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特表2024-535756バイオマーカー組成物およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】バイオマーカー組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240925BHJP
   C12Q 1/48 20060101ALI20240925BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20240925BHJP
   C12N 9/12 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
C12Q1/48 Z
C07K14/47
C12N9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514626
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022076076
(87)【国際公開番号】W WO2023039449
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,518
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.JAVA
3.MATLAB
4.MATHEMATICA
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】アレイジャス・ジェームズ・ウズギリス
(72)【発明者】
【氏名】クリス・グリーン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・バウマイスター
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045CB26
2G045JA01
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ27
4B063QS10
4B063QS39
4B063QX04
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA30
4H045DA89
4H045EA50
(57)【要約】
本開示は、アミロイドトランスチレチン心筋症の危険性があるか、またはこれを罹患している個体を特定し、治療するための方法およびキットを提供する。一般に、1種またはそれ以上のバイオマーカー、例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せの検出または測定は、アミロイドトランスチレチン心筋症の特定を支援する。本開示は、例えばトランスチレチン安定化剤を用いたアミロイドトランスチレチン心筋症の治療のために患者を選択するための方法も提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、2種以上のATTRバイオマーカーは、
(i)トロポニンI(TnI)、
(ii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム1(PKM1)、
(iii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム2(PKM2)、
(iv)N末端-ホルモン前駆体B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、
(v)レチノール結合タンパク質4(RBP4)、
(vi)組織メタロプロテアーゼ阻害物質2(TIMP2)、
(vii)ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、または
(viii)これらの組合せ
を含む、方法。
【請求項2】
方法であって、方法は、サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、2種以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnIおよびPKM1、(ii)TnIおよびPKM2または(iii)TnI、PKM1およびPKM2を含む、方法。
【請求項3】
方法であって、方法は、
(a)対象から得られたサンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程;および
(b)ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程
を含み、2種以上のATTRバイオマーカーは、
(i)トロポニンI(TnI)、
(ii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム1(PKM1)、
(iii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム2(PKM2)、
(iv)N末端-ホルモン前駆体B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、
(v)レチノール結合タンパク質4(RBP4)、
(vi)組織メタロプロテアーゼ阻害物質2(TIMP2)、
(vii)ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、または
(viii)これらの組合せ
を含み、
ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程は、ATTRバイオマーカープロファイルにアルゴリズムを適用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含み、アルゴリズムは、決定木法、ニューラルブースト法、ブートストラップ森法、ブーストツリー法またはサポートベクターマシン法に由来する、
方法。
【請求項4】
対象はヒト対象である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
サンプルは血液、血清、血漿または心臓組織を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象は、トランスチレチンアミロイド心筋症(TTR-CM)の危険性があるか、またはこれを罹患しているかどうかを決定する、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、対象をTTR-CMと診断する、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象は1つまたはそれ以上の心筋症試験に選択されるかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項3~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象は1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるために選択されるかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
2種以上のATTRバイオマーカーはPKM1を含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
2種以上のATTRバイオマーカーはPKM2を含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
2種以上のATTRバイオマーカーはPKM1もPKM2も含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
2種以上のATTRバイオマーカーはSMOC-2を含まない、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
2種以上のATTRバイオマーカーはDCNを含まない、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
2種以上のATTRバイオマーカーはSMOC-2もDCNも含まない、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
非一時的コンピューター可読媒体であって、実行時に請求項1~15のいずれか1項に記載の方法を含むオペレーションをプロセッサーに実行させる実行可能命令を含む、非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項17】
組成物であって、
(a)(i)TnI、
(ii)PKM1、
(iii)PKM2、
(iv)NT-proBNP、
(v)RBP4、
(vi)TIMP2、
(vii)NfL、または
(viii)これらの組合せ
を含む、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー、および
(b)(i)抗TnI薬、
(ii)抗PKM1薬、
(iii)抗PKM2薬、
(iv)抗NT-proBNP薬、
(v)抗RBP4薬、
(vi)抗TIMP2薬、
(vii)抗NfL薬、または
(viii)これらの組合せ
を含む、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬
を含む、組成物。
【請求項18】
TTR-CMを検出するためのキットであって、
(a)(i)抗TnI薬、
(ii)抗PKM1薬、
(iii)抗PKM2薬、
(iv)抗NT-proBNP薬、
(v)抗RBP4薬、
(vi)抗TIMP2薬、
(vii)抗NfL薬、または
(viii)これらの組合せ
を含む、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬、および
(b)使用のための説明書
を含む、キット。
【請求項19】
TTR-CMを検出するためのキットであって、
(a)(i)抗TnI薬および抗PKM1薬、(ii)抗TnI薬および抗PKM2薬または(iii)抗TnI薬、抗PKM1薬および抗PKM2薬を含む1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬;ならびに
(b)使用のための説明書
を含む、キット。
【請求項20】
キットであって、
(a)抗NT-proBNP薬、抗TnI薬および抗RBP4薬を含む1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬;および
(b)使用のための説明書
を含む、キット。
【請求項21】
1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は1種またはそれ以上の抗体薬を含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のキット。
【請求項22】
抗体薬の1種またはそれ以上は検出可能な部分で標識されている、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
1種またはそれ以上の対照サンプルをさらに含む、請求項18~22のいずれか1項に記載のキット。
【請求項24】
対照サンプルは1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー標準を含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
対象においてTTR-CMを診断するためのインビトロ診断アッセイにおける、請求項18~24のいずれか1項に記載のキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119の下で、2021年9月7日に出願された米国特許仮出願第63/241,518号の優先権または恩恵を主張し、その全内容は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表の相互参照
本出願は、12KBのサイズである、2022年9月7日に作成された「AttrSEQLST.xml」と題するコンピューター可読形式の配列表を含む。該コンピューター可読形式は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0003】
本開示は、一般に、分子生物学および心臓の健康の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
アミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)は、トランスチレチンタンパク質(TTR)のミスフォールディングにより生じる珍しい状態であり、心臓組織中にアミロイド細線維の沈着をもたらし、最終的に心不全に至る。したがって、TTR-CMの早期治療は、罹患個体における予後の影響の改善に重要である。しかし、野生型トランスチレチンアミロイドーシス(ATTRwt)のスクリーニングは、TTR-CM(野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを含める)に特に特異的ではない、費用がかかりかつ侵襲的な複数の手順を行うことをともなうので、治療が遅れて問題となる可能性がある。さらに、野生型ATTRアミロイドーシス(ATTRwt)によって生じるアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)を検出および/または特定するための非侵襲的なインビトロスクリーニング試験はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の方法によってATTRwtによって生じるTTR-CMを特定することが難しいことが、この疾患が概して過小診断されている一因となっている可能性がある。したがって、TTR-CM、特に、野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを許容されるレベルの特異性で検出するための組成物、キットおよび方法が当技術分野において必要である。さらに、ミスフォールドしたTTRタンパク質を有する個体または個体の集団を試験する、特定するまたは病期分類するための組成物、アッセイ、装置および方法が、絶えず必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、TTR-CM、特に、野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを検出および/または特定するための組成物、キットおよび方法を提供する。さらに、本開示は、正常な個体または心臓の他の状態を経験している個体と比較して、TTR-CM患者(野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを含める)を分類する方法を提供する。さらに、本開示は、ある特定のバイオマーカー(例えば、ATTRバイオマーカー、例えば、トロポニンI(TnI)、ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム1(PKM1)、ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム2(PKM2)、N末端-ホルモン前駆体B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、レチノール結合タンパク質4(RBP4)、デコリン(DCN)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質2(TIMP2)、SPARC関連モジュラーカルシウム結合2(SMOC-2)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)およびこれらの組合せ)が、TTR-CMを検出および/もしくは診断するのを支援する、ならびに/またはTTR-CM患者の分類を支援することができることを初めて認識している。本開示は、組成物、キットおよび方法におけるこれらのバイオマーカー(例えば、ATTRバイオマーカー、例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)は、侵襲的なまたは費用がかかる試験を行う必要なく、TTR-CM(野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを含める)を分類、検出および/または診断するのに有用であり得ることをさらに認識している。これは、患者にとってより快適であり、患者にあまり害を与えず、ならびに/または検出および/もしくは診断方法の後に患者が回復するのに必要とする時間量を減少させる方法によってATTRwtによって生じるTTR-CMを検出および特定することができるので、患者のケアにおけるかなりの進歩を意味する。
【0007】
さらに、本開示は、ある特定のバイオマーカー(例えば、ATTRバイオマーカー、例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)は、改善された感度でTTR-CMを検出するのに有用であることを提供する。本明細書に記載のATTRバイオマーカーを用いて達成される感度の増大は、TTR-CMを検出および/または特定する場合に得られる偽陰性の数を減少させる。偽陰性の減少は、ひいては、より多くのTTR-CM患者が、TTR-CMに関連する徴候、症状および状態を低減させるのに重要なより早期の治療を受けること、ならびにTTR-CM患者の長期生存を促進することを確実にすることを助長する。
【0008】
数ある中でも、本開示は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含む方法を提供する。一部の実施形態では、サンプルは対象から得られる。
【0009】
本開示は、(a)対象から得られたサンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、および(b)ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む、方法も提供する。
【0010】
本明細書に提供される方法の一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、(i)トロポニンI(TnI)、(ii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム1(PKM1)、(iii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム2(PKM2)、(iv)N末端-ホルモン前駆体B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、(v)レチノール結合タンパク質4(RBP4)、(vi)組織メタロプロテアーゼ阻害物質2(TIMP2)、(vii)ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、または(viii)これらの組合せを含む。
【0011】
一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM1を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM2を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはTnI、PKM1およびPKM2を含む。
【0012】
一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM2およびNT-proBNPを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM2およびRBP4を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1およびNT-proBNPを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1およびRBP4を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2およびNT-proBNPを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2およびRBP4を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、NT-proBNP、RBP4およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、RBP4、SMOC-2およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、DCN、NT-proBNPおよびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、DCN、RBP4およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、NT-proBNP、SMOC-2およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、NT-proBNP、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、NT-proBNPおよびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、DCNおよびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、DCN、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、RBP4およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、RBP4、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、DCN、SMOC-2およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、SMOC-2、TIMP2およびTnIを含む。
【0013】
一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはPKM1を含まない。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはPKM2を含まない。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはPKM1もPKM2も含まない。
【0014】
一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはSMOC-2を含まない。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはDCNを含まない。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーはSMOC-2もDCNも含まない。
【0015】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程は、ATTRバイオマーカープロファイルにアルゴリズムを適用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、アルゴリズムは、決定木法、ニューラルブースト法、ブートストラップ森法、ブーストツリー法、K近傍法、一般化回帰変数増加法、一般化回帰枝刈り変数増加法(generalized regression pruned forward selection methodology)、フィットステップワイズ法(fit stepwise methodology)、一般化回帰ラッソ法、一般化回帰エラスティックネット法、一般化回帰リッジ法、名義ロジスティック法、サポートベクターマシン法、判別法、ナイーブベイズ法もしくはこれらの組合せであるか、またはこれらに由来する。一部の実施形態では、アルゴリズムは、決定木法、ニューラルブースト法、ブートストラップ森法、ブーストツリー法、一般化回帰ラッソ法、一般化回帰エラスティックネット法、一般化回帰リッジ法、名義ロジスティック法、サポートベクターマシン法、判別法もしくはこれらの組合せであるか、またはこれらに由来する。一部の実施形態では、アルゴリズムは、決定木法、ニューラルブースト法、ブートストラップ森法、ブーストツリー法、サポートベクターマシン法もしくはこれらの組合せであるか、またはこれらに由来する。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が、トランスチレチンアミロイド心筋症(TTR-CM)の危険性があるか、またはこれを罹患しているかどうかを決定する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、対象をTTR-CMと診断する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が1つまたはそれ以上の心筋症試験に選択されるかどうかを決定する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるために選択されるかどうかを決定する工程を含む。
【0017】
一部の実施形態では、対象はヒト対象である。
【0018】
一部の実施形態では、サンプルは、血液、血清、血漿または心臓組織を含む。
【0019】
本開示は、非一時的コンピューター可読媒体も提供する。一部の実施形態では、非一時的コンピューター可読媒体は、実行時に本明細書に記載の方法を含むオペレーションをプロセッサーに行わせる実行可能命令を含む。
【0020】
さらに、本開示は組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、TIMP2、NfLまたはこれらの組合せを含む。
【0021】
一部の実施形態では、組成物は、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含む。一部の実施形態では、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬、抗TIMP2薬、抗NfL薬またはこれらの組合せを含む。
【0022】
本開示は、さらにキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、TIMP2、NfLまたはこれらの組合せを含む。
【0023】
一部の実施形態では、キットは、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含む。一部の実施形態では、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬、抗TIMP2薬、抗NfL薬またはこれらの組合せを含む。
【0024】
一部の実施形態では、キットは使用のための説明書を含む。
【0025】
一部の実施形態では、キットは、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含み、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカーは、1種またはそれ以上の抗体薬を含む。一部の実施形態では、抗体薬の1種またはそれ以上が検出可能な部分で標識されている。
【0026】
一部の実施形態では、キットは、1つまたはそれ以上の対照サンプルを含む。一部の実施形態では、対照サンプルは、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー標準を含む。
【0027】
本開示は、本明細書に記載のキットの使用を提供する。一部の実施形態では、キットは、対象においてTTR-CMを診断するためのインビトロ診断アッセイで使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本明細書に記載の例示的方法で使用される患者コホートを示す図である。
図2】本明細書に記載の例示的方法から得られたデータの概要を示す図である。
図3図3Aは、TIMP2で決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。図3Bは、TnIで決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。
図4図4Aは、PKMで決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。図4Bは、RBP4で決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。
図5図5Aは、RBPで決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。図5Bは、DCNで決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。
図6図6Aは、NT-proBNPで決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。図6Bは、SMOC-2で決定された個々の感度および特異性の性能を示すグラフを含む図である。
図7】各NYHAクラスに対する代表的なバイオマーカーの効果を示す棒グラフを含む図である。
図8-1】使用された回帰フィットの評価を含む、本明細書に記載の例示的バイオマーカーを用いたスクリーニングの結果を示す表を含む図である。
図8-2】図8-1の続き。
図9】バイオマーカーの選択されたサブセットを様々な予測モデルで使用した場合に得られたデータの概要を述べる表を含む図である。
図10】PKM、TIMP2、LIMS-1、C3およびA11を測定するアッセイに対する検出カットオフ値の最適化を示す図である。図10Aは、検出カットオフ値の最適化のためのROCプロットデータを描写する。図10Bは、列挙されるバイオマーカーに対する感度、特異性、精度および検出カットオフ値の例示的値を描写する。
図11】コンピューターシステム1100の例示的ブロック線図を描写する図である。
図12】方法1200の例示的フローチャートを描写する図である。
図13】方法1300の例示的フローチャートを描写する図である。
図14-1】選択されたマーカーのS/N比を示す表を含む図である。
図14-2】図14-1の続き。
図14-3】図14-2の続き。
図14-4】図14-3の続き。
図14-5】図14-4の続き。
図14-6】図14-5の続き。
図14-7】図14-6の続き。
図14-8】図14-7の続き。
図14-9】図14-8の続き。
図14-10】図14-9の続き。
図14-11】図14-10の続き。
図14-12】図14-11の続き。
図14-13】図14-12の続き。
図14-14】図14-13の続き。
図14-15】図14-14の続き。
図14-16】図14-15の続き。
図14-17】図14-16の続き。
図14-18】図14-17の続き。
図14-19】図14-18の続き。
【発明を実施するための形態】
【0029】
定義
