IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボナファイド・ヘルス,エルエルシーの特許一覧

特表2024-535546感水性製品の保存可能期間を延長する製品及び方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】感水性製品の保存可能期間を延長する製品及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20240920BHJP
   A23L 33/19 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 33/18 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 33/155 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
A23L33/135
A23L33/19
A23L33/105
A23L33/18
A23L33/175
A23L33/15
A23L33/155
A23L33/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521178
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022045472
(87)【国際公開番号】W WO2023059523
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/253,920
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524110746
【氏名又は名称】ボナファイド・ヘルス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】コモロウスキー、ジェームス・アール.
(72)【発明者】
【氏名】コモロウスキー、ヘイリー
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB04
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB09
4B018MD02
4B018MD03
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD20
4B018MD23
4B018MD24
4B018MD25
4B018MD26
4B018MD48
4B018MD54
4B018MD71
4B018MD82
4B018MD85
4B018MD89
4B018MD94
4B018ME14
4B018MF01
(57)【要約】
以前は使用できなかった又は一緒に組み合わせることができなかった成分を、安定性の問題に遭遇することなく、調合物中で使用できる、ラクトフェリンを含む組成物を記載する。ラクトフェリンは、カプセル内カプセル調合物の必要性を排除するために含まれることもあり、すなわち、ラクトフェリンとプロバイオティクスとを含む態様であることもある。明細書に記載のとおり、この開示の特定の態様は、活性成分を含むことができる。活性成分は、プロバイオティック調合物、栄養サプリメント及び食材の1以上を含むことができる。特定の態様では、プロバイオティック調合物、栄養サプリメント及び/又は食材。特定の態様では、活性成分は高水分活性成分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロバイオティック調合物の保存可能期間を増大する方法であって、前記方法が、ラクトフェリンを前記プロバイオティック調合物に加えることを含み、前記プロバイオティック調合物が、少なくとも1種のプロバイオティック株と少なくとも1種の高水分活性成分とを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の高水分活性成分が、フィコシアニンペプチド、フィコシアニンオリゴペプチド、アルギニン、L-アルギニン、L-シトルリン、ローズヒップ抽出物、花粉抽出物、めしべ抽出物、ローヤルゼリー、ピコリン酸マグネシウム、クロム、グルコン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、マカ粉末、マカ抽出物、スピルリナ抽出物、シネンシストウチュウカソウ(Cordyceps Sinensis)、レイシ(Ganoderma lucidum)、ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)及びエリンギ(Pleurotus eryngii)の1つ以上といった真菌抽出物、L-カルニチン、クレアチン、1種以上のアミノ酸、ビタミンD、チアミン、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、向知性剤、ロディオラ・クレヌラータ(Rhodiola