(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】シーリング用途のための高温コーティング(HTC)
(51)【国際特許分類】
C09D 179/08 20060101AFI20240920BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240920BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240920BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20240920BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20240920BHJP
C09D 177/00 20060101ALI20240920BHJP
C09D 183/08 20060101ALI20240920BHJP
C09D 181/06 20060101ALI20240920BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C09D179/08 A
C08G73/10
C09D7/61
C09D7/40
C09D183/04
C09D177/00
C09D183/08
C09D181/06
C09K3/10 Z
C09K3/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541764
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 US2022041621
(87)【国際公開番号】W WO2023048894
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524108835
【氏名又は名称】ウルバリン・アドバンスド・マテリアルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレイス、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4H017
4J038
4J043
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB15
4H017AB17
4J038DJ021
4J038DJ031
4J038DL031
4J038DL061
4J038HA216
4J038HA436
4J038HA546
4J038JC37
4J038KA06
4J038KA07
4J038KA08
4J038KA11
4J038PA19
4J038PB06
4J038PC02
4J043PA05
4J043QB31
4J043RA35
4J043SA06
4J043SB03
4J043TA22
4J043TA54
4J043UA632
4J043XA03
4J043XA15
4J043ZB03
(57)【要約】
高温シール用途、たとえばターボチャージャーおよび排気ガス再循環(EGR)バルブでは、耐高温性および曝露後の基材への接着を有する耐久性のある高温コーティング(HTC)が使用されてもよい。いくつかの例では、向上した耐高温性および基材への良好な接着に好適な調合物を達成するために、耐高温性ポリマー、たとえばポリイミド、シリコーン、およびエポキシドシリコーンを熱的に安定な充填剤と組み合わせ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲の二無水物とジアニリンおよびジアミンのうちの1種以上とから合成されたポリイミド樹脂;
少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤;ならびに
少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤
を含む、高温コーティング(HTC)。
【請求項2】
前記二無水物がビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物「BOCA」を含み、前記ジアミンがポリオキシプロピレンジアミン「POPDA」を含み、前記ジアニリンが4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン「BAPP」およびオキシジアニリン「ODA」のうちの1つを含む、請求項1に記載のHTC。
【請求項3】
前記1種以上の充填剤が、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載のHTC。
【請求項4】
前記1種以上の添加剤が、分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載のHTC。
【請求項5】
前記ポリイミド樹脂、前記1種以上の充填剤、および前記1種以上の添加剤が、約90℃の開始温度~約200℃のイミド化温度下で合成される、請求項1に記載のHTC。
【請求項6】
合成後かつ極性非プロトン性溶媒に再溶解される前に沈殿され、メタノールで洗浄される、請求項1に記載のHTC。
【請求項7】
ロールまたはコイルコーティングによって基材に適用される、請求項6に記載のHTC。
【請求項8】
前記基材がステンレス鋼である、請求項7に記載のHTC。
【請求項9】
約600℃まで熱的に安定である、請求項1に記載のHTC。
【請求項10】
少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲のシリコーン樹脂;
少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤;および
少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤
を含む、高温コーティング(HTC)。
【請求項11】
前記シリコーン樹脂が、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、またはメトキシ化シリコーンのうちの1種以上を含む、請求項10に記載のHTC。
【請求項12】
前記1種以上の充填剤が、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを含む、請求項10に記載のHTC。
【請求項13】
前記1種以上の添加剤が、分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを含む、請求項10に記載のHTC。
【請求項14】
前記シリコーン樹脂、前記1種以上の充填剤、および前記1種以上の添加剤が、約200℃~約260℃の温度範囲で硬化される、請求項10に記載のHTC。
【請求項15】
ロールまたはコイルコーティングによって基材に適用される、請求項10に記載のHTC。
【請求項16】
前記基材がステンレス鋼である、請求項15に記載のHTC。
【請求項17】
約600℃まで熱的に安定である、請求項10に記載のHTC。
【請求項18】
少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲の樹脂であって、ポリイミド、ポリアミド、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、メトキシ化シリコーン、ポリスルホン、またはそれらの組合せからなるリストから選択される、樹脂;
