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特表2024-535584バッテリの周波数応答を操作する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】バッテリの周波数応答を操作する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240920BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J7/34 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522022
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 GB2022052608
(87)【国際公開番号】W WO2023062376
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】2114660.0
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524122819
【氏名又は名称】クラーケン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】メッサー ネイサン
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA04
(57)【要約】
本開示は、電力網に周波数応答を提供するためのバッテリの運用方法に関するコンピュータ実装方法に関連する。バッテリは、電気エネルギーを格納するように構成された複数の容器を含み、所与の容器に対して、以下の手順を含む方法を提供する。すなわち、複数の容器でシステムの目標応答を複数の容器で割ることによって容器の目標応答を決定する。バッテリ容量を複数の容器で割ることによって容器容量を決定する。複数の容器全体の平均充電量と所与の容器の充電量との間の充電状態オフセットを決定する。容器容量を充電状態オフセットで乗算することによって応答調整を決定する。そして、容器の目標応答を応答調整で調整して所与の容器の応答を決定する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力網に周波数応答を提供するバッテリを動作させる、コンピュータにより実施される方法であって、前記バッテリは、それぞれが電気エネルギーを蓄えるように構成された複数のコンテナを備え、所定のコンテナに関して、
システムの目標応答を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの目標応答を求めることと、
バッテリの容量を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの容量を求めることと、
前記複数のコンテナの平均的な充電状態と前記所定のコンテナの充電状態との間の充電状態オフセットを求めることと、
前記コンテナの容量に前記充電状態オフセットを乗算することによって、応答調整を求めることと、
前記コンテナの目標応答を前記応答調整で調整することによって、前記所定のコンテナの応答を求めることと、
を含む方法。
【請求項2】
応答調整を求めることが、係数Kを乗算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記係数Kを、前記バッテリのパラメータによって求める、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のコンテナの前記応答が上限値より大きい、または下限値より小さい場合、得られる前記所定のコンテナの応答が前記上限値と前記下限値の範囲内になるまで、前記係数Kを調整する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記上限値が、前記所定のコンテナが完全に充電された状態に対応し、および/または前記下限値が、前記所定のコンテナが完全に放電された状態に対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所定のコンテナの前記応答が、前記所定のコンテナが充電または放電される速度を含み、前記応答の負の値が充電に対応し、前記応答の正の値が放電に対応する、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のコンテナの充電状態範囲を所定の閾値と最初に比較することをさらに含み、前記複数のコンテナの前記充電状態範囲を、前記複数のコンテナの中で最も高い充電状態と最も低い充電状態との差によって求める、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のコンテナの前記充電状態範囲が前記所定の閾値より低いと判定すると、前記複数のすべてのコンテナの応答を同じになるように設定する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のコンテナの前記充電状態範囲が前記所定の閾値より高いと判定すると、前記複数のそれぞれのコンテナの