(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】即時血液媒介性炎症反応を減少させるための同種細胞療法を目的とした遺伝子改変細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20240925BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240925BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240925BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20240925BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240925BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240925BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240925BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240925BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240925BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240925BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240925BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240925BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240925BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240925BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240925BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240925BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240925BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240925BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240925BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240925BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240925BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240925BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240925BHJP
A61K 38/13 20060101ALI20240925BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240925BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20240925BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240925BHJP
A61K 35/39 20150101ALI20240925BHJP
A61K 35/407 20150101ALI20240925BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240925BHJP
A61K 31/727 20060101ALI20240925BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20240925BHJP
A61K 31/721 20060101ALI20240925BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240925BHJP
A61K 38/55 20060101ALI20240925BHJP
A61K 35/44 20150101ALI20240925BHJP
A61K 35/55 20150101ALI20240925BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240925BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240925BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240925BHJP
A61K 35/30 20150101ALI20240925BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240925BHJP
A61K 31/57 20060101ALI20240925BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20240925BHJP
A61K 31/5355 20060101ALI20240925BHJP
A61K 31/5365 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240925BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20240925BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240925BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20240925BHJP
C12N 5/0781 20100101ALN20240925BHJP
C12N 5/0786 20100101ALN20240925BHJP
C12N 5/0735 20100101ALN20240925BHJP
C12N 5/0775 20100101ALN20240925BHJP
C12N 5/077 20100101ALN20240925BHJP
C07K 14/54 20060101ALN20240925BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20240925BHJP
C12N 1/04 20060101ALN20240925BHJP
C07K 14/81 20060101ALN20240925BHJP
A61J 3/00 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C12N5/10
A61P3/10 ZNA
A61P35/00
A61P9/00
A61P27/02
A61P5/14
A61P17/00
A61P1/16
A61P35/02
A61P7/00
A61P7/06
A61P37/02
A61P17/14
A61P21/00
A61P25/02
A61P37/08
A61P1/18
A61P27/16
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P13/10
A61P25/00
A61P21/04
A61P1/04
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/18
A61P25/24
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/13
A61K31/675
A61K31/436
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K35/39
A61K35/407
A61K47/20
A61K31/727
A61K38/05
A61K31/721
A61K31/198
A61K38/55
A61K35/44
A61K35/55
A61K35/12
A61K35/17
A61P13/12
A61K35/30
C12M1/00 A
A61K31/57
A61K47/55
A61K31/5355
A61K31/5365
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N15/09 110
C12N5/0783
C12N5/0781
C12N5/0786
C12N5/0735
C12N5/0775
C12N5/077
C07K14/54
C07K14/705
C12N1/04
C07K14/81
A61J3/00 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508655
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022074870
(87)【国際公開番号】W WO2023019225
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522043688
【氏名又は名称】サナ バイオテクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】シュレプファー ソニア
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C047
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029GA08
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065BB32
4B065BD09
4B065BD12
4B065CA24
4B065CA44
4C047AA11
4C047CC04
4C076CC07
4C076CC42
4C076DD55
4C076EE59
4C084AA19
4C084AA22
4C084AA23
4C084BA14
4C084BA23
4C084BA24
4C084DC32
4C084DC34
4C084NA05
4C084ZA331
4C084ZA361
4C084ZA542
4C084ZA751
4C084ZA891
4C084ZB082
4C084ZB261
4C084ZC061
4C084ZC351
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB17
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA17
4C086CB22
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4C086DA35
4C086EA05
4C086EA20
4C086EA27
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4C086MA05
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZA54
4C086ZB08
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087MA65
4C087MA66
4C087MA67
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4C087ZA22
4C087ZA33
4C087ZA36
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4C087ZA55
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA90
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB13
4C087ZB15
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC06
4C087ZC35
4C087ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA58
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206NA06
4C206ZA54
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045AA40
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA50
4H045DA56
4H045EA20
(57)【要約】
同種細胞療法に使用するための1つ以上の改変、例えば、遺伝子改変を含有する、操作細胞が提供される。いくつかの実施形態では、操作細胞は、低免疫原性細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD142の発現減少を含み、及び/または抗凝固剤と組み合わせて投与される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、(ii)CD142の発現を減少させる、ならびに(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変を含む操作細胞であって、(i)の前記発現増加ならびに(ii)及び(iii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記操作細胞。
【請求項2】
(iii)における前記改変のうち1つ以上が、
a.1つ以上のMHCクラスI分子
b.1つ以上のMHCクラスII分子、または
c.1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子
の発現を減少させる、請求項1に記載の操作細胞。
【請求項3】
前記1つ以上の改変が、B2M、TAP I、NLRC5、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、HLA-DR、RFX5、RFXANK、RFXAP、NFY-A、NFY-B及び/またはNFY-C、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の分子の発現を減少させる、請求項1または請求項2に記載の操作細胞。
【請求項4】
B2M、TAP I、NLRC5、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、HLA-DR、RFX5、RFXANK、RFXAP、NFY-A、NFY-B及び/またはNFY-C、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の分子を発現しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項5】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項6】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、PD-L1、HLA-EまたはHLA-G、CCL21、FASL、SERPINB9、CD200、MFGE8、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の操作細胞。
【請求項7】
前記1つ以上の寛容原性因子が、A20/TNFAIP3、C1インヒビター、CCL21、CCL22、CD16、CD16 Fc受容体、CD24、CD27、CD35、CD39、CD46、CD47、CD52、CD55、CD59、CD200、CR1、CTLA4-Ig、DUX4、FasL、H2-M3、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、IL-10、IL15-RF、IL-35、MANF、Mfge8、PD-1、PD-L1、Serpinb9、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項8】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD47を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項9】
前記1つ以上の寛容原性因子がHLA-Eを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項10】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD24を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項11】
前記1つ以上の寛容原性因子がPDL1を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項12】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD55を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項13】
前記1つ以上の寛容原性因子がCR1を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項14】
前記1つ以上の寛容原性因子がMANFを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項15】
前記1つ以上の寛容原性因子がA20/TNFAIP3を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項16】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びCD47を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項17】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項18】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項19】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項20】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項21】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項22】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びPDL1を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項23】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項24】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項25】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項26】
(i)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる、ならびに(ii)CD142の発現を減少させる改変を含む操作細胞であって、(i)の前記発現増加及び(ii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記操作細胞。
【請求項27】
(i)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる、(ii)CD46の発現を増加させる、ならびに(iii)CD59の発現を増加させる前記改変のうち1つ以上が、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる1つ以上の改変を含む、請求項26に記載の操作細胞。
【請求項28】
前記内因性遺伝子が、前記CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、MFGE8、CD46、またはCD59をコードする、請求項27に記載の操作細胞。
【請求項29】
内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる前記1つ以上の改変が、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーの1つ以上の改変または異種プロモーターの導入を含む、請求項27または28に記載の操作細胞。
【請求項30】
前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、請求項29に記載の操作細胞。
【請求項31】
前記操作細胞が、CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる1つ以上の改変をさらに含み、前記1つ以上の補体インヒビターの前記発現増加が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、請求項1~30のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項32】
発現を増加させる前記改変(複数可)が、表面発現の増加を含み、及び/または発現を減少させる前記改変が、表面発現の減少を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項33】
前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる前記改変が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項31または請求項32に記載の操作細胞。
【請求項34】
前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46及びCD59であり、任意に前記改変が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項35】
前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46、CD59及びCD55であり、任意に前記改変が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項31~34のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項36】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードする、請求項33~35のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項37】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3に記載される配列をコードする、請求項36に記載の操作細胞。
【請求項38】
CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、請求項33~37のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項39】
CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5に記載される配列をコードする、請求項38に記載の操作細胞。
【請求項40】
CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、請求項33~39のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項41】
CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8に記載される配列をコードする、請求項40に記載の操作細胞。
【請求項42】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが各々、プロモーターに機能的に連結されている、請求項33~41のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項43】
CD47の発現を増加させる前記改変が、前記CD47タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項5~42のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項44】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、前記操作細胞の自然免疫死滅を減少させる、請求項43に記載の操作細胞。
【請求項45】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1に記載される配列をコードする、請求項43~44のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項46】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、プロモーターに機能的に連結されている、請求項43~45のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項47】
前記1つ以上の寛容原性因子をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される2つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含むマルチシストロン性ベクターを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項48】
前記ポリヌクレオチドの各々が、IRESまたは自己切断ペプチドによって隔てられている、請求項47に記載の操作細胞。
【請求項49】
前記マルチシストロン性ベクターの各ポリヌクレオチドが、同じプロモーターに機能的に連結されている、請求項47~48のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項50】
前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項51】
前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項52】
前記マルチシストロン性ベクターが、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項50または請求項51に記載の操作細胞。
【請求項53】
前記マルチシストロン性ベクターが第1導入遺伝子であり、前記操作細胞が、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む別個の導入遺伝子を含む、請求項50または請求項51に記載の操作細胞。
【請求項54】
CD47をコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子を含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項55】
前記操作細胞が、第1導入遺伝子及び第2導入遺伝子を含み、
前記第1及び第2導入遺伝子の各々が、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される1つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含み、
前記第1及び第2導入遺伝子が、モノシストロン性またはマルチシストロン性ベクターである、請求項1~46のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項56】
前記プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項42~55のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項57】
前記プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、前記EF1aプロモーター、前記PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、請求項42~56のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項58】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55ポリペプチドをコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞のゲノム中に組み込まれる、請求項33~57のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項59】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれる、請求項43~58のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項60】
前記組込みが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した前記細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって行われる、請求項58または請求項59に記載の操作細胞。
【請求項61】
前記組込みが、前記細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって行われる、請求項58または請求項59に記載の操作細胞。
【請求項62】
前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座、CD142遺伝子座、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座、アルブミン遺伝子座、SHS231遺伝子座、CLYBL遺伝子座、ROSA26遺伝子座、LRP1遺伝子座、HMGB1遺伝子座、ABO遺伝子座、RHD遺伝子座、FUT1遺伝子座、及びKDM5D遺伝子座からなる群から選択される、請求項61に記載の操作細胞。
【請求項63】
前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、TAP1遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、またはセーフハーバー座位である、請求項62に記載の操作細胞。
【請求項64】
前記標的ゲノム座位が、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子、アルブミン遺伝子座、SHS231座位、CLYBL遺伝子座、及びROSA26遺伝子座からなる群から選択される、請求項63に記載の操作細胞。
【請求項65】
前記セーフハーバー座位が、AAVS1、ABO、CCR5、CLYBL、CXCR4、F3、FUT1、HMGB1、KDM5D、LRP1、MICA、MICB、RHD、ROSA26、及びSHS231座位からなる群から選択される、請求項64に記載の操作細胞。
【請求項66】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、第1標的ゲノム座位中に組み込まれ、CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、第2標的ゲノム座位中に組み込まれ、CD59をコードする前記ポリヌクレオチドが、第3標的ゲノム座位中に組み込まれる、請求項61~65のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項67】
CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、第4標的ゲノム座位中に組み込まれる、請求項66に記載の操作細胞。
【請求項68】
前記第1、第2、及び第3標的ゲノム座位のうち少なくとも2つが同じ座位である、請求項66に記載の操作細胞。
【請求項69】
前記第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位のうち少なくとも2つが同じ座位である、請求項67または請求項68に記載の操作細胞。
【請求項70】
前記第1、第2及び第3標的ゲノム座位が同じ座位である、請求項66~69のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項71】
前記第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位が同じ座位である、請求項66~70に記載の操作細胞。
【請求項72】
前記第1、第2、及び第3標的ゲノム座位の各々が、異なる座位である、請求項66または請求項67に記載の操作細胞。
【請求項73】
前記第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位が、異なる座位である、請求項67に記載の操作細胞。
【請求項74】
CD142の発現を減少させる前記改変が、CD142タンパク質発現を減少させる、請求項1~73のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項75】
前記改変が、CD142遺伝子活性を排除する、請求項74に記載の操作細胞。
【請求項76】
前記改変が、前記CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項74または75に記載の操作細胞。
【請求項77】
前記改変が、前記細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む、請求項75~76のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項78】
前記不活性化または破壊が、前記CD142遺伝子内のインデルを含む、請求項76または請求項77に記載の操作細胞。
【請求項79】
前記改変が、前記CD142遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である、請求項61~65のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項80】
CD142遺伝子がノックアウトされている、請求項75~79のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項81】
前記改変がゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に前記改変が、ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集によって行われる、請求項75~80のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項82】
前記ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、または前記CD142遺伝子を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意に前記Casが、Cas9またはCas12から選択される、請求項81に記載の操作細胞。
【請求項83】
前記ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記CD142遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、請求項82に記載の操作細胞。
【請求項84】
前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、請求項83に記載の操作細胞。
【請求項85】
1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる、請求項1~25及び27~84のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項86】
1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、B2Mの発現減少を含む、請求項1~25及び27~85のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項87】
1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、B2Mのタンパク質発現の減少を含む、請求項74~86のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項88】
前記改変が、B2M遺伝子活性を排除する、請求項86または請求項87に記載の操作細胞。
【請求項89】
前記改変が、前記B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項86~88のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項90】
前記改変が、前記細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む、請求項86~89のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項91】
前記不活性化または破壊が、前記B2M遺伝子内のインデルを含む、請求項89または請求項90に記載の操作細胞。
【請求項92】
前記改変が、前記B2M遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である、請求項86~91のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項93】
前記B2M遺伝子がノックアウトされている、請求項86~92のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項94】
前記改変がゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項85~93のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項95】
前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記B2M遺伝子を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項94に記載の操作細胞。
【請求項96】
前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記B2M遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、請求項95に記載の操作細胞。
【請求項97】
前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、請求項96に記載の操作細胞。
【請求項98】
1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる前記改変が、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる、請求項1~25、及び27~97のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項99】
1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる前記改変が、CIITAの発現減少を含む、請求項1~25及び27~98のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項100】
1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる前記改変が、CIITAのタンパク質発現の減少を含む、請求項99に記載の操作細胞。
【請求項101】
前記改変がCIITAを排除する、請求項99または請求項100に記載の操作細胞。
【請求項102】
前記改変が、前記CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項99~101のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項103】
前記改変が、前記細胞における全てのCIITAコード配列の不活性化または破壊を含む、請求項99~102のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項104】
前記不活性化または破壊が、前記CIITA遺伝子内のインデルを含む、請求項102または請求項103に記載の操作細胞。
【請求項105】
前記インデルが、前記CIITA遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である、請求項102~104のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項106】
CIITA遺伝子がノックアウトされている、請求項99~105のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項107】
前記改変が、ゲノム改変タンパク質によって行われる、請求項1~106のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項108】
前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、CRISPR関連トランスポザーゼ、プライム編集、または部位特異的ターゲティング要素を介したプログラム可能な付加(PASTE)による改変である、請求項107に記載の操作細胞。
【請求項109】
前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集である、請求項107または108に記載の操作細胞。
【請求項110】
前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意に前記Casが、Cas9またはCas12から選択される、請求項109に記載の操作細胞。
【請求項111】
前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、及びCRISPR関連トランスポザーゼからなる群から選択される1つ以上のタンパク質によって実施される、請求項107または108に記載の操作細胞。
【請求項112】
前記改変が、NLRC5、TRAC、TRB、CD142、ABO、CD38、CD52、PCDH11Y、NLGN4Y及びRHDのうちいずれか1つ以上の発現を減少させる、請求項1~111のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項113】
(i)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、(ii)CD46の発現を増加させる、及び(iii)CD59の発現を増加させる前記改変のうち1つ以上が、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる1つ以上の改変を含む、請求項1~112のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項114】
前記内因性遺伝子が、前記1つ以上の寛容原性因子、CD46、またはCD59をコードする、請求項113に記載の操作細胞。
【請求項115】
前記内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる前記1つ以上の改変が、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーに対する1つ以上の改変または異種プロモーターの導入を含む、請求項113または114に記載の操作細胞。
【請求項116】
前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、請求項115に記載の操作細胞。
【請求項117】
ヒト細胞または動物細胞である、請求項1~116のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項118】
ヒト細胞である、請求項117に記載の操作細胞。
【請求項119】
血液にさらされる細胞型、または前記血液にさらされる細胞型に分化できる細胞型である、請求項1~118のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項120】
多能性幹細胞またはその子孫に由来する分化細胞である、請求項1~119のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項121】
前記多能性幹細胞が人工多能性幹細胞である、請求項120に記載の操作細胞。
【請求項122】
ドナー対象から単離された初代細胞である、請求項119に記載の操作細胞。
【請求項123】
前記ドナー対象が、健康であるか、または個々のドナーからドナー試料が得られた時点で疾患もしくは状態を有すると疑われていない、請求項122に記載の操作細胞。
【請求項124】
島細胞、ベータ島細胞、膵島細胞、免疫細胞、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マクロファージ細胞、内皮細胞、筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、ドーパミン作動性ニューロン、網膜色素上皮細胞、視細胞、肝細胞、甲状腺細胞、皮膚細胞、グリア前駆細胞、神経細胞、心臓細胞、幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、間葉系幹細胞(MSC)、胚性幹細胞(ESC)、多能性幹細胞(PSC)、及び血液細胞からなる群から選択される、請求項1~123のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項125】
内皮細胞である、請求項1~124のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項126】
上皮細胞である、請求項1~125のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項127】
T細胞である、請求項126に記載の操作細胞。
【請求項128】
NK細胞である、請求項127に記載の操作細胞。
【請求項129】
キメラ抗原受容体(CAR)を含む、請求項127または請求項128に記載の操作細胞。
【請求項130】
幹細胞である、請求項124に記載の操作細胞。
【請求項131】
造血幹細胞(HSC)である、請求項124に記載の操作細胞。
【請求項132】
ベータ島細胞である、請求項124に記載の操作細胞。
【請求項133】
肝細胞である、請求項124に記載の操作細胞。
【請求項134】
多能性幹細胞である、請求項124に記載の操作細胞。
【請求項135】
人工多能性幹細胞である、請求項124に記載の操作細胞。
【請求項136】
胚性幹細胞である、請求項124に記載の操作細胞。
【請求項137】
ABO式血液型のO型である、請求項1~136のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項138】
Rh因子陰性(Rh-)である、請求項1~137のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項139】
ABOの機能的Aアレル及び/またはABOの機能的Bアレルを含む、請求項1~136及び138のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項140】
Rh因子陽性(Rh+)である、請求項1~137及び139のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項141】
操作細胞を生成する方法であって、
a.前記細胞内の1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させるか、または排除すること、
b.前記細胞内のCD142の発現を減少させること、ならびに
c.前記細胞内の寛容原性因子の発現を増加させること
を含む、前記方法。
【請求項142】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、PD-L1、HLA-EまたはHLA-G、CCL21、FASL、SERPINB9、CD200、MFGE8、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記1つ以上の寛容原性因子が、A20/TNFAIP3、C1インヒビター、CCL21、CCL22、CD16、CD16 Fc受容体、CD24、CD27、CD35、CD39、CD46、CD47、CD52、CD55、CD59、CD200、CR1、CTLA4-Ig、DUX4、FasL、H2-M3、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、IL-10、IL15-RF、IL-35、MANF、Mfge8、PD-1、PD-L1、Serpinb9、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、請求項141~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD47を含む、請求項143または請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記1つ以上の寛容原性因子がHLA-Eを含む、請求項141~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD24を含む、請求項141~146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記1つ以上の寛容原性因子がPDL1を含む、請求項141~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD55を含む、請求項141~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記1つ以上の寛容原性因子がCR1を含む、請求項141~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記1つ以上の寛容原性因子がMANFを含む、請求項141~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記1つ以上の寛容原性因子がA20/TNFAIP3を含む、請求項141~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びCD47を含む、請求項141~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1を含む、請求項141~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1を含む、請求項141~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項141~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項141~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項141~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びPDL1を含む、請求項141~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPを含む、請求項141~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFを含む、請求項141~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFを含む、請求項141~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子の前記発現を減少させることを含む、請求項141~162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
寛容原性の発現を増加させることが、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることを含む、請求項141~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記内因性遺伝子が、前記寛容原性因子をコードする、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることが、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーを改変すること、または異種プロモーターを導入することを含む、請求項164または165に記載の方法。
【請求項167】
前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
低免疫原性細胞を生成する方法であって、
a.前記細胞内のCCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させること、ならびに
b.前記細胞内のCD142の発現を減少させること
を含む、前記方法。
【請求項169】
前記細胞内の、CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることをさらに含む、請求項141~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、MFGE8、及び/または1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることを含む、請求項168または169に記載の方法。
【請求項171】
前記内因性遺伝子が、前記CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、MFGE8、CD46、またはCD59をコードする、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
前記内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることが、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーを改変すること、または異種プロモーターを導入することを含む、請求項170または請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記発現減少が表面発現の減少を含み、及び/または前記発現増加が表面発現の増加を含み、任意に前記表面発現の減少が、検出可能な表面発現をなんら含まない、請求項141~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを、前記細胞に導入することを含む、請求項169~174のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46及びCD59であり、任意に前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することを含む、請求項169~175のいずれか一項に記載の方法。
【請求項177】
前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46、CD59及びCD55であり、任意に前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することを含む、請求項169~176のいずれか一項に記載の方法。
【請求項178】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、請求項169~177のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3に記載される配列をコードする、請求項178に記載の方法。
【請求項180】
CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、請求項169~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5に記載される配列をコードする、180に記載の方法。
【請求項182】
CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有する配列をコードし、補体阻害活性を示す、請求項169~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項183】
CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8に記載される配列をコードする、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが各々、プロモーターに機能的に連結されている、請求項169~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
CD47の発現を増加させる前記改変が、前記CD47タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項169~184のいずれか一項に記載の方法。
【請求項186】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有する配列をコードし、前記操作細胞の自然免疫死滅を減少させる、請求項169~185のいずれか一項に記載の方法。
【請求項187】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1に記載される配列をコードする、請求項186に記載の方法。
【請求項188】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、プロモーターに機能的に連結されている、請求項169~187のいずれか一項に記載の方法。
【請求項189】
前記1つ以上の寛容原性因子をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される2つ以上の外因性ポリペプチドを含むマルチシストロン性ベクターを、前記細胞に導入することを含む、請求項169~188のいずれか一項に記載の方法。
【請求項190】
前記ポリヌクレオチドの各々が、IRESまたは自己切断ペプチドによって隔てられている、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
前記2つ以上の外因性ポリヌクレオチドが、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項189または請求項190に記載の方法。
【請求項192】
前記マルチシストロン性ベクターの各ポリヌクレオチドが、同じプロモーターに機能的に連結されている、請求項189~191のいずれか一項に記載の方法。
【請求項193】
前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項189~192のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項189~193のいずれか一項に記載の方法。
【請求項195】
前記マルチシストロン性ベクターが、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項193または請求項194に記載の方法。
【請求項196】
前記操作細胞が、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む別個の導入遺伝子を含む、請求項193または請求項194に記載の方法。
【請求項197】
CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞のゲノム中に組み込まれる、請求項169~196のいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれる、請求項185~197のいずれか一項に記載の方法。
【請求項199】
前記組込みが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって行われる、請求項197または請求項198に記載の方法。
【請求項200】
前記組込みが、レンチウイルスベクターを使用した前記細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって行われる、請求項199に記載の方法。
【請求項201】
前記組込みが、前記細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって行われ、任意に前記標的挿入が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項197または請求項198に記載の方法。
【請求項202】
前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座、CD142遺伝子座、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座、アルブミン遺伝子座、SHS231遺伝子座、CLYBL遺伝子座、ROSA26遺伝子座、LRP1遺伝子座、HMGB1遺伝子座、ABO遺伝子座、RHD遺伝子座、FUT1遺伝子座、及びKDM5D遺伝子座からなる群から選択される、請求項201に記載の方法。
【請求項203】
前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、TAP1遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、またはセーフハーバー座位である、請求項201または請求項202に記載の方法。
【請求項204】
前記標的ゲノム座位が、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子、アルブミン遺伝子座、SHS231座位、CLYBL遺伝子座、及びROSA26遺伝子座からなる群から選択される、請求項201または請求項202に記載の方法。
【請求項205】
前記標的ゲノム座位がセーフハーバー座位である、請求項201~204のいずれか一項に記載の方法。
【請求項206】
前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、または前記標的ゲノム座位を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意に前記Casが、Cas9またはCas12から選択される、請求項201~205のいずれか一項に記載の方法。
【請求項207】
前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記標的ゲノム座位の標的配列に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)と、CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドを含む相同組換え修復鋳型とを含む、請求項206に記載の方法。
【請求項208】
前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、請求項207に記載の方法。
【請求項209】
CD142の発現を減少させることが、CD142タンパク質発現を減少させる、請求項141~208のいずれか一項に記載の方法。
【請求項210】
CD142の発現を減少させることが、CD142遺伝子活性を減少させる改変を導入することを含む、請求項209に記載の方法。
【請求項211】
CD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、前記CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項210に記載の方法。
【請求項212】
CD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、前記細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む、請求項210または請求項211に記載の方法。
【請求項213】
前記不活性化または破壊が、前記CD142遺伝子内のインデル、または前記CD142遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む、請求項211または請求項212に記載の方法。
【請求項214】
前記インデルが、フレームシフト変異である、請求項213に記載の方法。
【請求項215】
前記CD142遺伝子がノックアウトされる、請求項210~214のいずれか一項に記載の方法。
【請求項216】
CD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、ゲノム改変タンパク質によって導入され、任意にCD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって導入される、請求項210~215のいずれか一項に記載の方法。
【請求項217】
前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記CD142遺伝子を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項216に記載の方法。
【請求項218】
前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記CD142遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、請求項218に記載の方法。
【請求項220】
1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させることが、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変を導入することを含む、請求項141~219のいずれか一項に記載の方法。
【請求項221】
1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、B2Mの発現減少を含む、請求項220に記載の方法。
【請求項222】
1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、B2Mのタンパク質発現の減少を含む、請求項220または221に記載の方法。
【請求項223】
1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、B2M遺伝子活性を減少させる、請求項221または222に記載の方法。
【請求項224】
1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、前記B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項221~223のいずれか一項に記載の方法。
【請求項225】
1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、前記細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む、請求項221~223のいずれか一項に記載の方法。
【請求項226】
前記不活性化または破壊が、前記B2M遺伝子内のインデル、または前記B2M遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む、請求項224または請求項225に記載の方法。
【請求項227】
前記インデルが、フレームシフト変異である、請求項226に記載の方法。
【請求項228】
前記B2M遺伝子がノックアウトされる、請求項221~227のいずれか一項に記載の方法。
【請求項229】
1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、ゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項221~228のいずれか一項に記載の方法。
【請求項230】
前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記B2M遺伝子を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項229に記載の方法。
【請求項231】
前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記B2M遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、請求項230に記載の方法。
【請求項232】
前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、請求項231に記載の方法。
【請求項233】
1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させることが、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる改変を導入することを含む、請求項141~232のいずれか一項に記載の方法。
【請求項234】
1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、CIITAの発現減少を含む、請求項233に記載の方法。
【請求項235】
1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、CIITAのタンパク質発現の減少を含む、請求項233または234に記載の方法。
【請求項236】
1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、CIITA遺伝子活性を減少させる、請求項233または請求項234に記載の方法。
【請求項237】
1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、前記CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項233~236のいずれか一項に記載の方法。
【請求項238】
前記改変が、前記細胞における全てのCIITAコード配列の不活性化または破壊を含む、請求項233~237のいずれか一項に記載の方法。
【請求項239】
前記不活性化または破壊が、前記CIITA遺伝子内のインデル、または前記CIITA遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む、請求項237または請求項238に記載の方法。
【請求項240】
前記インデルが、フレームシフト変異である、請求項239に記載の方法。
【請求項241】
前記CIITA遺伝子がノックアウトされる、請求項234~240のいずれか一項に記載の方法。
【請求項242】
前記細胞が、ヒト細胞または動物細胞であり、任意に前記動物細胞が、ブタ(pig)(ブタ(porcine))細胞、ウシ(cow)(ウシ(bovine))細胞、またはヒツジ(sheep)(ヒツジ(ovine))細胞である、請求項141~241のいずれか一項に記載の方法。
【請求項243】
前記操作細胞がヒト細胞である、請求項141~242のいずれか一項に記載の方法。
【請求項244】
前記細胞が、血液にさらされる細胞型、または前記血液にさらされる細胞型に分化できる細胞型である、請求項141~243のいずれか一項に記載の方法。
【請求項245】
前記細胞が、ドナー対象から単離された初代細胞である、請求項141~244のいずれか一項に記載の方法。
【請求項246】
前記細胞が多能性幹細胞であり、前記操作細胞が、前記多能性幹細胞に由来する分化細胞であり、前記方法が、前記多能性幹細胞を分化させることをさらに含む、請求項141~244のいずれか一項に記載の方法。
【請求項247】
前記多能性幹細胞が人工多能性幹細胞である、請求項246に記載の方法。
【請求項248】
前記操作細胞が、島細胞、ベータ島細胞、膵島細胞、免疫細胞、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マクロファージ細胞、内皮細胞、筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、ドーパミン作動性ニューロン、網膜色素上皮細胞、視細胞、肝細胞、甲状腺細胞、皮膚細胞、グリア前駆細胞、神経細胞、心臓細胞、幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、間葉系幹細胞(MSC)、胚性幹細胞(ESC)、多能性幹細胞(PSC)、及び血液細胞からなる群から選択される、請求項141~243のいずれか一項に記載の方法。
【請求項249】
前記操作細胞がベータ島細胞である、請求項248に記載の方法。
【請求項250】
前記操作細胞が肝細胞である、請求項248に記載の方法。
【請求項251】
請求項141~250のいずれか一項に記載の方法に従って作製される、操作細胞。
【請求項252】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時にNK細胞媒介性細胞傷害を回避できる、請求項1~140及び251のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項253】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に成熟NK細胞による細胞溶解から保護される、請求項1~140及び251~252のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項254】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に前記細胞に対する免疫応答を誘導しない、請求項1~140及び251~253のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項255】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に前記細胞に対する全身性炎症反応を誘導しない、請求項1~140及び251~254のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項256】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に前記細胞に対する局所性炎症反応を誘導しない、請求項1~140及び251~255のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項257】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に補体経路活性化を誘導しない、請求項1~140及び251~256のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項258】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に凝固を誘導しない、請求項1~140及び251~257のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項259】
前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に即時血液媒介性炎症反応を誘導しない、請求項1~140及び251~258のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項260】
前記レシピエント患者への投与時に血液と接触する、請求項258~259に記載の操作細胞。
【請求項261】
請求項1~140及び251~260のいずれか一項に記載の操作細胞を複数含む、細胞集団。
【請求項262】
前記集団内の細胞の少なくとも約30%が、前記操作細胞である、請求項261に記載の集団。
【請求項263】
前記複数の操作初代細胞が、2以上のドナー対象からプールした細胞に由来する、請求項261または262に記載の操作細胞集団。
【請求項264】
前記2以上のドナー対象の各々が、健康な対象であるか、または前記ドナー対象から前記ドナー試料が得られた時点で疾患もしくは状態を有すると疑われていない、請求項263に記載の操作初代細胞集団。
【請求項265】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、前記改変を含む、請求項261~264のいずれか一項に記載の集団。
【請求項266】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項261~265のいずれか一項に記載の集団。
【請求項267】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項261~266のいずれか一項に記載の集団。
【請求項268】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項261~267のいずれか一項に記載の集団。
【請求項269】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項261~268のいずれか一項に記載の集団。
【請求項270】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、B2M遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む、請求項261~269のいずれか一項に記載の集団。
【請求項271】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CIITA遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む、請求項261~270のいずれか一項に記載の集団。
【請求項272】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、未変更または非改変の野生型細胞と比較してCD142の発現減少を含む、請求項261~271のいずれか一項に記載の集団。
【請求項273】
前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD142遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む、請求項261~272のいずれか一項に記載の集団。
【請求項274】
請求項261~273のいずれか一項に記載の集団または請求項1~140及び251~260のいずれか一項に記載の操作細胞を含む、組成物。
【請求項275】
操作ベータ島細胞の集団を含む組成物であって、前記操作ベータ島細胞が、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、前記組成物。
【請求項276】
前記操作ベータ細胞が、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項275に記載の組成物。
【請求項277】
操作肝細胞の集団を含む組成物であって、前記操作肝細胞が、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、前記組成物。
【請求項278】
前記操作肝細胞が、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、請求項277に記載の組成物。
【請求項279】
前記導入遺伝子が、マルチシストロン性ベクターであり、前記導入遺伝子が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項275~278のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項280】
前記ベータ島細胞または肝細胞が、マルチシストロン性ベクターをさらに含み、前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項275~278のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項281】
前記導入遺伝子(複数可)が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって標的ゲノム座位に導入される、請求項275~278のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項282】
前記不活性化または破壊が、ゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に前記不活性化または破壊が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項275~281のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項283】
前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記標的ゲノム座位を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項281~282のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項284】
医薬組成物である、請求項275~283のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項285】
薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項284に記載の組成物。
【請求項286】
凍結保護剤を含む無血清凍結保存培地内で製剤化される、請求項284~285のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項287】
前記凍結保護剤がDMSOであり、前記凍結保存培地が、5%~10%DMSO(v/v)である、請求項286に記載の組成物。
【請求項288】
前記凍結保護剤が、10%または約10%DMSO(v/v)である、請求項286または287に記載の組成物。
【請求項289】
滅菌されている、請求項275~288のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項290】
請求項275~289のいずれか一項に記載の組成物を含む、容器。
【請求項291】
滅菌バッグである、請求項290に記載の容器。
【請求項292】
凍結保存適合性バッグである、請求項291に記載の滅菌バッグ。
【請求項293】
その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法であって、有効量の請求項261~273のいずれか一項に記載の集団または請求項274~289のいずれか一項に記載の組成物を、前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項294】
凝固を減少させる抗凝固剤を前記患者に投与することをさらに含む、請求項293に記載の方法。
【請求項295】
その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法であって、以下:
(a)複数の操作細胞を含む有効量の細胞集団を前記患者に投与することであって、
前記操作細胞が、
(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、
(ii)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、ならびに
(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる
改変を含み、
ここで、(i)及び(ii)の前記発現増加ならびに(iii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、投与することと、
(b)凝固を減少させる抗凝固剤を前記患者に投与することと
を含む、前記方法。
【請求項296】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9からなる群から選択される、請求項295に記載の方法。
【請求項297】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、請求項296に記載の方法。
【請求項298】
その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法であって、以下:
(a)複数の操作細胞を含む有効量の細胞集団を前記患者に投与することであって、
前記操作細胞が、
(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、ならびに
(ii)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる
改変を含み、
ここで、(i)及び(ii)の前記発現増加が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、投与すること、ならびに
(b)凝固を減少させる抗凝固剤を前記患者に投与すること
を含む、前記方法。
【請求項299】
前記集団が、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として製剤化される、請求項298に記載の方法。
【請求項300】
前記集団及び前記抗凝固剤が、同時にまたは連続して投与される、請求項294~299のいずれか一項に記載の方法。
【請求項301】
前記抗凝固剤がヘパリンである、請求項294~300のいずれか一項に記載の方法。
【請求項302】
前記ヘパリンが未分画ヘパリンである、請求項301に記載の方法。
【請求項303】
前記ヘパリンが低分子量ヘパリンである、請求項301に記載の方法。
【請求項304】
前記ヘパリンが可溶性ヘパリンである、請求項301~303のいずれか一項に記載の方法。
【請求項305】
前記ヘパリンが、前記患者に前記細胞を投与する前に前記細胞の表面上に固定化される、請求項301~303のいずれか一項に記載の方法。
【請求項306】
前記抗凝固剤が、メラガトランまたはLMW-DSである、請求項294~305のいずれか一項に記載の方法。
【請求項307】
前記抗凝固剤が、N-アセチルシステイン(NAC)である、請求項294~305のいずれか一項に記載の方法。
【請求項308】
前記抗凝固剤が、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである、請求項294~305のいずれか一項に記載の方法。
【請求項309】
前記状態または疾患が、糖尿病、がん、血管新生障害、眼疾患、甲状腺疾患、皮膚疾患、及び肝疾患からなる群から選択される、請求項293~308のいずれか一項に記載の方法。
【請求項310】
前記細胞欠損症が糖尿病と関連するか、または前記疾患もしくは状態が糖尿病であり、任意に前記糖尿病がI型糖尿病である、請求項293~308のいずれか一項に記載の方法。
【請求項311】
前記細胞集団が、ベータ島細胞を含む島細胞の集団である、請求項310に記載の方法。
【請求項312】
前記島細胞が、島前駆細胞、未成熟島細胞、及び成熟島細胞からなる群から選択される、請求項311に記載の方法。
【請求項313】
前記細胞欠損症が、血管状態もしくは疾患と関連するか、または疾患もしくは状態が、血管状態もしくは疾患である、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項314】
前記細胞集団が内皮細胞の集団である、請求項313に記載の方法。
【請求項315】
前記細胞欠損症が自己免疫性甲状腺炎と関連するか、または前記疾患もしくは状態が自己免疫性甲状腺炎である、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項316】
前記細胞集団が、甲状腺前駆細胞の集団である、請求項315に記載の方法。
【請求項317】
前記細胞欠損症が肝疾患と関連するか、または前記疾患が肝疾患である、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項318】
前記肝疾患が肝硬変を含む、請求項317に記載の方法。
【請求項319】
前記細胞集団が、肝細胞または肝前駆細胞の集団である、請求項317または318に記載の方法。
【請求項320】
前記細胞欠損症が角膜疾患と関連するか、または前記疾患が角膜疾患である、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項321】
前記角膜疾患が、フックスジストロフィーまたは先天性遺伝性内皮ジストロフィーである、請求項320に記載の方法。
【請求項322】
前記細胞集団が、角膜内皮前駆細胞または角膜内皮細胞の集団である、請求項320または321に記載の方法。
【請求項323】
前記細胞欠損症が腎疾患と関連するか、または前記疾患が腎疾患である、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項324】
前記細胞集団が、腎前駆細胞または腎細胞の集団である、請求項323に記載の方法。
【請求項325】
前記細胞欠損症ががんと関連するか、または前記疾患ががんである、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項326】
前記がんが、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、胃癌、胃腺癌、膵臓腺癌、膠芽腫、神経芽細胞腫、肺扁平上皮癌、肝細胞癌、及び膀胱癌からなる群から選択される、請求項325に記載の方法。
【請求項327】
前記細胞集団が、T細胞、NK細胞、またはNKT細胞の集団である、請求項325または326に記載の方法。
【請求項328】
前記細胞欠損症が、造血器疾患もしくは障害と関連するか、または前記疾患もしくは状態が、造血器疾患もしくは障害である、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項329】
前記造血器疾患または障害が、骨髄異形成症、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、鎌状赤血球症、ダイアモンド・ブラックファン貧血、シュワッハマン・ダイアモンド障害、コストマン症候群、慢性肉芽腫症、副腎白質ジストロフィー、白血球接着不全、血友病、サラセミア、ベータ-サラセミア、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性(骨髄)白血病(AML)、成人リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性慢性骨髄性白血病(CML)、及び若年性骨髄単球性白血病(JMML)など、重症複合免疫不全症(SCID)、X連鎖性重症複合免疫不全症、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症、慢性肉芽腫症、チェディアック・東症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)またはAIDSである、請求項328に記載の方法。
【請求項330】
前記細胞欠損症が、白血病もしくは骨髄腫と関連するか、または前記疾患もしくは状態が、白血病もしくは骨髄腫である、請求項328に記載の方法。
【請求項331】
前記細胞欠損症が、自己免疫疾患もしくは状態と関連するか、または前記疾患もしくは状態が、自己免疫疾患もしくは状態である、請求項293~309及び328のいずれか一項に記載の方法。
【請求項332】
前記自己免疫疾患または状態が、急性散在性脳脊髄炎、急性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗合成酵素症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性心筋症、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫増殖症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、多腺性自己免疫症候群、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロー病、バロー同心円硬化症、ベーチェット症候群、バージャー病、ビッカースタッフ脳炎、ブラウ症候群、水疱性類天疱瘡、がん、キャッスルマン病、セリアック病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性再発性多発性骨髄炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、補体成分2欠損症、頭蓋動脈炎、CREST症候群、クローン病、クッシング症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、デゴス病、ダーカム病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、びまん皮膚硬化型全身性強皮症、ドレスラー症候群、円板状エリテマトーデス、湿疹、付着部炎関連関節炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバン症候群、進行性骨化性線維異形成症、線維性肺胞炎、胃炎、胃腸類天疱瘡、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性脱髄疾患、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、封入体筋炎、炎症性脱髄性多発神経炎、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、川崎病、ランバート・イートン筋無力症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病(LAD)、ルー・ゲーリック病、ルポイド肝炎、エリテマトーデス、Majeed症候群、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎、ミラー・フィッシャー症候群、混合性結合組織病、限局性強皮症(morphea)、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、視神経脊髄炎、ニューロミオトニア、眼瘢痕性類天疱瘡、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、オード甲状腺炎(ord thyroiditis)、回帰性リウマチ、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンベルグ症候群、パーソネージ・ターナー症候群、毛様体扁平部炎、天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、静脈周囲脳脊髄炎、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性神経障害、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、赤芽球癆、ラスムッセン脳炎、レイノー現象、再発性多発性軟骨炎、ライター症候群、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、関節リウマチ、リウマチ熱、サルコイドーシス、シュミット症候群、シュニッツラー症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、スティル病、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、Susac症候群、Sweet症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、未分化脊椎関節症、血管炎、白斑またはウェゲナー肉芽腫症である、請求項331に記載の方法。
【請求項333】
前記細胞集団が、造血幹細胞(HSC)及び/またはその誘導体を含む集団である、請求項328~332のいずれか一項に記載の方法。
【請求項334】
前記細胞欠損症が、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、神経変性疾患もしくは状態、注意欠如多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、精神病、うつ病、精神神経障害発作、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)と関連するか、あるいは前記疾患または状態が、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、神経変性疾患もしくは状態、注意欠如多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、精神病、うつ病、精神神経障害発作、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項293~309のいずれか一項に記載の方法。
【請求項335】
前記細胞集団が、神経細胞及び/またはグリア細胞を含む集団である、請求項334に記載の方法。
【請求項336】
前記細胞が、投与前に増殖及び凍結保存される、請求項293~335のいずれか一項に記載の方法。
【請求項337】
前記集団を投与することが、前記集団の静脈内注射、筋肉内注射、血管内注射、または移植を含む、請求項293~336のいずれか一項に記載の方法。
【請求項338】
前記集団が、腎被膜移植または筋肉内注射を介して移植される、請求項337に記載の方法。
【請求項339】
前記集団がドナー対象に由来し、前記ドナーのHLA型が、前記患者のHLA型と一致しない、請求項293~338のいずれか一項に記載の方法。
【請求項340】
前記集団がドナーに由来し、前記ドナーの血液型が、前記患者の血液型と一致せず、前記ドナーの前記血液型が、O型ではない、請求項293~339のいずれか一項に記載の方法。
【請求項341】
前記集団がドナーに由来し、前記ドナーの前記血液型が、Rh因子(Rh)陽性であり、前記患者の前記血液型が、Rh陰性である、請求項293~340のいずれか一項に記載の方法。
【請求項342】
前記患者の血清が、Rhに対する抗体を含む、請求項293~341のいずれか一項に記載の方法。
【請求項343】
前記集団がヒト細胞集団であり、前記患者がヒト患者である、請求項293~342のいずれか一項に記載の方法。
【請求項344】
前記細胞集団が、ABOの機能的Aアレル及び/またはABOの機能的Bアレルを含む、請求項293~343のいずれか一項に記載の方法。
【請求項345】
前記細胞集団がABO式A抗原を提示し、前記患者の前記血清が抗A抗体を含む、請求項344に記載の方法。
【請求項346】
前記細胞集団がABO式B抗原を提示し、前記患者の前記血清が抗B抗体を含む、請求項344に記載の方法。
【請求項347】
前記細胞集団が、ABO式A及びB抗原を提示し、前記患者の前記血清が、抗A及び/または抗B抗体を含む、請求項344に記載の方法。
【請求項348】
細胞集団がRh因子を発現し、前記患者の前記血清が抗Rh抗体を含む、請求項293~347のいずれか一項に記載の方法。
【請求項349】
前記患者に1つ以上の免疫抑制剤を投与することをさらに含む、請求項293~348のいずれか一項に記載の方法。
【請求項350】
前記患者が、1つ以上の免疫抑制剤を投与されている、請求項293~348のいずれか一項に記載の方法。
【請求項351】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、小分子または抗体である、請求項349または請求項350に記載の方法。
【請求項352】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、コルチコステロイド、プレドニゾン、メトトレキサート、金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスパガリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、OKT3、抗胸腺細胞グロブリン、チモペンチン(チモシン-α)、及び免疫抑制抗体からなる群から選択される、請求項349~351のいずれか一項に記載の方法。
【請求項353】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、シクロスポリンを含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項354】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、ミコフェノール酸モフェチルを含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項355】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、コルチコステロイドを含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項356】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、シクロホスファミドを含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項357】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、ラパマイシンを含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項358】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、タクロリムス(FK-506)を含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項359】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、抗胸腺細胞グロブリンを含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項360】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、1つ以上の免疫調節剤を含む、請求項349~352のいずれか一項に記載の方法。
【請求項361】
前記1つ以上の免疫調節剤が、小分子または抗体である、請求項360に記載の方法。
【請求項362】
前記抗体が、IL-2受容体のp75、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFN-ガンマ、TNF-アルファ、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-6、IGF、IGFR1、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、CD58からなる群から選択される受容体またはリガンド、及びそれらのリガンドのいずれかに結合する抗体のうち1つ以上に結合する、請求項351または請求項361に記載の方法。
【請求項363】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与前に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~362のいずれか一項に記載の方法。
【請求項364】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日前に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項365】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項366】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日後に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項367】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後、またはそれよりも後に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項368】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与と同じ日に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項369】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与後に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項370】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与後に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項371】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与前に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項372】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日前に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項373】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項374】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日後に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項375】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後、またはそれよりも後に前記患者に投与されるか、または投与されている、請求項349~363のいずれか一項に記載の方法。
【請求項376】
前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の前記改変を含まない免疫原性細胞の免疫拒絶を減少させるために投与される1つ以上の免疫抑制剤の投与量と比較して、少ない投与量で投与される、請求項349~375のいずれか一項に記載の方法。
【請求項377】
前記操作細胞が、前記操作細胞の死滅を制御できる、請求項293~376のいずれか一項に記載の方法。
【請求項378】
前記操作細胞が、自殺遺伝子または自殺スイッチを含む、請求項293~377のいずれか一項に記載の方法。
【請求項379】
前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、薬物もしくはプロドラッグの存在下で、または選択的外因性化合物による活性化時に、細胞死の制御を誘導する、請求項378に記載の方法。
【請求項380】
前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記操作細胞のアポトーシスを誘導できる誘導性タンパク質である、請求項378または請求項379に記載の方法。
【請求項381】
前記操作細胞のアポトーシスを誘導できる前記誘導性タンパク質が、カスパーゼタンパク質である、請求項380に記載の方法。
【請求項382】
前記カスパーゼタンパク質がカスパーゼ9である、請求項381に記載の方法。
【請求項383】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチが、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、請求項380または請求項381に記載の方法。
【請求項384】
前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記1つ以上の免疫抑制剤を前記患者に投与した後に細胞死の制御を誘導するように活性化される、請求項378~383のいずれか一項に記載の方法。
【請求項385】
前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記1つ以上の免疫抑制剤を前記患者に投与する前に細胞死の制御を誘導するように活性化される、請求項378~383のいずれか一項に記載の方法。
【請求項386】
前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記操作細胞を前記患者に投与した後に細胞死の制御を誘導するように活性化される、請求項378~385のいずれか一項に記載の方法。
【請求項387】
前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、細胞傷害または他の負の結果が前記患者に生じる場合に細胞死の制御を誘導するように活性化される、請求項378~386のいずれか一項に記載の方法。
【請求項388】
前記操作細胞集団の操作細胞の枯渇を可能にする薬剤を投与することを含む、請求項293~387のいずれか一項に記載の方法。
【請求項389】
前記操作細胞の枯渇を可能にする前記薬剤が、前記操作細胞の前記表面上に発現されるタンパク質を認識する抗体である、請求項388に記載の方法。
【請求項390】
前記抗体が、CCR4、CD16、CD19、CD20、CD30、EGFR、GD2、HER1、HER2、MUC1、PSMA、及びRQR8を認識する抗体からなる群から選択される、請求項389に記載の方法。
【請求項391】
前記抗体が、モガムリズマブ、AFM13、MOR208、オビヌツズマブ、ウブリツキシマブ、オカラツズマブ、リツキシマブ、リツキシマブ-Rllb、トムゾツキシマブ、RO5083945(GA201)、セツキシマブ、Hul4.18K322A、Hul4.18-IL2、Hu3F8、ジニツキシマブ(dinituximab)、c.60C3-Rllc、及びそれらのバイオシミラーからなる群から選択される、請求項389または請求項390に記載の方法。
【請求項392】
前記操作細胞の前記表面上における前記1つ以上の寛容原性因子を認識する薬剤を投与することを含む、請求項293~391のいずれか一項に記載の方法。
【請求項393】
前記操作細胞が、前記1つ以上の寛容原性因子を発現するように操作される、請求項392に記載の方法。
【請求項394】
前記1つ以上の寛容原性因子が、A20/TNFAIP3、C1インヒビター、CCL21、CCL22、CD16、CD16 Fc受容体、CD24、CD27、CD35、CD39、CD46、CD47、CD52、CD55、CD59、CD200、CR1、CTLA4-Ig、DUX4、FasL、H2-M3、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、IL-10、IL15-RF、IL-35、MANF、Mfge8、PD-1、PD-L1、Serpinb9、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、請求項293~393のいずれか1項に記載の方法。
【請求項395】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD47を含む、請求項393または394に記載の方法。
【請求項396】
前記1つ以上の寛容原性因子がHLA-Eを含む、請求項293~395のいずれか一項に記載の方法。
【請求項397】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD24を含む、請求項293~396のいずれか一項に記載の方法。
【請求項398】
前記1つ以上の寛容原性因子がPDL1を含む、請求項293~397のいずれか一項に記載の方法。
【請求項399】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD55を含む、請求項293~398のいずれか一項に記載の方法。
【請求項400】
前記1つ以上の寛容原性因子がCR1を含む、請求項293~399のいずれか一項に記載の方法。
【請求項401】
前記1つ以上の寛容原性因子がMANFを含む、請求項293~400のいずれか一項に記載の方法。
【請求項402】
前記1つ以上の寛容原性因子がA20/TNFAIP3を含む、請求項293~401のいずれか一項に記載の方法。
【請求項403】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びCD47を含む、請求項293~402のいずれか一項に記載の方法。
【請求項404】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1を含む、請求項293~403のいずれか一項に記載の方法。
【請求項405】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1を含む、請求項293~404のいずれか一項に記載の方法。
【請求項406】
前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項293~405のいずれか一項に記載の方法。
【請求項407】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項293~406のいずれか一項に記載の方法。
【請求項408】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、請求項293~407のいずれか一項に記載の方法。
【請求項409】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びPDL1を含む、請求項293~408のいずれか一項に記載の方法。
【請求項410】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPを含む、請求項293~409のいずれか一項に記載の方法。
【請求項411】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFを含む、請求項293~410のいずれか一項に記載の方法。
【請求項412】
前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFを含む、請求項293~411のいずれか一項に記載の方法。
【請求項413】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、請求項393または請求項394に記載の方法。
【請求項414】
前記患者に1つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項293~413のいずれか一項に記載の方法。
【請求項415】
前記患者が、1つ以上の追加の治療剤を投与されている、請求項293~414のいずれか一項に記載の方法。
【請求項416】
前記方法の治療有効性をモニターすることをさらに含む、請求項293~415のいずれか一項に記載の方法。
【請求項417】
前記方法の予防有効性をモニターすることをさらに含む、請求項293~416のいずれか一項に記載の方法。
【請求項418】
1つ以上の疾患症状の所望の抑制が生じるまで繰り返される、請求項293~417のいずれか一項に記載の方法。
【請求項419】
自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項1~140及び251~260のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項420】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチが、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、請求項419に記載の操作細胞。
【請求項421】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、請求項419または請求項420に記載の操作細胞。
【請求項422】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記1つ以上の寛容原性因子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、請求項419~421のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項423】
前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した前記細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって組み込まれる、請求項419または請求項420に記載の操作細胞。
【請求項424】
前記バイシストロン性カセットが、前記細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれ、任意に前記標的挿入が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項419または420に記載の操作細胞。
【請求項425】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、請求項419~424のいずれか一項に記載の操作細胞。
【請求項426】
前記操作細胞が、自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項141~250のいずれか一項に記載の方法。
【請求項427】
前記自殺遺伝子が、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、請求項426に記載の方法。
【請求項428】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、請求項426または請求項427に記載の方法。
【請求項429】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記1つ以上の寛容原性因子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、請求項426または請求項427に記載の方法。
【請求項430】
前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって組み込まれる、請求項428または請求項429に記載の方法。
【請求項431】
前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれる、請求項428または請求項429に記載の方法。
【請求項432】
前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、請求項426~431のいずれか一項に記載の方法。
【請求項433】
前記操作細胞集団の操作細胞が、自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項274~289のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項434】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチが、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、請求項433に記載の組成物。
【請求項435】
前記自殺遺伝子、及び前記自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子が、前記操作細胞集団の操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、請求項433または請求項434に記載の組成物。
【請求項436】
前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記外因性CD47が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、請求項433~435のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項437】
前記バイシストロン性カセットが、前記ゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した前記操作細胞集団の操作細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって組み込まれる、請求項435または請求項436に記載の組成物。
【請求項438】
前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞集団の操作細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれ、任意に前記標的挿入が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、請求項435または請求項436に記載の組成物。
【請求項439】
請求項261~273のいずれか一項に記載の操作細胞集団または請求項419~425のいずれか一項に記載の操作細胞を複数含む細胞集団と、凝固を減少させる抗凝固剤または細胞コーティングとを含む、組合せ。
【請求項440】
(a)複数の操作細胞を含む細胞集団であって、
前記操作細胞が、
(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、
(ii)CD47の発現を増加させる、ならびに
(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる
改変を含み、
ここで、(i)及び(ii)の前記発現増加ならびに(iii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記細胞集団と、
