(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】抗受容体チロシンキナーゼ関連タンパク質(Ryk)抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240925BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240925BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240925BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240925BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240925BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240925BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240925BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240925BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C07K16/28
C07K16/46 ZNA
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/62 Z
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509394
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022075147
(87)【国際公開番号】W WO2023023600
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507127440
【氏名又は名称】ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイー・オブ・カリフオルニア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キップス,トーマス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィドホップ・ザ・セカンド,ジョージ・エフ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書において、とりわけ、高い効率及び特異性で受容体チロシンキナーゼ関連タンパク質(Ryk)に結合する抗体が提供される。本明細書で提供される抗体及び抗体組成物は、例えば、新規の軽鎖及び重鎖ドメインCDR及びフレームワーク領域を含み、とりわけ、がん及び他のRYK関連疾患の診断及び治療に有用である。実施形態では、本明細書で提供される抗RYK抗体は、ヒトRYKタンパク質に結合することができるが、マウスRYKタンパク質には結合しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗RYK抗体であって、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインが、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含み、
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
【請求項2】
前記重鎖可変ドメインが、配列番号15の配列を含む、請求項1に記載の抗RYK抗体。
【請求項3】
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号16の配列を含む、請求項1又は2に記載の抗RYK抗体。
【請求項4】
前記抗RYK抗体が、約2pM~約2nMのK
Dを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項5】
前記抗RYK抗体が、約513pMのK
Dを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項6】
抗RYK抗体であって、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインが、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含み、
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
【請求項7】
前記重鎖可変ドメインが、配列番号31の配列を含む、請求項6に記載の抗RYK抗体。
【請求項8】
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号32の配列を含む、請求項6又は7に記載の抗RYK抗体。
【請求項9】
前記抗RYK抗体が、約6nM~約17nMのK
Dを有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項10】
前記抗RYK抗体が、約10nMのK
Dを有する、請求項6~9のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項11】
抗RYK抗体であって、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインが、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含み、
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
【請求項12】
前記重鎖可変ドメインが、配列番号47の配列を含む、請求項11に記載の抗RYK抗体。
【請求項13】
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号48の配列を含む、請求項11又は12に記載の抗RYK抗体。
【請求項14】
抗RYK抗体であって、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインが、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含み、
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
【請求項15】
前記重鎖可変ドメインが、配列番号63の配列を含む、請求項14に記載の抗RYK抗体。
【請求項16】
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号64の配列を含む、請求項14又は15に記載の抗RYK抗体。
【請求項17】
前記抗RYK抗体が、キメラ抗体である、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項18】
前記抗RYK抗体が、Fab’断片である、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項19】
前記抗RYK抗体が、IgGである、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項20】
前記軽鎖可変ドメイン及び前記重鎖可変ドメインが、scFvの一部を形成する、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項21】
前記抗RYK抗体が、RYKタンパク質に結合することができる、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項22】
前記抗RYK抗体が、細胞外RYKドメインに結合する、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項23】
前記抗RYK抗体が、配列番号129のアミノ酸配列を含む細胞外RYKドメインに結合する、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項24】
前記抗RYK抗体が、配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列に結合する、請求項1~23のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項25】
前記抗RYK抗体が、RYKタンパク質に結合されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項26】
前記RYKタンパク質が、ヒトRYKタンパク質である、請求項21~25のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項27】
前記RYKタンパク質が、配列番号130の配列を含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項28】
前記RYKタンパク質が、マウスRYKタンパク質に結合しない、請求項21~27のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項29】
前記抗RYK抗体が、配列番号131のアミノ酸残基32~41に対応するアミノ酸配列を含むRYKタンパク質に結合しない、請求項21~28のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項30】
前記RYKタンパク質が、細胞の一部を形成する、請求項25~28のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項31】
前記RYKタンパク質が、細胞の表面に発現される、請求項21~30のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項32】
抗RYK抗体であって、前記抗RYK抗体が、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
【請求項33】
抗RYK抗体であって、前記抗RYK抗体が、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
【請求項34】
抗RYK抗体であって、前記抗RYK抗体が、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
【請求項35】
抗RYK抗体であって、前記抗RYK抗体が、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
【請求項36】
前記抗RYK抗体が、治療用部分又は診断用部分に結合されている、請求項1~35のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか一項に記載の抗RYK抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項38】
請求項1~36のいずれか一項に記載の抗RYK抗体、又は請求項37に記載の核酸を含む、細胞。
【請求項39】
治療有効量の請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項40】
RYKタンパク質に結合することができる抗体を形成する方法であって、前記方法が、配列番号129の配列を含むペプチドで哺乳動物を免疫することを含む、方法。
【請求項41】
RYK発現細胞を検出する方法であって、前記方法が、(i)RYK発現細胞を請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体と接触させることと、(ii)前記細胞によって発現されるRYKタンパク質への前記抗体の結合を検出することと、を含む、方法。
【請求項42】
前記抗体が、検出可能な部分に結合されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記RYK発現細胞が、生体試料中にある、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記生体試料が、全血、血液画分若しくは血液製剤、組織、又は培養細胞である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記RYK発現細胞が、がん細胞である、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記がん細胞が、膀胱がん細胞、脳がん細胞、乳がん細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、結腸がん細胞、ユーイング肉腫細胞、肺がん細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、卵巣がん細胞、膵臓がん細胞、皮膚がん細胞、又は黒色腫細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
がんの治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、前記方法が、対象に、治療有効量の請求項1~36のいずれか一項に記載の抗RYK抗体を投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記がんが、膀胱がん、脳がん、乳がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、ユーイング肉腫、肺がん、マントル細胞リンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、皮膚がん、又は黒色腫である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
抗RYK抗体を特定する方法であって、前記方法が、
(i)抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含む第1のRYKポリペプチドと接触させることと、
(ii)前記第1のRYKポリペプチドに結合する前記抗体を検出することと、
(iii)前記抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含まない第2のRYKポリペプチドと接触させることと、
(iv)前記第2のRYKポリペプチドに結合しない前記抗体を検出し、それによって、抗RYK抗体を特定することと、を含む、方法。
【請求項50】
前記抗体が、キメラ抗体である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記抗体が、Fab’断片である、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗体が、単鎖抗体である、請求項49又は50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月18日に出願された米国仮出願第63/234,527号の優先権を主張し、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府の助成による研究開発の下で行われた発明に対する権利に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与されたCA236361に基づき、政府の支援を受けて作製された。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
配列表
添付の配列表の資料は、その全体が参照により本明細書に援用される。「048537-648001WO_SL_ST26.xml」という名前の添付ファイルは、2022年8月15日に作成され、120,584バイトである。このファイルは、Windows OSを使用するコンピュータで、Microsoft Wordを使用してアクセスすることができる。
【背景技術】
【0004】
受容体チロシンキナーゼ関連タンパク質(related-to-receptor tyrosine kinase、Ryk)は、Wingless-int(Wnt)リガンド(例えば、Wnt11、Wnt3a1、Wnt5a2、及び場合によってはWnt5b3)の高度に保存された1回膜貫通受容体である。細胞外ドメインは、WIF(Wnt抑制因子-1様)ドメインを有し、これは、Wntシグナル伝達ネットワークにおけるクロストーク(crosstalk)のためのFrizzled(Frz)受容体との複合体形成を開始して、β-カテニン依存性及びβ-カテニン非依存性(例えば、非正準)Wntシグナル伝達経路の活性化に影響を及ぼす可能性がある1、4、5。細胞質ドメインは、明らかなキナーゼ活性を欠くチロシンキナーゼドメインを有する5~7。しかしながら、Rykの細胞質ドメインは、ガンマセクレターゼによって切断され、核移行のために放出される可能性があり8、それが細胞シグナル伝達の調節において代替的な役割を果たしている可能性があることを示唆する。
【0005】
Rykは、主に胚発生において役割を果たし、軸索伸長、心血管及び頭蓋顔面の発生、並びに胎児肝臓の造血を調節する9~11、12。RYKのゲノムの破壊は、周産期致死をもたらす。初期発生におけるRykの重要性にもかかわらず、その発現は、発生中に減衰するようであり、産後、組織で決定的に発現されないようである。しかしながら、Rykを発現する生細胞と反応する高親和性の非常に特異的な抗Rykモノクローナル抗体(mAb)が存在しないため、Rykの出生後の発現は十分に研究されていない。
【0006】
しかしながら、注目すべきことに、様々ながんによるRykの発現を記載した報告がある5。例えば、Rykは、膠芽腫において明らかに発現されており、Wnt/β-カテニン経路を調節する能力によって、膠芽腫細胞の「幹細胞性」を促進する13。更に、Rykは、乳がんでも発現している可能性があり、乳がん腫瘍開始細胞の増殖を促進するとされており、乳がん細胞の増殖を増強することが示されている14、15。Rykはまた、胃がん腫瘍形成に関与している16。繰り返しになるが、様々ながんによるRykの発現の評価は、がん細胞及び正常な産後組織におけるRykの相対的な発現を調べるための非常に特異的な抗Ryk mAbが欠如しているため困難であった。
【0007】
例えば、早期発生及び新生物におけるRykの機能的意義を研究するために、Rykを発現する細胞に非常に特異的であるmAbが当該技術分野で必要とされている。したがって、検出、排除、機能阻害、免疫媒介性破壊、又は標的化薬物送達のためにRykを発現する細胞を標的とするmAbが当該技術分野で必要とされている。細胞上のRykの発現を評価するために使用される市販の試薬は、異種抗血清、例えば、ヒツジ抗Ryk(R&D systems)に由来する抗体である。これらの抗Ryk抗体は、Rykに結合するように選択された。しかし、それらはヒトRykに特異的ではなく、ヒトRykを発現しない細胞と交差反応する。ヒトRykに特異的であると主張されている市販のmAbが1つある(例えば、SAP18、LSBio 2401 Fourth Avenue Suite 900,Seattle WA 98121)。しかしながら、このmAbは、明らかに変性したヒトRykと反応する。したがって、このmAbは、免疫ブロット又はELISAアッセイでRykを検出するために使用することができるが、生細胞上の細胞表面Rykに対する特異的な結合が明らかに欠如しているため、フローサイトメトリーでの使用については検証されていない。要約すると、以前に生成された抗Ryk抗体は、Rykを発現するがんを有する患者の療法における潜在的な使用に好適ではないようである。
【0008】
本明細書では、とりわけ、当該技術分野におけるこれら及び他のニーズに対する解決策が提供される。
【発明の概要】
【0009】
一態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む。
【0010】
別の態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む。
【0011】
別の態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む。
【0012】
別の態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む。
【0013】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、抗RYK抗体が、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0014】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、抗RYK抗体が、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0015】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、抗RYK抗体が、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0016】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、抗RYK抗体が、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0017】
別の態様では、本明細書で提供される抗RYK抗体(その実施形態を含む)をコードする、単離された核酸が提供される。
【0018】
別の態様では、本明細書で提供される抗RYK抗体(その実施形態を含む)又は本明細書で提供される核酸(その実施形態を含む)を含む、細胞が提供される。
【0019】
別の態様では、本明細書で提供される治療有効量の抗体(その実施形態を含む)及び薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物が提供される。
【0020】
別の態様では、RYKタンパク質に結合することができる抗体を形成する方法が提供され、本方法は、配列番号129の配列を含むペプチドで哺乳動物を免疫することを含む。
【0021】
別の態様では、RYK発現細胞を検出する方法が提供され、本方法は、(i)RYK発現細胞を、本明細書で提供される抗体(その実施形態を含む)と接触させることと、(ii)細胞によって発現されるRYKタンパク質に対する抗体の結合を検出することと、を含む。
【0022】
別の態様では、がんの治療を必要とする対象においてそれを行う方法が提供され、本方法は、対象に、治療有効量の本明細書で提供される抗RYK抗体(その実施形態を含む)を投与することを含む。
【0023】
別の態様では、抗RYK抗体を特定する方法が提供され、本方法は、(i)抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含む第1のRYKポリペプチドと接触させることと、(ii)第1のRYKポリペプチドに結合する抗体を検出することと、(iii)抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含まない第2のRYKポリペプチドと接触させることと、(iv)第2のRYKポリペプチドに結合しない抗体を検出し、それによって、抗RYK抗体を特定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ヒトRYK及びマウスRYKの細胞外領域の比較を示す。ヒトRYK(hRYK、上の配列;配列番号132)及びマウスRYK(mRYK、下の配列、配列番号131)の細胞外領域のアミノ酸配列のアラインメントを示す。ドットは、その位置での相同性を示し、差異は、一文字のアミノ酸コドンによって示されている。シグナルペプチド及びWIFドメインは、配列(配列番号132)の上の線によって標識及び示されている。
【
図2A】2-D11(
図2A、配列番号15及び配列番号16)、7-H10(
図2B、配列番号31及び配列番号32)、11-E9(
図2C、配列番号47及び配列番号48)、並びに3-C12(
図2D、配列番号63及び配列番号64)と称される、4つのマウス抗ヒトRYKハイブリドーマの各々について示されたアミノ酸配列、及び最も近いマウスIGHV(上の配列)又はIGKV(下の配列)生殖系列遺伝子とのアラインメントを示す。各アラインメントについて、上の配列は、第1のフレームワーク領域の第1のコドンから始まり、第4のフレームワーク領域の最後のコドンで終わる、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。下の配列は、最も相同なマウスIGHV又はIGKV生殖系列遺伝子の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。ドットは、その位置での相同性を示し、差異は、一文字のアミノ酸コドンによって示されている。フレームワーク(FR)領域及び相補性決定(CDR)領域は、配列の上にマークされている。
【
図2B】2-D11(
図2A、配列番号15及び配列番号16)、7-H10(
図2B、配列番号31及び配列番号32)、11-E9(
図2C、配列番号47及び配列番号48)、並びに3-C12(
図2D、配列番号63及び配列番号64)と称される、4つのマウス抗ヒトRYKハイブリドーマの各々について示されたアミノ酸配列、及び最も近いマウスIGHV(上の配列)又はIGKV(下の配列)生殖系列遺伝子とのアラインメントを示す。各アラインメントについて、上の配列は、第1のフレームワーク領域の第1のコドンから始まり、第4のフレームワーク領域の最後のコドンで終わる、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。下の配列は、最も相同なマウスIGHV又はIGKV生殖系列遺伝子の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。ドットは、その位置での相同性を示し、差異は、一文字のアミノ酸コドンによって示されている。フレームワーク(FR)領域及び相補性決定(CDR)領域は、配列の上にマークされている。
【
図2C】2-D11(
図2A、配列番号15及び配列番号16)、7-H10(
図2B、配列番号31及び配列番号32)、11-E9(
図2C、配列番号47及び配列番号48)、並びに3-C12(
図2D、配列番号63及び配列番号64)と称される、4つのマウス抗ヒトRYKハイブリドーマの各々について示されたアミノ酸配列、及び最も近いマウスIGHV(上の配列)又はIGKV(下の配列)生殖系列遺伝子とのアラインメントを示す。各アラインメントについて、上の配列は、第1のフレームワーク領域の第1のコドンから始まり、第4のフレームワーク領域の最後のコドンで終わる、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。下の配列は、最も相同なマウスIGHV又はIGKV生殖系列遺伝子の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。ドットは、その位置での相同性を示し、差異は、一文字のアミノ酸コドンによって示されている。フレームワーク(FR)領域及び相補性決定(CDR)領域は、配列の上にマークされている。
【
図2D】2-D11(
図2A、配列番号15及び配列番号16)、7-H10(
図2B、配列番号31及び配列番号32)、11-E9(
図2C、配列番号47及び配列番号48)、並びに3-C12(
図2D、配列番号63及び配列番号64)と称される、4つのマウス抗ヒトRYKハイブリドーマの各々について示されたアミノ酸配列、及び最も近いマウスIGHV(上の配列)又はIGKV(下の配列)生殖系列遺伝子とのアラインメントを示す。各アラインメントについて、上の配列は、第1のフレームワーク領域の第1のコドンから始まり、第4のフレームワーク領域の最後のコドンで終わる、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。下の配列は、最も相同なマウスIGHV又はIGKV生殖系列遺伝子の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。ドットは、その位置での相同性を示し、差異は、一文字のアミノ酸コドンによって示されている。フレームワーク(FR)領域及び相補性決定(CDR)領域は、配列の上にマークされている。
【
図3】本開示の抗ヒトRYK mAbの各々によって結合された結合領域エピトープhRYKをマッピングするために使用されるhRYKの変異形態を有するhROR1(配列番号129)の細胞外ドメインの比較を示す。アミノ酸配列によって表されるタンパク質の名前は、左端にある。アミノ酸は、一文字のアミノ酸コードによって示されている。右端又は配列の上に提供されている数字は、以下のアミノ酸残基の位置の数字である。配列内のドットは、その位置でのhRYKとの配列相同性を示す。文字は、その位置にhRYKに存在するものとは異なる変異体RYKのアミノ酸を示す。RYK細胞外ドメインのWIFドメインは、下線が引かれているアミノ酸配列の上に示されている。
【
図4A】ヒトRYK(配列番号129)の細胞外ドメインに対する抗ヒトRYK mAbの結合に必要なアミノ酸の歯化を示す。
図4Aは、細胞外ドメイン内でヒトRYKとマウスRYKとの間で異なる1つのアミノ酸が、マウスRYKの対応するアミノ酸で置き換えられた組換えヒトRYKタンパク質(配列番号129)を使用して、2-D11、7-H10、3-C12、11-E9、6-B5、6-D10、及びヒツジ抗RYK mAbの結合を評価した実験を示す。各組換えタンパク質をナイロン膜に転写し、示された抗RYK mAb又はヒツジ抗RYK Abでプローブし、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートされた抗マウスIgG又はロバ抗ヒツジ抗体で検出した。ウサギ抗IgGブロッティングは、組換えタンパク質がウサギIgGタグfpr精製を有するため、タンパク質ブロッティング及び検出に対して陽性である。ヒト及びマウスRYKの細胞外ドメインのタンパク質配列のアラインメントを、下のパネルに示し、四角で囲まれたアミノ酸は、各組換えタンパク質に対して行われたアミノ酸の変更を示す。
【
図4B】ヒトRYK(配列番号129)の細胞外ドメインに対する抗ヒトRYK mAbの結合に必要なアミノ酸の歯化を示す。
