(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】鉛-212同位体の産生のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G21G 4/08 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G21G4/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515302
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 US2022075844
(87)【国際公開番号】W WO2023039351
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524086588
【氏名又は名称】アッバシ,アリ,エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アッバシ,アリ,エー.
(57)【要約】
Pb-212を産生するための装置。本装置は、多孔質非反応性材料を含む放出源を備える放出箱を備える。放出箱は、Th-228及びRa-224のうちの少なくとも1つを受容し、Th-228及びRa-224のうちの少なくとも1つは、放出箱内でRn-220に崩壊する。本装置は、放出箱に結合されたキャリアガス供給部を更に含む。キャリアガス供給部は、不活性ガスを放出箱内に誘導し、不活性ガスは、放出箱のキャリアガス出口ポートを通して放出箱の外へRn-220を搬送する。本装置はまた、キャリアガス出口ポートに結合された1つ以上のRn-220ターゲットを含む。キャリアガスは、Rn-220を放出箱から1つ以上のRn-220ターゲットに搬送し、Rn-220は、1つ以上のRn-220ターゲット内でPb-212に崩壊する。Pb-212は、Pb-212収集コンテナ内に誘導される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pb-212同位体を産生するための方法であって、
Th-228を放出箱内に導入することであって、
前記放出箱は、高表面積材料を含む放出源を備える、導入することと、
キャリアガス供給部を通して前記放出箱内にキャリアガスを導入することであって、
前記キャリアガスは、不活性ガスであり、
前記キャリアガスは、前記放出箱を通って流れ、
前記Th-228は、前記放出箱内でRn-220に崩壊し、
前記キャリアガスは、前記放出箱における前記Th-228の崩壊に起因する前記Rn-220を、前記放出箱のキャリアガス出口ポートに結合された多方弁を通して1つ以上のRn-220ターゲットに搬送する、導入すること、
前記1つ以上のRn-220ターゲットにおいて前記キャリアガスから前記Rn-220を分離することと、
前記キャリアガスを、キャリアガス排気ポートを通して前記1つ以上のRn-220ターゲットの外へ誘導することと、
液体供給部を通して前記1つ以上のRn-220ターゲット内に液体を誘導することと、
前記Rn-220が前記1つ以上のRn-220ターゲット内でPb-212同位体への放射性崩壊を受けることを可能にすることであって、
前記液体は、前記1つ以上のRn-220ターゲット内のRn-220の放射性崩壊によって産生された前記Pb-212同位体を溶解する、可能にすることと、
前記Pb-212同位体を含有する前記液体を、前記1つ以上のRn-220ターゲットからPb-212収集コンテナに誘導することと、
前記液体から前記Pb-212同位体を分離することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記キャリアガスは、窒素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体は、HCL又はHNO
3からなる群から選択される酸溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体は、前記1つ以上のRn-220ターゲットに結合された冷却ユニットによって-72℃以下の温度まで冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Th-228を導入する代わりに、Ra-224を前記放出箱内に導入することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記放出箱を通る前記キャリアガスの流量は、質量流量に基づいて制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の期間の間、前記放出箱の前記キャリアガス出口ポートに結合された前記多方弁を通して、前記キャリアガスを第1のRn-220ターゲットに誘導することと、
前記第1の期間が経過した後、前記第1のRn-220ターゲット上で第1のキャリアガス排気ポートを開くことと、
前記第1の期間が経過した後、第2の期間の間、前記放出箱の前記キャリアガス出口ポートに結合された前記多方弁を通して、前記キャリアガスを第2のRn-220ターゲットに誘導することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のRn-220ターゲットにおいて前記キャリアガスから前記Rn-220を分離することは、
前記Rn-220が前記キャリアガスから前記液体に移行するまで、前記キャリアガスを前記1つ以上のRn-220ターゲット内の前記液体と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記高表面積材料は、おおよそ1m
2~100,000m
2の表面積を有する多孔質金属又は多孔質セラミック材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔質金属は、チタン、ジルコニウム、金、白金、イリジウム、タングステン、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Pb-212を産生するための装置であって、
放出箱であって、
前記放出箱は、多孔質非反応性材料を含む放出源を備え、
前記放出箱は、入口でTh-228及びRa-224のうちの少なくとも1つを受容し、
前記Th-228及びRa-224のうちの少なくとも1つは、前記放出箱内でRn-220に崩壊する、放出箱と、
前記放出箱に結合されたキャリアガス供給部であって、
前記キャリアガス供給部は、不活性ガスを前記放出箱内に誘導し、
前記不活性ガスは、多方弁に結合された前記放出箱のキャリアガス出口ポートを通して前記放出箱の外へ前記Rn-220を搬送する、キャリアガス供給部と、
前記多方弁を通して前記キャリアガス出口ポートに結合された1つ以上のRn-220ターゲットであって、
前記キャリアガスは、前記Rn-220を前記放出箱から前記1つ以上のRn-220ターゲットに搬送し、
前記Rn-220は、前記1つ以上のRn-220ターゲット内でPb-212に崩壊する、1つ以上のRn-220ターゲットと、
前記1つ以上のRn-220ターゲットに結合された液体供給部であって、
前記液体供給部は、液体を、前記液体が前記Rn-220を前記Rn-220ターゲットに搬送する前記キャリアガスと接触するように、前記Rn-220ターゲット内に誘導し、
前記Rn-220の崩壊に起因する前記Pb-212は、前記キャリアガスと前記液体との間の接触によって前記液体に移行する、液体供給部と、
前記Rn-220ターゲットシステムに結合されたPb-212収集コンテナであって、
生成された前記Pb-212は、前記Pb-212収集コンテナ内に誘導される、Pb-212収集コンテナと、を備える、装置。
【請求項12】
前記放出箱は、
熱源と、
前記放出源の周囲に位置決めされたシールド構造と、を更に備え、
前記シールド構造は、前記放出箱における前記Th-228及びRa-224のうちの少なくとも1つの前記崩壊によって生成された放射線を吸収し、
前記多孔質非反応性材料は、1m
2~100,000m
2の表面積を有する金属、セラミック、又はシリカを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記放出源は、チタン、ジルコニウム、金、白金、タングステン、イリジウム、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される多孔質非反応性金属フィンを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記キャリアガス供給部は、
N
2ガス源と、
前記N
2ガス源に結合された質量流量計であって、
前記質量流量計は、前記N
2ガス源からのN
2ガスの質量流量を測定するように動作可能である、質量流量計と、
前記N
2ガス源に結合された制御弁と、を更に備え、
前記制御弁は、前記N
2ガス源からのN
2ガスの流量を制御するように動作可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上のRn-220ターゲットは、ゼオライト又はゼオライト様構造を有する金属カルコゲナイドを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記液体は、酸溶液である、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記1つ以上のRn-220ターゲットに結合された温度制御ユニットを更に備え、
前記温度制御ユニットは、前記液体供給部を通して前記1つ以上のRn-220ターゲット内に誘導された前記液体を、-72℃以下の温度まで冷却するように動作可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