(b)抗凝固剤と
を含む、組合せ。
【請求項441】
前記抗凝固剤が、ヘパリン、アンチトロンビンの活性化因子、凝固第II因子(fII)の阻害剤、凝固第VII因子(fVII)の阻害剤、及び凝固第X因子(fX)の阻害剤からなる群から選択される、請求項439または請求項440に記載の組合せ。
【請求項442】
前記抗凝固剤がヘパリンである、請求項441に記載の組合せ。
【請求項443】
前記ヘパリンが未分画ヘパリンである、請求項442に記載の組合せ。
【請求項444】
前記ヘパリンが低分子量ヘパリンである、請求項443に記載の組合せ。
【請求項445】
前記ヘパリンが可溶性ヘパリンである、請求項441~444のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項446】
前記抗凝固剤が、メラガトランまたはLMW-DSである、請求項441に記載の組合せ。
【請求項447】
前記抗凝固剤が、N-アセチルシステイン(NAC)である、請求項441に記載の組合せ。
【請求項448】
前記抗凝固剤が、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである、請求項441に記載の組合せ。
【請求項449】
前記抗凝固剤が、CD142に対する抗体である、請求項441に記載の組合せ。
【請求項450】
請求項441~448のいずれか一項に記載の組成物を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月11日出願の米国仮特許出願第63/232,162号、及び2022年6月17日出願の米国仮特許出願第63/353,527号に対する優先権を主張し、その各々の内容全体が、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表の内容(186152005240SEQLIST.xml、サイズ:41,567バイト、及び作成日:2022年8月9日)は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
分野
ある特定の態様では、本開示は、同種細胞療法に使用するための、遺伝子改変などの1つ以上の改変を含有する操作細胞を対象とする。いくつかの実施形態では、操作細胞は、低免疫原性細胞である。
【発明の概要】
【0004】
概要
ドナー同種抗原に対するレシピエントの感作は、細胞療法を含む臨床移植療法が直面している問題である。例えば、移植レシピエントの免疫系が同種物質を拒絶する傾向は、移植療法の潜在的な有効性を大幅に減少させ、そのような治療に関連する、考え得るプラスの効果を低下させる。多数の障害及び状態の治療を目的とした、改善された同種細胞が依然として必要である。したがって、レシピエントの免疫系による検出を回避する同種細胞ベースの療法をもたらすための新規手法、組成物及び方法が依然として必要である。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書では、(i)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、(ii)CD142の発現を減少させる、ならびに(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変を含む操作細胞が提供され、(i)の発現増加ならびに(ii)及び(iii)の発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、(iii)における改変は、1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現を減少させる。
【0006】
いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47、PD-L1、HLA-EまたはHLA-G、CCL21、FASL、SERPINB9、CD200、MFGE8、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、CD47である。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、PD-L1である。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、HLA-Eである。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、HLA-Gである。
【0007】
任意の実施形態のいくつかでは、1つ以上の寛容原性因子は、CD47、HLA-E、CD24、PD-L1、CD46、CD55、CD59、CR1、MANF、A20/TNFAIP3、HLA-E及びCD47、CD24、CD47、PD-L1、及びそれらの任意の組合せ、HLA-E、CD24、CD47、及びPD-L1、ならびにそれらの任意の組合せ、CD46、CD55、CD59、及びCR1、ならびにそれらの任意の組合せ、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1、ならびにそれらの任意の組合せ、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1、ならびにそれらの任意の組合せ、HLA-E及びPDL1、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIP、ならびにそれらの任意の組合せ、HLA-E、PDL1、及びMANF、ならびにそれらの任意の組合せ、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANF、ならびにそれらの任意の組合せ、ならびにCD47、PD-L1、HLA-E、HLA-G、CCL21、FASL、SERPINB9、CD200、MFGE8、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0008】
任意の実施形態のいくつかでは、改変は、MHC I及び/またはMHC IIの発現を減少させる改変、CD142の発現を減少させる改変、CD47ならびに任意にCD24及びPD-L1の発現を増加させる改変、ならびにCD46、CD55、CD59及びCR1の発現を増加させる改変から選択される。
【0009】
任意の実施形態のいくつかでは、改変は、MHCクラスI分子の発現を減少させる改変、CD142の発現を減少させる改変、TXNIPの発現を減少させる改変、PD-L1及びHLA-E、ならびに任意にA20/TNFAIP3及びMANFの発現を増加させる改変から選択される。
【0010】
任意の実施形態のいくつかでは、改変は、CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる改変、ならびにCD142の発現を減少させる改変から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、改変は、MHC I及び/またはMHC IIの発現を減少させる改変、ならびにCD47の発現を増加させる改変から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記改変のいずれかが、提供される操作細胞内において、細胞内での遺伝子の発現を増加または低減させる1つ以上の追加の編集と共に存在する。いくつかの実施形態では、さらなる改変のうちいずれか1つ以上が、B2M、TAP I、NLRC5、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、HLA-DR、RFX5、RFXANK、RFXAP、NFY-A、NFY-B、NFY-C、CTLA-4、PD-1、IRF1、CD142、MIC-A、MIC-Bの発現を減少させる、例えば、その発現を破壊する、不活性化する、またはノックアウトするなどの改変であり得る。いくつかの実施形態では、さらなる改変のうちいずれか1つ以上が、酸化またはERストレス、TRAC、TRB、CD142、ABO、CD38、PCDH11Y、NLGN4Y及び/またはRHDに関与するタンパク質の発現を減少させる改変であり得る。いくつかの実施形態では、酸化またはERストレスに関与するタンパク質としては、チオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)、PKR様ERキナーゼ(PERK)、イノシトール要求性酵素1α(IRE1α)、及びDJ-1(PARK7)が挙げられる。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書では、(i)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる、ならびに(ii)CD142の発現を減少させる改変を含む操作細胞が提供され、(i)の発現増加及び(ii)の発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる1つ以上の改変をさらに含み、1つ以上の補体インヒビターの発現増加は、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、発現を増加させる改変(複数可)は、表面発現の増加を含み、及び/または発現を減少させる改変は、表面発現の減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる改変は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46及びCD59であり、任意に改変は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46、CD59及びCD55であり、任意に改変は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書での発現を増加させる改変のいずれかは、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる1つ以上の改変、例えば、遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーの1つ以上の改変または異種プロモーターの導入などであり得る。いくつかの場合には、異種プロモーターは、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:3に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す。いくつかの実施形態では、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:5に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す。いくつかの実施形態では、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:8に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは各々、プロモーターに機能的に連結されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、CD47の発現を増加させる改変は、CD47タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、操作細胞の自然免疫死滅を減少させる。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:1に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0017】
いくつかの実施態様では、操作細胞は、1つ以上の寛容原性因子をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される2つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含むマルチシストロン性導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの各々は、IRESまたは自己切断ペプチドによって隔てられている。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子の各ポリヌクレオチドは、同じプロモーターに機能的に連結されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子は、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子は第1導入遺伝子であり、操作細胞は、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む別個の導入遺伝子を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、第1導入遺伝子及び第2導入遺伝子を含み、第1及び第2導入遺伝子は各々、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される1つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含み、第1及び第2導入遺伝子は、モノシストロン性またはマルチシストロン性導入遺伝子である。
【0020】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターからなる群から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドは、操作細胞のゲノム中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、操作細胞のゲノム中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、組込みは、操作細胞のゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した細胞中への外因性ポリヌクレオチドの導入によって行われる。いくつかの実施形態では、組込みは、細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって行われる。いくつかの実施形態では、標的ゲノム座位は、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、CD142遺伝子座、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座である。いくつかの実施形態では、標的ゲノム座位は、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子、アルブミン遺伝子座、SHS231座位、CLYBL遺伝子座、及びROSA26遺伝子座からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、第1標的ゲノム座位中に組み込まれ、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドは、第2標的ゲノム座位中に組み込まれ、CD59をコードするポリヌクレオチドは、第3標的ゲノム座位中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは、第4標的ゲノム座位中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3標的ゲノム座位のうち少なくとも2つが同じ座位である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位のうち少なくとも2つが同じ座位である。いくつかの実施形態では、第1、第2及び第3標的ゲノム座位が同じ座位である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位が同じ座位である。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3標的ゲノム座位の各々が、異なる座位である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位が、異なる座位である。
【0022】
いくつかの実施形態では、CD142の発現を減少させる改変は、CD142タンパク質発現を減少させる。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子活性を排除する。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、CD142遺伝子内のインデルを含む。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である。いくつかの実施形態では、CD142遺伝子はノックアウトされる。いくつかの実施形態では、改変は、ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集によって行われる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはCD142遺伝子を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意にCasは、Cas9またはCas12から選択される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集はCRISPR-Casの組合せによって行われ、CRISPR-Casの組合せは、CD142遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含み、任意にCRISPR-Casの組合せは、gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である。
【0023】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる改変は、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる改変は、B2Mの発現減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる改変は、B2Mのタンパク質発現の減少を含む。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子活性を排除する。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、B2M遺伝子内のインデルを含む。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である。いくつかの実施形態では、B2M遺伝子はノックアウトされる。いくつかの実施形態では、改変は、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはB2M遺伝子を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意にCasは、Cas9またはCas12から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集はCRISPR-Casの組合せによって行われ、CRISPR-Casの組合せは、B2M遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR-Casの組合せは、gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である。
【0025】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変は、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変は、CIITAの発現減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変は、CIITAのタンパク質発現の減少を含む。いくつかの実施形態では、改変はCIITAを排除する。いくつかの実施形態では、改変は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのCIITAコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、CIITA遺伝子内のインデルを含む。いくつかの実施形態では、インデルは、CIITA遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である。いくつかの実施形態では、CIITA遺伝子はノックアウトされる。
【0026】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒト細胞または動物細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、ブタ(pig)(ブタ(porcine))細胞、ウシ(cow)(ウシ(bovine))細胞、またはヒツジ(sheep)(ヒツジ(ovine))細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、血液にさらされる細胞型、または血液にさらされる細胞型に分化できる細胞型である。
【0027】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、多能性幹細胞またはその子孫に由来する分化細胞である。いくつかの実施形態では、多能性幹細胞は、人工多能性幹細胞である。
【0028】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ドナー対象から単離された初代細胞である。いくつかの実施形態では、ドナー対象は健康であるか、または個々のドナーからドナー試料が得られた時点で疾患もしくは状態を有すると疑われていない。
【0029】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ベータ島細胞、B細胞、T細胞、NK細胞、網膜色素上皮細胞、肝細胞、甲状腺細胞、皮膚細胞、グリア前駆細胞、神経細胞、心臓細胞、及び血液細胞(例えば、形質細胞または血小板)から選択される。いくつかの実施形態では、操作細胞は内皮細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は上皮細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞はベータ島細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は肝細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は多能性幹細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、人工多能性幹細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は胚性幹細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ABO式血液型のO型である。いくつかの実施形態では、細胞は、Rh因子陰性(Rh-)である。いくつかの実施形態では、細胞は、ABOの機能的Aアレル及び/またはABOの機能的Bアレルを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、Rh因子陽性(Rh+)である。
【0030】
いくつかの態様では、本明細書では、操作細胞を生成する方法が提供され、本方法は、a.細胞内の1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させるか、または排除すること、b.細胞内のCD142の発現を減少させること、ならびにc.細胞内の寛容原性因子の発現を増加させることを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47、PD-L1、HLA-EまたはHLA-G、CCL21、FASL、SERPINB9、CD200、MFGE8、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、CD47である。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、PD-L1である。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、HLA-Eである。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子のうち少なくとも1つが、HLA-Gである。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させることを含む。
【0033】
いくつかの態様では、本明細書では、低免疫原性細胞を生成する方法が提供され、本方法は、a.細胞内のCCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させること、ならびにb.細胞内のCD142の発現を減少させることを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本方法は、本細胞内のCD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、発現減少は、表面発現の減少を含み、及び/または発現増加は、表面発現の増加を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることは、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46及びCD59であり、任意に1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることは、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46、CD59及びCD55であり、任意に1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることは、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することを含む。いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す。いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:3に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す。いくつかの実施形態では、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:5に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有する配列をコードし、補体阻害活性を示す。いくつかの実施形態では、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:8に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは各々、プロモーターに機能的に連結されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、CD47の発現を増加させる改変は、CD47タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有する配列をコードし、操作細胞の自然免疫死滅を減少させる。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号:1に記載される配列をコードする。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0036】
いくつかの実施態様では、本方法は、1つ以上の寛容原性因子をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される2つ以上の外因性ポリペプチドを含むマルチシストロン性導入遺伝子を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの各々は、IRESまたは自己切断ペプチドによって隔てられている。いくつかの実施態様では、2つ以上の外因性ポリヌクレオチドは、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子の各ポリヌクレオチドは、同じプロモーターに機能的に連結されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性導入遺伝子は、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む別個の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは、操作細胞のゲノム中に組み込まれる。
【0038】
いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、操作細胞のゲノム中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、組込みは、操作細胞のゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した細胞中への外因性ポリヌクレオチドの導入によって行われる。いくつかの実施形態では、組込みは、細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって行われ、任意に標的挿入は、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる。
【0039】
いくつかの実施形態では、標的ゲノム座位は、セーフハーバー座位、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、CD142遺伝子座、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座である。いくつかの実施形態では、標的ゲノム座位は、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子、アルブミン遺伝子座、SHS231座位、CLYBL遺伝子座、及びROSA26遺伝子座からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、標的ゲノム座位は、セーフハーバー座位である。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、または標的ゲノム座位を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意にCasは、Cas9またはCas12から選択される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集は、CRISPR-Casの組合せによって行われ、CRISPR-Casの組合せは、標的ゲノム座位の標的配列に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)と、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む相同組換え修復鋳型とを含む。いくつかの実施形態では、CRISPR-Casの組合せは、gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である。
【0040】
いくつかの実施形態では、CD142の発現を減少させることは、CD142タンパク質発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CD142の発現を減少させることは、CD142遺伝子活性を減少させる改変を導入することを含む。いくつかの実施形態では、CD142遺伝子活性を減少させる改変は、CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、CD142遺伝子活性を減少させる改変は、細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、CD142遺伝子内のインデル、またはCD142遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む。いくつかの実施形態では、インデルは、フレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、CD142遺伝子はノックアウトされる。いくつかの実施形態では、CD142遺伝子活性を減少させる改変は、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはCD142遺伝子を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意にCasは、Cas9またはCas12から選択される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集はCRISPR-Casの組合せによって行われ、CRISPR-Casの組合せは、CD142遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR-Casの組合せは、gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させることは、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変を導入することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変は、B2Mの発現減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変は、B2Mのタンパク質発現の減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変は、B2M遺伝子活性を減少させる。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる改変は、B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変は、細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、B2M遺伝子内のインデル、またはB2M遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む。いくつかの実施形態では、インデルは、フレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、B2M遺伝子はノックアウトされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変は、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはB2M遺伝子を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意にCasは、Cas9またはCas12から選択される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集はCRISPR-Casの組合せによって行われ、CRISPR-Casの組合せは、B2M遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR-Casの組合せは、gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させることは、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる改変を導入することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる改変は、CIITAの発現減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる改変は、CIITAのタンパク質発現の減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる改変は、CIITA遺伝子活性を減少させる。いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる改変は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのCIITAコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、CIITA遺伝子内のインデル、またはCIITA遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む。いくつかの実施形態では、インデルは、フレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、CIITA遺伝子はノックアウトされる。
【0043】
いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞または動物細胞である。いくつかの実施形態では、動物細胞は、ブタ(pig)(ブタ(porcine))細胞、ウシ(cow)(ウシ(bovine))細胞、またはヒツジ(sheep)(ヒツジ(ovine))細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、血液にさらされる細胞型、または血液にさらされる細胞型に分化できる細胞型である。いくつかの実施形態では、細胞は、ドナー対象から単離された初代細胞である。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、多能性幹細胞に由来する分化細胞であり、本方法は、多能性幹細胞を分化させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、多能性幹細胞は、人工多能性幹細胞である。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、ベータ島細胞、B細胞、T細胞、NK細胞、グリア前駆細胞、神経細胞、心臓細胞、網膜色素上皮細胞、肝細胞、甲状腺細胞、皮膚細胞、及び血液細胞(例えば、形質細胞または血小板)から選択される。いくつかの実施形態では、操作細胞はベータ島細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は肝細胞である。
【0044】
本明細書で提供される操作細胞を生成する方法の実施形態のいずれかのいくつかでは、操作細胞は、自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子は、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子は、操作細胞のゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び1つ以上の寛容原性因子は、操作細胞のゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される。いくつかの実施形態では、バイシストロン性カセットは、操作細胞のゲノムへの非標的挿入によって組み込まれる。いくつかの実施形態では、バイシストロン性カセットは、操作細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47である。
【0045】
いくつかの態様では、本明細書では、本明細書に記載される方法に従って作製される操作細胞が提供される。いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時にNK細胞媒介性細胞傷害を回避できる。いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時に成熟NK細胞による細胞溶解から保護される。いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時に細胞に対する免疫応答を誘導しない。いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時に細胞に対する全身性炎症反応を誘導しない。いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時に細胞に対する局所性炎症反応を誘導しない。
【0046】
いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時に補体経路活性化を誘導しない。いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時に凝固を誘導しない。いくつかの実施形態では、操作細胞、または操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞は、レシピエント患者への投与時に即時血液媒介性炎症反応を誘導しない。いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエント患者への投与時に血液と接触する。
【0047】
本明細書で提供される操作細胞の実施形態のいずれかのいくつかでは、操作細胞は、自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される。自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子は、操作細胞のゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び1つ以上の寛容原性因子は、操作細胞のゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される。いくつかの実施形態では、バイシストロン性カセットは、操作細胞のゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した細胞中への外因性ポリヌクレオチドの導入によって組み込まれる。いくつかの実施形態では、バイシストロン性カセットは、細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれ、任意に標的挿入は、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47である。
【0048】
いくつかの態様では、本明細書では、本明細書に記載される複数の操作細胞を含む操作細胞の集団が提供される。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数の操作初代細胞は、2以上のドナー対象からプールした細胞に由来する。いくつかの実施形態では、2以上のドナー対象の各々は、健康な対象であるか、またはドナー対象からドナー試料が得られた時点で疾患もしくは状態を有すると疑われていない。
【0050】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が改変を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、B2M遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CIITA遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、未変更または非改変の野生型細胞と比較してCD142の発現減少を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD142遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む。
【0059】
いくつかの態様では、本明細書では、本明細書に記載される集団を含む組成物が提供される。
【0060】
いくつかの態様では、本明細書では、操作ベータ島細胞の集団を含む組成物が提供され、操作ベータ島細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、操作ベータ細胞は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。
【0062】
いくつかの態様では、本明細書では、操作肝細胞の集団を含む組成物が提供され、操作肝細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、操作肝細胞は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、マルチシストロン性導入遺伝子であり、導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、ベータ島細胞または肝細胞は、マルチシストロン性導入遺伝子をさらに含み、マルチシストロン性導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子(複数可)は、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって標的ゲノム座位に導入される。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、または標的ゲノム座位を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意にCasは、Cas9またはCas12から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物は医薬組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、緩衝溶液、例えば、生理食塩水などである。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物は、凍結保護剤を含む無血清凍結保存培地内で製剤化される。いくつかの実施形態では、凍結保護剤はDMSOであり、凍結保存培地は、5%~10%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、10%または約10%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、組成物は滅菌されている。
【0067】
本明細書に開示される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、操作細胞集団の操作細胞は、自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子、及び自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子は、操作細胞集団の操作細胞のゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び外因性CD47は、操作細胞のゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される。いくつかの実施形態では、バイシストロン性カセットは、ゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した操作細胞集団の操作細胞中への外因性ポリヌクレオチドの導入によって組み込まれる。いくつかの実施形態では、バイシストロン性カセットは、操作細胞集団の操作細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれ、任意に標的挿入は、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる。
【0068】
いくつかの態様では、本明細書では、本明細書に記載される組成物のいずれかを含む、容器が提供される。いくつかの実施形態では、容器は滅菌バッグである。いくつかの実施形態では、バッグは、凍結保存適合性バッグである。
【0069】
いくつかの態様では、本明細書では、その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法が提供され、本方法は、有効量の本明細書に記載される集団または本明細書に記載される組成物を患者に投与することを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本方法は、凝固を減少させる抗凝固剤を患者に投与することをさらに含む。
【0071】
いくつかの態様では、本明細書では、その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法が提供され、本方法は、(a)複数の操作細胞を含む有効量の細胞集団を患者に投与することであって、操作細胞が、(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、(ii)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、ならびに(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変を含み、(i)及び(ii)の発現増加ならびに(iii)の発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、投与すること、ならびに(b)凝固を減少させる抗凝固剤を患者に投与することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9からなる群から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47である。
【0074】
いくつかの態様では、本明細書では、その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法が提供され、本方法は、(a)複数の操作細胞を含む有効量の細胞集団を患者に投与することであって、操作細胞が、(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、及び(ii)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる改変を含み、(i)及び(ii)の発現増加は、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、投与すること、ならびに(b)凝固を減少させる抗凝固剤を患者に投与することを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、集団は、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として製剤化される。
【0076】
いくつかの実施形態では、集団及び抗凝固剤は、同時にまたは連続して投与される。
【0077】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤はヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、未分画ヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、低分子量ヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、可溶性ヘパリンである。
【0078】
いくつかの実施形態では、ヘパリンは、患者に細胞を投与する前に細胞の表面上に固定化される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、メラガトランまたはLMW-DSである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、N-アセチルシステイン(NAC)である。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである。
【0079】
いくつかの実施形態では、状態または疾患は、糖尿病、がん、血管新生障害、眼疾患、甲状腺疾患、皮膚疾患、及び肝疾患からなる群から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、糖尿病と関連するか、または細胞療法は、糖尿病の治療を目的とし、任意に糖尿病はI型糖尿病である。いくつかの実施形態では、細胞集団は、ベータ島細胞を含む島細胞の集団である。いくつかの実施形態では、島細胞は、島前駆細胞、未成熟島細胞、及び成熟島細胞からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、血管状態もしくは疾患と関連するか、または細胞療法は、血管状態もしくは疾患の治療を目的とする。いくつかの実施形態では、細胞集団は、内皮細胞の集団である。
【0082】
いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、自己免疫性甲状腺炎と関連するか、または細胞療法は、自己免疫性甲状腺炎の治療を目的とする。いくつかの実施形態では、細胞集団は、甲状腺前駆細胞の集団である。いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、肝疾患と関連するか、または細胞療法は、肝疾患の治療を目的とする。いくつかの実施形態では、肝疾患は肝硬変を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団は、肝細胞または肝前駆細胞の集団である。いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、角膜疾患と関連するか、または細胞療法は、角膜疾患の治療を目的とする。いくつかの実施形態では、角膜疾患は、フックスジストロフィーまたは先天性遺伝性内皮ジストロフィーである。
【0083】
いくつかの実施形態では、細胞集団は、角膜内皮前駆細胞または角膜内皮細胞の集団である。いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、腎疾患と関連するか、または細胞療法は、腎疾患の治療を目的とする。いくつかの実施形態では、細胞集団は、腎前駆細胞または腎細胞の集団である。
【0084】
いくつかの実施形態では、細胞療法は、がんの治療を目的とする。いくつかの実施形態では、がんは、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、胃癌、胃腺癌、膵臓腺癌、膠芽腫、神経芽細胞腫、肺扁平上皮癌、肝細胞癌、及び膀胱癌からなる群から選択される。
【0085】
いくつかの実施形態では、細胞集団は、T細胞またはNK細胞の集団である。いくつかの実施形態では、細胞は、投与前に増殖かつ凍結保存される。いくつかの実施形態では、集団を投与することは、集団の静脈内注射、筋肉内注射、血管内注射、または移植を含む。いくつかの実施形態では、集団は、腎被膜移植または筋肉内注射を介して移植される。いくつかの実施形態では、集団はドナー対象に由来し、ドナーのHLA型は患者のHLA型と一致しない。いくつかの実施形態では、集団はドナーに由来し、ドナーの血液型は患者の血液型と一致せず、ドナーの血液型はO型ではない。いくつかの実施形態では、集団はドナーに由来し、ドナーの血液型はRh因子(Rh)陽性であり、患者の血液型はRh陰性である。いくつかの実施形態では、患者の血清は、Rhに対する抗体を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、集団はヒト細胞集団であり、患者はヒト患者である。いくつかの実施形態では、細胞集団は、ABOの機能的Aアレル及び/またはABOの機能的Bアレルを含む。いくつかの実施形態では、細胞集団はABO式A抗原を提示し、患者の血清は抗A抗体を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団はABO式B抗原を提示し、患者の血清は抗B抗体を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団はABO式A及びB抗原を提示し、患者の血清は、抗A及び/または抗B抗体を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団はRh因子を発現し、患者の血清は抗Rh抗体を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の免疫抑制剤を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、患者は、1つ以上の免疫抑制剤が投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、小分子または抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IL-2受容体のp75、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFN-ガンマ、TNF-アルファ、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-6、IGF、IGFR1、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、CD58からなる群から選択される受容体またはリガンド、及びそれらのリガンドのいずれかに結合する抗体のうち1つ以上に結合する。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、コルチコステロイド、プレドニゾン、メトトレキサート、金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスパガリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、OKT3、抗胸腺細胞グロブリン、チモペンチン(チモシン-α)、及び免疫抑制抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、シクロスポリンを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、ミコフェノール酸モフェチルを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、コルチコステロイドを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、シクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、ラパマイシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、タクロリムス(FK-506)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、抗胸腺細胞グロブリンを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、1つ以上の免疫調節剤である。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫調節剤は、小分子または抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IL-2受容体のp75、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFN-ガンマ、TNF-アルファ、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-6、IGF、IGFR1、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、CD58からなる群から選択される受容体またはリガンド、及びそれらのリガンドのいずれかに結合する抗体のうち1つ以上に結合する。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の投与前に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日前に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日後に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後、またはそれよりも後に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の初回投与と同じ日に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の投与後に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与後に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与前に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日前に患者に投与されるか、または投与されている。
【0090】
いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日後に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後、またはそれよりも後に患者に投与されるか、または投与されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫抑制剤は、操作細胞の改変を含まない免疫原性細胞の免疫拒絶を減少させるために投与される1つ以上の免疫抑制剤の投与量と比較して、少ない投与量で投与される。
【0091】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、操作細胞の死滅を制御できる。いくつかの実施形態では、操作細胞は、自殺遺伝子または自殺スイッチを含む。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、薬物もしくはプロドラッグの存在下で、または選択的外因性化合物による活性化時に、細胞死の制御を誘導する。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、操作細胞のアポトーシスを誘導できる誘導性タンパク質である。いくつかの実施形態では、操作細胞のアポトーシスを誘導できる誘導性タンパク質は、カスパーゼタンパク質である。いくつかの実施形態では、カスパーゼタンパク質はカスパーゼ9である。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、1つ以上の免疫抑制剤を患者に投与した後に細胞死の制御を誘導するように活性化される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、1つ以上の免疫抑制剤を患者に投与する前に細胞死の制御を誘導するように活性化される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、操作細胞を患者に投与した後に細胞死の制御を誘導するように活性化される。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子または自殺スイッチは、細胞傷害または他の負の結果が患者に生じる場合に細胞死の制御を誘導するように活性化される。
【0092】
いくつかの実施形態では、本方法は、操作細胞集団の操作細胞の枯渇を可能にする薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、操作細胞の枯渇を可能にする薬剤は、操作細胞の表面上に発現されるタンパク質を認識する抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、CCR4、CD16、CD19、CD20、CD30、EGFR、GD2、HER1、HER2、MUC1、PSMA、及びRQR8を認識する抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体は、モガムリズマブ、AFM13、MOR208、オビヌツズマブ、ウブリツキシマブ、オカラツズマブ、リツキシマブ、リツキシマブ-Rllb、トムゾツキシマブ、RO5083945(GA201)、セツキシマブ、Hul4.18K322A、Hul4.18-IL2、Hu3F8、ジニツキシマブ(dinituximab)、c.60C3-Rllc、及びそれらのバイオシミラーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、操作細胞の表面上における1つ以上の寛容原性因子を認識する薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、1つ以上の寛容原性因子を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47である。
【0093】
いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の追加の治療剤を患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、患者は、1つ以上の追加の治療剤が投与されている。いくつかの実施形態では、本方法は、本方法の治療有効性をモニターすることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本方法の予防有効性をモニターすることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の疾患症状の所望の抑制が生じるまで繰り返される。
【0094】
いくつかの態様では、本明細書では、本明細書に記載される操作細胞集団、及び凝固を減少させる抗凝固剤または細胞コーティングを含む組合せが提供される。
【0095】
いくつかの態様では、本明細書では組合せが提供され、(a)複数の操作細胞を含む細胞集団であって、操作細胞が、(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、(ii)CD47の発現を増加させる、ならびに(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変を含み、(i)及び(ii)の発現増加ならびに(iii)の発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記細胞集団、ならびに(b)抗凝固剤を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、ヘパリン、アンチトロンビンの活性化因子、凝固第II因子(fII)の阻害剤、凝固第VII因子(fVII)の阻害剤、及び凝固第X因子(fX)の阻害剤からなる群から選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤はヘパリンである。
【0098】
いくつかの実施形態では、ヘパリンは、未分画ヘパリンである。
【0099】
いくつかの実施形態では、ヘパリンは、低分子量ヘパリンである。
【0100】
いくつかの実施形態では、ヘパリンは、可溶性ヘパリンである。
【0101】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、メラガトランまたはLMW-DSである。
【0102】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、N-アセチルシステイン(NAC)である。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである。
【0104】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、CD142に対する抗体である。
【0105】
いくつかの態様では、本明細書では、本明細書に記載される組合せを含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1A】B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tgヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)のフローサイトメトリーによって測定されるようなHLAクラスI(HLA-I)、HLAクラスII(HLA-II)、及びCD47の発現レベルを示し、細胞がHLA-I及びHLA-IIの発現を欠き、CD47の発現は増加していることを実証している。
【
図1B】B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSCから分化した内皮細胞(hiEC)のフローサイトメトリーによって測定されるようなHLAクラスI(HLA-I)、HLAクラスII(HLA-II)、及びCD47の発現レベルを示し、細胞がHLA-I及びHLA-IIの発現を欠き、CD47の発現は増加していることを実証している。
【
図2】
図2Aは、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSCにおけるCD46、CD55、及びCD59の表面発現レベルを示す。
図2Bは、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiECにおけるCD46、CD55、及びCD59の表面発現レベルを示す。
【
図3】
図3Aは、ABO不適合補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイにおける、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSCの死滅を示す。
図3Bは、ABO不適合補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイにおける、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiECの死滅を示す。
【
図4】
図4Aは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46+++hiPSCクローンの死滅を示す。
図4Bは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46+++hiECクローンの死滅を示す。
【
図5】
図5Aは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD55++hiPSCクローンの死滅を示す。
図5Bは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD55++hiECクローンの死滅を示す。
【
図6】
図6Aは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD59+++hiPSCクローンの死滅を示す。
図6Bは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD59++hiECクローンの死滅を示す。
【
図7】
図7Aは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46++/CD55++hiPSCクローンの死滅を示す。
図7Bは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46++/CD55++hiECクローンの死滅を示す。
【
図8】
図8Aは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD55++/CD59+++hiPSCクローンの死滅を示す。
図8Bは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD55++/CD59+++hiECクローンの死滅を示す。
【
図9】
図9Aは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46++/CD59+++hiPSCクローンの生存を示す。
図9Bは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46++/CD59++hiECクローンの生存を示す。
【
図10】
図10Aは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46++/CD55+/CD59++hiPSCクローンの生存を示す。
図10Bは、ABO不適合CDCアッセイにおける、代表的なB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg CD46++/CD55++/CD59++hiECクローンの生存を示す。
【
図11】ABO不適合血清の非存在下における、ヒトiPSCに由来する内皮細胞のCDCアッセイの結果を示す(生存対照)。
【発明を実施するための形態】
【0107】
詳細な説明
本明細書では、同種移植に対する免疫系反応の影響を軽減及び/または回避するための方法及び組成物が提供される。細胞由来及び/または組織移植の免疫拒絶問題を克服するために、本明細書では、任意の移植可能な細胞型の実行可能な供給元となる、操作免疫回避細胞(例えば、操作低免疫原性初代細胞)、またはその集団もしくは医薬組成物が開示される。本明細書に開示される操作細胞は、対象の遺伝子構造、あるいは1つ以上の以前の同種移植、以前の自己キメラ抗原受容体(CAR)T拒絶、及び/または導入遺伝子が発現される他の自己もしくは同種療法に対する対象内での任意の既存の応答にかかわらず、レシピエント対象の免疫系による認識の減少を可能にする。操作細胞としては、ベータ島細胞、B細胞、T細胞、NK細胞、網膜色素上皮細胞、グリア前駆細胞、内皮細胞、肝細胞、甲状腺細胞、皮膚細胞、及び血液細胞(例えば、形質細胞または血小板)を挙げてよいが、これらに限定されない。
【0108】
いくつかの態様では、本明細書では、細胞移植療法と関連する即時血液媒介性炎症反応(IBMIR)を減少させるか、または回避するための方法及び組成物が提供される。いくつかの場合には、IBMIRは、レシピエント血液に膵島移植片(例えば、CD142の発現及び/または活性を減少させるためのCD142改変を含まない膵島)を曝露した直後に生じる。例えば、臨床的膵島同種移植では、IBMIRは組織喪失の主な原因であり、門脈への注入後に島細胞を血液に曝露することで始まる。移植後1週間以内に膵島の最大60%が失われると推定されている。最悪の場合、IBMIRは、門脈血栓症、肝梗塞、及び門脈圧亢進症を引き起こす。IBMIRは通常、レシピエント血液に膵島移植片(例えば、CD142の発現及び/または活性を減少させるためのCD142改変を含まない膵島)を曝露した直後に生じる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書では、操作細胞(例えば、ベータ島細胞、肝細胞、及び他の細胞)が提供され、典型的には、それらが一般的な移植方法、例えば、細胞の静脈内注入または細胞の筋肉内注射などの間に血液と接触する場合にIBMIRを開始する細胞型である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、IBMIRの開始に寄与する血液凝固経路における膜受容体である、凝固第III因子、組織因子(TF)、トロンボプラスチン、血小板組織因子、または第III因子としても知られるCD142の発現を減少させるか、または排除することを含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD142の発現減少及び1つ以上の寛容原性因子の発現増加及び/または1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子発現の減少を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される改変(CD142の発現減少または排除を含む)を含む細胞は、移植後に生存、生着、及び機能する。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142に対する改変を含まない細胞と比較して、生存増強及び/または生着増強及び/または機能長期化を示す。いくつかの実施形態では、細胞は、静脈内注入、筋肉内注射、または腎被膜移植によって投与される。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作細胞は、1つ以上の補体インヒビターの発現増加及び/または過剰発現をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46、CD59、及びCD55から選択される。いくつかの実施形態では、操作細胞は、2つ以上を組み合わせた補体インヒビターの発現増加、例えば、CD46及びCD59の発現増加またはCD46、CD59、及びCD55の発現増加などを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、補体媒介性細胞傷害から保護される。いくつかの実施形態では、操作細胞(例えば、CD46及びCD59を過剰発現する)は、IBMIRに付随して生じる補体反応から保護される。いくつかの実施形態では、操作細胞は、IBMIRとは無関係に生じる補体反応から保護される。
【0111】
いくつかの態様では、本明細書では、細胞移植療法と関連する即時血液媒介性炎症反応(IBMIR)を減少させるか、または回避するための方法、組成物、及び組合せが提供される。いくつかの場合には、本明細書の方法は、本明細書に記載される操作細胞の組合せを、抗凝固剤と組み合わせて投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗凝固剤と組み合わせて投与される細胞は、CD142の発現減少を含まない。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、急激なIBMIRから保護するために細胞移植と同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、移植時に投与される(例えば、抗凝固剤は、本明細書に記載される操作細胞集団の投与と同時に静脈内投与されてよい)。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、移植療法の前または後にも投与される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、移植前または移植後、24~12時間、12時間~6時間、6時間~3時間、3時間~1時間、または1時間以内に投与され得る。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、治療と同時に投与される。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書では、操作細胞(例えば、ベータ島細胞、肝細胞、及び他の細胞)が提供され、典型的には、それらが一般的な移植方法、例えば、細胞の静脈内注入または細胞の筋肉内注射などの間に血液と接触する場合にIBMIRを開始する細胞型である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、IBMIRの開始に寄与する血液凝固経路における膜受容体である、凝固第III因子、組織因子(TF)、トロンボプラスチン、血小板組織因子、または第III因子としても知られるCD142の発現を減少させるか、または排除することを含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD142の発現減少及び1つ以上の寛容原性因子の発現増加及び/または1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現減少を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される改変(CD142の発現減少または排除を含む)を含む細胞は、移植後に生存、生着、及び機能する。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142に対する改変を含まない細胞と比較して、生存増強及び/または生着増強及び/または機能長期化を示す。いくつかの実施形態では、細胞は、静脈内注入、筋肉内注射、または腎被膜移植によって投与される。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作細胞は、1つ以上の補体インヒビターの発現増加及び/または過剰発現をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46、CD59、及びCD55から選択される。いくつかの実施形態では、操作細胞は、2つ以上を組み合わせた補体インヒビターの発現増加、例えば、CD46及びCD59の発現増加またはCD46、CD59、及びCD55の発現増加などを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、補体媒介性細胞傷害から保護される。いくつかの実施形態では、操作細胞(例えば、CD46及びCD59の過剰発現)は、IBMIRの結果として生じる補体依存性細胞傷害(CDC)から保護される。いくつかの実施形態では、操作細胞は、IBMIRとは無関係に生じるCDCから保護される。
【0114】
本明細書で提供される操作細胞は、寛容原性因子の発現を利用し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現(例えば、表面発現)を調節(例えば、減少または排除)もし得る。いくつかの実施形態では、レアカットエンドヌクレアーゼ(例えば、CRISPR/Cas、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、及びホーミングエンドヌクレアーゼシステム)を利用したゲノム編集技術も、ヒト細胞内で重要な免疫遺伝子の発現を(例えば、重要な免疫遺伝子のゲノムDNAを欠失させることによって)減少させるか、または排除するために使用される。ある特定の実施形態では、ゲノム編集技術または他の遺伝子調節技術が、ヒト細胞内で寛容誘導(寛容)因子(例えば、CD47)を挿入するために使用され、したがって、レシピエント対象への生着時に免疫認識を回避し得る操作細胞を作製する。したがって、本明細書で提供される操作細胞は、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子に影響を及ぼす1つ以上の遺伝子及び因子の発現調節(例えば、発現減少または排除)、CD47などの寛容原性因子の発現調節(例えば、減少または及び発現調節(例えば、過剰発現)を示し、レシピエント対象の免疫系による認識減少を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、CD142の発現調節(例えば、発現減少)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、CD46、CD59、及びCD55から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現調節(例えば、発現増加)を示す。
【0115】
いくつかの態様では、本明細書で提供される操作細胞は、自然免疫細胞拒絶及び/または適応免疫細胞拒絶の減少を示す(例えば、低免疫原性細胞)。例えば、いくつかの実施形態では、操作細胞は、NK細胞媒介性溶解及び/またはマクロファージ貪食に対する感受性の減少を示す。いくつかの実施形態では、操作細胞は、免疫抑制剤をほとんどまたは全く必要とすることなくレシピエント対象に移植される、広く一般に適合性のある細胞または組織(例えば、全般的なドナー細胞または組織)の供給源として有用である。そのような低免疫原性細胞は、移植時に細胞特異的特性及び特徴を保持する。
【0116】
また本明細書では、障害を治療する方法が提供され、本方法は、MHC不適合の同種レシピエントの免疫拒絶を回避する操作細胞(例えば、操作初代細胞)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法のうちいずれか1つから作製される操作細胞は、MHC不適合の同種レシピエントに反復投与(例えば、移植(transplanted)または移植(grafted))される場合に免疫拒絶を回避する。
【0117】
特定の実施形態の実施には、反対の具体的な指示がない限り、当業者の技能範囲内である化学、生化学、有機化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、遺伝学、免疫学、及び細胞生物学の従来の方法を用いることになり、その多くが例証の目的で以下に記載される。そのような技術は文献内で十分に説明される。例えば、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Edition,2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,updated July 2008)、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience、Glover,DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I&II(IRL Press,Oxford,1985)、Anand,Techniques for the Analysis of Complex Genomes,(Academic Press,New York,1992)、Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins,Eds.,1984)、Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)、Harlow and Lane,Antibodies,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1998)Current Protocols in Immunology Q.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach and W.Strober,eds.,1991)、Annual Review of Immunologyに加えて、Advances in Immunologyなどの学術雑誌の研究論文を参照のこと。
【0118】
本出願で言及される特許文献、科学論文及びデータベースを含む全ての刊行物は、個々の刊行物が参照によって個々に組み込まれる場合と同程度に、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照によって組み込まれる。本明細書に記載される定義が、参照によって本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願及び他の刊行物に記載される定義に反するか、またはさもなければそれと矛盾する場合、本明細書に記載される定義が、参照によって本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0119】
本明細書で使用される節の見出しは、構成目的のためだけにすぎず、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、いくつかの実施形態が、本開示の範囲及び趣旨内で可能であることを認識することになる。以下の説明は本開示を例示し、当然のことながら、本明細書に記載される本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0120】
I.定義
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術に関する全ての用語、表記ならびに他の専門用語及び科学用語または用語法は、特許請求される主題が関連する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有することを意図する。いくつかの場合には、一般に理解される意味を有する用語は、明確にするために、及び/または迅速な参照のために本明細書で定義され、本明細書におけるそのような定義の包含が、必ずしも当該技術分野において一般に理解されるものとの実質的な差を表すと解釈されるべきではない。
【0121】
本明細書で使用される場合の「約」という用語は、量または濃度などの測定可能な値に言及する場合、指定量の20%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらに0.1%の変動を包含することを意味する。添付の特許請求の範囲を含む、本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「または」、及び「その(the)」は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。本明細書に記載される態様及び変化形態は、そのような態様及び変化形態「からなる」及び/または「から本質的になる」実施形態を含むと理解される。
【0122】
本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語は、関連する列挙項目のうち1つ以上のあらゆる全ての組合せを含む。
【0123】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに関連する「外因性」という用語は、言及される分子が目的の細胞に導入されることを意味することを意図する。外因性分子、例えば、外因性ポリヌクレオチドなどは、例えば、細胞の遺伝物質に外因性コード核酸を導入することによって、例えば、染色体内への組込み、またはプラスミドもしくは発現ベクターなどの非染色体遺伝物質としての組込みなどによって導入され得る。したがって、本用語は、それがコード核酸の発現に関して使用される場合、発現可能な形態のコード核酸を細胞に導入することを指す。いくつかの場合には、「外因性」分子は、細胞内に通常は存在しないが、1つ以上の遺伝学的方法、生化学的方法または他の方法によって細胞内に導入され得る分子、構築物、因子などである。
【0124】
「内因性」という用語は、天然または非改変細胞内に存在する、言及される分子、例えば、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子)、またはポリペプチドなどを指す。例えば、本用語は、内因性遺伝子の発現に関連して使用される場合、細胞内に含有されるが、外因的に導入されたものではない内因性核酸によってコードされる遺伝子の発現を指す。「遺伝子」は、遺伝子産物をコードするDNA領域に加えて、遺伝子産物の産生を制御する全てのDNA領域を、そのような調節配列がコード配列及び/または転写配列に隣接するか否かにかかわらず含む。したがって、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、翻訳制御配列、例えば、リボソーム結合部位及び内部リボソーム進入部位など、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界要素、複製起点、マトリックス結合部位ならびに座位制御領域を含むが、必ずしもこれらに限定されない。遺伝子の配列は、典型的には細胞内の染色体上の固定された染色体位置または座位に存在する。
【0125】
「座位」という用語は、特定の遺伝子または遺伝子マーカーが位置している染色体上の固定位置を指す。「標的座位」への言及は、遺伝子改変、例えば、外因性ポリヌクレオチドの遺伝子編集または組込みなどを標的とするのが望ましい、所望の遺伝子の特定の座位を指す。
【0126】
遺伝子または「遺伝子発現」に関連する「発現」という用語は、遺伝子内に含有される情報を遺伝子産物に変換することを指す。遺伝子産物は、遺伝子の直接転写産物(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造的RNAもしくは任意の他のRNA型)であり得るか、またはmRNAの翻訳によって産生されるタンパク質であり得る。遺伝子産物はまた、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、及び編集などのプロセスによって修飾されるRNA、ならびに例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADPリボシル化、ミリストイル化、及びグリコシル化によって修飾されるタンパク質も含む。したがって、発現または遺伝子発現への言及は、タンパク質(もしくはポリペプチド)発現またはmRNAなどの遺伝子の転写可能な産物の発現を含む。タンパク質発現は、タンパク質の細胞内発現または表面発現を含んでよい。典型的には、遺伝子産物、例えば、mRNAまたはタンパク質などの発現は、細胞内で検出可能なレベルである。
【0127】
本明細書で使用される場合、「検出可能な」発現レベルは、当業者に既知の標準的な技術によって検出可能であるレベルを意味し、例えば、ディファレンシャルディスプレイ、RT(逆転写酵素)結合ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ノーザンブロット、及び/またはRNase保護分析に加えて、フローサイトメトリー、ELISA、またはウェスタンブロットなどのタンパク質検出のための免疫親和性ベースの方法を含む。発現レベルの程度は、標準的な特性評価技術によって可視化または測定されるのに十分な大きさでさえあればよい。
【0128】
本明細書で使用される場合、「発現増加」、「発現増強」または「過剰発現」という用語は、特定の遺伝子発現を調節するための改変を含有しない、元の細胞または供給源細胞内での発現、例えば、野生型発現レベル(発現の欠如または測定不可能な発現でもあり得る)に追加される任意の発現形態を意味する。「発現増加」、「発現増強」または「過剰発現」への本明細書での言及は、改変を含有しない細胞、例えば、改変を導入するための操作前の元の供給源細胞、例えば、非改変細胞または野生型細胞などの細胞内レベルと比較した、遺伝子発現の増加及び/またはポリペプチドに言及する限り、ポリペプチドレベルの増加及び/またはポリペプチド活性の増加を意味すると解釈される。発現、ポリペプチドレベルまたはポリペプチド活性の増加は、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%もしくは50%、60%、70%、80%、85%、90%、または100%、あるいはさらにそれを超える増加であり得る。いくつかの場合には、発現、ポリペプチドレベルまたはポリペプチド活性の増加は、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍またはそれを超える増加であり得る。
【0129】
「低免疫原性」という用語は、そのような細胞が移植される対象による免疫拒絶を受けにくい細胞を指す。例えば、改変を含有しない同様の細胞、例えば、未変更または非改変の野生型細胞などと比較して、そのような低免疫原性細胞は、そのような細胞が移植される対象による免疫拒絶を、約2.5%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、99%またはそれを超えて受けにくい場合がある。典型的には、低免疫原性細胞は対象に対して同種であり、低免疫原性細胞は、MHC不適合同種レシピエントにおける免疫拒絶を回避する。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、T細胞媒介性適応免疫拒絶及び/または自然免疫細胞拒絶から保護される。
【0130】
細胞の低免疫原性は、細胞が適応免疫応答及び自然免疫応答を誘発する能力などの細胞の免疫原性を評価することによって決定され得る。そのような免疫応答は、当業者によって認識されているアッセイを使用して測定され得る。
【0131】
「寛容原性因子」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞が投与、移植、または生着時に宿主またはレシピエント対象の免疫系によって認識される能力を調節するか、またはそれに影響を及ぼす、免疫抑制因子または免疫調節因子を含む。典型的には、寛容原性因子は、操作初代細胞がレシピエントの宿主免疫系によって標的とされない、例えば、拒絶されないなどのように、操作初代細胞に対して免疫寛容を誘導する因子である。したがって、寛容原性因子は免疫低下因子であってよい。寛容原性因子の例としては、免疫細胞阻害性受容体(例えば、CD47)、免疫細胞阻害性受容体と結合するタンパク質、チェックポイント阻害剤及び自然免疫または適応免疫の認識を減少させる他の分子が挙げられる。
【0132】
「低減する」、「減少した」、「減少」、及び「低減」という用語は全て、本明細書では一般に、統計的に有意な量による低減を意味するために使用される。しかしながら、誤解を避けるために、「低減する」、「減少した」、「減少」、「低減」は、参照レベルと比較した場合に少なくとも10%の低減、例えば、参照レベルと比較した場合に少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の低減または最大100%かつそれを含む低減(すなわち、参照試料と比較した場合に欠如のレベル)、あるいは10~100%の間の任意の低減を意味する。
【0133】
「増加した」、「増加する」もしくは「増強する」または「活性化する」という用語は全て、本明細書では一般に、統計学的に有意な量による増加を意味するために使用され、誤解を避けるために、「増加した」、「増加する」もしくは「増強する」または「活性化する」という用語は、参照レベルと比較した場合に少なくとも10%の増加、例えば、参照レベルと比較した場合に少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の増加もしくは最大100%かつそれを含む増加または10~100%の間の任意の増加、あるいは参照レベルと比較した場合に少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍もしくは少なくとも約10倍の増加、または2倍~10倍以上の任意の増加を意味する。
【0134】
本明細書で使用される場合、「改変」という用語は、細胞内での遺伝子発現に影響を与える、細胞内の任意の変化または変更を指す。いくつかの実施形態では、改変は、細胞内でタンパク質産物をコードする遺伝子またはその調節エレメントを直接変化させる遺伝子改変であり、例えば、遺伝子編集、変異誘発によって、または外因性ポリヌクレオチドもしくは導入遺伝子の遺伝子操作などによって行われる。
【0135】
本明細書で使用される場合、「インデル」は、ゲノム内におけるヌクレオチド塩基の挿入、欠失、またはそれらの組合せから生じる変異を指す。したがって、インデルは、典型的には配列からヌクレオチドを挿入または欠失させる。当業者には理解されることになるように、ゲノム配列のコード領域内におけるインデルは、インデルの長さが3の倍数でない限り、フレームシフト変異をもたらすことになる。本開示のCRISPR/Casシステムは、標的ポリヌクレオチド配列において任意の長さのインデルを誘導するために使用され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、変更は点変異である。本明細書で使用される場合、「点変異」は、ヌクレオチドの1つを置き換える置換を指す。本開示のCRISPR/Casシステムは、標的ポリヌクレオチド配列において任意の長さのインデルまたは点変異を誘導するために使用され得る。
【0137】
本明細書で使用される場合、「ノックアウト」は、標的ポリヌクレオチド配列の機能を妨げる方法で、標的ポリヌクレオチド配列の全てまたは一部を欠失させることを含む。例えば、ノックアウトは、標的ポリヌクレオチド配列の機能ドメイン(例えば、DNA結合ドメイン)において標的ポリヌクレオチド配列内にインデルを誘導することにより、標的ポリヌクレオチド配列を変更することによって達成され得る。当業者は、本明細書に記載される詳細に基づいて、本開示のCRISPR/Casシステムをどのように使用して、標的ポリヌクレオチド配列またはその一部をノックアウトするかについて容易に理解することになる。
【0138】
いくつかの実施形態では、変更は、標的ポリヌクレオチド配列またはその一部のノックアウトをもたらす。本開示のCRISPR/Casシステムを使用した標的ポリヌクレオチド配列またはその一部のノックアウトは、多様な用途に有用であり得る。例えば、細胞内の標的ポリヌクレオチド配列のノックアウトは、研究目的のためにインビトロで実施され得る。エクスビボ目的では、細胞内の標的ポリヌクレオチド配列のノックアウトは、標的ポリヌクレオチド配列の発現と関連する障害を(例えば、細胞内の変異体アレルをエクスビボでノックアウトし、ノックアウトした変異体アレルを含むそれらの細胞を対象に導入することによって)治療または予防するのに有用であり得る。
【0139】
本明細書における「ノックイン」とは、遺伝子機能を宿主細胞に付加するプロセスを意味する。これにより、ノックインした遺伝子産物、例えば、RNAまたはコードされたタンパク質のレベル増加が引き起こされる。当業者には理解されることになるように、これは、遺伝子の1つ以上の追加コピーを宿主細胞に付加すること、または内因性遺伝子の調節構成要素を変更し、作製されるタンパク質の発現を増加させることを含む、いくつかの方法で達成され得る。これは、プロモーターを改変すること、異なるプロモーターを付加すること、エンハンサーを付加すること、または他の遺伝子発現配列を改変することによって達成されてよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される変更または改変は、標的または選択したポリヌクレオチド配列の発現減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される変更または改変は、標的または選択したポリペプチド配列の発現減少をもたらす。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される変更または改変は、標的または選択したポリヌクレオチド配列の発現増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される変更または改変は、標的または選択したポリペプチド配列の発現増加をもたらす。
【0142】
遺伝子発現の「調節」は、遺伝子の発現レベルの変化を指す。発現の調節としては、遺伝子活性化及び遺伝子抑制が挙げられ得るが、これらに限定されない。調節はまた、完全なものであってよい(すなわち、遺伝子発現が完全に不活性化されるか、もしくは野生型レベル以上まで活性化される)か、またはそれは部分的であってもよい(遺伝子発現が部分的に減少するか、もしくは野生型レベルのある割合まで部分的に活性化される)。
【0143】
「機能的に連結される(operatively linked)」または「機能的に連結される(operably linked)」という用語は、2つ以上の構成要素(配列要素など)の並置に関して交換可能に使用され、その構成要素は、両方の構成要素が正常に機能し、構成要素のうち少なくとも1つが、他の構成要素のうち少なくとも1つに発揮される機能を媒介し得る可能性を許容するように配置される。実例として、プロモーターなどの転写調節配列は、その転写調節配列が1つ以上の転写調節因子の有無に応答してコード配列の転写レベルを制御する場合、コード配列に機能的に連結されている。転写調節配列は通常、コード配列とシスで機能的に連結されるが、それに直接隣接する必要はない。例えば、エンハンサーは、コード配列に、それらが連続していなくとも、機能的に連結される転写調節配列である。
【0144】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合によって結合された一連のアミノ酸残基(すなわち、アミノ酸残基のポリマー)を指すために交換可能に使用されてよく、最小長に限定されない。そのようなポリマーは、天然もしくは非天然アミノ酸残基、またはそれらの組合せを含有してよく、アミノ酸残基のペプチド、ポリペプチド、オリゴペプチド、二量体、三量体、及び多量体を含むが、これらに限定されない。したがって、タンパク質またはポリペプチドとしては、修飾アミノ酸(例えば、リン酸化、糖化、グリコシル化など)及びアミノ酸類似体を含むものが挙げられる。全長ポリペプチドまたはタンパク質、及びその断片は、本定義に包含される。本用語としてはまた、その修飾種、例えば、1つ以上の残基の翻訳後修飾、例えば、メチル化、リン酸化、グリコシル化、シアリル化、またはアセチル化が挙げられる。
【0145】
本開示全体を通して、特許請求される主題の様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式における記載は、便宜上及び簡潔にするためにすぎず、特許請求される主題の範囲に対して柔軟性に欠ける限定として解釈されるべきではないと理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲に加えて、その範囲内の個々の数値が具体的に開示されているとみなされるべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、その内容に別段の明確な指示がない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値から下限値の各介在値、及びその規定範囲内における任意の他の規定値または介在値が本開示内に包含され、規定範囲内の任意の具体的な除外限度に従うと理解される。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除外する範囲もまた、本開示内に含まれる。いくつかの実施形態では、2つの相対する制限のない範囲が1つの特徴に対して提供され、そのような記載では、それら2つの範囲の組合せが本明細書で提供されると想定される。例えば、いくつかの実施形態では、特徴は約10単位超であると記載され、かつその特徴が約20単位未満であると(別の文章内などで)記載されるため、約10単位~約20単位の範囲が本明細書に記載される。
【0146】
本明細書で使用される場合、交換可能に使用される用語である「対象」または「個体」は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、「哺乳動物」としては、ヒト、非ヒト霊長類、飼育動物及び家畜動物、ならびに動物園、スポーツ、またはペットの動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコ、サルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、対象または個体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害または状態を有することが知られているか、または有すると疑われている患者である。
【0147】
本明細書で使用される場合、「治療すること」及び「治療」という用語は、対象が疾患の少なくとも1つの症状の減少または疾患の改善、例えば、有益なまたは所望の臨床結果を有するように、有効量の本明細書に記載される細胞を対象に投与することを含む。本技術の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果としては、検出可能または検出不能かにかかわらず、1つ以上の症状の軽減、疾患程度の減弱、安定化した(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患進行の遅延または鈍化、疾患状態の改善または一時的緩和、及び寛解(部分的または完全かにかかわらず)が挙げられるが、これらに限定されない。治療することは、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較した場合に生存期間の延長を指し得る。したがって、当業者は、治療が疾患状態を改善する場合があるが、疾患に対する完全な治癒ではない場合があることを認識する。いくつかの実施形態では、疾患または障害の1つ以上の症状は、疾患の治療時に少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減する。
【0148】
本技術の目的のために、疾患治療の有益なまたは所望の臨床結果としては、検出可能または検出不能かにかかわらず、1つ以上の症状の軽減、疾患程度の減弱、安定化した(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患進行の遅延または鈍化、疾患状態の改善または一時的緩和、及び寛解(部分的または完全かにかかわらず)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
「ベクター」または「構築物」は、遺伝子配列を標的細胞に導入できる。典型的には、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、及び「遺伝子導入ベクター」は、目的の遺伝子の発現を誘導でき、遺伝子配列を標的細胞に導入し得る、任意の核酸構築物を意味する。したがって、本用語は、クローニング、及び発現ビヒクルに加えて、組込みベクターを含む。細胞へのベクターまたは構築物の導入方法は当業者に既知であり、これらとしては、脂質媒介導入(すなわち、中性及びカチオン性脂質を含むリポソーム)、エレクトロポレーション、直接注入、細胞融合、粒子衝撃、リン酸カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介導入ならびにウイルスベクター媒介導入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
II.操作細胞及び細胞の操作方法
本明細書では、CD142の発現を制御する改変を含む、操作細胞が提供される。いくつかの実施形態では、改変は、CD142の発現を減少させるか、または排除する。いくつかの実施形態では、CD142の発現を減少させる改変は、CD142タンパク質発現を減少させる。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子活性を排除する。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、不活性化または破壊は、CD142遺伝子内のインデルを含む。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である。いくつかの実施形態では、CD142遺伝子はノックアウトされる。
【0151】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞はまた、CD46、CD59、CD55、及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる1つ以上の改変を含有する。いくつかの実施形態では、発現を増加させる改変(複数可)は、表面発現の増加を含み、及び/または発現を減少させる改変は、表面発現の減少を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる改変(複数可)は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46及びCD59であり、任意に改変は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。1つ以上の補体インヒビターは、CD46、CD59及びCD55であり、任意に改変は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様では、操作細胞は、1つ以上の寛容原性因子をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される2つ以上の外因性ポリペプチドを含むマルチシストロン性ベクターを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの各々は、IRESまたは自己切断ペプチドによって隔てられている。
【0152】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞はまた、1つ以上のMHCクラスI分子、1つ以上のMHCクラスII分子、または1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子の発現を制御する、1つ以上の標的ポリヌクレオチド配列の改変を含有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させるための改変も含む。いくつかの実施形態では、寛容原性因子は、DUX4、B2M-HLA-E、CD16、CD52、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、SERPINB9、CD35、IL-39、CD16 Fc受容体、IL15-RF、及びH2-M3、またはそれらの任意の組合せのうち1つ以上である。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させるための改変は、CD47の発現増加であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させるための改変は、PD-L1の発現増加であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させるための改変は、HLA-Eの発現増加であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させるための改変は、HLA-Gの発現増加であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させるための改変は、CCL21、PD-L1、FasL、Serpinb9、H2-M3(HLA-G)、CD47、CD200、及びMfge8の発現増加であるか、またはそれを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる1つ以上のゲノム改変及びCD47の発現を増加させる改変を含む。言い換えれば、操作細胞は、外因性CD47タンパク質を含み、1つ以上のMHCクラスI分子の表面発現の減少またはサイレンシングを示す。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる1つ以上のゲノム改変及びCD47の発現を増加させる改変を含む。いくつかの場合では、操作細胞は、外因性CD47核酸及びタンパク質を含み、1つ以上のMHCクラスI分子の表面発現の減少またはサイレンシングを示す。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させるか、または排除する1つ以上のゲノム改変、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させるか、または排除する1つ以上のゲノム改変、及びCD47の発現を増加させる改変を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、外因性CD47タンパク質を含み、1つ以上のMHCクラスI分子の表面発現の減少またはサイレンシングを示し、1つ以上のMHCクラスII分子の表面発現の減少または欠如を示す。多くの実施形態では、細胞は、B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg細胞である。
【0155】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術のいずれかが、記載されるような1つ以上の標的ポリヌクレオチドまたは標的タンパク質の発現を減少させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、ヌクレアーゼ、インテグラーゼ、トランスポザーゼ、リコンビナーゼを含む系を含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、遺伝子のノックアウトまたはノックダウンに使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、ゲノム領域へのDNAのノックインまたは組込みに使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、一本鎖切断(SSB)を媒介する。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、非相同末端結合(NHEJ)または相同組換え修復(HDR)に関連するものを含む、二本鎖切断(DSB)を媒介する。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、DNAベースの編集またはプライム編集を含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、部位特異的ターゲティング要素を介したプログラム可能な付加(PASTE)を含み得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術のいずれかが、記載されるような1つ以上の標的ポリヌクレオチドまたは標的タンパク質の発現を増加させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、ヌクレアーゼ、インテグラーゼ、トランスポザーゼ、リコンビナーゼを含む系を含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、内因性遺伝子活性を(例えば、遺伝子に機能的に連結されるプロモーターまたはエンハンサーを改変または活性化することによって)増加させるための改変に使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、ゲノム領域へのDNAのノックインまたは組込みに使用され得る(例えば、標的ポリヌクレオチドまたは標的タンパク質をコードする構築物、例えば、操作細胞内での発現増加のために、寛容原性因子、CD55、CD46、CD59のいずれか、または本明細書に記載される他の分子のいずれかをコードする構築物などを導入するために)。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、一本鎖切断(SSB)を媒介する。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、非相同末端結合(NHEJ)または相同組換え修復(HDR)に関連するものを含む、二本鎖切断(DSB)を媒介する。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、DNAベースの編集またはプライム編集を含み得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、部位特異的ターゲティング要素を介したプログラム可能な付加(PASTE)を含み得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、塩基編集と関連する。塩基エディター(BE)は、典型的にはCas(「CRISPR関連」)ドメイン及び核酸塩基修飾ドメイン(例えば、天然または発生したデアミナーゼ、例えば、APOBEC1(「アポリポタンパク質B mRNA編集酵素、触媒ポリペプチド1」)を含むシチジンデアミナーゼ、CDA(「シチジンデアミナーゼ」)、及びAID(「活性化誘導シチジンデアミナーゼ」)など)のドメインの融合体である。いくつかの場合には、塩基エディターはまた、得られた単一ヌクレオチド変化の効率及び/または安定性を増加させるために、細胞DNA修復プロセスを変更するタンパク質またはドメインを含む場合がある。
【0158】
いくつかの態様では、現在利用可能な塩基エディターとしては、標的C・GをT・Aに変換するシチジン塩基エディター(例えば、BE4)及び標的A・TをG・Cに変換するアデニン塩基エディター(例えば、ABE7.10)が挙げられる。いくつかの態様では、Cas9標的脱アミノ化が、二本鎖DNA切断を導入することなく塩基変化を誘導するように設計された塩基エディター(BE)システムに関連して最初に実証された。さらに、不活性化Cas9(dCas9)に融合したラットデアミナーゼAPOBEC1(rAPOBEC1)を使用して、sgRNAのPAMの上流にあるシチジンからチミジンへの変換に成功した。いくつかの態様では、この最初のBEシステムは、dCas9を、脱アミノ化シチジンと反対の鎖にニックを入れる、「ニッカーゼ」Cas9 D10Aに変化させることによって最適化された。理論に束縛されるものではないが、これは、ロングパッチ塩基除去修復(BER)を開始すると予想され、脱アミノ化鎖を優先的に使用し、修復を鋳型にしてU:A塩基対を生成し、次いでこれをDNA複製中にT:Aに変換する。
【0159】
いくつかの実施形態では、塩基エディターは、触媒的に不活性な第1DNA結合タンパク質ドメイン、塩基編集活性を有するドメイン、及びニッカーゼ活性を有する第2DNA結合タンパク質ドメインを含有する核酸塩基エディターであり、DNA結合タンパク質ドメインは、単一の融合タンパク質上に発現されるか、または別個に(例えば、別個の発現ベクター上に)発現される。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、塩基編集活性を有するドメイン(例えば、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼ)、ならびに2つの核酸プログラマブルDNA結合タンパク質ドメイン(napDNAbp)、すなわち、ニッカーゼ活性を含む第1napDNAbp及び触媒的に不活性な第2napDNAbp(少なくとも2つのnapDNAbpがリンカーによって結合している)を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、ニッカーゼ活性を有するCRISPR-Cas(例えば、Cas9)のDNAドメイン(nCas、nCas9)、核酸プログラマブルDNA結合活性を有するCRISPR-Casタンパク質(例えば、Cas9)の触媒的に不活性なドメイン(dCas、例えば、dCas9)、及びデアミナーゼドメインを含む融合タンパク質であり、dCasはリンカーによってnCasに結合し、dCasは、デアミナーゼドメインにすぐ隣接している。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、アデニン対チミン(adenine-to-thymine)もしくは「ATBE」(またはチミン対アデニン(thymine-to-adenine)もしくは「TABE」)転換塩基エディターである。例示的な塩基エディター及び塩基エディターシステムとしては、特許公報第US20220127622号、同第US20210079366号、同第US20200248169号、同第US20210093667号、同第US20210071163号、同第WO2020181202号、同第WO2021158921号、同第WO2019126709号、同第WO2020181178号、同第WO2020181195号、同第WO2020214842号、同第WO2020181193号に記載されるようないずれかが挙げられ、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0160】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、標的プライム逆転写(TPRT)または「プライム編集」である。いくつかの実施形態では、プライム編集は、DSBまたはドナーDNA鋳型を要することなく、ヒト細胞内で標的挿入、欠失、12の可能な全ての塩基間変換、及びそれらの組合せを媒介する。
【0161】