図4Bは、結合を更に評価するための2-D11抗体による追加のブロッティングを示す。ここで、リーダーペプチド内又はヒトRYKタンパク質(配列番号129)のWIFドメインに隣接するコード領域内で置換が行われた。mRYK 48~57を有するhRYKは、48~57位のマウスアミノ酸が置換されたヒトRYKであり、ヒトRYKに融合されたマウスリーダー領域の置換の場合と同様に、ヒトRYKへの結合の喪失を付与する。
【
図5A】mAb 2-D11の可変領域配列を示す。
図5Aは、mAb 2-D11のIg重鎖可変領域配列を示す。
図5Bは、mAb 2-D11のIgカッパ鎖可変領域配列を示す。
【
図5B】mAb 2-D11の可変領域配列を示す。
図5Bは、mAb 2-D11のIgカッパ鎖可変領域配列を示す。
【
図6A】mAb 7-H10の可変領域配列を示す。
図6Aは、mAb 7-H10のIg重鎖可変領域配列を示す。
【
図6B】mAb 7-H10の可変領域配列を示す。
図6Bは、mAb 7-H10のIgカッパ鎖可変領域配列を示す。
【
図7A】組換えヒトRYK2タンパク質への2-D11及び7-H10 mAbの結合の親和性の測定を示す。分析は、KinExA3200機器を使用して行った。
図7A:2-D11 mAb(左上のパネル)及び7-H10 mAb(左下のパネル)について、可溶性RYK競合物質(x軸)のモル(M)濃度の増加の存在下でRYKタンパク質(y軸)でコーティングされた粒子に結合した抗ヒトRYK mAbの割合を示す。
【
図7B】組換えヒトRYK2タンパク質への2-D11及び7-H10 mAbの結合の親和性の測定を示す。分析は、KinExA3200機器を使用して行った。
図7B:ヒトRYKへの結合についての2-D11 mAb(右上のパネル)及び7-H10 mAb(右下のパネル)の測定されたK
Dの95%信頼区間の図。
【
図8】2-D11抗ヒトRYK mAbがヒトRYKに特異的に結合することを示す。ヒトRYKへの2-D11 mAbの結合を、フローサイトメトリー染色及びいくつかの細胞株の分析によって評価した。細胞を、10ug/mlの2-D11抗ヒトRYK-Alexa647コンジュゲートmAb(影付きヒストグラム)又は等量のアイソタイプ一致対照mAb(白抜きヒストグラム)で20分間氷上で染色し、洗浄し、分析した。ヒストグラムは、光散乱特性によって決定される生細胞の相対蛍光強度(x軸)を示す。++、+、及びnegは、アイソタイプ対照染色細胞のMFIに対する染色細胞の中央値蛍光強度(MFI)の比に基づいて、これら及び他の細胞株について表1に示される染色レベルに対応する。
【
図9】成人血液、臍帯血(N=2)、扁桃(N-2)、又は脾臓からのリンパ球細胞の2-D11染色の例を示す。
【
図10】一次継代乳がん患者由来異種移植片(PDX)を示す。一次継代(T1)乳がんPDX(M0026)は、エストロゲン/プロゲステロン受容体陰性及びHER2陰性乳がん(トリプルネガティブ乳がん、TNBC)に由来する。M0026のヒトTNBC細胞を単一細胞に解離し、これを蛍光色素コンジュゲートアイソタイプ対照mAb(Cont mAb、濃い灰色のヒストグラム)又は蛍光色素コンジュゲート2-D11(明るい灰色の影付きヒストグラム)で染色し、次いで、フローサイトメーターで分析した。Cont mAb染色細胞は、未染色細胞(図示せず)と同じ蛍光を有した。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の様々な実施形態及び態様が本明細書に示され説明されているが、そのような実施形態及び態様が単なる例として提供されていることは、当業者にとって明らかであろう。本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換がここで当業者に想起されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明の実施において用いられ得ることは理解されるべきである。
【0026】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のためだけのものであり、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。限定するものではないが、特許、特許出願、記事、書籍、マニュアル、及び論文を含む、本願で引用された全ての文書又は文書の一部は、任意の目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に援用される。
【0027】
本明細書で使用される略語は、化学及び生物学の分野内のそれらの従来の意味を有する。本明細書に記載の化学構造及び式は、化学の分野で既知の化学原子価の標準規則に従って構築される。
【0028】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Singleton et al.,DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)、Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,Cold Springs Harbor Press(Cold Springs Harbor,NY 1989)を参照されたい。本明細書に記載のものと類似又は同等の任意の方法、装置、及び材料を、本発明の実施の際に使用することができる。以下の定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提示され、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0029】
「核酸」とは、一本鎖、二本鎖、若しくは多本鎖のいずれかの形態のヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド)及びそのポリマー又はその相補体、あるいはヌクレオシド(例えば、デオキシリボヌクレオシド若しくはリボヌクレオシド)を指す。実施形態では、「核酸」は、ヌクレオシドを含まない。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」などの用語は、通常かつ慣習的な意味で、ヌクレオチドの線状配列を指す。「ヌクレオシド」という用語は、通常かつ慣習的な意味で、核酸塩基及び五炭糖(リボース又はデオキシリボース)を含むグリコシルアミンを指す。ヌクレオシドの非限定的な例としては、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジン、及びイノシンが挙げられる。「ヌクレオチド」という用語は、通常かつ慣習的な意味で、単一のポリヌクレオチド単位(すなわち、単量体)を指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの修飾バージョンであり得る。本明細書で企図されるポリヌクレオチドの例としては、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖のDNAとRNAとの混合物を有するハイブリッド分子が挙げられる。本明細書で企図される核酸(例えば、ポリヌクレオチド)の例としては、あらゆる種類のRNA(例えば、mRNA、siRNA、miRNA、及びガイドRNA)、並びにあらゆる種類のDNA(ゲノムDNA、プラスミドDNA、及びミニサークルDNA)、並びにそれらのあらゆる断片が挙げられる。ポリヌクレオチドの文脈における「二重鎖」という用語は、通常かつ慣習的な意味で、二本鎖性を指す。核酸は、直鎖又は分岐鎖であり得る。例えば、核酸は、ヌクレオチドの直鎖であり得るか、又は核酸は、例えば、核酸がヌクレオチドの1つ以上のアーム若しくは分岐を含むような、分岐鎖であり得る。任意選択的に、分岐核酸は、繰り返し分岐して、デンドリマーなどの高次構造を形成する。
【0030】
例えば、ホスホチオエート骨格を有する核酸を含む核酸は、1つ以上の反応性部分を含み得る。本明細書で使用される場合、反応性部分という用語は、共有結合、非共有結合、又は他の相互作用を介して別の分子(例えば、核酸又はポリペプチド)と反応することができる任意の基を含む。例として、核酸は、共有結合、非共有結合、又は他の相互作用を介してタンパク質又はポリペプチド上のアミノ酸と反応するアミノ酸反応性部分を含み得る。
【0031】
この用語はまた、既知のヌクレオチド類似体又は修飾された骨格残基若しくは結合を含む核酸も包含し、これらは、合成核酸、天然に存在する核酸、及び天然に存在しない核酸であり、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の様式で代謝される。そのような類似体の例としては、例えば、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、ホスホロチオエート(リン酸中の酸素が二重結合硫黄で置換されているホスホチオエートとしても知られる)、ホスホロジチオエート、ホスホノカルボン酸、ホスホノカルボキシレート、ホスホノ酢酸、ホスホノギ酸、メチルホスホネート、ボロンホスホネート、又はO-メチルホスホロアミダイト結合を含むホスホジエステル誘導体(Eckstein,OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES:A PRACTICAL APPROACH,Oxford University Press)、並びに5-メチルシチジン又はプソイドウリジンなどのヌクレオチド塩基に対する修飾、並びにペプチド核酸骨格及び結合が挙げられるが、これらに限定されない。他の類似体核酸としては、米国特許第5,235,033号及び同第5,034,506号、並びにASC Symposium Series 580,CARBOHYDRATE MODIFICATIONS IN ANTISENSE RESEARCH,Sanghui & Cook,eds.の第6章及び第7章に記載されているものを含む、陽性骨格、非イオン性骨格、修飾糖、及び非リボース骨格(例えば、当該技術分野で既知のホスホロジアミデートモルホリノオリゴ又はロックド核酸(LNA))を有するものが挙げられる。1つ以上の炭素環式糖を含有する核酸もまた、核酸の1つの定義内に含まれる。リボース-ホスフェート骨格の修飾は、生理学的環境におけるそのような分子又はバイオチップ上のプローブとしての安定性及び半減期を増加させるなど、様々な理由で行うことができる。天然に存在する核酸と類似体の混合物が作製されてもよく、あるいは、異なる核酸類似体の混合物、及び天然に存在する核酸と類似体の混合物が作製されてもよい。実施形態では、DNAにおけるヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体、又は両方の組み合わせである。
【0032】
核酸は、非特異的配列を含み得る。本明細書で使用される場合、「非特異的配列」という用語は、任意の他の核酸配列に相補的であるか、又は部分的にのみ相補的であるように設計されていない一連の残基を含有する核酸配列を指す。例として、非特異的核酸配列は、細胞又は生物と接触した場合に阻害性核酸として機能しない核酸残基の配列である。実施形態では、非特異的核酸配列は、生物学的機能をコードしない。実施形態では、非特異的核酸配列は、スクランブルされた核酸配列である。本明細書で提供される「スクランブルされた核酸配列」は、インビトロで互いにランダムに連結されたヌクレオチドを含む組換え核酸配列である。スクランブルされた核酸配列は、試験核酸配列の活性(生物学的機能)と比較して対照配列又は参照配列として当該技術分野で一般的に使用されている。
【0033】
ポリヌクレオチドは、典型的には、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、及びチミン(T)(ポリヌクレオチドがRNAの場合、チミン(T)の代わりにウラシル(U))の特異的配列で構成される。したがって、「ポリヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表記であり、あるいは、この用語は、ポリヌクレオチド分子自体に適用され得る。このアルファベット表記は、中央処理装置を有するコンピュータのデータベースに入力することができ、機能ゲノミクス及び相同性検索などのバイオインフォマティクスアプリケーションに使用することができる。ポリヌクレオチドは、任意選択的に、1つ以上の非標準ヌクレオチド(複数可)、ヌクレオチド類似体(複数可)、及び/又は修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0034】
本明細書で使用される「相補体」という用語は、相補的なヌクレオチド又はヌクレオチドの配列と塩基対を形成することができるヌクレオチド(例えば、RNA又はDNA)又はヌクレオチドの配列を指す。本明細書に記載され、当該技術分野で一般的に知られているように、アデノシンの相補的な(一致する)ヌクレオチドは、チミジンであり、グアニジンの相補的な(一致する)ヌクレオチドは、シトシンである。したがって、相補体は、第2の核酸配列の対応する相補的なヌクレオチドと塩基対を形成するヌクレオチドの配列を含み得る。相補体のヌクレオチドは、第2の核酸配列のヌクレオチドと部分的に又は完全に一致し得る。相補体のヌクレオチドが第2の核酸配列の各ヌクレオチドと完全に一致する場合、その相補体は、第2の核酸配列の各ヌクレオチドと塩基対を形成する。相補体のヌクレオチドが第2の核酸配列のヌクレオチドと部分的に一致する場合、相補体のヌクレオチドの一部のみが第2の核酸配列のヌクレオチドと塩基対を形成する。相補的な配列の例としては、コード配列及び非コード配列が挙げられ、非コード配列は、コード配列に対する相補的なヌクレオチドを含み、したがって、コード配列の相補体を形成する。相補配列の更なる例としては、センス配列及びアンチセンス配列が挙げられ、センス配列は、アンチセンス配列に対する相補的なヌクレオチドを含み、したがって、アンチセンス配列の相補体を形成する。
【0035】
本明細書に記載されるように、配列の相補性は、部分的であり得、そのうちいくつかの核酸のみが塩基対形成に従って一致するか、又は全ての核酸が塩基対形成に従って完全に一致する。したがって、互いに相補的である2つの配列は、同じである特定の割合(すなわち、特定の領域にわたって約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の同一性)のヌクレオチドを有し得る。
【0036】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされたもの、並びに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合したα炭素、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を有する化合物を指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能する化学化合物を指す。「天然に存在しないアミノ酸(non-naturally occurring amino acid及びunnatural amino acid)」という用語は、天然には見られないアミノ酸類似体、合成アミノ酸、及びアミノ酸模倣物を指す。
【0037】
アミノ酸は、本明細書において、一般に知られている3文字記号、又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号のいずれかによって言及されてもよい。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般に受け入れられている一文字のコードによって言及されてもよい。
【0038】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書において互換的に使用され、ポリマーは、実施形態では、アミノ酸からなるものではない部分にコンジュゲートされ得る。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー、及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。「融合タンパク質」は、単一の部分として組換え発現される2つ以上の別個のタンパク質配列をコードするキメラタンパク質を指す。
【0039】
アミノ酸又はヌクレオチド塩基の「位置」は、N末端(又は5’末端)に対するその位置に基づいて、参照配列の各アミノ酸(又はヌクレオチド塩基)を順次特定する番号によって示される。最適なアラインメントを判定するときに考慮しなければならない欠失、挿入、切断、融合などのために、一般に、N末端から単純に数えることによって判定される試験配列のアミノ酸残基の数は、参照配列のその対応する位置の数と必ずしも同じではない。例えば、アラインメントされた参照配列に対して変異体が欠失を有する場合、欠失部位の参照配列の位置に対応する変異体アミノ酸は存在しない。アラインメントされた参照配列に挿入が存在する場合、その挿入は、参照配列の番号付けされたアミノ酸の位置に対応していない。切断又は融合の場合、対応する配列のいずれのアミノ酸にも対応しない参照又はアラインメントされた配列のアミノ酸のストレッチが存在し得る。
【0040】
「~を参照して番号付けされる」又は「~に対応する」という用語は、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列の番号付けとの関連で使用される場合、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列を参照配列と比較した場合の特定の参照配列の残基の番号付けを指す。タンパク質のアミノ酸残基は、所与の残基と同じ、タンパク質内の本質的な構造の位置を占めている場合、所与の残基に「対応している」。当業者であれば、異なる番号付けシステムを有する他のタンパク質におけるタンパク質(例えば、RYK)における特定の位置に対応する残基の同一性及び位置を直ちに認識するであろう。例えば、タンパク質(例えば、RYK)との単純な配列アラインメントを行うことによって、タンパク質の特定の位置に対応する残基の同一性及び位置は、タンパク質にアラインメントする他のタンパク質配列において特定される。例えば、選択された残基が、138位のグルタミン酸と同じ本質的な空間的関係又は他の構造的関係を占める場合、選択されたタンパク質における選択された残基は、138位のグルタミン酸に対応する。いくつかの実施形態では、選択されたタンパク質がタンパク質と最大の相同性についてアラインメントされる場合、グルタミン酸138とアラインメントするアラインメントされた選択されたタンパク質における位置は、グルタミン酸138に対応する位置である。また、一次配列アラインメントの代わりに、例えば、選択されたタンパク質の構造が位置138でグルタミン酸との対応を最大化するようにアラインメントされ、かつ全体的な構造が比較される、三次元構造アラインメントも使用することができる。この場合、構造モデルにおけるグルタミン酸138と同じ本質的な位置を占めるアミノ酸は、グルタミン酸138残基に対応する。
【0041】
「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸及び核酸の両方の配列に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾されたバリアント」とは、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指す。遺伝コードの縮重のため、いくつかの核酸配列が任意の所与のタンパク質をコードするであろう。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、及びGCUは全て、アミノ酸のアラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定される全ての位置で、コードされたポリペプチドを変化させることなく、記載された対応するコドンのうちのいずれかにコドンを変化させることができる。このような核酸バリエーションは、保存的に修飾されたバリエーションの一種である「サイレントバリエーション」である。ポリペプチドをコードする本明細書のあらゆる核酸配列は、あらゆる可能な核酸のサイレントバリエーションについても記載する。当業者は、核酸における各コドン(通常、メチオニンの唯一のコドンであるAUG、及び通常、トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾して、機能的に同一の分子を生成することができることを認識するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレントバリエーションは、記載された各配列の中に暗に示されている。
【0042】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされた配列の単一のアミノ酸又はわずかな割合のアミノ酸を変更、付加又は欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列への個々の置換、欠失、又は付加が、変化が化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす「保存するように改変させた変異体」であることを、認識するであろう。機能的に類似するアミノ酸をもたらす同類置換表は、当技術分野で周知である。そのような保存するように改変させた変異体は、本開示の多型変異体、種間ホモログ、及び対立遺伝子に加えられ、それらを排除しない。
【0043】
以下の8つのグループには、各々、互いに保存的置換であるアミノ酸が含まれている:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照されたい)。
【0044】
「同一」又は「同一性の割合」という用語は、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈で、以下に記載されるデフォルトのパラメータでのBLAST又はBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを使用して測定される場合、又は手動でのアラインメント及び目視検査(例えば、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/などを参照されたい)によって測定される場合、同じであるか、又は同じであるアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを特定の割合(すなわち、比較の枠若しくは指定領域にわたって最も対応しているものについて比較され、アラインメントされた場合、特定の領域にわたって、約60%の同一性、好ましくは、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はより高い同一性)で含む、2つ以上の配列又はサブ配列を指す。その場合、そのような配列は「実質的に同一」であると言われる。この定義はまた、試験配列の相補体を指すか、又はそれに適用され得る。この定義には、欠失及び/又は付加を有する配列、並びに置換を有する配列も含まれる。以下に説明するように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを考慮することができる。好ましくは、同一性は、少なくとも約25アミノ酸又はヌクレオチドの長さである領域にわたって、又はより好ましくは、50~100アミノ酸又はヌクレオチドの長さである領域にわたって存在する。
【0045】
「配列同一性の割合」は、比較の枠にわたって2つの最適にアラインメントされた配列を比較することによって決定され、比較の枠のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのための参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。割合は、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列で生じる位置の数を判定して、一致した位置の数を得、一致した位置の数を、比較の枠内の位置の総数で割り、結果に100を乗じて、配列同一性の割合を得ることによって計算される。
【0046】
配列比較のために、典型的には、1つの配列は、参照配列として機能し、これに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験及び参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じてサブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。デフォルトプログラムパラメータを使用することができ、又は代替パラメータを指定することができる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較して試験配列について配列同一性パーセントを計算する。
【0047】
「比較ウィンドウ」は、本明細書で使用される場合、2つの配列が最適にアラインメントされた後で、配列が同じ数の連続した位置の参照配列と比較され得る、例えば、全長配列、又は20~600個、約50~約200個、若しくは約100~約150個のアミノ酸若しくはヌクレオチドからなる群から選択される連続した位置の数のうちのいずれか1つのセグメントに対する参照を含む。比較のための配列のアラインメント方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの局所相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)によって、又は手動アラインメント及び目視検査(例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995 supplement)を参照されたい)によって行うことができる。
【0048】
パーセント配列同一性及び配列類似性を決定するのに好適であるアルゴリズムの例は、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれ、Altschul et al.(1977)Nuc.Acids Res.25:3389-3402及びAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公的に利用可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列内の同じ長さのワードとアラインメントした場合、いくつかの正の値の閾値スコアTと一致するか又は満たすかのいずれかである、クエリ配列内の長さWの短いワードを特定することによって、高スコア配列対(HSP)を特定することを伴う。Tは、近隣ワードスコア閾値と称される(Altschul et al.,上記)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして機能する。ワードヒットは、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致する残基の対の報酬スコア;常に>0)及びN(一致しない残基のペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアが計算される。各方向へのワードヒットの拡張は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から数量Xだけ低下した場合、累積スコアが1つ以上の負のスコアの残基のアラインメントの蓄積によりゼロ以下になった場合、又はいずれかの配列が終わりに達した場合に停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。例えば、BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、デフォルトとして、ワード長(W)が11、期待値(E)又は10、M=5、N=-4、及び両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長が3、期待値(E)が10、及びBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照されたい)のアラインメント(B)が50、期待値(E)が10、M=5、N=-4、及び両方の鎖の比較を使用する。
【0049】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析を行う(例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5787を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列間又はアミノ酸配列間の一致が偶然に生じるであろう確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸と参照核酸との比較における最小和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、参照配列に類似しているとみなされる。
【0050】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であるという指標は、以下に記載されるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して上昇した抗体と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、ポリペプチドは、典型的には、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、以下に記載されるように、2つの分子又はそれらの相補体が、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることの更に別の指標は、同じプライマーを使用して配列を増幅することができることである。
【0051】
本明細書で言及される「RYK」は、(例えば、RYKと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性の範囲内で)RYK活性を維持する、組換え型又は天然型の受容体チロシンキナーゼ関連(RYK)タンパク質又はそのバリアント若しくはホモログのいずれかを含む。いくつかの態様では、バリアント又はホモログは、天然に存在するRYKタンパク質と比較して、配列全体又は配列の一部分(例えば、50、100、150、又は200個の連続したアミノ酸の部分)にわたって、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。実施形態では、RYKタンパク質は、UniProt参照番号P34925によって特定されるタンパク質又はそれと実質的な同一性を有するバリアント又はホモログと実質的に同一である。
