(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電気ヒューズ
(51)【国際特許分類】
H01H 85/045 20060101AFI20240920BHJP
H01H 85/18 20060101ALI20240920BHJP
H01H 85/12 20060101ALI20240920BHJP
H01H 37/76 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01H85/045 B
H01H85/18
H01H85/12
H01H37/76 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522429
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2021078674
(87)【国際公開番号】W WO2023061611
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591178562
【氏名又は名称】シュルター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schurter AG
【住所又は居所原語表記】Werkhofstrasse 8, 6005 Luzern, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ギド ズィグナー
(72)【発明者】
【氏名】アルブノア ホーティ
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BA04
5G502BB05
5G502BB07
5G502BD06
5G502BE03
5G502CC04
5G502JJ01
(57)【要約】
電気ヒューズ(100)であって、
-溶融部(110)を有し、さらに溶融部(110)と一体的に形成され、溶融部(110)の両端から長さ方向に延びる第1の延長部(112)および第2の延長部(114)を有する、電気導体要素(108)と、
-前記溶融部(110)を内部空間(116)内に密閉する電気絶縁性の多部品ハウジング(102)と
を備え、
多部品ハウジング(102)は、第1の部品(104)と、前記第1の部品(104)に摺動式に係合される第2の部品(106)とを備え、第2の部品は、第2の部品(106)が内部空間(116)への第1の部品のアクセス開口(118)を覆うように配置されており、
第1の延長部(112)および第2の延長部(114)はそれぞれ端子領域を備え、両端子領域は多部品ハウジング(102)の外部に配置されている、
電気ヒューズ(100)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ヒューズ(100;200;300;400;500)であって、
-溶融部(110;210;310;410;510)を有し、さらに前記溶融部(110;210;310;410;510)と一体的に形成され、前記溶融部(110;210;310;410;510)の両端から長さ方向に延びる第1の延長部(112;212;312;412;512)および第2の延長部(114;214;314;414;514)を有する、電気導体要素(108;208;308;408;508)と、
-前記溶融部(110;210;310;410;510)を内部空間(116;216;316;416;516)内に密閉する電気絶縁性の多部品ハウジング(102;202;302;402;502)と
を備え、
前記多部品ハウジング(102;202;302;402;502)は、第1の部品(104;204;304;404;504)と、前記第1の部品(104;204;304;404;504)に摺動式に係合された第2の部品(106;206;306;406;506)とを備え、前記第2の部品は、前記第2の部品(106;206;306;406;506)が前記内部空間(116;216;316;416;516)への前記第1の部品のアクセス開口(118;218;318;418;518)を覆うように配置されており、
前記第1の延長部(112;212;312;412;512)および前記第2の延長部(114;214;314;414;514)はそれぞれ端子領域を備え、両端子領域は、前記多部品ハウジング(102;202;302;402;502)の外部に配置されている、
電気ヒューズ(100;200;300;400;500)。
【請求項2】
前記第1の部品(104;404;504)が、第1の開口部(120;420;520)と、前記第1の開口部(120;420;520)とは反対側の第2の開口部(122;422;522)とを有し、
それぞれ、前記第1の開口部(120;420;520)が前記第1の延長部(112;412;512)によって貫通されており、また前記第2の開口部(122;422;522)が前記第2の延長部(114;414;514)によって貫通されており、
前記第2の部品(106;406;506)によって構成される壁(124;424;524)が、前記アクセス開口(118;418;518)を覆っている、
請求項1記載の電気ヒューズ(100;400;500)。
【請求項3】
前記第1の部品(204;304)が、第1の開口部(220;320)を有し、
前記第2の部品(206;306)が、前記第1の部品(204;304)の前記第1の開口部(220;320)とは反対側の第2の開口部(222;322)を有し、
それぞれ、前記第1の開口部が前記第1の延長部(212;312)によって貫通されており、また前記第2の開口部が前記第2の延長部(214;314)によって貫通されている、
請求項1記載の電気ヒューズ(200;300)。
【請求項4】
前記電気導体要素(108;208;308;408;508)によって構成される前記第1の延長部(112;212;312;412;512)が、前記第1の開口部(120;220;320;420;520)を封止しており、
前記電気導体要素(108;208;308;408;508)によって構成される前記第2の延長部(114;214;314;414;514)が、前記第2の開口部(122;222;322;422;522)を封止している、
請求項1から3までのいずれか1項記載の電気ヒューズ(100;200;300;400;500)。
【請求項5】
前記電気導体要素(108;208;308;408)の前記第1の延長部(112;212;312;412)の長さ方向に対して垂直な断面が、形態および寸法の点で前記第1の開口部(120;220;320;420)の断面に対応し、かつ/または、
前記電気導体要素(108;208;308;408)の前記第2の延長部(114;214;314;414)の長さ方向に対して垂直な断面が、形態および寸法の点で前記第2の開口部(122;222;322;422)の断面に対応する、
請求項4記載の電気ヒューズ(100;200;300;400)。
【請求項6】
前記第1の開口部(520)および前記第2の開口部(522)は、前記電気導体要素(508)の前記溶融部(510)の長さ方向に対して平行な面における前記多部品ハウジングの断面図においてV字形状またはW字形状に形成されている、
請求項4記載の電気ヒューズ(500)。
【請求項7】
前記電気導体要素(108;208;308;408;508)はシート状金属である、
請求項1から6までのいずれか1項記載の電気ヒューズ(100;200;300;400;500)。
【請求項8】
前記電気ヒューズ(100;200;300;400;500)がさらに、前記内部空間(116;216;316;416;516)に充填される充填材(126;226;326;426;526)を有する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の電気ヒューズ(100;200;300;400;500)。
【請求項9】
前記充填材(126;226;326;426;526)は、消弧能力を有する材料からなる、
請求項8記載の電気ヒューズ(100;200;300;400;500)。
【請求項10】
前記充填材(126;226;326;426;526)は、砂、シリコーン、ガラスビーズおよびセラミックビーズのうちの少なくとも1つからなる、
請求項8または9記載の電気ヒューズ(100;200;300;400;500)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の電気ヒューズ(100;200;300;400;500)を製造する方法であって、
