(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】燃焼ボイラ制御方法、燃焼ボイラ、およびボイラ計算システム
(51)【国際特許分類】
F22B 35/00 20060101AFI20240925BHJP
F22B 37/38 20060101ALI20240925BHJP
F23C 10/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
F22B35/00 Z
F22B37/38 B
F23C10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514426
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021074838
(87)【国際公開番号】W WO2023036426
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】スミトモ エスエイチアイ エフダブリュー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ケットゥネン,アリ
(72)【発明者】
【氏名】ミエッティネン,ヨウニ
【テーマコード(参考)】
3K064
3L021
【Fターム(参考)】
3K064AB01
3K064AC01
3K064AC07
3K064AC12
3K064AC16
3K064BA07
3K064BA17
3L021AA05
3L021DA28
3L021FA28
(57)【要約】
【課題】 ボイラ制御を改善するために、燃焼ボイラ制御方法が提案されている。
【解決手段】 この方法は、a)燃焼ボイラの現在の負荷(Q
h)を監視する工程、b)ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見する工程、および数値(Q
h,candidate)を、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)として選択する工程、c)現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h、max)を、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、現在の負荷(Q
h)が、c1)現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)よりも小さい場合に、c1i)ボイラ負荷(Q
h)が増加する可能性があることを、ボイラ操作者に示す工程、および/もしくはc1ii)ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に増加させる工程、ならびに/またはc2)現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)よりも大きい場合に、c2i)ボイラ負荷(Q
h)が現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を超えていることを、ボイラ操作者に示す工程、および/もしくはc2ii)ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に低減させる工程を含む。
【選択図】
図2及び
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ボイラ制御方法であって、
a)燃焼ボイラの現在の負荷(Q
h)を監視する工程、
b)前記ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見する工程、および前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)として選択する工程、
c)前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h、max)を、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、前記現在の負荷(Q
h)が、
c1)前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)よりも小さい場合に、
c1i)前記ボイラ負荷(Q
h)が増加する可能性があることを、前記ボイラ操作者に示す工程、および/もしくは
c1ii)前記ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に増加させる工程、
ならびに/または
c2)前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)よりも大きい場合に、
c2i)前記ボイラ負荷(Q
h)が前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を超えていることを、前記ボイラ操作者に示す工程、および/もしくは
c2ii)前記ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に低減させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
i)前記ボイラの前記現在監視されているプロセスデータが、
ia)排ガス流路内の現在の排ガス出口温度(T
flue gas,exit,current)と、
ib)前記排ガス流路内の伝熱面(i)ごとの熱負荷(Q
fluid,i)と
を含み、さらに
ii)ia)とib)との両方からの監視されているプロセスデータが、前記排ガス係数を計算する際に使用され、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する前記数値(Q
h,candidate)を発見するときに使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する前記数値(Q
h,candidate)に関する許容条件を満たす、前記ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される前記少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が許容条件を満たさなくなる場合に、前記発見が、次の数値(Q
h,candidate)が自動的に選択されるように実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記次の数値(Q
h,candidate)が、繰り返し選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発見が、
- I:前記ボイラの前記熱負荷が、前記数値(Q
h,candidate)と一致する場合に計算上のボイラモデルをもたらすボイラ排ガス出口温度(T
boiler,exit)の推定値を計算する工程、
- II:排ガス質量流量(q
m,fluegas)を計算する工程、
- III:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を、数値上のボイラモデル、(Q
fluid,i,candidate=Q
fluid,i,current+Σα
j,i(Q
steam,max)
j-Σα
j,i(Q
stream,current)
j)を使用することによって補正される、前記伝熱面の現在の熱負荷(Q
fluid,i,current)を使って計算する工程、
- IV:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの前記計算された熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を使用し、前記排ガス流路内の、排ガス流の上流方向での前記排ガス出口に最も近い前記伝熱面21
kから、前記ボイラ排ガス出口温度の前記推定値(T
fluegas,out,k=T
FG,exit)を使用して開始する、各伝熱面での排ガス温度(T
fluegas,in,i、T
fluegas,out,i、i=1、・・・、k)を計算する工程、
- V:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの排ガス係数(df
i、i=1、・・・、k)を計算する工程
を実行することにより行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記排ガス係数が、下記式を含むかまたは下記式であり、
【数1】
ここで、k
iが、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、非ゼロのパラメータであり、
q
m,fluegasが、排ガスの質量流量であり、
nが、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、モデルパラメータであり、ρ
fluegas,iが、i番目の伝熱面における排ガス密度であり、Aが、i番目の伝熱面における排ガスチャネルの断面積である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
nが、
i)計算された排ガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、好ましくは1.0同等もしくは約1.0、
ii)腐食を引き起こす、計算された排ガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、好ましくは3.2~3.35の間、または
iii)圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲、好ましくは2.0同等もしくは約2.0
のうちの少なくとも1つであるよう選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記nの値が、時間の経過と共に変更される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記nの値が、少なくとも2台の別個のボイラを含むボイラ群から、前記ボイラのそれぞれについて監視される運用データを使用して判定される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程I)の前記計算において、前記排ガス出口温度が、実質的に、式
T
boiler,exit=α
0+Σα
j(Q
h,candidate)
j
または好ましくは、前記式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定され、前記それぞれの係数(α
