(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】アトピー性皮膚炎のための治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240925BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240925BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240925BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20240925BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20240925BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240925BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240925BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALI20240925BHJP
C12Q 1/6872 20180101ALI20240925BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20240925BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240925BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P17/00 ZNA
A61P37/08
A61K39/395 D
C07K16/24
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6874 Z
C12Q1/6872 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6844 Z
G01N33/53 Y
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513137
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 IB2022058081
(87)【国際公開番号】W WO2023031770
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520077229
【氏名又は名称】ガルデルマ ホールディング エスエー
(71)【出願人】
【識別番号】000003311
【氏名又は名称】中外製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナスワーミ ジェイエンドラ クマー
(72)【発明者】
【氏名】ピケティ クリストフ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ53
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS32
4B063QX02
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
アトピー性皮膚炎(AD)のための治療及び予防、ADの治療又は予防における使用のための抗体及び薬学的組成物、並びにADの治療又は予防のための医薬品の製造における抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)の使用が本明細書に記載される。ADのバイオマーカー、及びIL-31RAに結合する抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療を介してこれらのバイオマーカーを変化させるか又は改善する方法もまた本明細書に記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)を治療又は予防する方法であって、
ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、
前記対象は、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現が、ADを有しない個体の非病変皮膚又は前記対象の非病変皮膚と比較して上方制御されている、皮膚病変を有する、
方法。
【請求項2】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を変化又は低減させる方法であって、
ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、
CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つが、ADを有しない個体の非病変皮膚又は前記対象の非病変皮膚と比較して、前記対象の皮膚病変において上方制御されており、
前記抗IL-31RA抗体の投与が、皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの前記発現を低減させる、
方法。
【請求項3】
CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFが、ADを有しない個体の非病変皮膚又は前記対象の非病変皮膚と比較して、前記対象の前記皮膚病変において上方制御されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18の発現が、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、DNA若しくはRNAマイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は質量分析によって決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの1、2、3、4、5、又は6個が、ADを有しない個体の非病変皮膚又は前記対象の非病変皮膚と比較して、前記対象の前記皮膚病変において上方制御されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの前記発現が、前記抗IL-31RA抗体の前記投与から2週間、4週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、又は20週間以内に、前記抗IL-31RA抗体の投与前の前記対象の前記皮膚病変におけるベースライン発現レベルと比較して、変化又は低減する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
CCL20の発現が、少なくとも約3分の1に低減し、CCL22の発現が、少なくとも約1.1分の1に低減し、CCL27の発現が、少なくとも約3分の1に低減し、VEGFの発現が、少なくとも約1.6分の1に低減し、CCL18の発現が、少なくとも約8分の1に低減し、かつ/又はIL1RAの発現が、少なくとも約1.1倍に増加する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚における炎症性バイオマーカーの発現を低減させる方法であって、ADを有する対象に、抗IL-31RA抗体を投与し、それによって、前記皮膚における炎症応答を減少させることを含む、方法。
【請求項9】
前記炎症性バイオマーカーが、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記炎症性バイオマーカーが、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFのうちの少なくとも1つから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFのうちの1、2、3、又は4個全ての発現が低減する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記炎症性バイオマーカーの発現が、前記対象の少なくとも1つの皮膚病変において低減する、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、前記抗IL-31RA抗体の投与後、湿疹面積及び重症度指数(EASI)スコアリングの少なくとも66.5%の減少を達成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、前記抗IL-31RA抗体の投与後、ピーク掻痒症数値評価尺度(PP-NRS)スコアリングの少なくとも43.2%の減少を達成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、前記抗IL-31RA抗体の投与後、改善された睡眠を経験する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、成人である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、青年、任意選択で、12~17歳の年齢である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗IL-31RA抗体が、皮下投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗IL-31RA抗体が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、又は8週間に1回投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗IL-31RA抗体が、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、又は約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗IL-31RA抗体が、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgの用量で投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗IL-31RA抗体が、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗IL-31RA抗体が、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗IL-31RA抗体が、ネモリズマブである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗IL-31RA抗体が、60mgの負荷用量で、続いて、4週間ごとに30mgの用量で、少なくとも12、14、16、又は18週間皮下投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗IL-31RA抗体が、フラット投与レジメンに従って投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗IL-31RA抗体が、負荷用量レジメンに従って投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
アトピー性皮膚炎(AD)を診断する方法であって、
ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、
前記バイオマーカーの前記発現レベルを参照レベルと比較することと
を含み、
前記参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は前記対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、
方法。
【請求項29】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定する方法であって、
ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、
前記バイオマーカーの前記発現レベルを参照レベルと比較することと
を含み、
前記バイオマーカーの前記発現レベルが、前記参照レベルよりも高い場合、前記対象が治療に応答し、前記参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は前記対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、
方法。
【請求項30】
ADを有することが疑われる前記対象から得られた前記試料が、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記バイオマーカー(複数可)の前記発現レベルが、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、DNA若しくはRNAマイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は質量分析によって決定される、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記発現レベルCCL20が、前記参照レベルより少なくとも約1.6倍高く、CCL22の前記発現レベルが、前記参照レベルより少なくとも約1.02倍高く、CCL27の前記発現レベルが、前記参照レベルより少なくとも約2.25倍高く、VEGFの発現が、前記参照レベルより少なくとも約1.05倍高く、CCL18の発現が、前記参照レベルより少なくとも約2.45倍高く、かつ/又はIL1RAの発現が、前記参照レベルより少なくとも約1.1倍高く増加する、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定する方法であって、
少なくとも1用量の抗IL-31RA抗体を投与されたADを有する対象から得られた治療後試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、
前記バイオマーカーの前記発現レベルを、治療が開始される前に同じ対象から得られた試料からのベースライン発現レベルと比較することと
を含み、
CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及び/若しくはCCL18の前記発現レベルの減少並びに/又はIL1RAの前記発現レベルの増加が、前記対象が治療に応答することを示す、
方法。
【請求項34】
前記試料が、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記バイオマーカー(複数可)の前記発現レベルが、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、DNA若しくはRNAマイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は質量分析によって決定される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記ベースラインレベルと比較して、CCL20の治療後発現が、少なくとも約3分の1に低減し、CCL22の発現が、少なくとも約1.1分の1に低減し、CCL27の発現が、少なくとも約3分の1に低減し、VEGFの発現が、少なくとも約1.6分の1に低減し、CCL18の発現が、少なくとも約8分の1に低減し、かつ/又はIL1RAの発現が、少なくとも約1.1倍に増加する、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記治療後試料が、前記抗IL-31RA抗体の投与の約4週間後、約8週間後、又は約12週間後に得られる、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗IL-31RA抗体が、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗IL-31RA抗体が、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗IL-31RA抗体が、ネモリズマブである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療又は予防における使用のための抗IL-31RA抗体を含む薬学的組成物であって、前記対象は、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現が、ADを有しない個体の非病変皮膚又は前記対象の非病変皮膚と比較して、上方制御されている、皮膚病変を有する、薬学的組成物。
【請求項42】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を変化又は低減させることにおける使用のための、抗IL-31RA抗体を含む薬学的組成物であって、
ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、
CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つが、ADを有しない個体の非病変皮膚又は前記対象の非病変皮膚と比較して、前記対象の皮膚病変において上方制御されており、
前記抗IL-31RA抗体の投与が、皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及びCCL18のうちの少なくとも1つの前記発現を低減させ、かつ/又は皮膚病変におけるIL1RAの前記発現を増加させる、
薬学的組成物。
【請求項43】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚における炎症性バイオマーカーの発現を低減させることにおける使用のための抗IL-31RA抗体を含む、薬学的組成物。
【請求項44】
前記炎症性バイオマーカーが、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つから選択され、好ましくは、CCL20、CCL22、CCL27、及び/又はVEGFである、請求項43に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記対象が、成人である、請求項41~44のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
前記対象が、青年、任意選択で、12~17歳の年齢である、請求項41~44のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
皮下投与用に製剤化された、請求項41~46のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
前記抗IL-31RA抗体が、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項41~47のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項49】
前記抗IL-31RA抗体が、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である、請求項41~48のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
アトピー性皮膚炎(AD)の診断における使用のための診断剤であって、
前記診断剤が、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することができ、それにより、前記バイオマーカー(複数可)の前記発現レベルを参照レベルと比較することができ、
前記参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は前記対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、
診断剤。
【請求項51】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が、抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定することにおける使用のための診断剤であって、
前記診断剤が、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することができ、それにより、前記バイオマーカー(複数可)の前記発現レベルを参照レベルと比較することができ、
前記バイオマーカー(複数可)の前記発現レベルが、前記参照レベルよりも高い場合、前記対象が治療に応答し、前記参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は前記対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、
診断剤。
【請求項52】
アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が、抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定することにおける使用のための診断剤であって、
前記診断剤が、少なくとも1用量の抗IL-31RA抗体を投与されたADを有する対象から得られた治療後試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することができ、それにより、前記バイオマーカー(複数可)の前記発現レベルが、治療が開始される前に同じ対象から得られた試料からのベースライン発現レベルと比較することができ、
CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及び/若しくはCCL18の前記発現レベルの減少並びに/又はIL1RAの前記発現レベルの増加が、前記対象が治療に応答することを示す、
診断剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月30日に出願された米国仮出願第63/238,643号に対する米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
アトピー性皮膚炎(AD)のための治療及び予防、ADの治療又は予防における使用のための抗体及び薬学的組成物、並びにADの治療又は予防のための医薬品の製造における抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)の使用が本明細書に記載される。ADのバイオマーカー、及びIL-31RAに結合する抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療を介してこれらのバイオマーカーを変化又は改善する方法もまた本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
背景
以下の考察は、単に本開示を理解する際の読者の補助として提供され、本開示の先行技術を説明又は構成するとは認められていない。
【0004】
アトピー性皮膚炎(AD)は、掻痒症(痒み)、乾燥症(皮膚乾燥)、及び湿疹性病変によって特徴付けられる慢性炎症性皮膚疾患であり、その特徴には、紅斑、浸潤/丘疹形成、痂皮形成を伴う毛細血管性出血、剥離、及び苔癬化が含まれる。ADの有病率は、低年齢児で最も高く、年齢とともに徐々に低減する。有病率は、先進国で高い。
【0005】
局所治療はいくらか有効であるが、それらは、患者、特にADの十分な制御を達成するために光線療法又は全身治療の追加を必要とする患者において、中等度から重度のADを制御するのには必ずしも十分ではない。シクロスポリンなどの全身性コルチコステロイド及び他の免疫抑制治療は、一部の患者において疾患を制御するのに有効である場合があるが、これらの薬物の高い応答変動性及び既知の二次有害作用を考慮すると、二次有害作用のリスクを減少させながら疾患をより良好に制御するための新しい薬が必要とされる。
【0006】
ADのための治療、及び患者がそのような治療に応答する可能性が高いか、又は応答しているかどうかを同定することが依然として必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
概要
特定の治療結果を達成するアトピー性皮膚炎(AD)のための治療及び予防が本明細書に記載される。概して、治療及び予防は、ADを有する対象に抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)を投与することを含む。ADのバイオマーカー、及び対象が治療に応答するかどうかを決定するための本開示のバイオマーカーを使用する方法もまた本明細書に記載される。
【0008】
第1の態様において、本開示は、対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)を治療又は予防する方法であって、ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、対象は、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現が、ADを有しない個体の非病変皮膚又は対象の非病変皮膚と比較して、上方制御されている、皮膚病変を有する、方法を提供する。
【0009】
第2の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を変化又は低減させる方法であって、ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つが、ADを有しない個体の非病変皮膚又は対象の非病変皮膚と比較して、対象の皮膚病変において上方制御されており、抗IL-31RA抗体の投与が、皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を低減させる、方法を提供する。
【0010】
第1及び第2の態様のいくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFは、ADを有しない個体の非病変皮膚又は対象の非病変皮膚と比較して、対象の皮膚病変において上方制御されている。
【0011】
第1及び第2の態様のいくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18の発現は、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、DNA若しくはRNAマイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は質量分析によって決定される。
【0012】
第1及び第2の態様のいくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの1、2、3、4、5、又は6個は、ADを有しない個体の非病変皮膚又は対象の非病変皮膚と比較して、対象の皮膚病変において上方制御されている。
【0013】
第1及び第2の態様のいくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現は、抗IL-31RA抗体の投与から2週間、4週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、又は20週間以内に、抗IL-31RA抗体の投与前の対象の皮膚病変におけるベースライン発現レベルと比較して、変化又は低減する。
【0014】
第1及び第2の態様のいくつかの実施形態において、CCL20の発現は、少なくとも約3分の1に低減し、CCL22の発現は、少なくとも約1.1分の1に低減し、CCL27の発現は、少なくとも約3分の1に低減し、VEGFの発現は、少なくとも約1.6分の1に低減し、CCL18の発現は、少なくとも約8分の1に低減し、かつ/又はIL1RAの発現は、少なくとも約1.1倍に増加する。
【0015】
第3の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚における炎症性バイオマーカーの発現を低減させる方法であって、ADを有する対象に、抗IL-31RA抗体を投与し、それによって、皮膚における炎症応答を減少させることを含む、方法を提供する。
【0016】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、炎症性バイオマーカーは、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つから選択される。前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、炎症性バイオマーカーは、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFのうちの少なくとも1つから選択される。前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFのうちの1、2、3、又は4個全ての発現は、低減する。
【0017】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、炎症性バイオマーカーの発現は、対象の少なくとも1つの皮膚病変において低減する。
【0018】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、湿疹面積及び重症度指数(EASI)スコアリングの少なくとも66.5%の減少を達成する。前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、ピーク掻痒症数値評価尺度(PP-NRS)スコアリングの少なくとも43.2%の減少を達成する。前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、改善された睡眠を経験する。
【0019】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、成人である。前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、青年、任意選択で、12~17歳の年齢である。
【0020】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、皮下投与される。
【0021】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、又は8週間に1回投与される。
【0022】
2前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、又は約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される。
【0023】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgの用量で投与される。
【0024】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である。前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブである。
【0025】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、60mgの負荷用量で、続いて、4週間ごとに30mgの用量で、少なくとも12、14、16、又は18週間皮下投与される。
【0026】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、フラット投与レジメンに従って投与される。
【0027】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、負荷用量レジメンに従って投与される。
【0028】
第4の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を診断する方法であって、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、バイオマーカーの発現レベルを参照レベルと比較することと、を含み、参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、方法を提供する。
【0029】
第5の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定する方法であって、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、バイオマーカーの発現レベルを参照レベルと比較することと、を含み、バイオマーカーの発現レベルが、参照レベルよりも高い場合、対象が治療に応答し、参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、方法を提供する。
【0030】
第4及び第5の態様のいくつかの実施形態において、ADを有することが疑われる対象から得られた試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。
【0031】
第4及び第5の態様のいくつかの実施形態において、バイオマーカー(複数可)の発現レベルは、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、DNA若しくはRNAマイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は質量分析によって決定される。
【0032】
第4及び第5の態様のいくつかの実施形態において、発現レベルCCL20は、参照レベルより少なくとも約1.6倍高く、CCL22の発現レベルが、参照レベルより少なくとも約1.02倍高く、CCL27の発現レベルが、参照レベルより少なくとも約2.25倍高く、VEGFの発現が、参照レベルより少なくとも約1.05倍高く、CCL18の発現が、参照レベルより少なくとも約2.45倍高く、かつ/又はIL1RAの発現が、参照レベルより少なくとも約1.1倍高く増加する。
【0033】
