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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】真空インタラプタ
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/66 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01H33/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521344
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 US2022043961
(87)【国際公開番号】W WO2023059435
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/253,353
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505153993
【氏名又は名称】エス アンド シー エレクトリック カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】セン.ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ベンスン.キース.ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】グイオ.ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィルク.グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ボグシュ.ジェイスン.アール
(72)【発明者】
【氏名】チェン.カム.ワ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス.ライアン.マイケル
(72)【発明者】
【氏名】カーロ.レオ
(72)【発明者】
【氏名】ローマン.ヘクター
(57)【要約】
真空ボトルと、真空ボトルの一端を通って延在する固定接触子と、真空ボトル内に固定接触子に相対して配置される可動接触子であって、真空インタラプタが開くと固定接触子と可動接触子の間に間隙を画定し、真空インタラプタが閉じると固定接触子と可動接触子が互いに接触する可動接触子とを含む真空インタラプタを提供する。絶縁駆動ロッドが固定接触子に対向する可動接触子に堅固に結合され、円形の可撓性導体が可動接触子に結合されて、当該可撓性導体は駆動ロッドにより可動接触子が移動すると撓む。可撓性導体は、例えば、積み重ねられた複数の導電性積層体を含む積層構造であって、当該積層体の各々が空間により隔てられた複数の螺旋を有する積層構造、又は線形ばね型トランポリン導体とすることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空インタラプタであって、
第一絶縁部及び第二絶縁部を含む絶縁体と、
前記第一絶縁部の一端に密封される第一エンドキャップと、
前記第二絶縁部の一端に密封される第ニエンドキャップと、
前記第一エンドキャップと反対側の前記第一絶縁部の他端と密封され、且つ前記第ニエンドキャップと反対側の前記第ニ絶縁部の他端と密封される電流リングであって、前記第一絶縁部、前記第二絶縁部、前記第一エンドキャップ、前記第ニエンドキャップ、及び前記電流リングによって密閉真空チャンバが画定される、前記電流リングと、
前記第一エンドキャップを通って前記密閉真空チャンバ内に延在し、前記第一エンドキャップと密封される固定接触子と、
前記密閉真空チャンバ内に前記固定接触子に相対して配置される可動接触子であって、前記真空インタラプタが開くと前記固定接触子と前記可動接触子の間に間隙を画定し、前記真空インタラプタが閉じると前記固定接触子と前記可動接触子が互いに接触する、前記可動接触子と、
前記第ニエンドキャップと密封されるベローズと、
前記固定接触子に対向する前記可動接触子と前記ベローズに堅固に結合される絶縁駆動ロッドと、
前記可動接触子と前記電流リングに結合される可撓性導体であって、前記駆動ロッドにより前記可動接触子が移動したときに前記可動接触子と前記電流リング間の電気的接続を維持するように撓む前記可撓性導体と
を備えることを特徴とする真空インタラプタ。