少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の充填剤であって、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せからなるリストから選択される、充填剤;
少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の添加剤であって、分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せからなるリストから選択される、添加剤
を含む、高温コーティング(HTC)。
【請求項19】
前記HTC中のバインダー対充填剤の比が、前記HTCの1つ以上の機械的特性と加工性のバランスをとるように選択される、請求項18に記載のHTC。
【請求項20】
ロールまたはコイルコーティングによって基材に適用される、請求項18に記載のHTC。
【請求項21】
前記基材がステンレス鋼である、請求項20に記載のHTC。
【請求項22】
前記HTCが適用されたステンレス鋼が、ターボチャージャーまたは排気ガス再循環(EGR)バルブの2つの構成要素を封止するために使用される、請求項21に記載のHTC。
【請求項23】
高温コーティング(HTC)を製造するための方法であって、
二無水物とジアニリンおよびジアミンの一方または両方を混合してポリイミドを合成すること;
前記ポリイミドと充填剤および添加剤を混合してポリマーを合成することであって、前記ポリイミドが、混合物中少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲にあり、前記充填剤が少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲にあり、前記添加剤が少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲にある、合成すること;および
前記合成されたポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用すること
を含む、方法。
【請求項24】
前記二無水物と前記ジアニリンおよび前記ジアミンの一方または両方を混合することが、ビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物「BOCA」と、ポリオキシプロピレンジアミン「POPDA」、ならびに4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン「BAPP」およびオキシジアニリン「ODA」のうちの1つを混合することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記二無水物をm-クレオゾールで溶解し、その後前記ジアニリンおよび/またはジアミンと混合すること
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリイミドと前記充填剤を混合することが、前記ポリイミドと二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを混合することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリイミドと前記添加剤を混合することが、前記ポリイミドと分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを混合することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
約90℃の開始温度~約200℃のイミド化温度下で前記ポリマーを合成すること
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記合成されたポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄すること;および
極性非プロトン性溶媒に再溶解すること
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記基材がステンレス鋼である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
約600℃まで熱的に安定である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
高温コーティング(HTC)を製造するための方法であって、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲のシリコーン樹脂、少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤、および少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤を混合すること;ならびに
前記合成されたポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用することであり、HTCが約600℃まで熱的に安定である、適用すること
を含む、方法。
【請求項33】
前記シリコーン樹脂が、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、またはメトキシ化シリコーンの1種以上を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記シリコーン樹脂と前記充填剤を混合することが、前記シリコーン樹脂と二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを混合することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記シリコーン樹脂と前記添加剤を混合することが、前記シリコーン樹脂と分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを混合することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記混合物を約200℃~約260℃の温度範囲で硬化すること
をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記基材がステンレス鋼である、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本特許出願は、2021年9月22日に出願された米国仮特許出願第63/246,913号の利益を主張する。上記出願の開示は、あらゆる目的のために参照によりここに組み込まれる。
【背景】
【0002】
[0002]ここに別段の指示がない限り、本セクションに記載された材料は、本出願の請求項に対する先行技術ではなく、本セクションへの包含によって先行技術として認められるものではない。
【0003】
