(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】マイクロ液滴作製用の制御装置及びマイクロ液滴の作製方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20240925BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240925BHJP
B01L 3/02 20060101ALI20240925BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B01J19/00 321
G01N1/00 101K
B01L3/02 D ZNA
C12M1/34 A
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513082
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 CN2022115164
(87)【国際公開番号】W WO2023025289
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110985508.1
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111563506.X
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523104890
【氏名又は名称】マキュラ バイオテクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】マー, リァン
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
4G057
4G075
【Fターム(参考)】
2G052AD06
2G052AD26
2G052CA18
2G052CA21
2G052CA30
2G052JA06
2G052JA07
4B029AA23
4B029AA27
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4B029CC01
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB06
4B029GB10
4G057AB16
4G075AA13
4G075AA39
4G075AA65
4G075BB08
4G075BD03
4G075BD15
4G075CA25
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA01
4G075EB21
4G075EB50
4G075EC01
4G075ED15
4G075FB12
(57)【要約】
マイクロ液滴作製用の制御装置であって、前記制御装置はマイクロ液滴作製手段を含み、前記マイクロ液滴作製手段は、非対称振動マイクロ液滴生成機構(1)と第1の動的位置決め部材(200)とを含み、前記第1の動的位置決め部材(200)は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構(1)に固定接続され、前記第1の動的位置決め部材(200)は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構(1)を正確に位置決めするように構成され、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構(1)は、非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成するように構成される。前記制御装置を用いて、液体サンプルの流速及び試料添加針の振動周波数を調節するだけで、大きさが均一で、体積が制御可能なマイクロ液滴の作製を実現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ液滴作製用の制御装置であって、前記制御装置はマイクロ液滴作製手段を含み、
前記マイクロ液滴作製手段は、非対称振動マイクロ液滴生成機構と第1の動的位置決め部材とを含み、前記第1の動的位置決め部材は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に固定接続され、
前記第1の動的位置決め部材は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構を位置決めするように構成され、
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成するように構成される、ことを特徴とするマイクロ液滴作製用の制御装置。
【請求項2】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、1つの運動周期内に1つのマイクロ液滴を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、振動部材と、振動取付台と、試料添加針と、駆動コントローラとを含み、
前記駆動コントローラは、前記振動部材に電気的に接続され、前記試料添加針がマイクロ液滴を生成するように、前記振動取付台を非対称往復振動又は非対称往復揺動するように駆動する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記試料添加針は、前記振動取付台が非対称往復振動又は非対称往復揺動する1つの周期内に1つのマイクロ液滴を生成する、ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記振動部材は、ハウジング、振動子及び振動出力ロッドを含み、
前記振動部材の振動出力ロッドは、前記振動取付台に動力を提供し、
前記振動取付台には、接続ポート、管継手及び試料添加針アダプタを有し、
前記接続ポートの一端は管継手を介して液体供給導管に接続され、他端は試料添加針アダプタを介して前記試料添加針に接続され、
前記試料添加針の中心軸線は、前記振動出力ロッドの軸線に垂直である、ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記非対称往復運動は、前記振動取付台が前記振動出力ロッドの中心軸線に沿う方向に行う非対称往復振動である、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記非対称往復運動は、前記振動取付台が前記振動出力ロッドの中心軸線を軸心とする非対称揺動である、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記振動部材の振動周波数は、10~1000Hz、好ましくは50~200Hzであり、
好ましくは、前記振動部材の振動幅は0.1~5mm、好ましくは0.5~2mmである、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項9】
前記振動取付台の揺動周波数は、10~1000Hz、好ましくは50~200Hzであり、
好ましくは、前記試料添加針の液体吐出開口と振動出力ロッドの軸線との距離は10~100mm、好ましくは30~80mmであり、前記振動取付台の揺動角度幅は0.05~10°、好ましくは0.2~2°である、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項10】
前記振動取付台と前記振動出力ロッドとはカップリングにより接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項11】
前記振動部材は、位置センサをさらに含み、前記駆動コントローラは、前記位置センサのリアルタイム位置フィードバック信号を収集することにより、運動の閉ループ制御を実現し、
好ましくは、前記位置センサは、格子スケールセンサ、静電容量式位置センサ、抵抗式センサ、電流式センサ又は差動変圧器式センサのうちの1種である、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項12】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、前記振動部材を固定するための支持固定台をさらに含み、
好ましくは、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、前記液体供給導管を挟持するためのポンプチューブクランプベースをさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項13】
前記接続ポートは複数であり、複数の前記接続ポートは、前記振動取付台の内部に等間隔に設けられ、
好ましくは、前記接続ポートは1~96個、好ましくは2個、4個、8個、12個である、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項14】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、接続ガイド構造体をさらに含み、
前記振動部材の振動出力ロッドは、接続ガイド構造体を介して前記振動取付台に接続され、前記振動取付台に動力を提供する、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項15】
前記接続ガイド構造体は、スプラインシャフトとスプラインスリーブとを含むボールスプラインであり、前記スプラインシャフトの両端は、それぞれ前記振動出力ロッドと前記振動取付台とに固定接続される、ことを特徴とする請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記接続ガイド構造体は、第1の軸受と第2の軸受とを含み、前記振動取付台の一端は、前記第1の軸受を貫通して前記振動出力ロッドに接続され、前記振動取付台の他端は、前記第2の軸受に接続され、前記第1の軸受は、軸方向の係止辺を有する軸受である、ことを特徴とする請求項14に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御装置は、マイクロ液滴が生成された後、前記試料添加針を自動的に取り外すための試料添加針取外機構をさらに含む、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項18】
前記試料添加針は、両端が開口した錐管状構造であり、一端の開口が前記試料添加針アダプタと緊密に挿着されるための液体供給開口であり、他端の開口がマイクロ液滴を生成するための液体吐出開口であり、前記液体吐出開口の内径が20~300μmであり、外径が150~600μmであり、
好ましくは、前記試料添加針の液体貯蔵体積の範囲は5~500μL、好ましくは20~60μLである、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項19】
前記振動取付台が前記非対称往復運動をするとき、試料添加針の液体吐出部の運動は、1つの平衡点と平衡点の両端の2つの反射点とを有し、運動位置対時間の曲線がいずれかの反射点の両側で非対称となるように構成され、
好ましくは、試料添加針の液体吐出部の周期的運動の非対称波形は、正弦波、鋸歯波、台形波、三角波、矩形波のうちの少なくとも1種の非対称組み合わせである、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項20】
前記振動部材は連続的又は間欠的な運動を発生する機構として構成され、前記振動部材は電磁式振動デバイス、圧電セラミック式振動デバイス、偏心輪式振動デバイス、サーボモータ、ボイスコイルモータ、ガルバノモータから選ばれる1種である、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項21】
前記第1の動的位置決め部材は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構の昇降を制御するための位置決め部材昇降変位機構を含み、
好ましくは、前記第1の動的位置決め部材は、液面検知機構をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項22】
前記制御装置は、流体制御手段をさらに含み、
前記流体制御手段は流体駆動装置と導管とを含み、前記導管の一端は前記流体駆動装置に接続され、前記導管の他端は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に接続され、
好ましくは、前記流体駆動装置は、流速を設定して試料添加針に吸液及び排液を行わせるために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項23】
前記制御装置は、第2の動的位置決め部材をさらに含み、前記第2の動的位置決め部材は、第1の開口容器及び第2の開口容器を固定及び移動するために用いられ、
好ましくは、前記駆動コントローラは、前記流体駆動装置、第1の動的位置決め部材及び第2の動的位置決め部材に動力を提供する、ことを特徴とする請求項22に記載の制御装置。
【請求項24】
前記第1の開口容器は単一の貯液槽、一次元貯液槽アレイ又は二次元貯液槽アレイであり、各前記貯液槽の容積は10~1000μL、好ましくは20~200μLであり、
好ましくは、前記第1の開口容器には、第1の液体が収容されており、
好ましくは、前記第2の開口容器は、生成されたマイクロ液滴を平積みするための二次元平底サンプルセルアレイであり、好ましくは、前記第2の開口容器は、容積が等しい24個、32個、96個又は384個の平底サンプルセルを含み、
好ましくは、前記第2の開口容器には、第2の液体が収容されている、ことを特徴とする請求項23に記載の制御装置。
【請求項25】
前記流体駆動装置は無脈動駆動ポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、さらに好ましくは、前記流体駆動装置は1つ又は複数である、ことを特徴とする請求項22に記載の制御装置。
【請求項26】
前記導管は、液体供給導管と液体吸引導管とを含み、前記液体吸引導管の一端は、電動2位置3方向切換弁の1つの弁口を介して前記流体駆動装置に接続され、前記液体吸引導管の他端は、貯油装置に挿入され、前記液体供給導管の一端は、電動2位置3方向切換弁の1つの弁口を介して前記流体駆動装置に接続され、前記液体供給導管の他端は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に接続される、ことを特徴とする請求項22に記載の制御装置。
【請求項27】
前記制御装置は準備手段をさらに含み、前記準備手段は、試料添加針ラックと、油除去機構と、廃棄物受けとを含み、前記油除去機構は廃棄物受けの上方に位置し、試料添加針は前記廃棄物受けの上方で取り外される、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項28】
流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすこと、
第1の液体で満たされた試料添加針を第2の液体と接触させ、流体駆動装置の駆動下で、非対称振動マイクロ液滴生成機構は、試料添加針アダプタを駆動して試料添加針を第2の液体の液面下で非対称往復運動させることにより、マイクロ液滴を生成することを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の制御装置を用いたマイクロ液滴の作製方法。
【請求項29】
流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たす前に、前記方法は、さらに、
a)前記試料添加針アダプタを油除去機構に移動させ、前記流体駆動装置は、キャリア液を吸い上げるように液体吸引導管を駆動して、電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記流体駆動装置はキャリア液を試料添加針アダプタから排出させ、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされるようにするとともに、油除去機構により試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去すること、
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続させること、
c)試料添加針を油除去機構に移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返して、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去することを含む、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすステップは、
ステップc)の試料添加針を第1の液体が収容された第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を第1の液体に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、試料添加針内に第1の液体を吸入させて試料添加針内を第1の液体で満たすことを含む、ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記試料添加針の液体排出口から吸入された第1の液体の体積は、試料添加針の接続キャビティの容積よりも小さい、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、第1の液体のマイクロ液滴の作製が完了した後、試料添加針を取り外し、試料添加針を再び挿入して別の第1の液体のマイクロ液滴の作製を行うことをさらに含む、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復振動又は非対称揺動を行い、流体駆動装置は、流速を設定して、試料添加針から第1の液体を排出してマイクロ液滴を生成するために用いられる、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復運動する1つの周期内に、1つのマイクロ液滴のみを生成する、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の動的位置決め部材は、非対称振動マイクロ液滴生成機構を駆動して、試料添加針を第2の液体の液面下に位置決めし、試料添加針は、非対称振動過程において、液面に挿入された平均深さが液面下の0~2.0mmの範囲、好ましくは液面下の0~1.5mmの範囲内に動的に維持される、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、マイクロ液滴の作製の技術分野に関し、具体的には、マイクロ液滴作製用の制御装置及び該制御装置を用いたマイクロ液滴の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ液滴は、様々な分野で広く応用されており、マイクロ液滴に基づくマイクロ流体制御技術は、デジタルPCR、単細胞培養、単細胞ゲノム/トランスクリプトームシーケンシング、単細胞機能選別、ハイスループットスクリーニング、タンパク質結晶化などの分野で急速な発展と応用が得られている。
