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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】発光に基づく抗原アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240925BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240925BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 9/02 20060101ALI20240925BHJP
   C07K 16/10 20060101ALI20240925BHJP
   C12Q 1/66 20060101ALI20240925BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240925BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20240925BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C07K19/00
C12N15/53 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C07K16/00
C12N9/02
C07K16/10
C12Q1/66
C12M1/34 F
C12M1/34 E
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/70
G01N33/536 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510659
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2022073507
(87)【国際公開番号】W WO2023025816
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】21306138.5
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】508029653
【氏名又は名称】アンスティテュ・パストゥール
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ・ロゼ
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・ゴヤール
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・ジャナン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ラファイエ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・エメ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・エスクリオー
(72)【発明者】
【氏名】マリオン・グランサニュ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB13
4B029BB16
4B029BB17
4B029FA01
4B029FA12
4B063QA01
4B063QA14
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ10
4B063QQ22
4B063QQ79
4B063QR02
4B063QR48
4B063QR58
4B063QR72
4B063QR79
4B063QS03
4B063QS33
4B063QS36
4B063QS38
4B063QS39
4B063QX02
4B065AA26X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA28
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045CA50
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA53
4H045FA74
(57)【要約】
抗原を検出するためのシステムであって、
- 前記抗原の第1のエピトープを指向する第1のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- アミノ酸配列の配列番号1又はそのバリアントを有するルシフェラーゼの第1の断片を含むC末端ドメイン
を含む、ルシフェラーゼ活性がない第1の融合タンパク質と、
- 前記抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- アミノ酸配列の配列番号2又はそのバリアントを有するルシフェラーゼの第2の断片を含むC末端ドメイン
を含む、ルシフェラーゼ活性がない第2の融合タンパク質と
を含むシステム。第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質の両方が、前記抗原に結合したときに、発光が、基質の存在下で放射される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原を検出するためのシステムであって、
- 前記抗原の第1のエピトープを指向する第1のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第1の断片を含むC末端ドメイン
を含む第1の融合タンパク質であって、第1の断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第1の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、第1の融合タンパク質と、
- 前記抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第2の断片を含むC末端ドメイン
を含む第2の融合タンパク質であって、第2の断片が、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第2の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、第2の融合タンパク質と
を含み、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質の両方が、前記抗原に結合したときに、発光が、基質の存在下で放射される、システム。
【請求項2】
- 抗原のエピトープを指向するシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの断片を含むC末端ドメイン
を含む融合タンパク質であって、断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、若しくは配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、若しくは配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、融合タンパク質。
【請求項3】
- 抗原の第1のエピトープを指向する第1のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
-ルシフェラーゼの第1の断片を含むC末端ドメイン
を含む第1の融合タンパク質であって、第1の断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第1の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、第1の融合タンパク質と、
- 抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第2の断片を含むC末端ドメイン
を含む第2の融合タンパク質であって、第2の断片が、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第2の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、第2の融合タンパク質と、
抗原と
を含む複合体であって、
第1及び第2の融合タンパク質が両者共に、抗原に結合している、複合体。
【請求項4】
- シングルドメイン抗体及びルシフェラーゼの断片が、リンカーによって連結されており、
- 第1のシングルドメイン抗体及びルシフェラーゼの第1の断片が、第1のリンカーと呼ばれるリンカーによって連結されており、並びに/又は
- 第2のシングルドメイン抗体及びルシフェラーゼの第2の断片が、第2のリンカーと呼ばれるリンカーによって連結されており、
リンカー、第1のリンカー及び/又は第2のリンカーが、G、GS、GnSp(式中、n=1~5及びp=1~3)、SGnSp(式中、n=1~5及びp=0~3)、配列番号102、配列番号103、配列番号105~配列番号108、配列番号110~配列番号113、配列番号124及び配列番号140~154、又はそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のシステム、請求項2に記載の融合タンパク質、及び請求項3に記載の複合体。
【請求項5】
ルシフェラーゼが、
- 配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する、請求項1又は4に記載のシステム、請求項2又は4に記載の融合タンパク質、及び請求項3又は4に記載の複合体。
【請求項6】
シングルドメイン抗体、第1のシングルドメイン抗体及び/又は第2のシングルドメイン抗体が、ラクダ類重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)である、請求項1及び4から5のいずれか一項に記載のシステム、請求項2及び4から5のいずれか一項に記載の融合タンパク質、並びに請求項3から5のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項7】
シングルドメイン抗体、第1のシングルドメイン抗体及び/又は第2のシングルドメイン抗体が、Nタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のNタンパク質を指向する、請求項1及び4から6のいずれか一項に記載のシステム、請求項2及び4から6のいずれか一項に記載の融合タンパク質、並びに請求項3から6のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項8】
シングルドメイン抗体、第1のシングルドメイン抗体及び/又は第2のシングルドメイン抗体が、VHHであり、
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列
を含む、請求項7に記載のシステム、請求項7に記載の融合タンパク質、及び請求項7に記載の複合体。
【請求項9】
シングルドメイン抗体、第1のシングルドメイン抗体及び/又は第2のシングルドメイン抗体が、Sタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のSタンパク質を指向する、請求項1及び4から6のいずれか一項に記載のシステム、請求項2及び4から6のいずれか一項に記載の融合タンパク質、並びに請求項3から6のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項10】
シングルドメイン抗体、第1のシングルドメイン抗体及び/又は第2のシングルドメイン抗体が、VHHであり、
- 配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列
を含む、請求項8に記載のシステム、請求項9に記載の融合タンパク質、及び請求項9に記載の複合体。
【請求項11】
シングルドメイン抗体、第1のシングルドメイン抗体及び/又は第2のシングルドメイン抗体が、P24、好ましくは、アミノ酸配列の配列番号155を有するP24を指向する、請求項1及び4から6のいずれか一項に記載のシステム、請求項2及び4から6のいずれか一項に記載の融合タンパク質、並びに請求項3から6のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項12】
シングルドメイン抗体、第1のシングルドメイン抗体及び/又は第2のシングルドメイン抗体が、VHHであり、
- アミノ酸配列の配列番号156若しくは157、又は
- アミノ酸配列の配列番号156若しくは157に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列
を含む、請求項11に記載のシステム、請求項11に記載の融合タンパク質、及び請求項11に記載の複合体。
【請求項13】
請求項2から12のいずれか一項に規定の融合タンパク質、請求項1及び3から12のいずれか一項に規定の第1の融合タンパク質、並びに/又は請求項1及び3から12のいずれか一項に規定の第2の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項14】
請求項13に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項15】
請求項13に記載のポリヌクレオチド又は請求項14に記載のベクターを含む細胞。
【請求項16】
- 請求項1及び4から12のいずれか一項に記載のシステムと、
- ルシフェラーゼのための基質と
を含むキット。
【請求項17】
基質が、8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オンである、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
試料における抗原を検出及び/又は定量化するための、請求項1及び4から12のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項19】
試料における抗原の存在を検出及び/又は定量化するための方法であって、
(a)試料を、請求項1及び4から12のいずれか一項に記載のシステム並びにルシフェラーゼの基質と接触させる工程と、
(b)発光及び/又は発光の増加速度を検出及び/又は定量化する工程と
を含む方法。
【請求項20】
試料が、血清、唾液、上咽頭又は鼻スワブ洗浄液、尿、大便スメアからなる体液の群、細胞培養上清、細胞ライセート及び下水管流体又は固体から選択される、請求項18に記載の使用又は請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融合タンパク質、それを含むシステム、キット、並びに予後、診断及び治療経過観察目的で即時に結果を出す能力による可溶性の又は表面に結合した抗原の定量的検出のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感染性疾患又はがんを診断するための多くのin vitroアッセイを利用できる。このようなアッセイは、特に、核酸増幅検査、血清学的な及び抗原に基づくアッセイを含む。利用できる全ての診断アッセイの中で最も適切な診断アッセイの選択は、疾患経過に相対的なタイミング、個々の又は集合的な診断、検査室インフラストラクチャー等の多くの基準に依存する。
【0003】
疾患経過における感染性、炎症又はがん症例の迅速な同定のために、抗原に基づくアッセイが最も必要とされる。抗原に基づく診断法は通常、感染病原体又は腫瘍細胞の表面にある又はその中にあるタンパク質断片を検出する。標準抗原アッセイは、2種の主なアプローチを使用する:1)陽性を反映する目に見える有色のバンドをもたらすコロイド金コンジュゲート抗体又は自動免疫蛍光リーダーにより結果を提供する蛍光コンジュゲート抗体のいずれかに基づく免疫クロマトグラフィー又は側方流動アッセイ、2)一方の抗体は、プレートウェル表面をコーティングし、第2の抗体は、光吸収、蛍光又は光放射によって検出される酵素基質の存在下で明らかとなる可溶性抗原を捕捉する酵素(ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ又はルシフェラーゼ)で標識されている、抗体のサンドイッチに基づく酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)。これらのアッセイは、通常、優れた特異度を有し、第1のアッセイは、迅速だが大部分は定性的であり(5~30分間)、第2のアッセイは、より長くかかる(30分間~3時間)が、高感度かつ定量的である。感度は、感染負荷量及び試料の体積に依存することが多い。更に、これらのアッセイはまた、試料の品質、特にその貯蔵条件に高度に依存し、即時の結果を提供せず、15分間超を要する。ヒト又は動物の医療のみならず、食品産業、環境及び下水調査のために、体液を越えて細胞又は組織ライセート又は抽出物へと、そのような検査の使用を拡大する必要性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2018/197727 A1
【特許文献2】EP3395803
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Inouye、S.、Sato、J.、Sahara-Miura、Y.、Yoshida、S.及びHosoya、T.、Luminescence enhancement of the catalytic 19 kDa protein (KAZ) of Oplophorus luciferase by three amino acid substitutions. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2014. 445: 157~162頁
【非特許文献2】Hall、M. P.、Unch、J.、Binkowski、B. F.、Valley、M. P., Butler、B. L.、Wood、M. G.、Otto、P.、Zimmerman、K.、Vidugiris、G.、Machleidt、T.、Robers、M. B.、Benink、H. A.、Eggers、C. T.、Slater、M. R.、Meisenheimer、P. L.、Klaubert、D. H.、Fan、F.、Encell、L. P.及びWood、K. V. 2012 Engineered luciferase reporter from a deep sea shrimp utilizing a novel imidazopyrazinone substrate ACS Chem. Biol. 7、1848~1857頁
【非特許文献3】Bosch B.J.、van der Zee R.、de Haan C.A.、Rottier P.J. The coronavirus spike protein is a class I virus fusion protein: structural and functional characterization of the fusion core complex. J Virol. 2003;77:8801~8811頁
【非特許文献4】McBride, R.、van Zyl、M. & Fielding、B. C. The coronavirus nucleocapsid is a multifunctional protein. Viruses (2014) doi:10.3390
【非特許文献5】He、R.ら、Characterization of protein- protein interactions between the nucleocapsid protein and membrane protein of the SARS coronavirus. Virus Res. (2004) doi:10.1016/j.virusres.2004.05.002.
【非特許文献6】Li、F. Structure, function, and evolution of coronavirus spike proteins. Annu. Rev. Virol. 3、237~261頁(2016)
【非特許文献7】Letko、M.、Marzi、A. & Munster、V. Functional assessment of cell entry and receptor usage for SARS-CoV-2 and other lineage B betacoronaviruses. Nat. Microbiol. 5、562~569頁(2020)
【非特許文献8】Tahir S Pillay、Serge Muyldermans、Application of Single-Domain Antibodies ("Nanobodies") to Laboratory Diagnosis、Ann Lab Med. 2021 Nov 1;41(6):549~558頁
【非特許文献9】Hamers-Casterman、C.ら、Naturally occurring antibodies devoid of light chains. Nature 363、446~448頁(1993)
【非特許文献10】Harmsen、M. M. & De Haard、H. J. Properties, production, and applications of camelid single-domain antibody fragments. Appl. Microbiol. Biotechnol. 77、13~22頁(2007)
【非特許文献11】Muyldermans、S. Single domain camel antibodies: current status. J. Biotechnol. 74、277~302頁(2001)
【非特許文献12】Lauwereys、M.ら、Potent enzyme inhibitors derived from dromedary heavy-chain antibodies. EMBO J 17、3512~3520頁(1998)
【非特許文献13】Lafaye、P.、Achour、I.、England、P.、Duyckaerts, C. & Rougeon、F. Single-domain antibodies recognize selectively small oligomeric forms of amyloid β, prevent Aβ-induced neurotoxicity and inhibit fibril formation. Mol. Immunol. 46、(2009)
【非特許文献14】Traenkle、B. & Rothbauer、U. Under the Microscope: Single-domain antibodies for Live-Cell Imaging and Super-Resolution Microscopy. Front. Immunol. 8、1030(2017)
【非特許文献15】Kabat、EAら、1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版
【非特許文献16】http://www.imgt.org
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【非特許文献19】Kirklandら、1986、J. Immunol. 137:3614~3619頁
【非特許文献20】Harlow及びLane、1988、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press
【非特許文献21】Morelら、1988、Molec. Immunol. 25:7~15頁
【非特許文献22】Cheungら、1990、Virology 176:546~552頁
【非特許文献23】Moldenhauerら、1990、Scand. J. Immunol. 32:77~82頁
【非特許文献24】Vanlandschoot、P.ら、Nanobodies(登録商標): new ammunition to battle viruses. Antiviral Res. 92、389~407頁(2011)
【非特許文献25】Lafaye、P. & Li, T. Use of camel single-domain antibodies for the diagnosis and treatment of zoonotic diseases. Comp Immunol Microbiol Infect Dis 60、17~22頁(2018)
【非特許文献26】Forsman、A.ら、Llama antibody fragments with cross-subtype human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1)-neutralizing properties and high affinity for HIV-1 gp120. J. Virol. 82、12069~12081頁(2008)
【非特許文献27】McCoy、L. E.ら、Potent and broad neutralization of HIV-1 by a llama antibody elicited by immunization. J. Exp. Med. (2012)
【非特許文献28】Hultberg、A.ら、Llama-derived single domain antibodies to build multivalent, superpotent and broadened neutralizing anti-viral molecules. PLoS One 6、1~12頁(2011)
【非特許文献29】Ashour、J.ら、Intracellular expression of camelid single-domain antibodies specific for influenza virus nucleoprotein uncovers distinct features of its nuclear localization. J. Virol. 89、2792~800頁(2015)
【非特許文献30】Laursen、N.ら、Universal protection against influenza infection by a multidomain antibody to influenza hemagglutinin. Science. 362、598~602頁(2018)
【非特許文献31】Thys、B.ら、In vitro antiviral activity of single domain antibody fragments against poliovirus. Antiviral Res. (2010)
【非特許文献32】Harmsen、M. M. & De Haard, H. J. Properties, production, and applications of camelid single-domain antibody fragments. Appl. Microbiol. Biotechnol. 77、13~22頁(2007)
【非特許文献33】van der Vaart、J. M.ら、Reduction in morbidity of rotavirus induced diarrhoea in mice by yeast produced monovalent llama-derived antibody fragments. Vaccine 24、4130~4137頁(2006)
【非特許文献34】Tarr、A. W.ら、An alpaca nanobody inhibits hepatitis C virus entry and cell-to-cell transmission. Hepatology 58、932~939頁(2013)
【非特許文献35】Wrapp、D.ら、Structural Basis for Potent Neutralization of Betacoronaviruses by Single-Domain Camelid Antibodies. Cell 181、1004~1015.e15 (2020)
【非特許文献36】Huo、J.ら、Neutralizing nanobodies bind SARS-CoV-2 spike RBD and block interaction with ACE2. Nat. Struct. Mol. Biol. (2020)
【非特許文献37】Lafayeら、1995 Res Immunol.、146、373~82頁
【非特許文献38】Erratum in: 1996、Res Immunol.、147、61
【非特許文献39】Gray、E.R.、Brookes、J.C.、Caillat、C.、Turbe, V.、Webb、B.L.J.、Granger、L.A.、Miller、B.S.、McCoy、L.E.、El Khattabi、M.、Verrips、C.T.、Weiss、R.A.、Duffy、D.M.、Weissenhorn、W.、McKendry、R.A.Unravelling the Molecular Basis of High Affinity Nanobodies against HIV p24: In Vitro Functional, Structural, and in Silico Insights. (2017) ACS Infect Dis 3:479~491頁
