IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハルトメタル−ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特表-機械加工用工具 図1
  • 特表-機械加工用工具 図2
  • 特表-機械加工用工具 図3
  • 特表-機械加工用工具 図4
  • 特表-機械加工用工具 図5
  • 特表-機械加工用工具 図6a
  • 特表-機械加工用工具 図6b
  • 特表-機械加工用工具 図7a
  • 特表-機械加工用工具 図7b
  • 特表-機械加工用工具 図8
  • 特表-機械加工用工具 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】機械加工用工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/10 20060101AFI20240920BHJP
   B23B 27/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B23B27/10
B23B27/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522251
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022075031
(87)【国際公開番号】W WO2023061672
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021126712.9
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503128054
【氏名又は名称】ハルトメタル-ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンヴィッシャー, マルクス
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046BB07
3C046EE01
(57)【要約】
本発明は、ワークピースを加工するための工具(10)に関する。工具(10)は、内部冷却剤チャネル(66)を備えた工具ホルダ(12)と、工具ホルダ(12)に着脱自在に固定された切削インサート(14)とからなる。切削インサート(14)の上方に配置された工具ホルダ(12)の上側(56)と上部構造(64)との間には隙間(58)が設けられ、その上に冷却液チャネル(66)の冷却液出口開口部(70)が配置されている。隙間(58)から出する切屑の流れを良くするため、隙間(58)の高さは、前側に向かって大きくなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを機械加工するための工具(10)であって、
第1の側部(28)と、第1の側部(28)とは反対側の第2の側部(32)と、前記第1の側部(28)と前記第2の側部(32)との間を延びる周方向面(34)とを有する切削インサート(14)であって、前記周方向面(34)上に、第1の切削インサートベアリング部(36)と、該第1の切削インサートベアリング部(36)に対し横方向に延びる第2の切削インサートベアリング部(38)とが配置され、前記第2の側部(32)上に、第3の切削インサートベアリング部(40)が配置され、前記周方向面(34)の一部を形成し、前記第1及び第2の切削インサートベアリング部(36、38)から離れた上側に、活性刃先(24)が配置された切削インサート(14)と、
少なくとも相対的な凹部として構成された切削インサート受け部(20)を有する工具ホルダ(12)であって、該切削インサート受け部(20)は切削インサート(14)の第1の部分が凹部に配置され、その上に活性刃先(24)が配置される切削インサート(14)の第2の部分が切削インサート受け部(20)の外側に位置して少なくとも部分的に工具ホルダ(12)から突出するような方法で、切削インサート(14)を受け入れるように構成され、切削インサート受け部(20)は凹部基部(48)と該凹部基部(48)に対して横方向に延びる複数の壁(50、52、54)によって画定され、これらの壁の第1の壁(50)上に第1のホルダベアリング部(42)が配置され、切削インサート(14)の組立状態で、第1のホルダベアリング部(42)が第1の切削インサートベアリング部(36)を支持し、これらの壁の第2の壁(52)上に第2のホルダベアリング部(44)が配置され、切削インサート(14)の組立状態で、第2のホルダベアリング部(44)が第2の切削インサートベアリング部(38)を支持し、凹部基部(48)内に第3のホルダベアリング部(46)が配置され、切削インサート(14)の組立状態で、第3のホルダベアリング部(46)が第3の切削インサートベアリング部(40)を支持し、切削インサート(14)の組立状態で、前述の壁の第1及び第2の壁(50、52)に対して横方向に延びる第3の壁(54)が切削インサート(14)の上側(56)に対向し、工具ホルダ(12)は更に、内部冷却剤チャネル(66)を備え、該内部冷却剤チャネル(66)は切削インサート(14)の組立状態で、切削インサート(14)の上側(56)を向いた冷却剤出口開口部(70)に開口した工具ホルダ(12)と、
切削インサート(14)の第1の側部(28)から開始して、切削インサート(14)に設けられた開口(30)に挿入されて、第1及び第2の側部(28、32)を貫通して切削インサート(14)を工具ホルダ(12)に着脱可能に締結し、切削インサート(14)を3つの切削インサートベアリング部(36、38、40)を用いて工具ホルダの対応する3つのホルダベアリング部に押圧するように構成されたクランプ手段(26)を備えた工具(10)において、
