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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】脅威検出における干渉の抑制
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G01V3/10 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513423
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022042052
(87)【国際公開番号】W WO2023034308
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,849
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521177496
【氏名又は名称】エボルブ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evolv Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,アレック
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB05
2G105CC04
2G105DD01
2G105EE02
2G105FF13
2G105GG03
2G105HH06
2G105JJ03
(57)【要約】
方法は、複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、第1の磁界の内部及び/又は第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することを含む。本方法はまた、信号に対する第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の成分を決定することであって、信号に対する第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを受信されたデータに乗算して第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、成分を決定することを含む。本方法は、信号に対する第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の決定された成分を提供することをさらに含む。関連するシステム及びコンピュータプログラム製品もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定することであって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供することとを含む、
方法。
【請求項2】
上記決定することは、
上記信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することと、
第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルに対する上記変換されたデータの射影に対応する上記変換されたデータの部分を少なくともキャンセルすることにより、上記変換されたデータを変更して、変更されたデータを生成することと、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記第1の磁界が存在しない状態で、上記外部ソースによって発生された磁界に関連付けられた磁界測定値を示す第1の行列を計算することと、
上記第1の行列に対する特異値分解を実行することで、上記第1の行列の複数の左特異ベクトルを含む第2の行列と、上記第1の行列に関連付けられた特異値を対角成分に含む第3の行列とを生成することとをさらに含む、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記受信されたデータを上記第1の基底から上記第2の基底に変換することは、上記受信されたデータに上記第2の行列を乗算することを含む、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記方法は、上記第3の行列の対角成分における予め決められた値以上の第1の特異値をゼロに少なくとも設定することと、上記第3の行列の対角成分における上記予め決められた値未満の第2の特異値を1に設定することにより、第4の行列を生成することをさらに含み、
上記複数の左特異ベクトルのうちの第1の左の特異ベクトルは、上記第1の特異値に関連付けられ、
上記第2の物体によって発生された磁界を示す上記予め決められた基底ベクトルは、上記第1の左特異ベクトルを含む、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
上記変換されたデータを変更することは、上記受信されたデータ及び上記第2の行列の間の乗算の結果に上記第4の行列を乗算することを含む、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することは、上記変更されたデータに上記第2の行列の転置を乗算することを含む、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分から、目標物体の磁気分極特性を特徴付ける上記目標物体の分極率を計算することをさらに含む、
請求項1~7のうちの1つに記載の方法。
【請求項9】
上記方法は、予め決められた軸に関する上記複数の磁界受信機のうちの1つ又は複数の回転から生じた磁界測定値を示す第5の行列を計算することをさらに含み、
第1の磁界受信機に関連付けられた上記第5の行列の行列要素は、上記第1の磁界受信機の角度変位に対して、上記角度変位に関連付けられた上記第1の磁界受信機のモードの予め決められた展開を少なくとも乗算することによって計算される、
請求項2記載の方法。
【請求項10】
上記第1の物体は、検査されている目標物体であり、第2の物体は静止干渉物体である、
請求項1~9のうちの1つに記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのデータプロセッサと、
上記少なくとも1つのデータプロセッサに接続されたメモリとを備えるシステムであって、
上記メモリは、
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定することであって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供することとを含む動作を上記少なくとも1つのデータプロセッサに実行させる命令を格納する、
システム。
【請求項12】
上記決定することは、
上記信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することと、
第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルに対する上記変換されたデータの射影に対応する上記変換されたデータの部分を少なくともキャンセルすることにより、上記変換されたデータを変更して、変更されたデータを生成することと、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することとを含む、
請求項11記載のシステム。
【請求項13】
上記動作は、
上記第1の磁界が存在しない状態で、上記外部ソースによって発生された磁界に関連付けられた磁界測定値を示す第1の行列を計算することと、
上記第1の行列に対する特異値分解を実行することで、上記第1の行列の複数の左特異ベクトルを含む第2の行列と、上記第1の行列に関連付けられた特異値を対角成分に含む第3の行列とを生成することとをさらに含む、
請求項12記載のシステム。
【請求項14】
上記受信されたデータを上記第1の基底から上記第2の基底に変換することは、上記受信されたデータに上記第2の行列を乗算することを含む、
請求項13記載のシステム。
【請求項15】
上記動作は、上記第3の行列の対角成分における予め決められた値以上の第1の特異値をゼロに少なくとも設定することと、上記第3の行列の対角成分における上記予め決められた値未満の第2の特異値を1に設定することにより、第4の行列を生成することをさらに含み、
上記複数の左特異ベクトルのうちの第1の左の特異ベクトルは、上記第1の特異値に関連付けられ、
上記第2の物体によって発生された磁界を示す上記予め決められた基底ベクトルは、上記第1の左特異ベクトルを含む、
請求項14記載のシステム。
【請求項16】
上記変換されたデータを変更することは、上記受信されたデータ及び上記第2の行列の間の乗算の結果に上記第4の行列を乗算することを含む、
請求項15記載のシステム。
【請求項17】
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することは、上記変更されたデータに上記第2の行列の転置を乗算することを含む、
請求項16記載のシステム。
【請求項18】
上記動作は、上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分から、目標物体の磁気分極特性を特徴付ける上記目標物体の分極率を計算することをさらに含む、
請求項11~17のうち1つに記載のシステム。
【請求項19】
上記動作は、予め決められた軸に関する上記複数の磁界受信機のうちの1つ又は複数の回転から生じた磁界測定値を示す第5の行列を計算することをさらに含み、
第1の磁界受信機に関連付けられた上記第5の行列の行列要素は、上記第1の磁界受信機の角度変位に対して、上記角度変位に関連付けられた上記第1の磁界受信機のモードの予め決められた展開を少なくとも乗算することによって計算される、
請求項12記載のシステム。
【請求項20】
上記第1の物体は、検査されている目標物体であり、第2の物体は静止干渉物体である、
請求項11~19のうち1つに記載のシステム。
【請求項21】
少なくとも1つの物理コア及び複数の論理コアを備える少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサによって実行されたときに、上記少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサに下記の動作を実行させる命令を格納する非一時的な機械可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、
上記動作は、
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定することであって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供することとを含む、
コンピュータプログラム製品。
【請求項22】
上記決定することは、
上記信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することと、