a)溶融部(110;210;310;410;510)を有し、さらに前記溶融部(110;210;310;410;510)と一体的に形成され、前記溶融部(110;210;310;410;510)の両端から長さ方向に延びる第1の延長部(112;212;312;412;512)および第2の延長部(114;214;314;414;514)を有する、電気導体要素(108;208;308;408;508)を用意するステップと、
b)第1の部品(104;204;304;404;504)および第2の部品(106;206;306;406;506)を備えた電気絶縁性の多部品ハウジング(102;202;302;402;502)を用意するステップと、
c)前記溶融部(110;210;310;410;510)が前記多部品ハウジング(102;202;302;402;502)の内部空間(116;216;316;416;516)内に密閉されるように、前記導体要素(108;208;308;408;508)を前記多部品ハウジングに導入するステップと、
d)前記第1の部品と前記第2の部品とを相互に対して摺動式に係合させ、これにより、前記内部空間(116;216;316;416;516)への前記第1の部品(104;204;304;404;504)のアクセス開口(118;218;318;418;518)を前記第2の部品(106;206;306;406;506)によって覆うステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記ステップb)がさらに、前記第1の部品(104;404;504)に、第1の開口部(120;420;520)と、前記第1の開口部(120;420;520)とは反対側の第2の開口部(122;422;522)とを設けることを含み、
前記ステップc)がさらに、それぞれ、前記第1の開口部(120;420;520)が前記第1の延長部(112;412;512)によって貫通されるように、前記第1の開口部(120;420;520)を通して前記導体要素(108;408;508)を導入すること、および前記第2の開口部(122;422;522)が前記第2の延長部(114;414;514)によって貫通されるように、前記第2の開口部(122;422;522)を通して前記導体要素(108;408;508)を導入することを含む、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ステップb)はさらに、前記第1の部品(204;304)と前記第2の部品(206;306)とが係合されると、前記第1の部品(204;304)に第1の開口部(220;320)を設け、前記第2の部品(206;306)に前記第1の開口部(220;320)とは反対側の第2の開口部(222;322)を設けることを含み、
前記ステップc)はさらに、それぞれ、前記第1の開口部(220;320)が前記第1の延長部(212;312)によって貫通されるように、前記第1の開口部(220;320)を通して前記導体要素(208;308)を導入すること、および前記第2の開口部(222;322)が前記第2の延長部(214;314)によって貫通されるように、前記第2の開口部(222;322)を通して前記導体要素(208;308)を導入することを含む、
請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記方法がさらに、
e)前記第1の延長部(112;212;312;412;512)および/または前記第2の延長部(114;214;314;414;514)を、前記多部品ハウジング(102;202;302;402;502)の外壁部に対して少なくとも部分的に当接するように曲げるステップ
を含む、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記ステップd)は、前記アクセス開口(118;218;318;418;518)を通して前記内部空間(116;216;316;416;516)に充填材(126;226;326;426;526)を充填するステップによって先行される、
請求項11から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ヒューズおよび電気ヒューズを製造する方法に関する。
【0002】
既知のタイプのヒューズは、導電性の端部キャップを両端に備えた絶縁性の管状ハウジングを備える。ハウジングの内部を通って延びる可溶性ワイヤが2つの端部キャップを接続している。可溶性ワイヤは、予め定められた最大許容電流がワイヤに流れると溶ける寸法にされている。ワイヤと端部キャップとの間の接続部は故障しやすく、すなわち、定格電流よりも小さい電流で破断することがある。定格電流が大きいほど、このようなヒューズの早期トリガを高い信頼性で回避することが難しくなる。
【0003】
未公開の文献である国際出願第2020/052356号明細書は、内部空間を取り囲む壁を備えた電気絶縁性のハウジングであって、第1の開口部および第1の開口部とは反対側の第2の開口部を有するハウジングと、ハウジングの外部の第1の端子領域から、第1の開口部、内部空間および第2の開口部を横切り、ハウジングの外部の第2の端子領域まで延びる一体的に形成された電気導体要素とを備える電気ヒューズを開示している。導体要素の第1の封止部が第1の開口部を封止しており、導体要素の第2の封止部が第2の開口部を封止している。
【0004】
両開口部を横切って導体要素を挿入するのが面倒であることは、ヒューズを組み立てる際の最新技術における問題である。さらに、一方の開口部を介して内部空間に充填材、例えば消弧材を充填することも面倒でありうる。前記問題を解決するために、最新技術では、第2の開口部の断面を第1の開口部の断面よりも大きく形成することが提案されている。したがって、より大きい第2の開口部から挿入された導体要素の端部を、よりきつい寸法にされた第1の開口部へ、また第1の開口部を通して案内できるように設計された、漏斗型形状の内部空間を実現することができる。さらに、内部空間には、第2の開口部を介して消弧材を充填することができる。第2の開口部は、導体要素自体によって構成される封止部によって封止される。従来技術では、前記封止部の移動を妨げるために接続手段を設けなければならないことが問題であった。前記接続手段は、内部空間に向かって突出する突出部を封止部に設けることで構成することができる。しかし、前記接続手段を設けることにはコストがかかり、追加の製造ステップを要する。さらに、封止部をハウジングに取り付けることも面倒である。
【0005】
本発明の目的は、最新技術の問題を少なくとも回避する代替的な電気ヒューズを提供することである。本発明のより具体的な目的は、製造が簡単な電気ヒューズを提供することである。
【0006】
この目的は、請求項1記載の電気ヒューズによって達成される。さらに、請求項11記載の電気ヒューズを製造する方法が提供される。
【0007】
定義によれば、電気ヒューズは、電気技術の広い分野で使用される保護装置である。電気ヒューズは、例えば、電流が可溶性材料の一部を通って流れ、この電流が過大になったときに可溶性材料の変位によって電流が遮断されるように構成されている。電気ヒューズは、予め定められた最大許容電流を超えたときに電流が確実に遮断されるという意味で、信頼性が高いことが望まれる。さらに、電気ヒューズは、通常の動作条件に対応する小さい電流値で電気回路を遮断すべきではない。さらに、定義によれば、温度ヒューズは、付近の温度が過大になったときに電流を遮断するように設計される。限流ヒューズの動作方式と温度ヒューズの動作方式とを組み合わせることのできる電気ヒューズも考えられる。
【0008】
本発明による電気ヒューズは、溶融部を有し、さらに溶融部と一体的に形成され、溶融部の両端から長さ方向に延びる第1の延長部および第2の延長部を有する、電気導体要素と、前記溶融部を内部空間内に密閉する電気絶縁性の多部品ハウジングとを備え、多部品ハウジングは、第1の部品と、前記第1の部品に摺動式に係合される第2の部品とを備え、第2の部品は、第2の部品が内部空間への第1の部品のアクセス開口を覆うように配置されており、第1の延長部および第2の延長部はそれぞれ端子領域を備え、両端子領域は、多部品ハウジングの外部に配置されている。
【0009】
多部品ハウジングは、2部品ハウジングであってよく、2部品ハウジングの2つの部品は、電気絶縁性のハウジングの前記第1の部品および前記第2の部品である。ハウジングの第1の部品および第2の部品は、マッチ箱の各部品が摺動式に係合されているように、または引き出しが家具のそれぞれの区画に摺動式に係合されているように、摺動式に係合されていてよい。この例えにおいて、アクセス開口を有する第1の部品は、マッチ箱または引き出しそれぞれの内側の部品に相当する。第1の部品のアクセス開口は、第2の部品に対する第1の部品の摺動移動がアクセス開口に対して平行な方向に生じるように配向されうる。代替案として、摺動係合の摺動方向は、第1の部品のアクセス開口に対して垂直な方向に配向されていてもよい。この場合、第2の部品は、第1の部品のためのキャップまたは蓋を形成することができる。
