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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】アサ科細胞の形質転換
(51)【国際特許分類】
   A01H 1/00 20060101AFI20240925BHJP
   A01H 6/28 20180101ALI20240925BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20240925BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
A01H1/00 Z ZNA
A01H6/28
A01H5/00 A
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516739
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022033275
(87)【国際公開番号】W WO2023043511
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,301
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SILWET
(71)【出願人】
【識別番号】511276161
【氏名又は名称】サイバス オイローペ ベスローテン ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【弁理士】
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】ダ シルヴァ コンセイソン,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カーツ,ブレイディ
(72)【発明者】
【氏名】アップガード,アンダース
(57)【要約】
本開示の例示的な方法は、アサ科種子を水和溶液中に浸すことと、浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除して、アサ科分裂組織領域又は胚軸(EA)を抽出することと、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換させることと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水和溶液中にアサ科種子を浸すことと、
前記浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除して、アサ科分裂組織領域又は胚軸(EA)を抽出することと、
前記アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、前記アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記胚組織のサブセットを切除することが、前記浸されたアサ科種子の子葉のいずれも除去することなく、種皮を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記胚組織のサブセットを切除することが、前記浸されたアサ科種子の種皮と、子葉のうちの1つと、を除去すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記胚組織のサブセットを切除することが、種皮を除去することと、前記浸されたアサ科種子の小根を切断することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記胚組織のサブセットを切除することが、前記浸されたアサ科種子の種皮、子葉の両方、及び葉原基を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記胚組織のサブセットを切除することが、前記浸されたアサ科種子の種皮、子葉のうちの1つ、及び葉原基を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
チジアズロン(TDZ)を含む培養培地を使用して、前記形質転換されたアサ科細胞から組織を再生することを更に含み、前記組織が苗条、根、根毛構造及び完全植物のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組織を再生することが、前記培養培地を使用して前記形質転換されたアサ科細胞からの苗条の形成を誘導することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記培養培地が、約1ミリグラム(mg)/リットル(L)~約20mg/LのTDZを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記形質転換されたアサ科細胞又は前記形質転換されたアサ科細胞から再生された組織を、前記形質転換されたアサ科細胞又は前記形質転換されたアサ科細胞から再生された組織をスクリーニングするための選択剤を使用して、前記異種ヌクレオチド配列の発現についてスクリーニングすることを更に含み、前記選択剤が、カナマイシンA(kan)、g418、スペクチノマイシン及びグリホサートから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アサ科分裂組織領域又はEAを前記異種ヌクレオチド配列に曝露することが、前記アサ科分裂組織領域又はEAを、前記異種ヌクレオチド配列を有する細菌株と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アサ科分裂組織領域又はEAを前記異種ヌクレオチド配列に曝露することが、前記アサ科分裂組織領域又はEAを、前記異種ヌクレオチド配列を有するように形質転換された前記細菌株を含む感染培地に曝露することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記感染培地を除去することと、
前記アサ科分裂組織領域又はEAを閾値期間共培養することと、
前記アサ科分裂組織領域又はEAを選択培地中で培養して、形質転換されたアサ科分裂組織領域又はEAを選択することと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記感染培地が、チジアズロン(TDZ)、メトラクロール、硫酸マグネシウム、Tween、アセトシリンゴン(MTA)、チオール、GA3、GamborgのB5ビタミン、DKW塩、AB塩、グルコース、Silwet L-77、及びそれらの組合せを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記異種ヌクレオチド配列が、プロモータ及び場合によりスクリーニングマーカに作動可能に接続したレアカットエンドヌクレアーゼをコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
水和溶液中にアサ科種子を浸すことと、
前記浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除して、アサ科分裂組織領域又は胚軸(EA)を抽出することと、
前記アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、前記アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換することと、
チジアズロン(TDZ)を含む培養培地を使用して、前記形質転換されたアサ科細胞から組織を再生することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記培養培地が、約1ミリグラム(mg)/リットル(L)~約20mg/LのTDZを含む苗条誘導培地を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アサ科細胞を形質転換することが、前記アサ科分裂組織領域又はEAを、前記異種ヌクレオチド配列を有し、約0.1ミリグラム(mg)/リットル(L)~約2mg/LのTDZを含む細菌株を含む感染培地に曝露することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記組織を再生することが、
前記アサ科分裂組織領域又はEAを、前記TDZを含む苗条誘導培地(SIM)中で移送し、培養することと、
前記SIM中で培養した後、前記アサ科分裂組織領域又はEAを苗条伸長培地(SEM)中で移送し、培養することと、
により苗条の形成を誘導することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記組織を再生することが、前記異種ヌクレオチド配列への曝露後であり、前記SIMへの移送前に、約0.1(mg)/リットル(L)~約10mg/LのTDZを含む再生培地中で前記アサ科分裂組織領域又はEAを移送及び培養することによって回収を行うことを更に含み、前記SIMが約1mg/L~約20mg/LのTDZを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組織を再生することが、前記TDZを含む前記培養培地を使用して、前記形質転換されたアサ科細胞から苗条の形成を誘導することと、前記形成された苗条から根を誘導することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記形成された苗条から根を誘導することが、
前記形成された苗条を最小高さの苗条についてスクリーニングすることと、
一次根を誘導するために選択された最小高さの苗条を発根させることと、
新たな一次根及び根毛構造の形成を誘導するために、前記誘導された一次根を有する苗条を移送及び発根させることと、
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
一次根及び根毛構造を有する選択された苗条を土壌に移送することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法を使用して産生された形質転換されたアサ科外植片。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
資料の参照による組み込み
電子提出
その全体が参照により組み込まれるのは、コンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表であり、433kbのサイズのASCIIテキストファイルであり、本明細書と同時に提出され、以下:「C1633116111_SequenceListing_ST25」の通り識別され、2022年6月13日に作成された。
【0002】
アサ科(Cannabaceae)は、様々な樹木、直立性ハーブ、及び双生ハーブを含む双子葉顕花植物の科である。アサ科植物の例には、大麻植物、例えば工業用麻が含まれる。工業用麻は、0.3%未満のテトラヒドロカンナビノール(THC)を有する大麻植物品種である。工業用麻を栽培して、繊維、穀物、又はカンナビジオール(CBD)及びテルペン等の非中毒性医薬化合物を製造することができる。機能的ゲノミクス及び育種を使用して、目的の形質を有する新たなアサ科栽培品種を提供することができる。安定なトランスジェニック系統は、機能的ゲノミクスに有用である。アサ科植物は、形質転換に対して抵抗性であり得る。遺伝的育種及び他の用途のために、アサ科の形質転換及び再生効率を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、アサ科分裂組織領域又は胚軸(EA)等のアサ科植物細胞を形質転換し、形質転換された細胞を様々な分化した植物組織、部分植物及び植物全体に再生するための方法及び材料を特徴とする。本明細書に記載される方法は、遺伝子型特異的形質転換及び再生系の系統的設計を含む。更なる実施形態は、遺伝子型特異的形質転換及び再生システムを実施して、目的の1つ又は複数の形質を有するアサ科分裂組織領域又はEAに由来するクローン材料から形質転換アサ科植物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの態様は、アサ科種子を水和溶液中に浸すことと、浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除して、アサ科分裂組織領域又はEAを抽出することと、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換させることと、を含む方法に関する。
【0005】
いくつかの態様は、アサ科種子を水和溶液中に浸すことと、浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除して、アサ科分裂組織領域又はEAを抽出することと、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換させることと、を含む方法に関する。
【0006】
いくつかの態様では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の子葉のいずれも除去することなく、種皮を除去することを含む。
【0007】
いくつかの態様では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の種皮と、子葉のうちの1つと、を除去することを含む。
【0008】
いくつかの態様では、胚組織のサブセットを切除することは、種皮を除去することと、浸されたアサ科種子の小根を切断することとを含む。
【0009】
いくつかの態様では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の種皮、子葉の両方、及び葉原基を除去することを含む。
【0010】
いくつかの態様では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の種皮、子葉のうちの1つ、及び葉原基を除去することを含む。
【0011】
いくつかの態様では、方法は、チジアズロン(TDZ)を含む培養培地を使用して、形質転換されたアサ科細胞から組織を再生することを更に含み、組織は苗条、根、根毛構造及び完全植物のうちの1つ以上を含む。
【0012】
いくつかの態様では、組織を再生することは、培養培地を使用して形質転換されたアサ科細胞からの苗条の形成を誘導することを含む。
【0013】
いくつかの態様では、培養培地は約1ミリグラム(mg)/リットル(L)~約20mg/LのTDZを含む。
【0014】
いくつかの態様では、方法は、形質転換されたアサ科細胞又は形質転換されたアサ科細胞から再生された組織を、形質転換されたアサ科細胞又は形質転換されたアサ科細胞から再生された組織をスクリーニングするための選択剤を使用して、異種ヌクレオチド配列の発現についてスクリーニングすることを更に含み、選択剤は、カナマイシンA(kan)、g418、スペクチノマイシン及びグリホサートから選択される。
【0015】
いくつかの態様では、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露することは、アサ科分裂組織領域又はEAを、異種ヌクレオチド配列を有する細菌株と接触させることを含む。
【0016】
いくつかの態様では、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露することは、アサ科分裂組織領域又はEAを、異種ヌクレオチド配列を有するように形質転換された細菌株を含む感染培地に曝露することを含む。
【0017】
いくつかの態様では、方法は、感染培地を除去することと、アサ科分裂組織領域又はEAを閾値期間共培養することと、アサ科分裂組織領域又はEAを選択培地中で培養して、形質転換されたアサ科分裂組織領域又はEAを選択することと、を更に含む。
【0018】
いくつかの態様では、感染培地は、チジアズロン(TDZ)、メトラクロール、硫酸マグネシウム、Tween、アセトシリンゴン(MTA)、チオール、GA3、GamborgのB5ビタミン、DKW塩、AB塩、グルコース、Silwet L-77、及びそれらの組合せを含む。
【0019】
いくつかの態様では、異種ヌクレオチド配列が、プロモータ及び場合によりスクリーニングマーカに作動可能に接続したレアカットエンドヌクレアーゼをコードする。
【0020】
いくつかの態様は、水和溶液中にアサ科種子を浸すことと、浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除して、アサ科分裂組織領域又はEAを抽出することと、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換することと、チジアズロン(TDZ)を含む培養培地を使用して、形質転換されたアサ科細胞から組織を再生することと、を含む、方法に関する。
【0021】
いくつかの態様では、培養培地は、約1mg/L~約20mg/LのTDZを含む苗条誘導培地を含む。
【0022】
いくつかの態様では、アサ科細胞を形質転換することは、アサ科分裂組織領域又はEAを、異種ヌクレオチド配列を有し、約0.1mg/L~約2mg/LのTDZを含む細菌株を含む感染培地に曝露することを含む。
【0023】
いくつかの態様では、組織を再生することは、アサ科分裂組織領域又はEAを、TDZを含む苗条誘導培地(SIM)中で移送し、培養することと、SIM中で培養した後、アサ科分裂組織領域又はEAを苗条伸長培地(SEM)中で移送し、培養することと、により苗条の形成を誘導することを含む。
【0024】
いくつかの態様では、組織を再生することは、異種ヌクレオチド配列への曝露後であり、SIMへの移送前に、約0.1mg/L~約10mg/LのTDZを含む再生培地中でアサ科分裂組織領域又はEAを移送及び培養することによって回収を行うことを更に含み、SIMが約1mg/L~約20mg/LのTDZを含む。
【0025】
いくつかの態様では、組織を再生することは、TDZを含む培養培地を使用して、形質転換されたアサ科細胞から苗条の形成を誘導することと、形成された苗条から根を誘導することと、を含む。
【0026】
いくつかの態様では、形成された苗条から根を誘導することは、形成された苗条を最小高さの苗条についてスクリーニングすることと、一次根を誘導するために選択された最小高さの苗条を発根させることと、新たな一次根及び根毛構造の形成を誘導するために、誘導された一次根を有する苗条を移送及び発根させることと、を含む。
【0027】
いくつかの態様では、方法は、一次根及び根毛構造を有する選択された苗条を土壌に移送することを更に含む。
【0028】
いくつかの態様は、本明細書に記載の方法のいずれかを使用して産生された形質転換されたアサ科外植片に関する。
【0029】
添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮すると、様々な例示的な実施形態をより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な方法を示すフロー図である。
図2】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な方法を示す別のフロー図である。
図3】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAの形質転換されたアサ科細胞から形質転換アサ科組織を再生するための例示的スキームを示す図である。
図4】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞に異種配列を送達するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5A】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5B】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5C】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5D】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5E】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5F】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5G】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5H】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図5I】本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す図である。
