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特表2024-535628薬剤送達デバイスの薬剤容器キャリアおよび薬剤送達デバイスの薬剤容器組立体を組み立てる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】薬剤送達デバイスの薬剤容器キャリアおよび薬剤送達デバイスの薬剤容器組立体を組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61M5/31 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523225
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2022077872
(87)【国際公開番号】W WO2023066679
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21203427.6
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ティン・イン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066EE14
4C066GG11
(57)【要約】
薬剤送達デバイスの薬剤容器キャリアであって、薬剤容器キャリアは、薬剤容器を受け入れるための管状本体であって、近位開口端と遠位開口端の間で長手方向軸に沿って延び、締結具を備える、管状本体と、管状キャップ本体を備える近位キャップであって、管状キャップ本体は、近位端と遠位端の間で長手方向軸に沿って延びる、近位キャップとを備え、ここにおいて、スロットが、近位端から遠位端へと、管状キャップ本体上で延び、管状キャップ本体は、管状キャップ本体の内面から延びる突起部を備え、突起部は、長手方向軸に対して半径方向にあり、突起部は、薬剤送達デバイスの薬剤容器の肩部を支持するように構成され、近位キャップは、長手方向軸の方向に、突起部に対してオフセットされた対締結具を備え、また近位キャップは、締結具と対締結具の間の係合により、管状本体の近位端に取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスの薬剤容器キャリアであって、
薬剤容器を受け入れるための管状本体であって、近位開口端と遠位開口端の間で長手方向軸に沿って延び、締結具を備える、管状本体と、
管状キャップ本体を備える近位キャップであって、前記管状キャップ本体は、近位端と遠位端の間で前記長手方向軸に沿って延びる、近位キャップと
を備え、
スロットが、前記近位端から前記遠位端へと、前記管状キャップ本体上で延び、前記管状キャップ本体は、前記管状キャップ本体の内面から延びる突起部を備え、前記突起部は、前記長手方向軸に対して半径方向にあり、前記突起部は、前記薬剤送達デバイスの前記薬剤容器の肩部を支持するように構成され、前記近位キャップは、前記長手方向軸の方向に、前記突起部に対してオフセットされた対締結具を備え、また前記近位キャップは、前記締結具と前記対締結具の間の係合により、前記管状本体の前記近位端に取り付けられる、薬剤容器キャリア。
【請求項2】
前記締結具は、切抜き/凹部またはフックであり、前記対締結具は、前記締結具が切抜き/凹部である場合にはフックであり、または前記対締結具は、前記締結具がフックである場合には切抜き/凹部である、請求項1に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項3】
前記締結具は、前記切抜き/凹部であり、前記切抜き/凹部は、前記管状本体の壁に配置され、前記切抜き/凹部は、前記長手方向軸に対して横方向に開口しており、前記対締結具は、前記管状キャップ本体に対して遠位方向に、前記管状キャップ本体から延びる前記フックであり、また前記近位キャップは、前記フックと前記切抜き/凹部の間で締結具により、前記管状本体の前記近位端に取り付けられる、請求項2に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項4】
前記切抜き/凹部は、第1の端部と第2の端部の間で、前記長手方向軸に対して円周方向に延び、前記第1の端部に傾斜面が配置され、また前記傾斜面は、前記切抜き/凹部の内側部分から前記切抜き/凹部の外側縁部へと傾斜している、請求項2または3に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項5】
