(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F25D21/14 V
F25D21/14 U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521801
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 CN2022108725
(87)【国際公開番号】W WO2023065762
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202111211445.0
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522029969
【氏名又は名称】青島海爾電氷箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No. 1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101, China
(71)【出願人】
【識別番号】521161200
【氏名又は名称】海爾智家股分有限公司
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park, No.1 Haier Road, Laoshan District, Qingdao, Shandong 266101, China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ドン リンユン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ ビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チャンヂー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジェンチュェン
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048AA05
3L048CA02
3L048CB03
3L048CB05
3L048DA03
3L048DB03
3L048DB04
3L048FA01
3L048GA02
(57)【要約】
冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫は、内部に収納室が画定された庫体であって、収納室の底部に蒸発器を配置するための冷凍室が形成され、庫体には冷凍室の下部後方に放熱コンパートメントが形成され、放熱コンパートメントの前壁が前から後へ、庫体底板の中央部から上方に傾斜して延びた庫体と、放熱コンパートメント内に配置された蒸発皿と、冷凍室の底部から、前から後へ下方に傾斜しており、放熱コンパートメントの前壁を通過した後さらに蒸発皿まで延び、冷凍室内の霜水を蒸発皿に排出する排水管と、排水管が前壁を通過する位置に配置され、排水管を固定するために使用される水管固定部材であって、放熱コンパートメントの前壁に当接した第1固定面を有する水管固定部材と、を備える。この解決策は、発泡オーバーフローを回避し、固定信頼性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納室が画定され、前記収納室の底部に蒸発器を配置するための冷凍室が形成された庫体であって、前記庫体には前記冷凍室の下部後方に放熱コンパートメントが形成され、前記放熱コンパートメントの前壁が前記庫体底板の中央部から、前から後へ上方に傾斜して延びた庫体と、
前記放熱コンパートメント内に配置された蒸発皿と、
前記冷凍室の底部から前から後へ下方に傾斜しており、前記放熱コンパートメントの前壁を通過した後、さらに前記蒸発皿まで延び、前記冷凍室内の霜水を前記蒸発皿に排出する排水管と、
前記排水管が前記前壁を通過する位置に配置された水管固定部材であって、前記排水管を固定するために使用され、前記放熱コンパートメントの前壁に当接した第1固定面を有する水管固定部材と、を備える、冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項2】
前記排水管が通過する前記放熱コンパートメントの前壁の位置に前壁貫通孔が設けられており、前記前壁貫通孔の形状は前記放熱コンパートメントの前壁の平面における前記排水管の断面形状と一致しており、
前記水管固定部材は、前記排水管が通過するための管貫通孔を有し、前記第1固定面に形成された前記管貫通孔の開口形状は前記前壁貫通孔の形状と一致している、請求項1に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項3】
前記水管固定部材の前記第1固定面から離れた側に第2固定面が形成され、前記第2固定面は前記排水管の軸方向に対して垂直であり、前記第2固定面に形成された前記管貫通孔の開口形状は前記排水管の断面と一致している、請求項2に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項4】