crenulata)、根茎抽出物、無水カフェイン、α-ヨヒンビン、ヨヒンビン、チョウセンニンジン、メラトニン、抗酸化剤、カリウム、セレン、コエンザイムQ10、マツ樹皮抽出物、プテロスチルベン、ニコチンアミドリボシド、βカロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、ブドウ種子抽出物、クルクミン、ビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)、コリン(ビタミンBp)、葉酸類(葉酸、ビタミンBp、ビタミンM)、ナイアシン(ビタミンB3、ビタミンP、ビタミンPP)、パントテン酸(ビタミンB5)、リボフラビン(ビタミンB2、ビタミンG)、チアミン(ビタミンB1)、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサミン又はピリドキサール)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)並びにビタミンK(ナフトキノイド)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロバイオティック調合物を、カプセル剤、軟質ゲルカプセル剤、硬質ゲルカプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤及びマイクロカプセル封入物からなる群から選択されるものとして調合する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種以上のプロバイオティック株をプロバイオティック芽胞としては調合しない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ラクトフェリンが前記プロバイオティック調合物の75重量%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種のプロバイオティック株;
少なくとも1種の高水分活性成分;及び
ラクトフェリン
を含む、プロバイオティック調合物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の高水分活性成分が、フィコシアニンペプチド、フィコシアニンオリゴペプチド、アルギニン、L-アルギニン、L-シトルリン、ローズヒップ抽出物、花粉抽出物、めしべ抽出物、ローヤルゼリー、ピコリン酸マグネシウム、クロム、グルコン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、マカ粉末、マカ抽出物、スピルリナ抽出物、シネンシストウチュウカソウ(Cordyceps Sinensis)、レイシ(Ganoderma lucidum)、ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)及びエリンギ(Pleurotus eryngii)の1つ以上といった真菌抽出物、L-カルニチン、クレアチン、1種以上のアミノ酸、ビタミンD、チアミン、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、向知性剤、ロディオラ・クレヌラータ(Rhodiola crenulata)、根茎抽出物、無水カフェイン、α-ヨヒンビン、ヨヒンビン、チョウセンニンジン、メラトニン、抗酸化剤、カリウム、セレン、コエンザイムQ10、マツ樹皮抽出物、プテロスチルベン、ニコチンアミドリボシド、βカロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、ブドウ種子抽出物、クルクミン、ビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)、コリン(ビタミンBp)、葉酸類(葉酸、ビタミンBp、ビタミンM)、ナイアシン(ビタミンB3、ビタミンP、ビタミンPP)、パントテン酸(ビタミンB5)、リボフラビン(ビタミンB2、ビタミンG)、チアミン(ビタミンB1)、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサミン又はピリドキサール)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)並びにビタミンK(ナフトキノイド)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載のプロバイオティック調合物。
【請求項8】
前記プロバイオティック調合物を、カプセル剤、軟質ゲルカプセル剤、硬質ゲルカプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤及びマイクロカプセル封入物からなる群から選択されるものとして調合する、請求項6に記載のプロバイオティック調合物。
