(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】植物及び/又は生の食物材料を処理するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A23L 5/20 20160101AFI20240920BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20240920BHJP
A23L 11/30 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
A23L5/20
A23L11/00 F
A23L11/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545067
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2022078305
(87)【国際公開番号】W WO2023062035
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524137617
【氏名又は名称】エヌユービー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マレ,ピエール ギョーム
【テーマコード(参考)】
4B020
4B035
【Fターム(参考)】
4B020LC01
4B020LG09
4B020LP02
4B020LP03
4B020LP08
4B020LP10
4B020LP15
4B020LP19
4B020LP20
4B020LP30
4B035LC02
4B035LG33
4B035LP01
4B035LP24
4B035LP25
4B035LP43
4B035LP55
4B035LP59
4B035LT01
4B035LT02
4B035LT20
(57)【要約】
本発明は、植物及び/又は生の食品材料のタンパク質を変性させることなく、植物及び/又は生の食品材料、例えばマメ科植物原材料を処理するためのプロセスに関する。本方法は、高真空下で実施される蒸気ストリッピングステップを含む。本発明はさらに、この方法を実行するためのシステム並びにこの方法から得られる製品に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を変性させることなく、デンプン、タンパク質及び異臭化合物を含むマメ科植物原材料を脱臭するためのプロセスであって、
i.約5℃~約40℃の範囲の温度において、前記マメ科植物原材料を水溶液と接触させて、水和したマメ科植物材料を得るステップと;
ii.前記水和したマメ科植物材料を60℃~121℃の間からなる温度で約1秒~約30秒の範囲の期間加熱することによって、前記水和した植物及び/又は生の食品材料をブランチングし、それによって前記水和したマメ科植物材料をブランチングするステップと;
iii.前記ブランチングしたマメ科植物原材料を、撹拌しながら、123mbar以下、100mbar以下、50mbar以下、好ましくは35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらにより好ましくは5mbar以下の絶対大気圧を呈する高真空を適用することによって急速に冷却させ、それによって前記マメ科植物をタンパク質の変性から保護するステップと;
iv.前記冷却したマメ科植物材料を、30℃~50℃の範囲の温度を呈する水蒸気を注入することによりブレンドすることによって、高真空下で蒸気ストリッピングを行い、これにより、前記異臭化合物を除去するステップと;
v.前記異臭化合物を含む注入された水蒸気を取り除くことによって、前記マメ科植物材料を乾燥させて、乾燥及び脱臭したマメ科植物材料を得るステップと
を含むプロセス。
【請求項2】
ステップv)の前記乾燥及び脱臭したマメ科植物材料を水和させて、ステップiv)及びv)に従って蒸気ストリッピング及び乾燥の新たなサイクルに供する、少なくとも1つのステップvi)をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記マメ科植物原材料が、エンドウ豆、典型的にはイエロースプリットピーから選択される、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップi)が、前記マメ科植物原材料に水溶液を噴霧することによって実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
乾燥ステップv)が、典型的にはチラー熱交換器による凝縮によって実行される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記脱臭及び乾燥したマメ科植物原材料を、デンプン及びタンパク質を含む脱臭したマメ科植物原材料粉に製粉するステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
脱臭したマメ科植物原材料粉を、典型的には空気分級製粉によって、脱臭したタンパク質を豊富に含む画分と脱臭したデンプンを豊富に含む画分とに分画するステップをさらに含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記脱臭したタンパク質を豊富に含む画分が、約2μmの平均粒子サイズを呈する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
脱臭したマメ科植物原材料、脱臭したマメ科植物粉、又は脱臭したマメ科植物タンパク質を豊富に含む画分から選択される製品であって、前記製品の乾燥物あたり3ppb未満、好ましくは2ppb未満、さらに好ましくは1.4ppb未満のヘキサナールであるヘキサナール含有量を呈し、植物及び/又は生の食品材料タンパク質の窒素溶解度と比較して、20%以下、好ましくは15%以下低減された窒素溶解度指数を呈する、製品。
【請求項10】
前記マメ科植物が、エンドウ豆であり、前記エンドウ豆タンパク質原料、前記エンドウ豆粉、又は前記エンドウ豆タンパク質を豊富に含む画分が、少なくとも60%の窒素溶解度指数を呈する、請求項9に記載の製品。
【請求項11】
請求項9又は10のいずれか一項に記載の製品を含む食品組成物。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスを実行するためのシステムであって、
‐前記マメ科植物原材料を水溶液と接触させることにより水和させるための手段;
‐前記水和したマメ科植物原材料を急速沸騰させるための手段、
‐第1の平面と第2の平面及び加熱された円周面を有する円柱状容器、典型的には撹拌デバイス、
‐気密用手段を備えた円柱状容器を囲むチャンバ、
‐123mbar以下、100mbar以下、50mbar以下、好ましくは35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらに好ましくは5mbar以下の絶対大気圧の高真空を適用するための少なくとも1つのポンプ、及び前記チャンバ内に高真空を適用するように構成された真空入口、
‐前記円柱状容器の前記第1の平面に水蒸気を注入するための手段、
‐前記円柱状ブレンドデバイスの前記第2の平面から前記異臭化合物を含む前記注入された水蒸気を取り除くための手段、
任意により、
‐前記円柱状容器の内容物を水和するための手段;及び/又は
‐生のマメ科植物材料を製粉するための手段
を備えるシステム。
【請求項13】
‐前記マメ科植物原材料を水溶液と接触させることによって水和させるための手段が、少なくとも1つの噴霧器、典型的には、オープンウィーブベルトコンベアに噴霧するように構成された少なくとも1つの噴霧器、及び/又は少なくとも1つの水浴から選択され;及び/又は
‐前記水和したマメ科植物原材料を急速沸騰させるための加熱手段が、加熱された、典型的には蒸気ジャケット付きのスクリューコンベアから選択され;及び/又は
‐前記円柱状容器が、ブレンドデバイスであり、典型的には、円錐状ブレンダーであるブレンドデバイスであり;及び/又は
‐前記円柱状ブレンドデバイスの加熱された円周面手段が、加熱された水ジャケット付きの円周面であり;及び/又は
‐前記チャンバを気密にするための手段が、空圧式バルブ、典型的にはグローブ型バルブであり;及び/又は
‐前記円柱状ブレンドデバイスの前記第1の平面において水蒸気を注入するための手段が、少なくとも1つの蒸気ノズルであり、
‐前記円柱状ブレンドデバイスの前記第2の平面から前記異臭化合物を含む注入された水蒸気を回収するための手段が、典型的には、少なくとも1つのチラー熱交換器から選択される蒸気凝縮手段であり、
‐前記円柱状ブレンドデバイスの内容物を水和するための任意の手段が、少なくとも1つの水噴霧器から選択される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記異臭化合物を含む注入された水蒸気を取り除くための手段が、前記円柱状ブレンドデバイスの第2の平面と前記ポンプ入口との間に構成される、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