【0052】
抗体は、複雑な内部構造を有する、大きくて複雑な分子(約150,000個又は約1320個のアミノ酸の分子量)である。天然の抗体分子は、2つの同一のポリペプチド鎖対を含み、各対は、1本の軽鎖及び1本の重鎖を有する。各軽鎖及び重鎖は、次に、標的抗原の結合に関与する可変(「V」)領域、及び免疫系の他の成分と相互作用する定常(「C」)領域の2つの領域からなる。軽鎖可変領域及び重鎖可変領域(本明細書ではそれぞれ軽鎖可変(VL)ドメイン及び重鎖可変(VH)ドメインとも称される)は、3次元空間で一緒になって、抗原に結合する可変領域(例えば、細胞表面上の受容体)を形成する。各軽鎖可変領域又は重鎖可変領域内には、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる3つの短いセグメント(平均10アミノ酸長)が存在する。抗体可変ドメインにおける6つのCDR(軽鎖から3つ、重鎖から3つ)は、3次元空間で一緒に折り畳まれて、標的抗原にドッキングする実際の抗体結合部位を形成する。CDRの位置及び長さは、Kabat,E.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1983,1987によって正確に定義される。CDRに含まれていない可変領域の部分は、CDRのための環境を形成するフレームワーク(「FR」)と呼ばれる。
【0053】
本明細書で提供される「抗体バリアント」は、抗原に結合することができ、抗体又はその断片の1つ以上の構造ドメイン(例えば、軽鎖可変ドメイン、重鎖可変ドメイン)を含む、ポリペプチドを指す。抗体バリアントの非限定的な例としては、単一ドメイン抗体若しくはナノボディ、単一特異性Fab2、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、一価IgG、scFv、二重特異性抗体、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、scFv-Fc、ミニボディ、IgNAR、V-NAR、hcIgG、VhH、又はペプチボディが挙げられる。本明細書で提供される「ペプチボディ」は、抗体のFcドメインに(共有結合又は非共有結合リンカーを介して)結合されたペプチド部分を指す。当該技術分野で既知の抗体バリアントの更なる非限定的な例としては、軟骨魚又はラクダ科動物によって産生される抗体が挙げられる。ラクダ科動物由来の抗体及びその可変領域、並びにそれらを産生、単離、及び使用するための方法の一般的な説明は、参照文献WO97/49805及びWO97/49805(それらの全体が、全ての目的のために、参照により本明細書に援用される)に見出すことができる。同様に、軟骨魚由来の抗体及びその可変領域、並びにそれらを産生、単離、及び使用するための方法は、WO2005/118629(その全体が、全ての目的のために、参照により本明細書に援用される)に見出すことができる。
【0054】
本明細書で提供される「CDR L1」、「CDR L2」、及び「CDR L3」という用語は、抗体の可変軽(L)鎖の相補性決定領域(CDR)1、2、及び3を指す。実施形態では、本明細書で提供される可変軽鎖は、N末端からC末端方向に、CDR L1、CDR L2、及びCDR L3を含む。同様に、本明細書で提供される「CDR H1」、「CDR H2」、及び「CDR H3」という用語は、抗体の可変重(H)鎖の相補性決定領域(CDR)1、2、及び3を指す。実施形態では、本明細書で提供される可変重鎖は、N末端からC末端方向に、CDR H1、CDR H2、及びCDR H3を含む。
【0055】
本明細書で提供される「FR L1」、「FR L2」、「FR L3」、及び「FR L4」という用語は、当該技術分野におけるそれらの一般的な意味に従って使用され、抗体の可変軽(L)鎖のフレームワーク領域(FR)1、2、3、及び4を指す。実施形態では、本明細書で提供される可変軽鎖は、N末端からC末端方向に、FR L1、FR L2、FR L3、及びFR L4を含む。同様に、本明細書で提供される「FR H1」、「FR H2」、「FR H3」及び「FR H4」という用語は、当該技術分野におけるそれらの一般的な意味に従って使用され、抗体の可変重(H)鎖のフレームワーク領域(FR)1、2、3、及び4を指す。実施形態では、本明細書で提供される可変重鎖は、N末端からC末端方向に、FR H1、FR H2、FR H3、及びFR H4を含む。
【0056】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100~110個又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を定める。可変軽鎖(VL)、可変軽鎖(VL)ドメイン、又は軽鎖可変領域、及び可変重鎖(VH)、可変重鎖(VH)ドメイン、又は重鎖可変領域という用語は、それぞれ、これらの軽鎖領域及び重鎖領域を指す。本明細書で言及される可変軽鎖(VL)、可変軽鎖(VL)ドメイン、及び軽鎖可変領域という用語は、互換的に使用され得る。本明細書で言及される、可変重鎖(VH)、可変重鎖(VH)ドメイン、及び重鎖可変領域という用語は、互換的に使用され得る。Fc(すなわち、断片結晶化可能領域)は、免疫グロブリンの「基部」又は「尾部」であり、典型的には、抗体のクラスに応じて2つ又は3つの定常ドメインを寄与する2つの重鎖で構成される。Fc領域は、特定のタンパク質に結合することによって、各抗体が所与の抗原に対して適切な免疫応答を生成することを確実にする。Fc領域はまた、Fc受容体などの様々な細胞受容体、及び補体タンパク質などの他の免疫分子にも結合する。
【0057】
「抗体」という用語は、当該技術分野におけるその一般的に知られている意味に従って使用される。抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化によって産生されるいくつかの十分に特徴付けられた断片として存在する。このように、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合の下で抗体を消化し、ジスルフィド結合によってVH-CH1に連結された軽鎖であるFabの二量体であるF(ab)’2を生成する。F(ab)’2は、穏和な条件下で還元されて、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合を切断し、それによって、F(ab)’2二量体をFab’単量体に変換することができる。Fab’単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul ed.,3d ed.1993)を参照されたい)。様々な抗体断片は、インタクトな抗体の消化の観点から定義されるが、当業者は、そのような断片が、化学的に、又は組換えDNA方法論を用いてデノボ合成され得ることを理解するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、抗体という用語はまた、全抗体の修飾によって産生されたもの、組換えDNA方法論を使用して新規に合成されたもの(例えば、一本鎖Fv)、又はファージディスプレイライブラリーを使用して同定されたものである抗体断片、のいずれかを含む(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)を参照されたい)。本明細書で言及される「抗体」という用語は、単一ドメイン抗体などの抗体バリアントを更に含む。したがって、実施形態では、抗体は、単一の単量体の可変抗体ドメインを含む。したがって、実施形態では、抗体は、可変軽鎖(VL)ドメイン又は可変重鎖(VH)ドメインを含む。実施形態では、抗体は、可変軽鎖(VL)ドメイン又は可変重鎖(VH)ドメインである。
【0058】
モノクローナル又はポリクローナル抗体の調製には、当該技術分野で既知の任意の技術を使用することができる(例えば、Kohler & Milstein,Nature 256:495-497(1975)、Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983)、Cole et al.,pp.77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(1985)を参照されたい)。「モノクローナル」抗体(mAb)は、単一のクローンに由来する抗体を指す。一本鎖抗体(米国特許第4,946,778号)を産生するための技術は、本発明のポリペプチドに対する抗体を産生するように適合され得る。また、トランスジェニックマウス又は他の哺乳動物などの他の生物は、ヒト化抗体を発現するために使用され得る。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーFab断片を特定することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)、Marks et al.,Biotechnology 10:779-783(1992)を参照されたい)。
【0059】
単鎖可変断片(scFv)は、典型的には、免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質であり、10~約25個のアミノ酸の短いリンカーペプチドと接続される。リンカーは通常、可撓性のためにグリシンが豊富であり、溶解性のためにセリン又はスレオニンが豊富であり得る。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端と接続することができるか、又はその逆である。
【0060】
mAbのエピトープは、mAbが結合するその抗原の領域である。2つの抗体が各々、抗原に対する他の結合を競合的に阻害する(ブロックする)場合、その2つの抗体は、同じエピトープ又は重複するエピトープに結合する。すなわち、競合結合アッセイで測定した場合、1倍、5倍、10倍、20倍、又は100倍過剰量の一方の抗体は、他方の抗体の結合を、少なくとも30%、しかし、好ましくは50%、75%、90%、又は更に99%阻害する(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50:1495,1990を参照されたい)。あるいは、一方の抗体の結合を減少又は排除する抗原において本質的に全てのアミノ酸変異が他の結合を減少又は排除する場合、その2つの抗体は同じエピトープを有する。一方の抗体の結合を減少又は除外するいくつかのアミノ酸変異が、もう一方の結合を減少又は除外する場合、2つの抗体は、重複エピトープを有する。
【0061】
本発明の好適な抗体(例えば、組換え抗体、モノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体)の調製及び本発明による使用のために、当該技術分野で既知の多くの技術を使用することができる(例えば、Kohler & Milstein,Nature 256:495-497(1975)、Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983)、Cole et al.,pp.77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.(1985)、Coligan,Current Protocols in Immunology(1991)、Harlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)、及びGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2d ed.1986)を参照されたい)。目的の抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローニングすることができ、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子を、ハイブリドーマからクローニングし、組換えモノクローナル抗体を産生するために使用することができる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーも、ハイブリドーマ細胞又は形質細胞から作製することができる。重鎖及び軽鎖の遺伝子産物のランダムな組み合わせは、異なる抗原特異性を有する抗体の大きなプールを生成する(例えば、Kuby,Immunology(3rd ed.1997)を参照されたい)。一本鎖抗体又は組換え抗体(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)の産生のための技術は、本発明のポリペプチドに対する抗体を産生するために適合され得る。また、トランスジェニックマウス又は他の生物(例えば、他の哺乳動物)を使用して、ヒト化抗体又はヒト抗体を発現させることができる(例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-13(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnology 14:845-51(1996)、Neuberger,Nature Biotechnology 14:826(1996)、及びLonberg & Huszar,Intern.Rev.Immunol.13,65-93(1995)を参照されたい)。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーFab断片を特定することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)、Marks et al.,Biotechnology 10:779-783(1992)を参照されたい)。抗体はまた、二重特異性、すなわち、2つの異なる抗原を認識することができるようにすることができる(例えば、WO93/08829、Traunecker et al.,EMBOJ.10:3655-3659(1991)、及びSuresh et al.Methods in Enzymology 121:210(1986)を参照されたい)。抗体はまた、ヘテロコンジュゲート、例えば、2つの共有結合された抗体、又は免疫毒素であり得る(例えば、米国特許第4,676,980号、WO91/00360、WO92/200373、及びEP03089を参照されたい)。
【0062】
非ヒト抗体をヒト化又は霊長類化するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第4,816,567号、同第5,530,101号、同第5,859,205号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第5,777,085号、同第6,180,370号、同第6,210,671号、及び第6,329,511号、WO87/02671、欧州特許出願第0173494号、Jones et al.(1986)Nature 321:522号、並びにVerhoyen et al.(1988)Science 239:1534号)。ヒト化抗体は、例えば、Winter and Milstein(1991)Nature 349:293に更に記載されている。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトであるソースからその中に導入される1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば導入残基と呼ばれ、通常、導入された可変ドメインから取り出される。ヒト化は、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置き換えることによって、本質的に、Winterらの方法に従って行うことができる(例えば、Morrison et al.,PNAS USA,81:6851-6855(1984)、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988)、Morrison and Oi,Adv.Immunol.,44:65-92(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)、Padlan,Molec.Immun.,28:489-498(1991)、Padlan,Molec.Immun.,31(3):169-217(1994)を参照されたい)を参照されたい。したがって、このようなヒト化抗体はキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が、非ヒト種からの対応する配列で置換されているものである。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基及び場合によっては、いくつかのFR残基が、齧歯類抗体の類似部位の残基で置換された、ヒト抗体である。例えば、ヒト化免疫グロブリンフレームワーク領域をコードする第1の配列及び所望の免疫グロブリン相補性決定領域をコードする第2の配列セットを含むポリヌクレオチドは、合成的に、又は適切なcDNA及びゲノムDNAセグメントを組み合わせることによって産生することができる。ヒト定常領域DNA配列は、様々なヒト細胞から周知の手順に従って単離することができる。
【0063】
「キメラ抗体」は、(a)定常領域又はその一部が、抗原結合部位(可変領域)が異なる又は変化したクラス、エフェクター機能、及び/又は種の定常領域、又はキメラ抗体に新しい特性を付与する完全に異なる分子、例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結されるように、変化、置換又は交換された抗体分子、又は(b)可変領域又はその一部が、異なる又は変化した抗原特異性を有する可変領域で変化、置換、又は交換された抗体分子である。本発明の好ましい抗体及び本発明に従って使用するための好ましい抗体には、ヒト化及び/又はキメラモノクローナル抗体が含まれる。
【0064】
タンパク質又はペプチドを指す場合、「抗体に特異的に(又は選択的に)結合する」又は「と特異的に(又は選択的に)免疫反応する」という語句は、しばしばタンパク質及び他の生物製剤の不均一な集団において、タンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、指定された抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10倍超~100倍超の特定のタンパク質に結合する。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異性について選択される抗体を必要とする。例えば、ポリクローナル抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応性であり、他のタンパク質とは免疫反応性でない抗体のサブセットのみを得るように選択することができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成され得る。様々なイムノアッセイ形式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択するために日常的に使用されている(特異的免疫反応性を決定するために使用することができる免疫アッセイ形式及び条件の説明については、例えば、Harlow & Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照されたい)。
【0065】
「リガンド」とは、受容体、又は抗体、抗体バリアント、抗体領域、若しくはその断片に結合することができる薬剤(例えば、ポリペプチド又は他の分子)を指す。
【0066】
治療剤を抗体にコンジュゲートするための技法は周知である(例えば、Arnon et al.,“Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(eds.),pp.243-56(Alan R.Liss,Inc.1985)、Hellstrom et al.,“Antibodies For Drug Delivery”,in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinson et al.(eds.),pp.623-53(Marcel Dekker,Inc.1987)、Thorpe,“Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”,in Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(eds.),pp.475-506(1985)、及びThorpe et al.,“The Preparation and Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates”,Immunol.Rev.,62:119-58(1982)を参照されたい)。本明細書で使用される場合、「抗体-薬物コンジュゲート」又は「ADC」という用語は、抗体にコンジュゲートされているか、又はそうでなければ共有結合されている治療剤を指す。
【0067】
本明細書に記載される特定のタンパク質について、命名されているタンパク質は、タンパク質転写因子活性を維持する、タンパク質の天然に存在する形態、バリアント又はホモログのいずれかを含む(例えば、天然のタンパク質と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性の範囲)。いくつかの実施形態では、バリアント又はホモログは、天然に存在する形態と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、50、100、150又は200の連続したアミノ酸の部分)にわたって、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。他の実施形態では、タンパク質は、そのNCBI配列参照により特定されるタンパク質である。他の実施形態では、タンパク質は、そのNCBI配列参照によって特定されるタンパク質、そのホモログ又は機能的な断片である。
【0068】
「遺伝子」という用語は、タンパク質の産生に関与するDNAのセグメントを意味し、個々のコードセグメント(エクソン)間のコード領域(リーダー及びトレーラー)並びに介在配列(イントロン)の前後の領域を含む。リーダー、トレーラー、並びにイントロンには、遺伝子の転写及び翻訳中に必要な調節エレメントが含まれる。更に、「タンパク質遺伝子産物」は、特定の遺伝子から発現されるタンパク質である。
【0069】
「プラスミド」、「ベクター」、又は「発現ベクター」という用語は、遺伝子の発現に必要な遺伝子及び/又は調節エレメントをコードする核酸分子を指す。プラスミドからの遺伝子の発現は、シス又はトランスで生じ得る。遺伝子がシスで発現される場合、遺伝子及び調節エレメントは、同じプラスミドによってコードされる。トランスでの発現は、遺伝子及び調節エレメントが別々のプラスミドによってコードされている事例を指す。
【0070】
「トランスフェクション」、「形質導入」、「トランスフェクトすること」、又は「形質導入すること」という用語は、互換的に使用することができ、核酸分子又はタンパク質を細胞に導入するプロセスとして定義される。核酸は、非ウイルス又はウイルスベースの方法を使用して細胞に導入される。核酸分子は、完全なタンパク質又はそれらの機能部分をコードする遺伝子配列であってもよい。トランスフェクションの非ウイルス性の方法は、核酸分子を細胞に導入するための送達システムとしてウイルスDNA又はウイルス粒子を使用しない任意の適切なトランスフェクション方法を含む。例示的な非ウイルス性トランスフェクション方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポソームトランスフェクション、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、熱ショックによるトランスフェクション、マグネチフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、当該技術分野で周知の標準的な手順に従って、エレクトロポレーションを使用して細胞に導入される。トランスフェクションのウイルスベースの方法の場合、本明細書に記載の方法において、任意の有用なウイルスベクターを使用することができる。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、核酸分子は、当該技術分野で周知の標準的な手順に従って、レトロウイルスベクターを使用して細胞に導入される。「トランスフェクション」又は「形質導入」という用語はまた、外部環境から細胞にタンパク質を導入することも指す。典型的には、タンパク質の形質導入又はトランスフェクションは、細胞膜を通過することができるペプチド又はタンパク質の、目的のタンパク質への結合に依存する。例えば、Ford et al.(2001)Gene Therapy 8:1-4及びProchiantz(2007)Nat.Methods 4:119-20を参照されたい。
【0071】
「標識」又は「検出可能な部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又は他の物理的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAで一般的に使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテン、並びに、例えば、ペプチド若しくはペプチドと特異的に反応する抗体に放射性標識を組み込むことによって検出可能にすることができるタンパク質又は他の実体が挙げられる。抗体を標識にコンジュゲートするための当該技術分野で既知である任意の適切な方法を用いることができ、例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques 1996,Academic Press,Inc.,San Diegoに記載されている方法を使用することができる。
【0072】
標識又は検出可能な部分が放射性金属又は常磁性イオンである場合、薬剤は、これらのイオンに結合するためにロングテールに結合した1つ以上のキレート基を有するロングテールを有する別のロングテール試薬と反応させてもよい。ロングテールは、ポリマー(例えば、ポリリジン、多糖、又は金属若しくはイオンが結合のために付加され得るペンダント基を有する他の誘導体化された若しくは誘導体化可能な鎖)であり得る。本開示に従って使用することができるキレート基の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、DOTA、NOTA、NETA、TETA、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビスチオセミカルバゾン、ポリオキシムなどの基が挙げられるが、これらに限定されない。キレートは通常、基によってPSMA抗体又は機能的な抗体断片に連結され、これは、免疫反応性の損失を最小限に抑え、凝集及び/又は内部架橋を最小限に抑えながら、分子への結合の形成を可能にする。同じキレート剤は、マンガン、鉄、及びガドリニウムなどの非放射性金属と複合体化した場合、本明細書に記載の抗体及び担体とともに使用すると、MRIに有用である。NOTA、DOTA、及びTETAなどの大環状キレート剤は、それぞれ、ガリウム、イットリウム、及び銅を含むがこれらに限定されない、様々な金属及び放射性金属とともに使用される。RAITについての223Raなどの安定に結合する核種のために目的とする大環状ポリエーテルなどの他の環型キレート剤が本明細書に包含される。特定の実施形態では、キレート部分は、PET分析で使用するために、PETイメージング剤(例えば、Al-18F複合体)を標的化分子に結合させるために使用され得る。
【0073】
「接触すること」は、その平易な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、抗体及び抗原)が、反応するか、相互作用するか、又は物理的に接触するために十分に接近することを可能にするプロセスを指す。しかしながら、得られた反応生成物は、添加された試薬間の反応から、又は反応混合物中で生成され得る1つ以上の添加された試薬からの中間体から直接生成することができることが理解されるべきである。
【0074】
「接触すること」という用語は、2つの種が反応するか、相互作用するか、又は物理的に接触することを可能にすることを含み得、2つの種は、例えば、本明細書で提供される薬学的組成物及び細胞であり得る。実施形態では、接触することは、例えば、本明細書に記載される薬学的組成物が細胞と相互作用することを可能にすることを含む。
【0075】
本明細書で使用される「細胞」とは、そのゲノムDNAを保存又は複製するのに十分な代謝又は他の機能を実行する細胞を指す。細胞は、例えば、インタクトな膜の存在、特定の色素による染色、子孫を産生する能力、又は配偶子の場合、第2の配偶子と組み合わせて生存可能な子孫を産生する能力を含む、当技術分野で周知の方法によって特定することができる。細胞は、原核細胞及び真核細胞を含み得る。原核細胞には、細菌が含まれるが、これに限定されない。真核細胞には、酵母細胞並びに植物及び動物由来の細胞、例えば哺乳動物、昆虫(例えば、スポドプテラ)及びヒトの細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
「組換え」という用語は、例えば、細胞、核酸、タンパク質、又はベクターを参照しつつ使用される場合、その細胞、核酸、タンパク質、又はベクターが、異種核酸若しくはタンパク質の導入又は天然の核酸若しくはタンパク質の改変によって修飾されていること、又はその細胞が、そのように修飾された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組換え細胞は、その細胞の天然(非組換え)形態には見られない遺伝子を発現するか、又はそうでなければ異常に発現されるか、過小発現されるか、若しくは全く発現されない天然遺伝子を発現する。トランスジェニック細胞及び植物は、典型的には、組換え方法の結果として、異種遺伝子又はコード配列を発現するものである。