【0010】
有利には、本発明による電気ヒューズは、第1の部品、第2の部品および少なくとも溶融部の領域において多部品ハウジングによって取り囲まれる電気導体要素という3つの要素のみを利用する、非常に簡単な構成で実現することができる。驚くべきことに、この簡単な構成でも多部品ハウジングの内部空間を適切に封止することができ、さらなる接続手段を設けなくても第1の部品と第2の部品とを相互に適切に取り付けることができる。
【0011】
組み立ての初期ステップにおいて、少なくとも、電気導体要素を前記第1の部品の1つの開口部を通して案内することにより、電気導体要素を第1の部品に係合させることができる。第1の部品に対する電気導体要素の前記組み立ては、電気導体要素を1つの開口部のみを通して案内すればよいので、通し作業の手間を省くことができ、容易に実現することができる。その後、電気導体要素を備えた第1の部品を、摺動係合によって第2の部品に係合させることができる。こうした摺動係合により、通し作業の手間をかけることなく、電気導体要素を第2の部品の開口部を通して案内することができる。
【0012】
多部品ハウジングの内部空間は、内部空間を横切る導体要素の部分を除いて、空であってよい。代替的に、内部空間には、例えば消弧材からなる充填材が充填されてもよい。消弧材は、高いシステム電圧の遮断のために設計された電気ヒューズに適している。消弧材はまた、大きな最大許容電流、例えば100アンペア(100A)範囲およびそれ以上の電流、例えば最大2000アンペアまたはさらには最大10000アンペア(10kA)のために設計された電気ヒューズに適しており、砂、特に石英砂であってよい。このように、電気ヒューズは、大電流または超大電流領域での使用に適合している。後者の電流領域は、近い将来、当該範囲の短絡電流を有するバッテリおよびアキュムレータが利用可能となるため、特に有用となるであろう。この状況では、公称電流が50A~500Aの範囲にあり、最大10kAまでの遮断容量が必要であり、本発明によるヒューズによって提供することができる。例えば、完全な短絡電流を伴う32Vの場合、消弧材が必要となりうることに留意されたい。消弧材は、低電圧、例えば16V、低減電流を伴う例えば32V、高電圧、例えば48Vから開始し、非常に低い過電流を伴う場合を除き、必要となりうる。
【0013】
さらに有利には、多部品ハウジングの第1の部品と第2の部品との相互の取り付けは、電気導体要素自体によって、例えば第1の部品と第2の部品とが係合されたときにその突出部分を曲げることによって、実現することができる。したがって、例えば接着、はんだ付けなどの追加の接続手段を省略することができる。
【0014】
導体要素が導電性を有し一体的に形成されているため、導体要素は、単一片の可溶性要素を形成し、同時にヒューズの端子領域、例えば第1の端子領域および第2の端子領域の機能を提供することができる。前記端子領域は導体要素によって形成可能であり、例えば第1の延長部および第2の延長部によってそれぞれ直接に形成可能である。代替的に、これらは、はんだ付けによって端子領域を対応する導体パッドに容易に接続できるように、例えばスズ層、ニッケル層、金層、銀層などの1つ以上の層によって少なくとも部分的または完全に覆うことができる。代替として、溶接、ねじ止め、リベット止めによって端子を対応する導体に接続する手段を設けることもできる。
【0015】
例において、第1の端子領域と第2の端子領域は、同一平面上にある。「同一平面上にある端子領域」なる用語は、第1の端子領域と第2の端子領域とが共通平面内で相互に間隔を空けて配置されることを意味しうる。この態様は、表面実装デバイス(SMD)として設計されたヒューズ、すなわち、表面実装技術(SMT)とも呼ばれる導線なしの用途に適したヒューズに特に適している。端子領域は、片面、例えば多部品ハウジングの底面に、多部品ハウジングから背を向けるように配置可能である。このように、電気ヒューズをプリント回路基板上に配置して、リフローはんだ付けによって第1の端子領域および第2の端子領域をプリント回路基板上のはんだ付けパッドにはんだ付けすることができる。自動車用途で常用される既知のいわゆるブレードヒューズと比較して、本実施形態による電気ヒューズは、プリント回路基板上に自動的に配置することができ、標準的なリフロー工程によってはんだ付けできるという利点を有する一方、ブレードヒューズの取り付けは手作業で行う必要があり、一般的に生産チェーンの最終段階で行われるため、比較的高いコストにつながる。
【0016】
例において、端子領域は、多部品ハウジングの相反する面、例えば多部品ハウジングの前面および後面、または例えば多部品ハウジングの側面に折り曲げることができる。この例において、例えばプリント回路基板上の、隣接する構成要素、例えば過電流から保護されるべき構成要素に対する直列接続を実現することができる。換言すれば、電気ヒューズは、カートリッジヒューズのように使用することができる。
【0017】
端子領域は、相互に間隔を置いて、過電流から保護されるべき電気機器に電気ヒューズを直列に接続することができる。電気ヒューズは、導通状態と溶断状態との2つの状態を有する。導通状態、すなわち溶断していない元の状態において、導体要素は、端子領域間の電気的接触を提供する。ヒューズが溶断されると、すなわち、予め定められた最大許容電流を超える電流によって導体要素の溶融部が溶融されると、端子領域間の電気的接続が遮断される。本発明による電気ヒューズは、リセット不能なヒューズであり、すなわち導通状態に戻ることはない。リセット機構は存在しない。
【0018】
導体要素の溶融部は、断面の縮小、特に、導体要素の厚さの縮小、導体要素の幅の縮小、溶融部の領域における導体要素の2つ以上の平行なストリップへの分離、導体要素の横方向から見た、むしろ導体要素の平面における溶融部の少なくとも一部の少なくとも1つのくぼみ、または先に述べた実現性の組み合わせ、例えば、ヒューズの溶融部を形成する分離された部分の前後の導体要素の厚さと比較して、それぞれの厚さが縮小した2つ、3つまたはそれ以上の平行に走るストリップへの局所的な分離によって実現されうる。ストリップの数およびストリップの断面を変化させることにより、ヒューズの電流-時間特性を所望の用途のニーズに応じて変化させることができる。さらに、例えば穴などの異なる凹部によって、導体要素の断面を小さくした溶融部を実現することができる。
【0019】
さらなる例において、導体要素は、溶融部内の少なくとも部分、例えば延長部の1つに隣接して配置された、少なくとも1つのオーバーレイを備えることができ、溶融部およびオーバーレイはそれぞれ、所定の周囲温度を超えたとき、および導体要素によって電流が導通されたときに拡散する材料を含むことができる。
【0020】
多部品ハウジングは、ヒューズが溶断すると、電気導体要素の溶融した溶融部からの落下物がヒューズの近隣の要素または付近の人に損傷を与えることを有利に防止する。多部品ハウジングは、ヒューズが溶断したときに発生する温度上昇に耐えることのできる材料から製造可能である。
【0021】
本発明の実施形態は、表面実装技術(SMT)を利用する用途を目的としている。少なくともこれらのケースにおいては、ハウジングの材料は、最大260℃の温度でのリフロー工程に耐えるように選択可能である。
【0022】
多部品ハウジングは、ポリマーまたはセラミックなどの異なる材料を含むこともできる。多部品ハウジングは、その温度安定性を高める充填剤を含むポリマーで構成可能である。多部品ハウジングは、セラミック材料で構成されてもよい。多部品ハウジングの材料は、例えばアーク放電中の熱衝撃で多部品ハウジングに亀裂が生じないように選択可能であり、この目的に特に適しているのは、高性能熱可塑性プラスチック、特にガラス繊維補強された高性能ポリアミドである。
【0023】
定義によれば、本発明の幾つかの実施形態において導体要素に関して使用される「長さ方向」なる用語は、導体要素が、初期(取り付けられていない)状態において長さ方向に延びることができるが、後でさらに詳細に説明するように、その延長において、またむしろ延長部において、後の状態で曲げることができるという意味を有する。後者の場合でも、導体要素の少なくとも1つの部分、例えば溶融部は、依然として長さ方向に延びることができる。本発明の幾つかの実施形態において導体要素に関して使用される「長さ方向」なる用語は、導体要素の溶融部を流れる電流の方向も反映する。
