(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コーティング材を施した封止部、並びにその製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3236 20160101AFI20240920BHJP
F16J 15/3212 20160101ALI20240920BHJP
F16J 15/18 20060101ALI20240920BHJP
F16J 15/3284 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
F16J15/3236
F16J15/3212
F16J15/18 C
F16J15/3284
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521098
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-07
(86)【国際出願番号】 US2022078096
(87)【国際公開番号】W WO2023064885
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Performance Plastics, Corporation
【住所又は居所原語表記】31500 Solon Road Solon, 44139 OH USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モロー,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドンヨプ
(72)【発明者】
【氏名】レブラン,ジーン-マリー
(72)【発明者】
【氏名】タスラキアン,ベドロス ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3J006
3J043
【Fターム(参考)】
3J006AA01
3J006AB01
3J006AE17
3J006AE25
3J006AE41
3J006CA01
3J043AA16
3J043BA07
3J043CA02
3J043CA06
3J043CB04
3J043CB06
3J043CB14
3J043CB20
3J043CB30
(57)【要約】
【解決手段】 封止部は、中心軸を画定する環状本体と、中心軸と同心で環状本体内へと延在する凹部と、を含むジャケット部であって、当該ジャケット部が、少なくとも30重量%のPTFEと、少なくとも10重量%の充填材料とを含み、当該充填材料が、ホウ素含有材料、窒素含有材料、チタン含有材料、シリコン含有材料、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含み、当該ジャケット部が、コーティング材を更に含む、ジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を画定する環状本体と、前記中心軸と同心で前記環状本体内へと延在する凹部と、を備える、ジャケット部であって、前記ジャケット部が、少なくとも30重量%のPTFEと、少なくとも10重量%の充填材料と、を含み、前記充填材料が、ホウ素含有材料、窒素含有材料、チタン含有材料、シリコン含有材料、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含み、前記ジャケット部が、コーティング材を更に含む、ジャケット部と、
前記凹部内に配置された、付勢要素と、を備える、封止部。
【請求項2】
封止部であって、
中心軸と、前記中心軸と同心で環状本体内へと延在する凹部を画定する外側表面と、を有する、環状本体を備える、ジャケット部と、
前記凹部内に配置された、付勢要素と、を備え、
前記封止部が、静的試験1及び/又は静的試験3を使用して、330℃~400℃で、少なくとも15分間サイクルした後、400℃未満で測定された場合、400cc/分未満の漏れ率を有する、封止部。
【請求項3】
封止部であって、
中心軸を画定する環状本体と、前記中心軸と同心で前記環状本体内へと延在する凹部と、を備える、ジャケット部と、
前記凹部内に配置された、付勢要素と、を備え、
前記封止部が、静的試験2を使用して、330℃超で少なくとも200時間サイクルされた後、300℃未満で測定された場合、400cc/分未満の漏れ率を有する、封止部。
【請求項4】
前記コーティング材がポリマーを含む、請求項1に記載の封止部。
【請求項5】
前記コーティング材が金属を含む、請求項1に記載の封止部。
【請求項6】
前記コーティング材がパリレン二量体を含む、請求項1に記載の封止部。
【請求項7】
前記コーティング材がセラミックを含む、請求項1に記載の封止部。
【請求項8】
前記コーティング材がダイヤモンド様炭素を含む、請求項1に記載の封止部。
【請求項9】
前記ジャケット部が、少なくとも30重量%のPTFEかつ90重量%以下のPTFEを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の封止部。
【請求項10】
前記ジャケット部が、少なくとも10重量%の充填材料、かつ70重量%以下の前記充填材料を含み、前記ジャケット部が、充填材料を含み、前記充填材料が、ホウ素含有材料、窒素含有材料、チタン含有材料、シリコン含有材料、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の封止部。
【請求項11】
前記ジャケット部が、前記ジャケット部の45~55重量%の範囲内のPTFEを含み、前記ジャケット部が、前記ジャケット部の30~50重量%の範囲内の炭素繊維充填材を含み、前記ジャケット部が、前記ジャケット部の5~15重量%の範囲内のホウ化チタン/二ホウ化チタン充填材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の封止部。
【請求項12】
前記ジャケット部が、前記ジャケット部の45~55重量%の範囲内のPTFEを含み、前記ジャケット部が、前記ジャケット部の30~50重量%の範囲内のガラス繊維充填材を含み、前記ジャケット部が、前記ジャケット部の5~15重量%の範囲内のホウ化チタン/二ホウ化チタン充填材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の封止部。
【請求項13】
前記ジャケット部が、約75重量%のPTFEと、約25重量%の窒化ホウ素と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の封止部。
【請求項14】
前記ジャケット部が、約85重量%のPTFEと、約15重量%のシリコン粉末と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の封止部。
【請求項15】
前記ジャケット部が、熱への曝露前に測定された場合の初期比重G
Iと、300℃に60,000分間曝露された後に測定された場合の経時比重G
Aと、を有する材料を含み、G
I/G
Aが、1.4未満かつ少なくとも0.5である、請求項1~3のいずれか一項に記載の封止部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、封止部に関する。
【背景技術】
【0002】