図6A】は本開示と一致する、表1の試料からの例示的な画像を含む図である。
図6B】は本開示と一致する、表1の試料からの例示的な画像を含む図である。
図7A】本開示と一致する、細菌株で形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図7B】本開示と一致する、細菌株で形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図8】本開示と一致する、図7A~7Bに示す細菌株で形質転換された大麻実生外植片から再生された植物の画像である。
図9】本開示と一致する、図8に示す再生植物からのPCRデータの画像である。
図10A】本開示と一致する、細菌株で形質転換された大麻の分裂組織領域の画像である。
図10B】本開示と一致する、細菌株で形質転換された大麻の分裂組織領域の画像である。
図11】本開示と一致する、細菌株で一時的に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図12A】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図12B】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図12C】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図13A】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻EAの画像である。
図13B】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻EAの画像である。
図14A】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図14B】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図15A】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図15B】本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。
図16A】本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
図16B】本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
図16C】本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
図16D】本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
図16E】本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
図16F】本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
図16G】本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
図17A】本開示と一致する、異なる培地で外植片の形質転換を評価する実験からの外植片の画像である。
図17B-17C】本開示と一致する、異なる培地で外植片の形質転換を評価する実験からの外植片の画像である。
図17D】本開示と一致する、異なる培地で外植片の形質転換を評価する実験からの外植片の画像である。
図17E】本開示と一致する、異なる培地で外植片の形質転換を評価する実験からの外植片の画像である。
図17F】本開示と一致する、異なる培地で外植片の形質転換を評価する実験からの外植片の画像である。
図18A】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18B】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18C】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18D】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18E】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18F】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18G】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18H】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
図18I】本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の態様は、アサ科種子から形質転換されたアサ科細胞株、植物及び植物部分、例えば種子部分の分裂組織領域又はアサ科EAを産生するための種々の方法に関する。これらの方法は、アサ科種子からアサ科分裂組織領域又はEAを抽出することと、異種ヌクレオチド配列への曝露によってアサ科分裂組織領域又はEAの細胞を形質転換することと、を含み得る。曝露は、細胞の形質転換を引き起こすことができ、形質転換された細胞は、植物部分又は植物全体等の形質転換されたアサ科組織を再生するために使用することができる。本開示の植物、植物部分及び植物細胞は、特定のアサ科品種を生産するために使用することができる。いくつかの実施形態では、植物、植物部分及び植物細胞を使用して、特定の形質及び/又は表現型を有する新しい品種又はハイブリッドを開発することができる。本発明は必ずしもそのような用途に限定されないが、本発明の様々な態様は、この文脈を使用した様々な実施形態の説明を通して理解され得る。
【0032】
アサ科植物は様々な目的で使用されている。例えば、アサ科植物の一種である大麻は、成長の早い植物であり、食品、建築又は衣料材料、バイオマス、塗料、紙、及び他の材料源の低コスト源として、並びに医薬品又はレクリエーション目的のために使用することができる。特定の形質及び/又は品種を提供するために、組織培養において遺伝子編集技術を使用して植物を形質転換することができる。しかしながら、組織培養中のアサ科植物細胞は、クローン植物及びインタクト植物を形成し続ける胚形成性細胞を産生するために非応答性又は抵抗性であり得る。本開示の実施形態は、植物部分又は植物全体等の形質転換植物組織を形成するように再生することができる、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科植物細胞を形質転換することに関する。
【0033】
様々な実施形態では、アサ科分裂組織領域又はEAは、アサ科種子から調製される。例えば、アサ科種子全体を滅菌し、水和液中に浸すことができ、浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除して、アサ科分裂組織領域又はEAを抽出することができる。次いで、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換する。異種ヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコードすることができ、アサ科細胞に変異を引き起こすことができる。組織は、異種ヌクレオチド配列を発現する形質転換されたアサ科細胞から再生され得る。いくつかの実施形態では、再生組織は、形質転換によって引き起こされる特定の形質を示す植物部分又は完全なアサ科植物を含むことができる。
【0034】
ここで図面を参照すると、図1は、本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な方法を示すフロー図である。方法100は、異種ヌクレオチド配列を発現するように形質転換されたアサ科細胞から形質転換されたアサ科組織を再生するために使用することができる。
【0035】
101において、方法は、アサ科種子を水和溶液に浸すことを含む。いくつかの実施形態では、種子は完全に成熟しており、傷のない種皮を有し、及び/又は細菌、真菌若しくは他の有害生物ベクターを含まない。例えば、水和溶液は、滅菌蒸留水又はddHO等の水を含むことができる。いくつかの実施形態では、アサ科種子の一定期間、水和溶液への曝露及び/又は回転シェーカーの使用を行うことによって、アサ科種子を浸すことができる。例えば、アサ科種子を滅菌水を入れた50mLチューブに入れ、10~24時間回転振盪機に置くことができる。いくつかの実施形態では、アサ科種子は、とりわけ他の範囲の中でも、16~20時間、10~14時間、12~14時間、14~16時間、16~18時間、又は18~20時間、回転シェーカー上に置くことができる。いくつかの実施形態では、アサ科種子を、滅菌濾紙及び2~3mLの滅菌水を含む100×25mmペトリ皿に入れ、密封し、とりわけ他の範囲の中でも、16~20時間、10~14時間、12~14時間、14~16時間、16~18時間、又は18~20時間浸すことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、アサ科種子を浸す前に、方法100は、アサ科種子を滅菌することを含むことができる。いくつかの実施形態では、アサ科種子は、瘢痕化及び過酸化水素を使用して滅菌することができる。アサ科種子を硫酸等の酸に曝露することによって、瘢痕化をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、アサ科種子を1秒~30秒間酸に曝露することができ、次いで酸を除去し、種子を滅菌水ですすぎ、アサ科種子を過酸化水素又は別の滅菌剤に1~30分間曝露する。しかしながら、これに限られることはなく、例えば、エタノール、次亜塩素酸塩(NaClO又はCa(ClO))、塩化ベンザルコニウム、硝酸銀、塩化水銀及び過酸化水素からなる群等の1種又は2種以上の殺菌剤を含む殺菌液を用いてアサ科種子を殺菌することを挙げることができる。滅菌溶液は、0.01体積%~約95体積%の範囲内で滅菌剤を含有することができる。アサ科種子は、0.1~約30分間滅菌溶液に曝露することができる。滅菌溶液は、ポリソルベート(例えば、TWEEN20又はTWEEN80)又は他の非イオン性界面活性剤等の穏やかな洗剤を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、アサ科種子を、約10%の過酸化水素を含む滅菌溶液で洗浄することができる。アサ科種子を滅菌50mLコニカルチューブに入れ、滅菌溶液を添加することができる(例えば、50mLチューブを回転シェーカー上に置くことによって)。溶液に浸漬した後、アサ科種子を数回すすぐことができる。例えば、滅菌したアサ科種子を滅菌蒸留水で3~5回、各すすぎ1~10分間すすぐことができる。滅菌後、乾燥を防ぐために、層流キャビネット内の密封ペトリ皿内の蒸留水中にアサ科種子を保持することができる。
【0037】
103において、方法100は、アサ科分裂組織領域又はEAを抽出するために、浸されたアサ科種子から胚組織のサブセットを切除することを含む。本明細書で使用される場合、「アサ科EA」は、子葉を含まず、幼芽と小根との間の種子の一部を含む。「分裂組織領域」には、成長が起こり得る植物の区域に見られる未分化細胞(分裂組織細胞)を含む植物組織が含まれる。アサ科EAは、幼芽、小根及び胚軸を含み得る。子葉の付着点と小根との間の胚の部分は、胚軸と呼ばれる。EAは、根が発生する領域である小根で終わる。発芽後、胚は実生に起源を与えることができる。いくつかの実施形態では、分裂組織領域の未分化細胞は、成長が起こり得る植物の区域に見られる植物(分裂組織細胞)に成長及び再生する能力を有することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の子葉のいずれも除去することなく、種皮を除去することを含み得る。例えば、滅菌鉗子又は他の切除器具(例えば、メス、ハサミ)を使用して、種皮及び胚組織を除去することができる。いくつかの実施形態では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の種皮と、子葉のうちの1つと、を除去することを含む。子葉の1つ等の胚組織のサブセットを切除することは、全ての胚組織を切除することと比較して、抽出の時間及びコストを低減することができ、組織を破壊するリスクも低減することができる。いくつかの実施形態では、胚組織のサブセットを切除することは、種皮を除去することと、浸されたアサ科種子の小根を切断することとを含む。いくつかの実施形態では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の種皮、子葉の両方、及び葉原基を除去することを含む。更なる実施形態では、胚組織のサブセットを切除することは、浸されたアサ科種子の種皮、子葉のうちの1つ、及び葉原基を除去することを含む。上記のように、子葉の1つを除去することは、胚組織の全てを切除することと比較して組織損傷を軽減することができ、それによって形質転換効率を改善し、形質転換に関連する時間及びコストを削減する。様々な実施形態では、滅菌鉗子を使用して種皮を除去し、次いで胚を分裂組織領域又はEA抽出の準備が整う。例えば、鉗子を使用して種子を保持し、メス刃を使用して子葉の一方又は両方を切り落とすことができる。分裂組織への損傷を防止又は緩和するように注意を払うことができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の子葉を除去した後、メス刃を使用して、分裂組織の損傷を防止又は軽減するように注意しながら、葉原基を除去することができる。
【0039】
105において、方法100は、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露して、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞を形質転換することを含む。異種ヌクレオチド配列は、アサ科細胞によって発現される及び/又はアサ科細胞の形質転換を引き起こすポリペプチドをコードすることができる。例えば、異種配列は、目的の遺伝子をコードすることができる。異種ヌクレオチド配列の発現に応答して、形質転換されたアサ科細胞を使用して、目的の遺伝子に関連する1つ以上の形質を示す組織、植物部分、又は植物全体を再生することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、アサ科細胞は、細菌媒介形質転換を使用して形質転換される。例えば、アサ科分裂組織領域又はEAを異種ヌクレオチド配列に曝露することは、アサ科分裂組織領域又はEAを、異種ヌクレオチド配列を有する細菌株と接触させることを含む。細菌株は、異種ヌクレオチド配列を有するように形質転換することができる。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に更に記載されるように、アサ科分裂組織領域又はEAを形質転換細菌株を含む感染培地に曝露することによってアサ科細胞を形質転換することを含む。
【0041】
細菌株は、目的の遺伝子を発現する等、異種ヌクレオチド配列の発現を誘導するように形質転換された任意の株を含むことができる。細菌株は、リゾビウム株又はアグロバクテリウム株等のリゾビウム株を含むことができる。いくつかの実施形態では、細菌株は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)又は以前はアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)(A.リゾゲネス)として知られていたリゾビウム・リゾゲネス(Rhizobium rhizogenes)株(R.リゾゲネス)を含む。リゾビウム株には、感染植物に疾患症状を引き起こし、根誘導(Ri)プラスミド又は腫瘍誘導(Ti)プラスミドに含まれるT-DNAが含まれる。いくつかの実施形態では、Ti又はRiプラスミドを保有する野生型又はディスアームド株を使用することができる。例えば、リゾビア(Rhizobia)株は、T-DNAプロセシング、移入及び組み込みを媒介する完全なvir遺伝子機能を保持するが、ヘルパーTi又はRiプラスミド中の癌遺伝子を除去するという点で除菌することができる。細菌株は、バイナリーベクター中に目的の遺伝子を含有する第2のT-DNAを含む。形質転換中、ヘルパーTiプラスミドによってコードされる病原性タンパク質は、細菌から植物へのバイナリーベクター上のT-DNAの移入を助けるためにトランスで作用する。細菌株由来のT-DNAは、植物部分に安定に組み込むことができる。例えば、植物組織のリゾビア感染から生じる組織は、Ri又はTiプラスミドからT-DNAを運び、それらの植物宿主との血管接続を形成する。
【0042】
一般に、細菌株は、異種ヌクレオチド配列を細菌株に(例えば、エレクトロポレーションによって)導入し、形質転換された細菌株を陽性に形質転換された細胞を選択する条件下で培養することによって感染のために調製される。いくつかの実施形態では、方法100は、特定の細菌株を選択することを含む。形質転換細胞の産生に有効な細菌株の選択は、感染させる植物種に依存し得、経験的に決定することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、Ti又はRiプラスミドを有するA.ツメファシエンス(A.tumefaciens)又はA.リゾビウム(A.rhizobium)の野生型及びディスアームド株を植物への遺伝子導入に使用することができる。例示的な株には、ノパリン型株、LBA4404等のオクトピン型株、スクシナモピン型株、例えばEHA101又はEHA105、並びにA.リゾゲネスアグロピン(A.rhizogenes agropine)、マンノピン(mannopine)及びククモピン(cucumopine)型株(例えば、MSU440、A13、1855、1193、A4、Qual、K599(AKANCPPB2659)、及びC58C1)に由来するA.ツメファシエンス(A.tumefaciens)が含まれるが、これらに限定されない。場合により、A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)株は、AGL1、EHA105、GV3101、ICF320、CryX、LBA4404、C58、A136、A208、A348、Ach5、EHA101、NT1RE、NT1RE(pJK270)、1D1108、1D1460、1D1609、1D132、1D1478及び1D1487からなる群から選択され、A.リゾビウム株はK599又はK599に由来する株である。
【0044】
核酸配列は、直接的又は間接的な植物形質転換法によって導入することができる。本開示の実施形態は、アサ科分裂組織領域又はEAにDNA片を注入するための活性化リゾビウム細菌の使用を含む。DNA片は、リゾビウム媒介形質転換のためのバイナリープラスミドに導入された発現カセットの一部であり得る。発現カセットは、従来の方法を用いて細菌に導入することができる。
【0045】