【非特許文献40】Igonet、S.、Vaney、M.C.、Bartonova、V.、Helma、J.、Rothbauer、U.、Leonhardt、H.、Stura、E.、Krausslich、H.-G.、Rey、F.A. Targeting HIV-1 Virion Formation with Nanobodies -Implications for the Design of Assembly Inhibitors Published in the Protein databank : ID#2XV6 chain B and D
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【非特許文献42】Dayhoffら、「Atlas of Protein Sequence and Structure.」National Biomedical Research Foundation. Washington、DC 5:345~358頁、1978
【非特許文献43】Hall MP、Unch J、Binkowski BF、Valley MP、Butler BL、Wood MG、Otto P、Zimmerman K、Vidugiris G、Machleidt T、Robers MB、Benink HA、Eggers CT、Slater MR、Meisenheimer PL、Klaubert DH、Fan F、Encell LP、Wood KV. Engineered luciferase reporter from a deep sea shrimp utilizing a novel imidazopyrazinone substrate. ACS Chem Biol. 2012 Nov 16;7(11):1848~57頁
【非特許文献44】Coutant、Goyardら、OBC 2019、17、3709~3713頁
【非特許文献45】Coutantら、Chemistry 2020、26、948~958頁
【非特許文献46】Goyardら、Allergy 2021、75、2952~2956頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、現在の抗原に基づくアッセイを改善し容易にするための、更なる開発が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本出願人は、即時に結果を出す能力及び容易な使用による、コーティング工程がなく、洗浄がなく、インキュベーション時間がない、抗原の定性的及び/又は定量的検出のための生物発光に基づく方法を見出した。本発明者らは、オプロフォルス・グラキリロストリス(Oplophorous gracilirostris)ネイティブ触媒酵素サブユニットから短縮及び操作された、KAZ(Inouye、S.、Sato、J.、Sahara-Miura、Y.、Yoshida、S.及びHosoya、T.、Luminescence enhancement of the catalytic 19 kDa protein (KAZ) of Oplophorus luciferase by three amino acid substitutions. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2014. 445: 157~162頁)又はNluc(Hall、M. P.、Unch、J.、Binkowski、B. F.、Valley、M. P., Butler、B. L.、Wood、M. G.、Otto、P.、Zimmerman、K.、Vidugiris、G.、Machleidt、T.、Robers、M. B.、Benink、H. A.、Eggers、C. T.、Slater、M. R.、Meisenheimer、P. L.、Klaubert、D. H.、Fan、F.、Encell、L. P.及びWood、K. V. 2012 Engineered luciferase reporter from a deep sea shrimp utilizing a novel imidazopyrazinone substrate ACS Chem. Biol. 7、1848~1857頁)に由来するルシフェラーゼを最適化した。最適化されたルシフェラーゼを2つの不活性断片へと分け、これらの断片のうちそれぞれ1つを、好ましくはリンカーによって、抗原を指向するラクダ類重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)の1つに融合させた。2つの融合タンパク質が、抗原におけるそれぞれのエピトープに結合したときに、ルシフェラーゼ活性は回復された。この知見を用いて、本発明者らは、コーティングも、洗浄もインキュベーション時間も要求せず、即時結果(1分間未満)を提供することができる、新たな手早い抗原アッセイを開発した。更に、本発明者らによって開発された抗原アッセイは、大部分の生体試料(体液、上咽頭スワブ洗浄液、臓器洗浄液、糞便又は皮膚スメア、細胞又は組織ライセート又は抽出物、細胞培養培地又は上清等)、環境流体又は表面スメア、水又は下水試料、食物成分抽出物又はスメア、薬物等において使用可能であり、アッセイ試薬は、4℃で数週間、-20℃で数カ月間、-80℃で数年間貯蔵することができる。
【0008】
従って、本発明の対象は、抗原を検出するためのシステムであって、
- 前記抗原の第1のエピトープを指向する第1のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第1の断片を含むC末端ドメイン
を含む第1の融合タンパク質であって、
第1の断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第1の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、第1の融合タンパク質と、
- 前記抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第2の断片を含むC末端ドメイン
を含む第2の融合タンパク質であって、
第2の断片が、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第2の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、第2の融合タンパク質とを含み、
第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質の両方が、前記抗原に結合したときに、発光が、基質の存在下で放射される、システムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.融合タンパク質
本発明の主題は、
- 抗原のエピトープを指向するシングルドメイン抗体、好ましくは、ラクダ類重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)を含むN末端ドメインと、
- ルシフェラーゼの断片を含むC末端ドメインと
を含む融合タンパク質であって、
断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する、融合タンパク質に関する。
【0010】
融合タンパク質は、ルシフェラーゼ活性を有しない。
【0011】
ルシフェラーゼ活性の存在/非存在は、当業者によって容易にアッセイされ得る。融合タンパク質のルシフェラーゼ活性は、例えば、基質としての8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン、ブランク対照及び陽性対照を用いて、例えば、アミノ酸配列の配列番号3を有するルシフェラーゼを用いてアッセイされ得る。相対的ルシフェラーゼ活性の次のパーセンテージを計算することができる:[融合タンパク質の発光 - ブランク対照の発光]×100/陽性対照の発光。このパーセンテージがマイナス、ゼロ又は非有意である(例えば、10%よりも低い、好ましくは、5%よりも低い、より好ましくは、2.5%よりも低い、最も好ましくは、1%よりも低い)場合、当業者は、融合タンパク質がルシフェラーゼ活性を有しないと考慮するであろう。
【0012】
C末端ドメインは、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列を更に含むことができる。
【0013】
融合タンパク質は、N末端及びC末端ドメインの間のリンカーを更に含むことができる。
【0014】
融合タンパク質のC末端ドメインは、ルシフェラーゼの断片からなっていてもよく、
断片は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列に必要に応じて連結されている。
【0015】
融合タンパク質は、
- 抗原のエピトープを指向するシングルドメイン抗体、好ましくは、ラクダ類重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)からなるN末端ドメインであって、シングルドメイン抗体が、異種配列に必要に応じて連結されている、N末端ドメインと、
- ルシフェラーゼの断片からなるC末端ドメインであって、断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、ルシフェラーゼの断片が、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列に必要に応じて連結されている、C末端ドメインと、
N末端及びC末端ドメインの間のリンカーと
からなっていてもよい。
【0016】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質と呼ばれる融合タンパク質は、
- 抗原の第1のエピトープを指向する、第1のシングルドメイン抗体と呼ばれるシングルドメイン抗体、好ましくは、第1のVHHと呼ばれるVHHを含むN末端ドメインと、
- ルシフェラーゼの第1の断片と呼ばれる断片を含むC末端ドメインと
を含み、第1の断片は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する。
【0017】
第1の融合タンパク質は、ルシフェラーゼ活性を有しない。
【0018】
第1の融合タンパク質は、抗原に特異的に結合する。
【0019】
第1の融合タンパク質のC末端ドメインは、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列を更に含むことができる。
【0020】
第1の融合タンパク質は、N末端及びC末端ドメインの間のリンカーを更に含むことができる。
【0021】
抗原結合性タンパク質(本発明の文脈において、シングルドメイン抗体、VHH、(第1及び/又は第2の)融合タンパク質)は、解離定数(KD)が10-7M以下である場合、その標的抗原に「特異的に結合する」と言われる。抗原結合性タンパク質は、KDが5×10-9M以下である場合は「高い親和性」で、KDが5×10-10M以下である場合は「非常に高い親和性」で抗原に特異的に結合する。
【0022】
一実施形態では、第1の融合タンパク質は、KDが10-7M以下で、好ましくは、約10-9M~10-13Mの間で抗原に結合する。
【0023】
第1の融合タンパク質は、抗原の第1のエピトープに特異的に結合する。
【0024】
用語「エピトープ」は、抗原結合性タンパク質、例えば、抗体、T細胞受容体、又は本発明の文脈では、VHH若しくは融合タンパク質が結合し得るいずれかの決定基を含む。エピトープは、当該抗原を標的化する抗原結合性タンパク質が結合する抗原の領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗原結合性タンパク質に直接的に接触する特異的なアミノ酸を含む。ほとんどの場合、エピトープは、タンパク質に存するが、一部の例では、他の種類の分子、例えば、核酸に存する場合がある。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニル基等、分子の化学的に活性がある表面グループ分けを含むことができ、特異的な三次元構造特徴及び/又は特異的な電荷特徴を有することができる。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質及び/又は高分子の複合混合物中の標的抗原におけるエピトープを優先的に認識するであろう。
【0025】
第1の融合タンパク質のC末端ドメインは、ルシフェラーゼの断片からなっていてもよく、
断片は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列に必要に応じて連結されている。
【0026】
第1の融合タンパク質は、
- 抗原の第1のエピトープを指向する第1のシングルドメイン抗体と呼ばれるシングルドメイン抗体、好ましくは、第1のVHHと呼ばれるVHHを含むN末端ドメインであって、シングルドメイン抗体が、異種配列に必要に応じて連結されている、N末端ドメインと、
- ルシフェラーゼの第1の断片からなるC末端ドメインであって、第1の断片が、配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、ルシフェラーゼの断片が、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列に必要に応じて連結されている、C末端ドメインと、
- N末端及びC末端ドメインの間のリンカーと
からなっていてもよい。
【0027】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質と呼ばれる融合タンパク質は、
- 抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体と呼ばれるシングルドメイン抗体、好ましくは、第2のVHHと呼ばれるVHHを含むN末端ドメインと、
- ルシフェラーゼの第2の断片と呼ばれる断片を含むC末端ドメインと
を含み、第2の断片は、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する。
【0028】
第2の融合タンパク質は、ルシフェラーゼ活性を有しない。
【0029】
第2の融合タンパク質は、抗原に特異的に結合する。
【0030】
一実施形態では、第2の融合タンパク質は、KDは10-7M以下、好ましくは、約10-9M~10-13Mの間、更に別の実施形態では、KDは5×10-10M以下で抗原に結合する。
【0031】
第2の融合タンパク質は、抗原の第2のエピトープに特異的に結合する。
【0032】
第2の融合タンパク質のC末端ドメインは、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列を更に含むことができる。
【0033】
第2の融合タンパク質は、N末端及びC末端ドメインの間のリンカーを更に含むことができる。
【0034】
第2の融合タンパク質のC末端ドメインは、ルシフェラーゼの断片からなっていてもよく、
断片は、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列に必要に応じて連結されている。
【0035】
第2の融合タンパク質は、
- 抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体と呼ばれるシングルドメイン抗体、好ましくは、第2のVHHと呼ばれるVHHを含むN末端ドメインであって、シングルドメイン抗体が、異種配列に必要に応じて連結されている、N末端ドメインと、
- ルシフェラーゼの第2の断片からなるC末端ドメインであって、第2の断片が、配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、ルシフェラーゼの第2の断片が、例えば、シグナルペプチド及び/又はタグ等の異種配列に必要に応じて連結されている、C末端ドメインと、
- N末端及びC末端ドメインの間のリンカーと
からなっていてもよい。
【0036】
A.1.抗原
本発明の融合タンパク質は、抗原を検出し、場合によっては、その濃度を定量化することを目標とする。
【0037】
抗原は、抗体又は分子結合剤によって認識できるいずれかの特異的分子又は分子アセンブリーである。抗原は、タンパク質、核酸、多糖、脂質、有機分子、又はこれらの同一の若しくは異なる化合物の共有結合若しくは非共有結合によるアセンブリーのいずれかである。タンパク質は、生物学的又は化学的に修飾(グリコシル化、アシル化、リン酸化、スルホン化、脱アミノ化等)されていてもされていなくてもよい。核酸は、RNA又はDNA、一本鎖又は二本鎖であり得、化学的又は生物学的に修飾されていてもされていなくてもよい。
【0038】
抗原は、可溶性であり得るか、細胞ライセート若しくは組織抽出物から可溶化され得るか、又はオルガネラ、ウイルス、細菌、細胞、組織等の表面に提示され得る。抗原は、ビーズ、繊維、スライド、スティック、ディスク、チューブ、プレートウェル、バッグ又はいずれかの受容器(recipient)を構成するいずれかの材料の表面に露出され得る。
【0039】
抗原は、試料における存在について検出されるべきいずれかの病原体、炎症性又は腫瘍細胞に由来し得る。病原体は、例えば、ファージ、ウイルス、細菌、酵母、真菌及び寄生生物からなる群から選択され得る。よって、抗原は、前記病原体のいずれかの断片又は部分であり得る。病原体の断片は、合成された若しくは組換えとして発現された病原体由来の単離されたタンパク質又は構造若しくは機能ドメインに対応する断片又はいずれかのサイズの断片を含むことができる。
【0040】
本発明の好まれる実施形態では、その存在が診断されるべき病原体は、ウイルス、より好ましくは、コロナウイルス、最も好ましくは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)又は中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS)からなる群から選択されるコロナウイルスである。
【0041】
コロナウイルスは、4つの属(α、β、γ及びδ)へと分けられる、ニドウイルス(Nidovirales)目のコロナウイルス(Coronaviridae)科に属する、プラス型(positive)RNAゲノムを有するエンベロープウイルスである。SARS-CoV-2は、SARS-CoV-1及びMERSと共に、β属に属する。コロナウイルスは、少なくとも4つの構造タンパク質:スパイク(S)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、膜(M)タンパク質及びヌクレオカプシド(N)タンパク質(ヌクレオプロテインとも呼ばれる)を含有する(Bosch B.J.、van der Zee R.、de Haan C.A.、Rottier P.J. The coronavirus spike protein is a class I virus fusion protein: structural and functional characterization of the fusion core complex. J Virol. 2003;77:8801~8811頁)。
【0042】
それらの強い免疫原性及び感染した細胞におけるそれらの高い発現レベルにより、コロナウイルスのN及びSタンパク質が通常、診断目的の標的として選ばれる。
【0043】
コロナウイルスNタンパク質は、40kDaの2個の単量体によって形成されたホモ二量体である。各単量体は、N末端ドメイン(NTD)及びC末端ドメイン(CTD)と呼ばれる2個のフォールドされたドメインへと組織化される。これらは、リン酸化によりNの機能を調節することができる、セリン/アルギニンストレッチを含有する不規則領域(LKRと呼ばれる)によって分離される(McBride, R.、van Zyl、M. & Fielding、B. C. The coronavirus nucleocapsid is a multifunctional protein. Viruses (2014) doi:10.3390、He、R.ら、Characterization of protein-protein interactions between the nucleocapsid protein and membrane protein of the SARS coronavirus. Virus Res. (2004) doi:10.1016/j.virusres.2004.05.002.)。SARS-CoV-2のNタンパク質の例は、NCBIタンパク質データベースに受託番号QHO62884.1により示されている。
【0044】
コロナウイルスSタンパク質は、2個の機能的に別個の部分(S1及びS2)へと分けられる、クラスI融合糖タンパク質のホモ三量体である。表面に露出したS1は、宿主細胞受容体に特異的にエンゲージし、これによりウイルス細胞トロピズム及び病原性を決定する受容体結合ドメイン(RBD)を含有する。膜貫通S2ドメインは、7アミノ酸繰り返し領域及び融合ペプチドを含有し、これは、大規模高次構造再編成後にウイルス及び細胞膜の融合を媒介する(Li、F. Structure, function, and evolution of coronavirus spike proteins. Annu. Rev. Virol. 3、237~261頁(2016)、Letko、M.、Marzi、A. & Munster、V. Functional assessment of cell entry and receptor usage for SARS-CoV-2 and other lineage B betacoronaviruses. Nat. Microbiol. 5、562~569頁(2020))。SARS-CoV-2のSタンパク質の例は、NCBIタンパク質データベースに受託番号QHO62877.1により示されている。
【0045】
よって、本実施形態では、シングルドメイン抗体、好ましくは、VHH(結果として、前記シングルドメイン抗体を含む融合タンパク質)が指向する抗原は、コロナウイルス由来のSタンパク質又はNタンパク質であり得る。好ましくは、抗原は、SARS-CoV-2のSタンパク質又はNタンパク質であり、より好ましくは、COVID-19に対してワクチン接種された人々は大部分がSタンパク質の発現で免疫化されているため、抗原は、SARS-CoV-2のNタンパク質である。
【0046】
別の実施形態では、その存在が診断されるべきウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、有利には、HIV-1及び/又はHIV-2である。抗HIV抗体及びP24抗原の組み合わせたELISAが推奨される。本実施形態では、シングルドメイン抗体、好ましくは、VHH(結果として、前記シングルドメイン抗体を含む融合タンパク質)が指向する抗原は、タンパク質GAGからタンパク質分解されたHIVカプシド成分(277~363)であるP24である。
【0047】
代表的な検査において使用されるHV1(ELI/NDK単離株)由来のP24の282~351アミノ酸配列は、次の通りである:
MADIRQGPKEPFRDYVDRFYKTLRAEQASQDVKNWMTETLLVQNANPDCKTILKALGPQATLEEMMTACQ(配列番号155)。
【0048】
A.2.シングルドメイン抗体
本発明において、第1の融合タンパク質は、抗原の第1のエピトープを指向する第1のシングルドメイン抗体を含み、第2の融合タンパク質は、抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体を含む。
【0049】
シングルドメイン抗体(融合タンパク質、第1の融合タンパク質及び/又は第2の融合タンパク質に由来する)は、解離定数(KD)が10-7M以下である場合、その標的抗原に「特異的に結合する」と言われる。シングルドメイン抗体は、KDが5×10-9M以下である場合は「高い親和性」で、KDが5×10-10M以下である場合は「非常に高い親和性」で抗原に特異的に結合する。
【0050】
一実施形態では、シングルドメイン抗体は、KDが10-7M以下で、好ましくは、約10-9M~10-13Mの間で抗原に結合する。
【0051】
シングルドメイン抗体(sdAb)は、特に、ラクダ類重鎖単独(heavy chain only)抗体の可変ドメイン(VHHとも呼ばれる)及び軟骨魚類重鎖単独抗体の可変ドメイン(VNARとも呼ばれる)、ヒト重鎖抗体の可変ドメイン(sdhAb)、又はsdhAb由来の対応する配列整列残基によるVHH及びVNAR構造におけるCDR残基のうち表面到達可能残基の交換によるヒト化タンパク質VHH(hVHH)若しくはVNAR(hVNAR)を包含する。VHHは、免疫化されたラクダ類(ビクーニャ、アルパカ、ラマ、ヒトコブラクダ、ラクダ)由来のプロセシングされたIgG遺伝子に由来し得、VNARは、免疫化されたサメ(shrark)由来のプロセシングされたIgG遺伝子に由来し得、sdhAbは、免疫化された個体又は感染した患者由来のプロセシングされたIgG遺伝子に由来し得る。VHH、VNAR、sdhAb又はhVHHは、それらのCDRの変異誘発による、互いのCDRグラフトに由来する又はフルサイズ抗体に由来する産物であり得る。
【0052】
よって、一部の実施形態では、本発明に係るシングルドメイン抗体(sdAb)は、ラクダ類重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)、軟骨魚類重鎖抗体(VNAR)、ヒト重鎖抗体の可変ドメイン(sdhAb)、ヒト化VHH(hVHH)及びヒト化VNAR(hVNAR)からなる群から選択される。
【0053】
従来のIgGに匹敵する親和性で抗原に結合しながら、シングルドメイン抗体は、次の特徴により、検査室診断に有用な試薬となる:
- 低コストの生産:シングルドメイン抗体の小さいサイズは、中程度の体積の細菌培養物におけるより容易な生産及び高収量を可能にする。
- 適用要件を満たすための(即ち、検出可能性を広げるための特異性及び親和性を改善するための)容易な調整:シングルドメイン抗体をコードする遺伝子は、イムノアッセイ構成のために変更された結合特性又はエピトープタグ付けを選択するよう再操作され得る。
- 頑健性及び長い有効期間:シングルドメイン抗体は、Ig及びScFv断片と比較して例外的に熱安定的であり、よって、大部分の室温で容易に輸送され得る。
- 潜在性の又は隠れたエピトープを標的化:シングルドメイン抗体は、その小さいサイズにより、従来の抗体には到達可能でない可能性があるタンパク質ポケット及び空洞における抗原結合部位に進入することが可能となる(Tahir S Pillay、Serge Muyldermans、Application of Single-Domain Antibodies ("Nanobodies") to Laboratory Diagnosis、Ann Lab Med. 2021 Nov 1;41(6):549~558頁)。
【0054】
本発明の文脈において、シングルドメイン抗体の小さいサイズは、ルシフェラーゼの第1及び第2の断片を、ルシフェラーゼ活性を回復させるのに十分なほどに近づけながら、第1及び第2の融合タンパク質が抗原に結合することを可能にする。
【0055】
最も好まれる実施形態では、シングルドメイン抗体(第1及び第2のシングルドメイン抗体)は、ラクダ類重鎖単独抗体の可変ドメイン(VHH)である。
【0056】
ラクダ類は、2種類の免疫グロブリンG抗体(IgG)を産生する:(i)重鎖及び軽鎖の二量体でできた従来の抗体IgG並びに(ii)軽鎖を欠き、重鎖のみの二量体でできたIgGのクラス(HC-IgG)(Hamers-Casterman、C.ら、Naturally occurring antibodies devoid of light chains. Nature 363、446~448頁(1993))。HC-IgGは、2個の抗原結合ドメイン(VHH又はナノボディと称される)を含む。VHHは、僅か15kDaのMW、2.5nmの直径及びほぼ4nmの高さを有する、最小の利用可能なインタクトな抗原結合性断片の1つである。これは、十分に機能的な結合部分として作用し、大腸菌(E. coli)において多量に且つ活性形態で容易に産生される。加えて、これは、拡張された相補性決定領域(CDR)及びより親水性のアミノ酸による3~4個の疎水性フレームワーク残基(従来の抗体においてVLと相互作用する)の置換等、特有の特徴を示す。拡張されたCDRを安定化するために、VHHは、ヒトコブラクダではCDR1及びCDR3の間に、ラマではCDR2及びCDR3の間に、追加のジスルフィド結合を保有することが多い(Harmsen、M. M. & De Haard、H. J. Properties, production, and applications of camelid single-domain antibody fragments. Appl. Microbiol. Biotechnol. 77、13~22頁(2007)、Muyldermans、S. Single domain camel antibodies: current status. J. Biotechnol. 74、277~302頁(2001))。特に、拡大されたCDR3ループは、凹面エピトープと相互作用することができる突出した高次構造をとることができ(Lauwereys、M.ら、Potent enzyme inhibitors derived from dromedary heavy-chain antibodies. EMBO J 17、3512~3520頁(1998))、一方、従来の抗体は、凸面又は平坦な構造のみを認識する。これらの特有の特色は、VHHが、従来の抗体に対して不十分に免疫原性である新規エピトープを認識することを可能にする(Lafaye、P.、Achour、I.、England、P.、Duyckaerts, C. & Rougeon、F. Single-domain antibodies recognize selectively small oligomeric forms of amyloid β, prevent Aβ-induced neurotoxicity and inhibit fibril formation. Mol. Immunol. 46、(2009))。過去数十年間にわたり、VHHは、その特異的な特性により、漸進的に高まる関心を受けてきた。実際、これは、従来の抗体の高い親和性及び選択性を小分子の利点と組み合わせる:特に、これは、その小さいサイズが原因で組織中により容易に拡散し、細胞内抗原に結合し、イメージングのために広く使用される(総説については、Traenkle、B. & Rothbauer、U. Under the Microscope: Single-Domain Antibodies for Live-Cell Imaging and Super-Resolution Microscopy. Front. Immunol. 8、1030(2017))。