封止部は、典型的には、2つの構成要素、例えば、シャフト及びボアのような内側構成要素と外側構成要素との間の環状部内において、漏れが発生することを防止するために、使用される。シャフトとボアとの間に封止部を位置付けて、異なる流体圧力を維持するか、又は封止部の両側で異なる流体構成要素を分離し得る。従来の封止部は、長期間にわたって温度及び圧力に曝露されると、破損する場合が多い。高性能エンジンに関連する産業などの産業は、漏れ率などの有効な封止部特性を維持しながら、長期間にわたって異なる温度条件及び圧力条件に耐えることが可能な封止部を、要求し続けている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
実施形態は、例として示されており、添付の図面に限定されることを意図するものではない。
【
図1】
図1は、一実施形態による封止部の断面図を含む。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載される実施形態による封止部は、概して、凹部を画定するジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を含み得る。特定の実施形態では、ジャケット部は、例えば、少なくとも30重量%のポリマー材料及び少なくとも10重量%の充填材料を含む均質な組成物を含んでもよい。充填材料は、ポリマー材料内に埋め込まれ、ジャケット部の1種以上の属性を向上させ得る。特定の実施形態では、充填材料は、ホウ素含有材料、窒素含有材料、チタン含有材料、シリコン含有材料、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。特定の実施形態では、ジャケット部は、コーティング材を含んでもよい。
【0005】
本明細書に記載される実施形態による封止部は、概して、凹部を画定するジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を含み得る。特定の実施形態では、封止部は、静的試験1を使用して、400℃未満で測定された場合、400cc/分未満の漏れ速度を有し得る。
【0006】
本明細書に記載される実施形態による封止部は、概して、凹部を画定するジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を含み得る。特定の実施形態では、封止部は、静的試験2を使用して、封止部が330℃超で少なくとも200時間の条件にあった後、300℃未満で測定された場合、400cc/分未満の漏れ速度を有し得る。
【0007】
本明細書に記載される実施形態による封止部は、概して、凹部を画定するジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を含み得る。特定の実施形態では、封止部は、静的試験2を使用して、封止部が360℃超で少なくとも2時間の条件にあった後、300℃未満で測定された場合、400cc/分未満の漏れ速度を有し得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を助けるために、提供される。以下の考察は、教示の特定の実施態様及び実施形態に、焦点を当てている。この焦点は、教示の説明を助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に対する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、本出願に開示される教示に基づいて、その他の実施形態を使用することができる。
【0009】
「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はこれらの任意のその他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていないその他の特徴、又はこのような方法、物品、若しくは装置に固有のその他の特徴を含んでもよい。更に、矛盾する記載がない限り、「又は(or)」は、包含的なorを指し、排他的なorを指すものではない。例えば、条件A又は条件Bは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)、Bが真である(又は存在する)、及び、AとBとの両方が真である(又は存在する)。
【0010】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載される要素及び構成要素を説明するために、用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。本説明は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、又は単数形が複数形もまた含むものとして、又はその逆として、理解されるべきである。例えば、単一の物品が本明細書に記載されている場合、単一の物品の代わりに2つ以上の物品を使用してもよい。同様に、2つ以上の物品が本明細書に記載されている場合、その2つ以上の物品を、単一の物品に置き換えてもよい。
【0011】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと、同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は、例示であるに過ぎず、限定的であることを意図するものではない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、封止部の技術分野における教科書及びその他の情報源に見出され得る。
【0012】
図1を参照すると、封止部100は、概して、ジャケット部102及び付勢要素104を含み得る。ジャケット部102は、凹部110を画定するフィンガ106及び108を含んでもよい。一実施形態では、フィンガ106及び108は、凹部110もまた対称であるように、ライン112に対して対称であってもよい。付勢要素104は、凹部110内に部分的に配置されるか、又は凹部110内に全体的に配置されるなど、凹部110内に配置されてもよい。一実施形態では、フィンガ106及び108のうちの少なくとも1つは、凹部110に向かって延在する遠位フランジ112を含んでもよい。遠位フランジ112は、凹部110から付勢要素104が外れることを防止してもよい。
【0013】
付勢要素104は、フィンガ106及び108のうちの少なくとも1つに向かってなど、少なくとも1つの外向きに配向された方向に、外向き付勢力を提供するように適合された本体を含んでもよい。一実施形態では、付勢要素104は、例えば、コイルばねなどのばね、又はO字形状の断面輪郭を有する本体からなり得る。別の実施形態では、付勢要素104は、D字形、U字形、V字形、又はC字形から選択される断面輪郭を有してもよい。特定の実施形態では、付勢要素104は、付勢要素104の表面が、フィンガ106又は108のうちの少なくとも1つに隣接するように延在する、カンチレバー輪郭を有してもよい。付勢要素104のカンチレバー部分は、フィンガ106及び108を、互いから離れるように外向きに付勢してもよい。
【0014】
