(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】L-アラニンを生産する遺伝子操作菌株並びにその構築方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C12N 1/21 20060101AFI20240920BHJP
C12P 13/06 20060101ALI20240920BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20240920BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20240920BHJP
C12N 15/61 20060101ALN20240920BHJP
C12N 1/00 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12P13/06 A
C12N15/54
C12N15/53
C12N15/61
C12N1/00 B
C12N1/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545056
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2021135643
(87)【国際公開番号】W WO2023056699
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】202111171829.4
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524135369
【氏名又は名称】アンホイ ビービーシーエー バイオケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、シアオ
(72)【発明者】
【氏名】タオ、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ムー、シアオリン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、スーホン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェイリー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AE04
4B064CA02
4B064CA19
4B064CC03
4B064CC06
4B064CC07
4B064CC24
4B064CD02
4B064CD09
4B064CD25
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA16
4B065AA15X
4B065AA15Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BB03
4B065BB15
4B065BB19
4B065BB29
4B065BC02
4B065BC03
4B065BC05
4B065BC09
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA60
(57)【要約】
本発明は、L-アラニンを生産する遺伝子操作菌株、並びにその構築方法及び使用を開示し、生物工学の分野に関する。本発明によれば、解糖経路を強化すること、又は/及び、耐熱性アラニンデヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することにより、42℃~55℃の高温条件下でアラニンを高収率で生産することが可能な遺伝子操作菌株を構築することができる。さらに、アラニンラセマーゼ遺伝子をノックアウトすることによって、L-アラニンの光学純度を有意に増加させることができる。原菌株が乳酸合成経路を有する場合、この乳酸合成経路を遮断すると、ピルビン酸合成経路の割合を増加させることができ、L-アラニンの収率がさらに増加する。本発明は、従来のL-アラニン生産技術の使用により生じる低温での発酵、高コストなどの問題を克服し、42℃~55℃の高温で発酵して95g/L以上の収量でL-アラニンを生産することができ、産業上の利用価値が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法であって、
ピルビン酸合成経路を有する原菌株を用意する工程;
以下のS200、S300及びS400のうちいずれか1つの工程、いずれか2つの工程又は3つの工程を介して前記原菌株のゲノムを操作する工程;
S200:6-ホスホフルクトキナーゼ遺伝子pfkのコピー及びピルビン酸キナーゼ遺伝子pykのコピーを挿入する工程;
S300:42℃~55℃で耐熱性であるアラニンデヒドロゲナーゼの遺伝子GSaldを挿入する工程;
S400:前記原菌株のゲノム中に含まれるアラニンラセマーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させる工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記原菌株が乳酸合成経路をさらに有し、前記原菌株のゲノムが乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含み、
前記構築する方法が
S100:前記原菌株のゲノム中の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させる工程
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項3】
前記原菌株がD-乳酸合成経路をさらに有し、前記原菌株のゲノムがD-乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子ldh
Tiを含み、
前記構築する方法が、
S500:前記原菌株のゲノム中に含まれるD-乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子ldh
Tiを不活性化又は欠失させる工程
をさらに含み、
好ましくは、前記D-乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子ldh
Tiの配列が、配列番号31に示される通りである、請求項2に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項4】
前記6-ホスホフルクトキナーゼ遺伝子pfkの配列が配列番号27に示される通りであり、前記ピルビン酸キナーゼ遺伝子pykの配列が配列番号28に示される通りである;及び/又は
前記アラニンデヒドロゲナーゼのGSald遺伝子の配列が配列番号1に示される通りであることを特徴とする、請求項1に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項5】
工程S400において、1つ、2つ若しくはより多くのタイプのアラニンラセマーゼ遺伝子を不活性化若しくは欠失させること;及び/又は
前記工程S400が、アラニンラセマーゼ遺伝子alr1及びアラニンラセマーゼ遺伝子alr2を不活性化若しくは欠失させることを含むこと
を特徴とし、
好ましくは、前記アラニンラセマーゼ遺伝子alr1の配列が配列番号29に示される通りであり、前記アラニンラセマーゼ遺伝子alr2の配列が配列番号30に示される通りである、請求項1に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項6】
前記原菌株のゲノムの操作が、工程S100及び工程S200を含むことを特徴とし、
好ましくは、前記原菌株のゲノムの操作が工程S100、工程S200及び工程S300を含む、請求項2に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項7】
前記原菌株のゲノムの操作が、工程S100、工程S200、工程S300及び工程S400を含むことを特徴とする、請求項2に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項8】
以下の工程:
S500:前記原菌株のゲノム中に含まれるD-乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子ldh
Tiをノックアウトする工程;
S200:6-ホスホフルクトキナーゼ遺伝子pfkのコピー及びピルビン酸キナーゼ遺伝子pykのコピーを挿入する工程;
S300:異種アラニンデヒドロゲナーゼ遺伝子GSaldを挿入する工程;並びに
S400:アラニンラセマーゼ遺伝子alr1及びアラニンラセマーゼ遺伝子alr2をノックアウトする工程
を含むことを特徴とする、請求項3に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項9】
工程S200及び工程S300において、対象遺伝子のコピーを染色体に付加し、その上流にプロモーターを直列にライゲーションすることによって、前記対象遺伝子が挿入されることを特徴とする、請求項1に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項10】
前記プロモーターがP
alsであることを特徴とする、請求項9に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項11】
前記プロモーターの配列が配列番号2に示される通りであることを特徴とする、請求項10に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項12】
前記L-アラニンを生産する遺伝子操作菌株が、42℃~55℃での発酵によってL-アラニンを生産することができることを特徴とする、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項13】
前記原菌株が好熱性菌株であることを特徴とする、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項14】
前記原菌株がバチルスであることを特徴とする、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項15】
前記原菌株が、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・コアグランス、バチルス・メチロトロフィカス、好熱性バチルス・イヌリヌス又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルスであることを特徴とする、請求項14に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項16】
前記原菌株がバチルス・リケニフォルミスATCC14580又はその派生株であることを特徴とする、請求項14に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項17】
前記原菌株が、CCTCC番号M2016026として2016年1月8日に中国典型培養物保蔵中心に寄託されたバチルス・リケニフォルミスBN11であることを特徴とする、請求項14に記載のL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法。
【請求項18】
請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の方法に従って構築された遺伝子操作菌株。
【請求項19】
L-アラニンを生産するための、請求項18に記載の遺伝子操作菌株の使用。
【請求項20】
請求項18に記載の遺伝子操作菌株が発酵培養に供され、ここで発酵培養は42℃~55℃の温度で行われる、L-アラニンの生産方法。
【請求項21】
前記発酵培養工程が、炭素源を含有する発酵培養培地に活性化した種菌を播種し、50rpm~350rpmの撹拌速度で所定の発酵密度まで流加発酵することを含むことを特徴とする、請求項20に記載の生産方法。
【請求項22】
前記発酵培養工程において、前記炭素源がグルコース、グリセロール、キシロース又はアラビノースであることを特徴とする、請求項21に記載の生産方法。
【請求項23】
前記発酵培養工程において、前記発酵培養培地が以下の成分:グルコース、酵母粉末、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄及び硫酸マンガンを含有することを特徴とする、請求項21に記載の生産方法。
【請求項24】
前記発酵培養工程が、20%~30%(w/v)アンモニア水を用いて7.0±0.2にpH調整すること;0.8vvm~1.2vvmの通気量及び280rpm~320rpmの初期撹拌速度で6時間~8時間、6.5~8.0のOD
