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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】動的センサデータ収集
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240925BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M50/284
H01M50/569
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515918
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022075053
(87)【国際公開番号】W WO2023044216
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】17/448,111
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、アイジュエ
(72)【発明者】
【氏名】ホウ、ヴィヴィアン フイジ
【テーマコード(参考)】
5H030
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF43
5H030FF44
5H040AA19
5H040AA37
5H040AS07
5H040AY04
5H040AY08
5H040DD03
5H040DD08
5H040DD26
5H040JJ09
5H040NN05
5H043AA04
5H043BA19
5H043HA35F
5H043LA31F
(57)【要約】
バッテリパックを管理するための方法は、バッテリパックのバッテリユニット内の電圧測定ポイントで、第1の電圧センサを用いて第1の電圧読み取りを行い、かつ、第2の電圧センサを用いて第2の電圧読み取りを行う段階、第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値の各々が、規定された正常電圧範囲における電圧の範囲内読み取り値であるか、又は、規定された正常電圧範囲から外れた電圧の範囲外読み取り値であるかを判定する段階、及び、当該判定する段階に基づき、バッテリユニットの動作状態を特徴付ける段階、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパック;及び
前記バッテリパックに結合されたバッテリ管理システム(BMS)
を備え、前記バッテリパックは:
複数のバッテリセル、前記複数のバッテリセルは、複数のバッテリセルのグループとして1つ又は複数のモジュール内で並列に配置されており、前記1つ又は複数のモジュールは、バッテリ回路内で互いに直列に接続されており、前記複数のバッテリセルは、正常なバッテリ動作において、事前定義された正常電圧範囲を有する;及び
電圧センサのペアを含む複数の電圧センサ、電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられている
を有し、各ペアは:
前記それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ;及び
前記それぞれのモジュール内の前記測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサ
を含み、
前記BMSは、前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を収集及び処理するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧測定値であることをバッテリ故障の指標であると判定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧測定値であることを電圧センサ故障の指標であると判定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲外の第1の電圧読み取り値に代えて、前記特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲内の第2の電圧読み取り値を用いる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記BMSは、前記バッテリパックの動作を管理するために、前記範囲内の第1の電圧読み取り値及び前記代用の範囲内の第2の電圧読み取り値のみを処理する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のバッテリセルはリチウムイオンセルである、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のバッテリセルは、正常な動作において、約2.0ボルト~4.5ボルトの事前定義された正常電圧範囲を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の電圧センサは、前記バッテリ回路内の第1のセンサループ上に配設された第1の電圧センサのセット、及び、第2のセンサループ上に配設された第2の電圧センサのセットを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
バッテリパックを管理するための方法であって、前記バッテリパックは、複数のバッテリユニットを備え、各バッテリユニットは、並列に接続された1つ又は複数のバッテリセルのセットを有し、前記複数のバッテリユニットは、正常なバッテリ動作において、規定された正常電圧範囲を有し;前記方法は:
バッテリユニット内の電圧測定ポイントで、第1の電圧センサを用いて第1の電圧読み取りを行い、かつ、第2の電圧センサを用いて第2の電圧読み取りを行う段階;
前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の各々が、前記規定された正常電圧範囲における電圧の範囲内読み取り値であるか、又は、前記規定された正常電圧範囲から外れた電圧の範囲外読み取り値であるかを判定する段階;及び
前記判定する段階に基づき、前記バッテリユニットの動作状態を特徴付ける段階
を備える、バッテリパックを管理するための方法。
【請求項10】
前記バッテリユニットの前記動作状態を特徴付ける段階は、前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧読み取り値である場合に、前記バッテリユニットの前記動作状態をバッテリ故障のうちの1つとして特徴付ける段階を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バッテリユニットの前記動作状態を特徴付ける段階は、前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である場合に、前記バッテリユニットの前記動作状態を電圧センサ故障のうちの1つとして特徴付ける段階を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のバッテリユニットはリチウムイオンセルを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のバッテリユニットは、約2.0ボルト~4.5ボルトの前記規定された正常電圧範囲を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バッテリパックの動作を管理するための方法であって、前記バッテリパックは:
複数のバッテリセルを備え、前記複数のバッテリセルは、複数のバッテリセルのグループとして1つ又は複数のモジュール内で並列に配置されており、前記1つ又は複数のモジュールは、バッテリ回路内で互いに直列に接続されており、前記複数のバッテリセルは、正常なバッテリ動作において、事前定義された正常電圧範囲を有し、前記方法は:
前記バッテリパック内に複数の電圧センサを配備する段階、前記複数の電圧センサは、電圧センサのペアを含み、電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられており、各ペアは:
前記それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ;及び