切削インサート(14)の組立状態で、切削インサート受け部(20)の第3の壁(54)が切削インサート(14)の上側(56)に対向して、切削インサート受け部(20)の第3の壁(54)と切削インサート(14)の上側(56)との間に隙間(58)が付与され、隙間の高さ(h)は切削インサート(14)の第2の側部(32)から開始して第1の側部(28)に向かう開口(30)の長手方向軸(62)に平行な隙間の深さ方向(t)に沿って増加し、隙間(58)の高さ(h)は切削インサート受け部(20)の第3の壁(54)から切削インサート(14)の上側(56)の距離として規定されることを特徴とする、工具(10)。
【請求項2】
前記隙間(58)の高さが、切削インサート(14)の第2の側部(32)から切削インサート(14)の第1の側部(28)へ、隙間の深さ方向(t)に沿って、連続的に増加する、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記第3の壁(54)は、切削インサート(14)の上側(56)に配置された第2の平面(74)に対して鋭角(α)で延びる第1の平面(72)を備える。請求項1又は2に記載の工具。
【請求項4】
鋭角(α)が3°から60°の間、好ましくは10°から45°の間、特に好ましくは15°から30°の間である、請求項3に記載の工具。
【請求項5】
前記第2の平面(74)が、開口(30)の長手方向軸(62)に平行に延びる、請求項3又は4に記載の工具。
【請求項6】
第3の壁(54)は、凹部内に配置された切削インサート(14)の第1の部分に属する切削インサート(14)の上側(56)の一部を完全に覆う、請求項1乃至5の何れか一項に記載の工具。
【請求項7】
前記第3の壁(54)は、縁部(80)に沿って互いに合流する、互いに横方向に延びる2つの面(76、78)を備える、請求項1、2及び6の何れか1項に記載の工具。
【請求項8】
前記第3の壁(54)は湾曲面(82)として構成されている、請求項1、2及び6の何れか1項に記載の工具。
【請求項9】
第1の切削インサートベアリング部(36)と第2の切削インサートベアリング部(38)とは、互いに60°以上の角度で方向付けされる。請求項1乃至8の何れか1項に記載の工具。
【請求項10】
前記冷却剤出口開口部(70)は、前記第3の壁(54)と一体に形成される前記工具ホルダ(12)の構成部品(64)上に配置される、請求項1乃至9の何れか1項に記載の工具。
【請求項11】
切削インサート(14)の組立状態において、冷却剤出口開口部(70)を2等分する仮想面(84)は、上側(56)、第1の切削インサートベアリング部(36)、および第2の切削インサートベアリング部(38)と交差する、請求項1乃至10の何れか1項に記載の工具。
【請求項12】
第3の切削インサートベアリング部(40)は、開口(30)の長手方向軸(62)に直交して延びる。請求項1乃至11の何れか1項に記載の工具。
【請求項13】
切削インサート(14)が、開口(30)の長手方向軸(62)に対して回転対称である、請求項1乃至12の何れか1項に記載の工具。
【請求項14】
第1の側部の平面図において、切削インサート(14)の形状が実質的に正多角形に対応する、請求項1乃至13の何れか1項に記載の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースを機械加工するための工具に関する。この工具は、旋削工具であることが好ましい。
【0002】
本発明に係る工具は、工具ホルダと、その上にクランプ手段によって着脱可能に配置された切削インサートとからなる。切削インサートは、割り出し可能な切削インサートとして構成されるのが好ましい。
【0003】
工具ホルダの内部に内部冷却剤チャネルが設けられ、これにより、冷却剤及び潤滑剤(以下、単に「冷却剤」と称する)が機械加工点の領域、すなわち機械加工に使用される切削インサートの切削縁部の領域に搬送されることができる。
【背景技術】
【0004】
先行技術から既に知られている例示的な汎用工具は、本出願人によって型名「Clamping Holder 356」及び「Indexable Cutting Insert 315」(商標)の下に市販されている工具である。この種の工具の前部を図8に詳細に示す。
【0005】
図8に示す工具は、特に溝入れ加工に適した旋削工具である。この場合の切削インサートは、工具ホルダに設けられた切削インサート受け部に横方向に挿入され、クランプねじによって当該切削インサート受け部に固定される。このクランプねじは、一方で切削インサートを裏側に平らな面を備えた切削インサート受け部の基部に押し込む。他方で、クランプねじは、切削インサートを、切削インサート受け部の対応するカウンターベアリング面に対して互いに斜めに延びる2つのベアリング面で周辺から押圧する。これらのベアリング面に対向する切削インサートの上側では、切削インサートは、同様に少なくとも部分的に工具ホルダによって覆われるが、この上側では工具ホルダに対して支えられない。冷却剤の出口開口部が、工具ホルダのこの上方領域に配置され、この出口開口部は、そこから出てくる冷却剤が活性刃先の領域で切削インサートの上側に当たるように方向付けられる。したがって、切削インサートの冷却は、活性刃先の非常に近くで行われる。
【0006】
本件では、「活性」刃先という用語は、夫々のクランプ内のワークピースを機械加工するために使用される切削インサートの刃先を指すのに使用される。図8に示す例では、切削インサートは、ワークピースの機械加工にも使用できる2つのさらなる刃先を有するが、図8に示す位置にて切削インサート受け部内に配置され、この位置で「非活性」である。
【0007】
冷却剤の出口が活性刃先に接近していることにより、この工具での冷却は確実に有利であることが証明されている。
【0008】