600値まで発酵培養し、その後、通気を停止させること;及び60rpm~100rpmの改変された撹拌速度で50時間~70時間発酵培養を継続し、その後、発酵を停止させること、を含み、発酵プロセス中、前記炭素源が、その濃度が所定の値に低下したときに補充されることを特徴とする、請求項21に記載の生産方法であって、
好ましくは、発酵プロセス中に、前記炭素源の濃度が30g/L~50g/Lに低下した場合は、前記炭素源の濃度が80g/L~120g/Lとなるように前記炭素源が1回補充され、
好ましくは、前記発酵プロセス中に、前記炭素源の濃度が30g/L~50g/Lに低下した場合は、前記炭素源の濃度を80g/L~120g/Lに増加させるために前記炭素源の第1の補充が行われ、その後、前記炭素源の濃度が20g/L~40g/Lに低下した場合は、前記炭素源の濃度を60g/L~80g/Lに増加させるために前記炭素源の第2の補充が行われる、前記方法。
【請求項25】
前記発酵培養工程において、前記炭素源がグルコースであることを特徴とする、請求項24に記載の生産方法。
【請求項26】
前記発酵培養工程の前に、種菌培養によって活性化した種菌を得ること、及び前記活性化した種菌を前記発酵培養のために発酵培養培地に播種することをさらに含むことを特徴とする、請求項20~請求項25のいずれか一項に記載の生産方法。
【請求項27】
前記種菌培養工程が、前記遺伝子操作菌株を種菌培養培地に播種し、42℃~55℃の種菌培養温度で12時間~16時間培養し、それにより前記活性化した種菌を得ることを含むことを特徴とする、請求項26に記載の生産方法。
【請求項28】
前記種菌培養工程において、前記種菌培養培地が以下の成分:ペプトン、酵母粉末及び塩化ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項26に記載の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物工学の分野に関し、特に、L-アラニンを生産する遺伝子操作菌株、並びにその構築方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
20種類の塩基性アミノ酸の1つ及び最小のキラル分子の1つとして、L-アラニンは、食品、医薬品、汎用化学品及び他の分野で広く使用されている。食品産業において、L-アラニンは、保存剤、甘味料などとして食品に添加することができる。医薬品及びヘルスケアの分野において、L-アラニンは、アミノ酸系栄養補助食品に使用することができるだけでなく、急性腎不全及び慢性腎不全、肝疾患、糖尿病、肥満並びに他の疾患の処置においても重要な役割を果たす。汎用化学品の分野では、L-アラニンを使用してアミノ酸系界面活性剤を合成し、高い生体親和性を提供することができる。
【0003】
L-アラニンの生産方法としては、主に化学合成、酵素触媒作用及び発酵が挙げられる。現在の主要な化学合成アプローチは、液体塩素及びプロピオン酸を主な原料として使用するプロピオン酸塩素化プロセスである。合成経路が長く、コストが高く、収率が低いため、化学合成アプローチは実質的に廃止されている。L-アラニンの酵素触媒作用は、本質的に、アスパラギン酸触媒固定化L-アスパラギン酸-β-デカルボキシラーゼの脱炭酸を伴う。しかしながら、酵素触媒アプローチは、3炭素生成物への4炭素基質の炭素利用が少なく、アスパラギン酸の価格が比較的高いため、大規模生産には適していない。主としてグルコースを基質として、遺伝子操作によって構築された株を用いた発酵によってL-アラニンを生産することができる。この手法は、安価で容易に入手可能な原料、高い製品収率、低コストなどの利点のために広く注目されている。
【0004】
42℃以下という一般的な温度での発酵と比較して、高温発酵は、汚染のリスクを大幅に低減し、原料の変換効率を向上させ、熱交換コストを低減することができるため、発酵による大規模生産にとって価値が高い。発酵によるアラニンの生産では、生産株として遺伝子操作された大腸菌株が用いられることが多い。しかしながら、これらの株の至適増殖温度は37℃であるため、高温発酵での使用には適さない。
【0005】
したがって、当業者は、高温条件下での発酵によるL-アラニンの大規模生産に適した株の開発に向けて努力している。
【発明の概要】
【0006】
以上のことから、本発明が解決しようとする課題は、42℃以上の高温条件下でL-アラニンを生産することが可能な遺伝子操作菌株、並びにその構築方法及び使用を提供することである。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様では、L-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法であって、
ピルビン酸合成経路を有する原菌株を用意する工程;
以下のS200、S300及びS400のうちいずれか1つの工程、いずれか2つの工程又は3つの工程を介して原菌株のゲノムを操作する工程;
S200:6-ホスホフルクトキナーゼ遺伝子pfkのコピー及びピルビン酸キナーゼ遺伝子pykのコピーを挿入する工程;
S300:42℃~55℃で耐熱性であるアラニンデヒドロゲナーゼの遺伝子GSaldを挿入する工程;
S400:原菌株のゲノム中に含まれるアラニンラセマーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させる工程
を含む方法が提供される。
【0008】
本発明の第1の態様に従って構築されたL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株は、42℃~55℃の高温条件下で発酵によりL-アラニンを生産することができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、原菌株は乳酸合成経路をさらに有し、原菌株のゲノムは乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含有する。これらの場合、本方法は、
S100:原菌株のゲノム中の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させる工程
をさらに含む。
【0010】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様の方法に従って構築された遺伝子操作菌株が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様では、L-アラニンを生産するための本発明の第2の態様による遺伝子操作菌株の使用が提供される。
【0012】
本発明の第4の態様では、本発明の第2の態様に係る遺伝子操作菌株を発酵培養に供するL-アラニンの生産方法が提供され、発酵培養は42℃~55℃の温度である。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養工程は、炭素源を含有する発酵培養培地に活性化した種菌を播種し、42℃~55℃の発酵培養温度及び50rpm~350rpmの撹拌速度で所定の発酵密度まで流加発酵することを含む。
【0014】
本発明で開示される技術によって提供される利点には、以下が含まれる。
【0015】
1.本発明の遺伝子操作菌株は、発酵プロセスによる高温(例えば、42℃~55℃)でのL-アラニン生産が可能であり、これは低エネルギー消費及び汚染に対する耐性を含む利点を有し、生産コストを効果的に削減する。
【0016】
2.好熱性菌株を原菌株として、42℃~55℃(特に、例えば50℃)の高温での発酵によってL-アラニンを生産することができる遺伝子操作菌株を構築することができる。さらに、解糖経路を増強すること、又は/及び耐熱性アラニンデヒドロゲナーゼを導入することによって、有意に増加したアラニン収率を得ることができる。アラニンラセマーゼ遺伝子をノックアウトすることにより、光学的に純粋なL-アラニンの生産が可能になる。これらの戦略を相乗的に組み合わせて、42℃~55℃という高い温度での発酵による光学的に純粋なL-アラニンの高収率生産を可能にすることができ、得られたL-アラニンは、典型的には98%以上、さらには99%以上の光学純度を示す。いくつかの例では、光学的に純粋なL-アラニンの収率は、95g/L以上、さらには100g/L以上の高さであり得る。本発明は、従来のL-アラニン生産技術の使用により生じる低温での発酵、高コストなどの問題を克服し、高温で発酵してL-アラニンを生産することができ、産業上の利用価値が高い。
【0017】
3.乳酸合成経路を有する原菌株の場合、乳酸合成経路を遮断すると、ピルビン酸合成経路の割合を増加させ、L-アラニンの収率を増加させることができる。原菌株が乳酸及びピルビン酸の両方を生産する場合、原菌株における乳酸合成経路を遮断すると、アラニン合成経路の割合を増加させることができる。さらに、解糖経路を強化すること、及び、耐熱性アラニンデヒドロゲナーゼを導入することにより、アラニンを高収率で生産することが可能な遺伝子操作菌株を構築することができる。アラニンラセマーゼ遺伝子のノックアウトは、光学的に純粋なL-アラニンの生産を可能にする。
【0018】
4.例えば、50℃の高温での発酵に使用可能なバチルス・リケニフォルミスをこの目的のために使用することができる。D-乳酸を高収率で生産することができるバチルス・リケニフォルミスBN11株を出発株として、その中のD-乳酸合成経路を排除して解糖経路の流れを強化してもよい。さらに、耐熱性異種アラニンデヒドロゲナーゼを導入してもよく、D-アラニン合成経路を排除してもよい。このようにして、光学的に純粋なL-アラニンの高収率生産を42℃~55℃の高温で達成することができる。得られたL-アラニンは、典型的には、98%以上、さらには99%以上の光学純度を示す。いくつかの例では、光学的に純粋なL-アラニンの収率は、95g/L以上、さらには100g/L以上の高さであり得る。
【0019】
以下、本発明の目的、特徴及び効果の完全な理解を提供するために、添付の図面を参照して、本出願の概念、構造の詳細及び結果として生じる技術的効果をさらに説明する。
【0020】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、添付の図面と併せて、非限定的な例の以下の詳細な説明を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による例示的な遺伝子操作バチルス・リケニフォルミス株におけるアラニン合成及び代謝経路を概略的に示す。
【
図2】本発明の実施形態に係るL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株BLA-1による5L発酵槽での50℃の流加発酵によるL-アラニン生産のプロット図(▲:OD
600;■:グルコース;●:アラニン)である。
【
図3】2つの抗生物質耐性遺伝子:ampR(アンピシリン耐性)及びermC(エリスロマイシン耐性)、並びにガラクトシダーゼをコードするbgaB遺伝子を含有する、本発明のいくつかの実施形態で使用されるpKVMベクターの構造を示す。これらの遺伝子はいずれも選択マーカーとして用いることができる。このプラスミドは、熱感受性複製起点(oriT pE194ts)並びに大腸菌における複製起点(ori)及びバチルス・リケニフォルミスにおける複製起点(oriT)を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0023】
以下では、本明細書に添付された図面を参照して、本発明のいくつかの好ましい実施形態及び実施例を説明し、それにより、その技術がより明らかになり、容易に理解されるようにする。本発明は、多くの異なる形態で具体化及び例示され得、その範囲は本明細書に開示される実施形態及び例に限定されない。
【0024】
上記の特徴及び以下の説明(実施形態及び実施例を含むが、これらに限定されない)に詳述されている特徴は、本発明を実施することができる限り、任意の適切な方法で組み合わせて新しい実施形態を作成することができることが理解されよう。
【0025】
本明細書で使用される場合、「好ましい」、「特定の」、「具体的な」、「さらに」、「さらにまた」などの用語は、単に良好な効果又は一定程度の特定性を有する実施形態又は例を説明するために使用される。それらは決して本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解されよう。
【0026】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」及び「又は/及び」は両方とも、列挙された項目が代替物であることを意味するが、代替物はまた、列挙された項目の任意の組み合わせを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「それらの組み合わせ」、「任意の組み合わせ」、「任意の組み合わせ」、及び「任意の組み合わせにおいて」はすべて、本発明が実施され得る限り、列挙された項目を任意の適切な方法で組み合わせることができることを意味する。組み合わせることができる項目の数は2つ以上である。