放出箱であって、
フィンを備える放出源であって、
前記フィンは、非反応性多孔質材料で作製されており、
溶媒中のTh-228は、前記放出箱内に誘導され、前記放出源の前記フィンに吸着される、放出源と、
前記放出源の周囲に位置決めされたシールド構造であって、
前記シールド構造は、前記放出箱における前記Th-228の放射性崩壊によって生成された放射線を吸収するように動作可能である、シールド構造と、
キャリアガス供給ポートであって、
前記キャリアガス供給ポートは、前記放出箱内に誘導されたキャリアガスのための入口を提供するように動作可能である、キャリアガス供給ポートと、
キャリアガス出口ポートであって、
前記キャリアガス出口ポートは、前記放出箱からの前記キャリアガスのための出口を提供するように動作可能である、キャリアガス出口ポートと、
蒸発出口ポートであって、
前記蒸発出口ポートは、蒸発した溶媒のための出口を提供するように動作可能である、蒸発出口ポートと、
熱源であって、
前記熱源は、前記溶媒を蒸発させるために前記放出箱に熱を提供するように動作可能である、熱源と、を備える、放出箱。
【請求項19】
前記非反応性多孔質材料は、おおよそ1m
2~100,000m
2の表面積を有する、請求項16に記載の放出箱。
【請求項20】
キャリアガス供給ポートを通して前記放出箱に入る前記キャリアガスを、均質な流れで前記フィンを横切って分配するように動作可能なキャリアガスブレードを更に備える、請求項16に記載の放出箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年9月8日に出願された米国仮特許出願第63/241,610号の利益を主張する。
【0002】
概して、本発明は、鉛-212(Pb-212)同位体の生成/産生及び捕捉/分離のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
アルファ粒子治療は、多くのがんの治療のための機会を提供する。しかしながら、アルファ粒子放射同位体の産生は、多くの技術的及び規制上の障害を伴う非常に複雑なプロセスである。また、アルファ粒子放射同位体の産生は、非常に高価であり、スケールアップが困難であり、これまでのところ、アルファ粒子治療は、商業化及び患者使用については実行不可能であるという結果になっている。一般に、ヒト注射用の放射性標識医薬品に使用することができるアルファ放出同位体を産生するために、複雑で煩雑な爆撃、照射、及び従来の化学的分離プロセスを有する高エネルギー加速器又は原子炉が必要である。Pb-212は、放射性標識について好適なエネルギープロファイル及び化学的性質を有するアルファ放射同位体である。これは、Pb-212を、TAT(ターゲットアルファ治療)において使用される様々な種類のがんの治療のための非常に有望な候補にする。Pb-212同位体は、産業又は政府ベースの原子力発電所で生成される原子炉又は核廃棄物から入手可能である、Th-228の母同位体から産生され得る。
【0004】
Pb-212同位体を生成するための以前の方法及びシステムは、供給原料/親同位体としてのTh-228からのラジウム-224(Ra-224)の化学的分離に依存する。Ra-224は、3.66日の半減期を有する。Ra-224の短い半減期のために、以前のシステムは、トランスインデックス(Trans Index)及び輸送の問題に起因して、最大30mCiの限定された放射能を有するPb-212を産生する生成器形態におけるRa-224供給原料/同位体源の頻繁な補充を必要とする。Th-228からのRa-224の補充及び抽出は、Pb-212の産生において以前に使用された化学的分離法を介したPb-212同位体の産生において繰り返されるプロセスである。更に、以前の方法は、Th-228からRa-224を精製し、現在のPb-212生成器にRa-224を充填する間に、放射線曝露の高いリスクを伴う。Th-228からのRa-224の抽出及びPb-212生成器内へのRa-224の補充を繰り返すこれらの方法は、Ra-224の輸送、産生及び交換の間の放射線への被爆のリスクを増加させる。
【0005】
この既存のRa-224/Pb-212生成器技術は、研究開発及び小規模臨床試験における小規模使用についてのみ実行可能である。しかしながら、これらの以前の方法のスケールアップ及び商業化は、財政、規制、産生安全性及び患者安全性の観点から実行可能ではない。追加的に、以前の方法は、Th-228からのRa-224の化学的分離に依存するため、この化学的分離を通じて、Th-228及びRa-224がPb-212最終産生物に漏出するリスクがある。この分離は、Pb-212医薬品中の任意の母同位体の存在が、Th-228及びRa-224の長い半減期及びエネルギープロファイルに起因して、医薬品を受容する患者にとって放射線及び健康上の危険であるため、以前に存在していた方法における制限的なステップである。
【0006】
本開示の方法は、上で記載された以前の化学的分離方法とは非常に異なる、異なるアプローチをとる。追加的に、本開示の方法は、放出によってPb-212を生成するための既存の方法よりもいくつかの利点を有する。放出を介してPb-212を生成するための現在の方法の弱点及び欠点は、例えば、化学的分離方法に関して上記と同じ問題に苦しむ放出源に充填された供給原料/親同位体としてRa-224を使用すること、Rn-220を捕獲及び捕捉するために尿素又は他の有機材料などの固体有機相ターゲット材料を使用すること、並びにRn220を捕獲及び捕捉するための最終目的地として残留溶媒を使用することを含む。この固相有機材料は更に、Rn-220の崩壊に起因するPb-212を抽出するために、酸に溶解され、化学的分離を通過する必要がある。これらの以前の方法は、Pb-212の分離及び抽出のプロセスにおいて使用される尿素又は任意の他の有機材料のキャリーオーバー又は交差汚染がないことを検証するために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)品質管理を必要とする。分離に使用される有機材料のキャリーオーバーは、患者における毒性を示す最大許容用量又は限界(MTD/l)を超える可能性がある。
【0007】
Rn-220の捕獲はまた、メタノール又はヘキサノールなどの有機液体媒体(残留溶媒)を使用して行われている。この方法は、一般に、メタノール、ヘキサノール又は任意の残留溶媒を含まないPb-212同位体の分離及び抽出を確実にするために、有機液体媒体におけるRn-220の崩壊に起因するPb-212の更なる蒸留、蒸発、ろ過、及び化学的分離を必要とする。そのような分離は、スケールアップするのが困難で煩雑である。このプロセスはまた、Pb-212製品を患者に解放する前に、任意の残留有機化合物を試験するためのガスクロマトグラフィー(GC)を必要とし、これは、小規模な実験室環境以外の産生環境にスケールアップするのに好適ではなく、又は容易に適合可能ではない。患者に対する投薬及び治療のための最終医薬品中の残留溶媒の存在は、危険であり、治療のために現在使用されている最終Pb-212医薬品における制限ステップとみなされる。
【0008】
上述のRn-220の捕獲問題の他に、Pb-212の産生における既存の放出技術に伴う別の重要な問題は、親同位体又は供給原料が放出源に充填される方法及び放出源が作製された材料である。既存の方法で放出源を構築するために使用されている材料は、樹脂、塩、又は大量のTh-228若しくはRa-224が以前に使用された放出源内に充填されたときに放射線分解を受ける材料を含む。既存の全ての方法は、供給原料/親同位体を放出源に導入する安全かつ効率的な方法を欠いている。現在の方法では、オペレータは、最初に供給原料/親同位体を手動で放出源に導入し、次いで、手動で放出源を放出箱の内側に配置置しなければならない。これは、商業的で高放射能の産生システムを扱うときには行うことができない、危険で煩雑なプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
Pb-212の産生のための既存の方法の欠点に起因して、既存の方法及びシステムの欠点に対処する、Pb-212を産生及び抽出するための効率的かつ安全な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、1.92年の半減期を有する、トリウム-228(Th-228)供給原料/親同位体を使用するPb-212の産生のための装置及び方法を提供する。例えば、特定の例示的な実施形態によれば、本開示は、Pb-212を産生するための装置を対象とする。ある特定の実装形態では、装置は、Th-228供給コンテナ、放出箱、キャリアガス供給部、放出箱及びソース充填装置、加熱ブロック、並びにRn-220ターゲットシステムを含み得る。ある特定の例示的な実施形態によれば、Th-228供給コンテナ及びキャリアガス供給部は、放出箱に結合され得る。ある特定の実施形態では、放出箱は、Rn-220ターゲットシステムに結合され得る。
【0011】
