(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用空気式タイヤを応急的に封止するための樹脂非含有封止剤、樹脂非含有封止剤を含む封止剤容器、車両用空気式タイヤを応急的に封止するための方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20240920BHJP
B29C 73/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C09K3/10 A
B29C73/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521185
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 DE2022200240
(87)【国際公開番号】W WO2023078516
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021212408.9
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510156561
【氏名又は名称】コンチネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1,30175 Hannover,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ダールケ・マルクス
【テーマコード(参考)】
4F213
4H017
【Fターム(参考)】
4F213AA36
4F213AA45
4F213AG07
4F213AH20
4H017AA02
4H017AC14
4H017AD06
4H017AE01
(57)【要約】
本発明は、車両用空気式タイヤを応急的に封止するための樹脂非含有封止剤に関し、封止剤は、少なくとも1種のゴムラテックスと、少なくとも1種の安定剤と、水とを含む。加えて、本発明は、樹脂非含有封止剤を収容する封止剤容器、及び車両用空気式タイヤを応急的に封止するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用空気式タイヤの仮封止のための樹脂非含有封止剤であって、
前記封止剤は、少なくとも1種のゴムラテックスと、少なくとも1種の安定剤と、水とを含むことを特徴とする、樹脂非含有封止剤。
【請求項2】
前記ゴムラテックスはNRラテックスを含むか又はNRラテックスからなることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項3】
前記封止剤は、27重量%~46重量%の範囲内、好ましくは36重量%~45重量%の範囲内のラテックス含有量を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項4】
前記封止剤は、少なくとも1種の不凍剤、好ましくは少なくとも2種の不凍剤を含み、特に、少なくとも1種の不凍剤は、エタンジオール及びプロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1種のグリコールを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項5】
不凍剤の合計割合は27重量%~40%重量%の範囲内であり、特に、前記第1の不凍剤の割合は20重量%~25重量%の範囲内であり、前記第2の不凍剤の割合は7重量%~15重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項6】
前記少なくとも1種の安定剤は界面活性剤であり、好ましくは、前記界面活性剤の合計割合は0.25重量%~5重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項7】
含水率は15重量%~30重量%の範囲内、特に20重量%~25重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤を含む封止剤容器であって、前記封止剤容器は、前記樹脂非含有封止剤を車両用タイヤ内に搬送できる開口部を有することを特徴とする、封止剤容器。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1種の樹脂非含有封止剤を用いた車両用空気式タイヤの仮封止方法。
【請求項10】
車両用空気式タイヤ用のタイヤ修理キットにおける請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の車両用空気式タイヤの仮封止のための樹脂非含有封止剤、及び請求項8の前文に記載のかかる樹脂非含有封止剤を含む封止剤容器に関する。本発明はまた、請求項9の前文に記載の車両用空気式タイヤの仮封止方法、及び請求項10の前文に記載のかかる封止剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空気式タイヤは、鋭利な物品の上を走ると、タイヤの空気圧の損失につながる亀裂の形態で損傷を受ける可能性がある。このような損傷を、最大の信頼性をもって、少なくとも一時的に、すなわち、車両用タイヤを交換する前のある一定期間封止するために、例えば、ねじを回してバルブインサートが引き出された後、又はバルブを介して直接に、タイヤ修理キットによって、タイヤに導入される公知の先行技術の封止剤がある。かかるタイヤ修理キットは、典型的には、圧力源と、封止剤容器又は封止剤容器用の少なくとも1つのコネクタとを含む。代替的に、封止剤は、ユーザによって容器からタイヤ内に直接送り込まれる。
