(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-01
(54)【発明の名称】導電ベルト用銅除去装置
(51)【国際特許分類】
C25F 7/00 20060101AFI20240924BHJP
C25F 5/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
C25F7/00 E
C25F5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580765
(86)(22)【出願日】2023-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2023083482
(87)【国際公開番号】W WO2023179733
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210300997.7
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524016758
【氏名又は名称】深▲せん▼金美新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】臧 世▲偉▼
(57)【要約】
本発明は、めっき銅除去槽と、導電ベルト搬送機構と、を含み、前記めっき銅除去槽は、めっき銅除去溶液を収容するためのものであり、導電ベルトが横方向に通過する第1長尺状孔及び第2長尺状孔が設けられており、前記導電ベルト搬送機構は、前記導電ベルトを搬送するためのものであり、前記導電ベルトが前記第1長尺状孔及び前記第2長尺状孔を介して前記めっき銅除去槽を横方向に通過して、前記めっき銅除去溶液に浸漬され、陽極の電気を充電されるようにし、前記めっき銅除去槽内には、電源の負極に接続され、前記導電ベルトの上側及び/又は下側に位置する陰極板が設けられる、導電ベルト用銅除去装置を提供する。本発明では、導電ベルトがめっき銅除去槽に入ると、めっき銅除去溶液に浸漬された陰極板の作用により、導電ベルトの表面の銅層がイオン化され、めっき銅除去溶液中を自在に移動可能な銅イオンが生成され、導電ベルトの表面の銅層が除去される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電ベルト用銅除去装置であって、
めっき銅除去槽(1)と、導電ベルト搬送機構と、を含み、前記めっき銅除去槽(1)はめっき銅除去溶液を収容するためのものであり、前記めっき銅除去槽(1)には導電ベルト(3)が横方向に通過する第1長尺状孔(12)及び第2長尺状孔(13)が設けられており、前記導電ベルト搬送機構は、前記導電ベルト(3)を搬送するためのものであり、前記導電ベルト(3)が前記第1長尺状孔(13)及び前記第2長尺状孔(14)を介して前記めっき銅除去槽(1)を横方向に通過し、前記めっき銅除去溶液に浸漬され、陽極の電気を充電されるようにし、
前記めっき銅除去槽(1)内には、電源の負極に接続され、前記導電ベルト(3)の上側及び/又は下側に位置する陰極板(11)が設けられる、ことを特徴とする導電ベルト用銅除去装置。
【請求項2】
前記めっき銅除去槽(1)の外側に設けられ、電源の正極に接続された陽極導電ローラ(21)をさらに含み、前記陽極導電ローラ(21)は、前記導電ベルト(3)と接触して、陽極の電気を前記導電ベルト(3)に伝導する、ことを特徴とする請求項1に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項3】
前記導電ベルト搬送機構は、
前記めっき銅除去槽(1)内の第1端及び第2端にそれぞれ位置し、前記導電ベルト(3)を下へ押えて、前記導電ベルト(3)を前記めっき銅除去溶液に浸漬するための第1内部リミットローラ(22)及び第2内部リミットローラ(23)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項4】
前記導電ベルト搬送機構は、
前記めっき銅除去槽(1)の前端及び後端にそれぞれ位置する複数の第1外部リミットローラ(24)及び複数の第2外部リミットローラ(25)をさらに含み、
前記複数の第1外部リミットローラ(24)は前記導電ベルト(3)を前記めっき銅除去槽(1)に搬入するためのものであり、前記複数の第2外部リミットローラ(25)は前記導電ベルト(3)を前記めっき銅除去槽(1)から搬出するためのものである、ことを特徴とする請求項3に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項5】