一実施形態では、本開示は、Pb-212同位体を産生するための方法を提供する。本方法は、Th-228を放出箱に導入することであって、放出箱は、高表面積材料を含む放出源を備える、導入することを含む。本方法はまた、キャリアガス供給部を通して放出箱内にキャリアガスを導入することであって、キャリアガスは、不活性ガスであり、キャリアガスは、放出箱を通って流れる、導入することを含む。Th-228は、放出箱内でRn-220に崩壊し、キャリアガスは、放出箱におけるTh-228の崩壊に起因するRn-220を、放出箱のキャリアガス出口ポートに結合された多方弁を通して1つ以上のRn-220ターゲットに搬送する。本方法は、1つ以上のRn-220ターゲットにおいてキャリアガスからRn-220を分離することと、キャリアガスキャリアガス排気ポートを通して1つ以上のRn-220ターゲットの外へ誘導することと、液体供給部を通して1つ以上のRn-220ターゲット内に液体を誘導することと、Rn-220が1つ以上のRn-220ターゲット内でPb-212同位体への放射性崩壊を受けることを可能にすることとを更に含む。液体は、1つ以上のRn-220ターゲット内のRn-220の放射性崩壊によって産生されたPb-212同位体を溶解する。本方法は、Pb-212同位体を含有する液体を、1つ以上のRn-220ターゲットからPb-212収集コンテナに誘導することと、液体からPb-212同位体を分離することとを更に含む。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、Pb-212を産生するための装置であって、放出箱であって、放出箱は、多孔質非反応性材料を含む放出源を含み、放出箱は、入口でTh-228及びRa-224のうちの少なくとも1つを受容し、Th-228及びRa-224のうちの少なくとも1つは、放出箱内でRn-220に崩壊する、放出箱を備える装置を提供する。本装置はまた、放出箱に結合されたキャリアガス供給部であって、キャリアガス供給部は、不活性ガスを放出箱内に誘導し、不活性ガスは、多方弁に結合された放出箱のキャリアガス出口ポートを通して放出箱の外へRn-220を搬送する、キャリアガス供給部を含む。本装置は、多方弁を通してキャリアガス出口ポートに結合された1つ以上のRn-220ターゲットであって、キャリアガスは、Rn-220を放出箱から1つ以上のRn-220ターゲットに搬送し、Rn-220は、1つ以上のRn-220ターゲット内でPb-212に崩壊する、1つ以上のRn-220ターゲットを更に含む。液体供給部は、1つ以上のRn-220ターゲットに結合される。液体供給部は、液体がRn-220をRn-220ターゲットに搬送するキャリアガスと接触するように、Rn-220ターゲット内に液体を誘導し、Rn-220の崩壊に起因するPb-212は、キャリアガスと液体との間の接触によって液体に移行する。Pb-212収集コンテナは、Rn-220ターゲットシステムに結合されており、生成されたPb-212は、Pb-212収集コンテナ内に誘導される。
【0013】
更に別の実施形態では、本開示は、放出箱であって、フィンを備える放出源であって、フィンは、非反応性多孔質材料で作製されており、溶媒中のTh-228は、放出箱内に誘導され、放出源のフィンに吸着されている、放出源を備える、放出箱を含む。シールド構造は、放出源の周囲に位置決めされ、シールド構造は、放出箱におけるTh-228の放射性崩壊によって生成された放射線を吸収するように動作可能である。放出箱は、キャリアガス供給ポートを含み、キャリアガス供給ポートは、放出箱内に誘導されたキャリアガスのための入口を提供するように動作可能である。放出箱はまた、キャリアガス出口ポートを含み、キャリアガス出口ポートは、放出箱からのキャリアガスのための出口を提供するように動作可能である。蒸発箱は、蒸発出口ポートを更に含み、蒸発出口ポートは、蒸発した溶媒のための出口を提供するように動作可能である。放出箱は、熱源を更に含み、熱源は、溶媒を蒸発させるために放出箱に熱を提供するように動作可能である。
【0014】
本開示は、より少ない頻度の供給原料/親同位体補充、放出源設計によるより高い収率、放出源を含有する放出箱の安全かつ効率的な充填、キャリアガスを介したRn-220の安全かつ効率的な移行方法、極低温効果を含み得るRn-220の安全かつ効率的な捕獲方法、並びにRn-220を捕獲し、Rn-220がPo-216へ、そして最終的にはPb-212に崩壊する間にそれを保持するターゲット間の振動を必要とする、Pb-212を産生するための装置及び方法を提供する。更に、ある特定の実施形態では、この新規技術は、GMPオペレーティングソフトウェアによって動作され得る。開示された方法及びシステムは、十分にシールドされ、修理が容易であり、高放射能を使用してスケールアップすることができ、前のシステムよりも高い程度の安全性を装置のオペレータに提供する。本明細書に開示される方法及びシステムはまた、最終的なRn-220/Pb-212収集ターゲットにTh-228又はRa-224のキャリーオーバー又は残留物がないため、100%の理論的放射性核純度を提供する。追加的に、ある特定の例示的な実施形態では、開示される方法及びシステムは、尿素などの有機材料又は残留溶媒(例えば、メタノール又はヘキサノール)などの液相を使用して、Rn-220をPb-212に崩壊させることを可能にするRn-220を捕獲することによって、Rn-220の固体有機抽出/収集を使用しないことによって、Pb-212を産生する以前の放出方法と異なる。更に、本明細書に開示されるような有機溶媒又は残留溶媒を使用せずにPb-212を分離することは、医薬用途に対してより安全であり、安全性を確保するためにより厳密で広範な試験を必要としない最終産生物を産生する。本明細書に開示される方法及びシステムの更に別の利点は、以前の方法のような固体有機抽出樹脂又は残留溶媒上ではなく、水溶液中でRn-220をPb-212に変換することに起因する、Pb-212のより高い収率を含む。
【0015】
これらの列挙された利点は、例示にすぎず、本明細書に開示される方法及びシステムの利点の網羅的なリストであることを意図するものではない。他の利点は、本開示の利益を有する当業者には明白である。本開示は、以下の特徴のうちの1つ以上、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0016】
開示される主題は、以下、添付の図面を参照して記載され、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、Pb-212を産生及び分離するための装置のブロック図を示す。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、Pb-212を産生及び分離するための装置の斜視図を示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、放出箱内の放出源の接近斜視図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、放出源の接近斜視図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、Pb-212を産生及び分離するための装置の斜視図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、放出箱内の放出源の接近斜視図である。
【
図7】トリウム-228(Th-228)の崩壊鎖の例示を提供する。
【
図8】本開示の特定の例示的な実施形態による、Pb-212を産生するための方法の流れ図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
開示された主題は、様々な修正形態及び代替形態の余地があるが、その具体的な実施形態は、図面において実施例として示されており、本明細書で詳細に記載される。しかしながら、特定の実施形態の本明細書における記載は、開示された主題を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲によって定義される開示された主題の趣旨及び範囲内に入る全ての修正形態、均等物、及び代替形態を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0019】
以下の詳細な記載は、本開示の実施形態を例示する。これらの実施形態は、当業者が過度の実験を行うことなく、これらの実施形態を実施することを可能にするのに十分詳細に記載されている。しかしながら、本明細書に記載される実施形態及び実施例は、例示としてのみ与えられ、限定として与えられるものではないことを理解されたい。ここで、本発明の特定の実施形態は、図面を参照して記載されるが、そのような実施形態は、実施例としてのみであり、本発明の原理の適用を表すことができる多くの可能な特定の実施形態のうちの少数の例示にすぎないことを理解されたい。本発明が属する分野の当業者に明白な様々な変更及び修正は、添付の特許請求の範囲において更に定義されるような本発明の趣旨、範囲及び意図の範囲内であるとみなされる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「結合された」又は「結合する」という用語は、構成要素間の直接接続及び間接接続の両方を含む。1つの構成要素から別の構成要素に流体を誘導する構成要素に関して、「結合する」又は「結合された」という用語は、構成要素間の流体連通を提供するためにパイプ又は他のダクトを介した接続を含む。
【0021】
本開示の目的のため、情報取り扱いシステムは、ビジネス、科学、制御、娯楽、又は他の目的のための様々な形態の情報、インテリジェンス、又はデータを計算、分類、処理、伝送、受信、取得、発信、切り替え、格納、表示、マニフェスト、検出、記録、再現、取り扱い、又は利用するように動作可能な手段又は手段の集合体を含み得る。例えば、情報取り扱いシステムは、サーバ、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、PDA、消費者用電子デバイス、ネットワークストレージデバイス、又は別の好適なデバイスであり得、サイズ、形状、性能、機能、及び価格が変わり得る。情報取り扱いシステムは、メモリ、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)又はハードウェア若しくはソフトウェア制御ロジック)などの1つ以上の処理リソースを含み得る。情報取り扱いシステムの追加の構成要素は、1つ以上の記憶デバイス、外部デバイスと通信するための1つ以上の通信ポート、並びにキーボード、マウス、及びビデオディスプレイなどの様々な入出力(I/O)デバイスを含み得る。情報取り扱いシステムはまた、様々なハードウェア構成要素間の通信を伝送するように動作可能な1つ以上のバスを含み得る。