前記排水管は、
第1端が前記冷凍室の底部に接続され、第2端が前記管貫通孔を通過して外周縁に接続管構造が形成された第1セグメントと、
前記第1セグメントの第2端に接続され、前記蒸発皿まで延びた第2セグメントと、を含む、請求項3に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項5】
前記接続管構造はねじ構造を有し、前記冷蔵庫は固定ナットをさらに備え、前記固定ナットは前記ねじ構造に着脱可能に接続され、前記固定ナットの端部は前記第2固定面に当接し、前記排水管および前記水管固定部材を固定するために使用される、請求項4に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1セグメントは硬質管であり、前記第2セグメントの少なくとも一部はコルゲートホースである、および/または、
前記排水管の傾斜角度は5°以上である、請求項4または5に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項7】
前記第1セグメントには少なくとも前記管貫通孔を通過する部分の径方向外周に軸方向に沿った位置決めリブが形成され、
前記管貫通孔は径方向外周に前記位置決めリブと協働する位置決め溝が形成され、前記位置決めリブと前記位置決め溝の協働によって前記第1セグメントを制限する、請求項4または5に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項8】
前記第1固定面に形成された前記管貫通孔の開口は前記第1固定面の中央部に位置し、前記第1固定面は前記開口の周囲にそれぞれ前記放熱コンパートメントの前壁に当接した領域を有する、請求項2~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項9】
前記放熱コンパートメントの前壁には前記水管固定部材に対応する領域に凸部が形成され、且つ、前記水管固定部材は前記凸部の裏側の凹部内に埋め込まれている、請求項8に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【請求項10】
前記放熱コンパートメントの横方向中間部に設けられたブロアアセンブリであって、前記放熱コンパートメントを前記庫体の横方向に沿って第1放熱空洞と第2放熱空洞に分割し、ブロアアセンブリの第1放熱空洞に面する側に放熱ファンが取り付けられ、ブロアアセンブリの第2放熱空洞に面する側に凝縮器が配置されたブロアアセンブリと、
前記第1放熱空洞内に取り付けられた圧縮機と、をさらに備え、
前記蒸発皿は前記第2放熱空洞内に取り付けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置の技術分野に属し、具体的に、冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発器底部搭載型冷蔵庫では、蒸発器は収納室底部の冷凍室内に配置され、これによって収納室の位置が高くなり、ユーザが底部貯蔵物にアクセスしやすくなる。
【0003】
蒸発器底部搭載型冷蔵庫の放熱コンパートメントは冷蔵庫の底部後側、すなわち冷凍室の下部後方に設けられ、放熱空間をできるだけ拡大するために、放熱コンパートメントの前壁(冷蔵庫の底部鋼板とも呼ばれる)は一般に傾斜するように設けられている。
【0004】
排水管は、冷凍室の底部から放熱コンパートメント内の蒸発皿に水を排出する。上記冷凍室と放熱コンパートメントの相対位置により排水管の排水角度が小さくなり、排水管が底部鋼板を垂直に通過する従来の冷蔵庫と比較すると、蒸発器底部搭載型冷蔵庫の排水管は底部鋼板と鋭角をなし、工程上固定しにくく、隙間が生じやすい。冷凍室と放熱コンパートメントの間で発泡を行うと、発泡材が管貫通位置から放熱コンパートメントに溢れやすくなる。また、排水管の排水角度が小さいため、上記管貫通位置の排水性が悪くなるという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの目的は、上記問題を克服し、または少なくとも一部の上記問題を解決する下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫を提供することである。
【0006】
本発明の1つの目的は、冷蔵庫の排水管が放熱コンパートメントを貫通する位置で固定することの困難性を低減することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、排水管の貫通位置のオーバーフローを回避することである。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫を提供し、この冷蔵庫は、
内部に収納室が画定され、収納室の底部に蒸発器を配置するための冷凍室が形成された庫体であって、庫体には冷凍室の下部後方に放熱コンパートメントが形成され、放熱コンパートメントの前壁が庫体底板の中央部から、前から後へ上方に傾斜して延びた庫体と、
