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特表2024-535623エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/70 20060101AFI20240920BHJP
   C08F 210/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08F4/70
C08F210/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522686
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 CN2022138647
(87)【国際公開番号】W WO2023124965
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111675304.4
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512172224
【氏名又は名称】ペトロチャイナ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PETROCHINA COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.9 Dongzhimen North Street, Dongcheng District, Beijing 100007, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン チエン
(72)【発明者】
【氏名】チャン タンフォン
(72)【発明者】
【氏名】リウ チンチョン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ マオユイ
(72)【発明者】
【氏名】カオ モン
(72)【発明者】
【氏名】ツイ チエン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ シエンミン
(72)【発明者】
【氏名】ニウ ペン
(72)【発明者】
【氏名】リー ウェンポン
(72)【発明者】
【氏名】チー ヨンカン
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AL03Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100FA10
4J100FA19
4J100GA02
4J100GA19
4J100GB05
4J128AA01
4J128AC45
4J128AC48
4J128AF03
4J128BA01A
4J128BB01A
4J128BC16A
4J128BC17A
4J128BC25A
4J128DB02A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB25
4J128EC02
4J128FA02
4J128GA01
(57)【要約】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒及びその使用を提供し、当該触媒は、式(I)の化合物と式(II)の化合物を配合させて得られた主触媒を含み、式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比は、(1:49)~(49:1)とする。当該触媒は、優れた触媒活性を有し、かつエチレンとメタクリル酸メチルの重量平均分子量1×10g/mol以上の高分子量の共重合体を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物と式(II)の化合物を配合して得られた主触媒を含む、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒であって、
前記式(I)は下記構造であり、
【化1】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、置換アリールから選ばれ、置換基は、C1~C6アルキル及びC1~C6のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキルから選ばれ、
Mは、Ni又はPdから選ばれ、
とXは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1~C4のアルキル、アリール、C2~C4のエーテル、C1~C4のニトリルから選ばれ、
前記式(II)は下記構造であり、
【化2】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシから選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキル、C1~C4のジアルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
前記式(I)の化合物と前記式(II)の化合物とのモル比は、(1:49)~(49:1)である、触媒。
【請求項2】
前記式(I)の化合物と前記式(II)の化合物とのモル比は、(1:10)~(10:1)である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
アルミノキサンから選ばれる助触媒をさらに含む、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記助触媒は、メチルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウムのうちの少なくとも1種から選ばれる、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
前記主触媒の中の金属元素と前記助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(50~1000)である、請求項3又は4に記載の触媒。
【請求項6】
前記主触媒の中の金属元素と前記助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(100~500)である、請求項5に記載の触媒。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の触媒を使用する、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法。
【請求項8】
前記共重合方法は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合反応を前記触媒による触媒作用下で行うことを含み、
前記共重合反応の圧力は≦10MPa、温度は≦100℃である、請求項7に記載の共重合方法。
【請求項9】
前記共重合反応の溶媒は、トルエン、n-ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタンのうちの少なくとも1種から選ばれる、請求項8に記載の共重合方法。
【請求項10】
エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体であって、前記共重合体は、請求項7~9のいずれか1項に記載の共重合方法を使用して調製されたものであり、前記共重合体の重量平均分子量は≧1×10g/molである、共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、オレフィン重合の分野に関し、特に、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンと極性メタクリル酸モノマーとの共重合によって得られた機能性ポリエチレンは、従来のポリエチレンに比べて、相溶性、粘着性、染色性、印刷性がより優れている。しかし、エチレンとメタクリル酸メチルの配位共重合は1つの技術的難題であり、これは主に、メタクリル酸メチルは、その他のアクリル酸エステル系極性モノマーに比べて、立体障害が大きく、活性中心との相互作用の際、共重合活性が高くなく、共重合体の分子量が低く、メタクリル酸メチルの共重合体に対する挿入率の調整制御が困難であるためである。従来のエチレンとメタクリル酸メチルの共重合の技術は主に、助触媒であるアルミノキサンと主触媒とを、モル比が≦1000:1の条件下で、後周期遷移金属触媒を使用して、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合を達成することができるが、生成された共重合体の分子量が低く、通常は1×10g/molしかない。
【0003】
したがって、エチレンとメタクリル酸エステルの高分子量の共重合体をどのように合成するかは、当分野で早急に解決しなければならない問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒を提供し、当該触媒は、α-ジイミド後周期遷移金属錯体構造を有する式(I)の化合物とビス(サリチルアルジミナト)後周期遷移金属錯体を有する式(II)の化合物を、特定の範囲内のモル比で配合することによって使用する。当該触媒は、メタクリル酸メチルとエチレンの共重合反応を触媒するために使用され、分子量1×10g/mol以上のエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得ることができる。
【0005】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法をさらに提供し、当該方法により、エチレンとメタクリル酸メチルの分子量1×10g/mol以上の高分子量の共重合体を得ることができ、また、当該方法により、低い反応温度と反応圧力下でエチレンとメタクリル酸メチルの共重合を短時間に完成させることができ、穏やかで効率が高いという利点がある。
【0006】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体をさらに提供し、当該共重合体は、分子量が高く、メタクリル酸メチルの挿入率が調製制御可能であるという利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒を提供し、触媒は、式(I)の化合物と式(II)の化合物を配合させて得られた主触媒を含み、
式(I)は下記構造であり、
【化1】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、置換アリールから選ばれ、置換基は、C1~C6アルキル及びC1~C6のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキルから選ばれ、
Mは、Ni又はPdから選ばれ、
とXは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1~C4のアルキル、アリール、C2~C4のエーテル、C1~C4のニトリルから選ばれ、
式(II)は下記構造であり、
【化2】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシから選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキル、C1~C4のジアルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
式(I)と式(II)とのモル比は、(1:49)~(49:1)である。
【0008】
前述した触媒によれば、式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比は、(1:10)~(10:1)である。
【0009】
前述した触媒によれば、触媒は、アルミノキサンから選ばれる助触媒をさらに含む。
【0010】
前述した触媒によれば、助触媒は、メチルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウムのうちの少なくとも1種から選ばれる。
【0011】
前述した触媒によれば、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(50~1000)である。
【0012】
前述した触媒によれば、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(100~500)である。
【0013】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法をさらに提供し、当該共重合方法は、前述した触媒を使用して共重合反応を行う。
【0014】
前述した共重合方法によれば、共重合方法は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合反応を上記触媒による触媒作用下で行うことを含み、
共重合反応の圧力は≦10MPa、温度は≦100℃とする。
【0015】
前述した共重合方法によれば、共重合反応の溶媒は、トルエン、n-ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタンのうちの少なくとも1種から選ばれる。
【0016】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体をさらに提供し、共重合体は、前述した共重合方法を使用して調製されたものであり、共重合体の重量平均分子量は≧1×10g/molである。