【0077】
「単離」という用語は、核酸又はタンパク質に適用される場合、核酸又はタンパク質が、それが自然の状態で会合している他の細胞成分を本質的に含まないことを示す。これは、例えば、均質な状態であり得、乾式溶液又は水溶液のいずれかであり得る。純度及び均一性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を使用して判定される。調製物に存在する優勢な種であるタンパク質が、実質的に精製される。
【0078】
「異種」という用語は、核酸の部分を参照しつつ使用される場合、その核酸が、自然界において互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には、組換え的に産生され、新規の機能的核酸を作製するように配置された無関係の遺伝子からの2つ以上の配列、例えば、1つの供給源からのプロモーター及び別の供給源からのコード領域を有する。同様に、異種タンパク質は、そのタンパク質が、自然界において互いに同じ関係で見出されない2つ以上の配列(例えば、融合タンパク質)を含むことを示す。
【0079】
「外因性」という用語は、所与の細胞又は生物以外に由来する分子又は物質(例えば、化合物、核酸、又はタンパク質)を指す。例えば、本明細書で言及される「外因性プロモーター」は、それが発現される細胞又は生物に由来しないプロモーターである。逆に、「内因性」又は「内因性プロモーター」という用語は、所与の細胞若しくは生物に固有であるか又はそれに由来する分子若しくは物質を指す。
【0080】
本明細書で定義されるように、細胞増殖(例えば、がん細胞増殖)に関して「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、細胞に悪影響を及ぼす(例えば、増殖を減少させる)か、又は細胞を殺傷することを意味する。実施形態では、阻害とは、疾患又は疾患症状(例えば、がん、がん細胞増殖)の軽減を指す。したがって、阻害には、少なくとも部分的に、刺激を部分的又は完全に遮断すること、活性化を減少、防止、若しくは遅延すること、又はシグナル伝達若しくは酵素活性若しくはタンパク質の量を不活性化、脱感作、若しくは下方調節することが含まれる。同様に、「阻害剤」は、例えば、結合すること、活性(例えば、受容体活性又はタンパク質活性)を部分的に若しくは完全に遮断、低減、防止、遅延、不活性化、脱感作、又は下方調節することによって、受容体又は別のタンパク質を阻害する化合物又はタンパク質である。
【0081】
本明細書で定義される場合、タンパク質阻害剤相互作用に関して「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、阻害剤の不在下でのタンパク質の活性又は機能に対して、タンパク質の活性又は機能に悪影響を及ぼす(例えば、低下させる)ことを意味する。
【0082】
「阻害剤」、「リプレッサー」、又は「アンタゴニスト」、又は「ダウンレギュレーター」という用語は、互換的に、所与の遺伝子又はタンパク質の発現又は活性を検出可能に低下させることができる物質を指す。アンタゴニストは、アンタゴニストの不在下での対照と比較して、発現又は活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上低下させることができる。特定の事例では、発現又は活性は、アンタゴニストの不在下での発現又は活性よりも1.5倍以下、2倍以下、3倍以下、4倍以下、5倍以下、10倍以下である。
【0083】
「発現」という用語は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌を含むがこれらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与する任意の工程を含む。発現は、タンパク質を検出するための従来の技術(例えば、ELISA、ウエスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光、免疫組織化学など)を使用して検出することができる。
【0084】
「生体試料」又は「試料」とは、対象又は患者から得られる、又は対象又は患者に由来する材料を指す。生体試料はまた、生検試料及び検死試料などの組織の切片、並びに組織学的目的のために採取した凍結切片を含み得る。そのような試料としては、体液、例えば、血液及び血液画分又は血液製剤(例えば、血清、血漿、血小板、赤血球など)、痰、組織、培養細胞(例えば、初代培養物、外植片、及び形質転換細胞)便、尿、滑液、関節組織、滑膜組織、滑膜細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、マクロファージ様滑膜細胞、免疫細胞、造血細胞、線維芽細胞、マクロファージ、T細胞などが挙げられる。生体試料は、典型的には、真核生物、例えば、霊長類などの哺乳動物(例えば、チンパンジー若しくはヒト)、ウシ、イヌ、ネコ、齧歯類(例えば、モルモット、ラット、マウス)、ウサギ、又は鳥類、爬虫類、又は魚類から得られる。
【0085】
「対照」又は「標準対照」とは、試験試料、測定値、又は値と比較するための参照(通常、既知の参照)として機能する、試料、測定値、又は値を指す。例えば、試験試料は、所与の疾患(例えば、がん)を有する疑いのある患者から採取され、既知の正常(非疾患)個体(例えば、標準対照対象)と比較され得る。標準対照はまた、所与の疾患(すなわち、標準対照集団)を有しない類似の個体(例えば、標準対照対象)、例えば、類似の医学的背景、同じ年齢、体重などを有する健康な個体、の集団から収集された平均測定値又は平均値を表すことができる。標準対照値はまた、同じ個体から、例えば、疾患発症前に患者から以前に得られた試料から得ることができる。例えば、薬理学的データ(例えば、半減期)又は治療手段に基づいて、治療的利益を比較するように(例えば、副作用の比較)対照を考案することができる。対照は、データの重要性を決定するためにも有用である。例えば、所与のパラメータの値が対照において大きく変動する場合、試験試料の変動は有意であるとはみなされない。当業者は、標準的な対照が、任意の数のパラメータ(例えば、RNAレベル、タンパク質レベル、特定の細胞型、特定の体液、特定の組織など)の評価のために設計され得ることを認識するであろう。
【0086】
当業者は、所与の状況においてどの標準対照が最も適切であるかを理解し、標準対照値との比較に基づいてデータを分析することができる。標準対照は、データの有意性(例えば、統計的有意性)を決定するためにも有用である。例えば、所与のパラメータの値が標準対照で大きく変動する場合、試験試料の変動は有意であるとはみなされない。
【0087】
「患者」又は「それを必要とする対象」は、本明細書で提供される組成物又は薬学的組成物の投与によって治療され得る、疾患又は状態に罹患しているか、又はそれに罹患しやすい生体を指す。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、雌ウシ、シカ、及び他の哺乳動物ではない動物が挙げられる。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。
【0088】
「疾患」又は「状態」という用語は、本明細書で提供される化合物又は方法で治療することができる患者又は対象の状態又は健康状態を指す。疾患はがんであり得る。がんは、固形腫瘍悪性腫瘍を指し得る。固形腫瘍悪性腫瘍には、体液又は嚢胞がない場合がある悪性腫瘍が含まれる。例えば、固形腫瘍悪性腫瘍としては、乳がん、卵巣がん、膵臓がん、子宮頸がん、胃がん、腎臓がん、頭頸部がん、骨がん、皮膚がん、又は前立腺がんが挙げられ得る。いくつかの更なる例では、「がん」とは、ヒトのがん及びがん腫、肉腫、腺がん、リンパ腫、白血病(固形がん及びリンパ系がんを含む)、腎臓がん、乳がん、肺がん、膀胱がん、結腸がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、脳がん、頭頸部がん、皮膚がん、子宮がん、精巣がん、神経膠腫、食道がん、及び肝がん(肝細胞がんを含む)、リンパ腫(B急性リンパ芽球性リンパ腫を含む)、非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、小細胞リンパ腫、及び大細胞リンパ腫)、ホジキンリンパ腫、白血病(急性骨髄性白血病(AML)、ALL、及びCMLを含む)、又は多発性骨髄腫を指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、白血病、リンパ腫、神経内分泌腫瘍、がん腫、及び肉腫を含む、哺乳動物に見出される全ての種類のがん、新生物、又は悪性腫瘍を指す。化合物で治療され得る例示的ながん、薬学的組成物、又は本明細書で提供される方法としては、リンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫)、肉腫、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、子宮頸がん、結腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、腎臓がん、骨髄腫、甲状腺がん、白血病、前立腺がん、乳がん(例えば、トリプルネガティブ、ER陽性、ER陰性、化学療法耐性、Herceptin耐性、HER2陽性、ドキソルビシン耐性、タモキシフェン耐性、腺管がん、小葉がん、原発性、転移性)、卵巣がん、膵臓がん、肝臓がん(例えば、肝細胞がん)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、扁平上皮肺がん、腺がん、大細胞肺がん、小細胞肺がん、カルチノイド、肉腫)、多形性膠芽腫、神経膠腫、黒色腫、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、膠芽腫、卵巣がん、肺がん、扁平上皮がん(例えば、頭部、頸部、又は食道)、大腸がん、白血病(例えば、リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、有毛細胞白血病)、急性骨髄性白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫、又は多発性骨髄腫が挙げられる。更なる例としては、甲状腺がん、内分泌系がん、脳がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、頭頸部がん、食道がん、肝臓がん、腎臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、中皮腫、卵巣がん、肉腫、胃がん、子宮がん又は髄芽腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、神経膠腫、多形性膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱がん、前悪性皮膚病変、精巣がん、リンパ腫、甲状腺がん、神経芽腫、食道がん、泌尿器生殖器がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、内分泌又は外分泌膵臓の新生物、甲状腺髄様がん、甲状腺髄様がん腫、黒色腫、大腸がん、乳頭様甲状腺がん、肝細胞がん、乳房パジェット病、葉状腫瘍、小葉がん、腺管がん、膵星細胞がん、肝星細胞がん、又は前立腺がんが挙げられる。
【0090】
「白血病」という用語は、造血臓器の進行性の悪性疾患を広く指し、一般に血液及び骨髄中の白血球及びそれらの前駆細胞のいびつな増殖及び発生を特徴とする。白血病は、一般に、(1)疾患の持続期間及び特徴-急性又は慢性、(2)関与する細胞の種類-骨髄性(骨髄性)、リンパ性(リンパ行性)、又は単球性、並びに(3)血中の異常細胞数の増加又は非増加-白血性又は非白血性(亜白血性)に基づいて、臨床的に分類される。本明細書で提供される化合物又は方法で治療され得る例示的な白血病としては、例えば、急性骨髄性白血病、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、有毛細胞白血病、血芽球性白血病、血球芽細胞性白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病(lymphatic leukemia)、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ性白血病(lymphoid leukemia)、リンパ肉腫細胞白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病、又は未分化細胞白血病が挙げられる。
【0091】
「肉腫」という用語は、概して、胚性結合組織のような物質から構成され、概して線維性又は均質な物質中に埋め込まれた緊密に詰め込まれた細胞から構成される腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物又は方法で治療され得る肉腫としては、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アベメシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞巣状軟部肉腫、エナメル芽細胞肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛がん、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍性肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞性肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球性肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、又は末梢血管拡張性肉腫が挙げられる。
【0092】
「黒色腫」という用語は、皮膚及び他の臓器のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味すると解釈される。本明細書で提供される化合物又は方法で治療され得る黒色腫としては、例えば、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、又は表在拡大型黒色腫が挙げられる。
【0093】
「がん腫」という用語は、周囲組織に浸潤し、転移を生じる傾向のある上皮細胞から構成される悪性新生物を指す。本明細書で提供される化合物又は方法で治療され得る例示的ながんとしては、例えば、甲状腺髄様がん、家族性甲状腺髄様がん、腺嚢胞性がん、腺房がん(acinar carcinoma)、腺房がん(acinous carcinoma)、腺様嚢胞がん(adenocystic carcinoma)、腺様嚢胞がん(adenoid cystic carcinoma)、腺腫様がん、肺胞がん、肺胞細胞がん、基底細胞がん(basal cell carcinoma)、基底細胞がん(carcinoma basocellulare)、基底細胞がん(basaloid carcinoma)、基底扁平細胞がん、気管支肺胞上皮がん、細気管支がん、気管支原性がん、脳状がん、胆管細胞がん、絨毛がん、粘液がん、面皰がん、子宮体がん、篩状がん、鎧状がん、皮膚がん、円柱状がん、円柱細胞がん、管がん、緻密性がん、胚性がん、脳様がん、類表皮がん、腺様上皮がん、外向発育がん、潰瘍がん、線維性がん、膠様がん(gelatiniforni carcinoma)、膠様がん(gelatinous carcinoma)、巨細胞がん、巨大細胞がん、腺がん、顆粒膜細胞がん、毛母がん、血様がん、肝細胞がん、ヒュルトレ細胞がん、硝子様がん、ハイパーネフロイドがん、小児胎児性がん、上皮内がん、表皮内がん、上皮内がん、クロムペッヘルがん、クルチツキー細胞がん、大細胞がん、レンズ状がん(lenticular carcinoma)、レンズ状がん(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性がん、リンパ上皮がん、髄様がん(carcinoma medullare)、髄様がん(medullary carcinoma)、黒色がん、軟性がん、粘液がん、粘液がん、粘液腺がん、粘液細胞がん、粘表皮がん、粘液がん(carcinoma mucosum)、粘液がん(mucous carcinoma)、粘液腫様がん、鼻咽頭がん、燕麦細胞がん、骨化性がん、類骨がん、乳頭がん、門脈周囲がん、前浸潤がん、有棘細胞がん、粥状がん、腎細胞がん、予備細胞がん、肉腫様がん、シュナイダーがん、硬がん、陰嚢がん、印環細胞がん、単純がん、小細胞がん、ソラノイドがん、球状細胞がん、紡錘細胞がん、海綿様がん、扁平上皮がん、扁平上皮細胞がん、紐状がん、血管拡張性がん、毛細血管拡張症様がん、移行上皮がん、結節がん(carcinoma tuberosum)、結節がん(tuberous carcinoma)、疣状がん、又は絨毛がんが挙げられる。
【0094】
本明細書で使用される場合、「転移」及び「転移性がん」という用語は、互換的に使用することができ、1つの臓器若しくは別の隣接していない臓器又は身体の部分からの増殖性疾患又は障害(例えば、がん)の拡散を指す。がんは、発生部位(例えば、乳房)で発生し、その部位は、原発腫瘍(例えば、原発性乳がん)と称される。原発腫瘍又は起源の部位のいくつかのがん細胞は、局所領域の周囲の正常組織に浸透して浸潤する能力、及び/又はリンパ系若しくは血管系の壁を貫通して系を経て体内の他の部位及び組織に循環する能力を獲得する。原発腫瘍のがん細胞から形成される第2の臨床的に検出可能な腫瘍は、転移性又は二次腫瘍と呼ばれる。がん細胞が転移すると、転移性腫瘍及びその細胞は元の腫瘍のものと同様であると推定される。したがって、肺がんが乳房に転移する場合、乳房の部位の二次腫瘍は、異常な肺細胞からなり、異常な乳房細胞からなるのではない。乳房における二次腫瘍は、転移性肺がんと称される。したがって、転移性がんという語句は、対象が原発腫瘍を有しているか又は有していた疾患、及び1つ以上の二次腫瘍を有する疾患を指す。非転移性がん又は転移性でないがんを有する対象という語句は、対象が原発腫瘍を有するが、1つ以上の二次腫瘍を有しない疾患を指し得る。例えば、転移性肺がんは、原発性肺腫瘍を有するか又はその病歴を有し、第2の場所又は複数の場所(例えば、乳房)に1つ以上の二次腫瘍を有する対象における疾患を指す。
【0095】
疾患(例えば、タンパク質関連疾患、RKY活性に関連するがん、RKY関連がん、RKY関連疾患(例えば、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は感染性疾患))に関連する物質又は物質の活性若しくは機能の文脈において、「関連する」又は「に関連する」という用語は、その疾患(例えば、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は感染性疾患)が(全体的に若しくは部分的に)引き起こされるか、又はその疾患の症状が(全体的に又は部分的に)物質又は物質の活性若しくは機能によって引き起こされることを意味する。本明細書で使用される場合、疾患と関連付けられると記載されているものは、原因物質である場合、疾患の治療の標的であり得る。例えば、RKY活性又は機能(例えば、シグナル伝達経路活性)の増加が疾患(例えば、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は感染性疾患)を引き起こす場合、Ryk活性若しくは機能に関連するがん又はRKY関連疾患(例えば、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は感染性疾患)を、RKYモジュレーター又はRKY阻害剤で治療することができる。例えば、RKY活性又は機能の増加(例えば、シグナル伝達経路活性)が疾患を引き起こす場合、RKY活性又は機能に関連する炎症性疾患又はRKY関連炎症性疾患を、RKYモジュレーター又はRKY阻害剤で治療することができる。
【0096】
本明細書で使用される「シグナル伝達経路」という用語は、1つの成分の変化を1つ以上の他の成分に伝達することができ、これが次に、追加の成分に変化を伝達することができ、任意選択的に、これが他のシグナル伝達経路成分に伝播される、細胞成分間及び任意選択的に細胞外成分(例えば、タンパク質、核酸、小分子、イオン、脂質)間の一連の相互作用を指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「異常」という用語は、正常とは異なることを指す。異常とは、酵素活性を説明するために使用される場合、正常対照又は正常な非疾患対照試料の平均よりも大きい又は小さい活性を指す。異常活性は、疾患をもたらす活性の量を指してもよく、(例えば、本明細書に記載される方法を使用することによって)異常活性を正常又は非疾患関連量に戻すことにより、疾患又は1つ以上の疾患症状の軽減をもたらす。
【0098】
本明細書で言及される「治療剤」とは、がん(例えば、白血病)などの疾患の治療又は予防に有用な組成物である。いくつかの実施形態では、治療剤は、抗がん剤である。「抗がん剤」は、それらの平易な通常の意味に従って使用され、抗新生物特性又は細胞の成長若しくは増殖を阻害する能力を有する組成物(例えば、化合物、薬物、アンタゴニスト、阻害剤、モジュレーター)を指す。実施形態では、抗がん剤は、化学療法剤である。実施形態では、抗がん剤は、がんを治療する方法において有用性を有する、本明細書において特定される薬剤である。実施形態では、抗がん剤は、がんを治療するために、FDA又は米国以外の国の同様の規制当局によって承認された薬剤である。
【0099】
本明細書で使用される「抗がん剤」とは、がん細胞又はがん組織の破壊若しくは阻害によってがんを治療するために使用される分子(例えば、化合物、ペプチド、タンパク質、核酸、0103)を指す。抗がん剤は、特定のがん又は特定の組織に対して選択的であり得る。実施形態では、本明細書における抗がん剤には、エピジェネティック阻害剤及びマルチキナーゼ阻害剤が含まれる場合があり、「抗がん剤(anti-cancer agent)」及び「抗がん剤(anticancer agent)」は、それらの平易な通常の意味に従って使用され、抗新生物特性又は細胞の増殖(growth)若しくは増殖(proliferation)を阻害する能力を有する組成物(例えば、化合物、薬物、アンタゴニスト、阻害剤、モジュレーター)を指す。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、化学療法剤である。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、がんを治療する方法において有用性を有する、本明細書において特定される薬剤である。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、がんを治療するために、FDA又は米国以外の国の同様の規制当局によって承認された薬剤である。抗がん剤の例としては、MEK(例えば、MEK1、MEK2、又はMEK1及びMEK2)阻害剤(例えば、XL518、CI-1040、PD035901、セルメチニブ/AZD6244、GSK1120212/トラメチニブ、GDC-0973、ARRY-162、ARRY-300、AZD8330、PD0325901、U0126、PD98059、TAK-733、PD318088、AS703026、BAY869766)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン(mechloroethamine)、シクロホスファミド、クロラムブシル、メイファラン(meiphalan))、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムシチン、セムスチン、ストレプトゾシン)、トリアゼン(デカルバジン))、抗代謝剤(例えば、5-アザチオプリン、ロイコボリン、カペシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、又はピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンなど)、植物アルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル、ドセタキセルなど)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)など)、リン酸エトポシド、テニポシドなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンなど)、白金系化合物(例えば、シスプラチン、オキサロプラチン、カルボプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナル伝達の阻害剤(例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY43-9006、ウォルトマンニン、又はLY294002)、Syk阻害剤、mTOR阻害剤、抗体(リツキサンなど)、ゴシフォール(gossyphol)、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、オールトランスレチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5-アザ-2’-デオキシシチジン、オールトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec.RTM.)、ゲルダナマイシン、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY11-7082、PKC412、PD184352、20-エピ-1、25ジヒドロキシビタミンD3、又は5-エチニルウラシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
抗がん剤の更なる例としては、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリックス、抗背側形成形態形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、前立腺がん、抗エストロゲン、アンチネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィジコリングリシネート、アポトーシス遺伝子調節剤、アポトーシス調節剤、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキナスタチン2、アキナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、ベータラクタム誘導体、ベータアレチン、ベータクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビスアジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カナリアポックスIL-2、カペシタビン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRestM3、CARN700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリクス、クロリン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、cis-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クランベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペントアントラキノン、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクホスファート、細胞溶解因子、シトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジコン、ディデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、9-ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフル、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、エトポシドリン酸塩、又はエキセメスタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
