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特表2024-535742シリコーンゴムに接着されたシリコーン感圧接着剤を含む積層物品の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】シリコーンゴムに接着されたシリコーン感圧接着剤を含む積層物品の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/00 20060101AFI20240925BHJP
   C09J 183/06 20060101ALI20240925BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240925BHJP
   C09J 183/02 20060101ALI20240925BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240925BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20240925BHJP
   B32B 25/20 20060101ALI20240925BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240925BHJP
   C09D 5/00 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C09J5/00
C09J183/06
C09J11/06
C09J183/02
C09J7/38
B32B7/12
B32B25/20
B32B27/00 101
C09D5/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513962
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 US2022074006
(87)【国際公開番号】W WO2023039317
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,550
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/335,733
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ビンビン
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル、ティモシー
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK04C
4F100AK42C
4F100AK51C
4F100AK52A
4F100AK52B
4F100AN10A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100CB05B
4F100JB16C
4F100JK06
4F100JL13B
4J004AA11
4J004AB01
4J004CA06
4J004CB03
4J004CD01
4J004DB03
4J004EA05
4J004EA06
4J038PA07
4J040EK021
4J040EK061
4J040GA05
4J040HD41
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA23
4J040LA01
4J040LA06
4J040MA12
4J040NA17
4J040PA00
(57)【要約】
積層物品は、シリコーンゴムを含む物品に接着されたシリコーン感圧接着剤を含む。積層物品を製作するための方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層物品を製作するための方法であって、前記方法が、
(1)縮合反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、前記出発材料が、
(P)GPCによって測定される10,000g/mol~<200,000g/molの重量平均分子量を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであって、出発材料(P)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて>20.5重量%の量で存在する、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンと、
(R)GPCによって測定される15,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有するヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、出発材料(R)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて、<79.5重量%の量で存在する、ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、
(S)溶媒と、
任意選択的に、(N)中和剤と、を含み、
出発材料(R)及び(P)が、2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在し、それによって反応混合物を生成する、ことと、
(2)前記反応混合物に(C)縮合反応触媒を添加し、それによって触媒反応混合物を生成することと、
(3)前記触媒反応混合物を>RT~145℃の温度で加熱し、水を除去することと、
任意選択的に、(4)(P)と(R)との縮合反応生成物を回収することと、
任意選択的に、(5)(R)及び(P)の合計重量に基づいて4重量%までの(X)過酸化物架橋剤を添加し、それによってシリコーン感圧接着剤組成物を形成することと、
任意選択的に、(6)バッキング基材の表面を処理することと、
(7)前記バッキング基材の前記表面に前記シリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることと、
(8)前記シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることと、
(9)前記シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、前記バッキング基材の前記表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤を形成することであって、前記シリコーン感圧接着剤層が、前記バッキング基材の前記表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、
任意選択的に、(10)シリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(11)シリコーン感圧接着剤の前記反対側表面と前記シリコーンゴム物品の前記表面とを接着することと、を含む、方法。
【請求項2】
出発材料(P)である前記ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンが式
【化1】

を有し、式中、各Rは、独立して選択される1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字aは、1分子当たりの二官能性シロキサン単位の平均数を表し、250≦a≦3,000である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発材料(R)である前記ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂が、単位式(R SiO1/2(SiO4/2(HO1/2を有し、式中、各Rは、独立して選択される1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字b及びcは、それぞれ、一官能性単位及び四官能性単位のモル分率を表し、下付き文字b及びcは、0.4≦b≦0.5、0.5≦c≦0.6、及び量(b+c)=1であるような値を有し、下付き文字dは、前記樹脂中のヒドロキシル基の量を表し、下付き文字dは、前記樹脂に2重量%~5重量%のヒドロキシル含量を与えるのに十分な値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(R)/(P)が2.9/1~<3.88/1である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(R)/(P)が2.9/1~3/1である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(N)前記中和剤が存在し、前記中和剤がシリルホスフェートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(C)前記縮合反応触媒が酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(5)が存在し、(X)前記過酸化物架橋剤がベンゾイルペルオキシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(6)が存在し、工程(6)が、前記バッキング基材の前記表面にプライマーを塗布することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(10)が存在し、工程(10)が、前記シリコーンゴムの前記表面をアルコールで洗浄することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(11)において、前記シリコーンゴムが30~50のデュロメータを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によって調製された積層物品。
【請求項13】
工程(7)における前記バッキング基材が剥離ライナーを含み、前記方法が、
工程(9)の後に前記剥離ライナーを除去することと、
任意選択的に、(12)第2のシリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(13)前記シリコーン感圧接着剤層の前記表面を前記第2のシリコーンゴム物品の前記表面に接着することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
積層物品を製作するための方法であって、前記方法が、