抗体薬:本明細書で使用する場合、用語「抗体薬」は、特定の抗原に特異的に結合する薬剤を指す。一部の実施形態では、本用語は、特異的結合を与えるのに十分である免疫グロブリン構造要素を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチド複合体を包含する。そのようなポリペプチドは、天然に生成(例えば、抗原に反応する生物によって生成)することができ、または組換え操作、化学合成または他の人工のシステムもしくは方法体系によって生成することができる。例示的抗体薬としては、限定されないが、ヒト抗体、霊長類化抗体、キメラ抗体、2重特異性抗体、ヒト化抗体、コンジュゲート抗体(例えば、他のタンパク質、放射標識、細胞毒とコンジュゲートまたは融合した抗体)、小型モジュラー医薬品(Small Modular ImmunoPharmaceuticals)(「SMIPs(商標)」)、単鎖抗体、キャメロイド抗体(cameloid antibody)および抗体フラグメントが挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「抗体薬」は、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一ドメイン抗体(例えば、サメ単一ドメイン抗体(例えば、IgNARまたはそのフラグメント))、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、2重特異性抗体)、および所望の生物活性を示しさえすれば抗体フラグメントも含む。抗体薬は、マウス、ウサギ、霊長類またはヒトの抗体に特徴的である抗体定常領域配列を有することができる。一部の実施形態では、本用語はステープルペプチドを包含する。一部の実施形態では、本用語は、1種またはそれ以上の抗体様結合ペプチド模倣薬を包含する。一部の実施形態では、本用語は、1種またはそれ以上の抗体様結合スキャフォールドタンパク質を包含する。一部の実施形態では、本用語は、モノボディまたはアドネクチンを包含する。多くの実施形態では、抗体薬は、アミノ酸配列が、相補性決定領域(CDR)として当業者によって認識される1つまたはそれ以上の構造要素を含むポリペプチドであるか、または該ポリペプチドを含み;一部の実施形態では、抗体薬は、アミノ酸配列が、参照抗体に見られるものと実質的に同一の少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDRおよび/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるか、または該ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、抗体薬は、アミノ酸配列が、免疫グロブリン可変ドメインとして当業者によって認識される構造要素を含むポリペプチドであるか、または該ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、抗体薬は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるか、または大部分は相同である結合ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。一部の実施形態では、抗体薬は、共有結合的修飾(例えば、グリカン、ペイロード(例えば、検出可能な部分、治療的部分、触媒部分など)、または他のペンダント基(例えば、ポリエチレングリコールなどの付着)を含むことができる。
【0030】
バイオマーカー:用語「バイオマーカー」または「生物学的マーカー」は、当技術分野におけるその使用と矛盾せず、その存在、レベルまたは形態が、目的の特定の生物学的事象または状況と相関し、その結果、その事象または状況の「マーカー」とみなされる実体を指すように本明細書で使用される。少しではあるが例を挙げると、一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の病態に対する、もしくは特定の疾患、障害もしくは状態が発生する、生じるもしくは再度生じる可能性がある見込みに対するマーカーであってもよく、または該マーカーを含むことができる。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の疾患もしくは治療転帰またはそれらの見込みに対するマーカーであってもよく、または該マーカーを含むことができる。したがって、一部の実施形態では、バイオマーカーは、目的の関連する生物学的事象または状況の予測であり、一部の実施形態では、バイオマーカーは該生物学的事象または状況の予後徴候であり、一部の実施形態では、バイオマーカーは該生物学的事象または状況の診断である。一部の実施形態では、バイオマーカーは、目的の関連する生物学的事象または状況の可能なバイオマーカーである。バイオマーカーは、いかなる化学物質クラスの実体であってもよい。例えば、一部の実施形態では、バイオマーカーは、核酸、ポリペプチド、小分子またはこれらの組合せであってもよく、またはこれらを含むことができる。一部の実施形態では、バイオマーカーは細胞表面マーカーである。一部の実施形態では、バイオマーカーは細胞内にある。一部の実施形態では、バイオマーカーは特定の組織(例えば、心臓組織)に見出される。一部の実施形態では、バイオマーカーは細胞の外側に見出される(例えば、分泌されるか、またはそうでなければ、細胞の外側で、例えば、体液、例えば、血液、尿、涙、唾液、脳脊髄液などで生成されるか、もしくはこれらに存在する)。
【0031】
本明細書に記載のように、一部の実施形態では、バイオマーカーはATTRバイオマーカーである。本明細書で使用する場合、「ATTRバイオマーカー」は、ATTRアミロイドーシスまたはTTR-CMに対する生物学的マーカーを指す。一部の実施形態では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。誤解を避けるために、ATTRバイオマーカーは、列挙される特定のバイオマーカーに関連する遺伝子産物を含む。例えば、文脈に応じて、「TnI」は、TnIまたはその特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチド、ならびにTnIタンパク質またはその特徴的なフラグメントを指す。
【0032】
特徴的なフラグメント:用語「特徴的なフラグメント」は、フラグメントが由来したバイオマーカーを特定するのに十分である、バイオマーカー(例えば、ATTRバイオマーカー)のフラグメントを指す。例えば、一部の実施形態では、バイオマーカーの「特徴的なフラグメント」は、フラグメントが由来したバイオマーカーを他の可能なバイオマーカー、タンパク質またはポリペプチドと区別することを一緒に可能にするアミノ酸配列またはアミノ酸配列の集合体を含むものである。一部の実施形態では、特徴的なフラグメントは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40または少なくとも50アミノ酸を含む。
【0033】
遺伝子産物または発現産物:本明細書で使用する場合、用語「遺伝子産物」は、一般に、遺伝子から転写されるRNA(プロセッシング前および/もしくは後)または遺伝子から転写されるRNAにコードされるポリペプチド(修飾前および/または後)を指す。
【0034】
ハイブリダイゼーション:用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸分子にアニールするための、一本鎖核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)の物理的特性を指す。ハイブリダイゼーションは、典型的には、相互作用核酸分子が独立して研究される場合、またはより複雑なシステムの状況で(例えば、共有結合的にもしくは別の方法で担体実体と結合している間、および/または生物システムまたは細胞中で)研究される場合を含めて、様々な状況で評価することができる。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション技法、例えば、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、ノーザンブロットおよびサザンブロットからなる群から選択される技法によって検出することができる。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、一本鎖核酸分子と相補的核酸分子との間の100%のアニーリングを指す。一部の実施形態では、アニーリングは100%未満(例えば、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%の一本鎖核酸分子が相補的核酸分子にアニールする)である。ハイブリダイゼーション技法およびハイブリダイゼーションを評価する方法は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press、Plainview、N.Y.を参照されたい。当業者は、少なくとも所望のレベルの相補性を有する配列は安定してハイブリダイズするが、相補性がより低いものは安定してハイブリダイズしないようにハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを推定および調整する方法を理解している。ハイブリダイゼーション条件およびパラメーターの例については、例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press、Plainview、N.Y.;Ausubel,F.M.ら、1994、Current Protocols in Molecular Biology.John Wiley & Sons、Secaucus、N.J.を参照されたい。
【0035】
検出薬:本明細書で使用する場合、用語「検出薬」は、検出可能な任意の元素、分子、官能基、化合物、フラグメントまたは部分を指す。一部の実施形態では、検出薬は、単独で提供されるかまたは利用される。一部の実施形態では、検出薬は、別の薬剤とともに(例えば、結合して)提供される、および/または利用される。検出薬の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:様々なリガンド、放射性核種(例えば、H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光色素、化学発光剤(例えば、アクリジニウムエステル、安定化ジオキセタンなど)、生物発光剤、スペクトル分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など)、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素、比色標識(例えば、色素、コロイド金など)、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン、および抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質。
【0036】
診断試験:本明細書で使用する場合、「診断試験」は、患者が疾患、障害もしくは状態を有するかどうかを決定するのに、および/または疾患、障害もしくは状態を、表現型カテゴリー、もしくは疾患、障害または状態の予後、もしくは疾患、障害もしくは状態の治療(一般的な治療もしくは任意の特定の治療のいずれか)への可能性のある応答に関して有意性を有する任意のカテゴリーに分類するのに有用な情報を獲得するために行われるか、または行われた一工程または一連の工程である。同様に、「診断」は、任意のタイプの診断情報、限定されないが、対象が疾患、障害もしくは状態を有するもしくは発生する可能性があるかどうか、対象に顕在化した疾患、障害もしくは状態の状況、病期分類、もしくは特性、腫瘍の性質もしくは分類に関する情報、予後に関する情報、および/または適切な治療もしくはさらなる診断試験の選択に有用な情報を提供することを指す。治療の選択は、特定の治療薬または他の治療法、手術、放射線照射などの選択、療法を控えるかまたは提供するかどうかについての選択、投与レジメン(例えば、1回またはそれ以上の用量の特定の治療薬または治療薬の組合せの頻度またはレベル)に関する選択などを含むことができる。さらなる診断試験の選択は、所与の疾患、障害または状態のためのより特異的な試験を含むことができる。
【0037】
サンプル:本明細書で使用する場合、用語「サンプル」は、本明細書に記載のように、ヒト対象から得られるかまたはヒト対象に由来する生体サンプルを指す。一部の実施形態では、生体サンプルは、生物学的組織または液体を含む。一部の実施形態では、生体サンプルは、血液;血液細胞;組織もしくは細針生検サンプル;細胞含有体液;浮遊性核酸;脳脊髄液;リンパ液;組織生検検体;手術検体;他の体液、分泌物および/もしくは排泄物;ならびに/またはこれら由来の細胞を含むことができる。一部の実施形態では、生体サンプルは、個体から、例えば、ヒトまたは動物対象から得られる細胞を含む。一部の実施形態では、得られる細胞は、サンプルが得られる個体由来の細胞であるか、または該細胞を含む。一部の実施形態では、サンプルは、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られる「一次サンプル」である。例えば、一部の実施形態では、一次生体サンプルは、生検(例えば、細針吸引または組織生検)、手術、体液(例えば、血液)の採取からなる群から選択される方法によって得られる。一部の実施形態では、サンプルは対象から得られる心臓組織である。一部の実施形態では、文脈から明らかであるように、用語「サンプル」は、一次サンプルを処理することによって(例えば、一次サンプルの1つもしくはそれ以上の成分を除去することによって、および/または一次サンプルに1種もしくはそれ以上の薬剤を加えることによって)得られる調製物を指す。例えば、半透膜を使用して濾過することである。サンプル処理の別の例として、サンプルはEDTA、ヘパリンおよびクエン酸からなる群から選択される抗凝固剤で処理される、血漿サンプルであってもよい。サンプル処理の別の例として、(例えば、1種またはそれ以上の抗体でタンパク質を捕獲することによって)1種またはそれ以上のタンパク質を単離するようにサンプルを処理することができる。「処理されたサンプル」は、例えば、サンプルから抽出された、またはmRNAの増幅もしくは逆転写、ある特定の成分の単離および/または精製などの技法に一次サンプルを供することによって得られた、核酸またはポリペプチドを含むことができる。
【0038】
対象:本明細書で使用する場合、用語「対象」は、生物、例えば、哺乳動物(例えばヒト)を指す。一部の実施形態では、ヒト対象は成人、青年または小児対象である。一部の実施形態では、対象は少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75または少なくとも80歳である。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態、例えば、本明細書で提供されるように治療することができる疾患、障害または状態を罹患している。一部の実施形態では、対象は疾患、障害または状態に感受性であり;一部の実施形態では、感受性対象は、疾患、障害もしくは状態に罹りやすい、および/または疾患、障害もしくは状態を発生する危険性の増大を示す(参照対象または集団で観察される平均危険率と比較して)。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態の1つまたはそれ以上の症状を呈する。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態の特定の症状(例えば、疾患の臨床症状)も特性も呈さない。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態のいかなる症状も特性も呈さない。一部の実施形態では、対象は患者である。一部の実施形態では、対象は、診断および/または療法が施される、および/または施されている個体である。
【0039】
閾値:本明細書で使用する場合、用語「閾値」は、情報を獲得する、および/または測定の結果、例えば、アッセイで獲得された測定の結果を分類するために参照として使用される値を指す。閾値は、1つまたはそれ以上の対照サンプルに基づいて決定することができる。閾値は、目的の測定が行われるより前に、目的の測定が行われるのと同時に、または目的の測定が行われた後に決定することができる。一部の実施形態では、閾値は、値の範囲であり得る。一部の実施形態では、閾値は、関連分野で報告された値(または値の範囲)(例えば、標準的な表に見られる値)であり得る。
【0040】
ある特定の実施形態の詳細な説明
アミロイドトランスチレチン心筋症
トランスチレチン(TTR)は、甲状腺ホルモンチロキシン(T)およびレチノール結合タンパク質を輸送する、血清および脳脊髄液中にある輸送タンパク質である。肝臓はTTRを血液中に分泌し、脈絡叢はTTRを脳脊髄液中に分泌する。TTRはホモ四量体複合体として産生される。しかし、TTRはコンフォメーション変換を受けて、病的状態につながる異常なアミロイド形態に凝集する可能性がある。
【0041】
ATTRアミロイドーシスの状態は、様々な器官および組織における、トランスチレチン(TTR)タンパク質に由来するアミロイド細線維の沈着を特徴とする。例えば、TTRタンパク質のミスフォールディングは、心臓組織でアミロイド細線維の沈着を引き起こし、心筋症(「アミロイドトランスチレチン心筋症」、または「TTR-CM」と本明細書で言及される)につながる可能性がある。TTR-CMの臨床症状は、心室壁厚の増加および心不全を含む。
【0042】
以下の3タイプのATTRアミロイドーシスがある:(1)家族性アミロイド多発ニューロパチー(FAP)、(2)家族性アミロイド心筋症(FAC)、および(3)野生型ATTRアミロイドーシス(ATTRwt)とも呼ばれる老年性全身性アミロイドーシス。家族性アミロイド多発ニューロパチー(FAP)は、心臓ならびに時には腎臓および眼に加えて、神経系に影響を及ぼす。FAPの症状は、末梢性神経障害、自律神経ニューロパチーおよび心不全を含み得る。家族性アミロイド心筋症(FAC)は心臓に影響を及ぼし、さらに、手根管症候群をともなって顕在化する。FAPおよびFACは、異常な(「バリアント」)TTRの産生につながる、TTR遺伝子中の変異によって引き起こされる、遺伝性の状態である。TTR遺伝子中に100個を超える異なる変異が観察されており、それらの多くは、変アミロイド細線維にミスフォールドし、組織内にアミロイド沈着物の凝集を引き起こす可能性があるバリアント型TTRの産生を引き起こす。たいていの罹患個体はヘテロ接合体であり;したがって、変異体型TTRと野生型TTRの両方が凝集体中に含まれ得る。本明細書で使用する場合、TTRの変異体型またはバリアント型によって生じる遺伝性心筋症は、家族性アミロイド心筋症(省略形ATTRm)と称される。野生型ATTRアミロイドーシス(ATTRwt)は、緩徐進行性の非遺伝性(散発性)疾患である。ATTRwtを有する個体は、TTR遺伝子中に変異がなく、アミロイド細線維は野生型TTRからなる。ATTRwtの症状は、心不全を含み、一部の個体では手根管症候群を含む。ATTRwtは、65歳以上の高齢対象でより頻繁に生じる。
【0043】
正確な有病率は不明であるが、ATTRmについては、米国において0.4症例/100万人/年とおおまかに推定されており、ATTRwtについては、少なくとも2倍高い発生率である。しかし、80歳を超える患者の検死試験によって、ATTRwtについて約25%の有病率が示され、これによって、本疾患は、大部分は過小診断されており、特に、高齢者集団における実際の有病率ははるかに高いことが示唆される。費用がかかりかつ侵襲的な試験および手順で多数の個体を試験するという難題は、TTR-CMのかなりの過小診断に対する可能性のある寄与因子である。
【0044】
アミロイドトランスチレチン心筋症の現在の診断法
TTR-CMは、現在、心エコー図から開始する一連の異なる試験を使用して診断される(Gertz,M.A.ら、JACC 66:2452~2466、2015)。この技法は、一般的な心臓機能を確認するため、および構造的異常を探すために使用され(Ashley,E.A.およびNiebauer,J.、Cardiology Explained、London:Remedica、4章、2004)、心室の肥厚および肥大によって証明される心臓アミロイドーシスのスクリーニングとして使用される。本試験は肥大型心筋症と高血圧性心筋症を区別することができないが、ある研究(Ashley 2004)において、心臓アミロイドーシスを心肥大と見分ける際に比較的良好な特異性(例えば、82%)が示されている。しかし、心臓アミロイドーシスの1つより多い形態(例えば、軽鎖アミロイドーシス(AL))が存在するので、この試験は、TTR-CMに対して特異的ではない。
【0045】
心エコー図で試験が陽性の患者は、次に、心臓磁気共鳴画像(CMR)によって試験される(Gertz,M.A.ら、JACC 66:2452~2466、2015;Krishnamurthy,R.ら、Current Cardiology Reviews、9:185~190、2013;Doltra,A.ら、Curr Cardiol Rev.9(3):185~90、2013)。この技法は、心細胞損傷(例えば、心筋梗塞)の領域または瘢痕もしくはアミロイド沈着物が理由で細胞外間隙が増大した領域に集中することができる造影剤ガドリニウムを使用する(Krishnamurthy,R.ら、Current Cardiology Reviews、9:185~190、2013)。本技法は、心エコー図よりも良好に高血圧性心筋症と肥大型心筋症を区別することができ、ある研究において、ALよりもATTRアミロイドーシスの検出に対してより大きな特異性を示した(Ashley 2004)。しかし、この試験も、それだけではTTR-CM診断のための確定試験ではない。
【0046】
心臓アミロイドーシスの検出のための別の画像方法は、99mTc-ピロリン酸などの放射性同位体コンジュゲートを使用するシンチグラフィーである(Bokhariら、Circ Cardiovasc Imaging.6(2):195~201、2013)。これは、3D画像を得るために単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)を使用して行われ、放射性トレーサーは心臓組織に特異的ではないが、病的な心臓組織で生じるような血流が乏しい領域を検出するのに有用である。この技法は、ある研究において、高い特異性および感度(それぞれ、100%および97%)でATTRアミロイドーシスをALアミロイドーシスと見分けることが示されている。
【0047】
現在、典型的には、上述の試験を使用して陽性スコアが得られた後に行われる、TTR-CMの診断のための最も確定的な試験は、心臓生検、それに続く免疫化学的染色である。心臓組織中のカッパまたは軽鎖アミロイド沈着物に対するポリクローナル抗体はALの検出のために使用され、一方で、トランスチレチン沈着物に対するポリクローナル抗体はTTR-CMの検出のために使用される(Crotty,T.B.ら、Cardiovacular Pathology 4:39~42、1995)。
【0048】
最後に、トランスチレチン(TTR)に対する抗体が以前に開示され、ATTRwtなどのアミロイド疾患の診断におけるそのような抗体の適用が記載されている(WO2014/124334A2およびWO2016/120811)。ATTRwtによって生じる心筋症などの心筋症の診断のためにそのような抗TTR抗体を使用することに対する不利点は、TTRは、一部の患者において、ミスフォールドまたは凝集された状況では認識されない可能性があり、偽陰性の試験結果および過小診断をもたらすことである。例えば、WO2014/124334A2およびWO2016/120811の両方は、TTRの特定のアミノ酸残基内のエピトープの曝露に依拠するが;そのようなエピトープは、TTRの非天然型によっては、すべてのATTRアミロイドーシス患者で容易にアクセスできるとは限らない可能性がある。野生型TTR、変異体TTRまたは混合TTR四量体は、ATTRアミロイドーシス疾患において、解離する、ミスフォールドする、凝集する、および/または細線維を形成し得る。そのような異なる形態は、抗TTR抗体で容易に検出できない可能性がある。さらに、TTRをコードする遺伝子は、ATTRアミロイドーシスに関連する多くの異なる変異を有することが報告されている。したがって、抗TTR抗体は、多くの患者で疾患を認識することができない可能性がある。
【0049】
ATTRバイオマーカー
本明細書に記載の実施形態は、本明細書に論じる従来の技法を超えるいくつかの利点を提供する。例えば、本開示の技術は非侵襲的であり、最低限の患者の不快感しか要せず、迅速に実施され、比較的費用対効果が大きい。したがって、本明細書に記載の技術は、限定されないが、以下を提供することを含めて、これらの従来の技法を超える利点を提供する:ATTRwtによって生じるTTR-CMについての非侵襲性のインビトロ診断(IVD)試験、IVD試験での使用に適する1種またはそれ以上の特異的インビトロバイオマーカー、疾患の診断におけるより費用がかかりかつ侵襲的な手順の候補を効果的に確定する(rule in)または除外する(rule out)する1種を超えるマーカーを含む、単一マーカーIVD試験の代替法。
【0050】
本開示は、特に、ATTRアミロイドーシスおよびTTR-CMに対するバイオマーカーに関する。そのようなバイオマーカーは、「ATTRバイオマーカー」と本明細書で言及される。ATTRバイオマーカーは、例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfL、これらの特徴的なフラグメント、および/またはこれらのバリアントを含むことができる。
【0051】
本明細書で提供されるように、ATTRバイオマーカーは、列挙される特定のバイオマーカーに関連する遺伝子産物を含む。例えば、ATTRバイオマーカーは、例えば、タンパク質またはヌクレオチド(例えば、RNA、例えば、mRNA)を含むことができる。ATTRバイオマーカーは、ATTRバイオマーカーの全長タンパク質、およびフラグメント(例えば、特徴的なフラグメント)も包含する。例えば、一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーは、表1に列挙されるタンパク質を含むことができる。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーは、表1に提供されるアミノ酸配列のうちの少なくとも10アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸または少なくとも100アミノ酸の連続的スパンと同一のアミノ酸配列を有するフラグメントを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーは、表1に提供されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性を有するフラグメントを含む。バイオマーカーのバリアントまたは代替形態は、例えば、開示されるバイオマーカーをコードする転写産物の任意のスプライスバリアントにコードされるポリペプチドを含む。
【0052】
本明細書で企図されるバイオマーカーは、本明細書に記載のタンパク質のうちのいずれかのトランケート形態またはポリペプチドフラグメントも含む。タンパク質のトランケート形態またはポリペプチドフラグメントは、N末端が除去またはトランケートされた形態およびC末端が除去またはトランケートされた形態を含むことができる。タンパク質のトランケート形態またはフラグメントは、任意の機構によって、例えば、限定されないが、選択的翻訳、エキソおよび/もしくはエンドタンパク質分解、ならびに/または例えば、物理的、化学的および/もしくは酵素的タンパク質分解による分解によって生じるフラグメントを含むことができる。限定されないが、バイオマーカーは、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのトランケート型もしくはフラグメントも含むことができ、これは、ATTRバイオマーカータンパク質のアミノ酸配列の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも8%または少なくとも99%を含むことができる。
【0053】
場合によっては、フラグメントは、対応する成熟した全長ATTRバイオマーカータンパク質と比較して、例えば、1~15アミノ酸、1~10アミノ酸または1~5アミノ酸だけなど、1~20アミノ酸だけN末端および/またはC末端がトランケートされている。
【0054】
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質およびこれらのフラグメントなどの、本開示の任意のATTRバイオマーカータンパク質は、限定されないが、リン酸化、グリコシル化、脂質化、メチル化、セレノシスチン修飾、システイン化、スルホン化、グルタチオン化、アセチル化、および/またはメチオニンスルホキシドもしくはメチオニンスルホンへのメチオニンの酸化などの修飾を含めて、発現後修飾を有するなど、前記マーカー、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質およびフラグメントの修飾形態を包含することもできる。
【0055】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーは異なるアイソフォームを有する。1種のみまたはそれ以上のアイソフォームが本明細書に開示されている可能性があるが、ATTRバイオマーカーのすべてのアイソフォームが、開示される技術における使用が企図される。
【0056】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーはヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、ヌクレオチドはRNAまたはDNAであり得る。ある場合には、対応するRNAまたはDNAは、全長タンパク質と比較して、診断においてより良好な識別力を示すことができる。
【0057】
本明細書で提供される技術とともに使用するための例示的ATTRバイオマーカーを以下に簡潔に記載する。
【0058】
トロポニンI(TnI)
トロポニンは、骨格筋線維および心筋線維で見出される一群のタンパク質である。トロポニンの1つの機能は、筋収縮を調節することである。以下の3タイプのトロポニンタンパク質が公知である:トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT。一緒に、3タイプのトロポニンは複合体を形成する。複合体内で、トロポニンCはカルシウムイオンに結合する。この結合は、トロポニンIのコンフォメーション変化をもたらすことによって、収縮を起こす。トロポニンIは、薄い筋フィラメントにおいてアクチンに結合して、アクチン-トロポミオシン複合体を所定の位置に保つ。トロポニンTは、筋線維構造体であるトロポミオシンにトロポニン複合体を係留する。
【0059】
以前の分析によって、トロポニンCの違いは、骨格筋と心筋との間でほとんどまたは全くないが、トロポニンIとトロポニンTの形態は、骨格筋と心筋との間で異なると理解されることが示される。通常は、トロポニンは、非常に少量から検出不可能な量で血液中に存在する。しかし、心筋細胞に損傷がある場合、トロポニンが血液中に放出される。血液中のトロポニンIの濃度が高いほど、一般に、心臓組織の損傷が大きいことと相関する。
【0060】
本開示の一部の実施形態では、TnIはATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、TnI、TnIの特徴的なフラグメント、および/またはTnIのバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、TnIは、抗TnI薬(例えば、抗TnI抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、TnIをコードするヌクレオチド、TnIの特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはTnIのバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、TnIをコードするヌクレオチドは、抗TnIヌクレオチド配列薬(例えば、抗TnIヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0061】
ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム1およびアイソフォーム2(PKM1およびPKM2)
ピルビン酸キナーゼは、ホスホエノールピルビン酸(PEP)からアデノシン二リン酸(ADP)へのリン酸基の移行を触媒して、ピルビン酸およびATPをもたらすことによって解糖の最終工程を触媒する酵素である。脊椎動物では、ピルビン酸キナーゼの以下の4種の組織特異的アイソザイムが存在する:L(肝臓)、R(赤血球)、筋肉アイソフォーム1(筋肉、心臓および脳)ならびに筋肉アイソフォーム2(早期胎児組織およびたいていの成体組織)。ピルビン酸キナーゼタンパク質は、二量体および四量体を形成することができる。
【0062】
PKM遺伝子は、筋肉アイソフォーム1アイソザイムおよび筋肉アイソフォーム2アイソザイム(PKM1およびPKM2)をコードする。PKM遺伝子のエクソン9および10は、それぞれ、筋肉アイソフォーム1アイソザイムおよび筋肉アイソフォーム2アイソザイムに対する配列を含む。1種のノンコーディングバリアントを含めて、PKMの少なくとも14種のスプライスバリアントが存在する。PKMのスプライスバリアントの中には、差次的なスプライシングによって産生され、カルボキシ末端の22アミノ酸だけ異なるPKM1およびPKM2が存在する。PKM1およびPKM2のアミノ酸配列は同一の領域を共有するので、PKM1およびPKM2のある特定のフラグメントは、PKM1とPKM2の両方の特徴的なフラグメントであり、ある特定のフラグメント(例えば、カルボキシ末端の22アミノ酸由来のフラグメント)は、PKM1またはPKM2の特徴的なフラグメントである。さらに、PKM1およびPKM2のアミノ酸配列は同一の領域を共有するので、ある特定の抗PKM1薬はPKM2も検出し、逆もまた同じである。
【0063】
本開示の一部の実施形態では、PKM(例えば、PKM1および/またはPKM2)はATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、PKM、PKMの特徴的なフラグメントおよび/またはPKMのバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、PKMは、抗PKM薬(例えば、抗PKM抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、PKMをコードするヌクレオチド、PKMの特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはPKMのバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、PKMをコードするヌクレオチドは、抗PKMヌクレオチド配列薬(例えば、抗PKMヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0064】
本開示の一部の実施形態では、PKM1はATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、PKM1、PKM1の特徴的なフラグメント、および/またはPKM1のバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、PKM1は、抗PKM1薬(例えば、抗PKM1抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、PKM1をコードするヌクレオチド、PKM1の特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはPKM1のバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、PKM1をコードするヌクレオチドは、抗PKM1ヌクレオチド配列薬(例えば、抗PKM1ヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0065】
本開示の一部の実施形態では、PKM2はATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、PKM2、PKM2の特徴的なフラグメントおよび/またはPKM2のバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、PKM2は、抗PKM2薬(例えば、抗PKM2抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、PKM2をコードするヌクレオチド、PKM2の特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはPKM2のバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、PKM2をコードするヌクレオチドは、抗PKM2ヌクレオチド配列薬(例えば、抗PKM2ヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0066】
N末端-ホルモン前駆体B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)
B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は心臓で産生されるホルモンである。BNPは、血圧および体液バランスを調節するために心臓によって分泌される小さな環状ペプチドである。N末端(NT)-ホルモン前駆体BNP(NT-proBNPまたはNT-proBNP)は、BNPを産生する同じ分子から放出される非活性のホルモン前駆体である。特に、BNPは、前駆形態(proBNP)で心室の膜顆粒に貯蔵され、主にそこから分泌される。心室容積の拡大または圧負荷に応答して心臓からいったん放出されれば、76アミノ酸のN末端(NT)断片(NT-proBNP)が、酵素コリン(corin)およびフューリンによって迅速に切断されて、活性な32アミノ酸ペプチド(BNP)が放出される。
【0067】
本開示の一部の実施形態では、NT-proBNPはATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、NT-proBNP、NT-proBNPの特徴的なフラグメントおよび/またはNT-proBNPのバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、NT-proBNPは、抗NT-proBNP薬(例えば、抗NT-proBNP抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、NT-proBNPをコードするヌクレオチド、NT-proBNPの特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはNT-proBNPのバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、NT-proBNPをコードするヌクレオチドは、抗NT-proBNPヌクレオチド配列薬(例えば、抗NT-proBNPヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0068】
レチノール結合タンパク質4(RBP4)
レチノール結合タンパク質4(RBP4)はレチノール(ビタミンAアルコール)のためのトランスポータータンパク質である。RBP4はおよそ21kDaの分子量を有し、ヒトにおいてRBP4遺伝子にコードされる。これは、独占的ではないが、主に肝臓で合成される。RBP4は、肝臓の貯蔵部位から末梢組織にレチノールを送達する。血漿中で、RBP-レチノール複合体は、トランスチレチンと相互作用し、これは、腎臓糸球体を介した濾過によりその喪失を防止する。ビタミンAの欠乏は、翻訳後に、この結合タンパク質の分泌を遮断し、その結果、上皮細胞への送達および供給が不完全になる。循環RBP4は、ATTRmと非アミロイド心不全と識別する方法として以前に提唱された(Arvanitis,M.ら、JAMA Cardiol.、2017)。しかし、この先行研究は、RBP4中の特定の変異(TTR遺伝子のコドン122におけるイソロイシンのバリンへの置換(V122I))によって引き起こされるATTRmしか調べておらず、単独で評価するかまたは他の可能なバイオマーカーとともに評価するかを問わず、TTR-CMに対するバイオマーカーとしてRBP4をより一般的に使用することができるかどうか調べていない。
【0069】
本開示は、RBP4がATTRバイオマーカーとして使用することができるという認識を提供する。したがって、本開示の一部の実施形態では、RBP4はATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、RBP4、RBP4の特徴的なフラグメント、および/またはRBP4のバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、RBP4は、抗RBP4薬(例えば、抗RBP4抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、RBP4をコードするヌクレオチド、RBP4の特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはRBP4のバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、RBP4をコードするヌクレオチドは、抗RBP4ヌクレオチド配列薬(例えば、抗RBP4ヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0070】
組織メタロプロテアーゼ阻害物質2(TIMP2)
組織メタロプロテアーゼ阻害物質2(TIMP2)は、TIMP2タンパク質をコードする遺伝子である。TIMP2遺伝子は、ゲノムDNAの83kbにまたがる5つのエクソンにコードされる。TIMP2遺伝子の5プライム末端は、Sp1結合部位、AP2結合部位、AP1結合部位およびPEA3結合部位を含めて、いくつかの調節エレメントを含む。
【0071】
TIMP2遺伝子はTIMP遺伝子ファミリーのメンバーである。TIMP遺伝子ファミリーの遺伝子にコードされるタンパク質は、細胞外基質の分解に関与する一群のペプチダーゼであるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を阻害する。TIMP2は、内皮細胞の増殖を直接抑制する能力も有する。TIMP2は、腫瘍転移を抑制することが示されている。
【0072】
本開示の一部の実施形態では、TIMP2はATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、TIMP2、TIMP2の特徴的なフラグメント、および/またはTIMP2のバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、TIMP2は、抗TIMP2薬(例えば、抗TIMP2抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、TIMP2をコードするヌクレオチド、TIMP2の特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはTIMP2のバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、TIMP2をコードするヌクレオチドは、抗TIMP2ヌクレオチド配列薬(例えば、抗TIMP2ヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0073】
ニューロフィラメント軽鎖(NfL)
ニューロフィラメントは、軸索に特に豊富な、ニューロンの細胞骨格成分である。ニューロフィラメントの機能は、構造的支持の提供ならびに軸索のサイズ、形状および内径の維持を含む。ニューロフィラメントは、3つのサブユニット:ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、ニューロフィラメント中鎖およびニューロフィラメント重鎖を含む。NfLのレベルは、炎症性疾患、神経変性疾患、外傷性疾患および脳血管疾患を含めて、様々な神経障害における軸索損傷の程度に比例して、脳脊髄液(CSF)および血液で増加する。NfLは神経変性障害に対するバイオマーカーとして使用されているが、心臓状態を含めて、他の疾患および状態へのその関連は十分に探究されていない。
【0074】
本明細書に記載のように、一部の実施形態では、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)は、TTR-CMの検出および診断に有用であり得る。一部の実施形態では、NfLはATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、NfL、NfLの特徴的なフラグメントおよび/またはNfLのバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、NfLは、抗NfL薬(例えば、抗NfL抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、NfLをコードするヌクレオチド、NfLの特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはNfLのバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、NfLをコードするヌクレオチドは、抗NfLヌクレオチド配列薬(例えば、抗NfLヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0075】
デコリン(DCN)
デコリン(DCN)は、平均90~140キロダルトン(kDa)の分子量であるプロテオグリカンである。これは、小型ロイシンリッチプロテオグリカン(SLRP)ファミリーに属し、コンドロイチン硫酸(CS)またはデルマタン硫酸(DS)のいずれかのグリコサミノグリカン(GAG)鎖とともにロイシンリピートを含むタンパク質コアを含む。DCNは結合組織の成分であり、I型コラーゲン細線維に結合する。DCNはまた、細胞増殖、分化、増殖、接着および転移に関与する対応するシグナリング分子に直接的または間接的に相互作用することによって、様々なサイトカインおよび増殖因子のリガンドとして作用し、DCNは、癌細胞の増殖、伝播、炎症促進性プロセスおよび抗原線維形成において、特にきわめて重要な役割を果たす。
【0076】
本開示の一部の実施形態では、DCNはATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、DCN、DCNの特徴的なフラグメントおよび/またはDCNのバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、DCNは、抗DCN薬(例えば、抗DCN抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、DCNをコードするヌクレオチド、DCNの特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはDCNのバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、DCNをコードするヌクレオチドは、抗DCNヌクレオチド配列薬(例えば、抗DCNヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0077】
SPARC関連モジュラーカルシウム結合2(SMOC-2)
SMAP2(平滑筋関連タンパク質2)と以前に呼ばれていたSPARC関連モジュラーカルシウム結合タンパク質2(SMOC-2)は、マトリックス細胞タンパク質のSPARCファミリーのメンバーである55kDa糖タンパク質である。SMOC-2は、インテグリン結合型キナーゼ(ILK)を介してシグナルを伝達して、サイクリンD1をアップレギュレートすることによって、細胞周期の進行を促進する。内皮細胞外基質で発現している場合、これは、増殖因子誘導性血管新生を増強する。SMOC-2の発現は、新生内膜形成の間アップレギュレートされ、血管平滑筋の増殖および遊走を促進する。皮膚において、これは、ケラチノサイトの付着および遊走を促進する。SMOC-2は、肺および動脈においてプロテアーゼを阻害することもできる。SMOC-2は、いくつかの癌に対するバイオマーカーとして提唱されている。
【0078】
一部の実施形態では、SPARC関連モジュラーカルシウム結合2(SMOC2)はATTRバイオマーカーである。一部の実施形態では、SMOC2、SMOC2の特徴的なフラグメントおよび/またはSMOC2のバリアントの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、SMOC2は、抗SMOC2薬(例えば、抗SMOC2抗体薬、プローブなど)を用いてサンプル中で検出される。一部の実施形態では、SMOC2をコードするヌクレオチド、SMOC2の特徴的なフラグメントをコードするヌクレオチドおよび/またはSMOC2のバリアントをコードするヌクレオチドの検出が、対象がTTR-CMを発生する危険性を評価する、対象をTTR-CMと診断する、または対象をさらなる心筋症試験に推奨するための方法で使用される。一部の実施形態では、SMOC2をコードするヌクレオチドは、抗SMOC2ヌクレオチド配列薬(例えば、抗SMOC2ヌクレオチド配列抗体薬、プローブ、相補的核酸など)を用いてサンプル中で検出される。
【0079】
本明細書に開示されるある特定のATTRバイオマーカーの例示的アミノ酸配列は、以下の表1に含まれる。
【0080】
【表1-1】
【表1-2】
【0081】
一部の実施形態では、さらなるマーカーを分析または評価することができる。一部のそのような実施形態では、さらなるマーカーは、ミスフォールドまたは凝集トランスチレチン(TTR)を含む。
【0082】
一部の実施形態では、限定されないが、サンプルを得た対象の人口統計学的要因(例えば、年齢、体重、生物学的性、民族性、BMI、病歴、危険因子、家族歴および地理的位置の1つまたはそれ以上)ならびに/または画像ベースのバイオマーカー(例えば、左心室隔壁厚および/または駆出率)を含めて、さらなる要因が考慮される。
【0083】
ATTRバイオマーカーの例示的組合せ
本明細書で提供されるように、各ATTRバイオマーカーは全長タンパク質またはそのフラグメントであり得る。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーのフラグメントは特徴的なフラグメントである。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーは全長ATTRバイオマーカータンパク質である。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーはATTRバイオマーカーの特徴的なフラグメントである。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーのサブセットは全長ATTRバイオマーカータンパク質であり、ATTRバイオマーカーのサブセットはATTRバイオマーカーの特徴的なフラグメントである。
【0084】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーは野生型アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーはバリアントアミノ酸配列、例えば、1つまたはそれ以上の変異を含むアミノ酸配を有する。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーはそれぞれ野生型アミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーはそれぞれバリアントアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーのサブセットはそれぞれ野生型アミノ酸配列を有し、ATTRバイオマーカーのサブセットはそれぞれバリアントアミノ酸配列を有する。
【0085】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、表2~5において以下に列挙されるATTRバイオマーカーの組合せを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、表2において以下に列挙されるATTRバイオマーカーの組合せを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、表3において以下に列挙されるATTRバイオマーカーの組合せを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、表4において以下に列挙されるATTRバイオマーカーの組合せを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、表5において以下に列挙されるATTRバイオマーカーの組合せを含む。
【0086】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの1つまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの2つ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの3つ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの4つ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの5つ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの6つ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの7つ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せのうちの8つ以上を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、またはNfLを含む。
【0087】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnIおよびPKM1を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnIおよびPKM2を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1およびPKM2を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、NT-proBNP、RBP4または両方をさらに含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TIMP2、NfLまたは両方をさらに含む。
【0088】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、NT-proBNPを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TnI、PKM1、PKM2、RBP4またはこれらの組合せをさらに含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せは、TIMP2、NfLまたは両方をさらに含む。
【0089】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1つまたはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM2およびNT-proBNPを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM2およびRBP4を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1およびNT-proBNPを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1およびRBP4を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、PKM2およびNT-proBNPを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、PKM2およびRBP4を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNP、RBP4およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、RBP4、SMOC-2およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、NT-proBNPおよびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、RBP4およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNP、SMOC-2およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNP、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNPおよびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCNおよびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、RBP4およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、RBP4、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、SMOC-2およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TIMP2およびTnIを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、SMOC-2、TIMP2およびTnIを含む。
【0090】
本開示と矛盾しないATTRバイオマーカーの例示的組合せは、以下の表2に含まれる。以下の表2に列挙される組合せを含むATTRバイオマーカーの組合せも本明細書に開示される。
【0091】
【表2】
【0092】
本開示と矛盾しない2種のATTRバイオマーカーを含む例示的組合せは、以下の表3に含まれる。以下の表3に列挙される組合せを含むATTRバイオマーカーの組合せも本明細書に開示される。
【0093】
【表3】
【0094】
本開示と矛盾しない3種のATTRバイオマーカーを含む例示的組合せは、以下の表4に含まれる。以下の表4に列挙される組合せを含むATTRバイオマーカーの組合せも本明細書に開示される。
【0095】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0096】
本開示と矛盾しない4種のATTRバイオマーカーを含む例示的組合せは、以下の表5に含まれる。以下の表5に列挙される組合せを含むATTRバイオマーカーの組合せも本明細書に開示される。
【0097】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0098】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、PKM1を含まない。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、PKM2を含まない。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、PKMもPKM2も含まない。
【0099】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、SMOC-2を含まない。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCNを含まない。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、SMOC-2もDCNも含まない。
【0100】
方法
本開示の方法は、偽陰性の数を最少にすると同時に、TTR-CMの危険性があるより多くの患者の早期の特定をさらに可能にする。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、ATTRwtの存在の早期スクリーニングという利点を提供する。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、遺伝子検査がATTRmを除外した後に、ATTRwtの検出または診断を支援することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、費用がかかり、複雑なプロセスの心エコー図、それに続くCMRおよびシンチグラフィーを用いてTTR-CMについてスクリーニングを開始する必要性を低減するかまたは排除する。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって、対象においてTTR-CMの可能性が検出される場合、対象は、その後の確証試験、例えば、心エコー図、心臓磁気共鳴画像(CMR)、シンチグラフィーおよび/または心臓生検を受けることができる。
【0101】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、アミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)を発生する対象の危険性を決定する方法である。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、対象をTTR-CMと診断する方法であり、サンプルは対象から得られたものである。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、TTR-CMの危険性があるか、またはTTR-CMを罹患している対象においてTTR-CMを治療する方法である。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、患者がTTR-CM有さないか、またはTTR-CMを発生する危険性がないことを決定する方法である。
【0102】
一部の実施形態では、TTR-CMは野生型トランスチレチンアミロイドーシス(ATTRwt)から生じる。一部の実施形態では、対象は、遺伝子検査によって、家族性アミロイド心筋症(ATTRm)の試験結果が陰性である。
【0103】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるための対象を選択する方法であり、サンプルは対象から得られたものである。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を対象に投与する工程を含む。
