(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ハイブリッド積層電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20240925BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240925BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240925BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01L27/088 B
H01L29/78 301Y
H01L29/78 618C
H01L29/78 617K
H01L27/088 E
H01L27/092 D
H01L27/092 G
H01L27/092 C
H01L27/088 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513170
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2022108564
(87)【国際公開番号】W WO2023045554
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ルイロン
(72)【発明者】
【氏名】ヘクマットショアータバリ、バーマン
(72)【発明者】
【氏名】レズニチェク、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ヘン
【テーマコード(参考)】
5F048
5F110
5F140
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
ハイブリッド積層半導体デバイスは、基板上のナノシート・スタックと、オールアラウンド・ゲートとを含む。ナノシート・スタックは、第1のスタック部分と、第2のスタック部分とを含む。第1のスタック部分は第1のチャネルを含む。第2のスタック部分は、第1のスタック部分の上に積層され、第2のチャネルを含む。オールアラウンド・ゲートは、第1のチャネルの周りを取り囲む第1のゲート部分と、第2のチャネルの周りを取り囲む第2のゲート部分とを含む。第1のゲート延長部が第1のゲート部分に接触し、第2のゲート延長部が第2のゲート部分に接触する。少なくとも1つのゲート・コンタクトが、第1のゲート部分との導電性を確立するために第1のゲート延長部に接触し、第2のゲート部分との導電性を確立するために第2のゲート延長部に接触する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド積層半導体デバイスを作製する方法であって、
基板上にナノシート・スタックを形成することであって、前記ナノシート・スタックは、第1のチャネルを含む第1のスタック部分と、前記第1のスタック部分の上に積層された第2のスタック部分であって、第2のチャネルを含む、前記第2のスタック部分と、前記第1のスタック部分と前記第2のスタック部分との間に挿入された誘電体スペーサとを備える、前記形成することと、
前記第1のチャネルの周りを取り囲む第1のゲート部分と、前記第2のチャネルの周りを取り囲む第2のゲート部分とを含むオールアラウンド・ゲートを形成することと、
前記第1のゲート部分に接触するように前記ナノシート・スタックの第1の側部に第1のゲート延長部を形成することと、
前記第2のゲート部分に接触するように前記ナノシート・スタックの第2の側部に第2のゲート延長部を形成することであって、前記第2の側部は前記第1の側部とは異なる、前記形成することと、
前記第1のゲート部分との導電性を確立するために前記第1のゲート延長部に接触する第1のゲート・コンタクトを形成することと、
前記第2のゲート部分との導電性を確立するために前記第2のゲート延長部に接触する第2のゲート・コンタクトを形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のスタック部分に接触するように第1のソース/ドレインを形成することと、前記第2のスタック部分に接触するように第2のソース/ドレインを形成することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のソース/ドレインに第1のドーパントをドーピングすることと、前記第2のソース/ドレインに前記第1のドーパントと同じである第2のドーパントをドーピングすることとをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のソース/ドレインに第1のドーパントをドーピングすることと、前記第2のソース/ドレインに前記第1のドーパントとは異なる第2のドーパントをドーピングすることとをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2のゲート延長部を形成することは、
前記第1のゲート部分に接触する第1の側壁部分を形成し、前記第1のゲート延長部を画定するように第1の方向に沿って前記第1の側壁部分から延在する第1のベースを形成することと、
前記第2のゲート部分に接触する第2の側壁部分を形成し、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って前記第2の側壁部分から延在する第2のベースを形成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のゲート・コンタクトは前記第1のベース部分に物理的に接触し、前記第2のゲート・コンタクトは前記第2のベース部分に物理的に接触する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2のゲート延長部を形成することは、
第1の誘電体材料に第1のゲート延長部層を形成することであって、前記第1のゲート延長部層は、前記基板上に直接に形成された第1のベース部分と、前記第1のスタック部分に接して直接に形成された第1の側壁部分とを含む、前記形成することと、
第2の誘電体材料に第2のゲート延長部層を形成することであって、前記第2のゲート延長部層は、前記第1の誘電体材料の上面上に形成された第2のベース部分と、前記第2のスタック部分に接して直接に形成された第2の側壁部分とを含む、前記形成することと、
前記第1のゲート延長部を形成するために前記第1のゲート延長部層を電気伝導性材料で置換することと、
前記第2のゲート延長部を形成するために前記第2のゲート延長部層を電気伝導性材料で置換することと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基板の活性領域から前記第1および第2のゲート延長部の一部を除去することと、
前記基板の一部を露出させるために前記活性領域から前記ナノシート・スタックの一部を除去することと、
前記基板の露出部分上に直接に第1のソース/ドレインを形成することであって、前記第1のソース/ドレインは、前記ナノシート・スタックの前記第1のスタック部分に含まれる前記第1のチャネルに接触する、前記形成することと、
前記第1のソース/ドレインを絶縁誘電体で被覆することと、
前記絶縁誘電体上に第2のソース/ドレインを形成することであって、前記第2のソース/ドレインは、前記ナノシート・スタックの前記第2のスタック部分に含まれる前記第2のチャネルに接触する、前記形成することと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ハイブリッド積層半導体デバイスを作製する方法であって、
基板上にナノシート・スタックを形成することであって、前記ナノシート・スタックは、第1のチャネルを含む第1のスタック部分と、前記第1のスタック部分の上に積層された第2のスタック部分であって、第2のチャネルを含む、前記第2のスタック部分と、前記第1のスタック部分と前記第2のスタック部分との間に挿入された誘電体スペーサとを備える、前記形成することと、
前記第1のチャネルの周りを取り囲む第1のゲート部分と、前記第2のチャネルの周りを取り囲む第2のゲート部分とを含むオールアラウンド・ゲートを形成することと、
前記第1のゲート部分に接触するように前記ナノシート・スタックの第1の側部に第1のゲート延長部を形成することと、
前記第2のゲート部分に接触するように前記ナノシート・スタックの同じ前記第1の側部に第2のゲート延長部を形成することと、
前記第1のゲート部分および前記第2のゲート部分との導電性を確立するために前記第1のゲート延長部および前記第2のゲート延長部の両方に接触するゲート・コンタクトを形成することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1のスタック部分に接触するように第1のソース/ドレインを形成することと、前記第2のスタック部分に接触するように第2のソース/ドレインを形成することとをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のソース/ドレインに第1のドーパントをドーピングすることと、前記第2のソース/ドレインに前記第1のドーパントと同じである第2のドーパントをドーピングすることとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のソース/ドレインに第1のドーパントをドーピングすることと、前記第2のソース/ドレインに前記第1のドーパントとは異なる第2のドーパントをドーピングすることとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2のゲート延長部を形成することは、
前記第1のゲート部分に接触する第1の側壁部分を形成し、前記第1のゲート延長部を画定するように第1の方向に沿って前記第1の側壁部分から延在する第1のベースを形成することと、
前記第2のゲート部分に接触する第2の側壁部分を形成し、前記第1のベースと同じ前記第1の方向に沿って前記第2の側壁部分から延在する第2のベースを形成することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2のゲート延長部を形成することは、
第1の誘電体材料に第1のゲート延長部層を形成することであって、前記第1のゲート延長部層は、前記基板上に直接に形成された第1のベース部分と、前記第1のスタック部分に接触するように前記ナノシート・スタックの前記第1の側部に接して直接に形成された第1の側壁部分とを含む、前記形成することと、
第2の誘電体材料に第2のゲート延長部層を形成することであって、前記第2のゲート延長部層は、前記第1の誘電体材料の上面上に形成された第2のベース部分と、前記第2のスタック部分に接触するように前記ナノシート・スタックの同じ前記第1の側部に接して直接に形成された第2の側壁部分とを含む、前記形成することと、
前記第1のゲート延長部を形成するために前記第1のゲート延長部層を電気伝導性材料で置換することと、
前記第2のゲート延長部を形成するために前記第2のゲート延長部層を電気伝導性材料で置換することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板の活性領域から前記第1および第2のゲート延長部の一部を除去することと、
前記基板の一部を露出させるために前記活性領域から前記ナノシート・スタックの一部を除去することと、
前記基板の露出部分上に直接に第1のソース/ドレインを形成することであって、前記第1のソース/ドレインは、前記ナノシート・スタックの前記第1のスタック部分に含まれる前記第1のチャネルに接触する、前記形成することと、
前記第1のソース/ドレインを絶縁誘電体で被覆することと、
前記絶縁誘電体上に第2のソース/ドレインを形成することであって、前記第2のソース/ドレインは、前記ナノシート・スタックの前記第2のスタック部分に含まれる前記第2のチャネルに接触する、前記形成することと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ハイブリッド積層半導体デバイスであって、
基板上のナノシート・スタックであって、第1のチャネルを含む第1のスタック部分と、前記第1のスタック部分の上に積層された第2のスタック部分であって、第2のチャネルを含む、前記第2のスタック部分と、前記第1のスタック部分と前記第2のスタック部分との間に挿入された誘電体スペーサとを備える、前記ナノシート・スタックと、
