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特表2024-535588静電容量ベースDC放電がん治療デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】静電容量ベースDC放電がん治療デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20240920BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20240920BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/36
A61N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522145
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 TR2022050854
(87)【国際公開番号】W WO2023069043
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2021/016189
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524136883
【氏名又は名称】レヴォテラ メディカル テクノロジラー アノニム シルケティ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ワルシト,プルウォ タルノ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB23
4C053BB34
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053LL07
4C053LL12
(57)【要約】
本発明は、標的領域(400)に存在するがん細胞(410)の転移を防止するためのがん治療デバイス(100)に関する。したがって、該がん治療デバイス(100)は、該標的領域(400)の付近に位置付けられている少なくとも1つの第1の容量性電極(110)と、該第1の容量性電極(110)の反対に位置付けられている第2の容量性電極(120)であって、標的領域(400)が第1の容量性電極(110)と第2の容量性電極(120)との間に位置付けられる、第2の容量性電極(120)と、該第1の容量性電極(110)と該第2の容量性電極(120)との間で可変電場の形成を提供するために、波形DC信号を第1の容量性電極(110)及び第2の容量性電極(120)に印加するための信号発生器(140)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的領域(400)に存在するがん細胞(410)の転移を防止するためのがん治療デバイス(100)であって、前記がん治療デバイス(100)は、前記標的領域(400)の付近に位置付けられている少なくとも1つの第1の容量性電極(110)と、前記第1の容量性電極(110)の反対に位置付けられている第2の容量性電極(120)であって、前記標的領域(400)が前記第1の容量性電極(110)と前記第2の容量性電極(120)との間に位置付けられる、第2の容量性電極(120)と、前記第1の容量性電極(110)と前記第2の容量性電極(120)との間で可変電場の形成を提供するために、波形DC信号を前記第1の容量性電極(110)及び前記第2の容量性電極(120)に印加するための信号発生器(140)と、を備える、治療デバイス(100)。
【請求項2】
前記第1の容量性電極(110)及び前記第2の容量性電極(120)は、既定距離に等しい誘電泳動ギャップ(360)が、前記標的領域(400)の外面と、前記第1の容量性電極(110)及び前記第2の容量性電極(120)との間に提供されるように位置付けられる、請求項1に記載のがん治療デバイス(100)。
【請求項3】
前記距離は少なくとも1mmである、請求項2に記載のがん治療デバイス(100)。
【請求項4】
前記信号発生器(140)は、方形波形を有する信号(140)を生成するように構成されている、請求項1に記載のがん治療デバイス(100)。
【請求項5】
前記信号発生器(140)は、50%デューティサイクルで信号(140)を生成するように構成されている、請求項4に記載のがん治療デバイス(100)。
【請求項6】
前記信号発生器(140)は、100kHz~3MHzで変化する周波数で信号(140)を生成するように構成されている、請求項5に記載のがん治療デバイス(100)。
【請求項7】
前記がん治療デバイス(100)は少なくとも1つの接地電極(130)を備え、前記少なくとも1つの接地電極(130)は、接地線端子と関連付けられ、前記第1の容量性電極(110)及び前記第2の容量性電極(120)によって形成された電場と実質的に平行に延在する前記標的領域(400)の付近に提供される、請求項1に記載のがん治療デバイス(100)。
【請求項8】
2つの接地電極(130)が提供され、前記標的領域(400)の2つの側面に相互に位置付けられている、請求項7に記載のがん治療デバイス(100)。