[0003]ガスケットは、2つの嵌合面の間に適合するように設計されたシールである。ガスケットの目的は、静的および/または動的条件下での漏れを防止することである。高温(および多くの場合高圧)環境、たとえばターボチャージャーまたは排気ガス再循環(EGR)バルブでは、ガスケットはターボチャージャーの効率および出力を改善するだけでなく、EGR用途で排ガスを削減するのに役立ってもよい。高温(たとえば、600℃まで)に耐え得るコーティングは、シール用途に求められる特性を有してもよい。
【概要】
【0004】
[0004]いくつかの例によれば、高温コーティング(HTC)は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲の二無水物とジアニリンおよびジアミンのうちの1種以上とから合成されたポリイミド樹脂;少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤;ならびに少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤を含んでもよい。
【0005】
[0005]他の例によれば、高温コーティング(HTC)は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲のシリコーン樹脂;少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤;および少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤を含んでもよい。
【0006】
[0006]さらなる例によれば、高温コーティング(HTC)は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲の樹脂であって、ポリイミド、ポリアミド、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、メトキシ化シリコーン、ポリスルホン、またはそれらの組合せからなるリストから選択される樹脂;少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の充填剤であって、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せからなるリストから選択される充填剤;少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の添加剤であって、分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せからなるリストから選択される添加剤を含んでもよい。
【0007】
[0007]さらに他の例によれば、高温コーティング(HTC)を製造するための方法は、二無水物とジアニリンおよびジアミンの一方または両方を混合してポリイミドを合成すること;ポリイミドと充填剤および添加剤を混合してポリマーを合成することであって、ポリイミドが、混合物中少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲にあり、充填剤が少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲にあり、添加剤が少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲にある、合成すること;および合成されたポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用することを含んでもよい。
【0008】
[0008]またさらなる例によれば、高温コーティング(HTC)を製造するための方法は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲のシリコーン樹脂、少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤、および少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤を混合すること;ならびに合成されたポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用することであって、HTCが約600℃まで熱的に安定である、適用することを含んでもよい。
【0009】
[0009]本開示の前述および他の特徴は、添付の図面と併せて解釈される以下の説明および添付の請求項からより完全に明らかになる。これらの図面は、本開示に従ったいくつかの態様のみを描写しており、したがってその範囲を限定すると考えられるものではないことを理解した上で、本開示は、添付の図面を使用することによってさらなる具体性および詳細をもって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、高温コーティング(HTC)がシーリングに使用されてもよい例示的なターボチャージャーを示す。
【
図2】
図2は、例示的なポリイミド系HTCを製造するための例示的なシステムを示す。
【
図3】
図3は、例示的なシリコーン系HTCを製造するための例示的なシステムを示す。
【
図4】
図4は、例示的なHTCの接着特性を表す、様々な温度におけるテープ試験の例示的な結果を示す。
【
図5】
図5は、不活性雰囲気での例示的なHTCの熱重量分析(TGA)の例示的な結果を示す。
【
図6A-6C】
図6A~
図6Cは、様々な温度におけるHTCの異なる調合物の熱安定性の例示的な結果を示す。
【
図7】
図7は、例示的なポリイミド系HTCを調製するための方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、例示的なシリコーン系HTCを調製するための方法を示すフローチャートである。
【詳細な説明】
【0011】
これらはすべて、ここに記載される少なくともいくつかの態様に従って配置される。
【0012】
[0010]以下の詳細な説明では、この一部を構成する添付の図面を参照する。図面では、文脈上別段の指示がない限り、同様の符号は、典型的に同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および請求項に記載された例示的な態様は、限定を意図しない。ここに提示された主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の態様が利用されてもよく、他の変更が行われてもよい。本開示の側面は、ここに全般的に記載され、図に例示されるように、多種多様な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計されてもよく、そのすべてがここで明示的に企図される。
【0013】
[0011]本開示は、全般的に、とりわけ、高温シール用途のための耐高温性および曝露後の基材への接着を有する、耐久性のある高温コーティング(HTC)に関する。
【0014】
[0012]簡潔に述べると、耐高温性および曝露後の基材への接着を有する耐久性のある高温コーティング(HTC)は、高温シール用途、たとえばターボチャージャーおよび排気ガス再循環(EGR)バルブで使用されてもよい。いくつかの例では、向上した耐熱性および基材への良好な接着に好適な調合物を達成するために、耐高温性ポリマー、たとえばポリイミド、シリコーンおよびエポキシドシリコーンを熱安定性充填剤と組み合わせ得る。
