(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】フィルター・ユニット、フィルター装置及び伝送装置
(51)【国際特許分類】
H03H 7/09 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H03H7/09 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542228
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2022111503
(87)【国際公開番号】W WO2023045604
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111137982.5
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524117723
【氏名又は名称】尹 偉明
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 継良
【テーマコード(参考)】
5J024
【Fターム(参考)】
5J024AA01
5J024BA03
5J024CA06
5J024DA01
5J024DA25
5J024EA01
(57)【要約】
少なくとも2つのコモンモードインダクタと、少なくとも1つの差動モードインダクタとを備えるフィルター・ユニットを提供する。これらのコモンモードインダクタと差動モードインダクタとのいずれも2つのコイルを有するチョークコイルであり、コモンモードインダクタの2つのコイルは、コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに増強され、差動モードインダクタの2つのコイルは、コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに相殺され、ここで、各コモンモードインダクタの1つのコイルは、差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、他方のコイルは差動配線の他方の分岐配線に直列に接続されており、隣接するコモンモードインダクタ間における差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ1つの差動モードインダクタの2つのコイルうちの1つが接続されている。また、本発明の実施例は、フィルター装置および伝送装置を提供する。本発明の実施例に係るフィルター・ユニット、フィルター装置および伝送装置は、カスケードフィルタリング法によりコモンモード信号の干渉を低減することができる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動配線におけるコモンモード信号をフィルタリングするためのフィルター・ユニットであって、
少なくとも2つのコモンモードインダクタと、少なくとも1つの差動モードインダクタとを備え、
前記コモンモードインダクタは、2つのコイルを有するチョークコイルであり、各前記コモンモードインダクタの2つのコイルは、コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに増強され、ここで、前記コモンモードインダクタの1つのコイルは、前記差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、各前記コモンモードインダクタの他方のコイルは、前記差動配線の他方の分岐配線に直列に接続されており、
前記差動モードインダクタは、2つのコイルを有するチョークコイルであり、前記差動モードインダクタの2つのコイルは、前記コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに相殺され、ここで、隣接する前記コモンモードインダクタ間における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ前記差動モードインダクタの1つのコイルが接続されていることを特徴とするフィルター・ユニット。
【請求項2】
前記フィルター・ユニットの入力端と接地との間に接続されている1つの前記差動モードインダクタであって、そのうちの2つのコイルがそれぞれ前記フィルター・ユニットの入力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間に接続されている1つの前記差動モードインダクタと、
前記フィルター・ユニットの出力端と接地との間に接続されている1つの前記差動モードインダクタであって、そのうちの2つのコイルがそれぞれ前記フィルター・ユニットの出力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間に接続されている1つの前記差動モードインダクタと、
前記フィルター・ユニットの入力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードと、
前記フィルター・ユニットの出力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードと、
前記フィルター・ユニットの入力端における前記差動配線の2つの分岐配線にそれぞれ直列に接続されている1つの第3の回路であって、インダクタと、抵抗器と、コンデンサと、ダイオードとのうち少なくとも1つを含む1つの第3の回路と、
前記フィルター・ユニットの出力端における前記差動配線の2つの分岐配線にそれぞれ直列に接続されている1つの前記第3の回路と、のうち、
少なくとも1つをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルター・ユニット。
【請求項3】
各前記差動モードインダクタの2つのコイルの接地端と接地との間に接続されている第4の回路であって、インダクタと、抵抗器と、コンデンサと、ダイオードとのうち少なくとも1つを含む第4の回路をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のフィルター・ユニット。
【請求項4】
差動配線におけるコモンモード信号をフィルタリングするためのフィルター・ユニットであって、
少なくとも2つのコモンモードインダクタと、少なくとも1つの第1の回路とを備え、
前記コモンモードインダクタは、2つのコイルを有するチョークコイルであり、前記コモンモードインダクタの2つのコイルは、コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに増強され、ここで、前記コモンモードインダクタの1つのコイルは、前記差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、前記コモンモードインダクタの他方のコイルは、前記差動配線の他方の分岐配線に直列に接続されており、
前記第1の回路は2つの第2の回路を含み、前記第2の回路はコンデンサまたはコンデンサと抵抗器との直列回路であり、ここで、隣接する前記コモンモードインダクタ間における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ1つの前記第2の回路が接続されていることを特徴とするフィルター・ユニット。
【請求項5】
前記フィルター・ユニットの入力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地の間にそれぞれ接続されている1つの前記第2の回路と、
前記フィルター・ユニットの出力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地の間にそれぞれ接続されている1つの前記第2の回路と、
前記フィルター・ユニットの入力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードと、
前記フィルター・ユニットの出力端における前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードとのうち、
少なくとも1つをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のフィルター・ユニット。
【請求項6】
請求項1または4に記載のフィルター・ユニットを含むことを特徴とするフィルター装置。
【請求項7】
請求項1に記載の前記フィルター・ユニットを含む場合、請求項2または3に記載のフィルター・ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のフィルター装置。
【請求項8】
請求項4に記載の前記フィルター・ユニットを含む場合、請求項5に記載のフィルター・ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のフィルター装置。
【請求項9】
伝送装置であって、
差動ケーブルと、
前記差動ケーブルの両端に接続されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフィルター・ユニット、または請求項4乃至5のいずれか1項に記載のフィルター・ユニット、または請求項6乃至8のいずれか1項に記載のフィルター装置を含むことを特徴とする伝送装置。
【請求項10】
前記差動ケーブルの両端のシールド線と接地との間の接続方式は、
非接続方式と、
インダクタンスで接続する方式と、
磁気ビーズで接続する方式と、のうちいずれかの接続方式を含むことを特徴とする請求項9に記載の伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路システムに関し、主に差動配線のフィルター・ユニット、フィルター装置及び伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス業界全体において、多機能化と高性能化の要求に対応するために、データ処理速度とデータ伝送速度は上昇し続けており、電子機器間の通信速度に対する要求もさらに高まっている。シリアルバス技術の発展に伴い、高速インターフェイスにおいて現在の支配的地位を徐々に形成してきた。シリアルバス技術は、ユニバーサルシリアルバス(USB)、高速シリアルコンピュータ拡張バス規格、イーサネット(ethernet)、車載イーサネット、低電圧差動信号、及び高精細度マルチメディアインターフェイスなど数多くの規格で応用されている。
【0003】
特に、自動車の設計における電子機器の大規模な増加、様々なデータ通信および自動運転技術の自動車への応用、ビデオ機器、車載娯楽機器、および運転支援技術の持続的発展に伴い、異なるシステム間の通信はシリアルデータバスが大量に使用されている。
【0004】
高速シリアルデータの伝送には、一般的に差動伝送方式を採用する。差動伝送方式とは、逆位相の差動信号(差動モード信号ともいう)を用いてデータを伝送する通信方式を指す。受信機は、2つの差動信号の差に基づいてシリアルデータを読み取る。差動信号は、信号伝送のさらなる高速化に寄与する。
【0005】
差動信号は、電磁干渉の低減に寄与する。差動信号を伝送する経路は並列であり、理想的な差動信号の交流部分は、大きさが等しく、方向が逆であるため、それで外部に放射する電磁界の大部分は互いに相殺されて、電磁放射エネルギーは低くなる。また、空間電磁エネルギーが差動伝送配線に伝送されると、差動信号ケーブルの並列配置の特性により、一般的にノイズはコモンモードノイズ(コモンモード信号ともいう)として伝送配線に侵入する。差動信号レシーバは、信号の受信レベルの許容範囲内でコモンモードノイズを除去できる。このため、差動伝送方式でデータ信号を伝送するのは、外部コモンモードノイズに対して一定の抑制効果が期待できる。
【0006】
差動信号が実際に使用されている場合は、差動信号送信回路から送信される信号において、様々な原因でコモンモードノイズ成分が常に含まれており、また、差動受信回路において、コモンモードノイズがコモンモードノイズの許容範囲を超えた場合、受信データの紛失、さらに受信回路の破損に至ることもある。
【0007】
差動信号を使ってデータを伝送する装置において、コモンモードノイズによる不良な影響をさらに抑えるために、回路にコモンモードノイズ用のフィルター回路を追加する必要がある。フィルター回路には、コモンモードチョークコイル(common mode choking coil)とも呼ばれるコモンモードインダクタ(common mode inductor)が含まれる。差動信号送信回路に対して、コモンモードインダクタは信号伝送時のコモンモード電流を減らすことができる。受信回路に対して、コモンモードインダクタは外部から入力されるコモンモードノイズレベルを受信機の許容範囲内に抑える。
【0008】
【0009】
図1Aは、開示されたフィルター回路1を示す図であり、当該フィルター回路はコモンモードインダクタであって、コモンモードインダクタの機能は配線におけるコモンモード電流インピーダンスを増加させることであり(本書における「インピーダンス」は、抵抗器、コンデンサ、およびインダクタ等の部品または信号配線の電流通過を制限する能力を示す。電流通過を制限する能力は、部品または配線自体の抵抗器によって引き起こされるだけでなく、部品または配線自体のインダクタンス、コンデンサ及び他の要因によっても引き起こされる可能性もあり、またはこれらの要因の組み合わせによって引き起こされる。)、それによって配線上のコモンモード電流を低減する。この回路の欠点としては、コモンモード電流に対する制御は単一のコモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスに依存することである。
