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  • 特表-超多関節ヘビ型ロボット装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】超多関節ヘビ型ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/06 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B25J18/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515397
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022076093
(87)【国際公開番号】W WO2023039461
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/242,136
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】504466834
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】バラキルスキー,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】アーリン,コンラート
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707BS20
3C707CS05
3C707CS09
3C707HT01
3C707KS10
3C707KT00
(57)【要約】
本開示の例示としての実施形態は、柔軟性部材と、1つ以上のアクチュエータと、1つ以上の腱と、コントローラとを含み得るヘビ型ロボット装置を提供する。柔軟性部材は、近位端および遠位端を有し得る。1つ以上のアクチュエータは、柔軟性部材の少なくとも一部を操作するように構成され得る。1つ以上の腱は、1つ以上のアクチュエータの作動の結果として柔軟性部材が動き得るように、1つ以上のアクチュエータのうちのいずれかに接続された第1の端部および柔軟性部材の別々の部位に接続された第2の端部をそれぞれ有し得る。コントローラは、少なくとも1つの制御信号を1つ以上のアクチュエータに送信するように構成され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位端を有する柔軟性部材と、
前記柔軟性部材の少なくとも一部を操作するように構成された1つ以上のアクチュエータと、
前記1つ以上のアクチュエータの作動の結果として前記柔軟性部材が動くように、前記1つ以上のアクチュエータのうちのいずれかに接続された第1の端部および前記柔軟性部材の別々の部位に接続された第2の端部をそれぞれ有する1つ以上の腱と、
少なくとも1つの制御信号を前記1つ以上のアクチュエータに送信するように構成されたコントローラと、を備えたヘビ型ロボット装置。
【請求項2】
前記柔軟性部材は、当該柔軟性部材の前記別々の部位に位置する1つ以上の関節を含み、当該関節の各々は、前記1つ以上の腱の各々の前記第2の端部に連結される、請求項1に記載のヘビ型ロボット装置。
【請求項3】
前記1つ以上の関節は、第1の関節および第2の関節を含み、前記第1の関節は、少なくとも1つの開口を有し、前記1つ以上の腱のうちの第1の腱は、前記第1の関節の前記開口を通り、当該第1の腱の第2の端部が前記第2の関節に連結される、請求項2に記載のヘビ型ロボット装置。
【請求項4】
前記1つ以上の腱のうちの第2の腱の前記第2の端部は、前記第1の関節に連結される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記柔軟性部材は、当該柔軟性部材の長さの少なくとも一部にわたる内部チャンバを含み、前記1つ以上の関節は、前記内部チャンバ内に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
支持構造体をさらに備え、前記柔軟性部材の前記近位端は、当該支持構造体に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
1つ以上のアクチュエータは、前記支持構造体に近接して配置される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記支持構造体は、アクチュエータバンクを含み、当該アクチュエータバンクは、前記1つ以上のアクチュエータを収容する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記柔軟性部材の前記近位端は、前記アクチュエータバンクに接続される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記アクチュエータバンクは、前記支持構造体に沿って移動するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記柔軟性部材は、当該柔軟性部材の長さの少なくとも一部にわたる内部チャンバを含み、前記1つ以上のアクチュエータの少なくとも一部は、前記内部チャンバ内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記柔軟性部材は、当該柔軟性部材の前記遠位端が位置する物理的環境の状態をモニタリングするように構成された1つ以上のセンサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上のセンサは、前記柔軟性部材の前記遠位端が位置する物理的環境内のサンプルを収集するようにさらに構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラから前記1つ以上のアクチュエータに送信される前記少なくとも1つの制御信号に応じて、当該1つ以上のアクチュエータが、前記1つ以上の腱のうちの少なくとも1つの腱の前記第2の端部から当該1つ以上のアクチュエータまでの長さを変更する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記柔軟性部材は、当該柔軟性部材の少なくとも一部が、当該柔軟性部材が位置する物理的環境の少なくとも一部と衝突することに応じて変形するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
支持構造体と、
前記支持構造体に連結された近位端、および物理的環境と相互作用するように構成された遠位端を有する柔軟性部材と、
前記柔軟性部材の少なくとも一部を操作するように構成された1つ以上のアクチュエータと、
前記柔軟性部材の別々の部位に位置する1つ以上の関節と、
前記1つ以上のアクチュエータの作動の結果として前記柔軟性部材が動くように、前記1つ以上のアクチュエータのうちの別々のアクチュエータに接続された第1の端部および前記柔軟性部材の関節に接続された第2の端部をそれぞれ有する1つ以上の腱と、
少なくとも1つの制御信号を前記1つ以上のアクチュエータに送信するように構成されたコントローラと、を備えたヘビ型ロボット装置。
【請求項17】
前記1つ以上の関節は、1つ以上の開口を有する第1の関節を含み、前記1つ以上の腱のうちの第1の腱は、前記1つ以上の開口のうちの第1の開口を通る、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記1つ以上の腱のうちの第2の腱は、前記1つ以上の開口のうちの第2の開口を通る、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記1つ以上の関節は、第2の関節を含み、前記第1の腱の第2の端部は、当該第2の関節に連結される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
第3の腱の第2の端部は、前記第1の関節に連結される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記柔軟性部材に連結された少なくとも1つのセンサをさらに備え、当該少なくとも1つのセンサは、センサ制御線を介して信号を送信するように構成され、前記センサ制御線は、前記1つ以上の開口のうちの第3の開口を通る、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記1つ以上の関節は、第1の関節を含み、前記1つ以上の腱のうちの第1の腱の作動によって前記柔軟性部材が第1の方向に動き、第2の腱の作動によって前記柔軟性部材が第2の方向に動くように、前記第1の腱の第2の端部が前記第1の関節の第1の位置に連結され、前記第2の腱の第2の端部が前記第1の関節の第2の位置に連結される、請求項16に記載の装置。
【請求項23】
前記1つ以上の関節は、前記柔軟性部材の内部チャンバ内に配置される、請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記1つ以上のアクチュエータは、前記柔軟性部材の内部チャンバ内に配置される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記1つ以上のアクチュエータを収容するアクチュエータバンクをさらに備えた、請求項16に記載の装置。
【請求項26】
前記柔軟性部材の前記近位端は、前記アクチュエータバンクを介して間接的に前記支持構造体に連結される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記アクチュエータバンクは、前記支持構造体に沿って移動可能である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記支持構造体は、内径および外径を有するスプールを含み、当該外径は、内径周りに周方向に回動して、外径周りに周方向に配置される前記柔軟性部材の少なくとも一部を巻き取るように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項29】
前記スプールは、前記内径周りに周方向に回転することによって、前記外径周りに周方向に配置される前記柔軟性部材の少なくとも一部を繰り出すようにさらに構成される、請求項28に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年9月9日付で出願された米国仮出願第63/242,136号の利益を主張するものであり、参照によりその全体が以下に完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示の様々な実施形態は、概して超多関節ヘビ型ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘビ型ロボットには様々な形態がある。しかしながら、現行のヘビ型ロボットには、剛性が高すぎるか完全作動型ではないために、通常は壁や支持体に支えられて案内されなくてはならないという欠点がある。