プライム編集は、ポリメラーゼと関連して(すなわち、融合タンパク質の形態で、またはさもなければ核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(「napDNAbp」)とトランスで提供されて)機能するnapDNAbpを使用して、指定したDNA部位に新たな遺伝情報を直接書き込むゲノム編集方法であり、プライム編集システムは、プライム編集(PE)ガイドRNA(「PEgRNA」)でプログラムされ、これは標的部位を特定し、ガイドRNA上で(例えば、ガイドRNAの5’もしくは3’末端で、または内部で)操作された伸長(DNAまたはRNAのいずれか)により、置換DNA鎖の形態で所望の編集の合成を鋳型とする両方を行う。所望の編集(例えば、単一の核酸塩基置換)を含有する置換鎖は、編集される標的部位の内因性鎖と同じ配列を共有する(ただし、それが所望の編集を含むという点を除く)。DNA修復及び/または複製機構を介して、標的部位の内因性鎖は、所望の編集を含有する新たに合成された置換鎖で置き換えられる。いくつかの場合には、プライム編集は、「検索置換(search-and-replace)」ゲノム編集技術であると考えられてよく、その理由としては、プライムエディターは、編集される所望の標的部位を検索して位置を特定し、対応する標的部位の内因性DNA鎖の代わりに同時に配置される、所望の編集を含有する置換鎖をコードするからである。例えば、プライム編集は、二本鎖切断を回避するために、正確なCRISPR/Casベースのゲノム編集を実施するように適合され得る。いくつかの実施形態では、相同タンパク質は、Casタンパク質-逆転写酵素の融合体または関連するシステムであるか、またはそれらをコードし、ガイドRNAにより特定のDNA配列を標的として、標的部位に一本鎖ニックを生成し、ニックを入れたDNAを、ガイドRNAと共に組み込まれる操作逆転写酵素鋳型の逆転写用プライマーとして使用する。いくつかの実施形態では、プライムエディタータンパク質は、ゲノムDNAの対向鎖上の相補的DNAフラップの合成を鋳型にする2つのプライム編集ガイドRNA(pegRNA)と対になり、その結果、PE誘導ニック部位間の内因性DNA配列が、pegRNAコード配列に置き換えられる。
【0162】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、逆転写酵素、または当該技術分野において既知の任意のDNAポリメラーゼであるプライムエディターと関連している。したがって、一態様では、プライムエディターは、DNA配列を、標的DNA内の相補的プロトスペーサーにアニーリングするスペーサー配列を含有する特殊なガイドRNA(すなわち、PEgRNA)と会合させることによってDNA配列を標的とするようにプログラムされているCas9(または同等のnapDNAbp)を含む場合がある。そのような方法としては、Anzalone et al.,(doi.org/10.1038/s41586-019-1711-4)に、またはPCT公開第WO2020191248号、同第WO2021226558号、もしくは同第WO2022067130号に開示されるいずれかが挙げられ、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0163】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集技術は、部位特異的ターゲティング要素を介したプログラム可能な付加(PASTE)である。いくつかの態様では、PASTEは、ゲノム挿入が、逆転写酵素及びセリンインテグラーゼの両方に融合したCRISPR-Cas9ニッカーゼを介して誘導されるプラットフォームである。Ioannidi et al.(doi.org/10.1101/2021.11.01.466786)に記載されるように、PASTEは、二本鎖切断を生成しないが、約36kb程度の大きさの配列組込みが可能である。いくつかの実施形態では、セリンインテグラーゼは、当該技術分野において既知のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、セリンインテグラーゼは、PASTEを多重遺伝子組込みに使用し、少なくとも2つのゲノム座位において少なくとも2つの異なる遺伝子を同時に組み込み得るように、十分な直交性を有する。いくつかの実施形態では、PASTEは、非分裂細胞における活性及び検出可能なオフターゲットイベントが少ない点で、相同組換え修復または非相同末端結合ベースの組込みの編集効率と同等か、またはそれよりも良好な編集効率を有する。
【0164】
いくつかの実施形態では、記載される操作細胞の集団は、レシピエント対象への投与時に減少したレベルの免疫活性化を誘発するか、または免疫活性化を誘発しない。いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエント対象内で減少したレベルの全身性TH1活性化を誘発するか、または全身性TH1活性化を誘発しない。いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエント対象内で減少したレベルの末梢血単核細胞(PBMC)の免疫活性化を誘発するか、またはPBMCの免疫活性化を誘発しない。いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエント対象への投与時に細胞に対して減少したレベルのドナー特異的IgG抗体を誘発するか、またはドナー特異的IgG抗体を誘発しない。いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエント対象内で細胞に対して減少したレベルのIgM及びIgG抗体産生を誘発するか、またはIgM及びIgG抗体産生を誘発しない。いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエント対象への投与時に細胞の減少したレベルの細胞傷害性T細胞死滅を誘発する。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、「自殺遺伝子」または「自殺スイッチ」を含む。自殺遺伝子または自殺スイッチは、操作細胞(例えば、操作初代細胞または操作多能性幹細胞から分化した細胞)の死を、例えば、操作細胞が対象に投与された後、それらの細胞が望ましくない様式で増殖及び分裂するような場合などに引き起こし得る、「安全スイッチ」として機能するように組み込まれ得る。「自殺遺伝子」による除去手法は、特定の化合物によって活性化される場合に限り、細胞死滅をもたらすタンパク質をコードする、遺伝子導入ベクター内の自殺遺伝子を含む。自殺遺伝子は、非毒性化合物を毒性の高い代謝産物へと選択的に変換する酵素をコードする場合がある。その結果、酵素を発現する細胞を特異的に排除する。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子は、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子であり、トリガーは、ガンシクロビルである。他の実施形態では、自殺遺伝子は、Escherichia coliシトシンデアミナーゼ(EC-CD)遺伝子であり、トリガーは、5-フルオロシトシン(5-FC)である(Barese et al,Mol.Therap.20(10):1932-1943(2012)、Xu et al,Cell Res.8:73-8(1998)(いずれもその全体が参照によって本明細書に組み込まれる))。
【0166】
他の実施形態では、自殺遺伝子は、誘導性カスパーゼタンパク質である。誘導性カスパーゼタンパク質は、アポトーシスを誘導できるカスパーゼタンパク質の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、誘導性カスパーゼタンパク質は、iCasp9である。それは、F36V変異を有するヒトFK506結合タンパク質(FKBP12)の配列を含み、一連のアミノ酸を介してヒトカスパーゼ9をコードする遺伝子に連結される。FKBP12-F36Vは、低分子二量体化剤のAPI903に高い親和性で結合する。したがって、本発明ではiCasp9の自殺機能は、二量体誘導化合物(CID)の投与によって誘発される。いくつかの実施形態では、CIDは、低分子薬API903である。二量体化は、アポトーシスの迅速な誘導を引き起こす。(WO2011146862、Stasi et al,N.Engl.J.Med 365;18(2011)、Tey et al,Biol.Blood Marrow Transplant.13:913-924(2007)を参照し、その各々全体が参照によって本明細書に組み込まれる。)
【0167】
安全スイッチまたは自殺遺伝子の包含は、レシピエントに細胞傷害または他の負の結果をもたらす場合に細胞死滅の制御を可能にし、それゆえ、寛容原性因子を使用する療法を含む、細胞ベースの療法の安全性が高まる。
【0168】
いくつかの実施形態では、安全スイッチは、例えば、細胞が望ましくない様式で増殖及び分裂するか、または宿主に対して過度の毒性を引き起こす場合に、安全スイッチを含有する操作細胞の死またはアポトーシスを誘導する能力を提供するために、本明細書で提供される操作細胞中に組み込まれ得る(例えば、導入など)。したがって、安全スイッチの使用は、インビボで異常細胞の条件付き排除を可能にし、診療所における細胞療法の適用のための重要なステップであり得る。安全スイッチ及びその使用は、例えば、Duzgune§,Origins of Suicide Gene Therapy(2019)、Duzgune§(eds),Suicide Gene Therapy.Methods in Molecular Biology,vol.1895(Humana Press,New York,NY)(HSV-tk、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、及び西洋ワサビペルオキシダーゼについて)、Zhou and Brenner,Exp Hematol 44(11):1013-1019(2016)(iCaspase9について)、Wang et al.,Blood 18(5):1255-1263(2001)(huEGFRについて)、米国特許出願公開第20180002397号(HER1について)、ならびにPhilip et al.,Blood124(8):1277-1287(2014)(RQR8について)に記載されている。
【0169】
いくつかの実施形態では、安全スイッチは、制御された様式で、例えば、薬物もしくはプロドラッグの存在下で、または選択的外因性化合物による活性化時に、細胞死を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-tk)、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ニトロレダクターゼ(NTR)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ、誘導性カスパーゼ9(iCasp9)、ラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)、CCR4、CD16、CD19、CD20、CD30、EGFR、GD2、HER1、HER2、MUC1、PSMA、及びRQR8からなる群から選択される。
【0170】
いくつかの実施形態では、安全スイッチは、薬物またはプロドラッグによって活性化される場合、例えば、非毒性プロドラッグを細胞内で毒性代謝産物に変換することによって、細胞死滅能力を有する生成物をコードする導入遺伝子であってよい。これらの実施形態では、細胞死滅は、操作細胞を薬物またはプロドラッグと接触させることによって活性化される。いくつかの場合には、安全スイッチはHSV-tkであり、これは、ガンシクロビル(GCV)をGCV三リン酸に変換し、それによってDNA合成を妨害して分裂細胞を死滅させる。いくつかの場合には、安全スイッチは、CyDまたはそのバリアントであり、これは、シトシンからウラシルへの加水分解的脱アミノ化を触媒することによって、抗真菌薬の5-フルオロシトシン(5-FC)を細胞傷害性の5-フルオロウラシル(5-FU)に変換する。5-FUは、さらに細胞酵素によって強力な代謝拮抗薬(5-FdUMP、5-FdUTP、5-FUTP)に変換される。これらの化合物は、チミジル酸シンターゼならびにRNA及びDNAの産生を阻害し、細胞死をもたらす。いくつかの場合には、安全スイッチは、NTRまたはそのバリアントであり、これは、増殖及び非増殖細胞において有毒な反応性N-ヒドロキシルアミン中間体へのニトロ基の還元を介してプロドラッグCB1954に作用し得る。いくつかの場合には、安全スイッチはPNPまたはそのバリアントであり、これは、プロドラッグの6-メチルプリンデオキシリボシドまたはフルダラビンを、増殖及び非増殖細胞の両方にとって有毒な代謝産物に変換し得る。いくつかの場合には、安全スイッチは、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはそのバリアントであり、これは、インドール-3-酢酸(IAA)を強力な細胞毒素へと触媒し、それゆえ、細胞死滅を達成し得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、安全スイッチは、iCasp9であってよい。カスパーゼ9は、ミトコンドリアの内因性アポトーシス経路の構成要素であり、これは、生理学的条件下で損傷ミトコンドリアからのシトクロムCの放出によって活性化される。次いで、活性化カスパーゼ9はカスパーゼ3を活性化し、これはアポトーシスをもたらす末端エフェクター分子を誘導する。iCasp9は、切断カスパーゼ9(その生理学的二量体化ドメインまたはカスパーゼ活性化ドメインを有しない)を、ペプチドリンカーを介してFK506結合タンパク質(FKBP)のFKBP12-F36Vに融合させることによって生成されてよい。iCasp9は、低い二量体非依存的基礎活性を有し、その表現型、機能、または抗原特異性を損なうことなく宿主細胞(例えば、ヒトT細胞)中で安定に発現され得る。しかしながら、二量体誘導化合物(CID)、例えば、リミドゥシド(AP1903)、AP20187、及びラパマイシンなどの存在下で、iCasp9は、誘導性二量体化を受けて下流のカスパーゼ分子を活性化し得、iCasp9を発現する細胞のアポトーシスを引き起こす。例えば、PCT出願公開第WO2011/146862号、Stasi et al.,N.Engl.J.Med.365;18(2011)、Tey et al.,Biol.Blood Marrow Transplant 13:913-924(2007)を参照のこと。特に、ラパマイシン誘導性カスパーゼ9バリアントは、rapaCasp9と呼ばれている。Stavrou et al.,Mal.Ther.26(5):1266-1276(2018)を参照のこと。したがって、iCasp9は、宿主細胞の死滅制御を達成するための安全スイッチとして使用され得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、安全スイッチは、膜発現タンパク質に対する特異的抗体の投与後に細胞枯渇を可能にするそのタンパク質であってよい。このカテゴリーの安全スイッチとしては、例えば、その表面発現のためにCCR4、CD16、CD19、CD20、CD30、EGFR、GD2、HER1、HER2、MUC1、PSMA、またはRQR8をコードする1つ以上の導入遺伝子が挙げられてよい。これらのタンパク質は、特異的抗体によって標的とされ得る表面エピトープを有してよい。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、抗CCR4抗体によって認識され得るCCR4を含む。好適な抗CCR4抗体の非限定的な例としては、モガムリズマブ及びそのバイオシミラーが挙げられる。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、抗CD16または抗CD30抗体によって認識され得る、CD16またはCD30を含む。そのような抗CD16または抗CD30抗体の非限定的な例としては、AFM13及びそのバイオシミラーが挙げられる。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、抗CD19抗体によって認識され得るCD19を含む。そのような抗CD19抗体の非限定的な例としては、MOR208及びそのバイオシミラーが挙げられる。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、抗CD20抗体によって認識され得るCD20を含む。そのような抗CD20抗体の非限定的な例としては、オビヌツズマブ、ウブリツキシマブ、オカラツズマブ、リツキシマブ、リツキシマブ-Rllb、及びそのバイオシミラーが挙げられる。したがって、安全スイッチを発現する細胞はCD20陽性であり、記載されるように抗CD20抗体の投与を介して死滅のために標的とされ得る。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、抗EGFR抗体によって認識され得るEGFRを含む。そのような抗EGFR抗体の非限定的な例としては、トムゾツキシマブ、RO5083945(GA201)、セツキシマブ、及びそのバイオシミラーが挙げられる。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、抗GD2抗体によって認識され得るGD2を含む。そのような抗GD2抗体の非限定的な例としては、Hul4.18K322A、Hul4.18-IL2、Hu3F8、ジニツキシマブ、c.60C3-Rllc、及びそのバイオシミラーが挙げられる。
【0173】
いくつかの実施形態では、安全スイッチは、操作細胞の表面上における1つ以上の寛容原性因子を認識する外因性投与剤であってよい。いくつかの実施形態では、外因性投与剤は、寛容剤、例えば、抗CD47抗体を対象とするか、またはそれに特異的な抗体である。操作細胞上の寛容原性因子を認識及び遮断することによって、外因性投与抗体は、寛容原性因子の免疫阻害機能を遮断する場合があり、それによって、操作細胞に対する免疫系を再感作する。例えば、CD47を過剰発現する操作細胞の場合、外因性投与抗CD47抗体が対象に投与されてよく、その結果、操作細胞上のCD47がマスキングされ、操作細胞に対する免疫応答の誘発がもたらされる。
【0174】
いくつかの実施形態では、本方法は、誘導性自殺スイッチを含む発現ベクターを細胞に導入することをさらに含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、所望の改変のうち1つ以上をすでに含む供給源細胞に由来する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される教示を考慮すると、当業者は、操作細胞の所望の最終形態に到達するためにどのような改変が必要であるか、及び標的構成要素の減少した、または増加したレベル全てが、積極的操作によって達成されているとは限らないのかについて評価する方法を容易に理解することになる。いくつかの実施形態では、操作細胞の改変は、任意の順序であり、必ずしも本明細書で提供される記述言語で列挙される順序でなくともよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書では、操作細胞を生成する方法が提供され、本方法は、(a)細胞内の1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現を減少させるか、または排除すること、(b)細胞内のCD142の発現を減少させること、ならびに(c)細胞内の寛容原性因子の発現を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、DUX4、B2M-HLA-E、CD16、CD52、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、SERPINB9、CD35、IL-39、CD16 Fc受容体、IL15-RF、及びH2-M3から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47である。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現を減少させるか、または排除することを含む。いくつかの実施形態では、発現を減少または増加させることは、誘導型ヌクレアーゼ(例えば、CRISPR/Casシステム)を使用して細胞に1つ以上の改変を実施することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、誘導性自殺スイッチを含む発現ベクターを細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本細胞内のCD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることをさらに含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書では、操作細胞を生成する方法が提供され、本方法は、(a)細胞内のCCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させること、ならびに(b)細胞内のCD142の発現を減少させることを含む。いくつかの実施形態では、発現を減少または増加させることは、誘導型ヌクレアーゼ(例えば、CRISPR/Casシステム)を使用して細胞に1つ以上の改変を実施することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、誘導性自殺スイッチを含む発現ベクターを細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本細胞内のCD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることをさらに含む。
【0178】
一度変更されると、本明細書に記載される分子のいずれかの発現の存在が、ウェスタンブロット、ELISAアッセイ、FACSアッセイなどの既知の技術を使用してアッセイされ得る。
【0179】
A.標的遺伝子の発現減少
1.標的遺伝子
A.MHCクラスI分子及び/またはMHCクラスII分子
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、1つ以上のMHCクラスI分子、1つ以上のMHCクラスII分子、または1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子のいずれかの発現を制御する(例えば、減少させるか、または排除する)、1つ以上の標的ポリヌクレオチドまたはタンパク質配列(標的遺伝子とも交換可能に称される)の改変(例えば、遺伝子改変)を含む。いくつかの実施形態では、改変または操作される細胞は、1つ以上の改変が予め導入されていない、非改変細胞または非操作細胞である。いくつかの実施形態では、遺伝子編集システムは、1つ以上のMHCクラスI分子、1つ以上のMHCクラスII分子、または1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子の発現を制御する(例えば、減少させるか、または排除する)、1つ以上の標的ポリヌクレオチド配列を改変するために使用される。ある特定の実施形態では、細胞のゲノムは、細胞の表面上における1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現などの、HLA発現の促進に必要な、またはそれに関与する構成要素を減少または欠失させるように変更されている。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子の構成要素であるベータ-2-ミクログロブリン(B2M)の発現が細胞中で減少するか、または排除され、それによって1つ以上のMHCクラスI分子のタンパク質発現(例えば、細胞表面発現)を操作細胞によって減少させるか、または排除する。
【0180】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子またはMHCクラスII分子の発現を減少させることは、B2M、TAP I、NLRC5、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、HLA-DR、RFX5、RFXANK、RFXAP、NFY-A、NFY-B及び/またはNFY-Cのうち1つ以上の発現を減少させる。
【0181】
いくつかの実施形態では、操作細胞内の1つ以上の標的ポリヌクレオチドまたはタンパク質の発現を制御する(例えば、減少させるか、または排除する)、操作細胞における記載される改変のいずれも、節II.Bに記載されるポリヌクレオチド(例えば、CD47などの寛容原性因子)を過剰発現させるための1つ以上の改変と共に組み合わされてよい。
【0182】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子発現の減少は、例えば、以下のうち1つ以上によって達成され得る:(1)多型HLAアレル(HLA-A、HLA-B、HLA-C)及び1つ以上のMHCクラスII遺伝子を直接標的とすること、(2)B2Mの除去によって、1つ以上のMHCクラスI分子全ての表面輸送が減少することになること、及び/または(3)HLA発現に重要なMHCエンハンセオソーム、例えば、LRC5、RFX-5、RFXANK、RFXAP、IRFl、NF-Y(NFY-A、NFY-B、NFY-Cを含む)、及びCIITAなどの1つ以上の構成要素の欠失。
【0183】
ある特定の実施形態では、HLA発現が妨害される。いくつかの実施形態では、HLA発現は、個々のHLAを標的とすること(例えば、HLA-A、HLA-B及び/またはHLA-Cの発現をノックアウトすること)、HLA発現の転写制御因子を標的とすること(例えば、NLRC5、CIITA、RFX5、RFXAP、RFXANK、NFY-A、NFY-B、NFY-C及び/またはIRF-1の発現をノックアウトすること)、1つ以上のMHCクラスI分子の表面輸送を遮断すること(例えば、B2M及び/またはTAP1の発現をノックアウトすること)、及び/またはHLA-Razorを用いて標的とすること(例えば、WO2016183041を参照のこと)によって妨害される。
【0184】
ヒト白血球抗原(HLA)複合体は、ヒトMHCと同義である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される操作細胞は、ヒト細胞である。ある特定の態様では、本明細書に開示される操作細胞は、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子に対応する1つ以上のヒト白血球抗原(例えば、HLA-A、HLA-B及び/またはHLA-C)を発現せず、それゆえ、低免疫原性であると特徴付けられる。例えば、ある特定の態様では、本明細書に開示される操作細胞は、任意の幹細胞またはそれから調製される分化した幹細胞を含む細胞が、以下のMHCクラスI分子:HLA-A、HLA-B及びHLA-Cのうち1つ以上を発現しないか、またはその発現減少を示すように改変されている。いくつかの実施形態では、HLA-A、HLA-B及びHLA-Cのうち1つ以上が、細胞から「ノックアウト」されてよい。HLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子、及び/またはHLA-C遺伝子がノックアウトされた細胞は、ノックアウトされた各遺伝子の発現減少または排除を示す場合がある。
【0185】
ある特定の実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現は、ゲノムDNAの連続ストレッチを標的として欠失させ、それによってB2M、CIITA、及びNLRC5からなる群から選択される標的遺伝子の発現を減少させるか、または排除することによって調節される。
【0186】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、1つ以上のMHCクラスI分子を制御する1つ以上の標的ポリヌクレオチド配列の改変を含む。1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる例示的な方法は、以下の節に記載されている。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、B2M及びNLRC5の一方または両方である。いくつかの実施形態では、細胞は、B2M遺伝子に対する遺伝子編集改変(例えば、インデル)を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NLRC5遺伝子に対する遺伝子編集改変(例えば、インデル)を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、B2M及びCIITA遺伝子に対する遺伝子編集改変(例えば、インデル)を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる改変は、B2Mの発現を減少させる改変である。いくつかの実施形態では、B2M発現を減少させる改変は、B2M mRNA発現を減少させる。いくつかの実施形態では、B2MのmRNA発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の非改変または野生型細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、B2MのmRNA発現は、約5%を超えて減少し、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超えるいずれかを超えて減少するなどである。いくつかの実施形態では、B2MのmRNA発現は、最大約100%減少し、例えば、最大約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、またはそれ未満のいずれかで減少するなどである。いくつかの実施形態では、B2MのmRNA発現は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかで減少する。いくつかの実施形態では、B2MのmRNA発現は排除される(例えば、B2M mRNAの0%発現)。いくつかの実施形態では、B2M mRNA発現を減少させる改変は、B2M遺伝子活性を排除する。
【0188】
いくつかの実施形態では、B2M発現を減少させる改変は、B2Mタンパク質発現を減少させる。いくつかの実施形態では、B2Mのタンパク質発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の非改変または野生型細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、B2Mのタンパク質発現は、約5%を超えて減少し、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超えるいずれかを超えて減少するなどである。いくつかの実施形態では、B2Mのタンパク質発現は、最大約100%減少し、例えば、最大約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、またはそれ未満のいずれかで減少するなどである。いくつかの実施形態では、B2Mのタンパク質発現は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかで減少する。いくつかの実施形態では、B2Mのタンパク質発現は排除される(例えば、B2Mタンパク質の検出可能な発現なし)。いくつかの実施形態では、B2Mタンパク質発現を減少させる改変は、B2M遺伝子活性を排除する。
【0189】
いくつかの実施形態では、B2M発現を減少させる改変は、B2M遺伝子の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、B2M発現を減少させる改変は、B2M遺伝子の片アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、B2M発現を減少させる改変は、B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む不活性化または破壊を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、改変は、細胞における1つ以上のB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子内のインデルを含む不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子のゲノムDNAの欠失である。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失である。いくつかの実施形態では、B2M遺伝子はノックアウトされる。
【0191】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、1つ以上のMHCクラスII分子を制御する1つ以上の標的ポリヌクレオチド配列の改変を含む。1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる例示的な方法は、以下の節に記載されている。いくつかの実施形態では、細胞は、CIITA遺伝子に対する遺伝子編集改変を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変は、CIITAの発現を減少させる改変である。いくつかの実施形態では、CIITA発現を減少させる改変は、CIITA mRNA発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CIITAのmRNA発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の非改変または野生型細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、CIITAのmRNA発現は、約5%を超えて減少し、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超えるいずれかを超えて減少するなどである。いくつかの実施形態では、CIITAのmRNA発現は、最大約100%減少し、例えば、最大約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、またはそれ未満のいずれかで減少するなどである。いくつかの実施形態では、CIITAのmRNA発現は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかで減少する。いくつかの実施形態では、CIITAのmRNA発現は排除される(例えば、CIITA mRNAの0%発現)。いくつかの実施形態では、CIITA mRNA発現を減少させる改変は、CIITA遺伝子活性を排除する。
【0193】
いくつかの実施形態では、CIITA発現を減少させる改変は、CIITAタンパク質発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CIITAのタンパク質発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の非改変または野生型細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、CIITAのタンパク質発現は、約5%を超えて減少し、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超えるいずれかを超えて減少するなどである。いくつかの実施形態では、CIITAのタンパク質発現は、最大約100%減少し、例えば、最大約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、またはそれ未満のいずれかで減少するなどである。いくつかの実施形態では、CIITAのタンパク質発現は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかで減少する。いくつかの実施形態では、CIITAのタンパク質発現は排除される(例えば、CIITAタンパク質の0%発現)。いくつかの実施形態では、CIITAタンパク質発現を減少させる改変は、CIITA遺伝子活性を排除する。
【0194】
いくつかの実施形態では、CIITA発現を減少させる改変は、CIITA遺伝子の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、CIITA発現を減少させる改変は、CIITA遺伝子の片アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、CIITA発現を減少させる改変は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む不活性化または破壊を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、改変は、細胞における1つ以上のB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子内のインデルを含む不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子のゲノムDNAの欠失である。いくつかの実施形態では、改変は、B2M遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失である。いくつかの実施形態では、CIITA遺伝子はノックアウトされる。
【0196】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子を制御する1つ以上の標的ポリヌクレオチド配列の改変を含む。1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる例示的な方法は、以下の節に記載されている。いくつかの実施形態では、細胞は、B2M及びNLRC5遺伝子に対する遺伝子編集改変を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、CIITA及びNLRC5遺伝子に対する遺伝子編集改変を含む。特定の実施形態では、細胞は、B2M、CIITA及びNLRC5遺伝子に対する遺伝子編集改変を含む。
【0197】
B.CD142
ある特定の態様では、本明細書に開示される技術は、CD142(組織因子、第III因子、及びF3としても知られる)の発現を調節する(例えば、減少させるか、または排除する)。いくつかの実施形態では、調節は、CRISPR/Casシステムを使用して行われる。
【0198】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142またはCD142のバリアントである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142のホモログである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142のオルソログである。
【0199】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、CD142遺伝子を標的とする改変を含む。いくつかの実施形態では、レアカットエンドヌクレアーゼによるCD142遺伝子を標的とする改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びCD142遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸(gRNA)配列を含む。CD142を標的とするgRNA配列を特定する有用な方法は、以下に記載される。
【0200】
CD142遺伝子が不活性化されているかどうかを試験するためのアッセイは既知であり、本明細書に記載される。一実施形態では、PCRによって得られたCD142遺伝子の改変及びCD142発現の減少は、FACS分析によるアッセイであり得る。別の実施形態では、CD142タンパク質発現は、CD142タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、不活性化改変の存在を確認するために使用される。
【0201】
ヒトCD142についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC01M094530、HGNC番号3541、NCBI Gene ID2152、NCBI RefSeq番号NM_001178096.1、NM_001993.4、NP_001171567.1、及びNP_001984.1、UniProt番号P13726などで提供される。
【0202】
2.発現を減少させる方法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞は、記載されるような1つ以上の標的ポリヌクレオチドまたはタンパク質の発現を減少させるように改変される(例えば、遺伝子改変される)。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドまたはタンパク質の発現を減少させる(例えば、排除する)ための1つ以上の改変を用いて操作されている細胞は、本明細書に記載されるような任意の供給源細胞である。いくつかの実施形態では、供給源細胞は、節II.Cに記載される任意の細胞である。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される細胞(例えば、幹細胞、人工多能性幹細胞、分化細胞、例えば、ベータ島細胞もしくは肝細胞など、または初代細胞)は、1つ以上の標的ポリヌクレオチドの発現を減少させるための1つ以上の改変を含む。1つ以上の標的ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、上に記載されるようないずれか、例えば、CD142などに加えて、CIITA、B2M、NLRC5、HLA-A、HLA-B、HLA-C、LRC5、RFX-ANK、RFX5、RFX-AP、NFY-A、NFY-B、NFY-C、IRF1、及びTAP1のうち1つ以上が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的ポリヌクレオチドの発現を減少させるための改変は、節II.Bに記載されるいずれかなどの、所望の導入遺伝子の発現を増加させるための1つ以上の改変と組み合わされる。いくつかの実施形態では、改変は、免疫特権細胞または低免疫原性細胞である操作細胞を作製する。1つまたは複数の標的ポリヌクレオチドの発現を調節すること(例えば、減少させるか、または欠失させること)によって、そのような細胞は、レシピエント対象に移植される場合に免疫活性化の低減を示す。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば、投与時にレシピエント対象または患者における低免疫原性とみなされる。
【0203】
標的ポリヌクレオチドの発現を減少させる任意の方法が使用されてよい。いくつかの実施形態では、改変によって、標的ポリヌクレオチドの発現が永久的に排除されるか、または減少する。例えば、いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドまたは遺伝子は、標的指向性エンドヌクレアーゼの使用などにより、標的ポリヌクレオチドにDNA切断を導入することによって破壊される。他の実施形態では、改変によって、標的ポリヌクレオチドの発現が一過的に減少する。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子抑制は、遺伝子の発現を選択的に抑制または抑圧するために標的ポリヌクレオチドに相補的な阻害核酸を使用して、例えば、アンチセンス技術を使用して、例えば、RNA干渉(RNAi)、短分子干渉RNA(siRNA)、短ヘアピン(shRNA)、及び/またはリボザイムなどによって達成される。
【0204】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、ゲノム配列である。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、ヒトゲノム配列である。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、哺乳動物ゲノム配列である。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、脊椎動物ゲノム配列である。
【0205】
いくつかの実施形態では、遺伝子破壊は、遺伝子内において典型的には標的様式で、1つ以上の二本鎖切断及び/または1つ以上の一本鎖切断の誘導によって実施される。いくつかの実施形態では、二本鎖または一本鎖切断は、ヌクレアーゼ、例えば、遺伝子標的ヌクレアーゼなどのエンドヌクレアーゼによって作製される。いくつかの実施形態では、標的ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びRNA誘導型ヌクレアーゼ、例えば、遺伝子またはその一部の配列を標的とするように特異的に設計されたCRISPR関連ヌクレアーゼ(Cas)などから選択される。いくつかの実施形態では、標的ヌクレアーゼは、二本鎖または一本鎖切断を生成し、次いで誤りがちな非相同末端結合(NHEJ)または、いくつかの場合には、正確な相同組換え修復(HDR)(その場合は鋳型が使用される)によって修復を受ける。いくつかの実施形態では、標的ヌクレアーゼは、DNA二本鎖切断(DSB)を生成する。いくつかの実施形態では、切断を生成及び修復するプロセスは、典型的には誤りが多く、NHEJ修復からDNA塩基の挿入及び欠失(インデル)を引き起こす。いくつかの実施形態では、改変は、標的遺伝子のヌクレオチド配列の欠失、挿入または変異を誘導する場合がある。いくつかの場合には、改変はフレームシフト変異を引き起こす場合があり、これは、未成熟終止コドンをもたらし得る。ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集の例では、遺伝子の両アレル上で標的編集が行われ、遺伝子の両アレルの破壊または編集をもたらす。いくつかの実施形態では、遺伝子の全アレルが、遺伝子編集によって標的とされる。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムの使用などの標的ヌクレアーゼを用いた改変は、遺伝子の完全なノックアウトを引き起こす。
【0206】
いくつかの実施形態では、レアカットエンドヌクレアーゼなどのヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチド配列を含有する細胞に導入される。ヌクレアーゼは、ヌクレアーゼをコードする核酸の形態で細胞に導入されてよい。核酸を細胞に導入するプロセスは、任意の好適な技術によって達成され得る。好適な技術としては、リン酸カルシウムまたは脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、及びウイルスベクターを使用した形質導入または感染が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞に導入される核酸は、DNAである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、タンパク質の形態で細胞に導入される。例えば、CRISPR/Casシステムの場合、リボ核タンパク質(RNP)が細胞に導入されてよい。
【0207】
いくつかの実施形態では、改変は、CRISPR/Casシステムを使用して行われる。細胞内の標的ポリヌクレオチド配列を変更できる任意のCRISPR/Casシステムが、使用され得る。そのようなCRISPR-Casシステムは、様々なCasタンパク質を用い得る(Haft et al.PLoS Comput Biol.2005;1(6)e60)。CRISPR/Casシステムによる、細胞内の標的ポリヌクレオチド配列の変更を可能にするそのようなCasタンパク質の分子機構は、RNA結合タンパク質、エンド及びエキソヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、ならびにポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、I型CRISPRシステムである。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、II型CRISPRシステムである。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、V型CRISPRシステムである。
【0208】
CRISPR/Casシステムは、細胞内の任意の標的ポリヌクレオチド配列を変更するために使用され得る標的システムを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるCRISPR/Casシステムは、Casタンパク質及びCasタンパク質を標的ポリヌクレオチド配列の標的モチーフに誘導し、それにハイブリダイズできる1つ以上の、例えば、少なくとも1~2つなどのリボ核酸(例えば、ガイドRNA(gRNA))を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、1つ以上のアミノ酸置換または改変を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの場合では、置換及び/または改変は、タンパク質分解を防止もしくは減少させて、及び/または細胞内のポリペプチドの半減期を延長し得る。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、ペプチド結合置換(例えば、尿素、チオ尿素、カルバメート、スルホニル尿素など)を含み得る。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、天然に存在するアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、代替アミノ酸(例えば、D-アミノ酸、ベータ-アミノ酸、ホモシステイン、ホスホセリンなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、部分を含むような改変(例えば、PEG化、グリコシル化、脂質化、アセチル化、エンドキャッピングなど)を含み得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、コアCasタンパク質を含む。例示的なCasコアタンパク質としては、Cas1、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8及びCas9が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、E.coliサブタイプのCasタンパク質(CASS2としても知られる)を含む。E.Coliサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Cse1、Cse2、Cse3、Cse4、及びCas5eが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、YpestサブタイプのCasタンパク質(CASS3としても知られる)を含む。Ypestサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csy1、Csy2、Csy3、及びCsy4が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、NmeniサブタイプのCasタンパク質(CASS4としても知られる)を含む。Nmeniサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csn1及びCsn2が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、DvulgサブタイプのCasタンパク質(CASS1としても知られる)を含む。Dvulgサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csd1、Csd2、及びCas5dが挙げられる。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、TneapサブタイプのCasタンパク質(CASS7としても知られる)を含む。Tneapサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Cst1、Cst2、Cas5tが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、HmariサブタイプのCasタンパク質を含む。Hmariサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csh1、Csh2、及びCas5hが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、ApernサブタイプのCasタンパク質(CASS5としても知られる)を含む。Apernサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csa1、Csa2、Csa3、Csa4、Csa5、及びCas5aが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、MtubeサブタイプのCasタンパク質(CASS6としても知られる)を含む。Mtubeサブタイプの例示的なCasタンパク質としては、Csm1、Csm2、Csm3、Csm4、及びCsm5が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、RAMPモジュールCasタンパク質を含む。例示的なRAMPモジュールCasタンパク質としては、Cmr1、Cmr2、Cmr3、Cmr4、Cmr5、及びCmr6が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Klompe et al.,Nature 571,219-225(2019)、Strecker et al.,Science 365,48-53(2019)を参照のこと。
【0211】
いくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子をノックアウト、ノックダウン、または別の方法で改変するように細胞を遺伝子改変する方法は、部位特異的ヌクレアーゼ、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、及び規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)/Casシステムを含むものを使用することを含む。
【0212】
ZFNは、細菌FokI制限酵素のエンドヌクレアーゼドメインに結合したジンクフィンガー含有転写因子から適応された一連の部位特異的DNA結合ドメインを含む融合タンパク質である。ZFNは、DNA結合ドメインまたはジンクフィンガードメインのうち1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える)を有してよい。例えば、Carroll et al.,Genetics Society of America(2011)188:773-782、Kim et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93:1156-1160を参照のこと。各ジンクフィンガードメインは、1つ以上の亜鉛イオンによって安定化した小タンパク質構造モチーフであり、通常、3~4bpのDNA配列を認識する。したがって、タンデムドメインは、細胞のゲノム内において特有の伸長したヌクレオチド配列に結合する可能性があり得る。
【0213】
既知の特異性を持つ様々なジンクフィンガーが、約6、9、12、15、または18bp配列を認識するマルチフィンガーポリペプチドを作製するために組み合わされ得る。ファージディスプレイ、酵母ワンハイブリッドシステム、細菌ワンハイブリッド及びツーハイブリッドシステム、ならびに哺乳動物細胞を含む、様々な選択及びモジュール組立て技術が、特定の配列を認識するジンクフィンガー(及びそれらの組合せ)を生成するために利用可能である。ジンクフィンガーは、所定の核酸配列と結合するように操作され得る。所定の核酸配列に結合するようにジンクフィンガーを操作するための基準は、当該技術分野において既知である。例えば、Sera et al.,Biochemistry(2002)41:7074-7081、Liu et al.,Bioinformatics(2008)24:1850-1857を参照のこと。
【0214】
FokIヌクレアーゼドメインまたは他の二量体ヌクレアーゼドメインを含有するZFNは、二量体として機能する。したがって、非パリンドロームDNA部位を標的とするために一対のZFNが必要となる。2つの個々のZFNは、それらのヌクレアーゼが適切に離れた状態でDNAの逆鎖と結合しなければならない。Bitinaite et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1998)95:10570-10575を参照のこと。ゲノム内の特定の部位を切断するために、一対のZFNは、一方がフォワード鎖上の、及び他方がリバース鎖上の、部位に隣接する2つの配列を認識するように設計される。ZFNが部位の両側に結合すると、ヌクレアーゼドメインが二量体化し、その部位でDNAを切断して5’オーバーハングを有するDSBを生成する。次いで、相同性アームに隣接する所望の変異を含有する修復鋳型を用いて、特定の変異を誘導するためにHDRが利用され得る。修復鋳型は通常、細胞に導入される外因性二本鎖DNAベクターである。Miller et al.,Nat.Biotechnol.(2011)29:143-148、Hockemeyer et al.,Nat.Biotechnol.(2011)29:731-734を参照のこと。
【0215】
TALENは、標的遺伝子を編集するために使用され得る人工ヌクレアーゼの別の例である。TALENは、TALEリピートと称されるDNA結合ドメインに由来し、TALEリピートは通常、長いDNA配列と結合してそれを認識する10~30のリピートを有するタンデムアレイを含む。各リピートは、33~35アミノ酸長であり、このうち2つの隣接するアミノ酸(反復可変二残基(repeat-variable di-residue)またはRVDと称される)が4つのDNA塩基対のうち1つに特異性を付与する。したがって、標的DNA配列内においてリピートと塩基対との間に1対1の対応関係が存在する。
【0216】
TALENは、1つ以上のTALE DNA結合ドメイン(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える)をヌクレアーゼドメイン、例えば、FokIエンドヌクレアーゼドメインに融合することによって人工的に作製される。Zhang,Nature Biotech.(2011)29:149-153を参照のこと。FokIに対するいくつかの変異が、TALENにおけるその使用のために作製されていて、これらは、例えば、切断特異性または活性を改善する。Cermak et al.,Nucl.Acids Res.(2011)39:e82、Miller et al.,Nature Biotech.(2011)29:143-148、Hockemeyer et al.,Nature Biotech.(2011)29:731-734、Wood et al.,Science(2011)333:307、Doyon et al.,Nature Methods(2010)8:74-79、Szczepek et al.,Nature Biotech(2007)25:786-793、Guo et al.,J.Mol.Biol.(2010)200:96を参照のこと。FokIドメインは二量体として機能するため、適切な向き及び間隔で標的ゲノム内の部位に対して特有のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALE DNA結合ドメインとFokIヌクレアーゼドメインとの間のアミノ酸残基の数及び2つの個々のTALEN結合部位間における塩基の数の両方が、高レベルの活性を達成するための重要なパラメータであると思われる。Miller et al.,Nature Biotech.(2011)29:143-148。
【0217】
操作TALEリピートをヌクレアーゼドメインと組み合わせることによって、任意の所望のDNA配列に特異的な部位特異的ヌクレアーゼが作製され得る。ZFNと同様に、ゲノム内の所望の標的部位にDSBを生成するためにTALENが細胞に導入され得、そのため、同様のHDR媒介経路で遺伝子をノックアウトするか、または変異をノックインするために使用され得る。Boch,Nature Biotech.(2011)29:135-136、Boch et al.,Science(2009)326:1509-1512、Moscou et al.,Science(2009)326:3501を参照のこと。
【0218】
メガヌクレアーゼはエンドヌクレアーゼファミリー内の酵素であり、それらは大きなDNA配列(14~40塩基対)を認識して切断するそれらの能力を特徴とする。メガヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ活性及び/またはDNA認識に影響を及ぼすそれらの構造モチーフに基づいてファミリーに分類される。最も幅広く、かつ最もよく知られているメガヌクレアーゼは、LAGLIDADGファミリーのタンパク質であり、それらの名称は保存アミノ酸配列に由来する。Chevalier et al.,Nucleic Acids Res.(2001)29(18):3757-3774を参照のこと。一方で、GIY-YIGファミリーメンバーはGIY-YIGモジュールを有し、これは70~100残基長であり、4つのインバリアント残基を有する4つまたは5つの保存配列モチーフを含み、そのうち2つは活性に必要である。Van Roey et al.,Nature Struct.Biol.(2002)9:806-811を参照のこと。His-Cysファミリーメガヌクレアーゼは、数百のアミノ酸残基を包含する領域にわたる、高度に保存された一連のヒスチジン及びシステインを特徴とする。Chevalier et al.,Nucleic Acids Res.(2001)29(18):3757-3774を参照のこと。NHNファミリーのメンバーは、アスパラギン残基によって囲まれた二対の保存されたヒスチジンを含有するモチーフによって定義される。Chevalier et al.,Nucleic Acids Res.(2001)29(18):3757-3774を参照のこと。
【0219】
特定の標的DNA配列に対する天然メガヌクレアーゼを同定する可能性は、高い特異性を要するので低いため、変異誘発及びハイスループットスクリーニング方法を含む様々な方法が、特有の配列を認識するメガヌクレアーゼバリアントを作製するために使用されている。例えば、所定の核酸配列に結合するように、変更したDNA結合特異性を有するメガヌクレアーゼを操作するための戦略が、当該技術分野において既知である。例えば、Chevalier et al.,Mol.Cell.(2002)10:895-905、Epinat et al.,Nucleic Acids Res(2003)31:2952-2962、Silva et al.,J Mol.Biol.(2006)361:744-754、Seligman et al.,Nucleic Acids Res(2002)30:3870-3879、Sussman et al.,J Mol Biol(2004)342:31-41、Doyon et al.,J Am Chem Soc(2006)128:2477-2484、Chen et al.,Protein Eng Des Sel(2009)22:249-256、Arnould et al.,J Mol Biol.(2006)355:443-458、Smith et al.,Nucleic Acids Res.(2006)363(2):283-294を参照のこと。
【0220】
ZFN及びTALENのように、メガヌクレアーゼは、ゲノムDNA内にDSBを作製し得、これは例えば、NHEJによって不適切に修復された場合にフレームシフト変異を作製し、細胞内で標的遺伝子の発現の低減をもたらし得る。あるいは、外来DNAは、メガヌクレアーゼと共に細胞に導入され得る。外来DNAの配列及び染色体配列に応じて、本プロセスは、標的遺伝子を改変するために使用され得る。Silva et al.,Current Gene Therapy(2011)11:11-27を参照のこと。
【0221】
トランスポザーゼは、トランスポゾンの末端に結合し、切り貼り機構または複製転位機構によってゲノムの別の部分に対してその移動を触媒する酵素である。トランスポサーゼを他のシステム、例えば、CRISPER/Casシステムなどと連結させることによって、ゲノムDNAの部位特異的挿入または操作を可能にするための新たな遺伝子編集ツールが開発され得る。トランスポゾンを使用する2つの既知のDNA組込み方法が存在し、これらは触媒的に不活性なCasエフェクタータンパク質及びTn7様トランスポゾンを使用する。トランスポザーゼ依存的DNA組込みは、ゲノム内でDSBを誘発せず、これはより安全かつより特異的なDNA組込みを保証する可能性がある。
【0222】
CRISPRシステムは、獲得免疫の形態を提供する、侵入するファージ及びプラスミドに対する防御に関与するシステムとして原核生物(例えば、細菌及び古細菌)において最初に発見された。現在では、そのシステムは、研究及び臨床用途において普及している遺伝子編集ツールとして適応及び使用されている。
【0223】
CRISPR/Casシステムは一般に、少なくとも2つの構成要素:1つ以上のガイドRNA(gRNA)及びCasタンパク質を含む。Casタンパク質は、標的部位にDSBを導入するヌクレアーゼである。CRISPR-Casシステムは、2つの主なクラスに分類される:クラス1システムは、核酸を分解するために複数のCasタンパク質の複合体を使用し、クラス2システムは、同じ目的のために単一の大きなCasタンパク質を使用する。クラス1は、I型、III型、及びIV型に分類され、クラス2は、II型、V型、及びVI型に分類される。遺伝子編集用途のために適合された異なるCasタンパク質としては、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、及びMad7が挙げられるが、これらに限定されない。最も広く使用されているCas9は、II型Casタンパク質であり、例示として本明細書に記載される。これらのCasタンパク質は、異なる供給源種に由来する場合がある。例えば、Cas9は、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)または黄色ブドウ球菌(S.aureus)に由来し得る。
【0224】
本来の微生物ゲノムでは、II型CRISPRシステムは、宿主ゲノム内のアレイとしてコードされるCRISPRリピート配列間に侵入DNAからの配列を組み込む。CRISPRリピートアレイからの転写物は、「プロトスペーサー」配列として知られる、侵入DNAから転写された可変配列に加えて、CRISPRリピートの一部を各々保有するCRISPR RNA(crRNA)へとプロセシングされる。各crRNAは、第2トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)とハイブリダイズし、これらの2つのRNAは、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成する。crRNAのプロトスペーサーコード部分は、相補的標的DNA配列を切断するようにCas9複合体を誘導するが、ただし、それらは「プロトスペーサー隣接モチーフ」(PAM)として知られる短い配列に隣接していることを条件とする。
【0225】
その発見以降、CRISPRシステムは、細菌からヒト細胞を含む真核細胞にわたる、広範囲の細胞及び生物において配列特異的DSB及び標的ゲノム編集を誘導するために適合されている。遺伝子編集用途におけるその使用では、人工的に設計された合成gRNAが、本来のcrRNA:tracrRNA複合体から置き換えられている。例えば、gRNAは、crRNA、テトラループ、及びtracrRNAで構成される一本鎖ガイドRNA(sgRNA)であり得る。crRNAは通常、目的の標的DNAを認識するようにユーザーが設計した相補的領域(スペーサーとも呼ばれ、通常は約20ヌクレオチド長)を含む。tracrRNA配列は、Casヌクレアーゼ結合のための骨格領域を含む。crRNA配列及びtracrRNA配列は、テトラループによって連結され、各々は、互いにハイブリダイズするための短いリピート配列を有し、それゆえ、キメラsgRNAを生成する。gRNA中に存在するスペーサーまたは相補的領域配列を単純に変化させることによって、Casヌクレアーゼのゲノム標的を変化させ得る。相補的領域は、標準的なRNA-DNA相補的塩基対合規則によって標的DNA部位にCasヌクレアーゼを誘導することになる。
【0226】
Casヌクレアーゼが機能するためには、ゲノムDNA内の標的配列のすぐ下流にPAMが存在しなければならない。Casタンパク質によるPAMの認識は、隣接ゲノム配列を不安定化し、gRNAによる配列の照合を可能にして、一致する配列が存在する場合にgRNA-DNA対合をもたらすと考えられている。PAMの特異的配列は、Cas遺伝子の種に応じて変動する。例えば、化膿連鎖球菌に由来する最も一般的に使用されているCas9ヌクレアーゼは、5’-NGG-3’、またはあまり効率的ではないが、5’-NAG-3’(式中、「N」は任意のヌクレオチドであり得る)のPAM配列を認識する。代替PAMを有する他のCasヌクレアーゼバリアントもまた特性決定され、ゲノム編集のための使用に成功していて、それを以下の表1aにまとめている。
【0227】
【0228】
いくつかの実施形態では、Casヌクレアーゼは、それらの活性、特異性、認識、及び/または他の特性を変更するための1つ以上の変異を含んでよい。例えば、Casヌクレアーゼは、オフターゲット効果を軽減するためにその忠実度を変更する1つ以上の変異を有してよい(例えば、eSpCas9、SpCas9-HF1、HypaSpCas9、HeFSpCas9、及びevoSpCas9は、SpCas9の高忠実度バリアントである)。別の例では、Casヌクレアーゼは、そのPAM特異性を変更する1つ以上の変異を有してよい。
【0229】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、本明細書に記載されるCasタンパク質のうちいずれか1つまたはその機能部分を含む。本明細書で使用される場合、「機能部分」は、少なくとも1つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA(gRNA))と複合化し、標的ポリヌクレオチド配列を切断するその能力を保持するペプチドの部分を指す。いくつかの実施形態では、機能部分は、DNA結合ドメイン、少なくとも1つのRNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、及びエンドヌクレアーゼドメインからなる群から選択される、機能的に連結されたCas9タンパク質機能ドメインの組合せを含む。いくつかの実施形態では、機能部分は、DNA結合ドメイン、少なくとも1つのRNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、及びエンドヌクレアーゼドメインからなる群から選択される、機能的に連結されたCas12a(Cpf1としても知られる)タンパク質機能ドメインの組合せを含む。いくつかの実施形態では、機能ドメインは、複合体を形成する。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質の機能部分は、RuvC様ドメインの機能部分を含む。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質の機能部分は、HNHヌクレアーゼドメインの機能部分を含む。いくつかの実施形態では、Cas12aタンパク質の機能部分は、RuvC様ドメインの機能部分を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、好適なCasタンパク質としては、Cas0、Cas12a(すなわち、Cpf1)、Cas12b、Cas12i、CasX、及びMad7が挙げられるが、これらに限定されない。
【0231】
いくつかの実施形態では、外因性Casタンパク質は、ポリペプチド形態で細胞に導入され得る。ある特定の実施形態では、Casタンパク質は、細胞透過性ポリペプチドまたは細胞透過性ペプチドに複合化または融合され得る。本明細書で使用される場合、「細胞透過性ポリペプチド」及び「細胞透過性ペプチド」は、細胞への分子の取込みを容易にする、ポリペプチドまたはペプチドをそれぞれ指す。細胞透過性ポリペプチドは、検出可能な標識を含有し得る。
【0232】
ある特定の実施形態では、Casタンパク質は、荷電タンパク質(例えば、正電荷、負電荷、または全体的に中性の電荷を保有する)に複合化または融合され得る。そのような連結は、共有結合であってよい。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、Casタンパク質が細胞を透過する能力を著しく増加させるために、超正荷電GFPに融合され得る(Cronican et al.ACS Chem Biol.2010;5(8):747-52)。ある特定の実施形態では、Casタンパク質は、細胞内へのその進入を容易にするためにタンパク質形質導入ドメイン(PTD)に融合され得る。例示的なPTDとしては、Tat、オリゴアルギニン、及びペネトラチンが挙げられる。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、細胞透過性ペプチドに融合されたCas9ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、PTDに融合されたCas9ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、tatドメインに融合されたCas9ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、オリゴアルギニンドメインに融合されたCas9ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、ペネトラチンドメインに融合されたCas9ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、超正荷電GFPに融合されたCas9ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas12aタンパク質は、細胞透過性ペプチドに融合されたCas12aポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas12aタンパク質は、PTDに融合されたCas12aポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas12aタンパク質は、tatドメインに融合されたCas12aポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas12aタンパク質は、オリゴアルギニンドメインに融合されたCas12aポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas12aタンパク質は、ペネトラチンドメインに融合されたCas12aポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Cas12aタンパク質は、超正荷電GFPに融合されたCas12aポリペプチドを含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、Casタンパク質をコードする核酸の形態で、標的ポリヌクレオチド配列を含有する細胞に導入され得る。核酸を細胞に導入するプロセスは、任意の好適な技術によって達成され得る。好適な技術としては、リン酸カルシウムまたは脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、及びウイルスベクターを使用した形質導入または感染が挙げられる。いくつかの実施形態では、核酸はDNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、本明細書に記載されるような改変DNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸はmRNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、本明細書に記載されるような改変mRNA(例えば、合成改変mRNA)を含む。
【0234】
提供される実施形態では、CRISPR/Casシステムは一般に、2つの構成要素:1つ以上のガイドRNA(gRNA)及びCasタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、1つ以上の、例えば、1~2つなどのリボ核酸(例えば、ガイドRNA(gRNA))と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、2つのリボ核酸と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、1つのリボ核酸と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、本明細書に記載されるような改変核酸(例えば、合成改変mRNA)によってコードされる。
【0235】
いくつかの実施形態では、gRNAは、Cas結合のための足場配列及びcrRNAと称されるユーザー設計スペーサーまたは相補的部分で構成される短い合成RNAである。cRNAは、改変されるゲノム標的を定義するcrRNA標的指向性配列(本明細書では以後、gRNA標的指向性配列とも呼ばれ、通常は約20ヌクレオチド長)及びcrRNAリピートの領域(例えば、GUUUUAGAGCUA、配列番号:19)で構成される。gRNA中に存在する相補的部分配列(例えば、gRNA標的指向性配列)を単に変化させることによって、Casタンパク質のゲノム標的を変化させ得る。いくつかの実施形態では、Cas結合のための足場配列は、そのアンチリピート配列を介してcrRNAにハイブリダイズするtracrRNA配列(例えば、UAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUU、配列番号:20)で構成される。crRNA:tracrRNA間の複合体は、Casヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を動員し、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の上流で切断する。Casタンパク質が機能するためには、ゲノムDNA内の標的配列のすぐ下流にPAMが存在しなければならない。Casタンパク質によるPAMの認識は、隣接ゲノム配列を不安定化し、gRNAによる配列の照合を可能にして、一致する配列が存在する場合にgRNA-DNA対合をもたらすと考えられている。PAMの特異的配列は、Cas遺伝子の種に応じて変動する。例えば、化膿連鎖球菌に由来する最も一般的に使用されているCas9ヌクレアーゼは、NGGのPAM配列を認識する。代替PAMを有する他のCas9バリアント及び他のヌクレアーゼもまた特性決定され、ゲノム編集のための使用に成功している。したがって、CRISPR/Casシステムは、標的座位のために設計されたgRNAに相補的な特定のゲノム座位に標的DSBを作製するために使用され得る。crRNA及びtracrRNAは、キメラ一本鎖ガイドRNA(sgRNA、Hsu et al.2013)であるgRNAの生成のためにループ配列(例えば、テトラループ、GAAA)と共に連結され得る。sgRNAは、DNAベースの発現のために、または化学合成によって生成され得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、gRNAの相補的部分配列(例えば、gRNA標的指向性配列)は、目的の標的部位に応じて変動することになる。いくつかの実施形態では、gRNAは、表1に記載される遺伝子の配列に特異的な相補的部分を含む。いくつかの実施形態では、gRNAによって標的とされるゲノム座位は、記載されるような座位のいずれかの4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内に位置している。
【0237】
本明細書に開示される方法は、Casタンパク質を標的ポリヌクレオチド配列の標的モチーフに誘導し、それにハイブリダイズできる任意のリボ核酸の使用を企図する。いくつかの実施形態では、リボ核酸のうち少なくとも1つが含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、1~2つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA(gRNA))と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、2つのリボ核酸と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、1つのリボ核酸と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、本明細書に記載されるような改変核酸(例えば、合成改変mRNA)によってコードされる。
【0239】
本明細書に開示される方法は、Casタンパク質を標的ポリヌクレオチド配列の標的モチーフに誘導し、それにハイブリダイズできる任意のリボ核酸の使用を企図する。いくつかの実施形態では、リボ核酸のうち少なくとも1つが、tracrRNAを含む。いくつかの実施形態では、リボ核酸のうち少なくとも1つが、CRISPR RNA(crRNA)を含む。いくつかの実施形態では、一本鎖リボ核酸は、Casタンパク質を細胞内の標的ポリヌクレオチド配列の標的モチーフに誘導し、それにハイブリダイズするガイドRNAを含む。いくつかの実施形態では、リボ核酸のうち少なくとも1つが、Casタンパク質を細胞内の標的ポリヌクレオチド配列の標的モチーフに誘導し、それにハイブリダイズするガイドRNAを含む。いくつかの実施形態では、1~2つのリボ核酸の両方が、Casタンパク質を細胞内の標的ポリヌクレオチド配列の標的モチーフに誘導し、それにハイブリダイズするガイドRNAを含む。当業者には理解されることになるように、本明細書で提供されるリボ核酸は、用いられる特定のCRISPR/Casシステム、及び標的ポリヌクレオチドの配列に応じて様々な異なる標的モチーフにハイブリダイズするように選択され得る。1~2つのリボ核酸はまた、標的ポリヌクレオチド配列以外の核酸配列とのハイブリダイゼーションを最小限に抑えるように選択され得る。いくつかの実施形態では、1~2つのリボ核酸は、細胞における全ての他のゲノムヌクレオチド配列と比較される場合、少なくとも2つのミスマッチを含有する標的モチーフにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、1~2つのリボ核酸は、細胞における全ての他のゲノムヌクレオチド配列と比較される場合、少なくとも1つのミスマッチを含有する標的モチーフにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、1~2つのリボ核酸は、Casタンパク質によって認識されるデオキシリボ核酸モチーフにすぐ隣接する標的モチーフにハイブリダイズするように設計される。いくつかの実施形態では、1~2つのリボ核酸の各々が、標的モチーフ間に位置する変異体アレルに隣接するCasタンパク質によって認識されるデオキシリボ核酸モチーフにすぐ隣接する標的モチーフにハイブリダイズするように設計される。
【0240】
いくつかの実施形態では、1~2つのリボ核酸の各々が、Casタンパク質を細胞内の標的ポリヌクレオチド配列の標的モチーフに誘導し、それにハイブリダイズするガイドRNAを含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、1つまたは2つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA)は、標的ポリヌクレオチド配列の同じ鎖上の配列に相補的であり、及び/またはそれにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、1つまたは2つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA)は、標的ポリヌクレオチド配列の逆鎖上の配列に相補的であり、及び/またはそれにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、1つまたは2つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA)は、標的ポリヌクレオチド配列の逆鎖上の配列に相補的ではなく、及び/またはそれにはハイブリダイズしない。いくつかの実施形態では、1つまたは2つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA)は、標的ポリヌクレオチド配列の重複する標的モチーフに相補的であり、及び/またはそれにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、1つまたは2つのリボ核酸(例えば、ガイドRNA)は、標的ポリヌクレオチド配列の重複しない標的モチーフに相補的であり、及び/またはそれにハイブリダイズする。
【0242】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質をコードする核酸及び少なくとも1~2つのリボ核酸をコードする核酸は、ウイルス形質導入(例えば、レンチウイルス形質導入)を介して細胞に導入される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、1~2つのリボ核酸と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、2つのリボ核酸と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、1つのリボ核酸と複合化される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、本明細書に記載されるような改変核酸(例えば、合成改変mRNA)によってコードされる。
【0243】
本明細書に記載される遺伝子のCRISPR/Casベースの標的化に有用な、例示的なgRNA標的指向性配列が、表1に提供される。本配列は、2016年5月9日出願のWO2016183041に見出され得、表、付録、及び配列表を含む本開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0244】
【0245】
本明細書に記載される遺伝子のCRISPR/Casベースの標的化に有用な、追加の例示的なCas9ガイドRNA配列が、表1cに提供される。
【0246】
【0247】
いくつかの実施形態では、記載されるような遺伝子の発現を減少させるか、または排除するための遺伝子破壊の方法に使用することを目的とした、新規座位及び/またはgRNA標的指向性配列の同定は、当業者のレベルの範囲内である。例えば、CRISPR/Casシステムについて、特定の座位(例えば、表1に記載される、例えば、標的遺伝子内の)に対する既存のgRNA標的指向性配列が既知である場合、「インチワーム」手法を使用して、PAM配列の座位の両側にあるフランキング領域をスキャンすることによって、導入遺伝子の標的挿入のために追加の座位を同定でき、これは通常、ゲノムにわたって約100塩基対(bp)ごとに行われる。PAM配列は、使用される特定のCasヌクレアーゼに依存することになり、その理由として、異なるヌクレアーゼは通常、異なる対応するPAM配列を有するからである。座位の両側におけるフランキング領域は、約500~4000bp長、例えば、約500bp、約1000bp、約1500bp、約2000bp、約2500bp、約3000bp、約3500bp、または約4000bp長であり得る。検索範囲内でPAM配列が同定される場合、遺伝子破壊方法に使用するためのその座位の配列に従って新たなガイドが設計され得る。CRISPR/Casシステムは、例示として記載されているが、ZFN、TALEN、メガヌクレアーゼ及びトランスポザーゼを使用するものを含む、記載されるような任意の遺伝子編集手法が、新規座位を同定する本方法に使用され得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)手法を使用して作製される。「TALEヌクレアーゼ」(TALEN)とは、転写活性化因子様エフェクター(TALE)に通常由来する核酸結合ドメイン及び核酸標的配列を切断するための1つのヌクレアーゼ触媒ドメインからなる融合タンパク質を意図する。触媒ドメインは、いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼドメイン、例えば、I-TevI、ColE7、NucA及びFok-Iのような、エンドヌクレアーゼ活性を有するドメインなどである。特定の実施形態では、TALEドメインは、例えば、I-CreI及びI-OnuIまたはその機能的バリアントのような、メガヌクレアーゼに融合され得る。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、単量体TALEヌクレアーゼである。単量体TALEヌクレアーゼは、特異的認識及び切断のために二量体化、例えば、WO2012138927に記載される、操作TALリピートとI-TevIの触媒ドメインとの融合体などを必要としないTALEヌクレアーゼである。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、細菌種Xanthomonas由来のタンパク質であり、複数のリピート配列を含み、各リピートが、12位及び13位に核酸標的配列の各ヌクレオチド塩基に特異的な二残基(RVD)を含む。同様のモジュール式塩基対塩基核酸結合特性(modular base-per-base nucleic acid binding properties)(MBBBD)を有する結合ドメインもまた、異なる細菌種において本出願人によって最近発見された新規モジュールタンパク質に由来し得る。新規モジュールタンパク質は、TALリピートよりも高い配列可変性を示すという利点を有する。いくつかの実施形態では、異なるヌクレオチドの認識と関連するRVDは、Cを認識するためのHD、Tを認識するためのNG、Aを認識するためのNI、GまたはAを認識するためのNN、A、C、GまたはTを認識するためのNS、Tを認識するためのHG、Tを認識するためのIG、Gを認識するためのNK、Cを認識するためのHA、Cを認識するためのND、Cを認識するためのHI、Gを認識するためのHN、Gを認識するためのNA、GまたはAを認識するためのSN及びTを認識するためのYG、Aを認識するためのTL、AまたはGを認識するためのVTならびにAを認識するためのSWである。別の実施形態では、重要なアミノ酸12及び13は、ヌクレオチドA、T、C及びGに対するそれらの特異性を調節するために、ならびに特に本特異性を増強するために、他のアミノ酸残基に対して変異され得る。TALENキットは市販されている。
【0249】
いくつかの実施形態では、細胞は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を使用して操作される。「ジンクフィンガー結合タンパク質」は、亜鉛イオンの配位によるタンパク質構造の安定化の結果として、例えば、配列特異的様式でDNA、RNA及び/またはタンパク質と結合するタンパク質またはポリペプチドである。ジンクフィンガー結合タンパク質という用語は、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと略される場合が多い。個々のDNA結合ドメインは、典型的には「フィンガー」と称される。ZFPは、少なくとも1つのフィンガー、典型的には2つのフィンガー、3つのフィンガー、または6つのフィンガーを有する。各フィンガーは、2~4つのDNAの塩基対、典型的には3つまたは4つのDNAの塩基対と結合する。ZFPは、標的部位または標的セグメントと呼ばれる核酸配列に結合する。各フィンガーは、典型的にはおよそ30アミノ酸の亜鉛キレート化DNA結合サブドメインを含む。このクラスの単一ジンクフィンガーは、単一ベータターンの2つのシステイン残基と共に亜鉛と配位結合した2つのインバリアントヒスチジン残基を含有するアルファヘリックスからなることが、研究によって実証されている(例えば、Berg&Shi,Science 271:1081-1085(1996)を参照のこと)。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞は、ホーミングエンドヌクレアーゼを使用して作製される。そのようなホーミングエンドヌクレアーゼは、当該技術分野で周知である(Stoddard 2005)。ホーミングエンドヌクレアーゼは、DNA標的配列を認識し、一本鎖または二本鎖切断を生成する。ホーミングエンドヌクレアーゼは、高度に特異的であり、12~45塩基対(bp)長の範囲、通常は14~40bp長の範囲のDNA標的部位を認識する。ホーミングエンドヌクレアーゼは、例えば、LAGLIDADGエンドヌクレアーゼに、HNHエンドヌクレアーゼに、またはGIY-YIGエンドヌクレアーゼに対応する場合がある。いくつかの実施形態では、ホーミングエンドヌクレアーゼは、I-CreIバリアントであり得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞は、メガヌクレアーゼを使用して作製される。メガヌクレアーゼは、定義上、大きな配列を認識する配列特異的エンドヌクレアーゼである(Chevalier,B.S.and B.L.Stoddard,Nucleic Acids Res.,2001,29,3757-3774)。それらは、生細胞において特有の部位を切断し、それによって切断部位の近傍で遺伝子標的化を1000倍以上増強し得る(Puchta et al.,Nucleic Acids Res.,1993,21,5034-5040、Rouet et al.,Mol.Cell.Biol.,1994,14,8096-8106、Choulika et al.,Mol.Cell.Biol.,1995,15,1968-1973、Puchta et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1996,93,5055-5060、Sargent et al.,Mol.Cell.Biol.,1997,17,267-77、Donoho et al.,Mol.Cell.Biol,1998,18,4070-4078、Elliott et al.,Mol.Cell.Biol.,1998,18,93-101、Cohen-Tannoudji et al.,Mol.Cell.Biol.,1998,18,1444-1448)。
【0252】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞は、ポリペプチドの発現をノックダウンする(例えば、低減させる、排除する、または阻害する)ためにRNAサイレンシングまたはRNA干渉(RNAi)を使用して作製される。有用なRNAi法は、合成RNAi分子、短分子干渉RNA(siRNA)、PIWI相互作用NRA(piRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、及び当業者によって認識される他の一過性ノックダウン法を利用するものを含む。配列特異的shRNA、siRNA、miRNAなどを含むRNAiの試薬は、市販されている。例えば、標的ポリヌクレオチド、例えば、上に記載されるいずれか、例えば、CIITA、B2M、またはNLRC5などは、標的ポリヌクレオチドの標的モチーフに相補的な阻害核酸、例えば、siRNAなどを細胞に導入することによるRNA干渉によって細胞内でノックダウンされ得る。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド、例えば、上に記載されるいずれか、例えば、CIITA、B2M、またはNLRC5などは、shRNA発現ウイルスを細胞に形質導入することによって細胞内でノックダウンされ得る。いくつかの実施形態では、RNA干渉は、CIITA、B2M、及びNLRC5からなる群から選択される少なくとも1つの発現を減少させるか、または阻害するために用いられる。
【0253】
3.例示的な標的ポリヌクレオチド、及び発現を減少させる方法
A.MHCクラスI分子
ある特定の実施形態では、改変は、副鎖B2Mを標的とすることによって1つ以上のMHCクラスI分子(例えば、1つ以上のMHCクラスI分子をコードする1つ以上のMHCクラスI遺伝子)の発現を減少させるか、または排除する、例えば、ノックアウトなどをする。いくつかの実施形態では、改変は、CRISPR/Casシステムを使用して行われる。B2Mの発現を減少させるか、または排除する、例えば、ノックアウトなどをすることによって、1つ以上のMHCクラスI分子の表面輸送が遮断され、そのような細胞は、レシピエント対象に移植される場合に免疫寛容を示す。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば、投与時にレシピエント対象または患者における低免疫原性とみなされる。
【0254】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される標的ポリヌクレオチド配列は、B2Mのバリアントである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、B2Mのホモログである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、B2Mのオルソログである。
【0255】
いくつかの実施形態では、B2Mの発現低減または排除は、以下のMHCクラスI分子:HLA-A、HLA-B、及びHLA-Cのうち1つ以上の発現を減少させるか、または排除する。
【0256】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、B2M遺伝子を標的とする改変を含む。いくつかの実施形態では、B2M遺伝子を標的とする改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びB2M遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列を含む標的ヌクレアーゼシステムを使用することによって行われる。いくつかの実施形態では、B2M遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列(例えば、gRNA標的指向性配列)は、WO2016/183041の付録2または表15の配列番号:81240~85644からなる群から選択され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0257】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるようなポリペプチド(例えば、キメラ抗原受容体、CD47、または本明細書に開示される別の寛容原性因子)をコードする外因性核酸または導入遺伝子は、B2M遺伝子に挿入される。B2M座位での標的挿入を目的とした例示的な導入遺伝子としては、節II.Bに記載されるようないずれかが挙げられる。
【0258】
B2M遺伝子が不活性化されているかどうかを試験するためのアッセイは既知であり、本明細書に記載される。一実施形態では、PCRによって得られたB2M遺伝子の改変及びHLA-I発現の減少は、フローサイトメトリーによる、例えば、FACS分析などによるアッセイであり得る。別の実施形態では、B2Mタンパク質発現は、B2Mタンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、不活性化改変の存在を確認するために使用される。
【0259】
いくつかの実施形態では、操作細胞における1つ以上のMHCクラスI分子の発現または機能(細胞がヒト細胞に由来する場合はHLA I)の減少は、当該技術分野において既知の技術、例えば、HLA複合体と結合する標識抗体を使用する、例えば、ヒト主要組織適合性HLAクラスI抗原のアルファ鎖に結合する市販のHLA-A、B、C抗体を使用するFACS技術を使用して測定され得る。加えて、細胞は、HLA I複合体が細胞表面上で発現されないことを確認するために試験され得る。これは、上で述べられるような1つ以上のHLA細胞表面成分に対して抗体を使用するFACS分析によってアッセイされてよい。HLA I(またはMHCクラスI)の減少に加えて、本明細書で提供される操作細胞は、マクロファージ食作用及びNK細胞死滅に対して感受性の減少を有する。操作細胞の低免疫原性表現型をアッセイする方法が、以下でさらに記載される。
【0260】
B.MHCクラスII分子
ある特定の態様では、改変は、クラスIIトランス活性化因子(CIITA)発現を標的とすることによって、1つ以上のMHCクラスII遺伝子の発現を減少させるか、または排除する、例えば、ノックアウトなどをする。いくつかの実施形態では、改変は、CRISPR/Casシステムを使用して行われる。CIITAは、タンパク質のLRまたはヌクレオチド結合ドメイン(NBD)ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのメンバーであり、MHCエンハンセオソームと会合することによって1つ以上のMHCクラスII遺伝子の転写を制御する。CIITAの発現を減少させるか、または排除する、例えば、ノックアウトなどをすることによって、1つ以上のMHCクラスII分子の発現が減少し、それによって表面発現も減少する。いくつかの場合には、そのような細胞は、レシピエント対象に移植される場合に免疫寛容を示す。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば、投与時にレシピエント対象または患者における低免疫原性とみなされる。
【0261】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CIITAのバリアントである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CIITAのホモログである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CIITAのオルソログである。
【0262】
いくつかの実施形態では、CIITAの発現減少または排除は、以下のMHCクラスII分子:HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、及びHLA-DRのうち1つ以上の発現を減少させるか、または排除する。
【0263】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、CIITA遺伝子を標的とする改変を含む。いくつかの実施形態では、CIITA遺伝子を標的とする改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びCIITA遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列を含む標的ヌクレアーゼシステムによる。いくつかの実施形態では、CIITA遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列(例えば、gRNA標的指向性配列)は、WO2016183041の付録1または表12の配列番号:5184~36352からなる群から選択され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0264】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるようなポリペプチド(例えば、キメラ抗原受容体、CD47、または本明細書に開示される別の寛容原性因子)をコードする外因性核酸または導入遺伝子は、CIITA遺伝子に挿入される。B2M座位での標的挿入を目的とした例示的な導入遺伝子としては、節II.Bに記載されるようないずれかが挙げられる。
【0265】
CIITA遺伝子が不活性化されているかどうかを試験するためのアッセイは既知であり、本明細書に記載される。一実施形態では、PCRによって得られたCIITA遺伝子の改変及びHLA-II発現の減少は、フローサイトメトリーによる、例えば、FACS分析などによるアッセイであり得る。別の実施形態では、CIITAタンパク質発現は、CIITAタンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、不活性化改変の存在を確認するために使用される。
【0266】
いくつかの実施形態では、操作細胞における1つ以上のMHCクラスII分子の発現または機能(細胞がヒト細胞に由来する場合はHLA II)の減少は、当該技術分野において既知の技術、例えば、タンパク質に対して抗体を使用するウェスタンブロッティング、FACS技術、RT-PCR技術などを使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、操作細胞は、HLA II複合体が細胞表面上で発現されないことを確認するために試験され得る。表面発現を評価する方法は、当該技術分野において既知の方法(例えば、WO2018132783の
図21を参照のこと)を含み、一般にヒトHLAクラスII HLA-DR、DP及び大半のDQ抗原に結合する市販の抗体に基づいてウェスタンブロットまたはFACS分析のいずれかを使用して行われる。1つ以上のHLAクラスII分子(または1つ以上のMHCクラスII分子)の減少に加えて、本明細書で提供される操作細胞は、マクロファージ食作用及びNK細胞死滅に対して感受性の減少を有する。操作細胞の低免疫原性表現型をアッセイする方法が、以下でさらに記載される。
【0267】
C.CD142
ある特定の態様では、改変は、CD142の発現を減少させるか、または排除する、例えば、ノックアウトなどをする。いくつかの実施形態では、改変は、CRISPR/Casシステムを使用して行われる。組織因子(F3)としても知られるCD142は、循環因子VIIまたは第VIIa因子と複合体を形成することによって血液凝固を開始する膜結合タンパク質である。CD142(TF):VIIa複合体は、特異的な限定分解によって第IX因子または第X因子を活性化する。CD142(TF)は、細胞表面集合及び凝固プロテアーゼカスケードの伝播を開始することによって正常な止血において役割を果たす。CD142の発現を減少させるか、または排除する、例えば、ノックアウトなどをすることによって、1つ以上のMHCクラスII分子の発現が減少し、それによって表面発現も減少する。いくつかの場合には、そのような細胞は、レシピエント対象に移植される場合に免疫寛容を示す。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば、投与時にレシピエント対象または患者における低免疫原性とみなされる。
【0268】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142のバリアントである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142のホモログである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142のオルソログである。
【0269】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD142遺伝子を標的とする改変を含む。いくつかの実施形態では、CD142遺伝子を標的とする改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びCD142遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列を含む標的ヌクレアーゼシステムによる。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142またはCD142のバリアントである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142のホモログである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド配列は、CD142のオルソログである。
【0270】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、CD142遺伝子を標的とする改変を含む。いくつかの実施形態では、レアカットエンドヌクレアーゼによるCD142遺伝子を標的とする改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びCD142遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸(gRNA)配列を含む。CD142を標的とするgRNA配列を特定する有用な方法は、以下に記載される。
【0271】
CD142遺伝子が不活性化されているかどうかを試験するためのアッセイは既知であり、本明細書に記載される。一実施形態では、PCRによって得られたCD142遺伝子の改変及びCD142発現の減少は、FACS分析によるアッセイであり得る。別の実施形態では、CD142タンパク質発現は、CD142タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、不活性化改変の存在を確認するために使用される。
【0272】
ヒトCD142についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC01M094530、HGNC番号3541、NCBI Gene ID2152、NCBI RefSeq番号NM_001178096.1、NM_001993.4、NP_001171567.1、及びNP_001984.1、UniProt番号P13726などで提供される。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるようなポリペプチド(例えば、キメラ抗原受容体、CD46、CD59、CD55、もしくはCD47または本明細書に開示される別の寛容原性因子)をコードする外因性核酸または導入遺伝子は、CD142遺伝子に挿入される。CD142座位での標的挿入を目的とした例示的な導入遺伝子としては、節II.Bに記載されるようないずれかが挙げられる。
【0274】
いくつかの実施形態では、操作細胞におけるCD142の発現または機能の減少は、当該技術分野において既知の技術、例えば、タンパク質に対して抗体を使用するウェスタンブロッティング、FACS技術、RT-PCR技術などを使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD142が細胞表面上で発現されないことを確認するために試験され得る。表面発現を評価する方法は、当該技術分野において既知の方法(例えば、WO2018132783の
図21を参照のこと)を含み、一般にヒトCD142に結合する市販の抗体に基づいてウェスタンブロットまたはFACS分析のいずれかを使用して行われる。CD142の減少に加えて、本明細書で提供される操作細胞は、IBMIRに対して感受性の減少を有する。操作細胞の低免疫原性表現型をアッセイする方法が、以下でさらに記載される。
【0275】
いくつかの実施形態では、CD142発現を減少させる改変は、CD142 mRNA発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CD142のmRNA発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の非改変または野生型細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、CD142のmRNA発現は、約5%を超えて減少し、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超えるいずれかを超えて減少するなどである。いくつかの実施形態では、CD142のmRNA発現は、最大約100%減少し、例えば、最大約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、またはそれ未満のいずれかで減少するなどである。いくつかの実施形態では、CD142のmRNA発現は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかで減少する。いくつかの実施形態では、CD142のmRNA発現は排除される(例えば、CD142 mRNAの0%発現)。いくつかの実施形態では、CD142 mRNA発現を減少させる改変は、CD142遺伝子活性を排除する。
【0276】
いくつかの実施形態では、CD142発現を減少させる改変は、CD142タンパク質発現を減少させる。いくつかの実施形態では、CD142のタンパク質発現減少は、改変を含まない同じ細胞型の非改変または野生型細胞と比較してのものである。いくつかの実施形態では、CD142のタンパク質発現は、約5%を超えて減少し、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超えるいずれかを超えて減少するなどである。いくつかの実施形態では、CD142のタンパク質発現は、最大約100%減少し、例えば、最大約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、またはそれ未満のいずれかで減少するなどである。いくつかの実施形態では、CD142のタンパク質発現は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかで減少する。いくつかの実施形態では、CD142のタンパク質発現は排除される(例えば、CD142タンパク質の0%発現)。いくつかの実施形態では、CD142タンパク質発現を減少させる改変は、CD142遺伝子活性を排除する。
【0277】
いくつかの実施形態では、CD142発現を減少させる改変は、CD142遺伝子の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、CD142発現を減少させる改変は、CD142遺伝子の片アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、CD142発現を減少させる改変は、CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む不活性化または破壊を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、改変は、細胞における1つ以上のCD142コード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子内のインデルを含む不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子のゲノムDNAの欠失である。いくつかの実施形態では、改変は、CD142遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失である。
【0279】
CD142を標的とするための例示的なガイド配列は既知であり、例えば、
である。
【0280】
B.ポリヌクレオチドの過剰発現
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、細胞内で所望のポリヌクレオチドを過剰発現するように細胞に1つ以上の改変を導入することなどによって、遺伝子改変または操作される。いくつかの実施形態では、改変または操作される細胞は、1つ以上の改変が予め導入されていない、非改変細胞または非操作細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、外因性タンパク質をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド(「導入遺伝子」という用語とも交換可能に使用される)を含むように遺伝子改変される。記載されているように、いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエントにおける免疫認識及び寛容に影響を及ぼす寛容(例えば、免疫)因子である、ある特定の遺伝子の発現を増加させるように改変される。いくつかの実施形態では、提供される操作細胞、例えば、T細胞またはNK細胞なども、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する。1つ以上のポリヌクレオチド、例えば、外因性ポリヌクレオチドは、上記節I.Aに記載される標的ポリヌクレオチド、例えば、1つ以上のMHCクラスI及び/または1つ以上のMHCクラスII分子あるいはCD142などの発現を減少させるために、1つ以上の遺伝子改変と共に操作細胞内で発現(例えば、過剰発現)されてよい。いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、レシピエント対象への投与時に免疫応答を誘発または活性化しない。
【0281】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える異なる過剰発現ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える異なる過剰発現ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、過剰発現ポリヌクレオチドは、外因性ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、操作細胞は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える異なる外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超える異なる外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、過剰発現ポリヌクレオチドは、細胞内でエピソームとして発現される外因性ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、過剰発現ポリヌクレオチドは、操作細胞の1つ以上のゲノム座位に挿入または組み込まれる外因性ポリヌクレオチドである。
【0282】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの発現が増加する、すなわち、ポリヌクレオチドは、DNA標的指向性ドメイン及び転写活性化因子を含有する融合タンパク質を使用して過剰発現される。トランス活性化因子ドメインを使用して発現を増加させる標的方法は、当業者に既知である。
【0283】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、1つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含有し、この1つ以上の外因性ポリヌクレオチドは、非標的挿入方法によって、例えば、レンチウイルスベクターを用いた形質導入などによって細胞のゲノム座位に挿入または組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性ポリヌクレオチドは、標的挿入方法によって、例えば、相同組換え修復(HDR)を使用することなどによって細胞のゲノムに挿入または組み込まれる。本明細書に記載される遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)を含む、任意の好適な方法が、HDRによって操作細胞のゲノム座位に外因性ポリヌクレオチドを挿入するために使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性ポリヌクレオチドは、1つ以上のゲノム座位、例えば、本明細書(例えば、表2)に記載される任意のゲノム座位などに挿入される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、同じゲノム座位に挿入される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、異なるゲノム座位に挿入される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドのうち2つ以上が、同じゲノム座位、例えば、本明細書(例えば、表2)に記載される任意のゲノム座位などに挿入される。いくつかの実施形態では、2つ以上の外因性ポリヌクレオチドは、異なるゲノム座位、例えば、本明細書(例えば、表2)に記載されるような2つ以上のゲノム座位などに挿入される。
【0284】
例示的なポリヌクレオチドまたは過剰発現、及びこれらを過剰発現する方法は、以下の小節に記載されている。
【0285】
1.補体インヒビター
いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターの発現は、細胞内で増加する。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、1つ以上の膜結合補体インヒビターである。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドのうち少なくとも1つは、補体インヒビターをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46、CD59、CD55、またはそれらの任意の組合せである。例えば、いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドのうち少なくとも1つは、CD46などの1つ以上の補体インヒビターをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46及びCD59、またはCD46、CD59、及びCD55である。いくつかの実施形態では、CD46及びCD59またはCD46、CD59、及びCD55の発現は、細胞またはその集団を、細胞によって発現される細胞表面抗原に対する抗体の存在下を含む、補体依存性細胞傷害から保護する。
【0286】
いくつかの実施形態では、本開示は、CD46、CD59、CD55、またはそれらの任意の組合せなどの1つ以上の補体インヒビターを発現するように改変されている細胞またはその集団を提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46及びCD59である。いくつかの実施形態では、1つ以上の補体インヒビターは、CD46、CD59、及びCD55である。いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の補体インヒビターを発現するように細胞ゲノムを変更する方法を提供する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、外因性CD46及びCD59またはCD46、CD59、及びCD55などの1つ以上の外因性補体インヒビターを発現する。いくつかの場合では、細胞は、ヒトCD46ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを発現する。いくつかの場合では、細胞は、ヒトCD59ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを発現する。いくつかの場合では、細胞は、ヒトCD55ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを発現する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、任意の組合せで2つ以上の補体インヒビターをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、CD46及びCD59をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、CD46、CD59、及びCD55をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0287】