特定の場合では、付勢要素104は、巻かれた設計を有し得る。例えば、付勢要素104の内側部分は、付勢要素104の外側部分の材料とは異なる第1の材料を含んでもよい。外側部分は、内側部分の全部又は一部に巻かれていてもよい。別の場合では、付勢要素104は、弓状の断面を有するワイヤを含んでもよい。ワイヤは、ほぼO字型の断面を形成するように、コイル状であってもよく、又は巻かれていてもよい。更に別の場合では、付勢要素104は、ほぼO字型の断面を形成するように巻かれたリボンを含んでもよい。特定の実施形態では、リボンは、ある厚さだけ互いに離間した2つの主表面を有してもよい。リボンは、長さ、幅、及び厚さを画定してもよく、長さは幅よりも長く、幅は厚さよりも大きい。リボンは、隣接するコイルが、少なくとも10%、少なくとも20%、又は少なくとも30%など、半径方向に互いに部分的に重複するように、又は隣接するコイルが半径方向に重複しないように、巻かれてもよい。設置前に、付勢要素104は、凹部110の直径よりも大きい直径を画定してもよい。すなわち、一実施形態では、付勢要素104は、凹部110に対して寸法が過大であってもよい。
【0015】
一実施形態では、付勢要素104は、ジャケット部102に対して浮動してもよい。より詳細には、付勢要素104は、凹部110に対して、自由に動くことができる。別の実施形態では、付勢要素104は、例えば、接着剤、ジャケット部102及び付勢要素104の一方又は両方の機械的変形、ねじ付き又は非ねじ付き締結具などによって、あるいは、付勢要素104を、ジャケット部102内に少なくとも部分的に埋め込むことなどによって、ジャケット部102に連結されてもよい。一実施形態では、付勢要素104の端部は、付勢要素104がジャケット部102から外れることを防止するように、ジャケット部102内に封入されてもよい。接着剤を利用する実施形態では、接着剤層(図示せず)は、付勢要素104の少なくとも一部とジャケット部102との間に、配置されてもよい。接着剤層は、ホットメルト接着剤を含んでもよい。使用され得る接着剤の例としては、フルオロポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン(ethylene tetrafluoroethylene、ETFE)、ETFEコポリマー、ペルフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy、PFA)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。なお、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF2=CF-OR、又はこれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含み得、式中、Rは、1~20個の炭素原子を含有する環状有機基又は直鎖状有機基である。なお、接着剤は、コポリマーを含み得る。
【0016】
非限定的な例として、付勢要素104は、ポリマー、金属、合金、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。特定の実施形態では、付勢要素104は、金属を含む。例示的な金属としては、鋼、青銅、銅、モネル、インコネル、エルジロイ、ハステロイ、及びオイルテンパークロームシリコン又はバナジウムが挙げられる。一実施形態では、付勢要素104は、モリブデン、コバルト、鉄、クロム、銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、炭素、タングステン、又はこれらの任意の組み合わせを、含んでもよい。特定の実施形態では、付勢要素104は、301ステンレス鋼、302/304ステンレス鋼、316ステンレス鋼、又は17-7ステンレス鋼などの、ステンレス鋼を含む。
【0017】
一実施形態では、1種以上の耐腐食性コーティング材(図示せず)を、付勢要素104に適用し得る。耐腐食性コーティング材は、1~50ミクロンの範囲、例えば、5~20ミクロンの範囲、又は7~15ミクロンの範囲の厚さを有し得る。耐腐食性コーティング材は、接着促進剤層及びエポキシ層を含み得る。一実施形態では、エポキシ層は、付勢要素104の耐腐食性を向上させ得る。例えば、エポキシ層は、水、塩などの腐食性要素が付勢要素104に接触することを実質的に防止し、それによって、付勢要素の化学的腐食を抑制し得る。
【0018】
特定の実施形態では、ジャケット部102は、少なくとも0.01、少なくとも0.1、又は少なくとも0.2の、平均表面粗さRaを有してもよい。その他の実施形態では、Raは、1以下、又は0.5以下、又は0.4以下であってもよい。特定の実施形態では、ジャケット部102は、0.1~0.7の範囲(0.1と0.7を含む)のRaを有し得る。より詳細には、Raは、0.2~0.4の範囲内(0.2と0.4を含む)であり得る。
【0019】
ジャケット部102は、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、又は少なくとも75の、ショアD硬度(Shore D hardness)を有してもよい。一実施形態では、ジャケット部102は、100以下、90以下、又は80以下の、ショアD硬度を有してもよい。ジャケット部102が、45~100の範囲(45と100を含む)のショアD硬度を有する材料を含み、封止部100に十分に低い封止特性を与えながら、長期使用中のジャケット部102の破壊を防止することが望ましい場合がある。
【0020】
特定の実施形態では、ジャケット部102は、ポリマー材料を含んでもよい。例示的なポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、フッ素化エチレン-プロピレン(fluorinated ethylene-propylene、FEP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenfluoride、PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(polychlorotrifluoroethylene、PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ethylene chlorotrifluoroethylene、ECTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(perfluoroalkoxy alkane、PFA)、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリスルホン、ポリアミド(polyamide、PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(liquid crystal polymer、LCP)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定の実施形態によれば、ジャケット部102は、フルオロポリマーを含んでもよい。例示的なフルオロポリマーとしては、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)と、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデン(tetrafluoroethylene, hexafluoropropylene, and vinylidene fluoride、THV)のターポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)コポリマー、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)コポリマー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。PTFEは、可動構成要素間の低摩擦界面を維持しながら、優れた封止特性を示すので、本明細書に記載される特定の実施形態に従って使用される。