【請求項2】
前記可撓性導体が円形であることを特徴とする請求項1に記載の真空インタラプタ。
【請求項3】
前記可撓性導体が、積み重ねられた複数の導電性積層体を含む積層構造であることを特徴とする請求項2に記載の真空インタラプタ。
【請求項4】
前記導電性積層体の各々が、空間により隔てられた複数の螺旋を含むことを特徴とする請求項3に記載の真空インタラプタ。
【請求項5】
前記複数の螺旋が、4つの螺旋であることを特徴とする請求項4に記載の真空インタラプタ。
【請求項6】
前記導電性積層体の枚数が、6~20枚の積層体であることを特徴とする請求項3に記載の真空インタラプタ。
【請求項7】
前記導電性積層体の各々が、0.020インチ未満の厚さであることを特徴とする請求項3に記載の真空インタラプタ。
【請求項8】
前記導電性積層体の各々が、およそ0.005インチの厚さであることを特徴とする請求項7に記載の真空インタラプタ。
【請求項9】
前記可撓性導体が、前記可動接触子に結合される内側リングと、前記電流リングに結合され且つ前記内側リングとスペースをあけて配置される外側リングと、前記内側リングと前記外側リング間の前記スペースを跨いで延在し、前記内側リング及び前記外側リングと電気的に結合される複数のばねを含むことを特徴とする請求項2に記載の真空インタラプタ。
【請求項10】
前記複数のばねが、コイルばねであることを特徴とする請求項9に記載の真空インタラプタ。
【請求項11】
前記複数のばねが、4~8本のばねであることを特徴とする請求項9に記載の真空インタラプタ。
【請求項12】
前記可撓性導体が、無酸素銅製又は銅合金製であることを特徴とする請求項1に記載の真空インタラプタ。
【請求項13】
前記駆動ロッドが、セラミック駆動ロッドであることを特徴とする請求項1に記載の真空インタラプタ。
【請求項14】
真空インタラプタであって、
真空ボトルと、
前記真空ボトルの一端を通って延在する固定接触子と、
前記真空ボトル内に前記固定接触子に相対して配置される可動接触子であって、前記真空インタラプタが開くと前記固定接触子と前記可動接触子の間に間隙を画定し、前記真空インタラプタが閉じると前記固定接触子と前記可動接触子が互いに接触する、前記可動接触子と、
前記固定接触子に対向する前記可動接触子に堅固に結合される絶縁駆動ロッドと、
前記可動接触子に結合され、前記駆動ロッドにより前記可動接触子が移動すると撓む円形の可撓性導体であって、前記可撓性導体が積み重ねられた複数の導電性積層体を含む積層構造で、前記導電性積層体の各々が空間により隔てられた複数の螺旋を有する、前記可撓性導体と
を備えることを特徴とする真空インタラプタ。
【請求項15】
前記複数の螺旋が4つの螺旋であり、前記導電性積層体の枚数が6~20枚の積層体であることを特徴とする請求項14に記載の真空インタラプタ。
【請求項16】
真空インタラプタであって、
真空ボトルと、
前記真空ボトルの一端を通って延在する固定接触子と、
前記真空ボトル内に前記固定接触子に相対して配置される可動接触子であって、前記真空インタラプタが開くと前記固定接触子と前記可動接触子の間に間隙を画定し、前記真空インタラプタが閉じると前記固定接触子と前記可動接触子が互いに接触する、前記可動接触子と、
前記固定接触子に対向する前記可動接触子に堅固に結合される絶縁駆動ロッドと、
前記可動接触子に結合され、前記駆動ロッドにより前記可動接触子が移動すると撓む円形の可撓性導体であって、前記可撓性導体が、前記可動接触子に結合される内側リングと、前記内側リングとスペースをあけて配置される外側リングと、前記内側リングと前記外側リング間の前記スペースを跨いで延在し、前記内側リング及び前記外側リングと電気的に結合される複数のばねを含む、前記可撓性導体と
を備えることを特徴とする真空インタラプタ。
【請求項17】
前記複数のばねがコイルばねであり、前記ばねの数が4~8本であることを特徴とする請求項16に記載の真空インタラプタ。
【請求項18】