【0010】
図1Bは、開示されたフィルタ回路2を示す図であり、当該フィルタ回路において、1つのコモンモードインダクタが1つの差動モードインダクタ(differential mode inductor)(差動モードチョークコイルまたはノーマルモードチョークコイルともいう)と並列接続されている。ここで、コモンモードインダクタの機能は、
図1Aに示すのと同じであり、差動モードインダクタの機能は、コモンモード電流を分流することと、コモンモード信号のインピーダンス整合を行うことと、である。この回路の欠点は次のとおりである。
【0011】
(1)差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスが信号配線のコモンモードインピーダンスよりも大きい場合、差動モードインダクタによる配線上のコモンモード信号への作用ははっきりしない。
【0012】
(2)いくつかの設計では、差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスを信号配線におけるコモンモードインピーダンスと等しいまたは近いように設計し、コモンモードチョークコイルによって反射されたコモンモード信号を吸収することに用いられる。この設計はフィルタの周波数範囲が狭すぎることを来し、同時に、コモンモードインダクタによって反射されたコモンモード信号が差動モードインダクタによって吸収されるものの、差動信号駆動回路または差動ケーブルに導入されたコモンモード信号が依然として信号線経路に沿ってコモンモードインダクタに到達してしまう。且つ、この部分のコモンモード信号の減衰は明らかでない。
【0013】
(3)差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスが信号配線におけるコモンモードインピーダンスよりも著しく小さい場合、差動信号駆動回路に過大なコモンモード電流が流れたり、コモンモード信号の負反射が発生したりする可能性があり、それによって信号駆動回路の作動異常を来す。
【0014】
図1Cは開示されたフィルタ回路3を示す図であり、当該フィルタ回路において、一つのコモンモードインダクタの左右両側にそれぞれ1つの差動モードインダクタを並列接続し、各差動モードインダクタはコモンモードチョークコイルの両側のコモンモード信号を分流する。この回路の欠点は次のとおりである。
【0015】
【0016】
(2)右側の差動モードインダクタによるコモンモード信号の低インピーダンス特性により、地表面のノイズはコモンモードノイズの形で信号線のケーブルに結合されやすくなる。
【発明の概要】
【0017】
そこで、上記事情を鑑み、本発明の実施例は、フィルター・ユニット、フィルター装置、および伝送装置を提供する。フィルター・ユニットは、コモンモードインダクタと差動モードインダクタとを直列に組み合わせた、コモンモード信号のフィルター回路を備えることにより、広帯域範囲内において差動モード信号に対して過大な減衰を生じずに、差動モード信号(比較上の便宜を図って、差動信号を差動モード信号と表し、コモンモードノイズをコモンモード信号と称する)の伝送方向のコモンモード信号に対して多段カスケードの減衰を実現し、減衰効果が良い。同時に、受信端から結合されたコモンモード信号に対して同様に多段カスケードの減衰を実現し、差動信号送信端の装置を保護する。
【0018】
第1の態様では、本発明の実施例は、差動配線におけるコモンモード信号をフィルタリングするためのフィルター・ユニットを提供し、当該フィルター・ユニットは、少なくとも2つのコモンモードインダクタと、少なくとも1つの差動モードインダクタとを備え、前記コモンモードインダクタは、2つのコイルを有するチョークコイルであり、且つ各コモンモードインダクタの2つのコイルは、コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに増強され、ここで、前記コモンモードインダクタの1つのコイルは、前記差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、各前記コモンモードインダクタの他方のコイルは、前記差動配線の他方の分岐配線に直列に接続されており、前記差動モードインダクタは、2つのコイルを有するチョークコイルであり、且つ各差動モードインダクタの2つのコイルは、コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに相殺され、ここで、隣接する前記コモンモードインダクタ間の前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれに前記差動モードインダクタの1つのコイルが接続されている。
【0019】
上記によれば、少なくとも2つの直列コモンモードインダクタと、2つのコモンモードインダクタごとに1つの並列差動モードインダクタとで構成される多段カスケードフィルター・ユニットを使用し、差動信号送信回路から送信されたコモンモード信号に対し多段減衰を行い、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動信号の負荷から導入されたコモンモード信号及び伝送過程で導入されたコモンモード信号に作用して多段減衰も行い、減衰効果が向上し、差動信号送信回路を保護する。また、平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号に対しても多段フィルタリングを行い、差動配線信号の信号対雑音比をさらに向上させ、またカスケードを通じて各コモンモード信号を低下させることで、データケーブル上のノイズの外部への放射をさらに減少させることができる。
【0020】
第1の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、フィルターの入力端と接地との間に接続されている1つの前記差動モードインダクタをさらに備え、前記差動モードインダクタの2つのコイルがそれぞれに前記フィルター・ユニットの入力端の前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間に接続されている。
【0021】
上記によれば、フィルター・ユニットの入力端と接地との間に接続されている1つの差動モードインダクタにより、フィルター・ユニットと差動信号出力回路との間のインピーダンスを整合させる。
【0022】
第1の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、フィルター・ユニットの出力端と接地との間に接続されている1つの差動モードインダクタをさらに備え、前記差動モードインダクタの2つのコイルがそれぞれ前記フィルター・ユニットの出力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間に接続されている。
【0023】
上記によれば、フィルター・ユニットの出力端と接地との間に接続されている1つの差動モードインダクタにより、フィルター・ユニットと差動信号の負荷配線との間のインピーダンスを整合させる。
【0024】
第1の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、フィルター・ユニットの入力端の前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードをさらに含み、当該ダイオードは単方向または双方向であってもよい。
【0025】
上記によれば、フィルター・ユニットの入力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードにより、フィルター・ユニットの入力リミットと帯電防止を実現する。
【0026】
第1の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、フィルター・ユニットの出力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードをさらに含み、当該ダイオードは単方向または双方向であってもよい。
【0027】
上記によれば、フィルター・ユニットの出力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードにより、フィルター・ユニットの出力リミットと帯電防止を実現する。
【0028】
第1の態様の一種の可能な実施態様では、上記フィルター・ユニットは、前記フィルター・ユニットの入力端の差動配線の2つの分岐配線にそれぞれ直列に接続されており、インダクタと、抵抗器と、コンデンサ及びダイオードの少なくとも1つを備える1つの第3の回路をさらに備える。第3の回路は、コンデンサであることが好ましい。
【0029】
上記によれば、フィルター・ユニットの入力端の差動配線の2つの分岐配線にそれぞれ直列に接続されている、インダクタと、抵抗器と、コンデンサと、ダイオードとの少なくとも1つから構成される回路は、入力信号における直流信号を整合または隔離する。
【0030】
第1の態様の一種の可能な実施態様では、上記フィルター・ユニットは、フィルター・ユニットの出力端の前記差動配線の2つの分岐配線にそれぞれ直列に接続されている前記第3の回路をさらに備える。
【0031】
上記によれば、フィルター・ユニットの出力端の差動配線の2つの分岐配線にそれぞれ直列に接続されている、インダクタと、抵抗器と、コンデンサと、ダイオードとの少なくとも1つから構成される回路は、出力信号における直流信号を整合または隔離する。
【0032】
第1の態様の一種の可能な実施方法では、各差動モードインダクタの2つのコイルの接地端子と接地との間に接続されている、インダクタと、抵抗器と、コンデンサ及びダイオードの少なくとも1つを備える第4の回路をさらに備える。第4の回路は、コンデンサであることが好ましい。
【0033】
上記によれば、各差動モードインダクタの2つのコイルの接地端と接地との間に接続されている、インダクタと、抵抗器と、コンデンサと、ダイオードとの少なくとも1つから構成される回路は、フィルターの接地との間の直流信号の整合または隔離を実現すると共に、上段の差動信号出力回路の接地と下段の差動信号負荷回路の接地との整合または隔離を実現する。
【0034】
第1の態様の一種の可能な実施方式では、いくつかの各差動モードインダクタの2つのコイルの接地端子を合併させる。
【0035】
上記によれば、いくつかの各差動モードインダクタの2つのコイルの接地端子を合併させることによって、フィルター・ユニットの回路は簡素化される。合併後にさらに第4の回路で接地すれば、第4の回路の量が減り、フィルター・ユニットの回路はさらに簡素化される。
【0036】
第2の態様では、本発明の実施例は、差動配線におけるコモンモード信号をフィルタリングするためのフィルター・ユニットを提供し、当該フィルター・ユニットは、少なくとも2つのコモンモードインダクタと、少なくとも1つの第1の回路とを備え、前記コモンモードインダクタは、2つのコイルを有するチョークコイルであり、且つ各前記コモンモードインダクタの2つのコイルは、コモンモード信号が流れるときに発生する磁束が互いに増強され、前記第1の回路は2つの第2の回路を含み、前記第2の回路はコンデンサまたはコンデンサと抵抗器との直列回路であって、前記コモンモードインダクタの1つのコイルは、前記差動配線の1つの分岐路に直列に接続されており、各前記コモンモードインダクタの他方のコイルは、前記差動配線の他方の分岐路に直列に接続されており、隣接する前記コモンモードインダクタ間の前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ1つの前記第2の回路が接続されている。
【0037】
上記によれば、少なくとも2つの直列コモンモードインダクタと、2つのコモンモードインダクタごとの間の差動配線の分岐配線と接地との間に接続されている2つのコンデンサ、またはコンデンサと抵抗器との直列回路で構成された多段カスケードのフィルター・ユニットを使用して、差動信号送信回路から送信されたコモンモード信号に対し多段かつ組み合わせ効果を具備する減衰を行い、差動モード信号への影響が少なく、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動信号の負荷から導入されたコモンモード信号及び伝送過程で導入されたコモンモード信号に作用して多段かつ組み合わせ効果を具備する減衰も行い、減衰効果が向上し、差動信号送信回路を保護する。また、平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号に対しても多段フィルタリングを行い、差動配線信号の信号対雑音比をさらに向上させ、またカスケードを通じて各コモンモード信号を低下させることで、データケーブル上のノイズの外部への放射をさらに減少させることができる。
【0038】
第2の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、前記フィルターの入力端の前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つの前記第2の回路をさらに備える。
【0039】
上記によれば、フィルター・ユニットの入力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている一つのコンデンサまたはコンデンサと抵抗器との直列回路によって、フィルター・ユニットと、差動信号出力回路及び対応する差動伝送配線とのインピーダンス整合を実現する。
【0040】