放熱コンパートメント内に配置された蒸発皿と、
冷凍室の底部から前から後へ下方に傾斜しており、放熱コンパートメントの前壁を通過した後、さらに蒸発皿まで延びて、冷凍室内の霜水を蒸発皿に排出する排水管と、
排水管が前壁を通過する位置に配置された水管固定部材であって、排水管を固定するために使用され、放熱コンパートメントの前壁に当接した第1固定面を有する水管固定部材と、を備える。
【0009】
選択的に、排水管が通過する放熱コンパートメントの前壁の位置に前壁貫通孔が設けられており、前壁貫通孔の形状は放熱コンパートメントの前壁の平面における排水管の断面形状と一致しており、
水管固定部材は、排水管が通過するための管貫通孔を有し、第1固定面に形成された管貫通孔の開口形状は前壁貫通孔の形状と一致している。
【0010】
選択的に、水管固定部材の第1固定面から離れた側に第2固定面が形成され、第2固定面は排水管の軸方向に対して垂直であり、第2固定面に形成された管貫通孔の開口形状は排水管の断面と一致している。
【0011】
選択的に、排水管は、
第1端が冷凍室の底部に接続され、第2端が管貫通孔を通過して外周縁に接続管構造が形成された第1セグメントと、
第1セグメントの第2端に接続され、蒸発皿まで延びた第2セグメントと、を含む。
【0012】
選択的に、接続管構造はねじ構造を有し、冷蔵庫は固定ナットをさらに備え、固定ナットはねじ構造に着脱可能に接続され、固定ナットの端部は第2固定面に当接し、排水管および水管固定部材を固定するために使用される。
【0013】
選択的に、第1セグメントは硬質管であり、第2セグメントの少なくとも一部はコルゲートホースである、および/または、
排水管の傾斜角度は5°以上である。
【0014】
選択的に、第1セグメントは少なくとも管貫通孔を通過する部分の径方向外周に軸方向に沿った位置決めリブが形成され、管貫通孔は径方向外周に位置決めリブと協働する位置決め溝が形成され、位置決めリブと位置決め溝の協働によって第1セグメントを制限する。
【0015】
選択的に、第1固定面に形成された管貫通孔の開口は第1固定面の中央部に位置し、第1固定面は開口の周囲にそれぞれ放熱コンパートメントの前壁に当接した領域を有する。
【0016】
選択的に、放熱コンパートメントの前壁は水管固定部材に対応する領域に凸部が形成され、且つ、水管固定部材は凸部の裏側の凹部内に埋め込まれる。
【0017】
選択的に、上記冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫は、
放熱コンパートメントの横方向中間部に設けられたブロアアセンブリであって、放熱コンパートメントを庫体の横方向に沿って第1放熱空洞と第2放熱空洞に分割し、ブロアアセンブリの第1放熱空洞に面する側に放熱ファンが取り付けられ、ブロアアセンブリの第2放熱空洞に面する側に凝縮器が配置されたブロアアセンブリと、
第1放熱空洞内に取り付けられた圧縮機と、をさらに備え、蒸発皿は第2放熱空洞内に取り付けられる。
【0018】
上記の説明に基づいて、当業者が理解するように、本発明に記載の技術的解決策では、蒸発皿は放熱コンパートメント内に配置され、排水管は冷凍室の底部から前から後へ下方に傾斜しており、放熱コンパートメントの前壁を通過した後さらに蒸発皿まで延び、排水管は放熱コンパートメントの前壁の平面と鋭角をなし、水管固定部材の第1固定面が放熱コンパートメントの前壁に当接し、水管固定部材を介して排水管を固定する。第1固定面により発泡オーバーフローを回避し、接続信頼性を向上させる。
【0019】
さらに、本発明の解決策では、水管固定部材の第1固定面から離れた側に第2固定面が形成され、第2固定面は排水管の軸方向に対して垂直であり、第2固定面に形成された管貫通孔の開口形状は排水管断面と一致しており、固定ナットまたは他の固定部材が全体として第2固定面に当接しており、接続信頼性を向上させ、操作が便利である。
【0020】
またさらに、本発明の解決策では、放熱コンパートメントの前壁、水管固定部材などの構造を改善することにより、排水管の固定信頼性を向上させ、排水による故障を減少させる。
【0021】
以下、添付図面と併せて本発明の具体的な実施例を詳細に説明し、本発明の上記およびその他の目的、利点および特徴は当業者にとってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、添付図面を参照して本発明の一部の実施例を説明する。同一符号は異なる添付図面において同じまたは類似の部材または部分を示し、本発明の添付図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことは当業者にとって理解されるべきである。
【0023】
【
図1】本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫の底部局所構造の後面上方軸方向側面図である。
【
図2】
図2中の底部局所構造のA-A方向に沿った断面図である。
【
図3】
