IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インヴィビオ ニーズ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】成形品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515908
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 GB2022052021
(87)【国際公開番号】W WO2023041891
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2113326.9
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524040292
【氏名又は名称】インヴィビオ ニーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INVIBIO KNEES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ、キース
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ゲイズ、ハリー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC03
4C097DD02
4C097MM04
(57)【要約】
成形品の製造方法が開示される。方法は、ポリマー材料を含む本体を形成することを含む。方法は更に、少なくとも1つの欠陥を平滑化するために、研磨要素を用いて本体の一部を研磨することを含む。研磨要素は、本体のポリマー材料とは異なるポリマー材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品を製造する方法であって、前記方法は、
ポリマー材料を含む本体を形成することと、
少なくとも1つの欠陥を平滑化するために、研磨要素を用いて前記本体の一部を研磨することと、を含み、
前記研磨要素は、前記本体の前記ポリマー材料とは異なるポリマー材料を含む、方法。
【請求項2】
前記本体の前記一部を研磨することは、
前記研磨要素を回転させることと、
前記研磨要素が前記少なくとも1つの欠陥を研磨するように、回転する前記研磨要素を前記本体の表面に対して支承することと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記本体の研磨部分と前記本体の未研磨部分とのRa値の差は、0.8マイクロメートル未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記研磨要素を回転させることは、1000rpm~20000rpmのスピンドル速度及び100mm/分~5000mm/分の送り速度で前記研磨要素を回転させることを含み、
前記本体の研磨部分のRa値は、0.2マイクロメートル~1.0マイクロメートルである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記研磨要素の前記異なるポリマー材料は、前記本体の前記ポリマー材料よりも高い硬度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記本体の前記ポリマー材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含み、前記研磨要素の前記異なるポリマー材料は、アニールPEEK又はバリウム充填アニールPEEKを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記本体を機械加工して機械加工エッジを形成することを更に含み、前記研磨することは、前記機械加工エッジを平滑化することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記本体を機械加工することは、前記本体の一部を除去するためにカッターで経路を切断することを含み、前記研磨要素は前記カッターの前記経路に従う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記本体を研磨する前に、前記方法は、
前記本体の部分を研磨媒体で研磨することと、又は、
エッチングされたガラスロッドを用いて前記本体の部分を平滑化することと、のうち少なくとも一方を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記本体は、射出成形によって形成され、少なくとも1つの欠陥は成形ゲートである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記成形品は、埋め込み型デバイス、任意選択で大腿骨膝構成要素である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の成形品を製造する前記方法において使用するための研磨要素。
【請求項13】
前記研磨要素は、前記本体に接触するためのブルノーズを備える、請求項12に記載の研磨要素。
【請求項14】
成形品であって、
ポリマー材料を含む本体を形成することと、
少なくとも1つの欠陥を平滑化するために、研磨要素を用いて前記本体の部分を研磨することと、
によって製造され、
前記研磨要素は、前記本体の前記ポリマー材料とは異なるポリマー材料を含む、成形品。
【請求項15】
前記本体の研磨された部分と前記本体の未研磨部分とのRa値の差は、0.8マイクロメートル未満である、請求項14に記載の成形品。
【請求項16】
埋め込み型デバイスであって、
ポリマー材料を含む本体を形成することと、
少なくとも1つの欠陥を平滑化するために、研磨要素を用いて前記本体の一部を研磨することと、
によって形成され、
