(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】吻合用デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543054
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 NL2022050542
(87)【国際公開番号】W WO2023055232
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524116885
【氏名又は名称】インプリカン ベー.フェー.
(71)【出願人】
【識別番号】519446539
【氏名又は名称】ライクスユニバーシタイト フローニンゲン
(71)【出願人】
【識別番号】512122366
【氏名又は名称】アカデミス ズィーケンハイス フローニンゲン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハヴェンガ、クラース
(72)【発明者】
【氏名】コーイマン、イーフォ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC35
(57)【要約】
部品のキットが、第1の胃腸管の吻合を行う装置を形成するために提供される。部品キットは、一般に通路の外に向かう外表面を有する内側リングと、内表面を有する外側リングとを備える。内側リングと外側リングとが組み立て状態にあるとき、内側リングは外側リングの受容容積内に少なくとも部分的に位置しており、内側リングの外表面の少なくとも一部が外側リングの内表面に対向し、かつ外表面と内表面とがそれらの間に環状空間を画定し、環状空間の少なくとも一部は概ね軸方向に収束する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の胃腸管切断部(301)と第2の胃腸管切断部(302)の吻合を行うためのデバイスを構成する部品キットであって、前記部品キットは、
内側リング(100)であって、該内側リングを概ね軸方向に貫通する糞便通路(102)を画定し、かつ該通路(102)の概ね反対側を向く外表面(101)を備える、内側リング(100)と、
外側リング(200)であって、前記内側リングを少なくとも部分的にその内部に受容するための受容容積(202)を画定し、前記受容容積の方向に少なくとも部分的に面する内表面(201)を備える、外側リング(200)と、
を備え、
前記内側リングと前記外側リングは、前記内側リングが前記外側リングの前記受容容積内に少なくとも部分的に位置している組立て状態において、前記内側リングの前記外表面の少なくとも一部が前記外側リングの前記内表面に対向し、かつ前記外表面と前記内表面とで両者の間に環状空間を画定し、
前記環状空間の少なくとも一部は概ね軸方向に収束する、部品キット。
【請求項2】
前記組立て状態において、前記環状空間の少なくとも一部の、前記軸方向に垂直な半径方向における厚さ(W
min)は、1.0mm以下であり、特に0.5mm以下、さらには0.3mm以下である、請求項1に記載の部品キット。
【請求項3】
2つの胃腸管切断部の一部が前記環状空間内に配置された前記組立て状態において、前記軸方向に垂直な半径方向における前記環状空間の少なくとも一部の厚さ(W
min)は、1mm以下、特に0.5mm以下、さらには0.3mm以下であり、組立状態において、前記胃腸管切断部の粘膜下層同士が接触可能となる、請求項1又は請求項2に記載の部品キット。
【請求項4】
前記組立て状態において、前記環状空間の中心線(c)に垂直な前記環状空間の厚さ(T
a)は、前記環状空間の一部分に対して0.5mm以下、又は0.3mm以下であり、かつ前記環状空間の別の部分に対して1.0mm以上である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項5】
2つの胃腸管切断部の部分を前記環状空間内に配置した前記組立て状態において、前記環状空間の中心線(c)に垂直な前記環状空間の厚さ(T
a)は、前記環状空間の一部に対して1.0mm以下、さらには0.5mm以下又は0.3mm以下であり、かつ前記環状空間の別の一部に対して1.0mm以上であり、組立て状態において前記胃腸管切断部の粘膜下層同士が接触可能となる、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項6】
前記外表面及び前記内表面の少なくとも1つは、それぞれが前記内側リングと前記外側リングのうちの少なくとも1つで構成される剛性材料によって提供される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項7】
前記内側リングの前記外表面と前記外側リングの前記内表面との間の前記環状空間は、前記軸方向に垂直な平面における実質的に一定断面積を有する非分散部分から成る、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項8】
前記軸方向に平行な方向における前記環状空間の高さは、2~20mmの間、特に4~6mmの間である、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項9】
前記外側リングは、糞便用通路(102)に向かって突出する内側フランジ(203)を備える、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項10】
前記内側フランジの内径は、前記内側リングの前記外表面部分の外径に対応する、請求項9に記載の部品キット。
【請求項11】
前記外側リングは、内向き肩部(204)を備え、前記内側リングは外向き肩部(104)を備え、前記組立て状態において、前記内向き肩部は前記外向き肩部に当接するように配置される、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項12】
前記外側リングの前記内向き肩部(204)には、前記内向き肩部の表面(208)から突出する1以上の鋸歯(206)が設けられ、前記表面(208)は、少なくとも部分的に前記軸方向に向かう、請求項11に記載の部品キット。
【請求項13】
前記内側リングは外向きに突出する肩部(180)を備える、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項14】
前記組立て状態において、前記外向きに突出した肩部の少なくとも一部は軸方向に前記内側リングを超えて延在する、請求項13に記載の部品キット。
【請求項15】
前記外側リングは、前記内側リングが前記外側リングの端部に整列したときに前記内側リングよりも低い高さを有する、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項16】
第1の胃腸管切断部(301)と第2の胃腸管切断部(302)の吻合を行うための方法であって、前記方法は、
内側リング(100)を前記第1の胃腸管切断部(301)内に配置して、前記内側リングを少なくとも部分的に前記第1の胃腸管切断部内に囲い込むステップと、
外側リング(200)を前記第2の胃腸管切断部(302)内に配置して、前記外側リングを少なくとも部分的に前記第2の胃腸管切断部内に囲い込むステップと、
前記内側リングを軸方向に前記外側リングの受容容積(202)の中へ移動させるステップと、
を含み、