【0003】
マイクロ液滴の生成は、互いに相溶しない二相を利用して乳化したマイクロ液滴を生成するものであり、マイクロ液滴相は分散相と呼ばれ、マイクロ液滴を包む相は連続相と呼ばれる。マイクロ液滴が生成された後、それに対して分裂、融合、混合、希釈、収集及び選別などの操作を行うことができる。したがって、マイクロ液滴の形状、大きさ、及び単分散性の制御は重要である。
【0004】
従来技術において、マイクロ液滴の生成技術は主に3種類に分けられる。一つ目は、マイクロ流体チップを利用してマイクロ液滴を生成することであり、その原理は、分散相と連続相がマイクロチャネルで合流する際の界面不安定化に基づくものである。発明者らは、このようなマイクロ流体チップにおけるマイクロ液滴の生成には、特定の流速、油水界面張力及びチャンネル配置とチャンネル表面修飾などの条件を満たす必要があり、マイクロ液滴の体積調節の範囲も上記の要因に制約されることを見出した。また、マイクロ液滴がマイクロ流体チップのチャネル内で生成された後、特定のステップと装置を通じてそれを貯蔵容器に移す必要があり、単一のマイクロ液滴の条件をカスタマイズすることが難しく、マイクロ液滴の位置決め、抽出及び分析などの操作が不便である。
【0005】
二つ目は、特殊な装置を利用して微量の液体を噴射してマイクロ液滴を形成することであり、例えば、圧電セラミックス、熱励起膨張、高圧噴霧などの特殊な噴射又はマイクロ液滴励起方式が採用され、発明者らは、このような方式によるマイクロ液滴の体積の正確な制御が困難であり、且つそれに合わせた流体制御システムが複雑であることを見出した。
【0006】
三つ目は、マイクロパイプを介して連続相に微量液体を注入する際に、マイクロパイプの出口を連続相の気液界面で上下に振動させ、相界面の表面張力の切断作用を利用して大きさが均一なマイクロ液滴を生成することである(マイクロパイプに基づく液滴の生成方法、杜文斌等、中国特許番号:ZL201410655191.5)。この方法により、大きさが均一で、体積が制御可能なマイクロ液滴を作製することができる。発明者らは、このような方法により生成されたマイクロ液滴サンプルを、導管を介してマイクロパイプに接続されたマイクロシリンジ内に貯蔵する必要があるため、複数のサンプルのマイクロ液滴を作製する際に、マイクロパイプ、導管及びマイクロシリンジを交換する必要があり、操作の複雑さを増加させるとともに、この流体制御システムは、微小体積のサンプルに対してマイクロ液滴を作製することが困難であることを見出した。また、液滴が生成されると、マイクロパイプは、第2の液体の液面に正確に位置決めされる必要があり、位置決めに存在する固有の誤差及び液滴生成過程において液面に発生する動的変化により、マイクロパイプがずれたり、最適な位置決め高さから徐々にずれたりして、均一な液滴を安定して連続的に生成することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の1つの主な目的は、上記従来技術の少なくとも1つの欠陥を克服し、マイクロ液滴作製用の制御装置を提供することであり、前記制御装置は、マイクロ液滴作製手段を含み、前記マイクロ液滴作製手段は、非対称振動マイクロ液滴生成機構と、第1の動的位置決め部材とを含み、前記第1の動的位置決め部材は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に固定接続され、第1の動的位置決め部材の正確な動的位置決め条件下で、非対称振動マイクロ液滴生成機構は、試料添加針を駆動して第2の液体の液面下で非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成させることにより、液面の動的変化及び液体添加誤差によるマイクロパイプの油相に対する外乱に起因する液滴の二次乳化破砕を回避し、液滴生成システムの安定性及び一致性を効果的に保証する。
【0008】
本願の1つの主な目的は、上記従来技術の少なくとも1つの欠陥を克服し、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切換弁(例えば、電磁式2位置3方向弁又はモータ駆動の回転3方向弁など)、試料添加針アダプタ及び試料添加針にキャリア液を満たす制御装置を提供することにあり、空気ピストン原理に基づくマイクロピペットと比較して、本願により提供される制御装置は、正方向置換(positive displacement)原理を利用してナノリットル体積の第1の液体サンプルを正確に吸引及び排出することができ、同時に、前記制御装置によって吸引された第1の液体サンプルの体積が試料添加針の接続キャビティの容積より小さいことにより、異なる第1の液体サンプルのマイクロ液滴を作製する際に、前記マイクロ液滴作製方法に基づいて試料添加針を交換すればよく、実験操作の複雑さを低減する。
【0009】
本願の1つの主な目的は、上記従来技術の少なくとも1つの欠点を克服し、第2の液体が収容された第2の開口容器が設けられた制御装置を提供することであり、それによって作製されたマイクロ液滴が沈降して第2の開口容器内の平底サンプルセルの底部に平積みされ、ナノリットル体積のマイクロ液滴が第2の液体によって保護されるため、マイクロ液滴の蒸発を回避するとともに、マイクロ液滴の移し取り及び貯蔵ステップ、及び後続のマイクロ液滴イメージング検出分析ステップを簡略化する。
【0010】
本願のもう1つの主な目的は、上記従来技術の少なくとも1つの欠点を克服し、前記制御装置を利用したマイクロ液滴の作製方法を提供することであり、この方法は、第1の液体サンプルの流速及び試料添加針の振動周波数を調節するだけで、大きさが均一で、体積が制御可能なマイクロ液滴の作製を実現することができる。
【0011】
上記目的を実現するために、本願は以下の技術案を採用する。
【0012】
1.マイクロ液滴作製用の制御装置であって、前記制御装置はマイクロ液滴作製手段を含み、
前記マイクロ液滴作製手段は、非対称振動マイクロ液滴生成機構と第1の動的位置決め部材とを含み、前記第1の動的位置決め部材は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に固定接続され、
前記第1の動的位置決め部材は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構を位置決めするように構成され、
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成するように構成される。
【0013】
2.前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、1つの運動周期内に1つのマイクロ液滴を生成する、項1に記載の制御装置。
【0014】
3.前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、振動部材と、振動取付台と、試料添加針と、駆動コントローラとを含み、
前記駆動コントローラは、前記振動部材に電気的に接続され、前記試料添加針がマイクロ液滴を生成するように、前記振動取付台を非対称往復振動又は非対称往復揺動するように駆動する、項1に記載の制御装置。
【0015】
4.前記試料添加針は、前記振動取付台が非対称往復振動又は非対称往復揺動する1つの周期内に1つのマイクロ液滴を生成する、項3に記載の制御装置。
【0016】
5.前記振動部材は、ハウジング、振動子及び振動出力ロッドを含み、
前記振動部材の振動出力ロッドは、前記振動取付台に動力を提供し、
前記振動取付台には、接続ポート、管継手及び試料添加針アダプタを有し、
前記接続ポートの一端は管継手を介して液体供給導管に接続され、他端は試料添加針アダプタを介して前記試料添加針に接続され、
前記試料添加針の中心軸線は、前記振動出力ロッドの軸線に垂直である、項3に記載の制御装置。
【0017】
6.前記非対称往復運動は、前記振動取付台が前記振動出力ロッドの中心軸線に沿う方向に行う非対称往復振動である、項5に記載の制御装置。
【0018】
7.前記非対称往復運動は、前記振動取付台が前記振動出力ロッドの中心軸線を軸心とする非対称揺動である、項5に記載の制御装置。
【0019】
8.前記振動部材の振動周波数は、10~1000Hz、好ましくは50~200Hzであり、
好ましくは、前記振動部材の振動幅は0.1~5mm、好ましくは0.5~2mmである、項3又は5に記載の制御装置。
【0020】
9.前記振動取付台の揺動周波数は、10~1000Hz、好ましくは50~200Hzであり、
好ましくは、前記試料添加針の液体吐出開口と振動出力ロッドの軸線との距離は10~100mm、好ましくは30~80mmであり、前記振動取付台の揺動角度幅は0.05~10°、好ましくは0.2~2°である、項5に記載の制御装置。
【0021】
10.前記振動取付台と前記振動出力ロッドとはカップリングにより接続される、項5に記載の制御装置。
【0022】
11.前記振動部材は、位置センサをさらに含み、前記駆動コントローラは、前記位置センサのリアルタイム位置フィードバック信号を収集することにより、運動の閉ループ制御を実現し、
好ましくは、前記位置センサは、格子スケールセンサ、静電容量式位置センサ、抵抗式センサ、電流式センサ又は差動変圧器式センサのうちの1種である、項3又は5に記載の制御装置。
【0023】
12.前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、前記振動部材を固定するための支持固定台をさらに含み、
好ましくは、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、前記液体供給導管を挟持するためのポンプチューブクランプベースをさらに含む、項5に記載の制御装置。
【0024】
13.前記接続ポートは複数であり、複数の前記接続ポートは、前記振動取付台の内部に等間隔に設けられ、
好ましくは、前記接続ポートは1~96個、好ましくは2個、4個、8個、12個である、項3又は5に記載の制御装置。
【0025】
14.前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、接続ガイド構造体をさらに含み、
前記振動部材の振動出力ロッドは、接続ガイド構造体を介して前記振動取付台に接続され、前記振動取付台に動力を提供する、項5に記載の制御装置。
【0026】
15.前記接続ガイド構造体は、スプラインシャフトとスプラインスリーブとを含むボールスプラインであり、前記スプラインシャフトの両端は、それぞれ前記振動出力ロッドと前記振動取付台とに固定接続される、項14に記載の制御装置。
【0027】
16.前記接続ガイド構造体は、第1の軸受と第2の軸受とを含み、前記振動取付台の一端は、前記第1の軸受を貫通して前記振動出力ロッドに接続され、前記振動取付台の他端は、前記第2の軸受に接続され、前記第1の軸受は、軸方向の係止辺を有する軸受である、項14に記載の制御装置。
【0028】
17.前記制御装置は、マイクロ液滴が生成された後、前記試料添加針を自動的に取り外すための試料添加針取外機構をさらに含む、項3又は5に記載の制御装置。
【0029】
18.前記試料添加針は、両端が開口した錐管状構造であり、一端の開口が前記試料添加針アダプタと緊密に挿着されるための液体供給開口であり、他端の開口がマイクロ液滴を生成するための液体吐出開口であり、前記液体吐出開口の内径が20~300μmであり、外径が150~600μmであり、
好ましくは、前記試料添加針の液体貯蔵体積の範囲は5~500μL、好ましくは20~60μLである、項5に記載の制御装置。
【0030】
19.前記振動取付台が前記非対称往復運動をするとき、試料添加針の液体吐出部の運動は、1つの平衡点と平衡点の両端の2つの反射点とを有し、運動位置対時間の曲線がいずれかの反射点の両側で非対称となるように構成され、
好ましくは、試料添加針の液体吐出部の周期的運動の非対称波形は、正弦波、鋸歯波、台形波、三角波、矩形波のうちの少なくとも1種の非対称組み合わせである、項3又は5に記載の制御装置。
【0031】
20.前記振動部材は連続的又は間欠的な運動を発生する機構として構成され、前記振動部材は電磁式振動デバイス、圧電セラミック式振動デバイス、偏心輪式振動デバイス、サーボモータ、ボイスコイルモータ、ガルバノモータから選ばれる1種である、項3又は5に記載の制御装置。
【0032】
21.前記第1の動的位置決め部材は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構の昇降を制御するための位置決め部材昇降変位機構を含み、
好ましくは、前記第1の動的位置決め部材は、液面検知機構をさらに含む、項1に記載の制御装置。
【0033】
22.前記制御装置は、流体制御手段をさらに含み、
前記流体制御手段は流体駆動装置と導管とを含み、前記導管の一端は前記流体駆動装置に接続され、前記導管の他端は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に接続され、
好ましくは、前記流体駆動装置は、流速を設定して試料添加針に吸液及び排液を行わせるために用いられる、項1に記載の制御装置。
【0034】
23.前記制御装置は、第2の動的位置決め部材をさらに含み、前記第2の動的位置決め部材は、第1の開口容器及び第2の開口容器を固定及び移動するために用いられ、
好ましくは、前記駆動コントローラは、前記流体駆動装置、第1の動的位置決め部材及び第2の動的位置決め部材に動力を提供する、項22に記載の制御装置。
【0035】
24.前記第1の開口容器は単一の貯液槽、一次元貯液槽アレイ又は二次元貯液槽アレイであり、各前記貯液槽の容積は10~1000μL、好ましくは20~200μLであり、
好ましくは、前記第1の開口容器には、第1の液体が収容されており、
好ましくは、前記第2の開口容器は、生成されたマイクロ液滴を平積みするための二次元平底サンプルセルアレイであり、好ましくは、前記第2の開口容器は、容積が等しい24個、32個、96個又は384個の平底サンプルセルを含み、
好ましくは、前記第2の開口容器には、第2の液体が収容されている、項23に記載の制御装置。
【0036】
25.前記流体駆動装置は無脈動駆動ポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、さらに好ましくは、前記流体駆動装置は1つ又は複数である、項22に記載の制御装置。
【0037】
26.前記導管は、液体供給導管と液体吸引導管とを含み、前記液体吸引導管の一端は、電動2位置3方向切換弁の1つの弁口を介して前記流体駆動装置に接続され、前記液体吸引導管の他端は、貯油装置に挿入され、前記液体供給導管の一端は、電動2位置3方向切換弁の1つの弁口を介して前記流体駆動装置に接続され、前記液体供給導管の他端は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に接続される、項22に記載の制御装置。
【0038】
27.前記制御装置は準備手段をさらに含み、前記準備手段は、試料添加針ラックと、油除去機構と、廃棄物受けとを含み、前記油除去機構は廃棄物受けの上方に位置し、試料添加針は前記廃棄物受けの上方で取り外される、項1に記載の制御装置。
【0039】
28.流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすこと、
第1の液体で満たされた試料添加針を第2の液体と接触させ、流体駆動装置の駆動下で、非対称振動マイクロ液滴生成機構は、試料添加針アダプタを駆動して試料添加針を第2の液体の液面下で非対称往復運動させることにより、マイクロ液滴を生成することを含む、項1~27のいずれか一項に記載の制御装置を用いたマイクロ液滴の作製方法。
【0040】
29.流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たす前に、前記方法は、さらに、
a)前記試料添加針アダプタを油除去機構に移動させ、前記流体駆動装置は、キャリア液を吸い上げるように液体吸引導管を駆動して、電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記流体駆動装置はキャリア液を試料添加針アダプタから排出させ、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去すること、
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続させること、
c)試料添加針を油除去機構に移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返して、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去することを含む、項28に記載の方法。
【0041】
30.流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすステップは、
ステップc)の試料添加針を第1の液体が収容された第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を第1の液体に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、試料添加針内に第1の液体を吸入させて試料添加針内を第1の液体で満たすことを含む、項29に記載の方法。
【0042】
31.前記試料添加針の液体排出口から吸入された第1の液体の体積は、試料添加針の接続キャビティの容積よりも小さい、項30に記載の方法。
【0043】
32.前記方法は、第1の液体のマイクロ液滴の作製が完了した後、試料添加針を取り外し、試料添加針を再び挿入して別の第1の液体のマイクロ液滴の作製を行うことをさらに含む、項28に記載の方法。
【0044】