細菌媒介植物形質転換は、プラスミドにクローニングされたDNA断片によるリゾビウム株の活性化を含む。次いで、活性化されたリゾビウム株は、分裂組織領域又はEAの個々の植物細胞への形質転換に使用される。いくつかの実施形態では、T-DNAは、形質転換及び/又はアサ科分裂組織領域における形質転換体又は細胞内のEAの位置を確認するスクリーニングマーカのDNA配列を含む。例えば、スクリーニングマーカは、選択マーカ又は標識マーカを付与する遺伝子を含み得る。スクリーニングマーカは、目的の遺伝子と同じベクターに埋め込むことができ、又は別個のベクターとして送達することができる。標識マーカは、蛍光顕微鏡法を使用して検出することができる蛍光タンパク質(緑色蛍光タンパク質(GFP又はeGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、又は赤色蛍光タンパク質(RFP))等、視覚的、電気的、又は他の方法で検出することができる検出可能な標識を付与することができる。選択マーカは、毒性物質(例えば、選択剤)に対する耐性を付与することができる。植物形質転換のための選択マーカの例には、抗生物質又は除草剤等の毒性物質に対する耐性を付与する選択マーカが含まれる。例えば、選択マーカは、カナマイシン耐性遺伝子、g4198耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、又はグリホサート耐性遺伝子を含み得る。標識マーカの例としては、β-グルクロニダーゼ(GUS)、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、Ruby及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが挙げられる。スクリーニングマーカは、特定の組織における遺伝子の発現の空間パターンを定量又は可視化するのに有用であり得、遺伝子発現の調査のために遺伝子又は遺伝子調節配列に融合され得るので、レポーター遺伝子と呼ばれることが多い。例えば、GFP変異体である黄色蛍光タンパク質(YFP)を使用して、リゾビウムが外来DNAを取り込むことができる植物細胞を示すことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、遺伝子編集試薬を含む。遺伝子編集試薬は、レアカットエンドヌクレアーゼ又はその一部(例えば、サブユニット)を含むことができる。レアカットエンドヌクレアーゼは、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、又はクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)ヌクレアーゼ試薬であり得る。例えば、レアカットエンドヌクレアーゼは、Baker,Nature Methods 9:23-26,2012;Belahj et al.,Plant Methods,9:39,2013;Gu et al.,Nature,435:1122-1125,2005;Yang et al.,Proc Natl Acad Sci USA,103:10503-10508,2006;Kay et al.Science,318:648-651,2007;Sugio et al.,Proc Natl Acad Sci USA,104:10720-10725,2007;Romer et al.Science,318:645-648,2007;Schornack et al.,J Plant Physiol,163:256-272,2006;及び国際公開第2011/072246号に記載されるように埋め込まれ、これらはそれぞれ、その教示のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ベクターは、標的部位に結合し、標的部位で変異を引き起こす第1及び第2のTALEN及び結合ドメインをコードするTALEN配列を含むことができる。第1のTALENは、第1の結合ドメインに関連する第1の標的部位又はその近傍に二本鎖切断を生成することができ、第2のTALENは、第2の結合ドメインに関連する第2の標的部位又はその近傍に二本鎖切断を生成することができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の結合ドメインは、標的遺伝子と会合することができる。いくつかの実施形態では、TALEN配列を二次導入遺伝子と共に植物組織に共送達して、ウイルス(例えば、毛状根)導入遺伝子と共に二次導入遺伝子の発現を引き起こすことができる。
【0048】
上記のように、例はTALENに限定されず、とりわけCRISPR/Cas系(例えば、Belahj et al.,Plant Methods,9:39,2013を参照のこと)を含むことができ、又は遺伝子編集試薬を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、Cas9エンドヌクレアーゼ及びガイドRNAを使用することができる(CRISPRRNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)との複合体、又はcrRNAの3’末端とtracrRNAの5’末端との合成融合物(sgRNA)のいずれか)。ガイドRNAは、Cas9結合及びDNA切断を、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に隣接する相同配列に向ける。標的DNA配列に到達すると、Cas9は、crRNA標的化配列の3’末端から3ヌクレオチドの位置にDNA二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、このアプローチ又は他のアプローチ、例えばZFN及び/又はメガヌクレアーゼを、改変された植物部分を得るためにTALEヌクレアーゼに加えて使用することができる。
【0049】
様々な実施形態では、細菌株は、アサ科分裂組織領域又はEA及び関連細胞を感染及び形質転換するために使用される感染培地の一部を形成することができる。感染培地は、形質転換細菌株、基礎塩、糖、及び成長ホルモン及び/又は植物成長調節剤を含み得る。植物成長調節剤は、植物成長を改変する、例えば再生を誘導する化合物を指すか、又は含む。いくつかの実施形態では、植物成長調節剤は、チジアズロン(TDZ)を含む。例えば、感染培地は、約1ミリグラム(mg)/リットル(L)のTDZを含み得る。しかし、実施形態はそのように限定されず、他の成長ホルモン又は調節因子及び/又は他の濃度のTDZ、例えばとりわけメタトポリン、メトラクロール又は硫酸マグネシウムを含み得る。いくつかの実施形態では、感染培地は、硫酸マグネシウム、Tween、及びアセトシリンゴン(MTA)を含む。いくつかの実施形態では、感染培地TDZ、メトラクロール、硫酸マグネシウム、Tween、アセトシリンゴン(MTA)、チオール(例えば、DTT、STS、L-システイン)、GA3、GamborgのB5ビタミン、DKW塩、AB塩、グルコース、及びそれらの組合せ。いくつかの実施形態では、感染培地は、約0.1mg/L~約2mg/LのTDZを含む。いくつかの実施形態では、感染培地は、とりわけ他の範囲の中でも、約0.1mg/L~約1.5mg/L、約0.1mg/L~約1.0mg/L、約0.1mg/L~約0.5mg/L、約0.5mg/L~約2mg/L、約1.0mg/L~約2mg/L、約1.5mg/L~約2mg/L、約0.5mg/L~約1.5mg/L、約0.5mg/L~約1.0mg/L、約1.0mg/L~約1.5mg/LのTDZを含む。
【0050】
分裂組織領域又はEAを細菌株に露出させることは、分裂組織領域又はEAの細胞の細胞内空間に細菌株を導入することを含み得る。例えば、核酸配列を保有する細菌株は、アサ科分裂組織領域又はEAを感染培地中の細菌懸濁液に浸すことによって細胞内空間に導入することができる。いくつかの実施形態では、分裂組織領域又はEAは、細胞壁をより透過性にする化学処理(例えば、セルラーゼ、ペクチナーゼ又はマセロザイム等の浸軟酵素による処理)を受けることができる。形質転換効率は、ドナー材料を真空浸透、熱ショック及び/又は遠心分離、及び超音波処理に供することによって高めることができる。
【0051】
様々な実施形態では、形質転換は、細菌培養物を調製すること、接種すること、及び共培養することを含み得る。例えば、アサ科分裂組織領域又はEAを接種するための目標濃度の感染培地に培養及び懸濁することにより調製することができる。細菌培養物は、筋状プレートから接種することができ、細菌細胞を洗浄し、アサ科分裂組織領域又はEAの接種に適した培養培地に再懸濁する。いくつかの実施形態では、細菌は、初期スターター培養物として栄養リッチ液体培地中で約8時間増殖させることができ、スターター培養物を使用して、アグロバクテリウム最小増殖(AB)培地を含有する振盪フラスコに接種し、約20~24時間増殖させることができる。
【0052】
接種に使用される細菌培養物の密度及びアサ科分裂組織領域又はEAに対する細菌細胞の比は変化し得る。例えば、過剰増殖を防ぐために、感染培地中の細菌の濃度を変えることができる。細菌密度を最適化することにより、形質転換を促進することができる。細菌密度は、10,000,000~1,000,000,000cfu/mLに相当する0.4~0.9のOD600(nm)の範囲内で変化させることができる。いくつかの実施形態では、培養物は、少なくとも0.7から1.5の細菌密度まで増殖又は希釈される。
【0053】
酸化ストレス及び/又は細菌の過剰増殖を緩和することによって感染率及び形質転換率を改善するために、感染培地に1つ又は複数の化合物を補充することができる。例えば、感染培地は、有効量のチオール又は関連する硫黄含有化合物等の酸化防止剤を含むことができる。適切なチオール化合物としては、L-システイン、ジチオスレイトール(DTT)及びチオ硫酸ナトリウムが挙げられる。感染培地は、上述のように、他の化学物質(例えば、TDZ、メタトポリン、グリホサート)を含むことができる。感染培地はまた、アセトシリンゴン等のアグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換効率を高める化合物を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、方法100は、例えば前述のスクリーニングマーカを使用して、形質転換されたアサ科細胞をスクリーニングすることを更に含むことができる。そのような実施形態は、アサ科分裂組織領域、EA、及び/又は異種ヌクレオチド配列によってコードされる1つ以上のタンパク質を発現する細胞を選択するための選択プロトコルの使用を含む。前述のように、異種ヌクレオチド配列は、場合によりスクリーニングマーカをコードすることができる。スクリーニングマーカは、形質転換されたアサ科分裂組織領域、EA、及び/又は細胞を同定するため、及び/又は形質転換されたアサ科分裂組織領域、EA、及び/又は細胞と形質転換されていないアサ科分裂組織領域とを区別するために使用することができる。例えば、ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)発現の選択は、他の炭素源の制限を伴う培地へのマンノースの添加を含む。形質転換された細胞及び/又は組織は、様々な方法によって同定することができ、そのいくつかを以下に記載する。
【0055】
上記のように、スクリーニングマーカは、標識マーカ及び/又は選択マーカを含むことができる。標識マーカは、標識の視覚的、電気的、又は他の識別を可能にする。標識マーカの例としては、YFP、RFP、ベタライン、及び漂白を引き起こすPDS編集が挙げられる。通常、発現は自発的に起こる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列の発現は、例えば、生物因子又は非生物因子の変化によって誘導される。標識マーカに関連する遺伝子の発現は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、ノーザンブロッティング、ドットブロットハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、核ランオン及び/又は核ランオフ、RNase保護、又はELISA、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロッティング等の免疫学的及び酵素的方法によって測定することができる。組織を、標識マーカの発現についてアッセイすることができる。蛍光タンパク質マーカの発現は、UV励起、蛍光顕微鏡法又はフローサイトメトリーによって可視化することができる。形質転換効率を計算し、従来の方法と比較することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、選択マーカを発現するように形質転換されていないアサ科細胞及び/又は組織を中和する(例えば、死滅させる)ために選択剤を使用することができる。例えば、選択マーカは、抗生物質又は除草剤等の毒性物質であり得る選択剤に対する耐性を付与する遺伝子に関連し得る。いくつかの実施形態では、方法100は、形質転換されたアサ科細胞又は形質転換されたアサ科細胞から再生された組織をスクリーニングするために選択剤を使用することを含む。例えば、選択マーカは、カナマイシン等の抗生物質を含むか又はそれと会合することができ、カナマイシンに対する耐性を提供することができる。十分な量のカナマイシンに曝露された場合、形質転換されていないアサ科分裂組織領域及び/又はEAは死滅し、形質転換されたアサ科分裂組織領域及び/又はEAは生存することができる。選択剤の例としては、カナマイシンA(kan)、g418、スペクチノマイシン及びグリホサートが挙げられる。
【0057】
方法100は、図2によって更に図示及び記載されるように、101及び103におけるアサ科分裂組織領域及び/又はEA調製、105におけるアサ科細胞の形質転換、並びに形質転換されたアサ科細胞からの組織の再生を含み得る。調製は、アサ科種子を浸すこと、及びアサ科分裂組織領域又はEAを産生するために胚性物質のサブセットを除去することを含み得る。アサ科細胞の形質転換は、細菌培養物の調製、接種及び共培養を含み得る。共培養後、組織を再生することができる。組織を再生することは、感染したアサ科分裂組織領域又はEAから苗条形成を誘導すること、苗条を伸長させること、及び苗条を発根させることによって苗条から根形成を誘導することを含み得る。方法100は、アサ科分裂組織領域又はEAが異種ヌクレオチド配列に曝露された後2~15週間以内に、形質転換されたアサ科植物部分を提供することができる。本開示の材料及び方法は、アサ科のための効率的な形質転換系の開発を可能にする。
【0058】
接種は、約20~28℃(℃)、約23~28℃、約24~26℃又は約25℃の温度で行うことができる。懸濁液との接触時間は、約1分未満(短時間浸漬)~約3時間の範囲であり得る。接種後、過剰の細菌懸濁液を除去することができ(例えば、滅菌ddH2O中でのブロッティング又はリンスによって)、EAを共培養培地上にプレーティングする。
【0059】
異なる植物組織培養培地を共培養工程に使用することができる。インビトロ条件下でのアサ科分裂組織領域又はEAと細菌の共培養は、持続時間、温度、放射照度、並びに/又は培地組成及びpHに関して最適化することができる。他の実施形態では、滅菌水で湿らせた滅菌濾紙を共培養工程に使用することができる。いくつかの実施形態では、アサ科分裂組織領域又はEAを閾値期間共培養した。例えば、1~4日間の共培養で形質転換を成功させるのに十分であり得るが、形質転換効率を高める必要がある難治性遺伝子型にはより長い期間(例えば、5~7日間)を利用することができる。インキュベーションのための温度は、18~25℃、又は20~23℃、例えば約23℃の範囲であり得る。共培養は、光又は光制限条件で行うことができる。照明条件は、植物遺伝子型に最適化することができる。いくつかの実施形態では、共培養は、2~4日間の共培養のために23±1℃の周囲光で行われる。
【0060】
共培養後、いくつかの実施形態では、形質転換された分裂組織領域及び/又はEAを抗生物質溶液ですすぎ、過剰な細菌を除去することができる。抗生物質リンス溶液は、セフォタキシム、チメンチン、又はカルベニシリン等の1つ又は複数の抗生物質からなることができる。抗生物質リンス後、形質転換された分裂組織領域及び/又はEAを選択培地(例えば、SIM)上にプレートすることができる。選択培地は、基礎塩、及び抗生物質(例えば、カルベニシリン、チカルシリン、クラブラン酸、アンピシリン、スペクチノマイシン及び/又はセフォタキシム)等の細菌増殖を阻害する薬剤を含むことができる。選択培地の例には、基礎塩(例えば、DKW)及びビタミン(例えば、B5ビタミン)、並びに有効量の以下のもの:糖(例えば、スクロース、グルコース、マルトース)、約5.4~6の範囲内のpHを維持するための緩衝液(例えば、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES))及び抗生物質(例えば、セフォタキシム及びチカルシリンとクラブラン酸との組合せ(チメンチン)及び/又はスペクチノマイシン)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、選択培地は、選択剤を更に含むことができる。例えば、選択マーカがスペクチノマイシン耐性遺伝子であるspCNである場合、選択培地は有効量のスペクチノマイシン(例えば、最大150mg/L)を含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、汚染を低減又は排除するのを助けるために、変換された分裂組織領域及び/又はEAをCL培地等の再生培地に移すことによって回収工程が実行される。CL培地は、汚染物質を低減又は除去する植物保存混合物(PPM)等の殺生物剤を含むことができる。再生培地は、ビタミン、糖、基礎塩、及び/又はTDZ等の植物成長調節剤を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、CL培地は、約0.1mg/L~約10mg/LのTDZを含む。いくつかの実施形態では、CL培地は、約1mg/LのTDZ又は約2mg/LのTDZを含む。いくつかの実施形態では、CL培地は、とりわけ他の範囲の中でも、約0.1~約9mg/L、約0.1~約8mg/L、約0.1~約7mg/L、約0.1~約6mg/L、約0.1~約5mg/L、約0.1~約4mg/L、約0.1~約3mg/L、約0.1~約2.5mg/L、約0.1~約2mg/L、約0.1~約1.5mg/L、約0.1~約1.0mg/L、約0.1~約0.5mg/L、0.5~約10mg/L、約1~約10mg/L、約1.5~約10mg/L、約2.0~約10mg/L、約2.5~約10mg/L、約2~約8mg/L、約2~約6mg/L、約2~約4mg/L、約2~約3mg/L、TZ/Lを含む。
【0062】
図2は、本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための別の例示的な方法を示す流れ図である。方法200は、図1によって説明された工程101,103,105を含み、その詳細は繰り返されない。
【0063】
方法200は、207において、形質転換されたアサ科細胞から組織を再生することを更に含み、組織は、苗条、根、根毛構造及び完全植物のうちの1つ以上を含む。図3によって更に例示されるように、組織を再生することは、形質転換されたアサ科細胞から苗条の形成を誘導することを含み得る。例えば、苗条形成の誘導は、苗条形成を誘導すること及び苗条伸長を誘導することを含み得る。いくつかの実施形態では、組織を再生することは、形質転換されたアサ科細胞から苗条の形成を誘導すること、及び形成された苗条から根を誘導することを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、苗条形成を誘導することは、以下に更に示すように、アサ科分裂組織領域又はEAを苗条誘導培地(SIM)、例えばSIM+S100(TDZ2)又は(TDZ10)に移して培養することを含み得る。いくつかの実施形態では、アサ科分裂組織領域又はEAは、10mg/LのTDZを含むSIM上で約2~約6週間、いくつかの実施形態では、約2週間~3週間培養することができる。アサ科分裂組織領域又はEAは、根を有する植物を地面に置き、小根がSIM培地を浸すことができるようにするのと同様に、小根をSIM培地中に置き、頂端分裂組織を上に置いた状態でSIM中で配向させることができる。SIM培地は、TDZの植物成長調節剤を含むことができる。やや驚くべきことに、約0.1mg/L~約20mg/Lの濃度のTDZをSIM培地中で使用することができる。いくつかの実施形態では、SIM培地は約2mg/L又は約10mg/Lを含むが、実施形態はそのように限定されない。TDZは、アサ科分裂組織細胞の頂端優性を破るのに十分な濃度でSIM中に存在することができ、それによって形質転換効率を高め、より多くのトランスジェニック事象をもたらす。いくつかの実施形態では、SIM培地は、とりわけ他の範囲の中でも、約0.1mg/L~約15mg/L、0.1mg/L~約10mg/L、0.1mg/L~約8mg/L、0.1mg/L~約6mg/L、0.1mg/L~約5mg/L、0.1mg/L~約4mg/L、0.1mg/L~約3mg/L、0.1mg/L~約2mg/L、0.1mg/L~約1mg/L、0.1mg/L~約0.5mg/L、約0.5mg/L~約20mg/L、約1mg/L~約20mg/L、約2mg/L~約20mg/L、約3mg/L~約20mg/L、約4mg/L~約20mg/L、約5mg/L~約20mg/L、約6mg/L~約20mg/L、約8mg/L~約20mg/L、約10mg/L~約20mg/L、約15mg/L~約20mg/L、約2mg/L~約15mg/L、約2mg/L~約10mg/L、約2mg/L~約5mg/LのTDZを含み得る。
【0065】