応答を前記方法を用いて設定する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記所定のコンテナの前記充電状態を、所定の期間にわたって所定の時間間隔で測定された前記所定のコンテナの複数の瞬時充電状態値を平均することによって求める、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のうちの一つ以上のコンテナが故障したときに、前記所定のコンテナの前記応答をスケーリングする障害処理戦略を実施することをさらに含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記障害処理戦略が、機能しているコンテナの数に比例して、前記システムの目標応答を下方調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コンテナの予想数を設定することと、前記複数のコンテナが前記コンテナの予想数より少ないと判定すると、前記複数のコンテナに比例して、前記システムの目標応答を下方調整することとをさらに含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに前記いずれかの請求項に記載の方法を実行させる、機械可読コードを備えるコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
周波数応答を提供するバッテリを動作させる制御デバイスであって、
少なくとも一つのプロセッサと、
前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されるとき、前記デバイスに、
システムの目標応答を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの目標応答を求めさせ、
バッテリの容量を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの容量を求めさせ、
前記複数のコンテナの平均的な充電状態と前記所定のコンテナの充電状態との間の充電状態オフセットを求めさせ、
前記コンテナの容量に前記充電状態オフセットを乗算することによって、応答調整を求めさせ、
前記コンテナの目標応答を前記応答調整で調整することによって、前記所定のコンテナの応答を求めさせるソフトウェア命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体と、
を備える制御デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリの運用に関するものである。具体的には、本開示はバッテリによる電力網への周波数応答の提供に関連する。
【背景技術】
【0002】
風力および太陽光の形での再生可能エネルギー源(RESs)の利用が増加する傾向により、電力網は断続的な出力を持つ可変出力の再生可能エネルギー源を管理する必要がますます高まっている。エネルギー貯蔵システム(ESSs)は、電力網にリンクされたRESsと統合されることがあり、再生可能エネルギー発電の不確実性と出力の変動性を管理し、安全なグリッド運用を維持し、需要と供給をバランスさせるために増加する予備の要求を満たすために使用されることがある。ESSsは、RESsとは独立して使用することもできる。ESSsは、過剰に生成されたエネルギーを貯蔵し、その後、最適でない発電条件やピークエネルギー需要時に利用可能にする重要な役割を果たす。エネルギー貯蔵技術と電力エレクトロニクスの向上は、こうした電力市場の変化と相まって、費用対効果の高いエネルギー資源としてESSsへの依存度を高めている。ESSsの中でも、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)は、急速なアクティブ電力応答を提供し、RESsと需要の使用によって生成される変動を補償するのに適しているため、グリッド規模のアプリケーションに最も適した候補の一つである。
【0003】
システム周波数を公称周波数(たとえば、英国の場合は50Hz)に近づけるためのエネルギーの需要と生成のバランスを維持することは、電力システムの運用と制御における重要な問題である。再生可能エネルギー発電の性質は、発電側での電力の変動を引き起こしたり、システムの慣性を減少させたりする可能性があり、これは周波数安定性の問題に寄与する可能性がある。
【0004】
一般的に、システムオペレーターに周波数応答サービスを提供するバッテリは、複数の容器からなる。バッテリにサービスを提供するよう指示されると、一般的には、一連の容器の各容器の充電状態(SoC)を表すジェネリックなバッテリ充電状態がそれぞれの容器の充電状態を表すものとして想定される。その結果、バッテリが電力をインポート(充電)またはエクスポート(放電)する必要がある場合、複数の容器からの電力をインポートまたはエクスポートする要求は、個々の容器の間で区別されない。
【0005】