D.CD46
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD46などのCD46をコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD46などのCD46をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CD46は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CD46の発現は、参照細胞または非改変細胞がCD46をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。CD46は、膜結合補体インヒビターである。これは、補体因子Iの補因子として作用し、セリンプロテアーゼは、C3b及びC4bの切断による補体媒介損傷から自己細胞を保護する。ヒトCD46についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC01P207752、HGNC番号6953、NCBI Gene ID4179、Uniprot番号P15529、ならびにNCBI Ref Seq番号NM_002389.4、NM_153826.3、NM_172350.2、NM_172351.2、NM_172352.2、NP_758860.1、NM_172353.2、NM_172359.2、NM_172361.2、NP_002380.3、NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1で提供される。
【0288】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_002380.3、NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD46ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_002380.3、NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD46ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_002389.4、NM_153826.3、NM_172350.2、NM_172351.2、NM_172352.2、NP_758860.1、NM_172353.2、NM_172359.2、及びNM_172361.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD46の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_001777.3及びNM_002389.4、NM_153826.3、NM_172350.2、NM_172351.2、NM_172352.2、NP_758860.1、NM_172353.2、NM_172359.2、ならびにNM_172361.2に記載されるようなCD46の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_002380.3、NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD46ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_002380.3、NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD46ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_002389.4、NM_153826.3、NM_172350.2、NM_172351.2、NM_172352.2、NP_758860.1、NM_172353.2、NM_172359.2、及びNM_172361.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD46の外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_001777.3及びNM_002389.4、NM_153826.3、NM_172350.2、NM_172351.2、NM_172352.2、NP_758860.1、NM_172353.2、NM_172359.2、ならびにNM_172361.2に記載されるようなCD46の外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する過剰発現CD46ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する外因性CD46ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列を有する過剰発現CD46ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_722548.1、NP_758860.1、NP_758861.1、NP_758862.1、NP_758863.1、NP_758869.1、及びNP_758871.1に記載されるようなアミノ酸配列を有する外因性CD46ポリペプチドを含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:4に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD46ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:4に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD46ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:4に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD46ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:4に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD46ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:3に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD46ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:3に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD46ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CD46ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列は、異種シグナルペプチドをコードする配列に機能的に連結されている。
【0293】
いくつかの実施形態では、CD46の全てまたは機能部分は、他の構成要素、例えば、シグナルペプチド、リーダー配列、分泌シグナル、標識(例えば、レポーター遺伝子)、またはそれらの任意の組合せなどに連結され得る。いくつかの実施形態では、CD46のシグナルペプチドをコードする核酸配列は、異種タンパク質からのシグナルペプチドをコードする核酸配列で置き換えられている。異種タンパク質は、例えば、CD8α、CD28、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、成長ホルモン、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、GM-CSF受容体(GM-CSFRa)、または免疫グロブリン(例えば、IgEもしくはIgK)であり得る。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、免疫グロブリン(IgG重鎖もしくはIgGカッパ軽鎖など)、サイトカイン(インターロイキン-2(IL-2)、もしくはCD33など)、血清アルブミンタンパク質(例えば、HSAもしくはアルブミン)、ヒトアズロシジンプレタンパク質シグナル配列、ルシフェラーゼ、トリプシノーゲン(例えば、キモトリプシノーゲンもしくはトリプシノーゲン)からのシグナルペプチドまたは細胞によって、もしくは細胞上でタンパク質を効率的に発現できる他のシグナルペプチドである。
【0294】
ある特定の実施形態では、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0295】
いくつかの実施形態では、CD46をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、CD46をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、SHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CD46をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、CD46をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、CD46をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、CD46をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0296】
いくつかの実施形態では、CD46タンパク質発現は、CD46タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性CD46 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0297】
E.CD59
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD59などのCD59をコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD59などのCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CD59は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CD59の発現は、参照細胞または非改変細胞がCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。CD59は、膜結合補体インヒビターである。より具体的には、CD59は、補体膜侵襲複合体(MAC)活性の阻害剤である。CD59は、集合するMACのC8及び/またはC9補体に結合して作用し、それによって浸透圧溶解細孔の完全な形成に必要なC9の複数コピーの組込みを防止する。ヒトCD59についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC11M033704、HGNC番号1689、NCBI Gene ID966、Uniprot番号P13987、ならびにNCBI RefSeq番号NP_000602.1、NM_000611.5、NP_001120695.1、NM_001127223.1、NP_001120697.1、NM_001127225.1、NP_001120698.1、NM_001127226.1、NP_001120699.1、NM_001127227.1、NP_976074.1、NM_203329.2、NP_976075.1、NM_203330.2、NP_976076.1、及びNM_203331.2で提供される。
【0298】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_000611.5、NM_001127223.1、NM_001127225.1、NM_001127226.1、NM_001127227.1、NM_203329.2、NM_203330.2、及びNM_203331.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_000611.5、NM_001127223.1、NM_001127225.1、NM_001127226.1、NM_001127227.1、NM_203329.2、NM_203330.2、及びNM_203331.2に記載されるようなCD59の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_000611.5、NM_001127223.1、NM_001127225.1、NM_001127226.1、NM_001127227.1、NM_203329.2、NM_203330.2、及びNM_203331.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_000611.5、NM_001127223.1、NM_001127225.1、NM_001127226.1、NM_001127227.1、NM_203329.2、NM_203330.2、及びNM_203331.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59の外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_000611.5、NM_001127223.1、NM_001127225.1、NM_001127226.1、NM_001127227.1、NM_203329.2、NM_203330.2、及びNM_203331.2に記載されるようなCD59の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_000611.5、NM_001127223.1、NM_001127225.1、NM_001127226.1、NM_001127227.1、NM_203329.2、NM_203330.2、及びNM_203331.2に記載されるようなCD59の外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する過剰発現CD59ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する外因性CD59ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列を有する過剰発現CD59ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000602.1、NP_001120695.1、NP_001120697.1、NP_001120698.1、NP_001120699.1、NP_976074.1、NP_976075.1、及びNP_976076.1に記載されるようなアミノ酸配列を有する外因性CD59ポリペプチドを含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:6に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:6に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:6に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:6に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0302】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:5に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:5に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:5に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD59ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:5に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列は、異種シグナルペプチドをコードする配列に機能的に連結されている。
【0303】
いくつかの実施形態では、CD59の全てまたは機能部分は、他の構成要素、例えば、シグナルペプチド、リーダー配列、分泌シグナル、標識(例えば、レポーター遺伝子)、またはそれらの任意の組合せなどに連結され得る。いくつかの実施形態では、CD59のシグナルペプチドをコードする核酸配列は、異種タンパク質からのシグナルペプチドをコードする核酸配列で置き換えられている。異種タンパク質は、例えば、CD8α、CD28、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、成長ホルモン、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、GM-CSF受容体(GM-CSFRa)、または免疫グロブリン(例えば、IgEもしくはIgK)であり得る。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、免疫グロブリン(IgG重鎖もしくはIgGカッパ軽鎖など)、サイトカイン(インターロイキン-2(IL-2)、もしくはCD33など)、血清アルブミンタンパク質(例えば、HSAもしくはアルブミン)、ヒトアズロシジンプレタンパク質シグナル配列、ルシフェラーゼ、トリプシノーゲン(例えば、キモトリプシノーゲンもしくはトリプシノーゲン)からのシグナルペプチドまたは細胞によって、もしくは細胞上でタンパク質を効率的に発現できる他のシグナルペプチドである。
【0304】
ある特定の実施形態では、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0305】
いくつかの実施形態では、CD59をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、CD59をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CD59をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、CD59をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、CD59をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、CD59をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0306】
いくつかの実施形態では、CD59タンパク質発現は、CD59タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性CD59 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0307】
F.CD55
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD55などのCD55をコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD55などのCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CD55は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CD55の発現は、参照細胞または非改変細胞がCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。CD55は、膜結合補体インヒビターである。いくつかの実施形態では、CD55と細胞会合C4b及びC3bポリペプチドとの相互作用は、C2及びB因子の酵素的に活性なC2a及びBbへの変換を触媒するそれらの能力を妨げ、それによって補体カスケードの増幅転換酵素であるC4b2a及びC3bBbの形成を防止する。いくつかの実施形態では、CD55は、C3及びC5転換酵素の形成を不安定化及び防止することによって補体活性化を阻害する。ヒトCD55(補体崩壊促進因子としても知られる)についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC01P207321、HGNC番号2665、NCBI Gene ID1604、Uniprot番号P08174、ならびにNCBI RefSeq番号NM_000574.4、NM_001114752.2、NM_001300903.1、NM_001300904.1、NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1で提供される。
【0308】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD55ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_001777.3及びNM_198793.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_000574.4、NM_001114752.2、NM_001300903.1、及びNM_001300904.1に記載されるようなCD55の過剰発現ヌクレオチド配列を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD55ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_001777.3及びNM_198793.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55の外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_000574.4、NM_001114752.2、NM_001300903.1、及びNM_001300904.1に記載されるようなCD55の外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する過剰発現CD55ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する外因性CD55ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列を有する過剰発現CD55ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_000565.1、NP_001108224.1、NP_001287832.1、及びNP_001287833.1に記載されるようなアミノ酸配列を有する外因性CD55ポリペプチドを含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:9に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:9に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:9に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD55ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:9に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD55ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:8に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:8に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD55ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:8に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD55ポリペプチドをコードする過剰発現ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、配列番号:8に記載されるようなアミノ酸配列を含むCD55ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列は、異種シグナルペプチドをコードする配列に機能的に連結されている。
【0313】
いくつかの実施形態では、CD55の全てまたは機能部分は、他の構成要素、例えば、シグナルペプチド、リーダー配列、分泌シグナル、標識(例えば、レポーター遺伝子)、またはそれらの任意の組合せなどに連結され得る。いくつかの実施形態では、CD55のシグナルペプチドをコードする核酸配列は、異種タンパク質からのシグナルペプチドをコードする核酸配列で置き換えられている。異種タンパク質は、例えば、CD8α、CD28、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、成長ホルモン、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、GM-CSF受容体(GM-CSFRa)、または免疫グロブリン(例えば、IgEもしくはIgK)であり得る。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、免疫グロブリン(IgG重鎖もしくはIgGカッパ軽鎖など)、サイトカイン(インターロイキン-2(IL-2)、もしくはCD33など)、血清アルブミンタンパク質(例えば、HSAもしくはアルブミン)、ヒトアズロシジンプレタンパク質シグナル配列、ルシフェラーゼ、トリプシノーゲン(例えば、キモトリプシノーゲンもしくはトリプシノーゲン)からのシグナルペプチドまたは細胞によって、もしくは細胞上でタンパク質を効率的に発現できる他のシグナルペプチドである。
【0314】
ある特定の実施形態では、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0315】
いくつかの実施形態では、CD55をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、CD55をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CD55をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、CD55をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、CD55をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、CD55をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0316】
いくつかの実施形態では、CD55タンパク質発現は、CD55タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性CD55 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0317】
G.補体インヒビターの組合せ
いくつかの実施形態では、細胞は、CD46、CD59、及びCD55からなる群から、任意の組合せで選択される2つ以上の補体インヒビターの発現増加を含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、上に記載されるいずれかなどのCD46をコードする過剰発現ポリヌクレオチド、及び上に記載されるいずれかなどのCD59をコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含有する。
【0319】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、上に記載されるいずれかなどのCD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び上に記載されるいずれかなどのCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。
【0320】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46及びCD59の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を含まない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)CD46及びCD59の発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)、CD46及びCD59発現の1.5倍~2倍、2倍~3倍、3倍~4倍、4倍~5倍、5倍~10倍、10倍~15倍、15倍~20倍、20倍~40倍、40倍~60倍、60倍~80倍、80倍~100倍、または100倍~200倍の増加を含む。いくつかの実施形態では、改変(複数可)を有しない細胞は、CD46及びCD59の内因性発現を有しないか、またはCD46及びCD59の検出可能な発現を有しない。いくつかの実施形態では、改変を欠く細胞と比較して、発現の増加倍率は200倍よりも大きい。
【0321】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46及びCD59の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)、CD46及びCD59発現の2倍~200倍、2倍~100倍、2倍~50倍、または2倍~20倍の増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46及びCD59の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)、CD46及びCD59発現の5倍~200倍、5倍~100倍、5倍~50倍、または5倍~20倍の増加を含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46及びCD59の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を含まない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)CD46及びCD59の発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)、CD46及びCD59発現の少なくとも2倍もしくは約2倍、少なくとも4倍もしくは約4倍、少なくとも6倍もしくは約6倍、少なくとも10倍もしくは約10倍、少なくとも15倍もしくは約15倍、少なくとも20倍もしくは約20倍、少なくとも30倍もしくは約30倍、少なくとも50倍もしくは約50倍、少なくとも60倍もしくは約60倍、少なくとも70倍もしくは約70倍、少なくとも80倍もしくは約80倍、少なくとも100倍もしくは約100倍、または前述した値のいずれかの間における任意の値の増加を含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46及びCD59の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を含まない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)CD46及びCD59の発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)、CD46及びCD59発現の2倍もしくは約2倍、4倍もしくは約4倍、6倍もしくは約6倍、10倍もしくは約10倍、15倍もしくは約15倍、20倍もしくは約20倍、30倍もしくは約30倍、50倍もしくは約50倍、60倍もしくは約60倍、70倍もしくは約70倍、80倍もしくは約80倍、100倍もしくは約100倍、または前述した値のいずれかの間における任意の値の増加を含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、細胞は、CD46及びCD59をコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、以下の節II.B.4に記載されるような、モノシストロン性またはマルチシストロン性ベクターである。いくつかの実施形態では、CD46及びCD59は、同じマルチシストロン性ベクターに含まれ、任意にCD47などの1つ以上の寛容原性因子と組み合わされる。いくつかの実施形態では、CD46及びCD59は、異なる導入遺伝子に含まれ、任意にCD47などの1つ以上の寛容原性因子と組み合わされる。
【0325】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、上に記載されるいずれかなどのCD46をコードする過剰発現ポリヌクレオチド、上に記載されるいずれかなどのCD59をコードする過剰発現ポリヌクレオチド、及び上に記載されるいずれかなどのCD55をコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含有する。
【0326】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、上に記載されるいずれかなどのCD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、上に記載されるいずれかなどのCD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び上に記載されるいずれかなどのCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。
【0327】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46、CD59、及びCD55の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を含まない細胞と比較して(例えば、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現と比較して)CD46、CD59、及びCD55の発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現と比較して)、CD46、CD59、及びCD55発現の1.5倍~2倍、2倍~3倍、3倍~4倍、4倍~5倍、5倍~10倍、10倍~15倍、15倍~20倍、20倍~40倍、40倍~60倍、60倍~80倍、80倍~100倍、または100倍~200倍の増加を含む。いくつかの実施形態では、改変(複数可)を有しない細胞は、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現を有しないか、またはCD46、CD59、及びCD55の検出可能な発現を有しない。いくつかの実施形態では、改変を欠く細胞と比較して、発現の増加倍率は200倍よりも大きい。
【0328】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46、CD59、及びCD55の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現と比較して)、CD46、CD59、及びCD55発現の2倍~200倍、2倍~100倍、2倍~50倍、または2倍~20倍の増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46、CD59、及びCD55の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現と比較して)、CD46、CD59、及びCD55発現の5倍~200倍、5倍~100倍、5倍~50倍、または5倍~20倍の増加を含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46、CD59、及びCD55の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を含まない細胞と比較して(例えば、CD46及びCD59の内因性発現と比較して)CD46、CD59、及びCD55の発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現と比較して)、CD46、CD59、及びCD55発現の少なくとも2倍もしくは約2倍、少なくとも4倍もしくは約4倍、少なくとも6倍もしくは約6倍、少なくとも10倍もしくは約10倍、少なくとも15倍もしくは約15倍、少なくとも20倍もしくは約20倍、少なくとも30倍もしくは約30倍、少なくとも50倍もしくは約50倍、少なくとも60倍もしくは約60倍、少なくとも70倍もしくは約70倍、少なくとも80倍もしくは約80倍、少なくとも100倍もしくは約100倍、または前述した値のいずれかの間における任意の値の増加を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、操作細胞(CD46、CD59、及びCD55の発現を増加させる1つ以上の改変を含む)は、改変を含まない細胞と比較して(例えば、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現と比較して)CD46、CD59、及びCD55の発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、改変を有しない細胞と比較して(例えば、CD46、CD59、及びCD55の内因性発現と比較して)、CD46、CD59、及びCD55発現の2倍もしくは約2倍、4倍もしくは約4倍、6倍もしくは約6倍、10倍もしくは約10倍、15倍もしくは約15倍、20倍もしくは約20倍、30倍もしくは約30倍、50倍もしくは約50倍、60倍もしくは約60倍、70倍もしくは約70倍、80倍もしくは約80倍、100倍もしくは約100倍、または前述した値のいずれかの間における任意の値の増加を含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、細胞は、CD46、CD59、及びCD55をコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、以下の節II.B.4に記載されるような、モノシストロン性またはマルチシストロン性ベクターである。いくつかの実施形態では、CD46、CD59、及びCD55は、同じマルチシストロン性ベクターに含まれ、任意にCD47などの1つ以上の寛容原性因子と組み合わされる。いくつかの実施形態では、CD46、CD59、及びCD55は、異なる導入遺伝子に含まれ、任意にCD47などの1つ以上の寛容原性因子と組み合わされる。
【0332】
2.寛容原性因子
いくつかの実施形態では、寛容原性因子の発現は、細胞内で過剰発現されるか、または増加する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、少なくとも1つの寛容原性因子の発現増加、すなわち、過剰発現を含む。いくつかの実施形態では、寛容原性因子は、免疫系(例えば、自然または適応免疫系)によって操作細胞に対する寛容を促進するか、または寛容の促進もしくは誘導に寄与する任意の因子である。いくつかの実施形態では、寛容原性因子は、DUX4、B2M-HLA-E、CD16、CD52、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、SERPINB9、CD35、IL-39、CD16 Fc受容体、IL15-RF、及びH2-M3である。いくつかの実施形態では、寛容原性因子は、CD47、PD-L1、HLA-EもしくはHLA-G、CCL21、FasL、Serpinb9、CD200またはMfge8、あるいはそれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態では、細胞は、寛容原性因子をコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの外因性ポリヌクレオチドを含む。例えば、いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドのうち少なくとも1つは、CD47をコードするポリヌクレオチドである。本明細書では、レシピエント対象への投与時に免疫応答を誘発または活性化しない細胞が提供される。上に記載されるように、いくつかの実施形態では、細胞は、レシピエントにおける免疫認識及び寛容に影響を及ぼす遺伝子及び寛容(例えば、免疫)因子の発現を増加させるように改変される。
【0333】
いくつかの実施形態では、本開示は、寛容原性因子(例えば、免疫調節ポリペプチド)、例えば、CD47などを発現するように改変されている細胞またはその集団を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、寛容原性因子(例えば、免疫調節ポリペプチド)、例えば、CD47などを発現するように細胞ゲノムを変更する方法を提供する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、外因性寛容原性因子(例えば、免疫調節ポリペプチド)、例えば、外因性CD47などを発現する。いくつかの場合では、外因性ポリヌクレオチドの過剰発現または発現増加は、ヒトCD47ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを用いて細胞に導入する(例えば、細胞を形質導入する)ことによって達成される。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、レンチウイルスベクターなどのウイルスベクターであってよいか、または非ウイルスベクターであってよい。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含有するように操作され、その場合に外因性ポリヌクレオチドのうち少なくとも1つは、寛容原性因子をコードするポリヌクレオチドを含む。任意の実施形態のいくつかでは、寛容原性因子は、DUX4、B2M-HLA-E、CD16、CD52、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、SERPINB9、CD35、IL-39、CD16 Fc受容体、IL15-RF、及びH2-M3である。いくつかの実施形態では、寛容原性因子は、CD47、PD-L1、HLA-EもしくはHLA-G、CCL21、FasL、Serpinb9、CD200またはMfge8、あるいはそれらの任意の組合せ(例えば、それらの全て)から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドのうち少なくとも1つは、CD47をコードするポリヌクレオチドである。
【0334】
いくつかの実施形態では、寛容原性因子はCD47である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD47などのCD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CD47は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CD47の発現は、改変によって操作されていない同じ細胞型の類似した細胞、例えば、参照細胞または非改変細胞など、例えば、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドによって操作されていない細胞と比較して、操作細胞内で過剰発現されるか、または増加する。CD47は白血球表面抗原であり、インテグリンの細胞接着及び調節に関与する。それは、通常は細胞の表面上で発現され、循環マクロファージが細胞を食べないようにシグナル伝達する。ヒトCD47についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、NP_001768.1、NP_942088.1、NM_001777.3及びNM_198793.2で提供される。
【0335】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、少なくとも1つの寛容原性因子の発現増加、すなわち、過剰発現を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、寛容原性因子をコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、寛容原性因子としては、DUX4、B2M-HLA-E、CD16、CD52、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、SERPINB9、CD35、IL-39、CD16 Fc受容体、IL15-RF、及びH2-M3、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、過剰発現(例えば、外因性)ポリヌクレオチドのうち少なくとも1つは、CD47をコードするポリヌクレオチドである。
【0336】
いくつかの実施形態では、本開示は、寛容原性因子(例えば、免疫調節ポリペプチド)、例えば、CD47などを発現するように改変されている細胞またはその集団を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、寛容原性因子(例えば、免疫調節ポリペプチド)、例えば、CD47などを発現するように細胞ゲノムを変更する方法を提供する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、外因性寛容原性因子(例えば、免疫調節ポリペプチド)、例えば、外因性CD47などを発現する。いくつかの場合では、細胞は、ヒトCD47ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを発現する。
【0337】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD47などのCD47をコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD47などのCD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CD47は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CD47の発現は、参照細胞または非改変細胞がCD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。CD47は白血球表面抗原であり、インテグリンの細胞接着及び調節に関与する。それは、通常は細胞の表面上で発現され、循環マクロファージが細胞を食べないようにシグナル伝達する。ヒトCD47についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、NP_001768.1、NP_942088.1、NM_001777.3及びNM_198793.2で提供される。
【0338】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_001768.1及びNP_942088.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD47ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_001768.1及びNP_942088.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD47ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_001777.3及びNM_198793.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD47の外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_001777.3及びNM_198793.2に記載されるようなCD47の外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_001768.1及びNP_942088.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD47ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_001768.1及びNP_942088.1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD47ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照番号NM_001777.3及びNM_198793.2に記載される配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD47の外因性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NM_001777.3及びNM_198793.2に記載されるようなCD47の外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、細胞は、NCBI参照配列番号NP_001768.1及びNP_942088.1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する外因性CD47ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に概説される細胞は、NCBI参照配列番号NP_001768.1及びNP_942088.1に記載されるようなアミノ酸配列を有する外因性CD47ポリペプチドを含む。
【0341】
いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD47ポリペプチドをコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:1に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有するCD47ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD47ポリペプチドをコードする過剰発現ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:1に記載されるようなアミノ酸配列を有するCD47ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0342】
いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:2に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する過剰発現CD47ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:2に記載されるようなアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)を有する外因性CD47ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:2に記載されるようなアミノ酸配列を有する過剰発現CD47ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、配列番号:2に記載されるようなアミノ酸配列を有する外因性CD47ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、CD59ポリペプチドをコードする外因性ヌクレオチド配列は、異種シグナルペプチドをコードする配列に機能的に連結されている。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、以下でさらに記載される方法などの、標的または非標的挿入方法によって細胞のゲノム中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、標的挿入は、標的座位への相同性依存性挿入によって、例えば、表2に示される遺伝子座のいずれか1つ、例えば、B2M遺伝子、CIITA遺伝子、TRAC遺伝子、TRBC遺伝子への挿入などによって行われる。いくつかの実施形態では、標的挿入は、相同非依存性挿入によって、例えば、セーフハーバー座位への挿入などによって行われる。いくつかの場合には、CD47をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CD47をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。
【0343】
いくつかの実施形態では、CD47の全てまたは機能部分は、他の構成要素、例えば、シグナルペプチド、リーダー配列、分泌シグナル、標識(例えば、レポーター遺伝子)、またはそれらの任意の組合せなどに連結され得る。いくつかの実施形態では、CD47のシグナルペプチドをコードする核酸配列は、異種タンパク質からのシグナルペプチドをコードする核酸配列で置き換えられている。異種タンパク質は、例えば、CD8α、CD28、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、成長ホルモン、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、GM-CSF受容体(GM-CSFRa)、または免疫グロブリン(例えば、IgEもしくはIgK)であり得る。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、免疫グロブリン(IgG重鎖もしくはIgGカッパ軽鎖など)、サイトカイン(インターロイキン-2(IL-2)、もしくはCD33など)、血清アルブミンタンパク質(例えば、HSAもしくはアルブミン)、ヒトアズロシジンプレタンパク質シグナル配列、ルシフェラーゼ、トリプシノーゲン(例えば、キモトリプシノーゲンもしくはトリプシノーゲン)からのシグナルペプチドまたは細胞によって、もしくは細胞上でタンパク質を効率的に発現できる他のシグナルペプチドである。
【0344】
ある特定の実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0345】
いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、CD47をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0346】
いくつかの実施形態では、CD47タンパク質発現は、CD47タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性CD47 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0347】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCD200などのCD200をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CD200は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CD200の発現は、参照細胞または非改変細胞がCD200をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトCD200についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC03P112332、HGNC番号7203、NCBI Gene ID4345、Uniprot番号P41217、ならびにNCBI RefSeq番号NP_001004196.2、NM_001004196.3、NP_001305757.1、NM_001318828.1、NP_005935.4、NM_005944.6、XP_005247539.1、及びXM_005247482.2で提供される。ある特定の実施形態では、CD200をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0348】
いくつかの実施形態では、CD200をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、CD200をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CD200をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、CD200をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、CD200をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、CD200をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0349】
いくつかの実施形態では、CD200タンパク質発現は、CD200タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性CD200 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0350】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトHLA-EなどのHLA-Eをコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、HLA-Eは、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、HLA-Eの発現は、参照細胞または非改変細胞がHLA-Eをコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトHLA-Eについての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC06P047281、HGNC番号4962、NCBI Gene ID3133、Uniprot番号P13747、ならびにNCBI RefSeq番号NP_005507.3及びNM_005516.5で提供される。ある特定の実施形態では、HLA-Eをコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0351】
いくつかの実施形態では、HLA-Eをコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、HLA-Eをコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、HLA-Eをコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、HLA-Eをコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、HLA-Eをコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、HLA-Eをコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0352】
いくつかの実施形態では、HLA-Eタンパク質発現は、HLA-Eタンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性HLA-E mRNAの存在を確認するために使用される。
【0353】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトHLA-GなどのHLA-Gをコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、HLA-Gは、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、HLA-Gの発現は、参照細胞または非改変細胞がHLA-Gをコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトHLA-Gについての有用なゲノム、ポリヌクレオチド、及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC06P047256、HGNC番号4964、NCBI Gene ID3135、Uniprot番号P17693、ならびにNCBI RefSeq番号NP_002118.1及びNM_002127.5で提供される。ある特定の実施形態では、HLA-Gをコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0354】
いくつかの実施形態では、HLA-Gをコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、HLA-Gをコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、HLA-Gをコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、HLA-Gをコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、HLA-Gをコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、HLA-Gをコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0355】
いくつかの実施形態では、HLA-Gタンパク質発現は、HLA-Gタンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性HLA-G mRNAの存在を確認するために使用される。
【0356】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトPD-L1などのPD-L1をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、PD-L1は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、PD-L1の発現は、参照細胞または非改変細胞がPD-L1をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトPD-L1またはCD274についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC09P005450、HGNC番号17635、NCBI Gene ID29126、Uniprot番号Q9NZQ7、ならびにNCBI RefSeq番号NP_001254635.1、NM_001267706.1、NP_054862.1、及びNM_014143.3で提供される。ある特定の実施形態では、PD-L1をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0357】
いくつかの実施形態では、PD-L1をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、PD-L1をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、PD-L1をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、PD-L1をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、PD-L1をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、PD-L1をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0358】
いくつかの実施形態では、PD-L1タンパク質発現は、PD-L1タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性PD-L1 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0359】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトFasLなどのFasLをコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、FasLは、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、FasLの発現は、参照細胞または非改変細胞がFasLをコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトFasリガンド(FasL、FASLG、CD178、TNFSF6などとして知られる)についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC01P172628、HGNC番号11936、NCBI Gene ID356、Uniprot番号P48023、ならびにNCBI RefSeq番号NP_000630.1、NM_000639.2、NP_001289675.1、及びNM_001302746.1で提供される。ある特定の実施形態では、Fas-Lをコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0360】
いくつかの実施形態では、Fas-Lをコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、Fas-Lをコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、Fas-Lをコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、Fas-Lをコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、Fas-Lをコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、Fas-Lをコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0361】
いくつかの実施形態では、Fas-Lタンパク質発現は、Fas-Lタンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性Fas-L mRNAの存在を確認するために使用される。
【0362】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCCL21などのCCL21をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CCL21は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CCL21の発現は、参照細胞または非改変細胞がCCL21をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトCCL21についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC09M034709、HGNC番号10620、NCBI Gene ID6366、Uniprot番号O00585、ならびにNCBI RefSeq番号NP_002980.1及びNM_002989.3で提供される。ある特定の実施形態では、CCL21をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0363】
いくつかの実施形態では、CCL21をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、CCL21をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CCL21をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、CCL21をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、CCL21をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、CCL21をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0364】
いくつかの実施形態では、CCL21タンパク質発現は、CCL21タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性CCL21 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0365】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトCCL22などのCCL22をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、CCL22は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、CCL22の発現は、参照細胞または非改変細胞がCCL22をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトCCL22についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC16P057359、HGNC番号10621、NCBI Gene ID6367、Uniprot番号O00626、ならびにNCBI RefSeq番号NP_002981.2、NM_002990.4、XP_016879020.1、及びXM_017023531.1で提供される。ある特定の実施形態では、CCL22をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0366】
いくつかの実施形態では、CCL22をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、CCL22をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、CCL22をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、CCL22をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、CCL22をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、CCL22をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0367】
いくつかの実施形態では、CCL22タンパク質発現は、CCL22タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性CCL22 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0368】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトMfge8などのMfge8をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、Mfge8は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、Mfge8の発現は、参照細胞または非改変細胞がMfge8をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトMfge8についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC15M088898、HGNC番号7036、NCBI Gene ID4240、Uniprot番号Q08431、ならびにNCBI RefSeq番号NP_001108086.1、NM_001114614.2、NP_001297248.1、NM_001310319.1、NP_001297249.1、NM_001310320.1、NP_001297250.1、NM_001310321.1、NP_005919.2、及びNM_005928.3で提供される。ある特定の実施形態では、Mfge8をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0369】
いくつかの実施形態では、Mfge8をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、Mfge8をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、Mfge8をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、Mfge8をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、CD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、Mfge8をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、Mfge8をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0370】
いくつかの実施形態では、Mfge8タンパク質発現は、Mfge8タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性Mfge8 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0371】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、ヒトSerpinB9などのSerpinB9をコードする外因性ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、SerpinB9は、細胞内で過剰発現される。いくつかの実施形態では、SerpinB9の発現は、参照細胞または非改変細胞がSerpinB9をコードする外因性ポリヌクレオチドを含まないことを除いて、同様の参照細胞または非改変細胞(任意の他の改変を有することを含む)と比較して操作細胞内で増加する。ヒトSerpinB9についての有用なゲノム、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの情報は、例えば、GeneCard識別子GC06M002887、HGNC番号8955、NCBI Gene ID5272、Uniprot番号P50453、ならびにNCBI RefSeq番号NP_004146.1、NM_004155.5、XP_005249241.1、及びXM_005249184.4で提供される。ある特定の実施形態では、SerpinB9をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能的に連結されている。
【0372】
いくつかの実施形態では、SerpinB9をコードするポリヌクレオチドは、表2に示される遺伝子座のいずれか1つに挿入される。いくつかの場合には、SerpinB9をコードするポリヌクレオチドは、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、及びSHS231から選択される遺伝子座などのセーフハーバー座位に挿入される。特定の実施形態では、SerpinB9をコードするポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座またはCLYBL遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、SerpinB9をコードするポリヌクレオチドは、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、またはCD142遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、操作細胞はT細胞であり、SerpinB9をコードするポリヌクレオチドは、TRAC遺伝子座、またはTRBC遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、好適な遺伝子編集システム(例えば、CRISPR/Casシステムまたは本明細書に記載される遺伝子編集システムのいずれか)が、細胞のゲノム座位への、SerpinB9をコードするポリヌクレオチドの挿入を容易にするために使用される。
【0373】
いくつかの実施形態では、SerpinB9タンパク質発現は、SerpinB9タンパク質に対する抗体でプローブされる細胞溶解物のウェスタンブロットを使用して検出される。別の実施形態では、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が、外因性SerpinB9 mRNAの存在を確認するために使用される。
【0374】
3.キメラ抗原受容体
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するようにさらに改変される。いくつかの実施形態では、提供される細胞は、1つ以上のMHCクラスI分子、1つ以上のMHCクラスII分子、または1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子の発現を制御し、即時血液媒介性炎症反応を制御し、本明細書に記載されるような寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、かつCARを発現する、1つ以上の標的ポリヌクレオチド配列の遺伝子改変を含有する。いくつかの実施形態では、細胞は、B2Mが減少するか、または排除され(例えば、ノックアウトされ)、CIITAが減少するか、または排除され(例えば、ノックアウトされ)、CD142が減少するか、または排除され、CD47が過剰発現され、かつCARが発現される細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、B2M-/-、CIITA-/-、CD142-/-、CD47tg、CAR+である。いくつかの実施形態では、細胞(例えば、T細胞)は、TRACが減少するか、または排除される(例えば、ノックアウトされる)追加の細胞であってよい。いくつかの実施形態では、細胞は、B2-/-、CIITA-/-、CD142-/-、CD47tg、TRAC-/-CAR+である。
【0375】
いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチドは、細胞に導入される。いくつかの実施形態では、細胞はT細胞、例えば、初代T細胞または多能性細胞(例えば、iPSC)から分化したT細胞などである。いくつかの実施形態では、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、例えば、初代NK細胞または多能性細胞(例えば、iPSC)から分化したNK細胞などである。
【0376】
いくつかの実施形態では、CARは、第1世代CAR、第2世代CAR、第3世代CAR、及び第4世代CARからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び少なくとも1つのシグナル伝達ドメイン(例えば、1つ、2つまたは3つのシグナル伝達ドメイン)を含む第1世代CARであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び少なくとも2つのシグナル伝達ドメインを含む第2世代CARを含む。いくつかの実施形態では、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び少なくとも3つのシグナル伝達ドメインを含む第3世代CARを含む。いくつかの実施形態では、第4世代CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、3つまたは4つのシグナル伝達ドメイン、及びCARのシグナル伝達成功時にサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、抗体、抗体断片、scFvまたはFabであるか、またはそれを含む。
【0377】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞のいずれか1つは、CARまたは第1世代CARをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1世代CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及びシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化中に下流シグナル伝達を媒介する。
【0378】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞のいずれか1つは、CARまたは第2世代CARをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、第2世代CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び2つのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化中に下流シグナル伝達を媒介する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインである。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、T細胞活性化中にサイトカイン産生、CAR T細胞増殖、及び/またはCAR T細胞持続性を増強する。
【0379】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞のいずれか1つは、CARまたは第3世代CARをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、第3世代CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び少なくとも3つのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化中に下流シグナル伝達を媒介する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインである。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、T細胞活性化中にサイトカイン産生、CAR T細胞増殖、及び/またはCAR T細胞持続性を増強する。いくつかの実施形態では、第3世代CARは、少なくとも2つの共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの共刺激ドメインは、同じではない。
【0380】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞のいずれか1つは、CARまたは第4世代CARをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、第4世代CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び少なくとも2つ、3つ、または4つのシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化中に下流シグナル伝達を媒介する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインである。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、T細胞活性化中にサイトカイン産生、CAR T細胞増殖、及び/またはCAR T細胞持続性を増強する。
【0381】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞(例えば、初代もしくはiPSC由来T細胞または初代もしくはiPSC由来NK細胞)は、CARをコードするポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドはゲノム座位に挿入される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、セーフハーバー座位、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、SHS231、F3(CD142としても知られる)、MICA、MICB、LRP1(CD91としても知られる)、HMGB1、ABO、RHD、FUT1、またはKDM5D遺伝子座などに挿入される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、B2M、CIITA、TRAC、TRB、PD1またはCTLA4遺伝子に挿入される。本明細書に記載される遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)を含む、任意の好適な方法が、低免疫原性細胞のゲノム座位にCARを挿入するために使用され得る。
【0382】
いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、または第4世代CARは、CARのシグナル伝達成功時にサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、サイトカイン遺伝子は、CARのシグナル伝達成功時にサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインを含むCARを含む標的細胞にとって内因性または外因性である。いくつかの実施形態では、サイトカイン遺伝子は、炎症性サイトカインをコードする。いくつかの実施形態では、サイトカイン遺伝子は、IL-1、IL-2、IL-9、IL-12、IL-18、TNF、もしくはIFN-ガンマ、またはその機能的断片をコードする。いくつかの実施形態では、CARのシグナル伝達成功時にサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインは、転写因子またはその機能ドメインもしくは断片であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、CARのシグナル伝達成功時にサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインは、転写因子またはその機能ドメインもしくは断片であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、転写因子またはその機能ドメインもしくは断片は、活性化T細胞の核因子(NFAT)、NF-kB、またはその機能ドメインもしくは断片であるか、またはそれを含む。例えば、Zhang.C.et al.,Engineering CAR-T cells.Biomarker Research.5:22(2017)、WO2016126608、Sha,H.et al.Chimaeric antigen receptor T-cell therapy for tumour immunotherapy.Bioscience Reports Jan 27,2017,37(1)を参照のこと。
【0383】
当業者は、CARならびにCARの様々な構成要素及び構成に精通している。任意の既知のCARが、提供される実施形態に関連して用いられ得る。本明細書に記載されるCARに加えて、様々なCAR及びそれらをコードするヌクレオチド配列が当該技術分野において既知であり、本明細書に記載されるような細胞の操作に適していることになる。例えば、WO2013040557、WO2012079000、WO2016030414、Smith T,et al.,Nature Nanotechnology.2017.DOI:10.1038/NNANO.2017.57を参照し、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる。CARの例示的な特徴及び構成要素は、以下の小節に記載されている。
【0384】
H.抗原結合ドメイン
いくつかの実施形態では、CAR抗原結合ドメイン(ABD)は、抗体またはその抗原結合部分であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、CAR抗原結合ドメインは、scFvまたはFabであるか、またはそれを含む。
【0385】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、細胞の細胞表面抗原に結合する。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、特定の、または特異的細胞型の特徴を示す(例えば、それによって発現される)。いくつかの実施形態では、細胞表面抗原は、2つ以上の細胞型の特徴を示す。
【0386】
いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍細胞上のみで、もしくは選択的に発現される抗原、または自己免疫疾患もしくは炎症性疾患の特徴を示す抗原であってよい。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメイン(ABD)は、腫瘍性細胞の特徴を示す抗原を標的とする。例えば、抗原結合ドメインは、腫瘍性細胞またはがん細胞によって発現される抗原を標的とする。いくつかの実施形態では、ABDは、腫瘍関連抗原と結合する。いくつかの実施形態では、腫瘍性細胞の特徴を示す抗原(例えば、腫瘍性細胞もしくはがん細胞と関連する抗原)または腫瘍関連抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル連結型受容体、酵素連結型受容体、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ関連受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニル酸シクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ関連受容体から選択される。
【0387】
いくつかの実施形態では、標的抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)(ErbB1/EGFR、ErbB2/HER2、ErbB3/HER3、及びErbB4/HER4を含む)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)(FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF7、FGF18、及びFGF21を含む)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)(VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、及びPIGFを含む)、RET受容体ならびにEph受容体ファミリー(EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA9、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、及びEphB6を含む)、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR8、CFTR、CIC-1、CIC-2、CIC-4、CIC-5、CIC-7、CIC-Ka、CIC-Kb、ベストロフィン、TMEM16A、GABA受容体、グリシン受容体、ABCトランスポーター、NAV1.1、NAV1.2、NAV1.3、NAV1.4、NAV1.5、NAV1.6、NAV1.7、NAV1.8、NAV1.9、スフィンゴシン-1-リン酸受容体(S1P1R)、NMDAチャネル、膜貫通タンパク質、マルチスパン膜貫通タンパク質、T細胞受容体モチーフ、T細胞アルファ鎖、T細胞β鎖、T細胞γ鎖、T細胞δ鎖、CCR7、CD3、CD4、CD5、CCR7、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD28、CD34、CD35、CD40、CD45RA、CD45RO、CD52、CD56、CD62L、CD68、CD80、CD95、CD117、CD127、CD133、CD137(4-1BB)、CD163、F4/80、IL-4Ra、Sca-1、CTLA-4、GITR、GARP、LAP、グランザイムB、LFA-1、トランスフェリン受容体、NKp46、パーフォリン、CD4+、Th1、Th2、Th17、Th40、Th22、Th9、Tfh、古典的Treg、FoxP3+、Tr1、Th3、Treg17、TREG、CDCP、NT5E、EpCAM、CEA、gpA33、ムチン、TAG-72、炭酸脱水酵素IX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えば、CD2、CD3、GM2)、ルイス-γ2、VEGF、VEGFR1/2/3、αVβ3、α5β1、ErbB1/EGFR、ErbB1/HER2、ErB3、c-MET、IGF1R、EphA3、TRAIL-R1、TRAIL-R2、RANKL、FAP、テネイシン、PDL-1、BAFF、HDAC、ABL、FLT3、KIT、MET、RET、IL-1β、ALK、RANKL、mTOR、CTLA-4、IL-6、IL-6R、JAK3、BRAF、PTCH、スムーズンド、PIGF、ANPEP、TIMP1、PLAUR、PTPRJ、LTBR、もしくはANTXR1、葉酸受容体アルファ(FRa)、ERBB2(Her2/neu)、EphA2、IL-13Ra2、上皮成長因子受容体(EGFR)、メソテリン、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、MUC16(CA125)、L1CAM、LeY、MSLN、IL13αR1、L1-CAM、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、インターロイキン-11受容体a(IL-11Ra)、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、血小板由来成長因子受容体-ベータ(PDGFR-ベータ)、SSEA-4、CD20、MUC1、NCAM、プロスターゼ(Prostase)、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-1受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLACl、グロボH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、主要組織適合遺伝子複合体クラスI関連遺伝子タンパク質(MR1)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYPIB I、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、新生抗原、CD133、CD15、CD184、CD24、CD56、CD26、CD29、CD44、HLA-A、HLA-B、HLA-C(HLA-A、B、C)、CD49f、CD151、CD340、CD200、tkrA、trkB、もしくはtrkC、またはそれらの抗原断片もしくは抗原部分を含むが、これらに限定されない抗原である。
【0388】
いくつかの実施形態では、例示的な標的抗原としては、CDS、CD19、CD20、CD22、CD23、CD30、CD70、カッパ、ラムダ、及びB細胞成熟因子(BCMA)(白血病と関連する)、CS1/SLAMF7、CD38、CD138、GPRC5D、TACI、及びBCMA(骨髄腫と関連する)、GD2、HER2、EGFR、EGFRvIII、B7H3、PSMA、PSCA、CAIX、CD171、CEA、CSPG4、EPHA2、FAP、FRa、IL-13Ra、メソテリン、MUC1、MUC16、及びROR1(固形腫瘍と関連する)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0389】
いくつかの実施形態では、CARはCD19 CARである。いくつかの実施形態では、CD19 CARの細胞外結合ドメインは、CD19、例えば、ヒトCD19に特異的に結合する抗体を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARの細胞外結合ドメインは、FMC63モノクローナル抗体(FMC63)に由来するscFv抗体断片を含み、これはリンカーペプチドによって結合されたFMC63の重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、「Whitlow」リンカーペプチドである。FMC63及び由来するscFvは、Nicholson et al.,Mal.lmmun.34(16-17):1157-1165(1997)及びPCT出願公開第WO2018/213337A1号に記載されていて、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0390】
いくつかの実施形態では、CD19 CARの細胞外結合ドメインは、CD19特異的抗体、例えば、SJ25C1(Bejcek et al.,Cancer Res.55:2346-2351(1995))、HD37(Pezutto et al.,J.lmmunol.138(9):2793-2799(1987))、4G7(Meeker et al.,Hybridoma 3:305-320(1984))、B43(Bejcek(1995))、BLY3(Bejcek(1995))、B4(Freedman et al.,70:418-427(1987))、B4 HB12b(Kansas&Tedder,J.lmmunol.147:4094-4102(1991)、Yazawa et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:15178-15183(2005)、Herbst et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.335:213-222(2010))、BU12(Gallard et al.,J.Immunology,148(10):2983-2987(1992))、及びCLB-CD19(De Rie Cell.lmmunol.118:368-381(1989))を含む抗体のうち1つに由来する抗体を含む。
【0391】
いくつかの実施形態では、CARは、CD22 CARである。CD22は、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達の阻害性受容体として機能する成熟B細胞の表面上で主に見出される膜貫通タンパク質である。CD22は、B細胞リンパ腫及び白血病(例えば、B細胞性慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、及びバーキットリンパ腫)の60~70%で発現され、B細胞発生の初期段階の細胞表面上または幹細胞上には存在しない。いくつかの実施形態では、CD22 CARは、CD22と特異的に結合する細胞外結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達、及び/または細胞内共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD22 CARの細胞外結合ドメインは、m971モノクローナル抗体(m971)に由来するscFv抗体断片を含み、これはリンカーによって結合されたm971の重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、CD22 CARの細胞外結合ドメインは、m971-L7に由来するscFv抗体断片を含み、これは親抗体m971と比較して、有意に改善された(約2nM~50pM未満に改善された)CD22結合親和性を有するm971の親和性成熟バリアントである。いくつかの実施形態では、m971-L7に由来するscFv抗体断片は、3xG4Sリンカーによって結合されたm971-L7のVH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、CD22 CARの細胞外結合ドメインは、免疫毒素HA22またはBL22を含む。免疫毒素BL22及びHA22は、細菌毒素に融合されたCD22に特異的なscFvを含み、それゆえ、CD22を発現するがん細胞の表面に結合し、がん細胞を死滅させ得る治療剤である。BL22は、シュードモナス外毒素Aの38kDaの切断型に融合された、抗CD22抗体であるRFB4のdsFvを含む(Bang et al.,Clin.Cancer Res.,11:1545-50(2005))。HA22(CAT8015、モキセツモマブパスードトクス)は、BL22の変異した高親和性型である(Ho et al.,J.Biol.Chem.,280(1):607-17(2005))。CD22に特異的なHA22及びBL22の抗原結合ドメインの好適な配列は、例えば、米国特許第7,541,034号、同第7,355,012号、及び同第7,982,011号に開示され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0392】
いくつかの実施形態では、CARは、BCMA CARである。BCMAは、B細胞系譜の細胞上で発現される腫瘍壊死ファミリー受容体(TNFR)のメンバーであり、最終分化B細胞または成熟Bリンパ球上で最も高く発現する。BCMAは、長期的な液性免疫の維持を目的とした形質細胞の生存の媒介に関与する。BCMAの発現は、最近では多数のがん、例えば、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫、様々な白血病、ならびに膠芽腫などに関連している。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、BCMAと特異的に結合する細胞外結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達、及び/または細胞内共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、BCMA、例えば、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体を含む。BCMAを対象とするCARは、PCT出願公開第WO2016/014789号、同第WO2016/014565号、同第WO2013/154760号、及び同第WO 2015/128653号に記載されている。BCMA結合抗体はまた、PCT出願公開第WO2015/166073号及び同第WO2014/068079号に開示されている。いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、Carpenter et al.,Clin.Cancer Res.19(8):2048-2060(2013)に記載されるようなマウスモノクローナル抗体に由来するscFv抗体断片を含む。いくつかの実施形態では、scFv抗体断片は、マウスモノクローナル抗体のヒト化型である(Sommermeyer et al.,Leukemia 31:2191-2199(2017))。いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、Zhao et al.,J.Hematol.Oneal.11(1):141(2018)に記載されるようなBCMAの2つのエピトープに結合し得る2本の重鎖の単一可変断片(VHH)を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARの細胞外結合ドメインは、Lam et al.,Nat.Commun.11(1):283(2020)に記載されるような完全ヒト重鎖可変ドメイン(FHVH)を含む。
【0393】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、自己免疫障害または炎症性障害の特徴を示す抗原を標的とする。いくつかの実施形態では、ABDは、自己免疫障害または炎症性障害と関連する抗原と結合する。いくつかの場合では、抗原は、自己免疫障害または炎症性障害と関連する細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、自己免疫障害または炎症性障害は、慢性移植片対宿主病(GVHD)、ループス、関節炎、免疫複合体糸球体腎炎、グッドパスチャー、ブドウ膜炎、肝炎、全身性硬化症または強皮症、I型糖尿病、多発性硬化症、寒冷凝集素症、尋常性天疱瘡、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、血友病A、原発性シェーグレン症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、視神経脊髄炎、エバンス症候群、IgM介在性ニューロパチー、クリオグロブリン血症、皮膚筋炎、特発性血小板減少症、強直性脊椎炎、水疱性類天疱瘡、後天性血管性浮腫、慢性蕁麻疹、抗リン脂質脱髄性多発神経炎、及び自己免疫性血小板減少症または好中球減少症または赤芽球癆から選択される一方で、同種免疫疾患の例示的で非限定的な例としては、造血または固形臓器移植、輸血、胎児同種感作を伴う妊娠、新生児同種免疫性血小板減少症、新生児溶血性疾患、酵素またはタンパク質補充療法、血液製剤、及び遺伝子療法で治療される遺伝性または後天性欠損障害の補充によって生じ得るものなどの外来抗原への感作からの同種感作(例えば、Blazar et al.,2015,Am.J.Transplant,15(4):931-41を参照のこと)または異種感作が挙げられる。同種感作とは、いくつかの場合では、レシピエント対象または妊娠している対象の免疫系が非自己抗原であるとみなす、MHC分子(例えば、ヒト白血球抗原)に対する免疫応答(循環抗体など)の発生を指す。いくつかの実施形態では、自己免疫障害または炎症性障害の特徴を示す抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル連結型受容体、酵素連結型受容体、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ関連受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニル酸シクラーゼ、またはヒスチジンキナーゼ関連受容体から選択される。
【0394】
いくつかの実施形態では、CARの抗原結合ドメインは、B細胞、形質細胞、または形質芽細胞上で発現されるリガンドに結合する。いくつかの実施形態では、CARの抗原結合ドメインは、CD10、CD19、CD20、CD22、CD24、CD27、CD38、CD45R、CD138、CD319、BCMA、CD28、TNF、インターフェロン受容体、GM-CSF、ZAP-70、LFA-1、CD3ガンマ、CD5またはCD2に結合する。US2003/0077249、WO2017/058753、WO2017/058850を参照し、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CARは、抗CD19 CARである。いくつかの実施形態では、CARは、抗BCMA CARである。
【0395】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、老化細胞の特徴を示す抗原、例えば、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)を標的とする。いくつかの実施形態では、ABDは、老化細胞と関連する抗原と結合する。いくつかの場合では、抗原は、老化細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、CARは、老化細胞の異常蓄積を特徴とする障害、例えば、肝線維症及び肺線維症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病ならびに変形性関節症の治療または予防のために使用されてよい。
【0396】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、感染症の特徴を示す抗原を標的とする。いくつかの実施形態では、ABDは、感染症と関連する抗原と結合する。いくつかの場合では、抗原は、感染症の影響を受ける細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、感染症は、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV))、ヒトTリンパ球向性ウイルス-1(HTLV-1)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)、シミアンウイルス40(SV40)、エプスタイン・バーウイルス、CMV、ヒトパピローマウイルスから選択される。いくつかの実施形態では、感染症の特徴を示す抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル連結型受容体、酵素連結型受容体、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ関連受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニル酸シクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ関連受容体、HIV Env、gp120、またはHIV-1 Env上のCD4誘導エピトープから選択される。
【0397】
これらの実施形態のいずれにおいても、CARの細胞外結合ドメインは、宿主細胞における発現のためにコドン最適化され得るか、または細胞外結合ドメインの機能を増加させるためにバリアント配列を有し得る。
【0398】
いくつかの実施形態では、CARは、2つの標的抗原に対して二重特異的である。いくつかの実施形態では、標的抗原は、異なる標的抗原である。任意のそのような実施形態のいくつかでは、2つの異なる標的抗原は、上に記載される任意の2つの異なる抗原である。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは異なっていて、(i)CD19及びCD20、(ii)CD20及びL1-CAM、(iii)L1-CAM及びGD2、(iv)EGFR及びL1-CAM、(v)CD19及びCD22、(vi)EGFR及びC-MET、(vii)EGFR及びHER2、(viii)C-MET及びHER2、または(ix)EGFR及びROR1からの2つの異なる抗原と結合する。いくつかの実施形態では、2つの異なる抗原結合ドメインの各々がscFvである。いくつかの実施形態では、第1scFvの1つの可変ドメイン(VHまたはVL)のC末端は、ポリペプチドリンカーを介して第2scFvのN末端(それぞれVLまたはVH)に繋がれる。いくつかの実施形態では、リンカーは、VHのN末端をVLのC末端と連結させるか、またはVHのC末端をVLのN末端と連結させる。それらのscFvは、天然抗体の重鎖及び軽鎖中に存在する定常領域(Fc)を欠いている。少なくとも2つの異なる抗原に特異的なscFvはタンデムに配置され、膜貫通ドメインを介して共刺激ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。一実施形態では、細胞外スペーサードメインは、抗原特異的結合領域と膜貫通ドメインとの間に連結されてよい。
【0399】
さらなる実施形態では、CARの各抗原特異的標的指向性領域は、二価(divalent)(または二価(bivalent))一本鎖可変断片(di-scFv、bi-scFv)を含む。di-scFVを含むCARでは、各抗原に特異的な2つのscFvは、2つのVH領域及び2つのVL領域を有する単一ペプチド鎖を生成することによって互いに連結され、タンデムscFvを生成する。(Xiong,Cheng-Yi;Natarajan,A;Shi,X B;Denardo,G L;Denardo,S J(2006).“Development of tumor targeting anti-MUC-1 multimer:effects of di-scFv unpaired cysteine location on PEGylation and tumor binding”.Protein Engineering Design and Selection 19(8):359-367、Kufer,Peter;Lutterbuse,Ralf;Baeuerle,Patrick A.(2004).“A revival of bispecific antibodies”.Trends in Biotechnology 22(5):238-244)。少なくとも2つの抗原特異的標的指向性領域を含むCARは、2つの抗原の各々に特異的な2つのscFvを発現することになる。少なくとも2つの異なる抗原に特異的な、得られた抗原特異的標的指向性領域は、膜貫通ドメインを介して共刺激ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインに結合される。一実施形態では、細胞外スペーサードメインは、抗原特異的結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に連結されてよい。
【0400】
追加の実施形態では、CARの各抗原特異的標的指向性領域は、ダイアボディを含む。ダイアボディでは、2つの可変領域を互いに折り畳むには短すぎるリンカーペプチドを有するscFvが作製され、scFvを二量体化する。さらに、より短いリンカー(1つまたは2つのアミノ酸)によって、三量体、いわゆるトリアボディまたはtribodyが形成される。テトラボディも使用されてよい。
【0401】
いくつかの実施形態では、細胞は、2つ以上のCAR、例えば、2つの異なるCARなどを発現するように操作され、その場合に各CARは、異なる標的抗原を対象とする抗原結合ドメインを有する。任意のそのような実施形態のいくつかでは、2つの異なる標的抗原は、上に記載される任意の2つの異なる抗原である。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは異なっていて、(i)CD19及びCD20、(ii)CD20及びL1-CAM、(iii)L1-CAM及びGD2、(iv)EGFR及びL1-CAM、(v)CD19及びCD22、(vi)EGFR及びC-MET、(vii)EGFR及びHER2、(viii)C-MET及びHER2、または(ix)EGFR及びROR1からの2つの異なる抗原と結合する。
【0402】
いくつかの実施形態では、2つの異なる操作細胞は、各々が異なるCARで操作されている、提供される改変を含有して調製される。いくつかの実施形態では、2つの異なるCARの各々は、異なる標的抗原を対象とする抗原結合ドメインを有する。任意のそのような実施形態のいくつかでは、2つの異なる標的抗原は、上に記載される任意の2つの異なる抗原である。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは異なっていて、(i)CD19及びCD20、(ii)CD20及びL1-CAM、(iii)L1-CAM及びGD2、(iv)EGFR及びL1-CAM、(v)CD19及びCD22、(vi)EGFR及びC-MET、(vii)EGFR及びHER2、(viii)C-MET及びHER2、または(ix)EGFR及びROR1からの2つの異なる抗原と結合する。いくつかの実施形態では、第1標的抗原を対象とする第1CARを発現する操作細胞(例えば、低免疫原性)の集団及び第2標的抗原を対象とする第2CARを発現する操作細胞(例えば、低免疫原性)の集団は、別々に対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1及び第2細胞集団は、任意の順序で順次投与される。例えば、第2CARを発現する細胞集団は、第1CARを発現する細胞集団の投与後に投与される。
【0403】
I.スペーサー
いくつかの実施形態では、CARは、1つ以上のスペーサーをさらに含み、例えば、スペーサーは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間の第1スペーサーである。いくつかの実施形態では、第1スペーサーは、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは改変型の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、膜貫通ドメインとシグナル伝達ドメインとの間の第2スペーサーである。いくつかの実施形態では、第2スペーサーはオリゴペプチドであり、例えば、オリゴペプチドは、グリシン及びセリン残基、例えばこれらに限定されないが、グリシン-セリンダブレットなどを含む。いくつかの実施形態では、CARは、2つ以上のスペーサー、例えば、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間のスペーサー及び膜貫通ドメインとシグナル伝達ドメインとの間のスペーサーを含む。
【0404】
J.膜貫通ドメイン
いくつかの実施形態では、CAR膜貫通ドメインは、少なくともT細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖もしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、またはその機能的バリアントの膜貫通領域を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、少なくともCD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD37、CD80、CD86、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FAS、及びFGFR2B、またはその機能的バリアントの膜貫通領域(複数可)を含む。
【0405】
K.シグナル伝達ドメイン(複数可)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるCARは、B7-1/CD80、B7-2/CD86、B7-H1/PD-L1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、B7-H7、BTLA/CD272、CD28、CTLA-4、Gi24/VISTA/B7-H5、ICOS/CD278、PD-1、PD-L2/B7-DC、PDCD6)、4-1BB/TNFSF9/CD137、4-1BBリガンド/TNFSF9、BAFF/BLyS/TNFSF13B、BAFF R/TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD27リガンド/TNFSF7、CD30/TNFRSF8、CD30リガンド/TNFSF8、CD40/TNFRSF5、CD40/TNFSF5、CD40リガンド/TNFSF5、DR3/TNFRSF25、GITR/TNFRSF18、GITRリガンド/TNFSF18、HVEM/TNFRSF14、LIGHT/TNFSF14、リンホトキシン-アルファ/TNF-ベータ、OX40/TNFRSF4、OX40リガンド/TNFSF4、RELT/TNFRSF19L、TACI/TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNF-アルファ、TNF RII/TNFRSF1B)、2B4/CD244/SLAMF4、BLAME/SLAMF8、CD2、CD2F-10/SLAMF9、CD48/SLAMF2、CD58/LFA-3、CD84/SLAMF5、CD229/SLAMF3、CRACC/SLAMF7、NTB-A/SLAMF6、SLAM/CD150)、CD2、CD7、CD53、CD82/Kai-1、CD90/Thy1、CD96、CD160、CD200、CD300a/LMIR1、HLAクラスI、HLA-DR、Ikaros、インテグリンアルファ4/CD49d、インテグリンアルファ4ベータ1、インテグリンアルファ4ベータ7/LPAM-1、LAG-3、TCL1A、TCL1B、CRTAM、DAP12、デクチン-1/CLEC7A、DPPIV/CD26、EphB6、TIM-1/KIM-1/HAVCR、TIM-4、TSLP、TSLP R、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、NKG2C、CD3ゼータドメイン、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、CD27、CD28、4-1BB、CD134/OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、またはその機能的断片のうち1つ以上から選択される1つまたは少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含む。
【0406】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインもしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアントを含む。
【0407】
いくつかの実施形態では、CARは、共刺激ドメインであるシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、第2共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、少なくとも2つの共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、少なくとも3つの共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD27、CD28、4-1BB、CD134/OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドのうち1つ以上から選択される共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARが2つ以上の共刺激ドメインを含む場合、2つの共刺激ドメインは異なる。いくつかの実施形態では、CARが2つ以上の共刺激ドメインを含む場合、2つの共刺激ドメインは同じである。