【請求項9】
前記少なくとも1種以上のプロバイオティック株をプロバイオティック芽胞としては調合しない、請求項6に記載のプロバイオティック調合物。
【請求項10】
前記ラクトフェリンが前記プロバイオティック調合物の75重量%以下である、請求項6に記載のプロバイオティック調合物。
【請求項11】
少なくとも1種の活性成分;
少なくとも1種の高水分活性成分;及び
ラクトフェリン
を含む、栄養サプリメント。
【請求項12】
前記少なくとも1種の高水分活性成分が、フィコシアニンペプチド、フィコシアニンオリゴペプチド、アルギニン、L-アルギニン、L-シトルリン、ローズヒップ抽出物、花粉抽出物、めしべ抽出物、ローヤルゼリー、ピコリン酸マグネシウム、クロム、グルコン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、マカ粉末、マカ抽出物、スピルリナ抽出物、シネンシストウチュウカソウ(Cordyceps Sinensis)、レイシ(Ganoderma lucidum)、ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)及びエリンギ(Pleurotus eryngii)の1つ以上といった真菌抽出物、L-カルニチン、クレアチン、1種以上のアミノ酸、ビタミンD、チアミン、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、向知性剤、ロディオラ・クレヌラータ(Rhodiola crenulata)、根茎抽出物、無水カフェイン、α-ヨヒンビン、ヨヒンビン、チョウセンニンジン、メラトニン、抗酸化剤、カリウム、セレン、コエンザイムQ10、マツ樹皮抽出物、プテロスチルベン、ニコチンアミドリボシド、βカロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、ブドウ種子抽出物、クルクミン、ビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)、コリン(ビタミンBp)、葉酸類(葉酸、ビタミンBp、ビタミンM)、ナイアシン(ビタミンB3、ビタミンP、ビタミンPP)、パントテン酸(ビタミンB5)、リボフラビン(ビタミンB2、ビタミンG)、チアミン(ビタミンB1)、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサミン又はピリドキサール)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)並びにビタミンK(ナフトキノイド)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の栄養サプリメント。
【請求項13】
前記活性成分がプロバイオティック調合物である、請求項11に記載の栄養サプリメント。
【請求項14】
前記少なくとも1種以上のプロバイオティック株をプロバイオティック芽胞としては調合しない、請求項11に記載の栄養サプリメント。
【請求項15】
前記ラクトフェリンが前記プロバイオティック調合物の75重量%以下である、請求項11に記載のプロバイオティック調合物。
【請求項16】
水分活性が高い食材;
ラクトフェリン
を含む、食品。
【請求項17】
前記食材が、生野菜、生の果物、加熱調理野菜、加熱調理果物、肉、コショウ、ブロッコリー、オレンジ、リンゴ、鶏肉、牛肉、パン、ゼリー、ジャム、グミ類、ポテトチップス、プレッツェル、トルティーヤチップスといったスナック食品、ナッツ、パン、ケーキ、菓子類、練粉菓子、穀類、ココア粉末、ピーナッツバター粉末、ミルク粉末といった食品粉末、乾燥果物、ビーフジャーキー、小麦粉、香辛料、サラミ、ペパロニ、ハム等の塩漬肉、チーズ、豆ペースト、カレーペースト、トマトペーストといった食品ペースト及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の食品。
【請求項18】
組成物の保存可能期間を増大する方法であって、前記組成物がラクトフェリンと高水分活性成分とを含む、方法。
【請求項19】
組成物中の細菌の増殖を抑制する方法であって、前記組成物がラクトフェリンと高水分活性成分とを含む、方法。
【請求項20】
組成物の安定性を上昇させる方法であって、前記組成物がラクトフェリンと高水分活性成分とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
プロバイオティック製品、他の感水性調合物及び食品は、水に対する感受性に起因して、保存可能期間が限られている。水は、調合物中に含まれる他の成分との負の相互作用を受けやすくするためである。この感受性は、さまざまな組成物に首尾よく加えること又は組み合わせることができる成分を限定することがある。適合性の問題を解決する既存の技術には、プロバイオティクスのような感水性製品から不適合成分を分離するための区画化部品のような物理的障壁の使用、又はカプセル内カプセル技術のような複雑な構成の利用がある。別の既存の技術は、プロバイオティクスに保護コーティングを提供して不適合成分との相互作用を防止するプロバイオティック芽胞(spore)を使用することであるが、これらの選択肢は、十分に問題を解決していない。