【請求項9】
がん治療デバイス(100)は、請求項1~8の請求項に従って提供されている、標的領域(400)に存在するがん細胞(410)の再発及び転移を治療及び防止するためのがん治療用衣服(200)。
【請求項10】
前記がん治療用衣服(200)は上半身用衣服(210)である、請求項9に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項11】
前記がん治療用衣服(200)は下半身用衣服(220)である、請求項9に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項12】
前記がん治療用衣服(200)はヘッドウェア(230)である、請求項9に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項13】
前記がん治療用衣服(200)はベストである、請求項10に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項14】
前記がん治療用衣服(200)は、前壁(201)と、前記前壁(201)の反対に位置付けられた後壁(202)と、相互に位置付けられ、前記後壁(202)及び前記前壁(201)を互いに結合する、側壁(203)とを備え、前記第1の容量性電極(110)は前記前壁(201)に提供され、前記第2の容量性電極(120)は前記後壁(202)に提供されている、請求項10または11に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項15】
接地電極(130)のそれぞれ1つが前記側壁(203)に提供されている、請求項13に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項16】
前記がん治療用衣服(200)は短い、請求項11に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項17】
誘電泳動ギャップ(360)を定義するために、前記がん治療用衣服(200)は、ユーザーの体から少なくとも1mmの距離があるように十分な寸法で提供されている、請求項9に記載のがん治療用衣服(200)。
【請求項18】
がん治療デバイス(100)は、請求項1~8の請求項に従って提供されている、標的領域(400)に存在するがん細胞(410)の再発及び転移を治療及び防止するためのがん治療ベッド(300)。
【請求項19】
前記がん治療ベッド(300)は、前記第1の容量性電極(110)が接続される少なくとも1つのベース電極(320)と、患者を横にして、前記ベース電極(320)と前記患者との間に誘電泳動ギャップ(360)を提供するためのベッド層(310)と、前記患者を覆うためのベッドカバー(330)と、を備え、前記ベッドカバー(330)の中間に縦方向に提供された中間部は、前記第2の容量性電極(120)に接続される、請求項18に記載のがん治療ベッド(300)。
【請求項20】
前記接地電極(130)は、前記中間部の2つのエッジ上のエッジ部に提供される、請求項19に記載のがん治療ベッド(300)。
【請求項21】
前記がん治療ベッド(300)は、中空であり開口上壁を有するベース部(350)と、誘電泳動ギャップ(360)が、前記ベース部(350)の前記ベース部と前記ベッド層(310)との間に存在しているままの状態であるように提供されたベッド(310)層と、前記ベッド層(310)を覆い、前記ベッド層(310)で横になる前記患者を覆うカバー(340)と、を備える、請求項18に記載のがん治療ベッド(300)。
【請求項22】
標的領域(400)に存在するがん細胞(410)の再発及び転移を治療及び防止するために、請求項1~8に記載のがん治療デバイス(100)、請求項9~18に記載のがん治療用衣服(200)、または請求項19~21に記載の治療ベッド(300)によって適用される方法であって、前記標的領域(400)を通過する可変電場は、前記標的領域(400)の付近にあり、前記標的領域(400)に対して少なくとも1mmの誘電泳動ギャップ(360)を有する少なくとも1つの第1の容量性電極(110)を用いて、かつ、前記第1の容量性電極(110)の反対にあり、前記標的領域(400)に対して少なくとも1mmの誘電泳動ギャップ(360)を有する第2の容量性電極(120)を用いて、信号発生器(140)によって形成され、その結果、前記標的領域(400)は、前記第1の容量性電極(110)と前記第2の容量性電極(120)との間に位置付けられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん細胞(良性腫瘍及び悪性腫瘍を含む)を治療して、個人の標的領域に存在するがん細胞の再発及び転移を防止するためのがん治療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
がん細胞は、正常細胞と比較すると、より高い電気(誘電体)構造を有し、したがって、がん細胞が外部電場を受けるとき、それは、正常細胞と比較すると、強力な電気分極に直面する。
【0003】
