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特表2024-5356172,3,5-置換されたチオフェン化合物を含む併用投与用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】2,3,5-置換されたチオフェン化合物を含む併用投与用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4535 20060101AFI20240920BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K31/4535
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K31/7068
A61K31/496
A61K31/706
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522535
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 KR2022015621
(87)【国際公開番号】W WO2023063784
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0136944
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0132311
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520470431
【氏名又は名称】ファロス・アイバイオ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒョク・ユン
(72)【発明者】
【氏名】キィ・ヨブ・ナム
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086CB05
4C086EA02
4C086EA17
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、2,3,5-置換されたチオフェン化合物を含む併用投与用組成物に関し、2,3,5-置換されたチオフェン化合物または抗癌剤の単独処理に比べて、白血病に関連する癌細胞の抑制活性に優れて白血病の予防、改善または治療に有用に活用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩および抗癌剤を含む白血病の予防または治療用薬学的組成物
【化1】
【請求項2】
前記抗癌剤は、bcl2抑制剤である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記抗癌剤は、シタラビン(cytarabine)、ベネトクラクス(venetoclax)およびアザシチジン(azcitidine)のいずれか1つ以上である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の薬学的組成物を白血病患者に投与する段階を含む白血病の治療方法。
【請求項5】
白血病の予防または治療のための、化学式1で表される化合物の使用
【化2】
【請求項6】
白血病の予防または治療のための薬学的組成物製造のための、化学式1で表される化合物の使用
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3,5-置換されたチオフェン化合物を含む併用投与用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代医学の発達で多くの疾病が治療および予防されているが、癌は依然として治療が困難な疾病の一つである。癌は現在、死亡原因の1位を占めており、継続的に増加する傾向にある。
【0003】
癌の治療方法としては、化学療法、手術療法および/または放射線治療療法などが使用されている。このうち、化学療法は、抗癌剤を用いる方法であって、癌の治療に最も多く使用されている。今日、約60種あまりの多様な抗癌剤が臨床に使用されており、癌発生および癌細胞の特性についての知識が多く知られるに伴い、新たな抗癌剤が持続的に開発されている。しかし、現在臨床で使用されている抗癌剤の大部分は、悪心、嘔吐、口腔および小腸の潰瘍、下痢、脱毛および/または血液の有効成分の生産低下を引き起こす骨髄抑制などのような副作用を伴う場合が多い。例えば、マイトマイシンC(mitomycin-C)は腎不全症、アドリアマイシン(adriamycin)は骨髄抑制などの副作用が知られている。特に、これまで開発された抗癌剤の中で最も有用な薬剤であるシスプラチン(cisplatin)は、精巣癌、卵巣癌、肺癌、頭頸部癌、膀胱癌、胃癌および子宮頸癌などの治療に広く使用されているが、貧血などの造血毒性、嘔吐、吐き気などの消化器毒性、腎尿細管損傷などの腎毒性、難聴、体内電解質異常、ショックおよび末梢神経異常などのような副作用を示すので、大きな問題になっている。
【0004】
最近開発されている安全性に優れた新たな高価な標的抗癌剤は多くの癌患者の治療に効能を示しているが、コンパニオン診断による小規模の患者群でのみ効能を示していて、多様な癌腫における個別化治療が可能な精密医学(Precision Medicine)が切実に要求されている。
【0005】
白血病(leukemia)は白血球が腫瘍性増殖する疾患を総称するが、白血病の種類は、白血病起源の白血球によって骨髄性白血病とリンパ球性白血病とに分け、進行速度によって急性白血病と慢性白血病とに分けられる。白血病の臨床様相は、疾患の類型と侵犯された細胞の性質によって多様である。リンパ球性白血病はリンパ系血液細胞が、骨髄性白血病は骨髄系血液細胞が、そして慢性骨髄性白血病は成熟期にある細胞が変異して発生し、急性骨髄性白血病は比較的初期段階の造血過程で分化を開始する骨髄系親細胞の障害によってもたらされる。
【0006】
そこで、本発明者らは、白血病の治療に効果的な剤形を見出すための研究を行って、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩および抗癌剤を含む白血病の予防または治療用薬学的組成物を提供することである