【0015】
[0013]例によるHTCは、コイルまたはロールコーティング法でステンレス鋼などの基材に適用されてもよい。これらのそうでなければ脆い系(ポリイミド)の柔軟性および溶解性を改善するために、高分子量ポリマー(1000g/モル~4000g/モル)がHTC骨格に組み込まれてもよい。例としては、架橋ネットワークを効果的に形成するために官能基化された末端基を使用する熱硬化性ポリマー/樹脂、および高温で促進され得る加水分解/縮合反応を経ることができるポリマー/樹脂の利用が挙げられる。混合物中のバインダー/充填剤比は、機械的特性と加工性のバランスをとるために最適化されてもよい。HTCコーティング材料から作製されたエンジン、ポンプおよび他の用途環境の構成要素は、高温/腐食性の構成要素を封止するのに役立ってもよい。
【0016】
[0014]いくつかの実装例において、樹脂量は50%~70%で変化してもよく、ポリイミド、ポリアミド、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、メトキシ化シリコーン、またはポリスルホンを含んでもよい。充填剤は25%~45%で変化してもよく、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、または炭化シリカを含んでもよい。分散剤、湿潤剤、溶媒、および接着促進剤を含む他の添加剤は、0%~5%で変化してもよい。
【0017】
[0015]
図1は、高温コーティング(HTC)がシーリングに使用されてもよい例示的なターボチャージャーを示す。例示的なターボチャージャー100は、空気出口102、空気入口104、排気入口110、および排気出口108を含む。コンプレッサホイール106も示されている。コンプレッサホイールは、排気出口108内のタービンホイールに連結されている。
【0018】
[0016]ターボチャージャーは、余分な圧縮空気を燃焼室に強制的に送り込むことによって内燃エンジンの出力を増加させるタービン駆動型強制誘導デバイスである。ターボチャージャーは、コンプレッサが大気圧よりも多くの空気(およびそれに比例して多くの燃料)を燃焼室に強制的に送り込むことにより、自然吸気エンジンの出力を改善する。
【0019】
[0017]ターボチャージャーは、トラック、自動車、列車、航空機および建設機器のエンジンに使用される。ターボチャージャーのコンプレッサは、周囲空気を引き込み、空気が増大した圧力で吸気マニホールドに入る前に圧縮し、各吸気ストロークでシリンダに入る空気の質量を大きくする。遠心式コンプレッサを回転させるのに必要な動力は、エンジンの排気ガスの運動エネルギーから得られてもよい。
【0020】
[0018]また、ターボチャージャーを使用して、燃焼処理から排気廃棄エネルギーを迂回させ、タービンを回転させるターボチャージャーの高温吸気側にフィードバックすることにより、動力を増加させることなく燃料効率を高めてもよい。高温タービン側が排気エネルギーによって駆動される際、低温吸気タービンは新鮮な吸気を圧縮してエンジンの吸気口に送り込む。
【0021】
[0019]排気入口110は、高温ガスが逃げるのを防止するために、エンジン接続部に封止する必要がある。デバイスのその特定の部分は、非常に高い温度(たとえば、最高600℃)に達する可能性がある。耐久性のために、ターボチャージャーの金属部品、たとえば排気入口は、ステンレス鋼から作製されてもよい。したがって、その部分に使用されるシールは、高温で耐久性である必要がある。さらに、いくつかのポンプエンジン用途は、シールを(他の部品とともに)様々なオイル、クーラントおよび酸性環境に曝してもよい。
【0022】
[0020]例によるシール用途に使用するためのHTCは、曝露後に優れた耐高温性および基材への接着を有する。接着および耐高温性の特性はまた、様々な環境、たとえば上記で考察されたものへの浸漬後に持続する。
【0023】
[0021]
図2は、本開示の側面に従って配置された、例示的なポリイミド系HTCを製造するための例示的なシステムを示す。
図200に示されるように、ポリイミド系HTCの製造方法は、複数の材料フィード202、203、204、溶媒フィード206、207、温度調整のための蒸気フィード208、および冷却水フィード212を含んでもよく、これらはすべてバッチ反応器210にフィードされ、フィードされた材料および溶媒は、制御された温度および圧力下で混合される。合成された化合物は、最終加工216に供給されてもよく、そこでHTCは、ロールまたはコイルコーティング手法によって基材上で硬化されてもよい。いくつかの例では、溶媒リサイクル機構214は、共沸溶媒の使用によって合成処理中に形成される水を連続的に除去するために使用されてもよい。
【0024】
[0022]例によるHTCコーティングは、従来の金属ガスケット/コーティングガスケットでは提供できないシーリング特性を改善することを意図する。したがって、HTCは熱に対する高い耐久性および持続性を有する。HTCの典型的な適用環境は、平滑金属表面、たとえばステンレス鋼を含んでもよい。したがって、HTCの向上した接着特性は、そのような平滑表面への結合を可能にする。例示的なHTCは、600℃(1112°F)までの温度で熱的に安定であり、極端な温度への曝露後に基材から剥がれ落ちない。例示的なHTCはまた、マイクロシーリングの要件を満たしてもよく、容易かつ手頃に製造可能であってもよい(たとえば、移送、混合および硬化)。さらに、合成されたポリマーは、ロール/コイルコーティング法に適用可能である。
【0025】
[0023]ポリイミド系HTCは、柔軟性を高めるために、アミン末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)またはポリオキシアルキレンアミン(POPDA)とともに、ジアミン(たとえば、ODAおよびまたはBAPP)と混合された二無水物モノマー(たとえば、BOCA)を含んでもよく、ここで二無水物対ジアミンのモル比は1:1であってもよい。
【0026】
[0024]
図200の例示的なシステムは、3つの材料フィードおよび2つの溶媒フィードとともに示されている。態様は、これらの構成に限定されない。追加の、もしくはより少ない材料フィードおよび/または溶媒フィードも使用されてもよい。様々な材料フローコントローラー(たとえば、ポンプ、バルブ)、温度コントローラー、圧力コントローラー、およびレベルコントローラー(反応器内部)が、遠隔コントローラーおよびHTC合成のための自動化または半自動化製造システムにおいてセンサーとともに利用されてもよい。
【0027】
[0025]
図3は、本開示の側面に従って配置された、例示的なシリコーン系HTCを製造するための例示的なシステムを示す。
図300に示されるように、シリコーン系HTCの製造方法は、ポリマーフィード302、溶媒フィード306、ならびに1つ以上の添加剤および充填剤フィード318を含んでもよく、これらはすべてミキサー210にフィードされ、そこでフィードされた材料および溶媒が混合される。合成された化合物は最終加工316に供給されてもよく、そこでHTCは、ロールまたはコイルコーティング手法によって基材上で硬化されてもよい。
【0028】