第2の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、フィルター・ユニットの出力端の前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つの前記第2の回路をさらに備える。
【0041】
上記によれば、フィルター・ユニットの出力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている一つのコンデンサまたはコンデンサと抵抗器との直列回路によって、フィルター・ユニットと差動信号伝送ケーブル又はプリント基板差動配線又は負荷回路との間のインピーダンス整合を実現する。
【0042】
第2の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、フィルター・ユニットの入力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードをさらに含み、当該ダイオードは単方向または双方向ダイオードである。
【0043】
上記によれば、フィルター・ユニットの入力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードにより、フィルター・ユニットの入力リミットと帯電防止を実現する。
【0044】
第2の態様の一種の可能な実施態様では、前記フィルター・ユニットは、フィルター・ユニットの出力端の前記差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードをさらに含み、当該ダイオードは単方向または双方向である。
【0045】
上記によれば、フィルター・ユニットの出力端の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている1つのダイオードにより、フィルター・ユニットの出力リミットと帯電防止を実現する。
【0046】
第3の態様では、本発明の実施例は、フィルター装置をさらに提供し、当該フィルター装置は、本発明の実施例の第1の態様に係るフィルター・ユニットまたは本発明の実施例の第2の態様に係るフィルター・ユニットを含む。
【0047】
上記によれば、本発明の実施例の第1の態様に係るフィルター・ユニットまたは本発明の実施例の第2の態様に係るフィルター・ユニットを1つの装置にパッケージ化して、コモンモード信号への多段カスケードのフィルター・ユニットを生成し、差動信号送信回路から送信されたコモンモード信号に対し多段減衰を行い、差動モード信号への影響が少なく、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動信号の負荷から導入されたコモンモード信号及び伝送過程で導入されたコモンモード信号に作用して多段減衰も行い、減衰効果が向上し、差動信号送信回路を保護する。また、平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号に対しても多段フィルタリングを行い、差動配線信号の信号対雑音比をさらに向上させ、またカスケードを通じて各コモンモード信号を低下させることで、データケーブル上のノイズの外部への放射をさらに減少させることができる。
【0048】
第3の態様の一種の可能な実施態様において、前記フィルター装置は本発明の実施例の第1の態様に係る前記フィルター・ユニットを含む場合、前記フィルター装置は本発明の実施例の第1の態様に係る前記フィルター・ユニットの任意の可能な実施形態を含む。
【0049】
上記によれば、本発明の実施例の第1の態様における任意の可能な実施形態に係るフィルター・ユニットを1つの装置にパッケージ化して、本発明の実施例の第1の態様における前記フィルター・ユニットの可能な各実施形態に対応する機能を実現する。
【0050】
第3の態様の一種の可能な実施形態では、前記フィルター装置は、本発明の実施例の第2の態様に係るフィルター・ユニットを含む場合、前記フィルター装置は本発明の実施例の第2の態様に係る前記フィルター・ユニットの任意の可能な実施形態を含む。
【0051】
上記によれば、本発明の実施例の第2の態様における任意の可能な実施形態に係るフィルター・ユニットを1つの装置にパッケージ化して、本発明の実施例の第2の態様における前記フィルター・ユニットの可能な各実施形態に対応する機能を実現する。
【0052】
第4の態様では、本発明の実施例は、フィルター・ユニットをさらに提供し、当該フィルター・ユニットは、本発明の実施例の第1の態様又は第1の態様における任意の可能な実施形態に係る各コモンモードインダクタがパッケージ化された装置と、本発明の実施例に係る第1の態様又は第1の態様における任意の可能な実施形態に係る他の回路とを含む。
【0053】
上記によれば、本発明の実施例の第4の態様は、本発明の実施例の第1の態様又は第1の態様における任意の可能な実施形態の利点を有する。
【0054】
第5の態様では、本発明の実施例は、フィルター・ユニットをさらに提供し、当該フィルター・ユニットは、本発明の実施例の第2の態様又は第2の態様における任意の可能な実施形態に係る各コモンモードインダクタがパッケージ化された装置と、本発明の実施例の第2の態様又は第2の態様における任意の可能な実施形態に係る他の回路とを含む。
【0055】
上記によれば、本発明の実施例の第5の態様は、本発明の実施例の第2の態様又は第2の態様における任意の可能な実施形態の利点を有する。
【0056】
第6の態様では、本発明の実施形態は、伝送装置をさらに提供し、当該伝送装置は、差動ケーブルと、前記差動ケーブルの両端に接続されている下記のユニット又は装置のいずれかを含み、前記下記のユニット又は装置は、本発明の実施例の第1の態様又は第1の態様における任意の可能な実施形態に係る前記フィルター・ユニットと、本発明の実施例の第2の態様又は第2の態様における任意の可能な実施形態に係る前記フィルター・ユニットと、本発明の実施例の第3の態様又は第3の態様における任意の可能な実施形態に係る前記装置と、本発明の実施例の第4の態様に係る前記フィルター・ユニットと、本発明の実施例の第5の態様に係る前記フィルター・ユニットと、である。
【0057】
以上のことから、伝送装置は、コモンモード信号を多段カスケードフィルタリングするフィルター・ユニット又はフィルター装置を含み、差動信号送信回路から送信されたコモンモード信号に対し多段減衰を行い、差動モード信号への影響が少なく、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動信号受信回路から導入されたコモンモード信号及び伝送過程で導入されたコモンモード信号に作用して多段減衰も行い、減衰効果が向上し、差動信号送信回路を保護する。また、平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号に対しても多段フィルタリングを行い、差動配線信号の信号対雑音比をさらに向上させ、またカスケードを通じて各データケーブル上のコモンモード信号を低下させることで、ノイズの外部への放射を減少させる。
【0058】
第6の態様の一種の可能な実施形態では、差動ケーブルの両端のシールド線と接地との間には、非接続方式と、インダクタ接続方式と、磁気ビーズ(magnetic beads)接続方式と、のうちいずれかの接続方式を含む。
以上のことから、差動ケーブルのシールド線と接地との間には、非接続方式と、インダクタ接続方式と、磁気ビーズ接続方式と、のうちいずれかの接続方式を含むことにより、差動ケーブルのシールド線と接地との間の隔離を実現し、多段カスケードフィルタリングするフィルター・ユニット又はフィルター装置は、差動配線におけるコモンモード信号を低減させた場合に、前述の隔離により、接地線から差動ケーブルのシールド層に結合されるコモンモードノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1A】開示されたフィルタ回路1の模式図である。
【
図1B】開示されたフィルタ回路2の模式図である。
【
図1C】開示されたフィルタ回路3の模式図である。
【
図2】本発明の各実施例に係る従来の適用場面の構造模式図である。
【
図3A】本発明の実施例1に係るフィルター・ユニットの構造模式図である。
【
図3B1】本発明の実施例1に係るフィルター・ユニットの実際応用による効果の分析模式図である。
【
図3B2】本発明の実施例1に係るフィルター・ユニットの別の実際応用による効果の分析模式図である。
【
図3C1】本発明の実施例1に係るフィルター・ユニットの具体実施方式の構造模式図である。
【
図3C2】周波数と共に変化するコモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスの絶対値および差動モードインピーダンスの絶対値の模式図である。
【
図3C3】本発明の実施例1に係るフィルター・ユニットの具体実施方式のフィルタリング効果の模式図である。
【
図3C4】開示されたフィルタ回路2のフィルタリング効果の模式図である。
【
図3C5】開示されたフィルタ回路3に係るフィルタリング効果の模式図である。
【
図4A】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの構造模式図である。
【
図4B1】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの実際応用による効果の分析模式図である。
【
図4B2】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの別の実際応用による効果の分析模式図である。
【
図4C】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの具体実施方式の構造模式図である。
【
図5A1】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例1の構造模式図である。
【
図5A2】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例2の構造模式図である。
【
図5A3】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例3の構造模式図である。
【
図5B1】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例4の構造模式図である。
【
図5B2】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例5の構造模式図である。
【
図5C1】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例6の構造模式図である。
【
図5C2】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例7の構造模式図である。
【
図5D1】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例8の構造模式図である。
【
図5D2】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例9の構造模式図である。
【
図5D3】本発明の実施例2に係るフィルターの変形例10の構造模式図である。
【
図5D4】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例11の構造模式図である。
【
図5E】本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例1乃至変形例7の組み合わせ回路構造模式図である。
【
図6A】本発明の実施例3に係るフィルター・ユニットの回路構造模式図である。
【
図6B】本発明の実施例3に係るフィルター・ユニットによる第1コモンモード信号に対する減衰値(減衰量)の模式図である。
【
図6C】本発明の実施例3に係るフィルター・ユニットによる差動モード信号に対する減衰値の模式図である。
【
図7】本発明の実施例4に係るフィルター・ユニットの回路構造模式図である。
【
図8】本発明の実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例1乃至変形例5の組み合わせ回路構造模式図である。
【
図9A1】本発明の実施例1に係る装置の内部回路構造模式図である。
【
図9A2】本発明の実施例2に係る装置の内部回路構造模式図である。
【
図9B1】本発明の実施例3に係る装置の内部回路構造模式図である。
【
図9B2】本発明の実施例4に係る装置の内部回路構造模式図である。
【
図9C1】本発明の実施例2に係る装置の変形例1乃至7の組み合わせ回路構成図である。
【
図9C2】本発明の実施例2に係る装置の変形例11の回路構成の模式図である。
【
図10】本発明の実施例に係る伝送装置の適用場面の構造模式図である。
【
図11】本発明の実施例6に係るフィルター・ユニットの一例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の説明では、「いくつかの実施例」について、すべての可能な実施例のサブセットを説明したが、「いくつかの実施例」は、すべての可能な実施例の同じサブセットまたは異なるサブセットであってもよく、衝突せずに互いに結合することができると理解できる。
【0061】
以下の説明では、「第1/第2/第3など」またはモジュールA、モジュールB、モジュールCなどの用語は、類似する対象を区別しまたは異なる実施例を区別するだけのために使用され、対象に対する特定の順序を表すものではなく、ここに記載された本発明の実施例がここに図示または記載された順序以外の順序で実施され得るように、許可される場合には、特定の順序または前後順位を交換することが可能だと理解できる。