【0024】
単一片として形成された一体的に形成された電気導体要素が提供される。これは、導体要素が、例えばはんだ付け、溶接などによって確立された接続点、接続線もしくは接続面などの継ぎ目のない、または機械的に連結する接続部のない、連続的な材料形成を伴うことを意味する。一体的に形成された導体要素は、例えば圧延、切断、打ち抜き、エンボス加工、または曲げ加工によって、最終形状を得ることができる。
【0025】
電気導体要素は、銅などの金属、または銅合金、例えば青銅や真鍮、銀合金、ステンレス鋼などの鉄合金などの金属合金で構成可能である。電気導体要素に適し、高いまたは非常に高い導電率を有する金属合金は、銅-銀合金、銅-ジルコニウム合金、銅-亜鉛合金、銅-マグネシウム合金、銅-鉄合金、銅-クロム合金、銅-クロム-ジルコニウム合金、銅-ニッケル-リン合金および銅-スズ合金のグループに見出される。電気導体要素に適し、中程度の導電率を有する代替的な金属合金は、銅-ニッケル-シリコーン合金、銅-ベリリウム合金、銅-ニッケル-スズ合金、銅-コバルト-ベリリウム合金、銅-ニッケル-ベリリウム合金のグループに見出される。
【0026】
電気ヒューズの実施形態は、請求項2から10の特徴から生じる。
【0027】
第1の態様における本発明による電気ヒューズの一実施形態では、第1の部品が、第1の開口部と、第1の開口部とは反対側の第2の開口部とを有し、それぞれ、前記第1の開口部が第1の延長部によって貫通されており、また前記第2の開口部が第2の延長部によって貫通されており、第2の部品によって構成される壁がアクセス開口を覆っている。
【0028】
第1の態様における本発明によるこの実施形態は、多部品ハウジングを有する電気ヒューズであって、第1の部品が、電気導体要素によって封止される第1の開口部および第2の開口部の両方を有し、アクセス開口は、内部空間に充填材、例えば消弧材を容易に充填できるように広く形成されることができる、電気ヒューズを提供する。多部品ハウジングの第1の部品と第2の部品とが係合されると、第2の部品によって構成される壁が、内部空間を外部に対して確実に封止するように前記アクセス開口を覆う。
【0029】
第2の態様における本発明による電気ヒューズの一実施形態では、第1の部品が第1の開口部を有し、第2の部品が、第1の部品の第1の開口部とは反対側の第2の開口部を有し、それぞれ、前記第1の開口部が第1の延長部によって貫通されており、前記第2の開口部が第2の延長部によって貫通されている。
【0030】
第2の態様における本発明による当該実施形態は、多部品ハウジングを有する電気ヒューズであって、第1の部品は第1の開口部を有し、第2の部品は第2の開口部を有し、両開口部は電気導体要素によって封止され、アクセス開口は内部空間に充填材を容易に充填できるように広く形成されることができる、電気ヒューズを提供する。多部品ハウジングの第1の部品と第2の部品が係合されると、第2の部品によって構成される壁が、内部空間を外部に対して確実に封止するように前記アクセス開口を覆う。
【0031】
本発明による電気ヒューズの一実施形態では、電気導体要素によって構成される第1の延長部が前記第1の開口部を封止しており、電気導体要素によって構成される第2の延長部が前記第2の開口部を封止している。
【0032】
本発明による電気ヒューズの一実施形態では、電気導体要素の前記第1の延長部の長さ方向に対して垂直な断面が、形態および寸法の点で前記第1の開口部の断面に対応し、かつ/または電気導体要素の前記第2の延長部の長さ方向に対して垂直な断面が、形態および寸法の点で前記第2の開口部の断面に対応する。
【0033】
例として、第1の延長部および/または第2の延長部は、矩形断面、例えば延長部を形成するシート状金属の部分の厚さおよび幅によって規定される矩形を有しうる。当該矩形断面は、多部品ハウジングの矩形の第1の開口部および/または第2の開口部にぴったり嵌まるような寸法とすることができる。結果として、多部品ハウジングの内部空間は、外部に対して適切に封止される。多部品ハウジングの壁、導体要素の第1の延長部、および導体要素の第2の延長部は共に、防塵性の閉鎖体を形成する。多部品ハウジングと導体要素の第1の延長部および第2の延長部との間の間隙は、塵埃が間隙を通過できないように十分に小さな寸法とされる。これにより、一方では電気ヒューズの外部から多部品ハウジングへの塵埃粒子の侵入が防止され、他方ではヒューズの溶断の結果として生じる粒子から電気ヒューズの周囲が保護される。塵埃粒子の直径は通常5μm~100μmの範囲である。したがって、間隙の幅は、さらに高い保護レベルを実現するために、100μm未満、50μm未満、5μm未満、または2μmまたは1μmと小さくすることもできる。
【0034】
本発明による電気ヒューズの代替的な実施形態では、第1の開口部および第2の開口部は、電気導体要素の溶融部の長さ方向に対して平行な面における多部品ハウジングの断面図においてV字形状またはW字形状に形成される。当該実施形態では、製造工程で十分に小さい寸法の開口部を形成できない場合でも、微小粒子に対する封止性を向上させることができる。
【0035】
本発明による電気ヒューズの一実施形態では、前記導体要素はシート状金属である。
【0036】
導体要素の外側輪郭は、より大きいシート状金属片から導体要素を打ち抜きまたは切断、エッチング、例えばレーザーカットすることによって形成可能である。導体要素に穴を開けてもよい。当該ステップにおいて、幅が縮小された溶融部、または別個の平行に走る部分を備える溶融部を製造することができる。断面が縮小された溶融部を製造するために、シート状金属の部分的な領域の厚さが圧延またはプレスによって縮小されうる。シート状金属は、最終形状、例えば多部品ハウジングの第1の開口部および/または第2の開口部を覆う形状に、容易に曲げることができる。第1の延長部および第2の延長部の最終位置は、所望の位置に曲げることによって実現することができる。シート状金属は、導体要素に適した材料の文脈において上述したように、銅、青銅、真鍮、銅合金、銀合金、鋼、特にステンレス鋼などで構成可能である。
【0037】
本発明による一実施形態では、電気ヒューズはさらに、内部空間に充填される充填材を有する。本発明による電気ヒューズのさらなる実施形態では、充填材は消弧能力を有する材料からなる。本発明による電気ヒューズのさらなる実施形態では、充填材は、砂、シリコーン、ガラスビーズおよびセラミックビーズのうちの少なくとも1つからなる。
【0038】
有利には、多部品ハウジングの内部空間には、第1の部品のアクセス開口を介して充填材、例えば消弧材を容易に充填することができ、アクセス開口は、充填を容易にするために広く形成することができる。内部空間に消弧材を充填し終えた後、第1の部品と第2の部品を摺動式に係合させ、第1の部品のアクセス開口を第2の部品によって覆うこと、したがって、消弧材を内部空間に適切に保持することができる。したがって、追加的な封止措置を回避することができる。
【0039】
さらに、本発明の範囲は、独立請求項11記載の方法にある。本発明によれば、電気ヒューズを製造する方法は、
a)溶融部を有し、さらに溶融部と一体的に形成され、溶融部の両端から長さ方向に延びる、第1の延長部および第2の延長部を有する、電気導体要素を用意するステップと、
b)第1の部品および第2の部品を備えた電気絶縁性の多部品ハウジングを用意するステップと、
c)溶融部が多部品ハウジングの内部空間内に密閉されるように、導体要素を多部品ハウジングに導入するステップと、
d)第1の部品と第2の部品とを相互に対して摺動式に係合させ、これにより、内部空間への第1の部品のアクセス開口を第2の部品によって覆うステップと
を含む。
【0040】
方法は、電気導体要素の第1の延長部および第2の延長部のそれぞれに端子領域を設ける追加のステップを含みうる。方法は、両端子領域を多部品ハウジングの外部に配置するさらなるステップを含んでもよい。
【0041】
第1の態様における本発明による方法の一実施形態では、ステップb)はさらに、第1の部品に、第1の開口部と、第1の開口部とは反対側の第2の開口部とを設けることを含み、ステップc)はさらに、それぞれ、前記第1の開口部が第1の延長部によって貫通されるように、前記第1の開口部を通して導体要素を導入すること、および前記第2の開口部が第2の延長部によって貫通されるように、前記第2の開口部を通して導体要素を導入することを含む。
【0042】