【0057】
本発明において、第1のシングルドメイン抗体(sdAb)(結果として、第1の融合タンパク質)は、抗原の第1のエピトープを指向し、一方、第2のsdAb(結果として、第2の融合タンパク質)は、抗原の第2のエピトープを指向する。好ましくは、第1及び第2のエピトープは、第1及び第2のsdAb(結果として、第1及び第2の融合タンパク質)がそれらのエピトープに関して競合しないように選ばれなければならない。より一般的な仕方では、第1及び第2のエピトープは、融合タンパク質の一方のそのエピトープへの結合が、他方の融合タンパク質がそのエピトープに結合することを立体的に邪魔しないようなものである。従って、好ましくは、第1及び第2のエピトープは、別個のものである。よって、第1及び第2のVHHは、少なくとも1個の相補性決定領域(CDR)、好ましくは、少なくとも2個のCDR、最も好ましくは、それらの3個のCDRが異なっていてもよい。本明細書におけるCDR領域アミノ酸残基の番号及び位置は、公知CDRナンバリング基準、例えば、Kabat(Kabat、EAら、1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版)、IMGT(IMGT(登録商標):the international ImMunoGeneTics information system(登録商標)http://www.imgt.org)又はChothia(Chothia C.、Lesk A.M. Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins. Mol. Biol. 1987;196:901~917頁. doi: 10.1016/0022-2836(87)90412-8.)、好ましくは、IMGTに従う。
【0058】
好まれる実施形態では、第1及び第2のシングルドメイン抗体(結果として、第1及び第2の融合タンパク質)は、それらのエピトープに関して競合せず、第1及び第2のシングルドメイン抗体(結果として、第1及び第2の融合タンパク質)のそれぞれは、KDが10-7M以下で、好ましくは、約10-9M~10-13Mの間で抗原に結合する。
【0059】
第1及び第2のsdAbがVHHである好まれる実施形態では、第1のVHH(結果として、第1の融合タンパク質)は、抗原の第1のエピトープを指向し、一方、第2のVHH(結果として、第2の融合タンパク質)は、抗原の第2のエピトープを指向する。好ましくは、第1及び第2のエピトープは、第1及び第2のVHH(結果として、第1及び第2の融合タンパク質)が、それらのエピトープに関して競合しないように選ばれなければならない。好ましくは、第1及び第2のエピトープは、別個のものである。よって、第1及び第2のVHHは、少なくとも1個の相補性決定領域(CDR)、好ましくは、少なくとも2個のCDR、最も好ましくは、それらの3個のCDRが異なっていてもよい。本明細書におけるCDR領域アミノ酸残基の番号及び位置は、公知CDRナンバリング基準、例えば、Kabat、IMGT又はChothia、好ましくは、IMGTに従う。
【0060】
特定の実施形態では、第1及び第2のエピトープは、同一であるが、例えば、SARS-CoV-2 Nタンパク質としてのホモ二量体又はSARS-CoV-2 Sタンパク質としてのホモ三量体として同じ実体においてアセンブルされる異なるサブユニットによって保有され得る。よって、ある実施形態では、第1及び第2のVHHは、同じものであり得る。
【0061】
用語「競合する」は、同じエピトープに関して競合する抗原結合性タンパク質の文脈で使用される場合、アッセイによって決定される抗原結合性タンパク質間の競合を意味し、このアッセイにおいて、検査されている抗原結合性タンパク質(例えば、抗体若しくは本発明の文脈では、sdAb、好ましくは、VHH、又はそれらを含む融合タンパク質)は、共通抗原(例えば、Nタンパク質又はその断片)への参照抗原結合性タンパク質(例えば、リガンド又は参照抗体)の特異的結合を防止又は阻害する(例えば、低減させる)。多数の型の競合的結合アッセイを使用して、生物物理学的又は生化学的アプローチを使用して、ある抗原結合性タンパク質が、別の抗原結合性タンパク質と競合するか否か決定することができる。エピトープの位置及び重複は、X線回折を使用したsdAb-抗原共結晶化及び構造分解、又はNMR若しくは質量分析によって測定されるsdAb-抗原界面におけるより低い差次的水素-重水素交換のいずれかによる生物物理学的アプローチによって、抗原において同定及びマッピングすることができる。いくつかの生化学的アプローチが、抗原におけるsdAb結合部位競合に関するヒントを提供しつつある:歴史的方法は、固相直接的又は間接的ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接的又は間接的酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahliら、1983、Methods in Enzymology 9:242~253頁を参照);固相直接的ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirklandら、1986、J. Immunol. 137:3614~3619頁を参照)、固相直接的標識アッセイ、固相直接的標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow及びLane、1988、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Pressを参照);I-125標識を使用した固相直接的標識RIA(例えば、Morelら、1988、Molec. Immunol. 25:7~15頁を参照);固相直接的ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheungら、1990、Virology 176:546~552頁を参照);及び直接的標識RIA(Moldenhauerら、1990、Scand. J. Immunol. 32:77~82頁)である。より最近の生化学的標識を用いないアプローチは、光学的測定を使用した流動溶液における表面に結合した抗原へのsdAbの結合動態(kon及びkoff)を測定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)又はバイオレイヤー(bio-layer)インターフェロメトリー(BLI)を使用する。
【0062】
典型的には、そのようなアッセイは、固体表面に結合した精製された抗原又は抗原を有する細胞、標識されていない検査抗原結合性タンパク質及び標識された参照抗原結合性タンパク質の使用を伴う。競合的阻害は、検査抗原結合性タンパク質の存在下で固体表面又は細胞に結合した標識の量を決定することにより測定される。通常、検査抗原結合性タンパク質は、過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合性タンパク質(競合抗原結合性タンパク質)は、参照抗原結合性タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合性タンパク質、及び参照抗原結合性タンパク質が結合するエピトープに対して立体妨害が起こるほど十分に近位にある隣接エピトープに結合する抗原結合性タンパク質を含む。競合的結合を決定するための方法に関する追加の詳細は、本明細書の実施例に提供される。通常、競合抗原結合性タンパク質は、過剰に存在する場合、共通抗原への参照抗原結合性タンパク質の特異的結合を少なくとも40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%又は75%以上阻害する(例えば、低減させる)であろう。一部の例では、結合は、少なくとも80~85%、85~90%、90~95%、95~97%又は97%以上阻害される。
【0063】
よって、上に開示される方法は、第1のsdAb、好ましくは、第1のVHH及び第2のsdAb、好ましくは、第2のVHH(又は第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質)が競合しないか検査するために使用することができる。例えば、第1のsdAb(又は第1のVHH又は第1の融合タンパク質)を標識し、標識された参照抗原結合性タンパク質として使用することができ、第2のsdAb(又は第2のVHH又は第2の融合タンパク質)を検査抗原結合性タンパク質として使用することができる(又はその逆に)。参照抗原結合性タンパク質(標識された第2又は第1のsdAb、好ましくは、VHH)と競合しない検査抗原結合性タンパク質(第1又は第2のsdAb、好ましくは、VHH)は、過剰に存在する場合、検出されるべき抗原への参照抗原結合性タンパク質(標識された第2又は第1のsdAb、好ましくは、VHH)の結合を45~50%、40~45%、35~40%、30~35%、25~30%又は25%以下阻害するであろう。
【0064】
エピトープ競合アッセイの例は、マルチウェルプレートにおける生物発光アッセイにより示される。第1のVHH(VHH1)は、ストレプトアビジンに対して高い親和性を提示するC末端37アミノ酸長ペプチド(SBP37、配列番号62)との融合体として発現される(VHH1-SBP37:例えば、抗N VHH655-SBP37、配列番号120又は抗S VHH716-SBP37、配列番号118)。このタンパク質は、ストレプトアビジンでコーティングされたプレートウェルにロードされる。洗浄工程後に、次に抗原が添加され、インキュベートされる。洗浄工程後に、十分に活性があるルシフェラーゼ(配列番号4)とのC末端融合体として発現された第2のVHH(VHH2)が次いで添加される(VHH2-JAZ:例えば、抗N VHH648-JAZ、配列番号119又は抗S VHH687-JAZ、配列番号117)。最後の洗浄工程の後に、基質が添加され、光放射が測定される(相対光強度単位毎秒)。光放射がバックグラウンドノイズである場合、第1の融合タンパク質が結合しているときに第2の融合タンパク質のエピトープが抗原に到達不能であるか、又は測定条件において抗原に対する第2の融合タンパク質親和性が低すぎるかのいずれかである。2種の組合せ(VHH1-SBP37/VHH2-JAZ及びVHH2-SBP37/VHH1-JAZ)を検査するために融合タンパク質におけるVHHをスイッチすることが重要である。この実験は、コーティングされたストレプトアビジンにおける表面に結合したVHH-SBP37/抗原を有するウェルにロードされながら、VHH-JAZと共に増加する量の遊離抗原を添加することにより使用することもでき、VHH-SBP37/抗原及び遊離抗原の間のVHH-JAZに対する結合競合は、VHH-SBP37/抗原に対するVHH-JAZ親和性(KD)の決定を可能にする。
【0065】
好ましくは、抗原が、いくつかのドメインを含む場合、第1及び第2のsdAb、好ましくは、VHHは、前記抗原の同じドメインを指向しない(例えば、Nタンパク質のカルボキシ末端ドメイン及びアミノ末端ドメイン)。第1及び第2のsdAb、好ましくは、VHHは、同じエピトープを指向することもできるが、このエピトープは、所与の多量体の異なる単量体に存在する(例えば、対称的又は非対称的エピトープにおいて、ヌクレオプロテインホモ二量体又はスパイクホモ三量体等の多量体を標的化する)。
【0066】
上述の通り、検出されるべき抗原は、ウイルス、細菌、真菌及び寄生生物からなる群から選択される病原体又はその断片若しくは部分由来の成分であり得る。よって、抗原の検出は、病原体の検出及び感染性病理の診断を可能にする。
【0067】
別の実施形態では、検出されるべき抗原は、典型的には炎症又はがんを診断するための、特異的細胞の表面に又はその細胞質若しくはそのオルガネラのいずれかにおいて発現された成分であり得る。
【0068】
上述の通り、最も好まれる実施形態では、sdAb(融合タンパク質、第1の融合タンパク質及び/又は第2の融合タンパク質のsdAb)は、VHHである。
【0069】
VHHは、公知VHHの中から選択することができる。次のものを含む多数の病原体に対して産生された公知VHHが存在する(Vanlandschoot、P.ら、Nanobodies(登録商標): new ammunition to battle viruses. Antiviral Res. 92、389~407頁(2011)及びLafaye、P. & Li, T. Use of camel single-domain antibodies for the diagnosis and treatment of zoonotic diseases. Comp Immunol Microbiol Infect Dis 60、17~22頁(2018)に総説されている):
- HIV(Forsman、A.ら、Llama antibody fragments with cross-subtype human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1)-neutralizing properties and high affinity for HIV-1 gp120. J. Virol. 82、12069~12081頁(2008)、McCoy、L. E.ら、Potent and broad neutralization of HIV-1 by a llama antibody elicited by immunization. J. Exp. Med. (2012));
- インフルエンザA(Hultberg、A.ら、Llama-derived single domain antibodies to build multivalent, superpotent and broadened neutralizing anti-viral molecules. PLoS One 6、1~12頁(2011)、Ashour、J.ら、Intracellular expression of camelid single-domain antibodies specific for influenza virus nucleoprotein uncovers distinct features of its nuclear localization. J. Virol. 89、2792~800頁(2015)、Laursen、N.ら、Universal protection against influenza infection by a multidomain antibody to influenza hemagglutinin. Science. 362、598~602頁(2018));
- ポリオウイルス(Thys、B.ら、In vitro antiviral activity of single domain antibody fragments against poliovirus. Antiviral Res. (2010));
- 狂犬病ウイルス;
- 口蹄疫ウイルス(Harmsen、M. M. & De Haard, H. J. Properties, production, and applications of camelid single-domain antibody fragments. Appl. Microbiol. Biotechnol. 77、13~22頁(2007));
- ロタウイルス(van der Vaart、J. M.ら、Reduction in morbidity of rotavirus induced diarrhoea in mice by yeast produced monovalent llama-derived antibody fragments. Vaccine 24、4130~4137頁(2006)), HCV (Tarr、A. W.ら、An alpaca nanobody inhibits hepatitis C virus entry and cell-to-cell transmission. Hepatology 58、932~939頁(2013))、
- 並びに近年、SARS、MERS及びSARS-Cov-2スパイクタンパク質(Wrapp、D.ら、Structural Basis for Potent Neutralization of Betacoronaviruses by Single-Domain Camelid Antibodies. Cell 181、1004~1015.e15 (2020)、Huo、J.ら、Neutralizing nanobodies bind SARS-CoV-2 spike RBD and block interaction with ACE2. Nat. Struct. Mol. Biol. (2020))。
【0070】
本発明に従って使用されるべきVHHは、ライブラリーから選択することもできる。
【0071】
方法、例えば、ファージ(例えば、M13、PIIIとの融合体)、細菌(例えば、大腸菌、インチミン(intimin)との融合体)、酵母(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisae)、AgaP2との融合体)又はリボソームディスプレイは、免疫化されたラクダ類のVHHライブラリーから又はナイーブVHH足場と合成オリゴヌクレオチドコードCDRを使用した合成ライブラリーから抗原特異的VHHを選択すると記載されてきた。例えば、免疫化されたラクダ類、例えば、免疫化されたアルパカ由来のVHH遺伝子は、ファージディスプレイベクター(例えば、M13、PIIIとのVHH融合体)においてクローニングされ、抗原結合剤は、パニングによって得られ、選択されたVHHは、細菌(例えば、大腸菌)において発現される。1個のみのドメインがクローニングされる必要があるため、また、これらのVHHは、十分に発現され、水性環境において高度に可溶性であり、高温で安定的であるため、組換えVHHは、従来の抗体断片(Fab又はscFv)と比較して多数の利点を有する。
【0072】
VHHは、カスタム設計すること、ラクダ類VHH足場又はヒト化scFv足場から誘導体化された合成ライブラリーからスクリーニングすることもできる。
【0073】
例えば、VHHは、
(a)免疫グロブリン又はその断片でラクダ類、好ましくは、ラマ・パコス(Lama pacos)(アルパカ)を免疫化する工程、
(b)免疫化されたラクダ類の末梢リンパ球を単離し、全RNAを得て、対応するcDNAを合成する工程(方法は当技術分野で公知である;例えば、Lafayeら、1995 Res Immunol.、146、373~82頁;Erratum in: 1996、Res Immunol.、147、61を参照)、
(c)VHHドメインをコードするcDNA断片のライブラリーを構築する工程、
(d)ライブラリーにおけるVHHドメインを選択する工程
を含む方法によって入手可能である。
【0074】
ライブラリーにおけるVHHドメインの選択は、次の方法によって実行することができる:
(d1)ファージディスプレイベクター(pHEN6)におけるM13のPIII遺伝子との融合体としてcDNA断片をサブクローニングする工程、
(d2)大腸菌のTG1 F'株を形質転換する工程、
(d3)培養培地においてその表面にVHHを発現する組換えファージを産生するために、ヘルパーファージM13 KO7を、プールされた形質転換体に添加する工程、
(d4)ポリエチレングリコール(MW4000Da)において組換えファージを濃縮し、タイトレーションする工程、
(d5)受容器壁(チューブ又はプレートウェル)又は磁気ビーズに抗原を固定化する工程であって、次いで抗原特異的VHHが2~3ラウンドのファージディスプレイによって選択される、工程、
(d6)ファージミド由来のVHH遺伝子を配列決定し、同一CDRの出現を計数する工程、
(d7)選択された非冗長VHHをサブクローニングし、大腸菌において発現させ、精製し、抗原に対するその親和性を測定する工程。
【0075】
抗原がNタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2 Nタンパク質である実施形態では、第1及び第2のsdAb、好ましくは、VHHは両者共に、Nタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2 Nタンパク質に結合する。
【0076】
一部の実施形態では、第1及び第2のsdAb、好ましくは、VHHは両者共に、NCBI QHO62884.1のSARS-CoV-2 Nタンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質に結合する。
【0077】
一部の実施形態では、第1及び/又は第2のsdAb、好ましくは、VHHは、Nタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のNタンパク質のC末端ドメイン(CTD)に結合する。
【0078】
一部の実施形態では、第1及び/又は第2のsdAb、好ましくは、VHHは、Nタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のNタンパク質のN末端ドメイン(NTD)に結合する。
【0079】
好ましくは、第1のsdAbが、Nタンパク質のC末端ドメインに結合する場合、第2のsdAbは、Nタンパク質のN末端ドメインに結合する。同様に、第1のsdAbが、Nタンパク質のN末端ドメインに結合する場合、第2のそれは、Nタンパク質のC末端ドメインに結合する。Nタンパク質由来の2種の異なるドメインに結合する第1及び第2のsdAbを有することは、それらを含む第1及び第2の融合タンパク質が、それらのエピトープに関して競合せず、また、互いに立体的に邪魔しないことを可能にする。
【0080】
第1及び第2のsdAbがVHHである実施形態では、好ましくは、第1のVHHが、Nタンパク質のC末端ドメインに結合する場合、第2のVHHは、Nタンパク質のN末端ドメインに結合する。同様に、第1のVHHが、Nタンパク質のN末端ドメインに結合する場合、第2のそれは、Nタンパク質のC末端ドメインに結合する。Nタンパク質由来の2種の異なるドメインに結合する第1及び第2のVHHを有することは、それらを含む第1及び第2の融合タンパク質が、それらのエピトープに関して競合せず、また、互いに立体的に邪魔しないことを可能にする。
【0081】
SARS-CoV-2 Nがホモ二量体であることを考慮すると、2つの融合タンパク質のそれぞれ1つは、対称的又は非対称的エピトープにおいて、2つの単量体のそれぞれ1つに結合することができる。
【0082】
Sタンパク質についても同じ推論があてはまる。抗原がSタンパク質である実施形態では、第1及び第2のVHHは両者共に、Sタンパク質に結合する。一部の実施形態では、第1及び第2のsdAb、好ましくは、VHHは両者共に、NCBI QHO62877.1のSARS-CoV-2 Sタンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質に結合する。
【0083】
第1及び/又は第2のsdAbは、Sタンパク質のS1部分に結合することができる。別の実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、Sタンパク質のS2部分に結合する。第1のsdAbが、Sタンパク質のS1部分に結合する場合、第2のsdAbは、好ましくは、Sタンパク質のS2部分に結合する。交換的に、第1のsdAbが、Sタンパク質のS2部分に結合する場合、第2のsdAbは、Sタンパク質のS1部分に結合する。
【0084】
第1及び/又は第2のVHHは、Sタンパク質のS1部分に結合することができる。別の実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、Sタンパク質のS2部分に結合する。第1のVHHが、Sタンパク質のS1部分に結合する場合、第2のVHHは、好ましくは、Sタンパク質のS2部分に結合する。交換的に、第1のVHHが、Sタンパク質のS2部分に結合する場合、第2のVHHは、Sタンパク質のS1部分に結合する。
【0085】
SARS-CoV-2 Sがホモ三量体であることを考慮すると、2つの融合タンパク質のそれぞれ1つは、対称的又は非対称的エピトープにおいて、単量体のそれぞれ1つに結合することもできる。
【0086】
Nタンパク質及び/又はSタンパク質は、好ましくは、SARS-CoV-2のNタンパク質及び/又はSタンパク質である。
【0087】
抗原がSARS-CoV-2のNタンパク質である実施形態
SARS-CoV-2のNタンパク質に結合するVHHの例を下のTable 1(表1)に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
Table 1(表1)のVHH抗Nタンパク質のCDRを下のTable 2(表2)に示す。
【0090】
【表2A】
【0091】
【表2B】
【0092】
【表2C】
【0093】
VHH C7-1をコードする遺伝子がクローニングされており、アンヒドロテトラサイクリン(AHT)による誘導(0.2μg/ml一晩16℃で)後に周辺質においてVHH C7-1(VHH N-NTD C7-1とも命名)を発現するpASKベクターで形質転換されたXL1 blue大腸菌を、ブダペスト条約に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、France)に、2020年10月7日に、I-5601の番号で寄託した。
【0094】
VHH G9-1をコードする遺伝子がクローニングされており、アンヒドロテトラサイクリン(AHT)による誘導(0.2μg/ml一晩16℃で)後に周辺質においてVHH G9-1(VHH N-CTD G9-1とも命名)を発現するpASKベクターで形質転換されたXL1 blue大腸菌を、ブダペスト条約に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、France)に、2020年10月7日に、I-5603の番号で寄託した。
【0095】
VHH E7-2、G9-1、H3-3、D12-1、E10-3は、Nタンパク質のCTDを認識する。VHH B6-1、C7-1、F11-1、H7-1及びE4-3は、Nタンパク質のNTDを認識する。
【0096】
よって、第1及び/又は第2のsdAbは、
- 配列番号30、配列番号33、配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45、配列番号48、配列番号51、配列番号54及び配列番号57からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号30、配列番号33、配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45、配列番号48、配列番号51、配列番号54及び配列番号57からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR1、
- 配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、配列番号46、配列番号49、配列番号52、配列番号55及び配列番号58からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、配列番号46、配列番号49、配列番号52、配列番号55及び配列番号58からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR2、
- 配列番号32、配列番号35、配列番号38、配列番号41、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56及び配列番号59からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号32、配列番号35、配列番号38、配列番号41、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56及び配列番号59からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR3
を含むことができる。
【0097】
第1及び/又は第2のsdAbは、好ましくはVHHである。よって、第1及び/又は第2のVHHは、
- 配列番号30、配列番号33、配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45、配列番号48、配列番号51、配列番号54及び配列番号57からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号30、配列番号33、配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45、配列番号48、配列番号51、配列番号54及び配列番号57からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR1、