バッテリの異なる容器は、たとえばいくつかのコンポーネントの微小な故障や非効率性によって、異なる方向に発散することがある(例:インバーターまたはバッテリーセル)。したがって、従来のアプローチには、バッテリの複数の容器の充電状態を共通の充電状態に収束させるメカニズムが欠けている。これにより、複数の容器のうちの1つまたはいくつかが上限または下限に達し、電力のインポートまたはエクスポートが停止する可能性があるが、バッテリの充電状態(すなわち、すべての容器の平均)は上限を下回るか下限を上回るかのどちらかであるため、1つまたは複数の容器が応答しないエラーが発生する。さらに、1つの容器の故障を全体のバッテリの故障として解釈する監視ロジックが構成されている場合(一部のサービスには必要である)、これにより、一部の容器が運用限界内にある場合でもバッテリの「停止」が発生する。このような停止は望ましくないものであり、システムの他の要素に追加の負担をかける可能性があり、サービス提供者にサービスの提供がない場合のペナルティが発生する可能性がある。さらに、頻繁な停止はサービスが予測不可能で信頼性に欠けるものになる可能性がある。これにより、バッテリがサービスを提供する資格がなくなる可能性がある。
【0006】
したがって、電力網への周波数応答の提供のためのバッテリの運用の改善された方法を提供することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下に、図面を参照して発明の実施形態を説明する。
【0008】
図1図1は、一実施形態に従ってバッテリを周波数応答のために運用するための例示的な方法を示す。
図2図2は、システムの目標応答を決定するための例示的な方法を示す。
図3図3は、容器の充電状態を決定するための例示的な方法を示す。
【発明の詳細な説明】
【0009】
図1に示されるように、本技術は、電力網への周波数応答を提供するためにバッテリを運用するコンピュータ実装方法を提供する。ここで、バッテリは電気エネルギーを格納するために構成された複数の容器を含んでいる。この方法は、所定の容器に対して以下の手順を含む:
【0010】
S101において、システムの目標応答を複数の容器で除算することによって容器の目標応答を決定する。
【0011】
S102において、バッテリ容量を複数の容器で除算することによって容器容量を決定する。
【0012】
S103において、複数の容器全体の平均充電状態と、所定の容器の充電状態との間の充電状態オフセットを決定する。
【0013】
S104において、容器容量を充電状態オフセットで乗算することによって応答調整を決定する。
【0014】
S105において、容器の目標応答を応答調整で調整することによって所定の容器の応答を決定する。
【0015】
本技術において記述された技術により、複数の容器を持つバッテリが、個々の容器の状態に基づいて効率的に運用され、バッテリの各容器の現在の状態に基づいて応答を調整することにより、電力網に対して効果的な周波数応答サービスを提供することが可能になる。このように、本技術によってバッテリが効果的に運用され、バッテリ全体の停止の可能性が低減される。
【0016】
一部の実施形態では、応答調整を決定する際に、S106において、係数Kによる乗算がさらに行われてもよい。
【0017】
一部の実施形態では、係数Kはバッテリのパラメータによって決定されてもよい。
【0018】
一部の実施形態では、所定の容器の応答が上限または下限を超える場合、所定の容器の応答が上限と下限の間に収まるように、係数Kが調整されてもよい
【0019】
一部の実施形態では、上限は所定の容器が完全に充電されている状態に対応し、かつ/または、下限は所定の容器が完全に放電されている状態に対応してもよい。
【0020】
一部の実施形態では、所定の容器の応答は、所定の容器が充電または放電される速度を含んでもよく、応答の負の値は充電に、正の値は放電に対応してもよい。
【0021】
一部の実施形態では、方法はさらに、複数の容器の充電状態範囲を所定の閾値と比較する工程を含んでもよく、複数の容器の充電状態範囲は、複数の容器の中で最も高い充電状態と最も低い充電状態の差によって決定されてもよい。
【0022】
一部の実施形態では、複数のコンテナの充電状態範囲が所定の閾値以下であると判定されると、複数のコンテナの内全てのコンテナに対する応答が同じになるように設定されてもよい。
【0023】
一部の実施形態では、複数のコンテナの充電状態範囲が所定の閾値以上であると判定されると、複数のコンテナの内全てのコンテナに対する応答が前記方法を用いて設定されてもよい。
【0024】
一部の実施形態では、所定の容器の充電状態は、所定の時間間隔で測定された所定の容器の複数の瞬時充電状態値を所定の期間にわたって平均することによって決定されてもよい。
【0025】
一部の実施形態では、方法はさらに、1つまたは複数の容器が機能しない場合に、所定の容器の応答をスケーリングするための停止処理戦略を実装する工程を含んでもよい。
【0026】
一部の実施形態では、停止処理戦略は、機能する容器の数に比例してシステムの目標応答を下方調整することを含んでもよい。
【0027】
一部の実施形態では、方法はさらに、予想される容器数を設定し、複数の容器が予想される容器数を下回ることが判明した場合、複数の容器に比例してシステムの目標応答を下方調整する工程を含んでもよい。
【0028】
本技術のさらなる側面は、プロセッサによって実行されると、プロセッサが上記で説明された方法を実行する原因となる、機械可読なコードを含むコンピュータ読み取り可能な媒体を提供することを提供する。