前記めっき銅除去槽(1)の側壁の前記第1長尺状孔(12)及び前記第2長尺状孔(13)に対応する位置には、第1液止め板(14)及び第2液止め板(15)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項6】
前記めっき銅除去槽(1)の前端には、第1水洗槽(4)が設けられ、前記第1水洗槽(4)の側壁に前記導電ベルト(3)が通過する第3長尺状孔(41)が設けられ、前記第1水洗槽(4)内に、前記導電ベルト(3)の両面の汚れ・ほこりを洗浄するための第1上下側水洗用スプレーパイプ(42)が設けられる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項7】
前記めっき銅除去槽(1)と前記第1水洗槽(4)との間に第1移行槽(5)が設けられ、前記第1移行槽(5)の側壁に、前記導電ベルト(3)が通過する第4長尺状孔(51)が設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項8】
前記めっき銅除去槽(1)の後端に第2水洗槽(6)が設けられ、前記第2水洗槽(6)の側壁に前記導電ベルト(3)が通過する第5長尺状孔(61)が設けられ、前記第2水洗槽(6)内に、前記導電ベルト(3)の両面のめっき銅除去溶液を洗浄するための第2上下側水洗用スプレーパイプ(62)が設けられる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項9】
前記めっき銅除去槽(1)の後端と前記第2水洗槽(6)との間に第2移行槽(7)が設けられ、前記第2移行槽(7)の側壁に前記導電ベルト(3)が通過する第6長尺状孔(71)が設けられる、ことを特徴とする請求項8に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【請求項10】
前記第2水洗槽(6)の後端に酸洗スプレー槽(8)が設けられ、前記酸洗スプレー槽(8)には、前記導電ベルト(3)が通過する第7長尺状孔(81)が設けられ、前記酸洗スプレー槽(8)内に、前記導電ベルト(3)の両面のめっき銅除去溶液と反応する酸性溶液を噴出するための上下側酸洗スプレーパイプ(82)が設けられる、ことを特徴とする請求項8に記載の導電ベルト用銅除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気めっきの技術分野に関し、具体的には、導電ベルト用銅除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、工業生産では、通常、水めっき設備を使用して可撓性フィルム基材に電気めっきを施している。水めっきでは、通常、導電ローラを用いて基材に電気を伝導することにより、基材に電気めっきを施す機能が実現される。導電ローラの設計に固有の不備により、生産中に導電ローラの表面に銅めっき層が形成されやすく、銅めっき層がフィルムを突き破ったり引っ掻いたりして、その結果、導電性フィルム製品の良品率を大幅に下げ、企業の全体的な生産効率に深刻な影響を与える。現在、業界内では、導電ベルトを用いて陰極の導電を実現し、導電ローラの構造設計を省略し、導電ローラの銅めっき時に銅析出物が発生してめっき膜の突き破れ又は引っ掻き傷が発生することを回避している。例えば、出願番号がCN113249770A、名称が可撓性フィルム基材表面の電気めっき加工に用いられる水めっき設備である発明では、導電ベルトを導電ローラの代わりに用いて陰極の電気を提供しているが、この方式を採用すると、導電ベルトが長時間めっき液に浸漬されると、銅層がめっきされ、銅層がフィルムを圧迫し、可撓性フィルム基材のめっき効果が悪くなることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上に鑑み、本発明の実施例は、導電ベルトがめっき液に長時間浸漬されると、銅層がめっきされ、銅層がフィルムを圧迫するという従来技術の技術的課題を解決するために、導電ベルト用銅除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成させるために、本発明の実施例は、めっき銅除去槽と、導電ベルト搬送機構と、を含み、前記めっき銅除去槽は、めっき銅除去溶液を収容するためのものであり、前記めっき銅除去槽には、前記導電ベルトが横方向に通過する第1長尺状孔及び第2長尺状孔が設けられており、前記導電ベルト搬送機構は、前記導電ベルトを搬送するためのものであり、前記導電ベルトが前記第1長尺状孔及び前記第2長尺状孔を介して前記めっき銅除去槽を横方向に通過し、前記めっき銅除去溶液に浸漬され、陽極の電気を充電されるようにし、
