(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】双性イオンでドープされたヒドロゲルおよびそれを含む防曇コーティング
(51)【国際特許分類】
C09D 4/00 20060101AFI20240925BHJP
C09D 201/02 20060101ALI20240925BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20240925BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240925BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240925BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240925BHJP
C09D 7/47 20180101ALI20240925BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20240925BHJP
C08F 220/26 20060101ALI20240925BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20240925BHJP
C08L 101/14 20060101ALI20240925BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20240925BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240925BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240925BHJP
C08L 51/10 20060101ALI20240925BHJP
C08F 4/00 20060101ALI20240925BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20240925BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20240925BHJP
C08G 18/64 20060101ALN20240925BHJP
C08G 65/332 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C09D4/00
C09D201/02
C09D4/02
C09D7/63
C09D7/65
C09D7/61
C09D7/47
C09D7/20
C08F220/26
C08F265/06
C08L101/14
C08F2/50
C08F2/44 A
C08F2/44 C
C08K3/013
C08L51/10
C08F4/00
C08F292/00
C08F20/00 510
C08G18/64 015
C08G65/332
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513992
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 US2022042523
(87)【国際公開番号】W WO2023034606
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523210397
【氏名又は名称】アクトナノ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】キム-サントス,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン,シュルティ
(72)【発明者】
【氏名】クラインガートナー,ジャスティン・エイ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J005
4J011
4J015
4J026
4J034
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BG071
4J002BN191
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4J100BA32Q
4J100BA56Q
4J100BA63Q
4J100CA05
4J100JA01
(57)【要約】
荷電モノマーであって、少なくともその一部が双性イオンモノマーを含む荷電モノマー、非荷電親水性モノマー、および少なくとも1種の架橋剤で構成される双性イオンでドープされたヒドロゲルを含む防曇材料が開示される。ヒドロゲルを形成するための組成物および防曇材料を含む透明で取り外し可能な物品も開示される。フィルムまたはデカールの形態を取ることができる該物品は、裏付け層に接着された活性層を含むことができ、該活性層は、本明細書に記載の防曇材料を含む。透明で取り外し可能な物品を基材の表面に適用することにより、その表面を曇りにくくする方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロゲルに防曇特性を付与する前記ヒドロゲルを形成するための組成物であって、
前記組成物は:
少なくとも一部分に双性イオンモノマーを含む荷電モノマー;および
非荷電親水性モノマー
を含み、前記荷電モノマーおよび前記非荷電親水性モノマーは、反応性基を含有し、前記反応性基が反応し合って、防曇特性を有する前記ヒドロゲルを形成する
組成物。
【請求項2】
前記双性イオンモノマーが、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、またはスルホベタイン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記双性イオンモノマーが、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記材料中の双性イオンモノマーの濃度が、0重量%よりも高く、75重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記材料中の双性イオンモノマーの濃度が、0重量%よりも高く、50重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記材料中の双性イオンモノマーの濃度が、0重量%よりも高く、25重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記荷電モノマーが、カルボン酸、スルホン酸、または第四級アミン官能基を含有するアクリレートまたはメタクリレートをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記荷電モノマーが、pH2から9または0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液で親水性を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記荷電モノマーが、酸性官能性、塩基性官能性を有するか、または中和された酸もしくは塩基の塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記非荷電親水性モノマーが、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の架橋剤が、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の架橋剤が、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有し、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の架橋剤が、カルボキシ官能基、アルコール官能基、エポキシ官能基、カルボニル官能基、またはアミン官能基と反応できる部分を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記カルボキシ官能基、アルコール官能基、エポキシ官能基、カルボニル官能基、またはアミン官能基と反応できる部分が、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
ホスフィンオキシド、フェノン、アゾ開始剤、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ホスフィンオキシドが、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含み、前記フェノンが、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含み、前記過酸化物が、過酸化ベンゾイルを含み、前記ベンゾイルが、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
接着を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
凍結防止特性を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
機械的特性を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種のナノ粒子が、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種のポリマー樹脂が、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
フィルム形成を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項25】
水、揮発性アルコール、揮発性ケトン、揮発性エーテル、および揮発性アミンを含むキャリア溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
双性イオンでドープされたヒドロゲルを含む防曇材料であって、前記双性イオンでドープされたヒドロゲルは:
少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電モノマー残基;
非荷電親水性モノマー残基;および
少なくとも1個の架橋剤残基
を含み、前記防曇材料が曇り条件に曝露された場合に、5%未満のΔヘイズ値を示す
防曇材料。
【請求項27】
前記双性イオンモノマー残基が、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、またはスルホベタインを含む、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項28】
前記双性イオンモノマー残基が、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートの残基を含む、請求項27に記載の防曇材料。
【請求項29】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、75重量%未満である、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項30】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、50重量%未満である、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項31】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、25重量%未満である、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項32】
