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特表2024-535792ピリミジン複素環化合物の結晶形及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ピリミジン複素環化合物の結晶形及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20240925BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C07D519/00 301
C07D519/00 CSP
A61K31/519
A61P35/00
A61P11/00
A61P1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515669
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2022118023
(87)【国際公開番号】W WO2023036282
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111062619.1
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211034826.0
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522360286
【氏名又は名称】徳昇済医薬(無錫)有限公司
【氏名又は名称原語表記】D3 Bio (Wuxi) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 324, 88 MeiLiang Road, MaShan Street, BinHu District, Wuxi, JiangSu, 214092, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】徐洋洋
(72)【発明者】
【氏名】孫繼奎
(72)【発明者】
【氏名】伍文韜
(72)【発明者】
【氏名】張楊
(72)【発明者】
【氏名】陳曙輝
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZB26
(57)【要約】
ピリミジン複素環化合物の結晶形及びその調製方法。式(II)の化合物及びその結晶形の調製方法及び用途が具体的に開示される。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物
【化1】
(式中、nは0~3から選択される)。
【請求項2】
nが0、0.5、1、1.5、2、2.5及び3から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが2である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の式(II)の化合物の結晶形Aであって、
【化2】
8.514±0.200°、14.689±0.200°、及び18.122±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする結晶形A。
【請求項5】
6.218±0.200°、8.514±0.200°、12.299±0.200°、14.689±0.200°、16.903±0.200°、18.122±0.200°、18.927±0.200°、及び25.580±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項4に記載の結晶形A。
【請求項6】
6.218±0.200°、8.514±0.200°、11.663±0.200°、12.299±0.200°、14.689±0.200°、16.903±0.200°、18.122±0.200°、18.927±0.200°、19.364±0.200°、20.386±0.200°、21.914±0.200°、及び25.580±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項5に記載の結晶形A。
【請求項7】
6.218°、8.514°、11.663°、12.299°、14.689°、16.903°、18.122°、18.554°、18.927°、19.364°、20.386°、21.914°、22.640°、23.867°、24.553°、24.806°、25.580°、25.988°、27.147°、27.715°、29.135°、及び31.799°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項6に記載の結晶形A。
【請求項8】
図1に示すXRPDパターンを有する、請求項7に記載の結晶形A。
【請求項9】
115.37°C±3°Cに吸熱ピークのピーク値を有する示差走査熱量測定曲線を有する、請求項4~8のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項10】
図2に示すDSC曲線を有する、請求項9に記載の結晶形A。
【請求項11】
150.0°C±3°Cで最大5.379%の重量減少を有する熱重量分析曲線を有する、請求項4~8のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項12】
図3に示すTGA曲線を有する、請求項11に記載の結晶形A。
【請求項13】
固形腫瘍を治療するための医薬品の製造における、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項4~12のいずれか一項に記載の結晶形Aの使用。
【請求項14】
上記固形腫瘍が肺がん及び直腸がんである、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、
2021年9月10日出願の中国特許出願公開第202111062619.1号明細書、
2022年8月26日出願の中国特許出願公開第202211034826.0号明細書の優先権を主張する。
【0002】
<技術分野>
本開示は、ある種のピリミジン複素環化合物の結晶形及びその調製方法に関し、具体的には、式(II)で表される化合物及びその結晶形の調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
RASがん遺伝子変異は、ヒトがんにおける最も一般的な活性化変異であり、ヒト腫瘍の30%に生じる。RAS遺伝子ファミリーには3つのサブタイプ(KRAS、HRAS及びNRAS)が含まれ、そのうちKRASサブタイプの変異によって、RASによるがんの85%が引き起こされる。KRAS変異は、固形腫瘍、例えば肺腺がん、膵管がん及び結腸直腸がんなどに一般的に見られる。KRAS変異腫瘍では、がん遺伝子変異の80%がコドン12に生じ、最も一般的な変異にはp.G12D(41%)、p.G12V(28%)及びp.G12C(14%)が含まれる。
【0004】
KRAS遺伝子の正式名称は、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログである。KRASは、細胞増殖のシグナル伝達調節において極めて重要な役割を果たす。EGFR(ErbB1)、HER2(ErbB2)、ErbB3及びErbB4などの上流細胞表面受容体は、外部シグナルを受信した後、RASタンパク質を介して下流にシグナルを伝達する。KRASタンパク質は活性化されていない場合、GDP(グアノシン二リン酸)に強く結合する。KRASタンパク質は、SOS1などのグアノシン交換因子により活性化された後、GTP(グアノシン三リン酸)と結合してキナーゼ活性状態となる。遺伝子変異後、KRASは、成長及び増殖のシグナルを、上流の成長因子受容体シグナルとは無関係の下流経路に独立して伝達し、制御不能な細胞増殖及び腫瘍進行を引き起こし得る。一方、KRAS遺伝子に変異があるか否かも、腫瘍の予後の重要な指標である。
【0005】
KRASは最初に発見されたがん遺伝子であるが、長い間、新薬の開発に繋がらない標的と考えられてきた。2019年まで、Amgen及びMirati Therapeuticsは、その小分子KRAS阻害剤AMG510及びMRTX849の臨床研究結果を連続的に発表し、腫瘍の臨床治療におけるKRAS阻害剤の臨床的有効性を初めて確認した。AMG510及びMRTX849は両方とも、KRAS G12C変異タンパク質のシステイン残基と不可逆的共有結合を形成することによってKRAS活性を阻害する不可逆的小分子阻害剤である。
【0006】
KRASは、細胞増殖のシグナル伝達調節において極めて重要な役割を果たす。EGFR(ErbB1)、HER2(ErbB2)、ErbB3及びErbB4などの上流細胞表面受容体は、外部シグナルを受信した後、RASタンパク質を介して下流にシグナルを伝達する。KRASタンパク質は活性化されていない場合、GDP(グアノシン二リン酸)に強く結合する。KRASタンパク質は、SOS1などのグアノシン交換因子により活性化された後、GTP(グアノシン三リン酸)と結合してキナーゼ活性状態となる。KRASはRASタンパク質の重要なメンバーである。遺伝子変異後、KRASは、成長及び増殖のシグナルを、上流の成長因子受容体シグナルとは無関係の下流経路に独立して伝達し、制御不能な細胞増殖及び腫瘍進行を引き起こし得る。一方、KRAS遺伝子に変異があるか否かも、腫瘍の予後の重要な指標である。
【0007】
統計結果は、肺腺がんの12~36%がKRAS変異によって引き起こされ、結腸がんの27~56%がKRASによって引き起こされ、膵臓がんの90%、子宮内膜がんの21%、及び肺腺がんの12~36%がKRASによって引き起こされることを示し、患者集団が巨大であることを示している。KRAS遺伝子変異では、変異の97%が12位又は13位のアミノ酸残基で発生し、G12D変異、G12V変異及びG13D変異は新薬の開発に繋がりにくく、12位のグリシンがシステインに置換されるKRAS(G12C)変異は、共有結合阻害剤の開発に良い方向性を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、式(II)の化合物を提供し、
【化1】
【0009】
式中、nは0~3から選択される。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態では、nは、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、及び3.0から選択される。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態では、nは、0.5、1、1.5、2、2.5、及び3から選択される。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態では、nは2である。
【0013】
本開示はまた、式(II)の化合物を提供し、
【化2】
【0014】
式中、nは0~2から選択される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、nは、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9及び2から選択される。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、nは、0.5、1、1.5、及び2から選択される。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、nは2である。
【0018】