前記それぞれのモジュール内の前記測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサ;
を含み、
電圧センサの前記ペアを用いて第1の電圧読み取り及び第2の電圧読み取りを行う段階;及び
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を収集及び処理する段階
を備える、バッテリパックの動作を管理するための方法。
【請求項15】
前記方法は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧読み取り値である事例をバッテリ故障の事例として特徴付ける段階を更に有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である事例を電圧センサ故障の事例として特徴付ける段階を更に有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を処理する段階は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲外の第1の電圧読み取り値に代えて、前記特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲内の第2の電圧読み取り値を用いる段階を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を処理する段階は、前記バッテリパックの動作を管理するために、範囲内の第1の電圧読み取り値及び代用の範囲内の第2の電圧読み取り値のみを処理する段階を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のバッテリセルはリチウムイオンセルである、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のバッテリセルは、正常な動作において、約2.0ボルト~4.5ボルトの前記事前定義された正常電圧範囲を有する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年9月20日に提出された、「DYNAMIC SENSOR DATA COLLECTION」と題する米国特許出願第17/448,111号に対する優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本書は、電気車両用のバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリで動作する電気車両(electric vehicle:EV)は、異なるタイプにおいて実装されている。その一部は、タグボート、トラクタ、芝刈り機、及びゴルフカートなどのオフロード車両の形態であり、短距離運転に関連付けられている。また、路上又は高速道路上での使用向けの、バッテリで動作するEV(例えば、消費者向け自動車、長距離輸送トラック等)が、市場において導入されている、又は試用されている。より長距離運転向けの、バッテリで動作するEVの広範な採用は、EV内の電気モータに電力を供給するために使用されるバッテリパックの信頼性に関する懸念による影響を被る可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
一般的な態様において、システムは、バッテリパックに結合されたバッテリ管理システム(battery management system:BMS)を備える。バッテリパックは、バッテリセルのグループとして1つ又は複数のモジュール内で並列に配置された複数のバッテリセルを有する。モジュールは、バッテリ回路内で互いに直列に接続されている。バッテリセルは、正常なバッテリ動作において、事前定義された正常電圧範囲を有する。
【0005】
或る態様において、システムは、電圧センサのペアを含む複数の電圧センサを有する。電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられており、それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ、及び、それぞれのモジュール内の測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサを有する。
【0006】
更なる態様において、BMSは、バッテリパックの動作を管理するために電圧センサのペアによって行われた第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値を収集及び処理するように構成されている。
【0007】
一般的な態様において、バッテリパックを管理するための方法は、バッテリパックのバッテリユニット内の電圧測定ポイントで、第1の電圧センサを用いて第1の電圧読み取りを行い、かつ、第2の電圧センサを用いて第2の電圧読み取りを行う段階、第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値の各々が、規定された正常電圧範囲における電圧の範囲内読み取り値であるか、又は、規定された正常電圧範囲から外れた電圧の範囲外読み取り値であるかを判定する段階、及び、当該判定する段階に基づき、バッテリユニットの動作状態を特徴付ける段階、を備える。
【0008】
一般的な態様において、バッテリパックの動作を管理するための方法は、バッテリパック内に複数の電圧センサを配備する段階を備える。複数の電圧センサは電圧センサのペアを含み、電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられている。電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ、及び、それぞれのモジュール内の測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサを含む。
【0009】
更なる態様において、方法は、バッテリパックの動作を管理するために、電圧センサのペアを用いて第1の電圧読み取り及び第2の電圧読み取りを行う段階、及び、電圧センサのペアによって行われた第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値を収集及び処理する段階、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】バッテリパック内に配設された電圧センサの少なくとも2つのセットを有する例示的なシステムを概略的に示す。
【0011】
図2】バッテリパックのバッテリ管理システムにおいて電圧センサデータを処理するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0012】
図3】バッテリ管理システムにおいて電圧センサデータを処理するための別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【0013】
図4】バッテリパックを管理するための例示的な方法を示す。
【0014】
図5】バッテリパックを管理するための別の例示的な方法を示す。
【0015】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
バッテリパック内の個々の電圧センサ故障を予測することとは異なる、バッテリ故障をより確実に予測するためのシステム及び方法が本明細書で開示される。
【0017】
例示的な実装形態において、バッテリパックは、電気車両(EV)(又は他のデバイス又はツール)に電力を供給し得る。バッテリパックは、例えば、リチウムイオン電気化学に基づく再充電可能バッテリセルを含み得る。
【0018】
バッテリパックは、電力回路(バッテリ回路)内の個々のバッテリセル及び/又は直列及び並列に編成された個々のバッテリセルのグループを含み得る。バッテリパックの動作条件、特性、及びパラメータは、例えば、バッテリ回路内の個々のバッテリセル及び/又は個々のバッテリセルのグループ(以下、「バッテリユニット」)の電圧状態を含み得る。正常なバッテリ動作(例えば、バッテリ再充電又は放電)におけるバッテリユニットの電圧状態は、既知の電圧範囲内(例えば、2ボルト~4.4ボルトの範囲内)であり得る。
【0019】
バッテリユニットの範囲外の電圧状態(すなわち、既知の正常範囲から外れた電圧を有する)は、幾つかの事例において、バッテリユニットの欠陥又は故障を示唆し得る。
