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特表2024-535802光学フィルタおよびそれを備えた照明ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】光学フィルタおよびそれを備えた照明ユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/08 20060101AFI20240925BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240925BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20240925BHJP
   G02B 6/028 20060101ALI20240925BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240925BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240925BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240925BHJP
【FI】
G02B6/08
G02B6/02 431
G02B6/036
G02B6/028
F21V8/00 263
F21V8/00 241
F21S2/00 600
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515889
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 IB2021058316
(87)【国際公開番号】W WO2023037150
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520457694
【氏名又は名称】コエルクス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】COELUX S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ディ トラパーニ,パオロ
【テーマコード(参考)】
2H038
2H250
【Fターム(参考)】
2H038BA23
2H250AD17
2H250AD46
2H250AD47
2H250BA32
2H250BA33
2H250BA34
2H250BB07
2H250BB17
2H250BB22
2H250BD01
2H250CA02
2H250CA06
2H250CA09
(57)【要約】
実質的に平坦で互いに平行な第1表面および第2表面と、互いに平行であって、少なくとも1つの固体材料で製作された複数の光学的に透明なチャネルであって、各チャネルは、長手方向軸に沿って細長い形状を有し、前記第1表面と前記第2表面との間に延びており、各チャネルは個々の側面を有する、複数の光学的に透明なチャネルと、を備える。各チャネルは、少なくとも1つの、第1屈折率を有する中心コアと、前記中心コアの外側表面を包み、前記第1屈折率よりも小さい第2屈折率を有する第1クラッドと、隣接するチャネルの側面の間に介在し、隣接するチャネルを通る光の通過を低減するように構成される第1光学吸収材料と、を備える。各チャネル(103)は、下記の関係を満たす、前記長手方向軸(Y-Y)に沿った長さ(L)を有する、光学フィルタ(100)。
【数1】

ここで、nは第1屈折率の値、Rは複数のチャネル(103)の平均チャネル半径、θはフィルタ(100)のカットオフ角、Aは5に等しい定数である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に平坦な第1表面(101)および、前記第1表面(101)に対して平行であれ、実質的に平坦な第2表面(102)と、
互いに平行であって、少なくとも1つの固体材料で製作された複数の光学的に透明なチャネル(103)であって、各チャネル(103)は、長手方向軸(Y-Y)に沿って細長い構造を有し、前記第1表面(103)と前記第2表面(102)との間に延びており、各チャネル(103)は、個々の側面を有する、複数の光学的に透明なチャネル(103)と、を備え、
各チャネル(103)は、少なくとも、
第1屈折率を有する中心コア(110a)と、
前記中心コア(110b)の外側表面を包む第1クラッド(110b)であって、前記第1屈折率よりも小さい第2屈折率を有する第1クラッド(110b)と、
隣接するチャネル(103)の側面の間に介在する第1光学吸収材料(111)と、を備え、
前記第1光学吸収材料(111)は、隣接するチャネル(103)を通る光の通過を低減するように構成され、
各チャネル(103)は、下記の関係を満たす、前記長手方向軸(Y-Y)に沿った長さ(L)を有する、光学フィルタ(100)。
【数1】

ここで、nは第1屈折率の値、Rは複数のチャネル(103)の平均チャネル半径、θはフィルタ(100)のカットオフ角、Aは5に等しい、または好ましくは3に等しい、またはより好ましくは2に等しい、またはさらに好ましくは1.5に等しい、またはさらにより好ましくは1.3に等しい定数である。
【請求項2】
各チャネル(103)は、複数のクラッド(110b,…,110n)を備え、各クラッドは、個々の屈折率を有し、
各チャネル(103)は、個別の屈折率プロファイルを有し、前記屈折率プロファイルは、前記中心コア(110a)の空間で最大値を有し、半径方向外向き方向に沿って減少する、請求項1に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項3】
前記長さ(L)はさらに、下記の関係を満たす。
【数2】

ここで、nは前記第1屈折率の値、Rは複数のチャネル(103)の前記平均チャネル半径、θはフィルタ(100)の前記カットオフ角、Aは5に等しい、または好ましくは3に等しい、またはより好ましくは2に等しい、またはさらに好ましくは1.5に等しい、またはさらにより好ましくは1.3に等しい定数である、請求項2に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項4】
個々のチャネル(103)の中心が、個々のチャネル(103)の断面の重心点に対応しており、
各チャネル(103)は、最内側クラッド(110i-1)または中心コア(110a)と隣接する最外側クラッド(110i+1)との間に介在する中間クラッド(110i)を備え、前記中間クラッド(110i)、前記最内側クラッド(110i-1)および前記最外側クラッド(110i+1)は、個々の屈折率を有し、
個々のチャネル(103)について、下記の関係が適用される、請求項2または3のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【数3】

ここで、n(i-1)は、前記最内側クラッド(110i-1)または前記中心コア(110a)の屈折率、
n(i)は、前記中間クラッド(110i)の屈折率、
n(i+1)は、前記隣接する最外側クラッド(110i+1)の屈折率、
d(i-1)は、長手方向軸(Y-Y)に対して平行で、個々のチャネル(103)の前記中心を通過する軸から、最内側クラッド(110i-1)または前記中心コア(110a)の半径方向外側表面までの平均距離、
d(i)は、長手方向軸(Y-Y)に対して平行で、個々のチャネル(103)の前記中心を通過する軸から、中間クラッド(110i)の半径方向外側表面までの平均距離、
d(i+1)は、長手方向軸(Y-Y)に対して平行で、個々のチャネル(103)の前記中心を通る軸から、隣接する最外側クラッド(110i+1)の半径方向外側表面までの平均距離である。
【請求項5】
前記光学フィルタ(100)は、像面および物面を有し、
前記物体面および/または前記像面は、前記第1表面(101)および/または前記第2表面(102)から、下記の関係によって与えられる距離Dのいずれかまたは両方に配置される、請求項2~4に記載の光学フィルタ(100)。
【数4】

ここで、Lは、個々のチャネル(103)の長さ(L)、
は、前記中心コア(110a)の屈折率である。
【請求項6】
前記光学フィルタ(100)は、像面および物面を有し、
前記物体面および/または前記像面は、前記第1表面(101)および/または前記第2表面(102)から、下記の関係によって与えられる距離Dのいずれかまたは両方に配置される、請求項2~4に記載の光学フィルタ(100)。
【数5】
ここで、Lは、個々のチャネル(103)の長さ(L)、
は、前記中心コア(110a)の屈折率である。
【請求項7】
各チャネル(103)は、最大屈折率nmaxと最小屈折率nminを有し、
前記最大屈折率nmaxは、前記中心コア(110a)の前記第1屈折率に対応し、前記最小屈折率nminは、チャネル(103)の最外側クラッド(110b/110n)の屈折率に対応しており、
前記最大屈折率nmaxおよび前記最小屈折率nminは、約50%の許容範囲で、下記の関係を満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【数6】
ここで、θは、フィルタ100の前記カットオフ角である。
【請求項8】
各チャネル(103)は、実質的に円形断面を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項9】
各チャネル(103)は、正多角形断面を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項10】
各チャネル(103)は、実質的に楕円形断面を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項11】
各チャネル(103)は、非多角形の凹状または凸状の断面を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項12】
各チャネル(103)は、正多角形以外の多角形断面、好ましくは正多角形以外の凸状多角形断面を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項13】
各チャネル(103)は、少なくとも他のチャネル(103)の断面の面積および/または形状とは実質的に異なる面積および/または形状を有する断面を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項14】
各チャネル(103)の前記中心コア(110a)は、実質的に円形断面を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項15】
前記フィルタ(100)は、複数の統計的に等価なチャネル(103)を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項16】
チャネル(103)は、長手方向軸(Y-Y)に直交する平面内で実質的にランダムに配向した断面を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項17】
前記複数のチャネル(103)は、平均的に円形断面を備えた複数のチャネルである、請求項1~16のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項18】
各チャネル(103)は、放物線プロファイルに近似する個別屈折率プロファイルを有する、請求項2~17のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項19】
下記の式が、各チャネル(103)に適用され、
【数7】
ここで、F(r)は、チャネル103の個別の屈折率の半径方向プロファイルを、チャネル(103)の中心からの半径距離の関数として近似する関数、
は、中心コア(110a)の屈折率、
rは、チャネル(103)の中心からの半径距離、
gは、下記の式で歌えられる勾配係数、
【数8】
ここで、θは、フィルタ(100)のカットオフ角θ
は、個々のチャネル(103)の中心コア(110a)の屈折率、
Rは、平均チャネル半径(103)である。
【請求項20】
各チャネルは、複数の少なくとも3個のクラッド、好ましくは少なくとも4個のクラッド、より好ましくは少なくとも5個のクラッド、さらに好ましくは少なくとも7個のクラッドを含む、請求項2~19のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)。
【請求項21】
・請求項1~20のいずれか1項に記載の光学フィルタ(100)と、
・光学フィルタ(100)の第1略平坦表面(101)に隣接し、好ましくは接触して位置決めされた反射面(810)と、を備える、光反射ユニット(800)。
【請求項22】
光学フィルタ(100)の略平坦な第2表面(102)に隣接し、好ましくは接触して位置決めされた裏面と、入射光によって照射されるように構成された前面とを含む有彩色拡散層(820)を備え、
有彩色拡散層(820)は、実質的に透明なマトリクス内に分散された複数の実質的に透明なナノエレメントを含み、ナノエレメントおよびマトリクスは異なる屈折率を有し、入射光が標準光源CIE Eである場合、光反射ユニット(800)が、カットオフ角(θ)よりも低い極角で第1CCTの第1直接光と、カットオフ角(θ)よりも大きい極角で第2CCTの第2拡散光とを生成するように構成され、第2CCTは、第1CCTの少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、またはより好ましくは1.5倍に等しい、請求項21に記載の光反射ユニット(800)。
【請求項23】
・請求項1~20のいずれか1項に記載の光学フィルタ(100)と、
・光学フィルタ(100)の第1略平坦表面(101)または第2略平坦表面(102)に隣接して、好ましくは接触して位置決めされ、入射光によって照射されるように構成された表面を含む有彩色拡散層(910)と、を備える有彩色ユニット(900)であって、
有彩色拡散層(910)は、実質的に透明なマトリクス内に分散された複数の実質的に透明なナノエレメントを含み、ナノエレメントおよびマトリクスは異なる屈折率を有し、入射光が標準光源CIE Eである場合、有彩色ユニット(900)が、カットオフ角(θ)よりも低い極角で第1CCTの第1直接光と、カットオフ角(θ)よりも大きい極角で第2CCTの第2拡散光とを生成するように構成され、第2CCTは、第1CCTの少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、またはより好ましくは1.5倍に等しい、有彩色ユニット(900)。
【請求項24】
可視光を非等方性に放射するように構成された直接光源(200、700)と、
直接光源の下流側に位置決めされた請求項1~20のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)であって、直接光源(200)から放射された光によって光学フィルタの入力面(101)が照射される光学フィルタ(100)と、を備える、太陽光を再現するための人工光の照明ユニット(1000,1000’)。