【0408】
他の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、及び(ii)CD28ドメイン、もしくは4-1BBドメイン、またはその機能的バリアントを含む。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、及び(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアントを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアント、及び(iv)サイトカインまたは共刺激リガンド導入遺伝子を含む。
【0409】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインもしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアントを含む。他の実施形態では、少なくとも2つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、及び(ii)CD28ドメイン、もしくは4-1BBドメイン、またはその機能的バリアントを含む。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、及び(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアントを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアント、及び(iv)サイトカインまたは共刺激リガンド導入遺伝子を含む。
【0410】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つのシグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインもしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアントを含む。他の実施形態では、少なくとも3つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、及び(ii)CD28ドメイン、もしくは4-1BBドメイン、またはその機能的バリアントを含む。さらに他の実施形態では、少なくとも3つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、及び(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアントを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも3つのシグナル伝達ドメインは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアント、及び(iv)サイトカインまたは共刺激リガンド導入遺伝子を含む。
【0411】
いくつかの実施形態では、CARは、CD3ゼータドメインもしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアントを含む。いくつかの実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、及び(ii)CD28ドメイン、もしくは4-1BBドメイン、またはその機能的バリアントを含む。
【0412】
いくつかの実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、及び(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアントを含む。
【0413】
いくつかの実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメイン、もしくは4-1BBドメイン、またはその機能的バリアント、及び/または(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアントを含む。
【0414】
いくつかの実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、またはその機能的バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能的バリアント、(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能的バリアント、及び(iv)サイトカインまたは共刺激リガンド導入遺伝子を含む。
【0415】
L.例示的なCAR
いくつかの実施形態では、CARは、抗原(例えば、腫瘍抗原)に結合する細胞外抗原結合ドメイン(例えば、抗体または抗体断片、例えば、scFvなど)、スペーサー(例えば、ヒンジドメイン、例えば、本明細書に記載されるようないずれかなどを含有する)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載されるようないずれか)、及び細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、任意の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載されるような一次シグナル伝達ドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメインなど)を含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞質シグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子(例えば、共刺激ドメイン)の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。そのような構成要素のいずれも、上に記載されるようないずれかであり得る。
【0416】
CARの例示的な構成要素の例は、表3に記載されている。提供される態様では、CAR内の各構成要素の配列は、表3に列挙される任意の組合せを含み得る。
【0417】
【0418】
4.ポリヌクレオチドの発現を増加させる(例えば、過剰発現させる)方法
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの発現増加は、様々な技術のいずれかによって行われてよい。例えば、遺伝子及び因子(タンパク質)の発現を調節する方法としては、ゲノム編集技術、及びRNAまたはタンパク質発現技術などが挙げられる。それらの技術の全てについて、周知の組換え技術が、本明細書に概説されるような組換え核酸を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの過剰発現または発現増加のために1つ以上の改変を用いて操作されている細胞は、本明細書に記載されるような任意の供給源細胞である。いくつかの実施形態では、供給源細胞は、節II.Cに記載される任意の細胞である。
【0419】
いくつかの実施形態では、遺伝子の発現は、内因性遺伝子活性を増加させる(例えば、外因性遺伝子の転写を増加させる)ことによって増加する。いくつかの場合には、内因性遺伝子活性は、内因性遺伝子に機能的に連結されているプロモーターまたはエンハンサーの活性を増加させることによって増加する。いくつかの実施形態では、プロモーターまたはエンハンサーの活性を増加させることは、内因性プロモーターまたはエンハンサーの活性を増加させる、内因性プロモーターまたはエンハンサーに対する1つ以上の改変を行うことを含む。いくつかの場合には、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることは、遺伝子の内因性プロモーターを改変することを含む。いくつかの実施形態では、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることは、異種プロモーターを導入することを含む。いくつかの実施形態では、異種プロモーターは、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、及びUBCプロモーターからなる群から選択される。
【0420】
M.DNA結合融合タンパク質
いくつかの実施形態では、標的遺伝子(例えば、CD47、または別の寛容原性因子)の発現は、(1)内因性CD47、または他の遺伝子に特異的な部位特異的結合ドメイン及び(2)転写活性化因子を含有する、融合タンパク質またはタンパク質複合体の発現によって増加する。
【0421】
いくつかの実施形態では、調節因子は、部位特異的DNA結合核酸分子、例えば、ガイドRNA(gRNA)などで構成される。いくつかの実施形態では、本方法は、部位特異的DNA結合標的タンパク質、例えば、ジンクフィンガータンパク質(ZFP)またはZFPを含有する融合タンパク質(これはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)としても知られる)などによって達成される。
【0422】
いくつかの実施形態では、調節因子は、標的領域の遺伝子に特異的に結合するか、またはハイブリダイズする、DNA結合タンパク質またはDNA結合核酸などを使用する、部位特異的結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、提供されるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、改変ヌクレアーゼなどの部位特異的ヌクレアーゼに連結されるか、またはそれと複合化される。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、改変ヌクレアーゼ、例えば、メガヌクレアーゼまたはRNA誘導型ヌクレアーゼなどのDNA標的指向性タンパク質を含む融合体、例えば、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文配列核酸(CRISPR)-Casシステムなど、例えば、CRISPR-Cas9システムなどを使用して達成される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ活性を欠くように改変される。いくつかの実施形態では、改変ヌクレアーゼは、触媒的に死んだdCas9である。
【0423】
いくつかの実施形態では、部位特異的結合ドメインは、ヌクレアーゼに由来する場合がある。例えば、ホーミングエンドヌクレアーゼ及びメガヌクレアーゼ、例えば、I-SceI、I-CeuI、PI-PspI、PI-Sce、I-SceIV、I-CsmI、I-PanI、I-SceII、I-PpoI、I-SceIII、I-CreI、I-TevI、I-TevII及びI-TevIIIなどの認識配列。米国特許第5,420,032号、米国特許第6,833,252号、Belfort et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3379-3388、Dujon et al.,(1989)Gene 82:115-118、Perler et al,(1994)Nucleic Acids Res.22,1125-1127、Jasin(1996)Trends Genet.12:224-228、Gimble et al.,(1996)J.Mol.Biol.263:163-180、Argast et al,(1998)J.Mol.Biol.280:345-353及びNew England Biolabsカタログも参照のこと。加えて、ホーミングエンドヌクレアーゼ及びメガヌクレアーゼのDNA結合特異性は、非天然標的部位と結合するように操作され得る。例えば、Chevalier et al,(2002)Molec.Cell 10:895-905、Epinat et al,(2003)Nucleic Acids Res.31:2952-2962、Ashworth et al,(2006)Nature 441:656-659、Paques et al,(2007)Current Gene Therapy 7:49-66、米国特許公開第2007/0117128号を参照のこと。
【0424】
ジンクフィンガー、TALE、及びCRISPRシステム結合ドメインは、例えば、天然に存在するジンクフィンガーまたはTALEタンパク質の認識ヘリックス領域を操作する(1つ以上のアミノ酸を変更する)ことによって、所定のヌクレオチド配列に結合するように「操作され」得る。操作されたDNA結合タンパク質(ジンクフィンガーまたはTALE)は、天然には存在しないタンパク質である。設計のための合理的基準は、置換規則の適用ならびに既存のZFP及び/またはTALE設計及び結合データの情報を格納するデータベース内の情報を処理するためのコンピュータ化アルゴリズムの適用を含む。例えば、米国特許第6,140,081号、同第6,453,242号、及び同第6,534,261号を参照し、またWO98/53058、WO98/53059、WO98/53060、WO02/016536及びWO03/016496ならびに米国公開第20110301073号も参照のこと。
【0425】
いくつかの実施形態では、部位特異的結合ドメインは、配列特異的様式でDNAに結合する1つ以上のジンクフィンガータンパク質(ZFP)またはそのドメインを含む。ZFPまたはそのドメインは、亜鉛イオンの配位によって構造が安定化している結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である、1つ以上のジンクフィンガーを介してDNAと配列特異的様式で結合するタンパク質またはより大きなタンパク質内のドメインである。
【0426】
ZFPには、個々のフィンガーの集合によって生成される、典型的には9~18ヌクレオチド長の特異的DNA配列を標的とする人工ZFPドメインがある。ZFPとしては、単一のフィンガードメインは、およそ30アミノ酸長であり、単一ベータターンの2つのシステインと亜鉛を介して配位結合した2つのインバリアントヒスチジン残基を含有し、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのフィンガーを有するアルファヘリックスを含有するものが挙げられる。一般に、ZFPの配列特異性は、ジンクフィンガー認識ヘリックス上の4つのヘリックス位置(-1、2、3及び6)でアミノ酸置換を行うことによって変更されてよい。したがって、いくつかの実施形態では、ZFPまたはZFP含有分子は天然には存在せず、例えば、好適な標的部位に結合するように操作される。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135-141、Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313-340、Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656-660、Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632-637、Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411-416、米国特許第6,453,242号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,503,717号、同第6,689,558号、同第7,030,215号、同第6,794,136号、同第7,067,317号、同第7,262,054号、同第7,070,934号、同第7,361,635号、同第7,253,273号、及び米国特許公開第2005/0064474号、同第2007/0218528号、同第2005/0267061号を参照し、全てのその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0427】
多くの遺伝子特異的操作ジンクフィンガーが市販されている。例えば、Sangamo Biosciences(Richmond,CA,USA)は、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO,USA)と提携して、研究者がジンクフィンガーの構築及び検証を完全に省略することを可能にする、ジンクフィンガー構築のためのプラットフォーム(CompoZr)を開発し、数千ものタンパク質に対する特異的標的ジンクフィンガーを提供する(Gaj et al.,Trends in Biotechnology,2013,31(7),397-405)。いくつかの実施形態では、市販のジンクフィンガーが使用されるか、またはカスタム設計される。
【0428】
いくつかの実施形態では、部位特異的結合ドメインは、天然に存在するか、または操作された(天然に存在しない)転写活性化因子様タンパク質(TAL)DNA結合ドメイン、例えば、転写活性化因子様タンパク質エフェクター(TALE)タンパク質などを含む。例えば、米国特許公開第20110301073号を参照し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0429】
いくつかの実施形態では、部位特異的結合ドメインは、CRISPR/Casシステムに由来する。一般に、「CRISPRシステム」は、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAもしくは活性な部分的tracrRNA)、tracrメイト配列(内因性CRISPRシステムとの関連において「ダイレクトリピート」及びtracrRNAプロセシング部分的ダイレクトリピートを包含する)、ガイド配列(内因性CRISPRシステムとの関連において「スペーサー」、もしくは「標的指向性配列」とも称される)、及び/またはCRISPR座位からの他の配列及び転写物を含む、Cas遺伝子の発現に関与するか、またはその活性を誘導する転写物及び他のエレメントを総称して指す。
【0430】
一般に、ガイド配列は、標的配列とハイブリダイズして、CRISPR複合体と標的配列との配列特異的結合を誘導するのに十分な、標的ポリヌクレオチド配列との相補性を有するポリヌクレオチド配列を含む標的指向性ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性の程度は、好適なアライメントアルゴリズムを使用して最適にアライメントされる場合、約50%以上、約60%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97.5%以上、約99%以上、またはそれを超える。いくつかの例では、gRNAの標的指向性ドメイン(例えば、標的指向性配列)は、標的核酸上の標的配列に相補的、例えば、少なくとも80、85、90、95、98または99%相補的、例えば、完全に相補的である。
【0431】
いくつかの実施形態では、gRNAは、本明細書に記載されるようないずれかであってよい。特定の実施形態では、gRNAは、CD47、例えば、配列番号:200784~231885(WO2016183041の付録22、表29)のいずれか1つに記載されるものなど、HLA-E、例えば、配列番号:189859~193183(WO2016183041の付録12、表19)のいずれか1つに記載されるものなど、HLA-F、例えば、配列番号:688808~699754(WO2016183041の付録38、表45)のいずれか1つに記載されるものなど、HLA-G、例えば、配列番号:188372~189858(WO2016183041の付録11、表18)のいずれか1つに記載されるものなど、またはPD-L1、例えば、配列番号:193184~200783(WO2016183041の付録14、表21)のいずれか1つに記載されるものなどの標的部位に相補的な標的指向性配列を有する。
【0432】
いくつかの実施形態では、標的部位は、標的遺伝子の転写開始部位の上流にある。いくつかの実施形態では、標的部位は、遺伝子の転写開始部位に隣接している。いくつかの実施形態では、標的部位は、遺伝子の転写開始部位の下流にあるRNAポリメラーゼ休止部位に隣接している。
【0433】
いくつかの実施形態では、標的指向性ドメインは、転写開始、1つ以上の転写エンハンサーもしくは活性化因子の結合、及び/またはRNAポリメラーゼを促進するための標的遺伝子のプロモーター領域を標的とするように構成される。1つ以上のgRNAが、遺伝子のプロモーター領域を標的とするために使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子の1つ以上の領域が標的とされ得る。ある特定の態様では、標的部位は、遺伝子の転写開始部位(TSS)の両側の600塩基対以内にある。
【0434】
エクソン配列ならびにプロモーター及び活性化因子を含む調節領域の配列を含む、遺伝子を標的とする配列であるか、またはそれを含むgRNA配列(すなわち、gRNA標的指向性配列)を設計または同定することは、当業者のレベルの範囲内である。CRISPRゲノム編集のためのゲノムワイドgRNAデータベースは公的に利用可能であり、これはヒトゲノムまたはマウスゲノムにおける遺伝子の構成的エクソン内の例示的な一本鎖ガイドRNA(sgRNA)標的配列を含有する(例えば、genescript.com/gRNA-database.htmlを参照し、またSanjana et al.(2014)Nat.Methods,11:783-4、www.e-crisp.org/E-CRISP/、crispr.mit.edu/も参照のこと)。いくつかの実施形態では、gRNA配列は、非標的遺伝子へのオフターゲット結合が最小限である標的指向性配列であるか、またはそれを含む。
【0435】
いくつかの実施形態では、調節因子は、機能ドメイン、例えば、転写活性化因子をさらに含む。
【0436】
いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、1つ以上の調節エレメント、例えば、標的遺伝子の1つ以上の転写制御エレメントなどであるか、またはそれを含有し、それによって、上で提供されるような部位特異的ドメインが、そのような遺伝子の発現を誘導するために認識される。いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、標的遺伝子の発現を誘導する。いくつかの場合には、転写活性化因子は、異種トランス活性化ドメインの全てまたは一部であり得るか、またはそれを含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、単純ヘルペス由来トランス活性化ドメイン、Dnmt3aメチルトランスフェラーゼドメイン、p65、VP16、及びVP64から選択される。
【0437】
いくつかの実施形態では、調節因子は、ジンクフィンガー転写因子(ZF-TF)である。いくつかの実施形態では、調節因子は、VP64-p65-Rta(VPR)である。
【0438】
ある特定の実施形態では、調節因子は、転写調節ドメインをさらに含む。一般的なドメインとしては、例えば、転写因子ドメイン(活性化因子、抑制因子、共活性化因子、共抑制因子)、サイレンサー、がん遺伝子(例えば、myc、jun、fos、myb、max、mad、rel、ets、bcl、myb、mosファミリーメンバーなど)、DNA修復酵素ならびにそれらの関連因子及び修飾因子、DNA再構成酵素ならびにそれらの関連因子及び修飾因子、クロマチン関連タンパク質及びそれらの修飾因子(例えば、キナーゼ、アセチラーゼ及びデアセチラーゼ)、ならびにDNA修飾酵素(例えば、メチルトランスフェラーゼ、例えば、DNMTファミリーのメンバー(例えば、DNMT1、DNMT3A、DNMT3B、DNMT3Lなど)、トポイソメラーゼ、ヘリカーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼなど)ならびにそれらの関連因子及び修飾因子が挙げられる。例えば、米国公開第2013/0253040号を参照し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0439】
活性化を達成するための好適なドメインとしては、HSV VP16活性化ドメイン(例えば、Hagmann et al,J.Virol.71,5952-5962(1 97)を参照のこと)、核ホルモン受容体(例えば、Torchia et al.,Curr.Opin.Cell.Biol.10:373-383(1998))、核因子カッパBのp65サブユニット(Bitko&Bank,J.Virol.72:5610-5618(1998)及びDoyle&Hunt,Neuroreport 8:2937-2942(1997))、Liu et al.,Cancer Gene Ther.5:3-28(1998))、または人工キメラ機能ドメイン、例えば、VP64など(Beerli et al.,(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:14623-33)、ならびにデグロン(Molinari et al.,(1999)EMBO J.18,6439-6447)が挙げられる。追加の例示的な活性化ドメインとしては、Oct1、Oct-2A、Spl、AP-2、及びCTF1(Seipel etal,EMBOJ.11,4961-4968(1992))に加えてp300、CBP、PCAF、SRC1 PvALF、AtHD2A及びERF-2が挙げられる。例えば、Robyr et al,(2000)Mol.Endocrinol.14:329-347、Collingwood et al,(1999)J.Mol.Endocrinol 23:255-275、Leo et al,(2000)Gene 245:1-11、Manteuffel-Cymborowska(1999)Acta Biochim.Pol.46:77-89、McKenna et al,(1999)J.Steroid Biochem.Mol.Biol.69:3-12、Malik et al,(2000)Trends Biochem.Sci.25:277-283、及びLemon et al,(1999)Curr.Opin.Genet.Dev.9:499-504を参照のこと。追加の例示的な活性化ドメインとしては、OsGAI、HALF-1、Cl、AP1、ARF-5、-6,-1、及び-8、CPRF1、CPRF4、MYC-RP/GP、ならびにTRAB1が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Ogawa et al,(2000)Gene 245:21-29、Okanami et al,(1996)Genes Cells 1:87-99、Goff et al,(1991)Genes Dev.5:298-309、Cho et al,(1999)Plant Mol Biol 40:419-429、Ulmason et al,(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:5844-5849、Sprenger-Haussels et al,(2000)Plant J.22:1-8、Gong et al,(1999)Plant Mol.Biol.41:33-44、及びHobo et al.,(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:15,348-15,353を参照のこと。
【0440】
遺伝子抑制因子を作製するために使用され得る、例示的な抑制ドメインとしては、KRAB A/B、KOX、TGF-ベータ誘導性初期遺伝子(TIEG)、v-erbA、SID、MBD2、MBD3、DNMTファミリーのメンバー(例えば、DNMT1、DNMT3A、DNMT3B、DNMT3Lなど)、Rb、及びMeCP2が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Bird et al,(1999)Cell 99:451-454、Tyler et al,(1999)Cell 99:443-446、Knoepfler et al,(1999)Cell 99:447-450、及びRobertson et al,(2000)Nature Genet.25:338-342を参照のこと。追加の例示的な抑制ドメインとしては、ROM2及びAtHD2Aが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Chem et al,(1996)Plant Cell 8:305-321、及びWu et al,(2000)Plant J.22:19-27を参照のこと。
【0441】
いくつかの場合では、ドメインは、染色体のエピジェネティック制御に関与する。いくつかの実施形態では、ドメインは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)、例えば、核に局在するA型、例えば、MYSTファミリーメンバーのMOZ、Ybf2/Sas3、MOF、及びTip60、GNATファミリーメンバーのGcn5またはpCAF、p300ファミリーメンバーのCBP、p300またはRttl09などである(Bemdsen and Denu(2008)Curr Opin Struct Biol 18(6):682-689)。他の場合には、ドメインは、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、例えば、クラスI(HDAC-1、2、3、及び8)、クラスII(HDAC IIA(HDAC-4、5、7及び9)、HDAC IIB(HDAC6及び10))、クラスIV(HDAC-11)、クラスIII(サーチュイン(SIRT)としても知られる、SIRT1~7)などである(Mottamal et al.,(2015)Molecules 20(3):3898-394lを参照のこと)。いくつかの実施形態で使用される別のドメインは、ヒストンホスホリラーゼまたはキナーゼであり、例としては、MSK1、MSK2、ATR、ATM、DNA-PK、Bubl、VprBP、IKK-a、PKCpi、Dik/Zip、JAK2、PKC5、WSTF及びCK2が挙げられる。いくつかの実施形態では、メチル化ドメインが使用され、Ezh2、PRMT1/6、PRMT5/7、PRMT2/6、CARM1、set7/9、MLL、ALL-1、Suv39h、G9a、SETDB1、Ezh2、Set2、Dotl、PRMT1/6、PRMT5/7、PR-Set7及びSuv4-20hなどの群から選択されてよい。sumo化及びビオチン化に関与するドメイン(Lys9、13、4、18及び12)も、いくつかの実施形態で使用されてよい(Kousarides(2007)Cell 128:693-705の概説を参照のこと)。
【0442】
融合分子は、当業者に周知のクローニング方法及び生化学的複合化方法によって構築される。融合分子は、DNA結合ドメイン及び機能ドメイン(例えば、転写活性化または抑制ドメイン)を含む。融合分子はまた、核局在化シグナル(例えば、SV40中型T抗原からのシグナルなど)ならびにエピトープタグ(例えば、FLAG及びヘマグルチニンなど)も任意に含む。融合タンパク質(及びそれらをコードする核酸)は、融合体の構成要素間で翻訳リーディングフレームが保存されるように設計される。
【0443】
一方では機能ドメイン(またはその機能的断片)のポリペプチド構成要素と、他方では非タンパク質DNA結合ドメイン(例えば、抗生物質、インターカレーター、副溝結合剤、核酸)との融合体は、当業者に既知の生化学的複合化方法によって構築される。例えば、Pierce Chemical Company(Rockford,IL)のカタログを参照のこと。副溝結合剤とポリペプチドとの融合体を作製するための方法及び組成物が記載されている。Mapp et al,(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3930-3935。同様に、ポリペプチド構成要素の機能ドメインと関連するsgRNA核酸構成要素を含むCRISPR/Cas TF及びヌクレアーゼもまた、当業者に既知であり、本明細書に詳述される。
【0444】
N.外因性ポリペプチド
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの発現増加(すなわち、過剰発現)は、過剰発現されるべきポリヌクレオチドをコードする外因性ポリヌクレオチドを細胞に導入することによって媒介される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、組換え核酸である。周知の組換え技術が、本明細書に概説されるような組換え核酸を生成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書の外因性ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドは、コドン最適化核酸配列を含む。
【0445】
ある特定の実施形態では、外因性ポリペプチド、例えば、寛容原性因子またはキメラ抗原受容体などをコードする組換え核酸は、発現構築物における1つ以上の調節性ヌクレオチド配列に機能的に連結されてよい。調節性ヌクレオチド配列は一般に、治療される宿主細胞及びレシピエント対象に適していることになる。多数のタイプの適切な発現ベクター及び好適な調節配列が、様々な宿主細胞に関して当該技術分野において既知である。典型的には、1つ以上の調節性ヌクレオチド配列としては、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、ならびにエンハンサーまたは活性化因子配列を挙げてよいが、これらに限定されない。当該技術分野において既知であるような構成的または誘導性プロモーターも企図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーター、または2つ以上のプロモーターのエレメントを組み合わせたハイブリッドプロモーターのいずれかであってよい。発現構築物は、細胞中においてプラスミドなどのエピソーム上に存在してよいか、または発現構築物は染色体内に挿入されてよい。特定の実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするために選択可能マーカー遺伝子を含む。ある特定の実施形態は、少なくとも1つの調節配列に機能的に連結されているバリアントポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む。本明細書で使用するための調節配列は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメントを含む。ある特定の実施形態では、発現ベクターは、形質転換される宿主細胞の選定、発現が望まれる特定のバリアントポリペプチド、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、及び/またはベクターによってコードされる任意の他のタンパク質、例えば、抗生物質マーカーなどの発現に関して設計される。
【0446】
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、操作細胞における外因性ポリヌクレオチドの発現を目的としたプロモーターに機能的に連結されている。好適な哺乳動物プロモーターの例としては、例えば、以下の遺伝子からのプロモーターが挙げられる:伸長因子1アルファ(EF1α)プロモーター、ハムスターのユビキチン/S27aプロモーター(WO97/15664)、サル空胞ウイルス40(SV40)初期プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、マウスメタロチオネイン-Iプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の長末端反復領域、マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV)、モロニーマウス白血病ウイルス長末端反復領域、及びヒトサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーター。他の異種哺乳動物プロモーターの例は、アクチン、免疫グロブリンまたは熱ショックプロモーター(複数可)である。追加の実施形態では、哺乳動物宿主細胞に使用するためのプロモーターは、ウイルス、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス(1989年7月5日公開のUK2,211,504)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びシミアンウイルス40(SV40)などのゲノムから得られ得る。さらなる実施形態では、異種哺乳動物プロモーターが使用される。例としては、アクチンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、及び熱ショックプロモーターが挙げられる。SV40の初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限断片として簡便に得られる(Fiers et al,Nature 273:113-120(1978))。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIII制限酵素断片として簡便に得られる(Greenaway et al,Gene 18:355-360(1982))。前述の参考文献は、その全体が参照によって組み込まれる。
【0447】
いくつかの実施形態では、発現ベクターは、バイシストロン性またはマルチシストロン性発現ベクターである。バイシストロン性またはマルチシストロン性発現ベクターは、(1)オープンリーディングフレームの各々に融合された複数のプロモーター、(2)遺伝子間へのスプライシングシグナルの挿入、(3)遺伝子の発現が単一プロモーターによって誘導されるその遺伝子の融合、及び/または(4)遺伝子間のタンパク質分解切断部位(自己切断ペプチド)の挿入もしくは遺伝子間の内部リボソーム進入部位(IRES)の挿入を含んでよい。
【0448】
いくつかの実施形態では、本明細書における発現ベクターまたは構築物は、マルチシストロン性構築物である。「マルチシストロン性構築物」及び「マルチシストロン性ベクター」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、単一のmRNA分子に転写されることになる組換えDNA構築物を指し、単一のmRNA分子は、2つ以上の遺伝子(例えば、2つ以上の導入遺伝子)をコードする。マルチシストロン性構築物は、それが2つの遺伝子をコードする場合にはバイシストロン性構築物と称され、それが3つの遺伝子をコードする場合にはトリシストロン性構築物と称され、それが4つの遺伝子をコードする場合にはクアドロシストロン性構築物と称されるなどである。
【0449】
いくつかの実施形態では、ベクターまたは構築物(例えば、導入遺伝子)に含まれる2つ以上の外因性ポリヌクレオチドは各々、マルチシストロン性分離エレメントによって隔てられている。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性分離エレメントは、IRESまたは切断可能なペプチドもしくはリボソームスキップエレメントをコードする配列である。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性分離エレメントは、IRES、例えば、脳心筋炎(EMCV)ウイルスのIRESなどである。いくつかの実施形態では、マルチシストロン性分離エレメントは、切断可能なペプチド、例えば、2Aペプチドなどである。例示的な2Aペプチドとしては、P2Aペプチド、T2Aペプチド、E2Aペプチド、及びF2Aペプチドが挙げられる。いくつかの実施形態では、切断可能なペプチドはT2Aである。いくつかの実施形態では、2つ以上の外因性ポリヌクレオチド(例えば、第1外因性ポリヌクレオチド及び第2外因性ポリヌクレオチド)は、プロモーターに機能的に連結されている。いくつかの実施形態では、第1外因性ポリヌクレオチド及び第2外因性ポリヌクレオチドは各々、プロモーターに機能的に連結されている。いくつかの実施形態では、プロモーターは同じプロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、EF1プロモーターである。
【0450】
いくつかの場合には、外因性ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載される寛容原性因子または補体インヒビターをコードする外因性ポリヌクレオチド)は、切断可能なペプチドまたはリボソームスキップエレメント、例えば、マルチシストロン性ベクターによってコードされる外因性ポリペプチドのN末端またはC末端のT2Aなどをコードする。いくつかの実施形態では、切断可能なペプチドまたはリボソームスキップエレメントの包含によって、単一の翻訳開始部位からの2つ以上のポリペプチドの発現が可能となる。いくつかの実施形態では、切断可能なペプチドはT2Aである。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:11によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:12によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:17によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:18によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。
【0451】
いくつかの実施形態では、ベクターまたは構築物は、外因性ポリヌクレオチドの1つ以上の転写単位の発現を誘導する単一プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、そのようなベクターまたは構築物は、マルチシストロン性(バイシストロン性またはトリシストロン性、例えば、米国特許第6,060,273号を参照のこと)であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、転写単位は、IRES(内部リボソーム進入部位)を含有するバイシストロン性単位として操作され得、これは単一プロモーターから転写されるRNAからの遺伝子産物(例えば、CD47などの1つ以上の寛容原性因子及び/またはCD46、CD59、及びCD55などの1つ以上の補体インヒビター)の共発現を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるベクターまたは構築物はバイシストロン性であり、ベクターまたは構築物が2つの別個のポリペプチドを発現することを可能にする。いくつかの場合には、ベクターまたは構築物によってコードされる2つの別個のポリペプチドは、寛容原性因子(例えば、CD47、DUX4、CD24、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、C1インヒビター、IL-10、IL-35、IL-39、FasL、CCL21、CCL22、Mfge8、及びSerpinb9から選択される2つの因子)である。いくつかの場合には、ベクターまたは構築物によってコードされる2つの別個のポリペプチドは、CD46及びCD59である。いくつかの実施形態では、ベクターまたは構築物によってコードされる2つの別個のポリペプチドは、寛容原性因子(例えば、CD47)ならびにCD46、CD59、及びCD55から選択される補体インヒビターである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるベクターまたは構築物はトリシストロン性であり、ベクターまたは構築物が3つの別個のポリペプチドを発現することを可能にする。いくつかの場合には、トリシストロン性ベクターまたは構築物の3つの核酸配列は、CD47、CD46、及びCD59などの寛容原性因子である。いくつかの場合には、トリシストロン性ベクターまたは構築物の3つの核酸配列は、CD46、CD59、及びCD55である。いくつかの場合には、トリシストロン性ベクターまたは構築物の3つの核酸配列は、CD47、DUX4、CD24、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、C1インヒビター、IL-10、IL-35、IL-39、FasL、CCL21、CCL22、Mfge8、及びSerpinb9から選択される3つの寛容原性因子である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるベクターまたは構築物はクアドロシストロン性であり、ベクターまたは構築物が4つの別個のポリペプチドを発現することを可能にする。いくつかの場合には、クアドロシストロン性ベクターまたは構築物の4つの別個のポリペプチドは、CD47、CD46、CD59、及びCD55である。いくつかの場合には、クアドロシストロン性ベクターまたは構築物の4つの別個のポリペプチドは、CD47、DUX4、CD24、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、C1インヒビター、IL-10、IL-35、IL-39、FasL、CCL21、CCL22、Mfge8、及びSerpinb9から選択される4つの寛容原性因子である。
【0452】
いくつかの実施形態では、細胞は1つ以上のベクターまたは構築物を含み、各ベクターまたは構築物は、上に記載されるようなモノシストロン性またはマルチシストロン性構築物であり、モノシストロン性またはマルチシストロン性構築物は、1つ以上の寛容原性因子及び/または補体インヒビターを、任意の組合せまたは順序でコードする。
【0453】
いくつかの実施形態では、単一プロモーターは、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)内に、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フーリン)をコードする配列によって互いに隔てられている、2つ、3つ、または4つの遺伝子(例えば、寛容原性因子(例えば、CD47)及び/またはCD46、CD59、及びCD55から選択される1つ以上の補体インヒビターをコードする)を含有するRNAの発現を誘導する。したがって、ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかで個別のタンパク質にプロセシングされる、単一ポリペプチドをコードする。いくつかの場合には、T2Aなどのペプチドは、2AエレメントのC末端でペプチド結合の合成をリボソームにスキップさせ(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と次の下流ペプチドとの間に分離をもたらし得る(例えば、de Felipe.Genetic Vaccines and Ther.2:13(2004)及びdeFelipe et al.Traffic 5:616-626(2004)を参照のこと)。多くの2Aエレメントが、当該技術分野において既知である。本明細書に開示される方法及び核酸に使用され得る2A配列の例としては、米国特許公開第20070116690号に記載されるような、口蹄疫ウイルス(F2A、例えば、配列番号:16)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A、例えば、配列番号:15)、thosea asignaウイルス(T2A、例えば、配列番号:11、12、17、または18)、及びブタテッショウウイルス-1(P2A、例えば、配列番号:13または14)からの2A配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0454】
ベクターまたは構築物(例えば、導入遺伝子)が、タンパク質をコードする2つ以上の核酸配列、例えば、CD46をコードする第1外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする第2外因性ポリヌクレオチド、またはCD47をコードする第1外因性ポリヌクレオチド、CD56をコードする第2外因性ポリヌクレオチド、及びCD59をコードする第3外因性ポリヌクレオチドを含有する場合には、ベクターまたは構築物(例えば、導入遺伝子)は、第1及び第2外因性ポリヌクレオチド配列間にペプチドをコードする核酸配列をさらに含んでよい。いくつかの場合には、第1及び第2外因性ポリヌクレオチド間に位置する核酸配列は、翻訳中または翻訳後に第1及び第2外因性ポリヌクレオチドの翻訳産物を分離するペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ペプチドは、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチド(リボソームスキップエレメント)、例えば、T2Aペプチドなどを含有する。いくつかの実施形態では、切断可能なペプチドまたはリボソームスキップエレメントの包含によって、単一の翻訳開始部位からの2つ以上のポリペプチドの発現が可能となる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、T2Aペプチドである自己切断ペプチドである。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:11によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:12によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:17によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、T2Aは、配列番号:18によって記載されるアミノ酸配列であるか、またはそれを含む。
【0455】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドを細胞に導入するプロセスは、任意の好適な技術によって達成され得る。好適な技術としては、リン酸カルシウムまたは脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、フソゲン(fusogen)、及びウイルスベクターを使用した形質導入または感染が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ウイルス形質導入によって細胞に導入される(例えば、レンチウイルス形質導入)か、またはさもなければウイルスベクター上で送達される(例えば、フソゲン媒介送達)。好適な技術としては、リン酸カルシウムまたは脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスポザーゼ媒介送達、及びウイルスベクターを使用した形質導入または感染が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ウイルス形質導入によって細胞に導入される(例えば、レンチウイルス形質導入)か、またはさもなければウイルスベクター上で送達される(例えば、フソゲン媒介送達)。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドをパッケージングするベクターが、パッケージングしたポリヌクレオチドを細胞または細胞集団に送達するために使用されてよい。それらのベクターは、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、ウイルスベクター及び粒子を含む、任意の種類のものであってよい。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子が、外因性ポリヌクレオチドを細胞に送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターが、外因性ポリヌクレオチドを細胞に送達するために使用され得る。ウイルスベクター技術は周知であり、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)に記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしては、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、腫瘍溶解性ウイルスなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、細胞への外因性ポリヌクレオチドの導入は、特異的(標的)または非特異的(例えば、非標的)であり得る。いくつかの実施形態では、細胞への外因性ポリヌクレオチドの導入は、細胞内のゲノムへの組込みまたは挿入をもたらし得る。他の実施形態では、導入された外因性ポリヌクレオチドは、細胞内で非組込み型またはエピソーム型であってよい。当業者は、本明細書に記載される例示的な方法のいずれかを含む、核酸導入遺伝子を細胞に導入する方法に精通し、好適な方法を選択し得る。
【0456】
1)非標的送達
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、様々な非標的方法のいずれかによって細胞(例えば、供給源細胞)に導入される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、宿主細胞のランダムなゲノム座位に挿入される。当業者には既知であるように、例えば、レトロウイルスベクター及びレンチウイルスベクターを含むウイルスベクターは、宿主細胞に遺伝物質を送達し、外来遺伝子または外因性遺伝子を宿主細胞ゲノムにランダムに挿入して遺伝子の安定した発現及び複製を促進するために、一般的に使用される。いくつかの実施形態では、細胞への外因性ポリヌクレオチドの非標的導入は、細胞内での外因性ポリヌクレオチドの安定発現を目的とした条件下にある。いくつかの実施形態では、細胞内での安定発現のために核酸を導入する方法は、組み込まれた細胞が分裂する場合に増殖する可能性があるように、細胞のゲノムに対して核酸の安定した組込みをもたらす任意の方法を含む。
【0457】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。レンチウイルスベクターは、それらが、送達される核酸転写物内に含有される遺伝子の安定した発現を可能にするため、ウイルス形質導入を成功させるための特に有用な手段である。レンチウイルスベクターは、逆転写酵素及びインテグラーゼ、すなわち、送達される核酸転写物内に含有される遺伝子の安定した発現に必要な2つの酵素を発現する。逆転写酵素がRNA転写物をDNAに変換する一方で、インテグラーゼは、標的細胞のゲノムにDNAを挿入して組み込む。DNAがゲノムに安定して組み込まれると、これは宿主と共に分裂する。組込みDNA内に含有される目的の遺伝子は、構成的に発現される場合があるか、またはそれは誘導性の場合がある。宿主細胞ゲノムの一部として、目的の遺伝子は、標的細胞における多くの因子に応じて、活性化または抑制を含む細胞制御を受ける場合がある。
【0458】
レンチウイルスは、ウイルスのレトロウイルス科の下位群であり、宿主ゲノム中に組み込む前にウイルスRNAゲノムのDNAへの逆転写が必要となることから命名される。そのため、レンチウイルスビヒクル/粒子の最も重要な特徴は、それらの遺伝物質を標的/宿主細胞のゲノム中に組み込むことである。レンチウイルスのいくつかの例としては、ヒト免疫不全ウイルス:HIV-1及びHIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ジェンブラナ病ウイルス(JDV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ウマ伝染性貧血ウイルス、ビスナ-マエディウイルスならびにヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)が挙げられる。
【0459】
典型的には、遺伝子送達ビヒクルを構成するレンチウイルス粒子は、それ自体では複製欠損性である(「自己不活性化」とも称される)。レンチウイルスは、無傷の宿主核膜を介する侵入機構によって分裂細胞及び非分裂細胞の両方に感染できる(Naldini L et al.,Curr.Opin.Bioiecknol,1998,9:457-463)。組換えレンチウイルスビヒクル/粒子は、HIV病原性遺伝子を何倍にも弱毒化することによって生成されていて、例えば、遺伝子Env、Vif、Vpr、Vpu、Nef及びTatが除去され、ベクターを生物学的に安全にしている。それに対応して、例えば、HIV-1/HIV-2に由来するレンチウイルスビヒクルは、非分裂細胞中への導入遺伝子の効率的な送達、組込み及び長期発現を媒介し得る。
【0460】
レンチウイルス粒子は、ウイルスパッケージング要素及びベクターゲノムそれ自体を、ヒトHEK293T細胞などの産生細胞中で共発現させることによって生成されてよい。それらの要素は通常、3つの(第2世代レンチウイルス系では)または4つの別個のプラスミド(第3世代レンチウイルス系では)で提供される。産生細胞は、ウイルスのコア(すなわち、構造タンパク質)及び酵素構成要素、ならびにエンベロープタンパク質(複数可)(パッケージングシステムと称される)を含むレンチウイルス構成要素をコードするプラスミド、ならびに標的細胞に移入される外来導入遺伝子を含むゲノムをコードするプラスミド、ビヒクルそれ自体(導入ベクターとも称される)で共トランスフェクトされる。一般に、プラスミドまたはベクターは、産生細胞株に含まれる。プラスミド/ベクターは、トランスフェクション、形質導入または感染を介して産生細胞株中に導入される。トランスフェクション、形質導入または感染の方法は、当業者には周知である。非限定的な例として、パッケージング及び導入構築物は、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションによって、一般にネオミオシン(neomyocin)(neo)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、グルタミンシンテターゼまたはアデノシンデアミナーゼ(ADA)などの主要な選択可能マーカーと共に産生細胞株中に導入され、続いて適切な薬物の存在下における選択及びクローンの単離が行われ得る。
【0461】
産生細胞は、外来遺伝子、例えば、外因性ポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドを含有する組換えウイルス粒子を産生する。組換えウイルス粒子は培養培地から回収され、当業者によって使用される標準的な方法によって滴定される。組換えレンチウイルスビヒクルは、標的細胞、例えば、節II.Cに記載されるいずれかを含む供給源細胞などに感染するために使用され得る。
【0462】
高力価レンチウイルス粒子を産生するために使用され得る細胞としては、HEK293T細胞、293G細胞、STAR細胞(Relander et al.,Mol.Ther.,2005,11:452-459)、FreeStyle(商標)293 Expression System(ThermoFisher,Waltham,MA)、及び他のHEK293Tベースの産生細胞株(例えば、Stewart et al.,Hum Gene Ther._2011,2,2.(3):357~369、Lee et al,Biotechnol Bioeng,2012,10996):1551-1560、Throm et al..Blood.2009,113(21):5104-5110)が挙げられてよいが、これらに限定されない。
【0463】
レンチウイルス粒子で提供される追加のエレメントは、5’末端または3’末端のいずれかにあるレトロウイルスLTR(長端末反復)、レトロウイルス輸送エレメント、任意にレンチウイルス逆応答エレメント(RRE)、プロモーターまたはその活性部分、及び座位制御領域(LCR)またはその活性部分を含んでよい。他のエレメントとしては、非分裂細胞内で形質導入効率を改善するための中央ポリプリントラクト(cPPT)配列、導入遺伝子の発現を増強し、力価を増加させるウッドチャック肝炎ウイルス(WHP)転写後調節エレメント(WPRE)が挙げられる。
【0464】
組換えレンチウイルス粒子を生成する方法は、当業者には既知であり、例えば、米国特許第8,846,385号、同第7,745,179号、同第7,629,153号、同第7,575,924号、同第7,179,903号、及び同第6,808,905号を参照のこと。使用されるレンチウイルスベクターは、pLVX、pLenti、pLenti6、pLJMl、FUGW、pWPXL、pWPI、pLenti CMV puro DEST、pLJMl-EGFP、pULTRA、pInducer2Q、pHIV-EGFP、pCW57.1、pTRPE、pELPS、pRRL、及びpLionIIから選択されてよいが、これらに限定されない。任意の既知のレンチウイルスビヒクルも使用されてよい(米国特許第9,260,725号、同第9,068,199号、同第9,023,646号、同第8,900,858号、同第8,748,169号、同第8,709,799号、同第8,420,104号、同第8,329,462号、同第8,076,106号、同第6,013,516号、及び同第5,994,136号、国際特許公開第WO2012079000号を参照のこと)。
【0465】
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、細胞の一過性発現を目的とした条件下で、例えば、外因性ポリヌクレオチドのエピソーム送達をもたらす方法などによって細胞に導入される。
【0466】
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターにパッケージングされてよい。そのようなベクターまたはウイルス粒子は、既知の血清型カプシドまたは血清型カプシドの組合せのいずれかを利用するように設計されてよい。血清型カプシドは、同定した任意のAAV血清型及びそのバリアント、例えば、AAV1、AAV2、AAV2G9、AAV3、AAV4、AAV4-4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12及びAAVrh10からのカプシドを含んでよい。いくつかの実施形態では、AAV血清型は、米国公開第US20030138772号、Pulicherla et al.Molecular Therapy,2011,19(6):1070-1078、米国特許第6,156,303号、同第7,198,951号、米国特許公開第US2015/0159173号及び同第US2014/0359799号、ならびに国際特許公開第WO1998/011244号、同第WO2005/033321号及び同第WO2014/14422号に記載されるような配列であってよいか、またはそれを有してよい。
【0467】
AAVベクターは、一本鎖ベクターだけでなく、自己相補的AAVベクター(scAAV)も含む。scAAVベクターは、互いにアニーリングして二本鎖ベクターゲノムを形成するDNAを含有する。第2鎖合成をスキップすることによって、scAAVは細胞において迅速な発現を可能にする。rAAVベクターは、sf9昆虫細胞内で、またはHEK293細胞などのヒト細胞の浮遊細胞培養物中において、トリプルトランスフェクションなどによる当該技術分野における標準的な方法によって製造されてよい。
【0468】
いくつかの実施形態では、非ウイルスベースの方法が使用されてよい。例えば、いくつかの態様では、ポリヌクレオチドを含むベクターは、針、エレクトロポレーション、ソノポレーション、ハイドロポレーションなどの物理的方法、無機粒子(例えば、リン酸カルシウム、シリカ、金)などの化学的担体及び/または化学的方法による非ウイルス法によって細胞に移入されてよい。いくつかの態様では、合成または天然の生分解性剤は、カチオン性脂質、脂質ナノエマルジョン、ナノ粒子、ペプチドベースのベクター、またはポリマーベースのベクターなどの送達に使用されてよい。
【0469】
2)標的送達
外因性ポリヌクレオチドは、細胞の任意の好適な標的ゲノム座位に挿入され得る。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、標的座位への標的組込みによって細胞に導入される。いくつかの実施形態では、標的組込みは、相同性依存性または相同性非依存性組換えを伴うプロセスにおいて1つ以上のヌクレアーゼ及び/またはニッカーゼならびにドナー鋳型を使用した遺伝子編集によって達成され得る。
【0470】
多数の遺伝子編集方法、例えば、相同組換え修復(HOR)、ホモロジー媒介末端結合(HMEJ)、相同性非依存性標的組込み(homology-independent targeted integration)(HITI)、偏性ライゲーションゲーティング組換え(obligate ligation-gated recombination)(ObliGaRe)、または標的染色体への正確な組込み(PITCh)を含む方法が、好適な特定のゲノム座位に外因性ポリヌクレオチドを挿入するために使用され得る。
【0471】
いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、ゲノム内の所望の位置(例えば、標的部位)に特異的な二本鎖切断(DSB)を作製し、細胞の内因性機構を利用して誘導した切断を修復する。ニッカーゼは、ゲノム内の所望の位置に特異的な一本鎖切断を作製する。非限定的な一例では、2つのニッカーゼが、標的DNAの逆鎖上に2つの一本鎖切断を作製し、それによって平滑末端または付着末端を生成するために使用され得る。任意の好適なヌクレアーゼが、標的DNA配列のゲノム編集を誘導するために細胞に導入され得、これらとしてはCRISPR関連タンパク質(Cas)ヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、他のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼ、それらのバリアント、それらの断片、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼまたはニッカーゼに、内因性ゲノム標的座位、例えば、セーフハーバー座位の、またはその近傍の配列に相同な相同配列(例えば、相同性アーム)に隣接する外因性ポリヌクレオチド配列(導入遺伝子とも呼ばれる)を含有するドナー鋳型が導入される場合、DNA損傷修復経路は、細胞内の標的部位に導入遺伝子配列の組込みをもたらし得る。これは、相同性依存性プロセスによって行われ得る。いくつかの実施形態では、ドナー鋳型は、環状二本鎖プラスミドDNA、一本鎖ドナーオリゴヌクレオチド(ssODN)、直鎖二本鎖ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)断片、またはインタクトな姉妹染色分体の相同配列である。ドナー鋳型の形態に応じて、ホモロジー媒介遺伝子挿入及び置換は、特定のDNA修復経路、例えば、相同組換え修復(HDR)、合成依存性鎖アニーリング(SDSA)、マイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)、及びホモロジー媒介末端結合(HMEJ)経路などを介して実施され得る。
【0472】
例えば、DNA修復機構は、(i)2つのSSB(各鎖上にSSBが存在し、それによって一本鎖オーバーハングを誘導する)、または(ii)両鎖上の同じ切断部位に生じ、それによって平滑末端切断を誘導するDSB後にヌクレアーゼによって誘導され得る。それらの薬剤のうち1つによる切断時に、SSBまたはDSBを有する標的座位は、DNA損傷修復のための2つの主要な経路、すなわち、(1)誤りがちな非相同末端結合(NHEJ)、または(2)高忠実度の相同組換え修復(HDR)経路のうち1つを受ける。いくつかの実施形態では、SSBまたはDSBが存在する細胞に導入されるドナー鋳型(例えば、環状プラスミドDNAまたは線状DNA断片、例えば、ssODNなど)は、HDR及び標的座位へのドナー鋳型の組込みをもたらし得る。概して、ドナー鋳型の非存在下では、NHEJプロセスは切断DNA鎖の末端を再びライゲートし、これは高い頻度で切断部位にヌクレオチドの欠失及び挿入をもたらす。
【0473】
いくつかの実施形態では、細胞への外因性ポリヌクレオチドの部位特異的挿入は、HDRベースの手法によって達成されてよい。HDRは、細胞がDNA中の二本鎖切断(DSB)を修復する機構であり、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)/Casシステム、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、及びトランスポザーゼを含む、様々な遺伝子編集システムを使用して多くの生物内のゲノムを改変するために利用され得る。
【0474】
いくつかの実施形態では、標的組込みは、標的遺伝子の少なくとも1つの標的部位(複数可)配列を標的とするように特異的に設計された、DNA結合標的ヌクレアーゼ及び遺伝子編集ヌクレアーゼ、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)など、ならびにRNA誘導型ヌクレアーゼ、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼ(Cas)システムなどを含む、1つ以上の配列特異的または標的ヌクレアーゼを導入することによって保持される。例示的なZFN、TALE、及びTALENは、例えばLloyd et al.,Frontiers in Immunology,4(221):1-7(2013)に記載されている。特定の実施形態では、標的部位での、またはその近傍での標的遺伝子破壊が、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)及びCRISPR関連(Cas)タンパク質を使用して実施される。Sander and Joung,(2014)Nature Biotechnology,32(4):347-355を参照のこと。
【0475】
節II.A.1に記載される遺伝子破壊を目的としたシステムのいずれも使用され得、また外因性ポリヌクレオチド、例えば、導入遺伝子配列を有する適切なドナー鋳型が導入される場合、遺伝子破壊の標的部位での、またはその近傍での外因性ポリヌクレオチドの標的組込みをもたらし得る。特定の実施形態では、遺伝子破壊は、1つ以上のガイドRNA(gRNA)及びCasタンパク質を含有するCRISPR/Casシステムを使用して媒介される。例示的なCasタンパク質及びgRNAは、上記節II.Aに記載されていて、そのいずれも、Crispr/Casシステムが特異的である標的座位への外因性ポリヌクレオチドのHDR媒介組込みに使用され得る。HDRによる外因性ポリヌクレオチドの切断及び組込みのための特定の標的座位及び標的部位に応じるなどの、適切なCasヌクレアーゼ及びgRNAを選択することは当業者のレベルの範囲内である。さらに、標的座位に応じて、当業者は、以下でさらに記載されるものなどの、適切なドナー鋳型を容易に調製し得る。
【0476】
いくつかの実施形態では、DNA編集システムは、RNA誘導型CRISPR/Casシステム(RNAベースのCRISPR/Casシステムなど)であり、CRISPR/Casシステムは、標的座位への導入遺伝子の挿入を誘導するために標的座位(例えば、セーフハーバー座位)内に二本鎖切断を作製できる。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼシステムは、CRISPR/Cas9システムである。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas9システムは、プラスミドベースのCas9を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas9システムは、RNAベースのCas9を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas9システムは、Cas9 mRNA及びgRNAを含む。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas9システムは、タンパク質/RNA複合体、またはプラスミド/RNA複合体、またはタンパク質/プラスミド複合体を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞を生成する方法が提供され、これは導入遺伝子または外因性ポリヌクレオチド配列を含有するドナー鋳型ならびにDNAヌクレアーゼシステム(例えば、Cas9)及び座位特異的gRNAを含むDNAヌクレアーゼシステムを供給源細胞(例えば、初代細胞または多能性幹細胞、例えば、iPSC)に導入することを含む。いくつかの実施形態では、Cas9は、mRNAとして導入される。いくつかの実施形態では、Cas9は、gRNAとのリボ核タンパク質複合体として導入される。
【0477】
概して、挿入されるドナー鋳型は、目的の外因性ポリヌクレオチド(例えば、寛容原性因子またはCAR)を含有する少なくとも導入遺伝子カセットを含むことになり、任意にプロモーターも含むことになる。これらの実施態様のいくつかでは、挿入される外因性ポリヌクレオチド及び/またはプロモーターを含有する導入遺伝子カセットは、標的切断部位のすぐ上流及び下流の配列と相同な配列を有する相同性アーム、すなわち、左相同性アーム(LHA)及び右相同性アーム(RHA)によってドナー鋳型に隣接することになる。典型的には、ドナー鋳型の相同性アームは、標的ゲノム座位がHDRのための鋳型として機能するように特に設計されている。各相同性アームの長さは一般に、導入される挿入物のサイズに依存し、挿入物が大きくなるとより長い相同性アームが必要となる。
【0478】
いくつかの実施形態では、ドナー鋳型(例えば、組換えドナー修復鋳型)は、(i)外因性ポリヌクレオチド配列(例えば、プロモーター、例えば、異種プロモーターに機能的に連結されている導入遺伝子)を含む導入遺伝子カセット、及び(ii)導入遺伝子カセットに隣接し、DNAヌクレアーゼ(例えば、Cas9またはCas12などのCasヌクレアーゼ)切断部位の両側にある標的座位(例えば、セーフハーバー座位)の部分と相同な2つの相同性アームを含む。ドナー鋳型は、選択可能マーカー、検出可能マーカー、及び/または精製マーカーをさらに含み得る。
【0479】
いくつかの実施形態では、相同性アームは同じ長さである。他の実施形態では、相同性アームは異なる長さである。相同性アームは、少なくとも約10塩基対(bp)、例えば、少なくとも約10bp、15bp、20bp、25bp、30bp、35bp、45bp、55bp、65bp、75bp、85bp、95bp、100bp、150bp、200bp、250bp、300bp、350bp、400bp、450bp、500bp、550bp、600bp、650bp、700bp、750bp、800bp、850bp、900bp、950bp、1000bp、1.1キロベース(kb)、1.2kb、1.3kb、1.4kb、1.5kb、1.6kb、1.7kb、1.8kb、1.9kb、2.0kb、2、1kb、2,2kb、2,3kb、2,4kb、2,5kb、2,6kb、2.7kb、2.8kb、2.9kb、3.0kb、3.1kb、3.2kb、3.3kb、3.4kb、3.5kb、3.6kb、3.7kb、3.8kb、3.9kb、4.0kb、またはそれを超える長さであり得る。相同性アームは、約10bp~約4kb、例えば、約10bp~約20bp、約10bp~約50bp、約10bp~約100bp、約10bp~約200bp、約10bp~約500bp、約10bp~約1kb、約10bp~約2kb、約10bp~約4kb、約100bp~約200bp、約100bp~約500bp、約100bp~約1kb、約100bp~約2kb、約100bp~約4kb、約500bp~約1kb、約500bp~約2kb、約500bp~約4kb、約1kb~約2kb、約1kb~約2kb、約1kb~約4kb、または約2kb~約4kbであり得る。
【0480】
いくつかの実施形態では、ドナー鋳型は、発現ベクターにクローニングされ得る。当業者に既知の従来のウイルス及び非ウイルスベースの発現ベクターが使用され得る。
【0481】
いくつかの実施形態では、組込みのために標的とされる標的座位は、座位が外因性ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子の組込みを標的とすることが許容されるか、または望ましいことになる任意の座位であってよい。標的座位の非限定的な例としては、CXCR4遺伝子、アルブミン遺伝子、SHS231座位、F3遺伝子(CD142としても知られる)、MICA遺伝子、MICB遺伝子、LRP1遺伝子(CD91としても知られる)、HMGB1遺伝子、ABO遺伝子、RHD遺伝子、FUT1遺伝子、KDM5D遺伝子(HYとしても知られる)、B2M遺伝子、CIITA遺伝子、TRAC遺伝子、TRBC遺伝子、CCR5遺伝子、F3(すなわち、CD142)遺伝子、MICA遺伝子、MICB遺伝子、LRP1遺伝子、HMGB1遺伝子、ABO遺伝子、RHD遺伝子、FUT1遺伝子、KDM5D(すなわち、HY)遺伝子、PDGFRa遺伝子、OLIG2遺伝子、及び/またはGFAP遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、例えば、イントロン、エクソン、及び/または遺伝子コード領域(コード配列、もしくは「CDS」としても知られる)を含む、標的座位(例えば、セーフハーバー座位)の好適な領域に挿入され得る。いくつかの実施形態では、挿入は、標的ゲノム座位の片アレル内で行われる。いくつかの実施形態では、挿入は、標的ゲノム座位の両アレル内で行われる。これらの実施形態のいずれかでは、標的ゲノム座位に挿入される導入遺伝子の向きは、その座位の遺伝子の方向と同じか、またはその逆のいずれかであり得る。
【0482】
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、セーフハーバー遺伝子座のイントロン、エクソン、またはコード配列領域に挿入される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、内因性遺伝子に挿入され、挿入は、内因性遺伝子のサイレンシングまたは発現減少を引き起こす。外因性ポリヌクレオチドの挿入を目的とした例示的なゲノム座位が、表2Bに示される。
【0483】
【0484】
いくつかの実施形態では、標的座位は、セーフハーバー座位である。いくつかの実施形態では、セーフハーバー座位は、近傍の、または隣接する内因性遺伝子、調節エレメントなどへの影響を最小限に抑えながら、組込みDNAの安定発現を可能にするゲノム位置である。いくつかの場合には、セーフハーバー遺伝子は、持続可能な遺伝子発現を可能にし、初代細胞及び多能性幹細胞、例えば、その誘導体、及びその分化細胞を含む細胞を含む、様々な細胞型における遺伝子改変を目的とした操作ヌクレアーゼによって標的とされ得る。セーフハーバー座位の非限定的な例としては、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座、CLYBL遺伝子座、及び/またはRosa遺伝子座(例えば、ROSA26遺伝子座)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、セーフハーバー座位は、AAVS1座位、CCR5座位、及びCLYBL座位からなる群から選択される。いくつかの場合には、SHS231は、多くの細胞型におけるセーフハーバー座位として標的とされ得る。いくつかの場合には、ある特定の座位は、ある特定の細胞型におけるセーフハーバー座位として機能し得る。例えば、PDGFRaはグリア前駆細胞(GPC)のセーフハーバーであり、OLIG2はオリゴデンドロサイトのセーフハーバー座位であり、GFAPはアストロサイトのセーフハーバー座位である。特定の操作細胞型に応じて適切なセーフハーバー座位を選択することは、当業者のレベルの範囲内である。いくつかの場合には、2つ以上のセーフハーバー遺伝子が標的とされ、それによって遺伝子改変細胞に2つ以上の導入遺伝子を導入し得る。
【0485】
いくつかの実施形態では、操作細胞を生成する方法が提供され、これは導入遺伝子または外因性ポリヌクレオチド配列を含有するドナー鋳型、ならびにDNAヌクレアーゼシステム(例えば、Cas9)ならびにCCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座、CLYBL遺伝子座、及び/またはRosa遺伝子座(例えば、ROSA26遺伝子座)に特異的な相補的部分(例えば、gRNA標的指向性配列)を含む、座位特異的gRNAを含むDNAヌクレアーゼシステムを供給源細胞(例えば、初代細胞または多能性幹細胞、例えば、iPSC)に導入することを含む。いくつかの実施形態では、gRNAによって標的とされるゲノム座位は、記載されるような座位のいずれかの4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内に位置している。
【0486】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子のHDR媒介挿入のために本明細書で使用されるgRNAは、AAVS1中の標的配列を認識する相補的部分(例えば、gRNA標的指向性配列)を含む。これらの実施態様のいくつかでは、標的配列は、AAVS1のイントロン1に位置している。AAVS1は、染色体19:55,090,918-55,117,637リバース鎖に位置し、AAVS1イントロン1(転写物ENSG00000125503に基づく)は、染色体19:55,117,222-55,112,796リバース鎖に位置する。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体19:55,117,222-55,112,796の4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内のゲノム座位を標的とする。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体19:55,115,674の4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内のゲノム座位を標的とする。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体19:55,115,674において、または染色体19:55,115,674の5、10、15、20、30、40もしくは50ヌクレオチド内の位置において切断部位を生成するように構成されている。ある特定の実施形態では、gRNAは、Li et al.,Nat.Methods 16:866-869(2019)に記載される、「sgAAVS1-1」としても知られるGET000046である。このgRNAは、配列番号:36(表4に示される)に記載される核酸配列を有する相補的部分(例えば、gRNA標的指向性配列)を含み、AAVS1(PPP1R12Cとしても知られる)のイントロン1を標的とする。
【0487】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子のHDR媒介挿入のために本明細書で使用されるgRNAは、CLYBL中の標的配列を認識する相補的部分(例えば、gRNA標的指向性配列)を含む。これらの実施形態のいくつかでは、標的配列は、CLYBLのイントロン2に位置している。CLYBLは、染色体13:99,606,669-99,897,134フォワード鎖に位置し、CLYBLイントロン2(転写物ENST00000376355.7に基づく)は、染色体13:99,773,011-99,858,860フォワード鎖に位置する。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体13:99,773,011-99,858,860の4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内のゲノム座位を標的とする。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体13:99,822,980の4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内のゲノム座位を標的とする。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体13:99,822,980において、または染色体13:99,822,980の5、10、15、20、30、40もしくは50ヌクレオチド内の位置において切断部位を生成するように構成されている。ある特定の実施形態では、gRNAはGET000047であり、これは配列番号:36(表4に示される)に記載される核酸配列を有する相補的部分(例えば、gRNA標的指向性配列)を含み、CLYBLのイントロン2を標的とする。標的部位は、Cerbini et al.,PLoS One,10(1):e0116032(2015)に記載されるように、TALENの標的部位に類似している。
【0488】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子のHDR媒介挿入のために本明細書で使用されるgRNAは、CCR5中の標的配列を認識する相補的部分(例えば、gRNA標的指向性配列)を含む。これらの実施形態のいくつかでは、標的配列は、CCR5のエクソン3に位置している。CCR5は、染色体3:46,370,854-46,376,206フォワード鎖に位置し、CCR5エクソン3(転写物ENST00000292303.4に基づく)は、染色体3:46,372,892-46,376,206フォワード鎖に位置する。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体3:46,372,892-46,376,206の4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内のゲノム座位を標的とする。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体3:46,373,180の4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内のゲノム座位を標的とする。ある特定の実施形態では、gRNAは、染色体3:46,373,180において、または染色体3:46,373,180の5、10、15、20、30、40、もしくは50ヌクレオチド内の位置において切断部位を生成するように構成されている。ある特定の実施形態では、gRNAは、Mandal et al.,Cell Stem Cell 15:643-652(2014)に記載される、「crCCR5_D」としても知られるGET000048である。このgRNAは、配列番号:37(表4に示される)に記載される核酸配列を有する相補的部分を含み、CCR5のエクソン3(あるいは、Ensemblゲノムデータベースでエクソン2としてアノテーションされる)を標的とする。Gomez-Ospina et al.,Nat.Comm.10(1):4045(2019)を参照のこと。
【0489】
表4は、例示的なgRNA標的指向性配列を示す。いくつかの実施形態では、gRNA標的指向性配列は、表4に記載される相補的部分配列に1つ以上のチミンを含有する場合があり、それらはウラシルで置換されている。ウラシル及びチミンの両方とも、ウラシルに対する「u」及びチミンに対する「t」の代わりに、「t」で表され得ると当業者には理解されることになり、リボ核酸との関連においては、別段の指示がない限り、「t」はウラシルを表すために使用されると理解されることになる。
【0490】
【0491】
いくつかの実施形態では、標的座位は、細胞内でノックアウトされることが望まれる座位である。そのような実施形態では、そのような標的座位は、細胞の表現型または機能を調節するためなどの、細胞内でその破壊または排除が望まれる任意の標的座位である。例えば、標的遺伝子の発現を減少させるための、節II.Aに記載される遺伝子改変のいずれも、外因性ポリヌクレオチドの標的組込みを目的とした所望の標的座位であってよく、その場合に標的遺伝子の遺伝子破壊またはノックアウト及び外因性ポリヌクレオチドの標的挿入による過剰発現は、細胞内の同じ標的部位または座位で達成されてよい。例えば、HDRプロセスは、表1に記載される任意の標的遺伝子の発現を排除するか、または減少させる(例えば、ノックアウトする)ための遺伝子破壊をもたらす一方で、遺伝子破壊の標的部位の、またはその近傍の核酸配列と相同な隣接する相同性アームを有するドナー鋳型を使用することによって、標的遺伝子に外因性ポリヌクレオチドをさらに組み込む(例えば、ノックインする)ために使用されてよい。
【0492】
いくつかの実施形態では、操作細胞を生成する方法が提供され、これは導入遺伝子または外因性ポリヌクレオチド配列を含有するドナー鋳型、ならびにDNAヌクレアーゼシステム(例えば、Cas9)及びB2M座位、CIITA座位、TRAC座位、TRBC座位に特異的な相補的部分を含む、座位特異的gRNAを含むDNAヌクレアーゼシステムを供給源細胞(例えば、初代細胞または多能性幹細胞、例えば、iPSC)に導入することを含む。いくつかの実施形態では、gRNAによって標的とされるゲノム座位は、記載されるような座位のいずれかの4000bp以内、3500bp以内、3000bp以内、2500bp以内、2000bp以内、1500bp以内、1000bp以内、または500bp以内に位置している。
【0493】
特定の実施形態では、標的座位はB2Mである。いくつかの実施形態では、操作細胞は、B2M遺伝子を標的とする遺伝子改変を含む。いくつかの実施形態では、B2M遺伝子を標的とする遺伝子改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びB2M遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列を含む標的ヌクレアーゼシステムを使用することによって行われる。いくつかの実施形態では、B2M遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸(gRNA)配列は、WO2016/183041の付録2または表15の配列番号:81240~85644からなる群から選択され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、gRNAによって標的とされる標的部位に隣接する配列と相同な隣接する相同性アームを有する外因性ポリヌクレオチド配列を含有するドナー鋳型を導入することによって、HDRにより破壊したB2M座位中に組み込まれる。
【0494】
特定の実施形態では、標的座位はCIITAである。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CIITA遺伝子を標的とする遺伝子改変を含む。いくつかの実施形態では、CIITA遺伝子を標的とする遺伝子改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びCIITA遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列を含む標的ヌクレアーゼシステムによる。いくつかの実施形態では、CIITA遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列は、WO2016183041の付録1または表12の配列番号:5184~36352からなる群から選択され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、gRNAによって標的とされる標的部位に隣接する配列と相同な隣接する相同性アームを有する外因性ポリヌクレオチド配列を含有するドナー鋳型を導入することによって、HDRにより破壊したCIITA座位中に組み込まれる。
【0495】
いくつかの実施形態では、細胞はT細胞であり、内因性TRACまたはTRBC座位の発現は、遺伝子編集方法によって細胞内で減少するか、または排除される。例えば、HDRプロセスは、TRACまたはTRBC遺伝子の発現を排除するか、または減少させる(例えば、ノックアウトする)ための遺伝子破壊をもたらす一方で、遺伝子破壊の標的部位の、またはその近傍の核酸配列と相同な隣接する相同性アームを有するドナー鋳型を使用することによって、同じ座位に外因性ポリヌクレオチドをさらに組み込む(例えば、ノックインする)ために使用されてよい。本明細書に記載される遺伝子のCRISPR/Casベースの標的化に有用な、例示的なgRNA配列が、表2Cに提供される。本配列は、US20160348073に見出され得、配列表を含む本開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0496】
【0497】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、TRAC遺伝子を標的とする遺伝子改変を含む。いくつかの実施形態では、TRAC遺伝子を標的とする遺伝子改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びTRAC遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列を含む標的ヌクレアーゼシステムによる。いくつかの実施形態では、TRAC遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列(例えば、gRNA標的指向性配列)は、US20160348073の配列番号:532~609及び9102~9797からなる群から選択され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、gRNAによって標的とされる標的部位に隣接する配列と相同な隣接する相同性アームを有する外因性ポリヌクレオチド配列を含有するドナー鋳型を導入することによって、HDRにより破壊したTRAC座位中に組み込まれる。
【0498】
いくつかの実施形態では、操作細胞は、TRBC遺伝子を標的とする遺伝子改変を含む。いくつかの実施形態では、TRBC遺伝子を標的とする遺伝子改変は、Casタンパク質またはCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド、及びTRBC遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列を含む標的ヌクレアーゼシステムによる。いくつかの実施形態では、TRBC遺伝子を特異的に標的とするための少なくとも1つのガイドリボ核酸配列(例えば、gRNA標的指向性配列)は、US20160348073の配列番号:610~765及び9798~10532からなる群から選択され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、gRNAによって標的とされる標的部位に隣接する配列と相同な隣接する相同性アームを有する外因性ポリヌクレオチド配列を含有するドナー鋳型を導入することによって、HDRにより破壊したTRBC座位中に組み込まれる。
【0499】
いくつかの実施形態では、記載されるようなHDR媒介組込み手法に使用するための新規座位及び/またはgRNA配列の同定は、当業者のレベルの範囲内である。例えば、CRISPR/Casシステムについて、特定の座位(例えば、表1に記載される、例えば、標的遺伝子内の)に対する既存のgRNAが既知である場合、「インチワーム」手法を使用して、PAM配列の座位の両側にあるフランキング領域をスキャンすることによって、導入遺伝子の標的挿入のために追加の座位を同定でき、これは通常、ゲノムにわたって約100塩基対(bp)ごとに行われる。PAM配列は、使用される特定のCasヌクレアーゼに依存することになり、その理由として、異なるヌクレアーゼは通常、異なる対応するPAM配列を有するからである。座位の両側におけるフランキング領域は、約500~4000bp長、例えば、約500bp、約1000bp、約1500bp、約2000bp、約2500bp、約3000bp、約3500bp、または約4000bp長であり得る。検索範囲内でPAM配列が同定される場合、遺伝子破壊方法に使用するためのその座位の配列に従って新たなガイドが設計され得る。CRISPR/Casシステムは、例示として記載されているが、ZFN、TALEN、メガヌクレアーゼ及びトランスポザーゼを使用するものを含む、記載されるような任意のHDR媒介手法が、新規座位を同定する本方法に使用され得る。
【0500】
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドは、外因性CD47ポリペプチド(例えば、ヒトCD47ポリペプチド)をコードし、外因性ポリペプチドは、本明細書に開示されるようなセーフハーバー遺伝子座もしくはセーフハーバー部位または内因性遺伝子のサイレンシングもしくは発現減少を引き起こすゲノム座位に挿入される。いくつかの実施形態では、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドは、CCR5遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座、CLYBL遺伝子座、及び/またはRosa遺伝子座(例えば、ROSA26遺伝子座)に挿入される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、B2M、CIITA、TRAC、TRBC、PD1またはCTLA4遺伝子座に挿入される。
【0501】
C.細胞
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞(例えば、幹細胞、人工多能性幹細胞、そのような幹細胞に由来するか、もしくはそれから産生される分化細胞、造血幹細胞、または初代細胞)、あるいはその集団を提供し、それらは操作(または改変)されていて、本明細書に記載されるような1つ以上の遺伝子(例えば、1つ以上のMHCクラスI分子もしくは1つ以上のMHCクラスII分子の発現を制御する1つ以上の遺伝子)の発現が減少もしくは欠失するように細胞のゲノムが改変されているか、または遺伝子もしくはポリヌクレオチド(例えば、CD47などの寛容原性因子をコードするポリヌクレオチド)が過剰発現するか、もしくは発現増加する。いくつかの実施形態では、本出願は、CD142の発現減少または欠失をさらに含む細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本出願は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を伴う細胞を提供する。
【0502】
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドを含む操作細胞は、ベータ島細胞であり、CD47ポリペプチドをコードする第1外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、操作ベータ島細胞は、1つ以上の補体インヒビターまたは本明細書に記載される他の寛容原性ポリペプチドをコードする1つ以上の追加の外因性ポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞は、節II.Aに記載されるようなCD142の発現減少、ならびに1つ以上のMHCクラスI分子の発現減少及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現減少を含む。いくつかの実施形態では、第1外因性ポリヌクレオチド及び1つ以上の追加の外因性ポリヌクレオチドは、同じゲノム座位に挿入される。いくつかの実施形態では、第1外因性ポリヌクレオチド及び1つ以上の追加の外因性ポリヌクレオチドは、異なるゲノム座位に挿入される。例示的な実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)細胞は、初代ベータ島細胞または操作(例えば、低免疫原性)多能性細胞(例えば、iPSC)に由来するベータ島細胞である。
【0503】
いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドを含む操作細胞は肝細胞であり、CD47ポリペプチドをコードする第1外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、操作肝細胞は、1つ以上の補体インヒビターまたは本明細書に記載される他の寛容原性ポリペプチドをコードする1つ以上の追加の外因性ポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞は、節II.Aに記載されるようなCD142の発現減少、ならびに1つ以上のMHCクラスI分子の発現減少及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現減少を含む。いくつかの実施形態では、第1外因性ポリヌクレオチド及び1つ以上の追加の外因性ポリヌクレオチドは、同じゲノム座位に挿入される。いくつかの実施形態では、第1外因性ポリヌクレオチド及び1つ以上の追加の外因性ポリヌクレオチドは、異なるゲノム座位に挿入される。例示的な実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)細胞は、初代肝細胞または操作(例えば、低免疫原性)多能性細胞(例えば、iPSC)に由来する肝細胞である。
【0504】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、多能性幹細胞であるか、または多能性幹細胞から分化した細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、初代細胞である。
【0505】
細胞は、脊椎動物細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞またはマウス細胞などであってよい。いくつかの実施形態では、細胞は、ブタ(pig)(ブタ(porcine))細胞、ウシ(cow)(ウシ(bovine))細胞、またはヒツジ(sheep)(ヒツジ(ovine))細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はブタ細胞である。細胞はまた、脊椎動物幹細胞、例えば、哺乳動物幹細胞、例えば、ヒト幹細胞またはマウス幹細胞などであってもよい。いくつかの実施形態では、細胞または幹細胞は、改変に適している。いくつかの場合に、細胞もしくは幹細胞、またはそのような幹細胞に由来する細胞は、治療的価値を有するか、または治療的価値を有すると考えられ、結果として、細胞もしくは幹細胞またはそのような幹細胞に由来するか、もしくはそれから分化した細胞は、疾患、障害、欠損症または損傷の治療を必要とする対象の疾患、障害、欠損症または損傷を治療するために使用されてよい。
【0506】
いくつかの実施形態では、細胞は、幹細胞または前駆細胞(例えば、iPSC、胚性幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、内皮幹細胞、上皮幹細胞、脂肪幹細胞もしくは前駆細胞、生殖幹細胞、肺幹細胞もしくは前駆細胞、乳腺幹細胞、嗅覚成体幹細胞、毛包幹細胞、万能性幹細胞、羊膜幹細胞、臍帯血幹細胞、または神経幹細胞もしくは前駆細胞)である。いくつかの実施形態では、幹細胞は、成体幹細胞(例えば、体性幹細胞または組織特異的幹細胞)である。いくつかの実施形態では、幹細胞または前駆細胞は、分化され得る(例えば、幹細胞は、全能性、多能性、または万能性である)。いくつかの実施形態では、細胞は、胚組織または新生児組織から単離される。いくつかの実施形態では、細胞は、線維芽細胞、単球前駆体、B細胞、外分泌細胞、膵臓前駆体、内分泌前駆体、肝芽細胞、筋芽細胞、脂肪前駆細胞、前駆細胞、肝細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、K562ヒト赤血球白血病細胞株、骨細胞、滑膜細胞、腱細胞、靭帯細胞、半月板細胞、脂肪細胞、樹状細胞、またはナチュラルキラー細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、筋細胞、赤血球巨核球細胞、好酸球、iPS細胞、マクロファージ、T細胞、ベータ島細胞、ニューロン、心筋細胞、血液細胞、内分泌前駆体、外分泌前駆体、導管細胞、腺房細胞、アルファ細胞、ベータ細胞、デルタ細胞、PP細胞、肝細胞、胆管細胞、または褐色脂肪細胞に操作(例えば、変換または分化)される。いくつかの実施形態では、細胞は、筋細胞(例えば、骨格筋、平滑筋、もしくは心筋細胞)、赤血球巨核球細胞、好酸球、iPS細胞、マクロファージ、T細胞、膵島ベータ細胞、ニューロン、心筋細胞、血液細胞(例えば、赤血球、白血球、もしくは血小板)、内分泌前駆体、外分泌前駆体、導管細胞、腺房細胞、アルファ細胞、ベータ細胞、デルタ細胞、PP細胞、肝細胞、胆管細胞、または白色もしくは褐色脂肪細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ホルモン分泌細胞(例えば、インスリン、オキシトシン、エンドルフィン、バソプレシン、セロトニン、ソマトスタチン、ガストリン、セクレチン、グルカゴン、甲状腺ホルモン、ボンベシン、コレシストキニン、テストステロン、エストロゲン、もしくはプロゲステロン、レニン、グレリン、アミリン、または膵ポリペプチドを分泌する細胞)、表皮ケラチノサイト、上皮細胞(例えば、外分泌の分泌上皮細胞、甲状腺上皮細胞、角化上皮細胞、胆嚢上皮細胞、または角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道、もしくは膣の表面上皮細胞)、腎臓細胞、生殖細胞、骨格関節滑膜細胞、骨膜細胞、骨細胞(例えば、破骨細胞または骨芽細胞)、軟骨膜細胞(例えば、軟骨芽細胞または軟骨細胞(chondrocyte))、軟骨細胞(cartilage cell)(例えば、軟骨細胞(chondrocyte))、線維芽細胞、内皮細胞、心膜細胞、髄膜細胞、ケラチノサイト前駆細胞、ケラチノサイト幹細胞、周皮細胞、グリア細胞、羊膜または胎盤膜から単離された細胞、あるいは漿膜細胞(例えば、体腔の内側を覆う漿膜細胞)である。
【0507】
いくつかの実施形態では、細胞は体細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、皮膚または他の臓器、例えば、心臓、脳もしくは脊髄、肝臓、肺、腎臓、膵臓、膀胱、骨髄、脾臓、腸、または胃に由来する。細胞は、ヒトまたは他の哺乳動物(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類、ウシ、またはブタの細胞)に由来し得る。
【0508】
いくつかの実施形態では、細胞は、T細胞、NK細胞、ベータ島細胞、内皮細胞、上皮細胞、例えば、RPEなど、甲状腺細胞、皮膚細胞、または肝細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、操作iPSCから分化しているiPSC由来細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、初代細胞から改変されている操作細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142の発現減少または排除を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を含む。
【0509】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されているiPSC由来T細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されている初代T細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142の発現減少または排除を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を含む。いくつかの実施形態では、T細胞は、本明細書に記載されるようないずれかを含む、キメラ抗原受容体(CAR)で操作され得る。いくつかの実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)T細胞は、本明細書、例えば、節IVに記載されるようないずれかを含む、同種細胞療法を用いて様々な適応症を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では操作(例えば、低免疫原性)T細胞は、がんを治療するために使用され得る。
【0510】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されているiPSC由来NK細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されている初代NK細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142の発現減少または排除を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、本明細書に記載されるようないずれかを含む、キメラ抗原受容体(CAR)で操作され得る。いくつかの実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)NK細胞は、本明細書、例えば、節IVに記載されるようないずれかを含む、同種細胞療法を用いて様々な適応症を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では操作(例えば、低免疫原性)NK細胞は、がんを治療するために使用され得る。
【0511】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されているiPSC由来ベータ島細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されている初代ベータ島細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142の発現減少または排除を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)ベータ島細胞は、本明細書、例えば、節IVに記載されるようないずれかを含む、同種細胞療法を用いて様々な適応症を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では操作(例えば、低免疫原性)ベータ島細胞は、糖尿病、例えば、I型糖尿病などを治療するために使用され得る。
【0512】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されているiPSC由来内皮細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されている初代内皮細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142の発現減少または排除を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)内皮細胞は、本明細書、例えば、節IVに記載されるようないずれかを含む、同種細胞療法を用いて様々な適応症を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では操作(例えば、低免疫原性)内皮細胞は、血管新生または眼疾患を治療するために使用され得る。
【0513】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されているiPSC由来上皮細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されている初代上皮細胞である。いくつかの実施形態では、上皮細胞はRPEである。いくつかの実施形態では、上皮細胞は、甲状腺細胞である。いくつかの実施形態では、上皮細胞は、皮膚細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142の発現減少または排除を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)上皮細胞は、本明細書、例えば、節IVに記載されるようないずれかを含む、同種細胞療法を用いて様々な適応症を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では操作(例えば、低免疫原性)上皮細胞は、甲状腺疾患または皮膚疾患を治療するために使用され得る。
【0514】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されているiPSC由来肝細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作されている初代肝細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、CD142の発現減少または排除を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現または発現増加を含む。いくつかの実施形態では、操作(例えば、低免疫原性)上皮細胞は、本明細書、例えば、節IVに記載されるようないずれかを含む、同種細胞療法を用いて様々な適応症を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では操作(例えば、低免疫原性)肝細胞は、肝疾患を治療するために使用され得る。
【0515】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変される細胞は、健康な対象、例えば、治療される特定の疾患または状態を有することが知られていないか、またはそれを有すると疑われていない対象などに由来する細胞である。例えば、ベータ島細胞が、糖尿病の治療などのためにドナー対象から単離または取得される場合、対象が糖尿病または別の疾患もしくは状態に罹患していることが知られていないか、または罹患していると疑われていない場合、ドナー対象は健康な対象である。
【0516】
5.初代細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作される細胞は、1以上の個々の対象またはドナーから取得または単離された初代細胞に由来する細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、1以上(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、50以上、または100以上)の異なるドナー対象から得られる、単離初代細胞のプールに由来する。いくつかの実施形態では、複数の異なるドナー対象(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、50以上、または100以上)から単離または取得される初代細胞は、バッチ内で共にプールされ、提供される方法に従って操作される。
【0517】
いくつかの実施形態では、初代細胞は、レシピエント対象(例えば、細胞を投与される患者)とは異なる1以上のドナー対象からの初代細胞のプールに由来する。初代細胞は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100またはそれを超えるドナー対象から得られ、共にプールされ得る。初代細胞は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、50以上、または100以上のドナー対象から得られ、共にプールされ得る。いくつかの実施形態では、初代細胞は、1または複数の個体から採取され、いくつかの場合では、初代細胞または初代T細胞のプールはインビトロで培養される。いくつかの実施形態では、初代細胞または初代T細胞のプールは、本明細書で提供される方法に従って操作または改変される。
【0518】
いくつかの実施形態では、本方法は、個々のドナー対象から所望の初代細胞(例えば、T細胞、NK細胞、内皮細胞、ベータ島細胞、肝細胞または本明細書に記載されるような他の初代細胞)型を取得または単離し、細胞をプールして初代細胞型のバッチを得て、本明細書で提供される方法によって細胞を操作することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、所望の初代細胞(例えば、T細胞、NK細胞、内皮細胞、ベータ島細胞、肝細胞または本明細書に記載されるような他の初代細胞)型を取得または単離し、本明細書で提供される方法によって個々のドナーの各々の細胞を操作し、少なくとも2つの個々の試料の操作(改変)細胞をプールして初代細胞型の操作細胞のバッチを得ることを含む。
【0519】
いくつかの実施形態では、初代細胞は個体から、または2以上の個々のドナーから単離もしくは取得される初代細胞のプールから単離または取得される。初代細胞は、節II.C.3に記載されるいずれかを含む、本明細書に記載される任意の初代細胞型であってよい。いくつかの実施形態では、初代細胞は、T細胞、NK細胞、ベータ島細胞、内皮細胞、上皮細胞、例えば、RPEなど、甲状腺細胞、皮膚細胞、または肝細胞から選択される。いくつかの実施形態では、個々のドナーまたは個々のドナーのプールに由来する細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作される。
【0520】
6.人工多能性幹細胞の生成
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作されている細胞は、人工多能性幹細胞であるか、または人工多能性幹細胞に由来するか、もしくはそれらから分化した操作細胞である。マウス及びヒト多能性幹細胞(一般にiPSCと称され、マウス細胞の場合はmiPSCまたはヒト細胞の場合はhiPSCと称される)の生成は一般に、当該技術分野において既知である。当業者には理解されることになるように、iPCSの生成を目的とした様々な異なる方法が存在する。最初の誘導は、4つの転写因子であるOct3/4、Sox2、c-Myc及びKlf4のウイルス導入を使用してマウス胚または成体線維芽細胞から行われた(Takahashi and Yamanaka Cell 126:663-676(2006)を参照し、その全体が、特に本明細書で概説される技術について参照によって本明細書に組み込まれる)。それ以来、多数の方法が開発されてきた(概説については、Seki et al,World J.Stem Cells 7(1):116-125(2015)、及びLakshmipathy and Vermuri,editors,Methods in Molecular Biology:Pluripotent Stem Cells,Methods and Protocols,Springer 2013を参照し、その両方とも、その全体が、特にhiPSCの生成方法について参照によって本明細書に明示的に組み込まれる(例えば、後者の参考文献の第3章を参照のこと))。
【0521】
概して、iPSCは、エピソーマルベクターを使用して通常は導入される、宿主細胞における1つ以上のリプログラミング因子の一過性発現によって生成される。これらの条件下で、少量の細胞がiPSCとなるように誘導される(一般に、本ステップの効率は、選択マーカーが使用されないため低い)。細胞が「リプログラミング」されて多能性となると、それらは、エピソーマルベクター(複数可)を喪失し、内因性遺伝子を使用して因子を生成する。
【0522】
また当業者には理解されるように、使用され得る、または使用されるリプログラミング因子の数は変動し得る。通常、より少ないリプログラミング因子が使用される場合、細胞が多能性状態へと形質転換する効率が低下することに加えて、「多能性」、例えば、より少ないリプログラミング因子が、十分に多能性ではないが、より少ない細胞型にのみ分化できる場合がある細胞をもたらす場合がある。
【0523】
いくつかの実施形態では、単一のリプログラミング因子、OCT4が使用される。他の実施形態では、2つのリプログラミング因子、OCT4及びKLF4が使用される。他の実施形態では、3つのリプログラミング因子、OCT4、KLF4及びSOX2が使用される。他の実施形態では、4つのリプログラミング因子、OCT4、KLF4、SOX2及びc-Mycが使用される。他の実施形態では、5つ、6つまたは7つのリプログラミング因子が、SOKMNLT、SOX2、OCT4(POU5F1)、KLF4、MYC、NANOG、LIN28、及びSV40L T抗原から選択されて使用され得る。概して、それらのリプログラミング因子遺伝子は、当該技術分野において既知であり、市販されているものなどのエピソーマルベクター上に提供される。
【0524】
いくつかの実施形態では、1つ以上のリプログラミング因子をトランスフェクトするために使用される宿主細胞は、非多能性幹細胞である。概して、当該技術分野において既知であるように、iPSCは、本明細書に記載されるようなリプログラミング因子を一過的に発現させることによって、非多能性細胞、例えば、これらに限定されないが、血液細胞、線維芽細胞などから作製される。いくつかの実施形態では、線維芽細胞などの非多能性細胞は、細胞をリプログラミングする前に、1以上の個々の対象またはドナーから取得または単離される。いくつかの実施形態では、iPSCは、1以上(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、50以上、または100以上)の異なるドナー対象から得られる、単離非多能性幹細胞、例えば、線維芽細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、線維芽細胞などの非多能性細胞は、複数の異なるドナー対象(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、50以上、または100以上)から単離または取得され、バッチ内で共にプールされてiPSCとしてリプログラミングされ、提供される方法に従って操作される。
【0525】
いくつかの実施形態では、iPSCは、レシピエント対象(例えば、細胞を投与される患者)とは異なる1以上のドナー対象に由来する非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)のプールからの細胞に、1つ以上のリプログラミング因子を一過性トランスフェクトすることなどによって得られる。iPSCに誘導される非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100またはそれを超えるドナー対象から得られ、共にプールされ得る。非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、50以上、または100以上のドナー対象から得られ、共にプールされ得る。いくつかの実施形態では、非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)が1または複数の個体から採取され、いくつかの場合では、非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)または非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)のプールはインビトロで培養され、iPSCの生成を誘導するための1つ以上のリプログラミング因子でトランスフェクトされる。いくつかの実施形態では、非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)または非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)のプールは、本明細書で提供される方法に従って操作または改変される。次いで、いくつかの実施形態では、操作iPSCまたは操作iPSCのプールは、生物及び組織の任意の細胞への分化を目的とした分化プロセスに供される。
【0526】
操作iPSC細胞が生成されると、それらは、WO2016183041及びWO2018132783に記載されるように、それらの低免疫原性及び/または多能性の保持についてアッセイされてよい。いくつかの実施形態では、低免疫原性は、WO2018132783の
図13及び
