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特表2024-535541LIDARシステムにおける光信号の分離
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】LIDARシステムにおける光信号の分離
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240920BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20240920BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521117
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 US2022045289
(87)【国際公開番号】W WO2023064116
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17/498,677
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーナス、プラカシュ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA48
5J084BB02
5J084BB11
5J084BB15
5J084BB16
5J084BB28
5J084BB31
5J084BB33
5J084CA08
(57)【要約】
LIDARシステムは、出射LIDAR信号及び入射LIDAR信号を誘導するように構成されたユーティリティ導波路を有するLIDARチップを含む。入射LIDAR信号は、LIDARシステムの外部に位置する物体がLIDAR出力信号からの光を反射した後のLIDAR出力信号からの光を含む。LIDARチップはまた、出射LIDAR信号及び入射LIDAR信号を受信し、入射LIDAR信号を出射LIDAR信号から分離するように構成された偏光ビーム分割器を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LIDARシステムを含むシステムであって、
前記LIDARシステムは、入力導波路から入力光信号を受信し、ユーティリティ導波路上で出射LIDAR信号を出力するように構成された偏光ビーム分割器を含み、
前記出射LIDAR信号は、前記入力信号からの光を含み、
前記LIDARシステムは、前記出射LIDAR信号からの光を含むシステム出力信号を出力するように構成され、前記システム出力信号は、前記システム出力信号の反射された部分がシステム帰還信号として機能するように、前記LIDARシステムの外部に位置する物体によって反射されることができ;および
前記偏光ビーム分割器は、前記ユーティリティ導波路から入射LIDAR信号を受信するように構成され、
前記入射LIDAR信号は、前記システム帰還信号からの光を含み、前記偏光ビーム分割器は、該入射LIDAR信号の少なくとも一部を比較導波路上に出力する、システム。
【請求項2】
前記ユーティリティ導波路が、前記出射LIDAR信号及び前記入射LIDAR信号を反対方向に誘導するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出射LIDAR信号が、主に第1偏光状態にあり、前記入射LIDAR信号が、主に第2偏光状態にあり、前記第1偏光状態が、前記第2偏光状態とは異なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記偏光ビーム分割器が、前記ユーティリティ導波路上に前記入力信号の第1部分を前記出射LIDAR信号として出力し、かつ、参照導波路上に該入力信号の第2部分を参照信号として出力するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記出射LIDAR信号が、主に第1偏光状態にあり、前記参照信号が、主に第2偏光状態にあり、該第1偏光状態が、該第2偏光状態とは異なる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記入射LIDAR信号が、主に前記第2偏光状態にある、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記LIDARチップが、前記比較信号からの光と拍動している前記参照信号からの光を有する複合信号を生成するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記LIDARチップが、前記比較信号からの光と拍動している参照信号からの光を有する複合信号を生成するように構成され、前記参照信号からの光が、前記LIDARチップから出射されていない、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記比較信号からの光と拍動している前記参照信号からの光が、前記参照信号からの光と拍動されている前記比較信号からの光と同じ偏光状態にある、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】

前記比較信号が、前記参照信号からの光を含まない、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記LIDARシステムと前記物体との間の距離及び/または視線速度を示すLIDARデータの測定に、前記複合信号の拍動周波数を使用するように構成された電子機器をさらに含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記LIDARチップが、シリコン・オン・インシュレータプラットフォームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記偏光ビーム分割器が、マッハツェンダー干渉計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記干渉計が、光結合器間で光信号を搬送する複数の分岐導波路を含み、異なる分岐導波路が、異なるレベルの複屈折を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
LIDARシステムであって、
出射LIDAR信号及び入射LIDAR信号を誘導するように構成されたユーティリティ導波路を有するLIDARチップであって、
前記入射LIDAR信号が、前記LIDARシステムの外部に位置する物体が前記LIDAR出力信号からの光を反射した後の前記LIDAR出力信号からの光を含み;
前記LIDARチップが、前記ユーティリティ導波路からの前記出射LIDAR信号の一部を参照信号として参照導波路に結合し、かつ、前記ユーティリティ導波路からの前記入射LIDAR信号の一部を比較信号として比較導波路に結合するように構成された偏光ビーム分割器を含み;
前記LIDARチップが、前記比較信号からの光と拍動している前記参照信号からの光を有する複合信号を生成するように構成される、LIDARチップ;及び
前記LIDARシステムと前記物体との間の距離及び/または視線速度を示すLIDARデータの計算において、前記複合信号の拍動周波数を変数として使用するように構成された電子機器
を含む、LIDARシステム。
【請求項16】
前記ユーティリティ導波路が、前記出射LIDAR信号及び前記入射LIDAR信号を反対方向に誘導するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記出射LIDAR信号が、主に第1偏光状態にあり、前記入射LIDAR信号が、主に第2偏光状態にあり、該第1偏光状態が、該第2偏光状態とは異なる、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記出射LIDAR信号が、主に第1偏光状態にあり、前記参照信号が、主に第2偏光状態にあり、該第1偏光状態が、該第2偏光状態とは異なる、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記比較信号からの光と拍動している前記参照信号からの光が、該比較信号からの、該参照信号からの光と拍動している光と同じ偏光状態にある、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2021年10月11日に出願された「LIDARシステムにおける光信号の分離」と題した米国特許出願第17/498,677号の継続出願であり、その全体が組み込まれる。
【分野】
【0002】
本発明は、光学装置に関する。特に、本発明は、LIDARシステムに関する。