【0104】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1つまたはそれ以上の心筋症試験のために対象を選択する方法であり、サンプルは対象から得られたものである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の心筋症試験は、心エコー図、先進画像方法または両方を含む。一部の実施形態では、先進画像方法は、心臓磁気共鳴画像(CMR)、シンチグラフィーまたは両方を含む。一部の実施形態では、シンチグラフィーは99m Tc-ピロリン酸などの放射性同位体コンジュゲートの使用を含む。一部の実施形態では、シンチグラフィーは単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)を使用して行われる。
【0105】
本開示は、上記の方法によるバイオマーカーの検出を特徴とする、TTR-CM(野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを含める)の診断試験を提供する。
【0106】
一部の実施形態では、本開示によって教示されるようにTTR-CMの危険性を検出、診断または特定する方法は、標準的な技法と比較して、本開示の方法は、以下の1つまたはそれ以上の利益を含むという点において、改善された方法である:TTR-CMを特定するための感度の改善、TTR-CMを特定するための特異性の改善、TTR-CMを特定するための精度の改善、TTR-CMの診断までの時間の低減および/またはTTR-CMについて患者をスクリーニングする費用の低減。
【0107】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるバイオマーカーは、アミロイドトランスチレチン心筋症の状態についてのインビトロ診断(IVD)またはスクリーニング試験に使用することができる。一部の実施形態では、本開示によって教示される診断試験は、1種またはそれ以上のバイオマーカーが対象から得られたサンプル中に存在するかどうかを検出する。一部の実施形態では、本開示によって教示される診断試験は、対象におけるTTR-CM(野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを含める)の検出または診断を支援することができる。
【0108】
一部の実施形態では、本開示によって教示される診断試験は、イムノアッセイプラットフォームに適している。一部の実施形態では、そのようなイムノアッセイプラットフォームは、半自動化または自動化イムノアッセイプラットフォームを含む。一部の実施形態では、本開示によって教示される診断試験は、1種またはそれ以上のバイオマーカーの半自動化試験に適している。
【0109】
一部の実施形態では、本開示によって教示される診断試験は、標準的な技法と比較して、本開示の診断試験が以下の1つまたはそれ以上の利益を含むという点において、TTR-CMの改善された診断である:TTR-CMを特定するための感度の改善、TTR-CMを特定するための特異性の改善、TTR-CMを特定するための精度の改善、TTR-CMの診断までの時間の低減および/またはTTR-CMについて患者をスクリーニングする費用の低減。
【0110】
一部の実施形態では、本明細書で開示される診断試験は、血漿ベースのスクリーニングアッセイであり得る。一部の実施形態では、診断試験は、例えば、Siemens Atellica(登録商標)システムまたはSiemens Advia Centaur(登録商標)システムに適している。
【0111】
以下により詳細に示したように、一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中に存在する2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。
【0112】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、およびATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、ならびにATTRバイオマーカープロファイルおよび人口統計学的要因を使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、ならびにATTRバイオマーカープロファイルおよび画像ベースのバイオマーカーを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、ならびにATTRバイオマーカープロファイル、人口統計学的要因および画像ベースのバイオマーカーを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。
【0113】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを受け取る工程を含む。一部の実施形態では、受け取る工程は電子的に受け取る工程を含む。
【0114】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを使用して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、およびATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを使用して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、ならびにATTRバイオマーカープロファイルおよび人口統計学的要因を使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを使用して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、ならびにATTRバイオマーカープロファイルおよび画像ベースのバイオマーカーを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを使用して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程、ならびにATTRバイオマーカープロファイル、人口統計学的要因および画像ベースのバイオマーカーを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。
【0115】
一部の実施形態では、人口統計学的要因は、年齢、体重、生物学的性、民族性、BMI、病歴、危険因子、家族歴および地理的位置の1つまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、画像ベースのバイオマーカーは、左心室隔壁厚および/または駆出率を含む。
【0116】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、さらなる心筋症試験のために対象を選択する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受け取るための対象を選択する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、TTR-CMを有するかまたはTTR-CMを有する危険性があるとして対象を特定する工程を含む。
【0117】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ATTRバイオマーカーのスコアを参照ATTRバイオマーカーのスコアと比較する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つまたはそれ以上の心筋症試験を対象に対して行う工程を含む。
【0118】
本明細書に開示される例示的方法のさらなる説明を以下に提供する。
【0119】
ATTRバイオマーカーの検出およびATTRバイオマーカープロファイルの取得
数ある中でも、本明細書に提供される方法は、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルの評価を含む。ATTRバイオマーカーのレベルは、サンプル中で検出することができる。1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出するための例示的方法は、本明細書に記載されている。しかし、ATTRバイオマーカーのレベルは、例えば、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出した研究室から、例えば、電子的な形態で提供することもできる。
【0120】
一部の実施形態では、本開示は、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーが、サンプル中で検出、分析および/または評価される技術を提供する。一部の実施形態では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーは対象から得られたサンプル中にあり;一部の実施形態では、診断または治療的決定は、そのような検出、分析および/または評価に基づいて行われる。一部の実施形態では、検出、分析または評価されるバイオマーカーは、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)である。
【0121】
一部の実施形態では、本開示は、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のレベルを検出する方法を提供する。本明細書に記載されるATTRバイオマーカーのレベルは、ATTRバイオマーカーの存在、ATTRバイオマーカーの非存在、ATTRバイオマーカーの量、ATTRバイオマーカーの絶対量、ATTRバイオマーカーの相対量またはATTRバイオマーカーの濃度を包含する。
【0122】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の表2~5に列挙される組合せの各ATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の表2に列挙される組合せの各ATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の表3に列挙される組合せの各ATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の表4に列挙される組合せの各ATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の表5に列挙される組合せの各ATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の3種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、3種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の4種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、4種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の5種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、5種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の6種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、6種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の7種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、7種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2およびNfLを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中の8種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、8種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2およびNfLを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2およびNfLのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnIのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnIおよびPKM1のレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnIおよびPKM2のレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1およびPKM2のレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のNT-proBNP、RBP4または両方のレベルを検出する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTIMP2、NfLまたは両方のレベルを検出する工程をさらに含む。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のNT-proBNPのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1、PKM2、RBP4またはこれらの組合せのレベルを検出する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTIMP2、NfLまたは両方のレベルを検出する工程をさらに含む。
【0126】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4のそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM2およびNT-proBNPのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM2およびRBP4のそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1およびNT-proBNPのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1およびRBP4のそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4のそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1、PKM2およびNT-proBNPのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTnI、PKM1、PKM2およびRBP4のそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のNT-proBNP、RBP4およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のRBP4、SMOC-2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のDCN、NT-proBNPおよびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のDCN、RBP4およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のNT-proBNP、SMOC-2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のNT-proBNP、TIMP2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のNT-proBNPおよびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のDCNおよびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のDCN、TIMP2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のRBP4およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のRBP4、TIMP2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のDCN、SMOC-2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のTIMP2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サンプル中のSMOC-2、TIMP2およびTnIのそれぞれのレベルを検出する工程を含む。
【0127】
バイオマーカー(例えば、ATTRバイオマーカー)を検出する方法は、タンパク質としてのバイオマーカーを検出するための方法を含む。タンパク質ベースのバイオマーカー検出方法は、例えば、質量分析(MS)、イムノアッセイ(例えば、免疫沈降法)、ウエスタンブロット、ELISA、免疫組織化学的検査、免疫細胞化学的検査、フローサイトメトリーおよび/またはイムノPCRを含む。
【0128】
一部の実施形態では、質量分析は、MS、MS/MS、MALDI-TOF、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESIMS)、ESI-MS/MS、ESI-MS/(MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)、表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(SELDI-TOF-MS)、タンデム液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)質量分析、シリコン上脱離/イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析(SIMS)、四重極飛行時間型(Q-TOF)、大気圧化学イオン化質量分析(APCI-MS)、APCI-MS/MS、APCI-(MS)、大気圧光イオン化質量分析(APPI-MS)、APPI-MS/MSおよびAPPI-(MS)、四重極質量分析、フーリエ変換質量分析(FTMS)およびイオントラップ質量分析を含む。多くの場合、MSアプローチは、全長タンパク質ではなく、バイオマーカーのフラグメントを定量化する。しかし、MSアプローチは、開示される方法および/または評価に十分な精度までバイオマーカーのタンパク質レベルを決定するのに十分であり得る。
【0129】
一部の実施形態では、イムノアッセイは化学発光イムノアッセイであり得る。一部の実施形態では、イムノアッセイはハイスループットおよび/または自動化イムノアッセイプラットフォームであり得る。例えば、ハイスループットおよび/または自動化イムノアッセイプラットフォームは、時間あたり少なくとも240試験または時間あたり少なくとも440試験を分析するために使用することができる。
【0130】
一部の実施形態では、サンプル中でタンパク質としてのバイオマーカーを検出する方法は、目的のバイオマーカーに対する1種またはそれ以上の抗体薬とサンプルを接触させる工程を含む。一部の実施形態では、そのような方法は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットとサンプルを接触させることも含む。一部の実施形態では、抗体薬は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットで標識されている。一部の実施形態では、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットは1種またはそれ以上のアクリジニウムエステル分子を含む。
【0131】
アクリジニウムエステル(AE)分子は、タンパク質および核酸を標識するために使用することができる。アクリジニウム標識タンパク質は、イムノアッセイで検出に使用することができる。アルカリ性H(過酸化水素)にAEを曝露すると、化学発光が発生する。光は、特定のAEバリアントに応じて、430~480nmの範囲の最大波長で発光する。そのような光は、例えば高効率光電子増倍管によって、検出することができる。光発光は急速であり、1~5秒に終了する。AE形態の多様性は、感度および頑健性の改善を含めて、より良好なアッセイ性能に寄与する。AE分子は、小分子、大きな分析物および抗体を標識するために使用することができる。
【0132】
バイオマーカーを検出するさらなる方法は、核酸としてのバイオマーカーを検出するための方法を含む。核酸ベースのバイオマーカー検出方法は、核酸増幅法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、転写増幅法(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅法(SDA)および核酸配列ベースの増幅(NASBA)の実施を含む。一部の実施形態では、核酸ベースのバイオマーカー検出方法は、1種またはそれ以上の核酸プローブと目的のバイオマーカーをコードする1種またはそれ以上のヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程を含む。一部の実施形態では、核酸プローブは、目的のバイオマーカーをコードする1種またはそれ以上のヌクレオチドのうちの1種の少なくとも一部とそれぞれ相補的である。一部の実施形態では、目的のバイオマーカーをコードするヌクレオチドはDNA(例えば、cDNA)を含む。一部の実施形態では、目的のバイオマーカーをコードするヌクレオチドはRNA(例えば、mRNA)を含む。
【0133】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベル(例えば、2種以上、3種以上、4種以上または5種以上のATTRバイオマーカーの)レベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカープロファイルは、評価されるATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカープロファイルは、例えば本明細書に記載のように検出されるATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを含む。
【0134】
サンプル
一部の実施形態では、本明細書に開示されるサンプルは生体サンプルである。一部の実施形態では、生体サンプルは、例えば対象の動脈または静脈から採血した血液サンプルである。血液サンプルは、全血サンプル、血漿サンプルまたは血清サンプルであり得る。一部の実施形態では、生体サンプルは心臓組織を含む。
【0135】
一部の実施形態では、サンプルは対象から得られる。一部の実施形態では、サンプルを得た対象はTTR-CMについて評価されている。一部の実施形態では、サンプルを得た対象は、アミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)を罹患しているか、またはこれを発生する危険性がある。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、対象から生体サンプルを得る工程を含む。一部の実施形態では、対象から生体サンプルを得る工程は採血を含む。一部の実施形態では、対象から生体サンプルを得る工程は生検を行う工程を含む。
【0137】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、サンプルは、例えば医療関係者によって提供される。
【0138】
対象
一部の実施形態では、本明細書に開示される対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0139】
一部の実施形態では、本明細書に開示される対象は生物学的雄である。一部の実施形態では、本明細書に開示される対象は生物学的雌である。
【0140】
一部の実施形態では、本明細書に開示される対象は過体重である。一部の実施形態では、対象は25以上の肥満指数(BMI)を有する。一部の実施形態では、対象は30以上の肥満指数(BMI)を有する。
【0141】
一部の実施形態では、対象は少なくとも50歳である。一部の実施形態では、対象は少なくとも55歳である。一部の実施形態では、対象は少なくとも60歳である。一部の実施形態では、対象は少なくとも65歳である。
【0142】
閾値を利用する方法
本明細書に開示されるいくつかの方法では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを閾値と比較することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルとそれぞれの閾値との比較を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルと参照閾値との比較を含む。
【0143】
参照閾値は、心臓の健康が良好であることが既知であるかもしくは独立に検証された対象からの、またはTTR-CMを有する対象の場合のように、心臓の健康が不良であることが既知であるかもしくは独立に検証された対象からの閾値であってもよい。交互に、または組合せで、対象のATTRバイオマーカープロファイルは、共通の既知の状態(例えば、健康、TTR-CMと診断されていない、またはTTR-CMと診断されている)の複数の対象から決定された参照閾値と比較される。一部の実施形態では、参照閾値は、複数の対象からのATTRバイオマーカーの既知のレベルの平均であるか、または代わりに、参照対象で観察されたATTRバイオマーカーのレベルの範囲によって定義された範囲である。
【0144】
より複雑な評価アプローチでは、対象のATTRバイオマーカーレベルは、共通の状態(例えば、健康、TTR-CMと診断されていない、またはTTR-CMと診断されている)のより多数の対象、例えば、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000またはそれ以上の対象から構築された参照ATTRバイオマーカーレベルと比較される。多くの場合、参照対象は、(1)健康である/TTR-CMと診断されていないことと(2)TTR-CMと診断されていることとの間で状態が均等に分布している。ある場合には、評価は、対象のATTRバイオマーカーレベルと既知の状態の複数のプロファイルとの反復または同時比較を含む。
【0145】
複数の既知の参照ATTRバイオマーカープロファイル(例えば、参照サンプルの1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーの検出レベル)は、対象のATTRバイオマーカープロファイルと参照ATTRバイオマーカープロファイルとの間の単一比較が、共通の既知の健康状態(例えば、健康、TTR-CMと診断されていない、またはTTR-CMと診断されている)の多数の対象、例えば、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000またはそれ以上の個体から情報を統合するまたは集合させる結果を提供するように、コンピューター計算評価アルゴリズム、例えば、機械学習モデルを訓練するのに使用することもできる。そのような参照ATTRバイオマーカープロファイルの生成によって、TTR-CMに関する対象の危険性のより速い評価、またはより低いコンピューター計算能力を使用した評価が容易になり得る。
【0146】
参照ATTRバイオマーカープロファイルは、当業者に公知のいくつかのコンピューター計算アプローチのうちのいずれかによって、複数の参照ATTRバイオマーカープロファイルから生成することができる。機械学習モデルは、例えば、任意の数の統計学的プログラミング言語、例えば、R、スクリプト言語、例えばPython、および関連する機械学習パッケージ、データマイニングソフトウェア、例えば、WekaまたはJava、Mathematica、MatlabまたはSASを使用して、容易に構築される。
【0147】
対象のATTRバイオマーカープロファイルは、上記のように、またはそうでなければ当業者によって生成された参照ATTRバイオマーカープロファイルと比較することができ出力評価が生成される。いくつかの出力評価は、本明細書の本開示と矛盾しない。出力評価は、単一の評価を含み、多くの場合、感度、特異性または感度および特異性パラメーターによって絞り込まれ、健康状態評価(例えば、対象がTTR-CMを有する確率、対象はTTR-CMの危険性がない、対象はTTR-CMの危険性がある、対象はTTR-CMを有する)を示す。交互に、または組合せで、対象の人口統計学的要因(例えば、年齢、体重、生物学的性、民族性、BMI、病歴、危険因子、家族歴および地理的位置の1つもしくはそれ以上)ならびに/または対象の画像ベースのバイオマーカー(例えば、左心室隔壁厚および/もしくは駆出率)などのさらなるパラメーターが提供される。
【0148】
より具体的には、一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のうちの少なくとも1種のレベルが閾値を上回る場合に、対象をアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)と診断する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のうちの少なくとも1種のレベルが閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象をアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)と診断する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のそれぞれのレベルが閾値を上回る場合に、対象をアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)と診断する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のそれぞれのレベルが閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象をアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)と診断する工程をさらに含む。
【0149】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、少なくとも1種のまたは1種もしくはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルが閾値を上回る場合に、対象を1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨する工程をさらに含む。いくつかのそのような方法では、検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのうちの少なくとも1種のレベルが閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象は1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨される。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルが閾値を上回る場合に、対象を1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨する工程をさらに含む。いくつかのそのような方法では、検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルが閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象は1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨される。
