(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】血管アクセスデバイス配置用の多機能アダプタ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61M25/00 520
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522351
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021055054
(87)【国際公開番号】W WO2023063956
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フィウメフレッド、ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】デンスリー、ブライオン レイ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267BB02
4C267CC08
4C267HH30
(57)【要約】
本明細書で開示される実施形態は、カテーテルの遠位先端部を標的位置に配置するための多機能アダプタシステムに関する。システムは、配置手順中にカテーテル遠位先端部との1つ以上の電気通信経路を維持するように構成される。2つ以上の電気経路が精度を決定するために相互参照され得る。電気経路は、クリップ及び第1のテザーを備えることができ、これらは、クリップが、生理食塩水柱、スタイレット、ガイドワイヤ、又は針のいずれかと選択的に結合され得るという点で多目的な電気経路を提供する。フラッシングアダプタは、フラッシングアダプタと一体的に形成された第2のテザーを備え、生理食塩水柱とともに第2の電気経路を提供することができる。スタイレット又はガイドワイヤは、フラッシングアダプタと固定して結合され得、第2のテザーとともに第2の電気経路を提供することができる。これらの電気経路は、カテーテルの遠位先端部との電気通信を保証するためのフェイルセーフシステムを提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル先端部確認システムであって、
ルーメンを画定する第1のカニューレを備えたハウジングを有するカテーテルアダプタであって、前記第1のカニューレは導電性材料から形成され、前記カテーテルアダプタハウジングの遠位端は、カテーテルの近位端に係合して前記第1のカニューレとの流体連通を提供するように構成されている、カテーテルアダプタと、
第1のテザーに結合されたクリップであって、前記カテーテルアダプタハウジングに配置されたソケットと係合されて前記第1のカニューレに解放可能に係合し、第1のECG信号を受信するように構成されている、クリップと、
前記カテーテルアダプタハウジングの近位端に解放可能に結合され、前記第1のカニューレ内及び前記カテーテル内に生理食塩水柱を提供するように構成されたフラッシングアダプタであって、前記フラッシングアダプタは第2のテザーを備え、前記第2のテザーは、前記フラッシングアダプタに固定して結合されているとともに第2のECG信号を受信するように構成されている、フラッシングアダプタと、
前記第1のカニューレのルーメンを通って延びる長尺状医療デバイスであって、前記長尺状医療デバイスの遠位先端部は、前記カテーテルの遠位先端部へ延び、前記長尺状医療デバイスは、前記長尺状医療デバイスの遠位先端部に配置された磁石を備える、長尺状医療デバイスと、
を備える、カテーテル先端部確認システム。
【請求項2】
前記第2のテザーは、前記長尺状医療デバイスに結合されて、前記長尺状医療デバイスの前記遠位先端部から前記第2のECG信号を受信する、請求項1に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項3】
前記長尺状医療デバイスは、スタイレット、ガイドワイヤ、又はコア上にコイルを備えたガイドワイヤのうちの1つを含む、請求項1又は2に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項4】
前記第2のテザーは、前記フラッシングアダプタのルーメンを画定するとともに前記第1のカニューレと流体連通する第2のカニューレと結合され、前記第2のテザーは、前記カテーテルの前記遠位先端部まで延びる前記生理食塩水柱から前記第2のECG信号を受信するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項5】
前記クリップは、前記第1のカニューレから選択的に分離され、前記長尺状医療デバイスの近位部分と結合されて、前記長尺状医療デバイスの前記遠位先端部から前記第1のECG信号を受信するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項6】
前記長尺状医療デバイスは、前記フラッシングアダプタに固定して結合されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項7】
前記フラッシングアダプタは、前記フラッシングアダプタとの流体連通を提供するように構成されたフラッシングアームをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項8】
前記フラッシングアダプタは、ロック位置とロック解除位置との間で移行するように構成されたロッキング弁をさらに備え、前記ロック位置にある前記ロッキング弁は、前記フラッシングアダプタに対する前記長尺状医療デバイスの長手方向の移動を阻止するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項9】