第一絶縁部及び第二絶縁部を含む絶縁体と、前記第一絶縁部の一端に密封される第一エンドキャップと、前記第二絶縁部の一端に密封される第ニエンドキャップと、前記第一エンドキャップと反対側の前記第一絶縁部の他端と密封され、且つ前記第ニエンドキャップと反対側の前記第ニ絶縁部の他端と密封される電流リングであって、前記第一絶縁部、前記第二絶縁部、前記第一エンドキャップ、前記第ニエンドキャップ、及び前記電流リングによって密閉真空チャンバを画定する前記電流リングと、前記第一エンドキャップを通って前記密閉真空チャンバ内に延在し、前記第一エンドキャップと密封される固定接触子と、前記密閉真空チャンバ内に前記固定接触子に相対して配置される可動接触子であって、前記真空インタラプタが開くと前記固定接触子と前記可動接触子の間に間隙を画定し、前記真空インタラプタが閉じると前記固定接触子と前記可動接触子が互いに接触する前記可動接触子と、前記第ニエンドキャップと密封されるベローズと、前記固定接触子に対向する前記可動接触子と前記ベローズに堅固に結合される絶縁駆動ロッドと、前記可動接触子と前記電流リングに結合される可撓性導体であって、前記駆動ロッドにより前記可動接触子が移動すると撓んで前記可動接触子と前記電流リング間の電気的接続を維持する前記可撓性導体とを含む真空インタラプタと、
ステータ、プランジャ、及びコイルを含む磁気アクチュエータであって、前記プランジャが前記駆動ロッドに結合され、前記コイルが通電されることでプランジャを移動させて、前記真空インタラプタを開閉する、前記磁気アクチュエータと
を備えることを特徴とするスイッチアセンブリ。
【請求項19】
前記可撓性導体が、複数の螺旋を含む、積み重ねられた複数の円形積層体を含み、前記複数の螺旋は間に空間を画定することを特徴とする請求項18に記載のスイッチアセンブリ。
【請求項20】
前記可撓性導体が、前記可動接触子に結合される内側リングと、前記電流リングに結合され且つ前記内側リングとスペースをあけて配置される外側リングと、前記内側リングと前記外側リング間の前記スペースを跨いで延在し、前記内側リング及び前記外側リングと電気的に結合される複数のばねを含むことを特徴とする請求項18に記載のスイッチアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月7日に出願された米国仮特許出願第63/253,353号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その開示全体はその目的を問わず参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に真空インタラプタ(vacuum interrupter)に関し、より具体的には、可撓性導体及び真空絶縁駆動ロッドを含む真空インタラプタに関する。
【背景技術】
【0003】
電力供給ネットワークは電力系統と呼ばれることが多く、通常、ガスタービン、原子炉、石炭火力発電機、水力発電ダムなど多くの発電機を有する多数の発電所を含む。発電所は様々な中電圧で電力を供給し、変圧器によって高圧交流信号に昇圧され、通常は地域内にある多数の変電所に電力を供給する高圧送電線に接続され、変圧器によって中電圧に降圧されて配電される。変電所は、電流は変わらないが120度位相がずれている3本の単相給電線を含む多数の三相給電線に中圧電力を供給する。多数の三相及び単相の側線が、様々な配電変圧器に中電圧を供給する給電線から分岐され、ここで電圧は低電圧に降圧され、家庭や企業などの多くの負荷に供給される。
【0004】
上記したタイプの電力供給ネットワークは、通常、ネットワークを介した電力の流れを制御する、多数のスイッチング装置、ブレーカ、再閉路装置、電流遮断器などを含む。負荷電流と故障電流を遮断するために多種類のスイッチング装置に、通常、真空インタラプタが使用されており、真空インタラプタは磁気アクチュエータによって制御される。真空インタラプタは、通常、円筒形絶縁体(通常はセラミック)と、該絶縁体の両端に密封されるエンドキャップとを備え、真空チャンバ又はボトルを形成する。固定接触子が一方のエンドキャップに電気的に結合され、該エンドキャップを通って真空チャンバ内に延在し、可動接触子が他方のエンドキャップに電気的に結合され、該エンドキャップを通って真空チャンバ内に延在する。接触子が互いに接触しているとき、電流は真空インタラプタを通って流れることができる。可動接触子が移動して固定接触子から離れると、接触子間にプラズマアークが発生し、ゼロ電流交差による真空によって直ぐに消滅する。真空中で接触子が離れると、電力システムの電圧を超える絶縁耐力がもたらされ、電流の流れを防止し、絶縁体は両接触子の外側のエンドキャップ間の電流の流れを防ぐ。
【0005】