図15に例示されるような多数の技術を使用してアッセイされる。それらの技術は、同種宿主への移植及び宿主免疫系を回避する低免疫原性多能性細胞の増殖(例えば、奇形腫)に対するモニタリングを含む。いくつかの場合では、低免疫原性多能性細胞誘導体は、ルシフェラーゼを発現するように形質導入され、次いで生物発光イメージングを使用して追跡され得る。同様に、そのような細胞に対する宿主動物のT細胞及び/またはB細胞応答は、細胞が宿主動物において免疫反応を引き起こさないかを確認するために試験される。T細胞応答は、Elispot、ELISA、FACS、PCR、またはマスサイトメトリー(CYTOF)によって評価され得る。B細胞応答または抗体応答は、FACSまたはLuminexを使用して評価される。さらに、または代わりに、細胞は、WO2018132783の
図14及び15に一般に示されるように、自然免疫応答、例えば、NK細胞死滅を回避するそれらの能力についてアッセイされてよい。
【0527】
いくつかの実施形態では、細胞の免疫原性は、T細胞イムノアッセイ、例えば、当業者によって認識されているT細胞増殖アッセイ、T細胞活性化アッセイ、及びT細胞死滅アッセイなどを使用して評価される。いくつかの場合には、T細胞増殖アッセイは、細胞をインターフェロン-ガンマで前処理し、細胞を標識T細胞と共に共培養して、事前に選択した期間後にT細胞集団(または増殖しているT細胞集団)の存在をアッセイすることを含む。いくつかの場合には、T細胞活性化アッセイは、T細胞を本明細書で概説される細胞と共に共培養し、T細胞内のT細胞活性化マーカーの発現レベルを決定することを含む。
【0528】
インビボアッセイは、本明細書で概説される細胞の免疫原性を評価するために実施され得る。いくつかの実施形態では、操作または改変iPSCの生存及び免疫原性は、同種ヒト化免疫不全マウスモデルを使用して決定される。いくつかの場合では、操作または改変iPSCは、同種ヒト化NSG-SGM3マウスに移植され、細胞拒絶、細胞生存、及び奇形腫形成についてアッセイされる。いくつかの場合では、移植された操作iPSCまたはその分化細胞は、マウスモデルにおいて長期生存を示す。
【0529】
細胞の低免疫原性を含む免疫原性を決定するための追加の技術は、例えば、Deuse et al.,Nature Biotechnology,2019,37,252-258及びHan et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2019,116(21),10441-10446に記載され、本方法の図、図の説明、及び記載を含む本開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0530】
同様に、多能性の保持が多数の方法で試験される。一実施形態では、多能性は、本明細書で一般的に記載され、WO2018132783の
図29に示されるように、ある特定の多能性特異的因子の発現によってアッセイされる。さらに、または代わりに、多能性細胞は、多能性の指標として1つ以上の細胞型に分化される。
【0531】
操作多能性幹細胞(操作iPSC)が生成されると、それらは、iPSCの維持について既知であるように、未分化状態で維持され得る。例えば、細胞は、分化を防止し、かつ多能性を維持する培養培地を使用してマトリゲル上で培養され得る。加えて、それらは、多能性を維持するような条件下で培養培地内にあり得る。
【0532】
本明細書に記載される多能性幹細胞のいずれも、生物及び組織の任意の細胞に分化され得る。一態様では、本明細書では、レシピエント対象への後続の移植を目的とした、iPSCに由来する異なる細胞型に分化される操作細胞が提供される。分化は、一般に細胞特異的マーカーの存在を評価することによって、当該技術分野において既知であるようにアッセイされ得る。当業者には理解されることになるように、分化した操作(例えば、低免疫原性)多能性細胞誘導体は、細胞型及びこれらの細胞の最終用途の両方に依存する、当該技術分野において既知の技術を使用して移植され得る。例示的な分化細胞型及びその作製方法が以下に記載される。いくつかの実施形態では、iPSCは、節II.C.3に記載されるいずれかを含む、本明細書に記載される任意の細胞型に分化されてよい。いくつかの実施形態では、iPSCは、T細胞、NK細胞、ベータ島細胞、内皮細胞、上皮細胞、例えば、RPEなど、甲状腺細胞、皮膚細胞、または肝細胞から選択される細胞型に分化される。いくつかの実施形態では、宿主細胞、例えば、個々のドナーまたは個々のドナーのプールに由来する非多能性細胞(例えば、線維芽細胞)などが、単離または取得されてiPSCへと生成され、次いでiPSCが、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有するように操作され、次いで所望の細胞型に分化される。
【0533】
7.細胞型
O.ベータ島細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変される細胞は、初代ベータ島細胞(膵島細胞または膵ベータ細胞とも称される)である。いくつかの実施形態では、初代ベータ島細胞は、1以上の個々のドナー対象、例えば、1以上の個々の健康なドナー(例えば、疾患または感染を知られていないか、または疑われていない、例えば、その臨床徴候を示していない対象)などから単離または取得される。当業者には理解されることになるように、個体からベータ島細胞を単離または取得する方法が、既知の技術を使用して達成され得る。本明細書では、対象(例えば、レシピエント)に対する後続の移植または生着を目的とした、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有する操作初代ベータ島細胞が提供される。
【0534】
いくつかの実施形態では、ベータ島細胞は、対象または個体から得られる(例えば、採取、抽出、除去、または取得される)。いくつかの実施形態では、初代ベータ島細胞は、ベータ島細胞が1以上の対象(例えば、1人以上の健康なヒトを含む1人以上のヒト)に由来するように、ベータ島細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、初代ベータ島細胞のプールは、1~100、1~50、1~20、1~10、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上の対象に由来する。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、患者(例えば、治療用細胞が投与されるレシピエント)とは異なる。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞のプールは、患者からの細胞を含まない。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞のプールが得られるドナー対象のうち1以上が、患者とは異なる。
【0535】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるような細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有し、ベータ島細胞に分化する、操作iPSCに由来するベータ島細胞である。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。いくつかの実施形態では、様々なベータ島細胞に分化した細胞は、対象(例えば、レシピエント)への後続の移植または生着に使用されてよい。いくつかの実施形態では、島細胞は、本明細書に記載される操作多能性細胞に由来する。多能性幹細胞をベータ島細胞に分化させる有用な方法は、例えば、米国特許第9,683,215号、米国特許第9,157,062号、米国特許第8,927,280号、米国特許公開第2021/0207099号、Hogrebe et al.,“Targeting the cytoskeleton to direct pancreatic differentiation of human pluripotent stem cells,”Nat.Biotechnol.,2020,38:460-470、及びHogrebe et al.,“Generation of insulin-producing pancreatic beta cells from multiple human stem cell lines,”Nat.Protoc.,2021(その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0536】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作多能性細胞は、I型糖尿病(T1DM)に対処するための移植を目的としてベータ様細胞または膵島オルガノイドに分化される。細胞系は、T1DMに対処するための有望な方法であり、例えば、Ellis et al,Nat Rev Gastroenterol Hepatol.2017 Oct;14(10):612-628(参照によって本明細書に組み込まれる)を参照のこと。さらに、Pagliuca et al.(Cell,2014,159(2):428-39)は、hiPSCからのβ細胞分化の成功に関して報告している(その内容全体が、特にヒト多能性幹細胞からの機能的ヒトβ細胞の大規模産生について同文献で概説される方法及び試薬について参照によって本明細書に組み込まれる)。さらに、Vegas et al.は、ヒト多能性幹細胞からのヒトβ細胞の産生、続いて宿主による免疫拒絶を回避するためのカプセル化について示している(Vegas et al.,Nat Med,2016,22(3):306-11、その内容全体が、特にヒト多能性幹細胞からの機能的ヒトβ細胞の大規模産生について同文献で概説される方法及び試薬について参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0537】
いくつかの実施形態では、インビトロでの分化によって操作多能性細胞の集団から操作島細胞の集団を産生する方法は、(a)インスリン様成長因子、トランスフォーミング増殖因子、FGF、EGF、HGF、SHH、VEGF、トランスフォーミング増殖因子-bスーパーファミリー、BMP2、BMP7、GSK阻害剤、ALK阻害剤、BMP1型受容体阻害剤、及びレチノイン酸からなる群から選択される1つ以上の因子を含む第1培養培地中で操作iPSCの集団を培養し、未成熟島細胞の集団を産生すること、ならびに(b)第1培養培地とは異なる第2培養培地中で未成熟島細胞の集団を培養し、操作島細胞の集団を産生することを含む。いくつかの実施形態では、GSK阻害剤は、CHIR-99021、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、GSK阻害剤は、約2mM~約10mMの範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、ALK阻害剤は、SB-431542、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、ALK阻害剤は、約1pM~約10pMの範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、第1培養培地及び/または第2培養培地は、動物血清を含まない。
【0538】
分化は、一般にインスリンを含むが、これに限定されないβ細胞関連または特異的マーカーの存在を評価することによって、当該技術分野において既知であるようにアッセイされる。分化はまた、例えば、グルコース代謝の測定などのように、機能的に測定され得、一般にMuraro et al.,Cell Syst.2016 Oct 26;3(4):385-394.e3を参照し、その全体が、特に同文献に概説されるバイオマーカーについて参照によって本明細書に組み込まれる。ベータ細胞が生成されると、それらは、門脈/肝臓、網、胃腸粘膜、骨髄、筋肉、または皮下嚢に(本明細書に記述されるような細胞懸濁液として、またはゲルマトリックス内のいずれかで)移植され得る。
【0539】
本技術に使用する目的を含む、島細胞の追加の記載は、WO2020/018615に見出され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0540】
いくつかの実施形態では、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した操作ベータ島細胞、例えば、初代ベータ島細胞など、または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した内皮細胞の集団が培養下で維持され、いくつかの場合には投与前に増殖させる。ある特定の実施形態では、操作ベータ島細胞の集団は、投与前に凍結保存される。
【0541】
例示的な島細胞型としては、島前駆細胞、未成熟島細胞、成熟島細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される膵臓細胞は、糖尿病を治療するために対象に投与される。
【0542】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように操作される島細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代ベータ島細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したベータ島細胞などが、インスリンを分泌する。いくつかの実施形態では、島細胞は、内因性島細胞の少なくとも2つの特性、例えば、これらに限定されないが、グルコースに応答したインスリンの分泌、及びベータ細胞マーカーの発現を示す。
【0543】
例示的なベータ細胞マーカーまたはベータ細胞前駆体マーカーとしては、c-ペプチド、Pdxl、グルコース輸送体2(Glut2)、HNF6、VEGF、グルコキナーゼ(GCK)、プロホルモン転換酵素(PC1/3)、Cdcpl、NeuroD、Ngn3、Nkx2.2、Nkx6.1、Nkx6.2、Pax4、Pax6、Ptfla、Isll、Sox9、Soxl7、及びFoxA2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0544】
いくつかの実施形態では、島細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代ベータ島細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したベータ島細胞などが、グルコースの増加に応答してインスリンを産生する。様々な実施形態では、島細胞は、グルコースの増加に応答してインスリンを分泌する。いくつかの実施形態では、細胞は特有の形態、例えば、敷石の細胞形態及び/または約17pm~約25pmの直径などを有する。
【0545】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作ベータ島細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代ベータ島細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したベータ島細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作ベータ島細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作ベータ島細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、ベータ島細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、以下の遺伝子:B2M、CIITA、及びCD142遺伝子のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有する。
【0546】
いくつかの実施形態では、提供される操作ベータ島細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作ベータ島細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代ベータ島細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したベータ島細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作ベータ島細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0547】
いくつかの実施形態では、細胞投与の数は、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞集団であり、例えば、CD142、MHCクラスI、及び/またはMHCクラスII発現の内因性レベルを有するが、CD47の(例えば、外因性)発現増加を有しない)に必要となる投与量よりも少ない投与量である。いくつかの実施形態では、細胞投与の数は、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞集団であり、例えば、CD142、MHCクラスI、及び/またはMHCクラスII発現の内因性レベルを有するが、CD47の(例えば、外因性)発現増加を有しない)の免疫拒絶を減少させるのに必要となる投与量よりも少ない投与量である。
【0548】
P.肝細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、初代肝細胞である。いくつかの実施形態では、初代肝細胞は、1以上の個々のドナー対象、例えば、1以上の個々の健康なドナー(例えば、疾患または感染を知られていないか、または疑われていない、例えば、その臨床徴候を示していない対象)などから単離または取得される。当業者には理解されることになるように、個体から肝細胞を単離または取得する方法が、既知の技術を使用して達成され得る。本明細書では、対象(例えば、レシピエント)に対する後続の移植または生着を目的とした、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有する操作初代肝細胞が提供される。いくつかの実施形態では、操作初代肝細胞は、肝細胞機能の喪失または肝硬変に対処する細胞療法として投与され得る。
【0549】
いくつかの実施形態では、初代肝細胞は、対象または個体から得られる(例えば、採取、抽出、除去、または取得される)。いくつかの実施形態では、初代肝細胞は、肝細胞が1以上の対象(例えば、1人以上の健康なヒトを含む1人以上のヒト)に由来するように、肝細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、初代肝細胞のプールは、1~100、1~50、1~20、1~10、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上の対象に由来する。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、患者(例えば、治療用細胞が投与されるレシピエント)とは異なる。いくつかの実施形態では、肝細胞のプールは、患者からの細胞を含まない。いくつかの実施形態では、肝細胞のプールが得られるドナー対象のうち1以上が、患者とは異なる。
【0550】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるような細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有し、肝細胞に分化する、操作iPSCから分化した肝細胞である。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。いくつかの実施形態では、肝細胞に分化した細胞は、対象(例えば、レシピエント)への後続の移植または生着に使用されてよい。いくつかの実施形態では、多能性幹細胞から分化した操作肝細胞は、肝細胞機能の喪失または肝硬変に対処する細胞療法として投与され得る。
【0551】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される改変を含有する操作多能性細胞は、肝細胞に分化される。操作多能性細胞を肝細胞に分化させるために使用され得る多数の技術が存在し、例えば、Pettinato et al,doi:10.1038/spre32888、Snykers et al.,Methods Mol Biol,2011 698:305-314、Si-Tayeb et al.,Hepatology,2010,51:297-305及びAsgari et al,Stem Cell Rev,2013,9(4):493-504を参照し、その全て全体が、特に分化のための手法及び試薬に関して参照によって本明細書に組み込まれる。分化は、一般にアルブミン、アルファフェトプロテイン、及びフィブリノゲンを含むが、これらに限定されない肝細胞関連及び/または特異的マーカーの存在を評価することによって、当該技術分野において既知であるようにアッセイされ得る。分化はまた、アンモニアの代謝、LDL貯蔵及び取込み、ICG取込み及び放出、ならびにグリコーゲン貯蔵など、機能的に測定され得る。
【0552】
いくつかの実施形態では、操作肝細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代肝細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した肝細胞などの集団が培養下で維持され、いくつかの場合には投与前に増殖させる。ある特定の実施形態では、肝細胞の集団は、投与前に凍結保存される。
【0553】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作肝細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代肝細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した肝細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、肝細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作肝細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、肝細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作肝細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子にゲノム改変を保有する。いくつかの実施形態では、操作肝細胞は、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、肝細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作肝細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、以下の遺伝子:B2M及びCIITA遺伝子のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、肝細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。
【0554】
いくつかの実施形態では、提供される操作肝細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作肝細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代肝細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した肝細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作肝細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0555】
Q.T細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、初代Tリンパ球(T細胞とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、初代Tリンパ球は、1以上の個々のドナー対象、例えば、1以上の個々の健康なドナー(例えば、疾患または感染を知られていないか、または疑われていない、例えば、その臨床徴候を示していない対象)などから単離または取得される。いくつかの場合では、T細胞は、1以上の個体に由来する初代T細胞の集団または下位集団である。当業者には理解されることになるように、個体からTリンパ球を単離または取得する方法が、既知の技術を使用して達成され得る。本明細書では、対象(例えば、レシピエント)に対する後続の移植または生着を目的とした、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有する操作初代Tリンパ球が提供される。
【0556】
いくつかの実施形態では、初代T細胞は、対象または個体から得られる(例えば、採取、抽出、除去、または取得される)。いくつかの実施形態では、初代T細胞は、T細胞が1以上の対象(例えば、1人以上の健康なヒトを含む1人以上のヒト)に由来するように、T細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、初代T細胞のプールは、1~100、1~50、1~20、1~10、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上の対象に由来する。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、患者(例えば、治療用細胞が投与されるレシピエント)とは異なる。いくつかの実施形態では、T細胞のプールは、患者からの細胞を含まない。いくつかの実施形態では、T細胞のプールが得られるドナー対象のうち1以上が、患者とは異なる。
【0557】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるような細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有し、Tリンパ球に分化する、操作多能性細胞から分化したTリンパ球である。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。いくつかの実施形態では、Tリンパ球に分化した細胞は、対象(例えば、レシピエント)への後続の移植または生着に使用されてよい。
【0558】
多能性幹細胞(例えば、iPSC)からT細胞を生成する方法は、例えば、Iriguchi et al.,Nature Communications 12,430(2021)、Themeli et al.16(4):357-366(2015)、Themeli et al.,Nature Biotechnology 31:928-933(2013)に記載されている。
【0559】
初代T細胞の非限定的な例としては、CD3+T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ナイーブT細胞、制御性T(Treg)細胞、非制御性T細胞、Th1細胞、Th2細胞、Th9細胞、Th17細胞、T濾胞性ヘルパー(Tfh)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、エフェクターT(Teff)細胞、セントラルメモリーT(Tcm)細胞、エフェクターメモリーT(Tem)細胞、CD45RAを発現するエフェクターメモリーT細胞(TEMRA細胞)、組織定住型メモリー(Trm)細胞、バーチャルメモリーT細胞、自然メモリーT細胞、メモリー幹細胞(Tsc)、γδT細胞、及び任意の他のT細胞サブタイプが挙げられる。いくつかの実施形態では、初代T細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、及びそれらの組合せを含む群から選択される。
【0560】
本開示の例示的なT細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、エフェクターメモリーRA T細胞、制御性T細胞、組織浸潤リンパ球、及びそれらの組合せからなる群から選択される。多くの実施形態では、T細胞は、CCR7、CD27、CD28、及びCD45RAを発現する。いくつかの実施形態では、セントラルT細胞は、CCR7、CD27、CD28、及びCD45ROを発現する。他の実施形態では、エフェクターメモリーT細胞は、PD-1、CD27、CD28、及びCD45ROを発現する。他の実施形態では、エフェクターメモリーRA T細胞は、PD-1、CD57、及びCD45RAを発現する。
【0561】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作T細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代T細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したT細胞などは、本明細書に記載されるキメラ抗原受容体を含むが、これに限定されないキメラ抗原受容体を発現するように操作される(例えば、改変される)T細胞を含む。本明細書に記載されるCARを含む、任意の好適なCARがT細胞内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、操作T細胞は、損傷細胞、異形成細胞、感染細胞、免疫原性細胞、炎症細胞、悪性細胞、化生細胞、変異体細胞、及びそれらの組合せのうち少なくとも1つの表面上に発現される目的の抗原またはエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのキメラ抗原受容体を発現する。他の場合には、操作T細胞は、細胞が、隣接細胞、組織、または臓器に近接する場合に隣接細胞、組織、または臓器において目的の生物学的効果を調節する少なくとも1つのタンパク質を細胞に発現させる改変を含む。初代T細胞を含む、T細胞に対する有用な改変は、US2016/0348073及びWO2020/018620に詳細に記載されていて、その開示全体が本明細書に組み込まれる。
【0562】
いくつかの実施形態では、T細胞は、CARをコードするポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドは、ゲノム座位に挿入される。本明細書に記載されるレンチウイルスベースの形質導入方法または遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)を含む、任意の好適な方法が、CARをT細胞のゲノム座位に挿入するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、セーフハーバー座位、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、SHS231、F3(CD142としても知られる)、MICA、MICB、LRP1(CD91としても知られる)、HMGB1、ABO、RHD、FUT1、またはKDM5D遺伝子座などに挿入される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、B2M、CIITA、TRAC、TRBC、PD1またはCTLA4遺伝子に挿入される。
【0563】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるT細胞、例えば、操作または改変T細胞などは、内因性T細胞受容体の発現減少を含む。いくつかの実施形態では、TRACまたはTRBC座位は、本明細書に記載される遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)などによって細胞内で破壊または排除される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子、例えば、CARをコードするポリヌクレオチドまたは記載されるような他のポリヌクレオチドなどは、破壊したTRACまたはTRBC座位に挿入される。
【0564】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるT細胞、例えば、操作または改変T細胞などは、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)の発現減少を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4座位は、本明細書に記載される遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)などによって、細胞内で破壊または排除される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子、例えば、CARをコードするポリヌクレオチドまたは記載されるような他の外因性ポリヌクレオチドなどは、破壊したCTLA-4座位に挿入される。
【0565】
他の実施形態では、本明細書に記載されるT細胞、例えば、操作または改変T細胞などは、プログラム細胞死(PD1)の発現減少を含む。いくつかの実施形態では、PD1座位は、本明細書に記載される遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)などによって、細胞内で破壊または排除される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子、例えば、CARをコードするポリヌクレオチドまたは記載されるような他の外因性ポリヌクレオチドなどは、破壊したPD1座位に挿入される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるT細胞、例えば、操作または改変T細胞などは、CTLA4及びPD1の発現減少を含む。
【0566】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるT細胞、例えば、操作または改変T細胞などは、PD-L1の発現増強を含む。いくつかの実施形態では、PD-L1座位は、本明細書に記載される遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)などによって、細胞内で破壊または排除される。いくつかの実施形態では、外因性ポリヌクレオチドまたは導入遺伝子、例えば、CARをコードするポリヌクレオチドまたは記載されるような他の外因性ポリヌクレオチドなどは、破壊したPD-L1座位に挿入される。
【0567】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作T細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代T細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したT細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、操作T細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作T細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、操作T細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作T細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、操作T細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作T細胞はまた、CARを発現するように操作される。いくつかの実施形態では、操作T細胞は、TRAC遺伝子またはTRBC遺伝子におけるゲノム改変(例えば、遺伝子破壊)などによって、TCR複合体分子の発現減少を有するか、またはその発現を欠いている。いくつかの実施形態では、T細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)及びCARを過剰発現し、以下の遺伝子:B2M、CIITA、TRAC及びTRBC遺伝子のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、操作T細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。
【0568】
いくつかの実施形態では、提供される操作T細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作T細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代T細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したT細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作T細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0569】
本明細書で提供されるT細胞は、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、胃癌、胃腺癌、膵臓腺癌、膠芽腫、神経芽細胞腫、肺扁平上皮癌、肝細胞癌、及び膀胱癌を含むが、これらに限定されない好適ながんの治療に有用である。
【0570】
R.ナチュラルキラー細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、NK細胞は、1以上の個々のドナー対象、例えば、1以上の個々の健康なドナー(例えば、疾患または感染を知られていないか、または疑われていない、例えば、その臨床徴候を示していない対象)などから単離または取得される。いくつかの場合では、NK細胞は、1以上の個体に由来するNK細胞の集団または下位集団である。当業者には理解されることになるように、個体からNK細胞を単離または取得する方法が、既知の技術を使用して達成され得る。本明細書では、対象(例えば、レシピエント)に対する後続の移植または生着を目的とした、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有する操作初代NK細胞が提供される。例えば、操作T細胞は、操作NK細胞を対象に注入することによって、対象(例えば、レシピエント、例えば、患者など)に投与される。
【0571】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるような細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有し、NK細胞に分化する、操作多能性細胞から分化したNK細胞である。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。いくつかの実施形態では、NK細胞に分化した細胞は、例えば、分化したNK細胞を対象に注入することなどによって、対象(例えば、レシピエント、例えば、患者など)への後続投与のために使用されてよい。
【0572】
多能性幹細胞(例えば、iPSC)からNK細胞を生成する方法は、例えば、米国特許第10626373号、Shankar et al.Stem Cell Res Ther.2020;11:234、Euchner et al.Frontiers in Immunology,2021;12,Article 640672.doi=10.3389/fimmu.2021.640672に記載されている。
【0573】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、対象または個体から得られる(例えば、採取、抽出、除去、または取得される)。いくつかの実施形態では、NK細胞は、NK細胞が1以上の対象(例えば、1人以上の健康なヒトを含む1人以上のヒト)に由来するように、NK細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、初代NK細胞のプールは、1~100、1~50、1~20、1~10、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上の対象に由来する。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、患者(例えば、操作NK細胞が投与されるレシピエント)とは異なる。いくつかの実施形態では、NK細胞のプールは、患者からの細胞を含まない。いくつかの実施形態では、NK細胞のプールが得られるドナー対象のうち1以上が、患者とは異なる。
【0574】
いくつかの実施形態では、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代NK細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したNK細胞を含む、NK細胞は、CD56を発現し(例えば、CD56dimまたはCD56bright)、CD3を欠いている(例えば、CD3neg)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなNK細胞は、ADCCを媒介する、低親和性Fcγ受容体CD16を発現する場合もある。いくつかの実施形態では、NK細胞はまた、1つ以上のナチュラルキラー細胞受容体NKG2A及びNKG2Dまたは1つ以上の自然細胞傷害性受容体NKp46、NKp44、NKp30を発現する。例えば、初代NK細胞の場合について、特定の場合では、初代細胞は、NK細胞の出発源、例えば、CD3、CD14、及び/またはCD19が陽性である細胞の枯渇によって、末梢血単核細胞(PBMC)を含有する試料などから単離されてよい。例えば、細胞は、それぞれCD3、CD14、及び/またはCD19に対する抗体に結合した免疫磁気ビーズを使用して枯渇に供されてよく、それによってNK細胞の濃縮集団を産生する。他の場合には、初代NK細胞は、NK細胞上の1つ以上のマーカー、例えば、CD56、CD16、NKp46、及び/またはNKG2Dなどの存在のために細胞を選択することによって、混合集団(例えば、PBMC)である出発源から単離されてよい。
【0575】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような操作前に、NK細胞、例えば、単離初代NK細胞などは、1つ以上の増殖または活性化ステップに供されてよい。いくつかの実施形態では、増殖は、フィーダー細胞、例えば、照射されてよいか、または照射されなくともよい抗原提示細胞などと共にNK細胞を培養することによって達成されてよい。増殖ステップにおけるNK細胞と抗原提示細胞(APC)との比は、例えば、1:1、1:1.5、1:2、または1:3などのある特定の数の比であってよい。ある特定の態様では、APCは、膜結合IL-21(mblL-21)を発現するように操作される。特定の態様では、APCは、代わりにまたはさらにIL-21、IL-15、及び/またはIL-2を発現するように操作される。特定の実施形態では、増殖ステップ(複数可)が行われる培地は、1つ以上の組換えサイトカインなどの、増殖を促進するための1つ以上の薬剤を含む。特定の実施形態では、培地は、IL-2、IL-15、IL-18、及び/またはIL-21からの1つ以上の組換えサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような改変を導入することによってNK細胞を操作するステップは、増殖開始の2~12日後、例えば、2日目もしくは約2日目、3日目もしくは約3日目、4日目もしくは約4日目、5日目もしくは約5日目、6日目もしくは約6日目、7日目もしくは約7日目、8日目もしくは約8日目、9日目もしくは約9日目、10日目もしくは約10日目、11日目もしくは約11日目、または12日目もしくは約12日目などに実施される。
【0576】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作NK細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代NK細胞などは、本明細書に記載されるキメラ抗原受容体を含むが、これに限定されないキメラ抗原受容体を発現するように操作される(例えば、改変される)NK細胞を含む。本明細書に記載されるCARを含む、任意の好適なCARがNK細胞内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、操作NK細胞は、損傷細胞、異形成細胞、感染細胞、免疫原性細胞、炎症細胞、悪性細胞、化生細胞、変異体細胞、及びそれらの組合せのうち少なくとも1つの表面上に発現される目的の抗原またはエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのキメラ抗原受容体を発現する。他の場合には、操作NK細胞は、細胞が、隣接細胞、組織、または臓器に近接する場合に隣接細胞、組織、または臓器において目的の生物学的効果を調節する少なくとも1つのタンパク質を細胞に発現させる改変を含む。
【0577】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、CARをコードするポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドは、ゲノム座位に挿入される。本明細書に記載されるレンチウイルスベースの形質導入方法または遺伝子編集方法(例えば、CRISPR/Casシステム)を含む、任意の好適な方法が、CARをNK細胞のゲノム座位に挿入するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、セーフハーバー座位、例えばこれらに限定されないが、AAVS1、CCR5、CLYBL、ROSA26、SHS231、F3(CD142としても知られる)、MICA、MICB、LRP1(CD91としても知られる)、HMGB1、ABO、RHD、FUT1、またはKDM5D遺伝子座などに挿入される。
【0578】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作NK細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代NK細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したNK細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有するか、またはその発現を欠く。いくつかの実施形態では、操作NK細胞は、CD46、CD59、及びCD55から選択される1つ以上の補体インヒビターを発現する。ある特定の実施形態では、操作NK細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有する。いくつかの実施形態では、操作NK細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子にゲノム改変を保有する。いくつかの実施形態では、操作NK細胞はまた、CARを発現するように操作される。
【0579】
いくつかの実施形態では、提供される操作NK細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作NK細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代NK細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作NK細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0580】
本明細書で提供されるNK細胞は、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、胃癌、胃腺癌、膵臓腺癌、膠芽腫、神経芽細胞腫、肺扁平上皮癌、肝細胞癌、及び膀胱癌を含むが、これらに限定されない好適ながんの治療に有用である。
【0581】
S.内皮細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、初代内皮細胞である。いくつかの実施形態では、初代内皮細胞は、1以上の個々のドナー対象、例えば、1以上の個々の健康なドナー(例えば、疾患または感染を知られていないか、または疑われていない、例えば、その臨床徴候を示していない対象)などから単離または取得される。当業者には理解されることになるように、個体から内皮細胞を単離または取得する方法が、既知の技術を使用して達成され得る。本明細書では、対象(例えば、レシピエント)に対する後続の移植または生着を目的とした、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有する操作初代内皮細胞が提供される。
【0582】
いくつかの実施形態では、初代内皮細胞は、対象または個体から得られる(例えば、採取、抽出、除去、または取得される)。いくつかの実施形態では、初代内皮細胞は、内皮細胞が1以上の対象(例えば、1人以上の健康なヒトを含む1人以上のヒト)に由来するように、内皮細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、初代内皮細胞のプールは、1~100、1~50、1~20、1~10、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上の対象に由来する。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、患者(例えば、治療用細胞が投与されるレシピエント)とは異なる。いくつかの実施形態では、内皮細胞のプールは、患者からの細胞を含まない。いくつかの実施形態では、内皮細胞のプールが得られるドナー対象のうち1以上が、患者とは異なる。
【0583】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるような細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有し、内皮細胞型に分化する、操作iPSCから分化した内皮細胞である。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。いくつかの実施形態では、様々な内皮細胞型に分化した細胞は、対象(例えば、レシピエント)への後続の移植または生着に使用されてよい。
【0584】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作多能性細胞は、末梢動脈疾患に対処するために、新たな血管を形成するための内皮コロニー形成細胞(ECFC)に分化される。内皮細胞に分化させる技術は既知である。例えば、Prasain et al.,doi:10.1038/nbt.3048を参照のこと(その全体が、特にヒト多能性幹細胞からの内皮細胞の生成を目的とした方法及び試薬に関して、また移植技術に関して参照によって本明細書に組み込まれる)。分化は、一般に内皮細胞関連もしくは特異的マーカーの存在を評価することによって、または機能的に測定することによって当該技術分野において既知であるようにアッセイされ得る。
【0585】
いくつかの実施形態では、インビトロでの分化によって操作多能性細胞の集団から操作内皮細胞の集団を産生する方法は、(a)GSK阻害剤を含む第1培養培地中で操作iPSC細胞の集団を培養すること、(b)VEGF及びbFGFを含む第2培養培地中で操作iPSC細胞の集団を培養し、前駆内皮細胞の集団を産生すること、ならびに(c)ROCK阻害剤及びALK阻害剤を含む第3培養培地中で前駆内皮細胞の集団を培養し、本明細書に記載される改変を含有するように操作されている分化した内皮細胞の集団を産生することを含む。
【0586】
いくつかの実施形態では、GSK阻害剤は、CHIR-99021、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、GSK阻害剤は、約1mM~約10mMの範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、ROCK阻害剤は、Y-27632、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、ROCK阻害剤は、約1pM~約20pMの範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、ALK阻害剤は、SB-431542、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、ALK阻害剤は、約0.5pM~約10pMの範囲の濃度である。
【0587】
いくつかの実施形態では、第1培養培地は、2pM~約10pMのCHIR-99021を含む。いくつかの実施形態では、第2培養培地は、50ng/mlのVEGF及び10ng/mlのbFGFを含む。他の実施形態では、第2培養培地は、Y-27632及びSB-431542をさらに含む。様々な実施形態では、第3培養培地は、10pMのY-27632及び1pMのSB-431542を含む。ある特定の実施形態では、第3培養培地は、VEGF及びbFGFをさらに含む。特定の場合には、第1培養培地及び/または第2培地は、インスリンを含まない。
【0588】
本明細書で提供される細胞は表面、例えば、多能性細胞の内皮細胞への分化を支援及び/または促進するための合成表面などの上で培養され得る。いくつかの実施形態では、表面は、選択される1つ以上のアクリレートモノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含むが、これらに限定されないポリマー材料を含む。アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーの非限定的な例としては、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、テトラ(エチエン(ethyiene)グリコール)ジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートジアクリレート、トリメチロールプロパンエイホキシレート(eihoxylate)(1EO/QH)メチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、ネオペンチルグリコールエキソキシレート(exhoxylate)ジアクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。アクリレートは、当該技術分野において既知のように合成されるか、またはPolysciences,Inc.、Sigma Aldrich,Inc.、及びSartomer,Inc.などの商業的業者から得られる。
【0589】
いくつかの実施形態では、内皮細胞は、ポリマーマトリックス上に播種されてよい。いくつかの場合には、ポリマーマトリックスは生分解性である。好適な生分解性マトリックスは当該技術分野において周知であり、これらとしては、コラーゲン-GAG、コラーゲン、フィブリン、PLA、PGA、及びPLA/PGAコポリマーが挙げられる。追加の生分解性材料としては、ポリ(無水物)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(プロピルフメレート(propylfumerate))、ポリ(カプロラクトン)、ポリアミド、ポリアミノ酸、ポリアセタール、生分解性ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタン及び多糖が挙げられる。
【0590】
非生分解性ポリマーも同様に使用されてよい。非生分解性であるが、生体適合性である他のポリマーとしては、ポリピロール、ポリアニブン(polyanibne)、ポリチオフェン、ポリスチレン、ポリエステル、非生分解性ポリウレタン、ポリウレア、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、及びポリ(エチレンオキシド)が挙げられる。ポリマーマトリックスは、任意の形状で、例えば、粒子、スポンジ、管、球体、ストランド、コイル状ストランド、毛細管網、フィルム、繊維、メッシュ、またはシートとして形成されてよい。ポリマーマトリックスは、天然または合成の細胞外マトリックス材料及び因子を含むように改変され得る。
【0591】
ポリマー材料は、支持体材料の表面上に分散され得る。細胞を培養するのに適した有用な支持体材料としては、セラミック物質、ガラス、プラスチック、ポリマーもしくはコポリマー、それらの任意の組合せ、またはある材料の別の材料上へのコーティングが挙げられる。いくつかの場合では、ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、pyrexガラス、vycorガラス、石英ガラス、ケイ素、またはそれらの誘導体などが挙げられる。
【0592】
いくつかの場合では、プラスチックまたは樹枝状ポリマーを含むポリマーとしては、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル-無水マレイン酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマー、フルオロカーボンポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンイミンまたはそれらの誘導体などが挙げられる。いくつかの場合では、コポリマーとしては、ポリ(酢酸ビニル-co-無水マレイン酸)、ポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)、ポリ(エチレン-co-アクリル酸)またはそれらの誘導体などが挙げられる。
【0593】
本明細書で提供される方法に使用するための内皮細胞及びそれらの分化に関する追加の記載は、WO2020/018615に見出され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0594】
いくつかの実施形態では、操作内皮細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代内皮細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した内皮細胞などの集団が培養下で維持され、いくつかの場合には投与前に増殖させる。ある特定の実施形態では、内皮細胞の集団は、投与前に凍結保存される。
【0595】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作内皮細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代内皮細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した内皮細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作内皮細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作内皮細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子及びCD142遺伝子にゲノム改変を保有する。いくつかの実施形態では、操作内皮細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、以下の遺伝子:B2M、CIITA遺伝子、及びCD142のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有する。
【0596】
いくつかの実施形態では、提供される操作内皮細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作内皮細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代内皮細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した内皮細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作内皮細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0597】
いくつかの実施形態では、操作内皮細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代内皮細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した内皮細胞などが、患者、例えば、それを必要とするヒト患者に投与される。操作内皮細胞は、疾患または状態、例えば、これらに限定されないが、心血管疾患、血管疾患、末梢血管疾患、虚血性疾患、心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管閉塞性疾患、脳卒中、再灌流傷害、虚血肢、神経障害(例えば、末梢神経障害または糖尿病性神経障害)、臓器不全(例えば、肝不全、腎不全など)、糖尿病、関節リウマチ、骨粗鬆症、血管損傷、組織損傷、高血圧、冠動脈疾患に起因する狭心症及び心筋梗塞、腎血管性高血圧、腎動脈狭窄に起因する腎不全、下肢の跛行などに罹患している患者に投与され得る。ある特定の実施形態では、患者は、一過性脳虚血発作または脳卒中に罹患したか、またはそれに罹患していて、これはいくつかの場合には、脳血管疾患に起因する場合がある。いくつかの実施形態では、操作内皮細胞は、例えば、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、及び虚血肢で生じるような組織虚血を治療するため、ならびに損傷した血管を修復するために投与される。いくつかの場合では、細胞は、移植片のバイオエンジニアリングに使用される。
【0598】
例えば、操作内皮細胞は、虚血組織の修復、血管及び心臓弁の形成、人工血管の操作、損傷した血管の修復、ならびに操作組織における血管形成の誘導(例えば、移植前)のために細胞療法に使用され得る。さらに、内皮細胞は、腫瘍を標的として治療するために、薬剤を送達するようにさらに改変され得る。
【0599】
多くの実施形態では、本明細書では、血管細胞または血管新生を必要とする組織の修復または置換の方法が提供される。本方法は、そのような治療を必要とするヒト患者に、そのような組織における血管新生を促進するために、操作内皮細胞、例えば、単離した初代内皮細胞または分化した内皮細胞などを含有する組成物を投与することを含む。血管細胞または血管新生を必要とする組織は、とりわけ、心臓組織、肝臓組織、膵臓組織、腎臓組織、筋組織、神経組織、骨組織であり得、これは損傷を受けた、過剰な細胞死を特徴とする組織、損傷のリスクがある組織、または人工的に操作された組織であり得る。
【0600】
いくつかの実施形態では、心疾患または障害と関連する場合がある血管疾患は、例えば、これらに限定されないが、本明細書に記載されるように得られる最終的な血管内皮細胞及び心内膜内皮細胞などの内皮細胞を投与することによって治療され得る。そのような血管疾患としては、冠動脈疾患、脳血管疾患、大動脈弁狭窄症、大動脈瘤、末梢動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、静脈瘤、血管症、冠灌流が欠如している心臓の梗塞巣、非治癒性創傷、糖尿病性もしくは非糖尿病性潰瘍、または血管の形成を誘導することが望ましい任意の他の疾患もしくは障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0601】
ある特定の実施形態では、内皮細胞は、血管再建手術に使用される人工インプラント(例えば、Dacron及びGortexなどの合成材料から作製された血管)を改善するために使用される。例えば、人工動脈グラフトは、重要臓器または四肢を灌流する罹患動脈を置換するために使用されることが多い。他の実施形態では、操作内皮細胞は、弁表面の血栓形成性を低下させることによって塞栓形成のリスクを低減させるために、人工心臓弁の表面の被覆に使用される。
【0602】
概説される内皮細胞は、組織及び/または単離細胞を血管に移植するための周知の外科的技術を使用して、患者に移植され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、注射(例えば、心筋内注射、冠動脈内注射、経心内膜注射、経心外膜注射、経皮注射)、注入、移植、及び埋込みによって患者の心臓組織に導入される。
【0603】
内皮細胞の投与(送達)としては、皮下または非経口、例えば、静脈内、動脈内(例えば、冠動脈内)、筋肉内、腹腔内、心筋内、経心内膜、経心外膜、鼻腔内投与に加えて髄腔内、及び注入技術を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0604】
当業者には理解されることになるように、細胞は、細胞型及びそれらの細胞の最終用途の両方に依存する、当該技術分野において既知の技術を使用して移植される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞は、患者において静脈内に、または特定の位置での注射によるいずれかで移植される。特定の位置に移植される場合、細胞は、それらが定着する間の分散を防止するためにゲルマトリックス中に懸濁されてよい。
【0605】
例示的な内皮細胞型としては、毛細血管内皮細胞、血管内皮細胞、大動脈内皮細胞、動脈内皮細胞、静脈内皮細胞、腎内皮細胞、脳内皮細胞、肝内皮細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0606】
本明細書に概説される内皮細胞、例えば、単離した初代内皮細胞または分化内皮細胞などは、1つ以上の内皮細胞マーカーを発現し得る。そのようなマーカーの非限定的な例としては、VE-カドヘリン(CD144)、ACE(アンジオテンシン変換酵素)(CD143)、BNH9/BNF13、CD31、CD34、CD54(ICAM-l)、CD62E(E-セレクチン)、CD105(エンドグリン)、CD146、エンドカン(ESM-l)、Endoglyx-l、エンドムチン、エオタキシン-3、EPAS1(内皮PASドメインタンパク質1)、第VIII因子関連抗原、FLI-l、Flk-l(KDR、VEGFR-2)、FLT-l(VEGFR-l)、GATA2、GBP-l(グアニル酸結合タンパク質-l)、GRO-アルファ、HEX、ICAM-2(細胞間接着分子2)、LM02、LYVE-l、MRB(マジックラウンドアバウト(magic roundabout))、ヌクレオリン、PAL-E(病理解剖学的ライデン内皮(pathologische anatomie Leiden-endothelium)、RTK、sVCAM-l、TALI、TEM1(腫瘍内皮マーカー1)、TEM5(腫瘍内皮マーカー5)、TEM7(腫瘍内皮マーカー7)、トロンボモジュリン(TM、CD141)、VCAM-l(血管細胞接着分子-1)(CD106)、VEGF、vWF(フォンヴィルブランド因子)、ZO-l、内皮細胞選択的接着分子(ESAM)、CD102、CD93、CD184、CD304、及びDLL4が挙げられる。
【0607】
いくつかの実施形態では、内皮細胞は、障害/状態を治療するか、または障害/状態の症状を改善するのに有用な目的のタンパク質、例えば、これらに限定されないが、酵素、ホルモン、受容体、リガンド、または薬物などをコードする外因性遺伝子を発現するようにさらに遺伝子改変される。内皮細胞を遺伝子改変する標準的な方法は、例えば、US5,674,722に記載されている。
【0608】
そのような内皮細胞は、疾患の予防または治療に有用である、ポリペプチドまたはタンパク質の構成的合成及び送達を提供するために使用され得る。このようにして、ポリペプチドは、個体の血流または身体の他の領域(例えば、中枢神経系)に直接分泌される。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、インスリン、血液凝固因子(例えば、第VIII因子またはフォンヴィルブランド因子)、アルファ-lアンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3)などを分泌するように改変され得る。
【0609】
ある特定の実施形態では、内皮細胞は、埋め込まれたグラフトとの関連においてそれらの性能を改善する方法で改変され得る。非限定的で例示的な例としては、管腔内血栓形成を予防するための血栓溶解剤の分泌または発現、平滑筋肥大に起因する管腔狭窄を予防するための平滑筋増殖の阻害剤の分泌、ならびに内皮細胞増殖を刺激し、グラフト内腔の内皮細胞による裏打ちの範囲または持続期間を改善するための内皮細胞マイトジェンまたは自己分泌因子の発現及び/または分泌が挙げられる。
【0610】
いくつかの実施形態では、操作内皮細胞は、治療レベルの分泌産物を特定の臓器または肢に送達するために利用される。例えば、インビトロで操作した(形質導入した)内皮細胞で裏打ちされた血管インプラントが、特定の臓器または肢に移植され得る。形質導入した内皮細胞の分泌産物は、灌流組織に高濃度で送達され、それによって標的とする解剖学的位置への所望の効果を達成することになる。
【0611】
他の実施形態では、内皮細胞は、血管新生腫瘍において内皮細胞によって発現される場合、血管新生を破壊または阻害する遺伝子を含有するようにさらに遺伝子改変される。いくつかの場合には、内皮細胞はまた、腫瘍治療の完了時に移植された内皮細胞の負の選択を可能にする、本明細書に記載される選択可能な自殺遺伝子のうちいずれか1つを発現するように遺伝子改変され得る。
【0612】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される内皮細胞、例えば、単離した初代内皮細胞または分化した内皮細胞などは、血管損傷、心血管疾患、血管疾患、末梢血管疾患、虚血性疾患、心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管閉塞性疾患、高血圧、虚血組織損傷、再灌流傷害、虚血肢、脳卒中、神経障害(例えば、末梢神経障害または糖尿病性神経障害)、臓器不全(例えば、肝不全、腎不全など)、糖尿病、関節リウマチ、骨粗鬆症、脳血管疾患、高血圧、冠動脈疾患に起因する狭心症及び心筋梗塞、腎血管性高血圧、腎動脈狭窄に起因する腎不全、下肢の跛行、他の血管状態または疾患からなる群から選択される血管障害を治療するためにレシピエント対象に投与される。
【0613】
T.上皮細胞
3)網膜色素上皮(RPE)細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、初代網膜色素上皮(RPE)細胞である。いくつかの実施形態では、初代RPE細胞は、1以上の個々のドナー対象、例えば、1以上の個々の健康なドナー(例えば、疾患または感染を知られていないか、または疑われていない、例えば、その臨床徴候を示していない対象)などから単離または取得される。当業者には理解されることになるように、個体からRPE細胞を単離または取得する方法が、既知の技術を使用して達成され得る。本明細書では、対象(例えば、レシピエント)に対する後続の移植または生着を目的とした、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有する操作初代RPE細胞が提供される。
【0614】
いくつかの実施形態では、初代RPE細胞は、対象または個体から得られる(例えば、採取、抽出、除去、または取得される)。いくつかの実施形態では、初代RPE細胞は、RPE細胞が1以上の対象(例えば、1人以上の健康なヒトを含む1人以上のヒト)に由来するように、RPE細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、初代RPE細胞のプールは、1~100、1~50、1~20、1~10、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上の対象に由来する。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、患者(例えば、治療用細胞が投与されるレシピエント)とは異なる。いくつかの実施形態では、RPE細胞のプールは、患者からの細胞を含まない。いくつかの実施形態では、RPE細胞のプールが得られるドナー対象のうち1以上が、患者とは異なる。
【0615】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるような細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有し、RPE細胞に分化する、操作iPSCから分化したRPE細胞である。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。いくつかの実施形態では、RPE細胞に分化した細胞は、対象(例えば、レシピエント)への後続の移植または生着に使用されてよい。
【0616】
多能性幹細胞をRPE細胞に分化させる有用な方法は、例えば、US9,458,428及びUS9,850,463に記載され、本明細書を含む、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。ヒト人工多能性幹細胞からRPE細胞を産生する追加の方法は、例えば、Lamba et al.,PNAS,2006,103(34):12769-12774、Mellough et al,Stem Cells,2012,30(4):673-686、Idelson et al,Cell Stem Cell,2009,5(4):396-408、Rowland et al,Journal of Cellular Physiology,2012,227(2):457-466、Buchholz et al,Stem Cells Trans Med,2013,2(5):384-393、及びda Cruz et al,Nat Biotech,2018,36:328-337に見出され得る。
【0617】
ヒト多能性幹細胞は、Kamao et al,Stem Cell Reports 2014:2:205-18(その全体が、特に分化技術及び試薬について同文献で概説される方法及び試薬に関して参照によって本明細書に組み込まれる)に概説される技術を使用してRPE細胞に分化されていて、またMandai et al.,N Engl J Med,2017,376:1038-1046も参照のこと(その内容全体が、RPE細胞のシートの生成及び患者への移植を目的とした技術に関して本明細書に組み込まれる)。分化は、一般にRPE関連及び/または特異的マーカーの存在を評価することによって、または機能的に測定することによって当該技術分野において既知であるようにアッセイされ得る。例えば、Kamao et al.,Stem Cell Reports,2014,2(2):205-18を参照のこと(その内容全体が、特に結果の節の第1段落に概説されるマーカーに関して参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0618】
いくつかの実施形態では、インビトロでの分化によって操作多能性細胞の集団から操作網膜色素上皮(RPE)細胞の集団を産生する方法は、(a)アクチビンA、bFGF、BMP4/7、DKK1、IGF1、ノギン、BMP阻害剤、ALK阻害剤、ROCK阻害剤、及びVEGFR阻害剤からなる群から選択される因子のうちいずれか1つを含む第1培養培地中で操作多能性細胞の集団を培養し、前駆RPE細胞の集団を産生すること、ならびに(b)第1培養培地とは異なる第2培養培地中で前駆RPE細胞の集団を培養し、操作RPE細胞の集団を産生することを含む。いくつかの実施形態では、ALK阻害剤は、SB-431542、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、ALK阻害剤は、約2mM~約10pMの範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、ROCK阻害剤は、Y-27632、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、ROCK阻害剤は、約1pM~約10pMの範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、第1培養培地及び/または第2培養培地は、動物血清を含まない。
【0619】
分化は、一般にRPE関連及び/または特異的マーカーの存在を評価することによって、または機能的に測定することによって当該技術分野において既知であるようにアッセイされ得る。例えば、Kamao et al.,Stem Cell Reports,2014,2(2):205-18を参照のこと(その内容全体が、特に結果の節に関して参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0620】
RPE細胞の分化方法及び本技術に使用する方法を含む、RPE細胞の追加の記載は、WO2020/018615に見出され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0621】
いくつかの実施形態では、操作RPE細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代RPE細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したRPE細胞などの集団が培養下で維持され、いくつかの場合には投与前に増殖させる。ある特定の実施形態では、RPE細胞の集団は、投与前に凍結保存される。
【0622】
例示的なRPE細胞型としては、網膜色素上皮(RPE)細胞、RPE前駆細胞、未成熟RPE細胞、成熟RPE細胞、機能的RPE細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0623】
いくつかの実施形態では、RPE細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代RPE細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したRPE細胞などは、天然RPE細胞の遺伝子発現プロファイルと類似した、または実質的に類似した遺伝子発現プロファイルを有する。そのようなRPE細胞は、平面基質上でコンフルエントな状態まで増殖させた場合に、天然RPE細胞の多角形で平面シート状の形態を有する場合がある。
【0624】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作RPE細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代RPE細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したRPE細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、RPE細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作RPE細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、RPE細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作RPE細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、RPE細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作RPE細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、以下の遺伝子:B2M、CIITA、及びCD142遺伝子のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有する。
【0625】
いくつかの実施形態では、提供される操作RPE細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作RPE細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代RPE細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したRPE細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作RPE細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0626】
RPE細胞は、黄斑変性症に罹患している患者または損傷したRPE細胞を有する患者に移植され得る。いくつかの実施形態では、患者は、加齢黄斑変性(AMD)、初期AMD、中期AMD、後期AMD、非血管新生型加齢黄斑変性、ドライ型黄斑変性(ドライ型加齢黄斑変性)、ウェット型黄斑変性(ウェット型加齢黄斑変性)、若年性黄斑変性(JMD)(例えば、シュタルガルト病、ベスト病、及び若年性網膜分離症)、レーバー先天性黒内障、または網膜色素変性症を有する。他の実施形態では、患者は網膜剥離に罹患している。
【0627】
治療用途では、開示される方法に従って調製される細胞は、典型的には等張賦形剤を含む医薬組成物の形態で供給され得、ヒト投与のために十分に滅菌されている条件下で調製される。細胞組成物の医薬製剤における一般原則については、“Cell Therapy:Stem Cell Transplantation,Gene Therapy,and Cellular Immunotherapy,”by Morstyn&Sheridan eds,Cambridge University Press,1996、及び“Hematopoietic Stem Cell Therapy,”E.D.Ball,J.Lister&P.Law,Churchill Livingstone,2000を参照のこと。細胞は、分布または臨床用途に適したデバイスまたは容器内に包装され得る。
【0628】
4)甲状腺細胞
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように操作または改変されている細胞は、初代甲状腺細胞である。いくつかの実施形態では、初代甲状腺細胞は、1以上の個々のドナー対象、例えば、1以上の個々の健康なドナー(例えば、疾患または感染を知られていないか、または疑われていない、例えば、その臨床徴候を示していない対象)などから単離または取得される。当業者には理解されることになるように、個体から甲状腺細胞を単離または取得する方法が、既知の技術を使用して達成され得る。本明細書では、対象(例えば、レシピエント)に対する後続の移植または生着を目的とした、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有する操作初代甲状腺細胞が提供される。
【0629】
いくつかの実施形態では、初代甲状腺細胞は、対象または個体から得られる(例えば、採取、抽出、除去、または取得される)。いくつかの実施形態では、初代甲状腺細胞は、甲状腺細胞が1以上の対象(例えば、1人以上の健康なヒトを含む1人以上のヒト)に由来するように、甲状腺細胞のプールから作製される。いくつかの実施形態では、初代甲状腺細胞のプールは、1~100、1~50、1~20、1~10、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上の対象に由来する。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、患者(例えば、治療用細胞が投与されるレシピエント)とは異なる。いくつかの実施形態では、甲状腺細胞のプールは、患者からの細胞を含まない。いくつかの実施形態では、甲状腺細胞のプールが得られるドナー対象のうち1以上が、患者とは異なる。
【0630】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるような細胞は、本明細書に記載される改変(例えば、遺伝子改変)を含有し、甲状腺細胞に分化する、操作iPSCから分化した甲状腺細胞である。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。いくつかの実施形態では、甲状腺細胞に分化した細胞は、対象(例えば、レシピエント)への後続の移植または生着に使用されてよい。
【0631】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される改変を含有する操作多能性細胞は、自己免疫性甲状腺炎に対処するために甲状腺ホルモンを分泌し得る甲状腺前駆細胞及び甲状腺濾胞オルガノイドに分化される。甲状腺細胞を分化させる技術は、当該技術分野において既知である。例えば、Kurmann et al.,Cell Stem Cell,2015 Nov 5;17(5):527-42を参照のこと(その全体が、特にヒト多能性幹細胞からの甲状腺細胞の生成を目的とした方法及び試薬に関して、また移植技術に関して参照によって本明細書に組み込まれる)。分化は、一般に甲状腺細胞関連もしくは特異的マーカーの存在を評価することによって、または機能的に測定することによって当該技術分野において既知であるようにアッセイされ得る。
【0632】
いくつかの実施形態では、操作甲状腺細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代甲状腺細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した甲状腺細胞などの集団が培養下で維持され、いくつかの場合には投与前に増殖させる。ある特定の実施形態では、甲状腺細胞の集団は、投与前に凍結保存される。
【0633】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作甲状腺細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代甲状腺細胞または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した甲状腺細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、甲状腺細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作甲状腺細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、甲状腺細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作甲状腺細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子及びCD142遺伝子にゲノム改変を保有する。いくつかの実施形態では、操作甲状腺細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、以下の遺伝子:B2M及びCIITA遺伝子、ならびにCD146遺伝子のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有する。
【0634】
いくつかの実施形態では、提供される操作甲状腺細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作甲状腺細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)から単離した初代甲状腺細胞など、または1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化したベータ島細胞は、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作内皮細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0635】
U.心臓細胞
本明細書では、対象(例えば、レシピエント)への後続の移植または生着のためにHIP細胞から分化した心臓細胞型が提供される。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。例示的な心臓細胞型としては、心筋細胞、結節心筋細胞、伝導心筋細胞、作業心筋細胞、心筋細胞前駆細胞(precursor cell)、心筋細胞前駆細胞(progenitor cell)、心臓幹細胞、心筋細胞、心房心臓幹細胞、心室心臓幹細胞、心外膜細胞、造血細胞、血管内皮細胞、心内膜内皮細胞、心臓弁間質細胞、心臓ペースメーカー細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0636】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される心臓細胞は、小児期心筋症、加齢に伴う心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、慢性虚血性心筋症、周産期心筋症、炎症性心筋症、特発性心筋症、他の心筋症、心筋虚血再灌流傷害、心室機能不全、心不全、うっ血性心不全、冠動脈疾患、末期心疾患、アテローム性動脈硬化症、虚血、高血圧、再狭窄、狭心症、リウマチ性心臓、動脈炎、心血管疾患、心筋梗塞、心筋虚血、うっ血性心不全、心筋梗塞、心虚血、心外傷、心筋虚血、血管疾患、後天性心疾患、先天性心疾患、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、機能不全伝導系(dysfunctional conduction system)、機能不全冠動脈(dysfunctional coronary arteries)、肺高血圧症、心不整脈、筋ジストロフィー、筋肉量異常、筋変性、心筋炎、感染性心筋炎、薬物または毒素誘発性筋肉異常、過敏性心筋炎、及び自己免疫性心内膜炎からなる群から選択される心臓障害を治療するために、レシピエント対象に投与される。
【0637】
したがって、本明細書では、心外傷または心疾患もしくは障害の治療及び予防を必要とする対象における、その治療方法及び予防方法が提供される。本明細書に記載される方法は、多数の心疾患またはそれらの症状、例えば、心臓の構造及び/または機能への病理学的損傷をもたらすものなどを治療、改善、予防またはその進行を鈍化するために使用され得る。「心疾患」、「心臓障害」、及び「心外傷」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、弁、内皮、梗塞領域、または心臓の他の構成要素もしくは構造を含む、心臓に関する状態及び/または障害を指す。そのような心疾患または心臓関連疾患としては、とりわけ、心筋梗塞、心不全、心筋症、先天性心臓欠陥、心臓弁疾患もしくは機能不全、心内膜炎、リウマチ熱、僧帽弁逸脱、感染性心内膜炎、肥大型心筋症、拡張型心筋症、心筋炎、心肥大、及び/または僧帽弁閉鎖不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0638】
いくつかの実施形態では、心筋細胞前駆体は、成熟(最終段階)心筋細胞を含む子孫を生じさせることができる細胞を含む。心筋細胞前駆細胞は、多くの場合に転写因子のGATA-4、Nkx2.5、及びMEF-2ファミリーから選択される1つ以上のマーカーを使用して同定され得る。いくつかの場合では、心筋細胞は、以下の一覧からの1つ以上のマーカー(時として少なくとも2つ、3つ、4つまたは5つのマーカー)を発現する未熟心筋細胞または成熟心筋細胞を指す:心筋トロポニンI(cTnl)、心筋トロポニンT(cTnT)、筋節ミオシン重鎖(MHC)、GATA-4、Nkx2.5、N-カドヘリン、β2-アドレナリン受容体、ANF、転写因子のMEF-2ファミリー、クレアチンキナーゼMB(CK-MB)、ミオグロビン、及び心房性ナトリウム利尿因子(ANF)。いくつかの実施形態では、心臓細胞は、自発的な周期的収縮活動を示す。いくつかの場合には、その心臓細胞が、適切なCa2+濃度及び電解質平衡を伴う好適な組織培養環境で培養される場合、細胞は、培養培地に任意の追加成分を添加する必要なく、細胞の一軸方向に周期的に収縮し、次いで収縮を解除することが観察され得る。いくつかの実施形態では、心臓細胞は、低免疫原性心臓細胞である。
【0639】
いくつかの実施形態では、インビトロでの分化によって低免疫原性多能性(HIP)細胞の集団から低免疫原性心臓細胞の集団を産生する方法は、(a)GSK阻害剤を含む培養培地中でHIP細胞の集団を培養すること、(b)WNTアンタゴニストを含む培養培地中でHIP細胞の集団を培養し、前駆心臓細胞の集団を産生すること、及び(c)インスリンを含む培養培地中で前駆心臓細胞の集団を培養し、低免疫心臓細胞の集団を産生することを含む。いくつかの実施形態では、GSK阻害剤は、CHIR-99021、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、GSK阻害剤は、約2mM~約10mMの範囲の濃度である。いくつかの実施形態では、WNTアンタゴニストは、IWR1、その誘導体、またはそのバリアントである。いくつかの場合では、WNTアンタゴニストは、約2mM~約10mMの範囲の濃度である。
【0640】
いくつかの実施形態では、低免疫原性心臓細胞の集団は、非心臓細胞から単離される。いくつかの実施形態では、低免疫原性心臓細胞の単離集団は、投与前に増殖される。ある特定の実施形態では、低免疫原性心臓細胞の単離集団は、投与前に増殖及び凍結保存される。
【0641】
人工多能性幹細胞または多能性幹細胞を心臓細胞に分化させる他の有用な方法は、例えば、US2017/0152485、US2017/0058263、US2017/0002325、US2016/0362661、US2016/0068814、US9,062,289、US7,897,389、及びUS7,452,718に記載される。人工多能性幹細胞または多能性幹細胞から心臓細胞を産生する追加の方法は、例えば、Xu et al,Stem Cells and Development,2006,15(5):631-9、Burridge et al,Cell Stem Cell,2012,10:16-28、及びChen et al,Stem Cell Res,2015,l5(2):365-375に記載される。
【0642】
様々な実施形態では、低免疫原性心臓細胞は、BMP経路阻害剤、WNTシグナル伝達活性化因子、WNTシグナル伝達阻害剤、WNTアゴニスト、WNTアンタゴニスト、Src阻害剤、EGFR阻害剤、PCK活性化因子、サイトカイン、成長因子、心臓作用剤(cardiotropic agent)、化合物などを含む培養培地中で培養され得る。
【0643】
WNTシグナル伝達活性化因子としては、CHIR99021が挙げられるが、これに限定されない。PCK活性化因子としては、PMAが挙げられるが、これに限定されない。WNTシグナル伝達阻害剤としては、KY02111、SO3031(KY01-I)、SO2031(KY02-I)、及びSO3042(KY03-I)、ならびにXAV939から選択される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。Src阻害剤としては、A419259が挙げられるが、これに限定されない。EGFR阻害剤としては、AG1478が挙げられるが、これに限定されない。
【0644】
iPSCから心臓細胞を生成するための薬剤の非限定的な例としては、アクチビンA、BMP4、Wnt3a、VEGF、可溶性frizzledタンパク質、シクロスポリンA、アンジオテンシンII、フェニレフリン、アスコルビン酸、ジメチルスルホキシド、5-アザ-2’-デオキシシチジンなどが挙げられる。
【0645】
本明細書で提供される細胞は表面、例えば、低免疫原性多能性細胞の心臓細胞への分化を支援及び/または促進するための合成表面などの上で培養され得る。いくつかの実施形態では、表面は、選択される1つ以上のアクリレートモノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含むが、これらに限定されないポリマー材料を含む。アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーの非限定的な例としては、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、テトラ(エチエン(ethyiene)グリコール)ジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートジアクリレート、トリメチロールプロパンエイホキシレート(eihoxylate)(1 EO/QH)メチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、ネオペンチルグリコールエキソキシレート(exhoxylate)ジアクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。アクリレートは、当該技術分野において既知のように合成されるか、またはPolysciences,Inc.、Sigma Aldrich,Inc.、及びSartomer,Inc.などの商業的業者から得られる。
【0646】
ポリマー材料は、支持体材料の表面上に分散され得る。細胞を培養するのに適した有用な支持体材料としては、セラミック物質、ガラス、プラスチック、ポリマーもしくはコポリマー、それらの任意の組合せ、またはある材料の別の材料上へのコーティングが挙げられる。いくつかの場合では、ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、pyrexガラス、vycorガラス、石英ガラス、ケイ素、またはそれらの誘導体などが挙げられる。
【0647】
いくつかの場合では、プラスチックまたは樹枝状ポリマーを含むポリマーとしては、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル-無水マレイン酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマー、フルオロカーボンポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンイミンまたはそれらの誘導体などが挙げられる。いくつかの場合では、コポリマーとしては、ポリ(酢酸ビニル-co-無水マレイン酸)、ポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)、ポリ(エチレン-co-アクリル酸)またはそれらの誘導体などが挙げられる。
【0648】
本明細書に記載されるように調製される心臓細胞の有効性は、治療しない場合に左室壁組織の55%が瘢痕組織となる、心臓凍結傷害の動物モデルにおいて評価され得る(Li et al,Ann.Thorac.Surg.62:654,1996、Sakai et al,Ann.Thorac.Surg.8:2074,1999、Sakai et al.,Thorac.Cardiovasc.Surg.118:715,1999)。治療の成功によって瘢痕の面積が減少し、瘢痕の拡大が制限されて、収縮期圧、拡張期圧、及び最大圧によって決定されるような心機能が改善し得る。心外傷はまた、左前下行枝の遠位部で塞栓コイルを使用してモデル化され得(Watanabe et al.,Cell Transplant.7:239,1998)、治療の有効性は組織学及び心機能によって評価され得る。
【0649】
いくつかの実施形態では、操作心臓細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した心臓細胞などの集団が培養下で維持され、いくつかの場合には投与前に増殖させる。ある特定の実施形態では、心臓細胞の集団は、投与前に凍結保存される。
【0650】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作心臓細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した心臓細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、心臓細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作心臓細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、心臓細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作心臓細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、心臓細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作心臓細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、以下の遺伝子:B2M及びCIITA遺伝子、ならびにCD142遺伝子のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有する。
【0651】
いくつかの実施形態では、提供される操作心臓細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作心臓細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した心臓細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作心臓細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0652】
いくつかの実施形態では、投与は、対象の心臓組織内への移植、静脈内注射、動脈内注射、冠動脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、心筋内注射、経心内膜注射、経心外膜注射、または注入を含む。
【0653】
いくつかの実施形態では、操作心臓細胞を投与される患者はまた、心臓薬も投与される。併用療法での使用に好適な心臓薬の例示的な例としては、成長因子、成長因子をコードするポリヌクレオチド、血管新生剤、カルシウムチャネル遮断薬、降下剤、抗有糸分裂剤、変力剤、抗アテローム発生剤、抗凝固剤、ベータ遮断薬、抗不整脈剤、抗炎症剤、血管拡張薬、血栓溶解剤、強心配糖体、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、原生動物を阻害する薬剤、硝酸塩、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、抗腫瘍剤、ステロイドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0654】
本明細書で提供される方法による療法の効果は、様々な方法でモニターされ得る。例えば、心電図(ECG)またはホルター(holier)モニターが、治療の有効性を決定するために利用され得る。ECGは、心調律及び電気インパルスの尺度であり、療法が対象の心臓における電気伝導を改善もしくは維持、予防、またはその低下を鈍化しているかどうかを決定するために非常に効果的で非侵襲的方法である。心臓異常、不整脈障害などをモニターするために長時間にわたって装着され得る携帯型ECGのホルターモニターの使用もまた、療法の有効性を評価するための信頼できる方法である。ECGまたは核研究は、心室機能の改善を決定するために使用され得る。
【0655】
V.神経細胞
本明細書では、レシピエント対象への後続の移植または生着に有用である、記載されるような操作多能性細胞(例えば、iPSC)から分化した異なる神経細胞型が提供される。当業者には理解されることになるように、分化方法は、既知の技術を使用する所望の細胞型に依存する。例示的な神経細胞型としては、脳内皮細胞、ニューロン(例えば、ドーパミン作動性ニューロン)、グリア細胞、グリア前駆細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0656】
いくつかの実施形態では、人工多能性幹細胞の分化は、特定の所望の系譜及び/または目的の細胞型へのそれらの分化を標的とするように、特定の細胞系譜(複数可)を産生することが知られている特定の因子に、細胞を曝露または接触させることによって実施される。いくつかの実施形態では、最終分化細胞は、特化した表現型特性または特徴を示す。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される幹細胞は、神経外胚葉、神経、神経内分泌、ドーパミン作動性、コリン作動性、セロトニン作動性(5-HT)、グルタミン酸作動性、GABA作動性、アドレナリン作動性、ノルアドレナリン作動性、交感神経、副交感神経、交感末梢神経、またはグリア細胞の集団に分化される。いくつかの場合では、グリア細胞集団としては、ミクログリア(例えば、アメボイド型、ラミファイド型、活性化貪食、及び活性化非貪食)細胞集団もしくはマクログリア(中枢神経系細胞:アストロサイト、オリゴデンドロサイト、上衣細胞、及び放射状グリア、ならびに末梢神経系細胞:シュワン細胞及び衛星細胞)細胞集団、または先行する細胞のいずれかの前駆体及び前駆細胞が挙げられる。
【0657】
異なる神経細胞型を生成するためのプロトコールは、PCT出願第WO2010144696号、米国特許第9,057,053号、同第9,376,664号、及び同第10,233,422号に記載されている。低免疫原性多能性細胞を分化させる方法の追加の記載は、例えば、Deuse et al.,Nature Biotechnology,2019,37,252-258及びHan et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2019,116(21),10441-10446に見出され得る。神経障害または状態の動物モデルにおける神経細胞移植の効果を決定する方法が、以下の参考文献に記載されている:脊髄損傷については、Curtis et al.,Cell Stem Cell,2018,22,941-950、パーキンソン病については、Kikuchi et al.,Nature,2017,548:592-596、ALSについては、Izrael et al.,Stem Cell Research,2018,9(1):152及びIzrael et al.,IntechOpen,DOI:10.5772/intechopen.72862、てんかんについては、Upadhya et al.,PNAS,2019,116(1):287-296。
【0658】
いくつかの実施形態では、操作神経細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した神経細胞などの集団が培養下で維持され、いくつかの場合には投与前に増殖させる。ある特定の実施形態では、神経細胞の集団は、投与前に凍結保存される。
【0659】
いくつかの実施形態では、本技術は、操作神経細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した神経細胞などを対象とし、これらは寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。ある特定の実施形態では、操作神経細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、B2M遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作神経細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、CIITA遺伝子にゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。いくつかの実施形態では、操作神経細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、以下の遺伝子:B2M及びCIITA遺伝子のうち1つ以上を破壊するゲノム改変を保有し、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、神経細胞は、1つ以上の補体インヒビターをさらに発現する。
【0660】
いくつかの実施形態では、提供される操作神経細胞は、免疫認識を回避する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作神経細胞、例えば、1以上の個々のドナー(例えば、健康なドナー)に由来するiPSCから分化した神経細胞などは、患者(例えば、投与時のレシピエント)内で免疫応答を活性化しない。疾患の治療を必要とする対象(例えば、レシピエント)または患者に、本明細書に記載される操作神経細胞の集団を投与することによって疾患を治療する方法が提供される。
【0661】
いくつかの実施形態では、神経細胞は、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、他の神経変性疾患または状態、注意欠如多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、精神病、うつ病、他の精神神経障害を治療するために対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される神経細胞は、脳卒中を治療または改善するために対象に投与される。いくつかの実施形態では、ニューロン及びグリア細胞は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を有する対象に投与される。
【0662】
1)脳内皮細胞
いくつかの実施形態では、脳内皮細胞(EC)、その前駆体、及び前駆細胞は、脳ECまたは神経細胞の生成を促進する1つ以上の因子を含む培地中で細胞を培養することによって、表面上で多能性幹細胞(例えば、人工多能性幹細胞)から分化される。いくつかの場合には、培地は、以下:CHIR-99021、VEGF、塩基性FGF(bFGF)、及びY-27632のうち1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、培地は、神経細胞の生存及び機能性を促進するように設計されたサプリメントを含む。
【0663】
いくつかの実施形態では、脳内皮細胞(EC)、その前駆体、及び前駆細胞は、非馴化または馴化培地中で細胞を培養することによって、表面上で多能性幹細胞から分化される。いくつかの場合では、培地は、分化を促進または容易にする因子または小分子を含む。いくつかの実施形態では、培地は、VEGR、FGF、SDF-1、CHIR-99021、Y-27632、SB431542、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の因子または小分子を含む。いくつかの実施形態では、分化用の表面は、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質を含む。表面は、1つ以上の細胞外マトリックスタンパク質でコーティングされ得る。細胞は、懸濁液中で分化され、次いで細胞生存を容易にするためにゲルマトリックス形態、例えば、マトリゲル、ゼラチン、またはフィブリン/トロンビン形態などに入れられ得る。いくつかの場合には、分化は、一般に細胞特異的マーカーの存在を評価することによって、当該技術分野において既知であるようにアッセイされる。
【0664】
いくつかの実施形態では、脳内皮細胞は、CD31、VEカドヘリン、及びそれらの組合せからなる群から選択される因子を発現または分泌する。ある特定の実施形態では、脳内皮細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117(c-kit)、CD146、CXCR4、VEGF、SDF-1、PDGF、GLUT-1、PECAM-1、eNOS、クローディン-5、オクルディン、ZO-1、p-糖タンパク質、フォンヴィルブランド因子、VE-カドヘリン、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)、インスリン受容体(INSR)、レプチン受容体(LEPR)、基底細胞接着分子(BCAM)、トランスフェリン受容体(TFRC)、終末糖化産物特異的受容体(AGER)、レチノール取込み受容体(STRA6)、大型中性アミノ酸輸送体小サブユニット1(SLC7A5)、興奮性アミノ酸輸送体3(SLC1A1)、ナトリウム共役中性アミノ酸輸送体5(SLC38A5)、溶質輸送体ファミリー16メンバー1(SLC16A1)、ATP依存性トランスロカーゼ(ABCB1)、ATP-ABCC2結合カセット輸送体(ABCG2)、多剤耐性関連タンパク質1(ABCC1)、胆管側多選択性有機アニオン輸送体1(ABCC2)、多剤耐性関連タンパク質4(ABCC4)、及び多剤耐性関連タンパク質5(ABCC5)からなる群から選択される因子のうち1つ以上を発現または分泌する。
【0665】
いくつかの実施形態では、脳ECは、密着結合の高発現、高電気抵抗、低開窓、小血管周囲腔、インスリン及びトランスフェリン受容体の高率発生、ならびに多数のミトコンドリアからなる群から選択される特徴のうち1つ以上を特徴とする。
【0666】
いくつかの実施形態では、脳ECは、正の選択戦略を使用して選択または精製される。いくつかの場合には、脳ECは、内皮細胞マーカー、例えば、これに限定されないが、CD31などに対して選別される。言い換えれば、CD31陽性脳ECが単離される。いくつかの実施形態では、脳ECは、負の選択戦略を使用して選択または精製される。いくつかの実施形態では、未分化または多能性幹細胞は、TRA-1-60及びSSEA-1を含むが、これらに限定されない多能性マーカーを発現する細胞について選択することによって除去される。
【0667】
いくつかの実施形態では、脳内皮細胞は、脳出血の症状または影響を軽減するために投与される。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性ニューロンは、パーキンソン病を有する患者に投与される。いくつかの実施形態では、ノルアドレナリン作動性ニューロン、GABA作動性介在ニューロンは、てんかん発作を経験した患者に投与される。いくつかの実施形態では、運動ニューロン、介在ニューロン、シュワン細胞、オリゴデンドロサイト、及びミクログリアは、脊髄損傷を経験した患者に投与される。
【0668】
2)ドーパミン作動性ニューロン
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHIP細胞は、神経幹細胞、神経前駆細胞、未成熟ドーパミン作動性ニューロン、及び成熟ドーパミン作動性ニューロンを含むドーパミン作動性ニューロンに分化される。
【0669】
いくつかの場合には、「ドーパミン作動性ニューロン」という用語は、ドーパミン合成のための律速酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を発現する神経細胞を含む。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性ニューロンは、神経伝達物質ドーパミンを分泌し、ドーパミンヒドロキシラーゼをほとんどまたは全く発現しない。ドーパミン作動性(DA)ニューロンは、以下のマーカーのうち1つ以上を発現し得る:ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、1-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ、小胞モノアミン輸送体2、ドーパミン輸送体、Nurr-l、及びドーパミン-2受容体(D2受容体)。ある特定の場合では、「神経幹細胞」という用語は、神経細胞経路に沿って部分的に分化し、例えば、ネスチンを含む1つ以上の神経マーカーを発現する、多能性細胞の集団を含む。神経幹細胞は、ニューロンまたはグリア細胞(例えば、アストロサイト及びオリゴデンドロサイト)に分化されてよい。「神経前駆細胞」という用語は、FOXA2及び低レベルのb-チューブリンを発現するが、チロシンヒドロキシラーゼは発現しない培養細胞を含む。そのような神経前駆細胞は、本明細書に記載されるものなどの適切な因子の培養時に、様々な神経サブタイプ、特に様々なドーパミン作動性神経サブタイプに分化する能力を有する。
【0670】
いくつかの実施形態では、HIP細胞に由来するDAニューロンは、神経変性疾患または状態を治療するために患者、例えば、ヒト患者に投与される。いくつかの場合には、神経変性疾患または状態は、パーキンソン病、ハンチントン病、及び多発性硬化症からなる群から選択される。他の実施形態では、DAニューロンは、精神神経障害、例えば、注意欠如多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、精神病、及びうつ病などの1つ以上の症状を治療または改善するために使用される。さらに他の実施形態では、DAニューロンは、DAニューロン障害を有する患者を治療するために使用される。
【0671】
いくつかの実施形態では、DAニューロン、その前駆体、及び前駆細胞は、1つ以上の因子または添加剤を含む培地中で幹細胞を培養することによって、多能性幹細胞から分化される。DAニューロンの分化、成長、増殖、維持、及び/または成熟を促進する有用な因子及び添加剤としては、Wntl、FGF2、FGF8、FGF8a、ソニックヘッジホッグ(SHH)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF-a)、TGF-b、インターロイキン1ベータ、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、GSK-3阻害剤(例えば、CHIR-99021)、TGF-b阻害剤(例えば、SB-431542)、B-27サプリメント、ドルソモルフィン、パルモルファミン、ノギン、レチノイン酸、cAMP、アスコルビン酸、ニュールツリン、ノックアウト血清代替物、N-アセチルシステイン、c-kitリガンド、それらの改変形態、それらの模倣物、それらの類似体、及びそれらのバリアントが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、DAニューロンは、WNT経路、NOTCH経路、SHH経路、BMP経路、FGF経路などを活性化または阻害する1つ以上の因子の存在下で分化される。分化プロトコール及びその詳細説明は、例えば、US9,968,637、US7,674,620、Kim et al,Nature,2002,418,50-56、Bjorklund et al,PNAS,2002,99(4),2344-2349、Grow et al.,Stem Cells Transl Med.2016,5(9):1133-44、及びCho et al,PNAS,2008,105:3392-3397で提供され、実施例、方法、図、及び結果の詳細説明を含む、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0672】
いくつかの実施形態では、低免疫原性ドーパミン作動性ニューロンの集団は、非神経細胞から単離される。いくつかの実施形態では、低免疫原性ドーパミン作動性ニューロンの単離集団は、投与前に増殖される。ある特定の実施形態では、低免疫原性ドーパミン作動性ニューロンの単離集団は、投与前に増殖及び凍結保存される。
【0673】
DAの分化を特徴付けてモニターし、DA表現型を評価するために、任意の数の分子マーカー及び遺伝子マーカーの発現が評価され得る。例えば、遺伝子マーカーの存在は、当業者に既知の様々な方法によって決定され得る。分子マーカーの発現は、定量方法、例えば、これらに限定されないが、qPCRベースのアッセイ、イムノアッセイ、免疫細胞化学アッセイ、イムノブロッティングアッセイなどによって決定され得る。DAニューロンに対する例示的なマーカーとしては、TH、b-チューブリン、ペアードボックスタンパク質(Pax6)、インスリン遺伝子エンハンサータンパク質(Isl1)、ネスチン、ジアミノベンジジン(DAB)、Gタンパク質活性型内向き整流性カリウムチャネル2(GIRK2)、微小管関連タンパク質2(MAP-2)、NURR1、ドーパミン輸送体(DAT)、フォークヘッドボックスタンパク質A2(FOXA2)、FOX3、ダブルコルチン、及びLIMホメオボックス転写因子l-ベータ(LMX1B)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、DAニューロンは、コリン、FOXA2、TuJ1、NURR1、及びそれらの任意の組合せから選択されるマーカーのうち1つ以上を発現する。
【0674】
いくつかの実施形態では、DAニューロンは、細胞の電気生理学的活性によって評価される。細胞の電気生理学は、当業者に既知のアッセイを使用することによって評価され得る。例えば、全細胞及び穿孔パッチクランプ法、細胞の電気生理学的活性を検出するためのアッセイ、細胞の活動電位の規模及び持続時間を測定するためのアッセイ、ならびにDA細胞のドーパミン産生を検出するための機能アッセイ。
【0675】
いくつかの実施形態では、DAニューロンの分化は、自発性の律動的活動電位、及び脱分極電流の注入時にスパイク頻度順応を伴う高周波活動電位を特徴とする。他の実施形態では、DAの分化は、ドーパミンの産生を特徴とする。産生されるドーパミンのレベルは、それが最大振幅の半分に達した時点での活動電位の幅(スパイク半値幅)を測定することによって算出される。
【0676】
いくつかの実施形態では、分化したDAニューロンは、患者において静脈内に、または特定の位置での注射によるいずれかで移植される。いくつかの実施形態では、分化したDA細胞は、パーキンソン病を招いた変性を有するDAニューロンを置換するために、脳の黒質(特に緻密部内に、もしくはそれに隣接する)、腹側被蓋野(VTA)、尾状核、被殻、側坐核、視床下核、またはそれらの任意の組合せに移植される。分化したDA細胞は、細胞懸濁液として標的領域に注射され得る。あるいは、分化したDA細胞は、支持体マトリックスまたは足場内に、そのような送達デバイス内に収容される場合に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、足場は生分解性である。他の実施形態では、足場は生分解性ではない。足場は、天然または合成(人工)材料を含み得る。
【0677】
DAニューロンの送達は、好適なビヒクル、例えば、これらに限定されないが、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセルなどを使用することによって達成され得る。他の実施形態では、分化したDAニューロンは、等張賦形剤を含む医薬組成物で投与される。医薬組成物は、ヒト投与のために十分に滅菌された条件下で調製される。いくつかの実施形態では、HIP細胞から分化したDAニューロンは、医薬組成物の形態で供給される。細胞組成物の治療用製剤の一般原則は、Cell Therapy:Stem Cell Transplantation,Gene Therapy,and Cellular Immunotherapy,G.Morstyn&W.Sheridan eds,Cambridge University Press,1996、及びHematopoietic Stem Cell Therapy,E.Ball,J.Lister&P.Law,Churchill Livingstone,2000に見出され、その開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0678】
幹細胞に由来するニューロンの有用な記載及びその作製方法は、例えば、Kirkeby et al.,Cell Rep,2012,1:703-714、Kriks et al.,Nature,2011,480:547-551、Wang et al.,Stem Cell Reports,2018,11(1):171-182、Lorenz Studer,“Chapter 8-Strategies for Bringing Stem Cell-Derived Dopamine Neurons to the clinic-The NYSTEM Trial”in Progress in Brain Research,2017,volume 230,pg.191-212、Liu et al.,Nat Protoc,2013,8:1670-1679、Upadhya et al.,Curr Protoc Stem Cell Biol,38,2D.7.1-2D.7.47、米国公開出願第20160115448号、ならびにUS8,252,586、US8,273,570、US9,487,752及びUS10,093,897に見出され得、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0679】