前記フックは、フックアームおよびフック先端を備え、前記フックアームは、前記長手方向軸の方向に延び、前記フック先端は、前記長手方向軸に対して横方向に、前記フックアームの端部から延び、また前記フック先端は、前記切抜き/凹部内に配置される、請求項2から4のいずれか一項に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項6】
前記フック先端は、第1の端部と第2の端部の間で円周方向に延び、また前記フック先端は、前記フックアームに対して角度が付けられ、かつ前記第1の端部に配置される傾斜面を備える、請求項5に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項7】
前記締結具と前記対締結具の間の係合は、スナップ嵌め係合である、請求項1から6のいずれか一項に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項8】
前記管状本体は、前記管状本体の内面から延びる遠位の突起部を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項9】
前記遠位の突起部は、環状の突起部である、請求項8に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項10】
前記管状キャップ本体は、前記管状キャップ本体の前記内面から延びる複数の突起部を備え、また前記複数の突起部は、異なる長さを有する前記薬剤送達デバイスの薬剤容器の前記肩部が、前記突起部の1つにより支持され得るように、前記長手方向軸の方向に、互いに対してオフセットされる、請求項1から9のいずれか一項に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項11】
前記管状キャップ本体は、異なる長さおよび/または幅を有する前記薬剤送達デバイスの薬剤容器の前記肩部が、前記突起部の1つにより支持され得るように、様々な内径を有する、請求項10に記載の薬剤容器キャリア。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の薬剤容器キャリアを備える、薬剤送達デバイス。
【請求項13】
薬剤送達デバイスの薬剤容器組立体を組み立てる方法であって、以下の順序の以下のシーケンスのステップ、すなわち、
薬剤容器キャリアの管状本体を提供するステップであって、前記管状本体は、近位端と遠位端の間で長手方向軸に沿って延びる、ステップと、
薬剤容器を提供するステップと、
前記薬剤容器キャリアの近位キャップを提供するステップと、
前記薬剤容器を、前記管状本体の前記近位端から前記管状本体の中に挿入するステップと、
前記近位キャップを前記管状本体の前記近位端に取り付けるために、前記薬剤容器キャリアの前記近位キャップを、前記管状本体に対して、前記長手方向軸に対して横方向に移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記薬剤容器キャリアの前記近位キャップを、前記長手方向軸に対して横方向に移動させる前記ステップは、前記薬剤容器キャリアの前記近位キャップを、前記長手方向軸に対して横方向に直線的に移動させるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記近位キャップを前記管状本体の前記近位端に取り付けるために、前記薬剤容器キャリアの前記近位キャップを、前記管状本体に対して、前記長手方向軸に対して横方向に移動させる前記ステップは、前記近位キャップを前記管状本体にスナップ嵌めするステップを含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、薬剤送達デバイスの薬剤容器キャリア、および薬剤送達デバイスの薬剤容器組立体を組み立てる方法に関し、詳細には、近位キャップを備える薬剤容器キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤送達デバイスは、患者の皮膚を穿刺することによって薬物を自己投与したり、針を介して薬物を送達したりするために使用されることが多い。このプロセスは、迅速に行われることが好ましいが、駆動機構によって、薬剤容器にかなりの力を加える必要がある。しかし、薬剤容器は壊れやすい可能性があり、駆動機構の力が加えられたときに、壊れやすい薬剤容器を破損する危険がかなり存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、駆動機構から力を受けたときに、薬剤容器が損傷されないようにする薬剤容器キャリアを用いて薬剤容器を支持する解決策が高く評価される。したがって、薬剤容器キャリアを含む強度のある薬剤容器組立体が有用である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、添付の特許請求の範囲により定義され、それに対して、次に参照を行うものとする。