第6の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定する方法であって、少なくとも1用量の抗IL-31RA抗体を投与されたADを有する対象から得られた治療後試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、バイオマーカーの発現レベルを、治療が開始される前に同じ対象から得られた試料からのベースライン発現レベルと比較することと、を含み、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及び/若しくはCCL18の発現レベルの減少並びに/又はIL1RAの発現レベルの増加が、対象が治療に応答することを示す、方法を提供する。
【0034】
第6の態様のいくつかの実施形態において、試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。
【0035】
第6の態様のいくつかの実施形態において、バイオマーカー(複数可)の発現レベルは、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、DNA若しくはRNAマイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は質量分析によって決定される。
【0036】
第6の態様のいくつかの実施形態において、ベースラインレベルと比較して、CCL20の治療後発現は、少なくとも約3分の1に低減し、CCL22の発現は、少なくとも約1.1分の1に低減し、CCL27の発現は、少なくとも約3分の1に低減し、VEGFの発現は、少なくとも約1.6分の1に低減し、CCL18の発現は、少なくとも約8分の1に低減し、かつ/又はIL1RAの発現は、少なくとも約1.1倍に増加する。
【0037】
第6の態様のいくつかの実施形態において、治療後試料は、抗IL-31RA抗体の投与の約4週間後、約8週間後、又は約12週間後に得られる。
【0038】
第6の態様のいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。第6の態様のいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である。第6の態様のいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブである。
【0039】
第7の態様において、本開示は、対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療又は予防における使用のための抗IL-31RA抗体を含む薬学的組成物であって、対象は、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現が、ADを有しない個体の非病変皮膚又は対象の非病変皮膚と比較して、上方制御されている、皮膚病変を有する、薬学的組成物を提供する。
【0040】
第8の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を変化又は低減させることにおける使用のための抗IL-31RA抗体を含む薬学的組成物であって、ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つが、ADを有しない個体の非病変皮膚又は対象の非病変皮膚と比較して、対象の皮膚病変において上方制御されており、抗IL-31RA抗体の投与が、皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を低減させ、かつ/又は皮膚病変におけるIL1RAの発現を増加させる、薬学的組成物を提供する。
【0041】
第9の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚における炎症性バイオマーカーの発現を低減させることにおける使用のための抗IL-31RA抗体を含む、薬学的組成物を提供する。
【0042】
第7、第8、又は第9の態様のいくつかの実施形態において、炎症性バイオマーカーは、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つから選択され、好ましくは、CCL20、CCL22、CCL27、及び/又はVEGFである。
【0043】
第7、第8、又は第9の態様のいくつかの実施形態において、対象は、成人である。
【0044】
第7、第8、又は第9の態様のいくつかの実施形態において、対象は、青年、任意選択で、12~17歳の年齢である。
【0045】
第7、8、又は第9の態様のいくつかの実施形態において、薬学的組成物は、皮下投与のために製剤化される。
【0046】
第7、第8、又は第9の態様のいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。第7、第8、又は第9の態様のいくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である。
【0047】
第10の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)の診断における使用のための診断剤であって、診断剤が、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することができ、それにより、バイオマーカー(複数可)の発現レベルを参照レベルと比較することができ、参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、診断剤を提供する。
【0048】
第11の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が、抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定することにおける使用のための診断剤であって、診断剤が、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することができ、それにより、バイオマーカー(複数可)の発現レベルを参照レベルと比較することができ、バイオマーカー(複数可)の発現レベルが、参照レベルよりも高い場合、対象が治療に応答し、参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、診断剤を提供する。
【0049】
第12の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が、抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定することにおける使用のための診断剤であって、診断剤が、少なくとも1用量の抗IL-31RA抗体を投与されたADを有する対象から得られた治療後試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することができ、それにより、バイオマーカー(複数可)の発現レベルを、治療が開始される前に同じ対象から得られた試料からのベースライン発現レベルと比較することができ、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及び/若しくはCCL18の発現レベルの減少並びに/又はIL1RAの発現レベルの増加が、対象が治療に応答することを示す、診断剤を提供する。前述の概要及び以下の発明を実施するための形態は、例示的及び説明的であり、特許請求される本開示の更なる説明を提供することを意図している。他の目的、利点、及び新規の特徴は、以下の図面の簡単な説明及び本開示の詳細な説明から、当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】ネモリズマブでアトピー性皮膚炎(AD)を治療するための臨床試験の研究デザインを示す。BL=ベースライン、n=対象数、q4w=4週間ごと、TCS=局所コルチコステロイド、W=週。
【
図2】ネモリズマブの時間濃度プロファイル(PK集団、N=18)の平均±標準誤差(SD)を示す。
【
図3】シミュレーション及び観察されたネモリズマブ濃度(PK集団、N=18)のpopPKの比較を示す(h=時間、CI=信頼区間、PI=予測区間)。注:黒色の実線は、観察された中央値であり、黒色の破線は、観察された5及び95パーセンタイルであり、青色の実線は、シミュレーションされた中央値の中央値であり、赤色の実線は、シミュレーションされた5及び95パーセンタイルの中央値である。青色の領域は、シミュレーションされた中央値の95%PIであり、赤色の領域は5及び95パーセンタイルの95%PIである。
【
図4】予測された集団、予測された個体、及び観察された青年期湿疹面積及び重症度指数の薬物動態/薬力学プロファイルを示す(PK集団、N=18)。EASI=湿疹面積及び重症度指数。注:灰色の点は、観察されたデータ点であり、黒色の実線は、観察された中央値であり、黒色の破線は、観察された2.5及び97.5パーセンタイルである。灰色の領域は、シミュレーションされた中央値の95%予測区間(PI)であり、青色の領域は、2.5及び97.5パーセンタイルの95%PIである。
【
図5】予測された集団、個々の予測される集団、及び観察される青年期ピーク掻痒症数値評価尺度の薬物動態/薬力学プロファイルを示す(PK集団、N=18)。PP-NRS=ピーク掻痒症数値評価尺度。注:灰色の点は、観察されたデータ点であり、黒色の実線は、観察された中央値であり、黒色の破線は、観察された2.5及び97.5パーセンタイルである。灰色の領域は、シミュレーションされた中央値の95%予測区間(PI)であり、青色の領域は、2.5及び97.5パーセンタイルの95%PIである。
【
図6】予測及び観察された青年期の治験責任医師の全体的な評価の薬物動態/薬力学プロファイルを示す(PK集団、N=18)。IGA=治験責任医師の全体的な評価。注:黒色の実線は、観察された中央値であり、灰色の領域は、シミュレーションされた中央値の95%予測区間(PI)である。
【
図7】抗薬物抗体結果による個々の対象のネモリズマブ時間濃度プロファイルを示す(PK集団、N=18)。
【
図8】経時的な(最後の観察が繰り越された)湿疹面積及び重症度指数(EASI)スコアにおける変化パーセントのプロットを示す。治療意図の集団。平均±標準誤差が報告される。
【
図9】治験責任医師の全体的な評価の成功を達成した対象(非応答者)の割合のプロットを示す(治療意図の集団)。
【
図10】経時的な(最後の観察が繰り越された)ピーク掻痒症数値評価尺度スコアの週平均のベースラインからの変化パーセントのプロットを示す(治療意図の集団)。平均±標準誤差が報告される。
【
図11】経時的な(最後の観察が繰り越された)平均掻痒症数値評価尺度スコアの週平均のベースラインからの変化パーセントのプロットを示す(治療意図の集団)。平均±標準誤差が報告される。
【
図12】経時的な(最後の観察が繰り越された)週平均睡眠障害数値評価尺度スコアのベースラインからの変化パーセントのプロットを示す(治療意図の集団)。平均±標準誤差が報告される。
【
図13-1】混合モデル反復測定(MMRM)による教師あり分析のプロットを示す。注:EASI75に関して、角質層における6つの有意に調節されたタンパク質バイオマーカーの教師あり分析(MMRM)。p値は、試料の種類とEASI75応答者(Y、青色の線)対非応答者(N、赤色の線)との間の相互作用に対応する。各皮膚状態(病変/非病変のベースライン及び16週目)における各処置について、95%信頼区間での最小二乗推定平均(LS平均)を示す。簡略化のために、相互作用のp値のみが図に記載されているが、選択基準は、最小調整p値(相互作用、主効果)に基づく。
【
図14】15の対象の角質層試料に対する教師なし分析の結果を示す。注:NTF分析に最も寄与する15のバイオマーカーを示す角質層試料に対する教師なし分析(NTF)(赤色=高発現、青色=低発現、X=欠損値)。p値=0.0041は、対象応答(EASI-75)と、対象のランキングに使用されるNTF構成要素との間の関連に対応する。Y=EASI-75応答者及びN=EASI-75非応答者。
【発明を実施するための形態】
【0051】
詳細な説明
抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)、並びにこれまで知られていなかったADに関連するバイオマーカー及び遺伝子シグネチャを使用したアトピー性皮膚炎(AD)の治療及び予防が本明細書に記載される。本開示のバイオマーカーとしては、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18が挙げられる。本開示の治療及び予防は、ADのための従来の治療ではこれまで知られていなかった、又は得ることができなかった治療エンドポイント(例えば、湿疹面積及び重症度指数(EASI)、ピーク掻痒症数値評価尺度(PP-NRS)スコアリングの減少、及び/又は睡眠の改善)を達成する。
【0052】
I.定義
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0053】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。別段の指定がない限り、当業者に既知の材料及び/又は方法論は、本明細書で提供されるガイダンスに基づいて、本明細書に記載される方法を実施する際に利用され得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数形の用語は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。単数形での対象への言及は、明示的にそのように記載されない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図しないが、むしろ「1つ以上」である。
【0055】
本明細書で使用される場合、数値とともに使用される場合、「約」は、記載された数値、並びに数値のプラス又はマイナス10%を意味する。例えば、「約10」は、「10」及び「9~11」の両方として理解されるべきである。
【0056】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上との任意及び全ての可能な組み合わせ、並びに代替案(「又は」)で解釈した場合の組み合わせの欠如を指し、包含する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「A/B」の形態又は「A及び/又はB」の形態の句は、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味し、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」の形態の句は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B及びC)を意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、抗IL31R抗体(例えば、ネモリズマブ)に関して「治療有効量」という句は、そのような治療を必要とする対象に薬物が投与される特定の薬理学的効果を提供する抗体の用量を意味する。治療有効量は、掻痒症(痒み)、乾燥症(皮膚乾燥)、及び湿疹性病変、並びに顕著な睡眠障害を含むがこれらに限定されないADの症状/合併症のうちの1つ以上を低減、改善、若しくは排除し、かつ/又はADを有する対象における生活の質を改善するのに有効であり得る。抗IL31R抗体(例えば、ネモリズマブ)の治療有効量は、たとえそのような用量が当業者によって治療有効量とみなされるとしても、全ての個々の対象のADの治療に常に有効であるとは限らないことが強調される。当業者は、特定の対象を治療するために必要に応じて、標準的な慣行に従って、治療有効量とみなされるものを調整することができる。治療有効量は、例えば、対象の年齢及び体重、並びに/又は対象の全般的な健康、並びに/又は対象のADの重症度に基づいて変化し得る。
【0059】
ADに関して本明細書で使用される「治療する」、「治療」、又は「治療すること」という用語は、掻痒症(痒み)、乾燥症(皮膚乾燥)、及び湿疹性病変、並びに顕著な睡眠障害を含むがこれらに限定されないADの症状/合併症のうちの1つ以上を低減、改善、若しくは排除すること、並びに/又はADを有する対象における生活の質を改善することを指す。
【0060】
ADに関して本明細書で使用される「予防する」、「予防すること」、又は「予防」という用語は、掻痒症(痒み)、乾燥症(皮膚乾燥)、及び湿疹性病変、並びに顕著な睡眠障害を含むがこれらに限定されないADの症状/合併症のうちの1つ以上を発症するリスクを排除又は低減すること、又はADに関連する本開示のバイオマーカーシグネチャの発症を予防することを指す。予防はまた、ADの再燃又は初期の再燃が治療若しくは治癒された後の再発の予防を指し得る。
【0061】
本明細書では、「個体」、「対象」、及び「患者」という用語は、互換的に使用され、任意の個々の哺乳動物対象、例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、又はヒトを指す。具体的な実施形態において、対象、個体、又は患者は、ヒトである。
【0062】
II.アトピー性皮膚炎(AD)
アトピー性皮膚炎(又は「AD」)は、掻痒症(痒み)、乾燥症(皮膚乾燥)、及び/又は湿疹性病変を引き起こす皮膚疾患であり、その特徴には、紅斑、浸潤/丘疹形成、痂皮形成を伴う毛細血管性出血、剥離、及び苔癬化が含まれる。ADの合併症には、喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)、慢性的な痒み若しくは鱗状の皮膚、痛み、皮膚感染症、刺激性の手の皮膚炎、アレルギー性の接触性皮膚炎、及び/又は顕著な睡眠障害が含まれ得る。ADの有病率は、低年齢児で最も高く、年齢とともに徐々に低減する。有病率は、先進国で高い。
【0063】
ADの原因は十分に理解されていない。病態生理学は複雑であり、遺伝的素因、表皮機能不全、及びT細胞駆動炎症が関与する可能性が高い。ADは、遺伝性構成要素を有し、他のアトピー性疾患(喘息及びアレルギー性鼻炎など)と密接に関連し、一般的に併発する。いくつかの病態生理学的機序が、ADの病因及び臨床的症状に寄与する。例えば、構造タンパク質フィラグリンの欠乏に起因する、上皮バリア機能の障害は、炎症及びT細胞浸潤を促進する可能性がある。ADにおける免疫応答は、Tヘルパー2細胞媒介経路に向かって傾いており、次いで、表皮バリアの破壊を助長する可能性がある。AD発病への他の寄与因子には、皮膚微生物叢の細菌叢異常(特に、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の過増殖)、全身免疫応答(免疫グロブリンE(IgE)媒介性感作を含む)、及び痒みに関与する神経炎症が含まれる。
【0064】
ADのための特定の診断検査はない。障害の診断は、患者の病歴及び臨床症状を考慮した特定の基準に基づいている。ADのための様々な診断基準が提案され、及び/又は検証されており、これらは当業者に既知である。以下の表1は、臨床で使用されるADのための一連の例示的な診断基準を提供する(Williams HC,et al.,Br J Dermatol.131:383-396(1994)、Williams HC,et al.,Br J Dermatol.131:397-405(1994)、Williams HC,et al.,Br J Dermatol.131:406-416(1994))。これらの基準を使用して、ADの診断は、痒みのある皮膚状態(又は子供の掻き傷若しくはこすり傷の親/介護者の報告)の存在に加えて、患者の年齢に応じて変化する3つ以上の軽微な基準を必要とする。
【0065】
(表1)
a4歳未満の子供では、早期発病が必ずしも診断されるとは限らない
【0066】
ADの臨床的症状は、年齢とともに変化する。乳児では、頭皮、顔、首、胴体、及び四肢の伸筋(外)表面が、一般的に影響を受けるが、おむつ領域は通常保たれる。子供は、典型的には、四肢の屈曲面(すなわち、肘及び膝の後ろでのひだ/屈曲)、首、手首、及び足首の関与を有する。青年期及び成人期には、四肢、手及び足の屈曲面が通常影響を受ける。年齢にかかわらず、ADに関連する痒みは、概して、一日中続き、夜に悪化し、睡眠不足及び生活の質の大幅な低下をもたらす。ADを他の皮膚疾患(例えば、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、疥癬)と区別することが困難な場合がある。これらの場合、アトピーの家族歴及び病変の分布が、診断を行うのに役立つ場合がある。非定型を呈する患者が、ADに類似する可能性がある他の皮膚状態を除外するために、パンチ皮膚生検が必要な場合がある。
【0067】
ADの現在の治療は、皮膚の水和及び修復、痒みの制限、並びに必要に応じて炎症を減少させることを含む、皮膚バリアの回復に向けられている。したがって、ADの管理を成功するには、患者及び介護者の教育、最適な皮膚ケアの実践、局所コルチコステロイド(TCS、第一選択)及び/又は局所カルシニューリン阻害剤(TCI)での抗炎症治療、並びに皮膚感染症の治療を含む多面的アプローチが必要となる。全身免疫抑制剤はまた、適切な皮膚ケア及び局所療法で制御できない重度な症例においても考慮され得る。第一世代の抗ヒスタミン薬は、その鎮静性及び障害性の副作用のため、ADの管理には日常的には推奨されていないが、これらの薬剤の短期間の使用は、特に、これらの再燃が顕著な睡眠障害に関連している場合、重度のADの再燃を経験している個体に役立つ場合がある。有益である可能性のある他の療法としては、紫外線(UV)光線療法、アレルゲン特異的免疫療法、又は湿式包装療法(軟化剤及び/又は局所コルチコステロイドを適用した後のAD病変に対する湿式包帯の適用)が挙げられる。
【0068】
III.バイオマーカーの検出
本開示は、ADを同定して陽性診断することができるだけでなく、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療に応答する可能性が高いであろうADを有する対象を同定することができ、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療の応答を追跡することができる、ADのバイオマーカーシグネチャを報告する最初のものである。本開示のポリヌクレオチド又はポリペプチドバイオマーカーとしては、CCL18、CCL20、CCL22、CCL27、CX3CL1、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、IL11、IL21、IL1RA、SPD、及びVEGF(より特に、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18)が挙げられ、これらのバイオマーカーは、当該技術分野で既知の様々な方法によって検出され得る。検出方法の非限定的な例を、以下に記載する。本開示の方法における検出アッセイは、精製又は単離されたDNA(ゲノム又はcDNA)、RNA、又はタンパク質(ポリペプチド)を含み得るか、又は検出ステップは、更なるDNA、RNA、又はタンパク質の精製/単離を必要とすることなく、生物学的試料から直接実施され得る。
【0069】
例えば、イムノアッセイを使用して、以下の表に示されるサイトカインが、同じ患者の非病変皮膚における発現レベルと比較して、ADを有する対象の病変皮膚において顕著に上方制御されていることを決定した。表に示される準定量値は、試料の総タンパク質含有量に対する同定されたサイトカインの百万分率(ppm)で表される比率である。この表に見られ得るように、CCL18、CCL20、CCL22、CCL27、CXCL6、CXCL8、シスタチン、IL1RA、IL11、IL21、SPD、及びVEGFの発現レベルは、非病変皮膚における発現レベルと比較して上方制御されていたが、CX3CL1は、下方制御されていた。更に、CCL18、CCL20、CCL22、CCL27、CXCL6、CXCL8、シスタチン、IL21、及びVEGFの発現レベルは、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での16週間の治療後に劇的に減少したが、CXCL1、IL1RA、IL11、及びSPDの発現レベルは、この治療経過後に顕著に増加した。同様に、CCL17の発現は、EASI75応答者において病変皮膚と非病変皮膚との間で顕著に異なり、16週目の病変皮膚において治療後に同時に低減した。
【0070】
【0071】
上の表及び以下の実施例セクションに示されるように、バイオマーカーの発現レベルは、ADを有する対象の病変皮膚において、対象の非病変皮膚における発現レベルよりも高い場合がある。更に、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、病変皮膚内の所与のバイオマーカーの発現レベルの減少又は増加をもたらし得る。
【0072】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、約300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約310ppm、約320ppm、約330ppm、約340ppm、約350ppm、約360ppm、約370ppm、約380ppm、約390ppm、約400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、少なくとも300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも310ppm、少なくとも320ppm、少なくとも330ppm、少なくとも340ppm、少なくとも350ppm、少なくとも360ppm、少なくとも370ppm、少なくとも380ppm、少なくとも390ppm、少なくとも400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの約150%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0073】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現を、約6分の1、約6.5分の1、約7分の1、約7.5分の1、約8分の1、約8.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0074】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、約15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約15.6ppm、約15.7ppm、約15.8ppm、約15.9ppm、約16ppm、約16.1ppm、約16.2ppm、約16.3ppm、約16.4ppm、約16.5ppm、約16.6ppm、約16.7ppm、約16.8ppm、約16.9ppm、約17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、少なくとも15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも15.6ppm、少なくとも15.7ppm、少なくとも15.8ppm、少なくとも15.9ppm、少なくとも16ppm、少なくとも16.1ppm、少なくとも16.2ppm、少なくとも16.3ppm、少なくとも16.4ppm、少なくとも16.5ppm、少なくとも16.6ppm、少なくとも16.7ppm、少なくとも16.8ppm、少なくとも16.9ppm、少なくとも17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0075】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現を、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0076】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、約1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約1560ppm、約1570ppm、約1580ppm、約1590ppm、約1600ppm、約1610ppm、約1620ppm、約1630ppm、約1640ppm、約1650ppm、約1660ppm、約1670ppm、約1680ppm、約1690ppm、約1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、少なくとも1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも1560ppm、少なくとも1570ppm、少なくとも1580ppm、少なくとも1590ppm、少なくとも1600ppm、少なくとも1610ppm、少なくとも1620ppm、少なくとも1630ppm、少なくとも1640ppm、少なくとも1650ppm、少なくとも1660ppm、少なくとも1670ppm、少なくとも1680ppm、少なくとも1690ppm、少なくとも1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0077】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0078】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、約50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約51ppm、約52ppm、約53ppm、約54ppm、約55ppm、約56ppm、約57ppm、約58ppm、約59ppm、約60ppm、約61ppm、約62ppm、約63ppm、約64ppm、約65ppm、約66ppm、約67ppm、約68ppm、約69ppm、約70ppm、約71ppm、約72ppm、約73ppm、約74ppm、約75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも51ppm、少なくとも52ppm、少なくとも53ppm、少なくとも54ppm、少なくとも55ppm、少なくとも56ppm、少なくとも57ppm、少なくとも58ppm、少なくとも59ppm、少なくとも60ppm、少なくとも61ppm、少なくとも62ppm、少なくとも63ppm、少なくとも64ppm、少なくとも65ppm、少なくとも66ppm、少なくとも67ppm、少なくとも68ppm、少なくとも69ppm、少なくとも70ppm、少なくとも71ppm、少なくとも72ppm、少なくとも73ppm、少なくとも74ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの約150%、約175%、約200%、約210%、約220%、約225%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも225%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0079】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現を、約1.5分の1、約1.75分の1、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ以上未満にさせ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0080】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、約150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約151ppm、約152ppm、約153ppm、約154ppm、約155ppm、約156ppm、約157ppm、約158ppm、約159ppm、約160ppm、約161ppm、約162ppm、約163ppm、約164ppm、約165ppm、約166ppm、約167ppm、約168ppm、約169ppm、約170ppm、約171ppm、約172ppm、約173ppm、約174ppm、約175ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも151ppm、少なくとも152ppm、少なくとも153ppm、少なくとも154ppm、少なくとも155ppm、少なくとも156ppm、少なくとも157ppm、少なくとも158ppm、少なくとも159ppm、少なくとも160ppm、少なくとも161ppm、少なくとも162ppm、少なくとも163ppm、少なくとも164ppm、少なくとも165ppm、少なくとも166ppm、少なくとも167ppm、少なくとも168ppm、少なくとも169ppm、少なくとも170ppm、少なくとも171ppm、少なくとも172ppm、少なくとも173ppm、少なくとも174ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0081】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0082】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、約207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約207500ppm、約208000ppm、約208500ppm、約209000ppm、約209500ppm、約210000ppm、約210500ppm、約211000ppm、約211500ppm、約212000ppm、約212500ppm、約213000ppm、約213500ppm、約214000ppm、約214500ppm、約215000ppm、約215500ppm、約216000ppm、約216500ppm、約217000ppm、約217500ppm、約218000ppm、約218500ppm、約219000ppm、約219500、約220000、約221000、約222000、約223000、約224000、約225000、約226000、約227000、約228000、約229000、約230000、約231000、約232000、約233000、約234000、約235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも207500ppm、少なくとも208000ppm、少なくとも208500少なくとも、少なくとも209000ppm、少なくとも209500ppm、少なくとも210000ppm、少なくとも210500ppm、少なくとも211000ppm、少なくとも211500ppm、少なくとも212000ppm、少なくとも212500ppm、少なくとも213000ppm、少なくとも213500ppm、少なくとも214000ppm、少なくとも214500ppm、少なくとも215000ppm、少なくとも215500ppm、少なくとも216000ppm、少なくとも216500ppm、少なくとも217000ppm、少なくとも217500ppm、少なくとも218000ppm、少なくとも218500ppm、少なくとも219000ppm、少なくとも219500、少なくとも220000、少なくとも221000、少なくとも222000、少なくとも223000、少なくとも224000、少なくとも225000、少なくとも226000、少なくとも227000、少なくとも228000、少なくとも229000、少なくとも230000、少なくとも231000、少なくとも232000、少なくとも233000、少なくとも234000、少なくとも235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0083】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2倍、約2.25倍、約2.5倍、約2.75倍、約3倍、約3.25倍、約3.5倍以上に増加させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0084】