【0020】
バッテリユニットの電圧状態は、バッテリパックに組み込まれている場合がある電圧センサを用いて、バッテリ回路内の測定位置(以下、測定ポイント)で定期的に測定され得る。測定ポイントは、バッテリユニット(すなわち、個々のバッテリセル、又は個々のバッテリセルのグループ)に関連付けられ得る。例示的な実装形態において、バッテリパックに組み込まれた電圧センサは、バッテリユニットに取り付けられたソリッドステートデバイス又は集積回路であり得る。更に、電圧センサは、抵抗性電圧センサ又は容量性電圧センサのいずれかであり得る。
【0021】
電圧センサは、各測定ポイントでの電圧状態を、例えば、約1ヘルツ~数キロヘルツの範囲内の周波数で定期的に測定するように構成され得る。正常なバッテリ動作において、各測定ポイントでの電圧は、或る電圧の範囲内(例えば、2ボルト~5ボルトの間)にあると予想され得る。幾つかの事例において、範囲外の電圧測定値は、バッテリ条件(例えば、バッテリユニットの欠陥又は故障)に関連し得る。他の事例において、範囲外の電圧測定値は、(例えば、接続ワイヤの緩み等に起因する)より一般的な電圧センサ故障の発生に関連し得る。
【0022】
バッテリ管理システム(BMS)(例えば、電子システム)は、バッテリパックに結合され得る。BMSは、例えば、バッテリ内のバッテリユニットの電圧、電流、及び温度のうちの1つ又は複数を含むバッテリ動作条件に関する情報を収集及び監視するように構成され得る。BMSは、例えば、バッテリの動作状態を監視すること、二次データを計算及び報告すること、バッテリの環境を制御すること、バッテリ動作中にバッテリセルの認証及び/又はバランス調整を行うことにより、バッテリが安全動作領域外で動作しないように保護し得る。
【0023】
例示的な実装形態において、EV内のバッテリパックに関し、車両安全性配慮(火災などの壊滅的なバッテリ故障のリスクを軽減する必要性を含む)は、バッテリセル又はグループの範囲外の動作の何らかの兆候がある場合に、(例えば、移動中のEVであっても)バッテリパックを即座に無効化し、更なる検査、修理、又は交換のためにサービスから取り外す(remove from service)べきであると要求する。範囲外の電圧測定値が実際にはバッテリ条件に関連せず、代わりに、より一般的な電圧センサ故障の発生に関連する場合であっても、従来のBMSは、車両安全性配慮に基づき、更なる検査、修理、又は交換のために、バッテリパックを即座にサービスから切り離す(disengage)、又は取り外すことを要求し得る。この安全要件は、バッテリパックの検査、修理又は交換に伴い得る時間ゆえに、EVにおけるバッテリパックの使用を不利にする可能性があり、(例えば、輸送用の)EVの広範な採用を大幅に妨げ得る、又は遅らせ得る。
【0024】
例示的な実装形態において、個々の電圧センサ故障とは異なるバッテリ故障をより確実に予測するための開示されたシステム及び方法は、バッテリパックのバッテリユニットにおいて電圧測定を行うために、並列又は相補的な電圧センサの2つのセット(すなわち、電圧センサの第1のセット及び電圧センサの第2のセット)を配備する段階を伴う。並列又は相補的な電圧センサの2つのセットは、バッテリパックのバッテリユニット内の測定ポイントで、およそ又は殆ど同時に又は並行して、重複した電圧測定を行うことができる。電圧センサの第1のセットからの電圧センサによるバッテリユニットに関連付けられた測定ポイントでの電圧測定は、本明細書において、バッテリユニットに関連付けられた測定ポイントでの第1の(first)又は一次(primary)電圧測定と称され得る。電圧センサの第2のセットからの電圧センサによる測定ポイントでの電圧測定は、本明細書において、測定ポイントでの第2の(second)又は二次(secondary)電圧測定と称され得る。
【0025】
例示的な実装形態において、バッテリ動作を管理するためにバッテリ動作条件に関する情報を処理する場合、BMSは、(電圧センサの第1のセットからの電圧センサによって行われた)一次電圧測定値を処理するように構成され得る。
【0026】
例示的な実装形態において、BMSは、電圧センサ(例えば、一次電圧センサ)による単一の範囲外の電圧測定値を検証又は確認される必要がある測定値として処理して、当該単一の測定値がバッテリユニットの欠陥又は故障を示唆しているか、又は単に電圧センサ故障を示唆しているかを判定するように構成され得る。検証又は確認のために、BMSは、一次電圧センサによって行われた測定とおよそ同じ時刻に(すなわち、同時に又は並行して)同じ測定ポイントで二次電圧センサによって行われた二次電圧測定値を評価し得る。
【0027】
当該二次電圧測定値が範囲内の電圧測定値である場合、BMSは、当該範囲外の一次電圧測定値を、バッテリユニットの欠陥又は故障を示唆するものではなく、単に電圧センサ故障を示唆するものとして処理し得る。BMSは、バッテリ動作を管理するためにバッテリの動作条件に関する情報を処理する場合、当該範囲外の一次電圧測定値を当該範囲内の二次電圧測定値と交換し得る。
【0028】
当該二次電圧測定値も(当該範囲外の一次電圧測定値と同様に)範囲外の電圧測定値である場合、BMSは、当該範囲外の一次電圧測定値(及び当該範囲外の二次電圧測定値)がバッテリユニットの欠陥又は故障の確認された事象であるものとして認識し得る。BMSは、修復措置のため(例えば、切り離し、検査、修理又は交換等のため)に、当該範囲外の一次及び二次電圧測定値に関連付けられたバッテリユニットにフラグを設定し得る。
【0029】
図1は、バッテリパック内に配設された電圧センサの少なくとも2つのセットを有する例示的なシステム100を概略的に示す。システム100は、範囲外のバッテリ動作の事象をバッテリパック内の電圧センサ故障の事象と区別するように構成され得る。本明細書で説明される任意の又は全ての他の例は、システム100と組み合わされ得る、及び/又はシステム100において実行され得る。
【0030】
システム100は、バッテリパック10に結合されたバッテリ管理システム(BMS)20を備える。電圧センサ30の第1のセット及び電圧センサ40の第2のセットは、バッテリパック10に組み込まれて、バッテリ動作を監視するためにバッテリパック内の電圧を測定し得る。BMS20は、バッテリ動作を管理するために、測定された電圧読み取り値を含む情報を処理し得る。
【0031】
例示的な実装形態において、バッテリパック10は、例えば、リチウムイオン電気化学に基づく再充電可能バッテリであり得、例えば、EVへの応用における使用が意図され得る。バッテリパック10は、バッテリパックのバッテリユニット内の個々のバッテリセルとして分散された、又はグループ内の任意の数の個々のバッテリセル(例えば、バッテリセル11-1、11-2、11-3、及び11-4等)を含み得る。バッテリセルは、例えば、リチウムイオンバッテリであり得、各々が、例えば4.1ボルトに等しい、又はこれを上回る最大定格出力電圧を有する。バッテリパック10はバッテリセルの任意のトポロジを有し得、個々のバッテリセルは、並列及び/又は直列に接続されている。例えば、バッテリパック10は、直列に接続された幾つかのモジュール(例えば、モジュール10-1、10-2、10-3、及び10-4等)を含み得、各モジュールは、並列に接続されたバッテリセルのグループ(例えば、モジュール10-1用のバッテリセル11-1、11-2、11-3、及び11-4等)を収容している。
【0032】
電圧センサ30の第1のセットは、幾つかのモジュール(例えば、モジュール10-1、10-2、10-3、及び10-4等)内のそれぞれの測定位置又はポイント(例えば、測定ポイントm1、m2、m3、及びm4等)で電圧を測定するために配置され得る個々の電圧センサ(例えば、第1の又は一次電圧センサ30-1、30-2、30-3、及び30-4等)を含み得る。電圧センサ40の第2のセットは、幾つかのモジュール(例えば、モジュール10-1、10-2、10-3、及び10-4等)内の同じそれぞれの測定ポイント(例えば、測定ポイントm1、m2、m3、及びm4等)で電圧を測定するために電圧センサ30の第1のセットに対して並列に配置され得る個々の電圧センサ(例えば、第2の又は二次電圧センサ40-1、40-2、40-3、及び40-4等)を含み得る。換言すれば、電圧センサは、幾つかのモジュール内の各測定ポイント(例えば、測定ポイントm1)における電圧が、2つのセンサである電圧センサ30の第1のセットからの第1の電圧センサ(例えば、一次電圧センサ30-1)、及び、電圧センサ40の第2のセットからの第2の電圧センサ(例えば、二次電圧センサ40-1)によって、ほぼ並行して、又は同時に測定され得るように配置され得る。