前記研磨要素は、前記本体の前記ポリマー材料とは異なるポリマー材料を含む、埋め込み型デバイス。
【請求項17】
前記本体の研磨部分と前記本体の未研磨部分とのRa値の差は、0.8マイクロメートル未満である、請求項16に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項18】
前記本体の前記一部を研磨することは、
1000rpm~20000rpmのスピンドル速度及び100mm/分~5000mm/分の送り速度で前記研磨要素を回転させることと、
前記研磨要素が前記少なくとも1つの欠陥を研磨するように、回転する前記研磨要素を前記本体の表面に対して支承することと、を含み、
前記本体の前記研磨部分の前記Ra値は、0.2マイクロメートル~1.0マイクロメートルである、請求項17に記載の埋め込み型デバイス。
【請求項19】
前記埋め込み型デバイスは、膝インプラント用の大腿骨構成要素を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の埋め込み型デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品の製造方法及びその成形品に関する。特に、限定するものではないが、本発明は、成形膝インプラントの製造方法及び成形膝インプラントに関する。これは、大腿骨膝インプラント要素であってもよい。
【背景技術】
【0002】
典型的には、ポリマー物品は、射出成形又は圧縮成形などの成形技術によって形成され得る。型は光沢のある表面をもたらすが、表面欠陥が生じる可能性がある。表面欠陥に加えて、ゲートのような、ポリマーが金型に注入される領域を除去する必要がある場合がある。物品の一部の除去は、表面の鈍化、及びRa値として定量化され得る粗さの増加を引き起こし得る。Raは、評価長さ内で記録された平均線からのプロファイル高さ偏差の絶対値の算術平均である。簡単に言えば、Raは、表面の山及び谷の個々の測定値のセットの平均である。
【0003】
更に、成形技術は、分割線としても知られる分離線を有する物品をもたらす可能性がある。分離線は、抜き勾配が方向を変える境目である。すなわち、成形部品のコア半体とキャビティ半体とを分割するのは境界線である。
【0004】
ポリマー物品上の欠陥を減少させる方法は、研磨媒体を使用して欠陥を除去することを含む。ドラッグ研磨は、研磨される物品が媒体塊を通して引っ張られ、プロセス中に物品をホーニング及び研磨する方法である。次いで、物品は、研削又は研磨媒体で満たされた作業ボウルを通して「引きずられる」。振動研磨は、研磨媒体の特別に成形されたペレット及び研磨される物品を振動タンブラー内に配置することを含む。振動は、媒体を物品に擦らせ、物品を研磨する。
【0005】
ドラッグ研磨及び振動研磨は、外科的目的のために使用されることが意図されるポリマー物品、又は使用中に別の表面に対して擦れ得る軸受表面を含むポリマー物品を研磨するのに不適切であることが見出されている。これは、研磨中に、研磨媒体の研磨粒子が、それらが結合していたマトリックスから自由になり、ポリマーの表面に埋め込まれ得るためである。最終物品は、研磨された表面内に不純物を含むことがある。例えば、外科用インプラント又は他の医療器具の場合、埋め込まれた媒体は、周囲組織に対する毒性又は周囲組織の機械的刺激のいずれかとともに生体適合性に対して有害な影響を引き起こす可能性がある。加えて、埋め込まれた研磨粒子は、物品の表面、又は第1の物品が接触している更なる物品の対応する表面の過剰な摩耗をもたらし得る。
【0006】
非研磨性回転研磨ホイールもまた、物品を研磨するために使用され得る。これは有利に簡単な方法である。しかしながら、この方法は、摩擦を利用して物品の表面を研磨するので、ポリマー物品には適していない。摩擦は、ポリマーを軟化させる熱を発生させる。軟化したポリマーは、除去されるのではなく、隣接する表面領域に塗布される。加えて、この方法は、表面におけるポリマーの結晶化度を変化させる可能性がある。これは、使用時に物品の欠陥をもたらし得る過剰な応力を生じさせ得る。
【0007】
火炎研磨は、ポリマー物品を火炎又は熱に曝露することによってポリマー物品を研磨する方法である。熱は物品の表面を短時間溶融し、表面張力が表面を滑らかにする。この方法は、物品の表面を溶融することに依存しており、この溶融は、表面に局所的な応力を生じさせ、それによって摩耗特性に影響を及ぼす可能性がある。溶融はまた、表面におけるポリマーの結晶化度を変化させる。この方法は、典型的には、平坦な表面に対してのみ一貫して適用することができ、起伏のある表面に対しては精度が低下する。
【0008】
本発明の特定の例の目的は、先行技術に関連する問題及び/又は欠点のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に解決、緩和、又は除去することである。特定の例は、以下に記載される利点のうちの少なくとも1つを提供することを目的とする。
【0009】
特に、本発明の特定の実施例の目的は、表面に埋め込まれた粒子の量を低減する成形品を研磨するための技術を提供することである。
【0010】
更に、本発明の特定の実施例の目的は、機械加工された表面と成形された表面との間の滑らかな遷移を提供する成形品を研磨するための技術を提供することである。
【0011】
本発明の特定の実施例の目的は、生体適合性を維持しながら、既知の技術と比較して成形品のRa値を低減する、成形品を研磨するための技術を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載の成形品を製造する方法、成形品、及び埋め込み型デバイスを提供する。
【0013】
本発明の一態様によれば、成形品を製造する方法が提供され、方法は、
ポリマー材料を含む本体を形成することと、
少なくとも1つの欠陥を平滑化するために、研磨要素を用いて本体の一部を研磨することと、を含み、
研磨要素は、本体のポリマー材料とは異なるポリマー材料を含む、研磨装置。
【0014】