図1に示す底部局所構造の後面上方軸方向側面図である。
【
図4】
図3に示す底部局所構造のB-B方向に沿った断面図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫の放熱コンパートメント内の主要部材分布の概略図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫のブロアアセンブリと放熱ファン、凝縮器の組立構造の構造分解図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫の蒸発皿の構造図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫の排水管と放熱コンパートメントの前壁の協働構造図である。
【
図9】
図8に示す協働構造のC-C方向に沿った断面図である。
【
図10】
図9に示す協働構造の領域Dでの局所拡大図である。
【
図11】本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫中の排水管と水管固定部材の協働構造のある角度の概略図である。
【
図13】本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫中の排水管と水管固定部材の協働構造の別の角度の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下で説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、本発明のすべての実施例ではなく、一部の実施例は本発明の技術的原理を解釈するために使用され、本発明の保護範囲を限定するものではないことを、当業者は理解すべきである。本発明によって提供される実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をすることなく得られた他の実施例は、すべて本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0025】
なお、本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「頂部」「底部」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語で指示された方向または位置関係は、添付図面に示す方向または位置関係に基づくものであり、説明の便宜のために使用され、前記装置またはデバイスが必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作される必要があることを指示または暗示するものではないため、本発明の限定として理解されない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は説明の目的でのみ使用され、相対的な重要性を指示または暗示するものではない。
【0026】
また、本発明の説明において、特に明確に規定および限定しない限り、「取付」、「連結」、「接続」などの用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、固定してもよく、着脱可能に接続してもよく、または一体形成してもよいし、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、直接に連結してもよく、中間媒体を介して間接的に連結してもよく、2つのデバイスの内部連通であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解すればよい。
【0027】
図1は、本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫の下部に傾斜排水管が設けられた冷蔵庫の底部局所構造の後面上方軸方向側面図であり、
図2は、
図2中の底部局所構造のA-A方向に沿った断面図であり、
図3は
図1に示す底部局所構造の後面上方軸方向側面図であり、
図4は
図3に示す底部局所構造のB-B方向に沿った断面図である。
【0028】
図1~
図4に示すように、本発明のいくつかの実施例では、冷蔵庫は主に庫体1、圧縮機2、ブロアアセンブリ3、蒸発皿4および蒸発器5を備える。
【0029】
庫体1には、収納室11、放熱コンパートメント12および冷凍室13が画定されている。ここで、収納室11は図に示す2つに限定されず、必要に応じて他の数、例えば1つまたは複数であってもよい。収納室11が1つである場合、収納室11は冷凍室、温度可変室または冷蔵室であってもよい。収納室11が2つまたは2つ以上である場合、複数の収納室11は冷凍室、温度可変室および冷蔵室中の少なくとも1つまたは複数を含んでもよい。本発明の技術的解決策を具体的に実施する際に、当業者は必要に応じて収納室11の数およびその機能を設定すればよい。
【0030】