【0002】
本発明は、ラクトフェリン組成物、及びラクトフェリンを組成物に組み込む方法を提供して、製品の経時的な水和に関係する問題を解決する。本発明は、プロバイオティクスが芽胞であること、又はプロバイオティック調合物を他の成分から分離することを必要とせずに、多種多様なプロバイオティクス株を使用することも可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0003】
詳細な説明
特定の態様はラクトフェリンを含み、これによって、以前は使用できなかった又は一緒に組み合わせることができなかった成分を、安定性の問題に遭遇することなく、調合物中で使用できる。ラクトフェリンは、カプセル内カプセル調合物の必要性を排除するために含まれることもあり、すなわち、ラクトフェリンとプロバイオティクスとを含む態様であることもある。
【0004】
明細書に記載のとおり、この開示の特定の態様は活性成分を含むことができる。活性成分は、プロバイオティック調合物、栄養サプリメント及び食材の1以上を含むことができる。特定の態様では、活性成分は高水分活性成分である。
【0005】
特定の態様は、ラクトフェリンと高水分活性成分とを含むことができる。特定の理論に束縛されるものではないが、ラクトフェリン(トランスフェリンファミリーの球状糖タンパク質)は、1種以上の高水分活性成分と組み合わせることができ、これによって、組成物の保存可能期間が長くなり、細菌の増殖が抑制され、及び新鮮さが増大する。ラクトフェリンはまた、組成物中での凝集を低減すること、組成物の水分活性を安定化すること、及び/又は組成物の水分活性を低減することができる。
【0006】
栄養サプリメントは、フィコシアニンペプチド、フィコシアニンオリゴペプチド、アルギニン、L-アルギニン、L-シトルリン、ローズヒップ抽出物、花粉抽出物、めしべ抽出物、ローヤルゼリー、ピコリン酸マグネシウム、クロム、グルコン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、マカ粉末、マカ抽出物、スピルリナ抽出物、シネンシストウチュウカソウ(Cordyceps Sinensis)、レイシ(Ganoderma lucidum)、ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)及びエリンギ(Pleurotus eryngii)の1つ以上のような真菌抽出物、L-カルニチン、クレアチン、1種以上のアミノ酸、ビタミンD、チアミン、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、向知性剤、ロディオラ・クレヌラータ(Rhodiola crenulata)、根茎抽出物、無水カフェイン、α-ヨヒンビン、ヨヒンビン、チョウセンニンジン、メラトニン、抗酸化剤、カリウム、セレン、コエンザイムQ10、マツ樹皮抽出物、プテロスチルベン、ニコチンアミドリボシド、βカロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、ブドウ種子抽出物、クルクミン、ビオチン(ビタミンB7、ビタミンH)、コリン(ビタミンBp)、葉酸類(葉酸、ビタミンBp、ビタミンM)、ナイアシン(ビタミンB3、ビタミンP、ビタミンPP)、パントテン酸(ビタミンB5)、リボフラビン(ビタミンB2、ビタミンG)、チアミン(ビタミンB1)、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサミン又はピリドキサール)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)並びにビタミンK(ナフトキノイド)等からなる群から選択できる。
【0007】
明細書に記載の特定の態様は、プロバイオティック調合物を含むことができる。プロバイオティック調合物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)(例.Lpc-37)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophiles)、ビフィドバクテリウム・ブレーべ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(Lactobacillus casei Shirota)等の1つ以上からなることができる。
【0008】