(1)縮合反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、前記出発材料が、
(P)GPCによって測定される10,000g/mol~<200,000g/molの重量平均分子量を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであって、出発材料(P)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて>20.5重量%の量で存在する、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンと、
(R)GPCによって測定される15,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有するヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、出発材料(R)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて、<79.5重量%の量で存在する、ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、
(S)溶媒と、
任意選択的に、(N)中和剤と、を含み、
出発材料(R)及び(P)が、2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在し、それによって反応混合物を生成する、ことと、
(2)前記反応混合物に(C)縮合反応触媒を添加し、それによって触媒反応混合物を生成することと、
(3)前記触媒反応混合物を>RT~145℃の温度で加熱し、水を除去することと、
任意選択的に、(4)(P)と(R)との縮合反応生成物を回収することと、
任意選択的に、(5)(R)及び(P)の合計重量に基づいて4重量%までの(X)過酸化物架橋剤を添加し、それによってシリコーン感圧接着剤組成物を形成することと、
任意選択的に、(6)シリコーンゴムを含むバッキング基材の表面を処理することと、
(7)前記バッキング基材の前記表面に前記シリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることと、
(8)前記シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることと、
(9)前記シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、前記バッキング基材の前記表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤層を形成することであって、前記シリコーン感圧接着剤層が、前記バッキング基材の前記表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、を含む、方法。
【請求項15】
任意選択的に、(10)シリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(11)シリコーン感圧接着剤層の前記反対側表面と前記シリコーンゴム物品の前記表面とを接着することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、それぞれ2021年9月8日及び2022年4月28日出願の米国仮特許出願第63/241,550号及び同第63/335,733号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/241,550号及び同第63/335,733号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、硬化させるとシリコーンゴムに対して良好な接着性を有するシリコーン感圧接着剤を形成することができるシリコーン感圧接着剤組成物を調製するための方法に関する。より詳細には、本発明は、硬化してシリコーン感圧接着剤を形成する過酸化物硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を調製するための方法に関する。積層物品は、シリコーンゴムを含む物品に接着されたシリコーン感圧接着剤を含む。
【背景技術】
【0003】
序論
米国特許第8,247,502号は、付加反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を開示している。しかしながら、付加反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、シリコーンゴムに対する接着性が不十分(例えば、典型的には≦1,000gf/インチ)であるという欠点に悩まされることがある。
【0004】
現在市販されているシリコーン感圧接着剤は、シリコーンゴム基材に対して比較的弱い接着強度を提供するという欠点に悩まされる可能性がある。この弱い接着力は、エレクトロニクス用途、自動車用途、及びマスキングテープ用途においてなど、シリコーン感圧接着剤がシリコーンゴムへの結合に使用される用途での必要性を満たすことができないことがよくある。
【発明の概要】
【0005】
積層物品を製作するための方法が提供される。本方法は、
(a)縮合反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(P)GPCによって測定される10,000g/mol~<200,000g/molの重量平均分子量を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンと、
(R)GPCによって測定される15,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有するヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、
出発材料(R)及び(P)が、2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在する、ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、
(S)溶媒と、を含み、それによって反応混合物を生成する、ことと、
(b)反応混合物に(C)縮合反応触媒を添加し、それによって触媒反応混合物を生成することと、
(c)触媒反応混合物を>RT~145℃の温度で加熱し、水を除去し、それによってシリコーン感圧接着剤組成物を形成することと、
(d)バッキング基材の表面にシリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることと、
(e)シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることと、
(f)シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、バッキング基材の表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤層を形成することであって、シリコーン感圧接着剤層が、バッキング基材の表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、
(g)シリコーン感圧接着剤の反対側表面とシリコーンゴム物品の表面とを接着することと、を含む。シリコーンゴム物品に接着するシリコーン感圧接着剤を含む積層物品を、本方法によって調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】積層物品100の部分断面図である。
図2】積層物品200の部分断面図である。
【0007】
参照番号
100 積層物品の部分断面
101 バッキング基材
101b バッキング基材101の表面
102 シリコーン感圧接着剤
102a シリコーン感圧接着剤102の表面
102b シリコーン感圧接着剤102の反対側表面
103 シリコーンゴム物品
103a シリコーンゴム物品103の表面
200 積層物品の部分断面
201 シリコーンゴムを含むバッキング基材
201b バッキング基材201の表面
202 シリコーン感圧接着剤
202a シリコーン感圧接着剤202の表面
202b シリコーン感圧接着剤202の反対側表面
【発明を実施するための形態】
【0008】
積層物品を製作するための方法は、
(1)縮合反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(P)GPCによって測定される10,000g/mol~<200,000g/molの重量平均分子量を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであって、出発材料(P)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて>20.5重量%の量で存在する、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンと、
(R)GPCによって測定される15,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有するヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、出発材料(R)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて、<79.5重量%の量で存在する、ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、
(S)溶媒と、
任意選択的に、(N)中和剤と、を含み、
出発材料(R)及び(P)が、2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在し、それによって反応混合物を生成する、ことと、
(2)反応混合物に(C)縮合反応触媒を添加し、それによって触媒反応混合物を生成することと、
(3)触媒反応混合物を>RT~145℃の温度で加熱し、水を除去することと、
任意選択的に、(4)(P)と(R)との縮合反応生成物を回収することと、
任意選択的に、(5)(R)及び(P)の合計重量に基づいて4重量%までの(X)過酸化物架橋剤を添加し、それによってシリコーン感圧接着剤組成物を形成することと、
任意選択的に、(6)バッキング基材の表面を処理することと、
(7)バッキング基材の表面にシリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることと、