前記ロッキング弁は、弁部材をさらに備え、前記弁部材は、前記ロック位置及び前記ロック解除位置の双方において前記弁部材を通る流体の流れを制御するように構成されている、請求項8に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項10】
前記第1のECG信号及び前記第2のECG信号のうちの1つを比較して前記カテーテルの前記遠位先端部の位置の精度を決定するように構成されたコンソールをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項11】
前記コンソールは、前記長尺状医療デバイスの前記遠位先端部の磁場を検出し、患者の体内における前記カテーテルの前記遠位先端部の位置を決定するようにさらに構成されている、請求項10に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項12】
前記第1のカニューレは、金属、合金、又は導電性材料から形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のカテーテル先端部確認システム。
【請求項13】
前記カテーテルは、中心静脈カテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル、迅速挿入型中心静脈カテーテル、ミッドラインカテーテル、シングルルーメンカテーテル、マルチルーメンカテーテル、又は透析カテーテルのうちの1つを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のカテーテル先端部確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血管アクセスデバイス配置用の多機能アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
簡単に要約すると、本明細書で開示される実施形態は、カテーテル又は同様の血管アクセスデバイス(vascular access device:「VAD」)の遠位先端部を標的位置に配置するための多機能な先端部確認アダプタシステムに関する。様々なマルチモーダル血管アクセス配置システムが、患者内の標的位置においてカテーテル又は同様のVADの配置の位置を特定し、そのような配置を追跡し、確認するために用いられ得る。カテーテル遠位先端部の配置は、治療の有効性にとって、また患者に対する過度の外傷を防止するために、重要である可能性がある。例えば、カテーテルを上大静脈(「SVC」)内に配置するときに、中心静脈カテーテル(central venous catheter:「CVC」)の遠位先端部が標的領域に届かない場合、投薬の有効性が低減される。遠位先端部を進め過ぎた場合、遠位先端部は不整脈を引き起こす可能性がある。マルチモーダル血管アクセスデバイス配置システムは、様々なモダリティを用いて、標的領域を撮像し、カテーテルを標的領域まで追跡し、カテーテルの遠位先端部の配置の精度を確認することができる。本明細書で開示される実施形態は、カテーテルの遠位先端部の配置を確認するために、配置手順中にカテーテルの遠位先端部との1つ以上の電気通信経路を維持するように構成された多機能アダプタを含む。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、カテーテル先端部確認システムが開示され、カテーテル先端部確認システムは、ルーメンを画定する第1のカニューレを備えたハウジングを有するカテーテルアダプタであって、第1のカニューレは導電性材料から形成され、カテーテルアダプタハウジングの遠位端は、カテーテルの近位端に係合して第1のカニューレとの流体連通を提供するように構成されている、カテーテルアダプタと、第1のテザーに結合されたクリップであって、クリップはカテーテルアダプタハウジングに配置されたソケットと係合されて第1のカニューレに解放可能に係合し、クリップは第1のECG信号を受信するように構成されている、クリップと、カテーテルアダプタハウジングの近位端に解放可能に結合され、第1のカニューレ内及びカテーテル内に生理食塩水柱(saline column)を提供するように構成されたフラッシングアダプタであって、フラッシングアダプタは、フラッシングアダプタに固定して結合され、第2のECG信号を受信するように構成された第2のテザーを備える、フラッシングアダプタと、第1のカニューレのルーメンを通って延びる長尺状医療デバイスであって、長尺状医療デバイスの遠位先端部はカテーテルの遠位先端部へ延び、長尺状医療デバイスは、長尺状医療デバイスの遠位先端部に配置された磁石を備える、長尺状医療デバイスとを備える。
【0004】
いくつかの実施形態において、第2のテザーは、長尺状医療デバイスに結合されて、長尺状医療デバイスの遠位先端部から第2のECG信号を受信する。いくつかの実施形態において、長尺状医療デバイスは、スタイレット、ガイドワイヤ、又はコア上にコイルを備えた(coil-over-core)ガイドワイヤのうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、第2のテザーは、フラッシングアダプタのルーメンを画定し第1のカニューレと流体連通する第2のカニューレと結合され、第2のテザーは、カテーテルの遠位先端部まで延びる生理食塩水柱から第2のECG信号を受信するように構成されている。いくつかの実施形態において、クリップは、第1のカニューレから選択的に分離され、長尺状医療デバイスの近位部分と結合されて、長尺状医療デバイスの遠位先端部から第1のECG信号を受信するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態において、長尺状医療デバイスは、フラッシングアダプタに固定して結合されている。