前記第1のチャネルの周りを取り囲む第1のゲート部分と、前記第2のチャネルの周りを取り囲む第2のゲート部分とを含むオールアラウンド・ゲートと、
前記第1のゲート部分に接触する第1のゲート延長部と、
前記第2のゲート部分に接触する第2のゲート延長部と、
前記第1のゲート部分との導電性を確立するために前記第1のゲート延長部に接触し、前記第2のゲート部分との導電性を確立するために前記第2のゲート延長部に接触する、少なくとも1つのゲート・コンタクトと
を備える、ハイブリッド積層半導体デバイス。
【請求項17】
前記第1のゲート延長部は前記ナノシート・スタックの第1の側部に接触し、前記少なくとも1つのゲート・コンタクトは、前記第1のゲート延長部に接触する第1のゲート・コンタクトを含み、
前記第2のゲート延長部は前記第1の側部とは反対の前記ナノシート・スタックの第2の側部に接触し、前記少なくとも1つのゲート・コンタクトは、前記第2のゲート延長部に接触する第2のゲート・コンタクトを含む、請求項16に記載のハイブリッド積層半導体デバイス。
【請求項18】
前記第1のスタック部分は、第1の型のトランジスタを形成するために第1のドーパントをドーピングされた第1のチャネルを含み、前記第2のスタック部分は、前記第1の型のトランジスタとは異なる第2の型のトランジスタを形成するために前記第1の型のドーパントとは異なる第2のドーパントをドーピングされた第2のチャネルを含む、請求項17に記載のハイブリッド積層半導体デバイス。
【請求項19】
前記第1のゲート延長部および前記第2のゲート延長部は、両方とも前記ナノシート・スタックの同じ側部に接触し、前記少なくとも1つのゲート・コンタクトは、前記第1のゲート延長部および前記第2のゲート延長部の両方に接触する単一のゲート・コンタクトを含む、請求項16に記載のハイブリッド積層半導体デバイス。
【請求項20】
前記第1のスタック部分は、第1の型のトランジスタを形成するために第1のドーパントをドーピングされた第1のチャネルを含み、前記第2のスタック部分は、前記第1の型のトランジスタと同じである第2の型のトランジスタを形成するために前記第1のドーパントと同じである第2のドーパントをドーピングされた第2のチャネルを含む、請求項19に記載のハイブリッド積層半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体デバイスのための作製方法および結果として得られる構造体に関する。より詳細には、本発明は、ハイブリッド積層電界効果トランジスタのための作製方法および結果として得られる構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の半導体デバイス作製プロセスでは、n型電界効果トランジスタ(NFET)およびp型電界効果トランジスタ(PFET)などの多数の半導体デバイスが単一のウェハ上に作製される。非プレーナ型トランジスタ・デバイス・アーキテクチャ(例えば、フィン型FET(FinFET)およびナノシートFET)は、プレーナ型トランジスタよりも向上したデバイス密度および向上したパフォーマンスを提供し得る。従来のプレーナ型FETとは異なり、非プレーナ型FETは、チャネル領域の全周の周りを取り囲むゲートスタックを実現するために、ゲートオールアラウンド(GAA)技術を利用する。結果として得られるGAA FETは、デバイス・フットプリントが縮小され、チャネル電流フローの制御が改善される。
【0003】
最近開発された非プレーナ型FETの一種は、相補型電界効果トランジスタ(CFET)と称される。CFETは、NFETの上に垂直に積層されたPFET、またはその逆を含む。CFETは、より小さいスケールのデバイスを可能にするために、互いの上にPFETおよびNFETトランジスタを積層する際にGAA技術を利用することができ、これは半導体デバイスのフットプリントを縮小する継続的な動向を達成している。しかし、回路コンポーネントのすべてがCMOSペアからなるわけではないため、異なる極性を有する1対のデバイスを提供するCFETデバイス(NFET上のPFET、またはPFET上のNFET)は、回路設計における十分な柔軟性を提供しない。したがって、柔軟なゲート制御を有するハイブリッド積層FETソリューションは、さまざまな型の回路にとって魅力的である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、ハイブリッド積層半導体デバイスを形成するための作製工程(fabricationoperations)を実行する方法を対象とする。作製工程は、基板上にナノシート・スタック(NSスタック)を形成することを含み、ナノシート・スタックは、第1のチャネルを含む第1のスタック部分と、第1のスタック部分の上に積層された第2のスタック部分であって、第2のチャネルを含む、第2のスタック部分と、第1のスタック部分と第2のスタック部分との間に挿入された誘電体スペーサとを備える。工程は、第1のチャネルの周りを取り囲む第1のゲート部分と、第2のチャネルの周りを取り囲む第2のゲート部分とを含むオールアラウンド・ゲートを形成することをさらに含む。工程は、第1のゲート部分に接触するようにナノシート・スタックの第1の側部に第1のゲート延長部を形成することと、第2のゲート部分に接触するようにナノシート・スタックの第2の側部に第2のゲート延長部を形成することとをさらに含む。第2の側部は第1の側部とは異なる。工程は、第1のゲート部分との導電性を確立するために第1のゲート延長部に接触する第1のゲート・コンタクトを形成することと、第2のゲート部分との導電性を確立するために第2のゲート延長部に接触する第2のゲート・コンタクトを形成することとをさらに含む。
【0005】
本発明の実施形態は、ハイブリッド積層半導体デバイスを形成するために作製工程を実行する方法に向けられる。作製工程は、基板上にナノシート・スタックを形成することを含む。ナノシート・スタックは、第1のチャネルを含む第1のスタック部分と、第1のスタック部分の上に積層された第2のスタック部分であって、第2のチャネルを含む、第2のスタック部分と、第1のスタック部分と第2のスタック部分との間に挿入された誘電体スペーサとを備える。工程は、第1のチャネルの周りに巻き付く第1のゲート部分と、第2のチャネルの周りを取り囲む第2のゲート部分とを含むオールアラウンド・ゲートを形成することをさらに含む。工程は、第1のゲート部分に接触するようにナノシート・スタックの第1の側部に第1のゲート延長部を形成することと、第2のゲート部分に接触するようにナノシート・スタックの同じ第1の側部に第2のゲート延長部を形成することとをさらに含む。工程は、第1のゲート部分および第2のゲート部分との導電性を確立するために第1のゲート延長部および第2のゲート延長部の両方に接触するゲート・コンタクトを形成することをさらに含む。
【0006】
本発明の実施形態は、ハイブリッド積層半導体デバイスに向けられる。ハイブリッド積層半導体デバイスは、基板上のナノシート・スタックと、オールアラウンド・ゲートとを備える。ナノシート・スタックは、第1のスタック部分と、第2のスタック部分とを含む。第1のスタック部分は第1のチャネルを含む。第2のスタック部分は、第1のスタック部分の上に積層され、第2のチャネルを含む。オールアラウンド・ゲートは、第1のチャネルの周りを取り囲む第1のゲート部分と、第2のチャネルの周りを取り囲む第2のゲート部分とを含む。第1のゲート延長部が第1のゲート部分に接触し、第2のゲート延長部が第2のゲート部分に接触する。少なくとも1つのゲート・コンタクトが、第1のゲート部分との導電性を確立するために第1のゲート延長部に接触し、第2のゲート部分との導電性を確立するために第2のゲート延長部に接触する。
【0007】
追加的な特徴および利点は、本明細書に記載される技術を通して実現される。他の実施形態および態様が、本明細書に詳細に記載される。より良い理解のためには、明細書および図面を参照されたい。
【0008】
実施形態とみなされる主題は、本明細書の末尾の特許請求の範囲で具体的に指摘され、明確に特許請求される。実施形態の上記および他の特徴および利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明を参照することで明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態によるさまざまなハイブリッド積層半導体デバイスの概略図である。
【
図2】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様によるさまざまな中間作製工程を実行した後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図3】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程を実行した後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図4】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図5】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図6】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図7】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図8】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図9】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図10】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図11】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図12】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図13】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図14】独立に制御されるゲートを有する同じ型の2つの積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図15】共有ゲートを有する積層CMOS FETを含むハイブリッド半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様によるさまざまな中間作製工程を実行した後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図16】共有ゲートを有する積層CMOS FETを含むハイブリッド半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図17】共有ゲートを有する積層CMOS FETを含むハイブリッド半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図18】共有ゲートを有する積層CMOS FETを含むハイブリッド半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図19】共有ゲートを有する積層CMOS FETを含むハイブリッド半導体デバイスを形成するためのさまざまな作製工程後の複数の断面図であり、本発明の態様による追加的な作製工程後のハイブリッド積層半導体デバイスの断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態による異なる型のハイブリッド積層半導体デバイスを含む集積回路(IC)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この詳細な説明は、シリコン(Si)・チャネル・ナノシートおよびSiGe犠牲ナノシートを有する例示的なゲートオールアラウンド(GAA)・ナノシートFETアーキテクチャにおいてラップアラウンド下側絶縁領域を形成するために本発明の態様がどのように実施され得るかの例を含むが、本明細書に記述される教示の実施は、特定の型のFET構造または材料の組合せに限定されない。むしろ、本発明の実施形態は、下層の基板からのS/D領域およびゲートの電気的絶縁を改善することが望ましいような、現在既知の、または今後開発される、任意の他の型のトランジスタ・デバイスまたは材料とともに実施されることが可能である。