前記めっき銅除去槽内には、電源の負極に接続され、前記導電ベルトの上側及び/又は下側に位置する陰極板が設けられる、導電ベルト用銅除去装置を提供する。
【0005】
いくつかの可能な実施形態では、前記めっき銅除去槽の外側に設けられ、電源の正極に接続された陽極導電ローラをさらに含み、前記陽極導電ローラは、前記導電ベルトと接触して、陽極の電気を前記導電ベルトに伝導する。
【0006】
いくつかの可能な実施形態では、前記導電ベルト搬送機構は、
前記めっき銅除去槽内の第1端及び第2端にそれぞれ位置し、前記導電ベルトを下へ押えて、前記導電ベルトを前記めっき銅除去溶液に浸漬するための第1内部リミットローラ及び第2内部リミットローラを含む。
【0007】
いくつかの可能な実施形態では、前記導電ベルト搬送機構は、
前記めっき銅除去槽の前端及び後端にそれぞれ位置する複数の第1外部リミットローラ及び複数の第2外部リミットローラをさらに含み、
前記複数の第1外部リミットローラは前記導電ベルトを前記めっき銅除去槽に搬入するためのものであり、前記複数の第2外部リミットローラは前記導電ベルトを前記めっき銅除去槽から搬出するためのものである。
【0008】
いくつかの可能な実施形態では、前記めっき銅除去槽の側壁の前記第1長尺状孔及び前記第2長尺状孔に対応する位置には、第1液止め板及び第2液止め板が設けられる。
【0009】
いくつかの可能な実施形態では、前記めっき銅除去槽の前端には、第1水洗槽が設けられ、前記第1水洗槽の側壁に前記導電ベルトが通過する第3長尺状孔が設けられ、前記第1水洗槽内に、前記導電ベルトの両面の汚れ・ほこりを洗浄するための第1上下側水洗用スプレーパイプが設けられる。
【0010】
いくつかの可能な実施形態では、前記めっき銅除去槽と前記第1水洗槽との間に第1移行槽が設けられ、前記第1移行槽の側壁に、前記導電ベルトが通過する第4長尺状孔が設けられる。
【0011】
いくつかの可能な実施形態では、前記めっき銅除去槽の後端に第2水洗槽が設けられ、前記第2水洗槽の側壁に前記導電ベルトが通過する第5長尺状孔が設けられ、前記第2水洗槽内に、前記導電ベルトの両面のめっき銅除去溶液を洗浄するための第2上下側水洗用スプレーパイプが設けられる。
【0012】
いくつかの可能な実施形態では、前記めっき銅除去槽の後端と前記第2水洗槽との間に第2移行槽が設けられ、前記第2移行槽の側壁に前記導電ベルトが通過する第6長尺状孔が設けられる。
【0013】
いくつかの可能な実施形態では、前記第2水洗槽の後端に酸洗スプレー槽が設けられ、前記酸洗スプレー槽には、前記導電ベルトが通過する第7長尺状孔が設けられ、前記酸洗スプレー槽内に、前記導電ベルトの両面のめっき銅除去溶液と反応する酸性溶液を噴出するための上下側酸洗スプレーパイプが設けられる。
【発明の効果】
【0014】
上記の技術的解決手段は下記の有益な技術的効果を有する。
本発明の実施例は、めっき銅除去槽と、導電ベルト搬送機構と、を含み、前記めっき銅除去槽はめっき銅除去溶液を収容するためのものであり、前記めっき銅除去槽には導電ベルトが横方向に通過する第1長尺状孔及び第2長尺状孔が設けられており、前記導電ベルト搬送機構は前記導電ベルトを搬送するためのものであり、前記導電ベルトが前記第1長尺状孔及び前記第2長尺状孔を介して前記めっき銅除去槽を横方向に通過し、前記めっき銅除去溶液に浸漬され、陽極の電気を充電されるようにし、前記めっき銅除去槽内には、電源の負極に接続され、前記導電ベルトの上側及び/又は下側に位置する陰極板が設けられる、導電ベルト用銅除去装置を提供する。本発明の実施例では、導電ベルトがめっき銅除去槽に入ると、めっき銅除去溶液に浸漬された陰極板の作用により、導電ベルトの表面の銅層がイオン化され、めっき銅除去溶液中を自在に移動可能な銅イオンが生成され、導電ベルトの表面の銅層が除去される。
【0015】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例で使用する必要のある図面について簡単に説明するが、以下に説明される図面は本発明の一部の実施例にすぎず、当業者にとって創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることができることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例の導電ベルト用銅除去装置の一例の全体の構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例の別の導電ベルト用銅除去装置の全体の構造概略図である。