‐前記システムの温度、圧力、水流、及び蒸気流を制御するための手段、並びに/又は
‐前記システム内の空気を濾過するための手段のうちの少なくとも1つ
をさらに備える、
請求項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの植物及び/又は1つの生の食物材料の少なくとも一部を処理するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は、食事の基本的な部分を代表する。ベジタリアン、完全菜食主義者、及び/又はフレキシタリアニズムなどの新しいタイプの食事法の発展により、植物性タンパク質、特にエンドウ豆などのマメ科の植物を含有する新製品の急増が認められ得る。Innova Market Insights(DuivenTheNetherlands)によれば、米国において「植物由来」を謳う新製品の数は、2012年の94件から2016年には320件に達した。Mintelは、「Food and drink trends 2017」レポートの中で、今年の食品及び飲料業界では、消費者の健康及びウェルネスへの関心に応える手段として役立つ、原料として植物を強調するより多くの製品が歓迎されるであろうと述べた。
【0003】
植物性タンパク質ベースの製品の成功は、味、嗜好性、及び非変性タンパク質含有量を含むいくつかの基準に依存する。
【0004】
マメ科材料は、食品及び飲料における大豆製品の代わりとなる代替タンパク質源として魅力的である。しかし、マメ科材料は、多くの場合、その望ましくない風味により、食物製品での使用に望ましくない。例えば、エンドウ豆を乾式製粉して得られるエンドウ豆粉は、エンドウ豆の風味及び苦味を含有する。その結果、エンドウ豆粉を食物製品中に使用したときに、生のエンドウ豆の風味及び苦味がこれらの製品に移行する。
【0005】
植物性タンパク質ベースの製品の嗜好性及び味を最適化するために、製品中の植物性タンパク質の異臭を回避するための様々な処理及び/又は抽出プロセスが開発されている。タンパク質単離物及び濃縮物を抽出するための好適なプロセスの2つの主な例としては、エンドウ豆タンパク質について以下に詳細に示す「湿式法」及び「乾式法」である。
【0006】
エンドウ豆タンパク質を抽出するための湿式法は、約70%~80%のタンパク質を含むタンパク質単離物を得るのに特に好適である。前記湿式法は、アルカリ抽出及び酸沈殿又は限外濾過を意味する。前記方法の最終ステップは、最大150℃の範囲の空気温度において、空気乾燥機を通してタンパク質単離物を乾燥させることを含む。これらの湿式法では、酸性及びアルカリ性の媒体への曝露、及び熱への曝露により、エンドウ豆から抽出されたタンパク質の品質に好ましくない影響を有する。乳化特性、水溶性、分散特性、ゲル化特性、発泡特性、並びに水及び/又は脂肪に結合する能力などのタンパク質の機能は、このような処理ステップによって影響を受け得る。これらの方法によりタンパク質の品質が損なわれた結果として、例えば酵素加水分解などの複雑な技術を使用して、得られたタンパク質組成を変更し、所望の特性を付与することが必要になり得る。
【0007】
乾燥経路、すなわち空気分級法を使用することにより、エンドウ豆タンパク質濃縮物を得ることができるが、この方法では、典型的には、はるかに高いレベルの抗栄養因子を含有し、これにより、最終製品が、ほとんどの消費者にとって口に合わないものになるため、食物への適用はさらに制限される。
【0008】
Canadian International Grains Institute(Cigi)(Winnipeg,Man)によれば、製粉前の熱処理により、市販の食物製品の原料として加工される黄色エンドウ豆、白インゲン豆、及びソラマメなどのマメ科植物中の異臭が低減され得る。
【0009】
国際特許出願WO2019/006286号は、生のエンドウ豆組成物を加工して、非揮発性風味成分を低減させる方法を開示しており、この方法は、生のエンドウ豆スラリーを蒸気調理して、調理済みエンドウ豆スラリーを形成することと、調理済みエンドウ豆スラリーを乾燥させて、加工済みエンドウ豆組成物を形成することと、を含み、ここで、加工済み組成物中、約25kDa以上の分子量を有するタンパク質に関連する非揮発性風味成分の量は、原材料中の非揮発性風味成分の量よりも少ない。このプロセスによる調理は、典型的には、少なくとも5p.s.i(約344mbar)の圧力及び少なくとも150°F(約65.5℃)の温度の蒸気によるジェット調理である。このような熱及び圧力条件では、生のエンドウ豆組成物から抽出されたタンパク質のすべての特性を維持することはできない。
【0010】
さらに、植物由来の原材料から望ましくない異臭成分を低減させるための既存のプロセスでは、一般的に、抽出された異臭成分を回収することも、さらに処理すること及び/又は使用することもできない。
【0011】
最後に、従来のタンパク質単離物の製造プロセスでは、大量の廃液及び廃棄物が生じ、高いエネルギー消費量を呈する。
【0012】
したがって、植物由来の生の植物材料などの植物由来の材料に対して、その中に含まれるタンパク質の全機能を維持しながら、望ましくない異臭化合物の減少及び/又は消失を可能にする新しい処理プロセスを開発する必要性が依然として存在する。有利なことに、このようなプロセスは、当然ながら、抽出された異臭成分を回収し、それらを処理及び/又は使用することをさらに可能にしなければならない。さらに有利なことに、このようなプロセスは、処理プロセスのより経済的かつ環境に優しい実施が可能になるように、溶媒、廃液、及び/又はエネルギー消費の点においても、当然ながら倹約的でなければならない。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、タンパク質を変性させることなく、デンプン、タンパク質及び異臭化合物を含むマメ科植物原材料を脱臭するためのプロセスであって、
i.約5℃~約40℃の範囲の温度において、マメ科植物原材料を水溶液と接触させて、水和したマメ科植物材料を得るステップと;
ii.水和したマメ科植物材料を60℃~121℃の間からなる温度において約1秒~約30秒の範囲の期間加熱することによって、水和した植物及び/又は生の食物材料をブランチングし、それによって水和したマメ科植物材料をブランチングするステップと;
iii.ブランチングしたマメ科植物原材料を、撹拌しながら、約123mbar以下、約100mbar以下、約50mbar以下、好ましくは約35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらにより好ましくは約5mbar以下の絶対大気圧を呈する高真空を適用することによって急速に冷却させ、それによってマメ科植物をタンパク質の変性から保護するステップと;
iv.冷却したマメ科植物材料を、約30℃~約50℃の範囲の温度を呈する水蒸気を注入することによりブレンドすることによって、高真空下で蒸気ストリッピング(冷却ステップで説明したように)を行い、これにより、異臭化合物を除去するステップと;
v.異臭化合物を含有する注入された水蒸気を取り除くことによって、マメ科植物材料を乾燥させて、乾燥及び脱臭したマメ科植物材料を得るステップと;を含む。
【0014】
プロセスは、ステップv)の乾燥及び脱臭したマメ科植物材料を水和させて、ステップiv)及びv)に従う蒸気ストリッピング及び乾燥の新たなサイクルに供する少なくとも1つのステップvi)をさらに含んでもよい。
【0015】
一実施形態では、マメ科植物原材料は、エンドウ豆、典型的にはイエロースプリットピーから選択される。
【0016】
一実施形態では、ステップi)は、マメ科植物原材料に水溶液を噴霧することによって実行される。
【0017】
一実施形態では、乾燥ステップv)は、典型的にはチラー熱交換器を用いて、凝縮によって実行される。
【0018】
プロセスは、脱臭及び乾燥したマメ科植物原材料を、デンプン及びタンパク質を含む脱臭したマメ科植物原材料粉に製粉するステップをさらに含んでもよい。脱臭したマメ科植物原材料粉を次に、典型的には空気分級製粉によって、脱臭したタンパク質を豊富に含む画分と脱臭したデンプンを豊富に含む画分とに分画してもよい。脱臭したタンパク質を豊富に含む画分は、約2μmの平均粒子径を呈し得る。
【0019】
本発明はさらに、脱臭したマメ科植物原材料、脱臭したマメ科植物粉、又は脱臭したマメ科植物タンパク質を豊富に含む画分から選択される製品であって、製品の乾燥物あたり、3ppb未満、好ましくは2ppb未満、さらに好ましくは1.4ppb未満のヘキサナールであるのヘキサナール含有量を呈し、植物及び/又は生の食品材料タンパク質の窒素溶解度と比較して、20%以下、好ましくは15%以下低減された窒素溶解度指数を呈する製品に関する。
【0020】
一実施形態では、マメ科植物は、エンドウ豆であり、エンドウ豆タンパク質原材料、エンドウ豆粉、又はエンドウ豆タンパク質を豊富に含む画分は、少なくとも60%の窒素溶解度指数を示す。
【0021】
本発明はまた、本明細書において上述した製品を含む食品組成物にも関する。
【0022】