第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルに対する上記変換されたデータの射影に対応する上記変換されたデータの部分を少なくともキャンセルすることにより、上記変換されたデータを変更して、変更されたデータを生成することと、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することとを含む、
請求項21記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
上記動作は、
上記第1の磁界が存在しない状態で、上記外部ソースによって発生された磁界に関連付けられた磁界測定値を示す第1の行列を計算することと、
上記第1の行列に対する特異値分解を実行することで、上記第1の行列の複数の左特異ベクトルを含む第2の行列と、上記第1の行列に関連付けられた特異値を対角成分に含む第3の行列とを生成することとをさらに含む、
請求項22記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
上記受信されたデータを上記第1の基底から上記第2の基底に変換することは、上記受信されたデータに上記第2の行列を乗算することを含む、
請求項23記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
上記動作は、上記第3の行列の対角成分における予め決められた値以上の第1の特異値をゼロに少なくとも設定することと、上記第3の行列の対角成分における上記予め決められた値未満の第2の特異値を1に設定することにより、第4の行列を生成することをさらに含み
上記複数の左特異ベクトルのうちの第1の左の特異ベクトルは、上記第1の特異値に関連付けられ、
上記第2の物体によって発生された磁界を示す上記予め決められた基底ベクトルは、上記第1の左特異ベクトルを含む、
請求項24記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項26】
上記変換されたデータを変更することは、上記受信されたデータ及び上記第2の行列の間の乗算の結果に上記第4の行列を乗算することを含む、
請求項25記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することは、上記変更されたデータに上記第2の行列の転置を乗算することを含む、
請求項26記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
上記動作は、上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分から、目標物体の磁気分極特性を特徴付ける上記目標物体の分極率を計算することをさらに含む、
請求項21~27のうちの1つに記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
上記動作は、予め決められた軸に関する上記複数の磁界受信機のうちの1つ又は複数の回転から生じた磁界測定値を示す第5の行列を計算することをさらに含み、
第1の磁界受信機に関連付けられた上記第5の行列の行列要素は、上記第1の磁界受信機の角度変位に対して、上記角度変位に関連付けられた上記第1の磁界受信機のモードの予め決められた展開を少なくとも乗算することによって計算される、
請求項22記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
上記第1の物体は、検査されている目標物体であり、第2の物体は静止干渉物体である、
請求項21~29のうちの1つに記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項31】
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信する手段と、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定する手段であって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定する手段と、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供する手段とを備える、
システム。
【請求項32】
請求項2~10のうちのいずれかに記載の機能のうちのいずれかを実行する手段をさらに備える、
請求項31記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2021年8月31日に出願され、「脅威検出における干渉の抑制(Suppression of Interference in Threat Detection)」のタイトルを有する、米国仮出願第63/238849号に対して35U.S.C.§ 119(e)の優先権を主張する。その内容全体が本願に援用される。
【0002】
技術分野
本願において説明した主題は、人員検査システムに関し、いくつかの例示的な実施例では、個人の物品を没収することなく脅威検出及び区別を実行しうる人員検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
空港セキュリティは、任意の脅威又は潜在的に危険な状況が発生すること又は国内に侵入することの防止を試みる。いくつかの既存の無線周波数(RF)イメージングシステム(乗客スクリーニングのために空港セキュリティによって利用されるもののような)は、大きく、高価であり、また、画像を取り込むためにアンテナが個人の回りに回転している間に当該個人が静止したままであることを必要とする。さらに、これらの既存のRFイメージングシステムは、検査されている個人によるセルラー電話機、鍵、財布などのような個人の物品の没収を必要とする可能性がある。そのような没収の必要性は、イメージングシステムのスループット及び有用性を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通り抜け式の金属探知器のような、いくつかの既存の検査システムは、磁界を通過する磁気又は導体材料(例えば金属)によって引き起こされる磁界の変化を生成及び測定するためのコイルを含む可能性がある。これらの既存の検査システムは、境界を通過する金属対象物を測定しうるが、セルラー電話機、ラップトップ、鍵、ベルトバックルなどのような個人の物品を、小火器又は即席爆弾のような脅威から区別する能力を欠く可能性がある。従って、これらの例示的な既存の検査システムは、個人の物品の没収を必要とし、それによって、それらのスループット及び有用性を制限する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示した主題の様々な態様は、下記の機能のうちの1つ又は複数を提供してもよい。
【0006】
いくつかの実施例では、方法は、複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、第1の磁界の内部及び/又は第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することを含む。外部磁界は外部ソースによって発生される。本方法はまた、信号に対する第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の成分を決定することを含む。成分を決定することは、信号に対する第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを受信されたデータに乗算して第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、成分を決定することを含む。本方法は、信号に対する第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の決定された成分を提供することをさらに含む。
【0007】
以下の特徴のうちの1つ又は複数は、任意の実施可能な組み合わせで含まれてもよい。
【0008】
いくつかの実施例では、決定することは、信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することを含む。決定することはまた、第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルに対する変換されたデータの射影に対応する変換されたデータの部分を少なくともキャンセルすることにより、変換されたデータを変更して、変更されたデータを生成することを含む。決定することはさらに、変更されたデータを第2の基底から第1の基底に変換することを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、本方法は、第1の磁界が存在しない状態で、外部ソースによって発生された磁界に関連付けられた磁界測定値を示す第1の行列を計算することと、第1の行列に対する特異値分解を実行することで、第1の行列の複数の左特異ベクトルを含む第2の行列と、第1の行列に関連付けられた特異値を対角成分に含む第3の行列とを生成することとをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施例では、受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することは、受信されたデータに第2の行列を乗算することを含む。いくつかの実施例では、本方法はさらに、第3の行列の対角成分における予め決められた値以上の第1の特異値をゼロに少なくとも設定することと、第3の行列の対角成分における予め決められた値未満の第2の特異値を1に設定することにより、第4の行列を生成することを含む。複数の左特異ベクトルのうちの第1の左の特異ベクトルは、第1の特異値に関連付けられ、第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルは、第1の左特異ベクトルを含む。
【0011】
いくつかの実施例では、変換されたデータを変更することは、受信されたデータ及び第2の行列の間の乗算の結果に第4の行列を乗算することを含む。いくつかの実施例では、変更されたデータを第2の基底から第1の基底に変換することは、変更されたデータに第2の行列の転置を乗算することを含む。いくつかの実施例では、本方法はさらに、信号に対する第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の決定された成分から、目標物体の分極率を計算することを含む。分極率は、目標物体の磁気分極特性を特徴付ける。
【0012】
いくつかの実施例では、本方法はさらに、予め決められた軸に関する複数の磁界受信機のうちの1つ又は複数の回転から生じた磁界測定値を示す第5の行列を計算することを含む。第1の磁界受信機に関連付けられた第5の行列の行列要素は、第1の磁界受信機の角度変位に対して、角度変位に関連付けられた第1の磁界受信機のモードの予め決められた展開を少なくとも乗算することによって計算される。いくつかの実施例では、第1の物体は、検査されている目標物体であり、第2の物体は静止干渉物体である。
【0013】