【0062】
特に定義されない限り、本明細書で使用されたすべての技術用語および科学用語は、本発明の技術分野の当業者が一般的に理解されるものと同じ意味である。本明細書で使用される用語は、本発明の実施例を説明するためだけであり、本発明を限定することを意図していない。
【0063】
以下、本発明の各実施例を、
図2乃至
図11を参照しながら説明する。
【0064】
まず、本発明の各実施例の従来の適用場面を、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明の各実施例の適用場面の構造が示され、差動信号送信回路31、差動信号受信回路33、フィルタ回路32、および差動ケーブル34を含み、差動ケーブル34は、シールド層を有し、当該シールド層が接地する。
【0065】
差動信号送信回路31は、差動モード信号を送信し、左側のフィルタ回路32を通ってコモンモード信号をフィルタリングしてケーブル34に入り、差動モード信号は、差動ケーブル34によって伝送された後に受信され、右側のフィルタ回路32を通って再度コモンモード信号をフィルタリングして差動信号受信回路33に受信される。
【0066】
いくつかの実施例では、差動ケーブル34をシールド層を有さないケーブルに替える。
【0067】
いくつかの実施例では、フィルタ回路32は、複数の部品からなるフィルター・ユニットまたはフィルター装置であってもよい。
【0068】
いくつかの実施例では、差動信号送信回路31は、差動信号送信装置または差動信号送信機器であってもよく、信号受信回路33は、差動信号受信機器または差動信号受信機であってもよい。
【0069】
いくつかの実施例では、差動信号送信回路31は、差動信号出力回路を含む。
【0070】
いくつかの実施例では、左側のフィルタ回路32の後に差動信号駆動回路も配置される。
【0071】
差動信号送信回路31は、コモンモード信号を発生して差動信号受信回路33に送信し、差動信号受信回路33も、差動ケーブルを介して差動信号送信回路31に逆伝送される干渉するコモンモード信号を発生し、差動ケーブルにもコモンモード信号が結合され、差動信号送信回路31または差動信号受信回路33に送信し、地平面によるノイズもコモンモード信号になり、差動信号送信回路31または差動信号受信回路33に送信する。説明を容易にするように、各コモンモード信号をフィルタ回路への結合の伝送方向に従って分類し、
図2のフィルタ回路を例に、フィルタ回路32の入力端から右側に伝送されるコモンモード信号を第1コモンモード信号とし、フィルタ回路32の出力端から左側に伝送されるコモンモード信号を第2コモンモード信号として記録する。本発明の各実施例は、差動配線における第1コモンモード信号および第2コモンモード信号のフィルタリング性能を向上するために用いられる。
【0072】
以下、本発明のフィルター・ユニットの各実施例を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0073】
<実施例1に係るフィルター・ユニット>
実施例1に係るフィルター・ユニットは、直列の2つのコモンモードインダクタと、前記両者の間の差動配線と接地との間に接続されている差動モードインダクタとで構成されるユニットを採用し、コモンモード信号に対して2段カスケードフィルタリングを形成して、フィルタリング効果が良い。
【0074】
図3Aは、実施例1に係るフィルター・ユニットの構造が示され、順に接続されているコモンモードインダクタL1_1、差動モードインダクタL2_1、およびコモンモードインダクタL1_2を含み、各コモンモードインダクタの2つのコイルにおけるコモンモード信号によって生成される磁束は互いに増強され、差動モードインダクタの2つのコイルにおけるコモンモード信号によって生成される磁束は互いに相殺される。コモンモードインダクタL1_1の2つのコイルは、ユニットの入力端1a、1bにそれぞれ直列に接続されており、差動モードインダクタL2_1の2つのコイルは、L1_1とL1_2との間の差動配線の2つの分岐配線と接地端子3a、3bとの間にそれぞれ接続されており、コモンモードインダクタL1_2の2つのコイルは、コモンモードインダクタL1_1の2つのコイルとユニットの出力端2a、2bとの間にそれぞれ直列に接続されている。
【0075】
コモンモードインダクタL1_1とコモンモードインダクタL1_2のコモンモードインピーダンスの絶対値(より直感的且つ容易に表現のために、本書では、インダクタ、コンデンサ、またはインダクタとコンデンサを含む装置のインピーダンスのモード値を絶対値とも呼ぶ)は、いずれも差動モードインダクタL2_1のコモンモードインピーダンスの絶対値よりもはるかに大きい。差動モードインダクタL2_1の差動モードインピーダンスの絶対値は、コモンモードインダクタL1_1およびコモンモードインダクタL1_2の差動モードインピーダンスの絶対値よりもはるかに大きい。
【0076】
例として、
図3Aでは、各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向は同じであり、この2つのコイルの巻き方向をいずれも時計方向または反時計方向とすると、2つのコイルにおけるコモンモード信号電流方向もいずれも時計方向または反時計方向となる。各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向は異なる場合、コモンモード信号電流方向も異なり、2つのコイルのうちの1つを時計方向に巻かれ、他方を反時計方向に巻かれている場合、2つのコイルのうちの1つのコモンモード信号電流方向は時計方向で、他方は反時計方向である。
【0077】
例として、
図3Aでは、差動モードインダクタの2つのコイルの巻き方向が異なり、2つのコイルのうちの1つの巻線方向を時計方向とし、他方を反時計方向とすると、2つのコイルにおけるコモンモード信号電流方向のいずれも時計方向または反時計方向となる。差動モードインダクタの2つのコイルの巻き方向が同じである場合、2つのコイルのうちの1つのコモンモード信号電流方向は時計方向で、他方は反時計方向である。
【0078】
実施例2のユニットの各部品のすべてが受動部品であり、ユニットの入力端と出力端は交換可能であり、動作原理は同じである。以下の説明では、入力端が図の左側にあり、出力端が図の右側にあると仮定する。
【0079】
図3B1は、
図3Aに示された回路の実際応用による効果の分析図であり、その中、第1コモンモード信号は左から右に伝達される。第1コモンモード信号は、最左側の差動信号出力回路1から発送され、ケーブル10を介して実施例1のフィルター・ユニットの入力端1a、1bに到達し、その後、実施例1のフィルター・ユニットの第1フィルタモジュール(
図3B1における左側の破線枠内の回路)と第2フィルタモジュール(
図3B1における右側の破線枠内の回路)のコモンモードインダクタL1_2を順次に通って実施例1のフィルター・ユニットの出力端2a、2bに達し、最終的にケーブル20を介して負荷回路に達する(差動配線の2つの分岐配線における負荷はRl1、Rl2であり、Rl1とRl2の合計は負荷抵抗RLとなる)。
【0080】
第1フィルタモジュールは、コモンモードインダクタL1_1と差動モードインダクタL2_1とで構成され、第2フィルタモジュールは、コモンモードインダクタL1_2と負荷インピーダンスRl1、Rl2との直列接続からなる。第1フィルタモジュールのL2_1は、第2フィルタモジュールと並列接続されている。
【0081】
L1_1、L1_2、L2_1のコモンモードインピーダンスをそれぞれZ1
C、Z3
C、Z2
Cとし、負荷インピーダンスRl1、Rl2により組成された総インピーダンスをRLとし、差動信号出力回路1の出力インピーダンスをRsとし(差動配線の2つの分岐配線における出力インピーダンスをRs1、Rs2、組成された総出力抵抗値をRsとする)、第1フィルタモジュールのL2_1と第2フィルタモジュールとを並列接続した回路のコモンモードインピーダンスをZ4
Cとし、第1フィルタモジュールの第1コモンモード信号に対する減衰をG1L1
Cとし、第2フィルタモジュールの第1コモンモード信号に対する減衰をG1L2
Cとし、実施例1のユニットの第1コモンモード信号に対する減衰をG1L
Cとすれば、下式となる。
【0082】
Z3
Cの絶対値がRLよりもはるかに大きいため、G1L2
Cが下式のように近似できる。
【0083】
また、Z3
Cの絶対値がRLよりもはるかに大きく、Z3
Cの絶対値がZ2
Cの絶対値よりもはるかに大きいため、Z4
Cが下式のように近似できる。
【0084】
また、Z1
Cの絶対値がRs、Z2
Cよりもはるかに大きく、Z4
Cの絶対値がZ2
Cの絶対値とほぼ等しいため、GL1
Cが下式のように近似できる。
【0085】
実施例1のユニットの第1コモンモード信号に対する減衰は、G1L
Cである。G1L
Cが下式のように近似できる。
【0086】
コモンモードインダクタL1_1とコモンモードインダクタL1_2とは同じコモンモードインダクタである場合、Z1
CがZ3
Cと同じであり、GL1
Cが下式のように近似できる。
【0087】
減衰の単位としてデシベル(dB)を使用すると、下式となる。
【0088】
Z1Cの絶対値はZ2Cの絶対値、RLよりもはるかに大きいため、上記の式より、G1LCは非常に小さく、つまり、第1コモンモード信号に対する減衰は比較的に大きい。なお、本発明の各実施例において、対数で表される減衰は負の値であり、その絶対値が大きいほど減衰が大きい。
【0089】
L1_1、L1_2、L2_1の差動モードインピーダンスをそれぞれZ1
d、Z3
d、Z2
dとし、負荷インピーダンスRl1、Rl2からなる差動モード信号に対する負荷の総インピーダンスもRLとし、差動信号出力回路1の差動モード信号に対するインピーダンスもRsとし、第1フィルタモジュールのL2_1と第2フィルタモジュールとを並列接続した回路の差動モードインピーダンスをZ4
dとし、第1フィルタモジュールの差動モード信号に対する減衰をG1L1
dとし、第2フィルタモジュールの差動モード信号に対する減衰をG1L2
dとし、ユニット全体の差動モード信号に対する減衰をG1L
dとすれば、下式となる。
【0090】
Z2
dの絶対値がZ3
dの絶対値よりもはるかに大きいため、Z4
dが下式のように近似できる。
【0091】
【0092】
【0093】
また、コモンモードインダクタL1_1とコモンモードインダクタL1_2とは同じコモンモードインダクタである場合、Z1
dがZ3
dと同じであり、GL1
dが下式のように近似できる。
【0094】
また、減衰の単位としてデシベル(dB)を使用すると、下式となる。
【0095】
また、Z1dの絶対値は、RLに相当し、Z3dの絶対値の最大値は、Rsに相当するため、GL1dは0に近い、減衰は小さくなる。
【0096】
図3B2は、
図3Aに示された回路の実際応用による別の効果の分析図であり、その中、第2コモンモード信号は右から左に送信されている。第2コモンモード信号は、最右側のケーブル21(またはコネクタまたは配線)または負荷から導入され、第3フィルタモジュール(
図3B2における右側の破線枠内の回路)と第4フィルタモジュール(
図3B2における左側の破線枠内の回路)のコモンモードインダクタL1_1を順次に通って端子1a、1bに達し、最終的にケーブル11を介して差動信号出力回路1に達する。
【0097】
第3フィルタモジュールは、コモンモードインダクタL1_2と差動モードインダクタL2_1とで構成され、第4フィルタモジュールは、コモンモードインダクタL1_1とインピーダンスRs1、Rs2の部品との直列接続からなる。
【0098】
図3B2における第3のフィルタモジュールと第4フィルタモジュールをそれぞれに
図3B1における第1フィルタモジュールと第2フィルタモジュールと見なし、且つ負荷インピーダンスをRsとすると、
図3B1の方法で実施例1の方法、ユニットの第2コモンモード信号に対する減衰はG1R
Cであることを得られる。G1R
Cが下式のように近似できる。
【0099】
また、減衰の単位としてデシベル(dB)を使用すると、下式となる。
【0100】
Z1Cの絶対値はZ2Cの絶対値、Rsよりもはるかに大きいため、G1RCは非常に小さく、第2コモンモード信号に対する減衰は大きくなるため、差動信号送信回路を保護する。
【0101】
第1コモンモード信号は、
図3B1における差動信号出力回路1を含む差動信号送信回路(
図2における差動信号送信回路31)により発生するノイズまたはケーブル10の結合による外部干渉または地平面ノイズであり、第2コモンモード信号は、
図3B2における差動信号の負荷により発生するノイズ、またはケーブル21の結合による外部干渉及び地平面ノイズであり、本実施例のフィルター・ユニットは、差動信号出力回路1を含む差動信号送信回路(
図2における差動信号送信回路31)により発生するノイズ、差動信号の負荷(
図2における差動信号受信回路33)により発生するノイズ、ケーブルの結合によるノイズ又は地平面ノイズ等コモンモード信号に対して、カスケードの減衰効果を持ち、フィルタリング効果が良い。
【0102】
本実施例のフィルター・ユニットは、差動信号出力回路1を含む差動信号送信回路(
図2における差動信号送信回路31)により発生するコモンモード信号を抑制することによって、ケーブルの外部への電磁放射を効果的に低減する。
【0103】