【0033】
図1に示された例示的な事例において、バッテリパック10のバッテリセルトポロジは、例示の目的のためにのみ、4つのモジュール(すなわち、モジュール10-1、10-2、10-3、及び10-4)にまたがって直列に分散された合計16の個々のバッテリセルの例を含む。各モジュールは、4つのバッテリセル(すなわち、バッテリセル11-1、11-2、11-3、及び11-4)を並列に収容する。バッテリセルトポロジの他の例において、バッテリパック10は、個々のバッテリセルの異なる合計数(例えば、2~200)、直列したモジュールの異なる数(例えば、1~20)を含み得、当該モジュールの各々は、並列に接続されたバッテリセルの異なる数(例えば、1~50)を含み得る。
【0034】
BMS20は、バッテリ回路24を介して、バッテリパック10、及び、電圧センサ30及び40のセットに結合され得る。例示的な実装形態において、電圧センサ30のセットは、第1のセンサループ(例えば、センサループA、24-A)上でBMS10に接続され得、電圧センサ40のセットは、第2のセンサループ(例えば、センサループB、24-B)上でBMS10に接続され得る。
【0035】
BMS20は、例えば、バッテリの動作状態を監視すること、二次データを計算及び報告すること、バッテリを電動パワートレインから切り離すこと、及びバッテリの動作条件を制御することにより、バッテリパック10が安全動作領域外で動作しないように保護し得る。
【0036】
例示的な実装形態において、BMS20は、例えば、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、プロセッサ21)、メモリ(例えば、メモリ22)、及び、入力/出力(input/output:I/O)ユニット(例えば、I/Oユニット23)を含み得る。I/Oユニットは、(例えば、有線又は無線によって)外部デバイス25に接続され得る。外部デバイス25は、例えば、バッテリ動作を制御又は管理するために使用され得るデバイス又は回路(例えば、電力スイッチ、バッテリ充電及び放電回路、バッテリセル平衡化回路、ディスプレイ、ユーザインタフェース等)(図示せず)を含み得る。プロセッサ21は、例えば、幾つかのモジュール(例えば、モジュール10-1、10-2、10-3、及び10-4等)内の測定ポイント(例えば、測定ポイントm1、m2、m3、及びm4等)における電圧を含む、バッテリ動作条件に関する情報を例えば収集するために、メモリ22に記憶された命令を実行するように構成され得る。測定ポイントにおける電圧は、(電圧センサ30の第1のセット及び/又は電圧センサ40の第2のセットの)電圧センサによって測定される電圧を含み得る。
【0037】
BMS20は、測定ポイント(例えば、測定ポイントm3)における第1の範囲外の電圧測定値(例えば、公称正常範囲外の電圧読み取り値)を、当該測定ポイントに関連付けられた障害(例えば、センサ故障又はバッテリユニット故障)の兆候として認識するように構成されたアルゴリズムを含み得る。(EVへの応用において使用される)リチウムイオンバッテリについての例示的な公称正常範囲は、例えば、2.0ボルトから4.4ボルトまでであり得る。第1の範囲外の電圧測定値は、例えば、>4.4ボルト又は<2.0ボルトの電圧読み取り値であり得る。第1の範囲外の電圧測定値は、電圧センサ30の第1のセットからの電圧センサ(例えば、電圧センサ30-3)、又は、電圧センサ40の第2のセットからの電圧センサ(例えば、電圧センサ40-3)のいずれかによって行われる電圧測定値であり得る。
【0038】
BMS20は、測定ポイント(例えば、測定ポイントm3)に関連付けられた障害を、バッテリユニット故障、又は単に電圧センサ故障として更に特徴付けるように構成されたアルゴリズムを更に含み得る。アルゴリズムは、電圧センサ30の第1のセットからの電圧センサ(例えば、センサ30-3)及び電圧センサ40の第2のセットからの電圧センサ(例えば、センサ40-3)によって測定ポイントで並行して行われた電圧測定の読み取り値を比較し得る。
【0039】
(例えば、センサ30-3及びセンサ40-3によって行われた)両方の電圧センサ読み取り値が範囲外である場合、BMS20は、測定ポイント(例えば、測定ポイントm3)に関連付けられた障害を、バッテリユニット故障(例えば、バッテリモジュール10-3の故障)である可能性が高いと識別し得る。安全性配慮に基づき、BMS20は、バッテリパック10を即座に無効化、修理、又は交換するための適切な修復措置を開始し得る。
【0040】
2つの電圧センサ読み取り値のうちの1つのみが範囲外の読み取り値である場合、BMS20は、測定ポイント(例えば、測定ポイントm3)に関連付けられた障害を、単に電圧センサ故障であると識別し得る。BMS20は、保守の修理又はサービスのために電圧センサにフラグ又はスケジュールを設定してよいが、バッテリパック10を無効化又は交換するためのいかなる即時の措置も講じなくてよい。
【0041】
図2は、バッテリパック(例えば、バッテリパック10)のバッテリ管理システム(例えば、BMS20)において電圧センサデータを処理するための例示的な方法200を示すフローチャートである。方法200は、例えば、バッテリパックの1つ又は複数のバッテリユニット(例えば、個々のバッテリセル、又は並列に接続されたバッテリセルのグループ)について電圧測定ポイントが識別され、かつバッテリパック内の電圧測定ポイントの各々で電圧を測定するために電圧センサの少なくとも1つのペア(すなわち、少なくとも2つ)が配備されるシステム100(図1)において実装され得る。
【0042】
方法200は、電圧読み取り値を収集する段階(210)、及び、電圧読み取り値を評価する段階(220)を備え得る。電圧読み取り値を収集する段階210は、バッテリパック内の電圧測定ポイントの各々で電圧センサのそれぞれのペアによって行われた電圧読み取り値のペアを収集する段階を有し得る。電圧センサの各ペアは、第1の電圧センサ(すなわち、一次電圧センサ)及び第2の電圧センサ(すなわち、二次電圧センサ)を含み得る。電圧読み取りの各ペアは、電圧測定ポイントでの電圧を測定するために配備された電圧センサのそれぞれのペアにおける電圧センサの各々によって、およそ同じ時刻に(すなわち、およそ同時に又は並行して)行われ得る。電圧読み取り値を評価する段階220は、収集された電圧読み取り値の各々が、正常なバッテリ動作(例えば、充電、保持、又は放電動作)に対応する正常電圧範囲内にあるか、又は外にあるかを評価する段階を有し得る。電圧読み取り値についての正常電圧範囲は、バッテリパック10内で使用されるバッテリセルの1つ又は複数のタイプに基づき事前定義され得る。リチウムイオンバッテリセルについて、正常範囲は、例えば、2.0ボルト及び4.4ボルトの間であり得る。
【0043】
方法200は、収集された電圧読み取り値の全てが有効であるかを判定する段階(230)を更に備え得る。電圧読み取り値は、それが、正常なバッテリ動作について予想される正常電圧範囲内(例えば、リチウムイオンバッテリセルについては、2.0ボルト及び4.4ボルトの間)にある場合に有効であり得る。収集された電圧読み取り値の全てが有効であると230で判定された場合、方法200は、バッテリ管理のために電圧センサデータの全てを処理する段階(250)を備え得る。バッテリ管理のために処理される電圧センサデータは、例えば、検証済みの収集された電圧読み取り値、測定ポイントの位置、及び、関連付けられたバッテリユニット(例えば、バッテリセル及び/又はバッテリモジュール)の識別情報等を含み得る。バッテリ管理システムは、例えば、バッテリセル平衡化、放電、及び再充電等を含む1つ又は複数のバッテリ管理機能を実装するために、この電圧センサデータを使用し得る。
【0044】
方法200におけるステップ230で、収集された電圧読み取り値のうちのいずれか1つが無効又は異常である(すなわち、バッテリ動作の正常電圧範囲内にない)と判定された場合、方法200は、障害修復プロセスを呼び出すこと(240)を含み得る。バッテリ管理システムによって実装される障害修復プロセスは、バッテリパックの切り離し(例えば、スイッチをオフにする)、放電、取り外し、修理又は交換を含み得る。
【0045】