細胞分裂プロセスでは、がん細胞の1つの特徴として、制御不能に高い再生速度をもたらすことがあり、細胞の電気的特性は、細胞核で存在する微小管の活動と密接に関連付けられる細胞生物物理学プロセスの結果として、実質的に増加する。微小管は細胞分裂プロセスで重要な役割を果たす。最初に、同一の細胞核を2つ形成するために、微小管は、2つの細胞分裂極に向かって、複製された染色体(染色分体と名付けられる)を引き付ける。微小管は、より小さい化合物の重合プロセス(チューブリン二量体と名付けられる)によって形成されたマクロタンパク質化合物であり、その中心に細孔を有し、顕微鏡で見ると細胞核の繊維糸と同様の螺旋状管を構築する。電気極性が高いチューブリン二量体は、正負の静電気引力(ファンデルワールス結合と名付けられた)に基づいて、微小管ポリマーの構造を形成する。ファンデルワールス結合は電気結合が弱く、外部電場の影響に対して非常に敏感である。外部電場の存在は、チューブリン二量体の配向に影響を与え得、マイクロ管状ファイバーを形成するために重合プロセスを防止し得る。結果として、染色分体分離プロセスは、細胞分裂プロセス中に介在される可能性があり、したがって、細胞分裂プロセスが十分に機能しないため、自壊をもたらす。
【0004】
現在の技術では、皮膚に取り付けられた導電性電極によって発生したAC電場が、電極間に存在しているままの領域でがん細胞の成長を防止することが知られている。米国特許出願公開第2007/225766号明細書の出願番号が付された出願では、この技術が説明されている。そのようなシステムでは、導電性ゲルは体と接触するために使用され、これにより、患者に電流が曝されることがもたらされる。人体に損傷を与えることなく適用できる電流の量が制限されているため、治療の効率が減少する。電極のエリアが2つの電極間の距離よりも短いとき、フリンジング効果が発生し、これらのフリンジの強度ベクトル及び電場ベクトルは正確に制御できない。加えて、異なる人体器官に転移がある場合等、腫瘍が様々な位置にある場合、所望の強度が与えられない場合がある。
【0005】
結果として、前述の問題のために、関連技術分野で改善が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/225766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述の不利点をなくし、新しい利点を関連技術分野にもたらすためのがん治療デバイスに関する。
【0008】
本発明の目的は、電極を皮膚に直接接触させる必要なく、がん細胞の再発及び転移を防止しながら、がん細胞を治療することである。
【0009】
本発明の別の目的は、治療中、患者に自由な運動を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、現在の方法と比較して広範囲内で電場強度を調整でき、電界の偏差が低減するシステム及び方法を提供することである。
【発明を解決するための手段】
【0011】
前述の目的、及び下記の詳細な説明から推測される目的を実現するために、本発明は、がん細胞を治療して、標的領域に存在するがん細胞の再発及び転移を防止するためのがん治療デバイスに関する。したがって、該がん治療デバイスは、該標的領域の付近に位置付けられている少なくとも1つの第1の容量性電極と、該第1の容量性電極の反対に位置付けられている第2の容量性電極であって、標的領域が第1の容量性電極と第2の容量性電極との間に位置付けられる、第2の容量性電極と、該第1の容量性電極と該第2の容量性電極との間で可変電場の形成を提供するために、波形DC信号を第1の容量性電極及び第2の容量性電極に印加するための信号発生器と、を備える。したがって、容量性電極は、反対側の分極で定期的に充電され、これにより、標的領域の外面に電気分極が生じる。電気分極の結果として、電波が生成され、これらの電波は、空気、脂肪、または必ずしも導電性ではない他の体内組織を含む誘電物質の媒体に侵入する。これにより、所望の強度で電場を印加できる。加えて、体の絶縁層によって、電流が通過できない体の外面から離れている人体器官に存在し得るがん細胞の再生も防止できる。
【0012】
本発明の可能な実施形態では、該第1の容量性電極及び該第2の容量性電極は、既定距離に等しい誘電泳動ギャップが、標的領域の外面と、第1の容量性電極及び第2の容量性電極との間に提供されるように位置付けられる。
【0013】
本発明の別の可能な実施形態では、該距離は少なくとも1mmである。したがって、電場勾配は誘電泳動ギャップで発生し、容量性電極と標的領域面との誘電率の差により、標的領域に加えられた電場力(誘電泳動)が増加する。
【0014】
本発明の別の可能な実施形態では、該信号発生器は、方形波形を有する信号を生成するように構成されている。
【0015】
本発明の別の可能な実施形態では、信号発生器は、50%デューティサイクルで信号を生成するように構成されている。
【0016】
本発明の別の可能な実施形態では、信号発生器は、100kHz~3MHzで変化する周波数で信号を生成するように構成されている。
【0017】
本発明の別の可能な実施形態では、該がん治療デバイスは少なくとも1つの接地電極を備え、少なくとも1つの接地電極は、接地線端子と関連付けられ、第1の容量性電極及び第2の容量性電極によって形成された電場と実質的に平行に延在する標的領域の付近に提供されている。したがって、電場は、付近でフリンジング効果を最小にして、治療効果を増加させながら、エネルギーの非効性を減らすことによって、標的領域を通過する。