以上より、コモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスが非常に高く、差動モードインピーダンスが非常に低く、差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスが非常に低く、差動モードインピーダンスが非常に高いとの特徴を利用して、実施例1に係るフィルター・ユニットにおける2つの直列接続されているコモンモードインダクタと、前記両者の間で並列接続されている差動モードインダクタとでカスケードフィルター・ユニットを構成し、差動信号送信回路による発生されたコモンモード信号に対し2段減衰を行い、減衰効果はよく、差動モード信号への影響も小さいため、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動配線の負荷による発生されたコモンモード信号に対しも2段減衰を行い、差動信号送信回路を保護した。実施例1に係るユニットの入力端のコモンモード入力インピーダンスは大きくて、差動信号送信回路の負荷が大きすぎて発熱や作動異常を引き起こすことがない。また、地平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号を効果的にフィルタリングすることができ、またデータケーブル上のコモンモード信号を低減することによって、ノイズの外部への放射を低減することもできる。
【0104】
<<実施例1に係るフィルター・ユニットの具体的な実施形態>>
本発明の具体的な実施形態では、
図3C1におけるユニットを例とし、使用されている差動モードインダクタの2つのコイルの巻き方向は同じであり、各コモンモードインダクタと差動モードインダクタとは同じチョークコイルであり、いずれも
図3B1におけるコモンモードインダクタL1_1と同じであるため、ユニット全体の回路部品を簡素化および標準化にした。
【0105】
従って、本発明の具体的な実施形態では、各コモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスは、差動モードインダクタの差動モードインピーダンスと同じであり、ZCで示し、各コモンモードインダクタの差動モードインピーダンスは差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスと同じであり、Zdで示す。
【0106】
また、同じように、
図3C1におけるユニットの右側に接続されている負荷の負荷インピーダンスをRLとし、左側の差動信号を入力するユニットのインピーダンスをRsとする。<実施例1に係るフィルター・ユニット>の方法を使用して、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの第1コモンモード信号に対する減衰G1L
C、差動モード信号への減衰G1L
d、第2コモンモード信号への減衰G1R
Cを計算し、各減衰の単位をdBとする場合、類似式(1)、(2)、(3)を得ることができ、一方、各コモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスと差動モードインダクタの差動モードインピーダンスをZ
Cとし、各コモンモードインダクタの差動モードインピーダンスと差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスをZdとする場合、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの第1コモンモード信号に対する減衰G1L
Cは、下式となる。
【0107】
また、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの差動モード信号に対する減衰G1L
dは、下式となる。
【0108】
また、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの第2コモンモード信号に対する減衰G1R
Cは、下式となる。
【0109】
例として、
図3C2は、ある単一広帯域のコモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスZ
Cと差動モードインピーダンスZ
dとの数値比較関係を示し、Z
Cの絶対値はZ
dの絶対値よりもはるかに大きい。Z
dの最大値の絶対値はRL、Rsに近く、Z
dの最大値の絶対値はRLに等しく、且つRLはRsに等しいと仮定する。式(4)、(5)および(6)を代入すると、本発明の具体的な実施形態において、広帯域範囲内で、第1コモンモード信号および第2コモンモード信号に対する減衰が大きくなり、差動モード信号に対する減衰が小さくなる。
【0110】
【0111】
比較しやすいように、
図1C及び
図1Bの各差動モードインダクタは、本発明の具体的な実施形態と同じように、2つのコイルの巻き方向が同じであるチョークコイルを使用し、即ち、コモンモードインダクタのチョークコイルと同じであり、その接続方式も本発明の具体的な実施形態を採用する。
【0112】
図3C3は、実測された本発明の具体的な実施形態に係るフィルタリング効果図を示し、
図3C4は、実測された
図1Bのフィルタリング効果図を示し、
図3C5は、実測された
図1Cのフィルタリング効果図を示す。
図3C3と
図3C4または
図3C5に示された効果との比較から、本発明の具体的な実施形態に係るフィルタリング効果は、開示された差動フィルター・ユニット1Bまたは1Cよりも20dBほど高く、本発明の具体的な実施形態に係るフィルタリング効果が良好であることを実際の試験で検証された。
【0113】
以上より、本発明の具体的な実施形態には、正逆両方向のコモンモード信号に対して2段減衰を行い、減衰効果はよく、しかも作動帯域幅が広い。本発明の具体的な実施形態に係る入力端のコモンモード入力インピーダンスは大きくて、差動モード信号送信装置の負荷が大きすぎて発熱や作動異常を引き起こすことがない。
【0114】
<実施例2に係るフィルター・ユニット>
実施例2に係るフィルター・ユニットは、実施例1に係るフィルター・ユニットの構造に加えて、1つのコモンモードインダクタと1つの差動モードインダクタからなるいくつかの組合せ回路を順に接続し、コモンモード信号に対して多段のカスケードフィルタリングを形成する。
【0115】
図4Aは、実施例2に係るフィルター・ユニットの構造を示し、実施例1に係るフィルター・ユニットの構造に加えて、N?1個のコモンモードインダクタとN?1個の差動モードインダクタを順に接続して構成されている。該N-1個のコモンモードインダクタは、差動配線上で順次直列に接続されており、それぞれL1_3~L1_N+1の番号が付けられ、各コモンモードインダクタの2つのコイルは、それぞれ差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、該N-1個の差動モードインダクタは、差動配線と接地の間に順次並列に接続されており、それぞれL2_2からL2_Nまでの番号が付けられ、各差動モードインダクタの2つのコイルは、それぞれ差動配線の1つの分岐配線と接地の間に接続されている。
【0116】
例として、
図4Aは、各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向が同じであり、この2つのコイルの巻線方向をいずれも時計方向または反時計方向とすると、その2つのコイルにおけるコモンモード信号電流方向もいずれも時計方向または反時計方向となる。各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向が異なる場合、コモンモード信号電流方向も異なり、2つのコイルのうちの1つが時計方向に巻かれ、他方が反時計方向に巻かれている場合、2つのコイルのうちの1つのコモンモード信号電流方向は、時計方向であり、他方は反時計方向である。
【0117】
例として、
図4Aは、差動モードインダクタの2つのコイルの巻き方向が異なり、2つのコイルのうちの1つの巻線方向を時計方向とし、他方は反時計方向とすると、その2つのコイルにおけるコモンモード信号電流方向のいずれも時計方向または反時計方向となる。差動モードインダクタの2つのコイルの巻き方向が同じである場合、2つのコイルのうちの1つのコモンモード信号電流方向は時計方向であり、他方は反時計方向である。
【0118】
実施例2のユニットの各部品のすべてが受動部品であり、ユニットの入力端と出力端は交換可能であり、且つ作動原理は同じである。以下の説明では、入力端が図の左側におり、出力端が図の右側におると仮定する。
【0119】
実際の応用において、各コモンモードインダクタL1_i(i=1,2,...,N+1)は同じでも異なってもよく、各差動モードインダクタL2_i(i=1,2,...,N)は同じでも異なってよいが、分析方法はすべてが同じであり、各コモンモードインダクタL1_iは同じか否かに問わず、差動モードインダクタL2_iは同じか否かに問わず、本発明の保護範囲である。
【0120】
説明しやすくするために、コモンモードインダクタL1_iを同じとし、そのコモンモードインピーダンスはいずれもZ1Cとし、差動モードインピーダンスはいずれもZ1dとし、差動モードインダクタL2_iを同じとし、そのコモンモードインピーダンスは同じでZ2Cとし、差動モードインピーダンスはいずれもZ2dとする。広帯域範囲内において、Z1Cの絶対値はZ2Cよりもはるかに大きく、Z2dの絶対値はZ1dよりもはるかに大きい。
【0121】
図4B1は、
図4Aに示された回路の実際応用による効果の分析図(コモンモード信号は左から右に伝達される場合)である。コモンモード信号は、最も左側の差動信号出力回路1から発送され、ケーブル10を介して端子1a、1bに到達し、実施例2のユニットによってフィルタリングを行った後、端子2a、2bから外部に送信して、ケーブル20を介して差動信号の負荷に達し、ここで、各第1フィルタモジュールB_i(i=1,2,...,N)(
図4B1における左側のN個の破線枠内の回路)、第2フィルタモジュールB(
図4B1における右側の破線枠内の回路)を順次に通過する。第1フィルタモジュールB_iはコモンモードインダクタL1_iと差動モードインダクタL2_iで構成され、第2フィルタモジュールBはコモンモードインダクタL1_N+1と負荷インピーダンスRl1、Rl2で構成され、各第1フィルタモジュールB_iの差動モードインダクタL2_iは各次段のフィルタモジュールと並列接続されており、並列接続後のインピーダンスはZ4
iCである。
【0122】
また、負荷インピーダンスRl1、Rl2により組成された総インピーダンスをRLとし、差動信号出力回路1の出力インピーダンスをRsとし、各第1フィルタモジュールB_iのコモンモード信号に対する減衰をG2L1
iCとし、第2フィルタモジュールBのコモンモード信号に対する減衰をG2L2
Cとし、ユニット全体のコモンモード信号に対する減衰をG2L
Cとすれば、下式となる。
【0123】
Z1
Cの絶対値がRLよりもはるかに大きいため、G2L2
Cが下式のように近似できる。
【0124】
また、Z1
Cの絶対値がRLよりもはるかに大きく、Z1
Cの絶対値がZ2
Cの絶対値よりもはるかに大きいため、下式のように近似できる。
【0125】
また、Z1
Cの絶対値がZ2
C、RSよりもはるかに大きく、Z4
iCの絶対値がZ2
Cの絶対値とほぼ等しいため、G2L1
iCが下式のように近似できる。
【0126】
実施例2に係るユニットの第1コモンモード信号に対する減衰は、G2L
Cである。G2L
Cが下式のように近似できる。
【0127】
減衰の単位としてデシベル(dB)を使用すると、下式となる。
【0128】
【0129】
各第1フィルタモジュールB_iのL2_iと下段のフィルタモジュールと並列接続されている回路の差動モードインピーダンスをZ4
idとし、各第1フィルタモジュールB_iの差動モード信号に対する減衰をG2L1
idとし、第2フィルタモジュールBの差動モード信号に対する減衰をG2L2
dとし、ユニット全体の差動モード信号に対する減衰をG2L
dとすれば、下式となる。
【0130】
Z2
dの絶対値がZ1
dの絶対値、RLの絶対値よりもはるかに大きいため、下式のように近似できる。
【0131】
【0132】
減衰の単位としてデシベル(dB)を使用すると、下式となる。
【0133】
RL、RS、Z1dの絶対値は同等であるため、実施例2のユニットの差動モード信号に対する減衰は制御可能である。
【0134】
図4B2は、
図4Aに示された回路の実際応用による別の効果の分析図である。その中、第2コモンモード信号は右から左に伝達される。第2コモンモード信号は、最も右側のケーブル(又はコネクタ又は配線)21又は負荷から導入され、各第3フィルタモジュールB_i、i=1,2,...,N(
図4B2における右側のN個の破線枠内の回路)と第4フィルタモジュールB(
図4B2における左側の破線枠内の回路)のL1_1を順次に通って端子1a、1bに達し、最終的にケーブル11を介して差動信号出力回路1に達し、ここで、差動信号出力回路1は、インピーダンスRS1、RS2の部品で示される(Rs1、Rs2をRsに組み合わせる)。
【0135】
第3フィルタモジュールB_iは、コモンモードインダクタL1_N-i+2と差動モードインダクタL2_N-i+1とで構成され、第4フィルタモジュールは、コモンモードインダクタL1_1とインピーダンスRs1、Rs2の部品との直列接続からなる。
【0136】
図4B2における第3フィルタモジュールB_iを
図4B1での第1フィルタモジュールB_iと見なし、
図4B2での第4フィルタモジュールを
図4B1での第2フィルタモジュールBと見なし、上記
図4B1の方法を用いて実施例2の方法、ユニットの第2コモンモード信号に対する減衰をG2R
Cとすれば、G2R