例示的な実装形態において、方法200の下で、電圧を測定するために配備された2つの電圧センサ(例えば、図1のセンサ30-3及びセンサ40-3)のペアのうちのどちらが電圧測定ポイント(例えば、図1の測定ポイントm3)において無効な電圧読み取り値を生成したかにかかわらず、240で障害修復プロセスが呼び出され得る。更に、方法200の下で、(例えば、図1のセンサ30-3及びセンサ40-3のいずれかによる)当該無効な電圧センサ読み取り値が電圧センサ故障であるか、又はバッテリセル故障であるかの判定を伴うことなく、240で障害修復プロセスが呼び出され得る。方法は、電圧センサ故障とバッテリセル故障を必ずしも区別しない。(先に論述された)安全性配慮に基づき、全ての障害は、それらがバッテリセル故障であるかのように取り扱われ得る。あらゆる無効な電圧センサ読み取り値は、少なくともバッテリのEV使用においては、それがバッテリセル故障であるかのように取り扱われる。
【0046】
図3は、バッテリパック(例えば、バッテリパック10)のバッテリ管理システム(例えば、BMS20)において電圧センサデータを処理するための別の例示的な方法300を示すフローチャートである。方法200と同様に、方法300は、例えば、バッテリパックの1つ又は複数のバッテリユニット(例えば、個々のバッテリセル、又は並列に接続されたバッテリセルのグループ)について電圧測定位置又はポイントが識別され、かつバッテリパック内の電圧測定ポイントの各々で電圧を測定するために電圧センサの少なくとも1つのペア(すなわち、少なくとも2つ)が配備されるシステム100(図1)において実装され得る。
【0047】
方法300の例示的な実装形態において、測定ポイントに関連付けられた少なくとも2つの電圧センサのペアのうちの1つはアクティブ(又は一次)センサとして指定され得、一方、少なくとも2つの電圧センサのペアのうちの他方は、バックアップ(又は二次)センサとして指定され得る。方法300の例示的な実装形態において、第1のセンサループに沿って配備されたセンサ(例えば、図1のセンサループA、24-A上に配備された電圧センサ30-1、30-2、30-3、及び30-4等)は、アクティブセンサとして指定され得、第2のセンサループに沿って配備された対応するペアの並列のセンサ(例えば、図1のセンサループB、24-B上に配備された電圧センサ40-1、40-2、40-3、及び40-4等)は、バックアップセンサとして指定され得る(又は、逆もまた同様)。
【0048】
方法200と同様に、方法300は、電圧読み取り値を収集する段階(310)を備え得る。電圧読み取り値を収集する段階310は、バッテリパック内の電圧測定ポイントの各々でアクティブ及びバックアップ電圧センサのそれぞれのペアによって行われた電圧読み取り値のペアを収集する段階を有し得る。
【0049】
方法300は、全てのアクティブセンサの電圧読み取り値を評価する段階(320)を更に備える。全てのアクティブセンサの電圧読み取り値を評価する段階320は、収集されたアクティブセンサの電圧読み取り値の各々が、正常なバッテリ動作(例えば、電荷保持、放電、又は再充電動作)に対応する正常電圧範囲内にあるか、又は外にあるかを評価する段階を有し得る。方法300は、収集されたアクティブ電圧読み取り値の全てが有効であるかを判定する段階(330)を更に備え得る。電圧読み取り値は、それが、正常なバッテリ動作について予想される正常電圧範囲内(例えば、リチウムイオンバッテリセルについては、2.0ボルト及び4.4ボルトの間)にある場合に有効であり得る。収集されたアクティブ電圧読み取り値の全てが有効である(すなわち、アクティブ電圧読み取り値が正常電圧範囲内にある)と330で判定された場合、方法300は、バッテリ管理のためにアクティブ電圧センサデータの全てを処理する段階(380)を備え得る。バッテリ管理のために処理される電圧センサデータは、例えば、検証済みのアクティブ電圧センサ読み取り値、測定ポイントの位置、及び、関連付けられたバッテリユニット(例えば、バッテリセル及び/又はバッテリモジュール)の識別情報等を含み得る。バッテリ管理システムは、例えば、バッテリセル平衡化、放電、及び再充電等を含む1つ又は複数のバッテリ管理機能を実装するために、この電圧センサデータを使用し得る。
【0050】
方法300において、収集されたアクティブセンサの電圧読み取り値のうちのいずれか1つが無効である、又は、バッテリ動作の正常電圧範囲内にないとステップ330で判定された場合、方法300は、対応するバックアップセンサの電圧読み取り値を評価する段階(340)、及び、当該対応するバックアップセンサの電圧読み取り値が有効であるかを判定する段階(350)を備え得る。当該対応するバックアップセンサの電圧読み取り値が有効である(すなわち、当該対応するバックアップセンサの電圧読み取り値が正常電圧範囲内にある)と350で判定された場合、方法300は、対応するバックアップセンサをアクティブセンサとして再指定する段階(360)を備え得る。方法300は、ステップ380でバッテリ管理のためにデータを処理するときにアクティブ電圧センサデータとして再指定された対応するバックアップセンサデータを含み得る。
【0051】
対応するバックアップセンサの電圧読み取り値が無効である(すなわち、収集されたアクティブセンサの電圧読み取り値のうちの1つ及び対応するバックアップセンサの電圧読み取り値が両方とも無効又は異常である)と350で判定された場合、方法300は、当該発生をバッテリ故障の事例として取り扱い得る。これに応答して、方法300は、障害修復プロセスを呼び出すこと(370)を含み得る。バッテリ管理システムによって実装される障害修復プロセスは、バッテリパックの切り離し(例えば、スイッチをオフにする)、放電、取り外し、修理又は交換を含み得る。
【0052】
バッテリパックに組み込まれた電圧センサは、例えば、製造又は組み立てプロセスにおける欠陥又は不整合ゆえに故障し得る。例示的なシナリオにおいて、電圧センサ故障は、多くの場合、バッテリパック内のバッテリセルの欠陥又は故障とは無関係であり得るが、バッテリ故障の便利な代理(proxy)又は指標として使用される。上記で論述された通り、方法200(図2)及び方法300(図3)は、バッテリパックをサービスから取り外すために、バッテリ故障の代理指標として、定量的に異なる電圧センサ故障閾値を使用する。2つの方法は、以下の例によって示される通り、(例えば、EVへの応用における)安全上の懸念を伴うことなくバッテリパックが確実に使用状態に保たれ得る時間について、非常に異なる期待をもたらし得る。
【0053】
100個の並列するバッテリセルのグループを含むEV用のバッテリパックについて考察する。100個のバッテリセルのグループの各々は、バッテリセルのグループの電圧を測定するための電圧センサを含む。xヵ月のうちに1つの電圧センサが故障する確率pは0.01%であると仮定する。次に、(単一の電圧センサ故障=バッテリ故障である)方法200を用いて、xヶ月のうちにバッテリパックが故障している、信頼できない、又は安全でないとみなされる確率Pは、以下によって与えられ得る:
【数1】
【0054】
対照的に、(電圧センサペア故障=バッテリ故障である)方法300を用いて、xヶ月のうちにバッテリパックが故障している、信頼できない、又は安全でないとみなされる確率Pは、以下によって与えられ得る:
【数2】
【0055】
明らかに、(バッテリ故障を示す閾値として2つの電圧センサ故障を用いる)方法300は、バッテリパックの可用性を10,000倍(すなわち、10)だけ改善する結果をもたらし、これは、バッテリパックのEVへの応用にとって重要な時間要因になり得る。
【0056】
図4は、バッテリパックを管理するための例示的な方法400を示す。バッテリパックは、複数のバッテリユニットを備える。各バッテリユニットは、並列に接続された1つ又は複数のバッテリセルのセットを有する。バッテリユニットは、正常なバッテリ動作において、事前定義された、又は規定された正常電圧範囲を有する。バッテリユニットは、リチウムイオンセルを含み得、正常な動作において約2.0ボルト~4.4ボルトの規定された正常電圧範囲を有し得る。
【0057】
例示的な実装形態において、方法400は、2つの電圧読み取りを行う段階(410)を備える。2つの電圧読み取り(すなわち、第1の電圧読み取り及び第2の電圧読み取り)は、バッテリユニット内の電圧測定ポイントにおけるものであり得る。2つの電圧読み取りは、それぞれ第1の電圧センサ及び第2の電圧センサを用いて、およそ同じ時刻に(すなわち、同時に又は並行して)行われ得る。