【0018】
本発明の別の可能な実施形態では、2つの接地電極が提供され、標的領域の2つの側面に相互に位置付けられている。
【0019】
本発明は、さらに、標的領域に存在するがん細胞の転移を防止するためのがん治療用衣服である。したがって、新規性について、本発明は、上記のいずれか1つに言及したがん治療デバイスを備えることが挙げられる。
【0020】
本発明の別の可能な実施形態では、該がん治療用衣服は上半身用衣服である。
【0021】
本発明の別の可能な実施形態では、該がん治療用衣服は下半身用衣服である。
【0022】
本発明の別の可能な実施形態では、該がん治療用衣服はヘッドウェアである。
【0023】
本発明の別の可能な実施形態では、該がん治療用衣服はベストである。
【0024】
本発明の別の可能な実施形態では、該がん治療用衣服は、前壁と、該前壁の反対に位置付けられた後壁と、相互に位置付けられ、該後壁及び該前壁を互いに結合する、側壁とを備え、第1の容量性電極は該前壁に提供され、第2の容量性電極は該後壁に提供されている。
【0025】
本発明の別の可能な実施形態では、接地電極のそれぞれ1つが該側壁上に提供されている。
【0026】
本発明の別の可能な実施形態では、該がん治療用衣服は短い。
【0027】
本発明の別の可能な実施形態では、誘電泳動ギャップを定義するために、がん治療用衣服は、ユーザーの体から少なくとも1mmの距離があるように十分な寸法で提供されている。
【0028】
本発明は、さらに、標的領域に存在するがん細胞の転移を防止するためのがん治療用ベッドである。したがって、新規性について、本発明は、上記のいずれか1つに言及したがん治療デバイスを備えることが挙げられる。
【0029】
本発明の別の可能な実施形態では、がん治療ベッドは、第1の容量性電極が接続される少なくとも1つのベース電極と、患者を横にして、該ベース電極と患者との間に誘電泳動ギャップを提供するためのベッド層と、患者を覆うためのベッドカバーと、を備え、該ベッドカバーの中間に縦方向に提供された中間部は、第2の容量性電極に接続される。
【0030】
本発明の別の可能な実施形態では、接地電極は、中間部の2つのエッジ上のエッジ部に提供されている。
【0031】
本発明の別の可能な実施形態では、がん治療ベッドは、中空であり開口上壁を有するベース部と、誘電泳動ギャップが、該ベース部のベース部と該ベッド層との間に存在しているままの状態であるように提供されたベッド層と、ベッド層を覆い、ベッド層に横になる患者を覆うカバーと、を備える。
【0032】
本発明は、さらに、がん細胞を治療して、個人の標的領域に存在するがん細胞の再発及び転移を防止するために、上記のいずれか1つに言及した治療ベッド、治療用衣服、または治療デバイスによって適用された方法である。したがって、新規性として、標的領域を通過する可変電場は、該標的領域の付近にあり、該標的領域に対して少なくとも1mmの誘電泳動ギャップを有する少なくとも1つの第1の容量性電極を用いて、かつ、該第1の容量性電極の反対にあり、該標的領域に対して少なくとも1mmの誘電泳動ギャップを有する第2の容量性電極を用いて、信号発生器によって形成され、その結果、標的領域は、該第1の容量性電極と該第2の容量性電極との間に位置付けられることが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の例示的な実施形態の代表図が与えられている。
図2a】本発明が衣服に統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図2b】本発明が衣服に統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図2c】本発明が衣服に統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図2d】本発明が衣服に統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図3a】本発明がベッドに統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図3b】本発明がベッドに統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図3c】ベッドに統合されている実施形態及び衣服に統合されている実施形態を一緒に使用している、本発明の実施形態の接続部の代表図が与えられている。
図4a】本発明がチャンバー形態であるベッドに統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図4b】本発明がチャンバー形態であるベッドに統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図4c】本発明がチャンバー形態であるベッドに統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図4d】本発明がチャンバー形態であるベッドに統合されている実施形態の代表図が与えられている。