【背景】
【0003】
LIDARシステムは、LIDARシステムの外部に位置する物体から光を跳ね返る。LIDARシステムは、物体からLIDARシステムに帰還する光を使用して、該LIDARシステムと物体との間の距離及び/または視線速度を示すLIDARデータを計算する。
【0004】
LIDARシステムをよく同軸または二軸と説明することができる。同軸システムでは、LIDARシステムから送信される出射光とLIDARシステムに帰還する光は、よく同じ導波路に沿って反対方向に進行する。しかし、この帰還光を処理するために、帰還光を出射光から分離する必要がある。この分離は、3 dB結合器等の光結合器を用いて達成されている。しかし、帰還光は、多くの場合、帰還光がLIDARシステムの外部に位置する様々な異なる物体によって反射されているので、しばしば、そのパワーレベルが非常に低い。帰還光の低いパワーレベルのため、光結合器の使用に関連する光損失は、これらのLIDARシステムから生成されるLIDARデータの信頼性を低減させる。そのため、信頼性レベルが向上されたLIDARデータを生成するLIDARシステムが必要とされている。
【概要】
【0005】
LIDARシステムは、出射LIDAR信号及び入射LIDAR信号を誘導するように構成されたユーティリティ導波路を有するLIDARチップを含む。入射LIDAR信号は、LIDARシステムの外部に位置する物体がLIDAR出力信号からの光を反射した後のLIDAR出力信号からの光を含む。LIDARチップはまた、出射LIDAR信号及び入射LIDAR信号を受信し、入射LIDAR信号を出射LIDAR信号から分離するように構成された偏光ビーム分割器を含む。
【0006】
LIDARシステムの別の実施形態は、出射LIDAR信号及び入射LIDAR信号を誘導するように構成されたユーティリティ導波路を有するLIDARチップを含む。入射LIDAR信号は、LIDARシステムの外部に位置する物体がLIDAR出力信号からの光を反射した後のLIDAR出力信号からの光を含む。LIDARチップはまた、ユーティリティ導波路からの出射LIDAR信号の一部を参照信号として参照導波路に結合し、かつ、ユーティリティ導波路からの入射LIDAR信号の一部を比較信号として比較導波路に結合するように構成された偏光ビーム分割器を含む。LIDARチップは、比較信号からの光と拍動している参照信号からの光を有する複合信号を生成する。LIDARシステムはまた、複合信号の拍動周波数を、LIDARシステムと物体との間の距離及び/または視線速度を示すLIDARデータの計算における変数として使用するように構成された電子機器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、LIDARシステムで使用するためのLIDARチップの概略図の上面図である。
【0008】
図2は、図1のLIDARチップに適用した光源の概略図の上面図である。
【0009】
図3Aは、図1のLIDARチップ及び図2のLIDAR光源を含むLIDARシステムの上面図である。
【0010】
図3Bは、LIDARシステムの上面図である。
【0011】
図4Aは、LIDARシステムで使用するための適切な処理要素の一例の概略図である。
【0012】
図4Bは、処理における電子機器と光センサとの間の関係の概略図である。
【0013】
図4Cは、システム出力信号の適切な周波数パターンの一例を示す。
【0014】
図5は、シリコン・オン・インシュレータプラットフォーム上の導波路を含むLIDARチップの一部の断面図である。
【0015】
図6Aは、LIDARチップを増幅器と光学的に結合するためのインターフェースを含むLIDARチップの一部の斜視図である。
【0016】
図6Bは、図6Aに示されるLIDARチップの部分に適用した増幅器チップの斜視図である。
【0017】
図6C及び図6Dは、図6Bの増幅器とインターフェース接続された図6AのLIDARチップを含むシステムを示す。図6Cは、該システムの上面図である。
【0018】
図6Dは、図6Cに示されるシステムの、LIDARチップ上の導波路及び増幅器チップ上の増幅器導波路を通って作成された断面図である。
【0019】
図7は、図1のLIDARチップに適用した偏光ビーム分割器の上面図である。
【詳細な説明】
【0020】
LIDARシステムは、入力導波路から入力光信号を受信し、ユーティリティ導波路上に出射LIDAR信号を出力する偏光ビーム分割器を含む。この出射LIDAR信号は、この入力信号からの光を含むか、またはそれからなる。LIDARシステムは、前記出射LIDAR信号からの光を含むか、またはそれからなるシステム出力信号を送信する。該システム出力信号は、LIDARシステムの外部に位置する物体によって反射されることができる。反射されたシステム出力信号の部分は、システム帰還信号として機能することができる。LIDARシステムは、このシステム帰還信号から光を受信することができる。システム帰還信号からの光は、偏光ビーム分割器がユーティリティ導波路から受信する入射LIDAR信号に含まれることができる。結果として、ユーティリティ導波路は、入射LIDAR信号と出射LIDAR信号の両方を反対方向に搬送する。LIDARシステムは、入力光信号が主に第1偏光状態にあり、かつ入射LIDAR信号が主に第2偏光状態にあるように構成される。第1偏光状態は、第2偏光状態とは異なる。偏光ビーム分割器は、入力光信号と入射LIDAR信号の偏光状態の相違を使用して入射LIDAR信号を入力信号から分離する。偏光ビーム分割器は、入射LIDAR信号の少なくとも一部を比較導波路上に出力することができる。入射LIDAR信号の偏光状態は、入射LIDAR信号を他の光信号から分離するために使用されるので、入射LIDAR信号の分離に関連する光損失は、結合器を使用して光信号を分離するシステムに対して低減される。従って、LIDARシステムは、以前のシステムによって保持されるよりも多くの入射LIDAR信号を保持する。入射LIDAR信号のパワーレベル保持を増加することにより、LIDARシステムがより信頼できるLIDARデータを生成することが可能になる。
【0021】
図1は、LIDARシステムとして機能し、またはLIDARチップの他に構成要素を含むLIDARシステムに含まれることができるLIDARチップの概略図の上面図である。このLIDARチップは、フォトニック集積回路(PIC)を含むことができ、フォトニック集積回路チップとすることができる。
【0022】
LIDARチップは、光源10から光源信号を受信する入力導波路11を含む。光源10は、光源信号の第1部分が第1偏光状態(図1ではp1と表記)を有し、かつ、該光源信号の第2部分が第2偏光状態(図1ではp2と表記)を有するように構成される。入力導波路11に入射した光源信号の一部は、入力信号として機能する。結果として、入力信号の第1部分は、第1偏光状態(図1ではp1と表記)を有し、また、入力光源信号の第2部分は、第2偏光状態(図1ではp2と表記)を有する。
【0023】
第1偏光状態及び第2偏光状態は、線形の偏光状態であり得る。第2偏光状態は、第1偏光状態とは異なる。例えば、第1偏光状態がTEで、第2偏光状態がTMであり得る。または第1偏光状態がTMで、第2偏光状態がTEであり得る。
【0024】
入力導波路11は、入力信号を受信する分割器14に入力信号を搬送する。該分割器は、偏光ビーム分割器とすることができる。偏光ビーム分割器が、複数の異なる偏光状態の光を有する入力信号を受信すると、該偏光ビーム分割器は、該入力信号を、各々が異なる偏光状態の光を搬送する2つの異なる信号に分割する。偏光ビーム分割器は、異なる信号を、偏光ビーム分割器の出力を搬送する異なる導波路に配向する。結果として、偏光ビーム分割器は、光の偏光状態に応答して、複数の異なる導波路のうちの1つに光を配向する。従って、分割器14は、入力信号の第1部分からの光を主に含む、本質的にこの光からなる、及び/またはこの光からなる出射LIDAR信号をユーティリティ導波路12上で出力する。結果として、出射LIDAR信号における光は、主に第1偏光状態の光を含む、本質的にそれからなる、及び/またはそれからなることができ、場合によっては、第2偏光状態の光を排除または実質的に排除することができる。適切な偏光ビーム分割器は、限定されないが、2x2偏光ビーム分割器等の偏光分割器を含む。
【0025】