本開示はまた、8.514±0.200°、14.689±0.200°、及び18.122±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする式(II)の化合物の結晶形Aを提供する。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態では、上記結晶形Aは、6.218±0.200°、8.514±0.200°、12.299±0.200°、14.689±0.200°、16.903±0.200°、18.122±0.200°、18.927±0.200°、及び25.580±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態では、上記結晶形Aは、6.218±0.200°、8.514±0.200°、11.663±0.200°、12.299±0.200°、14.689±0.200°、16.903±0.200°、18.122±0.200°、18.927±0.200°、19.364±0.200°、20.386±0.200°、21.914±0.200°、及び25.580±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態では、上記結晶形Aは、6.218±0.200°、8.514±0.200°、11.663±0.200°、12.299±0.200°、14.689±0.200°、16.903±0.200°、18.122±0.200°、18.927±0.200°、19.364±0.200°、20.386±0.200°、21.914±0.200°、22.640±0.200°、25.580±0.200°、25.988±0.200°、27.147±0.200°、及び27.715±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、上記結晶形Aは、6.218°、8.514°、11.663°、12.299°、14.689°、16.903°、18.122°、18.554°、18.927°、19.364°、20.386°、21.914°、22.640°、23.867°、24.553°、24.806°、25.580°、25.988°、27.147°、27.715°、29.135°、及び31.799°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態では、上記結晶形Aは、8.514±0.200°及び14.689±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有し、任意選択で、6.218±0.200°、及び/又は11.663±0.200°、及び/又は12.299±0.200°、及び/又は16.903±0.200°、及び/又は18.122±0.200°、及び/又は18.554±0.200°、及び/又は18.927±0.200°、及び/又は19.364±0.200°、及び/又は20.386±0.200°、及び/又は21.914±0.200°、及び/又は22.64±0.200°、及び/又は23.867±0.200°、及び/又は24.553±0.200°、及び/又は24.806±0.200°、及び/又は25.58±0.200°、及び/又は25.988±0.200°、及び/又は27.147±0.200°、及び/又は27.715±0.200°、及び/又は29.135±0.200°、及び/又は31.799±0.200°の2θ角度にも特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態では、図1に示すXRPDパターンを有する上記結晶形Aが開示される。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態において、上記結晶形AのXRPDパターン分解能データを表1に示す。
【表1】
【0026】
本開示のいくつかの実施形態では、上記結晶形Aの示差走査熱量測定曲線は、115.37℃±3℃に吸熱ピークのピーク値を有する。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態において、上記結晶形AのDSC曲線は、図2に示される。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態では、上記結晶形Aの熱重量分析曲線は、150.0±3℃で最大5.379%の重量減少を有する。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態において、上記結晶形AのTGA曲線は、図3に示される。
【0030】
本開示はまた、式(II)の化合物の結晶形Aを調製する方法であって、
【化3】
【0031】
(a)式(I)の化合物をエタノールに添加し、透明になるまで混合物を攪拌すること、
【0032】
(b)攪拌しながらゆっくりとその系に水を加え、20~30℃で種晶を加えること、
【0033】
(c)20~30℃で15時間攪拌すること、
【0034】
(d)20~30℃で反応系に水をゆっくり滴下し、更に1~3時間攪拌すること、
【0035】
(e)濾過し、固体を回収すること
を含む方法を提供する。
【0036】
本開示はまた、固形腫瘍を治療するための医薬品の製造における上記化合物及びその結晶形Aの使用を提供する。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態では、上記固形腫瘍は肺がん及び直腸がんである。
【発明の効果】
【0038】
本開示の化合物は、KRASG12C変異MIA-PA-CA-2細胞株及びNCI-H358細胞に対して良好な細胞増殖阻害活性を有する。本開示の化合物は、肝ミクロソーム、肝細胞、血漿及び全血における良好な安定性、並びに良好なPK特性及び顕著な抗腫瘍効果を有する。結晶形Aは安定であり、光及び熱の影響を受けにくく、良好なPK特性を有する。
【0039】
定義及び説明
別段の定めがない限り、本明細書で使用される以下の用語及び語句は、以下の意味を有することを意図している。特定の語句又は用語は、特定の定義がない場合にあいまい又は不明確と見なされるべきではなく、従来の意味で理解されるべきである。商品名が本明細書に現れる場合、それに相当する商品又はその有効成分を指すことを意図している。
【0040】
本開示の中間体化合物は、当業者に周知の様々な合成方法によって、例えば、以下に列挙する特定の実施形態、以下に列挙する特定の実施形態を他の化学合成方法と組み合わせることによって形成される実施形態、及び当業者に周知の同等の代替方法などによって調製することができる。代替的な実施形態は、本開示の例を含むが、これに限定されない。
【0041】
本開示の特定の実施形態における化学反応は、好適な溶媒中で達成され、その溶媒は、本開示の化学変化並びに必要な試薬及び材料に適していなければならない。本開示の化合物を得るために、当業者は、既存の実施形態に基づいて合成工程又は反応スキームを改変又は選択することが必要な場合がある。
【0042】
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、これらの実施例はいかなる形であれ本開示を限定することを意図しない。
【0043】
本開示で使用されるすべての溶媒は市販されており、更に精製することなく使用することができる。
【0044】
本明細書に開示される化合物の構造は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができる。本開示が化合物の絶対配置に関する場合、その絶対配置は、単結晶X線回折(SXRD)などの当技術分野における従来の技術によって確認することができる。単結晶X線回折(SXRD)では、育成した単結晶の回折強度データを、φ/ωスキャンの走査モードでCuKα線の光源を備えたBruker D8 venture回折計を用いて収集し、当該データの収集後、更に直接法(Shelxs97)により結晶構造を解析して、絶対配置を確認する。
【0045】
化合物は、当技術分野における一般的な命名原理に従って、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアによって命名され、市販の化合物は、それらのベンダーのディレクトリ名で命名される。
【0046】
本開示で使用される粉末X線回折(XRPD)法
機器モデル:Bruker D2 Phaser X線回折計
【0047】
試験方法:約10~20mgのサンプルをXRPD検出のために使用した。
【0048】
詳細なXRPDパラメータは以下の通りであった。
【0049】
光管:Cu、kα(λ=1.54184Å)。
【0050】
光管の電圧:30kV、光管の電流:10mA
【0051】
発散スリット:0.60mm
【0052】
検出器スリット:5.827mm
【0053】
散乱防止スリット:0mm
【0054】
走査範囲:3~40deg
【0055】
ステップサイズ:0.02deg
【0056】
ステップ長:0.2秒
【0057】
本開示で使用される示差走査熱量測定(DSC)法
機器モデル:NETZSCH DSC214 DSC21400A-0958-L
【0058】
試験方法:サンプル(約4.02mg)を試験のためにDSCアルミニウムポットに入れた。50mL/分のNの条件下、10℃/分の加熱速度で30℃(室温)から400℃まで加熱した。
【0059】
本開示で使用される熱重量分析(TGA)法
機器モデル:TA Discovery TGA5500熱重量分析装置
【0060】
試験方法:サンプル(2~5mg)を試験のためにTGA白金ポットに入れた。25mL/分のNの条件下、サンプルを10℃/分の加熱速度で室温から350℃まで、又は20%の重量減少となるまで加熱した。
【0061】
本開示で使用される単結晶X線回折法
機器モデル:helios mx多層モノクロメーターを備えたBruker D8 VENTURE CMOS Photon II回折計
【0062】
試験方法:式(II)の化合物の結晶形A0.0133gを室温でアセトニトリル2mLに溶解した。サンプル溶液を4mLの半密封サンプルバイアルに加え、室温でゆっくり蒸発させた。10日後に無色の塊状結晶が得られた。回折実験の温度はT=173(2)Kであった。
【0063】
機器パラメータ:
【0064】
helios mx多層モノクロメーターを備えたBruker D8 VENTURE CMOS Photon II回折計
【0065】
極低温システム:Oxford Cryostream 800
Cu:λ=1.54184Å、2.5kW
【0066】
結晶から検出器までの距離:d=45mm
【0067】
管電圧:50kV
【0068】
管電流:50mA
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、Cu-Kα線を使用した式(II)の化合物の結晶形AのXRPDパターンである。
【0070】
図2図2は、式(II)の化合物の結晶形AのDSC曲線である。
【0071】
図3図3は、式(II)の化合物の結晶形AのTGA曲線である。
【0072】
図4図4は、式(I)の化合物の各種投与量における経時的な腫瘍体積の変化を示す。
【0073】
図5図5は、式(I)の化合物の各種投与量における経時的な動物の体重の変化を示す。
【0074】
図6図6は、式(III)の化合物の単結晶X線回折の三次元構造の楕円体図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本開示の内容をよりよく理解するために、本開示を特定の例と併せて以下に更に説明するが、これらの特定の例は本開示の内容を限定することを意図するものではない。
【0076】
実施例1:式(I)の化合物の調製
【化4】
【化5】
【0077】
工程1:化合物1-2の合成
5リットルの三口フラスコを用意し、その中で、化合物1-1(250g、2.00mol、1当量)、無水炭酸カリウム(690.26g、4.99mol、2.5当量)及びヨウ化カリウム(331.62g、2.00mol、1当量)をN-メチルピロリドン(2.5L)に加えた。その後、p-メトキシベンジルクロライド(641.36g、4.10mol、557.71mL、2.05当量)を滴下すると、反応溶液は黄色で濁っていた。得られた混合物を窒素下、120℃の油浴中で5時間攪拌反応させた。6バッチの反応溶液(250×6)を合わせ、20リットルの水に添加した。その後、10リットルのメチルtert-ブチルエーテルを加え、混合物を攪拌した。分液後、有機相を回収し、水相をメチルtert-ブチルエーテル(5L×1)で抽出した。有機相を合わせ、飽和ブライン(10L×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、化合物1-2の粗生成物を得た。3リットルの石油エーテルを粗生成物に添加し、混合物を一晩かけてスラリー化した。スラリー系は乳白色で濁っており、ブフナー漏斗で濾過した。濾過ケークを石油エーテル(500mL×3)で洗浄して、濾過ケークから化合物1-2を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.23-7.18 (m, 4H), 6.91-6.87(m, 1H), 6.82-6.76 (m, 4H), 6.65 -6.59(m, 2H), 4.20 (s, 4H), 3.79(s, 6H), 2.19 (s, 3H). LCMS: MS m/z = 366.1 [M+H]+.