本願において説明した主題の1つ又は複数の変形例に係る詳細事項は、添付の図面及び以下の発明の詳細な説明において説明される。本願において説明した主題の他の特徴及び利点は、発明の詳細な説明及び図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】外部干渉が存在する場合に脅威検出を実行しうる例示的な検査システムのシステムブロック図である。
図2】本主題のいくつかの態様に係る例示的な検査システムの例示的な処理を示す処理ブロック図である。
図3】干渉システムに関連付けられた干渉ソースからの例示的な空間的及び時間的干渉を示す図である。
図4】例示的な干渉信号(左側)及び例示的な測定信号(右側)を示す図である。
図5図4の干渉信号及び測定信号の重ね合わせによって生成された重畳信号(左側)と、変換された重畳信号(右側)を示す図である。
図6図5の変換された重畳信号から干渉信号の部分をキャンセルすることによって計算された例示的な変更された信号(左側)と、変更された信号を変換することによって計算された第2の変換された信号(右側)とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な図面における類似の参照記号は類似の構成要素を示す。
【0016】
磁界検出に基づく検査システムは、目標物体(例えば、潜在的な脅威を示す物体)を検出するために使用可能である。そのような検査システムは、目標物体の検出に干渉しうる物体を含む可能性がある環境(例えば、裁判所、空港など)に配置されてもよい。干渉物体と呼ばれることもあるこれらの物体は、干渉信号を発生する可能性があり、干渉信号は、目標物体からの信号を不明瞭にする可能性がある。例えば、目標物体は、検査システムによって発生された一次磁界に応答して目標磁界信号を発生する可能性があり、それは、検査システムによって検出される可能性がある。干渉磁界は、干渉物体によって(例えば、検査システムとは独立に磁界を発生する電流伝送物体によって)発生される可能性があり、検査システムによって検出されることがある。干渉磁界は、検査システムによる目標物体の検出を妨害する可能性がある。本主題のいくつかの実施例は、干渉物体からの干渉信号の抑制を可能にすることができ、目標物体の識別の改善をもたらす。
【0017】
いくつかの実施例では、干渉信号を抑制することは、検査システムからの磁界が存在しない状態で、干渉物体を含む検査システムの環境の磁界測定を実行することを含んでもよい。これらの測定は、検査システムが磁界を送信していないときに行われるので、ダーク測定と呼ばれてもよい。ダーク測定から収集されたデータを(例えば特異値分解を用いて)分析して格納してもよい。
【0018】
磁界検出に基づく検査システムはまた、検査システムの送信機及び/又は受信機の動きによって生じる見かけの磁界妨害の影響を受ける可能性がある。この動きは、目標物体からの信号を不明瞭にしうる干渉信号を発生する可能性がある。いくつかの実施例では、動きによって生じた干渉信号を抑制することは、システムの送信機及び/又は受信機が動いている間に、磁界測定を実行すること又はそのシミュレーションを行うことを含んでもよい。この動きの間に収集又はシミュレーションされたデータを(例えば特異値分解を用いて)分析して格納してもよい。
【0019】
検査システムの検査アルゴリズムは、(例えば目標物体の検査前に)ダーク測定データ及び/又は動き測定データに基づいて変更されて格納されてもよい。目標物体の検査中に、目標物体からの信号は、ダーク測定データ及び/又は動き測定データに基づいて変換されてもよく、目標物体の特性(例えば、目標物体の分極率)は、変更された検査アルゴリズムを用いて検索されてもよい。
【0020】
ここで、例示的な検査システムについて説明する。図1は、検査システム100の検出に影響しうる外部干渉を抑制(例えば除去)できる、例示的な検査システム100のシステムブロック図である。図1に示すように、システム100は、データ取得基地局115に接続された複数の磁気受信機105を含む。データ取得基地局115は、受信機105から受信された磁界測定データをフィルタリングし、復調し、かつディジタル化するように構成されてもよい。複数の送信機106及び複数の磁気受信機105は、境界又は他の定義された領域のような、時々「シーン」と呼ばれることがある、観測領域(observational domain:OD)107を調査するように配置されてもよい。ODは、目標物体168及び複数の推定ソース170a~cを含んでもよい。干渉ソース170a~cのうちの1つ又は複数は、(例えばobにより)目標物体168の検査に干渉する可能性がある。干渉ソース(例えば、電子機器、電力線など)は、例えば、目標物体168からの信号を不明瞭にする可能性がある。
【0021】
OD107は、体積を定義するボクセルを含むとみなされてもよい。OD107は、単一の連続的な領域又は複数の別個の領域であってもよい。システム100は、送信ドライバ160に接続された複数の送信機106も含む。送信ドライバ160は、送信機106を駆動する信号を生成するように構成されてもよい。システム100は、さらに受信された磁界測定を分析するように構成された処理システム120を含む。処理システム120は、データ取得モジュール130、較正モジュール135、再構成物モジュール140、自動脅威認識モジュール145、レンダリングモジュール150、及びメモリ155を含む。システム100はまた、出力を提供するディスプレイ165と、システム100への追加の入力を提供するセンサ125とを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施例では、本システムは、同期ホモダインディジタルデュアル位相復調技術を用いてシステムの特定の送信周波数から同相(I)及び直交位相(Q)情報を正確に抽出する、分散型ロックイン増幅器として動作するように構成されてもよい。復調は、所望信号に基準信号をディジタル的に混合又は乗算し、続いて、その結果を、低域通過フィルタを用いてフィルタリングすることで達成されてもよい。基準信号は、送信機において使用された駆動信号に関する又は駆動信号から導出された、直接的に測定された信号であってもよく、又は、合成アナログ信号であってもよい。2つのバージョンの基準信号、すなわち、一方が他方に対して移相又は時間遅延された基準信号を利用することによって、測定信号の振幅、位相、及び/又はI及びQを再構成してもよい。
【0023】
いくつかの実施例では、送信ドライバ160は、ディジタル的に制御された高精度の直接ディジタル合成(direct digital synthesis:DDS)波形生成器と、ディジタル的に制御された総和プログラマブル利得増幅器(programmable-gain amplifier:PGA)回路と、向上した電源除去比(power supply rejection ratio:PSRR)を有する閉ループDクラスパワー増幅器との組み合わせた集合を含んでもよい。そのようなシステムは、測定データにおいて必要な信号対雑音比を満たすために要求される送信磁界における高い安定性を達成しながら、送信波形の周波数及び振幅における柔軟性を提供する。システム100は、送信磁界の振幅及び周波数をディジタル的に制御してもよい。送信磁界の振幅及び周波数をディジタル的に制御することは、動的な方法で、また、任意のアドホックな方法で実行されてもよい。いくつかの実施例では、本システムは、送信磁界の周波数ごとの振幅を測定して動的に調整するように構成された、閉ループのマイクロコントローラに基づくフィードバックシステムを含んでもよく、これにより、システムの安定性及び予測可能性を向上させる。
【0024】
送信機106は、所定の動作(例えば特性)周波数(例えば変調周波数)を有する駆動信号に従って磁界を生成することができる、少なくとも2つのワイヤループ送信機を含んでもよい。送信機106は、例えば、30Hz及び130Hzにおいて動作してもよい。概して、ワイヤループは、所定の主面内に存在するとみなされてもよい。いくつかの実施例では、システム100は、OD107の全体にわたって主要なすべての方向(例えばデカルト座標)を調べるのに十分なダイバーシティを有して磁界を生成するように配置された複数の送信機を含んでもよい。検査対象である対象物が静止している静止系において、互いに直交した向きにある(例えば、3つの送信機の各々の主面は互いに直交した向きにあってもよい)か、又は、空間的にオフセットされている、少なくとも3つの送信機を含んでもよい。検査システム100を通過する対象物のように、対象物が特定の方向への動きを経験している場合、各送信機が動きの方向に直交した向きにあるか、又は、動きの方向とそれらに共有される向きとの両方を横切って空間的にオフセットされているならば、2つの送信機を使用してもよい。この構成は、対象物の動きに対する(例えば1つの方向における)妥当な制約を表し、さらに、所与の対象物を詳しく調べるために十分な磁界のダイバーシティを実現することができる送信機コイルの最小個数を表すことができる。
【0025】
図1に示すように、送信機ドライバ160は、送信機106を駆動するための1つ又は複数の信号を生成してもよい。いくつかの実施例では、複数の送信機106は、所望のすべての測定値が取り込まれるまで、複数の送信機を1つずつ駆動することを時間的に繰り返すことにより駆動されてもよい。そのようなアプローチの利点は、すべての送信機106にわたって駆動電子回路を共用できることを含みうる。しかしながら、このアプローチは、各送信機106に対して所定のデューティサイクルを課し、その信号対雑音比を低減する可能性がある。そのような構成において、複数の送信機106は同じ瞬間に測定されなくてもよいが、この場合、対象物が移動中であると、動きによって生じるアーティファクトを導入する可能性がある。
【0026】
いくつかの実施例では、複数の送信機106は、同時に、ただしわずかに(例えば10ヘルツ(Hz))オフセットされた周波数で駆動されてもよい。複数の周波数は、後処理においてそれらを明確に復調できるように十分にオフセットされてもよく、それは、対象物の動きを所定の分解能定特性するために必要な帯域幅によって設定可能であり、それは、毎秒1.3メートル(m/s)の典型的な歩行速度で移動する対象物の場合には約5~10Hzであってもよい。同時に、複数の周波数は、分極率の分散を無視できるように、十分に類似して選択されてもよい。いくつかの実施例では、オフセットは10Hzであってもよく、これは、まったく無視できる差であり、消滅する周波数であるとみなすことができる。この例示的な周波数多重化アプローチでは、送信ドライバ160は、各送信機を別々に駆動するために別個の駆動電子回路を含んでもよく、それは、モーションブラーのリスクなしに(及び/又はそのリスクを低減して)改善された信号対雑音比を可能にしうる。
【0027】
いくつかの実施例では、送信ドライバ160は、複数の送信機106に配信されうる複数の駆動信号を生成可能であってもよく、それは、すべての受信・送信ペアにわたって完全に位相コヒーレントな測定システムを確立することができる。さらに、駆動信号は、送信機ドライバ160からデータ取得基地局115にルーティングされる基準信号として提供されてもよく、これは、以下でより詳しく説明するように、復調のために利用可能である。
【0028】