切削インサートがその上側で工具ホルダに支持されていないという事実により、切削インサートと工具ホルダの間には、切削インサートの上側と冷却剤の出口の下の工具ホルダの反対側の壁部分との間に、僅かな隙間が生じる。
【0009】
切屑はこの小さな隙間にある程度蓄積され、これが切削インサートに損傷を与えることが観察されている。これは、切屑が文字通りこの隙間に押し込まれ、切削インサートを破壊せずに交換することがほとんど不可能になることさえ意味する。
【0010】
この問題に対処するために、切削インサートを上側からもクランプし、それによってこの隙間を埋めることが、最初は明白に思われるであろう。しかし、図8に示す型のクランプでは、切削インサートが合計4つの側面(3つの周辺ベアリング点と1つの後部ベアリング点)で工具ホルダに支持されるので、これは静的に過剰な決定をもたらすことになる。従って、2つの低いベアリング点のうち1つを省略しなければならない。しかしながら、機械加工力の大部分が、通常、切削インサートを下方に押し下げるので、これは使用中の負荷によって切削インサートがてこ式に切削インサート受け部から外れる危険が伴うが、これは是非とも避けなければならない。
【0011】
切削インサートの上側と、この上側とは反対側の工具ホルダの構造との間の隙間を単に拡大するだけで、切屑が隙間に付着しにくくなったり、隙間から取り外され易くなるという逆の考え方も、この場合には冷却剤チャネルや冷却剤の出口開口部が邪魔になるか、工具ホルダの構造体全体を大きくする必要があり、空間上の制約から実行できない。
【0012】
その結果、一部の製造業者は、切削インサートの上方の工具ホルダの構造を完全になくし、内部冷却剤チャネルの冷却剤出口開口部を横方向に変位させることを選択した。このような構成を図9に模式的に示す。
【0013】
これは、工具ホルダの上部構造と切削インサートの上側との間にはもはや隙間が存在しないことを意味し、切削インサートの上側より上のスペースは、実用上空いている。したがって、先に述べた切屑蓄積の問題はもはや発生しない。切削インサートの受け部内での切削インサートのクランプの性質も、図8に示したのと同じままにすることができる。
【0014】
しかし、図9に示す構成の不都合な点は、冷却剤が機械加工されるべきワークピースによって隠されるので、とりわけ深い溝の中又は肩部上で作業するときに、冷却剤が活性刃先に向かって斜めに噴射されなければならないことであり、これは問題となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これを考慮して、本発明の目的は、前述の問題に対処することができる、上述の種類の工具を提供することである。特に、切削インサートの上側と工具ホルダとの間に切屑が蓄積され、望ましくない形でプレスされることを防止すべきである。それにもかかわらず、冷却剤の供給は可能な限り刃先に近づける必要があり、工具ホルダ内で切削インサートの安定したクランプ方法を確実に保証する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の工具により達成される。本工具は以下の特徴を示す。
第1の側部と、第1の側部とは反対側の第2の側部と、前記第1の側部と前記第2の側部との間を延びる周方向面とを有する切削インサートであって、前記周方向面上に、第1の切削インサートベアリング部と、該第1の切削インサートベアリング部に横方向に延びる第2の切削インサートベアリング部とが配置され、前記第2の側部上に、第3の切削インサートベアリング部が配置され、前記周方向面の一部を形成し、前記第1及び第2の切削インサートベアリング部から離れた上側に、活性刃先が配置された切削インサートと、
少なくとも相対的な凹部として構成された切削インサート受け部を有する工具ホルダであって、該切削インサート受け部は切削インサートの第1の部分が凹部に配置され、その上に活性刃先が配置される切削インサートの第2の部分が切削インサート受け部の外側に位置して少なくとも部分的に工具ホルダから突出するような方法で、切削インサートを受け入れるように構成され、切削インサート受け部は凹部基部と該凹部基部に対して横方向に延びる複数の壁によって画定され、これらの壁の第1の壁上に第1のホルダベアリング部が配置され、切削インサートの組立状態で、第1のホルダベアリング部が第1の切削インサートベアリング部を支持し、これらの壁の第2の壁上に第2のホルダベアリング部が配置され、切削インサートの組立状態で、第2のホルダベアリング部が第2の切削インサートベアリング部を支持し、凹部基部内に第3のホルダベアリング部が配置され、切削インサートの組立状態で、第3のホルダベアリング部が第3の切削インサートベアリング部を支持し、切削インサートの組立状態で、前述の壁の第1及び第2の壁に対して横方向に延びる第3の壁が切削インサートの上側に対向し、工具ホルダは更に、内部冷却剤チャネルを備え、該内部冷却剤チャネルは切削インサートの組立状態で、切削インサートの上側に向いた冷却剤出口開口部に開口した工具ホルダと、
切削インサートの第1の側部から開始して、切削インサートに設けられた開口に挿入されて、第1及び第2の側部を貫通して切削インサートを工具ホルダに着脱可能に締結し、切削インサートを3つの切削インサートベアリング部を用いて工具ホルダの対応する3つのホルダベアリング部に押圧するように構成されたクランプ手段を備えた工具において、
切削インサートの組立状態で、切削インサート受け部の第3の壁が切削インサートの上側に対向して、切削インサート受け部の第3の壁と切削インサートの上側との間に隙間が付与され、隙間の高さは切削インサートの第2の側部から開始して第1の側部に向かう開口の長手方向軸に平行な隙間深さ方向に沿って増加し、隙間の高さは切削インサート受け部の第3の壁から切削インサートの上側の距離として規定されることを特徴とする。
【0017】