【0078】
工程2:化合物1-3の合成
【0079】
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(2.44kg、17.29mol、2.94L、4当量)を無水テトラヒドロフラン(15L)に加え、混合物を-5~0℃に冷却した。この系を窒素で3回パージし、n-ブチルリチウム(2.5M、6.92L、4当量)を窒素下で滴下した。混合物を-5~0℃で15分間反応させ、-60℃まで冷却した。テトラヒドロフラン(1.5L)に化合物1-2(1.58kg、4.32mol、1当量)を溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、混合物を-65~-60℃で0.5時間反応させた。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド(3.16kg、43.24mol、3.33L、10当量)を素早く加え、混合物を-60℃で10分間反応させた。反応溶液に20Lの飽和塩化アンモニウムを加え、混合物を5Lのメチルtert-ブチルエーテルで抽出した。各層を分離させた。有機相を20Lの飽和塩化アンモニウムで洗浄した。次いで、水相を10Lのメチルtert-ブチルエーテルで抽出した。各層を分離させた。有機相を合わせ、飽和ブライン(12L×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。その後、粗生成物を石油エーテル及びメチルtert-ブチルエーテル(3/1、3L)で5時間スラリー化した後、濾過した。濾過ケークを回収して化合物1-3を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 10.43 - 10.35 (m, 1H), 7.21-7.18 (m, 5H), 6.92 - 6.81 (m, 5H), 4.25 (s, 4H), 3.80 (s, 6H), 2.23 (s, 3H). LCMS:MS m/z = 394.2[M+H]+.
【0080】
工程3:化合物1-4の合成
【0081】
化合物1-3(1.17kg、2.83mol、純度95%、1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(5.7L)に加え、ブロモスクシンイミド(603.35g、3.39mol、1.2当量)を5℃で数回に分けて加えた。混合物を5~15℃で1時間反応させた。反応溶液に5.7Lの水をゆっくり加えると、固体が析出した。20分間攪拌した後、11.4Lの水をゆっくり添加した。混合物を更に40分間攪拌し、濾過した。濾過ケークを水(2L×2)で洗浄した。粗生成物を石油エーテルとメチルtert-ブチルエーテルの混合溶媒(10:1)7.7Lで12時間スラリー化した後、濾過した。濾過ケークを石油エーテルとメチルtert-ブチルエーテルの混合溶媒(10:1)500mLで洗浄した。真空濃縮後、生成物に窒素を12時間吹き込んで化合物1-4を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 10.39 (s, 1H), 7.17 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 6.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.85-6.82 (m, 4H), 4.22 (s, 4H), 3.79 (s, 6H), 2.28 (s, 3H). LCMS:MS m/z = 472.1[M+H]+, 474.1[M+H]+.
【0082】
工程4:化合物1-6の合成
【0083】
化合物1-4(130g、275.22mmol、1当量)、ヨウ化ケトン(104.83g、550.44mmol、2当量)及び化合物1-5(264.37g、1.38mol、175.08mL、5当量)をDMF(1.3L)に溶解した。混合物を窒素下、100℃で4時間攪拌した。反応系を冷却し、濾過し、水(1.3L)に注ぎ入れて反応をクエンチした。混合物をメチルtert-ブチルエーテル(400mL×2)で抽出し、飽和ブライン(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。母液を回収し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテル及びメチルtert-ブチルエーテル(8/1、300mL)でスラリー化して化合物1-6を得た。母液を回収し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1から5/1)で精製して粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテル及びメチルtert-ブチルエーテル(8/1、100mL)でスラリー化して化合物1-6を得た。2バッチの固体を混合し、石油エーテルでスラリー化し、濾過した。固体を回収して化合物1-6を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 10.37 (q, J = 4.0 Hz, 1H), 7.18 - 7.11 (m, 4H), 6.89 - 6.82 (m, 4H), 6.73 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.36 (s, 4H), 3.81 (s, 6H), 2.37 - 2.29 (m, 3H). LCMS: MS m/z =484.0[M+Na]+.
【0084】
工程5:化合物1-8の合成
【0085】
水素ナトリウム(70.21g、1.76mol、純度60%、1.8当量)を無水テトラヒドロフラン(4.5L)に添加し、-5℃に冷却した。混合物を窒素で3回パージし、化合物1-7(203.82g、1.76mol、188.72mL、1.8当量)を窒素下で滴下した。-5~0℃で10分間反応させた後、n-ブチルリチウム(2.5M、702.14mL、1.8当量)を滴下した。混合物を窒素下、-5~0℃で更に10分間反応させ、-10℃に冷却した。テトラヒドロフラン(450mL)に化合物1-6(450g、975.19mmol、1当量)を溶解した溶液を滴下し、混合物を-10℃で10分間反応させた。反応溶液を5Lの飽和塩化アンモニウムにゆっくり添加して抽出した。各層を分離させた。有機相を4Lの飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。900mL×4の石油エーテルを濃縮粗生成物に添加して、振盪しながら洗浄した。石油エーテルの上清を注ぎ出し、粗生成物を真空中で濃縮して化合物1-8を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.18-7.15 (m, 4H), 6.90 - 6.78 (m, 4H), 6.61 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.72 - 5.57 (m, 1H), 4.31 (m, 4H), 3.81(s, 6H), 3.76(s, 3H), 3.56 (s, 2H), 3.50 - 3.38 (m, 1H), 2.98 - 2.93 (m, 1H), 2.38 - 2.26 (m, 3H). LCMS: MS m/z =578.1[M+H]+.
【0086】
工程6:化合物1-9の合成
【0087】
化合物1-8(1.15kg、1.77mol、純度89%、1当量)をジクロロメタン(5.7L)に加え、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(337.86g、2.84mol、376.66mL、1.6当量)を加えた。混合物を25℃で1時間反応させ、0℃まで冷却した。三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(377.27g、2.66mol、328.06mL、1.5当量)を0~5℃で滴下し、混合物を10分間反応させた。LCMSによって示されるように、出発物質は消失し、生成物のMsシグナルが出現した。反応溶液を10Lの半飽和重炭酸ナトリウム溶液にゆっくり加えて抽出した。各層を分離させた。有機相を5Lの飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を6つの部分に均等に分割し、各部分に0.83Lのメチルtert-ブチルエーテルを添加した。混合物を20分間攪拌し、固体を析出させた。石油エーテルとメチルtert-ブチルエーテルの混合溶媒(1:1)0.5Lを加え、混合物を夜通しで16時間スラリー化した。6つの部分を一緒に濾過した。濾過ケークを石油エーテルとメチルtert-ブチルエーテルの混合溶媒(1:1,800mL×2)ですすぎ、回転蒸発させて乾固した。母液をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0-0:1)で精製して化合物1-9を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ =8.43 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.21 - 7.10 (m, 4H), 6.91 - 6.81 (m, 4H), 6.70 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.93 (dd, J = 3.2, 14.8 Hz, 1H), 4.35 (s, 4H), 3.8(s, 3H), 3.81 (s, 6H), 3.38-3.29 (m, 1H), 2.68 (dd, J = 3.6, 16.8 Hz, 1H), 2.39 - 2.24 (m, 3H). LCMS: MS m/z =588.2[M+H]+.