33.前記試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復振動又は非対称揺動を行い、流体駆動装置は、流速を設定して、試料添加針から第1の液体を排出してマイクロ液滴を生成するために用いられる、項28に記載の方法。
【0045】
34.前記試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復運動する1つの周期内に、1つのマイクロ液滴のみを生成する、項28に記載の方法。
【0046】
35.前記第1の動的位置決め部材は、非対称振動マイクロ液滴生成機構を駆動して、試料添加針を第2の液体の液面下に正確に位置決めし、試料添加針は、非対称振動過程において、液面に挿入された平均深さが液面下の0~2.0mmの範囲、好ましくは液面下の0~1.5mmの範囲内に動的に維持されることを特徴とする、項28に記載の方法。
【0047】
上記の技術案から分かるように、本願により提供されるマイクロ液滴水平振動生成機構及びマイクロ液滴生成方法の利点と積極的な効果は以下の通りである。
【0048】
1)空気ピストンの原理に基づくマイクロピペットに比べて、本願により提供される制御装置は、その液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針にキャリア液が満たされ、正方向置換(positive displacement)原理を利用してナノリットル体積の液体サンプルを正確に吸引及び排出することができ、同時に、前記制御装置によって吸引された液体サンプルの体積が試料添加針の接続キャビティの容積より小さいことにより、異なるサンプルのマイクロ液滴を作製する際に、前記マイクロ液滴作製方法に基づいて試料添加針を交換すればよく、実験操作の複雑さを低減する。
【0049】
2)本願により提供される制御装置には、第2の液体が収容された第2の開孔容器の制御装置が設けられ、それによって作製されたマイクロ液滴が沈降して第2の開口容器内の平底サンプルセルの底部に平積みされ、ナノリットル体積のマイクロ液滴が油性の第2の液体によって保護されるため、マイクロ液滴の蒸発を回避するとともに、マイクロ液滴の移し取り及び貯蔵ステップ、及び後続のマイクロ液滴イメージング検出分析ステップを簡略化する。
【0050】
3)本願により提供される制御装置においては、前記マイクロ液滴生成機構の振動部材は、振動取付台における試料添加針の液体吐出開口を、油相液面下の2点の間又は油相液面を跨ぐ2点の間で加速度が変化する周期的往復運動を行うように駆動し、試料添加針内の水相液体の流速及び試料添加針の振動周波数を調節するだけで、大きさが均一で、体積が制御可能なマイクロ液滴の作製を実現する。
【0051】
4)本願により提供される第1の動的位置決め部材においては、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に固定接続され、第1の動的位置決め部材の正確な動的位置決め条件下で、非対称振動マイクロ液滴生成機構が試料添加針を駆動して第2の液体の液面下で非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成することにより、液面の動的変化、液体添加誤差、試料添加針の長さ誤差、システム組み立て誤差等によりマイクロパイプと第2の液体の液面とが接触できない又は挿入された液面深さが深すぎることによる激しい油相の外乱に起因する液滴の二次剪断破砕を回避し、液滴生成システムの安定性、連続性及び一致性を効果的に保証する。
【0052】
5)本願により提供される制御装置においては、前記マイクロ液滴生成機構には、トルク作用力及び径方向作用力に抵抗する接続ガイド構造体が設けられ、マイクロ液滴のアレイ化生成及び試料添加針の自動装着過程における複数の試料添加針及び振動取付台の慣性力及び重力が振動出力ロッドに加えるトルク作用力及び径方向作用力を回避し、非対称往復運動の精密性及びマイクロ液滴の生成の安定性及び均一性を保証する。
【0053】
6)本願により提供される制御装置においては、前記マイクロ液滴生成機構は非対称振動方式を採用し、1つの周期内に唯一の最大速度位置又は最大切断力位置を有することを保証し、試料添加針の非対称加工欠陥が液滴の生成に影響しないため、消耗材の加工欠陥の許容性が強く、液滴作製の信頼性及び均一性を保証する。
【0054】
7)本願により提供される制御装置においては、前記駆動コントローラは、予め設定された非対称振動制御プログラムによって、位置センサのリアルタイムの位置フィードバック信号によって閉ループフィードバック制御を実現し、振動取付台の精密な非対称往復運動を実現し、高精度で均一なナノリットルの液滴生成を実現する。
【0055】
8)本願により提供されるマイクロ液滴の作製方法を利用して、上記した前記制御装置を用いて、液体サンプルの流速及び試料添加針の振動周波数を調節するだけで、大きさが均一で、体積が制御可能なマイクロ液滴の安定した連続作製を実現することができる。
本発明の様々な目的、特徴及び利点は、添付図面を参照して以下の本発明の好適な実施形態を詳細に説明することによって、より明らかになるであろう。図面は、本願の例示的な図解に過ぎず、必ずしも縮尺通りに描かれるものではない。図面中、同一符号は、同一又は類似の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本願により提供されるマイクロ液滴作製用の制御装置の構造模式図である。
【
図2】本願により提供される前記振動出力ロッドの中心軸線方向に沿って非対称往復振動するマイクロ液滴生成機構の立体構造模式図であり、
図1における符号1の拡大図である。
【
図3】本願により提供される前記振動出力ロッドの中心軸線方向に沿って非対称往復振動するマイクロ液滴生成機構の断面構造模式図であり、
図1における符号1の拡大図である。
【
図4】本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の立体構造模式図であり、
図1における符号1の拡大図である。
【
図5】本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の正面図であり、
図1における符号1の拡大図である。
【
図6】本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の断面模式図であり、
図1における符号1の拡大図である。
【
図7】本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の構造及び制御ロジック図である。
【
図8】本願により提供されるマイクロ液滴生成機構に適用される試料添加針の液体吐出部の形態であり、(a)試料添加針の3D立体図であり、(b)試料添加針の断面図であり、(c)試料添加針の液体吐出部が平坦であり、肉厚が均一である理想的な構造であり、(d)試料添加針の液体吐出部が平坦であり、肉厚が均一でなく、試料添加針が左右非対称の構造を呈し、(e)試料添加針の液体吐出部の液体吐出開口の外側にバリ加工欠陥が存在し、(f)試料添加針の液体吐出部の液体吐出開口の内側にバリ加工欠陥が存在する。
【
図9】本願により提供される1つの具体的な実施例におけるマイクロ液滴生成機構が採用する正弦波と鋸歯波の組み合わせの非対称振動の曲線であり、(a)振動位置-時間曲線であり、(b)振動速度-時間曲線である。
【
図10】本願により提供される1つの具体的な実施例におけるマイクロ液滴生成機構が採用する非対称鋸歯波の組み合わせの非対称振動の曲線であり、(a)振動位置-時間曲線であり、(b)振動速度-時間曲線である。
【
図11】本願により提供される1つの具体的な実施例におけるマイクロ液滴生成機構が採用する鋸歯波と矩形波の組み合わせの非対称振動の曲線であり、(a)振動位置-時間曲線であり、(b)振動速度-時間曲線である。
【
図12】本願の比較実施例が採用する対称振動位置-時間曲線であり、(a)正弦波であり、(b)矩形波である。
【
図13】本願の一実施例1において、マイクロ液滴生成機構がマイクロ液滴を生成した結果図である。
【
図14】本願の一実施例2において、マイクロ液滴生成機構がマイクロ液滴を生成した結果図である。
【
図15】本願の一比較例1において、マイクロ液滴生成機構が対称振動波形を採用してマイクロ液滴を生成した結果図である。
【
図16】本願の一比較例2において、マイクロ液滴生成機構が対称振動波形を採用してマイクロ液滴を生成した結果図である。
【
図17】本願により提供される非対称往復振動するマイクロ液滴生成機構の振動位置の模式図である。
【
図18】本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の揺動位置の模式図である。
【
図19】本願により提供される非対称往復振動するマイクロ液滴生成機構の振動位置の模式図である。
【
図20】本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の振動位置の模式図である。
【
図21】本願により提供されるマイクロ液滴作製用の制御装置の構造模式図である。
【
図22】実施例3で生成された液滴の模式図である。
【
図23】実施例4で生成された液滴の模式図である。
【
図24】実施例5で生成された液滴の模式図である。
【
図25】実施例6で生成された液滴の模式図である。
【
図26】実施例7~18における第1の液体のサンプルの異なる流速によって生成された液滴が容器の底部に平積みされる模式図である。
【
図27】実施例19~28で生成された液滴の体積と理論のマイクロ液滴体積との関係の模式図である。
【
図28】実施例29における異なるヒトゲノムサンプルの濃度から生成された異なる体積の液滴の模式図である。
【
図29】実施例29におけるPCRを用いた増幅後のデジタルPCR定量値と核酸サンプル濃度との関係の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本願の特徴及び利点を具現化する典型的な実施例は、以下の説明において詳述される。本願は、異なる実施例において様々な変更を有することができ、本願の範囲を逸脱することなく、その説明及び図面は、本質的に説明するためのものであり、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0058】
本願の異なる例示的な実施形態の以下の説明において、図面を参照して説明し、前記図面は本願の一部を形成し、且つ例示的に本願を実現可能な複数の態様における異なる例示的な構造、システム及びステップを示している。部品、構造、例示的な装置、システム及びステップの他の特定の解決策を使用することができ、本願の範囲から逸脱することなく構造及び機能を変更することができることを理解されたい。また、本明細書において、用語「上端部」、「下端部」、「間」、「側」等を用いて本願の異なる例示的な特徴及び素子を説明することができるが、これらの用語は、本明細書において便宜的なものであり、例えば、図面に記載の例示的な方向に従う。本明細書におけるいかなる内容も、本願の範囲内に入るために構造の特定の3次元方向が必要であると理解すべきではない。
【0059】
図1は、本願に開示されたマイクロ液滴作製用の制御装置の構造模式図であり、
図2~7は、
図1における非対称振動マイクロ液滴生成機構1の拡大図である。
図1において、前記制御装置はマイクロ液滴作製手段を含み、前記マイクロ液滴作製手段は非対称振動マイクロ液滴生成機構1と第1の動的位置決め部材200を含み、前記第1の動的位置決め部材200は前記マイクロ液滴生成機構1に固定接続される。
【0060】
前記第1の動的位置決め部材200は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1を位置決めするように構成される。
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1は、非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成するように構成される。
前記制御装置は流体制御手段をさらに含み、前記流体制御手段は流体駆動装置500と導管(図示せず)を含み、前記導管の一端は前記流体駆動装置500に接続され、前記導管の他端は前記マイクロ液滴生成機構1に接続される。
前記流体駆動装置500は、流速を設定して試料添加針400に吸液及び排液を行わせるために用いられる。
【0061】
前記導管は、液体供給導管501及び液体吸引導管502を含み、前記液体吸引導管502の一端は、電動2位置3方向切替弁(図示せず)の1つの弁口を介して前記流体駆動装置500に接続され、前記液体吸引導管502の他端は、貯油装置(例えば、貯油瓶504)に挿入され、前記液体供給導管501の一端は、電動2位置3方向切替弁の1つの弁口を介して前記流体駆動装置500に接続され、前記液体供給導管501の他端は、前記マイクロ液滴生成機構1に接続される。
【0062】
前記貯油瓶504にはキャリア液505が収容され、流体駆動装置500によって液体吸引導管502、液体供給導管501、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針400をキャリア液505で満たす。
【0063】
前記キャリア液は、例えば、液体アルカン、液体エステル類及びフッ化アルカンのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0064】
一実施形態では、非対称振動マイクロ液滴生成機構の1つの運動周期内に、1つのマイクロ液滴のみが生成される。
【0065】
一実施形態では、非対称振動マイクロ液滴生成機構の非対称往復運動方式は、非対称往復振動及び非対称往復揺動を含んでもよい。振動取付台が非対称往復振動又は非対称往復揺動する1つの周期内に、試料添加針は1つのマイクロ液滴のみを生成する。
【0066】
図2~
図7に示すように、前記マイクロ液滴生成機構1は、振動部材100、接続ガイド構造体105、振動取付台300、試料添加針400及び駆動コントローラ600を含む。
前記振動部材100は、ハウジング101、振動子102及び振動出力ロッド104を含む。
前記振動部材100の振動出力ロッド104は、接続ガイド構造体105を介して前記振動取付台300に接続され、前記振動取付台300に動力を提供する。
前記振動取付台300には、接続ポート304、管継手302及び試料添加針アダプタ301を有する。
前記接続ポート304の一端は管継手302を介して前記液体供給導管501に接続され、他端は試料添加針アダプタ301を介して前記試料添加針400に接続される。
前記試料添加針400の中心軸線は、前記振動出力ロッド104の軸線に垂直である。
前記駆動コントローラ600は、前記振動部材100に電気的に接続され、前記試料添加針がマイクロ液滴を生成するように、前記振動取付台300を非対称運動制御プログラム602に従って非対称往復運動するように駆動する。
【0067】
一実施形態では、前記駆動コントローラ600は、振動駆動回路601と、非対称振動制御プログラム602と、位置補正モジュール603と、位置信号収集モジュール604と、給電制御接続ケーブル605とを含む。駆動コントローラ600は、前記振動部材100に電気的に接続され、振動取付台300を非対称往復運動制御プログラム602に従って非対称往復運動するように駆動する。
【0068】
一実施形態では、前記非対称往復運動は、振動取付台300が前記振動出力ロッド104の中心軸線に沿う方向に行う非対称往復振動である。
【0069】
一実施形態では、前記接続ガイド構造体105は、スプラインシャフト1052とスプラインスリーブ1051とを含むボールスプライン105であり、前記スプラインシャフト1052の両端は、それぞれ前記振動出力ロッド104及び前記振動取付台300に固定接続され、前記スプラインシャフト1052と前記振動出力ロッド104との接続は、接続材106を介してなされる。一実施形態では、前記接続材106は、ねじである。
【0070】
一実施形態では、前記振動部材100は、前記振動取付台300に非対称往復運動の動力を提供し、連続的又は間欠的な振動を発生することができる振動部材であり、電磁式振動デバイス、圧電セラミック式振動デバイス、偏心輪式振動デバイス、サーボモータ、ボイスコイルモータ、ガルバノモータから選ばれる1種である。マイクロ液滴の作製において、具体的に使用される振動装置の振動周波数及び振動幅は、実際の必要に応じて選択することができる。例えば、前記振動部材100の振動周波数は10~1000Hz、好ましくは50~200Hzであり、振動幅は0.1~5mm、好ましくは0.5~2mmである。
【0071】
前記接続ガイド構造体105(ボールスプライン)は、振動取付台300がボールスプライン105の中心軸線方向において往復運動しかできないように、振動取付台300の運動を拘束することができる。具体的には、本願のマイクロ液滴生成機構が実際に応用される場合、前記振動出力ロッド104は、負担する振動取付台300及び試料添加針400の重量によって発生するその軸方向に垂直な径方向の作用力及び振動取付台300の両端のアンバランスな重量によって発生するトルク作用力を受けると、前記振動出力ロッド104又はボールスプライン105の中心軸線方向以外の振動を発生させず、振動取付台300がボールスプライン105の中心軸線方向においてのみ往復運動することができ、マイクロ液滴生成の安定性及び均一性を保証する。
【0072】
前記接続ガイド構造体105の他端は前記振動取付台300に接続され、具体的には、スプラインシャフト1052の一端が前記振動取付台300に接続される。
【0073】
一実施形態では、前記振動部材100は、位置センサ103をさらに含み、前記駆動コントローラ600は、位置信号収集モジュール604により、振動部材100の位置センサ103のリアルタイム位置フィードバック信号を収集し、非対称往復運動制御プログラムとリアルタイムに比較して位置補正モジュール603にフィードバックし、振動駆動回路601の制御パラメータを調節することにより、非対称往復運動の閉ループ制御を実現する。
【0074】
本願の振動部材100は、周期的に非対称往復運動し、1つの平衡点EP(equilibrium point)及び平衡点の両端にある2つの反射点(reflecting-point)RP1及びRP2を有する。非対称往復運動とは、反射点RP1から平衡点EPを経て反射点RP2に到達し、その後、反射点RP2から戻り再び平衡点EPを経て反射点RP1に到達することを、一つの振動周期として定義するものである。