これらの欠点により、現行のヘビ型ロボットの設計は、制約のある環境内や障害物の存在下で機敏に動く能力に限界がある。また、前述の制限のために、現行のヘビ型ロボット装置は、制約のある環境に配置されたシナリオまたはミッションセットで伸縮して利用することができない。したがって、カスタム制御された経路計画アルゴリズムに従って制約のある環境内で動作する、柔軟かつ制御可能な、超多関節ヘビ型ロボット装置を提供する必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の例示としての実施形態は、柔軟性部材と、1つ以上のアクチュエータと、1つ以上の腱と、コントローラとを含み得るヘビ型ロボット装置を提供する。柔軟性部材は、近位端および遠位端を有し得る。1つ以上のアクチュエータは、柔軟性部材の少なくとも一部を操作するように構成され得る。1つ以上の腱は、1つ以上のアクチュエータの作動の結果として柔軟性部材が動き得るように、1つ以上のアクチュエータのうちのいずれかに接続された第1の端部および柔軟性部材の別々の部位に接続された第2の端部をそれぞれ有し得る。コントローラは、少なくとも1つの制御信号を1つ以上のアクチュエータに送信するように構成され得る。
【0005】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、柔軟性部材は、柔軟性部材の別々の部位に位置する1つ以上の関節を含み得、関節の各々は、1つ以上の腱の各々の第2の端部に連結される。
【0006】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上の関節は、第1の関節および第2の関節を含み得、第1の関節は、少なくとも1つの開口を有し、1つ以上の腱のうちの第1の腱は、第1の関節の開口を通るように配置され、第1の腱の第2の端部が第2の関節に連結される。
【0007】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上の腱のうちの第2の腱の第2の端部は、第1の関節に連結され得る。
【0008】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、柔軟性部材は、柔軟性部材の長さの少なくとも一部にわたる内部チャンバを含み得、1つ以上の関節は、内部チャンバ内に位置する。
【0009】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、ヘビ型ロボット装置は、支持構造体をさらに含み得、柔軟性部材の近位端は、支持構造体に連結され得る。
【0010】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上のアクチュエータは、支持構造体に近接して位置し得る。
【0011】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、支持構造体は、アクチュエータバンクを含み得、アクチュエータバンクは、1つ以上のアクチュエータを収容し得る。
【0012】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、柔軟性部材の近位端は、アクチュエータバンクに接続され得る。
【0013】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、アクチュエータバンクは、支持構造体に沿って移動するように構成され得る。
【0014】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、柔軟性部材は、柔軟性部材の長さの少なくとも一部にわたる内部チャンバを含み得、1つ以上のアクチュエータの少なくとも一部は、内部チャンバ内に位置する。
【0015】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、柔軟性部材は、柔軟性部材の遠位端が位置し得る物理的環境の状態をモニタリングするように構成された1つ以上のセンサを含み得る。
【0016】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上のセンサは、柔軟性部材の遠位端が位置し得る物理的環境内のサンプルを収集するようにさらに構成され得る。
【0017】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、柔軟性部材は、柔軟性部材の少なくとも一部が、当該部材が位置し得る物理的環境の少なくとも一部と衝突することに応じて変形するようにさらに構成され得る。
【0018】
本開示の別の実施形態は、支持構造体と、柔軟性部材と、1つ以上のアクチュエータと、1つ以上の関節と、1つ以上の腱と、コントローラとを含み得るヘビ型ロボット装置を提供する。柔軟性部材は、支持構造体に連結され得る近位端、および物理的環境と相互作用するように構成され得る遠位端を有し得る。1つ以上のアクチュエータは、柔軟性部材の少なくとも一部を操作するように構成され得る。1つ以上の関節は、柔軟性部材の別々の部位に位置し得る。1つ以上の腱の各々は、1つ以上のアクチュエータの作動の結果として柔軟性部材が動き得るように、1つ以上のアクチュエータのうちの別々のアクチュエータに接続された第1の端部および柔軟性部材の関節に接続された第2の端部を有し得る。コントローラは、少なくとも1つの制御信号を1つ以上のアクチュエータに送信するように構成され得る。