【0088】
工程7:化合物1-10の合成
【0089】
化合物1-9(775g、1.32mol、1当量)をテトラヒドロフラン(4L)に加えた。混合物を-60℃に冷却し、窒素で3回パージした。次いで、トリ-sec-ブチルボロヒドリド(1M、1.45L、1.1当量)を窒素下で滴下した。混合物を-60℃で10分間反応させた。反応溶液を3.5Lの1M塩酸溶液にゆっくり加え、2Lの水を加えて抽出した。各層を分離させた。水相を2Lの酢酸エチルで更に抽出した。有機相を合わせ、1Lの酢酸エチルを添加した。混合物を5Lの飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を4つの部分に分割し、各部分に200mLのメチルtert-ブチルエーテルをそれぞれ加えた。混合物を10分間攪拌し、200mLの石油エーテルをゆっくり添加した。0.5~1時間攪拌した後、固体が析出した。1.6Lの石油エーテルを更に数回に分けて添加し、混合物を12時間スラリー化した。このスラリーを濾過し、濾過ケークを石油エーテルとメチルtert-ブチルエーテルの混合溶媒(10:1)300mLで3回洗浄した。固体を回収して化合物1-10(1.15kg)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.167-7.14(m, 4H), 6.87-6.83 (m, 4H), 6.63 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.05-5.00 (m, 1H), 4.61-4.58 (m, 1H), 4.42 - 4.24 (m, 5H), 3.85-3.73 (m, 10H), 3.13-3.05 (m, 1H), 2.47 - 2.38 (m, 1H), 2.35-2.31 (m, 3H). LCMS: MS m/z = 590.3.[M+H]+.
【0090】
工程8:化合物1-11の合成
【0091】
化合物1-10(310g、525.80mmol、1当量)をエタノール(1.55L)に添加した。次いで、S-メチルイソチオ尿素硫酸塩(439.11g、1.58mol、3当量)及び炭酸ナトリウム(111.46g、1.05mol、2当量)を添加した。混合物を窒素下、45~50℃(内部温度)で16時間反応させた。エタノールの大部分を濃縮により除去した。500mlの水及び400mlの酢酸エチルを粗生成物に添加した。混合物を攪拌し、500mlの1M塩酸でpH3~4に調整した。オフホワイトの固体を析出させた。600mlの石油エーテルを更に添加した。攪拌しながら、系内に大量のオフホワイトの固体を析出させた。この系をブフナー漏斗で濾過し、濾過ケークを酢酸エチル(200mL×2)で洗浄して濾過ケークを生成物として得た。濾過ケークを2Lのジクロロメタンに溶解した。分液後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して化合物1-11を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.22 - 7.14 (m, 4H), 6.91 - 6.82 (m, 4H), 6.65 (dd, J = 8.4 Hz 1H), 5.12-5.08 (m, 1H), 4.97-4.91 (m, 1H), 4.67 - 4.57 (m, 1H), 4.45 - 4.22 (m, 4H), 3.88 - 3.74 (m, 6H), 3.43-3.35 (m, 1H), 2.77-2.72 (m, 1H), 2.59 (m, 3H), 2.40-2.31 (m, 3H). LCMS:MS m/z =630.2[M+H]+.
【0092】
工程9:化合物1-12Bの合成
【0093】
化合物1-11をSFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(250mm*50mm、10μm);移動相:[0.1%NH・HO EtOH];EtOH%:45%-45%、6.3分)により分離して、化合物1-12B(ピーク時間:1.665分)及び化合物1-12A(ピーク時間:2.446分)を得た。
【0094】
工程10:化合物1-13の合成
【0095】
化合物1-12B(2g、3.18mmol、1当量)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.23g、9.53mmol、1.66mL、3当量)を加えた。混合物を0~10℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.34g、4.76mmol、786.11μL、1.5当量)を系にゆっくり添加した。混合物をこの温度で15分間反応させた。飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)を添加した。分液後、水相をジクロロメタン(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1から0/1)で分離して化合物1-13を得た。
LCMS m/z =762.2[M+H]+. 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 7.21 - 7.11 (m, 4H), 6.90 - 6.80 (m, 4H), 6.66 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.19-5.15 (m, 1H), 5.04 - 4.93 (m, 1H), 4.77-4.72 (m, 1H), 4.41 - 4.19 (m, 4H), 3.80 (s, 6H), 3.62-3.54 (m, 1H), 3.11 - 2.97 (m, 1H), 2.56 (s, 3H), 2.42 - 2.31 (m, 3H). LCMS:MS m/z =762.2[M+H]+.
【0096】
工程11:化合物1-15の合成
【0097】
化合物1-13(147g、186.74mmol、純度96.767%、1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(1.5L)に溶解した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(72.40g、560.23mmol、97.58mL、3当量)を加え、次いで、化合物1-14(42.54g、214.76mmol、1.15当量、2HCl)も加えた。混合物を50℃に加熱し、0.5時間攪拌して、N,N-ジメチルホルムアミドに化合物1-15が溶解した溶液を得た。反応溶液を次の工程で直接使用した。
【0098】
工程12:化合物1-16の合成
【0099】
N,N-ジメチルホルムアミド(1.5L)に化合物1-15(137.8g、187.02mmol、1当量)が溶解した溶液を攪拌機に加え、トリエチルアミン(18.92g、187.02mmol、26.03mL、1当量)を添加した。その後、反応溶液に二炭酸ジ-tert-ブチル(48.98g、224.42mmol、51.56mL、1.2当量)を加え、混合物を18℃で10時間攪拌した。混合物を水(1.5L)に注ぎ入れた後、酢酸エチル(400mL×3)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL×4)を添加した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して化合物1-16を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 6.85 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 6.64 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.22 ( d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.90 - 4.68 (m, 2H), 4.61 (s, 1H), 4.41 - 4.21 (m, 4H), 4.04 (s, 1H), 3.80 (s, 6H), 3.71 (s, 1H), 3.50 (d, J = 11.0 Hz, 2H), 3.30 (s, 1H), 3.24 - 3.02 (m, 2H), 2.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 2.78 - 2.58 (m, 2H), 2.55 (s, 3H), 2.34 (d, J = 4.0 Hz, 3H), 1.51 (s, 9H). LCMS m/z =837.2[M+H]+.
【0100】
工程13:化合物1-17の合成
【0101】
化合物1-16(245g、278.10mmol、純度95%、1当量)を無水ジクロロメタン(2500mL)に溶解し、0~10℃に冷却した。その後、m-クロロ過安息香酸(56.46g、278.10mmol、純度85%、1当量)を数回に分けて添加し、混合物を10℃で0.5時間攪拌した。更なるm-クロロ過安息香酸(8.47g、41.71mmol、純度85%、0.15当量)を添加し、混合物を10℃で更に0.5時間攪拌した。この反応物を、10gの化合物1-16のバッチと共に処理した。反応溶液を飽和重炭酸ナトリウム(1500mL)、5%チオ硫酸ナトリウム(1500mL)(湿潤ヨウ化カリウムデンプン試験紙による試験に合格した後)及び半飽和ブライン(1500mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=10%-15%-20%-30%)で精製して化合物1-17を得た。
1HNMR (400 MHz,CDCl3) δ ppm 7.15 (d, J=8.00 Hz, 4 H), 6.85 (d, J=8.80 Hz, 4 H), 6.65 (d, J=8.80 Hz, 1 H), 5.27 (m, 1 H), 4.78 - 4.91 (m, 2 H), 4.61 ( s, 1 H), 4.24 - 4.38 (m, 4 H), 3.90 - 4.18 (m, 2 H), 3.78 - 3.82 (m, 6 H), 3.42 - 3.70 (m, 3 H), 3.33 (br s, 1 H), 3.06 - 3.28 (m, 2 H), 2.90 (s, 3 H), 2.66 (m, 2 H), 2.29 - 2.41 (s, 3 H), 1.51 (s, 9 H). LCMS m/z =853.2[M+H]+.