「横方向に」という言葉は、必ずしも直交的、あるいは垂直的に意味するものではないことを指摘しておかなければならない。むしろ、それは平行ではないあらゆる方向を指すものとして理解されるべきである。
【0018】
したがって、3つの切削インサートベアリング部と、3つの対応するホルダベアリング部とは、互いに直交する方向を向く。しかし、これは必ずしもそうである必要はなく、また、いかなる角度においても互いに斜めに向くことができる。第1および第2の切削インサートベアリング部は、各場合において、互いに90°未満の角度でかつ第3の切削インサートベアリング部に対して直角に配向されるのが好ましい。同様のことが、従ってホルダベアリング部分にも当てはまるのが好ましい。
【0019】
切削インサートおよびホルダベアリング部は、点状または直線状であってもよく、または平面部として構成されてもよい。
【0020】
さらに、第1の側部と第2の側部との間に延びる切削インサートの周方向の側部は、この文脈では「周方向面」と呼ばれることを指摘すべきである。しかし、これは平面を意味するものではなく、むしろ、切削インサートの全周を構成する多くの部分的な表面から構成される表面であり、湾曲した、角度付き、または縁部を任意の方法で設けることができる。「周方向面」という用語の代わりに、「周方向側」という用語も一般的に使用することができる。同様に、切削インサートの用語「第1の側部」及び「第2の側部」の代わりに、「前側」及び「後側」のようなより一般的な用語を使用することもできる。
【0021】
本発明によれば、切削インサートの上側と反対側の切削インサート受け部の第3の壁との隙間は、切削インサートの前に向かって、すなわち後側から前側に向かう方向に広がるように構成されている。より正確に言えば、開口の長手方向軸に平行に延びる隙間深さ方向の隙間の高さは、切削インサートの後側から切削インサートの前側に向かって増加する。隙間の高さは、切削インサート受け部の第3の壁からの切削インサートの上側の距離として定義される。
【0022】
このように切削インサートの上側と切削インサート受け部の第3の壁との間の隙間を広げることにより、切屑が隙間に押し込まれることなく、隙間から前方に(切削インサートの第1の側部に向かって)押し出されるので、切屑が隙間に容易に溜まらなくなる。また、図8のように冷却剤出口を同じ位置に保つことも可能である。これにより、刃先に非常に近い冷却も可能になる。切削インサートを切削インサート受け部内にクランプする方法も、図8に関連して前述したように、同じままである。
【0023】
したがって、工具は、最適な冷却と、極めて安定したインサートシートを備えて生産され、切削インサートと切削インサート受け部との間の切屑の蓄積による切削インサート受け部内の切削インサートの望ましくない押圧の問題が解決される。
【0024】
好ましい実施形態によれば、前記隙間の高さは、前記切削インサートの後側から前記切削インサートの前側に向かって前記隙間の深さ方向に沿って連続的に増加する。したがって、隙間の深さ方向に沿った隙間の高さに急激な変化はなく、さらに1つは隙間の深さ方向に沿って、切削インサートの後側から見て、切削インサートの前側に向かって、隙間の高さが高くなる。しかし、隙間の深さ方向に沿った隙間の高さの増加は、連続的である必要はない。
【0025】
隙間の深さ方向に沿って隙間の高さを連続的に増加させることは、隙間に入る持ち上げられた切屑が当該隙間に捕捉されることを防止し、したがって、隙間内に詰め込まれることなく、再び素早く放出することを可能にするという点で有利であることが判明した。
【0026】
別の改良例によれば、第3の壁は、切削インサートの上側に配置された第2の平面に対して鋭角で延びる第1の平面を含む。
【0027】
この構成では、隙間は2つの平面で境界付けられる。その結果、この隙間は、漏斗のような形で前方に向かって拡大し、これは、隙間からの切屑除去に関連して有利になる。
【0028】
改良例によれば、鋭角は3°から60°の間、好ましくは10°から45°の間、特に好ましくは15°から30°の間である。15°を超える角度は、切屑が隙間に偶発的に噛み込まれた場合でも、自己ロックを防ぐため、特に好ましい。
【0029】
鋭角のための特に好ましい上限である30°は、切削インサート受け部の第3の壁および切削インサートの上側の2つの平面のこの種の配向に伴って、内部冷却剤チャネルおよびその冷却剤出口開口部のための十分なスペースが依然として存在し、切削インサートの上方から刃先に近い冷却を可能にするという事実に基づく。更なる改良例によれば、切削インサートの上側に設けられた第2の平面は、開口の長手軸線に平行であり、該開口を通ってクランプ手段が導入される。
この開口の長手方向軸は、開口の対称軸であり、クランプ手段の長手方向軸と一致するのが好ましい。
【0030】
切削インサート受け部の第3の壁が、凹部内に配置された切削インサートの第1の部分に属する切削インサートの上側の部分を完全に覆うことがさらに好ましい。
【0031】
一方で、これは工具ホルダの生産を単純化し、他方で、切削インサートの不活性部分を保護し、内部冷却剤チャネルとその冷却剤出口開口部のための十分なスペースを残す。その結果、前側に向かう隙間の高さが増加するにもかかわらず、冷却剤出口開口部は活性刃先に対して中央に向けることができる。
【0032】
さらなる改良例によれば、隙間は2つの平面(第1及び第2の平面)によって境界付けされない。代わりに、この改良例において、第3の壁は湾曲面として構成される。断面で見ると、この改良例における第3の壁は凹状に湾曲した構成を有する。断面で見ると、第3の壁は、半径、楕円、または自由形状として構成されてもよい。隙間からの切屑除去の改善効果もこの種の形状で発生する。
【0033】
第3の可能性は、第3の壁が縁部に沿って互いに合流する、互いに横方向に延びる2つの面を備えることである。このため、2つの面は互いに角度付けられる。このようにして、隙間の高さは、この縁部から前側に向かって更に急に増加し、隙間から、特に隙間の前側領域において、更に良好な切屑除去をもたらす。
