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特表2024-535804置換された1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチミダミド及びその使用
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  • 特表-置換された1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチミダミド及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】置換された1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチミダミド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240925BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240925BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 5/42 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C07D471/04 112
C07D471/04 CSP
A61K31/519
A61K31/4375
A61P9/04
A61P9/12
A61P5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515911
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2022119209
(87)【国際公開番号】W WO2023041004
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111104458.8
(32)【優先日】2021-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111324281.2
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111636982.X
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521218294
【氏名又は名称】上海拓界生物医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】TUOJIE BIOTECH(SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 103, No.14 Building, No.3728 Jinke Road, Free Trade Pilot Zone, Pudong New Area, Shanghai 201203, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 云▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】余 健
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲ジェン▼
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲暁▼燕
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】丁 琳
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZA42
4C086ZC08
(57)【要約】
本開示は、置換された1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチミダミド及びその使用に関する。具体的に、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩を提供し、そのうち、R1、R3~R11、Z1及びZ2は、本願に定義された通りである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体であって、
【化1】
そのうち、Rは、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR1Aで置換され、R1Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
、Zはそれぞれ独立的にN又はC-Rから選ばれ、且つZとZは同時にC-Rではなく、
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR2Aで置換され、R2Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
がNである場合、Rは以下の官能基群から選ばれ、
1)-S-C1-6アルキル基、-S-3~6員シクロアルキル基又は-S-3~6員ヘテロシクロアルキル基であって、前記アルキル基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的にハロゲン、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基で置換され、
2)-O-C1-6アルキル基であって、前記アルキル基は1つ又は複数のR8Aで置換され、R8Aはそれぞれ独立的にC1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、3~6員シクロアルキルチオ基、3~6員ヘテロシクロアルキルチオ基から選ばれ、前記アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロエポキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基は任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基で置換され、
3)-O-C1-6アルキル基であって、前記アルキル基はフルオロで少なくとも3回置換され、
がC-Rである場合、Rは、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的に1つ又は複数のR3Aで置換され、R3Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換され、
は、水素、C1-6アルキル基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR4Aで置換され、R4Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR5Aで置換され、R5Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、NR’(R’’)、COOR’又はCONR’(R’’)から選ばれ、前記アルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR6Aで置換され、R6Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
R’又はR’’は、独立的に水素、C1-6アルキル基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換され、
、R、R、R10及びR11は、独立的に水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR7Aで置換され、R7Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる、
化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項2】
は水素、C1-6アルキル基、3~6員シクロアルキル基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、前記アルキル基又はシクロアルキル基は任意選択的に1~3個のR1Aで置換され、R1Aは請求項1に定義された通りである、
請求項1に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項3】
はCOOR’又はCONR’(R’’)から選ばれ、好ましくはCONR’(R’’)であり、R’又はR’’は請求項1に定義された通りである、
請求項1又は2に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項4】
はシアノ基又はニトロ基から選ばれる、
請求項1~3の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項5】
式Iで示される化合物は、
【化2】
であり、そのうち、R、R、R、R、R、R10、R11、Z及びZは請求項1に定義された通りである、
請求項1~4の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項6】
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、前記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR5Aで置換され、R5Aは請求項1に定義された通りである、
請求項1~5の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項7】
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基であり、さらに、前記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR7Aで置換され、R7Aは請求項1に定義された通りである、
請求項1~6の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項8】
式Iで示される化合物は、
【化3】
であり、そのうち、R、R、R、R、R及びR11は請求項1に定義された通りである、
請求項1~7の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項9】
は水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、前記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR2Aで置換され、R2Aは請求項1に定義された通りである、
請求項1~8の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項10】
は、水素、フッ素、塩素、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項11】
は以下の官能基群から選ばれ、
1)-S-C1-6アルキル基であって、前記アルキル基は、任意選択的にハロゲン、C1-6アルコキシ基で置換され、