前記荷電モノマー残基が、カルボン酸、スルホン酸、または第四級アミン官能基を含有するアクリル残基またはメタクリル残基をさらに含む、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項33】
前記荷電モノマー残基が、pH2から9または0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液中で親水性を示す、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項34】
前記荷電モノマー残基が、酸性官能性、塩基性官能性を有するか、または中和された酸もしくは塩基の塩である、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項35】
前記非荷電親水性モノマー残基が、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートの残基を含む、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項36】
前記少なくとも1個の架橋剤残基が、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含む、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項37】
フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含む前記少なくとも1個の架橋剤残基が、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートの残基を含む、請求項36に記載の防曇材料。
【請求項38】
前記少なくとも1個の架橋剤残基が、カルボキシ官能基、アルコール官能基、エポキシ官能基、カルボニル官能基、またはアミン官能基と反応できる部分を含有する分子の残基を含む、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項39】
カルボキシ官能基、アルコール官能基、またはアミン官能基と反応できる前記部分が、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含む、請求項38に記載の防曇材料。
【請求項40】
ホスフィンオキシド、フェノン、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含む、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項41】
前記ホスフィンオキシドが、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含み、前記フェノンが、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含み、前記過酸化物が、過酸化ベンゾイルを含み、前記ベンゾイルが、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含む、請求項40に記載の防曇材料。
【請求項42】
前記防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項26に記載の防曇材料。
【請求項43】
接着を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含む、請求項42に記載の防曇材料。
【請求項44】
凍結防止特性を補助する前記前記少なくとも1種の添加剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含む、請求項42に記載の防曇材料。
【請求項45】
機械的特性を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含む、請求項42に記載の防曇材料。
【請求項46】
前記少なくとも1種のナノ粒子が、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含む、請求項45に記載の防曇材料。
【請求項47】
前記少なくとも1種のポリマー樹脂が、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項45に記載の防曇材料。
【請求項48】
フィルム形成を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含む、請求項42に記載の防曇材料。
【請求項49】
コーティングされた物品であって、
基材および防曇コーティングを含み、
前記防曇コーティングは:双性イオンでドープされたヒドロゲルを含み、
前記双性イオンでドープされたヒドロゲルは:
少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電モノマー残基;
非荷電親水性モノマー残基;および
少なくとも1個の架橋剤残基
を含む、前記コーティングされた物品。
【請求項50】
前記双性イオンモノマー残基が、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、またはスルホベタインを含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項51】
前記双性イオンモノマー残基が、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートの残基を含む、請求項50に記載のコーティングされた物品。
【請求項52】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、75重量%未満である、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項53】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、50重量%未満である、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項54】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、25重量%未満である、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項55】
前記荷電モノマー残基が、カルボン酸、スルホン酸、または第四級アミン官能基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの残基をさらに含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項56】
前記荷電モノマー残基が、pH2から9および塩濃度0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液で親水性を示す、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項57】
前記荷電モノマー残基が、酸性官能性、塩基性官能性を有するか、または中和された酸もしくは塩基の塩である、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項58】
前記非荷電親水性モノマー残基が、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートの残基を含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項59】
前記少なくとも1個の架橋剤残基が、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項60】
フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含む前記少なくとも1個の架橋剤残基が、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートを含む、請求項59に記載のコーティングされた物品。
【請求項61】
前記少なくとも1個の架橋剤残基が、カルボキシ官能基、アルコール官能基、エポキシ官能基、カルボニル官能基、またはアミン官能基と反応できる部分を含有する分子の残基を含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項62】
カルボキシ官能基、アルコール官能基、またはアミン官能基と反応できる前記部分が、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含む、請求項61に記載のコーティングされた物品。
【請求項63】
ホスフィンオキシド、フェノン、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項64】
前記ホスフィンオキシドが、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含み、前記フェノンが、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含み、前記過酸化物が、過酸化ベンゾイルを含み、前記ベンゾイルが、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含む、請求項63に記載のコーティングされた物品。
【請求項65】
前記防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項66】
接着を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含む、請求項65に記載のコーティングされた物品。
【請求項67】
凍結防止特性を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含む、請求項65に記載のコーティングされた物品。
【請求項68】
機械的特性を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含む、請求項65に記載のコーティングされた物品。
【請求項69】
前記少なくとも1種のナノ粒子が、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含む、請求項68に記載のコーティングされた物品。
【請求項70】
前記少なくとも1種のポリマー樹脂が、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項68に記載のコーティングされた物品。
【請求項71】
フィルム形成を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含む、請求項65に記載のコーティングされた物品。
【請求項72】
ラミネートの形態である、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項73】
前記ラミネートが、透明基材、透明接着剤、およびコーティングを含む、請求項72に記載のコーティングされた物品。
【請求項74】
前記ラミネートが、接着剤を含み、前記接着剤が、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、ウレタンヒートシール接着剤、ポリエチレンヒートシール接着剤、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項72に記載のコーティングされた物品。
【請求項75】
前記透明基材が、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース、トリアセタールセルロース、ポリアクリレート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項73に記載のコーティングされた物品。