本明細書に開示される方法、使用、及び組成物の目的のために、他の記載されるバイオマーカー(例えば、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、IL11、IL21、SPD、及びCCL17)は、参照試料における発現レベル(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)と比較して、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、同様のパターンの過剰発現を示し得、CX3CL1は、参照試料における発現レベル(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)と比較して、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、発現の増加を示し得る。同様に、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、CCL17、及びIL21は、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療後に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、同様のパターンの発現の減少を示し得、CX3CL1、IL11、及びSPDは、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療後に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において発現の増加を示し得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、本開示のバイオマーカー(例えば、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18)のタンパク質又はポリペプチド発現レベルは、ウェスタンブロッティング、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロッティング、免疫組織化学、免疫蛍光、免疫沈降、免疫電気泳動、又は質量分析によって検出され得る。
【0086】
追加的又は代替的に、いくつかの実施形態において、本開示のバイオマーカー(例えば、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18)をコードするポリヌクレオチドは、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、又はDNA若しくはRNAマイクロアレイによって検出され得る。本開示のバイオマーカーをコードするポリヌクレオチドを検出するための出発物質は、ゲノムDNA、cDNA、RNA、又はmRNAであり得る。核酸増幅は、直線的又は指数関数的であり得る。特定の変異体又は変異は、特定の方法で特定の標的配列と相互作用又はハイブリダイゼーションするように設計されたオリゴヌクレオチドプライマー又はプローブの補助を用いた増幅方法の使用によって検出され得、したがって、標的変異体のみを増幅する。プライマー及びプローブはまた、検出可能な標識又は複数の検出可能な標識を含み得る。プローブに関連付けられた検出可能な標識は、検出可能な信号を直接生成し得る。更に、プローブに関連付けられた検出可能な標識は、試薬を使用して間接的に検出され得、試薬は検出可能な標識を含み、プローブに関連付けられた標識に結合する。
【0087】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたプライマー又はプローブは、ノーザンブロット、サザンブロット、マイクロアレイ、ドット又はスロットブロット、及び生物学的試料内の標的核酸配列を検出するための蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)などのインサイチュハイブリダイゼーションアッセイを含むがこれらに限定されない、ハイブリダイゼーションアッセイで使用され得る。検出可能に標識されたプローブを使用して、標的核酸配列の増幅を監視することもできる。いくつかの実施形態において、増幅反応において存在する検出可能に標識されたプローブは、時間の関数として産生された増幅産物(複数可)の量を監視するのに好適である。そのようなプローブの例としては、5’-エキソヌクレアーゼアッセイ(本明細書に記載のTAQMAN(登録商標)プローブ(米国特許第5,538,848号も参照されたい)、様々なステムループ分子ビーコン(例えば、米国特許第6,103,476号及び同第5,925,517号、並びにTyagi and Kramer,1996,Nature Biotechnology 14:303-308を参照されたい)、ステムなし又は線形ビーコン(例えば、WO99/21881を参照されたい)、PNA分子ビーコン(商標)(例えば、米国特許第6,355,421号及び同第6,593,091号を参照されたい)、線形PNAビーコン(例えば、Kubista et al.,2001,SPIE 4264:53-58を参照されたい)、非FRETプローブ(例えば、米国特許第6,150,097号を参照されたい)、Sunrise(登録商標)/Amplifluor(商標)プローブ(米国特許第6,548,250号)、ステムループ及び二重鎖スコーピオンプローブ(Solinas et al.,2001,Nucleic Acids Research 29:E96及び米国特許第6,589,743号)、バルジループプローブ(米国特許第6,590,091号)、擬似ノットプローブ(米国特許第6,589,250号)、サイクリコン(米国特許第6,383,752号)、MGB Eclipse(商標)プローブ(Epoch Biosciences)、ヘアピンプローブ(米国特許第6,596,490号)、ペプチド核酸(PNA)ライトアッププローブ、自己組織化ナノ粒子プローブ、並びに、例えば、米国特許第6,485,901号、Mhlanga et al.,2001,Methods 25:463-471、Whitcombe et al.,1999,Nature Biotechnology.17:804-807、Isacsson et al.,2000,Molecular Cell Probes.14:321-328、Svanvik et al.,2000,Anal Biochem.281:26-35、Wolffs et al.,2001,Biotechniques 766:769-771、Tsourkas et al.,2002,Nucleic Acids Research.30:4208-4215、Riccelli et al.,2002,Nucleic Acids Research 30:4088-4093、Zhang et al.,2002 Shanghai.34:329-332、Maxwell et al.,2002,J.Am.Chem.Soc.124:9606-9612、Broude et al.,2002,Trends Biotechnol.20:249-56、Huang et al.,2002,Chem.Res.Toxicol.15:118-126、及びYu et al.,2001,J.Am.Chem.Soc 14:11155-11161に記載されているフェロセン修飾プローブが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、検出可能標識は、蛍光色素分子である。好適な蛍光部分としては、個々に又は組み合わせて作用する以下の蛍光色素分子が挙げられるがこれらに限定されない:4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸;アクリジン及び誘導体:アクリジン、アクリジンイソチオシアネート;Alexa Fluors:Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)555、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes);5-(2-アミノエチル)アミノナフタレン-l-スルホン酸(EDANS);4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5ジスルホネート(Lucifer Yellow VS);N-(4-アニリノ-l-ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;Black Hole Quencher(商標)(BHQ(商標))色素(biosearch Technologies);BODIPY色素:BODIPY(登録商標)R-6G、BOPIPY(登録商標)530/550、BODIPY(登録商標)FL;ブリリアントイエロー;クマリン及び誘導体:クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151);Cy2(登録商標)、Cy3(登録商標)、Cy3.5(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標);シアノシン;4’,6-ジミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI);5’,5”-ジブロモピロガロール-スルホンフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート;4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸;4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸;5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-l-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド);4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL);4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC);Eclipse(商標)(Epoch Biosciences Inc.);エオシン及び誘導体:エオシン、エオシンイソチオシアネート;エリスロシン及び誘導体:エリスロシンB、エリスロシンイソチオシアネート;エチジウム;フルオレセイン及び誘導体:5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ヘキサクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(HEX)、QFITC(XRITC)、テトラクロロフルオレセム(TET);フルオレスカミン;IR144;IR1446;ランタミド蛍光体;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4-メチルウンベリフェロン;オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラローザニリン;フェノールレッド;B-フィコエリトリン、R-フィコエリトリン;アロフィコシアニン;o-フタルジアルデヒド;Oregon Green(登録商標);ヨウ化プロピジウム;ピレン及び誘導体:ピレン、ピレンブチレート、スクシンイミジル1-ピレンブチレート;QSY(登録商標)7;QSY(登録商標)9;QSY(登録商標)21;QSY(登録商標)35(Molecular Probes);リアクティブレッド4(Cibacron(登録商標)ブリリアントレッド3B-A);ローダミン及び誘導体:6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミングリーン、ローダミンXイソチオシアネート、リボフラビン、ロソリン酸、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(テキサスレッド);テルビウムキレート誘導体;N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);並びにVIC(登録商標)。検出器プローブはまた、カルボキシレート基の代わりにS03を有するフルオレセニン色素のスルホネート誘導体、フルオレセインのホスホラミダイト形態、CY5のホスホラミダイト形態(例えば、Amershamから市販されている)を含み得る。
【0088】
プライマー又はプローブは、本開示のポリペプチドバイオマーカー(例えば、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18)をコードする核酸配列の任意の部分に選択的にハイブリダイゼーションするように設計され得る。プライマー又はプローブを調製するための方法は、当該技術分野で十分に開発されている。これらの遺伝子のヒトオルソログの例示的な核酸配列を以下に提供する。
【0089】
ホモサピエンスC-Cモチーフケモカインリガンド20(CCL20)、転写変異体1、mRNA(NCBI参照配列:NM_004591.3)(配列番号15)
【0090】
ホモサピエンスC-Cモチーフケモカインリガンド22(CCL22)、mRNA、(NCBI参照配列:NM_002990.5)(配列番号16)
【0091】
ホモサピエンスC-Cモチーフケモカインリガンド27(CCL27)、mRNA(NCBI参照配列:NM_006664.4)(配列番号17)
【0092】
ホモサピエンス血管内皮成長因子A(VEGFA)、転写変異体1、mRNA(NCBI参照配列:NM_001025366.3)(配列番号18)
【0093】
ホモサピエンスインターロイキン1受容体アンタゴニスト(IL1RN)、転写変異体2、mRNA(NCBI参照配列:NM_173841.3)(配列番号19)
【0094】
ホモサピエンスC-Cモチーフケモカインリガンド18(CCL18)、mRNA(NCBI参照配列:NM_002988.4)(配列番号20)
【0095】
別の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を診断する方法であって、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、バイオマーカーの発現レベルを参照レベルと比較することと、を含み、参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又はADを有することが疑われる対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、方法を提供する。追加的又は代替的に、本開示は、ADを有することが疑われる対象において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出する診断剤であって、バイオマーカーの発現レベルは、ADを有しない個体由来の皮膚試料又はADを有することが疑われる対象由来の非病変皮膚の試料における各バイオマーカーの発現レベルに対応する参照レベルと比較され得る、診断剤を提供する。いくつかの実施形態において、ADを有することが疑われる対象から得られた試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。上記の態様の目的のために、皮膚試料は、角質層を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり得る。
【0096】
別の態様において、本開示は、試料における炎症性バイオマーカーを検出する方法であって、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することを含む、方法を提供する。方法は、バイオマーカー(複数可)の発現レベルを参照レベルと比較することを更に含み得、参照レベルは、ADを有しない個体由来の皮膚試料又はADを有することが疑われる対象由来の非病変皮膚の試料における各バイオマーカーの対応する発現レベルである。追加的又は代替的に、本開示は、有することが疑われる対象から得られた試料における炎症性バイオマーカーを検出する診断剤であって、炎症性バイオマーカーは、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)を含み、バイオマーカーの発現レベルは、ADを有しない個体由来の皮膚試料における各バイオマーカーの発現レベルに対応する参照レベルと比較され得る、診断剤を提供する。いくつかの実施形態において、ADを有することが疑われる対象から得られた試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。上記の態様の目的のために、皮膚試料は、角質層を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり得る。
【0097】
上記の態様の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、約300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約310ppm、約320ppm、約330ppm、約340ppm、約350ppm、約360ppm、約370ppm、約380ppm、約390ppm、約400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、少なくとも300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも310ppm、少なくとも320ppm、少なくとも330ppm、少なくとも340ppm、少なくとも350ppm、少なくとも360ppm、少なくとも370ppm、少なくとも380ppm、少なくとも390ppm、少なくとも400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの約150%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0098】
上記の態様の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、約15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約15.6ppm、約15.7ppm、約15.8ppm、約15.9ppm、約16ppm、約16.1ppm、約16.2ppm、約16.3ppm、約16.4ppm、約16.5ppm、約16.6ppm、約16.7ppm、約16.8ppm、約16.9ppm、約17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、少なくとも15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも15.6ppm、少なくとも15.7ppm、少なくとも15.8ppm、少なくとも15.9ppm、少なくとも16ppm、少なくとも16.1ppm、少なくとも16.2ppm、少なくとも16.3ppm、少なくとも16.4ppm、少なくとも16.5ppm、少なくとも16.6ppm、少なくとも16.7ppm、少なくとも16.8ppm、少なくとも16.9ppm、少なくとも17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0099】
上記の態様の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、約1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約1560ppm、約1570ppm、約1580ppm、約1590ppm、約1600ppm、約1610ppm、約1620ppm、約1630ppm、約1640ppm、約1650ppm、約1660ppm、約1670ppm、約1680ppm、約1690ppm、約1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、少なくとも1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも1560ppm、少なくとも1570ppm、少なくとも1580ppm、少なくとも1590ppm、少なくとも1600ppm、少なくとも1610ppm、少なくとも1620ppm、少なくとも1630ppm、少なくとも1640ppm、少なくとも1650ppm、少なくとも1660ppm、少なくとも1670ppm、少なくとも1680ppm、少なくとも1690ppm、少なくとも1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0100】
上記の態様の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、約50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約51ppm、約52ppm、約53ppm、約54ppm、約55ppm、約56ppm、約57ppm、約58ppm、約59ppm、約60ppm、約61ppm、約62ppm、約63ppm、約64ppm、約65ppm、約66ppm、約67ppm、約68ppm、約69ppm、約70ppm、約71ppm、約72ppm、約73ppm、約74ppm、約75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも51ppm、少なくとも52ppm、少なくとも53ppm、少なくとも54ppm、少なくとも55ppm、少なくとも56ppm、少なくとも57ppm、少なくとも58ppm、少なくとも59ppm、少なくとも60ppm、少なくとも61ppm、少なくとも62ppm、少なくとも63ppm、少なくとも64ppm、少なくとも65ppm、少なくとも66ppm、少なくとも67ppm、少なくとも68ppm、少なくとも69ppm、少なくとも70ppm、少なくとも71ppm、少なくとも72ppm、少なくとも73ppm、少なくとも74ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの約150%、約175%、約200%、約210%、約220%、約225%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも225%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0101】
上記の態様の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、約150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約151ppm、約152ppm、約153ppm、約154ppm、約155ppm、約156ppm、約157ppm、約158ppm、約159ppm、約160ppm、約161ppm、約162ppm、約163ppm、約164ppm、約165ppm、約166ppm、約167ppm、約168ppm、約169ppm、約170ppm、約171ppm、約172ppm、約173ppm、約174ppm、約175ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも151ppm、少なくとも152ppm、少なくとも153ppm、少なくとも154ppm、少なくとも155ppm、少なくとも156ppm、少なくとも157ppm、少なくとも158ppm、少なくとも159ppm、少なくとも160ppm、少なくとも161ppm、少なくとも162ppm、少なくとも163ppm、少なくとも164ppm、少なくとも165ppm、少なくとも166ppm、少なくとも167ppm、少なくとも168ppm、少なくとも169ppm、少なくとも170ppm、少なくとも171ppm、少なくとも172ppm、少なくとも173ppm、少なくとも174ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0102】
上記の態様の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、約207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約207500ppm、約208000ppm、約208500ppm、約209000ppm、約209500ppm、約210000ppm、約210500ppm、約211000ppm、約211500ppm、約212000ppm、約212500ppm、約213000ppm、約213500ppm、約214000ppm、約214500ppm、約215000ppm、約215500ppm、約216000ppm、約216500ppm、約217000ppm、約217500ppm、約218000ppm、約218500ppm、約219000ppm、約219500、約220000、約221000、約222000、約223000、約224000、約225000、約226000、約227000、約228000、約229000、約230000、約231000、約232000、約233000、約234000、約235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも207500ppm、少なくとも208000ppm、少なくとも208500少なくとも、少なくとも209000ppm、少なくとも209500ppm、少なくとも210000ppm、少なくとも210500ppm、少なくとも211000ppm、少なくとも211500ppm、少なくとも212000ppm、少なくとも212500ppm、少なくとも213000ppm、少なくとも213500ppm、少なくとも214000ppm、少なくとも214500ppm、少なくとも215000ppm、少なくとも215500ppm、少なくとも216000ppm、少なくとも216500ppm、少なくとも217000ppm、少なくとも217500ppm、少なくとも218000ppm、少なくとも218500ppm、少なくとも219000ppm、少なくとも219500、少なくとも220000、少なくとも221000、少なくとも222000、少なくとも223000、少なくとも224000、少なくとも225000、少なくとも226000、少なくとも227000、少なくとも228000、少なくとも229000、少なくとも230000、少なくとも231000、少なくとも232000、少なくとも233000、少なくとも234000、少なくとも235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0103】
IV.治療用抗体及びインターロイキン31受容体サブユニットアルファ(IL-31RA)
インターロイキン-31(IL-31)は、構造、免疫細胞及び末梢神経の両方を活性化することができる神経炎症性サイトカインである。IL-31は、アトピー性皮膚炎を含む多数の慢性炎症性疾患に関与している。IL-31は、2型ヘルパー(Th2)T細胞を含む様々な細胞によって産生される。IL-31は、免疫細胞及び上皮細胞、並びにニューロンのサブセットにおいて発現されるインターロイキン31受容体サブユニットアルファ(「IL-31RA」、NR10、glm-r、及びGPLとも知られる)及びオンコスタチンM受容体β(OSMRβ)からなる受容体複合体を介してシグナルを送る。
【0104】
IL-31RAは、IL-31受容体として機能するときに、オンコスタチンM受容体(OSMR)とともにヘテロ二量体を形成する。ヒト由来IL-31RA(WO00/075314)の複数の既知のスプライシング変異体がある:NR10.1は、662個のアミノ酸からなり、膜貫通ドメインを含有する。NR10.2は、膜貫通ドメインを有しない252個のアミノ酸からなる可溶性受容体様タンパク質である。更に、膜貫通受容体タンパク質として機能する既知のIL-31RAスプライシング変異体としては、NR10.3及びIL-31RAv3が挙げられる。好ましいIL-31RA変異体としては、NR10.3(ILRAv4(Nat Immunol5,752-60,2004とも称される)及びIL-31RAv3が挙げられる。NR10.3(IL31RAv4)は662個のアミノ酸(WO00/075314、Nat Immunol5,752-60,2004)からなり、IL31RAv3は732個のアミノ酸(GenBank受託番号:NM-139017)からなる。
【0105】
IL31RAv4のアミノ酸配列は、以下のとおりである:
MKLSPQPSCVNLGMMWTWALWMLPSLCKFSLAALPAKPENISCVYYYRKNLTCTWSPGKETSYTQYTVKRTYAFGEKHDNCTTNSSTSENRASCSFFLPRITIPDNYTIEVEAENGDGVIKSHMTYWRLENIAKTEPPKIFRVKPVLGIKRMIQIEWIKPELAPVSSDLKYTLRFRTVNSTSWMEVNFAKNRKDKNQTYNLTGLQPFTEYVIALRCAVKESKFWSDWSQEKMGMTEEEAPCGLELWRVLKPAEADGRRPVRLLWKKARGAPVLEKTLGYNIWYYPESNTNLTETMNTTNQQLELHLGGESFWVSMISYNSLGKSPVATLRIPAIQEKSFQCIEVMQACVAEDQLVVKWQSSALDVNTWMIEWFPDVDSEPTTLSWESVSQATNWTIQQDKLKPFWCYNISVYPMLHDKVGEPYSIQAYAKEGVPSEGPETKVENIGVKTVTITWKEIPKSERKGIICNYTIFYQAEGGKGFSKTVNSSILQYGLESLKRKTSYIVQVMASTSAGGTNGTSINFKTLSFSVFEIILITSLIGGGLLILIILTVAYGLKKPNKLTHLCWPTVPNPAESSIATWHGDDFKDKLNLKESDDSVNTEDRILKPCSTPSDKLVIDKLVVNFGNVLQEIFTDEARTGQENNLGGEKNGTRILSSCPTSI(配列番号1)
【0106】
IL31RAv3のアミノ酸配列は、以下のとおりである:
MMWTWALWMLPSLCKFSLAALPAKPENISCVYYYRKNLTCTWSPGKETSYTQYTVKRTYAFGEKHDNCTTNSSTSENRASCSFFLPRITIPDNYTIEVEAENGDGVIKSHMTYWRLENIAKTEPPKIFRVKPVLGIKRMIQIEWIKPELAPVSSDLKYTLRFRTVNSTSWMEVNFAKNRKDKNQTYNLTGLQPFTEYVIALRCAVKESKFWSDWSQEKMGMTEEEAPCGLELWRVLKPAEADGRRPVRLLWKKARGAPVLEKTLGYNIWYYPESNTNLTETMNTTNQQLELHLGGESFWVSMISYNSLGKSPVATLRIPAIQEKSFQCIEVMQACVAEDQLVVKWQSSALDVNTWMIEWFPDVDSEPTTLSWESVSQATNWTIQQDKLKPFWCYNISVYPMLHDKVGEPYSIQAYAKEGVPSEGPETKVENIGVKTVTITWKEIPKSERKGIICNYTIFYQAEGGKGFSKTVNSSILQYGLESLKRKTSYIVQVMASTSAGGTNGTSINFKTLSFSVFEIILITSLIGGGLLILIILTVAYGLKKPNKLTHLCWPTVPNPAESSIATWHGDDFKDKLNLKESDDSVNTEDRILKPCSTPSDKLVIDKLVVNFGNVLQEIFTDEARTGQENNLGGEKNGYVTCPFRPDCPLGKSFEELPVSPEIPPRKSQYLRSRMPEGTRPEAKEQLLFSGQSLVPDHLCEEGAPNPYLKNSVTAREFLVSEKLPEHTKGEV(配列番号2)
【0107】
マウス由来IL-31RAは、以下のアミノ酸配列を含む:
MWTLALWAFSFLCKFSLAVLPTKPENISCVFYFDRNLTCTWRPEKETNDTSYIVTLTYSYGKSNYSDNATEASYSFPRSCAMPPDICSVEVQAQNGDGKVKSDITYWHLISIAKTEPPIILSVNPICNRMFQIQWKPREKTRGFPLVCMLRFRTVNSSRWTEVNFENCKQVCNLTGLQAFTEYVLALRFRFNDSRYWSKWSKEETRVTMEEVPHVLDLWRILEPADMNGDRKVRLLWKKARGAPVLEKTFGYHIQYFAENSTNLTEINNITTQQYELLLMSQAHSVSVTSFNSLGKSQEAILRIPDVHEKTFQYIKSMKAYIAEPLLVVNWQSSIPAVDTWIVEWLPEAAMSKFPALSWESVSQVTNWTIEQDKLKPFTCYNISVYPVLGHRVGEPYSIQAYAKEGTPLKGPETRVENIGLRTATITWKEIPKSARNGFINNYTVFYQAEGGKELSKTVNSHALQCDLESLTRRTSYTVWVMASTRAGGTNGVRINFKTLSISVFEIVLLTSLVGGGLLLLSIKTVTFGLRKPNRLTPLCCPDVPNPAESSLATWLGDGFKKSNMKETGNSGDTEDVVLKPCPVPADLIDKLVVNFENFLEVVLTEEAGKGQASILGGEANEYVTSPSRPDGPPGKSFKEPSVLTEVASEDSHSTCSRMADEAYSELARQPSSSCQSPGLSPPREDQAQNPYLKNSVTTREFLVHENIPEHSKGEV(配列番号3)
【0108】
カニクイザル由来IL-31RAは、以下のアミノ酸配列を含む:
MMWTWALWMFPLLCKFGLAALPAKPENISCVYYYRKNLTCTWSPGKETSYTQYTAKRTYAFGKKHDNCTTSSSTSENRASCSFFLPRITIPDNYTIEVEAENGDGVIKSDMTCWRLEDIAKTEPPEIFSVKPVLGIKRMIRIEWIKPELAPVSSDLKYALRFRTVNSTSWMEVNFAKNRKDTNQTYNLMGLQAFTEYVVALRCAVKESKFWSDWSQEKMGMTEEEAPCGLELWRVLKPTEVDGRRPVRLLWKKARGAPVLEKTLGYNIWYFPENNTNLTETVNTTNQQLELHLGGESYWVSMISYNSLGKSPVTTLRIPAIQEKSFRCIEVMQACLAEDQLVVKWQSSALDVNTWMIEWFPDMDSEHPTLSWESVSQATNWTIQQDKLKPFWCYNISVYPMLHDKVGEPYSIQAYAKEGIPSKGPETKVENIGVKTVTITWKEIPKSERKGIICNYTIFYQAEGGKGFSKTVNSSILQYGLESLKRKTSYTVRVMASTSAGGINGTSINFKTLSFSVFEIILITSLIGGGLLILIILTVAYGLKKPNKLTHLCWPSVPNPAESSIATWRGDDFKDKLNLKESDDSVNTEDRILKPCSTPSDKLVIDKSVVNFGNVLQEMFTDEARTGQENNLGGEKNEYVTHPFRADCPLGKSFEELPVSPEIPPRKSQYLRSRMPEGTCLEAEEQLLVSGQSLESLAPDHVREAAAPNPYLKNSVTTREFLVSQKLPEHTKGEV(配列番号4)
【0109】
本開示の目的のために、ネモリズマブなどの抗IL-31RA抗体(すなわち、治療用抗体)は、少なくともヒトIL-31RA又はそのスプライス変異体に結合しなければならない。
【0110】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、それらの組み合わせ、又はそれらの断片を含む免疫グロブリン又は免疫グロブリン様分子を総称して指す。抗体の断片としては、例えば、Fab断片及び一本鎖可変断片(scFv)が挙げられ得る。抗体は、一般に、ジスルフィド結合によって相互に接続された重(H)鎖及び軽(L)鎖を含む。軽鎖には、ラムダ(λ)及びカッパ(κ)の2種類がある。抗体分子の機能活性を決定する5つの主な重鎖クラス(又はアイソタイプ)がある:IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgE。各重鎖及び軽鎖は、定常領域及び可変領域(「ドメイン」としても知られている)を含有する。組み合わせて、「Fab領域」とも呼ばれる重鎖及び軽鎖可変領域は、所与の抗原に特異的に結合する。軽鎖及び重鎖可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断された「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域及びCDRの範囲が定義される(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照されたい)。Kabatデータベースは現在オンラインで維持されている。異なる軽鎖又は重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されており、フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合相互作用によってCDRを正しい方向に配置するための足場を形成するように作用する。
【0111】
CDRは、抗原上のエピトープへの結合に主に関与する。各鎖のCDRは、典型的には、CDR1、CDR2、及びCDR3と称され、N末端から開始して順次番号付けされ、また典型的には、特定のCDRが位置する鎖によって同定される。したがって、HCDR3は、それが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、一方、LCDR1は、それが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインからのCDR1である。IL-31RAに結合する抗体は、特異的VH領域及びVL領域配列、したがって特異的CDR配列を有する。異なる特異性を有する抗体は、一般に、異なるCDRを有する。抗体ごとに異なるのはCDRであるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置のみが抗原結合に直接関与している。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
【0112】
抗体のFc断片領域(Fc)は、免疫細胞活性を調節する役割を果たす。Fc領域は、Bリンパ球、濾胞樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球などの特定の細胞上に見出されるタンパク質の特定のクラスに結合することによって、各抗体が所与の抗原に対して適切な免疫応答を生成することを保証するように機能し、「Fc受容体」と呼ばれる。重鎖の定常ドメインが抗体のFc領域を構成するため、抗体中の重鎖のクラスは、それらのクラス効果を決定する。抗体中の重鎖は、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミューを含み、それぞれ、抗体のアイソタイプIgA、IgG、IgD、IgE、及びIgMに相関する。したがって、抗体の異なるアイソタイプは、それらの異なるFc領域が結合し、異なる種類の受容体を活性化するため、異なるクラス効果を有する。
【0113】
ヒト血清中で最も豊富な抗体アイソタイプであるIgGには、4つのサブクラスがある。高度に保存されている4つのサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4。これらのペプチドの定常領域のアミノ酸配列は、当該技術分野で既知であり、例えば、Rutishauser,U.et al.(1968)“Amino acid sequence of the Fc region of a human gamma G-immunoglobulin”PNAS61(4):1414-1421、Shinoda et al.(1981)“Complete amino acid sequence of the Fc region of a human delta chain”PNAS78(2):785-789、及びRobinson et al.(1980)“Complete amino acid sequence of a mouse immunoglobulin alpha chain(MOPC511)”PNAS77(8):4909-4913を参照されたい。
【0114】
本開示の方法及び医薬用途の目的のための全ての治療用抗体は、IL-31RAに結合する抗体又はその断片であるが、特異的抗IL-31RA抗体は限定されない。ネモリズマブは、好ましい抗IL-31RA抗体であるが、他の抗IL-31RA抗体も同様に使用され得る。本開示の方法及び薬学的用途での使用に好適な治療用抗体は、ヒト、ヒト化、又はキメラであり得、IgA、IgG(すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)、IgD、IgE、又はIgMであり得る。
【0115】
ネモリズマブは、IL-31RAに結合するヒト化モノクローナル抗体である。ネモリズマブは、以下のように注釈される:免疫グロブリンG2-カッパ、抗[ホモサピエンスIL31RA(インターロイキン31受容体サブユニットアルファ)]、ヒト化モノクローナル抗体;ガンマ2重鎖(1-445)[ヒト化VH(ホモサピエンスIGHV1-2*02(83.70%)-(IGHD)-IGHJ5*01)[8.8.14](1-121)-ホモサピエンスIGHG2*01(CH1 C10>S(135)、R12>K(137)、E16>G(141)、S17>G(142)(122-219)、ヒンジC4>S(223)(220-231)、CH2 H30>Q(268)(232-340)、CH3 R11>Q(355)、Q98>E(419)(341-445))(122-445)]、(224-214’)-カッパ軽鎖を含むジスルフィド、(1’-214’)[ヒト化V-カッパ(ホモサピエンスIGKV1-39*01(82.10%)-IGKJ4*01)[6.3.9](1’-107’)-ホモサピエンスIGKC*01(108’-214’)]、二量体(227-227”:230-230”)-ビスジスルフィド。ネモリズマブは、以下の位置にジスルフィド架橋を有する。Intra-H(C23-C104)22-96148-204261-321367-42522’’-96’’148’’-204’’261’’-321’’367’’-425’’、Intra-L(C23-C104)23’-88’134’-194’23’’’-88’’’134’’’-194’’’、Inter-H-L(h5-CL126)224-214’224’’-214’’’、Inter-H-H(h8,h11)227-227’’230-230’’。ネモリズマブは、以下の位置にN-グリコシル化部位を有する:H CH2 N84.4:297,297’’。ネモリズマブは、H鎖C末端グリシン及びリジン(CHS G1>del,K2>del)を欠いている。
【0116】
ネモリズマブは、以下の重鎖アミノ酸配列を含む:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYIMNWVRQAPGQGLEWMGLINPYNGGTDYNPQFQDRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDGYDDGPYTLETWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKSCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSP(配列番号5)。
【0117】
ネモリズマブは、以下の軽鎖アミノ酸配列を含む:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASEDIYSFVAWYQQKPGKAPKLLIYNAQTEAQGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQHHYDSPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号6)。
【0118】
このネモリズマブの重鎖可変領域は、以下のアミノ酸配列を含む:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYIMNWVRQAPGQGLEWMGLINPYNGGTDYNPQFQDRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDGYDDGPYTLETWGQGTLVTVSS(配列番号7)。
【0119】
ネモリズマブのHCDR1は、アミノ酸配列GYIMN(配列番号8)を含み、HCDR2は、アミノ酸配列LINPYNGGTDYNPQFQD(配列番号9)を含み、HCDR3は、アミノ酸配列DGYDDGPYTLET(配列番号10)を含む。
【0120】
このネモリズマブの軽鎖可変領域は、以下のアミノ酸配列を含む:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASEDIYSFVAWYQQKPGKAPKLLIYNAQTEAQGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQHHYDSPLTFGGGTKVEIKR(配列番号11)。
【0121】
ネモリズマブのLCDR1は、アミノ酸配列QASEDIYSFVA(配列番号12)を含み、LCDR2は、アミノ酸配列NAQTEAQ(配列番号13)を含み、LCDR3は、アミノ酸配列QHHYDSPLT(配列番号14)を含む。
【0122】
本開示の目的のために、ネモリズマブの「変異体抗体」又は「変異体」には、(i)ネモリズマブの重鎖配列に対して少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を含む重鎖を有する抗体、(ii)ネモリズマブの軽鎖配列に対して少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を含む軽鎖を有する抗体、(iii)ネモリズマブの可変領域配列に対して少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を含む可変領域を有する抗体、(iv)ネモリズマブのCDR配列に対して少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を含むCDRを有する抗体、及び(v)それらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、好適な変異体としては、ネモリズマブと同一又は実質的に類似の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を有する免疫グロブリン又は免疫グロブリン様分子が挙げられる。他の好適な治療抗体は、ネモリズマブと同じIL-31RAのアイソフォーム(例えば、IL31-RAv3)、任意選択でIL-31RAの同じエピトープ、IL-31RAのブロック若しくは中和、又はそれらの組み合わせに結合してもよい。追加の例示的な治療用抗体は、例えば、WO2010/064697に記載されている。
【0123】
ネモリズマブの変異体及び好適な治療用抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体であり得る。IL31-RA結合及び/又は中和活性を有するそのようなモノクローナル抗体は、例えば、以下の手順によって得ることができる:抗IL31-RAモノクローナル抗体は、既知の方法によってヒト又はマウスなどの哺乳動物に由来するIL31-RA又はその断片を抗原として使用することによって調製され、次いで、IL31-RA結合及び/又は中和活性を有する抗体は、このようにして得られた抗IL31-RAモノクローナル抗体から選択される。具体的には、所望の抗原又は所望の抗原を発現する細胞を、従来の免疫化方法による免疫化のための感作抗原として使用する。抗IL31-RAモノクローナル抗体は、得られた免疫細胞を、従来の細胞融合法を用いて既知の親細胞と融合させ、従来のスクリーニング法によってモノクローナル抗体産生細胞(ハイブリドーマ)についてスクリーニングすることによって調製することができる。免疫化される動物としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、サル、ヤギ、ロバ、ウシ、ウマ、及びブタなどの哺乳動物が挙げられる。抗原は、既知の方法に従って、既知のIL31-RA遺伝子配列を使用して、例えば、バキュロウイルスを使用する方法(例えば、WO98/46777)によって調製することができる。ネモリズマブ及び好適な治療用抗体の変異体としては、そのうちのいずれかがネモリズマブの配列及び/又は結合ドメインに由来し得る、イントラボディ、ペプチボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、タンデムジ-scFV、タンデムトリ-scFv)、ダーピン、重鎖単量体、重鎖二量体、又は単一ドメイン抗体(すなわち、VHH断片又は「ラクダ科様」抗体)も挙げられ得る。
【0124】
ハイブリドーマは、例えば、Milstein et al.の方法に従って調製され得る(Kohler,G.And Milstein,C.,Methods Enzymol.(1981)73:3-46)。抗原の免疫原性が低い場合、抗原を、アルブミンなどの免疫原性を有する巨大分子と結合させた後に、免疫化を行ってもよい。ヒトIL31-RAに対する結合及び/又は中和活性を有するモノクローナル抗体を調製するために使用される抗原は、ヒトIL31-RAに対する結合及び/又は中和活性を有する抗体の調製を可能にする限り、特に限定されない。例えば、ヒトIL31-RAには多数の変異体が存在することが知られており、任意の変異体は、それがヒトIL31-RAに対する結合及び/又は中和活性を有する抗体の調製を可能にする限り、免疫原として使用され得る。代替的に、同じ条件下で、IL31-RAのペプチド断片又は人工変異が天然IL31-RA配列に導入されたタンパク質を、免疫原として使用してもよい。ヒトIL31-RA.3は、本開示におけるIL31-RAの結合及び/又は中和の活性を有する抗体を調製する際に好ましい免疫原の1つである。
【0125】
治療用抗体のIL31-RA結合活性はまた、当業者に既知の方法によって決定され得る。抗体の抗原結合活性の決定方法としては、例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、EIA(酵素免疫アッセイ)、RIA(放射免疫アッセイ)、及び蛍光抗体法が挙げられる。例えば、酵素イムノアッセイを使用する場合、抗体産生細胞の精製された抗体及び培養上清などの抗体含有試料を、抗原被覆プレートに添加する。アルカリホスファターゼなどの酵素で標識された二次抗体を添加し、プレートをインキュベートする。洗浄後、p-ニトロフェニルリン酸塩などの酵素基質を添加し、吸光度を測定して、抗原結合活性を評価する。IL31-RAに対する治療用抗体の結合及び/又は中和活性は、例えば、IL-31依存性細胞株の増殖を抑制する効果を観察することによって測定することができる。例えば、精製されたマウスIL-31抗体の活性は、マウスIL-31受容体α及びマウスOSMR遺伝子でトランスフェクトされたBa/F3細胞のIL-31依存性成長を評価することによってアッセイすることができる。
【0126】
ネモリズマブ及びその断片又は変異体を含む、本明細書に開示される抗IL31RA抗体(すなわち、「治療用抗体」)のうちのいずれかは、ADを治療及び/又は予防し、本開示の治療エンドポイントを達成するために使用され得る。最適な用量及び投与経路は異なる場合がある。
【0127】
V.薬学的組成物
ADによって引き起こされる皮膚病変、又は結節、又は掻痒症を含む、アトピー性皮膚炎(AD)の治療又は予防における使用のための薬学的組成物が本明細書で提供される。薬学的組成物は、活性成分として、ネモリズマブなどの抗IL31RA抗体(すなわち、「治療用抗体」)、又はその断片若しくは変異体を含む。例えば、一態様において、本開示は、対象におけるADの治療又は予防における使用のための薬学的組成物であって、活性成分として、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)を含み、対象が、参照レベルよりも高い発現レベルで、自身の皮膚において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)を発現する、薬学的組成物を提供する。参照レベルは、ADを有しない個体由来の皮膚試料における、又は、代替的に、病変又は掻痒症を含まない対象由来の皮膚試料(すなわち、非病変皮膚)における、各バイオマーカーの発現レベルに対応し得る。いくつかの実施形態において、ADを有することが疑われる対象から得られた試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。上記の態様の目的のために、皮膚試料は、角質層を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり得る。
【0128】
本開示は同様に、対象におけるADの治療又は予防における使用のための薬学的組成物であって、活性成分として、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)を含み、対象が、参照レベルよりも高い発現レベルで、自身の皮膚において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)を発現し、対象が、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18のうちの少なくとも1つの発現レベルを検出すること、及び任意選択で、バイオマーカーの発現レベルを参照レベルと比較することによって、ADを有すると診断される、薬学的組成物を提供する。参照レベルは、ADを有しない個体由来の皮膚試料における、又は、代替的に、病変又は掻痒症を含まない対象由来の皮膚試料(すなわち、非病変皮膚)における、各バイオマーカーの発現レベルに対応し得る。いくつかの実施形態において、ADを有することが疑われる対象から得られた試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。上記の態様の目的のために、皮膚試料は、角質層を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり得る。
【0129】
上記の薬学的組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、約300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約310ppm、約320ppm、約330ppm、約340ppm、約350ppm、約360ppm、約370ppm、約380ppm、約390ppm、約400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、少なくとも300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも310ppm、少なくとも320ppm、少なくとも330ppm、少なくとも340ppm、少なくとも350ppm、少なくとも360ppm、少なくとも370ppm、少なくとも380ppm、少なくとも390ppm、少なくとも400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの約150%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0130】
上記の態様の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、約15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約15.6ppm、約15.7ppm、約15.8ppm、約15.9ppm、約16ppm、約16.1ppm、約16.2ppm、約16.3ppm、約16.4ppm、約16.5ppm、約16.6ppm、約16.7ppm、約16.8ppm、約16.9ppm、約17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、少なくとも15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも15.6ppm、少なくとも15.7ppm、少なくとも15.8ppm、少なくとも15.9ppm、少なくとも16ppm、少なくとも16.1ppm、少なくとも16.2ppm、少なくとも16.3ppm、少なくとも16.4ppm、少なくとも16.5ppm、少なくとも16.6ppm、少なくとも16.7ppm、少なくとも16.8ppm、少なくとも16.9ppm、少なくとも17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0131】
上記の薬学的組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、約1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約1560ppm、約1570ppm、約1580ppm、約1590ppm、約1600ppm、約1610ppm、約1620ppm、約1630ppm、約1640ppm、約1650ppm、約1660ppm、約1670ppm、約1680ppm、約1690ppm、約1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、少なくとも1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも1560ppm、少なくとも1570ppm、少なくとも1580ppm、少なくとも1590ppm、少なくとも1600ppm、少なくとも1610ppm、少なくとも1620ppm、少なくとも1630ppm、少なくとも1640ppm、少なくとも1650ppm、少なくとも1660ppm、少なくとも1670ppm、少なくとも1680ppm、少なくとも1690ppm、少なくとも1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0132】
上記の薬学的組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、約50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約51ppm、約52ppm、約53ppm、約54ppm、約55ppm、約56ppm、約57ppm、約58ppm、約59ppm、約60ppm、約61ppm、約62ppm、約63ppm、約64ppm、約65ppm、約66ppm、約67ppm、約68ppm、約69ppm、約70ppm、約71ppm、約72ppm、約73ppm、約74ppm、約75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも51ppm、少なくとも52ppm、少なくとも53ppm、少なくとも54ppm、少なくとも55ppm、少なくとも56ppm、少なくとも57ppm、少なくとも58ppm、少なくとも59ppm、少なくとも60ppm、少なくとも61ppm、少なくとも62ppm、少なくとも63ppm、少なくとも64ppm、少なくとも65ppm、少なくとも66ppm、少なくとも67ppm、少なくとも68ppm、少なくとも69ppm、少なくとも70ppm、少なくとも71ppm、少なくとも72ppm、少なくとも73ppm、少なくとも74ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの約150%、約175%、約200%、約210%、約220%、約225%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも225%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0133】
上記の薬学的組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、約150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約151ppm、約152ppm、約153ppm、約154ppm、約155ppm、約156ppm、約157ppm、約158ppm、約159ppm、約160ppm、約161ppm、約162ppm、約163ppm、約164ppm、約165ppm、約166ppm、約167ppm、約168ppm、約169ppm、約170ppm、約171ppm、約172ppm、約173ppm、約174ppm、約175ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも151ppm、少なくとも152ppm、少なくとも153ppm、少なくとも154ppm、少なくとも155ppm、少なくとも156ppm、少なくとも157ppm、少なくとも158ppm、少なくとも159ppm、少なくとも160ppm、少なくとも161ppm、少なくとも162ppm、少なくとも163ppm、少なくとも164ppm、少なくとも165ppm、少なくとも166ppm、少なくとも167ppm、少なくとも168ppm、少なくとも169ppm、少なくとも170ppm、少なくとも171ppm、少なくとも172ppm、少なくとも173ppm、少なくとも174ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0134】
上記の薬学的組成物の目的のために、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、約207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約207500ppm、約208000ppm、約208500ppm、約209000ppm、約209500ppm、約210000ppm、約210500ppm、約211000ppm、約211500ppm、約212000ppm、約212500ppm、約213000ppm、約213500ppm、約214000ppm、約214500ppm、約215000ppm、約215500ppm、約216000ppm、約216500ppm、約217000ppm、約217500ppm、約218000ppm、約218500ppm、約219000ppm、約219500、約220000、約221000、約222000、約223000、約224000、約225000、約226000、約227000、約228000、約229000、約230000、約231000、約232000、約233000、約234000、約235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも207500ppm、少なくとも208000ppm、少なくとも208500少なくとも、少なくとも209000ppm、少なくとも209500ppm、少なくとも210000ppm、少なくとも210500ppm、少なくとも211000ppm、少なくとも211500ppm、少なくとも212000ppm、少なくとも212500ppm、少なくとも213000ppm、少なくとも213500ppm、少なくとも214000ppm、少なくとも214500ppm、少なくとも215000ppm、少なくとも215500ppm、少なくとも216000ppm、少なくとも216500ppm、少なくとも217000ppm、少なくとも217500ppm、少なくとも218000ppm、少なくとも218500ppm、少なくとも219000ppm、少なくとも219500、少なくとも220000、少なくとも221000、少なくとも222000、少なくとも223000、少なくとも224000、少なくとも225000、少なくとも226000、少なくとも227000、少なくとも228000、少なくとも229000、少なくとも230000、少なくとも231000、少なくとも232000、少なくとも233000、少なくとも234000、少なくとも235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0135】
本開示の薬学的組成物の使用又は投与はまた、薬学的組成物を受ける対象の皮膚(特に、病変皮膚)において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及び/又はCCL18の発現の減少、及び/又はIL1Raの発現の増加をもたらし得る。
【0136】
本開示の薬学的組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現を、約6分の1、約6.5分の1、約7分の1、約7.5分の1、約8分の1、約8.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0137】
本開示の薬学的組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現を、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0138】
本開示の薬学的組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0139】
本開示の薬学的組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現を、約1.5分の1、約1.75分の1、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0140】
本開示の薬学的組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0141】
本開示の薬学的組成物の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2倍、約2.25倍、約2.5倍、約2.75倍、約3倍、約3.25倍、約3.5倍以上に増加させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0142】