【0005】
本開示において、「遠位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達デバイスの使用中に、用量送達部位から離れた方向を指す。「遠位部分/端部」という用語が使用されるとき、これは、送達デバイスの部分/端部を、またはその部材の部分/端部を指し、それは、薬剤送達デバイスの使用中に、用量送達部位から最も遠く離れて位置する。それに対応して、「近位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達デバイスの使用中に、用量送達部位に向けた方向を指す。「近位部分/端部」という用語が使用されるとき、これは、送達デバイスの部分/端部を、またはその部材の部分/端部を指し、それは、薬剤送達デバイスの使用中に、用量送達部位の最も近くに位置する。
【0006】
さらに「長手方向の」、「長手方向に」、「軸方向に」、または「軸方向の」という用語は、近位端から遠位端へと、通常、デバイスまたはその構成要素に沿って、デバイスおよび/または構成要素の最長の延長方向に延びる方向を指す。
【0007】
同様に「横方向」、「横方向の」、および「横方向に」という用語は、概して、長手方向に対して直角な方向を指す。
【0008】
さらに「円周方向」、「円周方向の」、または「円周方向に」という用語は、軸に対して、通常、デバイスおよび/または構成要素の最長の延長方向に延びる中心軸に対して、円周方向、または円周の方向を指す。同様に、「半径方向の」または「半径方向に」は、軸に対して半径方向に延びる方向を指し、また「回転」、「回転の」、および「回転的に」は、軸に対する回転を指す。
【0009】
したがって、薬剤送達デバイスの薬剤容器キャリアが提供され、薬剤容器キャリアは、薬剤容器を受け入れるための管状本体であって、近位開口端と遠位開口端の間で長手方向軸に沿って延び、締結具を備える、管状本体と、管状キャップ本体を備える近位キャップであって、管状キャップ本体は、近位端と遠位端の間で長手方向軸に沿って延びる、近位キャップとを備え、ここにおいて、スロットが、近位端から遠位端へと、管状キャップ本体上で延び、管状キャップ本体は、管状キャップ本体の内面から延びる突起部を備え、突起部は、長手方向軸に対して半径方向にあり、突起部は、薬剤送達デバイスの薬剤容器の肩部を支持するように構成され、近位キャップは、長手方向軸の方向に、突起部に対してオフセットされた対締結具を備え、また近位キャップは、締結具と対締結具の間の係合により、管状本体の近位端に取り付けられる。
【0010】
好ましくは、別の実施形態によれば、締結具は、切抜き/凹部またはフックであり、対締結具は、締結具が切抜き/凹部である場合にはフックであり、または対締結具は、締結具がフックである場合には切抜き/凹部である。
【0011】
好ましくは、別の実施形態によれば、締結具は、切抜き/凹部であり、切抜き/凹部は、管状本体の壁に配置され、切抜き/凹部は、長手方向軸に対して横方向に開口しており、対締結具は、管状キャップ本体に対して遠位方向に、管状キャップ本体から延びるフックであり、また近位キャップは、フックと切抜き/凹部の間で締結具により、管状本体の近位端に取り付けられる。
【0012】
好ましくは、別の実施形態によれば、切抜き/凹部は、第1の端部と第2の端部の間で、長手方向軸に対して円周方向に延び、第1の端部に傾斜面が配置され、また傾斜面は、切抜き/凹部の内側部分から切抜き/凹部の外側縁部へと傾斜している。
【0013】
好ましくは、別の実施形態によれば、フックは、フックアームおよびフック先端を備え、フックアームは、長手方向軸の方向に延び、フック先端は、長手方向軸に対して横方向に、フックアームの端部から延び、またフック先端は、切抜き/凹部内に配置される。
【0014】
好ましくは、別の実施形態によれば、フック先端は、第1の端部と第2の端部の間で円周方向に延び、またフック先端は、フックアームに対して角度が付けられ、かつ第1の端部に配置される傾斜面を備える。
【0015】
好ましくは、別の実施形態によれば、締結具と対締結具の間の係合は、スナップ嵌め係合である。
【0016】