磁気受信機105は、フラックスゲートセンサを含んでもよい。これは、磁界の変化率を測定するワイヤコイルと比較すると、磁界(例えば大きさ及び位相)を直接的に測定することができる。いくつかの実施形態では、受信機105のうちの1つ又は複数は、3軸のフラックスゲート磁力計を含んでもよい。いくつかの実施形態では、受信機105のうちの1つ又は複数は、2軸のフラックスゲート磁力計を含んでもよい。フラックスゲート磁力計は、コイル受信機と比較して、高い感度、高い線形性、及び低いノイズフロアで動作可能であるという点で有利になりうる。受信機105は、従来の方法にとっては低すぎる周波数において、正確な磁気測定を行うことができる。
【0029】
フラックスゲートセンサは、フラックスゲートセンサの場所において3つの軸(例えば、x、y、及びz)で磁界の振幅を測定してもよい。フラックスゲートセンサは、ミューメタルのような、高い透磁率を有するコア材料のまわりに近接して巻回される内側駆動コイルを包囲する検出コイルを含んでもよい。駆動巻線に交流電流を印加してもよく、これにより、飽和及び不飽和の連続的な繰り返しサイクルでコアを駆動することができる。外部磁界が存在する状態で、高い透磁率を有する状態にあるコアを用いると、そのような磁界は、検出巻線を介して局所的に引きつけられるかゲート制御される。検出巻線の内外に向けて外部磁界を連続的にゲート制御することは、検出巻線における信号を誘導し、その主要周波数は駆動周波数の2倍であり、その強度及び位相の向きは、外部磁界の大きさ及び極性に正比例して変化する。
【0030】
いくつかの実施例では、フラックスゲートセンサは、130Hz及び30Hzのような、1kHz未満の動作する周波数で利用されてもよい。これらの比較的低い動作周波数において、フラックスゲートセンサは、改善されたノイズフロアで動作可能であり、例えば、いくつかのフラックスゲートは、20マイクロボルト/ナノテスラのオーダーの電圧対磁界比を達成可能である。
【0031】
データ取得基地局115は、受信機105から受信されたデータを復調し、フィルタリングし、ディジタル化することができる。データ取得基地局115は、受信されたデータを集約し、受信されて集約されたディジタル化されたデータから同相及び直交位相データ(それぞれI及びQデータ)を決定し、集約されたデータを同相及び直交位相データとして処理システム120に送信してもよい。データ取得モジュール130に提供された未処理の磁力計信号の濾波及び増幅を行うことにより、本システムは、周囲における大きな直流(DC)磁気信号を阻止することで、関心対象の周波数、例えば、130Hz及び30Hzのような、1kHz未満の周波数において高いダイナミックレンジを達成することが可能になる。システム100のハードウェア及び/又はソフトウェアにおいて使用されるフィルタの帯域幅及び設計は、対象物の動きを復元するために復調信号において十分な帯域幅を保持しながら、交流(AC)ラインによって生成される50及び60Hzの信号のような、環境における非所望信号を阻止するように選択されてもよい。
【0032】
センサ125は、赤外線(infrared:IR)カメラ、サーマルカメラ、超音波距離センサ、ビデオカメラ、電気光学(electro-optical:EO)カメラ、及び/又は表面/深度マップカメラを含んでもよい。センサ125は、少なくともOD107の追加情報画像又はビデオ、例えば光学画像を生成する。いくつかの実施例では、センサ125は、画像又はビデオをさらなる分析のために処理システム120に送信する。システム100は、複数のセンサ125を含んでもよい。センサ125は、OD107における目標物の存在を検出するために使用されてもよい。OD107における目標物の存在を検出することは、システム100によるスキャンをトリガするために使用されてもよい。いくつかの実施例では、センサ125は、無線周波数識別(radio frequency identification:RFID)リーダーを含んでもよい。
【0033】
本システムはまた、ディスプレイ165を介してオペレータへの画像を提示してもよく、ここにおいて、訪問者及び/又はそれらの付属物の可視部分であって、1つ又は複数の対象物を含む可能性が最も高い部分は、強調されるか、セグメント化されるか、そうでなければ、オペレータに通知を提供してオペレータの応答を支援するようにされる。さらに、対象物の態様は、深度カメラから得られた画像に基づいて決定されてもよい。取得された態様は、対象物の分類に関連付けられてもよい。例えば、対象物が平坦な外観を有する場合、磁気検出アルゴリズムは、対象物がラップトップ又は傘であると決定するように、対象物のクラスを決定してもよい。対象物が隠蔽されている場合、磁気検出アルゴリズムは、人の衣類のポケット、人のくるぶし又は手首、又は人が所持している可能性があるバッグのような、対象物が隠蔽されている人体の部分又は場所を決定してもよい。これらの場所に関連付けられたデータは、分類ステップにおいて、磁界データから導出された情報と組み合わされてもよい。ここで、分類ステップは、利用可能なすべての情報を使用することで、脅威検出中に、より大きな予測精度を達成する。
【0034】
処理システム120は、データ取得モジュール130、較正モジュール135、再構成モジュール140、自動脅威認識モジュール145、レンダリングモジュール150、及びメモリ155を含む、OD107のセンサ125からの磁界データ及び追加情報画像を処理するための多数のモジュールを含む。
【0035】
データ取得モジュール130は、DAS基地局115からの磁界測定値と、センサ125からの追加情報画像とを表す電圧測定値の時系列を取得する。いくつかの実施例では、データ取得モジュール130のサンプリングレートは、送信機106を介して送信磁界を生成するために使用したものと同じマスタークロックから導出される。各受信機105について、データ取得モジュール130は、後処理において、付随する基準信号による復調を行って、この時系列からI及びQデータを導出する。I及びQデータのタイミングは、複数の受信機105にわたって同期されてもよく、データ取得モジュール130は、同期されたデータを、システム100によるさらなる分析のために複数のフレーム(例えばタイムスライス)として発行してもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、システム100のマスタークロックは、低ジッタかつ低歪クロックファンアウト及び低電圧差動信号方式(low voltage differential signaling:LVDS)変換器の内部ネットワークを用いて、システムにおける複数メートルの空間にわたって分散されてもよい。この構成により、サンプリングレートをすべての送信された周波数の整数倍の高調波にすることができ、システムの感度を損ないうるディジタル化誤差を除去することができる。データ取得処理130における各装置を同じクロック領域において構成することによって、受信機105は、互いに数メートルずつ離れて配置されることが可能になり、また、周波数の不一致に起因するドリフトなしに、同じ時間間隔においてサンプルを受信していると正しく仮定されることが可能になる。従って、所与のフレームについて、データ取得モジュール130は、各受信機105及びセンサ125のために一組のデータを発行する。いくつかの実施例では、搬送周波数を所定の分解能で特定するのに十分なレートで、データが取得されてもよく、また、フレームが発行されてもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、データ取得モジュール130は、静的なバックグラウンド信号(例えば1次磁界)を除去する。いくつかの実施例では、データ取得基地局115は、I及びQデータが1次磁界ではなく2次磁界を特徴付けるように、静的なバックグラウンド信号(例えば1次磁界)を除去してもよい。
【0038】
較正モジュール135は、発行されたデータに対して較正補正を適用する。較正補正は、発行されたデータをシリアル時間サンプリングについて補償することを含んでもよい。さらに、較正モジュール135は、測定された1次磁界を、1つ又は複数の磁界モデル予測と比較し、任意の差を補償してもよい。いくつかの実施例では、較正は、通常の損耗、製造時の変動、又は温度変化に起因して生じる、送信機の振幅及び相変化に対処することができる。
【0039】
再構成モジュール140は、較正されたデータを画像及び/又は特徴マップに変換する。画像は、各受信機105について生成されてもよく、及び/又は、複数の受信機105によって取得された測定値の合成物に基づいて生成されてもよい。再構成モジュール140は、対象物の分極率測定(例えばテンソル)及び局所化を決定することを含んでもよい。
【0040】
分極率は、それを誘導した1次磁界に対する対象物の遠距離場の応答に関連する比例定数として特徴付けられてもよい。それは、体積の単位を有してもよく、また、印加された磁界の周波数に依存するとともに、対象物の形状、透磁率、及び導電率に依存してもよい。分極率を決定するために、いくつかの実施例では、最小余りの整合フィルタを実装するために最良適合アルゴリズムが利用されてもよい。
【0041】
送信機の磁界は、矩形コイルのモデルから計算されてもよい。受信機の磁界は、3軸受信機ノードが3つの独立かつ直交したダイポールとして取り扱われるように、センサの特定の軸に沿ったダイポール磁界から計算されてもよい。
【0042】
いくつかの実施例では、センサ125からの画像データは、OD107を占有しうる物品又は主体についてのアプリオリな知識によって供給されるものを越えて、疎らさの制約をさらに強化するために使用されてもよい。具体的には、センサ125によって取得されたOD107の画像は、目標物の空間的場所(例えば、目標物がOD107のどのボクセルに存在するか、また、OD107のどのボクセルが空であるか)を決定するために使用されてもよい。空のボクセルは対象物を含まず、従って、圧縮した検出(例えば、劣決定線形系の解をより良好及び/又はより迅速に推定することを可能にする)のためにゼロとみなされてもよい。
【0043】
さらに、適切なサイズを有するOD107は、圧縮した検出には十分な疎らさを有するシーンをもたらしうる。例えば、OD107が、2メートル×1メートル×0.5メートルの体積を有し、8000000個の5mmのボクセルに分割される場合、このOD107の内部に位置した典型的なヒトは、任意の瞬間においてボクセルの約10%(例えば、約800000個のボクセル)しか占有しないであろう。センサ125からの一組の検索された分極可能な対象物は、OD107の体積の内部において三次元面を決定し、従って、どのボクセルの中に個人が存在するかを決定するために使用されてもよい。空のボクセルは、一組の分極可能な対象物を検索するときに強制的にゼロに設定されてもよく、一方、非ゼロ値を有するボクセルは、再構成中に変更されてもよい(例えば、劣決定線形系の再構成された最適解を発見するための変数とみなされてもよい)。
【0044】