0、α
1、α
2、・・・)が、いくつかの個別のボイラ負荷(Q
steam)の値に対する、排ガス出口温度(T
FG,exit)の値を測定した後、当てはめによって事前に取得されている、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程II)において、排ガス質量流量の計算には、排ガス成分の質量流量(q
m,fluegas,m)が利用され、前記成分には、CO
2、H
2O、N
2、SO
2、O
2が含まれる、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程II)において、排ガス質量流量の前記計算が、燃料パラメータを含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程b)が、前記燃焼ボイラに対して遠隔で実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程b)が、前記燃焼ボイラでローカルに実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷がいずれも、リアルタイムでの測定によって得られ、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記許容条件には、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)を変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記許容条件が、前記計算された少なくとも1つの排ガス係数(df
i)の、それぞれの設計値に対する比較を含み、前記方法において、前記数値(Q
h,candidate)が、前記設計値を超えた場合に捨てられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記燃焼ボイラが、循環流動床(CFB)ボイラまたは気泡流動床(BFB)ボイラであり、前記工程b)が、任意選択により炉(12)を含む、前記炉(12)と煙突(19)との間にあることが好ましい、前記燃焼ボイラの伝熱面に対して実行される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
- 排ガス流れ通路を画定し、前記煙道流れ通路内に位置することが好ましい、いくつかの伝熱面(21
i)を備える、炉(12)および関連する通路(15、16)と、
- 燃焼ボイラ(10)の現在の負荷(Q
h)を監視する、測定機器と、
- 現在のプロセスデータを監視する、センサ(20、20
i、30、40、116、165、650)などの別の測定機器と、
- 請求項1~18のいずれか一項に記載のボイラ制御方法を実行するよう構成される、制御システム(CS 201、203、205)と
を具備する、燃焼ボイラ。
【請求項20】
前記制御システム(CS)が、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理する、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成される、エッジサーバ(203)を備える、請求項19に記載の燃焼ボイラ(10)。
【請求項21】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h、max)をローカルに判定するよう構成される、請求項19または20に記載の燃焼ボイラ。
【請求項22】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h、max)を前記制御システムに返すよう構成される、遠隔の、好ましくはクラウドベースのコンピューティングシステムにデータを送信するよう構成される、請求項19または20に記載の燃焼ボイラ。
【請求項23】
前記エッジサーバが、前記遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成される、請求項22に記載の燃焼ボイラ。
【請求項24】
- 好ましくは請求項18~22のいずれか一項に記載の燃焼ボイラ(10)群であり、各ボイラが、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、前記リアルタイムでの測定結果を処理、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、前記処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステム(205)に送信するよう構成される、エッジサーバ(203)システムを備える、ボイラ制御システム(DCS)を具備する、燃焼ボイラ(10)群、
- リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、前記燃焼ボイラ(10)のそれぞれについて、数値ボイラモデルを使用してデータを計算し、前記燃焼ボイラ(10)のそれぞれに計算結果を返すよう構成される、クラウドベース(206)のコンピューティングシステムであることが好ましい、遠隔コンピューティングシステム(205)
を具備する、燃焼ボイラ計算システムであって、さらに
前記ボイラ制御システムが、前記計算結果に基づいて、前記ボイラ制御システムの機能を適合させるよう構成される、燃焼ボイラ計算システム。
【請求項25】
前記コンピューティングシステムが、前記ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見し、前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)として選択するよう構成される、
請求項24に記載のボイラ計算システム。
【請求項26】
前記ボイラ計算システムが、燃焼ボイラ(10)の処理された測定データを使用して、前記燃焼ボイラ(10)の数値モデルを適合または校正するよう構成される、請求項24または25に記載のボイラ計算システム。
【請求項27】
前記ボイラ計算システムが、他の燃焼ボイラ(10)からも収集された、処理された測定データを使用して、燃焼ボイラ(10)の数値モデルを適合または校正するよう構成される、請求項24~26のいずれか一項に記載のボイラ計算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ボイラの制御、詳細には、循環流動床(CFB:circulating fluidized bed)ボイラまたは気泡流動床(BFB:bubbling fluidized bed)ボイラなどの、流動床ボイラの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
火格子ボイラおよび流動床ボイラなどの燃焼ボイラは、一般的に、電気および熱の生成などの様々な目的に使用できる、蒸気を生成するために利用される。
【0003】
流動床ボイラでは、燃料および固体粒状物流動媒体(bed material)が炉内に導入される。流動媒体および燃料は、炉の底部から流動化ガスを取り込むことによって流動化される。燃料の燃焼は、炉内で行われる。BFBの燃焼では、流動化ガスが、床内に気泡を形成するように床を通過する。流動床は、BFBでは、流動化ガス供給および燃料供給を制御することにより、かなり簡便に制御することができる。場合によってはあり得る重金属、硫黄の収着性を高め、さらにアルカリの収着性を高めるために、燃料に加えて、ケイ酸アルミニウム(非水和粘土など)、アルカリアルカリ土類金属炭酸塩、およびこれらの混合物(石灰石または炭酸カルシウムなど)などの、特定の添加剤が燃焼に加えられてもよい。
【0004】
CFBの燃焼では、流動化ガスが流動媒体を通過する。ほとんどの床の粒子は、流動化ガスに混入し、排ガスと共に運ばれることになる。粒子は、少なくとも1台の粒子分離器内で排ガスから分離され、循環して炉内に戻される。粒子が炉内に戻される前に粒子から熱を回収するために、粒子分離器の下流に、流動床式熱交換器を配置するのが一般的である。
【0005】
すべてのボイラにおいて、燃焼技術に関係なく、空気と燃料との混合などの燃焼条件が、理想的ではない場合がある。
【0006】
Improbed ABの国際公開第2016/202640A1号に掲載された国際出願は、燃焼ボイラの熱負荷制御方法について開示している。この方法では、ボイラの少なくとも1箇所で監視された排ガス速度が、所定の最大排ガス速度の制限を超える場合、燃焼ボイラの熱負荷が抑えられる。排ガス速度は、方程式群を使用して、排ガスの体積流量を、サイクロンのすぐ下流の場所にある、排ガスダクトの断面積で割ることにより計算される。
【0007】
燃焼ボイラは従来、ボイラのそれぞれのボイラ最大連続蒸発量(BMCR:boiler maximum continuous rating)である、所与の負荷に対して設計される。これは、設計負荷レベルと呼ばれる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、ボイラの性能、収益性、および自由度を高め、またボイラ負荷の制御を改善することである。本発明の第2の目的は、燃焼ボイラの制御システムの複雑度を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の目的は、請求項1に記載の燃焼ボイラの制御方法、および請求項19に記載の燃焼ボイラによって実現することができる。第2の目的は、請求項24に記載の燃焼ボイラ計算システムによって達成することができる。
【0010】
従属請求項は、燃焼ボイラ制御方法、燃焼ボイラ、および燃焼ボイラ計算システムの有利な態様を説明している。
【0011】
本発明の利点
燃焼ボイラ制御方法は、以下の工程を含む。
a)燃焼ボイラの現在の負荷Qhを監視する工程、
b)ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数が許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷に対する数値を発見する工程、およびこの数値を、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxとして選択する工程、
c)現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh、maxを、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、現在の負荷Qhが、
c1)現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷よりも小さい場合に、