【請求項25】
直接光源(200)は、
第1色相関温度またはCCTを有する可視光を放射し、
可視光エミッタ(201)と、可視光エミッタによって放射された光をコリメートするための光学系(202)と、直接光を放射するための平坦放射面(203)とを備え、
直接光放射の平面表面に対して垂直な放射円錐(205)の準線を有し、50度未満、好ましくは30度未満、より好ましくは10度未満である、平面放射面上の直接光源の角度輝度プロファイルの半幅として定義される、直接光(206)の角度半開口を有する放射円錐(207)内に含まれる方向に主に沿って光(230)を生成するように構成され、
半幅は、ピーク値の0.5倍に等しい高さで測定され、
角度輝度プロファイルは、空間座標および方位座標に渡って平均化され、
人工光の照明ユニット(1000)は、第1CCTよりも少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍に等しい第2色相関温度またはCCTを有する拡散可視光を放射するように構成された拡散光源(300)を備える、請求項24に記載の人工光照明ユニット(1000)。
【請求項26】
直接光源(700)は、
・第1色相関温度またはCCTを有する可視光を放射し、
・実質的に透明な表面(710)上に配置された複数の光源(702)を備え、複数の光源のうちの各光源(702)は、同じ主方向(705)に沿ってピークを有する光源角度輝度のプロファイルを備えた光ビーム(704)を生成するように配置され構成され、
人工光の照明ユニット(1000’)は、実質的に平面であり、主方向(705)に対して実質的に平行である法線を備えた有彩色光反射ユニット(1100)を備え、前記有彩色光反射ユニット(1100)は空間内に位置決めされ、複数の光源(702)の光源は、空間を実質的に均一に照射し、
光学フィルタ(100)は、前記有彩色光反射ユニット(1100)に含まれ、前記有彩色光反射ユニット(1100)はさらに少なくとも、
直接光源(700)に配向した反射面(1101)であって、光学フィルタ(100)は、反射面(1101)に隣接して、好ましくは反射面(1101)と接触して位置決めされる、反射面(1101)と、
光学フィルタ(100)と直接光源(700)との間に介在し、第1CCTの1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍に等しい第2色相関温度またはCCTを有する拡散可視光を放射するように構成された拡散光源(300)とを、備える、請求項24に記載の人工光の照明ユニット(1000)。
【請求項27】
自然光を受光するように構成された受光面(2001)と、
受光面(2001)と少なくとも部分的に重なり合う第1表面(101)または第2表面(102)を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の光学フィルタ(100)と、を備える、太陽光を再現するための自然照明ユニット(2000,2000’,2000”)。
【請求項28】
自然光のCCTより、および/または、5600ケルビンに等しいCCTより、少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍の色相関温度またはCCTを有する拡散可視光を放射するように構成された拡散光源(300)、あるいは、
実質的に透明なマトリクスに分散された複数の実質的に透明なナノエレメントを含む有彩色拡散層(820,910)であって、ナノエレメントおよびマトリクスは異なる屈折率を有し、入射光が標準光源CIE Eである場合、自然光ユニット(2000’,2000”)が、カットオフ角(θ)よりも低い極角で第1CCTの第1直接光と、カットオフ角(θ)よりも大きい極角で第2CCTの第2拡散光とを生成するように構成され、第2CCTは、第1CCTの少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、またはさらに好ましくは1.5倍に等しい、有彩色拡散層(820,910)をさらに備える、請求項27に記載の自然照明ユニット(2000’,2000”)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に光学フィルタに関する。さらに本発明は、照明ユニット、特に、こうした光学フィルタを使用する、人工光および/または自然太陽光を模擬する自然光の照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、晴れた日の自然光の主な特徴は、ランプの人工光と異なり、下記を行う能力に関連している。
(i)無限遠距離における観察者の眼によって認知される太陽の像を生成する。
(ii)丸い太陽の像を生成する。
(iii)太陽光の高い指向性(0.5度だけの発散角を有する)により、鮮明な影を生成する。
(iv)相関色温度(CCT)が太陽光の相関色温度よりもはるかに高い天空光によって照射されるため、青い影を生成する。
(v)明るい影、即ち、典型的には、空と太陽光の両方に曝される表面の特性輝度の15~20%以上である輝度を備えた影を生成する。
(vi)晴れた雲のない空と、その空に対して鮮明なコントラストの太陽の像を生成する。
【0003】
自然太陽光と同一の光、即ち、上記特性を備えた光を生成できる照明ユニットの開発は、現在まで達成されていない。特に、自然太陽光に類似した人工光および/または自然光を生成できる照明ユニットの開発は、コストを伴い、得られる製品を市場に出すことが困難になる。
【0004】
実際、本出願人は、無限遠距離における眼に太陽の像を生成するためには(特徴(i))、光の輝度プロファイルが観察面に渡って空間的に均一であることが必要であることを指摘している。この条件は、観察者の両眼が同じ像を見るために必要であり、実質的に無限距離における物体に関する情報を脳に提供する。
【0005】
さらに、雲のない空と鮮明なコントラストの太陽の像(特徴(vi))を確保するには、太陽光からの角度輝度プロファイルは、カットオフ角に等しい極角の所定の値について打ち消して、即ち、カットオフ角より大きい極角について実質的にゼロに等しい値をとることが必要であり、この極角は、角度輝度プロファイルが最大値を示す方向に対する角度である。さらに、よりリアル感を実現するには、太陽光からの角度輝度プロファイルがカットオフ角付近の極角で最大のコントラストを示すこと、即ち、カットオフ角付近で輝度値の鮮鋭なジャンプを示すことが有用である。さらに、カットオフ角度よりも小さい角度、即ち、角度受容円錐内で実質的に一定、そしてそれ以外では実質的にゼロに等しい輝度値によって特徴付けられる、フラットトップのプロファイルに類似した角度輝度プロファイルの場合、より良好なリアル感が得られる。
【0006】
実際、本出願人は、眼が、雲または霞の空におけるその存在を、標準的なベル形状タイプの角度輝度プロファイル(例えば、ガウシアン)、即ち、カットオフ角なしと関連付けることを指摘している。不都合には、この機能は、晴れた日の体験を呼び起こす照明ユニットの能力を損なうため、市場で人気がない。
【0007】
最後に、丸い太陽の像を保証するために(特徴(ii))、太陽光からの角度輝度プロファイルが方位角に実質的に依存せず、またはあまり依存しないことが必要である。
【0008】
理論的には、所定の表面に渡って空間的に均一な輝度を生成でき、同時に、カットオフ角より低い極角、即ち、角度受容円錐内で実質的に一定の角度輝度プロファイルを生成できる光学フィルタが、国際公開第2020/201938号に記載された照明ユニットにおいて本出願人によって検討されたマイクロ光学タンデムミキサ(以下、より簡単に「タンデムミキサ」)である。周知のように、こうした光学フィルタは、共通の焦点距離に等しい距離に配置された、互いに向かい合う同一のレンズ(またはマイクロレンズ)の2つのマトリクスで構成される。この光学フィルタは、遠視野でレンズアパーチャの均一に照射された像を生成し、そのため、無限遠視の場合は網膜上にも生成する。従って、レンズが円形であって均一に照射される場合(これは極めて小さいサイズのレンズの場合、達成することは困難ではない)、角度受容円錐内で実質的に一定の輝度の角度プロファイルを生成する。
【0009】
不都合には、国際公開第2020/201938号で使用されているタンデムミキサには、実際にはいくつかの重大な問題を提示する。
【0010】
網膜上に、主像に加えて、主像と実質的に類似した形状(ただし、典型的には主像よりもあまり明るくない)を有する、1つ以上の均一照射の2次像またはゴースト像を再現する。
【0011】
最大の構造簡素化と最大の明るさを確保するには、それを構成するレンズマトリクスは、正方形、長方形、六角形のレンズで構成され、あるいは、いずれの場合も、最大のコンパクト化と入力面と出力面の最大のカバーを可能にする形状を備える。その結果、網膜上に生成される像は円形ではなく、正方形、長方形、六角形などである。
【0012】
要約すると、国際公開第2020/201938号に記載されているタンデムミキサを使用する照明ユニットは、強度が低いことを除いて、主像と同一のゴースト像によって包囲された正方形(または長方形または六角形)の太陽の主像を生成するであろう。
【0013】
国際公開第2020/201938号に記載されているように、2次像の問題を排除するには、タンデムミキサの下流側に、吸収壁(例えば、ハニカム構造に従って編成される)で製作された空の並列チャネルのマトリクスを用いて得られる空間フィルタを導入することが検討された。不都合には、こうした空間フィルタは、フィルタの幾何学的カットオフ角よりも小さい角度でフィルタに入射する光線の50%だけが吸収されずに出射するため、高い損失を導入し、高い損失または低い伝送効率を生じさせる。さらに、空気から来て吸収壁に出会う場合に光線が受ける必然的な低い角度の拡散により、迷光を生成し、これは、コントラストを低下させ、フィルタの空間変調を有し、そのためフィルタは、輝度プロファイルに望ましくない規則的なパターンを示し、これは観察者によって容易に認知できる。
【0014】
不都合には、上記の輝度プロファイル内の規則的パターンを除去するために、追加のフィルタ、即ち、その下流側に低角度拡散器フィルタを導入する必要がある。重大には、こうした低角度拡散器は、タンデムミキサの第2の述べた問題を軽減する目的を有し、物体が遠くにあるほど、その向こう側に位置決めされた物体の像をぼかすことができるため、正方形、長方形、六角形などの像を円形に変換する。しかしながら、不都合には、低角度拡散器フィルタは、ガウシアン型のテールによって特徴付けられる角度輝度プロファイル、即ち、鋭いカットオフ角のないプロファイルを生成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、上記問題点を克服する光学フィルタを提供することである。本発明の更なる目的は、自然太陽光を模擬する照明ユニットに使用すると、良好に明確化された輪郭を備えた円形の太陽の像を無期限に生成できる光学フィルタを提供することである。本発明の他の目的は、円形の太陽の像を再現する照明ユニットを提供することである。さらに他の目的は、自然光を模擬する照明ユニットに使用すると、光学フィルタの下流側にある低角度拡散器フィルタの使用を不要にし、太陽の像と空の像との間の鮮明なコントラストを維持することが可能になる。特に、本発明の目的は、良好に明確化された輪郭を備えた円形の太陽の像を無期限に提供できる、自然太陽光を模擬する照明ユニットを実現することである。本発明の更なる目的は、雲のない空に対して鮮明なコントラストで太陽の像を無期限に提供できる、自然太陽光を模擬する照明ユニットを実現することである。本発明の更なる目的は、自然太陽光を模擬する人工光および/または自然光の照明ユニットに使用すると、良好に明確化された輪郭を備えた円形の太陽の像を無期限に生成できる光学フィルタを提供することである。本発明の更なる他の目的は、良好に明確化された輪郭を備えた円形の太陽の像を無期限に提供できる、自然太陽光を模擬する人工光の照明ユニットを実現することである。最後に特に、本発明の更なる目的は、良好に明確化された輪郭を備えた円形の太陽の像を無期限に提供できる、自然太陽光を模擬する自然光の照明ユニットを実現することである。
【0016】
本発明のこれらおよび他の目的は、本明細書の不可欠な部分を形成する、添付請求項の特徴を組み込んだ、自然光を模擬する照明デバイス用の光学フィルタによって達成される。
【0017】
第1態様によれば、本発明は、光学フィルタを提供するものであり、これは、実質的に平坦な第1表面と、第1表面に対して平行であり、実質的に平坦な第2表面と、互いに平行であって、少なくとも1つの固体材料で製作された複数の光学的に透明なチャネルと、隣接するチャネルの側面の間に介在する第1光学吸収材料とを備え、前記第1光学吸収材料は、隣接するチャネルを通る光の通過を低減するように構成される。
【0018】
各チャネルは、長手方向軸に沿って細長い構造を有し、第1表面と第2表面との間に延びている。各チャネルは、個々の側面を有する。
【0019】
各チャネルはさらに、少なくとも、第1屈折率を有する中心コアと、中心コアの外側面を包み、第1屈折率よりも低い第2屈折率を有する第1クラッドとを備える。
【0020】
また、各チャネルは、下記の関係を満たす、長手方向軸に沿った長さ(L)を有する。
【数1】

ここで、nは第1屈折率の値、θはフィルタのカットオフ角、Rは複数のチャネルの平均チャネル半径、Aは5に等しい、または好ましくは3に等しい、またはより好ましくは2に等しい、またはさらに好ましくは1.5に等しい、またはさらにより好ましくは1.3に等しい定数である。
【0021】
カットオフ角θの小さい値、即ち、θの<10°の場合、前述の関係は下記のように近似できる。
【数2】
【0022】
この説明および添付の請求項において、用語「平均」および「平均値」を含む表現は、特段の指定がない限り、複数のチャネルの分布に渡る平均を示すことを意図する。
【0023】
具体的には、複数のチャネルに渡って平均された平均チャネル半径は、下記の関係によって定義される。
【数3】
は、チャネルの入力面または出力面の面積であり、チャネルの長手方向軸と第1表面または第2表面の法線との間の角度である。
【0024】
具体的には、フィルタのカットオフ角θは、長手方向軸を基準として測定される極角の平均であり、その結果、フィルタの角度輝度プロファイルが実質的に相殺される(隣接するチャネル間に介在する第1光学吸収材料の存在に起因して)、即ち、例えば、フィルタが、拡散光によって、即ち、均一かつ等方性の輝度プロファイルを備えた光によって照射される場合など、ピーク値の1/10、好ましくは1/20、好ましくは1/30に等しい値をとり、平均は、方位角に渡って、そして、フィルタの表面全体に渡って評価される。代替として、フィルタのカットオフ角θは、極角値の方位座標に渡る平均であり、そのためフィルタが拡散光によって照射された場合、フィルタの発光強度プロファイルが実質的に打ち消される。