最後に、本発明は、本発明によるプロセスを実行するためのシステムであって、
‐マメ科植物原材料を水溶液と接触させることにより水和させるための手段と;
‐水和したマメ科植物原材料を急速沸騰させるための手段、
‐第1の平面と第2の平面及び加熱された円周面を呈する円柱状容器、典型的には撹拌デバイス、
‐気密用手段を備えた円柱状容器を囲むチャンバ、
‐123mbar以下、100mbar以下、50mbar以下、好ましくは35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらに好ましくは5mbar以下の絶対大気圧を呈する高真空を適用するための少なくとも1つのポンプ、及びチャンバ内に高真空を適用するように構成された真空入口、
‐円柱状容器の第1の平面に水蒸気を注入するための手段、
‐円柱状ブレンドデバイスの第2の平面から異臭化合物を含む注入された水蒸気を取り除くための手段、
任意により、
‐円柱状容器の内容物を水和するための手段;及び/又は
‐生のマメ科植物材料を製粉するための手段
を備えるシステムに関する。
【0023】
一実施形態では、
‐マメ科植物原材料を水溶液と接触させることによって水和させるための手段は、少なくとも1つの噴霧器、典型的には、オープンウィーブベルトコンベアを噴霧するように構成された少なくとも1つの噴霧器、及び/又は少なくとも1つの水浴から選択され;及び/又は
‐水和したマメ科植物原材料を急速沸騰させるための加熱手段は、加熱された、典型的には蒸気ジャケット付きのスクリューコンベアから選択され;及び/又は
‐円柱状容器は、ブレンドデバイスであり、典型的には、円錐状ブレンダーであるブレンドデバイスであり;及び/又は
‐円柱状ブレンドデバイスの加熱された円周面手段は、加熱された水ジャケット付きの円周面であり;及び/又は
‐チャンバを気密にするための手段は、空圧式バルブ、典型的にはグローブ型バルブであり;及び/又は
‐円柱状ブレンドデバイスの第1の平面において水蒸気を注入するための手段は、少なくとも1つの蒸気ノズルであり、
‐円柱状ブレンドデバイスの第2の平面から異臭化合物を含む注入された水蒸気を回収するための手段は、典型的には、少なくとも1つのチラー熱交換器から選択される蒸気凝縮手段であり、
‐円柱状ブレンドデバイスの内容物を水和するための任意の手段は、少なくとも1つの水噴霧器から選択される。
【0024】
異臭化合物を含む注入された水蒸気を取り除くための手段は、円柱状ブレンドデバイスの第2の平面とポンプ入口との間に構成されてもよい。
【0025】
一実施形態では、システムは、以下の少なくとも1つをさらに備えていてもよい:
‐システムの温度、圧力、水流れ、及び蒸気流を制御するための手段、並びに/又は
‐システム内の空気を濾過するための手段。
【0026】
定義
本発明において、以下の用語は、以下の意味を有する:
【0027】
数字の前の「約」は、その数字の値のプラス又はマイナス10%、好ましくはその数字の値のプラス又はマイナス5%、特にその数字の値のプラス又はマイナス1%を意味する。
【0028】
「生の食物材料」:そのまま、又は処理及び/又は加工後に食物材料として使用するのに好適であるあらゆる食品材料を指す。
【0029】
「マメ科植物」とは、マメ科植物の果実又は種子を指す。非限定的な例としては、アルファルファ、クローバー、豆類及びエンドウ豆類(例えば、アズキ豆、ソラマメ、ソラマメ(fava bean)、鈴豆(bell beans)、フィールドビーンズ(field bean)、ホースビーンズ(horsebeans)、キドニービーンズ(kidney beans)、スナップ豆、ヒヨコ豆、カルバンスエンドウ(calvance peas)、クリ豆(chestnut beans)、ドワーフエンドウ(dwarf peas)、ヒヨコ豆(garbanzo beans)、グラムエンドウ(gram peas)、イエローグラム(yellow grams)、ササゲ、アスパラガス豆、ササゲ(black eyed peas)、ササゲ(black eyed beans)、クラウダーピーズ(crowder peas)、サヤエンドウ、サザンピーズ、フリホーレス、グアー豆、クラスタマメ、ヒヤシンス豆、ボナビスト、フジマメ、ライマ豆、バタービーンズ、緑豆、ドライピース、サヤエンドウ、スナップエンドウ、エンドウ(chicharo)、レンズ豆、ルピナス、ピーナッツ、キマメ、大豆、テパリービーン、及びベッチ)、メスキート、イナゴマメ、及びタマリンドが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態では、マメ科植物は、エンドウ豆であり、マメ科植物粉は、エンドウ豆粉である。非常に好ましい実施形態では、マメ科植物は、イエロースプリットピーである。
【0030】
「風味」は、味及び/又は香りによって検出され得る性質を指す。
【0031】
「異臭」とは、蒸気揮発性化合物(SVOC)を指す。典型的には、SVOCは、苦味又は生小麦粉の特有の風味など、望ましくない風味を呈する。
【0032】
「異臭化合物」とは、製品に異臭を付与する分子を指す。好ましい実施形態では、異臭化合物は、非揮発性異臭化合物、又は蒸気揮発性異臭化合物である。風味は、食物における多くの植物性タンパク質成分の使用を制限する主な要因である。例えば、豆類(マメ科のある特定の植物の乾燥食用種子)は、(これらに限定されないが)豆臭、脂っぽさ、土臭さ、苦味、渋みなどの異臭を含有し得る。これは、豆類原料を主流の食品用途に拡大する上での障害であることに留意されたい。
【0033】
「非揮発性風味化合物」とは、製品に風味を付与するが、大気圧下での蒸発などの方法によって除去できない場合があるという意味で、揮発性ではない分子を指す。この用語は、液体及び固体の両方に当てはまる。
【0034】
「食品」とは、クラッカー、パン(例えば、ライ麦、小麦、オート麦、ジャガイモ、精白粉、全粒粉製品、混合小麦粉、パン、ツイスト、バンズ、ロール、ピタ、マッツォ、フォカッチャ、メルバトースト、ツヴィーバック、クルトン、ソフトプレッツェル、ソフト及びハードブレッドスティック、ヒートアンドサーブ)、トースターペストリー、クッキー、デニッシュ、クロワッサン、タルト、パイクラスト、ペストリー、マフィン、ブラウニー、シートケーキ、ドーナツ、スナック食品(例えば、プレッツェル、トルティーヤチップ、コーンチップ、ポテトチップス、加工スナック、加工ポテトクリスプ、押し出しスナック、押し出し充填スナック、トレイルミックス、グラノーラ、スナックミックス、シューストリングポテト)、小麦粉、コーンミール、ポレンタ、ミックス(例えば、ケーキミックス、ビスケットミックス、ブラウニーミックス、パンミックス、パンケーキミックス、クレープミックス、バッターミックス、ピザ生地)、冷蔵生地(例えば、ビスケット、パン、ブレッドスティック、クロワッサン、ディナーロール、ピザ生地、クッキー、デニッシュ、ブラウニー、パイクラスト)、冷凍食品(例えば、パイクラスト、パイ、タルト、ターンオーバー、ピザ、フードポケット、ケーキ、フライドポテト、ハッシュブラウン、鶏肉及び魚などのパン粉製品、パン粉野菜)、ベーグル、朝食用シリアル、ビスケット、野菜(例えば、乾燥、グリル、ロースト、あぶり、揚げ、真空乾燥など)、タコスシェル、ハッシュブラウン、マッシュポテト、トースト、グリルサンドイッチ、小麦粉及びコーントルティーヤ、クレープ、パンケーキ、ワッフル、バッター、ピザクラスト、米、ハーブ、スパイス、ナッツ、ナッツベースの食品(例えば、ピーナッツバター、刻みナッツを含む食物)、果物(例えば、乾燥、グリル、ロースト、あぶり、揚げ、真空乾燥、焼き、ゼリー、パイフィリング、フランベ、レーズン)、ハッシュドパピー、アルコール飲料(例えば、ビール及びエール)、焙煎カカオ豆を含む製品(例えば、ココア、チョコレート、菓子コーティング、ホットチョコレート、ホットチョコレートミックス、キャンディーバー)、及び動物用フード(例えば、ドッグフード、キャットフード)などの任意の食用製品を指す。
【0035】
「食品」は飲料(複数可)も含む。本明細書に開示される飲料製品は、すぐに飲める液体配合物、飲料濃縮物などを含む。飲料としては、例えば、炭酸飲料及び非炭酸飲料、ファウンテン飲料、冷凍のそのまま飲める飲料、コーヒー飲料、茶飲料、乳飲料、粉末ソフトドリンク、ピューレ、並びに液体濃縮物、フレーバーウォーター、強化水、フルーツジュース及びフルーツジュースフレーバー飲料、スポーツドリンク、及びアルコール製品などが挙げられる。
【0036】
「タンパク質含有量」とは、A.O.C.S(American Oil Chemists Society)Official Methods Be 4-91(1997)、Aa 5-91(1997)、又はBa 4d-90(1997)(それぞれ参照により全体が本明細書に組み込まれる)によって確認された物質の相対的タンパク質含有量を指し、材料サンプルの総窒素含有量をアンモニアとして、タンパク質含有量をサンプルの総窒素含有量の6.25倍として決定する。
【0037】