- 配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、配列番号46、配列番号49、配列番号52、配列番号55及び配列番号58からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、配列番号46、配列番号49、配列番号52、配列番号55及び配列番号58からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR2、
- 配列番号32、配列番号35、配列番号38、配列番号41、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56及び配列番号59からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号32、配列番号35、配列番号38、配列番号41、配列番号44、配列番号47、配列番号50、配列番号53、配列番号56及び配列番号59からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR3
を含むことができる。
【0098】
ある実施形態では、第1及び第2のsdAb、好ましくはVHHである第1及び第2のsdAbは、同じエピトープを指向しない。従って、有利には、本実施形態では、好ましくはVHHである第1及び第2のsdAbは、異なる。好ましくはVHHである第1及び第2のsdAbは、少なくとも1個の相補性決定領域(CDR)、好ましくは、少なくとも2個のCDR、最も好ましくは、それらの3個のCDRが異なっていてもよい。
【0099】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、
次の群:
- 配列番号30、配列番号31及び配列番号32、
- 配列番号33、配列番号34及び配列番号35、
- 配列番号36、配列番号37及び配列番号38、
- 配列番号39、配列番号40及び配列番号41,
- 配列番号42、配列番号43及び配列番号44、
- 配列番号45、配列番号46及び配列番号47、
- 配列番号48、配列番号49及び配列番号50、
- 配列番号51、配列番号52及び配列番号53、
- 配列番号54、配列番号55及び配列番号56、並びに
- 配列番号57、配列番号58及び配列番号59
から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0100】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、
次の群:
- 配列番号30、配列番号31及び配列番号32、
- 配列番号33、配列番号34及び配列番号35、
- 配列番号36、配列番号37及び配列番号38、
- 配列番号39、配列番号40及び配列番号41、
- 配列番号42、配列番号43及び配列番号44、
- 配列番号45、配列番号46及び配列番号47、
- 配列番号48、配列番号49及び配列番号50、
- 配列番号51、配列番号52及び配列番号53、
- 配列番号54、配列番号55及び配列番号56、並びに
- 配列番号57、配列番号58及び配列番号59
から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0101】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号39、配列番号40及び配列番号41をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0102】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号39、配列番号40及び配列番号41をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0103】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号45、配列番号46及び配列番号47をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0104】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号45、配列番号46及び配列番号47をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0105】
ある実施形態では、第1のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号39、配列番号40及び配列番号41をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含み、第2のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号45、配列番号46及び配列番号47をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0106】
ある実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号39、配列番号40及び配列番号41をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含み、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号45、配列番号46及び配列番号47をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0107】
別の実施形態では、第1のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号45、配列番号46及び配列番号47をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含み、第2のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号39、配列番号40及び配列番号41をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0108】
別の実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号45、配列番号46及び配列番号47をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含み、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号39、配列番号40及び配列番号41をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0109】
有利には、第1及び/又は第2のVHHは、
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0110】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0111】
好まれる実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0112】
好まれる実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0113】
より好まれる実施形態では、第1のVHH又は第2のVHHの一方は、Nタンパク質のCTDを指向し、一方、他方のVHHは、Nタンパク質のNTDを指向する。
【0114】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0115】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0116】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0117】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0118】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0119】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0120】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0121】
より好まれる実施形態では、第1又は第2のVHHは、配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0122】
ある実施形態では、第1のVHHは、
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含み、第2のVHHは、
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0123】
ある実施形態では、第1のVHHは、
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなり、第2のVHHは、
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0124】
ある実施形態では、第1のVHHは、配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、第2のVHHは、配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0125】
ある実施形態では、第1のVHHは、配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、第2のVHHは、配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0126】
ある実施形態では、第1のVHHは、
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含み、第2のVHHは、
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0127】
ある実施形態では、第1のVHHは、
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなり、第2のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号20~24、又は
- 配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0128】
ある実施形態では、第1のVHHは、配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号20~24を含む。
【0129】
ある実施形態では、第1のVHHは、配列番号25~29からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、第2のVHHは、配列番号20~24からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0130】
ある実施形態では、第1のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号23、又は
- アミノ酸配列の配列番号23に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含み、第2のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号25、又は
- アミノ酸配列の配列番号25に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0131】
ある実施形態では、第1のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号23、又は
- アミノ酸配列の配列番号23に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなり、第2のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号25、又は
- アミノ酸配列の配列番号25に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0132】
代替実施形態では、第1のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号25、又は
- アミノ酸配列の配列番号25に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含み、第2のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号23、又は
- アミノ酸配列の配列番号23に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0133】
代替実施形態では、第1のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号25、又は
- アミノ酸配列の配列番号25に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなり、第2のVHHは、
- アミノ酸配列の配列番号23、又は
- アミノ酸配列の配列番号23に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0134】
最も好まれる実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号23を含み、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号25を含む。
【0135】
最も好まれる実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号23からなり、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号25からなる。
【0136】
代替実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号25を含み、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号23を含む。
【0137】
代替実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号25からなり、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号23からなる。
【0138】
抗原がSARS-CoV-2のSタンパク質である実施形態
SARS-CoV-2のSタンパク質に結合するVHHの例を下のTable 3(表3)に示す。
【0139】
【表3】
【0140】
Table 3(表3)のVHH 抗SのCDRを下のTable 4(表4)に示す。
【0141】
【表4】
【0142】
生物材料の寄託は、CNCM、Institut Pasteur、Paris Franceにおいて行った。具体的には、次のVHHを寄託した:VHH P_F04-3、VHH P_G09-1、VHH P_S12、VHH P_H08及びVHH P_S11。
【0143】
VHH P_S11(VHH S-NTD 11-2とも命名)をコードするベクターを含む大腸菌を、ブダペスト条約に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、France)に、2021年8月23日に、I-5734の番号で寄託した。
【0144】
VHH P_H08(VHH S-NTD H08-4とも命名)をコードするベクターを含む大腸菌を、ブダペスト条約に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、France)に、2021年8月23日に、I-5735の番号で寄託した。
【0145】
VHH P_F04-3(V S-RBD F04-3とも命名)をコードするベクターを含む大腸菌を、ブダペスト条約に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、France)に、2021年8月25日に、I-5739の番号で寄託した。
【0146】
VHH P_S12(VHH S-RBD 12-4とも命名)をコードするベクターを含む大腸菌を、ブダペスト条約に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、France)に、2021年8月25日に、I-5740の番号で寄託した。
【0147】
VHH P_G09-1(VHH-S-RBD G09-1とも命名)をコードするベクターを含む大腸菌を、ブダペスト条約に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、25 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、France)に、2021年8月25日に、I-5741の番号で寄託した。
【0148】
VHH P_S11及びP_H08は、Sタンパク質のNTDを認識する。VHH P_F04-3、P_F04-3β、P_S12、P_S12β及びP_G09-1は、Sタンパク質のRBDを認識する。
【0149】
ある実施形態では、第1及び第2のsdAb、好ましくはVHHである第1及び第2のsdAbは、Sタンパク質の同じエピトープを指向しない。
【0150】
代替実施形態では、第1及び第2のsdAb、好ましくはVHHである第1及び第2のsdAbはそれぞれ、同じエピトープを指向するsdAbであるが、第1及び第2のエピトープは、ネイティブSタンパク質を構成する3個の単量体のうちの1個の異なる単量体に由来する。
【0151】
sdAb VHH P_S12及びVHH P_S12βは、Sタンパク質の領域結合ドメイン(配列番号163のRBD)内の配列番号164(YNYLYRLF)及び配列番号165(VEGFNCYFPLQS)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる少なくとも1又は2個のペプチドを含むエピトープに結合する。
【0152】
sdAb VHH P_F04-3及びVHH P_F04-3βは、Sタンパク質の領域結合ドメイン(配列番号163のRBD)内のアミノ酸配列の配列番号166(YNSASFSTFKCYGVSPT)を含むか又はそれからなる少なくともペプチドを含むエピトープに結合する。
【0153】
シングルドメインVHH抗体VHH P_G09-1は、Sタンパク質の領域結合ドメイン(配列番号163のRBD)内の配列番号167(RFASVYAWNR)、配列番号169(KVGGNYNYL)、配列番号170(RDIST)及び配列番号171(FPLQSYGFQP)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる少なくとも1、2、3又は4個のペプチド、及び必要に応じて配列番号163のRDBの位置154における残基Eを含むエピトープに結合する。
【0154】
よって、一部の実施形態では、第1又は第2のエピトープは、
- 配列番号163のRBD内の配列番号164(YNYLYRLF)及び配列番号165(VEGFNCYFPLQS)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる少なくとも1又は2個のペプチドを含むエピトープ、
- 配列番号163のRBD内のアミノ酸配列の配列番号166(YNSASFSTFKCYGVSPT)を含むか又はそれからなる少なくともペプチドを含むエピトープ、
- 配列番号163のRBD内の配列番号167(RFASVYAWNR)、配列番号169(KVGGNYNYL)、配列番号170(RDIST)及び配列番号171(FPLQSYGFQP)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる少なくとも1、2、3又は4個のペプチド、及び必要に応じて配列番号163のRDBの位置154における残基Eを含むエピトープ
からなる群から選択される。
【0155】
VHH P_S12、P_H08、P_S11、P_F04-3、P_S12、P_S12β及びP_G09-1は、Sタンパク質を認識する。
【0156】
よって、第1及び/又は第2のsdAbは、
- 配列番号81、配列番号84、配列番号87、配列番号131、配列番号134及び配列番号137からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号81、配列番号84、配列番号87、配列番号131、配列番号134及び配列番号137からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR1、
- 配列番号82、配列番号85、配列番号88、配列番号132、配列番号135及び配列番号138からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号82、配列番号85、配列番号88、配列番号132、配列番号135及び配列番号138からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR2、
- 配列番号83、配列番号86、配列番号89、配列番号133、配列番号136及び配列番号139からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号83、配列番号86、配列番号89、配列番号133、配列番号136及び配列番号139からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR3
を含むことができる。
【0157】
よって、第1及び/又は第2のsdAbがVHHである好まれる実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、
- 配列番号81、配列番号84、配列番号87、配列番号131、配列番号134及び配列番号137からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号81、配列番号84、配列番号87、配列番号131、配列番号134及び配列番号137からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR1、
- 配列番号82、配列番号85、配列番号88、配列番号132、配列番号135及び配列番号138からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号82、配列番号85、配列番号88、配列番号132、配列番号135及び配列番号138からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR2、
- 配列番号83、配列番号86、配列番号89、配列番号133、配列番号136及び配列番号139からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに
- 配列番号83、配列番号86、配列番号89、配列番号133、配列番号136及び配列番号139からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、最大2個のアミノ酸付加、欠失及び/又は置換を有するそのバリアント
を有するCDR3
を含むことができる。
【0158】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、
次の群:
- 配列番号81、配列番号82及び配列番号83、
- 配列番号84、配列番号85及び配列番号86、
- 配列番号87、配列番号88及び配列番号89、
- 配列番号131、配列番号132及び配列番号133、
- 配列番号134、配列番号135及び配列番号136、
- 配列番号137、配列番号138及び配列番号139
から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0159】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、
次の群:
- 配列番号81、配列番号82及び配列番号83、
- 配列番号84、配列番号85及び配列番号86、
- 配列番号87、配列番号88及び配列番号89、
- 配列番号131、配列番号132及び配列番号133、
- 配列番号134、配列番号135及び配列番号136、
- 配列番号137、配列番号138及び配列番号139
から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0160】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号81、配列番号82及び配列番号83をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0161】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号81、配列番号82及び配列番号83をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0162】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号84、配列番号85及び配列番号86をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0163】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号84、配列番号85及び配列番号86をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0164】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のsdAbは、アミノ酸配列の配列番号87、配列番号88及び配列番号89をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0165】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号87、配列番号88及び配列番号89をそれぞれ有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0166】
有利には、第1及び/又は第2のVHHは、
- 配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0167】
ある実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、
- 配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
からなる。
【0168】
より好まれる実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0169】
より好まれる実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0170】
抗原がHIVのp24である実施形態
HIVのP24に結合するVHHの例を下のTable 5(表5)に示す。
【0171】
【表5】
【0172】
これらのVHHは、次の論文に開示されている:Gray、E.R.、Brookes、J.C.、Caillat、C.、Turbe, V.、Webb、B.L.J.、Granger、L.A.、Miller、B.S.、McCoy、L.E.、El Khattabi、M.、Verrips、C.T.、Weiss、R.A.、Duffy、D.M.、Weissenhorn、W.、McKendry、R.A.Unravelling the Molecular Basis of High Affinity Nanobodies against HIV p24: In Vitro Functional, Structural, and in Silico Insights. (2017) ACS Infect Dis 3:479~491頁及びIgonet、S.、Vaney、M.C.、Bartonova、V.、Helma、J.、Rothbauer、U.、Leonhardt、H.、Stura、E.、Krausslich、H.-G.、Rey、F.A. Targeting HIV-1 Virion Formation with Nanobodies -Implications for the Design of Assembly Inhibitors Published in the Protein databank : ID#2XV6 chain B and D。
【0173】
VHH 59H1及び2XV6_Bの両方の構造は、P24と共結晶化された。2種のVHHのそれぞれのエピトープは、少なくとも、結合したVHHのいかなる立体妨害も回避するために、交差することなく、互いに遠く離れている。
【0174】
好まれる実施形態では、第1及び第2のsdAb、好ましくはVHHである第1及び第2のsdAbは、P24の同じエピトープを指向しない。
【0175】
よって、ある実施形態では、第1又は第2のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列の配列番号156若しくは配列番号157、又はアミノ酸配列の配列番号156若しくは配列番号157に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0176】