c1i)ボイラ負荷が増加する可能性があることを、ボイラ操作者に示す工程、および/もしくは
c1ii)ボイラ負荷を自動的に増加させる工程、
ならびに/または
c2)現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷よりも大きい場合に、
c2i)ボイラ負荷Qhが現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を超えていることを、ボイラ操作者に示す工程、および/もしくは
c2ii)ボイラ負荷Qhを、自動的に低減させる工程。
【0012】
この方法では、ボイラの最大負荷を固定するのではなく、排ガス係数を計算し、排ガス係数の許容条件を好適に選択する方法により、燃焼ボイラを、時々、ボイラの固定最大負荷よりも高くなる可能性がある、燃焼ボイラの現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷で、またはそれにより近い負荷で、燃焼ボイラを安全に動作させることが可能である。現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷は、設計負荷レベルよりも高くなる可能性がある。したがって、ボイラの全体的な性能を向上させることができ、電力/熱生成を増加させることが可能となる。さらに、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷が、設計負荷レベルよりも小さい場合があり得るので、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を超えることに起因するボイラの磨耗を、より適切に低減することができる。現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷は、言い換えると、最大許容ボイラ負荷および/または好ましいボイラ負荷とみなすことができる。
【0013】
本出願人は、実行した試験において、平均して、固定ボイラ最大負荷を超える燃焼ボイラからの電力出力を得ることができた。本出願人は、燃焼ボイラでは、試験で、改善の可能性が2.5~5%の間にあり得ることを実証することができた。これは、たとえば、120MWthの燃焼ボイラでは、3~6MWthに相当する。
【0014】
この方法において、以下であることが好ましい。
i)ボイラの現在監視されているプロセスデータが、
ia)排ガス流路内の現在の排ガス出口温度と、
ib)排ガス流路内の伝熱面ごとの熱負荷(heat duty)と
を含み、さらに、
ii)ia)およびib)の両方からの監視されているプロセスデータが、排ガス係数の計算に使用され、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxに対する数値を発見するときに使用される。
【0015】
熱交換器の熱負荷の計算は、当業者には既知であり、熱負荷は、たとえば、以下の式を使用することによって得ることができる。
Qfluid,i=qm,fluid,i×(hfluid,out-hfluid,in)
ここで、qm,fluid,iは、i番目の伝熱面での流体流量、hfluid,inは、i番目の伝熱面に入る流体のエンタルピ、hfluid,outは、i番目の伝熱面から出る流体のエンタルピである。
【0016】
この発見は、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数が許容条件を満たすことができない場合、次の数値が自動的に選択されるように実行され得る。次の数値が、繰り返し選択されることが好ましい。これにより、計算ライブラリ関数、具体的には、反復法ソルバ(関数の根を解く、PythonのFSOLVE関数など)の使用が可能となり得る。
【0017】
この発見は、以下の計算工程を実行することにより、行われ得る。
- I:ボイラの熱負荷が数値と一致するときに、計算上のボイラモデルが得られる、ボイラ排ガス出口温度の推定値を計算する工程、
- II:排ガス質量流量を計算する工程、
- III:排ガス流路内の伝熱面ごとの熱負荷を、数値上のボイラモデルを使用することによって補正される現在の熱負荷を使って、計算する工程、
- IV:排ガス流路内の伝熱面ごとの計算された熱負荷を使用し、排ガス流路内の、排ガス流の上流方向での排ガス出口に最も近い伝熱面から、ボイラ排ガス出口温度の推定値を使用して開始する、各伝熱面での排ガス温度を計算する工程、
- V:排ガス流路内の伝熱面ごとの排ガス係数を計算する工程。
【0018】
この手法を使って、ボイラの熱負荷が数値に一致する状況において、排ガス流路内の各伝熱面(これ以降、「伝熱面」とは、熱交換器、熱交換器管、熱交換器管束、熱交換器パッケージ、および/または節炭器などの熱交換器の構成群を意味する)の状況は、排ガス係数を用いて数値的に推定することができる。「伝熱面」という用語は、節炭器などの熱交換器の構成群を意味することが好ましい。したがって、ここで、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷の候補である特定の数値が、伝熱面において、許容可能な状況を生み出すかどうかを試験することができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、工程III)において、数値ボイラモデルは、Qfluid,i,candidate=Qfluid,i,current+Σαj,i(Qh,candidate)j-Σparj,i(Qh,current)jの形式のモデルである。
【0020】
パラメータ(parj,i)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。パラメータの自動更新は、たとえば月に1回行われてもよい。自動更新において、AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを利用することができる。
【0021】
これにより、一方では、国際公開第2016/202640A1号に開示された方法とは異なり、現在のボイラ負荷で限界に達することなく、計算上許容可能な現在の最大ボイラ瞬間負荷を予測することが可能となり、他方では、さらにより重要なことに、計算上許容可能な現在の最大ボイラ瞬間負荷を超えることなく、限界まで達することが可能である。
【0022】
排ガス係数は、以下を含むかまたは以下であることが好ましい。
dfi=ki(qm,fluegas/(ρfluegas,i×Across,i))n
ここで、
kiは、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、非ゼロのパラメータであり、
qm,fluegasは、排ガスの質量流量であり、
nは、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、モデルパラメータであり、
ρfluegas,iは、i番目の伝熱面における排ガスの密度であり、
Across,iは、i番目の伝熱面における、排ガス流れ通路の断面積である。
【0023】
これは、排ガス係数にこの関数形式を選択すると、排ガス係数は、非常に自由度が高くなり、現在の燃料の状態に基づくなど、様々な燃焼ボイラのニーズに合わせて簡単に適合できるので、とりわけ好都合である。
【0024】
モデルパラメータnは、以下のうちの少なくとも1つであるよう選択され得るので、とりわけ有利である。
i)計算された排ガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、好ましくは1.0同等もしくは約1.0、
ii)腐食を引き起こす、計算された排ガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、好ましくは3.2~3.35の間、または
iii)圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲、好ましくは2.0同等もしくは約2.0。
【0025】
nの値は、時間の経過と共に変更され得る。これは、伝熱面における排ガスの流れの状態が、スラッギング、灰の凝集、または燃料もしくは床の状態などにより、時間の経過と共に変化する可能性があるので、有利である。排ガス係数は、したがって、実際のボイラの状況をより適切に反映するために、時間の経過と共にシフトすることができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、n=2であり、排ガス係数が圧力損失を表す場合、排ガス係数dfiと排ガス係数の所定の最大値dfmax,iとの比較は、伝熱面ごとに実行することができる。許容条件は、一実施形態によれば、実質的にdfi=dfmax,iである。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、n=2であり、排ガス係数が圧力損失を表す場合、排ガス係数dfiの合計、
dptot=Σdfi
と、所定の排ガス係数dfmax,iの合計との間で、比較を行うことができるか、または所定の排ガス係数は、ただ単に、全圧力降下を表し、したがって比較は、炉と煙突との間の全圧力降下の比較を表す。許容条件は、一実施形態によれば、実質的にdptot=dpmax,totである。
【0028】
排ガス係数は、本発明の一実施形態によれば、灰堆積係数を表し、以下の形式で書くことができる。
dfi=kphC(d)qm_favp
n
ここで、kphは粒子硬度係数、C(d)は粒子直径関数、qm_faは飛灰の質量流量レート、vpは粒子速度、nは冪指数(0、3~4)である。所定の排ガス係数は、かかる場合、最大灰堆積値を表す。灰堆積係数は、灰の特性(柔らかさなど)に基づいて、調整することもできる。
【0029】
許容条件は、本発明の一実施形態によれば、実質的にdfi=dfmax,iであるが、実際の状況では、許容条件は、以下のように定義することができる。
dfmax,i-δ<dfi≦dfmax,i
ここで、δ>0であり、数値精度および/または方法によって変わる。dfmax,i-δ<dfi≦dfmax,iの場合、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数が許容条件を満たすことを意味し、かかる場合に、最大許容ボイラ負荷が発見され、したがって数値Qh,candidateが、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxとして選択される。
【0030】
許容条件は、本発明の一実施形態によれば、実質的にΣ(dfi)=Σ(dfmax,i)であるが、実際の状況では、許容条件は、以下の合計を利用して定義することができる。
Σ(dfmax,i)-δ<Σ(dfi)≦Σ(dfmax,i)