本発明の文脈における「蒸気揮発性」とは、高真空蒸気と接触したときに、生の植物材料から除去できる異臭化合物などの化合物を指す。高真空下での蒸気揮発性化合物の除去は、(1)蒸気揮発性化合物の沸点を低下させて、これによって高真空条件下で蒸気揮発性化合物を揮発させて、生の植物材料から除去すること、及び/又は(2)蒸気揮発性化合物を生の植物材料の外表面に拡散させて、典型的には、蒸気と異臭化合物との間に形成される水素結合を利用して、高真空蒸気によって蒸気揮発性化合物を除去することを含み得る。換言すれば、マメ科植物原材料の固有の湿度又は水和によって拡散が起こり、SVOCがマメ科植物の表面に拡散する経路が形成される。SVOCがエンドウ豆の表面に到達すると、高真空蒸気と水素結合を形成することによって、エンドウ豆の表面から除去される。好ましくは、高真空下での蒸気揮発性化合物の除去は、上記に詳述したとおり、蒸気揮発性化合物の拡散(2)を含む。したがって、化合物が高真空条件下では厳密には揮発性ではない場合でも、高真空蒸気条件下で実行される拡散現象により、蒸気揮発性になることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
処理プロセス
本発明は、まず、1つの植物及び/又は1つの生の食品材料、好ましくはマメ科植物原材料の少なくとも一部を処理するためのプロセスであって、1つの植物及び/又は1つの生の食物材料の少なくとも一部を、約30℃~約50℃の範囲の温度を呈する水蒸気を注入することによってブレンドすることにより、高真空下で蒸気ストリッピングするステップを含むプロセスに関する。
【0039】
本発明によれば、蒸気ストリッピングステップは、植物及び/又は生の食物材料の異臭化合物の少なくとも一部を除去することを目的とする。好ましい実施形態では、蒸気ストリッピングステップは、植物及び/又は生の食物材料の異臭化合物のほぼすべて、好ましくはすべてを除去することを目的とする。植物及び/又は生の食物材料の異臭化合物をすべて除去することは、蒸気ストリッピングステップ後に、植物及び/又は生の食物材料中の異臭化合物の量が、従来の好適な分析技術による検出限界又はヒトの味覚知覚閾値、好ましくはヒトの知覚閾値よりも低いことを意味する。一実施形態では、分析技術は、例えば質量分析法(GC-MS)又は火炎イオン化検出器(GC-FID)に連結されたガスクロマトグラフィーなどの分析化学技術を含むか、又はそれらからなる。ヒト検出閾値が分析検出閾値よりも低い場合、分析技術は、ヒト対象の群による植物及び/又は生の食物材料の官能評価を包含してもよい。加えて又は或いは、分析技術は、ガスクロマトグラフを使用した揮発性化合物の分離と嗅覚計(ヒトの評価者)を使用した臭気の検出を統合する技術である、嗅覚測定法と組み合わせたガスクロマトグラフィー(GC-O)を包含してもよい。
【0040】
植物及び/又は生の食物材料は、少なくとも1つの異臭化合物を含む任意の植物及び/又は生の食物材料であってもよい。前記異臭化合物は、植物及び/又は生の食物材料中に残った場合に、植物及び/又は生の食物材料の匂い及び/又は味を変化させやすい。
【0041】
いくつかの実施形態では、植物及び/又は生の食物材料は、マメ科植物原材料、好ましくはエンドウ豆、さらに好ましくはイエロースプリットピーである。本発明に従って処理される他の植物及び/又は生の食物材料としては、これらに限定されないが、植物ベースの小麦粉、粉乳、タマネギ、ニンニク、アボカドオイル、魚油、マルーラオイルが挙げられる。
【0042】
典型的には、本発明に従って処理される植物及び/又は生の食物材料は、デンプン、タンパク質及び異臭化合物を含む。有利なことに、本発明によるプロセスは、植物又は生の食物材料を高温にさらすことなく、プロセスの高真空条件下で、上記で定義したように蒸気揮発性となる異臭化合物を除去することを可能にし、それによってデンプン及びタンパク質、好ましくはタンパク質が実質的に無傷のままで維持する。
【0043】
上記で定義したとおり、異臭化合物は、蒸気揮発性化合物であり、好ましくは、本発明による高真空条件下で蒸気揮発性である。典型的には、蒸気揮発性化合物は、例えば高真空蒸気と水素結合を形成することによって、高真空蒸気によって除去することができる。いくつかの実施形態では、異臭化合物は、アルデヒド、アルコール、ケトン、酸、ピラジン、及び硫黄化合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、異臭化合物は、蒸気揮発性である。
【0044】
高真空蒸気ストリッピングステップは、異臭化合物の少なくとも一部を除去するのに好適である任意の条件において実施され得る。蒸気ストリッピングステップは、約123mbar以下、約100mbar以下、約50mbar以下、好ましくは約35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらに好ましくは約5mbar以下、例えば1mbar以下、又は0.1mbar未満の高真空下で行われる。
【0045】
水蒸気は、典型的には、円柱状容器である反応器に注入され、1つの植物及び/又は1つの生の食物材料の少なくとも一部をブレンドする。第1の変形形態によれば、水蒸気は、典型的には上記で定義したプロセスの高真空及び温度条件において、水蒸気の形態で注入される。第2の変形形態によれば、水蒸気は、約30℃~約60℃、好ましくは約50℃の温度を有する液体の水の形態で注入され、これは、本プロセスの高真空条件にさらされたときに、即座に水蒸気に変換される。水蒸気の好適な量及び流量は、植物及び/又は生の食物材料の性質、植物及び/又は原材料の量、及び/又は反応器の容積などのいくつかのパラメータに依存する。好ましくは、水蒸気流速は、10~1000kg/時間の間、好ましくは50~200kg/時間の間からなる。いくつかの実施形態では、水蒸気の流速は、例えば4トンのバッチの場合、約100kg/時間であってもよい。
【0046】
異臭を含む生成された蒸気は、この蒸気ストリッピングステップにおいて除去され得る。典型的には、水蒸気がプラント及び/又は生の食物材料に注入されると、異臭が除去され、異臭を含む生成された水蒸気は、好ましくはチラー熱交換器、さらに好ましくは、約-10℃~10℃の間からなる温度でチラー熱交換器を使用して、表面上に凝縮され、異臭を含む水蒸気を凝縮する。
【0047】
水蒸気の温度は、広範囲にわたって変化し得る。いくつかの実施形態では、水蒸気は、約30℃~約50℃の範囲の温度を示す。好ましくは、水蒸気は、約40℃未満、さらに好ましくは、約35℃未満の温度を呈し、典型的には、水蒸気は、約30℃~約35℃の範囲の温度を呈する。本発明を、水蒸気が約30℃~約60℃、好ましくは約50℃の温度を有する液体の水の形態で注入される第2の変形形態に従って実施する場合、水はプロセスの高真空条件に注入されると、即座に水蒸気に変換され、典型的には円柱状デバイス内の真空条件で飽和温度に達することによって、上記の水蒸気温度まで冷却されることが理解される。
【0048】
したがって、好ましい実施形態によれば、本プロセスは、
-植物及び/又は生の食品材料、好ましくはマメ科植物原材料を約123mbar以下、約100mbar以下、約50mbar以下、好ましくは約35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらに好ましくは約5mbar以下、例えば1mbar以下、又は0.1mbar未満の高真空下で蒸気ストリッピングするステップであって、高真空下で水又は水蒸気を注入することを含み、植物及び/又は生の食品材料に水又は水蒸気を注入することを含み、水蒸気が、約30℃~約50℃の範囲の温度、好ましくは約40℃未満、さらに好ましくは約35℃未満の温度を示し、典型的には、水蒸気が、約30℃~約35℃の範囲の温度を呈するステップと;
-植物及び/又は生の食品材料に注入後の水蒸気を、好ましくはチラー熱交換器、さらに好ましくは約-10℃~10℃の間からなる温度のチラー熱交換器を用いて凝縮し、異臭を含む水蒸気を凝縮するステップとを含む。
【0049】
本発明による処理プロセスは、そのタンパク質機能性を維持しながら、植物及び/又は生の食品材料から異臭化合物を除去しすることを可能にする。加えて、本発明によるプロセスは、単離された異臭物質の回収も可能にする。最後に、本発明によるプロセスは、現在使用されている処理プロセスより、排水、廃棄物、及びエネルギーの面での要求がはるかに低い。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明による処理プロセスは、
i.植物及び/又は生の食品材料、好ましくはマメ科植物原材料を、約5℃~約40℃の範囲の温度において水溶液と接触させて、水和した植物及び/又は生の食品材料を得るステップと;
ii.水和した植物及び/又は生の食品材料を、典型的には、60℃~121℃の間からなる温度で、水和したマメ科植物材料を1~30秒の期間加熱することによりブランチングするステップであり、典型的には:
iia)約121℃で約1秒~約5秒の範囲の期間加熱することにより、水和した植物/生の食品材料をブランチングする(酵素不活性化のための急速加熱)ことによる、又は
iib)約60℃~約75℃の間からなる温度で17~30秒の範囲の期間加熱することにより、水和した植物/生の食品材料をブランチングすること(中温での酵素不活性化を延長させる)によるステップと;