【請求項76】
曇り条件に曝露された場合に、5%未満のΔヘイズ値を示す、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項77】
自動車もしくは建築物の窓、カメラレンズ、医療用スコープレンズ、センサー、アイウェア、鏡、冷蔵庫の扉、または建築構造物を含む、請求項49に記載のコーティングされた物品。
【請求項78】
基材の表面を曇りにくくする方法であって、
少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電したモノマー残基;
非荷電親水性モノマー残基;および
少なくとも1個の架橋剤残基
を含む、双性イオンでドープされたヒドロゲルを前記基材の表面に適用するステップ
を含む、方法。
【請求項79】
前記双性イオンモノマー残基が、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、またはスルホベタインを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記双性イオンモノマー残基が、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートの残基を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、75重量%未満である、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、50重量%未満である、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記材料中の双性イオンモノマー残基の濃度が、0重量%よりも高く、25重量%未満である、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
前記荷電モノマー残基が、カルボン酸、スルホン酸、または第四級アミン官能基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの残基をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
前記荷電モノマー残基が、pH2から9または0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液で親水性を示す、請求項78に記載の方法。
【請求項86】
前記荷電モノマー残基が、酸性官能基、塩基性官能基を有するか、または中和された酸もしくは塩基の塩である、請求項78に記載の方法。
【請求項87】
前記非荷電親水性モノマー残基が、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートの残基を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項88】
前記少なくとも1個の架橋剤残基が、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項89】
フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含む少なくとも1個の架橋剤残基が、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記少なくとも1個の架橋剤残基が、カルボキシ官能基、アルコール官能基、エポキシ官能基、カルボニル官能基、またはアミン官能基と反応できる部分を含有する分子の残基を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項91】
前記カルボキシ官能基、アルコール官能基、またはアミン官能基と反応できる部分が、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
ホスフィンオキシド、フェノン、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項93】
前記ホスフィンオキシドが、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含み、前記フェノンが、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含み、前記過酸化物が、過酸化ベンゾイルを含み、前記ベンゾイルが、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項95】
接着を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
凍結防止特性を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
機械的特性を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも1種のナノ粒子が、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも1種のポリマー樹脂が、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
フィルム形成を補助する前記少なくとも1種の添加剤が、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項101】
前記基材が、透明基材、透明接着剤、およびコーティングを含むラミネートである、請求項78に記載の方法。
【請求項102】
前記透明基材が、プラズマ、UV、オゾン、または他の化学的表面改質技術によって改質される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記ラミネートが、フィルムまたはデカールの形態である、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記双性イオンヒドロゲルを、ロール・ツー・ロール法、ブレードコーティング、ディッピング、ニードル分注、または噴霧から選択される少なくとも1つの技術によってコーティングするステップをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項105】
ラミネートの形態である成分のサブセットの段階的、連続的な適用を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
他の成分を適用する前にプライマーまたは接着促進剤を適用するステップを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記コーティング配合物の2回目の適用が、1回目の上に適用される場合、経時的にコーティング性能を増強するために1種以上の成分の再適用を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記配合物の一部の成分が、最初の適用の上に適用される、請求項105に記載の方法。
【請求項109】
既存のコーティングの上に、スプレー、ワイピング、ブレードコーティング、またはディッピングによって不凍材料を適用する、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記基材が、ガラス、プラスチック、磁器、金属またはそれらの組み合わせを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項111】
前記基材が、自動車もしくは建築物の窓、カメラレンズ、医療用スコープレンズ、センサー、アイウェア、鏡、冷蔵庫のドア、または建築構造物を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項112】
コーティング材料の適用前に前記基材を処理する、請求項78に記載の方法。
【請求項113】
前記基材が、プラズマ、UVもしくはオゾン処理、または他の化学的表面改質技術によって処理される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
適用後、前記基材上の双性イオンヒドロゲルのその場での架橋を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項115】
架橋が、周囲の室温条件で行われる、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
架橋が、高温および高湿条件で行われる、請求項114に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2021年9月3日に出願された米国仮出願第63/240,629号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、防曇コーティングおよびその製造方法に関する。本開示の実施形態はまた、そのようなコーティングを製造するために使用される組成物、ならびに自動車のフロントガラス、カメラレンズおよび冷凍庫の窓などの光学的に透明な防曇コーティングの恩恵を受ける所望の基材に適用され得るそのような組成物を含むフィルムおよびデカール(decal)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]防曇コーティングは、ガラスやその他の透明な基材が結露によって曇らないようにするために一般的に使用される。曇り環境は、表面の温度が周囲の露点より低いときに発生し、水蒸気が表面で凝縮して水滴を形成する。この水滴の大きさや形状は、光の散乱を引き起こし、表面を通しての光学的透明度を低下させ得る。一部の先行発明は、基材にシリコーンなどの疎水性コーティングを適用することに焦点を当てている。これらの材料は、短期間、機能し得るが、曇りが激しい環境によって圧倒され得、多くの液滴核が表面に形成される結果となる。より一般的な戦略は、親水性コーティングを使用することで、水滴がコーティングされた基材と低い接触角を持ち、それにより、水が透明な平らなシートを形成する。
【0004】
[0004]親水性コーティングは、有効性と耐久性との間でトレードオフに直面している。表面温度が周囲の露点より低い曇り環境では、親水性コーティングは、液体の水と良好に相互作用することによって透明性を保ち、その結果、接触角が低くなり、液体の水がコーティング全体に平坦なフィルムを形成する。しかし、このコーティングと液体の水との強い相互作用により、コーティングは簡単に洗い流され得るか、または液体の水もしくは水蒸気の存在下で膨潤して損傷を受けやすくなり得る。逆に、より機械的に耐久性のあるコーティングは、化学架橋または疎水性相互作用などのより強い分子間結合をコーティング内に組み込むが、これは、コーティングの親水性を減少させ、性能を低下させ得る。
【0005】
[0005]多くの親水性コーティングは、「ヒドロゲル」であり、液体の水または水蒸気に曝露されると膨潤する。これらのゲルは、いくつかの要因によって悪影響を受ける恐れがある。ヒドロゲルと水分子との相互作用は、正確な環境条件に大きく依存することが知られており、温度、pH、または塩濃度を変化させると、ゲルと分子水との相互作用強度が変化し得、したがって、膨潤の程度に数桁の大きさの影響を及ぼす。その結果、これらの材料から製造されたコーティングの機械的特性および防曇特性はともに、多くの用途でしばしば信用性に欠ける。これらの予測できない特性に加えて、ゲルの親水性をもたらす特定の分子基は、不十分な機械的特性を有することが知られている。多くの一般的な防曇コーティングは、材料のかなりの部分がこれらの活性基からなる必要があり、そのためコーティングの機械的耐久性を犠牲にする必要がある。
【0006】