前記内側リングを軸方向に前記外側リングの前記受容容積(202)の中へ移動させる間に、前記内側リングの外表面と前記外側リングの内表面との間に環状空間(300)が形成され、前記第1の胃腸管切断部の一部と前記第2の胃腸管切断部の一部とが前記環状空間内で共に圧縮されるように前記環状空間が概ね軸方向に収束する、方法。
【請求項17】
前記内側リングが前記外側リングの前記受容容積内に移動した後、前記第1の胃腸管切断部の一部と、前記第2の胃腸管切断部の一部の主に粘膜下層が前記環状空間内に存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記内側リングが前記外側リングの前記受容容積内へ移動するときに、前記第1の胃腸管切断部と前記第2の胃腸管切断部の外側端部が切り落とされる、請求項16又は、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記内側リングが前記外側リングの前記受容容積内に移動した後、2つの前記胃腸管切断部の粘膜下層が、特に全周に亘って相互に接触して配置されるようになる、請求項16~請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
第1の胃腸管切断部(301)と第2の胃腸管切断部(302)の吻合を行うための、内側リングと外側リングを備える装置を配置するための配置装置(400)であって、
ハウジング(402)と、
前記ハウジングの遠位端(401)において、吻合を行うための前記装置の前記内側リングに接続されるように配置された並進可能な要素であって、並進軸(406)上を並進するように配置された並進可能要素(404)と、
前記ハウジングの近位端(403)において、前記並進軸に対してある角度で、特には垂直に位置決めされた回転軸(410)を中心に回転するように配置されたアクチュエータ(408)と、
を備え、
前記配置装置は、前記アクチュエータを前記並進可能要素に接続する連結機構を更に備え、該連結機構は前記アクチュエータの回転を前記並進可能要素の並進に変換するように構成された、配置装置(400)。
【請求項21】
前記連結機構は、前記アクチュエータを前記並進可能要素へ接続するための伝動装置を備える、請求項20に記載の配置装置。
【請求項22】
前記ハウジングの近位端において前記ハウジングに接続されたハンドル(412)を更に備え、前記ハンドルの少なくとも一部は、楕円体、特に3軸楕円体の少なくとも一部の形状であり、特には楕円体の半分以上の形状である、請求項20又は請求項21に記載の配置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様及び実施形態は吻合、特に2つの胃腸管切断部の吻合を行うためのデバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
吻合、すなわち食道、結腸またはその他の部位などの胃腸管の管状器官の2つの切断部の接合は、しばしば漏出、感染症、線維症などの合併症を伴う。例えば、従来の円形ステープラによる結腸部分の吻合を含む低位前方切除症例の約10%において吻合部漏出が観察される。
【0003】
吻合後の合併症の予防という観点で、圧縮吻合術を用いることで好ましい結果が得られている(例えば、Kaider-Personら、The American Journal of Surgery(2008)195,818-826参照)。従来の圧縮吻合術は、例えば、胃腸管の2つの組織層を、公知のMurphyボタン、Boeremaノット、Valtrac(登録商標)または磁気リングなどのクランプ装置の2つの部材間にクランプして固着させることを含む(それぞれ、Cossuら、The American Surgeon(2000)(8)、759-762、及び、Jansenら、Surgery、Gynecoloy&Obstetrics(1981)153、537-545を参照)。
【0004】
オランダ国特許出願公開第2017917号明細書には、いずれも表面層及び中間層を含む第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部との吻合を行うための方法、及びそのための外科用器具、典型的には外科用ステープラが開示されている。この方法は、胃腸管切断部の表面層同士を接触させることと、接触させた切断部を第1の加圧域と第2の加圧域との間で圧縮することとを含み、圧縮中に第1の加圧域及び第2の加圧の合計が増加して、表面層が横に押しやられて中間層が接触するようになる。
【0005】
米国特許出願第20110264121(A1)号明細書には環状臓器の吻合のためのスリーブ型固定方法が開示されている。吻合部において2つの腸が内側リングと外側リングの間に重ねられる。吻合部の幅は約4~5ミリメートルであって、腸の漿膜同士の接触を可能とする。
【0006】
米国特許第5290298号明細書には、人体の中空臓器吻合のための分解可能な圧縮装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
良好な結果にも拘らず、圧縮吻合術には依然として課題がある。そのために、吻合手術においては従来の外科用ステープラの使用が一般的な標準である。従来の外科用ステープラは、腸の接続部分に圧縮を与えず、ステープル間の血流を保持する。したがって、圧縮吻合をさらに改良して、施術をより簡単にし、より利用しやすくすることが望まれる。術後の合併症を軽減するなどの治癒過程の観点からも、圧縮吻合術の改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の吻合を行うための装置を形成する部品のキットを提供する。部品キットは、内側リングであって、この内側リングを概ね軸方向に貫通する糞便通路を画定し、かつこの通路の概ね反対側を向く外表面を備える内側リングと、外側リングであって、内側リングを少なくとも部分的にその内部に受容するための受容容積を画定し、その受容容積の方向に少なくとも部分的に面する内表面を備える外側リングと、を備える。ここで、この内側リングと外側リングは、内側リングが外側リングの受容容積内に少なくとも部分的に配置される組立て状態において、内側リングの外表面の少なくとも一部が外側リングの内表面に対向し、かつ外表面と内表面とで両者の間に環状空間を画定し、環状空間の少なくとも一部は概ね軸方向に収束する。第1の軸方向に収束する環状空間は、第1の軸方向とは反対の第2の軸方向に発散する環状空間と同一であることは理解されるであろう。
【0009】
一般的に、内側リングと外側リングが組立て状態にあると言う場合には、第1の胃腸管切断部の一部と第2の胃腸管切断部の一部が、内側リングと外側リングの間、特に環状空間にあることを意味する。
【0010】
第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部が内側リングと外側リングの間にあるときは、内側リングと外側リングの少なくとも一方が変形可能である。このように、内側リングと外側リングの間に胃腸管切断部があるかないかによって、環状空間の形状は異なり得る。
【0011】
変形されるために、内側リングと外側リングの少なくとも一方は、弾力性のある、弾性材料及び/又は変形可能材料で構成され得る。具体的には、内側リングの外表面と外側リングの内表面のうちの少なくとも1つは変形可能であってよい。
【0012】
胃腸管の組織は、基本的に3層の異なる組織からなる管状の層構造である。外周層は主として筋板からなり、次の粘膜下層は主としてコラーゲンからなり、管腔層は主として粘膜からなる。
【0013】
