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特表2024-535786空気中の病原体を不活性化するための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】空気中の病原体を不活性化するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/015 20060101AFI20240925BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20240925BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20240925BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20240925BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20240925BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20240925BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20240925BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240925BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20240925BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240925BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240925BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240925BHJP
   F24F 8/26 20210101ALI20240925BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20240925BHJP
   F24F 8/60 20210101ALI20240925BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
A61L9/015
A61L9/00 C
A61L9/16 F
B01D53/047
B01D46/00 F
B01J20/04 A
B01J20/04 B
B01J20/04 C
B01J20/08 A
B01J20/08 C
B01J20/18 B
B01J20/18 E
B01J20/20 B
B01J20/20 C
B01J20/22 A
B01J20/26 A
A61L9/01 B
F24F8/108 120
F24F8/26
F24F8/167
F24F8/60
F24F8/80 200
F24F8/80 254
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515576
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022025797
(87)【国際公開番号】W WO2023038671
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】17/470,306
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090518
【氏名又は名称】マイクロン ピュア, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MICRON PURE, LLC
【住所又は居所原語表記】10900 S. Clay Blair Blvd., Suite 1800, Olathe, Kansas 66061 (US).
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】リービット, デビッド, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ベルギダ, ジョン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン, ティモシー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲモ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】リービット, デブリン
(72)【発明者】
【氏名】ニイ, チャンネリー
(72)【発明者】
【氏名】ボディッカー, コーリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルギダ, トニー
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン, マイケル
【テーマコード(参考)】
4C180
4D012
4D058
4G066
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180CA01
4C180CC13
4C180DD03
4C180DD09
4C180DD12
4C180DD17
4C180EA17X
4C180EA35X
4C180HH01
4C180HH05
4C180HH17
4C180HH19
4C180KK02
4C180KK04
4C180LL06
4D012BA01
4D012BA02
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4D012CH10
4D012CJ05
4D058JA12
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4D058TA03
4D058TA06
4D058TA07
4D058TA08
4D058UA25
4G066AA05B
4G066AA13B
4G066AA16B
4G066AA17B
4G066AA20B
4G066AA61B
4G066AB24B
4G066AC11B
4G066CA28
4G066DA03
(57)【要約】
吸気口と、排気口と、吸気口と排気口との間に配設され、リアクタ空間全体を空気が連続的に通過するための気流経路と、を有するリアクタ空間を含む、空気中の病原体を不活性化するための装置及び方法。装置はまた、(i)圧力スイング吸着ユニットを有するコロナ放電ユニット、又は(ii)不活性病原体に対して十分な濃度のオゾン及びUV光を生成するためのUV-C殺菌ランプのうちの少なくとも1つを含む。装置はまた、不活性化ステップの後にオゾンを酸素に変換するための気流の経路内に配設された触媒、及び空気から窒素酸化物を除去するための吸着剤を含む。装置はまた、排気口においてオゾン及び窒素酸化物濃度を測定するためのセンサを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に浮遊する病原体を不活性化するための装置であって、
吸気口及び排気口を有するリアクタ空間であって、前記リアクタ空間全体を空気が連続的に通過するように、気流経路が前記吸気口と前記排気口との間に配設されている、リアクタ空間と、
前記リアクタ空間を通過する前記空気中に浮遊する微粒子を除去するためのプレフィルタと、
前記リアクタ空間を通って空気を推進するためのファンと、
オゾン生成器と、
前記オゾン生成器に近接する前記リアクタ空間内の複数のバッフルであって、前記リアクタ空間の前記吸気口と前記排気口との間を通過する前記空気に乱流を与える、複数のバッフルと、
前記ファンの後に、前記気流の前記経路内に配設され、オゾンを酸素に変換する触媒と、
前記排気口において排出する前に、浮遊微粒子及び病原体を捕捉するために、前記気流経路に配設されたフィルタと、
前記排気口における前記空気内のオゾン濃度を測定するための少なくとも1つのセンサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記プレフィルタの後の前記リアクタ空間内に、(i)オゾン逆流防止器であって、フラッパバルブを備える、オゾン逆流防止器、又は(ii)オゾンを酸素に変換する触媒のうちの少なくとも1つが配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記オゾン生成器が、コロナ放電ユニットであって、前記コロナ放電ユニットを冷却するためのヒートシンクを更に備える、コロナ放電ユニットを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のバッフルが、前記リアクタ空間内の前記気流経路を部分的に遮断する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記触媒が、二酸化マンガン(MnO)からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記触媒が、第1の側面及び第2の側面を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間に延在する複数の開いたチャネルを有するハニカム構成で構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
圧力スイング吸着ユニットが、前記オゾン生成器に酸素を排出して、オゾンの産生を強化し、前記リアクタ空間内での大気中の窒素の窒素酸化物への前記変換を低減する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
バルブが、前記圧力スイング吸着ユニットによって前記オゾン生成器に提供される酸素の流量を制御するように動作可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記バルブが、前記オゾン生成器への濃縮酸素の流速を最適化するために、オゾンセンサ、窒素酸化物センサ、及び制御デバイスと動作可能に通信する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記制御デバイスが、(i)マイクロコンピュータ、(ii)マイクロコントローラ、又は(iii)プログラマブルロジックコントローラのうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記排気口における前記空気中の二酸化窒素の濃度が、100PPB未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
吸着剤が、前記リアクタ空間内の前記空気から窒素酸化物化合物を除去するために、前記気流の前記経路内に配設され、前記吸着剤が、酸化バリウム、酸化カリウム、アルカリ、アルカリ土類金属、活性炭、分子ふるい、金属有機構造体、ゼオライト、貴金属、ソーダ石灰(NaOH-CaO混合物)、活性アルミナ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