【0021】
特定の実施形態では、ジャケット部102は、少なくとも30重量%のPTFE、少なくとも35重量%のPTFE、少なくとも40重量%のPTFE、少なくとも45重量%のPTFE、又は少なくとも50重量%のPTFEを有する混合物を含み得る。その他の実施形態では、混合物は、90重量%以下のPTFE、75重量%以下のPTFE、70重量%以下のPTFE、65重量%以下のPTFE、60重量%以下のPTFE、又は55重量%以下のPTFEであり得る。特定の実施形態では、ジャケット部102は、ジャケット部の30重量%~90重量%の範囲内(30重量%と90重量%を含む)のPTFEを含む混合物を含み得る。特定の実施形態では、混合物は、ジャケット部の40重量%~60重量%の範囲内(40重量%と60重量%を含む)のPTFEを含み得る。その他の実施形態では、混合物は、ジャケット部の60重量%~90重量%の範囲内(60重量%と90重量%を含む)のPTFEを含み得る。
【0022】
一実施形態では、混合物は、充填材料を更に含んでもよい。充填材料は、ホウ素含有材料、窒素含有材料、チタン含有材料、シリコン含有材料、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含み得る。より特定の実施形態では、充填材料は、ホウ化チタン/二ホウ化チタン、窒化ホウ素、シリコーン粉末、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0023】
一実施形態では、混合物は、少なくとも10重量%の充填材料、少なくとも15重量%の充填材料、少なくとも20重量%の充填材料、少なくとも25重量%の充填材料、少なくとも30重量%の充填材料、少なくとも35重量%の充填材料、又は少なくとも40重量%の充填材料を含んでもよい。一実施形態では、混合物は、70重量%以下の充填材料、65重量%以下の充填材料、60重量%以下の充填材料、55重量%以下の充填材料、50重量%以下の充填材料、又は45重量%以下の充填材料を含んでもよい。特定の実施形態では、充填材料は、混合物全体にわたって、均一に分布されてもよい。均一な分布は、ジャケット部102内の均一な摩耗率を容易にし、局所的な亀裂又は局所的な摩耗などの、局所的な摩耗の形成を防止し得る。別の特定の実施形態では、充填材料は、混合物全体にわたって、不均一に分布されてもよい。このようにして、充填材料の重量%は、ジャケット部102内の第1の位置において、その内部の第2の位置と比較して、異なってもよい。例えば、充填材料は、フィンガ106及び108を一緒に接続するジャケット部102の後部と比較して、フィンガ106及び108の少なくとも一方(例えば両方)において、より多く堆積されてもよい。あるいは、後部は、フィンガ106及び108の一方又は両方と比較して、より高い濃度の充填材料を含んでもよい。
【0024】
特定の場合では、混合物は、混合物の45~55重量%の範囲内(45重量%と55重量%を含む)のPTFEと、混合物の30~50重量%の範囲内(30重量%と50重量%を含む)の炭素繊維と、混合物の5~15重量%の範囲内(5重量%と15重量%を含む)のホウ化チタン/二ホウ化チタンと、を含んでもよい。より特定の場合では、混合物は、約50重量%のPTFEと、約40重量%の炭素繊維と、約10重量%のホウ化チタン/二ホウ化チタンと、を含み得る。
【0025】
別の特定の場合では、混合物は、混合物の45~55重量%の範囲内(45重量%と55重量%を含む)のPTFEと、混合物の30~50重量%の範囲内(30重量%と50重量%を含む)のガラス繊維と、混合物の5~15重量%の範囲内(5重量%と15重量%を含む)のホウ化チタン/二ホウ化チタンと、を含んでもよい。より特定の場合では、ジャケット部102は、約50重量%のPTFE、約40重量%のガラス繊維、及び約10重量%のホウ化チタン/二ホウ化チタンを含み得る。
【0026】
更に別の特定の場合では、混合物は、約75重量%のPTFEと、約25重量%の窒化ホウ素と、を含み得る。
【0027】
なお更に特定の場合では、混合物は、約85重量%のPTFEと、約15重量%のシリコーン粉末と、を含み得る。
【0028】
特定の実施形態では、混合物は、上述の充填材料のうちのいずれか1種以上を、PTFEなどのポリマー材料と組み合わせることによって形成されてもよい。混合は、充填材料の密度が比較的均一になるように、混合物が均質に分布するまで、実施されてもよい。次に、混合物を環状体へと成形してもよい。特定の実施形態では、成形は、押出、成形、鋳造、圧延、スタンピング、切断、又はこれらの任意の組み合わせによって実施されてもよい。特定の実施形態では、成形された環状体は、一定期間、例えば、少なくとも1時間、硬化されてもよい。この時、成形された環状体は、凹部110を含んでもよい。あるいは、成形された環状体は、凹部110を形成するように、機械加工されてもよい。より具体的には、凹部110が好適に形成されるまで、成形された環状体から材料を除去し得る。
【0029】
一実施形態では、付勢要素104は、成形環状部材の形成後に、凹部110内に位置付けられてもよい。別の実施形態では、付勢要素104は、混合物が依然として柔らかく、しなやかで、柔軟であるか、又は別様に完全に硬化しいなうちに、成形された環状部材に対して位置付けられてもよい。これは、付勢要素104が、ジャケット部102内に部分的又は完全に封入される用途に好適であり得る。
【0030】
一実施形態では、(ジャケット部102又は付勢要素104のうちの少なくとも1つを含む)封止部100は、コーティング材120でコーティングされてもよい。コーティング材120は、ジャケット部102又は付勢要素104のうちの少なくとも1つの外側表面上に、配置されてもよい。コーティング材120は、組成物を含んでもよい。一実施形態では、コーティング材120は、パリレンを含む組成物を含んでもよい。一実施形態では、コーティング材120は、パリレン二量体を含む組成物を含んでもよい。一実施形態では、コーティング材120は、ポリマーを含む組成物を含んでもよい。一実施形態では、コーティング材120は、セラミックを含む組成物を含んでもよい。一実施形態では、コーティング材120は、金属を含む組成物を含んでもよい。一実施形態では、コーティング材120は、ダイヤモンド様炭素を含む組成物を含んでもよい。
【0031】
コーティング材120は、少なくとも部分的に、パリレンを含み得る。コーティング材120は、少なくとも部分的に、パリレン二量体を含み得る。一実施形態では、コーティング材120は、塩素化パリレン二量体、パラ-キシリレンを含むパリレン二量体、又はフッ素化パリレン二量体を含む組成物を含んでもよい。一実施形態では、塩素化パリレン二量体は、芳香族水素のうちの1つを塩素原子で置換することによってのみ改質されたパリレン二量体であってもよい。一実施形態では、塩素化パリレン二量体は、芳香族水素のうちの2つを塩素原子で置換することによってのみ改質されたパリレン二量体であってもよい。一実施形態では、パラ-キシリレンを含むパリレン二量体は、パリレン二量体であってもよい。一実施形態では、フッ素化パリレン二量体は、パラ-キシリレン二量体のアルファ水素原子をフッ素原子に置換することによってのみ改質されたパリレン二量体であってもよい。
【0032】
