイクル性能試験結果である。図7から分かるように、250サイクルにおいて、常温サイクル容量の保持率が95%よりも高く、サイクル性能に優れる。
【0082】
また現在の価格に基づいて計算すると(炭酸リチウムの価格は、48.5万元/トンである)、リン酸鉄リチウムのコスト価格は、約15万元/トンであり、本発明の材料を採用し、そのコスト価格は、3.5万元/トンだけであり、価格性能比が非常に高く、その他のポリアニオン材料、例えば硫酸鉄ナトリウム、リン酸鉄ナトリウムなどの材料に比べて、容量が20~40mAh/g以上高い。且つ本材料は、サイクル性能、低温性能などに優れる。
【0083】
(実施例2)
A)第一鉄塩、マンガン塩と水を混合し、鉄マンガン混合溶液を得、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合して反応させ、反応生成物を得、
B)前記反応生成物を順次ヒドラジン水和物溶液に加えてスラリー化し、及びシュウ酸溶液に加えて沈殿し、且つ溶液のpHを調節し、シュウ酸マンガン鉄を得、
C)前記シュウ酸マンガン鉄をホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムと混合し、さらにヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を加えてスラリー化した後に、研磨した後に噴霧乾燥し、得られた材料を不活性雰囲気で焼成し、第1の焼成材を得、
D)メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウム、第1の焼成材と水を混合して研磨し及び噴霧乾燥した後に、二次焼成を行い、焼成生成物を篩い分けて除鉄した後に、ナトリウム電池の正極材料を得た。
【0084】
ステップA)において、前記第一鉄塩は、硫酸第一鉄結晶から選択され、
マンガン塩は、硫酸マンガン結晶から選択され、
炭酸水素アンモニウム溶液の濃度は、1.5mol/Lであり、
炭酸水素アンモニウムのモル量と第一鉄塩とマンガン塩におけるマンガンと鉄との総モル量との比は、2.2:1であり、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合した後に、酸塩基調節剤を加えてスラリーのpHを7.3に調節し、全過程の撹拌速度は、300r/minであった。
【0085】
ステップB)において、ヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.05mol/Lであり、
前記反応生成物とヒドラジン水和物との質量比は、1:1.5であり、
前記シュウ酸溶液の濃度は、0.2mol/Lであり、
溶液pHを4に調節した。
【0086】
ステップC)において、シュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとのモル比は、4:1.02:2.02であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の質量は、加えたシュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの総質量の2倍であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.02mol/Lであり、
スラリーの粒径が0.2μmになるまで研磨し、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の粒径を10μm、含水量を1w%未満に維持し、
焼成過程において、焼成雰囲気は、二酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種であり、80℃/hの昇温速度率で450℃まで昇温して3h焼成し、続いて100℃/hの降温速度率で材料の温度が50℃以下になるまで冷却した後に材料を排出し、第1の焼成生成物を窒素環境に入れて密閉して保存した。
【0087】
ステップD)において、前記第1の焼成材とメタバナジン酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムと二酸化チタンとステアリン酸ナトリウムとのモル比は、0.94:0.04:0.015:0.06:0.03であった。
【0088】
前記二酸化チタンは、ナノ二酸化チタンであり、一次粒径は、15nmであり、BETは、20m2/gであり、純度は、≧99wt%であった。
【0089】
ステップD)において、前記混合の方法は、以下のとおりであり、
メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウムを混合し、続いて水を加えてスラリー化し、混合スラリーを得、前記混合スラリーにおける固形分含有量は、1wt%であり、次に、第1の焼成材を加えて混合し、混合スラリーを得、
前記研磨は、材料の粒径が200nmになるまで研磨することであり、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の水分含有量を0.5wt%未満、粒径を3μmに維持し、
前記二次焼成の過程は、以下のとおりであり、焼結雰囲気は、窒素又はアルゴンであり、昇温速度は、50℃/hであり、保温温度は、650℃であり、保温時間は、4hであり、焼成過程は、ローラーハースキルンを採用して焼成し、しかもローラーハースキルンは、インバータ吸気ファンに連通し、ローラーハースキルン内の炉圧が外部大気圧よりも60Pa高いように制御し、保温段の湿度を5%以下、降温段の降温速度率を100℃/hに制御し、
前記篩い分けて除鉄することは、電磁除鉄を採用し、製品の磁性物質が300ppb以下になるまで除鉄した後に除磁を停止し、篩い分けは、100メッシュの篩を採用した。