【0028】
本明細書で使用される場合、パーセンテージでの濃度への言及は、特に定義又は指定されない限り、システム内の最終濃度を指すと理解されるべきである。
【0029】
本明細書で使用される場合、列挙された任意の数値範囲は、特に明記しない限り、下限と上限の両方を含むことを意図している。
【0030】
本明細書で使用される場合、数字に続く「以上」又は「以下」は、特に定義されない限り、その具体的な数字を含む範囲を指すことを意図している。
【0031】
上記及び下記の本発明の特徴は、矛盾がなく、本発明が解決しようとする問題を解決するために結果として得られる実施形態を実施することができる限り、任意の適切な方法で組み合わせることができる。これらの特徴は、結果として得られる実施形態が、本発明が解決しようとする課題を解決し、期待される効果を奏することができる限り、任意の好適な態様で組み合わせることができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「出発株」及び「原菌株」は同じ意味を有し、互換的に使用することができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、温度制御への言及は、温度が一定値のままであるか、又はある範囲内で変化するように制御されることを意味すると理解されるべきである。
【0034】
本明細書で使用される場合、「高温」は、L-アラニンの生産を説明するために使用される場合、一般的な温度(42℃未満、典型的には37℃以下)に対するものである。本明細書で使用される場合、特に定義されない限り、「高温生産」は、42℃~55℃、例えば、限定されないが、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、52℃、53℃、54℃又は55℃での発酵による生産を指すことを意図する。
【0035】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「ピルビン酸合成経路」は、炭素源の解糖によってピルビン酸を合成する経路を指す。本明細書で使用される場合、「ピルビン酸合成経路を有する」とは、「内生的にピルビン酸を合成する能力を有する」ことを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「乳酸合成経路」は、ピルビン酸を乳酸に変換する合成経路を指す。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「乳酸合成経路を有する」とは、「乳酸合成経路を介して乳酸を生産する能力を有する」ことを意味する。すなわち、「乳酸合成経路を有する」とは、「内生的に乳酸を合成する能力を有する」ことを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「アラニン合成経路」は、ピルビン酸をアラニンに変換する合成経路を指す。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「アラニン合成経路を有する」とは、「アラニン合成経路を介してアラニンを生産する能力を有する」、すなわち「アラニンを内生的に合成する能力を有する」ことを意味する。本明細書で使用される場合、アラニン合成経路を有すると記載されている場合、特に明記しない限り、ピルビン酸からL-アラニンを合成する経路とL-アラニンからD-アラニンを合成する経路の両方を有することを意味することを意図する。
【0038】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「D-アラニン合成経路」とは、L-アラニンからD-アラニンを合成する経路を指し、「D-アラニン合成経路を有する」とは、「D-アラニンを内生的に合成する能力を有する」ことを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、遺伝子クラスターフラグメントは、同一であっても異なっていてもよい少なくとも2つの対象遺伝子を含有するフラグメントを指す。同一の遺伝子から構成される遺伝子クラスターフラグメントを説明する場合、「反復」という用語は、遺伝子が互いに直接隣接していてもよいし、遺伝子のいずれか2つの間にスペーサー配列が存在してもよいことを意味するものとして広義に解釈されるものとする。
【0040】
本発明によれば、対象遺伝子を欠失させるための典型的なアプローチの1つは、それをノックアウトすることである。
【0041】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「不活性化」及び「欠失」は、それぞれ部分的又は完全な不活性化及び部分的又は完全な欠失を指し得る。
【0042】
【0043】
【0044】
本明細書で言及されるアミノ酸及びヌクレオチド配列を表3に要約する。
【0045】
【0046】
【0047】
配列番号1(GSald)
ATGAAAATCGGCATCCCGAAAGAAATCAAAAACAACGAAAACCGCGTCGCGATCACGCCGGCGGGCGTCATGACGCTGGTCAAAGCGGGCCATGACGTCTATGTCGAAACGGAAGCGGGCGCGGGCAGCGGCTTTAGCGACAGCGAATATGAAAAAGCGGGCGCGGTCATCGTCCCGAACGCGGAAGACGCGTGGACGGCGGAAATGGTCCTGAAAGTCAAAGAACCGCTGGCGGAAGAATTTCGCTATTTTCGCCCGGGCCTGATCCTGTTTACGTATCTGCATCTGGCGGCGGCGGAAGCGCTGACGAAAGCGCTGGTCGAACAGAAAGTCGTCGGCATCGCGTATGAAACGGTCCAGCTGGCGAACGGCAGCCTGCCGCTGCTGACGCCGATGAGCGAAGTCGCGGGCCGCATGAGCGTCCAGGTCGGCGCGCAGTTTCTGGAAAAACCGCATGGCGGCAAAGGCATCCTGCTGGGCGGCGTCCCGGGCGTCCGCCGCGGCAAAGTCACGATCATCGGCGGCGGCACGGCGGGCACGAACGCGGCGAAAATCGCGGTCGGCCTGGGCAGCGACGTCACGATCCTGGACATCAACGCGGAACGCCTGCGCGAACTGGACGACCTGTTTGGCGACCATGTCACGACGCTGATGAGCAACAGCTATCATATCGCGGAATGCGTCCGCGAAAGCGACCTGGTCGTCGGCGCGGTCCTGATCCCGGGCGCGAAAGCGCCGAAACTGGTCACGGAAGAAATGGTCCGCAGCATGACGCCGGGCAGCGTCCTGGTCGACATCGCGATCGACCAGGGCGGCATCTTTGAAACGACGGACCGCGTCACGACGCATGACGACCCGACGTATGTCAAACATGGCGTCGTCCATTATGCGGTCGCGAACATGCCGGGCGCGGTCCCGCGCACGAGCACGTTTGCGCTGACGAACGTCACGATCCCGTATGCGCTGCAGATCGCGAACAAAGGCTATCGCGCGGCGTGCCTGGACAACCCGGCGCTGCTGAAAGGCATCAACACGCTGGACGGCCATATCGTCTATGAAGCGGTCGCGGCGGCGCATAACATGCCGTATACGGACGTCCATAGCCTGCTGCATGGCTAA
【0048】
配列番号2(Pals promoter)
AAGGTGACGCCTATTTCACTTTCTAGCTGTTTAATCTGCTGGCTGAGCGGAGGCTGAGTCATGTTCAGCCGAAGAGCTGCTTTTCCGAAATGCAGTTCTTCGGCAACAACCATAAAATAACGAAGATGGCGCAGCTCCATTAATCACTCATTCCTTTCTGAATGCGATTTCAGTCGTTTTACATATTAATTGTAAGACAAAGAAGTATTGGAAAACAATTTCCACAAGATGTATATTTAATAATACAATAATTTTATTAAAAATTCATTGTAAATGAATGAAAATGGAGGAGTGAGGGCT
【0049】
配列番号3: CCTCGCGTCGGGCGATATCGGATCCGAAGGGGAAAGTCTTCGATTTCT
配列番号4: AGAGGGCTTTTTCATGCTGAAGAGGTCAAAAAGAGCC
配列番号5: TTTGACCTCTTCAGCATGAAAAAGCCCTCTTTGAAAAG
配列番号6: CCATGGTACCCGGGAGCTCGAATTCCATAAGACCGCTGATGACAAGC
配列番号7: TCCAGCCTCGCGTCGGGCGATATCGTCCCCATAACAACGGAATCATC
配列番号8: AATAGGCGTCACCTTGACTCATCATTCCTTTGCCGTT
配列番号9: AAGGAATGATGAGTCAAGGTGACGCCTATTTCACTTTC
配列番号10: TCCAATTCGCTTCATAGCCCTCACTCCTCCATTTTC
配列番号11: GGAGGAGTGAGGGCTATGAAGCGAATTGGAGTATTGACA
配列番号12: CTTCATGGTGTTCAGTTACAATACAGTCGCATGGCC
配列番号13: GCGACTGTATTGTAACTGAACACCATGAAGATACTAACATCA
配列番号14: ACTAGACAGATCTATCGATGCATGCTTTCCCTTATTCCTTTAAACCCG
配列番号15: AATAGGCGTCACCTTGCTGAAGAGGTCAAAAAGAGCC
配列番号16: TTTGACCTCTTCAGCAAGGTGACGCCTATTTCACTTTCT
配列番号17: AGAGGGCTTTTTCATTTAGCCATGCAGCAGGCTATG
配列番号18: CTGCTGCATGGCTAAATGAAAAAGCCCTCTTTGAAAAG
配列番号19: CCTCGCGTCGGGCGATATCGGATCCAAAATATGACGCTGTCTCAAATTGA
配列番号20: CTAATTCATCAATTTGACACTTCCTGTTCCTTGTTTCACT
配列番号21: GGAACAGGAAGTGTCAAATTGATGAATTAGCGGAAAAAC
配列番号22: CCATGGTACCCGGGAGCTCGAATTCCGGAGTCTCTTTCAAAACCGTAG
配列番号23: CCTCGCGTCGGGCGATATCGGATCCAAAATCATGTAAGCCCATTCCG
配列番号24: GTGAGTATGGGAAAACAACGCTCCCTTCTTTCTTGTC
配列番号25: AAGAAGGGAGCGTTGTTTTCCCATACTCACAGGCCG
配列番号26: CCATGGTACCCGGGAGCTCGAATTCTAAAATGAAGGTGGTCCGGGAT
【0050】
配列番号27 (Pfk)
ATGAAGCGAATTGGAGTATTGACAAGCGGCGGCGATGCACCGGGGATGAATGCGGCGGTCCGCGCGATTGCCCGTAAAGGGATTTATCACGGCCTGGAAGTTTACGGCATTCGCCAAGGTTATAACGGATTGATTCAAGGAAACATCCAAAAGCTCGAAGCAGGATCTGTTGGCGATATTCTCCAGCGGGGCGGCACGGTTTTGCAGTCGGCAAGAAGCGAAGAATTCAAAACGCCGGAAGGGCAGCAAAAAGCGATCAGGCAGCTGAAAGACCATGGCATTGAAGCGCTCGTTGTGATCGGCGGCGACGGTTCCTACCAAGGGGCCAAAAAGTTGACGGAACAGGGCTTTAACTGCATTGGTGTGCCAGGGACAATCGATAACGACATCCCGGGGACGGATTTTACAATCGGTTTTGATACGGCATTGAACACAGTGCTTGATGCGATTGATAAAATTCGCGACACCGCTTCTTCCCACGAACGCACCTTTATTATTGAAGTCATGGGCAGAAATGCCGGGGATATCGCGCTCTGGTCCGGCCTGGCCGGCGGAGCCGAATCGATTATTATTCCGGAAGAAAAATATGACTTAAAAGATGTCGTGGAGCGTCTTGAACAGGGGAGAAAACGCGGCAAACGCCACAGCATCATCATTGTCGCGGAAGGCGTGATGAGCGGCAACGAGTTTGCTGAACAATTGAAAAAAACCGGTGTGATCGGCGATACCCGCGTTTCTGTTCTCGGCCATATCCAGCGCGGCGGTTCTCCGACGGCATTTGACCGCGTGCTTGCAAGCCGCCTCGGCGCAAGGGCTGTTGAACTGCTGCTTGAAGGAAAAGGGGGCCGCGCTGTCGGCATTCAAAATAACCAGCTGGTTGACCACGATATCCTTGAGATTCTCGGAAAACCGCACGCCGTTAATAAAAACATGTACAAGCTGTCGAAAGAATTGTCGATCTAA