コーティング材120は、少なくとも部分的に、ポリマーを含んでもよい。ポリマーは、ポリケトン、ポリアラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フルオロポリマー、ポリベンズイミダゾール、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)、又はこれらの任意の組み合わせを含む群から選択されてもよい。ポリマーは、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーであってもよい。一実施形態では、ジャケット部102は、フルオロポリマーを含むか、又は本質的にそれからなり得る。例示的なフルオロポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(polyamide-imide、PAI)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン(THV)のターポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)コポリマー、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)コポリマー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。その他のフルオロポリマー、ポリマー、及びブレンドが、ジャケット部102の組成物に含まれてもよい。別の特定の実施形態では、コーティング材120は、超高分子量ポリエチレン(ultra-high-molecular-weight polyethylene、UHMWPE)などのポリエチレン(PE)を少なくとも部分的に含むか、又は本質的にそれからなり得る。別の特定の実施形態では、コーティング材120は、熱可塑性エラストマー炭化水素ブロックコポリマー、ポリエーテル-エステルブロックコポリマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫物、オレフィン系コポリマー、オレフィン系ターポリマー、ポリオレフィンプラストマー、又はこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、コーティング材120は、スチレン-ブタジエン、スチレン-イソプレン、これらのブレンド又は混合物などのスチレン系ブロックコポリマーを含み得る。例示的なスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレン(styrene-butadiene-styrene、SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(styrene-isoprene-styrene、SIS)、スチレン-エチレンブチレン-スチレン(styrene-ethylene butylene-styrene、SEBS)、スチレン-エチレンプロピレン-スチレン(styrene-ethylene propylene-styrene、SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(styrene-ethylene-ethylene-butadiene-styrene、SEEBS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(styrene-ethylene-ethylene-propylene-styrene、SEEPS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(styrene-isoprene-butadiene-styrene、SIBS)、又はこれらの組み合わせなどのトリブロックスチレン系ブロックコポリマー(styrenic block copolymer、SBC)が挙げられる。市販の例としては、いくつかのグレードのKraton(商標)樹脂及びHybrar(商標)樹脂が挙げられる。一実施形態では、コーティング材120は、アクリロニトリル-ブタジエン(acrylonitrile-butadiene、NBR)、カルボキシル化ニトリル(carboxylated nitrile、XNBR)、エチレンアクリレート(ethylene acrylate、AEM、Vamac(登録商標))、エチレンプロピレンゴム(ethylene propylene rubber、EPR、EPDM)、ブチルゴム(butyl rubber、IIR)、クロロプレンゴム(chloroprene rubber、CR)、フルオロカーボン(fluorocarbon、FKM、FPM)、フルオロシリコーン(fluorosilicone、FVMQ)、水素化ニトリル(hydrogenated nitrile、HNBR)、ペルフルオロエラストマー(perfluoroelastomer、FFKM)、ポリアクリレート(polyacrylate、ACM)、ポリウレタン(polyurethane、AU、EU)、シリコーンゴム(silicone Rubber、Q、MQ、VMQ、PVMQ)、テトラフルオロエチレン-プロピレン(tetrafluoroethylene-propylene、AFLAS(登録商標))(FEPM)のうちの少なくとも1種を含むエラストマーを含み得る。
【0033】
一実施形態では、コーティング材120は、ガラス、シリカ、粘土マイカ、カオリン、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、マイカ、ウォラストナイト、炭化シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、カーボンブラック、顔料、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1種を含むセラミックを、含み得る。
【0034】
一実施形態では、コーティング材120は、金属を含み得る。特定の実施形態によれば、金属は、鉄、銅、チタン、スズ、アルミニウム、それらの合金を含んでもよく、又は別の種類の金属であってもよい。一実施形態では、コーティング材120は、金属(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、白金、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステンレス鋼など)、金属合金(列挙された金属を含む)、陽極酸化金属(列挙された金属を含む)、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0035】
一実施形態では、コーティング材120は、ダイヤモンド様炭素を含み得る。
【0036】
特定の実施形態によれば、封止部100は、それぞれ、シャフト及びボアなどの内側構成要素114と外側構成要素116との間で使用されてもよい。より詳細には、封止部100は、外側構成要素116のボア内の領域と、内側構成要素114の外側表面と、によって形成された環状部内に配置されてもよい。特定の実施形態では、内側構成要素114は、外側構成要素116に対して、長手方向に並進(例えば、往復運動)してもよい。その他の実施形態では、内側構成要素114は、外側構成要素116に対して回転してもよい。封止部100は、封止部の第1の側からその反対側の第2の側への1つ以上の流体構成要素の進入又は退出を防止又は低減し得る。
【0037】