本開示の薬学的組成物の目的のために、他の記載されるバイオマーカー(例えば、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、IL11、IL21、SPD、及びCCL17)は、参照試料における発現レベル(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)と比較して、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、同様のパターンの過剰発現を示し得、CX3CL1は、参照試料における発現レベル(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)と比較して、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、発現の増加を示し得る。同様に、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、CCL17、及びIL21は、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療後に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、同様のパターンの発現の減少を示し得、CX3CL1、IL11、及びSPDは、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療後に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において発現の増加を示し得る。
【0143】
「ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体を活性成分として含む」という語句は、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体を活性成分のうちの少なくとも1つとして含むことを意味し、抗体の割合を制限しない。加えて、本開示におけるADのための治療薬は、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体と組み合わせて、ADの治療又は予防を増強する他の成分を含み得る。例えば、組成物は、1つ以上の局所コルチコステロイドクリーム又は注射剤、痒みのある皮膚を冷却及び鎮静するためのメントール又はフェノールを含む軟膏、カプサイシンクリーム、経口コルチコセロイド、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、及び経口抗ヒスタミン薬を含み得る。
【0144】
本開示の抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)の薬学的組成物は、標準的な方法に従って、製剤として調製され得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,Mark Publishing Company,Easton,USAを参照されたい)。薬学的組成物は、一般に、抗体に加えて、担体及び/又は添加剤を含む。例えば、いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、1つ以上の界面活性剤(例えば、PEG及びTween)、賦形剤、抗酸化物質(例えば、アスコルビン酸)、着色剤、香料剤、防腐剤、安定剤、緩衝剤(例えば、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸)、キレート剤(例えば、EDTA)、懸濁剤、アイソトナイズ剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動性促進剤、コリジェント、軽質無水ケイ酸、ラクトース、結晶性セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60、スクロース、カルボキシメチルセルロース、トウモロコシデンプン、及び無機塩を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、1つ以上の他の低分子量ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、及び免疫グロブリンなどのタンパク質、並びにグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、及びリジンなどのアミノ酸を含む。
【0145】
抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)は、注射用水溶液として調製され得、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)は、例えば、生理食塩水、デキストロース、又は他の賦形剤若しくは等張剤(すなわち、等張化剤)を含有する等張性溶液中に溶解され得る。等張剤としては、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、及び塩化ナトリウムが挙げられ得る。加えて、適切な可溶化剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール及びPEG)、及び非イオン性洗剤(ポリソルベート80及びHCO-50)を同時に使用してもよい。
【0146】
いくつかの実施形態において、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)は、マイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリメチルメタクリレートなどで作製されるマイクロカプセル)にカプセル化され、コロイド薬物送達システムの構成要素(リポソーム、アルブミン微粒子、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中に作製され得る(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Science 16th edition”&,Oslo Ed.(1980)を参照されたい)。更に、徐放性薬物を作製する方法は既知であり、これらは、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体に適用することができる(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.(1981)15,167-277;Langer,Chem.Tech.(1982)12,98-105、米国特許第3,773,919号、欧州特許出願(EP)第58,481号、Sidman et al.,Biopolymers(1983)22,547-56;EP133,988)。
【0147】
本開示の薬学的組成物は、経口的又は非経口的に投与され得るが、好ましくは非経口的に投与される。具体的には、薬学的組成物は、注射又は経皮投与によって患者に投与される。注射としては、例えば、全身投与又は局所投与のための静脈内注射、筋肉内注射、及び皮下注射が挙げられる。薬学的組成物は、炎症及び/若しくは痒みが抑制される部位、又は局所注入若しくは筋肉内若しくは皮下注射によって部位を取り囲む領域に与えられ得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、1つ以上の皮膚剥離、病変、若しくは結節の部位で、又は1つ以上の皮膚剥離、病変、若しくは結節の部位の近位で投与される。
【0148】
投与方法は、患者の年齢、体重、及び状態に応じて適切に選択することができる。単回投与用量は、例えば、体重1kg当たり0.0001~100mgの抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)の範囲内から選択することができる。代替的に、例えば、抗体がヒト患者に投与される場合、抗体の用量は、0.001~1,000mg/kg体重の範囲から選択することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、例えば約0.01~50mg/kg、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.05mg/kg~0.15mg/kg、約0.1mg/kg~約0.6mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.25mg/kg~約0.75mg/kg、約0.4mg/kg~約0.8mg/kg、約0.4mg/kg~約1.8mg/kg、約0.5~約2.5mg/kg、約0.8mg/kg~約2.2mg/kg、約1mg/kg~約2.5mg/kg、約1mg/kg~約3.5mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約4mg/kg、約2.5mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約10mg/kg~約40mg/kg、約20mg/kg~約50mg/kg、約25mg/kg~約75mg/kg、約50mg/kg~約100mg/kg、又は約100mg/kg~約500mg/kg、又は約100mg/kg~約1000mg/kg体重のネモリズマブ又はその断片若しくは変異体を含有する用量を投与するように製剤化される。好ましい実施形態において、用量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、又は約2.5mg/kg~約10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg又は約1,000mg/kgである。特定の実施形態において、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体の有効量は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、又は約2.5mg/kgである。好ましい実施形態において、用量は、約0.5mg/kgである。
【0149】
本開示は、対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療又は予防においての使用のための薬学的組成物であって、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)を活性成分として含み、対象が、少なくとも1つの遺伝子の参照発現レベルと比較して、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つを差次的に発現する、薬学的組成物を提供する。
【0150】
ネモリズマブ及びその断片又は変異体を含む、本明細書に開示される薬学的組成物のうちのいずれかは、ADを治療及び/又は予防し、本開示の治療エンドポイントを達成するために使用され得る。最適な用量及び投与経路は異なる場合がある。
【0151】
VI.アトピー性皮膚炎の治療/予防
本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象における掻痒症を治療又は予防する方法であって、方法が、対象に、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体などの抗IL-31RA抗体(すなわち、「治療用抗体」)を投与することを含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる、方法を提供する。開示される方法は、以下でより詳細に説明される特定の治療エンドポイントを達成するために実施され得る。また、ADを治療又は予防するため、及び/又は本開示の治療エンドポイントを達成するための、対象に対するネモリズマブ又はその断片若しくは変異体などの抗IL-31RA抗体(すなわち、「治療用抗体」)の使用が本明細書で開示される。また、ADを治療又は予防するため、及び/又は本開示の治療エンドポイントを達成するための、対象に対するネモリズマブ又はその断片若しくは変異体などの抗IL-31RA抗体(すなわち、「治療用抗体」)が本明細書で開示される。加えて、ADを有する対象の特定の部分群は、本開示の方法及び使用による治療に特に好適であり得る。例えば、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18などの本開示のバイオマーカーの発現の増加を呈する患者は、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療に特によく応答することが見出された。同様に、本開示は、中等度から重度のADを有する青年が、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療に応答することを示す最初のものである。したがって、本開示の方法及び使用のいくつかの実施形態において、治療されている対象は、自身の皮膚において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18の発現の増加を呈し得、いくつかの実施形態において、対象は、青年であり得、いくつかの実施形態において、対象は、自身の皮膚において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18の発現の増加を呈している青年であり得る。
【0152】
本開示は、ADを同定して陽性診断することができるだけでなく、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療に応答する可能性が高いであろうADを有する対象を同定することができ、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療の応答を追跡することができる、ADのバイオマーカーシグネチャを報告する最初のものである。
【0153】
一態様において、本開示は、対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)を治療又は予防する方法であって、ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、対象は、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現が、ADを有しない個体の非病変皮膚と比較して、上方制御されている、皮膚病変を有する、方法を提供する。いくつかの実施形態において、ADを「予防すること」は、単に再燃のリスクを低減すること、又は皮膚病変の発症のリスクを低減することを指すことができる。
【0154】
別の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を低減させる方法であって、ADを有する対象に抗IL-31RA抗体を投与することを含み、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つが、対象又はADを有しない個体の非病変皮膚と比較して、対象の皮膚病変において上方制御されており、抗IL-31RA抗体の投与が、皮膚病変におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現を低減させる、方法を提供する。
【0155】
本開示の使用及び方法の目的のために、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの1、2、3、4、5、又は6個は、対象又はADを有しない個体の非病変皮膚と比較して、対象の少なくとも1つの皮膚病変において上方制御されていてもよい。いくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFは、対象又はADを有しない個体の非病変皮膚と比較して、対象の皮膚病変において上方制御されている。
【0156】
追加的又は代替的に、いくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現は、抗IL-31RA抗体の投与から2週間、4週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、又は20週間以内に、抗IL-31RA抗体の投与前の対象の皮膚病変におけるベースライン発現レベルと比較して、低減する。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つの発現は、本明細書で説明されるように、低減又は増加する。
【0157】
例えば、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、約300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約310ppm、約320ppm、約330ppm、約340ppm、約350ppm、約360ppm、約370ppm、約380ppm、約390ppm、約400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、少なくとも300ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも310ppm、少なくとも320ppm、少なくとも330ppm、少なくとも340ppm、少なくとも350ppm、少なくとも360ppm、少なくとも370ppm、少なくとも380ppm、少なくとも390ppm、少なくとも400ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの約150%、約200%、約210%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL18の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0158】
ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、約15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約15.6ppm、約15.7ppm、約15.8ppm、約15.9ppm、約16ppm、約16.1ppm、約16.2ppm、約16.3ppm、約16.4ppm、約16.5ppm、約16.6ppm、約16.7ppm、約16.8ppm、約16.9ppm、約17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、少なくとも15.5ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも15.6ppm、少なくとも15.7ppm、少なくとも15.8ppm、少なくとも15.9ppm、少なくとも16ppm、少なくとも16.1ppm、少なくとも16.2ppm、少なくとも16.3ppm、少なくとも16.4ppm、少なくとも16.5ppm、少なくとも16.6ppm、少なくとも16.7ppm、少なくとも16.8ppm、少なくとも16.9ppm、少なくとも17ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルより少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL20の発現レベルの少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0159】
ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、約1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約1560ppm、約1570ppm、約1580ppm、約1590ppm、約1600ppm、約1610ppm、約1620ppm、約1630ppm、約1640ppm、約1650ppm、約1660ppm、約1670ppm、約1680ppm、約1690ppm、約1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、少なくとも1550ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも1560ppm、少なくとも1570ppm、少なくとも1580ppm、少なくとも1590ppm、少なくとも1600ppm、少なくとも1610ppm、少なくとも1620ppm、少なくとも1630ppm、少なくとも1640ppm、少なくとも1650ppm、少なくとも1660ppm、少なくとも1670ppm、少なくとも1680ppm、少なくとも1690ppm、少なくとも1700ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL22の発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0160】
ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、約50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約51ppm、約52ppm、約53ppm、約54ppm、約55ppm、約56ppm、約57ppm、約58ppm、約59ppm、約60ppm、約61ppm、約62ppm、約63ppm、約64ppm、約65ppm、約66ppm、約67ppm、約68ppm、約69ppm、約70ppm、約71ppm、約72ppm、約73ppm、約74ppm、約75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも50ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも51ppm、少なくとも52ppm、少なくとも53ppm、少なくとも54ppm、少なくとも55ppm、少なくとも56ppm、少なくとも57ppm、少なくとも58ppm、少なくとも59ppm、少なくとも60ppm、少なくとも61ppm、少なくとも62ppm、少なくとも63ppm、少なくとも64ppm、少なくとも65ppm、少なくとも66ppm、少なくとも67ppm、少なくとも68ppm、少なくとも69ppm、少なくとも70ppm、少なくとも71ppm、少なくとも72ppm、少なくとも73ppm、少なくとも74ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより約1.5倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、又は約3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、又は少なくとも3倍以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの約150%、約175%、約200%、約210%、約220%、約225%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、又は約300%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるCCL27の発現レベルの少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも225%、少なくとも230%、少なくとも240%、少なくとも250%、少なくとも260%、少なくとも270%、少なくとも280%、少なくとも290%、又は少なくとも300%以上であり得る。
【0161】
ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、約150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約151ppm、約152ppm、約153ppm、約154ppm、約155ppm、約156ppm、約157ppm、約158ppm、約159ppm、約160ppm、約161ppm、約162ppm、約163ppm、約164ppm、約165ppm、約166ppm、約167ppm、約168ppm、約169ppm、約170ppm、約171ppm、約172ppm、約173ppm、約174ppm、約175ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも150ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも151ppm、少なくとも152ppm、少なくとも153ppm、少なくとも154ppm、少なくとも155ppm、少なくとも156ppm、少なくとも157ppm、少なくとも158ppm、少なくとも159ppm、少なくとも160ppm、少なくとも161ppm、少なくとも162ppm、少なくとも163ppm、少なくとも164ppm、少なくとも165ppm、少なくとも166ppm、少なくとも167ppm、少なくとも168ppm、少なくとも169ppm、少なくとも170ppm、少なくとも171ppm、少なくとも172ppm、少なくとも173ppm、少なくとも174ppm、少なくとも75ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるVEGFの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0162】
ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、約207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、約207500ppm、約208000ppm、約208500ppm、約209000ppm、約209500ppm、約210000ppm、約210500ppm、約211000ppm、約211500ppm、約212000ppm、約212500ppm、約213000ppm、約213500ppm、約214000ppm、約214500ppm、約215000ppm、約215500ppm、約216000ppm、約216500ppm、約217000ppm、約217500ppm、約218000ppm、約218500ppm、約219000ppm、約219500、約220000、約221000、約222000、約223000、約224000、約225000、約226000、約227000、約228000、約229000、約230000、約231000、約232000、約233000、約234000、約235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現は、少なくとも207000ppm(試料中の総タンパク質に対するバイオマーカータンパク質の比率として計算される場合)、少なくとも207500ppm、少なくとも208000ppm、少なくとも208500少なくとも、少なくとも209000ppm、少なくとも209500ppm、少なくとも210000ppm、少なくとも210500ppm、少なくとも211000ppm、少なくとも211500ppm、少なくとも212000ppm、少なくとも212500ppm、少なくとも213000ppm、少なくとも213500ppm、少なくとも214000ppm、少なくとも214500ppm、少なくとも215000ppm、少なくとも215500ppm、少なくとも216000ppm、少なくとも216500ppm、少なくとも217000ppm、少なくとも217500ppm、少なくとも218000ppm、少なくとも218500ppm、少なくとも219000ppm、少なくとも219500、少なくとも220000、少なくとも221000、少なくとも222000、少なくとも223000、少なくとも224000、少なくとも225000、少なくとも226000、少なくとも227000、少なくとも228000、少なくとも229000、少なくとも230000、少なくとも231000、少なくとも232000、少なくとも233000、少なくとも234000、少なくとも235000ppm以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより約1.01倍、約1.02倍、約1.03倍、約1.04倍、約1.05倍、約1.06倍、約1.07倍、約1.08倍、約1.09倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルより少なくとも1.01倍、少なくとも1.02倍、少なくとも1.03倍、少なくとも1.04倍、少なくとも1.05倍、少なくとも1.06倍、少なくとも1.07倍、少なくとも1.08倍、少なくとも1.09倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍以上であり得るか、又は発現レベルは、病変皮膚と参照試料との間でほぼ同じであり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、又は約175%以上であり得る。追加的又は代替的に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現は、参照試料(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)におけるIL1RAの発現レベルの少なくとも101%、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも108%、少なくとも109%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも155%、少なくとも160%、少なくとも165%、少なくとも170%、又は少なくとも175%以上であり得る。
【0163】
別の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象の皮膚における炎症性バイオマーカーの発現を低減させる方法であって、ADを有する対象に、抗IL-31RA抗体を投与し、それによって、皮膚における炎症性バイオマーカーの発現を低減させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、炎症性バイオマーカーは、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態において、炎症性バイオマーカーは、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFのうちの少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFのうちの1、2、3、又は4個全ての発現は、低減する。いくつかの実施形態において、炎症性バイオマーカーの発現は、対象の少なくとも1つの皮膚病変において低減する。バイオマーカーの低減は、時点0(すなわち、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)の投与前でのバイオマーカー(複数可)の発現のベースライン測定を行い、この初期測定を、治療開始の1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間後、12週間後、13週間後、14週間後、15週間後、16週間後、17週間後、18週間後、19週間後、20週間後、21週間後、22週間後、23週間後、又は24週間後以上などの治療開始後の後の時点と比較することによって測定され得る。いくつかの実施形態において、抗IL31RA抗体での治療は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、又は6週間に1回の抗体の反復投与を含み得、投与レジメンは、以下でより詳細に説明されるように、「フラット」であってもよく、又は負荷用量を含んでもよい。
【0164】
本開示の方法及び使用の目的のために、対象に、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体などの抗IL-31RA抗体(すなわち、「治療用抗体」)を投与することは、ADを有する対象における掻痒症(痒み)、乾燥(皮膚乾燥)、湿疹性病変、及び著しい睡眠障害を含むがこれらに限定されないADによって引き起こされる症状/合併症のうちの1つ以上を予防、低減、改善、又は排除し、生活の質を改善するのに有効であり得る。ADを有する全ての対象が治療に応答するわけではないことが理解されるが、(対象の皮膚の非病変試料又はADを有しない個体の皮膚の非病変試料と比較して)CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18の発現の増加を有する皮膚病変を有する対象は、ネモリズマブなどの抗IL31RA抗体での治療に好ましく応答する可能性が高い。
【0165】
本開示の方法及び使用の目的のために、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、湿疹面積及び重症度指数(EASI)スコアリングの少なくとも66.5%の減少を達成し得る。いくつかの実施形態において、EASIスコアリングの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%以上であり得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、AD関与の体表面積(EASI)の少なくとも53.3%の減少を達成し得る。いくつかの実施形態において、体表面積EASIスコアリングの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%以上であり得る。
【0166】
本開示の方法及び使用の目的のために、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、スコアリングアトピー性皮膚炎(SCORAD)スコアリングの少なくとも31.2%の減少を達成し得る。いくつかの実施形態において、SCORADスコアリングの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%以上であり得る。
【0167】
本開示の方法及び使用の目的のために、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、ピーク掻痒症数値評価尺度(PP-NRS)スコアリングの少なくとも43.2%の減少を達成し得る。いくつかの実施形態において、PP-NRSスコアリングの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%以上であり得る。いくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、平均掻痒症数値評価尺度(AP NRS)スコアリングの少なくとも40.9%の減少を達成する。いくつかの実施形態において、AP NRSスコアリングの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%以上であり得る。