【発明の効果】
【0017】
エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる本願に係る触媒は、α-ジイミド後周期遷移金属錯体構造を有する式(I)の化合物とビス(サリチルアルジミナト)後周期遷移金属錯体を有する式(II)の化合物を配合して使用する。エチレンとメタクリル酸メチルの共重合を促進するために、この2つの化合物に対して特定の範囲内のモル比で互いに相乗効果を発揮させることができ、その結果、エチレンとメタクリル酸メチルの高分子量の共重合体を得ることができる。
【0018】
本願に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法により、重量平均分子量が1×10g/mol以上の、エチレンとメタクリル酸メチルとの共重合体を得ることができ、また、当該方法により、低い反応温度と反応圧力下でエチレンとメタクリル酸メチルの共重合を短時間に完成させることができ、反応条件が穏やかで効率が高いという利点があり、工業的応用に有利である。
【0019】
本願に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体は、重量平均分子量が1×10g/mol以上で、メタクリル酸メチルの挿入率が調製制御可能であるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願について特定の実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本願を例示的に説明して解釈するためのものであり、本願の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。本願の上記の内容に基づいて実現されるすべての技術はいずれも、本願の保護範囲内に含まれるものとすべきである。
【0021】
第1の態様では、本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒を提供し、当該触媒は、式(I)の化合物と式(II)の化合物を配合して得られた主触媒を含み、
式(I)は下記構造であり、
【化3】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、置換アリールから選ばれ、置換基は、C1~C6アルキル及びC1~C6のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキルから選ばれ、
Mは、Ni又はPdから選ばれ、
とXは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1~C4のアルキル、アリール、C2~C4のエーテル、C1~C4のニトリルから選ばれ、
式(II)は下記構造であり、
【化4】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシから選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキル、C1~C4のジアルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比は、(1:49)~(49:1)である。
【0022】
置換アリールとは、置換基が結合したアリールを指し、具体的には、アリールとしては、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどが挙げられる。本願は、置換基のアリールにおける置換位置は限定されず、例えば、ジイミド構造のオルト位であってもよいし、ジイミド構造のパラ位であってもよい。C1~C6アルキルとは、炭素数が1から6の分岐鎖アルキル又は直鎖アルキルを指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチルなどであってもよく、C1~C6のアルコキシとは、炭素数が1から6の分岐鎖アルコキシ又は直鎖アルコキシを指し、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどであってもよい。同様に、C1~C4のアルキルとは、炭素原子個数が1から4の直鎖アルキル又は分岐鎖アルキルを指し、C1~C4のアルコキシとは、炭素原子個数が1から4の直鎖アルコキシ又は分岐鎖アルコキシを指す。C1~C4のジアルキルアミノとは、アミノが2つのC1~C4の直鎖又は直鎖アルキルで置換された置換基を指し、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノなどであってもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである。
【0023】
発明者が鋭意研究した結果、式(I)の化合物と式(II)の化合物は、(1:49)~(49:1)の範囲内のモル比で配合されて主触媒を形成し、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合を触媒して、エチレンとメタクリル酸メチルの分子量1×10g/mol以上の共重合体を得ることができる。その理由は、式(I)の化合物はα-ジイミド後周期遷移金属錯体であり、式(II)の化合物はビス(サリチルアルジミナト)後周期遷移金属錯体であり、この2つの化合物の構造は互いにマッチして相乗効果を発揮することができる。さらに、エチレンとメタクリル酸メチルの反応性比が適切な範囲内にあることを確保することができ、構造的に異なる2つの化合物の利点を最大限に引き出すことができる。また、式(I)の化合物と式(II)の化合物のいずれにも、電子供与基が結合しており、金属中心がメタクリル酸メチル上のエステル基に攻撃される可能性を弱めると同時に、メタクリル酸メチル上のC=C二重結合が金属中心の空軌道に挿入される可能性を高め、二重結合が活性中心に配位する時間を短縮することによって、エチレンとメタクリル酸メチルの高分子量の共重合体を得ることができると推定される。
【0024】
さらに、式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比を(1:10)~(10:1)としたときに、触媒の触媒活性、共重合体の重量平均分子量、及びメタクリル酸メチルの挿入率はいずれも、よりバランスのとれたレベルにある。
【0025】
なお、本願に係る触媒は、助触媒をさらに含む。具体的には、本願に係る助触媒は、アルミノキサンから選ばれ、アルミノキサンは、主触媒をアルキル化することができ、さらに、主触媒の中のハロゲン又はアルキルを捉えてカチオン活性中心を形成することもでき、同時に、非配位性バランスイオンとしての作用を果たすこともでき、その結果、いずれも共重合体の分子量の向上に有利である。
【0026】
さらに、助触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウムのうちの少なくとも1種から選ばれる。上記の助触媒は、供給源が広く、コストが低く、同時に、得られたエチレンとメタクリル酸メチルの分子量のさらなる増加のために主触媒を補助することができる。
【0027】
1つの具体的な実施形態では、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比を1:(50~1000)としたとき、当該触媒は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合の活性に優れている。
【0028】
さらに、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比を1:(100~500)としたとき、触媒による共重合の活性の向上にさらに有利である。
【0029】
第2の態様では、本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法を提供し、当該方法は、共重合触媒として、本願の第1の態様により提供される、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒を使用する。
【0030】
上記の共重合方法は、共重合の活性に優れており、エチレンとメタクリル酸メチルの分子量1×10g/mol以上の共重合体を得ることができる。また、当該方法により、共重合反応は、低い重合温度と小さい重合圧力下で行われることができ、条件が穏やかで、工業的応用に有利である。
【0031】
上記の共重合方法は、共重合圧力、原料と触媒とのモル比、共重合温度、共重合時間などの要素を制御することで、共重合体の中のメタクリル酸メチルの挿入率を制御することができる。具体的な生産過程では、共重合体の中のメタクリル酸メチルの挿入率を、異なる製品のエステル含有量に対する要求に応じるように調整制御することができる。
【0032】
1つの具体的な実施形態では、前述した共重合方法は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合反応を触媒による触媒作用下で行うことを含み、ただし、共重合反応の圧力は≦10MPa、温度は≦100℃とする。本願の共重合反応は、当該圧力と温度の範囲内で穏便に行われることができ、共重合反応の過酷さは低下する。
【0033】
さらに、上記の共重合反応は、溶媒系で行われることができ、具体的には、溶媒は、トルエン、n-ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタンのうちの少なくとも1種から選ばれ得る。そのうち、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタンは、極性溶媒であり、メタクリル酸メチルの插入に有利であり、極性共重合の活性を向上させる。上記の共重合反応は、工業的に常用の溶媒であり、入手しやすくて毒性が低いという利点がある、n-ヘキサンを使用して行ってもよい。
【0034】
第3の態様では、本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を提供し、当該共重合体は、本願の第2の態様により提供される共重合方法を使用して調製されたものである。
【0035】
本願に係る共重合体は、本願の第2の態様により提供される共重合方法により調製されたものであるため、分子量が高く、従来の樹脂加工設備と業務用プラスチックの調製上の必要を満たすことができる。それと同時に、メチルとアクリル酸メチルの挿入率が調整可能であり、幅広い範囲の応用に対処できる。
【0036】
以下、本願により提供される、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒について具体的な実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0037】
なお、下記の実施例では、特に明記されていない限り、使用される原料は、市販のものを購入するかまたは従来の方法により調製されることができ、具体的な条件が特定されていない実験方法はいずれも、当分野で知られたいる従来の方法と従来の条件とする。
【実施例
【0038】
実施例1
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2を1:49のモル比で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒は主触媒Aと記した。
【化5】
【0039】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒A 40μmolをエチレン雰囲気下で加え、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃(共重合温度)のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(濃度1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とし、さらに、エチレンを圧力4MPa(共重合圧力)までさらに通気して、1時間の反応後にエチレンの通気を停止するこ。
2)減圧し、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0040】
実施例2
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を49:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Bと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0041】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Bに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0042】
実施例3
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を1:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Cと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0043】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Cに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0044】