(8)シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることと、
(9)シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、バッキング基材の表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤層を形成することであって、シリコーン感圧接着剤層が、バッキング基材の表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、
任意選択的に、(10)シリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(11)シリコーン感圧接着剤の反対側表面とシリコーンゴム物品の表面とを接着することと、を含む。
【0009】
上記の方法の工程(1)は、任意の好都合な手段、例えば、上記で導入され、以下で詳細に記載されるような(P)、(R)、(S)、及び任意選択的に(N)を含む出発材料を、任意選択的に撹拌装置及びジャケッティングを備えた、バッチ反応器中で混合することによって実施され得る。縮合反応は、20℃~150℃、あるいはRTから出発材料(S)、溶媒の還流温度までの温度で実施され得る。反応時間は、出発材料の選択及び温度を含む様々な要因に依存するが、工程(1)における縮合反応は、例えば、0.5時間~20時間、あるいは1時間~10時間で行われ得る。縮合反応は、例えば、Cifuentesらの米国特許第5,916,981号に記載されるように、適切な出発材料を以下に記載されるものに変更することによって行われ得る。
【0010】
(P)ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン
出発材料(P)は、工程(1)で使用されるビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン(ポリマー)である。このポリマーは、式
【0011】
【化1】

を有し得、式中、各Rは、独立して選択される1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字aは、1分子当たりの二官能性シロキサン単位の平均数を表し、250≦a≦3,000、あるいは270≦a≦2,000である。あるいは、下付き文字aは、少なくとも250、あるいは少なくとも270、あるいは少なくとも300、あるいは少なくとも350、あるいは少なくとも400、あるいは少なくとも450、あるいは少なくとも500であり得、それと同時に、下付き文字aは、最大3,000、あるいは最大2,500、あるいは最大2,100、あるいは最大2,000、あるいは最大1,900、あるいは最大1,800であり得る。Rのアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及びイソブチルを含む)、ペンチル(n-ペンチル、シクロペンチル、及び5個の炭素原子を有する分岐異性体を含む)、及びヘキシル(n-ヘキシル、シクロヘキシル、及び6個の炭素原子を有する分岐異性体を含む)が挙げられる。あるいは、各Rは、メチル又はエチル、あるいはメチルであってもよい。
【0012】
出発材料(A)に好適なポリマーは、当該技術分野において既知であり、Gelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)及びDSCなどの様々な供給元から市販されている。好適なポリマーの例としては、20,000g/mol~150,000g/mol、あるいは40,000g/mol~135,000g/molのMwを有するビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられ、Mwは、GPCによって測定することができる。
【0013】
(R)ポリオルガノシリケート樹脂
出発材料(R)は、工程(1)で使用されるヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂(樹脂)である。樹脂は、式R SiO1/2の一官能性単位及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)を含み、式中、Rは上記のとおりである。あるいは、一官能性単位は、式(MeSiO1/2)のM単位によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、及びこれらの組み合わせなどの脂肪族及び/又は芳香族炭化水素によって例示される、出発材料(S)として以下に記載されるものなどの溶媒に可溶性である。
【0014】
調製されると、樹脂は、上記の一官能性単位及び四官能性単位を含み、樹脂はケイ素結合ヒドロキシル基を有する単位を更に含み、式Si(OSiR のネオペンタマーを含み得(式中、Rは上記のとおりである)、例えば、ネオペンタマーはテトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。樹脂中に存在するシラノール基の濃度は、ASTM標準E-168-16に従ったFTIR分光法を使用して測定され得る。一官能性単位と四官能性単位とのモル比であり、上記比は、ネオペンタマーから一官能性単位及び四官能性単位を除外した{M(樹脂)}/{Q(樹脂)}、又はM:Qとして表現される。M:Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂における樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(一官能性単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M:Q比は、0.5:1~1.5:1であってもよい。
【0015】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRによって表されるアルキル基の種類を含む様々な要因に依存する。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,000Da超、あるいは>3,000~8,000Daであってもよい。あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500~8,000Daであってもよい。ポリオルガノシリケート樹脂のMwは、GPCを使用して測定される重量平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMwは、15,000Da~30,000Da、あるいは20,000Da~30,000Da、あるいは21,000g/mol~29,500g/molであってもよい。
【0016】
ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの同第4,611,042号、及びButlerらの同第4,774,310号に開示されているものなどのシリカヒドロゾルキャッピング法によって調製することができる。上述のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルを、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン、又はそれらの混合物と反応させ、一官能性単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することを伴う。得られたコポリマーは概ね、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0017】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであることができる。トリオルガノシランは、式R SiXを有し得、式中、Rは、上記のとおりであり、Xは、ヒドロキシルなどの加水分解性置換基を表す。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX を有し得、式中、各Xは、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0018】
出発材料(R)のために選択される樹脂は、単位式(R SiO1/2(SiO4/2(HO1/2を有し得、式中、各Rは、上記のように、独立して選択される1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字b及びcは、それぞれ、一官能性単位及び四官能性単位のモル分率を表し、下付き文字b及びcは、0.4≦b≦0.5、0.5≦c≦0.6、及び量(b+c)=1であるような値を有し、下付き文字dは、樹脂中のヒドロキシル基の量を表し、下付き文字dは、樹脂に2重量%~5重量%のヒドロキシル含量を与えるのに十分な値を有する。樹脂は、GPCによって測定される15,000g/mol~30,000g/molのMwを有し得る。あるいは、樹脂は、20,000g/mol~30,000g/mol、あるいは21,000g/mol~30,000g/mol、あるいは21,000g/mol~29,500g/mol、あるいは21,000g/mol~29,100g/molのMwを有し得る。好適な樹脂は、当該技術分野において既知であり、例えば、DSCから市販されている。
【0019】
樹脂(R)及びポリマー(P)は、>2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在する。あるいは、(R)/(P)は、2.9/1~<3.88/1であり得、あるいは(R)/(P)は2.9/1~3/1であり得る。理論に束縛されることを望むものではないが、≦2.27/1の(R)/(P)は、シリコーンゴムへの不十分な接着性を有するシリコーン感圧接着剤をもたらし得るが、>3.88/1の(R)/(P)は、ガラス状であると同時に、シリコーンゴムへの十分な接着性を欠く、シリコーン感圧接着剤をもたらし得ると考えられる。
【0020】
(S)溶媒
出発材料(S)は、溶媒である。溶媒は、(R)樹脂などの特定の出発材料の導入を容易にするために、工程(1)及び任意選択的に、より後の工程、例えば、工程(2)の間に添加され得る。本明細書で使用され得る溶媒は、出発材料の流動化に役立つが、出発材料と本質的に反応しないものである。溶媒は、出発材料の溶解性及び溶媒の揮発性に基づいて選択されてもよい。「溶解性」とは、溶媒が出発材料を溶解及び/又は分散させるのに十分であることを指す。「揮発性」とは、溶媒の蒸気圧を指す。理論に束縛されることを望むものではないが、溶媒があまりにも揮発性である(あまりにも高い蒸気圧を有する)場合、溶媒は、工程(3)の間にあまりにも急速に反応混合物から揮発し得ると考えられる。しかしながら、溶媒が十分に揮発性でない(蒸気圧が低すぎる)場合、工程(3)で調製された縮合反応生成物中にあまりに多くの溶媒が残る可能性があり、並びに/又は縮合反応の副生成物として生成された水が、工程(3)及び存在する場合には工程(4)の間に十分に除去されない可能性がある。