庫体1の底部後方に放熱コンパートメント12が配置されている。いくつかの実施例では、収納室11の底部に蒸発器を配置するための冷凍室13が設けられている。すなわち、冷凍室13は放熱コンパートメント12の前方かつ上方に設けられ、庫体1は冷凍室13の下部後方に放熱コンパートメント12が形成されることにより、蒸発器底部搭載型冷蔵庫を実現することができる。冷凍室13はインナーライナーの底部領域を占め、収納室11を高くし、ユーザが収納室11にアクセスして物品を操作する際の屈伸程度を軽減し、ユーザの使用体験を向上させる。蒸発器5は冷凍室13内に取り付けられ、収納室11内に冷気を供給するために使用される。
【0031】
空間を分割するために放熱コンパートメント12はブロアアセンブリ3によって第1放熱空洞121と第2放熱空洞122に分割されて、それぞれ異なる部材が配置されている。
【0032】
図5は、本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫の放熱コンパートメント12内の主要部材分布の概略図であり、放熱コンパートメント12内には冷蔵庫の横方向に沿って左から右へ、順次、圧縮機2、ブロアアセンブリ3および蒸発皿4が配置されている。
【0033】
ブロアアセンブリ3は放熱コンパートメント12の横方向中間部に配置され、放熱コンパートメント12は庫体1の横方向に沿って第1放熱空洞121と第2放熱空洞122に分割され、ブロアアセンブリ3の第1放熱空洞121に面する側にファン固定構造が設けられ、ブロアアセンブリ3の第2放熱空洞122に面する側に凝縮器固定構造が設けられている。圧縮機2と蒸発皿4はそれぞれ第1放熱空洞121と第2放熱空洞122内に配置されている。
【0034】
圧縮機2は第1放熱空洞内121に位置し、冷凍管路(図示せず)を介して凝縮器(
図5ではブロアアセンブリ3によって遮断され、図示しない)に接続されている。
【0035】
蒸発皿4は放熱コンパートメント12内に配置されている。具体的に、蒸発皿4は、第2放熱空洞122内に取り付けられ、冷凍室13に接続された排水管41から排出された水を受けるために使用される。排水管41は冷凍室13の底部から放熱コンパートメント12まで延びている。すなわち、排水管41の上端は冷凍室13の底部と連通し、排水管41の下端は蒸発皿4まで延びている。排水管41は冷蔵庫の解凍水を蒸発皿4内に排出し、蒸発皿4によって水を環境空気に蒸発させるために使用される。
【0036】
排水管41は、冷凍室13の底部から前から後へ下方に傾斜するように配置され、放熱コンパートメント12の前壁53を通過した後さらに蒸発皿4まで延び、冷凍室13内の霜水を蒸発皿4に排出する。
【0037】
放熱コンパートメント12の底板には、第1放熱空洞121と第2放熱空洞122の前部にそれぞれ放熱空気入口321および放熱空気出口322が設けられている。冷蔵庫下部の環境空気が放熱空気入口321から放熱コンパートメント12に入り、最初に圧縮機2と熱交換した後、放熱ファンおよび凝縮器を通過した後、蒸発皿4内の水の蒸発を促進し、次に放熱空気出口322から冷蔵庫下方に排出される。放熱気流がスムーズになり、各部材の放熱効率が向上する。冷蔵庫の底板の下面に放熱空気入口321と放熱空気出口322を仕切るための仕切り部材がさらに設けられ、排出された放熱後の空気が再度吸い込まれることを回避する。
【0038】
放熱コンパートメント12の底板は圧縮機支持板とも呼ばれ、その左右両側にそれぞれ第1ローラ51と第2ローラ52が配置されている。すなわち、放熱コンパートメント12の底板には圧縮機2を挟んでブロアアセンブリ3とは反対側に第1ローラ51が配置され、放熱コンパートメント12の底板には蒸発皿4を挟んでブロアアセンブリ3とは反対側に第2ローラ52が配置されている。第1ローラ51と第2ローラ52は冷蔵庫を移動させる際に転がせるために使用される。
【0039】
図6は、本発明のいくつかの実施例の冷蔵庫のブロアアセンブリ3と放熱ファン32、凝縮器31の組立構造中の構造分解図である。ブロアアセンブリ3と放熱ファン32、凝縮器31は予め組み立てられた一体物を形成し、放熱気流を通過させるためのブロア構造を形成することで、気流が全体的に凝縮器31を流れるようになり、放熱効率を向上させると同時に、構造がよりコンパクトになり、組立工程が簡略化される。
【0040】
ブロアアセンブリ3は放熱コンパートメント12の横方向中間部に配置され、放熱コンパートメント12は庫体1の横方向に沿って第1放熱空洞121と第2放熱空洞122に分割されている。ブロアアセンブリ3の第1放熱空洞121に面する側にファン固定構造が設けられ、ブロアアセンブリ3の第2放熱空洞122に面する側に凝縮器固定構造が設けられている。すなわちファン固定構造は圧縮機2の側に面し、凝縮器固定構造は蒸発皿4の側に面する。ブロアアセンブリ3は前後方向に沿って配置されている。ファン固定構造と凝縮器固定構造はそれぞれ係合構造であってもよく、それぞれ放熱ファン32のハウジングおよび凝縮器31に係合されている。
【0041】