【0022】
更に、図及び記載において、同様の数字は、同様の要素を表すことが意図されている。
【0023】
図1を参照すると、本開示の例示的な実施形態による、Pb-212を産生するための装置100のブロック図が、示されている。本装置は、放出箱102に結合されたTh-228供給容器101を含む。N
2供給部103は、放出箱102に結合され、放出箱102の出口は、溶液収集容器104に結合される。追加的に、1つ以上のRn-220収集ターゲット105a、105bは、放出箱102に結合されている。いくつかの実施形態では、装置100は、酸溶液供給部106及びPb-212収集容器107を追加的に含み得る。ある特定の実施形態では、1つ以上のRn-220ターゲットは、
図1に示されるように、第1のRn-220ターゲット容器105a及び第2のRn-220ターゲット容器105bを含み得る。
図1の各構成要素の機能は、
図2に関して以下により詳細に説明される。
【0024】
ある特定の例示的な実施形態では、
図1の装置は、情報取り扱いシステム110によって制御され得る。例えば、情報取り扱いシステム110は、GMPソフトウェアなどのソフトウェアベースの制御を利用するコンピュータ化された自動化システムであり得る。GMPソフトウェアは、本明細書で使用される場合、「適正製造基準」ソフトウェア、すなわち、「適正製造基準」と呼称される標準のセットに準拠する製造自動化ソフトウェアを指す。GMPソフトウェアの構造及び動作は、本開示の利益を有する当業者に周知であり、したがって、本明細書では詳細に考察されない。例えば、ある特定の例示的な実施形態では、各ユニットの間に位置する1つ以上のポンプ又は弁は、自動化システムを実装する情報取り扱いシステム110によって制御可能であり得る。追加的に、ある特定の例示的な実施形態では、各ユニットの温度及び/又は各ユニットに収容される、若しくは各ユニット間で輸送される材料は、自動化システムを実装する情報取り扱いシステム110によって監視及び/又は制御され得る。そのような自動化システムは、Pb-212の産生及び分離のための以前の方法と比較して、装置とのヒトの相互作用の必要性を低減し、ヒトの介入の必要性の低減に起因して、オペレータの安全性を高める。
【0025】
図2は、
図1のブロック図に例示される装置の斜視図である。
図2によって例示される例示的な実施形態は、Th-228供給部201、放出箱202、N
2キャリアガス供給部203、Rn-220をRn-220収集ターゲット205に搬送するためのN
2出口ポート208、ペルチェシステム204b(例えば、本開示の利益を有する当業者に知られているように、ペルティア効果を利用する任意の市販の電気冷却器)に結合された放出箱蒸発出口ポート204a、Pb-212収集コンテナ(複数可)207、及び制御システム210を含む。
図2に示されるように、システムは、様々なシステム構成要素間の材料の流れを誘導及び/又は調節するために利用される様々な弁及び配管を更に含む。ある特定の例示的な実施形態では、制御システム210は、流量計、熱電対、圧力変換器などのような様々なセンサに結合されたプロセス制御ソフトウェアを利用して、
図2の装置を通して弁及びポンプを制御するように動作可能な、上で記載されたような情報取り扱いシステム110を含み得る。そのようなプロセス制御ソフトウェアの構造及び動作、並びにそれらが流量計、熱電対、圧力変換器などの様々なセンサを制御する方法は、本明細書の教示の利益を有する当業者には明白であり、したがって詳細には考察されない。例えば、制御システム210は、Rn-220ターゲット205の温度を監視し、監視された温度が所望の設定点から逸脱した場合、Rn-220ターゲット205への冷却を増加又は減少させるように動作可能であり得る。追加的に、制御システム210は、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される様々な溶液、酸、及びガスを含有する容器などの原材料容器を収容し、それらの材料を
図2の装置の様々なモジュールに供給するように動作可能であり得る。ある特定の例示的な実施形態では、ユーザは、装置全体にわたってライン及びパイプ内に配置された弁(ラベル付けされていない)を手動で制御することによって、装置に供給され、装置から受容され、装置を通って誘導される材料の流量を調節し得る。ある特定の実施形態では、制御システム210は、弁に通信可能に結合され得、所定のパラメータに基づいて弁を選択的に自動的に開閉し得る。更に他の実施形態では、制御システム210は、ユーザがそのユーザインターフェースを通して弁を調整することを可能にするユーザインターフェースを提供し得る。例示的な実施形態は、放出箱202に結合されたTh-228供給部201を備える。Th-228は、Th-228供給部201に配設され得、Th-228供給部201から放出箱202に導入され得る。いくつかの実施形態では、Th-228供給部201は、放出箱202内に配設され得る。Th-228供給部201は、Th-228を放出箱202に供給する手段を提供する。例示的な実施形態では、放出箱202は、第1の遠位端202a及び第2の遠位端202bを有する。放出箱202の第1の遠位端202aは、N
2キャリアガス、又は他の不活性キャリアガスの流れを放出箱202に提供する、N
2キャリアガス供給部203に流体的に結合されている。本開示を通してN
2キャリアガスと呼称されるが、任意の不活性ガスは、キャリアガスとして使用され得る。放出箱202の第2の遠位端202bは、N
2キャリアガス出口208を通してRn-220ターゲット205に結合されている。ある特定の例示的な実施形態によれば、放出箱202は、
図3、
図4、
図5及び
図6に関してより詳細に記載されるように、例えば
図5の放出源506、詳細には
図6の放出源600のような、放出源と、熱源(例えば、
図5の熱源507)とを含む。放出箱202は、以下でより詳細に記載されるように、Th-228供給部201を通してTh-228に供給され、Th-228がRn-220への放射性崩壊を受ける間、放出源にTh-228についての滞留時間を提供する。N
2キャリアガス供給部203は、放出箱202を通るN
2キャリアガスの流れを提供し、N
2キャリアガスは、放出箱202におけるTh-228の崩壊に起因する任意のRn-220を、N
2キャリアガス出口208を通してRn-220ターゲット205に搬送する。ある特定の例示的な実施形態によれば、Rn-220ターゲット205は、N
2キャリアガス入口ポート205c、液体入口及び出口ポート205d、並びにN
2キャリアガス排気ポート205eを有し得る。Rn-220ターゲット205は、以下でより詳細に記載されるように、Rn-220をN
2キャリアガスから分離するための容器として機能し、Rn-220がPb-212への放射性崩壊を受けるための滞留空間として機能する。液体供給部206は、Rn-220ターゲット205におけるRn-220の放射性崩壊によって産生されたPb-212を溶解させるための酸性溶液などの液体を提供するために、Rn-220ターゲット205に連結され得る。ある特定の例示的な実施形態では、同じ液体供給ライン206は、Pb-212を含有する液体溶液のための出口ラインを提供し得、Rn-220ターゲット205の流出入を制御するように動作可能な多方弁209を通して、Rn-220ターゲット205をPb-212収集容器207に結合し得る。
【0026】
Th-228供給部201は、放出箱202に結合され、Th-228が放出箱202内に移送されるための手段を提供する。ある特定の実施形態では、Th-228は、放出箱202に移送される前に液体中に溶解され得る。いくつかの実施形態では、Th-228は、放出箱202に移送される前に、硝酸(HNO
3)又は別の酸に溶解され得る。他の実施形態では、Th-228は、溶液中で獲得され得、Th-228のバイアルは、
図2に示される装置に装填されて、そのように放出箱202に移送され得る。装置に装填された後、Th-228溶液の一部分は、以下でより詳細に記載される放出箱202に移送され得る。本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、Th-228溶液などの放射性物質を取り扱うことは、ある特定のリスクを伴い、プロセスにおける任意の事故は、望ましくない結果をもたらし得る。したがって、そのようなリスクを軽減するために、ある特定の例示的な実装形態では、放出箱202は、延長された動作期間の間Th-228を格納し得、Th-228の繰り返し取り扱いの必要性を排除し、その手順に関連するリスクを最小限に抑える。例えば、ある特定の例示的な実施形態では、放出箱202は、1年間持続するTh-228の供給を格納し得る。ある特定の実施形態では、放出箱202は、1000ミリキュリー(mCi)のTh-228を格納し得る。いくつかの実施形態では、Th-228は、Th-228を含有するバイアルからTh-228供給部201を通してシステムに充填され得る。Th-228供給部201は、本開示の利益を有する当業者に理解されるように、溶解したTh-228の量をバイアル若しくは他の格納容器又は媒体から放出箱202に移送するための任意の適切なシステムとなる。例えば、Th-228供給部201は、制御システム210とインターフェースし、制御システム210によって制御される、自動シリンジ駆動、真空システム、又は加圧システムとなり得る。例えば、いくつかの実施形態では、Th-228は、月単位、隔月単位、半年単位、又は年単位で装置に充填され得、これは、放射性物質を取り扱うリスクを低減する。Th-228は、酸、例えばHCL若しくは3MのHNO