[0026]シリコーン系HTCは、様々な熱安定性充填剤、分散剤、および他の添加剤、たとえば接着促進剤と混合されたメチルフェニルシリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、およびノバルクエポキシ変性シリコーン樹脂を含んでもよい。混合物中、樹脂の量は5%~95%で変化してもよい。同様に、充填剤、分散剤および安定剤の量も5%~95%で変化してもよい。
【0029】
[0027]
図2と同様に、様々な材料フローコントローラー(たとえば、ポンプ、バルブ)、温度コントローラー、圧力コントローラー、およびレベルコントローラー(ミキサー内部)が、
図3に示されるHTC合成のための遠隔コントローラーおよび自動化または半自動化製造システムにおいてセンサーとともに利用されてもよい。
【0030】
[0028]
図4は、本開示の側面に従って配置された、例示的なHTCの接着特性を表す様々な温度におけるテープ試験の例示的な結果を示す。
【0031】
[0029]剥離試験は、表面または表面に近い層の基材への接着の定量化された評価を行うための方法と定義される。感圧テープを調査領域に貼り付け、テープを剥離した後に表面から離れた材料の量を測定する。
図400は、3つの異なる温度における2つの例示的な調合物のテープ試験の結果を示す。分類の凡例402も示されている。第1のセットの結果410は、以下の例5でより詳細に考察されるシリコーン樹脂調合物1に関するものである。結果は、350℃(412)、450℃(414)および550℃(416)で、24時間後に実質的未満の剥がれを示す。同様に、第2のセットの結果420は、以下の例6でより詳細に考察されるシリコーン樹脂調合物2に関するものである。第2のセットの結果は、350℃(422)、450℃(424)および550℃(426)で、24時間後に実質的未満の剥がれを示す。
【0032】
[0030]
図5は、本開示の側面に従って配置された、不活性雰囲気での例示的なHTCの熱重量分析(TGA)の例示的な結果を示す。
【0033】
[0031]熱重量分析(TGA)は、温度変化に伴って試料の質量が経時的に測定される熱分析法である。この測定により、物理現象、たとえば相転移、吸収、吸着および脱着、ならびに化学吸着、熱分解および固気反応(たとえば、酸化または還元)を含む化学現象に関する情報が得られる。
図500に示されるように、温度(504)は、重量(502)をモニターする間に直線的に上昇し、熱反応を生じる。熱反応は様々な雰囲気下で生じてもよいが、図示される結果の試験は不活性雰囲気で行った。両方の調合物(シリコーン樹脂調合物1および2)のグラフは、400℃までの比較的安定した重量パーセンテージの保存、次いで約100%から70%~80%の範囲への低下を示す。調合物1のグラフ(506)は、調合物2のグラフ(508)と比較して、より高温でより高い重量%を示す。800℃でも、両方の調合物が依然としてそれらの重量%の70%より多くを保持することに留意すべきである。
【0034】
[0032]
図6A~
図6Cは、本開示の側面に従って配置された、様々な温度におけるHTCの異なる調合物の熱安定性の例示的な結果を示す。
【0035】
[0033]TGA試験における別のパラメーターは時間である。
図600A、600Bおよび600Cは、3つの異なる一定温度における調合物1および2の重量%の経時変化を示す。3つの図はすべて、重量%軸602および時間(秒)軸604を有する。350℃の
図600Aでは、調合物1の重量%(グラフ612)は約100%からおよそ91%に低下し、時間の経過とともに安定したままであるが、調合物2の重量%(グラフ614)は約100%からおよそ87%に低下し、比較的安定したままである(しかし、約1%のさらなる低下がある)。
【0036】
[0034]400℃の
図600Bでは、調合物1の重量%(グラフ622)は約100%からおよそ85%に低下し、時間の経過とともに安定したままであるが、調合物2の重量%(グラフ624)は約100%からおよそ81%に低下し、比較的安定したままである。600℃の
図600Cでは、調合物1の重量%(グラフ632)は約100%からおよそ72%に低下し、時間の経過とともに安定したままであるが、調合物2の重量%(グラフ634)は約100%からおよそ64%に低下し、比較的安定したままである。したがって、調合物1は調合物2より良好に機能するが、両方の調合物が、非常に高い温度、たとえば600℃でも実質的な質量を保持する。
【0037】
[0035]
図7は、本開示の側面に従って配置された、例示的なポリイミド系HTCを調製するための方法を示すフローチャートである。
【0038】
[0036]記載された方法700は、ブロック702、「二無水物を溶解する」、ブロック704「二無水物とBAPP、POPDA、ODAまたはPDMSの二重組合せを混合する」、ブロック706、「90℃~200℃で混合を一晩維持する」、ブロック708、「共沸溶媒を添加して水を除去する」、ブロック710、「ポリマーを沈殿させてメタノールで洗浄する」、および任意選択のブロック712、「ポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用する」を含んでもよい。ブロック702では、二無水物、たとえばビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BOCA)をm-クレオゾールで溶解してもよい。次いで、溶解した樹脂を、ブロック704で、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン(BAPP)およびポリオキシプロピレンジアミン(POPDA)と混合してもよい。あるいは、溶解した樹脂を4,4’-オキシジアニリン(ODA)およびPOPDAと混合してもよい。他の例では、溶解した樹脂をBAPPおよびポリジメチルシロキサン(PDMS)と混合してもよい。さらに他の例では、溶解した樹脂をODAおよびPDMSと混合してもよい。混合物をゆっくり加熱してもよい(たとえば、90℃~200℃で8時間または同様)。共沸溶媒、たとえばトルエンを少量系に添加して、反応の副生成物として形成される水を除去してもよい。その後、ポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄した後、極性非プロトン性溶媒に再溶解してもよい。最後に、ポリマーをロールまたはコイルコーティング手法によって基材に適用してもよい。
【0039】
[0037]
図8は、本開示の側面に従って配置された、例示的なシリコーン系HTCを調製するための方法を示すフローチャートである。
【0040】
[0038]記載された方法800は、ブロック802、「エポキシ化シリコーン樹脂と熱充填剤を混合する」、ブロック804、「混合物に分散剤を添加し、継続する」、ブロック806、「接着促進剤を添加する」、およびブロック808、「ポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用する」を含んでもよい。ブロック802では、エポキシ化シリコーン樹脂を、たとえば高せん断分散ブレードミキサーで、熱充填剤、たとえばマンガンブラックフェライトスピネルおよびマイカと混合してもよい。分散剤、たとえばBYK180を混合物に添加し、さらに混合してもよい。接着促進剤は架橋剤としても作用するため、コーティング処理の直前に添加してもよい。最後に、ポリマーをロールまたはコイルコーティング手法によって基材に適用してもよい。