放熱ファン32はファン固定構造に取り付けられ、庫体外部から入り第1放熱空洞121と第2放熱空洞122を通過した後庫体から排出される放熱気流の形成を促進するために使用される。凝縮器31は凝縮器固定構造に取り付けられ、放熱気流によって冷却される。気流が順次圧縮機2、凝縮器31および蒸発皿4を通過して、各部材を順次放熱させ、放熱効率が向上する。
【0042】
ブロアアセンブリ3は両側にそれぞれファン固定構造と凝縮器固定構造が設けられ、放熱ファン32および凝縮器31を組み立て、一体型ブロア構造を形成し、放熱ファン32と凝縮器31の占用空間がより小さくなる。放熱コンパートメント内の部材の配置構造がよりコンパクトになり、圧縮機2および蒸発皿4により大きな配置空間を提供し、放熱効率の向上に有利である。先行技術において凝縮器を蒸発皿4の上方に設ける解決策と比較すると、本実施例の構造は、放熱コンパートメント12の高さ方向のサイズを縮小する。
【0043】
ブロアアセンブリ3はブラケット本体33と風防34から構成される。ブラケット本体33は角筒形状であり、庫体1の横方向に沿って、すなわち左右方向に沿って延びている。ブラケット本体の筒形は、放熱気流の通過に利用される。風防34はブラケット本体33の前端から延びており、第1放熱空洞121と第2放熱空洞122の前部領域を封鎖し、放熱気流の還流を回避し、気流がブラケット本体33の筒部のみを通過して吹き出されるようになっている。
【0044】
凝縮器31としては好ましくはマイクロチャンネル凝縮器を使用することができ、凝縮器31の占用空間を節約し、ブラケット本体33との嵌合を容易にする。マイクロチャンネル凝縮器のマイクロチャンネル間の隙間の方向は放熱気流の方向と一致しているため、放熱気流はすべて凝縮器31を通過する必要があり、熱交換効率が向上する。
【0045】
組立時、まず凝縮器31、放熱ファン32とブロアアセンブリ3を予め組み立て、一体型組立済アセンブリを形成し、その後全体を庫体1内に取り付けることができる。
【0046】
図7は、本発明のいくつかの実施例の冷蔵庫中の蒸発皿4の構造図である。蒸発皿4は放熱コンパートメント12内に配置され、蒸発皿4は冷蔵庫の横幅に沿って複数の接続管部42が設けられている。複数の接続管部42のそれぞれは幅の異なる庫体1の排水管41の位置に適合されている。複数の接続管部42中の排水管41の位置に対向する1つの接続管部を利用して排水管41に接続され、蒸発皿4が排水管41から排出された水を受ける。
【0047】
蒸発皿4には複数の接続管部42の前部に挿入防止バッフル43が設けられている。挿入防止バッフル43には複数の接続管部42と1対1で対応する制限スロット431が設けられている。制限スロット431は排水管41を固定するために使用され、排水管41の揺れを防止する一方、排水管41の支持強度を増加させる。
【0048】
図7に示す接続管部42は2つであり、幅寸法の異なる2つの庫体に適合している。具体的に実施する際に、当業者は必要に応じて接続管部42の数を設定し、接続管部42を介して異なる寸法の庫体に適合させることができる。
【0049】
放熱コンパートメント12の底板における排水管41の投影は庫体1の前後方向に沿った直線であり、排水管41は前から後へ下方に傾斜しており、重力により水を蒸発皿4に排出させる。庫体1に対する排水管41の位置は冷凍室13の構造および冷凍室13の排水口の位置に応じて決定される。排水を容易にするために、排水管41を可能な限り短縮させ、庫体1の横方向中心位置に近接させることができる。排水管41の円滑な排水のために、排水管41の排水角度は5°以上の傾斜角度であってもよい。
【0050】
上記冷凍室13と放熱コンパートメント12の相対位置により、空間を節約するために、放熱コンパートメント12の前壁53は前記庫体底板の中央部から前から後へ上方に傾斜して延び、排水管41は前から後へ下方に傾斜しており、排水管41は放熱コンパートメント12の前壁53の平面との挟角が小さいため、固定に不利である。この問題を解決するために、本実施例では水管固定部材44を追加する。
【0051】
図8は、本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫中排水管41と放熱コンパートメント12の前壁53の協働構造図であり、
図9は、
図8に示す協働構造のC-C方向に沿った断面図であり、
図10は、
図9に示す協働構造の領域Dでの局所拡大図であり、
図11は、本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫中の排水管41と水管固定部材44の協働構造のある角度の概略図であり、
図12は、
図11中の水管固定部材44の概略図であり、
図13は、本発明のいくつかの実施例による冷蔵庫中の排水管41と水管固定部材44の協働構造の別の角度の概略図であり、
図14は、
図13中の水管固定部材44の概略図である。
図11~13では、放熱コンパートメント12の前壁53が省略される。
【0052】