再構成モジュール140は、分極可能な対象物からなる1つ又は複数の磁気検索された集合を再構成してもよい。さらに、再構成モジュール140は、分極可能な対象物からなる複数の独立な検索された集合を組み合わせることで、分極可能な対象物からなる検索及び集約された集合を生成することができる。いくつかの実施例では、再構成モジュール140は、すべての受信機105を1つの大きな疎らな開口として取り扱い、この単一の開口におけるすべての受信機105から取得された情報を用いて、分極可能な対象物からなる単一の検索された集合を再構成することができる。
【0045】
再構成モジュール140は、複数のタイムスライスを用いて対象物の局所化を実行してもよい。そのようなアプローチは、対象物のために場所(例えばx、y、及びt-交差)、速度、及び分極率テンソルについて解く単一モデルあてはめアプローチを使用してもよい。以下、例示的な局所化アプローチについてより詳しく説明する。
【0046】
再構成モジュール140は、再構成された画像から特徴マップを生成してもよい。特徴マップは、磁気測定値の特性値づけ又は特徴を含んでもよい。複数の画像にわたって統計的な分析を実行してもよい。いくつかの例示的な特徴は、磁界の大きさ、磁界の位相、及び分極率テンソル特性(詳細後述)を含む。他の特徴もまた可能である。
【0047】
自動脅威認識モジュール145は、脅威対象物の有無について画像及び/又は特徴マップを分析する。脅威対象物は、個人が身につけて隠蔽しているかもしれない危険な物品、例えば小火器及び爆発物を含んでもよい。自動脅威認識モジュール145は、例えば、再構成モジュール140によって生成された特徴マップを評価する分類器を用いて、脅威を識別してもよい。分類器は、既知の脅威特徴に基づいてトレーニングしてもよい。いくつかの実施例では、脅威認識処理は、決定された画像を、予め決められた分極率シグネチャのライブラリに対して比較してもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、特徴(例えば分類変数)は、1つ又は複数の動作周波数における磁界の大きさ、位相、及び分極率テンソル特性を含んでもよい。
【0049】
レンダリングモジュール150は、脅威認識モジュール145によって実行された脅威認識分析の結果を特徴付ける画像を生成又はレンダリングする。画像は、ディスプレイ165上にレンダリングされてもよい。例えば、レンダリングモジュール150は、スキャンされた人のアバター及び任意の識別された脅威を表示してもよい。レンダリングモジュール150は、自動脅威認識モジュール145がいかなる脅威も検出しなかった特性値を表示してもよい。
【0050】
図2は、外部干渉を抑制する例示的な方法を示すフローチャートである。ステップ202において、複数の磁界受信機によって取得された信号を特徴付けるデータを受信してもよい(例えば磁気受信機105)。信号は、(例えば、送信機106によって発生された)第1の磁界と、第1の磁界及び第1の物体(例えば、目標物体168又はその部分)の相互作用によって生じる第2の磁界と、干渉(例えば、干渉物体又はセンサの動き170a~cのうちの1つ又は複数)によって生じる第3の磁気信号との組み合わせを示してもよい。例えば、第3の信号は、第1の磁界の内部、及び/又は、外部ソースによって生成されうる(例えば、第1の磁界とは異なる)外部磁界の内部における受信機の動きによって生じる(又は、それを表す)可能性がある。
【0051】
ステップ204において、信号に対する第2の磁界(又は目標物体168からの目標磁界)の寄与を特徴付ける信号の成分を決定してもよい。成分を決定することは、信号に対する第3の磁界(又は1つ又は複数の干渉物体170a~cからの干渉磁界)の寄与を特徴付けるマッピングを、受信されたデータに少なくとも乗算して、第3の磁界の寄与をキャンセルすることを含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、決定することは、磁気受信機105によるダーク測定に基づいてもよく、それは、目標物体が存在しない状態で、干渉物体を含む検査システムの環境の磁界測定を実行することを含んでもよい。例えば、各行が複数の磁気受信機105のうちの1つの磁気受信機/センサによる磁界測定を示してもよく、各列が測定時間を示してもよい、第1の行列(又はダーク測定行列)を計算してもよい。
【0053】
決定することは、信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することを含んでもよい。信号を特徴付ける受信されたデータは、目標物体の検出に関連付けられた様々な測定値(例えば、様々な測定時に磁気受信機105によって検出される)を含みうるベクトルであってもよい。変換は、受信された信号データ(例えばベクトル形式を有する)に第2の行列を乗算することによって達成されてもよい。第2の行列は、ダーク測定行列の特異値分解によって計算可能である(例えば、下記の式3を参照)。例えば、第2の行列(例えば、式3における行列(U(f)は、ダーク測定行列(例えば、式3における行列d(f))の左特異ベクトルを含んでもよい。
【0054】
決定することは、変換されたデータ(例えば、ステップ202において受信されたデータのベクトルと、第2の行列との積)を変更することで、変更されたデータを生成することをさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、変更されたデータを生成することは、外部干渉を示しうる(又はそれによって影響されうる)変換されたデータの部分をキャンセルすることを含んでもよい。このことは、例えば、第2の物体によって生成された磁界を示す1つ又は複数の予め決められた基底ベクトルに対して、変換されたデータを射影することと、変換されたデータから、射影された成分をキャンセル(又は除去)することとによって実行可能である。
【0055】
いくつかの実施例では、変換されたデータの前述した成分をキャンセルすることは、ダーク測定行列の特異値分解から得られた対角行列(例えば、下記の式3における対角行列S(f))を変更することと、変更された対角行列(例えば、下記の式9における変更された対角行列D)に、変換されたデータのベクトルを乗算して、変更されたデータのベクトルを生成することとによって達成可能である。いくつかの実施例では、変更された対角行列は、対角行列(例えばS(f))の対角成分における予め決められた値以上の1つ又は複数の特異値をゼロで置き換えることと、対角行列(例えばS(f))の対角成分における予め決められた値未満以上の1つ又は複数の特異値を1で置き換えることとによって計算可能である。
【0056】
変更されたデータ(例えば、変換されたデータのベクトル)は、第2の基底から第1の基底に変換されてもよい。このことは、例えば、変更されたデータのベクトルに行列U(f)(後述する行列の共役(U(f))を乗算することで実行可能である。目標物体からの測定信号を第1の基底から第2の基底に変換し、変換された信号を変更し、変更された信号を第1の基底に戻すように変換する処理を、式9~式11において下記に説明する。
【0057】
いくつかの実施例では、目標物体の特性(例えば分極率)は、転送行列(例えば、式12において後述するH(f))によって、目標物体からの磁界の測定に関連しうる。第2の基底における転送行列(例えば
【数1】
)は、第1の基底における転送行列(例えばH(f))(例えば、数式14において後述する)から計算可能である。
【0058】
図4は、例示的な干渉信号(左側)及び例示的な目標物体信号(右側)を示す図である。干渉信号は、x-、y-、及びz-軸に沿った向きを有する3つの成分を有する。目標物体信号は、y-軸(オレンジ色で示す)に沿った向きを有する。図5は、図4の干渉信号及び測定信号の重ね合わせによって生成された重畳信号(左側)と、変換された重畳信号(右側)を示す図である。変換された重畳信号は、重畳信号を第1の基底(x-、y-、z-軸)から第2の基底(1、2-、及び3-軸)に変換することで取得されうる。変換の後、干渉信号からのノイズは、主として、1-軸に沿って存在する。
【0059】
図6は、図5の変換された重畳信号から干渉信号の部分のキャンセルすることによって計算された、例示的な変更された信号(左側)を示す。例えば、1-軸に沿って存在する干渉信号がキャンセルされる。1-軸信号をキャンセルした後、変更された信号は、第1の基底に戻すように変換される(第2の変換された信号)。第2の変換された信号が、右側にプロットされる。
【0060】
いくつかの実施例では、受信機(例えば磁気受信機105)の小さな変位及び/又は回転によって受信機に引き起こされる時間的に変化する磁界を、識別及び補正しうる。このことは、例えば、(例えば、送信機の距離が磁気受信機105の変位よりずっと大きいと仮定して)送信機からの測定信号のテイラー展開を実行することと、線形項のみを考慮することとによって実行可能である(例えば、下記の式16を参照)。磁気受信機の場所及び向きは、時間の関数とみなされてもよい。いくつかの実施例では、受信機の何らか部分集合の動きの自由度は、2に制限されると仮定されうる(例えば、固定位置に基部を有する共通の機械的構造物内における受信機の傾きに基づく)。これらの考察に基づいて、(例えば、上述したダーク測定行列と同様の)測定行列は、特異値分解を用いて計算及び分解可能である。
【0061】
下記で例示的な実施例について説明する。
【0062】
検査システムは、テスト対象の実際の物体からの信号を不明瞭にする、現実世界におけるノイズ又は干渉の外部ソースに遭遇する可能性がある。これらのソースは、かなり任意の時間依存性(例えば、ソースが静止している場合)を有する可能性がある。例えば、近くの電力線における電流は磁界を発生することがあり、これは検査受信機に影響を与える可能性がある。電力線によって発生される磁界は60Hz(又は、ヨーロッパでは50Hz)に中心を有してもよいが、可変な負荷は、検査システムの関心対象の帯域に含まれるサイドローブを引き起こす可能性があり、従って、検査システムの後処理アーキテクチャにおける様々なハードウェア及びディジタルフィルターを経て残存する。
【0063】
システムといくつかのN個の干渉ソースとの両方が互いに動いていないと仮定すると、所与の搬送周波数(ω)における結果として生じる磁界は、各独立した干渉者に関して、任意の空間依存性を有する関数
【数2】
と、任意の時間依存性を有する関数(θ(f)(τ))との積、又は、
【数3】
として記述されうる。
【0064】
例えば、図3を参照。干渉者が物理的に小さい又は局所化されていなくてもよく、それが静止していることのみを必要とすることに注意する。ダーク測定値が収集されてもよい(例えば、すべての内部送信がオフされて外部干渉のみが寄与する場合の測定値が収集される)。時間
【数4】
において向き
【数5】
を有して場所
【数6】
において特定の受信機によって測定されるスカラ場量は、次式のように記述されてもよい。
【数7】
ここで、
【数8】
【0065】
特異値分解を用いた特性評価に関して、「ダーク」である間にシステムによって収集される一組の離散磁界測定値は、
【数9】
によって示されうる。ここで、i、f、t’はそれぞれ、受信機、周波数、及び時間サンプルのためのラベルである。それらは、空間、時間、及び周波数の任意関数であってもよい。しかしながら、特異値分解(SVD)は、(例えば、各周波数における)磁界測定値の離散集合に適用されてもよく、式(2)の形式にあてはまる寄与を明らかにする助けとなる。例えば、測定行列d(f)の各行は個別の受信機を表してもよく、その各列は個別の時間サンプルを表してもよい。次いで、SVDは次式を与える。