好適には、本体の一部を研磨することは、
研磨要素を回転させることと、
研磨要素が少なくとも1つの欠陥を研磨するように、回転する研磨要素を本体の表面に対して支承することと、を含む。
【0015】
好適には、本体の研磨部分と本体の未研磨部分とのRa値の差は、0.8マイクロメートル未満である。
【0016】
好適には、研磨要素を回転させることは、1000rpm~20000rpmのスピンドル速度及び100mm/分~5000mm/分の送り速度で研磨要素を回転させることを含み、成形品のRa値は、0.2マイクロメートル~1.0マイクロメートルである。
【0017】
好適には、研磨要素の異なるポリマー材料は、本体のポリマー材料よりも高い硬度を有する。
【0018】
好適には、本体のポリマー材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含み、研磨要素の異なるポリマー材料は、アニールPEEK又はバリウム充填アニールPEEKを含む。
【0019】
好適には、本方法は、本体を機械加工して機械加工エッジを形成することを更に含み、研磨ステップは、機械加工エッジを平滑化することを含む。
【0020】
好適には、本体を機械加工することは、カッターで経路を切断して本体の一部を除去することを含み、研磨要素はカッターの経路に従う。
【0021】
好適には、本体を研磨する前に、方法は、
本体の一部を研磨媒体で研磨することと、又は、
エッチングされたガラスロッドを用いて本体の部分を平滑化することと、のうち少なくとも一方を更に含む。
【0022】
好適には、本体は射出成形によって形成され、少なくとも1つの欠陥は成形ゲートである。
【0023】
好適には、成形品は、埋め込み型デバイス、任意選択で大腿骨膝構成要素である。
【0024】
本発明の更なる態様によれば、成形品を製造する方法において使用するための研磨要素が提供される。
【0025】
好適には、研磨要素は、本体に接触するためのブルノーズを備える。
【0026】
本発明の更なる態様によれば、以下によって製造された成形品が提供される:
ポリマー材料を含む本体を形成することと、
少なくとも1つの欠陥を平滑化するために、研磨要素を用いて本体の一部を研磨することと、を含み、
研磨要素は、本体のポリマー材料とは異なるポリマー材料を含むこと。
【0027】
好適には、本体の研磨部分と本体の未研磨部分とのRa値の差は、0.8マイクロメートル未満である。
【0028】
本発明の更なる態様によれば、以下によって形成される埋め込み型デバイスが提供される:
ポリマー材料を含む本体を形成することと、
少なくとも1つの欠陥を平滑化するために、研磨要素を用いて本体の一部を研磨することと、を含み、
研磨要素は、本体のポリマー材料とは異なるポリマー材料を含むこと。
【0029】
好適には、本体の研磨部分と本体の未研磨部分とのRa値の差は、0.8マイクロメートル未満である。
【0030】
好適には、本体の一部を研磨することは、
1000rpm~20000rpmのスピンドル速度及び100mm/分~5000mm/分の送り速度で研磨要素を回転させることと、
研磨要素が少なくとも1つの欠陥を研磨するように、回転する研磨要素を本体の表面に対して支承することと、を含み、
形成された埋め込み型デバイスのRa値は、0.2マイクロメートル~1.0マイクロメートルである、研磨すること。
【0031】
好適には、埋め込み型デバイスは、膝インプラント用の大腿骨構成要素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施例は、添付の図面を参照することによって以下に更に説明される。
図1a】本発明の一例による研磨要素の概略図である。
図1b】成形品を製造するプロセス中に形成される、本発明の一例による本体の概略図である。
図2】本発明の一例による成形品を製造する方法のフローチャートである。
図3】本発明の一例による成形品の製造方法の更なるフローチャートである。
図4】本発明の一例による成形品の製造方法の更に別のフローチャートである。
図5a】大腿骨膝インプラントの3D図である。
図5b】大腿骨膝インプラントの3D図である。
図5c】大腿骨膝インプラントの3D図である。
図6図5a~図5cの大腿骨膝インプラントの概略図である。
図7a】大腿骨膝インプラントの表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7b】大腿骨膝インプラントの表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7c】大腿骨膝インプラントの表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7d】大腿骨膝インプラントの表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7e】大腿骨膝インプラントの表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7f】大腿骨膝インプラントの表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
補綴インプラントは、罹患及び/又は損傷した関節組織を部分的又は完全に置換するために使用することができる。そのようなインプラントは、骨の自然な関節運動面を置換する関節運動面を含むことができる。例えば、膝置換のためのインプラントは、大腿骨インプラント及び/又は脛骨インプラントを含んでもよい。大腿骨インプラントは、大腿骨の遠位端上に移植されてもよく、大腿骨の関節運動面を置換してもよい。脛骨インプラントは、脛骨の近位端上に移植されてもよく、脛骨の関節運動面を置換してもよい。
【0034】