DAニューロンに加えて、他の神経細胞、その前駆体、及び前駆細胞は、1つ以上の因子または添加剤を含む培地中で細胞を培養することによって、本明細書に概説されるHIP細胞から分化され得る。因子及び添加剤の非限定的な例としては、GDNF、BDNF、GM-CSF、B27、塩基性FGF、塩基性EGF、NGF、CNTF、SMAD阻害剤、Wntアンタゴニスト、SHHシグナル伝達活性化因子、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、SMAD阻害剤は、SB431542、LDN-193189、ノギンPD169316、SB203580、LY364947、A77-01、A-83-01、BMP4、GW788388、GW6604、SB-505124、レルデリムマブ(lerdelimumab)、メテリムマブ、GC-I008、AP-12009、AP-110I4、LY550410、LY580276、LY364947、LY2109761、SB-505124、E-616452(RepSox ALK阻害剤)、SD-208、SMI6、NPC-30345、K26894、SB-203580、SD-093、アクチビン-M108A、P144、可溶性TBR2-Fc、DMH-1、ドルソモルフィン二塩酸塩及びその誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Wntアンタゴニストは、XAV939、DKK1、DKK-2、DKK-3、DKK-4、SFRP-1、SFRP-2、SFRP-3、SFRP-4、SFRP-5、WIF-1、Soggy、IWP-2、IWR1、ICG-001、KY0211、Wnt-059、LGK974、IWP-L6及びその誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SHHシグナル伝達活性化因子は、スムーズンドアゴニスト(SAG)、SAG類似体、SHH、C25-SHH、C24-SHH、パルモルファミン、Hg-Ag及び/またはその誘導体からなる群から選択される。
【0680】
いくつかの実施形態では、ニューロンは、グルタミン酸イオンチャネル型受容体NMDA型サブユニット1(GRIN1)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ1(GAD1)、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)、LIMホメオボックス転写因子1-アルファ(LMX1A)、フォークヘッドボックスタンパク質O1(FOXO1)、フォークヘッドボックスタンパク質A2(FOXA2)、フォークヘッドボックスタンパク質O4(FOXO4)、FOXG1、2’,3’-環状-ヌクレオチド3’-ホスホジエステラーゼ(CNP)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、チューブリンベータ鎖3(TUB3)、チューブリンベータ鎖3(NEUN)、溶質輸送体ファミリー1メンバー6(SLC1A6)、SST、PV、カルビンジン、RAX、LHX6、LHX8、DLX1、DLX2、DLX5、DLX6、SOX6、MAFB、NPAS1、ASCL1、SIX6、OLIG2、NKX2.1、NKX2.2、NKX6.2、VGLUT1、MAP2、CTIP2、SATB2、TBR1、DLX2、ASCL1、ChAT、NGFI-B、c-fos、CRF、RAX、POMC、ヒポクレチン、NADPH、NGF、Ach、VAChT、PAX6、EMX2p75、CORIN、TUJ1、NURR1、及び/またはそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマーカーのうち1つ以上を発現する。
【0681】
3)グリア細胞
いくつかの実施形態では、記載される神経細胞としては、多能性幹細胞を治療上有効なグリア細胞などに分化させることによって産生されるグリア細胞、例えば、これらに限定されないが、ミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、上衣細胞及びシュワン細胞、そのグリア前駆体、ならびにグリア前駆細胞などが挙げられる。低免疫原性多能性幹細胞の分化は、低免疫原性グリア細胞などの低免疫原性神経細胞を産生する。
【0682】
いくつかの実施形態では、グリア細胞、その前駆体、及び前駆細胞は、レチノイン酸、IL-34、M-CSF、FLT3リガンド、GM-CSF、CCL2、TGFベータ阻害剤、BMPシグナル伝達阻害剤、SHHシグナル伝達活性化因子、FGF、血小板由来増殖因子(PDGF)、PDGFR-アルファ、HGF、IGF1、ノギン、SHH、ドルソモルフィン、ノギン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の薬剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することによって生成される。ある特定の場合では、BMPシグナル伝達阻害剤は、LDN193189、SB431542、またはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、グリア細胞は、NKX2.2、PAX6、SOX10、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニュートロトロフィン(neutrotrophin)-3(NT-3)、NT-4、EGF、毛様体神経栄養因子(CNTF)、神経成長因子(NGF)、FGF8、EGFR、OLIG1、OLIG2、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、GAP-43、LNGFR、ネスチン、GFAP、CD11b、CD11c、CX3CR1、P2RY12、IBA-1、TMEM119、CD45、及びそれらの任意の組合せを発現する。例示的な分化培地は、当業者によって認識されるように、グリア細胞型の生成を容易または可能にする場合がある任意の特定の因子及び/または小分子を含み得る。
【0683】
インビトロ分化プロトコールに従って生成される細胞が、グリア細胞の特性及び特徴を示すかどうかを決定するために、動物モデルに細胞が移植され得る。いくつかの実施形態では、グリア細胞は、免疫不全マウス、例えば、免疫不全シバラーマウスに注射される。グリア細胞はマウスの脳に投与され、事前に選択した時間後に移植細胞が評価される。いくつかの場合では、脳内の移植細胞は、免疫染色及びイメージング法を使用することによって可視化される。いくつかの実施形態では、グリア細胞が既知のグリア細胞バイオマーカーを発現することが決定される。
【0684】
幹細胞からグリア細胞、その前駆体、及び前駆細胞を生成する有用な方法は、例えば、US7,579,188、US7,595,194、US8,263,402、US8,206,699、US8,252,586、US9,193,951、US9,862,925、US8,227,247、US9,709,553、US2018/0187148、US2017/0198255、US2017/0183627、US2017/0182097、US2017/253856、US2018/0236004、WO2017/172976、及びWO2018/093681に見出される。多能性幹細胞を分化させる方法は、例えば、Kikuchi et al.,Nature,2017,548,592-596、Kriks et al.,Nature,2011,547-551、Doi et al.,Stem Cell Reports,2014,2,337-50、Perrier et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2004,101,12543-12548、Chambers et al.,Nat Biotechnol,2009,27,275-280、及びKirkeby et al.,Cell Reports,2012,1,703-714に記載されている。
【0685】
脊髄損傷に対する神経細胞移植の有効性は、例えば、McDonald,et al.,Nat.Med.,1999,5:1410)及びKim,et al.,Nature,2002,418:50によって記載されるような、急性脊髄損傷のラットモデルにおいて評価され得る。例えば、移植の成功によって、2~5週間後の病変中における移植由来細胞の存在、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、及び/またはニューロンへの分化、ならびに病変端部から脊髄に沿った遊走、ならびに歩行、協調、及び体重負荷の改善が示される場合がある。特定の動物モデルは、神経細胞型及び治療される神経疾患または状態に基づいて選択される。
【0686】
神経細胞は、それらが意図される組織部位に生着し、機能不全の領域を再構成または再生することを可能にする様式で投与され得る。例えば、神経細胞は、治療されている疾患によって、中枢神経系の実質部位または髄腔内部位に直接移植され得る。いくつかの実施形態では、脳内皮細胞、ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン、上衣細胞、アストロサイト、ミクログリア細胞、オリゴデンドロサイト、及びシュワン細胞を含む、本明細書に記載される神経細胞のいずれも、静脈内、脊髄内、脳室内、髄腔内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、筋肉内、腹内、眼内、球後及びそれらの組合せによって患者に注射される。いくつかの実施形態では、細胞は、ボーラス注射または持続注入の形態で注射または沈着される。ある特定の実施形態では、神経細胞は、脳への注射、脳に適切に、及びそれらの組合せによって投与される。注射は、例えば、対象の頭蓋に作製された穿頭孔を介して行われ得る。脳への神経細胞の投与に好適な部位としては、脳室、側脳室、大槽、被殻、基底核、海馬皮質、線条体、脳の尾状領域及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0687】
本技術に使用するためのドーパミン作動性ニューロンを含む神経細胞の追加の記載は、WO2020/018615に見出され、その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0688】
W.造血幹細胞(HSC)
いくつかの実施形態では、操作細胞は造血幹細胞である。いくつかの場合には、造血幹細胞は、白血球、赤血球、及び血小板を含む、全ての種類の血液細胞に発達し得る未成熟細胞である。造血幹細胞(HSC)は、末梢血及び骨髄に見られる。いくつかの場合には、造血幹細胞は、末梢血または骨髄から単離される。
【0689】
いくつかの実施形態では、操作HSCまたは操作HSCを含む集団は、造血器疾患または障害を治療するために投与される。いくつかの実施形態では、造血器疾患または障害は、骨髄異形成症、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、鎌状赤血球症、ダイアモンド・ブラックファン貧血、シュワッハマン・ダイアモンド障害、コストマン症候群、慢性肉芽腫症、副腎白質ジストロフィー、白血球接着不全、血友病、サラセミア、ベータ-サラセミア、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性(骨髄)白血病(AML)、成人リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性慢性骨髄性白血病(CML)、及び若年性骨髄単球性白血病(JMML)、重症複合免疫不全症(SCID)、X連鎖性重症複合免疫不全症、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症、慢性肉芽腫症、チェディアック・東症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)またはAIDSである。
【0690】
いくつかの実施形態では、操作HSCまたは操作HSCを含む集団は、白血病もしくは骨髄腫と関連する細胞欠損症を治療するために、または白血病もしくは骨髄腫を治療するために投与される。
【0691】
いくつかの実施形態では、操作HSCまたは操作HSCを含む集団は、自己免疫疾患もしくは状態と関連する細胞欠損症を治療するために、または自己免疫疾患もしくは状態を治療するために投与される。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患または状態は、急性散在性脳脊髄炎、急性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗合成酵素症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性心筋症、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫増殖症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、多腺性自己免疫症候群、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロー病、バロー同心円硬化症、ベーチェット症候群、バージャー病、ビッカースタッフ脳炎、ブラウ症候群、水疱性類天疱瘡、がん、キャッスルマン病、セリアック病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性再発性多発性骨髄炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、補体成分2欠損症、頭蓋動脈炎、CREST症候群、クローン病、クッシング症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、デゴス病、ダーカム病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、びまん皮膚硬化型全身性強皮症、ドレスラー症候群、円板状エリテマトーデス、湿疹、付着部炎関連関節炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバン症候群、進行性骨化性線維異形成症、線維性肺胞炎、胃炎、胃腸類天疱瘡、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性脱髄疾患、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、封入体筋炎、炎症性脱髄性多発神経炎、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、川崎病、ランバート・イートン筋無力症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病(LAD)、ルー・ゲーリック病、ルポイド肝炎、エリテマトーデス、Majeed症候群、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎、ミラー・フィッシャー症候群、混合性結合組織病、限局性強皮症(morphea)、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、視神経脊髄炎、ニューロミオトニア、眼瘢痕性類天疱瘡、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、オード甲状腺炎(ord thyroiditis)、回帰性リウマチ、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンベルグ症候群、パーソネージ・ターナー症候群、毛様体扁平部炎、天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、静脈周囲脳脊髄炎、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性神経障害、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、赤芽球癆、ラスムッセン脳炎、レイノー現象、再発性多発性軟骨炎、ライター症候群、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、関節リウマチ、リウマチ熱、サルコイドーシス、シュミット症候群、シュニッツラー症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、スティル病、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、Susac症候群、Sweet症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、未分化脊椎関節症、血管炎、白斑またはウェゲナー肉芽腫症である。
【0692】
8.ABO式及びRH抗原発現
血液製剤は、人の体内における、全ての赤血球の表面上における抗原の有無によって異なる群に分類され得る(ABO血液型)。A、B、AB、及びAl抗原は、赤血球の糖タンパク質上におけるオリゴ糖の配列によって決定される。血液型抗原群中の遺伝子は、抗原タンパク質を作製するための指示を提供する。血液型抗原タンパク質は、赤血球の細胞膜内で様々な機能を果たす。これらのタンパク質機能としては、他のタンパク質及び分子の細胞内への輸送及び細胞外への輸送、細胞構造の維持、他の細胞及び分子への結合、ならびに化学反応への関与が挙げられる。
【0693】
Rh因子(Rh)血液型は、ABO血液型系に次いで2番目に重要な血液型系である。Rh血液型系は、49の定義された血液型抗原からなり、そのうち5つの抗原、すなわち、D、C、c、E、及びeが最も重要である。個体のRh(D)状態は、通常、ABO式の後に陽性または陰性の接尾辞を伴って記載される。「Rh因子」、「Rh陽性」、及び「Rh陰性」という用語は、Rh(D)抗原のみを指す。Rh抗原に対する抗体は、溶血性輸血反応に関与し得、Rh(D)及びRh(c)抗原に対する抗体は、胎児及び新生児の溶血性疾患の重大なリスクを与える。ABO抗体は、全てのヒトにおいて出生初期に発現する。しかしながら、Rh-ヒトにおけるRh抗体は、典型的には人が感作される場合に限って発現する。これは、例えば、Rh+の子を出産すること、またはRh+輸血を受けることによって発生し得る。
【0694】
A、B、H、及びRh抗原は、血液、組織及び細胞移植のためのドナーとレシピエントとの間における組織適合性の主要な決定因子である。ABO遺伝子によってコードされるグリコシルトランスフェラーゼ活性は、細胞の表面上に示される、A、B、AB、O組織血液型抗原の産生に関与する。A型の個体は、a(l,3)N-アセチルガラクトサミン転移酵素活性をもたらす特異性を有するABO遺伝子産物をコードし、B型の個体は、a(l,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ活性をもたらす特異性を有するABO遺伝子産物をコードする。O型の個体は、機能的なガラクトシルトランスフェラーゼを全く生成しないため、いずれの修飾も行わない。AB型の個体は各々の1つのコピーを保有し、両方の種類の修飾を行う。ABO遺伝子の酵素産物は、基質としてH抗原に作用し、それゆえ、ABO活性を欠くO型の個体は非修飾H抗原を提示するため、多くの場合にO(H)型と称される。
【0695】
H抗原自体は、FUTI遺伝子によってコードされる、a(l,2)フコシルトランスフェラーゼ酵素の産物である。極めてまれな個体では、FUTI遺伝子の破壊の結果としてH抗原の完全な喪失が存在し、ABOについてAまたはBの組織血液型を生成するための基質が存在しないことになる。これらの個体は、ボンベイ組織血液型であると言われている。Rh抗原はRHD遺伝子によってコードされ、Rh陰性の個体はRHD遺伝子の欠失または破壊を保有する。
【0696】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞または細胞集団は、ABO式O型Rh因子陰性である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるABO式O型Rh因子陰性細胞は、ABO式O型Rh因子陰性ドナーに由来する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるABO式O型Rh因子陰性細胞は、ABO式A型、ABO式B型、またはRh因子抗原の提示を欠くように操作される。いくつかの実施形態では、ABO式O型及び/またはRh陰性細胞は、ABO遺伝子の部分的もしくは完全な不活性化(例えば、ABO遺伝子の有害な変異による、もしくはABO遺伝子のエクソン6 258delG変異の挿入による)を含み、及び/またはRHD遺伝子の発現が、RHD遺伝子の有害な変異によって部分的もしくは完全に不活性化される。いくつかの実施形態では、ABO式O型Rh陰性細胞は、FUT1遺伝子の部分的もしくは完全な不活性化を含み、及び/またはRHD遺伝子の発現が、RHD遺伝子の有害な変異によって部分的もしくは完全に不活性化される。いくつかの実施形態では、操作ABO式O型及び/またはRh因子陰性細胞は、例えば、A型細胞からO型細胞、B型細胞からO型細胞、AB型細胞からO型細胞、A+型細胞からO-型細胞、A-型細胞からO-型細胞、AB+型細胞からO-型細胞、AB-型細胞からO-型細胞、B+型細胞からO-型細胞、及びB-型細胞からO-型細胞に改変するために遺伝子編集を使用して生成される。例示的な操作ABO式O型Rh因子陰性細胞及びその生成方法は、WO2021/146222に記載され、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0697】
いくつかの実施形態では、CD46及びCD59の発現増加を含む、本明細書に提供される細胞もしくは細胞集団は、ABO式A型、ABO式B型、もしくはABO式AB型であり、及び/またはCD46及びCD59の発現増加を含む、本明細書に提供される細胞もしくは細胞集団は、Rh因子陽性である。いくつかの実施形態では、CD46及びCD59の発現増加を含む細胞は、CDC反応を誘発することなく、ABO及び/またはRh因子不適合レシピエント患者に投与され得る。
【0698】
9.性染色体
ある特定の態様では、性染色体を有する細胞は、ある特定の抗原(例えば、Y抗原)を発現する場合があり、レシピエントは、そのような抗原に対する既存の感受性を有する場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、男性胎児を妊娠している女性は、男性ドナーからの細胞を拒絶する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、ドナーは男性であり、レシピエントは男性である。いくつかの実施形態では、ドナーは女性であり、レシピエントは女性である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、プロトカドヘリンY及び/またはニューロリギンYなどの抗原の発現を減少させる改変を含む。いくつかの実施形態では、プロトカドヘリンY(PCDH11Y、Ensembl ID ENSG00000099715)をコードする遺伝子は、操作細胞内で減少するか、または排除される、例えば、ノックアウトされる。いくつかの実施形態では、ニューロリギンY(NLGN4Y、Ensembl ID ENSG00000165246)をコードする遺伝子は、操作細胞内で減少するか、または排除される、例えば、ノックアウトされる。遺伝子の発現を減少させるか、または排除する任意の方法、例えば、本明細書に記載される任意の方法などが使用され得る。いくつかの実施形態では、PCDH11Y及び/またはNLGN4Yは、CRISPR/Casシステムなどを使用して、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集方法によって操作細胞内で減少するか、または排除される。
【0699】
D.操作細胞の例示的な実施形態
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、操作ベータ島細胞、肝細胞、または移植中に血液と接触する他の細胞型)及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、及びMHCクラスI複合体の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、ならびにMHCクラスI及びMHCクラスII複合体の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の外因性補体インヒビターポリペプチドを発現する。
【0700】
いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、及びB2Mの発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、及びCIITAの発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、及びNLRC5の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、ならびにB2M及びCIITAの1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、ならびにB2M及びNLRC5の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、CD142の発現減少、ならびにB2M、CIITA及びNLRC5の1つ以上の分子の発現減少を示す。本明細書に記載される細胞のいずれも、DUX4、CD24、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、C1インヒビター、IL-10、IL-35、IL-39、FasL、CCL21、CCL22、Mfge8、及びSerpinb9を含むが、これらに限定されない群から選択される1つ以上の因子の発現増加も示し得る。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の外因性補体インヒビターポリペプチドを発現する。
【0701】
いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにMHCクラスI複合体の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにMHCクラスII複合体の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにMHCクラスII及びMHCクラスII複合体の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにB2Mの発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにCIITAの発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにNLRC5の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにB2M及びCIITAの1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにB2M及びNLRC5の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにCIITA及びNLRC5の1つ以上の分子の発現減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、CD142の発現減少、ならびにB2M、CIITA及びNLRC5の1つ以上の分子の発現減少を示す。
【0702】
当業者は、遺伝子、タンパク質または分子の発現増加または発現減少などの発現のレベルが、同等の細胞を参照し得るか、またはそれと比較され得ると理解することになる。いくつかの実施形態では、タンパク質(例えば、CD46、CD59、CD55、CD47、または任意の他の寛容原性因子)の発現増加を有する操作細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)は、非改変細胞と比較してより高いレベルのタンパク質を有する改変細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)を指す。いくつかの実施形態では、タンパク質(例えば、CD46、CD59、CD55、CD47、または任意の他の寛容原性因子)の発現増加を有する操作細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)は、改変を含む細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)であり、改変を含む細胞は、改変を含まない細胞と比較してより高いレベルのタンパク質を有する(例えば、改変を含まない幹細胞は、他の改変を含む場合がある)。いくつかの実施形態では、タンパク質(例えば、CD142、B2M、またはCIITA)の発現減少を有する操作細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)は、改変を含む細胞であり、改変を含む細胞は、改変を含まない細胞と比較して、より低いレベルのタンパク質またはRNAを有する(例えば、改変を含まない幹細胞は、他の改変を含む場合がある)。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の外因性補体インヒビターポリペプチドを発現する。
【0703】
一実施形態では、本明細書では、外因性CD47ポリペプチドを発現し、CD142の発現減少、ならびに1つ以上のMHCクラスI複合体タンパク質、1つ以上のMHCクラスII複合体タンパク質、またはMHCクラスI及びクラスII複合体タンパク質の任意の組合せの、いずれかの発現減少を有する操作細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)が提供される。別の実施形態では、細胞は、外因性CD47ポリペプチドを発現し、減少したレベルのCD142、B2M及びCIITAポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、外因性CD47ポリペプチドを発現し、CD142、B2M及びCIITA遺伝子の改変を有する。いくつかの場合では、改変は、B2M及びCIITA遺伝子を不活性化する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の外因性補体インヒビターポリペプチドを発現する。
【0704】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、操作ベータ島細胞、肝細胞、または移植中に血液と接触する他の細胞型)及びその集団は、CD47の発現増加、及びMHCクラスI複合体の1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、ならびにMHCクラスI及びMHCクラスII複合体の1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の外因性補体インヒビターポリペプチドを発現する。
【0705】
いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加及びB2Mの発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加及びCIITAの発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加及びNLRC5の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、ならびにB2M及びCIITAの1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、ならびにB2M及びNLRC5の1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47の発現増加、ならびにB2M、CIITA及びNLRC5の1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。本明細書に記載される細胞のいずれも、DUX4、CD24、CD27、CD46、CD55、CD59、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、C1インヒビター、IL-10、IL-35、IL-39、FasL、CCL21、CCL22、Mfge8、及びSerpinb9を含むが、これらに限定されない群から選択される1つ以上の因子の発現増加も示し得る。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の外因性補体インヒビターポリペプチドを発現する。
【0706】
いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、ならびにMHCクラスI複合体の1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、ならびにMHCクラスII複合体の1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、ならびにMHCクラスII及びMHCクラスII複合体の1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、ならびにB2Mの発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、ならびにCIITAの発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、細胞及びその集団は、CD47ならびにCD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの補体インヒビターの発現増加、ならびにB2M及びCIITAの1つ以上の分子の発現減少を示し、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて投与される。
【0707】
一実施形態では、本明細書では、外因性CD47ポリペプチドを発現し、1つ以上のMHCクラスI複合体タンパク質、1つ以上のMHCクラスII複合体タンパク質、またはMHCクラスI及びクラスII複合体タンパク質の任意の組合せの、いずれかの発現減少を有する操作細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)が提供される。別の実施形態では、細胞は、外因性CD47ポリペプチドを発現し、減少したレベルのB2M及びCIITAポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、外因性CD47ポリペプチドを発現し、B2M及びCIITA遺伝子の改変を有する。いくつかの場合では、改変は、B2M及びCIITA遺伝子を不活性化する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、CD55、及びそれらの任意の組合せから選択される1つ以上の外因性補体インヒビターポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、メラガトラン、LMW-DS、N-アセチルシステイン、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインC)と組み合わせて患者に投与される。
【0708】
E.低免疫原性表現型に関するアッセイ
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、患者(例えば、レシピエント対象)に投与される場合、それらが免疫認識及び応答を回避できるように改変される。細胞は、インビトロ及びインビボで免疫細胞による死滅を回避し得る。いくつかの実施形態では、細胞は、マクロファージ及びNK細胞による死滅を回避する。いくつかの実施形態では、細胞は、免疫細胞または対象の免疫系によって無視される。言い換えれば、本明細書に記載される方法に従って投与される細胞は、免疫系の免疫細胞によって検出不可能である。いくつかの実施形態では、細胞は覆い隠されるため、免疫拒絶を回避する。
【0709】
本明細書に提供される操作細胞が、免疫認識を回避するかどうかを決定する方法としては、IFN-γ Elispotアッセイ、ミクログリア死滅アッセイ、細胞移植動物モデル、サイトカイン放出アッセイ、ELISA、生物発光イメージングまたはクロム放出アッセイまたはXcelligence分析を使用した死滅アッセイ、混合リンパ球反応、免疫蛍光分析などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0710】
いくつかの実施形態では、細胞の免疫原性は、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイにおいて評価される。CDCは、補体を含有する血清の存在下で細胞表面上に発現されるHLA非依存性抗原を標的とするIgGまたはIgM抗体と共に細胞をインキュベートし、細胞死滅を分析することによってインビトロでアッセイされ得る。いくつかの実施形態では、CDCは、ABO血液型不適合血清と共に細胞をインキュベートすることによってアッセイされ得、細胞はA抗原またはB抗原を含み、血清は、細胞のA抗原及び/またはB抗原に対する抗体を含む。
【0711】
いくつかの実施形態では、操作細胞が本明細書に記載されるように改変または生成されると、それらは、その低免疫原性についてアッセイされてよい。様々なアッセイのいずれも、細胞が低免疫原性であるか、または免疫系を回避し得るかどうかを評価するために使用され得る。例示的なアッセイは、WO2016183041及びWO2018132783に記載されるようないずれかを含む。
【0712】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作細胞は、宿主免疫応答を刺激することなく、1週間以上(例えば、細胞及び/またはその子孫の生存期間において、例えば、1週間、2週間、1か月、2か月、3か月、6か月、1年、2年、3年、4年、5年またはそれを超えて)宿主内で生存する。細胞は、それらが宿主内で生存する限り、導入遺伝子の発現を維持し、及び/または標的遺伝子の発現を欠失もしくは減少させる。いくつかの態様では、導入遺伝子がもはや発現されない場合、及び/または標的遺伝子が発現される場合、操作細胞は宿主の免疫系によって除去されてよい。いくつかの実施形態では、操作細胞の持続性または生存は、レシピエントにそれらを投与した後、細胞がインビボで検出されることを可能にするタンパク質(例えば、GFPなどの蛍光タンパク質、切断型受容体または他の代理マーカーもしくは他の検出可能マーカー)をコードする導入遺伝子をさらに発現することによってモニターされてよい。
【0713】
低免疫原性細胞は、それらが意図される組織部位に生着し、機能不全の領域を再構成または再生することを可能にする様式で投与される。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、移植(例えば、移植の成功)についてアッセイされる。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞の移植は、事前に選択した時間後に評価される。いくつかの実施形態では、移植細胞は、細胞生存についてモニターされる。例えば、細胞生存は、生物発光イメージング(BLI)によってモニターされてよく、細胞は、細胞生存をモニターするためにルシフェラーゼ発現構築物で形質導入される。いくつかの実施形態では、移植細胞は、当該技術分野において既知の免疫染色及びイメージング法によって可視化される。いくつかの実施形態では、移植細胞は、移植の成功を決定するために検出されてよい既知のバイオマーカーを発現する。例えば、フローサイトメトリーが、特定のバイオマーカーの表面発現を決定するために使用されてよい。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、予想されるように(例えば、低免疫原性細胞の移植の成功)、意図される組織部位に移植される。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、必要に応じて意図される組織部位、例えば、細胞欠損の部位などに移植される。いくつかの実施形態では、免疫原性低細胞は、改変を含まない同じ型の細胞と同じ様式で、意図される組織部位に移植される。
【0714】
いくつかの実施形態では、操作細胞(例えば、CD142の発現減少を含む改変を含む操作ベータ島細胞もしくは肝細胞)の集団または組合せを投与すること(例えば、操作細胞集団を抗凝固剤と組み合わせて投与すること)は、移植中に細胞を血液に曝露した結果として生じるIBMIRを、細胞が回避または減少させることを可能にすることによって、生存及び移植を改善する。いくつかの実施形態では、IBMIRの減少は、移植中に生じる細胞消失(例えば、移植した膵島または肝細胞の消失)の量を減少させる。
【0715】
いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、機能についてアッセイされる。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、意図される組織部位にそれらを移植する前に機能についてアッセイされる。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞は、意図される組織部位に移植した後、機能についてアッセイされる。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞の機能は、事前に選択した量の後に評価される。いくつかの実施形態では、移植細胞の機能は、細胞が検出可能な表現型を産生する能力によって評価される。例えば、移植ベータ島細胞の機能は、糖尿病によって失われた糖コントロールの回復に基づいて評価されてよい。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞の機能は、予想される通りである(例えば、抗体媒介性拒絶を回避しながらの、低免疫原性細胞の機能の成功)。いくつかの実施形態では、低免疫原性細胞の機能は必要とされる通りであり、例えば、抗体媒介性拒絶を回避しながらの、細胞欠損の部位における十分な機能などである。いくつかの実施形態では、操作細胞は、同じ型の非操作細胞と同じ様式で機能する。
【0716】
10.即時血液媒介性炎症反応
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞は、即時血液媒介性炎症反応を回避する。臨床膵島移植の転帰不良の主な要因は、破壊的な即時血液媒介性炎症反応(IBMIR)の発生であり、これは膵島が門脈内で血液に遭遇する場合に移植組織の喪失を招く(Bennet et al.,(1995)Diabetes 48:1907-1914、Moberg et al.,(2002)Lancet 360:2039-2045)。本反応は、一連の他の炎症事象と組み合わされた、膵島の内分泌細胞による組織因子(TF)発現、例えば、MCP-1(Piemonti et al.,(2002)Diabetes 51:55-65)、IL-8、及びMIF(Waeber et al.,(1997)Proc Natl Acad Sci USA 94:4782-4787、Johansson et al.,(2006)Am J Transplantation 6(2):305)の発現などによって誘発される。
【0717】
即時血液媒介性炎症反応(IBMIR)は、CD142を発現する細胞が血液と接触する場合に生じ得る、非特異的な炎症反応及び血栓反応である。IBMIRは、門脈内でのヒト血液への曝露によって迅速に開始される。これは補体、血小板、及び凝固経路の活性化を特徴とし、次いでそれは好中球の動員をもたらす。IBMIRは、移植膵島または肝細胞の著しい消失を引き起こす。いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の移植または血液への細胞の曝露と関連するIBMIRを減少させる組成物(例えば、他の本明細書に記載される改変のうち1つ以上と組み合わせた、CD142の発現減少を含む操作細胞)、組合せ(例えば、本明細書に記載される操作細胞集団のいずれか及び凝固を減少させる抗凝固剤を含む組合せ)、ならびに方法(例えば、本明細書に記載される操作細胞集団のいずれか及び凝固を減少させる抗凝固剤を投与することを含む、患者を治療する方法)が提供される。
【0718】
いくつかの実施形態では、IBMIRはインビトロで、例えば、IBMIRのインビトロチュービングループモデルでアッセイされ得、これは米国特許第7,045,502号(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)で以前に記載されている。
【0719】
いくつかの実施形態では、IBMIRは、インビボで(例えば、哺乳動物またはヒト患者において)移植周期中に血液試料を採取し、トロンビン-アンチトロンビンIII複合体(TAT)、C-ペプチド、第XIa因子-アンチトロンビン(FXIa-AT)、第XIIa因子-アンチトロンビン(FXIIa-AT)、トロンビン-アンチトロンビン(TAT)、プラスミン-アルファ2アンチプラスミン(PAP)、及び/または補体C3aの血漿レベルを評価することによってアッセイされ得る。いくつかの実施形態では、IBMIRは、移植細胞の注入中、及び/または移植後の期間(例えば、移植後最大3時間、5時間、10時間、もしくは10時間超)においてTAT、C-ペプチド、FXIa-AT、FXIIa-AT、PAP、及び/または補体C3aのレベル増加と関連する。いくつかの実施形態では、IBMIRは、遊離循環血小板数をモニターすることによってアッセイされ得、移植中または移植後の血小板数の低減は、IBMIRと(例えば、IBMIRによる血小板消費と)関連する。
【0720】
11.補体依存性細胞傷害
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞(例えば、ベータ膵島)は、補体依存性細胞傷害(CDC)を回避する。いくつかの実施形態では、CDCは、IBMIRの血栓反応に続発する。いくつかの実施形態では、CDCは、IBMIRとは無関係に生じる。
【0721】
いくつかの実施形態では、CDCに対する細胞の感受性は、当業者によって理解される標準的なプロトコールに従ってインビトロで分析され得る。いくつかの実施形態では、CDCは、補体系の成分を含む血清(例えば、ヒト血清)を、抗体(例えば、IgGまたはIgM抗体)によって結合される標的細胞と混合し、次いで細胞死を決定することによってインビトロで分析され得る。いくつかの実施形態では、CDCに対する細胞の感受性は、補体系の成分、ならびに細胞のABO式A型、ABO式B型、及び/またはRh因子抗原に対する抗体を含む、ABO不適合またはRh因子不適合血清の存在下で細胞をインキュベートすることによってインビトロで分析され得る。
【0722】
一般的なCDCアッセイは、標的細胞に放射性化合物を事前に負荷することによって細胞死を決定する。細胞が死滅すると、放射性化合物が細胞から放出される。したがって、細胞死を媒介する抗体の有効性は、放射能レベルによって決定される。放射性CDCアッセイとは異なり、非放射性CDCアッセイは、多くの場合に蛍光または発光測定を用いて豊富な細胞成分、例えば、GAPDHなどの放出を決定する。いくつかの実施形態では、CDCによる細胞死滅は、ラベルフリープラットフォーム、例えば、xCELLigence(商標)(Agilent)などを使用して分析され得る。
【0723】
III.操作細胞の集団及び医薬組成物
本明細書では、提供される複数の操作細胞を含有する操作細胞集団が提供される。
【0724】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、本明細書に記載される改変のセットを含む。いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、MHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる、1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、及びCD142の発現を減少させる改変のセットを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子が、DUX4、B2M-HLA-E、CD16、CD52、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、SERPINB9、CD35、IL-39、CD16 Fc受容体、IL15-RF、及びH2-M3、またはそれらの任意の組合せのうち1つ以上である。いくつかの実施形態では、1つ以上の寛容原性因子は、CD47である。いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0725】
いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、B2M遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む。いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CIITA遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む。いくつかの実施形態では、集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD142遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む。
【0726】
また本明細書では、操作細胞または操作細胞の集団を含む組成物も提供される。いくつかの実施形態では、本組成物は医薬組成物である。
【0727】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体をさらに含む。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントにとって非毒性であり、これらとしては、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸など、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベンなど、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド、タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど、親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンなど、アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物、キレート剤、例えば、EDTAなど、糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなど、塩形成対イオン、例えば、ナトリウムなど、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、及び/または非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート(TWEEN(商標))、ポロキサマー(PLURONICS(商標))もしくはポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される緩衝液(例えば、中性緩衝生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えば、組成物のpH、オスモル濃度、粘度、透明度、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解速度もしくは放出速度、吸着、または浸透を改変、維持または保持するための1つ以上の賦形剤を含有し得る。いくつかの態様では、当業者は、細胞を含有する医薬組成物が、タンパク質を含有する医薬組成物とは異なる場合があると理解する。
【0728】
「医薬製剤」という用語は、調製物の中に含有される活性成分の生物活性の有効化を可能にするような形態であり、製剤が投与されることになる対象にとって許容できないほど有毒である追加成分を全く含有しない調製物を指す。
【0729】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって非毒性である、活性成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0730】
いくつかの実施形態における医薬組成物は、疾患または状態を治療または予防するのに効果的な量、例えば、治療有効量または予防有効量などで本明細書に記載されるような操作細胞を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、疾患または状態を治療または予防するのに効果的な量、例えば、治療有効量または予防有効量などで本明細書に記載されるような操作細胞を含有する。いくつかの実施形態における治療有効性または予防有効性は、治療される対象の周期的な評価によってモニターされる。数日以上にわたる反復投与の場合、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで治療が繰り返される。しかしながら、他の投与レジメンが有用な場合があり、決定され得る。所望の投与量は、組成物の単一ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の持続注入投与によって送達され得る。
【0731】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような操作細胞は、標準的な投与技術、製剤、及び/またはデバイスを使用して投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような操作細胞は、標準的な投与技術、製剤、及び/またはデバイスを使用して投与される。組成物の保存及び投与のための製剤及びデバイス、例えば、シリンジ及びバイアルなどが提供される。操作細胞は、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を含む、局所注射によって投与され得る。治療用組成物(例えば、操作細胞を含有する医薬組成物)を投与する場合、それは一般に、単位投与量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)で製剤化されることになる。
【0732】
製剤は、静脈内、腹腔内、または皮下投与のための製剤を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団は非経口投与される。「非経口」という用語は、本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣、及び腹腔内投与を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団は、静脈内、腹腔内、または皮下注射によって末梢性全身送達を使用して対象に投与される。
【0733】
いくつかの実施形態における組成物は、滅菌液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、または分散液として提供され、これらは、いくつかの態様では選択したpHに緩衝化されてよい。液体組成物は投与、特に注射によって幾分か簡便である。液体組成物は担体を含み得、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。滅菌注射用溶液は、好適な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合などをして、細胞を溶媒内に組み込むことによって調製され得る。
【0734】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体としては、医薬投与と適合する全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などが挙げられ得る(Gennaro,2000,Remington:The science and practice of pharmacy,Lippincott,Williams&Wilkins,Philadelphia,PA)。そのような担体または希釈剤の例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソーム及び非水性ビヒクル、例えば、固定油なども使用されてよい。補助活性化合物も、組成物中に組み込まれ得る。医薬担体は、操作細胞に適したもの、例えば、生理食塩水、デキストロース溶液またはヒト血清アルブミンを含む溶液などでなければならない。いくつかの実施形態では、そのような組成物のための薬学的に許容される担体またはビヒクルは、操作細胞が、生細胞の投与を可能にするのに十分な時間にわたって維持され得るか、または生存し続け得る、任意の非毒性水溶液である。例えば、薬学的に許容される担体またはビヒクルは、生理食塩水または緩衝生理食塩水であり得る。
【0735】
いくつかの実施形態では、医薬組成物を含む本組成物は滅菌されている。いくつかの実施形態では、細胞の単離、濃縮、または培養は、エラー、ユーザーの取扱い及び/または汚染を最小限に抑えるために、閉鎖環境または無菌環境内で、例えば(for example)及び例えば(for instance)、無菌培養バッグ内で実施される。いくつかの実施形態では、無菌性は、例えば、滅菌濾過膜に通して濾過することによって容易に達成されてよい。いくつかの実施形態では、培養は、ガス透過性培養容器を使用して実施される。いくつかの実施形態では、培養は、バイオリアクターを使用して実施される。
【0736】
また本明細書では、提供される操作細胞を凍結保存するのに適した組成物も提供される。いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、凍結保存培地内で凍結保存される。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、無血清凍結保存培地である。いくつかの実施形態では、組成物は凍結保護剤を含む。いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、DMSO及び/またはsグリセロールであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、5%または約5%~10%または約10%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、5%または約5%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、6%または約6%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、7%または約7%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、7.5%または約7.5%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、8%または約8%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、9%または約9%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、10%または約10%DMSO(v/v)である。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、市販の凍結保存溶液(CryoStor(商標)CS10)を含有する。CryoStor(商標)CS10は、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する凍結保存培地である。いくつかの実施形態では、凍結保存のために製剤化される組成物は、低温、例えば、超低温などで保存され、例えば、-40℃~-150℃の温度範囲、例えば、約80℃±6.0℃などで保存され得る。
【0737】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される操作細胞、ならびに31.25%(v/v)のPlasma-Lyte A、31.25%(v/v)の5%デキストロース/0.45%塩化ナトリウム、10%デキストラン40(LMD)/5%デキストロース、20%(v/v)の25%ヒト血清アルブミン(HSA)、及び7.5%(v/v)ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む薬学的に許容される担体を含む。
【0738】
いくつかの実施形態では、凍結保存される操作細胞は、解凍によって投与のために調製される。いくつかの場合には、操作細胞は、解凍の直後に対象に投与され得る。そのような実施形態では、組成物は、任意のさらなる処理を行うことなくすぐに使用できる。他の場合には、操作細胞は、薬学的に許容される担体との再懸濁、活性化剤もしくは刺激剤とのインキュベーションなどによって、解凍後にさらに処理されるか、または対象への投与前に薬学的に許容される緩衝液中で活性化、洗浄及び再懸濁される。
【0739】
IV.キット、構成要素、及び製品
いくつかの態様では、本明細書では、本明細書に記載される方法、デバイス、及びシステムのキット、構成要素、及び組成物(消耗品など)が提供される。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書の開示に従って使用説明書を含む。
【0740】
いくつかの実施形態では、本明細書では、本明細書に記載される操作細胞集団、及び凝固を減少させる抗凝固剤または細胞コーティングを含む、キットまたは組合せが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書では、(a)複数の操作細胞を含む細胞集団であって、操作細胞が、(i)CD47の発現を増加させる、及び(ii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現を減少させる改変を含み、(i)の発現増加及び(ii)の発現減少が、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記細胞集団、ならびに(b)抗凝固剤を含む、キットまたは組合せが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書では、(a)複数の操作細胞を含む細胞集団であって、操作細胞が、(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、(ii)CD47の発現を増加させる、ならびに(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現を減少させる改変を含み、(i)及び(ii)の発現増加ならびに(iii)の発現減少が、改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記細胞集団と、(b)抗凝固剤とを含む、キットまたは組合せが提供される。
【0741】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、ヘパリン、アンチトロンビンの活性化因子、凝固第II因子(fII)の阻害剤、凝固第VII因子(fVII)の阻害剤、及び凝固第X因子(fX)の阻害剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤はヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、未分画ヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、低分子量ヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、可溶性ヘパリンである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、メラガトランまたはLMW-DSである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、N-アセチルシステイン(NAC)である。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、CD142に対する抗体である。
【0742】
本発明のいくつかの実施形態では、細胞療法を含む、臨床的移植療法に有用な材料を含有する製品が提供される。いくつかの実施形態では、製品は、細胞欠損症、例えば、これらに限定されないが、糖尿病(例えば、I型糖尿病)、血管状態または疾患、自己免疫性甲状腺炎、肝疾患(例えば、肝硬変)、角膜疾患(例えば、フックスジストロフィーまたは先天性遺伝性内皮ジストロフィー)、腎疾患、ならびにがん(例えば、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、胃癌、胃腺癌、膵臓腺癌、膠芽腫、神経芽細胞腫、肺扁平上皮癌、肝細胞癌、及び膀胱癌)などの治療に有用な材料を含有する。製品は容器、及び容器上の、または容器と関連するラベルまたは添付文書を含み得る。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなど(例えば、ガラスまたはプラスチック容器)が挙げられる。概して、容器は、同種細胞療法に効果的な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有してよい(例えば、容器は、静注液バッグまたは皮下注射針によって穿刺可能な栓を有するバイアルであってよい)。
【0743】
いくつかの態様では、本明細書で提供されるキットまたは製品は、操作細胞の集団、例えば、本明細書で提供される操作細胞(例えば、操作ベータ島細胞または肝細胞)のいずれかなどを含む。いくつかの実施形態では、キットまたは製品は、操作ベータ島細胞の集団を含む組成物を含み、操作ベータ島細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、操作ベータ細胞は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットまたは製品は、操作肝細胞の集団を含む組成物を含み、操作肝細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、操作肝細胞は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。
【0744】
ラベルまたは添付文書は、組成物が特定の状態を治療するために使用されることを示す。ラベルまたは添付文書は、医薬組成物を患者に投与するための説明書をさらに含むことになる。いくつかの実施形態では、製品は併用治療を含む。
【0745】
製品及び/またはキットは、添付文書をさらに含んでよい。添付文書は、そのような治療用製品の使用に関する適応症、使用、投与量、投与、禁忌及び/または警告についての情報を含有する、治療用製品の商業用パッケージに通例含まれる説明書を指す。
【0746】
V.治療の方法
本明細書では、対象における疾患または状態の治療に使用するための、本明細書に記載される操作細胞の集団を含む、提供される細胞組成物に関する組成物及び方法が提供される。本明細書では、本明細書に記載される操作細胞集団を投与することによって患者を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、細胞集団は、医薬組成物、例えば、本明細書に記載されるいずれかなどの投与のために製剤化される。そのような方法及び使用は、例えば、疾患、状態、または障害を有する対象に操作細胞集団、またはそれを含有する組成物を投与することを含む、治療方法及び使用を含む。特定の疾患適応症について、本明細書で提供されるような適切な操作細胞を選択することは、当業者のレベルの範囲内である。いくつかの実施形態では、細胞またはその医薬組成物は、疾患または障害の治療を達成するために有効量で投与される。使用は、そのような方法及び治療における、ならびにそのような治療方法を実施するための医薬の調製における、操作細胞またはその医薬組成物の使用を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、それによって対象の疾患または状態または障害を治療する。
【0747】
本明細書で提供される操作細胞は、例えば、疾患または障害を治療するための細胞療法の候補者を含む、任意の好適な患者に投与され得る。細胞療法の候補者は、本明細書で提供される本操作細胞の治療効果から恩恵を受ける可能性がある、疾患または状態を有する任意の患者を含む。いくつかの実施形態では、患者は、投与される細胞の同種レシピエントである。いくつかの実施形態では、提供される操作細胞は、同種細胞療法での使用に効果的である。本明細書で提供される本操作細胞の治療効果から恩恵を受ける候補者は、疾患または状態の排除、減少または改善を示す。
【0748】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法のいずれかによって産生されるものを含む、本明細書で提供されるような操作細胞は、細胞療法に使用され得る。本明細書に概説される治療用細胞は、障害、例えば、これらに限定されないが、がん、遺伝性障害、慢性感染症、自己免疫障害、神経障害などを治療するのに有用である。
【0749】
いくつかの実施形態では、患者は細胞欠損症を有する。本明細書で使用される場合、「細胞欠損症」は、患者において細胞集団の機能不全または消失を引き起こす任意の疾患または状態を指し、患者は細胞集団を自然に置換または再生できない。例示的な細胞欠損症としては、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、重症筋無力症、関節リウマチ、糖尿病、全身性ループス及びエリテマトーデス)、神経変性疾患(例えば、ハンチントン病及びパーキンソン病)、心血管状態及び疾患、血管状態及び疾患、角膜状態及び疾患、肝臓状態及び疾患、甲状腺状態及び疾患、ならびに腎臓状態及び疾患が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、操作細胞を投与される患者は、がんを有する。本明細書で提供される操作細胞によって治療され得る例示的ながんとしては、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、胃癌、胃腺癌、膵臓腺癌、膠芽腫、神経芽細胞腫、肺扁平上皮癌、肝細胞癌、及び膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、がん患者は、本明細書で提供される操作CAR T細胞の投与によって治療される。
【0750】
いくつかの実施形態では、本明細書では、操作細胞の集団を、それを必要とする患者に投与する方法が提供され、操作細胞が投与中または投与後に血液と接触し、操作細胞が血液と接触する場合に、操作細胞はIBMIRを防止または減弱させる改変を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、静脈内、または筋肉内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、操作細胞は寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、CD142の発現減少を有する。いくつかの実施形態では、操作細胞は、ベータ島細胞または肝細胞である。いくつかの実施形態では、操作細胞は、1つ以上の補体インヒビターの過剰発現をさらに含む。
【0751】
いくつかの実施形態では、本明細書では、操作細胞の集団を、それを必要とする患者に投与する方法が提供され、操作細胞が投与中または投与後に血液と接触し、操作細胞は、寛容原性因子(例えば、CD47)を過剰発現し、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子(例えば、1つ以上のMHCクラスIヒト白血球抗原分子及び/または1つ以上のMHCクラスIIヒト白血球抗原分子)の発現減少を有するか、またはその発現を欠き、本方法は、患者に抗凝固剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、及びCD55から選択される1つ以上の補体インヒビターの過剰発現をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46及びCD59の過剰発現を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞は、CD46、CD59、及びCD59の過剰発現を含む。
【0752】
いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、糖尿病と関連するか、または細胞療法は、糖尿病の治療を目的とし、任意に糖尿病はI型糖尿病である。いくつかの実施形態では、操作細胞の集団は、ベータ島細胞を含む島細胞の集団である。いくつかの実施形態では、島細胞は、島前駆細胞、未成熟島細胞、及び成熟島細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、操作ベータ島細胞の集団を含む組成物を患者に投与することを含み、操作ベータ島細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、操作ベータ島細胞の集団を含む組成物を患者に投与することを含み、操作ベータ島細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、及び(ii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含み、本方法は、患者に抗凝固剤(例えば、ヘパリン、または節V.Cに記載される抗凝固剤のいずれか)を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、操作ベータ細胞は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子は、マルチシストロン性ベクターである導入遺伝子であり、導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む。他の実施形態では、ベータ島細胞は、別個のマルチシストロン性ベクターをさらに含み、マルチシストロン性ベクターは、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0753】
いくつかの実施形態では、細胞欠損症は、肝疾患と関連するか、または細胞療法は、肝疾患の治療を目的とする。いくつかの実施形態では、肝疾患は肝硬変を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団は、肝細胞または肝前駆細胞の集団である。いくつかの実施形態では、本方法は、操作肝細胞の集団を含む組成物を患者に投与することを含み、操作肝細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、操作肝細胞の集団を含む組成物を患者に投与することを含み、操作肝細胞は、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子及び(ii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含み、本方法は、患者に抗凝固剤(例えば、ヘパリン、または節V.Cに記載される抗凝固剤のいずれか)を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、操作肝細胞は、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む。いくつかの実施形態では、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子は、マルチシストロン性ベクターである導入遺伝子であり、導入遺伝子は、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む。他の実施形態では、肝細胞は、別個のマルチシストロン性ベクターをさらに含み、マルチシストロン性ベクターは、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0754】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される操作細胞、またはそれを含有する組成物は、以前の移植、例えば、細胞移植、輸血、組織移植、または臓器移植などにおいて存在する1つ以上の抗原から感作された患者の治療に有用である。ある特定の実施形態では、以前の移植は、同種移植であり、患者は、同種移植からの1つ以上の同種抗原に対して感作される。同種移植としては、同種細胞移植、同種輸血、同種組織移植、または同種臓器移植が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、患者は、妊娠しているか、または妊娠したことがある(例えば、妊娠中に同種免疫を有するか、もしくは有したことがある)感作患者である。ある特定の実施形態では、患者は、以前の移植に含まれる1つ以上の抗原から感作され、以前の移植は、改変ヒト細胞、組織または臓器である。いくつかの実施形態では、改変ヒト細胞、組織または臓器は、改変自己ヒト細胞、組織または臓器である。いくつかの実施形態では、以前の移植は、非ヒト細胞、組織または臓器である。例示的な実施形態では、以前の移植は、改変非ヒト細胞、組織、または臓器である。ある特定の実施形態では、以前の移植は、ヒト成分を含むキメラである。ある特定の実施形態では、以前の移植は、CAR T細胞である。ある特定の実施形態では、以前の移植は自己移植であり、患者は、自己移植からの1つ以上の自己抗原に対して感作されている。ある特定の実施形態では、以前の移植は、自己細胞、組織または臓器である。ある特定の実施形態では、感作患者は、アレルギーを有し、1つ以上のアレルゲンに感作されている。例示的な実施形態では、患者は、花粉症、食物アレルギー、昆虫アレルギー、薬物アレルギーまたはアトピー性皮膚炎を有する。
【0755】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞、またはそれを含有する組成物を使用する治療を受けている患者は、以前の治療を受けていた。いくつかの実施形態では、操作細胞、またはそれを含有する組成物は、以前の治療と同じ状態を治療するために使用される。ある特定の実施形態では、操作細胞、またはそれを含有する組成物は、以前の治療とは異なる状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、患者に投与される操作細胞、またはそれを含有する組成物は、以前の治療によって治療された同じ状態または疾患の治療に対して治療効果の増強を示す。ある特定の実施形態では、投与される操作細胞、またはそれを含有する組成物は、以前の治療と比較した場合、患者における状態または疾患の治療に対してより長期の治療効果を示す。例示的な実施形態では、投与される細胞は、以前の治療と比較した場合、がん細胞に対して効力、有効性及び/または特異性の増強を示す。特定の実施形態では、操作細胞は、がんの治療を目的としたCAR T細胞である。
【0756】
本明細書で提供される方法は、第一選択治療が失敗した後の特定の状態または疾患に対する第二選択治療として使用され得る。いくつかの実施形態では、以前の治療は、治療上有効でない治療である。本明細書で使用される場合、「治療上有効でない」治療は、患者において望ましいとは言えない臨床転帰をもたらす治療を指す。例えば、細胞欠損症の治療に関して、治療上有効でない治療は、患者において欠損細胞を置換するための、所望のレベルの機能細胞及び/または細胞活性を達成しない、及び/または治療持続性を欠いている治療を指してよい。がん治療に関しては、治療上有効でない治療は、所望のレベルの効力、有効性及び/または特異性を達成しない治療を指す。治療有効性は、当該技術分野において既知の任意の好適な技術を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、患者は、以前の治療に対して免疫応答を生じる。いくつかの実施形態では、以前の治療は、患者によって拒絶される細胞、組織または臓器移植である。いくつかの実施形態では、以前の治療は、機械補助による治療を含んだ。いくつかの実施形態では、機械補助による治療は、血液透析または補助人工心臓を含んだ。いくつかの実施形態では、患者は、機械補助による治療に対して免疫応答を生じた。いくつかの実施形態では、以前の治療は、望ましくない様式で治療用細胞が増殖及び分裂する場合、治療用細胞の死を引き起こし得る安全スイッチを含む治療用細胞の集団を含んだ。ある特定の実施形態では、患者は、安全スイッチにより誘導される治療用細胞死の結果として免疫応答を生じる。ある特定の実施形態では、患者は、以前の治療から感作されている。例示的な実施形態では、患者は、本明細書に提供されるような、投与される操作細胞によって感作されない。
【0757】
いくつかの実施形態では、提供される操作細胞、またはそれを含有する組成物は、組織、臓器または部分的臓器移植を提供する前に、それを必要とする患者に投与される。特定の実施形態では、患者は、操作細胞に対して免疫応答を示さない。ある特定の実施形態では、操作細胞は、特定の組織または臓器における細胞欠損症の治療のために患者に投与され、患者はその後、同じ特定の組織または臓器に対する組織移植または臓器移植を受ける。そのような実施形態では、操作細胞治療は、最後の組織または臓器置換へのブリッジ療法として機能する。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、肝臓障害を有し、肝移植を受ける前に、本明細書で提供されるような操作肝細胞治療を受ける。ある特定の実施形態では、操作細胞は、特定の組織または臓器における細胞欠損症の治療のために患者に投与され、患者はその後、異なる組織または臓器に対する組織移植または臓器移植を受ける。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、腎移植を受ける前に、本明細書で提供されるような操作膵ベータ細胞で治療される糖尿病患者である。いくつかの実施形態では、本方法は、細胞欠損症の治療を目的とする。例示的な実施形態では、組織または臓器移植は、心臓移植、肺移植、腎移植、肝移植、膵移植、腸移植、胃移植、角膜移植、骨髄移植、血管移植、心臓弁移植、または骨移植である。
【0758】
患者を治療する方法は一般に、本明細書で提供されるように、操作細胞、またはそれを含有する組成物を投与することによる。理解されることになるように、細胞及び/または療法のタイミングに関連する、本明細書に記載される複数の実施形態全てについて、細胞の投与は、所望の部位での導入細胞の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって達成される。細胞は、対象内の所望の部位に直接移植され得るか、または代わりに所望の箇所への送達をもたらす任意の適切な経路によって投与され得、移植細胞または細胞の構成要素の少なくとも一部が生存し続ける。いくつかの実施形態では、細胞は、細胞療法によって軽減され得る疾患または障害、例えば、任意の疾患、障害、状態、またはその症状などを治療するために投与される。
【0759】
いくつかの実施形態では、操作細胞の集団、またはそれを含有する組成物は、患者が感作されてから少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、もしくは少なくとも1か月後またはそれを超えて投与される。いくつかの実施形態では、操作細胞の集団、またはそれを含有する組成物は、患者が感作されてから、または感作の特性もしくは特徴を示してから少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、もしくはそれを超えた)後またはそれを超えて投与される。いくつかの実施形態では、操作細胞の集団、またはそれを含有する組成物は、患者が移植(例えば、同種移植)を受けてから、妊娠してから(例えば、妊娠中に同種免疫を有するか、または有したことがある)、あるいは感作されてから、または感作の特性もしくは特徴を示してから少なくとも1か月(例えば、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、もしくはそれを超えた)後またはそれを超えて投与される。
【0760】
いくつかの実施形態では、移植を受けたことがある、妊娠したことがある(例えば、妊娠中に同種免疫を有するか、もしくは有したことがある)、及び/または抗原(例えば、同種抗原)に対して感作されている患者は、本明細書に記載される操作細胞集団の初回用量投与、初回投与後の回復期間、及び記載される操作細胞集団の2回目の用量投与を含む、投薬レジメンを投与される。いくつかの実施形態では、細胞の第1集団及び細胞の第2集団中に存在する細胞型の混成は異なる。ある特定の実施形態では、操作細胞の第1集団及び操作細胞の第2集団中に存在する細胞型の混成は、同じであるか、または実質的に同等である。多くの実施形態では、操作細胞の第1集団及び操作細胞の第2集団は、同じ細胞型を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞の第1集団及び操作細胞の第2集団は、異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、操作細胞の第1集団及び操作細胞の第2集団は、同じパーセンテージの細胞型を含む。他の実施形態では、操作細胞の第1集団及び細胞の第2集団は、異なるパーセンテージの細胞型を含む。
【0761】
いくつかの実施形態では、回復期間は、操作細胞の集団またはそれを含有する組成物の初回投与後に開始し、そのような細胞が、患者内でもはや存在しないか、または検出不可能な場合に終了する。いくつかの実施形態では、回復期間の持続期間は、細胞の初回投与から少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、もしくはそれを超えた)後またはそれを超える。いくつかの実施形態では、回復期間の持続期間は、細胞の初回投与から少なくとも1か月(例えば、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、もしくはそれを超えた)後またはそれを超える。
【0762】
いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、対象に投与される場合、低免疫原性である。いくつかの実施形態では、操作細胞は低免疫である。いくつかの実施形態では、操作細胞に対する免疫応答は、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞の集団)の投与によって生成される免疫応答のレベルと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%低く減少するか、またはそれよりも低い。いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者内の操作細胞に対する免疫応答を誘発しない。
【0763】
いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者において低減した、またはより低いレベルの全身性TH1活性化を誘発する。いくつかの場合では、細胞によって誘発される全身性TH1活性化のレベルは、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞の集団)の投与によって生成される全身性TH1活性化のレベルと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%低い。いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者において全身性TH1活性化を誘発しない。
【0764】
いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者において低減した、またはより低いレベルの末梢血単核細胞(PBMC)の免疫活性化を誘発する。いくつかの場合では、細胞によって誘発されるPBMCの免疫活性化のレベルは、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞の集団)の投与によって生成されるPBMCの免疫活性化のレベルと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%低い。いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者においてPBMCの免疫活性化を誘発しない。
【0765】
いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者において低減した、またはより低いレベルのドナー特異的IgG抗体を誘発する。いくつかの場合では、細胞によって誘発されるドナー特異的IgG抗体のレベルは、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞の集団)の投与によって生成されるドナー特異的IgG抗体のレベルと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%低い。いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団は、患者においてドナー特異的IgG抗体を誘発しない。
【0766】
いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者において低減した、またはより低いレベルのIgM及びIgG抗体産生を誘発する。いくつかの場合では、細胞によって誘発されるIgM及びIgG抗体産生のレベルは、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞の集団)の投与によって生成されるIgM及びIgG抗体産生のレベルと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%低い。いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者においてIgM及びIgG抗体産生を誘発しない。
【0767】
いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者において低減した、またはより低いレベルの細胞傷害性T細胞死滅を誘発する。いくつかの場合では、細胞によって誘発される細胞傷害性T細胞死滅のレベルは、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞の集団)の投与によって生成される細胞傷害性T細胞死滅のレベルと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%低い。いくつかの実施形態では、投与される操作細胞集団、またはそれを含有する組成物は、患者において細胞傷害性T細胞死滅を誘発しない。
【0768】
上で記述されるように、ある特定の実施形態では、同種抗原、例えば、MHCクラスI及び/またはMHCクラスII分子(例えば、ヒト白血球抗原)などに対して感作された患者に投与され得る細胞が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、患者は、妊娠しているか、または妊娠したことがあり、例えば、妊娠中に同種免疫を有する(例えば、胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)、新生児同種免疫性好中球減少症(NAN)または胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT))。言い換えれば、患者は、妊娠中に同種免疫と関連する障害または状態、例えば、これらに限定されないが、胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)、新生児同種免疫性好中球減少症(NAN)、及び胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)などを有するか、または有したことがある。いくつかの実施形態では、患者は、同種移植、例えば、これらに限定されないが、同種細胞移植、同種輸血、同種組織移植、または同種臓器移植などを受けている。いくつかの実施形態では、患者は、同種抗原に対してメモリーB細胞を示す。いくつかの実施形態では、患者は、同種抗原に対してメモリーT細胞を示す。そのような患者は、同種抗原に対してメモリーB細胞及びメモリーT細胞の両方を示し得る。
【0769】
記載される細胞の投与時に、患者は、低免疫原性ではない細胞に対する応答と比較して、全身性免疫応答を全く示さないか、または減少したレベルの全身性免疫応答を示す。いくつかの実施形態では、患者は、低免疫原性ではない細胞に対する応答と比較して、適応免疫応答を全く示さないか、または減少したレベルの適応免疫応答を示す。いくつかの実施形態では、患者は、低免疫原性ではない細胞に対する応答と比較して、自然免疫応答を全く示さないか、または減少したレベルの自然免疫応答を示す。いくつかの実施形態では、患者は、低免疫原性ではない細胞に対する応答と比較して、T細胞応答を全く示さないか、または減少したレベルのT細胞応答を示す。いくつかの実施形態では、患者は、低免疫原性ではない細胞に対する応答と比較して、B細胞応答を全く示さないか、または減少したレベルのB細胞応答を示す。
【0770】
A.用量及び投与レジメン
任意の治療有効量の本明細書に記載される細胞は、治療されている適応症に応じて医薬組成物内に含まれ得る。細胞の非限定的な例としては、初代細胞(例えば、初代ベータ島細胞)及び記載されるような操作人工多能性幹細胞から分化した細胞(例えば、iPSCから分化したベータ島細胞または肝細胞)が挙げられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1×102、5×102、1×103、5×103、1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、または5×1010個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大で約1×102、5×102、1×103、5×103、1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、または5×1010個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大で約6.0×108個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大で約8.0×108個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも約1×102~5×102、5×102~1×103、1× 103~5×103、5×103~1×104、1×104~5×104、5×104~1×105、1×105~5×105、5×105~1×106、1×106~5×106、5×106~1×107、1×107~5×107、5×107~1×108、1×108~5×108、5×108~1×109、1×109~5×109、5×109~1×1010、または1×1010~5×1010個の細胞を含む。例示的な実施形態では、医薬組成物は、約1.0×106~約2.5×108個の細胞を含む。
【0771】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、または500mlの体積を有する。例示的な実施形態では、医薬組成物は、最大で約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、または500mlの体積を有する。例示的な実施形態では、医薬組成物は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、または500mlの体積を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1~50ml、50~100ml、100~150ml、150~200ml、200~250ml、250~300ml、300~350ml、350~400ml、400~450ml、または450~500mlの体積を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1~50ml、50~100ml、100~150ml、150~200ml、200~250ml、250~300ml、300~350ml、350~400ml、400~450ml、または450~500mlの体積を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1~10ml、10~20ml、20~30ml、30~40ml、40~50ml、50~60ml、60~70ml、70~80ml、70~80ml、80~90ml、または90~100mlの体積を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5ml~約80mlの範囲の体積を有する。例示的な実施形態では、医薬組成物は、約10ml~約70mlの範囲の体積を有する。多くの実施形態では、医薬組成物は、約10ml~約50mlの範囲の体積を有する。
【0772】
特定の量/投与レジメンは、個体の体重、性別、年齢及び健康状態、細胞の製剤化、生化学的性質、生物活性、バイオアベイラビリティ及び副作用、ならびに完全な治療レジメンにおける細胞の数及び同一性に応じて変動することになる。
【0773】
いくつかの実施形態では、ある用量の医薬組成物は、約10mL~50mLの体積で約1.0×105~約2.5×108個の細胞を含み、医薬組成物は単回用量として投与される。
【0774】
多くの実施形態では、細胞はT細胞であり、医薬組成物は、約2.0×106~約2.0×108個の細胞、例えば、これらに限定されないが、初代T細胞、操作人工多能性幹細胞から分化したT細胞などを含む。いくつかの場合には、用量は、約10ml~50mlの体積で約1.0×105~約2.5×108個の本明細書に記載される初代T細胞を含む。いくつかの場合には、用量は、約10ml~50mlの体積で約1.0×105~約2.5×108個の上に記載されている初代T細胞を含む。様々な場合では、用量は、約10ml~50mlの体積で約1.0×105~約2.5×108個の、本明細書に記載される操作人工多能性幹細胞から分化したT細胞を含む。他の場合には、用量は、初代T細胞または操作人工多能性幹細胞から分化したT細胞を含む、約1.0×105~約2.5×108個のT細胞よりも少ない範囲である。さらに他の場合では、用量は、初代T細胞及び操作人工多能性幹細胞から分化したT細胞を含む、約1.0×105~約2.5×108個のT細胞よりも多い範囲である。
【0775】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、50kg以下の対象について、約1.0×105~約1.0×107個の操作細胞(初代細胞または操作人工多能性幹細胞から分化した細胞など)/kg体重の単回用量として投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、50kg以下の対象について、約0.5×105~約1.0×107、約1.0×105~約1.0×107、約1.0×105~約1.0×107、約5.0×105~約1×107、約1.0×106~約1×107、約5.0×106~約1.0×107、約1.0×105~約5.0×106、約1.0×105~約1.0×106、約1.0×105~約5.0×105、約1.0×105~約5.0×106、約2.0×105~約5.0×106、約3.0×105~約5.0×106、約4.0×105~約5.0×106、約5.0×105~約5.0×106、約6.0×105~約5.0×106、約7.0×105~約5.0×106、約8.0×105~約5.0×106、または約9.0×105~約5.0×106個の細胞/kg体重の単回用量として投与される。いくつかの実施形態では、用量は、50kg以下の対象について、約0.2×106~約5.0×106個の細胞/kg体重である。多くの実施形態では、用量は、50kg以下の対象について、約0.2×106~約5.0×106個の細胞/kg体重よりも少ない範囲である。多くの実施形態では、用量は、50kg以下の対象について、約0.2×106~約5.0×106個の細胞/kg体重よりも多い範囲である。例示的な実施形態では、単回用量は、約10ml~50mlの体積のものである。いくつかの実施形態では、用量は静脈内投与される。
【0776】
例示的な実施形態では、細胞は、50kg超の対象について、約1.0×106~約5.0×108個の細胞(初代細胞及び操作人工多能性幹細胞から分化した細胞)の単回用量で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、50kg以下の対象について、約0.5×106~約1.0×109、約1.0×106~約1.0×109、約1.0×106~約1.0×109、約5.0×106~約1.0×109、約1.0×107~約1.0×109、約5.0×107~約1.0×109、約1.0×106~約5.0×107、約1.0×106~約1.0×107、約1.0×106~約5.0×107、約1.0×107~約5.0×108、約2.0×107~約5.0×108、約3.0×107~約5.0×108、約4.0×107~約5.0×108、約5.0×107~約5.0×108、約6.0×107~約5.0×108、約7.0×107~約5.0×108、約8.0×107~約5.0×108、または約9.0×107~約5.0×108個の細胞/kg体重の単回用量として投与される。多くの実施形態では、細胞は、50kg超の対象について、約1.0×107~約2.5×108個の細胞の単回用量で投与される。いくつかの実施形態では、細胞は、50kg超の対象について、約1.0×107~約2.5×108個の細胞よりも少ない範囲の単回用量で投与される。いくつかの実施形態では、細胞は、50kg超の対象について、約1.0×107~約2.5×108個の細胞よりも多い範囲の単回用量で投与される。いくつかの実施形態では、用量は静脈内投与される。例示的な実施形態では、単回用量は、約10ml~50mlの体積のものである。いくつかの実施形態では、用量は静脈内投与される。
【0777】
例示的な実施形態では、用量は、約1~50ml/分、1~40ml/分、1~30ml/分、1~20ml/分、10~20ml/分、10~30ml/分、10~40ml/分、10~50ml/分、20~50ml/分、30~50ml/分、40~50ml/分の速度で静脈内投与される。多数の実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与のために1つ以上の輸液バッグ内で保管される。いくつかの実施形態では、用量は、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、70分、80分、90分、120分、150分、180分、240分、または300分以下で完全に投与される。
【0778】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の単回用量は、単一の輸液バッグ中に存在する。他の実施形態では、医薬組成物の単回用量は、2つ、3つ、4つまたは5つの別個の輸液バッグに分割される。
【0779】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞は、複数回の用量、例えば、2回、3回、4回、5回、6回またはそれを超える回数の用量などで投与される。いくつかの実施形態では、複数回の用量の各用量は、1~24時間の範囲であけて対象に投与される。いくつかの場合では、後続の用量は、初回用量または先行する用量から約1時間~約24時間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または約24時間)後に投与される。いくつかの実施形態では、複数回の用量の各用量は、約1日~28日間の範囲であけて対象に投与される。いくつかの場合では、後続の用量は、初回用量または先行する用量から約1日~約28日(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または約28日)後に投与される。多くの実施形態では、複数回の用量の各用量は、1週間~約6週間の範囲であけて対象に投与される。ある特定の場合では、後続の用量は、初回用量または先行する用量から約1週間~約6週間(例えば、約1、2、3、4、5、または6週間)後に投与される。いくつかの実施形態では、複数回の用量の各用量は、約1か月~約12か月の範囲であけて対象に投与される。いくつかの場合では、後続の用量は、初回用量または先行する用量から約1か月~約12か月(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12か月)後に投与される。
【0780】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、(i)本明細書に記載される操作細胞の集団、及び(ii)抗凝固剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、以下の節V.Cに記載される抗凝固剤のいずれかである。
【0781】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、操作細胞集団を投与する時に投与され、ヘパリンは、70U/kgレシピエント体重の用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、別個の製剤で提供され、操作細胞の集団と同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤及び操作細胞集団は、例えば、静脈内投与のために、別個の輸液バッグ中に提供される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤はヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは全身投与される。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、腸間膜静脈を介して門脈に注入されることによって投与される。いくつかの実施形態では、術後2、3、4、5、6、7、8、9、または10時間後、患者に12~36時間(例えば、約24時間)にわたってヘパリンを連続的に注入する。いくつかの実施形態では、術後期間中に投与されるヘパリンの投与量は、ヘパリンの初回投与よりも少ない。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、術後に200~400U/hの用量(例えば、約300U/hの用量)のヘパリンで投与される。数時間の内に、ヘパリンは、300U/hのヘパリン用量で術後24時間にわたり持続注入によって投与される。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、術後6時間から開始して術後24時間にわたり、300U/hのヘパリン用量で連続注入によって投与される。
【0782】
いくつかの実施形態では、対象は、第1時点で第1投与レジメンが投与され、次いでその後、第2時点で第2投与レジメンが投与される。いくつかの実施形態では、第1投与レジメンは、第2投与レジメンと同じである。他の実施形態では、第1投与レジメンは、第2投与レジメンとは異なる。いくつかの場合では、第1投与レジメン及び第2投与レジメンにおける細胞数は同じである。いくつかの場合では、第1投与レジメン及び第2投与レジメンにおける細胞数は異なる。いくつかの場合には、第1投与レジメン及び第2投与レジメンの用量数は同じである。いくつかの場合には、第1投与レジメン及び第2投与レジメンの用量数は異なる。
【0783】
いくつかの実施形態では、細胞は操作T細胞(例えば、初代T細胞または操作人工多能性幹細胞から分化したT細胞)であり、第1投与レジメンは、第1CARを発現する操作T細胞を含み、第2投与レジメンは、第1CAR及び第2CARが異なるように、第2CARを発現する操作T細胞を含む。例えば、第1CAR及び第2CARは、異なる標的抗原と結合する。いくつかの場合には、第1CARは、抗原と結合するscFvを含み、第2CARは、異なる抗原と結合するscFvを含む。いくつかの実施形態では、第1投与レジメンは、第1CARを発現する操作T細胞を含み、第2投与レジメンは、第1CAR及び第2CARが同じであるように、第2CARを発現する操作T細胞または初代T細胞を含む。第1投与レジメンは、第2投与レジメンから少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、1~3か月、1~6か月、4~6か月、3~9か月、3~12か月、またはそれを超える月数をあけて対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、対象は、疾患(例えば、がん)の過程において複数の投与レジメンが投与され、投与レジメンのうち少なくとも2つは、同じ型の本明細書に記載される操作T細胞を含む。他の実施形態では、複数の投与レジメンのうち少なくとも2つは、異なる型の本明細書に記載される操作T細胞を含む。
【0784】
B.免疫抑制剤
いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、操作細胞集団、またはそれを含有する組成物での初回投与前には患者に投与されない。
【0785】
いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、操作細胞の投与を受けた患者に投与されてよい。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、操作細胞の投与前に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与前に患者に投与される。
【0786】
免疫抑制剤及び/または免疫調節剤の非限定的な例としては、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾンなど、メトトレキサート、金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスパガリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、OKT3、抗胸腺細胞グロブリン、チモペンチン、チモシン-α及び類似の薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、IL-2受容体のp75に結合する抗体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFN-ガンマ、TNF-アルファ、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-6、IGF、IGFR1、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、またはCD58、及びそれらのリガンドのいずれかに結合する抗体に結合する抗体からなる免疫抑制抗体の群から選択される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の初回投与前または後に患者に投与され、投与は、1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子発現を有するが、CD47の外因性発現を有しない細胞に必要となる投与量よりも少ない投与量である。
【0787】
一実施形態では、そのような免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、可溶性IL-15R、IL-10、B7分子(例えば、B7-1、B7-2、それらのバリアント、及びそれらの断片)、ICOS、ならびにOX40、負のT細胞制御因子の阻害剤(CTLA-4に対する抗体など)、ならびに類似の薬剤から選択されてよい。
【0788】
いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、操作細胞集団の初回投与前に患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の初回投与の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日前またはそれよりも前に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の初回投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に投与される。
【0789】
特定の実施形態では、免疫抑制及び/または免疫調節剤は、細胞の初回投与後に患者に投与されないか、または細胞の初回投与から少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日後、もしくはそれよりも後に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の初回投与から少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後またはそれよりも後に投与される。
【0790】
いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、操作細胞の集団の投与前に患者に投与されない。多くの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、操作細胞集団の初回及び/または2回目の投与前に患者に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の投与の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日前またはそれよりも前に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の初回及び/または2回目の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に投与される。特定の実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の投与の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日後またはそれよりも後に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の初回及び/または2回目の投与から少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後またはそれよりも後に投与される。
【0791】
いくつかの実施形態では、免疫抑制剤及び/または免疫調節剤は、細胞の投与前または後に患者に投与され、投与は、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞集団であり、例えば、CD142、1つ以上のMHCクラスI分子、及び/または1つ以上のMHCクラスII分子発現の内因性レベルを有するが、CD47の(例えば、外因性)発現増加を有しない)に必要となる投与量よりも少ない投与量である。いくつかの実施形態では、細胞投与の数は、免疫原性細胞(例えば、同じか、または類似した細胞型または表現型であるが、操作細胞の改変、例えば、遺伝子改変を含有しない細胞集団であり、例えば、CD142、1つ以上のMHCクラスI分子、及び/または1つ以上のMHCクラスII分子発現の内因性レベルを有するが、CD47の(例えば、外因性)発現増加を有しない)の免疫拒絶を減少させるのに必要となる投与量よりも少ない投与量である。
【0792】
C.抗凝固剤
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、操作細胞集団の投与中、及び/または投与後に患者に投与されない。いくつかの実施形態では、抗凝固剤及び操作細胞集団は、患者に同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤及び操作細胞集団は、順次投与される。
【0793】
いくつかの実施形態では、ヘパリンは、操作細胞集団を投与する時に投与され、ヘパリンは、70U/kgレシピエント体重の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ヘパリンは全身投与される。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、腸間膜静脈を介して門脈に注入されることによって投与される。いくつかの実施形態では、術後2、3、4、5、6、7、8、9、または10時間後、患者に12~36時間(例えば、約24時間)にわたってヘパリンを連続的に注入する。いくつかの実施形態では、術後期間中に投与されるヘパリンの投与量は、ヘパリンの初回投与よりも少ない。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、術後に200~400U/hの用量(例えば、約300U/hの用量)のヘパリンで投与される。数時間の内に、ヘパリンは、300U/hのヘパリン用量で術後24時間にわたり持続注入によって投与される。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、術後6時間から開始して術後24時間にわたり、300U/hのヘパリン用量で連続注入によって投与される。
【0794】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、ヘパリン、アンチトロンビンの活性化因子、凝固第II因子(fII)の阻害剤、凝固第VII因子(fVII)の阻害剤、及び凝固第X因子(fX)の阻害剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤はヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、未分画ヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、低分子量ヘパリンである。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、可溶性ヘパリンである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、メラガトランまたはLMW-DSである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、N-アセチルシステイン(NAC)である。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、CD142に対する抗体である。
【0795】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は全身投与される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、IV注入によって投与される。
【0796】
例示的な実施形態
1.(i)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、(ii)CD142の発現を減少させる、ならびに(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる改変を含む操作細胞であって、(i)の前記発現増加ならびに(ii)及び(iii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記操作細胞。
【0797】
2.(iii)における前記改変のうち1つ以上が、
a.1つ以上のMHCクラスI分子
b.1つ以上のMHCクラスII分子、または
c.1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子
の発現を減少させる、実施形態1に記載の操作細胞。
【0798】
3.前記1つ以上の改変が、B2M、TAP I、NLRC5、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、HLA-DR、RFX5、RFXANK、RFXAP、NFY-A、NFY-B及び/またはNFY-C、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の分子の発現を減少させる、実施形態1または実施形態2に記載の操作細胞。
【0799】
4.B2M、TAP I、NLRC5、CIITA、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、HLA-DR、RFX5、RFXANK、RFXAP、NFY-A、NFY-B及び/またはNFY-C、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の分子を発現しない、実施形態1~3のいずれかに記載の操作細胞。
【0800】
5.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の操作細胞。
【0801】
6.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、PD-L1、HLA-EまたはHLA-G、CCL21、FASL、SERPINB9、CD200、MFGE8、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態5に記載の操作細胞。
【0802】
7.前記1つ以上の寛容原性因子が、A20/TNFAIP3、C1インヒビター、CCL21、CCL22、CD16、CD16 Fc受容体、CD24、CD27、CD35、CD39、CD46、CD47、CD52、CD55、CD59、CD200、CR1、CTLA4-Ig、DUX4、FasL、H2-M3、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、IL-10、IL15-RF、IL-35、MANF、Mfge8、PD-1、PD-L1、Serpinb9、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、実施形態1~6のいずれかに記載の操作細胞。
【0803】
8.前記1つ以上の寛容原性因子がCD47を含む、実施形態1~7のいずれかに記載の操作細胞。
【0804】
9.前記1つ以上の寛容原性因子がHLA-Eを含む、実施形態1~8のいずれかに記載の操作細胞。
【0805】
10.前記1つ以上の寛容原性因子がCD24を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の操作細胞。
【0806】
11.前記1つ以上の寛容原性因子がPDL1を含む、実施形態1~10のいずれかに記載の操作細胞。
【0807】
12.前記1つ以上の寛容原性因子がCD55を含む、実施形態1~11のいずれかに記載の操作細胞。
【0808】