【0034】
湾曲面としての第3の壁の改良例と、互いに角度付けられた面を有する第3の壁の最後に述べた改良例の両方において、切削インサートの反対側の上側には、やはり底部に向かって隙間を境界付ける面(第2の面)が設けられていることが指摘されるべきである。
【0035】
別の改良例によれば、第1の切削インサートベアリング部分および第2の切削インサートベアリング部分は、角度が60°以上に配向される。これに対応して、第1のホルダベアリング部および第2のホルダベアリング部も、互いに60°以上の角度で配向される。
【0036】
例えば、前側の平面図において、切削インサートの形状は、実質的に正多角形に相当する。正三角形に似た形状の場合、第1と第2の切削インサートベアリング部は、互いに60°の角度で配向される。四角形、五角形、または六角形に似た形状では、前述の角度は夫々90°、108°又は120°である。
【0037】
更なる改良例によれば、第3の壁と一体的に形成された工具ホルダの構成要素上に冷却剤出口開口部が配置される。この構成要素は、切削インサートに少なくとも部分的に重複する、いわゆる上部構造であることが好ましい。
【0038】
この上部構造の一体形成により、できるだけ少ない部品から作られた安定した工具ホルダが得られる。
【0039】
別の改良例によれば、切削インサートが組み立てられた状態で、冷却剤チャネルを2等分する仮想面が、上側と、第1の切削インサートベアリング部と、第2の切削インサートベアリング部とに交差することが好ましい。この仮想面は、クランプ手段の長手方向軸に直交する平面であることが特に好ましい。さらに、この仮想面が、第1および第2の切削インサートベアリング部に対して直角に、かつ第3の切削インサートベアリング部に対して平行に配向されることが好ましい。
【0040】
さらなる改良例によれば、前記第3の切削インサートベアリング部は、前記第1の切削インサートベアリング部及び前記第2の切削インサートベアリング部に対して直交する方向を向いていることが好ましい。第3の切削インサートベアリング部は、切削インサートに設けられた開口の長手方向軸に直交する方向を向いていることが好ましい。第1および第2の切削インサートベアリング部は、開口の長手方向軸と平行に配向されるのが好ましい。
【0041】
加えて、切削インサートは、開口の長手方向軸に対して回転対称であるのが好ましい。「回転対称」は、360°未満の一定の角度を中心として回転したときに、それ自体にマッピングする任意の物体を記述するために使用される。
【0042】
上述した特徴及び以下に説明されていない特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、各々の表示された組合せにおいてだけでなく、他の組合せにおいても、あるいは個々に使用することができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の例示的な実施形態は、以下の図面に例示されており、以下の説明においてさらに詳細に説明される。
図1】本発明に係る工具の第1の例示的な実施形態の斜視図である。
図2図1に示す工具の側面からの詳細を示す平面図である。
図3図1に示す工具を正面から見た平面図である。
図4図3に示す長手部分IV-IVの断面図である。
図5図2に示すV-Vの概略的な断面を示す。
図6a】本発明に係る工具の第2の例示的な実施形態の斜視図を示す。
図6b】本発明に係る工具の第2の例示的な実施形態の断面図を示す。
図7a】本発明に係る工具の第3の例示的な実施形態の斜視図を示す。
図7b】本発明に係る工具の第3の例示的な実施形態の断面図を示す。
図8】先行技術による一般的な工具の詳細を示す斜視図である。
図9】先行技術による別の一般的な工具の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1乃至図7は、本発明に係る工具の3つの例示的な実施形態を異なる図で示している。本発明に係る工具は、一般的に符号10によって示されている。
【0045】
工具10は、工具ホルダ12と、その中に着脱可能に締結された切削インサート14とを備える。工具ホルダ12は、略ビーム状のクランプ部16と、その前側の前に配置された切削インサート収容部18とを有する。クランプ部16は、工具ホルダ12を機械工具でクランプするために使用される。切削インサート収容部18は、切削インサート14を収容するために用いられる。
【0046】
工具ホルダ12の切削インサート収容部18には、切削インサート受け部20が横方向に設けられており、該切削インサート受け部20は、切削インサート14を受け入れるのに使用される。切削インサート受け部20は凹部として構成されており、切削インサート14の少なくとも大部分が切削インサート受け部20を形成する凹部内に配置され、ワークピースが機械加工されているときにワークピースと接触する切削インサートの残りの部分が切削インサート受け部20の外側に位置するように切削インサート14を受け入れるように構成される(図2参照)。
【0047】
図2に示す側面からの平面図では、切削インサート14は、実質的に正三角形として成形されている。この三角形の3つのコーナーの各々において、切削インサート14は、ワークピースを機械加工するための刃先24、24'、24"を備えた切削ヘッド22、22'、22"を有する。3つの切削ヘッド22、22'、22"は、互いに同一になるように構成されるのが好ましく、ワークピースを機械加工するのに同じ方法で使用することができる。図1及び図2に示す切削インサート14の向きでは、切削ヘッド22は、ワークピースを機械加工するために使用されるが、他の2つの切削ヘッド22'、22"は、使用されず、切削インサート受け部20に収容される。したがって、切削ヘッド22の刃先24は、「活性」刃先と呼ばれる。この活性刃先24が摩耗すると、切削インサート14は、工具ホルダ12から取り外され、60°まで回転し、再び工具ホルダ12に締結され、その結果、刃先24'または24"が活性刃先として作用する。