ここで、δ>0であり、数値精度および/または方法によって変わる。Σ(dfmax,i)-δ<Σ(dfi)≦Σ(dfmax,i)の場合、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数が許容条件を満たすことを意味し、かかる場合に、最大許容ボイラ負荷が発見され、したがって数値Qh,candidateが、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxとして選択される。一実施形態によれば、積算指数(summation index)iは、熱伝達面のすべてにわたる。積算指数iは、本発明の別の態様によれば、好ましくは排ガスチャネル内にある、伝熱面の一部だけにわたる。
【0031】
nの値が、少なくとも2台の別個のボイラを含むボイラ群から、ボイラのそれぞれについて監視された運用データを使用して判定される場合、とりわけ有用である。より多数のボイラ(2台、3台、4台、・・・)を使用すると、より大きなデータセットが得られる。したがって、より多くの運用データが監視されることになる。これは、より適切な結果を生み出すことができ、判定に実験データの内挿および/または外挿が使用される状況では、特に優れている可能性がある。
【0032】
排ガス出口温度は、工程I)の計算では、以下の式によって実質的に推定され得る。
Tboiler,exit=α0+ΣαiQi
h,candidate
または、上式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定されることが好ましい。係数αは、いくつかの個別の蒸気負荷の値に対する、排ガス出口の値を測定した後、当てはめによって取得することができる。このデータは、時間の経過と共に収集され、定期的など、随時更新され得る。このデータは、別法として、または追加的に、燃焼ボイラの1回または複数の校正を実行する際に、収集することができる。
【0033】
係数(α)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。係数の自動更新は、たとえば月に1回実行されてもよい。AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを、自動更新に利用することができる。
【0034】
排ガス出口温度は、本発明の一実施形態によれば、工程I)において、人工知能ツールを利用することによって、実質的に推定することができる。排ガス出口温度は、本発明の別の実施形態によれば、工程I)において、ニューラルネットワークを利用することによって、実質的に推定することができる。
【0035】
排ガス出口温度は、本発明の一実施形態によれば、工程I)において、以下の式によって推定することができる。
Tboiler,exit=α0+α1×Qh,candidate+α2×Qh,candidate
2
ここでα0、α1、およびα2は、予め定義された定数とすることができる。別法として、または追加的に、係数(α)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。係数の自動更新は、たとえば月に1回実行されてもよい。AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを、自動更新に利用することができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、α0の項は、現在の状態値に基づいて解くことができる。
α0=Tboiler,exit,current-α1×Qh,current-α2×Qh,current
2
ここで、Tboiler,exit,currentは、測定される排ガス出口温度を表す。
【0037】
排ガス質量流量は、本発明の一実施形態によれば、工程II)において、ボイラ質量およびエネルギーバランス式を使用して計算される。
【0038】
工程II)において、排ガス質量流量の計算には、成分CO2、H2O、N2、SO2、O2の質量流量を考慮することが含まれ得る。これらの成分の濃度は、ある程度簡単な装置を使って、確実に測定することができる。
【0039】
工程II)において、成分の値は、燃料パラメータを含むことができる。これにより、燃料の特性および/または燃焼ボイラで使用される燃料の種類の変化を反映することができる。たとえば、より多くの腐食を引き起こす傾向のある燃料については、許容条件をより厳しくすることができ、一方、あまり腐食を引き起こす傾向がない燃料については、より緩和した許容条件を使用することができる。
【0040】
工程b)は、好ましくはクラウドベースの計算サービスにおいて、燃焼ボイラに対して遠隔に実行されてもよい。これは、クラウドベースの計算サービスを実行するよう構成されているような、遠隔計算装置を、燃焼ボイラとは別個に保守できるので、燃焼ボイラの保守を簡素化するのに役立つ。計算ソフトウェアの更新は、これにより、たとえば、各燃焼ボイラでソフトウェアを更新するのではなく、1箇所または少数の場所で集中的に実行することができる。
【0041】
工程b)は、別法として、燃焼ボイラで、好ましくはエッジサーバで、ローカルに実行されてもよい。これにより、遠隔の計算場所にデータを転送する必要がないので、計算が高速化され得る。
【0042】
現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷のいずれも、リアルタイムでの測定により取得することができる。これの代わりに、またはこれに加えて、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷は、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理され得る。これは、計算結果に影響を与えるノイズまたは異常値の測定を回避するのに役立ち、これにより、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷の安定性を高めることが容易になる。
【0043】
許容条件には、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれ得る。これは、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷の安定性を高めることができ、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷が、短期間に上下に変化することを回避するのに役立つので好ましい。
【0044】
この方法は、いかなる種類の燃焼ボイラでも利用できるが、本出願人は、燃焼ボイラが循環流動床(CFB)または気泡流動床(BFB)ボイラであり、工程b)が燃焼ボイラ伝熱面に対して実行される場合に、とりわけ有用であることを発見した。この方法は、とりわけCFBまたはBFBボイラにとって、好都合である。
【0045】
工程b)は、一実施形態によれば、炉と煙突との間の燃焼ボイラ伝熱面に対して実行される。
【0046】
燃焼ボイラは、以下を備える。
- 排ガス流れ経路を画定し、いくつかの伝熱面を備える、炉および関連する通路、
- 燃焼ボイラの現在の負荷を監視する、測定機器、
- 現在のプロセスデータを監視する、別の測定機器、ならびに
- ボイラ制御方法を実行するよう構成される、制御システム。
【0047】
燃焼ボイラは、一実施形態によれば、排ガス流れ経路を画定し、排ガス流れ経路内にいくつかの伝熱面を備える、炉および関連する通路を備える。
【0048】
かかる燃焼ボイラで、ボイラ制御を向上させることができる。利点は、方法の利点と同じである。
【0049】
制御システムは、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理する、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成され得る、エッジサーバを備えることができる。エッジサーバにより、現在監視されているプロセスデータの量を削減することが容易となろう。特定の設置環境では、毎日60~90ギガバイトの、監視されるプロセスデータがあり得るという事実を考慮すると、これは特に、とりわけ有用であり得る。
【0050】
制御システムは、方法の工程b)を実行して、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷をローカルに判定するよう構成されてもよい。これにより、燃焼ボイラシステムから転送する必要があり得るデータがより少なくなるか、またはまったくなくなるので、燃焼ボイラでの迅速な意思決定が容易になる。
【0051】
制御システムは、別法として、または追加的に、方法の工程b)を実行して、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を制御システムに返すよう構成され得る、遠隔の、好ましくはクラウドベースのコンピューティングシステムに、データを送信するよう構成され得る。これにより、燃焼ボイラをより簡素化すること、およびコンピューティングシステムの更新をより簡単にすることが、より容易になる。更新は、この状況では、各燃焼ボイラのいずれにおいても実行するのではなく、集中的に実行することができる。
【0052】
エッジサーバは、遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成され得る。このようにして、データ転送には、より小さい帯域幅で十分であり得る。特定の設置環境では、毎日60~90ギガバイトの、監視されるプロセスデータがあり得るという事実を考慮すると、これは特に、とりわけ有用であり得る。
【0053】
燃焼ボイラ計算システムは、以下を備える。
- 各ボイラが、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステムに送信するよう構成される、エッジサーバシステムを備える、ボイラ制御システムを具備する、燃焼ボイラ群、
- リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、ボイラのそれぞれについて、数値ボイラモデルを使用してデータを計算し、それぞれのボイラへ計算結果を返すよう構成される、クラウドベースのコンピューティングシステムであることが好ましい、遠隔コンピューティングシステム。
【0054】
燃焼ボイラ計算システムでは、ボイラ制御システムはさらに、計算結果に基づいて、ボイラ制御システムの機能を適合させるよう構成される。
【0055】
この構成の利点は、燃焼ボイラにおける計算デバイスの必要性を軽減しながらも、依然として遠隔コンピューティングシステムから効果的かつ高速な計算結果を得ることができることである。