第2の態様における本発明による方法の実施形態では、ステップb)はさらに、第1の部品と第2の部品とが係合されると、第1の部品に第1の開口部を設け、第2の部品に第1の開口部とは反対側の第2の開口部を設けることを含み、ステップc)はさらに、それぞれ、前記第1の開口部が第1の延長部によって貫通されるように、前記第1の開口部を通して導体要素を導入すること、および前記第2の開口部が第2の延長部によって貫通されるように、前記第2の開口部を通して導体要素を導入することを含む。
【0043】
本発明による方法の一実施形態では、方法はさらに、
e)第1の延長部および/または第2の延長部を、多部品ハウジングの外壁部に対して少なくとも部分的に当接するように曲げるステップ
を含む。
【0044】
本発明による方法の一実施形態では、ステップd)は、アクセス開口を通して内部空間に充填材を充填するステップによって先行される。
【0045】
上述した実施形態の特徴は、相互に矛盾しない限り、組み合わせることができる。
【0046】
次に、図を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1a】第1の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図1b】第1の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図1c】第1の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図1d】第1の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図1e】第1の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図1f】第1の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図1g】第1の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図1h】第1の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図1i】第1の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図2a】第2の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図2b】第2の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図2c】第2の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図2d】第2の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図2e】第2の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図2f】第2の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図2g】第2の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図2h】第2の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図2i】第2の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図2j】第2の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図3a】第3の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図3b】第3の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図3c】第3の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図3d】第3の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図3e】第3の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図3f】第3の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図3g】第3の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図3h】第3の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図3i】第3の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図4a】第4の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図4b】第4の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図4c】第4の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図4d】第4の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図4e】第4の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図4f】第4の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図4g】第4の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図4h】第4の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図4i】第4の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図5a】第5の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図5b】第5の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図5c】第5の態様における本発明による電気ヒューズの異なる図である。
【
図5d】第5の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図5e】第5の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図5f】第5の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図5g】第5の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【
図5h】第5の態様における本発明による電気ヒューズを製造中の異なる状態の図である。
【0048】
図1a)~
図1c)は、第1の態様における本発明による電気ヒューズ100の異なる図を示し、
図1d)~
図1i)は、第1の態様における電気ヒューズ100を製造中の異なる状態を示す。
【0049】
電気ヒューズ100は、第1の部品104および第2の部品106を備える電気絶縁性の多部品ハウジング102を備える。組み立て状態においては、第1の部品104と第2の部品106は、以下でさらに詳細に説明するように、相互に摺動式に係合される。
【0050】
電気ヒューズ100はさらに、電気導体要素108を備える。図示の態様では、電気導体要素108はシート状金属からなる。電気導体要素108は、溶融部110、第1の延長部112および第2の延長部114を備え、すべての部分が一体的に形成されている。第1の延長部112および第2の延長部114はそれぞれ溶融部110の両端から長さ方向に延びる。電気導体要素108の溶融部110は、第1の延長部112の幅および第2の延長部114の幅に比べて縮小された幅の、例えば平行なストリップで形成することができる。
【0051】
組み立て状態において、多部品ハウジング102は、溶融部110を多部品ハウジング102の内部空間116内に密閉する。第1の部品104は、内部空間116へのアクセスを可能にするアクセス開口118を有する。組み立て状態においては、第1の部品104と第2の部品106とは係合されて、むしろ第2の部品106が内部空間116への第1の部品104のアクセス開口118を覆うように配置される。
【0052】