図17は、本願により提供される非対称往復振動するマイクロ液滴生成機構の振動位置の模式図であり、EPがRP1とRP2の中心位置に位置し、即ち、EPとRP1との距離がEPとRP2との距離とは等しい。
図18は本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の振動位置の模式図であり、EPがRP1とRP2の中心位置に位置し、即ち、EPとRP1との距離がEPとRP2との距離とは等しい。
図19は本願により提供される非対称往復振動するマイクロ液滴生成機構の振動位置の模式図であり、EPとRP1との距離がEPとRP2との距離とは等しくない。
図20は本願により提供される非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の振動位置の模式図であり、EPとRP1との距離がEPとRP2との距離とは等しくない。
【0075】
一実施形態では、本願に記載の非対称往復運動する振動部材は、EPがRP1とRP2の中心位置に位置し、平衡点EPにおける位置を0として時間を横軸とし、振動位置を縦軸として曲線とし、振動位置対時間の波形曲線において、任意の反射点(RP1又はRP2)の両側で非対称となる(
図9、
図10及び
図11)。このような周期的な非対称往復運動により、試料添加針の液体吐出開口が、運動の2つの半周期内に、1つの時点又は1つの時間帯のみが最大運動速度に達し、液体吐出開口が受ける油相作用のせん断力が異なり、即ち、液体吐出開口が周期的に運動する過程において、液体吐出開口が1つの周期内に1つの最大せん断力作用点のみを有する。一実施形態では、本願に記載の非対称往復運動する振動部材は、EPとRP1との距離がEPとRP2との距離とは等しくなく、周期的な非対称往復運動により、試料添加針の液体吐出開口が、運動の2つの半周期内に、1つの時点又は1つの時間帯のみが最大運動速度(
図19、
図20)に達し、即ち、液体吐出開口が周期的に運動する過程において、液体吐出開口が1つの周期内に1つの最大せん断力作用区間のみを有する。本願の非対称往復運動に比べて、液面下で左右対称往復振動しても液滴を生成することができるが、振動部材が、1つの全周期に2つの最大作用点を有し、即ち、振動部材が、2つの半周期内にいずれも液滴を生成する可能性があり、即ち、半周期に1つの小液滴を生成するか、又は、全周期に1つの2倍の体積の大液滴を生成する可能性があるため、液滴の大きさに大きな不確定性が存在し、且つ、射出成形等によって加工されたマイクロパイプの開口は、実際に完全に対称にすることができず(
図8d、
図8e、
図8fに示すように)、2つの半周期に生成される液滴の大きさにも差異が存在する。したがって、本願は、非対称往復振動によって、前記対称往復振動による液滴の生成が不均一であるという課題、及び液体吐出開口の加工対称性、精度、及び欠陥に対する要求が高すぎることを解決し、高度に制御可能な均一な液滴生成を実現することができる。
【0076】
非対称往復運動は、様々な形態を取ることができ、一実施形態では、前記非対称往復運動は、前記振動出力ロッドの中心軸線方向に沿った非対称往復振動であり、即ち、振動部材100は、前記振動出力ロッド104の中心軸線方向に沿った往復振動しかできない。一実施形態では、前記非対称往復運動は、前記振動出力ロッド104の中心軸を軸心とする非対称揺動である。
図2及び
図3は、前記振動出力ロッドの中心軸線方向に沿って非対称往復振動するマイクロ液滴生成機構の模式図を示している。
【0077】
一実施形態では、前記非対称往復運動は、振動取付台が前記振動出力ロッドの中心軸線を軸心とする非対称揺動であり、
図4~
図7に示すように、前記振動出力ロッド104の中心軸線を軸心とする非対称揺動するマイクロ液滴生成機構の模式図である。振動部材100は、ハウジング101と、振動子102と、位置センサ103と、振動出力ロッド104とを含む。前記振動部材100の振動出力ロッド104は、接続ガイド構造体105及び接続材106を介して前記振動取付台300に接続され、前記振動取付台300に往復運動の動力を提供する。前記試料添加針400の中心軸線は、前記振動出力ロッド104の軸線に垂直である。
【0078】
接続ガイド構造体105は、振動出力ロッド104に固定された振動取付台300が前記振動出力ロッド104の中心軸線を軸心として非対称揺動しかできないように、振動取付台300の運動を拘束することができる。前記接続ガイド構造体105は、第1の軸受1053と第2の軸受1054とを含み、前記振動取付台300の一端は、前記第1の軸受1053を貫通して前記接続ガイド構造体105に接続され、前記振動取付台300の他端は、前記第2の軸受1054に接続され、前記第1の軸受1053は、軸方向の係止辺を有する軸受である。一実施形態では、前記接続材106はカップリングである。軸方向の係止辺を有する第1の軸受1053により、振動取付台300が振動出力ロッド104の軸線方向に変位しないようにし、第1の軸受1053と第2の軸受1054とを組み合わせて使用することにより、振動部材の構造の安定性及びマイクロ液滴生成の安定性と均一性を保証する。
【0079】
前記振動部材100は、前記振動取付台300に非対称往復運動の動力を提供し、連続的又は間欠的な運動を発生することができる機構であり、電磁式振動デバイス、圧電セラミック式振動デバイス、偏心輪式振動デバイス、サーボモータ、ボイスコイルモータ、ガルバノモータから選ばれる1種である。マイクロ液滴の作製において、具体的に使用される振動装置の振動周波数及び振動幅、又は揺動幅及び揺動は、実際の必要に応じて選択することができる。一実施形態では、前記振動周波数は10~1000Hz、好ましくは50~200Hzである。一実施形態では、前記振動装置の振動幅は0.1~5mm、好ましくは0.5~2mmである。一実施形態では、前記揺動周波数は10~1000Hz、好ましくは50~200Hzである。一実施形態では、前記試料添加針の液体吐出開口と振動出力ロッド104の軸線との距離は10~100mm、好ましくは30~80mmであり、前記振動取付台の揺動角度幅は0.05~10°、好ましくは0.2~2°である。
【0080】
本願の振動取付台300は、試料添加針400の固定装置であり、振動部材100の駆動力を試料添加針400に装填された液体に伝達することで、マイクロ液滴の生成を実現する。前記試料添加針400の中心軸線は、前記振動出力ロッド104の軸線に垂直である。
【0081】
具体的には、前記振動取付台300には接続ポート304を有し、前記接続ポート304の一端が管継手302を介して液体供給導管501に接続され、他端が試料添加針アダプタ301を介して前記試料添加針400に接続される。
【0082】
接続ポート304は、貫通した溝であり、液体供給導管501と試料添加針400とを接続する役割を果たす。実際の応用ニーズに応じて、前記接続ポート304は1つ又は複数、例えば1~96個である。複数の前記接続ポート304は、前記振動取付台300の内部に等間隔に設けられる。好ましくは、前記接続ポート304は2個、4個、8個又は12個である。
【0083】
図8a及び
図8bに示すように、前記試料添加針400は、両端が開口した錐管状構造であり、一端の開口が前記試料添加針アダプタ301と緊密に挿着されるための液体供給開口401であり、試料添加針400と前記試料添加針アダプタ301との気密接続を保持する。他端の開口は試料添加針の液体吐出部402であり、マイクロ液滴を生成するための試料添加針の液体吐出開口403を含み、前記試料添加針の液体吐出開口403の内径は20~300μmであり、外径は150~600μmである。試料添加針の中央は、第1の液体800を貯蔵するための貯液キャビティ404であり、前記試料添加針400の貯液キャビティ404の体積範囲は、5~500μL、好ましくは20~60μLである。
図8c~fは、本願により提供されるマイクロ液滴生成のための非対称往復運動機構に適合する試料添加針400の液体吐出部402の形態である。ここで、
図8cは理想的に加工されたバリのない左右対称の液体吐出部の形態である。本願のマイクロ液滴生成機構の非対称往復振動を利用することにより、試料添加針の液体吐出部402の形態の、左右非対称(
図8d)、液体吐出開口の外側のバリの存在(
図8e)、液体吐出開口の内側のバリの存在(
図8f)を含む欠陥を許容することができる。加工欠陥のサイズは十ミクロンから百ミクロンオーダーであり、従来の加工プロセス条件では、完全に回避できず、液滴作製の均一性に悪影響を与える。
【0084】
図9~
図11に示すように、前記試料添加針400の液体吐出開口の位置は、振動中心位置で左右に揺動し、液体吐出開口403の位置の経時的変化曲線は、正弦波、鋸歯波、台形波、三角波、矩形波のうちの1種又は上記複数種の波形の重畳組み合わせのような複数種の形態を呈することができる。一実施形態では、前記試料添加針400の液体吐出開口の位置の経時的変化曲線は正弦波と鋸歯波の組み合わせ(
図9aに示す)であり、その周期的速度-時間曲線は
図9bに示すようになる。一実施形態では、前記試料添加針400の液体吐出開口の位置の経時的変化曲線は
図10aに示すように短周期鋸歯波と長周期鋸歯波の組み合わせであり、その周期的速度-時間曲線は
図10bに示すようになる。一実施形態では、前記試料添加針400の液体吐出開口の位置の経時的変化曲線は矩形波と鋸歯波の組み合わせ(
図11aに示す)であり、その周期的速度-時間曲線は
図11bに示すようになる。
【0085】
上記波形の特徴は、前記試料添加針400の液体吐出開口の左から右への半ストロークと右から左への半ストロークの速度変化曲線が非対称であり、且つ1つの振動サイクルにおいて、平均速度より大きい最大瞬時速度又は最大速度区間が存在することである。試料添加針400の液体吐出部は、前記非対称往復運動の作用により、1つの往復振動周期内に1つの液滴を生成し、該液滴の生成は往復振動周期内の最大瞬時速度又は最大速度区間によって制御されるため、極めて高い安定性及び信頼性を有する。
【0086】
一実施形態では、本願の振動生成機構は、前記振動部材100を固定し、自動化された試料添加針の装填、移動、液滴作製などの操作を実現するための支持固定台120をさらに含む。
【0087】
一実施形態では、本願の前記振動生成機構は、前記液体供給導管501を挟持するためのポンプチューブクランプベース303(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7参照)をさらに含む。具体的には、ポンプチューブクランプベース303は、使用時に、液体供給導管501を垂直に保持することができ、液体供給の安定性を保証し、生成されたマイクロ液滴が安定して均一になる。
【0088】
一実施形態では、前記第1の動的位置決め部材200は、位置決め部材昇降変位機構201を含み、前記位置決め部材昇降変位機構201は、前記マイクロ液滴生成機構1の昇降及び正確な位置決めを制御するために用いられる。
【0089】
前記第1の動的位置決め部材200は、第1の動的位置決め部材200が試料添加針の開口を第2の開口容器701内に位置する第2の液体の液面702以下の一定深さに正確に位置決めることを補助するための液面検知機構202をさらに含み、液面高さが液滴の持続的な生成により変化した場合又は第2の液体の添加液の体積誤差による液面高さ誤差が存在する場合、制御装置の制御下で動的に高さ位置を調整することにより、液滴生成の長時間にわたる安定性及び均一性を保証する。
【0090】
液面検知機構202は、例えば、高精細CCDカメラ、反射型光電センサ、又は静電容量式距離センサであってもよい。
【0091】
一実施形態では、前記制御装置は、第2の動的位置決め部材900をさらに含み、前記第2の動的位置決め部材900は、第1の開口容器及び第2の開口容器を固定及び移動するための精密2軸水平並進ステージである。
【0092】
一実施形態では、前記駆動コントローラ600は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1を駆動制御するほか、同時に前記流体駆動装置500、第1の動的位置決め部材200及び第2の動的位置決め部材900を駆動制御し、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1と協働して作動する。
【0093】
一実施形態では、前記第1の開口容器801(
図1、
図21)には第1の液体800が収容されている。
【0094】
前記第1の液体は、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)試薬、RT-PCR(Reverse Transcription PCR)試薬、微生物懸濁液又は細胞懸濁液等であってもよい。
【0095】
前記第1の開口容器は、単一の貯液槽、一次元貯液槽アレイ又は二次元貯液槽アレイであり、好ましくは8連式PCRチューブであり、より好ましくは標準96又は384ウェルのELISAプレート又はPCRプレートであり、前記貯液槽の底部は、平底、円底又は錐形底であってもよく、その容積は10~1000μL、好ましくは20~200μLである。
【0096】
例えば、各第1の開口容器の容積は、10μL、20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1000μLなどであってもよい。
【0097】
図1及び
図21に示すように、前記第2の開口容器701内に第2の液体700が予め充填され、前記第2の液体の比重は第1の液体より小さく、前記第2の開口容器は、生成されたマイクロ液滴を平積みするための二次元の平底サンプルセルアレイであり、好ましくは、前記第2の開口容器は容積が等しい24、32、96又は384個の平底サンプルセルを含み、前記平底サンプルセルの形状は矩形又は円形である。
【0098】
前記第2の液体は、界面活性剤を含有する液体アルカン又は液体エステル類のうちの1種又は複数種であり、前記界面活性剤は、トリトン系界面活性剤、ツイーン系界面活性剤、ノニデット系界面活性剤、プルロニック系界面活性剤、スパン系界面活性剤、Brij系界面活性剤、IGEPAL系界面活性剤及びABIL EM/WE系界面活性剤のうちの1種又は複数種である。
【0099】
前記トリトン系界面活性剤は、例えば、Triton X-100、Triton X-405、Triton X-114などであってもよい。
【0100】
前記ツイーン系界面活性剤は、例えばツイーン40、ツイーン60、ツイーン65、ツイーン80、ツイーン85などであってもよい。
【0101】
ノニデット系界面活性剤は、例えば、P40であってよい。
【0102】
プルロニック系界面活性剤は、例えば、プルロニックF-68であってよい。
【0103】
スパン系界面活性剤は、例えば、スパン20、スパン40、スパン60、スパン80、スパン85などであってもよい。
【0104】
Brij系界面活性剤は、例えばBrij30、Brij35、Brij58、Brij97などであってよい。
【0105】
IGEPAL系界面活性剤は、例えば、IGEPAL CO-630、IGEPAL CO-730、IGEPAL CO-520、IGEPAL CO-897などであってよい。
【0106】
ABIL EM/WE系界面活性剤は、例えば、ABIL EM 97、ABIL WE 09などであってよい。
【0107】
一実施形態では、前記試料添加針アダプタは、一端が開口した錐管状構造であり、前記試料添加針アダプタは、前記試料添加針を挿着するために用いられる。
好ましくは、前記試料添加針アダプタは、上から下へ、液体供給導管接続部、接続キャビティ及び液体排出口を含む。
好ましくは、前記接続キャビティの内径は0.5~1.5mm、好ましくは1mmである。
前記接続キャビティの外径は2~4mm、好ましくは2~3mmである。
前記接続キャビティの長さは10~50mm、好ましくは15~25mmである。
【0108】
一実施形態では、前記試料添加針アダプタの数は1~96個であり、好ましくは2個、4個、8個又は12個である。
【0109】
一実施形態では、前記流体駆動装置は、無脈動駆動ポンプであり、好ましくはシリンジポンプである。
【0110】
前記流体駆動装置の数は、1つ又は複数である。
【0111】
一実施形態では、前記液体供給導管501、液体吸引導管502、電気2位置3方向切換弁及び試料添加針アダプタ301には、キャリア液505が満たされ、かつ気泡がない。
【0112】
一実施形態では、前記制御装置は、準備手段(図示せず)をさらに含み、前記準備手段は、試料添加針ラックと、油除去機構と、試料添加針取外機構と、廃棄物受けとを含み、前記油除去機構は、廃棄物受けの上方に位置し、試料添加針は、前記廃棄物受けの上方で取り外される。
【0113】
試料添加針ラック、油除去機構、試料添加針取外機構及び廃棄物受けについては、本願では何ら制限されず、当業者は必要に応じて選択することができ、例えば、油除去機構はスポンジであってもよい。
【0114】
本願は、前記流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、第1の液体で満たすステップと、
第1の液体で満たされた試料添加針の開口を第2の液体の液面下に置き第2の液体との接触を保持し、流体駆動装置の駆動下で、マイクロ液滴生成機構は、試料添加針アダプタを駆動して試料添加針を第2の液体の液面下で非対称往復運動させることにより、第1の液体のマイクロ液滴を生成するステップとを含む、上記の制御装置を用いたマイクロ液滴の作製方法を提供する。
【0115】
一実施形態では、試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復振動又は非対称揺動し、流体駆動装置は、流速を設定して試料添加針から第1の液体を排出させることにより、マイクロ液滴を生成する。
【0116】
一実施形態では、試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復運動する1つの周期内に、1つのマイクロ液滴のみを生成する。
【0117】
一実施形態では、前記流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たす前に、前記方法は、以下のステップのうちの1つ又は複数をさらに含んでもよい。
a)前記試料添加針アダプタを油除去機構に移動させ、前記流体駆動装置は、キャリア液を吸い上げるように前記液体吸引導管を駆動して、前記電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記流体駆動装置はキャリア液を試料添加針アダプタから排出させ、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去すること、