【0051】
配列番号28 (Pyk)
ATGAAAAAAACCAAAATTGTATGTACAATCGGACCTGCCAGTGAAAGTGTGGAAATGCTTGAAAGATTAATGGCAAACGGGATGGATGTTTGCCGCCTGAACTTCTCGCACGGCAGCCATGAGGAACATCTTGCCCGGATTAAAAATATCCGTGAAGCTGCAAAAAACCAAAACAAAACGATCGGGCTTCTGCTCGATACAAAGGGCCCGGAAATCCGCACCCATGATATGAAAGACGGCGGATTCGAGCTCGTTGAAGGCATGACACCGGTCATTTCAATGACAGAAGTGCTCGGGACACCGGAAAAATTTTCGGTCACATATGAAGGGCTGATTGATGATGTGCACGTTGGCTCTAAAATTTTACTTGATGACGGTTTGATTGAACTGGAAGTGACGGCCATCGATAAAAACGCCGGTGAAATCCATACAAAAGTGCTGAACCGCGGCGTTTTGAAAAACAAAAAAGGTGTTAACGTCCCGGGTGTTTCCGTGAACCTTCCGGGCATCACCGAAAAAGACGTGAGCGATATCCTGTTCGGGCTTGAACAAGGCATTGACTTCATTGCGGCTTCGTTTGTACGCCGGCCGTCCGACGTTTTGGAAATCCGCCAGCTCCTTGAAGAACACGATGCTTTGCATGTGAAAATTTTCCCTAAAATTGAAAACCAGGAAGGCGTCGACAATATCGATGAAATCCTTGCGGTATCAGACGGCTTAATGGTTGCCCGCGGCGACCTCGGCGTTGAAATTCCGACCGAAGCGGTGCCGCTCGTACAAAAAGAAATGATCAGAAAATGTAATACGCTCGGCAAACCGGTGATTACCGCAACGCAAATGCTTGATTCGATGCAACGCAACCCGCGCCCGACCCGCGCGGAAGCAAGCGACGTGGCCAACGCCATTTTTGACGGCACGGATGCGATCATGCTTTCCGGCGAAACGGCAGCCGGGAAATATCCTGCTGAAGCGGTTAAGACGATGTACAATATTGCGGTTCATGTGGAAAAAGCAATTAACCATCGCGATATTCTGAACAAGCGCAGCAAGAGCACGGACCATAATATGACAGACGCTATCTGCCAGTCCGTTGCCCATACGGCTTTAAATCTTGATGTGAATGCCATTATTGCGCCGACTGAAAGCGGCTATACGGCACGCATGATCTCCAAATACCGCCCGGCGGCCCCAATCATTGCTGTCACGAGCGATCCGAAAGTACAACGCGGCTTAACTGTTGTGTCCGGCGTATACCCACAATTGGGCACAAAGGCAAACAATACGGATGAAATGCTTGAAATTGCAGTGGAGGAAGCGTTGAAATCCGAAATCGTCCATCACGGCGACCTTGTGATCATTACAGCAGGCGTCCCGGTTGGTGGGAAAGGCACCACCAACCTGATGAAAGTGCACCTGATCGGTGATATATTGGCAAAAGGCCAGGGAATCGGCAGAAAATCGGCATTCGGCCCGGTCATCGTTGCTGAAAGCCCTGAAGAAGCAAACGCAAAGGCAACAGAAGGTTGTGTGCTCGTCACGAGAACGACCGACAAAGAAATCATGCCGGCCATTGAAAAATGCGCCGCGCTGATTACGGAAGAAGGCGGCTTGACAAGCCATGCTGCAGTTGTTGGCATCAATGTCGGCATTCCGGTCATTGTTGGCGTTGAAAAAGCCGTTTCCATTTTTGAAGACGGGCAGGAAGTTACGGTAGATGCGGCAACCGGCTCGGTTTACAACGGCCATGCGACTGTATTGTAA
【0052】
配列番号29 (Alr1)
ATGATGAGCTTAAAACCATTCTATAGAAAGACATGGGCCGAAATCGATTTAACGGCTTTAAAAGAAAACGTCCGCAATATGAAGCGGCACATCGGCGAGCATGTCCGCCTGATGGCCGTCGTTAAAGCGAATGCCTACGGACACGGGGATGCACAGGTAGCGAAGGCGGCTCTTGCAGAAGGGGCGTCCATTCTTGCTGTGGCTTTATTGGATGAAGCGCTTTCGCTGAGGGCGCAGGGGATTGAAGAACCGATTCTTGTCCTCGGTGCAGTGCCGACCGAATATGCAAGCATTGCCGCGGAAAAGCGCATTATCGTGACTGGCTACTCCGTCGGCTGGCTGAAAGACGTGCTCGGTTTTCTGAATGAGGCCGAAGCTCCTCTTGAATATCATTTGAAGATCGACACGGGCATGGGCCGCCTTGGCTGCAAAACGGAAGAAGAGATCAAAGAAATGATGGAGATGACCGAATCGAACGATAAGCTCAATTGTACGGGCGTGTTCACTCATTTCGCCACGGCGGACGAAAAGGACACCGATTATTTCAACATGCAGCTTGACCGCTTTAAAGAGCTGATCAGCCCCCTCCCGCTTGACCGTTTGATGGTGCATTCGTCAAACAGCGCCGCGGGTCTGCGCTTCAGGGAACAGCTATTTAATGCCGTCCGCTTCGGCATCGGCATGTACGGTTTGGCGCCGTCAACCGAAATAAAAGACGAGCTGCCGTTTCGTCTGCGGGAAGTGTTTTCGCTTCATACCGAACTCACCCATGTGAAAAAAATTAAAAAAGGCGAGAGCGTCAGCTACGGGGCGACATATACAGCTCAGCGCGACGAATGGATCGGGACAGTCCCCGTCGGGTATGCCGACGGATGGCTGAGGCGCCTGGCCGGAACGGAAGTGCTGATCGACGGAAAACGCCAAAAAATAGCAGGGAGAATCTGCATGGACCAGTTCATGATTTCCCTTGCCGAAGAATACCCTGTCGGCACAAAGGTTACCTTGATCGGAAAGCAAAAAGACGAATGGATCTCAGTCGACGAAATCGCCCAAAATTTGCAGACGATCAATTATGAAATTACCTGTATGATAAGTTCAAGGGTGCCCCGTATGTTTTTGGAAAATGGGAGTATAATGGAAATAAGGAATCCGATCTTGCCTGATCAATCCTGA
【0053】
配列番号30 (Alr2)
ATGAAAAAGCTTTGCCGTGAAGTTTGGGTAGAGGTAAATCTTGATGCGATCAAAAAAAATTTGCGCGCGTTTCGGCGGCATATTCCGAAAAAGAGCAAAATTATGGCTGTCGTAAAAGCGAATGCTTATGGTCACGGATCGGTGGAAGTTGCACGCCATGCACTTGAACATGGTGCGAGTGAGCTCGCCGTTGCCTCGGTGGAGGAAGCGGTCGTTTTACGAAAAGCGGGGATTAAAGCGCCGATCCTTGTGCTTGGTTTCACCCCGCTGAGCTGTGTGAAAGAAGCGGCAGCTTGGAATATATCGTTATCAGCTTTTCAAGTTGACTGGATTAAAGAAGCGAACGAGATATTGGAAAATGAAGCAGATCCTAACCGGCTGGCTGTTCATATCAATGTGGATACCGGCATGGGGCGTTTAGGTGTACGAACAAAGGAAAAGCTTTTAGCAATCGTGGAAGCGCTGACGGCAAGTGAAAACCTCGAATGGGAAGGAATTTTTACGCATTTTTCCACAGCTGACGAACCGGATACTGAGCTAACCATGATTCAACACGAAAAGTTTATCAGCTTTCTTCGCTTTCTGAAAGAACAAGGCTTTAAGCTGCCTACGGTGCATATGAACAATACGGCCGCGGCGATCGCTTTTCCGGAATTCAGCGCTGATATGATTCGCTTAGGCATCGGAATGTATGGATTATATCCTTCCGATTATATCAGGCAGCTTAATCTCGTTAAGCTTGTGCCTGCACTAAGCTTGAAGGCGCGAATCGCTTATGTGAAAACCATGTTGACTGAACCGCGGACGGTTAGTTATGGTGCTACATATGTTGCAGAGCGCGGGGAAGTCATTGCCACAATTCCGGTCGGCTATGCTGACGGCTATTCCCGTGAACTTTCCAACCGCGGTTTTATTCTTCATCGAGGAAGACGAGTGCCGGTGGCGGGAAGAGTAACAATGGATATGATAATGGTCAGTCTGGGAGAGGGTGAAGGTAAACAAGGAGAGGAAGTCGTGATTTACGGCCGGCAAAAGGGAGCAGAGATATCTGTTGATGAAATTGCGGAAATGCTTGATACGATCAACTATGAAGTGGTATCTACCATAAGCTGGCGCGTCCCTCGTTTTTATATAAGAGACGGCGAGATTTTTAAAAAGTCGACCCCGCTGTTATACGTGTAG
【0054】
配列番号31 (No)
ATGAAAGTAATTTTTTTTTCTATGCACCCGTATGAAGAGGAATTTCTGGGTCCGATTCTGCCGTCTGACTGGGACGTAGAAATGACCCCGGACTTTCTGGACGAAACCACCGTGGAAAAGGCTAAAGGTGCCCAGGTAGTAAGCCTGTTTGTTTCTGACAAAGCTGATGGTCCGGTACTGGAAGCGCTGCATTCTTACGGTGTGGGCCTGCTGGCCCTGCGTTCTGCTGGCTATGATCACATCGATATTGAGACCGCAAAACGCCTGGGTATCAAAGTAGTTAACGTGCCAGCCTATTCTCCGCACGCTATCGCTGACCATACTCTGGCTATCATGCTGGCTCTGATTCGTCGTCTGCACCGTGCCCATGATAAAGTGCGCCTGGGTGATTTTGATCTGGATGGTCTGATGGGCTTTGATCTGAACGGCAAAGTTGCTGGTGTAATTGGTCTGGGTAAAATCGGTCGCCTGGTAGCTACCCGCCTGAAAGCGTTTGGTTGCAAAGTTCTGGGCTATGATCCATACATTCAGCCGGAAATCGTAGAAAACGTTGATCTGGATACCCTGATCACTCAGGCTGATATCATTTCTATTCATTGTCCGCTGACCCGTGAAAACTTTCATATGTTTAACGAAGAGACTTTTAAGCGTATGAAACCGGGTGCTATTCTGGTTAACACCGCGCGTGGTGGTCTGATCGATACCAAGGCCCTGCTGGAGGCCCTGAAGTCTGGTAAACTGGGCGGCGCAGCCCTGGATGTGTATGAATATGAACGTGGCCTGTTTTTTAAAAACCACCAAAAAGAAGGTATCAAAGACCCGTATCTGGCCCAGCTGCTGGGTCTGGCCAACGTAGTGCTGACCGGTCATCAGGCCTTTCTGACCCGTGAGGCTGTAAAAAACATCGAAGAAACTACCGTAGAAAACATTCTGGAATGGCAAAAGAACCCGCAGGCAAAGCTGAAAAACGAAATCTAA
【0055】
配列番号32(GSald)
MKIGIPKEIKNNENRVAITPAGVMTLVKAGHDVYVETEAGAGSGFSDSEYEKAGAVIVPNAEDAWTAEMVLKVKEPLAEEFRYFRPGLILFTYLHLAAAEALTKALVEQKVVGIAYETVQLANGSLPLLTPMSEVAGRMSVQVGAQFLEKPHGGKGILLGGVPGVRRGKVTIIGGGTAGTNAAKIAVGLGSDVTILDINAERLRELDDLFGDHVTTLMSNSYHIAECVRESDLVVGAVLIPGAKAPKLVTEEMVRSMTPGSVLVDIAIDQGGIFETTDRVTTHDDPTYVKHGVVHYAVANMPGAVPRTSTFALTNVTIPYALQIANKGYRAACLDNPALLKGINTLDGHIVYEAVAAAHNMPYTDVHSLLHG