【0011】
簡潔にするため、半導体デバイスおよび集積回路(IC)の作製に関する従来の技術は、本明細書において詳細に記載されることもされないこともあり得る。さらに、本明細書に記載されるさまざまなタスクおよびプロセス・ステップは、本明細書に詳細に記載されない追加的なステップまたは機能を有するより包括的な手順またはプロセスに組み込まれ得る。特に、半導体デバイスおよび半導体ベースのICの製造におけるさまざまなステップは周知であるので、簡潔にするため、多くの従来のステップは本明細書では簡単に言及されるのみであるか、または周知のプロセスの詳細を提供することなく全体的に省略される。
【0012】
次に、本発明により具体的に関連する技術の説明に移ると、トランジスタは、多様なICに共通して見られる半導体デバイスである。トランジスタは本質的にはスイッチである。しきい値電圧よりも高い電圧がトランジスタのゲートに印加されると、スイッチはオンになり、トランジスタに電流が流れる。ゲートにおける電圧がしきい値電圧よりも低い場合、スイッチはオフであり、トランジスタに電流は流れない。
【0013】
典型的な半導体デバイスは、ウェハの活性領域を用いて形成される。活性領域は、隣接する半導体デバイスを分離し電気的に絶縁するために使用される絶縁領域によって画定される。例えば、複数の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を有するICでは、各MOSFETは、半導体材料の層にn型またはp型の不純物を注入することによって半導体層の活性領域に形成されたソースおよびドレインを有する。ソースとドレインとの間にチャネル(またはボディ)領域が配設される。ボディ領域の上方にゲート電極が配設される。ゲート電極およびボディは、ゲート誘電体層によって離間される。
【0014】
MOSFETベースのICは、いわゆる相補型金属酸化物半導体(CMOS)作製技術を用いて作製される。一般に、CMOSは、論理機能を実装するためにp型およびn型のMOSFETの相補的で対称的なペアを使用する技術である。チャネル領域はソースおよびドレインを接続し、電流はチャネル領域を通ってソースからドレインへ流れる。電流は、ゲート電極に印加される電圧によってチャネル領域に誘導される。
【0015】
FETのウェハ・フットプリントは、チャネル材料の電気伝導率に関連する。チャネルがより良好な静電制御下にある場合、FETは対応してより小さいウェハ・フットプリントで作成され得る。チャネルの静電制御を改善しFETサイズを減少させる既知の方法は、ゲートオールアラウンド技術を用いてチャネルを形成することである。例えば、FinFETまたはナノシート・デバイスは、ゲート制御を改善するためにチャネルの周りを取り囲むゲートを形成する。また、デバイスのフットプリントを縮小するために、いわゆる積層電界効果トランジスタ(FET)は、以前のナノシートおよびフィン型トランジスタ・アーキテクチャを超えるスケーリング利得を提供する次世代のデバイス構造である。積層FETは、第1の型のトランジスタ(例えば、n型NS FET)を画定する第1のデバイスが、異なる型のNSトランジスタ(例えば、p型NS FET)を画定する第2のデバイスの上方に垂直に積層されたものを含む。このようにして、2つのトランジスタが同じデバイス・フットプリントを共有することができることにより、デバイス密度が2倍になるような単一のトランジスタの空間だけを要する。
【0016】
従来の積層FETは、デバイス・フットプリントを縮小するという目標を達成するが、低下したアプリケーション柔軟性に関する問題を示す。例えば、従来の積層FETに含まれる2つの積層トランジスタは同じゲートを用いて制御される。したがって、積層トランジスタは相互に相補的であると称される。したがって、従来の積層FETは、相補型電界効果トランジスタ(CFET)と称されることが多い。
【0017】
従来のCFETは、それらの相補的で対称的なトランジスタ関係とともにデバイス・フットプリントにおけるそれらの固有の縮小により、CMOS論理回路を効率的にサポートすることができるが、それらの共有ゲートは、デバイスが利用され得るアプリケーションを制限する。例えば、人工知能(AI)アプリケーションは、ローカル・レジスタ・ファイル(LRF)を使用するAIハードウェア・アクセラレータを利用する。これらのレジスタ・ファイルは通常、専用の読み出しおよび書き込みポートを有する高速スタティックRAMを実装するために、不均衡な数の異なる型の半導体デバイスを含む(例えば、CMOS FETの総数と比較してNFETペアの総数がより多い)。したがって、従来のCFETの相補的で対称的なアーキテクチャ特性(例えば、NFETおよびPFETの積層配置を常に含む)は、全体的なICフットプリントに関して非効率を生じ得る。さらに、独立に制御されるゲートを有するトランジスタは、レジスタ・ファイルの個別のポートを選択することが要求される。結果として、共有ゲートを有するCFETは通常、多くのAIアプリケーションにおける使用のためには非現実的である。
【0018】
次に、本発明の態様の概説に移ると、本発明の1つまたは複数の実施形態は、異なる型の積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを提供することによって、既知の積層FETのアーキテクチャおよび作製技術の上記の欠点を解決する。しかし、従来のCFETとは異なり、本明細書に記載されるハイブリッド積層半導体デバイスは、各積層FETのための独立に制御されるゲートまたは積層FETによって共有される共有ゲート(すなわち、共通に制御されるゲート)を、異なる型の積層トランジスタに設けることができる。
【0019】
図1を参照すると、例えば、本発明の非限定的な実施形態は、独立に制御されるゲートを有する1対の積層NFETを含むハイブリッド積層半導体デバイス10を提供する。本発明の別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス20は、独立に制御されるゲートを有する1対の積層PFETを含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス30は、共有ゲートを有する1対の積層NFETを含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス40は、共有ゲートを有する1対の積層PFETを含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス50は、独立に制御されるゲートを有する積層CMOS FET(例えば、PFETの上に積層されたNFET、およびその逆)を含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス60は、共有ゲートを有する積層CMOS FET(例えば、PFETの上に積層されたNFET、およびその逆)を含み得る。これに応じて、本明細書に記載されるハイブリッド積層半導体デバイスのさまざまな非限定的な実施形態は、半導体デバイスのフットプリントを縮小するという継続的な動向を満足しながら、例えばAIアプリケーションなどの広範囲のアプリケーションで使用され得る。
【0020】
本発明の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイスを作製するための本明細書に記載される工程は、独立なゲート領域または共有ゲート領域のいずれかを形成するために、積層チャネル間に誘電体絶縁部を形成することを含む。これに応じて、ゲート延長部が、独立に制御されるゲートの形成を容易にするために独立なゲート領域にそれぞれ形成されることができ、または共有ゲートの形成を容易にするために共有ゲート領域に形成されることができる。
【0021】
次に、本発明の態様による作製工程および結果として得られる構造体のより詳細な説明に移ると、
図2~
図19は、さまざまな作製工程を実行した後のハイブリッド積層半導体デバイス100を示す。
図2~
図19に示される断面図は2次元であるが、
図2~
図19に示される図は3次元構造体を表すと理解される。
図2に示されるトップダウン参照
図101は、
図2~
図19に示されるさまざまな断面図(X表示図、Y1A表示図、およびY1B表示図)に対する参照点を提供する。直線Xに沿ったX表示図は、ゲート領域103(すなわち、ゲートが形成される領域)を横切る側面図であり、直線Y1Aに沿ったY1A表示図は、ゲート間の活性領域105(「S/D領域」とも称され、そこに1つまたは複数のソース/ドレインが形成される)を横切る側面図であり、直線Y1Bに沿ったY1B表示図は、ゲートの下の活性領域107(ゲートの下に位置する「チャネル領域」とも称され、そこに1つまたは複数の型のNSスタックが形成される)を横切る側面図である。
【0022】
図2を参照すると、本発明の態様によるさまざまな既知の中間作製工程を実行した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。この段階では、ハイブリッド積層半導体デバイス100は、基板104上に形成されたナノシート・スタック(NSスタック)102を含む。基板104は、例えば、単結晶Si、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)、III-V化合物半導体、II-VI化合物半導体、またはセミコンダクタ・オン・インシュレータ(SOI)などの任意の適切な基板材料からなり得る。例えば、III-V族化合物半導体は、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、ヒ化アルミニウム・インジウム(AlInAs)、窒化アルミニウム(AlN)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、アンチモン化ガリウム・アルミニウム(GaAlSb)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化アンチモン化ガリウム(GaAsSb)、窒化ガリウム(GaN)、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジウム(InAs)、ヒ化インジウム・ガリウム(InGaAs)、ヒ化リン化インジウム・ガリウム(InGaAsP)、窒化インジウム・ガリウム(InGaN)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)および上記の材料のうちの少なくとも1つを含む合金組合せのうちの1つまたは複数などの、少なくとも1つのIII族元素および少なくとも1つのV族元素を有する材料を含む。合金組合せは、二元(2つの元素、例えば、ヒ化ガリウム(III)(GaAs))、三元(3つの元素、例えば、InGaAs)および四元(4つの元素、例えば、リン化アルミニウム・ガリウム・インジウム(AlInGaP))合金を含み得る。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、基板104は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)構成を提供するために、埋め込み酸化物層106を含み得る。埋め込み酸化物層106は、例えば、酸化シリコンなどの任意の適切な誘電体材料からなり得る。本発明のいくつかの実施形態では、埋め込み酸化物層106は、約145nmの厚さに形成されるが、他の厚さは本発明の想定範囲内にある。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、NSスタック102は、1つまたは複数の犠牲層110と交互になった1つまたは複数の半導体層108を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、半導体層108および犠牲層110は、エピタキシャル成長層である。本発明のいくつかの実施形態では、NSスタック102の上側スタック部分113(本明細書では上側NSスタック113とも称される)は、NSスタック102の下側スタック部分115(本明細書では下側NSスタック115とも称される)から犠牲スペーサ層112によって分離される。NSスタック102の上側部分113および下側部分115は、それぞれのチャネル型を規定し得る。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、NSスタック102の上側部分113内の半導体層108は、最終デバイスにおけるチャネル(例えば、n型チャネル)の第1のスタックを規定する一方、NSスタック102の下側部分115内の半導体層108は、最終デバイスにおける同じ型のチャネル(例えば、n型チャネル)の第2のスタックを規定する。本発明の他の実施形態では、NSスタック102の上側部分113内の半導体層108は、最終デバイスにおける第1の型の積層チャネル(例えば、p型チャネルのスタック)を規定する一方、NSスタック102の下側部分115内の半導体層108は、最終デバイスにおける第2の型の積層チャネル(例えば、p型チャネル)を規定する。