【0041】
[例]
[0039]以下の例は、例示的かつ非限定的として意図され、本開示の特定の態様を表す。例は、様々な開示されたコーティングが、高い耐久性、耐高温性、および製造の容易さを伴って合成されてもよいことを示す。
【0042】
例1
ポリイミド系調合物1
[0040]ビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BOCA)3~5gを、機械式撹拌機、窒素入口、ディーンスタークトラップ、およびコンデンサーを備えた3つ口フラスコに入れる。m-クレゾール60mlをフラスコに投入する。BOCA二無水物が溶解したら、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン(BAPP)4~6gおよびポリオキシプロピレンジアミン[POPDA]7~10gを添加し、90℃で一晩混合させた後、最終イミド化温度200℃まで8時間昇温させる。少量の共沸溶媒、たとえばトルエンを系に添加し、反応の副生成物として形成される水を除去する。その後、ポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄した後、極性非プロトン性溶媒に再溶解する。以下の表は、成分の比(モル分率)を、測定した様々な特性とともに示す。
【0043】
【0044】
例2
ポリイミド系調合物2
[0041]ビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BOCA)3~5gを、機械式撹拌機、窒素入口、ディーンスタークトラップ、およびコンデンサーを備えた3つ口フラスコに入れる。m-クレゾール60mlをフラスコに投入する。BOCA二無水物が溶解したら、4,4’-オキシジアニリン(ODA)2~4gおよびポリオキシプロピレンジアミン[POPDA]7~10gを添加し、90℃で一晩混合させた後、最終イミド化温度200℃まで8時間昇温させる。少量の共沸溶媒、たとえばトルエンを系に添加し、反応の副生成物として形成される水を除去する。その後、ポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄した後、極性非プロトン性溶媒に再溶解する。以下の表は、成分の比(モル分率)を、測定した様々な特性とともに示す。
【0045】
【0046】
例3
ポリイミド系調合物3
[0042]ビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BOCA)3~5gを、機械式撹拌機、窒素入口、ディーンスタークトラップ、およびコンデンサーを備えた3つ口フラスコに入れる。m-クレゾール60mlをフラスコに投入する。BOCA二無水物が溶解したら、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン(BAPP)4~6gおよびポリジメチルシロキサン[PDMS]15~20gを添加し、90℃で一晩混合させた後、最終イミド化温度200℃まで8時間昇温させる。少量の共沸溶媒、たとえばトルエンを系に添加し、反応の副生成物として形成される水を除去する。その後、ポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄した後、極性非プロトン性溶媒に再溶解する。以下の表は、成分の比(モル分率)を、測定した様々な特性とともに示す。
【0047】
【0048】
例4
ポリイミド系調合物4
[0043]ビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BOCA)3~5gを、機械式撹拌機、窒素入口、ディーンスタークトラップ、およびコンデンサーを備えた3つ口フラスコに入れる。m-クレゾール60mlをフラスコに投入する。BOCA二無水物が溶解したら、4,4’-オキシジアニリン(ODA)2~4gおよびポリジメチルシロキサン[PDMS]15~20gを添加し、90℃で一晩混合させた後、最終イミド化温度200℃まで8時間昇温させる。少量の共沸溶媒、たとえばトルエンを系に添加し、反応の副生成物として形成される水を除去する。その後、ポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄した後、極性非プロトン性溶媒に再溶解する。以下の表は、成分の比(モル分率)を、測定した様々な特性とともに示す。
【0049】
【0050】
例5
シリコーン系調合物1
[0044]高せん断分散ブレードを使用し、Silkopon EC(エポキシ化シリコーン樹脂、52.7%)、マンガンブラックフェライトスピネル(26.0%)およびマイカ(17.3%)を30~60分間混合する。十分に混合した後、分散剤、たとえばBYK 180(1.3%)を添加し、さらに15~30分間混合する。使用する接着促進剤(2.7%)は架橋剤としても作用するため、コーティング処理の直前に添加する。調合されたコーティングは、十分な耐流動性および高温シーリング用途のための優れた耐高温性を示す。硬化条件は、10~30分間で400~500°Fで選択される。
【0051】
例6
シリコーン系調合物2
[0045]高せん断分散ブレードを使用し、Silkopon EC(エポキシ化シリコーン樹脂、60.5%)とマンガンブラックフェライトスピネル(35.41%)を30~60分間混合する。十分に混合した後、分散剤、たとえばBYK 180(0.883%)を添加し、さらに15~30分間混合する。使用する接着促進剤(3.2%)は架橋剤としても作用するため、コーティング処理の直前に添加する。調合されたコーティングは、十分な耐流動性および高温シーリング用途のための優れた耐高温性を示す。硬化条件は、10~30分間で400~500°Fの間で選択される。
【0052】
[0046]いくつかの例によれば、高温コーティング(HTC)は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲の二無水物とジアニリンおよびジアミンのうちの1種以上とから合成されたポリイミド樹脂;少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤;ならびに少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤を含んでもよい。
【0053】
[0047]他の例によれば、二無水物はビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物「BOCA」を含んでもよく、ジアミンはポリオキシプロピレンジアミン「POPDA」を含んでもよく、ジアニリンは4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン「BAPP」およびオキシジアニリン「ODA」のうちの1つを含んでもよい。1種以上の充填剤は、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを含んでもよい。1種以上の添加剤は、分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを含んでもよい。ポリイミド樹脂、1種以上の充填剤、および1種以上の添加剤は、約90℃の開始温度~約200℃のイミド化温度下で合成されてもよい。HTCは、合成後かつ極性非プロトン性溶媒に再溶解される前に沈殿され、メタノールで洗浄されてもよい。HTCは、ロールまたはコイルコーティングによって基材に適用されてもよい。基材はステンレス鋼であってもよい。HTCは、約600℃まで熱的に安定であってもよい。