抗がん剤の更なる例としては、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、フルオロダウノルニシン塩酸塩、フォルフェニメックス、フォルメスタン、フォストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリクス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモフォシン、イロマスタット、イミダゾアクリドン、イミキモド、免疫賦活ペプチド、インスリン様増殖因子-1受容体阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、ヨーベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール、4-、イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリン-N三酢酸塩、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、レンチナン硫酸塩、レプトールスタチン、レトロゾール、白血病抑制因子、白血球アルファインターフェロン、リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン、リュープロレリン、レバミゾール、リアロゾール、直鎖状ポリアミン類似体、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リソクリンアミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン(lysofylline)、溶解性ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリライシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、ミトナフィド、マイトトキシン線維芽細胞増殖因子サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロフィン、モノホスホリルリピドA+ミヨバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk、モピダモール、多剤耐性遺伝子阻害剤、複数の腫瘍抑制因子1に基づく療法、マスタード抗がん剤、ミカペロキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素調節剤、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン、O6-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘導剤、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペグアスパラガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルフォスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニル酢酸塩、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、ピロカルピン塩酸塩、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金-トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム塩、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス-アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAベースの免疫調節剤、プロテインキナーゼC阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、ミクロアルガル、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、又はピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
抗がん剤の更なる例としては、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、レテリプチンデメチル化、レニウムRe186エチドロネート、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ログレチミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメックス、ルビギノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、セントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi1模倣物、セムスチン、老化由来阻害因子1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達調節剤、一本鎖抗原結合タンパク質、シゾフラン、ソブゾキサン、ボロカプテートナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルホス酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド、ストロメライシン阻害剤、スルフィノシン、超活性血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、タリブラスチン、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣物、チマルファシン、チモポエチン受容体アゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、エチルエチオプルプリンスズ、チラパザミン、二塩化チタノセン、トプセンチン、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チロホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、泌尿生殖洞由来増殖抑制因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド、バリオリンB、ベクターシステム、赤血球遺伝子療法、ベラレソール、ベラミン、バーディン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、ジノスタチンスチマラマー、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン(ambomycin)、アメタントロン酢酸塩、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビサントレン塩酸塩、ビスナフィドジメシル酸塩、ビゼレシン、ブレオマイシン硫酸塩、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベタイマー、カルボプラチン、カルムスチン、カルビシン塩酸塩、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロラムブシル、シロレマイシン、クラドリビン、クリスナトールメシル酸塩、シクロホスファミド、シタラビンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
抗がん剤の更なる例としては、ダカルバジン、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシル酸塩、ジアジクオン、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドロロキシフェン、ドロロキシフェンクエン酸塩、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、デュアゾマイシン、エダトレキサート、エフロルニチン塩酸塩、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、エソルビシン塩酸塩、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム塩、エタニダゾール、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エトプリン、ファドロゾール塩酸塩、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、フルダラビンリン酸塩、フルオロウラシル、フルオロシタビン、フォスキドン、ホストリエシンナトリウム塩、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、ヒドロキシ尿素、イダルビシン塩酸塩、イホスファミド、イイモフォシン、インターロイキンI1(組換えインターロイキンII、すなわち、rlL.sub.2を含む)、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンガンマ-1b、イプロプラチン、イリノテカン塩酸塩、ランレオチド酢酸塩、レトロゾール、リュープロリド酢酸塩、リアロゾール塩酸塩、ロメトレキソールナトリウム塩、ロムスチン、ロソキサントロン塩酸塩、マソプロコール、メイタンシン、メクロレタミン塩酸塩、メゲストロール酢酸塩、メレンゲストロール酢酸塩、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム塩、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、マイトマイシン、ミトスペル、ミトタン、ミトキサントロン塩酸塩、ミコフェノール酸、ノコダゾイエ(nocodazoie)、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、ペグアスパラガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、ペプロマイシン硫酸塩、ペルフォスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム塩、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、ピューロマイシン、ピューロマイシン塩酸塩、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、サフィンゴール塩酸塩、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォセートナトリウム塩、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム塩酸塩、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム塩、テガフール、テロキサントロン塩酸塩、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、トレストロン酢酸塩、トリシリビンリン酸塩、トリメトレキサート、トリメトレキセートグルクロン酸塩、トリプトレリン、ツブロゾール塩酸塩、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンデシン、ビンデシン硫酸塩、ビネピジン硫酸塩、ビングリシネート硫酸塩、ビンロイロシン硫酸塩、ビノレルビン酒石酸塩、ビンロシジン硫酸塩、ビンゾリジン硫酸塩、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、ゾルビシン塩酸塩、G2-M期の細胞を停止させ、かつ/又は微小管の形成若しくは安定性を調節する薬剤(例えば、Taxol(商標)(すなわち、パクリタキセル)、Taxotere(商標)、タキサン骨格を含む化合物、エルブロゾール(すなわち、R-55104))、ドラスタチン10(すなわち、DLS-10及びNSC-376128)、ミボブリンイセチオン酸塩(すなわち、CI-980として)、ビンクリスチン、NSC-639829、ディスコデルモリド(すなわち、NVP-XX-A-296として)、ABT-751(Abbott、すなわち、E-7010)、又はアルトルヒルチン(例えば、アルトルヒルチンA及びアルトルヒルチンC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
抗がん剤の更なる例としては、スポンジスタチン(例えば、スポンジスタチン1、スポンジスタチン2、スポンジスタチン3、スポンジスタチン4、スポンジスタチン5、スポンジスタチン6、スポンジスタチン7、スポンジスタチン8、及びスポンジスタチン9)、セマドチン塩酸塩(すなわち、LU-103793及びNSC-D-669356)、エポチロン(例えば、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(すなわち、デスオキシエポチロンA又はdEpoA)、エポチロンD(すなわち、KOS-862、dEpoB、及びデスオキシエポチロンB)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンBN-オキシド、エポチロンAN-オキシド、16-アザ-エポチロンB、21-アミノエポチロンB(すなわち、BMS-310705)、21-ヒドロキシエポチロンD(すなわち、デスオキシエポチロンF及びdEpoF)、26-フルオロエポチロン、アウリスタチンPE(すなわち、NSC-654663)、ソブリドチン(すなわち、TZT-1027)、LS-4559-P(Pharmacia、すなわち、LS-4577)、LS-4578(Pharmacia、すなわち、LS-477-P)、LS-4477(Pharmacia)、LS-4559(Pharmacia)、RPR-112378(Aventis)、ビンクリスチン硫酸塩、DZ-3358(Daiichi)、FR-182877(Fujisawa、すなわち、WS-9885B)、GS-164(Takeda)、GS-198(Takeda)、KAR-2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF-223651(BASF、すなわち、ILX-651及びLU-223651)、SAH-49960(Lilly/Novartis)、SDZ-268970(Lilly/Novartis)、AM-97(Armad/Kyowa Hakko)、AM-132(Armad)、AM-138(Armad/Kyowa Hakko)、IDN-5005(Indena)、クリプトフィシン52(すなわち、LY-355703)、AC-7739(Ajinomoto、すなわち、AVE-8063A及びCS-39.HCl)、AC-7700(Ajinomoto、すなわち、AVE-8062、AVE-8062A、CS-39-L-Ser.HCl、及びRPR-258062A)、ビチレブアミド、チューブリシンA、カナデンソル、センタウレイジン(すなわち、NSC-106969)、T-138067(Tularik、すなわち、T-67、TL-138067、及びTI-138067)、COBRA-1(Parker Hughes Institute、すなわち、DDE-261及びWHI-261)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、オンコシジンA1(すなわち、BTO-956及びDIME)、DDE-313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリドB、ラウリマリド、SPA-2(Parker Hughes Institute)、SPA-1(Parker Hughes Institute、すなわち、SPIKET-P)、3-IAABU(細胞骨格/Mt.Sinai School of Medicine、すなわち、MF-569)、ナルコシン(NSC-5366としても知られている)、ナスカピン(Nascapine)、D-24851(Asta Medica)、A-105972(Abbott)、ヘミアステリン、3-BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、すなわち、MF-191)、TMPN(Arizona State University)、バナドセンアセチルアセトネート、T-138026(Tularik)、モンサトロール(Monsatrol)、イナノシン(すなわち、NSC-698666)、3-IAABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A-204197(Abbott)、T-607(Tuiarik、すなわち、T-900607)、RPR-115781(Aventis)、エリュテロビン(例えば、デスメチルエリュテロビン、デスアセチルエリュテロビン、イソエリュテロビンA、Z-エリュテロビン)、カリバエオシド、カリバエオリン、ハリコンドリンB、D-64131(Asta Medica)、D-68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A-293620(Abbott)、NPI-2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB-245(Aventis)、A-259754(Abbott)、ジオゾスタチン、(-)-フェニラヒスチン(すなわち、NSCL-96F037)、D-68838(Asta Medica)、D-68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D-43411(Zentaris、すなわち、D-81862)、A-289099(Abbott)、A-318315(Abbott)、HTI-286(すなわち、SPA-110、トリフルオロ酢酸塩)(Wyeth)、D-82317(Zentaris)、D-82318(Zentaris)、SC-12983(NCI)、レスベラスタチンリン酸ナトリウム塩、BPR-OY-007(National Health Research Institutes)、及びSSR-250411(Sanofi))、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)(例えば、ゴセレリン又はリュープロリド)、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸塩、メゲストロール酢酸塩、メドロキシプロゲステロン酢酸塩)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(diethlystilbestrol)、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、テストステロンプロピオン酸塩、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、免疫賦活剤(例えば、カルメットゲラン桿菌(BCG)、レバミゾール、インターロイキン2、アルファ-インターフェロンなど)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD20、抗HER2、抗CD52、抗HLA-DR、及び抗VEGFモノクローナル抗体)、免疫毒素(抗CD33モノクローナル抗体-カリケアマイシンコンジュゲート、抗CD22モノクローナル抗体-シュードモナス外毒素コンジュゲートなど)、放射線免疫療法(例えば、111In、90Y、又は131Iにコンジュゲートされた抗CD20モノクローナル抗体など)、トリプトライド、ホモハリントニン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、トポテカン、イトラコナゾール、ビンデシン、セリバスタチン、ビンクリスチン、デオキシアデノシン、セルトラリン、ピタバスタチン、イリノテカン、クロファジミン、5-ノニルオキシトリプタミン、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、EGFR阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)標的化療法又は治療薬(例えば、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ラパチニブ(Tykerb(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標))、バンデタニブ(Caprelsa(商標))、アファチニブ/BIBW2992、CI-1033/カネルチニブ、ネラチニブ/HKI-272、CP-724714、TAK-285、AST-1306、ARRY334543、ARRY-380、AG-1478、ダコミチニブ/PF299804、OSI-420/デスメチルエルロチニブ、AZD8931、AEE788、ペリチニブ/EKB-569、CUDC-101、WZ8040、WZ4002、WZ3146、AG-490、XL647、PD153035、BMS-599626)、ソラフェニブ、イマチニブ、スニチニブ、ダサチニブなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本明細書で使用される場合、状態、疾患若しくは障害、又は状態、疾患、若しくは障害に関連する症状の「治療すること」又は「治療」は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを指す。有益な又は所望の臨床結果としては、部分的であれ全体的であれ、1つ以上の症状又は状態の緩和又は改善、状態、障害、又は疾患の程度の低減、状態、障害、又は疾患の状態の安定化、状態、障害、又は疾患の発症の予防、状態、障害、又は疾患の拡大の予防、状態、障害、又は疾患の進行の遅延又は減速、状態、障害、又は疾患の発症の遅延又は減速、病状、障害又は病状の改善又は緩和、及び寛解が挙げられ得るが、これらに限定されない。「治療すること」は、治療の不在下で予想される生存と比較して、生存を延長することも意味し得る。「治療すること」はまた、状態、障害、若しくは疾患の進行を阻害し、状態、障害、若しくは疾患の進行を一時的に遅延させることを意味し得るが、場合によっては、状態、障害、若しくは疾患の進行を永久に停止することを伴う。本明細書で使用される場合、治療、治療、又は治療という用語は、プロテアーゼの発現によって特徴付けられる疾患又は状態の1つ以上の症状の影響を軽減する方法、又はプロテアーゼの発現によって特徴付けられる疾患又は状態の症状を軽減する方法を指す。したがって、開示される方法では、治療は、確立された疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の重症度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を指し得る。例えば、疾患を治療するための方法は、対照と比較して、対象における疾患の1つ以上の症状が10%減少する場合、治療であるとみなされる。したがって、減少は、天然レベル又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は10%と100%との間の任意の割合の減少であり得る。治療は、必ずしも、疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の治癒又は完全な消失を指すものではないことが理解される。更に、本明細書で使用される場合、低減、減少、又は阻害への言及は、対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上の変化を含み、そのような用語は、完全な排除を含み得るが、必ずしも含まない。
【0106】
「用量」及び「投与量」という用語は、本明細書では互換的に使用される。用量は、各投与時に個体に与えられる有効成分の量を指す。用量は、所与の治療のための通常の用量の範囲、投与頻度、個体のサイズ及び耐性、状態の重症度、副作用のリスク、及び投与経路を含むいくつかの要因に応じて変化する。当業者は、用量が上記の因子に応じて、又は治療の進行に基づいて変更され得ることを認識するであろう。「剤形(dosage form)」という用語は、医薬又は薬学的組成物の特定の形式を指し、投与経路に依存する。例えば、剤形は、噴霧用の液体の形態、例えば錠剤若しくは液体の吸入剤用、例えば経口送達用、又は生理食塩水、例えば注射用であり得る。
【0107】
本明細書で使用される「治療有効用量又は量」とは、それが投与される目的の効果(例えば、疾患の治療又は予防)を生じる用量を意味する。正確な用量及び製剤は、治療の目的次第であり、公知の技術を使用して当業者によって確認され得る(Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992)、Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Gennaro,Editor(2003)、及びPickar,Dosage Calculations(1999))。例えば、所与のパラメータについて、治療有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、又は少なくとも100%の増加又は減少を示す。治療の有効性は、「-倍」の増加又は減少として表すこともできる。例えば、治療有効量は、標準の対照よりも少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍又はそれ以上の効果を有することができる。治療有効用量又は量は、疾患の1つ以上の症状を改善し得る。治療有効用量又は量は、それが投与されている効果が、疾患を発症するリスクがある人物を治療することである場合、疾患、又は疾患の1つ以上の症状の発症を、予防又は遅延させることができる。
【0108】
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、病変内、髄腔内、鼻腔内若しくは皮下投与、又は対象への徐放デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は、非経口及び経粘膜(例えば、口腔、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸、又は経皮)を含む任意の経路によるものである。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、及び頭蓋内が挙げられる。他の送達様式としては、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用が挙げられるが、これらに限定されない。「同時投与」とは、本明細書に記載の組成物が、1つ以上の追加の療法、例えば、化学療法、ホルモン療法、放射線療法、又は免疫療法などのがん療法の投与と同時に、直前に、又は直後に投与されることを意味する。本発明の化合物は、単独で投与することができ、又は患者に同時投与することができる。同時投与は、化合物を個別に又は組み合わせて(1つを超える化合物)、併発又は逐次投与することを含むことを意味する。したがって、調製物は、必要に応じて、他の活性物質と組み合わせることもできる(例えば、代謝分解を低減するために)。本発明の組成物は、経皮的に、局所経路によって送達され得るか、又はアプリケータースティック、溶液、懸濁液、エマルション、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗料、粉末、及びエアロゾルとして製剤化され得る。
【0109】
経口投与に好適な製剤は、(a)液体溶液、例えば、希釈剤(例えば、水、生理食塩水又はPEG400)に懸濁された有効量の本明細書で提供される抗体、(b)各々が液体、固体、顆粒若しくはゼラチンとして、所定量の活性成分を含有するカプセル、サシェ、若しくは錠剤、(c)適切な液体中の懸濁液、又は(d)好適な乳剤からなっていてもよい。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、香味剤、染料、崩壊剤、並びに薬学的に適合性の担体のうちの1つ以上を含み得る。ロゼンジ形態は、フレーバー(例えばスクロース)中の活性成分、並びに活性成分を、活性成分に加えて、当該技術分野で既知の担体を含有する、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアエマルション、ゲルなどの不活性基剤中に含む芳香錠を含み得る。
【0110】
薬学的組成物はまた、タンパク質などの大きく、徐々に代謝される巨大分子、キトサンなどの多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びコポリマー(ラテックス官能化セファロース(商標)、アガロース、セルロースなどなど)、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、及び脂質凝集体(油滴又はリポソームなど)も含み得る。更に、これらの担体は、免疫刺激剤(すなわち、アジュバント)として機能することができる。
【0111】
直腸投与に好適な製剤としては、例えば、坐剤基材を有するパッケージングされた核酸からなる坐剤が挙げられる。好適な坐剤基剤としては、天然又は合成トリグリセリド又はパラフィン炭化水素が挙げられる。加えて、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、及びパラフィン炭化水素を含む、選択された化合物と基剤との組み合わせからなる、ゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。
【0112】
例えば、関節内(関節中)、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、及び皮下経路などの非経口投与に好適な製剤としては、製剤を、意図されたレシピエントの血液と等張性にする抗酸化物質、緩衝液、静菌剤、及び溶質を含有し得る、水性及び非水性の等張性滅菌注射溶液、並びに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。本発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注入、経口、局所、腹腔内、膀胱内、又はくも膜下腔内によって投与されてもよい。非経口投与、経口投与、及び静脈内投与は、好ましい投与方法である。化合物の製剤は、アンプル及びバイアルなどの単位用量又は複数用量密封容器で提示され得る。
【0113】
注射液及び懸濁液は、以前に記載された種類の無菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製され得る。エクスビボ療法のために核酸によって形質導入された細胞はまた、上述のように静脈内投与又は非経口投与され得る。
【0114】
併用投与は、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用した同時投与、及びいずれかの順序での連続投与を企図しており、好ましくは、両方の(又は全ての)活性薬剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮する期間がある。
【0115】