動作中、大腿骨インプラントの関節運動面は、脛骨インプラントの関節運動面に対して関節運動する。大腿骨及び脛骨インプラントには様々な材料が使用されてきた。例えば、インプラントは、金属、例えば、コバルト-クロムから作製されてもよい。金属インプラントは、骨よりも著しく高い剛性及び引張強度を有し得る。その結果、金属インプラントは、使用中に関節に通常加えられる応力から下にある骨を保護する傾向が増大する可能性がある。ウォルフの法則によれば、骨は、加えられた負荷に応答して再構築する。骨がこれらの負荷から遮蔽される場合、骨は、骨量を維持するために必要とされる刺激にさらされない。これは、例えば、インプラントが緩む可能性を増加させ得る骨質量の損失につながり得る。近年、骨の機械的特性とより適合する機械的特性を有するように配合され得るポリマー組成物から形成された膝インプラントへの関心が高まっている。
【0035】
以下の説明は、成形品の一例として大腿骨膝インプラントを説明するが、成形によって形成される任意の物品が想定される。例示的な物品としては、大腿骨又は脛骨の膝インプラント及び脊椎インプラントなどの埋め込み型デバイス、並びにベアリング及びギアなどの製造構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書全体を通して、ポリマー材料について言及する。好ましくは、ポリマーはポリアリールエーテルケトン(PAEK)材料である。
【0037】
好適なポリアリールエーテルケトンは、以下の式(I)の繰り返し単位を有し得、
【0038】
【化1】

式中、t1及びw1は、独立して、0又は1を表し、v1は、0、1又は2を表す。
【0039】
ポリアリールエーテルケトンは、好適には、少なくとも90、95、又は99モル%の式Iの繰り返し単位を含む。ポリアリールエーテルケトンは、好適には、少なくとも90、95又は99重量%の式Iの繰り返し単位を含む。
【0040】
ポリアリールエーテルケトンは、式Iの繰り返し単位を含むか、又は本質的にそれからなってもよい。好ましいポリマー材料は、上記繰り返し単位(式中、t1=1、v1=0、及びw1=0である)を含む(又は本質的にそれからなる)。t1=0、v1=0、及びw1=0、t1=0、w1=1、v1=2、又はt1=0、v1=1、及びw1=0である。より好ましくは、ポリアリールエーテルケトンは、繰り返し単位I(式中、t1=1、v1=0、及びw1=0である)を含む(例えば、本質的にそれからなる)。又はt1=0、v1=0、及びw1=0である。最も好ましいポリアリールエーテルケトンは、上記繰り返し単位(式中、t1=1、v1=0、及びw1=0である)を含む(特に、本質的にそれからなる)。
【0041】
ポリアリールエーテルケトンは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、及びポリエーテルケトンケトンから選択され得る。いくつかの例において、ポリマーは、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトンから選択される。ポリマーは、好ましくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0042】
ポリアリールエーテルケトンは、少なくとも4KJm-2、好ましくは少なくとも5KJm-2、より好ましくは少なくとも6KJm-2のノッチ付きアイゾット衝撃強度(80mm×10mm×4mmの試料に、0.25mmの切断ノッチ(タイプA)を入れ、ISO180によって23℃で試験)を有し得る。上述のように測定されるノッチ付きアイゾット衝撃強度は、10KJm-2未満、好適には8KJm-2未満であり得る。上述のように測定されるノッチ付きアイゾット衝撃強度は、少なくとも3KJm-2、好適には少なくとも4KJm-2、好ましくは少なくとも5KJm-2であり得る。衝撃強度は、50KJm-2未満、好適には30KJm-2未満であってよい。
【0043】
ポリアリールエーテルケトンは、少なくとも0.06kNsm-2の溶融粘度(MV)を有し、好ましくは少なくとも0.09kNsm-2、より好ましくは少なくとも0.12kNsm-2、特に少なくとも0.15kNsm-2のMVを有し得る。有利には、MVは、少なくとも0.35kNsm-2、特に少なくとも0.40kNsm-2であってもよい。0.45kNsm-2のMVが特に有利であり得る。
【0044】
特に明記しない限り、溶融粘度(MV)は、Bohlin Instruments社のRH2000キャピラリーレオメーターを使用して、ISO 11443に従って340℃及び1000s-1のせん断速度で動作し、0.5mm(キャピラリー直径)×8.0mm(キャピラリー長さ)のダイを使用して、入射角180℃で測定される。顆粒をバレルに充填し、10分間予熱してもよい。粘度は、定常状態条件に達して維持された後、名目上試験開始5分後に測定することができる。ポリアリールエーテルケトンは、1.00kNsm-2未満、好ましくは0.5kNsm-2未満のMVを有し得る。ポリアリールエーテルケトンは、0.09~0.5kNsm-2の範囲、好ましくは0.14~0.5kNsm-2の範囲、より好ましくは0.4~0.5kNsm-2の範囲のMVを有してもよい。
【0045】
ポリアリールエーテルケトンは、50mm/分の速度で23℃で試験したIS0527(試験片タイプ1b)によって測定した、少なくとも20MPa、好ましくは少なくとも60MPa、より好ましくは少なくとも80MPaの引張強度を有し得る。引張強度は、好ましくは80~1 10MPaの範囲、より好ましくは80~100MPaの範囲にある。
【0046】
ポリアリールエーテルケトンは、IS0178(80mm×10mm×4mmの試料に、23℃で2mm/分の速度で3点曲げ試験を行った)によって測定された、少なくとも50mPa、好ましくは少なくとも100mPa、より好ましくは少なくとも145mPaの曲げ強度を有し得る。曲げ強度は、好ましくは145~180MPaの範囲、より好ましくは145~164MPaの範囲にある。ポリアリールエーテルケトンは、IS0178(80mm×10mm×4mmの試料に、23℃で2mm/分の速度で3点曲げ試験を行った)によって測定された、少なくとも1GPa、好適には少なくとも2GPa、好ましくは少なくとも3GPa、より好ましくは少なくとも3.5GPaの曲げ弾性率を有し得る。曲げ弾性率は、好ましくは3.5~4.5GPaの範囲、より好ましくは3.5~4.1GPaの範囲にある。