【0025】
好都合には、隣接チャネル間に介在する第1光学吸収材料により、光学フィルタの隣接チャネル間のクロストーク現象を低減および/または排除することが可能になる。
【0026】
好都合には、隣接チャネル間に介在する第1光学吸収材料により、チャネルの外側にあるフィルタの第1表面と第2表面との間の光の通過を低減および/または排除することが可能になる。
【0027】
本出願人は、隣接チャネル間に介在する第1光学吸収材料の使用により、隣接チャネル間、およびチャネルの外側にある第1表面と第2表面との間の光の通過を低減および/または排除することが可能となり、これによりθの鋭いカットオフ角に寄与することを有利に観察した。
【0028】
さらに、本出願人は、空気の代わりに固体材料をチャネルに使用することにより、吸収性クラッドによって低角度拡散を低減または除去することが可能になり、こうしてコントラストを増加させ、チャネルの望ましくない視認性を低減できることを有利に観察した。
【0029】
さらに、各チャネルが少なくとも中心コアと第1クラッドを含む構成により、均質チャネルの場合と比較して、フィルタの伝送効率を著しく増加させ、消費を低減する。実際、吸収されるはずの光線の少なくともいくつかは、全反射(TIR)によって反射され、角度θ<θで各チャネルに出入りする。
【0030】
さらに、上部において、チャネルの長さLをL0よりわずかに大きい値に制限すること、即ち、チャネルの幾何学的カットオフ角およびTIR角度が一致する長さ、即ち、各出射光線がチャネル内で1回だけの反射を受ける長さに制限することにより、例えば、ガイドチャネルを備えたフィルタの一般的ケースと比較して、フィルタの厚さを最小限にすることが可能になり、従って、原材料のコストおよび消費も最小限にできる。
【0031】
本発明は、下記の好ましい特徴の少なくとも1つを有してもよく、特にこれらは、特定用途のニーズを満たすために、必要に応じて互いに組合せてもよい。
【0032】
好ましくは、平均チャネル半径は、0.5mm未満(R<0.5mm)であり、より好ましくは0.2mm未満(R<0.2mm)であり、さらに好ましくは0.1mm未満(R<0.1mm)である。
【0033】
好都合には、平均チャネル半径のサブミリメートルまたはマイクロメートルの寸法は、チャネルの視覚解像度より下回るため、その視認性をさらに減少させる。
【0034】
好ましくは、カットオフ角は、1°<θ<50°の範囲であり、より好ましくは2°<θ<20°の範囲であり、さらに好ましくは3°<θ<10°の範囲である。
【0035】
好ましくは、1つだけのクラッドを含むチャネルの場合、各チャネルの長さLは、下記の関係を満たす。
【数4】
ここで、Bは、1/5に等しい、好ましくは1/3に等しい、より好ましくは1/2に等しい、さらに好ましくは1/1.5に等しい、さらにより好ましくは1/1.3に等しい定数である。
【0036】
好ましくは、各チャネルは、複数のクラッドを含み、各クラッドは、個々の屈折率を有する。好ましい構成では、各チャネルは、少なくとも3個のクラッド、好ましくは少なくとも4個のクラッド、より好ましくは少なくとも5個のクラッド、さらに好ましくは少なくとも7個のクラッドの複数のクラッドを含む。
【0037】
好ましくは、各チャネルは、個別の屈折率プロファイルを有し、前記屈折率プロファイルは、前記中心コアの空間で最大値を有し、半径方向外向き方向に沿って減少する。
【0038】
好ましくは、各チャネルは、最大屈折率nmaxおよび最小屈折率nminを有する。前記最大屈折率nmaxは、前記中心コアの前記第1屈折率に対応し、前記最小屈折率nminは、チャネルの最外側クラッドの屈折率に対応する。
【0039】
好ましくは、前記最大屈折率nmaxおよび前記最小屈折率nminは、約50%の許容範囲で下記の関係を満たす。
【数5】
ここで、θは、フィルタ(100)の前記カットオフ角である。
【0040】
好都合には、この条件(L≒Lと等価)は、角度θ<θにおいて、コアに入るすべての光線にTIR反射を拡張することによって、効率をさらに最大化する。第1クラッドの充分に薄い厚さの場合、50%より著しく大きいチャネルの透過係数T、例えば、角度θ<θでは、T>60%、またはT>70%が得られる。
【0041】
好ましくは、長さLは、下記の関係も満たす。
【数6】
ここで、nは、第1屈折率の値、Rは、複数のチャネルの平均チャネル半径、θは、フィルタ100のカットオフ角、Aは、5に等しい、または好ましくは3に等しい、またはより好ましくは2に等しい、またはさらにより好ましくは1.5に等しい、またはさらにより好ましくは1.3に等しい定数である。
【0042】
小さい値のカットオフ角θ、即ち、θ<10°の場合、前述の関係は下記のように近似できる。
【数7】
【0043】
具体的には、本出願人が検証したように、L1は、公称長さであり、これは、放物線屈折率、円形断面、半径R、中心屈折率naの半径方向プロファイルを備えたGRIN(GRaded INdex)ファイバが、均一に照射され、光学吸収性の外部カバーで覆われる場合、媒体内でその長さに等しい焦点を生成し、遠視野において入力アパーチャの像を生成し、特に、カットオフ角θで実質的にフラットトップ(平坦頂)の光強度の角度プロファイルを作成するために有するべき長さである。
【0044】
好ましくは、複数のクラッドを含むチャネルの場合、各チャネルの長さLは以下の関係を満たす。
【数8】
ここで、Bは、1/5に等しい、好ましくは1/3に等しい、より好ましくは1/2に等しい、さらに好ましくは1/1.5に等しい、さらにより好ましくは1/1.3に等しい定数である。
【0045】
本出願人は、「鮮明なカットオフ」または、最大傾斜または、最大コントラストを備えたフィルタを達成するために、BLより短いチャネルの長さは、フィルタの性能低下をもたらし、例えば、30%より大きいカットオフ角の近傍において角度輝度プロファイルの傾斜の減少に関連したコントラストの損失をもたらすことを検証した。
【0046】
好ましくは、各チャネルは、個々のチャネルの長手方向軸に対して直交する断面の重心点に対応する個々の中心を有する。
【0047】
本説明および添付の請求項において、用語「断面」は、長手方向軸に直交する平面における断面を意味することを意図している。
【0048】
好ましくは、各チャネルは、最内側クラッドまたは中心コアと、隣接する最外側クラッドとの間に介在する中間クラッドを含み、前記中間クラッド、前記最内側クラッド、および前記最外側クラッドは、個々の屈折率を有し、各チャネルについて、下記の関係が適用される。
【数9】
ここで、n(i-1)は、前記最内側クラッドまたは前記中心コアの屈折率、
n(i)は、前記中間クラッドの屈折率、
n(i+1)は、隣接する最外側クラッドの屈折率、
d(i-1)は、長手方向軸に対して平行で、個々のチャネルの前記中心を通過する軸から、最内側クラッドまたは前記中心コアの半径方向外側表面までの平均距離、
d(i)は、長手方向軸に対して平行で、個々のチャネルの前記中心を通る軸から、前記中間クラッドの半径方向外側表面までの平均距離、
d(i+1)は、長手方向軸に対して平行で、個々のチャネルの前記中心を通過する軸から、前記隣接する最外側クラッドの半径方向外側表面までの平均距離であり、平均は、方位角に渡って、そして個々のチャネルの断面に渡る平均を意味することを意図している。
【0049】
好ましくは、光学フィルタは、像面を有する。
好ましくは、光学フィルタは、物面も有する。
【0050】
特に、物体面および/または像面は、以下の関係式によって与えられる長手方向軸の方向に沿って第1面および/または第2面から距離D1に配置される。
【数10】
ここで、Lは、個々のチャネルの長さ(L)、
は、中心コアの屈折率である。
【0051】
好都合には、チャネルの中心から遠くに行くにつれて減少する屈折率を備えた複数のクラッドの使用により、および/または、屈折率の変化と中心からの平均距離の変化との間の比率が、1つのクラッドから次のクラッドまでに増加すること、および/または、チャネルが、D1に等しい空気中の焦点距離を備えたGRINレンズまたはファイバのように挙動するため、互いに共役で、長手方向軸の方向に沿ってフィルタの第1表面101からおよび第2表面102から距離D1に位置決めされた物面および像面を生成できるようにすること、即ち、正であってLに等しい媒体中の焦点を有する、長さLを備えたGRINレンズまたはファイバの場合に生ずるように、単一のクラッドを備えたフィルタの場合に比べてフィルタの厚さをさらに減少させることによって、高い効率およびコントラストを持つ光学フィルタを得ることができる。例えば、チャネルの中心から遠くに行くにつれて減少する屈折率を備えた複数のクラッドの使用により、単一のクラッドの場合と比較して、同じカットオフ角で、効率の著しい損失なしで、コントラストの著しい増加とともに、光学フィルタの長さをL/L≒1.3のオーダーの比率で低減できる。
【0052】
好都合には、個別の屈折率プロファイルを備えたフィルタの設計により、連続的な屈折率プロファイルを持つGRINファイバの使用をベースとした設計の場合と比較して、製造プロセスを大幅に簡素化でき、よってコストを削減できる。
【0053】
驚くべきことに、本出願人が検証したように、性能を著しく損なうことなしにこれら全てが可能である。具体的には、本発明の解決主題は、マルチクラッドポリマー光ファイバ(ポリマーマルチステップインデックス光ファイバ)の使用を可能にし、これは、石英またはガラスのGRIN光ファイバよりもはるかに安価であり、連続的な屈折率変調を生成する場合にはその使用が実質的に必要となる。こうしたポリマーファイバは、例えば、中心プリフォームコアと、光学フィルタのチャネルの中心コアおよびクラッドの屈折率、半径、平均厚さにそれぞれ等しい屈折率、平均半径、平均厚さを有する複数のクラッドと、を含む、例えば、円筒形、正方形、六角形などのプリフォームから開始して得ることができる。
【0054】
好ましくは、物面および/または像面は、第1表面および/または第2表面から、下記の関係式によって与えられる距離D2に配置される。
【数11】
ここで、Lは、個々のチャネルの長さ、
は、中心コアの屈折率であり、フィルタの長手方向軸は、第1表面および第2表面に対して実質的に直交している。
【0055】
好都合には、こうしたチャネルは、長さLを持つGRINレンズまたはファイバのように挙動し、媒体内の焦点は、正であり2Lに等しい。従って、フィルタの入力面および出力面のうちの1つを適切にミラーリング(鏡映)することによって、2段階で動作し、厚さL≒1/2×Lを有し、2倍長さのフィルタと同様の性能を有するフィルタを得ることが可能であり、その結果、更なるコストと原材料の節約をもたらす。
【0056】
好ましくは、各チャネルは、一定の断面構造を有し、以下では「押し出し固体構造」とも呼ばれる。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、各チャネルは、実質的に円形断面を有する円筒構造を有する。フィルタの長手方向軸が、第1表面または第2表面の法線に対してゼロ以外の角度αで傾斜している場合、各チャネルの断面の形状は、例えば、チャネルの面を長手方向軸に直交する平面、即ち、断面平面に投影することによって得られることに留意すべきである。
【0058】
好都合には、例えば、拡散光源の場合、こうしたチャネルは、方位角とは独立した発光強度の角度プロファイルを生成し、複数のこうしたチャネルを含む光学フィルタが、丸い太陽の像を再現するために必要な方位角とは独立した角度輝度プロファイルを生成する。
【0059】
他の実施形態によれば、各チャネルは、実質的に非円形断面を有する。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、各チャネルの断面に外接する円周の半径と内接する円周の半径の比の複数のチャネルに渡る平均が、1.05より大きい値、好ましくは1.2より大きい値、より好ましくは1.3より大きい値を有する。
【0061】
本明細書および添付の請求項の文脈において、表現「内接円周」は、複数の内接円周を意味することを意図しており、各円周は、個々のチャネルの断面に内接する。
【0062】
本明細書および添付の請求項の文脈において、表現「外接円周」は、複数の外接円周を意味することを意図しており、各円周は、個々のチャネルの断面に外接する。
【0063】
好ましくは、各チャネルの断面に外接する円周の半径と内接する円周の半径の比の平均は、3未満、好ましくは2.5未満、より好ましくは2未満の値を有する。
【0064】
種々の実施形態によれば、光学フィルタは、多角形断面を備えた複数のチャネルを含む。好ましくは、光学フィルタは、正多角形断面、例えば、三角形、正方形、または六角形の断面を有する複数のチャネルを含んでもよい。
【0065】
好都合には、多角形断面を備えたチャネルは、円形断面を備えたチャネルの場合よりも、平面のより大きい被覆または平面充填(tessellation)を可能にし、従って、入射光を収集できるチャネルのより大きい全体断面、そして可能ならばより大きい透過効率を可能にする。
【0066】
代替の実施形態では、各チャネルは、実質的に非円形断面を備えた押し出し固体に実質的に一致し、および/または、実質的に円形断面を備えた円筒形状を有する中心コアを有する。
【0067】
好都合には、この構造により、チャネルによってフィルタの第1表面に入射する光の収集を最適化することが可能になる。実際、この構造により、チャネルの断面によるフィルタの表面の占有を最適化でき、可能性のある隙間を最小限に低減できる。しかしながら、光束の大部分を搬送する中心コアの断面の実質的に円形形状は、チャネル断面の非円形、例えば、多角形の形状にもかかわらず、方位座標φに実質的に独立し、またはほとんど依存しない各チャネルの発光強度プロファイルを生成するのに役立つ。この機構は、円形の太陽の像を効率的に生成するという目的に積極的に寄与する。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態によれば、フィルタは、互いに異なる、即ち、断面平面において互いに異なる面積および/または形状および/または配向を有する断面の分布によって特徴付けられる複数のチャネルを備える。好ましくは、各チャネルはそれぞれ、少なくとも他のチャネルの断面の面積および/または形状とは実質的に異なる面積および/または形状を備えたセクションを有する。
【0069】
他の実施形態によれば、フィルタは、複数のチャネルを備え、各チャネルの各断面に内接する円周の半径の分布は、同じ分布に渡る平均値の2%、好ましくは4%、より好ましくは6%より大きい標準偏差を有し、断面は、長手方向軸に対して直交する平面内にある。
【0070】
好ましくは、フィルタは、複数のチャネルを備え、各チャネルの各断面に内接する円周の半径の分布は、平均値の70%未満、好ましくは50%、より好ましくは30%未満の標準偏差を有する。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態によれば、フィルタは、互いに異なる、および/または統計的に等価である複数のチャネルを備える。