ユーティリティ導波路12は、ファセット16で終端し、出射LIDAR信号を該ファセット16に搬送する。ファセット16は、該ファセット16を通って移動する出射LIDAR信号がLIDARチップを出射して、LIDAR出力信号として機能するように配置することができる。例えば、ファセット16は、このチップの縁部に配置することができ、これにより、該ファセット16を通って進行する出射LIDAR信号は、チップから出射し、LIDAR出力信号として機能する。いくつかの例では、LIDARチップから出射したLIDAR出力信号の部分はまた、システム出力信号と見なすことができる。一例として、LIDARチップからのLIDAR出力信号の出口もLIDARシステムからのLIDAR出力信号の出口であるとき、LIDAR出力信号はまた、システム出力信号と見なすことができる。
【0026】
LIDAR出力信号からの光は、LIDARシステムから離れてシステム出力信号内で進行する。システム出力信号は、LIDARシステムが配置されている大気中の自由空間を通って進行することができる。システム出力信号は、システム出力信号の経路内の1つまたは複数の物体によって反射され得る。システム出力信号が反射されると、反射された光の少なくとも一部は、システム帰還信号としてLIDARチップに向かって帰還する。
【0027】
システム帰還信号からの光は、LIDARチップによって受信されるLIDAR入力信号において搬送されることができる。いくつかの例では、システム帰還信号の一部は、LIDAR入力信号として機能することができる。LIDAR入力信号は、ファセット16を通ってユーティリティ導波路12に入射し、入射LIDAR信号として機能する。ユーティリティ導波路12は、入射LIDAR信号を分割器14に搬送する。
【0028】
分割器14は、比較導波路24上の入射LIDAR信号の少なくとも一部を比較信号として出力する。後述するように、LIDAR入力信号は、第2偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなり、場合によっては、 第1偏光状態の光を排除または実質的に排除することができる。結果として、入射LIDAR信号及び比較信号は、第2偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなり、場合によっては、第1偏光状態の光を排除または実質的に排除することができる。
【0029】
比較導波路24は、さらなる処理のために入射LIDAR信号を処理要素26に搬送する。また、分割器14は、入力信号の第2部分からの光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなる参照信号を参照導波路28上に出力する。結果として、参照信号内の光は、第2偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなり、場合によっては、第1偏光状態の光を排除または実質的に排除することができる。比較信号とは対照的に、参照信号は、LIDARチップから出射していない光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなる。参照信号と比較信号の両方は、入力信号からの光を含むため、入力信号は、参照信号及び比較信号のための共通光源信号として機能することができる。
【0030】
参照導波路28は、さらなる処理のために、参照信号を処理要素26に搬送する。結果として、LIDARシステムは、参照信号及び処理要素26によって受信された比較信号が、それぞれ、同じ偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなるように構成される。
【0031】
LIDARチップは、光源10の動作を制御するための制御分岐を含むことができる。制御分岐は、入力導波路11からの光源信号の一部を制御導波路32上に移動させる分割器30を含む。光源信号の結合された部分は、タップされた信号として機能する。図1は、分割器30として動作する方向性結合器を示しているが、他の信号タップ構成要素を分割器30として使用することができる。適切な分割器30は、方向性結合器、光結合器、y接合、テーパ結合器、及びマルチモード干渉(MMI)装置を含むが、これらに限定されない。
【0032】
制御導波路32は、タップされた信号を制御要素34に搬送する。制御要素34は、電子機器36と電気的に通信することができる。制御要素34の全部または一部は、電子機器36に含まれることができる。動作中、電子機器は、制御要素34からの出力を使用して、タップされた信号、システム出力信号、出射LIDAR信号、システム出力信号、及びLIDAR出力信号からなる群から選択された1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの制御された光信号のプロセス変数を制御することができる。適切なプロセス変数の例は、制御された光信号の周波数及び/または制御された光信号の位相を含む。電子機器36は、フィードバック制御ループにおける制御要素34からの出力を使用して、プロセス変数を制御することができる。
【0033】
図示のLIDARチップは、電子機器36によって動作させることができる光増幅器46を含む。光増幅器は、増幅器導波路48を含む。光源信号は、増幅器導波路を通過し、ユーティリティ導波路で受信される前に増幅される。光増幅器46は任意選択できる。結果として、光源信号は、増幅器によって増幅されることなく、光源から直接受信することができる。
【0034】
図2は、図1のLIDARチップと共に使用するための適切な光源10の概略図である。光源10は、光源出力信号を出力するように構成された光信号源50を含む。適切な光信号源50は、レーザ源を含むが、これに限定されない。いくつかの例では、光信号源50は、線形的に偏光される。結果として、光源出力信号内の光は、第1偏光状態の光または第2偏光状態の光を主に含むか、またはそれらからなり、及び/または本質的にそれらからなることができる。図1では、光源出力信号は、第1偏光状態での光(p1と表記)からなる、及び/または本質的にそれからなるものとして示されている。
【0035】
光信号源50は、光源出力信号を受信し、光源出力信号を出力するように構成された1つまたは複数のアイソレータ52を含む。1つまたは複数の光アイソレータは、後方から反射された光が光信号源50に到達しない、または実質的に到達しないように構成されることができる。LIDARシステムによって処理される光信号の増幅は、後方反射の源とすることができるので、1つまたは複数のアイソレータ52により、LIDARシステムは、その性能を損なわずに、増幅するという利益を得ることが可能になる。
【0036】
光源10は、1つまたは複数のアイソレータ52から光源出力信号を受信し、光源信号を出力するように構成された偏光回転子54を含む。偏光回転子54は、相反または非相反の偏光回転子とすることができる。適切な偏光回転器54は、限定されないが、半波長板、偏光保持ファイバーの回転、ファラデー回転子、 MEM ベースの偏光回転子と非対称y分岐を使用した統合光偏光回転子、マッハツェンダー干渉計及びマルチモード干渉結合器を含む。光源出力信号中の光が第1偏光状態にあるとき、偏光回転子は、第2偏光状態を該偏光回転子から出力された光源信号に導入することができる。あるいは、光源出力信号中の光が第2偏光状態にあるとき、偏光回転子は、第1偏光状態を該偏光回転子から出力された光源信号に導入することができる。
【0037】
半波長板等の偏光回転子54の光源出力信号に対する回転角度を変更すると、光源信号出力中の第1偏光状態と第2偏光状態との相対量が変化する。結果として、光源出力信号に対する偏光回転子の回転角度を選択して、第1偏光状態の光のパワーと第2偏光状態の光のパワーの所望の比率を光源信号出力に提供することができる。第1偏光状態の光のパワーと第2偏光状態の光のパワーとの適切な比率は、これらに限定されないが、20:1、10:1または5:1より大きく、及び/または4:1、3:1または2:1未満である。いくつかの例では、光信号源50は、第2偏光状態の光からなる及び/または本質的にそれからなる光源出力信号を出力し、第1偏光状態の光のパワーと第2偏光状態の光のパワーとの比率は、これらに限定されないが、20:1、10:1または5:1より大きく、及び/または4:1、3:1または2:1未満の比を含む。いくつかの例では、光信号源50は、第1偏光状態の光からなる及び/または本質的にそれからなる光源出力信号を出力し、第1偏光状態の光のパワーと第2偏光状態の光のパワーとの比率は、これらに限定されないが、20:1、10:1または5:1より大きく、及び/または4:1、3:1または2:1未満の比を含む。
【0038】
光源10は、任意選択で、所望の形状を有する光信号を提供するように構成された1つまたは複数のビーム整形要素を含むことができる。例えば、図2の光源10は、光源10から光源出力信号を受信する第1ビーム整形要素56を含む。第1ビーム整形要素56は、光源出力信号を所望の形状で提供するように構成されることができる。例えば、第1ビーム整形要素56は、アイソレータ56によって受信された光源出力信号が視準されるように、光源出力信号を視準するように構成されることができる。