いくつかの実施形態において、フラッシングアダプタは、フラッシングアダプタとの流体連通を提供するように構成されたフラッシングアームをさらに備える。いくつかの実施形態において、フラッシングアダプタは、ロック位置とロック解除位置との間で移行するように構成されたロッキング弁をさらに備え、ロック位置にあるロッキング弁は、フラッシングアダプタに対する長尺状医療デバイスの長手方向の移動を阻止するように構成される。いくつかの実施形態において、ロッキング弁は、弁部材をさらに備え、弁部材は、ロック位置及びロック解除位置の双方において弁部材を通る流体の流れを制御するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、カテーテル先端部確認システムは、第1のECG信号及び第2のECG信号のうちの1つを比較してカテーテルの遠位先端部の位置の精度を決定するように構成されたコンソールをさらに備える。いくつかの実施形態において、コンソールは、長尺状医療デバイスの遠位先端部の磁場を検出し、患者の体内におけるカテーテルの遠位先端部の位置を決定するようにさらに構成されている。いくつかの実施形態において、第1のカニューレは、金属、合金、又は導電性材料から形成されている。いくつかの実施形態において、カテーテルは、中心静脈カテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル、迅速挿入型中心静脈カテーテル、ミッドラインカテーテル、シングルルーメンカテーテル、マルチルーメンカテーテル、又は透析カテーテルのうちの1つを含む。
【0007】
また、患者の体内におけるカテーテルの遠位先端部の位置を決定する方法も開示され、本方法は、多機能アダプタシステムをカテーテルの近位端に結合することであって、多機能アダプタシステムは、導体材料から形成されカテーテルと流体連通した第1のカニューレを備えるカテーテルアダプタと、カテーテルアダプタの近位端に結合されたフラッシングアダプタと、第1のテザーに結合されたクリップとを備える、結合することと、第1のカニューレ内及びカテーテル内に生理食塩水柱を確立することと、第1のカニューレを通じて長尺状医療デバイスをカテーテルのルーメン内へ延ばすことと、生理食塩水柱又は長尺状医療デバイスのうちの1つによって第1のECG信号を受信することと、生理食塩水柱又は長尺状医療デバイスのうちの1つによって、第1のECG信号とは異なる第2のECG信号を受信することと、第1のECG信号及び第2のECG信号の一方又は双方を用いて、カテーテルの遠位先端部の位置を決定することとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1のECG信号を第2のECG信号と比較してカテーテルの遠位先端部の位置の精度を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、クリップをカテーテルアダプタハウジングに配置されたスロットと係合させて第1のカニューレと接触させ、第1のECG信号を受信することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、クリップを長尺状医療デバイスと係合させて第1のECG信号を受信することをさらに含む。いくつかの実施形態において、フラッシングアダプタは、第1のカニューレと流体連通した第2のカニューレと、フラッシングアダプタに固定して結合され、第2のECG信号を受信するように構成された第2のテザーとを備える。
【0009】
いくつかの実施形態において、フラッシングアダプタは、長尺状医療デバイスに固定して結合された第2のテザーを備え、第2のテザーは、第2のECG信号を受信するように構成されている。いくつかの実施形態において、本方法は、長尺状医療デバイスの遠位先端部に配置された磁石の磁場強度を検出して、患者の体内におけるカテーテルの遠位先端部の位置を追跡することをさらに含む。いくつかの実施形態において、長尺状医療デバイスは、スタイレット、ガイドワイヤ、又はコア上にコイルを備えたガイドワイヤのうちの1つを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、本方法は、カテーテルからカテーテルアダプタを外すことと、カテーテルに皮下アクセスデバイスを結合することと、皮下アクセスデバイスをアクセス針とアクセスさせることと、クリップをアクセス針と結合して第1のECG信号を受信することとをさらに含む。いくつかの実施形態において、カテーテルは、中心静脈カテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル、迅速挿入型中心静脈カテーテル、ミッドラインカテーテル、シングルルーメンカテーテル、マルチルーメンカテーテル、又は透析カテーテルのうちの1つを含む。
【0011】
本開示のより詳細な説明は、添付図面に示される本開示の具体的な実施形態を参照することによってなされる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことが理解される。本発明の例示的な実施形態は、添付図面を用いて、さらに具体的且つ詳細に記載され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本明細書で開示される実施形態による、組み立てられた構成の例示的な多機能アダプタシステムを示す図。
【
図1B】本明細書で開示される実施形態による、
図1Aの多機能アダプタシステムの分解組立図。
【
図2A】本明細書で開示される実施形態による、多機能アダプタシステムの断面図。
【
図2B】本明細書で開示される実施形態による、多機能アダプタシステムの断面図。