【0058】
方法400は、2つの電圧読み取り値が範囲内の読み取り値であるか、又は範囲外の読み取り値であるかを判定する段階(420)を更に備える。2つの電圧読み取り値が範囲内の読み取り値であるか、又は範囲外の読み取り値であるかを判定する段階は、2つの電圧読み取り値の各々が、規定された正常電圧範囲内における電圧の範囲内読み取り値であるか、又は、規定された正常電圧範囲から外れた電圧の範囲外の読み取り値であるかを判定する段階を伴う。方法400は、当該判定する段階に基づき、バッテリユニットの動作状態を特徴付ける段階(430)を更に有する。
【0059】
バッテリユニット430の動作状態を特徴付ける段階は、2つの電圧読み取り値のうちの両方が範囲外の電圧読み取り値である場合に、バッテリユニットの動作状態をバッテリ故障のうちの1つとして特徴付ける段階、又は、2つの電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である場合に、バッテリユニットの動作状態を電圧センサ故障のうちの1つとして特徴付ける段階を有する。
【0060】
図5は、バッテリパックを管理するための別の例示的な方法500を示す。バッテリパックは、複数のバッテリユニットを備える。各バッテリユニットは、並列に接続された1つ又は複数のバッテリセルのセットを有する。バッテリユニットは、正常なバッテリ動作において規定された正常電圧範囲を有する。バッテリユニットは、リチウムイオンセルを含み得、正常な動作において、約2.0ボルト~4.5ボルトの規定された正常電圧範囲を有し得る。
【0061】
方法500は、複数の電圧センサを配備する段階(510)を備える。複数のセンサは、バッテリパック内に配備された電圧センサのペアを備え得る。電圧センサの各ペアは、それぞれのバッテリユニットに関連付けられ得、各ペアは、それぞれのバッテリユニット内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ、及び、それぞれのバッテリユニット内の測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサを有し得る。
【0062】
方法500は、第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値を収集する段階(520)、及び、電圧読み取り値を処理する段階(530)、を更に備える。処理される電圧読み取り値は、バッテリユニット内の測定ポイントで電圧センサのペアによって行われた第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値を含み得る。電圧読み取り値を処理する段階530は、バッテリパックの動作を管理する段階を有し得る。
【0063】
電圧読み取り値を処理する段階530は、特定のモジュールの測定ポイントでの第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧読み取り値である事例をバッテリ故障の事例として特徴付ける段階、又は、第1の電圧読み取り値及び第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である事例を電圧センサ故障の事例として特徴付ける段階を有し得る。
【0064】
電圧読み取り値を処理する段階530は、特定のモジュールの測定ポイントでの範囲外の第1の電圧読み取り値に代えて、特定のモジュールの測定ポイントでの範囲内の第2の電圧読み取り値を用いる段階を有し得る。
【0065】
電圧読み取り値を処理する段階530は、バッテリパックの動作を管理するために、範囲内の第1の電圧読み取り値及び代用の範囲内の第2の電圧読み取り値のみを処理する段階を有し得る。
【0066】
本明細書の例は、バッテリモジュールに言及し、これは、充電、貯蔵、及び使用中に、複数の電気化学セルを保持及び管理するように構成された個々の構成要素である。バッテリモジュールは、1つ又は複数の負荷(例えば、電気モータ)用の唯一の電力源として意図され得る、又は、同じ又は異なるタイプの1つよりも多くのバッテリモジュールが使用され得る。2つ又はそれより多くのバッテリモジュールが、別個に、又は、より大きなエネルギー貯蔵ユニットの一部として、システム内で実装され得る。例えば、バッテリパックは、同じ又は異なるタイプの2つ又はそれより多くのバッテリモジュールを含み得る。バッテリモジュールは、電気化学セルにおける電気エネルギーの充電、貯蔵、及び/又は使用を管理するための制御回路構成を含み得、又は、バッテリモジュールは、外部構成要素によって制御され得る。例えば、バッテリ管理システムは、1つ又は複数の回路基板(例えば、プリント回路基板)上で実装され得る。
【0067】
本明細書の例は、電気化学セル(すなわち、バッテリセル)に言及する。電気化学セルは、エネルギーを貯蔵し、かつ使用するときにそれを供給するための、電解質及び2つの電極を含み得る。幾つかの実装形態において、電気化学セルは、再充電可能セルであり得る。例えば、電気化学セルは、リチウムイオンセルであり得る。幾つかの実装形態において、電気化学セルは、放電されるときはガルバニセルとして、かつ充電されるときは電解セルとして作用し得る。電気化学セルは、電極の各々に対して少なくとも1つの端子を有し得る。端子又は少なくともその一部は、電解セルの一端に位置付けられ得る。例えば電気化学セルが円筒形状を有する場合、当該端子のうちの一方を当該セルの端部中央に設けることができ、円筒を形成する缶が他方の端子を構成し、従って、端部にも存在することができる。角柱形状を含むがこれに限定されない、電気化学セルの他の形状が使用され得る。
【0068】
本明細書の全体を通じて使用されている「実質的に(substantially)」、「殆ど(nearly)」、及び「およそ(about)」という用語は、処理又は組み立てに際してのばらつきなどに起因する小さな変動について説明及び釈明するために使用されている。例えば、それらは、±5%未満又はそれに等しい、例えば±2%未満又はそれに等しい、例えば±1%未満又はそれに等しい、例えば±0.5%未満又はそれに等しい、例えば±0.2%未満又はそれに等しい、例えば±0.1%未満又はそれに等しい、例えば±0.05%未満又はそれに等しいことを指し得る。また、本明細書において使用される場合、「a」又は「an」などの不定冠詞は「少なくとも1つ」を意味する。
【0069】
上述のコンセプト、及び、本明細書でより詳細に論述される追加のコンセプトの全ての組み合わせが(そのようなコンセプトが相互に矛盾しない限り)、本明細書で開示される本発明の主題の一部であるものとして企図されていることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題の全ての組み合わせが、本明細書で開示される本発明の主題の一部であるものとして企図されている。
【0070】
複数の実装形態について説明してきた。それにもかかわらず、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が加えられ得ることが理解されるであろう。
【0071】
加えて、図に示されている論理フローは、望ましい結果を実現するために、示されている特定の順序、又は連続した順序を要求しない。加えて、他のプロセスが提供され得、又は、説明されたフローからプロセスが排除され得、かつ、他の構成要素が、説明されたシステムに追加され得る、又は、説明されたシステムから削除され得る。従って、他の実装形態は、以下の特許請求の範囲に記載の範囲内に属する。
【0072】
説明された実装形態の特定の特徴が本明細書で説明された通りに示されてきたが、今や多くの修正、代用、変更、及び均等物が当業者に想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、実装形態の範囲内に属する全てのそのような修正及び変更を包含することを意図していることが理解されるべきである。それらは限定ではなく例としてのみ提示されており、形態及び詳細に様々な変更が加えられ得ることを理解されたい。相互に排他的な組み合わせを除き、本明細書で説明された装置及び/又は方法の任意の部分が任意の組み合わせで組み合わされ得る。本明細書で説明された実装形態は、説明された異なる実装形態の機能、構成要素、及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は副次的組み合わせを含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパック;及び