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続させること、
c)試料添加針を油除去機構に移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返して、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去すること。
【0118】
一実施形態では、流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすステップは、
ステップc)の試料添加針を第1の液体が収容された第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を第1の液体に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、試料添加針内に第1の液体を吸入させて試料添加針内を第1の液体で満たすことを含んでもよい。
【0119】
一実施形態では、前記方法は、
a)前記試料添加針アダプタを油除去機構に移動させ、前記流体駆動装置は、キャリア液を吸い上げるように前記液体吸引導管を駆動して、前記電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記流体駆動装置はキャリア液を試料添加針アダプタから排出させ、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去すること、
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続させること、
c)試料添加針を油除去機構に移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返して、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去すること、
d)ステップc)の試料添加針をサンプルが収容された第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を第1の液体に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返して、試料添加針内に第1の液体を吸入させること、
e)ステップd)の試料添加針を第1の開口容器から移動させ、第2の液体が収容された第2の開口容器の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を第2の液体に接触、浸漬させること、
f)試料添加針内の第1の液体が流体駆動装置の駆動により試料添加針の液体排出口から排出されるとともに、マイクロ液滴生成機構が試料添加針アダプタを駆動して試料添加針を第2の液体の液面下で非対称振動又は非対称揺動させ、排出された第1の液体を試料添加針の液体排出口から離脱させ、マイクロ液滴を生成すること、を含んでもよい。
【0120】
一実施形態では、前記試料添加針の液体排出口から吸入されたサンプルの体積は、吸入された第1の液体が液体供給挿入管を汚染することを防止するために、試料添加針の接続キャビティの容積より小さい。
【0121】
一実施形態では、前記方法は、第1の液体のマイクロ液滴の作製が完了した後、試料添加針を取り外し、その後、ステップb)~f)に従って別の試料添加針を挿入し、別の第1の液体のマイクロ液滴を作製することをさらに含む。
【0122】
本願は、上記の装置を用いてマイクロ液滴を作製することにより、マイクロ液滴生成機構の振動部材は、振動取付台における試料添加針の液体吐出開口を、油相液面下の2点の間又は油相液面を跨ぐ2点の間で加速度が変化する周期的往復運動を行うように駆動するため、試料添加針内の水相液体の流速及び試料添加針の振動周波数を調節するだけで、大きさが均一で、体積が制御可能なマイクロ液滴の作製を実現する。
【0123】
実施例1
図1に示すように、前記制御装置はマイクロ液滴作製手段を含み、前記マイクロ液滴作製手段は非対称振動マイクロ液滴生成機構1と第1の動的位置決め部材200を含み、前記第1の動的位置決め部材200は前記マイクロ液滴生成機構1に固定接続され、前記第1の動的位置決め部材200は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1を位置決めするように構成される。
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1は、非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成するように構成される。
前記制御装置は、流体制御手段(図示せず)をさらに含んでもよく、前記流体制御手段は、流体駆動装置500と、液体供給導管501と、液体吸引導管502と、電動2位置3方向切替弁とを含み、前記電動2位置3方向切替弁の1つの弁口は、前記流体駆動装置500に接続され、2つ目の弁口は、前記液体供給導管501の一端に接続され、3つ目の弁口は、前記液体吸引導管502の一端に接続され、前記液体吸引導管502の他端は、貯油瓶504に接続され、前記液体供給導管501の他端は、前記マイクロ液滴生成機構1に接続される。
【0124】
前記第1の動的位置決め部材200は、位置決め部材昇降変位機構201を含み、前記マイクロ液滴生成機構1は、前記第1の動的位置決め部材200の位置決め部材昇降変位機構201に固定接続される。
【0125】
前記第1の動的位置決め部材200は、第1の動的位置決め部材が試料添加針の開口を第2の開口容器701内に位置する第2の液体の液面702(
図21)以下の深さ0.3mmに正確に位置決めすることを補助するための液面検知機構202をさらに含んでもよい。
【0126】
前記制御装置は、第1の開口容器801及び第2の開口容器701を固定及び移動するための第2の動的位置決め部材900をさらに含む。
【0127】
前記第1の開口801は単一の貯液槽であり、前記第1の開口容器801には第1の液体が収容されている。
前記第2の開口容器701は、生成されたマイクロ液滴を平積みするための二次元平底サンプルセルアレイである。
前記制御装置は、準備手段(図示せず)をさらに含んでもよく、前記準備手段は、試料添加針ラックと、油除去機構(スポンジ)と、試料添加針取外機構と、廃棄物受けとを含み、前記油除去機構(スポンジ)は、廃棄物受けの上方に位置し、試料添加針は、前記廃棄物受けの上方で取り外される。
【0128】
ここで、前記マイクロ液滴生成機構は、
図7に示すように、振動部材100と、接続ガイド構造体105と、振動取付台300と、試料添加針400と、駆動コントローラ600とを含む。
【0129】
図2及び
図3に示すように、本実施例におけるマイクロ液滴生成機構は、前記振動出力ロッドの中心軸線方向に沿って非対称往復振動する。マイクロ液滴生成機構は、振動部材、接続ガイド構造体105、支持固定台120、振動取付台300、試料添加針400、及びポンプチューブクランプベース303を含む。振動部材100は、ハウジング101と、振動子102と、位置センサ103と、振動出力ロッド104とを含む。前記振動出力ロッド104の一端は前記ハウジング101に接続され、他端は接続材106を介して前記接続ガイド構造体105の一端に接続され、前記接続ガイド構造体105の他端は前記振動取付台300に接続される。前記試料添加針400の中心軸線は、前記振動出力ロッド104の軸線に垂直である。支持固定台120は、前記振動部材100を固定するために用いられる。
【0130】
接続ガイド構造体105はスプラインシャフト1052とスプラインスリーブ1051を含むボールスプラインであり、前記スプラインシャフト1052の両端はそれぞれ前記振動出力ロッド104と前記振動取付台300に固定接続される。スプラインシャフト1052と前記振動出力ロッド104との接続は、接続材106によってなされる。接続材106は、ネジである。位置センサ103は、一部が振動子に接続され、振動子又は振動出力ロッドとともに運動し、他の一部がスプラインスリーブ1051に固定され、振動中の変位を精密に検出することができる。
【0131】
前記振動部材100は振動モータであり、前記振動子102の振動周波数は100~200Hzであり、振動幅範囲は0.1~5mmであり、実際の応用時、幅範囲は0.5~1.5mmである。
【0132】
前記振動取付台300には接続ポート304を有し、前記接続ポート304の一端は管継手302を介して液体供給導管501に接続され、他端は試料添加針アダプタ301を介して前記試料添加針400に接続される。前記接続ポート304は、8つであり、8つの前記接続ポート304は、前記振動取付台300の内部に等間隔に設けられる。ポンプチューブクランプベース303は、液体供給導管501を垂直に保持するために前記液体供給導管501を挟持するように構成される。
【0133】
前記駆動コントローラ600は、振動駆動回路601と、非対称振動制御プログラム602と、位置補正モジュール603と、位置信号収集モジュール604と、給電制御接続ケーブル605とを含む。駆動コントローラ600は、前記振動部材100に電気的に接続され、振動取付台300を非対称往復運動制御プログラム602に従って非対称往復運動するように駆動する。前記駆動コントローラ600は、位置信号収集モジュール604により、振動部材100の位置センサ103のリアルタイム位置フィードバック信号を収集し、非対称往復運動制御プログラムとリアルタイムに比較して位置補正モジュール603にフィードバックし、振動駆動回路601の制御パラメータを調節することにより、非対称往復運動の閉ループ制御を実現する。
【0134】
駆動コントローラ600は、第1の動的位置決め部材200、第2の動的位置決め部材900及び流体駆動装置500にさらに電気的に接続され、それぞれに動力を提供し、液面高さが液滴の持続的な生成により変化した場合又は第2の液体の添加液の体積誤差による液面高さ誤差が存在する場合、駆動コントローラ600は、第1の動的位置決め部材200を制御して動的に高さ位置を調整し、液滴生成の長時間にわたる安定性及び均一性を保証する。
【0135】
上記の制御装置を用いてマイクロ液滴を作製する方法は、以下のステップを含むことができる。
a)前記試料添加針アダプタをスポンジに移動させ、前記シリンジポンプが前記液体吸引導管を駆動してキャリア液を吸い上げ、前記電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記シリンジポンプがキャリア液を試料添加針アダプタから排出し、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、スポンジにより試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去し、上記のキャリア液はサンプル液体と相溶しない第2の液体であり、前記キャリア液は炭化水素、シリコン又はフルオロカーボンを主成分とする油であり、例えば鉱油、テトラデカン、FC40などである。
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続し、ここで、試料添加針の液体貯蔵体積は60μLであり、試料添加針400を作製する材料はポリプロピレン(PP、純水溶液の接触角は88°)であり、試料添加針400の液体吐出開口の内径は120μmであり、外径は400μmである。
c)試料添加針をスポンジに移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返し、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、スポンジにより試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去する。
d)ステップc)の試料添加針を第1の液体が収容されている第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を水溶液(第1の液体)に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返し、試料添加針内に第1の液体を20μL吸入させる。
e)ステップd)の試料添加針を第1の開口容器から移動させ、鉱油(第2の液体)が収容されている第2の開口容器の上方に移動させ、第1の動的部材は、非対称振動マイクロ液滴生成機構を駆動して下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を鉱油の液面下の0.3mmに接触、浸漬させる。
f)試料添加針内の第1の液体がシリンジポンプの駆動下で試料添加針の液体排出口から排出され、駆動コントローラ600により試料添加針が第2の液体の液面下又は液面を跨いで非対称に周期的に往復運動する駆動制御を実現し、マイクロ液滴生成機構における振動モータが試料添加針アダプタを駆動して試料添加針の液体吐出開口を非対称往復運動させ、運動の位置-時間波形は、
図9に示すように、正弦波と鋸歯波の組み合わせであり、振動幅が1.2mmであり、振動周波数が100Hzであり、マイクロシリンジの流速が100nL/sであり、注射体積が20μLである。上記のパラメータ条件を採用して、1nLのマイクロ液滴を作製し、マイクロ液滴の顕微イメージングは
図13に示すとおりであり、液滴の体積の大きさのCVは1.8%である。
【0136】
実施例2
図1に示すように、前記制御装置はマイクロ液滴作製手段を含み、前記マイクロ液滴作製手段は非対称振動マイクロ液滴生成機構1と第1の動的位置決め部材200を含み、前記第1の動的位置決め部材200は前記マイクロ液滴生成機構1に固定接続され、前記第1の動的位置決め部材200は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1を位置決めするように構成される。
【0137】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構1は、非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成するように構成される。
【0138】
前記制御装置は、流体制御手段(図示せず)をさらに含み、前記流体制御手段は、流体駆動装置500と、液体供給導管501と、液体吸引導管502と、電動2位置3方向切換弁とを含み、前記電動2位置3方向切換弁の1つの弁口が前記流体駆動装置500に接続され、2つ目の弁口が前記液体供給導管501の一端に接続され、3つ目の弁口が前記液体吸引導管502の一端に接続され、前記液体吸引導管502の他端が貯油瓶504に接続され、前記液体供給導管501の他端が前記マイクロ液滴生成機構1に接続される。
【0139】
前記第1の動的位置決め部材200は、位置決め部材昇降変位機構201を含み、前記マイクロ液滴生成機構1は、前記第1の動的位置決め部材200の位置決め部材昇降変位機構201に固定接続される。
【0140】
図21に示すように、前記第1の動的位置決め部材200は、第1の動的位置決め部材が試料添加針の開口を第2の開口容器701内に位置する第2の液体の液面702以下の0.3mmに正確に位置決めすることを補助するための液面検知機構202をさらに含み、前記液面検知機構は、高精細CCDカメラであり、試料添加針の液面への挿入過程に対してリアルタイムにイメージングして、画像解析により、試料添加針と液面との距離及び挿入状態を判断する。上記の高精細CCDカメラは、第1の動的位置決め部材が試料添加針の開口を第2の開口容器内に位置する第2の液体の液面下の一定深さに正確に位置決めすることを補助し、液面高さが液滴の持続的な生成により変化した場合又は第2の液体の添加液の体積誤差による液面高さ誤差が存在する場合、第1の動的位置決め部材が制御装置の制御下で動的に高さ位置を調整することを補助し、液滴生成の長時間にわたる安定性及び均一性を保証する。
【0141】
前記制御装置は、第1の開口容器801及び第2の開口容器701を固定及び移動するための第2の動的位置決め部材900をさらに含む。
【0142】
前記第1の開口容器801は単一の貯液槽であり、前記第1の開口容器801には第1の液体800が収容されている。
前記第2の開口容器701は、生成されたマイクロ液滴を平積みするための二次元平底サンプルセルアレイである。
前記制御装置は、準備手段(図示せず)をさらに含み、前記準備手段は、試料添加針ラックと、油除去機構(スポンジ)と、試料添加針取外機構と、廃棄物受けとを含み、前記油除去機構(スポンジ)は、廃棄物受けの上方に位置し、試料添加針は、前記廃棄物受けの上方で取り外される。
【0143】
ここで、前記マイクロ液滴生成機構は、
図7に示すように、振動部材100と、接続ガイド構造体105と、振動取付台300と、試料添加針400と、駆動コントローラ600とを含む。
【0144】
図4~
図7に示すように、本実施例におけるマイクロ液滴生成機構は、振動取付台300を前記振動出力ロッド104の中心軸線を軸心として非対称揺動するように駆動する。マイクロ液滴生成機構は、振動部材100と、接続ガイド構造体105と、支持固定台120と、振動取付台300と、試料添加針400と、支持固定台120と、ポンプチューブクランプベース303とを含む。振動部材100は、ハウジング101と、振動子102と、位置センサ103と、振動出力ロッド104とを含む。前記振動出力ロッド104は、一端が前記ハウジング101に接続され、他端が接続ガイド構造体105及び接続材106を介して振動取付台300に接続される。前記試料添加針400の中心軸線は、前記振動出力ロッド104の軸線に垂直である。
【0145】
前記接続ガイド構造体105は、第1の軸受1053と第2の軸受1054とを含み、前記振動取付台300の一端は、前記第1の軸受1053を貫通して前記取付材103に接続され、前記振動取付台300の他端は、前記第2の軸受1054に接続され、ここで前記第1の軸受1053は、軸方向の係止辺を有する軸受である。前記接続材106は、カップリングである。
【0146】
前記振動部材101はガルバノモータであり、前記振動子102の振動周波数は100~500Hzであり、振動幅範囲は0.1~5mmであり、実際の応用時、振動周波数は100~200Hzであり、幅範囲は0.5~1.5mmである。
【0147】
前記振動取付台300には接続ポート304を有し、前記接続ポート304の一端は管継手302を介して液体供給導管501に接続され、他端は試料添加針アダプタ301を介して前記試料添加針400に接続される。前記接続ポート304は、4つであり、4つの前記接続ポート304は、前記振動取付台300の内部に等間隔に設けられる。ポンプチューブクランプベース303は、液体供給導管501を垂直に保持するために前記液体供給導管501を挟持するように構成される。