【
図3】本発明の実施例の導電ベルト搬送機構の一例の概略図である。
【
図4】本発明の実施例の別の導電ベルト搬送機構の概略図である。
【
図5】本発明の実施例のめっき銅除去槽に液止め板が設けられたときの概略図である。
【
図6】本発明の実施例の第1水洗槽の構造概略図である。
【
図7】本発明の実施例の第1移行槽の構造概略図である。
【
図8】本発明の実施例の第2水洗槽の構造概略図である。
【
図9】本発明の実施例の第2移行槽の構造概略図である。
【
図10】本発明の実施例の酸洗スプレー槽の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の様々な態様の特徴及び例示的な実施例について詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解するために、多くの特定の詳細が提供される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細の一部を必要とせずに実施され得ることは、当業者にとって明らかである。以下の実施例の説明は、本発明の一例を示すことによって本発明のより良い理解を提供することを目的としているにすぎない。図面及び以下の説明では、本発明の不必要な不明瞭さを回避するために、公知の構造及び技術の少なくとも一部が示されていない。さらに、明瞭化のために、構造の一部のサイズを拡大している可能性がある。さらに、以下に説明する特徴、構造、又は特性は、任意の適切な方法で1つ又は複数の実施例に組み込むことができる。
【0018】
図1は、本発明の実施例の導電ベルト用銅除去装置全体の構造概略図である。
図1に示すように、本発明の実施例に係る導電ベルト用銅除去装置は、めっき銅除去槽1と、導電ベルト搬送機構と、を含み、めっき銅除去槽1はめっき銅除去溶液を収容するためのものであり、めっき銅除去槽1には導電ベルト3が横方向に通過する第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13が設けられており、すなわち、めっき銅除去槽1の横方向の壁に、第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13が設けられており、導電ベルト搬送機構は、導電ベルト3を搬送するためのものであり、導電ベルト3がめっき銅除去槽1の第1長尺状孔12を横方向に通過して、めっき銅除去溶液に入ってから、第2長尺状孔13を介してめっき銅除去槽1から出る。陽極導電ローラ21は、めっき銅除去槽1の外部に設けられ、電源の正極に接続され、導電ベルト3と接触し、陽極の電気を導電ベルト3に伝導する。めっき銅除去槽1内には、電源の負極に接続され、導電ベルト3の上方及び/又は下方に位置し、それぞれめっき銅除去槽1の側壁に取り付けられた陰極板11が設けられ、また、本発明の実施例の導電ベルト銅除去装置はフレームをさらに含み、めっき銅除去槽1はフレーム内に設けられ、導電ベルト搬送機構はフレームに取り付けられ、例えば、陽極導電ローラ21はフレームに回転可能に取り付けられる。めっき銅除去槽1では、めっき銅除去溶液及び陽極導電ローラ21の作用により、導電ベルト3の表面の銅層がイオン化され、めっき銅除去溶液中を自在に移動可能な銅イオンが生成され、これにより導電ベルト3の表面の銅層が除去されてめっき銅除去溶液内に入り、このとき、めっき銅除去溶液には銅イオンが存在し、電流が導電ベルト3、めっき銅除去溶液、及び陰極板11を順次流れ、めっき銅除去溶液が電解質として機能し、電解質中の銅イオンが陰極板11へ移動し、陰極板11の付近で電子と反応して、銅が生成される。
【0019】
本発明の実施例では、導電ベルト3がめっき銅除去槽1に入ると、めっき銅除去溶液に浸漬された陰極板11の作用により、導電ベルト3の表面の銅層がイオン化され、めっき銅除去溶液中を自在に移動可能な銅イオンが生成される。これにより導電ベルト3の表面の銅がイオン化されてめっき銅除去溶液に入り、導電ベルト3のいずれかの一方の面の銅層が除去される。
【0020】
図2は、本発明の実施例の別の導電ベルト用銅除去装置全体の構造概略図である。