【0056】
本発明の第1の態様では、L-アラニンを生産する遺伝子操作菌株を構築する方法であって、
ピルビン酸合成経路を有する原菌株を用意する工程;
以下の工程S200、S300及びS400のうちの1つ、2つ又は3つによって原菌株のゲノムを操作する工程;
S200:6-ホスホフルクトキナーゼをコードするpfk遺伝子及びピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子の過剰発現コピーを導入する工程;
S300:耐熱性アラニンデヒドロゲナーゼをコードする過剰発現遺伝子(好ましくは、耐熱性アラニンデヒドロゲナーゼをコードする過剰発現遺伝子GSald)を導入する工程;
S400:原菌株のゲノムがアラニンラセマーゼ遺伝子を含有する場合、アラニンラセマーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させる工程
を含む方法が提供される。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、S200、S300、及びS400は、
S200:6-ホスホフルクトキナーゼ遺伝子pfkのコピー及びピルビン酸キナーゼ遺伝子pykのコピーを挿入すること;
S300:42℃~55℃で耐熱性であるアラニンデヒドロゲナーゼをコードする過剰発現遺伝子GSaldを挿入すること;
S400:例えばアラニンラセマーゼ遺伝子をノックアウトすることによって、アラニンラセマーゼ遺伝子を部分的若しくは完全に不活性化するか、又はアラニンラセマーゼ遺伝子を部分的若しくは完全に欠失させること
によって別々に達成され得る。
【0058】
本発明の第1の態様に従って構築されたL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株は、42℃以上(例えば42℃~55℃)の高温条件下で発酵によりL-アラニンを生産することができる。工程S200は、経路に関与する6-ホスホフルクトキナーゼ及びピルビン酸キナーゼの過剰発現を可能にし、それによってピルビン酸の供給を増加させ、L-アラニンの生産を促進することによって解糖経路を増強することができる。工程S300において、耐熱性アラニンデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を導入して、ピルビン酸からL-アラニンを合成する経路を強化し、L-アラニンの収率を効果的に高める。工程S400において、アラニンラセマーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させて、光学的に純粋なL-アラニンの生産を促進することができる。工程S200、S300、S400のいずれかを用いることで、L-アラニンの収率を高めることができ、そのうちの2つ又は3つを併用することで相乗効果を得ることができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態では、原菌株は乳酸合成経路をさらに有し、原菌株のゲノムは乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含有する。これらの場合、本方法は、
S100:原菌株のゲノム中の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させる工程をさらに含む。
【0060】
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるL-アラニンを生産する遺伝子操作菌株におけるアラニン合成及び代謝経路を概略的に示す。炭素源は、解糖経路を介してピルビン酸に変換され、ピルビン酸は次いでアラニンデヒドロゲナーゼの触媒作用下でNADH及びアンモニウムイオンと反応してこれらを消費し、L-アラニンを形成する。得られたL-アラニンの一部は細胞外に直接分泌され、残りはアラニンラセマーゼの触媒作用下でD-アラニンに変換され、次いで細胞外に分泌される。ピルビン酸の下流の炭素流が原菌株の乳酸合成経路によって支配されている場合、乳酸合成経路を遮断することにより、炭素流を可能な限りアラニン合成経路に導くことができる。さらに、解糖経路に関与する6-ホスホフルクトキナーゼ及びピルビン酸キナーゼを過剰発現させると、解糖経路が増強され、ピルビン酸の供給が増加し、それによってアラニンの生産が促進され得る。さらに、アラニンラセマーゼ遺伝子をノックアウトすると、天然のD-アラニン合成経路を遮断することができ、光学的に純粋なL-アラニンが得られる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、原菌株はD-乳酸合成経路をさらに有し、そのゲノムはD-乳酸デヒドロゲナーゼをコードするldhTi遺伝子を含有する。これらの場合、本方法は、原菌株のゲノム中のD-乳酸デヒドロゲナーゼをコードするldhTi遺伝子を不活性化又は欠失させる工程(S500)をさらに含む。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、工程S500は、原菌株のゲノム中のD-乳酸デヒドロゲナーゼをコードするldhTi遺伝子をノックアウトすることを含む。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態では、D-乳酸デヒドロゲナーゼをコードするldhTi遺伝子は、配列番号31に示される配列を有する。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態では、6-ホスホフルクトキナーゼをコードするpfk遺伝子は、配列番号27に示される配列を有し、ピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子は、配列番号28に示される配列を有する。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、アラニンデヒドロゲナーゼ遺伝子は、配列番号1に示される配列を有する。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態では、工程S400において、1つ、2つ又はより多くのタイプのアラニンラセマーゼ遺伝子が不活性化又は欠失される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、対象遺伝子をノックアウトによって欠失させる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、工程S400は、アラニンラセマーゼをコードするalr1又はalr2遺伝子を不活性化又は欠失させることを含む。本発明のいくつかの実施形態では、工程S400は、アラニンラセマーゼをコードするalr1及びalr2遺伝子を不活性化又は欠失させることを含む。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、工程S400は、アラニンラセマーゼをコードするalr1及びalr2遺伝子をノックアウトすることを含む。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、アラニンラセマーゼをコードするalr1遺伝子は、配列番号29に示される配列を有し、アラニンラセマーゼをコードするalr2遺伝子は、配列番号30に示される配列を有する。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態では、原菌株のゲノムの操作は、工程S100及び工程S200を含む。このようにして、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化又は欠失させることによって乳酸合成経路を遮断及び排除することができ、pfk遺伝子による6-ホスホフルクトキナーゼの過剰発現及びpyk遺伝子によるピルビン酸キナーゼの過剰発現によって解糖経路を増強することができる。好ましくは、原菌株のゲノムの操作は、工程S300をさらに含む。このようにして、耐熱性アラニンデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を挿入することによって、L-アラニンの収率をさらに増加させることができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態では、原菌株のゲノムの操作は、工程S100、S200、S300及びS400を含む。このようにして、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活性化又は欠失することによって乳酸合成経路を遮断し、解糖経路を増強し、それによって6-ホスホフルクトキナーゼ及びピルビン酸キナーゼを過剰発現する遺伝子を原菌株に導入することによってピルビン酸の供給を増加させることに加えて、導入された過剰発現アラニンデヒドロゲナーゼ遺伝子はピルビン酸からのL-アラニンの合成経路を増強することができ、原菌株のアラニンラセマーゼ遺伝子は不活性化又は欠失される。これらの相乗的戦略の結果として、光学的に純粋なL-アラニンの高収率生産を達成することができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では、原菌株のゲノムの操作は、工程S500及び工程S200を含む。このようにして、乳酸合成経路は、D-乳酸デヒドロゲナーゼをコードするldhTi遺伝子を不活性化又は欠失させることによって遮断され、解糖経路は、6-ホスホフルクトキナーゼ及びピルビン酸キナーゼをそれぞれコードするpfk遺伝子及びpyk遺伝子を過剰発現させることによって増強される。
【0072】
本発明の好ましい例では、本方法は、以下の工程を含む:
【0073】
S500:原菌株のゲノム中の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、好ましくはD-乳酸デヒドロゲナーゼをコードするldhTi遺伝子を、完全に不活性化又は完全に欠失させる(ことによって乳酸合成経路を遮断する)工程;
【0074】
S200:6-ホスホフルクトキナーゼをコードするpfk遺伝子のコピー及びピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子のコピーを過剰発現する(ことによって解糖経路を増強し、ピルビン酸の供給を増加させる)工程;
【0075】
S300:アラニンデヒドロゲナーゼをコードする異種GSald遺伝子を過剰発現させる(ことによってピルビン酸からL-アラニンへの合成経路を増強する)工程;及び
【0076】
S400:アラニンラセマーゼをコードするalr1遺伝子及びalr2遺伝子を完全に不活性化又は完全に欠失させる(ことによってL-アラニンのD-アラニンへの変換を遮断し、光学的に純粋なL-アラニンの高収率生産を促進する)工程。
【0077】
本発明の好ましい例では、本方法は、以下の工程を含む:
【0078】
S500:原菌株のゲノム中の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、好ましくはD-乳酸デヒドロゲナーゼをコードするldhTi遺伝子をノックアウトする(ことによって乳酸合成経路を遮断する)工程、ここでより好ましくはldhTi遺伝子は配列番号31に示される配列を有する;
【0079】
S200:6-ホスホフルクトキナーゼをコードするpfk遺伝子のコピー及びピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子のコピーを挿入する(ことにより、原菌株において6-ホスホフルクトキナーゼをコードするpfk遺伝子及びピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子の過剰発現を可能にし、解糖経路を強化し、ピルビン酸の供給を増加させる)工程、ここでより好ましくは、ピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子は配列番号27に示される配列を有し、ピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子は配列番号28に示される配列を有する;
【0080】
S300:アラニンデヒドロゲナーゼをコードする異種GSald遺伝子を挿入する(ことにより、アラニンデヒドロゲナーゼをコードする異種GSald遺伝子の過剰発現を可能にし、ピルビン酸からL-アラニンへの合成経路を増強する)工程、ここでより好ましくは、アラニンデヒドロゲナーゼをコードするGSald遺伝子は、配列番号1に示される配列を有する;及び
【0081】