[0006]開示された防曇性双性イオンでドープされたヒドロゲル組成物は、上記した問題および/または従来技術の他の問題の1つ以上を克服することを対象とする。特に、本明細書で開示される組成物は、高い曇り耐性を有する。加えて、組成物がコーティングにされる際に、組成物は、機械的に耐久性があり、使用中に容易に傷ついたり、損傷したり、または汚損されたりしない。最後に、一部の実施形態では、組成物は、デカールまたはフィルムにすることができ、それらを容易に適用し、必要に応じて取り除くことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]前述の観点から、双性イオンでドープされたヒドロゲルを含む、防曇特性を付与するための組成物が開示される。一実施形態では、ヒドロゲルに防曇特性を付与するヒドロゲルを形成するための組成物が記載され、該組成物は、少なくとも一部分に双性イオンモノマーを含む荷電モノマー;および非荷電親水性モノマーを含み、該荷電モノマーおよび該非荷電親水性モノマーは、反応性基を含有し、前記反応性基が反応し合って防曇特性を有するヒドロゲルを形成する。
【0008】
[0008]別の実施形態では、双性イオンでドープしたヒドロゲルを含む防曇材料が記載され、該双性イオンでドープしたヒドロゲルは、少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電モノマー残基、非荷電親水性モノマー残基、および少なくとも1個の架橋剤残基を含み、該防曇材料は、曇り条件に曝露された場合に、5%未満のΔヘイズ値を示す。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態では、基材と防曇コーティングを含むコーティングされた物品が記載され、前記防曇コーティングは、双性イオンでドープされたヒドロゲルを含み、該双性イオンでドープされたヒドロゲルは、少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電モノマー残基、非荷電親水性モノマー残基、および少なくとも1個の架橋剤残基を含む。
【0010】
[0010]別の実施形態では、基材の表面を曇りにくくする方法が開示され、該方法は、基材の表面に、少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電モノマー残基、非荷電親水性モノマー残基、および少なくとも1個の架橋剤残基を含む、双性イオンでドープしたヒドロゲルを適用するステップを含む。本明細書に記載される防曇材料の恩恵を受け得る物品および表面の非限定的な例としては、自動車もしくは建築物の窓、カメラレンズ、医療用スコープレンズ、センサー、アイウェア、鏡、冷蔵庫のドア、または建築構造物が挙げられる。
【0011】
[0011]以下により詳細に記載される通り、様々な実施形態は、組成物、ヒドロゲル、物品または方法の得られた特性を補助する少なくとも1種の添加剤、例えば、接着、凍結防止、架橋、フィルム形成、機械的特性またはレオロジー特性を補助する添加剤などを含むことができる。
【0012】
[0012]本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図は、本発明のいくつかの実施形態を示すものであり、本明細書の説明とともに本発明の原理の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]
図1A~1Cは、本発明のコーティングが曇り環境で膨潤し、水をシート化するのを示す。
図1Aは、水蒸気が充満している曇り環境110において、本発明のコーティング120を有する基材130を示す。
図1Bは、環境110から水を吸収した膨潤状態140における本発明のコーティングを示す。
図1Cは、曇り環境下で膨潤したコーティング140上で水が凝縮して薄い透明シート150になったことを示す。
【
図2】[0014]
図2は、ターゲット基材に適用される本発明のラミネートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義:
[0015]本明細書で使用するとき、「Δヘイズ」とは、ASTM D1003に従って行った、蒸気曝露前後のヘイズ測定値の差を指す。25℃で平衡化したサンプルのヘイズをASTM D1003を使用して測定した。次いで、サンプルを沸騰水のビーカー上で30秒間保持し、ASTM D1003を使用してサンプルのヘイズを再度評価した。2回目の測定値から差し引いた1回目の測定値を「Δヘイズ」と定義する。本発明の材料でコーティングされた基材は、5%未満、例えば2%未満および多くの場合では、1%未満のΔヘイズ特性を示す。特定の実施形態では、本開示に従って製造されたラミネートなどの本発明の材料でコーティングされた基材は、0.1%から1%未満、例えば0.1%から0.8%の範囲のΔヘイズを示す。
【0015】
[0016]本明細書で使用するとき、「接着を補助する」とは、コーティングとコーティングされる基材との間のつながりの強度を増大させることを意味する。接着強度を測定する標準的な方法は、ASTM D3359テープ試験またはクロスハッチ試験である。
【0016】
[0017]本明細書で使用するとき、「架橋を補助する」とは、架橋の程度または密度を増大させることを意味する。
【0017】
[0018]本明細書で使用するとき、「フィルム形成を補助する」とは、最小限のピンホールまたは欠陥を有する滑らかな連続層を形成するコーティングの能力を高めることを意味する。
【0018】
[0019]本明細書で使用するとき、「凍結防止を補助する」とは、材料上に霜を形成するのに必要な温度を低下させること、材料上に霜を形成するのに必要な時間を増加させること、またはその両方を意味する。
【0019】
[0020]本明細書で使用するとき、「機械的特性を補助する」とは、コーティングの耐スクラッチ性、耐摩耗性、硬度、ヤング率、柔軟性、せん断弾性率、または曲げ半径を増大させることを意味する。
【0020】
[0021]本明細書で使用するとき、「レオロジー特性を補助する」とは、コーティングを基材に適用するプロセスを容易にするために、コーティング溶液の粘度を増加または減少させることを意味する。
【0021】
[0022]本明細書で使用するとき、「モノマー」とは、重合のために構成された1個以上の反応性化学基を有する化学的実体を指す。例えば、メタクリレートは、重合のために構成された反応性アルケンを有するモノマーである。
【0022】
[0023]本明細書で使用するとき、「モノマー残基」とは、ポリマーに組み込まれた化学的断片を指す。例えば、メタクリレートモノマーの重合は、メタクリル残基をポリ(メタクリル)ポリマーに組み込む。
【0023】
[0024]優れた曇り耐性と耐久性を有する親水性防曇コーティングが開示される。親水性コーティングは、コーティングされた表面上の水滴と30°未満の低い平衡接触角を形成することにより、防曇保護を提供する。この特性により、水滴が表面上で平らなシートを形成し、したがって、光学的な歪みを防ぐ。効果的な防曇コーティングは、曇り環境において高い光学的透明性を維持する。これは、目視による観察、またはASTM D1003による曇り環境でのフィルムのヘイズを測定する、もしくは標準規格EN-168の修正に従った防曇フィルムを通して見た画像の歪みの度合いを測定するなどの方法で定量的に評価することができる。この技術は、EN-168に規定された条件に従って加湿チャンバーを準備するステップを含む。チャンバーの片側には、チャンバーの開口部に向かい合う、目視用ターゲットとしてシーメンススターを設置した。サンプルを開口部の上に置き、防曇コーティングを加湿チャンバーの内部に向かい合せた。画像は1分ごとに撮影され、NIH ImageJ画像処理プログラムを使用してモジュール伝達関数を計算し、曇りではない条件下で撮影された画像のモジュール伝達関数計算値と比較した。
【0024】
[0025]開示されたコーティングが機能し得るメカニズムを図に示す。例えば、
図1A~1Cは、本発明のコーティングが、多湿の環境において基材の上に配置された場合に、どのように防曇特性を与えるかを示す。
図1Aは、水蒸気が充満する曇り環境110における基材130の上にある本発明のコーティング120を示す。
図1Aに示されるように、周囲の露点未満である本発明のコーティング120は、水蒸気で充満した環境110に曝露され、該環境からの水分子は、コーティングに吸収され得る。
図1Bにさらに示されるように、水蒸気の吸収は、コーティング140を膨潤させ、コーティングを通して透明性を歪める可能性のある表面上の結露による液体の水滴の形成を遅らせる。
図1Cはさらに、本発明のコーティング140が膨潤し始めた後、追加の水蒸気が膨潤したコーティング140上で凝縮し、広がり、膨潤したコーティング140上に平らな透明シート150を形成することができることを示す。
【0025】
[0026]
図2は、ターゲット基材240に適用されるコーティング210を示す本発明200の実施形態を例示する。この実施形態では、活性コーティング210は、必要に応じた適切な透明基材220を使用してターゲット基材240に適用され、必要に応じて透明接着剤230で裏付けする。必要に応じた透明基材および透明接着剤により、本開示に従って製造されたコーティングを、そのようなコーティングの恩恵を受ける多種多様な表面に容易に適用することができる。層210、220、および230を囲むチェックボックス250は、基材を含まない、本開示の一実施形態に従ったラミネートを構成する複合体を反映する。基材を形成することができるそのような表面の非限定的な例としては、自動車窓、カメラレンズ、ライダー、レーダー、マイクロ波、光学センサーなどのセンサー、眼鏡、バイザー、マスク、ゴーグル、シールド、およびサングラスなどのアイウェア、冷凍庫の窓、および浴室の鏡などの鏡が挙げられる。
【0026】
[0027]コーティングがラミネートデカールとして適用される本発明の実施形態では、加工および適用の問題は、製造中に処理することができる。その結果、コーティングをフィルムに適用する際に、高度に架橋する、テクスチャー化する、最適な厚さで適用する、または多層構造に設計することができる。ユーザーが製品を受け取る際には、ユーザーは、それを目的の基材に接着させるだけで済む。その結果、コーティングの性能と耐久性をその場外で完全に最適化すると同時に、適用の容易さを高めることができる。
【0027】
[0028]さらに、コーティングがラミネートデカールとして適用される本発明の実施形態では、ターゲット基材の操作中にコーティングが損傷した場合、デカールをターゲット基材から剥がすことによって容易に取り除いて、交換することができる。基材からコーティングを除去する溶剤は必要なく、再び適用するのに高度な専門的な機器は必要ないため、容易なメンテナンスが可能となるだろう。
【0028】
[0029]防曇コーティングは、荷電モノマー、非荷電モノマー、および架橋剤を含む。荷電モノマーは、コーティングの優れた防曇特性をもたらす親水性部分を含む。荷電モノマーの少なくとも一部は、双性イオンモノマー、例えば、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン(DMAPSとしても知られている)のようなスルホベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートである。双性イオン分子は、プラスとマイナスの両方の部分を有するため、対イオンがなくても電荷のバランスが保たれる。これらの双性イオン材料は、非常に親水性である傾向があり、広い範囲のpHと塩濃度で良好な親水性を保持する。
【0029】
[0030]一実施形態では、荷電モノマーはまた、酸性官能性、塩基性官能性、または中和状態の酸性もしくは塩基性の実体を保持するモノマー、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸のようなカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)のようなスルホン酸、第四級アミン、または他の類似の部分を含む、一価の荷電モノマーも含むことができる。