【
図2C】本明細書で開示される実施形態による、固定して結合されたスタイレットを備える多機能アダプタシステムの断面図。
【
図2D】本明細書で開示される実施形態による、ガイドワイヤを備えた多機能アダプタシステムの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。また本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、又は置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0014】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3、等)は、一般に、複数の特徴又は複数のステップの群内の異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用され、順番の限定又は数値限定を与えるものではない。例えば、「第1」、「第2」、及び「第3」の特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などの表示は、便宜上使用されており、例えば、特定の固定した位置、向き、又は方向を意味するように意図されていない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、及び「その」は、文脈上特に明記されていない限り、複数形の参照も含む。
【0015】
「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」又は「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0016】
「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位部分」又は「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、又は患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0017】
以下の説明において、本明細書で使用される「又は」及び「及び/又は」という用語は、包括的であるか、又はいずれか1つ若しくは任意の組合せを意味するものと解釈されるべきである。一例として、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は、「以下のA、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、A、B及びCのいずれか」を意味する。要素、構成要素、機能、ステップ、又は行為の組合せが、何らかの点で本質的に互いに排他的である場合に限り、この定義の例外が生じるであろう。本明細書に記載される実施形態の説明を支援するために、
図1Aに示すように、長手方向軸線はカテーテルの軸線方向長さとほぼ平行に延びている。横方向軸線は長手方向軸線に対して垂直に延びており、横断方向軸線は、長手方向軸線及び横方向軸線の双方に対して垂直に延びている。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
図1A~
図1Bは、カテーテル先端部確認用の例示的な多機能アダプタシステム(「システム」)100を示しており、概して、カテーテルアダプタシステム(「カテーテルアダプタ」)110、フラッシングアダプタシステム(「フラッシングアダプタ」)130、及びスタイレット150又はガイドワイヤ250などの長尺状医療デバイスを含む。
図1Aは、組み立てられた構成のシステム100を示す。
図1Bは、
図1Aのシステム100の分解組立図を示す。一実施形態において、フラッシングアダプタ130の遠位端は、カテーテルアダプタ110の近位端に結合され得、これらの間に流体連通を提供することができる。フラッシングアダプタ130は、コネクタ108を用いて、カテーテルアダプタ110に結合され得る。例示的なコネクタ108は、ルアーロック、ツイストロック、トーイボースト(Tuohy-Borst)コネクタ、又は同様の適当な医療用流体継手機構を備えることができる。一実施形態において、コネクタ108は、接続状態若しくは非接続状態の一方又はそれらの双方において自身を通る流体の流れを制御するように構成された弁部材106又は同様の構造を備えることができる。一実施形態において、カテーテルアダプタ110は、フラッシングアダプタ130と一体的に形成され得る。
【0019】
一実施形態において、カテーテルアダプタ110の遠位端は、カテーテル160又は同様のVADの近位端と結合され得、これらの間に流体連通を提供することができる。カテーテルアダプタ110は、ルアーロック、ツイストロック、締まり嵌め、圧入、スナップフィット係合、又は同様の適当な結合機構を用いて、カテーテル160に結合され得る。一実施形態では、キャスロック(cathlock)デバイスが、カテーテル160をカテーテルアダプタ110とさらに固定することができる。本明細書で用いられる場合、例示的なカテーテル160又は同様のVADは、中心静脈カテーテル(CVC)、末梢挿入型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter:PICC)、迅速挿入型中心静脈カテーテル(rapidly insertable central catheter:RICC)、ミッドラインカテーテル、シングルルーメン又はマルチルーメンカテーテル、透析カテーテルなどを含むことができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、スタイレット150は、本明細書でより詳細に説明するように、カテーテルアダプタ110、フラッシングアダプタ130、及びカテーテル160のうちの1つ以上のルーメンを通って延びるように構成され得る。