ある実施形態では、第1又は第2のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列の配列番号156若しくは配列番号157、又はアミノ酸配列の配列番号156若しくは配列番号157に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列からなる。
【0177】
ある実施形態では、第1のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列156、又はアミノ酸配列156に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列157、又はアミノ酸配列157に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0178】
ある実施形態では、第1のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列156、又はアミノ酸配列156に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列からなり、第2のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列157、又はアミノ酸配列157に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列からなる。
【0179】
ある実施形態では、第1のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列157、又はアミノ酸配列157に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列156、又はアミノ酸配列156に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0180】
ある実施形態では、第1のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列157、又はアミノ酸配列157に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列からなり、第2のシングルドメイン抗体は、アミノ酸配列156、又はアミノ酸配列156に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列からなる。
【0181】
A.3.ルシフェラーゼ及びその断片
本発明において、第1の融合タンパク質は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有するルシフェラーゼの第1の断片を含み、
- 第2の融合タンパク質は、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有するルシフェラーゼの第2の断片を含む。
【0182】
典型的には、ルシフェラーゼの第1及び第2の断片は両者共に、ルシフェラーゼ活性を有しない。
【0183】
ルシフェラーゼ活性は、当業者によって容易にアッセイされ得る。融合タンパク質のルシフェラーゼ活性は、例えば、基質としての8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン、ブランク対照及び陽性対照、例えば、アミノ酸配列の配列番号3を有するルシフェラーゼを用いてアッセイされ得る。相対的ルシフェラーゼ活性の次のパーセンテージを計算することができる:[融合タンパク質の発光 - ブランク対照の発光]×100/陽性対照の発光。このパーセンテージがマイナス、ゼロ又は非有意である(例えば、10%よりも低い、好ましくは、5%よりも低い、より好ましくは、2.5%よりも低い、最も好ましくは、1%よりも低い)場合、当業者は、融合タンパク質がルシフェラーゼ活性を有しないと考慮するであろう。
【0184】
「ルシフェラーゼ」は、本明細書で使用される場合、生物発光を産生する酸化的酵素のクラスを指す。生物発光は、酵素による基質の酸化が関与する生化学的反応において産生された光の放射である。ルシフェラーゼは、基質、ルシフェリン(luciferine)の脱炭酸に沿って光子を放射する酵素である。
【0185】
ペプチド及びタンパク質に関するパーセントアミノ酸配列「同一性」に関する「同一性」は、両方の配列を整列し、必要であればギャップを導入して、最大パーセント配列同一性を達成した後に、標的配列における残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書で定義される。パーセント配列同一性は、従来方法によって決定される。手短に説明すると、2種のアミノ酸配列は、ClustalWアルゴリズム(Thompsonら、Nuc. Ac. Res. 22:4673~4680頁、1994)及びPAM250重み行列(Dayhoffら、「Atlas of Protein Sequence and Structure.」National Biomedical Research Foundation. Washington、DC 5:345~358頁、1978)、並びにプログラムMegAlign(DNASTAR、Inc.社; Madison、WI)によって提供されるデフォルトパラメータを使用して、整列スコアを最適化するために整列される。次に、パーセント同一性が次式の通りに計算される:[長い方の配列の長さ + 2種の配列を整列するために長い方の配列に導入されたギャップの数]で割った[同一マッチの総数×100]。
【0186】
配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する第1の断片は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するルシフェラーゼJAZのアミノ酸3~85に対応する。
【0187】
配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する第2の断片は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するJAZルシフェラーゼのアミノ酸86~171に対応する。
【0188】
JAZルシフェラーゼは、アミノ酸配列の配列番号3を有するKAZ/Nlucルシフェラーゼの変異体Y18R、L48K、Y116F、W134E、W163E及びC166Sであり、深海エビのオプロフォルス・グラキリロストリス(Oplophorus gracilirostris)由来のルシフェラーゼの19kDaサブユニットから派生される(Hall MP、Unch J、Binkowski BF、Valley MP、Butler BL、Wood MG、Otto P、Zimmerman K、Vidugiris G、Machleidt T、Robers MB、Benink HA、Eggers CT、Slater MR、Meisenheimer PL、Klaubert DH、Fan F、Encell LP、Wood KV. Engineered luciferase reporter from a deep sea shrimp utilizing a novel imidazopyrazinone substrate. ACS Chem Biol. 2012 Nov 16;7(11):1848~57頁)。
【0189】
典型的には、第1の断片及び第2の断片は両者共に、ルシフェラーゼの断片である。これらの断片のそれぞれは、単独ではルシフェラーゼ活性がない。しかし、第1の断片が第2の断片に直接的に連結されると、直接的に連結された第1及び第2の断片で構成されたポリペプチドは、ルシフェラーゼ活性を有する。
【0190】
ルシフェラーゼの第1及び第2の断片が同様のサイズを有することにより、相対的な分子種(relative species)のより優れた補償が可能となり、各融合タンパク質の動力学が等価になる。更に、そのようなシステムは、ルシフェラーゼ全体の強度に近い強度を有する。
【0191】
ある実施形態では、第1の断片及び第2の断片が由来するルシフェラーゼは、JAZルシフェラーゼ又はその変異体である。第1及び第2の断片は、JAZルシフェラーゼ若しくはその変異体である同じルシフェラーゼの断片、又はJAZルシフェラーゼ及びその変異体のうち異なるルシフェラーゼの断片であり得る。
【0192】
KAZ/Nlucルシフェラーゼ、JAZルシフェラーゼと共にJAZルシフェラーゼの変異体のアミノ酸配列は、下のtable 5(表6)に開示されている。
【0193】
【表6A】
【0194】
【表6B】
【0195】
【表6C】
【0196】
【表6D】
【0197】
【表6E】
【0198】
【表6F】
【0199】
よって、ある実施形態では、ルシフェラーゼは、
- 配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する。
【0200】
本明細書で使用される場合、ルシフェラーゼの参照は、上に定義されているルシフェラーゼのバリアントを含むものと理解される。
【0201】
ポリペプチド(例えば、sdAb、VHH又はルシフェラーゼ)の「バリアント」は、別のポリペプチド配列と比べて1個又は複数のアミノ酸残基が、アミノ酸配列に挿入された、それから欠失された、及び/又はそこに置換された、アミノ酸配列を含む。
【0202】
ある実施形態では、ルシフェラーゼは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0203】
好ましくは、ルシフェラーゼは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する。
【0204】
ある実施形態では、ルシフェラーゼは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18及び配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0205】
ある実施形態では、ルシフェラーゼは、アミノ酸配列の配列番号4若しくは配列番号12、又はアミノ酸配列の配列番号4若しくは配列番号12に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0206】
より好ましくは、ルシフェラーゼは、アミノ酸配列の配列番号4、又はアミノ酸配列の配列番号4に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0207】
ある実施形態では、ルシフェラーゼは、アミノ酸配列の配列番号4を有する。
【0208】
ある実施形態では、第1の断片は、
- 上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10~アミノ酸75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94若しくは95、
- 好ましくは、上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸1、2、3、4、5、6、7若しくは8~アミノ酸80、81、82、83、84、85、86、87、88、89若しくは90、
- より好ましくは、上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8~アミノ酸80、81、82、83、84若しくは85、
- 最も好ましくは、上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸3~85、
又はそのバリアント
で構成される。
【0209】
ある実施形態では、第2の断片は、
- 上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95若しくは96~アミノ酸151、152、153、154、155、156、57、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170若しくは171、
- 好ましくは、上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸81、82、83、84、85、86、87、88若しくは89~アミノ酸161、162、163、164、165、166、167、168、169、170若しくは171、
- より好ましくは、上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸83、84、85、86、87、88、89、90、91若しくは96~アミノ酸163、164、165、166、167、168、169、170若しくは171、
- 最も好ましくは、上に定義されているルシフェラーゼのアミノ酸86~171、
又はそのバリアント
で構成される。
【0210】
本発明に係る融合タンパク質において、ルシフェラーゼの断片は、ルシフェラーゼの第1及び第2の断片に関して上に定義されている通りである。
【0211】
A.4.リンカー
有利には、融合タンパク質のsdAb及びルシフェラーゼの断片は、リンカーによって連接される。よって、第1のsdAb及びルシフェラーゼの第1の断片は、第1のリンカーと呼ばれるリンカーによって連接され得る、及び/又は第2のsdAb及びルシフェラーゼの第2の断片は、第2のリンカーと呼ばれるリンカーによって連接され得る。
【0212】
sdAbがVHHである実施形態では、有利には、融合タンパク質のVHH及びルシフェラーゼの断片は、リンカーによって連接される。よって、第1のVHH及びルシフェラーゼの第1の断片は、第1のリンカーと呼ばれるリンカーによって連接され得る、及び/又は第2のVHH及びルシフェラーゼの第2の断片は、第2のリンカーと呼ばれるリンカーによって連接され得る。
【0213】
リンカーは、VHHのカルボキシ末端配列及びルシフェラーゼの断片のアミノ末端配列の間に挿入され得る。
【0214】
当業者によって公知の通り、リンカーは、C末端ドメイン発現遺伝子の読み枠が維持され、よって、C末端ドメインのタンパク質配列を未変化のまま維持するように選ばれる。
【0215】
各融合タンパク質のリンカーのサイズ、トルク(torque)、可動性並びに物理的及び化学的特性は、標的に結合したsdAbからの間隔を最適化し、ルシフェラーゼ触媒活性の回復に要求される最適な会合のために位置付けるために設計及びスクリーニングされる。
【0216】
有利には、リンカーは、それらの活性の回復のために2個のルシフェラーゼドメインのアセンブリーを最適化するために、距離、方向性及び/又は可動性をモニターすることができる。よって、第1及び第2の融合タンパク質が、同じ抗原実体に結合したときに、2個のリンカーは、基質の存在下でルシフェラーゼ触媒活性回復を生じる、2個のルシフェラーゼ断片の適切な相対的方向性及び位置を可能にする。
【0217】
第2のリンカーと呼ばれる第2の融合タンパク質のリンカーは、第1のリンカーと呼ばれる第1の融合タンパク質のリンカーと同一であっても又は異なっていてもよい。
【0218】
リンカー(第1及び/又は第2のリンカー)は、1~90残基、20~59残基、23~45残基、35~65残基又は40~50残基のアミノ酸配列を有することができる。
【0219】
ある実施形態では、リンカー(第1及び/又は第2のリンカー)は、G、GS、GnSp(式中、n=1~5及びp=1~3)、SGnSp(式中、n=1~5及びp=0~3)、配列番号102、配列番号103、配列番号105~配列番号108、配列番号110~配列番号113、配列番号124及び配列番号140~154、又はそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0220】
アミノ酸配列GnSp(式中、n=1~5及びp=1~3)、配列番号102、配列番号103、配列番号105~配列番号108は、[GnSp]q(式中、n=1~5、p=1~3及びq=1~5)に対応し、アミノ酸配列SGnSp(式中、n=1~5及びp=0~3)、配列番号109~113は、下のTable 6(表7)に開示されているS[GnSp]q(式中、n=1~5、p=0~3及びq=1~5)に対応する。
【0221】
リンカーのバリアントは、G、GS、GnSp(式中、n=1~5及びp=1~3)、SGnSp(式中、n=1~5及びp=0~3)、配列番号102、配列番号103、配列番号105~配列番号108、配列番号110~配列番号113、配列番号124及び配列番号140~154からなる群から選択されるアミノ酸配列に対し少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有することができる。
【0222】
例えば、リンカーのバリアントは、別のリンカーと比べて1個又は複数のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入された、それから欠失された及び/又はそれに置換された、アミノ酸配列を有することができる。
【0223】
ある実施形態では、リンカー(第1及び/又は第2のリンカー)は、G、GS、GnSp(式中、n=1~5及びp=1~3)、SGnSp(式中、n=1~5及びp=0~3)、配列番号102、配列番号103、配列番号105~配列番号108、配列番号110~配列番号113及び配列番号124、配列番号140~154からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0224】
リンカーの例のアミノ酸配列は、下のTable 6(表7)に開示されている。
【0225】
【表7A】
【0226】
【表7B】
【0227】
【表7C】
【0228】
ある実施形態では、リンカーは、GS配列の誘導体である。本実施形態では、リンカー(第1及び/又は第2のリンカー)は、G、GS、GnSp(式中、n=1~5及びp=1~3)、SGnSp(式中、n=1~5及びp=0~3)、配列番号105~配列番号108及び配列番号110~配列番号113、又はそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなっていてもよい。
【0229】
別の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列の配列番号102を有するペプチドの誘導体である。本実施形態では、リンカー(第1及び/又は第2のリンカー)は、配列番号102、配列番号103及び配列番号140~154、又はそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなっていてもよい。本実施形態では、リンカー(第1及び/又は第2のリンカー)は、配列番号140又はそのバリアントの残基1~20(即ち、アミノ酸配列の配列番号154)、21(即ち、アミノ酸配列の配列番号153)、22、23(即ち、アミノ酸配列の配列番号152)、24、25(即ち、配列番号151)、26、27(即ち、アミノ酸配列の配列番号150)、28、29(即ち、アミノ酸配列の配列番号149)、30、31(即ち、アミノ酸配列の配列番号148)、32、33(即ち、アミノ酸配列の配列番号147)、34、35(即ち、アミノ酸配列の配列番号146)、36、37(即ち、アミノ酸配列の配列番号145)、38、39(即ち、アミノ酸配列の配列番号144)、40、41(即ち、アミノ酸配列の配列番号143)、42、43(即ち、アミノ酸配列の配列番号142)、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58又は59を含むか又はそれからなっていてもよい。
【0230】
本発明はまた、配列番号102、配列番号103及び配列番号140~154、又はそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるリンカーに関する。ある実施形態では、リンカーは、配列番号140又はそのバリアントの残基1~20(即ち、アミノ酸配列の配列番号154)、21(即ち、アミノ酸配列の配列番号153)、22、23(即ち、アミノ酸配列の配列番号152)、24、25(即ち、配列番号151)、26、27(即ち、アミノ酸配列の配列番号150)、28、29(即ち、アミノ酸配列の配列番号149)、30、31(即ち、アミノ酸配列の配列番号148)、32、33(即ち、アミノ酸配列の配列番号147)、34、35(即ち、アミノ酸配列の配列番号146)、36、37(即ち、アミノ酸配列の配列番号145)、38、39(即ち、アミノ酸配列の配列番号144)、40、41(即ち、アミノ酸配列の配列番号143)、42、43(即ち、アミノ酸配列の配列番号142)、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58又は59を含むか又はそれからなっていてもよい。
【0231】
本発明は、リンカーを選択するための、好ましくは、配列番号102、配列番号103及び配列番号140~154、又はそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるリンカーからリンカーを選択するための方法に関する。
【0232】
本方法は、
- シングルドメイン抗体を含むN末端ドメインであって、シングルドメイン抗体が、
- 所与の抗原の第1のエピトープを指向するシングルドメイン抗体(VHHep1)、又は
- 前記抗原の第2のエピトープを指向するシングルドメイン抗体(VHHep2)
から選択される、N末端ドメイン、
- 上のセクションA.3に定義されているルシフェラーゼの第1の断片(F1)からなるC末端ドメイン、及び
- シングルドメイン抗体をルシフェラーゼの第1の断片に連結するリンカーであって、シングルドメイン抗体が、
- 配列番号140若しくはそのバリアントの残基1~20、21、22若しくは23で構成されるアミノ酸配列を有する短いリンカー(LS)と呼ばれるリンカー、又は
- 配列番号140若しくはそのバリアントの残基1~45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58若しくは59を有する長いリンカー(LL)と呼ばれるリンカー
から選択される、リンカー
を含むか又はそれからなる、少なくとも1、2、3又は4、好ましくは4個の第1の融合タンパク質と、
- シングルドメイン抗体を含むN末端ドメインであって、シングルドメイン抗体が、
- 所与の抗原の第1のエピトープを指向するシングルドメイン抗体(VHHep1)、又は
- 前記抗原の第2のエピトープを指向するシングルドメイン抗体(VHHep2)
から選択される、N末端ドメイン
- ルシフェラーゼの第2の断片(F2)が、上のセクションA.3に定義される通りである、ルシフェラーゼの第2の断片からなるC末端ドメイン、及び
- シングルドメイン抗体をルシフェラーゼの第2の断片に連結するリンカーであって、シングルドメイン抗体が、
- 配列番号140若しくはそのバリアントの残基1~20、21、22若しくは23で構成されるアミノ酸配列を有する短いリンカー(LS)と呼ばれるリンカー、又は
- 配列番号140若しくはそのバリアントの残基1~45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58若しくは59で構成される長いリンカー(LL)と呼ばれるリンカー
から選択される、リンカー
を含むか又はそれで構成される、少なくとも1、2、3又は4、好ましくは4個の第2の融合タンパク質と
を産生する工程(a)を含む。
【0233】
模式的には、少なくとも1、2、3又は4個の第1の融合タンパク質は、VHHep1-LS-F1、VHHep1-LL-F1、VHHep2-LS-F1及びVHHep2-LL-F1からなる群から選択され、少なくとも1、2、3又は4個の第2の融合タンパク質は、VHHep1-LS-F2、VHHep1-LL-F2、VHHep2-LS-F2及びVHHep2-LL-F2からなる群から選択される。
【0234】
一部の好まれる実施形態では、
- ルシフェラーゼの第1の断片は、アミノ酸配列の配列番号1又はそのバリアント、例えば、1、2又は3個のアミノ酸残基が挿入された、欠失された及び/又は置換されたアミノ酸配列を有するバリアントを有する、
- ルシフェラーゼの第2の断片は、アミノ酸配列の配列番号2又はそのバリアント、例えば、1、2又は3個のアミノ酸残基が挿入された、欠失された及び/又は置換されたアミノ酸配列を有するバリアントを有する、
- 短いリンカーは、アミノ酸配列の配列番号152又はそのバリアント、例えば、1、2又は3個のアミノ酸残基が挿入された、欠失された及び/又は置換されたアミノ酸配列を有するバリアントを有する、
- 長いリンカーは、アミノ酸配列の配列番号140、102若しくは141又はそのバリアント、例えば、1、2又は3個のアミノ酸残基が挿入された、欠失された及び/又は置換されたアミノ酸配列を有するバリアントを有する。
【0235】
一部のより好まれる実施形態では、ルシフェラーゼの第1の断片は、アミノ酸配列の配列番号1を有し、ルシフェラーゼの第2の断片は、アミノ酸配列の配列番号2を有し、短いリンカーは、アミノ酸配列の配列番号152を有し、長いリンカーは、アミノ酸配列の配列番号140、102又は141を有する。
【0236】
本方法はまた、
(b)第1の融合タンパク質のうち1種及び第2の融合タンパク質のうち1種を含む少なくとも2、3、4、5、6、7又は8、好ましくは8種のシステムであって、
- 第1の融合タンパク質のシングルドメイン抗体が抗原の第1のエピトープを指向するシングルドメイン抗体である場合、第2の融合タンパク質のシングルドメイン抗体が、抗原の第2のエピトープを指向するシングルドメイン抗体である、システムのうち1種について、
α)
- 抗原を含む試料、
- ルシフェラーゼの基質及び
- システム
を接触させる工程と、
β)発光を定量化する工程と
(c)他のシステムのうち少なくとも1、2、3、4、5、6又は7種について工程(b)を繰り返す工程と
を含む。
【0237】
工程(b)は、定量化された発光を、ブランク対照(即ち、抗原なし)の1種と比較する工程(γ)を含むことができる。
【0238】
方法は、発光が定量化されたシステムの中から、好ましくは、ブランク対照(抗原なし/抗原なし比)と比較された、発光が最高であるシステムを選択する工程を含む。
【0239】
方法は、最高の発光が、長いリンカーを有する第1及び/又は第2の融合タンパク質を用いて得られる場合、長いリンカーは、対応する第1及び/又は第2の融合タンパク質における1又は2個の残基を短縮され、抗原を含む試料及び基質の存在下での発光が、定量化される、追加の工程を含むこともでき、この工程は、発光がその最適に達するまで繰り返される。好ましくは、リンカーは、アミノ酸配列の配列番号154を有するリンカーよりも短くてはならない。
【0240】
同様に、方法は、最高の発光が、短いリンカーを有する第1及び/又は第2の融合タンパク質を用いて得られる場合、短いリンカーが、1又は2個の残基を拡大され、1又は2個の残基が、アミノ酸配列の配列番号140の残基に対応し、抗原を含む試料及び基質の存在下での発光が、定量化される、追加の工程を含むこともでき、この工程は、発光がその最適に達するまで繰り返される。
【0241】
好ましくは、リンカーは、アミノ酸配列の配列番号140を有するリンカーよりも長くてはならない。
【0242】
代替実施形態では、融合タンパク質(第1及び/又は第2の融合タンパク質)は、リンカーを含まなくてよい。
【0243】
A.5. N末端、C末端における異種アミノ酸配列
本発明の融合タンパク質(第1の融合タンパク質及び/又は第2の融合タンパク質)は、N末端、C末端又はその両方に1個又は複数の異種アミノ酸配列を有することができる。異種配列は、例えば、シグナルペプチド、タグ、例えば、精製目的のタグであり得る。
【0244】
シグナルペプチドの例は、アミノ酸配列の配列番号123を有するシグナルペプチドである。
【0245】
親和性タグは、精製のため、二次結合プローブのため、ビーズ結合のため、固体基材結合目的のため、ルシフェラーゼアミノ酸配列の断片のC端において使用することができる。そのようなタグのアミノ酸配列の例を下のTable 7(表8)に示す。
【0246】
【表8】
【0247】
タグに先行して、配列LEがあってよい。
【0248】
N末端メチオニンに続いて、別のアミノ酸、例えば、アラニンがあってよい。
【0249】
融合タンパク質の実施形態
融合タンパク質の一部の例を下に示す。そのような融合タンパク質は、そのアミノ端からそのカルボキシ端へと:そのアミノ末端側の端における異種アミノ酸配列(例えば、MA)、抗原のエピトープを指向するsdAb、好ましくは、VHHの配列、リンカーの配列(例えば、配列番号102のリンカー)、ルシフェラーゼの断片の配列(例えば、第1の融合タンパク質のため:配列番号4を有するJAZルシフェラーゼのアミノ酸3~85に対応する配列番号1を有する断片、及び第2の融合タンパク質のため、配列番号4を有するJAZルシフェラーゼのアミノ酸86~171に対応する配列番号2を有する断片)、及びそのカルボキシ末端側の端における異種アミノ酸配列(例えば、LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグ)を含むことができる。
【0250】
抗原がSARS-CoV-2のNタンパク質である実施形態
これは、アミノ酸配列の配列番号66を有する第1の融合タンパク質(VHH677-naJAZ)、並びにそれぞれアミノ酸配列の配列番号67及び配列番号70を有する第2の融合タンパク質(VHH690-noJAZ、VHH690-noJAZ570)として下に例証される。これらの融合タンパク質は、Nタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のNタンパク質を検出するためのシステムにおいて使用されることに適する。
【0251】
VHH677-naJAZは、そのN末端側の端におけるアミノ酸MA、VHH G9-1のアミノ酸配列の配列番号23、アミノ酸配列の配列番号102を有するリンカー、配列番号1を有する第1の断片(配列番号4を有するJAZルシフェラーゼのアミノ酸3~85に対応)、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0252】