【0019】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上の関節は、1つ以上の開口を有する第1の関節を含み得、1つ以上の腱のうちの第1の腱は、1つ以上の開口のうちの第1の開口を通るように配置される。
【0020】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上の関節は、第2の関節を含み得、第1の腱の第2の端部は、第2の関節に連結され得る。
【0021】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、第3の腱の第2の端部は、第1の関節に連結され得る。
【0022】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、ヘビ型ロボット装置は、センサ制御線を介して信号を送信するように構成され得る少なくとも1つのセンサをさらに含み得、センサ制御線は、1つ以上の開口のうちの第3の開口を通るように配置される。
【0023】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上の関節は、第1の関節を含み得、1つ以上の腱のうちの第1の腱の作動によって柔軟性部材が第1の方向に動き得、第2の腱の作動によって柔軟性部材が第2の方向に動き得るように、第1の腱の第2の端部が第1の関節の第1の位置に連結され得、第2の腱の第2の端部が第1の関節の第2の位置に連結され得る。
【0024】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上の関節は、柔軟性部材の内部チャンバ内に位置し得る。
【0025】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、1つ以上のアクチュエータは、柔軟性部材の内部チャンバ内に位置し得る。
【0026】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、ヘビ型ロボット装置は、1つ以上のアクチュエータを収容するアクチュエータバンクをさらに含み得る。
【0027】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、柔軟性部材の近位端は、アクチュエータバンクを介して間接的に支持構造体に連結され得る。
【0028】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、アクチュエータバンクは、支持構造体に沿って移動可能であり得る。
【0029】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、支持構造体は、内径および外径を有し得るスプールを含み得、外径は、内径周りに周方向に回動して、外径周りに周方向に配置される柔軟性部材の少なくとも一部を巻き取るように構成され得る。
【0030】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、スプールは、内径周りに周方向に回転することによって、外径周りに周方向に配置される柔軟性部材の少なくとも一部を繰り出すようにさらに構成され得る。
【0031】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」および添付の図面に記載されている。実施形態の他の態様および特徴は、特定の例示としての実施形態に関する以下の説明を図面と併せて検討することにより、当業者には明らかになるであろう。本開示の特徴は、特定の実施形態および図面に関連して記載されることがあるが、本開示のすべての実施形態は、本明細書に記載される特徴の1つ以上を含み得る。さらに、1つ以上の実施形態が特定の有利な特徴を有するものとして記載されることがあるが、そのような特徴の1つ以上を、本明細書に記載される様々な実施形態とともに用いることもできる。同様に、例示としての実施形態は、デバイス、システム、または方法の実施形態として以下で記載されることがあるが、そのような例示としての実施形態は、本開示の様々なデバイス、システム、および方法において実施され得ることを理解されたい。
【0032】
本開示の特定の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、より良く理解されるであろう。本開示を説明する目的で、特定の実施形態が図面に示されている。しかしながら、本開示は、図面に示された実施形態の正確な構成および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、例示としてのヘビ型ロボット装置のコンピュータ支援設計(CAD)による説明図を示す。本説明図は、本開示の例示としての実施形態に係るヘビ型ロボット装置の近位-遠位方向における向きを、柔軟性部材、支持構造体、アクチュエータバンク、および関節に関して示す。
【0034】