図2に示すように、本発明の実施例では、導電ベルト3の両面の銅層を同時に除去することも可能であり、この場合、フレームに上下に回転可能に取り付けられ、導電ベルト3の第1面及び第2面にそれぞれ接触する2つの陽極導電ローラ21が設けられる。陰極板11も2つ設けられ、それぞれ導電ベルト3の上方及び下方に設けられ、導電ベルト3の第1面の銅層は、導電ベルト3の上側の陽極導電ローラ21及び陰極板11により除去され、導電ベルト3の第2面の銅層は、導電ベルト3の下方の陽極導電ローラ21及び陰極板11により除去される。本発明の実施例では、陽極導電ローラ21及び陰極板11の数は、導電ベルト3から銅除去層を除去する必要がある面に応じて柔軟に配置されてもよいので、生産コストが低下する。
【0021】
図3は、本発明の実施例の導電ベルト搬送機構の一例の概略図である。
図3に示すように、いくつかの実施例では、導電ベルト搬送機構は、それぞれめっき銅除去槽1内の第1端及び第2端に位置し、めっき銅除去槽1の側壁に回転可能に取り付けられる第1内部リミットローラ22及び第2内部リミットローラ23をさらに含んでもよく、第1内部リミットローラ22及び第2内部リミットローラ23は、一部又は全部がめっき銅除去溶液に浸漬され、導電ベルト3を下へ押えて、導電ベルト3をめっき銅除去溶液に浸漬し、例えば、めっき銅除去槽1中のめっき銅除去溶液が第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13から漏れることを回避するために、第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13がめっき銅除去溶液の上方に設けられてもよい。この場合、導電ベルト3がめっき銅除去槽1を横方向に通過する際には、導電ベルト3がめっき液に存在しないため、めっき銅除去槽1内の第1端及び第2端に第1内部リミットローラ22及び第2内部リミットローラ23が設けられ、導電ベルト3が第1内部リミットローラ22及び第2内部リミットローラ23で下へ押さえられることにより、めっき銅除去溶液に浸漬される。
【0022】
図4は本発明の実施例の別の導電ベルト搬送機構の概略図である。
図4に示すように、いくつかの実施例では、導電ベルト搬送機構は、複数の第1外部リミットローラ24と複数の第2外部リミットローラ25をさらに含んでもよい。複数の第1外部リミットローラ24はそれぞれめっき銅除去槽1の前端に位置し、複数の第1外部リミットローラ24により導電ベルト3の搬送経路が案内され、これにより導電ベルト3が第1長尺状孔12を介してめっき銅除去槽1に入る。複数の第2外部リミットローラ25はめっき銅除去槽1の後端に位置し、複数の第2外部リミットローラ25により導電ベルト3がめっき銅除去槽1の第2長尺状孔13から搬出される。
【0023】
図5は、本発明の実施例のめっき銅除去槽に液止め板が設けられたときの概略図である。
図5に示すように、めっき銅除去槽1の側壁の第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13に対応する位置には、第1液止め板14及び第2液止め板15が設けられる。任意選択的に、第1液止め板14及び第2液止め板15は長尺状の板状としてもよく、その長さがそれぞれ第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13の長さと一致し、貼付によりめっき銅除去槽1の壁に設けられるが、第1液止め板14及び第2液止め板15は、ネジなどによりめっき銅除去槽1の壁に固定されてもよい。本発明の実施例では、第1液止め板14及び第2液止め板15がそれぞれ第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13を塞ぐことにより、めっき銅除去槽1内のめっき銅除去溶液の流出が回避される。
【0024】
図6は、本発明の実施例の第1水洗槽の構造概略図である。
図6に示すように、めっき銅除去槽1の前端と複数の第1外部リミットローラ24との間に第1水洗槽4が設けられ、第1水洗槽4の側壁に、導電ベルト3が通過する第3長尺状孔41が設けられる。導電ベルト3は第3長尺状孔41を横方向に通過して第1水洗槽4に入り、第1水洗槽4内には、第1上下側水洗用スプレーパイプ42が設けられ、導電ベルト3は上下側水洗用スプレーパイプ42の間を通過する。本発明の実施例では、第1上下側水洗用スプレーパイプ42が水洗液をスプレーして導電ベルト3の両面の汚れ・ほこりを洗浄することにより、導電ベルト3からの銅除去品質が高まる。
【0025】
図7は、本発明の実施例の第1移行槽の構造概略図である。