【0150】
上述したように、一部の実施形態では、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、ATTRバイオマーカータンパク質)を検出する方法は、ATTRバイオマーカーに対する1種またはそれ以上の抗体薬とサンプルを接触させる工程を含む。一部の実施形態では、そのような方法は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットとサンプルを接触させる工程も含む。一部の実施形態では、抗体薬は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットで標識されている。一部の実施形態では、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットは1種またはそれ以上のアクリジニウムエステル分子を含む。
【0151】
アクリジニウムエステル(AE)分子は、タンパク質および核酸を標識するために使用することができる。アクリジニウム標識タンパク質は、イムノアッセイで検出に使用することができる。アルカリ性H(過酸化水素)にAEを曝露すると、化学発光が発生する。光は、特定のAEバリアントに応じて、430~480nmの範囲の最大波長で発光する。そのような光は、例えば高効率光電子増倍管によって、検出することができる。
【0152】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーとATTRバイオマーカーに対する1種またはそれ以上の抗体薬との間の結合を検出する工程は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットに対する吸光度値または発光値を決定する工程を含む。例えば、吸光度値は結合のレベルを示す(例えば、吸光度が高いほどより多くの結合を示す)。一部の実施形態では、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットに対する吸光度値または発光値は閾値を上回る。一部の実施形態では、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットに対する吸光度値または発光値は、閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい。一部の実施形態では、閾値は、2種以上の対照サンプルを標識する1種またはそれ以上の検出薬の第2のセットに対して決定される吸光度値または発光値の平均である。一部のそのような実施形態では、1種またはそれ以上の検出薬の第2のセットは、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットと同様であるかまたは同じである。
【0153】
一態様では、本開示は、対象において1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)を検出する方法であって、上記の生物学的マーカーを検出する方法に従って、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)が対象から得られたサンプル中に存在するかどうかを検出する方法を提供する。一部の実施形態では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーを検出する方法は、ATTRバイオマーカーと1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬との間の結合を検出する工程を含む。一部の実施形態では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーが対象から得られたサンプル中に存在するかどうかを検出する工程は、対象から得られたサンプル中に存在する1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む。一部の実施形態では、検出されるATTRバイオマーカーのレベルは、それぞれのATTRバイオマーカーについて閾値を上回る。一部の実施形態では、検出されるATTRバイオマーカーのレベルは、閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい。
【0154】
一部の実施形態では、本開示は、対象から得られたサンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)を検出する方法を提供する。アミロイドトランスチレチン心筋症に対する生物学的マーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含むことができる。一部の実施形態では、上記の方法で使用される対照サンプルは、ATTRアミロイドーシスおよび/またはTTR-CMを有さない1またはそれ以上の対象から得られたサンプルを含む。
【0155】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、少なくとも1種のまたは検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のレベルが閾値を上回る場合に、対象をアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)と診断する工程をさらに含む。一部の実施形態では、方法は、少なくとも1種のまたは1種もしくはそれ以上の検出されるATTRバイオマーカーのレベルが、閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象をTTR-CMと診断する工程を含む。
【0156】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットに対する吸光度値または発光値が閾値を上回る場合に、対象をアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)と診断する工程をさらに含む。一部の実施形態では、方法は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットに対する吸光度値または発光値が、閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象をTTR-CMと診断する工程を含む。一部の実施形態では、閾値は、2種以上の対照サンプルを標識する1種またはそれ以上の検出薬の第2のセットに対して決定される吸光度値または発光値の平均である。一部のそのような実施形態では、1種またはそれ以上の検出薬の第2のセットは、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットと同様であるかまたは同じである。
【0157】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、少なくとも1種のまたは1種もしくはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルが閾値を上回る場合に、対象を1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨する工程をさらに含む。いくつかのそのような方法では、少なくとも1種のまたは1種もしくはそれ以上の検出されるATTRバイオマーカーのレベルが、閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象は1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨される。
【0158】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットに対する吸光度値または発光値が閾値を上回る場合に、対象を1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨する工程をさらに含む。いくつかのそのような方法では、1種またはそれ以上の検出薬の第1のセットに対する吸光度値または発光値が閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい場合に、対象は1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨される。
【0159】
本開示の方法に従って使用することができる心筋症試験は、心エコー図または先進画像方法を含む。一部の実施形態では、先進画像方法は、心臓磁気共鳴画像(CMR)またはシンチグラフィー(例えば、99m Tc-ピロリン酸などの放射性同位体コンジュゲートを使用する、および/または単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)を使用する)を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、少なくとも1種のまたは1種もしくはそれ以上の検出されるATTRバイオマーカーのレベルが閾値を上回り、かつ対象が心筋症試験の1つまたはそれ以上において心筋症について試験が陽性である場合に、対象を心臓生検に推奨する工程をさらに含む。一部のそのような実施形態では、生検組織は、免疫化学的染色によって心筋症について試験される。例えば、免疫化学的染色は、心臓組織におけるカッパまたはラムダ軽鎖アミロイド沈着物に対する1種またはそれ以上の抗体薬、および/またはトランスチレチン沈着物に対する1種またはそれ以上の抗体薬の使用を含む。免疫化学的染色によって心臓組織中にトランスチレチン沈着物の存在が示される場合に、対象をアミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)と診断することができる。
【0160】
上記実施形態のいずれかでは、閾値は、2種以上の対照サンプルについて検出された値の平均であり得る。一部のそのような実施形態では、2種以上の対照サンプルについて検出される値は、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーに対する対照レベルを表す。一部の実施形態では、対照サンプルは、組換えATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)を含む。一部の実施形態では、2種以上の対照サンプルは、それぞれ、TTR-CMを有さない対象から得られたサンプルである。一部の実施形態では、閾値は、標準的な表で報告される値である。
【0161】
ATTRバイオマーカープロファイルを利用する方法
本明細書に記載の方法のいずれかの実施によって提供されるアルゴリズムベースのアッセイおよび関連情報は、対象に対する最適な治療および意思決定を容易にすることができる。例えば、本明細書に記載の方法によって、医師または世話人が、TTR-CMを有する見込みが低く、したがって、治療を必要としないであろう、さらなる心臓試験を必要としないであろう、もしくはTTR-CMについてモニタリングを増やすことを必要としないであろう患者、またはTTR-CMを有する見込みが高く、治療を必要とするであろう、さらなる心臓試験を必要とするであろう、もしくはTTR-CMについてモニタリングを増やすことを必要とする患者を特定することを可能になり得る。
【0162】
ATTRバイオマーカーのスコアは、ある場合には、特定のアルゴリズムの適用によって決定することができる。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーのスコアは定量的である。本明細書に開示される方法においてATTRバイオマーカーのスコアを計算するために使用されるアルゴリズムは、ATTRバイオマーカーまたはATTRバイオマーカー群の発現レベルの値をグループ化することができる。さらに、ATTRバイオマーカーの特定の群を形成することにより、定量的スコアに対するATTRバイオマーカーまたはATTRバイオマーカーサブセット(例えば分類子)の様々な発現レベル寄与の数学的重み付けを容易にすることができる。
【0163】
例示的ATTRバイオマーカーおよび対応するアミノ酸配列は表1に列挙される。ATTRバイオマーカーの例示的組合せは表2~5に列挙される。
【0164】
本明細書に記載の方法ならびに本明細書で提供されるキットおよびシステムは、サンプルを得た対象がTTR-CMの危険性があるか、もしくはTTR-CMを罹患しているかどうかを予測する、1つもしくはそれ以上の心筋症試験のためにサンプルを得た対象を選択する、および/または1回もしくはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるためにサンプルを得た対象を選択するために、アルゴリズムベースの診断アッセイを利用することができる。
【0165】
1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルならびに場合により1つもしくはそれ以上の人口統計学的要因(例えば、年齢、体重、生物学的性、民族性、BMI、病歴、危険因子、家族歴および地理的位置の1つもしくはそれ以上)ならびに/または画像ベースのバイオマーカー(例えば、左心室隔壁厚および/もしくは駆出率)を単独で使用して、または機能的サブセット中に配置して、サンプルを得た対象が、TTR-CMの危険性があるか、もしくはTTR-CMを罹患しているかどうかを予測する、1つもしくはそれ以上の心筋症試験のためにサンプルを得た対象を選択する、および/または1回もしくはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるためにサンプルを得た対象を選択するために使用されるATTRバイオマーカーのスコアを計算することができる。
【0166】
本明細書に開示される方法は、ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程は、ATTRバイオマーカープロファイルにアルゴリズムを適用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含む。一部の実施形態では、アルゴリズムは、決定木法、ニューラルブースト法、ブートストラップ森法、ブーストツリー法、K近傍法、一般化回帰変数増加法、一般化回帰枝刈り変数増加法、フィットステップワイズ法、一般化回帰ラッソ法、一般化回帰エラスティックネット法、一般化回帰リッジ法、名義ロジスティック法、サポートベクターマシン法、判別法、ナイーブベイズ法またはこれらの組合せであるか、またはこれらに由来する。一部の実施形態では、アルゴリズムは、決定木法、ニューラルブースト法、ブートストラップ森法、ブーストツリー法、一般化回帰ラッソ法、一般化回帰エラスティックネット法、一般化回帰リッジ法、名義ロジスティック法、サポートベクターマシン法、判別法もしくはこれらの組合せであるか、またはこれらに由来する。一部の実施形態では、アルゴリズムは、決定木法、ニューラルブースト法、ブートストラップ森法、ブーストツリー法、サポートベクターマシン法もしくはこれらの組合せであるか、またはこれらに由来する。
【0167】
さらなるアルゴリズムを本明細書に提供される方法で使用することができ、上記で提供されるアルゴリズムは、ATTRバイオマーカーのスコアを生成するために使用することができるアルゴリズムのタイプの単に例示である。例示的アルゴリズムは、例えば、Duda、2001、Pattern Classification、John Wiley & Sons,Inc.、New York.396~408頁および411~412頁;ならびにHastieら、2001、The Elements of Statistical Learning、Springer-Verlag、New York、9章に記載されており、これらのそれぞれを参照によって本明細書に組み入れる。さらに、前述のように、アルゴリズムの組合せを本明細書に提供される方法で使用することができる。例えば、ブーストツリー法は、決定木法とブースティング法の組合せであり得る。さらなる組合せが可能であり、本明細書に提供される方法における使用が企図される。本明細書に提供される方法で使用することができる例示的アルゴリズムは以下に記載される。
【0168】
決定木
ATTRバイオマーカープロファイルからATTRバイオマーカーのスコアを計算するために使用することができる1つの方法体系は決定木である。決定木は、訓練集団および特定のデータ分析アルゴリズムを使用して構築することができる。決定木は、Duda、2001、Pattern Classification、John Wiley & Sons,Inc.、New York.395~396頁に一般的に記載されており、参照によってこれを本明細書に組み入れる。ツリーベースの方法は、特徴空間(feature space)を一連の矩形に分割し、次いで、それぞれの矩形にモデル(定数など)をあてはめる。
【0169】
訓練集団データは、訓練セット集団全体にわたってATTRバイオマーカープロファイル(例えば、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを含む)を含むことができる。決定木を構築するために使用することができる1つの特定のアルゴリズムは、分類および回帰木(CART)である。他の特定の決定木アルゴリズムとしては、限定されないが、ID3、C4.5、MARTおよびランダムフォレストが挙げられる。CART、ID3およびC4.5は、Duda、2001、Pattern Classification、John Wiley & Sons、Inc.,New York.396~408頁および411~412頁に記載されているおり、参照によってこれを本明細書に組み入れる。CART、MARTおよびC4.5は、Hastieら、2001、The Elements of Statistical Learning、Springer-Verlag、New York、9章に記載されており、その内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。ランダムフォレストは、Breiman、1999、「Random Forests-Random Features」、Technical Report 567、Statistics Department、U.C.Berkeley、1999年9月に記載されており、その内容全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0170】
決定木の目的は、実例(real-world example)データから分類子(ツリー)を誘導することである。このツリーを使用して、決定木を導出するために使用されなかった未知の例(unseen examples)を分類することができる。したがって、決定木は訓練データから導出することができる。例示的訓練データは、複数の対象(例えば、訓練集団)に対するデータを含む。ATTRバイオマーカープロファイルをそれぞれの各対象ごとに提供および/または使用することができる。一部の実施形態では、訓練データは、訓練集団をプロファイルする(proles)ATTRバイオマーカーを含む。
【0171】
以下のアルゴリズムは、例示的な決定木導出を説明する:
ツリー(例、クラス、特徴(feature))
ルートノードを作成する
すべての例が同じクラス値を有する場合、ルートにこのラベルを与える
さもなければ、特徴が空である場合、最も一般的な値に従ってルートをラベルする
さもなければ、以下を開始する
各特徴について情報利得を計算する
情報利得が最高である特徴Aを選択し、これをルート特徴にする
この特徴の可能な各値、vについて
A=vに対応する新しい枝をルートの下に加える
例(v)をA=vをともなう例とする
例(v)が空である場合、新しい枝を、例の中の最も一般的な値でラベルされたリーフノードにする
さもなければ、新しい枝を下記によって作成されたツリーとする
ツリー(例(v)、クラス、特徴-{A})
終わり
【0172】
一変量決定木では、各分裂は、対応するバイオマーカーに対する特徴量(feature value)(例えば、レベル)に基づく。さらに、多変量決定木を本明細書に記載の方法で実行することができる。多変量決定木は、Duda、2001、Pattern Classification、John Wiley & Sons,Inc.、New York、408~409頁に記載されており、参照によってこれを本明細書に組み入れる。そのような多変量決定木では、決定のいくつかまたはすべては、ATTRプロファイルの複数のATTRバイオマーカーに対する特徴量(例えば、レベル)の線形結合を含む。そのような線形結合は、分類における勾配降下などの公知の技法を使用して、または二乗和誤差(sum-squared-error)判定基準の使用によって、訓練を受けることができる。
【0173】
説明的例として、以下の式が使用される:
0.05(X1)+0.2(X2)<500
【0174】
この例では、X1およびX2は、2種の異なるATTRバイオマーカーに対する2つの異なる特徴(例えば、レベル)を指す。本方法体系を適用するために、特徴X1およびX2(例えば、ATTRバイオマーカープロファイルの一部として)の値が、未分類の対象から得られた測定値から得られる。次いで、これらの値が式に挿入される。500未満の値がコンピューターで計算されれば、次いで、決定木の第1の枝が選ばれる。そうでなければ、決定木の第2の枝が選ばれる。
【0175】
弱い決定則を改善するために、バギング、ブースティングおよびアディティブツリーを決定方法体系と組み合わせることができる。これらの技法は上記の決定木などの決定木のために設計され、該決定木に通常適用される。さらに、そのような技法は、線形判別分析などの他のタイプのデータ分析アルゴリズムを使用して開発された決定則にも有用であり得る。
【0176】
バギングでは、訓練セットがサンプリングされ、ランダム独立ブートストラップ複製物を生成し、これらのそれぞれに基づいて決定則を構築し、最終的な決定則において単純な多数決によってこれらを集合させる。例えば、その内容全体を参照によって本明細書に組み入れる、Breiman、1996、Machine Learning 24、123~140;およびEfron & Tibshirani、An Introduction to Boostrap、Chapman & Hall、New York、1993を参照されたい。
【0177】
ブースティングでは、以前の分類結果に依存する訓練セットの重み付けされたバージョンで決定則が構築される。最初に、考慮中のすべての特徴は等しい重みを有し、第1の決定則がこのデータセットで構築される。次いで、重みは、決定則の性能に従って変えられる。誤って分類された特徴にはより大きな重みが与えられ、再度重み付けされた訓練セットで次の決定則がブーストされる。このようにして、一連の訓練セットおよび決定則が得られ、次いで、これは、最終的な決定則において、単純な多数決または重み付けされた多数決により組み合わされる。その内容全体を参照によって本明細書に組み入れる、例えば、「Experiments with a new boosting algorithm」、Proceedings 13th International Conference on Machine Learning、1996、148~156を参照されたい。
【0178】
本明細書に開示される方法、システム、キットおよび組成物で使用される測定データは、場合により正規化される。正規化は、例えば、アッセイされた遺伝子またはタンパク質レベルの量の違い、および使用されるテンプレートの品質の変動性を補正して、遺伝子またはタンパク質の発現の処理および検出に関与する系統的変動測定の望まれない出所を除去するためのプロセスを指す。系統的変動の他の出所は、研究室での処理条件に起因し得る。
【0179】
場合によっては、正規化方法は、研究室での処理条件の正規化のために使用される。本開示の方法で使用することができる、研究室での処理の正規化の非限定例としては、以下が挙げられるが、これに限定されない:データ生成プロセス中に使用される器具、試薬および機器の間の、ならびに/またはデータ収集におけるデータおよび時間または時間経過の間の系統的な違いを考慮すること。
【0180】
アッセイは、関連する条件下での発現レベルに有意差がない、すなわち、その特定のサンプルタイプにおいて安定した一定の発現レベルを有することが知られているある特定の正規化標準遺伝子またはタンパク質の発現を組み入れることによって、正規化を提供することができる。本開示で使用することができる適切な正規化遺伝子およびタンパク質としては、ハウスキーピング遺伝子が挙げられる(例えば、E.Eisenbergら、Trends in Genetics 19(7):362~365(2003)を参照されたい)。いくつかの適用では、参照遺伝子とも称される正規化バイオマーカー(遺伝子およびタンパク質)は、TTR-CMを有さない対照の対象と比較して、TTR-CMを有する対象において有意差のある発現レベルを示さないことが既知である。いくつかの適用では、データ正規化で使用するために使用することができ、データ正規化で使用するための既知の特性を有する実体に相当する、安定同位体で標識された標準を加えることは、有用であり得る。
【0181】
他の適用では、器具および日々の測定変動性を考慮するために、標準の固定化サンプルを分析バッチごとに測定することができる。
【0182】
識別バイオマーカーおよび場合により対象特性をサブ選択するための、ならびに分類モデルを構築するための機械学習アルゴリズムが、臨床転帰スコアを決定するために、本明細書のいくつかの方法およびシステムで使用される。そのようなアルゴリズムの例は上に記載される。これらのアルゴリズムは、重要なバイオマーカー特徴の選択に役立ち、基礎となる測定値を、例えば、臨床転帰、疾患の危険性、疾患の見込み、疾患の有無、治療応答および/または疾患状態の分類に関するスコアまたは確率に変換することができる。
【0183】
ATTRバイオマーカーのスコアは、対象特異的ATTRバイオマーカープロファイルと参照ATTRバイオマーカープロファイルを比較することによって決定することができる。参照ATTRバイオマーカープロファイルは、既知の診断を代表し得る。例えば、ATTRバイオマーカープロファイルは、TTR-CMの陽性診断を代表し得る。別の例として、参照ATTRバイオマーカープロファイルは、TTR-CMの陰性診断を代表し得る。ある場合には、スコアの増加は、以下の1つまたはそれ以上の見込みが高いことを示す:不良な臨床転帰、良好な臨床転帰、疾患の危険性が高いこと、疾患の危険性が低いこと、完全奏効、部分奏効、安定している疾患、非奏効および疾患管理のための治療の推奨。ある場合には、定量的スコアの減少は、以下の1つまたはそれ以上の見込みが高いことを示す:不良な臨床転帰、良好な臨床転帰、疾患の危険性が高いこと、疾患の危険性が低いこと、完全奏効、部分奏効、安定している疾患、非奏効および疾患管理のための治療の推奨。
【0184】
参照ATTRバイオマーカープロファイルと類似した、対照からのATTRバイオマーカープロファイルは、以下の1つまたはそれ以上の見込みが高いことを示すことが多い:不良な臨床転帰、良好な臨床転帰、疾患の危険性が高いこと、疾患の危険性が低いこと、完全奏効、部分奏効、安定している疾患、非奏効および疾患管理のための治療の推奨。いくつかの適用では、対象と参照との間で類似していないATTRバイオマーカープロファイルは、以下の1つまたはそれ以上を示す:不良な臨床転帰、良好な臨床転帰、疾患の危険性が高いこと、疾患の危険性が低いこと、完全奏効、部分奏効、安定している疾患、非奏効および疾患管理のための治療の推奨の見込みが高いこと。
【0185】
対象、健康管理専門家または他の専門家に結果を提供することができる。結果は、場合により、例えば1つまたはそれ以上の心筋症試験を使用して、TTR-CMの危険性を確認するかまたは独立に評価するための推奨などの健康に関する推奨をともなう。
【0186】
推奨は、治療レジメンに関連する情報、例えば、治療レジメンを示す情報を場合により含む。レジメンの有効性は、ある場合には、初期の時点で、場合により治療より前に、および後期の第2の時点で、場合により治療例の後に、対象のATTRバイオマーカープロファイルの比較によって、評価することができる。ATTRバイオマーカープロファイルは、治療レジメンが効能を示し、その結果、これを続ける、増加させる、代替レジメンと置き換える、またはTTR-CMもしくは関連する徴候および症状に対処することに成功したので中断するべきであるかどうかを決定するために、互いに比較する、それぞれ参照と比較する、またはそうでなければ評価することができる。いくつかの評価は、治療より前の少なくとも1つの時点および治療後の少なくとも1つの時点などの複数の時点の対象のATTRバイオマーカープロファイルの比較に依拠する。ATTRバイオマーカープロファイルは、互いに少なくとも1つの参照バイオマーカーパネルレベルと比較することができ、または互いにかつ少なくとも1つの参照バイオマーカーパネルレベルと比較することができる。
【0187】
アミロイドトランスチレチン心筋症の治療
ATTRアミロイドーシスに対する治療的アプローチは、TTRの生成を低減させること、TTRの凝集を阻害するまたは低減させること、TTR細線維またはアミロイド形成を阻害するまたは低減させること、TTR沈着物を低減させるまたは取り除くこと、およびTTRの無毒性コンフォメーション(例えば、四量体形態)を安定化することを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、対象から得られたサンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のそれぞれのレベルを検出する工程、および有効量のトランスチレチン(TTR)安定化剤を診断された対象に投与する工程をさらに含む。一部の実施形態では、TTR安定化剤はタファミジスである。
【0188】
一部の実施形態では、本開示は、TTR安定化剤による治療のために患者を選択する方法であって、対象から得られたサンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)のそれぞれのレベルを検出する工程を含む、方法を含む。
【0189】
一部の実施形態では、本開示は、TTR-CMの危険性があるか、またはTTR-CMを罹患している対象においてTTR-CMを治療する方法であって、該方法は、治療有効量のTTR安定化剤を対象に投与する工程を含み、対象は、ATTRバイオマーカーまたはATTRバイオマーカー遺伝子産物の、閾値を上回るレベルを発現する、方法を含む。一部の実施形態では、TTR-CMの危険性があるか、またはTTR-CMを罹患している対象においてTTR-CMを治療する方法は、治療有効量のTTR安定化剤を対象に投与する工程を含み、対象は、1種より多いATTRバイオマーカーまたはATTRバイオマーカー遺伝子産物の、閾値を上回るレベルを発現する。一部の実施形態では、方法は、対象が、ATTRバイオマーカーまたはATTRバイオマーカー遺伝子産物の、閾値を上回るレベルを発現することを決定する工程をさらに含む。一部の実施形態では、投与より前に、対象は、ATTRバイオマーカーまたはATTRバイオマーカー遺伝子産物の、閾値を上回るレベルを発現することが決定されている。
【0190】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるバイオマーカーは、ATTRアミロイドーシスおよびTTR-CMの有効な療法について患者をスクリーニングために使用することができる。一部の実施形態では、TTR-CMの療法はTTR四量体の安定剤である。TTR安定剤の例としては、タファミジスおよびジフルニサルが挙げられる。