特定の態様は、1種以上の高水分活性食材を含む食品を含むことができる。食材は、生野菜、生の果物、加熱調理野菜、加熱調理果物、肉、コショウ、ブロッコリー、オレンジ、リンゴ、鶏肉、牛肉、パン、ゼリー、ジャム、グミ類、スナック食品(例.ポテトチップス、プレッツェル、トルティーヤチップス)、ナッツ、パン、ケーキ、菓子類(confectionaries)、練粉菓子(pastries)、穀類、食品粉末(例.ココア粉末、ピーナッツバター粉末、ミルク粉末)、乾燥果物、ビーフジャーキー、小麦粉、香辛料、塩漬肉(例.サラミ、ペパロニ、ハム等)、チーズ、挽いたコーヒー豆、食品ペースト(例.豆ペースト、カレーペースト、トマトペースト)等の1以上を含むことができる。いくつかの態様では、食品は1種以上の食材を含み、食品は凍結している。いくつかの態様では、食品及び/又は食材は凍結乾燥できる。いくつかの態様では、食品はサバイバル食品(例.キャンプで利用する食品)、緊急時用の長期保存品、又は6、12、18若しくは24か月超又はそれ以上の保存が意図される他の食品である。
【0009】
特定の態様は、1種以上の添加物を更に含んでいてもよい。添加物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、クエン酸、バインダ、フィラー、デンプン、白糖及び/又は他の糖、ポリエチレングリコール、天然ガム類(例.アカシア、トラガカント、アルギネート、キトサン、キサンタン)、ペクチン、並びに当技術分野において知られている他の添加物の1以上を含むことができる。特定の態様は、保存剤(例.天然の保存剤)を更に含むことができる。
【0010】
いくつかの態様では、ラクトフェリンは、組成物の0~1重量%、0~5重量%、0~10重量%、5~10重量%、10~15重量%、10~25重量%、5~30重量%、25~50重量%又は25~75重量%、及びこれらの間の任意の値で存在してもよい。
【0011】
明細書に記載の組成物は、食品の保存可能期間を増大するため、栄養サプリメントの保存可能期間を増大するため、プロバイオティック調合物の保存可能期間を増大するため、及びこれらの組合せのために使用できる。いくつかの態様では、明細書に記載の組成物は、高水分活性成分、及び1種以上の高水分活性成分を含む組成物の安定性を上昇させるために使用できる。明細書に記載の組成物は、食品、栄養サプリメント及び/又はプロバイオティック調合物の安定性を上昇させるために使用できる。特定の態様では、明細書に記載の組成物は、食品に適用して、腐敗を防止できる。明細書に記載の特定の態様は、食品、栄養サプリメント及び/又はプロバイオティック調合物の1以上を含む組成物を製造する方法を含む。明細書に記載の特定の態様は、食品、栄養サプリメント及び/又はプロバイオティック調合物を含む組成物中の細菌の増殖を抑制するために使用できる。明細書に記載した特定の組成物は、組成物中の細菌の増殖の速度を低減することで、食中毒の可能性を低減するために使用できる。特定の態様では、ラクトフェリンは、組成物の腐敗の速度を低減するため、細菌の増殖を低減するため、細菌の増殖の速度を抑えるため、安定性を上昇させるため、保存可能期間を増大するため、保存するため、活性成分の活性を維持するため、及びこれらの組合せのために、組成物に含まれる。
【0012】
本願の組成物を収容できる容器の種類は、特に限定されない。いくつかの態様では、明細書に開示した組成物は、瓶、パウチ、バッグ、密封容器、ジャー、缶等に保存される。いくつかの態様は、明細書に開示した組成物の固体剤形を提供する。栄養サプリメントとして明細書に開示する組成物を含む明細書に記載の態様とは、明細書に開示した組成物が、人為的な形態で存在すること、すなわち、天然に生じるものとは異なるサプリメント(例.丸剤又は散剤)で提供されること又は栄養若しくは食事サプリメントが、サプリメントを含まない食事では達成できない、人為的な補給をもたらすことを意味する。
【0013】
経口投与の場合、明細書に開示する組成物は、錠剤、分散性の散剤若しくは顆粒剤、乳濁剤、硬質若しくは軟質カプセル剤、シロップ剤又はエリキシル剤として提供できる。錠剤及びカプセル剤といった固体剤形は、腸溶性コーティングされていてもよい。経口使用が意図される組成物は、当技術分野で知られている薬学的に許容される組成物の製造方法によって調製でき、このような組成物は、以下の薬剤:甘味剤、調味材、着色剤、コーティング及び保存剤の1以上を含んでいてもよい。甘味剤及び着色剤は、調製物の嗜好性を上昇させる。錠剤の製造に好適で、非毒性の、薬学的に許容される添加物と混和された複合体を含有する錠剤が許容される。薬学的に許容される添加物のようなビヒクルは、調合物の他の成分と適合性がある(かつ患者に有害でない)。このような添加物には、不活性賦形剤(例.炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例.トウモロコシデンプン又はアルギン酸);結合剤(例.デンプン、ゼラチン又はアカシア)及び滑沢剤(例.ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)が含まれる。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、胃腸管における崩壊及び吸収を遅延させることで、長期間の持続的作用を提供するために、公知の技法によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルといった時間遅延材料を、単独で又はワックスとともに利用できる。