【0003】
例えば、欧州特許第3227097B1号明細書には、ゴムラテックス、粘着付与性樹脂、及び不凍剤を含む封止手段が開示されている。従来技術に記載されている封止剤の欠点は、その組成物がタイヤに対する封止性能に関して所望の特性を有していないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これが本発明の出発点である。本発明の目的は、特に圧送性及び封止性能に関して、改善された性能を有する改良された封止剤を提供することである。本発明のさらなる目的は、車両用空気式タイヤがより良好に封止される、封止剤を含む改良された封止剤容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する、車両用空気式タイヤの仮封止のための樹脂非含有封止剤によって達成される。本目的はさらに、請求項8の特徴を有する封止剤容器と、請求項9の特徴を有する車両用空気式タイヤの仮封止方法とによって達成される。
【0006】
本目的は、少なくとも1種のゴムラテックスと、少なくとも1種の安定剤と、水とを含む、車両用空気式タイヤの仮封止のための樹脂非含有封止剤によって達成される。
【0007】
本発明の樹脂非含有封止剤は、驚くべきことに、明らかに改善された封止性能を有する。このことは最終的に、現在の封止剤と比較して、本発明の封止剤が有する機能の改善につながる。さらなる有利な性能特性は、圧送性及びエアロゾル効率に関して、本発明の樹脂非含有封止剤によって示される。樹脂非含有封止剤はまた、安価に生産することができる。
【0008】
別段の記載がない限り、全ての重量データは、封止剤の総量、又は車両用空気式タイヤの仮封止のための組成物の総量に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態では、ゴムラテックスは、NRラテックスを含むか又はNRラテックスからなる。ゴムラテックスは、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)からの天然ゴムラテックス(NR)、それでなければ、グアユール(Parthenium argentatum)からのラテックスであり得、天然ゴムラテックスは、脱プロトン化形態で使用され得る。考えられる代替案は、ラテックスが合成的に生産され使用されることである。この目的のために、様々なブレンドされたラテックスの使用及びNRと合成ラテックスとの混合物の使用も同様に考えられる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、封止剤は、27重量%~46重量%の範囲内、好ましくは36重量%~45重量%の範囲内のラテックス含有量を有する。このようなラテックス含有量を有する封止剤の大きな利点は、圧送性及びエアロゾル効率が明らかに改善され、そのため、封止剤がより高い性能を有することである。
【0011】
本発明の一実施形態では、封止剤は、少なくとも1種の不凍剤、好ましくは少なくとも2種の不凍剤を含み、特に、少なくとも1種の不凍剤は、エタンジオール及びプロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1種のグリコールを含む。本文脈における不凍剤は、典型的には-10℃未満の低い凝固点を有する。水と組み合わせると、凝固点はさらに低くなり、適切な混合物では-55℃に達する可能性がある。有利には、低い凝固点を有する封止剤は、圧送性及び流動性を著しく損なうことなく、より寒い地域で使用することができる。より好ましくは、第1の不凍剤は1,2-エタンジオールを含み、第2の不凍剤は1,2-プロパンジオールを含む。どちらの不凍剤も水に混和でき、凝固点を低下させる。かかる不凍剤を含む封止剤がより環境に優しいことも有利である。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、不凍剤の合計割合は、好ましくは27重量%~40重量%の範囲内であり、特に、第1の不凍剤の割合は20重量%~25重量%の範囲内であり、第2の不凍剤の割合は7重量%~15重量%の範囲内である。有利には、不凍剤のこの合計割合は、封止剤全体の凝固点降下に最適であり、その結果、比較的低温でも最適な圧送性及び流動性及び改善された封止特性を有する封止剤を使用することができる。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1種の安定剤は界面活性剤であり、好ましくは、界面活性剤の合計割合は0.25重量%~5重量%の範囲内である。有利には、少なくとも1種の界面活性剤は、少なくともラテックス、特に不凍剤を安定化し、その結果、樹脂非含有封止剤が全体的に安定化される。