図2図2は、例示としてのヘビ型ロボット装置の柔軟性部材の説明図であり、コントローラから1つ以上のアクチュエータに送信された制御信号が受信され、1つ以上の関節に連結された1つ以上の腱が柔軟性部材に沿って変位する結果として柔軟性部材が動く様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の原理および特徴の理解を容易にするために、様々な例示としての実施形態を以下に説明する。本明細書に開示される実施形態の様々な要素を構成するものとして以下に説明される構成要素、工程、および物質は、例示としてのものであり、制限的なものではないことが意図される。本明細書に記載される構成要素、工程、および物質と同一または同様の機能を果たすことになる多くの適切な構成要素、工程、および物質は、本開示の範囲内に包含されることが意図される。本明細書に記載されていないそのような他の構成要素、工程、および物質としては、本明細書に開示される実施形態の開発後に開発された同様の構成要素または工程が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数への言及をも含むことに留意されたい。例えば、ある成分への言及は、複数の成分の組成物も含むことを意図している。「ある(a)」構成成分を含む組成物への言及は、その指定された構成成分に加えて他の構成成分を含むことを意図している。
【0037】
また、例示としての実施形態を説明する際に、明瞭化のために用語が援用される。各用語は、当業者によって理解されるその最も広い意味を意図し、同様の目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的同等物を含むことが意図される。
【0038】
「備える」、「含む」、または「有する」とは、少なくとも指定された化合物、元素、粒子、または方法工程が、組成物、物品、または方法中に存在することを意味するが、仮に他の化合物、物質、粒子、方法工程が指定されたものと同じ機能を有する場合、そのような他の化合物、物質、粒子、方法工程の存在を排除するものではない。
【0039】
また、1つ以上の方法工程の記載は、追加の方法工程または明示的に特定された工程間に介在する方法工程の存在を排除するものではないことも理解されたい。同様に、組成物中の1つ以上の成分についての言及は、明示的に特定された成分以外の追加の成分の存在を排除するものではないことも理解されたい。
【0040】
本発明の様々な要素を構成するものとして記載された物質は、例示としてのものであり、制限的なものではないことが意図される。本明細書に記載される物質と同一または同様の機能を果たすことになる多くの適切な物質が、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。本明細書に記載されていないそのような他の物質としては、例えば、本発明の開発後に開発された物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
現在のロボット市場において、障害物を含む制約のある物理的環境の中で非常に器用な操作が可能なロボット装置に対するニーズが高まっている。制約のある物理的環境をナビゲートできる装置の利点は、人間や従来のロボット装置が存在し得ないような環境内で、ユーザが交流したり、状態の検出やモニタリングを行ったりすることを可能にする点にある。マニピュレータとしても知られる従来の剛性ロボット装置は、制約のある物理的環境内をある程度ナビゲートできるが、通常は壁や障害物を利用して自身を支持している。さらに、剛性マニピュレータは、マニピュレータの動作能力を損なう損傷をもたらす可能性があるような、物理的環境内での予期せぬ障害物との衝突の可能性に対応して作動するように特別に設計されていない。本明細書に記載される装置は、「超冗長」設計により、多数の関節の曲げ作動やマニピュレータ本体からの作動機能の分離が可能であり、本体が柔軟であるため、物理的環境内で障害物と衝突して装置の動作能力が損なわれる心配が少なく、伸縮が可能な設計により、様々に用途変更できる等の利点が得られる。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態において、ヘビ型ロボット装置(100)は、近位端(20)および遠位端(30)を有し得る柔軟性部材(200)と、柔軟性部材(200)の少なくとも一部を操作するように構成された1つ以上のアクチュエータ(400)と、1つ以上のアクチュエータ(400)の作動の結果として柔軟性部材(200)が動くように、1つ以上のアクチュエータ(400)のうちのいずれかに接続された第1の端部および柔軟性部材(200)の別々の部位に接続された第2の端部をそれぞれ有し得る1つ以上の腱(600)と、少なくとも1つの制御信号を1つ以上のアクチュエータ(400)に送信するように構成され得るコントローラ(700)とを含み得る。
【0043】
図1は、本開示に記載される例示としてのヘビ型ロボット装置(100)のコンピュータ支援設計(CAD)による設計を示す。ヘビ型ロボット装置(100)は、支持構造体(300)をさらに含み得る。支持構造体(300)は、1つ以上のアクチュエータ(400)を収容するアクチュエータバンクを含み得る。図1に示すように、柔軟性部材(200)の近位端(20)は、1つ以上のアクチュエータ(400)を収容するアクチュエータバンクを介して支持構造体(300)に連結され得る。1つ以上のアクチュエータ(400)を収容するアクチュエータバンクが支持構造体に沿って移動するように構成され得るため、超多関節ヘビ型ロボット装置(100)は、当該装置が配備される物理的環境内で移動することが可能になる。
【0044】