放熱コンパートメント12の前壁53は底部鋼板とも呼ばれ、冷凍収納コンパートメント12の閉鎖により、放熱コンパートメント12の前壁53と冷凍室13のキャビティ壁との間に発泡空間が形成され、この空間に発泡材を充填することによって断熱層が形成される。固定が確実でないと、排水管41は放熱コンパートメント12の前壁53を通過する位置において、発泡材を充填するとき放熱コンパートメント12に発泡材がオーバーフローするという問題が生じやすい。
【0053】
水管固定部材44は排水管41が前壁53を通過する位置に配置されている。水管固定部材44は排水管41を固定するために使用され、水管固定部材44は第1固定面441を有し、第1固定面441は放熱コンパートメント12の前壁53に当接している。第1固定面441は水管固定部材44の前面であってもよく、全体として前壁53に密着して面接触を形成し、鋭角を設けることにより接触不良の問題を回避することができる。
【0054】
放熱コンパートメント12の前壁53の排水管41が通過する位置に前壁貫通孔が設けられている。前壁貫通孔の形状は排水管41の放熱コンパートメント12の前壁53の平面での断面形状と一致している。例えば、円管状の排水管41の場合、前壁貫通孔の形状は楕円形である。前壁貫通孔の形状は排水管41の断面形状と一致しており、排水管41と前壁53の間の間隙を減少させる。
【0055】
水管固定部材44は排水管41が通過する管貫通孔443を有し、第1固定面441に形成された管貫通孔443の開口形状は前壁貫通孔の形状と一致している。すなわち、前壁貫通孔の形状が楕円形である場合、第1固定面441に形成された管貫通孔443の開口形状は同様に楕円形である。
【0056】
水管固定部材44の第1固定面441から離れた側に第2固定面442が形成されている。第2固定面442は排水管41の軸方向に対して垂直であり、第2固定面442に形成された管貫通孔443の開口形状は排水管41の断面と一致している。排水管41が第2固定面442を垂直に通過するように、第2固定面442は排水管41の軸方向に対して垂直であり、これにより、排水管41の固定機構が水管固定部材44の第2固定面442に面接触することができ、接触不良の問題が回避される。例えば、円管状の排水管41の場合、第2固定面442に形成された管貫通孔443の開口形状は同様に円形である。
【0057】
排水管41は、第1セグメント411および第2セグメント412を含む。第1セグメント411の第1端は冷凍室12の底部に接続され、第1セグメント411の第2端は管貫通孔443を通過して外周縁に接続管構造が形成されている。第1セグメント411の第1端にはパレット(支持板)413が形成されている。パレット413の形状は冷凍室12の底部形状と同じであり、冷凍室12の底壁に当接している。発泡プロセス中に、冷凍室12に発泡材がオーバーフローして排水口が詰まることを回避することができる。
【0058】
第2セグメント412は第1セグメント411の第2端に接続され、蒸発皿4まで延びている。第1セグメント411は、発泡材によって押圧されないように硬質管であり、第2セグメント412の少なくとも一部は、長さおよび位置を調整するための一定の余裕を持たせるために、コルゲートホースである。
【0059】
接続管構造はねじ構造であってもよい。冷蔵庫には、固定ナット45が対応して設けられ、固定ナット45はねじ構造に着脱可能に接続され、固定ナット45の端部を第2固定面442に当接させて、排水管41および水管固定部材44を固定するために使用される。
【0060】
水管固定部材44は固定ナット45の固定面を改善し、固定ナット45は自由にねじ込むことができ、操作性と信頼性が高い。
【0061】
第1セグメント411には、少なくとも管貫通孔443を通過する部分に、径方向外周に軸方向に沿った位置決めリブ(図示せず)が形成され、管貫通孔443は径方向外周に位置決めリブと協働する位置決め溝444が形成され、位置決めリブと位置決め溝444の協働により第1セグメントを制限し、排水管41の回転を回避する。
【0062】
第1固定面441に形成された管貫通孔443の開口は、第1固定面441の中央部に位置し、第1固定面441は開口の周囲にそれぞれ放熱コンパートメント12の前壁53に当接する領域を有し、排水管41の隙間を閉鎖し、オーバーフローを回避する。
【0063】
放熱コンパートメント12の前壁53には、水管固定部材44の対応領域に凸部が形成されている。凸部は冷凍室13の方向にわずかに突出し、排水管41でのオーバーフローをさらに回避する。水管固定部材44は凸部の裏側の凹部に埋め込まれ、水管固定部材44の取付を容易にすることができる。
【0064】
ここまで、上述した複数の実施例と併せて本発明の技術的解決策を説明したが、当業者は理解されるように、本発明の保護範囲はこれらの具体的な実施例に限定されない。本発明の技術的原理から逸脱しない限り、当業者は上記各実施例中の技術的解決策を分解して組み合わせることができるし、関連技術的特徴に対して等価変更や置換を行うことができ、本発明の技術的思想および/または技術的原理内でなされた任意の変更、等価置換、改良は、すべて本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】