【0148】
前記駆動コントローラ600は、振動駆動回路601と、非対称振動制御プログラム602と、位置補正モジュール603と、位置信号収集モジュール604と、給電制御接続ケーブル605とを含む。駆動コントローラ600は、前記振動部材100に電気的に接続され、振動取付台300を非対称往復運動制御プログラム602に従って非対称往復運動するように駆動する。前記駆動コントローラ600は、位置信号収集モジュール604により、振動部材100の位置センサ103のリアルタイム位置フィードバック信号を収集し、非対称往復運動制御プログラムとリアルタイムに比較して位置補正モジュール603にフィードバックし、振動駆動回路601の制御パラメータを調節することにより、非対称往復運動の閉ループ制御を実現する。
【0149】
前記駆動コントローラ600は、さらに、第1の動的位置決め部材200、第2の動的位置決め部材900及び流体駆動装置500に電気的に接続され、それぞれに動力を提供する。
【0150】
上記の制御装置を用いてマイクロ液滴を作製する方法は、以下のステップを含む。
a)前記試料添加針アダプタをスポンジに移動させ、前記シリンジポンプが前記液体吸引導管を駆動してキャリア液を吸い上げ、前記電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記シリンジポンプがキャリア液を試料添加針アダプタから排出し、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、スポンジにより試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去し、上記のキャリア液はサンプル液体と相溶しない第2の液体であり、前記キャリア液は炭化水素、シリコン又はフルオロカーボンを主成分とする油であり、例えば鉱油、テトラデカン、FC40などである。
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続し、ここで、試料添加針の液体貯蔵体積は60μLであり、試料添加針400を作製する材料はポリプロピレン(PP、純水溶液の接触角は88°)であり、試料添加針400の液体吐出開口の内径は120μmであり、外径は400μmである。
c)試料添加針をスポンジに移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返し、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、スポンジにより試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去する。
d)ステップc)の試料添加針を第1の液体が収容されている第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を水溶液(第1の液体)に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返し、試料添加針内に第1の液体を20μL吸入させる。
e)ステップd)の試料添加針を第1の開口容器から移動させ、鉱油(第2の液体)が収容されている第2の開口容器の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を第2の液体に接触、浸漬させ、試料添加針の第2の液体の液面への浸漬深さは0.3mmである。
f)試料添加針内の第1の液体がシリンジポンプの駆動下で試料添加針の液体排出口から排出され、試料添加針を第2の液体の液面下又は液面を跨いで非対称に周期的に往復運動させる駆動信号発生器として駆動コントローラ600を利用して、マイクロ液滴生成機構における振動モータが試料添加針アダプタを駆動して試料添加針の液体吐出開口を非対称往復運動させ、運動の位置-時間波形は、
図11に示すように、矩形波と鋸歯波の組み合わせであり、振動の周波数が100Hzであり、振幅が1.2mmであり、シリンジポンプの流速が100nL/sであり、注射体積が20μLである。1nLのマイクロ液滴を作製し、マイクロ液滴の顕微イメージングは
図14に示すとおりであり、液滴の体積は1nLであり、体積のCV値は2.1%である。
【0151】
比較例1
比較例1は、マイクロ液滴生成機構が前記振動出力ロッドの中心軸線方向に沿って対称往復振動し、振動波形が正弦波(
図12aに示す)であり、振動の幅が1.2mmであり、振動の周波数が100Hzであり、マイクロシリンジの流速が100nL/sであり、注射体積が20μLである点で実施例1と異なる。マイクロ液滴生成機構を含む他の構造及びマイクロ液滴の作製方法の条件は、いずれも実施例1と同じである。作製されたマイクロ液滴は
図15に示され、液滴の体積の大きさは不均一であり、体積のCV値が35%である。さらなる顕微高速イメージング観察により、振動の2つの半周期にいずれも液滴の切断があり、且つ試料添加針の加工によるバリなどの欠陥により、一部の場合、1つの周期に試料添加針の液体吐出開口における液滴が油相せん断力により切断されず、1nL、1.5nL又は2nLの液滴が生成されやすいことが分かった。
【0152】
比較例2
比較例2は、マイクロ液滴生成機構が前記振動出力ロッドの中心軸線方向に沿って対称往復振動し、振動波形が矩形波(
図12bに示す)であり、振幅が1.2mmであり、振動の周波数が200Hzであり、マイクロシリンジの流速が200nL/sであり、注射体積が20μLである点で実施例1と異なる。マイクロ液滴生成機構を含む他の構造及びマイクロ液滴の作製方法の条件は、いずれも実施例1と同じである。作製されたマイクロ液滴は
図16に示され、液滴の大きさのCV値が15%であり、さらなる顕微高速イメージング観察により、1つの振動周期内に、試料添加針の液体吐出開口が上半周期と下半周期でいずれも1つの液滴を生成するが、試料添加針の加工による軸不一致などの欠陥により、上半周期で生成された液滴と下半周期で生成された液滴の体積の大きさが一致せず、大きな体積誤差が導入された。
【0153】
比較例3
比較例3は、マイクロ液滴生成機構が接続ガイド構造体105を含まない点で実施例1と異なる。すなわち、出力ロッド104は、接続材106を介して振動取付台300に直接接続される。その他の構造は実施例1と同様である。実施例1と同じマイクロ液滴の作製方法でマイクロ液滴を作製した。該振動機構の振動騒音が大きく、共振が顕著であり、作製されたマイクロ液滴の体積のCV値が7.5%であり、マイクロ液滴の体積が実施例1に比べて均一性が悪く、大きな体積誤差が導入された。試料添加針を取り付ける際に、接続ガイド構造体がないため、振動部材がトルク作用力及び径方向作用力に抵抗できず、34回使用した後、ガルバノミラー振動出力ロッドと振動モータとの接続箇所が湾曲し、正常な試料添加針の挿入を実現できない。
【0154】
比較例4
比較例4は、マイクロ液滴生成機構が前記振動出力ロッド104の中心軸線を軸心として対称に揺動する点で実施例2と異なり、マイクロ液滴生成機構を含む他の構造及びマイクロ液滴の作製方法の条件がいずれも実施例2と同じである。具体的な対称往復運動のパラメータは、振動波形が矩形波(
図12b)であり、振動の幅が1.2mmであり、振動の周波数が100Hzであり、マイクロシリンジの流速が100nL/sであり、注射体積が20μLである。作製されたマイクロ液滴の均一性が悪く、マイクロ液滴の体積のCV値が8.5%であり、大きな体積誤差が導入された。
【0155】
比較例5
比較例5は、マイクロ液滴生成機構が接続ガイド構造体105を含まない点で実施例2と異なる。すなわち、出力ロッド104は、接続材106を介して振動取付台300に直接接続される。その他の構造は実施例2と同様である。実施例2と同じマイクロ液滴の作製方法でマイクロ液滴を作製した。作製されたマイクロ液滴は
図12aに示すとおりである。具体的な対称往復運動のパラメータは、振動波形が正弦波、振動の幅が1.2mm、振動の周波数が100Hz、マイクロシリンジの流速が100nL/s、注射体積が20μLである。作製されたマイクロ液滴の均一性が悪く、マイクロ液滴の体積のCV値が7.4%であり、大きな体積誤差が導入された。該振動機構の振動騒音が大きく、共振が顕著であり、試料添加針を取り付ける際に、接続ガイド構造体がないため、振動部材がトルク作用力及び径方向作用力に抵抗できず、25回使用した後、ガルバノミラー振動出力ロッドが湾曲し、正常な試料添加針の挿入を実現できない。
【0156】
比較例6
比較例6は、マイクロ液滴生成機構が試料添加針アダプタ301を含まない点で実施例2と異なる。すなわち、液体供給導管501は、振動取付台300を貫通して試料添加針401に直接接続される。その他の構造は実施例2と同様である。実施例2と同じマイクロ液滴の作製方法でマイクロ液滴を作製した。作製されたマイクロ液滴は
図12aに示すとおりである。具体的な対称往復運動のパラメータは、振動波形が正弦波、振動の幅が1.2mm、振動の周波数が100Hz、マイクロシリンジの流速が100nL/s、注射体積が20μLである。作製されたマイクロ液滴の均一性が悪く、マイクロ液滴の体積のCV値が30%であり、大きな体積誤差が導入された。試料添加針を取り付ける際に、試料添加針アダプタがないため、密閉性が良くなく、漏れにより液滴生成体積が不正確になりやすい。
【0157】
ここで、上記の各実施例及び比較例の振動部材のパラメータ及び液滴の生成結果を表1に示す。
【0158】
【0159】
上記の実施例から分かるように、本願により提供される非対称往復運動を採用すると、試料添加針の加工欠陥及び開口部の射出成形誤差による非対称に起因する液滴の大きさの不均一を効果的に回避することができる。
【0160】
実施例3~6
実施例3~6は、第1の動的位置決め部材が試料添加針を液面下の0.5mm、1.0mm、1.5mm及び2.5nmの深さに位置決める点で実施例1と異なる。非対称振動マイクロ液滴生成機構により、液滴が生成され、容器の底部に平積みした後、顕微鏡でイメージングして観察したところ、以下の通りであった。
実施例3:試料添加針を液面下の0.5mmに位置決めし、生成された液滴を
図22に示す。生成された液滴は均一であり、体積は1nLであった。
実施例4:試料添加針を液面下の1.0mmに位置決めし、生成された液滴を
図23に示す。生成された液滴は均一であり、体積は1nLであった。
実施例5:試料添加針を液面下の1.5mmに位置決めし、生成された液滴を
図24に示す。生成された液滴は均一であり、体積は1nLであった。
実施例6:試料添加針を液面下の2.5mmに位置決めし、生成された液滴を
図25に示す。生成時に液滴が均一であったが、液滴は油相によって乱され一部が破砕された。
【0161】
実験から分かるように、試料添加針が液面下に0.0~1.5mm位置する場合、生成された液滴は均一で、体積が正確であり、液滴を生成する過程において、液滴は規則的に沈降することができ、試料添加針による妨害を受けない。
【0162】
実施例3~6の実験結果から分かるように、本願により提供されるマイクロ液滴作製用の制御装置を用いると、試料添加針の液面への挿入深さを効果的に制御し、液滴の大きさの均一性及び液滴生成システムの安定性及び信頼性を確保するために、非対称振動マイクロ液滴生成機構と第1の動的位置決め部材とを組み合わせる必要がある。液滴生成装置の実際の使用過程において、通常、アレイ式試料添加針を用いてアレイ容器内で液滴を生成する。複数の試料添加針の加工誤差、組立誤差、容器内の油相の体積誤差による液面誤差はいずれも避けられず、また、液滴生成の数が増加するにつれて、第2の液体の液面が徐々に上昇し、試料添加針の液面への挿入深さは徐々に許容される深さ範囲から外れてしまう。動的高さ調節機能を有する第1の動的位置決め部材は、上記の誤差及び液滴生成過程の液面変化がシステムの安定性及び信頼性に影響を与えないことを保証することができる。
【0163】
実施例7~18
実施例7~18は、振動周波数を120Hzに固定し、第1の液体のサンプル流速をそれぞれ120nL/s、240nL/s、360nL/s、480nL/s、600nL/s、720nL/s、840nL/s、960nL/s、1080nL/s、1200nL/s、1320nL/s、及び1440nL/sに設定する点で実施例1と異なる。上記条件下で、非対称振動マイクロ液滴生成機構により液滴を生成し、生成された液滴を容器の底部に平積みした後、顕微鏡でイメージングして観察したところ、
図26に示すように、生成された液滴の体積はそれぞれ1nL、2nL、3nL、4nL、5nL、6nL、7nL、8nL、9nL、10nL、11nL及び12nLであった。液滴の大きさは均一であり、液滴の体積は流速を振動周波数で割ったものに等しい。
【0164】
実施例7~18は、本願により提供されるマイクロ液滴作製用の制御装置の制御可能な液滴生成における利点を検証した。
【0165】
実施例19~28
実施例19~28は、表2に示すように、第1の液体のサンプル流速及び試料添加針の振動周波数で実施例1と異なる。マイクロ液滴作製用の制御装置を用いて非対称振動により生成された液滴の理論体積は流速を振動周波数で割ったものである。実施例19~28で生成された液滴の体積は、生成された液滴の実際の体積及び理論体積と一致し、生成された液滴の体積と理論液滴の体積値との間の線形相関性は、理論的に計算された線形と一致し(R
2=0.9999、
図27)、体積はそれぞれ200pL、500pL、1nL、5nL、10nL、50nL、100nL、500nL、1μL及び2μLであった。
【0166】
実施例19~28は、本願を採用すると、流速、振幅、周波数を調節することにより、サイズ調整可能な液滴生成を迅速に実現でき、生成条件が柔軟で制御可能であり、5オーダーの(200pLから2μL)体積が調整可能なマイクロ液滴の制御可能な生成を実現でき、従来のマイクロ流体チップ法による液滴生成の制御可能区間をはるかに超え、且つ前記試料添加針の構造を変更する必要がないことをさらに証明した。従来のマイクロ流体チップ法による液滴生成技術に比べて、本願により提供される装置は、液滴の大きさを直接設定することができ、経験に基づいて液滴の体積観測及びパラメータ最適化を行って液滴の大きさを決定する必要がなく、液滴の体積が前記試料添加針の内径変化の影響を受けず、非常に良好な一致性を有する。
【0167】
【0168】
実施例29
本実施例は、本願により提供されるマイクロ液滴作製用の制御装置を用いて多重体積デジタルPCR検出を行う性能を検証した。従来のデジタルPCR装置、例えば、米国バイオ・ラッド社のQX200、米国サーモフィッシャーサイエンティフィック社のQuantStudio3D、フランスStilla社のNaicaなどのシステムは、生成された液滴又はマイクロ反応の体積が一定であり、液滴の体積が0.5~0.8nLである。動的線形検出範囲は、通常、10
5オーダーである。動的範囲は狭く、感度と量子化限界はトレードオフの関係にある。本実施例は、マイクロ液滴作製用の制御装置を利用して、必要に応じて複数の所定体積の液滴アレイを生成し、さらにデジタルPCRの精度及び動的検出範囲を提供した。典型的なデジタルPCRポアソン分布モデルに基づいて、異なる体積のマイクロ液滴の定量上限を推定した。計算から分かるように、液滴の体積が減少するにつれて、液滴の定量の検出上限が増加し、それは主に同一の反応系において、マイクロ液滴が小さいほど、分割可能な単位の数が多くなり、それにより、同一濃度において、陽性液滴の数が全液滴の数に占める比率が異なるため、検出限界が向上するからである。そして、理論モデルに基づいて、異なる体積のマイクロ液滴の定量的動的範囲を理論的に計算し、異なる液滴体積条件下で、デジタルPCR線形検出動的範囲を予測した。0.2nL、0.5nL、1nL、2.5nL及び5nL体積の液滴の95%信頼度定量区間は、
図29の異なる形式の点鎖線に示すとおりである。5種類の体積の液滴の95%信頼度定量区間を統合したものは
図29の実線の曲線に示すとおりである。異なる体積方法により、理論的に、動的定量範囲を10
5オーダーから10
6オーダーに拡張できることが分かる(表3に示す)。
【0169】
【表3】
備考:
[1]各条件の定量上限は、陽性液滴の分率が0.95のときに観察された濃度であり、
[2]各条件の検出下限は、1つの反応中に5つの陽性液滴があることである。
【0170】
実際の実験手順は以下の通りである。
配置されたデジタルPCR反応系の体積は25μLであり、12.5μLの2×dPCR Super Mix(北京達微生物有限公司)、6.9μLの脱イオン水、0.6μLのDNAポリメラーゼ(北京達微生物有限公司)、2.5μLの10×PCRプライマープローブ、及び2.5μLの核酸テンプレートからなる。検出される標的はヒトゲノムDNA(gDNA)におけるEIF5B(真核翻訳開始因子5B)遺伝子である(表4に示す)。
【0171】
【0172】
gDNAサンプル(TaqMan Control Genomic DNA、Applied Biosystems、米国)をTEバッファーで100,000、10,000、1,000、100、10及び1コピー/μLの濃度に連続希釈した。ブランク対照として純水を用いた。実施例1の他の実験条件と同様に、マイクロ液滴作製用の制御装置を用いて120Hz周波数で、それぞれ24nL/s、60nL/s、120nL/s、300nL/s及び600nL/sの流速を採用し、0.2nL、0.5nL、1nL、2.5nL及び5nLの液滴を生成することに成功し、その結果、
図28に示すように、生成された液滴は、平底ウェルプレート(北京達微生物有限公司)において平面単層液滴アレイを形成した。平底ウェルプレートを平板PCR増幅器(北京達微生物有限公司)において、95℃で5分間、94℃で20秒間及び58℃で1分間の45サイクルのPCR手順で増幅し、最後に25℃に保持した。増幅後、平底、ウェルプレートを蛍光リーダーに移して液滴蛍光画像を収集し、デジタルPCR解析ソフトウェアを用いて結果解析を行い、異なる濃度、異なる液滴体積のEIF5B遺伝子の絶対定量結果を得た。
【0173】
結果を
図29に示す。
図29から分かるように、0.2nL、0.5nL、1nL、2.5nL、5nLなどの異なる体積のマイクロ液滴を生成することにより、1~10
5copies/μLのヒトゲノムgDNAテンプレート濃度の範囲で検出定量の動的範囲を考察した。各体積の液滴の定量結果を線形回帰したところ、0.2nL、0.5nL、1nL、2.5nL及び5nLのマイクロ液滴の定量のR値はそれぞれ0.979、0.980、0.995、0.993、0.987であり、全ての体積の液滴に対して共同定量を行ったところ、R値は0.996であった。