【0029】
本技術のさらなる側面は、周波数応答を提供するためのバッテリを操作するための制御装置を提供し、制御装置は、少なくとも1つのプロセッサと、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されるソフトウェア命令が格納されている非移動性のコンピュータ読み取り可能な媒体を備える。当該ソフトウェア命令は、複数の容器でバッテリ容量を除算し、所定の容器の充電状態と複数の容器全体の平均充電状態との間の充電状態オフセットを決定し、充電状態オフセットを容器容量で乗算して応答調整を決定し、応答調整で容器の目標応答を調整することによって、所定の容器の応答を決定する。
【0030】
本技術の実施態様は、それぞれ上述の目的および/または態様の少なくとも1つを有するが、必ずしもその全てを有するわけではない。 上述した目的を達成しようとした結果生じた本技術のいくつかの態様は、この目的を満足しない場合があり、および/または、本明細書に具体的に記載されていない他の目的を満足する場合があることを理解されたい。
【0031】
以下の記述、付随する図面、および添付の特許請求の範囲から、本技術の実施形態の追加および/または代替の特徴、側面、利点が明らかになる。
【0032】
一般に、本技術の実施形態は、複数のコンテナを備えたバッテリが、電力網のために充電し周波数応答を提供するためにどのように動作するかを決定する方法を提供する。この方法は以下のように要約される。
【数1】
ここで、socは充電状態を示し、Kはバッテリを特徴付けるパラメータによって定義され、必要に応じて調整可能な値である。本方法の一実施形態が図1に示されている。
【0033】
Kが0に等しい場合、補正が必要ないことに注意する必要がある。「応答」は、バッテリの特定の容器が充電または放電される速度を指す。一部の実施形態では、「応答」は、バッテリの特定の容器が充電または放電される量を指す場合もある。「応答」が負の値の場合、特定の容器が充電されている。「応答」が正の値の場合、特定の容器が放電されている。
【0034】
したがって、現在の方法によれば、特定の容器の充電状態(たとえば、パーセンテージまたは分数として)がバッテリのすべての容器の平均充電状態よりも高い場合、特定の容器は充電量が少なくなるか、またはより多く放電されるように設定される。一方、特定の容器の充電状態がバッテリのすべての容器の平均充電状態よりも低い場合、特定の容器はより多く充電されるか、またはより少なく放電されるように設定される。
【0035】
一部の実施形態では、方法によって特定の容器の応答が決定され、その結果、特定の容器が上限を超えたり、下限を下回ったりする場合、係数Kを調整して、特定の容器が上限および下限の範囲内で動作するように応答の値を調整することができる。上限は、たとえば、特定の容器が完全に充電されている状態に対応してもよい。下限は、たとえば、特定の容器が完全に放電されている状態に対応してもよい。
【0036】
バッテリの各容器の充電状態が平均充電状態からわずかに逸脱し、現在の方法の適用による調整が重要でなくなる場合や、現在の方法の適用が非効率な場合など、現在の方法を適用しない方が好ましい場合がある。したがって、一部の実施形態では、所定の閾値「entryDeadbandSocRange」を設定できる。これにより、複数の容器の充電状態の範囲が所定の閾値「entryDeadbandSocRange」を下回る場合、バッテリの各容器の応答が同じに設定される。たとえば、システムの目標応答をバッテリ内の容器の数で除算したものが容器の目標応答となるように、所定の閾値「entryDeadbandSocRange」を設定することができる。複数の容器の充電状態の範囲が所定の閾値「entryDeadbandSocRange」を上回る場合、バッテリの各容器の応答は、現在の方法によって決定される応答に調整され得る。一部の実施形態では、複数の容器の充電状態の範囲に対する別の閾値「exitDeadbandSocRange」を設定されてもよく、それを超えると、所定の容器の応答が現在の方法によって決定される場合がある。ここで、複数の容器の充電状態の範囲(充電状態範囲)は、たとえば、複数の容器の中で最も高い充電状態と最も低い充電状態の差によって決定されることがある。
【0037】
一部の実施形態では、図2に示されているように特定の容器の充電状態として時間平均された充電状態が使用されてもよい。たとえば、、特定の容器の時間平均された充電状態は、S202における、所定の期間「deviceEnergySampleFrameSeconds」にわたる様々な時点または所定の時間間隔で、S201において測定された所定の容器の複数の瞬時充電状態値を平均することによって決定される場合がある。時間平均された充電状態を使用すると、調整の効果が平準化され、より長い時間間隔「deviceEnergySampleFrameSeconds」がより円滑な補正調整に対応する。
【0038】