【0054】
[0048]さらなる例によれば、高温コーティング(HTC)は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲のシリコーン樹脂;少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤;および少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤を含んでもよい。
【0055】
[0049]いくつかの例によれば、シリコーン樹脂は、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、またはメトキシ化シリコーンのうちの1種以上を含んでもよい。1種以上の充填剤は、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを含んでもよい。1種以上の添加剤は、分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを含んでもよい。シリコーン樹脂、1種以上の充填剤、および1種以上の添加剤は、約200℃~約260℃の温度範囲で硬化されてもよい。HTCは、ロールまたはコイルコーティングによって基材に適用されてもよい。基材はステンレス鋼であってもよい。HTCは、約600℃まで熱的に安定であってもよい。
【0056】
[0050]他の例によれば、高温コーティング(HTC)は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲の樹脂であって、ポリイミド、ポリアミド、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、メトキシ化シリコーン、ポリスルホン、またはそれらの組合せからなるリストから選択される樹脂;少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の充填剤であって、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せからなるリストから選択される充填剤;および少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の添加剤であって、分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せからなるリストから選択される添加剤を含んでもよい。
【0057】
[0051]さらなる例によれば、HTCにおけるバインダー対充填剤の比は、HTCの1つ以上の機械的特性と加工性のバランスをとるように選択されてもよい。HTCは、ロールまたはコイルコーティングによって基材に適用されてもよい。基材はステンレス鋼であってもよい。HTCが適用されたステンレス鋼は、ターボチャージャーまたは排気ガス再循環(EGR)バルブの2つの構成要素を封止するために使用されてもよい。
【0058】
[0052]さらに他の例によれば、高温コーティング(HTC)を製造するための方法は、二無水物とジアニリンおよびジアミンの一方または両方を混合してポリイミドを合成すること;ポリイミドと充填剤および添加剤を混合してポリマーを合成することであって、ポリイミドが、混合物中少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲にあり、充填剤が少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲にあり、添加剤が少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲にある、合成すること;および合成されたポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用することを含んでもよい。
【0059】
[0053]いくつかの例によれば、二無水物とジアニリンおよびジアミンの一方または両方を混合することは、ビシクロ[2.2.2]オクト-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物「BOCA」と、ポリオキシプロピレンジアミン「POPDA」、ならびに4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェニル-1,1’-ジイルジオキシ)ジアニリン「BAPP」およびオキシジアニリン「ODA」のうちの1つを混合することを含んでもよい。方法は、二無水物をm-クレオゾールで溶解し、その後ジアニリンおよび/またはジアミンと混合することをさらに含んでもよい。ポリイミドと充填剤を混合することは、ポリイミドと二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを混合することを含んでもよい。ポリイミドと添加剤を混合することは、ポリイミドと分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを混合することを含んでもよい。方法はまた、約90℃の開始温度~約200℃のイミド化温度下でポリマーを合成することを含んでもよい。方法は、合成されたポリマーを沈殿させ、メタノールで洗浄すること、および極性非プロトン性溶媒に再溶解することをさらに含んでもよい。基材はステンレス鋼であってもよい。HTCは、約600℃まで熱的に安定であってもよい。
【0060】
[0054]またさらなる例によれば、高温コーティング(HTC)を製造するための方法は、少なくとも50重量%~70重量%未満の範囲のシリコーン樹脂、少なくとも25重量%~45重量%未満の範囲の1種以上の充填剤、および少なくとも0.5重量%~5重量%未満の範囲の1種以上の添加剤を混合すること;ならびに合成されたポリマーをロールまたはコイルコーティングによって基材に適用することであって、HTCが約600℃まで熱的に安定である、適用することを含んでもよい。
【0061】
[0055]他の例によれば、シリコーン樹脂は、メチルフェニルシリコーン、エポキシ化シリコーン、またはメトキシ化シリコーンのうちの1種以上を含んでもよい。シリコーン樹脂と充填剤を混合することは、シリコーン樹脂と二酸化チタン、二酸化アルミニウム、マイカ、マンガンブラックフェライトスピネル、窒化ホウ素、アルミナフレーク、炭化シリカ、またはそれらの組合せを混合することを含んでもよい。シリコーン樹脂と添加剤を混合することは、シリコーン樹脂と分散剤、湿潤剤、溶媒、接着促進剤、またはそれらの組合せを混合することを含んでもよい。方法はまた、混合物を約200℃~約260℃の温度範囲で硬化することを含んでもよい。基材はステンレス鋼であってもよい。
【0062】