S400:アラニンラセマーゼをコードするalr1遺伝子及びalr2遺伝子をノックアウトする(ことによってL-アラニンのD-アラニンへの変換を遮断し、光学的に純粋なL-アラニンの生産を促進する)工程、ここでより好ましくは、アラニンラセマーゼをコードするalr1遺伝子は配列番号29に示される配列を有し、アラニンラセマーゼをコードするalr2遺伝子は配列番号30に示される配列を有する。
【0082】
特に明記しない限り、本発明の実施形態の特徴は独立していることが好ましいが、必要に応じて組み合わせることができることが理解されよう。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態では、工程S200及び工程S300において、対象遺伝子のそれぞれは、遺伝子のコピー(単数又は複数)(すなわち、1つ又は複数のコピー)を染色体に付加し、その上流にプロモーターを直列にライゲーションすることによって挿入される。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、プロモーターは、Pals、Plac、Ptrc、Ptac及びPc P43のうちいずれか1つである。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、プロモーターはPalsである。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態では、プロモーターは、配列番号2に示される配列を有する。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、原菌株は好熱性菌株である。
【0088】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株はバチルス属株である。
【0089】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株はバチルス・リケニフォルミスであり、これは、増殖速度が速く、基質スペクトルが広く、50℃の条件下での高温発酵の能力を有する通性嫌気性のグラム陽性の内生胞子形成細菌である。さらに、それは安定した遺伝子操作を可能にし、米国食品医薬品局によって「一般に安全と見なされる」(GRAS)細菌として認識されている。したがって、理想的なプラットフォーム株を提供することが有望である。
【0090】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株は、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・コアグランス、バチルス・メチロトロフィカス、好熱性バチルス・イヌリヌス又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルスである。
【0091】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株はバチルス・リケニフォルミスATCC14580又はその派生株である。派生株の例としては、バチルス・リケニフォルミスMW3、バチルス・リケニフォルミスBN11などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株は、CCTCC番号M2016026として2016年1月8日に中国典型培養物保蔵中心に寄託されたバチルス・リケニフォルミスBN11である。
【0093】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株は、バチルス・リケニフォルミスBN11であり、6-ホスホフルクトキナーゼをコードするpfk遺伝子は、配列番号27に示される配列を有し、ピルビン酸キナーゼをコードするpyk遺伝子は、配列番号28に示される配列を有する。
【0094】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株はバチルス・リケニフォルミスBN11であり、アラニンデヒドロゲナーゼをコードするGSald遺伝子は配列番号1に示される配列を有する。
【0095】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、原菌株はバチルス・リケニフォルミスBN11であり、内因性アラニンラセマーゼ遺伝子は、配列番号29及び配列番号30にそれぞれ示される配列を有するalr1遺伝子及びalr2遺伝子を含む。
【0096】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様に従って構築された遺伝子操作菌株が提供される。遺伝子操作菌株は、42℃以上(例えば、42℃~55℃)での発酵によってL-アラニンを有意に増加した収率で生産することができる。また、光学的に純粋なL-アラニンの高収率生産も可能である。
【0097】
本発明の第3の態様では、L-アラニンを生産するための、本発明の第2の態様による遺伝子操作菌株の使用が提供される。高温条件下で有意に増加した収率で発酵によるL-アラニンの生産に使用することができる。高温条件下での光学的に純粋なL-アラニンの高収率生産にも使用することができる。
【0098】
本発明の第4の態様では、本発明の第2の態様に係る遺伝子操作菌株を42℃~55℃の温度で発酵培養に供するL-アラニンの生産方法が提供される。温度の例としては、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃及び55℃が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養工程は、炭素源を含有する発酵培養培地に活性化した種菌を播種すること;及び42℃~55℃の発酵培養温度及び50rpm~350rpmの撹拌速度の条件で所定の発酵密度が達成されるまで流加発酵を行うことを含む。さらに、活性化した種菌の播種材料体積は体積パーセンテージで3%~5%、例えば3%、4%又は5%であり得る。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、発酵培養の前に、活性化した種菌を得るための種菌培養をさらに含み、当該活性化した種菌は次いで発酵培養培地に播種され、発酵培養される。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態では、種菌培養工程は、遺伝子操作菌株を種菌培養培地に播種し、42℃~55℃の温度の種菌培養温度下で12時間~16時間培養して、種菌培養溶液、すなわち活性化した種菌を得ることを含む。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、種菌培養培地は、以下の成分:ペプトン、酵母粉末及び塩化ナトリウムを含有する。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態では、種菌培養培地は、以下の成分:ペプトン、酵母粉末及び塩化ナトリウムから構成される。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、以下の工程を含む:
【0105】
種菌培養:遺伝子操作菌株を種菌培養培地に播種し、42℃~55℃の種菌培養温度条件下で培養して、活性化した種菌を得る工程;及び
【0106】
発酵培養:炭素源を含有する発酵培養培地に活性化した種菌を播種し、所定の発酵密度が達成されるまで42℃~55℃の発酵培養温度の条件下で流加発酵を実施する工程、ここで播種材料体積は体積パーセンテージで3%~5%であり得る。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、以下の工程を含む:
【0108】
種菌培養:遺伝子操作菌株を種菌培養培地に播種し、42℃~55℃の種菌培養温度条件下で12時間~16時間培養して、活性化した種菌を得る工程;及び
【0109】
発酵培養:炭素源を含有する発酵培養培地に活性化した種菌を播種し、所定の発酵密度が達成されるまで42℃~55℃の発酵培養温度及び50rpm~350rpmの撹拌速度の条件下で流加発酵を実施する工程、ここで播種材料体積は体積パーセンテージで3%~5%であり得る。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養工程において、炭素源は、グルコース、グリセロール、キシロース又はアラビノースである。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養工程において、発酵培養培地は、以下の成分:グルコース、酵母粉末、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄及び硫酸マンガンを含有する。本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養培地は、以下の成分:グルコース、酵母粉末、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄及び硫酸マンガンからなる。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態では、所定の発酵密度の達成は、検出されたOD600値に基づいて決定される。例えば、6.5~8.0のOD600が検出されたときに発酵を停止する。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養工程は、アンモニア水を用いて約7.0にpH調整すること;OD600値6.5~8.0まで通気及び撹拌下で発酵培養し(第1の発酵培養段階)、その後、通気を停止すること;及び、所定の発酵密度が達成されるまで、低減された撹拌速度で発酵培養を継続し(第2の発酵培養段階)、その後、発酵を停止することを含む。発酵プロセス中、炭素源は、その濃度が特定の値まで低下したときに補充され得る。
【0114】
pH調整のためのアンモニア水は、20%、25%又は30%など、20体積パーセント~30体積パーセント(v/v)の濃度を有し得る。
【0115】
好ましくは、通気は空気で達成される。
【0116】
通気は、0.8vvm~1.2vvm、例えば0.9vvm、1.0vvm、1.1vvm、1.2vvmなどの通気量で行われてもよい。
【0117】
発酵培養は複数の段階に分けられる。例えば、通気を伴う第1の発酵培養段階と通気を伴わない第2の発酵培養段階の2つの段階に分けてもよい。第1の発酵培養段階は株の迅速な増殖を可能にし、第2の発酵培養段階は効率的なL-アラニン生産を可能にする。第1の発酵培養段階では、例えば、280rpm、290rpm、300rpm、310rpm、320rpmなど、280rpm~320rpmの速度で撹拌することが好ましい。第1の発酵培養段階は、OD600値に応じた期間、例えば6時間~8時間、例えば6時間、6.5時間、7時間、7.5時間又は8時間続く。第2の発酵培養段階では、例えば、60rpm、70rpm、80rpm、90rpm、100rpmなど、60rpm~100rpmの速度で撹拌することが好ましい。第2の発酵培養段階は、OD600値(例えば、1.2)にも依存する期間、例えば50時間~70時間、例えば50時間、55時間、60時間、65時間又は70時間続く。
【0118】
発酵プロセスでは、炭素源を1回、2回又はそれよりも多くの回数、補充してもよい。
【0119】