13.前記1つ以上の寛容原性因子がCR1を含む、実施形態1~12のいずれかに記載の操作細胞。
【0809】
14.前記1つ以上の寛容原性因子がMANFを含む、実施形態1~13のいずれかに記載の操作細胞。
【0810】
15.前記1つ以上の寛容原性因子がA20/TNFAIP3を含む、実施形態1~14のいずれかに記載の操作細胞。
【0811】
16.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びCD47を含む、実施形態1~15のいずれかに記載の操作細胞。
【0812】
17.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1を含む、実施形態1~16のいずれかに記載の操作細胞。
【0813】
18.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1を含む、実施形態1~17のいずれかに記載の操作細胞。
【0814】
19.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態1~18のいずれかに記載の操作細胞。
【0815】
20.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態1~19のいずれかに記載の操作細胞。
【0816】
21.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態1~20のいずれかに記載の操作細胞。
【0817】
22.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びPDL1を含む、実施形態1~21のいずれかに記載の操作細胞。
【0818】
23.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPを含む、実施形態1~22のいずれかに記載の操作細胞。
【0819】
24.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFを含む、実施形態1~23のいずれかに記載の操作細胞。
【0820】
25.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFを含む、実施形態1~24のいずれかに記載の操作細胞。
【0821】
26.(i)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる、ならびに(ii)CD142の発現を減少させる改変を含む操作細胞であって、(i)の前記発現増加及び(ii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記操作細胞。
【0822】
27.(i)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる、(ii)CD46の発現を増加させる、ならびに(iii)CD59の発現を増加させる、前記改変のうち1つ以上が、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる1つ以上の改変を含む、実施形態26に記載の操作細胞。
【0823】
28.前記内因性遺伝子が、前記CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、MFGE8、CD46、またはCD59をコードする、実施形態27に記載の操作細胞。
【0824】
29.内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる前記1つ以上の改変が、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーの1つ以上の改変または異種プロモーターの導入を含む、実施形態27または28に記載の操作細胞。
【0825】
30.前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、実施形態29に記載の操作細胞。
【0826】
31.前記操作細胞が、CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる1つ以上の改変をさらに含み、前記1つ以上の補体インヒビターの前記発現増加が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、実施形態1~30のいずれかに記載の操作細胞。
【0827】
32.発現を増加させる前記改変(複数可)が、表面発現の増加を含み、及び/または発現を減少させる前記改変が、表面発現の減少を含む、実施形態1~31のいずれかに記載の操作細胞。
【0828】
33.前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させる前記改変が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態31または実施形態32に記載の操作細胞。
【0829】
34.前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46及びCD59であり、任意に前記改変が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態31~33のいずれかに記載の操作細胞。
【0830】
35.前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46、CD59及びCD55であり、任意に前記改変が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態31~34のいずれかに記載の操作細胞。
【0831】
36.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードする、実施形態33~35のいずれかに記載の操作細胞。
【0832】
37.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3に記載される配列をコードする、実施形態36に記載の操作細胞。
【0833】
38.CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、実施形態33~37のいずれかに記載の操作細胞。
【0834】
39.CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5に記載される配列をコードする、実施形態38に記載の操作細胞。
【0835】
40.CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、実施形態33~39のいずれかに記載の操作細胞。
【0836】
41.CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8に記載される配列をコードする、実施形態40に記載の操作細胞。
【0837】
42.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが各々、プロモーターに機能的に連結されている、実施形態33~41のいずれかに記載の操作細胞。
【0838】
43.CD47の発現を増加させる前記改変が、前記CD47タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態5~42のいずれかに記載の操作細胞。
【0839】
44.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、前記操作細胞の自然免疫死滅を減少させる、実施形態43に記載の操作細胞。
【0840】
45.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1に記載される配列をコードする、実施形態43~44のいずれかに記載の操作細胞。
【0841】
46.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、プロモーターに機能的に連結されている、実施形態43~45のいずれかに記載の操作細胞。
【0842】
47.前記1つ以上の寛容原性因子をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される2つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含むマルチシストロン性ベクターを含む、実施形態1~46のいずれかに記載の操作細胞。
【0843】
48.前記ポリヌクレオチドの各々が、IRESまたは自己切断ペプチドによって隔てられている、実施形態47に記載の操作細胞。
【0844】
49.前記マルチシストロン性ベクターの各ポリヌクレオチドが、同じプロモーターに機能的に連結されている、実施形態47~48のいずれかに記載の操作細胞。
【0845】
50.前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態47~49のいずれかに記載の操作細胞。
【0846】
51.前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態47~50のいずれかに記載の操作細胞。
【0847】
52.前記マルチシストロン性ベクターが、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態50または実施形態51に記載の操作細胞。
【0848】
53.前記マルチシストロン性ベクターが第1導入遺伝子であり、前記操作細胞が、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む別個の導入遺伝子を含む、実施形態50または実施形態51に記載の操作細胞。
【0849】
54.CD47をコードするポリヌクレオチドを含む導入遺伝子を含む、実施形態1~53のいずれかに記載の操作細胞。
【0850】
55.前記操作細胞が、第1導入遺伝子及び第2導入遺伝子を含み、
前記第1及び第2導入遺伝子の各々が、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される1つ以上の外因性ポリヌクレオチドを含み、
前記第1及び第2導入遺伝子が、モノシストロン性またはマルチシストロン性ベクターである、実施形態1~46のいずれかに記載の操作細胞。
【0851】
56.前記プロモーターが、構成的プロモーターである、実施形態42~55のいずれか1つに記載の操作細胞。
【0852】
57.前記プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、前記EF1aプロモーター、前記PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、実施形態42~56のいずれかに記載の操作細胞。
【0853】
58.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55ポリペプチドをコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞のゲノム中に組み込まれる、実施形態33~57のいずれかに記載の操作細胞。
【0854】
59.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれる、実施形態43~58のいずれかに記載の操作細胞。
【0855】
60.前記組込みが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した前記細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって行われる、実施形態58または実施形態59に記載の操作細胞。
【0856】
61.前記組込みが、前記細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって行われる、実施形態58または実施形態59に記載の操作細胞。
【0857】
62.前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座、CD142遺伝子座、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座、アルブミン遺伝子座、SHS231遺伝子座、CLYBL遺伝子座、ROSA26遺伝子座、LRP1遺伝子座、HMGB1遺伝子座、ABO遺伝子座、RHD遺伝子座、FUT1遺伝子座、及びKDM5D遺伝子座からなる群から選択される、実施形態61に記載の操作細胞。
【0858】
63.前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、TAP1遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、またはセーフハーバー座位である、実施形態62に記載の操作細胞。
【0859】
64.前記標的ゲノム座位が、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子、アルブミン遺伝子座、SHS231座位、CLYBL遺伝子座、及びROSA26遺伝子座からなる群から選択される、実施形態63に記載の操作細胞。
【0860】
65.前記セーフハーバー座位が、AAVS1、ABO、CCR5、CLYBL、CXCR4、F3、FUT1、HMGB1、KDM5D、LRP1、MICA、MICB、RHD、ROSA26、及びSHS231座位からなる群から選択される、実施形態64に記載の操作細胞。
【0861】
66.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、第1標的ゲノム座位中に組み込まれ、CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、第2標的ゲノム座位中に組み込まれ、CD59をコードする前記ポリヌクレオチドが、第3標的ゲノム座位中に組み込まれる、実施形態61~65のいずれかに記載の操作細胞。
【0862】
67.CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、第4標的ゲノム座位中に組み込まれる、実施形態66に記載の操作細胞。
【0863】
68.前記第1、第2、及び第3標的ゲノム座位のうち少なくとも2つが同じ座位である、実施形態66に記載の操作細胞。
【0864】
69.前記第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位のうち少なくとも2つが同じ座位である、実施形態67または実施形態68に記載の操作細胞。
【0865】
70.前記第1、第2及び第3標的ゲノム座位が同じ座位である、実施形態66~69のいずれかに記載の操作細胞。
【0866】
71.前記第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位が同じ座位である、実施形態66~70に記載の操作細胞。
【0867】
72.前記第1、第2、及び第3標的ゲノム座位の各々が、異なる座位である、実施形態66または実施形態67に記載の操作細胞。
【0868】
73.前記第1、第2、第3、及び第4標的ゲノム座位が、異なる座位である、実施形態67に記載の操作細胞。
【0869】
74.CD142の発現を減少させる前記改変が、CD142タンパク質発現を減少させる、実施形態1~73のいずれかに記載の操作細胞。
【0870】
75.前記改変が、CD142遺伝子活性を排除する、実施形態74に記載の操作細胞。
【0871】
76.前記改変が、前記CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態74または75のいずれかに記載の操作細胞。
【0872】
77.前記改変が、前記細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む、実施形態75~76のいずれかに記載の操作細胞。
【0873】
78.前記不活性化または破壊が、前記CD142遺伝子内のインデルを含む、実施形態76または実施形態77に記載の操作細胞。
【0874】
79.前記改変が、前記CD142遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である、実施形態61~65のいずれかに記載の操作細胞。
【0875】
80.CD142遺伝子がノックアウトされている、実施形態75~79のいずれかに記載の操作細胞。
【0876】
81.前記改変がゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に前記改変が、ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集によって行われる、実施形態75~80のいずれかに記載の操作細胞。
【0877】
82.前記ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、または前記CD142遺伝子を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意に前記Casが、Cas9またはCas12から選択される、実施形態81に記載の操作細胞。
【0878】
83.前記ヌクレアーゼ媒介ゲノム編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記CD142遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、実施形態82に記載の操作細胞。
【0879】
84.前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、実施形態83に記載の操作細胞。
【0880】
85.1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる、実施形態1~25及び27~84のいずれかに記載の操作細胞。
【0881】
86.1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、B2Mの発現減少を含む、実施形態1~25及び27~85のいずれかに記載の操作細胞。
【0882】
87.1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、B2Mのタンパク質発現の減少を含む、実施形態74~86のいずれかに記載の操作細胞。
【0883】
88.前記改変が、B2M遺伝子活性を排除する、実施形態86または実施形態87に記載の操作細胞。
【0884】
89.前記改変が、前記B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態86~88のいずれかに記載の操作細胞。
【0885】
90.前記改変が、前記細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む、実施形態86~89のいずれかに記載の操作細胞。
【0886】
91.前記不活性化または破壊が、前記B2M遺伝子内のインデルを含む、実施形態89または実施形態90に記載の操作細胞。
【0887】
92.前記改変が、前記B2M遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である、実施形態86~91のいずれかに記載の操作細胞。
【0888】
93.前記B2M遺伝子がノックアウトされている、実施形態86~92のいずれかに記載の操作細胞。
【0889】
94.前記改変がゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態85~93のいずれかに記載の操作細胞。
【0890】
95.前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記B2M遺伝子を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態94に記載の操作細胞。
【0891】
96.前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記B2M遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、実施形態95に記載の操作細胞。
【0892】
97.前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、実施形態96に記載の操作細胞。
【0893】
98.1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる前記改変が、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる、実施形態1~25、及び27~97のいずれかに記載の操作細胞。
【0894】
99.1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる前記改変が、CIITAの発現減少を含む、実施形態1~25及び27~98のいずれかに記載の操作細胞。
【0895】
100.1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる前記改変が、CIITAのタンパク質発現の減少を含む、実施形態99のいずれかに記載の操作細胞。
【0896】
101.前記改変がCIITAを排除する、実施形態99または実施形態100に記載の操作細胞。
【0897】
102.前記改変が、前記CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態99~101のいずれかに記載の操作細胞。
【0898】
103.前記改変が、前記細胞における全てのCIITAコード配列の不活性化または破壊を含む、実施形態99~102のいずれかに記載の操作細胞。
【0899】
104.前記不活性化または破壊が、前記CIITA遺伝子内のインデルを含む、実施形態102または実施形態103に記載の操作細胞。
【0900】
105.前記インデルが、前記CIITA遺伝子のゲノムDNAのフレームシフト変異または連続ストレッチの欠失である、実施形態102~104のいずれかに記載の操作細胞。
【0901】
106.CIITA遺伝子がノックアウトされている、実施形態99~105のいずれかに記載の操作細胞。
【0902】
107.前記改変が、ゲノム改変タンパク質によって行われる、実施形態1~106のいずれかに記載の操作細胞。
【0903】
108.前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、CRISPR関連トランスポザーゼ、プライム編集、または部位特異的ターゲティング要素を介したプログラム可能な付加(PASTE)による改変である、実施形態107に記載の操作細胞。
【0904】
109.前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集である、実施形態107または108に記載の操作細胞。
【0905】
110.前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意に前記Casが、Cas9またはCas12から選択される、実施形態109に記載の操作細胞。
【0906】
111.前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、及びCRISPR関連トランスポザーゼからなる群から選択される1つ以上のタンパク質によって実施される、実施形態107または108に記載の操作細胞。
【0907】
112.前記改変が、NLRC5、TRAC、TRB、CD142、ABO、CD38、CD52、PCDH11Y、NLGN4Y及びRHDのうちいずれか1つ以上の発現を減少させる、実施形態1~111のいずれか1つに記載の操作細胞。
【0908】
113.(i)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、(ii)CD46の発現を増加させる、及び(iii)CD59の発現を増加させる前記改変のうち1つ以上が、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる1つ以上の改変を含む、実施形態1~112のいずれか1つに記載の操作細胞。
【0909】
114.前記内因性遺伝子が、前記1つ以上の寛容原性因子、CD46、またはCD59をコードする、実施形態113に記載の操作細胞。
【0910】
115.前記内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させる前記1つ以上の改変が、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーに対する1つ以上の改変または異種プロモーターの導入を含む、実施形態113または1114に記載の操作細胞。
【0911】
116.前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、実施形態115に記載の操作細胞。
【0912】
117.ヒト細胞または動物細胞である、実施形態1~116のいずれか1つに記載の操作細胞。
【0913】
118.ヒト細胞である、実施形態117に記載の操作細胞。
【0914】
119.血液にさらされる細胞型、または前記血液にさらされる細胞型に分化できる細胞型である、実施形態1~118のいずれかに記載の操作細胞。
【0915】
120.多能性幹細胞またはその子孫に由来する分化細胞である、実施形態1~119のいずれかに記載の操作細胞。
【0916】
121.前記多能性幹細胞が人工多能性幹細胞である、実施形態120に記載の操作細胞。
【0917】
122.ドナー対象から単離された初代細胞である、実施形態1119のいずれか1つに記載の操作細胞。
【0918】
123.前記ドナー対象が、健康であるか、または個々のドナーからドナー試料が得られた時点で疾患もしくは状態を有すると疑われていない、実施形態122に記載の操作細胞。
【0919】
124.島細胞、ベータ島細胞、膵島細胞、免疫細胞、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マクロファージ細胞、内皮細胞、筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、ドーパミン作動性ニューロン、網膜色素上皮細胞、視細胞、肝細胞、甲状腺細胞、皮膚細胞、グリア前駆細胞、神経細胞、心臓細胞、幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、間葉系幹細胞(MSC)、胚性幹細胞(ESC)、多能性幹細胞(PSC)、及び血液細胞からなる群から選択される、実施形態1~123のいずれかに記載の操作細胞。
【0920】
125.内皮細胞である、実施形態1~124のいずれかに記載の操作細胞。
【0921】
126.上皮細胞である、実施形態1~125のいずれかに記載の操作細胞。
【0922】
127.T細胞である、実施形態126に記載の操作細胞。
【0923】
128.NK細胞である、実施形態127に記載の操作細胞。
【0924】
129.キメラ抗原受容体(CAR)を含む、実施形態127または請求項128に記載の操作細胞。
【0925】
130.幹細胞である、実施形態124に記載の操作細胞。
【0926】
131.造血幹細胞(HSC)である、実施形態124に記載の操作細胞。
【0927】
132.ベータ島細胞である、実施形態124に記載の操作細胞。
【0928】
133.肝細胞である、実施形態124に記載の操作細胞。
【0929】
134.多能性幹細胞である、実施形態124に記載の操作細胞。
【0930】
135.人工多能性幹細胞である、実施形態124に記載の操作細胞。
【0931】
136.胚性幹細胞である、実施形態124に記載の操作細胞。
【0932】
137.ABO式血液型のO型である、実施形態1~136のいずれかに記載の操作細胞。
【0933】
138.Rh因子陰性(Rh-)である、実施形態1~137のいずれかに記載の操作細胞。
【0934】
139.ABOの機能的Aアレル及び/またはABOの機能的Bアレルを含む、実施形態1~136及び138のいずれかに記載の操作細胞。
【0935】
140.Rh因子陽性(Rh+)である、実施形態1~137及び139のいずれかに記載の操作細胞。
【0936】
141.操作細胞を生成する方法であって、
a.前記細胞内の1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させるか、または排除すること、
b.前記細胞内のCD142の発現を減少させること、ならびに
c.前記細胞内の寛容原性因子の発現を増加させること
を含む、前記方法。
【0937】
142.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態141に記載の方法。
【0938】
143.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、PD-L1、HLA-EまたはHLA-G、CCL21、FASL、SERPINB9、CD200、MFGE8、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態142に記載の方法。
【0939】
144.前記1つ以上の寛容原性因子が、A20/TNFAIP3、C1インヒビター、CCL21、CCL22、CD16、CD16 Fc受容体、CD24、CD27、CD35、CD39、CD46、CD47、CD52、CD55、CD59、CD200、CR1、CTLA4-Ig、DUX4、FasL、H2-M3、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、IL-10、IL15-RF、IL-35、MANF、Mfge8、PD-1、PD-L1、Serpinb9、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、実施形態141~143のいずれか1つに記載の方法。
【0940】
145.前記1つ以上の寛容原性因子がCD47を含む、実施形態143または実施形態144に記載の方法。
【0941】
146.前記1つ以上の寛容原性因子がHLA-Eを含む、実施形態141~145のいずれか1つに記載の方法。
【0942】
147.前記1つ以上の寛容原性因子がCD24を含む、実施形態141~146のいずれか1つに記載の方法。
【0943】
148.前記1つ以上の寛容原性因子がPDL1を含む、実施形態141~147のいずれか1つに記載の方法。
【0944】
149.前記1つ以上の寛容原性因子がCD55を含む、実施形態141~148のいずれか1つに記載の方法。
【0945】
150.前記1つ以上の寛容原性因子がCR1を含む、実施形態141~149のいずれか1つに記載の方法。
【0946】
151.前記1つ以上の寛容原性因子がMANFを含む、実施形態141~150のいずれか1つに記載の方法。
【0947】
152.前記1つ以上の寛容原性因子がA20/TNFAIP3を含む、実施形態141~151のいずれか1つに記載の方法。
【0948】
153.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びCD47を含む、実施形態141~152のいずれか1つに記載の方法。
【0949】
154.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1を含む、実施形態141~153のいずれか1つに記載の方法。
【0950】
155.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1を含む、実施形態141~154のいずれか1つに記載の方法。
【0951】
156.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態141~155のいずれか1つに記載の方法。
【0952】
157.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態141~156のいずれか1つに記載の方法。
【0953】
158.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態141~157のいずれか1つに記載の方法。
【0954】
159.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びPDL1を含む、実施形態141~158のいずれか1つに記載の方法。
【0955】
160.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPを含む、実施形態141~159のいずれか1つに記載の方法。
【0956】
161.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFを含む、実施形態141~160のいずれか1つに記載の方法。
【0957】
162.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFを含む、実施形態141~161のいずれか1つに記載の方法。
【0958】
163.1つ以上のMHCクラスI分子及び1つ以上のMHCクラスII分子の前記発現を減少させることを含む、実施形態141~162のいずれかに記載の方法。
【0959】
164.寛容原性の発現を増加させることが、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることを含む、実施形態141~163のいずれか1つに記載の方法。
【0960】
165.前記内因性遺伝子が、前記寛容原性因子をコードする、実施形態164に記載の方法。
【0961】
166.前記内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることが、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーを改変すること、または異種プロモーターを導入することを含む、実施形態164または165に記載の方法。
【0962】
167.前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、実施形態166に記載の方法。
【0963】
168.低免疫原性細胞を生成する方法であって、
a.前記細胞内のCCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させること、ならびに
b.前記細胞内のCD142の発現を減少させること
を含む、前記方法。
【0964】
169.前記細胞内のCD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることをさらに含む、実施形態141~168のいずれかに記載の方法。
【0965】
170.CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、MFGE8、及び/または1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることを含む、実施形態168または169に記載の方法。
【0966】
171.前記内因性遺伝子が、前記CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、MFGE8、CD46、またはCD59をコードする、実施形態170に記載の方法。
【0967】
172.前記内因性遺伝子の遺伝子活性を増加させることが、前記遺伝子の内因性プロモーターもしくはエンハンサーを改変すること、または異種プロモーターを導入することを含む、実施形態170または実施形態171に記載の方法。
【0968】
173.前記異種プロモーターが、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF1aプロモーター、PGKプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびにUBCプロモーターからなる群から選択される、実施形態172に記載の方法。
【0969】
174.前記発現減少が表面発現の減少を含み、及び/または前記発現増加が表面発現の増加を含み、任意に前記表面発現の減少が、検出可能な表面発現をなんら含まない、実施形態141~173のいずれかに記載の方法。
【0970】
175.前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを、前記細胞に導入することを含む、実施形態169~174のいずれかに記載の方法。
【0971】
176.前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46及びCD59であり、任意に前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することを含む、実施形態169~175のいずれかに記載の方法。
【0972】
177.前記1つ以上の補体インヒビターが、CD46、CD59及びCD55であり、任意に前記1つ以上の補体インヒビターの発現を増加させることが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入することを含む、実施形態169~176のいずれかに記載の方法。
【0973】
178.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、実施形態169~177のいずれかに記載の方法。
【0974】
179.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:3に記載される配列をコードする、実施形態178に記載の方法。
【0975】
180.CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸の配列をコードし、補体阻害活性を示す、実施形態169~179のいずれかに記載の方法。
【0976】
181.CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:5に記載される配列をコードする、180に記載の方法。
【0977】
182.CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有する配列をコードし、補体阻害活性を示す、実施形態169~181のいずれかに記載の方法。
【0978】
183.CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:8に記載される配列をコードする、実施形態182に記載の方法。
【0979】
184.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが各々、プロモーターに機能的に連結されている、実施形態169~183のいずれかに記載の方法。
【0980】
185.CD47の発現を増加させる前記改変が、前記CD47タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態169~184のいずれかに記載の方法。
【0981】
186.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有する配列をコードし、前記操作細胞の自然免疫死滅を減少させる、実施形態169~185のいずれかに記載の方法。
【0982】
187.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号:1に記載される配列をコードする、実施形態186に記載の方法。
【0983】
188.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、プロモーターに機能的に連結されている、実施形態169~187のいずれかに記載の方法。
【0984】
189.前記1つ以上の寛容原性因子をコードする1つ以上の外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される2つ以上の外因性ポリペプチドを含むマルチシストロン性ベクターを、前記細胞に導入することを含む、実施形態169~188のいずれかに記載の方法。
【0985】
190.前記ポリヌクレオチドの各々が、IRESまたは自己切断ペプチドによって隔てられている、実施形態189に記載の方法。
【0986】
191.前記2つ以上の外因性ポリヌクレオチドが、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55ポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドからなる群から選択される、実施形態189または実施形態190に記載の方法。
【0987】
192.前記マルチシストロン性ベクターの各ポリヌクレオチドが、同じプロモーターに機能的に連結されている、実施形態189~191のいずれかに記載の方法。
【0988】
193.前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態189~192のいずれかに記載の方法。
【0989】
194.前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチド、及びCD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態189~193のいずれかに記載の方法。
【0990】
195.前記マルチシストロン性ベクターが、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態193または実施形態194に記載の方法。
【0991】
196.前記操作細胞が、CD47をコードするポリヌクレオチドを含む別個の導入遺伝子を含む、実施形態193または実施形態194に記載の方法。
【0992】
197.CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞のゲノム中に組み込まれる、実施形態169~196のいずれかに記載の方法。
【0993】
198.CD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドが、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれる、実施形態185~197のいずれかに記載の方法。
【0994】
199.前記組込みが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって行われる、実施形態197または実施形態198に記載の方法。
【0995】
200.前記組込みが、レンチウイルスベクターを使用した前記細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって行われる、実施形態199に記載の方法。
【0996】
201.前記組込みが、前記細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって行われ、任意に前記標的挿入が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態197または実施形態198に記載の方法。
【0997】
202.前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座、CD142遺伝子座、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子座、アルブミン遺伝子座、SHS231遺伝子座、CLYBL遺伝子座、ROSA26遺伝子座、LRP1遺伝子座、HMGB1遺伝子座、ABO遺伝子座、RHD遺伝子座、FUT1遺伝子座、及びKDM5D遺伝子座からなる群から選択される、実施形態201に記載の方法。
【0998】
203.前記標的ゲノム座位が、MICA遺伝子座、MICB遺伝子座、TAP1遺伝子座、B2M遺伝子座、CIITA遺伝子座、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、またはセーフハーバー座位である、実施形態201または実施形態202に記載の方法。
【0999】
204.前記標的ゲノム座位が、CCR5遺伝子座、CXCR4遺伝子座、PPP1R12C(AAVS1としても知られる)遺伝子、アルブミン遺伝子座、SHS231座位、CLYBL遺伝子座、及びROSA26遺伝子座からなる群から選択される、実施形態201または実施形態202に記載の方法。
【1000】
205.前記標的ゲノム座位がセーフハーバー座位である、実施形態201~204のいずれかに記載の方法。
【1001】
206.前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、または前記標的ゲノム座位を標的とするCRISPR-Casの組合せによって行われ、任意に前記Casが、Cas9またはCas12から選択される、実施形態201~205のいずれかに記載の方法。
【1002】
207.前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記標的ゲノム座位の標的配列に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)と、CD46をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD59をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、CD55をコードする前記外因性ポリヌクレオチド、及び/またはCD47をコードする前記外因性ポリヌクレオチドを含む相同組換え修復鋳型とを含む、実施形態206に記載の方法。
【1003】
208.前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、実施形態207に記載の方法。
【1004】
209.CD142の発現を減少させることが、CD142タンパク質発現を減少させる、実施形態141~208のいずれかに記載の方法。
【1005】
210.CD142の発現を減少させることが、CD142遺伝子活性を減少させる改変を導入することを含む、実施形態209に記載の方法。
【1006】
211.CD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、前記CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態210に記載の方法。
【1007】
212.CD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、前記細胞における全てのCD142コード配列の不活性化または破壊を含む、実施形態210または実施形態211に記載の方法。
【1008】
213.前記不活性化または破壊が、前記CD142遺伝子内のインデル、または前記CD142遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む、実施形態211または実施形態212に記載の方法。
【1009】
214.前記インデルが、フレームシフト変異である、実施形態213に記載の方法。
【1010】
215.前記CD142遺伝子がノックアウトされる、実施形態210~214のいずれかに記載の方法。
【1011】
216.CD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、ゲノム改変タンパク質によって導入され、任意にCD142遺伝子活性を減少させる前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって導入される、実施形態210~215のいずれかに記載の方法。
【1012】
217.前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記CD142遺伝子を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態216に記載の方法。
【1013】
218.前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記CD142遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、実施形態217に記載の方法。
【1014】
219.前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、実施形態218に記載の方法。
【1015】
220.1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させることが、1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる改変を導入することを含む、実施形態141~219のいずれかに記載の方法。
【1016】
221.1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、B2Mの発現減少を含む、実施形態220のいずれかに記載の方法。
【1017】
222.1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、B2Mのタンパク質発現の減少を含む、実施形態220または221のいずれかに記載の方法。
【1018】
223.1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、B2M遺伝子活性を減少させる、実施形態221または222に記載の方法。
【1019】
224.1つ以上のMHCクラスI分子の発現を減少させる前記改変が、前記B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態221~223のいずれかに記載の方法。
【1020】
225.1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、前記細胞における全てのB2Mコード配列の不活性化または破壊を含む、実施形態221~223のいずれかに記載の方法。
【1021】
226.前記不活性化または破壊が、前記B2M遺伝子内のインデル、または前記B2M遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む、実施形態224または実施形態225に記載の方法。
【1022】
227.前記インデルが、フレームシフト変異である、実施形態226に記載の方法。
【1023】
228.前記B2M遺伝子がノックアウトされる、実施形態221~227のいずれかに記載の方法。
【1024】
229.1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、ゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に1つ以上のMHCクラスI分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態221~228のいずれかに記載の方法。
【1025】
230.前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記B2M遺伝子を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態229に記載の方法。
【1026】
231.前記ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集が、CRISPR-Casの組合せによって行われ、前記CRISPR-Casの組合せが、前記B2M遺伝子内の少なくとも1つの標的部位に相補的な標的指向性ドメインを有するガイドRNA(gRNA)を含む、実施形態230に記載の方法。
【1027】
232.前記CRISPR-Casの組合せが、前記gRNA及びCasタンパク質を含むリボ核タンパク質(RNP)複合体である、実施形態231に記載の方法。
【1028】
233.1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させることが、1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる改変を導入することを含む、実施形態141~232のいずれかに記載の方法。
【1029】
234.1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、CIITAの発現減少を含む、実施形態233に記載の方法。
【1030】
235.1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、CIITAのタンパク質発現の減少を含む、実施形態233または234に記載の方法。
【1031】
236.1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、CIITA遺伝子活性を減少させる、実施形態233または実施形態234に記載の方法。
【1032】
237.1つ以上のMHCクラスII分子タンパク質の発現を減少させる前記改変が、前記CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態233~236のいずれかに記載の方法。
【1033】
238.前記改変が、前記細胞における全てのCIITAコード配列の不活性化または破壊を含む、実施形態233~237のいずれかに記載の方法。
【1034】
239.前記不活性化または破壊が、前記CIITA遺伝子内のインデル、または前記CIITA遺伝子のゲノムDNAの連続ストレッチの欠失を含む、実施形態237または実施形態238に記載の方法。
【1035】
240.前記インデルが、フレームシフト変異である、実施形態239に記載の方法。
【1036】
241.前記CIITA遺伝子がノックアウトされる、実施形態234~240のいずれかに記載の方法。
【1037】
242.前記細胞が、ヒト細胞または動物細胞であり、任意に前記動物細胞が、ブタ(pig)(ブタ(porcine))細胞、ウシ(cow)(ウシ(bovine))細胞、またはヒツジ(sheep)(ヒツジ(ovine))細胞である、実施形態141~241のいずれかに記載の方法。
【1038】
243.前記操作細胞がヒト細胞である、実施形態141~242のいずれかに記載の方法。
【1039】
244.前記細胞が、血液にさらされる細胞型、または前記血液にさらされる細胞型に分化できる細胞型である、実施形態141~243のいずれかに記載の方法。
【1040】
245.前記細胞が、ドナー対象から単離された初代細胞である、実施形態141~244のいずれかに記載の方法。
【1041】
246.前記細胞が多能性幹細胞であり、前記操作細胞が、前記多能性幹細胞に由来する分化細胞であり、前記方法が、前記多能性幹細胞を分化させることをさらに含む、実施形態141~244のいずれかに記載の方法。
【1042】
247.前記多能性幹細胞が人工多能性幹細胞である、実施形態246に記載の方法。
【1043】
248.前記操作細胞が、島細胞、ベータ島細胞、膵島細胞、免疫細胞、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マクロファージ細胞、内皮細胞、筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、ドーパミン作動性ニューロン、網膜色素上皮細胞、視細胞、肝細胞、甲状腺細胞、皮膚細胞、グリア前駆細胞、神経細胞、心臓細胞、幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、間葉系幹細胞(MSC)、胚性幹細胞(ESC)、多能性幹細胞(PSC)、及び血液細胞からなる群から選択される、実施形態141~243のいずれかに記載の方法。
【1044】
249.前記操作細胞がベータ島細胞である、実施形態248に記載の方法。
【1045】
250.前記操作細胞が肝細胞である、実施形態248に記載の方法。
【1046】
251.実施形態141~250のいずれかに記載の方法に従って作製される、操作細胞。
【1047】
252.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時にNK細胞媒介性細胞傷害を回避できる、実施形態1~140及び251のいずれかに記載の操作細胞。
【1048】
253.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に成熟NK細胞による細胞溶解から保護される、実施形態1~140及び251~252のいずれかに記載の操作細胞。
【1049】
254.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に前記細胞に対する免疫応答を誘導しない、実施形態1~140及び251~253のいずれかに記載の操作細胞。
【1050】
255.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に前記細胞に対する全身性炎症反応を誘導しない、実施形態1~140及び251~254のいずれかに記載の操作細胞。
【1051】
256.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に前記細胞に対する局所性炎症反応を誘導しない、実施形態1~140及び251~255のいずれかに記載の操作細胞。
【1052】
257.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に補体経路活性化を誘導しない、実施形態1~140及び251~256のいずれかに記載の操作細胞。
【1053】
258.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に凝固を誘導しない、実施形態1~140及び251~257のいずれかに記載の操作細胞。
【1054】
259.前記操作細胞、または前記操作細胞に由来する子孫もしくは分化細胞が、レシピエント患者への投与時に即時血液媒介性炎症反応を誘導しない、実施形態1~140及び251~258のいずれかに記載の操作細胞。
【1055】
260.前記レシピエント患者への投与時に血液と接触する、実施形態258~259に記載の操作細胞。
【1056】
261.実施形態1~140及び251~260のいずれかに記載の操作細胞を複数含む、細胞集団。
【1057】
262.前記集団内の細胞の少なくとも約30%が、前記操作細胞である、実施形態261に記載の集団。
【1058】
263.前記複数の操作初代細胞が、2以上のドナー対象からプールした細胞に由来する、実施形態261または262に記載の操作細胞集団。
【1059】
264.前記2以上のドナー対象の各々が、健康な対象であるか、または前記ドナー対象から前記ドナー試料が得られた時点で疾患もしくは状態を有すると疑われていない、実施形態263に記載の操作初代細胞集団。
【1060】
265.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、前記改変を含む、実施形態261~264のいずれかに記載の集団。
【1061】
266.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態261~265のいずれかに記載の集団。
【1062】
267.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態261~266のいずれかに記載の集団。
【1063】
268.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態261~267のいずれかに記載の集団。
【1064】
269.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD55をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態261~268のいずれかに記載の集団。
【1065】
270.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、B2M遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む、実施形態261~269のいずれかに記載の集団。
【1066】
271.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CIITA遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む、実施形態261~270のいずれかに記載の集団。
【1067】
272.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、未変更または非改変の野生型細胞と比較してCD142の発現減少を含む、実施形態261~271のいずれかに記載の集団。
【1068】
273.前記集団内の細胞の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または99.99%が、CD142遺伝子の両アレルを不活性化する1つ以上の変更を含む、実施形態261~272のいずれかに記載の集団。
【1069】
274.実施形態261~273のいずれかに記載の集団または実施形態1~140及び251~260のいずれかに記載の操作細胞を含む、組成物。
【1070】
275.操作ベータ島細胞の集団を含む組成物であって、前記操作ベータ島細胞が、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、前記組成物。
【1071】
276.前記操作ベータ細胞が、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態275に記載の組成物。
【1072】
277.操作肝細胞の集団を含む組成物であって、前記操作肝細胞が、(i)CD47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む導入遺伝子、(ii)CD142遺伝子の両アレルの不活性化または破壊、及び(iii)B2M遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、前記組成物。
【1073】
278.前記操作肝細胞が、CIITA遺伝子の両アレルの不活性化または破壊を含む、実施形態277に記載の組成物。
【1074】
279.前記導入遺伝子が、マルチシストロン性ベクターであり、前記導入遺伝子が、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態275~278のいずれかに記載の組成物。
【1075】
280.前記ベータ島細胞または肝細胞が、マルチシストロン性ベクターをさらに含み、前記マルチシストロン性ベクターが、CD46をコードする外因性ポリヌクレオチド及びCD59をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態275~278のいずれかに記載の組成物。
【1076】
281.前記導入遺伝子(複数可)が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって標的ゲノム座位に導入される、実施形態275~278のいずれかに記載の組成物。
【1077】
282.前記不活性化または破壊が、ゲノム改変タンパク質によって行われ、任意に前記不活性化または破壊が、ヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態275~281のいずれかに記載の組成物。
【1078】
283.前記ゲノム改変タンパク質による前記改変が、Cas3、Cas4、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas12、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1)、Cas12c(C2c3)、Cas12d(CasY)、Cas12e(CasX)、Cas12f(C2c10)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5)、Cas13、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Cmr5、Cse1、Cse2、Csf1、Csm2、Csn2、Csx10、Csx11、Csy1、Csy2、Csy3、Mad7、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、CRISPR関連トランスポザーゼ、または前記標的ゲノム座位を標的とする任意のCRISPR-Casの組合せを使用して実施され、任意に前記改変が、Cas9またはCas12を使用するヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態281~282のいずれかに記載の組成物。
【1079】
284.医薬組成物である、実施形態275~283のいずれかに記載の組成物。
【1080】
285.薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態284に記載の組成物。
【1081】
286.凍結保護剤を含む無血清凍結保存培地内で製剤化される、実施形態284~285のいずれかに記載の組成物。
【1082】
287.前記凍結保護剤がDMSOであり、前記凍結保存培地が、5%~10%DMSO(v/v)である、実施形態286に記載の組成物。
【1083】
288.前記凍結保護剤が、10%または約10%DMSO(v/v)である、実施形態286または287に記載の組成物。
【1084】
289.滅菌されている、実施形態275~288のいずれかに記載の組成物。
【1085】
290.実施形態275~289のいずれかに記載の組成物を含む、容器。
【1086】
291.滅菌バッグである、実施形態290に記載の容器。
【1087】
292.凍結保存適合性バッグである、実施形態291に記載の滅菌バッグ。
【1088】
293.その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法であって、有効量の実施形態261~273のいずれかに記載の集団または実施形態274~289のいずれかに記載の組成物を、前記患者に投与することを含む、前記方法。
【1089】
294.凝固を減少させる抗凝固剤を前記患者に投与することをさらに含む、実施形態293に記載の方法。
【1090】
295.その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法であって、以下:
(a)複数の操作細胞を含む有効量の細胞集団を前記患者に投与することであって、
前記操作細胞が、
(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、
(ii)1つ以上の寛容原性因子の発現を増加させる、ならびに
(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる
改変を含み、
ここで、(i)及び(ii)の前記発現増加ならびに(iii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、投与すること、ならびに
(b)凝固を減少させる抗凝固剤を前記患者に投与すること
を含む、前記方法。
【1091】
296.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD47、CD27、CD200、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDOl、CTLA4-Ig、Clインヒビター、IL-10、IL-35、FASL、CCL21、MFGE8、及びSERPINB9からなる群から選択される、実施形態295に記載の方法。
【1092】
297.前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、実施形態296に記載の方法。
【1093】
298.その必要のある患者の疾患、状態、または細胞欠損症を治療する方法であって、以下:
(a)複数の操作細胞を含む有効量の細胞集団を前記患者に投与することであって、
前記操作細胞が、
(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、ならびに
(ii)CCL21、PD-L1、FASL、SERPINB9、HLA-G、CD47、CD200、及びMFGE8の発現を増加させる
改変を含み、
ここで、(i)及び(ii)の前記発現増加が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、投与すること、ならびに
(b)凝固を減少させる抗凝固剤を前記患者に投与すること
を含む、前記方法。
【1094】
299.前記集団が、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として製剤化される、実施形態298に記載の方法。
【1095】
300.前記集団及び前記抗凝固剤が、同時にまたは連続して投与される、実施形態294~299のいずれかに記載の方法。
【1096】
301.前記抗凝固剤がヘパリンである、実施形態294~300のいずれかに記載の方法。
【1097】
302.前記ヘパリンが未分画ヘパリンである、実施形態301に記載の方法。
【1098】
303.前記ヘパリンが低分子量ヘパリンである、実施形態301に記載の方法。
【1099】
304.前記ヘパリンが可溶性ヘパリンである、実施形態301~303のいずれかに記載の方法。
【1100】
305.前記ヘパリンが、前記患者に前記細胞を投与する前に前記細胞の表面上に固定化される、実施形態301~303のいずれかに記載の方法。
【1101】
306.前記抗凝固剤が、メラガトランまたはLMW-DSである、実施形態294~305のいずれかに記載の方法。
【1102】
307.前記抗凝固剤が、N-アセチルシステイン(NAC)である、実施形態294~305のいずれかに記載の方法。
【1103】
308.前記抗凝固剤が、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである、実施形態294~305のいずれかに記載の方法。
【1104】
309.前記状態または疾患が、糖尿病、がん、血管新生障害、眼疾患、甲状腺疾患、皮膚疾患、及び肝疾患からなる群から選択される、実施形態293~308のいずれかに記載の方法。
【1105】
310.前記細胞欠損症が糖尿病と関連するか、または前記疾患もしくは状態が糖尿病であり、任意に前記糖尿病がI型糖尿病である、実施形態293~308のいずれか1つに記載の方法。
【1106】
311.前記細胞集団が、ベータ島細胞を含む島細胞の集団である、実施形態310に記載の方法。
【1107】
312.前記島細胞が、島前駆細胞、未成熟島細胞、及び成熟島細胞からなる群から選択される、実施形態311に記載の方法。
【1108】
313.前記細胞欠損症が、血管状態もしくは疾患と関連するか、または疾患もしくは状態が、血管状態もしくは疾患である、実施形態293~309のいずれか1つに記載の方法。
【1109】
314.前記細胞集団が内皮細胞の集団である、実施形態313に記載の方法。
【1110】
315.前記細胞欠損症が自己免疫性甲状腺炎と関連するか、または前記疾患もしくは状態が自己免疫性甲状腺炎である、実施形態293~309のいずれか1つに記載の方法。
【1111】
316.前記細胞集団が、甲状腺前駆細胞の集団である、実施形態315に記載の方法。
【1112】
317.前記細胞欠損症が肝疾患と関連するか、または前記疾患が肝疾患である、実施形態293~309のいずれか1つに記載の方法。
【1113】
318.前記肝疾患が肝硬変を含む、実施形態317に記載の方法。
【1114】
319.前記細胞集団が、肝細胞または肝前駆細胞の集団である、実施形態317または318に記載の方法。
【1115】
320.前記細胞欠損症が角膜疾患と関連するか、または前記疾患が角膜疾患である、実施形態293~309のいずれか1つに記載の方法。
【1116】
321.前記角膜疾患が、フックスジストロフィーまたは先天性遺伝性内皮ジストロフィーである、実施形態320に記載の方法。
【1117】
322.前記細胞集団が、角膜内皮前駆細胞または角膜内皮細胞の集団である、実施形態320または321に記載の方法。
【1118】
323.前記細胞欠損症が腎疾患と関連するか、または前記疾患が腎疾患である、実施形態293~309のいずれか1つに記載の方法。
【1119】
324.前記細胞集団が、腎前駆細胞または腎細胞の集団である、実施形態323に記載の方法。
【1120】
325.前記細胞欠損症ががんと関連するか、または前記疾患ががんである、実施形態293~309のいずれか1つに記載の方法。
【1121】
326.前記がんが、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、胃癌、胃腺癌、膵臓腺癌、膠芽腫、神経芽細胞腫、肺扁平上皮癌、肝細胞癌、及び膀胱癌からなる群から選択される、実施形態325に記載の方法。
【1122】
327.前記細胞集団が、T細胞、NK細胞、またはNKT細胞の集団である、実施形態325または326に記載の方法。
【1123】
328.前記細胞欠損症が、造血器疾患もしくは障害と関連するか、または前記疾患もしくは状態が、造血器疾患もしくは障害である、実施形態293~309のいずれかに記載の方法。
【1124】
329.前記造血器疾患または障害が、骨髄異形成症、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、鎌状赤血球症、ダイアモンド・ブラックファン貧血、シュワッハマン・ダイアモンド障害、コストマン症候群、慢性肉芽腫症、副腎白質ジストロフィー、白血球接着不全、血友病、サラセミア、ベータ-サラセミア、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性(骨髄)白血病(AML)、成人リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性慢性骨髄性白血病(CML)、及び若年性骨髄単球性白血病(JMML)、重症複合免疫不全症(SCID)、X連鎖性重症複合免疫不全症、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症、慢性肉芽腫症、チェディアック・東症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)またはAIDSである、実施形態328に記載の方法。
【1125】
330.前記細胞欠損症が、白血病もしくは骨髄腫と関連するか、または前記疾患もしくは状態が、白血病もしくは骨髄腫である、実施形態328に記載の方法。
【1126】
331.前記細胞欠損症が、自己免疫疾患もしくは状態と関連するか、または前記疾患もしくは状態が、自己免疫疾患もしくは状態である、実施形態293~309及び328のいずれかに記載の方法。
【1127】
332.前記自己免疫疾患または状態が、急性散在性脳脊髄炎、急性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗合成酵素症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性心筋症、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫増殖症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、多腺性自己免疫症候群、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロー病、バロー同心円硬化症、ベーチェット症候群、バージャー病、ビッカースタッフ脳炎、ブラウ症候群、水疱性類天疱瘡、がん、キャッスルマン病、セリアック病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性再発性多発性骨髄炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、補体成分2欠損症、頭蓋動脈炎、CREST症候群、クローン病、クッシング症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、デゴス病、ダーカム病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、びまん皮膚硬化型全身性強皮症、ドレスラー症候群、円板状エリテマトーデス、湿疹、付着部炎関連関節炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバン症候群、進行性骨化性線維異形成症、線維性肺胞炎、胃炎、胃腸類天疱瘡、巨細胞性動脈炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性脱髄疾患、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、封入体筋炎、炎症性脱髄性多発神経炎、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、川崎病、ランバート・イートン筋無力症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病(LAD)、ルー・ゲーリック病、ルポイド肝炎、エリテマトーデス、Majeed症候群、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎、ミラー・フィッシャー症候群、混合性結合組織病、限局性強皮症、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、視神経脊髄炎、ニューロミオトニア、眼瘢痕性類天疱瘡、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、オード甲状腺炎、回帰性リウマチ、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンベルグ症候群、パーソネージ・ターナー症候群、毛様体扁平部炎、天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、静脈周囲脳脊髄炎、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性神経障害、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、赤芽球癆、ラスムッセン脳炎、レイノー現象、再発性多発性軟骨炎、ライター症候群、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、関節リウマチ、リウマチ熱、サルコイドーシス、シュミット症候群、シュニッツラー症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、スティル病、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、Susac症候群、Sweet症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、未分化脊椎関節症、血管炎、白斑またはウェゲナー肉芽腫症である、実施形態331に記載の方法。
【1128】
333.前記細胞集団が、造血幹細胞(HSC)及び/またはその誘導体を含む集団である、実施形態328~332のいずれかに記載の方法。
【1129】
334.前記細胞欠損症が、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、神経変性疾患もしくは状態、注意欠如多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、精神病、うつ病、精神神経障害発作、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)と関連するか、あるいは前記疾患または状態が、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、神経変性疾患もしくは状態、注意欠如多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群(TS)、統合失調症、精神病、うつ病、精神神経障害発作、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、実施形態293~309のいずれかに記載の方法。
【1130】
335.前記細胞集団が、神経細胞及び/またはグリア細胞を含む集団である、実施形態334に記載の方法。
【1131】
336.前記細胞が、投与前に増殖及び凍結保存される、実施形態293~335のいずれかに記載の方法。
【1132】
337.前記集団を投与することが、前記集団の静脈内注射、筋肉内注射、血管内注射、または移植を含む、実施形態293~336のいずれかに記載の方法。
【1133】
338.前記集団が、腎被膜移植または筋肉内注射を介して移植される、実施形態337に記載の方法。
【1134】
339.前記集団がドナー対象に由来し、前記ドナーのHLA型が、前記患者のHLA型と一致しない、実施形態293~338のいずれかに記載の方法。
【1135】
340.前記集団がドナーに由来し、前記ドナーの血液型が、前記患者の血液型と一致せず、前記ドナーの前記血液型が、O型ではない、実施形態293~339のいずれかに記載の方法。
【1136】
341.前記集団がドナーに由来し、前記ドナーの前記血液型が、Rh因子(Rh)陽性であり、前記患者の前記血液型が、Rh陰性である、実施形態293~340のいずれかに記載の方法。
【1137】
342.前記患者の血清が、Rhに対する抗体を含む、実施形態293~341のいずれかに記載の方法。
【1138】
343.前記集団がヒト細胞集団であり、前記患者がヒト患者である、実施形態293~342のいずれかに記載の方法。
【1139】
344.前記細胞集団が、ABOの機能的Aアレル及び/またはABOの機能的Bアレルを含む、実施形態293~343のいずれかに記載の方法。
【1140】
345.前記細胞集団がABO式A抗原を提示し、前記患者の前記血清が抗A抗体を含む、実施形態344に記載の方法。
【1141】
346.前記細胞集団がABO式B抗原を提示し、前記患者の前記血清が抗B抗体を含む、実施形態344に記載の方法。
【1142】
347.前記細胞集団が、ABO式A及びB抗原を提示し、前記患者の前記血清が、抗A及び/または抗B抗体を含む、実施形態344に記載の方法。
【1143】
348.細胞集団がRh因子を発現し、前記患者の前記血清が抗Rh抗体を含む、実施形態293~347のいずれかに記載の方法。
【1144】
349.前記患者に1つ以上の免疫抑制剤を投与することをさらに含む、実施形態293~348のいずれかに記載の方法。
【1145】
350.前記患者が、1つ以上の免疫抑制剤を投与されている、実施形態293~348のいずれかに記載の方法。
【1146】
351.前記1つ以上の免疫抑制剤が、小分子または抗体である、実施形態349または実施形態350に記載の方法。
【1147】
352.前記1つ以上の免疫抑制剤が、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、コルチコステロイド、プレドニゾン、メトトレキサート、金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスパガリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、OKT3、抗胸腺細胞グロブリン、チモペンチン(チモシン-α)、及び免疫抑制抗体からなる群から選択される、実施形態349~351のいずれかに記載の方法。
【1148】
353.前記1つ以上の免疫抑制剤が、シクロスポリンを含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1149】
354.前記1つ以上の免疫抑制剤が、ミコフェノール酸モフェチルを含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1150】
355.前記1つ以上の免疫抑制剤が、コルチコステロイドを含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1151】
356.前記1つ以上の免疫抑制剤が、シクロホスファミドを含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1152】
357.前記1つ以上の免疫抑制剤が、ラパマイシンを含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1153】
358.前記1つ以上の免疫抑制剤が、タクロリムス(FK-506)を含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1154】
359.前記1つ以上の免疫抑制剤が、抗胸腺細胞グロブリンを含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1155】
360.前記1つ以上の免疫抑制剤が、1つ以上の免疫調節剤を含む、実施形態349~352のいずれかに記載の方法。
【1156】
361.前記1つ以上の免疫調節剤が、小分子または抗体である、実施形態360に記載の方法。
【1157】
362.前記抗体が、IL-2受容体のp75、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFN-ガンマ、TNF-アルファ、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-6、IGF、IGFR1、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、CD58からなる群から選択される受容体またはリガンド、及びそれらのリガンドのいずれかに結合する抗体のうち1つ以上に結合する、実施形態351または実施形態361に記載の方法。
【1158】
363.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与前に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~362のいずれかに記載の方法。
【1159】
364.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日前に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1160】
365.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1161】
366.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日後に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1162】
367.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後、またはそれよりも後に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1163】
368.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与と同じ日に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1164】
369.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の投与後に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1165】
370.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与後に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1166】
371.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与前に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1167】
372.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日前に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1168】
373.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間前またはそれよりも前に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1169】
374.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日後に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1170】
375.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の初回投与及び/または2回目の投与の少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間後、またはそれよりも後に前記患者に投与されるか、または投与されている、実施形態349~363のいずれかに記載の方法。
【1171】
376.前記1つ以上の免疫抑制剤が、前記操作細胞の前記改変を含まない免疫原性細胞の免疫拒絶を減少させるために投与される1つ以上の免疫抑制剤の投与量と比較して、少ない投与量で投与される、実施形態349~375のいずれかに記載の方法。
【1172】
377.前記操作細胞が、前記操作細胞の死滅を制御できる、実施形態293~376のいずれかに記載の方法。
【1173】
378.前記操作細胞が、自殺遺伝子または自殺スイッチを含む、実施形態293~377のいずれかに記載の方法。
【1174】
379.前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、薬物もしくはプロドラッグの存在下で、または選択的外因性化合物による活性化時に、細胞死の制御を誘導する、実施形態378に記載の方法。
【1175】
380.前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記操作細胞のアポトーシスを誘導できる誘導性タンパク質である、実施形態378または実施形態379に記載の方法。
【1176】
381.前記操作細胞のアポトーシスを誘導できる前記誘導性タンパク質が、カスパーゼタンパク質である、実施形態380に記載の方法。
【1177】
382.前記カスパーゼタンパク質がカスパーゼ9である、実施形態381に記載の方法。
【1178】
383.前記自殺遺伝子または自殺スイッチが、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、実施形態380または実施形態381に記載の方法。
【1179】
384.前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記1つ以上の免疫抑制剤を前記患者に投与した後に細胞死の制御を誘導するように活性化される、実施形態378~383のいずれかに記載の方法。
【1180】
385.前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記1つ以上の免疫抑制剤を前記患者に投与する前に細胞死の制御を誘導するように活性化される、実施形態378~383のいずれかに記載の方法。
【1181】
386.前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、前記操作細胞を前記患者に投与した後に細胞死の制御を誘導するように活性化される、実施形態378~385のいずれかに記載の方法。
【1182】
387.前記自殺遺伝子または前記自殺スイッチが、細胞傷害または他の負の結果が前記患者に生じる場合に細胞死の制御を誘導するように活性化される、実施形態378~386のいずれかに記載の方法。
【1183】
388.前記操作細胞集団の操作細胞の枯渇を可能にする薬剤を投与することを含む、実施形態293~387のいずれかに記載の方法。
【1184】
389.前記操作細胞の枯渇を可能にする前記薬剤が、前記操作細胞の前記表面上に発現されるタンパク質を認識する抗体である、実施形態388に記載の方法。
【1185】
390.前記抗体が、CCR4、CD16、CD19、CD20、CD30、EGFR、GD2、HER1、HER2、MUC1、PSMA、及びRQR8を認識する抗体からなる群から選択される、実施形態389に記載の方法。
【1186】
391.前記抗体が、モガムリズマブ、AFM13、MOR208、オビヌツズマブ、ウブリツキシマブ、オカラツズマブ、リツキシマブ、リツキシマブ-Rllb、トムゾツキシマブ、RO5083945(GA201)、セツキシマブ、Hul4.18K322A、Hul4.18-IL2、Hu3F8、ジニツキシマブ(dinituximab)、c.60C3-Rllc、及びそれらのバイオシミラーからなる群から選択される、実施形態389または実施形態390に記載の方法。
【1187】
392.前記操作細胞の前記表面上における前記1つ以上の寛容原性因子を認識する薬剤を投与することを含む、実施形態293~391のいずれかに記載の方法。
【1188】
393.前記操作細胞が、前記1つ以上の寛容原性因子を発現するように操作される、実施形態392に記載の方法。
【1189】
394.前記1つ以上の寛容原性因子が、A20/TNFAIP3、C1インヒビター、CCL21、CCL22、CD16、CD16 Fc受容体、CD24、CD27、CD35、CD39、CD46、CD47、CD52、CD55、CD59、CD200、CR1、CTLA4-Ig、DUX4、FasL、H2-M3、HLA-C、HLA-E、HLA-E重鎖、HLA-G、PD-L1、IDO1、IL-10、IL15-RF、IL-35、MANF、Mfge8、PD-1、PD-L1、Serpinb9、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の寛容原性因子を含む、実施形態293~393のいずれか1つに記載の方法。
【1190】
395.前記1つ以上の寛容原性因子がCD47を含む、実施形態393または394に記載の方法。
【1191】
396.前記1つ以上の寛容原性因子がHLA-Eを含む、実施形態293~395のいずれか1つに記載の方法。
【1192】
397.前記1つ以上の寛容原性因子がCD24を含む、実施形態293~396のいずれか1つに記載の方法。
【1193】
398.前記1つ以上の寛容原性因子がPDL1を含む、実施形態293~397のいずれか1つに記載の方法。
【1194】
399.前記1つ以上の寛容原性因子がCD55を含む、実施形態293~398のいずれか1つに記載の方法。
【1195】
400.前記1つ以上の寛容原性因子がCR1を含む、実施形態293~399のいずれか1つに記載の方法。
【1196】
401.前記1つ以上の寛容原性因子がMANFを含む、実施形態293~400のいずれか1つに記載の方法。
【1197】
402.前記1つ以上の寛容原性因子がA20/TNFAIP3を含む、実施形態293~401のいずれか1つに記載の方法。
【1198】
403.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びCD47を含む、実施形態293~402のいずれか1つに記載の方法。
【1199】
404.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD24、CD47、及びPDL1を含む、実施形態293~403のいずれか1つに記載の方法。
【1200】
405.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、及びPDL1を含む、実施形態293~404のいずれか1つに記載の方法。
【1201】
406.前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態293~405のいずれか1つに記載の方法。
【1202】
407.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態293~406のいずれか1つに記載の方法。
【1203】
408.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1からなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、CD24、CD47、PDL1、CD46、CD55、CD59、及びCR1を含む、実施形態293~407のいずれか1つに記載の方法。
【1204】
409.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E及びPDL1を含む、実施形態293~408のいずれか1つに記載の方法。
【1205】
410.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びA20/TNFAIPを含む、実施形態293~409のいずれか1つに記載の方法。
【1206】
411.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、及びMANFを含む、実施形態293~410のいずれか1つに記載の方法。
【1207】
412.前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFからなる群から選択される2つ以上の寛容原性因子を含み、任意に前記1つ以上の寛容原性因子が、HLA-E、PDL1、A20/TNFAIP、及びMANFを含む、実施形態293~411のいずれか1つに記載の方法。
【1208】
413.前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、実施形態393または実施形態394に記載の方法。
【1209】
414.前記患者に1つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、実施形態293~413のいずれかに記載の方法。
【1210】
415.前記患者が、1つ以上の追加の治療剤を投与されている、実施形態293~414のいずれかに記載の方法。
【1211】
416.前記方法の治療有効性をモニターすることをさらに含む、実施形態293~415のいずれかに記載の方法。
【1212】
417.前記方法の予防有効性をモニターすることをさらに含む、実施形態293~416のいずれかに記載の方法。
【1213】
418.1つ以上の疾患症状の所望の抑制が生じるまで繰り返される、実施形態293~417のいずれかに記載の方法。
【1214】
419.自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態1~140及び251~260のいずれかに記載の操作細胞。
【1215】
420.前記自殺遺伝子または自殺スイッチが、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、実施形態419に記載の操作細胞。
【1216】
421.前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、実施形態419または実施形態420に記載の操作細胞。
【1217】
422.前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記1つ以上の寛容原性因子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、実施形態419~421のいずれかに記載の操作細胞。
【1218】
423.前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した前記細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって組み込まれる、実施形態419または実施形態420に記載の操作細胞。
【1219】
424.前記バイシストロン性カセットが、前記細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれ、任意に前記標的挿入が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態419または420に記載の操作細胞。
【1220】
425.前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、実施形態419~424のいずれかに記載の操作細胞。
【1221】
426.前記操作細胞が、自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態141~250のいずれかに記載の方法。
【1222】
427.前記自殺遺伝子が、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、実施形態426に記載の方法。
【1223】
428.前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、実施形態426または実施形態427に記載の方法。
【1224】
429.前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記1つ以上の寛容原性因子が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、実施形態426または実施形態427のいずれかに記載の方法。
【1225】
430.前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞の前記ゲノムへの非標的挿入によって組み込まれる、実施形態428または実施形態429に記載の方法。
【1226】
431.前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれる、実施形態428または実施形態429に記載の方法。
【1227】
432.前記1つ以上の寛容原性因子がCD47である、実施形態426~431のいずれかに記載の方法。
【1228】
433.前記操作細胞集団の操作細胞が、自殺遺伝子または自殺スイッチをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態274~289のいずれかに記載の組成物。
【1229】
434.前記自殺遺伝子または自殺スイッチが、シトシンデアミナーゼ(CyD)、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-Tk)、誘導性カスパーゼ9(iCaspase9)、及びラパマイシン活性化カスパーゼ9(rapaCasp9)からなる群から選択される、実施形態433に記載の組成物。
【1230】
435.前記自殺遺伝子、及び前記自殺遺伝子または安全スイッチと関連する遺伝子が、前記操作細胞集団の操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、実施形態433または実施形態434に記載の組成物。
【1231】
436.前記自殺遺伝子または自殺スイッチ、及び前記外因性CD47が、前記操作細胞の前記ゲノム中に組み込まれているバイシストロン性カセットから発現される、実施形態433~435のいずれかに記載の組成物。
【1232】
437.前記バイシストロン性カセットが、前記ゲノムへの非標的挿入によって、任意にレンチウイルスベクターを使用した前記操作細胞集団の操作細胞中への前記外因性ポリヌクレオチドの導入によって組み込まれる、実施形態435または実施形態436に記載の組成物。
【1233】
438.前記バイシストロン性カセットが、前記操作細胞集団の操作細胞の標的ゲノム座位への標的挿入によって組み込まれ、任意に前記標的挿入が、相同組換え修復を伴うヌクレアーゼ媒介遺伝子編集によって行われる、実施形態435または実施形態436に記載の組成物。
【1234】
439.実施形態261~273のいずれかに記載の操作細胞集団または実施形態419~425のいずれかに記載の操作細胞を複数含む細胞集団と、凝固を減少させる抗凝固剤または細胞コーティングとを含む、組合せ。
【1235】
440.
(a)複数の操作細胞を含む細胞集団であって、
前記操作細胞が、
(i)CD46、CD59、及びCD55からなる群から選択される1つ以上の補体インヒビター(複数可)の発現を増加させる、
(ii)CD47の発現を増加させる、ならびに
(iii)1つ以上のMHCクラスI分子及び/または1つ以上のMHCクラスII分子の発現を減少させる
改変を含み、
ここで、(i)及び(ii)の前記発現増加ならびに(iii)の前記発現減少が、前記改変を含まない同じ細胞型の細胞と比較してのものである、前記細胞集団と、
(b)抗凝固剤と
を含む、組合せ。
【1236】
441.前記抗凝固剤が、ヘパリン、アンチトロンビンの活性化因子、凝固第II因子(fII)の阻害剤、凝固第VII因子(fVII)の阻害剤、及び凝固第X因子(fX)の阻害剤からなる群から選択される、実施形態439または実施形態440に記載の組合せ。
【1237】
442.前記抗凝固剤がヘパリンである、実施形態441に記載の組合せ。
【1238】
443.前記ヘパリンが未分画ヘパリンである、実施形態442に記載の組合せ。
【1239】
444.前記ヘパリンが低分子量ヘパリンである、実施形態443に記載の組合せ。
【1240】
445.前記ヘパリンが可溶性ヘパリンである、実施形態441~444のいずれかに記載の組合せ。
【1241】
446.前記抗凝固剤が、メラガトランまたはLMW-DSである、実施形態441に記載の組合せ。
【1242】
447.前記抗凝固剤が、N-アセチルシステイン(NAC)である、実施形態441に記載の組合せ。
【1243】
448.前記抗凝固剤が、アルファ-1アンチトリプシン(AAT)及び/または活性化プロテインCである、実施形態441に記載の組合せ。
【1244】
449.前記抗凝固剤が、CD142に対する抗体である、実施形態441に記載の組合せ。
【1245】
450.実施形態441~448のいずれか1つに記載の組成物を含む、キット。
【実施例】
【1246】
以下の実施例は、例示目的のために含まれているにすぎず、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【1247】
実施例1 ヒトABO不適合媒介CDCに対する、ヒトB2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg細胞におけるCD46、CD55、及び/またはCD59の過剰発現の効果
本実施例は、過剰発現している膜結合補体インヒビターの、CDCに対する効果を試験するための研究について記載している。CD46、CD55、及びCD59を、ヒトB2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tgヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)またはB2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg hiPSCから分化した内皮細胞において単独で、または様々な組合せで発現させた。
【1248】
A.方法
B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg低免疫細胞におけるCD46、CD55、及びCD59(単独またはその組合せ)の導入遺伝子発現。B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデルhiPSCを、標準的なCRISPR/Cas9遺伝子編集技術を使用して生成した。外因性CD47、ならびに1つ以上の外因性膜結合補体インヒビターであるCD46、CD55及びCD59をコードする導入遺伝子(tg)を、外因性タンパク質をコードするレンチウイルスベクターを用いた標準的なレンチウイルスベクター形質導入技術を使用して細胞に導入した。
【1249】
改変したhiPSCからの内皮細胞の分化。内皮細胞を、B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg低免疫細胞から、またはCD46、CD55、CD59、CD46及びCD59、CD46及びCD55、CD55及びCD59、もしくはCD46、CD55及びCD59を過剰発現するように追加で操作したhiPSCから分化させた。内皮細胞の分化は、Deuse,et al.“Hypoimmunogenic derivatives of induced pluripotent stem cells evade immune rejection in fully immunocompetent allogeneic recipients”Nature biotechnology vol.37,3(2019):252-258(その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されるように実施した。
【1250】
フローサイトメトリー。操作細胞上のHLA-I、HLA-II、CD47、CD46、CD55、及び/またはCD59の表面発現レベルを、抗体特異的試薬を使用するフローサイトメトリーによって細胞を染色することにより評価した。アイソタイプ抗体を対照として使用した。操作細胞を分析のためにプールしたか、または導入遺伝子の陽性(+)表面発現(アイソタイプよりも30~60倍発現)、導入遺伝子の高(++)表面発現(アイソタイプよりも61~400倍発現)もしくは導入遺伝子の超高(+++)発現(アイソタイプよりも400倍超)に選別した。
【1251】
ABO不適合血清を用いたヒト細胞内でのCDCアッセイ。B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg hiPSCまたはCD46、CD55、CD59、CD46及びCD59、CD46及びCD55、CD55及びCD59、もしくはCD46、CD55及びCD59を過剰発現するようにも操作したhiECを、ABO不適合ヒト血清と共にインキュベートし、CDCを、細胞増殖及び細胞の生存能のラベルフリーモニタリングを提供するために、xCELLigence(商標)MPプラットフォーム(ACEA Biosciences)上でインキュベーションの経時的な細胞溶解を測定することによって分析した。インピーダンスの変化を、細胞指数(CI)として報告した(細胞指数の低減は、細胞の溶解または死滅の増加を示す)。
【1252】
B.結果
B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg細胞は、CDCから保護されていない。
図1A及び
図1Bに示す通り、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSC及びhiECはそれぞれ、HLA-IまたはHLA-IIを発現せず、CD47を過剰発現する。
図2A及び
図2Bに示す通り、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSC及びhiECもそれぞれ、CD46、CD55、及びCD59補体阻害性受容体の内因性表面発現を示す。補体阻害性受容体の発現にもかかわらず、結果は、細胞がCDCから保護されていなかったことを示した。具体的には、ABO不適合血清とのインキュベーションによって、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSC(
図3A)及びB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiEC(
図3B)の両方とも、迅速な死滅がもたらされた。
【1253】
CD46及びCD59またはCD46、CD55、及びCD59の過剰発現は、ABO不適合媒介CDCから細胞を保護する。1つ以上の膜結合補体インヒビターの過剰発現が細胞をCDCから保護することになるかを決定するために、B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg hiPSCまたはCD46、CD55、及びCD59のうち1つ以上を過剰発現するように操作したhiECを、CDCに対する耐性について評価した。
【1254】
非形質導入細胞(内因性発現)または形質導入細胞プールもしくは個々のクローンにおけるCD46、CD55、及び/またはCD59の発現レベルを、以下の表E1(hiPSC)及び表E2(hiEC)に提供する。形質導入細胞プール及びクローンにおける過剰発現は、以下の通りに分類した:+=アイソタイプ対照よりも30~60倍、++=アイソタイプ対照よりも61~400倍、及び+++=アイソタイプ対照よりも400倍超。個々の補体インヒビター受容体をコードする導入遺伝子を含有するレンチウイルスベクターで形質導入したB2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg hiPSCまたはhiECのフローサイトメトリー分析によって、表E1及び表E2に示す通り、CD46、CD55、及びCD59の表面発現の増加が実証された。
【1255】
B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSCまたはhiECにおけるCD46、CD55、またはCD59の個々の過剰発現は、個々の補体インヒビター:CD46(
図4A、hiPSC、
図4B、hiEC)、CD55(
図5A、hiPSC、
図5B、hiEC)、またはCD59(
図6A、hiPSC、
図6B、hiEC)の超高(+++)発現を有する代表的なクローンについても、CDCから細胞を保護しなかった。表E1及び表E2に示した他の個々の補体インヒビター発現クローンについての、ABO不適合性CDCアッセイでも同様の結果を得た。CD46及びCD55のB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSC(表E1)またはB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiEC(表E2)の組合せの過剰発現(高(++)発現でも)は、CDCに対して若干の保護を提供したが、hiPSCについては
図7Aに、及びhiECについては
図7Bに示した通り、細胞死滅を予防するのに効果的ではなかった。B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSC(表E1)またはB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiEC(表E2)におけるCD55及びCD59の組合せの過剰発現(高(++)発現でも)も、hiPSCについては
図8Aに、及びhiECについては
図8Bに示した通り、CDCに対する保護を一切提供しなかった。
【1256】
対照的に、B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSC(表E1)またはB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiEC(表E2)におけるCD46及びCD59の組合せの過剰発現は、代表的なhiPSCクローンについては
図9Aに、及び代表的なhiECクローンについては
図9Bに示した通り、実質的にCDCによる細胞死滅を減少させたか、または回避した。さらに、CD49及びCD59の高(++)発現(例えば、表E1及びE2に示したように、アイソタイプ対照よりも100倍未満)も、CDCを予防するのに十分であった。
【1257】
B2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiPSC(表E1)またはB2M
インデル/インデル、CIITA
インデル/インデル、CD47tg hiEC(表E2)におけるCD46、CD55、及びCD59の組合せの過剰発現も、代表的なhiPSCクローンについては
図10Aに、及び代表的なhiECクローンについては
図10Bに示した通り、実質的にCDCによる細胞死滅を減少させたか、または回避したため、hiPSCまたはhiECの生存をもたらした。
【1258】
hiPSC(hiEC)から単独で(すなわち、ABO不適合血清を添加することなく)分化させた内皮細胞についてのCDCアッセイの結果を、
図11に提供する。ABO不適合血清の存在下で、hiEC単独(対照)の生存と、CD46及びCD59(
図9A~9B)またはCD46、CD55、及びCD59(
図10A~10B)を過剰発現するhiPSCまたはhiECの生存との間に有意差を全く観察せず、これはCD46及びCD59またはCD46、CD55、及びCD59の過剰発現がCDCを遮断したことを示した。
【1259】
CDCアッセイの結果を図面内で代表的なクローンについて示しているが、以下の表E1及び表E2に示す全てのクローンについても同様の結果を得た。特に、CD46、CD55、またはCD59で個々に形質導入したプール及びクローンについて、ならびにCD46及びCD55またはCD55及びCD59で形質導入したプール及びクローンについては、CDC媒介死滅を観察した。対照的に、CD46及びCD59で形質導入したか、またはCD46、CD59、及びCD55で形質導入したプール及びクローンについては、生存(CDC媒介死滅に対する保護)を観察した。
【1260】
まとめると、これらの結果は、膜結合補体インヒビターのCD46、CD55、及びCD59を含む、CDCの阻害剤を内因的に発現する、hiPSC及び分化細胞(hiECなど)を含む細胞が、自然または適応免疫応答を誘発しないB2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg細胞であっても、CDCから細胞を十分に保護できない可能性があることを実証している。しかしながら、データは、CD59と共にCD46を、またはCD59及びCD55と共にCD46を過剰発現すると、細胞表面上の抗原に結合する抗体(例えば、ABO不適合血清中の抗A抗体または抗B抗体)の存在下であっても、これらの細胞をCDCから保護することを実証している。
【1261】
【1262】
【1263】
実施例2 ヘパリンを有するB2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg、CD46tg、CD59tg hiPSC由来のベータ島細胞の移植
B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg、CD46tg、CD59tg hiPSCを、実施例1に記載したように生成する。改変したhiPSCを、例えば、米国特許公開第2021/0207099号、Hogrebe et al.,“Targeting the cytoskeleton to direct pancreatic differentiation of human pluripotent stem cells,”Nat.Biotechnol.,2020,38:460-470,doi:10.1038/s41587-020-0430-6、及びHogrebe et al.,“Generation of insulin-producing pancreatic beta cells from multiple human stem cell lines,”Nat.Protoc.,2021,doi:10.1038/s41596-021-00560-y(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されるように、ベータ島細胞の分化に関する確立されたプロトコールに従って、ベータ島細胞(改変した低免疫原性ベータ島細胞)に分化させる。
【1264】
B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg、CD46tg、CD59tg hiPSCから分化させた改変低免疫原性ベータ島細胞を、I型糖尿病患者に筋肉内注射または門脈内注射によって移植する。患者に、静脈内注射によって100、500、または2500単位/kgでヘパリンを投与する。
【1265】
移植したベータ島細胞の長期的機能を、血糖値をアッセイすることによって分析する。標準的なプロトコールに従って、4時間の絶食後に血糖測定を行う。80~120mg/dLの血糖値は非糖尿病性に分類し、200mg/dLを超える血糖値は糖尿病性に分類する。
【1266】
B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg、CD46tg、CD59tgを組み合わせた改変は、移植したhiPSC由来のベータ島細胞の長期生存及び生着を改善し、移植したhiPSC由来のベータ島細胞の(例えば、血糖値によってモニターする場合に)長期機能を改善する。改変低免疫原性ベータ島細胞(B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD47tg、CD46tg、CD59tg)の投与と組み合わせたヘパリンの投与は、移植したhiPSCの生存、生着、及び/または機能を改善し得、及び/またはhiPSC由来のベータ島細胞の移植に応答する凝固経路の活性化を減少させ得る(例えば、移植後にトロンビン-アンチトロンビンIII複合体(TAT)またはC-ペプチドのレベルを減少させる)。
【1267】
実施例3 B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD142インデル/インデル、CD47tg hiPSC由来のベータ島細胞の移植
B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD142インデル/インデル、CD47tg hiPSCを、実施例1に記載したように生成し、上記実施例2に記載したようにベータ島細胞に分化させる。
【1268】
1型糖尿病患者に、さらにヘパリンを患者に投与しないことを除いて実施例2に記載したように、B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD142インデル/インデル、CD47tg hiPSCから分化した改変低免疫原性ベータ島細胞を移植する。患者を、実施例2に記載したように、移植細胞の生着、長期生存、及び長期的機能についてモニターする。
【1269】
B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD142インデル/インデル、CD47tgを組み合わせた改変は、移植したhiPSC由来のベータ島細胞の長期生存及び生着を改善し、移植したhiPSC由来のベータ島細胞の(例えば、血糖値によってモニターする場合に)長期機能を改善する。B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD142インデル/インデル、CD47tgは、補体依存性細胞傷害を減少させ、hiPSC由来のベータ島細胞の移植に応答する凝固経路の活性化を減少させ得る(例えば、移植後にトロンビン-アンチトロンビンIII複合体(TAT)またはC-ペプチドのレベルを減少させる)。したがって、B2Mインデル/インデル、CIITAインデル/インデル、CD142インデル/インデル、CD47tg改変ベータ島細胞は、移植後の即時血液媒介性免疫反応(IBMIR)経路の活性化を回避し得る。
【1270】
本発明は、例えば、本発明の様々な態様を例示するために提供される、特定の開示される実施形態の範囲に限定されることを意図するものではない。記載される組成物及び方法に対する様々な変更が、本明細書の記載及び教示から明らかとなる。そのような変化形態は、本開示の真の範囲及び趣旨から逸脱することなく実施されてよく、本開示の範囲内であることを意図する。
【1271】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】