【0020】
一実施形態において、システム100は、第1のテザー172に結合されたクリップ170をさらに備えることができ、クリップ170は、クリップ170と第1のテザー172との間に電気通信を提供するように構成されている。一実施形態において、クリップ170は、カテーテルアダプタ110、フラッシングアダプタ130、スタイレット150、又はカテーテル160のうちの1つに選択的に結合され得る。第1のテザー172は、マルチモーダル追跡システム80と結合され得る。
【0021】
例えば、第1のテザー172は、第1のテザー172の近位端に配置され、マルチモーダル追跡システム80のセンサ90と係合するように構成された第1のフィンコネクタ174を備えることができる。したがって、クリップ170、第1のテザー172、及びフィンコネクタ174は、本明細書に記載するように、マルチモーダル追跡システム80と、カテーテルアダプタ110、フラッシングアダプタ130、スタイレット150、又はカテーテル160のうちの1つとの間に電気通信経路を提供するように構成され得る。認識されるように、フィンコネクタ174は、例示的な電気コネクタであり、他の電気コネクタシステムも本発明の範囲内にあると考えられる。
【0022】
一実施形態において、フラッシングアダプタ130は、フラッシングアダプタ130と一体的に形成され、フラッシングアダプタ130とセンサ90との間に第2の電気経路を提供するように構成された第2のテザー176を備えることができる。一実施形態において、第2のテザー176は、本明細書に記載するように、第2のテザー176の近位端に配置され、フラッシングアダプタ130をマルチモーダル追跡システム80と通信可能に結合するように構成された第2のフィンコネクタ178を備えることができる。一実施形態において、第1のテザー172及び第2のテザー176は、異なるフィンコネクタ、例えば、第1のフィンコネクタ174及び第2のフィンコネクタ178に、それぞれ結合され得る。一実施形態において、第1のテザー172及び第2のテザー176は、同じフィンコネクタに結合され得る。一実施形態において、第1のテザー172及び第2のテザー176の一方又は双方は、マルチモーダル追跡システム80のコンソールと直接結合され得る。
【0023】
一実施形態において、フラッシングアダプタ130は、フラッシングアダプタ130の近位端に配置され、フラッシングアダプタ130のルーメンとの流体連通を選択的に制御するように構成されたロッキング弁136を備えることができる。ロッキング弁136は、フラッシングアダプタ130のルーメンとの流体連通を選択的に提供するように構成されたトーイボーストコネクタ、ルアーロックコネクタ、又は同様の機構を備えることができる。例えば、ロッキング弁136は、ロック位置とロック解除位置との間で回転され得るカラーを備えることができる。ロック解除位置では、スタイレット150又はガイドワイヤ250が、ロッキング弁136を通って、フラッシングアダプタ130のルーメン内へ進められ得る。ロック位置では、ロッキング弁136は、スタイレット150若しくはガイドワイヤ250がロッキング弁136を通って移動するのを防止し、フラッシングアダプタ130に対するスタイレット150若しくはガイドワイヤ250のいずれかの位置をロックすることができるか、又はスタイレット150若しくはガイドワイヤ250がフラッシングアダプタ130のルーメンに進入するのを防止することができる。一実施形態において、ロッキング弁136は、ロック位置及びロック解除位置の一方又は双方においてロッキング弁136を通る流体の流れを制御するように構成された弁部材106、例えば二葉弁、スリット弁、ダックビル弁など、をさらに備えることができる。一実施形態において、フラッシングアダプタ130は、フラッシングアダプタ130から延び、フラッシングアダプタ130のルーメンと流体連通したフラッシングアーム140を備えることができる。フラッシングアーム140は、本明細書でより詳細に記載するように、シリンジ、医療ライン、流体バッグなどと結合され得、システム100のルーメン102に流体を提供することができる。
【0024】
図2A~
図2Dは、システム100の実施形態の断面図を示す。一実施形態において、システム100は、カテーテルアダプタ110の遠位端とフラッシングアダプタ130の近位端との間に延びるルーメン102を画定することができる。一実施形態において、カテーテルアダプタ110は、ルーメン102の一部を画定する第1のカニューレ112を備えることができる。第1のカニューレ112の遠位端は、カテーテルアダプタ110のハウジング114の遠位端から遠位方向に延びることができ、カテーテル160の近位端に係合してカテーテル160のルーメン162との流体連通を提供するように構成され得る。一実施形態において、第1のカニューレ112は、金属、合金、ステンレス鋼、又は同様の導電性材料から形成され得る。
【0025】
図2A~
図2Bに示すように、一実施形態において、フラッシングアーム140は、生理食塩水をシステム100のルーメン102に提供し、そしてカテーテル160に提供することができる。フラッシングアーム140の近位端は、自身を通る流体の流れを選択的に制御するように構成された第2のロッキング弁146を備えることができる。したがって、生理食塩水がシステムルーメン102及びカテーテルルーメン162を通ってカテーテル160の遠位端へフラッシュされたら、第2のロッキング弁146は、閉鎖されて溶液の流れを「ロックする」ことができ、カテーテル160の遠位端164まで延びる生理食塩水柱を確立することができる(
図2B)。
【0026】