Cが下式のように近似できる。
【0137】
減衰の単位としてデシベル(dB)を使用すると、下式となる。
【0138】
【0139】
以上より、コモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスが非常に高く、差動モードインピーダンスが非常に低く、差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスが非常に低く、差動モードインピーダンスが非常に高いとの特徴を利用して、実施例2のユニットは、少なくとも3つの直列接続されているコモンモードインダクタと、2つのコモンモードインダクタごとに並列接続されている1つの差動モードインダクタとで構成された多段カスケードのフィルター・ユニットを利用して、差動信号送信回路から発送されたコモンモード信号に対し多段の減衰を行い、減衰効果は実施例1のフィルター・ユニットの減衰効果に加えてさらに向上し、且つ差動モード信号への影響も小さいため、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動信号の負荷から導入されたコモンモード信号及び伝送過程で導入されたコモンモード信号に作用して多段減衰も行い、減衰効果はよりよくし、差動信号送信回路を保護している。また、地平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号を多段フィルタリングすることができ、差動配線信号の信号対雑音比をさらに向上し、さらにカスケードによる各コモンモード信号を低減して、データケーブル上のノイズの外部への放射をさらに低減する。
【0140】
<<実施例2に係るフィルター・ユニットの具体的な実施形態>>
本発明の具体的な実施形態では、
図4Cにおけるユニットを例にして、使用されている差動モードインダクタの2つのコイルの巻き方向は同じであり、各コモンモードインダクタと差動モードインダクタは同じチョークコイルであり、いずれも
図4AにおけるコモンモードインダクタL1_1と同じであるため、ユニット全体の回路エレメントを簡素化および標準化にした。
【0141】
従って、本発明の具体的な実施形態では、各コモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスは、差動モードインダクタの差動モードインピーダンスと同じであり、引き続きZCで示し、各コモンモードインダクタの差動モードインピーダンスは、差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスと同じで、引き続きZdで示す。
【0142】
また、同じように、
図4Cにおけるユニットの右側に接続されている負荷の負荷インピーダンスをRLとし、左側の差動信号を入力するユニットのインピーダンスをRsとする。<実施例2に係るフィルター・ユニット>の方法を使用して、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの第1コモンモード信号に対する減衰G2L
C、差動モード信号に対する減衰G2L
d、第2コモンモード信号に対する減衰G2R
Cを計算し、各減衰の単位をdBで示す場合、類似式(7)、(8)、(9)を得ることができ、一方、各コモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスと差動モードインダクタの差動モードインピーダンスをZ
Cとし、各コモンモードインダクタの差動モードインピーダンスと差動モードインダクタのコモンモードインピーダンスをZdとする場合、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの第1コモンモード信号に対する減衰G2L
Cは、下式となる。
【0143】
また、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの差動モード信号に対する減衰G2L
dは、下式となる。
【0144】
また、本発明の具体的な実施形態におけるユニットの第2コモンモード信号に対する減衰G2R
Cは、下式となる。
【0145】
図3C2に示された広帯域のコモンモードインダクタのコモンモードインピーダンスZ
Cと広帯域のコモンモードインダクタの差動モードインピーダンスZ
dの数値比較関係を引き続き使用して、Z
Cの絶対値はZ
dの絶対値よりもはるかに大きい。この具体的な実施形態を実施例1に係るフィルター・ユニットと比較して、第1コモンモード信号および第2コモンモード信号に対する減衰
【0146】
<実施例1に係るフィルター・ユニット及び実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例>
上記実施例1に係るフィルター・ユニットおよび実施例2に係るフィルター・ユニットは、本発明の代表的な2つのフィルター・ユニットであり、いくつかの実施例には、実施例1に係るフィルター・ユニットまたは実施例2に係るフィルター・ユニットに対し変形し、実施例1に係るフィルター・ユニットおよび実施例2に係るフィルター・ユニットの上記変形例は同じであり、以下は実施例2に係るフィルター・ユニットを例として、各種の変形例を説明する。
【0147】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例1では、実施例2のフィルター・ユニットにおける各差動モードインダクタL2_i(i=1、2、…、N)の2つのコイルをそれぞれ1つの組み合わせ回路を介して接地させ、該組み合わせ回路は、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、またはダイオードから構成することができ、コンデンサから構成することが好ましい。
図5A1は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例1の一例の回路構成であり、各差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)の2つのコイルは、それぞれコンデンサC3_2i-1、C3_2i(i=1,2,...,N)を介してユニットの接地端子3_2i-1、3_2iに接続されており、各接地端子はそれぞれ地面に接続されている。
【0148】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例2では、フィルター・ユニットの2つの入力端のそれぞれには1つの組み合わせ回路が直列に接続されて、差動配線の入力端における直流信号を隔離するのに用いられ、該組み合わせ回路は、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、またはダイオードから構成することができ、コンデンサから構成することが好ましい。
図5A2は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例2に示された回路構成であり、フィルターの2つの入力端1a、1bには、それぞれコンデンサC1a、C1bが直列に接続されている。
【0149】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例3では、フィルター・ユニットの2つの出力端のそれぞれに1つの組み合わせ回路が直列に接続されて、差動配線の出力端における直流信号を隔離するのに用いられ、該組み合わせ回路は、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、またはダイオードから構成することができ、コンデンサから構成することが好ましい。
図5A3は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例3に示された回路構成であり、フィルター・ユニットの2つの出力端2a、2bにそれぞれコンデンサC2a、C2bが直列に接続されている。
【0150】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例4では、フィルター・ユニットの2つの入力端と接地との間には、それぞれ1つのダイオード又は双方向のダイオードが接続されて、差動配線の入力端の信号の振幅リミットを行い、同時に帯電防止を実現する。
図5B1は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例4に示された回路構成であり、フィルター・ユニットの2つの入力端1a、1bと接地との間には、それぞれ双方向のダイオードD1b、D1aが接続されている。
【0151】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例5では、フィルター・ユニットの2つの出力端と接地との間には、それぞれ1つのダイオード又は双方向のダイオードが接続されて、差動配線の出力端の信号の振幅リミットを行い、同時に帯電防止を実現する。
図5B2は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例5に示された回路構成であり、フィルター・ユニットの2つの出力端2a、2bと接地との間には、それぞれ双方向のダイオードD2b、D2aが接続されている。
【0152】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例6では、フィルター・ユニットの2つの入力端と接地との間には、それぞれ差動モードインダクタの2つのコイルのうちの1つが接続されて、差動配線の入力端の第1コモンモード信号に対しインピーダンス整合をする。
図5C1は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例6に示された回路構成であり、フィルターの2つの入力端1a、1bと接地との間には、それぞれ差動モードインダクタL2_0の1つのコイルが接続されている。
【0153】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例7では、フィルター・ユニットの2つの出力端と接地との間には、それぞれ差動モードインダクタの2つのコイルのうちの1つが接続されて、差動配線の出力端の第2コモンモード信号に対しインピーダンス整合をする。
図5C2は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例7に示された回路構成であり、フィルター・ユニットの2つの出力端2a、2bと接地との間には、それぞれ差動モードインダクタL2_N+1の1つのコイルが接続されている。
【0154】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例8では、実施例2に係るフィルター・ユニットの各差動モードインダクタの接地端をそれぞれ統合してからそれぞれ接地して回路を簡素化する。
図5D1は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例8に示された回路構成図であり、各差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)の2つのコイルの接地端を1つのノードにして統合し、それぞれ3_iの番号を付け、各接地端子はそれぞれに接地させる
【0155】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例9では、実施例2に係るフィルター・ユニットの各差動モードインダクタの接地端子を統合してから別々に接地して回路を簡素化する。
図5D2は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例9に示された回路構成図であり、各差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)のコイルの接地端子を1つのノードにして統合し、それぞれ3_1の番号を付け、さらに接地させる。
【0156】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例10では、実施例2に係るフィルター・ユニットの各差動モードインダクタの接地端子をそれぞれに統合してから、コンデンサを介してそれぞれに接地して回路を簡素化する。
図5D3は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例10に示された回路構成図であり、各差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)の2つのコイルの接地端を1つのノードにして統合し、各ノードをコンデンサC3_iを介してそれぞれに番号3_iのノードに接続してから接地させる。
【0157】
実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例11では、実施例2に係るフィルター・ユニットの各差動モードインダクタの接地端子を統合してからコンデンサを介して接地させて回路を簡素化する。
図5D4は、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例11に示された回路構成図であり、各差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)のコイルの接地端を1つのノードにして統合し、コンデンサC3_1を介して番号3_1のノードに接続し、さらに接地させる。
【0158】
いくつかの実施例では、実施例2に係るフィルター・ユニットの上述の変形例1乃至変形例7を任意に組み合わせた変形組み合わせを含む。