【0048】
切削インサート14はクランプ手段26によって工具ホルダ12に締結される。本事例に示される例示的な実施形態において、クランプ手段26は、工具ホルダ12(図5参照)の内側に設けられた対応するねじ27と係合するクランプねじとして構成される。しかしながら、クランプねじではなく、クランプボルトを原則として使用することもでき、このクランプボルトは、工具ホルダ12内のねじのないの開口と係合する。
【0049】
クランプ手段26は、図2に見られるように、切削インサート14の第1の側部28から開始する、切削インサートの中央開口30に導入される。この開口30は、切削インサート14の第1の側部28と反対側の切削インサート14の第2の側部32との両方を貫通する貫通孔として構成される。
【0050】
切削インサート14の第1の側部28と第2の側部32との間には、これに垂直に延びる周方向面34がある。この周方向面34は、第1の側部28と第2の側部32との間で切削インサート14の全周に亘って延在する。用語「第1の側部」および「第2の側部」と同等のものとして、この周方向面34は、切削インサート14の周方向の側部とも呼ばれ得る。
【0051】
クランプ手段26は、そのクランプ状態にて、切削インサート14を、その第2の側部32及びその周方向の側部34の両方と共に切削インサート受け部20内に押圧する。この目的のために、切削インサート14は、3つの切削インサートベアリング部36、38、40を有し、切削インサート受け部20の対応するホルダベアリング部42、44、46に接している。3つの切削インサートベアリング部36、38、40は、互いに横方向に延びし、最初の2つの切削インサートベアリング部36、38は、互いに対して角度(≧60°)で方向付けられ、第3の切削インサートベアリング部40は、最初の2つの切削インサートベアリング部36、38に対して直交して延びる。最初の2つの切削インサートベアリング部36、38は、切削インサート14の周方向の側部34に配置される。第3の切削インサートベアリング部40は、切削インサート14の第2の側部32に配置される。
【0052】
組み立てられた状態では、切削インサート14は、切削インサート受け部20を形成する凹部の基部48に配置された第3のホルダベアリング部46に、第3の切削インサートベアリング部40が第2の側部32に配置された状態で当接する。この凹部の基部48に垂直に、切削インサート受け部20は、切削インサート14を周方向に取り囲む複数の壁50、52、54を有する。第1のホルダベアリング部42は、これらの壁の第1の壁50に配置され、組み立てられた状態で、第1のホルダベアリング部が第1の切削インサートベアリング部36に当接する。第2のホルダベアリング部44は、第2の壁52に配置され、組み立てられた状態で、第2のホルダベアリング部が第2の切削インサートベアリング部38に当接する。第3の壁54は、切削インサート14に当接しない。切削インサート14の組立状態では、切削インサート14の上側86に対向して横たわる。したがって、隙間58は、切削インサート受け部20の第3の壁54と切削インサート14の上側56との間に形成される(図5参照)。この隙間58の形状は、以下に詳しく説明する。
【0053】
クランプねじとして実現されるクランプ手段26は、切削インサート14を、その3つの切削インサートベアリング部36、38、40と共に、切削インサート受け部20の壁50、52、54に設けられたホルダベアリング部42、44、46に対して押圧する。組み立てられた状態で、クランプねじ26が、第3の切削インサートベアリング部40を第3のホルダベアリング部46に押し付けることは理解しやすい。第1および第2の切削インサートベアリング部36、38および第1および第2のホルダ接触部42、44へのクランプねじ26の圧力は、クランプねじ26の下方への移動に起因する。この下方への移動は、切削インサート14の組み立てられた状態で、クランプ手段の長手方向軸60が、切削インサート14に設けられた開口30の長手方向軸62に対してわずかにずれていることに起因する(図4及び図5参照)。それにより、機械的に定義された安定したインサートシートが保証される。
【0054】
切削インサート14の上側56は、工具ホルダ12の上部構造64によって少なくとも部分的に覆われる。この上部構造64は、工具ホルダ12の切削インサート収容部18の一部である。上部構造64は、工具ホルダ12のクランプ部16に一体的に接続される。この上部構造64の内側には、内部冷却剤チャネル66がある(図4参照)。内部冷却剤チャネル66は、工具ホルダ12の内側で、最初はクランプ部16を通って延び、クランプ部16の端部で横穴68に分岐し、前記横穴は上部構造64に通じている。内部冷却剤チャネル66は最終的に、上部構造64内の切削インサート14の上方に配置された冷却剤出口開口部70内に開口する。切削インサート14が組み立てられた状態では、したがって、冷却剤出口開口部70は、その上側56と整列される。冷却剤出口開口部70は、冷却剤出口開口部70から出た冷却剤が上側56に配置された活性刃先24に当たるような態様で配向されることが好ましい。
【0055】