【0191】
療法の別のアプローチは、全TTR生成を低減させることである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)ベースの療法およびRNA干渉(RNAi)は、全TTRを低下させるための治療的アプローチである。ISIS-TTRRxは、TTR転写産物の野生型と変異型の両方の破壊を引き起こす、ASOベースの療法である。他の可能な治療薬としては、ALN-TTR02(パチシラン)、ALN-TTRsc(レブシラン)、ドキシサイクリン、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)、ドキシサイクリンとTUDCAとの組合せ、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、クルクミンまたはレスベラトロールが挙げられる。例えば、TTR凝集および細線維形成の抗体媒介性阻害;TTRの無毒性コンフォメーション(例えば、四量体形態)の抗体媒介性安定化;または凝集TTR、オリゴマーTTRもしくはモノマーTTRの抗体媒介性クリアランスによって、TTRを標的化する抗体も療法として使用することができる。さらに、例えばTTRを標的にするために、TTRに対する抗体を治療薬に結合させるかまたはコンジュゲートさせることができる。
【0192】
キット
1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬および使用(例えば、治療、予防的または診断的使用)のための説明書を含むキットも本開示によって提供される。一部の実施形態では、キットは、TTR-CM(野生型ATTRアミロイドーシスによって生じるTTR-CMを含める)を診断するためのインビトロ診断アッセイに使用される。一部の実施形態では、本開示のキットは、TTR安定化剤(例えば、タファミジス)をさらに含む。
【0193】
一部の実施形態では、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗体薬を含む。一部の実施形態では、抗体薬の1種またはそれ以上は検出可能な部分で標識されている。一部の実施形態では、キットは検出薬(例えば、1種またはそれ以上のアクリジニウムエステル分子)をさらに含む。一部の実施形態では、抗体薬の1種またはそれ以上はアクリジニウムエステル分子の1種またはそれ以上で標識されている。一部の実施形態では、キットは、抗ATTRバイオマーカー抗体薬の1種またはそれ以上に特異的に結合する1種またはそれ以上の二次抗体薬をさらに含む。
【0194】
一部の実施形態では、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は核酸プローブを含む。一部の実施形態では、各核酸プローブの少なくとも一部は、ATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)をコードするヌクレオチドの1つまたはそれ以上の部分にハイブリダイズする。ATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドはDNA(例えば、cDNA)であってもよいし、またはRNA(例えば、mRNA)であってもよい。一部の実施形態では、核酸プローブは、1種またはそれ以上の検出薬で標識されている(例えば、検出薬はATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドの存在を示す)。
【0195】
一部の実施形態では、キットは1種またはそれ以上の対照サンプルをさらに含む。一部の実施形態では、対照サンプルは、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー標準を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカー標準は組換えATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカー標準は合成ATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)核酸を含む。
【0196】
上記に加えて、キットは他の成分、例えば、溶媒または緩衝液、安定剤もしくは防腐剤、および/または本明細書に記載の状態もしくは障害を治療するための薬剤を含むことができる。代わりに、キット中であるが、抗ATTRバイオマーカー薬と異なる組成物または容器中に他の成分を含めることができる。そのような実施形態では、キットは、抗ATTRバイオマーカー薬と他の成分を混合するための、または他の成分とともに抗ATTRバイオマーカーを使用するための説明書を含むことができる。
【0197】
ある特定の実施形態では、本開示に従って使用するためのキットは、参照または対照サンプル、サンプルを処理し、サンプルに対して試験行うための説明書、結果を解釈するための説明書、試験を行うために必要である緩衝液および/または他の試薬を含むことができる。
【0198】
本開示は、ある特定の単一のATTRバイオマーカーがATTRアミロイドーシスまたはTTR-CMを検出および/または診断するのに役立ち得るという認識も提供する。本開示は、さらに、ATTRバイオマーカーの特定の組合せは、ATTRアミロイドーシスまたはTTR-CMを検出および/または診断するのに特に有用であるという洞察を提供する。したがって、本明細書に記載の方法、組成物およびキットは、TTR-CMの危険性を評価する、対象がさらなる心臓試験を受けるべきであるかどうかを評価する、および/またはサンプル、例えば、対象から得られた生体サンプル中のATTRバイオマーカーの検出もしくは測定に基づいてTTR-CMを診断するためのアッセイに使用することができる。
【0199】
本明細書で提供される方法およびキットは、試験の結果を医学的に実施可能なほど信頼できるものにする感度および特異性で、サンプル中のTTR-CMを検出することができる。対象のTTR-CMの検出および/または診断のための本明細書に記載の方法およびキットは、75%を越える、80%を越える、85%を越える、90%を越える、95%を越える、96%を越える、97%を越える、98%を越える、99%を越える,または約100%の感度でTTR-CMを検出する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法およびキットは、約70%~100%の間、約80%~100%の間または約90~100%の間の感度でTTR-CMを検出することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法およびキットは、70%を越える、75%を越える、80%を越える、85%を越える、90%を越える、95%を越える、96%を越える、97%を越える、98%を越える、99%を越えるまたは約100%の特異性でTTR-CMを検出することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法およびキットは、約50%~100%の間、約60%~100%の間、約70%~100%の間、約80%~100%の間または約90~100%の間の特異性でTTR-CMを検出することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法およびキットは、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上の感度および特異性でTTR-CMを検出することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法およびキットは、約50%~100%の間、約60%~100%の間、約70%~100%の間、約80%~100%の間または約90~100%の間の感度および特異性でTTR-CMを検出することができる。
【0200】
組成物
組成物も本明細書で提供される。一部の実施形態では、組成物は1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーおよび1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含む。一部の実施形態では、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含み、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬、抗TIMP2薬、抗NfL薬またはこれらの組合せを含む。
【0201】
一部の実施形態では、組成物は、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上など)および抗ATTRバイオマーカー薬の対応する組合せを含む。
【0202】
一部の実施形態では、組成物は2種以上のATTRバイオマーカーおよび2種以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含む。一部の実施形態では、2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含み、2種以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬、抗TIMP2薬、抗NfL薬またはこれらの組合せを含む。
【0203】
一部の実施形態では、組成物は3種以上のATTRバイオマーカーおよび3種以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含む。一部の実施形態では、3種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、3種以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬、抗TIMP2薬、抗NfL薬またはこれらの組合せを含む。
【0204】
一部の実施形態では、組成物は4種以上のATTRバイオマーカーおよび4種以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含む。一部の実施形態では、4種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、4種以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬、抗TIMP2薬、抗NfL薬またはこれらの組合せを含む。
【0205】
一部の実施形態では、組成物は5種以上のATTRバイオマーカーおよび5種以上の抗ATTRバイオマーカー薬を含む。一部の実施形態では、5種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、5種以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬、抗TIMP2薬、抗NfL薬またはこれらの組合せを含む。
【0206】
一部の実施形態では、組成物はATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)および抗ATTRバイオマーカー薬の対応する組合せを含む。一部の実施形態では、組成物は表2~5のATTRバイオマーカーの組合せおよび抗ATTRバイオマーカー薬の対応する組合せを含む。一部の実施形態では、組成物は表2のATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)および抗ATTRバイオマーカー薬の対応する組合せを含む。一部の実施形態では、表3のATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)および抗ATTRバイオマーカー薬の対応する組合せである。一部の実施形態では、表4のATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)および抗ATTRバイオマーカー薬の対応する組合せである。一部の実施形態では、表5のATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)および抗ATTRバイオマーカー薬の対応する組合せである。
【0207】
一部の実施形態では、組成物はTnIおよび抗TnI薬を含む。一部の実施形態では、組成物はTnI、PKM1、抗TnI薬および抗PKM1薬を含む。一部の実施形態では、組成物はTnI、PKM2、抗TnI薬および抗PKM2薬を含む。一部の実施形態では、組成物はTnI、PKM1、PKM2、抗TnI薬、抗PKM1薬および抗PKM2薬を含む。一部の実施形態では、組成物はNT-proBNP、RBP4または両方および抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬または両方を含む。一部の実施形態では、組成物はTIMP2、NfLまたは両方および抗TIMP2薬、抗NfL薬または両方を含む。
【0208】
一部の実施形態では、組成物はNT-proBNPおよび抗NT-proBNP薬を含む。一部の実施形態では、組成物はTnI、PKM1、PKM2、RBP4またはこれらの組合せおよび抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗RBP4薬またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、組成物はTIMP2、NfLまたは両方および抗TIMP2薬、抗NfL薬または両方を含む。
【0209】
一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM2、NT-proBNP、RBP4、抗TnI薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM2、NT-proBNP、抗TnI薬、抗NT-proBNP薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM2、RBP4、抗TnI薬、抗PKM2薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、NT-proBNP、抗TnI薬、抗PKM1薬および抗NT-proBNP薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、RBP4、抗TnI薬、抗PKM1薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬、抗NT-proBNP薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬および抗NT-proBNP薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TnI、PKM1、PKM2、RBP4、抗TnI薬、抗PKM1薬、抗PKM2薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNP、RBP4、TnI、抗TnI薬、抗NT-proBNP薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、RBP4、SMOC-2、TnI、抗TnI薬、抗RBP4薬および抗SMOC-2薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、NT-proBNP、TnI、抗TnI薬、抗NT-proBNP薬および抗DCN薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、RBP4、TnI、抗TnI薬、抗RBP4薬および抗DCN薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNP、SMOC-2、TnI、抗TnI薬、抗NT-proBNP薬および抗SMOC-2薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNP、TIMP2、TnI、抗TnI薬、抗NT-proBNP薬および抗TIMP2薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、NT-proBNP、TnI、抗TnI薬および抗NT-proBNP薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、TnI、抗TnI薬および抗DCN薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、TIMP2、TnI、抗TnI薬、抗TIMP2薬および抗DCN薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、RBP4、TnI、抗TnI薬および抗RBP4薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、RBP4、TIMP2、TnI、抗TnI薬、抗RBP4薬および抗TIMP2薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、DCN、SMOC-2、TnI、抗TnI薬、抗SMOC-2薬および抗DCN薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、TIMP2、TnI、抗TnI薬および抗TIMP2薬を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカーの組合せ(例えば、1種またはそれ以上、2種以上、3種以上、4種以上など)は、SMOC-2、TIMP2、TnI、抗TnI薬、抗SMOC-2薬および抗TIMP2薬を含む。
【0210】
一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物中の1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗体薬を含む。一部の実施形態では、抗体薬の1種またはそれ以上は検出可能な部分で標識されている。一部の実施形態では、キットは検出薬(例えば、1種またはそれ以上のアクリジニウムエステル分子)をさらに含む。一部の実施形態では、抗体薬の1種またはそれ以上はアクリジニウムエステル分子の1種またはそれ以上で標識されている。一部の実施形態では、キットは、抗ATTRバイオマーカー抗体薬の1種またはそれ以上に特異的に結合する1種またはそれ以上の二次抗体薬をさらに含む。
【0211】
一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物中の1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は核酸プローブを含む。一部の実施形態では、各核酸プローブの少なくとも一部は、ATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)をコードするヌクレオチドの1つまたはそれ以上の部分にハイブリダイズする。ATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドはDNA(例えば、cDNA)であってもよいし、またはRNA(例えば、mRNA)であってもよい。一部の実施形態では、核酸プローブは、1種またはそれ以上の検出薬で標識されている(例えば、検出薬はATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドの存在を示す)。
【0212】
一部の実施形態では、組成物は1種またはそれ以上の対照サンプルを含む。一部の実施形態では、対照サンプルは、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー標準を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカー標準は組換えATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)を含む。一部の実施形態では、ATTRバイオマーカー標準は合成ATTRバイオマーカー(例えば、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNP、RBP4、DCN、TIMP2、SMOC-2、NfLまたはこれらの組合せ)核酸を含む。
【0213】
上記に加えて、組成物は、他の成分、例えば、溶媒または緩衝液、安定剤もしくは防腐剤、および/または本明細書に記載の状態もしくは障害を治療するための薬剤を含むことができる。
【0214】
コンピューターシステム
本明細書に記載の方法は、コンピュータープログラム中の特定の命令を実行するプロセッサーを有するコンピューターシステムで実行することができる。一部の実施形態では、コンピューターシステムは、ATTRバイオマーカープロファイルおよび/または2種以上のATTRバイオマーカーのレベルの受信に基づいてATTRバイオマーカーのスコアを出力するように配置することができる。特に、コンピュータープログラムは、適切な次の工程、例えば、対象に対するさらなる医薬(例えば、TTR安定剤)、治療および/またはさらなる試験(例えば、心筋症試験)をシステムが選択するための命令を含むことができる。
【0215】
一部の実施形態では、コンピュータープログラムは、コンピューターシステムが、受信したデータ(例えば、ATTRバイオマーカープロファイル)に基づいて、さらなる試験(例えば、心筋症試験)のために対象を特定すること、TTR-CMの危険性があるかもしくはTTR-CMを有するとして対象を特定すること、および/または医薬(例えば、TTR安定剤)を受けるための患者を特定すること、ならびにデータを使用してATTRバイオマーカーのスコアを計算することができるように構成することができる。システムは、人口統計学的要因および/または画像ベースのバイオマーカーとともにATTRバイオマーカープロファイルに基づいて、特定された次の工程に順位付けすることができる可能性がある。システムは、例えば、対象の、またはTTR-CMを有するか、または有する疑いがある対象のまたは対象の家族の臨床応答に基づいて、順位付けを調整することができる。
【0216】
図11は、一実施形態による、上記のオペレーションで使用することができるコンピューターシステム1100のブロック線図である。システム1100は、プロセッサー1110、メモリー1120、記憶装置1130および入力/出力装置1140を含む。コンポーネント1110、1120、1130および1140のそれぞれは、システムバス1150を使用して相互接続される。システムは、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを決定するための分析機器1160を含むことができる。
【0217】
プロセッサー1110は、システム1100内の実行のための命令を処理することができる。一実施形態では、プロセッサー1110はシングルスレッドプロセッサーである。別の実施形態では、プロセッサー1110はマルチスレッドプロセッサーである。プロセッサー1110は、入力/出力装置1140を通じて情報を受信または送信するためのものを含めて、メモリー1120または記憶装置1130に記憶された命令を処理することができる。
【0218】
メモリー1120は、システム1100内の情報を記憶する。一実施形態では、メモリー1120はコンピューター可読媒体である。一実施形態では、メモリー1120は揮発性メモリーユニットである。別の実施形態では、メモリー1120は不揮発性メモリーユニットである。
【0219】
記憶装置1130は、大容量記憶をシステム1100に提供することができる。一実施形態では、記憶装置1130はコンピューター可読媒体である。
【0220】
入力/出力装置1140は、入力/出力オペレーションをシステム1100に提供する。一実施形態では、入力/出力装置1140はキーボードおよび/またはポインティングデバイスを含む。一実施形態では、入力/出力装置1140は、グラフィカルユーザーインターフェースを表示するためのディスプレイユニットを含む。
【0221】
システム1100はデータベースを構築するために使用することができる。図12は、さらなる試験(例えば、心筋症試験)のために対象を特定する、TTR-CMの危険性があるかもしくはTTR-CMを有するとして対象を特定する、および/または医薬(例えば、TTR安定剤)を受けるための患者を特定するのに使用するためのデータベースを構築するための方法1200のフローチャートを示す。好ましくは、方法1200はシステム1100において実行される。例えば、コンピュータープログラム製品は、プロセッサー1110に方法1200または方法1300の工程を実行させる命令を含むことができる。
【0222】
方法1200は以下の工程を含む。工程1210において、対象のATTRバイオマーカープロファイル(例えば、サンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベル)を受信する。システム600中のコンピュータープログラムは、入力/出力装置640上に適切なグラフィカルユーザーインターフェースを提示するための命令を含むことができ、グラフィカルユーザーインターフェースは、入力/出力装置640、例えばキーボードを使用してレベル670を入力するようにユーザーに促すことができる。工程1220において、ATTRバイオマーカープロファイルからATTRバイオマーカーのスコアを計算する。本明細書に記載のように、工程1220において、(i)ATTRバイオマーカープロファイルならびに(ii)人口統計学的要因および/または画像ベースのバイオマーカーからATTRバイオマーカーのスコアを計算する。工程1230において、ATTRバイオマーカーのスコアを記憶する。システム600は、ATTRバイオマーカーのスコアを記憶装置630中に記憶することができる。さらに、または代わりに、システム600はATTRバイオマーカーのスコアを含む読み出し情報を提供することができる。読み出し情報は、対象に対して提唱される次の工程および/またはATTRバイオマーカーのスコアに関連する信頼水準を含むこともできる。
【0223】
方法1300は以下の工程を含む。工程1310において、例えば対象からのサンプル中の1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する。工程1320において、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのレベルを使用して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る。工程1330において、ATTRバイオマーカープロファイルからATTRバイオマーカーのスコアを計算する。本明細書に記載のように、工程1330において、(i)ATTRバイオマーカープロファイルならびに(ii)人口統計学的要因および/または画像ベースのバイオマーカーからATTRバイオマーカーのスコアを計算する。工程1340において、ATTRバイオマーカーのスコアを記憶する。システム600は、ATTRバイオマーカーのスコアを記憶装置630中に記憶することができる。さらに、または代わりに、システム600はATTRバイオマーカーのスコアを含む読み出し情報を提供することができる。読み出し情報は、対象に対して提唱される次の工程および/またはATTRバイオマーカーのスコアに関連する信頼水準を含むこともできる。
【0224】
さらに、実行時に本明細書で提供される方法を含むオペレーションをプロセッサーに実行させる実行可能命令を含む非一時的コンピューター可読媒体が提供される。例えば、実行可能命令を含む非一時的コンピューター可読媒体は、実行時に上記の1200または1300の方法を含むオペレーションをプロセッサーに実行させる。
【0225】
番号付けされた例示的実施形態
実施形態1. 方法であって、方法は、サンプル中の2種以上のトランスチレチンアミロイドーシス(ATTR)バイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、2種以上のATTRバイオマーカーは、(i)トロポニンI(TnI)、(ii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム1(PKM1)、(iii)ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソフォーム2(PKM2)、(iv)N末端-ホルモン前駆体B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、(v)レチノール結合タンパク質4(RBP4)、(vi)組織メタロプロテアーゼ阻害物質2(TIMP2)、(vii)ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、または(viii)これらの組合せを含む、方法。
【0226】
実施形態2. サンプル中の3種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出し、3種以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)NT-proBNP、(v)RBP4、(vi)TIMP2、(vii)NfL、または(viii)これらの組合せを含む、実施形態1に記載の方法。
【0227】
実施形態3. サンプル中の4種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出し、4種以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)NT-proBNP、(v)RBP4、(vi)TIMP2、(vii)NfL、または(viii)これらの組合せを含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0228】
実施形態4. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する方法であって、2種以上のATTRバイオマーカーはTnIを含む、方法。
【0229】
実施形態5. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM1を含む、実施形態4に記載の方法。
【0230】
実施形態6. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM2を含む、実施形態4に記載の方法。
【0231】
実施形態7. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnI、PKM1およびPKM2を含む、実施形態4に記載の方法。
【0232】
実施形態8. 2種以上のATTRバイオマーカーはNT-proBNP、RBP4または両方をさらに含む、実施形態4~7のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
実施形態9. 2種以上のATTRバイオマーカーはTIMP2、NfLまたは両方をさらに含む、実施形態4~8のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
実施形態10. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する方法であって、2種以上のATTRバイオマーカーはNT-proBNPを含む、方法。
【0235】
実施形態11. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnI、PKM1、PKM2、RBP4またはこれらの組合せをさらに含む、実施形態4~7のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