【0102】
工程14:化合物1-19の合成
【0103】
化合物1-18(18.24g、114.59mmol、1.2当量)を無水テトラヒドロフラン(900mL)に溶解し、混合物を-20℃に冷却した。その後、ナトリウムtert-ブトキシド(11.01g、114.59mmol、1.2当量)を加え、混合物を15分間攪拌した。次いで、無水テトラヒドロフラン(180mL)に化合物1-17(90.5g、95.49mmol、純度90%、1当量)を溶解した溶液を添加し、混合物を更に0.5時間攪拌した。この反応物を50gの化合物1-18のバッチと共に処理した。反応溶液に1000mLの飽和塩化アンモニウムを添加して反応をクエンチした。分液後、水相を酢酸エチル(1000mL)で抽出した。各層を分離させた。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=20%-50%-100%)で精製して、化合物1-19を白色固体として得た。
LCMS m/z =948.4[M+H]+.
【0104】
工程15:化合物1-20の合成
【0105】
化合物1-19(97.00g、97.20mmol、純度95%、1当量)を2-メチルテトラヒドロフラン(500mL)に溶解し、混合物を0℃に冷却した。その後、反応溶液に塩酸(8M、614.80mL、50.6当量)を滴下し、混合物を25℃まで加熱して2時間攪拌した。次いで、n-ヘプタン(200mL)を添加し、各層を分離させた。水相を回収し、2-メチルテトラヒドロフラン(300mL)を加えた。炭酸ナトリウムを用いて混合物のpHを8~9に調整し、混合物を透明になるまで攪拌した。分液後、有機相を回収し、水相を2-メチルテトラヒドロフラン(300mL×2)で抽出した。有機相を回収し、飽和ブライン(200mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。有機相を回収し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をジクロロメタン(1000mL)に溶解し、温度を10℃未満に保ちながら、トリフルオロ酢酸(283.73g、2.49mol、184.24mL、25.6当量)をジクロロメタンにゆっくり添加した。混合物を25℃で3時間攪拌した。反応溶液を500mLの氷水に注ぎ、混合物を透明になるまで攪拌した。分液後、有機相を水(300mL×3)で抽出した。2バッチの水相を合わせ、次いでジクロロメタン(500mL×4)で抽出した。有機相を廃棄した。水相を10℃に冷却し、ここに500mLの2-メチルテトラヒドロフランを添加した(その結果、発熱した)。次いで、混合物のpHを炭酸ナトリウムで9に調整し、2-メチルテトラヒドロフラン(400mL×2)を添加して抽出した。有機相を合わせ、水(300mL×4)及び飽和ブライン(300mL)でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物1-20を灰色固体として得た。
LCMS m/z =608.27[M+H]+.
【0106】
工程16:式(I)の化合物の合成
【0107】
化合物1-20(58g、84.00mmol、純度88%、1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(21.71g、168.00mmol、29.26mL、2当量)及び2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(38.33g、100.80mmol、1.2当量)をDMF(600mL)に溶解した後、混合物を0℃に冷却した。2-フルオロアクリル酸(6.81g、75.60mmol、0.9当量)を数回に分けて添加し、混合物を0℃で10分間攪拌した。反応溶液を900mLの水に注いだ後、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化アンモニウム(200mL×3)、飽和炭酸ナトリウム(200mL×3)及び飽和ブライン(200mL)でそれぞれ洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。次いで、混合物をアセトニトリル及び水(100mL:150mL)で16時間スラリー化した。スラリーを濾過して式(I)の化合物を得た。SFC分析法(カラム:Chiralcel OD-3、50×4.6mmI.D.、3μm;移動相:A(CO2)、B(0.05%ジイソプロピルアミンを含むメタノール);勾配:B%=5から50%、3分;流速:3.4mL/分;波長:220nm;圧力:1800psi、光学純度:99.21%、ピーク時間:1.840分)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ = 6.80 - 6.68 (m, 1H), 5.73 - 5.51 (m, 1H), 5.46 - 5.19 (m, 3H), 5.05 - 4.90 (m, 3H), 4.74 - 4.58 (m, 2H), 4.37 - 4.26 (m, 1H), 4.20 - 4.06 (m, 2H), 4.05 - 3.84 (m, 3H), 3.79 - 3.59 (m, 2H), 3.54 - 3.43 (m, 1H), 3.42 - 3.35 (m, 1H), 3.31 - 3.24 (m, 1H), 3.13 - 2.89 (m, 3H), 2.82 - 2.52 (m, 2H), 2.50 - 2.42 (m, 1H), 2.41 - 2.30 (m, 5H), 2.29 - 2.18 (m, 1H).
【0108】
実施例2:式(III)の化合物の単結晶X線回折分析
【化6】
0.0133gの式(II)の化合物の結晶形Aを室温で2mLのアセトニトリルに溶解した。サンプル溶液を4mLの半密封サンプルバイアルに加え、室温でゆっくり蒸発させた。10日後に無色の塊状結晶が得られた。結晶を回収し、単結晶X線回折計(D8-VENTURE)を用いて回折強度データを収集した。式(III)の化合物の結晶構造データを表2に、式(III)の化合物の三次元構造の楕円体図を図6に示す。
【表2】
【0109】
実施例3:式(II)の化合物の結晶形Aの調製
方法1:式(I)の化合物(0.2g)をエタノール(2.4mL)に添加し、混合物を50℃に加熱した。溶解後、反応溶液に水(0.48mL)をゆっくり加え、混合物を50℃で72時間攪拌した。濾過後、固体を回収して、式(II)の化合物の結晶形Aを得た。
【0110】
方法2:式(I)の化合物(5.0g)をエタノール(4V)に添加し、混合物を透明になるまで攪拌した。水(1V)をゆっくり系に添加し、種晶(0.5g)を20~30℃で添加した。混合物をこの温度で15時間攪拌した。その後、水(3V)をゆっくり滴下し、混合物を更に1~3時間攪拌した。濾過後、濾過ケークを回収して、式(II)の化合物の結晶形Aを得た。
【0111】
実施例4:式(II)の化合物の結晶形Aの固体安定性アッセイ
「原料及び調製物の安定性試験のための指針」(中国薬局方2015年版第4部一般原則第9001章)に従って、式(II)の化合物の結晶形Aの結晶安定性を、高温(60℃、未封止)、高湿度(室温/相対湿度92.5%、未封止)及び強光(5000lx、未封止)の条件下、並びに長期実験(25±2℃/60±5%RH)及び加速実験(40±2℃/75±5%RH)の条件下で調査した。
【0112】
約20mgの式(II)の化合物の結晶形Aを秤量し、ガラスサンプルバイアルの底に置いた。サンプルを広げて薄層にした。高温高湿条件下に置いたサンプルについては、バイアル口をアルミニウム箔で封止し、サンプルが周囲空気と完全に接触できるようにアルミニウム箔にいくつかの小さな穴を開けた。強光の条件下に置いたサンプルについては、バイアル口をアルミニウム箔で封止し、アルミニウム箔にいくつかの小さな穴を開けた。各種条件下に置いたサンプルをサンプリングし、それぞれ5日目及び10日目に試験した(XRPD)。アッセイ結果を0日目の最初のアッセイ結果と比較した。アッセイ結果を以下の表3に示す。
【0113】
式(II)の化合物の結晶形Aを医薬品用二重層低密度ポリエチレン袋に入れた。各医薬品用低密度ポリエチレン袋をひもできつく縛った後、単層アルミニウム箔袋に入れた。次いで、単層アルミニウム箔袋をヒートシールした。最後に、サンプルをプラスチックバケツ中に保管し、一定の温度及び湿度のチャンバ中で保管した。安定性アッセイで使用した包装は、材料貯蔵包装をシミュレートした。材料を赤色光下で安定性サンプルとして1.5g/包装に分割した。各サンプルを同じ方法で包装し、安定性サンプルのラベルで標識した。各種条件下に置いたサンプルをサンプリングし、3ヶ月目及び6ヶ月目に試験した(XRPD)。アッセイ結果を0日目の最初のアッセイ結果と比較した。アッセイ結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0114】
光制御*1:光制御サンプルを同時に配置する必要があった。光制御サンプルをスクリューキャップで封止し、次いでスズ箔で完全に包んだ。
【0115】
結論:式(II)の化合物の結晶形Aは、高温、高湿度、強光、並びに長期実験及び加速実験の条件下で良好な安定性を有する。
【0116】
生物学的アッセイデータ:
アッセイ例1:KRASG12C変異MIA-PA-CA-2細胞の増殖に対する化合物の阻害効果のアッセイ
1.1 アッセイの目的