図5Eは、本発明の実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例1乃至変形例7の組み合わせの回路構成を示す。
【0159】
いくつかの実施例では、本発明のフィルター・ユニットの変形例8又は変形例10を、変形例2乃至変形例7の少なくとも1つと組み合わせ、本発明のフィルター・ユニットの変形例9又は変形例11を、変形例2乃至変形例7の少なくとも1つと組み合わせる。
【0160】
<実施例3に係るフィルター・ユニット>
実施例3に係るフィルター・ユニットは、直列に接続されている2つのコモンモードインダクタと、前記両者の間の差動配線の2つの分岐配線と接地との間にそれぞれ接続されている2つのコンデンサを含み、コモンモード信号に対し2段カスケードフィルタリングを形成し、また、複数のインダクタとコンデンサとの組み合わせの周波数特性を十分に利用して、フィルタリング効果が良い。
【0161】
図6Aには、実施例3に係るフィルター・ユニットの回路構造が示され、順に接続されているコモンモードインダクタL1_1、コンデンサC3a、C3b、およびコモンモードインダクタL1_2を含み、各コモンモードインダクタの2つのコイルにコモンモード信号が流れるときに発生する磁束は互いに増強される。コモンモードインダクタL1_1の2つのコイルは、フィルター・ユニットの入力端1a、1bにそれぞれ直列に接続されており、コモンモードインダクタL1_2の2つのコイルは、コモンモードインダクタL1_1の2つのコイルとフィルター・ユニットの出力端2a、2bとの間にそれぞれ直列に接続されており、コンデンサC3a、C3bは、2つのコモンモードインダクタの間の差動配線の2つの分岐配線と接地端子3a、3bとの間にそれぞれ接続されている。
【0162】
例として、
図6Aでは、各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向が同じであり、この2つのコイルの巻線方向をいずれも時計方向または反時計方向とすると、その2つのコイルにおけるコモンモード信号電流方向もいずれも時計方向または反時計方向となる。各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向が異なる場合、コモンモード信号電流方向も異なり、2つのコイルのうちの1つが時計方向に巻かれ他方が反時計方向に巻かれている場合、2つのコイルのうちの1つのコモンモード信号電流方向は時計方向であり、他方は反時計方向である。
【0163】
実施例3に係るフィルター・ユニットの各部品のすべてが受動部品であり、フィルター・ユニットの入力端と出力端は交換可能であり、作動原理は同じである。以下の説明では、入力端が図の左側にあり、出力端が図の右側にあると仮定する。
【0164】
以下では、先ず、実施例3に係るフィルター・ユニットの左から右へ伝送する第1コモンモード信号に対するフィルタリング効果を分析し、コモンモードインダクタL1_1、コンデンサC3a、C3bは第1段フィルタモジュールCを構成し、コモンモードインダクタL1_2および実施例3に係るユニットの負荷とで第2段フィルタモジュールDを構成する。ユニットにおいて、コンデンサ値とインダクタンス値の選択は、複数のインダクタとコンデンサとの組み合わせの周波数特性を考慮する。
【0165】
例として、L1_1とL1_2のパラメータを同じにし、それらのコモンモードインダクタンス値が両方とも1μHであり、例として、C3aとC3bのパラメータを同じにし、それらのコンデンサ値が両方とも3pFであり、例として、実施例3に係るフィルターの負荷抵抗は50Ωであり、上段駆動回路の出力抵抗も50Ωである。
図6Bは、上述した例の数値に基づいて計算された実施例3に係るフィルタ・ユニットの第1コモンモード信号に対する減衰を示し、
図6Bから分かるように、500Mhzで、実施例3に係るフィルタ・ユニットの第1コモンモード信号に対する減衰値はすでに65dBとなり、1Ghzですでに80dBを超えている。
【0166】
実施例3に係るフィルター・ユニットは対称的であるため、右から左へ伝送する第2コモンモード信号に対するフィルタリング効果は、第1コモンモード信号に対するフィルタリング効果と同じである。
【0167】
次に、実施例3に係るフィルター・ユニットの左から右へ伝送する差動モード信号に対するフィルタリング効果を分析し、例として、L1_1とL1_2の差動モードインダクタンス値が両方とも0.02μHであり、例として、C3aとC3bのコンデンサ値が両方とも3pFであり、例として、実施例3に係るフィルター・ユニットの負荷抵抗は50Ωであり、上段駆動回路の出力抵抗も50Ωである。
図6Cは、上述した例の数値に基づいて計算された実施例3に係るフィルタ・ユニットの差動モード信号に対する減衰を示し、
図6Cから分かるように、実施例3のユニットの差動モード信号にもたらす影響は非常に小さい。
【0168】
実施例3に係るフィルター・ユニットにおける各種パラメータ設定は一例であり、実際に使用する場合は、具体的な場面に合わせて設計することができる。
【0169】
以上より、実施例3に係るフィルター・ユニットにおいて、2つの直列に接続されているコモンモードインダクタと、前記両者間の差動配線と接地との間にそれぞれ接続されている2つのコンデンサとで構成されたフィルター・ユニットは、コモンモード信号に対する2段カスケードフィルタリングを形成し、また、複数のインダクタとコンデンサとの組み合わせの周波数特性を十分に利用して、差動信号送信回路による発生されたコモンモード信号に対する2段減衰を行い、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動信号の負荷から導入されたコモンモード信号及び伝送過程で導入されたコモンモード信号に作用して2段減衰も行い、減衰効果が向上し、差動信号送信回路を保護する。また、平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号に対しても2段フィルタリングを行い、差動配線信号の信号対雑音比をさらに向上させ、また、カスケードを通じて各コモンモード信号を低下させることで、データケーブル上のノイズの外部への放射をさらに減少させることができる。
【0170】
<実施例4に係るフィルター・ユニット>
実施例4に係るフィルター・ユニットは、実施例3に係るフィルター・ユニットの構造に加えて、いくつかの同様な組合せ回路を順に接続し、当該組合せ回路は、1つのコモンモードインダクタと2つのコンデンサからなり、コモンモード信号に対する多段カスケードフィルタリングを形成する。
【0171】
図7には、実施例4に係るフィルター・ユニットの構造を示し、実施例3に係るユニットの構造に加えて、N?1個のコモンモードインダクタと2(N?1)個のコンデンサとを接続して構成されている。N-1個のコモンモードインダクタは、差動配線上で直列に接続されており、それぞれL1_3~L1_N+1の番号が付けられ、各コモンモードインダクタの2つのコイルは、それぞれ差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、当該2(N?1)個のコンデンサが差動配線に接続されており、それぞれC3_3~C3_2N(番号を統一するために、
図6AにおけるコンデンサC3a、C3bは、本図におけるC3_1~C3_2に対応する)の番号が付けられ、1つのコンデンサが各2つのコモンモードインダクタごとの間の差動配線の各分岐配線と接地との間に接続されている。
【0172】
例として、
図7では、各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向が同じであり、この2つのコイルの巻線方向をいずれも時計方向または反時計方向とすると、その2つのコイルにおけるコモンモード信号電流方向もいずれも時計方向または反時計方向となる。各コモンモードインダクタの2つのコイルの巻き方向が異なる場合、コモンモード信号電流方向も異なり、2つのコイルのうちの1つが時計方向に巻かれ他方が反時計方向に巻かれている場合、2つのコイルのうちの1つのコモンモード信号電流方向は時計方向であり他方は反時計方向である。
【0173】
実施例4に係るフィルター・ユニットの各部品のすべてが受動部品であり、フィルター・ユニットの入力端と出力端は交換可能であり、作動原理は同じである。以下の説明では、入力端が図の左側にあり、出力端が図の右側にあると仮定する。
【0174】
以下では、先ず、実施例4に係るフィルター・ユニットの左から右へ伝送する第1コモンモード信号に対するフィルタリング効果を分析し、コモンモードインダクタL1_i(i=1,2,…,N)と、コンデンサC3_2i-1(i=1,2,…,N)と、コンデンサC3_2i(i=1,2,…,N)とで第1段フィルタモジュールCを構成し、合計N個の第1段フィルタモジュールCと、1つのコモンモードインダクタL1_N+1と負荷とで第2段フィルタモジュールDを構成し、第1コモンモード信号に対するN+1段のフィルタリングを実現し、実施例3に係るフィルター・ユニットと比較して、N-1個の第1段フィルタモジュールCが増加されている。且つインダクタとコンデンサの増加により、インダクタとコンデンサの組み合わせの周波数特性を調整するためのより多くの選択肢を有し、フィルタリング効果は、実施例3に係るフィルター・ユニットのフィルタリング効果に加えてさらに向上する。
【0175】
実施例4に係るフィルター・ユニットは対称的であるため、右から左へ伝送する第2コモンモード信号に対するフィルタリング効果は、第1コモンモード信号に対するフィルタリング効果と同じであり、即ち、フィルタリング効果は、実施例3に係るフィルターのフィルタリング効果に加えさらに向上する。
【0176】
以下では、実施例4に係るフィルター・ユニットの左から右へ伝送する差動モード信号に対するフィルタリング効果をさらに分析し、N-1個の第1段フィルタモジュールCが増加されているが、しかし、第1段フィルタモジュールCによる、差動モード信号に対する減衰は小さく、また、各インダクタとコンデンサのパラメータ値を調整して、組み合わせ回路の全体的な周波数特性を最適化することもできるため、実施例4に係るフィルター・ユニットの差動モード信号にもたらす影響は非常に小さい。
【0177】
以上より、実施例4に係るフィルター・ユニットにおいて、少なくとも3つの直列に接続されているコモンモードインダクタと、隣接する2つのコモンモードインダクタごとの間の差動配線と接地との間に接続されている2つのコンデンサとで構成されたフィルター・ユニットと通じて、差動信号送信回路から送信されたコモンモード信号に対し多段減衰を行い、減衰効果は、実施例3に係るフィルター・ユニットの減衰効果に加えてさらに向上し、差動モード信号にもたらす影響は小さくて、比較的に広い帯域幅内で差動配線信号の信号対雑音比が改善され、同時に、差動信号の負荷から導入されたコモンモード信号及び伝送過程で導入されたコモンモード信号に作用して多段の減衰も行い、減衰効果が向上し、差動信号送信回路を保護する。また、平面ノイズとケーブル上で結合されたコモンモード信号に対しても多段フィルタリングを行い、差動配線信号の信号対雑音比をさらに向上させ、また、カスケードを通じて各コモンモード信号を低下させることで、データケーブル上のノイズの外部への放射をさらに減少させることができる。
【0178】
<実施例3に係るフィルター・ユニット及び実施例4に係るユニットの変形例>
実施例3に係るフィルター・ユニットおよび実施例4に係るフィルター・ユニットも本発明の代表的な2つのフィルター・ユニットであり、いくつかの実施例において、実施例3に係るフィルター・ユニットまたは実施例4のフィルター・ユニットを変形した、実施例3に係るフィルター・ユニットおよび実施例4に係るフィルター・ユニットの上記変形例は同じであり、以下は実施例4に係るフィルター・ユニットを例にして各種の変形例を説明する。
【0179】
実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例1では、実施例4に係るフィルター・ユニットにおける各コンデンサの代わりに、1つの抵抗器と1つのコンデンサとを直列に接続した組み合わせ回路を選択する。
【0180】
実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例2では、フィルター・ユニットの2つの入力端と接地との間に、それぞれ1つのコンデンサを接続し、または1つの抵抗器と1つのコンデンサを直列に接続した組合せ回路を接続し、入力インピーダンスの整合を実現する。
【0181】
実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例3では、フィルター・ユニットの2つの出力端と接地との間に、それぞれ1つのコンデンサを接続し、または1つの抵抗器と1つのコンデンサを直列に接続した組合せ回路を接続し、出力インピーダンスの整合を実現する。
【0182】
実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例4では、フィルター・ユニットの2つの入力端と接地との間には、それぞれ1つのダイオード又は双方向のダイオードが接続されて、振幅リミット及び帯電防止を実現する。
【0183】
実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例5では、フィルター・ユニットの2つの出力端と接地との間には、それぞれ1つのダイオード又は双方向のダイオードが接続されて、振幅リミット及び帯電防止を実現する。
【0184】
いくつかの実施例では、上記実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例1乃至変形例5を適宜に組み合わせて、