【化1】
【0008】
本発明の他の目的は、前記薬学的組成物を白血病患者に投与する段階を含む白血病の治療方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、白血病の予防または治療のための、化学式1で表される化合物の使用を提供することである
【化2】
【0010】
そして、本発明の他の目的は、白血病の予防または治療のための薬学的組成物製造のための、化学式1で表される化合物の使用を提供することである
【化3】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩および抗癌剤を含む白血病の予防または治療用薬学的組成物を提供する
【化4】
【0012】
本発明の一具体例として、前記抗癌剤は、bcl2抑制剤であってもよい。
【0013】
本発明の一具体例として、前記抗癌剤は、シタラビン(cytarabine)、ベネトクラクス(venetoclax)およびアザシチジン(azcitidine)のいずれか1つ以上であってもよい。
本発明の一態様は、前記薬学的組成物を白血病患者に投与する段階を含む白血病の治療方法を提供する。
【0014】
本発明の他の態様は、白血病の予防または治療のための、化学式1で表される化合物の使用を提供する
【化5】
【0015】
本発明の他の態様は、白血病の予防または治療のための薬学的組成物製造のための、化学式1で表される化合物の使用を提供する
【化6】
【発明の効果】
【0016】
本発明の一具体例による2,3,5-置換されたチオフェン化合物および抗癌剤を含む白血病の予防、改善または治療用組成物は、2,3,5-置換されたチオフェン化合物または抗癌剤の単独処理に比べて、白血病に関連する癌細胞の抑制活性に優れて白血病の予防、改善または治療に有用に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ベネトクラクスの単独投与時の最適投与量を確認した結果である。
図2】アザシチジンの単独投与時の最適投与量を確認した結果である。
図3】シタラビンの単独投与時の最適投与量を確認した結果である。
図4】本発明の一具体例による化合物およびベネトクラクスの併用投与による効果を確認した結果である。
図5】本発明の一具体例による化合物およびベネトクラクスの併用投与による効果を確認した結果である。
図6】本発明の一具体例による化合物とアザシチジンの併用投与による効果を確認した結果である。
図7】本発明の一具体例による化合物とシタラビンの併用投与による効果を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一態様は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩および抗癌剤を含む白血病の予防または治療用薬学的組成物を提供する
【化7】
【0019】
本発明の薬学的組成物に有効成分として含まれる、化学式1で表される化合物は、(S)-5-((3-フルオロフェニル)エチニル)-N-(ピペリジン-3-イル)-3-ウレイドチオフェン-2-カルボキサミド((S)-5-((3-fluorophenyl)ethynyl)-N-(piperidin-3-yl)-3-ureido thiophene-2-carboxamide)である。
【0020】
本発明の一具体例として、前記抗癌剤は、bcl2抑制剤であってもよい。前記bcl2抑制剤は、プロ-アポトーシス(pro-apoptosis)を誘導し、アンチ-アポトーシス(anti-apoptosis)を抑制して細胞死滅を調節するタンパク質であるBcl2(B-cell lymphoma2)の不活性を発現阻害などにより抑制させる物質を意味する。前記bcl2抑制剤は、シタラビン(cytarabine)、ベネトクラクス(venetoclax)およびアザシチジン(azcitidine)のいずれか1つ以上であってもよい。
【0021】
また、シタラビン(またはシタラビン、cytarabine)は、細胞の生存に必要なDNAの合成を抑制する細胞毒性抗癌剤であって、急性骨髄性白血病などの白血病と多様な癌治療のために単独または併用で使用されることが知られている。
【0022】
ベネトクラクス(Venclexta(登録商標)またはVenclyxto(登録商標))は、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)、慢性リンパ球性白血病(chronic lymphocytic leukemia;CLL)、小リンパ球リンパ腫(small lymphocytic lymphoma;SLL)などの治療に使用される物質である。
【0023】
アザシチジン(または5-アザシチジン、azcitidine、5-azcitidine)は、分裂が活発な細胞において核酸の生合成経路を経てRNAやDNAに浸透することでタンパク質の合成を抑制し、殺細胞作用を示す物質として知られている。
【0024】
本発明の一具体例として、前記シタラビン(cytarabine)は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の処理量の比率は1:1~1:6000、
前記ベネトクラクス(venetoclax)は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の処理量の比率は1:0.0001~1:100、および
前記アザシチジン(azcitidine)は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の処理量の比率は1:0.02~1:14で含まれるものであってもよい。
【0025】
本発明の白血病の予防または治療用薬学的組成物は、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩と抗癌剤を併用することにより、優れた相乗効果、具体的には、白血病の治療において優れた効果を確認した。
【0026】
本発明の薬学的組成物は、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法によって、薬剤学的に許容される担体を用いて製剤化することにより、単位用量形態に製造される、または多用量容器内に入れて製造されてもよい。