特定の場合では、内側構成要素114及び外側構成要素116は、高温アセンブリの一部であってもよい。すなわち、アセンブリは、少なくとも275℃、少なくとも300℃、少なくとも325℃、又は少なくとも350℃などの高温で動作し得る。非限定的実施形態として、アセンブリは、シャフトが1つ以上の圧縮機又はタービンに対して回転する、ジェットエンジンなどのエンジンを含んでもよい。封止部100は、シャフトと、圧縮機又はタービンのうちの少なくとも1つと、の間に配置されて、封止部の両側の圧力差によって引き起こされるような空気漏れ、燃料漏れ、又は圧力漏れなどの望ましくない流体漏れを防止又は軽減し得る。
【0038】
特定の場合では、内側構成要素114及び外側構成要素116は、周囲温度アセンブリの一部であってもよい。すなわち、アセンブリは、275℃未満などの高温未満で動作し得る。非限定的実施形態として、アセンブリは、シャフトが1つ以上の圧縮機又はタービンに対して回転する、エンジン又はモータを含んでもよい。封止部100は、シャフトと、圧縮機又はタービンのうちの少なくとも1つと、の間に配置されて、封止部の両側の圧力差によって引き起こされるような空気漏れ、燃料漏れ、又は圧力漏れなどの望ましくない流体漏れを防止又は軽減し得る。
【0039】
封止部100は、高温又は高温未満での長期使用に適合されてもよい。一実施形態では、封止部100は、これらの温度で、所望の漏れ率を有してもよい。静的試験1は、環状部内に設置された場合の、封止部100の漏れ率の尺度である。静的試験1を実施するために、封止部は、101mmの初期内径及び108mmの初期外径を有してもよい。環状部は、封止部が溝内に設置され得るように、封止部に嵌合する溝を有してもよい。15~30PSIの差圧が、封止部の一方の側に印加され、一方で、封止部の他方の側は、大気圧である。流体(空気)が、環状部の内側に適用される。センサは、環状部の一端から他端への流体(空気)漏れを監視し、封止部は、流体障壁として作用する。センサは、静的試験1の全体を通して、流体(空気)漏れを監視する。封止部100は、少なくとも4サイクルにわたって、所定の漏れ速度の範囲内にあると、本実施形態では、静的試験1に合格したと決定され得る。各サイクルの間、アセンブリを、330℃~400℃の所定の温度まで上昇させ、少なくとも15分間滞留させた後、室温まで冷却させる。サイクルは、温度サイクル全体について上述したように、一定の差圧で、24時間にわたって、所定の漏れ率内にある場合に、成功したと定義される。本明細書の実施形態による封止部100は、静的試験1を使用して400℃未満で測定される場合、毎分400立方センチメートル(cc/分)未満の漏れ率を有するように試験されてもよい。
【0040】
封止部100は、高温又は高温未満での長期使用に適合されてもよい。一実施形態では、封止部100は、これらの温度で、所望の漏れ率を有してもよい。静的試験2は、環状部内に設置された場合の、封止部100の漏れ率の尺度である。静的試験2を実施するために、封止部は、101mmの初期内径及び108mmの初期外径を有してもよい。環状部は、封止部が溝内に設置され得るように、封止部に嵌合する溝を有してもよい。15~30PSIの差圧が、封止部の一方の側に印加され、一方で、封止部の他方の側は、大気圧である。流体(空気)が、環の内側に適用される。センサは、環状部の一端から他端への流体(空気)漏れを監視し、封止部は、流体障壁として作用する。センサは、静的試験2の全体を通して、流体(空気)漏れを監視する。センサは、静的試験2の全体を通して、流体漏れを監視する。このような時間の後、この更なる実施形態では、封止部100は、少なくとも2サイクルにわたって、所定の漏れ速度の範囲内にあると、本実施形態では、静的試験2に合格したと決定され得る各サイクルの間、アセンブリは、330℃~400℃の所定の温度まで上昇され、少なくとも15分間(例えば、330℃以上で200時間)滞留された後、室温まで冷却される。サイクルは、温度サイクル全体について上述したように、一定の差圧で、24時間にわたって、所定の漏れ率内にある場合に、成功したと定義される。本明細書の実施形態による封止部100は、静的試験2を使用して、封止部が330℃超で少なくとも200時間の条件にあった後、300℃未満で測定される場合、毎分400立方センチメートル(cc/分)未満の漏れ速度を有するように試験されてもよい。
【0041】
封止部100は、高温又は高温未満での長期使用に適合されてもよい。一実施形態では、封止部100は、これらの温度で、所望の漏れ率を有してもよい。静的試験2は、環状部内に設置された場合の、封止部100の漏れ率の尺度である。静的試験2を実施するために、封止部は、101mmの初期内径及び108mmの初期外径を有してもよい。環状部は、封止部が溝内に設置され得るように、封止部に嵌合する溝を有してもよい。15~30PSIの差圧が、封止部の一方の側に印加され、一方で、封止部の他方の側は、大気圧である。流体(空気)が、環状部の内側に適用される。センサは、環状部の一端から他端への流体(空気)漏れを監視し、封止部は、流体障壁として作用する。センサは、静的試験2の全体を通して、流体(空気)漏れを監視する。センサは、静的試験2の全体を通して、流体漏れを監視する。このような時間の後、この更なる実施形態では、封止部100は、少なくとも2サイクルにわたって、所定の漏れ率の範囲内にあると、本実施形態では、静的試験2に合格したと決定され得る。各サイクルの間、アセンブリは、330℃~400℃の所定の温度まで上昇され、少なくとも15分間(例えば、360℃以上で2時間)滞留された後、室温まで冷却される。サイクルは、温度サイクル全体について上述したように、一定の差圧で、24時間にわたって、所定の漏れ率内にある場合に、成功したと定義される。本明細書の実施形態による封止部100は、静的試験2を使用して、封止部が360°C超で少なくとも2時間の条件にあった後、300℃未満で測定される場合、毎分400立方センチメートル(cc/分)未満の漏れ率を有するように試験されてもよい。
【0042】
特定の実施形態では、封止部は、静的試験1又は静的試験2を使用して、21℃~400℃で測定される場合、静的試験1又は静的試験2の後に、毎分350立方センチメートル(cc/分)未満の漏れ率を有し得る。より特定の実施形態では、封止部は、300cc/分未満、250cc/分未満、200cc/分未満、150cc/分未満、100cc/分未満、50cc/分未満、40cc/分未満、30cc/分未満、又は20cc/分未満の漏れ速度を有し得る。
【0043】
一実施形態では、封止部100は、高温又は高温未満での長期使用に適合されてもよい。一実施形態では、封止部100は、これらの温度で、所望の漏れ率を有してもよい。静的試験3は、環状部内に設置された場合の、封止部100の漏れ率の尺度である。静的試験3を実施するために、封止部は、93mmの初期内径及び102mmの初期外径を有してもよい。環状部は、封止部が溝内に設置され得るように、封止部に嵌合する溝を有してもよい。15~45PSIの差圧が、封止部の内側に印加され、一方で、封止部の外側は、大気圧である。流体(空気)が、環状部の内側に適用される。センサは、環状部の一端から他端への流体(空気)漏れを監視し、封止部は、流体障壁として作用する。センサは、静的試験3の全体を通して、流体(空気)漏れを監視する。封止部100は、少なくとも3サイクルにわたって、所定の漏れ速度の範囲内にあると、本実施形態では、静的試験3に合格したと決定され得る。各サイクルの間、アセンブリを、340℃~400℃の所定の温度まで上昇させ、少なくとも15分間滞留させた後、室温まで冷却させる。サイクルは、温度サイクル全体について上述したように、一定の差圧で、24時間にわたって、所定の漏れ率内にある場合に、成功したと定義される。本明細書の実施形態による封止部100は、静的試験3を使用して400℃未満で測定される場合、毎分400立方センチメートル(cc/分)未満の漏れ率を有するように試験されてもよい。