【0117】
化合物を、KRASG12C変異MIA-PA-CA-2細胞の増殖阻害のIC50についてアッセイした。
【0118】
1.2 試薬
【0119】
このアッセイで使用した主な試薬は、CellTiter-Glo(Promega、カタログ番号G7573)を含んでいた。
【0120】
1.3 機器
【0121】
このアッセイで使用した主な機器は、PerkinElmer EnVision多機能マイクロプレートリーダーであった。
【0122】
1.4 アッセイの方法
1)接着細胞をトリプシンで消化して細胞懸濁液を形成し、その後の使用のために細胞懸濁液を計数した。
2)遠心管に適量の細胞を加え、細胞培養培地を加えて必要な容量とし、次いで、細胞を96ウェルプレートに2000細胞/ウェル(100μLの培養培地)の最終密度で播種した。
3)24時間インキュベートした後、化合物をDMSOを用いて10mMに処方し、DPBS(ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水)で9点に3倍段階希釈し、10μLを各ウェルに二連で加えた。1ウェルあたり10μLのDPBSをアッセイ対照ウェル(Con)に加えた。
4)同日に、化合物を含まない別の細胞培養プレートに50μLのCellTiter Gloを加え、EnVisionで蛍光値を読み取った。この値を0日目の値として記録した。
5)化合物で処理した細胞を72時間インキュベーションした後、プレートを取り出し、50μLのCellTiter Gloを細胞プレートに加えた。蛍光値をEnVisionで読み取った。
6)データ解析:各ウェル中の細胞の阻害率を以下の式に従って計算した。
【数1】
*FDay0は、化合物処理なしの元の細胞数アッセイウェルの読み取り値であった。
Conは、72時間のインキュベーション後のCon群の蛍光読み取り値であった。
Cpdは、72時間のインキュベーション後の各化合物の蛍光読み取り値であった。
7)Log(アゴニスト)対応答:化合物の阻害率データ(阻害率%)に対する可変勾配非線形フィット分析を実施して、GraphPad Prismソフトウェアによって以下の式を使用して化合物のIC50値を得た。
【数2】
【0123】
1.5 アッセイの結果
【表4】
【0124】
アッセイ結果は、式(I)の化合物が、KRASG12C変異MIA-PA-CA-2細胞株の細胞増殖に対して良好な阻害活性を有することを示した。
【0125】
アッセイ例2:KRASG12C変異H358細胞の増殖に対する化合物の阻害効果のアッセイ
2.1 アッセイの目的
【0126】
化合物を、KRASG12C変異H358細胞の増殖阻害のIC50についてアッセイした。
【0127】
2.2 試薬
【0128】
このアッセイで使用した主な試薬には、RPMI-1640培地、Vicenteから購入したペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質、Bioseraから購入したウシ胎児血清、Promegaから購入したCellTiter-Glo(細胞生存率化学発光検出試薬)試薬、及び中国科学院のセルバンクから購入したNCI-H358細胞株が含まれていた。
【0129】
2.3 機器
【0130】
このアッセイで使用した主な機器は、Nivoマルチラベルアナライザ(PerkinElmer)であった。
【0131】
2.4 アッセイの方法:
1)NCI-H358細胞を白色96ウェルプレートに接種したが、各ウェルは80μLの細胞懸濁液及び4000個のNCI-H358細胞を含んでいた。細胞プレートを炭酸ガスインキュベータ内で一晩インキュベートした。
2)アッセイ対象の化合物をマルチチャネルピペットで5倍段階希釈して、9つの濃度、すなわち2mM~5.12nMを得た。アッセイを二連で行った。78μLの培地を中間プレートに加えた後、2μLの段階希釈した化合物を対応する位置に従って中間プレートの各ウェルに移した。ウェルを混合した後、20μL/ウェルを細胞プレートに移した。細胞プレートに移した化合物の濃度は、10μM~0.0256nMの範囲であった。細胞プレートを炭酸ガスインキュベータ内で5日間インキュベートした。別の細胞プレートを用意し、化合物添加当日の細胞プレートのシグナル値を最大値(下記式におけるMax値)として読み取って、データ解析に利用した。細胞プレートの各ウェルに25μLの細胞生存率化学発光検出試薬を加え、プレートを室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化させた。プレートを読み取るためにマルチラベルアナライザを使用した。
3)細胞プレートの各ウェルに25μLの細胞生存率化学発光検出試薬を加え、プレートを室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化させた。プレートを読み取るためにマルチラベルアナライザを使用した。
【0132】
データ解析:
【0133】
式(Sample-Min)/(Max-Min)*100%を使用して生データを阻害率に変換し、4つのパラメータ(GraphPad Prismにおける「log(阻害剤)対応答--可変勾配」モード)によるカーブフィッティングによってIC50値を得ることができる。NCI-H358細胞増殖に対する本開示の化合物の阻害活性を表5に示した。
【表5】
【0134】
結論:式(I)の化合物は、NCI-H358細胞の増殖に対して良好な阻害活性を示す。
【0135】
アッセイ例3:肝細胞の代謝安定性
アッセイの目的:CD-1マウス、SDラット、ビーグル犬、カニクイザル及びヒトの肝細胞におけるアッセイ化合物の代謝安定性をそれぞれアッセイした。
【0136】
アッセイの手順:いくつかの96ウェルサンプル析出プレートを用意し、それぞれT0基板、T15基板、T30基板、T60基板、T90基板、T120基板、T0-MC基板、T120-MC基板及びブランク基板と命名した。回収培地及びインキュベーション培地を予め取り出し、予熱のために37℃の水浴に入れた。凍結保存した肝細胞を液体窒素タンクから取り出し、直ちに37℃の水浴に浸した(約90秒)。凍結保存した肝細胞を解凍してほぐした後、回収培地40mLを入れた遠心管に注ぎ、管を静かに逆さにして回収培地に細胞を再懸濁させた。細胞を室温で5分間100×gで遠心分離し、上清を取り除いた。肝細胞を適当な体積のインキュベーション培地に再懸濁し、トリパンブルー染色法によって細胞生存率を計算した。198μLの肝細胞懸濁液(0.51×10細胞/mL)を予熱したインキュベーションプレートに加えた。培養培地対照群については、198μLの肝細胞非含有インキュベーション培地をT0-MC及びT120-MCインキュベーションプレートに加えた。すべてのインキュベーションプレートを37℃のインキュベータ内で10分間プレインキュベートした。次いで、アッセイサンプル及び対照化合物の作業溶液2μLをそれぞれ添加し、混合物をよく混合した。インキュベーションプレートを直ちにインキュベータ内のシェーカーに入れ、タイマーをスタートさせると同時に反応を開始した。各化合物の各時点について、2つの複製サンプルを調製した。インキュベーション条件は、37℃、飽和湿度、及び5%COであった。アッセイ系において、アッセイサンプルの最終濃度は1μM、対照サンプルの最終濃度は3μM、肝細胞の最終濃度は0.5×10細胞/mL、全有機溶媒の最終濃度は0.96%であり、そのうちDMSOの最終濃度は0.1%であった。対応する時点のインキュベーションの終了時に、インキュベーションプレートを取り出し、化合物及び対照化合物と細胞との混合物25μLを、125μLの停止溶液(アセトニトリル中200ng/mLのトルブタミド及びラベタロール)を含むサンプルプレートに加えた。ブランクサンプルプレートについては、25μLの肝細胞非含有インキュベーション培地を直接加えた。密封後、すべてのサンプルプレートをシェーカーにて600rpmで10分間振盪し、次いで3220×gで20分間遠心分離した。アッセイサンプル及び対照サンプルの上清を超純水で1:3の比で希釈した。すべてのサンプルをよく混合し、LC/MS/MSによって分析した。
【0137】
アッセイ結果:アッセイ結果を表6に示す。
【表6】
【0138】
結論:様々な種の肝細胞における代謝アッセイは、式(I)の化合物が良好な代謝安定性を有することを示した。
【0139】
アッセイ例4:肝ミクロソームにおけるインビトロ安定性アッセイ
アッセイの目的:CD-1マウス、SDラット、ビーグル犬、カニクイザル及びヒトの肝ミクロソームにおけるアッセイ化合物の代謝安定性をそれぞれアッセイした。
【0140】
アッセイの手順:2つの96ウェルインキュベーションプレートを用意し、それぞれT60インキュベーションプレート及びNCF60インキュベーションプレートと命名した。445μLのミクロソーム作業溶液(0.56mg/mLの肝ミクロソームタンパク質濃度)をT60インキュベーションプレート及びNCF60インキュベーションプレートにそれぞれ加え、次いで、上記インキュベーションプレートを37℃の水浴中で約10分間プレインキュベートした。
【0141】