一実施形態において、カテーテルアダプタハウジング114は、クリップ170の一部を内部に受け入れるように構成されたソケット116を備えることができる。使用時、使用者は、クリップ170をソケット116に挿入し、第1のカニューレ112の一部に係合させて、クリップ170と第1のカニューレ112との間に電気接続を確立することができる(
図2B)。したがって、電気経路が、カテーテル160の遠位先端部から、生理食塩水柱、第1のカニューレ112、クリップ170、第1のテザー172を通じて、センサ90及び/又はマルチモーダル追跡システム80までの間に確立され得る。電気経路は、標的位置に対するカテーテル160の遠位先端部164の位置を決定するために、カテーテル160の遠位先端部164において受信されたECG信号をマルチモーダル追跡システム80へ通信することができる。
【0027】
一実施形態において、
図2Aに示すように、フラッシングアダプタ130は、本明細書に記載するように、システムルーメン102の第2の部分を画定する第2のカニューレ132を備えることができ、第2のカニューレ132も金属又は導体材料から形成されている。一実施形態において、第2のテザー176は、第2の金属カニューレ132と固定して結合されて、第2のテザー176と第2の金属カニューレ132との間に電気接続を提供することができる。したがって、電気経路が、カテーテル160の遠位先端部164から、生理食塩水柱、第2のカニューレ132、第2のテザー176を通じて、センサ90及び/又はマルチモーダル追跡システム80までの間に確立され得る。電気経路は、標的位置に対するカテーテル160の遠位先端部164の位置を決定するために、カテーテル160の遠位先端部164において受信されたECG信号をマルチモーダル追跡システム80へ通信することができる。
【0028】
一実施形態において、クリップ170及び第1のテザー172を備えるカテーテルアダプタ110は、第1の電気経路を確立することができ、第2のテザー176を備えるフラッシングアダプタ130は第2の電気経路を確立することができる。有利には、マルチモーダル追跡システム80は、第1の電気経路及び第2の電気経路の双方を用いて、受信したECG信号をクロスチェックし、カテーテル160の遠位先端部164の位置の精度を決定することができる。例えば、第1の経路によって計算された位置と第2の経路によって計算された位置との差が比較的大きい場合には、推定された位置は2つの信号間で平均され得、且つ/又は精度評価又は確信度評価は比較的低いものと分類され得る。代わりに、2つの経路間の差が比較的小さい場合には、位置は平均され得、且つ/又は精度評価は比較的高い可能性がある。位置及び精度評価は、次にマルチモーダル追跡システム80によって使用者に対して表示され得る。
【0029】
有利には、本明細書でより詳細に記載するように、用いられている具体的なカテーテル配置手順によって必要に応じて、クリップ170をカテーテルアダプタ110から選択的に分離し、スタイレット150、ガイドワイヤ250、アクセス針、又はカテーテル160のうちの1つと直接結合させることができるため、カテーテルアダプタ110及びクリップ170を備えたシステム100は、電気経路を確立するための多目的な手段を提供することができる。さらに、自身に固定して結合された第2のテザー176を備えるフラッシングアダプタ130は、信頼できる電気接続を形成することができ、クリップ170が、カテーテルアダプタ110、スタイレット150、ガイドワイヤ250、アクセス針、又はカテーテル160のうちの1つの間で必要に応じて交換され得る間に、カテーテル遠位先端部とマルチモーダル追跡システム80との間の少なくとも1つの電気経路を維持することができる。同様に、クリップ170は、本明細書でより詳細に記載するように、スタイレット150、ガイドワイヤ250、又はフラッシングアダプタ130のうちの1つ以上が交換される間に、カテーテル遠位先端部164とマルチモーダル追跡システム80との間の少なくとも1つの電気経路を維持することができる。有利には、カテーテルアダプタ110及びフラッシングアダプタ130の双方を備えたシステム100は、カテーテル160の遠位先端部との電気通信が途切れずに存続し、カテーテル160の遠位先端部の位置を継続的に確かめることができることを保証するためのフェイルセーフシステムを提供することができる。
【0030】
一実施形態において、システム100は、システムルーメン102を通ってカテーテルルーメン162に入りカテーテル160の遠位先端部164まで延びるスタイレット150又はガイドワイヤ250のうちの1つをさらに備えることができる。一実施形態において、
図2A~
図2Bに示すように、スタイレット150は、別構造とすることができ、システムルーメン102と摺動可能に係合され得る。一実施形態において、スタイレット150は、本明細書で記載するように、ロッキング弁136を用いて、ルーメン102又はカテーテル160の遠位先端部164のうちの一方に対する相対位置を選択的にロックされ得る。
【0031】
一実施形態において、スタイレット150又はガイドワイヤ250は、伝導性材料から形成されて、これらを通じた電気経路を提供することができる。一実施形態において、クリップ170は、カテーテルアダプタ110から外され、スタイレット150又はガイドワイヤ250のうちの一方の近位端と結合され得る。したがって、第3の電気経路が、カテーテル160の遠位先端部164に近接して配置されたスタイレット150の遠位先端部154から、スタイレット150、クリップ170、第1のテザー172を通じて、センサ90及び/又はマルチモーダル追跡システム80までの間に確立され得る。
【0032】