iii.ブランチングしたマメ科植物原材料を、撹拌しながら、約123mbar以下、約100mbar以下、約50mbar以下、好ましくは約35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらにより好ましくは約5mbar以下、例えば、1mbar以下などの絶対大気圧を呈する高真空を適用することによって急速に冷却し、それにより、植物及び/又は生の食品材料をタンパク質の変性から保護するステップと;
iv.冷却した植物及び/又は生の食品材料を、約30℃~約50℃の範囲の温度を呈する水蒸気を注入することによってブレンドすることによって、上記(iii)に記載の高真空下で蒸気ストリッピングを行って、これにより、異臭化合物を除去するステップと;
v.異臭化合物を含有する注入された水蒸気を取り除くことによって、植物及び/又は生の食品材料を乾燥させ、乾燥および脱臭した植物及び/又は生の食品材料を得るステップとを含む。
【0051】
ステップ(i)から(v)は、好ましくは列挙された順序で実施される。追加のさらなる及び/又は中間の処理及び/又は回収ステップは、本発明によるプロセスの任意の列挙されたステップの前及び/又は後に含まれ得る。
【0052】
ステップ(i)は、任意の好適な技術によって実施され得る。例えば、ステップ(i)は、植物及び/又は生の食品材料に水溶液を噴霧することによって、又は植物及び/もしくは生の食品材料を水溶液に浸漬することによって実施され得る。いくつかの実施形態では、特にステップ(i)が水溶液への浸漬によって実施される場合、ステップ(i)で使用される水溶液は、pHが約4~約5の範囲、好ましくはpHが約4.5である水溶液である。前記pH範囲は、タンパク質の浸出を最小限に抑えるため、大豆、イエロースプリットピー、緑豆、ササゲ、又はヒラマメなどのほとんどのマメ科植物に特に好適である。
【0053】
ステップ(i)の持続時間は、中でも植物及び/又は生の食品材料、水溶液、及びステップ温度に応じて、広範囲にわたって変化し得る。慣行として、ステップ(i)の持続時間は、30分~6時間の間、好ましくは2~5時間の間、特に約4時間からなり得る。
【0054】
ステップ(i)の温度も同様に広い範囲で変化し得る。ステップ(i)の温度は、約5℃~約40℃の間、好ましくは5℃~25℃の間、特に10℃~20℃の間からなる。
【0055】
ステップ(i)で得られた水和した植物及び/又は生の食品材料は、好ましくは、約15~約25w/w%の間からなる水分含有量、好ましくは約20w/w%の水分含有量を呈する。当業者は、所望の水分含有量を得るために、ステップ(i)の様々なパラメータを調整することができる。
【0056】
ステップ(ii)を、任意の好適な技術で実施してもよい。ステップ(ii)は、水和した植物及び/又は生の食品材料を消毒すること、並びに酵素及び/又はその阻害剤を不活性化することを目的とする。ステップ(ii)において不活性化され得る酵素及び/又はその阻害剤としては、アルケン、レクチン、特に炭水化物分子を凝集させる能力を有する脂肪酸の酸化の触媒であるリポキシゲナーゼ(例えば、LOX-1、LOX-2、及び/又はLOX-3)などの異臭を引き起こす酵素、及びプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。ステップ(ii)を長時間実施し過ぎると、タンパク質の劣化が始まり得る。ステップ(ii)が十分な時間実施されない場合には、LOX活性などの酵素活性が依然として存在し得る。
【0057】
第1の変形形態によれば、ステップ(ii)は、約121℃の温度(変形形態ステップiia)で約1~約5秒間実施され、それにより急速加熱によるブランチングによって酵素が不活性化される。第2の変形形態によれば、ステップ(iib)は、約60℃~約75℃の間からなる温度で約17~約30秒間実施され、これにより、中温での酵素不活性化を長時間行うことにより、水和した材料をブランチングする。
【0058】
リポキシゲナーゼ(LOX)酵素は、マメ科植物の種子製品における豆臭又は青草のような異臭などの特徴的なSVOC異臭化合物の発生、及び保存中の抽出油の不安定性及び逆戻りの原因であると報告されている。一実施形態では、リポキシゲナーゼ活性は、100単位未満、好ましくは50単位未満に低減され、さらに好ましくは、リポキシゲナーゼ活性は、検出不能である。リポキシゲナーゼ活性を測定するための当該技術分野で公知の任意の手段を適用することができる。例えば、ステップ(ii)の植物及び/又は生の食品材料のサンプルをブレンドし、追加の水で異なる濃度に希釈し、OX基質であるリノール酸カリウムと共にインキュベートしてもよい。したがって、リポキシゲナーゼ活性は、光学密度の変動を経時的に測定することによって計算され得る。
【0059】
ステップ(iii)は、任意の好適な技術によって実施され得る。ステップ(iii)の高真空は、約123mbar以下、約100mbar以下、約50mbar以下、好ましくは、約35mbar以下、より好ましくは、15mbar以下、さらにより好ましくは、約5mbar以下、例えば、1mbar以下、又は0.1mbar未満の圧力を意味する。ブランチングされた植物及び/又は生の食品材料を冷却する温度は、約2℃~10℃の間からなり得る。急速冷却とは、ステップ(iii)の冷却が30分未満、好ましくは10分未満、特に5分未満行われることを意味する。有利には、冷却ステップ(iii)は、1分未満、好ましくは30秒未満、特に10秒未満行われる。一実施形態では、冷却ステップ(iii)は、5秒未満、好ましくは3秒未満、特に1秒未満行われる。ステップ(iii)での撹拌は、例えばスクリューによる機械的撹拌及び/又は磁気撹拌によって実施され得る。ステップ(iii)は、第1の平面、第2の平面、及び約35℃~約50℃の範囲の温度で加熱された円周面を備えた円柱状ブレンドデバイスで実施され得る。
【0060】
ステップ(iii)が上記のように円柱状デバイスで実施される場合、ステップ(iv)は、水蒸気を円柱状デバイスの第1の平面に注入することによって実施され得る。
【0061】
ステップ(v)は、任意の好適な技術によって実施され得る。例えば、ステップ(v)は、典型的にはチラー熱交換器を用いた凝縮によって実行され得る。ステップ(v)の温度は、広範囲にわたって変化してもよい。いくつかの実施形態では、ステップ(v)において蒸気を凝縮するために使用される温度は、約-10℃~10℃の間からなる。ステップ(iii)が上記のように円柱状デバイスで実施される場合、異臭化合物を含む注入された水蒸気は、ステップ(v)において、デバイスの第2の平面から回収され得る。ステップ(v)の完了後、大気中の空気又は窒素により、圧力を大気圧に戻すことができる。
【0062】
本発明によるプロセスの各ステップ又はステップの群を、必要に応じて、及び/又は所望の処理レベルを得るために、複数回繰り返してもよい。乾燥に関して、本発明は、植物及び/又は生の食品材料、典型的には、15w/w%以下、好ましくは10~12w/w%の水分含有量を含む脱臭した植物及び/又は生の食品材料を得ることを指す。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、ステップ(v)の乾燥および脱臭したマメ科植物材料を、典型的には水の噴霧によって水和し、ステップ(iv’)及び(v’)を適用する少なくとも1つのステップ(vi)をさらに含む。ステップ(iv’)及び(v’)は、それぞれステップ(iv)及び(v)と同一である。ステップ(iv’)及び(v’)は、ステップ(iv)及び(v)の新しいサイクルとも呼ばれ得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、任意により、脱臭した植物及び/又は生の食品材料を製粉して、植物及び/又は生の食品材料の粉を得るステップ(vii)をさらに含む。好ましくは、ステップ(vii)で得られる植物及び/又は生の食品材料の粉は、デンプン及びタンパク質を含む。
【0065】
本発明のプロセスが製粉ステップ(vii)を含むいくつかの実施形態では、本発明によるプロセスは、脱臭した植物及び/又は生の食品材料の粉を、脱臭したタンパク質を豊富に含む画分と脱臭したデンプンに富む画分とに分画するステップ(viii)をさらに含む。前記ステップは、任意の好適な分画技術、典型的には空気分級製粉によって実施され得る。
【0066】
タンパク質を豊富に含む画分及びデンプンを豊富に含む画分は、独立して、異なる用途にさらに使用され得る。いくつかの実施形態では、脱臭したタンパク質を豊富に含む画分は、0μm超~50μmの間、好ましくは1μm~10μmの間からなる、特に約2μmの平均粒子サイズを示す。
【0067】
一実施形態では、本発明の処理プロセスは、ステップ(iv)の後に、少なくとも1つの異臭成分を回収するステップをさらに含む。
【0068】
脱臭製品
本発明の別の目的は、本発明による処理プロセスによって得られ得る製品である。一実施形態では、本発明による製品は、本発明による処理プロセスによって得られる。
【0069】