図7に示すように、いくつかの実施例では、めっき銅除去槽1と第1水洗槽4との間に第1移行槽5が設けられ、第1移行槽5の側壁に、導電ベルト3が通過する第4長尺状孔51が設けられる。導電ベルト3は第1水洗槽から出た後めっき銅除去槽1に直接入るのではなく、第4長尺状孔51を介して第1移行槽5内に入り、これによって導電ベルト3の搬送により第1水洗槽4内の水洗液がめっき銅除去槽1に運ばれることを回避する。本発明の実施例では、第1移行槽5によりめっき銅除去槽1と第1水洗槽4を隔離することで、めっき銅除去溶液と水溶液が混ぜられて、めっき銅除去溶液の濃度に悪影響を与え、銅除去効率を低下させることを回避する。
【0026】
図8は、本発明の実施例の第2水洗槽の構造概略図である。
図8に示すように、いくつかの実施例では、めっき銅除去槽1の後端と複数の第2外部リミットローラ25との間に第2水洗槽6が設けられ、第2水洗槽6の側壁に、導電ベルト3が通過する第5長尺状孔61が設けられ、第2水洗槽6内に、第2上下側水洗用スプレーパイプ62が設けられる。本発明の実施例では、第2上下側水洗用スプレーパイプ62が水洗液をスプレーして導電ベルト3の両面のめっき銅除去溶液を洗浄する。
【0027】
図9は、本発明の実施例の第2移行槽の構造概略図である。
図9に示すように、いくつかの実施例では、めっき銅除去槽1の後端と第2水洗槽6との間に第2移行槽7が設けられ、第2移行槽7の側壁に、導電ベルト3が通過する第6長尺状孔71が設けられ、第2移行槽7が設けられる。これにより、めっき銅除去槽1内のめっき銅除去溶液が第2水洗槽6内に入り、めっき銅除去溶液と水洗液が混ぜられて、水洗効果を損なうことが回避される。
【0028】
図10は、本発明の実施例の酸洗スプレー槽の構造概略図である。
図10に示すように、いくつかの実施例では、第2水洗槽6の後端に酸洗スプレー槽8が設けられ、酸洗スプレー槽8には、導電ベルト3が通過する第7長尺状孔81が設けられ、酸洗スプレー槽8内に上下側酸洗スプレーパイプ82が設けられる。本発明の実施例では、上下側酸洗スプレーパイプ82は酸性溶液を噴出するためのものであり、酸性溶液は導電ベルト3の両面における完全に反応していないめっき銅除去溶液と反応し、これによってめっき銅除去溶液が後の電気めっき用のめっき液に混入されることを回避する。
【0029】
図7~
図10に示すように、いくつかの実施例では、第1水洗槽4内の側壁の第3長尺状孔41の箇所に第3液止め板43が設けられる。任意選択的に、第3液止め板43は、長尺状の板状としてもよく、その長さがそれぞれ第3長尺状孔41の長さと一致し、貼付により第1水洗槽4の壁に設けられるが、第3液止め板43はネジなどにより第1水洗槽4の壁に固定されてもよい。本発明の実施例では、第3液止め板43が第3長尺状孔41を塞ぐことにより、第1水洗槽4内の水洗液とめっき銅除去槽1内のめっき銅除去溶液が混ぜられることを回避する。
【0030】
いくつかの実施例では、第2水洗槽6内の側壁の第5長尺状孔61の箇所に第4液止め板63及び第5液止め板64が設けられる。任意選択的に、第4液止め板63及び第5液止め板64は、長尺状の板状としてもよく、その長さがそれぞれ第2長尺状孔13及び第3長尺状孔41の長さと一致し、第4液止め板63は第2長尺状孔13に対応して設けられ、第5液止め板64は第5長尺状孔61に対応して設けられる。また、任意選択的に、第4液止め板63及び第5液止め板64は、貼付により第2水洗槽6の内部の壁に設けられてもよいし、第4液止め板63及び第5液止め板64は、ネジなどにより第2水洗槽6の壁に固定されてもよい。本発明の実施例では、第4液止め板63が第2長尺状孔13を塞ぎ、第5液止め板64が第5長尺状孔61を塞ぐことにより、めっき銅除去槽1内のめっき銅除去溶液が第2水洗槽6に入ることを回避し、また、導電ベルト3を搬送するときに第2水洗槽6内の水洗液を第5長尺状孔61から外部に運ぶことも回避できる。
【0031】
いくつかの実施例では、酸洗スプレー槽8内の側壁の第7長尺状孔81の箇所に第6液止め板83が設けられ、第6液止め板83は、長尺状の板状としてもよく、その長さが第5長尺状孔61の長さと同じであり、導電ベルト3により第5長尺状孔61から運ばれた水洗液を止めるものである。また、任意選択的に、第6液止め板83は、貼付により酸洗スプレー槽8の内部の壁体に設けられるが、第6液止め板83は、ネジなどにより酸洗スプレー槽8の壁に固定されてもよい。本発明の実施例では、導電ベルト3が第5長尺状孔61から運んだ水洗液が第6液止め板83によって遮断されてもよく、第2水洗槽6内の水洗液と酸洗スプレー槽8内の硫酸溶液が混ぜられることが回避される。
【0032】
本発明の実施例に係る導電ベルト用銅除去装置の作動原理は以下の通りである。
【0033】