第1の部品104はさらに、第1の開口部120と、第1の開口部120とは反対側の第2の開口部122とを有する。それぞれ、前記第1の開口部120は第1の延長部112によって貫通され、前記第2の開口部122は第2の延長部114によって貫通される。第2の部品106によって構成される(側面)壁124が、第1の部品104のアクセス開口118を覆う。
【0053】
電気ヒューズ100を組み立てる際、電気導体要素108は、電気導体要素108の溶融部110が内部空間116内に密閉されるように、むしろそこに存在するように、電気導体要素108の第1の延長部112および第2の延長部114を第1の部品104の第1の開口部120および第2の開口部122を介して横方向に案内することにより、第1の部品104に取り付けられる(
図1d)および
図1e)を参照)。第1の延長部112は予め曲げておくことができる。
【0054】
次のステップにおいて、(電気導体要素108を備えた)第1の部品104と第2の部品106は、相互に摺動式に係合される(
図1f)および
図1g)を参照)。係合状態においては、第2の部品106によって構成される(側面)壁124が、第1の部品104のアクセス開口118を覆う(
図1h)および
図1i)を参照)。したがって、電気導体要素108の溶融部110は、多部品ハウジング102の内部空間116に、その外部に対して適切に封止された状態で配置される。次のステップにおいて、第2の延長部114を少なくともその一部において曲げることができる。前記曲げ加工は、例えば、第2の部品106の外面部分に係合するように行うことができ、したがって、第1の部品104と第2の部品106とを相互に適切に取り付け、むしろ拘束する。図示の態様では、第2の延長部114の一部が第1の延長部112の予め曲げられた部分に対応するように曲げられる(
図1b)および
図1c)を参照)。
【0055】
図示の態様では、電気導体要素108の第1の延長部112の断面は、形態および寸法の点で第1の開口部120の断面に対応する。さらに、電気導体要素108の第2の延長部114の断面は、形態および寸法の点で第2の開口部122の断面に対応する。
【0056】
このような組み立て状態においては、電気導体要素108によって構成される第1の延長部112が第1の部品104の第1の開口部120を封止し、電気導体要素108によって構成される第2の延長部114が第1の部品104の第2の開口部122を封止する。
【0057】
多部品ハウジング102の壁、電気導体要素108の第1の延長部112、および電気導体要素108の第2の延長部114は共に、防塵性の多部品ハウジング102を形成する。多部品ハウジング102と、電気導体要素108の第1の延長部112および第2の延長部114との間の間隙は、塵埃が間隙を通過できないように十分に小さな寸法とすることができる。これにより、一方では、電気ヒューズ100の外部から多部品ハウジング102への塵埃粒子の侵入が防止され、他方では、電気導体要素108の溶断の結果として生じる粒子から電気ヒューズ100の周囲が保護される。その結果、多部品ハウジング102の内部空間116を適切に封止することができ、第1の部品104と第2の部品106とをさらなる接続手段なしに相互に適切に取り付けることができる。
【0058】
電気導体要素108を第1の部品104に取り付けるステップに続いて、
図1c)に概略的に示されているように、内部空間116に、例えば消弧材からなる充填材126を充填することができる。有利には、アクセス開口118は、内部空間116に充填材126を容易に充填できるように広く形成される。多部品ハウジング102の第1の部品104と第2の部品106とが係合されると、第2の部品106によって構成される壁124が、内部空間116の内部に充填材126を確実に保持するように、アクセス開口118を外部に対して適切に覆い、むしろ封止する。
【0059】
図2a)~
図2d)は、第2の態様における本発明による電気ヒューズ200の異なる図を示し、
図2e)~
図2j)は、第2の態様における本発明による電気ヒューズ200を製造中の異なる状態を示す。
【0060】
電気ヒューズ200は、第1の部品204および第2の部品206を備える電気絶縁性の多部品ハウジング202を備える。組み立て状態においては、第1の部品204と第2の部品206は、以下でさらに詳細に説明するように、相互に摺動式に係合される。
【0061】
電気ヒューズ200はさらに、電気導体要素208を備える。図示の態様では、電気導体要素208はシート状金属からなる。電気導体要素208は、溶融部210、第1の延長部212および第2の延長部214を備え、すべての部分が一体的に形成される。第1の延長部212および第2の延長部214はそれぞれ、溶融部210の両端から長さ方向に延びる。電気導体要素208の溶融部210は、第1の延長部212の幅および第2の延長部214の幅に比べて縮小された幅の、例えば平行なストリップで形成することができる。
【0062】
組み立て状態において、多部品ハウジング202は、多部品ハウジング202の内部空間216内に溶融部210を密閉する。第1の部品204は、内部空間216へのアクセスを可能にする(前面)アクセス開口218を有する。組み立て状態においては、第1の部品204と第2の部品206とは係合されて、むしろ第2の部品206が内部空間216への第1の部品204のアクセス開口218を覆うように配置される。
【0063】
第1の部品204は、第1の開口部220を有し、第2の部品206は、第1の部品204の第1の開口部220とは反対側の第2の開口部222を有する。それぞれ、前記第1の開口部220は第1の延長部212によって貫通され、第2の開口部222は第2の延長部214によって貫通される。第2の部品206によって構成される(背面)壁224が、第1の部品204のアクセス開口218を覆う。
【0064】
電気ヒューズ200を組み立てる際、電気導体要素208は、電気導体要素208の溶融部210が内部空間216に存在するように、第1の延長部212および第2の延長部214を第1の部品204の第1の開口部220を介して(その長さ方向に)案内することにより、第1の部品204に取り付けられる(例えば
図2e)、
図2f)および
図2i)を参照)。第1の延長部212を予め曲げておくことができる。
【0065】
次のステップにおいて、(電気導体要素208を備えた)第1の部品204と第2の部品206は、相互に摺動式に係合される(
図2h)および
図2i)を参照)。係合状態においては、第2の部品206によって構成される(背面)壁224が、第1の部品204のアクセス開口218を覆う(
図2j)を参照)。したがって、電気導体要素208の溶融部210は、多部品ハウジング202の内部空間216に、その外部に対して適切に封止された状態で存在する(
図2c)および
図2d)を参照)。次のステップにおいて、第2の延長部214を少なくともその一部において曲げることができる。前記曲げ加工は、例えば、第2の部品206の外面部分に係合するように行うことができ、したがって、第1の部品204と第2の部品206とを相互に適切に取り付け、むしろ拘束する。図示の態様では、第2の延長部214の一部が第1の延長部212の予め曲げられた部分に対応するように曲げられる(
図2c)および
図2d)も参照)。
【0066】
図示の態様では、電気導体要素208の第1の延長部212の断面は、形態および寸法の点で第1の部品204の第1の開口部220の断面に対応する。さらに、電気導体要素208の第2の延長部214の断面は、形態および寸法の点で第2の部品206の第2の開口部222の断面に対応する。
【0067】
このような組み立て状態においては、電気導体要素208によって構成される第1の延長部212が第1の部品204の第1の開口部220を封止し、電気導体要素208によって構成される第2の延長部214が第2の部品206の第2の開口部222を封止する。
【0068】
多部品ハウジング202の壁、電気導体要素208の第1の延長部212、および電気導体要素208の第2の延長部214は共に、防塵性の多部品ハウジング202を形成する。多部品ハウジング202と、電気導体要素208の第1の延長部212および第2の延長部214との間の間隙は、塵埃が間隙を通過できないように十分に小さな寸法とすることができる。これにより、一方では、電気ヒューズ200の外部から多部品ハウジング202への塵埃粒子の侵入が防止され、他方では、電気導体要素208の溶断の結果として生じる粒子から電気ヒューズ200の周囲が保護される。
【0069】
その結果、多部品ハウジング202の内部空間216を適切に封止することができ、第1の部品204と第2の部品206とをさらなる接続手段なしに相互に適切に取り付けることができる。
【0070】
電気導体要素208を第1の部品204に取り付けるステップに続いて、