SIM培地中で培養した後、方法200は、アサ科分裂組織領域又はEAを第1苗条伸長培地(SEM)中で転写及び培養することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のSEMに移す前に、メス刃又は他の道具を使用して苗条の小根を切断することができる。第1のSEMで培養した後、いくつかの実施形態では(実施形態はそのように限定されないが)、方法200は、アサ科分裂組織領域又はEAを第2のSEMで移送及び培養することを更に含むことができる。第1のSEM及び第2のSEMの両方について、アサ科分裂組織領域又はEAの小根は、SEM内に下方に配向され、頂端分裂組織は上に配置される。第1のSEM及び第2のSEMは、異なる量のスペクチノマイシン等の異なる量の選択剤を含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、根を苗条から誘導することができる。形成された苗条から根を誘導することは、形成された苗条を、高さ1~2インチの苗条等の最小高さの苗条についてスクリーニングすることを含むことができる。最小高さの苗条を選択することができ、方法100は、選択された苗条を発根させて一次根形成を誘導することと、誘導された一次苗条を有する苗条を移送して発根させて新しい一次苗条及び根毛構造形成を誘導することとを更に含む。様々な実施形態では、選抜した苗条は、発根培地(RM)中で発根され、新鮮なRM中で継代培養されて、新しい一次根及び根毛構造を誘導する。方法200は更に、一次根及び根毛構造を有する選択された苗条を土壌に移して、ポリペプチドを発現する部分的又は全体的なアサ科植物、例えば目的の一又は複数のタンパク質を再生することを含み得る。
【0067】
上記の感染培地、共培養培地、選択培地、再生培地(例えば、CL培地)、SIM、第1のSEM、第2のSEM、及び/又はRMは、一般に、水、基礎塩混合物、糖、並びにビタミン、選択剤、アミノ酸、及び植物ホルモン等の1つ又は複数の他の成分を含む。SIM、第1のSEM、及び第2のSEMの各々は、水及びビタミン等の他の試薬の中でも、糖、基礎塩、成長ホルモン、及び抗生物質を含むことができる。例えば、SIM及びSEMは、窒素、リン、カリウム、硫黄、カルシウム、マグネシウム、鉄、ホウ素、モリブデン、マンガン、コバルト、亜鉛、銅、塩素及びヨウ素の栄養源を含むことができる。マクロ元素は、NHNO、(NHSO、KNO、CaCl・2HO、MgSO・7HO、及びKHPOとして提供することができる。ミクロ元素は、KI、HBO、MnSO・4HO、ZnSO、NaMoO 2HO、CuSO・5HO、CoCl・6HO、CoSO・7HO、FeSO・7HO、及びNaEDTA・2HOとして提供することができる。ニコチン酸、ピリドキシン-HCl、チアミン-HCl、及びグリシン等の有機サプリメントを含めることができる。一般に、培地のpHは、希釈KoH及び/又はHClを用いて5.7±0.5に調整される。固体植物培養培地は、ゲル化剤、例えば、ゲルライト、寒天又はアガロースを更に含むことができる。様々な実施形態では、上記の例示的な実施形態で説明したように、感染培地、再生培地、及び/又はSIMは、TDZの植物成長調節剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、SIMは、感染培地及び/又は再生培地よりも高い濃度のTDZを含み得る。
【0068】
任意の適切な植物培養培地を使用することができる。培地配合物の例としては、Murashige and Skoog(1962)、N6、Linsmaier and Skoog(1965)、L3(Lin and Zhang(2005))、Uchimiya and Murashige(1962)、Gamborg’s media(1968)、D medium、Nitsch and Nitsch(1969)、DKW、及びSchenk and Hildebrandt(1972)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
SIM及びSEMは、選択剤、植物ホルモン及び/又は植物成長調節剤、例えばオーキシン、サイトカニン又はジベレリンを含むことができる。植物ホルモンは、天然に存在する植物ホルモン若しくは植物成長調節剤の遊離形態及びコンジュゲート形態、又はそれらの合成類似体及び前駆体から選択することができる。オーキシンの天然に存在する及び合成類似体には、インドール酢酸(IAA)、3-インドール酪酸(IBA)、α-ナフタレン酢酸(NAA)、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、4-(2,4-ジクロロフェノキシ)酪酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、3-アミノ-2,5-ジクロロ安息香酸(クロランベン)、(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)酢酸(MCPA)、4-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)ブタン酸(MCPB)、メコプロップ、ジクロプロップ、キンクロラック、ピクロラム、トリクロピル、クロピラリド、フルオロキシピル、ジカンバ及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。2つ以上のオーキシンの任意の組合せが栄養培地中に存在し得る。サイトカイニンの天然及び合成類似体には、カイネチン、ゼアチン、ゼアチンリボシド、ゼアチンリボシドホスフェート、ジヒドロゼアチン、イソペンチルアデニン6-ベンジルアデニン及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。2つ又はそれを超えるサイトカイニンの任意の組合せが培地中に存在し得る。
【0070】
有効量のオーキシン、及び場合により有効量のサイトカイニンの存在は、細胞分裂を促進し、再生能を改善し、及び/又はより再生性の高い組織の成長を誘導することができる。形態学的応答を生じさせる外因性オーキシンの効果は、1つ以上の酸化防止剤、アミノ酸、コバルト又はAgNOの添加によって増強され得る。Casアミノ酸は、分解することなく高塩条件に耐えることができる、カゼインから加水分解されたアミノ酸の形態の有機窒素源を提供する。グルタミン、アスパラギン、及びメチオニンは、形態形成応答をもたらす生合成経路の調節において複雑な役割を果たす。
【0071】
図3は、本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAの形質転換されたアサ科細胞から形質転換アサ科組織を再生するための例示的スキームを示す図である。スキーム310は、図1の方法100及び/又は図2の方法200の実施態様を含むことができる。
【0072】
315において、アサ科種子312を滅菌して、滅菌されたアサ科種子314を生成することによって、アサ科分裂組織領域又はEA320を調製することができる(311)。滅菌は、前述のように、滅菌剤の使用を含むことができる。滅菌されたアサ科種子314は、317において、アサ科種子312を水和溶液に浸すことによって浸すことができる。胚組織のサブセットは、319において、アサ科分裂組織領域又はEA320を抽出するために、浸されたアサ科種子318から切除され得る。
【0073】
アサ科分裂組織領域又はEA320は、321において、異種ヌクレオチド配列に曝露され得る。いくつかの実施形態では、曝露は、前述のように、アサ科分裂組織領域又はEA320を、異種ヌクレオチド配列を有する細菌株を含む感染培地と接触させることによって、アサ科分裂組織領域又はEA320を細菌株と接種及び共培養すること、並びに形質転換に十分なインビトロ条件下で共培養することを含む。
【0074】
異種ヌクレオチド配列への曝露は、アサ科分裂組織領域又はEA320内のアサ科細胞322の形質転換を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、アサ科細胞をスクリーニングして、形質転換されたアサ科細胞322を同定することができる。形質転換された細胞又は組織は、様々な方法によってスクリーニングすることができる。上記のように、細胞又は組織は、選択培地中の選択剤及び/又は形質転換細胞によって発現されるスクリーニングマーカを使用してスクリーニングすることができる。いくつかの例において、ヌセヌクレオチド配列の移入は、例えば、生物学的又は非生物学的因子の変化によって誘導される。目的の遺伝子の発現は、RT-PCR、qPCR、ノーザンブロッティング、ドットブロットハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、核ランオン及び/又は核ランオフ、RNase保護、又はELISA、ラジオイムノアッセイ、及びウェスタンブロッティング等の免疫学的及び酵素的方法によって測定することができる。組織を、標識の発現についてアッセイすることができる。蛍光タンパク質マーカの発現は、UV励起、蛍光顕微鏡法又はフローサイトメトリーによって可視化することができる。形質転換効率を計算し、従来の方法と比較することができる。しかし、実施形態はそのように限定されず、いくつかの実施形態では、スクリーニングは行われなくてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、323において、形質転換されたアサ科細胞322を有するアサ科分裂組織領域又はEAを再生培地(例えば、CL培地)に移し(例えば、)、一定期間、例えば1~5日間培養して、回収工程を行うことができる。再生培地(交換可能に回収培地と呼ばれ得る)は、PPM等の殺生物剤を含有する上述のCL培地を含むことができる。いくつかの実施形態では、再生培地は、1つ以上の選択剤及び抗生物質を含む。例えば、再生培地は、形質転換されていない細胞及び/又は組織を中和し、細菌を中和する試薬を含むことができるが、形質転換された細胞及び/又は組織は、異種ヌクレオチド配列によってコードされる選択マーカの発現のために生存することができる。
【0076】
共培養及び回収(任意選択の選択及び/又はスクリーニングを伴う)の後、329において、アサ科分裂組織領域又は形質転換されたアサ科細胞322を有するEAを使用して、組織を再生することができる。例えば、323において、形質転換されたアサ科細胞322を有するアサ科分裂組織領域又はEAを、ある期間、例えば15~20日間、苗条形成を誘導する条件下でSIMに移し、SIM中で培養することができる。条件は、滅菌、白色光、及び23℃を含むことができる。SIMは、前述のように、TDZ等の他の試薬の中でも細菌株を中和する試薬を含むことができる。これに応答して、苗条形成が誘導され得る。形成された苗条324をSIMから取り出すことができ、苗条324の小根を切断することができる。325において、切断された小根を有する形成された苗条324をSEMに移し、30~50日間等の期間にわたって、伸長苗条326を誘導する条件下で培養することができる。いくつかの実施形態では、形成された苗条324は、その期間の10~15日ごと、例えば14日ごとに新鮮なSEMに継代培養することができる。条件は、滅菌、白色光、及び室温を含むことができる。いくつかの実施形態では、切断された小根を有する形成された苗条324を、第1の期間、例えば15~25日の間、第1のSEMに移して培養し、次いで第2の期間、例えば15~25日の間、第2のSEMに移すことができる。第2のSEMでは、いくつかの実施形態では、形成された苗条324を継代培養することができる。327において、伸長苗条326は、最小高さの選択された苗条にスクリーニングすることができ、選択された苗条は、形成された根328を誘導するためにRMに根付くことができる。いくつかの実施形態では、伸長苗条326を発根することは、長さが少なくとも1cm(及び約14日間)である少なくとも2つの一次根を発生させる等、閾値長さである一次根が発生するまで苗条を切断し、RM上の切断苗条を発根することを含むことができる。発根した苗条は、新しい一次根及び根毛構造が形成されるまで、およそ7~14日ごとに新鮮なRM上で継代培養することができる。発根した苗条327は、部分的又は完全なアサ科植物を形成するために土壌中の順化に送ることができる。
【0077】
様々な実施形態では、上記の方法及びスキームを使用して、異種ヌクレオチド配列及び/又はそれによってコードされる遺伝子を発現するように形質転換され、上記請求項のいずれか一項に記載の方法を使用して生産されるアサ科植物又は植物部分を得ることができる。いくつかの実施形態は、上記請求項のいずれかの方法を使用して産生された形質転換されたアサ科外植片に関する。
【0078】
いくつかの実施形態では、細菌媒介法を使用して、アサ科分裂組織領域から形質転換されたアサ科植物組織、又はアサ科種子から得られたEAを得ることができる。アサ科分裂組織領域又はEAは、限定されないが、目的とするアサ科の任意の株、種又は品種から得ることができる。本発明の方法は、ハイブリッド及びインブレッドを含む任意のアサ科遺伝子型のアサ科分裂組織領域又はEAと共に使用することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、生物学的形質転換方法を使用して、アサ科分裂組織領域又はEAから形質転換されたアサ科植物組織を得ることができる。例えば、アサ科分裂組織領域又はEAは、発現構築物との粒子衝突等による衝突技術によって修飾することができる。いくつかの実施形態では、アサ科分裂組織領域又はEAは、ボンバードガン及び/又は発現構築物でコーティングされた粒子を用いたボンバードメントによって発現構築物に曝露され得る。衝撃駆動変換の具体例は、当業者に知られている。
【0080】
図4は、本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAのアサ科細胞に異種配列を送達するための例示的な発現構築物を示す。例示的な発現構築物440は、発現カセット441及びベクター骨格446を含むバイナリーベクターであるか、又はそれを含む。発現カセット441は、目的の遺伝子445の発現を引き起こす導入遺伝子を含む。発現カセット441の導入遺伝子は、目的の遺伝子445、プロモータ447、左ボーダー449、及び右ボーダー448を含む。いくつかの実施形態では、左ボーダー449及び右ボーダー448は、発現カセット441から分離することができる。発現構築物440及び/又は発現カセット441は、シグナル伝達ペプチド等の他の成分の中でも、TALE配列、スクリーニングマーカ、ターミネータ及び追加の発現カセット等の様々な追加の成分を含むことができる。
【0081】
発現カセット441は、外来タンパク質又は農学的形質を付与するタンパク質をコードする遺伝子を含むことができる。農業遺伝子には、有害生物又は疾患に対する耐性を付与する遺伝子、除草剤に対する耐性を付与する遺伝子、及び/又は付加価値形質を付与するか又はそれに寄与する遺伝子が含まれる。
【0082】
いくつかの実施形態では、発現構築物440を使用して細菌株を形質転換することができる。本明細書で使用される場合、発現構築物は、遺伝子を担持する1つ以上のベクター又はバイナリーベクターを含む核酸配列(例えば、DNA配列)を指すか又は含む。ベクター又はバイナリーベクターは、「インサート」と呼ばれることもある1つ又は複数の遺伝子又は導入遺伝子と、骨格とを含むDNA配列を含むか又は指す。ベクター又はバイナリーベクターは、遺伝子又は導入遺伝子と、形質転換植物細胞によって発現される調節配列とを含む発現カセット441を含むことができる。形質転換が成功すると、発現カセット441は、植物細胞に、目的の1つ以上のタンパク質を発現させ、及び/又は他の方法で標的変異を発現させる。
【0083】
発現カセット441は、目的の遺伝子445をコードする異種配列、T-DNAボーダー配列448,449、及びプロモータ447を含み得る。発現カセットは、典型的には、所望により終結シグナル及び/又は他の調節エレメントに作動可能に連結された、目的の遺伝子445をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータを含む。例えば、発現カセット441は、TALENT-DNAを含むことができる。発現カセット441はまた、ヌクレオチド配列の適切な翻訳、翻訳後処理、細胞コンパートメント若しくは組織における局在化及び蓄積、又は組織培養培地への分泌に必要な配列を含み得る。一例として、目的の遺伝子445は、植物起源のシグナルペプチド(例えば、タバコPR1aタンパク質又はカルレティキュリン由来のN末端シグナルペプチド)又は真核生物分泌ポリペプチドからのシグナルペプチド、例えば哺乳動物シグナルペプチドを含むタンパク質と会合することができ、原形質膜及び細胞壁を通して細胞外培地に効率的に分泌され得る。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子445をコードする異種ヌクレオチド配列は、N末端タグを含む。例えば、膜貫通タンパク質又は膜固定タンパク質の場合、膜貫通ドメイン又は膜固定ドメインをN末端分泌シグナル配列で置換することによってN末端を修飾する発現構築物440を調製することができる。
【0084】
ヌクレオチド配列を含む発現カセット441はキメラであり得、これは、その成分の少なくとも1つが、他の成分の少なくとも1つに対して異種であることを意味する。いくつかの実施形態では、発現カセット441は、天然に存在するもの、又は完全に細胞外で組み立てられたもの(例えば、組換えクローニング技術によって)であり得る。発現カセット441は、内因性配列の上流にプロモータ配列を配置(又は挿入)することによって得ることができ、それにより、挿入されたプロモータ配列によって機能的に連結及び制御されるようになる。
【0085】
いくつかの実施形態では、プロモータ447は、誘導性プロモータ、強力なプロモータ、又は組織特異的プロモータを含むことができる。例えば、目的の遺伝子445をコードする異種ヌクレオチド配列は、誘導性プロモータ、強力なプロモータ又は組織特異的プロモータに作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、プロモータ447は構成的プロモータを含むことができる。誘導性プロモータはオンとオフを切り替えることができるが、構成的プロモータは常に活性であり得る。例えば、目的の遺伝子445をコードする異種ヌクレオチド配列は、ユビキチンプロモータ(Ubi)又は35Sカリフラワーモザイクウイルス(CMV)プロモータに作動可能に接続することができる。
【0086】
プロモータは、典型的には、少なくともコア(基底)プロモータを含むが、少なくとも1つの制御エレメントも含むことができる。そのようなエレメントには、上流活性化領域(UAR)、及び任意選択で、合成上流エレメントを含み得る、核酸の転写に影響を及ぼす他のDNA配列が含まれる。コピーの発現を駆動するプロモータを選択するための因子には、効率、選択性、誘導能、所望の発現レベル、及び細胞又は組織型特異性が含まれる。プロモータ447は、アサ科EAにおいて又は特定の条件下で優先的に発現するもの、例えば組織特異的プロモータであり得る。プロモータ447は、温度、光又はストレス等の因子によって調節され得る。例えば、誘導性プロモータを使用して、外部刺激(例えば、インデューサへの曝露)に応答して発現を駆動することができる。適切なプロモータには、ssRUBISCO由来の光誘導性プロモータ、MASプロモータ、コメアクチンプロモータ、トウモロコシユビキチンプロモータ、PR-Iプロモータ、CZ19B1プロモータ、ミルププロモータ、CesAプロモータ、Gama-ゼインプロモータ、Glob-1プロモータ、トウモロコシ15kDaゼインプロモータ、22kDaゼインプロモータ、27kDaゼインプロモータ、δ-ゼインプロモータ、ワックス状プロモータ、収縮した1プロモータ、収縮した2プロモータ、グロブリン1プロモータ、pEMUプロモータ、トウモロコシH3ヒストンプロモータ、ベータエストラジオールプロモータ、及びデキサメタゾン誘導性プロモータが含まれるが、これらに限定されない。構成的プロモータの非限定的な例としては、とりわけ、35SCMVプロモータ、2×35Sプロモータ、ノパリンシンターゼ(NOS)プロモータ、ubi3等の35Sプロモータが挙げられる。
【0087】
発現を駆動するためのプロモータは、強い転写活性を有し得る。強力なプロモータは、高レベルで、又は約1/10転写物~約1/100転写物~約1/1,000転写物で発現を駆動する。エンハンサをプロモータ領域と組み合わせて使用して、転写レベルを上昇させることができる。目的の遺伝子445が植物種に対して内因性である場合、発現カセットは、野生型植物組織における目的の内因性遺伝子の発現レベルと比較して、発現レベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍の増加を達成するのに有効であり得る。
【0088】