好ましくは、別の実施形態によれば、管状本体は、管状本体の内面から延びる遠位の突起部を備える。
【0017】
好ましくは、別の実施形態によれば、遠位の突起部は、環状の突起部である。
【0018】
好ましくは、別の実施形態によれば、管状キャップ本体は、管状キャップ本体の内面から延びる複数の突起部を備え、また複数の突起部は、異なる長さを有する薬剤送達デバイスの薬剤容器の肩部が、突起部の1つにより支持され得るように、長手方向軸の方向に、互いに対してオフセットされる。
【0019】
好ましくは、別の実施形態によれば、管状キャップ本体は、異なる長さおよび/または幅を有する薬剤送達デバイスの薬剤容器の肩部が、突起部の1つにより支持され得るように、様々な内径を有する。
【0020】
好ましくは、別の実施形態によれば、薬剤容器は、カートリッジまたはシリンジとすることができる。
【0021】
好ましくは、別の実施形態によれば、薬剤送達デバイスは、注射器、吸入器、または医療用噴霧器とすることができる。
【0022】
好ましくは、別の実施形態によれば、注射器は、自己注射器、インスリンペン、または安全シリンジである。
【0023】
好ましくは、別の実施形態によれば、注射器の針ガードは、ユーザが着脱可能な針ガード、またはエンドユーザには取外しできない針ガードとすることができる。
【0024】
本発明の別の態様は、薬剤送達デバイスの薬剤容器組立体を組み立てる方法を提供し、方法は、以下の順序の以下のシーケンスのステップ、すなわち、薬剤容器キャリアの管状本体を提供するステップであって、管状本体は、近位端と遠位端の間で長手方向軸に沿って延びる、ステップと、薬剤容器を提供するステップと、
【0025】
薬剤容器キャリアの近位キャップを提供するステップと、薬剤容器を、管状本体の近位端から管状本体の中に挿入するステップと、近位キャップを管状本体の近位端に取り付けるために、薬剤容器キャリアの近位キャップを、管状本体に対して、長手方向軸に対して横方向に移動させるステップとを含む。
【0026】
好ましくは、別の実施形態によれば、薬剤容器キャリアの近位キャップを、長手方向軸に対して横方向に移動させるステップは、薬剤容器キャリアの近位キャップを、長手方向軸に対して横方向に直線的に移動させるステップを含む。
【0027】
好ましくは、別の実施形態によれば、近位キャップを管状本体の近位端に取り付けるために、薬剤容器キャリアの近位キャップを、管状本体に対して、長手方向軸に対して横方向に移動させるステップは、近位キャップを管状本体にスナップ嵌めするステップを含む。
【0028】
好ましくは、別の実施形態によれば、近位キャップを管状本体の近位端に取り付けるために、薬剤容器キャリアの近位キャップを、管状本体に対して、長手方向軸に対して横方向に移動させるステップは、近位キャップの内面から延びる突起部を、突起部が薬剤容器の肩部に接触するように配置するステップを含む。
【0029】
概して、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で他の形で明示的に定義されない限り、技術的な分野におけるその通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの/その(a/an/the)要素、装置、構成要素、手段など」に対するすべての参照は、明示的にその他の形で述べられない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を参照してオープンに解釈すべきである。
【0030】
本発明の概念の実施形態を、次に、例としてに過ぎないが、添付図面を参照して述べるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】薬剤容器キャリアの概略的な斜視図である。
図2A図1の薬剤容器キャリアの管状本体の概略的な斜視図である。
図2B図2Aの管状本体の概略的な横断面図である。
図3図1の薬剤容器の近位キャップの概略的な斜視図である。
図4A】薬剤容器を図1の薬剤容器キャリアの中へと組み込むための組立シーケンスを概略的に示す図である。
図4B】薬剤容器を図1の薬剤容器キャリアの中へと組み込むための組立シーケンスを概略的に示す図である。
図4C】薬剤容器を図1の薬剤容器キャリアの中へと組み込むための組立シーケンスを概略的に示す図である。
図4D】薬剤容器を図1の薬剤容器キャリアの中へと組み込むための組立シーケンスを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1図4Dは、薬剤送達デバイスの薬剤容器キャリアを示す。薬剤容器キャリアは、薬剤容器3および近位キャップ2を受け入れるための管状本体1を備える。