【0044】
封止部100の重量は、高温に長時間曝露された後に、変化する場合がある。これは、例えば、負荷及び熱条件下での、ジャケット部の熱不安定性から生じる材料劣化によって引き起こされる場合がある。この点に関して、封止部100は、熱への曝露前に測定された場合の初期比重GIと、365℃に60,000分間曝露された後に測定された場合の経時比重GAと、を有してもよい。一実施形態では、GIは、GA超であり得る。例えば、GI/GAの比は、1.4未満、1.35未満、1.3未満、1.25未満、1.2未満、1.15未満、1.1未満、又は1.05未満であり得る。別の実施形態では、GIは、GAとほぼ等しくなり得る。すなわち、封止部100の重量は、GI/GAが約1になり得るように、365℃に60,000分間曝露された後に、比較的変化しないままであり得る。特定の実施形態では、GI/GAの比は、0.95~1.25の範囲内(0.95と1.25を含む)、0.96~1.2の範囲内(0.96と1.2を含む)、又は0.99~1.16の範囲内(0.99と1.16を含む)であり得る。
【0045】
一実施形態では、ジャケット部の材料は、高温への曝露前に測定された場合の初期破断伸びEABIと、高温への曝露後に測定された場合の有効破断伸びEABEと、を有し得、EABIは、150%以下のEABE、145%以下のEABE、140%以下のEABE、135%以下のEABE、130%以下のEABE、125%以下のEABE、120%以下のEABE、115%以下のEABE、110%以下のEABE、又は105%以下のEABEであってもよい。一実施形態では、EABI/EABEの比は、約1.0であってもよい。すなわち、ジャケット部102の破断伸びは、高温への曝露の前後で測定された場合、比較的同じであってもよい。これは、高温での長期間の使用に一般に関連する、摩耗及び疲労を低減する場合がある。更なる実施形態では、EABI/EABEは、1.0未満、例えば、0.995未満、0.99未満、又は0.985未満であってもよい。
【0046】
別の実施形態では、ジャケット部の材料は、高温への曝露後に比較的変化しない、最大引張強度(ultimate tensile strength、UTS)での伸長を有し得る。例えば、ジャケット部102は、高温に曝露される前に測定された場合のUTSIと、高温に曝露された後に測定された場合のUTSEと、を有してもよく、ここで、UTSE:UTSIの比は、1:5以上、1:4以上、1:3以上、1:2以上、1:1以上、2:1以上、3:1以上、4:1以上、又は5:1以上であってもよい。一実施形態では、UTSE/UTSIは、5未満、4未満、3未満、2未満、1未満、0.9未満、0.8未満、0.7未満、又は0.6未満であり得る。別の実施形態では、UTSEは、少なくとも101%のUTSI、少なくとも105%のUTSI、少なくとも110%のUTSI、少なくとも115%のUTSI、少なくとも120%のUTSI、又は少なくとも125%のUTSIであり得る。
【0047】
封止部100は、双方向圧力用途において利用され得るアセンブリを形成してもよい。封止部100は、前方軸方向への流体の漏れに対して配向され、漏れを防いでもよく、又は封止部100は、中心軸線3000を下って後方軸方向への流体の漏れに対して配向され、漏れを防いでもよい。封止部100は、内向き半径方向の流体の漏れに対して配向され、漏れを防いでもよく、又は封止部100は、中心軸線3000に垂直な方向における外向き半径方向の流体の漏れに対して配向され、漏れを防いでもよい。一実施形態では、封止部100は、表面封止部であってもよい。別の実施形態では、封止部100は、軸方向封止部であってもよい。この点に関して、封止部100は、それらの特定の配向において、効果的な封止を可能にする、特定の特性を有するように選択されてもよい。特定の好適な用途としては、低温バルブ、ピストン、真空チャンバ内のものなどの真空状態封止部、及び構成要素間に封止を必要とするその他の可動構成要素が挙げられる。
【0048】
本明細書の実施形態に従って説明される封止部は、より広い温度及び圧力範囲で、より複雑な封止部幾何学形状を使用して、漏れを防止するために、封止部の材料及びそれらの間の相互作用に起因する可撓性を可能にし得る。更に、本明細書の実施形態に従って説明される封止部は、より広い温度範囲で、より複雑な封止部幾何学形状を使用して、より一貫した封止を提供してもよい。更に、本明細書の実施形態に従って説明される封止部は、より複雑な封止部設置手順を可能にしてもよい。最後に、封止部は、従来の封止部よりも高い負荷を可能にしてもよい。その結果、構成要素及び封止部自体の寿命が改善され得る。
【0049】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のいくつかを以下に記載する。本明細書を読んだ後、当業者には、それらの態様及び実施形態が例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。実施形態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従い得る。
【0050】
実施形態1:封止部であって、中心軸を画定する環状本体と、中心軸と同心で環状本体内へと延在する凹部と、を備えるジャケット部であって、当該ジャケット部が、少なくとも30重量%のPTFEと、少なくとも10重量%の充填材料とを含み、当該充填材料が、ホウ素含有材料、窒素含有材料、チタン含有材料、シリコン含有材料、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含み、当該ジャケット部が、コーティング材を更に含む、ジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を備える、封止部。
【0051】
実施形態2:封止部であって、中心軸と、中心軸と同心の環状本体内へと延在する凹部を画定する外側表面と、を有する環状本体を備える、ジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を備え、当該封止部が、静的試験1及び/又は静的試験3を使用して、400℃未満で測定される場合、400cc/分未満の漏れ率を有する、封止部。
【0052】
実施形態3:封止部であって、中心軸を画定する環状本体と、中心軸と同心で環状本体内へと延在する凹部と、を備える、ジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を備え、当該封止部が、静的試験2を使用して、330℃超で少なくとも200時間の条件にあった後、300℃未満で測定される場合、400cc/分未満の漏れ率を有する、封止部。
【0053】
実施形態4:封止部であって、中心軸を画定する環状本体と、中心軸と同心で環状本体内へと延在する凹部と、を備える、ジャケット部と、凹部内に配置された付勢要素と、を備え、当該封止部が、静的試験2を使用して、360℃超で少なくとも2時間の条件にあった後、300℃未満で測定される場合、400cc/分未満の漏れ率を有する、封止部。
【0054】