【0025】
説明を簡単にするため、6個の犠牲層110と交互になった4個のナノシート(例えば、
図2に示される4個の半導体層108)を有するNSスタック102に対して実行される工程を参照する。しかし、NSスタック102は、対応する個数の犠牲層と交互になった任意個数のナノシートを含み得ると理解される。例えば、NSスタック102は、2個のナノシート、5個のナノシート、8個のナノシート、または任意個数のナノシートを、対応する個数の犠牲層とともに(すなわち、最下ナノシートの下の最下犠牲層および各対の隣接するナノシート間の犠牲層を有するナノシート・スタックを形成するために適宜)含み得る。さらに、NSスタック102は犠牲スペーサ層112の上下に同数のチャネル(半導体層108)を有するように図示されているが、示された構成は必要ではない。本発明のいくつかの実施形態では、NSスタック102の上側部分113は、NSスタック102の下側部分115よりも多数または少数のチャネル(例えば、半導体層108)を有し得る。
【0026】
半導体層108は、例えば、単結晶シリコンまたはシリコン・ゲルマニウムなどの任意の適切な材料からなり得る。本発明のいくつかの実施形態では、半導体層108は、シリコン・ナノシートである。本発明のいくつかの実施形態では、半導体層108は厚さが約4nm~約10nm、例えば6nmであるが、他の厚さは本発明の想定範囲内にある。本発明のいくつかの実施形態では、基板104および半導体層108は、同じ半導体材料からなり得る。本発明の他の実施形態では、基板104は第1の半導体材料からなることができ、半導体層108は第2の半導体材料からなることができる。
【0027】
犠牲層110は、エッチング選択性要件を満たすために、半導体層108の材料に応じて、シリコンまたはシリコン・ゲルマニウム層であり得る。例えば、半導体層108がシリコン・ナノシートである本発明の実施形態では、犠牲層110はシリコン・ゲルマニウム層であり得る。半導体層108がシリコン・ゲルマニウム・ナノシートである本発明の実施形態では、犠牲層110は、半導体層108におけるゲルマニウム濃度よりも高いゲルマニウム濃度を有するシリコン・ゲルマニウム層であり得る。例えば、半導体層108が5パーセントのゲルマニウム濃度を有するシリコン・ゲルマニウム(SiGe5と称されることがある)である場合、犠牲層110は、約25パーセントのゲルマニウム濃度を有するシリコン・ゲルマニウム層(SiGe25)であり得るが、他のゲルマニウム濃度は本発明の想定範囲内にある。本発明のいくつかの実施形態では、犠牲層110は厚さが約8nm~約15nm、例えば10nmであるが、他の厚さは本発明の想定範囲内にある。
【0028】
犠牲スペーサ層112は、半導体層108および犠牲層110の両方に対するエッチング選択性を提供するように選択されたゲルマニウム濃度を有するシリコン・ゲルマニウム層からなり得る。例えば、半導体層108がSiGe5ナノシートであり犠牲層110がSiGe25層である本発明の実施形態では、犠牲スペーサ層112はSiGe60であり得るが、他のゲルマニウム濃度は本発明の想定範囲内にある。
図9に関して示されるように、犠牲スペーサ層112は、NSスタック102の下側部分115からNSスタック102の上側部分113を分離する誘電体スペーサ126によって置換される。その結果、犠牲スペーサ層112の厚さは、NSスタック102の上側部分113と下側部分115との間の最終的な誘電体分離を規定する。本発明のいくつかの実施形態では、犠牲スペーサ層112は厚さが約5nm~約35nm、例えば15nmであり得るが、他の厚さは本発明の想定範囲内にある。
【0029】
図2を引き続き参照すると、ハード・マスク114が、NSスタック102の上に形成される。その上にハード・マスク114が形成されるNSスタック102の部分は、活性領域(105および107)と称される。本発明のいくつかの実施形態では、ハード・マスク114は、例えば窒化シリコンなどの任意の適切な材料からなり得る。ハード・マスクは、活性領域105および107の寸法を規定するために利用される。例えば、ハード・マスク114は、目標の長さおよび幅を達成するようにパターン化され得る。その後、パターン化されたハード・マスクによって被覆されないNSスタックの部分を選択的に除去するために、ウェットまたはドライ・エッチング・プロセスが実行され得る。これに応じて、ハード・マスクの下に依然として残るNSスタック102の部分が活性領域105および107を画定する。本発明のいくつかの実施形態では、ハード・マスク114は、例えば
図14および
図19に示される完成したハイブリッド積層半導体デバイス100を取得するために実行されるさまざまな後続の作製プロセスから活性領域105および107を保護するためにさらに利用される。
【0030】
図2をさらに参照すると、ゲート延長部層116の堆積後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。ゲート延長部層116は、NSスタック102の側壁とともに基板104の表面(例えば、酸化物層106の上面)に沿うようにコンフォーマルに堆積される。これに応じて、ゲート延長部層116は、(表示
図Y1Aに示されるように)S/D領域105および(表示
図Y1Bに示されるように)チャネル領域107の両方に形成される。
【0031】
ゲート延長部層116は、例えば化学気相堆積(CVD)プロセスを用いて堆積されることができ、例えば約8nm~約20nmの範囲の厚さを有し得る。本発明の1つまたは複数の実施形態では、ゲート延長部層116は、犠牲層110と同じ材料である。例えば、犠牲層110がSiGe25層である場合、ゲート延長部層116もまたSiGe25の層である。
【0032】
次に
図3を参照すると、ゲート延長部層116をリセス加工およびパターン化した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。本発明の一実施形態によれば、活性領域105および107に位置するゲート延長部層116は、まず、犠牲スペーサ層112と下側NSスタック115との間の界面または犠牲スペーサ層112と下側NSスタック115との間の界面の直上までリセス加工され得る。ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなくゲート延長部層116の材料を攻撃する方向性RIEプロセスが、ゲート延長部層116をリセス加工するために実行され得る。誘電体層106の上のゲート延長部層の下側水平部分は、リセス加工されたOPL(有機層)などのソフト・マスクによって保護され得る。
【0033】
活性領域105および107に位置するリセス加工されたゲート延長部層116は、次に、リセス加工されたゲート延長部層116を被覆するOPL材料(図示せず)から形成されたソフト・マスク層を堆積し、下側NSスタック115の一方の側部に接して形成されたソフト・マスク層の一部を除去しつつNSスタック115の反対の側部に形成されたソフト・マスク層の一部を維持することによって、パターン化され得る。これに応じて、リセス加工されたゲート延長部層116の第1の部分(例えば、リセス加工されたゲート延長部層116の左側部分)が露出する一方で、リセス加工されたゲート延長部層117の第2の部分(例えば、リセス加工されたゲート延長部層117の右側部分)は残りのソフト・マスクによって被覆されたままとなる。
【0034】
その後、ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなくゲート延長部層116の材料を攻撃する別の方向性RIEプロセスが、ゲート延長部層116の露出部分を除去するために実行され得る。そして、ソフト・マスク層は、
図3に示されるように下側NSスタック115の一方の側部に形成されるゲート延長部層117の残りの部分を露出させるために除去され得る。
【0035】
続いて、ゲート延長部層117の残りの部分は、単に第1のゲート延長部117(すなわち、下側ゲート延長部117)と称される。
図3に示されるように、下側ゲート延長部117は、活性領域105(表示
図Y1Aに示されるように)および107(表示
図Y1Bに示されるように)に存在する。下側ゲート延長部117は、ベース部分119およびサイド部分121を含む。ベース部分119は、基板104(例えば、酸化物層106の上面)上に形成され、下側NSスタック115の側壁から第1の方向に延在する。サイド部分121は、ベース部分119から上方に延在し、下側NSスタック115の側部に沿う。上記の例は、下側ゲート延長部117を下側NSスタック115の右側に形成するが、本発明の範囲から逸脱することなく、下側ゲート延長部117は下側NSスタック115の左側に形成され得ると理解されるべきである。
【0036】
図4を参照すると、ウェハの上に第1の層間誘電体(ILD)118を堆積した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。第1のILD118は、以下のものに限定されないが、二酸化シリコン(SiO2)、SiN、SiOC、SiOCN、SiC、またはいくつかの層の組合せを含むさまざまな誘電体材料から形成され得る。そして、第1のILD118は、犠牲スペーサ層112と下側NSスタック115との間の界面または犠牲スペーサ層112と下側NSスタック115との間の界面の直上までリセス加工され得る。ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなく第1のILD118の材料を攻撃するRIEまたはウェット・エッチング・プロセスが、第1のILD118をリセス加工するために実行され得る。これに応じて、活性領域105および107に位置する下側ゲート延長部117の部分は、リセス加工されたILD118によって被覆されたままである。
【0037】
図5に移ると、活性領域105および107に第2のゲート延長部120(例えば、上側ゲート延長部120)を形成した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。上側ゲート延長部120は、下側ゲート延長部117を形成するために使用されるのと類似の技術を用いて形成される。したがって、上側ゲート延長部120の形成に関する詳細は簡単のために繰り返されない。
図5に示されるように、上側ゲート延長部120は、上側NSスタック113に接して、ただし下側ゲート延長部117に関して反対の側部に形成される。これに応じて、上側ゲート延長部120は、ILD118の上面上に形成され上側NSスタック113の側壁から下側ベース部分119の第1の方向とは反対の第2の方向に延在するベース部分123を含む。サイド部分125は、ベース部分123から上方に延在し、上側NSスタック113の側部に沿う。
【0038】
図6を参照すると、第1のILD118上に第2のILD122を堆積した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。第1のILD118と同様に、第2のILD122は、以下のものに限定されないが、二酸化シリコン(SiO2)、SiN、SiOC、SiOCN、SiC、またはいくつかの層の組合せを含む誘電体材料から形成され得る。本発明のいくつかの実施形態では、ILD122を堆積する前にハード・マスク層114の高さを低減するためにエッチング・プロセスが実行され得る。
図6に示されるように、活性領域105(表示
図Y1Aに示されるように)および107(表示
図Y1Bに示されるように)に位置する下側および上側ゲート延長部117および120は、第1および第2のILD118および122によって被覆および密閉される。
【0039】
図7に移ると、ゲート・マスク(図示せず)によって保護されるチャネル領域107に(表示
図Y1Bに示されるように)第1および第2のILD118および122の一部を維持しながら、(表示