【0033】
管状本体1は、近位開口端と遠位開口端の間で、長手方向軸Lに沿って延びる。図2Aで示されるように、管状本体1は、締結具11を備え、それは、遠位開口端よりも近位開口端の近くに配置されることが好ましい。管状本体1は、任意選択で、窓12を備え(この窓は、管状本体の壁上の開口部、または管状本体の透明な壁とすることができる)、薬剤送達デバイスのユーザが、薬剤容器の管状本体1内に配置された薬剤容器3内に含まれる薬剤を観察できるようにする。代替的に、管状本体の主要な部分は透明である。この例では、管状本体は、窓12を必要としない。図2Bで示されるように、管状本体1は、任意選択で、近位開口端よりも遠位開口端の近くに配置されることが好ましい、近位方向を向いた表面13を備える。近位方向を向いた表面は、管状本体1の内面から延びる遠位の突起部により画定され得る。一例では、遠位の突起部は、環状の突起部である。近位方向を向いた表面13は、薬剤容器が管状本体1の内部に配置されたとき、薬剤容器が管状本体1に対して遠位方向に動かないように構成される。近位方向を向いた表面13のこの構成は、薬剤容器が、管状本体1の近位開口端から薬剤容器キャリアの中に挿入されるように構成されたときに適切である。例えば、この構成は、薬剤容器がカートリッジであるときに適切である。通常、シリンジは、シリンジの遠位端にフランジを備え、シリンジが、管状本体の近位開口端から管状本体の中に挿入されるように構成される場合、管状本体の直径が、シリンジのフランジの幅よりもわずかに大きい必要があり、したがって、薬剤容器キャリアと薬剤送達デバイスが共に大きな寸法を必要とする。他方で、カートリッジは、通常、フランジを有しておらず、したがって、カートリッジは、管状本体1の近位開口端から挿入されることに関して同様に適切である。管状本体1は、任意選択で、薬剤送達デバイスハウジングの一部と係合するように構成されたフランジ14を備え、したがって、管状本体1を動かないようにすることができる、または薬剤送達デバイスハウジングに対して所定の空間内に限って動けるようにする。代替的に、フランジ14は、管状本体1の外側面上に配置される隆起またはスロットで置き換えることもできる。
【0034】
図3で示すように、近位キャップ2は、管状キャップ本体20を備える。管状キャップ本体20は、近位端と遠位端の間で長手方向軸Lに沿って延びる。スロット21は、近位端から遠位端へと管状キャップ本体20上で延びる。管状キャップ本体20は、管状キャップ本体20の内面から延びる突起部22、22’を備える。突起部22、22’は、長手方向軸Lに対して半径方向にある。突起部22、22’は、薬剤送達デバイスの薬剤容器3の肩部31を支持するように構成される。近位キャップ2は、長手方向軸Lの方向に、突起部22、22’に対してオフセットされた対締結具23を備える。近位キャップ2は、締結具11と対締結具23の間の係合により、管状本体1の近位端に取り付けられるように構成される。さらに、一例では、管状キャップ本体20は、管状キャップ本体20の内面から延びる複数の突起部22、22’を備える。複数の突起部22、22’が存在する場合、突起部は、長手方向軸Lの方向に互いに対してオフセットされ、したがって、薬剤容器キャリアを、異なる長さを有する薬剤容器に対して使用できるようにする。複数の突起部22、22’を有する管状キャップ本体20に対して、長さの異なる容器に応じて、このような突起部の1つだけが、薬剤容器の肩部と係合することになる。好ましい例では、管状キャップ本体は、様々な内径を有し、したがって、薬剤容器キャリアを、異なる幅を有する薬剤容器に使用することができる。異なる長さおよび/または幅を有する薬剤送達デバイスの薬剤容器の肩部は、突起部の1つにより支持することができる。
【0035】
別の例では、管状本体の締結具11は、切抜き/凹部またはフックを備え、近位キャップ2の対締結具23は、切抜き(管状本体の締結具がフックである場合)、またはフック(管状本体の締結具が切抜きである場合)である。好ましい例では、締結具11は、図2Aで示されるように、切抜き/凹部である。切抜き/凹部は、管状本体1の壁に配置される。切抜き/凹部は、長手方向軸Lに対して横方向に開口している。この例では、対締結具23は、管状キャップ本体20に対して遠位方向に管状キャップ本体20から延びるフックである。近位キャップ2は、フックと切抜き/凹部の間で締結具により、管状本体の近位端に取り付けられるように構成される。
【0036】