【0047】
ポリアリールエーテルケトンは、非晶質又は半結晶性であってもよい。ポリアリールエーテルケトンは、好ましくは結晶化可能である。ポリアリールエーテルケトンは半結晶性であってもよい。ポリマー中の結晶化度のレベル及び程度は、例えば、Blundell and Osborn(Polymer 24,953,1983)によって記載されているように、広角X線回折(広角X線散乱又はWAXSとも称される)によって測定され得る。代替的に、結晶化度は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)によって評価することができる。
【0048】
当該ポリアリールエーテルケトンの結晶化度のレベルは、少なくとも1%、好適には少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%であってよい。特に好ましい実施形態では、結晶化度は25%よりも大きくてもよい。それは50%未満又は40%未満であってもよい。当該ポリアリールエーテルケトン(結晶性の場合)の融解吸熱(melting endotherm、Tm)の主ピークは、少なくとも300℃であってもよい。
【0049】
図1aは、研磨構成要素100の概略的な例を示し、図1bは、成形体150の単純な表現を示す。この例では、成形体150上に表面欠陥152が示されている。研磨されると、本体150は、製造された成形品を含む。この成形品は、埋め込み型デバイスであってもよく、適切には大腿骨膝構成要素であってもよい。
【0050】
本体150は、ポリマー材料から形成される。任意の適切なポリマーを使用して、本開示の成形品の本体150を形成することができる。好ましくは、ポリマーはポリアリールエーテルケトン(PAEK)である。適切には、ポリマーはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0051】
研磨構成要素100は、本体150の一部を研磨するように適合された研磨要素102と、研磨要素102を回転、作動、振動、又は別様に移動させることができる駆動要素104とを含む。
【0052】
研磨要素102は、駆動要素104に取り付けられる取り付け端部106と、接触端部108とを含み得る。取り付け端部106は、駆動要素104に解放可能に接続し得る。例えば、取り付け端部106はねじ切りされてもよい。したがって、研磨要素102は、既存の駆動要素と交換されるか、又は既存の駆動要素に後付けされ得る。研磨要素102の接触端部108は、使用時に物品本体150に当接する研磨要素102の部分である。駆動要素104は、接触端部108が本体150と接触しているときに移動するように、研磨要素102を駆動し得る。
【0053】
この例では、研磨要素102の接触端部108は、ブルノーズ(bullnose)を有するか、又は他の方法で丸みを帯びていてもよい。接触端部108は、2mm~8mm、適切には4mm~5mmの直径を有し得る。他の例では、接触端部108は、任意の適切な形状又はサイズ、例えば、平坦なプレート又は先の尖った円錐であってもよい。
【0054】
図1aに示す例では、研磨要素102は細長いロッドである。すなわち、研磨要素102は、取り付け端部106と接触端部108との間に細長い延長部を有する。他の例では、研磨要素102は、プレート形状又は任意の他の好適な形状であってもよいことを理解されたい。
【0055】
成形品が大腿骨膝インプラントなどの埋め込み型デバイスである例では、研磨要素102は、ロッド形状であってもよく、2mm~8mm、適切には4mm~5mmの直径を有するブルノーズ接触端部108を有してもよく、約4mmであってもよい。
【0056】
研磨構成要素100はまた、コントローラ(図示せず)を含み得、コントローラは、接触端部108の経路を制御する。言い換えれば、研磨構成要素100は、研磨要素102を制御するために自動化システムを使用することができ、これは、物品間又は物品全体にわたる変動を低減する。したがって、コントローラは、研磨要素102の経路を制御するためのコードを含むプログラムと、そのようなプログラムを記憶する機械可読記憶装置とを含み得る。更に、そのようなプログラムは、任意の媒体、例えば、有線又は無線接続上で搬送される通信信号を介して電子的に伝達されてもよい。
【0057】
研磨要素102は、本体150のポリマー材料とは異なるポリマー材料であるポリマー材料である。任意の好適なポリマーを使用して、本開示の成形品の研磨要素102を形成し得る。好ましくは、ポリマーはポリアリールエーテルケトン(PAEK)である。適切には、ポリマーはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0058】
例えば、本体150のポリマー材料は、第1のPAEK材料であってもよく、研磨要素の異なるポリマー材料は、異なるPAEK材料であってもよい。いくつかの例において、ポリマー材料の一方又は両方は、研磨充填材、例えば硫酸バリウムなどの充填材を含んでもよい。すなわち、硫酸バリウムは、ポリマー組成物の総重量の最大20重量%の量でポリマー組成物中に存在し得る。代替的に、又は充填材を含むことに加えて、研磨要素102のポリマー材料は、アニールされてもよい。アニールされたPEEK材料は、PEEK材料がアニールによって硬化されているという意味で、アニールされていないPEEK材料とは異なるポリマー材料である。言い換えれば、本体150は、アニールされていないPEEK材料から形成されてもよく、研磨要素102は、アニールされたPEEK材料であってもよい。したがって、研磨要素102は本体150よりも硬い。
【0059】