VHH690-noJAZは、そのN末端側の端におけるアミノ酸MA、VHH C7-1のアミノ酸配列の配列番号25、アミノ酸配列の配列番号102を有するリンカー、配列番号2を有する第1の断片(配列番号4を有するJAZルシフェラーゼのアミノ酸86~171に対応)、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0253】
VHH690-noJAZ570は、配列番号2を有する第1の断片が、配列番号114を有する第1の断片(配列番号12を有するJAZ570ルシフェラーゼのアミノ酸86~171に対応)に置き換えられた、VHH690-noJAZに対応する。
【0254】
異なる組合せが可能である。例えば、第1の融合タンパク質としてのVHH690-naJAZ及び第2の融合タンパク質としてのVHH677-noJAZは、第1の融合タンパク質としてのVHH677-naJAZ及び第2の融合タンパク質としてのVHH690-noJAZの代替の組合せであり得る。
【0255】
【表9A】
【0256】
【表9B】
【0257】
【表9C】
【0258】
【表9D】
【0259】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号68、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0260】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号69若しくは配列番号71、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0261】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号68を含み、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号69若しくは配列番号71、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0262】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号66、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0263】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号67若しくは配列番号70、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0264】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号66、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号67若しくは配列番号70、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0265】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号66、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0266】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号67若しくは配列番号70、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0267】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号66、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号67若しくは配列番号70、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0268】
代替実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号74、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0269】
代替実施形態では、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号75若しくは配列番号77、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0270】
代替実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号74、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号75若しくは配列番号77、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0271】
代替実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号72、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0272】
代替実施形態では、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号73若しくは配列番号76、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0273】
代替実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号72、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号73若しくは配列番号76、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0274】
代替実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号72、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0275】
代替実施形態では、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号73若しくは配列番号76、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0276】
代替実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号72、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号73若しくは配列番号76、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0277】
抗原がSARS-CoV-2のSタンパク質である実施形態
末端タグあり又はなしのVHH、リンカー並びにnaJAZ及びnoJAZドメインのあらゆる可能な組合せのうちのSARS-CoV-2のSタンパク質を標的化する融合タンパク質の例は、Table 9(表10)に収載されており、あらゆる可能な組合せ(36種)のうちの9種のタンパク質融合ペアが下に例証される。SARS-CoV-2のSタンパク質は、ホモ三量体であり、VHHを、2個の融合タンパク質の到達範囲内にある2個の隣接する単量体の同じエピトープに結合させることが可能である。
【0278】
第1の融合タンパク質VHH704-naJAZ、VHH714-naJAZ及びVHH723-naJAZ並びに第2の融合タンパク質VHH725-noJAZ、VHH727-noJAZ及びVHH724-noJAZが、Sタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のSタンパク質を検出するためのシステムにおいて使用されることに適することが特に例証される。
【0279】
VHH704-naJAZ、VHH714-naJAZ、VHH723-naJAZは、それらのN末端側の端におけるアミノ酸MA、それぞれVHH P_S12のアミノ酸配列の配列番号78、VHH P_H08の配列番号79又はVHH P_S11の配列番号80、アミノ酸配列の配列番号102を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号1を有するルシフェラーゼの第1の断片(配列番号4を有するJAZルシフェラーゼのアミノ酸3~85に対応)、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0280】
VHH725-noJAZ、VHH727-noJAZ、VHH705-noJAZ、VHH724-noJAZは、それらのN末端側の端におけるアミノ酸MA、それぞれVHH P_H08のアミノ酸配列の配列番号79、VHH P_H08の配列番号79、VHH P_S12の配列番号78、VHH P_S12の配列番号78、アミノ酸配列の配列番号102を有するリンカー、VHH727-noJAZ及びVHH724-noJAZに関してはアミノ酸配列の配列番号2を有するルシフェラーゼの第2の断片(配列番号4を有するJAZルシフェラーゼのアミノ酸86~171に対応)、又はVHH725-noJAZ及びVHH705-noJAに関しては配列番号114を有するルシフェラーゼの第2の断片(配列番号12を有するJAZ570ルシフェラーゼのアミノ酸86~171に対応)、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0281】
【表10A】
【0282】
【表10B】
【0283】
【表10C】
【0284】
【表10D】
【0285】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号97、配列番号99、配列番号101からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0286】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質は、配列番号98、配列番号100、配列番号115若しくは配列番号116からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0287】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号97、配列番号99、配列番号101からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、配列番号98、配列番号100、配列番号115若しくは配列番号116からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0288】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号97、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号98、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0289】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号90、配列番号92、配列番号94からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0290】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質は、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号96からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0291】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号90、配列番号92、配列番号94からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号96からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0292】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号90、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号91、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0293】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号90、配列番号92、配列番号94からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0294】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質は、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号96からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0295】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号90、配列番号92、配列番号94からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、第2の融合タンパク質は、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号96からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0296】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号90、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号91、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0297】
本発明はまた、他の組合せを包含する。例えば、第1の融合タンパク質としてのVHH725-naJAZ570、VHH727-naJAZ、VHH705-naJAZ570又はVHH724-naJAZ、及び第2の融合タンパク質としてのVHH704-noJAZ、VHH714-noJAZ又はVHH723noJAZは、第1の融合タンパク質としてのVHH704-naJAZ、VHH714-naJAZ又はVHH723naJAZ、及び第2の融合タンパク質としてのVHH725-noJAZ570、VHH727-noJAZ、VHH705-noJAZ570、VHH724-noJAZの代替の組合せであり得る。
【0298】
抗原がHIVのP24である実施形態
P24は、HIVカプシドの成分である。血液試料におけるP24の検出は現在、HIVタンパク質成分に特異的なIgGの検出により完了される、HIV感染の最初の検査として使用されている。抗P24 VHH、リンカー及び第1又は第2のルシフェラーゼ断片のあらゆる可能な組合せのうちのタンパク質P24を標的化する融合タンパク質の例は、下に記載されており、下のTable 10(表11)に収載されている。
【0299】
第1の融合タンパク質VHH2XV6_B-リンカー23-naJAZ、VHH2XV6_B-リンカー45-naJAZ、VHH59H1-リンカー23-naJAZ又はVHH59H1-リンカー45-naJAZ及び第2の融合タンパク質VHH59H1-リンカー23-noJAZ、VHH59H1-リンカー45-noJAZ、VHH2XV6_B-リンカー23-noJAZ又はVHH2XV6_B-リンカー45-noJAZが、P24を検出するためのシステムにおいて使用されることに適することが特に例証される。
【0300】
VHH2XV6_B-リンカー23-naJAZ(配列番号159)は、VHH2XV6_Bのアミノ酸配列の配列番号157(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号152を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号158を有するルシフェラーゼの第1の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0301】
VHH2XV6_B-リンカー45-naJAZ(配列番号160)は、VHH2XV6_Bのアミノ酸配列の配列番号157(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号141を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号158を有するルシフェラーゼの第1の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0302】
VHH59H1-リンカー23-noJAZ(配列番号161)は、VHH59H1のアミノ酸配列の配列番号156(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号152を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号114を有するルシフェラーゼの第2の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0303】
VHH59H1-リンカー45-noJAZ(配列番号162)は、VHH59H1のアミノ酸配列の配列番号156(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号141を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号114を有するルシフェラーゼの第2の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0304】
VHH2XV6_B-リンカー23-noJAZ(配列番号172)は、VHH2XV6_Bのアミノ酸配列の配列番号157(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号152を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号114を有するルシフェラーゼの第2の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0305】
VHH2XV6_B-リンカー45-noJAZ(配列番号173)は、VHH2XV6_Bのアミノ酸配列の配列番号157(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号141を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号114を有するルシフェラーゼの第2の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0306】
VHH59H1-リンカー23-naJAZ(配列番号174)は、VHH59H1のアミノ酸配列の配列番号156(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号152を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号158を有するルシフェラーゼの第1の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0307】
VHH59H1-リンカー45-naJAZ(配列番号175)は、VHH59H1のアミノ酸配列の配列番号156(このVHH配列は、異種配列MAを含む)、アミノ酸配列の配列番号141を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号158を有するルシフェラーゼの第1の断片、アミノ酸LEと、それに続く配列番号60のヒスチジンタグを含む。
【0308】
【表11A】
【0309】
【表11B】
【0310】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号159、配列番号160、配列番号174及び配列番号175からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0311】
ある実施形態では、第2の融合タンパク質は、配列番号161、配列番号162、配列番号172及び配列番号173からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0312】
好まれる実施形態では、第1の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号159、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、より好ましくは、配列番号160、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、第2の融合タンパク質は、アミノ酸配列の配列番号161、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0313】
B.ポリヌクレオチド、ベクター及び細胞
本発明はまた、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。典型的には、第1のポリヌクレオチドは、上に定義されている第1の融合タンパク質をコードすることができる、及び/又は第2のポリヌクレオチドは、上に定義されている第2の融合タンパク質をコードすることができる。
【0314】
ある実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、配列番号66、配列番号68、配列番号72、配列番号74、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号159、配列番号160、配列番号174及び配列番号175からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の融合タンパク質をコードする。好ましくは、第1のポリヌクレオチドは、配列番号66、配列番号72、配列番号90、配列番号92、配列番号94からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の融合タンパク質をコードする。より好ましくは、第1のポリヌクレオチドは、配列番号66、配列番号90からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列で構成される第1の融合タンパク質をコードする。
【0315】
ある実施形態では、第2のポリヌクレオチドは、配列番号67、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号115、配列番号116、配列番号161、配列番号162、配列番号172及び配列番号173からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の融合タンパク質をコードする。好ましくは、第2のポリヌクレオチドは、配列番号67、配列番号70、配列番号73、配列番号76、配列番号91、配列番号93及び配列番号95、配列番号96からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の融合タンパク質をコードする。より好ましくは、第2のポリヌクレオチドは、配列番号67、配列番号70、配列番号91、配列番号93及び配列番号95、配列番号96からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列で構成される第2の融合タンパク質をコードする。より好ましくは、第2のポリヌクレオチドは、配列番号67、配列番号91からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列で構成される第2の融合タンパク質をコードする。
【0316】
適切には、本発明のポリヌクレオチドは、組換えである。組換えとは、ポリヌクレオチドが、クローニング、制限処理(restriction)若しくはライゲーション工程、又は自然界で見出されるポリヌクレオチドとは別個のものであるポリヌクレオチドをもたらす他の手順のうち少なくとも1種の産物であることを意味する。
【0317】
有利には、ポリヌクレオチドは、宿主細胞における融合タンパク質(第1及び/又は第2の融合タンパク質)の発現のためにコドン最適化され得る。
【0318】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
【0319】
本明細書で使用される場合、ベクター(又はプラスミド)は、異種DNAの発現又は複製のいずれかのために、細胞への異種DNAの導入に使用される別個のエレメントを指す。そのような媒体の選択及び使用は、当業者によく知られている。発現ベクターは、そのようなDNA断片の発現をもたらすことができる調節配列、例えば、プロモーターと稼働可能に連結されたDNAを発現することができるベクターを含む。よって、発現ベクターは、適切な宿主細胞への導入後に、クローニングされたDNAの発現をもたらす、組換えDNA構築物、例えば、プラスミド、ファージ、組換えウイルス又は他のベクターを指す。適切な発現ベクターは、当業者によく知られている。
【0320】
組換えベクターは、組換えポリヌクレオチドを含むベクターである。
【0321】
有利には、ベクターは、プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含む。
【0322】
本明細書で使用される場合、稼働可能に連結されたとは、ヌクレオチドの調節及びエフェクター配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、転写及び翻訳停止部位、並びに他のシグナル配列とDNAとの機能的な関係性を指す。
【0323】
例えば、プロモーターへのDNAの稼働可能な連結は、そのようなDNAの転写が、DNAを特異的に認識、結合及び転写するRNAポリメラーゼによってプロモーターから開始されるような、DNA及びプロモーターの間の物理的及び機能的な関係性を指す。
【0324】
本明細書で使用される場合、プロモーターは、それが稼働可能に連結されたDNAの転写を制御するDNAのセグメントを指す。
【0325】
本発明のポリヌクレオチド又はベクターは、細胞、典型的には原核又は真核細胞内に存在し得る。ベクターは、細胞質中に保存的であり得る、又はポリヌクレオチドは、レンチウイルスベクター若しくはゲノム編集(即ち、CRISPR-Cas9、但しこれに限定されない)を使用してゲノムに組み込まれ得る。
【0326】
従って、本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド又は本発明の発現ベクターを含む細胞に関する。
【0327】
C.システム
本発明はまた、上に定義されている第1の融合タンパク質と、上に定義されている第2の融合タンパク質とを含む、抗原を検出するためのシステムに関する。
【0328】
有利には、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質の両方が、前記抗原に結合したときに、基質の存在下で発光が放射される。
【0329】
第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質が、両者共にそれらの抗原に結合したときに発光を放射するのに適するか決定するための方法は、当業者によって、本明細書、下の実施例及びその一般知識に基づき設計され得る。
【0330】
例えば、PBSに1μg/mLの第1の融合タンパク質+0.2μg/mLの第2の融合タンパク質+25μMの8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(Q-108)+DTT 5mM+Tween 20、0.05%を含む90μLのプレミックスは、透明なポリスチレンチューブ内にロードされる。生物発光シグナルのバックグラウンド(相対光強度単位毎秒、RLU/秒として測定される、460nmが中央の幅広い光強度ピーク)は、0.5秒毎のサンプリングで5秒間動態(5s-kinetics)に沿って記録される。バックグラウンドドリフト(RLU/秒2)及びノイズ振幅(RLU/秒)は、これらの10点の5秒間からコンピュータ処理される。1μMの抗原を含む約10μLの試料は、90μLの反応溶液に添加及び混合される。動態活性は、0.5秒間の積分時間で10~60秒間記録される(RLU/秒及びRLU/秒2)。バックグラウンドノイズは、ノイズドリフト、並びにノイズ記録及び動態点の間の遅延から外挿される。動態速度の勾配(RLU/秒2)が、ドリフトの2倍超である場合、又は補正された勾配が平坦であり、光放射(RLU/秒)が、バックグラウンドノイズの5倍である場合、第1及び第2の融合タンパク質は、抗原を検出するための本発明に係るシステムにおいて使用に適すると考慮される。測定システムは、抗原濃度の測定の感度が、100nMを上回る場合は半定量的と(遅い結合動態により濃度を過小評価するリスク)、100nM(4.5μg/mLの抗原、1/10希釈前の45μg/mLと等価)を下回る場合は定量的と考慮される。抗原に対するsdAbペア親和性が高いほど、感度閾値は低くなり、精度は優れるようになる。