空気中に浮遊する病原体を不活性化するための装置であって、
吸気口及び排気口を有するリアクタ空間であって、前記リアクタ空間全体を空気が連続的に通過するように、気流経路が前記吸気口と前記排気口との間に配設されている、リアクタ空間と、
前記リアクタ空間を通過する前記気流内に浮遊する微粒子を除去するためのプレフィルタと、
(i)フラッパバルブ、又は(ii)前記吸気口を通るオゾンの排出を制限するための第1の触媒のうちの少なくとも1つと、
前記リアクタ空間を通って空気を推進するためのファンと、
前記吸気口に近接して配設されたオゾン生成器であって、(i)コロナ放電ユニット、又は(ii)紫外線光オゾン生成器のうちの少なくとも1つを備える、オゾン生成器と、
前記オゾン生成器に近接する前記リアクタ空間内の複数のバッフルであって、前記リアクタ空間内を通過する前記空気に乱流を与える、複数のバッフルと、
オゾンを酸素に変換するための前記気流の前記経路内に配設された第2の触媒と、
前記第2の触媒の後に、前記排気口において排出する前に、浮遊微粒子及び病原体を捕捉するために、前記気流経路に配設されたフィルタと、
前記排気口における前記空気内のオゾンの濃度を測定するための少なくとも1つのセンサと、を備える、装置。
【請求項14】
コロナ放電ユニットが、前記コロナ放電ユニットを冷却し、それによってオゾン形成の効率を改善するためのヒートシンクを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記リアクタ空間内の前記空気から窒素酸化物化合物を除去するために、前記気流の前記経路内に配設された吸着剤が、酸化バリウム、酸化カリウム、アルカリ、アルカリ土類金属、活性炭、分子ふるい、金属有機構造体、ゼオライト、貴金属、ソーダ石灰(NaOH-CaO混合物)、活性アルミナ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つのオゾンセンサが、少なくとも2つのセンサ、前記オゾン生成器に近接して位置する第1のセンサ、及び前記排気口に近接して位置する第2のセンサである、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの窒素酸化物センサが、前記排気口に近接して位置し、少なくとも1つの窒素酸化物センサが、前記オゾン生成器に近接して位置する、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記排気口における前記オゾンの濃度が、40CFR§50.19における国家周囲空気品質基準によって設定された濃度よりも低い、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記排気口における二酸化窒素の濃度が、40CFR§50.11における国家周囲空気品質基準によって確立された濃度よりも低い、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
空気中に浮遊する病原体を不活性化するための装置であって、
吸気口及び排気口を有するリアクタ空間であって、前記リアクタ空間全体を空気が連続的に通過するように、気流経路が前記吸気口と前記排気口との間に配設されている、リアクタ空間と、
前記リアクタ空間を通過する前記空気中に浮遊する微粒子を除去するためのプレフィルタと、
前記リアクタ空間を通って空気を推進するためのファンと、
少なくとも1つの紫外線光オゾン生成器と、
前記オゾン生成器に近接する前記リアクタ空間内の少なくとも1つのバッフルであって、前記リアクタ空間内を通過する前記空気に乱流を与える、少なくとも1つのバッフルと、
前記ファンの後に、前記気流の前記経路内に配設され、オゾンを酸素に変換する触媒と、
前記触媒の後に、前記排気口において排出する前に、浮遊微粒子及び病原体を捕捉するために、前記気流経路に配設されたフィルタと、を備える、装置。
【請求項21】
前記装置の内側で生成されるオゾン濃度が、1~55ppmの範囲にある、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つのセンサが、前記排気口における前記空気中のオゾン濃度を測定するために動作可能であり、70PPB未満である、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記プレフィルタの後の前記リアクタ空間内に、(i)オゾン逆流防止器であって、フラッパバルブを備える、オゾン逆流防止器、又は(ii)オゾンを酸素に変換する触媒のうちの少なくとも1つが配設される、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
(i)加熱要素、又は(ii)冷却要素のうちの少なくとも1つが、前記排気口に近接して配設される、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
(i)加熱要素、又は(ii)冷却要素のうちの少なくとも1つが、前記オゾン生成器に近接して前記リアクタ内に配設される、請求項20に記載の装置。
【請求項26】
空気中に浮遊する病原体を不活性化するための装置であって、
吸気口及び排気口を有するリアクタ空間であって、前記リアクタ空間全体を空気が連続的に通過するように、気流経路が前記吸気口と前記排気口との間に配設されている、リアクタ空間と、
前記リアクタ空間を通って空気を推進するためのファンと、
前記吸気口に近接して配設されたオゾン生成器であって、(i)コロナ放電ユニット、又は(ii)紫外線光オゾン生成器のうちの少なくとも1つを備える、オゾン生成器と、
前記オゾン生成器に近接する前記リアクタ空間内の複数のバッフルであって、前記リアクタ空間内を通過する前記空気に乱流を与える、複数のバッフルと、
前記ファンの後に、前記気流の前記経路内に配設され、オゾンを酸素に変換する触媒と、
前記触媒の後に、前記排気口において排出する前に、浮遊微粒子及び病原体を捕捉するために、前記気流経路に配設されたポストフィルタと、を備える、装置。
【請求項27】
前記触媒が、MnOである、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記ファンが、前記排気口に近接して配設される、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
排気に近接する前記気流経路に配設された前記フィルタが、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタである、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記装置の内側で生成されるオゾン濃度が、1~55ppmの範囲にある、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記排気口における前記オゾンの濃度が、40CFR§50.19における国家周囲空気品質基準によって設定された濃度よりも低い、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
(i)加熱要素、又は(ii)冷却要素のうちの少なくとも1つが、前記排気口に近接して配設される、請求項26に記載の装置。
【請求項33】
(i)加熱要素、又は(ii)冷却要素のうちの少なくとも1つが、前記オゾン生成器に近接して前記リアクタ内に配設される、請求項26に記載の装置。
【請求項34】
空気中に浮遊する病原体を不活性化するための装置であって、
吸気口及び排気口を有するリアクタ空間であって、前記リアクタ空間全体を空気が連続的に通過するように、気流経路が前記吸気口と前記排気口との間に配設されている、リアクタ空間と、
前記リアクタ空間を通って空気を推進するための第1のファンと、
前記リアクタ空間を通して空気を推進して、所望の流量を達成するための第2のファンと、
プレフィルタの後の前記リアクタ内に配設される、(i)空気逆流防止器、(ii)オゾンを酸素に変換する触媒のうちの少なくとも1つと、
前記リアクタ空間の外部に配設されたオゾン生成器であって、(i)圧力スイング吸着ユニットと動作可能なコロナ放電ユニット、及び(ii)紫外線光オゾン生成器からなる群から選択される、オゾン生成器と、
前記外部オゾン生成器から前記気流経路に高濃度オゾンを注入するために、前記吸気口に近接して配設された入口ポートと、
前記リアクタ空間内を通過する前記空気に乱流を与えるために、前記オゾン生成器に近接する前記リアクタ空間内の(i)バッフル又は(ii)空気整流器のうちの少なくとも1つと、
オゾンを酸素に変換するための前記気流の前記経路内に配設された触媒と、
前記排気口において排出する前に、浮遊微粒子及び病原体を捕捉するために、前記気流経路に配設されたフィルタと、
前記排気口における前記空気内のオゾン濃度を測定するための少なくとも1つのセンサと、を備える、装置。
【請求項35】
前記第2のファンの前に、(i)空気逆流防止器、(ii)オゾンを酸素に変換する触媒のうちの少なくとも1つが位置決めされる、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記第2のファンの後に、(i)空気逆流防止器、(ii)オゾンを酸素に変換する触媒のうちの少なくとも1つが位置決めされる、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記第2のファンが、前記排気口に近接して配設される、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
少なくとも1つの前記外部オゾン生成器に送達される前記気流が、圧力スイング吸着ユニットによって50%~99%の酸素の範囲内に濃縮される、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記外部オゾン生成器の内側で生成された前記オゾン濃度が、1,000~60,000ppmの範囲内である、請求項34に記載の装置。
【請求項40】
前記装置の内側の前記オゾン濃度が、1~55ppmの範囲内である、請求項34に記載の装置。
【請求項41】
前記排気口における前記オゾンの濃度が、40CFR§50.19における国家周囲空気品質基準によって設定された濃度よりも低い、請求項34に記載の装置。
【請求項42】
プレフィルタが、前記装置の前の前記気流経路に配設される、請求項34に記載の装置。
【請求項43】