【0039】
図2の光源10は、偏光回転子54から光源信号を受信する第2ビーム整形要素58を含む。第2ビーム整形要素58は、光源出力信号を所望の形状で提供するように構成されることができる。例えば、第2ビーム整形要素58は、光源出力信号を所望の位置に集束させるように構成されることができる。一例では、第2ビーム整形要素58は、光源出力信号が入力導波路11または増幅器導波路48に結合されるように、光源出力信号を集束させるように構成される。例えば、第2ビーム整形要素58は、光源出力信号を入力導波路11のファセットまたは増幅器導波路48のファセットに集束させるように構成される。
【0040】
LIDARシステムが図2に従って構成された光源を含むとき、偏光回転子54から出力された信号は、光源10から出力され、LIDARチップによって受信される光源信号として機能することができる。結果として、比較信号及び参照信号は、光源出力信号からの光を主に含むか、それからなり、及び/または本質的にそれからなることができる。結果として、光源出力信号は、参照信号及び比較信号のための共通光源信号として機能することができる。
【0041】
光源50、アイソレータ52、偏光回転子54及びビーム整形要素等の光源の構成要素の全部または一部は、基部60上に配置することができる。適切な基部60は、基板、プラットフォーム及びプレートを含むが、これらに限定されない。これらの構成要素は、基部60に取り付けられた個別の構成要素とすることができる。個別の構成要素を基部60に取り付けるのに適した機構としては、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
上述のように、LIDARチップは、1つまたは複数の光信号の光路を制約する1つまたは複数の導波路を含む。光源は、任意選択で導波路を含むことができ、一方、信号が光源10上の構成要素の間及び/またはLIDARチップと光源10上の構成要素との間で進行する光路を自由空間とすることができる。例えば、前記信号は、LIDARチップ、光源10及び/または光源10を含むLIDARシステムが該光源10上の異なる構成要素間を進行するときに位置決めされた大気を通って進行することができる。
【0043】
図3Aは、図1のLIDARチップ及び図2の光源を含むLIDARシステムを示す。LIDARシステムは、少なくとも部分的にLIDARチップから離れて位置する1つまたは複数のシステム構成要素を含むことができる。適切なシステム構成要素の例としては、光リンク、ビーム整形要素、偏光状態回転子、ビーム操縦要素、光分割器、光増幅器、及び光減衰器が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、図3AのLIDARシステムは、LIDARチップからLIDAR出力信号を受信し、整形信号を出力する1つまたは複数のビーム整形要素130を含むことができる。前記1つまたは複数のビーム整形要素130は、前記整形信号を所望の形状で提供するように構成することができる。例えば、前記1つまたは複数のビーム整形要素130は、集束、分岐または視準された整形信号を出力するように構成することができる。図3Aにおいて、前記1つまたは複数のビーム整形要素130は、視準された整形信号を出力するように構成されたレンズである。
【0044】
図3AのLIDARシステムは、前記整形信号を受信し、回転信号を出力する1つまたは複数の偏光回転子132を含む。いくつかの例では、前記1つまたは複数の偏光回転子132は、前記整形信号の偏光状態をn*90°+45°回転させるように構成され、式中、nが0または偶数の整数である。適切な偏光回転子132は、限定されないが、ファラデー回転子等の非相反の偏光回転子を含む。
【0045】
図3AのLIDARシステムは、任意選択で、1つまたは複数の偏光回転子132から回転信号を受信し、システム出力信号を出力する1つまたは複数のビーム操縦要素134を含むことができる。例えば、図3は、偏光回転子132から回転信号を受信するビーム操縦要素134を示す。電子機器36は、システム出力信号を異なるサンプル領域135に操縦するように、1つまたは複数のビーム操縦要素134を動作させることができる。前記サンプル領域は、LIDARシステムから離れて、LIDARシステムが信頼できるLIDARデータを提供するように構成される最大距離まで延在することができる。前記サンプル領域は、互いに縫合されて視野を画定することができる。例えば、LIDARシステムの視野は、サンプル領域の組み合わせによって占有される空間を含むか、またはそれからなる。
【0046】
適切なビーム操縦要素は、可動ミラー、MEMSミラー、光フェーズドアレイ(OP A)、光学格子、作動光学格子、及びLIDARチップを移動させる駆動装置を含むが、これらに限定されない。
【0047】
システム出力信号がLIDARシステム及びLIDARの外部に位置する物体136によって反射されると、反射光の少なくとも一部は、システム帰還信号としてLIDARシステムに帰還する。物体による反射は、システム出力信号内の光の一部の偏光状態を変化させることができるが、この偏光状態は、一般に保持される。結果として、システム帰還信号内の光は、主に、システム出力信号内の光と同じ偏光状態にある。
【0048】
LIDARシステムが1つまたは複数のビーム操縦要素134を含むとき、1つまたは複数のビーム操縦要素134は、物体136からシステム帰還信号の少なくとも一部分を受信することができる。1つまたは複数の偏光回転子132は、物体136から、または1つまたは複数のビーム操縦要素134から、システム帰還信号の少なくとも一部分を受信することができる。1つまたは複数の偏光回転子132は、回転された帰還信号を出力することができる。1つまたは複数のビーム整形要素130は、1つまたは複数の偏光回転子132から回転された帰還信号を受信し、LIDARチップによって受信されるLIDAR入力信号を出力する。
【0049】
1つまたは複数の偏光回転子132が、整形信号の偏光状態をn*90°+45°(式中、nが0または偶数の整数である)回転させるように構成されるとき、該1つまたは複数の偏光回転子132が非相反性であるとき、該1つまたは複数の偏光回転子132は、システム帰還信号の偏光状態も回転させ、これにより、回転された帰還信号の偏光状態が、システム帰還信号の偏光状態に対してn*90°-45°回転される。結果として、回転された帰還信号の偏光状態は、整形信号の偏光状態に対して、n*180°+90°(nは0または偶数の整数である)変化する。従って、LIDAR入力信号の偏光状態は、LIDAR出力信号の偏光状態に対して、n*180°+90°(nは0または偶数の整数である)増加する。例えば、LIDAR出力信号が第1偏光状態の光を主に含む、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなるとき、LIDAR入力信号は、第2偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなり、場合によっては、第1偏光状態の光を排除または実質的に排除することができる。あるいは、LIDAR出力信号が第2偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなるとき、LIDAR入力信号は、第1偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなる。
【0050】
図3AのLIDARシステムは、光信号をLIDARチップから1つまたは複数のシステム構成要素に搬送する任意選択の光リンク138を含む。例えば、図3AのLIDARシステムは、LIDAR出力信号をビーム整形要素130に搬送するように構成された光ファイバーまたは偏光維持光ファイバーを含む。光リンク138の使用により、システム出力信号の光源がLIDARチップから離れて位置することが可能になる。図示された光リンク138は、光ファイバーであるが、他の光リンク138を使用することができる。適切な光リンク138は、自由空間の光リンク及び導波路を含むが、これらに限定されない。LIDARシステムが光リンクを含まないと、1つまたは複数のビーム整形要素130は、アセンブリ出力信号をLIDARチップから直接に受信することができる。
【0051】