作動する際には、陽極導電ローラ21を電源の正極に接続し、陰極板11を電源の負極に接続するように制御し、導電ベルト3については、陽極導電ローラ21によって陽極の電気を導電ベルト3の第1面及び/又は第2面に伝導し、導電ベルト3は第1外部リミットローラ24により制限されながらめっき銅除去槽1の第1長尺状孔12を介してめっき銅除去槽1に入り、第1内部リミットローラ22及び第2内部リミットローラ23でめっき銅除去溶液中に押さえられる。めっき銅除去槽1では、めっき銅除去溶液及び陽極導電ローラ21の作用により、導電ベルト3の表面の銅層がイオン化され、めっき銅除去溶液内を自在に移動可能な銅イオンが生成され、これにより導電ベルト3の表面の銅層が除去されてめっき銅除去溶液に入る。このとき、めっき銅除去溶液に銅イオンが存在するため、電流は導電ベルト3、めっき銅除去溶液及び陰極板11を順次流れ、めっき銅除去溶液は電解質として機能し、電解質中の銅イオンは陰極板11へ移動し、陰極板11の付近で電子と反応し、銅が生成される。
【0034】
いくつかの実施例では、導電ベルト3は、まず、第1水洗槽4に入って、第1上下側スプレーパイプ42により水洗液をスプレーされて汚れ・ほこりやめっき液を水洗されてもよく、また、第3液止め板43はめっき銅除去槽1への水の侵入を可能な限り回避する。
【0035】
いくつかの実施例では、第1水洗槽4内の水洗液とめっき銅除去槽1内のめっき銅除去溶液が混ぜられることをよりよく回避するために、導電ベルト3はまた、第1移行槽5を通過してから、めっき銅除去槽1に入ってもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、導電ベルト3について、銅層をめっき銅除去槽1中で電解した後、第2水洗槽6内の第2上下側水洗用スプレーパイプ62により水洗液がスプレーされ、導電ベルト3のめっき銅除去溶液が流し落とされてもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、めっき銅除去槽1内のめっき銅除去溶液と第2水洗槽6内の水洗液が混ぜられることを回避するために、導電ベルト3は第2水洗槽6よりも先に第2移行槽7に入ってもよい。
【0038】
いくつかの実施例では、後の電気めっき用めっき液へのめっき銅除去溶液の侵入を回避するために、第2水洗槽6で水洗された導電ベルト3は酸洗スプレー槽8に入り、酸洗スプレー槽8内の上下側酸洗スプレーパイプ82から噴出された酸性溶液が導電ベルト3の両面における完全に反応していないめっき銅除去溶液と反応することで、後の電気めっき用めっき液へのめっき銅除去溶液の侵入を回避する。
【0039】
本発明の実施例の有益な効果は以下の通りである。
【0040】
本発明の実施例では、導電ベルト3がめっき銅除去槽1に入ると、めっき銅除去溶液に浸漬された陰極板11の作用により、導電ベルト3の表面の銅層がイオン化され、めっき銅除去溶液中を自在に移動可能な銅イオンが生成される。これにより導電ベルト3の表面の銅がイオン化されてめっき銅除去溶液に入り、導電ベルト3のいずれか一方の面の銅層が除去される。
【0041】
本発明の実施例では、導電ベルト3の両面の銅層を同時に除去することも可能であり、この場合、フレームに上下に回転可能に取り付けられ、導電ベルト3の第1面及び第2面にそれぞれ接触する2つの陽極導電ローラ21が設けられる。陰極板11も2つ設けられ、それぞれ導電ベルト3の上方及び下方に設けられ、導電ベルト3の第1面の銅層は、導電ベルト3の上側の陽極導電ローラ21及び陰極板11により除去され、導電ベルト3の第2面の銅層は、導電ベルト3の下方の陽極導電ローラ21及び陰極板11により除去される。本発明の実施例では、陽極導電ローラ21及び陰極板11の数は、導電ベルト3から銅除去層を除去する必要がある面に応じて柔軟に配置されてもよいので、生産コストが低下する。
【0042】
本発明の実施例では、第1内部リミットローラ22及び第2内部リミットローラ23が設けられることにより、導電ベルト3はめっき銅除去溶液に完全に浸漬されてもよい。
【0043】
本発明の実施例では、第1液止め板14及び第2液止め板15が第1長尺状孔12及び第2長尺状孔13をそれぞれ塞ぐことにより、めっき銅除去槽1内のめっき銅除去溶液の流出が回避される。
【0044】
本発明の実施例では、第1上下側水洗用スプレーパイプ42が水洗液をスプレーして導電ベルト3の両面の汚れ・ほこりを洗浄することにより、導電ベルト3の銅除去品質が高まる。
【0045】
本発明の実施例では、第2上下側水洗用スプレーパイプ62が水洗液をスプレーして導電ベルト3の両面のめっき銅除去溶液を洗浄する。