図Y1Aに示されるように)ゲート・マスクによって被覆されない領域から第1および第2のILD118および122の一部を除去した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。これに応じて、(表示
図Y1Aに示されるように)S/D領域105に位置する下側および上側ゲート延長部117および120の部分は露出し、(表示
図Y1Bに示されるように)チャネル領域107に位置する下側および上側ゲート延長部117および120の部分は被覆されたままである。
【0040】
第1および第2のILD118および122の部分を(表示
図Y1Aに示されるように)S/D領域105から除去した後、(第1および第2のILD118および122を含む)ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなく下側および上側ゲート延長部117および120の材料を攻撃する方向性RIEプロセスが、(表示
図Y1Aに示されるように)S/D領域105から下側および上側ゲート延長部117および120の部分を除去するために実行され得る。
【0041】
チャネル領域107に(表示
図Y1Bに示されるように)維持されるILD122は、(表示
図Y1Aに示されるように)S/D領域105から下側および上側ゲート延長部117および120をエッチングする際に、下側および上側ゲート延長部117および120を保護する。これに応じて、チャネル領域107に(表示
図Y1Bに示されるように)維持される下側および上側ゲート延長部117および120は、それぞれ下側NSスタック115および上側NSスタック113に対応する独立に制御されるゲートの形成を容易にする。
【0042】
例えば、下側ゲート延長部117のベース部分119は、第1の方向に下側NSスタック115の側壁から側方に延在する一方、上側ゲート延長部120のベース部分123は、下側ベース部分119の第1の方向とは反対の第2の方向に上側NSスタック113の側壁から側方に延在する。下側ベース部分119は、下側NSスタック115を制御するために使用され得る第1のゲート・コンタクトのための第1のコンタクト・エリアを提供する一方、上側ベース部分123は、上側NSスタック113を制御するために使用され得る第2のゲート・コンタクトのための第2のコンタクト・エリアを提供する。下側および上側ベース部分119および123の対向する向きは、第2のゲート・コンタクトから分離(すなわち、電気的に絶縁)された第1のゲート・コンタクトを形成することを可能にする。このようにして、独立に制御されるゲートを有する積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイス100が、本明細書に記載される本発明の実施形態によって作製され得る。
【0043】
次に
図8に移ると、犠牲スペーサ層112を除去した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。本発明の1つまたは複数の実施形態では、ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなく犠牲スペーサ層112の材料を攻撃するエッチャント化学作用を利用するエッチング・プロセスが、第1および第2のILD118および122を除去する際に形成される開口部に露出する犠牲スペーサ層112に適用され得る。例えば、SiGe60は、気相HClエッチングを用いて、シリコンおよびSiGe25に対して選択的に除去され得る。これに応じて、上側NSスタック113と下側NSスタック115との間にスペーサ空隙124が形成される。
【0044】
次に
図9を参照すると、スペーサ空隙124を誘電体材料126で充填した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。本発明の1つまたは複数の実施形態では、誘電体材料126は、下側NSスタック115の残りの部分から上側NSスタック113の残りの部分を分離(すなわち、電気的に絶縁)する誘電体スペーサ126を形成する。
【0045】
図9を引き続き参照すると、側壁スペーサ128(ゲート・スペーサと称されることがある)が、ゲート(これは、残っているILD122およびILD118によって画定されるピラーである)の側壁上に形成される。本発明のいくつかの実施形態では、側壁スペーサ128および誘電体材料126は、ウェットまたはドライ・エッチング・プロセスと組み合わせて、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、超高真空化学気相堆積(UHVCVD)、急速熱化学気相堆積(RTCVD)、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、低圧化学気相堆積(LPCVD)、律速反応処理CVD(LRPCVD)、原子層堆積(ALD)、物理気相堆積(PVD)、化学溶液堆積、分子線エピタキシ(MBE)、または他の同様のプロセスを用いて形成される。例えば、スペーサ材料は、コンフォーマルに堆積され、側壁スペーサ128を形成するためにRIEを用いて選択的に除去され得る。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、誘電体スペーサ126は、スペーサ材料が堆積される時に側壁スペーサ128と同時並行して形成される。換言すれば、ゲートの側壁上に堆積されるスペーサ材料128は、スペーサ空隙124をも充填し得る。
【0047】
側壁スペーサ128は、例えば、低誘電率誘電体、窒化物、窒化シリコン、酸化シリコン、SiON、SiC、SiOCN、またはSiBCNなどの任意の適切な材料からなり得る。本発明のいくつかの実施形態では、側壁スペーサ128は窒化シリコンを含む。側壁スペーサ128は、約5~40nmの厚さまで形成され得るが、他の厚さは本発明の想定範囲内にある。
【0048】
図9を引き続き参照すると、(表示
図Y1Aに示されるように)S/D領域105に位置するNSスタック102の一部が、チャネル領域107を露出させるとともに埋め込み酸化物層106(または、埋め込み酸化物層106が存在しない場合には基板104)の表面を露出させる活性領域空隙109から除去される(スタック・リセスと称されることがある)。NSスタック102は、例えば、ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、またはウェットもしくはドライあるいはその両方のエッチングの組合せを用いてリセス加工され得る。本発明のいくつかの実施形態では、NSスタック102はRIEプロセスを用いてリセス加工される。本発明のいくつかの実施形態では、NSスタック102は、側壁スペーサ128およびILD122に対して選択的にリセス加工される。
【0049】
次に
図10を参照すると、NSスタック102に空洞(図示せず)を形成するために犠牲層110の一部をリセス加工した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。その後、空洞は、内側スペーサ130を形成するために誘電体材料で充填される。本発明のいくつかの実施形態では、NSスタック102の側壁を越えて延在する内側スペーサ130の部分は、例えば、等方性エッチング・プロセスを用いて除去される。このようにして、内側スペーサ130の側壁は、半導体層108の側壁と共面(すなわち、「面一」)となる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、内側スペーサ130は、ウェットまたはドライ・エッチング・プロセスと組み合わせて、CVD、PECVD、ALD、PVD、化学溶液堆積、または他の同様のプロセスを用いて形成される。内側スペーサ130は、例えば、低誘電率誘電体、窒化物、窒化シリコン、二酸化シリコン、SiON、SiC、SiOCN、またはSiBCNなどの任意の適切な材料からなり得る。
【0051】
図11に移ると、下側NSスタック115に接触する第1のソース/ドレイン132(例えば、下側S/D132)および上側NSスタック113に接触する第2のS/D134(例えば、上側S/D134)を形成した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。本発明のいくつかの実施形態では、下側S/D132は上側S/D134と同じ半導体型の材料である。例えば、下側S/D132および上側S/D134はn型半導体材料で形成される。このようにして、1対の積層NFETを含むハイブリッド積層半導体デバイス100が、本明細書に記載されるように作製され得る。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、下側S/D132および上側S/D134は両方ともp型半導体材料で形成され得る。このようにして、1対の積層PFETを含むハイブリッド積層半導体デバイス100が、本明細書に記載されるように作製され得る。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、下側S/D132は第1の型の半導体材料で形成され得る一方、上側S/D134は、下側S/D132の第1の半導体材料とは異なる第2の型の半導体材料から形成され得る。例えば、下側S/D132はn型半導体材料で形成されることができる一方、上側S/D134はp型の半導体材料で形成されることができ、またはその逆である。このようにして、積層CMOS FETを含むハイブリッド積層半導体デバイス100が、本明細書に記載されるように作製され得る。
【0054】
図11を引き続き参照すると、下側S/D132および上側S/D134は、例えば、気相エピタキシ(VPE)、分子線エピタキシ(MBE)、液相エピタキシ(LPE)、または他の適切なプロセスを用いて、それぞれ下側NSスタック115および上側NSスタック113の露出した側壁からエピタキシャル成長され得る。本発明のいくつかの実施形態では、半導体材料のエピタキシャル堆積のためのガス源は、シリコン含有ガス源、ゲルマニウム含有ガス源、またはその組合せを含む。例えば、Si層は、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、ヘキサクロロジシラン、テトラクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、エチルシラン、メチルジシラン、ジメチルジシラン、ヘキサメチルジシランおよびその組合せからなる群から選択されたシリコンガス源からエピタキシャル堆積(または成長)され得る。ゲルマニウム層は、ゲルマン、ジゲルマン、ハロゲルマン、ジクロロゲルマン、トリクロロゲルマン、テトラクロロゲルマンおよびその組合せからなる群から選択されたゲルマニウムガス源からエピタキシャル堆積され得る。シリコン・ゲルマニウム合金層は、このようなガス源の組合せを利用してエピタキシャル形成され得る。水素、窒素、ヘリウムおよびアルゴンのようなキャリア・ガスが使用され得る。本発明のいくつかの実施形態では、エピタキシャル半導体材料は、炭素ドープ・シリコン(Si:C)を含む。このSi:C層は、他のエピタキシ・ステップのために使用されるのと同じチャンバで、または専用のSi:Cエピタキシ・チャンバで成長され得る。Si:Cは、約0.2パーセント~約3.0パーセントの範囲で炭素を含み得る。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態では、エピタキシャル成長されるシリコンおよびシリコン・ゲルマニウムは、n型ドーパント(例えば、PまたはAs)またはp型ドーパント(例えば、Ga、B、BF2、またはAl)を添加することによってドーピングされ得る。本発明のいくつかの実施形態では、第1のS/D132および第2のS/D134は、エピタキシャル形成され、例えば、in-situドープ・エピタキシ(堆積中のドーピング)、エピタキシ後のドーピングなどのさまざまな方法によって、または注入およびプラズマ・ドーピングによってドーピングされ得る。ドープ領域におけるドーパント濃度は、1×1019cm-3~2×1021cm-3、または1×1020cm-3~1×1021cm-3の範囲であり得る。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、下側S/D132および上側S/D134は、シリコンまたはシリコン・ゲルマニウムからなる。本発明のいくつかの実施形態では、下側S/D132および上側S/D134は、約1~約15パーセント、例えば2パーセントのホウ素濃度までホウ素でドーピングされたシリコン・ゲルマニウムからなるが、他のホウ素濃度は本発明の想定範囲内にある。