前記バッテリパックに結合されたバッテリ管理システム(BMS)
を備え、前記バッテリパックは:
複数のモジュール内に配置されている複数のバッテリセル、各モジュールは並列の複数のバッテリセルのグループを含み、記複数のモジュールは、バッテリ回路内で互いに直列に接続されており、前記複数のバッテリセルは、正常なバッテリ動作において、事前定義された正常電圧範囲を有する;及び
電圧センサのペアを含む複数の電圧センサ、電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられている
を有し、各ペアは:
前記それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ;及び
前記それぞれのモジュール内の前記測定ポイントで第2の電圧読み取りを同時に行うように構成された第2の電圧センサ
を含み、
前記BMSは、前記測定ポイントに関連付けられた障害をバッテリユニット故障又は電圧センサ故障の一方であると識別するために、前記それぞれのモジュール内の前記測定ポイントで電圧センサの各ペアによって同時に行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を比較するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧測定値であることをバッテリ故障の指標であると判定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧測定値であることを電圧センサ故障の指標であると判定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲外の第1の電圧読み取り値に代えて、前記特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲内の第2の電圧読み取り値を用いる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記BMSは、前記バッテリパックの動作を管理するために、前記範囲内の第1の電圧読み取り値及び前記代用の範囲内の第2の電圧読み取り値のみを処理する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のバッテリセルはリチウムイオンセルである、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のバッテリセルは、正常な動作において、約2.0ボルト~4.5ボルトの事前定義された正常電圧範囲を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の電圧センサは、前記バッテリ回路内の第1のセンサループ上に配設された第1の電圧センサのセット、及び、第2のセンサループ上に配設された第2の電圧センサのセットを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
バッテリパックを管理するための方法であって、前記バッテリパックは、複数のバッテリユニットを備え、各バッテリユニットは、並列に接続された1つ又は複数のバッテリセルのセットを有し、前記複数のバッテリユニットは、正常なバッテリ動作において、規定された正常電圧範囲を有し;前記方法は
電圧測定ポイントで第1の電圧センサを用いて第1の電圧読み取りを行い、かつ、バッテリユニット内の同じ電圧測定ポイントで第2の電圧センサを用いて第2の電圧読み取りを同時に行う段階;
前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の各々が、前記規定された正常電圧範囲における電圧の範囲内読み取り値であるか、又は、前記規定された正常電圧範囲から外れた電圧の範囲外読み取り値であるかを判定する段階;及び
前記判定する段階に基づき、前記バッテリユニットの動作状態を特徴付ける段階
を備える、バッテリパックを管理するための方法。
【請求項10】
前記バッテリユニットの前記動作状態を特徴付ける段階は、前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧読み取り値である場合に、前記バッテリユニットの前記動作状態をバッテリ故障のうちの1つとして特徴付ける段階を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バッテリユニットの前記動作状態を特徴付ける段階は、前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である場合に、前記バッテリユニットの前記動作状態を電圧センサ故障のうちの1つとして特徴付ける段階を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のバッテリユニットはリチウムイオンセルを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のバッテリユニットの前記規定された正常電圧範囲は、約2.0ボルト~4.5ボルトである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バッテリパックの動作を管理するための方法であって、前記バッテリパックは:
複数のバッテリセルを備え、前記複数のバッテリセルは、複数のバッテリセルのグループとして1つ又は複数のモジュール内で並列に配置されており、前記1つ又は複数のモジュールは、バッテリ回路内で互いに直列に接続されており、前記複数のバッテリセルは、正常なバッテリ動作において、事前定義された正常電圧範囲を有し、前記方法は:
前記バッテリパック内に複数の電圧センサを配備する段階、前記複数の電圧センサは、電圧センサのペアを含み、電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられており、各ペアは:
前記それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ;及び
前記それぞれのモジュール内の前記測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサ;
を含み、
電圧センサの前記ペアを用いて第1の電圧読み取り及び第2の電圧読み取りを同時に行う段階;及び
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を収集及び処理する段階
を備える、バッテリパックの動作を管理するための方法。
【請求項15】
前記方法は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧読み取り値である事例をバッテリ故障の事例として特徴付ける段階を更に有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である事例を電圧センサ故障の事例として特徴付ける段階を更に有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を処理する段階は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲外の第1の電圧読み取り値に代えて、前記特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲内の第2の電圧読み取り値を用いる段階を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を処理する段階は、前記バッテリパックの動作を管理するために、範囲内の第1の電圧読み取り値及び範囲外の第1の電圧読み取り値を代用する範囲内の第2の電圧読み取り値のみを処理する段階を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のバッテリセルはリチウムイオンセルである、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のバッテリセルは、正常な動作において、約2.0ボルト~4.5ボルトの事前定義された正常電圧範囲を有する、請求項19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