有利には、使用者は、接続の信頼度、電気信号の強度、カテーテル160の配置における段階などに応じて、クリップ170をソケット116とスタイレット150との間で切り替えて、第2の電気経路の精度を相互参照し、電気経路を交替させて、一定の信号がセンサ90及びその組み合わせなどに提供されることを保証することができる。
【0033】
一実施形態において、
図2B~
図2Cに示すように、第2のテザー176は、スタイレット150又はガイドワイヤ250と固定して結合されて、第2のテザー176とスタイレット150又はガイドワイヤ250との間に電気接続を提供することができる。例えば、
図2Bに示すように、第2のテザー176は、フラッシングアダプタハウジング134の壁を通って延び、スタイレット150に固定して取り付けられ得る。一実施形態では、第2のテザー176は、例えば
図2Dに示す構成と同様に、スタイレット150の近位端156に直接、つまりフラッシングアダプタ130に接触することなく、固定して取り付けられ得る。一実施形態において、第2のテザー176は、接着剤、溶接、はんだ付け、接合などを用いて、スタイレット150に固定して取り付けられて、スタイレット150との信頼できる電気接続を提供することができる。有利には、スタイレット150は、依然としてシステムルーメン102と摺動可能に係合され得る。
【0034】
図2Cに示すように、一実施形態において、スタイレット150は、フラッシングアダプタハウジング134と固定して結合されて、フラッシングアダプタハウジング134との信頼できる接続を提供することができる。したがって、一実施形態において、使用者は、フラッシングアダプタ130をカテーテルアダプタハウジング110から分離し、フラッシングアダプタ130を近位方向に引き抜くことによって、スタイレット150をカテーテル160から除去することができる。有利には、フラッシングアダプタハウジング130と一体的に形成されたスタイレット150は、カテーテル160の遠位先端部164からスタイレット150及び生理食塩水柱の一方又は双方を通じてマルチモーダル追跡システム80までの間に、付加的な電気経路を提供することができる。一実施形態において、スタイレット150は、カテーテルアダプタハウジング114と固定して結合されてカテーテルアダプタハウジング114との信頼できる接続を提供することができ、第2のテザー176は、本明細書に記載するように、カテーテルアダプタ110と結合されて第2の電気経路を提供することができる。
【0035】
図2Dに示すように、一実施形態において、システム100は、システムルーメン102を通り、カテーテルルーメン162を通って、患者の脈管構造内へ延びるように構成されたガイドワイヤ250をさらに備えることができる。一実施形態において、ガイドワイヤ250は、本明細書で記載するように、導体材料から形成され、カテーテル遠位先端部164に近接したガイドワイヤ250の遠位先端部254と、クリップ170及び第1のテザー172の電気経路、又はフラッシングアダプタ130及び第2のテザー176の電気経路の一方又は双方などとの間に電気経路を提供することができる。一実施形態において、ガイドワイヤ250は、コアワイヤ260と、コアワイヤ260の上にらせん状に延びるコイルワイヤ262とを備えることができる。一実施形態において、コアワイヤ260及びコイルワイヤ262の一方又は双方は、本明細書に記載する電気経路を提供することができる。さらに、コアワイヤ260若しくはコイルワイヤ262の一方又はそれらの双方の近位端は、本明細書に記載するように、第1のテザー172若しくは第2のテザー176の一方又はそれらの双方に結合され得る。
【0036】
一実施形態において、スタイレット150若しくはガイドワイヤ250の一方又はそれらの双方は、それらの遠位先端部154,254に近接してスタイレット150又はガイドワイヤ250と結合された磁気要素180を備えることができる。磁気要素180は、永久磁石又は電気磁石とすることができる。有利には、マルチモーダル追跡システム80は、カテーテル160が患者の脈管構造を通って進められるときに、磁場強度を検出し、磁気要素180に近接して配置されたカテーテル160の遠位先端部164の位置を決定することができる。超音波撮像、磁気追跡若しくは先端部確認、ECG追跡若しくは先端部確認、又はこれらの組合せなどのうちの1つ以上を用いたマルチモーダル追跡システム80のさらなる詳細及び実施形態は、米国特許第8,971,994号、米国特許第9,492,097号、米国特許第9,636,031号、米国特許第10,238,418号、米国特許第10,966,630号、米国特許第11,027,101号、米国特許出願第2018/0116551号、米国特許出願第2018/0304043号、米国特許出願第2019/0069877号、米国特許出願第2019/0099108号、米国特許出願第2020/0054858号、米国特許出願第2020/0237255号、米国特許出願第2020/0345983号に見られ、上記特許文献は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0037】
例示的な使用方法において、多機能アダプタシステム(「システム」)100は、本明細書に記載するように提供される。使用者は、カテーテルアダプタハウジング114の遠位先端部から延びる第1のカニューレ112をカテーテル160の近位端と締まり嵌め係合などで結合し、第1のカニューレ112とカテーテル160との間に流体連通を提供することができる。一実施形態において、フラッシングアダプタ130の遠位端をカテーテルアダプタ110の近位端と結合することができる。一実施形態において、スタイレット150又はガイドワイヤ250は、フラッシングアダプタ130と固定して結合され得る。したがって、フラッシングアダプタ130を結合することは、第1のカニューレ112を通してスタイレット150又はガイドワイヤ250をカテーテルルーメン162内に延ばすことをさらに含むことができる。フラッシングアダプタ130がカテーテルアダプタ110と係合されると、スタイレット150又はガイドワイヤ250の遠位先端部は、カテーテル160の遠位先端部164と整列することができる。