図4e】本発明がチャンバー形態であるベッドに統合されている実施形態における接地電極、第1の容量性電極、及び第2の容量性電極の配置の代表図が与えられている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この詳細な説明では、主題をさらに深く理解するために、何らかの制限的な影響を生じさせることなく、例を参照して、主題を説明する。
【0035】
本明細書に言及されるがん細胞について、良性腫瘍または悪性腫瘍を説明するものである。
【0036】
図1を参照すると、本発明は、がん細胞(410)を治療して、標的領域(400)に存在するがん細胞(410)の転移を防止するためのがん治療デバイス(100)である。本発明は、該標的領域(400)の近くに位置付けられる、少なくとも1つの第1の容量性電極(110)と、第2の容量性電極(120)とを備える。第1の容量性電極(110)及び第2の容量性電極(120)は、標的領域(400)がそれらの容量性電極の間にあるように位置付けられる。信号発生器(140)が提供されている。信号発生器(140)の正極は容量性電極の一方に接続され、信号発生器(140)の負極は容量性電極の他のものに接続される。信号発生器(140)は、第1の容量性電極(110)と第2の容量性電極(120)との間に電場を形成して、言い換えれば、標的領域(400)を通る電場の通路を提供して、DC信号の波形を生成する。したがって、がん細胞(410)の再生を防止する。信号発生器(140)はDCインパクトオシレーターであり得る。
【0037】
基本原理として、容量性電極が正及び負に充電されることによって、電極は充電及び放電される。充電プロセス及び放電プロセスにより、標的領域の外面に分極がもたらされる。この電気分極は電波を生成し、その電波は、標的領域(400)に入り、がん細胞(410)の再生を防止する。この効果を発生させるために、表面と電極との間で媒体の誘電係数は、標的領域(400)と異なる必要がある。図1では、標的領域(400)の外面で発生する分極、及びこの分極の結果として発生し、がん細胞(410)を通過する電波が示されている。
【0038】
ここでは、言及される標的領域(400)は患者の体、または体の一部であり得る。
【0039】
本発明の可能な実施形態では、接地電極は、容量性電極によって形成された電場と平行に位置付けられるように提供されている。接地電極は標的領域(400)の付近に設置される。図1に見えるように、第1の容量性電極(110)及び第2の容量性電極(120)は互いに平行に設置され、それらの容量性電極の間に標的領域(400)が存在する。接地電極は相互に設置され、容量性電極に対して90度の角度を作り、互いに平行に、かつ容量性電極によって発生した電場と平行に設置される。接地電極及び容量性電極は、標的領域(400)を取り囲む。接地電極により、標的領域(400)を通る電気フリンジングの量を減らすことによって、電場は増大し、通過する。
【0040】
接地電極は、容量性電極に電気的に接続されない。
【0041】
本発明の可能な実施形態では、信号発生器(140)は、50%デューティサイクルで方形波を生成する。より詳細には、信号発生器(140)は、50~150kHzに形成された繰り返し周波数で信号を生成して、100kHz~3MHzで変化する信号を生成する。信号周波数の変化は、プロセッサ(図に示されない)によって制御できる。
【0042】
本発明の可能な実施形態では、容量性電極は、該容量性電極と標的領域(400)の外面との間に少なくとも1mmの空隙が存在するように位置付けられる。この空隙は、誘電泳動ギャップ(360)として定義される。これにより、電場勾配は誘電泳動ギャップ(360)で発生し、容量性電極と標的領域(400)の表面との誘電率の差により、標的領域(400)に加えられた電場力(誘電泳動)が増加する。さらに、誘電係数の差が増加する。
【0043】
図2aを参照すると、本発明の可能な実施形態では、がん治療デバイス(100)は、がん治療用衣類(200)に組み込まれた状態で提供されている。
【0044】
本発明の可能な実施形態では、図2a~図2bを参照すると、がん治療用衣類(200)は上半身用衣服(210)であり得る。上半身用衣服(210)は、該衣服を着用する人の上半身の前面に一致している状態で提供される前壁(201)と、後面に一致している状態で提供される後壁(202)と、前壁(201)及び後壁(202)を連結する側壁(203)と、を備える。図2aを参照すると、第1の容量性電極(110)及び第2の容量性電極(120)は、該前壁(201)及び該後壁(202)に提供でき、接地電極(130)は側壁(203)に提供できる。上半身用衣服(210)は、患者の体から少なくとも1mm離れた点に位置付けられた状態で寸法決定されている。したがって、誘電泳動ギャップ(360)は、患者の体と電極との間に提供できる。本発明の可能な実施形態では、誘電泳動ギャップ(360)は、適切な誘電係数を有し、1mmの厚さを有する布によって提供できる。
【0045】
上半身用衣服はベストの形態で提供できる。
【0046】