プレインキュベーション後、アッセイサンプル又は対照化合物の作業溶液5μLをT60インキュベーションプレート及びNCF60インキュベーションプレートにそれぞれ加え、混合物を十分に混合した。50μLのリン酸カリウム緩衝液をNCF60インキュベーションプレートの各ウェルに加えて反応を開始した。180μLの停止溶液(アセトニトリル中200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロール)及び6uLのNADPH再生系作業溶液をT0停止プレートに加え、54μLのサンプルをT60インキュベーションプレートからT0停止プレートに移した(T0サンプルの生成)。44μLのNADPH再生系作業溶液をT60インキュベーションプレートの各ウェルに加えることによって、反応を開始した。54μLのミクロソーム作業溶液、6uLのNADPH再生系作業溶液及び180μLの停止溶液のみをブランクプレートに加えた。したがって、アッセイ化合物又は対照化合物のサンプルでは、化合物、テストステロン、ジクロフェナク及びプロパフェノンの最終反応濃度は1μMであり、肝ミクロソームの濃度は0.5mg/mLであり、反応系内のDMSO及びアセトニトリルの最終反応濃度はそれぞれ0.01%(v/v)及び0.99%(v/v)であった。適当な時間(例えば、5、15、30、45及び60分)のインキュベーション後、180μLの停止溶液(アセトニトリル中200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロール)を各停止プレートのサンプルウェルにそれぞれ加えた。60μLのサンプルをT60インキュベーションプレートから取り出して、反応を停止させた。すべてのサンプルプレートを十分に振盪し、次いで3220×gで20分間遠心分離した。その後、各ウェルから80μLの上清を取り出し、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析のために240μLの純水で希釈した。すべてのサンプルを注入し、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析によって分析した。
【0142】
アッセイ結果:アッセイ結果を表7に示す。
【表7】
【0143】
結論:肝ミクロソームにおける代謝安定性のアッセイは、式(I)の化合物が良好な代謝安定性を有することを示した。
【0144】
アッセイ例5:血漿中の安定性アッセイ
アッセイの目的:CD-1マウス及びヒトの血漿中のアッセイ化合物の安定性をそれぞれアッセイした。
【0145】
アッセイの手順:凍結保存血漿を10~20分間解凍した。血漿を完全に解凍した後、遠心分離機に入れ、3220×gで5分間遠心分離して、血漿中のあらゆる懸濁物及び沈殿物を除去した。96ウェルインキュベーションプレートを用意し、それぞれT0、T10、T30、T60、T120と命名した。マウス、ラット、イヌ、サル及びヒトのブランク血漿98μLを対応するインキュベーションプレートに加え、次いで、化合物又は対照化合物の作業溶液2μLを対応するプレートに二連で加えた。すべてのサンプルを37℃の水浴中でインキュベートした。化合物及び対照化合物のビサコジル、マレイン酸エナラプリル、プロカイン及びプロバンチンの最終インキュベーション濃度は2μMであり、最終有機相含有量は2.0%であった。各時点のインキュベーションの終了時に、対応するインキュベーションプレートを取り出し、アセトニトリル中200ng/mLのトルブタミド及びラベタロールの溶液400μLを各対応するサンプルウェルに加えてタンパク質を沈殿させた。すべてのサンプルプレートを密封し、十分に振盪し、次いで3220×gで20分間遠心分離した。50μLの上清を取り出し、100μLの超純水で希釈した。すべてのサンプルをよく混合し、次いでLC/MS/MSによって分析した。
【0146】
アッセイ結果:アッセイ結果を表8に示す。
【表8】
【0147】
結論:式(I)の化合物は、ヒト及びマウスの血漿中で良好な安定性を有する。
【0148】
アッセイ例6:全血中の安定性アッセイ
アッセイの目的:CD-1マウス、SDラット、ビーグル犬及びカニクイザルの全血中のアッセイ化合物の安定性をそれぞれアッセイした。
【0149】
アッセイの手順:アッセイの当日又はアッセイの前日に、抗凝固剤EDTA-K2を用いて、CD-1マウス、SDラット、ビーグル犬及びカニクイザルから新鮮な全血を採取した。アッセイ開始前に、全血をPBSと1:1(v:v)で混合し、混合物を37℃の水浴中で10~20分間予熱した。96ウェルインキュベーションプレートを用意し、それぞれT0、T30、T60、T240と命名した。T0、T30、T60及びT240インキュベーションプレートを含む対応するインキュベーションプレートにおいて、化合物又は対照化合物の作業溶液2μLを、マウス、ラット、イヌ、サル及びヒトのブランク全血98μLと二連で混合した。すべてのサンプルを37℃の水浴中でインキュベートした。化合物の最終インキュベーション濃度は5μMであり、対照化合物の最終インキュベーション濃度は2μMであった。各時点のインキュベーションの終了時に、対応するインキュベーションプレートを取り出し、100μLの超純水を対応するサンプルウェルに直ちに加え、十分に混合した。アセトニトリル中200ng/mLのトルブタミド及びラベタロールの溶液800μLを添加してタンパク質を沈殿させた。サンプルプレートを密封し、十分に振盪し、次いで3220×gで20分間遠心分離した。上清150μLを取り出し、LC/MS/MSで分析した。
【0150】
アッセイ結果:アッセイ結果を表9に示す。
【表9】
【0151】
結論:様々な種の全血中の安定性アッセイは、式(I)の化合物が全血中で良好な安定性を有することを示した。
【0152】
アッセイ例7:タンパク質結合率のアッセイ
アッセイの目的:CD-1マウス、SDラット、ビーグル犬、カニクイザル及びヒトの血漿中のアッセイ化合物のタンパク質結合率を平衡透析によって求めた。
【0153】
アッセイの手順:上記5種の血漿を用いて化合物濃度が2μMの血漿サンプルを調製し、96ウェル平衡透析装置に入れ、37±1℃のリン酸緩衝液で4時間透析した。このアッセイでは、対照化合物としてワーファリンを使用した。血漿及び透析緩衝液中のアッセイ化合物の濃度をLC-MS/MS法によって求めた。
【0154】
アッセイ結果:アッセイ結果を表10に示す。
【表10】
【0155】
結論:様々な種の血漿結合率に関するアッセイは、式(I)の化合物が血漿中で高いタンパク質未結合率を有することを示した。
【0156】
アッセイ例8:インビボでの薬物動態に関するアッセイ
1)SDラットにおける経口投与及び静脈内注射によるアッセイ化合物の薬物動態に関するアッセイ
【0157】
アッセイ化合物を5%ジメチルスルホキシド/95%(10%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)溶液と混合した。混合物をボルテックスし超音波処理して1mg/mLの透明溶液を調製し、これを後で使用するために微多孔膜を通して濾過した。7~10週齢の雄性SDラットを選択し、候補化合物溶液を静脈内又は経口投与した。全血を一定期間採取し、調製して血漿を得た。LC-MS/MS法によって薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlinソフトウェア(Pharsight、米国)によって薬物動態パラメータを計算した。アッセイの結果を表11に示す。
【表11】
【0158】
注釈:Vdss,uは、未結合血漿タンパク質下の見かけの分布容積である(Vdss,u=Vdss/PPB(未結合%));Cmax,u及びAUC0-last,uは、未結合血漿タンパク質下での対応する値である(Cmax,u=Cmax×PPB(未結合%);AUC0-last,u=AUC0-last×PPB(未結合%))。
【0159】
結論:PKアッセイは、式(I)の化合物がラットにおいて高い未結合血漿曝露量及び良好な経口バイオアベイラビリティを有することを示した。
【0160】
2)SDラットにおける経口投与による式(II)の化合物の結晶形Aの薬物動態に関するアッセイ
【0161】
109.72mgのアッセイ化合物を精秤し、ガラスバイアルに加えた。774uLの0.5%メチルセルロース(400粘度)水溶液を添加し、混合物を5分間攪拌した。10mLの0.5%メチルセルロース(400粘度)水溶液を添加し、混合物を5分間攪拌して均一で不透明な懸濁液を得た。7~10週齢の雄性SDラットを選択し、候補化合物溶液を経口投与した。全血を一定期間採取し、調製して血漿を得た。LC-MS/MS法によって薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlinソフトウェア(Pharsight、米国)によって薬物動態パラメータを計算した。アッセイの結果を表12に示す。
【表12】
【0162】
結論:PKアッセイは、式(II)の化合物の結晶形Aがラットにおいて高い曝露量を有することを示した。
【0163】
3)CDマウスにおける経口投与及び静脈内注射によるアッセイ化合物の薬物動態に関するアッセイ
【0164】
アッセイ化合物を5%ジメチルスルホキシド/95%(10%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)溶液と混合した。混合物をボルテックスし超音波処理して1mg/mLの透明溶液を調製し、これを後で使用するために微多孔膜を通して濾過した。7~10週齢の雄性CDマウスを選択し、候補化合物溶液を静脈内又は経口投与した。全血を一定期間採取し、調製して血漿を得た。LC-MS/MS法によって薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlinソフトウェア(Pharsight、米国)によって薬物動態パラメータを計算した。アッセイの結果を表13に示す。