説明された実装形態の特定の特徴が本明細書で説明された通りに示されてきたが、今や多くの修正、代用、変更、及び均等物が当業者に想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、実装形態の範囲内に属する全てのそのような修正及び変更を包含することを意図していることが理解されるべきである。それらは限定ではなく例としてのみ提示されており、形態及び詳細に様々な変更が加えられ得ることを理解されたい。相互に排他的な組み合わせを除き、本明細書で説明された装置及び/又は方法の任意の部分が任意の組み合わせで組み合わされ得る。本明細書で説明された実装形態は、説明された異なる実装形態の機能、構成要素、及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は副次的組み合わせを含み得る
[項目1]
バッテリパック;及び
前記バッテリパックに結合されたバッテリ管理システム(BMS)
を備え、前記バッテリパックは:
複数のバッテリセル、前記複数のバッテリセルは、複数のバッテリセルのグループとして1つ又は複数のモジュール内で並列に配置されており、前記1つ又は複数のモジュールは、バッテリ回路内で互いに直列に接続されており、前記複数のバッテリセルは、正常なバッテリ動作において、事前定義された正常電圧範囲を有する;及び
電圧センサのペアを含む複数の電圧センサ、電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられている
を有し、各ペアは:
前記それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ;及び
前記それぞれのモジュール内の前記測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサ
を含み、
前記BMSは、前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を収集及び処理するように構成されている、
システム。
[項目2]
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧測定値であることをバッテリ故障の指標であると判定する、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧測定値であることを電圧センサ故障の指標であると判定する、項目1に記載のシステム。
[項目4]
前記BMSは、特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲外の第1の電圧読み取り値に代えて、前記特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲内の第2の電圧読み取り値を用いる、項目1に記載のシステム。
[項目5]
前記BMSは、前記バッテリパックの動作を管理するために、前記範囲内の第1の電圧読み取り値及び前記代用の範囲内の第2の電圧読み取り値のみを処理する、項目4に記載のシステム。
[項目6]
前記複数のバッテリセルはリチウムイオンセルである、項目1から5のいずれか一項に記載のシステム。
[項目7]
前記複数のバッテリセルは、正常な動作において、約2.0ボルト~4.5ボルトの事前定義された正常電圧範囲を有する、項目4に記載のシステム。
[項目8]
前記複数の電圧センサは、前記バッテリ回路内の第1のセンサループ上に配設された第1の電圧センサのセット、及び、第2のセンサループ上に配設された第2の電圧センサのセットを含む、項目1から5のいずれか一項に記載のシステム。
[項目9]
バッテリパックを管理するための方法であって、前記バッテリパックは、複数のバッテリユニットを備え、各バッテリユニットは、並列に接続された1つ又は複数のバッテリセルのセットを有し、前記複数のバッテリユニットは、正常なバッテリ動作において、規定された正常電圧範囲を有し;前記方法は:
バッテリユニット内の電圧測定ポイントで、第1の電圧センサを用いて第1の電圧読み取りを行い、かつ、第2の電圧センサを用いて第2の電圧読み取りを行う段階;
前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の各々が、前記規定された正常電圧範囲における電圧の範囲内読み取り値であるか、又は、前記規定された正常電圧範囲から外れた電圧の範囲外読み取り値であるかを判定する段階;及び
前記判定する段階に基づき、前記バッテリユニットの動作状態を特徴付ける段階
を備える、バッテリパックを管理するための方法。
[項目10]
前記バッテリユニットの前記動作状態を特徴付ける段階は、前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧読み取り値である場合に、前記バッテリユニットの前記動作状態をバッテリ故障のうちの1つとして特徴付ける段階を有する、項目9に記載の方法。
[項目11]
前記バッテリユニットの前記動作状態を特徴付ける段階は、前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である場合に、前記バッテリユニットの前記動作状態を電圧センサ故障のうちの1つとして特徴付ける段階を有する、項目9に記載の方法。
[項目12]
前記複数のバッテリユニットはリチウムイオンセルを含む、項目9から11のいずれか一項に記載の方法。
[項目13]
前記複数のバッテリユニットは、約2.0ボルト~4.5ボルトの前記規定された正常電圧範囲を有する、項目12に記載の方法。
[項目14]
バッテリパックの動作を管理するための方法であって、前記バッテリパックは:
複数のバッテリセルを備え、前記複数のバッテリセルは、複数のバッテリセルのグループとして1つ又は複数のモジュール内で並列に配置されており、前記1つ又は複数のモジュールは、バッテリ回路内で互いに直列に接続されており、前記複数のバッテリセルは、正常なバッテリ動作において、事前定義された正常電圧範囲を有し、前記方法は:
前記バッテリパック内に複数の電圧センサを配備する段階、前記複数の電圧センサは、電圧センサのペアを含み、電圧センサの各ペアは、それぞれのモジュールに関連付けられており、各ペアは:
前記それぞれのモジュール内の測定ポイントで第1の電圧読み取りを行うように構成された第1の電圧センサ;及び
前記それぞれのモジュール内の前記測定ポイントで第2の電圧読み取りを行うように構成された第2の電圧センサ;
を含み、
電圧センサの前記ペアを用いて第1の電圧読み取り及び第2の電圧読み取りを行う段階;及び
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を収集及び処理する段階
を備える、バッテリパックの動作を管理するための方法。
[項目15]
前記方法は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値の両方が範囲外の電圧読み取り値である事例をバッテリ故障の事例として特徴付ける段階を更に有する、項目14に記載の方法。
[項目16]
前記方法は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値のうちの1つのみが範囲外の電圧読み取り値である事例を電圧センサ故障の事例として特徴付ける段階を更に有する、項目14に記載の方法。
[項目17]
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を処理する段階は、特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲外の第1の電圧読み取り値に代えて、前記特定のモジュールの前記測定ポイントでの範囲内の第2の電圧読み取り値を用いる段階を有する、項目14に記載の方法。
[項目18]
前記バッテリパックの動作を管理するために電圧センサの前記ペアによって行われた前記第1の電圧読み取り値及び前記第2の電圧読み取り値を処理する段階は、前記バッテリパックの動作を管理するために、範囲内の第1の電圧読み取り値及び代用の範囲内の第2の電圧読み取り値のみを処理する段階を有する、項目14に記載の方法。
[項目19]
前記複数のバッテリセルはリチウムイオンセルである、項目14から18のいずれか一項に記載の方法。
[項目20]
前記複数のバッテリセルは、正常な動作において、約2.0ボルト~4.5ボルトの前記事前定義された正常電圧範囲を有する、項目19に記載の方法。
【国際調査報告】