目的の遺伝子445をコードする異種ヌクレオチド配列は、ヒト及び他の哺乳動物及び/又は脊椎動物、無脊椎動物、植物、海綿、細菌、真菌、藻類及び古細菌を含むがこれらに限定されない様々な生物に由来するDNA配列を含み得る。異種ヌクレオチド配列は、対応する野生型遺伝子のアミノ酸配列と少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有するタンパク質をコードすることができる。いくつかの場合、異種ヌクレオチド配列は、タンパク質をコードする配列と有意な類似性を有し、機能ドメインを共有する。異種ヌクレオチド配列は、タンパク質をコードする遺伝子と相同、オーソロガス又はパラロガス遺伝子を有する関連生物から得ることができる。保存された又は類似の異種ヌクレオチド配列を同定し、タンパク質をコードする組換え遺伝子を、場合により発現を改善するための様々な改変(例えば、コドン最適化配列)と共に構築する方法は、分子生物学における従来の技術を含む。例えば、重複する相補的な合成オリゴヌクレオチドのPCR増幅又は設計及び合成をアニールし、一緒に連結して、クローニング、又は別の既にクローニングされた供給源からのサブクローニング、又はライブラリからのクローニングのための制限部位を有する遺伝子を得ることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、野生型アサ科植物に存在する遺伝子の配列、又は遺伝子コード産物の機能を保持することを可能にするパーセント同一性を有する配列、例えば少なくとも90%の同一性を有する配列を含み得る。この配列は、生物又は生物部分から得ることができ、又は合成的に作製することができる。配列は、野生型生物において生じる遺伝子と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有することができる。配列は、野生型遺伝子とは異なる遺伝子座に挿入され、野生型遺伝子とは異なるプロモータに作動可能に連結され得る。本開示の細菌媒介方法は、特定の発現構築物に依存しない。植物細胞に導入することができる任意の発現構築物を本方法で使用することができる。核酸配列は、細菌媒介形質転換のためのプラスミドのT-DNA領域に導入された発現カセットの一部であり得る。T-DNAは、バイナリーベクター中に存在することができる。ヌクレオチド配列は、目的のDNA配列、及び目的のDNA配列の発現のための調節配列等の他の配列を含み得る。本発明で使用可能なバイナリーベクターは当業者に公知である。バイナリーベクターは、典型的には、細菌における選択を可能にするための抗生物質耐性遺伝子を有する。トランスフェクション効率を高めるために、細菌はvirG遺伝子を保有することができる。virGは、異種核酸配列と同じプラスミド上に、又はヘルパープラスミド中に存在し得る。
【0090】
本開示の方法は、アサ科植物細胞において機能する発現カセット及び/又は発現構築物を構築することを含み得る。構築は、アサ科植物細胞による導入及び発現に必要な様々な成分の選択を含み得る。例えば、発現カセットは、アサ科植物細胞において機能してRNA配列の産生を引き起こすプロモータ、(b)所望のポリペプチドをコードするRNA配列の産生を引き起こす構造DNA配列、及び(c)植物細胞において機能してRNA配列の3’末端へのポリアデニル化ヌクレオチドの付加を引き起こす3’非翻訳DNA配列を含む組換え二本鎖プラスミド又はベクター分子に組み込むことができる。所望の成分を含有するプラスミド又はベクターを調製するための方法は、当技術分野で周知である。
【0091】
いくつかの実施形態では、発現カセットは、記載されるようなスクリーニングマーカ及び関連する調節エレメントをコードする配列、並びに発現された場合に特定の形質を付与する核酸配列も含む。これらの形質導入配列には、農学的に関心のある遺伝子(例えば、昆虫耐性又は有害生物耐性、環境耐性又はストレス耐性、除草剤耐性の遺伝子)、栄養強化等の品質改善のための遺伝子、又は植物生理学、成長、発達、形態若しくは植物産物の任意の望ましい変化が含まれる。
【0092】
いくつかの実施形態では、発現カセットは、アサ科ゲノム内に標的変異を生成するためのヌクレオチド配列を含み得る。例えば、レアカットエンドヌクレアーゼ又はその一部(例えば、サブユニット)をコードする配列は、発現カセットによって導入することができる。本明細書で提供される方法は、プログラム可能なRNAガイドエンドヌクレアーゼ又はその一部(例えば、サブユニット)の一過性発現を含み得る。レアカットエンドヌクレアーゼは、DNA結合ドメイン及び切断活性を有する触媒ドメインを含む融合タンパク質であり得る。TALEヌクレアーゼ及びZFNは、DNA結合ドメインとエンドヌクレアーゼFokIの触媒ドメインとの融合の例である。他の例では、レアカットエンドヌクレアーゼは、野生型又はバリアントホーミングエンドヌクレアーゼ等のメガヌクレアーゼである。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示のアサ科植物を使用して、新しい植物品種を生産することができる。いくつかの実施形態では、植物は、特定の形質及び/又は表現型を有する新規で独特かつ優れた品種又はハイブリッドを開発するために使用される。
【0094】
記載された方法は、トランスジェニック系統を作製するために使用することができる。トランスジェニック系統を別の(形質転換されていない又は形質転換された)系統と交雑させて、新しいトランスジェニックアサ科系統を作製することができる。あるいは、上記の技術を使用して特定のアサ科栽培品種に遺伝子操作された遺伝的形質は、戻し交配技術を使用して別の系統に移すことができる。例えば、戻し交配アプローチを使用して、操作された形質を公的な非エリート集団近交系からエリート集団近交系に、又はそのゲノムに外来遺伝子を含有する近交系からその遺伝子を含有しない近交系に移すことができる。「交差」は、単純なXとYの交差、又は逆交差のプロセスを指すことができる。
【0095】
本明細書で提供される方法の実施形態は、導入遺伝子を除去して、新しい非トランスジェニックアサ科植物を提供することを含み得る。例えば、遺伝子技術を使用して、導入遺伝子を欠く導入遺伝子誘導欠失(例えば、レアカットエンドヌクレアーゼを発現する導入遺伝子の発現によって誘導される標的化欠失)を有する形質転換植物の子孫を提供することができる。例示的な実施形態では、子孫植物は、分離によって導入遺伝子についてヘテロ接合性である形質転換されたアサ科植物を自家受粉(自殖)することによって得ることができる。そのようなヘテロ接合植物の自殖は、導入遺伝子が子孫植物集団のサブセットから分離することを提供する。
【0096】
いくつかの実施形態では、形質転換されたアサ科植物は、少なくとも第1の導入遺伝子を含み、そうでなければドナーアサ科植物の全ての生理学的及び形態学的特徴を発現することができる。他の実施形態では、形質転換されたアサ科植物は、同じ条件下で成長した場合、アサ科植物と比較して1つ以上の遺伝子の発現を変化させ、一方、親株の形質を親株と同程度に発現させるシス遺伝子改変を含む。他の実施形態では、形質転換されたアサ科植物は、ドナーアサ科植物の1つ以上の遺伝子の発現を変化させる1つ以上の標的変異(例えば、欠失)を含む。例えば、形質転換植物は、遺伝子発現の変化の結果として、ドナーのアサ科植物よりも低いレベルのTHCを示すことができる。いくつかの実施形態では、アサ科植物は、単一遺伝子座変換を含む。単一遺伝子座変換は、優性又は劣性対立遺伝子を含み得る。遺伝子座変換は、形質転換されたアサ科植物に形質を付与することができる。
【0097】
アサ科植物は、複数の核酸構築物又は形質転換事象の使用から生じる複合効果を提供する積層形質を含み得る。例えば、2つの転写カセットを単一の形質転換ベクターに含めることによるそのような形質の導入、2つの発現構築物の同時形質転換、1つの構築物を発現する植物組織を第2の遺伝子の発現構築物と一緒に用いた再形質転換、又は伝統的な植物育種法を介してトランスジェニック植物を交雑させることを含む、同じ又は異なる方法によって、上記のような複数の構築物をアサ科植物細胞に導入することができ、得られた産物は両方の特徴を有する植物である。
【0098】
植物部分は、茎、繊維、パルプ、花、種子等を含む、本明細書に記載の方法によって生産された植物から生産又は精製された生成物及び組成物を含むことができる。アサ科植物から生産される製品には、工業用織物、建築材料、食品及び栄養補助食品、石けん、ローション、バーム等のパーソナルケア製品、動物用寝具、塗料、インク、溶媒及び潤滑剤等の工業製品、消費者用織物、動物飼料等が含まれる。場合によっては、アサ科植物及び植物部分は、香味料又は芳香成分として使用することができる抽出物を提供するために、又はアサ科由来の医薬化合物を得るために使用される。
【0099】
本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される様々な用語は、別段の指示がない限り、当技術分野における明白な意味を含む。本明細書で使用される「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」という用語、及びそれらの変形は、追加の行為又は構造の可能性を排除しないオープンエンドの移行句、用語、又は単語であることを意図している。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態又は要素を「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。単数形「a」、「and」、及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の言及を含む。
【0100】
本明細書で提供される様々な範囲は、記載された範囲及び記載された範囲内の任意の値又は部分範囲を含む。更に、値又はパーセンテージを記載するために「約」が利用される場合、これは記載された値又はパーセンテージからの変動(最大+/-10%)を含み、言及し、及び/又は包含する。
【0101】
「外植片」とは、ミクロ繁殖による再生能を有する植物部分を指す。外植片は、苗条、根、又は植物全体を再生することができる。
【0102】
「ドナー植物」は外植片の供給源を指す。ドナーアサ科植物は、任意の種類のアサ科植物であり得る。場合によっては、ドナー植物は雌性植物(例えば、雌雄同体ではない)である。いくつかの実施形態では、ドナー植物は、リゾビウム感染に感受性であり、所望の再生応答を示すアサ科遺伝子型である。ドナーアサ科植物は、1つ以上の所望の形質を有するエリートラインに由来し得る。
【0103】
「形質転換」は、ヌクレオチド配列の細胞への移入を指し、「遺伝子形質転換」は、DNA、特に組換えDNAの細胞への移入及び組み込みを指す。「形質転換体」という用語は、形質転換を受けた細胞、組織又は生物を指す。
【0104】
「発現カセット」は、所望により終結シグナル及び/又は他の調節エレメントに作動可能に連結された、目的のヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータを含む、適切な宿主細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を指示することができるDNA配列を指すことができる。発現カセットはまた、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列を含み得る。コード領域は、目的のタンパク質をコードすることができるが、センス方向又はアンチセンス方向に、目的の機能性RNA、例えばアンチセンスRNA又は非翻訳RNAをコードすることもできる。発現カセットキメラであり得、これは、その成分の少なくとも1つが、他の成分の少なくとも1つに対して異種であることを意味する。発現カセットは、部分的に内因性成分を使用して組み立てることができる。例えば、発現カセットは、内因性配列の上流にプロモータ配列を配置(又は挿入)することによって得ることができ、挿入されたプロモータ配列によって機能的に連結及び制御されるようになる。
【0105】
本明細書で使用される場合、アサ科はアサ科の植物を指す。例えば、アサ科植物又は植物部分は、アサ属に属する植物又は植物部分を含むことができ、大麻植物又は植物部分と呼ばれることもあり、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、及びカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)を含む。しかしながら、実施形態はそのように限定されず、アサ科の植物又は植物部分は、他の植物又は植物部分の中でも、フムルス(例えば、ホップ)、セルチス、アルファナンテ、チャエタクローム、ジロンニエラ、ロザネラ、パラスポニア、プテロセルチス及び/又はトレマの植物又は植物部分を含み得る。「植物」という用語は一般に植物全体を指すが、「植物」が形容詞として使用される場合、植物器官(例えば、葉、茎、根、花)、単細胞(例えば、花粉)、種子、組織培養細胞を含む植物細胞、植物から産生された生成物等の、植物中に存在する、植物から得られる、植物に由来する、又は植物に関連する任意の物質を指す。「アサ科植物部分」という用語は、アサ科の植物全体から得られる1つ以上の植物組織又は器官を指す。アサ科植物部分には、栄養構造(例えば、葉、茎)、根(例えば、毛状根又は非毛状根)、花の器官/構造、種子(胚、胚乳及び種皮を含む)、植物組織(例えば、血管組織、基底組織等)、細胞及びその子孫が含まれる。
【0106】
「アサ科植物細胞」は、プロトプラスト及び細胞壁を含む植物の構造的及び生理学的単位である。植物細胞は、培養中の細胞であり得る。アサ科植物細胞は、単離された単一細胞若しくは細胞の凝集体、例えば脆弱なカルス、又は培養細胞の形態であり得るか、又はより高次の組織単位、例えばアサ科植物組織、植物器官若しくは植物の一部であり得る。アサ科植物細胞は、プロトプラスト、配偶子産生細胞、又は植物全体に再生することができる細胞若しくは細胞の集合であり得る。「アサ科植物組織」とは、植物における分化組織、又は植物から得られる分化組織(「外植片」)、又は未成熟若しくは成熟胚、種子、根、苗条、果実、花粉、及びカルス等の培養中の植物細胞の凝集物の様々な形態に由来する未分化組織を意味する。アサ科種子等の種子中又は種子からの植物組織には、種皮又はテスタ、貯蔵子葉及び胚が含まれる。
【0107】
「分裂組織」又は「分裂組織領域」は、成長が起こり得る植物の区域に見られる未分化細胞(分裂組織細胞)を含む植物組織を指す。分裂組織細胞は、植物の器官を生じさせ、植物の成長を維持する。
【0108】
「品種」又は「栽培品種」という用語は、それらを同じ種の他の植物から分離する特性を共有する植物の集団を指す。1つ又は複数の特有の形質を有するが、品種は、その品種内の個体間の小さな全体的な変動によって更に特徴付けることができる。「純粋な系統」品種は、組織又は細胞培養技術を使用して、数世代の自家受粉及び選択、又は単一の親からの栄養繁殖によって作出することができる。ある変種は、別の系統又は変種に本質的に由来し得る。品種は、(a)それが主に初期品種に由来するか、又は主に初期品種に由来する品種に由来するが、初期品種の遺伝子型又は遺伝子型の組合せに由来する特徴の発現を保持している場合、(b)初期品種と区別可能である場合、(c)派生の作用から生じる差異を除いて、最初の品種の遺伝子型又は遺伝子型の組合せから生じる特徴の発現において最初の品種に適合する場合、初期品種に「本質的に由来する」である。本質的に誘導された変種は、天然又は誘導された変異体、体細胞バリアント、初期変種の植物からのバリアント個体、戻し交配又は形質転換の選択によって得ることができる。品種と区別される「系統」は、多くの場合、植物研究等のために非商業的に使用される植物の群を示すことができる。線は、典型的には、関心のある1つ以上の形質については個体間でほとんど変動を示さないが、他の形質については個体間でいくらかの変動があり得る。
【0109】
「形質転換頻度」とは、核酸を導入するために細胞に対して形質転換プロトコルを実行した後に異種ヌクレオチド配列で首尾よく形質転換された植物細胞の割合を指す。「変換効率」の増加は、リソース使用を低減することによって変換プロセスの全体的な効率に影響を与える変換頻度及び品質イベントの増加等の改善を指す。
【0110】
「再生」とは、単一の細胞又は細胞群に由来する新しい組織、器官、胚、植物全体又は植物全体の一部の産生をもたらす形態形成応答を指す。本開示の方法、再生は、分裂組織領域又はEAから進行する。「再生能力」は、植物細胞が再生を受ける能力を指す。「再生効率」は、胚形成カルス又は個々の外植片から再生された小植物の数から計算することができる。
【0111】
「目的の遺伝子」又は「目的の形質」という用語は、本明細書に記載の技術を使用して形質転換されたアサ科細胞によって発現される遺伝子又は形質に対応する。
【0112】
様々な実施形態が、基礎となる仮出願である、2021年9月17日に出願され、「Transformed Cannabaceae Cells and Methods Thereof」と題された米国仮出願第63/245,301号に従って実施され、この仮出願には利益が主張され、その教示のためにその全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0113】
実験的実施形態
様々な実験実施形態は、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換することを対象とした。そのような実施形態は、アサ科分裂組織領域及び/又はEAを調製すること、アサ科のアサ科細胞を形質転換すること、及び形質転換されたアサ科細胞のために組織を再生することを含む。いくつかの実施形態は、アサ科分裂組織領域及び/又はEAからの再現性があり、信頼性があり、単純な形質転換及び再生システムを提供することを対象とした。
【0114】
図5A図5Iは、本開示と一致する、アサ科分裂組織領域又はEAからアサ科細胞を形質転換するための例示的な発現構築物を示す。いくつかの実験的実施形態では、発現構築物を細菌株形質転換(例えば、A.リゾゲネス(A.rhizogenes)形質転換)に使用して、右T-DNAボーダー配列及び左側T-DNAボーダー配列を含み、細菌株がアサ科植物細胞にDNAを送達することを可能にした。発現構築物はプラスミドであり、プラスミドベクターと呼ぶことができる。発現構築物は、標的によって使用されるコドンの偏りに従ってコドン最適化され、ベクターにクローニングされ、プロモータ及びターミネータの制御下にある導入遺伝子をコードするDNA配列を更に含む。構成的プロモータ及び根特異的プロモータは、組織特異的アプローチのために選択される。
【0115】
図5Aは、本明細書で「ベタレンベクター」と呼ばれることもある、ベタレインの産生に関連する少なくとも1つの酵素をコードするDNA配列を含む例示的なプラスミドベクター550を示す。プラスミドベクター550は、FMVプロモータによって駆動される酵素CYP76AD1、DODA、及びグルコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含み、CYP76AD1はDODAに連結され、DODAは2A自己切断ペプチドP2Aによってグルコシルトランスフェラーゼに連結され、本明細書では「ベタレインカセット」と呼ばれることもある。プラスミドベクター550は、植物選択可能マーカカセット及びLacZカセットを更に含み、これらは、以下に更に記載されるように、プラスミド上で逆向きである。植物選択マーカカセットは、発現されると、形質転換植物細胞の選択のための選択剤(例えば、細菌又は他の毒性物質)、プロモータ及びターミネータに対する耐性を付与する選択マーカをコードする。LacZカセットは、LacZ遺伝子と、選択マーカとして使用されるLacZプロモータとをコードする。遺伝子カセットは、左ボーダー(LB)及び右ボーダー(RB)T-DNA配列に隣接しており、A.リゾゲネス(A.rhizogenes)の細菌株、例えば18R12によるアサ科植物細胞への配列全体又は導入遺伝子の移入を可能にする。プラスミド骨格はまた、A.リゾゲネス(A.rhizogenes)株内のプラスミドの選択及び維持のためのカナマイシン耐性(KanR)遺伝子をコードし、プラスミド上で逆向きである細菌選択マーカカセットを含有する。18R12株を用いてアサ科植物部分を形質転換した。プラスミドベクター550の配列を配列番号1で示す。更に同定されたのは、ベタレインカセット(配列番号2)、植物選択マーカカセット(配列番号10)、RB(配列番号15)及びLB(配列番号16)のT-DNAボーダー、LacZカセット(配列番号17)及び細菌選択マーカカセット(配列番号20)の配列である。ベタレインカセット(配列番号2)は、FMVプロモータ(配列番号3)、CYP76AD1(配列番号4)、P2A1(配列番号5)、DODA(配列番号6)、P2A 2(配列番号7)、グルコシルトランスフェラーゼ(配列番号8)及びrbcSターミネータ(配列番号9)をコードする。植物選択マーカカセット(配列番号10)は、VaUbi3プロモータ(配列番号11)、葉緑体移行ペプチド(配列番号12)、SpcN(配列番号13)及びNosターミネータ(配列番号14)をコードする。LacZカセット(配列番号17)は、LacZプロモータ(配列番号18)及びLacZ遺伝子(配列番号19)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号20)は、KanRプロモータ(配列番号21)及びKanR遺伝子(配列番号22)をコードする。
【0116】