発酵プロセス中の炭素源補充のタイミングに関しては、例えば、その濃度が30g/L~50g/Lに低下した時点で補充し、例えば、濃度が20g/L~40g/Lに低下した時点で再び補充してもよい。好ましくは、炭素源はグルコースである。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態では、炭素源は1回だけ補充される。これらの場合、濃度が30g/L~50g/L(例えば、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L又は50g/L)に低下した時点で炭素源を補充してもよく、それによって濃度を80g/L~120g/L(例えば、80g/L、90g/L、100g/L、110g/L又は120g/L)に増加させてもよい。好ましくは、炭素源はグルコースである。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態では、炭素源が2回補充される:1回目の補充は、濃度が30g/L~50g/L(例えば、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L又は50g/L)に低下したときに行われてもよく、80g/L~120g/L(例えば、80g/L、90g/L、100g/L、110g/L又は120g/L)の新たな濃度がもたらされ;2回目の補充は、濃度が20g/L~40g/L(例えば、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L又は40g/L)に低下したときに実施されてもよく、濃度が60g/L~80g/L(例えば、60g/L、65g/L、70g/L、75g/L又は80g/L)に戻される。好ましくは、炭素源はグルコースである。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養工程は、20%~30%(v/v)アンモニア水で7.0±0.2にpH調整すること;6時間~8時間、0.8vvm~1.2vvmの通気量し且つ280rpm~320rpmの初期速度で撹拌して、6.5~8.0のOD600値が達成されるように発酵培養し、続いて通気を停止すること;及び、60rpm~100rpmの改変された撹拌速度で50時間~70時間(例えば、60時間)発酵培養を継続し、続いて発酵を停止させることを含む。さらに、発酵プロセス中、炭素源は、その濃度が特定の値に低下したときに、1回、2回又はそれよりも多くの回数、補充され得る。いくつかの実施形態では、炭素源は1回だけ補充される。これらの場合、濃度が30g/L~50g/Lに低下した時点で炭素源を補充し、濃度を80g/L~120g/Lに増加させてもよい。いくつかの他の実施形態では、炭素源は2回補充される。これらの場合、炭素源は、その濃度が30g/L~50g/Lに低下したときに初めて補充され、その結果、濃度は80g/L~120g/Lに戻る。続いて、濃度が20g/L~40g/Lにさらに低下したとき、炭素源を2回目に補充して濃度を60g/L~80g/Lに戻す。好ましくは、炭素源はグルコースである。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、発酵培養工程における炭素源はグルコースであり、発酵培養工程は、25%アンモニア水を用いてのpH7.0へのpH調整及びpH7.0の維持;6時間~8時間、1vvmの通気量で通気し且つ300rpmの初期速度で撹拌して、バチルス・リケニフォルミス株のOD600値が6.5~8.0になるように発酵培養し、続いて通気を停止すること;及び、80rpmの改変された撹拌速度で60時間発酵培養を継続し、続いて発酵を停止することを含む。発酵プロセス中、グルコースは、その濃度が30g/L~50g/Lに低下したときに補充され、それによってグルコース濃度を100g/Lに増加させる。その後にグルコース濃度が20g/L~40g/Lに低下した場合には、再度グルコース補充を行い、グルコース濃度を70g/Lに上昇させる。
【0124】
本発明は、本発明の範囲をいかなる意味においても限定するのではなく例示することを意図したいくつかの実施例によって以下により詳細に説明される。これらの実施例は、本発明の教示に従って提供される。具体的な実施及び動作の詳細が記載されているが、本発明の範囲は決して以下の例に限定されない。以下の実施例で使用される任意の実験手順(例えば、PCR増幅、形質転換、遺伝子ノックアウト、遺伝子挿入など)について、特定の条件が指定されていない場合、それは好ましくは上記の様式及び条件で行われる。そうでなければ、それは一般に、例えば、SambrookらによるMolecular Cloning:A Laboratory Manual(ニューヨーク:Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に教示されているような従来の様式及び条件で、又は製造業者によって示唆されている条件下で行われる。
【実施例】
【0125】
以下の実施例で使用されるすべての材料及び試薬は、特に明記しない限り、商業的供給源から入手可能である。
【0126】
各発酵ブロス試料中のアラニン濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。1-オクタンスルホン酸ナトリウムを0.54g秤量し、超純水800mLに加えた後、リン酸でpHを2.1に調整した。次いで、100mLのメタノール及び超純水を、移動相として1Lの体積が得られるように連続的に添加した。試料を30℃の温度でZORBAX Eclipse XDB-C18カラム(150mm×4.6mm、5μm)に10μLの体積で注入し、流速0.8mL/分でカラムに流し、波長210nmにてDAD検出器で測定した。測定する前に、試料を10分間煮沸し、8000rpmで5分間遠心分離した。次いで、上清を採取し、アラニンが0.2g/L~1g/Lの最終濃度でその中に存在するように適切な倍率で希釈した。
【0127】
各発酵ブロス試料中のアラニンの光学純度を、移動相として2mM硫酸銅水溶液を使用してHPLCによって測定した。試料を30℃の温度でSUMICHIRAL OA-5000(150mm×4.6mm、5μm)に10μLの体積で注入し、流速0.5mL/分でカラムに流し、波長254nmにてDAD検出器で測定した。測定前に、試料を10分間煮沸し、8000rpmで5分間遠心分離した。次いで、上清を採取し、アラニンが0.2g/L~1g/Lの最終濃度でその中に存在するように適切な倍率で希釈した。
【0128】
グルコース濃度は、SBA-40Dバイオセンサーアナライザー(Biology Institute of Shandong Academy of Sciences)で測定した。
【0129】
以下の実施例では、高温条件下でL-アラニンを生産することができる遺伝子操作菌株を構築するために、バチルス・リケニフォルミス株を原菌株として使用した。以下の実施例では、本発明の範囲から逸脱することなく、高温条件下でL-アラニンを生産することができる遺伝子操作菌株を構築するために、他の細菌の株(例えば、バチルス・コアグランス、バチルス・メチロトロフィカス、好熱性バチルス・イヌリヌス、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスなどが挙げられるが、これらに限定されない)も原菌株として使用することができることが理解されよう。
【0130】
図3は、2つの抗生物質耐性遺伝子:ampR(アンピシリン耐性)及びermC(エリスロマイシン遺伝子)、並びにガラクトシダーゼをコードするbgaB遺伝子を含有する、pKVMベクターの構造を示す。これらの遺伝子はいずれも選択マーカーとして用いることができる。このプラスミドは、熱感受性複製起点(oriT pE194ts)並びに大腸菌における複製起点(ori)及びバチルス・リケニフォルミスにおける複製起点(oriT)を有する。
【0131】
バチルス・リケニフォルミスBN11は、ATCC 14580から構築された乳酸生産株である。これはCCTCC番号M2016026として2016年1月8日に中国典型培養物保蔵中心に寄託されている。
【0132】
播種材料体積は、体積パーセンテージで測定される。
【0133】
特に明記しない限り、新たに挿入された遺伝子については、その1コピーを挿入した。
【0134】
実施例1:D-乳酸合成経路がノックアウトされたバチルス・リケニフォルミス株の構築
1.1 プライマーは、バチルス・リケニフォルミスATCC14580ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。別途、pKVM-XPDdldh-UpF(配列番号3)及びXPDdldh-UpR(配列番号4)、並びにXPDdldh-DownF(配列番号5)及びpKVM-XPDdldh-DownR(配列番号6)をそれぞれ上流及び下流プライマーとして用いてPCR増幅を行い、遺伝子ldhTiのプロモーターの上流及び下流に相同アームを含有するフラグメントを得た。
【0135】
1.2 工程1.1からのPCR産物を精製し、プライマーとしてpKVM-XPDdldh-UpF及びpKVM-XPDdldh-DownRを用いて組換えPCR増幅を行った。精製後、PCR産物をシームレスクローニングによってpKVMベクターにクローニングし、次いでこれを大腸菌S17に形質転換し、S17-pKVMΔldhTiを得た。
【0136】
1.3 工程1.2で得られたS17-pKVMΔldhTi(大腸菌)株及びバチルス・リケニフォルミスBN11株(原菌株)を別々にOD600値が1.2となるまで発酵培養した。次いで、得られた株を6000rpmで5分間遠心分離し、PBSで2回洗浄した。続いて、同じOD600(したがって、同じ濃度)を有する遺伝子操作された大腸菌S17-pKVMΔldhTi及びバチルス・リケニフォルミスBN11株を7:1の体積比で混合し、混合物をLBプレートに滴下した。30℃で一晩培養した後、株を希釈し、エリスロマイシン及びポリミキシンを含有するLBプレート上に広げ、続いて30℃で培養した。スクリーニングした形質転換体を、エリスロマイシンを含有するLB培地中で37℃で培養し、次いで、50℃のLB培地に移して培養した。その後、単一交差形質転換体をスクリーニングするために、それらを希釈し、エリスロマイシンを含有するLBプレート上に広げ、50℃で培養する。単一交差形質転換体を30℃のLB培地中で二世代にわたり連続培養し、希釈し、LBプレート上に広げ、37℃で一晩培養した。次いで、エリスロマイシンに対する耐性に基づいて逆スクリーニングによって二重交差形質転換体を選択した。プライマーとしてpKVM-XPDdldh-UpF及びpKVM-XPDdldh-DownRを使用するPCR及び配列決定によって確認されたように、D-乳酸合成経路(すなわち、D-乳酸デヒドロゲナーゼ(配列番号31)をコードする遺伝子ldhTi)がノックアウトされた遺伝子操作菌株の構築に成功した(BN11ΔldhTiと表される)。
【0137】
実施例2:6-ホスホフルクトキナーゼ及びピルビン酸キナーゼを過剰発現するバチルス・リケニフォルミス株の構築
2.1 プライマーは、バチルス・リケニフォルミスATCC14580ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。別途、上流及び下流プライマーとしてそれぞれ、pKVM-XPDldh-UpF(配列番号7)及びPals-XPDldh-UpR(配列番号8)、XPDldh-Pals-F(配列番号9)及びPFYAK-Pals-R(配列番号10)、Pals-PFYAK-F(配列番号11)及びXPDldh-PFYAK-R(配列番号12)、並びにPFYAK-XPDldh-DownF(配列番号13)及びpKVM-XPDldh-DownR(配列番号14)を用いてPCR増幅を行い、ldh遺伝子の上流に相同アーム、Palsプロモーター(配列番号2)、pfk(配列番号27)及びpyk(配列番号28)遺伝子クラスター、及びldh遺伝子の下流に相同アームを含有するフラグメントを得た。
【0138】
2.2 工程2.1からのPCR産物を精製し、プライマーとしてpKVM-XPDldh-UpF及びpKVM-XPDldh-DownRを用いて組換えPCR増幅を行った。精製後、PCR産物をシームレスクローニングによってpKVMベクターにクローニングし、次いでこれを大腸菌S17に形質転換し、S17-pKVM-PFYAKを得た。
【0139】
2.3 工程2.2で得られた大腸菌S17-pKVM-PFYAK株とバチルス・リケニフォルミスBN11ΔldhTi株を実施例1と同様に接合伝達及び相同組換えに供し、pfk遺伝子及びpyk遺伝子を過剰発現している株を得た(BN11ΔldhTi-PFYAKと表される)。
【0140】
実施例3:異種アラニンデヒドロゲナーゼを過剰発現する株の構築
3.1 アラニンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列に基づいて、BLAST法を使用して、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスのゲノム中の潜在的に耐熱性であるアラニンデヒドロゲナーゼ(配列番号32に示すアミノ酸配列及びWP_033014465.1に対応するタンパク質配列番号を有する)を同定した。ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス由来のこのアラニンデヒドロゲナーゼ遺伝子(GSaldと命名)を、バチルス・リケニフォルミスゲノムに基づくコドン最適化に供し(最適化されたバージョンの配列は、配列番号1に示される通りである)、5’から3’へのPalsプロモーター(配列番号2)と共に合成した。マージされた配列はPals-GSaldと表される。
【0141】
3.2 プライマーは、バチルス・リケニフォルミスATCC14580ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。別途、pKVM-XPDdldh-UpF(配列番号3)及びPals-XPDdldh-UpR(配列番号15)、XPDdldh-Pals-F(配列番号16)及びXPDdldh-GSald-R(配列番号17)、並びにGSald-XPDdldh-DownF(配列番号18)及びpKVM-XPDdldh-DownR(配列番号6)をそれぞれ上流及び下流プライマーとして用いてPCR増幅を行い、ldhTi遺伝子のプロモーターの上流に相同アーム、Pals-GSald遺伝子及びldhTi遺伝子の下流に相同アームを含有するフラグメントを得た。
【0142】