図2d)に概略的に示されているように、内部空間216に、例えば消弧材からなる充填材226を充填することができる。有利には、アクセス開口218は、内部空間216に充填材226を容易に充填できるように広く形成される。多部品ハウジング202の第1の部品204と第2の部品206とが係合されると、第2の部品206によって構成される(背面)壁224が、内部空間216の内部に充填材226を確実に保持するように、アクセス開口218を外部に対して適切に覆い、むしろ封止する。
【0071】
図3a)~
図3c)は、第3の態様における本発明による電気ヒューズ300の異なる図を示し、
図3d)~
図3i)は、第3の態様における本発明による電気ヒューズ300を製造中の異なる状態を示す。
【0072】
電気ヒューズ300は、第1の部品304および蓋状の第2の部品306を備える電気絶縁性の多部品ハウジング302を備える。組み立て状態において、第1の部品304と第2の部品306は、以下でさらに詳細に説明するように、相互に摺動式に係合される。
【0073】
電気ヒューズ300はさらに、電気導体要素308を備える。図示の態様では、電気導体要素308はシート状金属からなる。電気導体要素308は、溶融部310、第1の延長部312および第2の延長部314を備え、すべての部分が一体的に形成される。第1の延長部312および第2の延長部314は、それぞれ溶融部310の両端から長さ方向に延びる。電気導体要素308の溶融部310は、第1の延長部312および第2の延長部314の幅に比べて縮小された幅の、例えば平行なストリップで形成することができる。
【0074】
組み立て状態において、多部品ハウジング302は、多部品ハウジング302の内部空間316内に溶融部310を密閉する。第1の部品304は、内部空間316へのアクセスを可能にする(前面)アクセス開口318を有する。組み立て状態においては、第1の部品304と第2の部品306とは係合されて、むしろ第2の部品306が内部空間316への第1の部品304のアクセス開口318を覆うように配置される。
【0075】
第1の部品304は、第1の開口部320を有し、第2の部品306は、第1の部品304の第1の開口部320とは反対側の第2の開口部322を有する。それぞれ、前記第1の開口部320は第1の延長部312によって貫通され、前記第2の開口部322は第2の延長部314によって貫通される。第2の部品306によって構成される壁324は、第1の部品304のアクセス開口318を覆う。
【0076】
電気ヒューズ300を組み立てる際、電気導体要素308は、電気導体要素308の溶融部310が内部空間316に存在するように、第1の延長部312および第2の延長部314を第1の部品304の第1の開口部320を介して案内することにより、第1の部品304に取り付けられる(
図3d)~
図3h))。第1の延長部312を予め曲げておくことができる。
【0077】
次のステップにおいて、(電気導体要素308を備えた)第1の部品304と第2の部品306は、相互に摺動式に係合される(
図3g)および
図3h)を参照)。係合状態においては、蓋状の第2の部品306によって構成される壁324が、第1の部品304のアクセス開口318を覆う(
図3iを参照)。したがって、電気導体要素308の溶融部310は、多部品ハウジング302の内部空間316に、その外部に対して適切に封止された状態で存在する(
図3b)および
図3c)を参照)。次のステップにおいて、第2の延長部314を少なくともその一部において曲げることができる。前記曲げ加工は、例えば、第2の部品306の外面部分に係合するように行うことができ、したがって、第1の部品304と第2の部品306とを相互に適切に取り付け、むしろ拘束する。図示の態様では、第2の延長部314の一部が、第1の延長部312の予め曲げられた部分に対応するように曲げられる(
図3b)および
図3c)も参照)。
【0078】
図示の態様では、電気導体要素308の第1の延長部312の断面は、形態および寸法の点で第1の開口部320の断面に対応する。さらに、電気導体要素308の第2の延長部314の断面は、形態および寸法の点で第2の部品306の第2の開口部322の断面に対応する。
【0079】
このような組み立て状態においては、電気導体要素308によって構成される第1の延長部312が第1の部品304の第1の開口部320を封止し、電気導体要素308によって構成される第2の延長部314が第2の部品306の第2の開口部322を封止する。
【0080】
多部品ハウジング302の壁、電気導体要素308の第1の延長部312、および電気導体要素308の第2の延長部314は共に、防塵性の多部品ハウジング302を形成する。多部品ハウジング302と、電気導体要素308の第1の延長部312および第2の延長部314との間の間隙は、塵埃が間隙を通過できないように十分に小さな寸法とすることができる。これにより、一方では、電気ヒューズ300の外部から多部品ハウジング302への塵埃粒子の侵入が防止され、他方では、電気導体要素308の溶断の結果として生じる粒子から電気ヒューズ300の周囲が保護される。
【0081】
その結果、多部品ハウジング302の内部空間316を適切に封止することができ、同時に第1の部品304と第2の部品306とをさらなる接続手段なしに相互に適切に取り付けることができる。
【0082】
電気導体要素308を第1の部品304に取り付けるステップに続いて、
図3c)に概略的に示されているように、内部空間316に、例えば消弧材からなる充填材326を充填することができる。有利には、アクセス開口318は、内部空間316に充填材326を容易に充填できるように広く形成される。多部品ハウジング302の第1の部品304と第2の部品306とが係合されると、第2の部品306によって構成される壁324が、内部空間316の内部に充填材326を確実に保持するように、アクセス開口318を外部に対して適切に覆い、むしろ封止する。
【0083】
図4a)~
図4c)は、第4の態様における本発明による電気ヒューズ400の異なる図を示し、
図4d)~
図4i)は、第4の態様における本発明による電気ヒューズ400を製造中の異なる状態を示す。
【0084】
電気ヒューズ400は、第1の部品404および第2の部品406を備える電気絶縁性の多部品ハウジング402を備える。組み立て状態において、第1の部品404と第2の部品406は、以下でさらに詳細に説明するように、相互に摺動式に係合される。
【0085】
電気ヒューズ400はさらに、電気導体要素408を備える。図示の態様では、電気導体要素408はシート状金属からなる。電気導体要素408は、溶融部410、第1の延長部412および第2の延長部414を備え、すべての部分が一体的に形成される。第1の延長部412および第2の延長部414は、それぞれ溶融部410の両端から長さ方向に延びる。電気導体要素408の溶融部410は、第1の延長部412の幅および第2の延長部414の幅に比べて縮小された幅の、例えば平行なストリップで形成することができる。
【0086】
組み立て状態において、多部品ハウジング402は、多部品ハウジング402の井戸状の内部空間416内に溶融部410を密閉する。第1の部品404は、井戸状の内部空間416に上方からアクセスできるアクセス開口418を有する。組み立て状態においては、第1の部品404と第2の部品406とは係合されて、むしろ第2の部品406が内部空間416への第1の部品404のアクセス開口418を覆うように配置される。
【0087】
第1の部品404は、第1の開口部420と、第1の開口部420とは反対側の第2の開口部422とを有する。それぞれ、前記第1の開口部420は第1の延長部412によって貫通され、前記第2の開口部422は第2の延長部414によって貫通される。第2の部品406によって構成される壁424は、第1の部品404のアクセス開口418を上方から覆う。
【0088】
電気ヒューズ400を組み立てる際、電気導体要素408は、電気導体要素408の溶融部410が第1の部品404の内部空間416に存在するように、第2の延長部414および第1の延長部412を第1の部品404の第1の開口部420および第2の開口部422を介して案内することにより、第1の部品404に取り付けられる(例えば
図4d)および
図4e)を参照)。第1の延長部412を予め曲げておくことができる。
【0089】
次のステップにおいて、(電気導体要素408を備えた)第1の部品404と第2の部品406は、相互に摺動式に係合される(
図4g)および
図4h)を参照)。係合状態においては、第2の部品406によって構成される壁424が、第1の部品404のアクセス開口418を上方から覆う(