図5Bは、本明細書で「低THCTALENベクター」と呼ばれることもある、低THC導入遺伝子に関連するTALENをコードするDNA配列を含む例示的なプラスミドベクター560を示す。プラスミドベクター560は、形質転換されたアサ科植物又は植物部分におけるTHC含有量を減少させる導入遺伝子に関連する左半TALEN及び右半TALENをコードする遺伝子を含有し、これらは以下、左TALENカセット及び右TALENカセットと呼ばれる。プラスミドベクター560は、形質転換された植物部分を選択するために使用されるYFPをコードするYFPレポーターカセットを含む。プラスミドベクター560は、前述のようにプラスミド上で逆向きである植物選択可能マーカカセットを更に含み、その特徴は繰り返されない。プラスミド骨格はまた、A.リゾゲネス(A.rhizogenes)株内のプラスミドの選択及び維持のためのKanR遺伝子をコードし、プラスミド上で逆向きである細菌選択マーカカセットを含有する。18R12株を用いてアサ科植物部分を形質転換した。プラスミドベクター560の配列を配列番号23で示す。更に同定されたのは、左TALENカセット(配列番号24)、右TALENカセット(配列番号32)、YFPレポーターカセット(配列番号36)、植物選択マーカカセット(配列番号38)及び細菌選択マーカカセット(配列番号20)の配列である。左TALENカセット(配列番号24)は、Nosプロモータ(配列番号25)、左TALエフェクターN末端(配列番号26)、CsTHCAS_T22-L1結合ドメイン(配列番号27)、左TALエフェクターC末端(配列番号28)、リンカー(配列番号29)、Fok1(配列番号30)及びNosターミネータ(配列番号31)をコードする。右TALENカセット(配列番号32)は、Nosプロモータ(配列番号25)、右TALエフェクターN末端(配列番号33)、CsTHCAS_T22-R1結合ドメイン(配列番号34)、右TALエフェクターC末端(配列番号35)、リンカー(配列番号29)、Fok1(配列番号30)及びNosターミネータ(配列番号31)をコードする。YFPレポーターカセット(配列番号36)は、FMVプロモータ(配列番号3)、YFP CDS(配列番号37)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号9)をコードする。植物選択マーカカセット(配列番号38)は、35Sプロモータ(配列番号39)、STLS1nptIIイントロン(配列番号40)、NptIIエクソン(配列番号41)及び35Sターミネータ(配列番号42)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号20)は、KanRプロモータ(配列番号21)及びKanR遺伝子(配列番号22)をコードする。
【0117】
図5Cは、低THC導入遺伝子に関連するTALENをコードするDNA配列を含む例示的プラスミドベクター570を示し、本明細書では「低THC仕様YFPベクター」と呼ばれることもある。プラスミドベクター570は、形質転換されたアサ科植物又は植物部分におけるTHC含有量を減少させる導入遺伝子に関連する左半TALEN及び右半TALENをコードする遺伝子を含有し、これらは以下、左TALENカセット及び右TALENカセットと呼ばれる。プラスミドベクター570は、形質転換された植物部分を選択するために使用されるYFPをコードするYFPレポーターカセットを含む。プラスミドベクター570は、前述のようにプラスミド上で逆向きである植物選択可能マーカカセットを更に含み、その特徴は繰り返されない。プラスミド骨格はまた、A.リゾゲネス(A.rhizogenes)株内のプラスミドの選択及び維持のためのKanR遺伝子をコードし、プラスミド上で逆向きである細菌選択マーカカセットを含有する。18R12株を用いてアサ科植物部分を形質転換した。プラスミドベクター570の配列を配列番号43で示す。更に同定されたのは、左TALENカセット(配列番号44)、右TALENカセット(配列番号48)、YFPレポーターカセット(配列番号36)、植物選択マーカカセット(配列番号10)及び細菌選択マーカカセット(配列番号20)の配列である。左TALENカセット(配列番号44)は、VaUbi3プロモータ(配列番号11)、左TALエフェクターN末端(配列番号45)、CsTHCAS_T22-L1結合ドメイン(配列番号46)、左TALエフェクターC末端(配列番号47)、リンカー(配列番号29)、Fok1(配列番号30)及びNosターミネータ(配列番号31)をコードする。右TALENカセット(配列番号48)は、VaUbi3プロモータ(配列番号11)、右TALエフェクターN末端(配列番号49)、CsTHCAS_T22-R1結合ドメイン(配列番号50)、右TALエフェクターC末端(配列番号51)、リンカー(配列番号29)、Fok1(配列番号30)及びNosターミネータ(配列番号31)をコードする。YFPレポーターカセット(配列番号36)は、FMVプロモータ(配列番号3)、YFP CDS(配列番号37)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号9)をコードする。植物選択マーカカセット(配列番号10)は、VaUbi3プロモータ(配列番号11)、葉緑体移行ペプチド(配列番号12)、SpcN(配列番号13)及びNosターミネータ(配列番号14)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号20)は、KanRプロモータ(配列番号21)及びKanR遺伝子(配列番号22)をコードする。
【0118】
図5Dは、フィトエンデサチュラーゼ(PDS)導入遺伝子と会合したTALENをコードするDNA配列を含む例示的プラスミドベクター572を示す。プラスミドベクター572は、以下で左TALEインテインカセット及び右TALEインテインカセットと呼ばれる、SSP DnaEインテイン-Nに融合したPDS結合ドメインを有する左半TALエフェクター及びSSPインテイン-Nに融合したPDS結合ドメインを有する右半TALエフェクターをコードする。プラスミドベクターは、以下でエンドヌクレアーゼカセットと呼ばれる、SSP DnaEインテイン-Cに融合したFok1エンドヌクレアーゼを更にコードする。プラスミドベクター572は、前述のように、プラスミド上で逆向きであるYFPレポーターカセットを含む。プラスミド骨格はまた、KanR遺伝子をコードし、プラスミド上で逆向きである細菌選択マーカカセットを含む。プラスミドベクター572の配列を配列番号52で示す。更に同定されたのは、左TALEインテインカセット(配列番号57)、右TALEインテインカセット(配列番号64)、YFPレポーターカセット(配列番号53)、エンドヌクレアーゼカセット(配列番号66)、細菌選択マーカカセット(配列番号74)、右T-DNAボーダー(配列番号72)、及び左T-DNAボーダー(配列番号73)の配列である。左TALEインテインカセット(配列番号57)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、PDS左結合ドメイン(配列番号60)、特徴10(配列番号61)、インテイン-N(配列番号62)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。特徴10は、Fok1エンドヌクレアーゼをコードしない酵母_1NLS_HAtag_N152_C40配列のC40ドメインの一部である。例えば、反復可変二残基(RVD)を含む酵母_1NLS_HAtag_N152_C40配列では、Fok1が除去され、インテイン、例えばGp41-1int-N又はSSP DnaEインテイン-Nで置き換えられる。N末端は、酵母_1NLS_HAtag_N152_C40のN末端ドメインを含む。右TALEインテインカセット(配列番号64)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、PDS右結合ドメイン(配列番号65)、特徴10(配列番号61)、インテイン-N(配列番号62)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。エンドヌクレアーゼカセット(配列番号66)は、pMtEF1Aプロモータ(配列番号67)、特徴10(配列番号68)、インテイン-C CDS(配列番号69)、Fok1(配列番号70)、酵母_1NLS_HAtag_N152_C40(配列番号71)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。酵母_1NLS_HAtag_N152_C40は、核移行シグナル(NLS)を含む小さなタンパク質であり、そのタンパク質のN末端ドメインとC末端ドメインとの間(例えば、N末端)に、ハーフTALENが挿入されている。YFPレポーターカセット(配列番号53)は、FMVプロモータ(配列番号54)、YFP CDS(配列番号55)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号56)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号74)は、KanRプロモータ(配列番号75)及びKanR遺伝子(配列番号76)をコードする。
【0119】
図5Eは、PDS導入遺伝子に関連するTALENをコードするDNA配列を含む例示的なプラスミドベクター574を示す。プラスミドベクター574は、Gp41-1インテイン-Nに融合したPDS結合ドメインを有する左半TALエフェクター及びGp41-1インテイン-Nに融合したPDS結合ドメインを有する右半TALエフェクターをコードし、これらは以下では左TALEインテインカセット及び右TALEインテインカセットと呼ばれる。プラスミドベクターは、以下でエンドヌクレアーゼカセットと呼ばれる、Gp41-1インテイン-Cに融合したFok1エンドヌクレアーゼを更にコードする。プラスミドベクター574は、前述のようにプラスミド上で逆向きであるYFPレポーターカセットを含み、その特徴は繰り返されない。プラスミド骨格はまた、プラスミド上で逆方向にある細菌選択マーカカセットを含有する。プラスミドベクター574の配列を配列番号77で示す。更に同定されたのは、左TALEインテインカセット(配列番号78)、右TALEインテインカセット(配列番号81)、YFPレポーターカセット(配列番号53)、エンドヌクレアーゼカセット(配列番号82)、細菌選択マーカカセット(配列番号74)、右T-DNAボーダー(配列番号72)、及び左T-DNAボーダー(配列番号73)の配列である。左TALEインテインカセット(配列番号78)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、PDS左結合ドメイン(配列番号60)、特徴10(配列番号79)、インテイン-N(配列番号80)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。右TALEインテインカセット(配列番号81)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、PDS右結合ドメイン(配列番号65)、特徴10(配列番号79)、インテイン-N(配列番号80)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。エンドヌクレアーゼカセット(配列番号82)は、pMtEF1Aプロモータ(配列番号67)、特徴10(配列番号83)、インテイン-C CDS(配列番号84)、Fok1(配列番号70)、酵母_1NLS_HAtag_N152_C40(配列番号71)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。YFPレポーターカセット(配列番号53)は、FMVプロモータ(配列番号54)、YFP CDS(配列番号55)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号56)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号74)は、KanRプロモータ(配列番号75)及びKanR遺伝子(配列番号76)をコードする。
【0120】
図5Fは、THCAS導入遺伝子に関連するTALENをコードするDNA配列を含む例示的なプラスミドベクター576を示す。プラスミドベクター576は、SSP DnaEインテイン-Nに融合されたTHCAS結合ドメインを有する左半TALエフェクター及びSSPインテイン-Nに融合されたTHCAS結合ドメインを有する右半TALエフェクターをコードし、これらは以下では左TALEインテインカセット及び右TALEインテインカセットと呼ばれる。プラスミドベクターは、以下でエンドヌクレアーゼカセットと呼ばれる、SSP DnaEインテイン-Cに融合したFok1エンドヌクレアーゼを更にコードする。プラスミドベクター576は、前述のようにプラスミド上で逆向きであるYFPレポーターカセットを含み、その特徴は繰り返されない。プラスミド骨格はまた、プラスミド上で逆方向にある細菌選択マーカカセットを含有する。プラスミドベクター576の配列を配列番号85で示す。更に同定されたのは、左TALEインテインカセット(配列番号86)、右TALEインテインカセット(配列番号90)、YFPレポーターカセット(配列番号53)、エンドヌクレアーゼカセット(配列番号66)、細菌選択マーカカセット(配列番号74)、右T-DNAボーダー(配列番号72)、及び左T-DNAボーダー(配列番号73)の配列である。左TALEインテインカセット(配列番号86)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、THCAS左結合ドメイン(配列番号87)、特徴10(配列番号88)、インテイン-N(配列番号89)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。右TALEインテインカセット(配列番号90)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、THCAS右結合ドメイン(配列番号91)、特徴10(配列番号88)、インテイン-N(配列番号89)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。エンドヌクレアーゼカセット(配列番号66)は、pMtEF1Aプロモータ(配列番号67)、特徴10(配列番号68)、インテイン-C CDS(配列番号69)、Fok1(配列番号70)、酵母_1NLS_HAtag_N152_C40(配列番号71)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。YFPレポーターカセット(配列番号53)は、FMVプロモータ(配列番号54)、YFP CDS(配列番号55)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号56)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号74)は、KanRプロモータ(配列番号75)及びKanR遺伝子(配列番号76)をコードする。
【0121】
図5Gは、THCAS導入遺伝子に関連するTALENをコードするDNA配列を含む例示的なプラスミドベクター578を示す。プラスミドベクター578は、Gp41-1インテイン-Nに融合したTHCAS結合ドメインを有する左半TALエフェクター及びGp41-1インテイン-Nに融合したTHCAS結合ドメインを有する右半TALエフェクターをコードし、これらは以下では左TALEインテインカセット及び右TALEインテインカセットと呼ばれる。プラスミドベクターは、以下でエンドヌクレアーゼカセットと呼ばれる、Gp41-1インテイン-Cに融合したFok1エンドヌクレアーゼを更にコードする。プラスミドベクター576は、前述のようにプラスミド上で逆向きであるYFPレポーターカセットを含み、その特徴は繰り返されない。プラスミド骨格はまた、プラスミド上で逆方向にある細菌選択マーカカセットを含有する。プラスミドベクター576の配列を配列番号92で示す。更に同定されたのは、左TALEインテインカセット(配列番号93)、右TALEインテインカセット(配列番号97)、YFPレポーターカセット(配列番号53)、エンドヌクレアーゼカセット(配列番号82)、細菌選択マーカカセット(配列番号74)、右T-DNAボーダー(配列番号72)、及び左T-DNAボーダー(配列番号73)の配列である。左TALEインテインカセット(配列番号93)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、THCAS左結合ドメイン(配列番号94)、特徴10(配列番号95)、インテイン-N(配列番号96)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。右TALEインテインカセット(配列番号97)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、THCAS右結合ドメイン(配列番号98)、特徴10(配列番号95)、インテイン-N(配列番号96)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。エンドヌクレアーゼカセット(配列番号82)は、pMtEF1Aプロモータ(配列番号67)、特徴10(配列番号83)、インテイン-C CDS(配列番号84)、Fok1(配列番号70)、酵母_1NLS_HAtag_N152_C40(配列番号71)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。YFPレポーターカセット(配列番号53)は、FMVプロモータ(配列番号54)、YFP CDS(配列番号55)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号56)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号74)は、KanRプロモータ(配列番号75)及びKanR遺伝子(配列番号76)をコードする。
【0122】
図5Hは、PDS導入遺伝子に関連するTALENをコードするDNA配列を含む例示的なプラスミドベクター580を示す。プラスミドベクター580は、Gp41インテイン-Nに融合したPDS結合ドメインを有する左半TALエフェクター及びGp41-1インテイン-Nに融合したPDS結合ドメインを有する右半TALエフェクターをコードし、これらは以下では左TALEインテインカセット及び右TALEインテインカセットと呼ばれる。プラスミドベクターは、以下でエンドヌクレアーゼカセットと呼ばれる、Gp41-1インテイン-Cに融合したFok1エンドヌクレアーゼを更にコードする。プラスミドベクター580は、前述のようにプラスミド上で逆向きであるYFPレポーターカセットを含み、その特徴は繰り返されない。プラスミド骨格はまた、プラスミド上で逆方向にある細菌選択マーカカセットを含有する。プラスミドベクター580の配列を配列番号99で示す。更に同定されたのは、左TALEインテインカセット(配列番号100)、右TALEインテインカセット(配列番号104)、YFPレポーターカセット(配列番号53)、エンドヌクレアーゼカセット(配列番号106)、細菌選択マーカカセット(配列番号74)、右T-DNAボーダー(配列番号72)、及び左T-DNAボーダー(配列番号73)の配列である。左TALEインテインカセット(配列番号100)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、PDS左結合ドメイン(配列番号101)、特徴10(配列番号102)、インテイン-N(配列番号103)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。右TALEインテインカセット(配列番号104)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、PDS右結合ドメイン(配列番号105)、特徴10(配列番号102)、インテイン-N(配列番号103)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。エンドヌクレアーゼカセット(配列番号106)は、pMtEF1Aプロモータ(配列番号67)、特徴10(配列番号107)、インテイン-C CDS(配列番号84)、Fok1(配列番号70)、酵母_1NLS_HAtag_N152_C40(配列番号71)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。YFPレポーターカセット(配列番号53)は、FMVプロモータ(配列番号54)、YFP CDS(配列番号55)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号56)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号74)は、KanRプロモータ(配列番号75)及びKanR遺伝子(配列番号76)をコードする。