【0014】
より好ましくは、封止剤は2種類の界面活性剤を含み、第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤の合計割合は0.5重量%~2重量%の範囲内である。有利には、2種類の界面活性剤は、互いに及び他の成分と相互作用することができ、その結果、搬送性能及び封止性能が改善される。
【0015】
さらに好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤は、1種以上のスルホン酸塩、特にアニオン性モノ-若しくはジスルホン酸塩、及び/又は少なくとも1種のアルキルエーテル硫酸塩、例えば、アルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、並びに少なくとも1種の立体的界面活性剤を含む。これらは、有利には、優れた発泡形成剤であり、車両用空気式タイヤにおける封止を明らかに改善する。立体的界面活性剤は、封止剤に関して優れた粘度及び泡調整作用を示す。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、樹脂非含有封止剤は、さらなる添加物を含む。例えば、貯蔵の場合に封止剤がすぐに使用できることを確実にするために、老化安定剤又は保存剤を樹脂非含有封止剤に添加することが可能である。追加的に、封止剤が分散剤及び/又は乳化剤及び/又はpH調整剤を含む場合もあり得る。大きな利点は、樹脂非含有封止剤がはるかに優れた封止性能を示すことである。
【0017】
好ましい実施形態では、封止剤は、1重量%~2重量%の少なくとも1種の老化安定剤、特に、立体障害及びアルキル化(ポリ)フェノール及び/又はアルキル化ジフェニルアミンの分散液を含む。したがって、有利には、封止剤の寿命を延長することができる。
【0018】
さらなる実施形態では、樹脂非含有封止剤は、特に大きな孔の封止に寄与する充填剤を含む。例としては、繊維状物質、特に天然及び合成繊維、層状ケイ酸塩、シリカ、タルク、チョーク、カーボンブラック、粉砕ゴムなどが挙げられる。
【0019】
樹脂非含有封止剤は、本発明のさらなる実施形態では、25℃で3~23mPa・s、特に6~16mPa・sの粘度を有する(レオメータでの動粘度、0.5°のコーン、16000rpm)。これによって、封止剤の流動特性が明らかに改善される。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、樹脂非含有封止剤の含水量は、15重量%~30重量%の範囲内、特に20重量%~25重量%の範囲内である。これは、最大85重量%、好ましくは最大70重量%の水性分散液(エマルション)である、ラテックスを使用して行われる。これは、総重量に基づく分散液中の固体の割合が最大85重量%、好ましくは最大70重量%であることを意味する。代替的に、総重量に基づく分散液中の固体の割合は、85重量%~70重量%の範囲内、特に80重量%~75重量%の範囲内であり得る。有利には、このような含水率及び/又は固形分を有する樹脂非含有封止剤は、樹脂を使用せずに、封止特性に関してはるかに高い性能を有する。
【0021】
加えて、本発明の目的は、説明したような樹脂非含有封止剤を含む封止剤容器によって達成され、封止剤容器は、樹脂非含有封止剤を車両用タイヤ内に搬送できる開口部を有する。
【0022】
有利には、樹脂非含有封止剤が封止剤容器から容易に流出できるので、本発明の封止剤容器は使いやすい。ユーザが、封止剤を車両用タイヤ内に搬送するために、手で容器を押圧する又は絞ることができることが考えられる。この目的で、封止剤は、例えばホースを介して、車両用タイヤバルブに接続され得る。代替的に、そのような容器は、ホースを介してタイヤ修理キットに接続され得る。同様に、タイヤ修理キット内へ樹脂非含有封止剤を絞り出すことも考えられ、その場合、タイヤ修理キットが、圧縮機を用いて圧縮空気を発生させるように設計され、この圧縮空気によって樹脂非含有封止剤が車両用タイヤ内に搬送される。
【0023】
樹脂非含有封止剤に関する詳細及び利点は、封止剤容器に含まれる樹脂非含有封止剤にも同様に適用でき、その逆も然りである。
【0024】
本発明の一実施形態では、封止剤容器をタイヤ修理キットに接続することができる。この目的で、封止剤容器は、例えば差し込み機構又は回転機構を介して、タイヤ修理キットに接続できるコネクタを有する。有利には、そのような封止剤容器は、ユーザ操作を大幅に簡素化する、タイヤ修理キットに接続され得る。樹脂非含有封止剤を含む封止剤容器が封止性能の顕著な向上につながることも判明している。
【0025】
本発明の目的は、少なくとも1種の樹脂非含有封止剤を用いた車両用空気式タイヤの仮封止方法によっても達成される。樹脂非含有封止剤の封止性能が大幅に改善されているので、かかる方法によって、ユーザが車両用空気式タイヤを封止することが容易になる。
【0026】
樹脂非含有封止剤及び封止剤容器に関する詳細及び利点は、本発明の方法にも同様に適用でき、その逆も然りである。
【0027】