[0056]本開示は、本出願に記載された特定の態様に関して限定されるものではなく、これらは様々な側面の例示として意図される。その趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形が行われてもよい。ここに列挙されたものに加えて、本開示の範囲内で機能的に等価な方法および装置が、前述の説明から可能である。このような修正および変形は、添付の請求項の範囲に入ることが意図される。本開示は、請求項が権利を有する等価物の全範囲とともに、そのような添付の請求項の用語によってのみ限定されるべきである。ここで使用される用語は、特定の態様のみを説明することを目的としており、限定することを意図しない。
【0063】
[0057]ここに記載される主題は、異なる他の構成要素内に含まれる、またはそれらと接続される異なる構成要素を示す場合がある。このような描写されたアーキテクチャは単なる例示であり、実際には、同じ機能を達成する他の多くのアーキテクチャが実装されてもよい。概念的な意味では、同じ機能を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能が達成されるように、事実上「関連付けられる」。したがって、特定の機能を達成するためにここで組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられる」と見られてもよい。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素はまた、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に接続される」か、または「動作可能に連結される」と見られてもよく、そのように関連付けることができる任意の2つの構成要素はまた、所望の機能を達成するために、互いに「動作可能に連結可能である」と見られてもよい。動作可能に連結可能なものの具体例としては、物理的に接続可能および/もしくは物理的に相互作用する構成要素、ならびに/または無線で相互作用可能および/もしくは無線で相互作用する構成要素、ならびに/または論理的に相互作用するおよび/もしくは論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
[0058]ここにおける実質的にあらゆる複数および/または単数の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈および/または用途に適切であるように、複数から単数へ、および/または単数から複数へ変換することができる。様々な単数/複数の順列は、明確にするために、ここで明示的に規定されてもよい。
【0065】
[0059]一般に、ここで、特に添付の請求項(たとえば、添付の請求項の本体)で使用される用語は、一般に「オープン」な用語として意図される(たとえば、用語「含む(including)」は「含むが以下に限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は「含むが限定されない」などと解釈されるべきである)。当業者には、特定の番号の導入された請求項の記載が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことがさらに理解される。たとえば、理解の一助として、以下の添付の請求項は、請求項の記載を導入するために「少なくとも1つ」および「1つ以上」という導入句の使用を含んでもよい。しかし、このような語句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、たとえ同じ請求項が導入句「1つ以上」または「少なくとも1つ」、および不定冠詞、たとえば「a」または「an」を含む場合でも、そのような導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を1つだけ含む態様に限定することを意味すると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つ」もしくは「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)。請求項の記載を導入するために使用される定冠詞を使用する場合も同様である。さらに、特定の番号の導入された請求項の記載が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、そのような記載が、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識する(たとえば、他の修飾語なしの「2つの記載」のそのままの記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。
【0066】
[0060]さらに、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つなど」に類似する慣用句が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその慣用句を理解する意味で意図される(たとえば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB一緒、AおよびC一緒、BおよびC一緒、ならびに/またはA、B、およびC一緒などを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。当業者には、説明、請求項、または図面の何れであっても、2つ以上の代替的な用語を提示する実質的にあらゆる接続詞的な単語および/または語句が、用語の1つ、用語の何れか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることがさらに理解される。たとえば、「AまたはB」という語句は、「A」もしくは「B」、または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0067】
[0061]あらゆる目的のために、たとえば、書面による説明を提供するという点で、ここに開示されるすべての範囲は、あらゆる可能な部分範囲およびその部分範囲の組合せも包含する。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも2等分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割されることを十分に説明し、可能にするとして容易に認識することができる。非限定的な例として、ここで考察される各範囲は、下位3分の1、中位3分の1、および上位3分の1などに容易に分割することができる。また、当業者に理解されるように、すべての文言、たとえば、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などは、記載された数を含み、上記で考察したように、その後部分範囲に分割することができる範囲を指す。最後に、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、たとえば、1~3個のセルを有する群は、1、2または3個のセルを有する群を指す。同様に、1~5個のセルを有する群は、1、2、3、4または5個のセルを有する群などを指す。
【0068】
[0062]様々な側面および態様がここに開示されてきたが、他の側面および態様も可能である。ここに開示された様々な側面および態様は、例示を目的とし、限定を意図せず、真の範囲および趣旨は以下の請求項によって示される。
【国際調査報告】