図8は、本発明の実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例1乃至変形例5の組み合わせの回路構成を示す。
【0185】
<実施例5に係るフィルター・ユニット>
実施例5に係るフィルター・ユニットには、実施例1に係るフィルター・ユニットまたは実施例1に係るフィルター・ユニットの変形例、或いは実施例2に係るフィルター・ユニットまたは実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例における各コモンモードインダクタを1つの装置にパッケージ化し、他の回路は変更せずに保持する。
【0186】
<実施例6に係るフィルター・ユニット>
実施例6に係るフィルター・ユニットには、実施例3に係るフィルター・ユニットまたは実施例3に係るフィルター・ユニットの変形例、或いは実施例4に係るフィルター・ユニットまたは実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例における各コモンモードインダクタを1つの装置にパッケージ化し、他の回路は変更せずに保持する。
【0187】
図11は、実施例6に係るフィルター・ユニットの可能な実施形態を示し、実施例3に係るフィルター・ユニットの各コモンモードインダクタを1つの装置にパッケージ化し、他の回路は変更せずに保持する。
【0188】
以下、本発明の各実施例に係る装置、ユニットを、
図9A1~
図9C2を参照しながら説明する。
【0189】
<実施例に係る装置>
本発明は、実施例に係る装置も提供し、実施例の各フィルター・ユニットの回路を1つの装置にパッケージ化し、コモンモード信号に対するフィルタリングを実現し、当該実施例に係る装置は、実施例1に係る装置、実施例2に係る装置、実施例3に係る装置、実施例4に係る装置および実施例に係る各装置の変形例及び変形例の組み合わせを含む。
【0190】
実施例1に係る装置は、実施例1に係るフィルター・ユニットに対応し、
図9A1は実施例1に係る装置の内部回路構造を示し、当該構造では、
図3Aに示された実施例1に係るフィルター・ユニットのコモンモードインダクタL1_1、L1_2と差動モードインダクタL2_1が1つの装置にパッケージ化されている。実施例1に係る装置の入力端は、1a、1bであり、出力端は、2a、2bであり、接地端子は、3a、3bである。
【0191】
実施例1に係る装置の利点は、実施例1に係るフィルター・ユニットと同じであり、ここでは説明を繰り返さない。
【0192】
実施例2に係る装置は、実施例2に係るフィルター・ユニットに対応し、
図9A2は、実施例2に係る装置の内部回路構造を示し、当該構造では、
図4Aに示された実施例2に係るフィルター・ユニットの各コモンモードインダクタL1_i(i=1,2,…,N+1)と差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)が1つの装置にパッケージ化されている。実施例2に係る装置の入力端は、1a、1bであり、出力端は、2a、2bであり、複数の接地端子を有し、N組を構成し、それぞれが差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)のコイル接地に用いられる。
【0193】
実施例2に係る装置の利点は、実施例2に係るフィルター・ユニットと同じであり、ここでは説明を繰り返さない。
【0194】
実施例3に係る装置は、実施例3に係るフィルター・ユニットに対応し、
図9B1は、実施例3に係る装置の内部回路構造を示し、当該構造では、
図6Aに示された実施例3に係るフィルター・ユニットのコモンモードインダクタL1_1、L1_2とコンデンサC3a、C3bが1つの装置にパッケージ化されている。実施例3に係る装置の入力端は、1a、1bであり、出力端は、2a、2bであり、接地端子は、3a、3bである。
【0195】
実施例3に係る装置の利点は、実施例3に係るフィルター・ユニットと同じであり、ここでは説明を繰り返さない。
【0196】
実施例4に係る装置は、実施例4に係るフィルター・ユニットに対応し、
図9B2は、実施例4に係る装置の内部回路構造を示し、当該構造では、
図7に示された実施例4に係るフィルター・ユニットの各コモンモードインダクタL1_i(i=1,2,…,N+1)と2N個のコンデンサが1つの装置にパッケージ化されている。実施例2に係る装置の入力端は、1a、1bであり、出力端は、2a、2bであり、複数の接地端子を有し、N組を構成し、それぞれが各コンデンサの接地に用いられる。
【0197】
実施例4に係る装置の利点は、実施例4に係るフィルター・ユニットと同じであり、ここでは説明を繰り返さない。
【0198】
実施例に係る各装置の従来の差動フィルター装置と異なるパラメータ特徴としては、その作動周波数範囲内で、2つの入力端と接地との間、2つの出力端と接地との間はコモンモード信号に対し高抵抗状態である。
【0199】
いくつかの実施例では、実施例に係る装置の変形例も含まれる。
【0200】
実施例1に係る装置の変形例およびその組み合わせは、それぞれ実施例1に係るフィルター・ユニットの変形例およびその組み合わせに対応し、実施例1に係るフィルター・ユニットの変形例又はその組み合わせにおける様々なコモンモードインダクタ、差動モードインダクタ、様々な単方向のダイオード、双方向のダイオード、様々なコンデンサおよび様々な抵抗器が1つの装置にパッケージ化され、その外部への接続方式は、実施例1に係るユニットの変形例又はその組み合わせと同じである。
【0201】
実施例2に係る装置の変形例およびその組み合わせは、それぞれ実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例およびその組み合わせに対応し、実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例又はその組み合わせにおける様々なコモンモードインダクタ、差動モードインダクタ、様々な単方向のダイオード、双方向のダイオード、様々なコンデンサおよび様々な抵抗器が1つの装置にパッケージ化され、その外部への接続方式は、実施例2に係るユニットの変形例又はその組み合わせと同じである。
【0202】
実施例3に係る装置の変形例およびその組み合わせは、それぞれ実施例3に係るフィルター・ユニットの変形例およびその組み合わせに対応し、実施例3に係るフィルター・ユニットの変形例又はその組み合わせにおける様々なコモンモードインダクタ、差動モードインダクタ、様々な単方向のダイオード、双方向のダイオード、様々なコンデンサおよび様々な抵抗器が1つの装置にパッケージ化され、その外部への接続方式は、実施例3に係るユニットの変形例又はその組み合わせと同じである。
【0203】
実施例4に係る装置の変形例およびその組み合わせは、それぞれ実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例およびその組み合わせに対応し、実施例4に係るフィルター・ユニットの変形例又はその組み合わせにおける様々なコモンモードインダクタ、差動モードインダクタ、様々な単方向のダイオード、双方向のダイオード、様々なコンデンサおよび様々な抵抗器が1つの装置にパッケージ化され、その外部への接続方式は、実施例4に係るユニットの変形例又はその組み合わせと同じである。
【0204】
以下、実施例2に係る装置の変形例を例にして、実施例に係る装置の変形例およびその組み合わせを説明する。実施例2に係る装置の変形例1乃至11は、実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例1乃至11に対応し、実施例2に係る装置の変形例の組み合わせは、実施例2に係るフィルター・ユニットの相応する変形例の組み合わせに対応する。
【0205】
図9C1は、実施例2に係る装置の変形例1乃至7の組み合わせの一例の構造図であり、実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例1乃至7の組み合わせに対応し、実施例2に係る装置に加えて、装置の内部に、各差動モードインダクタL2_iの接地コンデンサC2i-1、C2iと、入力コンデンサC1a、C1bと、出力コンデンサC2a、C3bと、インピーダンス整合の差動モードインダクタL2_0及び差動モードインダクタL2_N+1と、入力リミットダイオードD1a、D1b、および出力リミットダイオードD2a、D2b等各エレメントも加えた。
【0206】
図9C2は、実施例2に係る装置の変形例11の構造図であり、実施例2に係るフィルター・ユニットの変形例11に対応し、各差動モードインダクタL2_i(i=1,2,…,N)のコイル接地端子を1つのノードにして統合し、それぞれに3_1との番号を付け、接地させる。従って、実施例に係る装置全体の接地端子は1つになり、外部への接続方式を簡素化する。
【0207】
実施例に係る装置のすべてが受動部品を使用し、対称的な回路とされる場合、その入力端と出力端は交換可能である。
【0208】
以下、本発明に係る伝送装置の実施例を、
図10を参照しながら説明する。
【0209】
<伝送装置の実施例>
本発明は、差動ケーブルと、差動ケーブルの両端に接続されている第1装置とを含む差動モード信号を伝送するための伝送装置の実施例を提供し、前記第1装置は本発明に係る任意の装置の実施例またはその変形例またはその変形例の組み合わせであり、第1装置は、任意のユニットの実施例またはその変形例またはその変形例の組み合わせであってもよい。差動ケーブルのシールド層は、接地しなくてもよく、インダクタンスを介して接地してもよく、磁気ビーズを介して接地してもよい。
【0210】
図10は、実施例に係る伝送装置の適用場面の構造を示し、
図2の構造に加えて、2つのインダクタ35を増加し、差動ケーブル34の両端にはそれぞれ1つのインダクタ35を介して接地する。
図10の破線枠内の差動ケーブル34と、2つのフィルタ回路32と、2つのインダクタ35とで伝送装置の一実施例を構成する。
【0211】
開示された技術では、差動ケーブル34のシールド層が接地し、主に差動ケーブル34内のコモンモード信号に対してリターンパスを提供する。差動ケーブル34内のコモンモード信号は、シールド層内で逆方向の電流を誘導して、コモンモード信号と重畳した後、外部への放射を低減することができる。
【0212】
フィルタ回路32に、本願のフィルター・ユニットの任意の実施例またはその変形例またはその変形例の組合せを使用する場合、または、フィルタ回路32に本願のフィルター装置の任意の実施例またはその変形例またはその変形例の組合せを使用する場合、差動ケーブル34におけるコモンモード信号は非常に小さく減衰されるため、差動ケーブル34上の主な放射源として、接地線から差動ケーブル34のシールド層に結合されるコモンモードノイズである。このとき、差動ケーブル34のシールド層と接地との間に、インダクタ35を介して隔離させ、接地線から差動ケーブル34のシールド層に結合されるコモンモードノイズを低減する。
【0213】
図10における差動ケーブル34のシールド層と接地との間には、接地しない方法、または対応する周波数帯をろ過、除去する磁気ビーズまたは他のフィルター装置を用いて隔離してもよい。
【0214】
なお、上記は、本発明の好ましい実施例及び適用される技術原理に過すぎない。当業者にとって、本発明は本文に記載した特定実施例に限らず、請求項の範囲に限定される本発明の範囲を逸脱しない限り、以上の記載から種々の変更、再調整および置換可能であることを、容易に理解される。よって、上記の実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、若干の等価実施例を実施することができ、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
図4Aは、実施例2に係るフィルター・ユニットの構造を示し、実施例1に係るフィルター・ユニットの構造に加えて、
N-1個のコモンモードインダクタと
N-1個の差動モードインダクタを順に接続して構成されている。該N-1個のコモンモードインダクタは、差動配線上で順次直列に接続されており、それぞれL1_3~L1_N+1の番号が付けられ、各コモンモードインダクタの2つのコイルは、それぞれ差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、該N-1個の差動モードインダクタは、差動配線と接地の間に順次並列に接続されており、それぞれL2_2からL2_Nまでの番号が付けられ、各差動モードインダクタの2つのコイルは、それぞれ差動配線の1つの分岐配線と接地の間に接続されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0171】
図7には、実施例4に係るフィルター・ユニットの構造を示し、実施例3に係るユニットの構造に加えて、
N-1個のコモンモードインダクタと2(
N-1)個のコンデンサとを接続して構成されている。N-1個のコモンモードインダクタは、差動配線上で直列に接続されており、それぞれL1_3~L1_N+1の番号が付けられ、各コモンモードインダクタの2つのコイルは、それぞれ差動配線の1つの分岐配線に直列に接続されており、当該2(
N-1)個のコンデンサが差動配線に接続されており、それぞれC3_3~C3_2N(番号を統一するために、
図6AにおけるコンデンサC3a、C3bは、本図におけるC3_1~C3_2に対応する)の番号が付けられ、1つのコンデンサが各2つのコモンモードインダクタごとの間の差動配線の各分岐配線と接地との間に接続されている。
【国際調査報告】