環状空間は第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の両方の一部を収容するように配置可能である。具体的には、環状空間は、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の両方の粘膜下層を収容できる大きさであり得る。
【0014】
使用時に、内側リングを少なくとも部分的に外側リングの受容容積内に配置することによって部品キットが組み立てられると、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部は環状空間において内側リングと外側リングの間で圧縮されるようにすることができる。本発明者らは、十分な圧力を加えると外周層と管腔層が薄くなって、特に外周層と管腔層とが切り落とされ、環状空間の少なくとも一部に粘膜下層のみ、あるいは実質的に粘膜下層のみが残るようにまでなることを見いだした。
【0015】
胃腸管切断部の圧縮は、内側リングと外側リングの間の環状空間が、非圧縮状態で組み合わされた第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の全厚さを収容するには不十分な大きさであることによって達成可能である。組立て状態では、環状空間の少なくとも一部が概ね軸方向に収束しているために、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部に異なる大きさの圧縮が印加され得る。
【0016】
圧縮量は、概ね軸方向、特に胃腸管の下流方向で増加可能である。こうして、上流方向で考える場合、圧縮量はある地点でゼロに達するか、概ねゼロとなり得る。このことは、胃腸管切断部の片方又は両方、及び/又は粘膜下層などの胃腸管切断部の1以上の層に対して当てはまる。
【0017】
軸方向に垂直な径方向における、環状空間の大部分、又は少なくとも一部の厚さは、0.1から1.0mmの間であり、特に、0.15~0.75mmの間、さらには0.3~0.5mmの間であってよい。
【0018】
軸方向に垂直な径方向における、環状空間の少なくとも一部、又は大部分の厚さは、1.0mm以下、0.5mm以下、又は0.3mm以下でさえあってよい。径方向の環状空間の厚さが1.0mm以下、特に0.5mm以下である場合には、第1の胃腸管切断部及び第2の胃腸管切断部の粘膜下層は、相互に接触して配置可能である。その結果粘膜下層同士の間で一次的意図による治癒を有利にもたらすことが可能となる。環状空間の一部は1.0mmより小さい幅を有し得るが、環状空間の別の部分では1.0mmより大きい幅を有することが可能であり、環状空間はこの大きな幅から1.0mmより小さい幅へ収束することが理解されるであろう。径方向の厚さにおいて環状空間の所望の厚さは、通常胃腸管切断部の壁厚、特に粘膜下層の厚さに依存する。
【0019】
具体的には、環状空間の幅が1.0mm以下、又は0.5mm以下、さらには0.3mm以下に減少するに連れて、胃腸管切断部の漿膜と粘膜層、すなわちそれぞれ外周層と管腔層、の一方又は両方は、内側リングが外側リングの受容容積内へ移動するとともに粘膜下層から剥離されるか剥がれ落ちる可能性がある。追加又は代替として、環状空間の厚さの減少により、漿膜層及び粘膜層の一方又は両方が押しつぶされるか分解されて粘膜下層を露出させ得る。
【0020】
組立て状態において内側リングと外側リングは、両者の間に環状空間を画定するように配置されるので、環状空間の別の部分は0.5mm超、又は1.0mm超の厚さとなり得る。使用時に、内側リングが外側リングの中へさらに移動して、環状空間の幅が狭くなると、第1の胃腸管切断部及び第2の胃腸管切断部の粘膜下層は相互に接触する配置となる。
【0021】
第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の粘膜下層同士の間の接触は、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の間の治癒を改善し、及び/又は、例えば両方の胃腸管切断部の漿膜層のみが接触する状態と比べて、患者の胃腸管切断部の吻合の安定性を向上させる可能性があることが観察された。粘膜下層は胃腸管切断部の根幹を形成することが観察されており、したがって胃腸管切断部の粘膜下層同士の間の吻合は、漿膜層同士及び/又は粘膜層同士の間の吻合の代替又は追加として好ましい可能性がある。
【0022】
必ずしも必要ではないが好ましくは、粘膜下層同士は外側リングの外側、例えば外側リングの軸方向外側、例えば外側リングの上方又は下方でも接触する。外側リングの外側は、外側リングの受容容積の外側及び/又は外側リングの内径の外側を意味し得る。
【0023】
内側リングと外側リングが、胃腸管切断部を内側リングと外側リングの間に配置した組立て状態に移動する時、内側リングと外側リングの一方又は両方は、弾性的及び/又は塑性的に変形され得ることが理解されるであろう。そのため、環状空間の所望の形状及び寸法は、例示として、胃腸管切断部が環状空間内に配置された場合にのみ達成される可能性がある。したがって、本開示において内側リングと外側リングが組立て状態にあると言う場合には、これは胃腸管切断部が環状空間内に配置されていることを意味し得るということが理解されるであろう。
【0024】
したがって、組立て状態では、2つの胃腸管切断部の部分は環状空間内に配置され、軸方向に垂直な径方向での環状空間の少なくとも一部の厚さは、0.5mm以下、特には0.3mm以下であり、この組立て状態では胃腸管切断部の粘膜下層同士が接触可能となる。
【0025】
本明細書に開示の任意の部品キットに適用可能な更なるオプションとして、組立て状態において、環状空間の中心線に垂直な環状空間の厚さは、環状空間の一部に対して1.0mm以下、特に0.5mm以下、あるいは0.3mm以下でさえあって、かつ環状空間の別部分に対して1.0mm以上、あるいは0.5mm以上でさえあってよい。これらの特定の厚さにより、胃腸管切断部同士が圧縮されて、粘膜下層の接触を可能とする。
【0026】
このように、任意の内側リングと任意の外側リングの任意の組み合わせの、本明細書に開示の任意の部品キットは、胃腸管切断部の部分を環状空間に配置した組立て状態において、環状空間の中心線に対して垂直な環状空間の厚さが、環状空間の一部に対して1.0mm以下、特に0.5mm以下、0.3mm以下であり、かつ環状空間の他の部分に対して0.5mm以上又は1.0mm以上でさえあるように配置可能であって、組立て状態において胃腸管切断部の粘膜下層同士を接触させるようにできることが理解されるであろう。
【0027】
内側リングを貫通する糞便通路の方向は、一般的に軸方向として定義することができ、糞便は通常胃腸管を下流方向に貫通して移動する。糞便通路の反対側を向く内側リングの外表面は、こうして少なくとも部分的に径方向を向く。ここで、径方向は軸方向に垂直であるように定義される。
【0028】
一般に、内側リングは、内側リングの中心線に関してほぼ対称、特に回転対称であり、外側リングは外側リングの中心線に関してほぼ回転対称、特に回転対称であり得る。使用時に、組立て状態では、内側リングと外側リングの中心線は整列しているか、少なくとも近似的に整列していることが可能である。内側リング及び/又は外側リングなどのリングは、概ね円形又はドーナツ状の形状を有することができ、あるいは、概ね卵形又は楕円形などの他の任意の形状を有してもよい。
【0029】
内側リングの外表面と外側リングの内表面の少なくとも1つは、内側リングと外側リングのそれぞれの少なくとも1つで構成される剛性材料によって提供することが可能である。