【0174】
上記した結果は、体積の異なる液滴の定量結果を総合的に統計することにより、デジタルPCRの定量検出の動的範囲を大幅に拡張することができ、定量の正確性を向上させることができることを示している。現在、主流の蛍光定量PCRの線形範囲は5~7個のlog10濃度範囲であり、チップ法による輸入品のデジタルPCRは、通常、線形範囲が4~5個のlog10濃度範囲であり、線形動的範囲は蛍光定量PCRより狭い。本願で提供される液滴生成用の制御装置は、デジタルPCRの消耗品コストを大幅に低減し、自動化された液滴アレイの作製を実現しただけでなく、多重体積技術により、デジタルPCRの線形動的範囲をさらに拡張することができ、デジタルPCRのウイルス量の定量的検出、希少突然変異の高感度検出などの応用の普及において、重要な意味を有する。
【0175】
以上、本願により提供されるマイクロ液滴生成用の制御装置の例示的な実施形態を詳細に説明及び/又は図示した。しかしながら、本願の実施形態は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されず、逆に、各実施形態の構成要素及び/又はステップは、本明細書に記載された他の構成要素及び/又はステップとは独立して別々に使用されてもよい。一実施形態の各構成要素及び/又は各ステップは、他の実施形態の他の構成要素及び/又はステップと組み合わせて使用されてもよい。ここで説明及び/又は図示された要素/構成部分/等を紹介する際に、用語「1つ」、「1」及び「上記」等は、1つ又は複数の要素/構成部分/等が存在することを示す。「含む」、「含有」及び「有する」という用語は、オープンな包含を意味するために使用され、列挙された要素/構成要素/等に加えて、追加の要素/構成要素/等が存在し得ることを意味する。また、特許請求の範囲及び明細書における用語「第1」及び「第2」等は、符号としてのみ使用され、その対象の数字を制限するものではない。
【符号の説明】
【0176】
1-非対称振動マイクロ液滴生成機構、100-振動部材、101-ハウジング、102-振動子、103-位置センサ、104-振動入力ロッド、105-接続ガイド構造体、1051-スプラインスリーブ、1052-スプラインシャフト、1053-第1の軸受、1054-第2の軸受、106-接続材、120-支持固定台、200-第1の動的位置決め部材、201-位置決め部材昇降変位機構、202-液面検知機構、300-振動取付台、301-試料添加針アダプタ、302-管継手、303-ポンプチューブクランプベース、304-接続ポート、400-試料添加針、401-試料添加針の液体供給開口、402-試料添加針の液体吐出部、403-試料添加針の液体吐出開口、404-試料添加針の液体貯蔵部、500-流体駆動装置、501-液体供給導管、502-液体吸引導管、503-マイクロシリンジ、504-貯油瓶、505-キャリア液、600-駆動コントローラ、601-振動駆動回路、602-非対称振動制御プログラム、603-位置補正モジュール、604-位置信号収集モジュール、605-給電制御接続ケーブル、700-第2の液体、701-第2の開口容器、702-第2の液体の液面、703-第1の液体のマイクロ液滴、800-第1の液体、801-第1の開口容器、EP-振動の平衡位置、RP1及びRP2-平衡位置の両側に位置する反射位置、900-第2の動的位置決め部材。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ液滴作製用の制御装置であって、前記制御装置はマイクロ液滴作製手段を含み、
前記マイクロ液滴作製手段は、非対称振動マイクロ液滴生成機構と第1の動的位置決め部材とを含み、前記第1の動的位置決め部材は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に固定接続され、
前記第1の動的位置決め部材は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構を位置決めするように構成され、
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、非対称往復運動方式によりマイクロ液滴を生成するように構成される、ことを特徴とするマイクロ液滴作製用の制御装置。
【請求項2】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、1つの運動周期内に1つのマイクロ液滴を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、振動部材と、振動取付台と、試料添加針と、駆動コントローラとを含み、
前記駆動コントローラは、前記振動部材に電気的に接続され、前記試料添加針がマイクロ液滴を生成するように、前記振動取付台を非対称往復振動又は非対称往復揺動するように駆動する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記試料添加針は、前記振動取付台が非対称往復振動又は非対称往復揺動する1つの周期内に1つのマイクロ液滴を生成する、ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記振動部材は、ハウジング、振動子及び振動出力ロッドを含み、
前記振動部材の振動出力ロッドは、前記振動取付台に動力を提供し、
前記振動取付台には、接続ポート、管継手及び試料添加針アダプタを有し、
前記接続ポートの一端は管継手を介して液体供給導管に接続され、他端は試料添加針アダプタを介して前記試料添加針に接続され、
前記試料添加針の中心軸線は、前記振動出力ロッドの軸線に垂直である、ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記非対称往復運動は、前記振動取付台が前記振動出力ロッドの中心軸線に沿う方向に行う非対称往復振動である、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記非対称往復運動は、前記振動取付台が前記振動出力ロッドの中心軸線を軸心とする非対称揺動である、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記振動部材の振動周波数は、10~1000Hz、好ましくは50~200Hzであり、
好ましくは、前記振動部材の振動幅は0.1~5mm、好ましくは0.5~2mmである、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項9】
前記振動取付台の揺動周波数は、10~1000Hz、好ましくは50~200Hzであり、
好ましくは、前記試料添加針の液体吐出開口と振動出力ロッドの軸線との距離は10~100mm、好ましくは30~80mmであり、前記振動取付台の揺動角度幅は0.05~10°、好ましくは0.2~2°である、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項10】
前記振動取付台と前記振動出力ロッドとはカップリングにより接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項11】
前記振動部材は、位置センサをさらに含み、前記駆動コントローラは、前記位置センサのリアルタイム位置フィードバック信号を収集することにより、運動の閉ループ制御を実現し、
好ましくは、前記位置センサは、格子スケールセンサ、静電容量式位置センサ、抵抗式センサ、電流式センサ又は差動変圧器式センサのうちの1種である、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項12】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、前記振動部材を固定するための支持固定台をさらに含み、
好ましくは、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、前記液体供給導管を挟持するためのポンプチューブクランプベースをさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項13】
前記接続ポートは複数であり、複数の前記接続ポートは、前記振動取付台の内部に等間隔に設けられ、
好ましくは、前記接続ポートは1~96個、好ましくは2個、4個、8個、12個である、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項14】
前記非対称振動マイクロ液滴生成機構は、接続ガイド構造体をさらに含み、
前記振動部材の振動出力ロッドは、接続ガイド構造体を介して前記振動取付台に接続され、前記振動取付台に動力を提供する、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項15】
前記接続ガイド構造体は、スプラインシャフトとスプラインスリーブとを含むボールスプラインであり、前記スプラインシャフトの両端は、それぞれ前記振動出力ロッドと前記振動取付台とに固定接続される、ことを特徴とする請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記接続ガイド構造体は、第1の軸受と第2の軸受とを含み、前記振動取付台の一端は、前記第1の軸受を貫通して前記振動出力ロッドに接続され、前記振動取付台の他端は、前記第2の軸受に接続され、前記第1の軸受は、軸方向の係止辺を有する軸受である、ことを特徴とする請求項14に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御装置は、マイクロ液滴が生成された後、前記試料添加針を自動的に取り外すための試料添加針取外機構をさらに含む、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項18】
前記試料添加針は、両端が開口した錐管状構造であり、一端の開口が前記試料添加針アダプタと緊密に挿着されるための液体供給開口であり、他端の開口がマイクロ液滴を生成するための液体吐出開口であり、前記液体吐出開口の内径が20~300μmであり、外径が150~600μmであり、
好ましくは、前記試料添加針の液体貯蔵体積の範囲は5~500μL、好ましくは20~60μLである、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項19】
前記振動取付台が前記非対称往復運動をするとき、試料添加針の液体吐出部の運動は、1つの平衡点と平衡点の両端の2つの反射点とを有し、運動位置対時間の曲線がいずれかの反射点の両側で非対称となるように構成され、
好ましくは、試料添加針の液体吐出部の周期的運動の非対称波形は、正弦波、鋸歯波、台形波、三角波、矩形波のうちの少なくとも1種の非対称組み合わせである、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項20】
前記振動部材は連続的又は間欠的な運動を発生する機構として構成され、前記振動部材は電磁式振動デバイス、圧電セラミック式振動デバイス、偏心輪式振動デバイス、サーボモータ、ボイスコイルモータ、ガルバノモータから選ばれる1種である、ことを特徴とする請求項3又は5に記載の制御装置。
【請求項21】
前記第1の動的位置決め部材は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構の昇降を制御するための位置決め部材昇降変位機構を含み、
好ましくは、前記第1の動的位置決め部材は、液面検知機構をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項22】
前記制御装置は、流体制御手段をさらに含み、
前記流体制御手段は流体駆動装置と導管とを含み、前記導管の一端は前記流体駆動装置に接続され、前記導管の他端は前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に接続され、
好ましくは、前記流体駆動装置は、流速を設定して試料添加針に吸液及び排液を行わせるために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項23】
前記制御装置は、第2の動的位置決め部材をさらに含み、前記第2の動的位置決め部材は、第1の開口容器及び第2の開口容器を固定及び移動するために用いられ、
好ましくは、前記駆動コントローラは、前記流体駆動装置、第1の動的位置決め部材及び第2の動的位置決め部材に動力を提供する、ことを特徴とする請求項22に記載の制御装置。
【請求項24】
前記第1の開口容器は単一の貯液槽、一次元貯液槽アレイ又は二次元貯液槽アレイであり、各前記貯液槽の容積は10~1000μL、好ましくは20~200μLであり、
好ましくは、前記第1の開口容器には、第1の液体が収容されており、
好ましくは、前記第2の開口容器は、生成されたマイクロ液滴を平積みするための二次元平底サンプルセルアレイであり、好ましくは、前記第2の開口容器は、容積が等しい24個、32個、96個又は384個の平底サンプルセルを含み、
好ましくは、前記第2の開口容器には、第2の液体が収容されている、ことを特徴とする請求項23に記載の制御装置。
【請求項25】
前記流体駆動装置は無脈動駆動ポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、さらに好ましくは、前記流体駆動装置は1つ又は複数である、ことを特徴とする請求項22に記載の制御装置。
【請求項26】
前記導管は、液体供給導管と液体吸引導管とを含み、前記液体吸引導管の一端は、電動2位置3方向切換弁の1つの弁口を介して前記流体駆動装置に接続され、前記液体吸引導管の他端は、貯油装置に挿入され、前記液体供給導管の一端は、電動2位置3方向切換弁の1つの弁口を介して前記流体駆動装置に接続され、前記液体供給導管の他端は、前記非対称振動マイクロ液滴生成機構に接続される、ことを特徴とする請求項22に記載の制御装置。
【請求項27】
前記制御装置は準備手段をさらに含み、前記準備手段は、試料添加針ラックと、油除去機構と、廃棄物受けとを含み、前記油除去機構は廃棄物受けの上方に位置し、試料添加針は前記廃棄物受けの上方で取り外される、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項28】
流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすこと、
第1の液体で満たされた試料添加針を第2の液体と接触させ、流体駆動装置の駆動下で、非対称振動マイクロ液滴生成機構は、試料添加針アダプタを駆動して試料添加針を第2の液体の液面下で非対称往復運動させることにより、マイクロ液滴を生成することを含む、請求項1
又は2に記載の制御装置を用いたマイクロ液滴の作製方法。
【請求項29】
流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たす前に、前記方法は、さらに、
a)前記試料添加針アダプタを油除去機構に移動させ、前記流体駆動装置は、キャリア液を吸い上げるように液体吸引導管を駆動して、電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記流体駆動装置はキャリア液を試料添加針アダプタから排出させ、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされるようにするとともに、油除去機構により試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去すること、
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続させること、
c)試料添加針を油除去機構に移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返して、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、油除去機構により試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去することを含む、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすステップは、
ステップc)の試料添加針を第1の液体が収容された第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を第1の液体に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、試料添加針内に第1の液体を吸入させて試料添加針内を第1の液体で満たすことを含む、ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記試料添加針の液体排出口から吸入された第1の液体の体積は、試料添加針の接続キャビティの容積よりも小さい、ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、第1の液体のマイクロ液滴の作製が完了した後、試料添加針を取り外し、試料添加針を再び挿入して別の第1の液体のマイクロ液滴の作製を行うことをさらに含む、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復振動又は非対称揺動を行い、流体駆動装置は、流速を設定して、試料添加針から第1の液体を排出してマイクロ液滴を生成するために用いられる、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記試料添加針は、第2の液体の液面下で非対称往復運動する1つの周期内に、1つのマイクロ液滴のみを生成する、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の動的位置決め部材は、非対称振動マイクロ液滴生成機構を駆動して、試料添加針を第2の液体の液面下に位置決めし、試料添加針は、非対称振動過程において、液面に挿入された平均深さが液面下の0~2.0mmの範囲、好ましくは液面下の0~1.5mmの範囲内に動的に維持される、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