2)-O-C1-6アルキル基であって、前記アルキル基は1つ又は複数のR8Aで置換され、R8Aは、それぞれ独立的にメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、メトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメタンチオ基から選ばれ、
3)-O-C2-6ペルフルオロアルキル基である、
請求項1に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項12】
式Iで示される化合物は下記、
【化4】
から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその薬用可能な塩若しくは同位体置換体。
【請求項13】
化合物又はその薬用可能な塩であって、
【化5】
【化6】
から選ばれる、
化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項14】
重水素の天然存在度よりも少なくとも1000倍大きい重水素を有し、好ましくは重水素の天然存在度よりも少なくとも2000倍大きい重水素を有し、より好ましくは重水素の天然存在度よりも少なくとも3000倍大きい重水素を有する、
請求項13に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項15】
少なくとも1種の治療有効量の請求項1~12の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体、或いは請求項13若しくは14に記載の化合物又はその薬用可能な塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、
医薬組成物。
【請求項16】
ミネラルコルチコイドに関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、請求項1~12の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体、或いは請求項13若しくは14に記載の化合物又はその薬用可能な塩、或いは請求項15に記載の医薬組成物の、
使用。
【請求項17】
高アルドステロン症、高血圧、心不全症を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、請求項12の何れか1項に記載の化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体、或いは請求項13若しくは14に記載の化合物又はその薬用可能な塩、或いは請求項15に記載の医薬組成物の、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬分野に属し、置換された1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチミダミド及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルコルチコイド受容体(Mineralocorticoid Receptor、MR)は、アルドステロンを活性化する核ホルモン受容体であり、電解質の体内平衡及び心血管疾患に関与する遺伝子の発現を調節する。例えば、循環アルドステロンの増加は、尿ナトリウム排泄への影響により血圧を上昇させると共に、潜在的に脳、心臓及び血管系に影響を与える。さらに、高アルドステロン症は、腎臓及び心血管疾患を引き起こす多くの疾患の生理的過程に関連する。
【0003】
WO2008104306には、ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤として用いられる4-アリ-ル-1,4-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボキサミド誘導体が報告されており、例示的な化合物は以下の通りである:
【化1】
【0004】
WO2019223629にも、フェニル基で置換されたジヒドロナフチリジン系化合物が報告されており、そのインビトロでミネラルコルチコイド受容体に拮抗するIC50は3.44 nMに達することができ、例示的な化合物は以下の通りである:
【化2】
【0005】
ナフチリジン構造を有する他のミネラルコルチコイド拮抗剤も報告されており、例えば、WO2007140934、WO2007140894、CN202110397352.5などである。
【0006】
本開示の化合物は、いかなる文献にも開示されておらず、且つこのような化合物は、特異的MR拮抗剤効果を示すと共に、良好な選択性を示す。
【発明の概要】
【0007】
本開示(The disclosure)は、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩を提供し、
【化3】
そのうち、Rは、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR1Aで置換され、R1Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
、Zはそれぞれ独立的にN又はC-Rから選ばれ、且つZとZは同時にC-Rではなく、
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR2Aで置換され、R2Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
がNである場合、Rは、以下の官能基群から選ばれ、
1)-S-C1-6アルキル基、-S-3~6員シクロアルキル基又は-S-3~6員ヘテロシクロアルキル基であって、上記アルキル基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的にハロゲン、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基で置換され、
2)-O-C1-6アルキル基であって、上記アルキル基は1つ又は複数のR8Aで置換され、R8Aはそれぞれ独立的にC1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、3~6員シクロアルキルチオ基、3~6員ヘテロシクロアルキルチオ基から選ばれ、上記アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロエポキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基は任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基で置換され、
3)-O-C1-6アルキル基であって、上記アルキル基はフルオロで少なくとも3回置換され、
がC-Rである場合、Rは、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的に1つ又は複数のR3Aで置換され、R3Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換され、
は、水素、C1-6アルキル基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR4Aで置換され、R4Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR5Aで置換され、R5Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、NR’(R’’)、COOR’又はCONR’(R’’)から選ばれ、上記アルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR6Aで置換され、R6Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
R’又はR’’は、独立的に水素、C1-6アルキル基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換され、
、R、R、R10及びR11は、独立的に水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR7Aで置換され、R7Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる。
【0008】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、C1-6アルキル基、3~6員シクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基又はシクロアルキル基は、任意選択的に1~3個のR1Aで置換され、R1Aは上記に定義された通りである。
【0009】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、上記アルキル基は、任意選択的に1~3個のR1Aで置換され、R1Aは上記に定義された通りである。
【0010】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、ハロゲン、C1-6アルコキシ基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記アルコキシ基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1~3個のR1Aで置換され、R1Aは上記に定義された通りである。
【0011】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、ハロゲン又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、例えば、フッ素、塩素、メトキシ基であり、さらに、上記アルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR1Aで置換され、R1Aは上記に定義された通りである。
【0012】
幾つかの実施形態において、ZがC-Rである場合、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rはハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基又はシクロアルキル基は、任意選択的に1~3個のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0013】
幾つかの実施形態において、ZがC-Rである場合、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rはハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はシクロアルキル基は、任意選択的に1~3個のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0014】