【0030】
[0031]ポリマーの残りは、ビニルピロリドン、アクリルアミド、ポリエチレングリコールを含むアクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、無水マレイン酸、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAMA)、セルロース系ポリマー、もしくは他の類似のモノマーなどの1種または複数のモノマー、またはそれらの官能基のいずれかを含むモノマーから形成することができる。
【0031】
[0032]重要なことは、双性イオン材料は、「抗高分子電解質効果」に悩まされることである。すなわち、双性イオン材料は、溶解性が低く、脱イオン水中では低度の膨潤を受けるが、塩の存在下ではより高い水分取り込みが可能である。一価の荷電モノマーをベースとする従来のヒドロゲルは、塩の存在下では崩壊したり、または疎水性になったりさえする反対の挙動を示す。一価の荷電モノマーと双性イオンモノマーを混ぜ合わせることにより、塩濃度やpHのある範囲にわたってより一貫した膨潤挙動を有する最終ポリマーヒドロゲルを得ることができる。本開示は、耐久性のある防曇コーティングを開発するための基礎として、この効果を利用する。この戦略により、高価で機械的に弱い双性イオン材料をより少ない量での使用を可能にすると同時に、良好な曇り性能を実現することができる。これらの荷電モノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの非荷電親水性モノマーと反応し、複数の配合物を構成し、フィルムに疎水性を付与することなく機械的強度を与える。モノマーの一部は、コーティングの加工を補助するために、予め重合させてオリゴマーまたは短いポリマーを形成させてもよい。
【0032】
[0033]さらに、架橋度を高めるために架橋剤を加え、フィルムの機械的特性を高め、水中で容易に洗い流されないようにする。架橋剤は、多官能性ポリエチレングリコールアクリレートまたは親水性ウレタンアクリレートなどのフリーラジカル重合を受けることができる複数のビニル基を含むことができる。この手法で調製されたフィルムは、架橋反応を可能にする光重合開始剤を組み込むことができる。光重合開始剤は、紫外線で活性化され、フィルムを硬化または架橋させる。
【0033】
[0034]あるいは、架橋剤は、熱的またはpH活性化された架橋基、例えば、ブロックされたまたはブロックされていないイソシアネート、アジリジン、メラミン、エポキシド、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、グルタルアルデヒド、シラン、エポキシ、またはカルボジイミドからなることができる。これらの基は、非双性イオンモノマーと反応し、十分に高い温度や特定のpHに曝露されると、フィルムを架橋することができる。ホウ酸イオンなどの動的結合種である、Zn2+やFe3+などの金属イオンも同様に組み込むことができる。異なる架橋系を選択または組み合わせて、防曇特性、機械的特性、およびフィルム調製時の加工の容易さのバランスを最適化することができる。
【0034】
[0035]活性層は、架橋、フィルム形成、レオロジー特性、または活性層の他の特性を補助する添加剤を含むこともできる。活性層はまた、ナノ粒子、ワックス、または活性層の機械的特性、レオロジー特性、フィルム形成能力、または活性層の他の特性に影響を与える他のポリマー樹脂などの添加剤を含むこともできる。また、活性層は、活性材料のフィルム形成能力を向上させるために、何らかの界面活性剤または他の種類の添加剤を含むこともできる。
【0035】
[0036]活性層は、前駆体溶液から形成することができる。活性層の前駆体の溶液は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ガラス、酢酸セルロース、トリアセタールセルロース、または他の材料でもよい基材に適用される。基材は、化学試薬、プラズマ、コロナ放電、UV照射、オゾン、または他の処理で前処理して表面を活性化し、活性層と基材との間の接着を高めることができる。
【0036】
[0037]基材に適用されるポリマーの分子量は、0.5kDaから100MDaの範囲を取ることができ、またはモノマー、オリゴマー、もしくはプレポリマーとして適用し、その後に重合することができる。
【0037】
[0038]一実施形態では、1種以上の溶媒を使用することができる。そのような溶媒の非限定的な例としては、水、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどのアルコール、水酸化アンモニウムもしくはトリエチルアミンのようなアミン、エーテル、アセトン、酢酸エチル、もしくはメチルエチルケトンなどのケトン、または問題となっているポリマーに適切な他のものが挙げられる。
【0038】
[0039]一実施形態では、1種以上のフィラーを使用することができる。そのようなフィラーの非限定的な例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子、セルロースナノ結晶、不溶性ポリマーの粒子、粘土などが挙げられる。これらの粒子は、コーティングの機械的特性を向上させるか、または熱輸送特性を向上させて周囲環境の温度により早く到達することができる。
【0039】
[0040]一実施形態では、1種以上の添加剤を使用することができる。そのような添加剤の非限定的な例としては、レベリング添加剤、消泡添加剤、界面活性剤、表面張力調整添加剤が挙げられ、これらは、コーティングの汚れに抵抗する能力、フィルムを形成する能力、および損傷に対する耐性を向上させる。ポリマーを膨潤させるために、プロピレングリコール、エチレングリコール、その他のグリコール、不揮発性アルコール、エステル、およびケトンなどの何らかの添加剤を加えることができる。
【0040】
[0041]一実施形態では、添加剤は無機塩を含むことができ、これはコーティングが氷や霜の形成を阻止するのを助けることができる。一部の添加剤には、ポリエチレンイミンなどのアミン含有分子や、基材への架橋および接着を改善するチオール含有分子を含むものがある。
【0041】
[0042]コーティングがラミネートデカールとして適用される実施形態では、透明基材は、ポリカーボネートなどのポリエステル、PMMA、PET、ポリウレタン、ビニルポリマー、酢酸セルロース、トリアセタールセルロース、ゴム、または任意の他の適切なポリマーを含む、多くの異なる透明媒体でもよい。透明基材は、受け取ったまま使用する、またはインプリントリソグラフィを使用して表面を微細パターニングする、表面を粗面化してテクスチャーを加える、表面をUV照射に曝露して酸化させる、表面をUV-オゾンに曝露して酸化させる、表面をプラズマで処理する、表面をコロナ放電で処理する、表面をジアミンなどの化学プライマーで処理する、または光重合開始剤を表面に直接付着させることを含む、基材に対する活性層の接着を改変するためのいくつかの異なる方法で処理することがきる。あるいは、活性層を離型材(PTFEなど)上にキャストし、接着剤を活性層に直接適用することができる。ラミネートデカールは、接着剤、静電気による付着、摩擦、またはその他の接着メカニズムによってターゲット基材に接着することができる。
【0042】
[0043]第1の実施形態では、ヒドロゲルに防曇特性を付与するヒドロゲルを形成するための組成物が記載され、該組成物は、少なくとも一部分に双性イオンモノマーを含む荷電モノマー;および非荷電親水性モノマーを含み、該荷電モノマーおよび該非荷電親水性モノマーは、反応性基を含有し、前記反応性基が反応し合って防曇特性を有する前記ヒドロゲルを形成する。
【0043】
[0044]第1の実施形態では、双性イオンモノマーは、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、およびスルホベタインを含むことができる。例えば、双性イオンモノマーは、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートを含むことができる。
【0044】
[0045]第1の実施形態では、材料中の双性イオンモノマーの濃度は、0重量%よりも高く、75重量%未満、例えば、0重量%よりも高く、50重量%未満、またはさらに0重量%よりも高く、25重量%未満である。
【0045】
[0046]第1の実施形態では、荷電モノマーは、カルボン酸、スルホン酸、または第四級アミン官能基を含有するアクリレートまたはメタクリレートをさらに含む。
【0046】
[0047]荷電モノマーは、pH2から9または0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液で親水性を示す。したがって、荷電モノマーは、酸性官能性、塩基性官能性を有するか、または中和された酸もしくは塩基の塩である。
【0047】
[0048]第1の実施形態では、非荷電親水性モノマーは、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートを含むことができる。
【0048】
[0049]第1の実施形態では、組成物は、少なくとも1種の架橋剤をさらに含むことができる。一実施形態では、少なくとも1種の架橋剤は、架橋ポリマーを形成するのに十分な量、例えば2重量%から35重量%、例えば4重量%から25重量%、またはさらに5重量%から20重量%の範囲の量で組成物中に見出され、該組成物は、架橋ポリマーに防曇特性を付与する。
【0049】
[0050]第1の実施形態では、少なくとも1種の架橋剤は、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子を含むことができる。例えば、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子を含む少なくとも1種の架橋剤は、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートを含む。少なくとも1種の架橋剤は、カルボキシ基、アルコール基、またはアミン官能基と反応できる部分を含有する分子を含むことができる。例えば、該部分は、カルボキシ基、アルコール基、エポキシ基、カルボニル基、またはアミン官能基と反応できるように選択することができ、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含むことができる。
【0050】
[0051]第1の実施形態では、組成物は、ホスフィンオキシド、フェノン、アゾ開始剤、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含むことができる。ホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含むことができ、フェノンは、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含むことができ、過酸化物は、過酸化ベンゾイルを含むことができ、ベンゾイルは、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含むことができる。
【0051】
[0052]第1の実施形態では、組成物は、防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。例えば、接着を補助する少なくとも1種の添加剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含むことができる。凍結防止特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含むことができる。機械的特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含むことができる。例えば、少なくとも1種のナノ粒子は、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含むことができる。