【0014】
経口使用のための調合物は、活性成分が不活性固体賦形剤(例.炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合されている硬質ゼラチンカプセル剤若しくは非ゼラチン質カプセル剤として、又は活性成分が水若しくは油媒体(例.ピーナッツ油、液体パラフィン又はオリーブ油)と混合されている軟質ゼラチンカプセル剤としても提供できる。特定の態様では、剤形はカプセル内カプセル調合物ではない。
【0015】
特許請求の範囲及びこの明細書全体において、「から本質的になる」という語句は、語句の前に列挙された一切の要素、及び列挙された要素についてのこの開示において特定される活性又は作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定された要素を含むことを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が要求される又は必須であるが、他の要素は任意であり、列挙された要素の活性又は作用に影響を及ぼすか否かに応じて、存在することもしないこともある。例えば、特定の疾病若しくは障害の処置、又は健康状態の維持のための「ある組成物から本質的になる」組成物の使用は、組成物の意図する結果を著しく変化させる他の成分を除外することになる。
【0016】
この明細書では、ある化合物を「実質的に」含む組成物とは、組成物が、約80重量%以上、より好ましくは約90重量%以上、更により好ましくは約95重量%以上、最も好ましくは約98重量%以上の化合物を含有することを意味する。
【0017】
「医薬調合物」、「調合物」、「組成物」等の用語は、活性成分の生物活性が効果的である形態であり、そのため、食事及び/又は栄養サプリメントとしての使用とともに、治療のために対象へ投与してもよい調製物を指すことができる。これらの用語の意味は、それが使用される文脈から、当業者には明らかである。
【0018】
この明細書では、「治療有効量」は、その意味に、所望の治療的効果を提供するために明細書に開示する態様に使用する、活性成分又はそれを含有する組成物の非毒性で十分な量を含む。同様に、この明細書では、「有効な量」又は「有効量」は、その意味に、所望の効果を提供するために、活性成分又はそれを含有する組成物の非毒性で十分な量を含む。「治療有効量」又は「有効量」は、標準的な食事では達成できず、明細書に記載のとおりに補給及び服用することを必要とする化合物の量を含む。明細書に開示する活性成分に要求される正確な量は、処置される人種、対象の年齢及び全身状態、処置される状態の重症度、投与する薬剤、対象の体重並びに投与方法等の因子に応じて、対象ごとに異なる。したがって、正確な「有効量」を常に特定できるとは限らない。しかし、いかなる場合でも、適当な「有効量」は、明細書の開示を考慮して当業者が決定できる。いくつかの側面では、治療有効量は服用レジメンを含んでいてもよい。例えば、治療有効量には、14日間毎日経口摂取する約100mgの組成物が含まれてもよい。いくつかの側面では、治療有効量に、30日間毎日経口摂取する約100mgの組成物が含まれてもよい。ある組成物を含む組成物は、例えば、0.1~1000gの組成物を含んでいてもよい。
【0019】
水分活性(A)とは、試料中の非結合水の測定値である。成分に結合していない水は、望ましくない微生物が使用でき、食品の腐敗に寄与する因子の1つとなる可能性がある。水分活性とは、試料中の水の蒸気圧を、その温度における純水の蒸気圧で割ったものとして表される、水の熱力学的尺度である。
=P/P
式中、Pは食品又は成分における蒸気圧であり、Pは純水の蒸気圧である。
【0020】
水分活性は、0.0~1.0のスケールに基づく。0.2Aを超える水分活性は、高いレベルの非結合水が、凍結乾燥された細菌の増殖を刺激することがあるため、プロバイオティック調合物には許容できないと考えられる。例えば、カプセル中のプロバイオティック細菌は、食料源がなければ死滅し、摂取しても製品の効果が得られなくなる。
【0021】
本明細書では、「高水分活性」という用語は、一般に、水分活性が約0.2Aを超える組成物を指す。高い水分活性の組成物は、プロバイオティクスを含むことができる。
【0022】
さまざまな成分の水分活性を試験した(表1参照)。大半の成分の水分活性は、約0.2Aを超えた。これらの成分は、プロバイオティックカプセル調合物において使用できない。いくつかの成分のAは0.2未満で、これらは、カプセル剤でプロバイオティクスと組み合わせるのに適した成分である。