本体150及び研磨要素102のポリマー材料を、それぞれアニールされていない状態及びアニールされた状態のPEEKなどのPAEKファミリーの異なるポリマー材料として有することによって、研磨要素102は、本体の表面に研磨粒子を埋め込む研磨媒体を使用することなく、必要なRa値を達成することを可能にする。この意味で、物品の本体全体にわたるRa値は、代替の研磨技術で研磨された物品と比較した場合、全体として低下する。その結果、最終物品は、研磨された表面内に有意な量の不純物を含有しない。これは、特に、使用中に別の表面に対して摩擦する軸受表面上での摩耗の低減により、最終物品の寿命の増加をもたらすことができる。更に、埋め込み型デバイスの場合、物品の生体適合性は損なわれない。
【0060】
図2は、研磨構成要素100を使用して成形品を製造する方法を示す。成形品は、大腿骨又は脛骨膝インプラントとしての使用に好適であり得る。まず、ステップS210において、ポリマー材料を含む本体150が形成される。
【0061】
本体150を形成するために、液体又は柔軟な形態であり、型を使用して成形されるポリマー材料が提供される。典型的な成形技術としては、回転成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、押出成形、又は熱成形が挙げられるが、これらに限定されない。適切には、成形方法は射出成形であってもよい。
【0062】
ステップS210において本体150が形成されると、本体の少なくとも一部は、1つ以上の表面欠陥152を含み得る。表面欠陥152は、表面気泡、変色、分離線又は機械エッジなどを含み得る。表面欠陥を除去するために、ステップS220において、研磨要素102を用いて本体の一部が研磨される。本体150の一部を研磨することは、複数の表面欠陥152を除去することを含んでもよい。
【0063】
本体150の一部を研磨することにより、研磨された領域と研磨されていない領域との表面粗さの差が小さくなるように、欠陥が平滑化される。すなわち、射出成形された表面は(欠陥を除いて)光沢があるので、表面の大部分は研磨を必要としない。例えば、射出成形表面は、0.01マイクロメートル~0.1マイクロメートル、適切には0.025~0.075マイクロメートル、より適切には0.05マイクロメートルの平均Ra値を有してもよい。研磨するステップS220は、本体150の研磨部分が本体の表面の未研磨部分の粗さにより近くなるように、欠陥152をバフ研磨する。例えば、研磨された本体の部分は、0.8マイクロメートル未満、適切には0.75マイクロメートル未満、より適切には0.6マイクロメートル未満、より適切には0.28マイクロメートル未満の、本体の未研磨部分とのRaの差を有し得る。
【0064】
研磨ステップS220の後の本体の研磨部分のRa値は、1.5マイクロメートル未満、適切には0.1マイクロメートル~1.2マイクロメートル、より適切には0.2マイクロメートル~1.0マイクロメートルである。
【0065】
図3を参照すると、図2で説明した成形品を製造する方法が、追加のステップとともに示されている。ステップS310においてポリマー材料を含む本体を形成した後、方法は、ステップS315において研磨要素を回転させることを更に含む。研磨要素102を回転させることは、駆動要素104を使用して研磨要素102を回転させることを含んでもよい。すなわち、研磨要素102の接触端部108は、研磨要素102の長手方向軸の周りを回転し得る。
【0066】
ステップS315において、研磨要素102は、1000rpm~20000rpmのスピンドル速度及び100mm/分~5000mm/分の送り速度で回転されてもよい。適切には、研磨要素102は、5000rpm~15000rpmのスピンドル速度及び500mm/分~2500mm/分の送り速度で回転されてもよい。研磨要素の回転速度は、特定の成形品に対して最適化されてもよい。例えば、大腿骨膝インプラント(図4及び図5に示す)の場合、スピン速度は、約10,000rpmのスピンドル速度及び約1000mm/分の送り速度で最適化されて、0.3マイクロメートル~0.5マイクロメートルの大腿骨膝インプラントのRa値を与えることができる。
【0067】
次いで、ステップS318において、回転する研磨要素102は、研磨要素102が少なくとも1つの欠陥152を研磨するように、成形品の本体の表面に当接するようにされ得る。このようにして、研磨要素102の接触端部108は、欠陥152に接触し、欠陥152を含む本体150の領域を研削除去する。いくつかの例では、研磨要素102は、表面欠陥152を研磨するために、本体の表面より下の高さに設定されてもよい。すなわち、接触端部108は、接触端部108が成形品の本体の表面に圧力を加えるように、本体の表面の高さより低い高さに設定されてもよい。例えば、研磨要素102は、本体の表面下2マイクロメートル~15マイクロメートルの高さに設定されてもよい。適切には、研磨要素102は、本体の表面の下5マイクロメートル~12マイクロメートルの高さに設定されてもよく、より適切には、本体の表面の下10マイクロメートルに設定されてもよい。
【0068】
研磨された領域と本体150の表面との間の滑らかな移行を達成するために、研磨された領域は、欠陥152だけより大きくてもよい。すなわち、欠陥152の周りの領域も、研磨要素102によって研磨され得る。研磨要素102が本体150とは異なるポリマー材料であることは、接触端部108が、研磨技術と比較して、本体150の表面に大量の材料を埋め込むことなく、欠陥152を研磨することを意味する。
【0069】
図4を参照すると、図3に記載された成形品を製造する方法が追加のステップとともに示されている。例えば射出成形法を使用して本体を形成する場合(S310)、ポリマー材料が入る領域はゲートを形成することができる。同様に、物品の2つ以上の部分を互いに付着させることを含む成形方法では、分離線が形成され得る。これらの欠陥は、機械加工で除去し得る。この例では、方法は、物品の本体を機械加工するステップS412を含む。本体150を機械加工するステップS412は、カッターを用いて経路を切断して、本体の少なくとも一部を除去することを含み得る。すなわち、本体150から欠陥152を切断する切断機を使用する。