本発明の方法の一実施形態では、封止剤は、車両用空気式タイヤのバルブを通して内部に噴霧される。この噴霧は、特に、圧縮空気を発生させる圧縮機を含むタイヤ修理キットによって達成することができる。発生させた圧縮空気は、ホースを通して封止剤を車両用タイヤ内に搬送する。
【0028】
本発明はさらに、車両用空気式タイヤ用のタイヤ修理キットで説明したような樹脂非含有封止剤の使用に関する。
【0029】
本発明の樹脂非含有封止剤、封止剤容器、及び方法のさらなる利点及び特徴は、説明からだけでなく、本発明の有利な構成に関し、したがって、限定的であるとみなされるべきではない、従属請求項からもさらに明らかになるであろう。本発明はまた、その従属請求項が、相互に関連していない、又はそれらが異なる請求項のカテゴリーに属しているとしても、異なる従属請求項の特徴の組み合わせも包含する。さらに、好ましい実施形態と特に好ましい実施形態との組み合わせを互いに組み合わせることができる。このことは、後に説明する作業例の個々の特徴であって、当業者が、必然的に共に属すると認識できない個々の特徴にも当てはまる。
【0030】
本発明は、以下の作業例によって詳細に説明される。「C」で識別される例は比較例である。本発明の組成物は「I」で識別される。
【0031】
本発明の例がはるかに優れた封止性能を示すことを表1から推測することができる。このことは、ユーザのために、樹脂を含む封止剤と比較して封止剤の機能の改善につながる。
使用した物質は、以下の通りである:
a)固形分60重量%、LATZ天然ラテックス、例えば、Weber&Schaer
b)ロジンエステル、固形分50重量%、Tacolyn、Eastman Chemical Company
c)芳香族変性テルペン樹脂、Nanolet TO、Yasuhara chemical Co.Ltd
d)アニオン性ジスルホン酸塩、活性固形分51重量%
e)トリアルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、活性固形分25重量%
f)ラテックスと樹脂の固形分に関する樹脂/ラテックス比
【0032】
【0033】
定義
本発明の文脈では、封止性能は、欠陥のある車両用空気式タイヤに封止剤を導入し、第1の運転サイクルを10分間シミュレートすることによって確認される。次に、漏れ発見スプレーを用いて車両用タイヤの完全性が試験され、気密状態と漏出状態に分類される。例示的な数4/10の場合、10個の車両用空気式タイヤを試験し、10分後にそのうちの4個は気密であり、6個に漏れがあった。第1の運転サイクル後に、第2の運転サイクルが10分間実行され、次いで、完全性が再び試験される。
【0034】
本発明の文脈では、圧送性は、以下のように、ホイールと、タイヤバルブと、圧縮機封止剤システムとからなる試験設定においてシステム性能を試験することによって確認される。
【0035】
ホイールには、圧縮機を用いて目標充填圧力220kPaに達するまで封止剤及び圧縮空気が充填される。この動作中、圧縮機内及びホイール内の優勢圧力が同時に測定される。目標充填圧力220kPaに達したときに、充填動作を停止し、この220kPaに達するのに要した時間が記録される。所要の時間が短いほど、封止剤混合物は、乾燥とせん断誘起凝固とに関してより安定する。システムの短い実行時間は、エンドユーザにとって最も有利である。
【0036】
加えて、エアロゾル効率は、本発明の文脈では、以下の試験設定を使用することによって確認される。
【0037】
タイヤとホイールリムとからなるホイールは、6mmの直径を有する釘によってタイヤのトレッドにおける所定の箇所で貫通される。これによって孔が形成され、この孔は、タイヤが空気で満たされている場合、単位時間当たりの圧力降下によって特徴付けることができる。具体的に測定されるのは、1分後に発生する、250kPaからの圧力降下である。圧力降下が大きいほど、タイヤにおける孔が大きくなる。
【0038】
エアロゾル封止効率を求めるために、1分以内の250kPaからの圧力降下が正確に2回測定され、1回目は、圧縮機を用いて封止剤がホイール内に移される前であり、2回目は、圧縮機を用いて封止剤がホイール内に移された後である。封止剤を移す間に、ホイール内で封止剤と空気との混合物(エアロゾル)が形成され、この混合物は、タイヤ内の正圧によってタイヤのトレッドにおける孔を通して運ばれる。この混合物には、せん断を受けると凝固する能力がある。これらの理由(正圧、凝固能力)により、孔は、封止剤によって大きさが大幅に縮小され、孔の大きさは、1分間にわたる250kPaからの圧力降下が小さくなることと相関がある。次に、エアロゾル封止効率を求めるために、「封止剤なしのホイール」と「封止剤ありのホイール」の圧力降下の差が形成される。差が大きいほど、封止剤が、そのエアロゾル効率の点でより効果的になる。また、このことは、システムの総圧送時間も短縮されるので、ユーザにとって最も有利である。
【0039】
実施形態
1. 車両用空気式タイヤの仮封止のための樹脂非含有封止剤であって、
封止剤は、少なくとも1種のゴムラテックスと、少なくとも1種の安定剤と、水とを含むことを特徴とする、樹脂非含有封止剤。