現在の方法は、周波数応答サービスを提供するためにバッテリが動作する現在の状況を評価するように構成することができる。たとえば、グリッドに宣言された停止(1つ以上の容器が故障した場合など)を考慮することができる。一部の実施形態では、図3で示すように、バッテリまたはバッテリの個々の容器の応答を、機能する容器の数に基づいてスケーリングすることが望ましい場合がある。
【0039】
ある実施形態では、方法は、充電管理アクションに起因する停止中の1つまたは複数の容器を無視するように構成されていてもよい。たとえば、S301において、機能している容器の数が総容器数よりも少ないと判断された場合、S302において、システムの目標応答が縮小されてもよい。たとえば、縮小は、機能している容器の数に比例して行われる場合がある。たとえば、5つの容器のうち1つが停止中の場合、システムの目標応答が80%に縮小されてもよい。他の実施形態では、異なる比率や重みを使用して縮小を行うことがある。
【0040】
ある実施形態では、方法は、ローカルの取り下げ理由(またはその他の理由)によりサービスを提供できない1つまたは複数の容器を無視するように構成され得る。この場合、システムの目標応答はS302において、機能するまたは稼働する容器の数に比例して再び縮小されてもよい。
【0041】
一部の実施形態では、容器数の基準または容器数の予想が設定され、動作中の容器の数がこの予想される容器数よりも少ない場合、システムの目標応答はたとえば容器の数に比例して縮小されてもよい。
【0042】
本技術は、複数の容器を持つバッテリの個々の容器の状態に基づいて効率的に動作させることができ、他の容器に対するバッテリの状態に基づいて応答を調整することにより、電力網に適切な周波数応答を提供することができる。このような方法により、本技術は、バッテリを効率的に動作させ、バッテリ全体が停止する可能性を低減できる。
【0043】
当業者には理解されるように、本技術は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化することができる。したがって、本技術は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施形態をとることができる。
【0044】
さらに、本技術は、その上に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体であってもよいし、コンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体は、たとえば、電子式、磁気式、光学式、電磁式、赤外線式、または半導体式のシステム、装置、もしくはデバイス、またはこれらの任意の適切な組み合わせであってよいが、これらに限定されない。
【0045】
本技術の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語や従来の手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述することができる。
【0046】
たとえば、本技術の動作を実行するためのプログラムコードは、C言語などの従来のプログラミング言語(インタープリタ型またはコンパイル型)のソースコード、オブジェクトコード、または実行可能コードや、アセンブリコード、ASIC(特定のアプリケーション向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を設定または制御するためのコード、またはVerilogTM、VHDL高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語のコードで構成することができる。
【0047】
プログラムコードは、完全にユーザーのコンピュータ上で実行されてもよいし、一部はユーザーのコンピュータ上で実行され、一部はリモートコンピュータ上で実行されてもよいし、完全にリモートコンピュータまたはサーバー上で実行されてもよい。後者の場合では、リモートコンピュータは、あらゆるタイプのネットワークを介してユーザーのコンピュータに接続される可能性がある。 コードコンポーネントは、手順、方法などとして具現化することができ、ネイティブ命令セットの直接的な機械命令から高レベルのコンパイル済みまたは解釈された言語コンストラクトまで、抽象化レベルのいずれかの命令または命令シーケンスの形をとるサブコンポーネントから構成することができる。
【0048】
また、本技術の好ましい実施形態による論理的方法の全部または一部は、適宜その方法のステップを実行するための論理素子を含む論理装置において具現化されてもよく、そのような論理素子は、たとえば、プログラマブルロジックアレイまたは特定用途向け集積回路における論理ゲートなどの要素から構成されてもよいことは、当業者には明らかであろう。このような論理配置は、さらに、たとえば、仮想ハードウェア記述子言語を使用して、このようなアレイまたは回路内の論理構造を一時的または恒久的に確立するための有効化要素に具現化されてもよく、この要素は、固定または送信可能なキャリア媒体を使用して記憶および送信されてもよい。
【0049】
本明細書に記載した実施例および条件文は、読者が本技術の原理を理解するのを助けるためのものであり、その範囲を具体的に記載した実施例および条件に限定するものではない。当業者であれば、本明細書において明示的に記載または図示されていないものの、本技術の原理を具現化し、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内に含まれる様々な配置を考案し得ることが理解されよう。