図1から図3AのLIDARシステムは、分割器を2x2分割器として示しているが、該分割器は、1x2偏光分割器等の1x2分割器とすることができる。例えば、分割器14は、参照導波路28上に参照信号を出力する必要はない。従って、参照導波路28は、分割器14に終端する必要はない。例えば、光源10は、参照前駆信号として機能するために光源出力信号の一部をタップする分割器を含むことができる。偏光回転子54が光源出力信号を受信するのではなく、偏光回転子54は、参照前駆信号を受信し、参照前駆信号の偏光状態を第1偏光状態から第2偏光状態に、または第2偏光状態から第1偏光状態に変化させるように構成されることができる。偏光回転子54の出力からの光は、LIDARチップ上の参照導波路によって受信される参照信号として機能することができる。参照導波路は、受信した参照信号を処理要素26に搬送することができる。光源10内の偏光回転子54の存在は、参照信号及び処理要素26によって受信される比較信号を同じ偏光状態で提供する。
【0052】
図3Bは、図3AのLIDARシステムに示される2x2分割器の代わりに1x2偏光分割器を含むように改変された図3AのLIDARシステムを示す。光源10は、1つまたは複数のアイソレータ52から光源出力信号を受信するビーム分割器140を含むように改変される。ビーム分割器は、光源信号を光源信号の第1部分と参照前駆信号の第2部分とに分割する。光源信号の第1部分は、LIDARチップ上の入力導波路11または増幅器導波路48に結合された光源信号として機能する。光源信号の第2部分は、参照前駆信号として機能する。
【0053】
偏光回転子54は、参照前駆信号を受信し、第2前駆信号を出力する。偏光回転子54は、参照前駆信号の偏光状態を変化させるように構成される。結果として、参照前駆信号が第1偏光状態を有するとき、第2前駆信号は、図3Bに示されるように第2偏光状態を有する。あるいは、参照前駆信号が第2偏光状態を有するとき、第2前駆信号は、第1偏光状態を有する。
【0054】
第2前駆信号は、LIDARチップ上の参照導波路28によって受信される。例えば、参照導波路28は、ファセット144で終端することができ、第2前駆信号は、ファセット144を通って参照導波路28に入射することができる。参照導波路28に入射する第2前駆信号の部分は、参照導波路28がさらなる処理のために処理要素26に搬送する参照信号として機能することができる。図3Bから明らかなように、処理要素26によって受信される参照信号及び比較信号は、同じ偏光状態にある。
【0055】
図3Bの光源10は、偏光回転子54から第2前駆光源信号を受信する第3ビーム整形要素146を含む。前記第3ビーム整形要素146は、光源出力信号を所望の形状で提供するように構成されることができる。例えば、前記第3ビーム整形要素146は、第2前駆信号を所望の位置に集束させるように構成されることができる。一例では、前記第3ビーム整形要素146は、第2前駆信号が参照導波路28に結合されるように、第2前駆信号を集束させるように構成される。例えば、前記第3ビーム整形要素146は、参照導波路28のファセット144に第2前駆信号を集束させるように構成される。
【0056】
光源10はまた、ミラーまたはプリズム等の1つまたは複数の方向転換要素を含むことができる。図3Bは、参照前駆信号を分割器140から偏光回転子54へ再配向する方向転換要素としてミラー148を含む光源10を示す。
【0057】
図4A図4Bは、上記のLIDARシステムにおける処理要素26として使用するのに適した処理要素の一例を示す。処理要素26は、図1の文脈で開示された比較導波路24から比較信号を受信する。比較導波路24は、比較信号寄与を光結合要素154に搬送する。処理要素26は、図1の文脈で開示された参照導波路28から参照信号寄与を受信する。参照導波路28は、参照信号寄与を光結合要素154に搬送する。光結合要素154は、比較信号と参照信号とを複合信号に結合する。上述したように、処理要素26によって受信される参照信号及び比較信号はそれぞれ、同じ偏光状態の光を主に含むか、本質的にそれからなり、及び/またはそれからなる。結果として、光結合要素154は、同じ偏光状態の信号を結合する。比較信号と参照信号との間の周波数の相違によって、複合信号は、比較信号と参照信号との間で拍動している。
【0058】
光結合要素154はまた、結果として生じる複合信号を第1検出器導波路156及び第2検出器導波路158上に分割する。第1補助検出器導波路156は、複合信号の第1部分を、複合信号の第1部分を第1電気信号に変換する第1光センサ160に搬送する。第2検出器導波路158は、複合信号の第2部分を、複合信号の第2部分を第2電気信号に変換する第2光センサ162に搬送する。適切な光センサの例としては、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が挙げられる。
【0059】
いくつかの例では、光結合要素154は、複合信号の第1部分に含まれる比較信号寄与が複合信号の第2部分における比較信号寄与に対して180°位相シフトされるが、複合信号の第2部分における参照信号寄与が複合信号の第1部分における参照信号寄与と同相であるように、複合信号を分割する。あるいは、光結合要素154は、複合信号の第1部分における参照信号寄与が複合信号の第2部分における参照信号寄与に対して180°位相シフトされるが、複合信号の第1部分における比較信号寄与が複合信号の第2部分における比較信号の部分と同相であるように、複合信号を分割する。適切な光センサの例としては、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が挙げられる。
【0060】
図4Bは、処理要素138内の電子機器36と光センサとの間の関係の概略図を提供する。フォトダイオードの記号は、第1光センサ160及び第2光センサ162を表すために使用されるが、1つまたは複数のこれらのセンサは、他の構成を有することができる。いくつかの例では、図4Bの概略図に示される構成要素の全ては、LIDARチップ上に含まれる。いくつかの例では、 図4Bの概略図に示される構成要素は、LIDARチップとLIDARチップから離れて位置する電子機器との間に分散される。
【0061】
電子機器36は、第1光センサ160と第2光センサ162とを平衡検出器164として接続することができる。例えば、電子機器は、図4Bに示されるように、第1光センサ160を第2光センサ162と直列に接続することができる。第1光センサ160と第2光センサ162との間の直列接続は、平衡検出器からの出力をデータ信号として搬送する。データ信号は、センサ出力ライン166上で搬送されることができ、複合信号の電気的表現として機能することができる。
【0062】
電子機器36は、データ信号について数学的変換を実行するように構成された変換機構168を含む。変換機構168は、データ信号をセンサ出力ライン166から受信するアナログ-デジタル変換器(ADC)170を含む。アナログデジタル変換器(ADC)170は、データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、デジタルデータ信号を出力する。デジタルデータ信号は、データ信号のデジタル表現である。
【0063】
変換機構168は、デジタルデータ信号を受信するように構成された数学演算要素172を含む。数学演算要素172は、受信されたデジタルデータ信号について数学演算を実行するように構成される。適切な数学演算の例としては、フーリエ変換のような数学的変換が挙げられるが、これに限定されない。一例では、数学演算要素172は、時間領域から周波数領域に変換するように、デジタル信号についてフーリエ変換を実行する。この数学的変換は、実数の高速フーリエ変換(FFT)のような実際の変換であり得る。実数の高速フーリエ変換(FFT)は、周波数の関数としての大きさを示す出力を提供することができる。結果として、高速フーリエ変換の出力におけるピークが発生し、拍動信号の拍動周波数の正解を示すことができる。数学演算要素172は、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを用いて、帰属関数を実行することができる。
【0064】
電子機器は、変換要素168からの出力を受信するLIDARデータ生成器174を含む。LIDARデータ生成器174は、変換要素168の出力上でピーク発見を実行し、変換要素168の出力の周波数におけるピークを識別することができる。LIDARデータ生成器174は、識別されたピークの周波数を、参照信号の全部または一部分に対して拍動している比較信号の全部または一部から生じる拍動信号の拍動周波数として扱う。LIDARデータ生成器174は、識別された拍動周波数を、LIDAR出力信号及び/またはシステム出力信号の周波数パターンと組み合わせて使用して、LIDARシステムとサンプル領域に位置する1つまたは複数の物体との間の視線速度及び/または距離を示すLIDARデータを生成することができる。