上記タイプのスイッチング装置に使用される磁気アクチュエータは、通常、ステータに巻かれた電気巻線によって動くアーマチュア又はプランジャを有し、真空インタラプタの接触子を開閉する。該プランジャとステータにより、巻線によって生成される磁束の磁路がもたらされ、プランジャは駆動ロッドにより可動接触子に堅く固定される。一設計では、アクチュエータが真空インタラプタを閉じるように制御されると、巻線が一方向の電流により通電され、これによりプランジャが移動してラッチプレートに着座する。その後、電流はオフとなりコイルへの電気供給が停止され、永久磁石によりプランジャがラッチプレートと開放ばねの圧縮力に抗して保持される。アクチュエータが真空インタラプタを開くように制御されると、巻線が逆方向の電流により通電され、永久磁石のラッチ力が解除されて、開放ばねにより真空インタラプタが開く。真空インタラプタの接触子の接合部が離れるよう、コンプライアンスばねが開放ばねに加えて設けられて開放プロセスの開始時に開放力が追加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
真空インタラプタはシステム電位で作動し、磁気アクチュエータは通常接地電位で作動する。プランジャを可動接触子に接続する、通常グラスファイバーロッドである駆動ロッドは、空気を介して延在するため、比較的高電圧の真空インタラプタと接地されたアクチュエータ間のアーク放電を防止するのに十分な長さが必要となる。しかしながら、上記駆動ロッドのアセンブリは重く、高価であり、且つスイッチング装置の長さが長くなるため、一般に望ましくない。さらに、駆動ロッドの大きさによって、スイッチング動作中に必要となる移動量が大幅に増加してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、真空インタラプタについて開示し説明する。当該真空インタラプタは、第一絶縁部及び第二絶縁部を含む絶縁体と、第一絶縁部の一端に密封される第一エンドキャップと、第二絶縁部の一端に密封される第ニエンドキャップと、第一エンドキャップと反対側の第一絶縁部の他端と密封され、且つ第ニエンドキャップと反対側の第ニ絶縁部の他端と密封される電流リングを含み、第一絶縁部、第二絶縁部、第一エンドキャップ、第ニエンドキャップ、及び電流リングによって密閉真空チャンバが画定される。また、真空インタラプタは、第一エンドキャップを通って密閉真空チャンバ内に延在し、第一エンドキャップと密封される固定接触子と、密閉真空チャンバ内に固定接触子に相対して配置される可動接触子を含み、真空インタラプタが開くと固定接触子と可動接触子の間に間隙が画定され、真空インタラプタが閉じると固定接触子と可動接触子が互いに接触する。さらに真空インタラプタは、第ニエンドキャップと密封されるベローズと、固定接触子に対向する可動接触子とベローズに堅固に結合される絶縁駆動ロッドと、可動接触子と電流リングに結合される可撓性導体を含み、駆動ロッドにより可動接触子が移動すると可撓性導体が撓み、可動接触子と電流リング間の電気的接続が維持される。一実施形態では、可撓性導体は、複数の螺旋を含む、積み重ねられた複数の円形積層体を含み、当該複数の螺旋の間に空間が画定されている。別の実施形態では、可撓性導体は、複数のばねに取り付けられた内側リングと外側リングを含む線形ばね型トランポリン導体である。
【0008】
本開示の更なる特徴は、付随の図面と併せて以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】空気絶縁駆動ロッドにより磁気アクチュエータに結合された真空インタラプタを含む、公知の磁気駆動型スイッチアセンブリの一部を示す等角図である。
図2】一連の螺旋状積層体を含む可撓性導体と絶縁駆動ロッドを有する真空インタラプタを含む、磁気駆動型スイッチアセンブリの断面図である。
図3図2に示すスイッチアセンブリから切り離した真空インタラプタの切り欠き等角図である。
図4図2に示すスイッチアセンブリから切り離した真空インタラプタの別の切り欠き等角図である。
図5図2に示す真空インタラプタの可撓性導体が線形ばね型トランポリン導体に置換された真空インタラプタの切り欠き等角図である。
図6】該トランポリン導体を示す真空インタラプタの上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に示す、可撓性導体及び真空絶縁駆動ロッドを含む真空インタラプタに関する開示の実施形態の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、本開示の適用、又は、本開示の使用を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書では、真空インタラプタを、中電圧配電ネットワークで使用する磁気駆動型故障遮断装置に用いるものとして言及しているが、当業者であれば理解されるように、当該真空インタラプタは他の用途にも使用される。