(i)加熱要素、又は(ii)冷却要素のうちの少なくとも1つが、前記装置の前の前記気流経路内に位置決めされる、請求項34に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウイルス、細菌、及び真菌胞子などの空気中の病原体をオゾンで不活性化し、続いて生成されたオゾンを触媒進分解するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの疾患は、ウイルス及び細菌などの空気中の病原体への曝露から感染する。これらの生物は、くしゃみ、咳、液体の噴霧、粉塵の拡散、又はエアロゾル化された粒子の生成をもたらす任意の活動を通じて拡散され得る。これらのエアロゾル化された粒子は、感染した患者又は動物からの体内分泌物、蓋を開けた状態でのトイレの洗浄などの感染源から、又はゴミ、洞窟、及び様々な他の容器に蓄積する生体廃棄物から生成され得る。
【0003】
病原体を包含する液滴が形成されると、それらは次に、気流を介して分散され、感染しやすい宿主によって吸入される可能性がある。エアロゾル化された粒子は、何時間も空気中に浮遊したままであり得、かなりの距離を移動することができる。病院のような公共の場、又は自宅のような私的な場での感染のリスクを軽減するために、適切な予防措置を講じなければならない。空気中の粒子は、気流によって、単一の部屋に集中する場合もあれば、他の部屋に移動する場合もある。
【0004】
換気が不十分な場合、空気中の粒子が建物又は部屋に残り、1人以上の居住者によって吸入される場合がある。病原体の空気感染を制御及び予防するために、空気清浄機、消毒技法の実践、パーソナライズされた保護具(PPE)の着用、手洗いのような基本的な感染予防対策など、多くの方法が実装されている。空気感染性疾患は、咳、くしゃみ、笑い、及び他の密接な接触によって感染者から排出されるのに十分に小さい病原性微生物によって引き起こされる。排出された微生物は、粉塵粒子又は液滴となって空気中に浮遊したままとなる。
【0005】
吸入により、ヒトの上気道及び下気道は、空気中の種々の粒子及び蒸気に曝露される。環境、動物、又は他のヒトからヒトへの病原性微生物の空気感染は、疾患をもたらす可能性がある。肺は胃腸管よりも感染しやすいため、吸入は、重要な曝露経路である。
【0006】
摂取された微生物は組織を定着できるようになる前に胃の酸性環境を通過しなければならないが、吸入された微生物は気道の湿った表面に直接沈着する。微生物エアロゾルを吸入すると、感染、アレルギー反応、炎症、及び呼吸器疾患を含む有害なヒトの健康への影響を引き起こす可能性がある。吸入後、感染性ウイルス、細菌、及び真菌が、気道の宿主細胞に定着する可能性がある。一部は移行し、胃腸管及び他の組織に感染する。
【0007】
通常風邪などの空気感染性疾患は、典型的には、ライノウイルスなどのウイルスによって引き起こされる。ライノウイルスは、しばしば株を変化させることができ、ヒトのより容易な感染を可能にする。別のウイルスである帯状疱疹水痘は、水疱瘡を引き起こし、幼児に容易に広がる。おたふく風邪は、耳のすぐ下にある分泌腺を冒し、腫れ、及び、場合によっては、聴力損失を引き起こす。百日咳菌は、気道の腫れにつながる百日咳と呼ばれる病気を引き起こす。加えて、急速に広がっているコロナウイルスであるSARS-CoV-2、及びそれが引き起こす疾患であるCOVID-19は、引き続き世界的な課題を引き起こしている。COVID-19の最も一般的な症状には、発熱、咳、疲労、息切れが含まれる。
【0008】
病原体を不活性化するために、オゾン及びヒドロキシルラジカルなどの酸化剤は、塩素化漂白剤又は過酸化水素などの従来の消毒剤化合物の代替物として提案されている。オゾンは消毒の現場において空気から生成させることができるため、液体消毒剤を保管する必要がない。オゾン分子は、ウイルス及び細菌のDNA又はRNAを標的とし、化学構造を損傷して、病原体の不活性化をもたらす。本明細書に開示される装置では、オゾンは、リアクタ内で生成され、気流内の病原体を不活性化する。次いで、オゾンは何らかの追加の副産物とともに除去され、気流が環境内に安全に放出されることを確実にする。本装置は、連続的に動作し、大きい空間での高流量、並びに小さい空間での低流量にも対応できるため、より小さいリアクタ構成がもたらされ得る。
【発明の概要】
【0009】
ウイルスのような空気中の病原体を不活性化又は減衰させる装置又はシステムに対する多大なニーズが存在する。病原体を不活性化又は減衰させるとは、病原体の発病能力を失わせることを意味する。全てではないにせよ、非常に高い割合で空気中の病原体を不活性化することが、本明細書に開示する装置の究極の目的である。病原体を不活性化するために、オゾンはリアクタ内で生成され、気流内で混合される。空気がリアクタ内を流れるとき、オゾンが気流に混合され、空気中の病原体と接触して不活性化する。オゾンは吸入すると肺炎症を引き起こす可能性があるため、新たに消毒された気流が大気中に放出される前に、オゾン及び他の副産物が除去される。これらのプロセスが完了すると、気流が環境に戻される。
【0010】
本装置は、本明細書に開示される第1の実施形態では、個人住宅内の部屋、映画館、倉庫、フルフィルメントセンター、航空機の客室、公共交通機関のバス、列車などの閉鎖空間内に配置するように構成されている。病原体を不活性化することは、空気がしばしば制約された空間でヒトによって吸引される、病原体による居住者の感染を回避するために重要である。代替的な実施形態では、病原体の不活性化後に装置から出る空気の呼吸をサポートするために適切に構成された装置を含むように、ユーザがデバイスを携帯することを可能にする、個人用の携帯可能な空気感染性病原体不活性化装置を開発することも、本開示によって企図される。
【0011】
本明細書で開示する装置は、住居などの小さい会場にも、倉庫のようなはるかに大きい会場にも対応するようにサイズ設定され得る。装置は、クリーンエア送達速度(CADR)として既知である設定された時間内に、構造内に含有される全体積の空気を循環させるように適切にサイズ設定され得る。理想的には、初期の設計基準にもよるが、居住者が特定の部屋でより多くの時間を過ごすことを意図する場合、装置を構造内の別の場所、例えば住宅の別の部屋などに手動で移動させることができる。
【0012】
開示されたデバイスは、空気が吸気口を通ってファンで誘導されるチャンバ又はリアクタを備える。吸入空気は、チャンバに入る際に事前濾過される。プレフィルタの目的は、空気中の微粒子の一部を除去することであるが、好ましいフィルタ効率は、リアクタへの気流を制限しないようにすることである。言い換えると、好ましいプレフィルタは、MERVフィルタとして既知であるそれらのフィルタとして分類される。MERVは、「中効率レポート値」の略であり、10ミクロンと1ミクロン未満の粒子を除去するフィルタの能力の評価である。プレフィルタは、7~16の範囲内のMERV定格を有し、粉塵、油、粉末、及び様々なより大きい病原体などの3~0.3ミクロンのサイズの粒子を除去することができる。
【0013】
本明細書に開示される装置の好ましい実施形態はまた、空気が酸素に変換されていないオゾンを含有し得るため、逆流防止器を利用して、吸気口を介してリアクタ空間からの空気漏れの可能性を低減する、又は好ましくは排除する。逆流防止器は、吸気領域を通って移動する気流を停止するヒンジ付きフラッパ又は半フレキシブルパネルと同じくらい基本的なものであり得る。代替的な実施形態では、リアクタの吸気口に近接して位置するオゾン分解触媒はまた、ユニットへの吸気ファンがオフにされたとき、触媒を通って戻る空気中に存在するオゾンは、プレフィルタを通って出る前に酸素に変換されるように、逆流防止器の機能を提供することができる。好ましい実施形態は、ハニカムモノリシック基板上にコーティングされた二酸化マンガン(MnO)を利用する。モノリシック基板は、典型的には、菫青石又は金属化合物などのセラミックである。
【0014】
リアクタ空間内の次の構成要素は、リアクタの吸気口を通って空気を吸い込み、それをリアクタ空間内に前進させるのに働きをするファンである。ファンは高い速度で回転するため、ファンブレードと空気との間に摩擦力が生じ、静電気が蓄積する。この静電気により、粉塵粒子がファンブレードの縁部に付着し、ファンの効率が低下する。先に詳述したプレフィルタは、ファンブレード及び他の内部チャンバ表面に付着する可能性のある粉塵粒子の侵入の可能性を低減する働きをする。
【0015】
本開示では、より静かな設定が必要とされる場合に、装置の処理能力を増加させるか、又はデバイスを通る空気の移動によって生成される音を低減させるために処理能力を減少させる必要性に対処するために、可変速ファンも企図されている。様々な実施形態では、ファンは、(i)逆流防止器又は第1のオゾン分解触媒の前、(ii)逆流防止器又は第1のオゾン分解触媒の後、又は(iii)本明細書に開示される装置の排気口に近接して位置し得る。
【0016】
ファンに隣接するのがオゾン生成デバイスである。オゾン生成源の様々な実施形態は、本開示によって企図される。第1の実施形態は、コロナ放電デバイスのみを利用する。コロナ放電デバイスでは、電圧が2つの電極の間に印加され、電極間の空気がイオン化される。このイオン化によって二原子酸素が分裂し、原子酸素分子が生成され、これが反応してオゾンが形成される。コロナ放電デバイスの一般的な変形には、誘電体バリア放電、非熱プラズマ、及びイオン風が含まれる。本開示では、装置内のオゾン濃度が1~55ppm(parts per million,PPM)であることが企図される。
【0017】
大気中のコロナ放電によるオゾンの産生の望ましくない副産物は、二酸化窒素(NO)、酸化窒素(NO)、及び五酸化二窒素(N)を含む窒素酸化物(NO)の形成である。これらの窒素酸化物は、乾燥した空気が78体積%で構成される二原子窒素を豊富に含むため、コロナ放電から作り出される。空気がコロナ放電デバイスに入ると、二原子窒素は二原子酸素と同じ方法で分割され、酸素又はオゾンと反応して窒素酸化物を形成することができる、原子窒素を作り出す。
【0018】
コロナ放電から産生されるオゾンの濃度が高い場合、主な窒素酸化物は、二酸化窒素(NO)である。これは、オゾンがNOからNOのように他の窒素酸化物を酸化するためである。米国環境保護庁によって確立され、40CFR§50.11に成文化されている国家環境大気品質基準は、1時間の最大二酸化窒素濃度を100ppb(parts per billion,PPB)、平均年間濃度を53ppbに設定している。先に述べたように、コロナ放電デバイスの目的は、空気中の病原体を不活性化するのに十分な高濃度で、十分な滞留時間でオゾンを生成することである。窒素酸化物副産物は、望ましくないものであり、好ましくは、本明細書に開示される装置の排気口に到達する前に、気流から除去される。
【0019】
二酸化窒素とそれに関連する化合物の産生を回避することが望ましい道であり、そのような目的を達成するための実施形態も開示されている。「圧力スイング吸着」(PSA)として既知である確立された技術が、採用され得る。圧力スイング吸着は、窒素を酸素から分離するために酸素濃縮器で一般的に使用されている。このプロセスは、リアクタ空間における窒素酸化物の形成に利用可能な窒素の濃度を低減するために使用される。
【0020】