【0065】
図4Bに示すように、データ信号を搬送するセンサ出力ライン166は、任意選択で、増幅器176を含むことができる。適切な増幅器176は、トランスインピーダンス増幅器(TIA)を含むが、これに限定されない。
【0066】
図4Cは、LIDAR出力信号及びそれによるシステム出力信号の適切な周波数パターンの一例を示す実線を有する。従って、この実線はまた、参照信号の周波数パターンを表す。図4Cは、サイクルj及びサイクルj+1と表記された2つのサイクルのシーケンスにわたる周波数対時間パターンを示す。いくつかの例では、周波数対時間パターンは、図4Cに示されるように、各サイクルにおいて繰り返される。図示されたサイクルには再配置期間が含まれておらず、及び/または再配置期間がサイクル間に配置されていない。結果として、 図4Cは、視野内の複数の異なるサンプル領域へのシステム出力信号の連続スキャンの結果を示す。
【0067】
各サイクルは、期間指数kにそれぞれ関連付けられ、DPkと表記されたk個のデータ期間を含む。図4Cの例では、各サイクルは、2つのデータ期間(k=1及び2を有する)を含む。いくつかの例では、周波数対時間パターンは、図4Cに示されるように、異なるサイクルで互いに対応するデータ期間について同じである。対応するデータ期間は、同じ期間指数を有するデータ期間である。結果として、各データ期間DP1は、その同じチャネル指数(i)に対する対応するデータ期間と見なすことができ、関連する周波数対時間パターンは、図4Cにおいて同じである。サイクルの終わりに、電子機器は、周波数を、それが前のサイクルを開始したのと同じ周波数レベルに戻す。
【0068】
各データ期間中、システム出力信号の周波数は、一定の速度で変化する。この速度は、ゼロであり得るが、各サイクルにおけるデータ期間の少なくとも一部は、非ゼロの速度で変化するシステム出力信号を有する。周波数変化の方向及び/または速度は、同じサイクルからのデータ期間の変化で変化する。例えば、データ期間DP1及びデータ期間DP2の間、電子機器は、光源を動作させ、それにより、システム出力信号の周波数が線形速度αで変化する。データ期間DP1の間の周波数変化の方向は、データ期間DP2の間の周波数変化の方向の反対である。
【0069】
同じサイクル内の2つまたはそれ以上の異なるデータ期間からの拍動周波数(fLDP)を組み合わせて、LIDARデータを生成することができる。例えば、図4C中のDP1から測定された拍動周波数を、サンプル領域のLIDARデータを図4C中のDP2から測定された拍動周波数と組み合わせて、サンプル領域のLIDARデータを測定することができる。一例として、電子機器が、図4Cのデータ期間DP1に生じるような出射LIDAR信号の周波数を増加させるデータ期間中に、次の式:fub=-f+ατが適用され、式中、fubが数学演算要素172の出力から測定された拍動周波数であり、fがドップラーシフト(f=2νf/c)を表し、式中、fが光周波数(f0)を表し、cが光の速度を表し、νが反射物体と、反射物体からLIDARシステムへの方向が正の方向であると仮定されたLIDARシステムとの間の視線速度であり、cが光の速度である。電子機器が、図4Cのデータ期間DP2に生じるような出射LIDAR信号の周波数を低下させるデータ期間中に、次の式:fdb=-f-ατが適用され、式中、fdbが数学演算要素172の出力から測定された拍動周波数である。これらの2つの式において、f及びτが未知数である。電子機器は、これらの2つの未知数を求めて該2つの式を解く。次いで、サンプル領域の視線速度をドップラーシフト(ν=c*f/(2f))から測定し、かつ/またはそのサンプル領域の分離距離をc*τ/2から測定することができる。LIDARデータは、変換によって出力される対応の周波数ペアごとに生成されることができるので、別個のLIDARデータは、サンプル領域内の物体の各々に対して生成することができる。従って、電子機器は、視野内の一つのサンプル領域の一回のサンプリングから、2つ以上の視線速度及び/または2つ以上の視線分離距離を測定することができる。
【0070】
適切なLIDARチップ用のプラットフォームには、シリカ、リン化インジウム及びシリコン・オン・インシュレータウェハが含まれるが、これらに限定されない。図5は、シリコン・オン・インシュレータウェハから構成されたチップの一部の断面図である。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハは、基板312と光透過媒体314との間に埋め込み層310を含む。シリコン・オン・インシュレータウェハでは、埋め込み層310がシリカであり、一方、基板312及び光透過媒体314がシリコンである。SOIウェハ等の光学プラットフォームの基板312は、LIDARチップ全体のベースとして機能することができる。例えば、図1図2のLIDARチップ上に示される光学構成要素は、基板312の上面またはその上、及び/または側面に配置することができる。
【0071】
図5は、シリコン・オン・インシュレータウェハから構築されたLIDARチップに適用した導波路構築を含むLIDARチップの一部の断面図である。光透過媒体のリッジ316は、光透過媒体のスラブ領域318から離れて延在する。光信号は、リッジ316の頂部と埋め込み酸化物層310との間に制約される。
【0072】
リッジ導波路の寸法は、図5において表記されている。例えば、リッジは、wと表記された幅及びhと表記された高さを有する。スラブ領域の厚さはTと表記されている。LIDAR用途では、これらの寸法は、他の用途で使用されるよりも高いレベルの光パワーを使用する必要があるため、他の寸法よりも重要であり得る。リッジ幅(wと表記)は、1 μmより大きく、4 μm未満であり、リッジ高さ(hと表記)は、1 μmより大きく、4 μm未満であり、スラブ領域の厚さは、0.5 μmより大きく、3 μm未満である。これらの寸法は、導波路の線形部分または実質的な線形部分、導波路の湾曲部分、及び導波路のテーパ部分に適用することができる。従って、導波路のこれらの部分は、単一モードである。しかし、いくつかの例では、これらの寸法は、導波路の線形部分または実質的な線形部分に適用する。追加的または代替的に、 導波路の湾曲部分における光損失を低減するために、導波路の湾曲部分は、低減されたスラブ厚さを有することができる。例えば、導波路の湾曲部分は、スラブ領域から離れて延在するリッジを有し、0.0 μm以上かつ0.5 μm未満の厚さを有することができる。上記の寸法は、一般に、単一モード構築の、導波路の線形部分または実質的な線形部分を提供するが、それらは、マルチモードのテーパ部分及び/または湾曲部分をもたらすことができる。マルチモードジオメトリと単一モードジオメトリとの間の結合は、高次モードを実質的に励起しないテーパを用いて行うことができる。従って、導波路は、マルチモード寸法を有する導波路セクションで搬送されても、導波路内で搬送される信号が単一モードで搬送されるように構成することができる。図5の文脈で開示される導波路構築は、図1図2に従って構築されたLIDARチップ上の導波路の全部または一部に適している。
【0073】
LIDARチップ上の導波路とインターフェースされる光センサは、チップから分離され、次いで該チップに取り付けられる構成要素であり得る。例えば、前記光センサは、フォトダイオードまたはアバランシェフォトダイオードであり得る。適切な光センサの構成要素の例としては、限定されないが、日本の浜松市にある浜松社によって製造されたInGaAs PINフォトダイオードまたはInGaAs APD (アバランシェフォトダイオード)が挙げられる。これらの光センサは、LIDARチップ上の中央に配置することができる。あるいは、光センサで終端する導波路の全部または一部は、チップの縁部に位置するファセットで終端することができ、光センサがこのファセットを通過する光を受信するように、このファセット上でチップの縁部に取り付けることができる。チップとは別個の構成要素である光センサの使用は、第1光センサ及び第2光センサからなる群から選択される光センサの全部または一部に適している。
【0074】
別個の構成要素である光センサの代替として、光センサの全部または一部をチップと一体化することができる。例えば、シリコン・オン・インシュレータウェハから構築されたチップ上のリッジ導波路とインターフェースされる光センサの例は、Optics Express Vol.15, No.21, 13965-13971(2007)、2012年1月10日に発行された米国特許第8,093,080号、2012年8月14日に発行された米国特許第8,242,432号、及び2000年8月22日に発行された米国特許第6,108,8472号にそれぞれ見出すことができ、いずれも、それらの全体が本明細書に組み込まれる。チップと一体化された光センサの使用は、第1光センサ及び第2光センサからなる群から選択される光センサの全部または一部に適している。