実施形態12. 2種以上のATTRバイオマーカーはTIMP2、NfLまたは両方をさらに含む、実施形態4~8のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
実施形態13. 方法であって、
(a)サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程;および
(b)ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程
を含む、方法。
【0238】
実施形態14. 2種以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)NT-proBNP、(v)RBP4、(vi)TIMP2、(vii)NfL、または(viii)これらの組合せを含む、実施形態13に記載の方法。
【0239】
実施形態15. サンプル中の3種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出し、3種以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)NT-proBNP、(v)RBP4、(vi)TIMP2、(vii)NfL、または(viii)これらの組合せを含む、実施形態13または14に記載の方法。
【0240】
実施形態16. サンプル中の4種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出し、4種以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)NT-proBNP、(v)RBP4、(vi)TIMP2、(vii)NfL、または(viii)これらの組合せを含む、実施形態13~15のいずれか1つに記載の方法。
【0241】
実施形態17. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnIを含む、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
実施形態18. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM1を含む、実施形態13~17のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
実施形態19. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM2を含む、実施形態13~18のいずれか1つに記載の方法。
【0244】
実施形態20. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnI、PKM1およびPKM2を含む、実施形態13~19のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
実施形態21. 2種以上のATTRバイオマーカーはNT-proBNP、RBP4または両方をさらに含む、実施形態17~20のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
実施形態22. 2種以上のATTRバイオマーカーはTIMP2、NfLまたは両方をさらに含む、実施形態17~21のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
実施形態23. 2種以上のATTRバイオマーカーはNT-proBNPを含む、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
実施形態24. 2種以上のATTRバイオマーカーはTnI、PKM1、PKM2、RBP4またはこれらの組合せをさらに含む、実施形態23に記載の方法。
【0249】
実施形態25. 2種以上のATTRバイオマーカーはTIMP2、NfLまたは両方をさらに含む、実施形態23または24に記載の方法。
【0250】
実施形態26. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、NT-proBNPおよびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0251】
実施形態27. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1およびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0252】
実施形態28. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1およびNT-proBNPを含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0253】
実施形態29. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0254】
実施形態30. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM2およびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0255】
実施形態31. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM2およびNT-proBNPを含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0256】
実施形態32. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2、NT-proBNPおよびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0257】
実施形態33. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、PKM1、PKM2およびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0258】
実施形態34. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、NT-proBNPおよびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0259】
実施形態35. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、NT-proBNPおよびTIMP2を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0260】
実施形態36. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnIおよびNT-proBNPを含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0261】
実施形態37. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnIおよびRBP4を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0262】
実施形態38. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnI、RBP4およびTIMP2を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0263】
実施形態39. 2種以上のATTRバイオマーカーは、TnIおよびTIMP2を含むかまたはこれらからなる、実施形態1に記載の方法。
【0264】
実施形態40. 2種以上のATTRバイオマーカーはPKM1を含まない、実施形態1~3、4、6、8、9、10~12、13~17、19および21~25のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
実施形態41. 2種以上のATTRバイオマーカーはPKM2を含まない、実施形態1~3、4、5、8、9、10~12、13~18および21~25のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
実施形態42. 2種以上のATTRバイオマーカーはPKM1もPKM2も含まない、実施形態1~3、4、8、9、10~12、13~17および21~25のいずれか1つに記載の方法。
【0267】
実施形態43. 2種以上のATTRバイオマーカーはSMOC-2を含まない、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
実施形態44. 2種以上のATTRバイオマーカーはDCNを含まない、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
実施形態45. 2種以上のATTRバイオマーカーはSMOC-2もDCNも含まない、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
実施形態46. アミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)を発生する対象の危険性を決定する方法であり、サンプルは対象から得られたものである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0271】
実施形態47. 対象をTTR-CMと診断する方法であり、サンプルは対象から得られたものである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0272】
実施形態48. TTR-CMの危険性があるか、またはTTR-CMを罹患している対象においてTTR-CMを治療する方法である、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0273】
実施形態49. TTR-CMは野生型トランスチレチンアミロイドーシス(ATTRwt)から生じる、実施形態46~48のいずれか1つに記載の方法。
【0274】
実施形態50. 対象は、遺伝子検査によって、家族性アミロイド心筋症(ATTRm)の試験結果が陰性である、実施形態46~49のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
実施形態51. 1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるための対象を選択する方法であり、サンプルは対象から得られたものである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
実施形態52. 1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を対象に投与する工程をさらに含む、実施形態51に記載の方法。
【0277】
実施形態53. 1つまたはそれ以上の心筋症試験のために対象を選択する方法であり、サンプルは対象から得られたものである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
実施形態54. 1つまたはそれ以上の心筋症試験は、心エコー図、先進画像方法または両方を含む、実施形態53に記載の方法。
【0279】
実施形態55. 先進画像方法は、心臓磁気共鳴画像(CMR)、シンチグラフィーまたは両方を含む、実施形態54に記載の方法。
【0280】
実施形態56. シンチグラフィーは977Tc-ピロリン酸などの放射性同位体コンジュゲートの使用を含む、実施形態55に記載の方法。
【0281】
実施形態57. シンチグラフィーは単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)を使用して行われる、実施形態55または56に記載の方法。
【0282】
実施形態58. 患者がTTR-CM有さないか、またはTTR-CMを発生する危険性がないことを決定する方法である、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0283】
実施形態59. サンプルは生体サンプルであるかまたは生体サンプルを含む、実施形態1~57のいずれか1つに記載の方法。
【0284】
実施形態60. 生体サンプルは血液、血清、血漿または心臓組織を含む、実施形態59に記載の方法。
【0285】
実施形態61. サンプルは対象から得られたものである、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
実施形態62. 対象はヒトである、実施形態61に記載の方法。
【0287】
実施形態63. 対象は、アミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)を罹患しているか、またはこれを発生する危険性がある、実施形態61または62に記載の方法。
【0288】
実施形態64. 対象は少なくとも65歳である、実施形態46~63のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
実施形態65. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれの存在、非存在、レベルまたは遺伝子型を検出する工程を含む、実施形態1~64のいずれか1つに記載の方法。
【0290】
実施形態66. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、質量分析を行う工程を含む、実施形態1~65のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
実施形態67. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、化学発光を測定する工程を含む、実施形態1~66のいずれか1つに記載の方法。
【0292】
実施形態68. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーをコードする2種以上のヌクレオチドを検出する工程を含む、実施形態1~67のいずれか1つに記載の方法。
【0293】
実施形態69. 2種以上のATTRバイオマーカーをコードする2種以上のヌクレオチドを検出する工程は、核酸増幅法を行う工程を含む、実施形態68に記載の方法。
【0294】
実施形態70. 核酸増幅法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、転写増幅法(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅法(SDA)および核酸配列ベースの増幅(NASBA)からなる群から選択される、実施形態69に記載の方法。
【0295】
実施形態71. 2種以上のATTRバイオマーカーをコードする2種以上のヌクレオチドを検出する工程は、2種以上の核酸プローブと2種以上のATTRバイオマーカーをコードする2種以上のヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程を含む、実施形態68~70のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
実施形態72. 2種以上の核酸プローブは、2種以上のATTRバイオマーカーをコードする2種以上のヌクレオチドのうちの1種の少なくとも一部とそれぞれ相補的である、実施形態71に記載の方法。
【0297】
実施形態73. 2種以上のATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドはDNAである、実施形態68~72のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
実施形態74. DNAはcDNAである、実施形態73に記載の方法。
【0299】
実施形態75. 2種以上のATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドはRNAである、実施形態68~72のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
実施形態76. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、イムノアッセイを行う工程を含む、実施形態1~75のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
実施形態77. イムノアッセイは化学発光イムノアッセイである、実施形態76に記載の方法。
【0302】
実施形態78. イムノアッセイは、免疫沈降法;ウエスタンブロット;ELISA;免疫組織化学的検査;免疫細胞化学的検査;フローサイトメトリー;およびイムノPCRからなる群から選択される、実施形態76または77に記載の方法。
【0303】
実施形態79. イムノアッセイはELISAである、実施形態76~78のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
実施形態80. イムノアッセイはハイスループットおよび/または自動化イムノアッセイプラットフォームである、実施形態76~79のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
実施形態81. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、2種以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬とサンプルを接触させる工程を含む、実施形態1~80のいずれか1つに記載の方法。
【0306】
実施形態82. 対象から得られたサンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、2種以上の検出薬とサンプルを接触させる工程を含む、実施形態1~81のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
実施形態83. 2種以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬は2種以上の検出薬で標識されている、実施形態82に記載の方法。
【0308】
実施形態84. 2種以上の検出薬は2種以上のアクリジニウムエステル分子である、実施形態82または83に記載の方法。
【0309】
実施形態85. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、2種以上のATTRバイオマーカーと2種以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬との間の結合を検出する工程を含む、実施形態1~84のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
実施形態86. 2種以上のATTRバイオマーカーと2種以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬との間の結合を検出する工程は、免疫細胞化学的検査(ICC)を行う工程を含む、実施形態85に記載の方法。
【0311】
実施形態87. 2種以上のATTRバイオマーカーと2種以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬との間の結合を検出する工程は、少なくとも1種のATTRバイオマーカーの吸光度値または発光値を決定する工程を含む、実施形態85または86に記載の方法。
【0312】
実施形態88. サンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出する工程は、2種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルを検出する工程を含み、2種以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルをそれぞれのATTRバイオマーカーに対する閾値と比較する工程をさらに含み、検出される1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルは、それぞれのATTRバイオマーカーに対する閾値を上回る、実施形態1~87に記載の方法。
【0313】
実施形態89. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルがそれぞれのATTRバイオマーカーに対する閾値を上回る場合に、対象は、TTR-CMを罹患しているか、またはTTR-CMを発生する危険性があることを決定する工程をさらに含む、実施形態88に記載の方法。
【0314】
実施形態90. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルがそれぞれのATTRバイオマーカーに対する閾値を上回る場合に、対象をTTR-CMと診断する工程をさらに含む、実施形態88または89に記載の方法。
【0315】
実施形態91. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルがそれぞれのATTRバイオマーカーに対する閾値を上回る場合に、対象を1つまたはそれ以上の心筋症試験に推奨する工程をさらに含む、実施形態88~90のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
実施形態92. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルは、それぞれのATTRバイオマーカーに対する閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8または少なくとも1.9倍大きい、実施形態88~91のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
実施形態93. ATTRバイオマーカーに対する閾値は、2種以上の対照サンプルについて検出されたATTRバイオマーカーに対する値の平均である、実施形態88~92のいずれか1つに記載の方法。
【0318】
実施形態94. 2種以上の対照サンプルは、それぞれ、ATTRアミロイドーシスを有さない対象から得られたサンプルである、実施形態93に記載の方法。
【0319】
実施形態95. ATTRバイオマーカーに対する閾値は、標準的な表で報告される値である、実施形態88~92のいずれか1つに記載の方法。
【0320】
実施形態96. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーのそれぞれのレベルが閾値を上回る場合に、対象を心臓生検に推奨する工程をさらに含み、対象は心筋症試験の1つまたはそれ以上において心筋症について試験が陽性である、実施形態88~92のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
実施形態97. ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程は、ATTRバイオマーカープロファイルにアルゴリズムを適用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含み、アルゴリズムは、決定木アルゴリズム、ニューラルブーストアルゴリズム、ブートストラップ森アルゴリズム、ブーストツリーアルゴリズム、K近傍アルゴリズム、一般化回帰変数増加アルゴリズム、一般化回帰枝刈り変数増加アルゴリズム、フィットステップワイズアルゴリズム、一般化回帰ラッソアルゴリズム、一般化回帰エラスティックネットアルゴリズム、一般化回帰リッジアルゴリズム、名義ロジスティックアルゴリズム、サポートベクターマシンアルゴリズム、判別アルゴリズムまたはナイーブベイズアルゴリズムである、実施形態13~87のいずれか1つに記載の方法。
【0322】
実施形態98. ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程は、ATTRバイオマーカープロファイルにアルゴリズムを適用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含み、アルゴリズムは、決定木アルゴリズム、ニューラルブーストアルゴリズム、ブートストラップ森アルゴリズム、ブーストツリーアルゴリズム、一般化回帰ラッソアルゴリズム、一般化回帰エラスティックネットアルゴリズム、一般化回帰リッジアルゴリズム、名義ロジスティックアルゴリズム、サポートベクターマシンアルゴリズムまたは判別アルゴリズムである、実施形態13~87および97のいずれか1つに記載の方法。
【0323】
実施形態99. ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程は、ATTRバイオマーカープロファイルにアルゴリズムを適用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含み、アルゴリズムは、決定木アルゴリズム、ニューラルブーストアルゴリズム、ブートストラップ森アルゴリズム、ブーストツリーアルゴリズムまたはサポートベクターマシンアルゴリズムである、実施形態13~87、97および98のいずれか1つに記載の方法。
【0324】
実施形態100. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が、TTR-CMの危険性があるか、またはTTR-CMを罹患しているかどうかを決定する工程をさらに含む、実施形態13~87および97~99のいずれか1つに記載の方法。
【0325】
実施形態101. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が1つまたはそれ以上の心筋症試験に選択されるかどうかを決定する工程をさらに含む、実施形態13~87および97~100のいずれか1つに記載の方法。
【0326】
実施形態102. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるために選択されるかどうかを決定する工程をさらに含む、実施形態13~87および97~101のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
実施形態103. 対象由来の生検組織の免疫化学的染色をさらに含む、実施形態1~102のいずれか1つに記載の方法。
【0328】
実施形態104. 生検組織は心臓生検組織を含む、実施形態88に記載の方法。
【0329】
実施形態105. 免疫化学的染色は、心臓組織中のカッパもしくはラムダ軽鎖アミロイド沈着物に対する2種以上の抗体薬および/またはトランスチレチン沈着物に対する2種以上の抗体薬の使用を含む、実施形態88または89に記載の方法。
【0330】
実施形態106. 免疫化学的染色によって心臓組織中にトランスチレチン沈着物の存在が示される場合に、対象をTTR-CMと診断する工程をさらに含む、実施形態88~90のいずれか1つに記載の方法。
【0331】
実施形態107. (a)対象から得られたサンプル中の2種以上のATTRバイオマーカーのレベルを検出して、ATTRバイオマーカープロファイルを得る工程;および
(b)ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程
を含む、方法であって、
2種以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)NT-proBNP、(v)RBP4、(vi)TIMP2、(vii)NfL、または(viii)これらの組合せを含み、
ATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程は、ATTRバイオマーカープロファイルにアルゴリズムを適用して、ATTRバイオマーカーのスコアをコンピューターで計算する工程を含み、アルゴリズムは、決定木アルゴリズム、ニューラルブーストアルゴリズム、ブートストラップ森アルゴリズム、ブーストツリーアルゴリズムまたはサポートベクターマシンアルゴリズムである、方法。
【0332】
実施形態108. 対象はヒト対象である、実施形態107に記載の方法。
【0333】
実施形態109. 対象は少なくとも65歳である、実施形態107または108に記載の方法。
【0334】
実施形態110. サンプルは、血液、血清、血漿または心臓組織を含む、実施形態107~109のいずれか1つに記載の方法。
【0335】
実施形態111. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が、TTR-CMの危険性があるか、またはTTR-CMを罹患しているかどうかを決定する工程をさらに含む、実施形態107~110のいずれか1つに記載の方法。
【0336】
実施形態112. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、アミロイドトランスチレチン心筋症(TTR-CM)を発生する対象の危険性を決定する工程をさらに含む、実施形態107~111のいずれか1つに記載の方法。
【0337】
実施形態113. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、対象をTTR-CMと診断する工程をさらに含む、実施形態107~112のいずれか1つに記載の方法。
【0338】
実施形態114. TTR-CMは野生型トランスチレチンアミロイドーシス(ATTRwt)から生じる、実施形態113に記載の方法。
【0339】
実施形態115. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が1つまたはそれ以上の心筋症試験に選択されるかどうかを決定する工程をさらに含む、実施形態107~114のいずれか1つに記載の方法。
【0340】
実施形態116. 1つまたはそれ以上の心筋症試験は、心エコー図、先進画像方法または両方を含む、実施形態115に記載の方法。
【0341】
実施形態117. 先進画像方法は、心臓磁気共鳴画像(CMR)、シンチグラフィーまたは両方を含む、実施形態116に記載の方法。
【0342】
実施形態118. シンチグラフィーは99m Tc-ピロリン酸などの放射性同位体コンジュゲートの使用を含む、実施形態117に記載の方法。
【0343】
実施形態119. シンチグラフィーは単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)を使用して行われる、実施形態117または118に記載の方法。
【0344】
実施形態120. ATTRバイオマーカーのスコアを使用して、サンプルを得た対象が1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を受けるために選択されるかどうかを決定する工程をさらに含む、実施形態107~119のいずれか1つに記載の方法。
【0345】
実施形態121. 1回またはそれ以上の用量のTTR安定化剤を対象に投与する工程をさらに含む、実施形態120に記載の方法。
【0346】
実施形態122. 実行時に実施形態1~121のいずれか1つに記載の方法を含むオペレーションをプロセッサーに実行させる実行可能命令を含む、非一時的コンピューター可読媒体。
【0347】
実施形態123. (a)(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)NT-proBNP、(v)RBP4、(vi)TIMP2、(vii)NfL、または(viii)これらの組合せを含む、1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー;および