【0090】
前記篩い分けて除鉄した後にさらに真空包装を含み、真空包装過程は、恒温恒湿部屋内で行われ、温度は、15℃であり、湿度は、5%であった。
【0091】
(実施例3)
A)第一鉄塩、マンガン塩と水を混合し、鉄マンガン混合溶液を得、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合して反応させ、反応生成物を得、
B)前記反応生成物を順次ヒドラジン水和物溶液に加えてスラリー化し、及びシュウ酸溶液に加えて沈殿し、且つ溶液のpHを調節し、シュウ酸マンガン鉄を得、
C)前記シュウ酸マンガン鉄をホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムと混合し、さらにヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を加えてスラリー化した後に、研磨した後に噴霧乾燥し、得られた材料を不活性雰囲気で焼成し、第1の焼成材を得、
D)メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウム、第1の焼成材と水を混合して研磨し及び噴霧乾燥した後に、二次焼成を行い、焼成生成物を篩い分けて除鉄した後に、ナトリウム電池の正極材料を得た。
【0092】
ステップA)において、前記第一鉄塩は、硫酸第一鉄結晶から選択され、
前記マンガン塩は、硫酸マンガン結晶から選択され、
前記炭酸水素アンモニウム溶液の濃度は、1.8mol/Lであり、
前記炭酸水素アンモニウムのモル量と第一鉄塩とマンガン塩におけるマンガンと鉄との総モル量との比は、2.5:1であり、
前記鉄マンガン混合溶液と炭酸水素アンモニウム溶液を混合した後に、酸塩基調節剤を加えてスラリーのpHを7.5に調節し、全過程の撹拌速度は、500r/minであった。
【0093】
ステップB)において、ヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.1mol/Lであり、
前記反応生成物とヒドラジン水和物との質量比は、1:2であり、
前記シュウ酸溶液の濃度は、0.5mol/Lであり、
溶液pHを5に調節した。
【0094】
ステップC)において、シュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとのモル比は、4:1.03:2.04であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の質量は、加えたシュウ酸マンガン鉄とホウ酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの総質量の2.5倍であり、
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.05mol/Lであり、
スラリーの粒径が0.3μmになるまで研磨し、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の粒径を30μm、含水量を1w%未満に維持し、
焼成過程において、焼成雰囲気は、二酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種であり、100℃/hの昇温速度率で500℃まで昇温して5h焼成し、続いて150℃/hの降温速度率で材料の温度が50℃以下になるまで冷却した後に材料を排出し、第1の焼成生成物を窒素環境に入れて密閉して保存した。
【0095】
ステップD)において、前記第1の焼成材とメタバナジン酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムと二酸化チタンとステアリン酸ナトリウムとのモル比は、0.96:0.06:0.0225:0.09:0.045であった。
【0096】
前記二酸化チタンは、ナノ二酸化チタンであり、一次粒径は、50nmであり、BETは、40m/gであり、純度は、≧99wt%であった。
【0097】
ステップD)において、前記混合の方法は、以下のとおりであり、
メタバナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二酸化チタン、ステアリン酸ナトリウムを混合し、続いて水を加えてスラリー化し、混合スラリーを得、前記混合スラリーにおける固形分含有量は、3wt%であり、次に、第1の焼成材を加えて混合し、混合スラリーを得、
前記研磨は、材料の粒径が250nmになるまで研磨することであり、
噴霧乾燥過程において、最終的な噴霧乾燥材の水分含有量を0.5wt%未満、粒径を10μmに維持し、
前記二次焼成の過程は、以下のとおりであり、焼結雰囲気は、窒素又はアルゴンであり、昇温速度は、80℃/hであり、保温温度は、700℃であり、保温時間は、8hであり、焼成過程は、ローラーハースキルンを採用して焼成し、しかもローラーハースキルンは、インバータ吸気ファンに連通し、ローラーハースキルン内の炉圧が外部大気圧よりも100Pa高いように制御し、保温段の湿度を5%以下、降温段の降温速度率を150℃/hに制御し、
前記篩い分けて除鉄することは、電磁除鉄を採用し、製品の磁性物質が300ppb以下になるまで除鉄した後に除磁を停止し、篩い分けは、150メッシュの篩を採用した。
【0098】
前記篩い分けて除鉄した後にさらに真空包装を含み、真空包装過程は、恒温恒湿部屋内で行われ、温度は、25℃であり、湿度は、10%であった。
【0099】
以上記載したのは、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、なお、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】