【0027】
前記薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬学的組成物は、前記成分のほか、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加的に含むことができる。好適な薬学的に許容される担体および製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(22th ed.,2013)に詳細に記載されている。
【0028】
本発明において、前記薬学的組成物に含まれる添加剤の含有量は特に限定されるものではなく、通常の製剤化に使用される含有量範囲内で適宜調節可能である。
【0029】
本発明の組成物は、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0030】
本発明の薬学的組成物は、経口投与用であってもよいし、前記経口投与用製剤の非制限的な例としては、錠剤、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルジョン、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などが挙げられる。
【0031】
また、本発明の薬学的組成物は、非経口投与用であってもよいし、非経口用製剤の非制限的な例としては、注射液、坐剤、呼吸器吸入用粉末、スプレー用エアゾール剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、クリームなどが挙げられる。
【0032】
本発明の薬学的組成物の好ましい投与量は、患者の状態および体重、年齢、性別、健康状態、食事体質特異性、製剤の性質、疾病の程度、組成物の投与時間、投与方法、投与期間または間隔、排泄率、および薬物形態によってその範囲が多様であり、この分野における通常の技術者によって適宜選択可能である。例えば、約0.1~10,000mg/kgの範囲であってもよいが、これに限定されず、1日1回~数回に分けて投与可能である。
【0033】
本発明において、前記薬学的組成物は、目的とする方法によって経口投与されるか、非経口投与(例えば、静脈内、皮下内、腹腔内または局所適用)されてもよい。
【0034】
前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩と抗癌剤の併用は、1つの剤形に製造されることのみならず、個別剤形として製造されて、一緒にまたは時間差をおいて投与することを含む。
【0035】
1つの剤形に製造される場合、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩と抗癌剤とを混合して製造されることのみならず、1つの剤形において化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩と抗癌剤とを区画化して製造されることであってもよい。
【0036】
個別剤形に製造される場合、化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩と抗癌剤の特性によって個別投与量、投与経路、投与時間などを考慮して互いに異なる形態に製剤化してもよい。
【0037】
本発明の一つの具体例において、前記化学式1で表される化合物、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物またはその溶媒和物は、非経口または経口投与されてもよいし、好ましくは、経口投与されてもよい。
【0038】
本発明の薬学的組成物の薬学的有効量、有効投与量は、薬学的組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間および/または投与経路などによって多様になり、当該技術分野における通常の知識を有する者は、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定し処方することができる。
【0039】
本発明の薬学的組成物の投与は、1日に1回投与されてもよく、数回に分けて投与されてもよい。
【0040】
本発明の他の態様は、前記薬学的組成物を白血病患者に投与する段階を含む白血病の治療方法を提供する。
【0041】
本発明の一具体例による薬学的組成物は、化学式1で表される化合物と抗癌剤を有効成分として含む。したがって、本発明の薬学的組成物を投与する前、化学式1で表される化合物および抗癌剤に効果を示す患者群を選別するコンパニオン診断(Companion Diagnosis)段階をさらに含むことができ、これは当業界で公知の白血病の診断方法によって行われる。一方、本発明で使用される用語、「コンパニオン診断」は、患者の特定の薬物治療に対する反応性を予め予測するための診断を意味する。
【0042】
本発明の他の態様は、白血病の予防または治療のための、化学式1で表される化合物の使用、または白血病の予防または治療のための薬学的組成物製造のための、化学式1で表される化合物の使用を提供する。
【実施例
【0043】
以下、一つ以上の具体例を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は一つ以上の具体例を例として説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
実験例1:材料および方法
以下、使用された実験材料と装置は次の通りである:
【表1】
【0045】
実験例2:個別抗癌剤の最適投与量の確認
実験例2-1.ベネトクラクスの投与量の確認
白血病細胞株としてBDCM、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11、THP-1、U937を準備し、投与薬物としてはベネトクラクスを準備した。
【0046】