【0056】
コンピューティングシステムは、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数が許容条件を満たす、数値または現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を発見し、この数値を、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷として選択するよう構成され得る。これにより、基本的に、分散環境でも本発明の方法を使用することが可能となる。
【0057】
ボイラ計算システムは、ボイラの処理された測定データを使用して、ボイラの、排ガス係数数値モデルなどの数値モデルを、適合または校正するよう構成され得る。これにより、ボイラ制御の数値モデルを遠隔で適合または校正することが、より容易になる。
【0058】
ボイラ計算システムは、他のボイラからも収集され、処理された測定データを使用して、ボイラの数値モデルを適合または校正するよう構成され得る。これにより、より多く収集されたデータを使用して、ボイラ制御の数値モデルを調整することが可能となる。
【0059】
燃焼ボイラおよび燃焼ボイラ制御方法を、
図1~
図9の添付図面に示している実施形態に関連して、下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図3】センサからの測定データの流れを示す図である。
【
図4】現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを発見する、第1の方法を示す流れ図である。
【
図5】現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを発見する、第2の方法を示す流れ図である。
【
図6】現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを、どのようにボイラ操作者に提示できるかを示す図である。
【
図7】ボイラ瞬間負荷Q
h、および計算された現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、max、ならびに試験期間中に本発明による方法を使用した効果を示すグラフである。
【
図8】
図7のデータをより詳しく見ることで、10日間の試験期間中の、本発明による方法を使用した効果がより明らかである、ボイラ瞬間負荷Q
h、計算された現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
すべての図において、同じ参照番号は同じ技術的特徴を指す。
【0062】
図1は、CFBボイラである燃焼ボイラ10を示し、燃焼ボイラ10の水蒸気回路に連結された管壁13を備える、炉12を具備する。水は、水タンク(図示せず)から節炭器に供給され、節炭器から蒸気ドラムを介して管壁13などの蒸発伝熱面に供給され、次いで、蒸気ドラムを介して過熱器に、次いでタービンに誘導される。排ガスチャネルには、節炭器および/または過熱器が設けられ得る。
【0063】
流動化ガス(空気および/または酸素含有ガスなど)は、流動化ガス供給源153からウィンドボックス(図示せず)を介して火格子(
図1には、火格子は示されていない)の下に供給され、1次流動化空気が、火格子の下から(床を流動化するための)ノズル(図示せず)、および(酸素含有ガスを供給して燃焼を制御する)2次流動化ガス供給部152を通って、炉に入る。その結果、床媒体が流動化されることになり、また燃焼に必要な酸素も炉12内に供給される。さらに、燃料が、燃料供給部22を介して炉12内に供給される。燃焼は、燃料供給部22を制御することにより(燃料の供給を減少または増加させるなどにより)、および流動化ガスの供給を制御することにより(炉12内への酸素供給量を減少または増加させることなどにより)、調整することができる。燃料は、添加剤、具体的には、たとえばCaCO3および/または粘土などのアルカリ吸着剤として作用するような添加剤と一緒に、供給することができる。追加的または別法として、アンモニウムまたは尿素などのNOx還元剤を、炉12の燃焼領域内に、または炉12の燃焼領域の上に、供給することができる。
【0064】
床媒体も炉内に供給され、床媒体は、砂、石灰石、および/または粘土を含むことができ、粘土は、具体的には、カオリンを含むことができる。床の、また一般に燃焼の1つの結果として、水蒸気回路において、水および蒸気が管壁13内で加熱され、水が蒸気に変換される。
【0065】
灰は、炉12の底に落ち、灰用シュート(明確にするために、
図1から省略)を介して排除され、灰の一部、いわゆる飛灰は、排ガスと一緒に運ばれることになる。
【0066】
排ガスなどの燃焼生成物、未燃燃料、および床媒体は、炉12から、渦ファインダ103を備えることができる粒子分離器17へ進む。粒子分離器17は、固体から排ガスを分離する。特に、より大型の燃焼ボイラ10では、互いに平行に配置されていることが好ましい、複数(2台、3台、・・・)の分離器17があってもよい。
【0067】
分離器17によって分離された固体は、分離器17の底部に位置することが好ましい、ループシール160を通過する。固体は、次いで、伝熱面でもある流動床式熱交換器(FBHE:fluidized bed heat exchanger)100へ進み、これによりFBHE100は、固体から熱を収集し、水蒸気回路内の蒸気をさらに加熱する。その内部にFBHE100が位置するチャンバは、流動化することができ、FBHE100自体は、伝熱管または他の種類の伝熱面を備える。FBHE100は、再加熱器または過熱器として配置され得る。蒸気は、FBHEの出口101から、高圧タービン(FBHE100が過熱器の場合)または中圧タービン(FBHE100が再加熱器の場合)内に送られる。明確にするために、タービンは
図1には示していない。固体は、FBHE100から戻りチャネル102を通って、炉12内に戻され得る。特に、より大型の燃焼ボイラ10では、互いに平行に配置されていることが好ましい、複数(2台、3台、・・・)のループシール160およびFBHE100、ならびに戻りチャネル102があってもよく、したがって分離器17ごとに、それぞれのループシール160、FBHE100、および戻りチャネル102が存在することになる。実際には、FBHE100のうちのいくつかは、過熱器として配置されてもよく、他のいくつかは、再加熱器として配置されてもよい。
【0068】
排ガスは、分離器17から水平通路15に送られ、そこからさらに(垂直通路であり得ることが好ましい)後部煙道16に送られ、そこから排ガス導管18を通って煙突19に送られる。
【0069】
後部煙道16は、いくつかの伝熱面21
i(i=1、2、3、・・・、k、ここでkは、伝熱面の数)を備える。
図1には、伝熱面21
1、21
2、21
3、・・・、21
k-1、21
kを示している。伝熱面21
kは、空気予熱器を示している。伝熱面21
k-1、21
2は過熱器を示し、伝熱面21
1、21
3は再加熱器を示している。これらの構成要素のそれぞれにおける様々な伝熱面の実際の数は、たとえば、実際の必要性に応じて、燃焼ボイラごとに様々に選択することができる。また、伝熱面21を備える別の構成要素も同様に、存在し得る。
【0070】
最後の伝熱面21kから出る排ガスでは、排ガス出口温度TFG,exitとなる。この温度は、温度センサ20kで測定される。
【0071】
一態様によれば、各伝熱面21iの前後の温度(それぞれTFG,in,i、TFG,in,i+1)は、それぞれの温度センサ20i(i=1、2、3、・・・、k-1、k)で測定することができる。
【0072】
しかし、別の態様によれば、これらの温度は、必ずしも測定する必要がないことが好ましい。排ガス出口温度TFG,exitを知るだけで、十分であろう。前述の各伝熱面21iの前後の温度(TFG,in,i、TFG,in,i+1)は、数値的に取得することができる。これについては、下記でさらに説明することにする。
【0073】
燃焼ボイラ10には、複数のセンサおよびコンピュータユニットが装備されている。実際、1台の中型(100~150MW
th)燃焼ボイラ10は、1日当たり1億個の測定値を生成する可能性があり、これには25GBの記憶空間が必要である。
図1、
図2、および
図3は、いくつかのセンサおよびコンピュータユニットを示している。センサの例としては、(1次および2次流動化ガスの供給を測定するための)燃焼ガス(通常は燃焼空気)体積流量センサ30、燃料供給センサ650、および温度センサ20
i(i=1、2、・・・、k)、(両方ともCFBボイラだけに存在する)FBHE内の温度センサおよび戻りチャネル102内の圧力センサ116、ならびに炉12内のセンサ40がある。
【0074】
プロセスデータは、分散制御システム(DCS:distributed control system)201によってセンサから収集され得る。データ収集部は、たとえばフィールドバス290を介して、最も好都合に配置することができる。DCS201は、操作者に運用状態情報を表示するための、ディスプレイ/モニタ202を備えることができる。エッジサーバ203は、センサから取得した測定データを、フィルタ処理および平滑化するなど、処理することができる。データを記憶するための、ローカル記憶装置204が存在し得る。
【0075】
DCS201、ディスプレイ/モニタ202、エッジサーバ203、ローカル記憶装置204は、燃焼ボイラ/ネットワーク280内にあり得る(ローカル記憶装置204は、エッジサーバに直接接続されていることが好ましい)。燃焼ボイラネットワーク280は、センサからの測定結果をDCS201および/またはエッジサーバ203に通知するために使用される、フィールドバス290から独立していることが好ましい。DCS201とエッジサーバ203との間には、システムの相互運用性をより高めるための、オープンプラットフォーム通信サーバ210(
図3参照)があってもよい。
【0076】
燃焼ボイラネットワーク280は、好ましくはゲートウェイ290を介して、インターネット200に接続され得る。測定結果は、この状況では、燃焼ボイラネットワーク280から、計算クラウド206内に位置するプロセス知能システム205などのクラウドサービスに転送され得る。出願人は現在、分析プラットフォームを実行するクラウドサービスを運用している。クラウドサービスは、分散コンピューティングおよびデータのクラウドでの記憶のための、仮想化された、容易に規模の拡大縮小が可能な環境である、Microsoft(登録商標)Azure(登録商標)などの仮想化サーバ環境で運用され得る。他のクラウドコンピューティングサービスも、分析プラットフォームを実行するのに好適であり得る。さらに、クラウドコンピューティングサービスの代わりに、またはクラウドコンピューティングサービスに加えて、分析プラットフォームを実行するために、ローカルまたは遠隔サーバを使用することができる。