本発明による製品は、好ましくは本発明によるプロセスのステップ(v)で得られる乾燥及び/若しくは脱臭した植物及び/若しくは生の食品材料、好ましくは本発明によるプロセスのステップ(vii)で得られる植物及び/若しくは生の食品材料の粉、又は好ましくは本発明によるプロセスのステップ(viii)で得られる脱臭したタンパク質を豊富に含む画分であり得る。
【0070】
一実施形態では、脱臭したタンパク質を豊富に含む画分は、乾燥重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは30重量%~70重量%、さらに好ましくは40重量%~70重量%又は40重量%~60重量%未満の範囲のタンパク質含有量を呈する脱臭したタンパク質濃縮物である。
【0071】
一実施形態では、脱臭したタンパク質を豊富に含む画分は、乾燥重量に基づいて、70重量%を超える、80重量%を超える、好ましくは90重量%を超える又は95重量%を超えるタンパク質含有量を呈する脱臭したタンパク質単離物である。
【0072】
一実施形態では、製品は、製品の乾燥物質(DM)に基づいて、3ppb(3000pg/g)未満、好ましくは2ppb未満、さらに好ましくは1.4ppb未満のヘキサナールであるヘキサナール含有量を呈する。
【0073】
一実施形態では、製品は、乾燥物質(DM)1gあたり50pg未満のヘキサナールであるヘキサナール含有量を呈する。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、40pg/g(DM)未満である。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、30pg/g(DM)未満である。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、20pg/g(DM)未満である。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、15pg/g(DM)未満である。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、10pg/g(DM)未満である。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、5pg/g(DM)未満である。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、10pg/g(DM)未満である。一実施形態では、ヘキサナール含有量は、検出不能である。
【0074】
一実施形態では、製品は、乾燥物質(DM)1gあたり15pg未満の2-メトキシ-3-(1-メチルプロピル)ピラジンである2-メトキシ-3-(1-メチルプロピル)ピラジン含有量を呈する。一実施形態では、2-メトキシ-3-(1-メチルプロピル)ピラジン含有量は、10pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-(1-メチルプロピル)ピラジン含有量は、8pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-(1-メチルプロピル)ピラジン含有量は、7pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-(1-メチルプロピル)ピラジン含有量は、5pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-(1-メチルプロピル)ピラジン含有量は、検出不能である。
【0075】
一実施形態では、製品は、乾燥物質(DM)1gあたり15pg未満の2-メトキシ-3-イソプロピル-5-メチルピラジン又は2-メトキシ-3-イソプロピル-6-メチルピラジンである2-メトキシ-3-イソプロピル-5-メチルピラジン又は2-メトキシ-3-イソプロピル-6-メチルピラジン含有量を呈する。一実施形態では、2-メトキシ-3-イソプロピル-5-メチルピラジン又は2-メトキシ-3-イソプロピル-6-メチルピラジン含有量は、10pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-イソプロピル-5-メチルピラジン又は2-メトキシ-3-イソプロピル-6-メチルピラジン含有量は、8pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-イソプロピル-5-メチルピラジン又は2-メトキシ-3-イソプロピル-6-メチルピラジン含有量は、7pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-イソプロピル-5-メチルピラジン又は2-メトキシ-3-イソプロピル-6-メチルピラジン含有量は、5pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メトキシ-3-イソプロピル-5-メチルピラジン又は2-メトキシ-3-イソプロピル-6-メチルピラジン含有量は、検出不能である。
【0076】
一実施形態では、製品は、乾燥物質(DM)1gあたり15pg未満の2-メチル-3-イソプロピルピラジンである2-メチル-3-イソプロピルピラジン含有量を呈する。一実施形態では、2-メチル-3-イソプロピルピラジン含有量は、10pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メチル-3-イソプロピルピラジン含有量は、8pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メチル-3-イソプロピルピラジン含有量は、7pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メチル-3-イソプロピルピラジン含有量は、5pg/g(DM)未満である。一実施形態では、2-メチル-3-イソプロピルピラジン含有量は、検出不能である。
【0077】
一実施形態では、製品は、製品1gあたりヘキサナール、2-ペンチル-フラン、(E)-2,4,ヘプタジエナール及び1-オクテン-3-オールの合計15pg未満、好ましくは10pg未満を呈し、さらに好ましくは、乾燥物質1グラムあたりヘキサナール、2-ペンチル-フラン、(E)-2,4,ヘプタジエナール及び1-オクテン-3-オールの合計5pg未満又は4pg未満を呈する。
【0078】
一実施形態では、製品は、2000ppbを超える、2500ppbを超える、3000ppbを超える、3200ppbを超える、又は3500ppbを超える3-メチルブタナールを呈する。一実施形態では、3-メチルブタナールの量は、2000~4000ppbの範囲である。一実施形態では、3-メチルブタナールの量は、3100ppb~4000ppb又は3200ppb~4000ppbの範囲である。
【0079】
一実施形態では、製品は、50ppbを超える、55ppbを超える、60ppbを超える、61ppbを超える、又は62ppbを超えるベンズアルデヒドを呈する。
【0080】
好ましくは、本発明による製品は、検出可能なトリプシナーゼ阻害剤及び/又はリポキシゲナーゼ活性を呈さず、及び/又は検出可能な微量のヘキサナール及び/又はその副産物を呈さず、検出可能な微量の有機溶媒を示さず、及び変性タンパク質を呈さない。
【0081】
トリプシナーゼ阻害剤の量は、0.5~10IU/mgの範囲であり得る。トリプシナーゼ阻害剤の測定は、水酸化ナトリウムによって製品から前記阻害剤を抽出することによって行うことができる。次に、希釈したサンプルの漸増容量を、N-α-ベンゾイルDL-アルギニンp-ニトロアニリド(BAPNA)の存在下で、過剰量のトリプシンと接触させ、これを、410nmで光を吸収するp-ニトロアニリンの形態へと加水分解する。酢酸で反応をブロックした後、分光光度計により410nmでの色の増加を測定する。色の減少率からトリプシナーゼ阻害剤の量を計算する。単位(IU)は、方法AOCSBa12-75の条件下で、反応混合物10mlに対して、410nm単位での吸光度の0.01の増加を引き起こすために必要な酵素のトリプシン量として任意に定義される。第1の実施形態によれば、トリプシナーゼ阻害剤の量は、2IU/mg未満である。第2の実施形態によれば、トリプシナーゼ阻害剤の量は、2~6IU/mgの範囲である。第3の実施形態によれば、トリプシナーゼ阻害剤の量は、6~10IU/mgの範囲である。
【0082】
非変性タンパク質は、高い窒素溶解度指数(N.S.I.)を有する。タンパク質の溶解度を決定するための一般的に受け入れられている方法は、American Association of Cereal Chemistsの(N.S.I.)方法(AACC方法46-23)である。あるいは又は加えて、示差走査熱量測定(DSC)は、天然生体分子の折り畳み及び安定性に寄与する要因を同定し得る。これらの要因は、疎水性相互作用、水素結合、立体配座エントロピー、及び物理的環境を含む。DSCは、変性時のタンパク質の折り畳み修飾を強調し得る。
【0083】
DSCによって得られる高品質で正確なデータは、プロセス開発又は潜在的な治療候補の製剤のためのタンパク質安定性に関する重要な情報を提供する。