一、二次実験は、前記細胞株にベネトクラクス100uMから半分ずつ減らして3回繰り返し実験し、三次実験は、BDCM細胞株にはベネトクラクス100uMから半分ずつ減らして3回繰り返し実験し、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11細胞株にはベネトクラクス2.5uMから半分ずつ減らして3回繰り返し実験した。四次実験では、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11細胞株に対して2.5uMから半分ずつ減らして3回繰り返し実験した。
【0047】
具体的には、一、二次実験では、10mMのベネトクラクス50μlを溶媒450μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに80μlずつ細胞株を分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で72時間培養した。Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【0048】
三次実験では、BDCM細胞株に対して10mMのベネトクラクス15μlを溶媒135μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液100μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに100μlを満たした後、96well plateに細胞株を分注した。以後、25μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で72時間培養した。Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。そして、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11細胞株に対して10mMのベネトクラクス1μlを溶媒399μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液200μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに200μlを満たした後、96well plateに細胞株を分注した。以後、60μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で72時間培養した。Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【0049】
四次実験では、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11細胞株に対して三次実験と同様に進行させた。
【0050】
前記実験の結果、図1および表2から確認されるように、ベネトクラクスのIC50を確認した。ベネトクラクスは、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11白血病癌細胞株から1uM以下のIC50を確認した。
【表2】
【0051】
実験例2-2.5-アザシチジンの投与量の確認
白血病細胞株としてBDCM、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11、THP-1、U937を準備し、投与薬物としては5-アザシチジンを準備した。
【0052】
一、二次実験として、前記細胞株に5-アザシチジン100uMから半分ずつ減らして3回繰り返し実験した。具体的には、一、二次実験では、20mMの5-アザシチジン15μlを溶媒285μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに80μlずつ細胞株を(3000cells)分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で72時間培養した。Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【0053】
その結果、図2および表3から確認されるようなIC50値を得た。
【表3】
【0054】
実験例2-3.シタラビンの投与量の確認
白血病細胞株としてBDCM、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11、THP-1、U937を準備し、投与薬物としてはシタラビンを準備した。
一、二次実験として、前記細胞株にシタラビン50,000uMから半分ずつ減らして3回繰り返し実験した。具体的には、一、二次実験では、50mMのシタラビン10μlを溶媒490μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに80μlずつ細胞株を(3000cells)分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で72時間培養した。Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【0055】
その結果、図3および表4から確認されるようなIC50値を得た。
【表4】
【0056】
実験例3:併用投与能の確認
実験例3-1.化学式Iの化合物およびベネトクラクスの併用投与能の確認
白血病細胞株としてBDCM、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11、THP-1、U937を準備し、投与薬物としてはPHI-101およびベネトクラクスを準備した。
【0057】
具体的には、一、二次実験では、1mMのベネトクラクス1μlを溶媒999μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液500μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに500μlを満たした後、96well plateに90μlずつ細胞株を分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で30分間先処理した。そして、下記表5のようにPHI-101溶液を準備し、これを10μlずつプレートに添加した。そして、CO条件で72時間培養し、Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【表5】