【0075】
LIDARチップが1つまたは複数の増幅器を含むとき、1つまたは複数の増幅器を該LIDARチップのプラットフォーム上に一体化することができる。例えば、1つまたは複数の増幅器を、シリコン・オン・インシュレータウェハ上に構築されたLIDARチップ上に一体化することができる。シリコン・オン・インシュレータウェハ上に一体化できる増幅器構築の例は、2011年10月14日に出願され、"光学装置にレーザ及び増幅器機能を提供する利得媒体"と題された米国特許出願シリアル番号13/317,340に見出すことができ、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0076】
図6Aは、LIDARチップを増幅器チップと光学的に結合するためのインターフェースを含むLIDARチップの一部の斜視図である。LIDARチップの図示された部分は、増幅器を受容するようなサイズの停止凹部330を含む。停止凹部330は、光透過媒体324を通ってベース321の中に延在する。図示されたバージョンでは、停止凹部330は、光透過媒体324、埋め込み層320を通って基板322の中に延在する。
【0077】
光透過媒体324のファセット342は、停止凹部30の側面として機能する。ファセット342は、増幅器の用途に応じて、導波路344のファセットとすることができる。例えば、ファセット342は、増幅器が図1の文脈で開示されるように使用されるときの光源導波路のファセット、または増幅器が図8の文脈で開示されるように使用されるときのユーティリティ導波路のファセットとすることができる。示されていないが、ファセット342は、反射防止コーティングを含むことができる。適切な反射防止コーティングは、限定されないが、窒化ケイ素または酸化アルミニウム等の単層コーティング、または窒化ケイ素、酸化アルミニウム及び/またはシリカを含有し得る多層コーティングを含む。
【0078】
1つまたは複数の停止部332は、停止凹部330の底部から上方に延在する。例えば、図6Aは、停止凹部330の底部から上方に延在する4つの停止部332を示す。停止部332は、ベース部分336上に位置決めされたクラッド334を含む。基板322は、停止部332のベース部分336として機能することができ、停止部332は、埋め込み層320を排除することができる。停止部332に含まれる基板322の部分は、停止凹部330の底部から埋め込み層320のレベルまで上へ延在することができる。例えば、停止部332は、埋め込み層320を貫通し、下にある基板322をエッチ停止部として使用することによって形成することができる。結果として、導波路384内の光信号の光学モードに対するベース部分336の頂部の位置はよく知られている。なぜなら、埋め込み層320は、第2導波路の底部を画定し、ベース部分336の頂部は、埋め込み層320の直下に位置するからである。クラッド334は、停止部332のベース部分336上に形成することができ、これにより、増幅器チップ上で導波路384と増幅器導波路との間の所望の位置合わせを提供する高さを停止部332に提供する。
【0079】
取り付けパッド338は、停止凹部330の底部に配置される。増幅器チップがLIDARチップ上に配置されると、取り付けパッド338は、増幅器チップをLIDARチップに固定するために使用することができる。いくつかの例では、取り付けパッド338はまた、増幅器チップ上でLIDARチップと1つまたは複数の増幅器との間の電気通信を提供する。適切な取り付けパッド338は、はんだパッドを含むが、これに限定されない。
【0080】
図6Bは、増幅器チップの一実施形態の斜視図である。図示された増幅器チップは、平面光学装置として知られている装置のクラス内にある。増幅器チップは、利得媒体340内に画定された増幅器導波路346を含む。好適な利得媒体は、InP、InGaAsP及びGaAsを含むが、これらに限定されない。
【0081】
利得媒体340内に延在する塹壕374は、利得媒体340内にリッジ376を画定する。リッジ376は、増幅器導波路346を画定する。いくつかの例では、利得媒体340は、リッジ内にあって、かつ/またはリッジ376にわたって延在する1つまたは複数の層341を含む。1つまたは複数の層341は、利得媒体340の異なる領域の間に配置することができる。1つまたは複数の層341の上の利得媒体340の領域は、該1つまたは複数の層341の下の利得媒体340の領域と同じまたは異なることができる。前記層は、増幅器導波路346を通ってリッジ376に対して特定の位置に誘導された光信号を制約するために、選択することができる。層341の各々は、In、P、Ga、及びAsからなる群から選択された2種またはそれ以上の成分を含むか、またはそれらからなる材料の異なる組成を有することができる。一例では、利得媒体340がInPであり、1つまたは複数の層341が異なる比率でGa及びAsをそれぞれ含む。
【0082】
増幅器導波路346は、第1ファセット350と第2ファセット352との間に光路を提供する。示されていないが、第1ファセット350及び/または第2ファセット352は、任意選択で、反射防止コーティングを含むことができる。適切な反射防止コーティングは、限定されないが、窒化ケイ素または酸化アルミニウム等の単層コーティング、または窒化ケイ素、酸化アルミニウム及び/またはシリカを含有し得る多層コーティングを含む。
【0083】
増幅器チップは、増幅器チップをLIDARチップに固定するために使用できる1つまたは複数の取り付けパッド354を含む。適切な取り付けパッド354は、はんだパッドを含むが、これに限定されない。
【0084】
増幅器チップは、リッジ上の第1導体360と、利得媒体の下及びリッジ376の下の両方にある第2導体362とを含む。第1導体360は、取り付けパッド354と電気通信する。第1導体360と取り付けパッド354との間の電気通信を提供するための適切な方法には、導電性金属トレースが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
増幅器チップはまた、1つまたは複数の位置合わせ凹部356を含む。図6B中の破線は、位置合わせ凹部356のうちの1つの深さ及び形状を示している。
【0086】
図6C及び図6Dは、図6Bの増幅器チップとインターフェース接続された図6AのLIDARチップを示す。図6Cは、このLIDARシステムの上面図である。図6Dは、該LIDARチップ上の導波路384及び増幅器チップ上の増幅器導波路346を通って作成された該システムの断面の側面図である。例えば、図6Dの断面図は、図6C中のBと標識されたブラケットを通って延びる線に沿って作成することができる。図6C及び図6Dはそれぞれ、該システム中の他の特徴の背後に位置する特徴を示す破線を含む。例えば、図6Cは、リッジ376が利得媒体340の下に位置しているにもかかわらず、増幅器導波路346のリッジ376を示す破線を含む。また、図6Dは、停止部332の部分及び増幅器導波路346のリッジ376の背後に位置する位置合わせ凹部356の位置を示す破線を含む。図6Dはまた、導波路384のリッジ326が該導波路384を画定するスラブ領域328とインターフェースする位置を示す破線及び増幅器導波路346のリッジ326が増幅器チップのスラブ領域374とインターフェースする位置を示す破線を含む。
【0087】
増幅器チップは、LIDARチップ上の停止凹部330内に配置される。増幅器チップは、増幅器導波路346のリッジ376が増幅器チップの底部とLIDARチップのベース321との間に位置するように配置される。従って、増幅器チップは、停止凹部330内で反転される。はんだまたは他の接着剤358は、停止凹部330の底部にある取り付けパッド338及び増幅器チップ上にある取り付けパッド354に接触する。例えば、はんだまたは他の接着剤358は、停止凹部330の底部にある取り付けパッド338から補助装置上にある取り付けパッド354まで延在する。従って、はんだまたは他の接着剤358は、前記補助装置をLIDARチップに固定する。
【0088】
導波路384のファセット342は、増幅器導波路346の第1ファセット350と位置合わせされ、これにより、導波路384及び増幅器導波路346が光信号を交換することができる。Aで表記された線で示されるように、光信号がLIDARチップと増幅器チップとの間を進行する方向が、ベース321の上及び/または下の表面に平行または実質的に平行であるという点で、このシステムが水平の遷移経路を提供する。増幅器導波路346の第1ファセット350の頂部は、ユーティリティ導波路のファセット342の頂部より低い高さにある。