実施例4
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を3:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Dと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0045】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Dに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0046】
実施例5
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、実施例3と一致するものとした。
【0047】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、MAOを13mL(1.53mol/L)加えて、Al/Niモル比=500:1とした以外は、実施例3とほぼ一致した。
【0048】
実施例6
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を10:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Eと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0049】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Eに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0050】
実施例7
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を1:10とし、配合して得られた主触媒を主触媒Fと記した以外は、実施例1と一致した。
【0051】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換えた以外、実施例3とほぼ一致した。
【0052】
実施例8
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例7と一致するものとした。
【0053】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロメタンに置き換えるとともに、共重合反応圧力を4MPaから5MPaに変更した以外、実施例7とほぼ一致した。
【0054】
実施例9
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例8と一致するものとした。
【0055】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、ジクロロメタンをジクロロエタンに置き換え、共重合反応時間を1時間から2時間に変更した以外は、実施例8とほぼ一致した。
【0056】
実施例10
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例9と一致するものとした。
【0057】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、n-ヘキサンをジクロロエタンとトルエンの混合溶液に置き換え、混合溶液の中のn-ヘキサンとトルエンとの体積比を1:1とした以外、実施例8とほぼ一致した。
【0058】
実施例11
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Gと記した。
【化6】
【0059】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔な乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒G 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を40℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行いった。メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(濃度1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを3MPa圧力までさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体284gを得る。
【0060】
実施例12
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を1:49とし、配合して得られた主触媒を主触媒Hと記した以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0061】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Hに置き換えた以外、実施例11とほぼ一致した。
【0062】
実施例13
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を1:1とし、配合して得られた主触媒が主触媒Iと記した以外、実施例11とほぼ一致した。
【0063】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Iに置き換えた以外、実施例12とほぼ一致した。
【0064】
実施例14
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を30:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Jと記した以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0065】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Jに置き換えた以外、実施例12とほぼ一致した。
【0066】
実施例15
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を10:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Kと記した以外は、実施例12とほぼ一致した。
【0067】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Kに置き換え、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を2MPa、共重合反応時間を2時間とした以外は、実施例12とほぼ一致した。
【0068】
実施例16
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を1:10とし、配合して得られた主触媒を主触媒Lと記した以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0069】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、MAO 7.5mL(濃度1.53mol/L)、Al/Niモル比=300:1という条件をセスキエチルアルミニウム 13mL(1.53mol/L)、Al/Niモル比=500:1という条件に変更し、共重合反応圧力を2MPa、共重合反応時間を2時間とした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0070】
実施例17
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を2:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Mと記した以外は、実施例16とほぼ一致した。
【0071】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをn-ヘキサンに置き換え、共重合温度を60℃、共重合圧力を3MPaとした以外は、実施例16とほぼ一致した。
【0072】
実施例18
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例13と一致するものとした。
【0073】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをn-ヘキサンとジクロロエタンの混合溶液に置き換え、n-ヘキサンとジクロロエタンとの体積比を1:1とし、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を5MPaとした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0074】
実施例19
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例13と一致するものとした。
【0075】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをn-ヘキサンとジクロロエタンの混合溶液に置き換え、n-ヘキサンとジクロロエタンとの体積比を1:2とし、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を10MPa、共重合温度を60℃とした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0076】
実施例20
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例13と一致するものとした。
【0077】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロメタンに置き換え、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を5MPa、共重合温度を80℃とした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0078】
実施例21
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Nと記した。
【化7】
【0079】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒N 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、セスキエチルアルミニウム 7.5mL(1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、2時間の反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0080】
実施例22
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:49とし、配合して得られた主触媒を主触媒Oと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0081】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Oに置き換えた以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0082】
実施例23
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Pと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0083】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Pに置き換えた以外、実施例21とほぼ一致した。
【0084】
実施例24
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を10:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Qと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0085】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Qに置き換えた以外、実施例21とほぼ一致した。
【0086】
実施例25
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:10とし、配合して得られた主触媒を主触媒Rと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0087】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Rに置き換えた以外、実施例21とほぼ一致した。
【0088】
実施例26