【数10】
ここで、U(f)は、一組の左特異ベクトルを含むユニタリ行列であり、V(f)は、一組の右特異ベクトルを含むユニタリ行列であり、S(f)は、実数かつ非負の特異値をエントリとして有する対角行列である。測定に対する寄与が、N個の独立し、直交し、かつ静的な干渉者のみからであると仮定すると、特異分解の要素は、
【数11】
【数12】
かつ、n>Nの場合にSn,n=0を満たすように、式(2)によって記述される干渉者の空間及び時間モードに直接的に関連しうる。下記のセクションにおける便宜のために、空間モードφ(f,n)がユニタリのままであるように、特異値によって表される振幅が、時間モードθ(f,n)の定義に組み込まれている。
【0066】
複数の干渉者が直交するという仮定は、本方法の動作に必要ではないが、SVDによって復元されたモードの望ましい物理的解釈をもたらしうる。複数の干渉者が実際に直交していない場合、この方法は、外部干渉の全体を記述できる最も少ない直交モードを発見できる可能性があり、無効化されているこの方法の唯一の部分は、特異ベクトル及び干渉者の間の1対1マッピングである。
【0067】
内積を用いた推定及び減算に関して、送信機がオンされるときの未来の測定における外部干渉からの寄与を除去するために、以前の特性評価が使用されてもよい。外部干渉者から追加の寄与を含む実際の測定値
【数13】
が与えられた場合、
【数14】
(テスト対象の物体の測定値)又はそれに近い何らかを抽出することが望ましい可能性がある。ここでのインデックスt及び以前のセクションでのt’は、これらの測定値が異なる時間期間(すべてのt,t’に関してt>t’)からのものであることを明らかにするように使用されている。このように、干渉者に関して以前に特徴付けられた時間依存性は、それが収集された時間区間を越えて何らかの相関を有すると仮定されなくてもよい。しかしながら、空間依存性は、時間に関して不変であってもよい。従って、干渉は、未知の時間依存性及び既知の空間依存性の積とみなされてもよい。
【数15】
【0068】
干渉者の現在の時間依存性は、内積を用いて、測定されたデータに対して我々の既知の空間モードを適用することによって、又は、
【数16】
によって、復元されてもよい。
【0069】
このように、干渉者の時間依存性が復元されてもよい。いくつかの実施例では、所望の測定値に関する項が後に残されてもよい。所望の測定値及び干渉者の空間モードが全く異なる(例えば、ほとんど直交する)場合、この第1の項はゼロに近づいてもよく、また、次式を満たす。
【数17】

所望の測定値に関連する干渉なしの量
【数18】
は、次式のように定義されてもよい。
【数19】
【0070】
最後のライン(ここで干渉項が消えている)は、下記の行列形式で表されてもよく、
【数20】
又は、SVD記法で表されてもよい。
【数21】
ここで、Iは単位行列であり、Dは、0≦n≦Nの場合にDn,n=1であり、n>Nの場合にDn,n=0である対角行列である。テスト対象の物体の測定値(a(f))が、物体の何らかの記述(α(f))倍した転送行列(H(f))によってモデル化されることを仮定すると、
【数22】
式(9)の変換は、新たな有効な転送行列に組み込まれてもよい。
【数23】
ここで、
【数24】
【0071】
この形式は、外部干渉者の空間モードを含むようにシステムの転送行列の零空間を拡張しうる動作を明示的にしうる。言いかえると、いくつかの実施例では、識別された干渉者からのいかなる量の信号も、有効な測定ベクトルにおける結果を生じることがないように、転送行列が変更されている。
【0072】
元の転送行列がランクKを有すると仮定される場合、有効な転送行列のランクは、
【数25】
を満たすように低減されてもよい。現実世界のシナリオにおいて、有意な干渉者の個数は、収集された測定値の個数よりずっと小さくなってもよい。さらに、干渉者は、システムの外部に、多くの場合、システムの物理的寸法よりはるかに大きな距離にあると期待しうる。関心対象の物体がシステムの内部にありうる(従って、非常に異なる空間的変動によって特徴付けられる)場合、この方法の実用的なアプリケーションが、小さい又は無視できるランク低減で干渉の抑制をもたらすと期待しうる
【0073】
正規化器を追加することは、転送行列ランクにおいて任意の損失に関する改善をもたらすことができる。実際に、この手順に正規化を組み合わせることは、潜在的にノイズを含む測定値を除外した後における任意の潜在的な情報ギャップを充填するために、合理的な先行者を使用すること可能にしうる。
【0074】
動きによって引き起こされた信号に対するアプリケーションに関して、本願で説明する方法は、時間不変の空間モードのコレクションによって特徴付けられうる任意の不要な信号に適用されうる。このセクションにおいて、この方法は、一次磁界内のセンサの小さな変位/回転の例に適用されている。複数のセンサの協調した動きによって引き起こされた信号に関して、物理的筐体は、風にさらされたとき、傾斜又は揺動される可能性がある。センサが非一様な一次フィールドにおいて移動(及び/又は回転)する場合、所定時間にわたる、空間中の異なる点における一次磁界のそれらのサンプリングは、所望の二次磁界以上の大きさの動的信号をもたらす可能性がある。このことは、このデータを消費するアルゴリズムにとって問題となる可能性がある。いくつかの実施例では、変位が一次磁界ソースに距離に対して小さいと仮定される場合、信号は、線形項(例えば変位と、この変位に関する一次磁界の導関数との積)を含むようにテイラー展開を用いて展開されてもよい。以前のセクションに比較すると、時間の関数としての変位は、θ(τ)の役割を果たしてもよく、磁界勾配は
【数26】
の役割を果たしてもよく、モードの個数は、システムにおける動きの自由度の数に等しくなりうる。形式的には、i番目のセンサの場所
【数27】
及び向き
【数28】
は、時間の関数とみなされてもよく、次式のように、センサの動きによって引き起こされる信号を記述しうる。
【数29】
ここで、
【数30】
は、空間の関数としての一次磁界であり、τは、システムがベースラインにあったときの何らかの瞬間を表し、Ψは、システムのM個の可能な動きの「モード」のうちの1つに沿った変位を表す。所定個数のセンサを収容するタワーの例をとると、動きは、固定位置に基部を有するタワーの傾斜であってもよく、このことは自由度2をもたらしうる。従って、時間モードは、2つの直交する傾斜角に比例してもよく、空間モードは、これらの傾斜角に関して一次磁界の導関数に比例してもよい。又は、
【数31】
【数32】
ここで、Ψ(m∈1,2)は2つの直交した傾斜角を示し、x(Ψ1,Ψ2)及び
【数33】
はそれぞれ、傾斜角によってパラメータ化されたi番目のセンサの場所及び単位法線である。一次磁界の合理的なモデルが存在する場合、これらの空間的モードは予め計算可能である。いくつかの実施例では、空間モードの正規直交性(例えば、これは、傾斜角の直交性によっては保証されない可能性がある)を保証するために、測定行列は、以前のセクションの手順におけるような結果として生じる特異ベクトルを用いて、SVDによって結合及び分解されてもよい。
【0075】
いくつかの実施例では、磁界の勾配又は動きの正確な性質が未知である場合、モードは、(例えば、外部干渉者の場合のように)経験的に特徴付けられてもよい。例えば、他の信号が存在しないと仮定すると、システムは、m(f)を測定するために、所定時間期間にわたってランダムな動きにさらされてもよい。それは、様々な動きのモードからの独立した寄与を含む可能性がある。ダーク測定値d(f)の代わりにこの動き測定値を用いることで、以前のセクションで概説された手順と同じ手順をたどってもよい。特徴付けられた動きの性質が、ライブ動作において経験するある種の動きを包含する場合、本方法は効果的となりうる。システムが、それ自体の位置を自動的に摂動させる手段を備えた場合、これは、外部干渉の場合について後述するものと同様の、自動化された部位特異的な較正ルーチンを形成しうるであろう。いくつかの実施例では、この方法を用いて外部干渉と動きによって引き起こされる信号とを同時に抑制するために、すべてのモードが直交してもよい。このことは、複数のモードをシリアルに特徴付けることによって(例えば、まず、1つの性質のモードを特徴付け、次いで、第2の性質のモードを特徴付ける前にデータに対して結果的な変換を適用することによって)達成可能である。
【0076】
外部干渉の特性評価及び抑制に関する上述した例示的な方法は、下記の実施例で実施されてもよい。スクリーニングが開始する前に、システムは、「ダーク」測定値、又は、送信コイルの電源をオフした場合の測定値を収集すべきである。収集されたデータは、次いで、各周波数においてSVDを用いて分析される。有意な外部ソースの空間分布(φ(f,n))(例えば、何らかのしきい値より高い特異値を有する特異ベクトル)が格納される。
【0077】
転送行列は、式(14)に従って変更され、その擬似逆行列とともに格納される。ライブ動作中に、収集されたデータは、分極率検索が実行される前に、式(9)に従って変換される。
【0078】
システムを通過する干渉者及び実際の物体の空間的モードが非常に異なるとしても、それらは、直交すると期待(又は要求)されなくてもよい。従って、この手順は、通常動作において測定されるデータに対して顕著な効果を有しうる。いくつかの実施例のうちの2つの態様は、1)変更がリニアであることと、2)反転/検索の間に使用される転送行列がデータの変更と同様に変更可能であることとを含む。これらの理由で、モデルの予測パワーは、干渉抑制によって低減されなくてもよい。外部ソースに対してしきい値を設定することは、特異値に基づいてもよい。その理由は、これらが(特性評価の時点ではあるが)干渉の振幅を表すからである。性能を大幅に損ないうる干渉者モードを含むことを避けるために、潜在的な転送行列のランクの低減に関連して、他の何らかの計量値が導入されてもよい。形式的に、除去するための最も安全なモードは、次式を満たしてもよい。
【数34】
【0079】
システムから遠い干渉者の場合のように、遅い空間的変動が合理的な代用となりうる。提案した実施例のうちのいくつかは、ダーク測定値が収集されるときに干渉者が存在することを必要としてもよい。断続的な干渉者は、この方法に対する課題を提示する可能性がある。より完全なカバレッジのためには、新たな干渉者を周期的にモニタリングし、新たなダーク測定を勧める相補的なルーチンが必要となりうる。システム(又は干渉ソース)を移動させることは、記録された空間モードの関連を破壊する可能性があり、次いで、手順が繰り返されてもよい。ダーク測定値が収集されるときにオンされる近くの検査システムは、干渉者として識別されうる。
【0080】
少数の変形例について詳細に上述したが、他の変更又は追加も可能である。例えば、受信機の個数は制限されなくてもよく、いくつかの実施例は任意個数の受信機を含んでもよい。送信機は特定の周波数に限定されず、例えば、異なる特性(動作周波数、場所など)を備えたコイルを使用してもよい。異なる再構成アルゴリズムが使用されてもよく、脅威検出のために、異なる特徴が使用されてもよい。
【0081】