切削インサート受け部20の第3の壁54は、切削インサート14の上側56に対向する上部構造64の下部を形成する。前述の隙間58は、この第3の壁54と切削インサート14の上側56との間に存在する(図5参照)。この隙間58は、切削インサート14の第2の側部32から開始して切削インサート14の第1の側部28に向かって広がる。より正確に言えば、隙間58の高さhは、第2の側部32から開始して第1の側部28に向かって隙間の深さ方向tに沿って増加する。隙間58の高さhは、切削インサート14の上側56と切削インサート受け部20の第3の壁54との距離を指す。対照的に、隙間の深さ方向tは、クランプ手段の長手方向軸60または開口の長手方向軸62と平行に測定される隙間58の寸法を意味する(図5参照)。図1乃至図5に示す工具10の第1の例示的な実施形態では、第3の壁54は、上向きに隙間58を画定する第1の平面72を有する。反対側の下側では、隙間58は、切削インサート14の上側56に配置された第2の平面74によって境界付けされる。2つの平面72、74は互いに鋭角αで延びる。
【0056】
この種のくさび形隙間58は、隙間58に入り込む連続した切屑が、隙間58に詰まることなく隙間58から再び非常に容易に流れ出るという利点を有する。同時に、冷却剤出口開口部70の配置は、これによって影響を受けず、それは、できるだけ刃先に近い冷却を提供するために、依然として活性刃先24と直接的に整列することができることを意味する。
【0057】
角度αの大きさは3°から60°の範囲であるのが好ましい。特に好ましいのは、10°から45°の範囲である。より特に好ましいのは、15°から30°の範囲である。この種の開き角度は、たとえ切屑が隙間58に捕捉されたとしても、自己ロックが回避されるという利点がある。しかし、開き角度αは、大きくなりすぎてはならない。そうでなければ、冷却剤出口開口部70をさらに上方に変位させなければならず、これは、活性刃先24の冷却に悪影響を及ぼすことになる。
【0058】
図6a及び図6bは、本発明に係る工具10の第2の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態は、図1乃至図5に示される第1の例示的な実施形態とは、本質的に隙間58が構成される方法が異なる。
【0059】
この場合、上部構造64の下側を形成する第3の壁54は、縁部80に沿って互いに融合する2つの面76、78を互いに向けた状態となっている。言い換えれば、この例示的な実施形態においては、第3の壁54は角度付けられた構成を有している。
【0060】
しかし、この種の構成は、隙間58が、冷却剤出口開口部70に悪影響を及ぼすことなく、外側に向かってさらに広く開口するという特別な利点を有する。前記冷却剤出口開口部は、依然として所定の位置に留まることができる。
【0061】
外側に向かってさらに開口した隙間58により、さらに改善された切屑除去が確実になる。
【0062】
図7a及び図7bは、本発明に係る工具10の第3の例示的な実施形態を示している。この場合、上部構造64の下側を形成する第3の壁54が、湾曲面82として構成される。この湾曲面82は、横断面で見た場合、円の一部、または楕円の一部として構成することができる。この湾曲面82は、冷却剤出口開口部70と干渉しないように凹んだ湾曲面の構成とするのが好ましいが、自由な湾曲面としても構成できる。
【0063】
この場合に示される3つの例示的な実施形態は全て、隙間58が隙間の深さ方向tに沿って内側から外側に向かって連続的に増加することが共通しており、その結果、切削インサートの後側32から切削インサートの前側28に向かって始まる。
【0064】
ここに示された全ての例示的な実施形態によれば、冷却剤出口開口部70は、そこから出てくる冷却剤ジェットが、可能な限り中央で活性刃先24に当たるように配置される。冷却剤出口開口部70を2つの等しい半分に分割する仮想面84は、切削インサート14の組立状態で、上側56、第1の切削インサートベアリング部36、および第2の切削インサートベアリング部38と交差する。この仮想面84は、好ましくは、上側56、第1の切削インサートベアリング部36、および第2の切削インサートベアリング部38に直交して配置された平面77と交差する。この仮想面84は、図3に示される断面IV-IVに相当する。なお、仮想面84は、切削インサート14の第1の側部と第2の側部28,32とに平行に配向され、両側部の間に配置されていることが望ましい。
【0065】
最後に、原則として、他の2つの刃先24'、24"のいずれも、切削インサート14の活性切削ヘッドとして使用することもできることに言及すべきである。例えば、活性切削ヘッド24が摩耗した場合、切削インサート14は、クランプねじ26を緩めることによって工具ホルダ12から分離され、60°回転され、次いで、工具ホルダ12に再度取り付けられる。時計回りに60°回転されると、切削ヘッド24"が活性刃先として使用されることになる。この場合、第1の切削インサートベアリング部36は、上側56またはその上に配置された平面74を形成し、例示的な実施形態に示される第2の切削インサートベアリング部38は、第1の切削インサートベアリング部36として作用することが理解される。
【0066】
さらに、工具ホルダ12及び切削インサート14は、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な設計変更が可能であり、これは、特に、隙間58及びその外側開口の形成に関するものであることに留意すべきである。ここに示されるように、本質的に三角形である切削インサート14の代わりに、横方向の平面図で見ると四角形、五角形、六角形、または多角形の切削インサート14を使用することもできる。これらの場合にも、切削インサートを互いに横に配向された3つの面に沿って当接させ、そのうちの1つは、開口30の長手方向軸62に対して直角に配向され、他の2つは、この開口の長手方向軸62に対して平行に配向されることが好ましい。次に、2つの切削インサートベアリング部36、38の間の開口角は、各ケースにおける正多角形の内角に対応することになる(例えば、正方形の切削インサートでは90°、五角形の切削インサートでは108°、六角形の切削インサートでは120°である)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを機械加工するための工具(10)であって、