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:5とし、配合して得られた主触媒を主触媒Sと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0089】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Sに置き換え、セスキエチルアルミニウムをMAOに置き換え、共重合反応温度を40℃、メタクリル酸メチルの添加量を60mmolとした以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0090】
実施例27
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例26と一致するものとした。
【0091】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロエタンに置き換え、MAOの添加量を13mL(1.53M)とし、Al/Niモル比を500:1とした以外は、実施例26とほぼ一致した。
【0092】
実施例28
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を2:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Tと記した以外は、実施例27とほぼ一致した。
【0093】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Tに置き換え、ジクロロエタンをトルエンに置き換え、共重合反応圧力を3MPa、共重合反応温度を80℃とした以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0094】
実施例29
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例28と一致するものとした。
【0095】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロメタンとn-ヘキサンの混合溶液に置き換え、ジクロロメタンとn-ヘキサンとの体積比を1:3とし、共重合反応時間を4時間とした以外、実施例28とほぼ一致した。
【0096】
実施例30
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例23と一致するものとした。
【0097】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロエタンに置き換え、セスキエチルアルミニウム7.5mL(1.53mol/L)、Al/Niモル比=300:1という条件をMAO13mL(1.53mol/L)、Al/Niモル比=500:1という条件に変更し、共重合反応時間を6時間、メタクリル酸の添加量を30mmolとした以外は、実施例23とほぼ一致した。
【0098】
実施例31
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物7と化合物8をモル比1:49で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Uと記した。
【化8】
【0099】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒U 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃(共重合温度)のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 13mL(濃度1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=500:1とした。さらに、エチレンを圧力4MPa(共重合圧力)までさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止し、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0100】
実施例32
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物9と化合物10をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Vと記した。
【化9】
【0101】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒V 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を40℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(濃度1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力3MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止し、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体284gを得ることを含む。
【0102】
実施例33
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物11と化合物12をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Wと記した。
【化10】
【0103】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒W 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル50mmol、セスキエチルアルミニウム7.85mL (1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、2時間反応後にエチレンの通気を停止し、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0104】
実施例34
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例3と同じものとした。
【0105】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒C 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル50mmol、MAO19.63mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=750:1とし、さらに、エチレンを圧力4MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止することと、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得ることと、を含む。
【0106】
実施例35
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例3と同じものとする。
【0107】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒C 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力 0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、セスキエチルアルミニウム 52.33mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=2000:1とし、さらに、エチレンを圧力4MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止することと、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得ることと、を含む。
【0108】
比較例1
1、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒を化合物5とし、主触媒Xと記した。
【0109】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸エステルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、触媒X 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 30mmol、MAO 7.5mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0110】
比較例2
1、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる主触媒を化合物6とし、主触媒Xと記した。
【0111】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸エステルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、触媒X 40μmolをエチレン雰囲気で下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 30mmol、MAO 7.5mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0112】
比較例3
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒として化合物13を使用し、主触媒Xと記した。
【化11】
【0113】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒X 40μmolをエチレン雰囲気で加えた。そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とし、さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0114】
比較例4
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒として、化合物15を使用し、主触媒Xと記した。
【化12】
【0115】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒Y 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とし、さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0116】
比較例5
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒として、化合物15を使用し、主触媒Xと記した。
【化13】
【0117】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒X 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を45℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル47 mmol、MAO 3.9mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=150:1とした。さらに、エチレンを圧力3MPaまでさらに通気して、反応2時間後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0118】
比較しやすくするために、上記の実施例及び比較例に係る共重合反応条件を表1に列挙した。
【0119】
試験例
実施例1~35と比較例1~5に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒に対して、触媒活性を算出した。計算式は、以下とする。
触媒活性=共重合体質量(グラム)/(主触媒添加量(モル)×反応時間(時間))
【0120】
実施例1~35と比較例1~5に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体に対して、次のパラメータの試験を行った。
【0121】
分子量の測定方法は、米Waters社製の2414ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定を行う。標準ポリスチレン試料を較正曲線とし、テトラヒドロフランを移動相とし、カラム温度を40℃、試料濃度を1mg/mL、仕込み量を50μL、溶離時間を40min、流速を1mL・min-1とした。
【0122】
メタクリル酸メチルの挿入率の測定と計算方法は、共重合体の13CNMRに対して、米Bruker-400MHz核磁気共鳴装置を使用して分析し、13CNMRスペクトルにおける-CH(化学シフト1.27)のピーク面積と-OCH(化学シフト3.56)のピーク面積に基づき、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の中のメタクリル酸メチルのモル挿入率を下記の2つの式にて算出する方法にした。