【0030】
一般的に、剛性という用語は、吻合を行う装置の使用時に、その装置によって構成される材料が、装置の使用に影響を与えるようないかなる変形もしないことを意味するように使用される。一般的な合成材料は、金属、複合材料、熱硬化性樹脂である。
【0031】
剛性材料の反対は、弾力性のある材料である。弾力性材料という用語は、吻合を行う装置の使用時に、その装置により構成される材料が、その装置で普通に使用される大きさの力をかけた際に変形し得ることを意味する。材料はこうして特定の剛性を示し、それはN/mm、すなわちミリメートルで表される特定の変形に必要なニュートン単位での力の大きさ、で表される。力が材料に加わらなくなると、材料は少なくとも部分的に弾性変形してその元の形状に戻る。このように、弾性変形した状態では、弾力性のある材料は加えられた力の方向とは反対方向に力を与えることが可能である。
【0032】
任意選択として、内側リングの外表面と外側リングの内表面との間の環状空間は、分散部分の隣に、軸方向に垂直な面内に実質的に一定な断面積を有する非分散部分を含むことができる。
【0033】
軸方向に平行な方向における環状空間の高さは、4~20mmの間、特に4~6mmの間、あるいは少なくとも2mm超、又は少なくとも4mm超であってよい。この高さは、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の十分な部分が環状空間内で圧縮されることを可能とし得る。
【0034】
内側リングと外側リングの接続には、異なるタイプの接続が使用される場合がある。配置中、又は配置後に、内側リングと外側リングを相互に、かつ胃腸管に対して接続して、片方又は両方のリングが、例えば蠕動または糞便のリングの通過により胃腸管を通して移動することを防ぐことが好ましい。
【0035】
一般に、内側リングと外側リングの間の接続は、例えば両リングの間の干渉嵌合を使用するクランプ接続、1以上のインタロック部品から成る片持ち梁式スナップフィットなどのスナップフィット接続、摩擦接続、他の任意の接続、又はそれらの任意の組み合わせであってよい。クランプ接続に関しては、内側リングと外側リングの片方又は両方の部品は弾力性があってよい。
【0036】
特定のスナップフィット接続は、内側リングと外側リングの第1のものの一部が、内側リングと外側リングの第2のものの一部よりも大きなフットプリントを有するときに実現可能である。フットプリントは、内側リングと外側リングの中心線に垂直な上面図内に想定可能である。内側リングが外側リングの受容容積内に少なくとも部分的に配置されると、フットプリントの大きい部分がフットプリントの小さい部分の後ろに引っかかることができる。楕円体の内側及び/又は外側形状を有するリングは、円形の内側及び/又は外側形状を有するリングよりも大きなフットプリントを持つことができる。
【0037】
第2の態様は、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の吻合を行うための方法を提供する。この方法は、内側リングを第1の胃腸管切断部内に配置して、内側リングを少なくとも部分的に第1の胃腸管切断部内に囲い込むステップと、外側リングを第2の胃腸管切断部内に配置して、外側リングを少なくとも部分的に第2の胃腸管切断部内に囲い込むステップと、内側リングを軸方向に外側リングの受容容積の中へ移動させるステップと、を含む。内側リングが外側リングの受容容積内に十分に移動した後に内側リングは外側リングに接続されるか、接続状態となる。
【0038】
内側リングを軸方向に外側リングの受容容積の中へ移動させる間に、内側リングの外表面と外側リングの内表面との間に環状空間が形成され、この環状空間が概ね軸方向に収束して、第1の胃腸管切断部の一部と第2の胃腸管切断部の一部とが環状空間内で共に圧縮されるようになる。
【0039】
第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の一部の圧縮された部分は、ほぼ軸方向を向く。それは環状空間の少なくとも一部もまたほぼ軸方向を向くことができるからである。
【0040】
具体的には、内側リングが外側リングの受容容積内に移動した後、第1の胃腸管切断部の一部と、第2の胃腸管切断部の一部の主に粘膜下層が前記環状空間内に存在する。主として存在するということは、胃腸管で満たされた環状空間の容積のかなりの部分、例えば50%超、さらには80%超が粘膜下層で満たされていることを意味し得る。
【0041】
外周層と管腔層は、例えば異なる層の材料組成のせいで、粘膜下層よりも圧縮される可能性がある。粘膜下層で構成される材料は、圧縮に対してより高い剛性を有し、粘膜下層の厚さは圧縮下において外周層及び管腔層よりも減少が小さい可能性がある。
【0042】
2つの胃腸管切断部が内側リングと外側リングの間で圧縮されるとき、2つの胃腸管切断部の粘膜下層が互いに接触して配置されるようになることが好ましい。一般に、粘膜下層同士を接触させることにより、一次的意図による治癒が促進され得る。一次的意図による治癒は、治癒プロセス速度を向上させ、漏出、感染症、線維症などのリスクを軽減し得る。2つの粘膜下層の接触は、環状空間内又は環状空間外で達成され得る。
【0043】
追加又は代替として、流体などの物質が、外周層と管腔層の一方又は両方の外へ押し出されるか絞り出され、これらの2つの層の厚さ及び/又は体積を圧縮下で減少させ得る。追加又は代替として、外周層と管腔層の一方又は両方は、特に内側リングが外側リングの受容容積の中へ移動するとき、粘膜下層から剥離されるか剥がれ落ちる可能性がある。
【0044】
2つの胃腸管切断部が内側リングと外側リングの間で圧縮されるとき、胃腸管切断部の管腔内の破片、細菌、あるいはその他の任意の物質は、内側リングを通る糞便通路に対応する、胃腸管切断部の中心線方向に押し出されるか移動することが可能である。このように、破片、細菌又はその他の任意の物質が、2つの粘膜下層が相互に接触する治癒部位に接触することを少なくとも部分的に防止可能である。
【0045】
内側リングが、外側リングの受容容積内へ移動するときに、第1の腸管切断部と第2の腸管切断部の外側端部が切り落とされる可能性がある。切り落とされた部分は肛門を通って体外に出ることができる。胃腸管切断部の切断は、内側リングと外側リングの2つの相互作用部分を用いて実行可能である。相互作用部分の1つ又は両方が、1以上の鋭利な又は鋸歯状の端部又は表面を有して、それを相互作用部分のもう一方に対して、例えば押し付けることが可能である。2つの相互作用部分の間に位置する胃腸管切断部の部分は、こうして完全又は部分的に切断されるか、少なくとも穿孔されることが可能である。
【0046】
本方法の実施形態では、胃腸管切断部部分の切断に刃先のあるアンビルを使用することも可能である。アンビルは内側リング及び外側リングとは別の要素である。使用時にアンビルは内側リングの内側に配置可能である。アンビルを備えた内側リングが第1の胃腸管切断部の内側に配置される場合、アンビルを使用して、内側リングを外側リングの受容容積内に引っ張ることが可能である。内側リングが外側リングの受容容積内にそれ以上移動しない場合、アンビルを内側リングから外してリングを介して引っ張ることが可能であり、それによりそれぞれが内側リングと外側リングを囲んでいる第1及び第2の胃腸管切断部の一部を切断することが可能である。
【0047】