【0021】
好適な溶媒としては、好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン及び他の低分子量ポリオルガノシロキサン、例えば、0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200流体及びDOWSIL(商標)OS流体(これらは、DSCから市販されている)が挙げられる。
【0022】
あるいは、溶媒は有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、若しくはメチルイソブチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン若しくはキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン若しくはオクタンなどの脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、例えばプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又はエチレングリコールn-ブチルエーテル、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン又は塩化メチレン;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット;ミネラルスピリット、ナフサ、n-メチルピロリドン;又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0023】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、並びに剥離コーティング組成物のために選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なる。しかしながら、溶媒の量は、工程(1)における全ての出発材料の重量に基づいて1%~99%、あるいは2%~90%の範囲であってもよい。溶媒の全て又は一部は、任意選択的に、工程(3)の間及び/又は後に除去され得る。例えば、工程(2)及び(3)における縮合反応の副生成物として水が形成され得る。反応を進行させるために、この水の一部又は全部は、例えば、溶媒との共沸蒸留によって、除去され得る。
【0024】
(N)中和剤
出発材料(N)である中和剤は、任意選択である。中和剤はシリルホスフェートを含み得る。理論に束縛されるものではないが、中和剤は、その縮合反応の前に、上述の(R)樹脂及び/又は(P)ポリマー中の不純物を除去するために添加され得ると考えられる。中和剤は、例えば、シリルホスフェートであり得る。ビス(トリメチルシリル)水素ホスフェートなどのシリルホスフェートは、DSCから市販されている。
【0025】
中和剤の量は、選択される(P)ポリマー及び(R)樹脂のタイプを含む様々な要因に依存するが、中和剤の量は、出発材料(P)、(R)、(C)、及び(N)の合計重量に基づいて0.005%~0.02%であり得る。
【0026】
(C)縮合反応触媒
工程(2)において添加される出発材料(C)は、上記の(P)ポリマー及び(R)樹脂のヒドロキシル基の縮合反応を触媒することができる縮合反応触媒である。縮合反応触媒は特に限定されず、酸、又は塩基縮合反応触媒を含み得る。例えば、好適な塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムなどの金属水酸化物、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムなどの炭酸塩、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、ナトリウムメトキシド及びカリウムブトキシドなどの金属アルコキシド、ブチルリチウム、カリウムシラノレートなどの有機金属化合物、並びにアンモニアガス、アンモニア水、メチルアミン、トリメチルアミン及びトリエチルアミンなどの窒素化合物が挙げられる。あるいは、縮合反応触媒は酸であってもよく、例えば、酢酸、安息香酸、オクタン酸及びクエン酸などの有機酸、並びに塩酸、硫酸及びリン酸などの鉱酸が好適である。あるいは、縮合反応触媒は、有機酸、例えば、安息香酸などの酸触媒であってもよい。
【0027】
好適な縮合反応触媒は、様々な提供元、例えば、Sigma Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)及びAcrosから市販されている。触媒の量は、触媒選択のタイプ及び工程(1)の温度を含む様々な要因に依存するが、触媒の量は、出発材料(P)、(R)、(C)、及び(N)の合計重量に基づいて0.1%~0.5%であり得る。
【0028】
上記の方法における工程(4)は、任意選択である。(P)ポリマー及び(R)樹脂の縮合反応生成物が形成された後、縮合反応生成物は、未反応の出発材料、溶媒、及び副生成物としての水を更に含み得る。工程(4)において、縮合反応生成物は回収されてもよく、例えば、溶媒、水、及び未反応の出発材料は、例えば、蒸留及び/又はストリッピングにより、任意選択的に加熱及び/又は減圧下で除去され得る。
【0029】
上記の方法における工程(5)は、任意選択である。工程(3)又は工程(4)後の反応生成物は、存在する場合、シリコーン感圧接着剤組成物を形成するために使用され得る。あるいは、温度などの他の条件が一定に保たれるならば、(X)過酸化物架橋剤を工程(5)で添加して、過酸化物架橋剤が存在しない場合よりも速く硬化し得るシリコーン感圧接着剤組成物を形成してもよい。
【0030】
(X)過酸化物架橋剤
工程(5)が存在する場合に添加される出発材料(X)は、過酸化物架橋剤である。過酸化物架橋剤は、ベンゾイルペルオキシド;4-モノクロロベンゾイルパーオキシド;t-ブチルペルオクトエート;t-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルクミルパーオキシド、tert-ブチルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン;2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド;ジ-tertブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン;1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン;クミル-tert-ブチルパーオキシド;ジクミル過酸化物、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロ過酸化物、クメンヒドロペルオキシド;ジ-t-アミルペルオキシド、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせなどの、有機ペルオキシド又はヒドロペルオキシドであり得る。加えて、ジ-ペルオキシド過酸化物架橋剤は、単独で、又は他のジ-ペルオキシド架橋剤と組み合わせて使用されてもよい。そのようなジ-ペルオキシド過酸化物架橋剤としては、限定されるものではないが、1,4-ビス-(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、1,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、及び2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシンが挙げられる。出発材料(X)として使用する好適な過酸化物架橋剤は、当技術分野において既知であり、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)などの様々な供給業者から市販されている。
【0031】
出発材料(X)は、1種の過酸化物架橋剤又は2種以上の過酸化物架橋剤の組み合わせを含み得る。工程(5)において添加される出発材料(X)の量は、選択される過酸化物架橋剤のタイプ及び量、並びに(P)ポリマー及び(R)樹脂の選択を含む様々な要因に依存するが、過酸化物架橋剤の量は、存在する場合、出発材料(P)、(R)、(C)、及び(S)の合計重量に基づいて、0.1重量%~4重量%、あるいは1重量%~4重量%、あるいは2重量%~3重量%であり得る。
【0032】
本明細書に記載の方法における工程(6)は、任意選択である。しかしながら、工程(6)は、バッキング基材へのシリコーン感圧接着剤の結合を改善するために本方法に含まれ得る。したがって、接着剤物品を形成するための方法は、任意選択的に、(6)シリコーン感圧接着剤組成物を塗布する前にバッキング基材の表面を処理することを更に含み得る。表面を処理することは、シリコーン感圧接着剤組成物を表面に塗布する前に、プライマーを塗布すること、又は表面をコロナ放電処理、エッチング、若しくはプラズマ処理に供することなど、任意の好都合な手段によって実施され得る。あるいは、表面を処理することは、バッキング基材の表面にプライマーを塗布することを含み得る。
【0033】
工程(7)である、バッキング基材の表面上にシリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることは、任意の好都合な手段によって実施することができる。例えば、シリコーン感圧接着剤組成物は、グラビアコータ、コンマコータ、オフセットコータ、オフセットグラビアコータ、ローラーコータ、リバースローラーコータ、エアナイフコータ、スロットダイ、又はカーテンコータによって塗布され得る。
【0034】
本明細書に記載の方法では、工程(7)~(9)は、湿式キャスティング又は乾式キャスティングを介して実施され得る。湿式キャスティングにおいて、シリコーン感圧接着剤層は、以下に記載されるポリマーフィルム及び/又は発泡体などのバッキング基材に恒久的に接着され得る。
【0035】