3.3 工程3.2からのPCR産物を精製し、プライマーとしてpKVM-XPDdldh-UpF及びpKVM-XPDdldh-DownRを用いて組換えPCR増幅を行った。精製後、PCR産物をシームレスクローニングによってpKVMベクターにクローニングし、次いでこれを大腸菌S17に形質転換し、S17-pKVM-GSaldを得た。大腸菌S17-pKVM-GSald株とバチルス・リケニフォルミスBN11ΔldhTi-PFYAK株を実施例1と同様に接合伝達及び相同組換えに供し、異種GSaldを発現している株を得た(BA-1と表される)。
【0143】
実施例4:バチルス・リケニフォルミスにおけるアラニンラセマーゼ遺伝子のノックアウト
4.1 プライマーは、バチルス・リケニフォルミスATCC14580ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。別途、pKVM-XPDalr1-UpF(配列番号19)及びXPDalr1-UpR(配列番号20)、並びに、XPDalr1-DownF(配列番号21)及びpKVM-XPDalr1-DownR(配列番号22)をそれぞれ上流及び下流プライマーとして用いてPCR増幅を行い、遺伝子alr1の上流及び下流に相同アームを含有するフラグメントを得た。
【0144】
4.2 工程4.1からのPCR産物を精製し、プライマーとしてpKVM-XPDalr1-UpF及びpKVM-XPDalr1-DownRを用いて組換えPCR増幅を行った。精製後、PCR産物をシームレスクローニングによってpKVMベクターにクローニングし、次いでこれを大腸菌S17に形質転換し、S17-pKVMΔalr1を得た。
【0145】
4.3 大腸菌S17-pKVMΔalr1株とバチルス・リケニフォルミスBA-1株を実施例1と同様に接合伝達及び相同組換えに供し、alr1遺伝子(配列番号29)がノックアウトされた株を得た(BA-1Δalr1と表される)。
【0146】
4.4.プライマーは、バチルス・リケニフォルミスATCC14580ゲノム(GenBank番号NC_006270.3)の配列に従って設計した。別途、pKVM-XPDalr2-UpF(配列番号23)及びXPDalr2-UpR(配列番号24)、並びに、XPDalr2-DownF(配列番号25)及びpKVM-XPDalr2-DownR(配列番号26)をそれぞれ上流及び下流プライマーとして用いてPCR増幅を行い、遺伝子alr2の上流及び下流に相同アームを含有するフラグメントを得た。
【0147】
4.5 工程4.4からのPCR産物を精製し、プライマーとしてpKVM-XPDalr2-UpF及びpKVM-XPDalr2-DownRを用いて組換えPCR増幅を行った。精製後、PCR産物をシームレスクローニングによってpKVMベクターにクローニングし、次いでこれを大腸菌S17に形質転換し、S17-pKVMΔalr2を得た。
【0148】
4.6 大腸菌S17-pKVMΔalr2株とバチルス・リケニフォルミスBA-1Δalr1株を実施例1と同様に接合伝達及び相同組換えに供し、alr1遺伝子(配列番号29)及びalr2遺伝子(配列番号30)の両方がノックアウトされた株を得た(BLA-1と表される)。
【0149】
実施例5:組換えバチルス・リケニフォルミスBLA-1の42℃での流加発酵(5L発酵槽中)
5.1 種菌培養培地及び発酵培養培地
種菌培養培地の組成:LB培地、酵母粉末5g/L、トリプトン10g/L、塩化ナトリウム10g/L。
発酵培養培地の組成:グルコース100g/L、酵母粉末5g/L、硫酸アンモニウム5g/L、リン酸水素二カリウム三水和物1.3g/L、リン酸二水素カリウム0.5g/L、硫酸マグネシウム七水和物0.5g/L、硫酸第一鉄七水和物20mg/L、硫酸マンガン四水和物20mg/L。グルコースを115℃で20分間別々に滅菌した。
【0150】
5.2 種菌培養
BLA-1をグリセロール管から5mLのLB培地を含有する振盪管に移し、200rpmで振盪しながら50℃で12時間インキュベートした。その後、500mLの三角フラスコ内に含有されたLB培地150mLに3%~5%の播種材料体積で播種し、200rpmで振盪しながら50℃で12時間インキュベートし、種菌溶液(すなわち、活性化した種菌)を得た。この工程で、種菌活性化が達成された。
【0151】
5.3 発酵培養
工程5.2で得られた種菌溶液を5L発酵槽内に含有された発酵培養培地に播種材料体積5%で播種し、全量3Lとした。25%(v/v)アンモニア水で発酵pHを7.0に制御した後、42℃の温度で通気量1.0vvm、撹拌速度300rpmで通気(空気)しながら発酵培養を開始した。6時間~8時間後、バチルス・リケニフォルミスを6.5~8.0のOD600まで発酵させた。この時点で通気を停止し、撹拌速度を80rpmまで低下させた。次いで、発酵を再開し、60時間後に終了した。発酵プロセス中に、グルコース(炭素源)の濃度が30g/L~50g/Lに低下したとき、グルコースを補充して濃度を100g/Lに増加させた。60時間の発酵後、発酵ブロス中のL-アラニン濃度は93.7g/Lと検出され、これはグルコースからアラニンへの変換率74.4%に相当し、L-アラニンの光学純度は98.9%であった。
【0152】
実施例6:組換えバチルス・リケニフォルミスBLA-1の50℃での流加発酵(5L発酵槽中)
6.1 種菌培養培地及び発酵培養培地
実施例5の5.1参照
6.2 種菌培養
実施例5の5.2参照
6.3 発酵培養
工程6.2で得られた種菌溶液を5L発酵槽内に含有された発酵培養培地に播種材料体積5%で播種し、全量3Lとした。25%(v/v)アンモニア水で発酵pHを7.0に制御した後、50℃の温度で通気量1.0vvm、撹拌速度300rpmで通気しながら発酵培養を開始した。6時間~8時間後、バチルス・リケニフォルミスを6.5~8.0のOD
600まで発酵させた。この時点で通気を停止し、撹拌速度を80rpmまで低下させた。次いで、発酵を再開し、60時間後に終了した。発酵プロセス中に、グルコースの濃度が30g/L~50g/Lに低下したとき、グルコースを補充して濃度を100g/Lに増加させた。
図2は、この発酵プロセスのプロット図である。60時間の発酵後、発酵ブロス中のL-アラニン濃度は96.8g/Lと検出され、これはグルコースからアラニンへの変換率76.8%に相当し、L-アラニンの光学純度は98.9%であった。
【0153】
実施例7:組換えバチルス・リケニフォルミスBLA-1の55℃での流加発酵(5L発酵槽中)
7.1 種菌培養培地及び発酵培養培地
実施例5の5.1参照
7.2 種菌培養
実施例5の5.2参照
7.3 発酵培養
工程7.2で得られた種菌溶液を5L発酵槽内に含有された発酵培養培地に播種材料体積5%で播種し、全量3Lとした。25%(v/v)アンモニア水で発酵pHを7.0に制御した後、55℃の温度で通気量1.0vvm、撹拌速度300rpmで通気しながら発酵培養を開始した。6時間~8時間後、バチルス・リケニフォルミスを3.0~4.5のOD600まで発酵させた。この時点で通気を停止し、撹拌速度を80rpmまで低下させた。次いで、発酵を再開し、60時間後に終了した。60時間の発酵後、発酵ブロス中のL-アラニン濃度は21.4g/Lと検出され、これはグルコースからアラニンへの変換率63.8%に相当し、L-アラニンの光学純度は97.2%であった。
【0154】
実施例8:組換えバチルス・リケニフォルミスBLA-1の42℃での流加発酵(50L発酵槽中)
8.1 種菌培養培地及び発酵培養培地
実施例5の5.1参照
8.2 種菌培養
BLA-1をグリセロール管から5mLのLB培地を含有する振盪管に移し、200rpmで振盪しながら50℃で12時間インキュベートした。その後、500mLの三角フラスコ内に含有されたLB培地150mLに3%~5%の播種材料体積で播種し、200rpmで振盪しながら50℃で12時間インキュベートした。最後に、5Lの三角フラスコ内に含有されたLB培地1.5Lに3%~5%の播種材料体積でさらに播種し、200rpmで振盪しながら50℃で12時間インキュベートした。
8.3 発酵培養
工程8.2で得られた種菌溶液を50L発酵槽内に含有された発酵培養培地に播種材料体積5%で播種し、全量30Lとした。25%(v/v)アンモニア水で発酵pHを7.0に制御した後、42℃の温度で通気量1.0vvm、撹拌速度300rpmで通気しながら発酵培養を開始した。6時間~8時間後、バチルス・リケニフォルミスを6.5~8.0のOD600まで発酵させた。この時点で通気を停止し、撹拌速度を80rpmまで低下させた。次いで、発酵を再開し、60時間後に終了した。発酵プロセス中に、グルコースの濃度が30g/L~50g/Lに低下したとき、グルコースを補充して濃度を100g/Lに増加させた。60時間の発酵後、発酵ブロス中のL-アラニン濃度は40.5g/Lと検出され、これはグルコースからアラニンへの変換率70.7%に相当し、L-アラニンの光学純度は96.6%であった。
【0155】
実施例9:組換えバチルス・リケニフォルミスBLA-1の50℃での流加発酵(50L発酵槽中)
9.1 種菌培養培地及び発酵培養培地
実施例5の5.1参照
9.2 種菌培養
実施例8の8.2参照
9.3 発酵培養
工程9.2で得られた種菌溶液を50L発酵槽内に含有された発酵培養培地に播種材料体積5%で播種し、全量30Lとした。25%(v/v)アンモニア水で発酵pHを7.0に制御した後、50℃の温度で通気量1.0vvm、撹拌速度300rpmで通気しながら発酵培養を開始した。6時間~8時間後、バチルス・リケニフォルミスを6.5~8.0のOD600まで発酵させた。この時点で通気を停止し、撹拌速度を80rpmまで低下させた。次いで、発酵を再開し、60時間後に終了した。発酵プロセス中に、グルコースの濃度が30g/L~50g/Lに低下したとき、グルコースを補充して濃度を100g/Lに増加させた。60時間の発酵後、発酵ブロス中のL-アラニン濃度は108.2g/Lと検出され、これはグルコースからアラニンへの変換率73.3%に相当し、L-アラニンの光学純度は99.1%であった。
【0156】
実施例10:組換えバチルス・リケニフォルミスBLA-1の55℃での流加発酵(50L発酵槽中)
10.1 種菌培養培地及び発酵培養培地
実施例5の5.1参照
10.2 種菌培養
実施例8の8.2参照
10.3 発酵培養
工程10.2で得られた種菌溶液を50L発酵槽内に含有された発酵培養培地に播種材料体積5%で播種し、全量30Lとした。25%(v/v)アンモニア水で発酵pHを7.0に制御した後、55℃の温度で通気量1.0vvm、撹拌速度300rpmで通気しながら発酵培養を開始した。6時間~8時間後、バチルス・リケニフォルミスを4.0~6.0のOD600まで発酵させた。この時点で通気を停止し、撹拌速度を80rpmまで低下させた。次いで、発酵を再開し、60時間後に終了した。60時間の発酵後、発酵ブロス中のL-アラニン濃度は26.6g/Lと検出され、これはグルコースからアラニンへの変換率59.0%に相当し、L-アラニンの光学純度は98.7%であった。
【0157】
実施例11:実施例2で構築したBN11ΔldhTi-PFYAK株の発酵培養結果
実施例2で得られたBN11ΔldhTi-PFYAK株の発酵培養を、実施例6の方法及び実験パラメータに従って行った。
その結果、L-アラニンとD-アラニンの混合物が64g/Lの収率で生産され、L-アラニンの光学純度は67.7%に過ぎず、したがって不満足なものであった(通常、光学純度は98%以上である必要があった)。
【0158】
実施例12:実施例3で構築したBA-1株の発酵培養結果
実施例3で得られたBA-1株の発酵培養を、実施例6の方法及び実験パラメータに従って行った。
その結果、L-アラニンとD-アラニンの混合物が129g/Lの収率で生産され、L-アラニンの光学純度は70.8%に過ぎず、したがって不満足なものであった。
【0159】
実施例11及び12の結果は、L-アラニンの高い光学純度を達成するためには、バチルス・リケニフォルミスのアラニンラセマーゼ遺伝子のノックアウトが必要であることを示している。
【0160】
実施例13:アラニンラセマーゼ遺伝子の一つのみをノックアウト
実施例4の方法を用いてアラニンラセマーゼをコードするalr1(配列番号29)及びalr2(配列番号30)のいずれかの遺伝子をノックアウトした株の発酵培養を、実施例6の方法に従って行った。
その結果、光学純度の点で不満足であることがわかった。
【0161】
以上、本発明の好ましい具体的な実施形態について詳細に説明した。当業者は、いかなる創造的な努力もすることなく、本発明の概念に基づいて様々な修正及び変更を行うことができることを理解されたい。したがって、従来技術に基づいて本発明の概念に従って論理的分析、推論、又は限定的な実験によって当業者が得ることができるすべての技術的解決策は、特許請求の範囲によって定義される保護範囲内に入ることが意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】