【0011】
図1は、上述したタイプの公知の磁気駆動型スイッチアセンブリ10の一部を示す等角図であり、該スイッチアセンブリ10は、中電圧配電ネットワークで使用する磁気駆動型故障遮断装置に用いる特定の用途を有する。スイッチアセンブリ10は真空インタラプタ12を含み、該真空インタラプタ12は、空気絶縁駆動ロッド16を作動させて真空インタラプタを開閉する磁気アクチュエータ14に結合される。真空インタラプタ12は、円筒形セラミック絶縁体20と、セラミック絶縁体20の一端に結合され、そこから固定接触子24が延在する上部エンドキャップ22と、セラミック絶縁体20の他端に結合され、そこから可動接触子28が延在する下部エンドキャップ26を有する真空ボトル18を含む。可動接触子28は可撓性コネクタ30に結合され、可撓性コネクタ30は、駆動ロッド16がアクチュエータ14により作動して、可動接触子28が固定接触子24に対して離間するように移動すると屈曲する。明らかなように、駆動ロッド16は、システム電位のコネクタ30と接地電位のアクチュエータ14間のアーク放電を防止するためにかなりの長さを必要とする。
【0012】
図2は真空インタラプタ42を含む磁気駆動型スイッチアセンブリ40の断面図であり、図3は、スイッチアセンブリ40から切り離した真空インタラプタ42の切り欠き等角図(a broken-away isometric view)である。真空インタラプタ42は、電流伝達リング50によって分離される上部46と下部48を有する円筒形セラミック絶縁体44を含む。金属製上部エンドキャップ52は上部46に結合され、金属製下部エンドキャップ54は下部48に結合されており、上部46と、下部48と、電流伝達リング50と、エンドキャップ52、54はすべて、通常ろう付けなどで密封されて真空チャンバ58を画定する。金属ベローズ60は下部エンドキャップ54に電気的に結合され、真空チャンバ58の内部に配置される。固定接触子ステム62は上部エンドキャップ52に電気的に結合されて密封されており、上部エンドキャップ52を通り真空チャンバ58内に延在する。固定接触子ステム62は、間に肩部68を画定する軸部64とカップ部66を含む。
【0013】
連結ロッド72は真空インタラプタ42から下部エンドキャップ54を通って延在し、金属ベローズ60に密閉しており、金属ベローズ60は連結ロッド72が移動する際、真空チャンバ58内を真空状態に維持する。セラミック駆動ロッド76は一端が真空チャンバ58内で連結ロッド72に固定され、他端は真空チャンバ58内で可動接触子ステム78に固定される。可動接触子ステム78は、間に肩部84を画定する軸部80とカップ部82を含む。カップ部66にアーク接触子86が電気的に固定され、カップ部82にアーク接触子88が電気的に固定されることで、真空インタラプタ42が開いたときアーク接触子86、88の間に間隙が画定される。蒸気シールド90が肩部68に、蒸気シールド92が肩部84に固定され、カップ部66、82の周囲にそれぞれ設けられることで、接触子86、88が離れてプラズマアークが生じた際に接触子86、88から放出される金属蒸気が、絶縁体44の内面に凝結することを防ぐことができる。そうでなければ絶縁体44の内面に導電性金属被膜が形成され、接触子86、88に並行して導電路が設けられてしまう。駆動ロッド76はカップ型蒸気シールド94によって蒸気から保護され、金属ベローズ60はカップ型蒸気シールド96によって蒸気から保護される。
【0014】
システム電圧における電流リング50と、絶縁体44の外側の接地電位における下部エンドキャップ54との間の導電路は依然として空気を介しているため、絶縁体44はエポキシ樹脂の筐体のような外側絶縁ハウジング100によって包囲される。シールド導体102、104がハウジング100内に設けられ、真空インタラプタ42内の様々な箇所における電場応力点(electric field stress points)を低減する。使用時、電力線(図示せず)がアーク接触子86の反対側のステム62に接続され、別の電力線(図示せず)が電流伝達リング50に接続される。
【0015】