バッキング基材は、シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させてバッキング基材の表面上にシリコーン感圧接着剤を形成するための工程(9)において使用される硬化条件に耐えることができる任意の材料とすることができる。例えば、120℃以上、あるいは150℃の温度での熱処理に耐えることができる任意のバッキング基材が好適である。そのようなバッキング基材に適した材料の例としては、ポリマーフィルム及び/又は発泡体が挙げられ、これらは、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィド(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)を含み得る。あるいは、バッキング基材はガラスであり得る。あるいは、バッキング基材は、例えば、シリコーン感圧接着剤が乾式キャスティング法で使用される場合、剥離ライナーであってもよい。バッキング基材の厚さは、重要ではない。しかしながら、厚さは、5μm~300μm、あるいは10μm~200μmであり得る。あるいは、工程(7)において使用されるバッキング基材は、PE、PU、TPE、及びTPUからなる群から選択され得る。
【0036】
本方法の工程(8)は、シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることを含む。乾燥させることは、溶媒の全部又は一部を蒸発させるのに十分であるが、シリコーン感圧接着剤組成物を完全に硬化させるには不十分な温度及び時間で加熱するなど、任意の好都合な手段によって実施され得る。例えば、乾燥させることは、50℃~120℃、あるいは70℃~100℃、あるいは70℃~80℃の温度で、溶媒の全部又は一部を除去するのに十分な時間(例えば、30秒~1時間、あるいは1分~5分)加熱することによって実施され得る。
【0037】
乾燥させた後、本方法は、工程(9)である、シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、バッキング基材の表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤層を含む積層物品を形成することであって、シリコーン感圧接着剤層が、バッキング基材の表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、を更に含む。
【0038】
工程(9)において感圧接着剤組成物を硬化させることは、感圧接着剤組成物を硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)、80℃~200℃、あるいは90℃~210℃、あるいは150℃~205℃、あるいは180℃~205℃の温度で加熱することによって実施され得る。硬化速度を増加させる必要がある場合、又はプロセスオーブン温度を下げる必要がある場合は、(X)過酸化物架橋剤の量を増加させることができる。これにより、バッキング基材の表面にシリコーン感圧接着剤が形成される。硬化させることは、バッキング基材をオーブン内に入れることによって実施され得る。バッキング基材に塗布されるシリコーン感圧接着剤組成物の量は、特定用途に依存するが、その量は、シリコーン感圧接着剤の硬化後の厚みが5マイクロメートル~100マイクロメートルであり得るように十分であり得る。
【0039】
本明細書に記載の方法は、任意選択的に、工程(9)後の追加の工程を更に含み得る。追加の工程は、例えば、使用前のシリコーン感圧接着剤を保護するために、バッキング基材とは反対側のシリコーン感圧接着剤層の反対側表面に除去可能な剥離ライナーを適用することを含む(例えば、バッキング基材がポリマーフィルム及び/若しくは発泡体、又はガラスである場合)。剥離ライナーは、シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させる前、硬化中、又は硬化後、あるいは硬化後に、適用することができる。
【0040】
工程(9)において調製されたシリコーン感圧接着剤は、シリコーンゴム物品に接着する。理論に束縛されることを望むものではないが、工程(9)において調製されたシリコーン感圧接着剤は、以下の実施例に記載される剥離接着力試験方法に従って試験した場合に、シリコーンゴムに対して>1,000gf/in、あるいは>1,200gf/in、あるいは>1,500gf/inの接着力を有し得ると同時に、接着力は、最大2,600gf/in、あるいは最大2,500gf/in、あるいは最大2,300gf/inであり得ると考えられる。
【0041】
シリコーンゴム物品の処理は、この接着性のために必要とされないが、本方法は、任意選択的に、工程(10)である、シリコーンゴム物品の表面を処理することを更に含んでもよく、これは、シリコーンゴム物品の表面へのシリコーン感圧接着剤の接着性を促進及び/又は改善し得る。シリコーンゴム物品の表面を処理することは、シリコーンゴムの表面を、例えば、イソプロパノールなどのアルコールで洗浄すること、又は工程(6)において上述した表面処理のいずれかなど、任意の好都合な手段によって実施され得る。
【0042】
シリコーンゴム物品は特に限定されない。シリコーンゴム物品は、ASTM D2240によって測定される、30~75、あるいは30~50のデュロメータ、ショアAを有し得る。液体シリコーンゴム(LSR)及び高粘度ゴム(HCR)が、シリコーンエラストマー用に使用され得る。LSRは、当該技術分野において既知であり、Conwayらの米国特許第5,777,002号又はJeramらの米国特許第8,198,357号に開示されているものなど、既知の方法によって作製され得る。あるいは、シリコーンゴム物品は、本明細書で調製される積層物品の所望の最終用途に基づいて選択されてもよい。
【0043】
例えば、光学シリコーンエラストマー(光学LSR)は、当該技術分野において既知であり、例えば、Hasegawaらの米国特許第8,859,693号、及びAkitomoらの米国特許第8,853,332号に記載されている。光学LSRは、市販される。例えば、光学LSRは、成形可能な光学シリコーンエラストマーであるSILASTIC(商標)MS-1001、MS-1002、MS-1003、MS-4001、MS-4002、及びMS-4007を含み、並びにSYLGARD(商標)182、184、及び186は、他の光学シリコーンエラストマーであり、これらは全てDSCから市販されている。
【0044】
あるいは、XIAMETER(商標)RBL-2004-30、XIAMETER(商標)RBL-2004-50 SILASTIC(商標)9202-50 LSR、SILASTIC(商標)LCF 3760、及びSILASTIC(商標)LCF3600などのLSR、又はTDCCからのVarox(商標)DBPH-50、若しくは各々がDSCからの、SILASTIC(商標)RBC 7600-50、XIAMETER(商標)RBB 2000-35、XIAMETER(商標)RBB 2001-65、XIAMETER(商標)RBB-2030-40EN、XIAMETER(商標)RBB-6660-60EN、XIAMETER(商標)RBB-2002-30 Base、XIAMETER(商標)RBB-2004-60、若しくはXIAMETER(商標)RBB-2220-70などのHCRが使用され得る。
【0045】
本明細書に記載の方法は、工程(11)として、工程(9)に記載のシリコーン感圧接着剤の反対側表面と、シリコーンゴム物品の表面とを接着することを更に含む。工程(11)は、シリコーンゴム物品の表面とシリコーン感圧接着剤の反対側表面とを接触させ、圧力を加えることなど、任意の好都合な手段によって実施され得る。シリコーン感圧接着剤の反対側表面を保護するために剥離ライナーが使用される場合、剥離ライナーは、シリコーンゴム物品の表面とシリコーン感圧接着剤の反対側表面とを接触させる前に除去される。工程(11)で調製して得られた製品は、積層物品である。上記の湿式キャスティング法において、積層物品は、ポリマーフィルム、ポリマー発泡体又はガラスから選択されるバッキング基材と、上記のシリコーン感圧接着剤と、シリコーンゴム物品とを含み得る。
【0046】
あるいは、上記の工程(7)~(9)において乾式キャスティングが使用される場合、バッキング基材は剥離ライナーを含む。剥離ライナーは、シリコーン感圧接着剤層を自立フィルムとして形成するために、工程(9)の後に除去され得る。あるいは、剥離ライナーは、工程(11)の後に除去されてもよい。乾式キャスティングが実施される場合、本方法は、
任意選択的に、(12)第2のシリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(13)シリコーン感圧接着剤層の表面(剥離ライナーの除去により露出している)を第2のシリコーンゴム物品の表面に接着することとを更に含み得る。
【0047】
第2のシリコーンゴム物品は、工程(11)での使用について上述したとおりである。第2のシリコーンゴム物品は、工程(11)で使用されるシリコーンゴム物品と同じであり得る。あるいは、第2のシリコーンゴム物品は、工程(11)で使用されるシリコーンゴム物品とは異なり得る。この場合、本方法によって形成される積層物品は、シリコーンゴム物品と第2のシリコーンゴム物品との間に挟まれたシリコーン感圧接着剤層を有する。
【0048】
図1は、上述した方法によって調製される積層物品(100)の部分断面図を示す。積層物品(100)は、表面(102a)及び反対側の表面(102b)を有するシリコーン感圧接着剤(102)を含む。シリコーン感圧接着剤(102)の反対側表面(102b)は、以下の実施例に記載される試験方法によって測定される>1,000gf/inの剥離接着力でシリコーンゴム物品(103)の表面(103a)に接着する。シリコーン感圧接着剤(102)は、10μm~200μmの厚さを有し得る。シリコーン感圧接着剤(102)は、表面(101b)を有するバッキング基材(101)に接着している。シリコーン感圧接着剤(102)の表面(102a)は、バッキング基材(101)の表面(101b)に接触している。バッキング基材(101)は、PE、PU、TPU、及びTPEからなる群から選択され得、10μm~200μmの厚さを有し得る。シリコーンゴム物品(103)は、上記のように、LSR又はHCRであり得る。
【0049】
シリコーン感圧接着剤組成物は、湿式キャスティングによる積層物品(100)の製作において使用され得る。例えば、シリコーン感圧接着剤組成物は、バッキング基材(101)の表面(101b)に塗布され、硬化されて、シリコーン感圧接着剤(102)を形成し得る。あるいは、シリコーン感圧接着剤組成物は、シリコーンゴム物品(103)の表面(103a)に塗布され、硬化されて、シリコーン感圧接着剤(102)を形成し得る。あるいは、シリコーン感圧接着剤組成物は、剥離ライナーの表面に塗布され、硬化されて、シリコーン感圧接着剤(102)を形成し得る。その後、シリコーンゴム物品(103)の表面(103a)は、シリコーン感圧接着剤(102)の反対側表面(102b)に接触させられ得、バッキング基材(101)の表面(101b)は、シリコーン感圧接着剤(102)の表面(102a)に接触させられ得る。圧力が適用されて、バッキング基材(101)、シリコーン感圧接着剤(102)、及びシリコーンゴム物品(103)の層をともに接着させ得る。