【0072】
「統計的に等価」とは、チャネルが特定の特性、例えば、断面平面における特定の面積、形状、または配向の断面を有する確率が、複数のチャネルの各チャネルについて実質的に同じであることを意味する。一例として、複数の統計的に等価なチャネルが、断面平面内の特定の位置から実質的に独立した、断面の面積および/または形状および/または配向の平均など、局所的な平均値を生成し、局所平均は、例えば、15cmに等しい、好ましくは10cmに等しい、より好ましくは5cmに等しい半径を持つ円形領域に渡る平均として定義される。
【0073】
好都合には、チャネルの統計的等価性により、単一チャネルの特性が他のチャネルの特性とどれだけ異なるかに関係なく、フィルタ内で観察される特定の位置に関して観察者によって知覚されるフィルタの光学特性の不変性をもたらす。
【0074】
好ましくは、複数のチャネルは、各チャネルの前述した光学特性の各々が、フィルタの局所的に検証された平均光学特性でもあるように構成される。例えば、共役な物面と像面もフィルタの機構であり、この場合、第1表面および/または第2表面に対して平行であり、距離は、常に長手方向軸に沿って測定される。
【0075】
好ましくは、光学フィルタは、下記のような複数のチャネルを備える。
・内接円周の半径の分布は、平均値の3%、好ましくは5%、より好ましくは7%より大きい標準偏差によって特徴付けられる。
・複数の内接円周の半径の局所的平均の分布は、フィルタ全体に渡る平均値の5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満の標準偏差によって特徴付けられ、こうした局所的平均は、15cm未満、好ましくは10cm未満、より好ましくは5cm未満の半径を持つ円に含まれるフィルタの領域に渡って行われる。
【0076】
好ましくは、フィルタは、長手方向軸に対して直交する平面内で実質的にランダムに配向した断面を持つ複数のチャネルを備える。
【0077】
特に、本発明のいくつかの実施形態によれば、フィルタは、下記のように、実質的に非円形断面を持ち、実質的にランダムに配向した複数のチャネルを備える。
(i)長手方向軸に対して直交する断面を備えた平面における各チャネルの断面に外接する円周の半径と内接する円周の半径の比の平均は、1.05より大きい値、好ましくは1.2より大きい値、より好ましくは1.3より大きい値を有する。
(ii)関係F(x,y)>CFmaxを満たす断面平面内の点の軌跡{x,y}は、実質的に円であり、即ち、中心からの周囲の最大距離と、中心からの周囲の最小距離が、中心からの周囲の平均距離の30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の量だけ互いに異なるような周囲によって区切られた表面であり、平均は、チャネルの周囲に渡って行われ、C=0.5、好ましくはC=0.3、より好ましくはC=0.2であり、F(x,y)は、下記によって取得される関数である。
(i)断面平面(x,y)内で全てのチャネル断面を回転なしで並進(平行移動)させ、その結果、これらが中心において垂直に、即ち、座標yに沿って、水平に、即ち、座標xに沿って整列すること。
(ii)点(x,y)を含む並進した断面の数に等しい値をF(x,y)に与えること。
【0078】
好都合には、実質的に非円形で実質的にランダムに配向した断面を備えた複数のチャネルを提供するフィルタ構成は、円形断面を備えた同一のチャネルの場合よりも製造のより容易さ、および/または、より大きい被覆または平面充填を可能にし、よってより低いコストおよびより大きい透過効率を可能にするとともに、平均して方位角から実質的に独立した角度輝度プロファイルの生成を可能にする。輝度プロファイルのこれらの平均特性は、観察者において丸い太陽の認識を生成するのに充分である。例えば、平均半径R<0.5mm、R<0.2mm、より好ましくはR<0.1mmを備え、カットオフ角θ>1°、好ましくはθ>2°、より好ましくはθ>4°によって特徴付けられるチャネルを考えると、フィルタから典型的な距離、即ち、数十センチメートルを超える距離にいる観察者における太陽の像の形成に関与するチャネルの数は、数百、数千、または数万のユニットより多く、即ち、観察者に平均輝度の認知を生成するのに充分である。
【0079】
好ましくは、各チャネルは、一定の断面を備えた構造、または非多角形の凹面断面または凸面断面を備えた押し出し固体の構造を有する。
【0080】
好ましくは、各チャネルは、一定の断面を備えた構造、または正多角形以外(irregular)の多角形断面を有する押し出し固体の構造、即ち、非正多角形に一致する断面を有する構造を有する。さらに好ましくは、各チャネルは、一定の断面を備えた構造、または正多角形以外の凸状多角形断面を備えた押し出し固体の構造を有する。
【0081】
好ましくは、フィルタは、下記のように、正多角形以外の多角形断面を備えたプリズム構成を備えた複数のチャネルを備える。
(i)長手方向軸に対して直交する断面を備えた平面における各チャネルの断面に外接する円周の半径と内接する円周の半径の比の平均は、1.05より大きい値、好ましくは1.2より大きい値、より好ましくは1.3より大きい値を有する。
(ii)関係F(x,y)>CFmaxを満たす断面平面内の点の軌跡{x,y}は、実質的に円であり、即ち、中心からの周囲の最大距離と、中心からの周囲の最小距離が、中心からの周囲の平均距離の30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の量だけ互いに異なるような周囲によって区切られた表面であり、平均は、チャネルの周囲に渡って行われ、C=0.5、好ましくはC=0.3、より好ましくはC=0.2であり、F(x,y)は、下記によって取得される関数である。
(a)断面平面内で全てのチャネル断面を回転なしで並進(平行移動)させ、その結果、これらが中心において垂直に座標yに沿って、水平に座標xに沿って整列すること。
(b)点(x,y)を含む並進した断面の数に等しい値をF(x,y)に与えること。
【0082】
好都合には、非正多角形断面を備えたプリズム構成を備えた複数のチャネル、および/または、各チャネルが他のチャネルの形状および/または面積とは実質的に異なる形状および/または面積を備えた多角形断面を有する場合、多角形の配向が実質的にランダムであれば、方位座標から実質的に独立した平均輝度の角度プロファイルの生成を可能にするとともに、平面の最大の断面被覆または平面充填を可能にする。
【0083】
更なる態様によれば、本発明は、照明ユニットを提供する。
【0084】
好ましくは、照明ユニットは、人工光の照明ユニットである。
【0085】
人工光の照明ユニットは、直接光源を備える。直接光源は、非等方的に可視光を放射し、第1色相関温度またはCCTを有する。
【0086】
好ましくは、直接光源は、可視光エミッタと、可視光エミッタによって放射される光をコリメートする光学系と、直接光を放射する平坦表面と、を備える。
【0087】
好ましくは、直接光源は、直接光放射の平面表面に対して垂直な放射円錐の準線(directrix)を有し、平面放射表面上の直接光源の角度輝度プロファイルの半値幅として、50度未満、好ましくは30度未満、より好ましくは10度未満が定義される、直接光の角度半開口を有する、放射円錐内に含まれる方向に主に沿って光を発生するように構成される。この半値幅は、ピーク値の0.5倍に等しい高さで測定され、角度輝度プロファイルは、空間座標および方位座標φに渡って平均化される。
【0088】
人工光の照明ユニットはさらに、直接光源の下流側に位置決めされた、本発明に係る光学フィルタを備え、光学フィルタの第1表面101は、直接光源の直接光の放射の平坦表面上に少なくとも部分的に重ね合わされる。
【0089】
好ましくは、人工光の照明ユニットは、第1CCTおよび/または5600ケルビンに等しいCCTよりも少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍大きい第2色相関温度またはCCTを有する拡散可視光を放射するように構成された拡散光源を含む。
【0090】
代替の実施形態によれば、太陽光を再現するための人工光の照明ユニットは、第1色相関温度またはCCTを有する可視光を非等方的に放射するように構成された直接光源を備え、直接光源は、実質的に透明な表面上に配置された複数の光源を含み、複数の光源の各光源は、同じ主方向に沿ってピークを有する光源角度輝度のプロファイルを備えた光ビームを発生するように配置され構成される。
【0091】
この代替の実施形態によれば、太陽光を再現する人工光の照明ユニットはさらに、実質的に平面であり、主方向に対して実質的に平行である法線を備えた有彩色光反射ユニットを備え、前記有彩色光反射ユニットは空間内に位置決めされ、複数の光源の光源は、それを実質的に均一に照射する。
【0092】
好ましくは、前記有彩色光反射ユニットは、直接光源に配向した反射面を備える。
【0093】
好ましくは、有彩色光反射ユニットはさらに、反射面に隣接し、好ましくは反射面と接触して位置決めされた、本発明に係る光学フィルタを備える。
【0094】
好ましくは、前記有彩色光反射ユニットはさらに、光学フィルタと直接光源との間に介在し、第1CCTおよび/または5600ケルビンに等しいCCTよりも少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍大きい第2色相関温度またはCCTを有する拡散可視光を放射するように構成された拡散光源を備える。
【0095】
異なる態様によれば、本発明は、自然光の照明ユニットを提供する。
【0096】
自然光の照明ユニットは、自然光を受光するように構成された受光面と、前記受光面と少なくとも部分的に重なる第1表面および/または第2表面を有する、本発明に係る光学フィルタとを備える。
【0097】
好ましくは、自然光の照明ユニットは、自然光のCCTおよび/または5600ケルビンに等しいCCTよりも少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍大きい色相関温度またはCCTを有する拡散可視光を放射するように構成された拡散光源を備える。
【図面の簡単な説明】
【0098】
本発明は、下記の詳細な説明からより明らかになるであろう。これは、非限定的な例として提供され、添付図面(スケール通りでない)を参照して読まれるべきである。
【0099】
図1】本発明に係る光学フィルタの第1実施形態の上方からの概略斜視図である。
図2】本発明に係るチャネルの概略斜視図である。
図3図1の光学フィルタを製作するために使用されるチャネルのある面の概略平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る光学フィルタのある表面の概略平面図である。
図5】本発明に係る、例示的なチャネルの半径方向距離の関数としての屈折率の半径方向プロファイルの例示的なグラフである。
図6】本発明に係るフィルタを照射するのに適した例示的な光のプロファイルを示す。
図7a】本発明に係る、チャネルの長さLの関数としてフィルタ処理された光のプロファイルの変化を示す。
図7b】本発明に係る、チャネルの長さLの関数としてフィルタ処理された光のプロファイルの変化を示す。
図7c】本発明に係る、チャネルの長さLの関数としてフィルタ処理された光のプロファイルの変化を示す。
図8a】本発明に係る、チャネルの中心コアを包む光学クラッドの数の関数としてフィルタ処理された光のプロファイルの変化を示す。
図8b】本発明に係る、チャネルの中心コアを包む光学クラッドの数の関数としてフィルタ処理された光のプロファイルの変化を示す。
図8c】本発明に係る、チャネルの中心コアを包む光学クラッドの数の関数としてフィルタ処理された光のプロファイルの変化を示す。
図9a】本発明の更なる実施形態に係る光学フィルタの表面の概略平面図である。
図9b図9aに示すフィルタを拡散光源で照射することによって得られる像を示す。
図9c】本発明の更なる実施形態に係る光学フィルタの表面の概略平面図である。
図9d図9cに示すフィルタを拡散光源で照射することによって得られる像を示す。
図10a】本発明の更なる実施形態に係る光学フィルタを製作するために使用されるチャネルのある面の概略平面図である。
図10b】本発明の更なる実施形態に係る光学フィルタのある表面の概略平面図である。
図11a】本発明に係る光学フィルタを用いた光反射ユニットおよび有彩色ユニットの例示的な実施形態の概略図である。
図11b】本発明に係る光学フィルタを用いた光反射ユニットおよび有彩色ユニットの例示的な実施形態の概略図である。
図12】本発明に係る太陽光を再現するための人工光の照明ユニットの概略斜視図である。
図13】本発明に係る太陽光を再現するための人工光の照明ユニットに用いられる光源の第1変形例の概略斜視図である。
図14】本発明に係る太陽光を再現するための人工光の照明ユニットのコンポーネントに出入りする光の概略図である。
図15】本発明に係る太陽光を再現するための人工光の照明ユニットのコンポーネントに出入りする光の概略図である。
図16】本発明に係る太陽光を再現するための人工光の更なる照明ユニットの概略図である。
図17】本発明に係る太陽光を再現するための人工光の更なる照明ユニットの概略図である。
図18a】本発明に係る光学フィルタを用いた自然光の照明ユニットの異なる実施形態の概略図である。
図18b】本発明に係る光学フィルタを用いた自然光の照明ユニットの異なる実施形態の概略図である。
図18c】本発明に係る光学フィルタを用いた自然光の照明ユニットの異なる実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
下記は、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明である。ここで説明し図面に示した例示的な実施形態は、本発明の原理を伝達することを意図しており、当業者が多くの異なる状況および用途において本発明を実装し使用することを可能にする。従って、例示的な実施形態は、特許保護の範囲を限定することを意図しておらず、そう考えるべきではない。むしろ、特許保護の範囲は、添付の請求項によって定義される。
【0101】
図面の説明のために、下記の説明において、同じ機能を持つ構成要素を示すために同一の番号または符号が使用される。さらに、説明の明確化のために、特定の参照が全ての図面において繰り返していないことがある。
【0102】
「例えば」、「など」、「または」の使用は、他に示していない限り、限定することのない非排他的な代替物を示す。「備える」および「含む」の使用は、他に示していない限り、「それに限定しないで備える、または含む」を意味する。
【0103】
さらに、「およそ」、「ほぼ」、「実質的に」などの用語に関連付けられた測定値、値、形状および幾何学的基準(例えば、垂直および平行など)の使用は、「測定誤差なし」、または「製造許容範囲による不正確さを除いて」、そしていずれの場合もその用語と関連した「値、測定値、形状および幾何学的基準からの少し発散未満」として理解されるべきである。