図4i)を参照)。したがって、電気導体要素408の溶融部410は、多部品ハウジング402の内部空間に、その外部に対して適切に封止された状態で配置される。次のステップにおいて、第2の延長部414を少なくともその一部において曲げることができる。前記曲げ加工は、例えば、第2の部品406の外面部分に係合するように行うことができ、したがって、第1の部品404と第2の部品406とを相互に適切に取り付け、むしろ拘束する。図示の態様では、第2の延長部414の一部が、第1の延長部412の予め曲げられた部分に対応するように曲げられる(
図4b)および
図4cを参照)。
【0090】
図示の態様では、電気導体要素408の第1の延長部412の断面は、形態および寸法の点で第1の開口部420の断面に対応する。さらに、電気導体要素408の第2の延長部414の断面は、形態および寸法の点で第2の開口部422の断面に対応する。
【0091】
このような組み立て状態においては、電気導体要素408によって構成される第1の延長部412が第1の部品404の第1の開口部420を封止し、電気導体要素408によって構成される第2の延長部414が第1の部品404の第2の開口部422を封止する。
【0092】
多部品ハウジング402の壁、電気導体要素408の第1の延長部412、および電気導体要素408の第2の延長部414は共に、防塵性の多部品ハウジング402を形成する。多部品ハウジング402と、電気導体要素408の第1の延長部412および第2の延長部414との間の間隙は、塵埃が間隙を通過できないように十分に小さな寸法とすることができる。これにより、一方では、電気ヒューズ400の外部から多部品ハウジング402への塵埃粒子の侵入が防止され、他方では、電気導体要素408の溶断の結果として生じる粒子から電気ヒューズ400の周囲が保護される。
【0093】
その結果、多部品ハウジング402の内部空間416を適切に封止することができ、同時に第1の部品404と第2の部品406とをさらなる接続手段なしに相互に適切に取り付けることができる。
【0094】
電気導体要素408を第1の部品404に取り付けるステップに続いて、
図4c)に概略的に示されているように、井戸状の内部空間416に、例えば消弧材からなる充填材426を充填することができる。有利には、アクセス開口418は、内部空間416に上方から充填材426を容易に充填できるように広く形成される。さらに有利には、第1の部品404と第2の部品406を相互に係合させる間、第1の部品404の向きを変えずにすむ。
【0095】
多部品ハウジング402の第1の部品404と第2の部品406とが係合されると、第2の部品406によって構成される壁424が、内部空間416の内部に充填材426を確実に保持するように、アクセス開口418を外部に対して適切に覆い、むしろ封止する。
【0096】
図5a)~
図5c)は、第5の態様における本発明による電気ヒューズ500の異なる図を示し、
図5d)~
図5h)は、第5の態様における電気ヒューズ500を製造中の異なる状態を示す。
【0097】
電気ヒューズ500は、第1の部品504および第2の部品506を備える電気絶縁性の多部品ハウジング502を備える。組み立て状態において、第1の部品504と第2の部品506は、以下でさらに詳細に説明するように、相互に摺動式に係合される。
【0098】
電気ヒューズ500はさらに、電気導体要素508を備える。図示の態様では、電気導体要素508はシート状金属からなる。電気導体要素508は、溶融部510、第1の延長部512および第2の延長部514を備え、すべての部分が一体的に形成される。第1の延長部512および第2の延長部514は、それぞれ溶融部510の両端から長さ方向に延びる。電気導体要素508の溶融部510は、第1の延長部512の幅および第2の延長部514の幅に比べて縮小された幅の、例えば平行なストリップで形成することができる。
【0099】
組み立て状態において、多部品ハウジング502は、多部品ハウジング502の内部空間516内に溶融部510を密閉する。第1の部品504は、内部空間516へのアクセスを可能にするアクセス開口518を有する。組み立て状態においては、第1の部品504と第2の部品506とは係合されて、むしろ第2の部品506が内部空間516への第1の部品504のアクセス開口518を覆うように配置される。
【0100】
第1の部品504はさらに、第1の開口部520と、第1の開口部520とは反対側の第2の開口部522とを有する。それぞれ、前記第1の開口部520第1の延長部512によって貫通され、前記第2の開口部522は第2の延長部514によって貫通される。第2の部品506によって構成される(側面)壁524が、第1の部品504のアクセス開口518を覆う。
【0101】
電気ヒューズ500を組み立てる際、電気導体要素508は、電気導体要素508の溶融部510が内部空間516に密閉されるように、むしろそこに存在するように、電気導体要素508の第1の延長部512および第2の延長部514を第1の部品504の第1の開口部520および第2の開口部522を介して横方向に案内することにより、第1の部品504に取り付けられる(
図5b)および
図5c)を参照)。第1の延長部512を予め曲げておくことができる。
【0102】
次のステップにおいて、(電気導体要素508を備えた)第1の部品504と第2の部品506は、相互に摺動式に係合される(
図5f)を参照)。係合状態においては、第2の部品506によって構成される(側面)壁524が、第1の部品504のアクセス開口518を覆う(
図5g)および
図5h)を参照)。したがって、電気導体要素508の溶融部510は、多部品ハウジング502の内部空間516に、その外部に対して適切に封止された状態で配置される。次のステップにおいて、第2の延長部514を少なくともその一部において曲げることができる。前記曲げ加工は、例えば、第2の部品506の外面部分に係合するように行うことができ、したがって、第1の部品504と第2の部品506とを相互に適切に取り付け、むしろ拘束する。したがって、例えば接着などの、取り付けのためのさらなる手段および/またはステップが必要とされない。図示の態様は、第2の延長部514の一部が第1の延長部512の予め曲げられた部分に対応するように曲げられる(
図5b)および
図5c)を参照)。
【0103】
図示の態様では、第1の部品504の長手方向の断面図において、第1の開口部520および第2の開口部522は、W字形状に形成される。開口部の前記形状は、製造公差が十分に小さい寸法の開口部を許容しない場合でも、微小粒子に対する封止性を適切に向上させる。図示しないが、第1の開口部および第2の開口部の一方のみをW字形状に形成することもできる。さらに、図示しないが、第1の開口部および/または第2の開口部を、異なる形状、例えばV字形状などに形成することができる。さらに、図示しないが、第1の開口部および/または第2の開口部を、逆W字形状または逆V字形状に形成することができる。
【0104】
このような組み立て状態においては、電気導体要素508によって構成される第1の延長部512が第1の部品504の第1の開口部520を封止し、電気導体要素508によって構成される第2の延長部514が第1の部品504の第2の開口部522を封止する。
【0105】
多部品ハウジング502の壁、電気導体要素508の第1の延長部512、および電気導体要素508の第2の延長部514は共に、防塵性の多部品ハウジング502を形成する。多部品ハウジング502と、電気導体要素508の第1の延長部512および第2の延長部514との間の間隙は、塵埃が間隙を通過できないように十分に小さな寸法とすることができる。これにより、一方では、電気ヒューズ500の外部から多部品ハウジング502への塵埃粒子の侵入が防止され、他方では、電気導体要素508の溶断の結果として生じる粒子から電気ヒューズ500の周囲が保護される。その結果、多部品ハウジング502の内部空間516を適切に封止することができ、第1の部品504と第2の部品506とをさらなる接続手段なしに相互に適切に取り付けることができる。
【0106】
電気導体要素508を第1の部品504に取り付けるステップに続いて、
図5c)に概略的に示されているように、内部空間516に、例えば消弧材からなる充填材526を充填することができる。有利には、アクセス開口518は、内部空間516に充填材526を容易に充填できるように広く形成される。多部品ハウジング502の第1の部品504と第2の部品506とが係合されると、第2の部品506によって構成される壁524が、内部空間516の内部に充填材526を確実に保持するように、アクセス開口518を外部に対して適切に覆い、むしろ封止する。
【国際調査報告】