【0050】
あるいは、湿式キャスティングが使用されて、上記のシリコーンゴム及びシリコーン感圧接着剤を含むバッキング基材と、任意選択的に、(第2の)シリコーンゴム物品とを含む積層物品を調製し得る。この方法において、バッキング基材は、以下に記載される、工程(11)において使用される(第2の)シリコーンゴム物品と同じ又は異なるシリコーンゴム物品であり得る。あるいは、バッキング基材は、シリコーンゴムを含浸させたメッシュ(上記のように、ポリマー材料から製作され得る)など、2種以上の構成材料を含み得る。積層物品を製作するためのこの方法は、
(1)縮合反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(P)GPCによって測定される10,000g/mol~<200,000g/molの重量平均分子量を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであって、出発材料(P)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて>20.5重量%の量で存在する、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンと、
(R)GPCによって測定される15,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有するヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、出発材料(R)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて、<79.5重量%の量で存在する、ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、
(S)溶媒と、
任意選択的に、(N)中和剤と、を含み、
出発材料(R)及び(P)が、2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在し、それによって反応混合物を生成する、ことと、
(2)反応混合物に(C)縮合反応触媒を添加し、それによって触媒反応混合物を生成することと、
(3)触媒反応混合物を>RT~145℃の温度で加熱し、水を除去することと、
任意選択的に、(4)(P)と(R)との縮合反応生成物を回収することと、
任意選択的に、(5)(R)及び(P)の合計重量に基づいて4重量%までの(X)過酸化物架橋剤を添加し、それによってシリコーン感圧接着剤組成物を形成することと、
任意選択的に、(6)シリコーンゴムを含むバッキング基材の表面を処理することと、
(7)バッキング基材の表面にシリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることと、
(8)シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることと、
(9)シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、バッキング基材の表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤を形成することであって、シリコーン感圧接着剤層が、バッキング基材の表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、を含む。この方法は、任意選択的に、
任意選択的に、(10)シリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(11)シリコーン感圧接着剤の反対側表面とシリコーンゴム物品の表面とを接着することと、を更に含み得る。
【0051】
図2は、上述した方法によって調製される積層物品(200)の部分断面図を示す。積層物品(200)は、表面(202a)及び反対側表面(202b)を有するシリコーン感圧接着剤(202)を含む。シリコーン感圧接着剤(202)は、10μm~200μmの厚さを有し得る。シリコーン感圧接着剤(202)は、以下の実施例に記載される試験方法によって測定される>1,000gf/inの剥離接着力で、シリコーンゴム(201)を含み、表面(201b)を有するバッキング基材に接着している。シリコーン感圧接着剤(202)の表面(202a)は、バッキング基材(201)の表面(201b)に接触している。バッキング基材(201)は、上述したように、LSR又はHCRなどのシリコーンゴム物品であり得る。あるいは、バッキング基材(201)は、シリコーンゴムを含浸させたメッシュを含み得る。
【0052】
シリコーン感圧接着剤組成物は、湿式キャスティングによる積層物品(200)の製作において使用され得る。例えば、シリコーン感圧接着剤組成物は、バッキング基材(201)の表面(201b)に塗布され、硬化されて、シリコーン感圧接着剤(202)を形成し得る。
【実施例
【0053】
以下の実施例は、当業者に本発明を例解するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例で使用した出発物質を表1に記載する。
【0054】
【表1】
【0055】
TDCCは、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan、USA)を意味する。DSCは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan、USA)を意味する。
【0056】
この参考例1では、縮合反応生成物(高粘度化樹脂)を以下のように調製した。PDMSポリマー、MQ樹脂、溶媒、及び中和剤を三つ口フラスコ内においてRTで組み合わせた。フラスコの内容物を、中口のステンレス鋼撹拌パドルを用いて250rpmで20分間撹拌した。次いで、撹拌しながら縮合触媒を添加した。別の口をディーンスタークトラップに接続し、次いで水道水冷却能力を有する凝縮器に接続した。最後の口には、システムを閉じる温度計及び窒素掃引アダプターを収容した。最後に、内部に混合物を有する三つ口フラスコを、温度制御を有する加熱マントル上に取り付け、145℃の反応温度に加熱した。反応を還流開始から3時間続けた。この手順に従って、高粘度化樹脂IE1~IE6及びCE1~CE19を調製した。
【0057】
この参考例2では、比較シリコーン感圧接着剤組成物CE20を以下のように調製した。出発材料を歯科用ミキサーカップに加え、均質になるまで3500rpmで30秒間混合した。この低温ブレンドPSAを直ちにコーティング/硬化プロセスに使用した。
【0058】
この参考例3では、過酸化物架橋剤を添加して過酸化物硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を形成し、これをバッキング基材上にコーティングし、以下のように硬化させた。過酸化物硬化性シリコーン感圧接着剤組成物(IE1~IE6及びCE1~CE21)については、過酸化物架橋剤(トルエン中)及び溶媒1を、歯科用ミキサーカップ内で、上記の参考例1及び2に記載したように調製した各組成物に添加して、50重量%の固体レベル及び2重量%の過酸化物架橋剤レベルに到達させた。試料IE6については、過酸化物架橋剤レベルを硬化工程において変化させた(0重量%の過酸化物架橋剤レベルについてはIE6A、1重量%の過酸化物架橋剤レベルについてはIE6B、3重量%の過酸化物架橋剤レベルについてはIE6C)。得られた試料を均質になるまで3500rpmで30秒間混合した。各試料を、3ミルのコーティングバーを使用して2ミル厚のポリエステル(PET)シート上にコーティングすることによって塗布試験用に調製した。次いで、各シートを80℃のオーブン内で2分間硬化させ、続いて180℃で2分間硬化させた。
【0059】
この参考例4において、比較ヒドロシリル化硬化性感圧接着剤組成物CE22を以下のように調製した。PSAを最初に歯科用ミキサーカップに加えた。次に、触媒3を混合物に添加し、均質になるまで3500rpmで30秒間混合した。
【0060】
この参考例5では、ヒドロシリル化硬化性感圧接着剤組成物CE22を、3ミルのコーティングバーを使用して2ミル厚のポリエステル(PET)シート上にコーティングした。次いで、各シートを、150℃で硬化させるオーブン内で3分間硬化させた。
【0061】
出発材料、及び各試料を調製するために使用した量を以下の表2~表7に示す。
【0062】
この参考例6では、シリコーンゴム基材を、以下のように製作した。
液体シリコーンゴム(LSR)基材は、DSCからの、XIAMETER(商標)RBL-2004-30 LSR及びXIAMETER(商標)RBL-2004-50 LSR試料であった。パートA及びパートBを混合するために、100gのパートA及び100gのパートBを歯科用ミキサーカップに添加し、3サイクル混合し、各サイクルは1800rpmで20秒間行った。材料が歯科用カップの底及び角に付着しないことを確実にするために、サイクル間にカップの付着物をこすり落とし、手動で混合した。この混合物を研磨したブックモールド又はテフロンで裏打ちされたチェイスに移し、350°Fで5分間硬化させた。
【0063】
過酸化物硬化高粘度ゴム(HCR)基材を、60百分率(phr)のXIAMETER(商標)RBB 2000-35及び40phrのXIAMETER(商標)RBB 2001-65を2ロールミルでブレンドすることによって調製した。1.0phrのVarox(商標)DBPH-50(45%の2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、及び55%の炭酸カルシウム/シリカ)をブレンド内に粉砕した。材料をミルからシート状にし、10インチ×10インチ×0.78インチのチェイスに入れ、30トンの圧力下、350°Fで10分間プレス硬化させた。チェイスをプレスから取り出し、冷却し、スラブをチェイスから取り出した。
【0064】
白金硬化HCR基材を以下のように調製した。SILASTIC(商標)RBC 7600-50を2ロールミルで粉砕した。材料をミルからシート状にし、10インチ×10インチ×0.78インチのチェイスに入れ、30トンの圧力下、350°Fで10分間プレス硬化させた。チェイスをプレスから取り出し、冷却し、スラブをチェイスから取り出した。