【0050】
さらに、理解の一助として、上記の説明では、本技術の比較的単純化された実施態様を説明する場合がある。当業者であれば理解できるように、本技術の様々な実施態様は、より複雑なものであってもよい。
【0051】
場合によっては、本技術への有用な修正例が示される場合もある。これは理解を助けるためのものであり、本技術の範囲を限定したり、境界を定めたりするものではない。これらの修正は網羅的なリストではなく、当業者であれば、本技術の範囲内にとどまりながら、他の修正を行うことができる。また、修正の例が示されていない場合でも、修正が不可能であると解釈されるべきではない。および/または説明されている方法が本技術の要素を実装する唯一の方法であると解釈されるべきではない。
【0052】
さらに、本技術の原理、側面、および実施形態の具体例を説明するすべての記述は、現在公知であるか、将来開発されるかにかかわらず、その構造的および機能的同等物の両方を包含することを意図している。したがって、たとえば、本技術の原理を具現化するすべてのブロック図は、本技術の原理を具現化する例示的な回路の概念図を示すものであると当業者には理解されるだろう。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かに関わらず、コンピュータ可読媒体で表され、コンピュータまたはプロセッサによって実行されるプロセスを実質的に示すものであると理解されるだろう。
【0053】
「プロセッサ」とラベル付けされたブロック機能を含めた、図に示されている各要素の機能は、専用のハードウェア、およびソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用によっても提供することができる。プロセッサによって提供される場合、その機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、またはいくつかの個別プロセッサ(そのうちのいくつかは共有される可能性がある)によって提供される場合がある。さらに「プロセッサ」または「コントローラ」という用語を明示的に使用した場合でも、ソフトウェアを実行できるハードウェアにのみ言及するものと解釈されるべきではない。限定はされないが、暗黙的には、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、アプリケーション固有集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を含むことができる。他のハードウェア(従来のものおよび/またはカスタムのもの)も含まれる。
【0054】
ソフトウェアモジュール、または単にソフトウェアとして暗示されているモジュールは、プロセスステップの実行を示すフローチャート要素またはその他の要素の任意の組み合わせとして表現されてもよい。そのようなモジュールは、明示的または暗示的に示されているハードウェアによって実行されてもよい。
【0055】
当業者には、前記の例示的な実施形態に多くの改良や変更を加えることができることは明らかであり、本技術の範囲から逸脱することなく行うことができる。

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力網に周波数応答を提供するバッテリを動作させる、コンピュータにより実施される方法であって、前記バッテリは、それぞれが電気エネルギーを蓄えるように構成された複数のコンテナを備え、所定のコンテナに関して、
システムの目標応答を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの目標応答を求めることと、
バッテリの容量を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの容量を求めることと、
前記複数のコンテナの平均的な充電状態と前記所定のコンテナの充電状態との間の充電状態オフセットを求めることと、
前記コンテナの容量に前記充電状態オフセットを乗算することによって、応答調整を求めることと、
前記コンテナの目標応答を前記応答調整で調整することによって、前記所定のコンテナの応答を求めることと、
を含む方法。
【請求項2】
応答調整を求めることが、係数Kを乗算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記係数Kを、前記バッテリのパラメータによって求める、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のコンテナの前記応答が上限値より大きい、または下限値より小さい場合、得られる前記所定のコンテナの応答が前記上限値と前記下限値の範囲内になるまで、前記係数Kを調整する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記上限値が、前記所定のコンテナが完全に充電された状態に対応し、および/または前記下限値が、前記所定のコンテナが完全に放電された状態