本明細書に開示されるリアクタ内で使用するための好ましい実施形態では、圧力スイング吸着機器は、最大約150psiの、好ましくはいくつかの例ではより高い内部ガス圧力に耐えることができる2つの容器(タンク)を利用する。第1の容器が加圧されている間、第2の容器は減圧されるため、識別された技術の名前で「スイング」という用語を使用する理由がある。各容器内では、加圧されたときに窒素に対しては高い親和性を有するが、酸素に対しては親和性のない吸着剤が使用される。ゼオライトと呼ばれるアルミノケイ酸塩化合物は、酸素濃度のための圧力スイング吸着で最も一般的に使用される吸着剤の1つである。
【0021】
第1の容器では、窒素は、容器のベースにおいてベッドの形態で位置決めされたゼオライトによって吸着され、濃縮酸素流がベッドを通過して上部から出ることを可能にする。次いで、この濃縮酸素流を加圧容器の上部からコロナ放電デバイスに送り出すことができ、窒素酸化物、すなわちNO、NO、Nなどの著しい濃度の形成を低減し、オゾンの濃度をコロナ放電デバイス内で産生された1,000~60,000ppmのレベルまで実質的に増加させる。ゼオライトが窒素の最大吸着能力に達すると、更なる窒素吸着を可能にするために、第1の容器を再生しなければならない。これを行うために、入口気流を第2の容器に送り、第1の容器が再生されている間の連続動作を確実にする。
【0022】
第1の容器を再生するために、容器を減圧し、窒素をゼオライトの表面から脱着させる。次いで、窒素は、窒素酸化物のように肺の機能不全を引き起こさないため、濃縮窒素を含有するこの脱着流は、ヒトの健康に害を及ぼすことなく、圧力スイング吸着容器周辺の周囲の雰囲気に安全に放出することができる。最大窒素吸着容量に達すると、第2の容器のプロセスが再び完了し、入口気流を新しく再生された第1の容器に切り替えて、一定の酸素産生を維持する。典型的には、通常、圧力スイング吸着酸素濃縮器から出る酸素濃度は、90%を上回るが、99%を上回らない。いくつかの圧力スイング吸着ユニットは、50%純度などのより低い濃度において酸素を生成することができる。
【0023】
本開示は、少なくとも1つの実施形態において、コロナ放電デバイスを通過する全体的な気流の一部分が、圧力スイング吸着ユニットの容器から連続的に送られる酸素であることを企図している。コロナ放電デバイスに入る気流にはいくらかの窒素が存在し、米国環境保護庁(米国EPA)が設定した安全な最大濃度制限を下回る窒素酸化物の最小の形成を可能にする。コロナ放電デバイスでの二酸化窒素及び他の窒素系汚染物質の産生を最小化するために、最適な構成は、圧力スイング吸着ユニットからの酸素の供給を最大化し、コロナ放電デバイスのプレート間を通過する周囲空気の送達を最小化し得る。
【0024】
本デバイスの第2の実施形態では、紫外線(UV)ランプが、オゾンを産生するために使用される。UVランプは、環境中でオゾンが産生されるのと同じようにオゾンを産生し、UV光が二原子酸素に接触し、酸素が2つの原子酸素原子に分裂する。これらの原子は、追加の二原子酸素分子と反応してオゾンを形成する。UV光は、その波長に基づいて分類され、世界保健機関(WHO)によって定義された範囲は、315~400nmにおけるUV-A、280~315nmにおけるUV-B、及び100~280nmにおけるUV-Cである。UV光からのオゾン産生は、約185nmの波長において発生する。典型的には、ほとんどの市販のUVランプはオゾンを望ましくない副産物とみなしているため、これらのランプはコーティングを使用して約185nmの波長の放出を遮断する。オゾン産生に使用されるUVランプでは、これらの波長は、最大化される。
【0025】
UVランプは、水銀などのガスに電気を通すことで光を産生する。これを行うために、バラストと呼ばれるデバイスは、より低い入力電圧を、ある電極から別の電極にランプにわたって移動するより高い出力電圧に変換する。これは、電極間の水銀ガスが電気によって励起されてUV光を産生することを可能にする。最近では、UV LEDはUV光を産生するためにも提案されているが、そのコストがその使用を制限している。水銀又はアルゴンを含有するものなどのUVランプは、産生されるUV光のタイプに対して選択的ではなく、所望の波長範囲に対して最適化されなければならないが、UV LEDは、波長の非常に小さいサブセットを放出するように調整することができる。
【0026】
コロナ放電デバイスとは異なり、UVランプ又はUV LEDは、オゾンを形成するために二原子酸素を分割するUVの波長が二原子窒素を分割しないため、窒素酸化物をほとんど又はまったく産生しない。これは、UVランプ又はUV LEDでオゾンを産生する主な利点である。しかしながら、コロナ放電デバイスは、オゾンを産生するのがより効率的であり、所与の空気流量に対してはるかに多くの量を産生することができる。したがって、所望の用途を満たすために、オゾン生成デバイスの慎重な選択が必要とされる。
【0027】
追加の利点として、UV光は消毒性質を有し、消毒方法として一般的に使用される。典型的には、UV-Cは核酸を破壊し、DNAを破壊することで微生物を死滅又は不活性化させ、重要な細胞機能を果たせなくするために使用される。紫外線光の実施形態は、好ましくは、150~280nmの光の波長を放出するUV-C殺菌ランプを利用し、典型的には、毎分200立方フィート(CFM)の気流中で2.5~20g/時間のオゾンを産生する。オゾン産生用の紫外線ランプの大きさは、より大きい体積に対応するように適宜拡大し得る。
【0028】
オゾン生成デバイスが所望の濃度のオゾンを生成すると、混合バッフルが気流を十分に混合し、オゾン化された空気への病原体の曝露を増加させ、病原体の不活性化の可能性を相応に高める働きをする。バッフルのより複雑な構成はまた、本開示によって企図され、増加した乱流を生成するために追加の吊り下げプレート又はロッドを含み得る。
【0029】
混合バッフルに続いて、開示された装置は、オゾンを酸素に変換するために使用されるリアクタ内の第2のオゾン分解触媒を利用する。この触媒は、典型的には、モノリシック基板上にMnOがコーティングされた、代替的な逆流防止器の実施形態に記載されているものと同じである。以下の表1は、6インチ×6インチ×1インチの触媒層の数を変えて、オゾン30ppm、風速毎分100リニアフィート(LFM)においてオゾン分解触媒を試験した結果を明らかにしている。
【表1】
【0030】
また、同じ試験基準で、より高いオゾン濃度60ppmと90ppm、オゾン流量100LFMと150LFM、触媒層数0.02ppm以下に調整した出口/排気でのデータも収集した。表2は、追加の触媒層を用いた試験の結果を提供する。
【表2】
【0031】
MnO触媒を通過した後、気流は、コロナ放電デバイスによって作り出された窒素酸化物(NO)を除去するための吸着剤に向けられる。二酸化窒素のような窒素酸化物は、肺系統の機能が低下している個人に悪影響を及ぼし得るため、窒素酸化物の濃度をできるだけ下げることが重要である。吸着剤の好ましい組成物は、基板上にコーティングされた酸化バリウムなどのアルカリ土類金属を含有する第3のモノリスからなるが、他の触媒組成物もまた、本開示によって企図される。
【0032】
多くの化合物は、アルカリ及びアルカリ土類金属、活性炭素、分子ふるい、金属有機構造体、ゼオライト、貴金属、ソーダ石灰(NaOH-CaO混合物)、及び活性アルミナを含む、NO及びNOなどの窒素酸化物を吸着する能力で既知である。好ましい実施形態は、NO吸着化合物でコーティングすることができるモノリシック基板を使用するが、吸着剤はまた、充填床として、又は別の構成で使用する場合がある。オゾン濃度が1ppmを超える場合、二酸化窒素は生成される窒素酸化物の中で最も一般的である。表3は、NO吸着モノリスと従来のオゾン分解触媒を組み合わせた試験結果を明らかにしており、MnOでコーティングされたオゾン分解触媒の4層の後に、窒素酸化物を吸着するためのコーティングされたモノリスが4層続いている。全てのNO化合物がNOに酸化されたため、NO濃度を記録した。
【表3】
【0033】
好ましい実施形態では、排気フィルタはまた、リアクタの排気口に近接して採用され得る。この排気フィルタは、リアクタ空間に入る際にプレフィルタを逃れた場合もある任意の微粒子を捕捉するために採用される。重要なことに、排気フィルタは、気流を著しく遮断することを避けるために、好ましくは、非常にきつい織り目のフィルタではない。フィルタは、微粒子と、別様に装置が位置する空間内に逃げ込んでしまう、まだ活性のあるごくわずかな割合の病原体と、を捕捉するのに有益である。
【0034】
本明細書に開示される装置はまた、好ましくは、オゾン及び窒素酸化物の両方の濃度を測定するためにセンサを採用する。好ましい測定場所は、(i)オゾン生成デバイスに近接し、(ii)オゾンを酸素に変換するために利用される第2のオゾン分解触媒モノリスに近接し、(iii)窒素酸化物を除去するための第3の吸着剤モノリスに近接し、(iv)リアクタの排気口に近接する。オゾンとNOの両方のリアルタイムの濃度を感知するために、周知かつ広く入手可能なセンサが採用され、装置の動作についての履歴情報を維持するためにデータロガーに接続される場合もある。
【0035】
本明細書に開示の装置は、エアロゾル化病原体を除去する際のデバイスの有効性を評価するための大規模な試験を受けている。試験環境では、ウイルスRNAバクテリオファージMS2の濃度を、吸気前と装置からの排気時に測定し、病原体の破壊の割合を判定した。MS2は、インフルエンザウイルスの代理として一般的に使用され、現在、SARS-CoV-2などの他のRNAウイルスの代理の可能性があると考えられている。これは、SARS-CoV-2がインフルエンザにサイズが類似していること、及びRNAゲノムを有することに起因する。
【0036】
開示された装置を包含する密閉された環境バイオエアロゾルチャンバ内に、MS2の濃度をエアロゾル化した。インピンジャ器具を使用して、チャンバ内で0、30、60、120、及び180分で空気中の浮遊粒子の試料を収集した。全てのインピンジャ試料を連続希釈し、プレートし、3つに一括して列挙して、各サンプリングポイント及び時間において生存可能なバイオエアロゾル濃度を得た。試験データからチャンバ対照試験データを差し引き、病原菌濃度の正味対数減少値を得た。装置は、各時間間隔でほぼ完全な正味対数減少値を伴って、試験を通して一貫した正味対数減少値を示した。
【0037】
平均正味対数減少値は、30分間隔で1.03から180分間隔で4.12になった。180分で4.00を超える正味対数減少値は、MS2バクテリオファージに対する開示された装置の有効性を示している。本明細書に開示されるデバイスによるMS2の平均正味対数減少値の要約については、以下の表4を参照されたい。本研究を、21CFR、Part58に規定されているFDA医薬品安全性試験実施基準に従って実施した。
【表4】
【0038】
密閉された環境バイオエアロゾルチャンバで実施された試験中、オゾンの室内レベルも測定された。4つの試験全てにわたるオゾンの最低、最高、及び平均出力測定値については、表5を参照されたい。排気口及び全体の密閉されたチャンバ内のオゾン濃度は、40CFR§50.19でNational Ambient Air Quality Standards(NAAQS)によって義務付けられている濃度よりも低い濃度に維持された。