【0168】
追加的又は代替的に、いくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、改善された睡眠を経験する。いくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、睡眠障害数値評価尺度の少なくとも53.5%の減少を達成する。いくつかの実施形態において、睡眠障害数値評価尺度の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%以上であり得る。
【0169】
追加的又は代替的に、いくつかの実施形態において、対象は、抗IL-31RA抗体の投与後、薬物治療なしの日数の増加を経験する。例えば、対象は、1、2、3、4、5、6、若しくは7日間、又は1週間、2週間、3週間、4週間以上の間、任意の他の薬物治療を必要としない場合がある。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態において、対象は、皮膚科生活適格指数(DLQI)又は小児皮膚科生活の質指数(cDLQI)スコアリングの改善を達成する。
【0170】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態において、対象は、成人(すなわち、18歳以上)である。いくつかの実施形態において、対象は、青年、例えば、12~17歳の年齢である。いくつかの実施形態において、対象は、7~11歳又は2~6歳などの12歳未満である。いくつかの実施形態において、対象は、ADと診断されている。いくつかの実施形態において、対象は、ADを有することが疑われるか、又はADを発症するリスクがある。
【0171】
いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、皮下投与される。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、又はそれ以外の場合注射を介して投与される。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、又は8週間に1回投与され得る。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、4週間に1回投与される。
【0172】
いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、又は約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、30mg~60mgで投与される。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、30mgで投与される。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、60mgで投与される。
【0173】
いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブである。
【0174】
いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)は、負荷用量レジメンに従って投与される。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)は、60mgの負荷用量で、続いて、4週間ごとに30mgの用量で、少なくとも8、12、14、16、18、20、22、又は24週間皮下投与される。
【0175】
いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)は、フラット投与レジメンに従って投与される。例えば、いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)は、4週間ごとに30mg又は60mgの用量で、少なくとも8、12、14、16、18、20、22、又は24週間皮下投与される。
【0176】
別の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定する方法であって、ADを有することが疑われる対象から得られた試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、バイオマーカーの発現レベルを参照レベルと比較することと、を含み、バイオマーカーの発現レベルが、参照レベルよりも高い場合、対象が治療に応答し、参照レベルが、ADを有しない個体由来の皮膚試料又は対象由来の非病変皮膚の試料における対応する各バイオマーカーの発現レベルである、方法を提供する。いくつかの実施形態において、ADを有することが疑われる対象から得られた試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。上記の態様の目的のために、皮膚試料は、角質層を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり得る。
【0177】
更に別の態様において、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象が抗IL-31RA抗体での治療に応答するかどうかを決定する方法であって、少なくとも1用量の抗IL-31RA抗体を投与されたADを有する対象から得られた治療後試料において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は6個全てのバイオマーカー(複数可)の発現レベルを検出することと、バイオマーカーの発現レベルを、治療が開始される前に同じ対象から得られた試料からのベースライン発現レベルと比較することと、を含み、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、及び/又はCCL18の発現レベルの減少が、対象が治療に応答することを示し、並びに/又はIL1RAの発現レベルの増加が、対象が治療に応答することを示す、方法を提供する。いくつかの実施形態において、試料は、皮膚試料であり、任意選択で、病変を含む。いくつかの実施形態において、治療後試料は、抗IL-31RA抗体の投与の約4週間後、約8週間後、約12週間後、約14週間後、約16週間後、約18週間後、又は約20週間後に得られる。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、配列番号8を含むHCDR1、配列番号9を含むHCDR2、及び配列番号10を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号12を含むLCDR1、配列番号13を含むLCDR2、及び配列番号14を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体である。いくつかの実施形態において、抗IL-31RA抗体は、ネモリズマブである。上記の態様の目的のために、皮膚試料は、角質層を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなり得る。
【0178】
本開示の治療及び予防の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL18の発現を、約6分の1、約6.5分の1、約7分の1、約7.5分の1、約8分の1、約8.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0179】
本開示の治療及び予防の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL20の発現を、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0180】
本開示の治療及び予防の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL22の発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0181】
本開示の治療及び予防の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるCCL27の発現を、約1.5分の1、約1.75分の1、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0182】
本開示の治療及び予防の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるVEGFの発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2分の1、約2.25分の1、約2.5分の1、約2.75分の1、約3分の1、約3.25分の1、約3.5分の1に、またはそれ未満に減少させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0183】
本開示の治療及び予防の目的のために、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療は、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚におけるIL1RAの発現を、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2倍、約2.25倍、約2.5倍、約2.75倍、約3倍、約3.25倍、約3.5倍以上に増加させ得る。そのような減少を達成するために必要な治療期間は、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間以上であり得る。好適な投与(dosing)及び投与(administration)レジメンが以下でより詳細に説明される。
【0184】
本開示の治療及び予防の目的のために、他の記載されるバイオマーカー(例えば、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、IL11、IL21、SPD、及びCCL17)は、参照試料における発現レベル(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)と比較して、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、同様のパターンの過剰発現を示し得、CX3CL1は、参照試料における発現レベル(例えば、対象の非病変皮膚又はADを有しない対象由来の皮膚)と比較して、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、発現の増加を示し得る。同様に、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、CCL17、及びIL21は、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療後に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において、同様のパターンの発現の減少を示し得、CX3CL1、IL11、及びSPDは、抗IL-31RA抗体(例えば、ネモリズマブ)での治療後に、ADを有する(又はADを有することが疑われる)対象の病変皮膚において発現の増加を示し得る。
【0185】
前述の態様又は実施形態のいずれかにおいて、皮膚病変におけるこれらの遺伝子(例えば、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18)の発現レベルは、当該技術分野で既知の任意の核酸又はポリペプチド検出アッセイを使用して検出され得る。いくつかの実施形態において、CCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及び/又はCCL18のうちの1つ以上の発現は、RT-qPCR、RT-PCR、RNA-seq、ノーザンブロッティング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、DNA若しくはRNAマイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は質量分析によって決定される。
【0186】
VII.本開示の方法及び使用のための用量及び投与レジメン
ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体などの抗IL-31RA抗体の有効量は、ADの少なくとも1つ以上の症状を緩和するなど有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量である。本明細書で使用される有効量にはまた、発症を遅延若しくは予防するか、AD症状の経過を変化させるか、又はADの症状を逆転させるのに十分な量も含まれるだろう。したがって、正確な「有効量」を特定することはできない。しかしながら、どのような場合であっても適切な「有効量」は、日常的な実験のみを使用して、当業者によって決定され得る。
【0187】
有効量は、1回以上の投与、適用、又は投薬で投与することができる。そのような送達は、個々の投薬単位が使用される期間、治療薬の生物学的利用能、投与経路などを含むいくつかの変数に依存する。しかしながら、任意の特定の対象について本開示の治療薬の特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、全般的な健康、性別、及び食生活、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、並びに治療される特定の障害の重症度及び投与形態を含む様々な要因に依存することが理解される。治療及び予防投薬量は一般に、安全性及び有効性を最適化するために滴定され得る。投薬量は、医師によって決定され、必要に応じて、治療の観察された効果に合わせて調整することができる。典型的には、インビトロ及び/又はインビボ検査からの投薬量-効果関係は、最初に、患者投与のための適切な用量に関する有用なガイダンスを提供することができる。一般に、インビトロで有効であることが見出される濃度に見合った血清レベルを達成するのに有効な量の化合物を投与することが望まれる。これらのパラメータの決定は、当該技術分野の技術の範囲内である。これらの考慮事項、並びに有効な製剤及び投与手順は、当該技術分野で周知であり、標準的な教科書に記載されている。
【0188】
ADを治療又は予防するための投薬量レジメンは、フラット投与(すなわち、あらかじめ決められた間隔で同じ用量を繰り返し投与すること)を含み得るか、又は負荷用量(すなわち、後続の連続用量よりも高い又は異なる初回用量を投与すること)を含み得る。いずれかのタイプの投与レジメンの目的のために、有効用量は、局所的に、非経口的に、皮下的に、皮下的に、皮内に、又は筋肉内に投与され得る。好ましい実施形態において、投与は、皮下注射を含む。
【0189】
いくつかの実施形態において、負荷用量及び後続の連続用量は、同じ経路(例えば、皮下)を介して投与されてもよく、一方、いくつかの実施形態において、負荷用量及び後続の連続用量は、異なる経路(例えば、それぞれ、非経口及び皮下)を介して投与されてもよい。いくつかの実施形態において、負荷用量は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg以上であり得る。いくつかの実施形態において、負荷用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg以上であり得る。いくつかの実施形態において、負荷用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg又は約1,000mg/kgであり得る。いくつかの実施形態において、負荷用量は、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg、500mg/kg又は1,000mg/kgであり得る。いくつかの実施形態において、負荷用量は、単一注射として投与される。いくつかの実施形態において、負荷用量は、同時に投与されてもよく、又は定義された間隔で離間されてもよい複数の注射として投与される。
【0190】
負荷用量レジメンの後続の連続用量は、一般に、負荷用量よりも低い。例えば、いくつかの実施形態において、投与レジメンは、60mgの負荷用量及び30mgの連続用量を含んでもよく、これらは、例えば、4週間に1回の定義された間隔で投与されてもよい。いくつかの実施形態において、投与レジメンの連続用量は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg以上であり得る。いくつかの実施形態において、連続用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg以上であり得る。いくつかの実施形態において、連続用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg又は約1,000mg/kgであり得る。いくつかの実施形態において、連続用量は、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg、500mg/kg又は1,000mg/kgであり得る。
【0191】
負荷用量レジメンの目的のために、第1の連続用量は、初期負荷用量の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、又は10週間後に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、第1の連続用量は、初期負荷用量の4週間後に投与される。いくつかの実施形態において、後続の連続用量は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、又は10週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、連続用量は、4週間間隔で配置される(すなわち、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体は、4週間に1回投与される)。
【0192】
いくつかの実施形態において、対象に投与される抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)の用量は、対象の0.001~1,000mg/kg体重の範囲内であり得る。いくつかの実施形態において、用量は、約0.01~50mg/kg、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.05mg/kg~0.15mg/kg、約0.1mg/kg~約0.6mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.25mg/kg~約0.75mg/kg、約0.4mg/kg~約0.8mg/kg、約0.4mg/kg~約1.8mg/kg、約0.5~約2.5mg/kg、約0.8mg/kg~約2.2mg/kg、約1mg/kg~約2.5mg/kg、約1mg/kg~約3.5mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約4mg/kg、約2.5mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約10mg/kg~約40mg/kg、約20mg/kg~約50mg/kg、約25mg/kg~約75mg/kg、約50mg/kg~約100mg/kg、又は約100mg/kg~約500mg/kg、又は約100mg/kg~約1000mg/kg体重の抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)の範囲である。好ましい実施形態において、用量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、約0.5mg/kg~約1.5mg/kg、約1.5mg/kg~約2.5mg/kg、又は約2.5mg/kg~約10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、用量は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg、約100mg/kg、約500mg/kg又は約1,000mg/kgである。特定の実施形態において、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)の用量は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、又は約2.5mg/kgである。好ましい実施形態において、用量は、約0.5mg/kgである。
【0193】
いくつかの実施形態において、対象に投与される抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)の用量は、1~100mg、25~75mg、30~60mg、40~80mg、20~80mg、1~25mg、1~50mg、10~90mg、15~85mgの範囲内、又はそれらの間の範囲内である。いくつかの実施形態において、用量は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg以上であり得る。いくつかの実施形態において、用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg以上であり得る。
【0194】
本開示の方法及び使用のいくつかの実施形態において、約60mgの負荷用量の抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)が、ADを有する対象に投与され得、続いて、4週間に1回、約30mgで、後続の連続する用量の抗IL31RA抗体(例えば、断片のネモリズマブ又はその変異体)が投与され得る。本開示の方法及び使用のいくつかの実施形態において、約60mgの第1の用量の抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)が、ADを有する対象に投与され得、続いて、4週間に1回、約60mgで、後続の連続する用量の抗IL31RA抗体(例えば、断片のネモリズマブ又はその変異体)が投与され得る(すなわち、用量は一定であるか、又は「フラット」投与レジメンである)。本開示の方法及び使用のいくつかの実施形態において、約30mgの第1の用量の抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)が、ADを有する対象に投与され得、続いて、4週間に1回、約30mgで、後続の連続する用量の抗IL31RA抗体(例えば、断片のネモリズマブ又はその変異体)が投与され得る。
【0195】
本開示の方法及び使用のいくつかの実施形態において、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)は、局所経路又は非経口経路によって投与される。いくつかの実施形態において、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)は、皮下投与される。いくつかの実施形態において、用量は、1つ以上の結節、病変、又は剥離の部位で、又はその近位に皮下投与される。
【0196】
本開示の方法及び使用のいくつかの実施形態において、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)は、毎日、隔日、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、12週間に1回、年に2回、年に1回、及び/又はADの症状の出現に基づき必要に応じて投与される。好ましい実施形態において、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)は、4週間ごと又は8週間ごとに投与される。
【0197】
本開示の方法及び使用のいくつかの実施形態において、治療又は予防の期間は、約1日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約24週間、約30週間、約36週間、約40週間、約48週間、約50週間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、又はADの症状の出現に基づき必要に応じてである。好ましい実施形態において、治療又は予防の期間は、約12週間~約24週間、約12週間~約36週間、約12週間~約48週間、又は約24週間~約36週間である。
【0198】
本開示は、ADの治療又は予防のための、ADを有する対象におけるCCL20、CCL22、CCL27、VEGF、IL1RA、及びCCL18のうちの1つ以上の発現を正常化するための、並びに/又は皮膚における炎症応答を減少させるための医薬品の製造における、抗IL31RA抗体(例えば、ネモリズマブ又はその断片若しくは変異体)の使用を提供する。本開示の用量、投与レジメン、投与経路、バイオマーカー、及び治療エンドポイントの全ては、これらの使用にも適用可能である。
【0199】
以下の実施例は、本開示を例示するために提供される。本発明が、これらの実施例に記載される特定の条件又は詳細に限定されるべきではないことを理解されたい。
【実施例】
【0200】
実施例1-ADの治療におけるネモリズマブの有効性を決定するための臨床試験。
序論及び方法
中程度から重度のADを有する18人の対象におけるネモリズマブの薬物動態(PK)、安全性、及び臨床有効性を評価するために、以下に記載されるように、第2相単一群非盲検研究を実施した。ADのバイオマーカーに対するネモリズマブの効果も調査した。
【0201】
全体的な研究設計。これは、中等度から重度のAD及び関連する掻痒症を有する青年対象(12~17歳)におけるネモリズマブのPK及び安全性を評価するための非盲検単一群研究であった。約20人の適格な対象が、登録され、16週間の処置期間にわたって4週間ごとにネモリズマブ(30mg)の皮下注射を受け、1日目に60mgのLDを受けた。治験薬の最終用量は、12週目に行われ、対象は、16週目の来院で治療期間を完了した。ネモリズマブ長期延長研究にロールオーバしなかった対象について、8週間のフォローアップ期間(24週目来院)をスケジュールした。16週目の来院前に研究を早期に中止した対象は、治験薬の最後の用量後12週間追跡されなければならなかった。
図1及び表2は、臨床研究の概略を示す。
【0202】
(表2)臨床研究の概略
LD=負荷用量、n=対象数、Q4W=4週間ごと。
【0203】
ネモリズマブ血清濃度を、ベースライン、1~2、4、8、12、16、及び24週目、並びに安全上の理由で任意のスケジュール外の来院時に評価した。第1相及び第2a相研究からの以前のPKデータを使用して、異なる用量及び用量レジメンでのネモリズマブ血清濃度の正確なシミュレーションを可能にする集団PKモデルを開発した。集団PKモデルは、第2b相研究のためにいくつかの固定用量を使用して全身曝露をシミュレーションするために使用された。第2b相の結果は、成人における30mgの用量についてのpopPKモデルの予測可能性を裏付ける(表3)。
【0204】
(表3)ネモリズマブは、成人における30mgの用量の場合の実際のC
troughレベルと比較した平均血清濃度(μg/mL)を予測した
aNは、観察の数を表す。濃度は、モデルから導き出された個々の予測である。
bnは、研究114322の中間PK分析のためのPKデータを提供する成人対象の数を表す。
【0205】
目的:
研究の主要な目的は、TCSと併用投与された場合の、局所治療で適切に制御されない中等度から重度のアトピー性AD及び関連する掻痒症を有する青年対象におけるネモリズマブのPK及び安全性を評価することであった。
【0206】
研究の第二の目的は、ネモリズマブの有効性を評価し、ネモリズマブ全身曝露と臨床的有効性エンドポイント(PK/PD関係)との間の関係を更に特徴付けることであった。
【0207】
選択基準。研究に参加するためには、対象は以下の基準を満たしている必要がある:
1.スクリーニング来院時に12歳以上~17歳の対象。
2.スクリーニング来院前の少なくとも2年間の慢性ADであり、スクリーニング来院時の米国皮膚科学会のコンセンサス基準に従って確認されている。
3.スクリーニング及びベースライン来院の両方でEASIスコア≧16。
4.スクリーニング及びベースライン来院の両方でIGAスコア≧3(0~4の範囲のIGA尺度に基づき、3は中等度であり、4は重度であった)。
5.スクリーニング及びベースライン来院の両方で、BSAの≧10%のAD関与。
6.スクリーニング及びベースライン来院の両方で少なくとも4.0のピーク(最大)掻痒症数値評価尺度(NRS)スコア
●スクリーニングPP NRSスコアは、スクリーニング来院の直前の24時間の単一のPP NRS評価(0~10の範囲のスコア)によって決定された。
●ベースラインPP NRSスコアは、ベースラインの直前の7日間の毎日のPP NRSスコア(0~10の範囲のスコア)の平均に基づいて決定された(四捨五入は許可されていない)。この計算には、ベースライン直前の7日間のうち最低でも4つの毎日のスコアが必要であった。
7.局所薬物治療(TCIの有無にかかわらずTCS)に対する不適切な応答の文書化された最近の病歴(スクリーニング来院前の6か月以内)。許容される文書には、TCS(TCIの有無にかかわらず)の処方及び治療結果に関する情報を含む患者記録、又は治験責任医師と異なる場合、対象の治療を行う医師との会話の文書が含まれる。文書が不十分な場合、そのような文書が取得された後に対象が再スクリーニングされた場合がある。TCS治療(TCIの有無にかかわらず)に対する不十分な応答は、以下のように定義された:
7a.少なくとも4週間、又は処方情報に従って最長期間にわたって適用された、中程度の効力又は高い効力のTCS(TCIの有無にかかわらず)の毎日のレジメンでの治療にもかかわらず、寛解又は低疾患活性(IGA≦2に相当、軽度)を達成又は維持することができないか、又は
7b.寛解又は低疾患活性(IGA≦2に相当する)を達成又は維持するための、高い効力のTCS(TCIの有無にかかわらず)での長期治療(>4週間)の必要性。注:対象がTCSに加えてTCIを受けていた場合、寛解又は低疾患活動性(IGA≦2に相当)を達成又は維持できなかったことに関する文書化も必要であった。
7c.局所薬物治療に対する不適切な応答の文書が利用できなかった場合、文書化されたADのための全身治療又は光線療法の最近の経過を有する対象(来院前の6か月以内)も、局所治療に対する不適切な応答者とみなされた。
8.スクリーニング来院から毎日、必要に応じて自由に研究全体を通して保湿剤を適用することに合意した。治験責任医師によって適切に決定された、スクリーニング来院から研究全体を通して認可されたTCSを適用することに合意した。
9.妊娠の可能性のある女性(WOCBP)は、研究全体を通して及び最後の治験薬注射後12週間禁欲すること、又は研究全体を通して及び最後の治験薬注射後12週間、有効で承認された避妊方法を使用することに同意している必要がある。この基準は、研究中に月経を開始した思春期前の女性対象にも適用された。
【0208】
対象及び/又はそのパートナーに適用可能な有効かつ承認された避妊方法は、以下に定義される:
●プロゲストゲンのみの経口ホルモン避妊
●男性用又は女性用コンドーム
●殺精子剤付きキャップ、ダイアフラム、又はスポンジ
●男性用又は女性用コンドームと殺精子剤付きキャップ、ダイアフラム、又はスポンジとの組み合わせ
●複合(エストロゲン及びプロゲストゲン含有-)経口、膣内、又は経皮ホルモン避妊
●注射又は埋め込み型ホルモン避妊
●子宮内避妊具
10.対象及び保護者は、この研究のために提供された電子ハンドヘルドデバイスを使用する対象による毎日の日記の記録を含む、臨床研究プロトコルの全ての時間の約束及び手順上の要件に従う意思があり、従うことができる。
11.任意の治験手順が実施される前に、ICF及び同意書を理解し、署名した。
【0209】
除外基準。研究に参加するためには、対象は以下の基準のうちのいずれも満たしていてはならない:
1.体重<30kg。
2.スクリーニング又はベースラインで、以下の基準のうちの1つ以上を満たす対象:
2a.過去12か月以内に入院を必要とする喘息の増悪があった。
2b.過去3か月間、十分に制御されていない喘息(すなわち、症状が週に2日を超える、夜間の目覚めが週に1超~3回、又は正常な活動に何らかの干渉)が報告されている。
2c.喘息制御検査(ACT)≦19(喘息の病歴を有する対象にのみ適用される)。
2d.ピーク呼気流量(PEF)が予測値の<80%。
3.慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び/又は慢性気管支炎の現在の病歴を有する対象。
4.スクリーニング来院前1週間以内の皮膚感染症、又はスクリーニング来院前1週間以内の経口又は非経口抗生物質、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、若しくは抗真菌薬での治療を必要とする感染症。感染が解消すると、対象は再スクリーニングされた場合がある。
5.試用期間中にADのレスキュー療法を必要とするか、又はベースライン来院後2週間以内にレスキュー療法を必要とすると予想される。
6.スクリーニング来院時のB型肝炎表面抗原[HBsAg]又はB型肝炎コア抗体[HBcAb]、C型肝炎抗体、又はヒト免疫不全ウイルス[HIV]抗体の陽性の血清学的結果。注:HBcAbが陽性でHBsAgが陰性の対象は、B型肝炎表面抗体(HBsAb)が陽性である場合(自然感染後の免疫とみなされる)、この臨床研究に含めることができた。
7.ベースライン来院の前に、指定された時間枠内に表4の以下の治療のうちのいずれかを受けた。
【0210】
(表4)以前の治療
AD=アトピー性皮膚炎、JAK=ヤヌスキナーゼ、TCS=局所コルチコステロイド
注:これらの治療は、この臨床研究に関連する理由で中止されるべきではなかった。
【0211】