7)本願により提供される制御装置においては、前記駆動コントローラは、予め設定された非対称運動制御プログラムによって、位置センサのリアルタイムの位置フィードバック信号によって閉ループフィードバック制御を実現し、振動取付台の精密な非対称往復運動を実現し、高精度で均一なナノリットルの液滴生成を実現する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
一実施形態では、前記駆動コントローラ600は、振動駆動回路601と、非対称運動制御プログラム602と、位置補正モジュール603と、位置信号収集モジュール604と、給電制御接続ケーブル605とを含む。駆動コントローラ600は、前記振動部材100に電気的に接続され、振動取付台300を非対称往復運動制御プログラム602に従って非対称往復運動するように駆動する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
一実施形態では、前記振動部材100は、位置センサ103をさらに含み、前記駆動コントローラ600は、位置信号収集モジュール604により、振動部材100の位置センサ103のリアルタイム位置フィードバック信号を収集し、リアルタイム位置フィードバック信号と非対称往復運動制御プログラムとのリアルタイム比較を位置補正モジュール603にフィードバックし、振動駆動回路601の制御パラメータを調節することにより、非対称往復運動の閉ループ制御を実現する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
本願は、前記流体駆動装置を用いて、導管、試料添加針アダプタ及び試料添加針を駆動し、試料添加針内を第1の液体で満たすステップと、
第1の液体で満たされた試料添加針の開口を第2の液体の液面下に置き第2の液体との接触を保持し、流体駆動装置の駆動下で、マイクロ液滴生成機構は、試料添加針アダプタを駆動して試料添加針を第2の液体の液面下で非対称往復運動させることにより、第1の液体のマイクロ液滴を生成するステップとを含む、上記の制御装置を用いたマイクロ液滴の作製方法を提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
一実施形態では、前記試料添加針の液体排出口から吸入されたサンプルの体積は、吸入された第1の液体が液体供給導管を汚染することを防止するために、試料添加針の接続キャビティの容積より小さい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0127
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0127】
前記第1の開口容器801は単一の貯液槽であり、前記第1の開口容器801には第1の液体が収容されている。
前記第2の開口容器701は、生成されたマイクロ液滴を平積みするための二次元平底サンプルセルアレイである。
前記制御装置は、準備手段(図示せず)をさらに含んでもよく、前記準備手段は、試料添加針ラックと、油除去機構(スポンジ)と、試料添加針取外機構と、廃棄物受けとを含み、前記油除去機構(スポンジ)は、廃棄物受けの上方に位置し、試料添加針は、前記廃棄物受けの上方で取り外される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0133
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0133】
前記駆動コントローラ600は、振動駆動回路601と、非対称運動制御プログラム602と、位置補正モジュール603と、位置信号収集モジュール604と、給電制御接続ケーブル605とを含む。駆動コントローラ600は、前記振動部材100に電気的に接続され、振動取付台300を非対称往復運動制御プログラム602に従って非対称往復運動するように駆動する。前記駆動コントローラ600は、位置信号収集モジュール604により、振動部材100の位置センサ103のリアルタイム位置フィードバック信号を収集し、非対称往復運動制御プログラムとリアルタイムに比較して位置補正モジュール603にフィードバックし、振動駆動回路601の制御パラメータを調節することにより、非対称往復運動の閉ループ制御を実現する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
上記の制御装置を用いてマイクロ液滴を作製する方法は、以下のステップを含むことができる。
a)前記試料添加針アダプタをスポンジに移動させ、前記シリンジポンプが前記液体吸引導管を駆動してキャリア液を吸い上げ、前記電動2位置3方向切替弁を切り替え、前記シリンジポンプがキャリア液を試料添加針アダプタから排出し、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁及び試料添加針アダプタ内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、スポンジにより試料添加針アダプタの下端開口から排出された余分なキャリア液を除去し、上記のキャリア液はサンプル液体と相溶しない第2の液体であり、前記キャリア液は炭化水素、シリコン又はフルオロカーボンを主成分とする油であり、例えば鉱油、テトラデカン、FC40などである。
b)キャリア液で満たされた試料添加針アダプタに試料添加針を挿着し、試料添加針を試料添加針アダプタに挿着して接続し、ここで、試料添加針の液体貯蔵体積は60μLであり、試料添加針400を作製する材料はポリプロピレン(PP、純水溶液の接触角は88°)であり、試料添加針400の液体吐出開口の内径は120μmであり、外径は400μmである。
c)試料添加針をスポンジに移動させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返し、液体吸引導管、液体供給導管、電動2位置3方向切替弁、試料添加針アダプタ及び試料添加針内にキャリア液が満たされ且つ気泡がないようにするとともに、スポンジにより試料添加針の開口から排出された余分なキャリア液を除去する。
d)ステップc)の試料添加針を第1の液体が収容されている第1の開口容器の液面の上方に移動させ、下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を水溶液(第1の液体)に接触、浸漬させ、電動2位置3方向切替弁を切り替え、ステップa)を繰り返し、試料添加針内に第1の液体を20μL吸入させる。
e)ステップd)の試料添加針を第1の開口容器から移動させ、鉱油(第2の液体)が収容されている第2の開口容器の上方に移動させ、第1の動的
位置決め部材は、非対称振動マイクロ液滴生成機構を駆動して下方に向けて運動させ、試料添加針の液体排出口を鉱油の液面下の0.3mmに接触、浸漬させる。
f)試料添加針内の第1の液体がシリンジポンプの駆動下で試料添加針の液体排出口から排出され、駆動コントローラ600により試料添加針が第2の液体の液面下又は液面を跨いで非対称に周期的に往復運動する駆動制御を実現し、マイクロ液滴生成機構における振動モータが試料添加針アダプタを駆動して試料添加針の液体吐出開口を非対称往復運動させ、運動の位置-時間波形は、
図9に示すように、正弦波と鋸歯波の組み合わせであり、振動幅が1.2mmであり、振動周波数が100Hzであり、マイクロシリンジの流速が100nL/sであり、注射体積が20μLである。上記のパラメータ条件を採用して、1nLのマイクロ液滴を作製し、マイクロ液滴の顕微イメージングは
図13に示すとおりであり、液滴の体積の大きさのCVは1.8%である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0144
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0144】
図4~
図7に示すように、本実施例におけるマイクロ液滴生成機構は、振動取付台300を前記振動出力ロッド104の中心軸線を軸心として非対称揺動するように駆動する。マイクロ液滴生成機構は、振動部材100と、接続ガイド構造体105と
、振動取付台300と、試料添加針400と、支持固定台120と、ポンプチューブクランプベース303とを含む。振動部材100は、ハウジング101と、振動子102と、位置センサ103と、振動出力ロッド104とを含む。前記振動出力ロッド104は、一端が前記ハウジング101に接続され、他端が接続ガイド構造体105及び接続材106を介して振動取付台300に接続される。前記試料添加針400の中心軸線は、前記振動出力ロッド104の軸線に垂直である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0145
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0145】
前記接続ガイド構造体105は、第1の軸受1053と第2の軸受1054とを含み、前記振動取付台300の一端は、前記第1の軸受1053を貫通して前記接続材106に接続され、前記振動取付台300の他端は、前記第2の軸受1054に接続され、ここで前記第1の軸受1053は、軸方向の係止辺を有する軸受である。前記接続材106は、カップリングである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0146
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0146】
前記振動部材100はガルバノモータであり、前記振動子102の振動周波数は100~500Hzであり、振動幅範囲は0.1~5mmであり、実際の応用時、振動周波数は100~200Hzであり、幅範囲は0.5~1.5mmである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
前記駆動コントローラ600は、振動駆動回路601と、非対称運動制御プログラム602と、位置補正モジュール603と、位置信号収集モジュール604と、給電制御接続ケーブル605とを含む。駆動コントローラ600は、前記振動部材100に電気的に接続され、振動取付台300を非対称往復運動制御プログラム602に従って非対称往復運動するように駆動する。前記駆動コントローラ600は、位置信号収集モジュール604により、振動部材100の位置センサ103のリアルタイム位置フィードバック信号を収集し、非対称往復運動制御プログラムとリアルタイムに比較して位置補正モジュール603にフィードバックし、振動駆動回路601の制御パラメータを調節することにより、非対称往復運動の閉ループ制御を実現する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0153
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0153】
比較例3
比較例3は、マイクロ液滴生成機構が接続ガイド構造体105を含まない点で実施例1と異なる。すなわち、振動出力ロッド104は、接続材106を介して振動取付台300に直接接続される。その他の構造は実施例1と同様である。実施例1と同じマイクロ液滴の作製方法でマイクロ液滴を作製した。該振動機構の振動騒音が大きく、共振が顕著であり、作製されたマイクロ液滴の体積のCV値が7.5%であり、マイクロ液滴の体積が実施例1に比べて均一性が悪く、大きな体積誤差が導入された。試料添加針を取り付ける際に、接続ガイド構造体がないため、振動部材がトルク作用力及び径方向作用力に抵抗できず、34回使用した後、ガルバノミラー振動出力ロッドと振動モータとの接続箇所が湾曲し、正常な試料添加針の挿入を実現できない。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0155
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0155】
比較例5
比較例5は、マイクロ液滴生成機構が接続ガイド構造体105を含まない点で実施例2と異なる。すなわち、
振動出力ロッド104は、接続材106を介して振動取付台300に直接接続される。その他の構造は実施例2と同様である。実施例2と同じマイクロ液滴の作製方法でマイクロ液滴を作製した。作製されたマイクロ液滴は
図12aに示すとおりである。具体的な対称往復運動のパラメータは、振動波形が正弦波、振動の幅が1.2mm、振動の周波数が100Hz、マイクロシリンジの流速が100nL/s、注射体積が20μLである。作製されたマイクロ液滴の均一性が悪く、マイクロ液滴の体積のCV値が7.4%であり、大きな体積誤差が導入された。該振動機構の振動騒音が大きく、共振が顕著であり、試料添加針を取り付ける際に、接続ガイド構造体がないため、振動部材がトルク作用力及び径方向作用力に抵抗できず、25回使用した後、ガルバノミラー振動出力ロッドが湾曲し、正常な試料添加針の挿入を実現できない。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0156
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0156】
比較例6
比較例6は、マイクロ液滴生成機構が試料添加針アダプタ301を含まない点で実施例2と異なる。すなわち、液体供給導管501は、振動取付台300を貫通して試料添加針4
00に直接接続される。その他の構造は実施例2と同様である。実施例2と同じマイクロ液滴の作製方法でマイクロ液滴を作製した。作製されたマイクロ液滴は
図12aに示すとおりである。具体的な対称往復運動のパラメータは、振動波形が正弦波、振動の幅が1.2mm、振動の周波数が100Hz、マイクロシリンジの流速が100nL/s、注射体積が20μLである。作製されたマイクロ液滴の均一性が悪く、マイクロ液滴の体積のCV値が30%であり、大きな体積誤差が導入された。試料添加針を取り付ける際に、試料添加針アダプタがないため、密閉性が良くなく、漏れにより液滴生成体積が不正確になりやすい。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0160
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0160】
実施例3~6
実施例3~6は、第1の動的位置決め部材が試料添加針を液面下の0.5mm、1.0mm、1.5mm及び2.5
mmの深さに位置決める点で実施例1と異なる。非対称振動マイクロ液滴生成機構により、液滴が生成され、容器の底部に平積みした後、顕微鏡でイメージングして観察したところ、以下の通りであった。
実施例3:試料添加針を液面下の0.5mmに位置決めし、生成された液滴を
図22に示す。生成された液滴は均一であり、体積は1nLであった。
実施例4:試料添加針を液面下の1.0mmに位置決めし、生成された液滴を
図23に示す。生成された液滴は均一であり、体積は1nLであった。
実施例5:試料添加針を液面下の1.5mmに位置決めし、生成された液滴を
図24に示す。生成された液滴は均一であり、体積は1nLであった。
実施例6:試料添加針を液面下の2.5mmに位置決めし、生成された液滴を
図25に示す。生成
された液滴が均一であったが、液滴は油相によって乱され一部が破砕された。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0168
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0168】
実施例29
本実施例は、本願により提供されるマイクロ液滴作製用の制御装置を用いて多重体積デジタルPCR検出を行う性能を検証した。従来のデジタルPCR装置、例えば、米国バイオ・ラッド社のQX200、米国サーモフィッシャーサイエンティフィック社のQuantStudio3D、フランスStilla社のNaicaなどのシステムは、生成された液滴又はマイクロ反応の体積が一定であり、液滴の体積が0.5~0.8nLである。動的線形検出範囲は、通常、10
5オーダーである。動的範囲は狭く、感度と量子化限界はトレードオフの関係にある。本実施例は、マイクロ液滴作製用の制御装置を利用して、必要に応じて複数の所定体積の液滴アレイを生成し、さらにデジタルPCRの精度及び動的検出範囲を
向上させた。典型的なデジタルPCRポアソン分布モデルに基づいて、異なる体積のマイクロ液滴の定量上限を推定した。計算から分かるように、液滴の体積が減少するにつれて、液滴の定量の検出上限が増加し、それは主に同一の反応系において、マイクロ液滴が小さいほど、分割可能な単位の数が多くなり、それにより、同一濃度において、陽性液滴の数が全液滴の数に占める比率が異なるため、検出限界が向上するからである。そして、理論モデルに基づいて、異なる体積のマイクロ液滴の定量的動的範囲を理論的に計算し、異なる液滴体積条件下で、デジタルPCR線形検出動的範囲を予測した。0.2nL、0.5nL、1nL、2.5nL及び5nL体積の液滴の95%信頼度定量区間は、
図29の異なる形式の点鎖線に示すとおりである。5種類の体積の液滴の95%信頼度定量区間を統合したものは
図29の実線の曲線に示すとおりである。異なる体積方法により、理論的に、動的定量範囲を10
5オーダーから10
6オーダーに拡張できることが分かる(表3に示す)。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
1-非対称振動マイクロ液滴生成機構、100-振動部材、101-ハウジング、102-振動子、103-位置センサ、104-振動出力ロッド、105-接続ガイド構造体、1051-スプラインスリーブ、1052-スプラインシャフト、1053-第1の軸受、1054-第2の軸受、106-接続材、120-支持固定台、200-第1の動的位置決め部材、201-位置決め部材昇降変位機構、202-液面検知機構、300-振動取付台、301-試料添加針アダプタ、302-管継手、303-ポンプチューブクランプベース、304-接続ポート、400-試料添加針、401-試料添加針の液体供給開口、402-試料添加針の液体吐出部、403-試料添加針の液体吐出開口、404-試料添加針の液体貯蔵部、500-流体駆動装置、501-液体供給導管、502-液体吸引導管、503-マイクロシリンジ、504-貯油瓶、505-キャリア液、600-駆動コントローラ、601-振動駆動回路、602-非対称運動制御プログラム、603-位置補正モジュール、604-位置信号収集モジュール、605-給電制御接続ケーブル、700-第2の液体、701-第2の開口容器、702-第2の液体の液面、703-第1の液体のマイクロ液滴、800-第1の液体、801-第1の開口容器、EP-振動の平衡位置、RP1及びRP2-平衡位置の両側に位置する反射位置、900-第2の動的位置決め部材。
【国際調査報告】