別の幾つかの実施形態において、ZがC-Rである場合、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、RはC1-6アルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0015】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、-O-Cペルフルオロアルキル基から選ばれる。
【0016】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、-O-Cペルフルオロアルキル基から選ばれる。
【0017】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは-S-C1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は、任意選択的にハロゲン、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基で置換される。
【0018】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは-S-3~6員シクロアルキル基から選ばれ、上記シクロアルキル基は、任意選択的にハロゲン、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基で置換される。
【0019】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは-O-C1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は1つ又は複数のR8Aで置換され、R8Aはそれぞれ独立的に3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、3~6員シクロアルキルチオ基、3~6員ヘテロシクロアルキルチオ基から選ばれる。
【0020】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは-O-C1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は1つ又は複数のR8Aで置換され、R8Aはそれぞれ独立的にC1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれる。
【0021】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは-O-C1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は1つ又は複数のR8Aで置換され、R8Aはそれぞれ独立的にメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、メトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメタンチオ基から選ばれる。
【0022】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、NR’(R’’)から選ばれ、R’又はR’’は上記に定義された通りである。
【0023】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、RはCOOR’又はCONR’(R’’)から選ばれ、好ましくは、CONR’(R’’)、R’又はR’’は上記に定義された通りである。
【0024】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R’又はR’’は、独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換され、さらに、R’又はR’’は、好ましくは、独立的に水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基又はプロピル基である。
【0025】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R’又はR’’は、独立的に水素又は3~6員シクロアルキル基から選ばれ、上記シクロアルキル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換され、さらに、R’又はR’’は、独立的に水素、シクロプロピル基又はシクロペンチル基である。
【0026】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは水素、C1-6アルキル基又は3~6員シクロアルキル基から選ばれ、好ましくは水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基又はシクロペンチル基であり、さらに、上記アルキル基又はシクロアルキル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1~3個で置換される。
【0027】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、シアノ基又はニトロ基から選ばれる。
【0028】
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR7Aで置換され、R7Aは上記に定義された通りである。
【0029】
別の幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物は、
【化4】
であり、そのうち、R、R、R、R、R、R10、R11、Z及びZは、式Iで示される化合物に定義された通りである。
【0030】
幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR5Aで置換され、R5Aは上記に定義された通りである。
【0031】
幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基であり、さらに、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR7Aで置換され、R7Aは上記に定義された通りである。
【0032】
別の幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、ヒドロキシ基、アミノ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれる。幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロプロピル基又はシクロペンチル基から選ばれる。
【0033】
別の幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR7Aで置換され、R7Aは上記に定義された通りである。
【0034】
幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、ヒドロキシ基、アミノ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、好ましくはヒドロキシ基、アミノ基、シクロプロピル基又はシクロペンチル基である。
【0035】
別の態様において、幾つかの実施形態により提供される式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R10は水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR7Aで置換され、R7Aは上記に定義された通りである。
【0036】
幾つかの実施形態により提供される式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R10は、ヒドロキシ基、アミノ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれる。別の幾つかの実施形態により提供される式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R10は、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロプロピル基又はシクロペンチル基から選ばれる。
【0037】
別の態様において、幾つかの実施形態により提供される式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R11は、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR7Aで置換される。幾つかの実施形態において、R11は、水素、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR7Aで置換され、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基である。
【0038】
別の幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R11は、ヒドロキシ基、アミノ基、3~6員シクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロプロピル基又はシクロペンチル基である。
【0039】
別の態様において、ある実施形態により提供される式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、ZはNであり、ZはC-Rであり、Rは上記に定義された通りである。
【0040】
幾つかの実施形態により提供される式I又はIIで示される化合物は、
【化5】
であり、そのうち、R、R、R、R、R及びR11は、式Iで示される化合物に定義された通りである。
【0041】
別の幾つかの実施形態により提供される式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、ZはNであり、ZはC-R、Rであり、Rは上記に定義された通りである。
【0042】
幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物は、
【化6】
であり、そのうち、R、R、R、R、R及びR11は、式Iで示される化合物に定義された通りである。
【0043】
幾つかの実施形態において、式IIIbで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基又はシクロアルキル基は、任意選択的に1~3個のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0044】
別の幾つかの実施形態において、式IIIbで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はシクロアルキル基は、任意選択的に1~3個のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0045】
別の幾つかの実施形態において、式IIIbで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、C1-6アルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0046】