【0057】
図11を引き続き参照すると、絶縁誘電体136が、下側S/D132と上側S/D134との間に形成される。絶縁誘電体136は、例えば、酸化物、低誘電率誘電体、窒化物、窒化シリコン、酸化シリコン、SiON、SiC、SiOCN、およびSiBCNなどの任意の適切な誘電体材料からなり得る。本発明のいくつかの実施形態では、絶縁誘電体136は、上側S/D134を形成する前に下側S/D132を被覆するために基板104(例えば、酸化物層106の上面)上に堆積される。本発明のいくつかの実施形態では、絶縁誘電体136は、その後、エッチングされ、誘電体スペーサ126の最上面の高さまたはその上方までリセス加工され得る。そして、上側S/D134が、本明細書に記載されるように、絶縁誘電体136の上面上に形成され得る。このようにして、絶縁誘電体136は、下側S/D132と上側S/D134との間に誘電体絶縁を提供する。
【0058】
次に
図12に移ると、第3のILD138の堆積後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。第3のILD138は、例えば、多孔質シリケート、炭素ドープ酸化物、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、または他の誘電体材料などの任意の適切な誘電体材料からなり得る。層間誘電体138を形成する任意の既知の手法、例えば、CVD、PECVD、ALD、流動性CVD、スピンオン誘電体、またはPVDなどが利用され得る。本発明のいくつかの実施形態では、ハイブリッド半導体デバイス100は平坦化され、側壁スペーサ128および第2のILD122の上面で停止する。第3のILD138は、例えば、化学機械平坦化(CMP)プロセスを用いて平坦化され得る。
【0059】
図12を引き続き参照すると、第1のゲート・コンタクト・トレンチ140および第2のゲート・コンタクト・トレンチ141が、(表示
図Y1Bに示されるように)ゲート延長部層の上に形成される。本発明のいくつかの実施形態では、ゲート・コンタクト・トレンチ140および141は、リソグラフィを用いた後、下側ゲート延長部117のベース部分119および上側ゲート延長部120のベース部分123を露出させるためのエッチングをすることでパターン化され得る。第2のILD122内にゲート・コンタクト・トレンチ140および141のパターンをエッチングするための任意の既知の方法、例えば、ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、または順次的なウェットもしくはドライあるいはその両方のエッチングの組合せなどが使用され得る。本発明のいくつかの実施形態では、ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなく第2のILD122の材料を攻撃する化学エッチャントを使用するエッチングが、ゲート・コンタクト・トレンチ140および141を形成するために実行され得る。
【0060】
次に
図13に移ると、NSスタック102から犠牲層110を除去した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。本発明の1つまたは複数の実施形態では、犠牲層110は、ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなく犠牲層110の材料を攻撃する化学エッチャントを使用するウェットまたはドライ・エッチング・プロセスを用いて選択的に除去され得る。これに応じて、上側および下側NSスタック113および115のナノシート・チャネル(例えば、チャネル領域107における半導体層108)が「解放」され、チャネル空隙142がNSスタック102に形成される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、犠牲層110の選択的除去はまた、上側ゲート延長部117および下側ゲート延長部120が犠牲層110と同じ材料から形成される場合に、それらを除去することを含む。これに応じて、下側コンタクト延長部トレンチ143および上側コンタクト延長部トレンチ145が第2のILD122に形成される。下側コンタクト延長部トレンチ143は、第1のコンタクト・トレンチ140から側方に延在し、下側NSスタック115の側壁を露出させる。同様に、上側コンタクト延長部トレンチ145は、第2のコンタクト・トレンチ141から側方に延在し、上側NSスタック113の側壁を露出させる。
【0062】
図14を参照すると、NSスタック102に含まれる半導体層108(例えば、チャネル108)の周りを取り囲むオールアラウンド・ゲート144を形成するために高誘電率金属ゲート材料でチャネル空隙142を充填した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。ゲート144は、既知の置換ゲート(RMG)プロセス、またはいわゆるゲートラスト・プロセスに従って形成され得る。例えば、ゲート144は、上記のように半導体層108を解放するために犠牲層110を選択的に除去してから、チャネル空隙142に高誘電率金属ゲート材料を堆積することによって形成され得る。
【0063】
本発明の1つまたは複数の実施形態では、高誘電率金属ゲート材料は、高誘電率誘電体層の層および仕事関数金属(WFM)層を含み得る。高誘電率誘電体の例は、以下のものに限定されないが、酸化ハフニウム、酸化ハフニウム・シリコン、酸窒化ハフニウム・シリコン、酸化ランタン、酸化ランタン・アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム・シリコン、酸窒化ジルコニウム・シリコン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化バリウム・ストロンチウム・チタン、酸化バリウム・チタン、酸化ストロンチウム・チタン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化鉛スカンジウム・タンタル、およびニオブ酸鉛亜鉛などの金属酸化物を含む。高誘電率誘電体は、ランタンおよびアルミニウムなどのドーパントをさらに含み得る。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、高誘電率誘電体膜は、厚さが約0.5nm~約4nmであり得る。本発明のいくつかの実施形態では、高誘電率誘電体膜は、酸化ハフニウムを含み、厚さが約1nmであるが、他の厚さは本発明の想定範囲内にある。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態では、ゲート144は、高誘電率誘電体膜とバルク・ゲート材料との間に形成された1つまたは複数の仕事関数層(仕事関数金属スタックと称されることがある)を含む。本発明のいくつかの実施形態では、ゲート144は、1つまたは複数の仕事関数層を含むが、バルク・ゲート材料を含まない。
【0066】
存在する場合、仕事関数層は、例えば、アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化ストロンチウム、窒化チタン、窒化タンタル、窒化ハフニウム、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化ニオブ、窒化チタン・アルミニウム、窒化タンタル・シリコン、炭化チタン・アルミニウム、炭化タンタル、炭化チタン、およびその組合せからなり得る。仕事関数層は、ゲート144の仕事関数を変更するように作用することができ、デバイスしきい値電圧の調整を可能にする。仕事関数層は、約0.5~6nmの厚さまで形成され得るが、他の厚さは本発明の想定範囲内にある。本発明のいくつかの実施形態では、仕事関数層の各々は異なる厚さで形成され得る。本発明のいくつかの実施形態では、仕事関数層はTiN/TiC/TiCAlスタックを含む。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、ゲート144は、仕事関数層またはゲート誘電体あるいはその両方の上に堆積されたバルク導電性ゲート材料から形成される本体を含む。バルク・ゲート材料は、例えば、金属(例えば、タングステン、チタン、タンタル、ルテニウム、ジルコニウム、コバルト、銅、アルミニウム、鉛、白金、スズ、銀、金)、導電性金属化合物材料(例えば、窒化タンタル、窒化チタン、炭化タンタル、炭化チタン、炭化チタン・アルミニウム、ケイ化タングステン、窒化タングステン、酸化ルテニウム、ケイ化コバルト、ケイ化ニッケル)、導電性炭素、グラフェン、またはこれらの材料の任意の適切な組合せなどの任意の適切な導電性材料を含み得る。導電性ゲート材料は、堆積中または堆積後に組み込まれるドーパントをさらに含み得る。
【0068】
図14を引き続き参照すると、第1および第2のゲート・コンタクト・トレンチ140および141は、下側および上側ゲート延長部トレンチ143および145とともに、電気伝導性材料で充填され、第1のゲート・コンタクト146および対応する下側ゲート延長部147と、第2のゲート・コンタクト148および対応する上側ゲート延長部149とを形成する。電気伝導性材料は、オールアラウンド・ゲート144を形成するために使用される材料と同じであり得る。本発明のいくつかの実施形態では、ゲート・コンタクト材料は、ゲート・コンタクト・トレンチ140および141をオーバーフィルし、これは、例えばCMPプロセスを用いて除去され得るオーバーバーデンを形成する。
【0069】
図14に示されるように、下側ゲート延長部147は、ベース部分151およびサイド部分153を含む。ベース部分151は、基板104(例えば、酸化物層106の上面)上に形成され、下側NSスタック115の側壁から第1の方向に延在する。サイド部分153は、ベース部分151から上方に延在し、下側NSスタック115の側部に沿うことにより、下側NSスタック115に位置するゲート144の部分との接触を確立する。上側ゲート延長部149は、上側NSスタック113の側壁から下側ベース部分151の第1の方向とは反対の第2の方向に延在するベース部分155を含む。サイド部分157は、ベース部分155から上方に延在し、上側NSスタック113の側部に沿うことにより、上側NSスタック113に含まれるゲート144の部分との接触を確立する。
【0070】
本明細書に記載されるように、下側および上側ゲート延長部147および149のそれぞれ下側および上側ベース部分151および155の対向する向きは、第1のゲート・コンタクト146を第2のゲート・コンタクト148から分離および絶縁することを容易にする。例えば、第1のゲート・コンタクト146はILD122を通って延在しベース部分151に接触する。これに応じて、下側ゲート延長部147は、第1のゲート・コンタクト146とゲート144との間の導電性を確立し、したがって下側NSスタック115を制御するために使用され得る。同様に、第2のゲート・コンタクト148はILD122を通って延在し上側ベース部分155に接触する。これに応じて、上側ゲート延長部は、第2のゲート・コンタクト148とゲート144との間の導電性を確立し、したがって下側NSスタック115とは独立に上側NSスタック113を制御するために使用され得る。
【0071】
図14をさらに参照すると、第1および第2のS/Dコンタクト152および154が、第1および第2のS/D132および134への導電性を確立するために形成される。第1および第2のS/Dコンタクト152および154は、既知のパターン化およびエッチング技術を実行することによって形成され得る。例えば、S/Dゲート・コンタクト・トレンチ(図示せず)が、リソグラフィを用いた後、第1および第2のS/D132および134の上面を露出させるためのエッチングをすることでパターン化され得る。ILD138および136内にS/Dコンタクト152および154用トレンチのパターンをエッチングするための任意の既知の方法、例えば、ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、または順次的なウェットもしくはドライあるいはその両方のエッチングの組合せなどが使用され得る。本発明のいくつかの実施形態では、ハイブリッド積層半導体デバイス100の残りの材料と実質的に反応することなくILD136および138の材料を攻撃するRIEプロセスが、S/Dコンタクト・トレンチを形成するために実行され得る。そして、S/Dコンタクト・トレンチは、第1のS/D132および第2のS/D134との接触を確立するために、例えば銅(Cu)またはタングステン(W)、Co、Ruなどの導電性材料で充填され得る。コンタクト金属充填の前に、Ti、Ni、NiPtなどのシリサイド・ライナが、S/Dエピの上に堆積されてから、TiNなどの接着金属層が堆積される。本発明のいくつかの実施形態では、第1および第2のS/Dコンタクト152および154が側壁スペーサ128およびILD122と共面(すなわち、面一)となるように、その後にCMPプロセスが実行され得る。