可撓性導体110は積み重ねられた一連の螺旋状積層体112を含み、アーク接触子86に対向するステム78と電流伝達リング50に電気的に結合されているため、真空インタラプタ42が閉じたときに上記電力線間に電気的接続をもたらす。図4は、可撓性導体110をより詳細に示す真空インタラプタ42の切り欠き等角図である。電流リング50は、内側フランジ114と、電流伝達リング50への電気的接続を可能にする外側フランジ116と、上部46及び下部48から延びる対向フランジ120と電流伝達リング50を密封可能にするプレート部分118とを含む。可撓性導体110の外縁は、対向フランジ120の間に配置され、電流伝達リング50に電気的に接続するよう電流伝達リング50に結合され、ろう付けされてもよい。可撓性導体110の内縁は、駆動ロッド76に形成された支持部品124によって画定された肩部122に電気的に接触するように結合され、ろう付けされてもよい。積層体112は一連の螺旋状アーム126、ここでは4つを含み、螺旋状アームの間に空間128を画定する。螺旋状アーム126は、高い可撓性をもたらしつつ、ステム78と電流リング50間の電流伝達を最大化する。積層体112は非常に薄く、例えば0.020インチ未満の厚さ、例えば0.005インチの厚さであり、可撓性が高い。積層体112の枚数は真空インタラプタ42の特定の用途及び電力定格に応じて選択され、一般に6~20枚の積層体112となる。
【0016】
スイッチアセンブリ40は、駆動ロッド76を制御して真空インタラプタ42を開閉するアクチュエータ130も含む。アクチュエータ130は、中央開口部134を有する環状ラッチプレート132を含み、連結ロッド72が中央開口部を通って延在する。アクチュエータ130はまた、中央開口部138を画定するステータ136を含み、開口144を画定する上側肩部142を有する磁性プランジャ140が中央開口部138内に摺動可能に配置される。コイル146が中央開口部138内のステータ136に接して配置され、一連の永久磁石148がラッチプレート132とステータ136との間に配置される。カップ部材152がプランジャ140に堅く固定され、開放ばね154がカップ部材152内に設けられ、ステータ136に対して位置決めされる。環状フランジ158を含む停止部材156は、プランジャ140内に設けられ、プランジャ140の開口144を通って連結ロッド72に堅固に取り付けられている。コンプライアンスばね160はカップ部材152内に設けられ、フランジ158に対して位置決めされ、これによりフランジ158を肩部142に対して押圧する。
【0017】
図2には可撓性導体110が下方に撓んだ開位置の真空インタラプタ42が示されており、図3には可撓性導体110が上方に撓んだ閉位置の真空インタラプタ42が示されている。真空インタラプタ42が開位置から閉じるときは、コイル146が一方向の電流により通電され、プランジャ140とカップ部材152が開放ばね154とコンプライアンスばね160のバイアスに抗して上方に引き付けられる。コンプライアンスばね160のバイアスによって停止部材156、連結ロッド72及び駆動ロッド76が上方に押し上げられ、これによりプランジャ140がラッチプレート132に対して着座し、可動接触子ステム78がアーク接触子86、88間の間隙を閉じることで、真空インタラプタ42が閉じられる。この際、可撓性導体110が撓み、ステム78と電流リング50間の電気的接続が維持される。コイル146への電流がオフになり、永久磁石158によりプランジャ140が閉位置に保持される。真空インタラプタ42が閉位置から開くときは、コイル146が逆方向に通電され、これによりプランジャ140が下方向に押し下げられて永久磁石148の磁気的保持力が解除される。開放ばね154とコンプライアンスばね160の力により、アーク接触子86、88の接合力に抗してアーク接触子86、88が開く。
【0018】
可撓性導体110については、先で説明したような、真空インタラプタ42内での電流伝達に好適な一実施形態が提供されるが、他の設計も適用可能であり、可撓性導体における高応力点を低減することで、可撓性導体の裂けや破れを低減することができ、より良い結果が得られる可能性がある。図5は、真空インタラプタ42の可撓性導体110が可撓性線形ばね型トランポリン導体(a flexible linear spring trampoline conductor)170に置換された切り欠き等角図である。 図6は、当該トランポリン導体170を示す真空インタラプタ42の上面断面図である。導体170は、可撓性導体110と同様に、アーク接触子86に対向するステム78と電流伝達リング50に電気的に結合されているため、真空インタラプタ42が閉じたときに電力線間に電気的接続をもたらす。真空インタラプタ42が閉じると導体170が上方に撓み、真空インタラプタ42が開くと導体170が下方に撓む。トランポリン導体170は内側リング172を含み、該内側リングは支持部品124と電気的接続を行うために結合され、ろう付けされてもよい。また、トランポリン導体170は外側リング174を含み、該外側リングは対向フランジ120の間に配置され、且つリング50と電気的接続を行うために結合され、ろう付けされてもよい縁部を有する。内側リング172と外側リング174の間にはスペースが設けられている。