【0077】
図2は、BFBボイラである燃焼ボイラ10を示している。BFBボイラは、流動床が循環床ではなく気泡床であるという点で、CFBボイラとは異なる。したがって、分離器17、ループシール160、FBHE100、および戻りチャネル102は不要である。
【0078】
通常、炉12内、好ましくは炉12の上部に、少なくとも1台の過熱器14がある。過熱器14の入口141は、蒸気ドラムまたは別の過熱器からの入口であり、出口142は、高圧タービンへの出口であることが好ましい。
【0079】
図4は、燃焼ボイラの制御方法を示している。
a)燃焼ボイラ10の現在の負荷Q
hが、工程K1で監視される(
図4に示している方法では、排ガス出口温度T
FG,exit、および排ガス流路(垂直通路16)内の伝熱面21
iごとの熱負荷Q
fluid,iも監視される。
b)数値Q
h,candidateが選択され(工程K3)、その後、伝熱面21
iにおける熱負荷、およびQ
h,candidateに対する排ガス温度が計算される。次いで、数値Q
h,candidateを使用し、許容条件を満たす(工程K9で試験される)ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して、少なくとも1つの排ガス係数df
iを計算し(工程K7)、数値Q
h,candidateを、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h,maxとして選択する(工程K11)。
c)現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、maxが、(モニタ/画面202上に表示することなどにより)操作者に示され、ならびに/あるいは、現在の負荷Q
hが、
c1)計算上のボイラ最大瞬間負荷Q
h,maxよりも小さい場合、
c1i)ボイラ負荷Q
hが増加する可能性があることを、ボイラ操作者に示し、かつ/もしくは
c1ii)ボイラ負荷Q
hを、自動的に増加させ、
ならびに/または
c2)計算上のボイラ最大瞬間負荷Q
h,maxよりも大きい場合、
c2i)ボイラ負荷Q
hがボイラ最大瞬間負荷を超えていることを、ボイラ操作者に示し、かつ/もしくは
c2ii)ボイラ負荷Q
hを、自動的に低減させる。
【0080】
工程b)は、燃焼ボイラ10の、炉12と煙突19との間の伝熱面21iに対して実行されることが好ましい。
【0081】
この方法では、現在監視されているボイラのプロセスデータには、a)排ガス流路内の、現在の排ガス出口温度TFG,exit、およびb)排ガス流路(後部煙道16)内の伝熱面21iごとの、熱負荷Qfluid,iが含まれ得る。
【0082】
この方法ではさらに、a)とb)との両方からの監視されているプロセスデータが、排ガス係数dfiを計算する際に、また現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxに対する、数値Qh,candidateを発見するときに、使用され得る。
【0083】
この発見は、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数dfiが許容条件を満たすことができない場合に、次の数値Qh,candidateが自動的に選択されるように実行される。自動選択は、反復して行われることが好ましい。
【0084】
この発見は、具体例として、以下の計算工程を実行することにより行われ得る。
- I:ボイラの熱負荷が数値Qh,candidateと一致する場合に計算上のボイラモデルをもたらすボイラ排ガス出口温度Tboiler,exitの推定値を計算する工程。
- II:排ガス質量流量qm,fluegasを計算する工程。
- III:排ガス流路(後部煙道16)内の伝熱面21iごとの熱負荷Qfluid,i,candidateを、数値上のボイラモデル、Qfluid,i,candidate=Qfluid,i,current+Σαj,i(Qh,candidate)j-Σparj,i(Qh,current)jを使用することによって補正される、伝熱面の現在の熱負荷Qfluid,i,currentを使って計算する工程。
- IV:排ガス流路(後部煙道16)内の伝熱面21iごとの、計算された熱負荷Qfluid,i,candidateを使用し、排ガス流路(後部煙道16)内の、排ガス流の上流方向での排ガス出口に最も近い伝熱面21kから、すなわち、ボイラ排ガス出口温度の推定値Tfluegas,out,m=TFG,exitを使用して開始する、各伝熱面での排ガス温度(Tfluegas,in,i、Tfluegas,out,i、i=1、・・・、k)を計算する工程。
- V:排ガス流路(後部煙道16)内の伝熱面21iごとの、排ガス係数dfi、i=1、・・・、kを計算する工程。
【0085】
パラメータ(parj,i)の当てはめは、人間が手動で、または履歴データを利用して、コンピュータによって自動的に行うことができる。パラメータの自動更新は、たとえば月に1回実行されてもよい。AIおよびニューラルネットワークベースのアルゴリズムを、自動更新に利用することができる。
【0086】
工程II)には、選択された排ガス成分について、排ガス質量流量qm,fluegas,mを計算する工程が含まれ得る。
【0087】
各伝熱面での排ガス温度は、たとえば以下の式で計算することができる。
【0088】
【数1】
ここで、T
fluegas,in,iはi番目の伝熱面の入口での排ガス温度、c
pは比熱容量、T
fluegas,out,iはi番目の伝熱面の出口での排ガス温度である。排ガス温度は、人工知能ツールを使って判定することができる。排ガス温度は、ニューラルネットワークを使って判定することができる。
【0089】
排ガス係数は、以下を含むかまたは以下であることが好ましい。
dfi=ki(qm,fluegas/(ρfluegas,IAcross,i))n
ここで、kiは、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、正の(非ゼロの)数であることが好ましい、所定の非ゼロのパラメータであり、
qm,fluegasは、排ガスの質量流量であり、
nは、(自然数、有理数、実数として、または複素数としてさえ選択され得る)正の数であり、
ρfluegas,iは、i番目の伝熱面21iにおける排ガス温度TFG,in,iから得られる、排ガス密度であり、
Aは、i番目の伝熱面21iにおける、排ガスチャネルの断面積である。
【0090】
nは、以下のうちの少なくとも1つであるよう選択され得るので有利である。
i)計算された排ガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、好ましくは1.0同等もしくは約1.0、
ii)腐食を引き起こす、計算された排ガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、好ましくは3.2~3.35の間、または
iii)圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲、好ましくは2.0同等もしくは約2.0。
nの値は、時間の経過と共に変更され得る。nの値は、具体的には、燃焼ボイラ群から判定でき、群は、少なくとも2台の別個の燃焼ボイラ10を含み、したがってこの判定には、燃焼ボイラ10ごとに監視される運用データが使用される。
【0091】
工程I)の計算において、ボイラ負荷に対して選択された任意の数値Qh,candidateの下での、排ガス出口温度TFG,exitの計算値は、以下の式によって推定され得る。
TFG,exit=α0+Σαj(Qh,candidate)j
または、上式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定されることが好ましい。係数α0、α1、α2、・・・は、いくつかの個別のボイラ負荷Qsteamの値に対する、排ガス出口温度TFG,exitの値を測定した後、当てはめによって事前に取得されている。
【0092】
工程II)において、排ガスの質量流量を判定するために、成分qm,fluegas,mの計算には、m=CO2、H2O、N2、SO2、O2のうちの少なくとも一部、最も好ましくはすべてが含まれることが好ましい。言い換えると、計算の工程IV)では、qm,fluegas,mの値として、qm,fluegas,CO2、qm,fluegas,H20、qm,fluegas,N2、qm,fluegas,SO2、qm,fluegas,O2のうちの一部またはすべてが使用され得る。これらは、排ガス導管18または縦溝19内で測定されることが好ましく、そのために、好適なセンサが排ガス通路内に設置される。工程II)において、成分の値は、燃料パラメータをさらに含むことができる。
【0093】
排ガス質量流量は、燃料分析(燃料の近似分析および最終分析)、燃焼空気流量、および/またはボイラ質量およびエネルギーバランスの計算による、再循環ガス流量に基づいて計算される、排ガス成分の質量流量qm、fluegas、mの合計の計算に基づき得る。
【0094】
排ガスの質量流量は、以下の式で計算され得ることが好ましい。
qm,fluegas=Σqm,fluegas,i
すなわち、たとえば、以下の排ガス質量流量成分CO2、H2O、N2、SO2、およびO2の合計である。
【0095】
【数2】
ここで、たとえば、x
c,fuelは燃料中の炭素を表す。すなわち、最初の添字は成分を表し、2番目の添字は参照されている燃料または燃焼用空気のいずれかであり、q
m,fuelは燃料流量、q
m,airは燃焼用空気流量であり、M
xはモル質量を示す。有利なことには、排ガス質量流量成分における、利用される燃料の特性、および燃焼用空気の特性。燃料の水分は、測定または計算することができる。
【0096】
工程b)は、プロセス知能システム205などにおいて、燃焼ボイラに対して遠隔に実行されてもよい。工程b)は、別法として、燃焼ボイラで、好ましくはエッジサーバ203で、ローカルに実行されてもよい。
【0097】
現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷はいずれも、リアルタイムでの測定によって得られ、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理され得る。
【0098】
許容条件には、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxを変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれ得る。