【0089】
LIDARチップ上の1つまたは複数の停止部332はそれぞれ、補助装置上にある位置合わせ凹部356のうちの1つの中に受容される。各停止部332の頂部は、位置合わせ凹部356の底部に接触する。結果として、停止部332と位置合わせ凹部356の底部との間の相互作用は、増幅器チップがLIDARチップに向ってさらに移動することを防止する。いくつかの例では、補助装置は、停止部332の頂部に載置される。
【0090】
図6Dから明らかなように、増幅器導波路346の第1ファセット350は、LIDARチップ上で、導波路384のファセット342と垂直に整列される。図6Cから明らかなように、増幅器導波路346の第1ファセット350は、LIDARチップ上で、導波路384のファセット342と水平に整列される。この水平配向は、増幅器チップ及びLIDARチップ上のマーク及び/または特徴の整列によって達成することができる。
【0091】
この垂直配向は、LIDARチップ上の停止部332の高さを制御することによって達成することができる。例えば、停止部332のベース部分336上のクラッド334は、増幅器導波路346の第1ファセット350を、LIDARチップ上の導波路384のファセット342に対して特定の高さに配置する高さまで成長させることができる。所望のクラッド334の厚さは、蒸着、プラズマ化学蒸着(PECVD)、及び/または1つまたは複数のクラッド層を堆積させるためのスパッタリング等の堆積技術を使用することによって精確に達成することができる。結果として、所望の垂直配向を提供する高さに停止部332を形成するために、1つまたは複数のクラッド層を停止部332のベース部分336上に堆積させることができる。クラッド334の層に適した材料としては、シリカ、窒化ケイ素、及びポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
図6Dでは、第1ファセット350は、ファセット342からDと表記された距離で離間している。増幅器導波路が1つの導波路のみと光学的に位置合わせされているため、第1ファセット350は、従来の構成で可能であったよりもファセット342に近くなり得る。例えば、第1ファセット350とファセット342との間の距離は、5 μm未満、3 μm未満または1 μm未満、かつ/または0.0 μm超とすることができる。図1Dでは、LIDARチップが配置される大気は、第1ファセット350とファセット342との間のギャップ内に位置するが、他のギャップ材料をこのギャップ内に配置することができる。例えば、このギャップ内に固体のギャップ材料を配置することができる。適切なギャップ材料の例としては、エポキシ及びポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
LIDARチップは、光透過媒体324上に電気経路380を含む。電気経路380は、接触パッドを光学的に含むことができ、電子機器と電気通信することができる。 図示されていないが、電気経路380のうちの1つは、接触パッド354と電気通信することができる。接触パッド354が第1導体360と電気通信するため、接触パッド354は、第1導体360と電子機器との間の電気通信を提供する。別の電気経路380は、第2導体362と電気通信することができる。第2導体362と電気経路380との間の電気通信を提供するための適切な方法には、限定されないが、ワイヤボンディングが含まれる。適切な電気経路380には、限定されないが、金属トレースが含まれる。
【0094】
電子機器は、電気経路380を使用して、第1導体360と第2導体362との間の増幅器の部分に電気エネルギーを印加することができる。電子機器は、増幅器導波路346を通る電流を駆動するように電気エネルギーを印加することができる。利得媒体を通る電流は、増幅器導波路346内で誘導される光信号の増幅を提供する。
【0095】
偏光分割器は、シリコン・オン・インシュレータプラットフォームに取り付けられた別個の構成要素であってもよく、またはシリコン・オン・インシュレータプラットフォームと一体化されてもよい。シリコン・オン・インシュレータプラットフォームと共に使用できる偏光分割器の例としては、マッハツェンダー干渉計及びゼロ次アレイ導波路回折格子(AWG)が挙げられるが、これらに限定されない。図7は、シリコン・オン・インシュレータプラットフォームと一体化できる偏光分割器14として機能するように改変されたマッハツェンダー干渉計の上面図である。この分割器は、第1光結合器400と第2光結合器402との間に第1分岐導波路396及び第2分岐導波路398を含む。入力導波路11及び参照導波路28は、第1光結合器400に収束する。また、ユーティリティ導波路12及び比較導波路24は、第2光結合器402に収束する。前記入力導波路は、入力信号を第1光結合器400に搬送する。第1光結合器400は、入力信号を、第1分岐導波路396上に出力される第1入力信号と、第2分岐導波路398上に出力される第2入力信号とに分割する。第2光結合器402は、第1入力信号と第2入力信号とを結合する。第1分岐導波路396及び第2分岐導波路398は、第2光結合器402において第1入力信号と第2入力信号との間に位相差が存在するように、異なる長さを有することができる。また、第1分岐導波路396及び第2分岐導波路398は、異なる複屈折レベルを有する。位相差及び複屈折差の結果として、第2光結合器402は、第1偏光状態にある結合信号の部分をユーティリティ導波路12に出力し、そして、第2偏光状態にある結合信号の部分を比較導波路24に出力する。また、第2光結合器402は、入射LIDAR信号を、第1分岐導波路396上に出力される第1入射LIDAR信号と、第2分岐導波路398上に出力される第2入射LIDAR信号とに分割する。第1光結合器400は、入射LIDAR信号と第2入力LIDAR信号とを結合する。位相差及び複屈折差の結果として、第1光結合器400は、参照導波路28上に第2偏光状態にある結合信号の部分を出力する。また、第1光結合器400は、第1偏光状態にあるいずれの結合信号を入力導波路11に出力する。
【0096】
複屈折差を提供する1つの方法は、第1分岐導波路396及び第2分岐導波路398に、それらの長さの全部または一部にわたって異なる断面寸法を設けることである。ここで、該断面は、導波路の長手方向軸に対して横方向または垂直に作成される。例えば、図7は、第1分岐導波路396の一部を、第2分岐導波路398の対応部分よりも小さい幅を有するものとして示している。この低減された幅は、第2分岐導波路398とは異なる複屈折を第1分岐導波路396に提供する。いくつかの例では、第1分岐導波路396及び第2分岐導波路398は、第1分岐導波路396が第2分岐導波路398の複屈折の+/-1%、+/-5%または+/-10%以内の複屈折を有するように構築される。
【0097】
第1分岐導波路396及び第2分岐導波路398は、図5の文脈で開示されるように構築することができる。
【0098】
適切な電子機器は、アナログ電気回路、デジタル電気回路、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド プログラマブル ゲート アレイ(FPGA)、コンピュータ、マイクロコンピュータ、または、上記の操作、監視及び制御の機能を実行するのに適した組み合わせを含むかまたはそれからなるコントローラを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、前記コントローラは、前記操作、制御及び監視の機能の実行中に、該コントローラによって実行されるインストラクションを含むメモリへのアクセスを有する。前記電子機器は、単一の場所で単一の構成要素として示されているが、該電子機器は、互いに独立し、かつ/または異なる場所に配置される複数の異なる構成要素を含むことができる。また、上述したように、開示された電子機器の全部または一部をチップと一体化された電子機器を含む該チップ上に含めることができる。
【0099】
光源10がLIDARチップ上に配置されているように図示されているが、光源は、LIDARチップから離れて配置することができる。例えば、LIDARチップは、光ファイバーから出射LIDAR信号を受信することができる。
【0100】
これらの教示を考慮して、本発明の他の実施形態、組み合わせ及び改変は、当業者には容易に想到されるであろう。従って、本発明は、上記の明細書及び添付の図面と併せて見たときに、そのような全ての実施形態及び改変を含む以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【国際調査報告】