3、又はTh-228若しくはRa-224などのその崩壊鎖中の任意の同位体を溶解させることができる任意の所望のモル濃度の酸に溶解させて充填され得る。
【0027】
他の実施形態では、Th-228又はRa-224は、
図2及び
図5の装置に組み込まれる前に、放出源(例えば、放出源506)に充填され得る。例えば、溶液中のTh-228又はRa-224は、放出源に充填され得、溶媒(酸)は、集中型遠隔施設で蒸発され得る。Th-228又はRa-224で充填された放出源は、次いで、DOT規制に従って放射線シールドされ、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、本明細書に記載される当該装置に組み込まれ、本明細書に記載されるようなPb-212の産生のために本明細書に記載される装置を収容するPb-212産生設備に出荷され得る。そのような実施形態では、放出源は、設定された時間後、若しくは前の放出源におけるTh-228又はRa-224の放射能が所定のレベルに低下した後、新たに充填されたTh-228又はRa-224を含有する放出源と定期的に交換され得る。いくつかの実施形態では、使用済み放出源は、Th-228又はRa-224の洗浄及び再充填のために、集中型Th-228及びRa-224充填施設に戻され得る。
【0028】
別の実施形態では、Ra-224溶液は、定期的にTh-228供給部201内に充填され得る。例えば、Th-228と比較したとき、Ra-224のより短い半減期に起因して、週に1回又は2回である。そのような実施形態では、Ra-228は、3MのHNO3又はHCLなどの酸に溶解され得る。充填後、Th-228溶液又はRa-224溶液は、以下に記載されるように、液体を蒸発させるために加熱し、Th-228又はRa-224を放出箱202内の放出源に堆積させ得る。
【0029】
図3及び
図4は、放出箱202内の放出源300の接近斜視図を例示する。放出源300に導入されると、Th-228は、以下に記載されるように、キャリア溶液の蒸発によって流れ分配フィン301上に分散される。流れ分配フィン301は、Th-228が吸着し得る任意の所望の材料で作製された高表面積構成要素である。ある特定の例示的な実施形態では、高表面積材料は、特定の用途に望ましい多孔性を有する多孔質材料であり得る。例えば、ある特定の非限定的な例示的な実施形態では、流れ分配フィン301を備える材料の多孔率は、おおよそ2μm~おおよそ200μmであり得る。本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、他の多孔質は、本開示の範囲から逸脱することなく、所望のように使用され得る。流れ分配フィン301の材料は、いくつかの実施形態では、大きな表面積を有し得る。例えば、ある特定の実施形態では、流れ分配フィン301の表面積は、おおよそ10000m
2よりも大きくてもよい。流れ分配フィン301は、金属、セラミック格子、又は発泡体を含むが、これらに限定されない任意の所望の材料で構成され得る。ある特定の実施形態では、高表面積材料は、多孔質チタン、シリカ、タングステン、ジルコニウム、白金、金、イリジウム、レニウム、セラミック、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、流れ分配フィン301は、高表面積材料を構成する複数のフィンを含むフィン型構造を有し得る。放出源300はまた、流れ分配フィン301に付着点を提供し、Th-228堆積のための追加の表面積を提供するための、流れ分配プレート309を含み得る。流れ分配プレート309は、高表面積材料で作製され得る。例えば、ある特定の非限定的な例示的な実施形態では、流れ分配プレート309を備える材料の多孔率は、おおよそ2μm~おおよそ200μmであり得る。いくつかの実施形態では、流れ分配プレート309は、流れ分配フィン301と同じ材料で作製され得る。他の実施形態では、流れ分配プレート309は、流れ分配フィン301が多孔質チタンで作製されている場合、例えば、多孔質ジルコニウムなどの流れ分配フィン301とは異なる材料で作製され得る。
【0030】
流れ分配フィン301は、Th-228が放射性崩壊を受ける際にそれを保持する。
図7は、Th-228の崩壊経路700を示す。具体的には、Th-228は、
図7に見られるように、最初にRa-224に崩壊し、Ra-224はまた、流れ分配フィン301に吸着される。Ra-224は、次いで、Rn-220に崩壊し、Rn-220は、流れ分配フィン301に吸着されない。Rn-220に崩壊した後、Rn-220は、N
2キャリアガス入口ポート303を通して放出源300に供給されるN
2キャリアガスの流れによって、N
2キャリアガス出口ポート308を通して放出源300の外へ搬送され得る。本明細書に更に記載されるように、N
2キャリアガスは、Rn-220をRn-220ターゲット205に搬送し得、Rn-220は、Pb-212への放射性崩壊を受ける。
【0031】
放出箱202はまた、放出源300の下に熱源302を含み得る。いくつかの実施形態では、熱源302は、放出源300の外側に位置し得、放出源300と接触していてもよい。ある特定の例示的な実施形態では、熱源302は、電気的に制御されたホットプレート又は加熱要素であり得、制御システム210の情報取り扱いシステムによって制御され得る。熱源302は、Th-228供給部201からTh-228を搬送する溶媒を蒸発させるために熱を供給する。溶液の液体部分が蒸発するとき、Th-228は、流れ分配フィン301上に残される。
【0032】
蒸発した液体は、蒸発出口ポート304を通して放出源300を出得る。ある特定の例示的な実施形態では、蒸発出口ポート304は、放出源300の上面に配設され得る。ある特定の例示的な実施形態では、蒸発出口ポート304は、溶液収集容器(例えば、
図5の凝縮ボトル525)に結合され、溶液収集容器に収集され得る蒸発溶液を冷却するために、ペルチェ冷却器204bなどの熱交換器に結合され得る。他の実施形態では、熱交換器は、蒸発出口ポート304と溶液収集容器との間のライン内に位置決めされ得る。ある特定の例示的な実施形態では、熱交換器は、液体として収集するために蒸発した溶液を冷却する電動式のペルチェ効果冷却デバイスであり得る。ペルチェ効果冷却デバイスは、デバイスの一方の側の冷却及び他方の側への熱の伝達を可能にする、電気エネルギーを熱運動に変換するためにペルチェ効果を使用する電動冷却器である。そのような冷却器は、本開示の利益を有する当業者に周知である。上で記載された蒸発出口ポート304及びペルチェ効果冷却器の一実施形態が、
図2に例示される。
【0033】
図4は、本明細書に記載される放出源300の実施形態の内部構成要素の近接斜視図を提供する。例示された放出源300は、流れ分配フィン401及び流れ分配プレート409を含む。流れ分配フィン401は、
図3に関して放出源301と呼称される構成要素に対応し得、本明細書に記載される任意の高表面積材料で構成され得る。流れ分配フィン401は、放出源300を通るN
2キャリアガスの流れのための複数の経路を提供するために、複数の密接に離間されたたフィンのフィン型構造を有する。流れ分配プレート409は、流れ分配フィン401を所定の位置に保持し、流れ分配フィン401によって提供される表面積に加えて、Th-228堆積のために表面積を提供する。
【0034】
図2に戻ると、放出箱202内の放出源(例えば、放出源300)は、N
2キャリアガス供給部203で供給される。N
2キャリアガス供給部203は、N
2キャリアガス出口ポート208を通して放出箱202内の放出源(例えば、放出源300)の外へRn-220を搬送するN
2キャリアガスをRn-220ターゲット205に供給する。特定の実施形態では、N
2提供速度は、自動的に制御され得る。例えば、ある特定の例示的な実施形態では、N
2提供速度は、所望のレベルでN
2キャリアガスの流れを制御するための質量流量計、及び制御システム210によって制御される入口弁を使用して、質量流によって制御され得る。N
2供給部は、入口弁によって放出箱202への流れを遮断するように動作可能であり得、これには、入口弁の故障の場合には、1つ以上の手動弁によって続き得る。ある特定の実施形態では、流れは、制御システム210に組み込まれた情報取り扱いシステムによって制御され得る。例えば、ある特定の例示的な実施形態では、N
2キャリアガスをこの固定具に好適な速度で流すことが望ましい場合がある。この速度は、収集ターゲットのサイズ及び数及びこのシステムに埋め込まれた他の変数に基づいて、質量流システムを介して調整され得る。特定の実施形態では、N
2の提供速度は、おおよそ200mL/分で制御され得る。質量流制御されたN
2キャリアガス供給部203は、
図5に関してより詳細に記載されるように、N
2キャリアガス供給ライン、入口弁、及び質量流量計を備え得る。入口弁及び質量流量計は、本明細書に教示の利益を有する当業者に明白な制御方法論を使用して、N
2キャリアガス供給ラインを通って流れるN
2キャリアガスの質量流を制御するように動作可能であり得る。例えば、入口弁及び質量流量計は、単純なフィードバック制御ループ方式で結合され得る。
図2の例示的な実施形態では、入口弁及び質量流量計は、制御システム210に結合され得る。N
2キャリアガスは、放出箱202内に流入し、放出箱202におけるTh-228及び/又はRa-224の崩壊の結果として産生された任意のRn-220を搬送し、Rn-220をRn-220ターゲット205に搬送する。
【0035】