本発明の可能な実施形態では、図2dを参照すると、がん治療用衣類(200)は下半身用衣服(220)であり得る。下半身用衣服(220)は、該衣服を着用する人の下半身の前面(鼠径部領域)に一致している状態で提供される前壁(201)と、後面に一致している状態で提供される後壁(202)と、前壁(201)及び後壁(202)を連結する側壁(203)と、を備える。図2dを参照すると、第1の容量性電極(110)及び第2の容量性電極(120)は、該前壁(201)及び該後壁(202)に提供でき、接地電極(130)は側壁(203)に提供できる。下半身用衣服(220)は、患者の体から少なくとも1mm離れた点に位置付けられた状態で寸法決定されている。したがって、誘電泳動ギャップ(360)は、患者の体と電極との間に提供できる。本発明の可能な実施形態では、誘電泳動ギャップ(360)は、適切な誘電係数を有し、1mmの厚さを有する布によって提供できる。下半身用衣服(220)は短形であり得る。
【0047】
本発明の可能な実施形態では、図2cを参照すると、がん治療用衣類(200)はヘッドウェア(230)であり得る。ヘッドウェア(230)は、鼻及び目を除いて頭部を完全に取り囲む構造を有し得る。容量性電極は、耳を覆う状態で頭部の側面において、相互の2つの側面領域に提供でき、接地電極(130)は、頭部の前方、上端領域、顎、及び後部領域を取り囲む部分に提供できる。ヘッドウェア(230)は、患者の体から少なくとも1mm離れた点に位置付けられた状態で寸法決定されている。したがって、誘電泳動ギャップ(360)は、患者の体と電極との間に提供できる。本発明の可能な実施形態では、誘電泳動ギャップ(360)は、適切な誘電係数を有し、1mmの厚さを有する布によって提供できる。下半身用衣服(220)は短形であり得る。
【0048】
少なくとも1mmの距離により、体の端におけるフリンジング効果が減り、体に入る電場は均一であり、電場渦が減り、電場力が増加する。本発明の可能な実施形態では、誘電泳動距離は1cmである。距離が1cmの場合、治療が最も効率的であることが検出されている。
【0049】
本発明の可能な実施形態では、がん治療デバイス(100)は、治療ベッド(300)と統合した形態で提供できる。図3a~図3bを参照すると、治療ベッド(300)は、患者が横になるベッド層(310)と、該ベッド層(310)の下に提供されたベース電極(320)とを備える。第1の容量性電極(110)及び第2の容量性電極(120)の1つは、ベース電極(320)に統合されている。ベッドカバー(330)は患者を覆うために提供されている。該ベッドカバー(330)は長方形の形状であり、患者の高さの方向に延在する中心部(332)は横側部(331)を含み、横側部(331)は、中間部のエッジに存在しているままの状態であり、患者の高さの方向に延在する。第1の容量性電極(110)及び第2の容量性電極(120)の他のものは、中心部(332)に提供されている。接地電極は横側部(331)に提供されている。
【0050】
本発明の可能な実施形態では、ヘッドウェア(230)及び治療ベッド(300)は、一緒に使用できる。絶縁枕は、患者の頭部を載せるために提供できる。
【0051】
図4a~図4bにあるような本発明の可能な実施形態では、がん治療デバイス(100)は治療ベッド(300)に統合されており、そして、がん治療ベッド(300)はチャンバーの形態で提供されている。より詳細には、がん治療デバイス(100)は導電性ベース部を含む。ベース部が体積を包囲する状態で提供されるため、その上面は開いている。ベッド層(310)はベース部で患者が横になるために提供されている。誘電泳動ギャップ(360)は、ベース部のベースと、ベッドとの間に提供されている。カバー(340)は患者を覆うために提供されている。カバー(340)がベース部(350)に電気的に接続できることにより、カバー(340)及びベース部(350)は、管状チャンバー構造を一緒に形成する。カバー(340)はベース部(350)で開閉できる。接地電極(130)は、容量性電極が提供される壁を接続する側壁(203)に提供されている。
【0052】
本発明の可能な実施形態では、がんの画像は、PET、PET-MR-、PET-CT、MRI、またはCT DICOM等の画像から取得されたものである。印加される電場の特徴は、この画像を利用することによって事前に決定できる。該特徴は、電場力及び電場強度分布であり得る。
【0053】
本発明の保護範囲は付属の特許請求の範囲に記載され、詳細な説明に従って、上記に与えられた例示的な開示に制限できない。それは、当業者が、本発明の主要原理から逸脱することなく、前述の開示を考慮して、明らかに同様の実施形態を生成できるためである。
【符号の説明】
【0054】
100 がん治療デバイス
110 第1の容量性電極
120 第2の容量性電極
130 接地電極
140 信号発生器
200 がん治療用衣服
201 前壁
202 後壁
203 側壁
210 上半身用衣服
220 下半身用衣服
230 ヘッドウェア
300 治療ベッド
310 ベッド層
320 ベース電極
330 ベッドカバー
331 横側部
332 中央部
340 カバー
350 ベース部
360 誘電泳動ギャップ
400 標的領域
410 がん細胞
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
【国際調査報告】