【0046】
本発明の実施例では、上下側酸洗スプレーパイプ82は酸性溶液を噴出するためものである。酸性溶液は導電ベルト3の両面における完全に反応していないめっき銅除去溶液と反応し、これによって後の電気めっき用めっき液へのめっき銅除去溶液の侵入が回避される。
【0047】
また、本発明の実施例では、導電ベルト3の搬送により運ばれた液体を遮断するための遮断板が設けられてもよい。
【0048】
以上は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するためのものではなく、本発明の精神及び原理の範囲内において行われたあらゆる修正、同等の置換、改良等は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。「上、下、内、及び外」などの用語により示される方向又は位置関係は、図面に記載された方向又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化するためにのみ使用され、係る装置又はデバイスが特定の方向を有したり、特定の方向で構成され、動作しなければならないことを指示又は暗示するためのものではなく、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。さらに、用語「第1、第2、又は第3」は、説明の目的でのみ使用され、相対的重要性を示すもの又は示唆するものとは理解されるべきではない。
【0049】
本発明の実施例において、別段の明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付ける、連結、接続」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能接続、又は一体接続であってもよいし、機械的接続、電気的接続、直接連結、中間媒体を介した間接的連結、又は2つの構成要素の内部の連通であってもよい。本発明における上記の用語の具体的な意味は、当業者にとっては、状況に応じて理解することができる。
【0050】
本発明は、好ましい実施例を参照して説明されたが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な改良を行うことができ、その構成要素を等価物と交換することができる。特に、構造的に矛盾しない限り、各実施例に記載された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わされてもよい。本発明は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に含まれるすべての技術的解決手段を含む。
【0051】
本発明の導電ベルト用銅除去装置は、めっき銅除去溶液を収容するためのめっき銅除去槽と、前記導電ベルトを搬送するための導電ベルト搬送機構と、を含み、前記めっき銅除去槽には、前記導電ベルトが横方向に通過する第1長尺状孔及び第2長尺状孔が設けられており、前記導電ベルトは前記第1長尺状孔及び前記第2長尺状孔を介して前記めっき銅除去槽を横方向に通過し、前記めっき銅除去溶液に浸漬され、陽極の電気を充電されるようにし、前記めっき銅除去槽内には、電源の負極に接続され、前記導電ベルトの上側及び/又は下側に位置する陰極板が設けられる。導電ベルトがめっき銅除去槽に入ると、めっき銅除去溶液に浸漬された陰極板の作用により、導電ベルトの表面の銅層がイオン化され、めっき銅除去溶液中を自在に移動可能な銅イオンが生成され、導電ベルトの表面の銅層が除去される。これにより、導電ベルトが長時間めっき液に浸漬されると、銅層がめっきされ、可撓性フィルム基材のめっき効果が悪くなることになるという技術的課題を解決する。よって、本発明の導電ベルト用銅除去装置には、実用性がある。
【符号の説明】
【0052】
1 めっき銅除去槽
11 陰極板
12 第1長尺状孔
13 第2長尺状孔
14 第1液止め板
15 第2液止め板
21 陽極導電ローラ
22 第1内部リミットローラ
23 第2内部リミットローラ
24 第1外部リミットローラ
25 第2外部リミットローラ
3 導電ベルト
4 第1水洗槽
41 第3長尺状孔
42 第1上下側水洗用スプレーパイプ
43 第3液止め板
5 第1移行槽
51 第4長尺状孔
6 第2水洗槽
61 第5長尺状孔
62 第2上下側水洗用スプレーパイプ
63 第4液止め板
64 第5液止め板
7 第2移行槽
71 第6長尺状孔
8 酸洗スプレー槽
81 第7長尺状孔
82 上下側酸洗スプレーパイプ
83 第6液止め板
【国際調査報告】