【0104】
本説明および添付請求項の文脈において、用語「光学的に吸収」および「光学的に透明」は、可視光線、即ち、380nm~780nmの範囲の波長を有する光線を吸収または透過する材料の特性を意味することを意図する。
【0105】
最後に、「第1」、「第2」、「上側」、「下側」、「主(メイン)」、「2次」などの用語は、一般に、同じタイプに属する構成要素を区別するために使用され、必ずしも関係または位置の順序または優先順位を意味していない。
【0106】
最初に図1を参照すると、本発明は、全体として符号100で示す光学フィルタを提供する。光学フィルタ100は、実質的に平坦で、互いに平行である、第1表面101と第2表面102とを備える。光学フィルタ100はさらに、複数のチャネル103を備える。チャネル103は、少なくとも1つの固体材料で製作され、可視光に対して実質的に透明である。チャネル103は、互いに平行である。
【0107】
用語「可視光」は、好ましくは380nm~780nmの間に含まれる波長を有する光を参照する。
【0108】
各チャネル103は、長手方向軸Y-Yに沿って実質的に細長い構造を有する。各チャネル103は、入力面103’(例えば、第1端)と、出力面103’(例えば、第2端)と、外側面とを備える。
【0109】
図1の実施形態では、各チャネル103は、光学フィルタ100(以下では単に「フィルタ100」とも称する)の第1表面101と第2表面102との間に延びている。例えば、各チャネル103は、第1表面101および/または第2表面102に対して垂直な個々の長手方向展開軸Y-Yを有する。代替として、図に示していない実施形態によれば、各チャネル103の長手方向展開軸Y-Yは、第1表面101および/または第2表面102に対して垂直な軸を基準として、5°~80°、好ましくは10°~70°、より好ましくは20°~60°の範囲にある傾斜角αを有する。好ましくは、上述のような傾斜角が存在する場合、各チャネル103の入力面103’および出力面103”は、軸Y-Yに直交する平面を基準として、第1表面101および第2表面102に対して平行となるようにそれぞれ傾斜している。特に、各チャネル103の入力面103’は、フィルタ100の第1表面101に位置し、各チャネル103の出力面103”は、フィルタ100の第2表面102に位置する。
【0110】
図示の実施形態では、各チャネル103は、長手方向軸Y-Yに直交する断面を有し、これは、長手方向軸Y-Yに沿って実質的に一定であり、即ち、各チャネル103は、押し出し固体に一致する。特に、個々のチャネル103の断面は、チャネル103の面積(符号Aで示す)およびチャネルの有効半径R≡√A/πを定義する。ここで、下記の関係が適用される。
【数12】
ここで、Fcは、チャネル103の入力面103’または出力面103”の面積であり、αは、長手方向軸Y-Yの方向とフィルタ100の第1表面101または第2表面102の出射法線との間の傾斜角である。
【0111】
好ましくは、フィルタ100の第1表面101および/または第2表面102の部分は、チャネル103の入力面103’および出力面103”によって全体的に覆われており、あるいは、OAR(開口比)が、第1表面101および/または第2表面102の合計表面の少なくとも50%に等しく、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらに好ましくは85%に等しい。
【0112】
本発明の一実施形態によれば、複数のチャネル103は、使用される製造プロセスによる許容差を除いて、互いに実質的に同一のチャネル103の分布を有する。
【0113】
代替として、複数のチャネル103は、互いに異なるチャネル103の分布を有する。好ましくは、複数のチャネル103は、互いに統計的に等価なチャネルの分布を定義する。特に、複数のチャネル103は、平均チャネル半径R≡<R>に関連付けられる。好ましくは、複数のチャネル103の平均半径は、1mm未満であり、より好ましくは0.5mm未満であり、さらに好ましくは0.2mm未満であり、さらに好ましくは0.1mm未満である。
【0114】
本発明によれば、光学フィルタ100は、カットオフ角θを有する。好ましくは、フィルタのカットオフ角θは、長手方向軸Y-Yに対して測定された極角の平均であり、そのためフィルタ100の角度輝度プロファイルは実質的に打ち消され、即ち、フィルタが拡散光、即ち、均一かつ等方性の輝度プロファイルを備えた光によって照射された場合、ピーク値の1/10、好ましくは1/20、好ましくは1/30に等しい値をとり、この平均は、方位角に関して、そしてフィルタの表面全体に渡って評価される。代替として、フィルタのカットオフ角θは、極角値の方位座標についての平均であり、そのためフィルタ100が拡散光によって照射されたときに、フィルタ100の発光強度プロファイルは実質的に打ち消される。
【0115】
図1~4、図10a、図10bに示すように、各チャネル103は、中心コア110aと、少なくとも第1クラッド110bとを有する。
【0116】
図2に示す実施形態によれば、各チャネル103は、第1屈折率を有する中心コア110aと、第2屈折率を有する1つだけのクラッド110bとを備え、第1屈折率は第2屈折率よりも大きい。例えば、このタイプのチャネル103が、「シングルクラッドファイバ」として知られる光ファイバに対応する。代替として、図4に示すように、各チャネル103は、中心コア110aと、複数のクラッド110b,…,110dとを有する。換言すると、各チャネル103は、「シングルクラッドファイバ」または「マルチクラッドファイバ」のいずれかである。
【0117】
図1図4に示すように、中心コア110aは、好ましくは円形断面を有する。特に、中心コア110aは、円形断面を備えた円筒形状を有し、各クラッド110b,…,110dは、円形断面を備えた実質的に円筒形の外面によって特徴付けられた構造を有する。
【0118】
図10a、図10b、図9a、図9cを参照すると、中心コア110aは、好ましくは実質的に円形断面を備えた円筒形状を有する。好ましくは、少なくとも1つのクラッド110b,…,110nは、円形以外の断面を有する押し出し固体の外面によって特徴付けられた構造を有する。
【0119】
いくつかの特定の実施形態では、例えば、図10aと図10bに例示しているように、中心コア110aおよび半径方向最内側クラッド110b,110cは、押し出し固体の外面および凸形状に一致する断面によって特徴付けられた構造を有し、一方、半径方向最外側クラッド110f,110g,110hの少なくともいくつかは、ある程度の凹面を有する断面を有する。特に、特定の実施形態では、最外側半径方向クラッド110hは、実質的に多角形断面を有する。
【0120】
特に図10aを参照すると、図示したチャネル103の中心コア110aおよびクラッド110b,…,110hの断面の特定の構造は、円形断面を備えた円筒形状に一致する外面を備えたコアおよびクラッドを最初に有するマルチステップ円筒状ポリマーファイバの変形プロセスをモデル化することによって得られる。具体的には、この変形は、ファイバを構成材料のガラス転移温度まで加熱し、最外側クラッド110h、即ち、チャネル103全体に付勢する外力を印加して、六角柱の外面と一致する外面をとることによって達成され、さらに、変形プロセスは、中心コア110aおよび各クラッド110b~110hの断面積、即ち、チャネル103の断面積を維持しながら生ずる。チャネルからの変形のプロセスでは、最外側クラッドが最大の変形を受けて、最内側クラッド、特に中央コアは、ほとんど無しまたは皆無の変形を受ける。チャネル103、中心コア110a、そこに含まれるクラッド110b~110n、そして外側カバー111の様々な最終構造は、初期条件および/またはプロセスパラメータを変更することによって、特に、マルチステップポリマーファイバのバンドルに外力を印加することによって得られ、1つ以上の吸収材料に埋め込まれた透明チャネルのバンドルが得られ、必要に応じて、チャネルの所望の寸法を達成するために、このプロセスを複数回繰り返すことも可能である。こうして光学フィルタは、チャネルの長手方向軸に対して適切に配向した平面に沿って、このチャネルのバンドルのスライスを所望の厚さでカットすることによって得られる。
【0121】
代替の実施形態によれば、チャネル103は、実質的に非円形断面を備えた押し出し固体に一致する。特に、前記チャネル103は、実質的に非円形断面を備えた円筒形状を有する中心コア110aを含む。各チャネル103について、量η,ηを下記の式のように定義する。
【数13】
ここで、ρcirc/ρinscchannelは、特定のチャネル103の断面に外接し、そして内接する円周の2つの半径の間の比率であり、ρcirc/ρinsccoreは、同じチャネル103の中心コア110aの断面に外接し、そして内接する円周の2つの半径の間の比として定義される。複数のチャネルについて計算された量η,ηの間の比率の平均は、下記の式に等しいことが得られる。
【数14】
Gは3より大きく、好ましくは、Gは5より大きく、さらに好ましくは、Gは10より大きい。
【0122】
中心コア110aは、好ましくは、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン、またはその他のポリマー樹脂を含むグループから選択される材料で製作される。
【0123】
各クラッド110a,…,110nは、好ましくは、ガラス、石英、PMMA、ポリスチレン、ポリカーボネート、またはその他のポリマー樹脂からなるグループから選択される材料、または、より高い屈折率とより低い屈折率を持つポリマーまたはコポリマーを混合または重合することによって得られる複合材料から製作される。後者は、例えば、光ファイバのクラッドに通常使用されるもの(クラッド樹脂)から、所望の屈折率を得るのに適した百分率で選択される。
【0124】
各チャネル103は、外側カバー111を有する。外側カバー111は、個々のチャネル103の外側表面を包む。例えば、図2に示すチャネル103を考えると、外側カバー111はチャネル103の外側表面を包む。外側カバー111は、第1光学吸収材料で製作される。第1光学吸収材料は、好ましくは、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート、または光学吸収成分の添加によって光学吸収性にされた形態の他のポリマー樹脂からなるグループから選択される。
【0125】
好ましくは、第1光学吸収材料の吸収係数は、R/2に等しい、好ましくはR/3に等しい、より好ましくはR/5に等しい材料厚さの場合(Rは、上述した平均チャネル半径)、可視光の少なくとも50%、好ましくは80%、より好ましくは90%の吸収を確保する。例えば、第1光学吸収材料で製作された外側カバー111は、個々のチャネル103の側面を実質的に覆うジャケット、または、チャネル103が埋め込まれた材料である。
【0126】
好ましくは、εcが、所定チャネルの外面とそれに隣接するチャネルの外面との間の最小距離として定義され、関係ε<R/2、好ましくはε<R/3、より好ましくはε<R/4が適用され、ここで、ε≡<εc>であり、<εc>は、複数のチャネル103に渡って計算された隣接するチャネル103間の距離の平均である。
【0127】
図1図4図9a、図9c、図10bに示すように、フィルタ100は、隣接するチャネル103の間に隙間を有する。外側カバー111は、隣接するチャネル103の間の隙間をほぼ完全に充填する。換言すると、外側カバー111を形成する第1光学吸収材料は、隣接するチャネル103の側面の間に介在される。第1光学吸収材料111は、隣接するチャネル103を通る光の通過を低減するように構成される。
【0128】
図1図4を参照すると、実質的に円形断面を備えた円筒形チャネル103を考えると、隣接するチャネル103間の隙間は、外側カバー111によって部分的に充填される。好ましくは、隣接するチャネル103間の隙間は、第1光学吸収材料とは異なるか、または同じである第2光学吸収材料109で充填され、隣接するチャネル103間の隙間を通ってチャネル103の外側にある第1表面と第2表面との間の光の通過を防止する。好ましくは、第2光学吸収材料の吸収係数は、チャネル103の長さの1/5、好ましくは1/10に等しい厚さの場合に、可視光の少なくとも50%、好ましくは80%、より好ましくは90%の吸収を確保する。
【0129】
本発明によれば、各チャネル103の長さLは、下記の関係を満たす。
【数15】
【0130】
代替として、カットオフ角θの小さい値の場合、即ち、10°未満のθの場合、前述の関係は、下記のように近似できる。
【数16】
ここで、nは第1屈折率の値、Rは平均チャネル半径、θは第1光学吸収材料および/または第2光学吸収材料の存在に起因したフィルタ100のカットオフ角、Aは5に等しい、好ましくは3に等しい、より好ましくは2に等しい、さらに好ましくは1.5に等しい、さらにより好ましくは1.3に等しい定数である。
【0131】
好ましくは、各チャネルの長さLは、下記の関係を満たす。
【数17】
ここで、Bは、1/5に等しい、好ましくは1/3に等しい、より好ましくは1/2に等しい、さらに好ましくは1/1.5に等しい、さらに好ましくは1/1.3に等しい定数である。
【0132】
好ましくは、1つのクラッド110bだけを有するチャネル103を考えると、中心コア110aの屈折率および第1クラッド110bの屈折率(即ち、チャネル103の最外側クラッドの屈折率)は、約50%、好ましくは約20%の許容範囲で、下記の関係を満たす。
【数18】
ここで、nは第1屈折率の値、nは第2屈折率の値、θはフィルタ100のカットオフ角である。
【0133】
上記で予測されるように、本発明の実施形態によれば、各チャネル103は、中心コア110aと、複数の光学クラッド110b,…,110dとを含む。例えば、図3図4を参照すると、各チャネル103は、
第1屈折率n1を有する中心コア110aと、
中心コア110aの外側に配置され、中心コア110aの外面に接触する、第2屈折率n2を有する第1クラッド110bと、
第1クラッド110bの外側に配置され、中心コア110bの外面に接触する、第3屈折率n3を有する第2クラッド110cと、
第2クラッド110cの外側に配置され、第2クラッド110cの外面に接触する、第4屈折率n4を有する第3クラッド110dと、を含む。
【0134】
特に、第1屈折率n1は第2屈折率n2よりも大きく、第2屈折率n2は第3屈折率n3よりも大きく、第3屈折率n3は第4屈折率n4よりも大きい。換言すると、各チャネル103は、チャネル103自体の中心から開始して、半径外向き方向に屈折率の個別の減少する半径方向プロファイルを示す。中心コア110aの空間内には屈折率の最大値が存在し、屈折率の値は、中心コア110aからチャネル103の複数のクラッド110b,…,110dを通って半径外向き方向に行くにつれて減少する。例示のチャネル103の屈折率の半径方向プロファイルを図5に示す。
【0135】