任意選択として、部品キットに補助保持リングを備えることができ、これが胃腸管切断部の切断にアンビルと協働するように配置される。使用時に、補助保持リングは第2の胃腸管切断部において外側リングの下流に配置可能である。補助保持リングは、鋭利な、及び/又は鋸歯状の表面及び/又は端部を備えることができる。アンビルが内側リングを通過した後、アンビルは胃腸管切断部を切断するために補助保持リングの鋭利な又は鋸歯状の部分に接することができる。
【0048】
本方法の実施形態において、内側リングが外側リングの受容容積内に移動した後、2つの胃腸管切断部の粘膜下層が相互に、特に全周に亘って、接触して配置されるようになる。環状空間の形状により、粘膜下層の接触部分は、粘膜及び糞便に由来する細菌から本質的に分離可能である。2つの胃腸管切断部の筋層同士を環状空間の外側の近くに提供することは、それにより一次的意図による治癒を促進する可能性があり、好ましい場合がある。
【0049】
第3の態様は、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の吻合を行うための、内側リングと外側リングを備える装置を配置するための配置装置を提供する。
【0050】
第2の態様による方法は、第1の態様による部品キットの構成要素の使用、及び/又は第3の態様による配置装置の使用により実行可能であることは理解されるであろう。このように、態様の1つに関連して開示した任意選択の特徴は、他の2つの態様の実施形態に容易に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】部品キットの第1の実施形態の斜視図に隣接する上面図である。
【
図3A】第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の吻合を行うための方法の異なる段階を示す図である。
【
図3B】第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の吻合を行うための方法の異なる段階を示す図である。
【
図3C】第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の吻合を行うための方法の異なる段階を示す図である。
【
図4A】吻合を行う装置を形成する部品キットの第2の実施形態を示す図である。
【
図4B】吻合を行う装置を形成する部品キットの第2の実施形態を示す図である。
【
図4C】吻合を行う装置を形成する部品キットの第2の実施形態を示す図である。
【
図5A】2つの胃腸管切断部の吻合を行うための装置を配置する配置装置斜視図である。
【
図5B】2つの胃腸管切断部の吻合を行うための装置を配置する配置装置斜視図である。
【
図6A】配置装置の一部の実施形態を示す図である。
【
図9】2つの胃腸管切断部を、外側リングと内側リングの間の環状空間内に圧縮挿入した実験のカラー写真である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1Aは、第1の胃腸管切断部と第2の胃腸管切断部の吻合を行う装置を形成する部品キットの第1の実施形態の組立て状態での斜視図に隣接する上面図を示す。
図1Bは、
図1Aの上面図にA-Aで示す断面図である。
【0053】
部品キットは、糞便の通る通路102を画定する内側リング100の実施形態を含む。内側リング100は、一般に通路102の反対を向く外表面101を含む。
【0054】
図1A及び
図1Bに示す部品キットの実施形態は、内側リングの少なくとも一部を受容する受容容積202を画定する、外側リング200をさらに含む。外側リング200は、少なくとも部分的に受容容積202方向に面する内表面201を含む。
【0055】
例えば
図1Bに示すように組立て状態においては、外側リング200の内表面201は内側リング100方向を向く。内側リング100の外表面101は、外側リング200の方向を向く。具体的には、外表面101は少なくとも部分的に内表面201に面する。
【0056】
外側リング200と内側リング100は、任意選択により、中心線105に対して同軸に、かつ、中心線105を中心に実質的に回転対称に配置される。
図1A、
図1Bでは、軸方向は中心線105に平行に定義可能である。
【0057】
組立て状態では、例えば
図1Bに示すように、外側リング200と内側リング100の間、具体的には外表面101と内表面201との間に環状空間300が形成される。
【0058】
図1Bに示すように、任意選択により外側リング200には糞便のための通路102に向いた、あるいは場合によっては通路の中にまで突出した内側フランジ203が含まれ得る。具体的には、内側フランジ203は、内側フランジ203に隣接する外側リング200の内表面201の1以上の部分よりも小さい内径を有することができる。
【0059】
内側フランジ203の内径は内側リング100の外表面101の一部の外径に対応する。ここでの対応するということは、内側フランジ203と内側リング100との間の干渉嵌合、軽い干渉嵌合、又は緩い嵌合のうちの1つを意味し得る。内側フランジ203を外側リングの内表面201の隣接部分に接触させる一方又は両方の面は、丸められるか、面取りされるか、又は少なくとも部分的に半径方向に対して斜めに配向させることができる。
【0060】
図1A、
図1Bでは、内側フランジ203は外側リング200によって構成されるように描かれているが、内側フランジ203に追加して又はその代替として、内側リング100が外側フランジを有してもよい。
【0061】
内側リング100と外側リング200の間で、干渉嵌合などの嵌合が行われる場合、部品キットの任意の実施形態において、内側フランジ203のおかげで、内側リング100と外側リング200の間での糞便の漏出を低減し、防止することすら可能である。
【0062】
図1Bに示し、また部品キットの任意の実施形態に適用可能なオプションとしては、環状空間300の一部300’がほぼ一定断面を有することである。この部分300’の径方向厚さは、2つの圧縮された粘膜下層の厚さに対応し得る。
【0063】
図2は、
図1A及び
図1Bの部品キットの未組立て状態の概略図である。内側リング100が、近位胃腸管切断部であり得る第1の胃腸管切断部301内に配置される。外側リング200が、遠位胃腸管切断部であり得る第2の胃腸管切断部302に配置される。胃腸管切断部は、例えば巾着縫合を用いて少なくとも部分的に閉鎖され、それぞれの胃腸管切断部を部分的に閉じることが可能である。
【0064】
図3A、
図3B、
図3Cは、第1の胃腸管切断部301と第2の胃腸管切断部302の吻合を行う方法の異なる段階を示す。
図3A、
図3B、
図3Cに概略的に示すように、胃腸管切断部は一般的に、筋層から成る外周層311、粘膜から成る管腔層313、及び外周層311と管腔層313の間の粘膜下層312を含む。
【0065】
図3Aに示す方法の第1のステップでは、内側リング100の実施形態が第1の胃腸管切断部301内に配置され、外側リング200の実施形態が、第2の胃腸管切断部302内に配置される。胃腸管切断部は、
図2からもわかるように、少なくとも部分的に内側リングと外側リングをそれぞれに包囲する。そのため、例えば、内側リング100を軸方向に移動させると、第1の胃腸管切断部301も内側リングとともに軸方向に移動する。内側リングと外側リングは一方が他方の中に摺動するか嵌まり込むように構成可能である。
【0066】
図3B及び