当業者であれば理解できるように、本開示のいくつかの実施形態は、マニピュレータ本体から作動機能を分離できるという点で、従来のロボットマニピュレータとは異なる。マニピュレータは、剛性体に連結されたアーム状のロボット構造体であり、指定されたタスクを実行するために用いることができる。従来のマニピュレータでは、アクチュエータはマニピュレータ本体内に位置しており、装置を動かせる自由度に影響を及ぼしていた。このような従来の装置とは対照的に、本開示に記載されるいくつかの例示的なヘビ型ロボット装置(100)は、アクチュエータバンクに収容された1つ以上のアクチュエータ(400)を支持構造体(300)に近接して配置することにより、柔軟性の自由度を増加させることができる。さらに、柔軟性部材(200)は、柔軟性部材(200)の長さの少なくとも一部にわたる内部チャンバをさらに含み得、1つ以上の関節(500)は、内部チャンバ内で柔軟性部材(200)本体の別々の位置に配置することができる。特許請求される発明の超冗長設計は、柔軟性部材(200)の内部チャンバに1つ以上の関節(500)を追加可能であり、ヘビ型ロボット装置(100)の柔軟性の自由度を増加させることができる。
【0045】
制約のある物理的環境をナビゲートすることに加えて、いくつかの実施形態において、ヘビ型ロボット装置(100)は、エンドエフェクタまたはセンサを用いることによって、物理的環境の状態をモニタリングすることができる。いくつかの実施形態において、柔軟性部材(200)は、柔軟性部材(200)の遠位端(30)が位置し得る物理的環境の状態をモニタリングするように構成され得る1つ以上のセンサをさらに含み得る。1つ以上のセンサはまた、柔軟性部材(200)の遠位端(30)が位置し得る物理的環境内のサンプルを収集するようにさらに構成され得る。当業者であれば理解できるように、物理的環境の状態をモニタリングしサンプルを採取するために用いることができる様々な種類のエンドエフェクタまたはセンサが存在する。ヘビ型ロボット装置(100)とともに用いることができる可能なエンドエフェクタまたはセンサの例としては、カメラ、顕微鏡、生検プローブ、化学センサ、温度センサ、カラーセンサ、モーションセンサ等を挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ヘビ型ロボット装置(100)は、柔軟性部材(200)の遠位端(30)が、成長組織をモニタリングおよび測定するための適切なエンドエフェクタまたはセンサを備え得るバイオリアクター内で用いられ得る。サンプルは、柔軟性部材(200)の遠位端(30)によって収集され得、ロボット装置のオペレータは、1つ以上のセンサおよびエンドエフェクタによって取得されたサンプルおよび他の離散データを回収し得る。
【0046】
図2は、柔軟性部材(200)の詳細図であり、コントローラ(700)からアクチュエータバンクに収容された1つ以上のアクチュエータ(400)に送信された制御信号が受信され、その結果として柔軟性部材(200)が動く様子を示す。柔軟性部材の動きは、1つ以上の腱(600)の動き(またはアクチュエータを用いた腱への引張力の印加)によって部分的に生じさせることができる。1つ以上の関節(500)は、第1の関節および第2の関節を含み得る。1つ以上の関節(500)のうちの第1の関節は、少なくとも1つの開口を有し得、1つ以上の腱(600)のうちの第1の腱は、第1の関節の開口を通るように配置され、第1の腱の第2の端部が第2の関節に連結され得る。結果的に柔軟性部材(200)が動くように、コントローラ(700)は、支持構造体(300)に近接して配置されたアクチュエータバンクに収容された(または柔軟性部材(200)のチャンバ内に配置された)1つ以上のアクチュエータ(400)に少なくとも1つの制御信号を送信し得る。当業者であれば理解できるように、コントローラ(700)は、何らかの相互接続可能な媒体を用いて、1つ以上のアクチュエータ(400)が受信可能な少なくとも1つの制御信号を送信し得る。特許請求される本発明に関連する制御信号を送受信する能力を実現できる相互接続可能な媒体の例としては、クラウドベースのネットワーク、有線ネットワーク、無線(Wi-Fi)ネットワーク、ブルートゥースネットワーク等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
制御信号の受信に応じて、1つ以上のアクチュエータは、1つ以上の腱(600)のうちの少なくとも1つの腱の第2の端部からアクチュエータバンクに収容された(または柔軟性部材(200)のチャンバ内に配置された)1つ以上のアクチュエータ(400)までの長さを変更し得る。1つ以上の腱(600)のうちの少なくとも1つの腱の長さを変更することによって、柔軟性部材(200)は、1つ以上の腱(600)のうちの少なくとも1つの腱の長さの変化に対応する方向に動くことができる。1つ以上の腱(600)と1つ以上のアクチュエータ(400)との組合せによる柔軟性部材(200)の作動に加えて、柔軟性部材(200)は、柔軟性部材(200)の少なくとも一部が、柔軟性部材(200)が位置し得る物理的環境の少なくとも一部と衝突することに応じて変形するようにさらに構成され得る。
【0048】