【0065】
この参考例7では、参考例3及び5に従って調製した感圧接着剤の、参考例6に従って調製したシリコーンゴムに対する接着性を以下のように測定した。
【0066】
剥離接着力:剥離接着力(180°)をPSTC-101標準に従って試験した。2ミルのポリエステルフィルム(テープ)上にコーティングされたシリコーン感圧接着剤を、典型的には硬化後1日後に、シリコーンゴム表面又は清浄なステンレス鋼パネル上に積層した。シリコーンゴム表面をイソプロピルアルコールで拭いて表面を清浄にし、周囲条件下で5分間乾燥させた後、それにシリコーン感圧接着剤を積層した。積層後、2kgのゴム被覆ローラーを、得られた物品に適用し(前後にそれぞれ5回)、剥離接着力試験の前に、物品を室温で20分間の滞留時間にわたって静置した。TMI剥離及び接着試験機を使用して、シリコーンゴム又はステンレス鋼基材から1インチ幅のテープを12インチ/分で引っ張った。
【0067】
接着試験の結果を以下の表8~表14に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
試料CE14~CE19は、シリコーン感圧接着剤組成物を配合する際に高Mwガム(ポリジオルガノシロキサンポリマーの代わり)を使用し、これらの試料は、本明細書に記載されるようなポリジオルガノシロキサンポリマーを使用した試料IE1と比較して接着力の低下を示した。試料CE8~CE18は全て、試験した条件下で不十分な接着性を示した。
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
表8及び表9のデータは、樹脂対ポリマー比が増加すると、試験した条件下でシリコーンゴムに対する接着力が増加することを示した。高い樹脂対ポリマー比で作製されたPSAは、試験した条件下で、鋼基材に対する接着性を有さなかったが、シリコーンゴム基材に対する高い接着性を有した。
【0078】
【表10】
【0079】
表10のデータは、高Mw樹脂の使用が、シリコーンゴムに対する強い接着性を有するPSAをもたらしたことを示す。しかしながら、低すぎるMwを有する樹脂の使用は、試験した条件下で不十分な接着性を有するPSA(CE7)をもたらした。理論に束縛されることを望むものではないが、IE6、IE6A、IE6B、及びIE6Cは、より少ない量の過酸化物架橋剤(試料IE6A、IE6、及びIE6Bにおける0~2%)がLSRに対するより高い剥離接着力を提供し得ることを示すと考えられる。
【0080】
【表11】
【0081】
【表12】
【0082】
表9、表11、及び表12のデータは、試験した条件下において、本明細書に記載のポリジオルガノシロキサンポリマーの使用が、シリコーンゴムに対する強い接着性を有するPSA(IE1)をもたらすことを示す。一方、高Mwガムポリマーの使用は、不十分な接着性をもたらす(CE19)。他の比較例組成物(CE)は、PSA中の低い樹脂対ポリマー比、低Mw樹脂、又は高Mwガムポリマーが、シリコーンゴムに対する不十分な接着性をもたらすことを示す。
【0083】
【表13】
【0084】
理論に束縛されることを望むものではないが、表13のデータは、低温ブレンドを介して作製されたPSA試料が、試験した条件下でシリコーンゴムに対する不十分な接着性を示すことを示したと考えられる。
【0085】
【表14】
【0086】
実施例(IE1、IE3、IE5、及びIE6)は、VS 3M市販9731テープと比較して、シリコーンゴムへの約2倍の接着強度を示した。
【0087】
この参考例8では、積層物品の試料を、以下のように湿式キャスティング(方法2)を含む方法で調製した。
1.過酸化物架橋剤(トルエン中)及び溶媒1と組成物IE6及びCE21(上記のように調製)の各々とを歯科用ミキサーカップ内で混合して、50重量%の固体レベル及び2重量%の過酸化物架橋剤レベルに到達させることによって、シリコーン感圧接着剤組成物の2つの試料を調製した。得られた各試料を均質になるまで3500rpmで30秒間混合した。
2.4枚のシリコーンゴム基材(50デュロメータのLSR及びPt硬化HCRの各2枚)を、参考例6において上述したように調製した。各シリコーンゴム基材の表面を、イソプロピルアルコールで拭き、周囲条件下で5分間乾燥させることによって清浄にした。
3.シリコーン感圧接着剤組成物の各試料を、3ミルのコーティングバーを使用して、シリコーンゴム基材の清浄にした表面上にコーティングした。次いで、各コーティングされた基材を、80℃で2分間、続いて180℃で2分間オーブンに入れて、各シリコーンゴムシート上に(硬化した)シリコーン感圧接着剤層の積層体を調製した。
4.4枚のシリコーンゴム基材(50デュロメータのLSR及びPt硬化HCRの各2枚)を、参考例6において上述したように調製した。各シリコーンゴム基材の表面を、イソプロピルアルコールで拭き、周囲条件下で5分間乾燥させることによって清浄にした。
5.工程3の1日後、各シリコーン感圧接着剤層の表面を、工程4からの各シリコーンゴム基材の清浄にした表面と接触させた。ポリエステルフィルムバッキング基材を使用しなかったことを除いて、上記のように、2kgのゴム被覆ローラーを、得られた物品に適用し(前後にそれぞれ5回)、物品を、PSTC-101標準に従う剥離接着力試験の前に、室温で20分間の滞留時間にわたって静置した。TMI剥離及び接着試験機を使用して、シリコーンゴム基材から1インチ幅のテープを12インチ/分で引っ張った。剥離接着力試験結果を以下の表15に示す。
【0088】
【表15】
【0089】
表15のデータは、シリコーンゴム物品が、湿式キャスティングを使用する方法においてバッキング基材として使用される場合、本明細書に記載の方法によって調製されたシリコーン感圧接着剤が、湿式キャスティング法を使用してバッキング基材に塗布された市販のPSA 2(CE21)よりも高い剥離接着力を有することを示す。
【0090】
この参考例9では、積層物品の試料を、以下のように乾式キャスティング(方法3)を含む方法で調製した。
1.過酸化物架橋剤(トルエン中)及び溶媒1と組成物IE6及びCE21(上記のように調製)の各々とを歯科用ミキサーカップ内で混合して、50重量%の固体レベル及び2重量%の過酸化物架橋剤レベルに到達させることによって、シリコーン感圧接着剤組成物の2つの試料を調製した。得られた各試料を均質になるまで3500rpmで30秒間混合した。
2.シリコーン感圧接着剤組成物の各試料を、3ミルのコーティングバーを使用して、フルオロシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。次いで、各コーティングされたライナーを、80℃で2分間、続いて180℃で2分間オーブンに入れて、各フルオロシリコーン剥離ライナー上に(硬化した)シリコーン感圧接着剤層の積層体を調製した。各積層体を、RTで1日間エージングした。
3.4枚のシリコーンゴム基材(50デュロメータのLSR及びPt硬化HCRの各2枚)を、参考例6において上述したように調製した。各シリコーンゴム基材の表面を、イソプロピルアルコールで拭き、周囲条件下で5分間乾燥させることによって清浄にした。
4.工程2からの各シリコーン感圧接着剤層の表面を、工程3からの各シリコーンゴム基材の清浄にした表面と接触させた。
5.4枚のシリコーンゴム基材(50デュロメータのLSR及びPt硬化HCRの各2枚)を、参考例6において上述したように調製した。各シリコーンゴム基材の表面を、イソプロピルアルコールで拭き、周囲条件下で5分間乾燥させることによって清浄にした。
6.工程4の1日後、フルオロシリコーン剥離ライナーを各積層体から除去し、結果として得られた各シリコーン感圧接着剤層の露出面を、工程5からのシリコーンゴム基材の清浄にした表面と接触させた。ポリエステルフィルムバッキング基材を使用しなかったことを除いて、上記のように、2kgのゴム被覆ローラーを、得られた物品に適用し(前後にそれぞれ5回)、物品を、PSTC-101標準に従う剥離接着力試験が実施される前に、室温で20分間の滞留時間にわたって静置した。TMI剥離及び接着試験機を使用して、シリコーンゴム基材から1インチ幅のテープを12インチ/分で引っ張った。剥離接着力試験結果を以下の表16に示す。
【0091】
【表16】
【0092】
表16のデータは、2つのシリコーンゴム基材の間にシリコーン感圧接着剤を含む積層物品が乾式キャスティング法によって調製される場合、本明細書に記載の方法によって調製されたシリコーン感圧接着剤は、市販のPSA 2(CE21)よりも高い剥離接着力を有することを示す。
【0093】
用語の定義及び使用
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。組成物中の全ての出発物質の量は、総計100重量%である。発明の概要及び要約は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。用語「含むこと(comprising)」及びその派生語、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including,)」、「含む(include,)」、「から本質的になる(consist(ing)essentially of,)」、及び「からなる(consist(ing)of))という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as,)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example, but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as, but not limited to)」を意味し、他の類似した又は同等の例を包含する。
【0094】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。様々な実施形態の特定の特徴又は態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュ群に関して、全ての他のマーカッシュ要素から独立したそれぞれのマーカッシュ群の各要素から、異なる、特別な、かつ/又は予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び又は組み合わされて依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0095】
本明細書で使用される略語は、以下の表17にて定義される。
【0096】
【表17】
【0097】