【0099】
許容条件には、計算された少なくとも1つの排ガス係数dfiをそれぞれの最大値dfmax,iと比較することが、含まれることが好ましい。最大値dfmax,iは、事前設定された値であり、ボイラ固有の値であることが好ましい。数値Qh,candidateは、最大値dfmax,iを超える場合に捨てられる。
【0100】
燃焼ボイラ10では、炉12および関連する通路(水平通路15および後部煙道16)が排ガスの流れる通路を画定する。炉12および通路15、16は、排ガスの流れる通路内にいくつかの伝熱面21iを備える。燃焼ボイラ10は、燃焼ボイラの現在の負荷Qhを監視するための測定機器、および現在のプロセスデータを現在監視するための、別の測定機器も備える。
【0101】
制御システム(DCS201、およびエッジサーバ203、または場合によってはエッジサーバ203の関与の下で、遠隔プロセス知能システム205)は、ボイラ制御方法を実行するよう構成される。
【0102】
エッジサーバ203は、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理する、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成され得る。
【0103】
制御システムは、方法の工程b)を実行し、燃焼ボイラ10での、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxをローカルに判定し、かつ/またはデータを、方法の工程b)を実行し、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxを制御システムに返すよう構成される、遠隔の、好ましくはクラウドベースの(計算クラウド206などの)コンピューティングシステム(プロセス知能システム205など)に送信するよう構成され得る。制御システムは、次いで、ディスプレイ/モニタを使用して、方法の工程c)にあるように、情報を表示することなどにより、ボイラ操作者に情報を示すことができる。
【0104】
エッジサーバ203は、遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成され得る。
【0105】
燃焼ボイラ計算システムは、燃焼ボイラ10群を備え、各燃焼ボイラ10は、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステムに送信するよう構成される、エッジサーバ(203)システムを備える、ボイラ制御システム(CS:control system)を具備する。遠隔コンピューティングシステムは、リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、燃焼ボイラ10のそれぞれについて、数値ボイラモデルを使用してデータを計算し、ボイラ10のそれぞれに計算結果を返すよう構成される、クラウドベースのコンピューティングシステムであることが好ましい。ボイラ制御システムは、計算結果に基づいて、ボイラ制御システムの機能を適合させるよう構成され得る。
【0106】
コンピューティングシステムは、ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数dfiが許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxに対する数値Qh,candidateを発見し、数値Qh,candidateを、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxとして選択するよう構成されることが好ましい。
【0107】
ボイラ計算システムは、燃焼ボイラ10の処理された測定データを使用して、ボイラの数値モデルを適合または校正するよう構成され得る。ボイラ計算システムは、別法として、または追加的に、他の燃焼ボイラ10からも収集された、処理された測定データを使用して、燃焼ボイラ10の数値モデルを適合または校正するよう構成されてもよい。
【0108】
図5は、
図4に示される方法の修正形態を示している。工程L1、L3、L7、L9はそれぞれ、工程K1、K3、K9、K11と同じであるが、工程L5では、すべての伝熱面20
iについて、排ガス係数df
iを直接計算することができる。すなわち、T
FG,in,iを、それぞれの温度センサ21
iを使用して測定する場合には、逆算する必要がないため、
図5に示している方法では、工程K7を省略することができる。
【0109】
図6は、工程N1において、数値ボイラモデルへの、使用可能な入力を示している。工程N3では、Q
h,maxが、ボイラモデルを使用して数値的に計算され、工程N5では、推定された最大負荷Qh,maxが、特定のユーザインタフェース(UI:user interface)を介して、好ましくはディスプレイ/モニタ202を介して、ボイラ操作者に提示される。
【0110】
図7は、ボイラ瞬間負荷Q
h、および計算された現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Q
h、max、ならびに試験期間中に本発明による方法を使用した効果を示している。10日間の試験期間中、120MW
thのボイラ出力で、試験期間外より、平均で3~6MW
th大きい負荷が得られた。
図8は、10日間の試験期間をより詳細に示している。
【0111】
言い換えると、ボイラ制御方法において、判定された、流動床燃焼ボイラの動作パラメータを使用する、数値モデルを使用して、燃焼ボイラの現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxが推定される。現在のボイラ負荷Qhは、蒸気回路の測定データを使用して計算される。
【0112】
次いで、ボイラ負荷Qhが現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷Qh,maxよりも小さい場合、i)ボイラ負荷を増やしてもよいことをボイラ操作者に示し、および/またはii)ボイラ負荷を自動的に増加させる。別法として、または追加的に、ボイラ負荷Qhがボイラ最大瞬間負荷Qh,maxよりも大きい場合、i)ボイラ負荷がボイラ最大瞬間負荷を超えていることをボイラ操作者に示し、および/またはii)ボイラ負荷を自動的に低減させる。
【0113】
当業者には、技術の進歩に伴い、本発明の基本的な考え方を、多くの手法で実施できることが明らかである。本発明および本発明の実施形態は、したがって、上記で説明した例およびサンプルに限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその法的同等物の内容の範囲内で、変更することができる。
【0114】
上記で言及した特定の経験式を使用することに加えて、またはその代わりに、数値モデル計算において、人工知能ツールおよび/またはニューラルネットワークを利用することが可能である。
【0115】
以下の特許請求の範囲および本発明の前述の説明において、明示的な言い回しまたは必要な含意のために、文脈上別段の必要がある場合を除き、単語「comprise」または「comprises」もしくは「comprising」などの変形は、包括的な意味で使用される。すなわち、記載された特徴の存在を明示するために使用されるが、本発明の様々な実施形態における別の特徴の存在または追加を、排除するために使用されるものではない。
【符号の説明】
【0116】
TFG,in,i 熱交換器21i(i=1、2、・・・k)の入口における排ガス温度
TFG,exit 熱交換器21kの出口における排ガス温度
センサ
20 温度センサ(FBHE)
20i 温度センサ(i=1、2、・・・k)
30 ガス体積流量センサ
40 炉内のセンサ
165 圧力センサ(ループシール)
650 燃料供給センサ
10 燃焼ボイラ
12 炉
13 管壁
14 過熱器
15 水平通路
16 後部煙道
17 粒子分離器
18 排ガス導管
19 縦溝
21i 伝熱面(i=1、2、・・・k)
22 燃料供給部
100 流動床式熱交換器(FBHE)
101 FBHE出口
102 戻りチャネル
103 渦ファインダ
141 過熱器入口
142 過熱器出口
151 1次流動化ガス供給部
152 2次流動化ガス供給部
153 流動化ガス供給源
161 再加熱器出力
200 インターネット
201 分散制御システム
202 ディスプレイ/モニタ
203 エッジサーバ
204 ローカル記憶装置
205 プロセス知能システム
206 計算クラウド
210 オープンプラットフォーム通信サーバ
280 燃焼ボイラネットワーク
290 フィールドバス
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ボイラ制御方法であって、
a)燃焼ボイラの現在の負荷(Q
h)を監視する工程、
b)前記ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見する工程、および前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)として選択する工程、
c)前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h、max)を、操作者に示す工程、ならびに/あるいは、前記現在の負荷(Q
h)が、
c1)前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)よりも小さい場合に、
c1i)前記ボイラ負荷(Q
h)が増加する可能性があることを、前記ボイラ操作者に示す工程、および/もしくは
c1ii)前記ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に増加させる工程、
ならびに/または
c2)前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)よりも大きい場合に、
c2i)前記ボイラ負荷(Q
h)が前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷を超えていることを、前記ボイラ操作者に示す工程、および/もしくは
c2ii)前記ボイラ負荷(Q
h)を、自動的に低減させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
i)前記ボイラの前記現在監視されているプロセスデータが、
ia)排ガス流路内の現在の排ガス出口温度(T
flue gas,exit,current)と、
ib)前記排ガス流路内の伝熱面(i)ごとの熱負荷(Q
fluid,i)と
を含み、さらに