ヘビ型ロボット装置(100)のいくつかの実施形態において、柔軟性部材(200)の内部チャンバ内の別々の位置に配置された1つ以上の関節(500)の各関節は、1つ以上の開口を含み得る。1つ以上の腱(600)の各々は、1つ以上のアクチュエータ(400)のうちの別々のアクチュエータに接続された第1の端部、および1つ以上の関節(500)のうちのいずれかに接続された第2の端部を含み得る。1つ以上の腱(600)のうちの第1の腱は、1つ以上の関節(500)のうちの第1の関節の1つ以上の開口のうちの第1の開口を通るように配置され得る。1つ以上の腱(600)のうちの第2の腱は、1つ以上の開口のうちの第2の開口を通るように配置され得る。1つ以上の関節(500)は第2の関節を含み得、第1の腱の第2の端部は第2の関節に連結され得る。第3の腱の第2の端部は、1つ以上の関節(500)のうちの第1の関節に連結され得る。ヘビ型ロボット装置(100)は、柔軟性部材(200)に連結され、1つ以上の開口のうちの第3の開口を通るように配置され得るセンサ制御線を介して信号を送信するように構成され得る少なくとも1つのセンサをさらに含み得る。図2に示すように、1つ以上の腱(600)の各々の第2の端部は、1つ以上の関節(500)の別々の位置で終端するか、または1つ以上の関節(500)の1つ以上の開口のうち1つを通るように配置され得る。したがって、ヘビ型ロボット装置(100)は、1つ以上の腱(600)のうちの別々の腱の第1の端部に連結され得る1つ以上のアクチュエータ(400)のうちの別々のアクチュエータの作動によって部分的に動くことができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、1つ以上の関節(500)は、第1の関節を含み得、1つ以上の腱(600)のうちの第1の腱の第2の端部が第1の関節の第1の位置に連結され得、第1の腱の第1の端部が1つ以上のアクチュエータ(400)のうちの別々のアクチュエータに接続され得る。第2の腱の第2の端部は、第1の関節の第2の位置に連結され得、第2の腱の第1の端部は、1つ以上のアクチュエータ(400)のうちの別々のアクチュエータに接続され得る。したがって、柔軟性部材(200)は、1つ以上の腱(600)のうちの第1の腱の作動によって第1の方向に動き得る。また、柔軟性部材(200)は、1つ以上の腱(600)のうちの第2の腱の作動によって第2の方向に動き得る。
【0050】
前述したように、いくつかの実施形態において、ヘビ型ロボット装置(100)は、当該装置が配備され得る用途または物理的環境に基づいて伸縮が可能である。説明のために、ヘビ型ロボット装置(100)の有用性をバラストタンクの検査の文脈で説明する。古代の船舶は、安定性と耐航性を維持する目的で、岩、鉄、土嚢等からなる固形バラストを船舶の戦略的な位置に配置した。現代の船舶は、汽水、海水、淡水等の液体バラストを古代の船舶と同じ目的で使用している。船の大きさに応じて、複数のバラストタンクを船内の別々の場所に配置することができる。現代の船舶のバラストタンクは、非常に腐食性の高い環境になる可能性があり、バラストの完全性を確認するための保証検査が必要である。これらの検査は、航海中、航海前、航海後に実施される可能性があり、本明細書に記載される特許請求の範囲の発明を用いて実施することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、ヘビ型ロボット装置(100)の支持構造体(300)は、内径および外径を有し得るスプールを含み得る。外径は、内径周りに周方向に回動するように構成され得、外径周りに周方向に配置される柔軟性部材(200)の少なくとも一部を巻き取り得る。スプールは、内径周りに周方向に回転することによって、外径周りに周方向に配置される柔軟性部材(200)の少なくとも一部を繰り出すようにさらに構成され得る。本明細書に記載される超多関節ヘビ型ロボット装置(100)の実施形態は、バラストタンクの検査に適用することができる。具体的には、近位端(20)が支持構造体(300)のスプールに連結された状態のスプールを用いることによって、柔軟性部材(200)をバラストタンク内へと繰り出すことができる。柔軟性部材(200)の遠位端(30)は、柔軟性部材(200)に連結され得るエンドエフェクタおよび1つ以上のセンサを介して、バラストタンク内の状態をモニタリングし、バラストタンク内の物理的環境をサンプリングするために用いることができる。
【0052】
本明細書に開示される実施形態および特許請求の範囲は、その適用において、本明細書に記載され図面に示された構成要素の構造および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。むしろ、本明細書および図面は、想定される実施形態の例を提供するものである。本明細書に開示される実施形態および特許請求の範囲は、さらに他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施および実施されることが可能である。また、本明細書で採用される表現および用語は、説明のためのものであり、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0053】
したがって、当業者であれば、本出願および特許請求の範囲の基礎となる着想は、本出願に提示された実施形態および特許請求の範囲のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、およびシステムの設計の基礎として容易に利用できることが理解できるであろう。したがって、特許請求の範囲は、このような同等の構成を含むものとみなされることが重要である。
【0054】
さらに、要約書の目的は、米国特許商標庁および特に特許や法律の用語や表現に精通していない当業者を含む一般公衆が、一読するだけで本出願の技術開示の内容および要旨を迅速に把握できるようにすることにある。要約書は、本出願の特許請求の範囲を定義するものではなく、また、特許請求の範囲をいかようにも限定するものでない。
図1
図2
【国際調査報告】