【数1】
【0123】
上記の2つの式において、Nは、共重合体の中のメタクリル酸メチルのモル数、Nは、共重合体の中のエチレンのモル数、Aは、メタクリル酸メチルの中の-OCH(化学シフト3.56)のピーク面積、Bは、-CH(化学シフト1.27)のピーク面積、Eは、共重合体の中のメタクリル酸メチルのモル挿入率とする。
【0124】
上記のパラメータの試験結果は、表2に示した。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
表2のデータから、本願に係る触媒は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いた場合に、エチレンとメタクリル酸メチルのより高分子量の共重合体を得ることができることが明らかである。
【0128】
以上の各実施例は、本願の技術的解決手段を説明するためのものであって、それを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本願を詳細に説明するが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないと理解すべきである。
【0129】
本願は、2021年12月31日に中国特許局に提出された、出願番号が202111675304.4で、出願の名称が「エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒及びその使用」という中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に組み合わせられる。

【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物と式(II)の化合物を配合して得られた主触媒を含む、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒であって、
前記式(I)は下記構造であり、
【化1】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、置換アリールから選ばれ、置換基は、C1~C6アルキル及びC1~C6のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキルから選ばれ、
Mは、Ni又はPdから選ばれ、
とXは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1~C4のアルキル、アリール、C2~C4のエーテル、C1~C4のニトリルのうちの少なくとも1種から選ばれ、
前記式(II)は下記構造であり、
【化2】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキル、C1~C4のジアルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
前記式(I)の化合物と前記式(II)の化合物とのモル比は、(1:49)~(49:1)である、触媒。
【請求項2】
前記式(I)の化合物と前記式(II)の化合物とのモル比は、(1:10)~(10:1)である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
アルミノキサンから選ばれる助触媒をさらに含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記助触媒は、メチルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウムのうちの少なくとも1種から選ばれる、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
前記主触媒の中の金属元素と前記助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(50~1000)である、請求項3に記載の触媒。
【請求項6】
前記主触媒の中の金属元素と前記助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(100~500)である、請求項5に記載の触媒。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の触媒を使用する、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法。
【請求項8】
前記共重合方法は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合反応を前記触媒による触媒作用下で行うことを含み、
前記共重合反応の圧力は≦10MPa、温度は≦100℃である、請求項7に記載の共重合方法。
【請求項9】
前記共重合反応の溶媒は、トルエン、n-ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタンのうちの少なくとも1種から選ばれる、請求項8に記載の共重合方法。
【請求項10】
エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体であって、前記共重合体は、請求項7に記載の共重合方法を使用して調製されたものであり、前記共重合体の重量平均分子量は≧1×10g/molである、共重合体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、オレフィン重合の分野に関し、特に、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンと極性メタクリル酸モノマーとの共重合によって得られた機能性ポリエチレンは、従来のポリエチレンに比べて、相溶性、粘着性、染色性、印刷性がより優れている。しかし、エチレンとメタクリル酸メチルの配位共重合は1つの技術的難題であり、これは主に、メタクリル酸メチルは、その他のアクリル酸エステル系極性モノマーに比べて、立体障害が大きく、活性中心との相互作用の際、共重合活性が高くなく、共重合体の分子量が低く、メタクリル酸メチルの共重合体に対する挿入率の調整制御が困難であるためである。従来のエチレンとメタクリル酸メチルの共重合の技術は主に、助触媒であるアルミノキサンと主触媒とを、モル比が≦1000:1の条件下で、後周期遷移金属触媒を使用して、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合を達成することができるが、生成された共重合体の分子量が低く、通常は1×10g/molしかない。
【0003】
したがって、エチレンとメタクリル酸エステルの高分子量の共重合体をどのように合成するかは、当分野で早急に解決しなければならない問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒を提供し、当該触媒は、α-ジイミド後周期遷移金属錯体構造を有する式(I)の化合物とビス(サリチルアルジミナト)後周期遷移金属錯体を有する式(II)の化合物を、特定の範囲内のモル比で配合することによって使用する。当該触媒は、メタクリル酸メチルとエチレンの共重合反応を触媒するために使用され、分子量1×10g/mol以上のエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得ることができる。
【0005】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法をさらに提供し、当該方法により、エチレンとメタクリル酸メチルの分子量1×10g/mol以上の高分子量の共重合体を得ることができ、また、当該方法により、低い反応温度と反応圧力下でエチレンとメタクリル酸メチルの共重合を短時間に完成させることができ、反応条件が穏やかで効率が高いという利点がある。
【0006】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体をさらに提供し、当該共重合体は、分子量が高く、メタクリル酸メチルの挿入率が調製制御可能であるという利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒を提供し、触媒は、式(I)の化合物と式(II)の化合物を配合させて得られた主触媒を含み、
式(I)の化合物は下記構造で表され
【化1】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、置換アリールから選ばれ、置換基は、C1~C6アルキル及びC1~C6のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキルから選ばれ、
Mは、Ni又はPdから選ばれ、
とXは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1~C4のアルキル、アリール、C2~C4のエーテル、C1~C4のニトリルのうちの少なくとも1種から選ばれ、
式(II)の化合物は下記構造で表され
【化2】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキル、C1~C4のジアルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比は、(1:49)~(49:1)である。
【0008】
前述した触媒によれば、式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比は、(1:10)~(10:1)である。
【0009】
前述した触媒によれば、触媒は、アルミノキサンから選ばれる助触媒をさらに含む。
【0010】
前述した触媒によれば、助触媒は、メチルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウムのうちの少なくとも1種から選ばれる。
【0011】
前述した触媒によれば、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(50~1000)である。
【0012】
前述した触媒によれば、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比は、1:(100~500)である。
【0013】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法をさらに提供し、当該共重合方法は、前述した触媒を使用して共重合反応を行う。
【0014】
前述した共重合方法によれば、共重合方法は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合反応を上記触媒による触媒作用下で行うことを含み、
共重合反応の圧力は≦10MPa、温度は≦100℃とする。
【0015】
前述した共重合方法によれば、共重合反応の溶媒は、トルエン、n-ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタンのうちの少なくとも1種から選ばれる。
【0016】
本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体をさらに提供し、共重合体は、前述した共重合方法を使用して調製されたものであり、共重合体の重量平均分子量は≧1×10g/molである。
【発明の効果】
【0017】
エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる本願に係る触媒は、α-ジイミド後周期遷移金属錯体構造を有する式(I)の化合物とビス(サリチルアルジミナト)後周期遷移金属錯体を有する式(II)の化合物を配合して使用する。エチレンとメタクリル酸メチルの共重合を促進するために、この2つの化合物に対して特定の範囲内のモル比で互いに相乗効果を発揮させることができ、その結果、エチレンとメタクリル酸メチルの高分子量の共重合体を得ることができる。
【0018】
本願に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法により、重量平均分子量が1×10g/mol以上の、エチレンとメタクリル酸メチルとの共重合体を得ることができ、また、当該方法により、低い反応温度と反応圧力下でエチレンとメタクリル酸メチルの共重合を短時間に完成させることができ、反応条件が穏やかで効率が高いという利点があり、工業的応用に有利である。
【0019】
本願に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体は、重量平均分子量が1×10g/mol以上で、メタクリル酸メチルの挿入率が調製制御可能であるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願について特定の実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本願を例示的に説明して解釈するためのものであり、本願の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。本願の上記の内容に基づいて実現されるすべての技術はいずれも、本願の保護範囲内に含まれるものとすべきである。
【0021】
第1の態様では、本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒を提供し、当該触媒は、式(I)の化合物と式(II)の化合物を配合して得られた主触媒を含み、