【0084】
一実施形態では、製品中に変性タンパク質が存在しないことは、植物及び/又は生の食品材料タンパク質(脱臭されていない出発材料)の窒素溶解度と比較して、窒素溶解度指数が20%以下、好ましくは15%以下低減されることによって特徴付けられ得る。
【0085】
一実施形態では、製品中に変性タンパク質が存在しないことは、以下のうちの少なくとも1つによって特徴付けられ得る:
‐植物及び/又は生の食品材料タンパク質の窒素溶解度と比較して、20%以下、好ましくは25以下、例えば10%以下、典型的には12%以下低減された窒素溶解度指数、及び/又は
‐植物及び/又は生の食品材料タンパク質の示差熱量測定スキャンと実質的に同一である示差熱量測定スキャン。
【0086】
一実施形態では、製品は、50pg/g未満のヘキサナール含有量を呈し、以下のうちの少なくとも1つを呈する;
-製品の乾燥物質に基づく3ppb未満、好ましくは2ppb未満、さらに好ましくは1.4ppb未満のヘキサナールであるヘキサナール含有量;
-植物及び/又は生の食品材料タンパク質の窒素溶解度と比較して、20%以下、好ましくは15%以下低減された窒素溶解度指数。
【0087】
一実施形態では、製品は、50pg/g未満のヘキサナール含有量を呈し、以下の少なくとも1つを呈する:
-マメ科植物原材料タンパク質の窒素溶解度指数と実質的に同一である窒素溶解度指数、及び/又は
-マメ科植物原材料タンパク質の示差熱量測定スキャンと実質的に同一である示差熱量測定スキャン。
【0088】
一実施形態では、マメ科植物がエンドウ豆である場合、エンドウ豆タンパク質原料、エンドウ豆粉、又はエンドウ豆タンパク質を豊富に含む画分のタンパク質は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも58%、少なくとも60%、少なくとも62%、又は少なくとも65%の窒素溶解度指数を呈する。
【0089】
一実施形態では、製品中に変性タンパク質が存在しないことは、製品中のウレアーゼ活性が維持されることによって特徴付けられ得る。ウレアーゼは、単離形態である熱感受性タンパク質の1つであり、45℃を超える温度で60分間により変性し始める。したがって、ウレアーゼ活性が維持されていることは、製品のより耐熱性の高い構造タンパク質が変性していないことを明確に示す。一実施形態では、ウレアーゼ活性は、植物及び/又は生の食品材料のウレアーゼ活性と比較して、5%以下、典型的には2%以下低減される。
【0090】
一実施形態では、製品のタンパク質は、40%を超える、45%を超える、50%を超える、又は55%を超える水溶性を呈する。一実施形態では、製品のタンパク質は、50%を超える、又は55%を超える水溶性を呈する。一実施形態では、製品のタンパク質は、55%を超える水溶性を呈する。タンパク質の水溶性は、当該技術分野で公知の任意の手段によって決定され得る。一実施形態では、水溶性は、製品からタンパク質を抽出し、水に溶解するタンパク質の量/割合を評価することによって決定される。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり250gを超えるタンパク質である。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり300gを超えるタンパク質である。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり350gを超えるタンパク質である。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり400gを超えるタンパク質である。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり450gを超えるタンパク質である。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり500gを超えるタンパク質である。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり550gを超えるタンパク質である。一実施形態では、水溶性タンパク質の量は、水1リットルあたり600gを超えるタンパク質である。
【0091】
本発明による製品は、例えば、食品栄養製品、動物用フード製品、医薬品、栄養補助食品、化粧品、及び/又は工業市場で使用される製品からなる群から選択される製品中で使用され得る。
【0092】
本発明による化合物が使用され得る食品栄養製品の例としては、飲料、チーズ又はヨーグルトなどの乳製品、菓子製品、風味製品、並びにスポーツ栄養製品及び/又は体重管理製品などの特殊栄養製品が挙げられる。
【0093】
本発明による製品を食品栄養製品中に使用する場合、本発明による製品は、特に以下の用途に好適である:
‐飲料及び乳製品の滑らかさ及び口当たりを改善する、
‐乳製品中でのミルク代替品を製造する、
‐スナック中の食感、サクサク感、及び歯ごたえを調合する、
‐ねり粉及びコーティングの味を改善する、
‐最終製品の改良によりコストを削減しながら品質を向上させる、
‐アレルギーフリーの製品を生産する。
【0094】
本発明による製品を動物用フード製品に使用する場合、本発明の製品は、タンパク質中の製品を濃化するため、及び/又は製品の食感を高めるために特に好適である。
【0095】
本発明による製品を医薬品及び/又は栄養補助食品中に使用する場合、本発明の製品は、特に、製品に消化性、粘性ゲル化特性、及び/又は安定性を付与するのに好適である。医薬品及び/又は栄養補助食品の例としては、飲み込み可能な錠剤、ハードカプセル、ブレンド、顆粒、及びペレットプレミックスが挙げられる。
【0096】
本発明による製品が化粧品中に使用される場合、本発明による製品は、特にデンプン含有製品であり、皮脂吸収剤、皮膚マット化剤、臭気抑制剤、ゲル化剤、高クッション効果剤、及び/又は粘着性のないパウダー感を可能にする作用剤として含まれ得る。
【0097】
本発明の別の目的は、本発明による製品を含む食品組成物である。
【0098】
処理システム
本発明の最後の目的は、本発明による処理プロセスを実施するのに好適であるシステムである。
【0099】
特に、本発明は、
‐第1の平面と第2の平面及び加熱された円周面を呈する円柱状容器、典型的には撹拌デバイス、
‐気密手段を備えた円柱状ブレンドデバイス容器を囲むチャンバ、
‐1mbar以下の絶対大気圧の高真空を適用するための少なくとも1つのポンプ及びチャンバ内に高真空を適用するように構成された真空入口、
‐円柱状容器の第1の平面に水蒸気を注入するための手段、
‐異臭化合物を含む注入された水蒸気を円柱状容器の第2の平面から取り除くための手段、及び任意により、
‐円柱状ブレンドデバイス容器の内容物を水和するための手段;及び/又は
‐植物及び/又は生の食品材料を製粉するための手段を含む、システムに関する。
【0100】
典型的には、システムは、
‐植物及び/又は生の食品材料を水溶液と接触させることによって水和させるための手段と;
‐水和した植物及び/又は原料を急速沸騰させるための手段、
‐第1の平面と第2の平面及び加熱された円周面を呈する円柱状容器、典型的には撹拌デバイス、
‐気密手段を備えた円柱状ブレンドデバイス容器を囲むチャンバ、
‐約123mbar以下、約100mbar以下、約50mbar以下、好ましくは約35mbar以下、より好ましくは15mbar以下、さらにより好ましくは約5mbar以下、例えば1mbar以下、又は0.1mbar未満の絶対大気圧の高真空を適用するための少なくとも1つのポンプ、及びチャンバ内に高真空を適用するように構成された真空入口、
‐円柱状容器の第1の平面に水蒸気を注入するための手段、
‐異臭化合物を含む注入された水蒸気を円柱状容器の第2の平面から取り除くための手段、及び任意により、
‐円柱状ブレンドデバイス容器の内容物を水和するための手段;及び/又は
‐植物及び/又は生の食品材料を製粉するための手段を含む、システムに関する。
【0101】
いくつかの実施形態では、植物及び/又は生の食品材料を水溶液と接触させることによって水和させるための手段は、少なくとも1つの噴霧器、典型的には、オープンウィーブベルトコンベアに噴霧するように構成された少なくとも1つの噴霧器、及び/又は少なくとも1つの水浴から選択される。一実施形態では、植物及び/又は生の食品材料を水溶液と接触させることによって水和させるための手段は、水浴と接触するように構成された少なくとも1つのベルトコンベアから選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、水和した植物及び/又は生の食品材料を急速沸騰させるための加熱手段は、加熱された、典型的には、蒸気ジャケット付きのスクリューコンベアから選択される。
【0103】
いくつかの実施形態では、円柱状容器は、ブレンドデバイスであり、ブレンドデバイスは、典型的には、円錐状ブレンダーである。
【0104】
いくつかの実施形態では、円柱状ブレンドデバイスの加熱された円周面は、加熱された水ジャケット付き円周面である。
【0105】