幾つかの実施形態において、式I、式II、式IIIa若しくは式IIIbで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、好ましくは水素又はC1-6アルキル基、例えば、水素、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基又はプロピル基であり、さらに、上記アルキル基又はアルコキシ基は、任意選択的に1~3個のR2Aで置換され、R2Aは上記に定義された通りである。
【0047】
幾つかの実施形態において、式I、式II、式IIIa若しくは式IIIbで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1~3個のR2Aで置換され、R2Aは上記に定義された通りである。
【0048】
別の態様において、幾つかの実施形態により提供される式I、式II、式IIIa若しくは式IIIbで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、フッ素、塩素、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基から選ばれる。
【0049】
別の態様において、幾つかの実施形態により提供される式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、ZはNであり、ZはNである。
【0050】
幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物は、
【化7】
であり、そのうち、R、R、R、R及びR11は、式Iで示される化合物に定義された通りである。
【0051】
さらに、幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R3Aは、それぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基又はC1-6アルキル基から選ばれ、好ましくはフッ素、塩素、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基又はプロピル基である。
【0052】
別の幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R3Aは、それぞれ独立的に3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれ、上記シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的にハロゲン又はヒドロキシ基から選ばれる1つ又は複数で置換される。
【0053】
幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩では、R1A、R2A、R4A、R5Aは、それぞれ独立的にハロゲン又はヒドロキシ基から選ばれ、好ましくはフッ素、塩素又はヒドロキシ基である。
【0054】
別の態様において、幾つかの実施形態により提供される式I、式II、式IIIa、式IIIb若しくは式IIIcで示される化合物又はその薬用可能な塩では、Rは、水素、フッ素、塩素、ジフルオロメチル基又はトリフルオロメチル基から選ばれる。
【0055】
本開示により提供される典型的な化合物は、
【化8】
を含むが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、式Iで示される化合物は、
【化9】
である。
別の態様において、本開示は、下記の化合物又はその薬用可能な塩をさらに提供する:
【化10】
【化11】
【化12】
【0056】
本開示は、上記化合物又はその薬用可能な塩の同位体置換体をさらに提供する。幾つかの実施形態において、上記同位体置換体は重水素化物である。
【0057】
別の態様において、本開示は、下記の化合物又はその薬用可能な塩をさらに提供する:
【化13】
【化14】
【0058】
本開示における化合物のインビトロ活性試験は、ルシフェラ-ゼが基質に結合して化学発光反応を発生させる特性を利用して、ミネラルコルチコイド受容体リガンド結合ドメイン(LBD)を含むGal4 DNA結合ドメイン(DBD)と融合したプラスミド、及びGal4 UAS(上流活性化配列)で制御されたホタルルシフェラ-ゼレポ-タ-遺伝子プラスミドをヒト胎児腎臓細胞(HEK293T)にトランスフェクションすることができる。ホタルルシフェラ-ゼ活性のレベルの高さにより、ミネラルコルチコイド受容体の活性に対する刺激前後または異なる刺激の影響が判断される。
【0059】
本開示の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に良好な拮抗作用を有する。幾つかの実施形態において、本開示の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に拮抗するIC50値が0.01~500nMである。幾つかの実施形態において、本開示の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に拮抗するIC50値が0.01~100nMである。幾つかの実施形態において、本開示の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に拮抗するIC50値が0.01~20nMである。幾つかの実施形態において、本開示の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に拮抗するIC50値が0.1~20nMである。幾つかの実施形態において、本開示の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に拮抗するIC50値が0.1~30nMである。幾つかの実施形態において、本開示の化合物は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に拮抗するIC50値<50nMである。
【0060】
本開示は、少なくとも1種の治療有効量の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0061】
幾つかの実施形態において、上記医薬組成物の単位用量は0.001~1000mgである。
【0062】
ある実施形態において、組成物の総重量に基づき、上記医薬組成物は、0.01%~99.99%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.1%~99.9%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.5%~99.5%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、1%~99%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、2%~98%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体を含む。
【0063】
ある実施形態において、組成物の総重量に基づき、上記医薬組成物は、0.01%~99.99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.1%~99.9%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.5%~99.5%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、1%~99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、2%~98%の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0064】
本開示は、ミネラルコルチコイドに関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療する方法をさらに提供し、それは、上記患者に治療有効量の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体、或いは上記医薬組成物を投与することにより達成される。
【0065】
幾つかの実施形態において、ミネラルコルチコイドに関連する疾患又は病状は、高アルドステロン症、高血圧、心不全から選ばれる。
【0066】
本開示は、高アルドステロン症、高血圧、心不全に罹患している患者を予防及び/又は治療する方法をさらに提供し、それは、上記患者に治療有効量の上記式I、式II若しくは式IIIで示される化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換体、或いは上記医薬組成物を投与することを含む。
【0067】
本開示は、ミネラルコルチコイドに関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、上記化合物又はその薬用可能な塩或いは上記医薬組成物の使用をさらに提供する。幾つかの実施形態において、ミネラルコルチコイドに関連する疾患又は病状は、好ましくは高アルドステロン症、高血圧、心不全である。
【0068】
本開示は、高アルドステロン症、高血圧、心不全を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、上記化合物又はその薬用可能な塩或いは上記医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0069】
本開示に記載される化合物の薬用可能な塩は、無機塩又は有機塩から選ばれてもよい。
【0070】
本開示に係る化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態があってもよい。本開示は、シス・トランス異性体、(-)-と(+)-エナンチオマ-、(R)-と(S)-エナンチオマ-、ジアステレオマ-、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物と他の混合物、例えば、エナンチオマ-やジアステレオマ-に富む混合物のような混合物の全てを含め、このような化合物の全ては本開示の範囲に含まれることを意図する。アルキル基などの置換基には、他の不斉炭素原子があってもよい。このような異性体及びそれらの混合物の全ては、本開示の範囲に含まれる。本開示に係る不斉炭素原子を含む化合物は、光学活性純品の形態又はラセミ形態で単離されることができる。光学活性純品の形態は、ラセミ混合物から分割され、或いはキラル原料又はキラル試薬を使用することにより合成されてもよい。
【0071】