【0331】
有利には、第1及び第2の融合タンパク質は、本発明に係るシステムの2個の別々のエレメントである。これらは、共有結合により連結されていない。これらは、両者共に抗原に結合しており、抗原と複合体を形成した場合に、単に一体にアセンブルされている。
【0332】
ある実施形態では、抗原を検出するためのシステムは、
- 前記抗原の第1のエピトープを指向する第1のラクダ類重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第1の断片を含むC末端ドメイン
を含む第1の融合タンパク質であって、
第1の断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する、第1の融合タンパク質と、
- 前記抗原の第2のエピトープを指向する第2のVHHを含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第2の断片を含むC末端ドメイン
を含む第2の融合タンパク質であって、
第2の断片が、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する、第2の融合タンパク質と
を含み、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質の両方が、前記抗原に結合したときに、発光は、基質の存在下で放射される。
【0333】
ある実施形態では、本発明のシステムによって検出されるべき抗原は、ヌクレオプロテイン(Nタンパク質)、好ましくは、SARS-CoV-2のNタンパク質である。
【0334】
本実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号20~29からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を有することができる。
【0335】
抗原がNタンパク質である実施形態では、第1の融合タンパク質の第1のsdAb、好ましくは、VHHは、Nタンパク質のCTDを指向するVHHであり得、第2の融合タンパク質の第2のsdAb、好ましくは、VHHは、Nタンパク質のNTDを指向するVHHであり得る、又はその逆であり得る。
【0336】
ある実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号23を有するVHHであり得、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号25を有するVHHであり得る、又はその逆であり得る。
【0337】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号68、配列番号74からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、配列番号69、配列番号71、配列番号75及び配列番号77からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0338】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号66、配列番号72からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、第2の融合タンパク質は、配列番号67、配列番号70、配列番号73及び配列番号76からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0339】
ある実施形態では、本発明のシステムによって検出されるべき抗原は、スパイクタンパク質(Sタンパク質)、好ましくは、SARS-CoV-2のSタンパク質である。
【0340】
本実施形態では、第1及び/又は第2のVHHは、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129及び配列番号130からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有することができる。
【0341】
本実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号97、配列番号99及び配列番号101からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2の融合タンパク質は、配列番号96、配列番号98及び配列番号100からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0342】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号90、配列番号92及び配列番号94からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、第2の融合タンパク質は、配列番号91、配列番号93、配列番号95及び配列番号96からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0343】
抗原がP24である実施形態では、第1の融合タンパク質の第1のsdAb、好ましくは、VHH及び第2の融合タンパク質の第2のsdAb、好ましくは、VHHは、P24を指向する。
【0344】
ある実施形態では、第1のVHHは、アミノ酸配列の配列番号156を含むか又はそれからなっていてもよく、第2のVHHは、アミノ酸配列の配列番号157を含むか又はそれからなっていてもよい、又はその逆であってもよい。
【0345】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号159、配列番号160及び配列番号174及び配列番号175からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の融合タンパク質は、配列番号161、配列番号162、配列番号172及び配列番号173からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0346】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質は、配列番号159、配列番号160、配列番号174及び配列番号175からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、第2の融合タンパク質は、配列番号161、配列番号162、配列番号172及び配列番号173からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0347】
D.複合体
本発明の別の主題は、
- 抗原の第1のエピトープを指向する第1のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第1の断片を含むC末端ドメインと
を含む第1の融合タンパク質であって、第1の断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第1の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、
第1の融合タンパク質と、
- 抗原の第2のエピトープを指向する第2のシングルドメイン抗体を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第2の断片を含むC末端ドメイン
を含む第2の融合タンパク質であって、第2の断片が、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有し、第2の融合タンパク質が、ルシフェラーゼ活性を有しない、
第2の融合タンパク質と、
抗原と
を含む複合体であって、
第1及び第2の融合タンパク質が両者共に、抗原に結合している、複合体である。
【0348】
本発明のある実施形態は、
- 前記抗原の第1のエピトープを指向する第1のラクダ類重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)を含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第1の断片を含むC末端ドメイン
を含む第1の融合タンパク質であって、第1の断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する、第1の融合タンパク質と、
- 前記抗原の第2のエピトープを指向する第2のVHHを含むN末端ドメイン、及び
- ルシフェラーゼの第2の断片を含むC末端ドメイン
を含む第2の融合タンパク質であって、第2の断片が、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を有する、第2の融合タンパク質と、
抗原と
を含む複合体であって、
第1及び第2の融合タンパク質が両者共に、抗原に結合している、複合体に関する。
【0349】
典型的には、本発明に係る複合体は、
- 上に定義されている第1の融合タンパク質と、
- 上に定義されている第2のタンパク質と、
抗原と
を含み、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質は両者共に、抗原に結合している。
【0350】
典型的には、本発明に係る複合体は、ルシフェラーゼ活性を有する。ルシフェラーゼ活性は、2個の相補的な融合タンパク質によって保有されるルシフェラーゼ断片の抗原に駆動される再アセンブリーによって回復される。バックグラウンドドリフトを測定するために、融合タンパク質ペア及び基質を予め混合することができ、次いで、光放射増加を測定するために、抗原を含有する試料が添加される。
【0351】
E.キット
本発明の主題はまた、
- 本発明のシステムと、
- ルシフェラーゼのための基質と
を含むキットである。
【0352】
典型的には、キットは、本発明に係る第1の融合タンパク質と、本発明に係る第2の融合タンパク質と、ルシフェラーゼのための基質とを含む。
【0353】
セレンテラジンは、エビ、オプロフォルス属(Oplophorus)ルシフェラーゼのための天然の基質であるが、フリマジン(furimazine)によりシグナルの改善を、脱アシル化ヒカラジン(hikarazine)により更なる改善を得ることができる。
【0354】
結果的に、基質は、セレンテラジン、フリマジン及び脱アシル化ヒカラジン又はそれらの誘導体からなる群から選択され得る。
【0355】
脱アシル化ヒカラジンの誘導体は、特許出願WO2018/197727 A1に開示されている。脱アシル化ヒカラジンのそのような誘導体は、強度、シグナル対ノイズ比及び/又は持続時間の点から、他のルシフェリンよりも優れた生物発光シグナルをもたらす。
【0356】
結果的に、基質は、
8-ベンジル-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-((5-エチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-((4,5-ジメチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-6-(2-フルオロフェニル)-2-(フラン-2-イルメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-(3-メチルベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-(3-メトキシベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2,8-ジベンジル-6-(2-フルオロフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-(フラン-2-イルメチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-6-フェニル-2-((5-(トリフルオロメチル)フラン-2-イル)メチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2,8-ジベンジル-6-(2,6-ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-6-(2-フルオロフェニル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-((5-シクロプロピルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-(3-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-((5-エチルフラン-2-イル)メチル)-6-(2-フルオロフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-6-(3-フルオロフェニル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-(2-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-((5-エチルチオフェン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-ベンジル-2-((4,5-ジメチルフラン-2-イル)メチル)-6-(2-フルオロフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2-ベンジル-8-(2-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2-ベンジル-8-(3-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(3-フルオロベンジル)-2-(フラン-2-イルメチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2-フルオロベンジル)-2-(3-メチルベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2-フルオロベンジル)-2-(3-メトキシベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2-フルオロベンジル)-2-(フラン-2-イルメチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2-フルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(3-フルオロベンジル)-2-(3-メトキシベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(3-フルオロベンジル)-2-(3-メチルベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2-((5-エチルフラン-2-イル)メチル)-8-(3-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2-クロロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(3-フルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2-((5-エチルフラン-2-イル)メチル)-8-(2-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(3-フルオロベンジル)-6-(2-フルオロフェニル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-(フラン-2-イルメチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2-ベンジル-8-(2,3-ジフルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,6-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((4,5-ジメチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-エチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,6-ジフルオロベンジル)-2-((5-エチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2-((4,5-ジメチルフラン-2-イル)メチル)-8-(2-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
2-((4,5-ジメチルフラン-2-イル)メチル)-8-(3-フルオロベンジル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((4-エチル-5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-エチル-4-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン、及び
8-ベンジル-2-(フラン-2-イルメチル)-6-(3-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン
で構成される群において選択され得る。
【0357】
これらの基質はそれぞれ、次の名称Q3、Q12、Q16、Q21、Q14、Q18、Q20、Q27、Q28、Q29、Q34、Q36、Q41、Q51、Q54、Q56、Q58、Q61、Q72、Q73、Q81、Q82、Q83、Q84、Q85、Q101、Q100、Q99、Q98、Q97、Q96、Q105、Q107、Q108、Q117、Q121、Q124、Q127、Q129、Q131、Q132、Q135、Q143及びQ149でWO2018/197727 A1に開示されている。
【0358】
好まれる実施形態では、基質は、8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(WO2018/197727 A1の表1、129頁に開示されているQ-108)である。
【0359】
ある実施形態では、基質の濃度は、5μM~200μMの間、好ましくは、10μM~175μMの間である。
【0360】
第1の融合タンパク質、第2の融合タンパク質及び基質は、別々に包装され得る、又は同じプレミックスにおいて一緒に包装され得る。特定の実施形態では、前記プレミックスは、バッファー(例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS))中に第1及び第2の融合タンパク質、基質、DTT、5mM並びにTween 200.1%を含む。
【0361】
キットは、ルシフェラーゼ活性の検出のための試薬、陰性及び/若しくは陽性対照試料、チューブ、並びに/又はスワブ、接種ループ、スプリットピン、スティック、紙若しくはプラスチック細片(stripe)のいずれかを含むこともできる。
【0362】
アミノ酸配列の配列番号121を有する融合タンパク質VHH-抗N-FcIg1は、アミノ酸配列の配列番号123を有するシグナルペプチド、アミノ酸配列の配列番号23を有するVHH抗Nタンパク質G9-1、アミノ酸配列の配列番号124を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号125を有する免疫グロブリンG1(IgG1)のFc及びHisタグを含む。VHH-抗N-FcIg1は、特に、SARS-CoV-2のNタンパク質を検出若しくは定量化するための方法、特に、血清学的方法又は本発明に係る方法を較正するための、陽性対照として使用することができる。
【0363】
アミノ酸配列の配列番号122を有する融合タンパク質VHH-抗S-FcIg1は、アミノ酸配列の配列番号123を有するシグナルペプチド、アミノ酸配列の配列番号78を有するVHH抗Sタンパク質P S12、アミノ酸配列の配列番号124を有するリンカー、アミノ酸配列の配列番号125を有する免疫グロブリンG1(IgG1)のFc及びHisタグを含む。VHH-抗S-FcIg1は、特に、SARS-CoV-2のSタンパク質を検出若しくは定量化するための方法、特に、血清学的方法又は本発明に係る方法を較正するための、陽性対照として使用することができる。
【0364】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質/第2の融合タンパク質の比は、10/1~1/1の間、好ましくは、7/1~2/1の間、より好ましくは、約5/1である。そのような比は、バックグラウンドノイズを低下させることを可能にする。
【0365】
上に記載されているキットは、予後、診断及び治療経過観察目的で、生体試料における抗原を検出及び/又は定量化するために使用することができる。
【0366】
F.方法
本発明はまた、試料における抗原を検出及び/又は定量化するための、本発明に係るシステムの使用に関する。
【0367】
典型的には、本発明は、試料における抗原を検出及び/又は定量化するための、上に定義されている第1の融合タンパク質及び上に定義されている第2の融合タンパク質の使用に関する。
【0368】
本発明の主題はまた、試料における抗原の存在を検出するための方法であって、
(a)試料を、上に定義されているシステム及びルシフェラーゼの基質と接触させる工程、
(b)発光(RLU/秒)を検出し、最終的に、発光の増加速度(RLU/秒2)を測定する工程
を含む方法である。
【0369】
方法は、1分間未満での抗原の検出を可能にすることができる。
【0370】
典型的には、工程(a)において、上に定義されている第1の融合タンパク質、上に定義されている第2の融合タンパク質及び上に定義されているルシフェラーゼのための基質は、試料と接触される。
【0371】
試料における抗原のレベルは、放射された発光を測定する手段によって測定することもできるため、本発明はまた、試料における抗原の存在を定量化するための方法であって、
(a)試料を、上に定義されているシステム及びルシフェラーゼの基質と接触させる工程、
(b)発光(RLU/秒)及び最終的に発光の増加速度(RLU/秒2)を定量化する工程
を含む方法に関する。
【0372】
典型的には、工程(a)において、上に定義されている第1の融合タンパク質、上に定義されている第2の融合タンパク質及びルシフェラーゼのための基質は、試料と接触される。
【0373】
試料は、例えば、
- ヒト又は動物の体液、例えば、
全血、血清、血漿、脳脊髄液、精液、尿、鼻咽頭スメア、中咽頭スメア、腟スメア、皮膚スメア、糞便、汗、唾液、気管洗浄液及び/又は気管支洗浄液
- ヒト、動物、植物、細菌、真菌又は寄生生物細胞のライセート又は組織抽出物、例えば、
超音波処理、加圧/減圧(フレンチプレス、シリンジ)、ビーズ粉砕、解凍-凍結サイクル、凍結破砕(cryofracture)、ポッタライゼーション(potterization)、パーティクル・ガン法、細胞膜、核膜又はオルガネラ膜の酵素又は界面活性剤による破裂又は可溶化等の後の細胞由来のライセート。必要であれば、ライセートの清澄化は、遠心分離によって処理することができる。溶解工程は、組織洗浄液体、組織スメア懸濁液又はブレンドされた組織のいずれかにおいて処理することができる。
- 環境的な液体又はスメア、例えば、
川、水たまり、池、湖、海、海洋、噴水の水、水若しくはいずれかの飲料若しくは液体のタンク若しくは受容器、下水、洗浄流出液、冷却システム、又は下水中の固形物、汚物、環境、建物若しくは家のスメア、又は露出された若しくはされていないいずれかの材料のいずれかの表面のスメア
- 食物及び薬物、例えば、
ブレンドされ、再懸濁され、最終的に、遠心分離によって清澄化された、固体の生の又は調理された食物、生の天然の又は工業化された食物成分又は薬物、液体薬物希釈物
からなる群から選択され得る。
【0374】
好ましくは、試料は、血清、唾液、上咽頭若しくは鼻スワブ洗浄液、尿及び/又は大便スメアの中から選択される生体試料である。
【0375】
試料の体積は、0.1μl~5ml、好ましくは、1μl~100μl、より好ましくは、5μl~50μlであり得る。
【0376】
例えば、生物発光のチューブリーダーにおいて、試料の体積は、5mLに拡大され得る100μlの総体積に対し、バッファー(例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS))によって完成される0.1μL~5mL(標準ポリスチレンクリスタル(crystal)チューブの最大体積)、典型的には、5~50μlであり得る。生物発光のプレートリーダーにおいて、試料の体積は、平底の96ディープウェルプレートにおいて3mLに拡大され得る100μLの総体積に対し、バッファー(例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS))中の相補的融合タンパク質ペア及び基質によって完成される例えば0.1μL~50μL、典型的には5~50μLであり得る。アッセイは、透明プレート(透明なポリスチレン)を用いるが、好まれるプレートは、96~384ウェルを包含する平底の白色である。1536ウェルプレートについて、試料の体積は、10μLの総体積に対し、バッファー(例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS))中の相補的融合タンパク質ペア及び基質によって完成される例えば0.1μL~5μL、典型的には1~5μLであり得る。
【0377】
好ましくは、試料のpHは、7~9の間である。
【0378】
基質は、上に定義されているいずれかの基質、好ましくは8-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-((5-メチルフラン-2-イル)メチル)-6-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(WO2018/197727 A1ではQ-108と呼ばれる脱アセチル化ヒカラジン)であり得る。
【0379】
方法は、対照によって放射された発光と比較する工程を含むこともできる。対照は、陽性及び/又は陰性対照であり得る。陰性対照は、ブランク対照、又は健康な対象、即ち、抗原が示される障害を患っていない対象から得られた試料であり得る。陽性対照は、アッセイされるべき所与の濃度の抗原を含む試料又は抗原が示される障害を患っている対象由来の試料であり得る。
【0380】
抗原が定量化される実施形態では、方法は、較正曲線、通常、抗原の系列希釈との比較工程を含むことができる。
【0381】
発光を検出する場合、その波長に従って最終的に光子数毎秒を計数することができる。
【0382】
試料における抗原のレベルが定量化される場合、発光を定量化し、光強度、対、抗原濃度をプロットすることができる。
【0383】
本発明の方法は、コーティング工程及び/又は洗浄工程を含まなくてよい。本発明の方法はまた、インキュベーション工程を含まなくてよい。
【0384】
ルシフェラーゼ活性は、例えば、ルミノメーター又は高感光性(high-light sensitivity)カメラを使用して、時間に対して測定される補完によって回復され得る。
【0385】
ある実施形態では、第1の融合タンパク質/第2の融合タンパク質の比は、10/1~1/1の間、好ましくは、7/1~2/1の間、より好ましくは、約5/1である。そのような比は、バックグラウンドノイズを低下させることを可能にする。
【0386】
ある実施形態では、本発明の方法は、Nタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のNタンパク質を検出及び/又は定量化するためのものである。
【0387】
別の実施形態では、本発明の方法は、Sタンパク質、好ましくは、SARS-CoV-2のSタンパク質を検出及び/又は定量化するためのものである。
【0388】
別の実施形態では、本発明の方法は、試料におけるP24を検出及び/又は定量化するためのものである。
【0389】
本発明は、次の図面及び実施例によって更に説明される。しかし、これらの実施例及び図面は、決して本発明の範囲の限定として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0390】
図1】SARS-CoV-2ヌクレオプロテインを標的化する融合タンパク質VHH677-naJAZ(A、配列番号66)及びVHH690-noJAZ(B、配列番号67)、並びにSARS-CoV-2スパイクを標的化するVHH704-naJAZ(C、配列番号90)及びVHH725-noJAZ(D、配列番号91)の模式的構造ドメイントポロジーである。
図2】(A)プレート又はチューブ表面に固定化された抗原を使用した、ルシフェラーゼに融合された抗体によって検出されるSARS-CoV-2ヌクレオプロテイン血清学的抗体の検出、(B)一方(VHH655-SBP37、配列番号120)が、プレート、チューブ、細片又は膜表面に吸着されたストレプトアビジン(STRP)に結合しており、もう一方が、ルシフェラーゼに融合された(VHH648-JAZ、配列番号119)、特異的抗体のサンドイッチを使用した、SARS-CoV-2ヌクレオプロテインの検出、(C)一方(VHH716-SBP37、配列番号118)が、プレート、チューブ、細片又は膜表面に吸着されたストレプトアビジン(STRP)に結合しており、もう一方が、ルシフェラーゼに融合された(VHH687-JAZ、配列番号117)、特異的抗体のサンドイッチを使用した、SARS-CoV-2スパイクの検出、(D)VHH677-naJAZ(配列番号66)(2個のドメインを隔てるリンカーを有する)及びVHH690-noJAZ(配列番号67)(2個のドメインを隔てるリンカーを有する)及び基質Q108を含むプレミックスを使用した、遊離ヌクレオプロテインの検出、(E)VHH704-naJAZ(配列番号90)(2個のドメインを隔てるリンカーを有する)及びVHH725-noJAZ(配列番号91)(2個のドメインを隔てるリンカーを有する)及び基質Q108を含むプレミックスを使用した、遊離又はウイルス由来のスパイクの検出のための反応の比較模式図を示している。