好ましくは、各チャネル103の屈折率の半径方向プロファイルは、放物線プロファイルに近似する。換言すると、光学クラッド110b,…,110nの数n-1、各クラッド110b,…,110nの厚さ、中心コア110aの厚さ、中心コア110aの屈折率、および各クラッド110b,…,110nの屈折率は、放物線プロファイルに近似する個別の減少する屈折率の半径方向プロファイルを有するチャネル103を形成するように選択される。例えば、こうした放物線プロファイルは、下記の式で表現できる。
【数19】
ここで、F(r)は、チャネル103の個別の屈折率の半径方向プロファイルを、チャネル103自体の中心からの半径距離の関数として近似する関数であり、nは、中心コア110aの第1屈折率の値、rは、チャネル103の中心からの半径距離、gは、チャネル103の光学パワー、よって、それが生成するビームの発散を決定する勾配係数である。特に、カットオフ角θを有するフィルタ100を考えると、勾配係数gは、下記の式で与えられる。
【数20】
ここで、θは、フィルタ100のカットオフ角θ、nは、個々のチャネル103の中心コア110aの第1屈折率、Rは、平均チャネル半径103である。
【0136】
勾配係数gは、個々のチャネル103の光学パワーを決定し、よってそれが生成するビームの発散を決定することに注意する。例えば、フィルタ100のカットオフ角θと実質的に類似するカットオフ角によって特徴付けられた発光強度の角度プロファイルを生成するように構成されたチャネル103が、例えば、数式[10]で表される放物線関数によって最もよく近似される個別の屈折率プロファイルを有し、ここで勾配係数gは数式[11]によって与えられる。
【0137】
好ましくは、中心コア110aの屈折率および第3クラッド110dの屈折率(即ち、チャネル103の半径方向最外側クラッドの屈折率)は、約50%、好ましくは約20%の許容範囲で下記の関係を満たす。
【数21】
ここで、nは、第1屈折率の値、nは、第4屈折率の値、θは、フィルタ100のカットオフ角である。
【0138】
換言すると、好ましくは、各チャネル103は、最大屈折率nmax(即ち、中心コア110aの屈折率)と、最小屈折率nmin(即ち、チャネル103の半径方向最外側クラッドの屈折率)とを有し、こうした屈折率は、約50%、好ましくは約20%の許容範囲で下記の関係を満たす。
【数22】
ここで、θは、フィルタ100のカットオフ角である。
【0139】
好ましくは、各チャネル103が複数のクラッド110b,110c,110d,…,110nを含む場合、各チャネル103の長さLはさらに、下記の関係を満たす。
【数23】
代替として、カットオフ角θの小さい値では、即ち、カットオフ角θの値が10°より小さい場合、関係[15]は、下記のように近似できる。
【数24】
ここで、nは、中心コア110aの屈折率の値、Rは、平均チャネル半径、θは、フィルタ100のカットオフ角、Aは、5に等しい、または好ましくは3に等しい、またはより好ましくは2に等しい、またはさらにより好ましくは1.5に等しい、またはさらにより好ましくは1.3に等しい定数である。
【0140】
好ましくは、各チャネル103が、複数のクラッド110b,110c,110d,…,110nを含む場合、各チャネル103の長さLは、下記の関係を満たす。
【数25】
ここで、Bは、1/5に等しい、好ましくは1/3に等しく、より好ましくは1/2に等しい、さらに好ましくは1/1.5に等しく、さらにより好ましくは1/1.3に等しい定数である。
【0141】
好ましくは、各チャネル103は、正の光学パワー(または屈折力)を有するチャネル、即ち、そのチャネルに入射する光を少なくとも部分的に集光ができる屈折光学素子である。特に、各チャネル103は、少なくとも1つの「物面」と1つの「像面」に関連付けできる。さらに具体的には、こうした「物面」と「像面」は、チャネル103に対して両方とも直交しており、そのため略点状光源を物面内にチャネル103自体の軸上に位置決めすることによって、最大コントラストおよび/または最大ピーク値、即ち、チャネルの下流側で前記画面の前方にある任意の他の面で得られるコントラストおよび/またはピーク値よりもそれぞれ大きいコントラストおよび/またはピーク値によって特徴付けられる輝度プロファイルが像面に生成される。
【0142】
好ましくは、光学フィルタ100も、ゼロより大きい光学パワー(または屈折力)を有する屈折光学素子である。具体的には、光学フィルタ100は、少なくとも1つの「物面」と1つの「像面」を有する。さらに具体的には、光学フィルタ100はまた、フィルタの入力面および出力面に対して平行な少なくとも1つの「物面」および1つの「像面」がこれらと関連付けできるように構成された光学素子である。より具体的には、物面および像面は、物面に光源を位置決めすることによって、例えば、物面に、50%より大きいコントラストによって特徴付けられる輝度のパターンまたはプロファイルを生成できる光源(例えば、画素または暗い線と交互に現れる画素または明るい線のパターンを生成するディスプレイまたは透明フィルム)を位置決めすることによって、最大コントラスト、即ち、チャネルの下流側にあり、前記像面の前方において任意の他の平面において得られるコントラストよりも大きいコントラストによって特徴付けられる輝度プロファイルが像面に生成されるようにする。
【0143】
好ましくは、光学フィルタ100は、フィルタ100の第1表面101および/または第2表面102から、長手方向軸Y-Yの方向に沿って測定され、下記の関係で与えられる距離(D1)に配置された像面および物面を有する。
【数26】
ここで、Lは、個々のチャネル103の長さ、nは、中心コア110aの屈折率であり、関係[18]は±50%の精度で検証される。
【0144】
上述のように、図3に示すように、各チャネル103は、中心コア110aと複数のクラッド110b,…,110dとを備える。中心コア110aと各クラッド110b,…,110dの屈折率は、例えば、式[10]で与えられる放物線に近似する屈折率の個別の減少する半径方向プロファイルが得られるように選択される。本出願人は、各クラッド110b,…,110dの平均厚さSb,…,Sdおよび中心コア110aの平均半径Saを変化させることによって、屈折率の半径方向プロファイルが変更できることを観察する。ここで、平均は、チャネル空間に渡って理解すべきである。特に、いくつかの実施形態では、例えば、図3図4に示すように、個々のチャネル103のクラッド110b,…,110dは、同じ平均厚さSb,…,Sdを有する。代替として、例えば図10aに示すように、クラッド110b,…,110hは、異なる平均厚さを有する。好ましくは、中心コア110aは、各クラッド110b,…,110dの平均厚さSb,…,Sdより大きい平均半径Saを有する。
【0145】
好ましくは、複数のクラッド110b,110c,110dを含む個々のチャネル103を考えると、こうした複数のクラッド110b,110c,110dは、半径方向最内側のクラッド110i-1または中心コア110aと、半径方向最外側のクラッド110i+1との間に介在する少なくとも1つの中間クラッド110i(図3を参照すると、中間クラッドは、第1クラッド110bまたは第2クラッド110cに対応する)を有する。該チャネル103の断面の重心点として定義される、チャネル103の中心を考えると、下記の関係が適用される。
【数27】
ここで、n(i-1)は、最内側のクラッド110i-1または中心コア110aの屈折率、
n(i)は、中間クラッド110iの屈折率、
n(i+1)は、隣接する最外側のクラッド110i+1の屈折率、
d(i-1)は、長手方向軸Y-Yに対して平行で、個々のチャネル103の前記中心を通過する軸から、最内側のクラッド110i-1または前記中心コア110aの半径方向外側表面までの平均距離、
d(i)は、長手方向軸Y-Yに対して平行で、個々のチャネル103の前記中心を通る軸から、中間クラッド110iの半径方向外側表面までの平均距離、
d(i+1)は、長手方向軸Y-Yに対して平行で、個々のチャネル103の前記中心を通る軸から、隣接する最外側クラッド110i+1の半径方向外側表面までの平均距離であり、平均は、方位角および個々のチャネルの断面に渡る平均として定義される。
【0146】
好ましくは、これらの平均距離は、様々な方位角で、そして個々のチャネル103の断面について実行される。
【0147】
出願人は、チャネル103の長さLがフィルタ100の挙動にかなり影響を与えることを観察している。特に、「鮮明なカットオフ」、または最大傾斜、または最大コントラストの特性、即ち、カットオフ角θ付近で強度の急激な変化を表現する輝度強度の角度プロファイルの特性を記述するパラメータを定義することによって、ピーク強度の10%と20%に等しい値における輝度強度の角度プロファイルの平均幅と、ピーク強度の10%と20%に等しい値における輝度強度の角度プロファイルの幅の間で計算される平均幅ととの間の差の比率の逆数として、平均は、全ての方位角に渡って計算される。即ち、以下で「急勾配パラメータS」とも称されるパラメータが、下記の関係で与えられる。
【数28】
ここで、θ10%は、10%に等しい値における、輝度強度の角度プロファイルの幅の間で計算される平均幅、
θ20%は、20%に等しい値における、輝度強度の角度プロファイルの幅の間で計算される平均幅、
最大スロープまたは最大コントラストまたは最大急勾配パラメータSを備えた角度プロファイルは、公称長さL≒L1に等しい、即ち、下記の式で与えられる長さに等しいチャネル103の長さについて得られる。
【数29】
ここで、nは、第1屈折率の値、Rは、個々のチャネル103の平均半径、θは、フィルタ100のカットオフ角である。例えば、図7a、図7b、図7cは、3つのフィルタ100を用いてフィルタ処理される光のプロファイルの変化を示す。これらのフィルタ100の各々は、カットオフ角θ(約5°に等しい)を有する。特に、図7a、図7b、図7cは、長さL=L1-25%を有するチャネル103を含む第1フィルタ100(図7a)、長さL=L1のチャネル103を含む第2フィルタ100(図7b)、および長さL=L1+25%のチャネル103を含む第3フィルタ100(図7c)を用いてフィルタ処理される光のプロファイルの変化を示す。
【0148】
図7a、図7b、図7cの例では、各フィルタ100は、円形断面を備えた複数の円筒形チャネル103を備え、これらは、互いに平行であり、個々のフィルタ100の表面に対して直交しており、上述したように第1光学吸収材料に没入されている。各チャネル103は、下記を備える。
・半径0.0192m、屈折率1.4924を有する、円形断面110aを備えた円筒形の中心コア。
・円形断面を備えた円筒形の外面を有する複数のクラッド、特に、
・外半径0.0352mm、屈折率1.4916を有する第1クラッド110a。
・外半径0.0455mm、屈折率1.4907を有する第2クラッド110b。
・外半径0.0500mm、屈折率:1.4898を有する第3クラッド110c。
これらのフィルタ100の各々の第1表面101を、ガウシアン型の発光強度の角度プロファイルを有し、最大値の1/eに等しい高さにおいて5°に等しい幅を有し、ピークの10%に等しい強度の全ての角度において一定のバックグラウンドの存在(図6)によって特徴付けられる入力光源で照射することによって、フィルタ100の第2表面102からの出力においてフィルタ100のチャネル103の長さLの関数として、急勾配パラメータSの様々な値を有するフィルタ処理された光を得ることが可能である。特に、L=L1=1.34mmの場合に計算される急勾配パラメータSは、L=L1+25%=1.68mmの場合の2倍以上であり、L=L1-25%=1.0mmの場合よりも少なくとも30%大きい。
【0149】
出願人はさらに、急勾配パラメータSは、各チャネル103の中心コア110aに対して半径方向に配置された光学クラッド110b,…,110nの数nにも依存することを観察している。特に、個々のチャネル103の中心コア110aを包む複数のクラッド110b,…,110nを含むチャネル103を有するフィルタ100により、光学フィルタ100を用いてフィルタ処理される光の最大スロープまたは最大コントラストを得ることができる。特に、クラッド110b,…,110nの数Nが大きいほど、より高いコントラストが得られる。例えば、図8a、図8b、図8cに示すように、下記フィルタを用いてフィルタ処理された光のプロファイルの変化。
上述のように、単一のクラッド110bを有するチャネル103を含む第1フィルタ100(図8a)。
上述のように、3個のクラッド110b,…,110dを有するチャネル103を含む第2フィルタ100(図8a)。
上述のように、8個のクラッド110b,…,110iを有するチャネル103を含む第3フィルタ100(図8a)。
各フィルタ100は、同じカットオフ角θ(約5°に等しい)を有し、各フィルタ100は、同じ厚さ(即ち、チャネル103と同じ長さL)を有し、8個のクラッドを含むチャネル103を含む第3フィルタ100は、より高いコントラスト、即ち、急勾配パラメータSのより高い値を有する。
【0150】
さらに具体的には、本出願人は、複数のクラッド110b,…,110nを有するチャネル103を含むフィルタ100が、1つのクラッドだけを備えた場合、または均質チャネル(即ち、クラッドが不在)の場合にそれぞれ関連する値の5倍または6倍に等しい急勾配パラメータSを有することを計算した。
【0151】
本出願人はさらに、チャネル103のさらに短縮した長さLを有するフィルタ100が得られることをさらに観察している。この変形例によれば、各チャネル103は、フィルタ100の第1表面101および第2表面102に対して実質的に垂直な長手方向軸Y-Yを有する。さらに、フィルタ100の第1表面101または第2表面102において反射面(不図示)を連結する必要がある。
【0152】
好ましくは、この実施形態によるチャネル103が、下記に等しい長さLを有する。
【数30】
その関係は、±50%の精度で検証される。好ましくは、光学フィルタ100を実現するのに適した長さLのエレメントが、ミラーがない場合、像面と物面とを有する。具体的には、物面および/または像面は、第1表面101および/または第2表面102から、下記の関係で与えられる距離D2に配置される。
【数31】
ここで、Lは、個々のチャネル103の長さ、
は、中心コア110aの屈折率、この関係は、±50%の精度で検証される。
【0153】
図1図4を再び参照すると、本発明の一実施形態によれば、各チャネル103は、実質的に円形断面を有する円筒形状を有する。好ましくは、実質的に円形断面を備えた円筒形状を有するチャネル103は、実質的に同じ面積を有する基部を有する。換言すると、チャネル103は互いに実質的に等しい。
【0154】
図示していない他の実施形態では、実質的に円形断面を備えた円筒形状を有するチャネル103は、異なる面積を有する基部を有し、例えば、フィルタ100のチャネル103の平均面積の3%~30%の範囲で変化する。
【0155】