【0058】
そして、三、四次実験では、50mMのPHI-101 5μlを溶媒495μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに60μlずつ細胞株を分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で30分間先処理した。そして、下記表6のようにベネトクラクス溶液を準備し、これを10μlずつプレートに添加した。そして、CO条件で72時間培養し、Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【表6】
【0059】
そして、前記得られた結果をまとめて、ベネトクラクスまたはPHI-101の単独投与時と比較した。
【0060】
その結果、表7および図4および図5から確認されるように、ベネトクラクスまたはPHI-101の単独投与時と比較して、それぞれの白血病癌細胞株においてベネトクラクスとPHI-101を併用投与した時、1.63~282,8000倍以上優れた効果があることを確認した。
【表7】
【0061】
実験例3-2.化学式Iの化合物およびアザシチジンの併用投与能の確認
白血病細胞株としてBDCM、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11、THP-1、U937を準備し、投与薬物としては5-アザシチジンとPHI-101を準備した。
具体的には、一、二次実験では、BDCM、HL-60、THP-1、U937細胞株に対して50mMのPHI-101 5μlを溶媒495μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに60μlずつ細胞株を(3000cells)分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で30分間前処理した。そして、下記表8のように5-アザシチジン溶液を準備し、これを10μlずつプレートに添加した。そして、CO条件で72時間培養し、Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【表8】
【0062】
そして、MolM13、MolM14、MV4-11細胞株に対して1mMのPHI-101 1μlを溶媒999μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに50μlずつ細胞株を(3000cells)分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で30分間前処理した。そして、下記表9のように5-アザシチジン溶液を準備し、これを10μlずつプレートに添加した。そして、CO条件で72時間培養し、Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【表9】
【0063】
そして、前記得られた結果をまとめて、5-アザシチジンまたはPHI-101の単独投与時と比較した。
【0064】
その結果、表10および図6から確認されるように、5-アザシチジンまたはPHI-101の単独投与時と比較して、5-アザシチジンとPHI-101を併用投与した時、2~3180倍以上優れた効果があることを確認した。HL-60とU937白血病細胞株においてPHI-101の処理時に最小濃度で50%以下の阻害活性を示した。
【表10】
【0065】
実験例3-3.化学式Iの化合物およびシタラビンの併用投与能の確認
白血病細胞株としてBDCM、HL-60、MolM13、MolM14、MV4-11、THP-1、U937を準備し、投与薬物としてはシタラビンとPHI-101を準備した。
具体的には、一、二次実験では、BDCM、HL-60、THP-1、U937細胞株に対して50mMのPHI-101 5μlを溶媒495μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに60μlずつ細胞株を(3000cells)分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で30分間前処理した。そして、下記表11のようにシタラビン溶液を準備し、これを10μlずつプレートに添加した。そして、CO条件で72時間培養し、Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【表11】
【0066】
そして、MolM13、MolM14、MV4-11細胞株に対して1mMのCoA PHI-101 1μlを溶媒999μlに溶解させて10倍の溶液を準備した。前記溶液250μlを1/2連続希釈し、8E-チューブに250μlを満たした後、96well plateに50μlずつ細胞株を(3000cells)分注した。以後、10μlの細胞株をJANUSを用いて分注し、CO条件で30分間前処理した。そして、下記表12のようにシタラビン溶液を準備し、これを10μlずつプレートに添加した。そして、CO条件で72時間培養し、Celltiter glo assayを進行させた後、IC50を計算した。
【表12】
【0067】
そして、前記得られた結果をまとめて、シタラビンまたはPHI-101の単独投与時と比較した。
その結果、表13および図7から確認されるように、シタラビンまたはPHI-101の単独投与時と比較して、シタラビンとPHI-101を併用投与した時、2~19.2倍以上優れた効果があることを確認した。
【表13】
【0068】
以上、本発明について好ましい実施例を中心に説明した。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で変形された形態で実現できることを理解するであろう。そのため、開示された実施例は限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は上述した説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同等範囲内にあるすべての差異は本発明に含まれていると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】