図3Cに示す方法の第2のステップにおいて、内側リング100は軸方向に移動して、少なくとも部分的に外側リング200の受容容積202内に入る。この移動の間に、内側リング100の外表面101と、内表面201との間に環状空間300が形成される。第1の胃腸管切断部301の一部と第2の胃腸管切断部302の一部が環状空間300内に圧入される。この環状空間300はしたがって2つの胃腸管切断部の厚さよりも小さい径方向の厚さを有することができる。
【0067】
図3Cは方法の第3のステップであり第1の胃腸管切断部の一部と第2の胃腸管切断部の一部が環状空間において一緒に圧縮される。さらに、第1の胃腸管切断部の別の一部301’と第2の胃腸管切断部の別の一部302’が、例えば内側リング100が外側リング200内へ移動する間に切り落とされてしまう。第1の胃腸管切断部301’と第2の胃腸管切断部302’の切り落とされる部分は、内側リング100が軸方向に移動して外側リング200の受容容積202内に入る前にはそれぞれ内側リング100及び外側リング200で包囲されていてもよい。
【0068】
胃腸管切断部301’及び胃腸管切断部302’の一部は、外側リング200の内側フランジ203と内側リング100との間の嵌合により、あるいは内側リングと外側リングの一方又は両方によって構成される別の切断部によって切り落とすことが可能である。
【0069】
図3Cに概略的に示すように、例えば環状空間300の特定の径方向厚さによって、主として粘膜下層312が環状空間300内に存在する。環状空間300では、外周層311及び/又は管腔層313は粘膜下層312よりもさらに圧縮され得る。
【0070】
環状空間が発散した、テーパ状の、及び/又は漏斗状の形状であるために、通常、胃腸管の異なる部分には異なる大きさの圧縮が達成され得る。例えば、環状空間の最も広い部分、又はその近くにおいては胃腸管は少ししか圧縮されないか全く圧縮されないが、環状空間のより狭い部分では圧縮が増大する。胃腸管に僅かしか、あるいは全く圧縮がかからない環状空間部分又はその近くでは、圧縮されていない粘膜下層が近接することが可能である。環状空間の狭い方にさらに進めば、2つの粘膜下層を次第に圧縮することが可能である。
【0071】
図4A、
図4B、
図4Cは、吻合を行う装置を形成する部品キットの第2の実施形態であり、それぞれ上面図、斜視図、及び
図3Aの面A-Aに沿った断面図を示す。
【0072】
部品キットの第2の実施形態は、内側リング100と外側リング200からなり、内側リング100が糞便通路102を画定し、外側リングが外側リング200の少なくとも一部を受容する受容容積202を画定する。
【0073】
図4A、
図4B、
図4Cの部品キットは組立て状態を示す。したがって、環状空間300が、内側リング100の外表面101と外側リング200の内表面201との間に画定される。環状空間300の一部は、中心線105に平行な概ね軸方向に、特に下流への軸方向に収束する。言い換えれば、環状空間300は軸の上流方向に発散する。
【0074】
特定のオプションとして、例えば
図4Cに示すように、外側リングが内側フランジの一例として内向きの肩部204を備える。内側リング100は、外向き肩部104を備える。組立て状態において、内向き肩部204は、特に中心線105に対してある角度で配向、例えば中心線105に対してほぼ垂直な、すなわち径方向にある平面上で、外向き肩部104に当接するように配置される。
【0075】
更なるオプションとして、例えば
図4Cに示すように、外側リング200の内向き肩部204には、内向き肩部204の表面208から突出する1以上の鋸歯206が設けられ、この表面208は少なくとも部分的に軸方向、すなわち中心線105に平行に面する。この鋸歯206により、胃腸管切断部が切断あるいは少なくとも穿孔され得る。
【0076】
図5A、
図5Bは、2つの胃腸管切断部の吻合を行うための装置を配置する配置装置の2つの斜視図である。
【0077】
配置装置400にはハウジング402が含まれ、これは、外科医が少なくとも部分的にこのハウジング402の形状を操作可能であるという意味で可撓性を有するハウジングであってよい。例えば、ハウジング402はヒンジ接続、あるいは回転可能に接続された複数の部分からなり、複数の部分が相互にヒンジ運動又は回転をすることができる。
【0078】
配置装置400は、ハウジング402の遠位端401に、吻合を行う装置の内側リングに接続されるようになった並進可能要素404を備え、この並進可能要素は並進軸406上を並進するように配置される。並進可能要素404の遠位端には、内側リングに接続するための接続要素414を設けることが可能である。接続要素414は、並進可能要素404に対して厚くなった要素であってもよい。すなわち接続要素414は並進可能要素404よりも大きな外径を有することができる。
【0079】
ハウジングの近位端403において配置装置400は、回転軸410を中心に回転するようになったアクチュエータ408を備える。この回転軸は並進軸406に対して斜めに配置される。具体的には回転軸は並進軸406に垂直に配置可能である。例えば、ハウジング402の一部が可撓性である場合、並進軸406と回転軸410は必ずしも交叉しない。
【0080】
アクチュエータ410を並進可能要素404に接続するために、例えばラックとピニオン機構、ねじ付きスピンドル、サイクロイド伝動装置、又は他の任意のねじ付き機構を使用して、アクチュエータの回転を並進可能要素の並進に変換するようになった連結装置を配置装置はさらに備える。連結装置はハウジング402内に配置されるか、ハウジングで覆われてもよく、したがって、
図5A、
図5Bでは見えない。アクチュエータは、例えば外科医からの力及び/又はトルク入力を受けるように配置された部品として理解されるべきである。アクチュエータは作動可能要素とも称することができる。
【0081】
伝動装置は、例えば、1以上の歯車、ラック、又は他の任意の回転伝達要素を含む連結装置で構成可能である。伝動装置は、アクチュエータの回転速度を並進可能要素のより低い速度へ変換するために使用可能である。その結果、アクチュエータの回転に必要なトルクの低減が可能となる。例えば伝動装置は、32:1以上、16:1以上、あるいは2:1以上のギア比を有してもよい。
【0082】
任意選択により、配置装置400はハンドル412をさらに備え、これはアクチュエータ408に対向して配置可能である。こうして、回転軸410はハンドル412の一部を通って延在可能である。ハンドル412は、ハウジングの近位端403でハウジングに接続される。
【0083】
ハンドル412の少なくとも一部は、楕円体、特に3軸楕円体の少なくとも一部の形状であり、特に楕円体の半分以上であってよい。こうして、ハンドル412は手の大きさが違っても便利に保持可能である。
【0084】
装置の使用時には、配置装置400はその遠位端401が、例えば患者の肛門を介して患者に挿入可能である。使用時に、配置装置400の近位端403を患者の体外に配置して、例えばアクチュエータ408を外科医が作動できるようにすることが可能である。
【0085】
図6Aは、配置装置、例えば
図5Aに示すような配置装置のエンドエフェクタ416の一実施形態を斜視図で示す。エンドエフェクタ416は、並進可能要素404と内側リングに接続するための接続要素414を備える。
【0086】
図6Bは、内側リング100が接続要素414に接続され、外側リング200がエンドエフェクタ本体418に接続された
図6Aのエンドエフェクタ416を断面図で模式的に示す。
図6Bからわかるように、並進可能要素404と、それと共に接続要素414を移動させることにより、内側リング100が外側リング200に向かって、及びその中へ移動可能である。
【0087】