キラル合成又はキラル試薬又は他の通常の技術により、光学活性の(R)-と(S)-異性体及びDとL異性体を調製することができる。本開示のある化合物の1つのエナンチオマ-を得るには、不斉合成又はキラル助剤を有する誘導作用により調製することができ、ここで、得られたジアステレオマ-混合物を単離し、且つ基の分裂を補助することにより、必要なエナンチオマ-の純品を提供する。或いは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合、適当な光学活性の酸又は塩基と共にジアステレオマ-の塩を形成し、そしてこの分野でよく知られている通常の方法によりジアステレオマ-分割を行い、その後、回収してエナンチオマ-の純品を得る。なお、エナンチオマ-とジアステレオマ-の単離は、一般的にクロマトグラフィ-を使用することにより完成され、上記クロマトグラフィ-はキラル固定相を採用し、且つ任意選択的に化学誘導法と組み合わせる(例えば、アミンからカルバメ-トを生成する)。
【0072】
本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化15】
という結合は配置が指定されていないことを示し、即ち、化学構造にキラル異性体が存在する場合、
【化16】
という結合は
【化17】
であってもよく、或いは
【化18】
という2種類の配置を同時に含んでもよい。
【0073】
本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化19】
という結合は、配置が指定されておらず、即ち、Z配置又はE配置であってもよく、或いは2つの配置を同時に含んでもよい。
【0074】
本開示に係る化合物と中間体は、異なる互変異性体形態で存在してもよく、且つ、このような形態の全ては本開示の範囲内に含まれる。「互変異性体」又は「互変異性体形態」という用語は、低いエネルギ-障壁により相互変換可能な異なるエネルギ-の構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン移動互変異性体ともいう)は、例えば、ケト-エノ-ル及びイミン-エナミン、ラクタム-ラクチム異性化などのプロトリシスによる相互変換を含む。ラクタム-ラクチム平衡の実例は、以下に示すようなAとBの間である。
【0075】
【化20】
本開示における化合物の全ては、A型又はB型に描かれることができる。全ての互変異性形態は本開示の範囲にある。化合物の命名は、何れの互変異性体も排除しない。
【0076】
本開示は、本願に記載されるものと同じであるが、1つ又は複数の原子が、自然界で通常見られる原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子で置換された同位体標識の幾つかの本開示の化合物をさらに含む。本開示の化合物に結合可能な同位体の実例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素及び塩素の同位体を含み、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36Clなどである。
【0077】
特に説明のない限り、1つの位置が特に重水素(D)と指定される場合、当該位置は、重水素の天然存在度(0.015%である)よりも少なくとも1000倍高い存在度を有する重水素(即ち、少なくとも10%の重水素が組み込まれた)であると理解すべきである。例における化合物の、重水素の天然存在度よりも高い存在度を有することは、少なくとも1000倍の存在度の重水素、少なくとも2000倍の存在度の重水素、少なくとも3000倍の存在度の重水素、少なくとも4000倍の存在度の重水素、少なくとも5000倍の存在度の重水素、少なくとも6000倍の存在度の重水素又はそれ以上の存在度の重水素であってもよい。本開示は、種々の重水素化形態の式(I)の化合物をさらに含む。炭素原子に連結されるそれぞれの利用可能な水素原子は、独立的に重水素原子で置換されてもよい。当業者は、関連文献を参照して重水素化形態の式(I)の化合物を合成することができる。重水素化形態の式(I)の化合物は、調製する場合、市販の重水素化出発物質を使用してもよく、或いは、通常の技術により重水素化試薬で合成されてもよく、重水素化試薬は、重水素化ボラン、三重水素化ボランテトラヒドロフラン溶液、重水素化水素化アルミニウムリチウム、重水素化ヨ-ドエタン及び重水素化ヨ-ドメタンなどを含むが、これらに限定されない。
【0078】
「任意選択的に」又は「任意選択的」は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよいが、生じなくてもよいことを意味し、この説明は、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「任意選択的にハロゲン又はシアノ基で置換されるC1-6アルキル基」は、ハロゲン又はシアノ基が存在してもよいが、存在しなくてもよいことを意味し、この説明は、アルキル基がハロゲン又はシアノ基で置換された場合と、アルキル基がハロゲン又はシアノ基で置換されていない場合とを含む。
用語の説明
【0079】
「医薬組成物」は、1種若しくは複数種の本願に記載される化合物又はその生理学的に薬用可能な塩若しくはプロドラッグと他の化学成分との混合物と、生理学的に薬用可能なベクタ-及び賦形剤などの他の成分とを含むものを示す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与してさらに生物活性を発揮するためのものである。
【0080】
「薬用可能な賦形剤」は、アメリカ食品医薬品局によって承認された、ヒト又は家畜動物への使用が許容される任意の助剤、ベクタ-、流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、着香剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0081】
本開示に記載される「有効量」又は「有効治療量」は、医学病状の症状又は病状の改善や予防に十分な量を含む。有効量は、さらに、診断の許容又は促進に十分な量を指す。特定の患者又は獣医学対象に用いられる有効量は、例えば、治療すべき病状、患者の全体的な健康状況、投与の方法経路と用量及び副作用の重症度などの要因によって変化することができる。有効量は、顕著な副作用又は毒性作用が回避される最大用量又は投与計画であってもよい。
【0082】
「アルキル基」という用語は、1~6個の炭素原子の直鎖と分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素基を指す。非限定的な実施例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、及びその様々な分岐鎖異性体などを含む。アルキル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、置換基は任意の利用可能な結合点で置換されてもよく、好ましくは、独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の基であり、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換される。
【0083】
「シクロアルキル基」という用語は、飽和又は部分不飽和の単環式又は多環式の環状炭化水素置換基を指し、シクロアルキル環は3~6個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキル基の非限定的な実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基などを含み、多環式シクロアルキル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のシクロアルキル基を含む。シクロアルキル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、置換基は任意の利用可能な結合点で置換されてもよく、好ましくは、独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の基であり、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換される。
【0084】
「ヘテロシクロアルキル基」という用語は、3~6個の環原子を含む飽和又は部分不飽和の単環式又は多環式の環状炭化水素置換基を指し、「ヘテロシクロアルキル基」の非限定的な例は、
【化21】
などを含む。
【0085】
ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、置換基は、好ましくは、独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の基であり、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換される。
【0086】
「アルコキシ基」という用語は、-O-(アルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基を含む。アルコキシ基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、置換基は、好ましくは、独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルキル基又は3~6員ヘテロシクロアルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の基であり、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロシクロアルコキシ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数で置換される。
【0087】
同様に、「シクロアルコキシ基」、「ヘテロシクロアルコキシ基」は、上記「アルコキシ基」と同じように定義される。
【0088】
「アルキルチオ基」という用語は、-S-(アルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基を含む。アルキルチオ基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、置換基は、好ましくは、独立的にC1-6アルコキシ基、3~6員シクロアルキル基、3~6員ヘテロシクロアルキル基、3~6員シクロアルコキシ基、3~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、3~6員シクロアルキルチオ基、3~6員ヘテロシクロアルキルチオ基から選ばれる1つ又は複数の基であり、上記アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロエポキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基で置換される。
【0089】
同様に、「シクロアルキルチオ基」、「ヘテロシクロアルキルチオ基」は、上記「アルキルチオ基」と同じように定義される。「ヒドロキシ基」という用語は、-OH基を指す。
【0090】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0091】
「シアノ基」という用語は、-CNを指す。
【0092】
「アミノ基」という用語は、-NHを指す。
【0093】
「ニトロ基」という用語は、-NOを指す。
【0094】
「オキソ」という用語は、=O置換基を指す。
【0095】