実施形態5:コーティング材がポリマーを含む、実施形態1に記載の封止部。
【0055】
実施形態6:コーティング材が金属を含む、実施形態1に記載の封止部。
【0056】
実施形態7:コーティング材がパリレン二量体を含む、実施形態1に記載の封止部。
【0057】
実施形態8:コーティング材がセラミックを含む、実施形態1に記載の封止部。
【0058】
実施形態9:コーティング材がダイヤモンド様炭素を含む、実施形態1に記載の封止部。
【0059】
実施形態10:付勢要素が、少なくとも1つの外向きに配向された方向において、外向きの力を提供するように適合された本体を備える、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0060】
実施形態11:付勢要素が、D字形、U字形、V字形、又はC字形から選択される断面輪郭を有する、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0061】
実施形態12:付勢要素が、O字形の断面輪郭を有する、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0062】
実施形態13:付勢要素が、ポリマー、金属、合金、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0063】
実施形態14:ジャケット部が、断面で見た際に、内側フィンガ及び外側フィンガを備える、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0064】
実施形態15:内側フィンガ及び外側フィンガのうちの少なくとも1つが、凹部に向かって延在する遠位フランジを備える、実施形態10に記載の封止部。
【0065】
実施形態16:付勢要素が、凹部内に完全に配置されている、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0066】
実施形態17:ジャケット部が、少なくとも0.01かつ1以下の平均表面粗さRaを備える、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0067】
実施形態18:ジャケット部が、ショアD硬度に従って測定された場合、少なくとも45かつ100以下の硬度を有する、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0068】
実施形態19:ジャケット部が、少なくとも30重量%のPTFEかつ90重量%以下のPTFEを含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0069】
実施形態20:ジャケット部が、少なくとも10重量%の充填材料、かつ70重量%以下の充填材料を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0070】
実施形態21:ジャケット部が、充填材料を含み、当該充填材料が、ホウ素含有材料、窒素含有材料、チタン含有材料、シリコン含有材料、炭素繊維、ガラス繊維、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0071】
実施形態22:ジャケット部が、当該ジャケット部の45~55重量%の範囲内のPTFEを含み、ジャケット部が、当該ジャケット部の30~50重量%の範囲内の炭素繊維充填材を含み、ジャケット部が、当該ジャケット部の5~15重量%の範囲内のホウ化チタン/二ホウ化チタン充填材を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0072】
実施形態23:ジャケット部が、当該ジャケット部の45~55重量%の範囲内のPTFEを含み、ジャケット部が、当該ジャケット部の30~50重量%の範囲内のガラス繊維充填材を含み、ジャケット部が、当該ジャケット部の5~15重量%の範囲内のホウ化チタン/二ホウ化チタン充填材を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0073】
実施形態24:ジャケット部が、約75重量%のPTFEと、約25重量%の窒化ホウ素と、を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0074】
実施形態25:ジャケット部が、約85重量%のPTFEと、約15重量%のシリコン粉末と、を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0075】
実施形態26:ジャケット部が、熱への曝露前に測定された場合の初期比重GIと、300℃に60,000分間曝露された後に測定された場合の経時比重GAと、を有する材料を含み、GI/GAが、1.4未満かつ少なくとも0.5である、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0076】
実施形態27:封止部が、表面封止部である、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0077】
実施形態28:封止部が、軸方向封止部である、実施形態1~4のいずれかに記載の封止部。
【0078】
上述の特徴の全てが必要とされるわけではなく、特定の特徴の一部が必要とされなくてもよく、記載した特徴に加えて、1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意されたい。なおも更に、特徴が記載される順序は、必ずしも特徴が設置される順序ではない。
【0079】
特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供されてもよい。
【0080】
利益、その他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して、上で説明されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらすか、又はより顕著になり得る任意の特徴は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0081】
本明細書に記載される実施形態の明細書及び例解図は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。明細書及び例解図は、本明細書に記載される構造又は方法を使用する装置及びシステムの全ての要素及び特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別個の実施形態が単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈において説明されている様々な特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供されてもよい。更に、範囲に記載された値への言及は、言及される端点範囲値を含む、その範囲内のそれぞれの値全てを含む。多くのその他の実施形態が、本明細書を読んだ後にのみ、当業者に明らかとなり得る。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、又は任意の変更を行うことができるように、その他の実施形態を使用し、本開示から導出することができる。したがって、本開示は、限定的ではなく、例示的なものとみなされるべきである。
【国際調査報告】