上で記載されたように、Rn-220ターゲット205は、Rn-220の収集のための1つ以上の容器から構成され得る。例えば、特定の実施形態では、Rn-220ターゲット205は、Rn-220の収集のための第1の容器205a及び第2の容器205bを含み得る。別の実施形態では、Rn-220ターゲット205は、単一の容器であり得る。いくつかの実施形態では、Rn-220ターゲット205は、1つ、2つ、又はそれ以上の容器にかかわらず、冷却された酸溶液で満たされ得る。酸溶液は、例えば、塩酸(HCl)などの任意の好適な酸溶液であり得る。酸溶液は、おおよそ-72℃~-95℃の範囲の温度に冷却され得る。別の実施形態では、酸は、HNO3であり得る。他の実施形態では、Rn-220ターゲット205は、周囲温度で、非冷却酸溶液で満たされ得る。更に他の実施形態では、Rn-220ターゲット205は、ゼオライト、金属ゼオライト型カルコゲナイド(例えば、ゲルマニウム、錫、亜鉛、若しくはそれらの組み合わせ、ゼオライト様構造を有するカルコゲナイド)、又は錫リッチゲルマニウム表面ターゲットを含有する1つ以上の容器を含み得る。いくつかの実施形態では、表面ターゲットを含有する容器はまた、冷却された又は非冷却された酸溶液、例えば、水性緩衝液で満たされ得る。他の実施形態では、表面ターゲットを含有するRn-220ターゲット205は、酸又は他の水溶液をターゲット容器の壁にスプレーするノズルを含み得る。Rn-220ターゲット205がゼオライト、金属ゼオライト型カルコゲナイド、又は錫リッチゲルマニウム表面ターゲットを含む実施形態では、Rn-220ターゲットは、液体で満たされなくてもよい。
【0036】
実施形態では、Rn-220ターゲット205は、以下に記載されるように機能し得る。第1及び第2のRn-220ターゲット205は、酸性溶液を含有する容器を含み得る。酸性溶液は、HCl、HNO3、又は任意の他の水性、非有機酸若しくは緩衝液を含み得る。説明の目的のために、HCl溶液は、以下に記載されるが、本記載は、任意の酸性水溶液に適用され得、本明細書に記載される方法及びシステムは、HCl溶液を使用することに限定されない。いくつかの実施形態では、第1及び第2のRn-220ターゲット205は、自動液体供給部206によって供給され得る。特定の実施形態では、液体供給部206から供給されるHCl溶液は、20%HCl溶液であり得る。別の実施形態では、HCL溶液は、22.5%の濃度を有し得る。他の実施形態では、HClの濃度は、10%~50%であり得る。いくつかの実施形態では、HClの濃度は、15%~30%であり得る。特定の実施形態では、HCLの濃度は、20~25%であり得る。特定の実施形態では、HCLの濃度は、22%~27%であり得る。特定の実施形態では、HCLの濃度は、25%であり得る。別の実施形態では、Rn-220ターゲット205は、3MのHNO3溶液によって供給され得る。
【0037】
第1及び第2のRn-220ターゲット205はまた、HCl溶液を-72℃未満及び-95℃を超える温度まで冷却し、HCl溶液をその温度に維持するための温度制御ユニット/システム(
図5に例示される冷却槽522など)を含み得る。特定の実施形態では、温度制御システムは、HCl溶液を-85℃まで冷却し、HCl溶液をその温度に維持し得る。別の実施形態では、HCL溶液は、-82℃まで冷却され得る。更に別の実施形態では、温度制御ユニットは、HNO
3溶液をおおよそ-41℃まで冷却し得る。いくつかの実施形態では、温度制御ユニットは、Rn-220ターゲット205における液体を液体の凝固点を超える温度まで冷却して、液体中のRn-220の溶解度を増加させるように動作可能であり得る。
【0038】
Rn-220を含有するN2キャリアガスが冷却されたHCl溶液に接触するとき、Rn-220が-72℃の凝固点を有するため、Rn-220は、凍結する。いくつかの実施形態では、ターゲット材料は、Rn-220を冷却酸溶液で凍結する代わりに吸収するゼオライト又はゼオライト様カルコゲナイド材料を含み得る。他の実施形態では、Rn-220ターゲット205は、周囲温度以下で、Rn-220ターゲットに供給されるRn-220を溶解させる液体酸溶液を含有し得る。次いで、N2キャリアガスは、Rn-220を含まずに第1又は第2のRn-220ターゲット205を出てもよい。Rn-220ターゲット容器に残ったRn-220は、HCl溶液に溶解する、Po-216に崩壊する。次いで、Po-216は、HCl溶液中に溶解しながら、Pb-212に急速に崩壊する。Rn-220は55.6秒の半減期を有し、酸溶液に接触すると凍結されるため、Rn-220を含有するN2キャリアガスの供給は、Rn-220の供給を補充するために、約1分に1回、第1のRn-220ターゲット205aと第2のRn-220ターゲット205bとの間で切り替えられ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、単一のRn-220ターゲット205のみが、使用され得る。他の実施形態では、N2キャリアガスの流れは、2分又は3分などのより長い間隔で、Rn-220ターゲット205間で切り替えられ得る。別の実施形態では、N2キャリアガスの流れは、10分ごとにRn-220ターゲット205間で切り替えられ得る。Rn-220は55.6の半減期を有するため、10分は、Rn-220がPb-212にほぼ完全に崩壊するために十分な時間を提供する、おおよそ10Rn-220の半減期が経過する時間を提供する。他の容器が通過するのを10分間待っている間、Rn-220の流れは、10分間第2のRn-220ターゲット容器に進む。10分の終わりに、第2のRn-220ターゲット容器1の出口弁は、N2ガスを放出して、次のサイクルの準備をするために、開く。この時点で、第1のRn-220ターゲットの出口弁は、10分間閉じる。この発振サイクルは、所望の量のPb-212が各Rn-220ターゲット容器に収集されるまで継続する。この振動サイクル、滞留の時間(すなわち、捕捉から解放までの時間)、各容器が取ることができる容積、及び容器の数は、プロセスの必要性に基づいて変更され得る。ある特定の例示的な実装形態では、制御システム210によって制御される装置の自動充填システムは、第1のRn-220ターゲット205を充填すること、10Rn-220半減期が経過するのを10分待つこと、この時間中に第2のRn-220ターゲット205を充填すること、第1のRn-220ターゲット205の以前の充填から10分経過した後に第1のRn-220ターゲット205を充填することに戻ること、次いで、第2のRn-220容器の以前の充填から10分経過した後に第2のRn-220ターゲット205を充填すること、並びに制御システム210が流量、Rn-220ターゲット205容積、発振回数、及び待ち時に基づいてRn-220ターゲット205が所望の量のPb-212を含有することを判定するまで、容器を充填することと待機することとの間で交互に戻り得る。この時点で、結果として生じるPb-212溶液は、Rn-220ターゲット容器(例えば、205a)の1つから空にされ得る。ある特定の実施形態では、このプロセスは、自動化され得、情報取り扱いシステムを使用して実装され得る制御システム210によって実行され得る。例えば、自動制御システムは、制御システム210からコマンドを受信すると、第1のRn-220ターゲット205aと第2のRn-220ターゲット205bとの間で充填を切り替えるように動作可能である、制御システム210によって制御される多方弁209を備え得る。次いで、HCl溶液中に溶解されたPb-212は、必要に応じてRn-220ターゲット容器から除去され得る。HCl溶液からのPb-212の分離は、本開示の利益を有する当業者に既知の方法によって達成され得る。
【0039】
他の実施形態では、1つ以上のRn-220ターゲットは、(例えば、キャリアガス供給部203上の質量流量計によって測定される)キャリアガスの既知の流量、及び(例えば、各Rn-220ターゲット内に位置する圧力変換器によって)各Rn-220ターゲットにおいて測定される圧力に基づいて、満たされ得る。キャリアガス供給の質量流に基づいて、所定の圧力まで又は所定量のキャリアガスでRn-220ターゲットを満たした後、制御システム210は、第2のRn-220ターゲットを満たすことを開始し、第3のRn-220ターゲットが続くように多方弁を誘導し得る。任意の数のRn-220ターゲットは、装置の産生ニーズに基づいて、使用され得る。
【0040】
非限定的な例示的な実施例として、200mLの容積を有するRn-220ターゲット205は、20mL/分の速度で満たされ得、満たすのに10分かかる。一旦第1のRn-220容器(例えば、205a)が満たされると、本装置は、1分当たり20mLの速度で第2のRn-220容器(例えば、205b)を満たし始め、また、満たすのに10分かかる。この時間中に、Rn-220の10半減期は、第1のRn-220ターゲット205を通過する。一方又は両方のRn-220ターゲット205が空にされるとき(例えば、制御システム210の判定に基づいて、必要に応じて)、システムは、空にされた容器が酸で満たされるまでRn-220ターゲット205のN
2キャリアガスで満たすことを停止し、次いでプロセスを継続する。放出源300のサイズ及びN
2キャリアガスの流量に応じて、3つ、4つ以上のRn-220ターゲット容器205は、連続的に交互に充填するために
図1の装置に組み込まれ得る。Rn-220ターゲットは、いくつかの実施形態では、互いに異なる容積を有し得る。本開示の利益を有する当業者には、本明細書に記載される任意の容積、時間、温度、及び流量が例示的であり、非限定的であることが明白であろう。例えば、Pb-212の産生の必要性に応じて、より大きな又はより小さい容器は、より長い又はより短い満たすことの時間及びより高い又はより低い流量で利用されることができる。
【0041】
別の実施形態では、上で記載されたように、Rn-220ターゲット205は、非冷却酸又は水溶液を含有し得る。そのような非冷却システムでは、Rn-220は溶液中に直接溶解するため、Rn-220同位体が完全に崩壊するのに十分な時間を提供するために、10半減期時間が経過しなければならず、その後、流れが次のRn-220ターゲット205に変化する。