に対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所定のコンテナの前記応答が、前記所定のコンテナが充電または放電される速度を含み、前記応答の負の値が充電に対応し、前記応答の正の値が放電に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のコンテナの充電状態範囲を所定の閾値と最初に比較することをさらに含み、前記複数のコンテナの前記充電状態範囲を、前記複数のコンテナの中で最も高い充電状態と最も低い充電状態との差によって求める、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のコンテナの前記充電状態範囲が前記所定の閾値より低いと判定すると、前記複数のすべてのコンテナの応答を同じになるように設定する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のコンテナの前記充電状態範囲が前記所定の閾値より高いと判定すると、前記複数のそれぞれのコンテナの応答を前記方法を用いて設定する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記所定のコンテナの前記充電状態を、所定の期間にわたって所定の時間間隔で測定された前記所定のコンテナの複数の瞬時充電状態値を平均することによって求める、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のうちの一つ以上のコンテナが故障したときに、前記所定のコンテナの前記応答をスケーリングする障害処理戦略を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記障害処理戦略が、機能しているコンテナの数に比例して、前記システムの目標応答を下方調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コンテナの予想数を設定することと、前記複数のコンテナが前記コンテナの予想数より少ないと判定すると、前記複数のコンテナに比例して、前記システムの目標応答を下方調整することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに請求項1に記載の方法を実行させる、機械可読コードを備えるコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記応答調整が、係数Kを乗算することをさらに含み、前記所定のコンテナの前記応答が上限値より大きい、または下限値より小さい場合、得られる前記所定のコンテナの応答が前記上限値と前記下限値の範囲内になるまで、前記係数Kを調整する、請求項14に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記所定のコンテナの前記応答が、前記所定のコンテナが充電または放電される速度を含み、前記応答の負の値が充電に対応し、前記応答の正の値が放電に対応する、請求項14に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
周波数応答を提供するバッテリを動作させる制御デバイスであって、
少なくとも一つのプロセッサと、
前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されるとき、前記デバイスに、
システムの目標応答を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの目標応答を求めさせ、
バッテリの容量を前記複数のコンテナで除算することによって、コンテナの容量を求めさせ、
前記複数のコンテナの平均的な充電状態と前記所定のコンテナの充電状態との間の充電状態オフセットを求めさせ、
前記コンテナの容量に前記充電状態オフセットを乗算することによって、応答調整を求めさせ、
前記コンテナの目標応答を前記応答調整で調整することによって、前記所定のコンテナの応答を求めさせるソフトウェア命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体と、
を備える制御デバイス。
【請求項18】
前記応答調整が、係数Kを乗算することをさらに含み、前記所定のコンテナの前記応答が上限値より大きい、または下限値より小さい場合、得られる前記所定のコンテナの応答が前記上限値と前記下限値の範囲内になるまで、前記係数Kを調整する、請求項17に記載の制御デバイス。
【請求項19】
前記所定のコンテナの前記応答が、前記所定のコンテナが充電または放電される速度を含み、前記応答の負の値が充電に対応し、前記応答の正の値が放電に対応する、請求項17に記載の制御デバイス。
【請求項20】
前記ソフトウェア命令が、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されるとき、前記デバイスに、さらに、前記複数のコンテナの充電状態範囲を所定の閾値と最初に比較させ、前記複数のコンテナの前記充電状態範囲を、前記複数のコンテナの中で最も高い充電状態と最も低い充電状態との差によって求める、請求項17に記載の制御デバイス。
【国際調査報告】