【0072】
図14に示されるように、完成したハイブリッド積層半導体デバイス100が提供される。ハイブリッド積層半導体デバイス100は、下側NSスタック115の上方に配置(すなわち、積層)された上側NSスタック113を含み、下側NSスタック115は第1のゲート・コンタクト146を用いて制御されることができ、上側NSスタック113は第1のゲート・コンタクト146とは独立に第2のゲート・コンタクト148を用いて制御されることができる。完成したハイブリッド積層半導体デバイス100は、独立に制御されるゲートを有する1対の積層NFETを含むように示されているが、上記の作製工程は、以下のものに限定されないが、独立に制御されるゲートを有する1対の積層PFETまたは独立に制御されるゲートを有する積層CMOS FET(例えば、PFETの上に積層されたNFET、およびその逆)を含む、異なるトランジスタ・スタック配置を有するハイブリッド積層半導体デバイス100を提供するために使用され得ると理解されるべきである。
【0073】
次に
図15~
図19を参照すると、積層FETによって共有される共有ゲート(すなわち、共通に制御されるゲート)を有する積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成するための一連の作製工程が示されている。
図2~
図14を参照して説明された作製工程のうちの1つまたは複数は、共有ゲートを有する積層FETを含むハイブリッド積層半導体デバイスを形成する際にも適用され得ると理解されるべきである。したがって、これらの詳細は簡単のため繰り返されない。
【0074】
図15を参照すると、本発明の態様によるさまざまな既知の中間作製工程を実行した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。プロセス・フローのこの段階では、第1のゲート延長部117(すなわち、下側ゲート延長部117)を形成した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。
図15に示されるように、下側ゲート延長部117は、活性領域105(表示
図Y1Aに示されるように)および107(表示
図Y1Bに示されるように)に存在する。下側ゲート延長部117は、ベース部分119およびサイド部分121を含む。ベース部分119は、基板104(例えば、酸化物層106の上面)上に形成され、下側NSスタック115の側壁から第1の方向に延在する。サイド部分121は、ベース部分119から上方に延在し、下側NSスタック115の側部に沿う。上記の例は、下側ゲート延長部117を下側NSスタック115の右側に形成するが、本発明の範囲から逸脱することなく、下側ゲート延長部117は下側NSスタック115の左側に形成され得ると理解されるべきである。
【0075】
図16に移ると、第2のゲート延長部120(すなわち、上側ゲート延長部120)を形成した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。上記で
図2~
図14を参照して説明されたハイブリッド積層半導体デバイス100とは異なり、
図16に示される上側ゲート延長部120は、NSスタック102の反対の側部ではなく、NSスタック102の下側ゲート延長部117と同じ側部に形成され、(例えば、
図3に示される)反対向きではなく、下側ゲート延長部の向きと実質的に一致する向きを有する。これに応じて、下側および上側ゲート延長部117および120は、完成したハイブリッド積層半導体デバイス100(
図19を参照)に含まれる積層FETによって共有される共有ゲート(すなわち、共通に制御されるゲート)の形成を容易にし得る。
【0076】
図16に示されるように、上側ゲート延長部120は、活性領域105(表示
図Y1Aに示されるように)および107(表示
図Y1Bに示されるように)に存在する。上側ゲート延長部120は、ILD118の上面上に形成され上側NSスタック113の側壁から第1の方向、すなわち下側ベース部分119と同じ方向に延在するベース部分123を含む。サイド部分125は、上側ベース部分123から上方に延在し、上側NSスタック113の側部に沿う。これに応じて、上側ベース部分123は、下側ベース部分119の真上に位置づけられる。
【0077】
次に
図17を参照すると、下側NSスタック115に対応する第1のソース/ドレイン132(例えば、下側S/D132)および上側NSスタック113に対応する第2のS/D134(例えば、上側S/D134)を形成した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。絶縁誘電体136が、下側S/D132を上側S/D134から分離し、電気的に絶縁する。
【0078】
この例では、共有ゲート・コンタクト170を有する積層CMOS(例えば、NFET上に積層されたPFET)を含む完成したハイブリッド積層半導体デバイス100(
図19を参照)を容易にするように、下側NSスタック115はn型半導体型材料から形成される一方、上側S/D134はp型半導体材料から形成される。しかし、本明細書に記載される本発明の作製方法に従って、他の積層構成が提供され得ると理解されるべきである。本発明のいくつかの実施形態では、例えば、共有ゲート・コンタクト170を有する異なる配置の積層CMOSを含む完成したハイブリッド積層半導体デバイス100を容易にするように、下側NSスタック115はp型半導体型材料から形成される一方、上側S/D134はn型半導体材料から形成される。本発明のいくつかの実施形態では、ゲートを共有する同じ型のFETを有するハイブリッド積層半導体デバイス100を提供するために、下側S/D132および上側S/D134は同じ材料で形成され得る。
【0079】
図18に移ると、ILD122に共有ゲート・コンタクト・トレンチ180を形成した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。本明細書に記載されるように、共有ゲート・コンタクト・トレンチ180は、リソグラフィを用いた後、下側ゲート延長部117のベース部分119を露出させるまでILD122および上側ゲート延長部120のベース部分123を通るパターンをエッチングすることでパターン化され得る。第2のILD122内にゲート・コンタクト・トレンチ140および141のパターンをエッチングするための任意の既知の方法、例えば、ウェット・エッチング、ドライ・エッチング、または順次的なウェットもしくはドライあるいはその両方のエッチングの組合せなどが使用され得る。
【0080】
図19を参照すると、共有ゲート・コンタクト182との接続を確立する上側および下側ゲート延長部147および149を形成するために、犠牲層110を置換し高誘電率金属ゲート材料で共有ゲート・コンタクト・トレンチ180を充填した後のハイブリッド積層半導体デバイス100が示されている。
【0081】
下側ゲート延長部147は、ベース部分151およびサイド部分153を含む。ベース部分151は、基板104(例えば、酸化物層106の上面)上に形成され、下側NSスタック115に対応するNSスタック102の側部から第1の方向に延在する。サイド部分153は、ベース部分151から上方に延在し、下側NSスタック115の側壁に沿うことにより、下側NSスタック115に含まれる金属オールアラウンド・ゲート144の部分との接触を確立する。上側ゲート延長部149は、上側NSスタック113に対応するNSスタック102の同じ側部から、下側ベース部分151と同じ第1の方向に延在するベース部分155を含む。サイド部分157は、ベース部分155から上方に延在し、上側NSスタック113の側部に沿うことにより、上側NSスタック113に含まれる金属オールアラウンド・ゲート144の部分との接触を確立する。
【0082】
下側および上側ゲート延長部147および149のそれぞれ下側および上側ベース部分151および155の一致する向きは、下側NSスタック115に位置するゲート144の部分と、上側NSスタック113に含まれるゲート144の部分との間の共有または共通の接続を確立する共有ゲート・コンタクト182の形成を容易にする。このようにして、共有ゲートを有する積層CMOS FET(例えば、PFETの上に積層されたNFET、およびその逆)を含むハイブリッド積層半導体デバイス100が提供されることができ、または、共有ゲートを有する1対の積層された同じ型のFET(例えば、積層NFETまたは積層PFET)を含み得るハイブリッド積層半導体デバイス40が提供されることができる。
【0083】
図19に示されるように、下側S/D132および上側S/D134とそれぞれ接触する第1および第2のS/Dコンタクト152および154を形成した後に、完成したハイブリッド積層半導体デバイス100が提供される。ハイブリッド積層半導体デバイス100は、下側NSスタック115の上方に配置(すなわち、積層)された上側NSスタック113を含み、下側NSスタック115および上側NSスタック113は共有ゲート・コンタクト170を用いて制御され得る。共有ゲート・コンタクト170を有する積層CMOS(例えば、NFET上に積層されたPFET)を含む完成したハイブリッド積層半導体デバイス100が示されているが、上記の作製工程は、以下のものに限定されないが、共有ゲートを有する1対の積層NFET、共有ゲートを有する1対の積層PFET、または共有ゲートを有するPFETの上に積層されたNFETを含む、異なるトランジスタ・スタック配置を有するハイブリッド積層半導体デバイス100を提供するために使用され得ると理解されるべきである。
【0084】
次に
図20に移ると、本発明の一実施形態による異なる型のハイブリッド積層半導体デバイスを含むIC200が示されている。本明細書に記載されるように、本明細書に記載される作製工程は、異なる型のハイブリッド積層半導体デバイスを提供することを可能にする。例えば、
図1に戻ると、本発明のいくつかの実施形態は、独立に制御されるゲートを有する1対の積層NFETを含み得るハイブリッド半導体デバイス10を提供する。本発明の別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス20は、独立に制御されるゲートを有する1対の積層PFETを含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス30は、共有ゲートを有する1対の積層NFETを含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス40は、共有ゲートを有する1対の積層PFETを含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス50は、独立に制御されるゲートを有する積層CMOS FET(例えば、PFETの上に積層されたNFET、およびその逆)を含み得る。本発明のさらに別の非限定的な実施形態によれば、ハイブリッド積層半導体デバイス60は、共有ゲートを有する積層CMOS FET(例えば、PFETの上に積層されたNFET、およびその逆)を含み得る。
【0085】
図20に示されるように、IC200は、例えば、AIハードウェア・アクセラレータに実装されたローカル・レジスタ・ファイル(LRF)を含み得る。IC200は、異なる型の積層FETおよびゲート配置を有するいくつかのハイブリッド積層半導体デバイスを含む。例えば、IC200は、独立に制御されるゲートを有する1対の積層NFETを含むハイブリッド積層半導体デバイス10の集団を、共有ゲートを有する積層CMOS FET(例えば、PFETの上に積層されたNFET、およびその逆)を含むハイブリッド積層半導体デバイス60の集団とともに含む。これに応じて、本発明の実施形態によるハイブリッド積層半導体デバイスは、従来のCFEと比較してより広範囲のアプリケーションで利用され得る。