「置換される」とは、基の中の1つ又は複数の水素原子、好ましくは5個以下、より好ましくは1~3個の水素原子が互いに独立的に対応する数の置換基で置換されることを指す。無論、置換基は、それらの化学的に可能な部位にしか位置せず、当業者はそれほど努力せずに(実験又は理論により)可能又は不可能な置換を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】各群のマウスの尿中微量アルブミンとクレアチニンの比率(UACR)である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下、実施例と合わせて本開示をさらに説明するが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものではない。
【0098】
本開示中の実施例において具体的な条件が明示されていない実験方法は、一般的に通常の条件、又は原料や商品メ-カ-に勧められた条件に従った。具体的な供給源が明示されていない試薬は、市販される通常の試薬である。
【0099】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は/及び質量分析(MS)により決定される。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)の単位で示されている。NMRの測定には核磁気共鳴装置Bruker AVANCE-400が使用され、測定溶媒は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノ-ル(CDOD)であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。化合物の光学異性体(異性体)の立体配置は、さらに、単結晶パラメ-タを測定することにより確認することができる。
【0100】
HPLCの測定には、Waters ACQUITY ultra high performance LC、Shimadzu LC-20A systems、Shimadzu LC-2010HT series又はアジレントAgilent 1200 LC高速液体クロマトグラフ(ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラム、Ultimate XB-C18 3.0×150mmカラム又はXtimate C18 2.1×30mmカラム)が使用された。
【0101】
MSの測定には、質量分析装置Waters SQD2が使用され、正/負イオンモ-ドで走査し、質量走査範囲が100~1200であった。
【0102】
キラルHPLC分析の測定には、Chiralpak IC-3 100×4.6mm I.D.,3μm、Chiralpak AD-3 150×4.6mm I.D.,3μm、Chiralpak AD-3 50×4.6mm I.D.,3μm、Chiralpak AS-3 150×4.6mm I.D.,3μm、Chiralpak AS-3 100×4.6mm I.D.,3μm、ChiralCel OD-3 150×4.6mm I.D.,3μm、Chiralcel OD-3 100×4.6mm I.D.,3μm、ChiralCel OJ-H 150×4.6mm I.D.,5μm、Chiralcel OJ-3 150×4.6mm I.D.,3μmカラムが使用された。
【0103】
薄層クロマトグラフィ-用シリカゲル板としては、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲル板が使用され、薄層クロマトグラフィ-(TLC)に使用されたシリカゲル板用の仕様は、0.15~0.2mmであり、薄層クロマトグラフィ-による生成物の単離精製用の仕様は0.4~0.5mmであった。
【0104】
フラッシュカラム精製系には、Combiflash Rf150(TELEDYNE ISCO)又はIsolara one(Biotage)が使用された。
【0105】
順相カラムクロマトグラフィ-には、一般的に煙台黄海シリカゲル100~200メッシュ、200~300メッシュ又は300~400メッシュのシリカゲルがベクタ-として使用され、或いは、常州三泰予充填超高純度順相シリカゲルカラム(40~63μm、60、12g、25g、40g、80g又は他の仕様)が使用された。
【0106】
逆相カラムクロマトグラフィ-には、一般的に常州三泰予充填超高純度C18シリカゲルカラム(20~45μm、100Å、40g、80g、120g、220g又は他の仕様)が使用された。
【0107】
高圧カラム精製系には、Waters AutoPが使用され、それに合わせてWaters XBridge BEH C18 OBD Prep Column(130Å、5μm、19×150mm)又はAtlantis T3 OBD Prep Column(100Å、5μm、19×150mm)が使用された。
【0108】
キラル分取カラムには、DAICEL CHIRALPAK IC(250×30mm、10μm)又はPhenomenex-Amylose-1(250×30mm、5μm)が使用された。
【0109】
本開示における既知の出発原料は、この分野で知られている方法で、又はそれに従って合成されてもよく、或いは上海泰坦科技、ABCR GmbH&Co.KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学科技(Accela ChemBio Inc)、達瑞化学品などの会社から購入されてもよい。
【0110】
実施例において、特に説明のない限り、反応は何れもアルゴン雰囲気又は窒素雰囲気において行うことができる。
【0111】
アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気は、反応フラスコに容積が約1Lのアルゴン又は窒素バル-ンが接続されていることを指す。
【0112】
水素雰囲気は、反応フラスコに容積が約1Lの水素バル-ンが連結されていることを指す。
【0113】
加圧水素化反応には、Parr 3916EKX型水素化装置と清藍QL-500型水素発生器又はHC2-SS型水素化装置が使用された。
【0114】
水素化反応は、一般的に、真空引きして水素を充填する操作を3回繰り返した。
【0115】
マイクロ波反応には、CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器が使用された。
【0116】
実施例において、特に説明のない限り、溶液は水溶液を指す。
【0117】
実施例において、特に説明のない限り、反応温度は室温であり、20~30℃であった。
【0118】
実施例における反応進行の監視には薄層クロマトグラフィ-(TLC)が採用され、反応に使用された展開溶媒、化合物を精製するためのカラムクロマトグラフィ-の溶離剤系及び薄層クロマトグラフィ-の展開溶媒系は、溶媒の体積比が化合物の極性によって調整してもよく、少量のトリエチルアミンと酢酸などの塩基性又は酸性試薬を加えて調整してもよい。
【0119】
実施例1
【化22】
【0120】
ステップ1:化合物1cの合成
化合物1a(3.0g、18.6mmol)と化合物1b(2.82mg、27.9mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶け、酢酸(0.1g)とモルホリン(0.1g)を加え、混合物を40℃で撹拌し、十分に反応させた。室温まで冷却した後にろ過し、化合物1c(3.5g、収率77.1%)を得た。
H NMR (400MHz, DMSO-d) δ = 7.86 (s, 1H), 7.76 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.59 (s, 2H), 7.48 (dd, J=1.1, 7.9 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 2.36 (s, 3H)。
【0121】
ステップ2:化合物1eの合成
化合物1c(1.0g、4.1mmol)と化合物1d(0.51g、4.1mmol)をイソプロパノ-ル(10mL)に溶け、混合物を95℃で撹拌し、十分に反応させた。真空で溶媒を除去して粗生成物を得て、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~10%のメタノ-ルを含むジクロロメタン)で精製して化合物1e(0.9g、収率63.0%)を得た。
H-NMR (400MHz, DMSO-d) δ = 10.63 (br s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.41 - 7.35 (m, 2H), 7.28 (dd, J=1.3, 7.8 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 6.88 - 6.57 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 2.01 (s, 3H)。
【0122】
ステップ3:化合物1gの合成
化合物1f(0.92g、10mmol)をクロロホルム(20mL)に溶け、塩化チオニル(2mL)を加え、混合物を70℃で撹拌し、十分に反応させた。真空で溶媒を除去して粗生成物を得て、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~5%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製して化合物1g(0.75g、収率68.2%)を得た。
【0123】
ステップ4:化合物1の合成
化合物1e(35mg、0.1mmol)、化合物1g(16mg、1.5mmol)及び炭酸セシウム(66mg、2mmol)をDMF(0.5mL)に溶け、混合物を80℃で撹拌し、十分に反応させた。真空で溶媒を除去して粗生成物を得て、逆相分取クロマトグラフィ-(溶出剤:10%~50%のアセトニトリルを含む水)で精製して化合物1(4.6mg、収率10.8%)を得た。
H NMR (400MHz, CDOD) δ = 7.49 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.15 - 7.06 (m, 3H), 5.42 (s, 1H), 4.16 - 4.07 (m, 2H), 3.82 (s, 3H), 2.51 (dt, J=2.8, 6.7 Hz, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.09 (s, 3H), 1.94 (s, 3H)。
【0124】
実施例2
【化23】
【0125】
ステップ1:化合物2bの合成
化合物2a(1.0g、6.80mmol)と炭酸カリウム(1.0g、7.25mmol)をジクロロメタン(20mL)に混合し、重水素化ヨ-ドメタン(1.18g、8.16mmol)を加え、混合物を室温で撹拌し、十分に反応させた。室温まで冷却した後、水(20mL)を加えて希釈し、混合物を酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、分液し、合わせた有機相を塩水(20mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後にろ過した。ろ液を真空で濃縮して粗生成物を得て、フラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:5%~20%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製し、化合物2b(880mg、収率78.9%)を得た。