【0052】
[0053]少なくとも1種のポリマー樹脂は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0053】
[0054]フィルム形成を補助する少なくとも1種の添加剤は、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含むことができる。
【0054】
[0055]第1の実施形態では、組成物は、水、揮発性アルコール、揮発性ケトン、揮発性エーテル、および揮発性アミンを含むキャリア溶媒をさらに含むことができる。
【0055】
[0056]第2の実施形態では、双性イオンでドープされたヒドロゲルを含む防曇材料が記載され、該双性イオンでドープされたヒドロゲルは、少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電モノマー残基、非荷電親水性モノマー残基、および少なくとも1個の架橋剤残基を含み、該防曇材料は、曇り条件に曝露された場合に、5%未満のΔヘイズ値を示す。
【0056】
[0057]第2の実施形態では、双性イオンモノマー残基は、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、およびスルホベタインを含むことができる。例えば、双性イオンモノマー残基は、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートの残基を含むことができる。
【0057】
[0058]第2の実施形態では、材料中の双性イオンモノマー残基の濃度は、0重量%よりも高く、75重量%未満、例えば0重量%よりも高く、50重量%未満、またはさらに0重量%よりも高く、25重量%未満であることができる。
【0058】
[0059]第2の実施形態では、荷電モノマー残基は、カルボン酸、スルホン酸、または第四級アミン官能基を含有するアクリレートまたはメタクリレートをさらに含むことができる。
【0059】
[0060]第2の実施形態では、荷電モノマー残基は、pH2から9または0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液中で親水性を示すことがある。したがって、荷電モノマーは、酸性官能性、塩基性官能性を有するか、または中和された酸もしくは塩基の塩である。
【0060】
[0061]第2の実施形態では、非荷電親水性モノマー残基は、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートの残基を含むことができる。
【0061】
[0062]第2の実施形態では、少なくとも1個の架橋剤残基は、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含むことができる。例えば、少なくとも1個の架橋剤残基は、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含むことができ、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートを含むことができる。
【0062】
[0063]第2の実施形態では、少なくとも1個の架橋剤残基は、カルボキシ基、アルコール基、エポキシ基、カルボニル基、またはアミン官能基と反応できる部分を含有する分子の残基を含むことができる。例えば、該部分は、カルボキシ基、アルコール基、またはアミン官能基と反応することができるように選択することができ、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含むことができる。
【0063】
[0064]第2の実施形態は、ホスフィンオキシド、フェノン、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含むことができる。例えば、ホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含むことができ、フェノンは、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含み、過酸化物は、過酸化ベンゾイルを含み、ベンゾイルは、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含む。
【0064】
[0065]第2の実施形態は、防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。例えば、接着を補助する少なくとも1種の添加剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含むことができる。凍結防止特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含むことができる。
【0065】
機械的特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含むことができる。
【0066】
[0066]少なくとも1種のナノ粒子は、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含むことができる。少なくとも1種のポリマー樹脂は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含むことができる。フィルム形成を補助する少なくとも1種の添加剤は、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含むことができる。
【0067】
[0067]第3の実施形態は、基材および防曇コーティングを含み、該防曇コーティングは、少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基含む荷電モノマー残基、非荷電親水性モノマー残基、および少なくとも1個の架橋剤残基を含む、双性イオンでドープされたヒドロゲルを含む、コーティングされた物品を対象とする。
【0068】
[0068]第3の実施形態では、双性イオンモノマー残基は、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、スルホベタインの残基を含むことができる。例えば、双性イオンモノマー残基は、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートの残基を含むことができる。
【0069】
[0069]第3の実施形態では、材料中の双性イオンモノマー残基の濃度は、0重量%よりも高く、75重量%未満、例えば、0重量%よりも高く、50重量%未満、またはさらに0重量%よりも高く、25重量%未満であることができる。
【0070】
[0070]第3の実施形態では、荷電モノマー残基は、カルボン酸、スルホン酸、もしくは第四級アミン官能基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの残基をさらに含むことができる。
【0071】
[0071]第3の実施形態では、荷電モノマー残基は、pH2から9および塩濃度0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液で親水性を示すことがある。その結果、荷電モノマーは、酸性官能性、塩基性官能性を有し得るか、または中和された酸もしくは塩基の塩である。
【0072】
[0072]第3の実施形態では、非荷電親水性モノマー残基は、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートの残基を含むことができる。
【0073】
[0073]第3の実施形態では、少なくとも1個の架橋剤残基は、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子を含むことができる。例えば、少なくとも1個の架橋剤残基は、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含むことができ、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートを含むことができる。少なくとも1個の架橋剤残基は、カルボキシ基、アルコール基、エポキシ基、カルボニル基、またはアミン官能基と反応できる部分を含有する分子の残基を含むことができる。例えば、該部分は、カルボキシ基、アルコール基、またはアミン官能基と反応することができるように選択することができ、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含むことができる。
【0074】
[0074]第3の実施形態は、ホスフィンオキシド、フェノン、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含むことができる。
【0075】
[0075]第3の実施形態では、前記ホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含むことができ、前記フェノンは、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含み、前記過酸化物は、過酸化ベンゾイルを含み、前記ベンゾイルは、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含む。
【0076】
[0076]第3の実施形態は、防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。接着を補助する少なくとも1種の添加剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含むことができる。凍結防止特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含むことができる。機械的特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含むことができる。
【0077】
[0077]少なくとも1種のナノ粒子は、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含むことができる。例えば、少なくとも1種のポリマー樹脂は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含むことができる。フィルム形成を補助する少なくとも1種の添加剤は、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含むことができる。
【0078】
[0078]第3の実施形態は、ラミネートの形態であってもよく、ラミネートは、透明基材、透明接着剤、およびコーティングを含むことができる。例えば、接着剤は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、ウレタンヒートシール接着剤、ポリエチレンヒートシール接着剤、およびそれらの組み合わせから選択される接着剤を含むことができる。透明基材は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース、トリアセタールセルロース、ポリアクリレート、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0079】