【0038】
一実施形態において、スタイレット150又はガイドワイヤ250は、フラッシングアダプタ130とは別構造として形成され得る。したがって、フラッシングアダプタ130がカテーテルアダプタ110と結合されたら、スタイレット150又はガイドワイヤ250をシステムルーメン102と摺動可能に係合させることができる。スタイレット150又はガイドワイヤ250の遠位先端部は、カテーテル160の遠位先端部164へ延びることができる。一実施形態において、スタイレット150又はガイドワイヤ250の位置は、ロッキング弁136を用いて、システムルーメン102に対してロックされ得る。一実施形態において、シリンジ、医療ラインなどが、フラッシングアダプタ130のフラッシングアーム140と結合され得、システムルーメン102及びカテーテルルーメン162を生理食塩水でフラッシュすることができる。次に、第2のロッキング弁146が生理食塩水溶液をロックし、生理食塩水柱を確立することができる。
【0039】
一実施形態において、スタイレット150又はガイドワイヤ250のうちの1つは、これらの遠位先端部に配置された磁気要素180を備えることができる。次に、カテーテル160の遠位先端部を、患者の脈管構造を通して標的位置に向かって進めることができる。センサ90及びマルチモーダル追跡システム80の一方又は双方は、カテーテル160の遠位先端部164が脈管構造を通って標的位置に向かって移動するときに、磁気要素180の磁場強度を検出してカテーテル160の遠位先端部164の位置を追跡することができる。任意選択で、マルチモーダル追跡システム80は、患者の皮下部分を撮像するように構成された超音波撮像システムをさらに備えることができる。カテーテル160の遠位先端部164が標的位置に近づくと、システム100は、カテーテル160の遠位先端部164においてECG信号を検出して、標的位置に対する遠位先端部164の位置を、磁気追跡モダリティで得ることができるよりも遥かに高い精度で確認することができる。システム100は、ECG信号をマルチモーダル追跡システム80に提供するために1つ以上の電気経路を提供することができる。2つ以上の電気経路からのECG信号を相互参照して、配置手順中に、配置の精度を確認し、一貫したECG信号を維持することができる。
【0040】
カテーテル160が成功裡に配置されたら、スタイレット150又はガイドワイヤ250を近位方向に引き抜くことができる。有利には、カテーテルアダプタ110は、スタイレット150又はガイドワイヤ250の引き抜き中にカテーテル160の遠位先端部が移動していないことを確認するために、ECG電気経路を維持することができる。一実施形態において、フラッシングアダプタ130をカテーテルアダプタ110から分離し、近位方向に引き抜くことができる。一実施形態において、スタイレット150又はガイドワイヤ250のうちの一方は、本明細書に記載するフラッシングアダプタ130に固定して結合され得る。したがって、カテーテルアダプタ110からフラッシングアダプタ130を分離し引き抜くことは、スタイレット150及びガイドワイヤ250をカテーテルルーメン162から引き抜くことを含み得る。有利には、クリップ170及びカテーテルアダプタ110は、フラッシングアダプタ130及び/又はスタイレット150若しくはガイドワイヤ250の分離及び引き抜き中にカテーテル160の遠位先端部164が移動していないことを確認するために、ECG電気経路を維持することができる。
【0041】
一実施形態において、次に、カテーテルアダプタ110をカテーテル160から分離することができ、スタイレット150を、クリップ170がそれに結合された状態で、カテーテル160に再挿入することができる。スタイレット150の遠位先端部をカテーテル160の遠位先端部へ進めることができ、マルチモーダル追跡システム80は、カテーテル160の遠位先端部においてECG信号を検出してカテーテル160の遠位先端部が標的位置から移動していないことを再確認することができる。
【0042】
一実施形態において、ポート又は同様の皮下アクセスデバイスを、カテーテルルーメン162の近位端にポートのステムを押し込むことによって、カテーテル160に結合することができる。カテーテル160にポートを結合する過程中に、カテーテル160の遠位先端部が移動される場合がある。カテーテル160の遠位先端部が正しく配置されていることを再確認するために、アクセス針、例えばヒューバー針などが、ポート及びカテーテル160アセンブリにアクセスし、アセンブリを生理食塩水でフラッシュして生理食塩水柱を確立することができる。次に、システム100のクリップ170をアクセス針と結合して、生理食塩水柱、アクセス針、及びクリップ170を通じてカテーテル160の遠位先端部との電気経路を確立し、カテーテル160の遠位先端部164の位置を再確認することができる。
【0043】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、特定の実施形態が若干詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。付加的な適応及び/又は変更は当業者には明らかであり得、より広い態様において、これらの適応及び/又は変更は同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から発展させることができる。
【国際調査報告】