本発明の組成物は、持続放出及び/又は快適性を提供する成分を更に含み得る。そのような成分としては、高分子量、アニオン性粘液模倣ポリマー、ゲル化多糖、及び細かく分割された薬物担体基質が挙げられる。これらの成分は、米国特許第4,911,920号、同第5,403,841号、同第5,212,162号、及び同第4,861,760号により詳細に記載されている。これらの特許の全体の内容は、全ての目的のために、それらの全体が参照により本明細書に援用される。本発明の組成物はまた、体内での徐放のためにマイクロスフェアとして送達することもできる。例えば、マイクロスフェアは、皮下で徐放される薬物含有マイクロスフェアの皮内注射を介して(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623-645,1995を参照)、生分解性及び注射用ゲル製剤として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857-863,1995を参照)、又は経口投与のためのマイクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49,669-674,1997を参照)投与することができる。実施形態では、本発明の組成物の製剤は、細胞膜と融合するか、又はエンドサイトーシスされるリポソームの使用によって、すなわち、エンドサイトーシスをもたらす細胞の表面膜タンパク質受容体に結合するリポソームに結合された受容体リガンドを用いることによって、送達することができる。リポソームを使用することによって、特に、リポソーム表面が標的細胞に特異的な受容体リガンドを担持している場合、又はそうでなければ特定の臓器に優先的に向けられている場合、本発明の組成物のインビボでの標的細胞への送達に焦点を当てることができる。(例えば、Al-Muhammed,J.Microencapsul.13:293-306,1996、Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698-708,1995、Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46,1576-1587,1989を参照されたい)。本発明の組成物は、ナノ粒子として送達することもできる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」という用語は、「生理学的に許容される(physiologically acceptable)」及び「薬理学的に許容される(pharmacologically acceptable)」と互換的に使用される。薬学的組成物は、一般に、貯蔵中の緩衝及び保存のための薬剤を含み、投与経路に応じて、適切な送達のための緩衝液及び担体を含むことができる。
【0117】
「薬学的に許容される賦形剤」及び「薬学的に許容される担体」は、対象への活性薬剤の投与及び対象による吸収を補助し、患者に重大な有害毒性作用を引き起こさずに本発明の組成物に含めることができる物質を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、通常の生理食塩水、乳酸加リンガー液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香味剤、塩溶液(リンガー液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロース又はデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色剤などが挙げられる。そのような調製物は、滅菌し、必要に応じて、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤、及び/又は本発明の化合物と有害に反応しない芳香族物質などの補助剤と混合することができる。当業者は、本発明において他の医薬賦形剤が有用であることを認識するであろう。
【0118】
「薬学的に許容される塩」という用語は、当該技術分野で周知の様々な有機及び無機対イオンに由来する塩を指し、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含み、分子が、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機又は無機酸の塩を含む。
【0119】
「調製物」という用語は、活性化合物と、カプセルを提供する担体としてのカプセル化材料との製剤を含むことが意図される。カプセルでは、活性成分が、他の担体の有無にかかわらず、担体に取り囲まれ、したがって、担体と会合している。同様に、カシェ及びロゼンジが含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル、ピル、カシェ、及びロゼンジは、経口投与に好適な固形剤形として使用され得る。
【0120】
薬学的製剤は、任意選択的に、単位剤形である。そのような剤形では、調製物は、適切量の活性成分を含有する単位用量に細分化される。単位剤形は、包装製剤であり得、包装は、パケット化錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末などの離散量の製剤を含有する。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、若しくはトローチ剤そのものであってもよく、又はこれらのいずれかの適切数が包装された剤形であってもよい。単位剤形は、凍結分散剤であり得る。
【0121】
本明細書に記載される例及び実施形態は、例示的な目的のためだけのものであり、そのための様々な修正又は変更が当業者に提案され、本出願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的に関して、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0122】
抗RYK抗体
本明細書において、とりわけ、高効率及び特異性でヒト関連チロシン受容体キナーゼ(RYK)に結合する抗体(例えば、キメラ抗体、モノクローナル抗体、抗体断片(例えば、scFv))が提供される。本明細書で提供される抗体及び抗体組成物は、例えば、新規の軽鎖及び重鎖ドメインCDR及びフレームワーク領域を含み、とりわけ、がん及び他のRYK関連疾患の診断及び治療に有用である。実施形態では、本明細書で提供される抗RYK抗体は、ヒトRYKタンパク質に結合することができるが、マウスRYKタンパク質には結合しない。
【0123】
一態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む。
【0124】
実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号15の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号15の配列である。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号16の配列を含む。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号16の配列である。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号15の配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号16の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号15の配列であり、軽鎖可変ドメインは、配列番号16の配列である。
【0125】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約3pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約4pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約5pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約7pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約8pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約9pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約10pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約50pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約100pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約200pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約300pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約400pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約500pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約600pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約700pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約800pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約900pM~約2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約1nM~約2nMのKDを有する。
【0126】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約1nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約900pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約800pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約700pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約600pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約500pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約400pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約300pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約200pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約100pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約50pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約10pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約9pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約8pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約7pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約6pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約5pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約4pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約2pM~約3pMのKDを有する。
【0127】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、3pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、4pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、5pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、7pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、8pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、9pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、10pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、50pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、100pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、200pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、300pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、400pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、500pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、600pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、700pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、800pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、900pM~2nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、1nM~2nMのKDを有する。
【0128】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~1nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~900pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~800pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~700pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~600pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~500pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~400pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~300pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~200pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~100pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~50pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~10pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~9pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~8pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~7pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~6pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~5pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~4pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、2pM~3pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約513pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、513pMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体抗体は、本明細書では2-D11と称される。
【0129】
別の態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む。
【0130】
実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号31の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号31の配列である。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号32の配列を含む。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号32の配列である。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号31の配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号32の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号31の配列であり、軽鎖可変ドメインは、配列番号32の配列である。
【0131】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約7nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約8nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約9nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約10nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約11nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約12nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約13nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約14nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約15nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約16nM~約17nMのKDを有する。
【0132】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~16nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約15nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約14nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約13nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約12nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約11nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約10nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約9nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約8nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~約7nMのKDを有する。
【0133】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、7nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、8nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、9nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、10nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、11nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、12nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、13nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約14nM~約17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、15nM~17nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、16nM~17nMのKDを有する。
【0134】
実施形態では、モノクローナル抗体は、このパラグラフに記載の平衡解離定数(KD)でRYKに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~16nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~15nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~14nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~13nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~12nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~約11nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~10nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~9nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、6nM~8nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約6nM~7nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、約10nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体は、10nMのKDを有する。実施形態では、抗RYK抗体抗体は、本明細書では7-D10と称される。
【0135】
別の態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む。
【0136】
実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号47の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号47の配列である。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号48の配列を含む。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号48の配列である。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号47の配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号48の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号47の配列であり、軽鎖可変ドメインは、配列番号48の配列である。実施形態では、抗RYK抗体抗体は、本明細書では11-E9と称される。
【0137】
別の態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体が提供され、重鎖可変ドメインが、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む。
【0138】
実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号63の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号63の配列である。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号64の配列を含む。実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号64の配列である。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号63の配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号64の配列を含む。実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号63の配列であり、軽鎖可変ドメインは、配列番号64の配列である。実施形態では、抗RYK抗体抗体は、本明細書では3-C12と称される。
【0139】
実施形態では、抗RYK抗体は、キメラ抗体である。実施形態では、抗RYK抗体は、Fab’断片である。実施形態では、抗RYK抗体は、IgGである。実施形態では、軽鎖可変ドメイン及び当該重鎖可変ドメインは、scFvの一部を形成する。
【0140】
実施形態では、抗RYK抗体は、RYKタンパク質に結合することができる。実施形態では、抗RYK抗体は、細胞外RYKドメインに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、ヒト細胞外RYKドメインに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、配列番号129のアミノ酸配列を含む細胞外RYKドメインに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、配列番号129のアミノ酸配列である細胞外RYKドメインに結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列に結合する。実施形態では、抗RYK抗体は、RYKタンパク質に結合されている。実施形態では、RYKタンパク質は、ヒトRYKタンパク質である。実施形態では、RYKタンパク質は、配列番号130の配列を含む。実施形態では、RYKタンパク質は、配列番号130の配列である。実施形態では、RYKタンパク質は、配列番号129の配列である。実施形態では、RYKタンパク質は、マウスRYKタンパク質に結合しない。実施形態では、抗RYK抗体は、配列番号131のアミノ酸残基32~41に対応するアミノ酸配列を含むRYKタンパク質に結合しない。実施形態では、抗RYK抗体は、配列番号131の配列を含むRYKタンパク質に結合しない。実施形態では、抗RYK抗体は、配列番号131のRYKタンパク質に結合しない。実施形態では、抗RYK抗体は、マウス細胞外RYKドメインに結合しない。実施形態では、RYKタンパク質は、細胞の一部を形成する。いくつかの実施形態では、RYKタンパク質は、細胞の表面に発現される。
【0141】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、抗RYK抗体が、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0142】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、抗RYK抗体が、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0143】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、抗RYK抗体が、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0144】
別の態様では、抗RYK抗体が提供され、当該抗RYK抗体が、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する。
【0145】
実施形態では、抗RYK抗体は、治療用部分又は診断用部分に結合されている。実施形態では、抗RYK抗体は、治療用部分に結合されている。実施形態では、抗RYK抗体は、診断用部分に結合されている。
【0146】
核酸組成物
本明細書で提供される組成物(それらの実施形態を含む)は、本明細書で提供される抗RYK抗体又はその部分をコードする核酸分子を含む。本明細書で提供される単離された核酸によってコードされる抗体は、本出願全体を通して詳細に記載されている(上記の説明及び実施例のセクションを含む)。したがって、一態様では、本明細書で提供される抗RYK抗体をコードする単離された核酸(その実施形態を含む)が提供される。
【0147】
抗体組成物