【0070】
本体150を機械加工することによって機械エッジが形成され、この機械エッジは、機械によって鈍らされるか又は粗くされる本体150の領域である。この機械エッジは、欠陥152であり得る。したがって、研磨要素102は、ステップS420において、研磨機エッジを含む本体150の一部を研磨して、それを平滑化し得る。いくつかの例では、研磨要素102は、カッターの経路に従い得る。いくつかの例では、コントローラを使用して、機械加工及び研磨ステップS412、S420を自動化し得る。これにより、成形品全体にわたる表面Ra値の一貫性が可能になる。
【0071】
本体を機械加工するステップS412に加えて、又は代替的に、研磨媒体で本体150を研磨するステップS413を、ステップS420で本体を研磨する前に行うことができる。本体を研磨するステップS413は、エッチングされたガラスロッドで本体150の一部を平滑化する更なる後続のステップS414を有してもよい。エッチングされたガラスロッドは、前のステップから研磨媒体の一部の埋め込まれた粒子を除去し得る。したがって、研磨要素102を用いて本体150の部分を研磨することは、全体的に滑らかな仕上げを与えるための最終ステップS420であり得る。加えて、本体150の一部を研磨するステップS420はまた、前のステップから研磨媒体の埋め込まれた粒子を除去し得る。
【0072】
いくつかの例では、マイクロ機械加工は、切断ステップS412又は研磨ステップS420の少なくとも1つに使用されてもよい。適切なカッターの一例は、ドイツ、プリーニングのHurco Companies,Inc.によって製造されたHurco(商標)5軸機械であり、https://www.hurco.eu/products/5-axis-machining-centers/に記載されている)。研磨される表面のプロファイルに従うように研磨要素を方向付けることができる任意の適切な機械が使用され得ることが理解されるであろう。
【0073】
図5a~図5cは、成形品が大腿骨膝インプラントである例示的な成形品の3Dモデルを示す。
【0074】
大腿骨膝インプラントのポリマー本体550は、射出成形を使用して成形される。大腿骨膝インプラントの必要な形状を形成するために、ポリマーはゲートを通して注入され、2つの部分:顆間スロット558の両側にある内側顆554及び外側顆556、に分割される。ゲートの結果として形成される本体550の領域は、顆間スロット558から側面の一部を除去するように機械加工される。この部分は0.1mm~1mmであってもよく、適切には、この部分は0.2mm~0.4mmであり、より適切には0.3mmである。この機械加工プロセスはまた、半径に切り込み、スロット半径上に鋭いエッジ559を作成し、この半径は、2mm~5mm、適切には2mm~3mm、より適切には2.5mmであり得る。
【0075】
鋭いエッジ559は、顆間スロット558に沿って滑らかな移行部を形成するために、上述の方法を用いて研磨されてもよい。
【0076】
図6は、図5a~5cの例示的な成形品の概略図を示す。インプラントの顆間スロット558は、上述の研磨方法を使用して機械加工で除去する必要がある分離線660を含む。
【0077】
Ra値は、3つの場所、例えば、顆間スロット558の頂点670、並びに内側顆554及び外側顆556の両方の顆間スロット558のエッジ672、674で測定されてもよい。したがって、これは、研磨部分が外科的用途における使用のために十分に平滑であるかどうかを決定することができる。埋め込み型デバイスについて、上記の方法は、研磨媒体を使用する方法と比較して低減された生物学的不適合性を有する平滑化された物品を提供する。
【0078】
上述したような成形品の製造方法は、有利なことに、より滑らかな表面に起因してその寿命にわたって摩耗が低減された成形品をもたらす。加えて、成形品は、成形表面の光沢と一致する除去された欠陥を有する感知領域において、著しく改善された外観を有し得る。
【実施例1】
【0079】
大腿骨膝インプラントの試料をPEEK材料から形成した。Hurco(商標)5軸フライス盤を使用して試料を機械加工し、次いで、硫酸バリウムを充填しアニールしたPEEKロッドを使用して研磨した。Ra値は、内側顆及び外側顆について同じサイズ及び変形の複数の大腿骨膝インプラントについて測定された。結果を以下の表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
研磨なしのインプラントの平均Ra値は、0.657マイクロメートルであった。バリウム充填PEEKロッドで研磨した後の平均Ra値は0.377マイクロメートルであった。これは、研磨後のRa値の有意な減少を示し、改善された表面仕上げをもたらす。
【実施例2】
【0082】
大腿骨膝インプラントのサンプルをPEEK材料から形成した。試料は、Hurco(商標)5軸フライス盤を使用して機械加工され、次いでアニールされたバリウム充填PEEKロッド又はアニールされたPEEKのみのロッドを使用して研磨された。Ra値は、内側顆及び外側顆で測定した。アニールされたバリウム充填PEEKロッドで研磨された試料の平均Ra値は0.751マイクロメートルであり、アニールされたPEEKロッドで研磨された試料の平均Ra値は0.7509マイクロメートルであった。これは、アニールされたPEEKのみのロッド又はアニールされたバリウム充填PEEKロッドを用いて研磨された試料間に有意差がないことを示す。
【実施例3】
【0083】
大腿骨膝インプラントの試料をPEEK材料から形成した。試料は、Hurco(商標)5軸フライス盤を使用して機械加工され、次いでアニールされたバリウム充填PEEKロッド又はアニールされたPEEKのみのロッドを使用して研磨された。スピンドル速度及び送り速度を、10,000rpmのスピンドル速度及び1000mm/分の送り速度に最適化した。