配置装置は任意選択として切断リング420を備え、これは例えば
図6Aに示すような鋭利な刃先又は鋸歯端部を備えることができる。鋸歯端部の鋸歯により、胃腸部の部分が切断可能である。外側リング200は切断リング420に固定可能であり、そうして配置装置のエンドエフェクタ416に固定可能である。
【0088】
図7A~
図7Dは、吻合を行うための内側リング100と外側リング200の配置方法を4つのステップで概略的に示す。図を見やすくするために、胃腸管は示されていない。
【0089】
図7Aに示す第1のステップでは、内側リング100が外側リング200内に部分的に配置されて切断リング420に接触する。第2のステップで、並進可能要素404をさらに引き下げることにより
図7Bの状態となる。
図7Bで分かるように、切断リング420が、切断リング420の動きを許容する任意選択の受容容積422を有するエンドエフェクタ本体418に対して移動し終える。第1のステップの前に、例えば
図3Aに示すように、内側リングは第1の胃腸管切断部内に配置されており、また外側リングは第2の胃腸管切断部内に配置されている。
【0090】
図7Bの状態において、内側リングの外表面と外側リングの内表面との間の環状空間が完全に形成されている。
【0091】
図7Cは並進可能要素404が更に引き下げられる第3のステップを示す。特定のオプションとして、内側リング100が接続されている接続要素414は可撓性クラウン422を備える。第1ステップと第2ステップにおいて、可撓性クラウン422は内側リング100が外側リング200の中へ引き込まれることを可能とする。内側リング100の引き下ろしに要する力の大きさは、内側リング100が外側リング200の中へ引き込まれるにつれて大きくなり、可撓性クラウン422が内側に屈曲する。それによって内側リング100を貫通して摺動する。
【0092】
可撓性クラウン422は、例えば
図7A~
図7Dに示すように複数のヒンジフィンガで構成されてもよいし、あるいは一般的に可撓性クラウン422の変形を可能とする、任意の弾性材料もしくは可撓性材料で構成されてもよい。変形は、弾性変形及び/又は塑性変形であってよい。例えば、1以上のフィンガが破断して接続要素414が内側リング100を貫通する通路を可能としてもよい。
【0093】
図7Bと
図7Cに示す状態の間で、内側リング接続要素414が内側リング100を通過する際に、接続要素414の刃先424が切断リング420と相互作用して胃腸管切断部の一部を切断する。接続要素414は、このように切断アンビルとして作用することができる。
【0094】
図7Dは、第4のステップであって、エンドエフェクタ416が内側リング及び外側リングから引き出された後を示す。これによりエンドエフェクタ416を、患者の体内から取り外して、2つの胃腸管切断部が内側リングと外側リングの間で圧縮された状態で、内側リングと外側リングを体内に残すことが可能である。
【0095】
図8は、方法の第3のステップの詳細図であって、第1の胃腸管切断部301の一部と、第2の胃腸管切断部302の一部が内側リング100と外側リング200の間の環状空間300内で一緒に圧縮される。
図8は
図3Cの部分詳細図である。
【0096】
図8に示し、また他の図にも示し、本明細書に開示の任意の内側リング100の実施形態に容易に適用可能であるオプションとして、内側リング100は外向きに突出する肩部180を有することができる。内側リング100の外表面101の一部は肩部180で構成され、この部分が使用時に第1の胃腸管切断部301の管腔層383に接触可能である。一般に、本明細書に開示の任意の肩部は、代替的にフランジ、あるいは径方向延伸部と呼んでもよい。
【0097】
図8の例では、肩部180は外側リング200の内径以上には半径方向に延びていないが、内側リング100の他の例では、肩部180は半径方向にさらに延びていてもよい。例えば内側リング100の外方向に突出した肩部180は、外側リング200の内表面を超えて突出可能である。(
図1B参照)。他の例では、内側リング100の外方向に突出した肩部180は、外側リング200の外表面の少なくとも一部を超えて、あるいは外側リング200の外径すら超えて突出することもある。
【0098】
本発明者らは内側リング100と外側リング200の特定の寸法が胃腸管切断部同士の間の治癒プロセス、及び/又は胃腸管内の内側リングと外側リングの安定性、及び/又は吻合の強度にとって有益となり得ることを見いだした。具体的には、内側リング100と外側リング200の寸法は、使用時に胃腸管切断部の粘膜下層312と粘膜下層382とが接触できるように選択されることが好ましい。粘膜下層312と粘膜下層382との間の接触表面積は、内側リングと外側リングのいくつかの寸法によって形成又は拡大可能である。
【0099】
好ましくは、環状空間300の部分の幅W
minとも呼ばれる最小厚さは、0.5mm以下、特に0.3mm以下である。この最小厚さは、
図8においてH
pで表される特定の高さに亘って達成されることが好ましい。この高さH
pは、1.0~5.0mmの間であり、特には1.0~2.0mmの間であってよい。高さH
pに亘って、環状空間300の幅は実質的に一定であり得る。環状空間の更なる部分には、例えば外側リング200の内側フランジ203によって、幅W
minよりもさらに小さい幅が存在し得る。1.0~5.0mmの間の高さH
pが、胃腸管切断部が内側リングと外側リングの間の環状空間の外への滑り出しを防止することが観察された。
【0100】
図8の例では、幅W
minは、環状空間300の軸方向に平行な部分に亘って達成される。但し、幅W
minが実現される環状空間300の部分が軸方向に対して斜めに配向する、内側リングと外側リングの実施形態が想定されることも理解されるであろう。そのような場合、最小幅又は最小厚さW
minは、内側リングの内表面に対して垂直、外側リングの内表面対して垂直、又はその外表面とその内表面とが平行に配向している場合には両者に対して垂直な方向にあるとみなし得る。
【0101】
環状空間300に寄与する外側リング200の軸方向高さは、
図4C及び
図8ではH
oとして表記される。組立て状態にあるとき、内側リング100の一部、例えばこれに限らないが外向きに突出した肩部180などは、軸方向に外側リング200を超えて延在し、H
o+H
sの合計高さを有する環状空間300が、内側リング100によって更に画定され得る。好ましくは、その任意の組み合わせにおいて、高さH
oは、2.0~6.0mmの間、特に2.0~3.0mmの間であり、高さH
sは1.5~2.5mmの間、特に1.75~2.25mmの間である。
【0102】
概ね軸方向、特に下向きの方向に収束する環状空間300によって、少なくとも1つの胃腸管切断部の法線すなわち垂直方向に想定される、厚さT
cと呼ばれる2つの胃腸管切断部の組み合わせの壁厚さは、内側リングが外側リング内に移動するときに環状空間300内で管部分が圧縮されるにつれて、次第に減少する。特に、厚さT
cが、最大で非圧縮状態の2つの胃腸管切断部の壁厚さの合計tから、最小幅W
min、又は例えば胃腸管切断部が切断されるそれ以下-例えば
図3Cの切断部分301’及び302’を参照-にまで、減少される。非圧縮状態での胃腸管切断部の壁厚さの合計は、一般にT
maxと称され、T
maxは概ねtの2倍に等しい。胃腸管の壁厚さ-
図8では厚さtとして示す-は、人によって異なり得ることは理解されるであろう。
【0103】