添付の請求項の範囲、解釈、又はアプリケーションをいかなる方法でも限定することなく、本願で開示した例示的な実施例のうちの1つ又は複数に係る技術的効果は、下記のうちの1つ又は複数を含んでもよく、例えば、本主題のいくつかの例示的な実施例は、個人がセルラー電話機及びラップトップのような個人の物品を所持している可能性がある高クラッター環境において、また、個人の物品を没収することなく、脅威検出及び区別を実行しうる。いくつかの実施例では、人員検査システムは、高スループットで脅威検出及び区別を実行することができ、これにより、個人が通常の歩行速度で金属検出器を通過することを可能にし、検査のために個人が速度を落とすことを要求されることがなく、いくつかの実施例では、検査境界は、複数の個人が互いに並んで(例えば、2人以上が並んで)当該境界を通過することを許容してもよい。いくつかの構成において、近傍を歩く個人がスクリーニングされてもよく、それによって、スクリーニング処理の間に、スクリーニングされる個人が静止したままである必要性が除去される。
【0082】
本願において説明した主題の1つ又は複数の態様又は特徴は、ディジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。これらの様々な態様又は特徴は、ストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信するように、及びそれらにデータ及び命令を送信するように接続された、特定用途又は汎用であってもよい少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能である、1つ又は複数のコンピュータプログラムの実装を含んでもよい。プログラマブルシステム又は計算システムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、概して、互いから遠隔して設けられ、典型的には通信ネットワークを介して相互に対話する。クライアント及びサーバの関係は、各コンピュータにおいて実行され、互いにクライアント・サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0083】
上述した主題の実施例を考慮して、本願は、下記の実施例のリストを開示し、ある実施例の1つの特徴が個別に、又は、上記実施例の1つよりも多くの特徴が組み合わされて、またオプションで、1つ又は複数の別の実施例の1つ又は複数の特徴と組み合わされて、本願の開示内にあるさらなる実施例である。
【0084】
実施例1:
方法は、
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定することであって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供することと
含む。
【0085】
実施例2:
実施例1の方法であって、
上記決定することは、
上記信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することと、
第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルに対する上記変換されたデータの射影に対応する上記変換されたデータの部分を少なくともキャンセルすることにより、上記変換されたデータを変更して、変更されたデータを生成することと、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することとをさらに含む。
【0086】
実施例3:
実施例1~2のうちのいずれかの方法は、
上記第1の磁界が存在しない状態で、上記外部ソースによって発生された磁界に関連付けられた磁界測定値を示す第1の行列を計算することと、
上記第1の行列に対する特異値分解を実行することで、上記第1の行列の複数の左特異ベクトルを含む第2の行列と、上記第1の行列に関連付けられた特異値を対角成分に含む第3の行列とを生成することと
をさらに含む。
【0087】
実施例4:
実施例1~3のうちのいずれかの方法であって、
上記受信されたデータを上記第1の基底から上記第2の基底に変換することは、上記受信されたデータに上記第2の行列を乗算することを含む。
【0088】
実施例5:
実施例1~4のうちのいずれかの方法は、
上記第3の行列の対角成分における予め決められた値以上の第1の特異値をゼロに少なくとも設定することと、上記第3の行列の対角成分における上記予め決められた値未満の第2の特異値を1に設定することにより、第4の行列を生成することをさらに含み、
上記複数の左特異ベクトルのうちの第1の左の特異ベクトルは、上記第1の特異値に関連付けられ、
上記第2の物体によって発生された磁界を示す上記予め決められた基底ベクトルは、上記第1の左特異ベクトルを含む。
【0089】
実施例6:
実施例1~5のうちのいずれかの方法であって、
上記変換されたデータを変更することは、上記受信されたデータ及び上記第2の行列の間の乗算の結果に上記第4の行列を乗算することを含む。
【0090】
実施例7:
実施例1~6のうちのいずれかの方法であって、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することは、上記変更されたデータに上記第2の行列の転置を乗算することを含む。
【0091】
実施例8:
実施例1~7のうちのいずれかの方法は、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分から、目標物体の磁気分極特性を特徴付ける上記目標物体の分極率を計算することをさらに含む。
【0092】
実施例9:
実施例1~8のうちのいずれかの方法は、
予め決められた軸に関する上記複数の磁界受信機のうちの1つ又は複数の回転から生じた磁界測定値を示す第5の行列を計算することをさらに含み、
第1の磁界受信機に関連付けられた上記第5の行列の行列要素は、上記第1の磁界受信機の角度変位に対して、上記角度変位に関連付けられた上記第1の磁界受信機のモードの予め決められた展開を少なくとも乗算することによって計算される。
【0093】
実施例10:
実施例1~9のうちのいずれかの方法であって、
上記第1の物体は、検査されている目標物体であり、第2の物体は静止干渉物体である。
【0094】
実施例11:
システムは、
少なくとも1つのデータプロセッサと、
上記少なくとも1つのデータプロセッサに接続されたメモリとを備え、
上記メモリは、
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定することであって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供することとを含む動作を上記少なくとも1つのデータプロセッサに実行させる命令を格納する。
【0095】
実施例12:
実施例11のシステムであって、
上記決定することは、
上記信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することと、
第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルに対する上記変換されたデータの射影に対応する上記変換されたデータの部分を少なくともキャンセルすることにより、上記変換されたデータを変更して、変更されたデータを生成することと、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することとをさらに含む。
【0096】
実施例13:
実施例11~12のうちのいずれかのシステムであって、
上記動作は、
上記第1の磁界が存在しない状態で、上記外部ソースによって発生された磁界に関連付けられた磁界測定値を示す第1の行列を計算することと、
上記第1の行列に対する特異値分解を実行することで、上記第1の行列の複数の左特異ベクトルを含む第2の行列と、上記第1の行列に関連付けられた特異値を対角成分に含む第3の行列とを生成することとをさらに含む。
【0097】
実施例14:
実施例11~13のうちのいずれかのシステムであって、
上記受信されたデータを上記第1の基底から上記第2の基底に変換することは、上記受信されたデータに上記第2の行列を乗算することを含む。
【0098】
実施例15:
実施例11~14のうちのいずれかのシステムであって、
上記動作は、上記第3の行列の対角成分における予め決められた値以上の第1の特異値をゼロに少なくとも設定することと、上記第3の行列の対角成分における上記予め決められた値未満の第2の特異値を1に設定することにより、第4の行列を生成することをさらに含み、
上記複数の左特異ベクトルのうちの第1の左の特異ベクトルは、上記第1の特異値に関連付けられ、
上記第2の物体によって発生された磁界を示す上記予め決められた基底ベクトルは、上記第1の左特異ベクトルを含む。
【0099】
実施例16:
実施例11~15のうちのいずれかのシステムであって、
上記変換されたデータを変更することは、上記受信されたデータ及び上記第2の行列の間の乗算の結果に上記第4の行列を乗算することを含む。
【0100】
実施例17:
実施例11~16のうちのいずれかのシステムであって、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することは、上記変更されたデータに上記第2の行列の転置を乗算することを含む。
【0101】
実施例18:
実施例11~17のうちのいずれかのシステムであって、
上記動作は、上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分から、目標物体の磁気分極特性を特徴付ける上記目標物体の分極率を計算することをさらに含む。
【0102】
実施例19:
実施例11~18のうちのいずれかのシステムであって、
上記動作は、予め決められた軸に関する上記複数の磁界受信機のうちの1つ又は複数の回転から生じた磁界測定値を示す第5の行列を計算することをさらに含み、
第1の磁界受信機に関連付けられた上記第5の行列の行列要素は、上記第1の磁界受信機の角度変位に対して、上記角度変位に関連付けられた上記第1の磁界受信機のモードの予め決められた展開を少なくとも乗算することによって計算される。
【0103】
実施例20:
実施例11~19のうちのいずれかのシステムであって、
上記第1の物体は、検査されている目標物体であり、第2の物体は静止干渉物体である。
【0104】
実施例21:
少なくとも1つの物理コア及び複数の論理コアを備える少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサによって実行されたときに、上記少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサに下記の動作を実行させる命令を格納する非一時的な機械可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、
上記動作は、
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定することであって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定することと、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供することとを含む。