【0123】
図5Iは、THCAS導入遺伝子に関連するTALENをコードするDNA配列を含む例示的なプラスミドベクター582を示す。プラスミドベクター582は、Gp41-1インテイン-Nに融合したTHCAS結合ドメインを有する左半TALエフェクター及びGp41-1インテイン-Nに融合したTHCAS結合ドメインを有する右半TALエフェクターをコードする遺伝子を含み、これらは以下では左TALEインテインカセット及び右TALEインテインカセットと呼ばれる。プラスミドベクターは、以下でエンドヌクレアーゼカセットと呼ばれる、Gp41-1インテイン-Cに融合したFok1エンドヌクレアーゼを更にコードする。プラスミドベクター582は、前述のようにプラスミド上で逆向きであるYFPレポーターカセットを含み、その特徴は繰り返されない。プラスミド骨格はまた、プラスミド上で逆方向にある細菌選択マーカカセットを含有する。プラスミドベクター582の配列を配列番号108で示す。更に同定されたのは、左TALEインテインカセット(配列番号109)、右TALEインテインカセット(配列番号112)、YFPレポーターカセット(配列番号53)、エンドヌクレアーゼカセット(配列番号114)、細菌選択マーカカセット(配列番号74)、右T-DNAボーダー(配列番号72)、及び左T-DNAボーダー(配列番号73)の配列である。左TALEインテインカセット(配列番号109)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、THCAS左結合ドメイン(配列番号110)、特徴10(配列番号111)、インテイン-N(配列番号103)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。右TALEインテインカセット(配列番号112)は、VaUbi3プロモータ(配列番号58)、N末端(配列番号59)、THCAS右結合ドメイン(配列番号113)、特徴10(配列番号111)、インテイン-N(配列番号103)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。エンドヌクレアーゼカセット(配列番号114)は、pMtEF1Aプロモータ(配列番号67)、特徴10(配列番号115)、インテイン-C CDS(配列番号84)、Fok1(配列番号70)、酵母_1NLS_HAtag_N152_C40(配列番号71)及びNosターミネータ(配列番号63)をコードする。YFPレポーターカセット(配列番号53)は、FMVプロモータ(配列番号54)、YFP CDS(配列番号55)及びRbcs-E9ターミネータ(配列番号56)をコードする。細菌選択マーカカセット(配列番号74)は、KanRプロモータ(配列番号75)及びKanR遺伝子(配列番号76)をコードする。
【0124】
いくつかの実施形態は、細菌株のスターター培養物を調製すること、及び細菌株を含む細菌培養培地を調製することに関する。細菌株は、A.リゾゲネス細菌株(18r12)を含んでいた。A.リゾゲネス株をAB+Kan50培地上のプレートに画線接種した。単一コロニーを15mLのYEP培養物+7.5uLのKan50に接種し、それらは全て50mLの通気コニカルチューブ内にあった。いくつかの実験では、第2の培養物にバックアップとして別の単一コロニーを接種する。培養物を28℃のシェーカー(220rpm)に約8時間斜めに置いた。ODSTARTERは、理想的には0.2~0.4の光学密度(OD)600であると測定された。250mLフラスコを49mLの液体AB最小培養培地、1mLのYEPスターター培養物及び25uLのKan50で調製し、シェーカー(220rpm)上28℃で20時間増殖させた。前述のように、細菌株は、異種ヌクレオチド配列を有するように形質転換することができる。
【0125】
種子を滅菌して浸すことにより、アサ科種子を準備した。以下の工程を換気フード内で実施した:1)約100個の種を含む50mLチューブを取り、血清ピペットを使用して10mLの12M硫酸を加えた。2)50mLチューブを閉じ、10秒間穏やかに振盪した。3)50mLチューブを開き、血清ピペットを使用して硫酸を除去した。4)硫酸廃棄物を、400mLのddHOを含有するガラス廃棄ビーカーにピペットで入れた。5)すすぎ洗浄するために、45mlの滅菌ddHOを、種を含有する50mLチューブに加えた。6)50mlチューブを閉じ、10秒間穏やかに振盪した。7)血清ピペットを使用して、50mlチューブからddHOを除去した。8)すすぎ洗浄するために、45mLの新鮮なddHOを50mLチューブに添加し、チューブを閉じ、チューブを層流フードに運んだ。ddHOを50mLチューブから取り出し、45mLの30%Hを加えた。50mlの管を閉じ、回転シェーカー上に20rpmで10~20分間置いた。10~20分後、50mLチューブを回転シェーカーから取り出し、層流フードに戻した。血清ピペットを使用して、50mLチューブからHを除去した。種を含む50mLチューブにddHOリンスを5回(5回)行った。5回目のddHOリンスの後、滅菌した種を固体MS培地を含むプレートに注ぎ出し、8mLの2%v/vPPMをプレートに直接添加し、70rpmに設定したシェーカーに一晩置いた。これは過剰浸漬を回避するために使用され、PPMは内生菌の汚染を排除する。
【0126】
いくつかの実験実施形態では、細菌株のスターター培養、種子浸漬を1日目に行った。
【0127】
スターター培養物を感染のために調製した。OD、ボトル、及びスターター培養の3つの50mLフラスコを5400rpmで10分間遠心分離する。上清を除去し、150mLのTDZ感染培地を添加してペレットを再懸濁した。75uLの40mg/mLアセトシリンゴンを添加して、最終[アセトシリンゴン]=100uMとし、感染培地を調製した。0.02%v/vのSilwet L-77を感染培地中の再懸濁細菌に添加した。
【0128】
浸された種子を使用して、アサ科分裂組織領域及び/又はEAを抽出した。例えば、20mLのTDZ感染培地を100×25mmペトリ皿に添加して感染プレートを形成し、浸された種子を2%v/vのPPMを含む固体MS培地と共にプレート上に残した。十分な数の感染プレートを使用して、プレート当たり約75個のアサ科分裂組織領域及び/又はEA、並びに浸された種子のプレート当たり1つの感染プレートを提供した。滅菌鉗子を使用して、子葉、一次葉及び種皮を各EAから穏やかに取り出した。種皮、子葉、一次葉を除去したら、EAを、細菌(18r12等)を接種する前に、20mLのTDZ感染培地を含むペトリ皿に入れた。
【0129】
TDZ感染培地等で培養及び懸濁した細菌株を超音波処理し、浸されたEA及び/又は分裂組織領域を接種する。例えば、TDZ感染培地を感染プレートからピペットで取り出し、再懸濁した細菌10mLを添加した。感染プレートをパラフィルムし、一枚ずつ80秒間超音波処理した。超音波処理後、20mLの新鮮な細菌を添加した。次いで、プレートを層流フード内で室温にて30分間インキュベートした。
【0130】
超音波処理及び接種後、分裂組織領域及び/又はEAを細菌株と共培養した。例えば、残った細菌を感染プレートからピペッティングした。次いで、分裂組織領域及び/又はEAを、本明細書で「共培養プレート」と呼ばれることもある750uLの滅菌ddHOで湿らせた滅菌濾紙片を含む新しい100×15mmペトリ皿に移した。これにより、過剰な細菌の乾燥が促進された。感染プレート(例えば、75前後の全体)からのEAを屈曲した顎鉗子を使用して山に集め、EAの山を、山のEAが依然として一緒に取り付けられた状態で、滅菌ddHOで湿らせた滅菌濾紙を有する調製された共培養プレートに移した。共培養プレートをパラフィルムの層で包み、23℃、湿度40%で24時間の周囲光(0umol/m-2/s-2)中で2~4日間インキュベートした。
【0131】
他の実験では、共培養培地を使用した。例えば、単一の分裂組織領域及び/又はEAは、一度に1つの分裂組織領域及び/又はEAを静かにピックアップし、各共培養プレートに1つずつ広げて約10個のEAをめっきすることによって、その上に共培養培地を有する共培養プレートに移された。共培養プレートをパラフィルムの層で包み、23℃、湿度40%で16/8時間の周囲光(30μmol/m-2/s-1)中で2~4日間インキュベートした。
【0132】
いくつかの実験的実施形態では、感染培地の調製、アサ科分裂組織領域及び/又はEAの抽出、超音波処理及び接種、並びに共培養は、2日目に行われたか、又は少なくとも開始された。
【0133】
共培養後、以下に開示されるCL培地等の汚染を低減又は排除するのを助けるための回収工程として、分裂組織領域及び/又はEAをアサ科液体(CL)培地に移した。例えば、分裂組織領域及び/又はEAを100×25mmペトリ皿中のCL培地に移し、パラフィルムで密封した。いくつかの実験では、プレート当たり約50~100個のEAを、Convironインキュベータ中、23℃、湿度40%で、50~100umol/m-2/s-1の16/8時間光で3日間プレーティングした。
【0134】
回収工程の後、2~10mg/Lの範囲のTDZを含有するSIMに、分裂組織領域及び/又はEAを移す。EAは、小根を下方に向けて配向され、及び/又は分裂組織領域は、SIM及び頂端分裂組織を上方に向けて配向された。いくつかの実施形態では、EAを固体SIMに浸漬した。第2の滅菌100×25mmプレートの底部を蓋として使用し、マイクロポアテープで密封した。いくつかの実施形態では、EAを、プレート当たり10個のEAを、100μmol/m/秒の白色蛍光下、室温23+/-1℃で18日間培養した。
【0135】
苗条誘導後、1回目の苗条伸長を行った。例えば、分裂組織領域及び/又はEAを、SEMI+S100培地等の第1のSEMに移した。小根を切断し、EAを、小根を第1のSEM培地に下げ、頂端分裂組織を上にして配向させた。第2の滅菌100×25mmプレートの底部を蓋として使用し、マイクロポアテープで密封した。いくつかの実施形態では、EAを、23+/-1℃で100μmol/m/秒白色蛍光下、プレート当たり5個のEAを21日間培養した。
【0136】
1回目の苗条伸長後、2回目の苗条伸長を行った。例えば、次いで、分裂組織領域及び/又はEAを、SEMI+S150培地等の第2のSEMに移した。EAを、第2のSEM培地中に小根を下げ、頂端分裂組織を上にして配向させた。第2の滅菌100×25mmプレートの底部を蓋として使用し、マイクロポアテープで密封した。いくつかの実施形態では、EAを、23+/-1℃で100μmol/m/秒白色蛍光下、プレート当たり5個のEAを21日間培養した。
【0137】
2回目の苗条伸長後、伸長した苗条が発根した。ポジティブルッキング苗条(好ましくは高さ2インチ、非漂白葉を有する最低1インチの高さの苗条)を切断し、苗条が少なくとも1cmの長さである少なくとも2つの一次根を発達させるまで、約14日間、LED下のフィタットレイでアサ科RM DKW+0.5IBA培地に発根させた。新しい一次根及び根毛構造が発達するまで、及び土壌中の順化に送る前に、苗条をおよそ7~14日ごとに新鮮なRM上で継代培養した。
【0138】
AB塩(20X)を作製するために、以下のプロトコル及び容量を使用した:
700mLのddHO;20gのNHCl;6gのMgSO*7HO;3gのKCl;0.2gのCaCl;50mgのFeSO*7HO;KOHでpHを7.0に調整し、溶液を1000mLのddHOの体積にした。
【0139】
AB緩衝液(20X)を作成するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
700mLのddHO;60gのKHPO;20gのNaHPO;溶液を1000mLのddHOの体積にした。
【0140】
AB最小寒天培地(固体)を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
700mLのddHO;5gのスクロース;15gの分子等級寒天;溶液を900mLのddHOの体積にした。50mLの20×AB塩;及び50mLの20×AB緩衝液。
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブ処理した。AB+Kan50培地を作製するために、50mg/LのカナマイシンをAB培地に添加した。
【0141】
AB最小培地(液体)を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
700mLのddHO;5gのスクロース;溶液を900mLのddHOの体積にした。50mLの20×AB塩;及び50mLの20×AB緩衝液。
培地を液体サイクルで25分間オートクレーブ処理し、55℃に冷却し、100×15mmプレートに注いだ。
【0142】
YEP培地(液体)を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;10gのバクトペプトン;5gの酵母エキス;5gのNaCl;溶液を1000mLのddHOの体積にした。培地を濾過滅菌した。
【0143】
TDZ感染培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;1.305gのDKW基礎塩(D190);25mLの20×AB塩;25mLの20×AB緩衝液;1gの硝酸カリウム;20gのグルコース;5gのMES(M825);0.1mLのGamborgのB5ビタミン(G219)[1000X];溶液をddHOの1000mL体積にした。KOH/HClの滴定によりpHを5.4に調整した。1.0mL[1mg/mL]のTDZ(T8118)。
培地を濾過滅菌し、使用日にチオールを添加した。添加したチオールは、2.0mLのジチオスレイトール[77mg/ml]、4.96mLのチオ硫酸ナトリウム・5H2O[50mg/ml]、及び8mLのL-システイン[50mg/ml]を含んでいた。いくつかの実施形態では、0.02%v/vのSilwet L-77を使用日に添加した。
【0144】
CL培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのPPM;1mLのGamborgのB5ビタミン(G219)[1000x];溶液を168.9mLのddHOの体積にした。KOH滴定によりpHを5.7に調整した。
培地を濾過滅菌し、以下をオートクレーブ後に添加した:2mLのTDZ(T8119)[1mg/mL];2.0mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2.0mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.0mLのチメンチン(T104)[300mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)[250mg/ml]及び2mLのカルベンシリン(C346)[250mg/mL]。
【0145】
共培養培地(例えば、co-cult G DKW)を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;20gのグルコース;5.22gのG DKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);溶液を183.75mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.8に調整した。6gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:0.125mLのIAA(I364)[1mg/ml]、2mLのtrans-Zeatin Riboside(Z899)[1mg/ml]、及び2mLのアセトシリンゴン(A1104)[20mg/ml=100mM]。本明細書で使用される場合、DKW中のGはgelzan(例えば、固化剤)を指し、DKWは塩の一種である。しかし、様々な実験において、共培養は、滅菌ddHOで湿らせた滅菌濾紙片を使用し、共培養培地を使用せずに実施した。
【0146】
SIM+S10(TDZ2)培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219)[1000x];8mLの鉄キレート(F318);溶液を163.532mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:2mLのTDZ(T8118)[1mg/mL]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び0.2mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0147】
SIM+S10(TDZ10)培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を155.532mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:10mLのTDZ(T8118)[1mg/mL]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び0.2mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0148】
SIM+S50(TDZ2)培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を163.532mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:2mLのTDZ(T8118)[1mg/mL]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び1mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0149】
SIM+S50(TDZ10)培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を155.532mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:10mLのTDZ(T8118)[1mg/mL]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び1mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/mL]。
【0150】
SIM+S100(TDZ2)培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を163.532mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:2mLのTDZ(T8118)[1mg/mL]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び2mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0151】
SIM+S100(TDZ10)培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を155.532mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:10mLのTDZ(T8118)[1mg/mL]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び2mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0152】
SEM I+S50培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を154.594mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:0.0385mLのジベレリン酸(G362)[13mg/ml]、0.1mLのIAA(I364)[1mg/ml]、10mLのL-アスコルビン酸[10mg/ml]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び1mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0153】
SEM I+S100培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を154.594mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:0.0385mLのジベレリン酸(G362)[13mg/ml]、0.1mLのIAA(I364)[1mg/ml]、10mLのL-アスコルビン酸[10mg/ml]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び2mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0154】