式(I)の化合物は下記構造で表され
【化3】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、置換アリールから選ばれ、置換基は、C1~C6アルキル及びC1~C6のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキルから選ばれ、
Mは、Ni又はPdから選ばれ、
とXは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1~C4のアルキル、アリール、C2~C4のエーテル、C1~C4のニトリルのうちの少なくとも1種から選ばれ、
式(II)表されは下記構造で表され
【化4】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
、Rは、それぞれ独立して、水素、C1~C4のアルキル、C1~C4のジアルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシ、C1~C4のアルコキシのうちの少なくとも1種から選ばれ、
式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比は、(1:49)~(49:1)である。
【0022】
置換アリールとは、置換基が結合したアリールを指し、具体的には、アリールとしては、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどが挙げられる。本願は、置換基のアリールにおける置換位置は限定されず、例えば、ジイミド構造のオルト位であってもよいし、ジイミド構造のパラ位であってもよい。C1~C6アルキルとは、炭素数が1から6の分岐鎖アルキル又は直鎖アルキルを指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチルなどであってもよく、C1~C6のアルコキシとは、炭素数が1から6の分岐鎖アルコキシ又は直鎖アルコキシを指し、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどであってもよい。同様に、C1~C4のアルキルとは、炭素原子個数が1から4の直鎖アルキル又は分岐鎖アルキルを指し、C1~C4のアルコキシとは、炭素原子個数が1から4の直鎖アルコキシ又は分岐鎖アルコキシを指す。C1~C4のジアルキルアミノとは、アミノが2つのC1~C4の直鎖又は直鎖アルキルで置換された置換基を指し、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノなどであってもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである。
【0023】
発明者が鋭意研究した結果、式(I)の化合物と式(II)の化合物は、(1:49)~(49:1)の範囲内のモル比で配合されて主触媒を形成し、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合を触媒して、エチレンとメタクリル酸メチルの分子量1×10g/mol以上の共重合体を得ることができる。その理由は、式(I)の化合物はα-ジイミド後周期遷移金属錯体であり、式(II)の化合物はビス(サリチルアルジミナト)後周期遷移金属錯体であり、この2つの化合物の構造は互いにマッチして相乗効果を発揮することができる。さらに、エチレンとメタクリル酸メチルの反応性比が適切な範囲内にあることを確保することができ、構造的に異なる2つの化合物の利点を最大限に引き出すことができる。また、式(I)の化合物と式(II)の化合物のいずれにも、電子供与基が結合しており、金属中心がメタクリル酸メチル上のエステル基に攻撃される可能性を弱めると同時に、メタクリル酸メチル上のC=C二重結合が金属中心の空軌道に挿入される可能性を高め、二重結合が活性中心に配位する時間を短縮することによって、エチレンとメタクリル酸メチルの高分子量の共重合体を得ることができると推定される。
【0024】
さらに、式(I)の化合物と式(II)の化合物とのモル比を(1:10)~(10:1)としたときに、触媒の触媒活性、共重合体の重量平均分子量、及びメタクリル酸メチルの挿入率はいずれも、よりバランスのとれたレベルにある。
【0025】
なお、本願に係る触媒は、助触媒をさらに含む。具体的には、本願に係る助触媒は、アルミノキサンから選ばれ、アルミノキサンは、主触媒をアルキル化することができ、さらに、主触媒の中のハロゲン又はアルキルを捉えてカチオン活性中心を形成することもでき、同時に、非配位性バランスイオンとしての作用を果たすこともでき、その結果、いずれも共重合体の分子量の向上に有利である。
【0026】
さらに、助触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウムのうちの少なくとも1種から選ばれる。上記の助触媒は、供給源が広く、コストが低く、同時に、得られたエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の分子量のさらなる増加のために主触媒を補助することができる。
【0027】
1つの具体的な実施形態では、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比を1:(50~1000)としたとき、当該触媒は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合の活性に優れている。
【0028】
さらに、主触媒の中の金属元素と助触媒の中のアルミニウム元素とのモル比を1:(100~500)としたとき、触媒による共重合の活性の向上にさらに有利である。
【0029】
第2の態様では、本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合方法を提供し、当該方法は、共重合触媒として、本願の第1の態様により提供される、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒を使用する。
【0030】
上記の共重合方法は、共重合の活性に優れており、エチレンとメタクリル酸メチルの分子量1×10g/mol以上の共重合体を得ることができる。また、当該方法により、共重合反応は、低い重合温度と小さい重合圧力下で行われることができ、条件が穏やかで、工業的応用に有利である。
【0031】
上記の共重合方法は、共重合圧力、原料と触媒とのモル比、共重合温度、共重合時間などの要素を制御することで、共重合体の中のメタクリル酸メチルの挿入率を制御することができる。具体的な生産過程では、共重合体の中のメタクリル酸メチルの挿入率を、異なる製品のエステル含有量に対する要求に応じるように調整制御することができる。
【0032】
1つの具体的な実施形態では、前述した共重合方法は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合反応を触媒による触媒作用下で行うことを含み、ただし、共重合反応の圧力は≦10MPa、温度は≦100℃とする。本願の共重合反応は、当該圧力と温度の範囲内で穏便に行われることができ、共重合反応の過酷さは低下する。
【0033】
さらに、上記の共重合反応は、溶媒系で行われることができ、具体的には、溶媒は、トルエン、n-ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタンのうちの少なくとも1種から選ばれ得る。そのうち、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタンは、極性溶媒であり、メタクリル酸メチルの插入に有利であり、極性共重合の活性を向上させる。上記の共重合反応は、工業的に常用の溶媒であり、入手しやすくて毒性が低いという利点がある、n-ヘキサンを使用して行ってもよい。
【0034】
第3の態様では、本願は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を提供し、当該共重合体は、本願の第2の態様により提供される共重合方法を使用して調製されたものである。
【0035】
本願に係る共重合体は、本願の第2の態様により提供される共重合方法により調製されたものであるため、分子量が高く、従来の樹脂加工設備と業務用プラスチックの調製上の必要を満たすことができる。それと同時に、メチルとアクリル酸メチルの挿入率が調整可能であり、幅広い範囲の応用に対処できる。
【0036】
以下、本願により提供される、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒について具体的な実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0037】
なお、下記の実施例では、特に明記されていない限り、使用される原料は、市販のものを購入するかまたは従来の方法により調製されることができ、具体的な条件が特定されていない実験方法はいずれも、当分野で知られたいる従来の方法と従来の条件とする。
【実施例
【0038】
実施例1
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2を1:49のモル比で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒は主触媒Aと記した。
【化5】
【0039】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒A 40μmolをエチレン雰囲気下で加え、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃(共重合温度)のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(濃度1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とし、さらに、エチレンを圧力4MPa(共重合圧力)までさらに通気して、1時間の反応後にエチレンの通気を停止するこ。
2)減圧し、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0040】
実施例2
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を49:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Bと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0041】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Bに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0042】
実施例3
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を1:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Cと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0043】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Cに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0044】
実施例4
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を3:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Dと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0045】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Dに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0046】
実施例5
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、実施例3と一致するものとした。
【0047】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、MAOを13mL(1.53mol/L)加えて、Al/Niモル比=500:1とした以外は、実施例3とほぼ一致した。
【0048】
実施例6
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を10:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Eと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0049】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Aを主触媒Eに置き換えた以外、実施例1とほぼ一致した。
【0050】
実施例7
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物1と化合物2とのモル比を1:10とし、配合して得られた主触媒を主触媒Fと記した以外は、実施例1とほぼ一致した。