【表5】
【0039】
2021年2月にMRIGlobalで実施された追加試験により、本明細書に開示された装置は、以下の表6に見られるように、リアクタのフロースルー滞留時間が14秒未満で、オゾン生成率が250~1,000mg/mの範囲で、実施された全ての試験で99.7%を超えるSARS-CoV-2(COVID-19の原因)の高レベルのエアロゾル生存可能ウイルス減少(500mg/mのオゾン試験で最大減少99.974%)を示した。この表は、密閉された空間内の空気が完全に入れ替わることで、本装置が、4.0~5.0の範囲内で、部屋内の活性浮遊病原体の達成可能な正味対数減少値を提供し、デバイスを通過する1回当たりの正味対数減少値が2.6~3.4であるとしている。以下の表のTCID50は、試験で使用されるウイルスの濃度を定量化するために使用される方法を指し、AGI-30は、インピンガのタイプを指す。
【表6】
【0040】
本明細書に開示された装置の目的は、排気された空気を排出する前に、空気中の病原体を高い割合で不活性化することである。
【0041】
本明細書に開示される装置の更なる目的は、装置から排出される前に、空気中の病原体をむだなく不活性化することである。
【0042】
本明細書で開示される装置の更なる目的は、装置から占有空間に排出されるオゾンの体積及び濃度を最小化することである。
【0043】
本明細書で開示される装置の更なる目的は、装置から占有空間に排出される窒素酸化物の体積及び濃度を最小化することである。
【0044】
本明細書で開示される装置の更なる目的は、任意の体積の施設内の病原体を不活性化するために装置を拡大することである。
【0045】
本明細書で開示される装置の更なる目的は、本装置が、周囲の空気を取り込み、個人規模の呼吸装置に供給することができる呼吸装置と連動するように、空気中の病原体を個人の可動性レベルで不活性化することである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本開示の主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に特許請求されている。しかしながら、本開示のより完全な理解は、図面に関連して考慮されるとき、詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって最良に得られ得、同様の数字は、同様の要素を示す。
【0047】
図1】触媒層の数に対する装置の出口におけるオゾンの濃度を例解する実験データのグラフである。
図2】触媒層の数に対する装置の出口におけるオゾンの濃度を例解する実験データのグラフである。
図3】反応時間の量に対する二酸化窒素の濃度を例解する実験データのグラフである。
図4】オゾン濃度(PPM)、温度(C)、及び相対湿度(%)を含むモデルDI-SC3ECOオゾンセンサの試験結果を例解する棒グラフである。
図5】オゾン濃度に対する病原体の生存率を例解する一連のグラフである。
図6】フロントパネル及びプレフィルタが取り外された病原体不活性化装置の実施形態の正面立面図であり、逆流防止器及び入口ファンを示す。
図7】機能構成要素を例解する病原体不活性化装置の実施形態の背面図である。
図8】機能構成要素を例解する病原体不活性化装置の実施形態の上面切断斜視図である。
図9A】フラッパバルブが開位置にある逆流防止器の実施形態の斜視図である。
図9B】フラッパバルブが閉位置にある逆流防止器の実施形態の斜視図である。
図10】コロナ放電デバイスの実施形態の斜視図である。
図11】関連するヒートシンクが固定されたコロナ放電デバイスの実施形態の斜視図である。
図12A】酸素濃縮器の実施形態の斜視図である。
図12B】酸素濃縮器の実施形態の更なる斜視図である。
図13A】右側が窒素を吸着し、濃縮酸素を上部から放出する間、左側が再生される圧力スイング吸着装置の実施形態の動作の概略図を例解する。
図13B】左側が窒素を吸着し、濃縮酸素を上部から放出する間、右側が再生される圧力スイング吸着装置の実施形態の動作の概略図である。
図14】UV-Cオゾン生成器のバンクの実施形態である。
図15】UV-Cオゾン生成器に高電圧を提供するためのバラスト及び配線の概略図である。
図16A】斜視図に示される、オゾン分解触媒及び/又はNO吸着化合物でコーティングされた円形チャネルを有するハニカム構成のモノリシック基板の実施形態の斜視図である。
図16B】オゾン分解触媒及び/又はNO吸着化合物でコーティングされた円形チャネルを有するハニカム構成のモノリシック基板の実施形態の正面図である。
図17A】オゾン分解触媒及び/又はNO吸着化合物でコーティングされた波形チャネルを有するハニカム構成のモノリシック基板の実施形態の斜視図である。
図17B】オゾン分解触媒及び/又はNO吸着化合物でコーティングされた波形チャネルを有するハニカム構成のモノリシック基板の実施形態の立面図である。
図18】スペーサによって所定の位置に保持された複数のオゾン触媒層及びNOx吸着層のアセンブリの実施形態の斜視図である。
図19】基板層間の間隔を示す、オゾン分解触媒スタックの実施形態の側面斜視図である。
図20】各層間のギャップを維持するためにスペーサで所定の位置に保持された4つのオゾン分解触媒層のスタックされたアセンブリの実施形態の斜視図である。
図21】各層間の間隔を示し、装置の断面を満たすために複数の触媒スタックを使用するオゾン分解触媒スタックの実施形態の斜視図である。
図22】外側収縮スリーブと一緒に保持された組み立てられたオゾン触媒及びNO吸着層の実施形態の斜視図である。
図23A】リアクタ内にオゾンを放出するための注入部位を有するコロナ放電オゾン生成器に供給する外部酸素濃縮器を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の切断図である。
図23B】リアクタ内にオゾンを放出するための注入部位を通してコロナ放電オゾン生成器を供給する外部酸素濃縮器を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の斜視切断図である。
図24】装置の排気領域に位置するフィルタの実施形態の立面図である。
図25A】排気口の近くに配設された加熱及び冷却要素を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の切断図である。
図25B】排気口の近くに配設された加熱及び冷却要素を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の斜視切断図である。
図26A】リアクタ内に配設された加熱及び冷却要素を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の切断図である。
図26B】リアクタ内に配設された加熱及び冷却要素を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の斜視切断図である。
図27A】リアクタ内にオゾンを放出するための注入部位を有するコロナ放電オゾン生成器に供給する外部酸素濃縮器を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の切断図である。
図27B】リアクタ内にオゾンを放出するための注入部位を有するコロナ放電オゾン生成器に供給する外部酸素濃縮器を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の斜視切断図である。
図28】UV-Cオゾン生成器を取り囲む透明スリーブを有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の切断図である。
図29】所望の流量に到達するための追加ファンを有するUV-Cオゾン生成器に供給する外部酸素濃縮器を有するHVACシステムに組み込まれた装置の実施形態の立面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本明細書における例示的な実施形態の詳細な説明は、例示的な実施形態を例解的に示す添付図面及びその最良のモードを参照する。これらの例示的な実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするように十分に詳細に記載されているが、他の実施形態が実現され得、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、論理的、化学的、及び機械的な変更が行われ得ることが理解されるべきである。
【0049】
本明細書の詳細な説明は、限定ではなく、例解のみを目的として提示される。更に、単数形への任意の言及は、複数の実施形態を含み、1つを超える構成要素又はステップへの任意の言及は、単数形の実施形態又はステップを含み得る。また、取り付け、固定、接続又は同様のものへの任意の言及は、恒久的、取り外し可能、一時的、部分的、完全、及び/又は任意の他の可能な取り付けオプションを含み得る。加えて、接触なし(又は同様のフレーズ)への任意の言及はまた、低減された接触又は最小限の接触を含み得る。
【0050】
病原体を不活性化するために、本明細書に開示された装置は、酸素濃縮器と組み合わせたコロナ放電デバイスか、1つ以上のUV-Cランプのいずれかを使用してオゾンを産生する。オゾンは、気流中の病原体と混合し、それらを不活性化させる。病原体が不活性化されると、オゾン及び窒素酸化物などの他の副産物が除去される。装置は、均一なオゾン産生、高い病原体不活性化、並びにオゾン及び窒素酸化物の両方の除去を確実にするために広範な試験を受けている。
【0051】
図1は、毎分100リニアフィート(LFM)の空気速度で気流から30ppmオゾンを除去するオゾン分解触媒の性能を示している。1層当たりのオゾン除去の向上を例解するために、触媒層の数、ひいては触媒の総体積を変化させる。各触媒層のサイズは、6インチ×6インチ×1インチである。5つの触媒層では、最大99.9%のオゾンが気流から除去される。図2は、図1に記載されているのと同じデータを例解するが、気流からオゾンを除去する際の単一の触媒層の性能を示すように拡張されている。
【0052】
図3は、装置内のオゾンとともに産生される窒素酸化物、この場合は二酸化窒素を除去する際のNOx吸着剤の性能を例解している。1.2ppmの二酸化窒素を含有する気流を、85LFMにおいて180分間、NOx吸着剤に通過させた。二酸化窒素の濃度は、NOx吸着剤の出口において監視され、試験全体で0.05ppmであり、米国EPAによって設定された1時間の最大濃度100ppb(parts per billion,PPB)をはるかに下回っていることが示された。
【0053】
オゾン生成器のmg/m定格は、90%~99%の濃縮酸素供給で使用したときに測定される。周囲の空気には約21%の酸素しか含有されていないため、オゾン生成器はしばしば、その製造元が供給する定格よりもはるかに少ないオゾンを産生する。これと他の環境条件を考慮して、温度(℃)、相対湿度(%)、及びオゾン(PPM)のセンサを試験デバイスに組み込まれている。図4に見られるように、オゾンセンサ(ECOセンサモデルDL-SC3)は、試験全体にわたって25~55ppmの範囲を測定した。