ii)ia)とib)との両方からの監視されているプロセスデータが、前記排ガス係数を計算する際に使用され、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する前記数値(Q
h,candidate)を発見するときに使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する前記数値(Q
h,candidate)に関する許容条件を満たす、前記ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される前記少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が許容条件を満たさなくなる場合に、前記発見が、次の数値(Q
h,candidate)が自動的に選択されるように実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記次の数値(Q
h,candidate)が、繰り返し選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発見が、
- I:前記ボイラの前記熱負荷が、前記数値(Q
h,candidate)と一致する場合に計算上のボイラモデルをもたらすボイラ排ガス出口温度(T
boiler,exit)の推定値を計算する工程、
- II:排ガス質量流量(q
m,fluegas)を計算する工程、
- III:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を、数値上のボイラモデル、(Q
fluid,i,candidate=Q
fluid,i,current+Σα
j,i(Q
steam,max)
j-Σα
j,i(Q
stream,current)
j)を使用することによって補正される、前記伝熱面の現在の熱負荷(Q
fluid,i,current)を使って計算する工程、
- IV:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの前記計算された熱負荷(Q
fluid,i,candidate)を使用し、前記排ガス流路内の、排ガス流の上流方向での前記排ガス出口に最も近い前記伝熱面21
kから、前記ボイラ排ガス出口温度の前記推定値(T
fluegas,out,k=T
FG,exit)を使用して開始する、各伝熱面での排ガス温度(T
fluegas,in,i、T
fluegas,out,i、i=1、・・・、k)を計算する工程、
- V:前記排ガス流路内の伝熱面ごとの排ガス係数(df
i、i=1、・・・、k)を計算する工程
を実行することにより行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記排ガス係数が、下記式を含むかまたは下記式であり、
【数1】
ここで、k
iが、具体的には、燃焼ボイラで選択され得る、非ゼロのパラメータであり、
q
m,fluegasが、排ガスの質量流量であり、
nが、具体的には、燃焼ボイラで選択され得るモデルパラメータであり、ρ
fluegas,iが、i番目の伝熱面における排ガス密度であり、Aが、i番目の伝熱面における排ガスチャネルの断面積である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
nが、
i)計算された排ガス速度を使用する場合、0.9~1.1の範囲、
ii)腐食を引き起こす、計算された排ガスを使用する場合、2.9~3.5の範囲、または
iii)圧力損失を使用する場合、1.8~2.2の範囲
のうちの少なくとも1つであるよう選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記nの値が、時間の経過と共に変更される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記nの値が、少なくとも2台の別個のボイラを含むボイラ群から、前記ボイラのそれぞれについて監視される運用データを使用して判定される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程I)の前記計算において、前記排ガス出口温度が、実質的に、式
T
boiler,exit=α
0+Σα
j(Q
h,candidate)
j
または前記式の1次、2次、もしくは3次以上の近似式によって推定され、前記それぞれの係数(α
0、α
1、α
2、・・・)が、いくつかの個別のボイラ負荷(Q
steam)の値に対する、排ガス出口温度(T
FG,exit)の値を測定した後、当てはめによって事前に取得されている、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程II)において、排ガス質量流量の計算には、排ガス成分の質量流量(q
m,fluegas,m)が利用され、前記成分には、CO
2、H
2O、N
2、SO
2、O
2が含まれる、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程II)において、排ガス質量流量の前記計算が、燃料パラメータを含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程b)が、前記燃焼ボイラに対して遠隔で実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程b)が、前記燃焼ボイラでローカルに実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷がいずれも、リアルタイムでの測定によって得られ、フィルタリングによって処理され、平均化、傾向の計算、またはこれらの任意の組合せによって処理される、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記許容条件には、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)を変更する前に、所定の最小変更を必要とする、ヒステリシス条件が含まれる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記許容条件が、前記計算された少なくとも1つの排ガス係数(df
i)の、それぞれの設計値に対する比較を含み、前記方法において、前記数値(Q
h,candidate)が、前記設計値を超えた場合に捨てられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記燃焼ボイラが、循環流動床(CFB)ボイラまたは気泡流動床(BFB)ボイラであり、前記工程b)が、任意選択により炉(12)を含む、前記炉(12)と煙突(19)との間にある、前記燃焼ボイラの伝熱面に対して実行される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
- 排ガス流れ通路を画定し、前記煙道流れ通路内に位置する、いくつかの伝熱面(21
i)を備える、炉(12)および関連する通路(15、16)と、
- 燃焼ボイラ(10)の現在の負荷(Q
h)を監視する、測定機器と、
- 現在のプロセスデータを監視する、センサ(20、20
i、30、40、116、165、650)などの別の測定機器と、
- 請求項1~18のいずれか一項に記載のボイラ制御方法を実行するよう構成される、制御システム(CS 201、203、205)と
を具備する、燃焼ボイラ。
【請求項20】
前記制御システム(CS)が、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、リアルタイムでの測定結果を処理する、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理するよう構成される、エッジサーバ(203)を備える、請求項19に記載の燃焼ボイラ(10)。
【請求項21】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h、max)をローカルに判定するよう構成される、請求項19または20に記載の燃焼ボイラ。
【請求項22】
前記制御システムが、前記方法の工程b)を実行して、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h、max)を前記制御システムに返すよう構成される、遠隔コンピューティングシステムにデータを送信するよう構成される、請求項19または20に記載の燃焼ボイラ。
【請求項23】
前記エッジサーバが、前記遠隔コンピューティングシステムに渡される測定データの量を減らすよう構成される、請求項22に記載の燃焼ボイラ。
【請求項24】
- 請求項19~22のいずれか一項に記載の、少なくとも2台の別個のボイラを備える燃焼ボイラ(10)群であり、各ボイラが、現在監視されているプロセスデータおよび/または現在の負荷の、前記リアルタイムでの測定結果を処理、すなわちフィルタリング、平均化、および/または傾向の計算により処理し、前記処理したリアルタイムでの測定結果を遠隔コンピューティングシステム(205)に送信するよう構成される、エッジサーバ(203)システムを備える、ボイラ制御システム(DCS)を具備する、燃焼ボイラ(10)群、
- リアルタイムでの測定結果から処理されたデータを受信し、前記燃焼ボイラ(10)のそれぞれについて、数値ボイラモデルを使用してデータを計算し、前記燃焼ボイラ(10)のそれぞれに計算結果を返すよう構成される、遠隔コンピューティングシステム(205)
を具備する、燃焼ボイラ計算システムであって、
- 前記ボイラ制御システムが、前記計算結果に基づいて、前記ボイラ制御システムの機能を適合させるよう構成され、前記コンピューティングシステムが、前記ボイラの数値モデルを含む現在監視されているプロセスデータを使用して計算される少なくとも1つの排ガス係数(df
i)が許容条件を満たす、現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)に対する数値(Q
h,candidate)を発見し、前記数値(Q
h,candidate)を、前記現在の計算上の最大ボイラ瞬間負荷(Q
h,max)として選択するよう構成される、燃焼ボイラ計算システム。
【請求項25】
前記燃焼ボイラ計算システムが、燃焼ボイラ(10)の処理された測定データを使用して、前記燃焼ボイラ(10)の数値モデルを適合または校正するよう構成される、請求項24に記載の燃焼ボイラ計算システム。
【請求項26】
前記ボイラ計算システムが、他の燃焼ボイラ(10)からも収集された、処理された測定データを使用して、燃焼ボイラ(10)の数値モデルを適合または校正するよう構成される、請求項24~25のいずれか一項に記載のボイラ計算システム。
【国際調査報告】