2. ゴムラテックスはNRラテックスを含むか又はNRラテックスからなることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂非含有封止剤。
3. 封止剤は、27重量%~46重量%の範囲内、好ましくは36重量%~45重量%の範囲内のラテックス含有量を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂非含有封止剤。
4. 封止剤は、少なくとも1種の不凍剤、好ましくは少なくとも2種の不凍剤を含み、特に、少なくとも1種の不凍剤は、エタンジオール及びプロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1種のグリコールを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤。
5. 不凍剤の合計割合は27重量%~40%重量%の範囲内であり、特に、第1の不凍剤の割合は20重量%~25重量%の範囲内であり、第2の不凍剤の割合は7重量%~15重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂非含有封止剤。
6. 少なくとも1種の安定剤は界面活性剤であり、好ましくは、界面活性剤の合計割合は0.25重量%~5重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤。
7. 含水率は15重量%~30重量%の範囲内、特に20重量%~25重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤。
8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤を含む封止剤容器であって、封止剤容器は、樹脂非含有封止剤を車両用タイヤ内に搬送できる開口部を有することを特徴とする、封止剤容器。
9. 封止剤容器はタイヤ修理キットに接続可能であることを特徴とする、請求項8に記載の封止剤容器。
10. 請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1種の樹脂非含有封止剤を用いた車両用空気式タイヤの仮封止方法。
11. 封止剤は、車両用空気式タイヤのバルブを通して内部に噴霧されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
12. 車両用空気式タイヤ用のタイヤ修理キットにおける請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂非含有封止剤の使用。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用空気式タイヤの仮封止のための樹脂非含有封止剤であって、
前記封止剤は、少なくとも1種のゴムラテックスと、少なくとも1種の安定剤と、水とを含むことを特徴とする、樹脂非含有封止剤。
【請求項2】
前記ゴムラテックスはNRラテックスを含むか又はNRラテックスからなることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項3】
前記封止剤は、27重量%~46重量%の範囲内、好ましくは36重量%~45重量%の範囲内のラテックス含有量を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項4】
前記封止剤は、少なくとも1種の不凍剤、好ましくは少なくとも2種の不凍剤を含み、特に、少なくとも1種の不凍剤は、エタンジオール及びプロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1種のグリコールを含むことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項5】
不凍剤の合計割合は27重量%~40%重量%の範囲内であり、特に、前記第1の不凍剤の割合は20重量%~25重量%の範囲内であり、前記第2の不凍剤の割合は7重量%~15重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項6】
前記少なくとも1種の安定剤は界面活性剤であり、好ましくは、前記界面活性剤の合計割合は0.25重量%~5重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項7】
含水率は15重量%~30重量%の範囲内、特に20重量%~25重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の樹脂非含有封止剤。
【請求項8】
請求項1
又は2に記載の樹脂非含有封止剤を含む封止剤容器であって、前記封止剤容器は、前記樹脂非含有封止剤を車両用タイヤ内に搬送できる開口部を有することを特徴とする、封止剤容器。
【請求項9】
請求項1
又は2に記載の少なくとも1種の樹脂非含有封止剤を用いた車両用空気式タイヤの仮封止方法。
【請求項10】
車両用空気式タイヤ用のタイヤ修理キットにおける請求項1
又は2に記載の樹脂非含有封止剤の使用。
【国際調査報告】