図3】線形動的スケール(最小及び最大の間のシグナルの差)が、PBS/Tween 20、0.05%に希釈された唾液のパーセンテージに対してプロットされていることを示す。PBS/Tween 20、0.05%における検出閾値は、最大10%の唾液で10pM、0.4ng/mLである。
図4】VHH704-naJAZ(配列番号90)及びVHH725-noJAZ(配列番号91)及び基質Q108を含むプレミックスを使用した、(A、B)PBSにおける10fM(pg/mL)から始まり0.1μM(100ng/mL)に至るヌクレオプロテイン又は(C、D)PBSにおける10fM(pg/mL)から始まり0.1μM(100ng/mL)に至るスパイクの希釈系列を示す。PBSにおけるLuLIFlashによる検出閾値は、50pMである。生データがA、Cに示されており、平均及び標準誤差が下部(B、D)にプロットされている。
図5】参照陽性及び陰性試料由来のLuLIFlash'N及びLuLIFlash'Sを示す。RT-qPCRによって検証された48種の陰性試料のPBSにおける唾液の希釈物(1/10)を参照として使用した。これらの個体の試料における測定を2回繰り返した。48ウェルに、試薬ミックス及び10%の同じ唾液(同じ)及び1μg/mLの精製組換えヌクレオプロテイン(A)又はスパイク(B)をロードした。48ウェルに、試薬ミックス及び48名の異なる個体(陰性)由来の10%の唾液及び1μg/mLの精製組換えヌクレオプロテイン又はスパイク(異なる)をロードした。
図6】2種の群のそれぞれにつき96名の異なる個体由来の陽性及び陰性試料における抗原濃度をアッセイするための、VHH677-naJAZ(配列番号66)及びVHH690-noJAZ(配列番号67)及び基質Q108を含むプレミックスを使用したLuLIFlash'N、並びにVHH704-naJAZ(配列番号90)及びVHH725-noJAZ(配列番号91)及び基質Q108を含むプレミックスを使用したLuLIFlash'Sを示す。図2B及び9頁に記載されている通り、一方(VHH716-SBP37、配列番号118)がストレプトアビジンウェルコーティングに結合しており、他の一方がルシフェラーゼに連結された(VHH687-JAZ、配列番号117)、抗体抗Nのサンドイッチを使用した標準ELISAアッセイによって検証された96種の陰性及び96種の陽性試料のPBSにおける唾液の希釈物(1/10)。測定のため、96ウェルに、試薬ミックス(90μL)、並びにSARS-CoV-2ヌクレオプロテインに関して陰性個体(A、B、D)及び96名の陽性個体(A、C、E)由来の10%の唾液(10μL)をロードした。試薬ミックスは、VHH677-naJAZ(配列番号66)、VHH690-noJAZ(配列番号67)、Tween 20、DTT、PBSから作製された。VHH677-naJAZ/VHH690-noJAZは、ヌクレオプロテインアッセイに最も好まれるペアの代表である。箱ひげプロットは、反応動態に沿って時間(秒)に対して取得された値由来の四分位Q2及びQ3並びに最小及び最大を指し示す。中央値が箱を分割している。(A)実験値は傍らにプロットされている(時間=20分間)。陰性及び陽性試料由来の試料の間のSARS-CoV-2ヌクレオプロテインレベルの差を、対応のないマン・ホイットニーのU検定を使用して比較した。0.001未満のP値は、統計的に有意と考慮される。箱ひげは、時間に対する陰性(B)及び陽性(C)試料由来の相対的強度単位毎秒(RLU/秒)でプロットされる。陽性閾値は、陰性対照から設定された25,000RLU/秒における破線によって図示される。箱ひげは、時間に対する陰性(D)及び陽性(E)試料由来の相対的強度単位増加速度毎秒毎秒(RLU/秒2)でプロットされる。陽性閾値は、陰性対照から設定された500RLU/秒2における破線によって図示される。
図7】2種の群のそれぞれにつき96名の異なる個体由来の陽性及び陰性試料由来のLuLIFlash'Sを示す。図2C及び9頁に記載されている通り、一方(VHH716-SBP37、配列番号118)がストレプトアビジンウェルコーティングに結合しており、他の一方がルシフェラーゼに連結された(VHH687-JAZ、配列番号117)、抗体抗Sのサンドイッチを使用した標準ELISAアッセイによって検証された96種の陰性及び96種の陽性試料のPBSにおける唾液の希釈物(1/10)。測定のため、96ウェルに、試薬ミックス(90μL)、並びにSARS-CoV-2スパイクに関して陰性個体(A、B、D)及び96名の陽性個体(A、C、E)由来の10%の唾液(10μL)をロードした。試薬ミックスは、VHH704-naJAZ(配列番号90)、VHH725-noJAZ(配列番号91)、Tween 20、DTT、PBSから作製された。VHH704-naJAZ/VHH725-noJAZは、スパイクアッセイに最も好まれるペアの代表である。箱ひげプロットは、反応動態に沿って時間(秒)に対して取得された値由来の四分位Q2及びQ3並びに最小及び最大を指し示す。中央値が箱を分割している。(A)実験値は傍らにプロットされている(時間=20分間)。陰性及び陽性試料由来の試料の間のSARS-CoV-2スパイクレベルの差を、対応のないマン・ホイットニーのU検定を使用して比較した。0.001未満のP値は、統計的に有意と考慮される。箱ひげは、時間に対する陰性(B)及び陽性(C)試料由来の相対的強度単位毎秒(RLU/秒)でプロットされる。陽性閾値は、陰性対照から設定された25,000RLU/秒における破線によって図示される。箱ひげは、時間に対する陰性(D)及び陽性(E)試料由来の相対的強度単位増加速度毎秒毎秒(RLU/秒2)でプロットされる。陽性閾値は、陰性対照から設定された500RLU/秒2における破線によって図示される。
図8】フィールドプロトコールの概要を示している。(A)適切なバッファー中に融合ペア及び基質を有する反応性ミックスをチューブ(10μL~5mL、優先的に100μL)にロードし、バックグラウンドシグナルを記録する。(B)唾液の試料を個体の口において収集する(ここでは、無菌接種ループとして商業的に流通されるスティックの先端におけるプラスチックループを用いて10μL)。(C)ループをチューブにロードし、試料を反応性ミックスと混合する。(D)生物発光のシグナルを10~60秒間にわたり時間に対して記録する:測定値がRLU/秒閾値(図6又は図7における25,000RLU/秒)よりも大きい場合、又は増加速度がRLU/秒2閾値(図6又は図7における500RLU/秒)よりも大きい場合、試料は陽性であるが、閾値は陰性試料系列から設定された。試料系列及び単一の陰性対照の使用の非存在下で、閾値は、陰性対照の生物発光の2倍(RLU/秒)又は生物発光増加速度の2倍(RLU/秒2)として設定され得る。
図9】P24あり及びなしの、抗P24VHH-23又は45残基を有するリンカー-naJAZ及び抗P24VHH-23又は45残基を有するリンカー-noJAZの様々な組合せの生物発光シグナルの比を示す。P24濃度は、4マイクロg/mLである。
図10】異なる濃度のP24で、P24あり及びなしの、抗P24VHH-23又は45残基を有するリンカー-naJAZ及び抗P24VHH-23又は45残基を有するリンカー-noJAZの様々な組合せの生物発光シグナルの比を示す。
【実施例
【0391】
ヒト試料
試料は、倫理委員会によって承認されたいくつかの疫学的コホートに由来する。
【0392】
抗ヌクレオプロテイン-ルシフェラーゼタンデム(pET23-vhh677-リンカー-najaz及びpET23-vhh690-リンカー-nojaz)をコードするプラスミドの設計及び合成
2種のSARS-CoV-2 N結合性部分VHH G9(配列番号24)及びVHH C7.1(配列番号26)は、抗原で免疫化されたアルパカ(Rennemoulin、Yvelines、Franceにおける農場)の単一重鎖抗体(PF組換え抗体、Institut Pasteur)由来の可変ドメインのライブラリーからM13ファージディスプレイによって生じる。遺伝子G9及びC7.1は、Q5 DNAポリメラーゼ、dNTPミックス(New England BioLabs社)を使用して、対応するフォワード及びリバースオリゴヌクレオチドを用いてM13ファージミドから増幅された。アガロースゲル(1%、Macherey Nagel社)における電気泳動によってPCR産物を精製した。
【0393】
JAZ(配列番号4)は、KAZ(配列番号3)を野生型触媒ドメインから区別する16に加えて導入された変異Y116F、C166S、Y18R、L48K、W134E、W163Eを有する、オプロフォルス・グラキリロストリス由来のルシフェラーゼの触媒ドメインの最適化された配列である。
【0394】
遺伝子KAZは最適化され、次いで、Eurofins社(Germany)によって合成された。変異、カルボキシ端(LE)、His6-タグ(配列番号60)及びフランキング領域は、pET23配列(Novagen社)に対応する。pET23プラスミドは、Q5 DNAポリメラーゼ、dNTPミックス(New England BioLabs社)を使用して、フォワード及びリバースオリゴヌクレオチドを用いて増幅された。アガロースゲル(1%、Macherey Nagel社)における電気泳動によってPCR産物を精製した。NEBuilder HiFiアセンブリーマスターミックス(New England BioLabs社)を使用して、精製されたpET23ベクター及び合成遺伝子をアセンブルする(pET23-kaz)。PCRによってKAZ遺伝子に6個の変異が導入された。アミノ端(3~85=naJAZ、配列番号1)及びカルボキシ端(86~171=noJAZ、配列番号2)ドメインは、Gibson法を使用して、VHH G9(VHH677-naJAZ)及びVHH C7.1(VHH690-noJAZ)の遺伝子を隔てるリンカーをコードする合成オリゴヌクレオチドのC末端においてアセンブルされ、次いで、プラスミドpET23にサブクローニングされた。構築物のトポロジーは、図1に詳述されている。
【0395】
融合タンパク質VHH677-naJAZ及びVHH690-noJAZの発現、精製及び検証
pET23-VHH677-naJAZ及びpET23-VHH690-noJAZを別々に使用して、大腸菌BL21(DE3、New-England Biolabs社)を形質転換して、大腸菌における高発現を達成した。細胞を16℃で育成し、IPTG(Sigma-Aldrich社)を添加して、VHH677-naJAZ又はVHH690-noJAZ産生を誘導した。遠心分離によって細胞を採集した後に(1.5L)、プロテアーゼ阻害剤(Sigma-Aldrich社)及びリゾチーム(0.1mg/mL、Sigma-Aldrich社)を有する50mM Tris-HCl pH8.0、50mM NaClにペレットを再懸濁した。凍結-解凍サイクル溶解方法によって細胞を破壊した。次に、DNase I(Sigma-Aldrich社)を添加して、試料からDNAを除去した。
【0396】
粗抽出物を30分間1250gで遠心分離した。上清を収集し、NaCl(500mM)、イミダゾール(20mM、Sigma-Aldrich社)及びTriton X-100(0.1%、Sigma-Aldrich社)を添加した。透明化されたライセートを、AKTA pureクロマトグラフィーシステム(GE-Healthcare社)を使用して4mL/分における平衡化Hi-Trap 5mLカラム(GE-Healthcare社)にロードした。カラムの20体積のランニングバッファー(50mM Tris-HCl pH8.0、NaCl 50mM、20mMイミダゾール)で5mL/分にてカラムを洗浄した。50mM Tris-HCl pH8.0、50mM NaClにおける20mM~200mMのイミダゾールの勾配で5mL/分にてVHH677-naJAZ又はVHH690-noJAZを溶出させ、96ディープウェルプレート(GE-Healthcare社)に1mLの画分を収集した。アリコート(10μL)をstain-free SDSゲル(4~15%Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-Free(商標)タンパク質ゲル、Bio-Rad社)にロードすることにより、精製タンパク質の相対的濃度を評価した。5分間のUV透照(trans-illumination)によってゲルを活性化した(Bio-Gel Doc XRイメージングシステム)。トリプトファン残基は、トリハロ化合物とのUV誘導性反応を受け、画像化される蛍光シグナルを産生する。高濃度の画分をプールし、50mM Tris-HCl pH8.0、NaCl 50mMにおいて平衡化された1mL HiTrap Qカラム(GE-Healthcare社)にロードした。AKTA pureクロマトグラフィーシステムを使用して、18℃で1mL/分にて50mM MES pH6.5、50mM NaClにタンパク質を溶出させた。500μLの画分を96ディープウェルプレートに収集し、それらの濃度を上に記載されている通りにゲルからアッセイした。高濃度の画分をプールした。280nmにおける溶液吸収からVHH677-naJAZ又はVHH690-noJAZの濃度を評定するために、UVスペクトル(240~300nm)を取得した。
【0397】
JAZの比活性は、23℃でPBSにおけるフリマジンを用いて約1015取得光子/秒/mgである。10~30μM(KM=2μMの約10倍でプラトー)の基質(フリマジン)濃度について最適な活性に達する。30μMを越えると、JAZ(又は同様にKAZ)触媒部位のうち基質の双極子モーメントは、活性部位における触媒された基質の光子放射をクエンチングしている。クエンチング効率は、基質の双極子モーメントに依存する。基質触媒は、JAZ(又は同様にKAZ)を確率論的に不活性化し、酵素の寿命は、基質及び触媒速度基質に依存する(Coutant、Goyardら、OBC 2019、17、3709~3713頁;Coutantら、Chemistry 2020、26、948~958頁;Goyardら、Allergy 2021、75、2952~2956頁)。分割JAZ補完は、カットされていないJAZの最大15%を回復させる。分割JAZは依然として、反応産物によって不活性化されており、依然として、過剰な基質による阻害が観察される。反応は、pHに対して非常に高感度であり、試料に応じて、バッファー濃度は、7.4~8.0の間に反応を維持するように適応させることができる。典型的に、反応は、10mMのリン酸塩(pH 7.4)によって緩衝されたPBS中で行われ、塩は、大部分のタンパク質、核酸及び複合体構造を保ち(NaCl 150mM)、界面活性剤は、非特異的な相互作用及びチューブ壁吸収を回避する(Tween 20、0.05%)。Yves Janinのチームによって合成された172種のフリマジンアナログのうち検査された最良の基質は、特許出願(EP3395803、WO2018197727)に記載されている脱アセチル化ヒカラジン108又はQ108である。Q108の最適な基質濃度は、13~50μMの間である。
【0398】
LuLIFlash'Nプロトコール
LuLIFlash'Nとも呼ばれる本方法は、上咽頭スワブ抽出溶液又は頬側ループ由来の唾液から収集された試料のために開発されたが、これは、尿、涙、血清試料又は血液滴にも適合性であり、但しSARS-CoV-2ヌクレオプロテインの濃度は、これらの体液においてやや低い。これはまた、COVID-19患者においてウイルスタンパク質が豊富な大便スメア抽出溶液に適合性である。次の反応性溶液は、4℃で貯蔵される:1)PBS中VHH677-naJAZ 1mg/mL、DTT 5mM、Tween 20、0.5%;2)PBS中VHH690-noJAZ 200μg/mL、DTT 5mM、Tween 20、0.05%;3)DMSO/エタノール/HCl中Q108 5mM;4)PBS、DTT 5mM、Tween 20、0.05%。
【0399】
図8は、フィールドプロトコールの概要を示している。典型的には、現場での単一の測定のため、数時間4℃で安定な反応バッファーのプレミックス(90μL:PBS中VHH677-naJAZ 1μg/mL+VHH690-noJAZ 0.2μg/mL+Q108 25μM+DTT 5mM+Tween 20、0.05%)を、透明なポリスチレンチューブにロードする。生物発光シグナルのバックグラウンド(460nmが中央の幅広い光強度ピーク)は、0.5秒毎のサンプリングで5秒間動態に沿って記録される(RLU/秒)。バックグラウンドドリフト(RLU/秒2)及びノイズ振幅(RLU/秒)は、これらの10点からコンピュータ処理される。約10μLの試料(唾液ループの内容物)は、5mLポリスチレンクリスタルチューブ内の90μLの反応溶液に添加及び混合される。動態活性は、0.5秒間の積分時間で10~60秒間記録される。バックグラウンドノイズは、ノイズドリフト、並びにノイズ記録及び動態点の間の遅延から外挿される。生物発光増加速度の勾配(RLU/秒2)がドリフトの2倍超である場合、試料は、陽性と考慮される。補正された勾配が平坦であり、生物発光(RLU/秒)がバックグラウンドノイズよりも2倍大きい場合、試料は陽性と考慮される。較正は、既知の濃度のSARS-CoV2ヌクレオプロテインを含有するチューブにより行われる。
【0400】
多数の解析のため、数時間4℃で安定な反応バッファーのプレミックス(90μL:PBS中VHH677-naJAZ 1μg/mL+VHH690-noJAZ 0.2μg/mL+Q108 25μM+DTT 5mM+Tween 20、0.05%)は、平底の白色プレートの96又は384ウェルにロードされる(Fluoronunc C96又はC384 Maxisorp、Nunc社)。VHH677-naJAZ/VHH690-noJAZは、ヌクレオプロテインをアッセイするための、本出願人らの最良の好まれるペアの代表である。生物発光のバックグラウンドは、0.5秒毎のサンプリングで3点動態に沿って記録されるか、又は3回の全プレート読み取りに沿って3回読まれる。バックグラウンドドリフト及びノイズ振幅は、これらの3点からコンピュータ処理される。図8に示される通り、約10μLの試料(唾液ループの内容物)は、チューブ内の90μLの反応溶液に添加及び混合される。動態活性は、0.5秒間の積分時間で10~60秒間記録されるか、又は全プレート読み取りに沿って3回読まれるのいずれかである。バックグラウンドノイズは、ノイズドリフト、並びにノイズ記録及び動態点の間の遅延から外挿される。勾配(RLU/秒2)がドリフトの2倍超である場合、試料は、陽性と考慮される。図6に示される通り、補正された勾配が平坦であり、生物発光(RLU/秒)がバックグラウンドノイズよりも2倍大きい場合、試料は、陽性と考慮される。較正は、既知の濃度のSARS-CoV-2ヌクレオプロテインを含有するチューブにより行われる。図6に示される通り、生物発光閾値(RLU/秒)及び生物発光増加速度閾値(RLU/秒2)は、特徴付けされた健康なドナー由来の陰性試料系列又は陰性参照を使用して調整することができる。
【0401】
ダイナミックレンジ(5-log)及び感度(10pM)は、同じ384ウェルプレートにおける希釈系列の24回繰り返しを示す図3A及び図3Bにそれぞれ詳述されている。図3Bに示される通り、唾液の濃度は、バックグラウンドノイズを高めることによりシグナルに影響を与え、100%唾液内容物においてシグナルを消す。ダイナミックレンジが既に20%カットされながら、10%を越える最適感度の喪失が観察される。
【0402】
図4及び図5に示される通り、測定は再現性がある。
【0403】
異なる試料におけるLuLIFlash'Nを使用したSARS-CoV-2ヌクレオプロテイン検出の感度
本方法はまた、単一の血液滴に適合性である。血液の1/50希釈が、LuLIFlash'Nによるヌクレオプロテインの信頼できる定量的検出を提供するのに十分である。糖尿病患者に使用されるようなデバイスを用いて指先を穿刺し、ループ又は毛細管チューブを用いて10μLの血液を収集し、500μLの反応性プレミックスと混合する。しかし、SARS-CoV-2ウイルス粒子又はタンパク質の濃度は、感染者の循環血においてやや低いが、特異的IgGの濃度はやや高く、アッセイにおいて使用されるVHHペアと競合する。96種の陰性及び96種の陽性試料において行われるヌクレオプロテインアッセイの例は、図6に示される。
【0404】
試薬の異なる貯蔵条件によるLuLIFlash'Nの性能
2カ月間に沿って-80℃、-20℃及び+4℃でPBS溶液中の等分されたヌクレオプロテイン(1μg/mL)並びに試薬溶液VHH677-naJAZ(1mg/mL)、VHH690-noJAZ(1mg/mL)及びQ108(5.4mM)を使用して、アッセイを繰り返し行った。結論として、VHH677-naJAZ、VHH690-noJAZは、解凍プロセスに対して中程度に高感度であり、2カ月間にわたり4℃でそれらの活性の大部分を保存する:+4、-20及び-80℃での貯蔵については88%、92及び94%。
【0405】
LuLIFlash'Sプロトコール
同様の方法は、同様に上咽頭スワブ抽出溶液又は頬側ループ由来の唾液から収集された試料におけるSARS-CoV-2スパイクを検出及びアッセイするためのものでもあったが、これはまた、尿、涙、血清試料又は血液滴にも適合性であったが、但しSARS-CoV-2スパイクの濃度は、これらの体液においてやや低い。これはまた、COVID-19患者においてウイルスタンパク質が豊富な大便スメア抽出溶液に適合性である。次の反応性溶液は、4℃で貯蔵される:1)PBS中VHH704-naJAZ(配列番号93) 1mg/mL DTT 5mM Tween 20、0.05%;2)PBS中VHH725-noJAZ(配列番号94) 200μg/mL DTT 5mM Tween 20、0.05%;3)DMSO/エタノール/HCl中Q108 5mM;4)PBS、DTT 5mM、Tween 20、0.05%。
【0406】
図8は、フィールドプロトコールの概要を示している。典型的には、現場での単一の測定のため、数時間4℃で安定な反応バッファーのプレミックス(90μL:PBS中VHH704-naJAZ 1μg/mL+VHH725-noJAZ 0.2μg/mL+Q108 25μM+DTT 5mM+Tween 20、0.05%)を、透明なポリスチレンチューブにロードする。生物発光シグナルのバックグラウンド(460nmが中央の幅広い光強度ピーク)は、0.5秒毎のサンプリングで5秒間動態に沿って記録される。バックグラウンドドリフト及びノイズ振幅は、これらの10点からコンピュータ処理される。約10μLの試料(唾液ループの内容物)は、5mLポリスチレンクリスタルチューブ内の90μLの反応溶液に添加及び混合される。動態活性は、0.5秒間の積分時間で10~60秒間記録される(RLU/秒)。バックグラウンドノイズは、ノイズドリフト、並びにノイズ記録及び動態点の間の遅延から外挿される。生物発光強度増加速度の勾配(RLU/秒2)がドリフトの2倍超である場合、試料は、陽性と考慮される。補正された勾配が平坦であり、生物発光(RLU/秒)がバックグラウンドノイズよりも2倍大きい場合、試料は陽性と考慮される。較正は、既知の濃度のSARS-CoV-2スパイクを含有するチューブにより行われる。
【0407】
多数の解析のため、数時間4℃で安定な反応バッファーのプレミックス(90μL:PBS中VHH704-naJAZ 1μg/mL+VHH725-noJAZ 0.2μg/mL+Q108 25μM+DTT 5mM+Tween 20、0.05%)は、平底の白色プレートの96又は384ウェルにロードされる(Fluoronunc C96又はC384 Maxisorp、Nunc社)。VHH704-naJAZ/VHH725-noJAZは、スパイクをアッセイするための、本出願人らの最良の好まれるペアの代表である。生物発光のバックグラウンドは、0.5秒毎のサンプリングで3点動態に沿って記録されるか、又は3回の全プレート読み取りに沿って3回読まれる。バックグラウンドドリフト及びノイズ振幅は、これらの3点からコンピュータ処理される。図7に示される通り、約10μLの試料(唾液ループの内容物)は、チューブ内の90μLの反応溶液に添加及び混合される。動態活性は、0.5秒間の積分時間で10~60秒間記録されるか、又は全プレート読み取りに沿って3回読まれるのいずれかである。バックグラウンドノイズは、ノイズドリフト、並びにノイズ記録及び動態点の間の遅延から外挿される。生物発光強度増加速度の勾配(RLU/秒2)がドリフトの2倍超である場合、試料は、陽性と考慮される。補正された勾配が平坦であり、生物発光(RLU/秒)がバックグラウンドノイズよりも2倍大きい場合、試料は陽性と考慮される。較正は、既知の濃度のSARS-CoV-2スパイクを含有するチューブにより行われる。図7に示される通り、生物発光閾値(RLU/秒)及び生物発光増加速度閾値(RLU/秒2)は、特徴付けされた健康なドナー由来の陰性試料系列又は陰性参照を使用して調整することができる。
【0408】
ダイナミックレンジ(5-log)及び感度(10pM)は、それぞれ図4A及び図4Bに詳述されている。唾液の濃度は、100%唾液内容物においてバックグラウンドノイズを高め、シグナルを消すことによりシグナルに影響を与える。ダイナミックレンジが既に20%カットされながら、10%を越える最適感度の喪失が観察される。
【0409】
本アッセイはまた、SARS-CoV-2カプシドの表面に保有されたスパイクタンパク質を検出しており、結果的に、ウイルス粒子を検出する。
【0410】
異なる試料におけるLuLIFlash'Sを使用したSARS-CoV-2スパイク検出の感度
本方法はまた、単一の血液滴に適合性である。血液の1/50希釈が、LuLIFlash'SによるSARS-CoV-2スパイクの信頼できる定量的検出を提供するのに十分である。糖尿病患者に使用されるようなデバイスを用いて指先を穿刺し、ループ又は毛細管チューブを用いて10μLの血液を収集し、500μLの反応性プレミックスと混合する。しかし、SARS-CoV-2ウイルス粒子又はタンパク質の濃度は、感染者の循環血においてやや低いが、特異的IgGの濃度は高いことがあり、アッセイにおいて使用されるVHHペアと競合し得る。
【0411】
96種の陰性及び96種の陽性唾液試料において行われるスパイクアッセイの例を図7に示す。
【0412】
試薬の異なる貯蔵条件によるLuLIFlash'Sの性能
6カ月間に沿って-80℃、-20℃及び+4℃でPBS溶液中の等分されたスパイク(1μg/mL)並びに試薬溶液VHH704-naJAZ(1mg/mL)、VHH725-noJAZ(1mg/mL)及びQ108(5.4mM)を使用して、アッセイを繰り返し行った。結論として、VHH704-naJAZ、VHH725-noJAZは、解凍プロセスに対して中程度に高感度であり、2カ月間にわたり4℃でそれらの活性の大部分を保存する:それぞれ+4、-20及び-80℃での貯蔵については80%、88%及び92%。
【0413】
LuLIFlash'P24プロトコール
体液におけるHIV感染の参照マーカーの1種、HIVカプシド由来のタンパク質P24の検出のための方法LuLiFlashによる即時バイオアッセイが開発された。
【0414】
両方のVHHの構造は、P24と共結晶化された。2種のVHHのそれぞれのエピトープは、少なくとも、結合したVHHのいかなる立体妨害も回避するために、交差することなく、互いに遠く離れている。
【0415】
ミックス(PBS中VHH-リンカー-naJAZ 0.5mg/mL、希釈1/100、PBS中VHH-リンカー-noJAZ 0.5mg/mL、希釈1/700、P24 2mg/mL、1/500から始まり次いで3分の1ずつの系列希釈、50マイクロリットルのウェル当たりの体積につきバッファーPBS Tween 0,1% DTT 1mM)の生物発光(RLU/秒)を96ウェルプレートにおいて測定した。エタノール/DMSO中の基質ヒカラジン108、5mM、希釈1/400により反応を開始した。ルミノメーターMithras-2 Bertholdを用いて10分間動態に沿って相対光強度毎秒を読んだ。
【0416】
基質添加1分後の結果は、図9及び図10並びに下表に報告されている。P24あり及びなしのシグナルの比は、xyプロット図においてP24濃度(mg/mL)に対してプロットされる。シグナル比の値は、4mg/mLのP24濃度について下(bellow)の表及びバープロットに報告される。P24の検出限界は、1分間で10ng/mLである。
【0417】
下表に記載され、図9に詳述される通り、構築物ペアの大部分は、ちょうど同じ感度を示すが、59H1_45-naJAZ/2XV6_B_23-noJAZ及び2XV6_B_23-naJAZ/59H1_23-noJAZは、最良のシグナル比を示す。
【0418】
構築物のペアの選択のための第1の基準は、最も高い比である。第2の基準は、標的(この場合P24)の非存在下で最も低い比である。第3の基準は、シグナル増加の動態速度である。第4の基準は、最も短い構築物である。この場合59H1_45-naJAZ/2XV6_B_23-noJAZ及び2XV6_B_23-naJAZ/59H1_23-noJAZが、3つの第1の基準について等価であるが、2XV6_B_23-naJAZ/59H1_23-noJAZが、最も短い構築物を混合している。LuLiFlash'P24のために選択されたペアは、2XV6_B_23-naJAZ/59H1_23-noJAZである。
【0419】
【表12】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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【国際調査報告】