[0079]本明細書に記載され、第3の実施形態に例示されるコーティングされた物品は、曇り条件に曝露された場合に、5%未満のΔヘイズ値を示すことがある。第3の実施形態に包含される物品の非限定的な例としては、自動車もしくは建築物の窓、カメラレンズ、医療用スコープレンズ、センサー、アイウェア、鏡、冷蔵庫のドア、または建築構造物が挙げられる。
【0080】
[0080]第4の実施形態では、曇りに耐性のある基材の表面を製造する方法が開示され、該方法は、少なくとも一部分に双性イオンモノマー残基を含む荷電モノマー残基、非荷電親水性モノマー残基、および少なくとも1個の架橋剤残基を含む、双性イオンでドープしたヒドロゲルを基材の表面に適用するステップを含む。
【0081】
[0081]第4の実施形態では、双性イオンモノマー残基は、ホスホリルコリン、カルボキシベタイン、またはスルホベタインを含むことができる。例えば、双性イオンモノマー残基は、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、スルホベタインアクリルアミド、またはカルボキシベタインメタクリレートの残基を含むことができる。
【0082】
[0082]第4の実施形態では、材料中の双性イオンモノマー残基の濃度は、0重量%よりも高く、75重量%未満、例えば、0重量%よりも高く、50重量%未満、またはさらに0重量%よりも高く、25重量%未満であってもよい。
【0083】
[0083]第4の実施形態では、荷電モノマー残基は、カルボン酸、スルホン酸、または第四級アミン官能基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの残基をさらに含むことができる。
【0084】
[0084]第4の実施形態では、荷電モノマー残基は、pH2から9または0Mから1Mの塩化ナトリウム溶液で親水性を示すことがある。その結果、荷電モノマー残基は、酸性官能性、塩基性官能性を有し得るか、または中和された酸もしくは塩基の塩である。
【0085】
[0085]第4の実施形態では、非荷電親水性モノマー残基は、ビニルピロリドン、アクリルアミド、エチレングリコール含有アクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、または親水性であるが非荷電部分を保持する他のアクリレートもしくはメタクリレートの残基を含むことができる。
【0086】
[0086]第4の実施形態では、少なくとも1個の架橋剤残基は、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含むことができる。例えば、少なくとも1個の架橋剤残基は、フリーラジカル重合を受けることができるビニル基を有する分子の残基を含むことができ、多官能性ポリエチレングリコールアクリレート、または親水性ウレタンアクリレートを含むことができる。少なくとも1個の架橋剤残基は、カルボキシ基、アルコール基、エポキシ基、カルボニル基、またはアミン官能基と反応できる部分を含有する分子の残基を含むことができる。該部分は、カルボキシ基、アルコール基、またはアミン官能基と反応することができるように選択され、カルボジイミド、イソシアネート、アジデリン、オキサゾリン、アミン、ヒドラジド、シラン、エポキシ、メラミン、および他のアミノ架橋剤を含むことができる。
【0087】
[0087]第4の実施形態は、ホスフィンオキシド、フェノン、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化物またはベンゾイルを含む少なくとも1種の光重合開始剤をさらに含むことができる。ホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドを含むことができ、フェノンは、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンまたはベンゾフェノン、アゾビスイソブチロニトリルを含み、過酸化物は、過酸化ベンゾイルを含み、ベンゾイルは、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニル-エタン-1-オンを含む。
【0088】
[0088]第4の実施形態は、防曇材料の接着、架橋、フィルム形成、凍結防止、機械的特性またはレオロジー特性を補助する少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。例えば、接着を補助する少なくとも1種の添加剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランまたはポリエチレンイミンを含むことができる。凍結防止特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールを含むことができる。機械的特性を補助する少なくとも1種の添加剤は、少なくとも1種のナノ粒子またはポリマー樹脂を含むことができる。
【0089】
[0089]第4の実施形態では、少なくとも1種のナノ粒子は、シリカナノ粒子、アルミナナノ粒子、セルロースナノ粒子、または他の無機フィラーを含むことができる。少なくとも1種のポリマー樹脂は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンワックス、天然ワックス、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0090】
[0090]第4の実施形態では、フィルム形成を補助する少なくとも1種の添加剤は、トリトン、ツイーン、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくは臭化セチルトリメチルアンモニウム界面活性剤、分散剤、スチレンマレイン酸コポリマー、レベリング剤、またはシリコーンおよび/もしくはポリエーテルで修飾されたポリアクリレートを含むことができる。
【0091】
[0091]第4の実施形態では、基材は、透明基材、透明接着剤、およびコーティングを含むラミネートであることができる。透明基材は、プラズマ、UV、オゾン、または他の化学的表面改質技術によって改質することができる。ラミネートは、フィルムまたはデカールの形態であることができる。
【0092】
[0092]第4の実施形態は、ロール・ツー・ロール法、ブレードコーティング、ディッピング、ニードル分注、または噴霧から選択される少なくとも1つの技術によって双性イオンヒドロゲルをコーティングするステップをさらに含むことができる。この方法は、ラミネートの形態である成分のサブセットの段階的、連続的な適用を含むことができる。この方法は、他の成分を適用する前にプライマーまたは接着促進剤を適用するステップを含むことができる。また、コーティング配合物の2回目の適用が1回目の上に適用される場合、経時的にコーティング性能を増強するために1種以上の成分の再適用を含むこともできる。配合物の一部の成分は、最初の適用の上に適用できることが理解される。
【0093】
[0093]一実施形態では、既存のコーティングの上に、スプレー、ワイピング、ブレードコーティング、またはディッピングによって不凍材料を適用することができる。
【0094】
[0094]本明細書に記載される基材は、ガラス、プラスチック、磁器、金属、またはそれらの組み合わせを含むことができる。同様に、基材は、自動車もしくは建築物の窓、カメラレンズ、医療用スコープレンズ、センサー、アイウェア、鏡、冷蔵庫のドア、または建築構造物を含むことができる。
【0095】
[0095]第4の実施形態では、基材は、プラズマ、UVもしくはオゾン処理、または他の化学的表面改質技術などによって、コーティング材料の適用前に処理することができる。本明細書に記載の方法は、適用後の基材上の双性イオンヒドロゲルをその場で架橋するステップを含むことができる。例えば、架橋は、周囲の室温条件または高温および高湿条件で行うことができる。
【0096】
[0096]本発明の特徴および利点は、以下の実施例によってより完全に示されるが、これらの実施例は、説明の目的で提供されるものであり、本発明を何ら限定するものとして解釈されるものではない。
【実施例】
【0097】
[0097]以下の実施例は、双性イオンでドープしたヒドロゲルを含む防曇組成物およびフィルムを調製する方法を開示する。
【0098】
実施例1
[0098]この実施例は、本開示に従って、プレポリマー防曇組成物および改善された性能特性を有する双性イオンでドープされたヒドロゲルを含むフィルムを調製する方法を提供する。
【0099】
[0099]8.8質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、2.8質量%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、および88.4質量%のヒドロキシエチルメタクリレートを含むランダム重合プレポリマーを混合物に溶解し、12.5質量%のプレポリマー、37.5質量%の水、36質量%のエタノール、7質量%のポリエチレングリコールジアクリレート、5質量%の酢酸エチル、1質量%の光重合開始剤、ならびに1質量%のレベリング添加剤および界面活性剤の組成が得られた。
【0100】
[0100]接着剤裏付けポリエチレンテレフタレートシートを含む透明基材をコロナ放電で処理し、ブレードコーターでコーティング溶液の均一なフィルムを適用した。この溶液に紫外線(約365nm)を30分間照射し、80℃のオーブンで15分間加熱した。次いで、このラミネートデカールを、接着剤を使用してガラス基材に適用した。
【0101】
[0101]この実施例の防曇特性は、コーティングされた基材を沸騰水上に少なくとも30秒間保持することによって形成される高湿度環境に曝露することによって試験した。サンプルは、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、未処理のスライドガラスのΔヘイズ(ASTM D1003に従って行った蒸気曝露前後のヘイズ測定値の差)は、30%を超える。同じ条件に曝露されたコーティングされたスライドグラスのΔヘイズは、0.8%であった。
【0102】
実施例2
[0102]この実施例では、25.5質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、4.8質量%のアクリル酸、および69.7質量%のヒドロキシエチルメタクリレートを含むランダム重合プレポリマーを混合物に溶解し、8.7質量%のプレポリマー、71.2質量%の水、20質量%のエタノール、0.025質量%の消泡添加剤、0.25質量%のレベリング添加剤、0.3質量%のワックス添加剤、および0.25質量%の界面活性剤の組成が得られた。
【0103】
[0103]コーティング適用前に、20部のコーティング溶液に1部のカルボジライトSV-02を加えた。コーティング中、接着剤裏付けPETフィルムをコロナ放電で処理し、コーティングブレードによりその表面にコーティングした。コーティングを乾燥させ、125℃で5分間加熱して硬化させた。次いで、このラミネートデカールを、接着剤を使用してガラス基材に適用した。
【0104】
[0104]本実施例の防曇特性は、実施例1と同様な方法で形成された、高湿度環境にコーティングされた基材を曝露することによって試験し、例えば、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、コーティングされたガラスのΔヘイズは、0.1%であった。
【0105】
実施例3
[0105]この実施例では、32.0質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、7.2質量%のアクリル酸、58.4質量%のヒドロキシエチルメタクリレート、および2.4質量%のメチルメタクリレートを含むランダム重合プレポリマーを混合物に溶解し、13質量%のプレポリマー、64.8質量%の水、22質量%のエタノール、および0.2質量%のレベリング添加剤の組成が得られた。
【0106】