【0051】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、主触媒Cを主触媒Fに置き換えた以外、実施例3とほぼ一致した。
【0052】
実施例8
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例3と一致するものとした。
【0053】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロメタンに置き換えるとともに、共重合反応圧力を4MPaから5MPaに変更した以外、実施例7とほぼ一致した。
【0054】
実施例9
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例8と一致するものとした。
【0055】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、ジクロロメタンをジクロロエタンに置き換え、共重合反応時間を1時間から2時間に変更した以外は、実施例8とほぼ一致した。
【0056】
実施例10
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例9と一致するものとした。
【0057】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、ジクロロエタンをジクロロエタンとトルエンの混合溶液に置き換え、混合溶液の中のジクロロエタンとトルエンとの体積比を1:1とした以外、実施例9とほぼ一致した。
【0058】
実施例11
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Gと記した。
【化6】
【0059】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔な乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒G 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を40℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行いった。メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(濃度1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを3MPa圧力までさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体284gを得る。
【0060】
実施例12
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を1:49とし、配合して得られた主触媒を主触媒Hと記した以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0061】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Hに置き換えた以外、実施例11とほぼ一致した。
【0062】
実施例13
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を1:1とし、配合して得られた主触媒が主触媒Iと記した以外、実施例11とほぼ一致した。
【0063】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Iに置き換えた以外、実施例11とほぼ一致した。
【0064】
実施例14
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を30:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Jと記した以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0065】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Jに置き換えた以外、実施例11とほぼ一致した。
【0066】
実施例15
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を10:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Kと記した以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0067】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Gを主触媒Kに置き換え、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を2MPa、共重合反応時間を2時間とした以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0068】
実施例16
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を1:10とし、配合して得られた主触媒を主触媒Lと記した以外は、実施例11とほぼ一致した。
【0069】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、MAO 7.85mL(濃度1.53mol/L)、Al/Niモル比=300:1という条件をセスキエチルアルミニウム 13mL(1.53mol/L)、Al/Niモル比=500:1という条件に変更し、共重合反応圧力を2MPa、共重合反応時間を2時間とした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0070】
実施例17
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物3と化合物4とのモル比を2:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Mと記した以外は、実施例16とほぼ一致した。
【0071】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをn-ヘキサンに置き換え、共重合温度を60℃、共重合圧力を3MPaとした以外は、実施例16とほぼ一致した。
【0072】
実施例18
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例13と一致するものとした。
【0073】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをn-ヘキサンとジクロロエタンの混合溶液に置き換え、n-ヘキサンとジクロロエタンとの体積比を1:1とし、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を5MPaとした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0074】
実施例19
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例13と一致するものとした。
【0075】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをn-ヘキサンとジクロロエタンの混合溶液に置き換え、n-ヘキサンとジクロロエタンとの体積比を1:2とし、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を10MPa、共重合温度を60℃とし、メタクリル酸メチルの添加量を60mmolとした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0076】
実施例20
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例13と一致するものとした。
【0077】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロメタンに置き換え、MAOをセスキエチルアルミニウムに置き換え、共重合反応圧力を5MPa、共重合温度を80℃とし、メタクリル酸メチルの添加量が30mmolとした以外は、実施例13とほぼ一致した。
【0078】
実施例21
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Nと記した。
【化7】
【0079】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒N 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、セスキエチルアルミニウム 7.5mL(1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、2時間の反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0080】
実施例22
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:49とし、配合して得られた主触媒を主触媒Oと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0081】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Oに置き換えた以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0082】
実施例23
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Pと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0083】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Pに置き換えた以外、実施例21とほぼ一致した。
【0084】
実施例24
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を10:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Qと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0085】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Qに置き換えた以外、実施例21とほぼ一致した。
【0086】
実施例25
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:10とし、配合して得られた主触媒を主触媒Rと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0087】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Rに置き換えた以外、実施例21とほぼ一致した。
【0088】
実施例26
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を1:5とし、配合して得られた主触媒を主触媒Sと記した以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0089】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Nを主触媒Sに置き換え、セスキエチルアルミニウムをMAOに置き換え、共重合反応温度を40℃、メタクリル酸メチルの添加量を60mmolとした以外は、実施例21とほぼ一致した。
【0090】
実施例27
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例26と一致するものとした。
【0091】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロエタンに置き換え、MAOの添加量を13mL(1.53mol/L)とし、Al/Niモル比を500:1とした以外は、実施例26とほぼ一致した。
【0092】
実施例28
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物5と化合物6とのモル比を2:1とし、配合して得られた主触媒を主触媒Tと記した以外は、実施例27とほぼ一致した。
【0093】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、主触媒Sを主触媒Tに置き換え、ジクロロエタンをトルエンに置き換え、共重合反応圧力を3MPa、共重合反応温度を80℃とした以外は、実施例27とほぼ一致した。
【0094】
実施例29
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例28と一致するものとした。