【0023】
【表1】
【0024】
水分活性が低い成分と水分活性が高い成分を混合する影響を評価した。その目的は、水分活性が低い成分と水分活性が高い成分を混合した場合に、水分活性が低い成分が水分活性が高い成分の影響を低減することである。得られる水分活性は平均水分活性である(すなわち、0.2Aの成分と0.4Aの成分との50:50混合物は、0.3Aという組み合わせた水分活性となる)と予測して試験を行い、2つの成分の50:50混合物の全体的な水分活性を決定した。
【実施例
【0025】
実施例1(表2)
ASI(高水分活性成分)とビオチンマグネシウム(低水分活性成分)との組合せを試験した。ASI試料の水分活性は0.2080Aであり、ビオチンマグネシウム試料の水分活性は0.1075Aであった。50:50の組合せの水分活性は、0.1578Aと予測された。(平均水分活性計算に基づく)。組み合せた試料の水分活性は0.1489Aであった。これらの結果は互いに非常に近く、期待される結果であることが確認される。
【0026】
【表2】
【0027】
実施例2(表3)
ピコリン酸亜鉛(高水分活性成分)とラクトフェリン(低水分活性成分)との組合せを試験した。ラクトフェリン試料の水分活性は0.0456Aであり、ピコリン酸亜鉛試料の水分活性は0.3528Aであった。上記結果に基づき、ラクトフェリンとピコリン酸亜鉛との50:50の組合せの水分活性は、0.1992Aと予測された。しかし、この組合せの平均水分活性は0.1160Aであった。予測値よりも著しく低い。
【0028】
【表3】
【0029】
実施例3(表4)
グルコン酸亜鉛(高水分活性成分)とラクトフェリン(低水分活性成分)との組合せを試験した。ラクトフェリン試料の水分活性は0.0456Aであり、グルコン酸亜鉛試料の水分活性は0.3522Aであった。これらの結果に基づいて、ラクトフェリンとピコリン酸亜鉛との50:50の組合せの水分活性は、0.1989Aと予測された。しかし、この組合せの平均水分活性は0.1382Aであった。予測値よりも著しく低い。
【0030】
【表4】
【0031】
当業者には理解されるが、組成物内の水分活性に関係することから、この明細書で提供する使用及び方法は、非結合水との望ましくない相互作用に対する適切な保護を必要とする複数の調合物に適用できる可能性がある。
【0032】
本発明の特定の態様では、プロバイオティクス及び/又は組成物中の他の高水分活性成分のさまざまな組合せが調合され、調合物は、細菌の高い感受性が調合物中に含まれる他の成分との負の相互作用を非常に受けやすいことに対する保護を改善する。これらの調合物は、ラクトフェリンを、成分と組成物及び調合物内の非結合水との望ましくない相互作用を抑制するのに必要な量で利用する。特定の態様では、組成物及び調合物中に存在するラクトフェリンが、水分活性を制御及び/又は低減する。
【0033】
特定の態様では、本発明のラクトフェリン含有ミックスを含む場合、プロバイオティクスは、個々に、又はプロバイオティクス及び/若しくは1種以上の高水分活性成分の特定の組合せで調合できる。いくつかの態様は、例えば、カプセル剤、軟質ゲルカプセル剤、硬質ゲルカプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤、マイクロカプセル封入物等を含む、さまざまな調合物中のプロバイオティック組成物を提供する。
【0034】
実施例4
水分活性が高い食品又はサプリメントに、ラクトフェリンをさまざまな量(重量%)で加え、これによって、水分活性の低い成分と比較して保存可能期間が短くなる実験を行う。一連の食材及び/又は栄養サプリメントを分析して、ベースライン活性を確認する(例.NK3アンタゴニストはNK3拮抗作用を測定する)。次いで、食材又はサプリメントをラクトフェリンと組み合わせ、組成物の温度を上昇させ、組成物が保存される環境の湿度を同様に上昇させる(例.3~6月間40℃±2℃/75%RH±5%RH)、加速安定性試験を行う。さまざまな温度及び湿度で、ラクトフェリンと食材及び/又は栄養サプリメントのさまざまな組合せの結果を分析する。食材/サプリメント試験に応じて、他の条件も変更できる。組成物中の食材及び/又は栄養サプリメントの当初の活性と安定性試験後の活性との間の差を確認するために、再度試験し、対照(ラクトフェリン添加なし)と比較してラクトフェリンを加えた場合に分解が少ないか、まったくないかを確かめる。硬度及び色、並びに安定性の低下によって生じる可能性がある他の視覚的変化といった他の「不活性」パラメータを測定し、当初の値と比較する。
【0035】
いくつかの代表的な態様、側面及び変形を提供したが、当業者は、ある特定の修正、並べ替え、付加及び組合せ、並びに態様、側面及び変形のある特定のサブコンビネーションを理解する。特許請求の範囲は、すべてのこのような修正、並べ替え、付加及び組合せを含み、態様、側面及び変形のある特定のサブコンビネーションがこれらの範囲内であると解釈される。
【国際調査報告】