治療。ネモリズマブは、16個のジスルフィド結合によって接続された2つのH鎖(445個のアミノ酸残基)及び2つのL鎖(214個のアミノ酸残基)の構造を含むヒト化モノクローナル修飾免疫グロブリンG(IgG)2抗体である。この研究で使用された医薬品は、153mgの凍結乾燥されたネモリズマブ粉末を含有するバイアルであり、1.3mLの滅菌水で再構成されるまで、2~8℃で光から保護されて保管され、その後、ネモリズマブプラセボを使用して希釈され、100g/mLのネモリズマブを含有する注射用溶液が得られ、それを更に希釈して適切な投与溶液を得た。続いて、30mg/mL又は60mg/mL(LD)を得るために、各100mg/mLのバイアルを再構成プラセボで希釈した。設計により、1mLの体積を一貫して注射した。注射用滅菌水での再構成及びネモリズマブプラセボでの希釈は、成人の第2b相研究(SPR.114322)で使用されたステップと同一であった。薬物の投与スキーム及び詳細な説明を表5及び表6に示す。
【0212】
【0213】
【0214】
基礎療法の処方された使用は、症例報告書(CRF)に文書化された。基礎療法は、以下に記載されるように、研究全体を通して(スクリーニングからフォローアップ来院まで)必要とされた。
【0215】
保湿剤:対象は、研究全体を通して、乾燥皮膚及びAD病変に、保湿剤を毎日、及び必要に応じて自由に適用する必要があった。対象の現在の保湿剤又は治験責任医師が推奨する保湿剤が使用されている場合がある。各クリニック来院前の8時間以内に使用してはならない。保湿剤は、局所AD薬物治療とはみなされなかった。
【0216】
局所コルチコステロイド療法(TCS):対象は、スクリーニング期間内に開始し、1日目の14日以上前に、治験責任医師の指示に従って研究全体を通して、認可された基礎TCS療法を全てのAD病変に適用する必要があった。対象は、中程度の効力のTCSの使用が安全であると考えられた身体の領域(例えば、胴体及び四肢)に中程度の効力のTCSを適用することが要求された。低い効力のTCSを、TCS感受性領域(例えば、顔、首、間擦部位)に使用した。対象は、疾患の安定性を確保し、AD再燃を予防するために必要であるが、製品ラベルで推奨される毎日の頻度を超えない頻度で、全てのAD病変に認可されたTCSの薄い層を適用する必要があった。TCSの「必要に応じた」使用は許可されていないことに留意する必要がある。
【0217】
レスキュー療法:治験責任医師によって医学的に必要と判断された場合(例えば、耐え難いAD徴候/症状を制御するために)、試用期間中を除く研究中の任意の時点で対象にレスキュー療法を処方した。試用期間中にレスキュー療法を受けた対象は、研究に参加する資格がなかった。一般的なガイドラインとして、及び個々の治験責任医師の判断に従って、基礎療法の存在下での治験薬曝露の最小期間を可能にするために、ベースライン後最初の2週間以内(すなわち、2週目の来院)にレスキュー療法を処方しなかった。レスキュー治療は、ADを直接治療する治療(主に承認された治療又は標準の治療であった治療)のみであり、概説されているように局所及び全身治療を含んでいた。いくつかのレスキュー療法には以下が含まれた:TCI、より高い効力のTCS(US分類によるクラスI~II)、経口コルチコステロイド、生物製剤(そのバイオシミラーを含む)、全身非ステロイド性免疫抑制剤/免疫調節剤、及び光線療法。
【0218】
有効性、安全性、及び薬物動態変数
PK、安全性、及び有効性の評価は、研究全体を通して実施された。掻痒症、睡眠障害、及び湿疹のための局所的なAD薬物治療の使用の対象により報告された評価を毎日収集した。評価のスケジュールを表7に提供する。
【0219】
【0220】
有効性測定は、エラー!に従って、治験責任医師(又は訓練を受けた被指名人)及び対象(対象により報告された有効性測定について)によって実施された。参照源が見つからない。。可能な限り、研究全体を通して同じ評価者が評価を行った。
【0221】
湿疹面積及び重症度指数。湿疹面積及び重症度指数は、AD徴候の重症度及び程度を評価するために臨床研究及び臨床実践で一般的に使用される検証された尺度である。湿疹面積及び重症度指数は、0~72の範囲の複合スコアである。紅斑、硬結/丘疹形成、剥離、及び苔癬化の重症度は、治験責任医師又は訓練を受けた被指名人によって、頭部/頸部、胴体、上肢、及び下肢の4つの身体領域の各々について、0(非存在)~3(重度)の尺度で、半分の点が許されて、評価された。加えて、4つの身体領域の各々におけるAD関与の程度を、頭部、胴体、上肢、及び下肢の身体領域別のパーセンテージで評価し、0~6のスコアに変換した。EASIスコアをCRFで計算した。
【0222】
治験責任医師の全体的な評価(IGA)。IGAは、ADの総合的な重症度及び治療に対する臨床応答を評価するために、治験責任医師又は訓練を受けた被指名人によって使用される、0(クリア)~4(重度)の範囲の5点尺度である。治療の成功は、0(クリア)又は1(ほぼクリア)、及びベースラインからの2グレードの変化と定義される。
【0223】
体表面積(BSA)。ADのBSA関与は、治験責任医師又は訓練を受けた被指名人によって身体の各部分について評価され(各領域の可能な最高スコアは、頭部及び頸部[9%]、胴体前部[18%]、背部[18%]、上肢[18%]、下肢[36%]、及び性器[1%]である)、CRFで計算された、全ての主要な身体セクションの組み合わせたパーセンテージとして報告された。
【0224】
スコアリングアトピー性皮膚炎(SCORAD)。SCORADは、AD徴候及び症状の重症度及び程度を評価するために臨床研究及び臨床実践で一般的に使用される検証された尺度である。SCORADスコアは、0~103の範囲であり、ADの程度(BSA)、徴候、及び症状、並びに掻痒症及び睡眠不足の対象により報告された症状の3つの構成要素を有する。治験責任医師又は被指名人は、各々0(なし)~3(重度)の範囲の尺度で、ADの6つの徴候(紅斑/黒ずみ、浮腫/丘疹形成、毛細血管性出血/痂皮形成、剥離、苔癬化/痒疹、及び乾燥)の重症度を評価した。治験責任医師又は被指名人はまた、対象に、0~10のVASで掻痒症及び睡眠不足の症状(過去3日間/夜の平均)を評価するように求められる。SCORADスコアをCRFで計算した。
【0225】
掻痒症数値評価尺度(NRS)。掻痒症NRSは、過去24時間の掻痒症(痒み)の強度を報告するために対象によって使用される尺度である。掻痒症NRSは、成人における他のAD臨床研究で検証されており、最小の臨床的に重要な差は、3~4であることが示されている。
【0226】
最大掻痒症強度を測定するスクリーニングPP NRSスコアは、スクリーニング来院の直前の24時間の単一のPP NRS評価(0~10の範囲のスコア)によって決定された。ベースラインの直前の7日間の毎日のPP NRSスコア(0~10の範囲のスコア)の平均に基づいて、ベースラインPP NRSスコアを決定した(四捨五入は許可されなかった)。この計算には、ベースライン直前の7日間のうち最低でも4つの毎日のスコアが必要であった。対象は、電子デバイスでの掻痒症NRSスコアの使用方法及び記録方法についての指示を受け、臨床研究全体を通して毎日夜に1回評価を完了した(試用及びフォローアップ期間を含む)。対象は、現地の言語で以下の質問を受けた。
・平均的な痒みの強度について:「0~10の尺度で、0を「痒みはない」、10を「想像可能な最悪の痒み」として、過去24時間の全体的な痒みをどのように評価するか?」
・最大の痒みの強度について:「0~10の尺度で、0を「痒みはない」、10を「想像可能な最悪の痒み」として、過去24時間で最悪な痒みをどのように評価するか?」
【0227】
アトピー性皮膚炎に対する局所薬物治療の適用:日記。対象は、治験責任医師によって処方された認可された基礎TCSを使用するように指示された。毎晩、対象には、臨床研究全体を通して(試用及びフォローアップ期間を含む)、以下の質問「今日、医師からもらった湿疹薬を皮膚に塗布したか?」に対する回答(はい/いいえ)を電子デバイス(すなわち日記)に記録するように求められた。
【0228】
睡眠障害NRS。睡眠障害NRSは、ADに関連する睡眠不足の程度を報告するために対象によって使用される尺度である。対象は、電子デバイスでの睡眠障害NRSスコアの使用方法及び記録方法についての指示を受け、臨床研究全体を通して毎日朝に1回評価を完了した(試用及びフォローアップ期間を含む)。対象は、現地の言語で以下の質問を受けた:0~10の尺度で、0は「ADの徴候/症状に関連する睡眠不足はない」、10は「ADの徴候/症状により全く眠れない」として、昨夜の睡眠をどのように評価するか?」
【0229】
皮膚科生活の質指数/小児皮膚科生活の質指数。皮膚科生活の質指数(DLQI)は、16歳超の対象のための検証された10項目のアンケートであり、症状/感情、日常活動、レジャー、仕事/学校、個人的な関係、及び治療を含むドメインをカバーする。小児DLQI(cDLQI)は、16歳以下の小児対象向けに設計された、同等の検証された10項目のアンケートである。対象は、各質問を0(全くない)~3(非常に多い)の範囲で評価した。合計スコアが高いほど、QoLが低いことを示す。
【0230】
安全性評価は、スクリーニング来院時(ICFの署名時)及びその後の各来院時に、全ての対象について実施された。有害事象(AE)は、医薬品を投与された臨床研究対象者における、必ずしもこの治療との因果関係を持たない、望ましくない医学的事象として定義される。したがって、AEには、医薬(治験)品と関連があるかどうかにかかわらず、医薬(治験)品の使用に一次的に関連する、好ましくなく、意図しない徴候(異常な検査室所見を含む)、症状、又は疾患である可能性がある。これには、既存の状態又は事象の悪化、併発疾患、薬物相互作用、又は特定の有効性評価の下でCRFの他の場所に記録されていない調査中の適応症の顕著な悪化が含まれる。各AEは、治験責任医師によって以下のようにカテゴリに割り当てられた:
●軽度:対象によって容易に忍容され、最小限の不快感を引き起こし、日常活動を妨げないAE。
●中程度:正常な日常活動を妨げるのに十分な不快感を有し、介入が必要な場合がある、AE。
●重度:正常な日常活動を妨げ、通常は治療又はその他の介入が必要である、AE。
【0231】
AEの重症度に変化がある場合、それは別の事象として記録される必要がある。
【0232】
特に関心のある有害事象(AESI)は、治験薬にとって注目すべき事象であり、注意深く監視され、直ちに報告される必要がある。AESIは、重篤又は非重篤のいずれかであった。ネモリズマブの潜在的なリスク、及び一般的なバイオ医薬品(及びそのバイオシミラー同等物)に関連するリスク(すなわち、クラス効果)に基づいて、以下のAEは、AESIとみなされる:
●アナフィラキシー反応、治療を必要とする急性アレルギー反応、及び重度の注射部位反応(ISR)(すなわち、24時間超持続)を含む注射関連反応
●新たに診断された喘息又は喘息の悪化
-より具体的には、喘息の病歴を有する対象は、以下の場合に喘息を管理する医師に紹介された:
□ACTスコア≦19、ACTスコア≦19は、適切に制御されていない喘息を伝達した。AESIは、管理医師の報告に対する治験責任医師の臨床判断に基づいて報告された。
□PEFが予測値の80%未満、AESIを報告した。
□予期せぬ喘息の悪化が観察又は報告された。AESIは、治験責任医師の臨床判断に基づいて報告された。
-喘息の病歴のない対象は、以下の場合に適切な呼吸器科医/専門医に紹介された:
□喘息を示唆する徴候及び/又は症状が観察又は報告された。AESIは、専門医の報告に対する治験責任医師の臨床判断に基づいて報告された。
□呼吸器の評価は、対象の呼吸器の健康の低下を示唆している。AESIは、専門医の報告に対する治験責任医師の臨床判断に基づいて報告された。
●感染。重度の感染症、又は2週間超の非経口抗生物質、又は経口抗生物質/抗ウイルス薬/抗真菌薬での治療を必要とする感染症
●末梢浮腫:四肢、両側
●顔浮腫
●上昇したビリルビン(>2×ULN)と組み合わせた上昇したALT又はAST(>3×ULN)
【0233】
重篤な有害事象(SAE)。SAEは、任意の用量で、以下である任意の望ましくない医学的事象又は影響である:(1)死亡をもたらすか、(2)生命を脅かすか、(3)入院を必要とするか、若しくは延長するか、(4)持続的若しくは重大な障害/不能をもたらすか、(5)先天性異常/先天性欠損症をもたらすか、又は(6)死亡をもたらさないか、生命を脅かさないか、若しくは入院を必要としない場合があり、適切な医学的判断に基づいて、SAEとみなされ得る重要な医学的事象であって、その事象が対象の安全性を危険にさらす可能性があり、この定義での上記の転帰(例えば、アレルギー性気管支痙攣、造血機能障害、又は入院をもたらさない痙攣)のうちの1つを予防するために医学的又は外科的介入を必要とする可能性がある、医学的事象。
【0234】
予期せぬ有害反応。予期せぬ有害反応は、任意の用量での治験薬の投与に関連する任意の望ましくない、意図しない応答であり、その性質又は重症度は、適用される製品情報(例えば、ネモリズマブの治験責任医師のパンフレット、研究プロトコルなどの参照安全性情報)と一致しない。
【0235】
臨床検査室評価。表7に指定されるように、血液学、化学検査室分析、及び尿分析を中央検査室で実施する。妊娠検査、結核スクリーニング、完全な身体検査(PE)、呼吸器評価、喘息制御検査(ACT)、呼吸器検査、肺活量測定/ピーク呼吸流量、及び12誘導心電図(ECG)が実施された。バイタルサイン、身長、及び体重を監視した。
【0236】
薬物動態:
血液試料採取。表7に従って血液試料を収集して、ネモリズマブのPKプロファイルを決定した。ネモリズマブの血清濃度を、ベースライン、1~2、4、8、12、16、及び24週目、並びに安全上の理由で任意のスケジュール外の来院時に評価した。PK評価のための各試料採取時点で、収集された血液を、室温(収集後60分以内)で凝固させ、次いで、室温で遠心分離した。血清を貯蔵チューブに収集した。治験薬注射来院(ベースライン、4、8、及び12週目)では、1~2、16、及び24週目の治験薬注射前の30分以内にPK試料を収集し(投与前の試料)、可能な限りその日のほぼ同じ時間にPK試料を収集しようと試みた。各試料採取の日付及び時刻を、同じ来院時の治験薬注射の(又は該当する場合は注射を忘れた)時刻とともにCRFに記録した。PK評価のための血液試料の処理は、検査室マニュアルに記載されていた。
【0237】
血清中のネモリズマブ(CD14152)の定量。血清中のネモリズマブ(CD14152)の濃度は、100ng/mLの定量限界を有する検証された酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法を使用して、指定されたCRO(Shin Nippon Biomedical Laboratories,Ltd、Japan)によって決定された。
【0238】
薬物動態分析。血清中のネモリズマブの薬物動態パラメータは、以下の2つの分析:非線形混合効果モデリング及び非区画分析(NCA)分析を使用して、指定されたCRO(Certara)によって計算された。
【0239】
分析1:
集団PK(popPK)モデルを使用して、ネモリズマブ曝露の時間経過を説明し、対象の曝露の変動源を調査した。一次吸収及び1区画分布popPKモデルを、成人において実施された3つの臨床研究(CIM001JP、CIM003JG、及びSPR.114322)からのネモリズマブ血清濃度を使用して開発し、それらのベースライン特性、それらの投与歴、及びそれらの測定濃度に基づいて、青年集団における経験的なベイズ推定値を導出するために使用した。
【0240】
青年期データを適切に説明するためのモデルの妥当性は、専用のPKモデリング計画に記載されているモデル診断ツールに基づいていた。popPKモデルを使用して、個体間変動性、共変量効果、残差、及びそれらの相対標準誤差[RSE]を含む、主なpopPKパラメータ(CL/F、Vd/F、Tlag、ka)の推定値を得た。
【0241】
他の個々のネモリズマブPKパラメータ(Cmax、Tmax、Ctrough、AUC0-4w、AUC0-8w、AUC0-12w、AUC0-16w、AUCinf、及びt1/2)を、同じpopPKモデルを使用して導き出した。
【0242】
分析2:
いくつかの個々のネモリズマブPKパラメータ(AUC0-4w、AUC0-8w、AUC0-12w、及びAUC0-16w)も、研究で実際に観察された血清濃度のみを使用して、NCAを使用して計算した。
【0243】
薬物動態/薬力学分析(PK/PD)。薬物動態/PDモデルを開発して、ネモリズマブの濃度を臨床的有効性に相関させた。popPKモデルは、以下の薬力学(PD)エンドポイントを組み合わせた:湿疹面積及び重症度指数(EASI)、皮膚炎重症度の治験責任医師の全体的な評価(IGA)、並びに週平均ピーク掻痒症数値評価尺度(PP-NRS)。各対象について、濃度時間経過は、PKパラメータの個々のベイズ事後推定に基づいて、最大最後のPD評価時間まで予測され、PDモデルにおいて駆動因子として使用された。
【0244】
他の変数:
免疫原性。ADAを評価するために、表7に従って血液試料を収集した。血清試料を、ベースライン、4、8、16、24週目、並びに安全上の理由で任意のスケジュール外の来院時にADAについて評価した。ADAを、これらの時点で、指定されたCRO(LSI Medience Corporation.Japan)によって、検証されたELISAアッセイを使用して決定した。血清濃度を、多層アプローチを使用して評価した。
【0245】
スクリーニングアッセイで血清循環ADAが検出された場合、存在は確認され、検証されたアッセイを使用して特徴付けられた(例えば、力価及び中和電位)。陽性のADA結果の発生率を要約した(絶対発生率及び対象のパーセント)。
【0246】
ADA評価について、表7に従って、PK試料採取と同時に血液を収集した。ADAの更なる分析のための追加の試料を収集するために、計画された最後の研究来院(最後の治験薬注射の12週間後)の後に追加の来院(スケジュール外の来院とみなされる)が行われ得る。PK及びADA評価のための血液試料の処理は、当該技術分野で周知であった。
【0247】
バイオマーカー。
血液及び角質層の試料を収集して、選択されたバイオマーカーに対するネモリズマブの効果を調べた。別段定められない限り、試料はバイオマーカー評価のために指定されたCROに発送された。バイオマーカー試料(血漿及び皮膚)は、全ての検査が完了した後、及び薬力学報告が承認されたときに破壊された。
【0248】
血液試料を、中央検査室によってTARC及び免疫グロブリンE(IgE)の評価のために収集した。血液試料を、表7に従って血漿バイオマーカー評価のために収集した。血漿試料のアリコートを、IL-6、IL-8、及びIL-18を含むがこれらに限定されない、ADに関連するバイオマーカーのセットを使用した評価のために指定されたCROに発送した。タンパク質バイオマーカーを用いた結果、残った試料の量、及び最初に収集された試料と更なる調査との適合性に応じて、マイクロリボ核酸(miRNA)及びメッセンジャーリボ核酸(mRNA)マーカーの発現を、続いて分析した。
【0249】
表7に従って、テープストリップ(D-squames)を使用して角質層(SC)試料を収集した。治験薬の投与前のベースラインでは、2つの病変領域及び2つの非病変領域を同定し、各領域から4つの長方形のD-squames(2.3cm×3.5cmの寸法)を収集し、合計16個のD-squames(病変皮膚から8つ、非病変皮膚から8つ)を作製した。16週目に、ベースラインで特定された2つの病変領域から4つの長方形のD-squamesを収集した(合計8つのD-squames)。試料のアリコートを、ADに関連する選択されたタンパク質バイオマーカー(TARC、IL-6、IL-8、IL-18などを含む)の分析のために指定されたCROに発送した。加えて、研究終了(EOS)セラミドのレベルを定量化した。タンパク質及びセラミドバイオマーカーの結果、残っている試料の量、並びに最初に収集された試料の更なる調査との適合性に応じて、脂質の発現、並びにmiRNA及びmRNAマーカーの発現を続いて分析することができた。
【0250】
データ分析及び提示。
薬物動態濃度の提示。ネモリズマブ血清濃度データ(単位:ng/mL)を、ベースライン~24週目の来院ごとに、以下の統計学を使用して要約した:n、算術平均、標準偏差、CV%、幾何平均、CV幾何平均%、中央値、最小値、最大値、平均の95%CI、及びBLQ(定量限界未満)の数。BLQは欠落とみなされ、説明的要約から除外された。
【0251】
個々の血清濃度及び平均濃度を、PK集団の線形及び半対数尺度の両方で来院ごとにプロットした(x軸の単位:週)。個々の濃度プロットでは、BLQは欠落とみなされた。平均濃度プロットでは、計算されていない平均濃度は欠落とみなされた。加えて、治療関連ADA+(ベースラインでのADA-及び治療後のADA+)、ベースラインでのADA+、及び研究中のベースラインからのADA-)を有する対象について、個々の血清濃度を異なる色で経時的にプロットした。個々の血清濃度を列挙し、定量不可能な濃度をBLQ(100ng/mL未満)として列挙した。
【0252】
薬物動態パラメータの提示。個体間変動性、共変量効果、残差及びそれらのRSEを含む、主な集団PKパラメータ(Cl/F、Vd/F、Tlag、ka)の推定値は、専用のPKレポートに提示される。popPKモデルで推定された定常状態での個々の導出PKパラメータ、及びNCAで計算された定常状態での個々の観察されたPKパラメータを、以下の統計学を使用して要約した:n、算術平均、標準偏差、幾何平均、CV%、中央値、最小値、最大値、及び95%CI。加えて、(分散分析)ANOVAを使用して、ADA+試料とADA-試料との間の平均の観察されたトラフ(Ctrough)ネモリズマブ濃度の比較を行い、比較結果を提示した。
【0253】
有効性変数:
全ての有効性分析は、治療意図(ITT)集団に基づくものとした。全ての有効性変数は、別途明記されない限り、ベースラインから分析来院ごとに要約された。有効性分析のために、スケジュール外の来院又はET来院データは、来院ごとの要約のために考慮すべき分析来院窓に基づいて窓化した。全ての有効性分析は、最後の観察の繰り越し(LOCF)又は非応答者補完(別段明記されない限り)を使用して実施され、感度分析としてOCでも実施された。
【0254】
表8に記載されるように、湿疹面積及び重症度指数(EASI)スコアを導出し、CRFに記録した。EASIは、LOCF及びOCを使用して来院ごとに説明的に要約した。ベースラインからの絶対変化及び変化パーセントを分析に含めた。LOCF分析の場合、帰属は、EASI全体の帰属されたスコアに対して実施された。LOCFを使用したEASIの変化パーセントを図示した。
【0255】
【0256】
治験責任医師の全体的な評価(IGA)は、表9に記載されるように、ADの全体的重症度及び臨床応答を評価するために治験責任医師によって使用される5点尺度である。IGAスコア及びベースラインからの変化を、LOCF及びOCを使用して来院ごとに要約した。IGAの成功は、0(クリア)又は1(ほぼクリア)及びベースラインからの少なくとも2グレードの改善変化として定義された。IGA治療の成功率は、IGA治療の成功を達成した対象の数と、来院時に利用可能なIGA結果を有する対象の数との間の比として得られ、また、非応答者、LOCF、及びOCを使用して、ベースラインから来院ごとに要約された。非応答者を使用してIGA成功を達成した対象の割合を図示した。
【0257】
【0258】
AD関与の体表面積(BSA)を、身体の8つの異なる部分についてのパーセンテージとして評価し、CRFに導出されるように、個別に、及び全体的なBSA(全ての部分を組み合わせた合計で計算される)として報告した。評価された身体部位及びそれらの可能な最高スコアは、以下のとおりであった:頭部及び頸部[9%]、胴体前部[18%]、背部[18%]、上肢[18%]、下肢[36%]、及び性器[1%]。AD関与の全体的なBSAを、LOCF及びOCを使用して連続変数として来院ごとに説明的に要約した。ベースラインからの絶対変化及びパーセントも説明的分析に含まれた。LOCF分析では、帰属を身体部位ごとに個別に実施し、帰属された身体領域スコアの合計で帰属された全体的なBSAを得た。
【0259】
スコアリングアトピー性皮膚炎(SCORAD)は、AD徴候及び症状の重症度及び程度を評価するために臨床研究及び臨床実践で一般的に使用される検証された尺度である。SCORADは、6種類の基本的な病変(紅斑/黒ずみ、浮腫/丘疹、毛細血管性出血/痂皮形成、剥離、苔癬化/痒疹、及び乾燥)及び症状(痒み及び睡眠不足)の程度及び強度を考慮している。SCORADは、0~103の範囲であり、程度、強度、及び自覚症状の3つの構成要素を有する。SCORADの計算は、以下のように実施された:ADによって影響されるBSAの程度は、「関与する領域の程度の構成要素」であった(Aで示される)。次いで、全ての基本的な種類の病変の強度を評価した。強度に応じて、これらの各々に0(非存在)、1(軽度)、2(中等度)、又は3(重度)のスコアが割り当てられる。これらのスコアの合計を使用して、「強度の構成要素」(Bで示される)を推定した。最後に、VAS(センチメートル単位で記録)に基づいて、過去3回の夜の過敏性及び睡眠不足の存在を、0(症状なし)~10(これまでに有した最悪の症状)の値として評価した。2つの値の合計を使用して、「自覚症状の構成要素」(Cで示される)を推定した。次いで、SCORAD合計スコアを=A/5+(7*B)/2+Cとして計算した。SCORADは、LOCF及びOCを使用して来院ごとに説明的に要約した。ベースラインからの絶対変化及び変化パーセントも要約に含まれた。LOCF分析について、帰属を各SCORAD構成要素について別々に実施し、帰属された構成要素を用いて帰属された合計スコアを得た。
【0260】
掻痒症NRSは、過去24時間の掻痒症(痒み)の強度を報告するために対象によって使用された(対象により報告された掻痒症の評価を毎日日記に収集した。平均痒み強度及び最大痒み強度の尺度は、0~10の範囲の値を有し、0は「痒みなし」であり、10は「想像可能な最悪の痒み」である。平均及びPP-NRSスコアは、各スケジュールされた来院の直前の7日間の平均及び最大の1日のスコアに基づいて得られ(四捨五入は許可されなかった)、「週」スコアとして示された(それぞれ、平均週及びピーク週)。これらの計算には少なくとも4つの1日のスコアが必要であり、利用可能である1日のスコアが4つ未満である場合、それぞれの週スコアは、欠落値である。ピーク掻痒症(PP)NRSの週平均及び平均掻痒症(AP)NRSスコアの週平均を、LOCF及びOCを使用して、連続変数として来院ごとに説明的に要約した。ベースラインからの絶対値及び変化パーセントも分析に含まれた。LOCFを使用したピーク掻痒症NRSの週平均及び平均掻痒症NRSの週平均のベースラインからの絶対値及び変化パーセントを図示した。LOCF分析については、各週平均又はピーク掻痒症NRSスコアについて、帰属を別々に実施した。
【0261】
睡眠障害NRSは、ADに関連する睡眠不足の程度を報告するために対象によって使用される尺度である。この尺度の値は、0~10の範囲の値を有し、0は「ADの徴候/症状に関連する睡眠不足なし」であり、10は「ADの徴候/症状により全く眠ることができない」である。睡眠障害NRSの対象により報告された評価を毎日日記に収集した。週毎の睡眠障害NRSスコアは、各スケジュールされた来院の直前の7日間の平均の1日の値に基づいて得られた。この計算には少なくとも4つの1日のスコアが必要であり、利用可能である1日のスコアが4つ未満である場合、それぞれの週スコアは、欠落値である。週平均睡眠障害NRSを、LOCF及びOCを使用して連続変数として来院ごとに説明的に要約した。ベースラインからの絶対値及び変化パーセントも分析に含まれた。LOCFを使用した週平均睡眠障害NRSの絶対値及びベースラインからの変化パーセントを図示した。LOCF分析については、各週平均睡眠障害NRSスコアについて帰属を実施した。
【0262】
アトピー性皮膚炎に対する局所薬物治療の適用。湿疹のための局所AD薬物治療の使用の対象により報告された評価は、日記に毎日収集された。対象は、認可された基礎TCSを使用するように指示され、臨床研究全体を通して(試用及びフォローアップ期間を含む)、以下の質問「今日、医師からもらった湿疹薬を皮膚に塗布したか?」に対する回答(はい/いいえ)を電子デバイス(すなわち日記)に記録するように求められた。局所的なAD薬物治療なしの日は、局所的なAD薬物治療の使用がない日であった。各対象について、各日をないか否かに分類した。ADの局所薬物治療の使用の日数は、日記にはいとして記録された日数を合計することによって計算した。来院情報の計算には、来院間隔の1日の値を使用した。各来院間隔における局所AD薬物治療なしの日を以下のように計算した:来院間隔における局所AD薬物治療なしの日=間隔における日-間隔における局所AD薬物治療の使用の日。局所的なADなしの日数を、連続変数として、来院間隔ごとに説明的に要約した。帰属は使用されなかった。
【0263】
皮膚科生活の質指数(DLQI)は、16歳超の対象のための検証された10項目のアンケートであり、症状/感情、日常活動、レジャー、仕事/学校、個人的な関係、及び治療を含むドメインをカバーする。DLQIデータをCRFに記録した。小児DLQI(cDLQI)は、小児対象のために設計された同等の検証された10項目のアンケートであり、cDLQIは、対象が16歳以下であった場合に使用された。DLQI/cDLQIにおける各質問は、表10に定義されるように、0(全くない)~3(非常に多い)の範囲の値を有する。DLQI/cDLQIの合計スコアは、各質問のスコアを合計することによって計算され、最大スコアは30、最小スコアは0となった。スコアが高いほど、QoLがより低下した。DLQI及びcDLQIスコア並びにそれらのベースラインからの変化を、連続変数として来院ごとに記述的に要約した。
【0264】
(表1)皮膚科生活の質指数及び小児皮膚科生活の質指数の質問の点スコア
【0265】
安全性変数:
曝露の程度。曝露の程度(治療期間、投与された総用量、計画された用量、及び治療コンプライアンスパーセンテージ)を要約した。治療持続時間(日数)を以下のように計算した:[(最後の治療の日付-最初の治療の日付)+1]。治療コンプライアンスは、CRFに記録された治療記録及び薬剤投与ログに基づいて要約された。コンプライアンスパーセンテージを以下のように計算した。(投与された用量)/(計画された用量)×100、を用いて、1日目に60mgの計画された用量、続いて4週間ごとに30mgの注射を12週間行う。投与溶液を調製したら、1.0mLを注射器に吸引し、これを、計画された用量として、対象の腹部に皮下投与した。
【0266】
有害事象。有害事象は、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョン21.1を使用してコード化した。AEの要約には、最初の治療の日/時、又はそれ以降の発病日/時を有するAEして定義される治療下で発現したAE(TEAE)のみが含まれた。発病日/時が完全に欠落しているAEは、TEAEとみなした。AEの発病日/時が部分的に欠落している場合、日/時の欠落していない部分が最初の治療日/時より前に開始したことを証明しない限り、AEは、TEAEとみなされた。
【0267】
来院ごとの要約は、分析来院を使用する。スケジュール外及び早期終了来院は、SAPで定義された分析来院窓に基づいて窓化される。毎日の日記の有効性データ(掻痒症及び睡眠障害NRS)は、各スケジュールされた来院の直前の7日間のデータを考慮して、以下のように分析来院に分類された。表11は、週ごとの日記データ窓を示す:
【0268】
【0269】
毎日の使用された局所用AD薬物治療のデータは、以下のように来院間隔に分類された(表12)。
【0270】
(表12)毎日の局所アトピー性皮膚炎薬物治療の来院間隔
【0271】
結果
人口統計学及び他のベースライン特性。
表13に記載されるように、合計31人の対象がスクリーニングされ、選択/除外基準が満たされていないか、又は対象の要求のいずれかに起因して11回のスクリーニングが失敗した。その結果、20人の対象が登録された。18人の対象(登録された対象の90.0%)が、少なくとも1回治療された。選択基準を満たさず、スクリーニングに失敗した2人の対象(8238-003及び8664-001)を誤って登録した。これらの対象のいずれに対しても治療は施されなかった。少なくとも1回治療された18人の対象のうち、13人の対象(登録されたものの65.0%)が全ての治療用量を受け、完了者として分類されたが、5人の対象(登録されたものの25.0%)が早期に治療を中止した。治療の早期中止は、3人の対象(登録された対象の15.0%)のAE及び2人の対象(登録された対象の10.0%)のプロトコル逸脱に起因した。早期に治療を中止した対象のうち、2人の対象(8203-005及び8668-001)は最大24週の全ての研究来院を完了し、3人の対象(8614-001、8614-002、及び8667-001)は最終来院の前に研究を終了した。全体。15人の対象(登録された対象の75%)が研究を完了し(24週目の来院)、一方、エラーで登録された対象を含む、5人の対象(登録された対象の25.0%)は、早期に研究を中止した。
【0272】
【0273】
少なくとも1つの主要なプロトコル逸脱を有する12人(60.0%)の対象がいた。大部分の主要なプロトコル逸脱は、研究手順/他(5[25.0%])及び選択又は除外基準(4[20.0%])について報告された。主要なプロトコル逸脱を表14に要約する。
【0274】
【0275】
ITT集団の中で、20人全ての対象の平均年齢は14.8±1.59歳であった(最小-最大:13-17歳)、体重は49~112kgの範囲である。全体として、50%(N=10)が12~14歳の群に、50%が15~17歳群(N=10)にあった。ITT集団の中で、対象の60%が女性であった。ほぼ全ての対象は、黒人又はアフリカ系アメリカ人(50.0%)又は白人(35.0)であり、対象の80%はヒスパニックでもラテン系でもなかった。20人の全ての対象の人口統計学的特徴及びベースライン特性を表15に示す。
【0276】
(表15)人口統計学及びベースライン特性(治療意図の集団)
【0277】
表16に提示されるように、ベースラインでは、平均(SD)ベースラインEASIスコアは、ITT集団について25.2(7.22)であった。全ての対象は、ベースラインで中等度又は重度のIGAスコアを有し、中等度のスコアは、15人(75%)の対象について報告され、重度のスコアは、5人(25%)の対象について報告された。ベースラインでのBSA関与の平均パーセント(SD)は、41.3(12.6)であった。ベースラインでのPP NRSの週平均及びAP NRSの週平均の平均(SD)は、それぞれ、6.9(1.66)及び6.2(1.7)であった。ベースラインでの平均(SD)週毎の睡眠障害NRSは、5.6(2.27)であった。平均(SD)SCORADスコアは、63.0(11.34)であった。ベースラインでのDLQI及びcDLQIの平均(SD)スコアは、それぞれ、11.8(3.1)及び10.6(5.42)であった。