【0019】
間隔をあけて配置された一連のコイルばね176、ここでは8本のコイルばね176が内側リング172と外側リング174に電気的に結合され、内側リング172と外側リング174の間に必要な電気的接続を行い、導体170に必要な可撓性をもたらす。一実施形態では、コイルばね176が内側リング172と外側リング174に連結される箇所にタブ178が設けられ、連結箇所における機械的応力が低減される。非限定的な一実施形態では、内側リング172と外側リング174とコイルばね176は無酸素銅で、コイルばね176の両端部はタブ178において内側リング172と外側リング174とレーザー溶接される。コイルばね176の数は電流の大きさとコイルばね176を作製するワイヤ(線)の断面積に依存する。例えば内側リング172と外側リング174の幅を小さくしてコイルばね176の長さを最大限に長くすることで、コイルばね176の銅の機械的応力を最小限にすることもできる。銅製のコイルばねを用いることによって、コイル数を増やしたり、コイルの直径を大きくしたりすることで、銅線の長さを容易に長くすることができる。具体的な実施形態としては、無酸素銅の材質とその抵抗に基づいて、6本の11AWG線ばね、5本の10AWG線ばね、又は4本の9AWG線ばねなどとする。
【0020】
導電体170に使用する導電性材料は、真空環境におけるガス放出や他の限定により制限される。適切な一材料として上記で無酸素銅が提案されているが、当該材料は軟性で変形しやすい。他の材料として銅クロムジルコニウム(CCZ)なども適用可能である。
【0021】
前途の記述は、本発明の例示的な実施形態を開示及び説明したものにすぎない。当業者であれば、上記記述内容、並びに付随の図面及び特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲に定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、修正及び変形が可能であることを容易に認識するであろう。
【符号の説明】
【0022】
10、40 磁気駆動型スイッチアセンブリ
12、42 真空インタラプタ
14 磁気アクチュエータ
16 空気絶縁駆動ロッド
18 真空ボトル
20、44 円筒形セラミック絶縁体
22、52 上部エンドキャップ
24 固定接触子
26、54 下部エンドキャップ
28 可動接触子
30 可撓性コネクタ
46 (絶縁体の)上部
48 (絶縁体の)下部
50 電流(伝達)リング
58 真空チャンバ
60 金属ベローズ
62 固定接触子ステム
64 (固定接触子ステムの)軸部
66 (固定接触子ステムの)カップ部
68 (固定接触子ステムの)肩部
72 連結ロッド
76 駆動ロッド
78 可動接触子ステム
80 (可動接触子ステムの)軸部
82 (可動接触子ステムの)カップ部
84 (可動接触子ステムの)肩部
86、88 アーク接触子
90、92 蒸気シールド
94、96 カップ型蒸気シールド
100 外側絶縁ハウジング
102、104 シールド導体
110 可撓性導体
112 螺旋状積層体
114 内側フランジ
116 外側フランジ
118 プレート部分
120 対向フランジ
122 肩部
124 支持部品
126 螺旋状アーム
128 空間
130 アクチュエータ
132 環状ラッチプレート
134、138 中央開口部
136 ステータ
140 磁性プランジャ
142 (磁性プランジャの)上側肩部
144 開口
146 コイル
148 永久磁石
152 カップ部材
154 開放ばね
156 停止部材
158 環状フランジ
160 コンプライアンスばね
170 可撓性線形ばね型トランポリン導体
172 内側リング
174 外側リング
176 コイルばね
178 タブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】