一例では、切抜き/凹部は、第1の端部と第2の端部の間で、長手方向軸Lに対して円周方向に延びる。好ましい例では、傾斜面が第1の端部に配置される。傾斜面は、切抜き/凹部の内側部分から、切抜き/凹部の外側縁部へと傾斜する。したがって、フックは、フックが、長手方向軸Lに対して横方向に、切抜き/凹部に対して直線的に移動したとき、切抜き/凹部の中に容易に入ることができる。
【0037】
別の例では、フック23は、フックアームおよびフック先端23aを備える。フックアームは、長手方向軸Lの方向に延びる。フック先端23aは、図3で示されるように、長手方向軸Lに対して横方向に、フックアームの端部から延びる。フック先端23aは、切抜き/凹部内に配置されるように構成される。別の例では、フック先端23aは、第1の端部と第2の端部の間で円周方向に延びる。フック先端23aは、フックアームに対して角度が付けられ、かつ第1の端部に配置された傾斜面を備える。したがって、フックは、フックが、長手方向軸Lに対して横方向に、切抜き/凹部に対して直線的に移動したとき、切抜き/凹部の中に容易に入ることができる。
【0038】
好ましい例では、締結具11と対締結具23の間の係合は、スナップ嵌め係合である。代替的に、締結具と対締結具の間の係合は、ねじ山係合またはバヨネット係合である。これらの例では、締結具および対締結具は、ねじ山接続、またはバヨネット接続である。
【0039】
図4A図4Dで示されるように、薬剤送達デバイスの薬剤容器組立体を組み立てるための組立方法が次に述べられる。方法は、以下の順序の以下のステップ、すなわち、
薬剤容器キャリアの管状本体1を提供するステップと、
薬剤容器キャリアの近位キャップ2を提供するステップと、
図4の矢印S1で示されるように、薬剤容器3を管状本体1の近位端から、管状本体1の中に挿入するステップと、
近位キャップ2を管状本体1の近位端に取り付けるために、図4Cの矢印S2で示されるように、薬剤容器キャリアの近位キャップ2を、管状本体1に対して、長手方向軸Lに対して横方向に移動させるステップと
を含む。
【0040】
この例では、薬剤容器3の本体部分30の一部、薬剤容器3の肩部31、および薬剤容器3のヘッド32が、近位キャップ2のスロット21を介して、近位キャップ2の中に移動される。
【0041】
一例では、薬剤容器キャリアの近位キャップ2を、長手方向軸に対して横方向に移動させるステップは、薬剤容器キャリアの近位キャップ2を、長手方向軸Lに対して横方向に直線的に移動させる(矢印S2で示されるように)ステップを含む。別の例では、近位キャップ2を、管状本体1の近位端に取り付けるために、薬剤容器キャリア3の近位キャップ2を、管状本体1に対して、長手方向軸Lに対して横方向に移動させるステップは、近位キャップ2を、管状本体1にスナップ嵌めするステップを含む。代替的に、近位キャップを、管状本体の近位端に取り付けるために、薬剤容器キャリアの近位キャップを、管状本体に対して、長手方向軸Lに対して横方向に移動させるステップは、近位キャップを管状本体に対して回転させて、近位キャップを長手方向軸Lに対して横方向に移動させた後に、バヨネット係合またはねじ山係合により、近位キャップを管状本体に取り付けられるようにするステップを含む。
【0042】
別の例では、近位キャップを管状本体の近位端に取り付けるために、薬剤容器キャリアの近位キャップ2を、管状本体1に対して、長手方向軸に対して横方向に移動させるステップは、近位キャップ2の内面から延びる突起部を、薬剤容器3の肩部31に接触させるように位置合せするステップを含む。
【0043】
本発明の概念が、主として、いくつかの例を参照して上記で述べられてきた。しかし、当業者であれば容易に理解されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も同様に、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の概念の範囲に含めることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 管状本体
2 近位キャップ
3 薬剤容器
11 締結具
12 窓
13 近位方向を向いた表面
14 フランジ
20 管状キャップ本体
21 スロット
22 突起部
22’ 突起部
23 対締結具
23a フック先端
30 薬剤容器の本体部分
31 肩部
32 ヘッド
L 長手方向軸
S1 矢印
S2 矢印
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
【国際調査報告】