【0086】
本明細書に記載される方法および結果として得られる構造体は、ICチップの作製において使用され得る。結果として得られるICチップは、生のウェハ形態で(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハとして)、ベアダイとして、またはパッケージされた形態で、作製者によって頒布され得る。後者の場合、チップは、(マザーボードまたは他の上位のキャリアに取り付けられたリードを有するプラスチック・キャリアなどの)シングル・チップ・パッケージに、または(表面配線または埋め込み配線の一方または両方を有するセラミック・キャリアなどの)マルチチップ・パッケージに装着される。いずれの場合でも、チップはその後、他のチップ、ディスクリート回路要素、または他の信号処理デバイスあるいはその組合せとともに、(a)マザーボードなどの中間製品、または(b)最終製品、のいずれかの一部として統合される。最終製品は、玩具および他の低価格アプリケーションから、ディスプレイ、キーボードまたは他の入力デバイス、および中央プロセッサを有する高度なコンピュータ製品までにわたる、ICチップを含む任意の製品であり得る。
【0087】
本発明のさまざまな実施形態が、関連する図面を参照して本明細書に記載されている。代替的な実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく案出され得る。詳細な説明において、および図面において、要素間のさまざまな接続および位置関係(例えば、上、下、隣接など)が記述されるが、本明細書に記載される位置関係の多くは、向きが変更されても記載された機能が維持される場合に、向きとは独立であることを当業者は認識するであろう。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、特に断りのない限り、直接的または間接的であることができ、本発明はこれに関して限定的であることを意図しない。同様に、用語「結合され」およびその変種は、2つの要素間に通信経路を有することを記述し、要素間に介在する要素/接続のない要素間の直接接続を含意しない。これらの変形例のすべてが本明細書の一部とみなされる。これに応じて、エンティティの結合は、直接または間接のいずれかの結合を指すことができ、エンティティ間の位置関係は、直接的または間接的位置関係であり得る。間接的位置関係の例として、本明細書において層「A」を層「B」の上に形成することへの言及は、層「A」および層「B」の関連する特性および機能が中間層によって実質的に変更されない限り、1つまたは複数の中間層(例えば、層「C」)が層「A」と層「B」との間にある状況を含む。
【0088】
以下の定義および略語が、特許請求の範囲および明細書の解釈のために使用されるものとする。本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」もしくは「含有する(containing)」、または任意の他のその変種は、非排他的な包含にわたることを意図している。例えば、要素の列挙を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明示的に列挙されていない、またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得る。
【0089】
さらに、用語「例示的」は、本明細書において、「例、実例または例証として作用する」を意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載される任意の実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましい、または有利であると必ずしも解釈されるべきでない。用語「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むと理解される。用語「複数」は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5などを含むと理解される。用語「接続」は、間接的な「接続」および直接的な「接続」を含み得る。
【0090】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などへの言及は、記載される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、1つ1つの実施形態は、その特定の特徴、構造、または特性を含むことも含まないこともあり得る。さらに、このような句は、同じ実施形態を必ずしも指していない。また、特定の特徴、構造、または特性が、ある実施形態との関連で記載される場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態との関連でそのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは当業者の知識の範囲内にあると想定される。
【0091】
以下の説明の目的のために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上側」、「下側」、およびその派生語は、図面の図中で向きづけられているように、記載された構造および方法に関連しているものとする。用語「~の上にある(overlying)」、「~の頂上に(atop)」、「上に(on top)」、「~の上に位置づけられる(positioned on)」または「~の頂上に位置づけられる(positioned atop)」は、第1の構造体などの第1の要素が、第2の構造体などの第2の要素の上に存在し、界面構造体などの介在する要素が第1の要素と第2の要素との間に存在し得ることを意味する。用語「直接接触」は、第1の構造体などの第1の要素および第2の構造体などの第2の要素が、その2つの要素の界面にいかなる媒介的な導電層、絶縁層または半導体層もなしに接続されることを意味する。
【0092】
空間的に相対的な用語、例えば、「下」、「下方」、「下位」、「上方」、「上位」などは、本明細書において、ある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を、図に示されているように記載するための記述の容易さのために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用または工程においてデバイスの異なる向きを包含することを意図している。例えば、図中のデバイスがひっくり返される場合、他の要素または特徴の「下方」または「下」と記載されている要素は、その他の要素または特徴の「上方」に向けられることになる。したがって、用語「下方」は、上方および下方の両方の向きを包含し得る。デバイスはそれ以外にも向けられる(90度または他の向きに回転される)ことができ、本明細書で使用される空間的に相対的な記述はこれに応じて解釈され得る。
【0093】
用語「約」、「実質的に」、「近似的に」、およびその変種は、本出願の出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関連付けられた誤差の程度を含むことを意図している。例えば、「約」は、所与の値の±8%もしくは5%、または2%の範囲を含み得る。
【0094】
例えば「第2の要素に対して選択的な第1の要素」などの句「~に対して選択的」は、第1の要素はエッチングされることができ、第2の要素はエッチ・ストップとして作用し得ることを意味する。
【0095】
用語「コンフォーマル」(例えば、コンフォーマル層)は、層の厚さがすべての表面上で実質的に同じであるか、または厚さの変動が層の公称厚さの15%未満であることを意味する。
【0096】
本明細書において前述されたように、簡単のため、半導体デバイスおよびIC作製に関連する従来の技術は、本明細書において詳細に記載されることもされないこともあり得る。しかし、背景として、本発明の1つまたは複数の実施形態を実施する際に利用され得る半導体デバイス作製プロセスのより概括的な説明が次に提供される。本発明の1つまたは複数の実施形態を実施する際に使用される特定の作製工程は個別に既知であり得るが、本発明の工程または結果として得られる構造体あるいはその両方の記載される組合せは特有である。したがって、本発明による半導体デバイスの作製に関連して記載される工程の特有の組合せは、半導体(例えば、シリコン)基板上で実行されるさまざまな個別の既知の物理的および化学的プロセスを利用し、そのうちのいくつかがすぐ下に続く段落に記載される。
【0097】
一般に、IC内にパッケージされるマイクロチップを形成するために使用されるさまざまなプロセスは、4つの包括的なカテゴリ、すなわち、膜堆積、除去/エッチング、半導体ドーピングおよびパターン化/リソグラフィに分けられる。堆積は、材料をウェハ上に成長、被覆、または他の形で移転する任意のプロセスである。利用可能な技術は、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、電気化学堆積(ECD)、分子線エピタキシ(MBE)およびより最近ではとりわけ原子層堆積(ALD)を含む。除去/エッチングは、ウェハから材料を除去する任意のプロセスである。例は、エッチング・プロセス(ウェットまたはドライのいずれか)、化学機械平坦化(CMP)などを含む。例えば、反応性イオン・エッチング(RIE)は、材料をイオンの衝撃に曝露することによって半導体材料のマスク・パターンなどの材料を除去するために化学反応性プラズマを使用する一種のドライ・エッチングであり、イオンは露出した表面から材料の部分を取り除く。プラズマは通常、電磁場によって低圧(真空)下で生成される。半導体ドーピングは、一般に拡散によって、またはイオン注入によって、あるいはその両方によって、例えばトランジスタのソースおよびドレインにドーピングすることによる電気的性質の変更である。これらのドーピング・プロセスの後に、ファーネス・アニールまたは急速熱アニール(RTA)が行われる。アニールは、注入されたドーパントを活性化するように作用する。導体(例えば、ポリシリコン、アルミニウム、銅など)および絶縁体(例えば、さまざまな形態の二酸化シリコン、窒化シリコンなど)の両方の膜が、トランジスタおよびそれらのコンポーネントを接続および絶縁するために使用される。半導体基板のさまざまな領域の選択的ドーピングは、基板の導電性が電圧の印加で変化することを可能にする。これらのさまざまなコンポーネントの構造体を作成することによって、現代のマイクロエレクトロニクス・デバイスの複雑な回路を形成するために数百万個のトランジスタが構築および結線され得る。半導体リソグラフィは、後で基板にパターンを転写するために、半導体基板上に3次元レリーフ像またはパターンを形成することである。半導体リソグラフィでは、パターンは、フォトレジストと呼ばれる感光性ポリマーによって形成される。トランジスタを構成する複雑な構造および回路の数百万個のトランジスタを接続する多くの配線を構築するため、リソグラフィおよびエッチング・パターン転写のステップが多数回繰り返される。ウェハ上に印刷される各パターンは、前に形成されたパターンに位置合わせされ、最終デバイスを形成するために徐々に導体、絶縁体および選択的にドーピングされた領域が構築される。
【0098】
図中のフローチャートおよびダイヤグラムは、本発明のさまざまな実施形態による作製方法または工程方法あるいはその両方の可能な実施態様を示す。方法のさまざまな機能/工程は、流れ図中でブロックによって表される。いくつかの代替的な実施態様では、ブロック内に記された機能は、図中に記された順序とは異なって発現し得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時並行して実行されることができ、またはそれらのブロックは、関連する機能に応じて、時には逆順で実行され得る。
【0099】
本発明のさまざまな実施形態の説明は、例示の目的のために提示されているが、網羅的であることや、記載される実施形態に限定されることを意図していない。多くの変更例および変形例が、記載される実施形態の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語法は、実施形態の原理、実用的な応用、または市場に見出される技術を超える技術的改良を最もよく説明するため、または他の当業者が本明細書に記載される実施形態を理解することを可能にするために選択されたものである。
【国際調査報告】