【表13】
【0165】
注釈:Vdss,uは、未結合血漿タンパク質下の見かけの分布容積である(Vdss,u=Vdss/PPB(未結合%));Cmax,u及びAUC0-last,uは、未結合血漿タンパク質下での対応する値である(Cmax,u=Cmax×PPB(未結合%);AUC0-last,u=AUC0-last×PPB(未結合%))。
【0166】
結論:PKアッセイは、式(I)の化合物がマウスにおいて高い未結合血漿曝露量及び良好な経口バイオアベイラビリティを有することを示した。
【0167】
4)ビーグル犬における経口投与によるアッセイ化合物の薬物動態に関するアッセイ
【0168】
680.397mgのアッセイ化合物粉末を精秤し、50mLの0.5%メチルセルロース(400粘度)水溶液を添加した。混合物を10分間攪拌し、10分間超音波処理した。50mLの0.5%メチルセルロース(400粘度)水溶液を加え、ホモジナイザーを用いて10分間ホモジナイズした。11mLの0.5%メチルセルロース(400粘度)水溶液を添加した。混合物を5分間超音波処理し、10分間攪拌した。358μLの0.5%メチルセルロース(400粘度)水溶液を添加し、2分間攪拌した。6月齢を超える雄性ビーグル犬を選択し、候補化合物溶液を経口投与した。全血を一定期間採取し、調製して血漿を得た。LC-MS/MS法によって薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlinソフトウェア(Pharsight、米国)によって薬物動態パラメータを計算した。アッセイの結果を表14に示す。全血を一定期間採取し、調製して血漿を得た。LC-MS/MS法によって薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlinソフトウェア(Pharsight、米国)によって薬物動態パラメータを計算した。アッセイの結果を表14に示す。
【表14】
【0169】
結論:PKアッセイは、式(II)の化合物の結晶形Aがイヌにおいて高い曝露量を有することを示した。
【0170】
アッセイ例9:インビボでの薬力学に関するアッセイ
Balb/cヌードマウスにおけるヒト膵臓がんMia PaCa-2細胞の皮下移植腫瘍モデルにおけるインビボでの薬力学に関するアッセイ
【0171】
1.細胞培養及び腫瘍組織調製
【0172】
細胞培養:ヒト膵臓がんMia PaCa-2細胞(ATCC-CRL-1420)を、37℃、5%炭酸ガスインキュベータにおいて10%ウシ胎児血清及び2.5%ウマ血清を含むDMEM培地中、インビトロで単層培養した。細胞をトリプシン-EDTAによる通常の消化によって週に2回継代した。細胞飽和度が80%~90%に達し、細胞数が要件を満たしたときに、細胞を回収し、計数し、適当な量のPBSに再懸濁した。マトリゲルを1:1の比で添加して、25×10細胞/mLの細胞密度を有する細胞懸濁液を得た。
【0173】
細胞接種:0.2mL(5×10細胞/マウス)のMia PaCa-2細胞(+マトリゲル、体積で1:1)を各マウスの右背部に皮下接種した。平均腫瘍体積が190mmに達したときに、マウスを腫瘍体積に基づいて各群に無作為化し、表15のプロトコルに従って投与を開始した。
【表15】
【0174】
注釈:POは経口投与を示し、QDは1日1回を示す。
【0175】
2.腫瘍測定及びアッセイインジケータ
【0176】
腫瘍直径をノギスで週に2回測定した。腫瘍体積の計算式は、V=0.5a×b(式中、a及びbは、それぞれ腫瘍の長径及び短径を表す)とした。
【0177】
化合物の抗腫瘍効果を、TGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価した。相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:処置群におけるRTV;CRTV:陰性対照群におけるRTV)。腫瘍測定結果より相対腫瘍体積(RTV)を計算し、計算式はRTV=Vt/V0(式中、V0は群ごとに投与時(すなわち、D0)に測定した平均腫瘍体積であり、Vtは所定の測定時における平均腫瘍体積である)とした。TRTV及びCRTVについては、同日のデータを使用した。
【0178】
TGI(%)は腫瘍増殖阻害率を反映するものであった。TGI(%)=[(1-(処置群の投与終了時の平均腫瘍体積-処置群の投与開始時の平均腫瘍体積))/(ビヒクル対照群の処置終了時の平均腫瘍体積-ビヒクル対照群の処置開始時の平均腫瘍体積)]×100%。
【0179】
3.アッセイの結果
【0180】
アッセイ結果を図4及び図5に示す。
【0181】
投与22日目の結果を表16に示す。
【表16】
【0182】
結論:式(I)の化合物は、顕著な腫瘍阻害効果を有する。また、各用量群のマウスの体重は安定しており、明らかな不耐性はない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物
【化1】
(式中、nは0.1~2から選択される)。
【請求項2】
nが0.1、0.5、1、1.5及び2から選択されるか、あるいは
nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(II)の化合物の結晶形Aであって、
【化2】
(式中、nは1~2から選択される)
8.514±0.200°、14.689±0.200°、及び18.122±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする結晶形A。
【請求項4】
6.218±0.200°、8.514±0.200°、12.299±0.200°、14.689±0.200°、16.903±0.200°、18.122±0.200°、18.927±0.200°、及び25.580±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とするか、あるいは
6.218±0.200°、8.514±0.200°、11.663±0.200°、12.299±0.200°、14.689±0.200°、16.903±0.200°、18.122±0.200°、18.927±0.200°、19.364±0.200°、20.386±0.200°、21.914±0.200°、及び25.580±0.200°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とするか、あるいは
6.218°、8.514°、11.663°、12.299°、14.689°、16.903°、18.122°、18.554°、18.927°、19.364°、20.386°、21.914°、22.640°、23.867°、24.553°、24.806°、25.580°、25.988°、27.147°、27.715°、29.135°、及び31.799°の2θ角度に特徴的な回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とするか、あるいは
図1に示すXRPDパターンを有する、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項5】
115.37°C±3°Cに吸熱ピークのピーク値を有する示差走査熱量測定曲線を有するか、あるいは
図2に示すDSC曲線を有する、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項6】
150.0°C±3°Cで最大5.379%の重量減少を有する熱重量分析曲線を有するか、あるいは
図3に示すTGA曲線を有する、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項7】
150.0°C±3°Cで最大5.379%の重量減少を有する熱重量分析曲線を有するか、あるいは
図3に示すTGA曲線を有する、請求項5に記載の結晶形A。
【請求項8】
nが2である、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項9】
請求項3に記載の式(II)の化合物の結晶形Aを調製する方法であって、
(a)式(I)の化合物をエタノールに添加し、透明になるまで混合物を攪拌すること、
【化3】
(b)攪拌しながらゆっくりとその系に水を加え、20~30℃で種晶を加えること、
(c)20~30℃で15時間攪拌すること、
(d)20~30℃で反応系に水をゆっくり滴下し、更に1~3時間攪拌すること、
(e)濾過し、固体を回収すること
を含む方法。
【請求項10】
請求項1~2のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項3~8のいずれか一項に記載の結晶形A、又は請求項9に記載の方法に従って調製した式(II)の化合物の結晶形Aを含む医薬品。
【請求項11】
疾患を治療するための医薬組成物であって、
求項1~2のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項3~8のいずれか一項に記載の結晶形A、又は請求項9に記載の方法に従って調製した式(II)の化合物の結晶形Aを含み、
上記疾患が固形腫瘍であるか、あるいは
上記疾患が肺がん及び直腸がんから選択される、医薬組成物。
【国際調査報告】