本明細書で提供される抗体の軽鎖及び重鎖は、とりわけ、当該技術分野で周知の従来の方法を使用して、組換えタンパク質(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)又は二重特異性抗体(BiTes))の一部を形成し得る。エフェクター細胞の動員を通して、本明細書で提供される抗RYK抗体は、RYK発現細胞の細胞殺傷を誘導し、それ自体によって又はCAR若しくはBiTeの文脈で使用される場合、治療目的に有用である。
【0148】
細胞組成物
本明細書で提供される組成物(その実施形態を含む)は、本明細書で提供される抗RYK抗体を含む細胞組成物を含む。したがって、一態様では、本明細書で提供される抗RYK抗体(その実施形態を含む)又は本明細書で提供される核酸(その実施形態を含む)を含む細胞が提供される。
【0149】
薬学的組成物
本明細書で提供される組成物(その実施形態を含む)は、本明細書で提供される抗RYK抗体を含む薬学的組成物を含む。したがって、一態様では、薬学的組成物が提供され、治療有効量の本明細書で提供される抗体(その実施形態を含む)と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む。
【0150】
方法
一態様では、RYKタンパク質に結合することができる抗体を形成する方法が提供され、当該方法は、配列番号129の配列を含むペプチドで哺乳動物を免疫することを含む。
【0151】
別の態様では、RYK発現細胞を検出する方法が提供され、本方法は、(i)RYK発現細胞を、本明細書で提供される抗体(その実施形態を含む)と接触させることと、(ii)細胞によって発現されるRYKタンパク質に対する抗体の結合を検出することと、を含む。
【0152】
実施形態では、抗体は、検出可能な部分に結合されている。実施形態では、生体試料は、全血、血液画分若しくは血液製剤、組織、又は培養細胞である。実施形態では、生体試料は、全血である。実施形態では、生体試料は、血液画分又は血液製剤である。実施形態では、生体試料は、血液画分である。実施形態では、生体試料は、血液製剤である。実施形態では、生体試料は、組織である。実施形態では、生体試料は、培養細胞である。
【0153】
実施形態では、RYK発現細胞は、がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、膀胱がん細胞、脳がん細胞、乳がん細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、結腸がん細胞、ユーイング肉腫細胞、肺がん細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、卵巣がん細胞、膵臓がん細胞、皮膚がん細胞、又は黒色腫細胞である。実施形態では、がん細胞は、膀胱がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、脳がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、乳がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、慢性骨髄性白血病(CML)細胞である。実施形態では、がん細胞は、結腸がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、ユーイング肉腫細胞である。実施形態では、がん細胞は、肺がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、マントル細胞リンパ腫細胞である。実施形態では、がん細胞は、卵巣がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、膵臓がん細胞である。実施形態では、がん細胞は、皮膚がん細胞である。実施形態では、がんは、黒色腫細胞である。
【0154】
別の態様では、がんの治療を必要とする対象においてそれを行う方法が提供され、本方法は、対象に、治療有効量の本明細書で提供される抗RYK抗体(その実施形態を含む)を投与することを含む。
【0155】
実施形態では、がんは、膀胱がん、脳がん、乳がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、ユーイング肉腫、肺がん、マントル細胞リンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、皮膚がん、又は黒色腫である。実施形態では、がんは、膀胱がんである。実施形態では、がんは、脳がんである。実施形態では、がんは、慢性骨髄性白血病(CML)である。実施形態では、がんは、結腸がんである。実施形態では、がんは、ユーイング肉腫である。実施形態では、がんは、肺がんである。実施形態では、がんは、マントル細胞リンパ腫である。実施形態では、がんは、卵巣がんである。実施形態では、がんは、膵臓がんである。実施形態では、がんは、皮膚がんである。実施形態では、がんは、黒色腫である。
【0156】
別の態様では、抗RYK抗体を特定する方法が提供され、本方法は、(i)抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含む第1のRYKポリペプチドと接触させることと、(ii)第1のRYKポリペプチドに結合する抗体を検出することと、(iii)抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含まない第2のRYKポリペプチドと接触させることと、(iv)第2のRYKポリペプチドに結合しない抗体を検出し、それによって、抗RYK抗体を特定することと、を含む。
【0157】
実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。実施形態では、抗体は、Fab’断片である。実施形態では、抗体は、単鎖抗体である。
【0158】
本明細書に記載される例及び実施形態は、例示的な目的のためだけのものであり、そのための様々な修正又は変更が当業者に提案され、本出願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的に関して、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【実施例】
【0159】
実施例1:
出願人は、ヒトRykの細胞外ドメインに非常に特異的であるが、非常に相同性の高いマウスRykには結合しないmAbを生成した。これらのmAbは、成熟ヒトRykタンパク質のアミノ末端に見出されるエピトープ(複数可)に明らかに結合する。更に、これらのmAbは、Rykに対して非常に高い親和性を有し、驚くべきことに、正常なヒト産後組織と反応しないようである。例えば、出願人は、これらのmAbが、正常なヒト臍帯血又は産後の血液、扁桃、脾臓、若しくは骨髄中の造血細胞には結合しないことを見出した。しかし、驚くべきことに、これらのmAbは、様々な異なる固形腫瘍又は血液がんに由来するがん細胞株と反応する。これらのmAbは、同じ組織型に由来する全てのがんと反応しないため、これらのmAbが、その組織型に由来する全ての産後細胞と反応しないと推測する。驚くべきことに、出願人は、mAbが、トリプルネガティブな転移性乳がん細胞などの侵襲性がんを有する患者の原発腫瘍細胞と非常に強く反応することを発見した。更に、出願人は、これらのmAbが、悪性の胸水又は腹水中のがん細胞と強く反応し、血液中の循環腫瘍細胞と反応し得ることを見出した。予備研究はまた、これらのmAbが、高い転移経路及び不良な予後に関連する、がん幹細胞又は間葉系の特徴を有するがん細胞と最も強く反応することを示す。
【0160】
これらの抗体を使用して、Rykを発現するがん細胞に結合させることができる。Rykは、明らかに、正常な産後組織では発現が低いか無視できるため、これらのmAbは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介して、又はがん細胞の遊走、増殖、及び/若しくはがん幹細胞の再生を明らかに促進するRykの未だ確定されていない機能を阻害することによって、Ryk発現がん細胞を破壊するために標的とすることができる。更に、これらのmAbを、毒素と結合させてもよく、Rykを発現する腫瘍細胞への抗Ryk mAb結合毒素の特異的送達を可能にする。それらのmAbは、親和性が高いため、ヒト抗体を同化させるように「ヒト化」することができ、かつ/又はRykに結合する一本鎖Fv(scFv)ドメインを生成するために使用することができる。これを使用して、Rykを標的化するとともに、Rykを発現する腫瘍細胞に対する抗腫瘍免疫応答の細胞性免疫活性化を可能にし得る別の分子(例えば、CD3)を標的化する、二重特異性抗体を作製することができる。更に、これらの抗Ryk scFvを使用して、キメラ抗原受容体(CAR)を生成することができる。T細胞又はNK細胞による抗Ryk CARの発現は、Ryk発現がんに対する抗Ryk CAR T/NK細胞療法を可能にすることができる。
【0161】
本明細書に記載されるように、出願人は、抗Ryk抗体を作製し、抗原に対するそれらの親和性を測定した。更に、Ryk結合部位が配列決定され、開示される2つの抗Ryk mAb、2-D11及び7-H10(近日公開)の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列が決定された。抗体は、トリプルネガティブ乳がんの異種移植片を含む、様々ながんの細胞株で試験されている。更に、2-D11抗体は、乳がん患者由来の異種移植片(例えば、トリプルネガティブ転移性乳がん)からの原発腫瘍細胞を含む、様々ながん組織型に由来するがん細胞株を染色するために使用されている。
【0162】
実施例3:
抗RYK抗血清を使用する研究において、RYKが慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞で発現されることがデータから示唆されるため、CLLを有する患者の白血病細胞に結合する抗RYK mAbを生成した。しかしながら、RYKに特異的な高親和性mAbを生成したところ、出願人は、抗RYK抗血清が、明らかにCLL細胞に対して偽の結合活性を有し、それが実際には、RYKを発現せず、本明細書に記載の開示される抗Ryk mAbには反応しないことを発見して驚いた。出願人はまた、RYKが、試験された全ての非がん細胞で発現されるのではなく、多くの異なるヒトがんの腫瘍細胞で発現されることを見出した。
【0163】
実施例3:
ヒトRykの細胞外タンパク質配列は、マウスRYKの細胞外タンパク質配列と非常に相同である(
図1)。
図2に示されるアミノ酸からなるヒトRYKの成熟細胞外タンパク質ドメインに結合するが、
図3に示されるアミノ酸からなる相同性の高いマウスRYKに結合しない、抗ヒトRYK mAbが作製された。
【0164】
抗ヒトRYK mAbである2-D11及び7-H10は、マウスRykとは異なるヒトRykのアミノ末端エピトープ(残基46~57)に特異的であるように見える(
図3)。これらのmAbは、ヒト若しくはマウスの組換え細胞外タンパク質又はヒトRykの様々な変異形態の各々の免疫ブロット分析によって示されるように、
図3に示されるアミノ酸配列を用いて、置換部位でマウスRykを同化させるように、非常に相同なマウスRykとは異なる位置で、ヒトRykにおけるアミノ酸置換を含むRykの変異形態にも結合する(
図4)。このために、2-D11、7-H10、又はヒツジ抗RYK mAbの結合は、キーに指定された組換え細胞外RYKタンパク質を使用して評価された。各組換えタンパク質をナイロン膜に転写し、2-D11、7-H10、又はヒツジ抗RYKでプローブし、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートされた抗マウスIgG又はロバ抗ヒツジ抗体で検出した。黒いドットは、抗体結合の陽性シグナルを表す。
図4に示されるように、ヒツジ抗Rykは、ヒトRyk又はマウスRykのいずれかと反応したが、2-D11又は7-H10は、各々、ヒトRykと反応したが、マウスRykとは反応しなかった。更に、2-D11又は7-H10は、ヒトRyk配列がマウスRyk配列とは異なる特定の部位でアミノ酸置換(複数可)を有するヒトRykの変異形態の各々と反応した。これらの組換えタンパク質の各々のアミノ酸配列は、
図3に提供される。
【0165】
上述のmAb 2-D11は、
図5Aに示される重鎖可変領域配列を有し、2-D11の軽鎖可変領域配列は、
図5Bに提供される。上述のmAb 7-H10は、
図6Aに示される重鎖可変領域配列を有し、2-D11の軽鎖可変領域配列は、
図6Bに提供される。また、これらの図には、それぞれ2-D11又は7-H10との配列相同性が最も近いマウス生殖系列重鎖可変領域遺伝子(
図5A、
図6A)又はマウス生殖系列軽鎖可変領域遺伝子(
図5B、
図6B)も示されている。
【0166】
ヒトRykの2-D11又は7-H10のKinExA結合データを、
図7に提供する。ヒトRykに対する2-D11の計算されたKdは、512.9pMであり、ヒトRykに対する7-H10の計算されたKdは、10.56nMである。
【0167】
2-D11 mAbを蛍光色素(Alexa647)とコンジュゲートし、コンジュゲートしたmAbを使用して、確立された腫瘍細胞株を染色した。白抜きヒストグラムは、無関係な特異性の対照蛍光色素コンジュゲートmAbで染色された細胞株の蛍光強度を示す(
図8)。影付きヒストグラムは、2-D11蛍光色素コンジュゲートmAbで染色された細胞の蛍光を示す。腫瘍細胞株の代表的な染色を提供し、「++」染色(BT549の場合)、「+」染色(HT29の場合)、又は染色なし若しくは「neg」(SK-MES-1の場合)を、これらの細胞に結合しない無関係な特異性の蛍光色素コンジュゲート「対照mAb」で処理した細胞と比較して示す。これらの対照mAb染色細胞は、未染色細胞と同じ蛍光を有していた。
【0168】
表1は、
図8に示されている蛍光色素コンジュゲート化2-D11で染色された様々ながん細胞株のフローサイトメトリーデータを提供する。各細胞株の名前を最初の列に列挙し、起源の組織を2番目の列に列挙する。2-D11 mAbのヒトRYKへの結合を、5μg/mlの2-D11抗ヒトRYK-Alexa647コンジュゲートmAb又は等量のアイソタイプ一致対照mAbで氷上で20分間染色し、洗浄し、分析することによる、フローサイトメトリー染色及び分析によって評価した。2-D11染色細胞の中央値蛍光強度(MFI)を中央の列に列挙し、アイソタイプ対照染色細胞のMFIを隣りの列に列挙する。アイソタイプ対照染色細胞(MFIR)の中央値蛍光強度(MFI)に対する染色細胞のMFIの比率に基づいて、細胞株を「++」、「+」、又はneg(「+」でマークされていない)ラインとしてスコアリングした。
【0169】
図9は、各列の上部に示されているように、成人血液、臍帯血(N=2)、扁桃(N=2)、又は脾臓に見出されたリンパ球の蛍光色素コンジュゲート2-D11染色に関するフローサイトメトリーデータを提供する。白抜きヒストグラムは、2-D11の代わりに、無関係な特異性の蛍光色素コンジュゲートmAb(対照染色)で染色された細胞を表す。影付きヒストグラムは、2-D11で染色された細胞のものである。また、細胞を、CD19又はCD3に特異的であった異なる色の蛍光色素とコンジュゲートされたmAbで染色した。上の行は、ゲーティングされたCD19+B細胞に関するデータを提供し、中央の行は、ゲーティングされたCD3+T細胞に関するデータを提供し、下の行は、CD19又はCD3(NK細胞)に特異的なmAbへの結合を欠く細胞に関するデータを提供する。これらのデータからわかるように、2-D11は正常なヒトリンパ系細胞と反応しない。
【0170】
図10は、原発性ヒト乳がん細胞の2-D11の代表的な染色を示す。
図10で染色された細胞は、患者由来異種移植片(PDX)から調製した解離された単一細胞であった。これは、転移性乳がんを有する患者から取り出されたトリプルネガティブ(ER/PR-、HER2-)乳腺がん組織を免疫欠損に移植することによって生成された。
【0171】
表
表1.抗ヒトRYK mAbを用いたがん細胞株のフローサイトメトリー染色分析。
各細胞株の名前を最初の列に列挙し、起源の組織を2番目の列に列挙する。2-D11 mAbのヒトRYKへの結合を、5ug/mlの2-D11抗ヒトRYK-Alexa647コンジュゲートmAb又は等量のアイソタイプ一致対照mAbで氷上で20分間染色し、洗浄し、分析することによる、フローサイトメトリー染色及び分析によって評価した。2-D11染色細胞の中央値蛍光強度(MFI)を中央の列に列挙し、アイソタイプ対照染色細胞のMFIを隣りの列に列挙する。アイソタイプ対照染色細胞(MFIR)の中央値蛍光強度(MFI)に対する染色細胞のMFIの比率に基づいて、細胞株を「++」、「+」、又はneg(「+」でマークされていない)ラインとしてスコアリングした。
【表1-1】
【表1-2】
【表2】
【0172】
参考文献
1.Lu,W.,Yamamoto,V.,Ortega,B.& Baltimore,D.Mammalian Ryk is a Wnt coreceptor required for stimulation of neurite outgrowth.Cell 119,97-108(2004).
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5.Roy,J.P.,Halford,M.M.& Stacker,S.A.The biochemistry,signalling and disease relevance of RYK and other WNT-binding receptor tyrosine kinases.Growth Factors 36,15-40(2018).
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11.Kugathasan,K.,et al.Deficiency of the Wnt receptor Ryk causes multiple cardiac and outflow tract defects.Growth Factors 36,58-68(2018).
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13.Adamo,A.,et al.RYK promotes the stemness of glioblastoma cells via the WNT/beta-catenin pathway.Oncotarget 8,13476-13487(2017).
14.Borcherding,N.,et al.Paracrine WNT5A Signaling Inhibits Expansion of Tumor-Initiating Cells.Cancer Res 75,1972-1982(2015).
15.Kessenbrock,K.,et al.Diverse regulation of mammary epithelial growth and branching morphogenesis through noncanonical Wnt signaling.Proc Natl Acad Sci U S A 114,3121-3126(2017).
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【0173】
非公式な配列表
配列番号1 2-D11 CDR H1
GFSLNDYG
配列番号2 2-D11 CDR H2
IWGDGVT
配列番号3 2-D11 CDR H3
QGSGVWFAH
配列番号4 2-D11 CDR L1
QTIVHSNGNTY
配列番号5 2-D11 CDR L2
KVS
配列番号6 2-D11 CDR L3
FQGSHVPYT
配列番号7 2-D11 FR H1
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCSVS
配列番号8 2-D11 FR H2
VNWVRQPPGKDLEWLGM
配列番号9 2-D11 FR H3
EYNSTLKSRLSISKDNSKSQVFLKMNNLQTEDTARYYCVR
配列番号10 2-D11 FR H4
WGQGTLVSVSS
配列番号11 2-D11 FR L1
DVLVTQTPLSLPVSLGDQASISCRSS
配列番号12 2-D11 FR L2
LEWYLQKPGQSPKLLIY
配列番号13 2-D11 FR L3
NRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGIYYC
配列番号14 2-D11 FR L4
FGGGTKLEIK
配列番号15 2-D11 VH
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCSVSGFSLNDYGVNWVRQPPGKDLEWLGMIWGDGVTEYNSTLKSRLSISKDNSKSQVFLKMNNLQTEDTARYYCVRQGSGVWFAHWGQGTLVSVSS
配列番号16 2-D11 VL
DVLVTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQTIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGIYYCFQGSHVPYTFGGGTKLEIK
配列番号17 7-H10 CDR H1
GYIFTNYD
配列番号18 7-H10 CDR H2
IFPGDDST
配列番号19 7-H10 CDR H3
YHYYGSSLGWSFDV
配列番号20 7-H10 CDR L1
SRISSIN
配列番号21 7-H10 CDR L2
GTS
配列番号22 7-H10 CDR L3
QQWSSYPYT
配列番号23 7-H10 FR H1
QVQLQQSGAELAKPGTSVKLSCKAS
配列番号24 7-H10 FR H2
INWVRQRPEQGLEWIGW
配列番号25 7-H10 FR H3
KYNEKFEGKAALTTDKSSNTAYIQLSRLTSGDSAVYFCTR
配列番号26 7-H10 FR H4
WGAGTSVTVSS
配列番号27 7-H10 FR L1
EIVLTQSPALMAASPGEKVTITCSVS
配列番号28 7-H10 FR L2
LHWYQQKSETSPKTWIY
配列番号29 7-H10 FR L3
NLASGVPSRFSGSGSGTSYSLTISNMEAEDAATYYC
配列番号30 7-H10 FR L4
FGGGTKVEIK
配列番号31 7-H10 VH
QVQLQQSGAELAKPGTSVKLSCKASGYIFTNYDINWVRQRPEQGLEWIGWIFPGDDSTKYNEKFEGKAALTTDKSSNTAYIQLSRLTSGDSAVYFCTRYHYYGSSLGWSFDVWGAGTSVTVSS
配列番号32 7-H10 VL
EIVLTQSPALMAASPGEKVTITCSVSSRISSINLHWYQQKSETSPKTWIYGTSNLASGVPSRFSGSGSGTSYSLTISNMEAEDAATYYCQQWSSYPYTFGGGTKVEIK
配列番号33 11-E9 CDR H1
GFSLNGYG
配列番号34 11-E9 CDR H2
IWGDGIT
配列番号35 11-E9 CDR H3
QGSGVWFAY
配列番号36 11-E9 CDR L1
QTIVHSNGNTY
配列番号37 11-E9 CDR L2
KVS
配列番号38 11-E9 CDR L3
FQGSHVPYT
配列番号39 11-E9 FR H1
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVS
配列番号40 11-E9 FR H2
VNWVRQPPGKDLEWLGM
配列番号41 11-E9 FR H3
EFNSALKSRLSISKDNSKSQVFLKMNSLQTEDTARYYCVR
配列番号42 11-E9 FR H4
WGQGTLS
配列番号43 11-E9 FR L1
DVLVTQTPLSLPVSLGDQASISCRSS
配列番号44 11-E9 FR L2
LEWYLQKPGQSPKLLIY
配列番号45 11-E9 FR L3
NRFCGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYC
配列番号46 11-E9 FR L4
FGGGTKLEIK
配列番号47 11-E9 VH
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVSGFSLNGYGVNWVRQPPGKDLEWLGMIWGDGITEFNSALKSRLSISKDNSKSQVFLKMNSLQTEDTARYYCVRQGSGVWFAYWGQGTLS
配列番号48 11-E9 VL
DVLVTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQTIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFCGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKLEIK
配列番号49 3-C12 CDR H1
GFSLNGYG
配列番号50 3-C12 CDR H2
IWGDGIT
配列番号51 3-C12 CDR H3
QGSGVWFAY
配列番号52 3-C12 CDR L1
QTIVHSNGNTY
配列番号53 3-C12 CDR L2
KVS
配列番号54 3-C12 CDR L3
FQGSHVPYT
配列番号55 3-C12 FR H1
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVS
配列番号56 3-C12 FR H2
VNWVRQPPGKDLEWLGM
配列番号57 3-C12 FR H3
EFNSALKSRLSISKDNSKSQVFLKMNSLQTEDTARYYCVR
配列番号58 3-C12 FR H4
WGQGTLVS
配列番号59 3-C12 FR L1
DVLVTQTPLSLPVSLGDQASISCRSS
配列番号60 3-C12 FR L2
LEWYLQKPGQSPKLLIY
配列番号61 3-C12 FR L3
NRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYC
配列番号62 3-C12 FR L4
FGGGTKLEIK
配列番号63 3-C12 VH
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVSGFSLNGYGVNWVRQPPGKDLEWLGMIWGDGITEFNSALKSRLSISKDNSKSQVFLKMNSLQTEDTARYYCVRQGSGVWFAYWGQGTLVS
配列番号64 3-C12 VL
DVLVTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQTIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKLEIK
配列番号65 2-D11 CDR H1ヌクレオチド
GGGTTCTCATTAAACGACTATGGT
配列番号66 2-D11 CDR H2ヌクレオチド
ATTTGGGGTGATGGAGTCACA
配列番号67 2-D11 CDR H3ヌクレオチド
GTCAGACAGGGGTCTGGTGTCTGGTTTGCTCAC
配列番号68 2-D11 CDR L1ヌクレオチド
CAGACCATTGTACATAGTAATGGAAACACGTAT
配列番号69 2-D11 CDR L2ヌクレオチド
AAAGTTTCC
配列番号70 2-D11 CDR L3ヌクレオチド
TTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACG
配列番号71 2-D11 FR H1ヌクレオチド
CAGGTGCAGCTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACATGTTCCGTCTCA
配列番号72 2-D11 FR H2ヌクレオチド
GTAAATTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGATCTGGAGTGGCTGGGAATG
配列番号73 2-D11 FR H3ヌクレオチド
GAGTATAATTCAACTCTCAAATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAATCTGCAAACTGAAGACACAGCCAGGTACTACTGT
配列番号74 2-D11 FR H4ヌクレオチド
TGGGGCCAAGGGACTCTGGTCAGTGTCTCTTCA
配列番号75 2-D11 FR L1ヌクレオチド
GATGTTTTGGTGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGT
配列番号76 2-D11 FR L2ヌクレオチド
TTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTAATCTAC
配列番号77 2-D11 FR L3ヌクレオチド
AACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAATTTATTACTGC
配列番号78 2-D11 FR L4ヌクレオチド
TTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
配列番号79 2-D11 VHヌクレオチド
CAGGTGCAGCTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACATGTTCCGTCTCAGGGTTCTCATTAAACGACTATGGTGTAAATTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGATCTGGAGTGGCTGGGAATGATTTGGGGTGATGGAGTCACAGAGTATAATTCAACTCTCAAATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAATCTGCAAACTGAAGACACAGCCAGGTACTACTGTGTCAGACAGGGGTCTGGTGTCTGGTTTGCTCACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCAGTGTCTCTTCA
配列番号80 2-D11 VLヌクレオチド
GATGTTTTGGTGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGACCATTGTACATAGTAATGGAAACACGTATTTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTAATCTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAATTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
配列番号81 7-H10 CDR H1ヌクレオチド
GGCTACATCTTCACAAACTATGAT
配列番号82 7-H10 CDR H2ヌクレオチド
ATTTTTCCTGGAGATGATAGTACT
配列番号83 7-H10 CDR H3ヌクレオチド
ACAAGATATCATTACTACGGTAGTTCCTTGGGGTGGTCCTTCGATGTC
配列番号84 7-H10 CDR L1ヌクレオチド
TCAAGAATAAGTTCCATTAAC
配列番号85 7-H10 CDR L2ヌクレオチド
GGCACATCC
配列番号86 7-H10 CDR L3ヌクレオチド
CAACAGTGGAGTAGTTATCCGTACACG
配列番号87 7-H10 FR H1ヌクレオチド
CAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGAGCTGAACTGGCAAAGCCTGGGACTTCAGTGAAATTGTCCTGCAAGGCTTCT
配列番号88 7-H10 FR H2ヌクレオチド
ATAAACTGGGTGAGGCAGAGGCCTGAACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGG
配列番号89 7-H10 FR H3ヌクレオチド
AAGTACAATGAGAAATTCGAGGGCAAGGCCGCACTGACTACAGACAAGTCCTCCAACACAGCCTACATACAACTCAGCAGACTGACATCTGGGGACTCAGCTGTCTATTTCTGT
配列番号90 7-H10 FR H4ヌクレオチド
TGGGGCGCAGGGACCTCGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号91 7-H10 FR L1ヌクレオチド
GAAATTGTGCTCACCCAGTCTCCAGCACTCATGGCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATCACCTGCAGTGTCAGT
配列番号92 7-H10 FR L2ヌクレオチド
TTGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGAAACCTCCCCCAAAACCTGGATTTAT
配列番号93 7-H10 FR L3ヌクレオチド
AACCTGGCTTCTGGAGTCCCTAGTCGCTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACCTCTTATTCTCTCACAATCAGCAACATGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGT
配列番号94 7-H10 FR L4ヌクレオチド
TTCGGAGGGGGGACCAAGGTGGAAATAAAA
配列番号95 7-H10 VHヌクレオチド
CAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGAGCTGAACTGGCAAAGCCTGGGACTTCAGTGAAATTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACATCTTCACAAACTATGATATAAACTGGGTGAGGCAGAGGCCTGAACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTTTCCTGGAGATGATAGTACTAAGTACAATGAGAAATTCGAGGGCAAGGCCGCACTGACTACAGACAAGTCCTCCAACACAGCCTACATACAACTCAGCAGACTGACATCTGGGGACTCAGCTGTCTATTTCTGTACAAGATATCATTACTACGGTAGTTCCTTGGGGTGGTCCTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCTCGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号96 7-H10 VLヌクレオチド
GAAATTGTGCTCACCCAGTCTCCAGCACTCATGGCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATCACCTGCAGTGTCAGTTCAAGAATAAGTTCCATTAACTTGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGAAACCTCCCCCAAAACCTGGATTTATGGCACATCCAACCTGGCTTCTGGAGTCCCTAGTCGCTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACCTCTTATTCTCTCACAATCAGCAACATGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGTCAACAGTGGAGTAGTTATCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGGTGGAAATAAAA
配列番号97 11-E9 CDR H1ヌクレオチド
GGGTTCTCATTAAACGGCTATGGT
配列番号98: 11-E9 CDR H2ヌクレオチド
ATCTGGGGTGATGGAATCACA
配列番号99 11-E9 CDR H3ヌクレオチド
GTCAGACAGGGGTCTGGTGTCTGGTTTGCTTAC
配列番号100 11-E9 CDR L1ヌクレオチド
CAGACCATTGTACATAGTAATGGAAACACCTAT
配列番号101 11-E9 CDR L2ヌクレオチド
AAAGTTTCC
配列番号102 11-E9 CDR L3ヌクレオチド
TTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACG
配列番号103 11-E9 FR H1ヌクレオチド
CAGGTGCAGCTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACATGTACCGTCTCA
配列番号104 11-E9 FR H2ヌクレオチド
GTAAACTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGATCTGGAGTGGCTGGGAATG
配列番号105 11-E9 FR H3ヌクレオチド
GAGTTTAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGAAGACACAGCCAGGTACTACTGT
配列番号106 11-E9 FR H4ヌクレオチド
TGGGGCCAAGGGACTCTGTCA
配列番号107 11-E9 FR L1ヌクレオチド
GATGTTTTGGTGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGT
配列番号108 11-E9 FR L2ヌクレオチド
TTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCTTGATTTAC
配列番号109 11-E9 FR L3ヌクレオチド
AACCGATTTTGTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGC
配列番号110 11-E9 FR L4ヌクレオチド
TTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
配列番号111 11-E9 VHヌクレオチド
CAGGTGCAGCTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACATGTACCGTCTCAGGGTTCTCATTAAACGGCTATGGTGTAAACTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGATCTGGAGTGGCTGGGAATGATCTGGGGTGATGGAATCACAGAGTTTAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGAAGACACAGCCAGGTACTACTGTGTCAGACAGGGGTCTGGTGTCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGTCA
配列番号112 11-E9 VLヌクレオチド
GATGTTTTGGTGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGACCATTGTACATAGTAATGGAAACACCTATTTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCTTGATTTACAAAGTTTCCAACCGATTTTGTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
配列番号113 3-C12 CDR H1ヌクレオチド
GGGTTCTCATTAAACGGCTATGGT
配列番号114 3-C12 CDR H2ヌクレオチド
ATCTGGGGTGATGGAATCACA
配列番号115 3-C12 CDR H3ヌクレオチド
CAGGGGTCTGGTGTCTGGTTTGCTTAC
配列番号116 3-C12 CDR L1ヌクレオチド
CAGACCATTGTACATAGTAATGGAAACACCTAT
配列番号117 3-C12 CDR L2ヌクレオチド
AAAGTTTCC
配列番号118 3-C12 CDR L3ヌクレオチド
TTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACG
配列番号119 3-C12 FR H1ヌクレオチド
CAGGTGCAGCTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACATGTACCGTCTCA
配列番号120 3-C12 FR H2ヌクレオチド
GTAAACTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGATCTGGAGTGGCTGGGAATG
配列番号121 3-C12 FR H3ヌクレオチド
GAGTTTAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGAAGACACAGCCAGGTACTACTGTGTCAGA
配列番号122 3-C12 FR H4ヌクレオチド
TGGGGCCAAGGGACTCTGGTCAGT
配列番号123 3-C12 FR L1ヌクレオチド
GATGTTTTGGTGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGT
配列番号124 3-C12 FR L2ヌクレオチド
TTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATTTAC
配列番号125 3-C12 FR L3ヌクレオチド
AACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGC
配列番号126 3-C12 FR L4ヌクレオチド
TTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
配列番号127 3-C12 VHヌクレオチド
CAGGTGCAGCTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACATGTACCGTCTCAGGGTTCTCATTAAACGGCTATGGTGTAAACTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGATCTGGAGTGGCTGGGAATGATCTGGGGTGATGGAATCACAGAGTTTAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCAAACTGAAGACACAGCCAGGTACTACTGTGTCAGACAGGGGTCTGGTGTCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCAGT
配列番号128 3-C12 VLヌクレオチド
GATGTTTTGGTGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGACCATTGTACATAGTAATGGAAACACCTATTTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATTTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
配列番号129 ヒトRYK細胞外ドメインのアミノ酸1~181
MRGAARLGRPGRSCLPGARGLRAPPPPPLLLLLALLPLLPAPGAAAAPAPRPPELQSASAGPSVSLYLSEDEVRRLIGLDAELYYVRNDLISHYALSFSLLVPSETNFLHFTWHAKSKVEYKLGFQVDNVLAMDMPQVNISVQGEVPRTLSVFRVELSCTGKVDSEVMILMQLNLTVNSSK
配列番号130 ヒトRYK細胞外ドメインのアミノ酸48~57
PAPRPPELQS
配列番号131 マウスRYK細胞外ドメイン
MRAGRGGVPGSGGLRAPPPPLLLLLLAMLPAAAPRSPALAAAPAGPSVSLYLSEDEVRRLLGLDAELYYVRNDLISHYALSFNLLVPSETNFLHFTWHAKSKVEYKLGFQVDNFVAMGMPQVNISAQGEVPRTLSVFRVELSCTGKVDSEVMILMQLNLTVNSSKNFTVLNFKRRKMCYKKLEEVKTSALDKNTSRTIYDPVHAAPTTSTRVFY
配列番号132 ヒトRYK細胞外ドメイン
mrgaarlgrpgrsclpgarglrappppplllllallpllpapgaaaapaprppelqsasagpsvslylsedevrrligldaelyyvrndlishyalsfsllvpsetnflhftwhakskveyklgfqvdnvlamdmpqvnisvqgevprtlsvfrvelsctgkvdsevmilmqlnltvnssknftvlnfkrrkmcykkleevktsaldkntsrtiydpvhaapttstrvfy
配列番号133 マウスIGHV2-6
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVSGFSLTGYGVNWVRQPPGKGLEWLGMIWGDGSTDYNSALKSRLSISKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTARYYCAR
配列番号134 マウスIGKV1-117
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVP
配列番号135 マウスIGHV1-85
QVQLQQSGPELVKPGASVKLSCKASGYTFTSYDINWVKQRPGQGLEWIGWIYPRDGSTKYNEKFKGKATLTVDTSSSTAYMELHSLTSEDSAVYFCAR
配列番号136 マウスIGKV4-53
EIVLTQSPALMAASPGEKVTITCSVSSSISSSNLHWYQQKSETSPKPWIYGTSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSYPL
【0174】
P実施形態
P実施形態1.重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗受容体チロシンキナーゼ関連タンパク質(Ryk)抗体であって、当該重鎖可変ドメインが、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含み、当該軽鎖可変ドメインが、配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む、抗受容体チロシンキナーゼ関連タンパク質(Ryk)抗体。
P実施形態2.当該重鎖可変ドメインが、配列番号21の配列を含む、P実施形態1に記載の抗体。
P実施形態3.当該軽鎖可変ドメインが、配列番号22の配列を含む、P実施形態1又は2に記載の抗体。
P実施形態4.重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む抗受容体チロシンキナーゼ関連タンパク質(Ryk)抗体であって、当該重鎖可変ドメインが、配列番号7に示されるCDR H1、配列番号8に示されるCDR H2、及び配列番号9に示されるCDR H3を含み、当該軽鎖可変ドメインが、配列番号10に示されるCDR L1、配列番号11に示されるCDR L2、及び配列番号12に示されるCDR L3を含む、抗受容体チロシンキナーゼ関連タンパク質(Ryk)抗体。
P実施形態5.当該重鎖可変ドメインが、配列番号31の配列を含む、P実施形態4に記載の抗体。
P実施形態6.当該重鎖可変ドメインが、配列番号32の配列を含む、P実施形態4又は5に記載の抗体。
P実施形態7.がんの治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、当該方法が、対象に、治療有効量のP実施形態1~6のいずれか一項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【0175】
実施形態
実施形態1.軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体であって、当該重鎖可変ドメインが、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含み、当該軽鎖可変ドメインが、配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
実施形態2.当該重鎖可変ドメインが、配列番号15の配列を含む、実施形態1に記載の抗RYK抗体。
実施形態3.当該軽鎖可変ドメインが、配列番号16の配列を含む、実施形態1又は2に記載の抗RYK抗体。
実施形態4.当該抗RYK抗体が、約2pM~約2nMのKDを有する、実施形態1~3のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態5.当該抗RYK抗体が、約513pMのKDを有する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態6.軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体であって、当該重鎖可変ドメインが、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含み、当該軽鎖可変ドメインが、配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
実施形態7.当該重鎖可変ドメインが、配列番号31の配列を含む、実施形態6に記載の抗RYK抗体。
実施形態8.当該軽鎖可変ドメインが、配列番号32の配列を含む、実施形態6又は7に記載の抗RYK抗体。
実施形態9.当該抗RYK抗体が、約6nM~約17nMのKDを有する、実施形態6~8のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態10.当該抗RYK抗体が、約10nMのKDを有する、実施形態6~9のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態11.軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体であって、当該重鎖可変ドメインが、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含み、当該軽鎖可変ドメインが、配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
実施形態12.当該重鎖可変ドメインが、配列番号47の配列を含む、実施形態11に記載の抗RYK抗体。
実施形態13.当該軽鎖可変ドメインが、配列番号48の配列を含む、実施形態11又は12に記載の抗RYK抗体。
実施形態14.軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含む抗RYK抗体であって、当該重鎖可変ドメインが、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含み、当該軽鎖可変ドメインが、配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む、抗RYK抗体。
実施形態15.当該重鎖可変ドメインが、配列番号63の配列を含む、実施形態14に記載の抗RYK抗体。
実施形態16.当該軽鎖可変ドメインが、配列番号64の配列を含む、実施形態14又は15に記載の抗RYK抗体。
実施形態17.当該抗RYK抗体が、キメラ抗体である、実施形態1~16のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態18.当該抗RYK抗体が、Fab’断片である、実施形態1~17のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態19.当該抗RYK抗体が、IgGである、実施形態1~18のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態20.当該軽鎖可変ドメイン及び当該重鎖可変ドメインが、scFvの一部を形成する、実施形態1~17のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態21.当該抗RYK抗体が、RYKタンパク質に結合することができる、実施形態1~20のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態22.当該抗RYK抗体が、細胞外RYKドメインに結合する、実施形態1~21のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態23.当該抗RYK抗体が、配列番号129のアミノ酸配列を含む細胞外RYKドメインに結合する、実施形態1~22のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態24.当該抗RYK抗体が、配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列に結合する、実施形態1~23のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態25.当該抗RYK抗体が、RYKタンパク質に結合されている、実施形態1~21のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態26.当該RYKタンパク質が、ヒトRYKタンパク質である、実施形態21~25のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態27.当該RYKタンパク質が、配列番号130の配列を含む、実施形態21~26のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態28.当該RYKタンパク質が、マウスRYKタンパク質に結合しない、実施形態21~27のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態29.当該抗RYK抗体が、配列番号131のアミノ酸残基32~41に対応するアミノ酸配列を含むRYKタンパク質に結合しない、実施形態21~28のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態30.当該RYKタンパク質が、細胞の一部を形成する、実施形態25~28のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態31.当該RYKタンパク質が、細胞の表面に発現される、実施形態21~30のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態32.抗RYK抗体であって、当該抗RYK抗体が、配列番号1に示されるCDR H1、配列番号2に示されるCDR H2、及び配列番号3に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号4に示されるCDR L1、配列番号5に示されるCDR L2、及び配列番号6に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
実施形態33.抗RYK抗体であって、当該抗RYK抗体が、配列番号17に示されるCDR H1、配列番号18に示されるCDR H2、及び配列番号19に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号20に示されるCDR L1、配列番号21に示されるCDR L2、及び配列番号22に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
実施形態34.抗RYK抗体であって、当該抗RYK抗体が、配列番号33に示されるCDR H1、配列番号34に示されるCDR H2、及び配列番号35に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号36に示されるCDR L1、配列番号37に示されるCDR L2、及び配列番号38に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
実施形態35.抗RYK抗体であって、当該抗RYK抗体が、配列番号49に示されるCDR H1、配列番号50に示されるCDR H2、及び配列番号51に示されるCDR H3を含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号52に示されるCDR L1、配列番号53に示されるCDR L2、及び配列番号54に示されるCDR L3を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体と同じエピトープに結合する、抗RYK抗体。
実施形態36.当該抗RYK抗体が、治療用部分又は診断用部分に結合されている、実施形態1~35のいずれか一項に記載の抗RYK抗体。
実施形態37.実施形態1~36のいずれか一項に記載の抗RYK抗体をコードする、単離された核酸。
実施形態38.実施形態1~36のいずれか一項に記載の抗RYK抗体、又は実施形態37に記載の核酸を含む、細胞。
実施形態39.治療有効量の実施形態1~36のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
実施形態40.RYKタンパク質に結合することができる抗体を形成する方法であって、当該方法が、配列番号129の配列を含むペプチドで哺乳動物を免疫することを含む、方法。
実施形態41.RYK発現細胞を検出する方法であって、当該方法が、(i)RYK発現細胞を実施形態1~36のいずれか一項に記載の抗体と接触させることと、(ii)当該細胞によって発現されるRYKタンパク質への当該抗体の結合を検出することと、を含む、方法。
実施形態42.当該抗体が、検出可能な部分に結合されている、実施形態41に記載の方法。
実施形態43.当該RYK発現細胞が、生体試料中にある、実施形態41又は42に記載の方法。
実施形態44.当該生体試料が、全血、血液画分若しくは血液製剤、組織、又は培養細胞である、実施形態41に記載の方法。
実施形態45.当該RYK発現細胞が、がん細胞である、実施形態41~44のいずれか一項に記載の方法。
実施形態46.当該がん細胞が、膀胱がん細胞、脳がん細胞、乳がん細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、結腸がん細胞、ユーイング肉腫細胞、肺がん細胞、マントル細胞リンパ腫細胞、卵巣がん細胞、膵臓がん細胞、皮膚がん細胞、又は黒色腫細胞である、実施形態45に記載の方法。
実施形態47.がんの治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、当該方法が、対象に、治療有効量の実施形態1~36のいずれか一項に記載の抗RYK抗体を投与することを含む、方法。
実施形態48.当該がんが、膀胱がん、脳がん、乳がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、ユーイング肉腫、肺がん、マントル細胞リンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、皮膚がん、又は黒色腫である、実施形態47に記載の方法。
実施形態49.抗RYK抗体を特定する方法であって、当該方法が、(i)抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含む第1のRYKポリペプチドと接触させることと、(ii)当該第1のRYKポリペプチドに結合する当該抗体を検出することと、(iii)当該抗体を配列番号129のアミノ酸残基48~57に対応するアミノ酸配列を含まない第2のRYKポリペプチドと接触させることと、(iv)当該第2のRYKポリペプチドに結合しない当該抗体を検出し、それによって、抗RYK抗体を特定することと、を含む、方法。
実施形態50.当該抗体が、キメラ抗体である、実施形態49に記載の方法。
実施形態51.当該抗体が、Fab’断片である、実施形態49又は50に記載の方法。
実施形態52.当該抗体が、単鎖抗体である、実施形態49又は50に記載の方法。
【配列表】
【国際調査報告】