【0084】
内側顆及び外側顆の機械加工及び研磨された領域上のRa値を測定して、各ロッドタイプを用いた機械加工及び研磨プロセスが表面をどれだけ粗くするかを調べた。バリウム充填PEEKロッドで研磨した試料の平均Ra値は0.36マイクロメートルであり、PEEKロッドで研磨した試料の平均Ra値は0.39マイクロメートルであった。これは、アニールされたPEEKのみのロッド又はアニールされたバリウム充填PEEKロッドを用いて研磨されたサンプル間に有意差がないことを示す。
【実施例4】
【0085】
大腿骨膝インプラントの試料をPEEK材料から形成した。試料のいくつかは、Hurco(商標)5軸フライス盤を使用して機械加工され、次いで、アニールされたバリウム充填PEEKロッドを使用して研磨された。他の試料は、Hurco(商標)5軸フライス盤を使用して機械加工され、次いでP800紙の研磨紙、続いてP2500、次いでフェルトパッドを使用して手で研磨された。
【0086】
機械加工され研磨された試料を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して分析した。結果を図7a~7fに示す。図7a~7dは、バリウム充填PEEKロッドを使用して研磨された試料の表面を示す。図7eは、手で研磨された表面を示し、図7fは、粒子分離を伴う図7eである。
【0087】
アニールされたバリウム充填PEEKロッドで研磨された試料については、少数の硫酸バリウム粒子が表面上に見出された。見出された最大粒子は2.63マイクロメートルであり、大部分はサブミクロンであった。対照的に、手で研磨した試料については、かなりの数の酸化アルミニウム、鉄及びナトリウム粒子が見られた。最大粒子は、40.829マイクロメートルであると測定された。
【0088】
したがって、アニールされたバリウム充填PEEKロッドによって少量のデブリが導入されたが、その量及び粒径は、代替の研磨方法と比較した場合、極めて小さかった。
【0089】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」及び「含む(contain)」という用語並びにそれらの変形は、「含むが限定されない(including but not limited to)」を意味し、それらは、他の構成要素、整数、又は工程を除外することを意図しない(及び除外しない)。本明細書を通して、単数形は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数形を包含する。具体的には、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数だけでなく複数も考慮するものとして理解されるべきである。本明細書全体を通して、「約」という用語は、所与の値が端点の「少し上」又は「少し下」であり得ることを提供することによって、範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。この用語の柔軟性の程度は、特定の変数によって指定することができ、経験及び本明細書の関連する説明に基づいて決定することができる。
【0090】
濃度、寸法、量、及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で提示され得る。そのような範囲形式は、単に便宜上及び簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値を含むように、また、数値及び部分範囲が列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、約1重量%~約20重量%の重量比範囲は、1重量%及び約20重量%の明示的に記載された限界を含むと解釈されるべきであり、また、2重量%、11重量%、14重量%などの個々の重量、及び10重量%~20重量%、5重量%~15重量%などの部分範囲を含むと解釈されるべきである。
【0091】
本発明の特定の態様又は実施例に関連して説明される特徴、整数、又は特性は、矛盾しない限り、本明細書に説明される任意の他の態様又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書に開示される特徴の全て、及び/又はそのように開示される任意の方法若しくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴及び/又は工程のうちの少なくともいくつかが相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明は、任意の前述の実施例の詳細に限定されない。本発明は、本明細書に開示された任意の新規な特徴又は特徴の組み合わせに及ぶ。また、本明細書全体を通して、「Yに対するX」(ここで、Yは何らかの動作、活動、又は工程であり、Xはその動作、活動、又は工程を実施するための何らかの手段である)という一般的な形式の言語は、排他的ではないが、Yを行うように特に適合又は配置された手段Xを包含することも理解されるであろう。
【0092】
本明細書に開示された各特徴は、特に明記しない限り、同一、同等、又は類似の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられてもよい。したがって、明示的に別段の定めがない限り、開示される各特徴は、包括的な一連の同等又は類似の特徴の一例にすぎない。
【0093】
読者の注意は、本出願に関連して本明細書と同時に又は以前に出願され、本明細書とともに公衆の閲覧に供される全ての論文及び文書に向けられ、全てのそのような論文及び文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e-7f】
【国際調査報告】