【0054】
オゾンの濃度が25ppm未満であれば、空気中の病原体の99%超が不活性化されることが、学術研究において示されている。特に、American Association for Aerosol Researchが発表したChun-Chieh Tseng&Chih-Shan Li(2006)Ozone for Inactivation of Aerosolized Bacteriophages,Aerosol Science and Technology,40:9,683-689の1件の研究では、99%のウイルスによるphi6、phiX174、MS2、及びT7の不活性化には、それぞれ13.8秒の接触時間で2.50ppm、3.84ppm、6.63ppm、及び10.33ppmのオゾン線量が必要であることが開示されている。図5は、55%及び85%の相対湿度において異なるオゾン濃度に曝露した空中MS2、phiX174、phi6、及びT7の生存率を示す。
【0055】
図6に例解されるような装置10は、空気の連続した流れが空気中の病原体の不活性化を必要とする任意の場所に位置し得る。そのような場所には、住宅、商業、及び工業施設が含まれる場合がある。この装置は、乗客の入れ替わりが激しく、その中には伝染性病原体の保菌者もいる可能性がある飛行機及び列車などの移動設定でも採用され得る。
【0056】
装置10は、図7に更に例解されるように、以下に説明される病原体不活性化及び触媒変換/吸着機能が生じる閉鎖チャンバを形成するリアクタ12を含む。リアクタは、円形、正方形、又は長方形などの多くの異なる断面のものであり得る。リアクタの外部は、好ましくはシートメタルから作製されるが、プラスチック又は複合材料のような他の材料も本開示によって企図される。オゾンは多くの材料を酸化することが可能であり、それらの分解につながるため、リアクタ12及び常在構成要素の内部は、オゾンに適合する材料で構成されなければならない。
【0057】
リアクタ12は、吸気口14及び排気口16を有する。周囲空気18は、吸気口14からリアクタ12に引き込まれ、リアクタ12の様々なゾーンを通過した後、空気中の病原体の高い割合が不活性化された状態で排気口16から排出されるため、周囲の空間の人々に感染する可能性が実質的に低減する。
【0058】
図8に示されるように、周囲空気18は、内部に装着されたファン20によってリアクタ12に引き込まれる。本明細書に開示されるようなファン20は、好ましくは、リアクタ12の内部の断面開口をカバーするが、代替的な構成も本開示によって企図される。ファン20は、好ましくは、リアクタ12の開口部の内側に装着されて、ファン20の前方に取り外し可能なプレフィルタ22を設置することを可能にする。しかしながら、いくつかの実施形態は、既存のHVACシステム内に統合されたものなど、リアクタ12の外側に装着されたファン20を使用し得る。プレフィルタ22は、容易に取り外して交換し得、ファン20がプレフィルタ22を通過して周囲空気を吸い込む能力に悪影響を与えるような緊密な織り方ではない。
【0059】
図9A及び図9Bに例解されるように、装置10はまた、リアクタ12に流入した空気が吸気口14を通って再び外部に戻る能力を制限する逆流防止器26を採用している。逆流防止器26は、上縁部30がリアクタ内部空間32に固定された状態で3つの側面で内側に屈曲することができるフラッパバルブ28構成と同じくらい単純であり得る。気流の逆転がある場合、何らかの理由で、フラッパバルブ28の外縁部36は、リアクタ内部空間32に接続されていない3つの側面のフランジ38に対して密封され、それによって外向きの気流を防止する。逆流防止器26を設置する目的は、開示された装置10で病原体不活性化を受けている部屋又は空間に、高度にオゾン化された空気の放出、又は高レベルの窒素酸化物を含有する空気が入るのを防止することである。吸気口を通る気流を制限することなく、空気からオゾンを除去するための別個の逆流防止器26の実施形態もまた、以下で企図される。
【0060】
オゾン生成は、吸気口14から離れて、逆流防止器26を越えて、リアクタ12の内部の領域40で発生する。この領域40では、図7に例解されるように、企図されているオゾン生成機器の複数の実施形態がある。第1の実施形態は、図10に例解されるように、コロナ放電デバイス42を利用する。コロナ放電デバイスは、2つの電極間に電圧を印加することによって動作し、電極間の空気をイオン化させる。このイオン化によって二原子酸素が分裂し、酸素分子が産生され、それが反応してオゾンが形成される。
【0061】
動作中、ファン20は、高電圧、高周波数、及び交流電流がオゾン分子76の生成をもたらす、コロナ放電プレート50間の空間ギャップ44内に気流98を移動させる。リアクタ12内の空気中の病原体を不活性化する働きをするのはオゾンである。代替的な実施形態では、図11に更に例解されるように、ヒートシンク48は、任意選択的にコロナ放電デバイス42に固定される。ヒートシンク48は、ヒートシンク48のフィン52を通って熱を放射することによって、より高い濃度のオゾンの産生をもたらし、それによって空気中の病原体の不活性化を増加させることによって、コロナ放電デバイスのプレート50を冷却する働きをする。
【0062】
補助ファン又は水冷デバイスなど、ヒートシンクを別の方法で冷却すると、オゾン濃度が更に高くなり、空気中の病原体の不活性化が増加する。コロナ放電デバイス42を冷却するための上述の方法論は全て、本開示によって企図される。
【0063】
装置10の代替的な実施形態は、「圧力スイング吸着」を利用する酸素濃縮器54と組み合わせてコロナ放電デバイス42を採用する。例示的な酸素濃縮器の構成は、図12A及び図12Bに示されている。酸素濃縮器54は、コロナ放電デバイス42に近接して配設され、放電デバイス42のプレート50間の高濃縮酸素の導入を容易にする。以下でより詳細に考察されるように、かなりの割合の窒素が、酸素濃縮器から出る酸素気流から除去される。
【0064】
コロナ放電デバイス42のプレート50間を通過する窒素の割合が実質的に減少すると、コロナ放電デバイス42から窒素酸化物が産生される可能性が大幅に減少する。窒素酸化物は大気汚染物質とみなされ、米国環境保護庁によって40CFR§50.11で規制されているため、高濃度の窒素酸化物への曝露が増加するという人間の健康に基づく理由、特に肺への懸念がある。40CFR§50.11で成文化された窒素酸化物の全国一次周囲空気質基準の8時間基準は、周囲空気中の窒素酸化物の濃度が53ppbを超えてはならず、1時間基準は、窒素酸化物の濃度が100ppbを超えてはならないと規定している。本明細書で開示されるように装置10を出る気流98は、窒素酸化物の濃度が100ppb未満で周囲空気18に気流を排出する。
【0065】
図13A及び図13Bに例解されるように、酸素濃縮器54は、通常50~150psiの圧力下にあり、第2の圧力が大気圧又はほぼ大気圧である少なくとも2つの容器58、60に依存する。第1の容器が加圧されている間、第2の容器は減圧されるため、識別された技術の名前で「スイング」という用語を使用する理由がある。ゼオライト62は、空気から窒素を吸収する微細孔を包含するアルミニウム及びシリコン化合物からなる鉱物である。ゼオライトは、分子レベルで酸素から窒素を分離する働きをする。
【0066】
図13Aは、右側の容器60の初期吸着ステップを例解する。右側の容器では、不要な窒素は、各容器58、60の基部においてベッド63の形態で位置決めされたゼオライト62によって吸着される。ゼオライトベッド63の上の容器空間65に残っているものは、主に酸素64である。次いで、この酸素64は、かなりの濃度の窒素酸化物、すなわちNO、NO、Nなどの形成を懸念することなく、加圧容器60の上部70からコロナ放電デバイス内へ送り出すことができる。加圧容器からの酸素は、オゾンの産生を最適化し、窒素酸化物の産生を最小化する流量においてコロナ放電デバイス42に入る。ゼオライトベッド63に吸着された窒素66はまた、例えば、室内雰囲気内に入る窒素66が窒素酸化物のような肺のリスクを提示しないので、ヒトの健康に害を及ぼす恐れなく、建物空間内への排出のために送られることができる。
【0067】
ゼオライト62が最大濃度の窒素66を吸着すると、左側の容器58は加圧され、プロセスは左側の容器58内で繰り返される。図13Bに示されるように、ゼオライト62は、加圧空気から窒素66を吸収し、濃縮酸素64は、コロナ放電デバイス42に送り出すために容器の上部70付近に排出される。この間、圧力は右側の容器60内で解放され、吸着された窒素がゼオライト62の表面から、かつ大気中に、脱着することを可能にする。窒素66は、環境に通じる排気ポート69を通して、両方の容器58、60の底部72で排気される。窒素66の周囲空気への排出は、大気中に既に約78%の窒素が含有されているため、肺の機能不全に寄与しない。
【0068】
本開示は、少なくとも1つの実施形態において、コロナ放電デバイス42を通過する全体的な気流の一部分が、酸素濃縮器54の容器から連続的に送られる酸素であることを企図している。酸素濃縮器54からコロナ放電デバイス42に入る高純度酸素により、コロナ放電デバイス42は1,000~60,000ppmの範囲の濃度でオゾンを産生することができる。この高濃縮オゾンは、リアクタ12を通過する気流98と混ざり合い、それによって病原体を不活性化するためのオゾンの全体濃度を低下させる。コロナ放電デバイス42内の二酸化窒素及び他の窒素酸化物の産生を最小化するために、最適な構成は、酸素濃縮器54からの酸素64の送達を指示し、コロナ放電デバイス42のプレート50を通過する周囲空気の送達を最小化する。その根拠は、周囲空気はおよそ78%の窒素を含有するが、酸素濃縮器54によって供給されるガスは非常に高い割合の酸素64を含有し、コロナ放電ユニットにおける窒素酸化物への変換に利用可能な窒素66がほとんどないことである。
【0069】
別の実施形態では、酸素濃縮器54は、比例隔離バルブ71としても既知である連続可変制御バルブを利用し、図13A及び図13Bに例解される。バルブ71は、酸素濃縮器54からコロナ放電デバイス42に送達される単位時間当たりの酸素の体積を測定するように動作可能である。このタイプのバルブ71は、業界で周知である。例示的なバルブは、Clippardによって販売されたEclipse比例隔離バルブモデルEIVU-M-Vである。
【0070】
この実施形態はまた、バルブ71を通る酸素64のコロナ放電デバイス42への流量を制御するために、バルブ71と通信するマイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、又はプログラマブルロジックコントローラ70Aを採用し得る。このようなコントローラの実装は業界で周知であり、本明細書に詳細に記載する必要はない。バルブ71の微細な可変制御は、コロナ放電デバイス42によるオゾンの産生の制御を容易にし、窒素酸化物の産生を制限する。本出願で使用するための例示的なプログラマブルロジックコントローラ70Aは、SCPVD-1 Stepper-Controller Proportional Valve Driverなど、Clippardによって販売される。