H-NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 10.50 (s, 1H), 7.92 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.34 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H)。
【0126】
ステップ2:化合物2eの合成
化合物2bを出発原料として、実施例1に記載された方法に従って化合物2eを調製した。
ES-MS m/z 354.2 (M+H)
【0127】
ステップ3:化合物2の合成
化合物2e(260mg、0.736mmol)をNMP(3mL)に溶け、硫酸(36.11mg、0.368mmol)とトリエトキシメタン(3mL、16.366mmol)を加え、混合物を140℃でマイクロ波にて十分に反応させた。室温まで冷却した後、水(5mL)を加えて希釈し、混合物を酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、分液し、合わせた有機相を塩水で(10mL)洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後にろ過した。ろ液を真空で濃縮して粗生成物を得て、フラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~60%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製し、化合物2(205mg、収率73.0%)を得た。
LCMS: m/z 382.2 (M+H)
H NMR: (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.69 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.37 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 1.6, 8.0 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.76-6.69 (m, 2H), 5.38 (s, 1H), 4.05-3.97 (m, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 1.05 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
キラルカラムで分割した後(カラムChiralPak AD(150×4.6mm I.D.、5μm)、移動相:A:超臨界CO流体、B:エタノ-ル(0.05%のDEA))、化合物2-1と2-2を得た
【0128】
化合物2-1(保持時間1.109分間)
LCMS: m/z 382.2 [M+H]
H NMR: (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.68 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.36 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 1.6, 7.6 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.83-6.59 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 4.04-3.97 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 1.04 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0129】
化合物2-2(保持時間1.653分間)
LCMS: 382.2 [M+H]
H NMR: (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.68 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.36 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 1.6, 7.6 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.86-6.55 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 4.08-3.95 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 1.04 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0130】
実施例3
【化24】
【0131】
ステップ1:化合物3の合成
化合物1eを出発原料として、実施例1に記載された方法に従って化合物3を調製した。
H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.69 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.37 (d, J=1.3 Hz, 1H), 7.28 (dd, J=1.3, 7.8 Hz, 1H), 7.15 (d, J=7.8 Hz, 1H), 6.89 - 6.62 (m, 2H), 5.38 (s, 1H), 3.83 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 2.12 (s, 3H)。
【0132】
実施例4
【化25】
【0133】
ステップ1
化合物4a(600mg、3.68mmol)とフッ化カリウム(427mg、7.36mmol)を、30%のナトリウムエチラ-トを含むエタノ-ル溶液(3mL)に混合し、混合物をマイクロ波にて130℃で撹拌し、十分に反応させた。室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)を加え、酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(10mL)で洗い、塩水(10mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で溶媒を除去して粗生成物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~30%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製して化合物4b(610mg、収率86.4%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl) δ = 7.88 (s, 1H), 6.02 (s, 1H), 4.47 (br s, 2H), 4.27 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.35 (t, J=7.1 Hz, 3H)。
【0134】
ステップ2
化合物4b(3.7g、21.4mmol)、トリエチルアミン(6.0mL、43mmol)及び塩化ピバロイル(5.3mL、43mmol)をジクロロメタン(30mL)に混合し、溶液を室温で撹拌し、十分に反応させた。水(20mL)を加え、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(30mL)で洗い、塩水(30mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で溶媒を除去して粗生成物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~30%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製して化合物4c(6.0g、収率98.1%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl) δ = 8.10 (br s, 2H), 7.92 (br s, 1H), 4.33 (br d, J=5.5 Hz, 2H), 1.38 (br d, J=5.4 Hz, 3H), 1.35 (s, 9H)。
【0135】
ステップ3
化合物4c(3.0g、11.7mmol)をDMF(30mL)と酢酸(0.2mL)に溶け、NBS(2.5g、14.0mmol)を加え、溶液を70℃で撹拌し、十分に反応させた。室温まで冷却した後に水(30mL)を加え、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(50mL×2)で洗い、塩水(50mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で溶媒を除去して粗生成物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~15%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製して化合物4d(3.1g、収率71.1%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl) δ = 8.08 (s, 1H), 7.25 (br s, 1H), 4.43 (q, J=7.0 Hz, 2H), 1.43 (t, J=7.0 Hz, 3H), 1.38 (s, 9H)。
【0136】
ステップ4
化合物4d(850mg、2.53mmol)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶け、そして-78℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(1.0M、5.5mL、5.5mmol)を滴下し、化合物1a(449mg、2.79mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を加え、混合物を室温まで昇温して撹拌し、十分に反応させた。水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(10mL)で洗い、塩水(10mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で溶媒を除去して粗生成物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~20%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製して化合物4e(475mg、収率43.1%)を得た。