更なる実施形態によれば、チャネル103は、非円形断面を備えた押し出し固体に一致する。チャネル103は、必ずしも互いに等しくない面積を備えた基部を有する。こうした実施形態では、例えば、各チャネル103は、少なくとも他のチャネル103の有効半径Rcとは実質的に異なる有効半径Rcを有する断面を有し、および/または、少なくとも他のチャネル103の断面の形状とは実質的に異なる形状を有する。こうした実施形態の例は、図9a~図9bと図9c~図9dに例示的かつ非限定的な観点で示している。
【0156】
好ましくは、有効光線Rcの分布の標準偏差は、平均半径Rの値の2%~50%、好ましくは3%~30%、より好ましくは4%~20%の範囲の値を有する。
【0157】
好ましくは、図9a~図9bと図9c~図9dに非限定的な例として示すように、長手方向軸に直交する平面におけるチャネル103の断面は非円形であり、実質的にランダムな向きを有する。換言すると、複数のチャネル103は、複数の「平均的に円形断面を備えたチャネル」である。
【0158】
好ましくは、図9bと図9dに示すように、各チャネル103の断面または基部を回転なしで並進(平行移動)させ、各断面または個々の重心において重ね合わせることによって得られる図形は、実質的に円形または楕円形の図形である。特に、こうした実質的に楕円形の図形は、楕円の長軸の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは少なくとも70%に等しい長さを有する楕円の短軸によって特徴付けられる。
【0159】
より詳細には、チャネル103の各断面に属するポイントには1に等しい値を、それ以外の場所では0に等しい値を割り当てることによって、上述のように並進された断面の代数和は、値の「合計(sum)分布」を生成し、これらの値は、断面の共通重心から遠い位置についての値から、断面の共通重心に一致し、またはそれに近い位置について、チャネル103の数に等しい最大値までの範囲で変化し、断面の合計が最大値の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上の値を生成するポイントのセットは、実質的に円形または楕円形の図形を定義する。
【0160】
本出願人は、平均的に円形断面を有するチャネル103を有する光学フィルタ100の場合、拡散光(即ち、実質的に均一な輝度プロファイルを備え、即ち、位置に依存せず、等方性、即ち、実質的にランバートである光)によって照射されたときの光学フィルタ100の発光強度I(θ,φ)の角度プロファイルが、φに実質的に依存しないか、またはわずかに依存することになる。ここで、θは、チャネルの方向に対する極角であり、φは、方位角である。
【0161】
特に、拡散光によって照射された光学フィルタ100の発光強度I(θ,φ)の角度プロファイルは、ピーク値の50%未満、好ましくは70%未満、より好ましくは80%未満の値をとる、I(θ,φ)の外側にある角度座標(θ,φ)の空間内の領域が、実質的に、円形の基部または、楕円の長軸の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは少なくとも70%に等しい長さを持つ楕円の短軸の長さによって特徴付けられる楕円の基部を備えた円錐であり、あるいは、最大極角と最小極角との間の差が、平均極角の30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である円錐であるようにしており、この平均は、方位角に渡って実行される。
【0162】
代替として、拡散光によって照射される、平均的に円形断面を備えたチャネルを有する光学フィルタ100の発光強度I(θ,φ)の角度プロファイルは、その外側がI(θ,φ)<CImaxである(Imaxは、全ての角度での発光強度の最大値であり、C=0.5、より好ましくはC=0.3、より好ましくはC=0.2である)角度座標(θ,φ)の空間内の領域を区切る曲線θCM(φ)は、実質的に円周であるようにしており、即ち、それは閉曲線であり、それに外接する円周の直径とそれに内接する円周の直径と間の差が、2つの直径の間の平均値の50%未満、好ましくは30%、より好ましくは10%未満であるようにしている。
【0163】
平均的に円形断面を備えたチャネル103を有する光学フィルタ100のいくつかの実施形態によれば、拡散光によって照射された場合、光学フィルタ100の任意の部分によって生成される光の発光強度I(θ,φ)の角度プロファイルは、その結果、方位角φに実質的に依存しないか、または弱く依存しており、ここで、前記部分は、15cmに等しい、好ましくは少なくとも10cmに等しい、より好ましくは少なくとも5cmに等しい半径を有する円を外接する。
【0164】
本出願人は、平均的に円形断面を備えたチャネルを有する光学フィルタ100により、互いに異なり、および/または、非円形断面を有するチャネル103の使用にもかかわらず、実質的に円形の太陽の像を取得できることを観察している。
【0165】
平均的に円形断面を備えたチャネルを有する第1実施形態では、図9aに非限定的な例として示しており、各チャネル103は、凹状または凸状の非多角形断面を有する。
【0166】
平均的に円形断面を備えたチャネルを有する第2実施形態では、図9cに非限定的な例として示しており、各チャネル103は、簡単で非規則的(正多角形以外)の多角形断面を有する。好ましくは、この実施形態によれば、複数のチャネル103のチャネルは、平均で6個の側面を有する。
【0167】
好ましくは、各チャネル103が簡単で非正多角形断面を有する場合、チャネル103は、平均で4個、5個、6個、7個、または8個の辺を有する基部を有する。さらに好ましくは、各チャネル103の基部の辺の数の平均は、4~8の範囲で構成され、好ましくは約6個である。
【0168】
図11aと図11bを参照して、本発明による光学フィルタ100を利用するユニット800,900(それぞれ光反射ユニット800および有彩色(chromatic)ユニット900)の第1例および第2例を示している。
【0169】
図11aの光反射ユニット800は、光学フィルタ100の第1略平坦表面101に隣接し、好ましくは接触して位置決めされた反射面810を備える。図示の実施形態では、光反射ユニット800は、必要に応じて、有彩色拡散層820を追加的に備える。本発明の範囲内では、有彩色拡散層820を含む光反射ユニット800は、有彩色光反射ユニット1100とも称される。図示の実施形態では、有彩色拡散層820は、光学フィルタ100の第2略平坦表面102に隣接し、好ましくは接触して位置決めされた裏面と、入射光によって照射されるように構成された前面とを有する。好ましくは、有彩色拡散層820は、レイリー型の拡散器であり、即ち、実質的に透明なホスト材料内に分散された複数の実質的に透明なナノエレメントを含む光拡散器である。特に、ナノエレメントとホスト材料は、異なる屈折率を有する。好ましくは、ナノエレメントおよびホスト材料の屈折率のうち大きい方と小さい方の比率は、1.02より大きく、好ましくは1.04より大きく、より好ましくは1.1より大きく、さらに好ましくは1.5より大きく、さらにより好ましくは1.8より大きい。有彩色拡散層820は、入射光が標準光源CIE Eである場合、光反射ユニット800が、光反射ユニット800のカットオフ角θよりも小さい極角で、平均して第1CCTを有する第1直接光と、光反射ユニット800のカットオフ角θよりも大きい極角で、平均して第1CCTの少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍に等しい第2CCTを有する第2拡散光とを生成するように構成される。ここで、平均とは、方位角に渡って、θよりも小さく、かつ、θより大きい極角に渡って、そして光反射ユニット800に渡る平均を意味する。光反射ユニット800のカットオフ角θまたは受容角θいう用語は、反射面810によって反射され、フィルタ100を2段階で横切る光の経路に関連付けられたカットオフ角または受容角を意味する。従って、それは、そこに含まれる光学フィルタ100のカットオフ角θまたは受容角θとは異なる。有彩色光反射ユニット1100に関して、カットオフ角θまたは受容角θは、有彩色拡散層820を適切に除去した後、または、光反射ユニット800によって反射された光の発光強度の角度プロファイルから有彩色拡散層820によって拡散された光に起因した関与分を適切に減算した後に、測定される光反射ユニット800のカットオフ角または受容角を意味するものと理解される。
【0170】
本明細書および後続の請求項の範囲内で、CCTの値の定量化について、一般に、および上記で示したものの場合、可視スペクトル内で等しいエネルギーを放射し、一定のスペクトルパワー分布(SPD)を有する、例えば、標準光源CIE E などの白色光源から来る入射照射を参照する。これは、理論的な基準ではあるが、標準光源CIE Eは、全ての波長に対して均一なスペクトル重みを有するため、波長の関数として拡散変動の場合に特に適している。
【0171】
有彩色拡散特性は、ナノエレメントとホスト材料との間の相対屈折率に関連していることに留意する。従って、ナノエレメントは、固体粒子、例えば、少なくとも1つのナノメートル寸法を有する球状ナノ粒子、および/または、ナノクラスター、および/または、ナノシリンダ、および/または、ナノエレメントを参照しており、ここで、ナノメートル寸法とは、好ましくは平均して300nm未満、より好ましくは250nm未満、さらに好ましくは150nm未満の寸法を意味し、そして、液相または気相中の光学的に等価なナノメートルのエレメント、例えば、一般に液相または気相中の含有物(例えば、ナノドロップ、ナノボイド、ナノ含有物、ナノバブル、ナノチャネルなど)も参照し、これらは、ナノメートル寸法を有し、ホスト材料に組み込まれる。固体マトリクス内の気相の含有物(ナノボイド/ナノポア)を含む例示的な材料は、ナノメートルスケールの寸法を持つ固体ポア(細孔)(空気/ガス含有物)を受け入れる3次元金属酸化物(例えば、シリカ、アルミナ、酸化鉄など)または有機ポリマー(例えば、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシドなど)によって一般に形成されるエアロゲルを含む。一例として、液相中に含有物を含む材料は、ナノメートル寸法を持つ液晶(LC)相を含み、これは、一般にポリマー性質を有するマトリクス内に閉じ込められたナノ液滴を含む液相としばしば称される。
【0172】
有彩色拡散層820は、例えば、バルクパネル、コーティング、ペイント、クラッドフィルム等として製作される。
【0173】
図11bの有彩色ユニット900は、光学フィルタ100の第1略平坦表面101または第2略平坦表面102に隣接し、好ましくは接触して位置決めされ、入射光によって照射されるように構成された表面を含む有彩色拡散層910を備える。好ましくは、光反射ユニットの有彩色拡散層820に関して上述したものと同様に、有彩色拡散層910もレイリー型の拡散器であり、即ち、それは、実質的に透明なマトリクス中に分散された複数の実質的に透明なナノエレメントを含む光拡散器であり、ナノエレメントおよびマトリクスは、異なる屈折率を有する。有彩色拡散層910は、入射光が標準光源CIE E である場合、有彩色ユニット900が、カットオフ角θよりも小さい極角で、平均して第1CCTを有する第1直接光と、カットオフ角θよりも大きい極角で、平均して第1CCTの少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍に等しい第2CCTを有する第2拡散光とを生成するように構成される。この場合も、有彩色拡散層910は、例えば、バルクパネル、コーティング、ペイント、クラッドフィルムなどとして製作される。
【0174】
不図示の他の実施形態では、有彩色拡散層820、あるいは実施形態に応じた有彩色拡散層910は、実質的に平面で透明な光ガイドに横方向に連結された複数のLED光源を含む拡散光発生器であり、5600ケルビンの値の少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍の値を持つCCTを有する拡散光を生成するように構成される。
【0175】
更なる態様によれば、本発明は照明ユニットを提供する。
【0176】
好ましくは、照明ユニットは、人工光の照明ユニットである。
【0177】
図12を参照すると、本発明による光学フィルタ100を使用して太陽光を再現する人工光の照明ユニット1000の第1例を示している。人工光の照明ユニット1000は、主方向205の近傍の方向に沿って、第1色相関温度(CCT)を有する、可視光を非等方的に放射するように構成された直接光源200を備える。本発明に係るいくつかの実施形態では、直接光源200は、固定CCT、例えば、5000ケルビンより大きいCCTを有する可視光を放射するように構成される。
【0178】
本発明による他の実施形態では、直接光源200は、可変CCT、例えば、1700~8000ケルビンの範囲の可変CCTを有する可視光を放射するように構成される。
【0179】
本発明による光学フィルタ100は、主方向205に関して直接光源200の下流側に配置される。好ましくは、光学フィルタは、主方向205に対して実質的に平行である長手方向軸Y-Yを有するように、直接光源200に対して配向される。
【0180】
図12の実施形態では、光学フィルタ100は、主方向205に対して垂直に配向された第1表面101および/または第2表面102を有するように位置決めされる。不図示の本発明の他の実施形態では、光学フィルタ100は、第1表面101および/または第2表面102の法線は、主方向205に対して、5°~80°、好ましくは10°~70°、より好ましくは20°~60°の範囲の傾斜角αだけ傾斜するように位置決めされる。本発明の更なる実施形態では、例えば、図12に示すように、人工光照明ユニット1000はさらに、主方向205に対して光学フィルタ100の下流側に位置決めされた拡散光源300を備える。拡散光源300は、フィルタ100からの出力においてフィルタ処理された光を少なくとも部分的に透過するように構成される。具体的には、拡散光源は、フィルタ処理された光の角度輝度プロファイルに類似した角度輝度プロファイルを備えた、即ち、θに近い値を備えたカットオフ角の存在によって特徴付けられる、拡散光成分および透過光成分を生成するように構成される。
【0181】
本発明のいくつかの実施形態では、拡散光源300は、直接光源200によって生成される光の色相関温度またはCCTよりも少なくとも20%低い色相関温度またはCCTを有する直接成分を有する光を生成するように構成される。例えば、拡散光源300は、レイリー拡散器である。
【0182】
本発明の他の実施形態では、拡散光源300は、直接光源200によって生成される光のCCTと実質的に同一であるCCTを有する直接成分を有する光を生成するように構成される。例えば、拡散光源300は、側面照射式の拡散パネルであり、即ち、直接光源以外の光源によって側方から照射される。
【0183】