【0071】
この微細なレベルの制御は、周囲空気の変位と酸素濃縮器54からの酸素64とのバランスをとるためにバルブ71を利用することによって達成される。リアクタ12内に装着された(以下で更に詳細に考察される)オゾン及び窒素酸化物センサからの信号は、コロナ放電デバイス42への酸素64の動作流入を最適化するために、プログラマブルロジックコントローラ、マイクロコンピュータ、又はマイクロコントローラに入力を提供する。
【0072】
リアクタ12内のオゾン生成のために本開示によって企図される別の実施形態は、紫外線光を使用することによるものである。紫外線光からオゾンを産生するランプは、約185nmの波長を産生することを最大化する。これらのランプは、UV-Cスペクトルの他の多くの波長の光も産生させる。コロナ放電を使用するオゾン生成器とは対照的に、UV-Cランプは窒素酸化物をほとんど又はまったく産生しないが、効率は低く、所与の気流に対してより低濃度のオゾンを産生する。紫外線光の実施形態は、好ましくは、住宅、オフィス、又は工業環境において、例えば、2.5~20g/時間のオゾンを、500~1,500ftの空間に対して約200CFMの気流速度で産生するUV-C殺菌ランプを利用する。図14は、装置10内のオゾン生成器を含むUV-Cランプ74のアレイの実施例を示す。UV-Cランプのアレイは、バラストと呼ばれるデバイスを使用して電力が供給され、バラストは、より低い入力電圧をより高い出力電圧に増加させて、水銀ガスがUV光を放出するように励起されることを確実にする。例示的なバラスト126を図15に示す。
【0073】
UV-Cデバイスのサイズは、より大きい体積に対応するように、適宜拡大され得る。複数の業者が、最大3g/時間のオゾンを産生できるUV-Cランプを製造している。図8に例解されるように、UV-Cオゾン生成器ランプ74は、リアクタ12内に位置決めされ、吸入空気18は、複数のオゾン生成器ランプ74の周りを通過し、それによって、大気中の病原体の不活性化に使用するためのオゾン76を作り出する。
【0074】
オゾン76の生成に続いて、オゾン化された空気及び病原体を含んだ空気は、リアクタ12内の少なくとも1つのバッフル78の上及び周囲に移動され、病原体とオゾンとの完全な混合及び接触を提供する。オゾン生成器に近接するリアクタ12内のオゾン76の濃度は、1~55ppmの範囲にあり、リアクタ12を通過する空気中の非常に高い割合の病原体を不活性化するのに十分な濃度である。複数のチャネル又は複数の長い切り欠きを有する単一のプレートバッフル78は、所望の混合を作り出すのに十分であり得る。徹底的な混合を達成するために、直列の複数のバッフルも企図されるが、バッフルの配置を増加させると、リアクタを通過する気流を駆動するためのファン出力を増加させる必要が出てくる。追加のバッフル構成は、本開示によって企図され、病原体のオゾン化された空気への曝露を増加させるために、複数の構成が採用され得る。上述したように、空気中の病原体が1~55ppmのオゾン濃度に曝露されると、そのような曝露によって急速に不活性化される。
【0075】
徹底的な混合が完了し、オゾンが気流中の病原体を不活性化するのに十分な滞留時間が経過すると、不活性化された病原体及びその成分、並びに任意の過剰なオゾン76を含有する気流は、オゾン76を酸素に変換するためのオゾン変換分解触媒82に曝露される。オゾンは40CFR§50.19の連邦規制により大気汚染物質とみなされ、1時間の曝露は70ppb以下の濃度に制限されているため、気流から可能な限り多くのオゾンを除去することが重要である。
【0076】
図16A及び図16Bに例解されるように、二酸化マンガン(MnO)などのオゾン分解触媒82は、オゾンを酸素に変換するためにハニカムモノリシック基板88上にコーティングされる。オゾン分解触媒モノリス88は、ハニカム形チャネル90を包含する菫青石などのセラミック製で、触媒と前進する気流98との接触を最大にし、オゾン変換を最適化することを可能にする。図17A及び図17Bは、波形チャネル90Aを有する構成の金属から作製された代替的なモノリシック基板を示す。図7及び図8に例解されるように、オゾン分解触媒82は、好ましくは、リアクタ12の上部又は側面94、96のスロット92を通すなどして、容易に取り出し、かつ交換することができるように、リアクタ12内に配設される。MnO以外の触媒及びチャネル90、90Aを有するモノリシック基板88以外の構成もまた、本開示によって企図される。
【0077】
気流98がオゾン分解触媒82を越えて前進すると、ヒトの肺機能に有害な二酸化窒素及び他の関連する窒素酸化物、すなわちNO、Nなどがまだ残っている場合がある。図16A図16B図17A及び図17Bに示されるようなセラミック及び金属モノリシック基板88の両方は、酸化バリウム又は酸化カリウムなどのNO吸着剤化合物102、又は2つの化合物の組み合わせ、並びに前述のオゾン分解触媒82によるコーティングをサポートすることができる。このようにして、オゾン分解触媒82及びNO吸着剤102の均一な性質は、より容易なメンテナンス及び交換を可能にする。様々なアルカリ金属及びアルカリ土類金属、活性炭、分子ふるい、金属有機構造体、ゼオライト、貴金属、ソーダ石灰(NaOH-CaO混合物)、及び活性アルミナなどの二酸化窒素及び関連する窒素化合物を吸着するための他の触媒も、本開示によって企図される。図18は、オゾン分解触媒モノリス88及びNOx吸着モノリス100の様々な層を包含するモジュール123を示す。各層は、図16A図16B図17A、又は図17Bに示されるように、1つのオゾン分解触媒82又はNOx吸着剤化合物102でコーティングされたモノリシック基板を包含する。このようにして、オゾン分解触媒モノリス88及びNOx吸着モノリス100の数は、用途の要件に応じて変化し得る。
【0078】
図19は、同じモジュールスタック123内のスペーサ122によって分離されたいくつかのオゾン分解触媒コーティングされた82モノリシック基板88を包含するモノリシック層を例解する。図20は、オゾン濃度だけでなく、空気流量の増加に合わせて拡大するように、モジュール123がどのように作製され得るかを例解する。図21は、オゾン分解触媒モノリス88とNO吸着モノリス100の両方を包含する各モノリス間に、名目上、好ましくは半インチのスペーサ122を有するモジュール123を例解する。
【0079】
好ましい実施形態では、オゾンが吸着部位について窒素酸化物と競合しないことを確実にするために、いくつかのオゾン分解触媒モノリス88を、窒素酸化物吸着モノリス100の前に配置する。図22は、安定性を確保し性能を維持するために、図18の組み合わされたモジュール123を収縮スリーブ124内に包まれた状態を例解する。収縮スリーブ124は、気流98の触媒及び吸着プロセス外及び周囲への流出を防止し、それにより装置10の全体的な性能を向上させる。
【0080】
モジュール123内の組み合わされたモノリス88、102、及びそのようなモジュールの積み重ねにより、オゾン分解触媒モノリス88及びNO吸着モノリス100の両方は、好ましくは、そのようなメンテナンスが必要とされる場合に、交換又は改修のために、図7及び図8に例解されるように、スロット104を通してリアクタ12から取り出すことができるような方法で、リアクタ12内に位置決めされる。
【0081】
窒素酸化物の吸着が達成されると、気流98は、図24に例解されるように、任意選択的に排気フィルタ110に前進する。図7及び図8に例解されるように、排気フィルタ110は、リアクタ12の壁112内の小さいギャップ又は開口部を通して、プレフィルタを通過したか、又は気流98内に混入した場合があるいかなる混入微粒子も捕捉するように設計に組み込まれる。排気フィルタ110はまた、気流98内に存在するいかなる臭気生成化合物も除去するために、活性炭などのコーティングを含み得る。
【0082】
排気フィルタ110は、好ましくは、7~16の最小効率レポート値(MERV)の範囲内であり、0.3~1.0ミクロンのサイズ範囲の空気粒子を捕捉することができるが、装置10がリアクタ12から気流98を排出することが困難であるほど高いMERV定格ではない。排気フィルタ110は、好ましくは、オゾン分解触媒モノリス82及びNO吸着剤モノリス100と同様に、交換又は洗浄のためにリアクタから容易に取り外すことができるように、リアクタ12内に配設される。
【0083】
図7及び図8に例解されるように、リアクタ12の排気口16に隣接して配設されているのは、窒素酸化物及びオゾンの両方の濃度を測定するための少なくとも1つのセンサバンク116である。このセンサバンク116は、オゾンの酸素への適切な変換及び窒素酸化物の吸着が、リアクタ12から気流98を排出するときに発生したことを装置10のオペレータに警告する働きをする。追加のオゾン及び窒素酸化物センサバンク118、120は、好ましくは、これらの汚染物質の濃度の測定値を捕捉するために、リアクタ12全体に配設される。センサの例示的な場所は、リアクタ12の吸気口14に入る近傍、コロナ放電デバイス42又はUV-Cデバイス74、並びにオゾン分解触媒モノリス82及びNOx吸着モノリス100の直後である。
【0084】
これらの濃度測定は、装置10の適切な動作、及び装置によって産生されるオゾンの濃度を調整するためにメンテナンス、又はシステム調整が必要とされ得るかどうかをオペレータに警告するのに有益である。酸素濃縮器54が使用されるとき、これらのセンサからのデータは、必要に応じて、図13A及び図13Bに例解されるように、酸素濃縮器54から酸素を供給する連続可変制御又は比例制御バルブ71を調整するために、任意選択的であるが、好ましくは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はプログラマブルロジックコントローラ70Aに供給され得る。
【0085】
装置を出る気流98中のオゾンの濃度が最大濃度制限より高い場合、センサ116、118は、測定された濃度をマイクロコンピュータ、PLC、又はマイクロコントローラ70Aに中継し、制御デバイス70Aによって事前プログラムされた命令が実行され、オゾン生成器42によって産生されるオゾンの大きさが低減される。同様に、二酸化窒素又は類似の化合物であれ、窒素酸化物の濃度が、指定されたセンサ118によって測定された設定最大濃度制限を超えた場合、酸素濃縮器54と協働するオゾン生成器42は、酸素濃縮器の出力を増加させるか、又はオゾン生成器の出力を減少させるために、流量を適宜調整することができる。他の電子部品は、プリント回路基板、トランジスタ、コンデンサ、抵抗器、及びダイオードなどのオゾン及び窒素酸化物の適切な制御を確実にするために、上記で説明されたものと組み合わせて使用され得る。
【0086】