ポリマー及び縮合反応生成物のMn、Mw、及び分子量分布は、Agilent Technologies 1260 Infinityクロマトグラフ及び溶媒としてトルエンを使用してGPCによって決定され得る。この装置は、2つのPLgel Mixed Cカラムを備えている。較正をポリスチレン標準物を使用して行った。試料は、ポリマーをトルエン中に溶解させ(約10mg/mL)、次いで直ちに材料をGPC(1mL/分の流量及び45℃のカラム温度)によって分析することによって作製した。
【0098】
樹脂のMn、Mw、及び分子量分布は、Agilent Technologies 1260 Infinityクロマトグラフ及び溶媒として酢酸エチルを使用してGPCによって決定され得る。この装置は、2つのカラム、すなわち、Agilent PLgel Mixed-D及びPLgel Mixed-Eカラムを備えている。較正をポリスチレン標準物を使用して行った。試料は、ポリマーをトルエン中に溶解させ(約20mg/mL)、次いで直ちに材料をGPC(1mL/分の流量及び35℃のカラム温度)によって分析することによって作製した。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層物品を製作するための方法であって、前記方法が、
(1)縮合反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、前記出発材料が、
(P)GPCによって測定される10,000g/mol~<200,000g/molの重量平均分子量を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであって、出発材料(P)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて>20.5重量%の量で存在する、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンと、
(R)GPCによって測定される21,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有するヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、出発材料(R)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて、<79.5重量%の量で存在する、ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、
(S)溶媒と、
任意選択的に、(N)中和剤と、を含み、
出発材料(R)及び(P)が、2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在し、それによって反応混合物を生成する、ことと、
(2)前記反応混合物に(C)縮合反応触媒を添加し、それによって触媒反応混合物を生成することと、
(3)前記触媒反応混合物を>RT~145℃の温度で加熱し、水を除去することと、
任意選択的に、(4)(P)と(R)との縮合反応生成物を回収することと、
任意選択的に、(5)(R)及び(P)の合計重量に基づいて4重量%までの(X)過酸化物架橋剤を添加し、それによってシリコーン感圧接着剤組成物を形成することと、
任意選択的に、(6)バッキング基材の表面を処理することと、
(7)前記バッキング基材の前記表面に前記シリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることと、
(8)前記シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることと、
(9)前記シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、前記バッキング基材の前記表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤を形成することであって、前記シリコーン感圧接着剤層が、前記バッキング基材の前記表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、
任意選択的に、(10)シリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(11)シリコーン感圧接着剤の前記反対側表面と前記シリコーンゴム物品の前記表面とを接着することと、を含む、方法。
【請求項2】
出発材料(P)である前記ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンが式
【化1】

を有し、式中、各Rは、独立して選択される1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字aは、1分子当たりの二官能性シロキサン単位の平均数を表し、250≦a≦3,000である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発材料(R)である前記ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂が、単位式(R SiO1/2(SiO4/2(HO1/2を有し、式中、各Rは、独立して選択される1~6個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字b及びcは、それぞれ、一官能性単位及び四官能性単位のモル分率を表し、下付き文字b及びcは、0.4≦b≦0.5、0.5≦c≦0.6、及び量(b+c)=1であるような値を有し、下付き文字dは、前記樹脂中のヒドロキシル基の量を表し、下付き文字dは、前記樹脂に2重量%~5重量%のヒドロキシル含量を与えるのに十分な値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(R)/(P)が2.9/1~<3.88/1である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(R)/(P)が2.9/1~3/1である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(N)前記中和剤が存在し、前記中和剤がシリルホスフェートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(C)前記縮合反応触媒が酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(5)が存在し、(X)前記過酸化物架橋剤がベンゾイルペルオキシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(6)が存在し、工程(6)が、前記バッキング基材の前記表面にプライマーを塗布することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(10)が存在し、工程(10)が、前記シリコーンゴムの前記表面をアルコールで洗浄することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(11)において、前記シリコーンゴムが30~50のデュロメータを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によって調製された積層物品。
【請求項13】
工程(7)における前記バッキング基材が剥離ライナーを含み、前記方法が、
工程(9)の後に前記剥離ライナーを除去することと、
任意選択的に、(12)第2のシリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(13)前記シリコーン感圧接着剤層の前記表面を前記第2のシリコーンゴム物品の前記表面に接着することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
積層物品を製作するための方法であって、前記方法が、
(1)縮合反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、前記出発材料が、
(P)GPCによって測定される10,000g/mol~<200,000g/molの重量平均分子量を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであって、出発材料(P)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて>20.5重量%の量で存在する、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンと、
(R)GPCによって測定される21,000g/mol~30,000g/molの重量平均分子量を有するヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、出発材料(R)が、出発材料(P)及び(R)の合計重量に基づいて、<79.5重量%の量で存在する、ヒドロキシル官能性ポリオルガノシリケート樹脂と、
(S)溶媒と、
任意選択的に、(N)中和剤と、を含み、
出発材料(R)及び(P)が、2.27/1~<3.88/1の重量比(R)/(P)で存在し、それによって反応混合物を生成する、ことと、
(2)前記反応混合物に(C)縮合反応触媒を添加し、それによって触媒反応混合物を生成することと、
(3)前記触媒反応混合物を>RT~145℃の温度で加熱し、水を除去することと、
任意選択的に、(4)(P)と(R)との縮合反応生成物を回収することと、
任意選択的に、(5)(R)及び(P)の合計重量に基づいて4重量%までの(X)過酸化物架橋剤を添加し、それによってシリコーン感圧接着剤組成物を形成することと、
任意選択的に、(6)シリコーンゴムを含むバッキング基材の表面を処理することと、
(7)前記バッキング基材の前記表面に前記シリコーン感圧接着剤組成物をコーティングすることと、
(8)前記シリコーン感圧接着剤組成物を乾燥させることと、
(9)前記シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、前記バッキング基材の前記表面に接着された表面を有するシリコーン感圧接着剤層を形成することであって、前記シリコーン感圧接着剤層が、前記バッキング基材の前記表面とは反対側に反対側表面を更に含む、ことと、を含む、方法。
【請求項15】
任意選択的に、(10)シリコーンゴム物品の表面を処理することと、
(11)シリコーン感圧接着剤層の前記反対側表面と前記シリコーンゴム物品の前記表面とを接着することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】