本発明のいくつかの実施形態では、拡散光源300はさらに、直接成分の発散の少なくとも2倍、好ましくは3倍、より好ましくは4倍の発散によって特徴付けられる角度輝度プロファイルによって、および/または、第1CCTおよび/または、5600ケルビンに等しいCCTよりも少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍大きい色相関温度またはCCTによって特徴付けられる、角度輝度プロファイルによって特徴付けられる拡散光成分を生成するように構成される。
【0184】
本発明の他の実施形態では、例えば、図13に示す例のように、直接光源200は、可視光エミッタ201と、可視光エミッタによって放射された光をコリメートするための光学系202と、直接光を放射するための平坦表面203とを備える。光学系202は、主方向205の周りに実質的にコリメートされた主成分を含む光230を、好ましくは、主方向205に沿った準線(directrix)と、50度未満、好ましくは30度未満、より好ましくは10度未満の半開口(half-opening)206とを有する放射円錐207内に含まれる方向に沿って生成する。
【0185】
本発明の他の実施形態では、放射円錐207は、20度未満、好ましくは15度未満、より好ましくは8度未満の半開口を有する。
【0186】
本発明のいくつかの実施形態では、図13に非限定的な例として示すように、光学系202によって生成される光230は、放射円錐207の外側にある方向に沿って伝搬する2次成分またはスプリアス成分230’も含む。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、図13に示すように、光学系202によって生成された光は、異なる方向から平坦な放射面203に到達し、即ち、平坦な放射面203上での光学系202によって生成された光230の輝度は、空間的に均一ではなく、ある方向のピークによって特徴付けられ、その表面に渡って変化する角度プロファイルを有し、例えば、それは、中心から遠くなるほど、主方向205から遠くに移動しながら変化する。
【0188】
不図示の他の実施形態では、平坦な放射面203上での光学系202によって生成される光230の輝度は、ある方向にピークを有し、それは、放射面全体に渡って非単調な方法で、例えば、周期的に変化する。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態では、光学系202はさらに、それによって生成される光230の主成分が、ある表面上で実質的に均一な輝度を生成するように構成され、例えば、図13を参照すると、平坦な放射面203上で実質的に均一な輝度を生成する。
【0190】
本発明のいくつかの実施形態では、図14に非限定的な例として示すように、光学フィルタ100は、好ましくは、可視光エミッタ201によって放射され、光学系202によってコリメートされる光230によって特徴付けられる放射円錐207の半開口206と実質的に一致するか、または、これよりも、例えば、1.5倍、2倍、または3倍大きい、半開口120を備えた受容円錐を生成するようにサイズ設定され、受容円錐の前記半開口120は、フィルタ100のカットオフ角θに等しい。
【0191】
本明細書および添付の請求項の範囲内において、表現「角度受容円錐」は、長手方向軸を基準としてカットオフ角θ以下の角度を形成する方向のセットを意味することを意図する。
【0192】
本発明のいくつかの実施形態では、図15に非限定的な例として示すように、拡散光源300は、例えば、同じ出願人の国際特許出願番号WO2009/156348号に記載されているような、レイリー拡散パネルを備える。レイリー拡散パネルは、好ましくは、ポリマーマトリクス中にナノ粒子の分散を含み、ナノ粒子の直径、単位面積あたりのナノ粒子の数、ナノ粒子およびそれらが分散されるマトリクスの屈折率は、例えば、レイリー拡散パネルが、放射面302上に、少なくとも60°、好ましくは少なくとも70°の拡散光304の角度半開口と、レイリー拡散パネル301に入射するフィルタ処理された光130の全光束の少なくとも10%に等しい全光束とを備える輝度プロファイルによって、第1CCTよりも少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍大きいものに等しい色相関温度またはCCTによって特徴付けられる拡散光303を生成することを可能にするものである。
【0193】
本発明による光学フィルタ100を用いて太陽光を再現するための人工光の照明ユニット1000’の異なる例が、直接光源700を備え、これは、図12図13を参照して既に述べた直接光源200の全ての特性を検証する。特に、それは、実質的に透明な表面710上に配置され、表面710の片側に光を案内するように配向された複数の光源702を備え、前記光源702は、最小光源距離dsだけ互いに離れている。好ましくは、光源702は、等距離に配置される。具体的には、透明表面710は、観察者がそれを通して背景シーンの大部分を見ることができ、即ち、背景シーンの少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは少なくとも70%を見ることができるように構成され、百分率は、シーンに対する立体角または視野の立体角の意味で評価される。
【0194】
複数の光源のうちの各光源702は、主方向705に沿ったピークと、ピークの半分の高さにおける角度半幅θs_HWHMとを有する光源角度輝度のプロファイルを備えた光ビーム704を生成するように配置され構成される。主方向705および光源の角度半幅θs_HWHMは、複数の光源702の全ての光源に共通であり、主方向705は、静止面の法線に対して0°~80°の間、好ましくは0°~70°の間、より好ましくは0°~60°の間の角度だけ傾斜している。
【0195】
人工光の照明ユニット1000’はさらに、実質的に平面であり、主方向705に対して実質的に平行である法線を備えた有彩色光反射ユニット1100を備える。特に、有彩色光反射ユニット1100は、空間内に位置決めされ、複数の光源702の光源が空間を実質的に均一に照射している。この目的のために、例えば、主方向705に沿って測定される、各光源702と有彩色光反射ユニット1100との間の最小距離Dminが、次の関係を満たす:Dmin>0.5ds×tan(θs_HWHM)、好ましくはDmin>ds×tan(θs_HWHM)、さらに好ましくはDmin>2ds×tan(θs_HWHM)。
【0196】
有彩色光反射ユニット1100は、少なくとも、
直接光源700に配向した反射面1101と、
反射面1101に隣接する位置、好ましくは反射面1101に接触して配置された、本発明に係る光学フィルタ100と、
光学フィルタ100と直接光源700との間に介在し、特に光学フィルタ100に隣接して配置された拡散光源300とを備える。特に、拡散光源300は、好ましくは、図12図15の実施形態を参照して上述した内容に従って実現される。
【0197】
光学フィルタ100は、好ましくは、反射面1101および光学フィルタ100自体によって構成されるアセンブリが、光源702の各々によって放射される光を特徴付ける放射円錐704の半開口θs_HWHMと実質的に一致するか、またはそれより大きい、例えば、1.5倍、2倍、または3倍大きい半開口120を備えた角度受容円錐を生成するようにサイズ設定される。さらに、上述のように、光学フィルタ100のチャネル103は、好ましくは下記の式に実質的に等しい長さLを有する。
【数32】

この関係は、±50%の精度で検証される。
【0198】
好都合には、こうした構成された人工光の照明ユニット1000’により、直接光源700が観察者と有彩色光反射ユニット1100との間に介在するように位置決めされた観察者が、光源700の実質的に透明な表面710を通して前記ユニットを観察すると、この透明な表面710を超えて、均一な空と無限遠に配置された円形の太陽、換言すると、観察者の動きに追従する太陽の像、例えば、観察者が主方向705に対して垂直な平面内を移動する場合、同じ距離で移動するか、同じ速度で移動する太陽を知覚することを可能にする。この効果は、直接光源700が透明な表面710上に分散された複数の光源702を通じて実現されるかどうかに関係なく発生する。
【0199】
更なる利点として、こうして構成された人工光の照明ユニット1000’は、極めて明るい屋外環境の条件でも、空に対して鮮鋭なコントラストの丸い太陽の像を生成する。理由は、光学フィルタ100のカットオフ角θよりも大きい角度で反射面によって反射した光が、光学フィルタ100によって遮断され、実質的に除去されるためである。
【0200】
人工光の照明ユニット1000’の第1の例示的かつ非限定的な実施形態を図16に示す。こうした実施形態では、直接光源は、透明な表面710を定義し、複数の光源702を支持するサポートグリッド701を含む。特に、図16のグリッド701は、正方形のピッチを有するが、全く同等の方法で三角形、六角形、またはその他の規則的なピッチを備えたグリッドを製作することが可能である。図16の実施形態では、光源702は、光源距離dsにおいて互いに実質的に等距離である方法でサポートグリッド701上に配置される。特に、光源702は、グリッド701の頂点上に配置される。
【0201】
人工光の照明ユニット1000’の第2の例示的かつ非限定的な実施形態を図17に示す。図17の人工光の照明ユニット1000’は、図16を参照して説明したものに加えて、サポートグリッド701を通して有彩色光反射ユニット1100の観察者からの光源702の視界を阻止するように位置決めされ構成されたマスキング構造707を備える。特に、マスキング構造707は、生きた植物または人工植物の分布708を含むパーゴラ(pergola)である。
【0202】
本発明の異なる態様によれば、照明ユニットは、自然光の照明ユニット2000,2000’,2000”であり、これは、自然光に由来する光、および/または、自然光を処理することによって得られる光を生成するように構成された照明ユニットである。本発明による自然光照明ユニット2000,2000’,2000”の例示的な実施形態が図18a~図18cに示される。
【0203】
本発明の範囲内において、用語「自然光」は、太陽によって最初に生成される光を意味する。非限定的な例として、自然光は、例えば、直射日光、および/または、雲、霧、ミスト、空、月または壁によって拡散された太陽光など、自然要素および/または人工要素によって透過および/または反射および/または拡散および/または屈折および/または回折された太陽光である。
【0204】
好ましくは、自然光の照明ユニット2000,2000’,2000”は、自然光を受光するように構成された受光面2001と、本発明に係る光学フィルタ100とを備え、前記光学フィルタは、受光面2001と少なくとも部分的に重なり合う第1表面および/または第2表面を有する。
【0205】
好ましくは、自然光の照明ユニット2000’,2000”は、自然光のCCTおよび/または5600ケルビンのCCTよりも少なくとも1.2倍、好ましくは1.3倍、より好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.8倍大きい、色相関温度またはCCTを有する拡散可視光2101を放射するように構成された拡散光源300を備える。
【0206】
好ましくは、自然光の照明ユニット2000,2000’,2000”は、自然光を受光するように構成された受光面2001と、本発明に係る光反射ユニット800および/または有彩色ユニット900および/または有彩色光反射ユニット1100とを備える。好ましくは、光反射ユニット800および/または有彩色ユニット900および/または有彩色光反射ユニット1100の光学フィルタ100の第1表面または第2表面の少なくとも1つは、自然光の照明ユニット2000,2000’,2000”の受光面2001と少なくとも部分的に重なり合う。
【0207】
図18aに示す代替の実施形態では、自然光の照明ユニット2000は、光反射ユニット800を備え、壁パネルおよび/または天井パネルとして構成される。
【0208】
図18bに示す異なる実施形態では、自然光の照明ユニット2000’は、有彩色ユニット900を備え、天窓または窓として構成される。
【0209】
図18cに示す更なる実施形態では、自然光の照明ユニット2000”は、有彩色光反射ユニット1100を備え、壁パネルおよび/または天井パネルおよび/または建物ファサード(facade)の要素として構成される。
【0210】
好都合には、光反射ユニット800を備える自然光の照明ユニット2000は、良好に明確化された輪郭を備えた円形の太陽の像を無期限に生成する。例えば、光反射ユニット800の受容円錐に属する方向から光反射ユニット800に入射する直射太陽光によって照射された場合、あるいは、拡散した自然光によって照射された場合、これは発生し、無限の空間の認識の作成に寄与する。好都合には、直射太陽光の存在でも、太陽のグレア効果を著しく低減することが可能であり、これにより無限遠までの視界を損なうことなく、観察者が太陽を直接見ることを有効に防止できる。この目的のために、太陽の反射像が、太陽の像に対応する立体角よりもはるかに大きい立体角、即ち、0.5°で認識されるように、カットオフ角θをサイズ設定するのに充分である。例えば、θ=10°では、反射した太陽の輝度は、自然太陽よりも少なくとも1600倍に減衰されるが、コントラストを実質的に損なうことがない(従来の拡散反射面の場合と同様)。
【0211】
好都合には、例えば、レイリー型の有彩色拡散層910を含む有彩色ユニット900を備える自然光の照明ユニット2000’は、雲が無い空に対して鮮明なコントラストで、太陽の像を無限に生成する。これは、例えば、拡散した白色光で照射された場合に発生する。例えば、天窓や窓として使用すると、野外で空が灰色かつ曇で覆われている場合、それが点灯して、空に太陽がある晴れた日の効果を生成し、一方、日中が野外で晴れている場合、直射太陽光の起源方向の大部分の光を遮断することによって、暗くなる。
【0212】
好都合には、例えば、レイリー型の有彩色拡散層820を含む有彩色光反射ユニット1100を備える自然光の照明ユニット2000”は、雲の無い空に対して鮮明なコントラストで太陽の像を無限に生成する。これは、有彩色ユニット900を備える自然光の照明ユニット2000’の場合と同様に、例えば、拡散した白色光で照射された場合である。例えば、建物ファサードの要素として使用すると、日中が完全に灰色で空が曇っている場合に空とは対照的に、澄んだ青い空および地平線上鮮明に浮かび上がる暖色の太陽の像を生成するように構成できる。好都合には、太陽による直接照明の代わりに、即ち、晴れた日には、有彩色光反射ユニット1100を備える自然光の照明ユニット2000”は、太陽光のCCTよりも大きいCCTを有する光、例えば、太陽光のCCTよりも2倍、または3倍、または4倍大きいCCTを有する光を全ての方向に拡散し、こうして空に類似した光表面を再現し、例えば、照明されたファサード上にそれを再現する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18a
図18b
図18c
【国際調査報告】