(b)(i)抗TnI薬、(ii)抗PKM1薬、(iii)抗PKM2薬、(iv)抗NT-proBNP薬、(v)抗RBP4薬、(vi)抗TIMP2薬、(vii)抗NfL薬または(viii)これらの組合せを含む、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬
を含む、組成物。
【0348】
実施形態124. (a)TnIを含む1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー、および
(b)抗TnI薬を含む1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬
を含む、組成物。
【0349】
実施形態125. (a)1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM1を含み、
(b)1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TnI薬および抗PKM1薬を含む、
実施形態124に記載の組成物。
【0350】
実施形態126. (a)1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはTnIおよびPKM2を含み、
(b)1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TnI薬および抗PKM2薬を含む、
実施形態124に記載の組成物。
【0351】
実施形態127. (a)1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはTnI、PKM1およびPKM2含み、
(b)1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TnI薬、抗PKM1薬および抗PKM2薬を含む、
実施形態124に記載の組成物。
【0352】
実施形態128. (a)1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはNT-proBNP、RBP4または両方をさらに含み、
(b)1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬または両方をさらに含む、
実施形態123~127のいずれか1つに記載の組成物。
【0353】
実施形態129. (a)1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはTIMP2、NfLまたは両方をさらに含み、
(b)1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TIMP2薬、抗NfL薬または両方をさらに含む、
実施形態123~128のいずれか1つに記載の組成物。
【0354】
実施形態130. (a)NT-proBNPを含む1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー、および
(b)抗NT-proBNP薬を含む1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬
を含む組成物。
【0355】
実施形態131. (a)1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーは、(i)TnI、(ii)PKM1、(iii)PKM2、(iv)RBP4、(v)TIMP2、(vi)NfL、または(vii)これらの組合せをさらに含み、
(b)1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、(i)抗TnI薬、(ii)抗PKM1薬、(iii)抗PKM2薬、(iv)抗RBP4薬、(v)抗TIMP2薬、(vi)抗NfL薬または(vii)これらの組合せをさらに含む、
実施形態130に記載の組成物。
【0356】
実施形態132. (a)1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはNT proBNP、TnIおよびRBPを含み、
(b)1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗NT proBNP薬、抗TnI薬および抗RBP薬を含む、
実施形態130または131に記載の組成物。
【0357】
実施形態133. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはPKM1を含まず、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗PKM1薬を含まない、実施形態123、124、126および128~132のいずれか1つに記載の組成物。
【0358】
実施形態134. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはPKM2を含まず、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗PKM2薬を含まない、実施形態123~125および128~132のいずれか1つに記載の組成物。
【0359】
実施形態135. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはPKM1もPKM2も含まず、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬を抗PKM1薬も抗PKM2薬も含まない、実施形態123、124および128~132のいずれか1つに記載の組成物。
【0360】
実施形態136. TTR-CMを検出するためのキットであって、
(a)(i)抗TnI薬、(ii)抗PKM1薬、(iii)抗PKM2薬、(iv)抗NT-proBNP薬、(v)抗RBP4薬、(vi)抗TIMP2薬、(vii)抗NfL薬または(viii)これらの組合せを含む1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬;および(b)使用のための説明書
を含む、キット。
【0361】
実施形態137. TTR-CMを検出するためのキットであって、
(a)抗TnI薬を含む1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬;および
(b)使用のための説明書
を含むキット。
【0362】
実施形態138. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TnI薬および抗PKM1薬を含む、実施形態137に記載のキット。
【0363】
実施形態139. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TnI薬および抗PKM2薬を含む、実施形態137に記載のキット。
【0364】
実施形態140. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TnI薬、抗PKM1薬および抗PKM2薬を含む、実施形態137に記載のキット。
【0365】
実施形態141. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗NT-proBNP薬、抗RBP4薬または両方をさらに含む、実施形態137~140のいずれか1つに記載のキット。
【0366】
実施形態142. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗TIMP2薬、抗NfL薬または両方をさらに含む、実施形態137~141のいずれか1つに記載のキット。
【0367】
実施形態143. (a)抗NT-proBNP薬を含む、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬;および
(b)使用のための説明書
を含む、キット。
【0368】
実施形態144. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は、(i)抗TnI薬、(ii)抗PKM1薬、(iii)抗PKM2薬、(iv)抗RBP4薬、(v)抗TIMP2薬、(vi)抗NfL薬または(vii)これらの組合せをさらに含む、実施形態143に記載のキット。
【0369】
実施形態145. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗NT-proBNP薬、抗TnI薬および抗RBP薬を含む、実施形態143または144に記載のキット。
【0370】
実施形態146. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはPKM1を含まず、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗PKM1薬を含まない、実施形態136、137、139および141~145のいずれか1つに記載のキット。
【0371】
実施形態147. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはPKM2を含まず、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗PKM2薬を含まない、実施形態136~138および141~145のいずれか1つに記載のキット。
【0372】
実施形態148. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーはPKM1もPKM2も含まず、1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は抗PKM1薬も抗PKM2薬も含まない、実施形態136、137および141~145のいずれか1つに記載のキット。
【0373】
実施形態149. TTR安定化剤をさらに含む、実施形態136~148のいずれか1つに記載のキット。
【0374】
実施形態150. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は1種またはそれ以上の抗体薬を含む、実施形態136~149のいずれか1つに記載のキット。
【0375】
実施形態151. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー薬は1種またはそれ以上の核酸プローブを含む、実施形態136~150のいずれか1つに記載のキット。
【0376】
実施形態152. 抗体薬の1種またはそれ以上は検出可能な部分で標識されている、実施形態150または151に記載のキット。
【0377】
実施形態153. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬に特異的に結合する1種またはそれ以上の二次抗体薬をさらに含む、実施形態150~152に記載のキット。
【0378】
実施形態154. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬および/または二次抗体薬の1種またはそれ以上は酵素に連結されている、実施形態153に記載のキット。
【0379】
実施形態155. 検出薬をさらに含む、実施形態136~154に記載のキット。
【0380】
実施形態156. 検出薬は、酵素の基質であるかまたは該基質を含む、実施形態155に記載のキット。
【0381】
実施形態157. 検出薬は、1種またはそれ以上のアクリジニウムエステル分子であるかまたは該アクリジニウムエステル分子を含む、実施形態155に記載のキット。
【0382】
実施形態158. 1種またはそれ以上の抗ATTRバイオマーカー抗体薬および/または二次抗体薬の1種またはそれ以上は、アクリジニウムエステル分子の1種またはそれ以上で標識されている、実施形態153に記載のキット。
【0383】
実施形態159. 抗ATTRバイオマーカー核酸プローブの1種またはそれ以上は、ATTRバイオマーカーをコードする1種またはそれ以上のヌクレオチドに相補的である、実施形態151~158のいずれか1つに記載のキット。
【0384】
実施形態160. 各抗ATTRバイオマーカー核酸プローブの少なくとも一部は、ATTRバイオマーカーをコードする1種またはそれ以上のヌクレオチドにハイブリダイズする、実施形態151~159のいずれか1つに記載のキット。
【0385】
実施形態161. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドはDNAである、実施形態159および160のいずれか1つに記載のキット。
【0386】
実施形態162. DNAはcDNAである、実施形態161に記載のキット。
【0387】
実施形態163. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドはRNAである、実施形態159および160のいずれか1つに記載のキット。
【0388】
実施形態164. 抗ATTRバイオマーカー核酸プローブの1種またはそれ以上は、検出薬の1種またはそれ以上で標識されている、実施形態151~163に記載のキット。
【0389】
実施形態165. 検出薬は1種またはそれ以上のATTRバイオマーカーをコードするヌクレオチドの存在を示す、実施形態164に記載のキット。
【0390】
実施形態166. 1種またはそれ以上の対照サンプルをさらに含む、実施形態136~165に記載のキット。
【0391】
実施形態167. 対照サンプルは1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー標準を含む、実施形態166に記載のキット。
【0392】
実施形態168. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー標準は組換えATTRバイオマーカーを含む、実施形態167に記載のキット。
【0393】
実施形態169. 1種またはそれ以上のATTRバイオマーカー標準は合成ATTRバイオマーカー核酸を含む、実施形態167に記載のキット。
【0394】
実施形態170. 対象においてTTR-CMを診断するためのインビトロ診断アッセイにおける、実施形態136~169によるキットの使用。
【実施例1】
【0395】
ATTRアミロイドーシスに対するマーカーの特定
本実施例は、ATTRアミロイドーシスおよびTTR-CMを示すバイオマーカーを特定するためにヒト血漿をスクリーニングための方法を示す。
【0396】
ATTRアミロイドーシスに対して特異的なバイオマーカーを特定するために、質量分析(MS)を用いた。ヒトの正常(N=4)およびATTRwt EDTA血漿(N=6)を予洗した(1×TTBS)ヤギ抗マウス96ウェルELISAプレートに加え(50uL)、室温で1時間インキュベートした。続いて、プレートを洗浄し(1×TTBS中で3回)、残留捕獲物質を抽出し、MSのために調製した。
【0397】
指数関数的に変換されたタンパク質発現量指標(Exponentially Modified Protein Abundance Index)(emPAI)で表されるMSの結果を生成し、最高のemPAIスコアから最低のemPAIスコアまでデータを選別した。ATTRwt/正常スコアの平均emPAIスコアに対して信号対雑音(S/N)比を計算した。逆のS/Nも計算した。選択されたマーカーは、3以上のS/N比で選んだ(図14)。マーカー選択の判定基準には、病的資料、正常サンプルまたは両方のカテゴリーに複数の一定のスコア値を有することが含まれていた。欠測または空データは、検出可能限界未満に相当する。S/N値を生成する目的で、空データは「1」の値で人為的にスコア化した。ATTRwtに対する可能なマーカーとして追求するために、8種の異なるマーカーを表1のリストから選択した(表6)。
【0398】
【表6】
【実施例2】
【0399】
バイオマーカー試験のための患者コホート
本実施例は、TTR-CMの検出において様々なATTRバイオマーカーがどのように働いたかについての分析で使用した患者コホートに関する情報を提供する。図1に示すように、273人の心不全患者、46人の臨床試験患者および20人の独立の推定正常ドナーが本研究に参加した。本研究のすべての個体は60歳以上であり、主に白人であった。各サブセットの男性および女性の数は異なっていた。患者のNYHAクラスもサブセット間で異なっていた。特に、マッチする陰性を有する少数の陽性サンプルのみがコホートで利用可能であった。
【実施例3】
【0400】
試験結果の概要
本実施例は、実施例2に記載されている患者コホートを使用したTTR-CMの検出において様々なATTRバイオマーカーがどのように働いたかについての分析から得られたデータの概要を述べる。図2に示すように。試験したすべてのバイオマーカーの全体で1つの結果のみが欠測であった。このRBPの結果は、必要な再試験のためのサンプルの量が不十分であったので、得ることができなかった。全体で、インビトロ診断アッセイの結果はサンプルあたり1試験に基づいており;アッセイしか使用しない研究のより高い変動性を考慮するために、2つの試験反復の平均を利用した。
【実施例4】
【0401】
単一バイオマーカーの分類性能
本実施例は、TTR-CMの検出のための単一バイオマーカーとして使用される能力についての、本明細書に記載の例示的ATTRバイオマーカーの評価を示す。結果は、本明細書に記載のある特定のATTRバイオマーカーは、それらを単独で使用することを可能にするのに十分な感度および/または特異性レベルで働くことができることを示す。しかし、本実施例は、TTR-CMを評価するために単一バイオマーカーとして使用した場合に、すべてのATTRバイオマーカーが、感度と特異性の両方についての判定基準を満たしていたわけではないことも示す。図3~6に示すように、TnIは感度および特異性の両方の判定基準を満たしており、TnIは、TTR-CMの検出のための単一バイオマーカーとして有用であり得ることが示唆される。評価した残りのATTRバイオマーカーは、単一バイオマーカーとしての使用のために設定された感度と特異性の両方の判定基準を満たすというわけではなかった。次いで、TTR-CMを検出する場合に、ATTRバイオマーカーの組合せが感度および特異性の改善を達成することができるかどうかを決定するために、これらのバイオマーカーを組合せで評価した。
【実施例5】
【0402】
単一バイオマーカーのNYHAクラス応答スクリーニング
本実施例は、各NYHAクラスを考慮した場合のバイオマーカーの効果の評価を示す。図7に示すように、NYHAクラスに対するすべてのバイオマーカーの効果をモデル化し、有意性試験に対するp値を報告した。データは、バイオマーカーの効果がPKM、TnI、RBP4、RBPおよびNT-proBNPについて統計学的に有意であることを示した。これは、これらのATTRバイオマーカーが、実施例4で上述したように、これらのバイオマーカーのどれも感度および特異性の判定基準を満たさなかったという事実にもかかわらず、TTR-CMの検出に有用であり得たことを示している。
【実施例6】
【0403】
性能の結果
本実施例は、バイオマーカーの組合せから得られたデータを処理するための一般化回帰フィットのスクリーニングを示す。主効果および交互作用をスクリーニングし、4種以下のバイオマーカーとのベストフィットをさらなる評価のために選択した。
【0404】
入力として完全応答局面(complete response surface)を使用する一個抜き検証を用いた適合二重ラッソ一般化回帰方法(adaptive double lasso generalized regression method)は、いくつかの相関したバイオマーカーを含む小さなデータセットで最小数の効果を使用して、ほぼ最適なモデルを選択することが予想された。図8に示すように、使用する方法に応じて、バイオマーカーの異なるサブセットが情報価値のあることが分かった。しかし、実際的な考慮に基づいて、4種のバイオマーカーという制限を決定した。バイオマーカーのいくつかのサブセットおよび予測モデルを生成した。PKM、TnI、DCN、TIMP2およびNT-proBNPを含むさらなる機械学習を使用して、これらのバイオマーカーをさらに評価した。
【0405】
PKMとTnIとDCNとTIMP2とNT-proBNPとの組合せを使用するさらなるモデルスクリーニングを行った。図9に示すように、ブートストラップ森モデルは、他の機械学習方法と比較して、最良の結果をもたらすことが分かった。神経回路網モデルも良好な結果もたらしたが、偽陰性がより多い。
【0406】
これらの結果によって、TnIおよびPKMを含み、特に、NT-proBNPおよび/またはRBP4との、3種のバイオマーカーまたは4種のバイオマーカーの組合せが、高い感度および特異性でTTR-CMを検出することができることが示される。
【実施例7】
【0407】
ATTRアミロイドーシス患者で上昇しているバイオマーカーとしてのPKMおよびTIMP2の特定
本実施例は、正常なヒト対照サンプルと比較して、ATTRwt患者において個々におよび組合せで、血漿レベルの上昇を示す、特定された2種のバイオマーカー(PKMおよびTIMP2)を示す。
【0408】
正常ヒト血漿およびATTRアミロイドーシス血漿に対する免疫反応性について、表2で選択されたバイオマーカーをELISAによって試験した(表7)。
【0409】
【表7】
【0410】
【表8】
【0411】
信号対雑音(S/N)比(各バイオマーカーに対して、心筋症(CM)または正常(N)サンプルの生の吸光度値を正常サンプルの平均で割ったものとして計算する)を各バイオマーカーアッセイに対して決定した。カットオフ値は、それぞれの最高値の正常サンプルが平均+(4×標準偏差)より大きいので除外されたILKおよびPKMに対するアッセイを除いて、各バイオマーカーアッセイに対する正常血漿サンプルの最高S/N値として設定した。
【0412】
S/N値を使用し、これらを各バイオマーカーに対するカットオフ値と比較することによって、各サンプル(すなわち、CMまたはN)を陽性(>カットオフ)または陰性(<カットオフ)として、それぞれ1または0でスコア化した(表8)。感度、特異性および精度を含めて、各バイオマーカーの性能比も以下の計算により決定した:%感度=陽性にスコア化されたCMサンプルの数/全CMサンプル;%特異性=(1-陽性にスコア化された正常サンプルの数)×100;%精度=(報告された陽性CMサンプルの数+報告された陰性正常サンプルの数)/試験した全サンプル(CMおよびN)×100。
【0413】
【表9-1】
【表9-2】
【0414】
試験した様々なバイオマーカーの性能スコアは、2種の個々のマーカー、TIMP2(感度72%、特異性100%、精度87%)およびPKM(感度83%、特異性97%、精度90%)について、高い感度、特異性および精度を示した。サンプルの同じセット全体にわたって2種のマーカー、TIMP2およびPKMを組み合わせると、感度、特異性および精度は、有意に改善され(感度93%、特異性97%、精度95%)、組み合わせたTIMP2およびPKMは、ATTRwt血漿の特定のための高感度かつ特異的なマーカーとして働くことができることが示唆される。
【実施例8】
【0415】
バイオマーカーの閾値の計算
本実施例は、ATTRアミロイドーシスのバイオマーカーに対する閾値の特定を示す。
【0416】
合計でN=30の診断されたTTR-CM患者の血漿サンプルおよびN=30の正常なドナーのサンプルをPKM、TIMP2、LIMS1、C3およびA11の発現について評価した。感度、特異性および精度は、上記のように計算した。感度および特異性の計算は、未診断のTTR-CMドナーはいないと仮定した。各アッセイに対する最適化された検出カットオフは、およそ100%の特異性を保持すると同時に感度を最大にすることによって決定した(表9および図10)。
【0417】
開示される方法は、手動で実施することができ、または自動化することができる。例えば、開示される方法は、ADVIA CENTAUR(登録商標)イムノアッセイシステムまたはATELLICA@(商標)を使用することができる。例えば、以下の動作を行うようにシステムを自動化することができる:
1.サンプルをキュベットに分注する。
2.抗ヒトIgM抗体が結合した固体支持体を含む緩衝液を分注し、例えば37℃で18.25分間インキュベートする。
3.固体支持体を脱離/分離させ、キュベットを吸引し、洗浄試薬で洗浄する。
4.化学発光でタグされたNS1抗原を含む緩衝液を分注し、例えば、37℃で18分間インキュベートする。
5.固体支持体を脱離/分離させ、キュベットを吸引し、洗浄試薬で洗浄する。
6.化学発光試薬を分注して、化学発光反応を惹起する。
7.ユーザーが選択したオプションに従って、結果を報告する。
【0418】
特定の実施形態では、開示されるイムノアッセイは、ADVIA CENTAURイムノアッセイシステム(Siemens Healthcare、AG)での使用に適している可能性があり、および/または上記の動作を実施するようにADVIA CENTAURイムノアッセイシステムを自動化することができる。
【0419】
【表10】
【実施例9】
【0420】
患者評価
例えば表2~5において本明細書で開示されるようなATTRバイオマーカーの組合せにおける各ATTRバイオマーカーのレベルについて、TTR-CMの危険性がある患者を試験する。血液サンプルを患者から採取し、Siemens Atellica(登録商標)システムまたはSiemens Advia Centaur(登録商標)システムを使用してレベルを測定して、患者に関するATTRバイオマーカープロファイルを得る。必要に応じて、患者の人口統計学的要因および画像ベースのバイオマーカーを考慮する。患者のATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアを計算する。ATTRバイオマーカーのスコアに基づいて、TTR-CMを有するとして患者をカテゴリー化する。TTR安定剤または心臓の他の医薬の投与が推奨される。
【実施例10】
【0421】
患者評価
例えば表2~5において本明細書で開示されるようなATTRバイオマーカーの組合せにおける各ATTRバイオマーカーのレベルについて、TTR-CMの危険性がある患者を試験する。血液サンプルを患者から採取し、Siemens Atellica(登録商標)システムまたはSiemens Advia Centaur(登録商標)システムを使用してレベルを測定して、患者に関するATTRバイオマーカープロファイルを得る。必要に応じて、患者の人口統計学的要因および画像ベースのバイオマーカーを考慮する。患者のATTRバイオマーカープロファイルを参照ATTRバイオマーカープロファイルと比較する。比較に基づいて、TTR-CMを有するとして患者をカテゴリー化する。TTR安定剤または心臓の他の医薬の投与が推奨される。
【実施例11】
【0422】
患者評価
例えば表2~5において本明細書で開示されるようなATTRバイオマーカーの組合せにおける各ATTRバイオマーカーのレベルについて、TTR-CMの危険性がある患者を試験する。血液サンプルを患者から採取し、Siemens Atellica(登録商標)システムまたはSiemens Advia Centaur(登録商標)システムを使用してレベルを測定して、患者に関するATTRバイオマーカープロファイルを得る。必要に応じて、患者の人口統計学的要因および画像ベースのバイオマーカーを考慮する。患者のATTRバイオマーカープロファイルを使用して、ATTRバイオマーカーのスコアを計算する。ATTRバイオマーカーのスコアに基づいて、TTR-CMを有する危険性があるとして患者をカテゴリー化する。さらなる心筋症試験が推奨される。
【実施例12】
【0423】
患者評価
例えば表2~5において本明細書で開示されるようなATTRバイオマーカーの組合せにおける各ATTRバイオマーカーのレベルについて、TTR-CMの危険性がある患者を試験する。血液サンプルを患者から採取し、Siemens Atellica(登録商標)システムまたはSiemens Advia Centaur(登録商標)システムを使用してレベルを測定して、患者に関するATTRバイオマーカープロファイルを得る。必要に応じて、患者の人口統計学的要因および画像ベースのバイオマーカーを考慮する。患者のATTRバイオマーカープロファイルを参照ATTRバイオマーカープロファイルと比較する。比較に基づいて、TTR-CMを有する危険性があるとして患者をカテゴリー化する。さらなる心筋症試験が推奨される。
【実施例13】
【0424】
集団評価
例えば表2~5において本明細書で開示されるようなATTRバイオマーカーの組合せにおける各ATTRバイオマーカーのレベルについて、TTR-CMのリスクのある1000人の患者を試験する。血液サンプルを患者から採取し、Siemens Atellica(登録商標)システムまたはSiemens Advia Centaur(登録商標)システムを使用してレベルを測定して、患者に関するATTRバイオマーカープロファイルを得る。必要に応じて、患者の人口統計学的要因および画像ベースのバイオマーカーを考慮する。患者のATTRバイオマーカープロファイルを使用して、それぞれのATTRバイオマーカーのスコアを計算する。TTR-CMを有する危険性があるとして患者のサブセットをカテゴリー化する。さらなる心筋症試験が推奨される。
【実施例14】
【0425】
非侵襲的で正確なTTR-CMの臨床的有用性
本実施例は、高感度でもあり特異的でもあり、準拠が容易である非侵襲的TTR-CMアッセイを提供する利益を公衆に示す。本実施例は、侵襲的な心筋症試験を受けたがらないのは一般的であること、およびこれは、TTR-CMが早期に検出されない場合、健康に重大な結果を招く可能性があることを示す。
【0426】
患者はTTR-CMの症状を示したが、心臓生検を拒否した。患者のプライマリケア医は、例えば表2~5において本明細書で開示されるようなATTRバイオマーカーの組合せにおける各ATTRバイオマーカーの患者のレベルの評価を依頼した。この結果は、患者はTTR-CMの危険性が高いことを示した。患者は医師に相談し、TTR-CMの根拠を明らかにするさらなる心筋症試験を予定するように説得された。
【0427】
参考文献
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7. Arvanitis, M. et al. Identification of Transthyretin Cardiac Amyloidosis Using Serum Retinol-Binding Protein 4 and a Clinical Prediction Model. JAMA Cardiol., 2017.
【0428】
本開示で引用されるすべての刊行物および特許(上に列挙したものを含む)は、個々の刊行物または特許のそれぞれが、参照によって組み入れられることが具体的にかつ個々に示されるかのように、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0429】
均等物
当業者は、ルーチンに過ぎない実験を使用して、本明細書に記載の本開示の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または確認することができる。本開示の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に記載される通りである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11
図12
図13
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図14-5】
図14-6】
図14-7】
図14-8】
図14-9】
図14-10】
図14-11】
図14-12】
図14-13】
図14-14】
図14-15】
図14-16】
図14-17】
図14-18】
図14-19】
【配列表】
2024535756000001.xml
【国際調査報告】