【0042】
別の実施形態では、2つ以上のRn-220ターゲット205は、システム200に含まれ得る。例えば、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上のRn-220ターゲットは、システムに含まれ得る。そのようなシステムでは、N2キャリアガスを含有するRn-220の供給は、Pb-212が供給されていない他のRn-220ターゲットから抽出される一方で、Rn-220ターゲット間を周期的に循環し得る。
【0043】
Rn-220ターゲット205内の溶液がRn-220の凝固点未満で冷却される実施形態では、例えば、溶液が-82℃まで冷却されるとき、Rn-220がPb-212に崩壊しながら液相に留まるのを助ける。この温度では、Rn-220は、冷却酸内で液体相に保持され、Rn-220ターゲット205のN2キャリアガスを含有するRn-220による振動充填の有無にかかわらず、蒸発又は気体拡散によってRn-220ターゲット205を離れる。振動充填中、一方のターゲットがRn-220を搬送するN2キャリアガスで満たされている間、他方の容器は、容器の内容物(すなわち、Rn-220ターゲット205内に含有される液体及びガス)の温度がRn-220の凝固点よりも低いか、又はより低くなるまで、Rn-220及びN2ガスを保持している。この温度で、Rn-220は、液体形態であり(例えば、冷却酸とともに、Rn-220は、Rn-220の凝固点以下であるが、酸の凝固点を超えるときに、酸と混和性の液体を形成する)、出口弁が開かれるとき、N2ガスのみが、Rn-220ターゲット205を離れる。この振動充填プロセスは、所望の量のPb-212に到達するために必要な限り継続し得る。
【0044】
Rn-220ターゲット205における溶液が冷却されているかどうかに関わらない。Rn-220が崩壊するとき、それは、Pb-212に崩壊する前にわずか0.145秒の半減期を有するPo-216に崩壊する。Po-216からPb-212への崩壊は、非常に高エネルギーであり、結果としてPb-212イオンは、かなりの速度を有する。これは、反跳効果として当業者に既知である。これらの速度は、イオン交換樹脂及び尿素などの固体Rn-220ターゲットを利用する以前の方法では、Pb-212原子のいくつかが固体Rn-220ターゲット材料の表面に埋め込まれ、それによってPb-212の収率が低下するほど十分に高い。本明細書に記載される液体で満たされたRn-220ターゲット容器では、Po-216からPb-212への崩壊は、液体媒体において起こる。液体溶液は、Pb-212原子の速度を媒介し、以前に可能であったよりも高いPb-212収率を可能にする。
【0045】
ゼオライト、金属ゼオライト型カルコゲナイド、又は錫リッチゲルマニウム材料などの固体Rn-220ターゲット表面を含有する、上で記載されたRn-220ターゲット205の実施形態では、Rn-220ターゲット205は、上で記載されたHCl溶液などの酸又は緩衝液をRn-220ターゲット205の壁にスプレーするためのスプレーノズルを含有し得る。Rn-220ターゲット205の上部に位置するスプレーノズルは、HCl溶液などの少量の液体溶液をRn-220ターゲット205の側部にスプレーするように構成され得、本スプレーは、Rn-220ターゲット205の側部に液体溶液の薄膜を形成する。そのようなスプレーノズルは、本開示の利益を有する当業者に明白であるように、そのような用途に適切な任意の霧化又は微細ミストノズルを含み得、例えば、制御システム210から供給されるポンプ液体溶液によって供給され得る。薄い液体フィルムは、産生された任意のPb-212原子に十分な液体を提供し、それによって、Rn-220ターゲット205の表面へのPb-212の反跳効果及び損失を緩和する。
【0046】
いくつかの実施形態では、Rn-220ターゲット205は、スパージャー又はバブラーデバイス及び円錐形ターゲット材料を含み得る。スパージャー又はバブラーデバイスは、Rn-220ターゲットにN2キャリアガスが供給され、酸で満たされたときに、多くの小さなN2キャリアガスバブルを作り出すように動作可能であり得、それによって、Rn-220ターゲット内のN2キャリアガスの表面積を増加させ、Rn-220ターゲット内のN2キャリアガスから溶媒(酸)へのRn-220の移行を強化する。Rn-220ターゲット205は、Rn-220を搬送するN2キャリアガスのための入口ポートと、Rn-220を含まないN2を解放するための出口ポートとを含み得る。チューブ及び弁の配置は、Rn-220を捕捉するようにRn-220ターゲット205間の振動が起こるシーケンスを提供するソフトウェアを介して動作され得、Rn-220が、上で記載された媒体(例えば、水溶液又はノズルを介してスプレーされた溶液)においてPb-212に完全に崩壊するのに十分な時間を提供し得る。ある特定の実施形態では、ソフトウェアは、制御システム210の情報取り扱いシステムを使用して実装され得る。
【0047】
図5は、特定の例示的な実施形態による、Pb-212を産生及び分離するための装置の斜視分解図である。いくつかの実施形態では、
図5の装置は、
図1のブロック図及び
図2の例示的な実施形態に関して本明細書に記載される装置のそれと実質的に同じ方法で機能し得る。
図5の装置は、情報取り扱いシステム(図示せず)を含み得、又は情報取り扱いシステム(図示せず)に通信可能に結合され得、
図5の装置の流量、温度、弁サイクル、及び他の態様を制御するように動作可能である制御ユニット501を含む。分配システム502は、制御システム501に結合され得、水溶液を
図5の装置の様々なユニットに分配するように動作され得る。例えば、分配システム502は、HCL溶液などの水溶液をRN-220ターゲット520及び521に分配するように動作可能であり得る。分配システムはまた、独立して、又は制御システム501からの命令を受信したときに、Rn-220ターゲット520又は521から溶液中のPb-212のアリコートを分配し得る。いくつかの実施形態では、分配システム502は、制御システム501と同じハウジング内に収容され得る。本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、制御システム1は、本明細書に記載される任意の1つ以上のセンサ、制御弁、冷却器、加熱器に結合され得、そのようなセンサから取得された情報を処理し、制御弁、加熱器、冷却器、アラームなどに制御出力信号を提供するように動作可能であり得る。
【0048】
N
2キャリアガス供給部503は、放出源506へのN
2キャリアガスの流れを制御するために、質量流量計及び質量流入口弁504を含み得る。放出源506はまた、水溶液に溶解されたTh-228を放出源506に送達するために制御システム501に結合され得、又は別様に制御され得る、Th-228供給部526に結合され得る。放出源506は、放出源506内にTh-228についての滞留を提供するために、
図3、
図4、及び
図6と併せて記載されるような高表面積材料を含有し得る。放出源506はまた、本明細書に記載されるように、Th-228を放出源506に搬送するために使用された任意の溶媒を蒸発させるための熱を提供するための熱源507を含み得る。そのような蒸発した溶媒は、放出源506を出て、蒸発出口弁ポート511を通り、蒸発した溶媒を凝縮するように動作するペルチェ冷却器517を通って、凝縮ボトル525に流れ得る。
【0049】
上で記載されたように、放出源506に含有されるTh-228は、放出源506内で放射性崩壊を受け、絶えずRn-220に崩壊する。Th-228の放射性崩壊によって放出される放射線からのシールドを提供するために、放出源506は、Th-228の放射性崩壊及びTh-228の崩壊に起因する同位体の放射性崩壊によって産生される放射線をブロックするのに十分な厚さを有し得る、鉛シールド528内に含まれる。追加的に、鉛シールド528は、追加の放射線シールドを提供するだけでなく、耐腐食性である放出源506のための外側カバーを提供し得る、ステンレス鋼シールドカバー527内に位置決めされる。
【0050】
Rn-220は、Th-228の崩壊から産生されるので、それは、N2キャリアガス出口弁514、超高純度ガスフィルタ515、並びにRn-220ターゲット520及び521への入口弁516を通して、放出源506の外へN2キャリアガスの流れによって搬送される。ガスフィルタ515は、N2キャリアガスを含有するRn-220の流れから、放出源506の高表面積材料から剥がれた小粒子、又はTh-228粒子などの不純物を除去し得る。入口弁516は、制御システム501に結合し得、N2キャリアガスの流れをRn-220ターゲット520又はRn-220ターゲット521のいずれかに誘導するように動作可能であり得る。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、入口弁516は、Rn-220ターゲット520とRn-220ターゲット521との間のN2キャリアガスの流れを周期的に循環させるように動作可能であり得る。
【0051】