LCMS: m/z 418.2 (M+H)
【0137】
ステップ5
化合物4e(380mg、0.91mmol)をジオキサン(3mL)に溶け、濃塩酸(2mL)と水(2mL)を加え、溶液を85℃で撹拌し、十分に反応させた。室温まで冷却した後に2Nの水酸化ナトリウムで中性まで調整し、酢酸エチル(7mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(10mL)で洗い、塩水(10mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で溶媒を除去して粗生成物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~30%の酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製して化合物4f(40mg、収率11.9%)を得た。
H NMR (400MHz, DMSO-d) δ = 7.75 (s, 1H), 7.57 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.40-7.37 (m, 2H), 6.30 (d, J=4.8 Hz, 1H), 6.20 (d, J=7.6 Hz, 1H), 6.07 (s, 2H), 4.18-4.08 (m, 2H), 3.77 (s, 1H), 1.17 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0138】
ステップ6
化合物4f(15mg、0.045mmol)と化合物1b(14mg、0.135mmol)をトルエン(1mL)に溶け、ジフェニルリン酸(2.2mg、0.01mmol)を加え、溶液を110℃で撹拌し、十分に反応させた。室温まで冷却した後に水(1mL)を加え、酢酸エチル(2mL×3)で抽出し、合わせた有機相を水(2mL)で洗い、塩水(2mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で溶媒を除去して粗生成物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~10%のメタノ-ルを含むジクロロメタン)で精製して化合物4(2mg、収率11.1%)を得た。
H NMR (400MHz, CDOD) δ = 7.79 (s, 1H), 7.26-7.19 (m, 3H), 5.51 (s, 1H), 4.15-4.03 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 1.13 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0139】
実施例5
【化26】
化合物1cと5aを出発原料として、実施例2に記載された方法に従って化合物5を調製した。
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ= 8.97-8.87 (m, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.29 (dd, J= 1.3, 7.6 Hz, 1H), 7.19 (d, J= 7.6 Hz, 1H), 6.81-6.58 (m, 2H), 6.44 (s, 1H), 5.34 (s, 1H), 4.08-3.98 (m, 2H), 3.82 (s, 3H), 2.10 (s, 3H), 1.06 (t, J = 7.6 Hz, 3H)。
【0140】
実施例6
【化27】
【0141】
ステップ1
化合物6a(5.6g、24.4mmol)、ヘキサシアノ鉄酸三カリウム(12.1g、36.7mmol)、酢酸パラジウム(1.1g、4.9mmol)及び炭酸ナトリウム(5.18g、48.9mmol)をDMF(70mL)に混合し、窒素雰囲気で、混合物をマイクロ波にて120℃で撹拌し、十分に反応させた。室温まで冷却した後に80mLの水を加え、酢酸エチル(80mL×3)で抽出し、合わせた有機相を塩水(80mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空で溶媒を除去して粗生成物を得て、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ-(溶出剤:0%~40%酢酸エチルを含む石油エ-テル)で精製して化合物6b(300mg、収率7.0%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl) δ = 10.47 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 3.96 (s, 3H), 2.52 (s, 3H)。
【0142】
ステップ2
化合物6bと1bを出発原料として、実施例2に記載された方法に従って化合物6を調製した。
H NMR (400MHz, DMSO-d) δ = 7.67 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.02 (s, 1H), 6.73 (br s, 2H), 5.34 (s, 1H), 4.01 (dd, J=4.8, 7.2 Hz, 2H), 3.78 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 1.06 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0143】
試験例1:インビトロにおけるミネラルコルチコイド受容体拮抗活性試験
1)試薬の準備
全ての検出待ちの化合物を10mMからDMSO(Sigma、D8418)により3Xの勾配で希釈し、各化合物を10個の濃度に希釈し、
DMSOにより参照化合物であるエプレレノン(Eplerenone)を3Xの勾配で希釈し、10個の濃度に希釈し、
1000Xの陽性対照(10mMのエプレレノン)と1000Xの陰性対照(100%のDMSO)を準備した。
【0144】
2)実験操作
2.1 全ての細胞をATCCにより推奨された方法で培養した。HEK293T細胞が指数増殖期になると、プレ-トへ継代播種し、
2.2 細胞培養フラスコにおける古い培地を捨て、PBSで細胞を洗浄し、
2.3 培養フラスコに適量のTrypLE溶液を加えて細胞を消化し、細胞を単離した後、血清を含む完全培地で消化を停止し、
2.4 細胞懸濁液を遠心分離して沈殿し、PBSで2回洗浄してフェノ-ルレッドを除去し、さらに培地で適当な濃度に再懸濁し(90%よりも大きい生存率を有する細胞だけがその後の実験に使用された)、
2.5 6×106個のHEK293T細胞を100mmの培養皿に播種した後、細胞を37℃、5%COのインキュベ-タ-に入れて16時間インキュベ-トして培養し、
2.6 細胞をプラスミドトランスフェクションした後、37℃、5%COのインキュベ-タ-に入れて5~6 hインキュベ-トして培養し続け、
2.7 Echo655で25nLの化合物希釈液を384ウェル試験プレ-トに移し、
2.8 HEK293T細胞を17000細胞/ウェルの濃度で384ウェル実験プレ-トに播種すると共に、各ウェルに1nMのアルドステロンを加え、
2.9 細胞を37℃、5%COのインキュベ-タ-に入れて18~20hインキュベ-トした。
2.10 384ウェル検出プレ-トの各ウェルに25μLのbritelite+ルシフェラ-ゼ検出試薬を加えた後、Envision 2105プレ-トリ-ダ-にて発光値を記録した。
2.11 Graphad 8.0ソフトウェアを使用し、非線形フィッティング式によって化合物のIC50を得た。
【0145】
【表1】
【0146】
試験例2:ヒト肝ミクロソ-ムの代謝研究
222.5μLのヒト肝ミクロソ-ム(タンパク質濃度:1mg/mL)を取り、25μLのNADPH(10nM)をインキュベ-トプレ-トに添加し、10分間予熱した。2.5μLの対照化合物と試験化合物(100μM)を加えた。
【0147】
それぞれ0.5、5、10、15、20及び30分間に、反応溶液から30μLの等量試料を取り出した。5倍の体積のIS(100nMのアルプラゾラム、200nMのカフェイン及び100nMのトルブタミド)を含む冷たいアセトニトリルを添加することにより反応を停止し、遠心分離し、100μLの上清液を取って100μLの超高純度HOと混合した後、LC-MS/MS分析に用いた。
【0148】
勾配値kは、インキュベ-ト時間曲線の自然対数に対する親薬物の残存率の線形回帰によって決定された。
インビトロ半減期(インビトロT1/2)は、勾配値によって決定され、
【数1】
以下の等式(反復測定の平均値)を使用してインビトロT1/2(分間)をインビトロにおける固有クリアランス(インビトロCLint、単位がμL/min/mgのタンパク質)にし、
【数2】
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
結論:Finerenoneと比べて、本開示の化合物、例えば化合物2-2は、より良い代謝安定性を有する。
【0152】
試験例3:db/dbマウス糖尿病腎疾患モデルへの薬効試験
適量の化合物2-2、フィネレノンを取ってそれぞれ0.5%のヒドロキシエチルセルロ-ス(Tylose MH300)溶液と混合し、懸濁液に調製した。
【0153】
1)群分けと投与
db/dbマウス(自発性2型糖尿病モデルマウス)30匹を、モデル対照群、陽性対照群及び投与群に分け、db/mマウス10匹を対照群として選択した。
【0154】
経口胃内投与(i.g)で、1回/日で、4週間連続投与し、具体的な投与情報は表4に示されている。
【0155】
【表4】
【0156】
2)評価指標
尿中微量アルブミンを主な指標とした。得られたデ-タについてEXCELとIBM SPSS Statistics 22.0でデ-タの統計解析を行った。
【0157】
何れの計測デ-タもMean±SEM sで示し、Graph Pad Prism8ソフトウェアで異なる群の動物の投与前後のパラメ-タをプロットした。デ-タをSPSS 22.0統計ソフトウェアで分析し、Levene検定法でパラメ-タについて等分散性の検定を行い、等分散(P≧0.05)である場合は、一元配置分散分析(ANOVA)中のDunnett’s LSD法で群間差を比較し、不等分散(P<0.05)である場合は、Kruskal-Wallis H順位和検定(K-W法)中のMann-Whitney U検定(M-W法)で群間差を比較した。動物の生存状況については、カプラン・マイヤ-法(K-M法)中のLog-rank検定で群間差を比較した。
【0158】
3)実験の結果
【0159】
【表5】
【0160】
結論:4週間投与後、フィネレノン群と投与群(化合物2)は、尿液量とmALBが何れもモデル対照群よりも低い傾向を有する。同時に、投与群のマウスは、クレアチニンに対する尿中微量アルブミンの比率(UACR)が顕著にモデル対照群よりも低く、統計的に有意であり(P<0.01)、フィネレノン群のマウスは、図1に示すように、クレアチニンに対する尿中微量アルブミンの比率(UACR)が低下したが、モデル群と比べて有意性がない(モデル対照群と比較して、** P<0.01)。
図1
【国際調査報告】