第1の側部(28)と、第1の側部(28)とは反対側の第2の側部(32)と、前記第1の側部(28)と前記第2の側部(32)との間を延びる周方向面(34)とを有する切削インサート(14)であって、前記周方向面(34)上に、第1の切削インサートベアリング部(36)と、該第1の切削インサートベアリング部(36)に対し横方向に延びる第2の切削インサートベアリング部(38)とが配置され、前記第2の側部(32)上に、第3の切削インサートベアリング部(40)が配置され、前記周方向面(34)の一部を形成し、前記第1及び第2の切削インサートベアリング部(36、38)から離れた上側に、活性刃先(24)が配置された切削インサート(14)と、
少なくとも相対的な凹部として構成された切削インサート受け部(20)を有する工具ホルダ(12)であって、該切削インサート受け部(20)は切削インサート(14)の第1の部分が凹部に配置され、その上に活性刃先(24)が配置される切削インサート(14)の第2の部分が切削インサート受け部(20)の外側に位置して少なくとも部分的に工具ホルダ(12)から突出するような方法で、切削インサート(14)を受け入れるように構成され、切削インサート受け部(20)は凹部基部(48)と該凹部基部(48)に対して横方向に延びる複数の壁(50、52、54)によって画定され、これらの壁の第1の壁(50)上に第1のホルダベアリング部(42)が配置され、切削インサート(14)の組立状態で、第1のホルダベアリング部(42)が第1の切削インサートベアリング部(36)を支持し、これらの壁の第2の壁(52)上に第2のホルダベアリング部(44)が配置され、切削インサート(14)の組立状態で、第2のホルダベアリング部(44)が第2の切削インサートベアリング部(38)を支持し、凹部基部(48)内に第3のホルダベアリング部(46)が配置され、切削インサート(14)の組立状態で、第3のホルダベアリング部(46)が第3の切削インサートベアリング部(40)を支持し、切削インサート(14)の組立状態で、前述の壁の第1及び第2の壁(50、52)に対して横方向に延びる第3の壁(54)が切削インサート(14)の上側(56)に対向し、工具ホルダ(12)は更に、内部冷却剤チャネル(66)を備え、該内部冷却剤チャネル(66)は切削インサート(14)の組立状態で、切削インサート(14)の上側(56)を向いた冷却剤出口開口部(70)に開口した工具ホルダ(12)と、
切削インサート(14)の第1の側部(28)から開始して、切削インサート(14)に設けられた開口(30)に挿入されて、第1及び第2の側部(28、32)を貫通して切削インサート(14)を工具ホルダ(12)に着脱可能に締結し、切削インサート(14)を3つの切削インサートベアリング部(36、38、40)を用いて工具ホルダの対応する3つのホルダベアリング部に押圧するように構成されたクランプ手段(26)を備えた工具(10)において、
切削インサート(14)の組立状態で、切削インサート受け部(20)の第3の壁(54)が切削インサート(14)の上側(56)に対向して、切削インサート受け部(20)の第3の壁(54)と切削インサート(14)の上側(56)との間に隙間(58)が付与され、隙間の高さ(h)は切削インサート(14)の第2の側部(32)から開始して第1の側部(28)に向かう開口(30)の長手方向軸(62)に平行な隙間の深さ方向(t)に沿って増加し、隙間(58)の高さ(h)は切削インサート受け部(20)の第3の壁(54)から切削インサート(14)の上側(56)の距離として規定されることを特徴とする、工具(10)。
【請求項2】
前記隙間(58)の高さが、切削インサート(14)の第2の側部(32)から切削インサート(14)の第1の側部(28)へ、隙間の深さ方向(t)に沿って、連続的に増加する、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記第3の壁(54)は、切削インサート(14)の上側(56)に配置された第2の平面(74)に対して鋭角(α)で延びる第1の平面(72)を備える。請求項に記載の工具。
【請求項4】
鋭角(α)が3°から60°の間である、請求項3に記載の工具。
【請求項5】
鋭角(α)が10°から45°の間、である、請求項3に記載の工具
【請求項6】
鋭角(α)が15°から30°の間である、請求項3に記載の工具
【請求項7】
前記第2の平面(74)が、開口(30)の長手方向軸(62)に平行に延びる、請求項に記載の工具。
【請求項8】
前記第3の壁(54)は、縁部(80)に沿って互いに合流する、互いに横方向に延びる2つの面(76、78)を備える、請求項に記載の工具。
【請求項9】
前記第3の壁(54)は湾曲面(82)として構成されている、請求項に記載の工具。
【請求項10】
第1の切削インサートベアリング部(36)と第2の切削インサートベアリング部(38)とは、互いに60°以上の角度で方向付けされる。請求項に記載の工具。
【請求項11】
前記冷却剤出口開口部(70)は、前記第3の壁(54)と一体に形成される前記工具ホルダ(12)の構成部品(64)上に配置される、請求項に記載の工具。
【請求項12】
切削インサート(14)の組立状態において、冷却剤出口開口部(70)を2等分する仮想面(84)は、上側(56)、第1の切削インサートベアリング部(36)、および第2の切削インサートベアリング部(38)と交差する、請求項に記載の工具。
【請求項13】
第3の切削インサートベアリング部(40)は、開口(30)の長手方向軸(62)に直交して延びる。請求項に記載の工具。
【請求項14】
切削インサート(14)が、開口(30)の長手方向軸(62)に対して回転対称である、請求項に記載の工具。
【国際調査報告】