[0106]コーティング適用前に、20部のコーティング溶液に1部のカルボジイミド架橋剤(カルボジライトSV-02など)を加える。コーティング中、接着剤裏付けPETフィルムをコロナ放電で処理し、コーティングブレードによりその表面にコーティングした。コーティングを乾燥させ、130℃で5分間加熱して硬化させた。次いで、このラミネートデカールを、接着剤を使用してガラス基材に適用した。
【0107】
[0107]この実施例の防曇特性は、コーティングされた基材を高湿度環境に曝露することによって試験した。前の実施例と同様に、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは0.1%であった。
【0108】
[0108]この実施例の機械的特性は、サンプルを脱イオン水に5分間浸し、次いで、糸くずの出ないペーパータオルでコーティングを拭いて乾燥させることによって試験した。沸騰水上で30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、0.5%であった。
【0109】
実施例4
[0109]この実施例では、32.0質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、7.2質量%のアクリル酸、58.4質量%のヒドロキシエチルメタクリレート、および2.4質量%のメチルメタクリレートを含むランダム重合プレポリマーを混合物に溶解し、13質量%のプレポリマー、64.8質量%の水、22質量%のエタノール、0.2質量%のレベリング添加剤の組成が得られた。
【0110】
[0110]コーティング適用前に、20部のコーティング溶液に1部のカルボジライトV-02-L2を加えた。コーティング中、透明なポリカーボネートのシートをコロナ放電で処理し、コーティングブレードによりその表面にコーティングした。コーティングを乾燥させ、130℃で5分間加熱して硬化させる。
【0111】
[0111]この実施例の防曇特性は、コーティングされた基材を高湿度環境に曝露することによって試験した。前の実施例と同様に、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、コーティングされたポリカーボネートのΔヘイズは、0.4%であった。
【0112】
実施例5
[0112]この実施例では、33.0質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、5.0質量%のアクリル酸、59.0質量%のヒドロキシエチルメタクリレート、および3.0質量%のメチルメタクリレートを含むランダム重合プレポリマーを混合物に溶解し、12.1質量%のプレポリマー、57質量%の水、23質量%のイソプロパノール、0.20質量%のレベリング添加剤、0.8質量%のトリエチルアミン、および6.9質量%のCymel 385の組成が得られた。
【0113】
[0113]コーティング中、接着剤裏付けPETフィルムをコロナ放電で処理し、コーティングブレードによりその表面にコーティングした。コーティングを乾燥させ、130℃で5分間加熱して硬化させた。次いで、このラミネートデカールを、接着剤を使用してガラス基材に適用した。
【0114】
[0114]この実施例の防曇特性は、コーティングされた基材を高湿度環境に曝露することによって試験した。前の実施例と同様に、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、0.3%であった。
【0115】
[0115]この実施例の機械的特性は、サンプルを脱イオン水に5分間浸し、次いで、糸くずの出ないペーパータオルでコーティングを拭いて乾燥させることによって試験した。沸騰水上で30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、1.5%であった。
【0116】
実施例6
[0116]この実施例では、32.0質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、7.2質量%のアクリル酸、58.4質量%のヒドロキシエチルメタクリレート、および2.4質量%のメチルメタクリルレートを含む10質量%のプレポリマーを混合物に溶解し、10質量%のプレポリマー、65.2質量%の水、22質量%のエタノール、1.7質量%のコロイダルシリカ、0.9質量%の分散剤、および0.2質量%のレベリング添加剤の組成が得られた。
【0117】
[0117]洗浄した基材を、エタノール中の2%アミノプロピルトリエトキシシランの溶液などの接着剤で処理した。溶媒が蒸発した後、基材を100℃で2分間焼成し、次いで、消毒用アルコールできれいに拭き取った。コーティング適用前に、20部のコーティング溶液に1部のカルボジライトSV-02を加えた。コーティング溶液を、ブレードコーターを介して処理したガラス基材に適用し、乾燥させ、130℃で5分間加熱して硬化させた。
【0118】
[0118]この実施例の防曇特性は、コーティングされた基材を高湿度環境に曝露することによって試験した。前の実施例と同様に、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、コーティングされたガラスのΔヘイズは、0.1%であった。
【0119】
実施例7
[0119]この実施例では、32.0質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、7.2質量%のアクリル酸、58.4質量%のヒドロキシエチルメタクリレート、および2.4質量%のメチルメタクリレートを含むランダム重合プレポリマーを混合物に溶解し、13質量%のプレポリマー、59.4質量%の水、27.5質量%のイソプロパノール、および0.1質量%のレベリング添加剤の組成が得られた。
【0120】
[0120]コーティング適用前に、10質量%のテトラエトキシシラン、10質量%の(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、および80質量%のイソプロパノールを含む溶液を調製する。イソプロパノール中のシランの溶液の3部およびカルボジライトSV-02の2部を32部のコーティング溶液に加える。コーティング中、接着剤裏付けPETフィルムをコロナ放電で処理し、コーティングブレードによりその表面にコーティングした。コーティングを乾燥させ、130℃で5分間加熱して硬化させた。次いで、このラミネートデカールを、接着剤を使用してガラス基材に適用した。
【0121】
[0121]この実施例の防曇特性は、コーティングされた基材を高湿度環境に曝露することによって試験した。前の実施例と同様に、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、0.2%であった。
【0122】
[0122]この実施例の機械的特性は、サンプルを脱イオン水に5分間浸し、次いで、糸くずの出ないペーパータオルでコーティングを拭いて乾燥させることによって試験した。沸騰水上で30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、0.8%であった。
【0123】
比較例1
[0123]この比較例は、双性イオンモノマーを含まない。9質量%のアクリル酸、88質量%のヒドロキシエチルメタクリレート、および3質量%のメチルメタクリレートを含むプレポリマーを混合物に溶解し、13%のプレポリマー、64.8%の水、22%のエタノール、0.2%のレベリング添加剤の組成が得られた。
【0124】
[0124]コーティング適用前に、20部のコーティング溶液に1部のカルボジイミド架橋剤カルボジライトSV-02を加えた。コーティング中、接着剤裏付けPETフィルムをコロナ放電で処理し、コーティングブレードによりその表面にコーティングした。コーティングを乾燥させ、130℃で5分間加熱して硬化させた。次いで、このラミネートデカールを、接着剤を使用してガラス基材に適用した。
【0125】
[0125]この実施例の防曇特性は、上述したように、コーティングされた基材を高湿度環境に曝露することによって試験した。前の実施例と同様に、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、19.6%であった。
【0126】
比較例2
[0126]この比較例は、架橋剤を含有しない。この実施例では、32.0質量%のN-(3-スルホプロピル)-N-(メタクリルオキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、7.2質量%のアクリル酸、58.4質量%のヒドロキシエチルメタクリレート、および2.4質量%のメチルメタクリレートを含むランダム重合プレポリマーを混合物に溶解し、13質量%のプレポリマー、59.4質量%の水、27.5質量%のイソプロパノール、および0.1質量%のレベリング添加剤の組成が得られた。
【0127】
[0127]コーティング中、接着剤裏付けPETフィルムをコロナ放電で処理し、コーティングブレードによりその表面にコーティングした。コーティングを乾燥させ、130℃で5分間加熱して硬化させた。次いで、このラミネートデカールを、接着剤を使用してガラス基材に適用した。
【0128】
[0128]この実施例の防曇特性は、上述したように、コーティングされた基材を高湿度環境に曝露することによって試験した。前の実施例と同様に、コーティングされた基材を沸騰水上に保持し、30秒よりも長い間、透明なままであった。沸騰水上に30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、0.5%であった。
【0129】
[0129]この実施例の機械的特性は、サンプルを脱イオン水に5分間浸し、次いで、糸くずの出ないペーパータオルでコーティングを拭き取って乾燥させることによって試験した。目視では、コーティングは、タオルで拭き取られたように見えた。沸騰水上で30秒間保持した後、スライドガラスに接着したコーティングされたラミネートのΔヘイズは、67.8%であった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
[0130]双性イオンでドープされたヒドロゲルを含む開示された防曇コーティング、およびデカールまたはフィルムの製造方法は、光学的透明性が要求され、曇りが用途にとって有害である様々な産業用途または消費者用途に適用可能であり得る。このような使用の非限定的な例としては、自動車窓、カメラレンズ、ライダー、レーダー、マイクロ波、光学センサーなどのセンサー、眼鏡、バイザー、マスク、ゴーグル、シールド、およびサングラスなどのアイウェア、冷凍庫の窓、ならびに浴室の鏡などの鏡のコーティングが挙げられる。
【0131】
[0131]加えて、本明細書に開示される様々な実施形態の使用から利益を得る可能性のある建築設計には、建物の異なる部分における様々なガラスおよびプラスチック製品、例えば、店頭ディスプレイおよび窓、温室、低温貯蔵食品ディスプレイおよび冷凍庫窓、シャワードア、ならびにアイスホッケーリンクなどのスポーツイベント周辺のガラス囲いが含まれる。
【0132】
[0132]本明細書に開示された実施形態は、様々な医療用途で使用されるスコープに取り付けられたカメラをコーティングするために使用することができる。例えば、胃鏡、気管支鏡、膀胱鏡、尿管鏡、関節鏡、および大腸鏡を含む内視鏡はすべて、開示された本発明に関連する防曇特性から利益を得ることができる。
【0133】
[0133]本発明の他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の明細書および実施の考察から当業者には明らかであろう。明細書および実施例は、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図され、本発明の真の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】