SEM I+S150培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1gのMES(M825);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);8mLの鉄キレート(F318);溶液を154.594mLのddHOの体積にした。KOHの滴定によりpHを5.7に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)。
培地をMediaClaveを用いてAGARサイクルでオートクレーブし、オートクレーブ後に以下を添加した:0.0385mLのジベレリン酸(G362)[13mg/ml]、0.1mLのIAA(I364)[1mg/ml]、10mLのL-アスコルビン酸[10mg/ml]、2mLのアスパラギン(A107)[25mg/ml]、2mLのグルタミン(G229)[25mg/ml]、1.2mLのカルベニシリン(C346)[250mg/ml]、1.2mLのセフォタキシム(C380)及び3mLのスペクチノマイシン(S4014)[50mg/ml]。
【0155】
アサ科RM DKW+0.5IBA培地を作製するために、以下のプロトコル及び体積を使用して1Lの培地を形成した:
800mLのddH-O;30gのスクロース(S391);5.22gのDKW基礎塩(D190);1mLのGamborgのB5ビタミン(G219);5mLの植物保存混合物;溶液を体積174.63mLのddHOにした。KOHの滴定によりpHを5.8に調整した。7gの寒天、植物TC(A296)
培地を、MediaClaveを含むAGARサイクルでオートクレーブし、0.5mLのIBA[1mg/1mL]を添加した。
【0156】
感染培地(例えば、EA TDZ感染培地)、共培養培地、再生培地(例えば、CL培地、)、SIM(例えば、SIM+S10(TDZ2)培地、SIM+S10(TDZ10)培地、SIM+S50(TDZ2)培地、SIM+S50(TDZ10)培地、SIM+S100(TDZ2)培地、及びSIM+S100(TDZ10)培地)、SEM(例えば、SEMI+S50培地、SEMI+S100培地、及びSEMI+S150培地)、及びRM DKWは、一般に、水、基礎塩混合物、糖、並びにビタミン、選択剤、アミノ酸、及び植物ホルモン等の1つ又は複数の他の成分を含む。SIM及びSEMは、窒素、リン、カリウム、硫黄、カルシウム、マグネシウム、鉄、ホウ素、モリブデン、マンガン、コバルト、亜鉛、銅、塩素及びヨウ素の栄養源を含むことができる。いくつかの実験実施形態では、以下を表1に従って実施した:
【表1】
そのような実験実施形態では、大麻EAを図5Cに示すようにプラスミドベクター570で形質転換した。大麻EAを、アサ科形質転換プロトコルを使用し、バイナリーベクターを含有する細菌を使用して形質転換した。バイナリーベクターは、スペクチノマイシン選択マーカ、YFP視覚選択マーカ、及びTHCAS遺伝子の一部をノックアウトするように設計されたTALEN対を含む異なる要素を含む。21%及び31%の編集頻度を有する大麻EAをSIM+S10(TDZ10)に3週間プレーティングした。
【0157】
図6A~6Bは、本開示と一致する、表1の試料からの例示的な画像を含む。図6A図6Bからの画像は、試料2からのIllumina位置合わせ画像である。垂直黄色点線内の白色領域は、標的THCAS領域の編集の成功を示す。図6Bは、THCAS領域のノックアウト編集を表すリードを示す、図6Aの拡大版である。
【0158】
図7A図7Bは、本開示と一致する、細菌株で形質転換された大麻実生外植片の画像である。いくつかの実験では、図5Bに示すように、形質転換中に子葉が無傷の大麻実生外植片をプラスミドベクター560で形質転換した。このような実験では、アサ科形質転換プロトコルを使用し、バイナリーベクターを含有する細菌を使用して、子葉が無傷の大麻実生を形質転換した。バイナリーベクターは、カナマイシン選択マーカ、YFP視覚選択マーカ、及びTHCAS遺伝子の一部をノックアウトするように設計されたTALEN対を含む異なる要素を含む。図7Aの画像によって示されるように、YFPは外植片の幹の形質転換外植片に見られ、導入遺伝子が大麻ゲノムに安定的に組み込まれていることを示している。図7Bの画像によって示されるように、YFP蛍光は外植片の根領域にも見ることができる。
【0159】
図8は、本開示と一致する、図7A~7Bに示す細菌で形質転換された大麻実生外植片から再生された植物の画像である。植物を組織サンプリングし、PCRを用いて分析した。PCRデータは、植物が形質転換法によって送達された導入遺伝子を含むことを示す。
【0160】
図9は、本開示と一致する、図8に示す再生植物からのPCRデータの画像である。示されるように、植物は導入遺伝子に対して陽性バンドを有し、バンドは陽性対照DNAとよく整列する。
【0161】
図10A図10Bは、本開示と一致する、細菌株で形質転換された大麻の分裂組織領域の画像である。いくつかの実施形態では、大麻外植片を、図5Aに示すようにプラスミドベクター550で形質転換した。実験では、分裂組織領域を含む又は分裂組織領域として実施される大麻外植片を、上記の形質転換プロトコルを使用し、バイナリーベクターを含むアグロバクテリウム株を使用して形質転換した。バイナリーベクターは、スペクチノマイシン選択マーカ及びベタライン視覚選択マーカを含む異なる要素を含んでいた。大麻外植片は非常に効率的な形質転換を示し、外植片全体がベタライン色を発現する。更に、大麻外植片に由来する外植片は、導入遺伝子が再生組織に首尾よく組み込まれたことを証明する。ベタラインは、元の外植片における高レベルのベタライン発現に加えて、分裂組織、葉柄及び葉組織において発現されるものとして示されている。図10Aは、形質転換された大麻外植片の画像であり、ベタレインの発現を示し、T-DNAベクターの組み込みを示す。より詳細には、図10Aの画像は、分裂組織領域の変換を示す。図10Bは、外植片から再生された植物を示し、これは、分裂組織、葉柄及び葉組織におけるベタレイン発現を示す。元の外植片は、T-DNAベクターの非常に効率的な組み込みを示す。更に、この外植片に由来する再生植物は、分裂組織、葉柄及び葉組織においてベタレイン発現を示す。
【0162】
図11は、本開示と一致する、細菌株で一時的に形質転換された大麻実生の画像である。いくつかの実験では、プラスミドベクター550で形質転換された実生の一過性発現を行った。そのような実施形態では、大麻実生を、上記の形質転換プロトコルを使用し、バイナリーベクターを含有するアグロバクテリウム株を使用して形質転換した。バイナリーベクターは、スペクチノマイシン選択マーカ及びベタライン視覚選択マーカを含む異なる要素を含んでいた。実生は効率的な形質転換を示し、いくつかの外植片は形質転換の45分後にベタレイン色を一過性に発現した。図11の画像は、形質転換45分後のベタライン色の一過性発現を示す大麻実生を示す。丸で囲んだ外植片は一過性にベタレインを発現しているが、残りは発現していない。
【0163】
図12A図12Cは、本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。いくつかの実施形態では、大麻実生外植片をプラスミドベクター550で安定に形質転換した。実生は効率的な形質転換を示し、例示的な外植片は対照と比較してRUBYベクターの安定した形質転換を示した。図12Aは、RUBYベクターで形質転換されていない対照外植片の画像を示す。12B及び12Cは、安定に形質転換された大麻実生外植片を示す。図12B図12Cに示すように、ベタライン発現は外植片で見ることができる。
【0164】
図13A図13Bは、本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻EAの画像である。いくつかの実施形態では、大麻EAをプラスミドベクター550で形質転換した。EAは、野生型EA対照におけるベタレイン発現なしと比較して、導入遺伝子の安定した発現を示した。図13Aは、RUBYベクターで形質転換されていない対照外植片の画像を示す。図13Bは、安定に形質転換された大麻実生外植片を示す。図13Bによって示されるように、ベタライン発現は外植片において見られ得る。形質転換された大麻EAは、外植片全体にわたってベタレインの安定した発現を示す。
【0165】
図14A図14Bは、本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。いくつかの実施形態では、大麻実生外植片をプラスミドベクター550で形質転換した。苗の外植片を薄くスライスし、顕微鏡を使用して画像化した。切片は、ベタレインを発現している細胞を示す。図14A図14Bは、導入遺伝子で安定に形質転換された大麻実生の断面を示す。
【0166】
図15A図15Bは、本開示と一致する、細菌株で安定に形質転換された大麻実生外植片の画像である。いくつかの実施形態では、大麻実生外植片を、図5Bに示すようにプラスミドベクター560で形質転換した。実生外植片を、上記のように、バイナリーベクターを含むアグロバクテリウムを使用して形質転換プロトコルで安定に形質転換した。バイナリーベクターは、カナマイシン選択マーカ及びYFPレポーター(例えば、視覚的選択マーカ)を含む様々な要素を含んでいた。高レベルのYFP蛍光は、形質転換の7日後に分裂組織領域で同定された。図15Aは、白色光下でプラスミドベクター560で形質転換された大麻外植片の画像である。図15Bは、YFP蛍光光の下に置かれた図15Aの大麻外植片の画像である。外植片は、ベクターの大麻ゲノムへの組み込みに起因して、分裂組織領域で安定したYFP蛍光を示す。
【0167】
様々な実験は、異なる培養培地及び異なるTDZ濃度を有するSIM等の培養培地の異なる濃度の成分を試験することを対象とした。大麻は難分解性であり、いくつかの実験では、得られた外植片は形質転換苗条を示さなかった。様々な実験に基づいて、大麻植物は強い頂端優性を有し、頂端優性を破ると形質転換効率が高まり、より多くのトランスジェニック事象が生じると考えられている。やや驚くべきことに、約2mg/L~約10mg/Lの濃度のTDZをSIMに使用して、頂端優位性を破り、分裂組織大麻細胞の苗条を増加させた。いくつかの実験は、大麻EA上で異なる光条件で異なるSIMを試験することを対象とした。例えば、種子を滅菌し、浸し、EAを抽出した。いくつかの実験では、EAは形質転換されず、40から50個のEAが各異なるSIMで再生された。更なる実験では、EAのサブセットをTDZ等の植物成長調節剤を含まないSIMにプレーティングし、残りのEAを10mg/LのTDZを含むSIMにプレーティングし、各サブセットの異なる群を異なる光条件に曝露した。表2及び表3は、例示的な培地及び光条件を要約する。
【表2】
【表3】
表3のB、G、R値は、光の強度と共に、青色、緑色、及び赤色の光の値を含む。
【0168】
図16A図16Gは、本開示と一致する、異なる培養培地及び光条件を評価した実験のデータ結果の図である。
【0169】
図16Aは、異なるSIM上で培養した大麻EAから再生した大麻外植片の画像1680、1681、1683、1684である。図示されていないが、IAA、アデニンヘミ硫酸及びグルコースは、有意な正の影響を及ぼさなかった。画像1680、1681、1683、1684は、それぞれ1mg/LのTDZ、2.5mg/LのTDZ、5mg/LのTDZ、及び10mg/LのTDZを含むSIMで再生された得られた外植片を示す。約3週間後、10mg/LのTDZを含むSIM上の外植片は、最大の苗条成長を示した。約6週間後、10mg/LのTDZを含むSIM上の外植片は、ストレスの徴候、例えば、クロロシス、カルス形成、成長阻害を示した。したがって、大麻EAを、10mg/LのTDZを含むSIM上で約2~約6週間、いくつかの実施形態では、約2週間~3週間培養することができる。
【0170】
図16Bは、図16Aによって前述されたように異なるSIMにおいて再生された外植片及び結果として生じる分裂組織の数を示すグラフである。示されるように、10mg/LのTDZを有するSIMは、複数の分裂組織を有する外植片をほとんど有していた。5mg/LのTDZを含むSIMは、多数の分裂組織を有する外植片をほとんど有していた。
【0171】
図16Cは、10mg/LのTDZを含有するSIM上で再生された、得られた外植片の画像である。
【0172】
例は、図16B図16Cに示されるTDZ及び/又はTDZ濃度を含有する培地に限定されない。いくつかの実験では、追加のTDZ濃度を試験し、SIM中の成分の異なる組合せを試験した。表4及び表5は、2週目及び6週目に試験された異なるSIM及び得られた分裂組織を示す。
【表4】
【表5】
【0173】
図16Dは、10mg/LのTDZを含有し、植物成長調節剤を含まないSIM上での大麻EAの結果として生じる成長の画像である。特に、画像は、上記の表3に記載の明I条件下での成長を示す。植物成長調節剤を含まない培地は、特に明I及び明II条件下で、及び著しく長い苗条を有する明III条件下で、良好な根成長を有した。
【0174】
図16Eは、植物成長調節剤なし及び10mg/LのTDZありの異なる光条件下(例えば、光I、光II、及び光IIIの条件)でのSIMにおける大麻EAの結果として生じる成長の画像を示す。
【0175】
図16F及び図16Gは、植物成長調節剤なし(図16F)及び10mg/L TDZあり(図16G)の培養物における外植片当たりの分裂組織の数に対する異なる光条件の結果を示すグラフである。示されるように、明条件のみは苗条数に有意な影響を及ぼさなかったが、TDZの使用は影響を及ぼした。例えば、10mg/LのTDZの約半分は複数の分裂組織を有し、軽質II条件は3+の分裂組織を有する40%の外植片をもたらし、軽質II条件は3+の分裂組織を有する24%の外植片をもたらし、軽質I条件は3+の分裂組織を有する12%の外植片をもたらした。
【0176】
様々な実験は、上述のプロトコルを使用して大麻EAを形質転換することを対象とし、感染、CL、及びTDZを含有するSIM培地の使用を含む。例えば、50~75個のEAを20mLのTDZ感染培地+チオール/感染プレート中で単離した。単離が完了した後、TDZ感染培地+チオールを除去した。約0.8のOD600を有する18r12をYEP/AB培養培地で増殖させた。18r12をTDZ感染培地+チオール+100uMアセトシリンゴン(AS)+0.02%v/vSilwet L-77に再懸濁した。10mLの再懸濁した18r12を80秒間超音波処理したところ、超音波処理はほとんど又は全くYFP又は他の形質転換体発現をもたらさなかった。他の例には、20~60秒の超音波処理が含まれた。次いで、20mLの新鮮な再懸濁した18r12を、既に感染プレート内にある10mLに添加し、30分から1時間接種した。再懸濁した18r12の30mLを感染プレートから取り出した。感染プレートから50~75個のEAを採取し、100×15mmペトリ皿中の750μLのddHOで湿らせた滅菌紙に取り付けて共培養プレートを形成することによって、5日間の共培養を行った。共培養プレートをパラフィルムし、24時間の周囲光、0μmol/m-2/s-1、40%RH、23℃を含む条件でインキュベータに入れた。次いで、EAを20mlのCL培地(0.1%PPM、TDZ)を含む100×24mmペトリ皿に回収し、パラフィルムし、コンビロンに3日間入れ、その間に1回滅菌したddHOリンスを用いて毎日継代培養した。CL培地を除去し、EAを1×滅菌ddHOですすぎ、SIM+S10(TDZ2)固体培地中に約3週間置いた。以下の表6及び7は、大麻EAを形質転換するために使用される異なる培養培地及び条件を記載する。様々な実験において、得られた形質転換外植片を、形質転換頻度を同定するためにPCRを使用して試験した。0.5から2.5の間のコピー数値を有する形質転換培養物を同定し、そのような培養物から、合計47個のT0のうち7個のトランスジェニックT0が観察され、14.89%の形質転換効率が得られた。
【表6】
【表7】
【0177】
図17A図17Fは、本開示と一致する、異なる培地で外植片の形質転換を評価する実験からの外植片の画像である。図17Aは、CsEA TDZ+0.02%v/vSilwet L-77、GmEA TDZ+0.02%v/vSilwet L-77(これは、塩組成がジベレリン酸を更に含むCsEA TDZ+0.02%v/vSilwet L-77と同じである)、MTA+TDZ、及びMTAを含む異なる感染培地から得られた外植片の画像を示す。図17Aによって示されるように、異なる感染培地処理は、異なるYFP発現をもたらした。より詳細には、CsEA TDZ及びGmEA TDZは、MTA+TDZとMTAとの間で行われた。
【0178】
図17B図17Cは、GmEA TDZ+0.02%v/vSilwet L-77(図17B)及びMTA感染培地(図17C)を使用して形質転換した場合に得られた外植片を示す。示されるように、葉原基は形質転換されず、非トランスジェニック一次苗条を生じさせる。
【0179】
図17D図17Eは、18r12プラスミドベクター570による感染の4週間後に、回収され、CL(例えば、2mg/L TDZ)及びSIM(2mg/L TDZ)を使用して再生されたときに画像化された、得られた安定に形質転換された外植片の画像である。
【0180】
図17Fは、18r12-プラスミドベクター570による感染の5週間後に画像化され、回収され、CL(例えば、2mg/L TDZ)及びSIM(2mg/L TDZ)を使用して再生された、得られた安定に形質転換された外植片の画像である。
【0181】
更なる実験実施形態では、大麻EAを、図5D図5Iによって示されるように、プラスミドベクター572、576、578、580、582プラスミドベクターで形質転換した。大麻EAを、上記のアサ科形質転換プロトコルを使用し、それぞれのバイナリーベクターを含有する細菌を使用して形質転換し、感染培地、CL(PPM及びTDZ2を含む)及びSIM(TDZ10)の使用を含む上記実験実施形態の工程を使用して再生した。様々な実施形態では、編集効率を異なるプラスミドベクター間で比較した。異なるプラスミドベクターは、PDS遺伝子を標的とする第1のセット(例えば、図5Dのプラスミドベクター10,572、図5Eの574、図5Hの580)及びTHCAS遺伝子を標的とする第2のセット(例えば、図5Fのプラスミドベクター11、576、図5Gの578、図5Iの582)を含んでいた。第1のセット及び第2のセットの各々の中で、それぞれのベクターは、インテイン(例えば、本明細書に示されていないプラスミドベクター10及びプラスミドベクター11)、SSP DnaE及びネイティブエクテイン(例えば、図5Dの572、図5Fの576)のインテイン、GP41-1及び非ネイティブエクテイン(例えば、図5Eの574、図5Gの578)のインテイン、並びにGP41-1及びネイティブエクテイン(例えば、図5Hの580、図5Iの582)のインテインを含まなかった。
【0182】
図18A図18Iは、本開示と一致する、異なるプラスミドベクターを使用して外植片を形質転換した結果を示す図である。図18Aは、第1のセット及び第2のセットの異なるプラスミドベクターの編集効率を比較するグラフであり、インテインなし(例えば、プラスミドベクター10及びプラスミドベクター11、SSP DnaE及びネイティブエクテインのインテイン(例えば、図5Dの場合は572、図5Fの場合は574)、GP41-1及び非ネイティブエクテインのインテイン(例えば、図5Eの574、図5Gの578、並びにGP41-1及びネイティブエクテインのインテイン(例えば、図5Hの580、図5Iの582)の編集効率を示す。図18B図18Cは、図18Aによって示されるように、第1のセット及び第2のセットの異なるプラスミドベクターのパーセント編集事象を比較するグラフである。
【0183】
図18D図18Iは、本開示と一致する、図5D図5Iの異なるプラスミドベクターによる外植片の形質転換を評価する実験からの外植片の画像である。
【0184】
様々な実験実施形態は、様々な培地を使用してアサ科のEAを形質転換することを対象とした。いくつかの実験において、感染培地、CL培地及びSIM培地はTDZを含有した。やや驚くべきことに、SIM培地は時に2又は10mg/LのTDZを含有し、形質転換細胞を有する再生されたアサ科外植片をもたらした。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A
図17B-17C】
図17D
図17E
図17F
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図18G
図18H
図18I
【配列表】
2024535842000001.app
【国際調査報告】