液体供給部518は、多方弁519を通してRn-220ターゲット520及びRn-220ターゲット521に流体的に結合されている。液体供給部518は、制御システム501に結合及び/又は制御され得、本明細書に記載されるHCL水溶液などの液体の供給をRn-220ターゲット520及び/又はRn-220ターゲット521に供給するように動作可能であり得る。多方弁519は、Rn-220ターゲット520とRn-220ターゲット521との間の液体供給の流れを周期的に循環させるように動作可能であり得る。Rn-220ターゲット520及び521は、冷却槽522内に位置決めされる。冷却槽522は、当該技術分野で既知の任意の温度制御ユニット/システム、冷却器又は熱交換器であり得、Rn-220ターゲット520及び521、並びにそれらの内容物を、Rn-220ターゲット520及び521内に搬送されるRn-220を凍結させるのに十分な温度まで冷却するように動作可能であり得る。例えば、特定の実施形態では、冷却槽522は、Rn-220ターゲット520及びRn-220ターゲット521の内容物を-82℃まで冷却するように動作可能であり得る。冷却槽の温度は、酸の種類の凝固点及びそのモル濃度に依存し、相関し得る。冷却槽522は、冷却槽529のために鉛シールド内に位置決めされる。冷却槽529のための鉛シールドは、Rn-220ターゲット520及び521と結んでいるRn-220からPb-212への崩壊に起因する放射線を遮断するのに十分な厚さであり得る。上で記載されたように、Rn-220ターゲット520又はRn-220ターゲット521に収集されたRn-220がPb-212に崩壊した後、Pb-212を含有する水溶液は、Rn-220ターゲット520又はRn-220ターゲット521から、多方弁519を通って、Pb-212収集容器523内に除去され得る。Rn-220ターゲット520又はRn-220ターゲット521はまた、濯ぎボトル524に結合される。濯ぎボトル524は、
図5によって例示される装置の動作中にRn-220を導入する前にターゲット容器を洗浄するために、Rn-220ターゲット520又はRn-220ターゲット521を通して供給された任意の液体を収集し得る。
【0052】
図5の装置はまた、PTFE気密箱530を含む。PTFE気密箱530は、PTFE又は任意の他の不透過性の非反応性ポリマー若しくは材料で構築され得る。PTFE気密箱530は、気密であるように構成され、放出源506を含有する。いくつかの実施形態では、PTFE気密箱530は、空気入口及び出口を有し得、出口は、排気システムに接続されている。放出源506が漏れを発生する場合でさえも、PTFE気密箱530は、漏れを含有し得、漏れたRn-220/キャリアガスが排気システムを通って送られるように提供し得る。そのような排気システムは、放出源506が漏れを生じる事象において、任意のRn-220を吸着するように動作可能な木炭、又は他の高表面積材料を含み得る。排気システムはまた、放射性ガスを収集し、それを圧縮し、放射能の半減期に基づいてそれを解放する、空気圧縮システム(ACS)に結合することができる。
【0053】
最後に、
図5の装置は、図示された装置の様々な提供出口ライン上に安全ボール弁、505、508、509、510、512、及び513を有する。そのような安全ボール弁は、
図5の装置を構成する構成要素の分離を可能にするために、ラインにおける流れを遮断するように動作可能である。これらの構成要素の分離は、洗浄又は部品の交換などの保守のために使用され得る。いくつかの実施形態では、安全ボール弁505、508、509、510、512、及び513は、制御システム501から開閉する信号を受信するように動作可能であり得、制御システム501からの通信が失われた場合に安全な位置に戻るように動作可能であり得る(例えば、「フェイルセーフ」動作)。
【0054】
図6は、いくつかの実施形態による、本明細書に記載されるような
図5の放出源506の接近図を提供する。
図6の放出源600は、流れ分配フィン603及び流れ分配プレート604を含有し、N
2キャリアガス、Th-228供給、及び溶媒蒸発のための入口ポート及び出口ポートを有する、上部プレート601及び下部プレート602を有する。上部プレート601及び下部プレート602は、N
2キャリアガス又は任意の蒸発溶媒がプレート間から出ることを防止するのに適切な2つのプレート間にシールを形成するのに十分な方法で一緒に接合され得る。例えば、上部プレート601及び下部プレート602は、溶接接続部618及び619のために面取り部で一緒に溶接され得る。上部プレート601及び下部プレート602を接合する他の方法は、本開示の利益を与えられた当業者には明白であろう。
【0055】
流れ分配フィン603及び流れ分配プレート604は、本明細書に記載される任意の高表面積(すなわち、多孔質)材料で作製され得る。流れ分配フィン603は、N2キャリアガスが流れ分配フィン603の高表面積材料フィンを通過するための流路を提供するために、一緒に密接に離間された複数のフィンを含有し得る。本明細書に記載されるように、高表面積材料で作製されたこれらのフィンは、放出源に導入されるTh-228を吸収し、Th-228がRn-220に崩壊するまで、Th-228についての滞留を提供し、この時点で、N2キャリアガスによって放出源の外へ搬送される。
【0056】
下部プレート602は、キャリアガスのための入口を提供するように動作可能なキャリアガス入口ポート605、入口遮断安全及び輸送プラグ606、放出源からのキャリアガスのための出口を提供するように動作可能な出口ポート607、出口遮断安全及び輸送プラグ608、サービスプラグ609及び610、集束出口空洞615、メイン空洞616、及び入口キャリアガス分配空洞617を有する。上部プレート601は、キャリアガスブレード613、ベント空洞614、蒸発した溶媒の出口を提供するように動作可能なベントポート612、及びベント遮断安全及び輸送プラグ611を有する。メイン空洞616は、流れ分配プレート604及び流れ分配フィン603のためのハウジングを提供する。上部プレート601及び下部プレート602は、チタン、ジルコニウム、金、白金、イリジウム、タングステンなどの任意の非反応性金属、及びモネル又はインコネルなどの非反応性合金で構成され得る。
【0057】
動作中、溶液中のTh-228は、
図6の放出源に導入され得る。例えば、N
2キャリアガス入口ポート605を通して。上で考察されたように、放出源へのTh-228の導入は、定期的に、例えば、わずかに年に1回のみ発生する。Th-228溶液の導入後、熱は、例えば、
図5の熱源507によって、任意の溶媒を蒸発させるために、放出源506に適用され得る。蒸発した溶媒は、ベント空洞614及びベントポート612を通って放出源の外へ流出し得る。
【0058】
次に、N2キャリアガスの流れは、N2キャリアガス入口ポート605を通して放出源506に導入される。いくつかの実施形態では、N2キャリアガスの流れは、例えば、Th-228を搬送する溶媒の全てが蒸発する前に、流れ分配フィンが依然として「濡れて」いる間に、放出源に導入され得る。他の実施形態では、N2キャリアガスの流れは、流れ分配フィンが「乾燥」した後、例えば、Th-228を搬送する溶媒の全て、又は実質的に全てが蒸発した後に、放出源6に導入され得る。N2キャリアガスの流れは、入口キャリアガス分配空洞617、流れ分配プレート604、及びキャリアガスブレード613によって、流れ分配フィン603のフィンを横切って誘導され、出口ポート607を通して放出源を出る前に、集束出口空洞615に流れる。キャリアガスブレード613は、放出源506を通るガスの流れの均一かつ均質な分配を確実にするために、流入N2キャリアガスの流れを流れ分配フィン603及び流れ分配プレート604を横切って誘導及び分配するように動作可能であり得る。上で記載されたように、流れ分配フィン603を通るN2キャリアガスの流れは、流れ分配フィン603の材料上に吸収されたTh-228の放射性崩壊から形成されたRn-220を、放出源の外へ搬送する。
【0059】
図6の放出源600の安全プラグ606、608、及び611は、放出源の内部を外部環境から隔離するように動作可能であり得る。Th-228は1.91年の半減期を有するため、放出源600の内部は、Th-228が放出源600に導入された後、かなりの期間(例えば、Th-228の10半減期)にわたって放射性を維持し得る。したがって、放射性物質が放出源から逃げないことを確実にするために、例えば、放出源を移動させる必要がある場合、又は装置上で保守を実行する必要がある場合に、放出源の内部を隔離することができることが重要である。
【0060】
上記したように、いくつかの実施形態では、
図1、
図2及び
図5の装置は、自動制御システムによって動作され得る。ある特定の例示的な実施形態では、自動制御システムは、情報取り扱いシステムを使用して実装され得る。そのようなシステムは、
図1の装置全体にわたって配置された1つ以上のセンサに基づいて、例えば、流量、タイミング、及び温度などのいくつかの異なるシステム変数を自動的に制御し得る。例えば、自動化システムは、
図8の方法1000を実行することによって、Pb-212を産生するために、本明細書に開示される装置を動作させ得る。まず、ステップ1001で、Th-228は、
図1~
図6に関して上で記載されたように、高表面積材料を含む放出源300を含有する放出箱202に導入される。次に、ステップ1002で、窒素を含むキャリアガスは、放出箱202に供給される。上で記載されたように、自動化システムは、測定された質量流に基づいて、キャリアガスの流量を制御し得る。次に、ステップ1003で、放出箱202を通って流れた後、キャリアガスは、予冷却された塩酸溶液又は任意の他の酸若しくは水溶液に導入される。最後に、ステップ1004で、Pb-212は、塩酸溶液から分離される。上で記載されたように、予冷塩酸溶液は、-72℃以下の温度を有し得、Rn-220を収集するように動作可能なターゲットを含有し得る。
【0061】
上に開示される特定の実施形態は、開示された主題が、本明細書の教示の利益を有する当業者に明白な、異なるが等価な方法で改変され、実施され得るため、例示にすぎない。更に、以下の特許請求の範囲において記載する場合を除き、本明細書において示される構造又は設計の詳細に限定することを意図したものではない。したがって、上で開示された特定の実施形態が、変更又は修正され得、そのような全ての変形が、開示の主題の範囲及び精神内にあるとみなされることは、明白である。したがって、本明細書で求められる保護は、以下の特許請求の範囲に記載される通りである。
【国際調査報告】