【0095】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロメタンとn-ヘキサンの混合溶液に置き換え、ジクロロメタンとn-ヘキサンとの体積比を1:3とし、共重合反応時間を4時間とした以外、実施例28とほぼ一致した。
【0096】
実施例30
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例23と一致するものとした。
【0097】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、トルエンをジクロロエタンに置き換え、セスキエチルアルミニウム7.5mL(1.53mol/L)、Al/Niモル比=300:1という条件をMAO13mL(1.53mol/L)、Al/Niモル比=500:1という条件に変更し、共重合反応時間を6時間、メタクリル酸メチルの添加量を30mmolとした以外は、実施例23とほぼ一致した。
【0098】
実施例31
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物7と化合物8をモル比1:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Uと記した。
【化8】
【0099】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒U 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃(共重合温度)のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 13mL(濃度1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=500:1とした。さらに、エチレンを圧力4MPa(共重合圧力)までさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止し、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0100】
実施例32
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物9と化合物10をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Vと記した。
【化9】
【0101】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒V 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を40℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(濃度1.53mol/L)を攪拌下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力3MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止し、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体284gを得ることを含む。
【0102】
実施例33
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は、化合物11と化合物12をモル比49:1で配合して得られたものであり、配合して得られた主触媒を主触媒Wと記した。
【化10】
【0103】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒W 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル50mmol、セスキエチルアルミニウム7.85mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、2時間反応後にエチレンの通気を停止し、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0104】
実施例34
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例3と同じものとした。
【0105】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒C 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル50mmol、MAO19.63mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=750:1とし、さらに、エチレンを圧力4MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止することと、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得ることと、を含む。
【0106】
実施例35
1、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒は実施例3と同じものとする。
【0107】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒C 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力 0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=2000:1とし、さらに、エチレンを圧力4MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止することと、減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得ることと、を含む。
【0108】
比較例1
1、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒を化合物5とし、主触媒Y と記した。
【0109】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸エステルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、触媒Y 40μmolをエチレン雰囲気下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 30mmol、MAO 7.5mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0110】
比較例2
1、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる主触媒を化合物6とし、主触媒Y と記した。
【0111】
2、本実施例に係るエチレンとメタクリル酸エステルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、触媒Y 40μmolをエチレン雰囲気で下で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 30mmol、MAO 7.5mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とした。さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0112】
比較例3
1、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒として化合物13を使用し、主触媒Y と記した。
【化11】
【0113】
2、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒Y 40μmolをエチレン雰囲気で加えた。そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とし、さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0114】
比較例4
1、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒として、化合物14を使用し、主触媒Y と記した。
【化12】
【0115】
2、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒Y 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を60℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル 50mmol、MAO 7.85mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=300:1とし、さらに、エチレンを圧力5MPaまでさらに通気して、1時間反応後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0116】
比較例5
1、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒の主触媒として、化合物15を使用し、主触媒Y と記した。
【化13】
【0117】
2、本比較例に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の調製方法は、以下を含む。
1)清潔で乾燥した150mLのオートクレーブに、トルエン 50mL、主触媒Y 40μmolをエチレン雰囲気で加えて、そして、エチレンを圧力0.05MPaまで通気するとともに、反応器を45℃のオイルバスに配置して電磁撹拌を行い、メタクリル酸メチル47 mmol、MAO 3.9mL(1.53mol/L)を攪拌状態下で加えて、Al/Niモル比=150:1とした。さらに、エチレンを圧力3MPaまでさらに通気して、反応2時間後にエチレンの通気を停止する。
2)減圧して、体積濃度5%の塩酸エタノール溶液を使用して処理し、洗浄、ろ過、乾燥を行ってエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体を得る。
【0118】
比較しやすくするために、上記の実施例及び比較例に係る共重合反応条件を表1に列挙した。
【0119】
試験例
実施例1~35と比較例1~5に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いる触媒に対して、触媒活性を算出した。計算式は、以下とする。
触媒活性=共重合体質量(グラム)/(主触媒添加量(モル)×反応時間(時間))
【0120】
実施例1~35と比較例1~5に係るエチレンとメタクリル酸メチルの共重合体に対して、次のパラメータの試験を行った。
【0121】
分子量の測定方法は、米Waters社製の2414ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定を行う。標準ポリスチレン試料を較正曲線とし、テトラヒドロフランを移動相とし、カラム温度を40℃、試料濃度を1mg/mL、仕込み量を50μL、溶離時間を40min、流速を1mL・min-1とした。
【0122】
メタクリル酸メチルの挿入率の測定と計算方法は、共重合体の13CNMRに対して、米Bruker-400MHz核磁気共鳴装置を使用して分析し、13CNMRスペクトルにおける-CH(化学シフト1.27)のピーク面積と-OCH(化学シフト3.56)のピーク面積に基づき、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合体の中のメタクリル酸メチルのモル挿入率を下記の2つの式にて算出する方法にした。
【数1】
【0123】
上記の2つの式において、Nは、共重合体の中のメタクリル酸メチルのモル数、Nは、共重合体の中のエチレンのモル数、Aは、メタクリル酸メチルの中の-OCH(化学シフト3.56)のピーク面積、Bは、エチレンにおける-CH(化学シフト1.27)のピーク面積、Eは、共重合体の中のメタクリル酸メチルのモル挿入率とする。
【0124】
上記のパラメータの試験結果は、表2に示した。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
表2のデータから、本願に係る触媒は、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合に用いた場合に、エチレンとメタクリル酸メチルのより高分子量の共重合体を得ることができることが明らかである。
【0128】
以上の各実施例は、本願の技術的解決手段を説明するためのものであって、それを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本願を詳細に説明するが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないと理解すべきである。
【0129】
本願は、2021年12月31日に中国特許局に提出された、出願番号が202111675304.4で、出願の名称が「エチレンとメタクリル酸メチルの共重合用の触媒及びその使用」という中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に組み合わせられる。
【国際調査報告】