【0105】
実施例22:
実施例21のコンピュータプログラム製品であって、
上記決定することは、
上記信号を特徴付ける受信されたデータを第1の基底から第2の基底に変換することと、
第2の物体によって発生された磁界を示す予め決められた基底ベクトルに対する上記変換されたデータの射影に対応する上記変換されたデータの部分を少なくともキャンセルすることにより、上記変換されたデータを変更して、変更されたデータを生成することと、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することとを含む。
【0106】
実施例23:
実施例21~22のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記動作は、
上記第1の磁界が存在しない状態で、上記外部ソースによって発生された磁界に関連付けられた磁界測定値を示す第1の行列を計算することと、
上記第1の行列に対する特異値分解を実行することで、上記第1の行列の複数の左特異ベクトルを含む第2の行列と、上記第1の行列に関連付けられた特異値を対角成分に含む第3の行列とを生成することとをさらに含む。
【0107】
実施例24:
実施例21~23のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記受信されたデータを上記第1の基底から上記第2の基底に変換することは、上記受信されたデータに上記第2の行列を乗算することを含む。
【0108】
実施例25:
実施例21~24のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記動作は、上記第3の行列の対角成分における予め決められた値以上の第1の特異値をゼロに少なくとも設定することと、上記第3の行列の対角成分における上記予め決められた値未満の第2の特異値を1に設定することにより、第4の行列を生成することをさらに含み、
上記複数の左特異ベクトルのうちの第1の左の特異ベクトルは、上記第1の特異値に関連付けられ、
上記第2の物体によって発生された磁界を示す上記予め決められた基底ベクトルは、上記第1の左特異ベクトルを含む。
【0109】
実施例26:
実施例21~25のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記変換されたデータを変更することは、上記受信されたデータ及び上記第2の行列の間の乗算の結果に上記第4の行列を乗算することを含む。
【0110】
実施例27:
実施例21~26のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記変更されたデータを上記第2の基底から上記第1の基底に変換することは、上記変更されたデータに上記第2の行列の転置を乗算することを含む。
【0111】
実施例28:
実施例21~27のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記動作は、上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分から、目標物体の磁気分極特性を特徴付ける上記目標物体の分極率を計算することをさらに含む。
【0112】
実施例29:
実施例21~28のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記動作は、予め決められた軸に関する上記複数の磁界受信機のうちの1つ又は複数の回転から生じた磁界測定値を示す第5の行列を計算することをさらに含み、
第1の磁界受信機に関連付けられた上記第5の行列の行列要素は、上記第1の磁界受信機の角度変位に対して、上記角度変位に関連付けられた上記第1の磁界受信機のモードの予め決められた展開を少なくとも乗算することによって計算される。
【0113】
実施例30:
実施例21~29のうちのいずれかのコンピュータプログラム製品であって、
上記第1の物体は、検査されている目標物体であり、第2の物体は静止干渉物体である。
【0114】
実施例31:
システムは、
複数の磁界受信機によって取得された信号であって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び第1の物体の相互作用から生じた第2の磁界と、上記第1の磁界の内部及び/又は外部ソースによって発生された上記第1の磁界以外の外部磁界の内部における受信機の動きから生じた第3の信号との組み合わせから形成された信号を特徴付けるデータを受信する手段と、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける上記信号の成分を決定する手段であって、上記信号に対する上記第3の信号の寄与を特徴付けるマッピングを上記受信されたデータに乗算して上記第3の信号の寄与をキャンセルすることを少なくとも含む、上記成分を決定する手段と、
上記信号に対する上記第2の磁界の寄与を特徴付ける信号の上記決定された成分を提供する手段とを含む。
【0115】
実施例32:
実施例31のシステムは、
請求項2~10のうちのいずれかに記載の機能のうちのいずれかを実行する手段をさらに含む。
【0116】
これらのコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、構成要素、あるいはコードと呼ばれてもよく、これらのコンピュータプログラムは、プログラミング可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準の手続き型言語、オブジェクト指向型のプログラミング言語、関数型のプログラミング言語、論理プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語で実装可能である。本願における用法によれば、用語「機械可読媒体」は、機械命令及び/又はデータをプログラミング可能なプロセッサへ提供するために使用される、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラム可能論理回路(PLD)のような任意のコンピュータプログラム製品、装置、及び/又は機器を示し、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む。用語「機械可読信号」は、機械命令及び/又はデータをプログラミング可能なプロセッサへ提供するために使用される任意の信号を示す。機械可読媒体は、例えば、非一時的なソリッドステートメモリ又は磁気ハードドライブ又は任意の等価な記憶媒体のように、そのような機械命令を非一時的に格納してもよい。機械可読媒体は、代替として又は追加として、例えば、1つ又は複数の物理的プロセッサコアに関連付けられたプロセッサキャッシュ又は他のランダムアクセスメモリーのように、そのような機械命令を一時的に格納してもよい。
【0117】
ユーザとの対話を行うために、本願において説明した主題の1つ又は複数の態様又は特徴は、ユーザへ情報を表示するためのディスプレイ装置、例えば陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)モニタなどを有し、また、ユーザがコンピュータへ入力するために使用してもよいキーボードとマウス又はトラックボールのようなポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実装可能である。同様にユーザとの対話を行うために、他の種類の装置も使用可能である。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックのような、任意の形式の知覚フィードバックであってもよい。ユーザからの入力は、音声、スピーチ、又は触覚の入力を含むが、これらに限定されない任意の形式で受信されてもよい。他の可能な入力装置は、一点又は多点の抵抗性又は容量性トラックパッドのようなタッチスクリーン又は他の接触感応装置、音声認識ハードウェア及びソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、ディジタル画像取り込み装置及び関連付けられた解釈ソフトウェア、など含むが、これらに限定されない。
【0118】
上述の発明の詳細な説明及び請求項において、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」のような語句が、構成要素又は特徴の接続詞によるリストの後に現れることがある。用語「及び/又は」が、2つ以上の構成要素又は特徴のリストに現れることがある。これらの語句は、それを使用した文脈で暗黙的に又は明示的に否定されていない限り、列挙された構成要素又は特徴のうちの任意のものを個別に意味すること、又は、記載した構成要素又は特徴のうちの任意のものを他の記載した構成要素又は特徴のうちの任意のものと組み合わせたものを意味することを意図している。例えば、語句「A及びBの少なくとも1つ」、「A及びBの1つ又は複数」、及び「A及び/又はB」は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」をそれぞれ意味する。3つ以上の物を含むリストについて同様の解釈が意図される。例えば、語句「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの1つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」は、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、又はA及びB及びCのすべて」をそれぞれ意味することを意図する。さらに、上記及び請求項における用語「基づいて」の使用は、記載していない特徴又は構成要素があってもよいように、「少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図する。
【0119】
本願において説明した主題は、所望の構成に依存して、システム、装置、方法、及び/又は物として具体化されてもよい。以上の説明で示した実施例は、本願において説明した主題に該当するすべての実施例を表すわけではない。代わりに、それらは、説明した対処に関連する態様に該当するいくつかの例示にすぎない。少数の変形例について詳細に上述したが、他の変更又は追加も可能である。特に、本願において説明したものに加えて、別の特徴及び/又は変形例も提供することができる。例えば、上述した実施例は、開示した特徴の様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせに関してもよく、上に開示したいくつかの別の特徴の組み合わせ及び部分的な組み合わせに関してもよい。さらに、添付の図面に示され、及び/又は本願において説明した、複数の論理フローは、望ましい結果を達成するために、図示した特定の順序又は逐次的順序を必ずしも必要としない。他の実施例が、添付の請求項の範囲内にあってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】