図23A図23B図25A図25B図26A図26B図27A図27B図28及び図29は、HVACダクティングに統合するための装置の実施形態を例解する。図25A及び図25Bは、排気口16に近接して配置された加熱及び冷却要素132、134を有するダクト内に統合された装置10を例解する。加熱及び冷却要素132、134は、本明細書に開示される装置10との潜在的な統合を描くように示されているが、必ずしも装置の動作に不可欠ではない。
【0087】
図25A及び図25Bに例解されるように、装置10は、HVACシステム内に既に存在する加熱及び冷却要素132、134と統合され得る。このようにして、HVACダクティングのための装置は、既存の加熱及び冷却要素132、134の前又は後のいずれかに配置され得る。気流98は、吸気口14を通過し、取り外し可能なプレフィルタ22を通過し、ほこりなどのより大きい粒子を除去する。取り外し可能なプレフィルタ22を通過した後、気流98は、UV-Cオゾン生成器74内に流れ込み、そこでオゾン76が生成される。オゾン76は、気流98内で混合し、病原体を不活性化する。次いで、空気及びオゾン混合物は、バッフル78を通過し、混合及び病原体不活性化を更に改善する。
【0088】
次いで、不活性化された病原体を高い割合で運ぶ気流98は、次にオゾン分解触媒82を通過して気流中のオゾン76を酸素に変換し、NO吸着モノリス100を通過する。最後に、気流98は、排気フィルタ110を通過し、加熱及び冷却要素132、134の周りを通過し、排気口16を出る。リアクタ12内及びその周囲に配設されたオゾン及び窒素酸化物センサバンク116、118、及び120は、米国EPAによって設定された最大濃度制限を超えないことを確実にするように、装置から出るオゾン及び窒素酸化物の濃度を監視する。プロセス中、ファン20は、リアクタ12を通って排気口16から気流98を引き出す。図25Bは、上述したのと同じプロセスの斜視図を例解する。
【0089】
HVACダクティングに統合するための代替構成では、加熱132及び冷却134要素は、リアクタ12の後とは対照的に、リアクタ12内に配置され得る。図26A及び図26Bは、装置10の側面図及び斜視図を例解し、加熱132及び冷却134要素は、オゾン分解触媒82の後からリアクタ吸入口14に近づくように移動した。更なる実施形態では、図23B及び図27Bは、装置がHVAC配管に統合された、図26A及び図26Bと同様の構成を例解する。図23A及び図23B並びに図27A及び図27Bに例解された構成の両方において、酸素濃縮器54を使用して、オゾン生成器に対する酸素供給を増加させる。図27A及び図27Bは、UV-Cオゾン生成器との組み合わせを例解し、図23A及び図23Bは、コロナ放電オゾン生成器との組み合わせを示す。各構成では、気流98は、吸気口14に近接してリアクタに入る。
【0090】
リアクタ12は、酸素濃縮器54から供給されるコロナ放電42又はUV-Cオゾン生成器74からオゾン76を注入するための入口パイプ又はチューブを含む。酸素濃縮器は、コロナ放電生成器42又はUV-Cオゾン生成器74を取り囲む空間内に高濃度の酸素流を放出し、NO化合物の産生を制限し、オゾンの産生を増加させる。オゾン76が気流に注入されると、気流はオゾンを除去するオゾン分解触媒に移るまで、混合を増加させ、病原体の不活性化を改善するバッフルの上を通過する。
【0091】
図28に示されるように、図27A及び図27Bに記載したのと同じ構成の代替実施形態では、酸素濃縮器54は、UV-Cオゾン生成器をリアクタ12の外部ではなくリアクタ12内に包含させた状態で、濃縮オゾン流をリアクタゾーン12に注入する。この構成では、UV-Cオゾン生成器ランプ74は、気流98の流れに垂直に装着され、UV-Cオゾン生成器の前の透明なスリーブが、気流及びUV-Cオゾン生成器との接触を制限する。酸素濃縮器54を出る濃縮酸素64は、UV-Cオゾン生成器74のランプの間に注入され、UV-Cオゾン生成器の周りで別の経路で送られる気流98に流出するオゾンを作り出す。
【0092】
最後の実施形態では、図29に例解する構成は、酸素濃縮器54及びUV-Cオゾン生成器74がリアクタ12の外部に装着され、オゾンがパイプ又はチューブによってリアクタに注入される、27A及び27Bの構成と同じ構成を示す。この構成では、追加のファン20がオゾン注入部位の上流に配置され、気流がリアクタを通過するときに所望の流量に達することを確実にする。
【0093】
開示される装置及びシステムは、いかなる形であれ、限定するものと解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、及び互いとの様々な組み合わせ及び副次的な組み合わせで、様々な開示された実施形態の全ての新規かつ非自明な特徴及び態様を目的とする。開示される装置及びシステムは、任意の特定の態様又は特徴又はそれらの組み合わせに限定されず、開示される実施形態は、任意の1つ以上の特定の利点が存在すること、又は問題を解決することを必要としない。
【0094】
開示される発明の原理を適用し得る数多くの可能な実施形態を考慮して、例解される実施形態は、本開示の実施例に過ぎないものであり、また、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではないことを認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。したがって、発明者らは、発明者らの発明として、これらの特許請求の範囲に該当する全てのものを主張する。
【0095】
本明細書に提示される開示は、独立した有用性を有する少なくとも1つの別個の発明を包含すると考えられる。少なくとも1つの発明は例示的な形態で開示されているが、本明細書に説明及び例解されるようなその特定の実施形態は、多数の変形が可能であるため、制限的な意味で考慮されるべきではない。種々の実施形態、材料、組成物、及び方法の等価の変更、修正、及び変形は、本開示の範囲内で行われ得、実質的に同様の結果を達成する。少なくとも1つの発明の主題は、本明細書に開示される様々な要素、特徴、機能及び/又は性質並びにそれらの等価物の全ての新規かつ非自明の組み合わせ及び部分的組み合わせを含む。
【0096】
利益、他の利点、及び問題に対する解決策は、特定の実施形態に関して本明細書に記載されている。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を発生させ得るか、又はより顕著にさせ得る任意の要素又は要素の組み合わせは、少なくとも1つの発明の請求項のいずれか又は全ての重要な、必須の、若しくは必須の特徴又は要素とはみなされない。
【0097】
本開示の精神から逸脱することなく、本開示の範囲内で多くの変更及び修正を行うことができ、本明細書に記載される1つ以上の発明には、そのような修正が全て含まれる。特許請求の範囲における全ての要素に対応する構造、材料、行為、及び等価物は、具体的に記載されている他の特許請求の範囲の要素と組み合わせて機能を実行するためのあらゆる構造、材料、又は行為を含むことを意図している。1つ以上の発明の範囲は、本明細書に記載された実施例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びその法的同等物によって判定されるべきである。
【0098】
利益、他の利点、及び問題に対する解決策は、特定の実施形態に関して本明細書に記載されている。更に、本明細書に包含される様々な図に示される接続線がある場合、その接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係及び/又は物理的結合を表すことを意図している。多くの代替的な又は追加の機能的関係又は物理的接続が実用的なシステムに存在し得ることに留意されたい。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を発生させ得るか、又はより顕著になり得るいかなる要素も、本発明の重要な、必要な、又は本質的な特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0099】
したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲以外には限定されるものではなく、単数形の要素への言及は、明示的にそう記載されていない限り、「1つ及び1つのみ」を意図するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味する。更に、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」に類似した語句が特許請求の範囲で使用される場合、この語句は、Aのみが実施形態に存在し得ること、Bのみが実施形態に存在し得ること、Cのみが実施形態に存在し得ること、又は要素A、B、及びCの任意の組み合わせ、例えば、A及びB、A及びC、B及びC、又はA及びB及びCが単一の実施形態に存在し得ることを意味すると解釈されることが意図される。異なるクロスハッチングは、異なる部分を示すために図全体にわたって使用されるが、必ずしも同じ又は異なる材料を示すものではない。
【0100】
本明細書の詳細な説明では、「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしもその特徴、構造、又は特性を含むとは限らないことを示す。更に、そのような句は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、実施形態に関連する特徴、構造、又は特性が記載されているとき、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連するそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが提示される。説明を読んだ後、代替的な実施形態の開示を実装する方法が関連技術の当業者に明らかになるであろう。
【0101】
更に、本開示のいかなる要素、構成要素、又は方法ステップも、要素、構成要素、又は方法ステップが特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公共に供することを意図しない。本明細書のいかなる特許請求の要素も、その要素が「のための手段」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、35U.S.C.112(f)の規定の下で解釈されるべきではない。本明細書で使用されるように、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、又は任意の他の変形形態は、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、又は装置が、それらの要素のみを含むのではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に明示的に列記されもせず、固有でもない他の要素を含み得るように、非排他的な包括を網羅することを意図する。

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【国際調査報告】