【0278】
(表16)ベースラインの疾患特性の要約(治療意図の集団)
BSA=体表面積、cDLQI=小児皮膚科生活の質指数、DLQI=皮膚科生活の質指数、EASI=湿疹面積及び重症度指数、IGA=治験責任医師の全体的な評価、Max=最大、Min=最小、NRS=数値評価尺度、SCORAD=スコアリングアトピー性皮膚炎の要約、SD=標準偏差
注:N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数
ベースラインは、最初の治療の前又はその際の最後の利用可能な測定値であった。治療日が欠落している場合は、代わりに登録日を使用した。
パーセンテージ(%)は、分母として、集団における対象の数を使用して計算した。
【0279】
病歴。ITT集団の20人の対象全ては、その病歴に少なくとも1つの病状が記録されていた(表14.1.3.2.1)。これらのうち、10人の対象(50.0%)が喘息を有した。蜂巣炎及び貧血の病歴は、2人の対象によって報告され、肺炎及びブドウ球菌性(staphylococcal)感染は、各1人の対象によって報告された。1人の対象には、メチシリン感受性スタフィロコッカス・アウレウス(MSSA+)の病歴があったが、対象が研究に登録される前に解消していた。事前又は併用の内科的及び外科的処置は記録されなかった。19人(95%)の対象は、少なくとも1つの事前投薬治療を使用し、その全てが皮膚科用コルチコステロイドを使用した。以前に最も一般的に使用された皮膚科用コルチコステロイドは、トリアムシノロン(11[55.0%])及びヒドロコルチゾン(7[35.0%])であった。少なくとも1回の基礎TCSを使用した19人(95%)の対象のうち、全てがモメタゾンフロエート0.1%クリームを使用し、18人(90.0%)の対象が%]を使用した)、ヒドロコルチゾン1%クリーム、及び6人(30.0%)の対象がヒドロコルチゾンブチレート0.1%クリームを使用した。1人の対象は、少なくとも1つのレスキュー薬を使用し、それは、であった。全身コルチコステロイドベタメタゾン及びトリアムシノロン)及び局所コルチコステロイド製剤(ベタメタゾンバレレート0.1%ローション)。
【0280】
薬物動態の結果
観察された濃度及び非区画分析。ネモリズマブの最大血清濃度(C
max)は、60mgのLDの最初の皮下注射の1又は2週間後に観察された(
図2エラー!参照源が見つからない。)。最大濃度は、2550ng/mL~11100ng/mLの範囲であり、平均値は6532.9±2329.9ng/mLであった。定常状態条件は、第4週までに達成され、平均の観察されたトラフ濃度は、定常状態で2935.3±1029.4ng/mL~3292.3±2017.8ng/mLの範囲であった。4~16週目の平均の観察されたトラフ濃度は、対応するモデル予測値とともに表17に報告されている。治療期間の終わり(16週目)に、薬物を血清から排除した。PK集団に対してNCAを実施した。0~4、8、12、及び16週で観察された投与前試料から計算された平均(±SD)AUC値は、それぞれ、122.3±44.1μg*日/mL、233.3±80.1μg*日/mL、332.9±121.7μg*日/mL、及び372.9±149.9μg*日/mLであった。治療期間の終わりに収集されたPK試料の数が限られているため、NCA分析から末端半減期を正確に計算することはできない
【0281】
(表17)青年において観察及び予測された平均(±SD)ネモリズマブ血清トラフ濃度(ng/mL)(PK集団、N=18)
a.PK集団からの観察された値
b.popPKモデルで予測された濃度
【0282】
集団薬物動態分析。LLOQを上回る(≧100ng/mL)少なくとも1つのベースライン後の薬物濃度値を提供した安全性集団における全ての対象を含むPK集団に対して分析が実施された。プロトコルに従って、低体重(すなわち、61kg以下)の少なくとも6人の対象が登録され、分析に含まれた。
【0283】
popPKモデルは、3つの臨床研究(CIM001JP、CIM003JG、及び中間SPR.114322データ)に含まれる407人の成人対象からのデータに基づいて構築され、これらは、それぞれ、体重ベース投与及びフラット投与について、0.1~3mg/kg及び10~90mgの用量範囲にわたって、皮下ネモリズマブへの曝露を評価した。年齢、体重、血清クレアチニン、推定糸球体濾過速度、ビリルビン、血清アルブミン、総タンパク質、IgE、性別、及び臨床研究を含むいくつかの共変量の影響を調査した。
【0284】
ネモリズマブのPKは、線形除去及びラグタイムを伴う一次吸収を有する1つの区画モデルで記載された。バイオアベイラビリティに対する用量の中程度の影響が同定され、用量の減少に伴ってバイオアベイラビリティが増加した。体重は、ネモリズマブのPKプロファイルにおける変動の主な原因として同定され、CL/F及びV/Fの両方に影響を及ぼした。実際、体重の増加は、ネモリズマブ全身曝露の減少をもたらした。アルブミン血漿濃度は、CL/Fにも影響を及ぼした。成人における主な集団PKパラメータの推定値を表18に報告する。
【0285】
popPKモデリングで得られた全身クリアランス、分布体積、吸収定数、又は末端半減期の推定には、年齢の影響は観察されなかった。青年のベイズ推定における全ての要約統計学は、モデル由来(表17及び表18を参照されたい)又は第2相研究、SPR.114322において観察されたいずれかの成人データと一致している。
【0286】
0~4、8、12、及び16週で計算された平均(±SD)のモデル予測されたAUC値は、それぞれ、144.1±50.8μg*日/mL、284.4±97.1μg*日/mL、411.7±142.9μg*日/mL、及び549.5±184.5μg*日/mLであった。
【0287】
(表18)popPK分析で推定されるネモリズマブ血清薬物動態パラメータの要約(PK集団、N=18)
NC:計算されていない CL/F:見かけのクリアランス、V/F:見かけの分布体積、Ka:吸収定数、t1/2:末端半減期、Cmax:ピーク濃度、AUCinf:無限大に計算された曲線下面積
【0288】
popPK分析中に、成人popPKモデルを適用して、対象のベースライン特性及び投与歴に基づいて、青年におけるネモリズマブ濃度データを予測した。次いで、予測を観察されたデータと比較し(表17、
図2、及び
図3を参照されてい)、成人モデルが青年における個々のネモリズマブ濃度-時間プロファイルも正確に記述することができたことを示した。
【0289】
薬物動態/薬力学分析
popPKモデルから生成された個々の予測及び経験的ベイズ推定を使用して、以下の臨床エンドポイントについて、成人データを使用して開発された3つのPK/PDモデルを駆動した。湿疹面積及び重症度指数(EASI)、皮膚炎重症度の治験責任医師の全体的な評価(IGA)、並びに週平均PP-NRS。
【0290】
EASIモデルは、3つの臨床研究(研究CIM001JP、CIM003JG、及びSPR.114322)からの525人のADを有する対象のデータに基づいて構築された。これは、応答の産生のためのゼロオーダー速度定数(Rin)に対する阻害薬物効果(Emaxモデルとしてモデル化されたプラセボ効果及びネモリズマブ効果の合計)を有するターンオーバーモデル、並びに比例及び加法残差を組み合わせたモデルである。モデルにおける最大阻害効果の半分を産生する薬物濃度(IC50)を表すパラメータを、Imax/IC50として計算されたパラメータS0と置き換えて、モデルを安定化した。モデルの推定に影響を及ぼした顕著な共変量はない。
【0291】
PP-NRSモデルは、研究SPR.114322からの225人のADを有する対象のデータに基づいて構築された。これは、応答の産生のためのゼロオーダー速度定数(Rin)に対する阻害薬物効果(Emaxモデルとしてモデル化されたプラセボ効果及びネモリズマブ効果の合計)を有するターンオーバーモデル、並びに比例及び加法残差を組み合わせたモデルである。モデルの推定に影響を及ぼした顕著な共変量はない。
【0292】
IGAモデルは、2つの臨床研究(研究CIM003JG及びSPR114322)の486人のADを有する対象のデータに基づいて構築された。これは、IGAスコアを区画として扱い、区画間の上昇及び下降遷移をモデル化した連続時間マルコフモデルである。4又は5のベースラインIGAスコアは、全ての上昇パラメータについて顕著な共変量であることが見出され、したがって、共変量効果がモデルに実装された。
【0293】
成人データから開発されたPK/PDモデルを適用して、対象の特性(年齢、体重、体格指数など)及び投与歴を使用して、青年におけるネモリズマブの有効性プロファイルをシミュレーションした。次いで、予測を、観察されたデータと比較した。
【0294】
EASI PK/PDモデルは、モデル構造が青年のデータを記述するのに適切であることを示した。より高いESAIスコアの個々の予測されたスコアに対する観察されたデータの予測において観察されたバイアスは、データのまばらさによって説明される(
図4を参照されたい)。
【0295】
PP-NRS PK/PDモデルは、モデル構造が青年のデータを記述するのに適切であることを示した(
図5を参照されたい)。
【0296】
IGA PK/PDモデルは、その予測において適切であり、青年におけるスコア5の欠如に由来する可能性がある、集約されたスコア4/5についてのみいくらかの相違を示した(
図6を参照されたい)。
【0297】
全体として、PK/PDモデルは、3つの臨床エンドポイントについて青年におけるネモリズマブの有効性プロファイルを正確に記述することができ、したがって、成人及び青年における曝露反応の類似性を裏付けた。
【0298】
免疫原性結果
4週目に20人中1人のみが治療関連ADAを提示したため、全ITT集団におけるADA形成の全体的な発生率は限定的であった。ADA陽性試料は、中和抗体を有していなかった。重要なことに、
図7で観察され得るように、ADA陽性の対象における血清ネモリズマブ濃度は、ADA陰性の対象における血清ネモリズマブ濃度と差異はなかった。
【0299】
有効性の分析
湿疹面積及び重症度指数(EASI)。LOCFを使用して、16週目のEASIのベースラインからの平均(SD)変化は、-16.0(9.9)であり、ベースラインからの変化パーセントは、-66.5%(32.5)であった(表19)。研究の過程にわたって、EASIスコアは、最大16週目まで徐々に改善した。
図8は、経時的なEASIスコアの変化パーセントのプロットを示す。
【0300】
(表19)湿疹面積及び重症度指数スコアの要約(最後の観察が繰り越された)治療意図の集団)
注:N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数
Max=最大、Min=最小、SD=標準偏差。
【0301】
治験責任医師の全体的な評価。改善は、4週目~16週目に観察された(表20)。16週目に、7人(35.0%)の対象が、非応答者帰属を使用して、IGA成功(0[クリア]又は1[ほぼクリア]及びベースラインデータから少なくとも2グレードの改善を有する対象として定義される)を達成した。研究の過程にわたって、IGA成功を達成した対象の数は、最大16週目まで改善した。
図9は、ITT集団について、経時的に治験責任医師の全体的な評価の成功を達成した対象の割合のプロットを示す。
【0302】
(表20)治験責任医師の全体的な評価の成功を達成した対象の要約(非応答者)(治療意図の集団)
N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数、IGA=治験責任医師の全体的な評価
注:データの欠落又はレスキュー薬物摂取後に収集されたデータを有する対象は、IGA成功に達しなかった対象とみなされた(非応答者)。
パーセンテージ(%)は、分母として、集団における対象の数を使用して計算した。
ベースラインは、最初の治療の前又はその際の最後の利用可能な測定値であった。治療日が欠落している場合は、代わりに登録日を使用することとした。
IGA成功は、0(クリア)又は1(ほぼクリア)及びベースラインデータから少なくとも2グレードの改善を有する対象として定義された。
【0303】
体表面積(BSA)。LOCFを使用して、16週目のADの関与のBSAのベースラインからの平均(SD)変化は、-19.9(17.0)であり、ベースラインからの変化パーセントは、-53.3(39.8)であった(表21)。研究の過程にわたって、AD関与のBSAは、最大16週目まで改善した。
【0304】
(表21)アトピー性皮膚炎関与の体表面積の要約(最後の観察が繰り越された)(治療意図の集団)
注:N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数
Max=最大、Min=最小、SD=標準偏差。AD=アトピー性皮膚炎、LOCF=最後の観察が繰り越された。
ベースラインは、最初の治療の前又はその際の最後の利用可能な測定値であった。治療日が欠落している場合は、代わりに登録日を使用した。
欠落しているベースライン後の値又はレスキュー薬の使用後の値のみが、LOCFを使用して帰属されるが、ベースライン値は帰属に使用されなかった。
【0305】
スコアリングアトピー性皮膚炎(SCORAD)の要約。LOCFを使用して、16週目のSCORADスコアのベースラインからの平均(SD)変化は、-31.2(19.8)であり、ベースラインからの変化パーセントは、-50.1(27.0)であった(表22)。研究の過程にわたって、SCORADスコアは、最大16週目まで改善した。
【0306】
(表22)スコアリングアトピー性皮膚炎スコアの要約(最後の観察が繰り越された)(治療意図の集団)
注:N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数
Max=最大、Min=最小、SD=標準偏差、LOCF=最後の観察が繰り越された。
ベースラインは、最初の治療の前又はその際の最後の利用可能な測定値であった。治療日が欠落している場合は、代わりに登録日を使用した。
欠落しているベースライン後の値又はレスキュー薬の使用後の値のみが、LOCFを使用して帰属されるが、ベースライン値は帰属に使用されなかった。
【0307】
週毎のピーク掻痒症数値評価尺度スコア。LOCFを使用して、16週目のPP NRSの週平均のベースラインからの平均(SD)変化は、-3.1(2.8)であり、ベースラインからの変化パーセントは、-43.2(37.0)であった(表23)。研究の過程にわたって、PP NRSの週平均は、最大16週目まで改善した。
図10は、ITT集団の経時的なPP NRSスコアの週平均のベースラインからの変化パーセントのプロットを示す。
【0308】
(表23)ピーク掻痒症数値評価尺度スコアの週平均の要約(最後の観察が繰り越された)(治療意図の集団)
注:N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数
Max=最大、Min=最小、SD=標準偏差、LOCF=最後の観察が繰り越された。
ベースラインは、最初の治療の前又はその際の最後の利用可能な測定値であった。治療日が欠落している場合は、代わりに登録日を使用した。
痒み強度の尺度は、0(痒みなし)~10(想像可能な最悪の痒み)の範囲である。
欠落しているベースライン後の値又はレスキュー薬の使用後の収集された値のみが、LOCFを使用して帰属されるが、ベースライン値は帰属に使用されなかった。
【0309】
平均掻痒症数値評価尺度スコアの週平均。LOCFを使用して、16週目のAP NRSの週平均のベースラインからの平均(SD)変化は、-2.6(2.6)であり、ベースラインからの変化パーセントは、-40.9(37.3)であった(表24)。研究の過程にわたって、AP NRSの週平均は、最大16週目まで改善した。
図11は、ITT集団の経時的なAP NRSスコアの週平均のベースラインからの変化パーセントのプロットを示す。
【0310】
(表24)平均掻痒症数値評価尺度スコアの週平均の要約(最後の観察が繰り越された)(治療意図の集団)
注:N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数
Max=最大、Min=最小、SD=標準偏差、LOCF=最後の観察が繰り越された。
ベースラインは、最初の治療の前又はその際の最後の利用可能な測定値であった。治療日が欠落している場合は、代わりに登録日を使用した。
痒み強度の尺度は、0(痒みなし)~10(想像可能な最悪の痒み)の範囲である。
欠落しているベースライン後の値又はレスキュー薬の使用後の収集された値のみが、LOCFを使用して帰属されるが、ベースライン値は帰属に使用されなかった。
【0311】
睡眠障害数値評価尺度スコアの週平均。LOCFを使用して、睡眠障害の週平均は、ベースラインから16週目に改善し、3.1(3.2)の平均(SD)変化、-53.5%(47.8)のベースラインからの変化パーセントであった(表25)。
図12は、ITT集団の経時的な週平均睡眠障害NRSスコアのベースラインからの変化パーセントのプロットを示す。
【0312】
(表25)週平均睡眠障害数値評価尺度スコアの要約(最後の観察が繰り越された)(治療意図の集団)
注:N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数
Max=最大、Min=最小、SD=標準偏差、LOCF=最後の観察が繰り越された。
ベースラインは、最初の治療の前又はその際の最後の利用可能な測定値であった。治療日が欠落している場合は、代わりに登録日を使用した。
欠落しているベースライン後の値又はレスキュー薬の使用後の収集された値のみが、LOCFを使用して帰属されるが、ベースライン値は帰属に使用されなかった。
【0313】
局所アトピー性皮膚炎投薬治療なしの日数。薬物治療なしの日の平均(SD)の数は、ベースラインでの3.5(2.25)日から12週目~16週目での10.7(5.82)日に改善され、16週目~24週目に更に23.4(11.88)日に増加した。
【0314】
皮膚科生活の質指数。DLQI及びcDLQI平均(SD)スコアの両方が、研究の経過にわたって改善を示した。DLQIは、ベースライン及び16週目で、それぞれ、11.8(3.11)から3.0(2.58)に改善した。cDLQIは、ベースライン及び16週目でそれぞれ、I10.6(5.42)から6.2(5.29)に改善した。
【0315】
バイオマーカー分析
アプローチ。バイオマーカー試料は、ネモリズマブで治療された13~17歳の19人のAD対象から利用可能であった。血漿分析のために、血液試料をベースライン、8、及び16週目の治療後に収集した。SC分析のために、ベースラインでは、病変試料及び非病変試料が収集されたが、16週目の治療後には、病変試料のみが収集された。バイオマーカー評価のために、血漿及びSC試料中の30個のタンパク質を測定した。これらには、CCL13、CCL2、CCL20、CCL22、CCL26、CCL27、CX3CL1、CXCL6、EGF、FAS L、ガレクチン-1、IL-1RA、CXCL8/IL-8、IL-11、IL-21、PLA2G7、CCL17/TARC、CCL21、IL-1α、IL-2、オンコスタチンM、SP-D、VEGF-A、CCL5、シスタチン C、CCL18、アディポネクチン、TGFb1、IL-31、及びIgE(血漿のみ)が含まれた。
【0316】
IL-6及びIL-18分析は、上記30個のバイオマーカーがADにより関連すると考えられたが、2つのサイトカインは、一般的な炎症のマーカーとしてより考えられているため、血漿又はSC試料では実施されなかった。更に、アトピー性皮膚炎(SPR114322、第2b相)における以前の研究からの予備分析は、これらのサイトカインが応答性を予測しないことを明らかにした。最後に、SC試料の量が限られているため、タンパク質バイオマーカー解析のみを行うことができ、EOSセラミド、又はmRNA及びmiRNA解析を行うことができなかった。
【0317】
臨床パラメータ-16週目でのEASI-75、IGA、及びPP-NRSは、バイオマーカー下位研究の主な転帰とみなされた。これらのパラメータを使用する臨床応答者は、以下のように定義された:
●EASI-75応答者:ベースラインからのEASIスコアの少なくとも75%減少。
●IGA-01応答者:IGA≦1。
●PP-NRS応答者:ベースラインからのピーク掻痒症最大痒みNRSの少なくとも4点の減少。
【0318】
角質層:
教師あり分析-混合モデル反復測定(MMRM)。EASI-75の転帰と有意に関連する6つのタンパク質:偽発見率(FDR)が0.05未満のCCL18、CCL20、CCL22、CCL27、IL1RA、及びFDRが0.10未満のVEGF(
図13)、考慮されるFDRは、最小調整p値(相互作用、主効果)である。FDR基準に関して重要ではないが、CCL17及びIL31もまた、これらのタンパク質に特に関心があるために提示される(
図13)。それにもかかわらず、CCL17の発現は、EASI75応答者において病変皮膚と非病変皮膚との間で顕著に異なり、16週目の病変皮膚において治療後に同時に低減した。ベースラインでの病変試料と非病変試料との間の倍率変化は、6つのタンパク質のうちの4つ、すなわち、CCL20、CCL22、CCL27、及びVEGFについて、応答者では非応答者でよりも1.9~3.5高かった。この差は、統計的に有意である(
図13に示される)。これらのデータは、これらの4つのタンパク質が臨床応答性の潜在的なバイオマーカーとして使用され得ることを示唆している(
図14)。測定されたタンパク質バイオマーカーの変化は、16週目にIGA及びPP-NRSに関連することが見出されなかった。16週目に10人の対象のみが文書化されたため、12週目にはPP-NRSも考慮され、14人の対象が文書化された。CCL17及びCCL20との顕著な関連が観察された。
【0319】
教師なし分析、非負のテンソル因数分解。少なくとも1つの状態(ベースラインの非病変、ベースラインの病変、又は16週目の病変)における少なくとも1つの文書化された転帰(EASI-75、IGA、PP-NRS)及びプロテオミクスプロファイルを有する15人の対象に対して、教師なし分析を行った。非負のテンソル因子分解(NTF)によって提供される対象ランキングとEASI-75との間の関連は有意であった(p=0.0224)。15個のタンパク質(教師あり分析によって見出された6個のタンパク質を含む)が、達成されたランキングに最も貢献した:CCL18、CCL20、CCL22、CCL27、CX3CL1、CXCL6、CXCL8、シスタチン、FASL、ガレクチン、IL11、IL21、IL1RA、SPD、VEGF(エラー! 参照源が見つからない。)。解析をこれらの15タンパク質に限定すると、NTFにより提供される対象ランキングとEASI-75との間の関連は更に有意であった(p=0.0041)。教師あり分析と同様に、IGA-01スコアは、対象ランキングと関連していなかった(p=0.5493)。PP-NRSとの関連p値は、小さい試料サイズ(10人の対象のみが文書化された)によって引き起こされる不安定な推定のために計算することができなかった。12週目でPP-NRSを使用した場合、関連性は依然として有意ではなかった。分析の結果を、下の表に示す。
【0320】
【0321】
血漿:教師あり分析も、教師なし分析も、測定されたタンパク質と臨床スコアとの間に有意な相関を示さなかった。
【0322】
安全性評価結果。
曝露の程度。研究治療の平均期間は、68.7日であり、中央値は、85.0日であった。研究中に計画及び投与された平均総用量は、131.7mg(100%コンプライアンス)であった。治験薬への曝露の要約は、表26に見出され得る。
【0323】
(表26)曝露の程度の要約(安全性集団)
N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数、SD=標準偏差。
研究期間は、最後の来院日から最初の来院日を引き、1を加えたものとして計算される。
【0324】
有害事象。合計6人(33.3%)の対象が、14個のTEAEを経験した。これらの対象のうち、3人(16.7%)が治験薬に関連する10個のTEAEを有すると報告された。最大重症度別の報告されたTEAEの大部分は、軽度(3人[16.7%]の対象における6つの事象)又は中等度(1人[5.6%]の対象における4つの事象)のいずれかであった。2人(11.1%)の対象は、重度とみなされた4つのTEAEを有した。これらのTEAEのうちの2つは重篤であった(すなわち、ブドウ球菌性皮膚感染症を伴う感染性湿疹性皮膚炎及び右脚の浮腫)。この研究で報告された4つの治療下で発現したAESIは、同じ2人の対象が経験した。これら2人の対象の各々(8667-001及び8668-001)は、1つの重篤なAESI(それぞれ、ブドウ球菌性皮膚感染症を伴う感染性湿疹性皮膚炎及び右脚の浮腫)及び1つの非重篤なAESI(それぞれ、両脚の浮腫及び両脚の遠位浮腫)を有した。全てのAESIは、治験薬関連であるとみなされた。これらの同じ2人の対象は、治験薬の永久的な中止につながった7つの関連するAEも有した(対象8667-001[アトピー性皮膚炎、両脚の浮腫、両脚の痛み、及び膿疱性発疹]及び対象8668-001[両脚の浮腫、右脚の浮腫、及びブドウ球菌性皮膚感染症])。研究の中止につながったTEAESはなかった。
【0325】
表27に示されるように、18人の対象のうちの6人(33.3%)が、少なくとも1回のTEAEを経験した。1人の対象は、2つのSAEを有し、1人の対象は、1つのSAEを有し、合計3つのSAEであった。同じ2人の対象は、重度として評価された3つのTEAEを有した。これらの2人の対象について報告された7つのTEAEは、治験薬の永久的な中止につながった。2人の対象について4つのAESIを報告した。研究中に死亡は報告されなかった。
【0326】
(表27)治療下で発現した有害事象、全ての因果関係の全体的な要約(安全性集団)
AESI=特別な関心事の有害事象、TEAE=治療関連有害事象
【0327】
表28に示されるように、最も多くのTEAESが報告された器官別大分類(SOC)は、感染症及び蔓延(4人の対象における5つの事象)であった。2人の対象が経験した末梢浮腫を除いて、他の全てのAEは、各々1人の対象によって経験された。
【0328】
(表28)器官別大分類及び基本語、全ての因果関係ごとの治療下で発現した有害事象(安全性集団)
【0329】
治験薬との関係による有害事象。3人の対象は、治験責任医師によって治験薬に関連するとみなされた10個のTEAEを経験した。重篤なTEAE、重度のTEAE、特別な関心のあるTEAE、及び治験薬に関連すると考えられる治験薬の永久的な中止に至ったTEAEは、各々2人(11.1%)の対象が経験した。研究手順に関連するとみなされるTEAEを経験した対象はいなかった。
【0330】
重症度ごとの有害事象。最大重症度ごとの報告されたTEAEの大部分は、軽度(3人[16.7%]の対象における6つの事象)、重度(2人[11.1%]の対象における4つの事象)、又は中等度(1人[5.6%]の対象における4つの事象)であった。4つの中等度の事象の中で、最も頻繁に報告されたTEAEは、全身障害及び投与部位の状態のSOCにおける末梢性浮腫(1人[5.6%]の対象のうちの2つの事象)であった。4つの重度な事象(末梢性浮腫、湿疹感染症、ブドウ球菌性皮膚感染症、及びアトピー性皮膚炎)が2人の対象で報告された。1人の対象(8667-001)は、それぞれ、感染症及び蔓延並びに皮膚及び皮下皮膚障害SOCにおいて湿疹感染症及びアトピー性皮膚炎を経験し、他の対象(8668-001)は、それぞれ、感染症及び蔓延並びに全身障害及び投与部位状態SOCにおいてブドウ球菌性皮膚感染症及び末梢水腫を経験した。
【0331】
死亡、他の重篤なAE、及び他の重要なAE。研究中に死亡は、生じなかった。2人の対象は、3つのSAE(湿疹感染症、末梢性浮腫、及びスタフィロコッカス(staphylococcus)皮膚感染症)を経験し、全てが薬物関連と考えられた。重篤なTEAEの概要を表29に示す。
【0332】
(表29)器官別大分類及び基本語ごとの特別な関心のある重篤な治療下で発現した有害事象(安全性集団)
N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数。
注:パーセンテージ(%)は、分母として集団のける対象の数を使用して計算される。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。治療下で発現した有害事象(TEAE)は、治験薬投与日、又はそれ以降の発病日を有する事象として定義される。
【0333】
特に関心のある有害事象。この研究で報告された4つの治療下で発現したAESIは、同じ2人の対象が経験した。これら2人の対象の各々(8667-001及び8668-001)は、1つの重篤なAESI(それぞれ、ブドウ球菌性皮膚感染症を伴う感染性湿疹性皮膚炎及び右脚の浮腫)及び1つの非重篤なAESI(それぞれ、両脚の浮腫及び両脚の遠位浮腫)を有した。全てのAESIは、治験薬関連であるとみなされた。特に関心のあるTEAEの概要を表30に示す。
【0334】
(表30)器官別大分類及び基本語、全ての因果関係ごとの特別な関心のある治療下で発現した有害事象(安全性集団)
N=集団における対象の数、n=利用可能なデータを有する対象の数。
注:パーセンテージ(%)は、分母として集団のける対象の数を使用して計算される。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。治療下で発現した有害事象(TEAE)は、治験薬投与日、又はそれ以降の発病日を有する事象として定義される。
【0335】
中止につながる治療下で発現した有害事象。永久的な治験薬中止につながる7つのTEAEは、SAE及びAESIと同じ2人の対象(対象8667 001[アトピー性皮膚炎、両脚の浮腫、両脚の痛み及び膿疱性発疹]並びに対象8668 001[両脚の浮腫、右脚の浮腫、及びブドウ球菌性皮膚感染症])が経験した。対象の研究の中止につながったTEAEはなかった。
【0336】
臨床検査室評価の結果:
血液学。血液学パラメータのベースラインからのわずかな変化が、研究中に観察された。血液学検査室 値の間のベースラインからのシフトにおいて顕著な傾向は観察されなかった。ベースライン後に記録された血液学的値について、ベースラインで正常であったほぼ全ては、ベースライン後の時点で正常のままであった。
【0337】
化学。化学パラメータのベースラインからのわずかな変化が、研究中に観察された。化学検査室値の間のベースラインからのシフトにおいて顕著な傾向は観察されなかった。ベースライン後に記録された化学値について、ベースラインで正常であったほぼ全ては、ベースライン後の時点で正常のままであった。
【0338】
検尿。PCS検尿検査室の結果は観察されなかった。
【0339】
バイタルサイン、身体所見、及び安全性に関連する他の観察:
バイタルサイン。研究中、5人の対象に潜在的に臨床的に有意なバイタルサインが生じた。1人の対象は、12週目にPCS拡張期血圧値(>90mmHg、ベースラインから>10mmHgの増加)を有し、1~2週目に体温(<35℃)を有し、16及び24週目に体重の変化(<95%のベースラインからの変化)を有した。他の2人の対象は、それぞれ、8週目~24週目、及び12週目で始まる体重のPCS変化(>95%のベースラインからの変化)を有した。1人の対象は、8週目に体重のPCS変化(>105%のベースラインからの変化)を有し、4人の対象は、12、16、及び24週目にそれぞれ、体重のPCS変化(>105%のベースラインからの変化)を有した。バイタルサイン値中で顕著な傾向は観察されなかった。
【0340】
心電図データ。心電図パラメータ中で顕著な傾向は観察されず、スクリーニング又は16週目に臨床的に有意な異常は報告されなかった。
【0341】
身体検査所見。4週目に1人の対象、8週目に7人の対象、及び16週目に1人の対象について、臨床的に有意な皮膚異常(アトピー性皮膚炎)が報告された。身体検査値中で顕著な傾向は観察されなかった。
【0342】
呼吸器系の評価結果。喘息の病歴を有する1人の対象(8614-001)は、スクリーニングで異常なPEF(予測値の77.6%)を有し、これは後に主要なプロトコル逸脱として同定され、施設は、いずれの治験薬の投与も直ちに中止するように指示された。スクリーニングでは、対象のACTスコアは、正常であった(25)。対象は、治験委託者から要求されたように、後続の全ての安全性手順に戻った。PEF値は、早期終了来院まで異常のままであり、その時点のPEFは、予測値の104.8%であった。異常なPEFの概要を表31に示す。
【0343】
(表31)異常なピーク呼気流量の要約(安全性集団)
PEF=ピーク呼気流量
【0344】
1人の対象(8668-001)は、スクリーニングでの13の異常な喘息制御検査(ACT)スコアを有し、これは後に主要なプロトコル逸脱として同定された。ACTスコア≦19は、喘息が適切に制御されない可能性があることを示唆している。しかしながら、ベースライン負荷用量を誤って投与した。対象のPEFは、スクリーニングで正常であった(予測値の87.7%)。対象は、治験委託者から要求されたように、後続の全ての安全性手順に戻った。ACTスコアは、ACTスコアが15であった第12週を除き、全ての来院で正常であった。ACTのスコアは、全ての他の対象について全ての時点で正常であった。呼吸値中で顕著な傾向は観察されなかった。ACTスコア≦19の概要を表32に示す。
【0345】
(表32)喘息制御検査スコア≦19の要約(安全性集団)
ACT=喘息制御検査
【0346】
安全性の結論。6人(33.3%)の対象が14個のTEAEを経験し、そのほとんどが最大重症度により軽度又は中等度であった。2人の対象は、3つのSAE(湿疹感染症、末梢性浮腫、及びスタフィロコッカス皮膚感染症)を経験し、全てが薬物関連と考えられた。SAEを経験した同じ2人の対象は、4つのAESIを経験し、各対象は、1つの重篤なAESI及び1つの非重篤なAESIを有した。7つのTEAEは、永久的な治験薬中止をもたらし、SAE及びAESIと同じ2人の対象が経験した。研究の中止につながったTEAEはなかった。研究中に死亡は、生じなかった。時間の経過とともに、検査室、バイタルサイン、及び呼吸器評価の間で顕著な傾向は観察されなかった。
【国際調査報告】