いくつかの実施形態では、チャンバを気密させるための手段は、空圧式バルブ、典型的にはグローブ型バルブである。
【0106】
いくつかの実施形態では、円柱状ブレンドデバイスの第1の平面に水蒸気を注入するための手段は、少なくとも1つの蒸気ノズルである。
【0107】
いくつかの実施形態では、円柱状ブレンドデバイスの第2の平面から異臭化合物を含む注入された水蒸気を回収するための手段は、典型的には少なくとも1つのチラー熱交換器から選択される蒸気凝縮手段である。
【0108】
いくつかの実施形態では、円柱状ブレンドデバイスの内容物を水和するための任意の手段は、少なくとも1つの水噴霧器から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、異臭化合物を含む注入された水蒸気を取り除くための手段は、円柱状ブレンドデバイスの第2の平面とポンプ入口との間に構成される。
【0110】
いくつかの実施形態では、システムは、温度、圧力、水流及び/又は蒸気流を制御するための手段、及び/又はシステム内の空気を濾過するための手段をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図1】実施例2の結果に従って凝縮物1、3、4、及び9中のリノール酸除去の重ね合わせたGC-FIDクロマトグラムを示すグラフである。
【0112】
実施例
本発明を、以下の実施例によってさらに説明する。
実施例1:本発明によるプロセスによるイエロースプリットピーの処理
本発明によるプロセスを、イエロースプリットピーの処理のために実施する。
【0113】
受け取る
イエロースプリットピーは、すでに殻が取り除かれた状態で大量に販売されている。バルク配送品は、配送トラックから、角型から丸型の構成を有する受け部に排出される。
【0114】
バルク材料を、標準スクリューコンベアを使用して、受入ホッパーから調製セクションに輸送し、その速度は、スイングトレイ/スクリーニング装置の容量に合わせる。
【0115】
スクリーニング
乾燥イエロースプリットピーを、異物を取り除くためにふるいにかける。ふるい分けユニットには、ふるいの容量に合わせたスイングトレイコンベアによって供給される。
【0116】
水和
ふるい分け後、洗浄したスプリットピーを、低速で、次の受入ホッパーに輸送する。コンベアは、オープンウィーブベルトであり、輸送中に乾燥製品に水を噴霧することによって水和が起こる。製品に水を噴霧する目的は、胞子を水和させて、基質を拡張し、不要な酵素の不活性化を可能にすることである。
【0117】
このステップの持続時間は、水温によって決定され、20%m/mを超える水分吸収を可能にするように調整される。20℃では、このプロセスには約4時間を要する。水温の上限は、40℃である。最適な水分パーセンテージは、20%である。このプロセスでは、+-5%の変動でも機能するであろう。
【0118】
ブランチング
加熱したスクリューコンベアを使用して、水和した製品を沸点まで所定時間加熱する。沸点では、保持時間は、1~5分の間である。
【0119】
冷却
ジャケット付き蒸気加熱コンベアは、真空状態に保たれたジャケット付き円錐状ブレンダーに直接排出する。
【0120】
密閉性は、空気圧で開放されるグローブ型ロータリーバルブを使用して維持される。ジャケット温度は、ディンプルジャケット及び温水を使用して、最高47℃に制御される。撹拌は、4つの内部スクリューによって行われ、そのうちの2つは、周囲に沿って回転し、2つは、内部で回転するため、温度差が生じるのを防ぐ。水和した子葉を、真空下での急速蒸発の結果として、即座に約5℃まで冷却する。子葉を表面47℃で継続的に加熱することによって凍結を防ぐ。
【0121】
蒸気ストリッピング及び乾燥
積み込み中(スクリューコンベアから円錐状ブレンダーへの材料の移送中)に、多少のストリッピングが生じるが、主なストリッピング作用は、ブレンダーが真空状態にある間に、円錐の底部に生蒸気を導入することによって実施される。真空は、1mbar未満に維持される。通常、汚染の程度に応じて、最大4時間以内にストリッピングが得られる。古い供給原料の場合は、完全に4時間を要する。
【0122】
このプロセスには時間の上限はない。最小時間を超えてストリッピングを長時間行うことにより、結果的にエネルギーが浪費されるが、製品に悪影響はない。
【0123】
最初の乾燥作用が完了した後も蒸気ストリッピングが完全に達成されない場合は、ブレンダードームに取り付けられたスプレーノズルから水を添加して、再水和させることが可能である。水はブレンダーが作動している間に添加されるが、真空ではない。30分間に最大20%の水を添加することができ、その後真空を回復し、ストリッピングプロセスを再開する。サンプルの完了が確認された後、プロセスを中断する。
【0124】
システム内の水蒸気は(揮発性化合物と共に)、チラー熱交換器を通過する。チラー熱交換器は、水蒸気を冷却し、0.5℃で凝縮させる。凝縮水は、チラー熱交換器の下にある小さな受け器に収集される。真空ポンプは、水蒸気の凝縮が起こっている間、円錐状ブレンダー内の真空を維持する。
【0125】
チラーを、出口(ブレンダーの上部)の近くに並んで配置する。換言すれば、チラーの配置は、水蒸気が真空ポンプに到達するのを防ぐ必要がある。
【0126】
分級製粉
洗浄し、乾燥した子葉を、ブレンダーから、4時間分のストックを保持するバッファーホッパーを供給するスクリューコンベアに放出する。ホッパーを含むライン全体を、密閉する。
【0127】
必要に応じて、HEPAフィルターを介してブリージングを行う。
【0128】
分級ミルは、それぞれVFD制御を備えたスクリューコンベアによって供給される。VFDは次に、流速を最適化するスイッチング電流計によって制御される。水分含有量が5%を超えると、製粉速度が低下し始める。ミルは、入ってくる湿った材料を最大10%m/mまで乾燥させる。
【0129】
分級した材料は、逆パルス濾過システムを通じて空気によって輸送される。空気は、フィルターバッグを通して吸い込まれ、大気中に排出される。吸入空気を、HEPAフィルターを使用して濾過する。任意により、除湿器を使用して空気をリサイクルすることも可能である。
【0130】
フィルターバッグをPTFEに含浸させ、これにより、逆パルス中に粉末が確実に完全に除去される。
【0131】
逆パルスプロセスの周波数は、専用のコントローラを使用して固定される。米国サプライヤーであるDonaldsonが好ましい。
【0132】
分級させ、製粉した粉末は、フィルターバッグハウスに収集される。収集ホッパーの底部の出口に取り付けられたロータリーバルブが連続的に作動し、スクリューコンベアに排出され、次に保管ビンに排出される。
【0133】
ふるい分け
予防措置及びHACCP(危害分析重要管理点)ステップとして、製粉された材料は、53ミクロン以下のふるい開口部を使用してふるい分けされる。通常、飲料の調製には25ミクロンのより小さい開口部が好ましい。
【0134】
ふるいを、三次元で振動させ、ふるいの一部を塞ぎ得るいかなる粒子も取り除くために、不活性セラミックボールを取り付ける。
【0135】
特大サイズの材料は、スクリューコンベアによって保持ホッパーを経由して分級ミルに戻される。
【0136】
ふるい分けした粒子は、スクリューによって包装セクションの保持容器に輸送される。
【0137】
実施例2:プロセス凝縮物中の高真空蒸気の揮発性異臭の除去
本発明によるプロセスは、10kgのイエロースプリットピーで実施され、水浴中で4分間水和させ、67℃の水浴中で17秒間ブランチングし、その後、30mbarの高真空に供し、50℃の水の形態で蒸気を注入し、これを高真空状態の蒸気に即時に変換する。
【0138】
高真空蒸気を、5℃のチラーで凝縮し、これにより、異臭化合物を含む濃縮物を供給し、これらを30分ごとに収集し、チラー熱交換器で凝縮された蒸気に投与することによって、高真空蒸気の揮発性異臭の除去をモニターした。凝縮物の分析は、較正方法を使用して、炎イオン化検出器(GC-FID、Agilent8890(登録商標))に連結されたガスクロマトグラフィーによって行い、除去された異臭の量を、以下の高真空蒸気揮発性化合物(SVOC)の標準サンプルのAUCと相関する曲線下面積(AUC、pAxs)に基づいて計算した:(1)ヘキサナール、(2)ヘキサン酸、及び(3)リノール酸。結果を表1に提示する。
【0139】
【0140】
第1の凝縮物と第4の凝縮物との間でヘキサナールが除去されていることは、本プロセスが有効であり、時間の経過と共に、ヘキサナールレベルが減少していることを示す。これは、ヘキサン酸、ヘキサナールの酸化生成物、及び植物材料の発酵にさらに関連する異臭源であるリノレン酸が、脱臭プロセス全体を通じて同じ傾向をたどるという事実によってさらに裏付けられる。
【0141】
凝縮物中のリノール酸除去の視覚的描写を
図1に提示する。
【0142】
さらに、蒸気ストリッピングの1サイクル前及び後の処理済みサンプル中のヘキサン酸及びリノール酸の量を計算した。結果を表2に提示する。
【0143】
【0144】
したがって、本発明のプロセスは、本発明による蒸気ストリッピングのわずか1サイクルの後であっても、異臭の除去をもたらす。
【国際調査報告】