例えば、胃腸管の壁厚は、通常、成人の結腸で約2.25mm、すなわち2.0~2.5mmである。人の年齢及び体調によって、胃腸管の壁厚は1.5~3.0mmになることもある。ただし、病状、及び/又は放射線治療などの特定の治療によっては胃腸管の壁厚が3.0mmを超え得ることも理解されるであろう。したがって、部品キットは、吻合を行う胃腸管切断部の壁厚に依存して、環状空間部の中心線に対する垂直な厚さTaが1.5mm以下、1.0mm以下、0.5mm以下、特には1.5mm~0.05mmの間、となる環状空間を形成するような、特定の大きさの内側リングと外側リングを用いて形成することが可能である。
【0104】
当業者であれば、胃腸管切断部には一般に、それ自身が折り重なった突起及び/又は断片が存在し得ることが理解されるであろう。したがって、本明細書で定義する壁厚は、例えば胃腸管切断部の中に挿入された内側リング又は外側リングによって引き伸ばされた胃腸管切断部に適用することができる。通常、外側リングの外径は、20mm~40mm、特には25mm~35mmの範囲であり得る。
【0105】
本開示の態様及び実施形態は、これに限らないが、食道、腸、小腸、大腸、及び他の任意の胃腸管部分などの、任意の種類の胃腸管切断部の吻合に使用可能であることが理解されるであろう。
【0106】
TmaxとWminの間には、最適又は少なくとも有利なスポット又は範囲-これはスイートスポット又はスイートレンジとも呼ばれる-があることが観察された。このスポット又はこの範囲では、一次的意図による治癒が胃腸管切断部の粘膜下層同士の間で起きることがわかっている。具体的には、Wmin<Tc<Tmaxである、少なくとも1つの胃腸管切断部に垂直な、最適又は少なくとも有利な厚さTcは、0.2mm~3.5mmの間にある。したがって、環状空間の少なくとも一部は、2つの胃腸管切断部分が環状空間に配置された組立て状態において、胃腸管切断部が圧縮されて0.2mm~3.5mm、特に0.5mm~2.5mmの間の厚さになるような寸法であることが好ましい。
【0107】
図8に示すように、粘膜下層312と粘膜下層382との間の接触領域の少なくとも一部は、環状空間300の外側に配置され得る。追加又は代替として、粘膜下層312と粘膜下層382との間の接触領域の少なくとも一部は、軸方向で考えた場合、外側リングの上方に位置することがある。この接触領域は、
図8では一般に矢印Aで示される。
【0108】
本明細書に開示の内側リングと外側リングを備える任意の部品キットのいずれの環状空間に対しても中心線を定義可能である。例えば
図1B、
図4C、
図10において、中心線は一点鎖線cで示される。この中心線のいずれの点からも、中心線に対して垂直な、外側リングの内表面に向かう距離と、内側リングの外表面に向かう距離とは等しい。この2つの距離の合計が、環状空間300の厚さT
aと呼ばれる。厚さT
aの例を、
図1B、4C、9、10に示す。2つの胃腸管切断部が環状空間内に配置されて、内側リングと外側(リング)とで組み立てられた状態での厚さT
aは、厚さT
c、すなわち圧縮された胃腸管切断部の組み合わされた厚さに対応する。
【0109】
使用時に、2つの胃腸管切断部が環状空間300内にある場合、2つの胃腸管切断部の間の接触領域Aは、特に胃腸管切断部同士の剛性が同等である場合には、この中心線にほぼ沿う。実際の例では、2つの胃腸管切断部間の環状空間300の少なくとも一部における、接触領域Aと中心線との間のずれは、例えば±10%、又は±20%以上であり得る。
【0110】
本明細書に開示の任意の内側リングと任意の外側リングの任意の組み合わせを含む部品キットの任意の実施形態において、中心線cに垂直な環状空間300の少なくとも一部の厚さTaは、0.0mm~10.0mmの間、又は0.0mm~5.0mmの間の範囲であってよい。好ましくは、厚さTa-中心線cに垂直に定義される-中心線cの少なくとも一部。
【0111】
胃腸管切断部が環状空間に有る組立て状態において、外側リングと内側リングの少なくとも1つが変形する場合、中心線cの形状、及び中心線cに沿った異なる位置にある厚さTaは、環状空間内の胃腸管切断部の存在によって影響を受け得ることが理解されるであろう。
【0112】
例えば
図8で分かるように、第2の胃腸管切断部302の一部は半径方向内側に曲げられて、環状空間内へ突出する。環状空間内の第2の胃腸管切断部302の一部は、第2の胃腸管切断部302の残りの部分に対して反転されているとみなすことができる。具体的には、第2の胃腸管切断部302の一部は、外側リング200上で、外側リング200の湾曲した上部280の上で曲げられる。この上部280の曲率は、環状空間300の収束部分の所望の形状を達成するように設計することができる。
【0113】
図9は、2つの胃腸管切断部301、302が、内側リング100を外側リング200の中に移動させることにより形成される環状空間300内に圧縮された実験の写真を示す。
図10は、
図9がカラー写真であるのに対しモノクロであるが、同一の写真を示す。
図9及び
図10は、胃腸管切断部301、302により構成される異なる層-すなわち外周層311、381、粘膜下層312、382及び管腔粘膜層313、383-を明確に示す。
【0114】
図9では、内側リングと外側リングの形状が、変形した胃腸管切断部301、302の形状を用いて特定可能である。内側リング100と外側リング200の形状を更に明確にするために、リングの輪郭を
図10に破線で模式的に示す。
図9及び
図10に組立て状態で示す内側リングと外側リングが環状空間を形成し、これが、環状空間の一部において1.0mm以下で、環状空間の別の部分で1.0mm以上の、中心線cに垂直な厚さT
aを有する。
【0115】
図9に示すように、環状空間300の中心線c上の特定の点c’において、外周層311、381が圧縮されてなくなり粘膜下層が露出したために、粘膜下層312、382が接触する。この中心線上の特定の点c’は、関連する厚さT
a’を有し、0.5mm~3.5mmの間、特に1.0mm~2.5mmの間の範囲であってよい。
【0116】
図9と
図10はまた、環状空間の大きさと形状とにより、管腔層313と383は粘膜下層から剥がされるかちぎられ、あるいは少なくとも押しつぶされるか圧縮されてしまっていることを示す。このように、環状空間の少なくとも一部において、特に環状空間の収束部の少なくとも一部において本質的に粘膜下層のみが存在するか、あるいは環状空間のその部分の少なくとも大部分が粘膜下層で占められる。
【0117】
上記の説明において、要素が別の要素と接続されるということは、その要素が他の要素に直接接続されるか、あるいは介在要素もまた存在し得るかのいずれかであることが理解されるであろう。また、上記の説明で与えられる値は例として与えられるものであり、他の値が可能であり得ること、及び/又は他の値が目指され得ることも理解されるであろう。
【0118】
図は、非限定的な例として与えられる実施形態の単なる模式表示に過ぎないことに留意されたい。説明を明確かつ簡潔にするために、本明細書において特徴を同一又は別々の実施形態の一部として記述したが、本開示の範囲は、説明した特徴のすべて又は一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることは理解されるであろう。
【0119】
「備える」という用語は、他の特徴やステップの存在を排除するものではない。さらに、「1つ」は、「ただ1つ」に限定されるとみなすべきではなく、「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を排除するものではない。
【国際調査報告】